大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/12/03
会議録
○島村委員長 これより会議を開きます。 議案の審査に入ります前に、小委員会設置に関する件でお諮りいたしたいと存じます。これは國政調査に関する議長の承認を得た後、その承認に基いて設置しなければなりませんので、その点國政調査の承認要求書の文案、設置されます小委員会の種類、小委員、及び小委員長の選定等につきましては、前國会通り決定するに御異議ありませんか。
○島村委員長 御異議なしと認めます。それではさよう決定いたします。なお手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
○島村委員長 御異議ないものと認めます。さようとりはからうことにいたします。 次に一昨一日本委員会に付託されました大藏省預金部特別会計外二特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、砂糖消費税法等の一部を改正する法律案、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、製造たばこの定價の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。政府の説明を求めます。 —————————————
○本藤委員 三十日の委員会で大藏委員会に付託された請願——会期中に付託された件がそのとき六十二件あつたのでありますが、こういうものを最終日のわずかな時間で全部審査して、どれを採択するか、どれをはねるかということは実に不親切なやり方で、まことによくないので、私このときにちようど本会議を終えて帰つてしまつてつい出席しなかつたのでありますが、やはり今後たとえ五件か六件ぐらいずつ請願が出て來ても、われわれ委員のところで、会期の一番おしまいじやなくて会期の途中でもまた初めでも、一應会期内にこれを審査して、愼重にひとつやつていただきたい。こういうことを特にお願いしておく次第であります。
○島村委員長 ただいまの本藤さんの御発言はごもつともであろうと存じます。私どもは先般この取扱いについて理事に御一任いたしましたので、この間採択の可否を決しますときに、理事会でもつて、こうまとめたのじやどうしても粗雜になるおそれがあるのだから、これからは二、三件でもまとまつたらひとつやろうじやないかということで、ちようど今の御希望のような御意見と、ぴつたり合うようなことを理事会で申し合せました。それですから仰せの通りにこれから運ばれると存じます。また運んで参りたいと存じます。
○本藤委員 了承いたしました。
○島村委員長 この四法案につきましては、前國会におきまして一ぺん御説明いただきましたので、この際説明を省略することを御了承いただきたいと思いますが、御異議ありませんか。
○島村委員長 御異議ないものと認めまして、さようとりはからいます。ただちに本案の質疑に入ります。佐藤君。
○佐藤(觀)委員 大藏次官に質問いたします。現在このたばこの値上げが出ておりますが、これは御承知のように、たばこの收入が予定通りに入らなかつたから、その收入をふやすための補填ということで、家庭配給の値段を上げることになつておりますが、実はこういうような歳入の不足の面がたくさんあるのに、取引高税の廃止ということを民主自由党で盛んに言われておるのですが、こういう点は國民にどういうように影響があるかということに対して、どんなお考えを持つておられるか、ひとつ率直にお伺いしたい。
○塚田政府委員 たばこの今度の値上げにつきましては、ただいま佐藤委員から御指摘のように、主たる理由が現在までの賣れ行き状況からして、歳入欠陷を生ずるであろうということで、これを値上げしてその欠陷を補うという考え方であることは、申すまでもないのであります。もちろんそれと同時にこれを値上げいたしますことによつて及ぼす全般的な影響、それから他の賃上げその他に伴う——そういう全体のにらみももちろん原因にはなつておりますが、しかし大体のねらいは今申し上げる通りであります。そこでこういうような状態であるときに、大臣からしばしば言明いたしておりますように、政府は取引高税を何とかしたいという強い考えを、持つておりますことも、これは申すまでもないのでありまして、この点は私どもの考え方としてこういうように考えておるのであります。すでに皆さん方が御承知のように、日本の今日の課税負担というものは非常に強い。そこでこれを何らかの形でできるだけひとつ軽減して行きたいという考え方が、基本になるわけであります。この基本構想からしまして、結局幾らかでも軽減できる面があるならば、まず取引高税のようなものを取上げるべきが至当じやないのか、こういう考え方であります。そこで重いと申しましても、なお重い負担の間にもう少しどの層、どの階級の人に負担をしてもらうかということについても考える余地がある。それで取引高税を廃止いたします場合には、その財源としてはできるならば、第一段は國費の節約によつてその財源を見出すべきものだ。節約して余してそういう負担を軽減して行くという線が第一であろうということはもとよりであります。第二段といたしましては、廣く國民大衆全般にこういうような負担のかかるものでなく、ことに実施の手続上非常に困難を伴い、特に徴税費も非常にたくさんかかることは御承知の通りでありますから、もつと別な層に、別な形において負担をしてもらつて、それにかえるという意味において第二段の財源を考えて、取引高税を廃止して行く。その第二段の考え方は具体的に申し上げますならば、やはり酒などを増石いたしまして、それによつて出て來る酒の消費税などからいたしましても、増石すれば当然賣れるという見込みも立ち得るわけであります。そういう考え方によりまして、強く取引高税というものを廃止したいと考えております。こういうように御了承を願います。
○佐藤(觀)委員 酒の増石ということは非常にけつこうなことでありますが、現在これは芋とかそういうものならばけつこうでありますが、米をつぶして酒にするということは関係方面と折衝して許されるかどうか、この点をお伺いいたします。
