文部委員会 第7号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/11/25
会議録
○圓谷委員長 これから会議を開きます。 本日の日程は請願六件、陳情十三件であります。日程第一より順次審議に入ります。 まず日程第一、新設國立福島大学学藝学部四年制即時実施に関する請願、圓谷光衞君紹介。
○圓谷委員長 福島縣師範学校が昭和二十四年度より経專と合同いたしまして、複合大学として國立大学に出発するのでありますが、この大学の課程を四年制まで実施してもらいたいというのが、この請願の目的であります。福島縣の師範学校は、設置その他の点において、東北においても有数な学校になつておりまするので、この四年制実施をぜひしてもらいたいというのが請願の目的であります。この点ついては大体文部当局の方においても、また大学設置委員会の方においても、この方向に今進行しつつあるやにも承つておりますのですが、まず請願としてこれせ採択していただきたいというので、師範学校長並びに福島縣の大学設置委員会、福島縣知事石原幹市郎氏等より請願になつております。右説明を終ります。政府の説明を求めます。
○日高政府委員 請願の御趣旨は拜見いたしておりますが、文部省といたしましては、御趣旨の通りに、できるだけ四年制の大学ができるようにとりはからいまして、原案を作成いたしたのであります。ただいま御承知のように大学設置委員会の審査を受けておりますので、その審査の結果によつて、四年になるかあるいは多少の變更を命ぜられるか、まだ決定いたしておりません。御趣旨にできるだけ沿うように努力いたしたいと思います。 —————————————
○圓谷委員長 次に、日程第二、豊島区に新制大学設立の請願、加藤隆太郎君紹介。御説明を願います。
○加藤隆太郎君 私本請願の紹介議員として、一應概略御説明申し上げまして、皆樣の御審議を煩わしたいと思う次第であります。本請願は、東京都の豊島区池袋四丁目に所在しておるところの、新制豊島実業高等学校及び昭和鉄道高等学校を基盤として、新制大学の経済学科、鉄道学科、これを夜晝にわけて設置いたしたいというのであります。理由といたしましては東京都内の豊島区、北区、板橋区、練馬区のこの区域内には、夜間大学は一校もありませんし、この地区は多く工場地域にあたりますので、多くの勤労青年が、大学の課程を修めようとするのに非常に不便でありまして、交通状態も至つて惡いのであります。從つてこれら青年諸君が必然的に過労の結果、ひいて作業能率を阻害すること大きいものがあります。よつてこの地区内に大学を設置いたしまして、この缺陷を除去し青年諸君をして勤労成績を高揚し、さらに再建日本に寄與せしめようとするのが大体の目的であります。幸いに両高等学校は、その学長としまして、人格、識見、能力、すべての点において信頼できる浅野長武氏並びに龜川徳一氏が、多年にわたつて経営されておるのでありまして、この際これを基盤として新制大学を設置しまして、この地域内に居住の青年学徒に対しまして、教育の機会均等を與えようとするものであります。 本請願にあたりまして、学校当局はもちろん、この区域内にあるところの豊島区長、北区長、板橋区長、練馬区長、さらに決議機関であるところの各区会議長が、本請願をぜひ國会において御採択を願いますよう、衷心請願しておるような次第でありまして、私この地区内におります関係から、紹介をいたしたような次第であります。何とぞ委員長初め委員各位のしかるべき御同情のもとに、本請願を御採択あらんことを、切にお願い申し上げる次第であります。
○日高政府委員 ちよつと伺いますが、これは公立の学校でございますか、私立の学校でございますか。
○加藤隆太郎君 私立でございます。
○日高政府委員 お答え申し上げます。私立学校の設立につきましては、文部省としてはなるべく学校及び設立者の意思を重んじまして、干渉をしないようにいたしておる次第であります。多分学校則から説立申請書をお出しになつておると思います。その申請書は目下大学説置委員会にまわしまして、審査中であると思つております。文部省といたしましては、大学設置委員会の審査の結果に基きまして、合格いたすならばこれは当然できることと期待いたしております。
○加藤隆太郎君 御説明ごもつともでございまして、私立経営者の当局の方から、当然その手続きはふんでおられると思います。さらにその新制大学設置に際しまして、資金その他設備の点について相当重要な面があると考えております。その点については今の経営当局においても深甚の考慮を拂つて、万遺憾なきを期しているように承知いたしております。何分の御同情ある御採択あらんことをお願いいたす次第であります。 —————————————
○圓谷委員長 日程第三、國立宮崎大学設立の請願を議題といたします。川野芳滿君。
○川野芳滿君 本請願の要旨は、宮崎縣は南九州における教育環境の好適性を有し、現在内容充実した宮崎農林專門学校を初め、四高等專門学校があり、これらはいずれも本縣の文化及び産業の向上に寄與するところが多い。しかるに今般の教育制度改革が実施されるに際し、宮崎縣の開発の將來性並びに教育向上の機会均等などが軽視され、本縣が大学を保有しないときは請年学徒はその向学心を装棄し、文化、産業面にも重大な影響を及ぼすことになる。ついてはこれが対策として、既説の施設を総合して國立大学を設立されたいという要旨であります。
○日高政府委員 文部省といたしましては、宮崎大学の名のもとに宮崎農林專門学校、宮崎師範学校、宮崎請願師範学校、もう一つ縣立の工業專門学校等を合せまして、農学部、学藝学部、工学部等を入れました大学を設立する案を立てまして、目下大学設置委員会に審議を申請をいたしております。そのうち縣立工業を國立の大学の中に入れますことにつきましては、宮崎県の当局者と文部省と話合いをいたしまして、経済上の請担関係等をも円満に話を進めましたあかつきには、國立の学校の中に入れ得るように処置いたしたいと努力しております。先ほどもお話いたしましたように、これはただいま大学設置委員会の審査に付してございます。その結果によりまして、できるかいなかがわかるわけであります。 —————————————
○圓谷委員長 日程第四、岩手縣の外地無縁故引揚兒童教育施設費國庫補助に関する請願、山本猛夫君紹介を議題といたします。古賀委員。
○古賀委員 紹介議員は山本猛夫君でありますが、おりませんので、私からかわつて請願の要旨を申し上げたいと思います。政府から岩手縣に割当てられました外地引揚無縁故者の数は非常に多いのであります。つきましては、現在盛岡市の財政をもつてしては、これを十二分に救済することが困了でありまして、この無縁故引揚児童の教育施設の完備をはかりますために、ぜひ全額を國庫から負担させていただきたいというのが、この請願の趣把であります。内容につきましては、詳しく請願書を政府及び國会に提出いたしておりますので、御檢討の上にこの請願の趣旨をおくみとりくださいまして、願望のかないますように、御採択と同時に國庫全額補助をたまわらんことを、切にお願い申し上げます。
