議院運営委員会 第4号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 10
- 開催日
- 1948/12/04
会議録
○山口委員長 これより運営委員会を開きます。——本委員会は四時まで休憩いたします。 午後三時三十二分休憩 ————◇————— 午後四時六分開議
○山口委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。
○西澤事務次長 労働者農民党準備会から、昨日結党大会を開きまして、労働者農民党という政党を結成したという届出が参つております。それから新自由党準備会から、新自由党という新たな政党をつくつた、こういう届出がございました。この二つを御報告申し上げておきます。 —————————————
○山口委員長 昨日内閣から、昭和二十三年十一月以降の政府職員の俸給等に関する法律案が提出されましたが、この法律案の付託委員会について、先日細川君からの申出もありましたから、この際御意見を承りたいと存じます。なお参議院では、予備審査のためではありますが、大藏委員会に一應付託して、人事委員会及び労働委員会と合同審査をされるそうでありますからこれは参考までに申し上げておきます。
○細川(隆)委員 本案は衆議院規則の條文から見ましても、また問題の実質から見ましても、人事委員会に付託すべきものと考えますので、そういうことを提議いたしたいと思います。
○山口委員長 ちよつと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○山口委員長 それでは新給與に関する法律案は人事委員会に付託することとし、なお人事委員会、大藏委員会、労働委員会の合同審査をすることに決定するに御異議ございませか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議はないようでありますから、さように決定いたします。 —————————————
○山口委員長 厚生委員会、水産委員会及び外務委員会の國政調査承認要求の件について、議長から諮問があります。これを議題といたします。
○西澤事務次長 厚生委員長佐々木盛雄さんから、國政調査の承認の要求がありました。 調査する事項 厚生行政に関する事項 調査の目的 公衆衛生、社会保障、婦人、兒童保護等に関する諸調査並びに対策樹立 調査の方法 関係各方面より説明並びに意見聽取、資料の要求等 調査の期間 本会期中次に水産委員長の西村久之さんからの分は、調査する事項 水産物の生産増強に関する事項 調査の目的 水産金融対策、水産資材調査、適正魚價の策定及びその集荷配給機構の檢討等 調査の方法 小委員会の設置、関係方面より意見聽取及び資料の要求等 調査の期間 本会期中 第三に外務委員長生越三郎さんからの分は、 調査する事項 一、國際経済に関する総合的調査 二、講和会議に関連する諸問題 調査の目的 一、國際経済の現状及び動向を調査し國民外交の樹立に資す 二、講和條約に関する準備研究 調査の方法 官民各方面より意見聽取及び資料要求 調査の期間 本会期中 以上三件でございます。
○山口委員長 別に御意見等はございませんか。——御意見もないようでありますから、ただいまの國政調査承認要求の件は、議長においてこれを承認すべきものと答申するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議はないようでありますから、さように決定いたします。 —————————————
○山口委員長 厚生委員会の委員派遣承認申請の件について、議長より諮問がありますから、これを議題といたします。
○西澤事務次長 厚生委員長佐々木盛雄さんからの申出でございます。目的としてジフテリヤ予防接種、副作用事件に関する実施調査、派遣委員佐々木盛雄さん、山崎道子さん、山崎岩男さん、野本品吉さん、榊原亨さん、以上の五名の方、十二月六日から十一日まで、六日間であります。
○山口委員長 これについて何か御意見はございませんか。
○石田(博)委員 この事件が重大な事件であるということはよくわかりますけれども、まず第一点はその調査にはきわめて専門的知識を要するのであつて、にわかに議員が派遣せられたからといつて、それだけの効果があるかどうかが疑わしいと思うのであります。第二点はきわめて短期間に限られておるというと語弊があるかもしれませんが、そういう事情下にある緊迫せる状況にありまして、長期にわたつて審議を放棄するというようなことは、できるだけ避けて行かなければならぬと思われますので、この際この調査はそれぞれ專門の方々にお願いする方が当然と思われます。これは拒否するに決したいと思います。
○榊原(亨)委員 この問題については詳しい実情を申し上げませんが、現今でもなお次から次と死んでおるのであります。またこの麻痺を起しておる者が相当多数に上るのでありまして、これはぜひ速急な調査を要するのであります。私どもの立場から申しましても、できるだけこれをしないようにというようなつもりでありましたが、京都の方からもぜひ調査を願いたいという申出でがありますし、これは実情においてぜひ調査すべきものと考えます。
○山口委員長 ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○山口委員長 それでは速記を始めてください。ただいまの厚生委員会から委員派遣承認申請の件は、なお議長及び私から厚生委員長と御懇談を申し上げて、善処することにいたしたいと思いますので、本日はこれを延期することに決定いたします。御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議はないようでありますから、さように決定いたします。 —————————————
○山口委員長 次に議員芦田均君及び北浦圭太郎君及び川橋豊治郎君の逮捕について許諾を求める件を議題といたします。本件については大体質疑も終了したようでありますから、これより討論に入りたいと思いますが、御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議がなければこれより討論に入ります。ちよつと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○山口委員長 速記を始めてください。これより討論に入ります。笹口晃君。
○笹口委員 芦田均君外二名の逮捕についての許諾を求める案件について、わが日本社会党は愼重熟慮の結果、これを拒否することに決しました。以下少しくその理由を申し上げます。憲法第五十條に定められた議員の不逮捕特権は、國会が國権の最高の地位であることにかんがみ、その構成に及ぼす影響を排除するために付與されておる権利でありますから、國会法第三十四條の二の規定によつて、司法権がその例外として國会開会中に逮捕の許諾を求むる場合には、犯罪の内容が國家全体に対し重大な影響を及ぼすか、破廉耻の甚しきものでなくてはならず、旧憲法が内乱外患に関する罪以外にはこれを認めなかつたことをもつて見ても、明瞭であると思うのであります。 反面國民はその地位のいかんを問わず、法の前には平等であるべきものであります。現行刑事訴訟法上檢察官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、逮捕することができますが、この場合もあくまでも憲法の大原則たる人権尊重の精神は忘却されてはならず、被疑者が逃亡や証拠湮滅をする危險がない場合には、みだりに逮捕すべきものではないと信じております。 さて本件の審議にあたつて、檢察廳側の主張する犯罪の被疑事実に相当の理由があるかどうかは多大の疑問がありますが、この点については当委員会の職責上深く論及すべきものではないと思います。仮りに檢察廳の主張の如き事実ありとしましても、被疑者を逮捕勾留せねば取調べができないという理由については、本委員会に対し何らの的確な証拠も提出されず、漠然檢察廳を信用せよという程度でありますが、これでは過去原侑氏あるいは西尾氏らの事件や、またみずから議員不逮捕の特権を抛擲して檢察官の圧迫と抗爭するの挙に出ました永江一夫氏の事件の推移にかんがみまして、積極的にこれに應ずる決断はつきかねるのであります。むしろ本員としましては過日本委員会で率直に心境を述べられました芦田外二氏が、いつでも出頭し取調べに應じる旨の言明を信用するとともに、檢察当局の独善的態度に大いに不満を持つものであります。檢察廳に対しあらためて國民の基本的人権を尊重せよと要請し、一方三氏の被疑事実について政界、官界、財界の徹底的淨化を期待するわれわれは、被疑者の身柄不拘束のまますみやかに眞相の究明に当るべしと強く要望するものであります。 ましてや本國会は新給與や災害復旧という、現下の重要課題を解決すべき予算案を審議中であります。本院の構成員が一名でも欠けるということは、國会の審議権に微妙の影響を及ぼすおそれが多分にあり、殊に今日の政治常識として内閣不信任案の提出や、旬日に迫る國会の解散等の重大要件の解決を予想されている本國会において、院内で重要の地位を占める者を一時的にでも失うことは、とうては容認できないことであります。わが党はあくまでも國権の最高機関たる國会の審議権の保障、確保の一点に重点をおきまして、檢察廳の逮捕要求は排除さるべきものと決した次第であります。