○塚田政府委員 この点は私ども野党でありました時分に考えておりましたほどは、実はその筋の承認は得られておらぬのであります。しかし相当に承認が得られまして今度増石になるということになつておりますが、ただ酒の場合にも皆さん方も御承知のように、高いものは多少賣れ行きが思わしくないということ、それから本年度の造石が本年度の税收入にならぬこともありまして、それによつて收入面の増加が期待できないということになつておりますが、しかしだんだんと分量を殖やして参りたいという筋においては、多少ずつ進展を見ておる。こういうようになつております。なお数字の点のこまかいことは局長から申し上げたいと思います。
○佐藤(觀)委員 前回の第二國会におきまして取引高税にわれわれが賛成したのは、幾多の財源を持つておりましても適当なものがないということで、この税法はいいというわけでなく、消極的な意味でやむなく認めたということは、大体社会党の者が全部承知したわけであります。しかるに今度現実の状態におきましては、中央において取引高税にいろいろめんどうな問題がありまして、地方の税務署ではこれの捕捉に非常に困つておりますけれども、しかしわれわれはほかに財源がないということで、やむなくこれを認めたわけでありますが、今ただちにこれがやめられるということになりますと、われわれが実際の政治をやる場合において、芦田内閣の時ならばこれはできないことであるが、民主自由党の吉田内閣になれば取引高税が廃止できるということになりますと、その点において大藏省は一体どういう見解を持つておられるか。特に平田主税局長がこの專門の方でありまして、幾多の説明を受けたのでありますが、こういう点についてどんなお考えを持つておられますか。ひとつ主税局長に御答弁を願いたいと思います。
○平田(敬)政府委員 取引高税の問題につきましては、先ほど政務次官からお話になりました通りでございまして、実は私ども本年度の当初予算の編成にあたりましては、非常にいろいろな苦労をいたしまして、相当な財源を税に求めなければならぬということに相なりまして、その結果どうしてもいまだかつて日本では実施しておらなかつた取引高税のごときものを起さないと、いわゆる健全財政は確保できない。本税を起しますればとにかく本年度の予算編成ができますし、またその状況次第ではこれは非常に情勢の変化に應じやすい税でございますので、この非常に苦しい時代におきましては好財源の一つであろうというふうに、御説明を申し上げておつたわけであります。私どもも國費の節約が相当できる、それから他にそれにかわるべき相当な優良な財源があるというようなことを、目下研究中でございまするし、さような方面がございますれば、しいて取引高税を存続しなければならぬという強い見解までは持たないということを、この際申し上げておきます。ただ現在の財政上から申しますと、非常に苦しい今年度といたしましては万やむを得なかつた。來年はどうなりますか、今後よく檢討いたして参りたい。あるいは本年度におきましてもかわるべき好財源がありますれば、これはもちろん今政務次官のお話の通りでございまして、別段大した意見の差がないことを申し上げておきます。
○佐藤(觀)委員 実は塚田政務次官からいろいろお話を承つたのでありまするが、國費が節約ができるという状況に現在なつておるかどうか。少くとも現在の官公廳の職員の俸給の安いことは、だれが見てもこれは疑うことのできない事実であります。すでに人事院において六千三百円をうたわれ、われわれ社会党としては六千六百円出して、これでやつとだという考えを持つておるわけでありますが、少くとも今の経済情勢において、インフレーシヨンが高進しておる今日におきまして、國費の節約をするようなことは、どう考えましても該当するものはないと思うのでありますが、そういう点について今政府では何かその間に節約できるような大きな財源があるか。どこかにそういうような穴があるかどうか。ひとつ御説明を願いたい。
○塚田政府委員 國費を節約する何か具体的な考えがあるのかというお尋ねでありますが、これは御指摘のように、非常な困難を伴うものであるということは、私どももよく承知いたしておる。ただ私ども國費の節約というものを考えますときには、今の日本の財政状況全体として見て、困難だからといつて、このままこういう財政政策の線を押して行けるかどうかということを考えるときに、これは絶対にやつて行かれない。どうしてもこの点に再考慮を加えなければならぬという考え方から、これは非常に困難ではあるが、その困難を克服してもやらなければいけないということに強い考えを持つております。そこで当然その帰結といたしましては、もうこれは國民の間に常識にもなつておりますように、やはりまず行政整理というものを考えなくてはいけない。その場合には失業対策というようなものが、当然これに伴つて出て來なければならぬことも申すまでもないのでありまして、そういうものを彼此勘案いたしますと、あるいは人間を減らすことによつて当面出て來る國費節約というものは、そう十分ないかもしれないということも考えておる。しかしそういうような状態を総合勘案いたしましても、やはりこれはやらなくちやならぬ。そこで人間を減らして、減つて來るのはもちろん給與だけではないということも、皆さん方のよく御承知の通りでありまして、まず人間を減らす、行政を整理するということを中核にいたしまして、國費全体、物件費その他の面、さらにできますならば國内のそういうような態勢を前提といたしまして、國内でこれだけ努力をして國費の節約に努めておるのであるから、そういうような努力を十分その筋へも認めてもらいまして、できるならば終戰処理費というようなものもなるべく軽減してもらう。そういうような線に全面的に考えを進めて行つて相当額を減らしたい。こういうように考えておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 もう一つ主税局長に質問したいのです。先般來実行されました取引高税の実施の今までのあり方、またその実施に対する地方におけるところの反対意見とか、またこれについての非難というような問題をひつくるめて、概括的に今日までの取引税のあり方について御説明願いたいと思います。
