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3回国会衆議院1948/11/29

法務委員会 第12号

発言数
67
登壇者
10
会派数
2
開催日
1948/11/29

会議録

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 それでは会議を開きます。刑事訴訟法施行法案、裁判所法の一部を改正する等の法律案の両案を一括議題として審査を進めます。猪俣君。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 佐藤官房長官にお尋ねいたします。本日われわれはこの刑事訴訟法の施行期日につきまして、その筋へ了解を求めに参つたのであります。これは一月一日からの施行がいろいろ困難な事情があるがために、四月一日にしてもらいたいということの了解に行つたのであります。その際にその筋の責任者の言として、これは一月一日から断行することを決定し、そのことは官房長官にしかと申し入れてあるはずである、それを諸君は知らないかというような話があつたのであります。われわれはこの法務委員会において、この刑事訴訟法につきましては心血を注いで審議をしたのでありますが、なおこの施行については、朝のみならず野の弁護士会においても、一月一日からの施行がむりであるという輿論がありますために、それに対してきよう打合せに参つたのでありますが、われわわは何も知らなかつたような状態を呈して、はなはだ面目を失したような形になつたのであります。さようなことがもし官房長官に傳えてあるならば、少くとも國会に連絡をしていただかないと困ると思うのでありまして、その辺の事情を承りたいと思います。

佐藤榮作内閣官房長官

○佐藤(榮)政府委員 ただいまのお尋ねにお答えいたしたいと思います。皆樣方が刑事訴訟法施行その他の法案につきまして、長し間まことに御熱心に御審議いただいておりますことについては、政府の一人として私からも厚くお礼申し上げたいと思います。なお問題になつております施行期日の点について、委員の皆樣がみずからその筋にお出向きになつたと、かように伺いまして、私は非常に皆樣方の御熱心なのに、心から感激をいたしておるものであります。ただそのお話の中にありましたごどく、この施行期日の点は一月一日に確定され、しかもそれは一切動かないものだと強い申し入れが官房長官にしてある、かようなお話でありましたが、実は私自身関係の筋とこの問題について直接交渉いたしたことはないのでございます。從いましてただいまのような関係筋の方のお話は、実は私は十分了承しておらないように私自身考えているのでございます。ただこの機会に一言申し上げて見たいと思いますことは、この國会に提案すべき法案は、どの法案を出すかということをきめます際に、最後にガバメント・セクシヨンに参つたことはあるのであります。しかしリーガル・セクシヨンには実は参らなかつたのでありますが、その際にマ元帥書簡に基く重要法案の名前は実は確認をいたしたのでございます。同時にまた、これは直接会つたわけではありませんが、書面としてこの國会に提案すべき法案を全部羅列いたしまして、その筋に提出をいたしたことは事実であります。しかしながら各法案の内容についてのお話は、実はただいまお話のようにはしかとは伺つておらないということを、一應釈明いたしたいと思います。万一そういうような事実がありまして、皆樣方に御報告をせず、皆樣方に御迷惑をかけたといたしますれば、猪俣委員のお話のごとく私がまことに怠慢であつた、かように思うのでございますが、ただいま申し上げるるような実情でございますので、何とぞこの点は御了承願いたいと思います。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 それは意外な言葉でありまして、たしかにわれわれはさように聞いて参つたのでありますから、その点一つお確かめ願いたいと思います。  なお大藏当局も來ておられるかどうか知りませんが、官房長官は内閣の大番頭でありますから、ついでにお聞きいたしますが、この刑事訴訟法を一月一日から実施することにつきましては、多大の予算を必要とする。その予算面で実施がはなはだ困難であるということを、実施困難の一つの理由としても言つたのであります。そうすると先方では、いやそれも二、三日前にこちらから嚴重な申入れをして、相当の予算を組んだはずだ、それを諸君は知らないかというようなあいさつであつたのでありますが、一体この新刑事訴訟法を実施するについての予算がいかように相なつておるか、これは法務総裁もおいでになることでありまするし、どのくらいの額になつて、どうなつておるかをお聞かせ願いたいと思います。