○山口委員長 石田君。
○石田(博)委員 私はただいま議題と相なつております議員芦田均君、北浦圭太郎君、川橋豊次郎君の逮捕について院の許諾を求める件につき、民主自由党を代表いたしまして所見を述べ、討論を行うものであります。 これらの方々はいづれも数回当選せられた議会政治の功労者であり、またともに私どもとかつては日本自由党において党籍を同じくし、今不幸にして政治上の見解を異にし、対立の立場にあるとは言え、その識見閲歴に対し、なお深い敬愛の念を失わない方々であります。 特に芦田氏は前の内閣総理大臣としてかつては台閣を統べ、今日はまたわが國三大政党の一つの首領であります。そのわが國政界における声望と影響力の大なる本件の取扱いにあたり、重大なる関心を拂わなければならぬものがあるのであります。さらに北浦、川橋両氏に至つては、私にとつて特別の交友と指導を受けて参つた大先輩でありまして、今日私はかかる問題について討論せねばならぬ運命を深く悲しむのであります。私情において両氏の無罪を信ずるの情何人にも劣るものはありません。 しかしながら事きわめて重大であります。政界、官界に対する世人の疑惑今日よりはなはだしきはなく、またその実情必ずしも國民負托にこたえるものもありとは言えぬのであります。もし本件にして私どもがその措置一歩を誤りまするならば、國民の議会政治に対する信頼は地に落ち、專制独裁を求めるの因をなすのであります。本委員会が本案件に関し会を催すこと六度に及び、愼重に審議いたしましたゆえんも、またここに存するのであります。 およそ檢察廳が被疑者を逮捕せんとする理由は、逃亡及び証拠湮滅のおそれある場合に限られ、單なる捜査の便宜のためのみには断じてしてはならぬのであります。本案件に関しては、逃亡のおそれありとはいかなる観点からも申されません。問題はかかつて証拠湮滅のおそれあるという点にあり、檢察当局はその具体的事実がすでに記録の上に明瞭であるというのに対し、三君はともに強くこれを否定しておられます。さらにすでに関係者は檢挙せられ、また世間に久しく喧傳せられた事柄であつて、湮滅すべき証拠はすでに適当に処置せられたはずであろうし、現実的に傍証は固まつているはずであるという委員諸君の議論もまた、十分の理由があると考えるのであります。だが私はこの点に関しただいまの状況においては、檢察廳の搜査進捗の立場を十分了解し、これに協力したいと言わざるを得ないのであります。 次に本案件に関し提示せられた事実が、一体犯罪になり得るやいなやの点について、考えてみなければなりません。芦田均氏は岡氏から百万円、川橋、北浦の両氏もまたそれぞれ金員の受領を認めておりますが、この川橋、北浦両氏の場合は、その事実みずからが犯罪となるのではなく、かかつて芦田氏への贈與の性質にあるのであります。これが國務大臣たる職務権限にかかる收賄なりや、あるいは單なる政治献金なりやが、重大なるわかれ目となつているのであります。檢察廳は法の條章を掲げて、收賄なりと主張しているのであります。この法の解釈は最終的には裁判所が決定するものであつて、ここで深く議論すべきものではないのでありますが、私はなおこの点について檢察廳の説明に納得するに十分なものを感ずることができないのであります。川橋、北浦両君の場合は、この芦田氏に対する供與の時期も事実も全然知らず、從つて共謀云々のことは強く否定せられておるのであります。從つて檢察廳の説は、芦田氏の場合より一層具体性に乏しいものがあるのであります。すなわち逮捕許諾請求の事由並びに説明は、いづれもいま一息われわれを納得せしめるに具体性が欠けていると言わざるを得ない状態にあります。しかしながらこれは檢察当局の搜査上の立場と、この種事件の性質にかんがみて、他面了承しなければならないと思うのであります。檢察廳はこの事件の重大な政治的、経済的、社会的影響にかんがみても、断じて軽卒であつてはならず、またあるべきはずもないと信ずるものでありまして、証拠湮滅の事実は現に岡君、栗栖君、下河邊君の陳述によつて相当の確信ありと強く断定せられておるのであります。すなわちわれわれはこれまた今日の段階において檢察廳の主張を承認せざるを得ないと思うのであります。 さらにここに考えてみなければならぬことは、昭和電工事件を初めとする石炭國管、兵器処理、纖維局等々の事件、あるいは戰後指導階級の社会で正義感と良心の麻痺を物語る未曾有の大疑獄であります。その源は遠く官僚統制と行政の責に由來し、本質的解決は單に檢察廳の摘発に終るべきものでなく、また檢察当局の見解に対してもその全部をにわかに同意することはできませんが、國民は多大の疑惑をこれらの事件に持ち、その徹底解決を求めていることだけは、忘れてはならぬと思のであります。 特に芦田氏の事件に対しては、ジヤーナリズムにおいてはすでにかかる事態を一應必至なものと見ていたものも少くなく、正邪は別としても、一種の種の社会通念となつていたものであります。これが單なるうわさにとどまつている間はよろしいのでありますが、今や檢察廳の見解と判断がこれと一致し、現実性を持つて参つた場合においては、断じて放置し得ぬことであり、御本人のためにも一日も早く黒白を明瞭にしなければならぬものと考えるのであります。 この際われわれとしてあわせ考えねばならぬ点は、國会議員の不逮捕の特権であります。これは政治的陰謀から議会政治を守る大切な憲法の規定であります。さきに原侑君の事件、玉屋喜章君の事件において、私どもが愼重に事に当り、許諾に反対したゆえんもここにあり、また永江一夫君が議員を辞任せられんとするとき、私どもこれに反対した事由もここにあるのであります。しかしながら院は両君の逮捕を決定し、永江君の辞任もまた承認せられました。國会議員不逮捕の特権とともに私どもが忘れてはならぬのは、國民はすべて法の前には平等であるという大原則であります。もし今日私どもがこの逮捕に許諾を與えない場合においては、われわれは多数派に支持せられたる議員は逮捕せられず、少数派の議員は簡單に逮捕せられるということに相なりまして、正義が二つありやとの非難を甘受しなければならぬと思うのであります。 かかる見地において私どもは、今日の段階においてははなはだ遺憾ながら、また私情においては忍ぶべからざるものがあるのでありますが、三君の逮捕に許諾を與うべしと断ぜざるを得ないのであります。 ただ私はこの際法務当局、檢察当局者に対して、特に一言いたしておかねばならぬものがあるのであります。すでに檢察フアツシヨの声が一部に起りつつあります。檢察官は高位高官の者を特に追究し、議会政治家の非違をことさらに求め、もつて功名心を満たす風潮にあるという非難もまた一部にあります。さらに明確な事実は、原侑君の事件であります。すなわち昨年夏議員原侑君は詐欺罪の嫌疑をもつて、時の司法大臣鈴木義男君から逮捕許諾を請求せられ、本委員会は遂にこれを承認し、原侑君はその院の決定の直前に、前例をつくることをおそれて議員を辞任せられ、昂然として收監せられたのであります。以來猛暑、酷寒五箇月を囹圄に苦しみ、この間取調べを受けたことただの二回であると聞いておるのであります。かくて遂に原侑君は無罪の判決を受けられました。 殖田法務総裁は先日この委員会において、「裁判の結果には責任は持てないが、檢察の方法手続が適法であるかいなかについては十分責任を持つ」と答えられました。原君の場合における鈴木司法大臣の答弁もまた同様でありました。今日の事情においてこの答弁はやむを得ぬことかも知れませんが、このような檢察のあり方について、私は満足できないのであります。およそ檢察当局が社会に重大な影響を與えるところのかかる措置に出る以上、有罪の確信と確証がなければなりません。政治家にとつては特に致命的な打撃を與えるものであつて、場合によつては一檢事の誤断が、有爲の政治家の政治的生命を絶ち、政治的殺人をなすこともあり得るのであつて、事態はきわめて重大であります。 檢察官は裁判の結果に責任を持ち、法務総裁以下法務中枢の諸君は、重大な政治的責任を負わねばなりませぬ。私はこの際檢察官のかかる場合における責任のあり方を規定する立場、処置の必要を強く主張したいのであります。 終りに芦田、川橋、北浦三君とも、一日も早く原侑君同様無罪の判決を與えられんことを、私人として祈つてやまないものであります。
