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4回国会参議院1948/12/22

本会議 第19号

発言数
71
登壇者
16
会派数
6
開催日
1948/12/22

会議録

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。  去る十一日、本院において議決いたしました水産金融に関する決議に関しまして、政府より報告のため発言を求められております。よつてこの際許可いたします。平岡政府委員。    〔政府委員平岡市三君登壇、拍手〕

平岡市三民主自由党大蔵政務次官

○政府委員(平岡市三君) 過日の本会議における水産金融に関する御決議に対してお答え申上げます。我が國漁業界が戰後速かに回復して、我が國民に対し、蛋白質供給源として多大の活動をなしておることは誠に喜ばしいことであります。政府におきましても、戰後水産業の重要性に鑑みて漁船建造資金として、又捕鯨艦出漁資金として、その他水産関係資金に、復興金融金庫から、去る十月末日現在において四十二億円余の資金を供給いたしており、又この外、銀行、農林中央金庫その他一般金融機関から、これら水藻関係資金の供給をなしておるととは、夙に知られておるところであると思います。先般御決議になつた水産金融に関する問題は、特に本年における「いわし」綱の不漁等による特殊事情に基くものと思われるのであつて、深刻な金融難のために、経営の健全なる中小漁業が出漁不能になるということでは、國民の蛋白供給源のために誠に遺憾なことと思う次第であります。中小漁業等の金融の問題について、従來通り一般金融機関は、復興金融金庫などから或いは一般の金融の問題として、或いは中小企業金融の、環として、或いは農林漁業復興資金として金融措置が講ぜられておることは勿論でありますが、國会における御要望の次第もあり、今般特に一つの試みとして、漁業手形とでも申すべきものを創設して、この中小漁業金融難の打開の一助とした次第であります。  この漁業手形の概要を申述べますれば、これは「いわし」綱等、中小漁業の配給孫呉その他の漁業資材及び漁業用瀬の購入資金の円滑な供給を図らんとするものでありまして、この手形の割引によつて金融した金額は、今後における漁獲高から一定の割合によつて、一定期間西に返済して貰うことを趣旨としておるものであります。從つてこの手形は漁具、漁業用油を販賣した者が振出し、これを購入した漁業者が支払人となり、更にこの漁業者の漁獲物を買入れる公認買受機関が裏書人となつて、漁獲物買入代金の一部を直接割引金融機関への返済に充当することを約するものであります。何分漁業というものは、この漁獲高が海流の状況その他に支配されることが多いので、金融機関においてもこの貸出について不安定感を免れないと思われるので、この手形の割引を幾分でも円滑にするため、割引金融機関の申出があれば、復興金融金庫が一定割合によつて支拂保証をすることにするお考えであります。又この漁業手形を割引いた金融機関が金繰り土の必要がある場合には、日本銀行において農業手形に準じて取扱うことといたしたのであります。この漁業手形は初めての試みでもあり、今後漁業の出漁資金を円滑に供給することができるか否がということは、この漁業手形が確実に契約通り速かに返済されるか否かということにかかつているのでありますから、漁業者、買受機関初め漁業界の全体を挙げて、これが円滑なる運営に御協力、御盡力あらんことを希望する次第であります。(拍手)    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案(岡本愛祐君外三名発議)(委員会審査会要求事件)を議題といたします。本案は発議者岡本愛祐君外三名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これより発議者に対し趣旨説明のための発言を許します。岡本愛祐君。    〔岡本愛祐君登壇、拍手〕

岡本愛祐緑風会

○岡本愛祐君 只今上程せられました地方自治法の一部を改正する法律案につき、発議者の一人として提案の趣旨を説明いたします。  本案は極めて簡單な議案でありまして、先日、本院で可決されました特別未帰還者給與の制定によつて、元の陸海軍に属しない者で、昭和二十年九月二日から引続き海外にあつて未だ帰國せず、亘つソヴイエト社会主義共和國連邦の地域内おいて、未復員者と同様の実情にある者等に対し、諸手当を支給することになつたのでありますが、同法の施行に関する事務即ち諸手当の給與事務は、都道府縣及び特別市をして行わしめることを明らかにしておく必要上、地方自治法の附則第十條第一項を改正せんとするものであります。尚同條第二項を改正するのは、第一項の改正に伴いまして、併せて従来の條文の不具を補わんとするものであります。本案の提出につきましては、地方行政委員会と在外同胞引揚げ問題に関する特別委員会とが相互に連絡して協議済みであります。特別未帰還者給與法の実施上急速公布を必要といたしますので、何とぞ満場一致の御賛成を希望する次第でございます(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決いたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたします。本案につきましては、衆議院に対して委員会の審査を省略することを要求いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて本案は衆議院に対し委員会審査省略の要求をすることに決定いたしました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 日程第二、未復員者給與法の一部を改正する法律案(岡元義人君保加六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本案つましては、発議者岡元義人君外六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。岡元義人君。    〔岡元義人君登壇、拍手〕

岡元義人緑風会

○岡元義人君 只今上程されました未復員者給與法の一部を改正する法律案は、去る十二月十三日、本院に上程されました改正法案の第四條の扶養手当家族一人当り二百五十円を、妻を六百円に、その他を四百円に引上げ、改正せんとするものでありますが、昨夜可決されました政府職員の給與改正に伴い、第十六條の扶養家族手当に準じまして当然改正さるべきものといたしまして提案いたした次第でありますが、この際皆様に御了承願つて置きたいことは、未復員者四十万とその留守家族一百数十万の人たちは、本人が僅かに一百円の本給を支給され、その留守家族は今日まで僅か一人二百二十五円の手当を貰つて來たに過ぎないのでありまして、今回給與改正に当りまして、人事院は六千三百七円を最も妥当なるベースと定めたのでありますが、私たちが血を分け合つた日本民族の中で、その最愛の夫をまだ迎えることができず、このインフレの下に女手一つで健氣にも子供たちを育てるために、想像し但得ない困苦と鬪つておる人々があるのであります。而もこれらの中には腕に職なく、育てんがため、生きんがためにあらゆる悲劇さえ数多く生んでおる状態であります。たとえこの法案が本日再決されたと、いたしましても、全國の、一家族平均収入は千四百円に満たない僅少なものであります。又同時に金銭に代えられない最愛の夫を未だ迎えることができない誠に氣の毒なかたたちであります。昨日の本会議におきまして、政府職員等の給與改正案に対して、無所属懇談会及び共産党の方々が、勤労大衆に取つて六千三百七円ベースが如何に低額に過ぎるものであるか緯々と記訴えておられたのでありますが、この際、これらの勤労大衆より遙か低額なる給與よつて生き抜かねばならない百万に余る引揚者留守家族のあることを、この際知つて置いて頂きたいと思うのであります。  私はこの機会に、曾て國の責任において前線に送り出し、今又敗戰の責任の大半を俘虜として過しているこれらの家族の生活基本たる給與につきまして、政府は如何なる賃金べースの決定にも先立つて先ず審議すべきもりであるということをば、この壇上から強調して止まないのであります。(「同感同感」と呼ぶ者あり)時拾かも八千万心の花束を送らんとする愛の運動週間第六日目に当る本日、本院においてこれらの留守家族等に対しての贈り物に物には少からず貧弱に過ぎる感がありますが、この増額に奪う予算総額は、本年度三ヶ月分で約一億五千万円を要しますので、この財源は先般運送停止によりまして本年度帰つてこない人たちに予定された財源を充当いたしたい所存であります。苦しい財源の中からの予算処置上万止むを得ない改正案でありまして、十分の満足を得られぬことは承知いたしておるのでありますが、私はこの壇上から、全國未復員者留守家族の方々に対しまして常に十分の関心を拂つておることをお知らせすると共に、來るべき新予算処置に対しましては、本院の議員各位の一層の努力と理解によりまして、更に一段のよりよき改善が実現せられるであろうことを信じておる次第であります。  以上本法案上程の経緯を御報告いたしまして、皆さんの御賛同をお願いする次第であります。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 本案については討論の通告がございます。紅露みつ君。    〔紅露みつ君登壇、拍手〕