○日高政府委員 請願の御趣旨にはまつたく同感でありまして、本來は岩手縣の人でない無縁故者を岩手県に割当てました以上は、國として極力をこれも應援すべきものであるというふうな立場から、目下大藏省とも折衝中でありまして、できるだけ御趣旨に沿うように骨を折りたいと思います。まだ決定にまで至つておりませんことははなはだ残念でありますが、そういう方針で進んでおります。
○古賀委員 なお一層の御努力をお願いいたします。 —————————————
○圓谷委員長 日程第五、「愛善みずほ新聞」に用紙割当の請願、森山武彦君紹介を議題にいたします。
○織田委員 森山議員にかわつて紹介申し上げます。本誌に対しては創刊当時より日本出版協会を通じ、またその後平版部の新設にあたりましても事務局の御配慮により、用紙割当申請をいたしているのでありますが、遂に御承認を得るに至りませんでしたので、ここに事情を具し、さらに申請をいたします次第であります。何とぞ特別の御詮議をもつて御承認を與えられたくお願い申し上げます。 そもそも教善苑は新時代の要求により生れた宗教団体として、祈りつつ働きつつ感謝の生活を営み、愛善平和運動を展開しているのでありますが、搾取なく宗教を樹立いたしますには、宗教人みずからが荒地を開くためにくわをとり、みずから種をまき、耕しつつ收穫すべきであると信ずるものであります。この信念により愛善苑は創始当初より研究農場を経営し、多收穫農法を取入れて、本部及び地方においても農事講習会を開催して、あまねく会員に実施せしめて相当の成績をあげて参つたのであります。同時にその増收によつていち早くなされた完全供出は、しばしば世の賞讃を得ておるのであります。これこそひ本年一月三日の大阪朝日新聞社会面の「本年のホープ」と題する記事がよく傳えているところであります。その後わが国農業が直面をる惡條件を克服して、全國的増産の農村の眞の繁栄を目標とし、農地、農法の改良と農業経営の改善に関する知識と技術の普及指導に当り、さらに愛善みずほ会を設立し、篤農家として改良稻作法の権威黒澤淨氏を会長に迎え、開招農法の父梅村登氏を副会長に、その他農業各部門の科学的專門家と実驗家を嘱し、今や会員のみにとどまらず、あまねく一般農家に呼びかけ、会長以下指導部員五十余名が挺身始演会開催に、また実地の指導に当り、これが普及徹底を期し、わが國食糧問題の解決に邁進いたしておるのであります。同時にこれが実行には信農一如の精神により、わが國次の時代を画すべき農村青年の思想善導にまた当つておるのであります。愛善ひずへ会は本年二月設立、日なお淺きにかかわらず、すでに全國的に支部を置き、その数本年八月一日現在において四百六十八箇所に及び、会員また数万を越えておりますことは。まつたく指導の実績がそれを証明するとともに、さらに大なる期待がかけられていることを物語るものと思われます。かくして会員は本会の指導による進んだ農法技術を実践し、その範を示すと同時に、一般農家に呼びかけ、増産の実をあげつつあるのであります。單に一例を述べますと、本会の指導による幸澤式稻作改良法の実施において、五割ないし十割増收の成績をあげる者多く、技術の一部を取入れるだけで、よく二、三割の増收を得て、今や一たびこの稻作法を知つた者は、再び旧來の幼稚な栽培法を繰返すの愚をいたしません。本年度一町一村をあげて実施し、村の歴史始まつて以來かつてない大増産が期待されている所もあります。しかしてこの改良技術は努力いかんによつて、全国の燎原の火のごとき勢いで普及されております。また伊藤膳三氏の指導する甘藷多收穫の技術によれば、反当り三、四千貫は篤農家をまたないでも一般のこととなり、最高管理をすれば反当り六千貫という、想像を越えた実績も可能となります。これはその一部分の例を述べたにすぎませんが、その他愛善みずほ会の提唱する農法が全國的に普及実施さるるならば、わが國食糧問題の解決のごとき、あえて難事にあらずと確信するものであります。 愛善みずほ新聞は、その機関紙として編集され、一方本会の発行する農事單行本とあわせて指導を普及にあたり、またその実地における結果を紹介し、あるいは質疑に答えて、農地農法の改良に、農業技術の向上に全力を盡しておるのでありますが、さらにその特長とするところは、現在多くの農業雜誌、新聞は、その表現が一般勤労農家の知識水準より高くして、あまねく利用されていない実状にかんがみ、愛善みずほ新聞は読みやすく、理解しやすく、実行しやすい点に編集の重点を置いておりますため、最も困難とされていて低收農家、知識技術水準の低い農民大衆より、われわれはこれまで、求めんとして與えられなかつた新聞が與えられた。かつてかくのごとき親しまれる新聞、また実際の農業に有益な出版物はなかつたとの、絶賛を浴びておるのであります。しかるに現在正規の用紙割当なきため、やむなくわずかに仙花紙により、印刷いたしておるのでありますが、これではとうてい一般の要望を沿うことは不可能であります。宗教的信念による思想の向上とともに、食糧の面からもまづ日本を安定させ、眞に民主主義による文化國家を建設しますために、何より科学と実地の体驗とを基礎として、この増産が大切であることを察知しますとき、わが愛差みずほ新聞は正規の用紙割当をいただき、われわれに課せられたる重大使命を遂行し、進んで世界の平和と人類の福祉に、いささか貢献いたしたく念願するものであります。 大略でありましたが、何とぞ以上の趣意を御認識くださいまして、用紙割当をたまわりたく、切に御願い申し上げます。 以上森山議員にかわりまして請願の趣旨を説明いたします。
○成田政府委員 請願に対しまして具体的に御説明申し上げます前に、用紙割当の現況を概略御説明申し上げました方が、御理解が行き届くかと存じますので、ごく簡單に説明させていただきます。新聞紙や書籍、雜誌に対する用紙の割当ということは、戰爭中から始まつたことでございまするけれども、戰後は特に日本が南樺太を失いまして、紙の供給源が非常に減りましたために、紙の需要量と供給量との懸隔が非常に大きくなつて來た。それともた用紙と申しまするものは、出版物となつて現われますときには、思想、文化その他各方面に対する影響が非常に大きいのでありまして、從つて民主主義に基く新しい日本の建設ということに対する甚大な影響があります。でありまするから政府におきましても特にこれを重要視いたしまして、現在では総理廳にこの新聞出版用紙割当廳と申すものを設けまして、新聞紙及び出版物に対する割当の事業をやつておるわけなのであります。現在この用紙割当廳で用紙を割当てております新聞紙の数は二百六十七ございます。それから出版物は大体その期によつて申請を受付けてやるわけでありますが、大体毎期つまり三箇月ごとに初版物の申請が六千くらい、それから重版になりますとやはり三箇月に七千くらい出て参つておるような状態であります。