○平田(敬)政府委員 御質問の趣旨がよくわかりませんが、大体実際の状況を申し上げまして、御参考にいたしたいと思います。取引高税は本年度の予算で約二百十億程度見込んでおります。この見込みは少いという見方もございますし、あるいは脱税が多くてなかなかとれないだろうという見方もあつたように思います。私ども施行の当初におきましては、なるべく宣傳、あるいは、若干きついと思われるようなことがありましても、最初に印紙交付等についていい癖がつかないと、なかなかあとがうまく行かないのではないかということを考えまして、最初のうちは若干形式的な取締りをやりまして、その結果非常に反感を買つておる面もございます。ほんとうに脱税の意思があるかどうかを問わないで、印紙を渡さないということだけで罰則になる規定があるのでございますが、そういう簡單な規定を適用いたしまして、極力励行して参つたのでございます。今までの状況から見ますと、大体印紙で月十八、九億円、現金で四、五億円、二十億円九月と十月にそれぞれ入つているようでございます。おそらく十一月、十二月と——なかんずく十二月は賣れ行きが相当いい月でございますから、もしもいろいろな議論に世間がまどわされることなく、いやしくも税法としてある間は税を守る。こういう本來の本筋に從つて励行されるとすれば、十一月、十二月等は相当な増加が出て参りまして、結局年度内といたしましては、そうむりな更正決定等をいたさなくても、大体において所期の目的が確保できるのではないか。所得税は御承知のように、大体見込みに対しまして、申告で出て來ました税は、わずかに二割七分、今度の追加予算を入れますと、二割二分くらいの数字にしか相なりません。あとの八割近くを税務署が更正決定によつてまかなわなくてはならぬという、非常にむずかしい状態に相なつているのでございますが、それに比べますと、取引高税は、全体としましては、納入の成績は比較的良好のようでございます。もちろん中には購入通帳を轉賣するとか、あるいは印紙につきましても、なかなか励行しない。なかんずくやみ商人は守らない。これに反して昔からのしにせはちやんと守つている。こういういろいろな欠陷は多数ございますが、全体として見ますれば、さような状況に相なつておるのでございます。結局におきまして、いろいろ私ども考えますと、取引高税に対しては手数が相当めんどうだというような非難があるようでございます。これは私どもも最初から予想しておつたことですが、ただ実際やつてみると、なかなか業界もたいへんだという感じを持つております。これに対して、税自体の納付というものは、所得税等に比べると非常に軽いし、めんどうでありますが、その都度都度出しますから、税金としては大したことはない。むしろ実際は、取引高税の実施に関連して、所得等がはつきりする。あるいは下手すると、やみなんかにひつかかるおそれがあるという面が、相当業界に対する庄迫となつて現われた。それが反対の声の理由の一つになつているのではないかというふうに考えられるのでございます。ただ後者の方は、これはどうも正式には賛成できない反対論でなかろうかと思います。一面國会ではやみ所得の捕捉、課税の適正化という非常な強い要望がございますが、そういう見地から申しますれば、あるいは取引高税の欠陷が問題になつても、これは惡いのでなく、むしろいいのではなかろうかと考えておるのであります。ただ一般に手数が相当かかるということは、現実の問題といたしまして、民間においてやはり相当の迷惑を受けておられるところではなかろうかと思います。さような点から相当な反対論も出て來ておるように見受けられるのであります。実施の成績から申しますと、私ども最初はたして印紙がどこまで励行できるだろうかと大分心配したのですが、いろいろ調査いたしますと、大体八〇%方は印紙を受取つておる。そういうお客の方が大部分のようです。十月ごろのいろいろなものについて簡單な調査をやつてみましたが、それらから見ますと、やはり税金としては、所得税あるいは法人税等に比べて、相当進んで納めるという態勢ができておるようです。しかしいずれにいたしましても相当な額でもございますし、本年度もしも改正がなされないということになりますれば、若干の更正決定をいたしまして、本年度の予算として確保いたしたい。かように考えておる次第であります。
○島田委員 私は今回上程されております諸法案に対する質疑を行う前に、委員長を通じまして、大藏大臣に対して次のようなことを要求していただきたいのであります。それは、第三國会におきましてこの大藏委員会がいろいろ法案を審議いたしましたが、その根柢となりますこの内閣の、あるいは財政政策、あるいは金融政策、あるいは通貨政策というような、基本的な態度と申しますか、方針と申しますか、そういうものに対しまして大所高所から全面的な御審議をいたしまして、そういう基本的な線をはつきりしないと、具体的に出て來ますいろいろの法案の審議はほんとうはできない。そういうふうに感じたのでありますけれども、何分第三國会はああいうような経緯を経まして、事実上政府としても國会に対してはつきりした財政政策も金融政政も、あるいは國政一般に対する政策の施政方針がなかつたというような事情にかんがみまして、実はそのまま控えておつたのでありますが、今度の第四國会にあたりまして政府においても、新聞の傳えるところによりますと、明日施政方針演説、並びに大藏大臣、安本長官としての経済演説が行われるそうでありまして、もちろん本会議におきましては各党から質疑が出ると思いますが、この委員会といたしましてはやや專門的になりまして、掘り下げた質問をいたしたいと思いますので、明週でけつこうでありますから、あとで理事の方に諮つて政府の都合も聞きまして、少くともこの短い会期でありますから、なるべく早く大藏大臣が繰合されて、数時間をさきましてここに落ちついておられて、われわれも隔意なき質問をしたいし、隔意なき御返答も得たいので、そういうふうな取扱い方をぜひともしていただきたいと思います。