○山口委員長 ただいま石田君の発言中に、過日の祕密会の記録にわたるような部分がありましたが、この部分は委員長において適宜抹消することに、その取扱方を御一任願うことにさしつかえありませんか。
○石田(博)委員 けつこうです。
○山口委員長 ではさようとりはからうことにいたします。安田幹太君。
○安田委員 私は民主党を代表いたしまして、本件に反対、すなわち芦田氏外二名の逮捕に対する許諾の請求を拒否すべしという意見を申し上げます。 國会議員に対する逮捕許諾の請求は、旧憲法のもとにおける帝國議会の長年の歴史の間においても、かつてその例を見なかつたところでございます。しかるに人権尊重の特に強調せらるる新憲法のもとにおける新國会に至つて皮肉にも僅々一年有半の間に、すでに二回にわたつてその例を見るに至り、今後もこの請求が頻々として提出せらるるのではないかとうわさせられていることは、まことに悲しむべき事柄であつて、私どもはかくのごとき現象が何ゆえに生ずるかという点について、この際深き注意を拂わなければならないと考えるものであります。今この悲しむべき前例の第一の犠牲者になられた原侑君の場合について見まするに、先ほどの御討論にありましたように、同氏はこの事件によつて遂に議員の辞任を余儀なくせられたのでありますが、その後この嫌疑を受けた事実についての裁判の結果は、無罪となつているのであります。議員辞任という重大なる結果を生ぜしめた嫌疑事実が無罪となつたということは、まことにゆゆしき事柄でありまして、私ども國会議員はえりを正して、当時われわれのとつた態度を反省しなければならぬと考えるのであります。私はこのゆえをもつて本件を機会に、國会議員逮捕許諾の請求に関する憲法並びに國会法の解釈を根本的に檢討し、この種の事件に対する國会の取扱いの根本方針をこの際確定して、今後誤りなきを期せねばならぬと考えるものであります。 この際私どもが特に強調いたしたいことは、本件問題の対象たる議員に私どもの党の、殊に前総裁があるがゆえに、私どもにおいて問題の個人を特に庇護しようとするものでない。問題は國政運用上の重大問題であります。私どもは國会の権威と尊嚴に関する問題として、この際感情を捨て、党派を超越して、國会政治のために議員としての共通の立場において、本問題を檢討したい、かように考える次第であります。 本問題に対しまして、世上一般に次のような議論が行われております。これはただいまの御討論の中に見えたのでありますが、万民は法の前に平等でなければならない。從つていやしくも犯罪の嫌疑があり、搜査の必要上逮捕勾禁を必要とせられる場合においては、國会議員といえども何ら特権を與えられるべきものではない。一般人と同様の考慮のもとに必要と考えらるる場合は、躊躇なく、容赦なく逮捕が行わるべきが原則である。從つて國会議員に対する逮捕許諾の請求を受けた國会は、もつぱら國政審議の上にさしつかえがあるかないかという点のみを考慮して、もしこの点において重大なる支障のない限り、逮捕の許諾を與うべきである。その場合に國会が進んで犯罪が成立するかいなかとか、あるいは嫌疑の程度がどうであるか、あるいは逮捕勾禁の必要性がどうであるかという点について、立入つて判断をすることは、誤つているというような議論が行われているのであります。すなわち國会議員の逮捕許諾を求められたる國会としては、原則としてその許諾を與うべきである。これを拒否するには、國会の運営がこれによつてはなはだしく障害を來すという場合にのみ限られねばならぬという議論であります。 檢察廳が近時國会議員に対する逮捕許諾の要求を頻々として求めて参ります傾向の生じた原因も、またかくのごとき考え方に起因するものであると私は観察しておるのであります。しかしながらこのような考え方は、旧憲法において議会の地位が單なる天皇の諮問機関にすぎず、國会議員の審議権は天皇の解散によつて何時にても同時に剥奪せらるるきわめて下位のものであり、議会と政府は互いに対立するものであつて、議会は行政権にまたは司法権に干渉することが許されなかつた。かような旧憲法のもとにおいて行われた議論でありまして、今日新憲法の精神のもとにおいては、これをあらためて檢討し直さなければならない問題であると思うのであります。そもそも國会議員は國民を代表して國政の審議に当るものでありますが、この國会議員の國会における審議権は、当該議員個人の権利ではございません。憲法が國民に與えた國民の権利であります。議員はこの國民の権利を國民にかわつて行使するものであります。從つてかくのごとき國会議員を國会の会期中に逮捕して、國政の審議に参画することを不能ならしむることは、その國会議員によつて代表せらるる國民の最も重要なる権利を妨げることになるのであります。あらゆるものを犠牲としても、これを避けなければならない。犯罪を犯した嫌疑のある者を逮捕して、犯罪の搜査を行うこともまた、國家社会の安寧秩序維持のためから、きわめて重要なことではありますが、嫌疑を受けた者が國会議員である。これを逮捕することがその者の代表する國民の國政審議権の行使を妨げる。かような結果を生ずる場合においては、國政審議権が最も重要な権利であるということのゆえに、これは差控えなければならないのが原則であると考えます。このゆえに憲法第五十條の規定が設けられたのであります。ただこの原則を一貫して何らの例外を求めないということになりますと、國会議員の特権を濫用することによつて、犯罪者が罪証の湮滅を行うというような危險がありますので、かようなきわめて異常な場合をおもんぱかつて國会法第三十三條が設けられたのであります。國会は國家最高の機関でありますから、かような場合においてはみずからの判断によつて、逮捕の許諾を與うべきかどうかということを、決定すべきであると思うのであります。私どもは國会議員不逮捕の原則の理論を、新憲法の精神に從つて、このように把握しなければならぬと考えます。かように考えますと國会議員に対する逮捕許諾の請求を受けた議院として、その拒否の判断を、どういう考え方に從つてやるべきであるかということを考えてみます。すなわち國会議院の会期中における逮捕は、國会議員が國民の代表として行使する國会審議権の尊重の必要のために、これを行つてはならないことを原則的な建前としなければならないのであります。この原則的な建前から出発して求められた場合において、この重大な原則を破つて、國政審議権を犠牲にしてまでも、逮捕を行うことの必要があるかどうかという点を檢討する、かような考え方でなければならぬと思うのであります。かような観点から私どもの判断しなければならぬ点は、およそ次のような点になると思うのであります。 第一は逮捕請求の理由となつている犯罪の内容が、國政の審議権という重大な権利を犠牲にしてまでも、逮捕を必要とするごとき程度の重大な犯罪であるかどうかという点であります。犯罪の内容が軽微であつて、國政審議権の行使の妨害というようなことを犠牲としてまでも、あえて搜査の徹底を期する價値のないというような犯罪の場合におきましては、國会はこの逮捕の許諾を拒否すべきである。 第二は犯罪の嫌疑の程度が考えられなければなりません。國会議員の逮捕は國政審議権の妨害という、重大なる結果を生ずるものでありますから、この結果を犠牲にしてまで逮捕を行わしむるためには、犯罪の嫌疑の確実なることが必要でありまして、一般普通の場合におけるよりも、この点において一層嚴密に確かめなければならぬのであります。このことを考えずして、一般普通事件におけると同様程度の嫌疑があるのゆえをもつて、軽々に國会議員の逮捕の許諾を與え、後に至つて事件が無罪と判定せられたる場合、その結果がいかに重大なものを生ずるかということは、最近における原氏及び事柄は少しく違いますが、西尾氏の事件において、私どもはなまなましい経驗を持つているはずであります。