佐藤榮作内閣官房長官

○佐藤(榮)政府委員 先ほどのお答えにちよつと補足いたしますが、私自身がこの問題を直接交渉をしなかつたということを先ほど申しましたが、なおこの法律の施行につきましては、法務総裁から伺つておりますところでは、一月一日はいかにも困難だから、その施行期日の延期方について関係の筋にお申出をなすつたと、かような御連絡があつたことを附加えてこの機会に申し上げておきます。  なおただいまの予算の問題でありますが、予算の問題につきましては、法務総裁から閣議にお諮りになり、この所要の予算の要求を強くなさつたことがあるのであります。今回の予算はいずれ今明日のうちに提名されることに相なると思いますが、雜件という費目がありまして、相当多額の金が実はあるのでありますが、その中にこの刑事訴訟法施行に関する経費を計上するということに相なつておるのであります。ただいまその金額がいくらであるか、私自身申し上げるだけの材料のないことを遺憾といたしますが、この予算計上の方法といたしましては、その雜件の中に入れるということに相なつておるのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 私からも申し上げます。この施行期日を延ばしてもらいたいということは、前々から実は話したのでありますが、どうしてもいかぬから予定の通りにやれということでありますので、予算を約九億請求してあるのであります。実際を申しますと約四十億いるそうでありますが、それを圧縮いたしまして、九億に足りません、八億何千万円であつたか、はつきり私は覚えておりませんが、約九億の予算を強く要求いたしまして、特別な項目にしてほしいということを申したのであります。予算技術の関係上、また折衝の関係上、それが困難でありましたので、雜件の中で処理する、こういうことを大藏大臣から承認を得ているのであります。ところが私の大藏大臣と折衝いたしましたときは、雜件に計上しまする費用が六十五億でありましたが、多分今明日提出いたしまする予算面では、それが四十五億ばかりに減つておりはせぬかと思います。そういたしますと、私の初め頼みました九億が多少動搖するきらいはないともいえないのであります。それは四十五億という雜件の中の分配の問題でございますから、まだただいまのところ交渉いたしておりません。いずれその予算を審議している途中か、あるいは通過いたしましてから大藏省と折衝してよい問題と考えております。そこでその予算の方の準備はできたわけでありますが、予算がが通り、あるいは施行法が通り、それから最高裁判所で制定しますルールが通り、警察官の基盤ができるといたしましても、來年一月一日から施行するということははなはだ困難な事態でありますから、万一のときには施行ができないかもしれないという理由をもちまして、私は檢事総長を帶同いたしまして、その筋に参りましてるる陳情したのであります。そこでまた何か曙光が開けはせぬかと実は期待をしているわけでありますが、お話を伺いますと、それは非常に暗いことになつているのでありまして、今はなはだ憂慮いたしておる次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今の法務総裁のお話には、二つばかり私ども当局と話して來たことと違つている点があるのでありますが、この点はいずれ政府におきまして適当に処置していただきたい。私の官房長官にお聞きしたいことはこれだけでありますから、ほかの方から御希望がありますれば別でありますが、私としてはこれで終ります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 その予算は今は雜件で一括しております。そこに何か食い違いがあるかと思います。それからこの間に猪俣さんの御質問にお答えいたしましようか。後ほどお影えいたしましようか。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 ちよつと待つてください。これはなお大藏当局に出席を要求しておるのでありますが、きようはどうも出られない樣子でありますから、なお大藏当局にもお聞きしたいと思うのでありまして、予算関係はその程度にいたしておきます。  それからなお話が少しかわるのでありまするが、法務総裁及び檢務長官がおいでになつておりまするがために、私一、二の点をお聞きしたいと思うのは、これは東京弁護士会において相当問題になつておることでありますが、福井檢事総長が丸ビルの六階に福井事務所としうものを設けて、自分自身が弁護事務をやらぬにしても、世界からどうも疑惑を受けるところのかつこうを呈しておる。そして檢事総長はしよつちゆうそのオフイスに出かけているようである。そこには池田克という大審院の檢事をやつておつた、りつぱな人が弁護士としてやつておるにかかわらず、池田事務所という看板を出しておらぬ。そうして福井事務所としてやつておる、のみならずいろいろ巷間傳うるところによれば、その福井事務所で働いておる弁護士が二、三人あるようであるが、その人たちの口から出たものか、あるいはそれらの人に依頼した人がかつてに言うのか知らぬが、われわれは檢事総長のところの働いておる弁護士に依頼したのであるから、一般のへなちよこな弁護士なんかは相手不足だというようなことを言う者があつて、非常に憤慨にたえない次第だというようなことがあるのであります。檢事総長がさような官吏として弁護士をやつておられるとはわれわれ思いませんが、しかしながらさような疑惑を起すような看板をいまだに掲げておられるということに対しては、これは檢察の最高長官として、はなはだ不謹愼ではないかと考えられるのでありますが、さようのことについては一体法務当局は御存じであるのかどうか、またそれはさしつかえないという御見解であるのかどうか、それを承りたいのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいま福井さんのお話は、実は私初めて伺いましたので、ちつともそういう事実を存じませんでしたが、さつそくよく取調べまして、善処いたすようにいたしたいと思います。起訴の問題は檢務長官からお答えいたします。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 猪俣委員の仰せの濫訴の問題につきましては、私はまことにごもつともと思うのであります。むろん旧法でやりたいからといつて、起訴の時期にも達していないものを起訴するというようなことはないことと私どもも考えておりますが、またさような疑惧を受けることは檢察当局としてもまことに遺憾のことであります。また私はさようなことをすべきものでない、かように考えております。ただ從來年末には、毎月の事件よりは事件処理が倍以上になつておるのでございます。從つてこれは新法が実施になろうがなるまいが、十二月の起訴というものは、從來の例から相当ふえることは起り得ることと思うのであります。しかしながら先ほども申しました通り、新法の適用を受けないようにするがために、起訴の熟していないものを起訴するというようなことは嚴に戒めなければならないことでありまするから、十分その点につきましては、私どももその趣旨の徹底するようにいたしたいと思います。なおこの点につきましては御注意がありませんでも、私の方でも実は考えておりまして、日を改めてこの点につきまして法務総裁から全國檢察廳に対しまして通牒を出してもらおう、かように考えておつた次第であります。御注意がありましたので、早急にその点を実行したいと、かように考えております。