紅露みつ民主党

○紅露みつ君 私は只今上程されました未復員者給與法の一部を改正する法律案に対し、極めて簡單に賛成の辞を申述べたいと存じます。  これが内容につきましては、提案者の趣旨説明において詳細述べられたところでありまするし、且つ本院の皆様におかれましては、この引揚に関する問題につきましては、從來全く政党政派を超越して、引揚の促進に、又引揚後の厚生対策に、或いは又遺家族、留守家族の援護に、深い関心を寄せられつつあるのでありまして、今回のこの改正につきましても、勿論御異論のあろう筈はないと信ずるのでございます。只今御説明がありました通り、未復員者の給與額が今日このインフレ下におきまして僅か一ケ月百円と申しまするがごときは、如何にいたしましても現在の実生活に副わないものでありまするが、これは暫く措くといたし事して、当面の改正点でありまする扶養家族の手当でございまするが、これが又一ヶ月二百二十五円支給されるに過ぎなかつたのでありまして、留守家族の方々の生活が如何に悲惨なものであつたかということは、ここに蝶々する度でもないと存じます。然るに今画の改正によりまして妻は六百円に、その他の家族は一人につき四百円に引上げられるのでありまして、不十分ながらこれによつて一應の生活設計が建て得るられるわけであります。併しこれとても平均化いたしますると、一家族につき、つまり一軒当りにいたして見ますると、僅かに千四百円にも満たない少額でありまするため、提案者の言にもありましたごとく、私共は今後尚改善の必要を痛感いたしながらも、我が國現在の逼迫した経済事情に鑑みまして、遺憾ながら今回はこの程度の改善より外いたし方のないものと考える次第でございます。  顧みまするに、あの戰爭が軍閥によつて起された暴挙であつたということは、今日明かな事実として現われておるのであり零して、曾ては歓呼の声と共に送り出されたこれら未復員者の方方に何の罪がありましよう。而も終戰後四ケ年にして、今日まだ夫婦肉親相見ゆることすら叶わず、異郷酷寒の地に強制労働に服しておらるるのでありまして、思うだに私共は胸も潰れる同情を禁じ得ないのでありまするが、諸般の清勢上止むを得ないといたしましても、せめて私共の手の届くところにあります夢その留守家族を守るということは、國家といたしましても、又私共國民といたしましても、当然なさなければならない義務であると存じます。  御承知の通り去る十七日から明二十三日まで、引揚者に対する愛の運動が全國的に展開されております折柄、本日この改正案の上程を見するのも誠に意義深いことに存じます。申すまでもなく、この改正案は留守家族の方々の前に誇り得る程のものではありませんが、時たまたま引揚援護、愛の週間おける本院からの贈り物といたしましては、蓋しふさわしいものであると存じます。何とぞ満場一致の御賛同を頂きたく切にお願いを申上げまして、本案に賛成の意を表する次第でございます。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終わりました。討論は終局したものと認めます。これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際お諮りいたします。本案につきましては、衆議院に対して委員会の審査を省略することを要求いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて本案は衆議院に対し委員会審査省略の要求をすることに決定いたしましました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際、日程の順序を変更して、日程第三より第九までの請願及び日程第十二及び第十二の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長石坂豊一君。   (石坂豊一君登壇、拍手)

石坂豊一民主自由党

○石坂豊一君 只今議題となりました請願第四十号外六件、陳情第十八号外一件について、建設委員会における審議の結果を御報告いたしたいと存じます。  先ず、河川に関する請願でございまするが、その一つは、長野縣、姫川、佐賀縣、牛津川、岡山縣、旭町、及び静岡縣潤井川に関するものでありまして、いずれも改修工事の施工促進を要請するものであります。姫川は長野縣北安曇都に発して、新潟縣の糸魚川に至る廣汎な流域を有しておりまするが、上流地帯は地質上崩壊し易く誠に河川の全面に対して土砂の流出をいたしておるのであります。又同河川と各支流の間も、さような状態になつておりますので、これを直轄河川に編入して治水工事を施工されたいという請願であります。牛津川は、本年七月と九月の両度に亘りまして、堤防が決壊いたしまして、甚大な被害を港線に與えておるのでありまして、同河川の改修工事の施工を請願するものであります。旭川につきましては、その改修工事と同川と合同しておりまする用水工事がすでに施行中ではありまするが、これがためには多額の経費を要しまするので、昭和二十四年度の工事費を増額して貰いたいという請願でございます。又潤井川は源を富士山に発しておるのでありまして、静岡縣富士郡下を灌漑する重要河川でございますが、上流の濫伐、土砂流出のために悲惨なる災害を繰返しておりまするのでい大河川の根本的改修を要請しておるのであります。以上の四つの河川はいずれも地方的に重要な河川でありまして、近年の災害を防除するためには七の改修補強工事は極めて必要と認めた次第でございます。  夫に、道路に関する請願は、奈良縣下國道第十五号線中、同縣八木町坂合部村間の改修が戰時中、中止されまして、未完成のままに放つてありまするので、近來の交通量の増大に伴い各種生産物の輸送路としての重要性がありまするので、速かな改修の要望をいたしておるのであります。  次は、山形縣北部地区総合開発促進に関する請願でございまするが、同地区が豊富なる未開発資源を藏して比、較的交通にも便利でありまするので、現在建設省が全國十数地区の開発計画を進めておりまするから、本地区もその中に加えて開発する必要を認めたのであります。  次に、中國地方の戰災都市復興事業に対する予算増額の請願でざいまするが、戰災都市復興の基盤たる区画整理事業の促進が、とかく遅れがちになつておりまするがために、一方においては無秩序、無計画な建築が始められまして、それが将來非常な禍いをいたすことになります。よつてこれに対して積極的な予算措置を要請いたしておるのでありまして、極めて必要なる請願と認めました。  最後に、治山治水総合計画樹立に関する陳情でありまするが、近時頻発する水害防除の根本対策といたしまして治山治水施設の完璧を期する必要がありまするが、重要河川の上流地区の地面導体は、押しなべて財政が非常に窮乏いたしておりまするので、これに対して積極的に助成することが必要であるのであります。治水事業は河川の改修に止まらず、各種施設を総合的に計画する必要あることは申すまでもないことでございまして、いずれもこれを採択すべきものと決定いたしました。  以上の通り建設委員会におきましては、各委員の熱烈なる審議を盡された結果、全会一致を以ちまして、内閣に送付することを必要と認めた次第であります。何とぞ本会におかれましても、可決の上内閣に送付せられんこと希望いたします。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択と、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して予防接種に因る災禍事件に関する決議案(塚本重藏君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本決議案は発議者塚本重藏君外十四名より委員会審査省略の要求晝が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これより発議者に対し趣旨説明のため発言を許します。塚本重藏君。    〔塚本重藏君登壇、拍手〕

塚本重藏日本社会党

○塚本重藏君 只今議題となりました予防接種に因る災禍に関する決議案につきまして、その趣旨を説明いたします。  先ず最初に案文を朗読いたします。    予防接種に因る災禍事件に関する決議   最近、不良医薬剤等による災禍事件が続出しつつあることは、國民厚生上由々敷き問題であるが、特に予防接種法施行にあたり、ヂフテリア予防接種の施行に伴つて京都市に発生した事件は、爾後日を追ふてその災禍を増し、去る十一月十四、五日の両日に亘つて、その接種をうけた者一万五千余名の中、十二月十九日現在に於て、死亡者五八名、重症者一二五名、中度症状者二〇四名、軽症状者四六〇名、合計八四七名に及ぶ可憐なる犠牲者を生ずるに至り、更に島根、栃木、各縣下に於ても同様の集團罹患者の発生を見つつあることはまことに痛嘆すべき悲惨事件であつて国政上遺憾に堪えない。   よつて政府は、本事件の重大性に鑑み、速かに左記各項に従つて適切なる措置を講じ、かかる不祥事の絶滅を期し、もつて國民をして、國法施行に対する信頼を増強し、安んじて公衆衛生並びに福祉増進に協力し得らるる様、格段の施策を講じ、その結果を昭和二十四年三月三十一日迄に本院に報告すべきである。     記  一、本事件に関する一切の関係事項を究明して、その責任の所在を明かにし嚴重な措置を講ずること。  二、被害者に対しては國の責任に於いて補償、賠償の方法を講ずること。  三、予防接種法に基いて強制接種する予防液の国家検定制度を改善し、これが施行を嚴密に行うこと。  四、予防液製造所を整備し資材の配給を確保し、以て優秀品の頒布を図ること。   右決議する。  昭和二十三年十二月二十二日  次に、提案の理由について簡單に説明いたします。近來不良なる医薬剤の使用によつて種々なる災禍が引き起されておることは、國民厚生上眞に由々しい問題でありますが、特に去る十一月の四日、五日の両日に亘りまして京都市において発生した事件は、予防接種法に基づいて定期のヂフテリア予防接種の実施に際して災禍を惹き起した事件であります。当時厚生大臣は本議場において事件の眞相を発表せられ、これらの問題について善処することを約束せられたのでありますが、爾後この問題は日を追うて惡化して参りまして、先に決議文の中に朗読をいたしましたような悲惨事が増大して参つたのであります。ここに改めて決議の形式を以て、爾後の処置を本議場に諮らなければならない事態に至つたことを甚だ遺憾とするものであります。即ち右の二日間に亘つてその接種を受けました乳幼児一万五千余名の中に、多数の副作用を呈する者が生じ、注射部分が赤く腫れ上りまして、水胞と共に高熱を発し、全身に中毒の症状を現わし、更に後麻痺等の症状によつてつぎつぎに死亡する者が日を追つてその数を増しつつあるのであります。即ち十二月の十九日の現在におきましては、死亡したる幼児は実に五十八名に達しました。更に重軽症者等を合せまして実に八百四十七名に及んでおるのであります。この多数の可憐なる犠牲者を出すに至りましたことは、誠に痛撃に堪えないのであります。而も今日の事情を以てしますなら呼応、更に更に死者はその数を増すであろうことを憂えられる状態にあるのであります。厚生当局は先にかようなことのないことを言明せられましたけれども、爾後の処置よろしきを得ず今日の状態に立至つておるのであります。  厚生委員会におきましては、本事件発生の情報と共に直ちに眞相究明に努めると共に、十一月の二十日院議によつて委員を現地に派遣して実地調査をいたし、その後の推移につきましても嚴重なる監視と究明を続けて來たのでありますが、更に本事件に引続いて島根縣及び栃木縣におきましても、同様の集団羅漢者を生ずるに至つたことは誠に痛嘆に堪えない次第でありまして、本事件によつて悲惨なる犠牲者となつた多数の子供たち、その家族に対し衷心同情に堪えないものであります。  而して本事件は伝染予防のため、制定されたところの予防接種法に基く最初の強制接種施行に当つて、たまたま発生した不祥事件でありますが、その災禍がかくのごとく湧大し、国民大衆は甚だしき恐怖に襲われ、予防接種の施行に対し非常な不安と不信の念を拘かしむるに至りましたことは誠亀遺憾に堪えない次第であります。巷には、若しここ罰金として納める三千円の金があるならば、予防接種は受けない一万がいいといつたような空氣が充満しつつあるのであります。かような、國民をして予防接種に不安な念を抱かしめましたことは、将來の我が國伝染病予上誠に由々しいことと言わなければならないのであります。よつて政府は本事件の重大性に鑑みてまして、決議案の趣旨並びにその要綱に基いて、その政治的、行政的責任を明確にすると共に、今後新たなる災禍の絶滅を図つて、國民の不安を一掃し以て厚生福祉の徹底を図るよう、緊切なる措置を講ずべきであります。又氣の毒な被害者に対しまして、政府は死者に対し香料とし一千円宛、弔慰金として各一万円、重軽病者には三千円乃至千円の見舞金として、京都府に対して百三十五万四千円を、島根縣に対して四十五万円を贈つたに過ぎないのであります。京都府市が死者八名を出しました当時の應急の措置費として、概算三千万円の支出を要することを要望しておつたのであります。死者が五十八名にも達しました今日では、更に多額の経費を必要とするのであります。もとより人の生命は尊く、何事にも代え難いものであります。よつて政府は誠意を込めてこれが解決を図るべきであります。今回の事件に必要な経費は全額これを國の責任において補償、賠償すべきであります。  又ジフテリア・ワクチンの現在残品は三万五千本であるとのことでありますが、これらのワクチンは全部これを廃棄し、改めて責任あるワクチンを製造すべきであります。これを機会に医薬品の製造所を嚴選整備し、製薬資材の配給に責任を持ち、薬品検定においても現在の拔取検査に加うるように汲取り検査を併用する等、制度の上においても多くの改善を加うべきであります。  政府は今回の事件につき、十一月二十七日大阪日赤医薬学研究所の閉鎖を命じ、十二月四日製造責任者を告発いたしましたが、これを以て責任は解消すべきものでは断じてございません、更國家検定の責任及び厚生省の監督上の責任は嚴に処断しなければなりません。要は以上の各項の措置を講ずることによつて、かくのごとき不詳事件の発生を絶滅し、全國民の不安を一掃しなければならないと存ずるのであります。これ即ち本決議案を提出いたしまし理由の大要であります。  願わくは全員各位の御賛同あらんことを切にお願い申上げる次第であります。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の規律を請います。    〔総員起立〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 総員起立を認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し政府より発言を求められました。林厚生大臣。    〔國務大臣林讓治君登壇、拍手〕