深く留意しなければならぬと私は思うのであります。 第三は逮捕勾禁の必要性があるかどうかという問題であります。犯罪搜査のために、被疑者を逮捕勾禁することは先ほどのお話にありましたごとくに、被疑者の住居不定の場合か、被疑者が逃亡のおそれがあるか、あるいは証拠湮滅のおそれのある場合に限られることは申すまでもございません。この逮捕勾禁の許さるる場合の條件の中で、國会議員の場合におきましては、もつぱら証拠湮滅のおそれがあるということのみが考えらるるのであります。國会議員逮捕の場合においては、この証拠湮滅のおそれありやいなやの点についても、特に嚴密なる判断がなされねばならぬと私は考えるのであります。 第四は犯罪探査の緊急性であります。國会議員の逮捕は、それが必要とせらるる場合でありましても、もしその必要が緊急を要しない場合、國会の会期の終了を待つても、さまで重大なる支障が生ずるとは考えられないような場合においては、その逮捕は当然その時期までこれを見合わすべきであつて、会期中に國会議員の逮捕を行うことを許すためには、その逮捕が特に國会の会期の終了まで待てないというような緊急の必要が存する場合でなければならないのであります。國会議員逮捕の許諾の請求を受けた議院は、その許諾の拒否について特にこの点の考慮を必要と考えるのであります。 最後に以上の諸点について檢討を加えた結果、逮捕の許諾を與えることが必要である。かように考えられた場合におきましても、なお議院において重要なる案件が付議せられ、その案件の性質上全議員の審議参加が必要と考えられるような政局の重大なる時期においては、國会における審議権の特別の重大性のために、通常の場合においては許可せらるべき逮捕の許諾も、これを拒否しなければならぬ。かように考えるのであります。以上の理論をもちまして私は本件の具体的場合について、私どもの判断を申し上げてみたいのであります。 まず最初に今日衆議院がきわめて重大な問題を含み、緊張の極に達していることは、多言を要せずして皆様方も御承知の通りであります。かくのごと要重大なる時期においては、たといいかなる重大犯罪につき、いかなる緊急の必要があろうとも、國会議員の逮捕はこれを絶対に許容すべきではないと私は考えます。私どもは今日のごとく重大なる問題が山積し、政局の変動が一触即発の状態にある場合において、國会議員の逮捕につき許諾を與え、これが先例となるということがありますならば、これは國政の將來にとつて実にゆゆしき問題を残すものと、深くこれを憂えるものであります。私どもは皆様方が眼前の党利党略あるいは感情を離れて、國家百年のためにこの点につき特に重大なる御考慮を拂われんことを祈るものであります。 第二に嫌疑の内容をなすところの事実であります。罪名は收賄罪となつていますから、この罪名から申しますと、これはまことに議員の性質と両立をしない犯罪でございます。しかしながらその犯罪事実の内容についてこれを見ますと、その嫌疑の程度についてこれを檢討いたしますと、私どもはまず檢察廳が主張するような被疑事実のみによつては、收賄罪が成立しないと言うべきではないかと考えらるるほどであります。この程度においては犯罪の嫌疑はきわめて薄弱であると申すのほかないと断定するのであります。 御承知のごとく本件被疑事実の内容を概略して申しますと、芦田氏が昭和二十二年六月から二十三年三月まで外務大臣に在任中、國務大臣たるの職に関し、昭和二十二年十月下旬ごろ、岡直樹氏から同人の床板納入代金の政府支拂い、日本興業銀行よりの融資に関して請託を受け、その謝礼として、秘書官下河邊氏を介して現金の供與を受けたことが收賄である。しかして北浦、川橋両氏はこの收賄に関して、斡旋幇助を行つたということになつております。 そこでこれはまことにつまらぬお話でありますが、私どもの地方で行われる子供だましの寓話に、鼠がふえると目医者がはやるという話があります。これは鼠がふえると桶をかじつて桶がこわれる。桶がこわれれば桶屋が繁昌する。桶屋が繁昌すれば山の木が切り倒される。山の木が切り倒されれば雨が降らなくなる。雨が降らなくなれば塵が立つ。塵が立てば目を惡くする者ができるから、從つて目医者が繁昌する、こういう話があります。まことにばかげた話を申し上げまして、皆様方御憤慨なさるかもわかりませんが、ただいま日本の檢察廳は、このようなばかげた子供だましの童話に出て來るような論理をそのまま適用して、前総理大臣を收賄罪として問疑して、この國会の重大なる時期に國会に対して逮捕の許諾を請求して参つているのであります。まことに驚くべく、まことに憂うべきことと申さねばならぬのであります。 なるほど因果関係はこれを拡張すれば、今のお話のように無限に廣げられ得ます。國務大臣芦田均氏が國務大臣として閣議に列席した。その閣議は政府支拂に関する方針の決定をなし得る。從つて政府に対して床板を納入し、その代金の支拂いを受ける関係にある岡氏は、これによつて利益が得られる。從つて金品を受領すれば、それが閣員としての職務に関するものと言うことができる。しかし、こういうところまでいわゆる職務の関係を押し廣げることになりますと、私どもはまことに寒心にたえざるものと申さねばならぬのであります。さらに外務大臣、國務大臣の職務と、日本興業銀行の貸付との関係に至りましては、私の判断をもつてすれば、鼠がふえれば目医者がはやるという論理をもつてしても、なおその間の因果関係を発見することができないほどであります。私はこれ以上立ち至つて本件の容疑事実たる犯罪が、犯罪を構成するかどうか、無罪であるかというような法律論をいたそうと考えるものでありませんが、ただ一言私は申しておかなければならないことは、國務大臣が閣僚として閣議に列席して閣議を決定し、政令を制定するということと、國会議員が國会に列席して院議の決定に参加し、法律の制定に参加するということは、何ら性質上の差異はございません。しかして國会において決定せられたる院議や法律は、何らかの関係において日本の全國民のいずれかに、利害関係を持たないことはないのであります。かように考えてみますと、本件のごときものが有罪とせらるることがあるならば、あるいは有罪の嫌疑をもつて本件のごとく逮捕が認められなければならぬということになると、國会議員たる者が國民の何人からでも、いやしくも金品を受くる場合においては、本件と同様にただちに職務に関しこれを收受したるものとの嫌疑を受けて、逮捕の請求がなされるという危險があることを、特に注意しなければならぬのであります。今日御承知のごとく各政党の首脳者について、いわゆる政治献金なるものが多数に指摘せられていることは、御承知の通りであります。今もし本件のごときものを收賄の嫌疑あるものとして逮捕の許諾を與うる。これが先例となつた場合には、近き將來においてこれらの多数の政治献金につき、それが職務に関し贈られたものとして、逮捕の許諾を求められて來た場合において、私どもはこの先例に從つてこれを拒むことができないことになります。國会議員たるものはまさにまくらを高うして眠ることができないと申さねばなりません。かようなことになりますれば、國会議員に対する生殺與奪の権は、檢察官の手中に握られるということを、私どもは深く考えなければならぬのであります。私どもは金品を受領したる公務員と、これに金品を贈つた贈與者との利害関係が、本件のごとくきわめて間接稀薄なる場合においては、金品の贈與がその職務に関し贈られたことを特に推測せしむるような、的確にして具体的なる事実が指摘せられざる限り、收賄罪の成立は考えることができないのであります。かくのごとき具体的な事実が少しも指摘されていない本件の犯罪嫌疑は、きわめて稀薄であつて、かくのごとき程度の稀薄な犯罪嫌疑をもつて、國会議員の逮捕に許諾を與うることは、原議員、西尾議員の先例にかんがみ、嚴にこれを差控うべきものであるということを、主張するものであります。御承知のごとくただいま政治献金を一がいに罪惡のごとく罵倒せられておりますが、私どもは今日の考え方をもつて昨年の考え方を律することが、無理ではなかろうかと思うのであります。それは別といたしまして、今日の実情において政治家たる者が、額の差こそあれ、政治献金を少しも受けないというような人は、私はきわめて少数であろうと思うのであります。これを一くるめにして罪悪視するということが、私どもは間違つていると思います。政治献金に対する判断は、あるいは党の建前として、党において好ましからざる政治献金と考えられる場合もあると思います。それは党の問題として、党において判断すべき事柄であつて、他に干渉すべき筋合いではございません。