あとの法案につきましては、明週個々の場合について質問いたしたいと思いますが、そういう基本的なものを大藏委員会が掘り下げて行く。先ほども開会前に雜談いたしたのでありますけれども、いろいろな委員会ができまして、前の財政金融委員会と違いまして、大藏委員会の仕事が多少狹くなつたような感じがいたしますが、これは結局新しい國会法による活動でありますからして、私どもはそれに対して文句を言うのではありませんが、それだけにまた大藏委員会が新しい責任と負担をみずから背負つて、われわれ大藏委員としての職務を全うしたい。こういう念願から私は申し上げるのでありまして、多忙とは思いますけれども、ぜひとも数時間繰合せて、ゆつくりここでお互いに質疑し、あるいは答弁をしていただきたい。こういうふうな段取りを、弱い意味でなく、強い要求があつたということを政府に対し委員長から傳えていただきたい。日取り等については委員長と私どもとあとで相談してきめていただきますが、その点をひとつお願いしておきます。
○島村委員長 ただいまの島田委員の御意見は了承いたしました。政府と折衝いたすことにいたします。
○本藤委員 大藏省の方針を主税局長さんにちよつと承りたいのですが、酒精に関係ある税金が非常に高く引上げられているので、現在のところでは果実酒と称する生ぶどう酒とか、りんご酒、こういうものは今の大衆の購買力というか、実際面から行くとおそらく今賣れない。それは品質も惡い、酒精も少いと思います。現在二つの解釈がありますが、よく農村へ行くとかす取りしようちゆうとかいつて、酒精はどのくらいあるか、十五度あるか二十度あるか、われわれはよく知りませんが、こういうものがおそらく日本全國に氾濫しているというふうに見てよいだろうが、ことにわれわれに関係ある東京においても、いなかの長野方面に行つてもあるのであります。そういうかす取りというようなものが一升約四百円程度で一般に出ているから、現在の品質からいつても惡く、値段が非常に高い果実酒が一升約四百五十円もすると、買わないということになつて、おそらく現在果実酒をつくつている人たちは、ほとんど業が成り立たない。また欠損している。どうすればよいかと言つて、ほとんど窒息状態というか見透しのつかない状況にあるのですが、これは一般市場のかす取りとの関係が一つあると思うし、また大衆の購買力ともにらみ合せて、それだけの購買力がないという関係も一つあるでしようが、こういう点から行くと、ほとんど賣れないものをつくつておつてもいけないから、やはりこの酒の税金を引下げて大衆の購買力につり合うところに落して、むしろ政府の増收に向けたらどうかという考えもあるから、それに対する所見も伺いたい。それからかす取りしようちゆうというようなものの密造取締りをどうするか。これも一應御見解を承りたいと思います。それからこれは大藏省のいろいろな酒精に関係ある技術というか、むろん理想から行けば酒精度を少くして、理想のところでたくさんつくるということも一つの行き方かもしれませんが、今の日本としては実際と理想と違つているので、山間部あたりでは、戰爭前に免許を持つておつて戰爭中たまたま企業整備でやめた釀造家が、もし復活したいという申出が税務署にあつたならば、政府としては戰爭中の犠牲者であるから全部一應承認をして、しようちゆうであろうが、日本酒であろうが、または果実酒であろうが、これは釀造の免許を與えた方がよいじやないか。ことに農村では一里二里の遠いところに酒をとりに行くということは、自轉車もなかなか買えないというような関係上、困難であるから、近まに釀造家があるということも今の日本の農村では実際必要なんだから、政府としては戰爭前の免許者で釀造したいというものには、ぜひ一應免許を與えてもらいたいということを強く私はお願いしたいのですが、これに対する所見をお聞かせ願いたい。
○平田(敬)政府委員 現在酒の賣れ行きが惡いことは、先ほど政務次官からもお話がございましたし、皆さん御承知の通りでありますが、その一つの大きな原因は密造酒が大分ふえて來たこと。さらにいま一つの理由は酒の値段が少し高過ぎる。いろいろな原因はあろうと思いますが、なかんずく最近におきまして密造酒が非常にふえておるということは事実でございます。これをいかにして取締りをするか、あるいはこれを減らすためのいろいろな根本対策をやるかということは、目下私どもいろいろ研究はいたしております。密造酒の取締りにつきましては現にすでに実行の段階に移つておりまして、現在のところ各府縣に密造防止対策協議会というものをつくりまして、各府縣の副知事を委員長にしておりますが、関係の警察、税務署の方が一体となつて密造の取締りに当るということで、本年の十月ごろから委員会を開きまして、地方的に大分すでに実効を上げつつあるところもあるようでございます。ただ何しろ非常に取締りの対象が廣いということと、それから警察署にしても税務署にしても、それに対して十分手が廻らないといつた事情がありまして、なかなか思うように至つていないのですが、十月の終りごろ愛知縣のあるところで、ある密造部落を警察官約千名、税務官吏約三百名くらい一挙に出動いたしまして徹底的に取調べ、容器その他全部沒收して來まして、その地区においては相当の実績を上げたという実際の経驗もございます。しかしそういうことを全面的にいたしますためには、非常な人員と経費がかかるというようなわけで、なかなか徹底した効果を上げるということまでは申しにくいのですが、一方においては宣傳をやり、同時に他方におきましてはさような取締りを強行いたしますれば、相当な成績はあげ得るのではないかと期待しております。目下着々と各警察、檢事局等を中心にいたしまして、そういう方面に対しましても、さらに一層実効をあげるべく努力いたして行きたいと考えている次第でございます。なおそれに関連いたしましてお尋ねの趣旨は、特に果実酒の賣れ行きが惡いということでありますが、これはまつたくさようでございます。しかしこの果実酒の中にもいろいろございまして、品質のよいものは果実酒といえども相当賣れて行くものもございます。