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 法務総裁がおいでになりませんけれども、檢務長官がおいでになりまするからお聞きしたいのでありますが、近來檢事のフアシヨ化というような説が、どうもちらほら出て來ております。これは戰時中に現われた新しい言葉でありまして、私どもが身の毛のよだつほどきらいな言葉であります。それがちらほら耳につくような相なつたのでありますが、それに関連いたしまして、芦田前総理大臣に対する逮捕状が出るために、國会に院の許諾を求めて來たという事件がありますが、一体私どもは政党が違う人でありますけれども、とにかく昨今まで一國の総理大臣をしておつた人でありまして、この人を逮捕するということは容易ならざることであつて、これは外國に対しましても重大なことであります。日本におきましても、いまだかつて総理大臣で逮捕せられた者はないということでありまするがゆえに、これに対しましては最も重大なる嫌疑がなければならぬと思うのであります。いかなる理由でこういう逮捕状が出されるように相なつたのであるか、われわれ刑事訴訟法を審議いたしました法務委員会としては、非常なる関心を持つのみならず、なおわれわれと同じ委員の北浦氏がやはりこの逮捕状の中に入つたということに関しましては、われわれもその眞相をお聞き申しておかなければならぬ。いかなる嫌疑があつてかような逮捕というような重大なことが行われるのであるか、これをお聞きしたいと思います。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 この問題につきましては、昨日法務総裁と私と、二人が運営委員会に呼ばれまして、御説明を申し上げたのであります。大体秘密会において申し上げておつたものでありまするが、秘密人前に総裁から御説明になりました点を御説明申し上げまして、御了承願いたいと思うのであります。それは栗栖氏が涜職罪で強制收容されました後に、同氏が別に岡直樹という者から復金融資に関しまして賄賂の提供を受け、これを拒絶したという事実を申し述べたのであります。そこで岡直樹に対する賄賂提供罪の取調べのために、本年十月十二日岡を逮捕しました。取調べの結果、事案明瞭となりましたので、十月二十一日に賄賂提供罪をもつて起訴したのであります。岡を取調べ中に、岡が芦田前首相の秘書官をしておつた下河邊三史氏に別に贈賄をしておるということを自白しましたので、十一月二日下河邊氏を逮捕しまして、取調べの結果、事案明瞭となりましたので、十一月十一日に收賄罪をもつて起訴したのであります。岡及び下河邊氏を取調べ中に、岡が北浦、川橋両氏らと相談の上、政府支拂いの促進並びに融資等に関して便宜を得るために、芦田氏に多額の金品を贈賄し、芦田氏がこれを了承をして收受したという事実を自白しましたので、引続きその証拠固めをやつておりまして、本月の二十五日に至りまして、搜査の現段階におきまして、どうしても緊急に芦田、北浦、川橋の三氏を逮捕の上、取調べる必要が生じました。そこで二十六、七日の両日にわたつて最高檢察廳において協議の結果、逮捕状の請求に決定したわけであります。  なお御承知の通り、逮捕状の請求は犯罪の嫌疑があればできるわけでありますけれども、実際にただ嫌疑があるからといつて逮捕するということは、事実上穏当でない、匂留原因である逃走のおそれとか、あるいは住所不定とか、あるいは証拠湮滅のおそれというような点を考慮に入れなければならぬことはもちろんでありまして、本件におきましては、これらの搜査の段階において、証拠湮滅の事実もあつたということもわかつており、さらに今後の取調べにおいて証拠湮滅をするおそれが十分あるということが推定され、なお任意出頭の形においてこれを取調べをする場合においては、証拠湮滅のおそれもむろんありと認められる点も多々ありますので、それで逮捕状を請求いたした次第であります。この逮捕状の請求にあたりましては、國会開会中のことでもあり、ことに芦田氏は一國の首相をされた人でありまして、もちろん影響するところの大きいというので、各般の事情を十分考慮研究いたしたのでありまするが、搜査の現段階においては、どうしても緊急に逮捕しなければならないという結論に達したので、これが逮捕の請求をするに至つた次第でございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今逮捕の理由として、結局証拠湮滅ということでもつて逮捕するように相なつたという御説明でありますが、はなはだ私どもとしては不可解に存ずるのであります。とにかく一國の総理大臣をした人であります。しかも事件は長きにわたつてうわさになつておることである。証拠を湮滅するならば、とうにしてあるべきだと思うのであります。いまさら証拠を湮滅するおそれがあるといつてこれを逮捕するというようなことは、人権蹂躙もはなはだしいと私は思います。われわれが弁護士として関係いたしておりましても、法律に何かひつかかりがありますと、必ずそれをもつて人身の自由を束縛しようというのが、今まで檢察及び裁判所の慣例である。保釈もなかなかそれによつて許さない。何ら逃亡のおそれも、証拠湮滅のおそれもないにかかわらず、これをぶち込んでおくというのが今までの現われでありますが、とにかく内外に対しまして重大な反響のありますかような人物を、証拠湮滅のおそれというただ一片のことで身を抑留するというようなことは、実に容易ならざることだと思う。巷間臆測するものは、これによつて芦田を逮捕監禁しておいて、他の何か、今漠然と檢察当局が頭に抱いている事件をほじくり出して、そいつにものを言わせるというのが本來のねらいなんだ、今檢察当局が問題にしている事件じやないので、ねらいはほかにあるのだという説をなす者がある。今までのやり方もそうであります。たとえば平澤貞通というところの犯罪者、これも窃盜だが、詐欺だかでもつてまず身柄を拘束しておく。それからいろいろ実を吐かせて行くというやり方であります。平澤のごときに対しましてはやむを得ないことであつたかも存じませんが、そういうやり方をまたやろうとするがために、しかも的確なる証拠を現在握つておることができないために、やや疑いの濃厚なることを理由として、そうして証拠湮滅というようなことを理由としてこれを逮捕する。いわゆる檢察当局の逮捕権の濫用だと私は考える。この犯罪あれば必ず逮捕していいということにつきましても、りくつから言えば、法律上さようなことは許されることであつても、これは権利の濫用にならぬように、刑事訴訟法、憲法、あらゆる法律の精神を体して、人権の擁護ということを頭に置いて、そうして実行すべきものであると思うのでありますが、実に政治家というものは——もちろん檢察当局の嫌疑を受けるようなことをやるのも不徳のいたすところでありましようけれども、檢察当局ににらまれますると、まことにはかないものであつて、そしてそれが原侑君のごとくに無罪になつても、だれも責任を負う者がない。檢察当局の人間が個人的な憎しみをもつておる人をやつつけようと思えば、朝飯前にできる。それは法律にあるからできる、権力を持つているからできる。それを抑制するものは要するに憲法と刑事訴訟法の精神でありまして、その精神に照して見て、今度の芦田前総理大臣の証拠湮滅というようなことを理由にして逮捕することは許されべきことであるかどうか。これに対する人権の擁護の総元締めであります法務総裁の御見解を承りたいと思います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 お説の趣はまことにもつともでありまして、先般田中政務次官の家宅搜索のときにおきましても、ほぼ同趣旨の御議論がこの委員会において出ました。私はその御趣旨にはまことに同感であります。