また場合によりましては政治家として、政治献金を受けたことを罪悪視する場合もございましよう。その場合は國会における政治的立場においてこれを批判すべきであります。檢察廳がこれを問題とする場合においては、それが法律上煩瑣である場合に限る。その範囲を嚴に愼んで、それ以上に出てはならないということを、私は特に強調いたしたいのであります。 元來被疑者の逮捕を行うためには、御承知のごとく被疑事実の内容を明確にして、この事実について逮捕状の請求をなさねばならないのが、刑事訴訟法の要求であります。被疑事実を示すことなく、人身の自由を拘束する逮捕を行うことが許されたのは、封建時代の弊習であります。近代文明國のいずれの國法も、かたくこれを禁じているところであります。ところが悲しいかなわが國においては、この近代文明國の象徴をなす事柄として、憲法及び刑事訴訟法等において、特に人身の自由を拘束する逮捕は、その原因たる犯罪事実を明らかにしるした逮捕状のみによつて、これをなすべき旨の規定を設け、人権の保護を行つているにかかわらず、從來檢察廳の搜査においては、ややもすればこの規定の趣旨を脱法せられて、不当の拘禁が行われていることは、皆さん御承知の通りであります。すなわちある重大なる事件の搜査を行う便宜のために、まず枝葉末節のわずかなる嫌疑事実につき、一應の証拠をあげてこれを起訴し、この事件に関して逃亡あるいは証拠湮滅のおそれがあると名目をつけてこれを拘留し、起訴を行つて、裁判所から檢察廳がかつて記録を取上げて、裁判所に公判期日を指定させずに、その間の拘禁を利用して、主たる目的とする本來の事件の搜査の便宜に供する。この脱法的な拘禁が、今日におきましては半ば公然と行われております。このことはすでに慣行となり、一般人は当然のことと考えております。一般人だけでなく、裁判所もまた弁護士も、あえてこれを異としないという程度に及んでいるのであります。私はかくのごときは民主々義國家の恥辱であると申さねばならぬのであります。もし請求に掲げられたる嫌疑事実のほかに、別に重大なる犯罪の容疑事実があるならば、このことを明らかに指摘して、これについて逮捕許諾を求めればよろしいのである。また求めなければならぬのであります。隠されたる容疑事実の搜査の便宜のために、他の事実を名目として掲げて、被疑者の逮捕拘禁を求むるというがごとき脱法行爲を含む本件の請求は、私はこの点においても峻拒すべきであると考えるのであります。 第三に本件において被疑者を逮捕しなければ、証憑を湮滅するおそれがあるという当局の主張には、私は絶対に納得ができません。本件の内容を見ますと、金品の授受その他の容疑事実は明確となつております。問題となるのはもつぱら当事者の内心的意思がどうであつたかという点であります。主観的意思の問題に関しては、多くの場合において直接に証拠の存在しないのが普通であります。まして本件の場合においては、これらの証拠の存在は考えられない。もしあつたとすれば、すでにとつくの昔に湮滅をせられておつて、今日逮捕をいたしたところで、それは何らの役に立たないということは、先ほど石田委員からの申された通りであります。 由來犯罪の搜査におきまして、ほかに証拠を收集しても、的確な証拠をつかむことができない。かような事態に立入つた場合に、檢察当局は被疑者を逮捕拘禁して、これを訊問することによつて、搜査の手がかりを得、証拠の発見の手段とするのが、今日までの檢察当局の常套手段であります。裁判所もまたこの手段を暗默の間に認めて、証拠湮滅のおそれありとして、逮捕拘留の請求を無條件に認容しておるのが、今日の実情であります。私はかくのごときは檢察当局が時代に目ざめることができず、旧態依然として封建時代そのままの、岡つ引のやつたような搜査方法のみを固執して、新しい近代的な科学的搜査方法にくふうをこらすことができない結果、さようなことになつておるものだと考えるのであります。新刑事訴訟法の施行を眼前に控えておるこの際であります。本件の逮捕の要求をこの点において拒絶して、当局の反省に資すべきであると考えるのであります。 最後にただいま國会は本月末をもつて解散せらるべきことが、半ば公に予想せられている状態であります。私どもはかかる際において、本件の逮捕が今日この場合緊急になされなければならなかつたという、何らの理由を発見することができないのであります。私は多くを言ふことを差控えるものでありますが、本年六月西尾氏に対する起訴稟請が行われた場合の稟請の時期と方法、さらにその後における栗栖氏の逮捕の時期と方法、さらに西尾氏に対する再度の事件に対する逮捕の時期並びに方法を観察して見ますとき、それはいずれも符節を合するごとく、政界の激動が最高潮に達した時期に、その政治的影響が最も強く波及するような方法において行われたことを、感ぜざるを得ないのであります。私どもはこれが何ら格別の意図を有しない檢察当局の搜査の自然の進行の結果、偶然にかようになつたと考えるには、偶然の一致があまりにも多きに過ぎると考えざるを得ないのであります。心ある人々は、これをもつて檢察当局のフアツシヨ化と呼んでおります。國家のためまことに憂慮にたえないことと私は考えるのであります、私はこの際でき得るならば、本件の逮捕の許諾の要求を拒否することによつて、檢察当局に反省を促すことにしたいと、かように考える次第であります。以上をもちまして私の理由を終ります。
○石田(博)委員長代理 ちよつとこの際御注意を申し上げておきたいと思うのであります。なお討論の通告をせられておる方々が六人ございます。從つてできるだけ簡單に御討論願いたいと思うのであります。さらに本件は本院にとりましてはきわめて嚴粛な問題であると考えますので、傍聽の各位におかれても嚴粛な態度を持せられんことを望みます。内藤友明君。
○内藤委員 ただいま委員長から御注意がありました。殊に安田さんからこまかな法理論を承つたのであります。私どもはきわめて簡單に國民協同党の見解を表明したいと思うのであります。 去る十一月二十八日総理から議長に宛てまして、芦田さん外お二人の逮捕の許諾を求められたのであります。この要求書に述べられてある事実からいたしまして、またその後この委員会において政府委員からの説明を聞きまして、はたして許諾を與うべきものであるかどうかということについて、まことに判断に苦しくあつたのであります。殊にこういうことはわが國会史上空前の事実でありまして、しかも前総理であり、一党の総裁であられた方が逮捕されるということは、國会の権威からも軽々しく扱うべからざる問題と考えたのであります。しかし一面最近は政界の実状を見ますると、幾多の疑獄事件が起つております。國民は國会にあいそうをつかし、これを一日もすみやかに解散せねばならぬと考え出しました大きな原因がここにあると思います。冷靜に考えまして、わが國にとりまして、これほど大きな不幸はございません。ことに再建せねばならぬと懸命に努力を続けておりますまじめな國民が、國権の最高機関である國会を見放すように相なる。これはゆゆしい問題で、單に民衆がどうのこうのという問題ではございません。從つて國会をして國民の信頼を取戻し、その権威あらしむるようにするためには、臭いものにふたをするようなことではなく、この際かかる問題をみずから進んで明らかにすることこそ、國会が担うべき一つの義務であると信ずるのであります。と申しまして現下のこの問題はいかにも私どもに割切れぬ印象を與えております。被疑事実の調べ方につきましても、余すところ十日余にして解散となるこの國会に、急いで逮捕拘禁せねばならぬということは、どうしても政治的臭みがあると批評せられてもあながち否定はできぬと思うのであります。ことに過日本会議におきまして、社会党から緊急質問をせられた当時の法務政務次官であられた田中角榮さんは、当局から家宅搜査を受け、九州の同氏の事務所は取調べを受け、社員が強制收客されておりまずが、田中さんはただ政務次官をおやめになつただけであります。これに類したことはまだ他にもあると聞くのでありますが、事情をよく知らぬ一般社会の人々はいかにも党利党略のやり方だ、片手落ちだと存ずるのも、決してむりからぬことだと思うのであります。 第二國会におきまして、國会法の改正の結果、開会中の國会議員の逮捕の許諾を求めるには、裁判所から内閣を通じて國会に要求する手続が必要となり、しかも裁判所は逮捕令状を発行する意思がある場合に、この要求があるのでありますから、手続の形式的な面におきましては、世上うわさのある檢察フアツシヨのおそれはないと思いますが、ただ檢察官の逮捕令状の要求がありますると、今までは例外なく裁判所はこれを許可しているということには、何らか考えさせられるものがあるのであります。ただ私はこういうことから檢察フアシヨが行われるといううわさどころでなく、そういうことがまつたくないことを心から祈るものであります。私どもはこの國の再建は清新なる政治、政界の淨化がその根本であると思いますがゆえに、私情からいたしますと芦田さん外御二人にはまことに氣の毒でありますが、わが國会史上類例のない逮捕要求に許諾を與えるということに相ならねばならぬと思うのであります。かような理由のもとに國民協同党はこの許諾を與えることに決定いたしました。 最後に私どもはこの際特に総選挙が近く行われようとする機会において、疑獄事件がすべて徹底的に究明せられて、ほんとうに信頼をつなぎ得る明るい政治が発足することを心から祈つてやまないことを附言いたしておきたいのであります。
