不当財産取引調査特別委員会 第5号
- 発言数
- 861 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/10/18
会議録
○鍛冶委員長代理 これより会議を開きます。 本日兵器処理に関する問題について証言のために出頭された証人の方々は吉積正雄さん、下村定さん、原守さん、保科善四郎さん、以上四人の方であります。 証言を求めまする前に各証人に一言申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追、または処罰を招くおそれのある事項またはこれらの者の恥辱に期すべき事項に関するときに限られ医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には何人も宣誓または証言を拒むことができないことになつております。しかして証人が正当の理由なかなか宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 では法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。起立の上宣誓書を御朗読を願いまして、御署名及び捺印を願います。 〔証人下村定君各記入を代表して宣誓〕 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○鍛冶委員長代理 それでは吉積さん、下村さん、原さん、保科さんの順序で承ることにいたしますから、吉積さん以外の方は御足労ですが、もう一遍もとの所でお待ちを願いたいと思います。 吉積さんですね。
○吉積證人 そうです。
○鍛冶委員長代理 証人は鈴木内閣及び東久邇内閣時代の陸軍軍務局長をしておいて、なりましたか。
○吉積證人 しておりました。
○鍛冶委員長代理 いつからいつまででありましたか。
○吉積證人 軍務局長をやつておつた時代であります。昭和二十年の四月から昭和二十年の十一月末までやつておりました。
○鍛冶委員長代理 その間ずつと軍務局長であられたのでありますか。
○吉積證人 はあ。
○鍛冶委員長代理 そこで大体でよろしゆうございますが、軍務局長としての仕事の内容をお話願いたいと思います。
○吉積證人 終戰までは陸軍の國防の大綱に関する事項、建制編成に関する事項、予算の大綱に関する事項、軍需動員の一般に関する事項、議会関係事項、國際條規に関する事項、あるいは外國派遣武官に関する事項、その他ありますが、今ちよつと記憶がございません。終戰後におきましては、これは陸軍省の官制がそのときの状態に合つておりませんので、必ずしもその官制通りには動きませんでした。
○鍛冶委員長代理 昭和二十年の四月から陸軍省部内で機構の改革があつて、何か整備局が廃止されたので、それが軍務局の戰備課となつたというような事実がありますか。
○吉積證人 あります。
○鍛冶委員長代理 大体どういうことでありますか。
○吉積證人 陸軍省内にありました整備局という一局をつぶしまして、その旧整備局の仕事の主力を戰備課というものにまとめて、それが軍務局内の一課になりました。なお旧整備課の一部の仕事は軍務課その他にわかれてはいりました。
○鍛冶委員長代理 そうすると軍務課はあなたの局内の仕事になつたわけでございますか。
○吉積證人 そうでございます。
○鍛冶委員長代理 そこで終戰当時における陸軍軍需物資の保有状況並びにどれくらいの数量がどこにあつたものかおわかむになりませんか。
○吉積證人 それは数量は今室に覚えておりませんですが、昨年だつたと思いますが、議会の方に報告してあります。なお最近も報告を出しました。
○鍛冶委員長代理 数量のことはあとにいたします効それじや大体の保有の状況等は。
○吉積證人 保有状況といいますことはどういうことでございますか。
○鍛冶委員長代理 現実にどういう所にあつて、だれがどういうふうにしておつたかということです。
○吉積證人 大体を申しますと、これは内地も外地も全部含んだものでございますか。
○鍛冶委員長代理 内地でよろしゆうございますが、あとでもし外地のものがこつち今來たようなことになります。れば説明願います。
○吉積證人 内地におきましては作戰軍の持つでいるもの、それから補給諸廠の持つてお。ますもの、それから官衙学校において持つておりますもの、こういうふうにわかれております。その中で一番大きな数量を持つておつたものはおそらく作戰軍であろうと思います。その次は補給諸廠が持つたもの、官衙学校はごく少いものしか持つていないというふうに見ております。
○鍛冶委員長代理 数量については全部こちらに報告が出ておりますか。
