海外同胞引揚に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 58 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1949/04/14
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたします。去る七日、理事田島ひで君が委員を辞任いたしましたので、これより理事の補欠選挙を行います。
○佐々木(盛)委員 理事の補欠選挙は投票を用いず、委員長に一任いたしたいと存じます。
○中山委員長 佐々木委員の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 それでは御異議なしと認め、横田甚太郎君を理事に指名いたします。御賛成を願います。次にいよいよ引揚再開も目前に迫つて参りましたので、受入態勢並びに引揚者の更生問題につきまして、まず当局より説明を聽取いたしたいと存じます。
○田邊政府委員 それでは私から引揚者の引揚げに対する受入態勢の概要について御説明申し上げます。その前にまず引揚げの進捗状況について概要申し上げます。総司令部の発表によりますと、現在までに引揚げて参りました総数は六百十四万五千人。残留者の数は四十六万九千人。その内訳はシベリア方面に三十三万四千五百九十三人、樺太、千島方面が八万四千百三十六人、満州地区に六万三百十四人、これが総司令部の正式の発表に相なつております。從いまして大部分がソビエト地区でございまして、満州のいわゆる中共地区に六万人残つておるわけであります。御承知の通りソ連との間には月五万という協定ができております。しかし実際の帰還の状況におきましては、五万を若干下廻つております。なお総司令部からは月十六万の受入れの提案をしております。これに対しましては、いまだ何らの回答を得ておらないのであります。そこでまず配船の状況でありますが、現在舞鶴援護局には船が十二隻待機しております。これが一回に運び得る人間の数は三万九千六百人、函館には十一隻おりまして、一回の輸送人員が一万七千四百人と相なつております。從いまして合計で、船は一回で二十三隻、人員としては五万七千余を輸送できるわけであります。往復七日といたしましても、月三回は優に往復できますので、その三倍の十七万人は一月間に運び得る状況になつております。今月の五日、六日、舞鶴で全國引揚援護の主管課長を招きまして、受入態勢の万全を期するための打合せ会をいたしました際に、全員揃つて舞鶴の中の配船の状況を現場につき視察いたしましたが、ちようど一隻だけはちよつと修繕をいたしておりましたが、十一隻全部揃つておりました。休止期間中に修繕と改装をいたしまして、中には煙を吐いて、命令があればいつでも出港できるようになつております。從つて配船の状況につきましては、何らの心配もない状況であります。 それから上陸地及び上陸しましてからの列車、駅頭援護等の状況につきましては、今後帰つて参ります帰還者は、現地において四年になんなんとする長期にわたつて苦労をされた方であります。しかし四年間内地の事情からまつたく耳目を閉されておりますし、現地におきまして、御承知のような特殊の一方的な教育宣傳をされておりますので、國内事情についてはまつたく逆の認識を持つて帰られる方々でありますので、これが受入れにつきましては細心の注意をもつて、あたたかい援護の手を差しのべてやる必要があると思います。ことに國内事情の周知徹底につきしましては、関係方面においては非常に重要視しておりますので、この方面については今後とも重点を注いで行きたい、かように考えております。 上陸地における施設につきましても、いろいろと配慮しまして、從來殺風景でありました局外につきましても、花壇をつくつたり、あるいは木を植えたり、極力從來の兵舎的な印象を拂拭するように努めております。また局内の施設につきまして、國民の受入れの熱意が十分に反映するように、いろいろと努力しております。なお本年度から上陸して参ります方方に差上げるいろいろの日用品、被服類等につきまして若干考慮いたしまして、去年よりもさらに手厚くいたすように準備いたしております。ことに婦人の方々に対しましては、從來よりも被服の支給点数を増加して、この方々の援護に一層の手厚さを加川えたい、かように存じております。 國内事情の啓発、身上相談につきしましては、最も重要視いたしまして、まず引揚者の方々が一番氣にかかるのは自分の郷里の状況でございますので、今度新しく舞鶴援護局の講内に郷土室といを建物をつくりまして、各縣別に郷土の事情を紹介するような資料を展示いたしまして、そこに行けば大体自分の縣の状況がこうなつておるということがわかるようになつております。たとえば戰災直後の、徳島市なら徳島市の状況と、現在復興しております徳島市の状況とが、一覧してわかるような施設にする。またいろいろ工夫をこらしまして、引揚者の方々の御便宜に供するように工夫いたしております。 なお國内事情の周知徹底という点につきましては、文部省と協力いたしまして、今年度より飛躍的に内容を充実して行きたい、かように存じておりまして、文部省と常時連絡を保ちまして、いろいろの印刷物、資料等を配布するようにいたしております。また個別的な相談指導という点は最も効果的でありますので、文部省から派遣されている方々と引揚援護局の職員とが協力いたしまして、機会あるごとに面接いたしましていろいろの御相談に應じ、その間を通じて國内事情の周知徹底に極力努力いたしております。從つて上陸いたしますときに、一種かわつた空氣を持つて上つて來るのでありますが、帰るときには相当穩やかになりまして、援護を受けた方々に対しましても感謝の念を持つて援護局を出発する、こういう状況に相なつておりますので、その点はさらに一層強化して行きたいと考えております。 なお上陸地と定着する各府縣との連絡を密接にすることが非常に大事でありますので、先ほど申し上げました郷土室の内容充実というほかに、各府縣から、できれば常時舞鶴に派遣官を駐在させまして、本人と縣との連絡に当らせるようにいたしたい、かように思つております。もつとも各府縣から常時全部出るということは非常に困難でありますので、全國を数ブロックにわけて、そのブロックから一人ずつ代表者を常時舞鶴援護局に駐在せしむる、かようにいたしたいと目下各縣と相談中でございます。 なお、御承知の通り昨年舞鶴援護局におきまして、例の紛争事件が起きましたその状況にかんがみまして、今年度におきましては、かような不祥事件の絶無を期しまして、関係方面と十分連絡をして行きたい、かように思つております。 なお先ほど船の状況を申し上げましたが、從來船内の施設が非常に不備でありまして、衛生的に見ましても、食事の状況から見ましても非常に不備であつたのでありますが、昨年休止期間中に船舶運営会と連絡をとりまして、船につきましても十分の修繕を加えまして、また炊事、食事の設備につきましても改造を行いまして、本年度は昨年度のような不平が出ないように、十分の手配をいたしております。ほとんど改造は全部でき上つております。 なお駅頭援護につきましては、從來はとかく縣が学生同盟であるとか、あるいはその他の團体に一任いたしまして、縣はあまり積極性を示さなかつたところがあるようでありますが、今年からは懸が責任をもつて、縣が駅頭援護の中心となつてやる。学生同盟その他個々の熱心な方々の協力を得まして、昨年学生同盟とその他の團体との間に起つた摩擦が生じないように、縣が責任をもつて駅頭援護の責に当るというふうに指導して行きたい、かように考えております。要するに今後帰つて來ます後期引揚者の質的な特異性にかんがみまして万般の準備を整え、ことにこの人々のささいな取扱いにつきましても、そういつた特殊の環境におられた方々でありますので、十分援護の精神を徹底いたしまして、明るい氣持で郷里に帰つていただくようにいたしたいと思つております。なお本年度におきましては、昨年度に暮に実施いたしました引揚げ援護の愛の運動、これは民間各團体の自発的な御提唱によりまして、いろいろの團体が國民運動として引揚げ援護、愛の運動というのを実施されたのであります。昨年度はちようど引揚げが中絶になつたあとでありまして、留守家族の援護、激励、慰藉に重点を置きまして実施せられました。これは本省から各縣に流しました金はごくわずかでありますが、全國的に見ますと、その十倍近くの金を各縣が計上されまして、非常に熱心にやつてくださつたのであります。非常に各方面から喜ばれたのでありますが、本年度におきましても、これを継続実施せられるように今着々準備中でございます。今年はそういつた状況で、後期引揚者の受入れ、これをあたたかく迎え入れるということを重点といたしまして、來る二十日から全國的に展開するように準備を進めておられるのであります。以上大体應急援護の面につきまして、概要を申し上げました。
