法務委員会 第10号
- 発言数
- 174 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/11/27
会議録
○佐瀬委員長代理 これより会議を開きます。 本委員会に付託せられております請願の審査に入りたいと思います。この際審査方針についてお諮りいたします。請願の審査は、これを採択した以上は必ず実現の方途を講ぜねばなりませんので、予算その他あらゆる事情を考慮して、愼重を期せねばなりません。そこで委員会の決定は一應残しておきまして、審査のみを行いたいと思います。これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐瀬委員長代理 御異議なしと認め、審査に入ります。 日程第八、戸籍事務担当の市区町村吏員を官吏とするの請願、文書表第三八五号を議題といたします。この際紹介議員の御紹介を願います。今村忠助君。
○今村忠助君 この戸籍吏員というものは、御存じの通り國政上最も重大な基礎をなす戸籍一般事務に当つておるわけでありますが、これは当然國家でなさるべき仕事であるにかかわらず、現在は地方自治機関に委任されておりまして、しかも実際事務に当る者は、いろいろの町村役場の雜務と一緒にこの仕事を兼務させられるというような、状態に置かれておりますので、まことに敏捷かつ正確を期さなければならない事務であるのにかかわらず、とかく遲滯し、あるいはまたときに間違い等が起きておる実情にあるのでありまして、すみやかにこれは國家において直接その仕事に当るという一つの制度を設けられんことを希望するものでありまして、こういう意味から、ぜひとも戸籍事務担当の市町村等の吏員を官吏としていただきたい、これが請願の趣旨であります。ぜひとも実現するよう御盡力願いたいと思います。 —————————————
○佐瀬委員長代理 ただいま政府委員が出席されないので、日程第一、私立少年矯正施設存続の請願、文書表第四二号及び日程第六、私立少年矯正施設存続の請願文書表第三二七号を一括いたしまして、この二請願を議題といたします。紹介議員の御紹介を願います。
○庄司一郎君 本請願の趣旨を簡單に申し上げます。終戰この方、特に最近において、わが國青少年の道義が極度に頽廃し、犯罪的傾向の激化はまことに心配にたえないところでございます。今日こそ國家の総力をあげて、眞に官民相協力してこの青少年たちの不良化を防止し、改過遷善し、この傾向せ是正せんと努力しなければならないきわめて重大な時期に直面しておると思うのであります。純潔な青少年たちの道義の高揚こそは、今後の第二の明るい日本を建設する上において、この上ない重要性を持つておることはいまさら申し上げるまでもないのでございます。しかるにさきに第一國会を通過した法務廳設置法第十五條により一切の私立、民間の少年矯正施設は昭和二十四年三月末日限に一齊に、画イ的にこれが廃止と相なることとなつておりまして、該民間事業者の土地建物等は政府において買收あるいは借上げの上、政府直営に移管されることに相なるということに仄聞しております。私どもただいまは、その法律や政府直営についてかれこれと批判しようとするものではございません。ただわが國民間のきわめて熱心なる司法保護的信念に燃えている篤志家たちが、大正十二年少年法施行以來孜々汲々として経営し、歴代司法省当局の御奬励並びに御指導監督のもとに、きわけて適切優秀な成績を收めつつあつた私立少年矯正施設、すなわち少年保護團体が全國にわたり多数に上り、わが宮城縣下だけでもすでに四つの團体がございます。國内大多数の保護團体の中には、軌道を逸脱した不良のものもあるいは五、三あるでありましよう。けれども民間経営の大部分は、官立のそれに見られない家庭的な、眞に親子愛といいましようか、のびのびとして雰経氣の中に少年たちがおのずから改過遷善し、すなおに社会性を体得しておるということを見のがしてはならないと思うのであります。民間の少年の保護團体等の中に、相当に好成績をあげておるものが多数あることをお互いに忘れたくないのであります。それらの長所と美点とを多分に保有し、しかも終生の事業としてこの尊い保護事業に一身一家を投じ込み、永年の間これまで苦心経営を続けて來られた民間私立のきわめて善良なる少年保護團体までも、この際一挙に画一的に全部を葬つてしまうというようなことは、まことに争念千万なことでございます。何とも申し上げようがない次第であります。うわさに聞くところによりますと、アメリカにおいては特にこの民間少年保護事業が非常に発達をして、政府もあるいはステート・ガバメントもあげてこれを助成、指導、援護しておることを司つております。よつてわが國におきましても、この際ぜひ各府縣、各少審判所、各檢察廳、それらの各方面より廣く意見を参考のために聽取され、もしそれ成績可良なる民間少年保護團体等に対しては、この後ある一定の條件のもとに存続を許し、あるいは政府の委託事業というような名前でもけつこうでございます。とにもかくにも画一的に民間の保護團体をこの一片の法律によつてお取上げにならないよう、今後とも何らかの形態のもとにお許しをいただいて、経営を継続して行けるよう、せつかく適当なる措置を講じていただきたいというのが、この請願の趣旨のあるところでございます。 終りにこの請願が本院に提出されました経過を申し上げるならば、東北六縣の民間の少年保護團体の経営者諸君が、先般仙台の少年審判所の一室を会場にお借りして、総会のような協議会が催されました。私ただ單に頼まれたからこの紹介を申し上げるというだけではございません、不肖紹介議員庄司は、御省において御承知のごとく、過去約三十年の間司法保護事業のために挺身をして参りまして、現在宮城縣の大河原簡易裁判所管下三郡の司法保護会の会長の職にございます。また仙台司法保護協会の理事長を勤めさしていただいております。またかじけなくも司法保護事業功労章を、紀元二千六百年の大会に國会議員としてはただ一人、不肖庄司が拜受をしているような関係でございます。私庄司は司法保護のためにこの後も一生をささげたいと念願しておる関係で、ただいま申し上げた東北六縣の司法保護経営者諸君は、私を推戴して顧問という、儀礼的でもございましようが、特にさような名譽職を與えられまして、陰に陽にこの少年を感化する事業のために、あらゆる私の微力をささげさしていただいているような次第でございます。さような関係上、不良なる、状態の惡い、あるいは惡質なものがもし國内にございまするならば、そういうものは根本的にオミツトしていただいて、ほんとうに正しい信念を持ち、保護事業を理解して一生をささげている、優秀な成績を收めて民間の保護團体等は、この後とも政府の委託事業あるいはその他なんらかの措置を講じていただきたい。あるいはこの法務廳設置法案の一部を御改正いただいて、何もかにも石炭國管のように、法務廳が直接官営の保護團体をつくらなければならぬという理論はないと思うのであります。民間において少年保護のために挺身している、さような志士仁人を適当に保護助長されることも望ましいことであるという信念の上から、ただ單に今回宮城縣の縣会議長、宮城縣町村長会長高橋清君ほか約五百名の諸君の、この厖大なる請願の御依頼を受けたから、事務的に紹介議員になるということでございません。私はこの請願の趣旨のあるところは、公正妥当なる請願であるという信念に燃えて趣旨を弁明申し上げた次第でございます。決して官営の保護團体はいけない、全部民営にせよという暴論ではございません。官営の保護團体もまたよき民営の保護團体もこれを併行させ、しかも法令の改正がにわかに不可能である場合には、政府の委託事業として優秀なる保護團体を保護助長さして、少年保護事業の目的達成のために協力させていただきたい次第であります。かような念願でございます。以上をもつて請願の趣旨の説明を終ります。
○佐瀬委員長代理 この際政府より御意見があれば日程第八、第一及び第六に対して御意見を司いたいと存じます。
○岡咲政府委員 ただいま庄司委員から御紹介になりました請願の御趣旨は、まことにごもつとも拜承いたしたわけでございます。現行の少年法及び司法保護事業法によつて運営されて参りました私設の矯正施設たる少年保護團体の施設は、從來その運営のよろしきを得るとき、むしろ官公立の施設に求めがたい長所特質を発揮して参つた実情にありまして、御請願の趣旨はまことにごもつともと考えるのであります。しかしながら終戰後極度に逼迫した國内経済その他の事情にかんがみまして、政府におきましてはこの制度に大きな改変を加える必要がないかと檢討中のところ、たまたま二、三の少年保護團体に遺憾ながら不祥事件が発生した事例がありまして、また関係方面よりきわめて強い示唆がありましたので、さきの第一國会におきまして法務廳設置法附則第十五條の立法がなされた次第でございます。すでに私立少法矯正施設廃止のことはこの法律により確定いたしておりますものの問題はなお將來に残されている部分が多分にあるかと考えますが、政府といたしましてはすでにこの措置が確定しております以上、現在の國内の特殊事情のもとにおきましては、ここしばらくはこの改正を見た新法制のもとにおきて、でき得る限り本請願の趣旨をくみ合れまして、今日國内においてきわめて重要な事柄である少年の矯正保護の事業を、実情に即するよう円滑に運営して参りたい所存でございますから、何分御了承をお願いいたしたいと存じます。 それから戸籍事務担当の市町村吏員を官良に登用されたいという趣旨の請願でございますが、この点はとくと研究してみたいと考えます。
○佐瀬委員長代理 この際法務委員に御意見なり御質疑があれば、御発言願います。——別にないようでありますから、本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会に取上げることにいたします。 —————————————
○佐瀬委員長代理 次に移りまして日程第三、苫前村に司法事務局出張所設置の請願、文書表一三四号を議題といたします。紹介議題の御紹介を願います。坂東幸太郎君。
○坂東幸太郎君 苫前郡苫前村に司法事務局出張所設置につきましては、本村は天塩國苫前郡の西南に位し、東西十二里八町、南北五里十一町、約三十方里の面積を有し、戸籍数千七百余、人口一万五百有余を数うるに至つております。村示には八千筆余の土地と千百余の家屋があり、その他法人も相当あつて、羽幌線の開通と船入澗の完成、工場の新設拡張、営林署、森林軌道の敷設等に伴い、人口は年々増加の一途をたどりつつありますところ、本年六月苫前炭鉱開発着手に伴い、今後急激なる人口の増加を予想せらるるのであります。村内開発の進展に伴い、登記事務も年々増加の傾向にありますが、特に目下実施中の自作農創設特別尊置法に基く農地の買收、賣渡し件数は六百四十五件、千四百五十筆でありまして、これに附帶する分筆合筆等の登記をなすときは、二千件以上の登記を要するのであります。しかるに現在登記事務は旭川司法事務局羽幌出張所に属し、登記事件の最も多き本村農村部落よりの最短距離は十三キロ、最長四十二キロでありまして、一事件の登記をなすためには数日を要する状態でありまして、村民の不利不便はなはだしく、生産に及ぼす影響もまたすこぶる大なるものがあります。 このことについては請願はすでに数回にわたり國会の採択するところとなつておりますが、いまだその設置を見るに至らない次第でありまして、以上の事情を御賢察くださいまして、すみやかに本村に司法事務局出張所を設置せらるるよう御高配を賜わらんことを切願する次第であります。
○佐瀬委員長代理 この際政府より御意見があれば承りたいと存じます。
○岡咲政府委員 だたいまの御請願の趣旨はとくと拜承いたしました。十分研究いたしまして、予算の許す限り、なるべく御請願の趣旨に沿うように努力いたすつもりでございます。
○佐瀬委員長代理 この際御意見なり御質疑があれば御発言願います。——別にないようでありますから、本件についても審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会を取上げることにいたします。 —————————————
○佐瀬委員長代理 次に移ります。日程第九、福島刑務所移轉に関する請願、紹介議員の説明を願います。
○中村(俊)委員 福島刑務所は、そもそも福島班政時代にいわゆる牢屋としてあつたものが、その後幾多の変遷を経て、行治十五年市の最北端である信夫山麓に移轉され、大正十一年刑務所と呼ばれ、さらに昭和六年宮城刑務所福島支所と改称され、現在に至つておるのであります。爾來六十有余年をけみしておるのですが、福島市は、遠くは明治二十一年町制施行し、さらに同四十年に至り市制実施となりました。近くは昭和二二十年近郊部一町五箇村を合併するに及び、その区域は七十平方キロ、人口八万九千余を算する都市となつたのでありますが、刑務所はこれがために市の中央に位することとなり、將來の大福島発展上阻害を來すことになつたのであります。なお信夫山一帶は昭和十年都市計画法により風致地区と指定され、爾來信夫山公園の遊覽地域としての諸施設を行い、本年度においては兒童公園の建設を実施する計画にあるのですが、これが存置は社会風教上遺憾とするところであり、 〔佐瀬委員長代理退席、鍛冶委員長代理着席〕 さらに年次都市計画の重要事業として、該公園を貫通するトンネル開鑿事業の計画があるのですが、該廳舎はその区域内に存することとなり、事業施行上支障を来るので、何とぞ右の事情を御承察の上、ぜひ他に移転せられるように請願いたす次第であります。
○鍛冶委員長代理 この際政府の御意見があれば司います。
○岡咲政府委員 宮城刑務所福島支所移轉に関する請願についてお答えいたします。本件につきましては当局といたしましても、福島警務所の環境が行刑の点から見ても理想的でないということを十分承知いたしておりますので、適当な場所に移轉させたいものと考えてはおりまするが、遺憾ながら予算上の困難が伴いますので、今ただちに実行を移すことは困難な実情にございます。しかしながら現地調査を十分いたしました上、大藏当局ともさらに折衡を続れまして、御趣旨に沿うよう努力いたしたいと考えております。
○鍛冶委員長代理 法務廳に御意見なり御質疑があれば御発言願います。御質疑がなければ、本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会にとり上げることといたします。 ————————————— 〔以下筆記〕
○鍛冶委員長代理 次に日程第四、網野町に簡易裁判所設置の請願、文書表第一六五号を議題といたします。紹介議員の説明を求めます。
○榊原(千)委員 私かわつて説明をいたします。本請願の要旨は、京都府竹野郡網野警察署所在地で、中、竹野、熊野、三郡中人口、面積、産業、経済の面から見ても第一位であるが、今回簡易裁判所が峰山町及び久美濱町に設置されたことは行政官廳設置の主旨に沿わないばかりでなく地方民にとつて眞に不便である、ついては該町に簡易裁判所を設置されたいというのであります。
○鍛冶委員長代理 日程第四について、この際政府の方の御意見がありましたら司いたいと思います。
○岡咲政府委員 ただいまお申し述べになりました網野町に簡易裁判所設置方請願の御趣旨は一應ごもつともに存じます。簡易裁判所は直接社会の治安確保に任ずる第一線の裁判所でありまして、國民の利益に関係するところが非常に大きいので、政府といたしましては、旧一警察署に対し一つの簡易裁判所と一つの区檢察廳とを設ける方針でありましたが、予算の関係上、大体二警察署に対し一つの割合になりましたので、具体的設置の点は各地の事情により必ずしも画一的でなく、それぞれ現地関係廳の上申を参酌して決定したいのでありますが、もちろん現在の配置数をもつて満足しておるわけではありません。最高裁判所とも協議いたしまして、將來國家財政の許す限り、なるべくこの種請願の御趣旨に沿うよう努力いたしたいと存じます。なお本件は最初の御請願でありますから、管轄地方裁判所及び地方檢察廳へも照会いたしまして、諸般の状見を調査することといたしたいと思いますので、さよう御了承の上、今後とも何分の御援助をお願いいたします。