○吉積證人 兵器につきましては最近御報告を出しました。そのほかのものにつきましては昨年と思いましたが、御要求がありまして、表に刷つたものを差上げてあるはずであります。
○鍛冶委員長代理 それはどこで調べれば一番わかるのですか。そういうものはどういうところでまとめられることになつておりましたか。そういう統計なんかつくられるのは……。
○吉積證人 現在ではちよつと新しい統計を求めることは困難でございますが、それは大体において終戰直後に各軍あるいは補給諸廠、そういうところから資料を集めまして、なおそれを検討した上で、書いたものだと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 一つ所にまとめて統計ができておるわけではなかつたのですね。
○吉積證人 さようでございます。
○鍛冶委員長代理 それから実際所在の現況については、あなたの方でおわかりになりますですか、ただ数量の報告を聽いておるだけでありますか。
○吉積證人 一現況は直接陸軍省ではわかりかねます。
○鍛冶委員長代理 もし調べるとすれば、どういうことでやればわかることになりますか。
○吉積證人 現に保有しておりますものは、軍に聽かなければその数量及び位置はわかりません。その当時でありますれば、補給諸廠の持つておりますものは兵器行政本部を通じて聽く方法があります。学校官衙につきましては各々その所管廳がありますので、それを通じて聽けばわかるような仕組みになつております。
○鍛冶委員長代理 それは局はわかれておるわけではありませんでしようね。
○吉積證人 わかれております。
○鍛冶委員長代理 たとえば戰備局で聴けばわかるのじやないですか。
○吉積證人 たとえばお医者さんの方の医療関係でありますれば、これは事務的にはほんとうのこまかい点は医務局でなければはくわからない。着る方の衣料、食物、これは経理局であります。在ハ器事務にうきましては陸軍省内につきましては軍務局であります。但し見方をかえて、動員の軍需品ということ心なりますと、総括的のむのは兵務局であり、その個々のものを各局が大体握つておるというような、やや複雑なかつごうになつております。
○鍛冶委員長代理 そこで終戰になりましてから、終戰直後にそれらの物資について緊急処分ということをなされたようでありまするが、それについては証人は御関係になつたのでありますか。
○吉積證人 関係があります。
○鍛冶委員長代理 それではどういう処分をどういう手続でなされたものであるかを承りたい。
○吉積證人 その当時陸軍でとりました処置は、二十年の八月十七日に陸軍大臣の達を出しております。これは二十年の八月十四日の閣議決定に基いて出したものでありまして、内容を一々覚えておりませんが、軍が工事を管理しておりましたが、それをやめること、それから軍需生産をやめること。なお兵器以外の諸物品で国民生活等に必要なものは地方廳もしくは地方團体に拂下もしくは保管韓換してよろしいということ。その他ありますがい今ちよつと記憶を呼び起せません。こういうことにつきまして、命令を出してあります。ただし実施は別命することになつております。保管韓換及び拂下の実施は別命するということになつておつたように記憶しております。
○鍛冶委員長代理 今おつしやつた二十年八月十四日の通達並びに八月千七日の通達に関する写しはこちらにあるのでありまするが、この中でこういうことが書いてあります。「陸海軍は速やか、に國民生活安定のために寄與し、民心を把握し、もつて積極的に軍民離間の間隙を防止するため、軍保有資材及び物資等につき、隠密裡に緊急処分方措置す。」こう書いてあります。この隠密裡だけじやありませんが、この意味はどういう意味であつたかを承りたいのです。
○吉積證人 閣議決定の意味は私は存じません。ただそれてつきまして、陸軍のとりました処置は、お答えできます。
○鍛冶委員長代理 それでもよろしゆうございます。 あなたの方でこれに基いてどう処置すべきものと思われたか。
○吉積證人 その当時私が課員に示しましたことは、こういう閣議決定があつたという報告がありましたので、この厖大な組織をもつておる陸軍が隠密裡にやることはできない。從つて隠密裡にやるということは命令にかかわらぬようにせよ。公然とせよということを私は指示いたしました。私の考えはその当時隠密裡にはできないので、隠密裡にやらないという考えであります。
○鍛冶委員長代理 なぜ隠密裡にやらなければならぬということになつたのでしよう。
○吉積證人 その閣議決定は全然あらかじめの協議も何もありませんので、私の方ではそれを決定してからもらつたのでありましでわかりません。