○冨永委員 ただいま大体御説明を受けましたが、引揚げの状況が非常に遅延しておるということは、これはわれわれ委員会としても非常に大きく取上げなければならないと思うのであります。この問題は、委員長を中心としてもつとはつきりした委員会の態度を決定して、各党の代表者にも協力を得て、関係方面に陳情するようにいたさねばならないと思うのであります。 今の援護局長に大体要点を二つにわけてお尋ねいたしたいと思います。引揚げて來る方法、それから引揚げてからのことでありますが、今お話の中の引揚げに関しては縣を中心に援護の手を差延べることは、たいへんけつこうなお考え方だと思うのですが、しかしそれはただ單に掛声だけに終るような懸念はないかどうか。徳義上の問題としてもむろん解決して行くべきはずでありますが、今までもやはりそういうことがおろそかになつていたのでないにかかわらず、必ずしもわれわれが納得して行くような程度にはできておらなかつたということを考えました場合に、やはりある程度法的根拠を持つ、そういう考え方が必要になるのじやないかと思いますが、そういう点に対してはお考えがあるかどうか。また局長はどうお考えになるかという点を伺いたいと思います。 それから私どもよく引揚げた方たから承るところによりますと、引揚げて來る途中、なけなしの身のまわりの大事なものが、ずいぶん盗難にかかることが多いという。引揚者に対しては、特別の列車を仕立ててもらうとか、その他引揚者同士のいろいろな事故もあるようでありますが、これが防止に対して、從來いかなる措置をとつておられるか。また今後これらに対してどういうふうにお考えになつておるかを伺いたい。 それから大体今お話の中で、舞鶴、函館が重点的に引揚げの要所として承つたのでありますが、私、舞鶴のことはよく存じませんけれども、函館の現状を申し上げますと、もちろん北海道としても、函館としても、引揚者に対する援護措置は特別の考え方をして十分なことをいたさねばならないのであるにかかわらず、なかなか経済的にも必ずしもぴつたり行つていないような状況であることは事実であります。また北海道は食糧と同じように燃料、衣料等も非常に重要であるにかかわらず、これらのたとえば配給品のようなものもないとは申し上げませんが、ほとんどないに近いようなことしかめんどうを見ていない。從つて非常に險しい氣持で帰つて來たが、帰つて來てからたいへんに緩和されているというふうに見ていられるとすれば、それは局長の独善的な見方で、必ずしも実情はそうはなつていない。かような点について具体的に何らかの措置を講ずる御意思があるかどうか。 主として私は函館に関連して申し上げるのですが、あるいは引揚特別委員会はそこまでは問題として取上げられないということになるかもしれませんが、関連しておりますからお尋ねいたします。引揚げられた方はそれではどうなつておるかというと、今お話のようにそれぞれ自分の郷里の状況を知悉できるような方法はとられておりますが、しかし私どもの知つておる範囲内の統計によりますれば、大体三割か四割は北海道に、しかも函館に残つておる。必ずしも故郷に行つていないような状況になつておるわけです。從つてこれを受入れる建物を建てましても、三疊か四疊半くらいのところに五人も七人もの家族が押込められておる。しかも衛生設備なども非常に悪い。いくら北海道は寒いからといつても、そこがいろいろな流行病の根拠になるのではないかと心配されるほど設備が悪いという現実の状況になつておるのです。これに対して今度新しくどういう措置を予算関係から見て援護局長はおとりになつておられるか、どういうふうにお考えになつておるか。これらの点についてお伺いいたしたい。
○田邊政府委員 先ほど縣を中心として援護をするようにと申しましたのは、駅頭援護と申しまして、汽車に乘つて駅を通過する際に、駅頭に出ていろいろとお世話する。汽車の中に学生と医者が乘込んで、汽車中で病氣になつた人をいろいろ手当する。この援護を申し上げたのであります。從いまして縣が各團体にまかせずに、縣がどこまでも中心になつて、縣が責任をもつてやるようにしております。かように申し上げたのであります。 それから引揚者が帰る途中の汽車の中で盗難にかかるということも、よく私どもも聞いております。舞鶴から出ます引揚げ列車は、引揚者を大部分とする專用列車というふうにはなつておらないのであります。しかし運輸省とも十分連絡をとりまして、引揚者の列車の中には、一般の乘客はなるべく御遠慮を願うようにしておるのであります。ただ專用列車でないものですから、途中通過する際に、たとえば出勤時間等の際など、若干一般乘客が乘ることも予想されますが、その場合にもあいておる別の方にお乘り願つて、引揚者と混乘しないように運輸省の方でもいろいろ御配慮願つております。 先ほど私は主として舞鶴援護局に参りますシベリア方面からの引揚者を重点に申し上げたのでありますが、ただいまの御質問は樺太方面から函館に揚つて來る人に関連していろいろ、御発言があつたわけであります。第一に燃料でございますが、確かに樺太からお帰りになつて北海道に定着される方の一番のお困りは燃料であると思います。昨年度は從來よりもさらにその点を追加いたしまして、昨年度引揚げて來た方々に対しましては、越冬対策といたしまして燃料をそれぞれ半額ないしは無償で差上げたのであります。本年度は越冬対策といたしまして、さような措置をとりたいと考えております。 それから樺太方面から引揚げる方は、御承知の通り長年樺太に定住しておつた方が帰つておいでになりますので、内地に全然縁故先のない方が多いのであります。昨年度は四億七千七百万円をもちまして北海道と東北六縣に新しく住宅を新設いたしました。全体の総数を申し上げますと新築が五千三十一戸。その收容人員が二万五千百五十五人、それから四十五の施設を補修いたしまして、約五千八百人を收容するようにいたしたのであります。これは從來の住宅対策から、引揚者に対しましては特に手厚くして現在相当よい施設が各地にできておりまして、非常に喜ばれておる状況であると承つております。ただ定着地と專業の関係でありますが、何分にも函館に上つて参りまして、出発するまでの間が短いものですから、その間にいろいろ本人の御希望を伺いまして、無縁故者でありましてもできるだけ本人の希望する府縣におまわししこ、用意しております住宅にお入り願うようにお願いしているわけであります。ただ住宅を指定する場所につきましては、各府縣でそれぞれ專業等の関係を考慮してお願いしているわけであります。たとえば漁業方面を御希望の方は漁場に近いところに、あるいは開拓を御希望の方はできるだけ開拓地に近いところをお願いする。そういうふうにして、縣廳の内部で十分連絡をとつて本人の御希望に應ずることができるように、いろいろ努力しておりますが、そういう点は時間の関係がありますので、なかなかうまく行つていない点もあります。本年度はその点をさらにくふうを凝らしまして、もつとうまく行くようにいたしたいと考えております。本年度は四億五千七百万円、住宅関係の経費として予算が計上されております。この使い方につきましては、樺太から引揚げて來る無縁故者あるいはその他の地区から引揚げて來る無縁故者あるいは從來引揚げて参りまして一時收容所、学校等におられます引揚者の方々のために使用いたしたいと考えております。
○中山委員長 冨永理事に前のお尋ねに関連して申し上げます。先週でございました、ソ連大使館及び対日理事会に申入れをいたしまして、各党の総裁をお願いして促進の懇請に参るよう掛け合つておりまして、まだその日にちの御通知がございませんからただいま待つているときでございますから、どうかよろしゆう御了承願います。
○佐々木(盛)委員 ただいま受入れ態勢のことに関しまして御説明を承りまして、非常に意を強うした次第でございます。ところが先ほど御説明にもありましたように、昨年度におきましては、ソビエト当局との間に毎月五万人ずつの引揚げの協定があつたにもかかわらず、それがその数までとても達しなかつたのでありますが、そのためとうとう昨年は引揚げは完了しない。しかも対日理事会の発表するところによりましても、アメリカ当局の非常な好意によつて、毎月十六万人ずつの引揚げができるだけの船腹は、提供してやろうということを言つておつたのであります。悲しいかな、また昨年度は極寒の地に越冬しなければならぬ。從つてまたそこにそういう犠牲を忍ばなければならないことになつて参りまして、非常に遺憾に思つているわけでありますが、われわれが各地におきまして共産党の諸君などの立会い演説などその他において、共産党の諸君のこれに対する説明を承つておりますると、どこにおきましてもそれはたいがい日本側の準備が不完全であるとか、あるいは船腹がない、あるいは場合によつては日本の船が忽然としてナホトカなどに現われるために集結ができないというような、主として日本側の事情によつて今日まで引揚げが遅滯しているようなことをしきりに強調されているようであります。私ども幾たびかそういうのにぶつかつて参つたのであります。この対日理事会の発表などによりますと、これとはまつたく事由は逆であります。從いまして、今日までこの引揚げが何がゆえに遅滯を來したのかということに関して、今申しました共産党の諸君などの考えておりますそれらの原因が、はたして当つているかどうかということにつきまして、率直な御意見を承りたいと思います。それからただいまのお話によりますと、毎月十七万人ずつの引揚げが可能なだけの船腹が用意されておるわけであります。そういうことになりますと、あと残つております四十六万というものはわずか三箇月足らすぐらいで引揚げが完了するという数字の上の計算になるわけであります。しからばことしの見通しはどうか、今年中には完全に完了するか、いつごろになつたならば引揚げが完うするか。すでに船は煙をたいて出発の命令を待つているというようなお話でありますが、いつごろになつたならば命令が出て、引揚げが開始するようになるか、今後の見通しについてなるたけ詳細に御説明を願いたいと思います。