品質の惡いのが最近大分ふえまして、この方は今の状況では賣れ行きが非常に惡いというのが現実のようでございますが、これは一面から申しますと今後においてもう少し各業者にも勉強していただいて、よい品質のものを出していただくような方向に持つて行かなければならないのと、他方税率、價格等につきましても將來は少し檢討を加えたいと思つておりますが、ただ値段を下げますと、その分は結局税金で下げるよりほかはない現状でありますので、それによると若干の賣れ行きの増加があつても、値段を下げたのと差引きますと、國庫にマイナスになるような場合が非常にございますので、これもなかなか苦しい現在の状況では簡單に行かない問題であります。でございますが、今後における密造取締りの成績いかんと、実際の販賣状況とも関連いたしまして、來年度としては少し研究して参りたいと考えております。 それからいま一つ最後のお尋ねは、轉廃業者に対して製造の復活を許したらどうかという御意見であります。これは大体現実に轉廃業をした酒屋でございましても、現在製造能力があつて、具体的に申しますと、おけその他の製造設備をなお現存しているような場合におきましては、一定の制限のもとに原料を供給しまして、製造復活の免許を認める方針にいたしております。ただこれはあまり廣く無條件にやりますと、かえつて当該業者のためにもなりませんから、一定の能力以上の能力がございまして、しかして今申しましたようにおけその他の製造能力のある場合におきまして、原料の割当をやり製造せしめる。こういう方針でいたしておりますので、もしも具体的にそういう場合がありましたら、それについて善処いたしたいと考える次第であります。
○本藤委員 果実酒の値段の引下げは收入支出に関係がありまして、大体これは現在の國民の実際の経済力からいうと、税金を引下げれば政府ではマイナスになるけれども、國民全体のいろいろな面からいつて、むしろ税金を引下げて大衆に酒を飲ませた方がよいのではないかと思います。今日では自由販賣が許されておりますから、競爭させてよい品をつくるように研究をさせれば、非常に効果があるのではないかと思います。それから取締りは結局お考えの通りでけつこうでありますが、戰前の轉廃業者の問題は、機械器具があつても地理が惡いからいかぬというようないろいろな点があつた。税務署、税務署でこれはむろん意見は違つていると思いますが、むしろ今日は地勢の惡いところの業者を復活させた方が、理想から行くと逆なようになりますが、農村の実際を考えていただいて、機械器具がそろつておるなら、農村の税務署から足を運ぶのに非常に不便で御苦労のようなところ、ひとつ復活させていただきたいということを、特につけ加えてお願いをしておきます。
○平田(敬)政府委員 税の問題につきましては、來年の問題としてなお少し研究いたしてみたいと思います。何しろ非常に苦しい財政状況でございますので、値段を安くしていいものをつくつて國民に供給さえすればいいじやないかということばかりでは、判断するわけにも参らないと思いますので、そういう観点も考慮に入れて研究してみたいと思います。後段の場合におきましてはやはり著しく場所が不便で、どうも一般免許の場合におきましては著しく不適当といつたような場合におきましては、若干免許を澁る場合もあろうかと思います。そういう場合でない、若干不便であろうが、以前はつくつていたという場合におきましては、先ほど申しました趣旨によりまして、現実に能力があれば免許する。かような方針にいたしております。もし具体的な問題がありましたらよく取調べてみたいと思います。
○川野委員 ちよつと関連して、ただいま酒の問題が出ましたので、私も一、二簡單に質問してみたいと思います。配給酒は今日の値段では高いけれども、このくらいでは國民はしんぼうできるんじやないか、こう思つておりますが、特價酒の問題であります。九百いくらの清酒、七百いくらのしようちゆう、この特價酒があまり値段が高いために賣れ行きが惡い、こういうことになつておるのでございます。賣れ行きが惡いだけならけつこうですが、ただいま御質問のありましたように、密造酒というものが非常に盛んになつて参る。こういう結論に相なりますので、特價酒の値段について、現在の値段でけつこうな部面もありますが、その中間にもう一種類つくつてもらつたらと私は思うのですが、しようちゆうのごときは五百円くらいの特價酒、酒のごときも七百円くらいの特價酒、これをもう一種類つくつてもらいたい。しようちゆうのごときはもう七百いくらの特價酒は全廃しなければ、とうてい七百いくらでしようちゆうを飲むということはなかろうと思います。現下の密造酒の値段のごときは二百五十円、しかも米で釀造したしようちゆうが二百五十円でいくらもある。こういう現実の状態からいたしまして七百いくらの特價酒というものは、もうほとんど都会の人が飲むにすぎない。地方では少しも飲むものではない。こういう現実の状態でございますので、ひとつこの点を大藏省におきましても十二分に御研究を願いたいと思います。 なお密造酒の問題ですが、ただいま各縣におきまして副知事を委員長とする対策委員会ができた。こういう御説明がございましたが、副知事を委員長とする対策委員会をおつくりになつても、だめであると私は考えております。現在のごとくわずかな酒をつくつておりまして、そうして密造を取締つてもこれは実現不可能である、密造を取締る以上はある程度の酒をつくりまして、そうして農村地方とか勤労階級にはある程度の大藏省の税金をとつたところの酒を飲ませる。そうして密造を取締る。こういうのでございますならばこれは理論に合い、そうして現実の取締りもできるかと考えますが、今のように配給酒を國民に與えずして、そうして密造酒を禁止するということは、実際面において実現不可能であると思います。今日のごとく山の中で製造して、そうして取締り官が行つてもだれがつくつておるかわからない。こういうような巧妙な場所と機械をもつてつくつておる現下の状態でございますので、この点をよくひとつお考え願つて密造を現実に取締るという面でございますならば、これに対應するところの相当な酒を製造させる。それからもう一つは、ある程度の酒をつくらして罰則を強化すれば、私は密造酒はある程度取締りができると存じます。現在のような罰金だけでございましたならば、密造酒であげられた翌日から倍の密造に着手する。