○鍛冶委員長代理 そこであなたの方で、それについて緊急処分をなされた実際のことをお話し願いたい。
○吉積證人 実際のことと申しますと、それについてどういうような……。
○鍛冶委員長代理 この閣議決定に基いて、この通達を出されると同時に、どういう実施方法をとられたかということです。
○吉積證人 その陸軍大臣の達によつで処分したわけで承ります。何をどこにやれとか、どの数量の物をどこにやれというこまかいことは示してありません。
○鍛冶委員長代理 これはここに出てはありますが、相当長いもので、一々読み上げるわけにもいきませんけれども、これはこまかいからまた承ることにしますが、第一にそのときに兵器と兵器以外のものと区別をして処分をするようにとはお命じになつたのですか。
○吉積證人 そういうふうな具体的には聞いてないはずでありますが、その文句もはつきり覚えておりませんけれども、兵器は自動車類以外は多分渡さないようになつておつたかと思います。
○鍛冶委員長代理 それでは一々承つてまいりましようか、第一に書いてあるのは「飛行機、武器、弾薬、器材、被服、糧秣、需品、衛生材料、獣医資材等は散逸、隠匿、破壊することなく、現在のまま保管し、実情を調査整理しおくものとす。但し運輸、並びに國民生活に緊要なる一部軍需品は、関係官聽または民間團体に拂下ぐることを得、また地方自動車等にして徴発せるもの及び借上施設、物品等はその一部を旧保有主に返還することを得、原材料等についても右諸項に準ず」こうなつております。そこでまずわれわれとして承りたいのは、関係官職または民間團体に拂下ぐることができるという点でありまするが、これは何ですか、だれにも拂下げることができるので、またその拂下げられる相手方をどういうふうにやろうということであつたか、その点を承りたいと思います。場
○吉積證人 民間團体とか官職とかと申しまするのは、特定のものを含まないでただ抽象的に示したのでありまするが、その当時は拂下げる人間はその物を持つておるとごちの責任者でありまして、審下は部隊長までいくと思います。
○鍛冶委員長代理 部隊長まで拂下げる権限をもつておるわけですか。
○吉積證人 私はその当時のこ乏をよぐ覚えておりませんが、現在そういうふうに考えます。
○鍛冶委員長代理 それからその相手はその部隊長の任意でよろしいわけでありまするか。
○吉積證人 そうであります。
○鍛冶委員長代理 まあ官職といえば官職はこれは大体わかります。大小はありましようが、民間團体といいまするとどういうものを團体というのですか。
○吉積證人 それはあとでたしか通牒を出しまして、もつとこまかく通牒が出たわけでありますが、それは統制会みたいな統制團体に渡すのであつて、その他民間團体とも書いてあります。そこにも個人の利益を壟断させんようにせいということは注意書的に書かれて示したと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 これをちよつとお渡しします。あなたがお扱いになつたのだから、大体おわかりになるだろうと思いますから、その点を指摘してひとつ御説明願いたい。
○吉積證人 一番お終いに七というのがありますが、「拂下の対象は原則よして地方官廳、配給機関其の他民間團体等とし特に輸送及び國民生活確保に貧するものを優先とし個人に利益を壟断せしめざる如くするものとす」これであります。
○鍛冶委員長代理 そうするとこれだけの注意事項を加えただけであつてあとはこれを保管しておつた部隊長の権限に一任したわけですね。
○吉積證人 これはおのおの陸軍にはピラミツド型に指揮官、責任者がおりますので、それが逐次これによつてこれを具体化して下に示したものと考えておけます。たとえば軍司令官がこれに塞いでぱつと指令を出し、師園長はさらに具体的に示す。そうすると実行するのは部隊長であります。中間機関として自分の意思によつて、この範囲内によつて権限をもつた人がさらに規定をつくつて出すのが一般の例であります。
○鍛冶委員長代理 そこで先ほども承りましたが、ここに武器と書いてありますが、もの武器の中に俗にいう戰鬪用の大砲であるとか、戰車であるとか言われている武器、こういうものは含んでおつたのでありますか。
○吉積證人 武器の中には含んでおります。
○鍛冶委員長代理 すべてはいつているわけですか。
○吉積證人 陸軍で使いますところの武器というのには範囲がある。これは兵器書類がありまして、それに武器というものは何かということが並べてずつと書いてありまして、これを指したものと思います。抽象的に陸軍で武器と言えばこれだけのものがあると書いたものがある。その武器を指したものであります。
○鍛冶委員長代理 今おつしやるのは兵器の中の武器ということですか。
