不当財産取引調査特別委員会 第12号
- 発言数
- 522 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/11/15
会議録
○武藤委員長 これより会議を開きます。 本日の理事会において決定せられました事項を御報告申し上げて、皆様にお諮りをいたしたいと存じます。 第一、千葉合同無盡を中心とする千葉縣下における不正事件調査のため、千葉地方檢察廳に対し右事件に関係する書類の提出を求めたいと存じます。 第二、石炭國管問題調査のため、次の書類の提出を求めたいと存じます。 イ、復興金融金庫本所及び各支所、出張所、代理店等に対し融資申込書 口、融資を受げた各炭鉱業者に対し融資金額並びにその使途明細書 ハ、石炭廳に対し鉱業原簿 右二件について御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 ではさよう決します。 第三、理事田中角榮君委員辞任による理事の互選をいたしたいと存じます。いかがはからいますか。 〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕、
○武藤委員長 それでは明禮輝三郎君を理事にお願いいたします。 これより証人のお話を伺います。本日御出頭の証人は、美濃部亮吉君、莊野精二郎君、大仲斎太郎君、鈴木治雄君の四君です。御承知の通り当委員会において目下昭和電工問題の調査に当つておるのでありますが、この事件に関連をいたしまして証言を求めるため、諸君の御出頭を求めた次第であります。証言を求める前に各証人に一言申し上げます。 昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことができるのは、一般の人については、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られております。右以外には何人も宣誓または証言を拒むごとができないことになつておるのであります。なお証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ且つ宣言した証人が虚偽の陳述したときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。お手もとに差上げてある宣誓書を朗読の上御署名御捺印を願います。 〔証人美濃部亮吉君各証人を代表して宣誓〕 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○武藤委員長 それでは美濃部君、莊野君、大仲君、鈴木君こういう順序でお話を伺います。美濃部君以外の諸君は、恐縮ですがもうしばらく別室でお待ちを願います。 それでは美濃部君に伺います。あなたは持株会社整理委員会の委員になつておりますか。
○美濃部證人 はい。昭和二十一年八月からでしたか、持株整理委員会の委員になつております。
○武藤委員長 現在でもそうでありますか。
○美濃部證人 現在もそうであります。
○武藤委員長 常務委員でありますか。
○美濃部證人 平委員です。
○武藤委員長 そうしますと、伺いたいのは、委員会の議決機関執行機関はどういうことになつておるか。また議決の方法、執行の方法はどういうことであるか、などを中心として持株会社整理委員会の機構を述べていただきたい。
○美濃部證人 持株整理委員会の議決につきましては、常務委員だけで決定できることと、それから委員総会、つまり常務委員と平委員とを加えました全体の委員会で決定しなければならないこと及び一應は常務委員で裁量いたしまして、それを委員会に承認を求めなければならない事項等がございます。それは法令によつてそれぞれ定められておりますが、私今はつきり具体的にどの事項とどの事項とが委員総会の決議事項であり、どの事項が承認事項であるというふうに、はつきりとはあるいは申せないと思いますが、大体重要な事柄、たとえば財閥の指定であるとか、持株会社の指定であるとか、あるいは集中排除法関係においては、集排法によつて指定されるか指定されないか、あるいは最終指令案を出す場合とか、一ぺん出しました最終指令案を取消す場合とか、そういう問題はすべて委員総会の決議事項になつております。 それから今問題になつております点に関係いたしますれば、整理委員会は指定されました持株会社の常務の執行及び監督をする権限を法律によつて與えられておりますが、この問題につきましては、常務の監督執行のために指示をいたします場合には、これは委員総会の承認をあとで必要としておりまして、ただそれ以外の常務監督の業務は、常務委員の独立した決定にまかされておるということに大体なつております。
○武藤委員長 そうしますと執行機関は常務委員である。端的に言えばそういうことになりますか。
○美濃部證人 執行機関と申しますか、ごく大まかな仕組は、重要な事項については委員総会がすべてこれを決定し、決定した範囲内において常務委員がこれ執行するということですからそういう意味でならば常務委員が執行機関である。そうして委員総会は決議機関であるというふうに言えると思います。
○武藤委員長 そういう意味における執行機関と、内閣総理大臣との関係はどういうことになつておるのですか。
○美濃部證人 その点はあまり明瞭ではございませんが整理委員会それ自体が決議いたしましたこと、それだけでもつて法律的な効力が発生するわけではございませんで、その法律的な効力は、内閣総理大臣の裁可と申しますか、それによつて発生するのだと思います。法律的効力は、持株整理委員会限りにおいては発生しないものであるというふうに解釈していいのではないかと思います。
○武藤委員長 それはいかなる問題についても…
○美濃部證人 いや、法律によつて整理委員会の決定限りできめられる幾つかの事項はあると思います。何と何がその事項かということになりますと、私はここで宙ではつきりとは申し上げられない。
○武藤委員長 重要な事項については内閣総理大臣の裁可というのですか、承認がいるわけですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 GHQとの関係はどういうことになつておりますか。
○美濃部證人 GHQとの関係はGHQのESSのアンチ・トラスト・デヴイジヨンが私たちの方の持株整理委員会を監督することになつておりまして、結局のところは、形式的にはGHQのそれぞれのほかの機関と、それから日本側の、ジヤパニーズ・ガバメント側のその他の機関との関係と、大体同じ関係に立つていると思います。しかし実際的にはその関係は非常に密接でございまして、GHQ側の監督指導が、ある場合にはリツトン・オーダーであり、ある場合においては口頭のオーダーであり、ある場合においては単なるサゼツシヨンという形で参りますけれども、ほかの面におけるよりはその監督指導が非常に嚴格であるということは申せると思います。
○武藤委員長 GHQとの関係について具体的の問題はまた後に触れることといたしまして、次の質問に移ります。 事前に議決をし、または承認をするのと、それから事後に、執行後に承認をするという事項が、何か限られているのですか。特に規定されているのですか。
○美濃部證人 それは法令によつて規定されているはずでございます。
○武藤委員長 そうするとおよそこの委員会で議決をし、また執行する問題は、事前に議決または承認をしておるか、事後に承認をするか、いずれかであつて、事前においても事後においても、承認を必要としないというような事項はないのでありますか。
○美濃部證人 いいえ、あります。たとえば整理委員会の内部の組織の変更であるとか、あるいは新しく雇い入れるとか、解職するとかいう問題は、すべて常任委員だけでやれる仕事で、私たちの方に事後報告を求めなければならないという義務はないと思います。それからさらに持株会社に対する常務の執行監督という問題につきましても、議決権の行使であるとか、あるいは勧告を與えるというような問題は、法律上は委員総会に事後承認を求めなければならないという義務はないものだと思います。
○武藤委員長 そうすると持株会社の役員の人選というようなものについて、相当積極的に干渉するというか、持株会社の意見を反映させるような場合、またこれをさせてそういう結果になつた場合などにつきましても、やはり特に事後承認を必要としないという御見解になりますか。
○美濃部證人 それは大体、持株整理委員会に関する法律命令によつてその限界はきめられているのだと思います。もちろんその法律の解釈によつて、あるいは議決をされなければならないと解釈する解釈のしかたもあり、あるいは常任委員限りでできるというように解釈する解釈のしかたもあり、その点においては差異が出てくると思いますが、その根拠は法令によつてきめられているというふうに考えていいのだと思います。
○武藤委員長 そうしますと、役員の任免について具体的に伺いますれば、会社側で人選をしまして、その持つてきたものに常務委員がよろしかろうという程度であるのか。あるいはまたさらに人事に積極的に容喙をして、好ましからざる人物は避げる、また反対に、株主の大多数の意思や、労組の意思で推薦して來た者であつても、あなたの方では反対をするというようなことがあるんですか。
○美濃部證人 役員というのは、つまり持株整理会社内部の役員でなくて、他の会社の役員の意味でございますか。
○武藤委員長 そうです。
○美濃部證人 その点につきましては、役員をアポイントする、単なる勧告をするというふうなこと、あるいはこういう人を役員に就任させたいのだけれども、持株整理委員会の意見はどうであるかというふうなこと、あるいは役員の就任期限が來た場合に、その就任を継続した方がいいか、やめてもらつた方がいいかというふうな問題は、常任委員の常務の執行という意味で、常任委員に委任されております。
○武藤委員長 そうしますと、その委任事項を実際に行つたということであつて、特にその後において事後の承認を求めることは必要としないのですか。
○美濃部證人 それは委員総会における法律上の承認事項にはなりませんで、ただ毎週開かれます懇談会における懇談の形式で報告するようになつておると思います。
○武藤委員長 毎週開かれる懇談会というのは、どちらかといえばプライヴエートなものなのでしよう。法律しなければならぬという機関ではないのでしよう。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 從つて、嚴格に言えば、報告承認を必要としないことになるわけじやないですか。
○美濃部證人 そういうことになるわけです。それはつまり常務の執行監督ということで、常務の執行についてどういうふうにするかという包括的な指示をする、その指示の点については委員総会の決議承認を経たわけであつて、その範囲内においてやつたことは常任委員限りでできるということであります。
○武藤委員長 そこで、一体指示権、勧告権という、のはどういうものですか。もう少しその本質を展開してみてもらいたい。
○美濃部證人 指示権と申しますのは、私が覚えています限りにおいては、常務の執行勧告に関して、いわば整理委員会が他の会社に対してなします命令的な形をもつたものであつて、それが他会社に対して決定的な意味をもつというふうなものを指示というのであつて、その他の常務の執行監督において、もう少し軽い意味の、こういうふうにしたらばいいだろう、あるいは企業の民主化の上からこういうふうにやることが望ましいというふうな問題については、これを指示でなくやつて行く。そうして勧告の権利があるかどうかという問題は、勧告権というものは法令の上には明瞭にうたわれておらないので、持株会社の常務の執行監督という中に勧告の権利が含まれておるかどうかという解釈によつて、きまるわけだと思います。そうして常務の監督指導は企業の民主化というラインに沿うてやることになつておりますから、その中には勧告という権限も含まれているのだというのがわれわれのこの條文の解釈であつたように思います。
○武藤委員長 そうすると、常務委員が指示権を行使した場合には、その行使を受けた対象である、たとえば持株会社は、その事項についてはまつたく不可抗力的にこれに從わざるを得ないことになるわけですか。
○美濃部證人 と思います。
○武藤委員長 もし應じなかつたらどういうことになりますか。
○美濃部證人 應じなかつたらば罰則があるかどうかは私ははつきり記憶いたしませんが、法律違反になると思います。
○武藤委員長 違反になつても、強制力があつて、しかもなおあなたの方の指示した意思を実現してしまうのか。それとも、應じなかつたらだめなのであつて、強制力というものはない。強制できないものか。また罰則はないものか。
○美濃部證人 その点私ははつきりいたしませんが、罰則はおそらくないでしよう。
○武藤委員長 結局應じなければ應じなくてもしかたがないというわけですか。
○美濃部證人 しかたがないということになると思います。法律的には。
○武藤委員長 今までに、どういうような事項についていわゆる指示権を行使して指示をしたか、またそれが全部指示せられた通りに実現をしたか。また実現しないのもあつたか。そういうことについて、具体的な例を御記憶のある限り示してもらいたいと思います。
○美濃部證人 指示をいたしました具体的な例といたしましては、私が記憶しております限りにおいては、持株会社に対しまして、役員をかえる際には、あらかじめ整理委員会に届け出なければならないということとか、あるいは財産の処分はほかの法律で規定されておりますから、あるいは株の移動、それから貸借対照表の作製にあたつては、あらかじめその内容を整理委員会に相談しなければならない。そういうことを指示いたしたいと思います。そうしてそういう指示に対して違反をしたか、あるいは聞かなかつたかというふうな事例は、私が聞いておる限りにおいてはありませんでした。
○武藤委員長 私がなお伺いたいことは、もつと具体的に、いつごろどの会社の社長についてこういう指示をして、こういう結果になつたというような、もつと具体的な例です。