林讓治民主自由党内閣総理大臣臨時代理・厚生大臣

○國務大臣(林讓治君) 只今ヂフテリア予防注射副作用による災禍に関しまして重大なる決議をせられ、政府といたしましては、本問題につきまして更に決意を新たにいたすものがある次第であります。  本事件の発生と共の、予防衛生研究所に調査委員会を設けまして鋭意究明させておる次第であります。又製造所であります日赤医薬研究所に対しましては、薬事法違反といたしまして告訴いたしたわけであります。今後におい予防接種法の実施に当たつては、万一にも再び今回のような不祥事が起るようのことがあつては申訳がない次第でありますので、この際ヂフテリア予防接種ばかりでなく、全部の予防接種について次のような措置を取るように決定をいたしまして、この度各都道府縣に対しまして、通牒を発した次第であります。それは予防接種法基くヂフテリア、腸チフス、パラチフス、発疹チフス、コレラ及び百日咳、BCG予防接種は、次に申し上げます措置が終るまで一時中止するということであります。即ち現在検定済みになつているヂフテリア、腸チフス、パラチフス、発疹チフス、コレラ及び百日咳、BCGの予防液は、各製造所ごとにその主任技術者をしてこれらの予防液の作業記録を調べて、製造過程の厳密な審査を実施するとと共に、製品は再検定を行うことといたしたのであります。今回の事故の原因は、製造業者が國家検定を行を申請するとき、製造工程ごとに番号を付けなかつた点にあるのでありまして、直接に製造容器から汲取つて検査を行い、又尚最後に小分けをした後の検定も並行して行い得るようにいたした次第であります。又全國の細菌製剤製剤製造所の設備、技術経営の実態を査察いたしまして、設備、技術等の整備改善を命じまして、改善の見込のないものは整理をするという方法を取り、整備改善をされました製造所に対しましては細菌製剤監視官を設けまして、政府より細菌製剤の製造を委託する方針であります。  今般の出来事に対しましては、厚生省といたしましても道義的な責任を痛感いたしておりまして、被害者に対してはできる限りの多額の國費を出しまして弔慰の方法を講じたいと、目下極力努力をいたしておる次第であります。只今までのところでは大蔵当局と協議の結果、差当たり京都市に対しまして百三十五万円、島根縣に対し四十五万円の弔慰金を支出し、その他入院費、治療費その他の経費に対しましては例外的の補助を加えることになつておりますが、尚國家がこの國の責任において補償いたしたいという心持を似て目下折衝をいたしておるような次第なのであります。今日までの報告によりますと、京都市においては六十三名、島根縣において六名の尊い被害者を出しましたことは、政府といたしましても誠に遺憾この上ない次第でありまして、被害者の方々、お身寄りの各位に対しましては取分け、何とも申上げる言葉もない次第であります。予防接種法実施早々今日誠に申訳のない不祥事が発生いたしましたが、予防接種法は傳染病から國民を救うに欠くべからざるところの対策でありまして、すでに今日までの実績も終戰後極めて顯著なる成績を挙げておつたのでありまするから、政府はこれを契機といたしまして、決して再びかかることのないように万全を盡したいと考えておるわけであります。尚議会が終了いたしましたなれば、不肖私が直ちに京都市へ参りまして、親しく弔意を表しますと共に、できるだけ物質上における諸経費に対しては報いるような方法を講じまして、そうして京都府並びに市に対しましても御迷惑のなからしめるように目下努力をいたしておると共に、國会が終了いたしましたならば、即効向うに参つて親しく観察もし、今後の処置に一段の力を加えて見たいと考えておる次第であります。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 議事の都合により、これにて午後二時まで休憩いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて午後二時まで休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩    —————・—————    午後七時三十八分開議

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  諸般の報告は朗読を省略いたします。   —————————————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、健康保險法の一部を改正する法律案(塚本重藏君概十五名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。本案は発議者塚本重藏君外十五名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。これより発議者に対し趣旨説明のため発言を許します。塚本重藏君。    〔塚本重藏君登壇、拍手〕

塚本重藏日本社会党

○塚本重藏君 只今上程になりました健康保險法の一部を改正する法律案は、厚生委員十五名外一名の提案であります。提案者の一人として提案の理由及び面容について簡單に御説明申上げます。  最近一般勤労者の給與水準が高まつて参りましたために、從來定められておりまする健康保險の標準報酬が著しく実情に副わないものとなつて参りましたので、急速にその最高限度を引上げ、似て実情に即應せしめ、尚保險経済の安定にも資せしめようとするものであります。  本案の内容といたしましては、現行の標準報酬最高限度の第二十七級月額八千百円の上に更に十三級を追加いたしまして、第四十級一万三千八百円まで拡げ来年一月一日から実施しようとするものであります。両、本法律の施行によりまして、現行保險料の收入において約二割の増加を來し、又保險給付におきましては、現金給付について一割六分程度増加する見込でおります。以上のごとく提案の理由及び内容は極めて簡単なものでありますが、何とぞ御審議の上御可決あらんことを希望いたします。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます、よつて本案は可決せられました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を敗正する法律案、復興金融金庫法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)、公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大藏委員長櫻内辰郎君。    〔櫻内辰郎君登壇、拍手〕