○吉積證人 兵器というと一般的、抽象的な言葉でありますが、武器というと具体的な言葉であります。もつと詳しく申し上げますと、鉄砲とか、大砲とか、劍とか、こういうものは武器であります。また穴を掘ります円匙というものがありますが、こういうものは器具、材料にはいりますので兵器ではあるが、武器とは普通考えていないのであります。
○鍛冶委員長代理 そうすると、兵器という言葉は武器より廣いものなんですね。兵器の中のあるものを武器とい夏ですね。
○吉積證人 さようでございます。
○鍛冶委員長代理 そうするとこの中には武器以外の兵器ははいつておらないのですか。
○吉積證人 飛行機武器、弾薬器材と書いてありますが、これで大体カヴアーされるわけであります。
○鍛冶委員長代理 全部含むわけですか。
○吉積證人 そうであります。
○鍛冶委員長代理 そうしますと、この処分を命ぜられたときに、軍工廠または軍需工場、軍需工場の子会社と書いてありますが、軍工廠のものはどういうことになりましたか。
○吉積證人 軍工廠のものも同じであります。
○鍛冶委員長代理 これは何か今のこの通達の中に書いてありますか。
○吉積證人 これは相手方を指しているのではありませんで、物を指しているのでありまして、たとえば飛行機をもつているもの、武器をもつているところは、これが航空隊であろうが、地上部隊であろうが、補給廠であろうが、全部にかかるものであります。
○鍛冶委員長代理 そうすると第二項に書いてあります軍需産業はただちに生産を中止とあるのは、これは今言う軍工廠吸び工廠以外の軍需工場、すべてを含むわけでありますか。
○吉積證人 さようでございます。
○鍛冶委員長代理 全部を中止したということになりますか。そこでこの通達の出る前であるか、出たときであるかは知りませんが、軍の関係書類を擁棄せよという命令が出たということを承ることがあるのですが、さような事実はあつたのですか。
○吉積證人 ありました。
○鍛冶委員長代理 それはどういうところから命令が出て、また実際どういうところで行われたかを承りたいと思います。
○吉積證人 これはその時代の陸軍大臣の阿南免大将が、その当時の高級副官に機密書類を燒くように命令せいというので、命令輩出したと聞いております。
○鍛冶委員長代理 どういう機関を経てどういう方面に……。
○吉積證人 陸軍省の副官から陸軍全般に通達されたと聞いております。
○鍛冶委員長代理 正式の命令ですか。
○吉積證人 そうです。
○鍛冶委員長代理 陸軍大臣の命令として、陸軍大臣から高級副官にそういうふうに話があつて出たのですか。
○吉積證人 機密書類の保管者は高級副官であります。それで高級副官がこれを起案して出したというふうに聞いております。
○鍛冶委員長代理 高級房官の名前で……。
○吉積證人 名前はおそらく高級副官の名前であろうと思いますが、それまではつきりしておりません。
○鍛冶委員長代理 どういう意味でそういうことをやられたか御存じありませんか。
○吉積證人 実際の意味は私聽いておりませんが、私の想像は、機密書類はもともと陸軍が全部必要のときは燒くということになつておりますので、その習慣で言われたのではないかと思います。
○鍛冶委員長代理 ところで今お出しになりました通達はその後取消をなされたそうですね。
○吉積證人 いたしました。
○鍛冶委員長代理 それはどういうわけで、いつどういう形でなされたのでありますか。
○吉積證人 この刷物の八枚目でありますか、二十年の八月二十八日に閣議決定がありまして、八月十四日の閣議決定を廃止するという意味の閣議決定がありました。これに基きまして軍需品等緊急処分変更に関する件という命令が出されたのだと思います。
○鍛冶委員長代理 陸機密第三八八号、陸機密電第八九号、これでありますか。これはどういうわけで出て、どういう意味のものであるかをできるだけ詳細に御説明願いたい。
○吉積證人 これは日にちははつきり覚えておりませんが、多分八月二十四日、五日ではなかつたかと思います。九月二日の降伏文書調印のときに派遣委員をたれにするかという会議というか、打合せが内閣にありまして、その席上でときの書記官長でありました緒方竹虎という方から、陸海軍の部隊が現地でいろいろ軍需品の横流しをやつているということを聞いておる、どうしてそんなことをやらしたのかという意味のお言葉がありました。これははつきりその言葉通りではありませんが、そういう意味のお言葉がありまして、これは閣議決定によつてやつておるのだというお答えをしたのです。そんならその閣議決定を見せてくれというお話がありまして、多分私はお見せしたと思います。それが一つであります。その後二十八日の閣議決定によつてとりやめたということを内閣から言うてきました。