このたびの芦田前首相の逮捕要求につきましては、事前に私に相談がありまして、協議事項ではないのでありますけれども、重要な事項であるから、檢察当局は私にあらかじめ報告をし、その了解を求めたものと考えます。檢事総長が見えまして、そして巨細にわたりまして報告をされ、木内檢務長官も同席してそれを洽取したのでありますが、地方檢察廳から高等檢察廳に参り、さらに高最檢察廳に参つて協議したものと思われます。そのときに私は今のお話のごとき点を心配したのでありますが、檢察当局の最高首脳部の会議においては十分に協議をし、十分にそれらの点も考慮した。しかしながらどうしてもこの要求をしなければならない結論に達したのであるから、法務総裁は承認をしてもらいたいということでありました。とにかく私の信任をしておりまする檢察当局が、地檢より最高檢察廳に至るまで、十分の考慮をし、相談をした結果であるということでありましたので、私はそれに同意を與えたのでございます。私は決して檢察廳がそれらの考慮をおろそかにして、間違つた軽卒なる要求をしているとは信じておりません。あるいは事搜査に関することでありますので、私の説明はもとより、政府委員の説明にしましても、かゆいところに手の届かない点が多々あると存じます。しかしながらその精神におきましても、実際とりました措置におきましても、私はまず間違いないものと確信をいたしております。今後はもちろんその点は十分注意いたすつもりであります。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 檢察当局のこの院に許諾を求める請求に対しまして、院といたしましてはその説明十分ならずということで、逮捕に同意することはできないといつて不同意になりました際には、法務廳なり檢察当局はどういう責任をとるのであるか。その責任についてお尋ねしたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 憲法の條章に基きまして院の許諾を求めたのでありますが、衆議院はまた独自の見解をもつてその許否を決せられるのでありまして、その許否の結果につきましてはいたし方ないと考えます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 その問題につきましては、私どもは実はまだ心からすつきりしないのであります。どうも檢事の搜査権の濫用である。憲法によつて保護されました最も重大なわれわれの人権を、証拠湮滅というような單なる檢事局の搜査上の便宜のために、しかも証拠湮滅というような、われわれとしては常識上はなはだ理解に苦しむようなことを理由にして人身の自由を束縛することに対しましては、どうしても私どもは理解がいかぬのでありますが、これは水から論になりますから、この程度で打切ります。  なお檢察当局、ことに法務総裁の立場として、ここに最も嚴重に監督してもらわなければならぬことで、あまり監督が十分でないと考えることがあります。たとえば追放者にして弁護士業に從事している人たちにつきまして、巷間いろいろの非難がある。追放の原則からいえば、元勤めておつた官署に出入りできないはずであるにかかわらず、今東京の第一、第二弁護士会の大立者の弁護士として、ことに昭和電工事件に関する弁護人として活躍するような人たちは、ほとんど全部がパージにかかつた人たちである。そうしてこの人たちはみな自分の旧部下であつたり上官であつたりした人のところに出入りしておる。こういうようなことこそ私は法務廳において最も嚴重に監督することが、その筋に対しても必要なことだと思うのでありますが、これに対していかなる監督指導の方法をおとりになつているか承りたい。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 私も猪俣委員の御説にまことに賛成であります。弁護士の職務をとり、または弁護士の職務の範囲内においては、元の関係しておつた職場に出入りしてもよろしい。こういう建前で、それを逸脱しない限りにはパージであつてもさしつかえないという見解で、ただいまいささか自由に過ぎておるような観がないでもないと私は思うのであります。私にとりまして的確にその基準がどうであるということを申し上げかねるのでありますが、御趣旨はまことに同感でありますから、單に弁護士のみならず、パージの政令違反につきましては十分取締つて行きたいと存じます。ことに弁護士につきましては、檢務長官から説明をさせましたら一層よくおわかりではないかと思います。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 ただいまの法務総裁からの御答弁で大体御了承を得たと思いますが、私といたしましても猪俣委員の仰せになる点について、まことにごもつともであり、私どももいろいろの風評を耳にするので、はなはだ苦慮いたしており、もし違反行為があればむろん嚴重に取締るつもりでおるわけであります。先ほど法務総裁もお話になりました通り、追放者であつても、弁護士の業務をとるために元の廳に出入りすることは、弁護士としての正当になる業務行為であるということになつておりますので、追放者の弁護士が檢察廳に職務を行うために出入りすることは、これは違反にならないという見解をとつておるのであります。しかしながらそれがためにいろいろの誤解を受けるおそれがあるような行為があるとか、あるいは弁護士としての正当業務の範囲を逸脱するがごどきことがありましたならば、私どもも檢察廳の威信のためには嚴重に取締りをする考えをもつておるのでございますから、これをもつて御了承願いたいと思います。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 それに関連して、特に私は今の問題でかねがね思つておつたのですが、世間だけではない、いろいろな方面からこの点については重大なる意見があることを聞いておりますので、この際特に御注意を願いたいと思います。なるほど弁護士の職務を行う範囲において、元の廳へ出てもいいと言われるのですが、はたして向うへ行つて、どこまでが弁護士の職務であるのか、どこから逸脱しておるのか、これはわかりません。從つてあらゆる方面から疑惑を持たれるのは当然だ。さように考えて來ますと、その人自身が弁護士の職務であろうとも、元の勤めておつた役所にみずから出ない、みずから遠慮するということが、一番いいことだろうと思います。この点は本人がやらないというならば、当局の皆さんからその点を一應注意せられてしかるべきである。なおそれでもきかぬというならば、これはやはりいわゆる李下に冠を何せずという言葉さえあるくらいですから、少くともそういう者は元の役所へは出入りせないということを定められてよろしいと思います。そうせぬと取締りの方法はありません。これはわれわれもいろいろ実は現在考えておることなのでありまして、われわれの方でそういうことを言うよりか、あなた方当局の方でしかるべく何か手段をおとりになつた方が、一番よいと考えておるのでありますから、この点ひとつ考えていただいて、めどをつけてもらわぬと、誤解を解くつたつた解けやしません。めどをつけて、それを逸脱すればやらなければならぬのですから、まず初めから法律等で臨むよりか、自戒を望んでもらう。それでいかなんだら、しかるべく手段をとられたらよロしいと思いますが、御当局としていかにお考えになりますか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 まことにごもつともな御意見であります。実際非常に困難なことであります。