○中村(俊)委員 ただいまの簡易裁判所の設置のことについて、私は先般政府の方にお願いしておきましたが、例の來年度の予定表と申しますか、それはいつごろまでにわれわれのところに書類をいただくことができますか、お司いたしたいと思います。
○岡咲政府委員 最高裁判所の事務当局とも連絡をいたしておる次第でありますが、一月中には大体見通しがつくかと考えますので、一月中に書面をつくりましてお届けいたしたいと考えております。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はありませんか——ございませんでしたら、本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に移ります。日程第五、大垣市に刑務所支所設置の請願、文書表第二九一号を議題と致します。紹介議員の御説明を願います。
○山本幸一君 大垣市に昔は監獄があつたそうでありますが、いつのことにか廃止されて、大垣区裁判所管内一市五郎(大垣市安八郡、揖斐郡、不破郡、養老郡、海津郡)の区域にわたる犯罪者、容疑者、未決囚は從來大垣市署留置場に收容されることとなり、現在の同署留置場は定員二十四名のところ、前記の西濃地区には十三の警察署があつて、この管内の犯罪者はすべてこれえ留置する関係上、常に定員の倍数を越える五十名ないし六十名を收容しても、なお不足する実情であつて、自然人権蹂躪の非難を受け、また一方重要なる容疑者、未決囚を留置することができないので、犯罪調査の上に重大なる支障を生じたことも少くないのであります。まことに新憲法のもと、基本的人権の尊重が叫ばれる今日、その責任の一半を感ずる西濃市町村民の間において、これをこのまま放任することは正義人道の方からも忍び得ないとして、一日もすみやかに大垣市に独立の刑務所支所の設置を要望する声がほうはいとして起つて來たのであります。從つてこれが実現について関係市町村長は一致協力、敷地の選定その他、できうる限り努力をいたすことに申し合はせていますので、ここに西濃豊区市町村民を代表して請願いたす次第であります。願わくは貴院におかれ上述の実情及び地方地元民の熱願を御採択の上、一日もすみやかにこれが実現いたすよう格段の御高配御支援を賜わりたく懇請いたします。大垣市長ほか五名の請願であります。以上の通りでありますから、何とぞよろしくお願いいたします。
○鍛冶委員長代理 この際政府に御意見があれば司いたいと思います。
○田中(角)政府委員 大垣市に刑務所設置の請願についてお答えをいたします。請願の趣旨は当局といたしましても十分了承できるのでありますが、ひとり大垣市の場合のみでありませず、全國的に見ても被拘禁者の激増に伴う人権の問題とも関連いたしまして、刑務所施設の拡充整備に努めているのでありまするが、本件については、本年度におきましては予算資材の面が制約せられておりますので、遺憾ながら実現は不可能の状態にあるのであります。私その必要なことにつきましてはすでに十分承知をいたしておるのでありまして、來年度におきましてはこれを設置する予定で、計画書を目下経済安定本部に提出中でございますから、以上で御了承いただきたいと思います。
○山本幸一君 ただいまの御説明でわかつたわけでございますけれども、実はこの際お願いを一つ申上げたいんですが、地元で資材とか、そういう点を十分できるだけ都合するといつておるわけでありますが、そういう場合にも本年度の計画に入らぬわけですか。
○古橋政府委員 本年度の追加予算に実は大垣市の支所は含んでおりますが、御承知のような事情でただいま進行しておりますので、地元で資材その他の御準備をされましても、ただいま手元の予算をまわしまして、それを建築する費用に充てるというまでには参りかねるのであります。これは來年度の本予算に組みまして実現いたしたいと思つております。
○古島委員 今の問題ですが、この刑務所の問題もさることながら、現在法務廳の方の関係ですが、例の代用刑務所というものが各所にあります。その代用刑務所に対する手当はどういうふうな順序に手当をしておをますか。いかなる標準で、いかほどで金を支拂つておるか、その点をお司いしたいと思います。
○古橋政府委員 代用刑務所が、今日の新しい警察のもとにおきまして非常な御不便をかけていることを、私は以前から苦慮いたしております。当局の方針といたしましては、簡易裁判所、あるいは地方裁判所の支部の設置のあるところは、すべて刑務所支所を建てたいという希望を持つておりまして、大藏当局としばしば折衝して参りましたのですが、残念ながらその運びに至りませんので、各方面に多大の御不便をおかけしている次第でございます。來年度におきましては、全部ということはとうていできませんけれども、重要度のあるものからできるだけたくさんの支所を設置したいと考えて、ただいま本予算の準備をいたしておる次第であります。なお現在の代用監獄に対しましては、その留置人費を支拂うことにいたしまして、國家から留置人費を府縣に支拂つておる次第でございます。なおその方面からいろいろの御要望がありまして、衣料品その他についても負担するようにというお申出がありますが、それもただいまその運びになつております。留置人費と申しますのは食費でございまして、ただいま約四十円前後の金だと思います。これは國家警察から御要望になりました額をそのまま差上げることになつておりますが、その点では心配はないと思います。
○古島委員 その点は四十円拂えば何とかなるでありましようが、法務廳がたいへん御熱心に主張している少年法が適用されて、少年はほかの被告と一緒に入れるとか、ほかの被疑者と一緒に入れることは禁止されておる。ところが代用刑務所を使用するがために、その法律はそのまままつたく無用になつておるのであります。結局適用されないのであります。雜房にほうり込むよりほかありませんから、そうすると少年法を適用いたしまして、それを完全に実施しようとするならば、別の刑務所をこしらえておかなければ、少年法がそのまま運用できない。この間問題になりまして、ある場所で十八歳以下の少年でありますが、これを雜房へ入れておいて、今日でもそれをそのままに置いておるということから、東京の若い弁護士が判事と大いに論爭するのを私は聞いておりました。実に悲慘なものである。しからばこの少年法というものがほんといに生きて行かない。この少年法をほんとうに生かすためには、どうしても別に刑務所をこしらえなければならぬ。ところが代用刑務所をそのまま使つておりますと、御承知のように浮浪人と一緒に入つておる。もしくは兇惡な犯罪人とも一緒に入れなければならぬということになりまして、かえつて犯罪の修業に行つておるようなもので、青年自体を保護しておくということになりません。そこで別に早急につくる必要がある。予算があるとかないとかの問題ではない。あるいは別の民家を借りて、そこを建直してでも別にしておかなければ少年法の適用はできないと思います。その点について何かお考えがありましたら、お司いしたいと思います。
○古橋政府委員 少年を特に他の被疑者、容疑者から隔離した場所に置くことにつきましては、われわれもその必要を非常に感じておるのであります。新しい少年院法が施行に相なりますれば、少年は警察、檢察廳に行く前に、少年観護所というところに参りまして、そこから少年審判を受けまして、おのおの保護施設その他へ参ることに相なるのでありますが、少年院法が明年一月一日から実施される予定になつておりますので、それが実施の上は御心配の点が拂拭されると思います。
○古島委員 少年法が適用になるから私はそれを心配しておるので、代用刑務所を今のままでおいて、來月一ぱいに別に刑務所に支所をこしらえるということであるが、重要な場所にはこしらえる、そうでないところにはできないというお説でありますから、それでは困るんだ。少年法はもうすぐ適用されることになれば、少年法を運用する上においても、ああいう代用刑務所というところでは少年保護にならない、かえつて犯罪の修業になる。ここで早急にこしらえる必要があるんではないか。大藏省と折衝どころではない、この場合は民家を借りてでも——少年を保護するために置くのですから、保護するためにはそう鉄窓を設ける必要はない。鉄窓を設けなければ民家を借りてでもできるのだから、この際特別の分別があるのではないか。あとでこれをこしらえるということでは間に合はない。これは被告人としてではない、少年自体を保護するんですから、保護する点においては多少寛大に処置してもよろしいし、またそういうふうな鉄窓を設けんでもいいんですから、できるのではないか。これらは早く設ける必要があろうと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
○古橋政府委員 少年院法が実施いたされますると同時に、いままでの審判につきまして、特にこの問題を強調しなければならぬことはお説の通りでございますが、從いまして私どもの考えといたしましては、新しい観護所を建てるということよりもまず既設の建物を観護所に振りかえるという方向に進めて行きたい。いままでの私設の保護團体が使つておりましたものを買上げ、あるいは一時借り上げ、またはその他の建物を使いまして、そこを観護所といたしまして少年を扱うことにいたしたいと思います。すべての警察に代用観護所を設け、それらを全部ただいま申し上げましたような観護所にするということにつきましては、予算その他適当な施設等が見つかりませんが、できるだけ御趣旨の意に沿うようにして、どの事態にも間違いのないようにいたしたいと思つております。
○古島委員 これは法務廳の方ではいかんともいたし方ないんでありますが、現在の実情から申しますと、裁判所はそれをそのまま代用刑務所に入れておいて、窮余の一策としてやむを得ず、即時に刑の執行猶予を言い渡し、即時に出すという分別を大体は構じておるようです。これは裁判所の方では、あなたの方とは関係はありませんが、こういうことをやつておる間に、少年というものが保護されずにだんだん惡い道に走つてしまう、こういう心配がありますが、ただいまの代用刑務所に対する費用等の点につきましても、それから被告なり被疑者なりの一人の食費を給するということだけではとうていこれはやつていけません。なぜかといいますと、たとえば地方裁判所の支部がありましても、支部の方の被告人を代用刑務所に入れておくと、その送り迎えがたいへんなのであります。警察から裁判所までの送り迎えですが、そこで二十人、三十人というものが一つがいになりまして、町の中をどやどやと綱をつけたまま歩くんです。これが被告人としては大苦痛である。御承知の通り元は編笠をかぶせて歩きましたが、今は編笠の費用もありませんから、編笠をかぶせずに、綱をつけたまま往來を歩くんですが、二人か三人の巡査がついて歩かせますから、脱走するやつがいる。それはとても危險で、裁判所に入るときに、裁判所の門の前において綱をときまして、手錠をつけたまま逃げるというのがなかなか多い。これはもちろん法務廳の方にも報告があるでありましようが、これは現に目撃していることで、被告の場合にもそういうことがあるんですから、代用刑務所においてそのままで置くということは非常に危險なことでもあるし、また少年の方からいうと保護にならぬし、費用も幾らも負担しないということになれば、おそらくは刑務所の代用刑務所に使われている警察の方と、法務廳の方と爭いが起るようなことになりはせんか、そうするとほとんど法務行政が混乱して、いかんとも実際の仕事ができなくなるという心配がある。そこでできるだけ早く、予算予算といわずに、早急にやらなければならぬことではないかと思いますから、法務廳の方々は心をそろえてやつていただきたいと、これを希望いたします。
○中村(俊)委員 先ほど請願の中に矯正施設の存置の請願がありました。今古島議員からもそれに関連して少年法に対する御意見がありましたが、私は非常に少年保護の問題に関心を持ちまして、先般司法委員会から近畿の少年保護施設の視察を命ぜられまして、大阪、京都、滋賀、奈良の私設の少年保護團体、國立の少年院、さらに奈良の刑務所を視察しまして、その詳細なる報告は議長のお手元に出しておいたのでありますが、聞くとこによれば、來年の四月一日からこの私設の少年保護團体が全部國家に買收になつて國立に移るということになつておるのであります。その点については、私がその報告書に書いておるごとく、私のいわゆる視察の所感として特に重要視いたしましたのは、設備の点においてし國立にまさるものはありません。ところが矯化の面におきましては、この私設の保護團体の指導者のいかんによつては、はるかに國立のそれよりもよい結果を與えていることは、実際の調書によつて知ることができたのであります。結局設備は國立の方がよいけれども、感化善導の面において、その指導者の人格の反映の厚薄からいえば、私設團体の方がその人格の反映の度合いが濃厚である、だからこれを設備が惡いからといつて國家の所有に移していまうと、よい民間の指導者がそのままずつと長くおられればいいが、やはり官吏となつて轉勤するとかいうようなことで、いかに輪魚の美を競つても内容が非常に貧弱になるのではないかということを心配いたしまして、その方の意見をつけ加えておきましたが、何とか政府においては、もちろん設備はりつぱにしてもらはなければなりませんが、一例を上げますと、京都の五條にあります——名前はちよつと忘れましたが、これの設備は非常に惡いのです。ところがここの指導者がきわめて熱心な指導者でありまして、この子供らの善導のためにはスポーツを通じてすることが一番いいということから、少年野球を奨励をしている。町の中でありますから、外の健全なる少年のチームとどんどん試合をさせているが、そこに忌まはしい問題も起らなければ、差別的な問題も起らない。ここでは逃走者はほとんどない。また滋賀縣の安土の不良少年保護團体は非常に環境もいいのでありますが、これも指導者が熱心であるから逃走者は一人もない。ところがしばしば新聞に報ぜられている大阪の茨木の少年院では脱走者を出しておる。宇治の少年院もまたしかりであります。こうわけで國立も一長一短があるが、民間にも一長一短がある。政府ははたしてこの民間保護團体をそのまま買收して、全部國立としていくつもりであるか。あるいはこのよしあしを檢討されて、適当な存置の方法を構ぜられる意思があるかということを司いたいと思います。
○田中(角)政府委員 お答えいたします。ただいまの中村さんの御趣旨は十分にわかりますが、法務廳設置法の第十五條によりまして、昭和二十四年三月三十一日までにこれを全部官公立の施設に移して、私設の矯正施設は当日限り廃止しなければならないという規定がございますので、この法文がある以上適用されるわけであります。政府といたしましては、特にただいま御意見がございましたようなマイナス面をもたらさないように研究いたしまして、御趣旨に沿いたいと思つております。
○中村(俊)委員 その法律のあることを私知つておりますがゆえに心配をいたしまして、意見を書いておきましたが、政府といたしましてはその法律を一部改正なすつて、すなわち法務総裁の許諾を得たものの民間團体はこれを存置し、これに対し相当の補助金を與えてやつていくという御意思があるかどうか。法律では改正しないけれども、実際面においてそういう指導者がりつぱなところは官吏に登用して、これを指導面に使つていく方針がおありかどうかという点を伺いたいのであります。
○古橋政府委員 ただいまの特殊事情のもとにおきまして、今ただちに御質問に対してはつきりしたお答えを申上げることはできないのであります。政府としましては、まずこの私設少年保護施設の優秀なものは、職員も施設もそのまま國家施設になつていただきまして、そして私設のときと同樣な、さらにまたそれに予算と施設を付加して、大きな力になつて少年保護のために活動していただくようにしてもらいたいと思つておるのでございます。なおその他の御質問の要点にふれますことにつきましては、いろいろと同法で考えてはおりますけれども、ただいま申し上げるようなところまでに立ち至つておりません。