今日問題になつております雜誌は、大体二千八百種類くらいのものを現在割当てておるわけであります。その紙の量の方のことを申しますると、戰前との比較でございますが、昭和十五年というのは割合に紙の豊富であつた時代でありまするが、この昭和十五年のわが國における用紙の生産高は約二十一億二千百万ポンド、そのうち新聞紙に用いられておりました紙は五億六千八百万ポンド、書籍、雜誌に使われておりましたのが二億三百万ポンドくらいであります。それに比較いたしまして、昭和二十二年度における用紙の生産額は四億九千四百万ポンドでありまして、すなわち戰前の四分の一弱であります。そのうち新聞に割当てます分が一億八千九百万ポンド、出版物に割当てますものが二千八百万ポンドということになつているのであります。この数字だけでもおわかりの通り、出版物に割当てます紙は、昭和十五年度におきまして出版物が消費しておりました紙の、九分の一かそこらにすぎないということになるわけでありまして、非常にきゆうくつな事情にあるわけでございます。しかもこの紙は、今まで出ております出版物、あるいは書籍、雜誌等に対する割当に追われておりまして、新しい企画に基く雜誌などに割当てる余裕が、実はなかなかないというような状況でございますために、昨年度から新規の雜誌に対する割当は、全般的に停止しておつたのでありますが、あまりそれがきゆうくつでありまして、新規の、よい企余の雜誌に紙が少しも出ないということは、いろいろな弊害がございますので、最近またこの新規の雜誌に対する割当を開始しなければならないというつもりで、研究しているわけでございます。用紙の割当の現況はこういう状況にあるということを、まずお含みくださいまして、この愛善新聞に対する具体的な御説明は、羽場出版課長から申し上げます。
○羽場説明員 ただいま請願にありました愛善新聞につきましては、今年の九月に申請が出ております。この内容につきましてはいろいろ檢討をいたしておりますし、なお関係者の方からの御説明も承つておりまして、ただいま紹介議員からいろいろお話になりました点は、十分われわれの方でも承知いたしたおるわけであります。ただ、ただいま長官からお話になりましたように、新規雜誌を昨年以來一切やめなけばならないような、きゆうくつな用紙事情であります関係上、ただいままでのところとしては、一誌も取上げておらない状況であります。從いまして、現在割当てしております雜誌は約千八百種ございますけれども、新規の申請はこれの約半ば以上の千種を数えておる状況でありまして、新しい文化をつくるという意味におきましても、新しいいい企画が生れ出ることは当然のことでございまして、われわれといたしましても、できるだけこの問題については努力いたしておるわけでございます。用紙の点等も除々に目鼻がつきつつある状況でございまして、近く新しい雜誌も嚴選いたしまして、取り上げようという段階まで参つております。從いまして、この状況におきまして新しい雜誌をいろいろの角度から檢討いたしまして、取上げることになるはずでございますけれども、しかし急激な用紙の増額は期待できませんので、勢い嚴選せざるを得ない状況でございますが、そのときにおきましては十分この事情も檢討いたすことに相なつております。ただこの割当がすぐできるかできないかということを即座にお答えできないことが、はなはだ遺憾でございますけれども、用紙のきゆうくつな事情等も十分お考え願いまして、御了承願いたいと存ずる次第でございます。以上愛善新聞につきまして一應御説明申し上げます。
○圓谷委員長 次に日程第六、佐世保市に國立長崎大学水産学部設置の請願、本多市郎君外六名紹介、文書表第二一七号を議題とします。久保君。
○久保委員 私から請願の要旨を申し上げます。長崎には從來医科大学と、附属医学部、それから経済專門学校、師範学校、青年師範学校、これだけの官立学校があつたのでありますが、新制大学が出発するにあたりまして、これを基礎にしました長崎縣民の要望は、医科大学を医学部、藥学專門学校を藥学部、経済專門学校を経済学部、それから師範学校を教育学部、青年師範学校を基礎として新たに水産学部を設置していただきたい。これが長崎縣民の熟要であります。この請願の趣旨は特にこの水産学部を設置していただきたいというのであります。 長崎は御承知のごとく非常に土地が狹いのであります。島嶼と半島だけでできて、陸地が狹い縣でございますけれども、しかしながらこの海岸線の延長は実に北海道に次ぐのでありまして、二千四百キロに及ぶ海岸線を持つております。從つて魚族がきわめて多く、漁業関係の町村は五市百三十三村に及ぶのであります。これをもつてしていかに長崎縣が水産縣であるかということが、すぐわかるのであります。從つて漁獲高も昭和二十一年度を見ましても、九千万貫を越しているのであります。もちろんその漁獲高にしましても、北海道を除いて全國第一位——第一位と言つても、第二位からずつと飛び離れた第一位で、魚族の多いことは全國第一、しかもその漁業関係の種種に至りましては、黒潮の影響を受けている関係から、非常に魚族が多いのでありますが、定置漁業があるかと思えば、養殖漁業がある。すなわち定置漁業ではぶりの定置漁業があり、一般のざこの定置大敷網等があるのであります。それから養殖漁業としては長い間眞珠の養殖、あるいは珍しいのでは車えびの養殖、あるいは海草というものがあり、かきその他のものもあります。それから遠洋漁業の根拠地として、長崎は特異の地位にあつたのであります。現在遠洋漁業の船が相当復活しているのでありますが、それが長崎市を根拠地として、從來東支那海から南方方面に出漁しておつたのでありまして、こういうことから長崎縣の特色を生かすためには、今後國土計画の線に沿うて文化機関が置かれるとすれば、どうしても水産学部を置いていただきたい。これは実は文部当局にお願いしたことは、大正中ころ以後のことでありまして、ずいぶん久しい縣民の要望であります。 そこで、それでは長崎市に各大学の学部が多く集つているのに、なぜ佐世保市にこれを置いてくださいという請願をしたかと申しますと、長崎は原子爆彈以來市の大半がいためられまして、建物等も既設の建物等を利用するとしましても、なかなか困難であります。教育関係では師範学校が原子爆彈でやられ、医科大学、付属病院、藥学專門学校がやられ、その他中等学校以下は数多いのでありますが、これはすべて原子爆彈のためにやられ、三菱関係の寮や大工場等が同時にやられたのであります。そこで長崎市附近に適当な既設の建物を考えてみるとなかなかないのであります、非常に大きな経費を要しますので、それを地元で相当覚悟をきめてお願いせねばならぬというので、いろいろ研究しました結果、佐世保の港口に飛行隊の跡がそのまま残されておつて、これが水産学部を設置するのに、非常に適当な場所であり建物であるということに、縣民の意見が一致したのであります。