○田邊政府委員 ソ連地区からの引揚げの遅延しております理由といたしまして、日本からの配給の不足しておることを宣傳していることを私も耳にしております。その点につきまして御参考までに、ソ連地区に日本側の船をまわす順序を申し上げますと、まずソ連から連合軍総司令部に対して、いつ幾日にどこの港に何人分の船を送れという通告が参るのであります。それが総司令部から日本側に通告されて、日本政府では総司令部からの指示によつて、予定の引揚げ人員よりもそれを上まわつた人数が乘れるだけの船と食糧とを準備して、その指定の港に船を送つているのであります。從いまして、船が港に來ないから送れないのだと申しましても、向う側の要求によつて船を出しておりますので、その点については作爲のある宣傳ではないかとわれわれの方では考えております。向うから帰つて來た人の話を伺いますと、ナホトカには常時多数の人が待機をしておる。しかもキヤンプは一ぱいであるから、そのキヤンプまで汽車で送られて來て、また送り帰される。それは日本から船がまわつて來ないためだ。また現実に入つて來るのは一艘だけだ。しかも乗る人員は限定されている。日本側の船が足りないのだと、現地の人間からかように宣傳されているようでありますが、先ほど申し上げたように、われわれは人数と船の月日は向うからの通告によつて出しておりますので、私どもの方としては勝手に行かない。それから引揚げの進捗に関する見通しでございますが、月五万と考えましても、本年中には完了する予定になつております。ただ、いつ再開するかという問題につきましては、これはもつぱら総司令部の権限において交渉いたしておられるのでありまして、私どもの方としては外務省出局が総司令部の方に事務的に折衝しておられるようであります。一昨年は四月五日でしたか、昨年は五月三日でございました、大体二週間前にわれわれの方に通告がある例になつておりますが、いまだに何の通告もないところを見ますと、今月中には困難ではないかと考えます。ただ総司令部の方におきましても、いろいろと交渉してくださつておられるようでありますので、私の方ではできるだけ早い機会に再開できますよう、準備に努力しておる状況でございます。それ以上は、ちよつと私から將來の見通しにつきまして申し上げる資料を持たないのであります。
○佐々木(盛)委員 なお念のために事情を明らかにする意味におきまして、再確認しておきたいと思いますが、そうすると、ソビエト当局の準備さえできますれば、今の計算から申し上げますと、三箇月以内にでも引揚げが完了するということは可能でありましようかどうか、ちよつと伺いたい。
○田邊政府委員 引揚援護を担当しておりますわれわれの立場といたしましては、月十六万受入れが可能であるたりの船と宿舎の準備はいたしております。
○高倉委員 過般の委員会におきまして帰還遅延の原因をいろいろ述べられましたが、私の考えている大きな原因は、実は私のせがれが今年で七年になりがまだ帰つて來ません。今ソビエトにおりまして居所がわかつておりますから、最近も手紙が來ておりますが、その戰友が昨年の十一月に帰つて來ましたので聞きますと、私のせがれももう間もなく帰ることになつておつたのであります。ところが弟が向うの本人のところに手紙を出した。うちの方は何も心配ない、皆達者でおるし、これこれだというくわしい事情を書いてやつたところが、その手紙がソ連の方の上官の人が日本語もわかるし、また日本語の文字も知つておるので、その手紙を見て、お前のところは家族が困つていないのだから帰る必要はないというので、五十人の中に入れられたけれども、ナホトカに來る一歩手前においてその選から漏れた。こういうことを言つておつた。ですからして早速自分も出したが、家族の者も今困つておるからというところの内情を書いて出したならば必ず帰つて來ることができる、今まで向うの方から手紙が來ると、たいていの留守家族は、うちの方は大丈夫だとか、安心せいとかいう手紙を出す。それが人情であるが、それを出した者は、大体においてそれを見られて、調べられた結果だめになつて、帰つて來られないというような原因がわかつて來たのであります。ですから私の方ではただちに家族の者が——私は東京へ來ておりましたが、そのように母も病氣だし、兄も薄給のためにインフレ景氣で困つておるというようなことを書いてやつた。ところが最近、ちようど今から一週間ばかり前に手紙が來て、私のところに送つて参りました。きようは持つて参りませんがその手紙を見ますと、吉田内閣が成立して非常な反動内閣ができた。われわれは帰つたならばどこまでも民主的に戰かわなければならぬというような手紙が届いておるわけです。そういうようなことから考えますと、どうもよほど手紙の出し方も考えてやらなければならないのではないか、これも一つの原因ではないかと、痛切に考えておる。帰還者からお聞きになつた結果、こういうことがあるかどうかということをお聞きしたい。 それからもう一つは昨年私この委員として舞鶴の引揚げ状況を視察しました。そしてほかの委員の方々とともに慰問いたし、引揚げて來たところの現状も見て参つたのでありますが、引揚げられた多くの人たちを一堂に集めまして、委員が慰問の言葉を申し上げた、ところが非常に感激して、いろいろと向うの事情も聞き、われわれも國内の事情を話しました。これから見ますると、引揚者にとつては、われわれが國会を代表して行くということは非常に大きな感激ではなかろうかと思いますから、これからいよいよ引揚げが開始になるので、常に引揚船が参つたときには、一人でも三人でもよいから最小限度の経費をもつて國会会期中でなくても慰問に行つて一言の激励の言葉を皆さんに申し上げ、そうして慰問をしたならばまことに効果的なことではなかろうかと思います。これらに対するところのお考えがあるかどうか。それから慰問いたしまして非常に感激いたしましたのは、手紙の問題であります。引揚げて参りまして一番引揚げ者が喜ぶのは、留守宅から來るところの手紙であります。手紙の届いておる係のところがありますが、私たちちようどそこへ参りましたが、イロハ順になつて、だれだれはこういうふうな手紙が來ておるというようなことがわかるようになつておりますが、それを一生懸命になつてさがしておられたところの引揚者があつた。ところがその引揚者には何も手紙一本も來ていなかつた。その引揚者の人は、どうも自分の女房は手紙を書けないわけではないのに、また親戚の者も相当おるのに、なぜ手紙を出してくれないのかといつて非常に落担して帰られた現状を見て参つたのであります。私は常に郷里に帰りますと、このこれを皆さんに話して、ぜひ引揚援護局の氣付によつて、手紙を出してくれということを言つて宣傳しておりますが、これがまだ全般に行き届いていない問題であります。ですからして帰つて來られたならば、まず留守宅からただちに舞鶴なら舞鶴、あるいは函館なら函館で手紙を見て、留守宅の事情がよくわかるというようなことを、もう少しく徹底せしめるところの方法を考えていただきたい。これは町村役場あたりまで通達をされて、そうして部落にまで届くような方法をされたならば、確かに帰つて、來た人は非常な慰安になると思う。ただ一片の援護局長あるいは係の言葉よりは、もつと効果的な嬉しい氣持になると思うから、氣付をもつて引揚援護局の方へ手紙を出すということも、一つの促進事運動ではないか。徹底をひとつできるだけ早くやつてもらうことをお願いするわけであります。以上のお尋ねに対して御答弁願います。
○田邊政府委員 國会方面の代表の方が現地においでいただきまして、引揚者にいろいろと激励なり慰問をいただきまして、帰還者が非常に喜ぶということは事実であります。できるだけそうした点は私どもからもお願いを申し上げて参ります。それから留守宅からの通信が非常に喜ばれる。これはお話の通りであります。私の方も機会あるごとにそういう趣旨の徹底に努めておりまして、新聞廣告をいたします。また府縣廳を通じまして市町村部落等にも徹成するようにいたしております。また留守家族には御承知の通り帰還促進関係の團体もありますので、その團体を通じましても、舞鶴に必ず手紙を出していただくようにお願いしております。なお不徹底な部面がありますので、今後一層その方面は推し進めて行きたいと思います。