櫻内辰郎民主党

○櫻内辰郎君 只今議題となりました、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報いたします。  去る十二月四日より十二月二十二日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  先ず、本案の提案理由及び内容について申上げます。本年度予算に計上せられでおる煙草專賣益金は九百四十三億円でありまして、この賣上高は千百二十一億円となつておるのであります。然るに本年十月末までの賣上実績は予定額に対し九三%でありまして、七%の賣上減少となつております。この賣上不振の原因は、主としピースの賣行が惡かつたためでありまして、政府においても「ピース」の販賣数量を減少し、これに代るに「ひかり」及び「いこい」の増産をなす等緊急対策を講じておりますが、尚約三十億円の益金不足と相成ります。そこで配給煙草の販賣價格を、「きんし」十本当り十一円を十五円に、「みのり」十グラム当り十円を十五円に、「のぞみ」十グラム当り九円を十一円にそれぞれ値上げし、これを明年一月より実施することにより約三十億円の増收を図り、本年度予算に計上せられておる煙草專賣益金九百四十三億円を確保せんとするものであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対し懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録によりて御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、十二月二十二日討論に入り、小川友三委員より賛成、木村禧八郎委員より反対の意見が述べられ、討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)  次に、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのだめの一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  去る十二月四日より十二月二十二日まで愼重に審議いたしまして、質疑應答農、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案理由及び改正の要点について申上げます。今回の政府職員に対する給與の改善費等を支出するため、國有鉄道事業特別会計においては十一億五百六十九万五千円、通信事業特別会計においては九億四十三万七千円、食糧管理特別会計においては十二億一千八百三十五万二千円の歳入不足と相成りまして、而もこれら特別会計の收支の現況に鑑み、一般会計から補足する必要がありますので、法律代十八号の繰入金の限度額をそれだけ増額又は新設せんとするものであります。又大蔵省預金部特別会計においては、その保有する軍事公債の本年七月以降の利子約四億七千万円の増加等によりまして、給與改善費見込む尚四億三千三百九十五万三千円の歳入超過となりますので、それだけ限度額を減少せんとするものであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府亦これに対して懇切なる答弁がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて質疑を終局し、十二月二十二日討論に入り、小川友三委員評わ賛成の意見が述べられ、討論を終局し、採決の結果全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告いたします。(拍手)  次に、復興金融金庫法の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  去る十二月四日より十二月二十二まで愼重に審議いたしまして、質疑應答の後、討論に入り、採決の結果、多数を以て原案通か可決すべきものと決定いたした次第であります。先ず本案の提案の理由を申上げます。復興金融金庫の資本金は去る七月に九百億円より千三百五十億円に増資したのでありまするが、この資本金は十二月までに必要とする資金を賄うためのものでありまして、最近の貸出の状況よりいたしますと、本年末より明年に繰越し得る債券発行余力は尚相当程度あると予想されるのでありますが、本年度末までの所要資金を賄うために、今回更に百億円を増資いたしまして資本金を千四百五十億円といたさんとするものであります。さて本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑があり、政府又これに対し懇切なる答弁がありましたが、詳細は速記録により御承知を願いたいと存じます。かくて十二月二十二日質疑を終局し、討論に入り、小川友三委員より賛成の意見が述べられ、討論を終局し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告いたします。  次に公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の大藏委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、諸般の事情により、十二月十三日、本國会において議決されました公認会計士法の一部を改正する法律の施行期日を、「公布の日から」とあるのを「昭和二十四年四月一日から」と改正せんとするものであります。議に当りましては、別に質疑もなく、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。右御報告申上げます。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 討論の通告がございます。栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇、拍手〕

栗山良夫無所属懇談会

○栗山良夫君 私は製造煙草の價格改定へ即ち煙草の値上げに対しましては、今年七月二日の本議場において大衆課税的な値上げに反対するということ、購買力の限界を超えるごときこの煙草の値上げに反対であるということ、特に國家財政の四分の一にも相当するところの巨額の税收を一製造煙草に求むるがごときは全く不見識極まるものであるという論点に立ちまして、反対の意思を表明いたしたのであります。この反対は單なる煙草の値上げということのみではないのでありまして、今國民を苦しめつつありまするところの大衆課税反対の一環として私は主張をいたしたのであります。この主張に対しまして、僅か半歳を出でない今日、私共が当時主張をいたしましたところのその結果がそのまま現われまして、ここに再び價格の改定をせざるを得ないこの不見識なる政府の政策、專賣政策に対して、私は重ねて反対の意思を明らかにせざるを得ないのでありす。  先ず第一に数点の反対点を申述べたいと思うのでありますが、第一に申上げたいことは、第三國会の終りにおきまして、私共は國家の健全財政の建前からいたしまして、又國民の生活安定の建前からいたしまして、大衆的課税の反対を叫びました。予算におきましても、或いは通信料金におきましても、國鉄の料金におきましても、專賣益金においても然りでありまして、そうしてこの意見に当時野党でありましたところの民自党は、私共の主張と同じういたしまして、この四つの法案に反対をせられた筈であります。(「そだそうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)この民自党が僅か半歳を出でない間にかくのごとき政策の変更をせられて、ここに煙草の値上げの法案を提出されるということは、私共全く予解に苦しむのであります。(「よく聽いて置け」と呼ぶ者あり)政治は信念であり、節操がなければならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)この僅か半歳の間にかくのごとき政策の轉換が行われたということは、野党における人氣取り政策であつたのか、或いはこれが若し当を得ないといたしまするならば、敢て反対せんがための反対であつたということを言わざるを得ないのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)かくのごとき民自党から提案されたところの本製造煙草の改正法案に対しては、私は先ず反対の意思を表明するのであります。又私は社会党にも一言申上げたいのであります。(笑声)当時私共は(「よく聽け」と呼ぶ者あり)私共と同じ考を持つておる党といたしまして、強力にその同調を求めたのでありますけれども、去る第三國会においては確か社会党は煙草の値上げに賛成をせられた筈であります。その社会党が私の聞きますところによりますと、本日煙草の値上げ反対の討論を申込でおられるという話であります。(「総選挙を控えているからだ」と呼ぶ者あり)私は理由の如何を問いません。明らかに大衆課税的なこの値上げに対して曾て賛成をせられた、今度は反対せられるその社会党の眞意を又了解し得ないのであります。(拍手、「選挙対策」と呼ぶ者あり)この意味におきまして、先ず反対の政治的な観点を申上げたのであります。  第二に、專賣政策の失敗について申上げたいのでありますが、三十億の賣行不振の対策としてピースの製造を減少いたしまして、そうして配給煙草の値上を断行するというのでありますが、配給ということは自由價格よりも相当に値を下げまして配給するところに妙味があるのであります。段々と自由價格品或いは闇物價と殆んど差のない程度に配給價格を上げて行くならば、もはや配給の妙味は失つて行くのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)こういう意味におきましても私は賛成をいたしかねるのでありますが、特に私共の聞きまするところによりますると、監視官千三百名を置きまして、密耕作、私設專賣局の徹底的な檢察をやるということを政府当局は言つておるのでありますけれども、專賣局の話によりますると、この人員を以てしては殆んど不可能であるということを明らかに明言されておるのであります。然らば「きんし」が十五円になる、こういうようなことになりまするならば、ますます密耕作、私設專賣局の横行を刺戟するだけでありまして、政府の政策は大いなる矛盾に縫著せざるを得ないと思うのであります。特に私はこのような状態におきますところの煙草の問題は、原價計算から申しましても、九割の税金に一割の煙草の味附をやりまして国民に喫わせるものである。こういう工合に言わざるを得ないのであります。この考え方は酒の場合にも同じように現われておる。すでに酒におきまして約三十億の減收を來しております。賣上高は予定の僅かに八二%である。そうしてその最も大きな原因は、特價酒の値が高過ぎるということであります。そうしてそのことが地方税の賦課を併せたために特に大きな影響を與え、それが酒の密造までも誘引し、この密造を殆んど現在の政府の力では抑え切れないというような、この酒の状況と全くよく似ておるのであります。私はこのような意味におきまして專賣政策の失敗という観点から、先ず第二の反対をせざるを得ないのであります。  次に、第三といたしましては、大衆課税的な意味から反対をいたします。私の持つておりまする資料によりますと、二十三年度の課税所得と、それから二兆四千億の國民所得の一人当りの比率を出して見ますと、大体給與所得におきましては、所得七万二千円に対しまして課税所得は四万円、五五%が課税所得の対象になつております。ところが業種所得のうちで、農林、水産を除きました営業所得におきましては、二十三万三千円の所得のうち、所得税の課税所得になつておりますのは十三万三千円、即ち五七%であります。殆んど大差がないのであります。大差がないという亡とは、皆さん方が私が申上げるまでもなくよくお分りになつておる通りに、勤労所得税は税の所得の殆んど全部を完全に棚上げせられております。從つて五五%の只今申上げました額は確実に課税所得として税の対象になるのであります。然るに業種所得の五七%は殆んどその所得の全部が開け放しになつておるとは言われないのであります。そこに相当の余裕がある筈であります。この観点から逆に考えますならば、二兆四千億の國民所得の計算のうちで業種所得の計算は極めて杜撰極まるものである、不公平極まるものであると言わざるを得ないのであります。こういう観点からいたしますならば、今度のインフレの進行、いわゆる貨幣價値の下落によつて、止むを得ず引上げられましたところの全官初め民間労働者の給與の引上と同時に、勤労所得税の基礎控除の引上げ、或いは税率の引下げをスライド的に同時に断行しなければならなかつたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは昨日岩間議員が申述べた通りでありますが、私は業種所得の税金も決して軽いとは申上げません。相当に苦しいことは承知いたしておりますけれども、まだまだ勤労階級の税金よりは相当に余裕があることは、この実績から認めざるを得ないのであります。然るに拘わらず、こういうような税率の修正をやらないで、更に物品税、消費税、こういうような系統に類するところの大衆課税をこの上に積み重ねて來るということに対しまして、果して勤労階級はどのような遂にその生活の針路を求めようとするか、私は極めて暗澹たらざるを得ないのであります。このことこそ明らかにこれは増税であります。税率の修正を行わないということも増税である。又煙草の値上も明らかに増税であります。こういうような観点からいたしまして、私は先ず反対をしなければならん。(「まだやるのか、時間々々」「頑張れ」と呼ぶ者あり)次に、十九日マ書簡の九原則の中に、收税計画を促進強化し、脱税者に対しては迅速、廣範囲に亘り刑事訴追処置を取ることというのが明記されております。私は税制の根本的な改革をやらなければ、この煙草の値上、こういう大衆的なものでは殆んど國家財政を賄うことができない、こう確信をいたすのでありますが、この不当利得、終戰後の不当利得に対して徹底的な手を打たない限りにおきましては、如何にこういうような大衆課税的なもので國家財政の補填をいたそうと思いましても、恐らく國家財政の前途は眞つ暗であると言わざるを得ないのであります。この観点からいたしましても、(「時間だ」と呼ぶ者あり)今度のマ書簡の九原則の嚴重なる実行によつて、税制の根本的な改革の上に国家財政の基盤が立てられなければならんものと主張するものであります。  最後の論点は、(「降りろ」「頑張れ」と呼ぶ者あり)先ず公聽会の意見というものが殆んど無視されておるということであります。私は國会法の規則によりまして、(「降りろ」と呼ぶ者あり)私は國会法の規則によりまして……

