予算委員会 第5号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/12/07
会議録
○上林山委員長 会議を開きます。 お諮りいたしたいことがあります。理事宮幡靖君が理事を辞任されましたので、その補欠を行いたいと思いますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
○上林山委員長 それでは森直次君を理事に指名いたします。 これより質疑に入ります。川島金次君。
○川島委員 本來でありましたならば、これは吉田首相にお尋ねいたしたいのですが、総理大臣は御都合でこちらへ見えられないというので、あえて副総理の林さんにお尋ねを申し上げたい。 先般私が総理大臣に質問をいたしました際に、選挙の時期は一月中にこれを行いたい、こういう言明をされたのであります。しかしながら一歩退いて考えてみますると、予算の審議も四党協定によれば、十二日までに仕上る予定になつております。從つてわれわれはその線に向つて最善の努力をいたすという建前でせつかく審議を進めておるのであります。從つて予算審議がかりに十二日に終了いたしまして、本予算案が本会議にまわるようなときがありました場合は、続いて不信任案の上程ということに四党協定はなつておる。しかしながらその間の將來の不測の事態というものは、われわれはあらかじめ確実に予測ができませんので、何らかの事態がありました場合に、その不信任案の上程がもし時間的にずれるようなときがあつたといたしました場合には、政府はみずから與党と相談の上で、信任案を議会に上程するというような用意を持つておるか、そういう考えを持つておるかということがまず第一点。 それから第二点は、不信任案が本会議に上程されました場合、これまた諸般のいろいろ免れざる事情のもとに、本会議において不信任案が否決になるようなことがあつた場合には、政府はどのような態度をもつてそれに対処するか。この二点をまずお伺いしたいのであります。
○林國務大臣 ただいまの解散問題でありますが、その場合にあたりましてきめたいと考えております。予算その他の審議とともに行くべきものであると考えておりますから、その場合によつてわれわれは決したいと考えております。
○川島委員 お答えは一應もつともに聞えるのでありますが、きわめて重大な事柄であり、しかも解散の宣言は、政府みずからがされておる事柄であります。從つてその重要な問題については各般の事態を考慮に入れて、あらかじめ政府みずからそれに対処するだけの用意があつてしかるべきであろうと私は思うのであります。しかるにただいまのお答えによりますと、そのときに対処する、しかも予算の審議とにらみ合せて対処する。こういうことでありますが、予算は大体において四党協定の線において審議が終了するものと、私どもは善意に解釈しておるのであります。從つて次の問題は、いやしくも國会を解散するという重大な問題に入つておる。その重大な事態に対しまして、政府は——繰返して言うのではありませんが、その問題に対して必然的にいろいろの問題が予想される。その予想された仮定の上に立つて、責任ある何らかの具体的な処置というものを、今からすでに考えておくべき事柄ではないかと私は思うのであります。從つてこういうことをお尋ねするのでありますから、でき得べくんばこの予算委員会の終了までの過程において、総理大臣と御相談の上、総理みずからそういう問題に対して、いかなる考え方を持たれておるかということを、この委員において、明確にひとつ態度をわれわれに聞かせてほしいということを付言いたしまして私は質問を終ります。
○林國務大臣 あの協定は協定として、十分効力のあるものと私どもは考えておりますが、なお心構えといたしましては、十二分に心構えはいたしております。しかしながら今日予算審議などを考慮いたしまして、いまだ私どもからしてその心構えを申し上げる機会でないと私どもは考えております。從つて先ほどお話のありましたように、もしわれわれの方において申し上げる必要があるものと考えました場合には、総理ともよく相談いたしました上、何分のお答えをいたします。
○川島委員 まず私は本予算に直接関係のある重要な点について一、二お尋ねを最後に申し上げたいと思います。 今度の予算のうち、ことに重要な事柄は歳入の問題であります。ことに所得税の自然増が今度の予算については相当大きな歳入の柱となつていることは言うまでもないのでありますが、この所得税の自然増の問題は從來大藏省において予定せられておりました課税対象範囲内の自然増であるか、それとも課税対象外の所得の中で新しい所得増が発見されることになつたので、この自然増が生れて來たのであるかどうか、これをまずお伺いいたしたいのであります。
○河野(一)政府委員 お答え申し上げます。課税対象外であるか、内であるか、この点非常に議論があるところでありますが、たとえば今回の給與ベースの改訂に基きまして、從來免税点以下でありました所得者も新しく納税対象に入つて参ります。それから当時営業その他農業所得等におきまして、当然この程度の課税所得であろうと考えておつたものが、パリテイー計算の増加、その他物價の上昇等によりまして新しく納税するであろうと思われるものも考えられるのであります。これを課税範囲内のものであるか、外のものであるか、これは考え樣だけだと考えます。
○川島委員 今のお答えは私には十分に納得できないのであります。そういう從來の既定の課税所得内のものがどの程度、既定の課税所得以外のものがどの程度というあらかじめ具体的な見通しというものがあつてしかるべきであろうと私は思うのであります。その点について、くどいようですが、課税所得というものが分析されているならば、もう一ぺん具体的にこの際お示しを願いたい。
○河野(一)政府委員 本年度の当初予算を積算いたしますときには、國民所得が一兆九千億程度でありまして、たとえばそれを農業所得あるいは勤労所得等にいろいろな配分があるのでありますが、それを基礎として收入を見積つたのであります。ところが先日もお話いたしましたように、その後國民所得が約二兆四千億近くになりましたために、その結果新しい課税所得について見積りがえをいたすということになりますと、この程度の自然増收がある。税は要するに見積りでありますので、経済界の情勢がかわつて來ると、またそれに基いて見積りもかわつて來る、こういう情勢になりますので、從來当初予算に見積つておつた課税所得がこれであつて、その課税所得外がどうであるというような計算は、別に詳しくいたしておらない次第であります。
○川島委員 そのお答えを聞くとまことに心細いのであります。この問題のあり方によつては、私は來るべき徴税の上において、重大な結果を來すことを懸念いたしておるのであります。繰返して申し上げるのではありませんが、既定の課税所得内における所得増にそれがかかつて行くのと、既定の課税所得以外に大部分の今度の自然増というものがかかつて行くのだというこのわかれ道は、來るべき徴税期において、本年の三、四月に現象的に現われた全國のまじめな中小営業者、あるいは耕作農民、これらに今度の追加予算の重圧が集中的にかかつて行くという懸念が十分にわれわれはいたすのであります。そこでそういうことを私はくどく繰返してお尋ねをいたすのであります。もしそうでなくて、從來の既定の課税所得以外の所得増というものが大部分である。そこに今度の追加予算も含めて集中的にかけて行くのだということになれば、一般の耕作農民や中小営業者の憂慮すべき事態というものも緩和されるのではないか、私は非常に重大な問題ではないかと思うのであります。そういうことについて、事務当局があらかじめ責任をもつて具体的に対策を立てて、こういう予算を計上するということが、私は当局の当然なすべき責任であろうと思うのであります。ところがその事柄については、いずれとも解釈のしようだということになりますと、結論的に申せば、既定の課税所得者に集中的にその税がかかつて來る。その結果どうなるかということは言うまでもない事柄である。それがわかつておらぬということは、まことに私どもとしては納得のできない事柄であります。堪能なる大藏当局としては、その程度くらいの勤勉と親切において、あらかじめ基礎計算を立てるべき事柄ではなかろうか。その上に立つてこそ、こういう予算というものが出て來るのではないか。もしそういうことが立つてないということになれば、一般國民が今ごうごうと非難しておりまする大藏省の独善的な自然増、水増しだと言われてもあえて弁解の余地はないと思うのであります。その点をもう一ぺんできましたらばお答えを願いたいと思います。
○内田政府委員 私は経済安定本部の政府委員でございますが、ただいま大藏省の政府委員の主計局長からお答えがありましたところを、違つた意味から御説明を申し上げたいと思います。なおこれは川島委員のきつい御質問に対して、直接眞正面からの回答に必ずしもならないかもしれませんが、一應御理解を深めるために御説明を申し上げたいと思います。先ほど河野政府委員からもお話のありますように、國民所得の改算が十一月の物價賃金ベースを基礎として行われた。これは今度の追加予算を編成いたしますために、政策的にどれだけの大きさの追加予算が編成可能であるかということを見るためにつくつたものではありません。経済安定本部がいろいろな國の経済の総合資料をつくるための一環といたしまして、去る六月に一應物價の改訂があつたその物價をベースとして推定したものを改算したものでありまして、たとえば六月の物價改訂では七割の公定價格の引上げにとどまると思つたものが、実は十割程度に公定價格の引上げもなつており、またその後のやみ價格の動き等もありまして、公定價格がさように上つた一面、やみ價格は必ずしも思つたほど上らない。しかし両方ひつくるめたいわゆる実効價格にいたしますと、今年の一月に比しますと四十数パーセント上つており、六月当時に比しますと何割程度か上つている。ことに賃金につきましては、当初の見込みよりは違つた実数が現われておりまして、今申し上げた実効價格の四十数パーセントの上り方よりは、名目賃金はさらに大きな上りを示しておつたというような、経済指標の動きがございましたので、そこでこの十一月、主食の増配もあり、一應経済も落ちついたはずで、物價の値上り等の影響も落ちついたその時期を取上げまして、あらためて國民所得の改算をいたしましたのであります。その結果、六月の物價改訂を織り込んだはずの國民所得の総額が一兆九千億でありましたものが、十一月現在の物價賃金というものを織り込んで改算いたしますと二兆三千九百億になつている。そこでその國民所得の内訳も、たとえば勤労所得であるとか、あるいは農林水産業の所得であるとか、鉱工業、商業の所得とか、一々の内訳がございますが、それを合算いたしますと、二兆三千九百億の國民所得になるのであります。結局予算における税金というものも、これが所得の中からとられることは間違いないのであります。もちろん國民所得の計算における所得計算の見地と、税金をとる場合の課税標準決定の見地とは違うのでありますが、ともかくも國民所得というものが、経済の全過程を表わす一つの重要な指標であるならば、そこに当然そのぶつかりがあるはずだということで、一應私どもが計算いたしましたところがかような結果になつておりますから、御参考までに申し上げてみたいと思います。今度の十一月の物價、賃金ベースにおける勤労所得の総額は八千六百四十億円であります。これに対しまして今度の補正予算におきまして勤労所得税等の増加があり、この勤労所得税総額に対する課税所得というか、課税標準をぶつけてみますと、大藏省で御計算になるであろうところのこの課税所得たる勤労所得は三千六百六十億になります。但しこれはいわゆる基礎控除とか勤労控除とかいうものがありますから、そういうものを落した、税金をとられる課税標準が、今申しました三千六百六億であります。この割合は、さきに申した國民所得に対して四一・七%、つまり理論上勤労所得として國民所得の計算上生じたもののうち四一・七%だけが課税の対象になつている。同じような計算を農林水産業についてやつてみますと、國民所得の計算では五千百三十五億円の所得であるのに対して、課税標準、これもいろいろな基礎控除後の課税標準が二千百十億という数字に相なるだろうと思います。これは経済安定本部が主税局の立場に立つて、農林水産業に対して課税される税金から逆算してみますと、おそらく大藏省から決定通知が発せられる農林水産業に対する課税所得は二千百十億になるはずであります。この割合は四一・一%になります。それから今度は営業及び庶業の所得が、今回の國家所得調査の推計によると、九千三百五億円と相なるのであります。これに対しまして、これも基礎控除後の課税所得は三千五百十七億ということで、これは三七・八%に当つております。その他こまごまとした、たとえば利子とか配当とかというようなものの所得もありますけれども、これは金額が幾らにもなりません、小さいものですから、これを含めてその合計をとつてみますと、二兆三千九百三十億が國民所得のありまして、それに対する課税標準、大藏省がとるであろうところの課税所得が九千三百四億ということでありまして、三九・一%ということに相なつております。そこで結局どうこの現象を見るかということでありますが、六月の物價賃金ベースにおける一兆九千億の國民所得を二兆三千九百億に改算したというゆえんのものは、むろんその間に生産の伸びがございます。すなわち六月当時の生産計画の数字に対しまして、その後第一・四半期及び第二・四半期の生産実績等が漸次現われて参りまして、これが六月当時予想したより以上に鉱工業、農林水産業等における実質の生産、実体の生産、國力そのものが伸びて來たということのほかに、大部分は結局賃金と実効價格等のインフレ現象を反映するところの水増しによつて、この國民所得の名目價値が上つて参つた。先般も御説明申し上げたのでありますが、六月の概算では、價格につきましては二十二年度に対して実効價格が四八%増ということでやりましたものが、先ほど申し上げますような價格の動きのために、実際には十一月で見ますと、昨年度に対して実効價格が七二%上つておる。四八%から七二%物價の値上りがある。これは先ほど申しました生産の伸びではない。物價そのもののインフレを反映しておる。賃金におきましては、六月の推算当時におきましては、去年一年の平均に対しまして七二%の名目賃金の上昇ということで推算をいたしましたものが、十一月の名目賃金ベースによりますと、これが七二%ではなしに、一二五%に上つておる。つまり去年の十二割五分、すなわち、二倍以上に名目賃金が上つた。かようなことで價格におきましても、賃金におきましても、それぞれ六月よりも実質上の國民経済、あるいは実質上の所得の増加のほか、水増しの價値増加の分があつた。從いまして今度の予算において予算の増加そのものも、結局予算の中をごらんになるとおわかりになりますように、物價と賃金の増嵩によるものが予算の大部分である。実態的に新しい経費は何がしもない。從つて今回の予算の補正に相当して引上げられる税の部分も、大部分は今申しますような國民所得の六月と十一月との実質上の、あるいは名目上の伸びの中に生れるものではなかろうかと解釈いたします。これを所得税だけでなしに、今度の國民所得と税金全体とぶつつけて見ますと、この國民所得今の二兆三千九百億に対して、今度の税金の総額が、御承知のように補正予算を入れると、三千六十億になるはずです。この國民所得の全額に対する税金の全額は、去年からどういう動きを示しておるかということを割合を出して計算してみますと、こういう数字が現われております。今度の國民所得二兆三千九百億に、補正予算を加えました税金の総額三千百六十億の割合は、ちようど一三・二%に相なります。國民所得のうち一三・二%が國税としてとられる。昭和二十二年度の國民所得は一兆千七百億でございました。それに対して二十二年度も同じ十一月ごろ追加予算で税金がふえました。その税金の総額は千三百五十四億であります。この一兆千百七十億にぶつつけてみますと、この割合は十五・九%ということであります。ところでこの間におきまして、先ほど申しました六月推算の國民所得一兆九千六十億と、それから今度の補正予算を入れない、六月の当初予算におきまする税金の総額は、二千六百七十七億であります。二千六百七十七億の税金は六月推算の國民所得一兆九千六十億にぶつつけてみますと、この割合は一四%であります。そこでこれは決してこじつけるのでありませんが、こういうことが言えるようであります。國民所得の全額と租税の全額とをぶつつけてみると、今度の補正予算を含む本年度の予算は、去年よりも高くなつておる。去年一一・六%であつたものが、一三・二%上つておるから、それだけ國民所得に対する税金の高が割合においては多くなつておる。しかし六月推算のときはこれが一四%であつたものが、今度の補正予算においては一三・二%と、ともかくも形式は減つておる。減つておるということは、十一月ベースによる概算の國民所得に対して、今度の追加予算の規模はまだ実態を現わしていないとも言えるのかもしれません。まだ物價、賃金のいろいろな上昇があれば、その姿を現わすためには、かりにこの六月の財政と國民所得が一つの與えられた割合を示しておるものとすれば、その後國民所得が、生産の増加あるいは名目賃金の増加によつてふえて参つておるとすれば、むしろこの税金の割合が六月の予算よりも減つていることは、税金なり、財政の規模なりが相対的には小さくなつている、ということも言えそうな氣もする。むしろ追加予算は五百八十六億ではなしに、まだあの中には多少の無理があつて、ほかに徴收の道があれば、國民所得の全体から見ると、もう少しよけい組んでも、國民所得におけるベースはちようど同じくらいに出るとも言える。ただここでもう一つ申し上げなければならぬことは、これはまたほかの面でありますが、さように税金の割合は去年より今年の方が高くなつている。しかし先ほども触れましたように、國民所得の中には実質上の増加もありまして、これは去年にくらべて國民経済力が一八%ぐらい増加している。それから税金もふえたけれども、名目的な伸びを示して、実質上の國民所得の増加に対して、必ずしも税金なり財政なりというものが、今日大き過ぎることには相なつておらぬということが、一應言えるような氣がいたします。 なお以上説明申し上げましたことは、決して政策的に予算をこの面から援護するために、この國民所得をつくつたのではないのでありまして、たまたまそういう結果が出たのであります。何らかの御参考になれば幸いであります。