こういう現下の状態でございますので、少くとも密造を二回やつたものは体刑にするというように、嚴罰主義をもつて臨まなければだめであると存じます。これは私の郷里の宮崎縣であつた事件でありますが、先般実はある部落で密造の取締りをやつて、四百石のもろみを押えたわけであります。それで税務当局は檢事当局に対して、ぜひ体刑にしてもらいたいという切なる希望を付して、この事件を檢事局に引継いだのであります。ところが檢事局におきましては、そういう密造者を入れるような刑務所のあき場がないということで、これまたわずかな罰金で終つた。こういう現下の実情でございますから、実際体刑に処することは不可能であると考えますので、どうか、今年というわけに参らぬかと考えますが、來年においてはうんと酒をつくらして、配給酒をうんとふやして密造を取締る。こういう実際面に生きた政治をひとつやつていただくように、特に御研究を願いたいと存じます。
○塚田政府委員 ただいまの御質問の趣旨はまことに同感でありまして、密造を取締るといつても基本になる情勢が改善されない限りは、これは徹底的にやれるものでないということには、まことに同感であります。ただそうは申しましても、現在の密造をそのまま放つておいていいということにはならぬのでありまして、そういう基本の問題は別個にこれを考えるといたしまして、やはり密造はできるだけ取締つて行きたいという考えで、密造の取締りをせつかく嚴重にいたしておるわけであります。そこで將來の問題といたしましては、やはり何としましてもこれを増石して値段を下げて、そうして國民の大衆に安い酒を飲んでいただいて、自然、取締りをせぬでも密造がなくなるようなくふうをして行くということの線に、ぜひ持つて行きたいというので、せつかく増石その他につきまして、その筋の了解を得られるように努力しておる状態であります。なお今日のような密造の取締りをやつて行く上におきまして、罰則をもつと強化したらどうかという御意見、これはもつともの御意見と思います。なお十分に研究いたしまして、將來の根本方策と関連いたしまして問題を解決して参りたい。こういうように考えます。
○堀江委員 今密造あるいは酒のいろいろな問題について質疑應答があつたのでありますが、先ほどから本藤さんなり川野さんがおつしやつたように、現在の状態では密造は取締れないだろうということをわれわれも感じております。その対策として今の特價酒の値段が先ほど問題になつておりましたが、物品税をかけると千何ぼの酒というのは、現在の政府の收入状態がどうなつておりますか。だんだんインフレになつて酒の賣れ行きが惡いではないか。予定の國家收入があげられぬではないかということを想像しておるものであります。私は密造の問題はくろうとでありませんが、何かの條件によつていろいろ失敗があるそうであります。せつかく密造しておつても十分な酒ができぬために、すいものを飲んで胃潰瘍になるとか、あるいは捨ててしまうとかという話もよく聞くのでありまして、こうした食糧が足らぬ時代において、米や何かをむだにするような情勢は、先ほど次官からも答弁がありましたように、酒の基本的な問題が解決しておらぬということが原因であります。もちろん先ほど川野さんがおつしやいましたように、ある程度引下げた値段のものをこしらえるとともに、先ほど申し上げたように、そうした密造を防止するために、金がなくて商賣で密造するのは別ですが、農民や何かが今の経済状態ではほしい酒が飲めないために、しかたなしに密造するというような状態でありますから、それに対して供出の完了とか、あるいは生活状態に應じて、ある一定の税金を安くし、あるいは委託釀造制度をとるとか何とかしてはどうか。今取締りをしても十分取締れぬのに比べれば、一升二百円とか何ぼとかの安い價格で委託釀造させると、日本の食糧もむだにならぬし、また國家財政の面においても相当な收益があつて、密造で無收益よりずつといいし、また國民の衞生の上からしても、変な密造酒のためにからだをこわすというようなことも防止できるのでありまして、そういう点について何かお考えがありますか。お伺いしたいのであります。
○塚田政府委員 御指摘の委託釀造にしたらどうかという御意見は、私どもも年來考えている考え方でありまして、考え方の方向といたしましてはまつたく同感であります。ただ具体的ないろいろなその筋との了解の面、それから技術的な面において、なお結論に到達しておらぬのでありますが、その線に沿いまして今後一層研究を進め、その筋の了解を得て、できるものならば何とか具体化いたしたいと考えます。
○山下(春)委員 お酒のお話が出ましたから、私は私見を述べながら伺いたいと思います。政務次官はお酒の増石を野党時代から盛んに力説しておいでになりましたので、今の皆様の御意見はまつたく民自党の政策を裏づけしているようなものが多いと思いますが、私はそういう知惠のないことはまことにいけないと考えるのであります。今日食糧不足のときに米をつぶして酒をつくるというような、知惠の足らない考え方を持つたんでは、とうていそれは救國の財源にはならない。そこで今日、配給の場合でも見られますが、今年はさつまいもがまつたく配給の受け手がないほどごろごろしております。ただこれは主食の中に入れてある以上、農家では盛んに今栽培しております。特に東北の寒冷地帶ではこれの貯藏に非常に苦心いたしております。農林省の統計などを見ますと非常に調査がずさんでありまして、反当二百貫そこそこが農林省の調査のようでありますが、二百貫ばかりつくつている百姓は一人もおりません。そこで農林省のデーターによる二百貫というもので、もしも日本の主食糧の中でまかなえるといたしますならば、それ以上のものを全部アルコール原料にするための澱粉にいたしまして、その澱粉からつくりましたアルコールに——これは大藏省では御試驗済みと思いますが、X光線を通しますれば非常に優秀なウイスキーができます。このウイスキーは他の方法によつて釀造されたウイスキーに遜色ございません。今もし農林省のデーターに出ている反当二百貫を三百貫として、そのうち百貫をこのアルコールに充て、その一升のアルコールから五十円の税金をとつたとすれば、一千四百億という税金が上るのであります。