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 時間が参りました。

栗山良夫無所属懇談会

○栗山良夫君(続) 予算或いはその他の委員会におきまして、公述人の大衆課税反対が縷々述べられたに拘わらず、これが殆んど取入れられていないということに対して極めて不満の意を表するものであります。以上を以て反対の意思を表明をいたします。

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 天田勝正君。    〔天田勝正君登壇、拍手〕

天田勝正日本社会党

○天田勝正君 私は只今栗山君から政治的責任を指摘いたされました日本社会党を代表して、この煙草値上案に反対の意を表するものであります。  先ず、政府はその提案理由といたしまして、只今委員長の報告にありました通り、本年度の專賣益金といたしまして九百四十三億円を計上したのであるが、四月から十月までの賣上実績を見るに、本年度の煙草賣上予算千百二十一億円の四四%に過ぎない賣上である。かような賣上の不振の理由は、高級煙草であるピースが当初予定した通りの賣行を示さなかつたので、この結果が年度末においては三十億円の不足となつて現われる。この穴埋めとして配給煙草の三種目の値上を断行するというのでございます。本案に対しまして、先ず第一に指摘いたさなければならないのは、高額所得を対象とするピースの賣行不振を、大衆の需要であるところの配給煙草に轉嫁して、その値上を行わんとする反動性にあるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)委員会における政府の説明によりますれば、物價と賃金の高騰に伴つて、第一回國会、第二回國会におきましても、それぞれ値上を行なつて來たというのでありまするが、当時の経済状態と、今日のそれとは全く異なつており、且つその改訂内容も違つておるのであります。当時は闇物價は高騰の一途を辿つておりまするし、政府は又マル公の全面的な改訂を断行いたしましたので、消費者の收入も一應増すことが予想されたのであります。この予想は結果から見ますならば勿論妥当ではなかつたのでありますが、併しながら一應はマル公引上げによつて消費者の購買力は増すものと見得たのであります。然るに今回はさような改訂は全くなく、物價は横這いでありまして、消費者の收入増を見込むべき條件は何ものもないのであります。又政府は本月四日、本会議における泉山安本長官の政策演説におきまして、物價改訂は行わず、かように言明いたしておりまするし、又國家公務員法の審議に当つて、本院人事労働連合委員会において、泉山藏相は、これ又我が党の原議員の質問に答えまして二日に亘つて配給煙草の値上げは行わずと断言いたしたのであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)かように、みずからの誓約を裏切り、政府の專賣品の値上をするということは、即ち上のなすこと下これに倣うの誓えの通りでありまして、インフレの助長は必至であります。その不信は正に糾弾ざれなければならないと思うのであります。  そもそも各國を通じて見まするに、煙草の價格は物價、特に闇物價の、バロメーターでありまして、他の物價に及ぼしまする影響、特に心理的の影響は甚大なるものがあるのであります。單に予算面においての多寡を論ずることはできないのであります。從つてその影響の本質からいたしまして私は断乎反対せざるを得ないのであります。(拍手)次にその改訂の内容でございますが、前二回の改訂は高級品に重くして大衆需要品に軽くなつておるのであります。その結果といたしまして、現行の收益率はピースが一一九・一九、三割、「ひかり」が一〇〇・五割へ「朝日」は三九・二割、「きんし」は一九・二割ということになり、「のぞみ」は一三・六割というふうに、大衆需要品程利益を取らぬよう工夫されておるのであります。かような措置をいたしましても、尚ピースの需要者よりも「みのり」の需要者の方が生活は苦しいのであります。然るに今回は、この大衆煙草のみ現行の約二倍の收益を上げようとするのであります。なかんずく「のぞみ」のごときに至りましては、若し私共に撰択の自由がありまするならば、誠に望ましからざる品種であるのであります。若しこれを自然に放任いたしますならば、他の品種と比較いたして更に下落すべきものであります。名月價格が安いというだけで、政府が言うがごとく決して他の品種と比較して安いのではないのであります。  更に、政府は今回の値上の裏付けといたしまして、一月以降一人十本の増配を行うと言つております。この増配の約束は、本年七月値上の際に、十月より増配の約束によりまして値上の承認を受けた、つまり二度出しの約束であるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)ところで、増配すべきものを現内閣に至りまして、これを抑えて置いて、今回の値上の道具に使つて参つたのであります。(「その通り」「簡單」と呼ぶ者あり)これ誠に背信行爲と言わざるを得ません。  次長、今回の値上措置以外に賣上目標の確保が不可能であるがと申しますならば、これは可能であるのであります。即ち政府はこの値上と共に製造計画を変えまして、ピース九十億本の予定のところ、三十八億本に減らし、「ひかり」三億二千万本の予定のところ、五十一億本に増すというように修正して、「ひかり」のごとく適正價格ならば製造を仮に十七倍に殖やすにいたしても賣れるということをみずから認めておるのであります。この例を見ても分かるように、自由煙草間におきまして、その調査によつて十分賣上予定が達成できるのみならず、店舗の増加よつてもその不足收入は補い得るものでありまして、今回上程される予算の歳入面に何ら影響を及ぼさずして調整ができるのでありますこの調整方法を私共が委員会において指摘いたした場合に、政府はその反対の根拠を何ら示されなかつたのであります。  以上の理由によりまして、政府の政策演説に明言するいわゆる不用意なる物價改訂は行わずとの公約違反でありますし、誠に不用意極まる改定と存じますので、ここに反対するものであります。賢明なる議員諸君、挙つて原案に反対せられんことをば切に希望申上げる次第であります(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。(「賛成演説はないのか」と呼ぶ者あり)討論は終局したものと認めます。これより採決をいたします。先ず製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 次に、復興金融金庫金法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。    〔起立者多数〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 次に、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。    〔総員起立〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。  これにて暫時休憩いたします。    午後八時十九分休憩    —————・—————    午後十時二十六分開議

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 休憩前に引き続きこれより会議を開きます。参事をして報告いたさせます。    〔宮坂参事朗読〕 本日衆議院から左の内閣提出案を受領した、よつて議長は、即日これを予算委員会に付託した。  昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)  昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)同日委員長から左の報告書を提出した。  昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)可決報告書  昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)可決報告書同日予算委員松村眞一郎君から左の小数意見報告書を提出した。  昭和十三年度一般会計予算補正(第二号)、昭和二十三年度特別会計  予算補正(特第二号)に対する小数意見報告書    —————・—————

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) この際、日程に追加して、昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)、昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。尚、両案につきましては少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。予算委員長黒川武雄君。    〔黒川武雄君登壇、拍手〕

黒川武雄民主自由党

○黒川武雄君 只今議題となりました、昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)及び昭和二十三年度特別会計おける審議の経過並びに結果を報告いたします。  先ず昭和二十三年度一般会計予算補正(第二号)案について申上げます。本案は昭和二十三年度本予算成立後における諸般の事情のために、官公吏の待遇改善、災害復旧等、補正をよぎなくされました結果、歳入、歳出とも修正減少額を差引き五百八十六億円を増額せんとするものであります。その結果、昭和二十三年度一般会計の歳入歳出予算額はおのおの四千七百三十一億余万円となるのであります。  次に特別会計におきましては、一般会計予算の場合とほぼ同様、官公吏の給與等に関する改善費そのほか緊急止むを得ない経費支出のため補正をなさんとするものでありまして、歳入補正額七百三十六億三千二百万円、歳出補正額七百二十三億三千五百万円をそれぞれ計上し、この結果昭和二十三年度特別会計におきましては、歳入一兆一千九百三十二億円、歳出一兆九百六十二億円となるのであります。尚今回提出の補正予算中、官公吏給與改善に要する経費は、一般、特別及び地方を合わせ二百三十二億円、又災害復旧費は六十億円になるのであります。  さて本案審議に当りましては、各議員より熱心なる質疑があり、政府又これに対して詳細なる答弁がありまして速記録により御承知願いたいと存じます。  以上質疑應答の後、十二月二十二日討論に入りましたが、松村委員より原案修正の提案があり、高潔委員より緑風会を代表し、今度の追加予算は重大なる欠陥あり、是正の必要ありと認むるも、現下切迫せる政治経済下の情勢を勘案して賛成すると述べられ、油井委員よりは民主党を代表し、不満あるも止むを得ず賛成する旨述べられ、又社会党を代表して森下委員より、本予算案は予備費の計上等につき、妥当性を欠くものありと認められ、尚その他失望と不満のあるも、公務員給與支給の九足なる必要性に鑑み賛成すると述べられたのでございます。かくて討論をしゆう曲し、採決に入り、松村委員の修正案は少数を以て否決され、次いで原案につき採決したる結果、多数を以て可決すべきものと決定いたしました。ここに報告を申上げます。(拍手)(「反対意見を忘れたぞ」と呼ぶ者あり)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十分間に制限いたします。松村眞一郎君。    〔松村眞一郎登壇、拍手〕