ちようど佐世保の港口を擁するところにありまして、非常に位置がよいここは今後長崎縣の漁業の中心となつて行こうとしており、長崎だけが漁業の中心であつたのが、佐世保と長崎の両方が今後漁場の中心となろうとしている。從つて佐世保というところは、平戸、壱岐、対馬、五島の方面に対して非常に都合のよい場所にあり、ここへ水産学部を設置するとしても都合がよかろう。こういうことになつたのであります。なお既存の建物を利用して、足りないところは地元の方で十分これを補充して行こうということに、一決しておるのであります。もう一つ申し上げなければならないことは、なぜ青年師範学校を基礎として、水産学部を設けようとしたかというと、長崎の青年師範学校には水産学科という課目が、新たに設けられておるのであります。青年師範学校は数年前から長崎縣の特殊性を生かす青年師範学校として、水産教育については、教員養成の点から特に一つの構想を持ち、その具体的な充実をはかつて來ましたので、これを一應基礎としたならばよかろう。教授陣その他のことから言いましても非常に都合がよい。こういうふうに考えたわけでありました。委員会におかれましては、この長崎縣の歴史的な縣民の熱望であり、また立地條件として全國第一位と考えられるこの水産縣を生かすという立場から、この請願を御採択になるようにお願したいのであります。長崎縣の水産は、もしこれに近代科学的な檢討を加えますならば、私先ほど二十一年度の漁獲が九千万貫を越えたと申しましたが、これを二倍にすることは優に可能だと思うのでありまして、日本の富をさらに多くするということから、ぜひお願いしたいのであります。
○日高政府委員 ただいま久保委員からの御説明にありました通り、文部省といたしましては、長崎の医科大学と長崎の経済專門学校、薬学專門学校、師範学校、青年師範学校、これらのものを集めまして、医学部、経済学部、薬学部、学藝学部、水産学部というような学部をもちました長崎大学設立の計画を立てまして、ただいま大学設置委員会の審査に付してあるわけであります。そのうち水産学部のことでございますが、本年の七月ごろの申請のときには、たしか大村が水産学部の候補地になつておつたかと思うのでありますが、その後大村よりはむしろ佐世保の方が一層適切であるので、計画變更を申し出られておると思うのであります。文部省といたしましては、できるだけ現実に即しながら、將來発展性のあるところが適当であろうという考えをもちまして、その御計画にはできるだけ沿いたいと思つております。ただ現地の事情として、大村には大村の希望があるかもしれませんし、佐世保にも熱烈な希望もございますし、大学全体の機構の関係から、いずれが適切であるかということにつきましては、文部省も考慮いたしますし、大学設置委員会の実地の審査にも、その判断を委ねたいと思つております。御趣旨、殊に水産学部の設立の御趣旨には文部省も賛成いたしております。ただ一つお含み置きいただきたいのは、青年学校を大学程度に充実して発展させるということにつきましては、たとえば教授陣容とか、あるいは施設とか、そういう面では一般的に言いまして相当困難が多いことと思います。その点現地の皆樣方の格別な御協力を得たいと思つております。実情を打明けて申し上げますと、日本の現在の状況では、新しい大学をつくるというようなことは、相当むずかしいうことでありまして、大学設置委員会にかけますときには、学校として必要な校舍や施設や教授陣というようなものを、ある程度具体的に相当持つておりませんと、大学設置委員会の審査に合格しがたいのであります。ただ新しい学校を一切つくらないということもあまり消極的でありますので、日本の産業の全体を見合せまして、殊に水産等については多少積極的な意図をもつて、計画を立てる必要があると思つておりますので、長崎の場合もその一つとして考えているわけであります。大学設置委員会といたしましては、そういう教育全分の政策的な問題よりは、現実の施設及び教授陣が新しい大学の基準に達しているか、あるいは近く達し得るかどうか、そういう点に判定の基準がありますので、文部省にも相当苦しい立場にあります。現地でもおそらく相当お困りのことだろうと思うのでありますが、これは両方の協力によつて、なるべく合格し得るようにいたしたいと思つております。念のためにその点も申し上げておきたいと思います。
○久保委員 大村と佐世保と二つの案かあつた。この点については幸いここに松本委員かおいでになりますので、現場をごらんになつての感想をあとで述べていただきたいと思うのであります。大村は大村湾に面したところで、專門家に聞いても、とうてい養殖、臨海研究所等のごときものも、あそこでは制限を受けてできないということが一つ、そしてあそこの校地はなるほど一應竹松航空隊の跡でありますので、間に合せにつくつた軍の航空隊でなくして、事變前にできた本格的につくつた航空隊で、日本でも屈指のものでありました関係から、燒け残つている校舍等も利用すれば相当利用ができ、廃物等も金に換算しておそよ一千万円くらいの鉄屑が残つているというようなことで、いい点もあるのですけれども、あそこに学部をつくるということは、実際專門的な目で見て困難だ。これはもうむりであるというので、地元の人もそれは固執しないことになりました。そして佐世保ならということになつたのでありまして、なお專門の方が向うにおいでになつたときには、あわせてごらんになると思うのですが、もし佐世保で足らないものを大村のあそこで補うということにしますと、幸い水産学部でありますから、どちらも海岸であり、船で連絡が簡單にとれる所でありますので、そういうことも可能かと思うのであります。くどいようでありますが、長崎縣に水産学部が置かれないということになれば、文部省の正しい学校教育をどういうふうに全國的に配置するかという原則が非常に違つて來て、こうも極端に違うのかという惡い例をここに残すことになると思うのでありまして、定りないものは縣民が積極的に協力いたしますから、ぜひひとつこれを設置していただきたいと思うのであります。
○松本(七)委員 動議を提出いたします。すなわち日程第一、日程第二、日程第三、日程第五、日程第六の請願は採択の決定を留保せられんことを望みます。なお日程第四の請願は議院の会議に付することを要するものとして採択し、内閣に送付せられんことを望みます。
○圓谷委員長 ただいまの松本君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長 それではただいまの動議に御異議なしと認めます。それではさよう決定いたします。 —————————————