○川島委員 今の安定本部からのお話は一應私にもわかるのですが、十一月の物價水準が上つたから、國民所得がふえた。これはもうよくわかる。ただ私の問題といたしておりますのは、そういうことでなしに、今度の追加予算に盛られた所得の自然増に準じた租税の自然増、この自然増の大部分が、從來の課税所得の中の物價水準が上つて、増加があつたから、そこへ行くというのと、そうでなく、物價水準が上つてきたから、新しい所得の面が当然またふえなければならぬ、そのふえた方へ集中的に今度は自然増がかかつて行くのかどうか、この大体の規模というか、目安ぐらいはあつてしかるべきじやないか。そういうものがないということになれば、これはもう非常な苛斂誅求になるおそれが断じてある。そこを私は懸念いたしますので、くどく聞いている。その点どうでしよう。
○河野(一)政府委員 川島さんの御質問でございますが、先ほども内田政府委員の言われたところで大体おわかりだと思うのでありますが、昭和二十三年度の当初予算を組んでおりましたときの課税所得、これは基礎控除後のものは七千三百五十八億という数字になつております。これはその後における國民所得の増加によつて、先ほど内田政府委員も言われました一兆九千三百億ほどになつている。新しいこういう数字に即して所得の見積りをやる。当時その増合において個々の個人のものについてどうということでなしに、納税者全体についてこれを見直して行くという事態でありますので、從來の見積りのときには課税対象外であつた、今度新しく課税対象になるという筋合いのものと少し違うのでありまして、全般的に今新しい物價水準なり給與水準で所得を見積りがえして、それによつて納税者を拾つて行く。こういうことになるので、新しい納税者を探すといつたような実際上の動きになるわけじやないと私は考えております。
○川島委員 どうもその問題について納得が行かないのですが、他の委員からいずれ質問の機会に掘り下げて議論があろうと思いますから讓ります。 それで私は次に入りたいのですが、ただいま安本の方からのお話によりますと、國民所得二兆三千九百余億、そこで課税所得は九千三百余億ということになつておりますが、大体これは大藏省も、今のお話では安本と同じ計算を立てておるように言葉の上では感じたのであります。かりにそういたしますると、國民総所得が二兆三千九百余億あつて、課税所得は九千三百余億だということになりますると、その差引約一兆四千余億というものが、そこに課税所得以外という数字が浮かんで來る。もとよりこの課税所得以外の数字というものの中には免税もあり、あるいは基礎控除、あるいは零細な所得で課税にならない面も相当あろう。しかしながらそれだけが一兆四千億余にも上るであろうとは、われわれはちよつと常識的には判断がつかない。おそらくそういう中には、大藏省や税務署が把握できない、逃がしておるところの当然課税しなければならぬような所得というものが、ある程度というよりは、むしろ相当に多額な所得がそこに潜在しておるのではないか。こういうふうにわれわれは一見想像いたすのであります。そういう問題につきまして、大藏省当局あるいは安本当局の方面において、この一兆四千億の中に、当然課税対象外になるものと、そうでなくて、当然課税すべき性質の所得がどのくらい含まれておるかというような、推定でもよろしいのですが、推定をされたことがあるかどうか。もしありとすれば、その推定計算額というものはどのくらいの額に上るか。これは非常に重要な事柄であろうと思いますので、さらにお尋ねいたしたいと思います。
○内田政府委員 まず安定本部から簡單にお答えいたします。私先ほど大切なことを言い忘れたのでありますが、國民所得と税金を賦課するところの課税標準の決定とは、まるで立場が違うのであります。國民所得の計算のしかたは、まつたく理論上の財貨の増加、あるいはサービスによる價値の増加、要するに國民経済における價値の増加の分をまつたく理論的に見たものである。しかるに税金の方は各営業の主体であるとか、個人であるとか、法人であるとか、そういうものからつかまえて参るので、計算の根拠といいますか、考え方が全然違う。しかし同じやはり國民経済の中のできごとであるから、それは両方を比較して考える有力な何らかの資料にはなるということは申せましようが、さようなぐあいに計算の仕方が違つておる。ことに國民所得の計算の仕方は、年度で行つております。二十三年度の十一月基準の國民所得の概算分も來年の三月までの年度間における物價、賃金の関係を見ておりますが、税金の方は御承知のように予算課税の建前をとつておりますから、十二月まで——この資料はここにありますが、二兆三千九百三十億という國民所得を一月から十二月までの税金と同じように現わした暦年計算にいたしますと、減りまして、二兆六百億くらいに相なつております。そのほか一方課税所得では含むけれども、國民所得の計算上は含まない、課税所得では含まないけれども、國民所得の計算上は、いやしくも價値の増加が見られる限り、ちようど飛行機から下を見下したようにとられるのですから、何でもかんでも價値の増加分が入つて來るというように本質上の違いがある。從つてただいまおつしやるような差引計算の一兆以上のものが課税所得から漏れておるという單純な計算にはならないと思いますから、この点御了解願いたいと思います。
○川島委員 私は今のお話のようには單純に考えておらぬ。計算の基礎が違つておりましても、國民経済の中の所得というものにはかわりはない。國民所得は今の計算によれば二兆三千億、あるいは暦年で行けば二兆六百億、それはよろしいが、課税所得とこの間の開きというものは必ずあり得る。この二兆六百億が正しいか、二兆三千九百億が正しいかは別といたしましても、課税所得の計算で集結されました國民所得額、國民全体の経済におけるところの價値の増加に伴うものを加えた國民所得というもの、これはやはり別個に切り離していいという性質のものではないと私は思う。從つて國民全体の所得が幾ら、そして大藏省並びに税務署で計算をいたしましたいわゆる課税所得予算、これと相比較いたしまして、その比較した場合の残額というものは、はつきり具体的には出して來られるわけではないと私も想像いたすのですが、今日の統計的な貧弱な計算では、その間に相当の開きのあるということは実際的であろうと思う。その開きの中にこそいわゆる課税を免れたやみ利得、あるいは財産増加利得というものが、当然含まれて來るべき性質のものではないかと私は思う。もしこれを基礎計算が違うからといつて、かりに二割、三割というものを割引きいたしましても、数千億というものがそこに浮んで來る。その数千億の中にこそ、國民全体が関心を持つておりますところの課税を免れた所得というものが、潜在しておるということなんです。そういう潜在されておつた課税外の所得に対して、徹底的にメスを振つて税を徴收することこそが、今日の段階においてはきわめて必要な事柄であり、それはのがしてはならない事柄である。そういう事柄についてあらかじめ不完全ながらも、いろいろの統計によつてその数字というものを把握しておくべき性質のものではなかろうか。そういう事柄について大藏当局は計算をしたことがあるかどうか、それをくどいようでありますが、もう一ぺんお尋ねをいたしたいのであります。
○河野(一)政府委員 課税所得と國民所得の関係でございますが、大体内田政府委員から申し上げましたので、御説明するまでもなくおわかりのことだと思うのでありますが、まず課税所得とは、その基礎控除した後の課税所得でありますが、控除前の所得でありますと、先ほど申し上げました九千三百億に対して、一兆二千五百億になるわけであります。そこに約三千億ばかりの差がございます。それから國民所得の計算の中には法人の留保所得というものが入つておりますが、課税所得にはこれは入つておりません。これが約五百五十億ほどあると思います。それから振替所得、たとえば恩給とか、年金とか國債利子というような振替は、國民所得の計算の中には入りませんが、課税所得には含まれるのでありまして、これが約二百三十億、それから自己所有の土地、家屋というようなものの地代などは國民所得には入りますが、課税所得には入りません。これは百億くらいあると思います。こういうものを引いて來ました國民所得と課税所得の関係においてどうなるかということがほんとうの見方になるわけで、川島さんのおつしやる点もそこだと思うのでありますが、そういたしましても、ある程度そこに課税を免れた所得があるということは、これはもうお答えするまでもなく事実だろうと思う。所得税の計算といたしましては、從來の課税実績をとられまして、それから現在の徴税機構によつて補足し得る所得をとらえて、課税を充実するということが本体でありまして、またその方向に現在行つておるのでありますが、税務官吏のふなれということもありましようし、その他いろいろの事情から、所得の補足が十分に行つていないという点は、お断りするまでもなく実情でありまして、私どもといたしましては、この面にこそ初めて徴税の確保と申しますか、重点を置いて行かなければならぬと考えておるのでありまして、今回の補正予算に計上しました税收の確保ということは、実際申しますと相当な努力を要する。しかもその重点は今川島さんのおつしやつたようなところに、重点を置いて確保して行きたいと考えておる次第であります。
○川島委員 そこでお伺いするのでありますが、不当利得や、やみ利得の把握が実際私どもとして困難であるということは了解いたします。そこでかつて前内閣から着手をいたしたのでありますが、第三者通報制というものがあつて、その通報によつて確実な隠匿所得が発見された場合は、その第三者に対して相当の報酬を出すことになつておるのですが、この第三者通報制実施以後の成績はどうであるか、相当成績が上つておるかどうかということについての具体的な資料がありましたならばお示しを願いたい。
○河野(一)政府委員 相当の実績が上つております。後ほど資料をお手元に配付いたします。
○川島委員 いろいろ留保した問題がまだあるのですが、他にもたくさん質問者がおりますので、最後に簡單な事柄ですからお尋ねしておきたいと思います。これは歴代の政府がやつて來たことですから、おそらく本年も何らかの準備がされておるのではないかと思うのですが、それはきわめて俗なことでありますが、年末も差迫つて参りまして、國民待望の新年を迎えることになりました。そこで例年大藏当局は正月用として、一般國民にタバコあるいは酒の特配をすることが例になつておりますが、本年もそういう計画があるのかどうか、あるとすれば、どの程度の特配をする準備をされておるかということをお尋ねいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
○原田政府委員 私、タバコについて申しますが、正月用の特配としては実は考えておりません。この前の第二國会でタバコの値上げ法案が審議されましたときに、委員の大多数の方から、自由品が非常に高くなるので、安い家庭配給をふやす意思がないかということの希望がありましたが、私どもはその当時できるだけ早い機会に——下半期にならないとわからないけれども、増配をするように考えておるということを申したのでありますが、本年はこれまでの製造関係や何かの都合がありまして、いまだ増配できなかつたのですが、大体見通しがつきましたので、この一月から現在の五十本を六十本に、つまり十本増配することに今手配をいたしております。
○河野(一)政府委員 酒につきましては青年男女一人当り二合程度配給する予定にいたしております。
○上林山委員長 長野長廣君。
○長野(長)委員 総理大臣に対する分は適当の機会にまわすことにいたしまして、まず建設大臣にお尋ね申し上げたいと思います。 衣食足つて礼節を知るという言葉がありまするけれども、現在わが國の実情としましては、住所すなわち住居の問題が非常に急を告げていると存じます。終戰当時の統計を見ますると、住宅及び非住宅の合計約四百五十万戸の建設を要するものと認められておりましたが、本年九月までの建設戸数を調べますと約百三十七万戸で、残り三百三十万戸がそのままになつておるようであります。しかしこれに海外より帰つた者、また復員せる者の所要住宅及び最近の都市、農村における復興状況よりいたまして、必要とする戸数、これらは相当の数に上るものと考えます。これに対して政府とせられましては、御調査になつて正確な御数字もあると思います。ついてはそれをもととして今後どの程度の急ぐところの建築計画があるかどうかを、まずお伺いしたいのであります。
○益谷國務大臣 ただいまお話になつた通りであります。本年の住宅調査の結果、御指摘の百三十七万戸という数字になつているのであります。しかしながら許可のない分も相当あるように見積つております。從つて百三十七万戸を上まわつているものと思います。もとよりただいまの話は九月末までの計算でありまして、現在においては相当数の増加があると見込んでおるのであります。それにいたしましても建設省としては、住宅の不足数は今日なお三百八十万戸と計算いたしておるのであります。從つて從來の計画は、本年は御承知の通り、約四十万戸の建設予定をいたしておるのでありますが、これで満足することはもとよりできません。もう少し資材等が許すならば、すみやかに多くの数をつくらなければならないのであります。しかして年々五十万戸ずつ建設いたしましても、御承知の通り自然消耗の戸数あるいは、火災に伴う恒常不足戸数を計算に入れなければなりません。ゆえに三百八十万戸と見ましても、相当の数が恒常的に不足いたすのでありまするから、十二、三年の長い歳月を要するのでありまして、どうしてもそれでは満足することができないのでありまするから、事情の許す限り、一日もすみやかに多数の住宅をつくりたいという考えでおります。特に今日御承知の通り、都市における勤労者の階層が最も住宅難に悩んでおられるのでありますから、この方面の住宅建設に渾身の努力を盡して行きたいと思つておるのであります。
○長野(長)委員 特に労働者その他庶民住宅に留意をせられておるということは、まことに喜ばしく存じます。しかしこれを十年の後に完成するというようなことは、どうも緩漫ではないか。ことにわが國のごとく雨の多い、また寒さの相当に強い地帶を持つておる國柄としましては、庶民住宅をきわめて早く完成する必要があると存ずるのであります。ただいま承りますところ、資材等のお話もありましたが、資材は私調査の結果によりますると、木材その他は相当にあると思います。ある程度政府が力を入れることになると、経費の問題もありましようが、ここにひとつきわめて大まかな話でありますけれども、私の意見を申し上げて、大臣の所信を特に伺いたいと思いますが、現在十五坪に制限をしてある。これをはずしまして、たとえば五十坪まで許すといたします。その剩余の三十五坪というものにはある程度の累進率を加えまして課税いたす。そうしますると、事実五十坪内外の住宅を希望する民衆というものは相当に多いのであります。しかもこれらは相当の資産を持つておる。これを許すことによつて得まするところのその税金が、一般労働者その他庶民階級の住宅に貢献するところが大ではないか。この案はいかがなものでありましようか。