これは早速弁護士会の方々とも御相談をいたしまして、何か適当な案を立てたいと思います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 法務総裁に聞きたいと思いますが、新刑事訴訟法は來年一月一日から実施をしなければならない。それに対する予算は今度九億を計上しておる。しかしそれは雜件費用の六十五億が四十五億に減るから、その九億というものもやがと減らなければならないという心配があるということであります。大体この新刑事訴訟法を実施しようとすれば、四十億を必要とすると言つているのであります。四十億に対しまして九億は、これは二割二分五厘という割合に当るのであります。今六十五億が四十五億に減る。その割合でかりに刑事訴訟法実施に必要なる費用を考えてみると、九億が六億ぐらいに減ることになるそうであります。その通りなるということは必ずしも言えないかも知れないけれども、そういうふうになると思うのであります。そうするとこれは六億としますと、所要の四十億に対しましてまことに少い。一割五分ぐらいのものにしかあたらないのであります。そこで九億というものは、今度かりに関係方面との折衝によつて使えるといたしまして、それで実施をしようという計画の一体どのくらいのことをしようというのか、率においては二割二分五厘というのでありますが、一体どんなことができるのであるか。それからもしこれが六億ということに減るとしたならば、どんな実施をせられるお考えであるかということを伺つておきたいのであります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ごもつともな御質問でございます。私は六十五億が四十五億に減りましても、九億を減らすわけには行かないと考えております。総額は減つたのでありますから、その危險があります。そこで先ほど申し上げましたように、関係筋といろいろ折衝をいたしており、実はそれを頼りにいたしておるような次第であります。それでほかの予算と比べまして強力なるバツクがありますので、大体初めの要求を維持できやしないかと考えております。そこからこの点につきまして実はもつと的確に大藏当局と折衝したいのでありますが、大藏当局が一般予算に非常に忙殺されておりまして、とうていわれわれのこまかい予算を一々折衝してくれておるひまがない。やむを得ず予算の進行の途上で折衝することにして、実は今待機をしておるところでございます。それからどういうことをやるかというと、実は項目も何と何をやるということをきめておりますが、あいにくここに持つておりませんので、ちよつとお答えいたしかねますが、それを取寄せましてお答えしたいと思います。お許しを願います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 いずれそれは承りますが、檢討を要することであると思うのであります。大体今のお話でありますと、大藏当局と折衝をすることによつて、かなり動くということが考えられるのであります。九億と一應きまつたそのものは、所要のものの二割二分五厘にしか当らないのでありまして、これで一体一月から実施ができるか、一應できるというお考えでこの要求をせられているものと思いますが、それが動かなければいいが、この最低の最低といわれるような額が、さらに動くということになりますと、それで実施についての確信をお持ちなのでありましようか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 その九億でございますが、初め四十億と計上いたしたのでありますが、実はその筋との話合いの結果、その筋も九億ぐらいでよろしい、そのくらいでやれるというお考えでありましたので、それに私どもの予算も縮めたのであります。まず差当りそれでやつて行ける、こういう自信がついたのであります。詳しいことはただいま申し上げましたように、申し上げられませんが、檢務部長官が多少心得ておりますから、檢務長官からお答えいたすことにいたします。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 予算が減りますということは、私どももこの刑訴を動かして行く上において非常な困難を來すことは事実でございます。しかしながらこの減りましたことによつて、結局まず人件費を圧縮し、またその設備その他施設等の点について、とにかく完全に動かして行くのにはまず四十億という見当を立てたのでありまして、そういう点を圧縮し、とにかくこの三月までの間の合において、あるいは建物等の増築とか、あるいは警察電話の増設とかいうようなもの、その他いろいろの施設費等を圧縮しまして、建物ならば狹いところでもがまんして行くということにいたし、そうしてまず人件費におきましても、今日においても御承知の通り欠員が多くて非常に困つておるわけでございますけれども、どうしても実施しなければならないということでありますれば、これは何をおいてもやらなければならないことになるわけでありますから、とにかくそこをがまんして、そうして何とかしてやつて行こうという悲壯な決意をもつておるわけでありますから、そこをひとつ御了承願いたいと思います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 法務廳の方はそれでいいでありましようが、このことについては裁判所の方の関係は、これを了承しておるのでありますか。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 裁判所の方は詳しいことは私もお答えできませんが、最初三十億の予算を、この三月までのを組まれまして、大体二十億に圧縮されたように聞いております。それでこの点は大分前に聞いた話でありますから、その後またどういうふうに変更になりましたか知りませんが、私の今まで承知しておるところでは、そういうふうに聞いておるわけでございます。また詳しいことは裁判所の方から調べましてお答えいたしたいと思います。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 大体了解をいたしましたが、裁判所側の方の考えというものもただいま聞いたので——予算のあるなし、予算の額の少いとかどうとかということは、要するに議決機関たる國会の決するところであるから、実行機関たる裁判所としては何とも言うことはできない。手をこまねいてただなすのにまかせておるのだ、こういうようなむしろ悲壯な意見を述べておられるのの聞いたのであります。そういうときに予算を扱う方面において、これは悲壯な考えを持つてはおりますけれども、実際面においては裁判所の方の意見が中心にならなければならぬと考えるとき、とにかくこのことは実施しなければならぬ。また予算の実現の力があるかないかに関係はいたしますけれども、ここは極力努力をいたしまして、裁判所の方において、これを実施する方面において、実際はできない、できないのをよこしたというようなことに陷らないように、これは予算の面において非常に努力をしていただかなければならぬと私は考えるのであります。九億がいくらになつた。向うの方がこれを大体了承しておるといたしましても、またそれは情勢によつて、そんなものはどうでもいい、また延ばせばいいじやないかという空氣が出て來て、これを圧縮するということになつたら、刑事訴訟法というものは実際実施はできないことになつてしまうではないか。実施ししなければならぬが、中身は実施できないという結果に陷ることを憂うるのであります。法務総裁におかれても、この点をお考えになりまして、予算について動かないように、できるだけこの点を満足に実施のできるように御努力をお願いしたいと思うのであります。