○中村(俊)委員 次にもう一点私はお伺いしたいのですが、それは奈良の少年刑務所で私は実に痛ましい姿を見まして、刑務所長にも伺つたのですが、現在ではいかんともしがたいということでありましたが、重病患者です。特にこれは肺病の少年なんです。私はあの中で、あの病棟であの悲惨なる少年の姿を見ましたときに、私は元來この行刑をいう面が國家に最も重要ではないかということを考えて主張して参つたものでありますが、刑務所長の意見を聞きますと、監嶽に入つてきたときに、すでにもう死刑の宣告を與えられておるような重病患者だというのです。われわれは死刑以外の犯罪人に対して、死刑と同じ結果をもたらすようなことを國家が放置しておることは、重大問題であるということを主張してきました。かつて私は申上げたと思いますが、大阪控訴院管内における死亡率よりも滋賀の刑務所の死亡率の方が高い。一日の一人ずつ死んでおる状態です。これは戰爭直後のことでありますから、もちろんだんだん改善されておると思います。死刑の宣告を受けている者はやむを得ませんが、死刑の宣告を與えてない者が生命を失うような取扱を受けることは、これは人道上の問題からいつても憲政の道からいつても許すべからざることです。いわんや十六、七の少年が連れて來られたときにすでに重い肺病になつて死を待つばかりだという。刑務所長が、お前そういう病氣は氣のせいだぞ、しつかりしろと、こんなお座なりのことしか言えないのかと思つてら、実際たまらなかつた。ところがそういう者は死刑の宣告を與えられたも同樣の子供なんだから、どつか病院に入れる手段がないかと聞いたところ、手続ですか、設備ですか、その点ははつきり理由がわからなかつたんですが、その重病の少年はもう死んで行く子供なんです。それをなぜ病棟に入れて置かず、監獄になお入れて置かなければならんか、政府として何らかの処置の方法があるかないか、これは放置すべきではないと考えます。そういう場合、國立の病院があつて入れられそうなものだと思います。また國家はそういうような重犯罪人である重病人の取扱いをどういうふうにされておるかということを伺いたいと思います。
○田中(角)政府委員 ただいまの御意見に致しましてはまことに御同感でございまして、特にこれはその方面から言われなくても、当局といたしましては十分注意をしなければならない問題でございましたが、この刑務所の施設その他に対しましては、常に予算面から制約を受けておりました思うようにならなかつたのであります。先日は関係方面からもこれに対して強い御示唆がございました。この間もこれに対しては首腦部会議を開きまして、特にこの法案に制約されて本來の使命を失つてはならない。こういう施設の改善その他の方法に対しては、特に新しい観点から一つ早急に案を立てなければならないというようなことから、先日來この問題に対して非常に熱意をもつて立案中でございますので、御了承いただきたいと思います。なお特にただいま申されました奈良の問題は、特に私はこれに近い請願を受けていまして、こういう特殊な問題に対しましては特に事情を調査いたしまして、御趣旨に沿うように政府としても努力したいと考えております。なおもう一つ、その重病人として死刑の宣告を受けておるような人に対して、何らかの処置はないかという御質問でございます。それらの病氣の人が收容されているのに対して厚生施設、並びに適宜な処置がどうなつておるかという御質問でありますが、これは当然法律的にもとり得るものと思いますし、また当然とらなければならぬものと考えます。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見がございますか。——本件につきましての審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に移ります。日程第二、囚人獄外作業特別許可に関する請願、文書表第一一九号を議題といたします。紹介者より説明を願います。
○松木委員 紹介者がおりませんから、私がかわつて申し上げます。本請願の要旨は、下関市富岡製作所は昭和二十二年より山口刑務所に服役中の囚人を作業に使役して來たが、その結果多くのりつぱな更生成績をあげることができた。しかるに今般労働省の囚人獄外作業禁止の指示により本作業が不可能になつたが、本製作所のように眞に囚人の更生をはかる目的をもつてする獄外作業は引続き特別に許可されたいというのであります。なお相当詳細に工場経営者の犯罪者更生対策に関する意見や、工場の現況等を記しておりますが、省略いたします。以上の趣旨でございます。
○鍛冶委員長代理 この際政府より御意見があれば伺いたいと思います。
○田中(角)政府委員 囚人の獄外作業の特別許可に対する請願についてお答えいたします。本件につきましては行刑中間刑務所といたしまして有用であるばかりでなく、過剩拘禁を緩和すを一策ともなりますので、当局としては請願の趣旨通り、受刑者を就業させる意向であります。一般失業対策に関連があると認められますので、請願要旨を労働省へ連絡いたしまして、とくと協議いたし、御趣旨に沿いたいと思つております。
○鍛冶委員長代理 そ員の他に御意見がありましたら……。
○古島委員 私は初耳ですが、労働省は禁止しておるんですが、今の請願には、禁止しておるから請願するということでありますか。
○古橋政府委員 禁止というわけではありませんけれども、原則として囚人が一般私的企業に参加することはやめるようにするということが、本年の八月ごろの閣議で労働省の提案によつて一應きまつたのでありまして、その趣旨は職業安定の面から出たはずでございます。私ども法務廳といたしましては非常な不便に相なるのでございまして、その節予算その他によりまして施設ができるまで、なるべく実行は嚴重にやらぬというような申合せになつたはずでございます。ただその後の政府部内の折衝によりまして、労働賃金の基準だけは守るようにいたしたいということに協定がなつて、その話合いを進めております。
○古島委員 私はまつたく法務廳のやり方に大賛成で、現に東京の近辺では、豊多摘刑務所の方から奥秩父へ行つて炭を焼かせている。これは非常にいい成績を上げておりまして、まきをこしらえ炭をこしらえておりますが、その環境が非常にいい。山間の山紫水明の地で、そこに囚人がいつて操業をしておるがために、その人たちは健康上にもいいし、また逃走する者はさらにない。そこで少くとも三分の二ぐらいを勤めれば、たいがい仮出獄ができるという情勢を聞いておる。しかも相当賃金をもらつておりますから帰るのにも苦しまない。帰る旅費が原因で再犯が多いのでありますが、ここの囚人だれは出て参るときに相当の金を握つて出ますから、逃走する者がないし帰り道に惡いことをする者もない。この実状を見たときに、法務廳が囚人を使うのはまことによいことであります。土工方面は失敗しておるように聞いております。先般群馬縣に参りましたらばどうも変な着物を着せたまま土工に使つておる。ほかの土工はこれと一緒にならない。子供が見て、あれは懲役人だというので侮辱する。そこで逃走するような者もあるし、なまける者も出てくるというが、これは使い方が惡いんで、ほんとうに行刑局の方で、この仕事ならという見込みをもつてやらせれば失敗に終るものではない。ほんとうに法務廳のやり方が一番いいと思つております。どうかもしも労働省が文句を言うようならば、法務廳は一段と勇氣を振つて今日のまま継続してやつてもらいたいと私は思つております。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はありませんか。本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点は適当な機会に取上げたいと思います。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に日程第七、岩井町に簡易裁判所及び檢察廳設置促進の請願、文書表第三七六号を議題といたします。紹介者より説明を願います。
○猪俣委員 紹介議員の庄司君が不在でありますので、私がかわつて申し上げます。本請願の要旨は、鳥取縣岩美郡岩井町外九箇町村を区域とする簡易裁判所並びに檢察廳を、本区域を管轄する國家警察の所在地であります岩井町に設置方請願いたしましたところ、第二國会において採択になり、地方民人はひとしく廣大の恩惠に浴することを得まして感激いたしておる次第であります。つきましては一日も早くこれを実施くださいますよう、つつしんで請願申し上げます。
○鍛冶委員長代理 政府より御意見があれば伺いたいと思います。
○田中(角)政府委員 お答え申し上げます。ただいまお申し述べになりました鳥取縣岩美郡岩井町に簡易裁判所並びに檢察廳を設置の請願の御趣旨は十分了解いたしました。この請願はさきに第一回國会におきまして御当院に採択になつたものでありまして、政府といたしましてもこの地方に簡易裁判所及び区檢察廳の設置は考えておるのでありますが、具体策については私現地の実状をなおよく研究いたしまして、最高裁判所とも協議いたしまして、なるべく御希望に沿うよう考慮いたしたいと存じておるのでありますから、さように御了承の上、この土とも何分の御援助をお願いしたいと思うのであります。
○鍛冶委員長代理 その他に御質疑なり御意見がありますが、——御意見がありませんでしたら、本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点がありましたら、適当な時期に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に日程第一一、市原市に刑務所支所設置の請願、支書表第五八九号を議題といたします。紹介者より御説明を願います。
○猪俣委員 紹介者が不在でありますので、私がかわつて申し上げます。本請願の要旨は、警察署の留置場は保護を要する者、被疑事件取調べ中の者を一時的に留置して置くものであるにかかはらず、当地吉公警察署留置場は靜岡刑務所の代用として、一般未決囚をともに留置しておりまして、現在そのために生ずる種々の弊害は看過するを得ない状態であります。特に青少年の犯罪防遏について眞劍に各種のくふうを必要とするとき、收容能力の点よりやむを得ないとしても、惡質前科者を青少年を同房せしめざるを得ない現状は、その影響するところはかり知れないものがあるのであります。 私ども司法保護の任にある者は、その聖職であることを自覚し、日夜防犯と犯罪者の更生に心を碎いておりますが、未決囚と被疑者とを同一場所に留置している状態で、私どもの千日の努力も一夜にしてむだになつているありさまであります。聞くところによれば、当地代用刑務所の制度は大正の初期、縣下掛川、下田地方と同時に定められたとのことでありますが、靜岡縣下東部の新興工業都市として興隆発展しつつある今日、吉原市は東海道鉄道沿線から離れた微々たる寒村を集めたものに過ぎなかつた当時の吉原町とは比較にならぬのでありまして、現在不良青少年の跋扈、諸種犯罪の発生、檢挙等、掛川、下田地方とは各段の相違があり、時代の変轉は特にこの種の設備について放置するを得ない状態に立ち至らしめているのであります。当地関係当局もその必要であることを、十分認めており、各種会合の際には必ず話題に上つていることであり、その対策につき種々計画している樣子ではありますが、今日に至るも何ら具体的の設置が講ぜられていないため、集團逃走、通謀、証拠湮滅等の事故が発生し、眞実の惡を逸し、弱年の初犯者をして救うべからざるに至らしめております。何とぞ私どもの意中をおくみとりの上、至急当地方に刑務支所を設置していただけますよう特に配慮を得たく、司法保護委員一同連署をもつて請願いたす次第であります。
○鍛冶委員長代理 この際政府より御意見があればお伺いしたいと思います。
○田中(角)政府委員 お答えいたします。御趣旨は十分了解いたしますが、本件につきましては國家財政の面に制約をせられておる現在といたしまして、早急なる実現は困難な状態でありまするが、なるべく御要望の御趣旨に沿いたいと思つておる次第でございます。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はありませんか、——ございませんでしたら、本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点がありましたら、適当な時期に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に日程第一二、司法檢察の淨化に関する請願。文書表第六七〇号を議題といたします紹介者より説明を願います。
○松木委員 紹介者が不在ですから、私がかわつて申し上げます。日程第一二の要旨は、昭電疑獄、石炭國管、商工省繊維事件等、相次いで白日のもとにさらされる政財官、各界にわたる一大汚職事件に対し、満腔の憤りを禁じ得ざる者は一人としていない。檢察当局に深き信頼をよせ、その徹底的なる剔抉のメスの振はれんことを期待するのはひとり吾人のみでなく、もはや國民的感情というも過言ではないであろうしかるに昭電疑獄摘発の端緒において、一部に司法檢察当局の威信を失墜するように推断せられる事実が風聞に上り、さらに靜岡のする事件における天野判事、次いで次に記述せんとする一事実等は、明らかに司法檢察当局の一部に必らずしも健在ならざる側面の存在することを暗示しているものと考えられる。以上の風聞並びに事実に基き、ここに司法檢察の淨化に関する請願を提出する。 次に請願の理由は、茨城縣北相馬郡小絹村大字新宿七四四、小菅忠義氏は、遠縁にあたる同村野本荒三郎氏所在地の賃借地において牧畜を営み、スイス産山羊約五十頭を飼育中なりしが、野本氏と不仲の間柄となりし後、しばしば牧舍の柵が破毀され、あまつさえ山羊が多き日は四、五頭変死するに及び、かねて疑惑の念を拘きつつありしところ、昭和二十年三月下旬の某日、はからずも野本氏の三男により右牧舍の山羊一頭が撲殺せられたる事実を、野本氏の孫娘が現認したりとの証言、同駐在所巡査鈴木平造氏及び小絹村尋常小学校兒童数名の証言するところより、同事実は一点の疑いをいれざるものとして確認するに至つた。よつて小菅氏は野本氏に対して右の事実を述べ、これが損害の賠償を請求し、かつ將來を戒めたところ、野本氏は右事実を否認した。かくて示談の余地なきに至り、小菅氏は獸医により右毆殺山羊の診断書を作製の上、昭和二十年三月下旬、右事実に基き龍ケ崎区裁判所檢事局に野本氏を告訴したところ、龍ケ崎檢事局は小菅氏の証言を求めず不起訴処分に付した。これに不服の小菅氏は昭和二十年一月下旬水戸地方裁判所檢事局に抗告したところ、係大久保檢事は証人の呼出しを求めず、原処分相当との裁断をくだした。そこで小菅氏はさらに昭和二十二年八月九日東京高等檢察廳に抗告せしところ、高檢より係大月和男檢事が現地調査のため水海道警察署に來署した。高檢大月檢事は同署取調室において、野本氏より提供、司法主任を通じ弁当代百円を收受せる事実、また同署司法主任は野本氏を敬称をもつて呼ぶに反し、小菅氏をおいと呼びし事実等、明らかに野本氏、水海道警察署司法主任、高檢大月檢事間に何らかの默契の成立を物語るものと推測せられる。かかる取調べの結果、大月檢事は調書を作成せず、東京高檢は該事件に対し抗告棄却の処分をなした。この裁定の後、大月檢事は野本の委任を受けたりと称し、小菅忠義氏に示談を申込んだのであるが、この示談交渉の過程において、仲裁証人小菅新平は大月檢事より、同檢事がさきに水海道警察署司法主任より弁当代として百円受領せることを聽取した。右示談は不調に終り、遂に小菅氏は昭和二十二年十二月廿日、東京最高檢察廳に再々抗告をなした。該当件につき係福尾檢事は、右事件は昭和二十三年再抗告第四号毀棄事件と決定し、最高檢察廳は該事件に対し、再抗告棄却の裁定を下した。 右事件において、小菅氏有山羊が野本氏の使嗾に基き、同氏三男によつて撲滅せられたことは、既述のごとく幾多の証人により明白たる事実であり、小菅氏告訴の成立はほとんど常識的事項に属するといわねばならぬ。しかるに奇怪にも下級檢察廳より最上級檢察廳に至るまで、原告の告訴理由不成立の不法裁定に終つたことは、右裁定の過程において不正事実の介在せることを暗々裡に物語るものと断定せざるを得ないのである。敗戰以來國民はあてどなき廃墟の虚無の中から、前途の曙光をみつめて憂愁に満ちた足取りを運びつつある。かかる現実に着目するとき、これらの國民に対してたれか人生への希望と勇氣の把持をこいねがわざるものがあろう。しかして日本國民に希望と勇氣を招來せしめる最低限の條件を満たすものは、ほかでもない。法の神聖保持と司法檢察の威信を失墜せしめざることである。これが本請願を提出する理由である。以上の趣旨でございます。