○美濃部證人 社長及び役員に関するものは、すべて指示事項ではございませんでした。そういうことに関しては、指示事項としてなされたことは一遍もございません。
○武藤委員長 そうすると、指示事項として具体的にあつた例をもう少し個々の例についてお話を伺いたい。
○美濃部證人 指示事項は、私が記憶しております範囲では非常に少かつたと思います。私の記憶違いかもしれませんけれども、今申し上げましたような、單に役員がかわる場合においては、あらかじめ相談しなければならないとか、貸借対照表の作製については、やはり相談しなければならないとか、それから業務の執行に関する何と申しますか、前に整理委員会に相談しなければならないという二、三の事項について指示を與えただけであつて、指示事項として出した事項は、私の記憶では非常に少かつたように思います。そうして今申しましたように、役員をかえる場合においては、あらかじめ整理委員会に相談しなければならないというふうになつておりまして、それに対していいとか、悪いとかいう返事は、指示事項の中に入らないで、その指示の包括、つまり指示事項は相談しなければならないというだけであつて、それに対する返答は指示事項ではなく、常務委員の決定に從つてなされていたということだと思います。
○武藤委員長 そうすると指示権を行使したというのは、特に個々の特定の会社に対してどうということはないのであつて、共通的な問題として役員は届け出るとか、あるいは貸借対照表を出せとかいうそういう指示を包括的に、強制的にやつたというだけですね。
○美濃部證人 そういう私は記憶でございます。
○武藤委員長 勧告をしたという例は、具体的に伺うとどういうことがございましたか。
○美濃部證人 勧告をした例は非常にたくさんあるのだそうでありますが、私はほとんどまつたく聞いておりません。そうして懇談会の席上でもその問題については、あまり話されたことがないようです。おもなものといたしましては、私が記憶しておりますのは、大正海上火災保険株式会社の社長をやめさせるということについて、GHQ側からのオーダーに從つてやつたという話を、これはいつの出来事であつたか、はつきり覚えておりませんが、記憶しております。それから今問題になつております日野原社長の問題、それからごく最近には日野原社長を社長のいすからやめさせないようにというふうな勧告もいたしております。私が記憶しております個々の会社に対する勧告というのはこのくらいではありますが、最近に至つて聞きますと、非常にたくさん、特に向うからこういう人を役員につけたいのだがという相談を受けた場合においては、非常にたくさんの勧告を與えているということであります。
○武藤委員長 向うというのは持株会社から……。
○美濃部證人 そうです。一般の指示事項に従つて役員の変動はあらかじめ相談しなければならぬ。
○武藤委員長 相談をしに来た場合に、それに対して非常に多くの勧告を與えた例があるということは……。
○美濃部證人 具体的には私は存じませんが、最近にたくさんあるという話は聞きました。
○武藤委員長 あなたが従来お聞きになつておつた分は日野原氏の分と、大正海上火災保険株式会社の社長ですか。
○美濃部證人 もう二、三聞いておつたかと思います。たとえば王子製紙の子会社の日本フエルトですかの問題について何かあつたというふうなことを、正式でなくて、何かの機会にちよつと聞いたことがあつたかと思いますけれども、非常にわずかな例でございます。大きい例はその二つだと思います。
○武藤委員長 この場合に会社がこれに服しなかつたときはどうなりますか。
○美濃部證人 どうもならないと思います。服さないときには、強制力は何もないのではないかと思います。
○武藤委員長 指示よりももつと程度が低いのだから、從つてどうにもしようがないというわけですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 今の話の中に、GHQのオーダーによつてというのがございますけれども、それは書かれたオーダーですか、口頭によるオーダーですか。
○美濃部證人 たとえば最後に申しました――これは最近の問題ですが、日野原氏をこういう事件が起つてから、社長に長く置いておくことはよくない、早くかえてもらいたいという要求を出しましたのに対してまだ裁判が決定しない前にそういうことをすべきではないという勧告を與えました際には、これは確かにリツトン・オーダーであつたわけですが、その他の大部分というかすべての場合はリツトン・オーダーでなく口頭のオーダーか、あるいはサゼツシヨンでありまして、それはGHQといつでも連絡しておりました野田委員あるいは野田委員のまわりの人たちだけが知つておることで、どういうオーダーが下されたかは私たちはまつたく存じません。
○武藤委員長 それでは書面によるオーダーを出すか、口頭によるオーダーを出すか、あるいは単なるサゼツシヨンにするかということは、すべてもつぱらGHQの方の都合によつてなされることでありますか。
○美濃部證人 都合によつてなされると申してもいいかもしれませんが、しかし私はできるだけそういうオーダーが下される場合においてはリットン・オーダーにするように、口頭では困るというふうにしたらばいいのではないかということを二、三度要請したことがございます。それでありますからしてGHQ側の都合だけか、あるいはそれに対するこちらの態度との両者のにらみ合せでそうなるのか、そこのところははつきりは言えないのじやないかと思います。
○武藤委員長 これはリツトン・オーダーにしてもらいたいとか、これはサゼツシヨンにしてもらいたいということをこつちから注文するわけでもないのですか。
○美濃部證人 それはおそらく注文はしないだろうと思います。私はそういう注文をできるだけ頑強にしたらいいだろうということを言つた覚えがありますが、そういう点から見まして、こちらからはあまり注文をしていないというのが今までの実情だと思うのです。
○武藤委員長 オーダーの形式はただいま伺いましたが、オーダーを出してもらうとか、あるいはサゼツシヨンをしてもらいたいとか、こういうオーダーを出してもらいたいとかということについての折衝もすることがあるのですか。そしてそういう場合にはGHQの方で聞いてくれることがあるのですか。
○美濃部證人 そういうことは私たちは全然関知いたしません。それは常務の執行の意味で常任委員に一任されておりまして、私たちはどうなつているのかほとんど知りません。
○武藤委員長 常任委員がやることであり折衝はもつぱら野田岩次郎氏がやつておつたということになるわけですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 しかしオーダーが出て、ある一つの問題をそれに從つて処理する、また処理したというようなことは相当重要なことであつて、毎週開かれる懇談会その他では、非公式に報告されておるのではないのですか。あるいはまた話題に上つておるのではないのですか。
○美濃部證人 リツトン・オーダーが来た場合にはもちろん懇談会ないしは委員総会で報告されております。それからたとえば今の日野原氏の問題とか、先ほど述べた大正海上の問題とか、そういう重要な問題になりますれば話題に上つたことはありますが、私の感じでは、むしろGHQに対してはあまりこちらがこうしてもらいたい、あるいはこういうふうにやつてくださいという希望は述べな過ぎるくらい述べないで、もう少し述べたらいいではないか、GHQに対してもう少し毅然たる態度をとつたらいいのではないかということを、折に触れて脇村君あるいは私たちから委員総会あるいは懇談会で述べた記憶がございます。特に企業集中排除法及びそれの実行の問題についてそういう意見を私たちは強く述べたことがあります。
○武藤委員長 そうしますと、整理委員会としては、オーダーの場合には、それが文書によるものであると、口頭によるものであるとを問わず、その趣旨に從つてこれを実行に移さなければならないと、そういうことですか。
○美濃部證人 実行に移さなければならないというよりも、実行に移していたということですね。それですからリツトン・オーダーでなければ必ずしもそれをそのまま実行に移さなければならないということもないのですが、その点においてはリツトン・オーダーにしろ、サゼツシヨンにしろ、口頭のオーダーにしろ、ほとんどそのまま実行に移して来たというのが事実だと思います。
○武藤委員長 それじやオーダーもサゼツシヨンも大してかわりはないことになりますね。
○美濃部證人 実際上はかわりはなかつたというのが事実ですね。
○武藤委員長 昭和電工の前社長森氏が法律上許された期限前に退任せしめられたのはどういういきさつでありましたか。
○美濃部證人 その問題につきましては、私は初めてそれが懇談会の話に上りました去年の三月二十七日の懇談会には旅行に行つておりましたか何かの都合で出席しておりません。それでその懇談会が済んでから次の懇談会が四月十日にございますので、その間に脇村君からその話をどこで聞きましたか、聞いたと思います。それは非常に簡単な話であつて、復金かあるいは興銀がGHQからの命令を受けて、森氏のかわりに昭電の社長を推薦するために三人のリストをつくつた。そうしてそれは日本水素の日野原氏と保土ケ谷曹達の磯村氏と信越化学の今井文平氏であつた。そのうちから整理委員会が日野原氏を推薦してこれを勧告した。しかしながらどうもそういう勧告をする以上はもつと愼重な態度をとつて日野原氏がどういう人であるかということをもつと愼重に調べなければならないと思うけれども、君の意見はどうだろうかというふうに聞かれたのがこの話を聞いた最初だつたと思います。それで私はそういう実業方面に対してはまつたく知識がないから、日野原氏がどういう人か、あるいは磯村氏がどういう人かは全然知らない。ただ今井氏は私の叔父に当りますし、よく知つているが、今井氏はすでに大倉の副社長をしておりましたためにパージになつているはずだ。パージになつている人を推薦するというのは、その限りでは非常にずさんな推薦の仕方なのではないか。それから類推すると、日野原氏、磯村氏というものの推薦も、果してどのぐらいの考慮が拂われているか疑わしいという話をしまして、脇村君は、それでは自分はいろいろ厚手があるから、日野原という人間がどういう人間かよく調べてみよう、そうして次の懇談会で、ぼくから今井氏はすでにパージになつている人であるにもかかわらず、推薦されているのは非常にずさんではないかということを追究した方がいいのではないかということで、四月十日の懇談会に参りまして、今申しましたように、どうしてもこの推薦のやり方は愼重を欠いているのではないか、ずさんなのではないかという話をしたと思います。そうしてそのときは非常に早急にGHQ側から日野原氏の選任を命ぜられた。特に三月二十八日の総会にどうしても通さなければならないということを命ぜられたので、十分に愼重な考慮をするひまがなかつた。それで興銀か、あるいは復金の推薦を大体そのままうのみにするよりほか仕方がなかつた。ことにGHQ側からのサゼツシヨンが、化学工業、ことに肥料工業に精通しており、しかも年が若いフレツシユマンであるという條件をつけられていたから、このくらいのリストしかほかに考えつかなかつたのだ。しかしいずれにしろGHQ側からのオーダーと申しますか、おそらく命令でことが済んだわけであるから、今後整理委員会のきずにならないように十分に監督して行くことが必要であるということを申し述べまして終つたわけでございます。それでありますから、その当時としては私が日野原氏の選任につきまして知つたことはそれだけであり、從つて私がそのとき思いましたことは、GHQ側の命令によつて、復金ないしは興銀がGHQから出されました條件に從つた三人の人を選んで、そうして日野原氏以外の磯村氏及び今井氏は就任の可能性がないということで、そのうちから日野原氏を選んで、昭電に日野原氏を就任させるように勧告をしたんだというふうにその当時は考えておつたのであります。
○武藤委員長 ただいまあなたのお話を伺つてみますと、リストに載つている三人の者はいずれもそう上等な出來ではないというわけなのでありますから、たとえそれがサゼツシヨンであろうとオーダーであろうと、もう少し毅然たる態度をとつて、あなたなり脇村君なりが何とか方法を講ずる余地はなかつたのですか。
○美濃部證人 この問題についてはそういういきさつがありましたから、それから後も三四たび私も脇村君も懇談会及び委員総会で問題にしたことがあるのです。その後脇村君は日野原氏はどういう人物であるかということを調べてくれまして、その結果はあまり香ばしい人物ではない。いろいろな点でどうも信用できない人間であるらしいという結論に到達いたしましたので、その点につきましても常任委員に意見を述べたこともございます。そうして、日野原氏が一旦社長になつた以上、いまさらこれをまたかえることもかえつて混乱を増すし、それでは日野原氏のかわりにどういう人物があるかということも、私たちほかに重要な仕事をもつていて全面的に整理委員会の仕事に時間を割くことのできない者にとつては、探し出してそれをかわらせるということはとうていできない相談でありますから、日野原氏のまわりにイギリスなりアメリカ流にしつかりした重役陣をつくり上げるということで日野原氏を牽制するようにしたらいいのではないかという意見を述べたことがございますし、そのときには常任委員はまことにごもつともであるからそうしようという話もしたわけであります。それからよほど後になつて、去年の暮か今年の初めごろになつてから、日野原氏が相当間違つたやり方をしているといううわさがたびたび耳にはいりますので、もう一度注意をして、われわれの方でとにかく監督を受けた社長が世間の評判が非常に悪いし、またその評判の悪いことも事実であるらしいから、われわれとしてはもつと十分な監督をしなければならないのではないかという話をいたしまして、それは本人に対してよく注意、監督をしようという話であつたと思うのです。しかし事実上そういうふうにしてアポイントされてしまつた後におきましては、われわれとしてはそれをもう一度もつといい人にかえるということは、平委員としての力の及ばないことであつたと思います。