○足立(篤)委員 私は四つの点について申し上げたいと思います。第一は、從來御承知のようにソ連から五万名月に帰すという協定ができておつたわけでありますが、今月が見込みないということになりますと、來月から始まりまして大体十月一杯という計算で行きますと三十万人しかフルに帰りましても帰れないという計算になるわけであります。私どもといたしましては、本年こそ全員の引揚げ完了を期しておるわけであります。また過日の総理の施政方針演説にもこの点をはつきりおつしやいまして、非常にわれわれ力強く感じたわけでありますが、これでは計算が合わないわけでありまして、これについて関係筋に積極的にお願いをしたことがあるかどうか、また総司令部の方からソ連側に申入れをした模様がありますかどうか、この点について第一にお伺いしたいと思います。 第二は、ただいま政府委員から御発表になつた数字にはただ満州とありまして、六万名満州におるというお話がありましたが、満州も中共地区にはなつておりますが、中共地区の山々におります從來の華北あるいは華中方面におります人たちがはつきりせぬと思いますが、中共地区からの引揚げにつきまして、現在のところ中國における政治体制が整いませんので、交渉の相手方がないという問題があると思いますが、積極的に司令部とお話合いになつたかどうか、この点についてわれわれ重大なる関心を持つておるわけであります。特に私も中共軍の管理下に半年入つた経験がありまして、生活環境が非常に違いますので、最近ソ連から帰つて來る人たちとはおよそ違つた状況が現われるのではないかということを非常に憂慮しておるものであります。特に新聞にもありますように婦女子が非常に多い。婦女子の引揚げ受入れにつきましては、ただいま政府委員の御説明にもありましたように、非常に細心な注意を拂つて配慮なさつておられるようでありますが、特に惡質の病氣その他について強制的な檢診あるいは收容というような点につきましても、お考え願わなければならぬのではない、かと感ずるわけであります。 もう一つ伺いたいことは、昨年よりもさらに日用品、被服等の支給をよくする計画であるというお話がございましたが、この点を少し具体的におつしやつていただきたい。ことに現在審議されております予算との関係、はたしてあの予算で全員引揚げが可能であるかどうかというような点についてもお話を承りたいと思います。 第四の点は、これは動議になると思うのでありますが、ただいまお話のありました舞鶴あるいは函館における受入れの態勢、これはぜひこの委員会どしても事前に視察をしておきたい、なるべく早い機会に手わけをして視察をしたい、かように考えます。さらに住宅その他現地における受入れ態勢につきましても、でき得れば一通り視察をしてわれわれの認識も深め、今後にも処して行きたい、かように考えるわけであります。
○田邊政府委員 引揚げ関係の仕事は主として外務省の方で担当しておりますので、司令部との折衝の詳細については私事ども十分承知しておりませんが、政府においては大臣あるいはその他の機関におかれまして、GHQに常に引揚げ促進についてはお願いをしていると承つております。月五万という数字で参りますれば、確かに十二月に参りましても四十万程度しか行かないわけでありますが、しかし中には現地にとどまることを希望する方もありますし、またこの数字の中には現地で死亡した方も若干おられると思いますので、ことし五万程度ずつと継続して行けは大体完了するのではないか、かように事務的には私ども考えております。 それから中共地区の問題でございますが、先ほど婦女子が帰つて來た場合には細心の注意、取扱いを拂う必要がある、ことに強制檢診の問題についてはぜひやらなければならぬ、これは仰せの通りであります。朝鮮から引揚げて來た場合には、私の方といたしましてはお説のような取扱いをいたすのでございます。中共からの引揚げが正式に始まつた場合には、さような取扱いをしなければならぬのではないかと考えております。 それから日用品、被服に関してのお尋ねでございますが、日用品は昨年同様に大体やつて行きたいと思つておりますが、被服につきましては、成年男子は昨年までは二十一点でございましたのが、本年度は二十五点に増したいと思つております。それから成年女子は十四点を二十一点に増したい。それから子供でございますが、男の子は十九点でありますのを二十一点に、少年女子は十四点を十九点にしたいと考えております。もちろん支給します品目は、男女によつていろいろと違つておりますが、点数もそういう意味におきまして若干違いが出て來るのであります。ことに女子方面におきましては昨年度よりも一層重視をいたしたいと考えております。
○高倉委員 二十一点から二十五点になつたそのいきさつだけをお話願いたい。
○田邊政府委員 男子は二十一点から二十五点になつたのでありますが、これはじゆばん、もも引き、あるいはくつ下等を増加してございます。女子につきましては下着、婦人服、それからたび等の点数をふやしております。
○足立(篤)委員 予算の関係はどうですか。
○田邊政府委員 予算は大体從來の予算の範囲内で、予算の單價は從來とかわりございませんけれども、從來の手持ちその他をいろいろと計算いたしまして、これだけやつても大丈夫だという見当をつけまして支給いたしております。
○足立(篤)委員 今年の予算はどうなりますか。全部帰つても大丈夫ですか。
○田邊政府委員 今年の予算は全部帰るという予算を組んでおります。
○中山委員長 今の足立委員のお尋ねの中で、動議になるかもしれないとおつしやつたことに対して一言申し上げたいと思います。運営委員会の申合せによりまして、天災変あるいは立法上の現地調査を絶対必要と守るものに限つて開会中は出張ということになつておりますが、しかし理事のお方にお諮りいたしまして、それでも行きたいという御意向でございましたらまた何か……。
○足立(篤)委員 休会早々でもいいと思います。
○中山委員長 それではまた御相談申し上げたいと思います。
○天野(久)委員 私は農政局長に二、三お尋ねいたしたい。それは現在各地方におきまして農地をめぐつての問題が幾多起つております。しかし帰還者、引揚者等はやはり力足らざるために、あるいは部分的に相当悩んでいる人たちが幾多あるのでありますが、それらのことを総合いたしまして二、三点についてお尋ねいたしたいと思います。小作人がその借地に地主に無断で家を建てたり、あるいは水田、畑等を果樹園にしたり、使用目的を変更するようなことを勝手にしていいかどうか。それから地主はその場合にこれをやめさせることができるかどうか。いま一つは小作耕地者が地主の耕地の二倍も三倍も多く持つておる。そうして果樹園にしたり、あるいはその上利益金をとつて自分の小作権を他に轉賣をするほど持つておるのに対して、ただちにとは言わないが、二年なり三年の後にこれが返還を迫ることができるかどうか。この三点についてお尋ねいたしたいと思います。
○山添政府委員 借地を小作者の方で地主に無断で他に讓渡轉換するということは認められないのであります。それは当然地主の同意を要するものと解釈いたしております。それから小作地の返還でありますが、引揚者が引揚げて参りました場合に、他に生業の道もない、そういう場合におきましては耕作者等の事情ともにらみ合せました上で、農地委員会の方で自作を相当とするというふうに認定をいたしますれば、小作地の引上げを認めておるのでありまして、そういう指導をいたしております。そういう場合でございますれば、当然自作地になるのでありまするから、農地改革によるところの買收はできないわけであります。 それから第三のお尋ねの場合は、意味が少し了解しかねたのでありまするが、不在地主の土地等につきましての買收は、すでに完了をいたしておるのでありまして、今後において帰つて参ります人が土地の返還を受けるというような場合は、ちよつと想像しがたいのでありますが、一般の地主ということでございますれば、これは状況によりまして、土地の返還を請求することはなし得るわけであります。しかしながら、用途を変更して同じく農地に使つている——これは果樹園にいたしましても、同じく農地でありまして、永年作物等の植付の禁止等が條項にございませんければ、当然そういう農地の上に永年作物でありましようとも、植えることはできるのでありまするから、ただちに土地返還の請求の対象とはならない。これは状況によつて判断をする必要があるわけであります。
○天野(久)委員 その説明で大体わかりましたが、実はこういう事例があるのです。満州から引揚げて参りまして、主人は軍属の形でそのまま向うに残された、そうして細君と子供が三人で帰つて來た。そうしてその人は向うに行くときに、地所が不用であるので貸して行つた。そこで帰つて來たから自分たちは自作したいが返してくれないかと言うと、お前たちのところは女子供だけであるから耕作ができないだろう、というようなことで、いくら農地委員に頼んでも返してくれない。自分たちはその土地が返してもらえぬと生活にこまる。こういうことで非常に訴えられた実例があるのですが、そういう場合には何かこれを返してやるだけの法律的措置はないものでしようか。それを一点お伺いしたい。