○圓谷委員長 それから次に日程第一から第十三までの陳情書を一括して議題とし、審議に入りたいと思います。右陳情書については文書表並びに本書について、委員各位においては御精査のことと存じます。陳情の趣旨はいずれも了といたしますが、何か御意見はありませんか。——御意見もないようでありますから、それでは各陳情書は本委員会として了承することに、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長 異議なしと認めます。それでは了承することに決定いたします。 —————————————
○久保委員 昨日の委員会で文部当局にお尋ねすることが二、三件残つておりましたが、幸い日高局長がお見えになつておりますので、日高局長にお尋ねする関係の事項だけ質問したいと思いますが、お許し願えますか。
○圓谷委員長 ただいまの久保君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○圓谷委員長 御異議なければ久保君。
○久保委員 では簡單に御質問申し上げます。全國の直轄学校が戰災にあつて、その復旧にその地元並びに政府におきまして努力しておるのでありますが、いろんな事情で学校当局としましては、あるものはこれを施任されておるのではないかという杞憂を、持つておる向きもあるのでありますが、大体何年度くらいまでの目標で政府補助の復旧は終るのであるか。およその見透し、計画というのがありましたら、お示し願いたということが一つであります。 その次は今の学校教育の内容でありますが、これはいろいろ批判されると思うのでありますけれども、日本の戰後置かれた現実から考えてみまして、経済復興と言いますか、産業復興と言いますか、そういうものとはつきり教育が結びついて行くべきではないかと、思つておるのであります。もしそうでなくて、ただ漫然と平和な民主主義的な國民をつくるその基礎的教養を與えるというものであつたならば、私は日本の將來のために多少危惧の念を持つものでありまして、その意味からして、小学校から中学校、新制高等学校、あるいはその上に至るまで一貫して、教育の内容から方法等に至るまで、もつと科学技術の教育の振興と充実をはかる考え方が、必要ではないかと思うのであります。この点ではいろいろ具体的に申し上げたいこともあるのでありますが、そういう意図が文部当局にあられるかどうかということを、教育局長にお尋ねしたいのであります。 御承知のように外國では、学校教育の足らないところを、家庭教育においてそういう面が相当補われて行き、社会教育においてそういう点が補われて行つているようでありますけれども、日本の場合は家庭教育、社会教育で科学や技術の教育の不足の分を補充するということはとうてい困難であつて、どうしてもこれは学校教育の内容において、そういう方面を充実して行く必要があると私は思うのでありますが、この点についての御意見を承りたい。 第三点は、さきに教育委員会法案が通つて、すでに教育委員が全國に置かれたのでありますが、そこで大学の問題であります。大学校というものが今どういう状態になつているか。もちろんこれは案というようなものがあるわけではありますまい。それは先般のお話でも大体わかつておるのでありますが、その過程的な状態をお尋ねしたいのであります。すなわち大学校というものによつて、大学の目的がどういうものであるかを明らかにする。私が一番心配することは、さつき科学技術教仕を振興せねばならぬと言いましたが、これは一面から言うと、働く人間をつくる教育をせねばならぬという意味であります。それは決して日本の低文化政策を是認するのではない。われわれはあくまでも大学において高い文化を堅持して行かなければならない。日本の文化は決して戰前に劣るものであつてはならないし、ますます盛んに高次のものにならねばならない。それはやがて日本の経済、生産の基礎をなすと考えておりますので、その大学校の目的なり、あるいはいかに民主的に大学を運営されようといているのか。そういう点などの骨子について、今日の過程でもいいのでありますが、もし御説明願えればと思つてお尋ねするわけであります。
○日高政府委員 御質問を受けました第一の点でございますが、戰災を受けました学校の復旧につきましては、資材を必要といたしますし、それが主として建築の材料等を手に入れなければならないというような観点から、文部省の事務の分担の上から、実は施設局でやつておりますので、その詳しいことをただいま御返事するだけの用意がありませんから、これは別の機会に担当者から御返事申し上げたいと思います。 第二の点は日本の産業復興と教育ということはお説の通りでありまして、私どもも確かにその点を考慮しながら、日本の教育の改善をはからなければならないということを平素から考えております。ただ日本の、たとえば工業水準がどの程度容認され得るものかというような点につきましては、そのときどきによりましていろいろ見込み等が違いますので、全体の正確な計画を立てることは非常に困難であります。その点、私どもとしては非常に苦慮はいたしておりますけれども、そのときどきに從つて、多少手加減をしなければならないというふうに考えております。ことに工業方面については、そういうことを考えなければならないというふうに思つております。しかし一般に申しまして、日本の教育が初等教育から中等教育、高等、大学の教育に至るまで、生活と学問というものが遊離しがちであつたということは、これは事実として認めなければなりませんので、今後の教育としては、生活と学問とをできるだけ結びつけなければならないというふうに考えております。 もう一つは、お話にも出ましたように、日本をほんとうに復興させるためには、私は日本人がもつと眞劍に、勤労をいとわないような精神を、若い人たちに持つてもらわなければならないというふうに考えております。こういう点では戰時中の惡い意味の勤労教育でなしに、勤勉な、労をいとわないような人間をつくらなければならないというふうに、感じておる次第であります。御承知のように小学校から中学高、高等学校にわたります教科内容も、そういう点ではできるだけ社会に出て一人前の働きのできるように、職業教育的な面については相当力を入れておるのであります。それが十分効果を收めるまでには至つておりませんが、方向としては健全な、力強い勤労階級を、多数に養わなければならないという考えから、職業教育には今後も力を注いで行くつもりであります。その中にたとえば農業教育等におきましても、教育というものはすべて学校だけでされるような期待が、從來日本においては多かつたのでありまして、学校と家庭との関係というようなものに、できるだけ密接な連絡をつけまして、同じ職業教育でありましても、アメリカ人のいわゆるホーム・プロテクト・メソツドというものを試みに採用して、そうして学校で教えることが甲に帰つて家の働きに直接に影響のあるように、また家庭の親たちが学校に対して、産業の復興等について特に関心を持つて結びついて來るような、そういう方法も考慮しなければならないということを考えまして、ただいまそういう方面も研究中でありますが、すぐこれを実行するということにも多少の疑惧がございますので、試みとしては、近いうちにホーム・プロテクト・メソッドによる教育もいたしたいというふうに考えております。 