松村眞一郎緑風会

○松村眞一郎君 予算に多額の用途不明確なる金額があつて、これがため國民の納得のできない租税の徴收が行われてはならない。予算全面の愼重なる審議を要するゆえんであります。私の意見は修正意見であります。その修正意見がこの案には取入れてありませんから反対するのであります。  意見の第一は、一般会計追加予算予備費四十五億中、一億二千九百六十二万円を國会法第三十二條第二項の國会予備とし、五億五千六百六十六万九千円を裁判所法第八十三條ニ項の裁判所予備金とすべしというのであります。三権分立の精神を尊重するゆえんであります。  意見の第二は、價格調整費百十億中五十九億を滅じて予備費の中にこれを加えるのであります。かくいたさなければ、國会はこの金額について、憲法第八十六條の予算審議権と八十七條の予備費事後承諾議決権とを放棄することになるのであります。予算は國費支出の基準であります。予算の款項に揚げてある事項が予算支出の目的として先ず定められましても、予算支出の金額は節から目、項、款へと集めて四案というもおは編成されるのであります。故に支出の基準は款、項、目、節であります。予算の議決は款、項について行われますが、予算の審議は目、節の検討を要することは明らかであります。予算書に記載の予算総則の第三條には、これは一般会計であります。特別会計は第二條であります。この一般会計の方を申しますと、各省、各廳所管予定敬し要求書を別に添付するということは後日添付するということではないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)然るに國会には未だ提出さられていないのであります。これは明らかに財政法第二十八條の違反であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)予定経費要求書の各自明細書の添付なくして予算の審議をすることはできないのであります。この價格調整費の五十九億につきましては、内訳の費途も、目、節も確定していないのであります。この故にこの五十九億は本質上予備費であります。予備費の額はこれに対する財源が歳入予算に計上してありますから予算書には記載しますけれども、予算ではありません。本來予備費であるものに予算の着物を着せたからといつても予算になりません。(「その通り」と呼ぶものあり)費途も、目節の区別も分からないから四案として審議できないものであります。これを審議をしたことにして置くことは國会みずからが予算審議権を放棄するのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)審議をしたことにして通過しますというと、予算として審議したということになりますから、事後承諾の議決もしないということになります。即ち國会は予備費事後承諾議決権をも放棄するのであります。五十九億は闇から闇へとです。予算は成立したかのごとく世間に公表されます。(「総理に聞かせろ」と呼ぶ者あり)これは憲法上許されざることであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)内閣は二十三年度一般会計暫定予算書の予算総則第九條に「次に掲ぐる経費にの中、目節の区分の定めのないものについては、その使用に当つては大藏大臣がその区分を定める。」  終戰処理費、賠償施設処理費、公共事業費、價格調整費  と記載しております。この記載それ自身が、これらの経費中には費途も目節の区別も定まつていないもの、即ち予備費が含まれておることを示しておるのであります。この記載があつてそのまま國会を通過しておるからといつて、本来予備費であるものが予算には変更せられません。予備費なりや予算なりやということは経費の本質の問題であります。形の問題ではありません。終戰処理費について特別の取扱をするの必要があるからといつて、これに便乘して公共事業費や價格調整費を憲法上異例の取扱をなすの理由はありません。私は考えますに、かくのごとき異例の取扱をすることは、過去の臨時軍事費の思想の遺物にあらざるかを恐れるのであります。(「正論」と呼ぶ者あり)現に公共事業費中に十三億三千三百万用の予備費が予算の形で本予算に組入れられておるのであります。これは本予算でありますから、今回の問題にはなりません。この印刷物であります昭和二十三年度予算の説明というものを大藏省が出しておる。この中に現に公共事業費中に十三億三千三百万円け予備費が組入れられておるのであります。これは第八ページにちやんと説明しておる。予備費と書てある。そうして十三億三千三百万円、予備費と響いておる。これは予償の着物を着せている輝けで、予算にはなりません。それで今回の予算委員会で配付の説明書中にも、やはり予備費と明記しておるのであります。併しこれは追加予算の経費ではありませんから、ここでは問題とはしませんが、予備費に予算の着物を着せておるものであるという、これは明らかな例であります。(「もう時間だ」と呼ぶ者あり)予算が精確であつたならば予備費は少なかるべき筈であります。一般会計二十三年度歳出総計、追加予算を加え四千七百三十一億四千万円に対し、予備費と称しておるものが六十五億でありまして、これは千分の十四弱に当ります。この金額がすでに多きに過ぎるものであります。特別会計の予備費は特別会計そのものの存廃問題と共に特に檢討を要します。米國の一九四八年会計年度即ち四七年七月から四八年六月までの歳出予算修正額に対しまして、予備費、リザーヴ・フォア・コンテインジエンシイは千分の三強であります。一九四九年会計年度八月修正の歳出予算額四百二十億二千三百万ドルに対する予備費は一億ドルで千分の二強であります。私の意見の要旨は、憲法及び法律の規定を遵守したる愼重なる予算審議を要望するのであります。(「心配ない心配ない」「しつかりやれ」「頑張るんだ」と呼ぶ者あり)そこで私の見るところでは、修正案での予備費は九十七億一千三百七十一万一千円でありますが、これに本予算の予備費二十億と本予算公共事業費中の予備費十三億三千三百万円とを加えますというと、二十三年度一般会計だけの本当の予備費、本質的の予備費が百三十億四千六百七十一万一千円となるのであります。本予算に対するこの用途不明の予備費の額の如何に多いかということをここに明らかに忙しなければなりません。國民は必ず驚きの眼を似て私は見るだろうと思います。かくのごとき関係を眺めますというと、本予算は実際は、予算の形はしているものの、本質においては予備備というものを予算の着物を着せて、この中に多額に含めてあるということを明らかにして、(「その通り」と呼ぶ者あり)國民は使途の分らない纏まつた予算に対して租税の徴收を受けるということに満足するかどうかということを、私は國民にお伺いしたいと考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)民主主義の政治というものは、國民全体が納得の行くところの政治でありますから、何のために金が使われるかということの用途が明瞭でなくして、予算の審議をいたして国民に租税の徴收を求めることは(「相済まん」と呼ぶ者あり)國会議員としては大いに考えなければならぬことと考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)その故にです。本予算に対して修正の意見を以つて少数意見を述べた次であります。以上の意見を陳述する次第であります。(「各論々々」と呼ぶ者あり、拍手〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 両案に対し討論の通告がございます。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇、拍手〕