○山添政府委員 今の軍属の形で向うに残られた方の妻子が帰つて來たというような場合は法律によりましても、特別の事由によつて一時その土地にいなかつたのでありますから、その人が農地改革中に帰つて参りますれば、当然在村地主になるわけであります。お尋ねの場合は結局、婦女子が自作をするのに相当と認めるかどうか、こういう認定にかかわる場合であります。これは婦女子のみでございますれば、どうしても耕作能力が劣るのでありますから、一般といたしましては、当然土地の生産力がむしろさがるのではないか。從つて自作を相当とするというふうには認めがたいというのが一般の場合であろうと思います。しかし引揚者等の場合におきましては、そういう生産力一点張りの基準を当てはめることも不適当であります。從つてそういう方々で他に生計の道もないということでありますれば、その女手に相当する部分は、状況によつては返還した方がよろしい、こういうような心持を持つて今まで指導いたして來ておるのであります。
○天野(久)委員 もう一点こういうことがあるのです。引揚げて來た人や、それから食糧事情のために、ある一定の一團地を半分ぐらい開墾して、そこに農地をつくつた。しかるに最近において未墾地買收の手続によつて、開墾した所まで一括して未墾地として買收して拂下げの手続をした。そうして縣の農地委員会は実情も調査せずに大体許可した。こういうような問題でいろいろとそこにいきさつが起つているのですが、開墾した人たちはせつかくそれだけのものをあてごとに開墾したので非常に困つているが、縣農地委員会がこれを未墾地として拂い下げるというようなことになつた場合には一体どうなるか、こういうことを尋ねられたのでありますが、これに対して農政局長のお考えを伺いたいと思います。
○山添政府委員 すでに開墾のできている所は、現状は農地でございますから、未墾地として取扱うことはできません。ただそういうものを買收するのには一つの場合がございます。それは他の未墾地と合せて開発するのが必要であり、かつ適当であるという場合に限るのでありまして、一定の大きな計画で開発いたします場合には、すでに農地である部分も買收の対象になるということはございますけれども、これはきわめて例外の場合でありまして、おそらく今おつしやいましたような場合におきしましては、これは地元の農地委員会において間違いをいたしておるのであります。そういう場合におきましては、期間等がきわめてありますれば、直すのになかなか法律上めんどうでございますけれども、事実それがはつきり誤つておるということであれば、決議のやり直しをいたしまして、是正をする必要もあると思います。
○小西(英)委員 関連してお尋ねいたします。委員長に伺いたいのですが、今の質問に対して、引揚促進委員会の性格は、引揚者を家庭まで送りつけるのがこの委員会の性格であるというふうに承つておつたのでありますが、帰つて來てからの土地の問題にまでここで拡大することは、これはいろいろな意見があるのでありますが、この点について委員長の所見を伺いたいと思います。
○中山委員長 私は民自党の副幹事長よりこういうことを伺いました。これまではこれは促進にとどまつておつたのであるけれども、これからはこのわくの中に戰争による被害者の問題も取上げてやつていただきたい、それに関連して、未亡人あるいは浮浪兒、そのほかの問題も取上げてやつて、わくを廣げてもよろしいというお言葉をいただいておりますので、今の問題は未亡人の問題ではございませんけれども、戰争で被害をお受けになつた方の問題でありますから、当然ここで取上げていいのだと考えております。
○小西(英)委員 それならばそれでよろしうございます。
○田島委員 二、三点農政局長にお尋ねいたしたいと思います。まず最初に、御説明の中において、現地に残つておる人々に一方的な宣傳がなされて、いる、内地のことはあまり知らないと申されましたが、これは問題が数々ございますが、実は私が伺つておりまする範囲では、帰つて來た人の御様子は全く反対でございます。政府委員のお言葉の中にこそ一方的なお考えがあるのではないかと思います。こういうことが引揚促進に対して大きなじやまをするのではないかということを憂えまして、どのような一方的なことがなされておるか、これを具体的に責任を持つて御説明を願いたい。これが第一点であります。 その次に引揚げて來る人たちに対するいろいろな配給品を一層手厚くするようになつておるというお言葉でございます。これは具体的にどのような方法がなされておるか、それを伺いたい。 それから学生連盟の、こちらに來てからのことでございますが、これはまつたく縣独自の措置にまかされておられるのかどうか、いろいろ不祥事件もございますので、この点を伺いたい。 それから先ほどの御質問の中にもありましたように、一月十六万とか、あるいは十七万とかいうような引揚げに対する船の準備ができている。これが実際に行われないのはソ通当局の方であつて、それに対する政治的な何か含みをもつて共産党の宣傳があるような政府当局のお答えでありました。私どもが具体的に聞いておりますところでは非常に違つております。私ちよつと数字は持つて参りませんでしたけれども、先月援護局の長官をおたずねいたしましたときに、舞鶴におきましては、引揚げて参りました人々が一時あそこに宿泊いたしまして、宿泊所は相当入るようになつております。しかしあそこでは二日なり三日なり、あるいは四日も滯在しなければはなりません。そのためにあそこを引揚げたあとでなければ、あとの人を入れることが困難になりまして、これは一例でありますが、船が港にとまつて二日とか三日とか、あそこに上れなくて困つておるという実情を私伺つたのでございます。こういう点につきましても、私どもは先ほどからお話を伺つておりますと、相当政治的な含みはかえつて皆さんの中にあるのではないか。一日も早く引揚げさしたい、しかも敗戰後の今日、私ども日本人は嚴粛な立場からいつて対等な権限をもつてソ連当局に交渉ができないのだ、そういう立場にあります私どもは、一日も早くソ連の同胞を引揚げさしたいという点につきましては、こういう問題は何度も繰返されておると思いますから、具体的に何らかの方法で調査なり何なりするような方法をとつていただきたい。 なおその他の点につきましては、これは厚生省なり、運輸省かもしれませんが、引揚げて來た方々が汽車の中で非常に物を盗まれる。そういうことに対して運輸省はどのような措置をとつておられるか。 それから引揚げて來られた方の復職問題であります。休職しておりました方が職につけない。一例を申しますと私のところに名古屋の方が來て、こんなことだつたら私は向うで帰化すればよかつたと言われた。そのとき私は、あなたは日本人ですか、たとえソ連がよくつたつて、日本をよくしなければどうするかと言つたのですが、職業に困つておられる。このような点について政事府はどのような措置をとつておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○田邊政府委員 先ほど私が、今後帰つて参ります方が内地の事情に非常にうといということを申し上げたのであります。これは國内の事情について、四年間も外地におられた以上、また内地からそう詳しい情報もなく、手紙あたりで若干家庭の事情なんかはおわかりになりますが、あまり詳しくは御存じない。從つて郷里に帰る場合に一番御本人たちが知りたがつていることは、自分の郷里はどうなつておるか、就職のことはどうなつておるか、家庭がどうなつておるかということを非常に具体的にお知りになりたいのでございます。その点をまず私どもは、できるだけ舞鶴の援護局にいる間に詳しくお知らせしたい、かような氣持でお知らせ申し上げておるのであります。その点御了解をいただきたいと想います。 なお汽車中の援護でありますが、これは主として医療班が乘りまして、汽車中で多少のけがをしたような場合にいろいろ手当をするような援護はいたしております。また汽車の乘継ぎ時間とか、あるいは自分が今後着いて乘りかえる場合に、どういう時間になつて、そのときにはどういうとまる場所があるか、そういういろいろな相談事項がありますので、援護添乘員という制度を置きまして、各府縣で選びました適任者を汽車に乘せまして、その方がいろいろ御相談に應ずるようにいたしております。 なお学生同盟との関係でありますが、私の方では駅頭援護は縣が責任をもち、縣が中心となつてやるようにいたしまして、学生同盟とか、その他の援護国体にまかせ切りにして、自分たちは知らぬというような態勢ではいけないということを始終申しておるのであります。從來学生が、自分の父兄が外地に残されておるという関係から非常にこの問題に熱心でございまして、学業のかたわらその方面に無料で奉仕してくださつておるのであります。そういう関係から、個々のの学生の方を縣でお願いいたしまして、駅頭ごとに出ていただいておる。学生同盟という團体に仕事を願つておるという関係ではないのであります。個々の熱心な方方、個々人にお願いをしておるのであります。学生同盟というのはその間に自然にでき上つたものでありまして、われわれの方では学生同盟を認めてそれに援護をお願いしておるという関係ではないのであります。それではかれを駅頭援護等に協力願うかという問題は、縣がいろいろ状況を考えてやつておる次第であります。 それから汽車中の盗難事件の問題につきましては、先ほどお答えした通りでございまして、これはできるだけ他の人が混乘しないようにすることが一番望ましいのでありますが、絶体にそれを防ぐというわけにも参りませんので、帰還者自身がいろいろ御注意なさると同時に、できるだけ混乘を防止したい、かように運輸当局にお願いして、運輸当局もその線に沿うていろいろ御心配いただいておるのであります。