○益谷國務大臣 お答え申し上げます。先ほどお答え申し上げた際には、かりに五十万戸ずつ計画いたしましてもという前提であります。資材等の関係も、御承知の通り從來よりはややよくなつて参つております。それでその資材等を勘案いたしまして、できるだけ多くの住宅を建設する計画を立てて行きたいと思うのであります。特に都市における勤労者階層を目標とする庶民住宅と、國家再建のために重要生産に携わつておられるところの労務者の住宅、これに対する建設に対しては一段の努力を拂いたいと思うのであります。從來は御承知の通り、庶民住宅に対しては國庫が半額補助をしておりまして、いわゆる地方公共團体の貸家であります。また重要産業においては、主として今日まで計画いたして参りました炭鉱労務者に対する住宅であります。これは御承知の通り復興金融金庫の融資であります。これらも今日の財政並びに金融方面から相当の制約を受けておりまするが、これもつとめて努力をいたして、御期待に沿うようにいたしたいと考えております。 なお一般住宅でありまするが、これに対しては今日御承知の通り、住宅建設は非常に建設費が高騰いたしております。從つて今日のいわゆる庶民階層といたしましては、これを自己資金でまかなつて建設いたすということは、非常に困難になつて参つたのであります。これに対してもいろいろまた貸家企業というような問題もあります。こういう方面で自己資金に非常に困難を感ぜられておる方面に対しては、長期低利の金融をいたして参らなければ、所期の目的を達成することができないのであります。從つて建設省といたしましては、今日貸家金融專門の機関を設置いたしたいというので、愼重なる研究を続けておる次第であります。 なお建設の坪数のこと、あるいは三十坪、五十坪というお話もありましたが、御承知の通り今日なお建築の制限令があり、建築の制限をいたして参つておるのであります。これは申すまでもなく、建築制限は重要生産資材を確保いたし、そうして緊要なる用途にこれを充当するというのを目的といたしております。この資材を浪費することを防止するのを目的といたしております。特に建築については資材を最も多く必要とするのでありますから、建築の不要不急のものを極度に抑制するという建前をとつて参つておるのであります。これも重要資材の需給関係が許すならば、だんだんこれを緩和して参りたいと存じておるのであります。しかしながら遺憾ながら今日は御承知の通り、臨時物資需給調整法というような法律もありますし、これに基いて指定生産資材割当の規則がありまして、この規則をただちに廃止いたして、統制を撤廃いたすということも、需給関係から見まして、まだ非常に困難かと存じておるのであります。しかしながら政府といたしましても、國民の不便という建前から、統制をどこまでも固執しなければならぬという考えは持つておりません。でき得る限り物資の需給関係とにらみ合せて、國民の期待に沿いたいと存じておるのであります。建築税というような御趣旨でありましたが、このことについても政府といたしまして愼重に研究中であります。
○長野(長)委員 住宅ということと、これに関連する重要問題は、住所の不安を除くということであると思います。たとえば大きな河川、あるいは海岸地帶、あるいは山地帶、こういうところをそれぞれ全國の実情に即して調査をいたしてみますると、実に多年の戰爭の結果放任をせられた関係もありましようが、非常な生活を脅かすような危險状態のものが多いのであります。河川等のことは申すまでもありませんが、さらに大阪市のごときにつきましては、海岸地帶は非常な陷沒をいたしまして、神崎川の下流のごときは現に工場がほとんど三分の二程度は海中に沒しまして、煙突のごときは海中から突出いたしておる、こういう実情になつております。しかもこれは大阪市の海岸地帶一円にわたつておるのであります。また中國及び四國におきましても、南海地震の一應の救済はいたしましたものの、最近非常な陷沒状態を示しまして、最近私の調査したところによりましても、平素一、二尺くらいは洪水期といえども大丈夫であつた國道が、最高の満潮期におきまして一尺ほどの水深に水が落ち込んで來ておる。こういう地帶さえあるのであります。けだしわが國の近畿以西の地盤沈下ということは、非常なる問題であると考えるのであります。当局とせられましては、これらに対していかなる御調査をなし、いかなる対策を持たれておりますか、それをお伺いいたしたいと存じます。
○益谷國務大臣 地盤の自然沈下については、從來とても政府においてわずかでありますが補助をいたして参つた箇所があるのであります。この問題が特に重要な問題になつて参りましたのは、御承知の通り南海震災以後であります。この沈下に対しては御承知の通り、本年度これが約三億と記憶いたしておりますが、それだけの費用を出して、とりあえず沈下した、あるいはくずれた海岸堤防に対する処置をやつたのであります。これは大体八億三千万円かと記憶いたしております。その計画の一部であります。しかしながらその後ただいまお話の通り、中國、四國、あるいは和歌山縣、あるいは福井縣、愛知縣等の震災のために、本年計画をしておる際に発見することのできなかつたいわゆる沈下の場所がたくさん出て参つたのであります。それで財政上の建前から、それは今年ただちに取上げてこれに対して補助をするとかいうようなことができなくなつて來たのであります。從つて今日は各地に係の者を出しまして、嚴密に調査をいたして、來年度から相当にこれに対する対策を講じようと、目下これも愼重に研究中であります。
○長野(長)委員 私が大阪の一部を調査いたしてみましたが、わずかに海岸地帶に高さ二尺程度の盛り土をしたのみで数億円を要することになつておる。これから推し進めますると、けだしこの問題には少額の経費をもつてしてはまつたく問題にならないと思います。当局とせられましても、財政多端の場合御困難とは存じますけれども、これにはひとつ思い切つた対策を立てられるように、すみやかに調査をせられ、御立案あらんことを切望するものであります。 それから次に治山、治水の問題でありますが、わが國の治山、治水ということの中で主として力を入れられたのは治水問題であります。川の口からおそらく山地帶に至るまでの間の堤防問題が、わが國の治水問題であつたのであります。從つて上流は荒廃し、砂礫は上流から押し流されまして、川はあせ、今やこの堤防問題をやることは、まつたく子供の遊戲にすぎないような、こつけいなほど意味のないことになつてしまいました。つまり上流の砂を防ぎ、山くずれを防ぎ、また植林をするということが非常に必要となつたと思います。ゆえに私はここに政府の御意見を伺いたいと思うことは、ひとつ建設省の技師も、農林省の技師も、また大臣も、川の上流の山嶺から下流をながめてみる。そしてまず植林をすべき場所あるいは砂防に努力すべき場所、あるいはダムを建設して拔本塞源の対策を立てること、かような問題について再檢討をせられる必要がありはしないか、またそういう御意思があるか。大臣にはわらじをはいて山嶺に登つてみる御意思がありますか。これをお伺いいたします。
○益谷國務大臣 今日の災害が頻発いたしまする状況からかんがみまして、一日もすみやかに治水の根本的、総合的の計画を樹立しなければならぬことは当然であります。政府といたしましては治水調査会というものをつくりまして、各方面の学識経驗者に集まつてもらつて、それの協力を得て、從來の計画を再檢討いたして、治水の目的を達成しようと努力いたしております。ただいま山の頂上から下流を見なければならぬということを仰せになつたのでありますが、まことにその通りでありまして、堤防のみを修築、改築いたしましても、治水の目的は達成することはできません。やはり総合的に治山と治水をあわせて計画を立てなければならぬことは当然であります。私もつとめて御趣旨に沿うようにいたして、さようの現地を視察いたす御趣旨に沿いたいと考えております。私どもの方の治水といたしましては、河床を浚渫いたしまするとか、砂防に努める。砂防も御承知の通り建設省では溪流の砂防をいたしておる。從つてこれのみではもとより完全に治水の目的は達成することはできません。農林省の所管である根本的の治山の計画を立てなければならぬと思つております。なおダムのことのお話もありまするが、建設省といたしましても、洪水を防ぐところの、洪水調節のための貯水池をつくりたいと思うのであります。この点は國家の重要なる政策の一つとして十分に檢討いたし、十分に研究いたしたいと存じておる次第であります。
○周東國務大臣 長野さんにお答えいたしますが、御意見の通り、治水の根本は治山にあるということに対しましては、まことに同感であります。今日戰爭中において植栽並びに伐採の不均衡の結果、かなり無立木地帶なり、荒廃森林地が続出しております。今日森林、面積約二千三百万町歩余の中で、無立木地帶と荒廃林地と合せますと約一割弱になつております。これらの土地に山林砂防並びに植樹するということが最も緊急を要することは、お話の通りであります。むしろこの点を急速にやることによりまして、山腹における雨水の保留の力を高めますれば、おのずから土砂等の川に流れることが少くて、河川の方におきましても好影響を與えるのであります。農林省といたしましてはその点にかんがみまして、昨年を初年度といたしまして、さしあたつて緊急を要する荒廃林地八万町歩等に対する山腹治山計画と植栽計画につきまして、五箇年計画を立てておりますが、その線に沿うて進みますならば、大体五箇年後におきましては、荒廃林地三十四万町歩の復旧と、植栽面積約二百二、三十万町歩というものが植栽されることになります。しかしこの点につきましてはどうしても相当額の予算を計上しなければならないのでありますが、私どもといたしましては、ここに主力を傾注し、今後も予算増加に努めて、まず山を治めるということによつて治水の目的を達したい。かように考えておる次第であります。
○長野(長)委員 なおこの問題につきましては、後刻農林大臣に開墾等に関連をしてお尋ねを申し上げたいと思つておりますから、これだけといたします。 次にダムは、申すまでもなく、治水の直接的な仕事をいたしますのみならず、あるいは耕地の開拓、あるいは水力電氣の事業という、いわゆる一石三鳥の効果を收める性質のものであります。現在私の知る範囲では、わが國の代表的なダムは百くらいあると思います。まずこの百についていかなる年度的計画をもつて開発をせられるお考えがあるか。これが一つ。第二に、発電等に関係のない、耕地專門のダムとでも申し上ぐべきものがあります。これが現在所管関係から、建設、農林両省の間に確然たる分担の範囲がきまつておらないかのごとき感がありまして、ある地方では二百町歩あるいは三、四百町歩という廣面積の畑地が、あたらこのなわ張り爭い——と言えば少し誤りがあるかもしれませんが、さように感ぜしめるような行きがかりから、放任せられておるものが少くないのであります。この際建設大臣並びに農林大臣におかれまして、いかなる方針をもつて、かくのごとき小河川におけるダムによつて、比較的大面積の土地開発を能率的にするかということを御言明願つておきたいと思います。
○周東國務大臣 ただいまの長野さんの御意見はまことに卓見であります。今日の日本の産業開発の上から行きまして、産業上の面、あるいは灌漑用水の面、あるいは治水の面からいたしましても、あらゆる方面から日本の各適切な場所にダムを建設して行くということが、これから残された大きな問題であると考えます。その間においては関係各省いろいろな面で関係があると思いますが、これらにつきましては、よく連絡をとりまして計画を立てて行きたいと考えております。
○益谷國務大臣 各省の関係につきましては、農林大臣もただいま申されました通り、各省緊密な連絡をとつて参りたいと思います。また産業開発方面のダムの問題でありますが、私の所管といたしましては、主として洪水調節という趣旨から計画を立てておるのでありますが、これは相当大きい規模でありますから、同時に産業開発ということと離るべからざる重大なる関係があるのであります。從つて各府縣に対して総合開発計画の樹立を慫慂もいたし、指導いたして参つております。それでダムのごとき重要たる使命を帶びるものについては、從來御承知の通り各省各局まちまちに單独に計画を立てて参つたのでありますが、これは國土計画、地方計画の一環といたしまして総合的、根本的に計画を樹立いたして進んで行きたいと思うのであります。このことについてはすでに昨年度において十数府縣から國土計画を樹立して参つております。なお本年、明年にかけては、全國各府縣に対して開発計画を樹立するように指導いたして参つておるのであります。
○長野(長)委員 ダムの実際問題としてただいままで遅々として進まないゆえんのものは、資材問題であると思います。私の今まで当つて見ましたところから見ますと、建設当局と安本方面の当局との間に、あるいは十分なる連絡ができていないではないかと感ずる節があるのであります。せつかくの計画ができておるにもかかわりませず、実際上これに手を触れておるものがはなはだ少い。本年度のおそらく計画せられましたものも、單なる調査ぐらいにとどまりまして、実際に工事にとりかかるというがごときことははなはだ困難ではないか。個所は一々申し上げませんが、さように私は感じておるのであります。まことにしつこいようでありますけれども、建設大臣から本年度において調査をいたしておるものについて資材その他の関係からいかなるお見通しがあるか。これをお伺いしたいと思います。
○益谷國務大臣 お尋ねの趣旨は、各府縣の産業開発の総合計画の問題だと思つております。その点は大体経済安定本部の産業復興五箇年計画の線に沿うて進んでおるのであります。御指摘のようなことがありますならば、つとめて緊密な連絡をとつて、つとめてすみやかに計画を実行いたして行きたいと存じております。
○長野(長)委員 申し上げるまでもなく、わが國の今後の工業建設は、大いなる理想のもとに行わなければならぬと思いますし、また連合國関係の有力者の新聞等に発表せられるところから考えてみましても、わが國の工業の振興ということについて、このダムに基く発電ということが非常な重要性を持つものであると考えます。つきましては、すでに相当の調査研究も遂げられておるはずでありますから、これを予算化する上においての御盡力はもちろんのこと、現に計画せられておるものにつきまして、また現に取かかつておるものにつきましては、ひとつすみやかに工事の進捗をはかられたいものであると存じます。 いま一つ、地方から要求せられております災害復旧費の総計は約五百億万円であります。しかるにこの災害に対する政府の割当てておる経費は、ほとんどその十分の一にしかすぎない実情であります。まことに財政の現状においてお苦しみの点はお察しはいたしますけれども、これはあらためて大藏大臣にもお尋ねをしたいと思つておりますが、建設当局とせられましては、ひとつ思い切つた御奮鬪を願いたいのであります。先ほども申し上げましたように、わが國の災害は、わが國の氣候のほかに、わが國の國土に独得の性質を帶びたところの問題でありますから、当局とせられましては、この災害復旧については、普通の事務的な折衝では、これはだめであると思います。ひとつ思い切つた構想雄大なる対策をお立てになつて、もつて地方の要求に沿うようにしていただきたい。今回の追加予算をながめましても、これらの点においてはなはだ私は遺憾に存じておる次第であります。当局とせられましてはこの地方の切実なる要求に対して、今後いかなる御計画、御抱負を持たれるか伺いたいと思います。
○益谷國務大臣 私の所管の災害総額は大体四百五十億程度と推定いたします。まだこれは完全に集計を出していないのでありますが、大体四百五十億と推定いたしておるのであります。そうしてこれに対する補助は申すまでもなく三分の二の補助という建前から見ますと、約三百五十億の計算になると思います。從つて今回御審議を仰いでおります復旧補助予算では、この復旧を完成することはもとよりできないのであります。しかしながら政府といたしましては、大体明年の七月を出水時期と目標を立てて、どうかして來年の七月の出水期までに、緊急地点の工事だけは完成いたしたいと存じておるのであります。しかも今回御審議を仰いでおります災害予算は、総理大臣も衆議院本会議で演説せられました通り、緊急やむを得ざる復旧に対する費用であるということを言明いたしておるのであります。從つて災害復旧は國家再建の上、民生安定の上、最も至大な影響のあることにかんがみまして、今日までも專心復旧に努力をいたして参りましたが、さらに國家財政の許す限りにおいて補助費を増額いたして、すみやかに復旧の完成を期したいと存じておるのであります。大体昭和二十年、二十一年南海震災等の災害復旧補助額は、本年の第四・四半期までには全部完了するものと思つております。しかしながら昭和二十二年度の災害復旧の補助金額は、今日なお六割にも達していないという状況であります。今日國家財政が非常にきゆうくつでありまして、この方面に対してもやはり補助金をすみやかに出さなければならぬし、同時に本年の災害に対しても相当額の支出をいたさなければならぬのであります。從つて國家財政の現状から見ますと、非常に困難な事柄でありまするが、前段申し上げました通り、これは民生の安定と経済再建に最も至大な影響がありますから、この点にかんがみまして、でき得る限りの補助をいたして参りたいと思つております次第であります。