佐瀬昌三民主自由党

○佐瀬委員 私はこの際簡單に法務総裁並びに檢務長官にお伺いしてみたい。先ほど同僚猪俣君から逮捕状の問題が出ておつたようであります。現在法務廳あたりでお調べになつた統計の面から見て、逮捕状が発せられて、その後の檢察廳の檢察処分及びそれに対する裁判というものの経過、あるいは結果がいかようになつておるかということを数字的にお伺いできれば、この際明らかにしていただきたいと考えます。

木内曽益檢務長官

○木内政府委員 その点につきましては、今手元に正確な資料を持つておりませんから、これは早速調査いたしまして、書面をもつて御報告いたしたいと思います。

佐瀬昌三民主自由党

○佐瀬委員 法の前にはすべて平等であるという観点のもとに、政治家に対する逮捕状等について特段の顧慮を拂われると同時に、私どもは一般人に対する逮捕状の問題も同樣に考えてみなければならぬと思うのであります。しかして綱紀粛正等の問題から、今後相当に逮捕状の発行が予定される。ただいま檢務長官は、單に嫌疑があるというだけでは逮捕状の請求はしない。いわゆる拘留原因がなければならぬというようなことを運用上明らかにされたことは、私どももきわめて同感であります。しかしなお猪俣議員からも言われましたように、それが他の目的のために濫用せられるというようなことがあつたのでは、私ども基本的人権擁護の立場から、やはりこれは默過できないものがあるというふうに考えるので、一層その点について制度的にもまた運用的にも、今後刑事訴訟法規の実施並びに刑事法案の審議の上において、國会においても十分留意をして参らなければならぬと思うのであります。そういう意味において、ただいまお願いしましたような資料を見て、私どもは事の経過を実証的に檢討して遺憾なきを期したい。かように考えるので、すみやかにただいま檢務長官の言われた資料をおまとめになつて御提出願いたいということを、この際希望申し上げます。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 ただいまのお話はまきとにごもつともでありまして、猪俣議員にも先ほどお答えいたしました通りに、それらの点に今後一層注意をしたしまして、御希望に沿うように努力いたしたいと思つております。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 ちようど最高裁判所の方から見えておられますから、刑事訴訟法実施に関する予算の面に関しまして、裁判所側のお考えをお聞きしたいと思う。それがために最高裁判所の出席された方にお答えを願いたいと思います。  今度の新刑事訴訟法の実施はどうしてもやらなければならぬことになつておりますが、これがための予算が現在六十億、それがさらに四十五億に減るようであります。その中に約九億の必要なる経費が盛られておるようでありますが、所要の経費は四十億、それに対する九億であるが、これに対しては全部これが裁判所直接のものではありませんけれども、この程度においてはどれだけのことが実施せられるか。またそれが九億というものも維持することができなくて、六億くらいに減つた場合に、一割五分くらいの予算しか組めないということになれば、実際は一体どのくらいやり得るかということを裁判所側からお答えを願いたいと思います。

五鬼上堅磐最高裁判所事務次長

○五鬼上説明員 ちよつと今資料が手元に参つておりませんものですから、詳しいことはちよつと申し上げられませんが、大体この新法施行に伴う予算としては、裁判所としてはすでに二箇月前から編成しまして、大藏省の方へ要求しておるのでありますが、今日の至るもなお額がどれだけという決定もつかないし、大体新刑訴法施行については増員その他事務費として一億五千五百万円程度、その他建物、つまり法廷の改造というようなものが大体三億六千万円程度を要求いたしておるのであります。新刑訴の施行としては大体そういうような予算を要求しておる次第であります。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 今おあげになりましたもので、完全に新刑訴を実施になるお見込みですか。

五鬼上堅磐最高裁判所事務次長

○五鬼上説明員 裁判所の方といたしましては、政府が法案を國会に提出されて、それを実施することになるのでありますが、十分なる予算は望むところでありますが、いろいろこの國家財政の現状から檢討いたしまして、また予備的にいろいろ折衝いたした結果、ただいま申し上げましたような予算の額が、大体において切り詰めた最小限度の予算と確信いたして、提出しておるような次第であります。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 私からちよつと申し上げますが、四十億と申しましたのは、新刑事訴訟法を完全に施行するという建前からでありまして、この年度の三月末という間の必要な金ではないのでありまして、できればそれを全部準備したかつたのでありますが、この三月までの追加予算でどれくらいで済むかということで、ずつと切り詰めましたのであります。むろん將來來年度になりますならば、必要な経費を計上したいと実は思つておるのであります。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 その九億というのは裁判所並びに法務廳、両方の額ですか。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 さようでございます。両方入つておると思います。