○田島委員 大体了解いたしましたが、最初の問題は重要だと思いますから、ソ連の方から一方的に宣傳しておるということはお取消しになつたのでございますか。
○田邊政府委員 それは私が先ほど申し上げましたように、帰還者の方がいろいろと向うで教育を受けておられることは事実なんです。しかしわれわれの方では、そういつたような思想的立場にはとらわれずに、援護の立場でいたしておるのでありますから、その点誤解のないようにお願いいたします。
○中山委員長 今の鉄道の問題に関連いたしまして、私運輸省の方にお尋ねいたしたいと思いますが、昨日大阪から引揚促進のお方々が十名ほど見えましたが、そのうちで特に私に頼むとおつしやいましたことは、何とかして引揚者だけの特別列車を、おもな都市に行くものだけでもお願いできないかということをお頼みしてみてくれという御意見がございましたので、お尋ね申し上げます。
○石井説明員 先ほど列車門の盗難のことについてお話がございまして、ただいま委員長から特別列車の問題についてお尋ねがございましたので、簡單にお答えいたしたいと思います。引揚げ列車の盗難でありますが、これは援護局長からのお話もございましたように、私どもの方では臨時列車を大体舞鶴から上野間には計画いたしておりますが、御承知のように引揚げが波がございまして、毎日それが利用されるというわけには参らない。そういうときには便宜一般客を乘せておるのでございます。しかしながら引揚者の輸送のための臨時列車でありますから、引揚げ輸送をもつて満員と申しますか、座席が一ぱいになります際は、これは一般の乘客を乘せないようにいたしております。またそのほかの方面に参ります引揚者の方は、臨時列車を仕立てるだけの数になりませんので、これは普通列車に便宜お乘りを願つておるのでございますが、その際は一般乘客よりも優先的に御乘車を願いまして、その乘車で満員となりました車両には、引揚者專用車両と書きまして、一般界の乘車しないように手配をいたしておるのであります。そうして車内には湯茶の設備、あるいは医療班の添乘を行つておるわけでありますが、なお主要な駅におきましては、駅頭の混雑を防ぐために、そうして御家族等の面接を容易ならしめるために一般の入場を制限いたして、縁故関係の方ただけの入場にとどめるように手配をいたしております。また乘継ぎ駅におきまして、接続時間が、相当ございまする場合のことも考えまして、宿泊所、あるいは休憩所、それも引揚者の方々專用の施設を十分設備いたしておりまするが、駅頭の援護につきましては先ほどお話もございましたが、これは私どもといたしましては混雑を避けるために、縣とか市とか、公共国体のお手配になる点を期待いたしておるのでありまして、特に私の方といたしまして、私的な團体等からの申出は原則としてお断り申し上げておる次第でございます。臨時列車の設定につきまして委員長からの御質問でありまするが、昨年の引揚げの総数によりまして、本年の引揚げの数を大体想定いたしてみますと、大体舞鶴の乘車人員を想定いたしましても、これが舞鶴以東方面の輸送につきましては、上野まで十分一箇列車の乘客の数がございますので、これにつきましては昨年同樣臨時列車を仕立てまして、帰還者の方々が多い場合にはその專用に資するという考えでございまするが、舞鶴以西につきましては、京都まで臨時列車を仕立てまして、京都からの下りにつきましては京都、門司間の準急行列車をまず優先的に引揚者の方々の專用に当てるようにして参りたい。かように考えておるのであります。しかしながらもちろん引揚げの数量が予定以上に多く、そして定期列車との混乘では十分完全な輸送ができないというような状況になりますれば、いつでも臨特列車を仕立ることは可能のようにいたすつもりでございます。なお接続時間等が長いということについて、いろいろ御不便の点もあつたようでありますので、今回は特に綿密に計画を立てまして、できるだけ接続の時間を短縮するような時間を組んでございまするから御承知願いたいと思います。
○藥師神委員 ちよつと基本的な問題について一、二お伺いしておきたい。この引揚げを促進するという問題は、むろんみな一樣に要望していることでかわりはないのでありますけれどもこれまでに六百十八万五千の人が引揚げて來ておる。それから四十七万の人が残つておるのでありますけれどもその間における一般の在外同胞と、それから軍関係の人たちの問題がはつきりしていないと私は思う。新聞の資料や何かによつておられるのかどうか知りませんけれども、たとえば住宅問題にしても四億五千七百万円の予算を云々と言われますけれども、私は今の引揚げ途上における病人の救護とか、あるいは茶の接待は縣がこれを受持つということは一般的の問題であると思う。それと区分されなくてはならないのではないかと思う。この住宅問題にしたところが、実際において家族を連れた海外同胞が引揚げて來て、それに対する住宅対策としてこれだけのものをやるということでなくては、軍属も軍人も含めたものをおつしやつたところでわれわれはつかみどころがない。これは一般的に言つてみると、應召された者は、軍属にしろ軍人にしろ、大体においては帰る郷土を持ち家を持つていると考えてよいと思う。中には戰災者もあるようです。また海外同胞であつても、必ず郷里に家がないとは部分的には言えないけれども、総括論としては私は海外に職場をもつていた者は、大体何もない所に帰つて來ると見てよいと思う。軍人並びに軍属として應召されて行つた者は、内地におつた者も同じでありますけれども、引揚げて來れば内地に家族もおれば住居を持つておると、総体的に考えてよろしいと思う。引揚げ途上における、あるいは内地にもどつて來ている者に対して、輸送の問題や、あるいは郷里へ帰るまでの間のかりの宿舎の問題、あるいは病人のせわの問題とかについては、海外在留者も軍関係の者も、そこに一視同仁、区別のあるはずがないのであります。われわれがこれから後において引揚者の厚生施設を考える土においても、われわれはそこに大きな関心を持つておるのです。以前においては、單に海外引揚者のみを取上げても困る、それで一般戰災者あるいは戰病死の遺家族の者も同じように救護しなくちやならないというのが、GHQの意向だつたように思う。今もその点においてかわりがあるのか、あるいは厚生施設については、引揚者は特別に施設を講じてもよろしいのか。こういう点を承りたいと思うのであります。敗戰後のどさくさでありますから、正鵠な数字が得にくいかと思うのでありますが、われわれ新聞で見ますと、満州方面におるのがあるいは数万、ここには六万か七万か引揚者の数が出て、おります。新聞の傳えるところによると中共軍の方にも何万という兵隊がそのまま残つておる。こういうことが新聞に実際に傳えられておるので問題にしておる。あるいは馬賊の中に入つておるとか、あるいは内地に帰還することを好まないであちらにおるということも、うわさでなくて新聞に相当報道されておる問題であるから、もう少し正鵠な数学をつかみたいことと、それから軍関係の者と一般の在外同胞の区別をはつきりと数字に示してもらつて、そうして軍関係の方であつても將來救護を要する人もあるでしようけれども、一般的な議論としては、私は應召しておる者は内地におろうが外地におろうが、帰りて來れば大体小家を持つており、生活の根拠を持つておるということが断然じやないか。在外同胞は内地に別荘を持つておる人もあろうが、一般的に言えば在外同胞は内地には住居も生活の根拠もないと見るのが一般論としてなると思う。これをはつきり区別を立てて、そうして在外同胞の帰つた者に対する厚生施設をどうするか。四億五千七百万円といえば、金額に見つもれば大きくなりますが、住宅公社の計画によると十二坪が十九万幾らでありますから、わずかに二千数百戸にすぎない設備だと思うのであります。五坪や七坪の家を建てればどうか知りませんが、十一坪の家ならば住宅公社の計画では二千二、三百戸しか建たない。これを総体的に、引揚者の四十七万という数字からやつておるのはぴんと來ない。もつとはつきりした資料を提出願いたいと思う。それから今のGHQの意向は、やはり引揚者は別な取扱いに、戰災者あるいは戰病死遺家族と同じわくにおいてこうせよという方針はかわらないかどうか。そういう問題をお聞かせ願いたいと同時に、もつとはつきりした資料を提供してもらいたい。