この税金によりまして優に終戰処理費をまかなうのみならず、今政務次官は人を減らすことによる國家の均衡財政を考えておられるような御発言がございましたが、その裏には必ずや失業対策というものがいることは当然であります。この失業対策については、今どなたがどう知惠を働かしてみましても、何も失業対策に充てる根本的な資材も資金もない日本としては、救國的、再建的な一つの新たな事業によつてそれを考え出す以外に方法はないと思います。貯藏に困難で、あたら腐らしているものを活用いたしまして、これを國の財源にし、あわせて失業対策にする。そのアルコールにする澱粉の何割かから、ぶどう糖を製造して甘味にいたしまして、私はいつかの委員会にもアルコールの專賣についてお考えはないかということを、佐藤さんか川合さんかから御質問があつたと思いましたが、その考えはきまつてないというようなお話のようでありました。私はアルコールとか甘味とかいうものは、砂糖の消費税に対して思い出したのでありますが、これは專賣にして國庫財源の資料にすべきだと思います。そういう新たなる一つの考え方の上に立つて、ただあたら食糧の逼迫している今、米をつぶして酒をつくる——酒が必要なことは当然でありますけれども、その酒は米をつぶした酒でなければ日本人の体質に合わないということはありません。のみならず千四百億の税源をまかない得るウイスキーは、とても日本人だけでは飲み切れないほどの量であります。これは赤い色、青い色をつけてペパーミントのようなものにすれば、南洋あたりにはいくらでも輸出できると思います。そういつた再建的な、これこそアルコールの根本的な一つの考え方に同調して、政府はこれを國営でもつてそういうことを試みてみようという御意思ありや否やを承つておきたいと思います。
○塚田政府委員 ただいま山下委員から救國の採算をお授け願つて、まことにありがたく拜聽いたしたのでありますが、考え方の方向としては私どももまことに同感なのでありまして、米をつぶして酒をつくるということはうまくない。今年いもを腐らしておるということも確かにその通りなのであります。ただすべては今までとつて來ました政策の線でそういう事態が出て來て、これからひとつ考えてみようということに問題がなつておると私は思うのであります。考え方の行き方としては、やはり御指示のような線で、なるべく酒精はいもを使つてやる、米はなるべく使わないようにする。こういうことにぜひ行かなくちやならない。そこでそのやり方といたしましては、今日では御承知の通りアルコールは商工省の專賣に一應なつておるのでありますから、その線にさらに何らかの考慮を加えて、これを考えてみるということも確かに考え方として十分考慮の價値のあるものである。こういうように考えております。ただ当面米をつぶした酒をつくらないということは、今の状態では民間で米をつぶして密造をやるものですから、民間でそうしてつくらすよりは、やはり政府がつくつてやる方がよいのじやないか。それからまた酒に対する國民嗜好の問題から考えましても、なるほど米の酒だけ飲まぬでもよいじやないかという考えはそうでありますが、やはり嗜好が移りかわつて行くためには、相当の時間的な経過もいると思いまして、過渡的な考慮もした場合に、すぐ米の酒をやめていもに全部ということにも参りかねると考えております。ことに酒の全般的な考えといたしまして、米を原料としての酒は、実は燃料として石炭を使わない。いもからアルコールをつくる場合には石炭がいるので、この石炭の面からの解決が相当今障害になつておる。そういう面の具体化に非常な支障を來しておる。今年の腐らすいもにおいて、ことに財源が非常に不足しておるものですから。すぐに腐らすいもを至急に何とかアルコール化するような方法はないものかという方法は、実は商工省、安本あたりとも今度の予算の編成の段階においてずいぶん研究したのですが、今申し上げたようないろいろな点において、すぐには問題にならないというようなことで実現いたさなかつたわけであります。以上のような状態でありますから、お考えの趣旨においてはまつたく同感であり、將來はそういう方向にだんだんと酒に対する政策を轉換して行かなければならないというふうに、考えておる次第であります。
○喜多委員 今酒の話が出ておりますけれども、私は酒の話は皆さんに讓りまして、取引高税について一言質問してみたいと思います。先刻佐藤君の質問に対して平田主税局長は、九月、十月の取引高税の徴税状態について、合せて十一月、十二月の徴税に対しては、特に十二月は購買力の増大のためにかなり成績を上げ得られるものであるという、樂観的御説明があつたように思うのでありますが、私の聞く範囲におきましては、吉田内閣による取引高税の撤廃論に基因して、日を追つて脱税が増加いたしているように耳にしておるのであります。以上のような状態から見ますと、國民が惑わされているこの取引高税について、政府としては取引高税を撤廃するなら撤廃する。なお三月まで存続すべきものなら存続するとはつきりとした声明をせられることは、目下の最も重要な問題でなかろうかと私は思うのであります。この点の質問と同時に、かような脱税者の日を追つて増加いたしておるという事実に対して、政府当路者としてどういうふうな御見解を持つておられますか。あるとすれば、どの程度にそういう脱税者が増加いたしておるかという、比率的見解をお示し願いたいと思います。