○長野(長)委員 もう一つだけ建設大臣にお尋ねしたい。わが國の國道の現状をながめてみますと、いろいろの欠点があると思います。これは大局から見た私の感じでありますけれども、つまり從來土木行政が府縣單位に局限せられておつた感じがありまして、從つて東京、大阪等の大都会あるいは中小の都会と附近一帶の府縣との連絡関係からしまして、各府縣を通ずる一貫せる國道の完成ということについては、ややもすると地方的利害にとらわれて、その完成をさえぎるかの観があつたのであります。たとえば東京に最も近い某縣は、より遠い縣との間にりつぱな國道ができますと、自然に遠距離にある物産が東京都へ入つて來るということになりますから、自己のつまり東京都に近いという有利な点が抹殺されてしまうことになります。そこで近い縣は遠い縣からの國道の一貫を妨げる傾向がありはしなかつたか。そこで私の考えるところでは、この際北は北海道の果から南は鹿兒島の果てに至るまで、大体において一貫をした國道をつくる。しかもその國道は大都会を縫うて現在できておるものをある程度改修すれば、これはできると思います。そうして二つの海峽でありますけれども、これは今日の科学及び技術から問題ではありません。次にそれらの國道の現に運輸能率を下げておるのは、トンネルのできないことであります。山岳へせまるごとに紆余曲折しておる。だからこれはできる限りトンネルをうがつ。トンネル開鑿ということをこれからの土木事業の大きな問題に取上げて行くことが必要ではないか。それからたとえば大阪とか京都とか、あるいは横浜、東京のごとき大中の都会を連接する國道については、徹底的にひとつ再檢討いたしまして、そうしてきわめて経済的、きわめて能率的な運搬のできるような、いわゆる國道の画期的開発をする必要がありはしないか。言うまでもなく、あらゆる産業の根底は交通であります。運輸であります。チユーネンの孤立圏に説明せられている通り、都会と地方との連鎖をきわめて近くするということであります。地理的に近くするだけじやない、経済的に、つまり運輸交通に経費を要しないように、なるべく能率的に運搬するということが、すなわちその地帶の農業、工業、商業の振興をはかるゆえんであるということは、チユーネンがその孤立圏で説明している千古不磨の原則であると思います。かような見地に立ちまして、政府とせられましてはわが國の國道の再建、画期的開発と同時に、現在生産道路費として全國より要求せられております八十二億三千四百万円というものがありますが、これを一日も早く完成することに努めていただきたいと思うのでありますが、それらの点に関して建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
○益谷國務大臣 お話のごとく道路は政治、経済、文化の基盤であります。文化のパロメーターだとも称せられておるのであります。産業、交通の上最も重要なるものであることは申すまでもありません。從つて道路をお話のように徹底的に、根本的に改修いたすとか、新たに國道を設定いたすということは、その方面から見まして必要なことであることはもとよりであります。政府におきましても、各地の要望に沿うてその目的達成に盡力いたして参つておるのであります。御承知の通り、先般最高司令部から政府に対してメモランダムが参つたのであります。それによりますと、國道とか府縣道に対して計画を立つて、補修改良をいたすようなことの指図があつたのであります。新たなる道路をつくつて参ることも必要でありますが、同時に長年戰爭のために酷使せられた、そして破損いたしておりますところの國道、府縣道を、一日もすみやかに改修、復旧いたして参るということが、今日政府の先決の問題といたしておる次第であります。ただお話のように國道を新たにつくることは何人も異存のない点であります。國家の財政の許す限り地方民の要望をいれて、その趣旨に浴うべく努力いたしたいと存じておる次第であります。
○上林山委員長 午後は一時半から再開することにいたしまして、これで休憩いたします。 午後零時五十四分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後二時三分開議
○上林山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。竹谷源太郎君。
○竹谷委員 私はごく簡潔に現在行われている海員ストの問題について運輸大臣に伺つておきたいと思います。現在労働者がはなはだしい低賃金に苦しんでおりますが、海員の場合も同樣でありまして、乘船中の船員は税込みで平均五千八百五十七円にすぎない。そうして、扶養家族は平均一・五人でありますが、特殊な海上での生活は、生活費が二重にも三重にもかさんで、とても食つて行けない現状であります。乘船するまで待機しておる予備船員の平均給料は、税込みで三千三百五十九円、これではとうてい配給物資も満足に買い得ないというような非常なさんたんたる状態であります。こうした状態でありますので、海員組合の方から、乘船中の手取り平均八千百三十八円の要求を船舶運営会に提出いたしたのであります。それが中央労働委員会の調停で、六月以降については現在の給料の三割増という調停案が出されました。しかしながらとうていこれでは満足ができないので、結局あつせんということに相なつたのであります。そのあつせん案は、九月以降は新賃金を別に考慮する、六月から十月までは一括して三割増分を即時支給するという條件であつたのであります。これに対して海員組合は受諾をいたしたのでありますが、それが今日までまだ実施されておらぬ。すなわち六月以降の三割増即時支給の分がまだ支給されておらないのでありますが、これらの経費は一体どこに含まれておるか。多分これは運営会補助二十五億の中に包含せられておると思うのでありますが、その費額は約四億五千万円くらいになろうと思うのであります。なお九月以降の分につきまして、すなわち協定の第二項の分につきましては、まだ協定は成立いたしておりませんが、運営会としてはこれが解決案として用意しておるものがある。それは九千四百八十円という案であります。むろん組合はこれに対して、手取り九千五百五十円、税込みで一万一千八百十二円、こういう金額を要求はいたしておるのでありますが、しかしながらすでに新しい協定で賃上すべき九月以降の分については、組合要求そのままでかりにないといたしましても、運営会として解決案を持つておる九千四百八十円の案に基くところの予算については、運輸省としてはこれは予算に追加計上しなければならないと思うのでありますが、これは一体計上されておるかどうか。これを伺いたいのであります。また計上されておらないとすれば、これに対していかような対策を運輸省としてとらんとするか。もしこれが解決がないというような場合におきまして、無期限ストに入るというような情勢にありまして、政府の重大なる責任だと思うのであります。なお聞くところによれば、船舶運営会としては、この海員ストのために莫大なる損害を起しつつある、すなわち收入減で運営会としては非常なる損害であるというわけでありますが、現在までにこの海員ストのためにどれだけの損失を見ておるか。その金額がわかつておれば公表をしていただきたい。以上であります。
○小澤國務大臣 お答えいたします。お話の、六月以降十月までの現行賃金の三割増即時現金支給の問題は、お話のように現在運営会補助二十五億の中に含まれております。從つてただいま予算委員会で審議中の予算が成立をいたしますれば、ただちに支拂うという運びになつております。それから第二項の問題は、運営会で案を持つておる九千四百八十円の問題でありますが、この賃金の方面におきましては、現在相当問題になつております電産の賃金、あるいは炭鉱夫に対する賃金等とのバランス等をも、考慮に入れなければならぬような状態になつておりますので、はたしてそういう現在爭議になつておる他方面の賃金と、船員の賃金とが均衡がとれておるかどうかという点が、今政府として研究をしておるのでありまして、もしこれが、船員の賃金をただいまのお話のように九千四百八十円にすることが、他の労働賃金とバランスがとれない範囲ではなく、逆にバランスがとれておるということになりますれば、何らかの予算措置を講じまして、本予算会において御審議を願うことになると思うのであります。さらに第三点の現在やつておりまするストライキによつて、どれだけの損害があるかということは、はつきりしたものはございませんが、大体の推定で毎日調査をいたしております。調査表はただいま持ち合せませんので、後刻政府委員よりこの調査表に基いて御報告申し上げることにいたします。
○竹谷委員 関係筋では電産とか、炭鉱とか、船員、こうした関係を含めまして、四十億くらいの予算がいると見ておるようでありまして、こうした予算的措置についてはいろいろ講じておるから、ストをやめて團体交渉に入つたらどうかというような勧告もあるようでありまするが、今運輸大臣の御答弁を聞きますると、まだ協定第二項の問題については、予算的措置を講じてない、こういう話であります。これは船舶運営会としましても非常な損失であり、それは当然國家の負担となる。また一面においては船員は苦しみを受けなければならぬ、こういう状態でありますので、ひとつこの予算的措置を早急に講じなければならぬと思うのでありまするが、その早急に講ずべき時期はいつになるか、はつきりと御答弁を承つておきたいのであります。
○小澤國務大臣 先ほども一言申し上げました通り、現在船員がストに入つておるという直接の原因は、第二項の現在予算措置をとつておらぬところの賃金の問題ではないのであります。つまり六月以降十月までのすでに予算に計上してある賃金を、即時現金化しないという理由で爭議をいたしておるのでありまして、第二項の問題は目下團体交渉中でありまするから、從つてその交渉の妥結あるいは見通し等がなければ、予算の措置を講ずることができませんので、大体かりの向うの考えがこうだという推測を標準にいたしまして、妥結した場合の予算措置がただちにでき得るような協議を今政府で進めておるのであります。從つてこの九千四百八十円というものは、政府も、相手方も、あるいは船舶運営会も、これでいいのだという結論になつた場合における予算措置を講じておるのでありまして、今ただちに数字がきまらないものを予算にきめるわけに行きませんので、いろいろな段階をきめていつでもこれが決定した場合においては予算の措置ができるという態勢を整うべく今鋭意事務当局をしてこれを研究させておるような次第であります。
○竹谷委員 文部大臣に伺いますが、大学、高等專門学校の学制改革によりまして、各地においていろいろな問題を起しております。一府縣一大学というような方針によりまして、特別地区として指定を受けた以外の府縣におきましては、いろいろな学校の特色なり、傳統なり、地方的の特殊事情があるにもかかわらず、これを全然無視いたしまして、一つの大学にまとめ上げてしまうということを文部省でやつて來たのでありますが、学校というものは、言うまでもなく、それぞれ長い傳統と特質を持つており、また教育に関する特別な方針なり、味わいというものがあるのでありまして、これを工場生産品のように、画一的に教育するという弊に陷りやすい一府縣一大学というようなやり方は、はなはだ穏当を欠くと思う、また文化的にゆたかな、多方面の人材を養成するという点からいいましても、また地方におけるいろいろな関係もあり、はなはだ不適当な措置ではないか、このためにいろいろ各大学、專門学校等において問題を起し、そしていろいろ感心することのできない意見も出ておる。この方針については、ある程度方向轉換をしたらいいのではないか、かように私は考えるのでありますが、文部大臣の見解を承つておきいたと思います。
○下條國務大臣 大学設置につきまして、ただいまお話になりましたような、大体一府縣一校というような方針をとつていることは事実であります。それは御承知のように、新しい制度の大学は、特殊の機構にのつとりまして、一定の教養部門、專門部門とありまして、それらの内容を完成するためには、どうしても事実上相当程度の併合はやむを得ないのであります。また大学を経営して参ります上におきましても、府縣の地方事情から考えましても、数校置くということは、事実問題としても困難な点がありますので、方針としては今お話になりました通りに、一府縣一大学ということでやつておるのであります。これにつきましては、この内容、また地方事情等の考慮につきましても、大学設置委員会において目下審議中でございまして、まだ結論に達しませんが、大体その方向に向つているのは事実であります。
○竹谷委員 今あとの方で文部大臣が言われる通り、いろいろな学校の特色なり地方の特殊事情なりによつて、一縣一大学主義の是正を要するものが各地にあるのでありまして、この点については文部大臣として適当に考慮を拂われまして、学制改革の結果、大学教育が一層進展を見るように、御配慮を願いたい、こう思うのであります。 次に中学校建設の問題でありますが、これは市町村が、地方財政の窮乏のために非常に困つておる。それに対しまして、一坪一万一千円と見て、その建築に対して半分の五千五百円を國庫から補助する。他の半額については優先的に起債を認める、こういうことになつておりますけれども、実際問題として補助額が非常に少い、そのために一年度内に完成を見る中学校の設置費に対して、必要な金額の補助ができない。それが半分なり三分の一くらいしかできない。ひどいのになりますると、申込みが遅れたために、その年度の補助からはずれて來年度でなければ補助がもらえない。こういうことになる。補助だけの問題ならばいいが、補助された分だけ地方起債が認められる。こういう結果、結局三分の一補助という場合には、財源調達は起債と補助と両者で、三百万円かりに建築費がかかるといたしますると、百万円について五十万円の補助及び五十万円の起債、その他の二百万円はその地方團体において一時調達をしなければならぬ、こういうことに相なるのであります。このために教育に熱心な各市町村においては非常に困つておる。いろいろな問題が起きて、市町村長はこのためにやめるというようなことも起つておるような状態でございます。この市町村住民の義務教育のための中学校建設に非常に熱意のある点は買わなければならない、かように思うのでありますが、國家財政の関係上、その年度内に必要な補助費全額の計上のできないのは遺憾でありますが、ただその場合そうした市町村住民の熱意による寄付等によつて不足分をまかない、あるいは一文も補助のないのを全部当該地方公共團体でまかなう。そうして建築をするような場合に、いわゆる資材の裏づけがありませんために、かりに材木なりその他が手に入りましても、輸送証明書がもらえない。そうして工事執行上に障害を生ずるというような現状でありますから、本年度当初に比べて、だんだん生産は増強せられて、資材もゆたかになつて來つつあるのでありますから、たとい補助の裏づけがない場合でも、この資材の割当はできるだけこれをしてやる。そうして後年度において、補助を要するといたしましても、自発的に自分たちの立てかえで早く建築をしようという市町村等のために、何らかの資材的な措置というものができない場合におきましては、輸送証明等の関係によつて、これを援助してやるような方策を講ずる必要があると思うのであります。文部省においてはどうもこの点十分の援助の手を伸べておらぬように思うのでありまするが、これに関する文部大臣の御所見を承つておきたいと思います。
○下條國務大臣 新制中学校の建築につきまして、今お話になりましたような事情のあることは事実であります。できれば建築費を全額國庫負担に計上したいのでありまするけれども、御承知のような國家財政でありますので、現在半額になつております。その半額も実際これが補助の金額の全建築費に対する割合というものが、必ずしも半額にならないということもありますので、地方において困つておられる点につきましては十分了承いたすのでありますが、ただいまのところ今の方法でいたします程度以上には、全体の國家財政の関係から見まして、困難であるように思うのはまことに遺憾に思うのであります。ただ今のお話のうちにありましたような、公共團体で自発的に建築をされておりまして、補助の関係がない場合におきまして、それに対する資材の裏づけということにつきましては考慮いたしたいと思います。そうしてまた裏づけだけでなく、輸送関係の便宜を與えるということにつきましても、考慮いたしたいと考えております。なお自力でもつて建築ができたときに、あとで補助金に相当する額を支給するかどうかという点についてはいろいろ議論がありまして、この点についてはまだ確たる御返事ができませんが、なおこの点も研究いたしたいと思います。
○上林山委員長 長野長廣君。文部大臣に御質疑願います。
○長野(長)委員 教育の根本は伺と言つても教員であると思います。教員をして十分に能率を発揮せしめるためには、教員の待遇ということがまず考えられなければならぬと思います。生活の困窮しております場合に、いかなる優良教員といえども、その実力を発揮することはできないと思います。この意味において優良教員、劣等教員いずれであるかということは、現今においては遺憾ながら教員待遇問題によつて決するものと思うのであります。文部大臣はこの待遇問題についていかなるお考えを有しておられまするか、これをまず承りたい。
○下條國務大臣 教育の効果を十分ならしめるためには、関係教育職員の待遇を改善する必要があるということは、まことにお考えの通りであります。この点につきましては、從來とも文部省の施策としては努力いたしております。たとえば現在の号俸などを見ましても、普通の場合よりも大体二階級ぐらい上になつておりまして、公立中学校、小学校の教職員の俸給というものが、相当ほかの場合よりも優遇されておるように思いますが、なおこれらの点につきましては、さらに十分御趣旨を体して一段と努力いたしたいと考えております。