○田邊政府委員 先ほど私が申し上げましたのは引揚者の應急援護の面について申し上げたのであります。應急援護と申しますのは船に乘つて港に上陸し、港から汽車に乘つてそれぞれ定着地に落ちつかれるまでのことであります。しかしながら引揚げ援護はその他に安着援護も含んでおります。定着して今後の生活を再建し更生して行かれる面、これに対するいろいろなおせわ、いわゆる定着援護と申しておりますが、この面につきましては、先ほどの御質問にお答えいたしましたけれども、直接触れずに申し上げたのであります。ただいま御質問のありました引揚者の定着援護、更生の問題につきましては、これはまた非常に重要な問題でございまして、われわれといたしましてもこの方面に非常な力を注いでおるのであります。たとえば住宅問題、あるいは事業資金の問題、就職問題、その他開拓入植問題等いろいろあるのであります。それでこの定着援護、應急援護の面につきましては、帰つて來られる方が、元軍人軍属であろうが、あるいは一般邦人であろうが、かわりなく援護をいたしております。定着援護の面におきましては、重点はどうしても一般邦人でございます。長らく外地におられまして、一切の資産をなげうつて帰つて來られた方、しかも内地において全然生活の基盤をもつていない。こういう特殊性に基きまして、やはり特別の援護をする必要があると考えまして、生業資金であるとか、あるいは住宅とか、その他いろいろの面においてその特殊性に即應するようにいろいろと援護を行つておるわけでおります。先ほど引揚者も戰災者もかわりなくするというのがGHQの方針であるというふうにお話がございましたが、しかしそこにはやはり若干ニュアンスがございまして、最低生活の保障ということにつきましては、生活困窮者に対する救済につきまして、その限度を引揚者だからと言つて特に他の者より上げることはできないと思います。しかしそれ以外の面におきまして、その特殊性に應じて、その実情に感じて施策をすることは当然のことでございます。もつとも引揚者だからと言つて特権を與えることは適当でないと思います。しかし特殊性に感じた施策をすることは必要でございますので、その点につきましては了解を得ましてわれわれ施策を進めておるわけであります。たとえば住宅の問題のごときは、その特殊性に應ずるやり方をしております。なお從來引揚げた六百万のうちで約半数が一般の邦人、あとの半数が元軍人軍属ということになつております。それから先ほど満州地区に残つておる数が実際にはもつと多いのではないかというお尋ねでございますが、これは総司令部の発表による数字を私申し上げたのでございます。実際どうなつておるかということは現地の状況がわかりませんので、一應総司令部発表の数字を基礎にしてすべての施策を進めておるような次第であります。御了承願います。
○藥師神委員 今の話はわかるのでありますが、その應急援護のものの大部分が今ここで討議されておつたと思うのでありますが、住宅問題のごときは恒久の分に入るのではないかと思います。そうしてみると、恒久の分と應急の分とを混同してわれわれの頭にぴんと來ない。ぴんと來ないから將來恒久援護を必要とする部分がこれだけあつて、それに対するこれだけの施設しかやれない、こういうような資料をもう少し提出してもらわぬと、應急の援護は区別があるべきものではない、軍関係の者も存外同胞も一歩内地へ帰つて來てやるということになれば、私が今言つたように軍関係の方は住居も家族も内地に持つておると考えることの方が一般論としては成立つ、存外同胞でも内地に別荘を持つておるような人も、あろうけれども、これは一般論としては裸一貫で帰つて來ると見ることの方が総体論としては成立つ、これをはつきりと区別を立てて住宅問題にしろ、その他の厚生施設の問題にしろ、政府の方に財源がなくてこれだけしかやれない、あるいはこれだけやりたいとかいう問題を具体的にお示し願いたいと思います。
○田邊政府委員 お話の通り定着援護の面につきましては、原則として一般邦人と元軍人と区別して扱つております。しかし元軍人軍属でありましても、その実情が一般邦人の引揚者と違わない方がおありになるものですから、こういう方々は引揚げ一般邦人と同じように扱つておるわけであります。原則としてはお話の通りであります。 なお資料につきましては、今日持合せがございませんが、私の方ではお話のような線に沿うていろいろの予算的な資料もつくり、対策も立てております。また御承知の通り昨年の國会を通過した引揚同胞対策審議会という法律によつて実施されました総合的な審議会がございまして、ここで引揚対策の根本を立てております。その中にも住宅問題に関する決議がございまして、詳細決議されております。私の方ではその線に沿つて施策を進め、予算を計上しているくやつておるわけであります。後ほどその対策審議会の決議でも提出いたしたいと思います。
○受田委員 時間も非常に追つて参りましたので、一應この委員会の性格を今委員長が言われたのでありますが、この引揚特別委員会は厚生委員会とは別個にある委員会であつて、厚生委員会の取扱うものがここで重複することは避けなければなりませんが、今のお説のような引揚促進と引揚げて後の援護対策、こういうものを合せて廣い範囲で、今後引揚者がだんだん減つて來て、こちらへ帰つたときの対策の方に重点が置かれなければならぬのですから、その点この委員会の性格を理事会、その他において愼重に審議して、今御質問があつた点はわれわれその範囲をきめて、そうして同時にこの委員会は各省、たとえば労働省、厚生省それから運輸省、文部省いろいろな面に関係しますから、その関係する事項には各政府委員を全部ここへお招きして、総合的な意見を聞いて、その場で解決することができるようにするというふうにお願いしたい。もう一つは質問がまちまちになりちらばらになつて、どうしても統一がとれなくなるから、たとえば引揚、厚生問題、引揚促進問題、また就職在宅問題、こういうふうにわけてやることを理事会で対策を立てて、そうして能率があがるようにしていただきたい。 最後に一言、今引揚問題のうちで先ほど來ずつと討議された問題の中に、在外の同胞がまだ多数残つているが、こちらへ帰るについていろいろいざこざがある、感情のいきさつなどもあつてたとえばソ連側の意見と司令部側の意見とまちまちのようでありますが、ここでひとつ私がお伺いしたいことは、今参議院で盛んにやつている吉村事件の問題に関連するのですが、あのような外地から引揚げるときにいろいろな事件が起つておる、特にナホトカにおいて人民裁判というのがあつて、日本人の手によつて日本人をナホトカにおつたものを裁判してそれをあとへもとして働かせておるという事実があるように聞いておりまするが、これらの数が相当あつて、せつかくナホトカヘもどつて來たのが日本人の裁判によつてまたあとへ帰されるというようなことは、引揚促進いよいよはばむものであるが、これらのことについて特に援護局長さんはこの促進問題と関連して御承知のことだと思うので、その裁判は日本人の手によつてナホトカにおつた者を、さらにあとに返すような権能があるのかないのか。それからいろいろ御調査になつてどのくらいナホトカ、その他の人民裁判であとへ返されておるのか、その人民裁判というものが一体どういう法的根拠によつて行われておるのか、こういう問題を明らかにせられないと、参議院で盛んに今やつておるときに衆議院はこういう問題についてぼんやりしておることではいかぬと思いますし、この点相当重大な人権問題であるので、外務省関係などもあるでしようし、法務関係もあるでしようが、総括的な責任者として援護局長の御意見を伺います。
○田邊政府委員 人民裁判ということが、ナホトカにおいて行われているということはちらほら私も聞いたことがございます。しかしこれは外地におけるできごとでございまして、私の方では正確に調査する権能もございませんし、機会を持たないものですから、目下正確に御答弁するだけの資料を持ち合せていないのでございます。將來できるだけいろいろの情報を集めまして、もしまとまりましたならば、御報告申し上げるようにいたします。
○玉置(信)委員 ただいま発言ありましたように、もつと明瞭簡素化するために、各部門別にわけまして、いろいろ時間を制限してやつていただきたいと思います。委員長は別に不公平にやる意思でやつているわけではないでしようが、どうも発言を許す者は何回も許し、私たちが発言を求めても一向許さないというふうで、はなはだ不公平にみえる。こういう点は委員長において特に考慮をわずらわしたい。それから私は先だつて委員長に大藏大臣の出席をお願いしておいたのですが、きようはお出でにならなかつた。次回はぜひお出でになるようにおはかりを願いたい。本日はもう時間も迫つておりますから、この程度で切り上げられまして、あすなり、あさつてなり早急に開きまして、十分討議のできるようにひとつおとりはからいを願いたい。