○塚田政府委員 政府が取引高税の廃止をするかいなかについて、はつきりした態度を表明しないために、非常に取引高税の徴收に影響を來しているという御質問であります。九月にこの税の徴收を始めて以後のしつかりした統計が今手元にありませんので、そういう影響が具体的に現われているかどうかということは、実は御確答申し上げられないのでありますが、しかし常識的に想像いたしましても、この問題をめぐつての最終解決に至らないいろいろな考え方が新聞などに出ますことによつて、若干影響があるのではないかというようなことを考え、実は私どもも案じているのであります。しかし何とかして早く最終的な決定に到達して、その線を國民の前に明らかにいたしたいと非常に努力いたしておりますが、残念ながらまだその線まで行かないで、御指摘のような状態になつて、まことに恐縮に存じているわけであります。しかしこの税法が將來廃止されるということになる、ならぬは別として、法律が存続する間はやはり徹底的にやつて行かなくてはならない、これが正しい税法上の建前だから、ぜひそういうようにしたい。從つてそういうようなうわさで、これは今に廃止されるから、納めないでおけば免れてしまうのだというような誤解でもつてずるけている者があります場合には、やはりこれは徹底的に取締りをしなくてはならぬ。またかりにある時期において廃止しても、その廃止以前の取引のものについては、やはり何らかの措置をもつてこれを徴收するというような方法はぜひ講じなければならない。こういうように考えております。
○喜多委員 ただいまの政務次官の答弁によりますれば、九月、十月の統計はあるが、十一月の統計はいまだにわからない。ただし若干の影響はあるやに思うと言われたが、若干という言葉は非常に僅少という意味であります。しかし私は若干でなくして相当というふうに解釈いたしておるのでありますが、その間大きな相違があるのであります。統計はわからなくても、大体の全國の状況から見ます場合においては、若干でないと解釈いたしますが、その点なお重ねて御質問申し上げます。
○塚田政府委員 私が御答弁申し上げたのは、今のような事態であるから、若干あるいはそういうものがあるかもしれない。そういうように常識的に考えても想像される。しかし数字は集つておりませんので申し上げられませんが、そしてまたかりに数字が出ましても、それが今のような脱税から來る減收であるか、他の原因から來るものであるか。これは研究いたしてみませんとわかりませんので何とも申し上げられませんが、私の若干という数字はそうひどくは影響しておらぬのじやないかと、私は考えておるわけであります。
○喜多委員 ただいま政務次官の答弁によつて、撤廃論のためにそういうことであるかいなかというような御答弁でありましたが、まさしく私は撤廃論というものも起因いたしましての、納々に対する義務を怠つているという解釈が、正しいのではなかろうかと思うのでありますから、この点は緊急に撤廃をするか、あるいはいつまでこれを存続するかということを、はつきりと明示せられるということは、当然とるべき問題であるという解釈をいたしますので、この点に対する政府の御見解をはつきりと願いたいことを、もう一度御答弁を願いたいと思います。
○塚田政府委員 重ねて御答弁申し上げますが、これはできるだけ早く結論に到達して、はつきりと政府の態度を表明できますように努めたいと存じます。
○喜多委員 ではその問題はこの程度にいたしまして、続いて取引高税に対しての不評判の原因は、私の思いますのは税率の問題でない。税率は百分の一程度ですから、あまり大きな問題でないのではなかろうかと思いまするが、その惡税の最大の原因は、先ほど平田主税局長も言われた通りに、私はその記帳あるいは納税の手続問題が、その大部分を占めておるのではなかろうかと思うのであります。実際問題といたしまして、教育程度の非常に低い商工業者が、これを記帳するに対しての、実に複雜なるあの方法論が災いをいたしているという点から見まして、眞に私どもこの取引高税の開始に対して、あれほど複雜なものであるということを考えなかつたことも、われわれ與党の責任であると思うのでありますけれども、こういう点に対して、その納税しなければならぬ者の実情に合うたような、納税手続をすべきように改正する必要があろうと、私は思うのでございますが、これに対して改正する意思ありやいなやをお伺いいたしたいのであります。
○塚田政府委員 御指摘の取引高税が実施の面に、非常に納税義務者の方々にごめんどうをおかけしているということは、確かに実施以後の実績に徴して私ども同感であります。ことに日本の納税義務者一般、これは單に取引高税の場合ばかりでないと思います。所得税の場合におきましても、申告納税制度がうまく行かないということの根本の原因には、記帳がうまく行つておらない、またそういう能力も持たないということが原因をなしていると思う。そこでこれを何とかして皆さん方のめんどうをなるべく少くするということは、どうしても考えなければならぬ。ただその場合にめんどうを少くするということと、税がうまくとれるということのかね合いが、今のところ非常にむずかしいのでありまして、このめんどうを少くするためにに切手でなしに、全部申告というようにすれば、ずつと御指摘のようなめんどうが少くなると思うのでありますが、それでは全部申告制度にしましては、この取引高税の場合にも所得税と同じようなめんどうなり、欠点が出て來るということも考えられます。そこで当面の問題としては、もし取引高税というものが全廃できないというようなことにでもなるとすれば、それは各般の都合上からの話でありますが、そういうような場合にはやはりだんだんと納税義務者が慣れて來られる。また納税意識がだんだん高まつて來るということと並行いたしまして、たとえば現在五十円でもつて打切つておりますが、印紙で納めるのと現金で納めるのと、この限界線を引上げるなりしまして、できるだけこのごめんどうを省いて行く。こういうように努力して行くというように考えております。
○佐藤(觀)委員 なお喜多氏からもいろいろ質問があるかと思いますが、先ほどわれわれの方の島田議員から大藏大臣に、こういうような問題について他日質疑をしたいという意見が出ておりますので、この次の委員会にそういうことをやることにいたしまして、きようは大体これで終つていただきたいと思います。なお主税局長にお願いしたいのですが、租税收入の点につきまして、昭和二十二年度の月別、それから昭和二十三年度の月別の租税收入の予定と收入の比較表をひとつ出していただきたい。もう一つは取引高税の九月から十一月までの実際の状況を、予定と実際の比較表を資料として、この次の委員会までに出していただきたい。きようはこれで打切りたいと思います。
○島村委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十五分散会