○武藤委員長 ただいまのお話は脇村君からも伺つたのですけれども、私が伺いたいことは、なおアポイントされない前にあなた方がこれを阻止し、あるいはもつといい者に何とかできないか。そういう方法はとれなかつたのですか、またとらなかつたのですかということです。
○美濃部證人 それはもう少し十分余裕をおいてわれわれが知つておりましたならば、あるいは何かのことができたかもしれませんけれども、私が知りましたのは、何分にもすでに事が結着したあとでありましたし、脇村君が知りましたのも、おそらく総会の前の日であつたということからいたしまして、何ともいたし方がなかつた。あの場合ああいう事情といたしましては、何ともいたし方がなかつたというように言えるのじやないかと思います。
○武藤委員長 この三人の候補者のリストをつくつたのはだれですか。
○美濃部證人 その当時は復金か、あるいは興銀でつくつたという漠然たる話しか聞いておりませんが、その後聞いたところによりますと、興銀の末廣氏・二宮氏・あるいは栗栖氏というような人たちが寄つてつくつたというような話を聞いております。
○武藤委員長 だれからお聞きになりましたか。
○美濃部證人 それは委員長並びに整理委員会の植村部長等から最近になつて聞いたわけです。
○武藤委員長 あなたが一番最初にこの名簿をごらんになつたのはいつ、どこでですか。
○美濃部證人 いつと申しますと、脇村君から三月の二十七日から四月十日の間の一日であつて、どこというのは記憶がないのですが、大学の研究室か、あるいは日産の脇村君の部屋か、どつちかだつたと思います。
○武藤委員長 とにかく脇村さんから聞かされたわけですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 リストというものは実際書いたものがあつたのですか。話だけですか。
○美濃部證人 話だけです。
○武藤委員長 三月二十七日から四月十日までの間の一日と言われますが、大体三月二十八日に総会があつたのですから、総会前ですか、後ですか。
○美濃部證人 もちろんあとです。
○武藤委員長 それでは当時はどういう事情で、だれがこの三人を選び出したかということについては、あなたは御存じはなかつたわけですか。
○美濃部證人 知らなかつたわけです。
○武藤委員長 大体平委員はそういうことは知らないのですか。
○美濃部證人 知らないのです。平委員というのは、一週間に一回懇談するということにはなつておりますけれども、法律上の建前は一月、三月、五月、というように、一月おきの第一木曜日に委員総会に出席して、その場で出された問題について意見を述べればいいというのが、平委員の任務でありまして、私が就任いたしました場合にも、とうていたくさんの時間は割けないから、こういう重い責任の仕事はできないというふうに申しましたときに、GHQの人も、出された問題について学者としての立場から意見を述べてもらいたいのだということで就任したわけでありまして、その後懇談会が、週に大体一回ずつ開かれるごとになつて、できるだけ出席することにしておりますが、そういうこまかいことについては多くの話を受けない面が非常にたくさんあるわけであります。
○武藤委員長 森氏がやめさせられて日野原氏が押しつけられるというような実情について昭和電工側に相当な難色があり、あるいは相当な抵抗、摩擦があつたということは当時お聞きになつておりませんか。
○美濃部證人 当時は聞きません。当時は私の記憶では割合に簡單に委員長から話されただけだつたと記憶しております。
○武藤委員長 そう簡単ではなかつたというのが実情らしいですけれども、そういうことについては、その後はお聞きになりませんか。
○美濃部證人 その後は最近になつてからいろいろ話を聞きました。
○武藤委員長 今度は問題をかえまして、持株会社第五次指定につきまして、最初候補に上つた会社の数、それからその後十七社になり、十六社になつたのではないかと思うのですが、最後には結局十六社がきまつたようですけれども、その間の事情はどういう方法で選ばれたのですか。
○美濃部證人 それは去年九月ごろの委員総会の議題に上つたと思います。そしてその前日か前々日かに資料をたしかいただいておつたかと思いますが、その地方財閥第五次指定というのは、地方財閥の指定の問題であつたわけですが、その決定の委員会の状態を簡單にお話いたしますと、地方財閥を決定するという非常に重大な問題を議決するには、私たち学者の見地からいたしますと、資料が十分ではないというふうに認定せざるを得なかつた。それで地方財閥指定の問題が出まして、私と脇村君とは、地方財閥の指定というような非常に重大な問題を決定するのに、判断をする十分な資料がない。それであるから、きようは決定を延ばしてもらいたいというふうに申したのです。しかし整理委員会の総会には常にオブザーバーがGHQ側から來ておりまして、重要な事項はオブザーバーの意見によつて決定されるわけでありまして、この問題をやはり延ばしてもらいたいという意見をオブザーバーに申しましたところ、どうしてもきよう中に決定しなければいけないのだということだつたのです。それで、それでは普通の委員総会は十時から始めて晝までには終るのが普通だつたのですが、そのときにはとうてい十時から十二時まででは終らない、そして整理委員会の持つているいろいろ資料をできるだけ集めて、オブザーバーがそう言われるなら、仕方がないから、十分時間をかけて、できるだけ愼重にやろうじやないかというので、午後にかけまして、相当愼重にやることはやつたわけなんであります。しかし地方財閥を決定するには、なお資料は十分でなかつたといううらみはあるが、しかし午後にわたつてまで審議しました結果、たしか脇村君の提案だつたと思いますが、二世だけ地方財閥を初めの原案から落した方がより公平ではないだろうかという提案が出まして、はつきりその理由その他は今覚えておりませんが、私も脇村君の説に賛成いたしまして、整理委員会の承認を得てその席上で二社だけを落したという結果になつたんだと覚えております。
○武藤委員長 その結果十六社になつたわけですか。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 最初候補にのぼつた会社というのは幾つですか。
○美濃部證人 十七でしたか……。
○武藤委員長 もつと多くないですか。二十九から三十社くらいあつたんじやないですか。
○美濃部證人 いやあの席上ではそんなには多くなかつたと記憶しております。
○武藤委員長 それはそうらしいですが、その前の経過的な話は御存じないのですか。
○美濃部證人 知りません。
○武藤委員長 この第五次指定の会社の選定について、あなたが言葉はどういう言葉を使つたか知りませんが、実にこれはひどいもんだよ、國民に知せたら驚くというような趣旨のことを言われたということを言つておる人があるのですが、今の話を伺いますと、それほどずさんでもない、大いに愼重に時間をかけてやつたんじやないですか。
○美濃部證人 それはこういう意味です。それは恒吉君だと思いますが、前後のいきさつを少し詳しく申し上げますと、ちようどその問題が起つて参りましたときが、企業集中排除法ができまして、企業集中排除法の問題を整理委員会が取扱わなければならないときだつたわけです。それで私たちは企業集中排除法に基く決定は非常にたいへんな仕事であつて、こういう方面において十分な知識経験を持つている人でなければとうていできないことであるし、また將來の日本経済の再建にとつても非常に重大な影響のある問題だから愼重にしなければならぬ。ことにそのときの常任委員の人たちは銀行畑の人が多くて産業方面のことについて経験がある人が少い。ことに理論的な面において精通している人は非常に少い。幸い脇村君というその面における最も理論的に、また事情にも精通しておる人があるんだから、脇村君を常務委員に入れて、脇村君を委員長にする小委員会でもつくつて十分に愼重にやるべきであるということを私強く主張いたしました。その主張は当時の安本長官である和田氏、また片山氏なども全面的にサポートしてくださいまして、何とかしてそういうことで企業集中排除法をやつて行きたいということになつていたのです。しかし常務委員の人たちは、私の推測かわかりませんけれども必ずしもそういう方向に持つて行くことに賛成ではないらしくて、なかなかその計画が実現しにくいというような状態にあつたわけであります。そのときに恒吉君が私のオフィスに参りまして、自分たちも従業員組合として整理委員会の委員たちの民主化運動をやりたい。特に企業集中排除法の実施にあたつては十分國民に納得の行くような組織でやつて行きたいので、私及び脇村君などを中心にしてやつて行きたいと思うのが従業員組合の意図である。そういう運動を起したいと思うのだが支持してくれないかという話だつたのです。それで私は統計委員会の事務局長をやつておりまして、非常に忙しくてとうていそつちの方に多くの時間をさくことができない。しかし幸い脇村君は大学の講義の時間も少いし、外務省の方でも一定の仕事というものはないらしい。本人もある程度まではそつちの方に首を突つ込んでいいという意向であるらしいから、脇村君を中心にしてやるということで、私は全面的に君たちの運動を支持したいというふうな話をしたわけなのです、そうしておそらくそういう話をしていたと思うのですが、先ほども申しましたように、地方財閥の指定という問題にあたつては十分な資料で國民が納得のいくような決定をしたかつたが、あの場合どうも國民の納得の行くだけの十分な資料でもつて決定したとは言いがたいので、その点國民に対しては済まないような氣がするというような話を、表現はどうだつたか、あるいはもう少し強い言葉であつたかも知れませんが、そういう意味で、つまり國民に責任を負うだけの十分な資料が提出してもらえなかつた。そうしてむりに決定をさせられたので、自分としては非常に心苦しいという意味で言つたわけだと思います。
○武藤委員長 特にこの問題の、第五次指定の十六社のきまつた実情について、それが驚くべきものだということを言つた趣旨ではないのですか。
○美濃部證人 ないです。その決定について十分な資料がないから國民に恥かしいというか、その点で國民に対して十分な責任を持つた決定ができなかつたという趣旨であります。
○武藤委員長 話を聞いた方の側の受けた印象はもつと強いらしいですね。
○美濃部證人 あるいはもつと強い言葉で、國民に対して恥かしいような決定をしてしまつたと、もう少しそれについても常務委員に十分反省してもらわなければ困るのだというふうに言つたと思います。
○武藤委員長 それから先ほどオブザーバーが来ておるというように伺つたのですが、いつでも来ているのですか。
○美濃部證人 総会は必ず参ります。
○武藤委員長 これはきまつた人ですか、しよつちゆうかわるですか。
○美濃部證人 いやきまつた人です。
○武藤委員長 たれですか。
○美濃部證人 前はヘンダーソンが来ておりまして、今は名前を忘れましたが、ヘンダーソンが帰りましてからは同一人です。
○武藤委員長 最初ヘンダーソンがおつて、ヘンダーソンの帰つたあとは、名前を忘れたけれども同一人が引続いて來ておつた、その後の変更はない、こういう趣旨ですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 そこで大体重要な話は伺つたのですが、森氏がやめて日野原氏が社長に就任したといろ、とは、結局あなたのお話を伺うと、委員会の常務委員のした勧告権に基いてなされたのであつて、特に事後においてこれを報告する必要もないし、報告もなかつた、そういうことになるのですか。
○美濃部證人 あとで聞きますと、三月二十七日の懇談会では一應の報告があつたと聞いております。それから四月十日では、報告という形から私たちの方からその問題を出したのか、そこのところははつきり覚えておりませんが、一應簡単な先ほど申しました程度の説明を伺つております。その程度でございます。
○武藤委員長 しかしそれは承認を求めた趣旨ではない……。
○美濃部證人 そうではありません。
○武藤委員長 しなくてよかつたものをしたにすぎない、そういう御解釈ですね。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 常務委員の勧告権に基いてした、そういうふうに伺つてよろしいのですか。
○美濃部證人 私はそのときは常務委員全体の勧告か、あるいは委員個人の勧告かはつきりいたしませんでした。しかし脇村委員がいろいろとどちらなのかということを追及いたしまして、結局常務委員全体の責任でやられたのだというふうに結論はついたと思います。
○武藤委員長 しかしいやしくも指示とか勧告とかいうことになれば、常務委員個人の勧告というようなことは機関の上においてはあり得ないのではないですか。常務委員の会議制で意思を決定して、その意思を博達するのはだれがするかわかりませんが、とにかく常務委員個人の勧告というものはないでしよう。もし勧告があるとすれば、すべて常務委員全体の……。
○美濃部證人 それはそうですけれども、しかし持株整理委員会委員長としての笹山でなくて、笹山個人としての勧告であるということもあり得るわけなので、GHQとの間の非常にいろいろないきさつをそう聞かなかつた間は、そういう軽い意味での勧告ではないかと考えたこともありましたけれども、しかし今申しましたように、脇村君らがいろいろと聞いて、結局それは常務委員としての責任をもつてやつたのだということになつたわけです。ですから、そういうことを考えたというだけの話でした。
○武藤委員長 少し余談になりますけれども、あなたは信越化学に関係があるのですか。
○美濃部證人 今はございません。かつてございました。
○武藤委員長 どういう御関係でしたか。
○美濃部證人 信越化学は私の家内の父のやつている会社でありまして、戰争中私はあそこの嘱託という形で、朝鮮に工場を建設する建設部長のような役目をしておつたわけであります。
○武藤委員長 取締役とか総務部長とかいうのではないのですか。
○美濃部證人 ございません。取締役には終戦前半年くらいちよつとそんなことがあつたかと思いますけれども、その後はそういう関係はありません。