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 それでは御質疑も盡きたようでございますから、質疑はこの程度に打切り、討論に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。それでは討論に移ります。  この際委員長の手元に民主自由党、社会党、民主党各派協同提案の修正案が提出されてあります。これを朗読いたします。    刑事訴訟法施行法案の一部を修正する案   刑事訴訟法施行法案の一部を次のように修正する。   第二條中「第一審における第一回の公判期日が開かれた」を「公訴の提起があつた」に改める。   第四條中「第一審における第一回の公判期日が開かれていない」を「公訴が提起されていない」改める。   第八條から第十三條までを削る。   第十四條を第八條とし以下第二十三條まで六條ずつ繰り上げる。    裁判所法の一部を改正する等の法律案の一部を修正する案   裁判所法の一部を改正する等の法律案の一部を次のように修正する。   第十一條中「第一審の第一回の公判が開かれた刑事事件の訴訟」を「公訴の提起があつた事件」に改め、同條第二項中」前項の訴訟」を「前項の事件」に改める。  提案理由の説明を願います。猪俣委員。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 各党を代表いたしまして提案理由の説明をいたします。刑事訴訟法施行法の第二條中「第一審における第一回の公判期日が開かれた事件」そのときをもつて刑事訴訟法の新旧の標準にするという原案でありまするが、理論的にも実際的にも、公訴の提起があつたときをもつて標準にすることが妥当なりと認めまして、かような改正に相なつたのでありまして、これはすでに審議中議論は盡されておるのでありまするから、それ以上は省略さしていただきます。この第二條の改正の結果、第四條の改正を行い、なお第八條から第十三條を削る結果になり、なお第十四條を八條とし、以下第二十三條まで六條ずつ繰上げるというふうになつたのでありまして、これは説明を要しないことだと思うのであります、なおこの刑事訴訟法施行法をこの修正案のように修正いたしまするならば、それと関連をいたしまして、裁判所法の一部を改正しなければならぬために、裁判所法の一部を改正する等の法律案の一部を修正する案が出ておるのでありまして、これも理由は明白であろうと思うから省略させていただきたいと思います。以上説明を終ります。

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 民主自由党、社会党、民主党、各派協同提案の修正案と、並びに原案を一括して討論に付します。なお八並委員から民主党を代表して賛成の申出がありました。特別の用事があるというので退席されました。鍛冶君。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 私は民主自由党を代表いたしまして、修正案に賛成いたします。その理由は今猪俣委員からお述べになつた通りで、かようにすることが実際においても、また理論においても適当なものと考えてここに賛成するものであります。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 私は日本社会党を代表いたしまして、この修正案に賛成の意を表します。

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 討論は終局いたしました。これより刑事訴訟法施行法案及び裁判所法の一部を改正する等の法律案の両案について採決いたします。  まず民主自由、社会、民主各派協同提案の修正案について採決いたします。各派協同提案のごとく修正するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 起立総員。よつて全会一致をもつて提案のごとく修正するに決しました。  次にただいま修正に決しました部分を除く原案について採決いたします。修正部分を除く他の部分にについては、原案のごとく決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔総員起立〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 起立総員。修正部分を除く他の部分は原案の通り決しました。よつて両案は修正議決せられました。  なお両案に対する委員会報告書の作成に関しては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 御異議なしと認めさようとりはからいます。     —————————————

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 次に司法警察職員等指定應急措置法案を議題として審査を進めます。御質問はありませんか。——御質問もないようでございまするから、質疑は打切り、討論に移りたいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 御異議なしと認めます。それでは討論に移ります。鍛冶君。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 私は民主自由党を代表いたしまして原案に賛成いたします。ただいま明年一月一日より刑事訴訟法を施行するにあたりましては、司法警察職員等に関しては、修正のごとく適宜の措置をとるほかにないものと思いまするから、原案通りに賛成いたします。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員 私は日本社会党を代表しまして、原案の通り決議することに賛成であります。

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 なお八並君より、民主党を代表して賛成するという御意見の申出がありました。  それでは討論は終局いたしました。これより司法警察職員等指定應急措置法案について採決いたします。本案を原案の通り決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔総員起立〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 起立総員。よつて本案は全会一致をもつて原案通り可決されました。  なお本案に関する委員会報告書の作成に関しては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 前会の私の質問に対しまして、法務総裁の御答弁を願います。