○榊原(亨)委員 私は新自由党を代表いたしまして、本案に許諾を與えることに反対をするものであります。その理由は先ほど安田委員がくわしく法理論をお述べになりましたので、私はその要点についてただ項目をあげて申し上げたいと存じます。 第一に申し上げたいことは、この逮捕の要求状に現われている事実のみによつてわれわれは判断すべきでありまして、その搜査の道行きとか、あるいはまた檢察当局がにおわされたごとき事件等につきましては、当然問題がないのであります。またさらにここに申し上げたいことは、先ほどもいろいろと討論の中にお述べになつた方があるのでございますが、これはこの際この逮捕要求状に表われていることのみによつて判断すべきであつて、世論のいかんはこれは問うべきでないと私は信じます。要求書並びに当局のお話によりますると、私どもはどうしてもこの傍証なるものが、岡氏の供述のみによつて固められたかのごとき感を持つものでありますが、第一番目に私どもは岡氏の人格そのものにつきましては、すでに僞名を用いておられるという点、並びに北浦、川橋、芦田の三君のお述べになりました岡氏の人格については、相当私どもは疑問を持つものでありますが、かくのごとき疑問を持つ人物の供述を主として傍証を固められたことにつきましては、私ども多大の疑問を持たざるを得ないのであります。さらに今後も同様の取扱いを受けたしといつて、その間の事情を知悉しながら、芦田氏が收賄されたごときことを理由の一部に上げているのでありますが、その芦田氏の心境そのものは芦田氏の御性格から申しましても、これを口外されたとは私どもとうてい思うことができないのでございまして、この点も岡氏の供述のみによつてさようなことを考えられたのではないかと思うのであります。 さらに第三点は、共謀の事実に確証のないことであります。川橋、北浦両氏が收賄幇助の共謀をしたと言われますけれども、本人の供述によりましてもさようなことはわからないのでございますし、また当局のお話によりましても、ただ共謀のことについて確信があるとのみお答えになつて、その確証を握つておられるということのお話は全然ないのであります。 次に申し述べたいことは、政府支拂いの促進、あるいは興銀の融資等は、先ほども安田委員がお述べになりましたように、國務大臣の職務、職権を拡大して考えた場合には、なるほどこれに対して責任が出て來るかもしれませんけれども、この点につきましては私どもははなはだ大きな疑問を残している次第であります。 次に証拠隠滅の事実につきましては、三氏のお話を承りましても、証拠隠滅をはかつたことはないという確証をお述べになつておられるのでございますし、またすでに家宅搜査が行われた以上、私どもの常識といたしまして、これ以上証拠隠滅をはかられるというような疑いを持たないのであります。さらに問題となりますことは、任意出頭を一回も行わず、本人の供述を待たずして、かくのごとき非常手段に出られたことに対しまして、これまた岡氏の一方的供述のみがその主たることと私は考えるのであります。その任意出頭の供述を一回も行わずして、非常手段に出ざるを得ない理由は何かということを当局にお問いいたしましても、諸般の事情からというだけでありまして、その諸般の事情は何かと申しますると、ただ單に証拠湮滅のおそれがあるというただ一つの事実のみをおあげになりました。諸般の事情について詳しい御見解を当局から承ることができなかつたのであります。さらに國会運営上の考慮からいたしましても、すでに民主自由党の大野氏は、國会運営上必要というので釈放せられておりますし、また当然同様の立場にあるがごとき事件において、なおかつかくのごときことが行われておらないという風聞を聞くのであります。またその他議員の身分につきましても、國会運営上の問題につきましても、このことは安田委員が詳しくお述べになりましたから私は省略いたしますが、多大の疑問なきを得ないのであります。さらにかかる要求が緊急性があるかどうかという客観的判断でありますが、すでに川橋、北浦両君は弁護士を通じて檢察当局に任意出頭の形で一日も早く取調べをしてくださいということを申されたにかかわらず、檢察当局といたしましては、三、四日の間はもうすでにほかの事件の取調べの予定が組んであるから、三、四日間はできないというようなことを御発言になつたと私は承つたのでありますが、こういうことがあります以上は、どこに檢察当局がお述べになられるような緊急性がこの問題にあるのでございましようか。さらに最後に申し上げたいことは、檢察当局はすでに公の場所で自分は潔白であるとお述べになつた高位高官の方が、一たび拘束されて取調べを受けた場合には、これが犯罪を明らかに形成した者があるから、当局を信用してくれというようなお話がございました。しかしながら反対に原君のごとき、あるいは西尾君のごとき、これらの方々は檢察当局が確信をもつて調べたにかかわらず、無罪の事実があるということを私どもは思いまするときに、ただ私どもを信用してくれと檢察当局が言われましても、國会議員を信用するか、檢察当局を信用するかということにつきましても、私ども多大の疑問を持つているのであります。 以上のような事実を総合いたしまして、私どもは本案に反対を表明するものであります。
○成重委員 私は社会革新党を代表いたしまして、ただいま議題となつております芦田、北浦、川橋三氏の逮捕許諾に関しましては、われわれ議員といしたましては、情においてはまことに忍びないと存じまするが、國民の輿論の上に立ちまして、遺憾ながら本件許諾に対しましては賛意を表する者であります。この機会に一言その趣旨を述べたいと考えます。 去る二十八日に、東京地裁より芦田、北浦、川橋三氏の逮捕の許諾を憲法第五十條、國会法第三十三條及び第三十四條の二の規定によりまして要求されたのでありますが、本件は当運営委員会に付議されまして以來、委員会を重ねること第三、第四國会を通じまして六回、その間殖田法務総裁及び木内檢務長官並びに高橋檢務局長の出席を求めること二回、なおまた被疑者たる芦田、北浦、川橋三氏の御出席を求めまして、その眞相を聽取し、あわせて入江法制局長の國会議員逮捕に対する法的解釈も研究したので、本件に関する限り事がきわめて重大なために、その審議は遺憾なく盡されたと私は信ずるのであります。しかるに第三國会の末日において社会党より提議した延期の動議が多数によつて決せられ、ついに第四國会においてあらためて再度の逮捕許諾が要求せられたのであります。しかるにその延期動議の理由は、社会党におきましては党議未決定のために、また動議に賛成せられましたその他の会派の方々は、逮捕の緊急性に乏しいこと、國会との関係が判然しないこと、刑事訴訟法の不当の拘束の疑いのあること、檢察廳の言う証拠湮滅のおそれなきこと、または國会議員逮捕の法的解釈などの諸点があげられているのでありますが、しかしこれらの諸点は、法務廳本院法制局あるいは被疑者等の出席を求め、説明の結果、私は大体において納得ができたと思うのであります。しかも檢察当局は、從來のいろいろな先ほど來各委員が述べられております理由にかんがみて、今回の芦田氏らの逮捕は、國内外的に私は影響の甚大なることを十分に考慮の上、絶対の確信をもつて逮捕の許諾を求めるという責任ある態度を本委員会において再三明白に表明されているのであります。本件は國民多数の疑惑に包まれ、檢察当局からも逮捕を求められている。容疑者は、もし國会の擁護によつて逮捕を免れ、事件の取調べに重大なる支障を生ぜしむるような事態がもし起るとしたならば、國民の國会に対する不信はますます強くなり、ひいては議会政治そのものを否認するような結果を生じないとも限らないので、この場合國会は重大なる責任を痛感するものであります。 最近の疑獄事件等に関しまして、芦田氏らの身辺にまつわる疑惑は日とともに深くなり、今や國民の大多数は檢察当局の今回の逮捕要求は妥当と思い、一日も早く黒白を明らかにし、政界の明朗化をはかることを望んでいると私は信ずるのであります。また芦田氏らが言うように、その身の潔白を確信しておられまするならば、一刻も早くそれこそみずから進んで黒白を明らかにすることが同氏らのとるべき最善の途であると私は信じます。しかし本件拒否を主張される方々の言われるがごとき檢察当局のフアツシヨ化、あるいはこれが裏面に政治的策謀あり等のことがもし眞にありまするならば断、じてその責任は檢察当局にあるということを私どもは強く究明をしなければならぬと思うのであります。この点を特に私は一言いたしまして、以上簡單に理由を述べて社会革新党といたしましては、本件に許諾を與えることに賛意を表するものであります。