それからお話にも出ましたように、日本がこれから立つて行くには学問と技術というものを徹底的に向上させて、それを身につけた、平和であつて勤勉をいとわない人間をつくつて行かなければ、日本は立ち得ないというように考えております。こういう点でも、学問や技術というものを、今後の日本としては極力進めるために、その点で東洋においてはもちろん、世界的な水準にも追いついて、追い抜くぐらいな意氣込みをもつてやらなければならないというふうに、考えておるわけであります。 それから最後に大学校についての御質問でございますが、これは、世間に傳えられておりますいわゆる大学校と申しますものは、もちろん文部省がつくつたものでないことだけは、はつきり申し上げることげできると思います。しかしただいま出ております案は一つの試案でありまして、文部省もこれを論議してできるだけいい、理想的であつて実行可能な大学校というようなものを、つくり上げたいと思つておりますし、現在は主として教育刷新委員会においてこれを研究中でございまして、文部省がその研究に基いて独立の案を作成いたしたいというふうに考えております。そのほか大学関係者、大学学長の会議とか、総長の会議とか、あるいは校長の会議等においても、示されました案についていろいろ論議中でございます。これは、私は特に文部委員の方々にはぜひ御了解をしておいていただきたいと思いますので、あとで詳しい原案の残したものがありますから、これを刷り物にでもして皆さんにひとつ読んでいただきたいと思います。実はまだ差上げるということについて了解は得ておらないのでありますが、私は見ていただいてもいいのではないかというふうに思います。少し不穏当であるかもしれませんけれども、私はことに文教委員の方には見ておいていただきたいつもりであります。何らかの処置で皆さんに原案の届くようにいたしたいと思います。趣意だけ先に申し上げますと、大学校の構想は大学の目的、設置、組織、教員の身分、行政、財政、学位等十数課目の廣範な内容を有するものでありまして、最も論議されておる点は大学の行政と財政であります。大学行政機関の改革の目標は、大学の自治の確立ということが第一点、第二点は中央集権的な権力を排除して、各大学に行政権をできるだけ付與しよう。それと地方分権を行つて、國民主権の原理に基いて、單に大学の教授たちだけでなく、國民の意思を大学行政にも反映させたい。これだけが大学校の主要なねらいであると思つております。大学の行政機関といたしましては、監理委員会と学長と教授会、この三つが出ておりまして、監理委員会は大学の最高の行政機関であつて、一々の大学に監理委員会を置くことになつております。学長の任免、教授等その他職員の任免を行うものでありますが、学長については教授会が推薦権をもち、教授等につきましては教授会と学長の推薦がなければ、委員会は任命ができないことになつております。一般の人事については委員会は学長を除いては拒否権を持つだけであつて、予算案その他大学の教育の一般方針の決定権を持つものであります。教授会は教育内容を決定する。入学、卒業の資格の決定の権能を持つわけであります。学長は委員会と教授会の決定を見た事項を執行する最高の責任者になつております。そのいわゆる監理委員会の構成と申しますものは、文部大臣が國会の承認を得て任命する者三名、知事が府縣会の承認を得て任命する者三名、教授会の推薦による者が三名、学校同窓会の推薦による者三名、学長は職務上当然なる。これで十三名になるわけであります。なお中央に諮問機関を置きまして、大学教育の一般方針、大学に関する法律上の改正問題、大学の配置、國際組織への参加等に関しまして、建議あるいは勧告をする機関になつております。委員は十五名からなることになつておりまして、國立、公立大学の長の互選による者三名、私立大学長の互選による者三名、衆議院、参議院兩院の文部委員のうちからおのおの一名、これで八名でありますが、そのほかに文部大臣が國会の承認を得て任命する者七名、合計十五名、これが全体の大学教育の一般方針、法律上の問題とか、あるいは基準の問題とかいうものを取扱う諮問機関として示されておるものであります。これに対しまして教育刷新委員会の大体の案は、一々の大学にございます監理委員会というものを、國立の大学につにいては中央に一つにまとめてしまいたいという——決定機関としての監理委員会というものは、國立のものについては中央にまとめてしまうという案を持つておりまして、各大学には、むしろ諮問機関として評議会というものを設けまして、地方の要望を反映させるように組織にしたいというのが、教育刷新委員会のこれに対する代案であります。文部省はこの兩方の案を今討議中でありまして、文部省の原案というものはまだできておりません。これらのことにつきましては、日本の実情に即して、できるだけいい案をつくるために、極力努力いたしたいというふうに考えております。 それからもう一つ特に申し上げておきたいと思いますのは、この大学校の試案でございますが、この大学校の試案というものは、決してまだ決定した案ではございませんので、論議のために関係方面で示したものでありまして、これは決してアメリカの理事会というものを直訳したものではないのであります。アメリカのいわゆる大学の理事会というものには、学校当局がたくさん入るということはあり得ないし、また國会との連絡のために文教委員のような人が入ることもなし、また文部大臣の任命したような理事が入るということもない、こういう意味で今度示されました案は、決してアメリカに範があるわけではないのだ、またイギリスにあるわけでもないのだ。これはアメリカにある制度も、イギリスにある制度等をも考慮した、日本の実情に即するものではないか。殊に委員の構成においては一方的な支配のないように、違つた要素がお互いに牽制し合つて、独断や專行のできないようなものとして考えたんだという註釈がついております。これらの点では一部にアメリカの案をいきなり日本に移して、日本をアメリカ・ナイズしようというふうに考えているというような揣摩臆測が行われておりまして、多少誤解があるというふうに聞いておりますので、これらについては関係方面も非常にこの点を残念に思つているらしくて、説明は相当くどくその点に触れております。今申し上げましたように、私はこの問題は相当今後の日本の大学行政、從つてまた大学教育及び研究というようなものに深い関係がありますので、相当徹底的に論議をしてきめなければならない問題だというふうに理解しております。今後いろいろまたお知惠も拜借し、お力も拜借しなければならないと思いますので、あらかじめお願いいたしておきたいと思います。 それからもう一つ久保委員から御指摘のありましたような、いわゆる低文化政策というようなものには、私は断然反対でありまして、日本としては今後学問や文化において國を立てる以外に道はないのでありますから、その目をふさぐようなことについては、私は身をもつて抗爭するつもりであります。しかしこれはやはり日本人全体の覚悟の上にかかつていると思いますので、私は現在日本に來ておりますアメリカの教育関係者は、必ずしも低文化政策というようなことは意図しておらない。ただ表面に出ております大学の目的等につきましては、やや職業教育というようなところに重きが置かれておりまして、純粹の学問の研究や眞理の探究というような点においては、理想主義的な点が幾分少いように見えますので、多少の誤解が生ぜぬこともないかと思いますが、これをむしろアメリカの人たちの学問に期待する一般的の態度が、非常にすなおに出ているだけにすぎないのではないかというふうに、了解いたしているのでありまして、必ずしもこの点をもつて邪推をする必要はないのではないか、というふうに考えております。その点は修正の見込みは十分あると確信いたしております。 〔委員長退席、松本(七)委員長代理着席〕