○中山委員長 お答え申し上げます。大藏大臣も農林大臣もお願いをいたしたのでございますけれども、閣議があつて出られないというお返事でございましたので、やむを得ず御意思のほどが実現いたしませんでしたことは、まことに申訳ございません。そしてまた私絶対に公平無私を念願いたしておりますけれども、この仕事にまだふなれでございます関係上、関連しての質問ということをお聞きいたしますと、やはり前の続きのように思いまして、その方に御発言していただいておりますことは、まことに私の不行届きだと思います。 それから先ほど私はあなたの御質問のときに、戰災未亡人の問題までもと私の方の幹事長が言つたということを申しましたけれども、あれは私見でありまして、委員長として申し上げることではないということがわかりましたのでただいまそれを取消さしていただきます。もしそれが引揚げ促進に関することであると同時に、厚生の問題ということになりますれば、いずれ理事会にお諮りいたしまして決定いたしたいと思いますから、さよう御了承願います。
○柳原委員 議事進行についていろいろ問題が起つておりますが、私のこれから言わんとするところは、きようの議題外であります。私はきのうの理事会において、きようの発言を依頼しておきましたので、特にお許しを願いたいと思います。私が議題外と申しますのは、先ほど触れられた吉村隊に関連、類似する問題なのであります。御承知のようにあの吉村隊の残虐事件が、全國民のきびしい批判の的になりまして、参議院ではこの問題を取上げまして、連日にぎにぎしく証人を召喚して取調べをいたしております。こういうことが全國に傳わりまして、たまたま私たちの郷里である岐阜縣におきましても、非常にデリケートな問題か起つて参りました。それはこういう問題であります。現在取調べを受けておるところの吉村隊の残虐行爲よりも、はるかにその量的においても、また質的においても、残虐性が大きい。こういう問題であつて、吉村隊をさばくのならば、ぜひともわれわれの受けた残虐行爲もさばいてもらわなければならない、こういうことを岐阜縣の高山市下一之町堀尾藤吉という方と、同じく高山市の室町の堀尾ひさという方、これは、自分の夫と自分の弟でありますが、苗字が一緒なのは一人は兄であり、一人は妻なのであります。この堀尾藤吉という方と堀尾ひさという方が、自分の亭主の堀尾六三という者が、南洋諸島のタラワ島という一里四方くらいの小さな島において、非常な残虐行爲を受けた。そこでこれらの二人の人が、自分の肉親に当る死んだ堀尾六三という方がどんな死に方をしたかということについて、帰還した数人の人に当つて詳しく聞いて來て、これが眞相であるといつて、この四月の七日に岐阜タイムスの新聞を通じまして、ダラワ島の残虐事件を発表いたしました。この岐阜タイムスという新聞は、岐阜地方におきましては発行部数においても、また信用の程度においても非常に有望というか、そういう新聞なのであります。この新聞に大々的に取上げられて発表されるや、ただちに証人が現われて來ました。それは岐阜市眞砂町に住む樅山清という方ですが、堀尾六三という犠牲者とともに一緒にタラワ島におつた人です。この人が確かにその眞相は間違いがない、おれが証言するというので、岐阜縣においてタラワ島の残虐事件が大々的に取上げられるに当りました。吉村隊をさばくならば、このタラワ島もさばかなければならないという意見が岐阜縣においては世論化して來たのであります。ここにおいてタラワ島においてどんな残虐行爲が行われたか、こういうことについて、一々そのリンチの模様をここで発表するのは省略いたしますけれども、三千五百名程度おつた同胞である軍人軍属が、終戰少し後までにその約八割の者がこの残虐によつて死亡してしまつて、帰つた港は約三割ということであります。この岐阜縣の例をとりますと、八十七名おつた者がわずかに帰つた者八名という事件なのであります。但しこのタラワ島事件は吉村隊の事件とやや異なつておりまして、戰時中に行われた問題であります。吉村隊は終戰以後のことが問題になつておりまして、終戰後吉村隊は蒙古側の命令によつてああいうことをやつた。こう言い得るかもしれないが、タラワ島事件においては全然日本人ばかりが戰時中に虐殺し合つた。その責任者は佐野という海軍技術大尉である、この佐野という者は大阪府出身であるということが判明しておるだけであります。私はここにおきましてこの衆議院の特別委員会としてはどうしたらよいかという問題でありますが、吉村隊の事件をあのように参議院で取上げて調べておる以上、この問題も放置しておくことはできないことだと思います。私はこの堀尾藤吉という方と、堀尾ひさという方、それから証人である樅山清という方から、その眞相報告書なるものの提出を求めて、その結果によつて適当な処置をとつていただきたい。かように思つております。なお特に附言いたしたいと思いますことは、私もあの吉村隊の取調べを参議院に毎日傍聽に行つて聞いております。非常に多数の証人を呼び寄せられまして、にぎにぎしく開かれております。これついていろいろ感じさせられるところがありました。しかし私はきようこの場合においてどんなことを感じたかということは差控えたいと思います。後日の委員会で適当にお話申したいと思います。こういうことについては、参議院の特別委員会と衆議院の特別委員会がより以上に緊密に連絡して、適当なる一つの方法を講じていただかなくては、今後いろいろめんどうな問題が起つて來ると思います。私もかつて軍隊におりましたが、このような残虐行爲は当然起り得ると考えられます。軍隊の風潮がそのようであつたということは身をもつて体驗しております。このように吉村事件、タラワ事件等が問題になつて参りますと、全國あるいは各地方から、このような事件と類似した問題が起つて來ると思います。このようなときにあたりましては、どうしても私は参議院と衆議院の特別委員会の合同会議といいますか、協議によつて、適当な方法を講ずることが賢明な策であると思いますが、この点についてもしかるべく御処置をお願いいたしたいと思います。
○中山委員長 柳原委員に申し上げますが、その御報告書をお取寄せいただきまして、理事並びに委員の方たにお諮かりいたしましたらいかがでしようか。
○柳原委員 ぼくがとるんですか。これは委員会としての取扱いになるのですか。
○受田委員 今の吉村隊の事件に類似する問題は至るところにある。ただいま私が申し上げたように、ナホトカ引揚港における日本人による裁判の結果として、労役に服させられているというような重大な事実があるのですが、こういうものを委員会がどう取扱うかということは、非常に責任がある。これを軽々しくおきめになると問題ですし、また今の御質問の方の御意見が、個人でそれを取寄せたのならこれは問題になりませんが、その取寄せたものをわれわれが批判して、これ終戰前の問題であるか、終戰後の引揚げ促進に関係した問題かどうかをまず調べて、それからこの委員会がこれを取上げるべきであつて、この委員会の権能においては、それに関與しない方がいいと思うのです。
○中山委員長 それでは、理事会にお諮りいたしまして、いかがお取扱いいたしますか御回答申し上げます。
○柳原委員 私が今発言したことを理事会に諮つて、その後委員会としてその説明書をとるとか、その他どういうふうにするか、きめるわけですか。
○中山委員長 今受田委員のお話のように、この委員会は引揚げに関係した委員会でございますから、それが戰時中でございますれば、引揚げということにも関連がないわけですから、この委員会に関連があるかどうかということも問題だという御意見もございますので、それから先にきめて参りませんと……。
○柳原委員 私といたしましては、参議院でもあのような問題を取上げた。(「あれは終戰後です。」)いや、私の申し述べているのはやはり終戰をはさんでおるので、引揚げにも関連して來るということになります。終戰のその翌日に引揚げは完了しておりません。それを含んでおりますからやはりこういうことを……。
○中山委員長 それは理事会に一任していただきたいと思います。本会議の時間が迫つておりますので、ただ一つ皆様にお諮りいたします。 引揚促進と引揚者援護に関する決議文でございますが、まずこの決議文作成の小委員会を設けたいと思います。そうしてこの小委員には理事の方全員になつていただきたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中山委員長 それではさよう取りはからいます。なお念のため小委員の氏名を申し上げますと 佐々木盛雄君 冨永格五郎君 藥師神岩太郎君 若松 虎雄君 受山 新吉君 坂口 主税君 横田甚太郎君 天野 久君 の八名の方にお願いいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十四分散会