○長野(長)委員 はなはだ漠としたお答えで、もう少し具体的に承りたいと思いましたけれども、それでは私の方から少し項をあげて申し上げてみたいと思います。一般公務員と大体において関連をして待遇せられることはお話の通りであると思います。しかし教育者の生活の実質を調べてみますと、その教材なりあるいはまた本人独自の專門の研究ということを進めるためには、あるいは調査研究あるいは書類、書物による研究ということになれば、ただちに相当の経費を要するのでありまして、これなどは、勢いその衣食のために待遇せられたころのものをもつて充てなければならぬというのが、大体の実情であると思うのであります。つきましてはことに向学心のある、また特別な学究的な生活を進めて行くという点において、自然衣食住に要する費用をその研究の方面に計上するということから、生活困窮ということが生れて來ると思うのであります。ゆえに教育者に対しましては、その職務の性質にかんがみまして、相当の調査研究費を與えることが必要と思うのであります。現在におきましても幾分のある種の待遇はあるようでありますけれども、この現状ではとうていその必要の程度を満たすことはできないと思います。満たすどころではない。それはその十分の一もこれに経費をさくことはできない実情であると思います。まず教育の振興をはからんとするならば、教育者の使命を果すに必要な、最も根本的なこの経費を十分に増額をする必要がありはしないか、おそらく文部省では現在の物價程度等によりまして、この重大な問題についての御調査があることと存じます。ありますならばそれをお示し願いたい。もしないとしますならば、いかなる方法でこれを充実することにお努めになるお考えであるか、これを伺いたい。
○下條國務大臣 教員の生活安定をはかるためには、教育関係者が必然なさるべきところの研究に関する経費が衣食の方にまわつて、十分な研究ができないということであつてはならないのであります。たとえば國立大学の例などを申し上げるとはつきりわかると思いますが、実は教授、助教授、助手というものには、それぞれ講座に伴う研究費というものがあります。しかしながらそれは今お話のうちにありましたように、物價騰貴の今日では、きわめて軽少なものであるのみならずその大部分が事実衣食住の方にまわるということ、その他講座に要する設備の関係にまわるということでありまして、純粹の能率を上ぐべき研究には金がまわつておらないということは、確かに事実でございますが、これにつきましては今後研究費を増額する。またさような研究に熱心な教員は科学技術研究費というのがありますが、必ずやそういう方面からの特別な研究費を給與せられることになると思います。そういうような方面から研究が効果的となり、ほんとうに教員の使命を全うするに足ることができるようになろうかと思います。これにつきましては、來年度におきまして相当予算の上において考慮いたしたいと考えております。
○長野(長)委員 私はこの研究費を二つにわけて考えてみたいと思います。一つは学校に、特に何々科という科、もしくは部に割当てられた公の研究費、それからいま一つは、下は小学校より、上は大学の教授に至るまで、個人に対して十分その研究能率を発揮せしめるためにするところの経費、こういうふうにわけて考えてみたいと思います。先日私は、ある特殊な画期的な計画をもつて研究をした——はたしてこれが正当ならば、これは世界の学説をくつがえすところの研究でありますが、これを研究したものを携えて某大学を訪問したのであります。しかるにその学問が現在の学校の経費もしくは設備によつていかに檢討し、判定せられるかという点について、実は帰するところ経費の問題であるということに逢着したのであります。これは多くを申しませんけれども、ともかくある学部において、ある一つの研究に対して回答を與える、鑑定を與える、檢討をするということにさえ、すでに経費の不足を訴えておる。これが文化日本を建設する一番の本山である大学であるかということを考えたときに、私は涙が出たのであります。私は文部大臣が遠きを選ばずとも、ひとつ東京大学の学部を訪問せられて、はたしていかなる経費のもとに研究を進めておるか、はたしてこれで新文化國家を建設する最高学府たるの資格があるかないかということを、教授諸君に絶大の同情を拂う意味において訪問せられ、また訴えを聞いていただきたい。かように考える次第であります。これがまず公の問題であります。 それから個人の問題になりますと、これは重ねて申すようでありますけれども、自分の衣食住に要する経費をさかなくては——研究費からさくのではありません。現在幾らか與えられておつても、生活費の中から、俸給の中からこの研学に要するところの経費をさかなければならぬという実情にある点において、もう少し思い切つた補助をする必要はないか。ことに俸給の増額ということは、ただちに税金の問題に関係して來るのであります。つきましては研究調査費というものはおそらく税金はかからないと思いますから、これにおいてそれぞれの人が專門に十分研究を進め得るようにしていただきたい。かような意味においての文部大臣の意見を承りたい。
○下條國務大臣 今お話になりました学校に対する、あるいは科とか、部とかいう組織に対する研究費の問題でありますが、これは先ほど申しましたような講座研究費としてそれぞれの講座に分配されているのであります。ただそれが先ほども申しましたように、たとえば教授で一年五万八千円、助教授が一年三万五千円、助手が一万二千円、こういう非常に少額でありまして、講座を持つておりますと、それぞれの設備等の関係、筆紙墨費などもすべてこの少額の中から支拂つておりまして、実際の研究費が少額になることは事実であります。これは何とか増額しなければならないと考えております。これにつきましてはお話の通り、大学の教授諸君等に対して同情は十分に持つて考えたいと思つております。 それから個人に対する研究費の問題でありますが、現在科学技術研究費というものがありまして、これは御承知と思いますが、研究題目を出しますと、それから相当金額の研究費が出ます。これを逐次増額されまして、ただいま約三億円ぐらいあるはずでありますが、お話のように、今後日本が再建して参ります上におきましては、科学の研究にまつところがはなはだ多いと思います。これにつきましては、昭和二十四年度予算におきましては相当増額のために努力いたしたいと考えております。
○長野(長)委員 次にちまたにあふれております数千種の印刷物に対する文化指導面の方針に関する問題であります。御承知の通り、現今は猥褻ということと、藝術ということとの間に、どの辺に線を引くかということにおいてさえまつたく低迷状態でありまして、何らの指針が與えられておらないかの感があるのであります。從いまして、ちまたに数千種の出版物があふれておるところをながめて見ますと、まことに寒心にたえざるものもありますし、またときには、あまりに酷な観念からいたしまして、意外なとりはからいを警察当局等から受ける場合もなきにしもあらずであります。もちろん現在におきまして檢閲制度はないといたしましても、すべからく國家としては、これらに対して高き識見のもとに、これを指導するということがなくてはならぬと思うのである。現在いかなる方法で指導されておりますか。また將來に対する計画があるならば、それを承りたいと思います。
○下條國務大臣 最近特に低俗な文藝の跋扈しておりますことは、お話のようにまことに遺憾にたえないところであります。ただお言葉の中にもありましたように、文化の発展につきまして國家の権力をもつてこれを支配するというなことは、これはむしろ避くべきことでありまして、すでに行政上におきましても事前檢閲等はないのでありますが、しかしながらかようなものに対する事態をそのままに推移することは、その影響するところも相当大であると考えまして、実は教育刷新委員会におきましても、この問題が非常な研究題目になりまして、本年の十月に低俗文化の排除についてというような問題につきまして、答申がすでにあるのであります。大体の建前といたしましては、やはり國民の自粛によつてこの問題を解決したい。しかしながらある程度いろいろの学校とか、青年團とか、PTAというような團体の手を借りて、かような低俗文化の排除にあたり、また他面積極的には健全な娯樂というようなものに対する援助を努めて行くことによりまして、積極、消極の面からかような低俗文化の排除にあたりたい、そうして健全な文化の充実をはかりたい。こういうことで現在やつておりますが、今後もその線にのつとりまして進めて行きたいというように考えております。
○長野(長)委員 ただいまの御答弁によりますと、大体國民の自粛等によつてこの点をお求めになつておるようでありますが、私の考えとしましては、この際政府におかれまして、かりに名称を付しますれば、出版文化調査委員会とでもいうようなものをおつくりになつて、そうして文学界あるいは藝術その他の各分野の人々、学識経驗者、國会議員、かような各方面の知能を集めまして、この委員会においてあるいは映画とか、演劇、出版、レコード、紙芝居、その他の娯樂、遊戲、観覧施設、こういうような部面はもちろんのこと、各般の文化の方面に対して指導啓発に資する。つまりその根本源力をこの出版文化調査委員会とでも申すものに置きまして、今日のようなあるいは國民の自粛に求める、あるいは文部大臣その他の意見の放送という漠たることでなく、かようにせられたらいかがなものであろうか。これに対する大臣の御見解を承りたいと思います。
○下條國務大臣 各般の出版文化に関する調査研究の委員会をつくつたらどうかというお話でありますが、これに対して別にここで異議のあるわけではありませんが、一應現在の施設を進めて行つてみたいと思います。今お話になりましたような委員会も一つの案であると思います。なおこの点についてはよく考慮いたしてみたいと思います。
○長野(長)委員 今回政府におかれまして計画を進められております新制大学の問題でありますが、もうすでに新年度の開校の時期も迫つた今日でございますが、十分なる開校の準備はできたでありましようか。またこれに対しては相当の経費も伴う次第であるわけでありますから、これらに対しての大体の見通しはできたのでございましようか。二十四年度は別としまして、二十三年度において用意すべき準備として、ただちに受入れ得べき設備の充実という点においていかがでありましようか。この点をお伺いいたします。
○下條國務大臣 昭和二十四年度につきましては、いずれあらためて予算を提出いたしまして、いろいろ御審議を煩わしたいと思いますが、本年の準備につきましては今実は着々進行しておる途上でございます。最近これに関する特別な機関を文部省内につくりまして、一層促進して参るような段取りになつておりまして、準備としてはかなり進んでおるように考えております。
○長野(長)委員 六・三制の、特に新制中学の校舎の問題でありますが、現在の地方の実情をながめてみますと、非常な困難な状態にあるものが多いのであります。ことに寒冷地方におきましての生徒の受学状態を想像してみますと、憂慮にたえないものがあると思うのでありますが、これに対していかなる施設をせられるお考えであるか。
○下條國務大臣 新制中学校の建築問題につきましては、すでに本年度までに予算が相当に計上されまして、一應学級増加に伴う建築の関係は、大体本年度内で解決ができる見込みでおります。ただ、今お話のありましたような寒冷地等におきまする雨天体操場のような特別の教室、その他あるいは二部教授とか、仮教室ではなはだ苦しい教授をしておりますが、そういうような面の解決はできておらないのでありますが、これは昭和二十四年度以降多少時間をかけて基本的解決をいたしたいというように考えております。
○上林山委員長 本会議の関係がありますから、五分間休憩いたします。 午後二時四十八分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後三時二十八分開議
○上林山委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 農林大臣に対する質疑を続行願います。長野長廣君。
○長野(長)委員 昨年來民主自由党におきましては、米の供出後の残米の自由販賣を主張せられておつたようであります。同党における農政の專門家であらせられる現大臣とせられましては、おそらくさような御意図を持つておられることと存じますが、はたしてこれらの政策を実施せられるお考えがあるのでしようか、また將來においていかなる御抱負を持つておられまするか、これを承りたい。
○周東國務大臣 お答えいたします。米の供出後の自由販賣については、御承知のように民主自由党としては、政策として掲げておつたことは仰せの通りであります。ただこれが実際において実施に関する時期とか方法等につきましては、愼重にこれは考慮すべきものと考えます。ことにただいまの食糧問題のなかなかむずかしい今日において、政府といたしましては、供出後の超過供出について、一般農民に対して協力を求めておる最中であります。この際混乱を生ずることは政治的に愼む必要がありまするので、その点を十分考慮して今考えておる次第であります。
○長野(長)委員 お話のほどはよくわかりました。しかしながら私として特に將來のためもありますから、念を押してお願いしたいと思いますことは、供出後残存米の自由販賣をもしするとしまするならば、どの程度の石数に上る御予定であつたろうか、また自由販賣をするについての弊害、こういうことも考えてみますると、現在は当分おやりにならぬお考えであつても、將來は、あれほどの大抱負を述べられたのでございますから、やはり御計画をお持ちになつていることと考えます。農林大臣とせられては、それらの点についていかなる御見解を持つておられますか。
○周東國務大臣 これらの点については單に生産後における分配、配給等の面からのみ考えるのではなくて、農家における生産意欲の向上というような立場からも、考慮せられるべき問題でありまするので、その方法と時期については、よほど考えて実行する必要があるということを申し上げたのであります。しからば一体なんぼくらい自由販賣になる見込みか、こういうお話でありますが、それはそのときにおける生産量その他に関係のあることで、もし実施されたときにおいて農民の生産に対する力の入れ方、あるいは天候によつて生産数量は違つて來るのであります。從つてそれがどのくらいになるかということは今申し上げることはできないと思います。
○長野(長)委員 ただいまも申したように、民主自由党自体において特にこれを力説したものでありまするし、特にその中においても、農政の知襄として御活躍なされた農林大臣のことですから、現在はおやりにならぬとしても、將來はおやりになるかもしれぬ、おそらくそういうお考えだろうと想像する。そこで私は少しく私の方から御説明申し上げて御意見を伺いたいと思いまするが、一体米の自由販賣ということは今より十数年前までは行われておりました。この自由販賣をするがゆえに起つた弊害は、申すまでもなく米商人の米の買占め及び買い占めたものを放出する、この間における價格差をもつて米商人が莫大の利益をふところに入れる、あるいはまた外國輸入の米に対しても同樣の商的行為がとられまして、米の自由販賣の行われるところ、必ず買占め等による値上りのために消費者は塗炭の苦しみを受ける、外國米のかゆさえすすり得ざる國民が多数に出たことは御承知の通りであります。また放出することによつて起る米の價格の下落、これがまた商人の米價をあやつる操作によつて、生産農家がこれまた塗炭の苦しみに陷つたのであります。ゆえに米の自由販賣ということは、一面においては消費者を泣かせ、他面においては農民を苦しめる。これはわれわれが多年体驗をしたところでありまして、自由党の前身である政友会は、この惡制度を除かんがために、御承知の通り、米の專賣制度の確立こそ唯一の方法であると言つて、わが日本の米穀経済の中からこの自由制度を拂拭し去るという主張までせられたことは、われわれのまだ記憶に新たなるところであります。私は一面において消費者を苦しめるならば、政府がこれに補助を與え、農民を喜ばしめるというのも一つの考え方かもしれません。また農民を喜ばしめて消費者の苦しみを助けるというのも一つの方法かもしれません。しかし米の自由販賣は生産者を苦しめ、消費者を苦しめる、しかもそれはいわゆる血をすすり、肉を食い、骨をしやぶるほどに、この両者を苦しめたのが米の自由販賣制度であるのであります、そこでお伺いしたい。農林大臣はこの米の自由販賣によつて來るところの弊害を、いかなる方法をもつて防ぎ得るものであるかどうか、これをひとつお伺いしますとともに、さらにしつこいようであるが、將來私はあまりおとりにならぬ方がいいと思う、おとりになるとまだお考えになるかどうか、これをお伺いしたい。