○鍛冶委員長代理 この際政府より御意見があれば伺いたいと思います。
○田中(角)政府委員 お答えいたします。御請願の趣旨は十分承いたしました。檢察当局といたしましては、犯罪の処理に当りましては、常に嚴正公平なる立場を維持いたしまして、営々不正の糾彈に努めて参つておるのであります。いわんや権力または私情等によりまして立場を曲げるようなことがなかつたことを確信いたしておりますが、その執務の内容につきまして、かりそめにも國民から疑惑の目をもつて見られることがありますれば、檢察の威信の保持上きわめて遺憾なことでありまするので、十分これを調査いたしたいと思うのであります。眞に國民より信頼される檢察の確立に努める方針でもあります。お指摘の点につきましても、愼重に調査を遂げまして、すみやかにその眞相を明らかにいたしたいと思つております。以上をもつて御承をいただきたいと思います。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑なりございませんか——ございませんでしたら、本件についての審査は一應終りました。盡さない点は適当な時期に取げることにいたします。 それでは休憩いたします。 午後一時休憩 ————◇————— 〔以下速記〕 午後二時二十分開議
○鍛冶委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。 日程第一〇、住居法の制定並びに戸籍事務関係運営法制定の請願、文書表第五五七号、紹介議員の説明を願います。林百郎君。
○林百郎君 本請願の趣旨並びに理由を申し上げます。この住居法は次の三つの項目に最も重要な義を有しております。 その一つは、各個人の住居が容易に明確に把握できることで、これはその住居が公民権や私権の権利義務を行使、遂行の所在として國家、個人に欠くべからざるものであることは当然のことであります。また公的にも私的にも公機関によつて、住居を登録し、させることは國家及び地方公共團体の行政運忘上、実務上大きな利益を得ることにもなります。 その二つは、本法の利用價値であります。これを行政運営面より、また個人の生活面より檢討してみますと、まず行政面で公簿と実際の個人住居が一致して一貫したものとなり、從つて人口調査、配給台帳、選挙人名簿等の調査や帳簿の作製等、その他重要なる行政面に正確と簡便さを與える。これが個人生活の面においては行政手続上の諸労がなくなり、行政、公簿、生活の民主的一貫性が確立され、後述の寄留法と比較して常に生きた法律となる。 その三つは、右記の諸事柄を具体的に解明して、本法制定の趣旨と理由を強調したいと思います。現在個人の身分関係の登録である戸籍法は完備しているが、しかし住居に対して立法的なものといえば寄留法令があるのみで、しかもこの寄留法は四囲の諸事情の変化とともに多くの欠陷が生れ、現行、法では利用價値のいかんが疑問となつて來た。その一例として、九十日以上本籍外において一定の住所又は居所において、居住するを目的として定めたるもの云々と、これは本籍以外に居住する者で、九十日以上一定の場所に居住する目的をもつた者でなければ適用されない等、さらに運営面で、現行法に関することは戸籍事務と同樣に監督しなければならないのに、これも万全を期す状態になつていない。これは寄留法が利用價値に欠けていることを証明するものと思います。また現在の市町村における寄留事務体系では、本籍外に居住している者の把握に困難があり、またあえてこれを調査しても、時日に大きなずれが生じて正確性が失われてしまう。これは換言すれば特別な調査のほかには、現在の戸籍法、寄留法では個人の居住状態は不明の点が多いということになり、また実際さうであると言えめのです。このようなことでは官公署の住居場所の照会にも支障を來し、行政事務一般、機構一般の運営等に重大な影響を與えざるを得ないのです。 以上の事実に基いて、別記のごとく法文化した住居法試案が制定された場合は、國家、地方行政と國民各個人の生活を一貫的に結び、複雜な事務系統を整然と方向づけ、國家立法の民主化を國民と結びつける重要かつ有用な法律となることを信じます。 次に戸籍事務関係運営法の制定に関する請願事項を申し上げます。 一、戸籍事務並びに同良員の特殊性の強調、戸ベ事務は市区町村に対して、事務を國家が委任したものであつて、これに携わる吏員もまた職階的に他の吏員とその趣を異にするものであります。また実務上においても、戸籍事務の特殊性はまつたく他の比ではありません。すなわち委任された戸籍事務は個人の身分に関する公証録であつて、民法の親族編の手続法である復雜対面的な戸籍法及びこれに関連附随した事務取扱い等はきわめて重要であるゆえに、当然その職に当る者に法律的知識を必要とし、從つて絶えざる努力と研究がなければなりません。ここに司法行政事務の一つである戸籍関係事務が、他の一般行政事務と異なり、自由裁断の許れない意義があります。 二は、戸籍関係事務の全國を通じて一貫性でなければならない点及び当該吏員の地位身分の問題であります。戸籍事務はその性質上からも國家司法行政事務であることは理論の余地員ありませんが、実際運営上の具体的な事柄では、地方によりしばしば取扱いその他が異なり、國家地方行政面並びに個人の身分に重大な支障を來す例もあります。この原因としては、戸籍関係事務の全國的不統一、人員、知識の不備等があるといえども、さしあたつて現実の問題として吏員の身分地位の低下、ひいては該事務の過重がその主要原因と言い得るのです。この原因の排除、地方自治公共團体に委任された戸籍関係事務の整備確立のため、その要点を列挙いたします。 第一は、戸籍事務関係の経費の國庫補助でありますが、戸籍関係事務は法令で國家が市町村に委任した事務であるところからして、これに要する経費は國家で負担し、市町村に対して補助することであります。 二は、戸籍吏員の身分保証と地位の安全確保であります。司法行政事務の一つであるから他の一般行政と異なり、事務の性質上担当吏員の職務から見て、吏員の身分保証と地位の安全を期し、市町村長限りでみだりな任免、異動等を行わないようにすることとし、それに相当なる身分の保障と地位の安全とを與えて、能率をあげて國民のため便宜をはかるようにし、親切丁寧にしてこれが貢献するようにすることであります。 三は戸籍に関連する事務の統合であります。戸籍事務に関連せる事務は、その性質上また事務の処理上から、能率的に運営を期する点からして、全國民ひとしく適用される人に関する事項、また直接これに関連した事務は、これを統合することであります。これが行政の簡素化と円滑、迅速な、確実な運営ができ得るようになり、國民に対しても経費と諸労と時間を軽減させることになると思います。 四は、戸籍関係事務の機構の独立組織ということであります。右三項の特殊性、事由によつてこれが運営上、組については地方自治行政機構の面において、その独立性を認めることが、職階的に、また行政の本旨に沿うことになると思います。 なおここに國家司法行政と地方自治行政の関連を明記し、前者の独自性を主張いたしたいと思います。普通一般地方自治行政は、地方自治法に基いて運営されているのでありまして、それぞれ地方自治体によつて多少異なつているところもありますが、これに反し戸籍事務関係は、國民生活の基礎として全國一般に一貫して運用される通法で、当然地方ごとに異なるべき性質のものではありません。 地方公共團体の行政はこの運営及び組織を定めた地方自治法に從い、この中にある戸籍関係事務は戸籍法及びその他のこれを定めた法令によつて執行されるのでありますが、この要点に示された事項については、運営上司法行政事務の一貫性が完全にでき得ない結果にもなるようなことにまで及んで來やしないかと思われます。 ここできわめて重要な地位を占めるべき戸籍關係事務は前述の趣旨の要点を実施するために、地方自治体と並んで、國家司法行政の市町村に委任されたこの種の事務の運営に關する法律を定め、戸籍關係事務の主体性を確立しなければならないところであると考えます。 以上請願の趣旨を申し上げまして、政府の御所見を伺います。
○田中(角)政府委員 御答弁申し上げます。まず住居法の制定についてお答えいたします。現行寄留制度が、國内の住民全部をその居住地において正格に把握するのに不適当であつて、その利用價値に乏しく、たとえば選挙、生活必需物資配給その他重要な行政施策実施のための各種人名簿及び台帳の調制にあたつては、その目的に應じて二重、三重に労力と経費を費して住民調査が行われなければならい実情にあることは、まことに遺憾と存ずる次第であります。この実情にかんがみまして、政府といたしましても現行寄留法を廃止し、簡易迅速かつ正格に住民調査を行うための公の証明力を持つた基礎資料設定のための住民登録の制度を確立し、これによつて労力と経費の節約をはかり、あわせて行政事務の円満な運営に資することができるような構想のもとに、住民登録に關する新しい法律案を次期國会に提出する予定で、目下急速にその準備を進めているのでありまして、御請願の趣旨は近く実現を見ることができると存じます。なお、その構想は現在のところ大体御請願と同じ線に沿うものであります。 次に戸籍事務關係運営法の制定についてお答えいたします。戸籍事務は國の行政事務でありまして、他の行政事務と異なつて、專門的法律知識と技術とを必要とし、かつ全國を通し統一的に運営されなければならないことは申すまでもないことでありまして、この事務は市町村長に委任されているのでありますが、これに要する経費は從來すべて地方財政によつてまかなわれていたのでありますが、この経費の全部または一部を國が負担すること、優秀な戸籍担当職員を長くその地位に安んぜしめるようにし、十分關係法規等の研究の余裕を與え、もつてその地位と素質の向上をはかること、及び戸籍に關する事務の全國的統合をはかることが必要なことは、まことに請願の御趣旨の通りでありまして、政府といたしましても、終戰後は特にこの線に沿つて努力いたしているのでありまして、今後さらに一歩々々この方向に前進を続ける覚悟でおります。すなわち経費負担の点につきましては、本年度初めて戸籍事務職員増加に要する経費として、地方一般財源を若干増額することが地方財政制度の改正に伴つて認められたのでありますが、法務廳といたしましては、でき得れば來年度から戸籍事務に要する経費の全部または一部を、何らかの形式により國庫が負担するような予算措置を講じたいと努力いたしております。また戸籍事務職員の地位の安定の点につきましては、これら職員の任免異動等はなるべく司法事務局の了解のもとに行われるよう、各司法事務局から市町村に対し協議いたさせる方針をとつております。また戸籍事務の全國統合につきましては、戸籍事務の指導という点をも考慮いたしまして、從來行つております現地指導、参考書配布等をさらに強化するとともに、講習会の開備、今秋結成を見ました全国連合戸籍事務協議会の積極的援助等に方法により、十分その効果をあげたいと存じております。戸籍関係事務機構の他の地方自治行政機構に対する独立性をどの程度認めるかということにつきましては、右にあげました諸点をさらに推進させるため、立法的措置を講ずる必要があるかどうかという点とともに、御提出の戸籍關係運営法試案をも参考といたしまして、今後十分研究いたしたいと存じております。
○林百郎君 今政府委員の方から非常に御鄭重な御答弁を得まして、非常に私感謝している次第であります。実は本人は地方の一市役所の戸籍係として、十数年間事務で苦労した者であり、非常にまじめな青年でありまして、おそらく本日の政府委員の御回答を傳えたならば感涙にむせんで感激すると思うのであります。どうか政府もこの趣旨をなるべくすみやかに実現されるよう、努力くださいますことをお願いいたします。
○田中(角)政府委員 了承いたしました。
○鍛冶委員長代理 委員諸君の御意見なり御質疑はありませんか——それでは本件についての審査は一應終りました。なお盡さない点はあとで取上げることにいたします。請願の審査はこれにて終了いたしました。 —————————————
○鍛冶委員長代理 それでは委員会における請願の取扱いを決定いたしたいと存じます。
○猪俣委員 本日審査いたしました本委員会付託の請願は、いずれもその趣旨もつとも考えられますから、議院の会議に付しまして、なお採択の上は、内閣に送付せられんことを望みます。
○鍛冶委員長代理 猪俣君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長代理 御異議なしと認めます。それでは動議のごとく決しました。なお請願の委員会報告書の作成に關しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長代理 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 これより陳情書の審査に入ります。陳情書の審査は、請願の審査に準じて進めて行きたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長 御異議なしと認めます。 それでは日程第一、倉敷簡易裁判所昇格等の陳情書外一件、文書表第一三三号、さらに第七、倉敷簡易裁判所昇格等の陳情書、文書表第三六四号、右両案を一括議題といたします。專門員より説明を願います。
○村專門員 倉敷簡易裁半所昇格等の陳情書に關して、倉敷市は備中南部における商工、文化、交通の中心地でありますが、その司法關係は岡山裁判所五島支部に畜するため、地元民の不便ははなはだ大でありますから、倉敷簡易裁判所並びに倉敷区檢察廳を、岡山地方裁判所倉敷支部、岡山地方檢察廳倉敷支部に昇格するとともに、新たに岡山刑務所支部を設置されたい。これが第一の案であります。 次に第七につきましても陳情書の趣旨は同樣でありまして、要するに倉敷簡易裁判所昇格につきまして、前と同じような陳情の趣旨が述べられております。
○鍛冶委員長代理 これに対し政府より御意見があれば伺いたいと存じます。
○田中(角)政府委員 ただいま専門員よりお述べになりました、倉敷市に岡山地方裁判所支部及び同地方檢察廳支部並びに岡山刑務所支部設置方陳情の御趣旨は一應ごもつともに存ずるのであります。政府といたしまして御不便の事情はよく了承いたしておりますが、裁判所支部の設置は、御承知の通り最高裁判所の権限に属しておりますので、最高裁判所によく御趣旨を傳達いたしまして、何分の考慮を願うことにいたしたいと思います。なお地方檢察廳支部及び刑務所支部設置につきましては、地方裁判所支部が設置されるようになれば、政府において十分考慮をいたしたいと存じますから、さよう御了承の上、この上何分の御援助をお願いいたしたいのであります。以上をもつてお答えにかえる次第であります。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——それでは本件についての審査は一應終了いたしまして、なお足りない点があれば、適当な機会に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 第二、戸籍事務費全額國庫負担の陳情書、文書表第二九三号、專門員の説明を願います。
○村專門員 戸籍法の改正による戸籍事務はますます激増しておりますが、地方財政の窮乏のためこれらの職員のに遇は惡く、かつ人件費、郵税等に多大の負担を加えているから、この重要なる公証事務遂行の円滑敏速なる整備をはかるがために、戸籍事務に關する人件費及び物件費を全額國庫で負担されたい。陳情書は宮城縣戸籍事務協議会長岡崎栄松氏であります。
○鍛冶委員長代理 これに対する政府の御意見があれば伺います。