○武藤委員長 何か信越化学の融資について、あなたがあつせんないし折衝をせられたことはないのですか。
○美濃部證人 全然ありません。
○武藤委員長 もう一つ、余談ですが、日野原氏その他の昭電関係者と会食せられたようなことはありませんか。
○美濃部證人 全然ありません。私だれも知つておりません。
○武藤委員長 福島縣の飯坂温泉か、東山温泉へ行つて清遊をされたことはないのですか。
○美濃部證人 ありません。その話はこの間新聞で初めて拜見いたしました。
○武藤委員長 笹山氏が裸踊りをしたということは言つていませんか。
○美濃部證人 聞きませんでした。
○武藤委員長 大体あなたのような平委員というのは、持株整理委員会の仕事はそう重要な役割はないということになるのですか。
○美濃部證人 決議だけに重要な役割がありまして、その点はもつと入り込まなければならないですが、私たちが非常に忙しい仕事をもつているということも原因しておりましようけれども、日常の業務にはタツチしておりません。
○武藤委員長 しかし決議と執行とは一つの組織体とすれば不可分なものであると思うのです。決議だけは参加しても、執行が勝手にやられるということになると意味がないではありませんか。
○美濃部證人 決議の範囲内において執行するということで、根本問題になつて、ああいう組織がよいか惡いかという問題になつてまいりますが、私自身としては、非常に疑問があるではないかというふうにも考えます。
○武藤委員長 これは持株整理委員会という名前はあつても、大体笹山氏とか野田氏とかいうごく少数の人がほとんど独裁的にやつておつたというようなものではないですか。
○美濃部證人 もつと具体的に言えば、大体GHQの指令通りに動いていたのです。そうしてGHQと笹山氏なり、野田氏なりの間の話合で動いていたという傾向は多分にあると思います。
○武藤委員長 GHQの指令通りに動くというのは、具体的の問題についてGHQが指令を用意して來てこれを提示し、それがオーダーになるかサゼツシヨンになるかわかりませんが、笹山、野田両氏のごときはただこれに從つて動いたあやつり人形にすぎないというようなことになるのですか。
○美濃部證人 そういう傾向が非常に強かつたのです。
○武藤委員長 しかし具体的には野田氏なり笹山氏がオーダーとかサゼツシヨンが出るようなお膳立をして、そうして向うから出してもらうというのとは違うのですか。
○美濃部證人 そこのところの眞相は私にははつきりわかりませんけれども、しかしアンチ・トラスト・デイヴイジヨンのミスター・ウエルシユというような人の性格から見まして、むしろそうではなくして、向うが考えたことをこちらが、少し惡い言葉で言えば無批判的に受入れてやつて來たというのではないかと思います。その点についてはもう少し毅然たる態度をとらなければいけないということを企業集中排除法についてはずいぶん強く主張して来たわけであります。
○武藤委員長 総会に出席せらるるオブザーバーの態度もやはりそういう形ですか。
○美濃部證人 そうです。
○武藤委員長 あなたは強いて笹山氏なり野田氏なりを弁護する必要のない立場にあると思うのですが、やはりGHQとの関係はそれほどでもないではありませんか。
○美濃部證人 それはほんとうでしよう。私が不満に思いますのは、むしろその点ではなくして、日本の実情をあまりよく調べない結果として、出されるラインそのままう呑みにするということは、日本のために非常によくない。ある場合においてはやめるというくらいな覚悟をもつてGHQの指令に対して反対すべきだということをたびたび言つて来たわけなんです。
○武藤委員長 何か……。
○足立委員 まず第一にお伺いしたいことは、森氏をやめさせたことはやはり向うのオーダーだというふうにあなたはお考えですか。
○美濃部證人 森氏をやめさせるという問題については私はほとんど知らかいのです。
○足立委員 オーダーであつたかどうか知らないのですね。
○美濃部證人 知りません。
○足立委員 しからば実は三人の候補者がありましたが、その中から一人を選べというのはやはり向うのオーダーですか。
○美濃部證人 それはそのときですか、今のことで言うのですか。――そのときはオーダーであるかどうかはつきりしておりませんでした。
○足立委員 それならその中の一人の日野原氏を昭和電工の社長にしろというのはオーダーだつた。そういうふうに思つておられましたか。
○美濃部證人 それは私には例とも解釈のしようがないと言わざるを得ないのです。
○足立委員 結論としてオーダーだかどうか知らないというわけですか。
○美濃部證人 知らないのです。
○足立委員 それから次の問題は、常務執行のことですが、それは委任してあつて報告しなくてもいいというお話でありましたが、定款を調べてみますと、明らかにこれは報告事項になつております。その点定款上はどうですか。
○美濃部證人 どういうふうになつておりますか。
○足立委員 定款は「第十五條左に掲ぐる事項は委員総会の承認を受くることを要す。第十九條ないと第二十三條の規定によつてなしたる事項」。 第十九條の三、「持株会耐の解散に至るまでの常務執行、及び生産の遂行を指導監督すること。」 第二十一條「本委員会は持株会社に対し、その解散に至るまでの常務の執行または生産の送行に関し、監督上必要なる指示をなすごと。」これが事後承認を得なければならぬ事項として定款にはつきり書いてあります。
○美濃部證人 そうです。ですからその解釈は大体こうなつておると思います。その十九條ですか、常務の執行監督について、つまり最後の指示の方は一々報告事項になるわけです。それから常務の執行監督については、先ほど申しましたように包括的なラインが示されておるわけです。たとえばさつき言つたように役員の変更とか、貸借対照表とか、そういうものはラインを示す上においては委員総会の承認を得ているわけです。それですからその範囲内でやつたことは報告しなくてもいいということになつておるのだと思います。
○足立委員 すると持株会社が社長の首のすげ替をやつたようなことは報告事項ではないのですか。
○美濃部證人 報告事項ではないということになつておるようです。
○足立委員 そういう決議はいつやられたのですか。
○美濃部證人 役員の首のすげ替をした場合は、私は非常に疑問に思いますが、報告事項かどうか、つまり報告しなければならない報告事項かどうかということはよほど疑問になつて参ります。しかし役員の変更についてはあらかじめ委員総会に相談と申しますか、承認を得なければならないという條項で、常務委員にまかしてあるわけです。まかした事項は別にその中にはないわけです。いつでしたか、おと年の秋ごろだつたと思います。
○足立委員 定款には常務委員会にまかす事項なんかは書いてありません。この前の脇村さんからもそういうお話がありましたが、それを調べましたところ、定款の中には常務委員会へ委任する事項ということは定款にはありませんし、あなたの方の委員会の議事録を調べてみましても、そういうことを決議した事項が出ておりませんから……。
○美濃部證人 事後承認ですね。指示事項に入つておりますか……。
○足立委員 指示事項は別として……。
○美濃部證人 それは書類を見せてもらいましたところ、確かにそういうふうに決議した書類があつたと思います。
○足立委員 私どもずつと議事録を見てみたのですが、ないのですよ。
○美濃部證人 僕もそれは疑問に思いましてね。聞いてみたらあるといつてそれを見せられましたがね。
○足立委員 これを見ても全然ないし、それで首のすげ替みたような重大なことが事後においてあなた方の委員会に報告しなくてもよいということは、常識上受取れない。從つて定款をつくる場合には、日野原氏の首のすげ替ということは念頭になかつたのだから、それは、一應各人が納得する線で定款をつくつたものと考える。そう考えると、やはり十五條の報告事項の中に当然入ると思う。そうして十九條の三には明らかに「持株会社の解散に至るまでの常務執行及び生産の遂行を指導監督するごと。」とある。これによると指導監督した事項はあとから委員総会に報告しなければならないと思う。まして日野原社長の首のすげ替えをした場合には必ず委員総会に報告しなければならない事項であると思うのですが、それをあなたの方は報告しなくてもよい事項だとおつしやるのですが、その点はどうしても受取れない。それでも報告しなくてもよいという事項ですか。
○美濃部證人 その点は必ずしも明白ではないのです。
○足立委員 どつちですか。あなたにわからないのですか。首のすげ替えということは、あとから委員総会に対して報告しなければならない事項であつたか、しなくてもいい事項であつたかを聞いておるのです。
○美濃部證人 それは昭和電工の社長の首のすげ替をしたか、あるいは單なる勧告をしたかということによつて決定されるのではないですか。つまり單に仮勧告といいますか、勧告をしたにすぎないならば、私はおそらく報告事項なしで包括委任した役員の変更について相談をした場合に日野原氏がいいと思つて……。
○足立委員 勧告して、その結果として首のすげ替が出たという場合には、報告しなくてもいいという御見解ですか。
○美濃部證人 法律的にはいいのではないですかね。
○足立委員 そうすると法律的根拠――包括的にぼくらは委任してないと認めるのですが、あなたのお考えであれば委任しておるのであるから、首のすげ替は勧告事項だ、從つてこれは報告しなくてもいい事項だという御解釈なんですか。
○美濃部證人 法律的にはそう解釈できませんかしら。
○足立委員 私はあなたに聞いておるのです。
○美濃部證人 できると思います。それはつまりお話した役員の変更についてあらかじめ承認を得なければならないということで委任しておいて、その範囲内においてやるのだという解釈が成立つと思います。
○足立委員 そうすると報告しなくてもいいというわけですか。
○美濃部證人 いいわけです。
○足立委員 そういうことであなた方は承知しておるのですか。
○美濃部證人 ……。
○足立委員 懇談会というものでは法律上の効力はないので、昭和電工の社長という大きな首のすげ替をやつておいて、あとは委員総会に報告しなくてもいい。法的にはこれでいいのだと言つてあなた方は了承したのですか。
○美濃部證人 それは了承するというか、法律的にはこれでいいんだということに一應なりましたけれども、さつきもお話したようにそればもつと非常に愼重にしなければならない。そうしてあとの問題ももつと監督しなければならないということは、たびたび申したのですけれども……。
○足立委員 この前の脇村さんのときにも問題になりましたけれども、あなたの御見解はそれでけつこうですが、しからば勧告するということを委任してあるとおつしやるのですが、その勧告の方法はどの程度において委任しておつたのですか。その勧告がただ向うからこれを言つて來て、こういう人を社長にしたいんだ。それはいかぬから、こういうふうにしたらいいんじやないかという建前なのか。それともまた勧告というのは、いや、そいつはいかぬ。どうしてもこいつをもつて來いという一つの大きな力、特にこの昭和電工の具体的な問題に対しては、もしおれの言うことを聞かなかつたならば占領違反にするとか、あるいは二十四時間以内に財閥に指定するとか、脅迫的な言辞を弄しての勧告であるか。それまであなた方は許したのかどうか。
○美濃部證人 そういうことがあつたら……。それまでは許しておりません。
○足立委員 かりにそういう事実が出て來たとすれば、皆さん方の勧告の範囲外ですね。
○美濃部證人 勧告の範囲外だと思います。
○足立委員 こういうことをもし常務委員の方でやつたという事実が出てきましたならば、このことはどうなりますか。
○美濃部證人 さあ、それが事実であるかどうか、私は確かには存じませんが、もしそれが事実であるとすれば、やはり越権ですね。
○足立委員 違法の行為ですか。
○美濃部證人 違法の行為でしような。
○足立委員 もう一つ伺いますが、どれを見ましても、三においても持株会社の解散に至るまでの業務の執行云々と出ておりますが、これは持株会社というものは解散するということが前提になつているのですか。
○美濃部證人 持株会社は解散することが前提です。全部解散することが前提です。
○足立委員 そうなると、第一次の指定の三井本社とか、三菱本社は解散することが前提でしようが、しかし昭和電工とか何とか大きなものがたくさんありましたね。日本の重要産業、それを解散するということは、解散でき得ないような……。
○美濃部證人 それはつまり生産工程を実際に片方において営んでおる持株会社ですね。それは持株会社としての活動を停止させる。つまり純粋の持株会社は解散させる。それから一方に生産を営んでいる会社は持株的な活動の方はやめさせてしまう。
○足立委員 そうすると、ここで持株的な活動をやめさせるということが、これが本旨なんですね。そうすると、現実の生産面に対して容認することは、持株の本旨ではないのではないですか、あなたの結論から行くと……。
○美濃部證人 それはつまり一人の人間を二つに割れませんからね。
○足立委員 割れないといつても、昭和電工なら昭和電工の子会社が五つ、六つありますね。その子会社に対するインフルエンスはとめてしまう。しかしながら硫安を製造するという本來の工程、それに対する一つの運行については、これは持株会社の権限の外じやないですか。
○美濃部證人 それはおそらくつまり企業の民主化ですね。企業の民主化というのがどこかにあるわけです。つまり各企業の外にあるわけではなく、持株会社本來の活動の中にある……。企業の民主化というふうに解釈するんじやないですか。
○足立委員 ここで私が疑問に思うのは、持株会社は解散するという前提の上に立つている。しかるにもかかわらず、昭和電工その他のどうしてもこれは工程を続けていかなければならない一つの企業体、これが解散するという前提に立つていないんだから、これに対しては持株会社はインフルエンスを及ぼすものではないんだ。それに対して持株会社にだけ一つの処置をやればいいんだということが正しい解釈ではないかと思う。その御見解いかがです――そうすると、昭和電工は硫安を製造するということは、これは具体的なことなんです。しかしその製造方面に対する会社の企業体に対して非常な影響を及ぼす、容喙をするということは、持株会社の本來の行き方を誤つているものじやないですか。