○周東國務大臣 いろいろと御説を拜聽したのでありますが、將來の仮定のもとにおいての理論は少しまずいと思いますけれども、ただ今お話があつたように過去の歴史についての話でございますと、多少意見を異にするのであります。過去自由奔放に動いておつたとき、ある場合においては農民が泣き、ある場合には消費者が苦しんだということがあつたことも事実であります。しかしこのたびの戰爭の以前十箇年くらいの間においては、特殊な制度がありまして、その関係においては政府が、非常に豊作のために農民が豊作貧乏というようなことにならぬよう、常に一定の限度において、値下りすればどんどん買上げるという制度もありましたし、また非常に一般市場の米價が高くなつて、消費者が困ります場合には、政府の所有する米を放出して價格の調整をしたこともございます。そういうような関係で一つの制度のもとに米價の調節が行われておつた。戰爭前約十箇年くらいでありましたが、その範囲においてはある安定が保たれたんじやないかと私は考えております。しかしそれを將來そのままやるとか、やらぬとかいうことをここで議論するということでなく、ただ過去についてお話がありましたから、過去の話ならばそういうふうなこともあつて、あるいは意見が多少違つておるんじやないか、かように考えておるのであります。從つて今後の問題につきましては、いろいろお尋ねでありますけれども、それは戰後における今後の状況の推移に應じて、日本國内における生産状況、あるいは日本を取巻く各國の農産物生産の状況、あるいは日本に輸入さるべきいろいろな條件等を考慮して、これは考えられてしかるべきものと考えております。
○長野(長)委員 私の今までの記憶によりますと、今年からおやりになるようなことも言われたようでありましたが、それはいかがですか。
○周東國務大臣 そういうことは特に申し上げておりませんので、すべて諸情勢を勘案して、時と方法を考えて行きたいということを申し上げております。
○長野(長)委員 戰爭前におきましての制度は申すまでもなく、日本米穀株式会社ですか、つまり会社制度によつて彌縫いたしたこともあります。けれどもそれはやはり相当の弊害、欠陷があるためにこれもまた捨てられてしまつて、そうして最近の統制制度にまで移つて來たものと思うのであります。しかしそれはそれといたしまして、米の自由販賣ということに伴いまするところの弊害は、あの治安の嚴粛でありました大正五、六年のころでさえ、米騒動という大きな問題を起しておる。これもやはり米の自由制度の産物であります。またお話によりますと、注意することによつて大した弊害もないようなふうに、私は聞いておりましたけれども、当時あのなごやかにあるべき時代においてさえ、農林省の山田技師が、鈴弁とかいう米商人を惨殺して、あの大事件を起しましたが、およそこの制度のよいか惡いかということは、われわれは社会現象によつて診断をしなければならぬのであります。われわれの目の前に起つた過去のことというか、過去のことすなわぬ歴史であり、歴史すなわちこれは眞理を証明しておるものである。おそらく私は米の制度を責任をもつて行う人が、米の自由販賣制度というものを軽々に述べるということがそもそも間違いではないか。ことに米はいわゆる人間生活の根源である。世の根をなすものである。この重大な米の問題に対しまして、かくのごとき弊害のあることもお認めになつておるこの自由販賣を、しかも農民に向つて、眼前の利害に動かされるおそれの多いあの農民に向つて、ことに米の統制下に苦しんでおる農民に向つて、この一種のえさを示したがごとき——そういうお考えはないでしよう。しかしそういうことに見えるような政策というものが振りかざされたということがもしあるとするならば、私は遺憾千万なことであると思う。農林大臣は今後も相かわらずこの米自由販賣制度というものを、あなたの政策として天下に声明せらるるお考えがありましようか、もう一回お答えを願いたいと思います。
○周東國務大臣 お答えをいたします。ただいまお話中に農林大臣が軽々に自由販賣を口にしてはいけないではないかというようなお話がありましたが、私は就任以來そういうことは申しておりません。本会議におきましても、その他の席におきましても、今日の生産者、消費者の立場を考えて、混乱を起すようなことをなすべきものでない。從つてその時期、方法等についてはよほど愼重に切りかえのことを考えるべきであるということを申し述べたにすぎません。しかしこの問題は要するにいかなる方法によつて、いかなる時期においてなされるかということにかかつておりますけれども、一体根本において農家の生産力の増強、あるいは分配過程における処置といたしまして、どちらがいいかということは、よほどまじめにお互いに考究さるべき問題だと私は思います。これはもちろん党利党略で動くべきものではございませんし、長野さんもそういうお話ではないと思います。むしろこの点はお尋ねいたしたいくらいでありますが、少くとも長野さんの属しておられます民主党におきましては、今年の一月二十四日には——そういうことを申し上げてははなはだ恐縮ですが、民主党といたしましても代表質問として、当時の片山総理に対して、米の供出後においては自由処分を認めることは生産力増強のためにもまたいいのではないか、その際に起るべき弊害というものに対しては、いろいろの制約をつけて考える必要があるが、というような質問をなされたような経過から見ましても、根本思想においては、こういう行き方の方がいいのではないか、但しそれはよほど現在における諸情勢を勘案して、時期、方法は考えるべきであるということは含まれておると私は思います。ここらはお互いに実際どつちに向けたらいいかということについて、研究をし、時期、方法を考えることがよろしいのではないか、かように私は考える次第であります。
○長野(長)委員 過去において民主党においても質問したことがあると言われるのでありますが、それはまあ質問としておきまして、私は農林大臣が在野時代に民主自由党の中心幹部として、特に農政方面の権威として國民も認める農林大臣が、單独内閣が成立したならば自由販賣を行うという公約をした、その自由党の幹部であられたという点においてお尋ねをしているのであります。もちろん野において御主張をせられた御一人であります。あなたは言われぬというけれども、党がそれを主張せられた以上、それは共同責任でありますから、これは議論の余地はないことと思います。さような意味におきまして、野にあられた時代の御言明を、農相になられた後において行われるというのは当然のことでありますから、その意味において私はお尋ねをいたしている次第であります。それであなたは政治家として言責を実行せられるということはもちろんだろうと私は考えますが、しかしここに重大な困難性があるものと認めるから、いかがであろうかとお尋ねを申し上げた次第であります。 なおこれに加えてもう一つお尋ねしたいことは、農相はこの供出後の自由販賣をするということが、事実上可能であるというふうなお考えのもとに、これを在野時代に肯定せられておつたでありましようか。この二つをお尋ねいたしたいと思います。
○周東國務大臣 重ねてお答えいたします。もちろんわが党の政策であることには違いありませんが、それは一面時期があるということを思つております。あらゆる政治情勢を考えずに、すぐに切りかえるということを考えることこそ、私は政治家としてよほどどうかしていると思う。問題は、その根本においてよい案であつても、その実施の時期と方法を誤れば、これはかえつて毒になる場合もある。この点ははつきりいたしていると思います。 それからただいまのお話は、おそらく分量的な問題であろうと思いますが、そういう面をするにつきましては、でき上つた後において考えるのでなく、農家をしてできるだけ自分が努力をすれば、一定の事前割当数量を供出すれば、それ以外は自分の自由処分が認められるということであれば、よほどそこにも生産それ自体におきまして努力の仕方も違うであろう。そういうことがいわゆる生産意欲向上のために必要ではないのか。ことにもし保有量をきつちり残して、あとは全部取上げるという行き方であれば、考慮の余地がないと言うこともできますが、事前割当とうことは地方その他を勘案して、普通の天候、普通の労力であれば、ある程度の生産ができる。それを基準として割当をいたし、それ以上、努力によつて、人が三度草をとれば自分は四度とる。自給肥料を少しでもよけいやるというようなことによつて、それと天候との関係でよけいできた場合には、それがみずからの努力の形でできたならば、それはみずからの努力の報酬であるということで、それが生産増加になれば、國民全体のためにも、それだけ國家的にも有利であるということを考えつつ、そこに一つの目安を置いて考えるとき、諸情勢が許せば、これはできるのではないかということも考えておつたことは事実でありますが、しかし今日の場合、内地食糧のほかに相当の輸入食糧を仰いでいるということを考えますれば、そういう問題はよほど時期と方法を、実施するにしても考えなければならぬということは、わが党はたびたび主張しているのであります。
○稻村委員 今農林大臣が時期と方法について云々と申されましたが、今ちようど收穫の後で、供出の最中であります。なお超過供出の問題も出ているときこれを問題にしないで、今時期と方法について考慮中だということになりますれば、少くとも二月か三月ごろまでの手を今から打たなければ、今年の問題にならぬと思うのでありますが、そうすると農林大臣の意見は、今年は自由販賣はやらないという意味にとつてよろしいですか。それをお聞きいたします。
○周東國務大臣 私はこの間の本会議でも申しましたように、現在超過供出に対して農民の協力を求めているのであります。この際これらを混乱せしむるようなことは今しないということをはつきり申し上げました。しかしその点に関連して今お尋ねの、今年中はやらないが、來米穀年度からやるのかという事柄につきましては、ただいまお答えを申し上げる時期でないということを申し上げます。
○稻村委員 もう一度はつきりしていただきたいのですが、來米穀年度の話だとか、天候の話、肥料の話、これはもう將來の計画の話なので、今年の生産によつてこの年、來年度の食糧計画を立てる、供出問題もそこにあるのであつて、当面の問題である。百姓にとつて、供出問題について今一番問題になることは今年どうなるかということであります。今年一体供出をさせるつもりなのであるか、この供出後自由販賣をするのかどうか。この点、もし言わずに、ただ言うことは今年百姓に対して、自由販賣ということを思わせて、させないということになりますれば、百姓をごまかすことになる。その点一つ。それから超過供出を大体一割以上と見込んでいるようでありますが、これは需給計画の中にちやんと織り込んで出ている。そうすると今年は超過供出をさせても、農家にはまだ自由販賣する余裕があると思つているのかどうか。その点をお尋ねいたします。
○周東國務大臣 先ほどから申し上げておりますように、政府は超過供出に対して協力を求めている。この点について混乱を起さしたくないということを申し上げているのでありますから、その点はおわかりかと思います。しかしそれは今後の諸般の情勢を考えてみなければならぬ問題であります。從つて超過供出について政府が考えておりまする一つの必要量というものについて期待をいたしております。それに混乱を生じさせたくないということで、お尋ねに対するお答えと私はなると思うのであります。 それから超過供出をした後に余剩があるかないかという問題につきましては、結局今年の割当のやり方で、あとの保有を残して残があるかどうかということは、一にかかつて今年の実收高調査ができてから見通しをつけべき問題でありまして、ただいまからこの見通しをつけることは早いことだと思います。
○稻村委員 実に責任回避で巧みに逃げておられるのでありますが、もう一つ私たちが問題にするのは、そうすると超過供出の問題でなくても、供出をするときに供出後のものは自由販賣にするということ自身は、やはり普通の供出割当を混乱させるのでしよう。それと同じことなのでありまして、もしも超過供出をした後に自由販賣させるということになれば、超過供出を完成してもなおそこに相当余裕があるという政府の見通しを持たなければ、めつたなことは言えないと思う。そういうめつたなことを言うのは、それは選挙目当の單なる宣傳だと思う。ゼスチユアだと思う。それ以外に何もないじやありませんか。それをただ抽象的に逃げている。今米があるのは今年の米である。二十三年度の産米なんです。二十四年度の産米だの、二十五年度の産米のことでもつて言うのは、それはごまかしだ。今ある米でどうやつて需給調節をするか。あなたも言つているように、超過供出を混乱させる。なぜ混乱させるか。二十三年度産米というわく内で、供出あるいは超過供出をさせようとしているでしよう。それを混乱させるということになれば、一体超過供出の時期と方法なんて言う必要はないじやありませんか。はつきりと今日の二十三年度産米ということを考えてみれば、超過供出はこれこれさせる。そうすればたとい自由販賣を許したつてほんのちよつぴり、わずかなものである。それでなければ自由販賣なんということに重点を置かずして、超過供出を完成するとなぜ言えないのですか、そんなぬらりくらりとした答弁は、われわれ代議士を侮辱するものだと私は思う。数量ははつきりしているじやありませんか。その点をもう一回はつきり聞きたいと思います。
○周東國務大臣 その点はしごくはつきりしておると私はさつきから思つておるのであります。超過供出について政府は農民の協力を求めておるのであります。だからそういうことに対して、いたずらに混乱を起させることは避けたい。こういうことを申し上げておるのであります。はつきりしております。
○稻村委員 そうすると自由販賣は今年に関する限りはあまり問題にしていない。重点は超過供出にあるのだ、こういうことなんですか、その点をはつきりしてもらいたい。
○周東國務大臣 私は一定の政府の計画に沿うて超過供出について協力を求めておる。それ以後どうする、こうするということは、今申し上げる時期でないということを申し上げております。
○稻村委員 そうすると混乱するというのはどういう意味ですか。もしも自由販賣ということを今から言えば超過供出がなくなる、こういうことなんですね。その点もう一度はつきりさしていただきましよう。
○周東國務大臣 これは超過供出についての買上げ價格の問題もありますし、そういう面から農民に対して、所によりまして利害が違つておると思います。こういういろいろな点を考慮いたしましてただいま申し上げたのであります。從つて私どもは日本の食糧政策において、今日必要量というものに対して協力を求めておる姿においては、一般供出後において自由販賣にするとかせぬとかということは、今言うべきでない。また行うべきでないということを申し上げておるのであります。
○稻村委員 そうすると今そういうことを発表するのは時期でないということになれば、私はもう一度問題にしますが、芦田内閣が倒れて、いよいよ吉田内閣が成立するという瞬間に掲げた政策は、あなたの立場から言うと時期を得ない政策であつて、あれは一應今度は白紙にもどつて、また時期を待つ。こういう意味なんですか、どうですか。それをお尋ねします。
○周東國務大臣 なかなか急迫でありますが、掲げた政策は、内閣がかわつた瞬間にすぐやるということを掲げておりませんので、おのずからその切りかえるべき時期というものがある。結局急坂に車を押す場合におきましても、三十度で動かす場合より、四十五度で動かす場合がよほど危險であります。いい刃物でもこれを子供に持たせればあぶないときがあります。この点はまじめに考えておりまして、そういうような党利党略で私どもは考えておらない。從つてただいま稻村さんのお話にもありますがごとく、私は先ほども申し上げたように、日本の食糧問題について、現在の状態においていかにしたらよいかという立場において考えておるのでありますし、政党が政策として掲げたものについて、ただちにすぐということを何もそれに書いておるわけではありませんが、理想として時期と方法を考えてやるということは、初めから、その中に含まれておると考えます。
○上林山委員長 稻村君、大体論旨が盡きておるように思いますが……。
○稻村委員 全然盡きておりません。私は黙つていようと思つたけれども、農林大臣の御答弁がふに落ちないから、そこで長野さんが質問したことをさらに十分念を押しておきたいというのが、私の発言なのです。
○上林山委員長 十分念を押したじやないですか。
○稻村委員 念を押したけれども、まだそういうふうな逃げ方をしておりますと、こちらはまだまだ念を押してみたいのです。意見ではない、質問ですよ。ちつともぼくの意見は述べていない。全部質問ですよ。
○上林山委員長 稻村君、関連質問ですから、簡單にお願いします。
○稻村委員 簡單にやつておるが、答弁が十分ではないからお尋ねすることになる。 そうすると内閣が成立する直前に掲げる党の政策は、その内閣が今日の情勢において実行し得るということを前提の政策だと思うのであります。なぜかというと、今一番食糧政策の問題として、自由販賣ができるかできないかということが、非常に問題になつているときなのですから、ここで自由販賣と言つたならば、吉田内閣ができたら必ず実行するという約束だと思うのです。その約束以外にもし掲げたものとするならば、それは吉田内閣がつぶれてしまつたらばどうかというと、永遠にやらないでしまう。もし一年以内につぶれたならば永遠にやらないことなのだ。來年のもし三月ごろまでにつぶれてしまえば、この政策は実行できぬということなのです。そういうふうなことでありますので、私たちの行き方は、先言つた二十三年度産米を基準にしてどうするかという質問なのであります。しかしそんなことを幾ら言つておりましても押し問答になりますので、もう一度最後にだめを押しますが、二十三年度産米に関する限りにおきましては、自由販賣をなし得る余地があると思つておるか、ないと思つておるか。これは私にとりましては何も時期と方法を聞いておるのではありません。これは数字上の問題であります。だからして二十三年度産米に関する限りにおきましては、これを基礎として、二十四年度の需給計画の上に立つて、自由販賣を許すだけの余裕があるという見通しなのか、ないという見通しなのか。またあれば、一体どのくらいの米が販賣されるという見込みなのか、その点今から考えておかないで、いきなり自由販賣論をとなえることは、非常に危險だ。時期と方法できめることは非常に危險だと思うので、これだけ念を押して、私の質問を終えたいと思います。