○石田(博)委員長代理 この際ちよつと申し上げます。先刻の安田君の発言中過日の秘密会の記録にわたる部分がありますので、その部分は一應速記録より削除いたしておきますから御了承を願いたいと存じます。榊原君の分にもあつたそうでありますから、同様の取扱いをいたしますからこれまた御了承を願います。今後一々申し上げませんが、さような場合がありました場合には、右と同様にとりはからいをいたします。
○田中(久)委員 第一議員倶樂部は芦田、北浦、川橋三人の逮捕要求に関して、三人のお話と檢察廳の要求と説明に対し研究討論をいたしました結果、檢察廳の逮捕要求はこれを拒否すべしと満場一致をもつて決しました。反対の理由の詳細につきましては、逮捕許諾の反対各党の御意見と大差がありませんのでこれを省略いたしますが、われわれの企図いたしますところは、民主政治の徹底のために、立法府の独立を尊嚴を第一義といたしているのであります。ことに今日のごとく政治情勢が混乱をいたしておる時代におきましては、まず基本的に何が正しいか、原則的にいかに判断すべきかということを第一に考えなければならぬと存じます。本件は今日新しい前例をつくることとなるのでありますから、あくまで一時的な感情や世評に動かされることなく、國会の尊嚴と立法府の独立を守るべき観点から正しく判断すべきであると考えます。もとより昭和電工疑獄にからまるところの疑惑は全國民注視の的でありまして、政界淨化のためにこれが徹底的に究明せらるべきことは当然のことであります。しかしながら憲法第五十條の示しておりまするところの精神は、個々の問題やまた個々の人によつて論を左右さるべきではないのであります。憲法第五十條が、行政府並びに司法府のいかなる地位の者にも賦與していない特権を國会に與えておりますゆえんのものは、國民のための審議権を擁護するという大精神にほかならないと信じます。この点より第一議員倶樂部は、去る一月原侑君の逮捕の要求に対して、これを拒否すべしといたしましたのと同様に、今回もこれを拒否すべしと決定をいたしたのであります。
○堀江委員 労働者農民党を代表しまして、きわめて簡單に見解を発表いたします。 本件につきましては、わが党としては許諾を與うるべしということに結論が統一いたしました。その理由についてはただいまの許諾に賛成するといういろいろな理由と重複いたしますので、私は結論だけ申し上げます。 昭和電工事件を初めとするところの各種疑獄事件については國民は非常に大きな関心を持つており、このために國会すらも非常な不信を買つていることは皆さんもすでに御承知の通りでありまして、この事件がいかになり行くかということは、さらに最大の関心をもつて見守つているのであります。政界、財界、官界の粛正なくして、日本の民主主義政治の確立はあり得ないという意味におきまして、もし本院がその要求を拒絶いたしましたならば、國民は非常に大きな國会に対しての疑惑を持つでありましよう。われわれは進んでそうした疑惑を拂うために、國会の権威を守るために、ぜひ許諾を與うるべきであると考えるものであります。なおいろいろな事実拘束の必要な條件、あるいは收賄罪が成立するかどうかというようなことについては、檢察廳なり裁判官の決定に從うべきでありますが、ただ過日來この委員会においていろいろ協議され、また各種專門家からいろいろの見解を聞いたところによりますと、われわれの考えといたしましては、拒否すべきではないというところの結論に達したのであります。最後に檢察フアツシヨの問題につきましては、これは別に問題として十分考究し、今後檢察フアツシヨがいわゆる政治的な策謀に乘ぜられぬような対策を取るべきであるということについては賛成するものであります。 以上きわめて簡單でありますが、許諾を與うべしという点についての意見を発表いたすのであります。
○中野(四)委員 日本農民党ではこの重要性にかんがみまして、党員は少いといいながら、この点に関しては侃々諤々たる意見の交換をいたしました。もとより憲法擁護の建前から愼重に愼重を重ねて討議をいたしましたが、結論から言えば、本件についてはまつたく残念ながら許諾を與うべしという決定に至りました。すなわち本事案は國会の権威及び運営の見地よりして重大なる案件でありまして、三権分立の建前からいつても國会は國家の最高権威としてその存在意義を憲法に明定しているのであります。いわんや第三國会、第四國会ともにマ元帥書簡に基く國家公務員法の改正に伴う補正予算等の重大かつ緊急を要する案件審議のために召集されたものであります。今回裁判所側より芦田、川橋、北浦三君に対して証拠湮滅のおそれがあるというような理由で、緊急に三君を逮捕したいという要求をいたして参りましたけれども、これに対しましては、今後の國会運営及び統制の上に重大なる影響を及ぼしまするので、愼重の上にも愼重を期すべく、法制局にもお手数を煩わし、それぞれ專門家にも意見を伺いまして、諸種の事情を勘案いたしましたる結果芦田内閣の辞職の動機と吉田内閣成立の理由等を参酌し、國内人心及び國際関係に及ぼす影響等も考慮いたしまして、基本的には私らは國会開会中に議員の逮捕は許すべきでない、こういう考え方を持つてはおりますが、今回の場合におきましては、まつたく残念ながら三君の逮捕要求に対して許諾を與うことに賛成をしなければならぬ。これは残念のきわみでありますが、やむを得ざる仕儀と御了承を願いたい。以上賛成をするための意見を述べるものであります。
○石田(博)委員長代理 この際お諮りをいたします。委員外徳田球一君から発言を求められておりますが、これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 ではこれを許します。徳田君。
○徳田球一君 異議ある方もあるかもしれませんが、私たちの方はオブザーバーとして発言権があるので、許されているのでありますから、しばらく御好意に甘えまして、簡單に意見を述べたいと思います。 共産党としましては、もちろんなるべく早くこれは許諾を與うべきである。今まで延びたのが実に残念である。早く與うべきであると考えておつたのであります。なぜかと申しますと、本件は政治的な爭い、すなわち破廉恥罪的要素を含まないものでありますれば、これは許諾を與えない方がよろしい、すなわち政治的の見解の相違ならば、これは実際上政爭に用いられると思うのでありますけれども、今のような場合、これが破廉恥罪に属する場合はこれは政治的の爭いとしては、私どもは理解してはならないのではないかと考えるのであります。この案件に関しましては、日本の現在の政治、経済、社会の全体に対しまして、非常に重大なる要素をなしておるということに基いて、これは許諾を要求せられておるものと考えるのであります。それが單に一片の破廉恥罪とか何とかいうならば別でありますけれども、そうではない、これは日本の國家にとつて非常に大きな損害を及ぼす事件であつて、國際的にも、國内的にも重大なる案件であると思うのであります。從いまして、これに対して檢察廳が相当の理由をもつて要求する場合は、これは当然許諾を與えなければならぬと考えるのであります。檢察廳の要求と、それから被疑者と目されておられる三君の供述とはまつたく相違するのであります。この点につきまして、私たちはいずれを信ずべきか、被疑者の方々の言われる通り、全然犯罪の成立し得べからざるものであるとするならば、これは檢察廳はまつたくひどいものでありまして、これはフアツシヨ化という名前で呼ぶべきかどうか、これは大きな問題でありますけれども、しかしそういうことであれば、これは檢察廳は最も重大なる犯罪であると信ずる。