○美濃部證人 それはそうですね。 〔委員長退席、石田(一)委員長代理着席〕
○足立委員 それはそうですと言つてもらつたらよいのです。それからその次の問題ですね。そうするとここでこの前も問題になつた、企業の民主化ということが問題ですが、持株の性格として、これは株主権を行使して、企業の民主化をはかつていく株主権を行使して民主化をはかる方法は二つある。一つは株主権の本來の商権行使をするという方法、一つは株を分散するという方法、こういう方法で企業の民主化をはかることが本來の性質である。それにもかかわらず、それよりかアウトサイダーの方法で企業の方向をかえて行くということは、これは持株会社としてはどんなものですか、やれることですか。
○美濃部證人 つまり人事に干渉する、つまり公職追放その他いろいろな問題がありまして、そうして好ましからざる人物を除けて行くということは、リツトン・オーダーでありませんけれども、GHQから相当強く命ぜられていた事項です。
○足立委員 そうすると、ここで非常に重大な問題が起つて來る。持株委員会は昭和電工に対しては株は二%しか持つていない。その二%しか持つていないところの持株会社整理委員会が、あとの九八%の株主の意向を無視して、首のすげ替をするということ、これははたして企業の民主化であるかどうか、そういう点をあなた方是認なさるのですか。結局ずつと考えて行くと、とにかく持株会社の行為を是認する方向に証言をもつて行つておられるように思われるが、基本的の問題は、こういうことをやつても持株会社の本來の性格に反していないのですか。
○美濃部證人 それは森氏その他の例もありますけれども、そういう方々の性格によるわけであつて、つまりパージというふうに決定した人がいつまでもおるということに対しては、ある程度の干渉はし得るのであると思います。
○足立委員 その点が森氏の場合におきましては、ハージということが要するに決定しておりません。御承知の通りパージの一應わくには入つております。三月三十一日以後六箇月の猶予期間があるわけです。なぜそういう猶予期間を置いたか、それはただちに企業のスタツフをかえると、企業に混乱が起るから、その跡始末をしなければならぬから、やむを得ず六箇月の期間を置くのが法の精神じやないかと考える、それにもかかわらず、まだ三月三十一日も來ない、三月の二十八日に首を切つてしまつたということは……。
○美濃部證人 それですから、それがつまりGHQ側のオーダーでなく、さつきも問題がそこに行つたが、オーダーでなく、整理委員会の自発的の行為としてやつたとなれば、それは確かに行き過ぎだと思います。
○足立委員 確かに行き過ぎ行為である。それからオーダーの問題ですが、それでさつき委員長もお触れになつたが、それは持株整理委員会と内閣総理大臣の勧告に服するということと、もう一つGHQの一つの関係という問題ですが、あなたの御証言を聞くと、ちようどGHQの一つの特別機関みたいな形に持株委員会がなりておるというように了解してよいのですか。
○美濃部證人 私はそうだと思います。
○足立委員 そういうことになると、これは重大なる一つの問題でありますから……。
○美濃部證人 私は実質はそうだと思います。 委員 前にクレーマー大佐の助言がありまして、これは日本の自発的のものである。それから覚書が出まして、一應それは強力になつておるように思いますが、持株整理委員会は実質においてGHQの出店だ、あちらの機関だということに実質的になつておるのだ。こういうように解釈してよろしいですか。
○美濃部證人 そうだと思いますね。
○足立委員 わかりました。
○徳田委員 ちよつとお尋ねします。日野原が社長にかわつてから融資の関係がかわつたと思いますがね。たとえば森の場合には、融資はざれたけれども、これによつて復興をして、のちには産業復興公團に全部移して貸借関係になるということになつていたのを、日野原君が社長になつてからはそうではなくして、すべて自己の責任において、自己の所有になることなんで、非常に大きな変化だと思う。そういう場合に、これは持株会社整理委員会が監督すべき指定会社でありますから、そういう報告はちやんと総会にありますか。
○美濃部證人 総会にですか。総会にありません。
○徳田委員 そうすると、常務を指揮監督したことに対して、こういう重大な変化、これは國家との関係において非常に重大であります。かつそうなると会社の性質が違いますね。それを指定会社のこういう本質的な変化に関しても、総会に何らの報告がないとすれば、一体総会は何を監督するのですか。
○美濃部證人 それですから、常務の監督については、総会に付議される事項というものは、さつきも申し上げたように非常にわずかなものですね。実際指示事項だけが報告事項にしてあげられるわけです。そういう常務の監督から起つて來る刻々の状況は、総会には報告されないわけですね。
○徳田委員 刻々じやないでしよう。そういう問題はそれはもう莫大な変化をするわけなんで、首を切りかえるということよりも、なお重大だ。これは会社の本質が違う。性質が違いますから、そういう場合に、これは常務だけでただやるということになれば、常務は全部專権を握るということになりますが、そうすると、あなた方はそういうものに対して何ら容喙する権限がないというならば、何にもならない。
○美濃部證人 それは私たちがもう少し積極的にそういうことに注意していて、こうなつておるがどうか、というふうに言えればいいのですが、平委員は、御承知の通りほかに仕事も持つておりますので、とうていそういうひまがない。出された資料について意見を述べるというのが建前ですから……。
○徳田委員 しかし、出されなければ、いいというわけですか。
○美濃部證人 いや、よくはありませんけれども、事実上そうやるよりしようがない。
○徳田委員 しかしながら、そういう事実を発見した場合、こういう性質の変化するような重大な事実を発見した場合に、総会においてはだれも発言せず、黙つておるのですか。
○美濃部證人 それは発見すれば、もちろん言わなければなりません。
○徳田委員 だつて、あなた方は発見しておるはずですね。
○美濃部證人 発見しておりません。
○徳田委員 それでは総会の委員というものは、とても持株会社整理委員会の任務を盡すようにはできておりませんね。
○美濃部證人 それはさつきも申し上げましたように、平委員にそれを要求するのは無理だと思います。
○徳田委員 平委員も、常任委員も何も二人ではない。もつとある。元は監事があつた。監事が監督するわけで、そういう監督する連中がちやんといるわけですが、そういう者も何も出ておりませんか。
○美濃部證人 出ていません。
○徳田委員 それでは問題にならない。それからもう一つ、オーダーについて、GHQのオーダーは総会にすべて報告するのですか。
○美濃部證人 いいえ、すべては報告しません。リツトン・オーダーは報告されますが、品で出されたオーダーは必ずしも報告されない。
○徳田委員 しかしそれではあなた、総会は何をするのですか。オーダーというものは一つの法律的効果があり、それを持株会社整理委員会が遂行しなければならない大きな任務がある。その任務に対して、口頭であろうが、何であろうが、これが総会に報告されないということになりますと、それは一部の人間を使つて実行することになるのであります。これに關與している一部の人間だけが専権を握るということになります。委員会の性質から言つても、そういう性質のものではないと思いますが、どうですか。
○美濃部證人 それですから、オーダーによつて、委員総会において決議せらるべき事項が、そのオーダーを基礎にして決定された場合には、委員総会に出されるわけです。しかしオーダーがあつたかなかつたか、つまり委員総会に出されない事項が決定される場合においては、委員総会には報告されないわけです。つまり委員総会というものは、一月おきに二時間、十時から十二時まで開かれるのですから……。
○徳田委員 そうすると、委員総会というものは、かつてのよいものだけは報告するけれども、かつての悪いものは報告せぬでもよいということになりますか。
○美濃部證人 いや、それは法令によつてきめられた事項については、報告及び決議しなければならぬ。
○徳田委員 しかし法律には、すべてこの行動に対しては、委員会に報告することになつておるのでしよう。委任事項があると言いますが、委任事項というのは、どだい報告さるべきものが本來であつて、それの中で、これをこまかいから委任してやろうというだけのものであるから、こういうオーダーのごときは、任務に関する重大なる問題であるのに、そういうオーダーでも全部委任されておるのですか。
○美濃部證人 いや、オーダーは委任されておるわけじやありませんが、つまりオーダーによつて委員総会において決議せらるべき事項がきめられましたならば、そのときに委員総会に出るというのが順序であると思います。
○徳田委員 そうすると、委員総会というのは、大体委員会がやるべき一定の基準、法律的性質のものですね、法律ではないのですけれども、法律的性質のもの、一般、抽象的な一つの規定、こういうもの以外ある具体的な行動に関しては、すべて關與しないというふうになつておるのですか。
○美濃部證人 いや、すべて關與したいということではありません。たとえば集中排除法に基く指定、何を指定するかというふうなものは、委員総会に出す事項に決定しておる。それですから、その指定についてもGHQのオーダーとか、あるいはサゼツシヨンによつて、これを指定しろというふうにきめられるわけです。そうすると、そのオーダーに從つてこれをきめろと言もれて來たものが、委員総会の決議事項としてかかつて來るという順序になるのです。
○徳田委員 そうすると、もうすでに委員総会では、何々が委員総会に出すべきものである、何々は委員総会にかけぬでもよいというものがあつて、そのかけるべきものであるというものに関するオーダーだけかける。それ以外のものはかけぬということになるのですか。
○美濃部證人 そうです。かけぬということではないけれども、委員総会にはかけぬ。
○徳田委員 報告もせぬのですね。
○美濃部證人 それは懇談会において報告される場合もありますし、されないで過ぎてしまう場合もあります。
○徳田委員 しかしあなた方の方の定款から見ると、構成や何かから見ると、そういうものは一つもありませんがね。委任して事後報告もしなくてよいというものは一つもありませんな。第十四條、左に掲ぐる事項はあらかじめ委員総会の議を経ることを要すというのは、定款の変更、業務の……一切合財書いてありますがね。
○美濃部證人 いや、それですから、たとえば整理委員会内の組織をかえたとか、人を雇い入れたとか、あるいは部長をかえたとか、そういう問題は、全然われわれはタツチしないわけです。
○徳田委員 それは業務だから、持株会社整理委員会の本來の仕事というものは、みんな報告することになつていますがなあ。任務のところにも書いてありますけれども……。
○美濃部證人 報告にも限度があるもけですが、日常の業務遂行から起つてくるいろいろな問題については、報告されない事項がずいぶんあるわけです。
○徳田委員 小さいものは委任してもよいのですけれども、そういう会社の本來の性格がぐるつとかわるというほどの大事なこと、そういうものが報告されないということになれば、委員総会というものはどうもでくの坊みたいなものになると思うが、どうですか。
○美濃部證人 それはつまりこれだけの重大な仕事をしておるのに、委員総会というのが二箇月、三箇月に一ぺん、二時間開かれるということからして、でくの坊化するということはどうもしかたがないですね。
○徳田委員 それはそうされておるのですね。事実現在は……。
○美濃部證人 そうなつていますね。
○徳田委員 あなたは、オーダーについては、笹山君や野田君、それとその周囲の人以外には知らないということをさつき言われたように……。
○美濃部證人 知らないものがあるということです。
○徳田委員 そういうものを秘密にすべきものだということになつておるのですか。
○美濃部證人 それはリツトン・オーダーは知らされますけれども、何と言いますか、野田君なり、笹山氏なりが、ウエルシユ氏なんかに話しておる間に與えられるサゼツシヨン、そういうものは知らされないで済ますものが相当あると思います。
○徳田委員 それはオーダーでなくして、サゼツシヨンですか。
○美濃部證人 サゼツシヨンです。しかしサゼツシヨンと口でのオーダーという区別はなかなかむずかしいわけで……。
○徳田委員 しかしそれはなかなか子ういうことには解すべきじやないと用いますがね。何でもかんでもオーダー、オーダーと言つておりますけれども、われわれが聞いてみると、いやオーーダーじやないのだ、それはサゼツシヨンだということはたくさんある。それを何でもかんでもオーダー、オーダーで押えつけていくところに持株整理委員会が私は腐敗しておると思います。徹底的に腐敗しておる。これはどうしても打倒しなければならぬと思います。そういう腐敗の原因があるのじやないですか。オーダー、オーダーと言つて何でもかんでもやるということは、その周囲の人以外には知らぬということである。ちやんと一定の正式の機関にかけてやらぬということは、これは腐敗堕落をもたらす重大なる原因だと思いますが、どうですか。
○美濃部證人 それが相当の程度になりますれば確かにそうですね。
○徳田委員 今はどうですか。今は腐敗堕落しているとは思いませんか。
○美濃部證人 腐敗堕落という言葉が当つているか当つていないかは知りませんけれども、私は必ずしも満足していないのであります。
○徳田委員 腐敗堕落という程度までには至らないのですね。
○美濃部證人 現在ですか。
○徳田委員 ええ。
○美濃部證人 腐敗堕落とは言えぬでしよう。
○徳田委員 しかし日野原みたいなものを置かしてみたあとでそう考えるだけでなしに、すでにあれを推薦せられるときに相当疑いをもたれた人物じやないですか。
○美濃部證人 私は日野原というのは、あすこに出たときに初めて聞いた名前ですから、全然知りませんでした。