○田中(角)政府委員 御答弁申し上げます。國の重要な行政事務であります戸籍事務が市町村長に委任せられ、これに要する経費が市町村の全額負担とされておりました理由は、この事務が市町村にも密接な關係がございましたことと、市町村の財政も比較的余裕があつたこと等によるものと考えるのであります。しかし戸籍事務量の増大及び地方財政の現状等にかんがみますとき、これを現状のままに放置しておきますることは、戸籍事務の運営に支障を來すおそれのありますことは明らかでありまして、政府といたしましても、國家事務たる戸籍事務の経費は、全部または一部を國庫が負担いたしますことが、戸籍事務遂行上ぜひとも必要と考えられておりますので、この方向に向つて努力をいたしております。すなわち本年度におきましては、地方財政制度の改革に伴いまして、戸籍事務と担当者の増加に要する経費といたしまして、若干の一般財源の増額が認められたのでありまするが、さらに法務廳といたしましては、戸籍事務の経費は少くともその一部を國庫が負担いたしまするような予算的措置をとりたいと、着々準備を進めておる次第でございます。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——ございませんでしたら、本件についての審査は一應終りまして、なお足らぬ点があれば、適当の機会に取上げることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次いで第三、出雲市に松江刑務所支所設置の陳情書、文書表第三〇二号を議題といたします。專門員の説明を求めます。
○村專門員 現在出雲市にある簸川地区警察署の留置所は、警察制度改革に伴い範川、安濃、邇摩及び出雲市を含む一市三郡の留置場並びに代用刑務所として使用しているが、犯罪が増大している現今、これが一留置所ではいかんともできず、地安維持に及ぼす影響は大であるから、代用刑務所にかわる新しい施設として、出雲市に松江刑務所支所を設置されたい。陳情者は出雲市長森山繁樹外一名であります。
○鍛冶委員長代理 本件に關し、政府より御意見があれば伺いたいと思います。
○田中(角)政府委員 ただいまの議題に対して政府の意見をお答えいたします。出雲市に松江刑務所支所設置の陳情に關しましては、当局といたしましてもその必要性を認めまして、昭和二十四年度予算に計上いたしまして、その実現をはかつております。以上御答弁申し上げます。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——ございませんでしたら一應審査を終りまして、なお不足の点があれば、適当の機会に承ることにいたします。
○鍛冶委員長代理 次いで第四、民法の一部改正に關する陳情書、文書表第三一六号を議題といたします。專門員の説明を願います。
○村專門員 民法第三百九條但書に規定されている雇人給料の先取特権の金額は、現在の経済事情に適合せず、雇人の生活を擁護せんとする本條の精神に反するから、すみやかに同條の但書を削除されたい。陳情者は北海道及び東北六縣地方労働委員会協議会長宮城音五郎氏であります。
○鍛冶委員長代理 本件に關し、政府の御意見があれば承りたいと思います。
○田中(角)政府委員 政府の意見を申し上げます。民法第三百九條但書の金額が現在の経済事情に鑑みまして低きに過ぎる。雇人に対して法の実を十分にあげ得ないことは明らかであります。なお現下の経済状態から見まして、他にも改正を適当と考える規定もあると思われますので、これらをも考慮に入れまして、近く何らか適当の処置を講じたいと存じております。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——ございませんでしたら、一應これを終了いたしまして、なおあれば適当の機会に承ることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次いで第五、代用監獄廃止の陳情書、文書表第三三七号を議題にいたします。專門員の説明を求めます。
○村專門員 今回裁判所法により簡易裁判所が各地に増設されたが、これに伴う刑務支所の設置及び刑務官吏の所要員配置がないため、警察署の留置場がこれに代用され、警察力は著しく低下している、ついてはすみやかに代用監獄制度を廃止されたい。陳情書は岐阜縣公安委員会であります。
○鍛冶委員長代理 これに対する政府の御意見があれば承りたいと思います。
○田中(角)政府委員 お答えいたします。代用監獄廃止の陳情につきましては、陳情の御趣旨は十分了承されるところでありますが、遺憾ながら國家財政の面に制約せられておりますので、一挙に解決することはできがたいのであります。必要度の高いところから、重点的に実現をはかるべく計画を進めております。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——ございませんでしたら、本件についての審査は一應終りまして、なお不足の点があれば、適当の機会に伺うことといたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に第六、仮出獄及び保釈の取扱に關する陳情書、文書表第三四四号を議題といたします。專門員の説明を願います。
○村專門員 最近仮出獄者並びに保釈出所者の数が著しく増加しているが、その大部分は再び犯罪を繰りかえしている実情にあるから、すみやかにこれが刑事政策または行刑上の改善措置を講じ、仮出獄者及び保釈出所者の取扱いに愼重を期して、再犯防止の保障を與えられたい。陳情者は岐阜縣公安委員会であります。
○鍛冶委員長代理 これに対する政府の御意見があれば伺います。
○田中(角)政府委員 お答えいたします。最近刑務所からの仮釈放者は相当多数に上つておりまするが、そのおもなる理由は刑務所の收容者が終戰以來極度に増加いたしたのに対しまして、收容施設が戰災その他によりまして著しく不足をいたしており、收容定員の約二倍の十万人に達しようとしているのが現状であります。刑務所は極端な過剩拘禁状態に陷り、適切な行刑処置ができ得ない状態に立ち至つているのでございます。これに対しまして当局は戰災刑務所の復旧に努力いたすとともに、旧軍の施設の獲得に努力をいたし、ある程度の成果を收めておりまするが、何分にも予算や資材の制約がございまして、過剩拘禁緩和の緊急処置といたしましては不十分であります。また十万人に及ぶ收容者に対する被服、食糧等の支給には莫大の費用を要し、予算その他の面より種々困難が伴つているのでございまして、当局といたしましては緊急やむを得ない処置といたしまして、改悛の情が認められ、または改悛の見込みのある收容者はでか得るだけ多数仮釈放することにより、收容者の減少をはかり、一面彼らを仮釈放することによりまして、更生復帰の迅速化を期しているのであります。しかしながらもとよりこれがため社会の治安が著しく乱されるようなことがあつてはならないのでありまして、仮釈放の審査には愼重を期しておりまして、仮釈放後の保護監督についても、制度並びに組織の上に十分の檢討を加え、目下その法制を準備し、關係方面と折衝中であります。なお保釋の件につきましては、裁判所側から御答弁を申し上げます。
○古島委員 今の仮出獄の統計はどうなつておりますか、仮出獄者がどれくらいの数に再び入つて來ますか、保釋の方はどれくらいの数に入つて來ますか、パーセンテージはどうですか。
○古橋政府委員 仮出獄者の再犯数でございますが、終戰以來漸次そのパーセンテージがふえまして、今年度一月から十月までのパーセンテージは、百人に対しまして八人強の仮出獄取消になつております。もつともこの場合の数字は、仮釋施期間中に犯罪を犯して再び刑務所へ入つたものでありますから、もし期間を完全に完了しまして後に犯罪を犯しても、この数には入りません。保釋の方につきましては私の方ではわかりません。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はございませんか。——ございませんでしたら一應審査を終了いたしまして、なお不足の点はあらためて承ることにいたします。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次は第八、賣春等処罰法案に關する陳情書、文書表第四一七号を議題といたします。專門員の説明を願います。
○村專門員 陳情者は大阪府接待婦組合連合会会長松井リウであります。私たち就業婦の中には、戰爭中白衣の天使として第一線に從軍し満洲、中支、南支、南方各地域において、また軍の慰安婦として働きおり引揚げたる者、その他夫が戰死し子を持つ者、元ダンサー、女給、看護婦、女店員、女工等と諸種の前職を持つておる者ばかりで、いずれの職域においても、現在の接待婦以上のことをいたさねば生活ができず、その上他の方面においては衞生設備は不十分なるため、健康上おもしろくなく、不幸にして病氣にかかりましたら、一般の開業医にかかりますと藥價、治療費が高くかかり、いくらくふうして働いても医者の奉公をしておるようなもので、治療はおろか生活もろくにできず、衣類等を賣り盡くして現在の職業に入つて來ている者が少くないのであります。戰いに負けたとはいいながら、民主平和國家を建設して一日も早く世界の仲間入りをするためには、今度のような法律ができることは、理想からいえば当然とは思いますが、このごろの世相よりしまして、さきに申し上げました通り、職業婦人として働いている婦人の中には、皆さんがお考えになつておられるような、給料だけで生活しておられる方はほとんどないといつても過言でないと思います。 こころみに街娼をごらんになりましてもおわかりの通り、あの中には一流会社の女事務員から百貨店の女店員、女学生、ダンサー、女給等とあらゆる職業婦人であり、よし街娼はしなくとも、他の方法にて別の收入を得て生活していることは間違いないのでありまして、またそうすることによらなければ、今日このごろ洋服の一着も靴の一足も買うことができないのが事実であります。私たちにいたしましても、決してすきや好んでこうした職業に入つたのではなく、諸種の職域において職業外の收入の道をくふういたさなければ、子供を養うことも家族を助け、または兄弟のめんどうを見ることもできず、他の方面で苦労したあげく、健康上安心して働ける衞生設備の完備した、こうした職業を選んで働いているような次第でございます。 いかに男女同権とか基本的人権の尊重が叫ばれましても、現在の社会はそんなりつぱなものではありませず、私たちのうち、女中奉公中主人にむりを言われ、ビズネス・マンとして上役の人よりむりを言われ、いずれの職域においても職業婦人は横暴なる男性のたにめ犠牲になり、苦労しているのが事実であります。現在の職業に入り、一般世間の人のお考えになり御心配なされておるようなことはなく、まつたく自由であり、その上経済的に惠まれ、他の一面で同じような意味で今日まで苦労をしたのがばからしいような氣がします。 方のような意味よりしまして、職業婦人の一部のうち、特に近親のめんどうを見る一定の期間働くためには、どうしてもこうした職域が必要と思います。少くとも経済界が安定して生活苦が少くなり、一般職業婦人が給料にて生活ができ、その上服の一着もくつの一足も買うことができ得るようになり、他面青年男女が一定年令に達したなれば、結婚して主人の收入にて生活ができるよう、また全國民が衞生思想が発達し、性教育が今少し普及され、すべての点につき世界の水平線まで進み、自他ともに認められる時期まで、今度の法律が出ぬようにしていただきたいと思います。
○鍛冶委員長代理 これに対して政府の御意見があれば伺います。
○田中(角)政府委員 ただいまの陳情に対してお答えいたします。陳情の趣旨は十分了承しました。このような業務に從事する婦人の中には、種々事情のあることも十分承知いたしておりますが、しかし戰後著しく増加して参つたこの種行為は、健全な性道徳を破壞し、善良な風俗をみだし、のみならず恐るべき性病を蔓延せしめるもととなるものでありますから、政府としましてはかかる行為の絶滅をはかることを必要と考え、その一つの方策として、第二回國会にも賣春等処罰法案を提出したのであり、あれは審議未了に終りましたが、近く、さらに同様の法案を國会に提出する準備をいたしておるのであります。われわれとしましては種々研究の結果、現在の事態に対処するためには、このような法案がぜひ必要であるとの結論に到達いたしているのでありますが、國会提出の上は、國会において十分愼重な審議が加えられることを望んでいるものであります。
○鍛冶委員長代理 ほかに御意見なり御質疑はありませんか。ございませんでしたら、これをもつて一應審査を終了いたします。なおほかにありましたら、いずれ適当の機会に伺います。 —————————————
○鍛冶委員長代理 全陳情書の審査は一應終了いたしました。この際御意見がございましたら伺います。
○井伊委員 ただいま審査いたしました本委員会付託の陳情書は、最後の賣春等処罰法案に關する陳情書を除き、その他はいずれもその趣旨適切なるものと思われます。從つてこれらは委員会において了承して、今後の法案の審査等に資するように取扱われんことを望みます。
○鍛冶委員長代理 井伊君の動議に御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鍛冶委員長代理 ただいまの井伊君の動議のごとく、賣春等処罰法案に關する陳情書を除き、その他はいずれも本委員会において了承しておき、またの本委員会における法案の審議立案等の際、陳情書の趣旨を反映することにいたしたいと存じます。 —————————————
○鍛冶委員長代理 次に刑事訴訟法施行法案(内閣提出第一八号)裁判所法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一九号)司法警察職員等指定應急措置法案(内閣提出第三一号)以上三案を一括議題といたします。御質疑がありましたら承ります。
○猪俣委員 今一括上程されました裁判所法の一部を改正する等の法律案につきまして、その改正の一点といたしまして、最高裁判所の長官及び最高裁判所の判事及び高等裁判所の長官に祕書官をつけるという案があるのであります。大体官吏はある種の整理をやらなければならぬことが、今行政整理の問題として大きく問題になつておる際でありますが、裁判所においてはそれに逆行いたされまして、さような新しい官を設け、人を配置するということでありますから、それにつきましては合理的なる、置かなければならぬ事情を御説明願いたいと思うのであります。われわれの考えによりましても、今までの判事と違つて、裁判所法ができましてからの最高裁判所の判事あるいは高等裁判所の長官というものは、いわゆる純然たる裁判事務のほかに、司法行政といわれる分野を担当せられておるのでありますから、相当事務が煩雜を來しておるということは想像できるのでありますが、本來の本務である裁判事務以外に、司法行政と称せられるような事務がどの程度これらの裁判所において輻湊しているものであるか、それのいかんによりまして、この祕書官の設置もまた必要じやないかというふうに考えられるのでありますから、ちようど当委員会に最高裁判所の事務当局も見えておりまするから、委員長におきましては、それらの方々を説明員として許可していただきまして、今の点について当委員会に御説明願いたいと思うのであります。司法行政事務の実際につきましての御説明をしていただきたい。
○五鬼上説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。御質問の中にもありましたように、裁判所が行政事務を裁判官会議で行う關係上、相当複雜な行政事務が数多くありまして、昨年八月に最高裁判所が出発いたしましてから、本年七月末までに行政事務に關して会議を開いた状況を申しますと、会議を開いた日数が一年間に百二十五日、その中には規則の制定等が八十六回、司法研究あるいは修習等が九回、渉外關係等が五十五回、その他いろいろの行政事務に關して七十四回、人事に關して百二十五回、その他予算あるいは廳舎の關係等、相当数に上つて裁判官会議というものを開いて行政事務をとつておるのであります。一方裁判官は裁判をしなければならぬし、裁判事務も相当複雜になつてきておりまする場合に、行政事務がただいま申しましたよううに非常に多くありまして、最高裁判所の実際の実務の取扱いを申し上げますと、毎週一回必ず行政事務に關する裁判官会議を開催しております。かようなために、長官の祕書官はすでに裁判所法で定められておりまするが、その他の十四名の裁判官も、この行政事務には相当忙殺されておる状態でありまして、たとえば規則の制定をいたすというような場合にも、その原案を審議するためには、やはり補助者を必要とするのであります。御承知の通り調査官がございますけれども、調査官の制度というものは、事件に關しての調査のみでありまして、かような司法事務には携わることができないのであります。その他今のようないろいろ予算の關係、その他の下調べ、あるいは連絡等について祕書官を必要とする仕事が相当たくさんあるのでありまして、かような次第から祕書官の必要を感ずる次第であります。なおこの最高裁判所の判事の祕書官につきましては、すでに政府から提案されておる公務員法においても、特別職として第二條に入つておるのでありまして、これらの規定し相まつて、裁判所法の改正に祕書官を入れるべく改正を企てた次第であります。