殖田俊吉法務総裁

○殖田國務大臣 前会猪俣委員の御質問になりました点は、國会と裁判所及び政府の関係、それから國家地方警察と行政官廳、自治体警察との関係、こういう点であつたと考えます。  司法行政権は原則としまして、裁判所は内閣と関係なく、独立してこれを行うことは御承知の通りでありまして、司法行政権の行使につきましては、内閣は國会に対し責任を負わないのでありまして、いわば無答責の事項と申さねばなりません。しかしながら國会としては、廣く國政に対する調査を行うことが認められておりますので、司法行政運用の実情を調査研究し、あるいはその結果を発表し、あるいは他日の立法に資することは、もとより当然のことでありまして、また最高裁判所長官、またはその指定する代理者が委員会に出席説明する場合に、司法行政の運用につき説明を求め、意見を述べ、希望を開陳すること等は、こうもさしつかえないことと考えます。司法行政は右述べましたように、裁判所が独立して行うのでありますが、裁判所の予算の面におきましては、裁判所と内閣、國会とは大いに関係があるのであります。裁判所予算は原案を裁判所が発議し、大藏省と折衝して、確定案を作成決定するのでありますが、これは内閣の責任において決定せられるのであります。從つてこの場合内閣は、國会に対し責任を負うわけであります。しかし裁判所の裁算についても、なるべく裁判所の独立を保障することが、司法権の独立のため願わしいことでありますので、裁判所法は、裁判所の経費は独立して國の予算に計上すべきことを定め、財政法はもし万一歳出の概算につき、内閣と裁判所との間に意見の一致を見ない場合には、すなわち内閣が裁判所の歳出見積りを減額した場合には、裁判所の送付にかかる歳出見積りについて、詳細を歳入歳出予算に付記するとともに、國会が歳出額を修正する場合における必要な財源についても、明記することを規定しているのであります。この場合には國会は、政府の査定と裁判所の歳出見積りを彼此檢討して、國会がその責任において最も適切妥当と信ずるところに決定いたすわけでありまして、この場合はもとより、内閣と裁判所と意見の一致を見ました場合におきましても、國会の裁判所裁算案に対する議決は、司法行政の上にきわめて重要な意義を有するのでありまして、この面において司法行政は、國会のコントロールの下に立つわけであります。  次に裁判所について、國会は裁判所に対し意見や希望を述べることが許されるかとのお尋ねであつたのでありますが、現在裁判所に係属中の事件についてこれを批判したり、その取扱いにつき意見を述べ、裁判につき希望を申し出ることは、裁判の独立を保障する憲法の精神にもとるものでありまして、嚴に戒めねばならないところでありますが、しかしすでに確定した裁判につきましては、学界において廣く判例批評も行われているところでありまして、國民としてこれを批判することは、どうもさしつかえなく、また一般的に司法権の公正妥当な行使のために、裁判所の裁判に対する意見なり希望などを述べることは、言論の自由が認められております以上、当然許されるところであります。從つて全國民を代表する議員が、國会において司法権の運用に関し希望を述べることは、議員たるの立場において、もとより当然のことと考えます。かかる希望の開陳に対しては、裁判所はよく傾聽して、これをしんしやくせられることと信じます。およそ三権の分立は、三権の分離孤立を意図するものではなく、從つて分立された三権が相侵さない限度において互いに協力調和して、初めて國政は円満な運用を期し得るのであります。文法権は國権の最高機関である國会に属するものでありますが、これは内閣が法律案を國会に提出することを妨げるものではなく、ただいま御審議を仰ぎました裁判所の一部を改正する等の法律案は政府の提出にかかるものでありまして、法務廳はこれを立案するにあたりましては、あらかじめ裁判所と事務上の打合せを遂げ、裁判所の意向は十分これをしんしやくした次第であります。司法権の独立を保障し、その適正な運用をはかるためには、立案にあたりこの用意が必要であり、またこれは三権分立の精神にもとるものでないと考えた次第であります。  それから國家地方警察の行政管理のことを申し上げますが、國家公安委員会がこれを行い、その運営管理は各都道府縣公安委員会で行うのであります。しかして國家公安委員会は内閣総理大臣の所轄に属し、各都道府縣公安委員会は各都道府縣知事の所轄に属するのであります。ここにいわゆる所轄とは、警察法の定めるごとく、それぞれの公安委員の任命または罷免権を含むことはもちろんでありますが、行政管理または運営管理自体に対する指揮監督権は含まないと解しております。自治体警察の管理は、各市町村公安委員会が行い、市町村公安委員会は市町村町の所轄に属しますが、市町村長もまた自治体警察の管理自体に対する指揮監督権はないものと解しております。  以上のごとくでありまして、警察法の建前としては、警察による犯罪搜査は、國家地方警察にあつては各都道府縣公安委員会の運営管理下に行われ、都道府縣公安委員会は各都道府縣の議会に対して責任を負いますが、直接國会に対して責任を負うものではございません。自治体警察にあつては、各市町村公安委員会の管理下に行われ、市町村公安委員会は各市町村の議会に対して責任を負いますが、直接國会に対して責任を負うものではございません。しかしながら現行刑事訴訟法のもとにおいては、司法警察官吏による犯罪搜猛は檢察官の指揮を受け、その補佐または補助として行われるものでありますから、この意味においては法務総裁が國会に対して責任を負うものと考えております。この点は改正刑事訴訟法の実施を見るあかつきには、檢察官と司法警察職員はそれぞれ独立の搜査機関となり、檢察官は司法警察職員に対し新法第百九十三條に規定する限度の一般的指示及び一般的指揮の権限を認められるに過ぎないのでありまして、この場合においては法務総裁は、檢察官がとつた一般的指示または一般的指揮の措置の当否についてのみ責任を負うことと考えております。なお新刑事訴訟法の定施を見るならば、海上保安官、労働基準監督官等のいわゆる特別警察職員による犯罪搜査は、それぞれの主管大臣が責任を負うこととなるものと考えております。かように御承知を願います。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 自治体の警察は今の御説明ではまつたく自治体公安委員にある。市町村長からも離れておるということでありましたが、しからばその公安委員を指揮監督するものは絶対にないのでありましようか、どういうことになりますか。

宮下明義法務廳事務官

○宮下政府委員 ただいま法務総裁から答弁のありましたように、國家司法警察を管理しておりますのも、それぞれの都道府縣公安委員会でございます。自治体警察の管理をいたしておりますのも、それぞれの市町村公安委員会でございます。この都道府縣國家公安委員会及び市町村公安委員会の管理自体を指揮監督する機関は警察法上は認めてないのであります。國民といたしましては、もしもこの都道府縣公安委員会あるいは市町村公安委員会の措置が妥当を欠きます場合においては、いわゆる警察法が認めておりますリコールの方法によりまして、その委員の罷免を地方議会を通じて働きかける以外に方法はないものと考えております。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 そうすると市町村の公安委員会は、市町村のリコールがあるだけであつて、その上は何も監督はないわけですか。

宮下明義法務廳事務官

○宮下政府委員 さようでございます。

猪俣浩三日本社会党

○猪俣委員 今の法務総裁の答弁は相当詳細にわたつておりますが、なお私どもこれは重大問題でありますから、速記をよく檢討いたしまして、なお他日の研究にまちたいと思います。場合によりましては、國会の方からも提案し、あるいはまた政府の方でも構想を練つていただいて、いま少し具体的にこの運営を全うしたいと思うのであります。  ただ一点だけお聞きすることは、國家警察の本部長、あの官職は一体どういう職権をもつておるのでありますか。

宮下明義法務廳事務官

○宮下政府委員 國家警察本部長官と申しますのは、國家公安委員会の事務部局といたしまして、國家地方警察本部及び各地に管区本部というものがございます。行いました事項は國家公安委員会の権限に属しております事項について事務を扱うところでございます。國家公安委員会は國家地方警察の行政管理を行うところでありまして、法律の第二條に規定してありますように、行政管理は警察の人事、予算、内部的な編成ということを管理しておりまして、警察の運営管理、すなわち公安の維持とか犯罪の予防、犯罪の搜査、被疑者の檢挙という直接の運営管理は法律の建前といたしましては國家公安委員会がタツチしないのであります。その前の前提としての人事、編成、予算を、しかも國家地方警察に限りまして所掌するという建前になつておるわけであります。自治体警察の人事、編成、予算というものは、その市町村公安委員会に全面的に行政管理も運営管理もまかされておるわけであります。

高橋英吉民主自由党

○高橋委員長 本日はこれで散会いたします。     午後四時四十四分散会

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