○徳田委員 しかし、知らないような人間が、ああいう会社に、しかも大事な指定会社に推薦せられるということに対しては、あなた方も非常にけげんな感じがあつたのじやないですか。
○美濃部證人 それはありました。
○徳田委員 それなら、そういう者をあの当時やつて、会社に対してこういうことをしておるのですから、それでもなおかつ腐敗でもない、堕落でもないというなら、それはよほど感覚がおかしいですね。
○美濃部證人 それは事実問題として、急に有能な人を昭和電工にかえるといつても実際に見当らない。それで日野原というのは、ぼくは全然知らない人だけれども、大体GHQの選任の方針が若い人でとにかく肥料工業にタツチしておる人だというので、このくらいの人間しかないという説明だつたのです。
○徳田委員 あの三人のうちで今井という人をよく御存じでしよう。
○美濃部證人 知つております。
○徳田委員 あの人は追放たつたのでしよう。
○美濃部證人 そうです。
○徳田委員 追放の人を知らずに出してくるような推薦ならこれはいいかげんのものとは思いませんか。
○美濃部證人 それだから、私はその席上で、いいかげんじやないかと思う、だから推薦のしかたが非常にずさんだという疑いがあると……。
○徳田委員 そういうずさんなことをやるということは腐敗堕落じやないですか。
○美濃部證人 腐敗堕落か、頭が悪いのか、その点ははつきりいたしません。
○徳田委員 しかしこれは國全体に大きな影響を及ぼすものですよ。これを決定するのは職後の復興が乱れるか乱れぬかの境目です。その境目をあなた方がちやんと整理し監督して、これを正当の方向に進めるのがあなた方の任務である。私が言うまでもないと思う。その任務をするのに、そういう不確かな、そうしてずさんだと思われるものに対して、あなた方が少しも容喙せられず、まあまあそうかなというくらいで話すぐらいならば、これはどうしても腐敗堕落と言わざるを得ないと思うのですが……。
○美濃部證人 それは、平委員としては、先ほども繰返して言うように、出されたデータに対して意見を述べるというのがわれわれの役目なんです。それだから、私としては、これはずさんだと思う、だからなおよく調べてやつてもらいたいということを言つたわけです。
○徳田委員 それでは重ねて伺いますが、それをやつた時は昨年の三月ですから多分吉田内閣ですね。
○美濃部證人 吉田内閣です。
○徳田委員 吉田内閣なら、吉田総理大臣に向つて報告してありますか。
○美濃部證人 それは私は知りません。
○徳田委員 報告する任務はあるのでしよう、持株委員会は……。
○美濃部證人 一々の業務については報告する義務はおそらくないと思います。
○徳田委員 しかし、かかる重大なこと、非常に大きな影響を及ぼすことに対して、ただこれが普通の業務だといつて、小便やくそでもするような調子で、そんなものは何でもないというふうに考えられているのですか。
○美濃部證人 おそらくそのときは、私は知りませんけれども、常務委員としては、適当な人物であり、こういうことになろうとは夢にも思わずやつたことだろうと思います。
○徳田委員 しかしこういうことになることを欲してやつたのではないですか。
○美濃部證人 それはぼくには全然わかりません。
○徳田委員 この指定会社に対してかかる首切りだの何だのをした場合には、これは事後報告すべきもの、これは指示権の発動だということを脇村君は言つておりますが、あなたの解釈ではどうですか。
○美濃部證人 首切りというのは從業員の馘首ですか。
○徳田委員 いや社長の首のすげ替です。
○美濃部證人 それは、先ほども言つたように、それがほんとうのすげ替であれば、片方の首を切つて別の首をすげ替えたというのであれば、私は当然指示事項であり報告しなければならぬ事項であると思います。
○徳田委員 あれはすげ替えじやないのですか。
○美濃部證人 それは私事実をはつきりわかりませんから何とも申し上げられません。
○徳田委員 ところで、あなたは今井さんを御存じだそうですが、どういう関係の人ですか。
○美濃部證人 私の叔父です。
○徳田委員 どういう関係の叔父さんなんですか。
○美濃部證人 私の家内の父の姉のつれあいです。
○徳田委員 それから、小坂さんとの親戚関係はありますか。
○美濃部證人 あります。私の義理の弟です。
○徳田委員 すると妹さんの婿だということになりますね。
○美濃部證人 そうです。
○徳田委員 そういう関係で、信越化学に対してあなたが重役になられたり何かしたのは、短期にしても、相当信越化学とあなた自身との間には、経済的な顧問、あるいは法律的な顧問、政治上のいろいろな意見を聞かれるというような立場にあるのじやないですか。
○美濃部證人 ええ。いろいろ意見を聞いたり、意見を述べます。
○徳田委員 今でもやはり。
○美濃部證人 それは、個人的に父であり弟でありますから、意見を求められれば言いますし、こつちから積極的な意見を、こうした方がいいだろうということを述べるときもたびたびあります。
○徳田委員 そうすると、肥料工業に対しては相当造詣があられるのですか。
○美濃部證人 残念ですけれどもありません。
○徳田委員 この日野原問題ですが、ああいうふうな首のすげ替になつたのですけれども、その首をすげ替えるときに、一定の方針ですね、首をすげ替えてしかる後に昭和電工をいかに処置するか、いかなる方針でこれを経営するかということに対して、あらかじめ持株整理委員会から指示を與えたことはありますか。
○美濃部證人 なかつたと思います。
○徳田委員 それらの報告を何も受けたことはないですか。
○美濃部證人 ありません。
○田中(健)委員 一つ伺います。先ほどの御証言でありますが、これは前の脇村さんの場合も同様でありますけれども、昭和電工の社長になるには、化学工業に精通しておる、社長の経験がある、年が若いという三つの條件がある。そうしますと、この三つの條件に大体適当な人として三人の人物が選ばれたという、これを脇村さんの御証言によりますと、それは栗栖さんがもつて來た、こういうことになつておりますが、それはそうですが。
○美濃部證人 そのときは全然そういう詳しいことは知りませんで、最近植村部長及び笹山委員長からそういういきさつであつたということを聞いたわけです。
○田中(健)委員 けれども栗栖さんはそれはGHQの方から言われて來たのですか、それともどうなんですか、内容は。
○美濃部證人 その個人の名前ですか。
○田中(健)委員 名前です。三條件と三人の名前というのは……。
○美濃部證人 三條件はGHQから聞いて來たのだと思います。それから個人の名前はGHQから聞いたものではないと思います。
○田中(健)委員 脇村さんほか他の証人の証言によりますと、この三人の名前の中の日野原というのが司令部から何か言われて來たかのごときことを言つておるという御証言でありましたが、あなたはどうですか。
○美濃部證人 私は詳しいことは全然――直接にはタツチしていないで委員会の内部の委員長、野田さん、そういう人から聞いた限りでありますが、そういう話の限りにおいては日野原という名前をGHQがあげて來たことはないのじやないかと思います。
○田中(健)委員 あなたは去年の三月二十七日の午後かに日野原さんという名前は知らなかつたのですか。
○美濃部證人 それに二十七日も私欠席しておりますから……。
○田中(健)委員 二十八日にわかつたのですか。
○美濃部證人 そのことはわかりませんが、二十八日以後四月の十日の次の懇談会までの間に脇村君に会つてはじめて聞いたのです。
○田中(健)委員 そこで脇村さんが日野原さんはこの三つの條件にかなう人物であるというようなことを言つておつたのですか。
○美濃部證人 それは言わなかつたと思います。疑問だと思う。自分は日野原という人は全然知らない。それだから今何とも言えないから調べてみたいというふうに言つたと思います。
○田中(健)委員 その後日野原さんは社長になつたのですか。
○美濃部證人 ええ。
○田中(健)委員 そこであなたは脇村さんのお話もありまして、あまり社長としても適任でないようであるし、もう少し検討しなければならぬ。そこであなたは脇村さんのおつしやるようなことをずつと考えて來たわけですか。
○美濃部證人 ずつとと申されますけれども、時々考えて來たわけです。
○田中(健)委員 今はどうなんですか。
○美濃部證人 今は御承知の通りの状況になつたから、自分の予測が当つたと思います。
○田中(健)委員 あなたの予測したのは去年のいつごろですか。
○美濃部證人 それは去年の暮か今年の春ごろでありましようね。
○田中(健)委員 しかし脇村さんがあなたに話したのは去年の四月ごろですね。
○美濃部證人 そうです。
○田中(健)委員 そこでこの三つの條件に日野原さんがあなたの考えをもつてすればどのように当てはまらないか。年の若いということは当てはまらないと思うが、あと化学工業の経験などに対してあなたはどの程度に御検討をなさつたか。
○美濃部證人 それは私としてはまつたく検討いたしませんでした。またそういう厚手もないし、脇村君が博手があるからと聞いて來たことを聞いただけでございます。
○田中(健)委員 それから社長の経験があるかないかということについても、あなたはただ脇村さんのお話を伺つて來ただけですね。
○美濃部證人 ええ。
○田中(健)委員 そうするとごまかいことについては何ら検討を加えていなかつたのですか。
○美濃部證人 私としては検討を加えませんでした。
○田中(健)委員 全然加えませんか。
○美濃部證人 二、三人に聞いては見ましたけれども、まるでよくわかりませんでした。
○田中(健)委員 日野原氏の履歴書のようなものは見ていませんか。
○美濃部證人 見ていませんでした。
○田中(健)委員 それから日野原氏が昭和電工の社長になられましてから、いろいろと新しい計画が立てられたと思うのですが、その計画の内容についてもあなたは全然知りませんか。
○美濃部證人 全然知りません。
○田中(健)委員 日野原氏が社長になられてから、大体昭和電工という会社の中の川崎工場は、一箇年に二十五万トン生産できる、こういうような計画書を復金に出しておる。それに基いて復金が検討を加えて金を出すというわけですが、現在はこの計画とは全然違つた結果になつておる。そこであなたは学者であり、機械のことはよくおわかりでないと思うが、どういうわけでそういう結果になつておるかということについて全然検討を加えませんか。
○美濃部證人 わかりません。技術的な欠陷があるに違いないと思いますが、肥料の製造技術については何にも知りませんから……。
○田中(健)委員 脇村さんの御証言によりますと、委員会の諸君が時々会食をしたということをおつしやつておるのですが、委員会がその会食をなさつたのですか。昭和電工と会食するのじやなくて……。
○美濃部證人 会食すると申しますか、委員総会のあとで委員会のビルデングで簡單に書食を食べます。それからそうでない別の所で私があれしたのは、一度ヘンダーソンでしたか、ヘンダーソンが帰りますので、その送別会をやつたのと、それから公正取引委員会の人たちとお近付のしるしだといつて飯を食つたのと、それから財閥のパージの委員の方々と飯を食つたのと、それくらいです。
○田中(健)委員 それ以外に持株会社の指定になつておる会社、あるいは指定になるべく準備して、あとからはずれたような会社の諸君と、あなたでなくても他の委員が会食したようなことはありませんか。
○美濃部證人 したという話は聞いておりません。
○田中(健)委員 たとえば恒吉君の表現によると、先ほど委員長が聞いていると思いますが、飯坂温泉へ行つたようなことは……。
○美濃部證人 全然聞いておりません。
○田中(健)委員 そういたしますと、委員会の方々が委員会の事務所あるいは委員会関係のことで外でGHQの諸君を招待したにすぎない、これだけのことしか……。
○美濃部證人 そういうことしか私は呼ばれないのかもしれませんけれども、ほかのことは知りません。
○田中(健)委員 ほかのことは全然わからないのですか。
○美濃部證人 わかりません。
○田中(健)委員 日野原氏が昭和電工の社長になつたということは、これは陰の力あるいは表の力として委員会が相当に結果から言えば働いたと思うですが、その後委員会に対して昭和電工の仕事の進め方、事業計画等について委員会または常務委員会というようなものに御報告したことはありますか。
○美濃部證人 報告されたことは一ぺんもありません。
○田中(健)委員 全然ないのですか。
○美濃部證人 全然ありません。
○田中(健)委員 そうすると委員会としてもその後日野原氏が昭和電工の社長になられてから、何ら資料の提出がない、何ら報告も受けておらないということになるのですか。
○美濃部證人 いや資料はおそらく事務当局には提出されておると思います。しかし委員総会ないしは懇談会には問題にならなかつたという意味であります。
○田中(健)委員 すると先ほどの御証言によりますと、監督するといつたような言葉があつたのですが、監督はなさらなかつたということになるのですね。
○美濃部證人 これは常務委員にまかされておる事項です。
○田中(健)委員 ですから今のお話によりますと、委員会にも常務委員会にも……。
○美濃部證人 常務委員会というのはないわけです。
○田中(健)委員 常務委員にも……。
○美濃部證人 常務委員まではもちろん報告があつたと思います。
○田中(健)委員 常務委員に報告があれば常務委員がこれを総会に報告しなければならぬでしよう。
○美濃部證人 しかしそれは常務委員が非常に重大であると思つた場合には……。
○田中(健)委員 昭和電工の場合は、あれだけの、三十億近い國民の金を使うのですから、非常に重大だと思うのですが、皆さんは重大と考えなかつたのですか。
○美濃部證人 考えなかつたのか、一度もございません。私たちの方から……。
○田中(健)委員 ですから常務委員に事務当局にでも報告があれば、その報告の基礎に基いて当然監督すべきものは監督しなければならぬでしよう。あなたのお話を聞いて見ますと、何だか当然なすべき監督も何もしておらないように見受けられるから、それでお伺いしたのです。