○久保委員 科学術教育についてのお考えはよく了解できたのでありますが、結局学校教育というものは、学校でいかに設備をして、実驗なり実測なりあるいは実習なりをやつてみたとこめで、それは実際の社会の職業から考えてみますと、これはままごとと言いますか、模型教育にすぎないと私は思う。その点において家庭教育と密着して、それを生かして行くという方法を考えておられるということは、私はまことに同感であります。ただ私がもう一つお伺いしてみたいのは、結局科学技術教育をうまくやつて行くか行かないかということは、その根本は教員だと思う。その教員が実はおらない。そこで私は定時制高校の場合でも。教員組織がうまく行かなかつたら、そんな学校はしばらく足踏みをして、つくらぬがいいということを切言したものでありますが、その教員をこのためにどういうふうに養成されようとしているかということ、それからもう一つは学校教育の上に、一つのはつきりした大きな計画を出そうとしますと、どうしても学科課程といいますか、教科書、教授時数等にただちにそれが具体化されて來ねばならないのであるが、現在もそういう点について、なおそういう方向にかえようというお考えがあるかどうか。もう一点は、終戰後今日までの過程は、國民の生活問題は物價高の問題、主食の問題に心が奪われて來たのでありまして、そこに社会問題の中心があつたようでありますけれども、その次には失業問題が非常なものとなつて來ると思うのであります。その場合に失業救済の職業教育というようようなものを、厚生省なり労働省なりに、從來のようにまかせておいてよいものであるかどうか。私はそういうことも一應考えられるけれども、教育機関を掌握しておるところの文部省が数百万、五百万、八百万あるいは一千万にも及ぶというこの失業者の救済のための職業教育、実務教育ということに乘り出して行くという意図はないかどうか、この点をお伺いしたいと思います。 大学の問題は、私お話を聞いて非常に心強く感じたのであります。私はまだ質問したいことが多々あるのですけれども、今日はこれ以上は遠慮いたしまして、その資料をいただいた上でよく檢討してみたいと思つておるのであります。
○日高政府委員 学校教育と家庭教育との結びつきを考慮するために、先ほど試案としてホーム・プロテクト・メソツドというようなものを考慮していることを申し上げました。それについての適当な教師がいるかどうか、ということが、第一の問題であります。これははなはだおぼつかない点もあると思うのであります。しかしアメリカの方でもこれについては相当好意的な関心を持つておりますので、たとえば一定の学校にそういう案を立てて実行する際に、特別な講習や何かをし、どういう指導をするかというそういう具体案を立てまして、地方々々そういう方向をとる学校を指定して、徐々にやつて行きたいと考えております。 それからお話のように、一般に学校の制度はできましたけれども、教育内容をほんとうにつかむのは教師でなければならない。その教師というのが今までの日本では相当大きな缺陷があることは、申し上げるまでもないのであります。今度大学の轉換においても、その点一番苦慮しておる点であります。申し上げるまでもなく教師がいい教師としては一般的な教養を持つこと、自分の教える課目について相当な実力を持つておることと、生徒の心理状態をよくつかむということ、この三つの点が必要だと思います。それらの点についてできるだけいい教師の養成機関をつくりたいと思つて、苦心はいたしておりますけれども、これはなかなか急にはできませんので、全國的な問題でもありますし、多少ときをかしていただかなければ、本格的な養成機関というものはできないと思います。もう一つは一般の教育を受けた者に、先ほど申しました三つの要件のうちの教職教養というものを、夏休み等に講教会でもいたしまして、それらの一定の單位を履修した者は、正教員にするというような方法も考えて、鋭意はつらつとした教師を教育界に入れたいというふうにも考えております。もう一つは今までの教師に対して、新しい教育方針や方法、内容を十分紹介するように再教育を考えたい。こういう点で從來よりは少しずつでもいい教師を、養成したいというふうに考えております。これはなかなか急の間には合わないと思いますが、しかし忍耐強くやつて行かなければならないと思つております。 それから失業対策の問題でありますが、これは教育だけではとうてい手に負えない重要な問題ではないかと考えております。ただ私のまつたく個人的な意見を申し上げますれば、平和な意図をもつてまじめに働く人間をつくつて、それらの人に学問や技術を身につけさせるならば、日本人が今後また海外に出る道が開けはしないか。これは日本人が権利として主張できる立場にはないのでありますけれども、しかしそれがおのずからわかるように、そうして日本人がこの島國だけに押し込められるのでは、日本人の生活問題はなかなか解決できないけれども、將來どこの國へ行つても尊重され、すかれるような人間をつくる以外に、どうも失業問題はなかなか簡單には解決できないのではないか。とてもこれは職業教育くらいなことで解決のできる問題ではないというふうに、私は考えておるのでございます。それから失業対策としての職業教育というようなものは、今の文部省としてはとてもそこまでは手に及ばないのでございます。もつと基礎的なものすらもできないで、いろいろ御批評をこうむつておるので、將來は別といたしまして、今は失業対策の職業教育というものは、厚生省とか労働省とか、そういうようなところで適当にやつていただく以外、とても力が及ばないと思つております。