○周東國務大臣 先ほど申し上げたように、まだ実收高も確定いたしておりません。從つて現在におきましては、ただいま申し上げましたように、超過供出に対する協力を求めるという態度をとることにかわりはありません。それから先ほどお尋ねの政党の掲げた政策の問題でありますが、これは見解いろいろございましようが、おのずからそこには漸進的に時期を考えてやれるものと、いろいろあろうと思います。これについて政党が掲げて何らさしつかえないものと私は考えます。
○長野(長)委員 私の質問から端を発しまして、えらい時間をとりましたが、われわれは政策を論議する前に、米という必需食糧、特別なる日本独特の食糧品、この米というものに付着しているところの経済的な性格、この性格を無視したいかなる政策も否定しているのでありますから、將來におきましては、どうかこの米の持つているところの経済的性格を無視するような政策を國民の前に叫ぶがごときことは、お互い政治家として愼みたいものであると考えるのであります。 次にわが國の米は六千万石、それに米にかわるべき主要食糧が米に換算して三千万石、合せて九千万石というような計算をして行きますと、相当食糧は安定しているように見えますけれども、事実はそうでない。これはもう申すまでもないことであります。そこでここに食糧の輸入ということを考えておく必要が現在においてもあると思いますし、將來においても同樣であると思います。政府はこれに対していかなる御見解を持つておられますか、これを承りたい。
○周東國務大臣 これはただいまの日本の状況といたしまして、この間もここで申し上げましたが、ある程度やはり連合軍側の御援助によつて輸入を懇請し、入れてもらうことを希望をいたしております。
○長野(長)委員 將來米の輸入についてただちに問題となるのは、わが國内生産の米の價格との関係であります。現在においてはさしあたり影響がないと見ましても、將來経済界の傾向を見通すときにおいて、相当愼重に考えなければならぬと思うのであります、農家生産米の價格との関係において、何らかの御計画があるのでありますか。つまり農家の米生産経済の保護の建前から御心配をしておられましようか。
○周東國務大臣 ただいまの御質問は、ある程度食糧輸入の関係が自由になつた場合のことをお考えのことと考えます。それを前提としてお答えいたします。もし米の輸入というようなものが認められるようになつたときに、日本の周囲のタイ、佛印等からあるいは米が入つて來るときに、それと國内生産の米價との関係、農家との関係の御質問と思いますが、これはまず第一にその当時の價格の決定方法が、為替レートに関係する問題が今一つあると思うのであります。この為替レートのきめ方につきましては、いつどういう形で率がきまり、いつから実施されるか、わかりませんが、このきめ方いかんによつては、かなり國内物價に影響し、國内の米價に影響し、從つてそれの生産に必要な諸資材の價格がこれに関連いたしますために、場合によつては、輸入米と内地米との價格差によつて、圧迫を受けるというようなことが起らぬとも限らぬと思います。その場合においてはある程度やはり國が保護をいたしまして、國内の米生産に從事する農家が影響を受けないような、一つの処置を講ずることが適当であろうかと考えます。
○長野(長)委員 わが國の農業開発は、將來科学に立脚しなければならないということは申すまでもないことであります、政府におかれましては、わが國の農業改良を科学によつてするために、何らかの具体的な、飛躍的な計画をせられておりましようか、また御抱負でもよろしゆうございます。
○周東國務大臣 お話の点まことにごもつともでありまして、土地を狹められた今日、農業に相当各方面から科学を入れて、科学的生産を考慮しなければならぬということについての御意見はまつたく同感であります、最近農業改良局設置法案が通過いたしまして、農林省内に農業改良局というものができましたのも、その一つの現われでありまして、ただいま農業改良局を中心といたしまして、今後における日本の農業に、いかなる面にいかなる方法で科学を取入れるかということにつきまして、各方面の人材を入れて考究いたしておる最中でありますが、これの生産施設あるいは農機具その他各般にわたつて、農業経営全般に関して科学を取入れる研究の母体にして行くような考え方になつていることを御了承願いたいと思います。
○長野(長)委員 まことに漸次御計画を立てられることはけつこうだと思います。ただ私はここに私の意見を申し上げて、大臣の御批判を願いたいと思うのであります。それは農業自然科学研究ということに今後力を入れる必要がありはしないか、そうしてそれも單なる今の農事試驗場でやつているようなことではありません。それはそのままやらせることといたしまして、もう一歩上の根本的な原理を研究する、根本的な原理というのはどういうことかと言えば、たとえば電氣で空中窒素を固定して、そのかわりにアゾトバクター、その他の黴菌を固定するあの方法、あるいは病虫害を一挙にして殺すところの最近アメリカの藥もありますが、そういう種類のものの日本化したもの、あるいは食糧の貯藏の研究、それから電氣栽培ということがいよいよ具体化することになつて來ましたから、さような方面の研究、それから農村工業に際する方面、それから農村の特に電化に関する方面、これは栽培以外の電化法、かような問題についてきわめて拔本的な研究を、この農業自然科学研究の中に入れて來る。こういうことが必要である。幸いにして大臣の御抱負で局を設けられて進められておりますけれども、それはその研究の核心に触れるものではない。一つの行政である。私の申し上げるのは、この農業自然科学研究所というものを設け、これをこの狹い國土において一億あるいはたとえ二億になつても、これを養い得るだけの科学的栽培力、生産力をそこに養う、こういう意味における自然科学の研究所をつくることはいかがなものでしようか。これをひとつお尋ねしたいと思います。
○周東國務大臣 まことは卓見であると存じますが、具体的に自然科学研究所というものを設置するかどうかにつきましては、ただいまただちにお答えを申し上げかねますが、ただこういうことを今考えておることを申し上げます。御指摘のような微生物の研究、それから電氣を農業にどういうふうに取入れるか、この二つの大きな命題をとらえて、農林省の各局、各試驗場が合一した一つの研究母体をつくるため予算を今考究中であります。御指摘の微生物の問題につきましては、御承知のことかとも存じますが、飼料、肥料等に関しまして、ある種のバクテリアの研究が——しかもこれはざつくばらんに申しますと、山林局関係の試驗場の技師から発見されました。ところがそれを実際に用ゆる方面は、農業方面であるわけであります。ところが最近までそれが実質的にわからなかつたために、別々に研究をしておつたわけです。むしろそういう意味合いにおきまして、今後微生物並びに電氣等をいかなる形に農林漁業関係に取入れるかということについて、別々な研究によつてむだな時間を空費しないように、すべて総合して行きたいということを考えておるのでありますが、御指摘のような点と合致するかどうかは別といたしまして、十分研究をいたしたいと思います。
○長野(長)委員 土地の改良ということは、だんだん力を入れられておるようでありますけれども、最近私の調べておるところによりますと、土地改良費が漸次少くなつて來ておるようにも思われる。それから特にわが國の大切な干拓事業、この方面に対する経費が乏しいように考えます。つきましてはこの土地改良に対する経費をもう少し増額するとともに、特に干拓事業について力を注ぐようにせられてはどんなものか。いま一つは開墾地というものは申すまでもなく不便な所です。ところでこの開墾地の地價を増大し、開墾地の生産力を増大するためには、どうしても道路をつくらなければならない。交通をよくしなければならない。特に大面積のところは汽車の必要もありましよう。鉄道敷設の必要もありましようが、大体において道路を完成するということがなければなりません。ところが私の最近視察をしました地帶においては、どうも道路がこれに伴うていない。これではせつかく開墾をしました農地の経済的價値というものを少しも引上げていない。のみならず多額の投資をしたものに交通を與えないということによつて、これをみすみす経済的に殺している。そこで私は経費等の関係もいろいろありましようから、いずれこれは総合して大藏大臣にもお尋ねいたしたいと思つておりますが、ひとつこの際十分なる経費の要求をせられて、地方民衆の要望に沿われるようにしてはいかがなものか。以上の点についてお尋ねします。
○周東國務大臣 土地改良についての予算がだんだん減るようだというお話、並びに干拓事業に対して予算を増額するようにという御意見であります。私どもも新内閣の方針といたしまして、食糧増産のためには、手取り早いところはむしろ開墾よりも、土地改良に主力を注ぐべきだという方針のもとに今進めておりますので、二十四年度予算等につきましては、土地改良等について重点的にひとつ予算を組みたい、かように存じておる次第であります。 干拓に関しましても同樣なことが言えるのでありますが、ただこの方は比較的経費をよけい食うこと、それから資材等の関係上、七、八年を要するというような大きな干拓事業については、予算の関係上少しく躊躇いたしておるのであります。しかし千町歩未満の各地方における干拓等につきましては、できるだけ増額して進めたい、かように存じておる次第であります。 開墾につきましてのお話、ことに開拓地に対してこれを安定せしめ、生産能率を上げるために、道路の問題をしつかりやらなければという御意見、これもまつたく同感であります。実は開拓地に通ずる道路の建設につきましては、現在もたしか二億九千万円が計上されておつたと思いまするが、今後におきましても、開拓地、開墾地につきましての、候補地は嚴選主義をとり、しかしてそこへは多数の人を入れるということよりも、質的にほんとうにそこへ農業者として入れて、しかも爾後安定するような形に適地をとり、嚴選して送り込む、同時にそれに対しましては、御指摘のように道路の計画というものをあらかじめ立てつつ、これに対する必要経費を予算として持つて行きたい。かように考えておる次第であります。
○長野(長)委員 最後にもう一つ農林大臣にお尋ねしたいと思いますことは、近ごろ農業行政のやり方を見ますると、往々にして農民の心理を無視とまで行かずとも、非常に軽く見ておる感じがありはしないか。言いかえたならば、これは上手にやれ、だましてやれという意味ではない。これはどうぞ誤解のないように願いたい、つまり農民の心理によく適合した仕事をして行くことが必要である。たとえて申しますと、農家に供出をせしめる。そうするとその代金の支拂いということが農村としてもせつぱ詰まつた問題である。しかるになかなか拂わない。ある地方のごときは、一年越しになるというような声を聞きます。まこととも思いませんが、どうもそれは全然うそでもないようである。年越しはともかくとして、たとえ三箇月と、たちましても、いかに流通経済の鈍い農村とはいえ、今日の農村経済としては手痛い打撃であります。それから供出等に関連をしまして、報奬物資が出る。ところがこの報奬物資が品質が非常に劣惡である。これは数縣の調査によりますと、酒のごときはほとんど口にすることができない。臭みがあり、また味わい等においてとうてい口にすることができない。むしろ農民が憤懣をしておる。それから絹織物等が配給されておりまするが、これまた毛布においても実にわれわれ一見して、これはばかにしておると思われるようなものが相当多いのであります。それであまりこれを説明すると、いろいろのところに疑惑を生じて來て、私本意でございませんから、これ以上は申し上げませんが、とにかくかような事実が、農民の前に事実展開しているところに農民は反感を持つのみならず、誠意をもつて國のために盡しておる、その志さえ鈍らせざるを得ないことになるのであります。そこで私はこれらの問題は一、二の顯著な例でありますが、その他あらゆる農民行政につきましては、着実敦厚をもつてその性格としておる農民に対する仕事でありますから、どうかひとつ農民の心理を尊重し、正義感、彼らの正直感、淳朴の本性、これを冐涜することのないように持つて行くことが、やがては一大効果を收める原因になるものではあるまいか、かような意味において、ひとつ具体的に一、二の例を申し上げましたが、御研究の上であらゆる仕事において、農民の心理を尊重し、農民の性格を尊敬するぐらいな態度を持たれる御意思はないか、またさような意味において新たに官吏に分担を命じて御調査をせられる御意思はないか。これを伺います。
○周東國務大臣 ただいまの長野さんの御意見まことに同感であります。ともすると、農民に対して供出その他について義務はやかましく命令をいたしながら、報いることの比較的少いということについて、御指摘の点まことに同感でありまして、これに対してはぜひあらゆる努力をいたしまして改善をいたしたいと存じます。 中で御指摘の米等の買上げ代金等についての支拂いが、ずいぶん遅れて、三箇月あるいは半年も遅れるというような御意見であります。これはまことに困つたものであります。実は從來そういうことをしばしば耳にしておりました。このために米麦等の供出物資に対する集荷機関等を、從來の農業協同組合だけでなくて、一部商人等を使うことにいたしまして、同時に農民が自己の意思によつて、その代金の受取り機関を選択することを認めたのであります。從つて農民はみずからどの機関から代金を受取りたいかという選択を認めまして、農業協同組合のほかに銀行等も認めました。一面そういうことをいたしますと同時に、檢査官等が、供出がありましたものにつきまして、代金支拂い指令証書というようなものを出しまして、それを受取つた農民は、自己の選択した金融機関へ行つて代金を受取るなり、あるいは預金の形をとるというようなことにいたしましたからおそらくは今までの形のように遅れることはないかと思います。同時に、その銀行並びに農業協同組合に対しましては、必要な資金を中央金庫あるいは日本銀行からすみやかに手当をいたしておりまするから、今年はもう少しそういうことのないように実行できるのではないか、かように考えております。 さらに今の報奬物資の点については、私もまつたく同感でありますが、從來あまり必要でもない惡い絹織物なりあるいは人絹等が行つて、高い上に、もらつて役に立たぬ。こういうものは返上するというようなことを決議した地方もあるように聞いております。就任早々その事情を調査いたしましたら、前内閣当時からそれは計画されておつたことでありますから、申し上げますが、むしろこの際は農民のほんとうに必要とする作業衣、地下たび等につきまして堅牢な優秀な綿織物を持つて行く、こういう形をとり、かつこれは必要なときに的確にもらえるように、各地方々々へすでに分散を終つておる、こういうことを聞いております。この点は前内閣におきましても、そういう処置をすでにとりつつあられ、それを受けて今やつておる次第であります。なおその他のことにつきまして十分に調査をいたさせたいと思います。
○長野(長)委員 御熱心な御回答をいただきまして感謝します。 それから法務廳総裁に一つお尋ねしたい。私は近ごろ刑務所に関する方面の視察と調査をいたしまして、こういうことを感じました。およそ治安ということはわれわれの普通の社会、すなわち刑務所を除いた社会においてのみ今まで考えられておつた。しかるに最近の刑務所生活というものをいろいろの形において調査し、またその作業の状態等を視察をいたしました結果によりますると、日本の治安ということは、ある意味においてはこの刑務所の行政ということにもう少し考慮する必要がありはせぬか。たとえばこれは全國的の数字を平均しましても、疊一枚敷きに囚人二名を置くという比率であります。これは冬は別として夏の炎天下において、すでにこれは人間としての扱いでありません。人間、動物以下に扱われるときに、その性格は動物以下に陷らぬとは限りません。ことにその性格とその境遇において考えるときにおいて、私は近ごろだんだんと起りまする刑務所問題などに思いをいたすときにおいて、これは偶然でないと考える。ある人は私にこう申しました。最近における刑余の人々の増加する状態と、この設備をあわせ考えるときにおいて、慄然たらざるを得ない。これ以上は申しません。私が特にこれを申し上げるのは、司法関係に属することは割合人が質問しません。ことに予算問題等については、案外触れないのが普通でありますから、特にこれを取上げた次第であります。この際幸いに大藏大臣も見えられましたが、法務廳総裁はこれに対して、御理想とまで行かずとも、御抱負を述べられ、藏相の御見解もあわせて伺いたいと思います。單に住居のみではありません、着物のごとき、寒冷なこれから先の季節を考えてみましても、まつたくこれは單に刑務所だけの治安ではない、日本全國の治安という点において、考慮しなければならぬ問題ではないかと私は考えるが、御見解を伺いたいと思います。