○美濃部證人 どのくらいの監督をしたか私は知りませんけれども、おそらくそれほどの監督は事実上しなかつたと思いますし、それが委員総会の問題として報告されたことは一度もなかつたわけです。
○田中(健)委員 常務委員会にはそういう報告は來ておるのでしよう。
○美濃部證人 おそらくあつたと思います。
○田中(健)委員 おそらくというのはどういう根拠に基いて言われるのですか。
○美濃部證人 それは貸借対照表の提出とかそういうものは報告書類として必ず來るわけでございますから、そういうものは常任委員の開をまわしていたということに考えられます。
○田中(健)委員 それは毎月の帳尻の資産表として提出されて來るのか、決算期に貸借対照表として出て來るのか。
○美濃部證人 私ははつきり知りませんが、おそらく毎月の資産表くらいが來るのではないかと思います。しかしこれははつきりいたしません。
○田中(健)委員 常務委員会に毎月の資産表が來ると、当初の計画通り行つていないということがはつきりわかるでしよう。そうしますと当然ここに注意するなり、勧告するなり、疑いを抱くなり、何らか常務委員が考えなければならぬ。そうするとそれの報告に基いて、そこに監督権なり何なりが発動しなければならぬことになる。何にもなされていないというのは、あまりに常務委員が怠慢だということになりますね。
○美濃部證人 もしそうだつたらそうなります。
○田中(健)委員 あなたは怠慢と認めますか。何もしなかつたこと、これは次の証人があした來ますから、聞いて見ればわかると思いますが……。
○美濃部證人 もしそういう事実が、当然知らるべき状態にあるにもかかわらず、何らそれを問題にしなかつたといえば怠慢でしようね。
○田中(健)委員 常務委員が報告を受けておりながら、もし常務委員でなくても、平委員であるあなたに総会にでも御報告があれば、あなたは昭和電工の計画は当初の計画と著しく違つておつたわけで、あなたは学者でもあられるから、それに向つて何らかの考えを抱くでしよう。それはどうでしようか。
○美濃部證人 それは問題にせざるを得ないでしよう。
○田中(健)委員 あなたに報告しなかつたということも怠慢になりますね心
○美濃部證人 もしそれが事実わかつていたにかかわらず……。
○田中(健)委員 現在その通りわかつておつた事件でありますから……。
○美濃部證人 事実わかつておつたにかかわらず、それを報告をしなかつたのは怠慢でしようね。
○田中(健)委員 その点だけ明確にすれば――まことにありがとうございました。
○足立委員 さつきの委任したという決議録ですね。あなたはごらんになつたと言いましたね。それはやはり決議録であつたのですか、ぼくの方に全部決議録は頂戴したのですが、それがない……。
○美濃部證人 調べて見ましよう。
○足立委員 あなたがごらんになつたなら、あした午後からでも拜借に行きますから、これだといつて出していただけませんか。
○美濃部證人 そう言つておきましよう。
○石田委員長代理 ほかにございませんか。――では証人に対する尋問は終りました。どうも御苦労さまでした。 〔石田委員長代理退席、委員長着席〕
○武藤委員長 諸君にお諮りをしますが、本日尋問することになつておりました大仲齋太郎、鈴木治雄君の両君は、これを延期し、追つて期日を定めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 ではさよう決します。本日は莊野精二郎さんだけお話を伺います。
○武藤委員長 荒野さんに伺いますが、あなたは今日本水素の常務ですか。
○莊野證人 社長です。
○武藤委員長 それでは今日までに至るまでの事業を中心としての略歴を述べていただきたい。
○莊野證人 私は大正六年に学校を出まして、大阪アルカリ株式会社にはいりまして、ここに大正十二年、震災の年までおりました。それからこの年にラサ島燐鉱株式会社、今の東亜工業、そのラサ島燐鉱株式会社にかわりまして、昭和十二年までそこに籍を置いておりました。ちようど昭和八年に肥料業者の懇話会というものが生れましたので、懇話会の常務主事としてそこに滞在しておりました。それはラサ島に籍があるままそこに行きました。それから昭和八年から昭和十二年でしたか、ちよつと記憶しませんが、例の重要肥料業統制法という法律ができましたので、そういう会合を禁止されて、それで重要肥料業統制法による燐酸肥料工業組合の専務主事としてそこに入りました。翌年臨時肥料配給統制法に從いまして、價格の決定とともに燐酸肥料配給株式会社という会社ができましたので、そこの常務取締役に就任いたしました。そうして昭和十五年の七月にその会社が日本肥料になりましたので、日本肥料株式会社法によりました日本肥料の参與理事として入りまして、そこで配給部長、運輸部長、業務部長等を歴任いたしました。昭和十九年だつたと思いますが、業務本社理事になりました。そうして終戰の年の十一月に日本水素の常務に選任されました。十二月の中旬だと思いますが、日本肥料を辞任いたしまして、日本水素の常務として昭和二十二年の五月に専務取締役になりまして、その五月の十八日に社長に就任して今日に及んでおります。
○武藤委員長 日本水素、日本肥料、興銀との從來の関係、現在の関係について述べてください。
○莊野證人 日本水素は從來日本曹達が建設した会社でありまして、日本曹達が総株式六十万株のうち約三十一万七千余を持つておつたと記憶しております。それを戰時中、多分昭和十六年ではなかつたかと思いますが、日本肥料が三十上万何千株を肩がわりいたしまして、その当時日本肥料の副理事長でありました矢崎徳治氏が社長を兼任、翌年矢崎氏が辞任しまして、多分十七年の夏ごろではなかつたかと思いますが、日本肥料の専務理事をしておりました長澤一雄氏が社長に就任しました。そのまま参りまして、十八年だと思いますが、当時の軍需省からの命令によりまして、肥料の仕事をやめて、航空燃料であるメタノール専門の会社に切りかえろという御命令が出まして、それによつてメタノール会社に決定いたし、昭和十九年の五月ごろでもつて硫安工業をやめた。それで多少日本肥料と日本水素との事業上の関係は少し薄くなつておつたのですが、八月十五日の終戰と同時に、そのときの社長の長澤氏が再び硫安に再轉換を宣言されて、その方向に向つた。それと同時に再び肥料に縁故が起つてきたのであるから、大株主である日本肥料からぜひ常務をだれか出せという話が出まして、そのときの日本肥料の理事長であつた重政誠之氏に交渉がありまして、私に行けという話が出ました。私決心をきめまして、十一月三十日の総会で常務に選任されまして、すぐに辞表を出しまして社長をやめた。從つて日本肥料としては、その当時は三十一万七千株を持つておりました。翌年の五月ごろだつたと思います。これも記憶であります。しかもこれは私が直接携わつたのでなく、後日聞いた話でありますが、日本肥料が持つている株式を人に賣り渡すのだ。全部とも一部分とも聞いておりませんでしたが、渡すのだという話でありました。そうすれば、自然日本肥料から株式的関係をもつて行つている役員並びに從業員もそこで日本肥料へもどりました。あるいは適当の処置をすべきである。こういうことを聞いておつたのでありますが、それが具体的に、その当時の長澤社長から日野原節三氏がその株を譲り受けるということになつた。それで社長を日野原氏に譲るようになつた。自分は会長になる。君は日本肥料は全部株を賣るわけでもないのだから、ぜひそのまま残つてやつてもらいたい。 〔「大声に願います」と呼ぶ者あり〕
○莊野證人 わかりました。そういうことで日野原氏が社長になつてきて、私はそのまま常務として居残つていることになりました。そうしてその当時までは――ちようど戰事中は、日本水素は本社を東京にもつていた。ところが戰災にあいまして、それを契機として、日本水素の本社を小名浜の工場所在地に移轉をいたしまして、そのまま経験になつたのでありますが、日野原氏が水素の社長になつてきましてから、本社を東京へ移そうとしたことがあつたのであります。そのときには福島縣として、せつかく縣内にある本社を東京へ移されることは困るから、どうかこのまま本社を福島縣に置いてくれという縣知事その他縣の商工関係の人たちからもお話がありました。それで本社を移すことをとりやめましたが、実質的にはなるべく東京で本社の方にいて仕事をしたい、こういう関係でその当時に機構の改革をいたしまして、経理及び総務、それから業務、この三つの面は本融及び東京の事務所を通じた一つの機構のもとに置いて、総務部長は小名浜の工場におる。業務部長と経理部長は東京におるということにして、機構の変更と同時に、東京と小名浜とを一体にした会社の機構に改めました。從つて私は常務であつて工場長を兼任いたしまして、小名浜でほとんど大部分を過しました。社長は月に二回くらいは小名浜へ参りました。非常に忙しい振行ではありましたが、二回くらい参りました。顏を出す程度に行き來しておりました。そういう運営のまま、二十二年の三月に日野原氏が昭和の社長になることになつたので、私が両方お引受けして、社長なしの専務制で行こうとしたのでありましたが、やはりいろいろの点において不都合がありますので、五月の十八日に私が社長にまた就任いたしました。本社はやはり小名浜にそのまま置いて、今日に至つております。
○武藤委員長 興銀との関係は……。
○莊野證人 私の就任しました当時、まだ興銀から約三十万円くらいの借金を持つておりました。私が就任して以後には多少借りておりましたが、復興資金は大体日本肥料から借金をしておりました。それから昨年日野原氏がおらなくなつてからは日本水素は復金から借りておりました。そういうままで來ておりますが、興銀は從來としては大債権者であります。日本肥料から約一千万円くらいであつたかと思います。あるいは欠けておつたかもしれません。九百万円近いものであります。それから興銀から約三千万円、約七、八百万円か九百万円くらいのものが、この復興にかかりますまでの旧債務であります。その旧債務のために、從來は私のおります前に興銀から重役が入つておりました。その人はやめましてしばらく常務があいておりました。それから私が入りました。監査役は從來からほとんど顏を出したことはありませんが、興銀の推薦された重田という監査役が入つておりました。今でもそのまま入つております。私は重田という監査役、にはいまだお目にかかつておりません。そういう情勢であります。
○武藤委員長 日本水素に対する日本肥料及び興銀の債権者としてのお話はわかつたのですが、株主の関係はどうなつておりますか。大株主になつておりますか。
○莊野證人 日本肥料はただいまでは十万株くらい持つておつたのですが、これは閉鎖機関になつて、その株を競賣に付しておられます。どれだけ閉鎖機関で競賣処置がついたかちよつと記憶いたしません。競賣手続きをされておりますものは、戰時金融金庫が三万何がしかの株を持つておりました。それから日興証券と言いますか、日本電力会社関係の日電証券の株が約十万余り、それから日本肥料の株二十三、四万の株が今日まで競賣にされまして、それが今つい二、三日前の競賣でもつて十一、二万まだ落札しないものがあると思います。そのうちどれだけ日本肥料になつておりますか記憶いたしません。
○武藤委員長 興銀は……。
○莊野證人 興銀は持つていないと思います。
○武藤委員長 全然株主ではないのですね。
○莊野證人 はい。
○武藤委員長 そうしますと、日本肥料や興銀があなたの会社に対して相当の発言権を持つておるのは、もつぱら債権者としての立場でありますか。
○莊野證人 そうでございます。
○武藤委員長 どの程度の発言権と言うか、支配権を持つておるのですか。ほとんどもう日本肥料と興銀とでやつておるようなものなんですか。
○莊野證人 そんなことはありません。特に現在においては、興銀からいろいろのことがありましても、是と信ぜざるものは断つております。もつともだと思うことは採用すべく考慮いたしておりますが、あまり最近は問題はありません。從來は、私初めて日本肥料から水素に就任いたしましたときに、興銀へあいさつに参つたのですが、そのときに興銀の態度は非常に悪いものでした。そのとき数人の方に会いまして、だれが言つたか記憶はないのですが、今の状態で行けば、お前の方へはもう金は一文も貸さぬぞと頭から一発やられたことを記憶いたしております。これは興業銀行と水素との関係は容易なものではないとそのときに直感して、私は任務に入つたのであります。これを何とかもどさなければいけない。その当時水素へ入るについても、まず興銀と中和をしなければ君の仕事は勤まらぬぞと、あらゆる人から数回の忠告を受けたのでありますが、まさか初対面の者にそういうお話があろうとは思わないような空氣でありました。ただいまではそれはなくなつております。
○武藤委員長 日本水素の主たる事業、株主はだれですか。
○莊野證人 ただいまは名前がかわつておりますが、日野原氏が一番大きいでしよう。日野原氏一派と言いますか、それが一番大きいと思います。日野原氏としては昨年昭和へ行くまでは三万株余り持つておつた。しかし日野原氏の弟さんの名前とか親戚の名前を通じて二十一万株ぐらいあつたと覚えます。その日本肥料から引受けられた分は全部日野原さんの同族にかえました。その後また買われたようでありますから、名義書きかえはされたかされないか明瞭でありませんが、現在私たちの感ずるところでは二十三、四万はあるのではないかと思つております。次は日本肥料が約十万持つておりまして、日電興業が約十万、戰時金融金庫が三万ほど持つておりました。そこらがまとまつたものであります。それは先ほど申し上げましたように競賣になつておりますから、内容はちよつとわかりません。
○武藤委員長 主たる事業は何ですか。
○莊野證人 硫酸アンモニアとメタノールと硫酸、この三つです。
○武藤委員長 日本水素は、社長はどういう順序でかわつておるのですか。一番最初から……。
○莊野證人 一番最初は創立者である中野友鶴氏、それから矢崎摠治氏、長澤一夫氏、日野原節三氏、そうして私であります。
○武藤委員長 日野原氏が日本水素の重役になつて來たいきさつ、それから同時に社長になつたのですか。
○莊野證人 そうじやありません。