○受田委員 時間が過ぎておるので、日高局長に二分か三分くらいでお答え願いたいことを一分くらい御質問します。 今日久保議員から御説明にあつた長崎の大学の問題ですが、これに関連して水産学部の構想が明らかにされておりましたが、水産とか商船とかもしくは逓信とか、そういう特殊的な教育の大学は、文部省所管として、その一般的陶冶の方面を担当し、特殊の技術技能については、それらの所管である関係各省において、これを担当するというような意見を伺つておるのでありますが、現に水産講習所とか、高等商船学校並びに逓信官吏練習所のごとき、これらの特殊の教育機関を文部省の直轄として、その教育を統一する方向に進められておるかどうか。その後の情勢及び國立大学、特に総合大学にこれらの特殊の教育機関を独立学部として入れることについて、文部省は全國的な立場からどのような立場をとつておられるか。簡單に御説明願いたいと思います。
○日高政府委員 簡單に申しますと、他省の所管しております高等教育機関について所管をそのままにするか、あるいは文部省に統一するかというお話だと思います。理想的に申せば、私は文部省でやる方がよいのだと考えております。しかし実行面においては、文部省がもつて大幅の財源をとり得るならば、それは文部省に一貫した方がよいと思うのでありますが、事実上は何分にも御承知のように文教費というようなものについて、政府がしみつたれておりますから、なかなかそれを思うように運営ができない。こういう点から見ますと、たとえば運輸省なら運輸省にありまして、教育機関としてはごくわずかの数でありますから、一般の予算をうんととつておいて、それに相当り振向けるというような点で、実質的には他省にあつた方が、その学校の運営には便利な場合があるかと思います。それと専門の技術者も、專門のトレーニングの場合においては、持駒をたくさんもつておりますから、その点で実質的には他省にあつた方が有利な場合があると思います。これは小さい意味でなわ張り爭いをすべき問題でなくて、できるだけ國家的の立場から將來の発展等も考えて決定すべき問題であると考えております。そういう面で、お話のありましたように形式的には一般教育をなし、基礎教育をするというような点では、文部省の管轄に属するのがよりよいが、しかし実質面においては他省の應援を得ることが必要なのではないか。それらについて、形式的な爭いでなしに、実質的にお互いの了解によつて、うまく解決する道はないかということを、これは文部省の全体の方針ということまではまだ申し上げかねますが、局長個人としてはそういうふうに考えておるわけでございます。その面で他省と話合いをしておるのでありますが、遺憾ながらまだ具体的な解決点まで至つておりません。文部省のなわ張りを少しでも侵されないとか、あるいは新たにとろうとか、そういう根性ではなしに、日本の將來のためを思つて適当な方法を考えたいと思つております。 それからもう一つ委員長に申し上げたいのですが、先ほど久保委員から御質問のありました戰爭学校の復興につきまして、関係の施設局次長が來ておりますので、大体の方針だけお答えいたしたらどうかと思いますので、お許し願いたいと思います。
○松本(七)委員長代理 それでは田中施設局次長に御説明願います。
○田中説明員 戰災学校の復旧の状況を御説明申し上げます。戰災学校は御承知のように全國で約三千校、三百万坪の建物を失つたのでございますが、この復旧につきましては、官公立学校は公共事業、それから私立学校は國庫の長期年賦償還貸付金をもつて、復興いたしておるのでありますが、國立学校におきましては本省の直轄工事としてこれを実施いたしますし、公立学校においては、補助事業として各事業主体に二分の一の補助をして、この復旧を促進しておるのでございますが、この復旧計画については、当初は十箇年計画を立て、初めの五箇年は一應第一次の應急仮設の計画として、あとの五箇年、第二次五箇年は本復興計画の予定を立てて、これを実施いたしたいというふうに考えておりましたところ、いろいろな國内情勢の関係上、特に國の財政あるいは建築使用資材の生産状況からして、この事業を予定通りに遂行し得なかつたことは、われわれ非常に残念に思えているところでありまして、現在までの戰災復興状況は、直轄関係において、二十三年度計画によつて約三七%、公立学校関係においては約二六%の促進を示している程度であつて、今後さらに新しい実施計画を立てて、目下安定本部とも連絡をとり、その実施計画を立案中でありますが、まだその成案を見るに至つておりません。しかし六・三制の実施等、新学制による諸学校の整備の関係もぜひ必要があるのでありまして、この戰災復旧関係については今年度から新たに年次計画を立て、それに基いて実施いたしたいと考えているのでございますが、さしあたり戰災復旧に関しては、二十四年度以降四箇年間にこれを促進いたしたいというふうに考えまして、目下その予算を編成し、経済安定本部並びに大藏省に提出して、折衝中のような状況であります。
○久保委員 今の御答弁でよくわかりましたが、長崎と廣島の原爆の被害が、これはほかの被害とまつたく内容が違いまして、原形はそのままであつて、実は屋根が崩れてしまつている。早くこれに手をつければ被害が三割で食いとめられるのだが、手をつけなければみな腐つてしまう。こういう状態にあるのであります。これは原爆の被害を受けた家屋はみなそうであります。こういうのはせつかく國家の建物ですから、被害の程度が少くても、これを早く手をつけることによつて、その残された八割なり七割なりの建物は生かされると思うのであります。そういうのが廣島、長崎には相当にある。長崎では経済專門学校にそういう例があるのでありますが、そういうのはやはり特別に取扱つておられるかどうか。そうしていただきたいと私は思うのです。
○田中説明員 今の長崎、廣島方面の学校につきましては、われわれも常々そういつたことを考えておつたのでございますが、何分予算そのものが非常に過小のために、復旧率も非常に低下しておるというような現状でありまして、特に長崎におきましては、今ほどお話のありましたように、実は予算は相当重点的に配付しておるのでございまして、特に本年度におきましても約一千四百万円を計上しております。來年度におきましてもできるだけその方面に、重点的に予算を配付したいと考えておる次第であります。
○松本(七)委員長代理 ほかに御質疑ございませんか。——御質疑がなければこの程度にとどめたいと思いますが、大学校に関しましては、本委員会として特に関心をよせておりますので、次会においてさらに議題に供して、当局の説明を求めたいと思います。 なおこの際委員長より文部当局に要望しておきます。大学校に関する資料をすみやかに配付できるよう、一層の御努力をお願いいたします。先般教育委員会法審議にあたりまして、世間ですでにこの草案の印刷物を手に入れて問題になつておるときに、本委員会の委員には何ら資料が渡つておらないというような、はなはだ不都合な状態を招來いたしました。こういう不都合を二度と繰返さないように、すみやかに印刷物にして配付できるよう、御努力を願いたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十二分散会