木村禧八郎無所属懇談会

○木村禧八君 私は無所属懇談会を代表いたしまして、非常に遺憾ではありますが、今上程されております一般会計及び特別会計の補正予算に対して反対せざるを得ない次第であります。  反対理由は四つでございます。  その第一点は、この予算が非常に政略的に、そうして不純にこれが組まれているということであります。極めて不まじめなる予算であるという点でございます。それはすでに御承知のように、極めて遺憾なことでありましたが、泉山前大藏大臣によつて惹き起されましたああいう事件によつて、よくこの予算の性質が表明されているのであります。具体的には、この給與ペースをめぐつて、初め政府が五千三百円という給與べースを組みながら、後になつて、選挙を控えて各党が党利党略からいろいろな策略をめぐらして、そうして政府の最初の五千三百ベースを変えまして、形式だけ六千三百七円にしまして、実質は五千三百三十円という、そういう予算を組むことになつておるのであります。これは非常に國民を欺瞞した予算の組み方でありまして、これは決してまじめな政策、主義、そういうものに基いて組まれた予算ではなく、政略、党利党略に基づいて拵え上げられた予算であると、そういう点から先ず反対せざるを得ないのであります。  反対の第二点は、この追加予算を組むに当りまして、日本経済再建の見通しとか計画というものとは殆ど無関係にこれが編成されておるわけであります。言うまでもなく日本経済の再建は自由主義的な工作によつては決してできないものでありまして、すでに発表されました経済十原則、日本経済再建十原則、或いは九原則によつて示されております通り、終戰後の日本経済再建は断じて自由主義的経済の工作によつては再建できないのであります。にも拘らず、本議場において泉山大藏大臣によつて示された施政演説におきましては、統制を漸次緩和してそして自由経済的な方向に向かつて行くと、そういう政策が示されておるのであります。そういう基本的な考えの下にこういう追加予算が組まれている。而も日本経済再建に関する計画も見通しもなく、ただ漫然と組まれている、そういう意味において反対せざるを得ないのであります。  反対論の第三点は、予算制度の民主化に反しているという点でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)この予算制度の民主化に反している点は五つあります。言うまでもなく新憲法におきましては、第七章において特に財政という條項を設け、更にこの憲法の條項に基いて財政法というものを特に作りまして、それによつて予算制度の民主化というものを図ることになつているのであります。日本の民主化というものは、言うまでもなく予算制度の民主化なくして眞の民主化はないと思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)ところがこの追加予算は五つの点においてこの民主化に反している。  その第一点は、予算民主化の第一の條件である予算の均衡化に、いわゆるバランス・オブ・バジエツトの精神に反している。その理由は、例えば歳入において自然増收を四百十億も一挙に見込んでおります。これは現在の徴税機構から非常に課題である。從つて実際にこれを徴收する場合には、見込の自然増收と実際の徴税との間にズレが來て、それがインフレの原因になる。これは眞の意味において財政がバランスがとれているということにはならないと思います。更に特別会計においてもバランスはとれておりませんし、又金融面におきましても復金の資本金は百億インフレを増長する建前になつております。こういう点からいたしまして、予算の均衡性という点に反しております。第二に、予算の公開性、明瞭性というものに反しております。これは予算の民主化に明らかに反するものであります。この詳しい内容につきまいては、只今松村議員が非常に具体的に明快に説明されましたから、私はその理由を省略します。(「簡單々々」「よく聞いて勉強しろ」と呼ぶ者あり)第三の予算の民主化に反する点は、予算の單一性、それから総合性に反しておる。元來言うまでもなく、予算は一ケ年に一回総合的に予算を組むべきであつてたびたび追加予算とか暫定予算が組まれるということは、予算の民主化の精神に反する。現在のインフレーシヨン下において、先を見通して一ケ年予算を組むということは実際問題として非常に困難であるかも知れません。併しながら、そういうようなたびたび追加予算を組まざるを得ないようなインフレーシヨンを、これを根本において收束するという、そういう政策を採らなければいけないのであります。ところがこの追加予算におきましては、そういうインフレーシヨンの根本的收束に関する、又根本的に收束しようとする努力が何ら示されておらないのであります。そういう点について予算制度の民主化の精神にこれは反しております。更に予算の民主化の第四の条件としまして、國民生活の安定及び負担の公平、そういう條件に反しております。この点につきましては、先に無所属懇談会の栗山議員が煙草の値上げに関してまして、間接税その他の大衆負担が非常に重いということを指摘されましたから、私はここにおいてその理由を省きます。ただ一点、大衆負担が非常に重いに拘らず、不急不要な軍事公債利拂、これが二十二億というものが計上されておるのであります。これは先の國会において衆議院を通過し、参議院においては審議未了になつたのでありますが、こういう不急不要な財源がちやんと計上されておりながら、こういうものはちやんと計上して、大衆負担になるところの煙草の値上げとか、或いは又勤労所得税の自然増収とか、撥ね返りとか、そういうものを多く計上しておる予算であります。これは財政負担の公平、國民生活の安定という点に反しております。更に第五点としましては、これが再生産に何ら寄與していない、むしろ國の再生産の障碍になるという建前の予算になつておる。これはやはり予算の民主化に反する。何故なれば、日本の現在において、再生産を拡張再生産に向けて行く、いわゆる生産を増加しようとするには、どうしても分配政策を第一にしなければならないのであります。ところが民主自由党の政策は生産第一主義なんです。ところが最近イギリスの前大藏大臣ドールトン氏も言つておる通り、大いなる平等政策こそ、敗戰後の日本の非常に困難なる時期においては生産を増加する途である。(拍手)大いなる平等政策こそ生産増加と一致するものであると言つております。從つて、本当に生産を増強しようとするならば、先ず分配政策を断行して、その上で勤労者の生活を安定さしてから生産増強をやらなければ絶対できません。(「その通り」と呼ぶ者あり)その精神に反しておる。以上の理由によりまして、予算の民主化というものにこの追加予算は反しておる。  最後に、この予算に対して我々が反対し、そうしてこの予算が成立しなかつたならば、官公吏の生活が非常に窮迫している現在、非常な混乱を生ずるのではないか、或いは経済界に混乱を生ずるのではないか、又財界復旧が遅れるのではないか、そういう意味において、反対ではあるが止むを得ずこれを證人するという御意見がありましたが、私は日本の現在の状態はそんなイージー・ゴーイングな考えで、(「そうだ」と呼ぶ者あり)経済再建をしようとしても、これはできないと思うのであります。本当の改革をやるとするならば、多少の困難、摩擦、混乱というものは、これを見るに卑怯であつてはならないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)そういう乱を見て卑怯であつては大きな改革はできないと思うのです。そうでなければ、いつもこれまでたびたび予算がそうでありましたように、切迫して予算が出される、從つてこれを承認しなければ混乱が起るという理由の下に、いつまでも非常に不合理な、(「そうだ」と呼ぶ者あり)そうして納得の行かない予算がいつでも出されるのであります。(「耳が痛いだろう」と呼ぶ者あり)それではいつまで経つても日本の財政は健全化されませんし、日本経済の民主的な再建はできないと思う。以上四つの理由を以ちまして、私はこの追加予算に反対するのでございます。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 一松政二君。    〔「賛成」「賛成できるか」「本当か」「賛成の論拠があるのか」と呼ぶ者あり、拍手〕    〔一松政二登壇〕

一松政二民主自由党

○一松政二君 私は参議院における民主自由党を代表いたしまして、本補正予算に賛成の意をあらわすものであります。  私は先程予算委員会における討論を伺いまして、特にこういう感じを深くしたのであります。如何なる政府の提出した予算でも、反対党はこれに常に攻撃の矢を向けておる。(「その通り」と呼ぶ者あり)政府與党である者は心ならずもこれに賛成せざるを得ぬという立場に追込まれて、そうしてやられておることが…(「その通り」「あなた正直だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、笑声)今、木村議員がここで最後に述べられたことについて、我々は深き反省を要すると思うのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)歴代の内閣が予算を出しながら、殆どこれは官僚予算と言われておる。これは議員が、(「その通りだ」と呼ぶものあり)我々が今後の政治の運営において、又実質的に我々が官僚を凌駕するだけの知識と経驗を積んで、我々みずから予算を作る(「その通り」「そうだ」と呼ぶ者あり)というだけの覚悟と信念を以てこれに当らなければ、如何に攻撃を加え、揚げ足を取つて見ても、この政治のやり方は直らぬ。(委している」と呼ぶ者あり)今日衆議院におけるところの状態は何事であるか。(「何を言つているんだ」と呼ぶ者あり)もつと早く予算は通過すべきだ。公務員も亦早く通過することを待つておる。にも拘わらず、ただ戦争を事として空しく十日間或いは二週間を遅らしたではありませんか。(「そうだ」「低賃金政策で」と呼ぶ者あり)だから、諸君はこの予算に民主自由党の政策が一つも織込まれていないということを強調されておるが、民主自由党が強く主張したところの…鉄道運賃の値上或いは通信料の値上ということを強く我々はこの予算において拒否しておる。これがいわゆる民主自由党の政策が行われていないということは、我々の主張に全然耳を掩うて知らん顔しておるという以外には(笑顔)批評の言葉はないであろうと思うのであります。又この予算を通過させることによつてインフレが高進するということは、今、木村議員が申されたのでありますけれども、私は全然これは杞憂に属する。むしろデフレを促進して、(「本当か」と呼ぶ者あり)デフレを促進して、そうして却つて物價を(「理論的に」と呼ぶ者あり)上げる原因にはならない。(「それはどういう理論か」と呼ぶ者あり)諸君は(「理論的な根拠を明らかにせよ」「黙つて聽け」と呼ぶ者あり)自然増收の多いことをインフレを促進すると言つておる。自然増收を多く見込むということは、むしろデフレの原因になる。(「そうかね」と呼ぶ者あり)税金に税金を取られて、そうして商品を投賣をしなければならない中小工業があるというくらいに、いわゆる税金を沢山見込んであるということは、今後の日本の経済の在り方を合理化させる。そうして日本のインフレの促進にブレーキをかける。そうして日本の経済の安定に資するという以外に、これを外の方に論議を持つて行こうとする者は、特にこれを曲解してこれを持つて行くという以外に、私は論ぜられないと思うのであります。物の見方は如何なる場合でも両様あるのであります。故意にこれを惡い方に持つて行こうとすれば如何ようにでも惡くなる。無論今後の予算についても、万事がすべて上出來であるとは私も思いませんのでありまするけれども、(「遺憾ながら賛成か」と呼ぶ者あり)これは諸君が痛感されておるだろうと思うけれども、まだ内閣は成立以來殆ど間もない。そうして歴代の内閣がやつておる通りに、大部分は官僚の持つて來たものを大体においてそのまま認めたものであると私も思う。(「その通りだ」「偉い」と呼ぶ者あり)ただ私はその通信費と鉄道運賃の値上げということを…自由党がこれを強行しておるということを諸君は牢記しておつて貰いたいと思うのです。これは私はいわゆる(「支離滅裂だ」と呼ぶものあり)追加予算に(「反対の論拠を明らかにせよ」と呼ぶ者あり)私は自由党の政策が明瞭に織込まれておるということを諸君に御披露申上げて、そうして私はこの賛成演説を終わりたいと思うのであります。