○猪俣委員 刑事訴訟法施行法案に關するお尋ねをいたしたいと思います。これによりますと、経過法はいわゆる第一回の公判を開いたかどうかによつて、新法を適用するか旧法によるかというふうになつておるようであります。第一回の公判期日を標準にしたことにつきましての立案者の御意見、どういう理由で第一回の公判期日を標準にして、新旧法の適用を区別したのであるかということについての御説明を承りたいと思います。
○野木政府委員 ただいま御質問の点でございますが、この刑事訴訟法を改正する法律の施行に關して経過規定を立案するに際しまして、一番問題になりました点は、今御指摘のどこで新法と旧法との使いわけをするかという点が、一番問題になつた点であります。そのどこで使いわけをするかにつきまして、大体二つの考え方が出たわけであります。一つはこの案にありますように、第一回の公判期日が開かれたかどうかによつてきめる。いま一つは、公訴提起の前後によつて区別するという二つの考えがありました。もとより小さん点の違う考えはもつとありますけれども、大まかに言つて二つあつたわけでありますが、このうち公訴提起によつて区別する。すなわち公訴提起のあつたものは大体旧法によつて行く。また公訴提起のないこれから公訴提起になるようなものは新法によつて行こう。これは今までの経過法のあり方に沿うておるわけであります。この案のように第一回の公判期日が開かれたかどうかという点でわけるのは、どちらかと申しますと、新しい考え方になるわけであります。なぜこうしたかと申しますと、要するに新法が日本國憲法の精神に一層よく沿つたいい法律であるから、なるべく新法によらしめる事件の範囲を廣くした方がよいではないか。それには公訴の提起の前後によつて区別するよりも、第一回の公判期日が開かれたかどうかによつた区別した方が、一層多く新法を適用される範囲が廣くなる、そういう考え方から出て來ておるわけであります。それにいま一つは、経過法といたしまして、一部旧法によりながらところどころ新法によるという小さい区わけは、なるべく避けた方がいいじやないかという考えも働きまして、結局第一回の公判期日ということに落ちついたわけであります。第一回公判期日が開かれた以上は、もう旧法の手続が開かれたのだから、それは旧法でその事件は全部完結させる。まだ第一回公判期日の開かれない場合は、まだ具体的に公判手続が済んだわけでないから、これは新法により、よりよい制度によらしめた方がいいじやないかという点でありまして、ごく簡單に結論的に申し上げますれば、要するに新法適用の範囲をなるべく廣くしよう、そういう精神から出ているわけであります。
○猪俣委員 これは実際問題としていろいろな問題が起るだろうと思いますが、そうすると理論といたしまして、刑事訴訟法の進行は搜査のところから始まるのでありますが、第一回の公判期日から区別しますと、搜査の段階においては旧法でやる。そうして公判になつてから新法になる。そうすると刑事訴訟法全体の行為について、やはり旧法と新法の適用が二つになるということになつて、これは全体の調和上からどういうものであるかと思いますが、こういうことについてはいかなる御所見をもつておられるか、伺いたいと思います。
○野木政府委員 ただいまの点は、公訴提起の前後によつて区別いたしましても、幾分かは搜査の段階は旧法により、公訴後は新法によるというように、ある一つの事件があるところは新法により、あるところは旧法によるという区別、そういう点は出てきますけれども、この案のように、第一回公判期日が開かれたかどうかによつてするというよりも、その点は目立たたいかと思います。公訴提起の前後と、第一回公判期日が開かれたかどうかによつて区別するのと、一番実務上の大きな差異といたしましては、この案の九條に出ているこの点であります。すなわちこの案のようにいたしますと、まず起訴状は旧法に從つてできており、一件搜査書類なども全部起訴状と一体をなして裁判所に出ている。証拠物なども裁判所に提出されている。そういう次第でありますから、まだ第一回公判期日が開かれていない事件について新法を適用して行きますと、起訴状を書きかえたり訂正したり、あるいは搜査記録を檢審官に返したり、あるいはその他のものを送挙するというような、第九條に規定するような手続が出てくるわけでありまして、この点が実務上は一番大きな差異になつて來るのではないかと思つております。
○猪俣委員 第一回の公判期日が開かれるということの意義でありますが、これは期日が指定されて実際開廷された場合を言うのでありますか、第一回公判の期日が指定されれば、この開かれた中にはいるのでありますか。
○野木政府委員 ただいまの御質問の点につきましては、單に期日が指定されただけではだめでありまして、現実に第一回公判期日が開かれた場合に限るのであります。從つて形式的に申しますと、第一回公判調書がつくられる場合、そういうことになります。
○井伊委員 裁判所法の一部を改正する等の法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。 第十條の、事件を大法廷で扱うか、小法廷で扱うかということは、最高裁判所の規則に定められるところであるというのでありますが、この意見の判断をすべき場合は、これは大法廷でするのが現行第一号に規定するところであります。修正せんとする箇所は、しかしながら大法廷で先に慣例ができておれば、これは大法廷ですることはなくして、小法廷でもいいという意味のことを追加しようとするのでありますが、その前に大法廷にかかる判断があつたということを判定するものはどこであるかということを、もう一度お聞きしておきたいのであります。
○岡咲政府委員 詳細な事務の分配につきましては、最高裁判所事務次長が御出席でございますから、その方から御説明をお願いいたすのが適当と考えまするガ、法案の建前から申しますと、井伊委員が御指摘のように、一体当該の事件について、すでに大法廷において憲法に適合する旨の裁判があつたかどうかということの判断をいたしますことが第一の問題になるわけでございますが、最高裁判所におきましては、私は承つておりますところでは、一應事要はすべて小法廷に分配に相なりますのて、小法廷におきまして当該の案件について、すでに大法廷においてその問題が憲法に適合する旨の判断があつたかどうかを判断いたすことに相なると考えます。
○井伊委員 今お答えになりました小法廷において、当該事件はこれと問題意のものが大法廷において判断をせられておるということを判断しておるのでありまして、この判断は裁判でありますか、どうでありますか。
○岡咲政府委員 訴訟法に定めてありますところの、狭義の意味における、終局的事案の判断をいたすための前提となる一つの判断という意味におきまして、裁判になるであろうと考えます。
○井伊委員 その裁判をいたしました後に、これをこの修正の方では「憲法に適合するとの裁判と同じであるときを除く。」とあるのでありますから、それは必ずしも小法廷に限るのでなくて、大法廷でもいいということになると考えるのであります。そのいずれにそれが配分せられるかわかりませんが、その配分せられた法廷において、さらに裁判をするということになると思うのでありますが、やはりそれでよろしいのでありますか。
○岡咲政府委員 井伊委員の御見解で大体よろしいかと考えます。小法廷におきまして、もちろん一應判断をいたすわけでございまするが、これは必ずしも小法廷に限定いたす趣意ではございませんで、事案が相当複雜であるような場合、一應大法廷において審査をすることが適当である場合も十分考えられますので、そういう場合には、大法廷にその事件を移しまして、大法廷で一應判断していただいて、これはすでに大法廷において憲法に適合するとの裁判をした事案とまさに合致すという判断をいたしまして、それを小法廷に移して、小法廷をして裁判せしめるということもあり茂ると思いますし、あるいはまた大法廷みずからその事案について裁判をするということもあり得るかと思います。
○井伊委員 違憲の主張をいたしましたこの種の事件が、本來大法廷で開かるべきものが小法廷で開かれるというふうに裁判をせられるということになれば、これは当法棄却せらるべきことをはつきりさせておるように思うのでありますが、その事件の配分によつて、すでにそういうことを予断されるがごとき傾向がこの法文上推測せられる。そうしますと、これは相当影響があることとであると思うのでありますが、前に小法廷にまず配分せられたとき、これをどこにやるか、それは大法廷に前に判断があるということを判断する裁判が一つあることによつて、決定的であるというように思われる。こういうことはあとにほんとうの裁判が來る前に、すでに決定しておるように見えるのでありますが、それは必ずしもそうだとは言えませんけれども、結局はそうなつてしまうではないかということを思うのであります。この規定はそういう意味合いにおいて、こういうふうに追加の規定をするということは、便宜には相違ありませんけれども、少し行き過ぎになりませぬかという考えを持つのでありますが、御意見はどうでありますか。
○岡咲政府委員 事件の分配につきましては、最高裁判所の次長から詳細な御説明をお願いいたしまして、最高裁判所における公正な事務のお取扱いを御披露していただきたいものと考えておるわけでございますが、事件は最初最高裁判所に参りますと、一應全部小法廷に配分されまして、そこで小法廷で裁判をしてよろしいか、それとも大法廷に事件を移すべきであるかということを決定いたしておるように承つておるのでございます。最初からこの事件はすでに大法廷において判断したその判断と同一であるから、ある小法廷に事件を分配するといつたような、そういう一つの判断を加えつつ小法廷に事件を分配されてはいないと考えております。小法廷におきまして事件を受理いたしましたときに、先ほども御説明いたしましたように、これがすでに憲法に適合するという、大法廷におけるその意見によつて判断すべきものと当該小法廷が考えまするならば、今度の改正法によつて、その小法廷において裁判をなし得る。しかし事案がはたしてそう簡單に、大法廷における憲法に適合するという意見を、そのまま当該の案件に適用してよいかどうかということについて、多少でも疑義がありますならば、おそらくその小法廷は事案を大法廷に移されるであろう。その点については、最高裁判所として十分責任があり、公正な態度をおとりになつて処理せられまして、いやしくも最高裁判所の権威を害されるようなことはごうまつもないであろうということをかたく信じておる次第であります。また現状におきましては、いやしくも当事者の主張におきまして憲法違反ということに主張がいたされますと、あらゆる事件が全部大法廷に移されますので、大法廷は非常に多量の事件によつて、むしろ本來の任務である最も嚴正に憲法の解釋をいたさなければならないという任務が、事件の山積のために非常に窮屈な、不自由な状態に置かれているように承つておりますので、なるべく大法廷をして最も重要な案件のみに全力を集中していただくようにいたすことが、最高裁判所の高い使命を遂行する上に必要であると確信いたしましたので、かような修正を考えた次第でございます。
○井伊委員 ただいまのお答えは了解いたしました。 次に第十四條の二に、最高裁判所に図書館を設けるという規定がございます。また最高裁判所図書館の支図を設けることもできるということも規定せんとするのでありますが、この図書館の構想について承つておきたいと思います。
○小川説明員 図書館を最高裁判所に持ちたいということは、年來の最高裁判所関係の希望であつたわけでありますが、御承知のように前國会を通過いたしました國立国会図書館法によつて、司法部、行政部各独立した一つの図書館を持ち、その図書館が國立國会図書館の支部になるように措置せられておりますので、最高裁判所としても、この際独立した図書館を持つて、全体の図書館機構の中へ入つて行きたい、こういうふうに考えて、今回この提案をお願いした次第であります。ところで昨年最高裁判所が出発いたしまして以來、着々図書の蒐集に努めまして、現在では相当な部数の古い図書を買い集めまして、備えることができるようになつて参つたわけであります。なお日々新しい図書も購入いたしまして、備えつけるようにいたしております。もちろんこの図書の設備ということは、最高裁判所だけでは單に在京の職員もしくは法曹一般の人々がその利益に均霑するのみでありまして、全國的に利益の均霑することはなかなか困難でありますから、現在のところでは、各裁判所に事務用の図書を配付するという形で行つておりますが、先に至りますれば、でき得るならば各地に図書館の支部を設けまして、そこに現在裁判所の事務用の図書として配付しておりますものをさらに整備いたしまして、支部図書館として備えつけられるようになればけつこうだと思つております。そういうようなことで完備して参りますれば、行く行く國立國会図書館の一翼といたしまして、法律図書館のまつたき姿ができ上りまして、りつぱな法律図書館が全國に手を廣げる姿ができ上るのではなかと、そのときを期待しておるわけであります。そういつた構想でありますが、昭和二十三年度におきましては、さしあたり各地方裁判所に配付する図書費といたしまして約三千五、六百万円を計上されましたし、最高裁判所の図書費といたしまして、図書館へ直接設備するものとして約六百万円を計上されまして、四千二、三百万円の図書購入費が現在進行中の年度間に購入し得るような態勢になつているわけであります。そこでこの図書館という機構ができ上りました將來におきましては、私どもといたしましては、図書館の中に相当な機構をもちまして進みたいと考えておるわけであります。その構想というか機構は、さしあたつては支部をどうするかというまでには至つておりません。最高裁判所の図書館といたしましては、館長のもとに総務課、図書課、調査課というような三課を設けまして、館長一人の下に総務課長、図書課長、調査課長のほかに、各係にそれぞれ二級の事務官を相当数置く予定に考えておるわけであります。もとよりこれは今のところでは單なる希望的なものにすぎないのでありますけれども、約二級事務官十一人、三級事務官二十八人、雇員が図書館については相当必要も考えられますので、四十五人くらいを予定いたしまして、ロー・ライブラリーとしての完全な形を整えたい。そういたしましたあかつきにおきましては、東京のあの裁判所の現在あります場所を中心にいたしまして、弁護士会といわず、あるいは檢察官の方々といわず、大学方面におかれましても、どこからも利用できるようにいたしまして、ほんとうの意味のロー・ライブラリーを完成いたしたい。こういうのが私どもの念願でございます。そういうための図書購入費は、先ほど申しましたような形で年々しばらく継続して行きたいと考えておるわけでありますが、人件費、事務費等として、われわれは先般大藏省に対しまして約千二百三十一万円の経費を追加予算して要求いたしておる次第でございます。もちろんこれにつきましてはいまだ政府から査定の通知を受けておりませんので、どういうことになるかと思つて心配しておるわけでありますが、もしこれが予算化されない場合におきましても、最高裁判所の事務局、あるいはその他の職員の定員でもつてやりくりをいたしまして、まずさしあたつて最小限度の規模において出発いたしたい、こう考えておる次第であります。