なおかつこのことに関しましては内閣も責任を負うべきであると考えるのであります。もしそういう場合におきましては、われわれ議会は檢察廳に対しまして、さらに重大なる責任を追究いたすべきである。政治的の責任はもちろんのこと、法律上の責任、すなわち職権を濫用して、他人に被害を與えているという重大なる刑法上の責任として、われわれは別にこれを追究すべきであると考えるのであります。でありますから現在のところ檢察廳がこれだけの重大な地位にあつた人に対して逮捕を要求する以上、これは相当根拠あるものと認めざるを得ない。もしこれらの人々が眞に無罪であるとするならば、盡すべき手はたくさんあつたのでありまして、いまさらこれを逮捕うんぬんの要求をすべきときでない。またその逮捕うんぬんの要求が出てからも、いくらでも盡す余地はあつたと思うのであります。その手を盡さず、しかもこれに対しまして、全然無罪であるということを申しますことに対して、これは檢察廳が証拠湮滅の憂いありと理由をつけるのは理由がないことではないと思うのであります。これらの要求に関しまして、いろいろ詳細なる記述をして、何人もこれは犯罪であると信ずるまでに立証しようとすることは、現在の組織におきましてはできないことであるこういうものまで要求するならば、これは裁判をするだけの証拠をあげなければならないのでありまして、われわれはこういう点におきましては、いずれの点に信ずべき責任を求めるかということになるのであります。この点につきましては、檢察廳の要求することに対しての責任の方が、私は正しいと思うのでありますから、これを認めまして、逮捕の許諾を與うべきものと主張する次第であります。
○石田(博)委員長代理 これにて討論は終局いたしました。ついてはこれより採決に入るのでありますが、この際委員外の方々は、このテーブルより少し離れたところに下つていただきたいと存じます。 次に採決の方法についてお諮りいたします。三君を一括して採決いたしますか、それとも各人別にいたしますか、御意見を伺いたいと存じます。 〔「一括」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 三君を一括して採決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 ではさように決します。これより採決いたします。 議員芦田均君、同北浦圭太郎君、同川橋豊次郎君の逮捕の許諾を求める件については、これに許諾を與うべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○石田(博)委員長代理 起立少数。よつて本件は許諾を與うべきでないと決しました。 なお本件に関する委員会の報告書については、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 御異議なければさようにいたします。 —————————————
○石田(博)委員長代理 次に本委員会の審議の結果を本会議に上程する件についてお諮りいたします。
○椎熊委員 重大なる本件を本会議に上程するにあたりましては、委員長を中心といたしまして今御決定に相なりました報告書等の準備もございますから、本日は遺憾ながら委員長は別の要件のために外出せられたということでありまして、お帰りになるのを待つて、報告書を作成することになりますればおそらく相当時間がかかると思われます。それで私は本日の議員の登院の人数などを勘案いたしまして、かくのごとき重大な問題でございますから、定足数などに故障の起らないような状態の際に、大多数の人々によつて御審議御決定を受けたい。こういう見地から、本件は明後月曜日の本会議に上程すべしとの動議を提出いたします。
○石田(博)委員長代理 ちよつとお諮りをいたします前に申し上げておきます。ただいま御承知のごとく山口運営委員長と、淺沼委員は所用があつて外出いたしておりますので、私が代つて委員長を勤めているわけであります。しかしながら山口委員長の場合におきましては、あるいは淺沼委員の場合も同様でありますが、必要とあれば帰り得る状況にありまするので、この点を理由とせらるることについては、私どもの方から一言申し上げておきたいと存ずるのであります。 さてお諮りいたします。ただいまの椎熊君の動議について御意見はありませんか。
○徳田球一君 大体この件はもうすでに準備せられているので、大体そうひまはいらないじやないかと思います。できれば本日中に一つ決定したらどうですか。
○今村(忠)委員 この点については各党で協議する必要もあると思いますから、暫時御休憩願います。
○石田(博)委員長代理 暫時休憩してはという御意見がございますがこの際議論を盡してみたいと思います。大体御意見はございませんか。——ちよつと速記をとめて……。 〔速記中止〕
○石田(博)委員長代理 速記を始めてください。
○中野(四)委員 これはあらためてやるということに願います。
○石田(博)委員長代理 それではお諮りいたします。先ほどの椎熊君の動議の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 それではさように決定いたします。 —————————————
○石田(博)委員長代理 他にお諮りいたす議案があります。先ほど休憩前の本委員会におきまして、厚生委員長から要求されておりました委員派遣の件については、委員長と厚生委員長との間で話合いをつけるようにという決定になつたのでありますが、ただいま佐々木厚生委員長がこの席に見えられまして、ぜひとも御説明申し上げたいと言うておられるのであります。これを本日のこの委員会の議題にいたすのに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 それでは厚生委員長の御説明を願います。
○佐々木盛雄君 きわめて簡單に申し上げます。御承知のように國家の予防接種という法律によりまして、ジフテリアの予防注射をやつたわけでありますが、その後中毒作用を起しまして、すでに八百数十名が罹病いたしまして、入院をしております百九十名の中で、十名が死亡、また麻痺症状を起しまして片輪になつている者が今のところ百名ばかりあります。かような重大な問題でありまして、この間におきましては、薬の調剤その他におきましても、非常な手落などもあるようなことがありますし、現地では今たいへん問題になつております。ぜひとも実情を調査して、これに対する善後処置をはかりたいと考えておりますので、もし最初に出しました期間が長過ぎるというお話でありましたならば、これを最小限度に縮めますからぜひとも当委員会の御承認を得たい、かように考える次第であります。
○石田(博)委員長代理 ただいま佐々木厚生委員長から先般の事件について御説明がありました。これを議題といたしますに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 異議なしと認めます。議題といたします。
○椎熊委員 先ほど榊原委員からもこれは緊急性の問題であるという御発言がありました。特にこの席で厚生委員長として申されるからには、相当重要性があることだと思いますから、この際特に原則を破るようですけれども、委員会の切なる希望を入れて、そのかわり人数等も減し、日数等も制限をいたしまして派遣せしむることに私は賛成いたします。
○石田(博)委員長代理 ただいま椎熊君の御発言に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 それではさように決定いたします。派遣すべき人数並びにその日数等につきましては、運営委員長と厚生委員長の間に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 それではその旨議長に答申することに決定いたします。 —————————————
○石田(博)委員長代理 これからの本会議はただちに開会をいたしまして、國務大臣の演説に対する質疑を延期いたしまして散会することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田(博)委員長代理 さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後六時五分散会