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 中西功君。    〔「宣傳か」と呼ぶ者あり〕    〔中西功君登壇〕

中西功日本共産党

○中西功君 私は日本共産党を代表しまして、この二法案を返上し、政府に対して組替を要求するものであります。この度出されておる予算案は、これは徹頭徹尾インチキです。(「その通りだ」「失言」「失言じやないよ」と呼ぶ者あり、笑声)この予算の編成を見ても、先程松村議員からはつきり指摘されたことく、財政法第二十四條に完全に違反しておる。それだけではない。この予備費の内訳を今日始めて政府は発表した。我々は最初からこの内訳を要求しておつた。発表します、しますと言つて、発表したのは今日である。而も價格調整費の五十億の内訳に至つてはまだ依然として判明しない。(「よく聽いて置けよ」と呼ぶ者あり)今一松議員が、審議を遅らしたのは恰かも野党の責任かのように言いましたが、とんでもない間違いである。こんな杜撰な予算を出して、そうしてやつと今日になつて予備費の内訳を発表して何の審議ができるか。而もこの度の最も大きな問題は、この百億に余るところの予備費にあつたことは極めて明白なのであります。(「便乘するな」と呼ぶ者あり)このような予算を出して、そして審議して呉れ、審議して呉れと、このような無責任なと言いますか、これはさつき木村さんも言いましたが、確かに酔つぱらい的な予算だと思うのであります。  更にもう一つのインチキを申上げますと、これは給與及び災害の予算であるということが吉田首相によつても大きく言われている。それならば、この総額の中で、一体給與は一應二百三十二億と言われておりますが、実際には百五十五億と言われております。詳しくは申しません。而も加うるに災害費は六十億円です。総予算額の三分の一の額しかないのです。そのあとがいわゆるいろいろのものです。そうしてこれが給與予算でござる、災害費予算でござるといつて、選挙日あてのようないろいろのことが行われるのであります。さつき一松議員が、この予算には民主自由党の政策が入つていると言つた。私もその思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)これこそ民主自由党の予算です。歴代の政府にして、曾てこのような杜撰な、インチキな予算を作つたことはない。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これこそ民主自由党の予算だ。私はそれをはつきり言うべきだと思います。  更に歳入の模様を見ましても、賃金ベースを上げて置きながら、その税金に対しては何らの措置を採らない。給與はやるんだか、税金で取る。これが民主自由党の言うところのバランスだ。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)こういうのが諸君の言うところのバランスだ。併し民主自由党の政府が、今までこの予備をなぜこれ程発表し得なかつたかということを、私が今日予備費の内訳を聞いてはつきりと分かつたのである。この本よりも、むしろ今日渡されたこの予備費の内訳の方が遥かに重大なんである。この予備費の内訳をわれわれが見るならばだ。なぜ、これをそんなに発表したがらなかつたかということが極めて明白になるのである。ここに殖やしてあるものは何か。警察費が四億、裁判所費が五億五千万、法務費が四億三千万円、(「警察関係で」と呼ぶ者あり)そうなんだ。行政整理をやる、六十万の官吏の首を切ると言つて置きながら、そういう態度をとつて置きながら警察官だけはどんどん殖やして行く。これが民主自由党の行政整理なんです。更にもつといいのを見せて上げたい。主要食糧並びに密造酒取締に必要な経費というものがちやんと上つている。自由販賣をあれ程誇大に宣傳して置きながら、主要食糧の取締費用が歴然として上つているではありませんか。更にもう一つ教えて上げたい。指定生産資材の割当事務に関する費用が一億数千万円に上がつているではないか。その他一つ一つ百項に上るものを見ても分る。如何に彼たちがはつきり発表したがらなかつたかということが極めて明瞭である。これが民主自由党の予算編成方針である。而もこれが民主自由党の本質である。何事によらず、このような、すべての闇的に問題を解決して行こうというのが民主自由党の本質であつて、而もこれによつて非常に迷惑を蒙むるのが我々勤労者であり、(「何だ」と呼ぶ者あり)それは一部の資本家に過ぎないのである。(笑声)そんなに笑うならば、もう一つ証拠を見せてやろう。船舶運営会費二十五億、この内訳は一体何であるか。この内訳の僅か五億が職員の給與に充てられたものであつて、二十億は船舶の使用料、或いは修繕費、備品費、こういうものに充てられておる。而も海員の諸君の費用はう即ち給與は、未だに明瞭なことを我々に政府は言い切らない。言えないじやないか。そうして、ちやんと二十億のこのような会社を救済するような費用は、はつきりと最初から歴然こ組んでおるじやないか。(笑声)これと見て尚笑うならば…笑つて下さい。「もう、よう笑わん」「内容が分らんで何を言つておるか」呼ぶ者あり)そう、君たちには分らん筈だ。(「止めて置けよ」「時間だ時間だ」「分からぬことが分つておるなら止めろ」と呼ぶ者あり)更に價格調整費の予備費や、そうしたものを今日まで尚漠然と出しておる。これについてはもつと由々しき問題があると思うのです。これは今まで各地に起こているところの全石炭、電産、或いは海員、船員、こうした労働運動が実はこの予備費の、価格調査費の予備費の中に凝結している。私はこの予備費をさえ今日までに至るまで、はつきりと政府が言い得ない、こんな馬鹿げた政府がどこにあるか。(「ここにある」と呼ぶ者あり)そうだ。確かにここにあるんだ。だから國民が不幸なんだ。何故に民主自由党は、堂々と解決案を以て労働者階級に本当に誠意を示して(「吉田内閣にそういうことが分るか」と呼ぶ者あり)解決しようとしないのか。電産の問題に対して私が大屋大臣に今日質問してもまだ態度が分らんのだ。(「労働問題を知らん者は駄目だ」と呼ぶ者あり)このようにして、日本政府に尚聊かもこの問題を解決しようという誠意がない。このような政府があるが故に労働運動の自主的な解業できずに、非常に迷惑を労働者諸君が蒙つている。(「簡單々々」「簡單にして呉れ」「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)私は(この名論卓説を聽いて呉れなければ駄目だ」と呼ぶ者あり)そういうような無能なこの予算が極めて多くの国民的不幸をもたらしておるということを痛切に考えますが故に、我々共産党はこの徹底的な組直しを要求するのであります。(「一人よがりを言うな」と呼ぶ者あり)  ただ最後に、もう一つ強調いたしたいことは、一松氏がいみじくも言われましたように、これこそ民主自由党の予算だということ、これは極めて明白なんだ。このような杜撰なものしか組めないというのが民主自由党なんだ。更にこのような杜撰な予算に対して‥‥而もこれは國家公務員法の必然的産物であるのだ。社会党も民主党の人も言つたのです。國家公務員法と給與は不可分だと言つて非常に騒いだ筈だ。確かにこれは不可分なんだ。公務員法を押し付けるような野郎が、このような安い賃金ベースを、(「野郎とは何だ」「取消せ」と呼ぶ者あり)このようなものを(「野郎とは何だ」と呼ぶ者あり)作るのである。(「失言だ」と呼ぶ者あり)野郎という言葉が惡ければ私は幾らでも取消します。とにかく(「野郎とは何だと呼ぶ者あり)公務員法とこれは不可分で、そのことは事実だ。(「謝まれ」「しつかりやれ、「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)併し(「野郎とは何だ」と呼ぶ者あり)併しです。(「取消せ」と呼ぶ者あり)併しです。、このような予算案に対して、(「言葉を慎しめ」と呼ぶ者あり)公務員法に対しては反対して置きながら、このような予算に対してい賛成する人々、特に私は社会党の人々がこのようなことをなさることに落しては非常に遺憾に思うのである。(「進行」と呼ぶ者あり)

松平恒雄緑風会議長

○議案(松平恒雄君) 時間が参りました。

中西功日本共産党

○中西功君(続) 僕の言うことを皆様はよく聴いておれば分ります。(「取消せ」「失言」と呼ぶ者あり)私はちやんと取消してある。(「取消す必要はない」と呼ぶ者あり)このようにだ。最後に結論を申しますが、私はこのような(「時間だ」と呼ぶ者あり)予算に賛成する社会党の諸君の眞の猛省を促し、我我共産党はこの反対演説を終わるのであります。これで終わります。(拍手)

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) これにて討論の通告者は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を願います。    〔起立者多数〕

松平恒雄緑風会議長

○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。(拍手)  本日はこれにて延会いたします。明日は午後一時より開会いたします。議事日程は決定次第広報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後十一時十七分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、水産金融に関する決議に対する平岡大藏政務次官の報告  一、日程第一、地方自治法の一部を改正する法律案  一、日程第二、未復員者給與法の一部を改正する法律案  一、日程第三乃至日程第九の請願及び日程第十一、日程第十二の陳情  一、呼ぶ接種に因る災禍事件に関する決議案  一、健康保険法の一部を改正する法律案  一、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案  一、大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのため一般会計から繰入金に関する法律の一部を改正する法律案  一、復興金融公庫法の一部を改正する法律案  一、公認会計士法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案  一、昭和二十三年度一般関係予算補正(第二号)  一、昭和二十三年度特別会計予算補正(特第二号

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