○武藤委員長 初め重役で入つて來て、それから後に社長になつたわけですね。
○莊野證人 はい。
○武藤委員長 そういうようないきさつを述べてみてください。
○莊野證人 特に日野原氏が取締役に就任しましたのは、日野原氏の前社長長澤氏から私聞いた話であります。私が水素の重役になつたときには、日野原氏はもうすでに重役でありました。二十年の五月だと思いますが、日野原氏が重役になつておる。私よりは半年か一年前に重役になつております。その事情はこういうふうに聞いております。前に戦争のためにメタノールに硫安がかわりましたとき、メタノールをやるということは肥料に関係がないのではないか、肥料に関係がないのならば、肥料の会社である日本肥料が何も半分以上の株を持つておる必要がない。だからその株を放出してしまえということが昭和十何年かにあつた。從つてその当時の長澤社長も退陣すべしというので、これはその当時海軍省――これには興業銀行も一枚加わつておつたと聞いておりますが、海軍省や興業銀行その他の台湾化学、台拓化学という会社がありましたが、それらの会社をしてかわらしめたらよいだろうというので長澤社長の退陣が問題になつたことがあります。そのときに長澤氏の祕書をしておりまして、長澤氏が非常に信用しておつた志摩英一という人があるのです。その志摩英一君が社長の秘書として非常に心配をいたして、家へ帰つて、たまたま志摩君の義兄である日野原氏に、こういうことで今会社が問題になつておる、社長の身辺はおかしいのだという話をしたら、日野原氏がそれは氣の毒だ、自分は興業銀行に知つた人もあるから、そういうむちやなことをさせないようにおれが骨を折ろうとこう言つて、先生がその志摩という祕書を通じて長澤社長に会つたのであります。そうして長澤社長もその好意を大いに多として、しからば一骨折ろう、そんなむちやなことをさせぬようにしよう、こういう話であつたので、ただ普通ではやりにくいだろう、うちの重役にしようというので重役にしたのだ、こう聞きました。但し結果は日野原氏の何らの霊力というのでなく、その当時の農林次官であつたか大臣であつたか井野碵哉氏や重政氏が海軍省と話合つて、そういうことをしなくて済んだ。何もメタノールをやつておるからといつて日本肥料が株を持つことはないじやないかということで話が解決して、結局においては日野原氏の何らの盡力を得なかつたが、霊力を得た目的も加わつて取締役にしたのだ、こういう話であります。私はその当時は全然局外の人間でありましたから存じません。こういうことでありました。それから日本肥料が戰後になつて株を持つておつても何だから、これはいいかげんに放したらどうかということを勧められておるために、株を放す氣になつおつた。たまたま日野原氏にやつてくれという話が興銀の側から日本肥料へ出た。それで賣る氣になつておつたので、日野原氏だからやらないということもできないから、これを日野原氏に護ることにしたというのが、日野原氏が社長に就任された後に、重政理事長から株を賣り渡した申し開きとして私にそういう話がありました。そういうふうに思つております。また日野原氏の前社長である長澤氏は、自分ももういつまでも社長でもあるまい。いつか後継者を求めて自分は退陣したいと思つておる。だからまあ今度は若い人でもあるし、自分より元素もあるから、日野原氏は自分の後継者として適当な人間と自分は考える、こういうことになつたからという説明が私にありました。
○武藤委員長 日野原氏は日本肥料から日本水素の株二十一万株を護り受けて、それで社長になつたわけですか。
○莊野證人 そうでございます。
○武藤委員長 その株を譲り受けるについては、日本肥料の理事長は重政氏であつて、株の譲渡について非常にあつせんをした。それからその資金も興銀から借りたいということをお聞きになつておりますか。
○莊野證人 買う金は日野原さんが興銀から融通を受けられたと聞いております。
○武藤委員長 二宮氏が何かそこであつせんをしたようなことは聞いておりませんか。
○莊野證人 二宮氏と名前を指しては聞いておりません。
○武藤委員長 株の譲渡などについて……。
○莊野證人 私は二宮さんじやなかろうかと想像はしておりましたが、その当時は聞いておりません。興銀からということ、だけは聞いております。
○武藤委員長 多分しかし二宮さんだろうと思う……。
○莊野證人 想像しておつたわけです。二宮さんだろうと思つておりました。
○武藤委員長 日野原氏が日本水素の社長になつて入れた重役、幹部職員と、それから昭和電工の社長になつて昭和電工に連れて行つた重役及び幹部、おもだつた者はだれですか。
○莊野證人 日野原氏が水素に入つて來まして、一番初めに連れて來たのは藤本忍、それから藤井孝、これは半年ほどしてから重役にしました。初めは経理部長として入りました。それから日野原氏が連れて來たのか、日野原氏が來てから採用した人が大分あります。片山という会計課長がおりました。それは翌年の一月です。それから博田という経理課長、これは後に水素の経理部長になりました。それから砂原という後に祕書になつた人、あれが庶務に入つておりました。それくらいのものと記憶しております。それくらいの人は連れて來た、またあちらへ連れて行つた。それ以外に水素に入つて來てそのまま残つておる人があります。それから元來水素の人であつたのを昭和に連れて行つた人もあります。
○武藤委員長 だれですか。
○莊野證人 吉田清彦、向うの総務部長、私どもの方の総務次長です。それを連れて行つた。それから佐藤という秘書、これはこちらの庶務をしておりました。それから齋藤辰雄君これは私の方の取締役をいたしておりました。それを向うに連れて行つておる。記憶しておるのはそれだけです。
○武藤委員長 日野原が日本水素の社長になつてからさつきお話の折合いの惡かつた興銀との折合がよくなつたとか、あるいはGHQに対する渉外関係がよくなつたということはございますか。
○莊野證人 それはあります。私も日野原氏の就任は興銀との関係をよくするものとしてむしろ反対を唱えなかつたものです。興銀はその後そういう反対はなくなりました。また渉外関係は私どもいなかにおつてはなはだ不得手なために、日野原氏の來られる少し前にGHQから非常に叱られました。工場視察に來て待遇も悪かつたかもしれませんし、いなか者としてはなはだ時世を知らなかつたためか、工場の施設が惡かつたためかわかりませんが、とにかく工場に対して非常に評判を悪くして、あるいは硫安の製造許可を取消されるのではないかというような脅威を感じたことがあります。昭和二十一年の秋ぐらいのときには非常にそれを感じました。
○武藤委員長 それが大分よくなつたわけですね。
○莊野證人 しよつちゆう叱られてはおりましたが、それがよくなりました。
○武藤委員長 どういうわけでそんなによくなつたのだろう。
○莊野證人 それは連絡もよかつたのでしようと思いますが、初めはGHQの考え方も日本水素は昔硫安をやつておるのでありますから、少し金をつぎこめばすぐに復活できると考えておつたようであります。実際工場を始めて見たところが、戦時中に硫安をやめてメタノール轉換中に、大部分を同業者に命令で譲渡させられた。それであつちこつちの高圧機械を東北肥料、あるいは東洋高圧の砂川工場という所にみな賣渡してしまつた。それで再轉換の許可が下りてやつてみるとあそこも直さなければならぬ、ここも新規につくらなければならぬというようなことで、そう簡單でないということが見えた。それでうそを言つておる、すぐにできるようなことを言つてできぬじやないかとアメリカの人は考えたのではなかろうかと思います。非常に落胆したというようなことを言われましたのですが、努力してやります。しからば十月までにやつてしまえ。それは五月だつたのですがとにかく一トンでもよいから硫安を十月までにやれというような不可能な命令を受けたのです。できませんと言えば取消されるから、やりますといつて出発した。それが十月にできませんでした。とても初めからできないのです。ついに十二月末まで日延べをした。努力をいたしましたが、十二月末にようやく硫酸の復活をみただけでありまして、硫安はできませんでした。それで今度は翌年の二月までもう二箇月日延べをしていただきまして、やつとむりをして五トンばかりの製品をつくりました。それでやつてきたのでありますが、やはりこれはむりな方法でしたからただちにまた修繕に入つてしまつた。それで今度は四月中につくれというので、一月日延べを許可を得ましたが、ついに五月に爆発しまして、六月までもう一月目延べをしてもらいまして、二十二年の六月一日からやつと製品ができましたが、それまでの間、この次できなければ技術者を全部とりかえろ、いや組織を変更しろというような厳重なことをしよつちゆう言われながら参りました。
○武藤委員長 日野原社長時代の渉外関係の担任者はだれか特別の人がおるんですか。
○莊野證人 おりませんでした。
○武藤委員長 通訳をするという人は。
○莊野證人 それは外部の人をお願いしておつたのです。
○武藤委員長 特にないのですね。
○莊野證人 ええ。嘱託的に一二お願いしておりましたが、それは外人が來たようなときお願いした程度でありまして、平素からいる人ではありませんでした。それで日野原さんが行きましてから、私が渉外関係の人を昨年の五月に採用いたしました。
○武藤委員長 日野原氏が日本水素の社長をやめて昭和電工の社長に就任した当時、何か日本水素の工場次長をしておつた齋藤辰雄という人を福島縣の本社から呼び寄せて、昭和電工社長就任の準備をさせたということがありますか。
○莊野證人 それはこういうことです。加里工業という会社が上田にあります。やはり日本肥料の子会社でありますが、私は当時その常務を兼任しておりましたが、重役兼任をしてはいけないという法令に從いまして、二十二年の一月か二月に辞任をいたしましたとき、たまたま加里工業という会社は整理にはいつておりました。從業員二百四五十名に全部やめていただいて、工場を閉鎖して競賣するという域に達しておりましたので、私としては手を抜くことができないのでありますが、法令がそう定めてある以上やるわけにいかぬので、それでは私に代つて整理の仕事をやつてもらわなければならぬというので、その当時水素の重役であつた齋藤辰雄君にその仕事を担当してもらつたのであります。從つて私は手が抜けておつたのでありましたが、三月の二十日前だつたと思います。日にちは十分に記憶いたしませんが、十五日か二十日ころの間に突然齋藤君に上京しろという日野原社長からの電話だつたか電報だつたかが参りました。それで加里の整理ができない。整理の担当者がおらぬというので困つたのでありますが、ほかの人を頼みまして加里の方をようやくあとの準備をして、二十四五日じやなかつたかと思いますが、私は齋藤君をいつ返してくれるかということで上京してきたわけであります。そうしたら日野原氏がそのときに、実は自分は昭和に行くことになりそうだ、齋藤君はもと昭和におつた技術者だ、昭和から日本肥料に來、日本肥料から水素にはいつて來た。齋藤君に聞けば昭和の事情がわかると思うので借用してるのだ、ちよつと簡單にお返しするわけにいかぬから、だれか代りを立ててくれと言われました。たぶん昭和電工へ日野原氏の入廷ときまつたので、齋藤君に昭和の事情を聞きたさに呼んだものと私は想像しております。
○武藤委員長 昭和の事情を聞くというだけですか。
○莊野證人 それはわからないです。
○武藤委員長 もつと深い意味があつたかどうかはわからないのですね。
○莊野證人 全然わかりません。私は結果的に聞いておつたのですからわかりません。
○武藤委員長 何かございますか。
○足立委員 復金から幾ら現在借りておりますか。
○莊野證人 復金からは現在は二つありまして、設備資金として九千何百万円であります。
○足立委員 その衝に当つたのは。
○莊野證人 それは傳田という私どもの経理部長です。その後現在経理部長をしております志摩、この両人でやつておつたのであります。
○足立委員 二人だけで……。
○莊野證人 ええ。
○足立委員 これに日野原氏は関係は……。
○莊野證人 日野原氏は復金の時代は日本水素の社長ではありません。復金は昨年の四月からできましたから、そのときは日野原氏は昭和電工の社長であります。
○足立委員 そうすると日野原氏の通訳として雇つた人の経歴は御存じありませんか。
○莊野證人 いろいろの人を雇つたというか、ちよいちよい外務省の人を頼んできたり、それから有賀という人がある。
○足立委員 それはどういう経歴の人ですか。
○莊野證人 それはやはり化学工業のような会社をやつておつた人で外國に行つておりましたが……。
○足立委員 どこの人ですか。
○莊野證人 東京の人です。現在その人は東京におるはずです。
○足立委員 それは昭電の方でずつと日野原氏の通訳として雇つた人ですか。
○莊野證人 昭和電工に行つてからも使つておつたかどうか、昭和電工には渉外部長がおりますが、私の方にはそういう人がおらなかつたためにいろいろな人を借りてきたのです。
○足立委員 特に日野原氏と関係のある通訳なんですよ。あなたから、日野原氏が來てからGHQとの関係がよくなつたという話がありましたから、通訳が必ずなくてはならぬですが……。
○莊野證人 それは有賀氏です。それから外務省の松田か松谷という人がおりました。それはよく進駐軍が來るときに通訳をしておりました。それから商工省の今度の問題でひつぱられておる津田君が英語をやられる。私の方は英語が技術面がないとやれない。それでだれでもというわけにはいかない。英語をしやべるだけではまずいので、津田君なんかは説明に関してはよく利用していたのであります。
○足立委員 そうすると、一番折衝に当つたのは有賀さんという人だろうという御想像ですね。
○莊野證人 津田氏、有賀氏ですね。
○足立委員 技術面は津田、一般のことは有賀と……。
○莊野證人 そう思います。
○武藤委員長 ほかにございませんか。場 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 では済みました。御苦労さまでした。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十三分散会