○殖田國務大臣 刑務所の状況についてお尋ねいただきましてありがとうございました。お話の通りでありまして、刑務所の今日の姿はまことに憂慮すべき状態にあるのであります。戰災によりまして刑務所が非常な損害をこうむつておりますのに加えまして、犯罪者は日にふえて参ります。今日ではほぼ十万になんなんとしております。戰前の倍になつております。從つて、容積からいたしましても、あるいはふとんとか被服とかその他の作業の用具であるとかいう面において非常な不足を感じております。実に鬼畜にもひとしきような待遇を與えなければならぬ状態であります。私も就任早々そのことを聞きまして、非常に憂慮をいたしておるのであります。当局者も一同心配をいたしております。そこでまず刑務所の増築を考えまして——それは前年度の予算で相当程度の増築を認められておりまして、今現に建築をやつております。しかしながらこれも不十分であります。わずかに一万二千人分のスペースをふやすだけでありまして、今日のこの増加にはとうてい追いつきません。どうしてもこれも新たに要求しなければならぬと思つております。しかしながら財政の都合、なかなか思うように参りませんので、とりあえず今度の追加予算におきまして、約六億七千万円の要求をいたしまして、これはスペースでございません、被服とか食糧とか作業の道具とか、とにかくとりあえずこれだけでも支出をいたしまして、当面の急に應じたい。しかしこれはとうてい理想の何分の一、何十分の一にしかあたりませんので、どうしても大藏大臣にお願いをいたしまして、この次に相当の予算をいただきまして、急速にこの設備の改善をいたしたいと思います。そういたしませんければ、当然お話の通り、刑務所内の治安が維持できません。從つて世間の治安の維持ということもはなはだおぼつかないことと思います。これは私は全力を盡して予算を立て、またその促進を内閣に諮りたいと思つておるのであります。どうぞこの上とも一層の御支援を賜わりたいと思います。
○長野(長)委員 大藏大臣からその点に対する御見解を承りたい。
○泉山國務大臣 長野さんにお答えを申し上げます。刑務所関係の費用を苦しい財政の中から、実に六億七千万円の大額を計上いたしたのであります。まことに苦しいのであります。しかもただいま法務廳総裁から言われました通り、なおかつ足らない、かようのことでありますので、まことに遺憾千万に考える次第であります。しかしながら政府といたしましては、何らか將來に向つてはいろいろの施策を展開いたしたい、かように思うのでありますから、拔本塞源的に統制の撤廃その他によりまして、その方面の犯罪者をまず根本からなくする、かようのことも考えなければならないものと考慮いたしている次第であります。以上お答えいたします。
○長野(長)委員 商工大臣その他の方方に質問もありますけれども、総理大臣その他二、三閣僚との関係もありますので、それは保留しまして、私はきようはこれだけにしていただきたいと思います。
○上林山委員長 それではこの際竹谷君、大藏大臣ないし安本長官に対しての御質問はございませんか。竹谷君。
○竹谷委員 大藏大臣にお尋ねしますが、十月の九日かに開かれました民自党の大会において緊急政策というものが発表されました。その中に生産第一主義を積極化してインフレを收束するということをうたつており、また過日の総理大臣並びに安本長官の施政方針に関する演説の中でも、生産第一主義というものを強調いたしておりますが、この生産第一主義を積極化してインフレを收束するというその具体的方策を示してもらいたいと思うのであります。ただお題目だけの耳ざわりのよいことだけを言つたんでは、絶対に日本の再建もできないし、また生産の増強あるいはインフレの收束というものは期待できないのでありまして、この際安本長官として、民自党の最も大切な政策の、具体的実施方法——抽象論はいりませんから、具体的な方策をお示し願いたいと存じます。
○泉山國務大臣 生産第一主義につきましての主義の展開につきまして、その具体策を示せということでございますが、まずその生産第一主義なるものの性格を御認識賜わりたいと思うのであります。その御認識を同じくするあかつきにおいては、具体的政策はおのずからそこに生れますのでありまして、今後展開いたします政策は、ほとんどこの線に沿うものであることを御了承願いたいと思います。
○竹谷委員 何のことやら、これから総論のうちの序論が始まつたばかりで、まだ総論に入らないうちに答弁がおしまいになつたのでありますが、私は序論や総論はいらない、各論の具体的方策を承りたいのでありまして、もう少し懇切に御答弁をお願いしたいのであります。
○泉山國務大臣 重ねて御答弁申し上げます。具体的と申しますと、どういうようなことでしようか。本内閣におきまして生産の増強の面に展開いたしております政策は、すべてこれを具体的なものでありますが、何かほかにお尋ねがございましたらその点につきまして明快にお答えをいたしたいと思うのであります。
○竹谷委員 総理大臣の施政方針の演説があり、なお続いて安本長官の演説があつたのでありますが、それらはすべて私が今尋ねんとする具体的方策に欠けている。すべて民自党の大会において決定した政策のようにお題目ばかりであつて、それでは國民は何を現内閣がなさんとするか、あいまい模糊として捕捉することができないのであります。そこでわれわれは國民の代表者として、民自党内閣は、いかなる基本政策をとらんとするか、そうしてその具体的方策はどうか。その現われはあるいは予算となりあるいは各種の行政上の執行となつて現われるものと思うのでありまして、それに應じて國民は大いに日本再建、日本経済の復興のために、努力をしたいという熱意を持つているにもかかわらず、單に人氣取りのようにしか見えない政策を掲げて欺瞞せんとするこの態度は、はなはだわれわれは奇怪千万であります。從いまして先日安本長官として日本経済復興に関して並べましたお題目の内容、具体的方策をお聞きしたいと思うのであります。たとえばいろいろなことを述べられて、彈力性のある金融措置をとるというようなことを言つておりますが、その彈力性ある金融というのは、机上の観念としては、言葉としてはあるのでありますが、一つの内閣が実際の具体的政策としていかなることをやるかということになると、國民はこれを捕捉することができない。そういうことをどういうふうに具体的にやるのか、それを聞きたい。そういう意味で私は質問をいたしておるのでありまして、私の質問せんとする意思が大藏大臣にわからないのかどうか、さようなことはあるまいと思うのでありまして、どうか親切にひとつ御答弁をお願いしたいのであります。
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。ただいま一例をあげられましたので、御質問の御趣旨はまことに明瞭に相なつたのであります。その彈力性に富む金融につきましては、本会議でも申し上げたのでありますが、その一例についてこれを申し上げますならば、金融が國民経済において営むべきその機能を十二分に認識いたし、その機能を達成するために、必ずしも一定の方式にこだわることなく、あるいは客観的の情勢その他に應じ、時間的にまた空間的に伸縮融通性のある施策を展開するのが、これすなわち彈力性にに富む金融なのでありまして、その一例といたしまして、先刻本会議におきまして、たとえば当面いたす年末金融に対しての数多くの施策を読み上げたのであります。さようなわけで、本会議に御答弁申し上げました内容につきましては、竹谷さんことごとくこれ御賛同を得られることと拜察いたすのでありますが、さような意味合いをもちまして、生産第一主義の具体化につきましても、生産の増強は今日ひとりインフレ收束の目的のみならず、わが経済復興の要諦をなす点でありますので、ほとんどあらゆる政策はここに集中せられるものと考えられますので、さような意味合いからこの具体策につきましても、十分御了解願いたいと思うのであります。
○竹谷委員 どうもいくら聞いても、御答弁は私の質問に対して相かわらず抽象的の修辞学を振りまわしておるだけで、結局政策がないということに考えてさしつかえないかどうか。しかしながら生産増強という問題、及びインフレの收束という問題は、祖國再建のほとんど根底をなす重大案件であります。これに対しまして、日本の経済安定の最高の責任者である安本長官が、今のように空疎なお念佛だけで、具体的政策の伴わないものをもつて日本の現在の難局を切り拔けるということは、ほとんど不可能で、何ら政策上の効果を收め得ないと私は思う。結局生産増強及びインフレ收束に関しましては、現内閣は何ら施策を持つていない、かように解釈するよりほかない答弁で、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。そこでただいま彈力性ある金融問題について質問をいたしましても、結局具体的な方策を示さない。だからこれからいろいろ質問を進めましても、同樣の答弁でありまして、何らわれわれの質問に対する答弁を得ることができないとも思いますが、なお重要な問題につきまして一つだけ伺つておきたい。それは企業合理化に関する三原則の問題であります。これによりましていろいろな経済上の問題が起きて來ると思うのでありますが、まず考えられますことは、賃上げに関するストライキが今後大いに激化するのではないかという問題、第二は企業が非常な恐慌といいますか、経営困難に陷るのではないか、この結果は勤労大衆の非常な出血犠牲を強要することになるのではないかと思うのであります。これに関しまして、勤労者の保護及び産業の健全なる今後の運営発展という問題につきまして、いかなる見通しと、またこれに対する方策を持つか、これに関する政府の所見を承つておきたいのであります。
○泉山國務大臣 お答えいたします。いわゆる経済三原則を励行いたしますときに、一つには労働攻勢を激化し、二つには企業の倒産を招來する、かような御心配でありますが、御心配は御無用にお願いしたいと思うのであります。今日日本経済の現状には、多くの困難なる問題を包藏しておることは事実でありまするが、特に遺憾な点は、その自主性と経済性を喪失しておるという点であります。企業はみずからの努力と自主的責任意識のもとに、企業の経営を行わなければならないにもかかわらず、たとえば企業の赤字に対しましては、政府に対して安易に赤字補填の支給を要求し、または價格の改訂を要求するがごとき態度がしばしば見受けられたのは、まことに遺憾とするところであります。しかるに今や國際経済への参加、また為替レートの設定など近きに控えまして、経済の正常なる姿をとりもどす必要が、現下の急務であることは竹谷さん御了承の通りであります。かような観点に立脚いたしまして、最近の事態に対する方針としまして、いわゆる経済三原則が採用されたのでございまして、政府といたしましては、当面の賃金問題にいたしましても、この三原則の運用よろしきを得るにおいては、かえつて労資間の話合いもつき得るかと思うのでありまして、しかも三原則は当面の対策であり、いずれ適当なる時期をとらえて、一連の総合施策を実施する考えでございます。企業に與える影響の点も決して御憂慮にあたらないものと思いまして、むしろ眞の意味における企業の合理化、企業の再建に役立つものと考えておる次第であります。
○竹谷委員 どうも書いたものを読むだけで、のれんに腕押しでありますから次に移ります。 これははつきりお答えを願いたいのでありますが、價格調整費の問題であります。当初予算において五百十五億を見積り、今回百十億の追加を提案されてあります。合計六百二十五億という厖大な金額でありまして、終戰処理費に次ぐところの大きい金額でありますが、この價格調整の対象物資の中には、最近となりましてはその市價あるいはやみ價格——一般自由價格がマル公をはるかに割つている物資が少くない。特に非鉄金属類においてその例を見るのでありまするが、かような物資に対しても、なおかつ價格調整費を支拂つておるのかどうか。そうだとすれば價格調整費ではなくて、資本家のための利潤を、國民の非常なる負担において與えておるという結果になるのでありますが、かような物資につきまして、公定價格の関係はどうなつておるか、これを第一に伺いたい。 第二は價格調整のために、各物資についていかような金額を支給をいたしておるか、それを御答弁を願いたいと思います。
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。御質問は二つの点にわかれておるようでございましたが、マル公に対しまして、現在の市價が下まわるものは何々であるか、かようなお尋ねでありまするが、なるほどさような事実にいきましては、私もこれを承知をいたしておるのであります。しかしながら何しろ凡百の價格につきまして一々記憶をいたしておりませんので、いずれ取調べまして詳細お答え申し上げたいと思うのであります。 第二の点につきましては、実は質問がはつきりいたしかねますので、もう一度お願いします。
○竹谷委員 そういう物資についてどういうふうにするか、あいかわらず支給するかどうか、打切るかどうか。
○泉山國務大臣 さような物資につきましては、すみやかにこの統制を撤廃すべく、せつかく研究を進めておる次第であります。
○竹谷委員 補給金の支給はあいかわらずするかどうか。
○泉山國務大臣 補給金につきましては、現在補給をいたしておるものにはさようなものはないのであります。
○竹谷委員 ただいまの價格差補給金の支給の部門別の内訳を知りたいのでありますが、あとで書類でけつこうでございますから、委員会に御提出を願います。
○泉山國務大臣 お答えを申し上げます。それはかねて各位に予算関係資料として御配付を申し上げておりますから、その表によつてごらん願いたいと思うのであります。
○竹谷委員 ありません。
○泉山國務大臣 價格調整費の追加予算の内訳は八項目にわかつてこれを示しておりますが、お手もとに行つておりませんか。
○竹谷委員 私の尋ねたいのは、この追加予算に現われた補給金の内訳ではなくて、六百十五億の予算の、價格差補給金の全体の、各物資別、部門別にいかようにこれを支給したか、また今後するか、その内容を、いわゆる明細を知りたいのであります。今ここで御答弁になる必要はありませんから、書類をもつて後刻御提出をお願いしたいのであります。
○泉山國務大臣 承知いたしました、それでは後刻すぐお答えを申し上げます。
○河野(一)政府委員 今回追加いたしました百十億の内訳につきましては、先ほど大臣が申し上げられました通り、お手もとに配付せられてあります。資料の御要求がありましたので、配付いたしました。今それと関連しまして、現在載つておりまする五百十五億の内訳を申し上げました方が——これも先般申し上げたのでありますが、わかりいいと思います。五百十五億の補給金につきまして、この前申し上げましたのは、七月の物價改訂前のものと後のものとにわけて申し上げたのでありますが、これを物資的に申し上げますと、五百十五億のうち、特殊補給金と申しまして、安定帶物資以外な特別の補給金がございます。たとえば水産関係でありますとか、あるいはみそ、しようゆでありますとか、それから野菜の関係とか、そういつた特殊物資に対しての補給金、これが十七億九千五百万円、それから安定帶物資の関係が四百九十七億、その内訳を申し上げますと、石点が百六十四億、鉄鉱が百九十一億、非鉄金属が二十六億、肥料が百五億、ソーダが八億五千万円、以上予算額合計いたしまして五百十五億でありますが、これが現在まで支拂いずみになりましたものが三百二億ほどでありまして、これは十月までの分であります。あと二百十二億残つております。詳しくは資料をもつてお手もとに提出してもよろしゆうございます。
○竹谷委員 詳しくひとつお願いします。
○上林山委員長 ちよつとこの際田中源三郎君に御相談申し上げますが、本会議と並行してやらなければならぬ関係がありますので、この際大藏大臣に御質疑を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
○田中(源)委員 きようはもう五時ですし、私もかぜを引いておりますから、あすお願いしたいと思います。それに竹谷君の大藏大臣に対する質疑がまだ済んでいない。それから長野君の質疑も済んでいない。
○上林山委員長 竹谷君にお諮りしますが、あるならば、できるだけ大藏大臣に対する質問を続行願いたいと思います。なおその他の、建設大臣、商工大臣も見えておりますから、質疑を続行願います。竹谷君、質問を続行願います。
○上林山委員長 それでは明日は午前十時より理事会を開いて本予算の緊急性にかんがみまして、できるだけ議事が進行し得るようにお諮りいたすことにいたしまして、本日はこれで散会いたします。明日は午前十時三十分から開会いたします。 午後五時五分散会