○井伊委員 大体わかりましたが、今年度地方に最高裁判所が図書の支部を設ける計画は予算に具体的にあるのでございますか、たとえば三千五、六百万円の予算がそれに振り向けられるとすれば、その点どうですか。
○小川説明員 地方の支部はただちに置く予定は今のところございません。二十三年度において認められております三千六百万円の予算は、最高裁判所の図書を買つたり、あるいは地方え配布したり——これは五百五十九の簡易裁判所、四十九の地方裁判所、それから二百二十七の地方裁判所支部、これに高等裁判所八箇所、支部数箇所、これを加えますと相当な数になりますので、これらえ全部ばらまくということになりますと、いまだ支部という形を整えるまでに図書館を設置する準備は熟していないものと考えまして、ただいまのところは支部を設けるというところまでは行つていないのでございます。
○井伊委員 そうすると自然経費を食うし、それで実施したときからは図書館ですが、そうすると当分の間は図書館といつたような建物の備わつたものができないかもしれません。ある廳舍の中の一部分に図書室程度のものができる、こういうことになりますが、しかし本來の精神は公開だと思うのであります。そういうときでもこれは公開せられるようなお考でありますか。
○小川説明員 ただいま実のところを申しますと、現在最高裁判所と高等裁判所がおりますあの元の民事裁判所の廳舍の一室に、全部図書を整理いたしまして、書架をつくつておるわけでありますが、あそこに二、三職員を置いて、部内の職員の閲覽に供しておるわけであります。ところでさしあたつての私どもの考えでは、図書館の建物をすぐに建てることは今のところ困難と存じますので、明年度になりますと、現在のあの簡易裁判所と地方裁判所との間の空地に新しく刑事裁判所の廳舍が竣工する予定になつておりますのと、それから大審院の燒け跡が修復されまして、あそこに最高裁判所が移つて行く予定になつておりますので、そうすると若干部屋の余裕もできまして、現在地方裁判所が使つております元の大審院の附属の新館の表廳舍ですが、あの一部分を充てて、あそこに図書館の形を整えたい、こういうふうな希望で内々仕事を進めているわけでございます。そうしてできるならば、先ほど申しましたように裁判所職員のみならず、ほかの方々にも公開するようにしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○井伊委員 次に十九條、二十八條、裁判官の職務の代行の規定があるのでありますが、これに関連いたしまして、非常に大きな事件が起きました場合に、この第二十八條におけるがごとく、地方裁判所において裁判事務の取扱い上、差迫つて必要がある場合においては、その所在地を管轄する高等裁判所、がその管轄区域内の他の裁判所、今度は家庭裁判所、あるいはその高等裁判所の裁判官が当該地方裁判所の裁判官に職務を行わせることができるというように、應援させることができる規定になつているのでありまするけれども、とうていこれでもなお手がつけられないというような場合になりますならば、他の高等裁判所の管下の地方裁判所、あるいは家庭裁判所等の應援をも必要とするようなことが起きないであろうか、それについての規定は別にないのであります。すなわち今現にあります十九條と二十八條の修正は、家庭裁判所というものができましたので、それをただ加えたというのと、それからある場合にはその当該の高等裁判所がということを入れたところが廣くなつているのですけれども、なおその他の管轄区域の裁判所の應援というようなことまでは行つておりません。しかしたとえば今年の八月に北海道で國鉄の職員が職場を離脱いたしました事件がございました。それなどによりますと、最終の数はわかりませんけれども、離脱者に数が約千二百石、逮捕状が七百十八、逮捕した者が三百八十四、まだ逮捕しない者が二百三十九、これは九月十六日現在の私の持つている資料によつて申すのであります。勾留した者三百二十二、起訴した者百五十三というような状況であります。これに対して檢察廳側においては、札幌高等檢察廳はこの檢挙にあたつて東京高檢から檢察官等の應援を得て、そうしてこの事件の逮捕その他のことに当つているのであります。檢察の一体化としてこういうような余地があるのでありますけれども、これだけのものを一氣に裁判所に持つて來たときに、はたしてこれをその裁判所において、あるいはその高等裁判所管下の地方裁判所、家庭裁判所の應援だけでもつてこれだけのものを急速に処理することができるかどうかということが、こういう実例によつて考えられるのでありまして、從つてこの裁判官の職分を代行せしめる範囲をもう少し廣くする必要がありはせぬかということを考えるものでありますが、これに対する御意見はいかがでありましようか。
○岡咲政府委員 ただいまお述べになりました井伊委員の御意見はまつたく同感でございます。政府といたしましても御意見の趣旨をよくくみまして、最高裁判所事務当局とも協議いたしまして、適当な措置を講じたいと考えております。
○井伊委員 最後にもう一点お伺いしておきたいのでありますが、この裁判所法の一部を改正する等の法律案によつて見ますと、この一つの基本となる裁判所法を改正するというこの機会に、その法律のみならず、裁判官及びその他の裁判所の職員の分限に関する法律とか、あるいは法務廳設置法とか、あるいは家事審判法とか、判事補の職権の持例等に関する法律とか、裁判所職員の定員に関する法律とか、檢察廳法とか、刑事訴訟法とか、こういうように廣く数多くの法律が相関連するというような場合もあり、必ずしもそうでない場合もあつて、一氣にこの法律案をもつて修正するということになつておるのでありますが、それはさしつかえないといえばさしつかえはないのでありますけれども、かように甲の法律を改正する機会に乙、丙、丁というものを改正し、またときによると、乙の法律を修正するときに甲、丙、丁というものを改正するというようなことをやる場合において、これを扱うものの面から見ますと、すこぶる不便を感ずるものと思うのであります。現に感じつつあるのでありまして、一つの國会の初めにおいて攻正が行われて、まだそれが実施にならないうちに、その会期の終らないうちに第二のまた修正が行われるというほど最近は頻繁に改正が行われます。こういうときに、無方針でもないでありましようけれども、終戰後の新憲法に伴う法律の改正は、多くどの方面においても、乱雜に互い改正し合うというような方に行つておるように思うのであります。これに対して何とかしなければならないと私は思うのでありますが、大体一つの御方針を立てておられるのでありますかどうか。本來であれば一々その法律を改正する、そういうふうにやつて來たその嚴たる形式というものは今度は失われて、ずいぶん混雜したものになつておると思うのであります。これに対する何か一つの方針をお持ちであるかどうかを伺いたいのであります。
○岡咲政府委員 このたび御審議を願つております裁判所法の一部を改正する等の法律案におきまして、ただいま井伊委員の御指摘のような点があることは、まさにその通りでございますが、この法律案は家庭裁判所の設置と、それから刑事訴訟法の施行に伴います管轄の変更というものを中心にいたしまして、多少関連のあるところの法規をそれに加えまして、他の関係法規もあわせて一括して修正いたすという建前をとりましたために、非常に乱雜な形と相なつたわけであります。なるべく同一の法律案が一括されますと、審議の上にも御便宜かと思いますし、法律案の運命におきましても、運命をともにするという関係上一括いたしたのでございますが、まさに御指摘のように、いろいろな法律を一つの法律案の中にまとめますと、政府の方でも説明上非常に煩雜でございますし、おそらく國会におかれましても、非常に煩瑣にたえないようなお感じをお持ちになると考えます。政府といたしましては、法律案は國民に対して十分檢討し、いろいろ御意見を伺い得るような簡明な、明確な形をとることを念願といたしておるわけでありまして、最近たびたび同一國会の会期におきまして、同一の法律案を二度も御審議を願うといつたようなまことに醜い形をとつたことも、まさにその通りでございますが、これはいろいろな事務の山積している事情上、やむを得ないでそういうことにも相なりましたので、將來はなるべくそういうことはいたさないように、それぞれ法律を單行の形にまとめまして明確にいたし、煩瑣なことのないようにいたすことを、政府としても十分努力いたしたいと考えております。
○北浦委員 刑事訴訟法に牽連はいたしますけれども、少し問題は憲法にも関連いたしますので、特に法務総裁の御答弁を煩わしたいのであります。簡單明瞭に申し上げますが、憲法は既に施行されている、これは御承知の通り。新刑事訴訟法は実施されていない。この間にだけが考えても矛盾もあれば撞着もあります。これを司法当局ではどういう心構えで調和をとつておられるか。例をあげて質問します。憲法によりますと、不当という文字はついておりますが、不当に長く抑留したり拘図した場合における自白というものは証拠にならない。ところが依然として旧刑事訴訟法でやつておられますから、中には八十日くらい入れて置かれる者もある。それがあなた方は正当なりと信ずるのだと言われればそれまででありますが、私のここでお伺いしたいのは、その不当なる長い勾留、それで刑務所に入つておる者が自白をする。その自白に基いて、特にこの國会関係の代議城とか、あるいは次官であるとか、そういう者をむやみに旧刑事訴訟法に基いてやつておられるというきらいが今日まである。そこでお伺いいたすのでありますが、一体旧刑事訴訟法は、新憲法は御承知の通り個人の尊嚴を非常に尊重しているが、そんなものは顧みていない。これをどういう心構えでやつておられるか、お伺いします。
○殖田國務大臣 新憲法と旧刑事訴訟法との調節につきましては、御承知の通り、日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律と申しますのが二十二年四月に公布になつております。ただいまこれに基きまして円満に運用しているつもりであります。しかしながら旧刑事訴訟法は新憲法の精神に違反はいたしませんけれども、まだまだ条わない点があるやに考えられますので、新しい刑事訴訟法が生れているわけであります。しかしながらその新しい刑事訴訟法はまだ施行されておりません。從つてただいまのところは旧刑事訴訟法が施行されておりますが、それは今の新しい中間の法律によりまして、適当に新憲法の精神にかなうように運用されておるはずであります。
○北浦委員 應急措置法はわれわれここで審議したのでありますから、よくわかつております。それは読んで字のごとく應急措置にすぎない。そこであなたが今できるだけ新憲法の精神に從うてやつておられるとおつしやいますが、これも例をあげてお伺いしますが、一体國会関係で逮捕したり起訴したりするのは、無罪が非常に多いではございませんか。私はこれで三十年ばかり弁護士もやり、特に刑事專門をやつておりますが、こんなのはめつたにない。百に一つか三つ、十に一つ、それくらいの程度で檢事控訴ということはありますが、この國会関係の——これはあなたがおひつぱりになつたとは申しませんが、從來この点については片山内閣も芦田内閣もよくない。またあなた方もよく御注意願いたい。考えてごらんなさい、西尾末廣君は一審無罪、これは檢事控訴している。それから前代議士の大久保君、これも檢事がやつている。原侑君、これも檢事がやつている。無罪。木村公平君以下三人。この事件についてはわれわれも異論を持つておりますが、少くとも訴訟條件不備のもとに一蹴されている。この國会関係の人々を、特に原侑君は無罪であるにかかわらず辞職して行きました。こういうことは証拠とならざる証拠をもつて起訴された、こんなのは決してない。そこでこういう結果はどういう原因から起つているか、これをお伺いする。國会関係の被告については無罪が多い。言いかえてみますと、罪とならざる証拠をもつて、証拠とならざる証拠をもつて断罪の用に供せられる、こういう原因でこういうことになるか、この点を伺いたい。
○殖田國務大臣 私が就任いたしまして、まだただいまのような大きな事件を取扱つたことはございませんが、しかし檢察当局は至つて公正嚴正に檢察事務に当つているのでありまして、決して証拠不十分なあるいは事実を曲げてこれを起訴したということは絶対にないと思います。ただしかし裁判は裁判でありますから、まじめに檢察当局が起訴いたしましたものにつきましても、裁判の結果たまたまさような無罪というような結果が出て來るのであります。これはどうもあるいは結果から見れば、檢察が不十分であつたということに言えるかもしれませんが、檢察がまじめに誠心誠意やつておりますならば、こういう結果が出ましてもやむを得ないことと思います。ことに新しい憲法の精神によりますれば、裁判が事実を決定するのでありまして、裁判の公平なる審判にまつということでありますから、檢察が起訴したものがことごとく有罪にならなくてもやむを得ないことであつて、かえつてそのために裁判の公正を保持するゆえんかとも考えるのであります。もつとも檢察といたしましては、起訴いたした者がどんどん無罪になるということでは、檢察の精神を疑われるのでありますから、むろん檢察としまして愼重にも愼重に考慮し、十分な捜査をいたしまして、そういうことのないように氣をつけて参るつもりではむろんおります。
○北浦委員 あなたは私の就任以前のことであろうとおつしやいますが、國家機関というものは、さようなことは私は知らぬということは許されない、その責任はずつて継続している。それからたまたま無罪の出るのはやむを得ない。それは檢察官神ならば、これは私も長らくやつておつてふしぎとしない。たまたま有罪になつて、大方無罪だから私は質問するのである。あなたのおつしやることを聞いていると、一言で申しますと公判中心主義だ。だからどんどん起訴して裁判をしてもろうという、これは大変よくない。代議士や大臣に逮捕状が出されたり、また彼らが刑務所にほうり込まれることを考えてごらんなさい。なるほど憲法によりますると、國家損害賠償の規定はあります。けれども請求できないところの損害がある。ある前大臣は自分のむすこが刑務所に入つて行くときに、この夫には子供がある、孫がある、おれがかわつて行くと言つた人さえある。こういう家族の損害をどうする。これは國家損害賠償法には規定がない。家族の損害までは請求できないのである。公判中心主義ということは、よほど私は誤解しておられるのだと思う。公判中心主義とは、審理の手続において公判に証拠書類をどんどん出して行くということであつて、それだからといつて、疑わしき者をどんどん公判に出すというに至つては、人権蹂躪もはなはだしいものである。ことによく考えていただきたいことは、これでは立法機関はたまつたものではない。あなた方のおつしやる通り、公判中心主義を大いに誤解なさつて、何でもいいから——とは私は申しませんが、不十分なる証拠の者をつかまえてどんどん公判に出す。そして公判中心主義で審理をする。これでは憲法が泣いてしまう。個人の権利を尊重するということは、憲法におおわれたる全精神である。この憲法を蹂躪して公判中心主義だというのは、大きな間違いである。私は法務総裁にしかと御意見を聞いておきたいことは、個人の尊嚴ということを見ているのかいないのか、この点をお伺いしたい。たまたまとおつしやるけれども、たまたま有罪であつて、ほとんど無罪だ。裁判所がかつてにやると言われるがゐそうではない。裁判所のやることは神聖である。裁判所は結局において犯罪事実があつたかどうかということを審理する。そして犯罪事実がないとしておるのではありませんか。念のために聞いておくのでありますが、一体公判中心主義というこの主義をどういうふうにとつておられるのでありか、この点をお伺いします。
○殖田國務大臣 私は北浦さんの御意見には異存はないのであつて、御意見の通りと考えておるのですが、ただ今までのところ、その結果が北浦さんの御意見と違つておることがあるというおしかりであろうと思うのですが、それはまたたまたまと申し上げてははなはだ失礼でありますが、たまたまそういう結果になつたのだと思います。決して檢察当局が公判中心主義に名をかりて、軽率なる檢挙をした、あるいは起訴をしたということはないと思います。新憲法の精神に照し合せて、愼重にも愼電の調査をしておるというふうに見受けるのであります。私はこの意味におきまして、今後も今のお話の精神を十分に尊重いたしまして、一層檢挙の愼重を期したいと考えております。具体的にこの場合はどう、あの場合はどうということを私から一々申し上げかねるのですが、精神におきましては全然同感でありまして、今後一層その意味におきまして注意をしたいと考えております。
○北浦委員 意見が私と同一であるとおつしやるなら、これ以上深くお伺いすることもありませんが、ただ私の希望として申し上げておきます。私は三十年間刑事專門の弁護士をやつておりまして、その経驗の結果申し上げるのでありまするが、監獄え入れられる、逮捕されるというだけで、その者の精神状態がかわつて來るということを御記憶願いたい。これは檢事ばかりやつておる人にはわからぬ。そうして自白することは、滿足なことはあまり言わない。一日も早く出たいと思うからです。あるいはまだ精神的の大打撃である。今日は大臣であつた者があすは監獄え入る。元大臣であつた者の子が引かれて行く、代議士であつた者に逮捕状がまわる。それだけでも精神的に大打撃を受ける。逮捕状をまわしても、家宅捜索をやる場合には本人に少しでも聞いてからやらなければならぬ。それをすれば祕密が漏れるというが、その祕密の漏洩ということを考えるのが旧刑事訴訟法式なんだ。新刑事訴訟法を読んでごらんなさい。赤裸々に、白晝公然と刑務所に行つて、看守らがいなくても話ができる。それを旧刑事訴訟法通りにやつておられるから無罪ばかり出る。今後十分御注意を賜わりたい。これはいかにあなたが御存じないことであつても、初めから申しますように、片山内閣であろうが芦田内閣であろうが、やり方が惡かつた。あなたもそういう間違いをなさらぬように、そしていやしくも起訴した以上は有罪であつたというようにしたい。これはほかの事件を調べてごらんなさい。たいていそうです。百件あつた無罪が五件も六件も出るということはあまりありません。十件あつて八件まで無罪です。そしてそれが名譽ある立法機関の組織の一分子である。もうこれ以上申し上げることはありません。とにかく意見が同一であるということを私も喜んで、これで質問を終ります。
○古島委員 幸いに法務総裁がおいでですから、私も一言承りたいと思います。このごろ治安が大分乱れておりまして、この点はわれわれまこてに憂慮にたえないのであります。芦田さんが総理大臣になつて第一回の施政方針の演説の際には、治安がこれほど保たれたことはないと言つておりました。そこで私はこれほど乱れたことはないというので反対をいたしましたが、これは見解の相違でありましよう。しかし実際から今日の状況を見ますると、東京のまん中において警視総監がなぐり飛ばされるというような事案は、いまだかつて起つたことがありません。今後事が起りました場合においては、どういうことにしてこの治安を保たれるか。ほんとうに世の有樣を見たときには、われわれ單純な人でもその考えで出て参ります。いわんや法務廳の方々は、一層この点には御留意あつてしかるべきだと思うのでありますが、何か治安の問題について特にお心づきのことがあつたら承りたい。
○殖田國務大臣 私どもも治安の乱れておることについては大いに憂慮いたしております。ただいまのところ治安の直接の責任者は警察でありまして、その警察が昔でありましたならば内務大臣が監督しておりましたが、今日では総理大臣に直結しているようなことになつております。法務廳といたしましては、治安にはむろん責任を持つておりますが、二次的な関係でありまして、ただちに乘出して警察を指揮するという場合がはなはだ少いと思うのであります。しかしながらむろん法務廳も責任を持つているので、よく檢察当局を督励いたしまして、警察とも協調いたしまして、その方面に一層力を入れるようにいたさせたいと思います。
○古島委員 現在の日本の状況は私が申し上げるまでもなく、まつたく一触即発というような状態になつております。いつの場合においても、あのデモの声を聞いても、この点は痛切に感ずるのであります。こういうときにあたつて、警察官だけが治安を保つということになれば、わずか十三万人で日本全國をやらねばならぬということになります。これはとうていできない相談だと思う。この点に向つては警察官も一層増員の必要があるとともに、万一の場合にはどういう処置をとるかということを、法務廳としては十分考えておかねばならぬ。もし万一の場合があつたならば、警察官を動員しただけで治案が保たれるというお考えでありましようか、どうでありますか。
○殖田國務大臣 御質問の通りでありまして、私ども非常にそれに憂慮いたしております。警察の増員につきまして関係方面に願いまして、何とか積極的に考えていただこうということを、これは法務総裁としてではございません、國務大臣といたしまして、閣議にもよく問題を出しております。今たとえば武器の問題——人員の問題が第一でございますが、武器の問題、それから、國家警察と自治警察との協調の問題、その他はなはだ不十分の点が多いのでございまして、それらの整備することはまた治案を維持する第一の必要條件ではないかと思つております。ただしかし非常に大きな事件が突発いたしましたときに、ただいまの警察力をもつてこれに應ずることができないということは、ゆゆしき実は心配の種であります。目下占領下にありますので、それは多分占領軍の方の御努力によりまして、治案の維持ができるだろう。それがないあかつきにはどうするかということは、たいへんな問題でありますので、今具体的にこういう案があるということを申されませんのは遺憾でありますが、みな心配をいたしております。
○古島委員 終戰後において、また戒嚴令が撤廃され、もしくは修正されるということも承つておりまするが、もしここに講和が成立をいたして、從來の戒嚴令でもしかねばならぬというような、状況に立至つたときには、どういうようなことをして行きますか。
○殖田國務大臣 從來の戒嚴令と申しますものはもう廃止されておりますそうでありますが、今のような非常事態が起はます場合におきましては、國家警察法によりまして、非常事態の宣言をいたすのだそうであります。しかしながら非常事態を宣言いたしましても、今のような警察力の薄弱なものではどうにもならぬのでありまして、何といたしましても警察力の充実、拡張ということを関係方面によく御相談を申し上げまして、御承認を得なければならぬことと思つておるのであります。目下の急務はそればかりであります。
○古島委員 そこで戒嚴令が撤廃された以上は戒嚴令にかわるべき、あの軍部に全部まかせるような戒嚴令でなく、今日の時代に即應するような、同樣の法律をこしらえておく必要があると思う。ただ國家警察にまかせる。國家警察の動員をして、その國家警察の動員だけでこれが片づくというような少々の動乱ならばよろしい。もそつと大きな、もとの戒嚴令が発動されねばならぬような事態が起つたときには、それに即應するような法律をこしらえておく必要がある。わずかな小さな法律を改正し、訂正するよりは、根本的の法律をこしらえておく必要があろうと思いまするが、それを提出する御用意があるかどうか。
○殖田國務大臣 それはまつたく御同感でございますが、占領治下におきまして、それは関係方面ととくと了解をつけ合いながらいたしませんとできないのでございます。憂慮しておるわけでございます。
○古島委員 今占領治下であるから、ただちにそれを発動させるわけにも参りません。しかしながらこの占領治下にあるということは、永久の占領ではありません。おそかれ早かれ解かれるときがある。そのときが危險なので、最も治安の乱れるときは講和ができて、しかも占領軍がその実力を発揮しないということになると、そこがあぶない。そのときに備えるためには、今日から根本的の法律をこしらえておく必要があろうと思う。その用意、打合せを今日しておいて、ただちにこれができるようにしておかなければ、いざというときに用意が足らぬと思う。その用意を承りたい。
○殖田國務大臣 御説の通りであります。でありまするから、その用意もまだできているとは申し上げられませんが、その用意をし、かつ関係方面の了解をつけることにみな努力をするつもりでありますし、みな相談をいたしております。
○古島委員 どうぞ十分の御考慮を願います。
○猪俣委員 法務総裁にお尋ねしますが、法務総裁は内閣の法律顧問でございますから、今の問題と関連して、法制上のことにつきまして伺いたいと思います。 それは地方の自治体警察の第一次の責任者は署長でありましようが、その第二次の責任者は一体何人であるか、及び地区の警察署の第一次の責任者及び第二次、第三次の責任者、最後の責任者は何人でありましようか。それから公案委員会なるものと、地区あるいは自治体警察の署長との責任関係はどういうことになつておるか。あるいは縣の警察部と公安委員会との関係はどういうことになるのであるか。この警察の責任関係がはなはだあいまいなものなので、われわれが具体的事案にあたりました際に、はなはだ困るのであります。この点につきましての指揮系統、あるいは責任系統、これを自治体警察及び國家警察の二つにわけて、その第一次、第二次、第三次の責任系統を明らかにしていただきたい。
○殖田國務大臣 今の問題は私も多少聞いておりますけれども、非常に込み入つておりますから、政府委員からお答えをさしていただきたいと思います。
○高橋政府委員 ただいまの問題で、まず第一に自治体警察の場合においては、署長の上の警察責任者は警察長、その上の責任者はその自治体の公安委員ということになると思うのであります。それから國家地方警察におきましては、警察署長の上に國家地方警察長がおりまして、都道府縣の公安委員会がこれに関する運営管理をいたしておるのでありますから、運営管理の面において、公安委員にそれだけの責任があると思うのであります。そうしてその上に中央の國家公安委員がありますので、この國家公安委員は都道府縣の國家公安委員会に対しまして、行政管理の責任の地位にあり、從つてその幅において責任を負うものと考えるのであります。 なお私も十分詳しくはありませんが、御疑問の点で明らかにできることがありましたら、なお御質問にお答えいたします。
○猪俣委員 今の御説明少しはつきりしないのでありますが、しからば中央の本部長と地方の國家警察の警察長との関係はどういうことになりましようか。それから公安委員会と本部長との関係はどうなるのか。ここにある警察署に関するところの事件がありました際に、最終の責任者がだれであるか。総理大臣が公安委員会の上にあるようでありますが、総理大臣と公安委員会との関係はどうであるか。そういうことについて警察制度が非常に複雜多岐になつておるために、われわれの頭にはつきり入らないのであります。そして責任の所在をみななすり合つておるようなところもありますが、責任の明らかならざるところ志氣が高揚しないのであります。その点を明確にしていただきたいということと、檢察官と公安委員会、あるいは地区あるいは自治体の警察署長との関係はどういうことになるのであるか、それも承りたい。なお今のことは突然の質問でありますので、あるいは御用意が必要かもしれませんから、今ただちに御答弁がなくても、後日でもよろしいのでありますが、本委員会に責任の所在を明らかにした資料を御提出願いたいと思います。 いま一つは、裁判所と國会と行政府との関係であります。これも実に私どもはつきりわからない。予算は裁判所において独立して請求するというにかかわらず、國会に対して正式な説明をするいわゆる政府委員というようなものがいない。便宜上説明員というような名前で臨時に來て、説明を聞いておるというようなことでありまして、三権分立でありましても、その連絡というものはなければならぬのである。國会は最高の國家機関である以上は、その意味におきましても裁判所との関連がいま少しく明らかにならんのでありますか。裁判所に対して國会の意思がどういう方法と形式をもつて発動するものであるか。全然これは断ち切られておるのであるか。その点につきましてもどうもはつきりしないのであります。政府と國会の関係は明らかでありますが、裁判所と國会の関係が明らかでない。こういうことにつきまして、内閣の法律顧問である法務総裁の御見解を承れればけつこうだと思いますが、なおまた準備が必要でありますならば、これもさつきの警察関係と一緒に、当委員会に書面でも何でもよいから御答弁をいただきたい。
○殖田國務大臣 ただいまの御質問はかなりむずかしい問題をたくさん含んでおりますので、私がただいまここでお答え申し上げかねるのははなはだ残念であります。お言葉にもございました通り、それらの点につきまして十分研究いたしまして、明日でも明後日でもお答えするようにいたしたいと思います。
○猪俣委員 なおその際に、いわゆる本來の裁判それ自体に関する基本的事務につきまして、國会がこれに対して容喙できないことはあたりまえだと思いますけれども、今の裁判所はただ司法行政をつかさどつておるのみならず、本日もいわゆる祕書官を置かなければならぬということで、われわれも司法行政が多岐にわたつてあることを了といたしまして、大体において反対するものではないのでありますが、そうしますと司法行政の意味におきまして、國会とそこにある程度の関連がなければならぬと思うのでありますし、また裁判事務それ自体にいたしましても、こういうことは覊束することができないでも、一体國会の意思として裁判所に対して、われわれの意思を反映することができないであろうか。たとえば近ごろやかましい問題になつております労働爭議における生産管理の問題であります。この問題についても私は当委員会において、ある一定の意思表示をするとは考えますが、それは第二として、裁判所のやり方について遺憾な点が多々あるということは、生産管理に入る形勢がありますと、近ごろは資本家側が仮処分の申請をやることは御承知の通りであります。この仮処分のやり方でありますが、どうも旧態依然たる頭を持つている裁判所では、今までと同じような観念でもつて仮処分をやつて、一方的に労働組合運動を抑圧してしまうというような、一切の労働運動がそれで一巻のけりがつくような仮処分を往々にしてやつておりまして、新潟縣の小千谷の理研におけるあの刑事事件なんというものも、私は春秋の筆法をもつてすれば、裁判所の一方的な仮処分の結果だと思う。同じことであつても、理解ある裁判所では、たとえば労働組合の方から一名ないし二名、資本家側から一名ないし二名、中立の委員を一名ないし二名、それで管理委員会をつくつて、この委員会に仮処分の執行吏が自分の権限を委任して、この委員会でもつて管理せしめるような仮処分をしてくれるところはみな示談になつておるのであります。始終この委員会では資本家側と労働者側と会つて運営いたしております結果、解決が早いのであります。ただ資本家側の一方的な請求、しかも口頭弁論も開かず、疏明も十分しないで、一方的な請求によつて仮処分をして、立入禁止その他すべての処分をやつてしまう。あの裁判所のごときはまさにその適例であります。その結果暴動が発生して、公務執行妨害とか、業務妨害という刑事問題が発生して、それで今日に至るまで六箇月以上たつているが、まだ解決しない。こういうような裁判所のやり方に対して、何か國会から警告と申しますか、希望と申しますか、そういうことを反映するような道がないものであろうか。これは仮処分についての一つの例だけで申すのでありますが、一般に仮処分がいずれにしても濫用されておつて、労働組合法による正当なる労働運動までも抑圧するまでに裁判所が深入りし過ぎているというふうに感じられるのであります。こういうことに対して、國会から何らかの交渉ができないものであろうかということについても、御留意を願つていただきたいと思うのであります。
○鍛冶委員長代理 ほかにありませんか。——それではただいま議題になつております刑事訴訟法施行法案、裁判所法の一部を改正する等の法律案、司法警察職員等指定應急措置法案、右三案の質疑は一應終了したものといたしまして、明後日までに修正案を確定するように御了承願いたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十八分散会