○鍛冶委員長代理 あなたが緒方さんにそれを見せられたときには、緒方さんはほんとうに知らなかつたのですか。忘れておつたのですか。
○吉積證人 そこまで私にはわかりませんが、閣議決定があるのだということを私が申し上げましたこきに、そんな閣議決定は知らないということで、多分私がその閣議決定の写しをお見せしたのではないかというふうに記憶しております。
○鍛冶委員長代理 書記官長だから閣議で決定したことについては知らぬわけはないのだが……。
○吉積證人 緒方書記官長は東久彌宮内閣の書記官長でありまして、閣議決定したときの書記官長は迫水氏だつたと思います。
○鍛冶委員長代理 ああそうですか。そこでこれはあなたの方から前に通達したものに対して出されただけで、実施について特別の手段を盡したとかどうしたとかいうことはありませんですか。
○吉積證人 この命令で取消をしたわけであります。
○鍛冶委員長代理 そこでそれが済んでから九月二十四日附で連合軍最高司令官から覚書が出たということを聞いておりまするが、その点はいかがですか。
○吉積證人 その点は聞いております。
○鍛冶委員長代理 聞いておるだけですか。あなた方の方へもこういう覚書が出たからこれに基いて処置をせよというようなことは、何かあつたものじやないですか。
○吉積證人 こういう覚書によつて処置をせよというふうに言われたかどうか知りませんが、陸軍としてはその当時処置いたしました。
○鍛冶委員長代理 その覚書によつて……。
○吉積證人 覚書の趣旨によつて処置いたしました。
○鍛冶委員長代理 どんな趣旨のものでありますか。
○吉積證人 今の紙のその次の紙に陸普第一七七〇号「軍需品等の整理、引渡に関する件達」というのがあります。それと関連いたしますけれども、一番おしまいの紙でありますが、九月三十日に陸普第一九二二号「軍需品等の引渡等に関する細部指示の件」というのがあります。これが今の九月二十四日の連合軍の指令に基きましてその当時の陸軍がとりました細部の処置であります。さつき申しました陸普第一七七〇日号というのは、九月二十四日の指令が出ます際に、陸軍としては進駐軍に軍需品を引渡さなければなりませんので、それの大綱を示したものでありまして、今度はさらに、さつき申しました陸普第一九二二号というのは、またこれを内務省に引渡すということがわかりましたので、それの措置をこれに書いて「細部に関する件」というふうに出したわけであります。
○鍛冶委員長代理 覚書の内容は、別にここに載つておりませんか。
○吉積證人 覚書の内容は載つておりません。それに基いて現場の部隊が処置しなければならぬことをここに書いたのであります。
○鍛冶委員長代理 覚書の内容については御記憶があるでしよう。
○吉積證人 全部の内容については、相当長いものでありまして、記憶がございませんが、今私の記憶にありますのは、陸軍から連合軍に引渡した軍需品の中で、さらに日本にやるというのがある、その引受けは内務省だと書いてあつたと思います。それで、それを確実にやるようにというような意味が書いてあつたと思います。全部の詳しいことは、今頭に残つておりません。
○鍛冶委員長代理 その通達のあつたことはごらんになりましたでしようね。
○吉積證人 その通達は見ました。
○鍛冶委員長代理 ここに写しがありますが、大体こんなものでしたか。
○吉積證人 多分こんなものだつだと記憶いたしております。
○鍛冶委員長代理 そこでわれわれの最も聽きたいところは進駐軍に一應引渡しなさいまして、それから返還を受けられたことになるわけですね。
○吉積證人 はい。
○鍛冶委員長代理 その返還については、その覚書が來たのですが、引渡しをするときには、どういうことで引渡しをせられたのでしよう。
○吉積證人 引渡しの実施は、その当時第一、第二総軍というのがありまして、第一総軍は東京、第二総軍は廣島にありました。進駐軍は、第八軍が横浜に、第六軍だつたと思いますが、これは京都にありました。引渡の直接の折衝は、第一総軍とアメリカの第八軍、第二総軍とアメリカの第六軍が折衝して、さらに具体的に逐次下の現場の部隊ごとに折衝するというのが原則でありました。引渡します際にはリストをつくりまして、これをつけてアメリカ側に引渡す、さらにそれに余部を四部つくりまして、引渡したならば、それにアメリカ側のサインをもらつて、そうして一部はその引渡した部隊が引渡したという証拠に持つ——拂出ししますからその証拠に持つ。一部は順序を経て総軍司令官に出します。総軍司令官は全部の引渡しが終つたならば、これを陸軍省に報告するようにしてあります、他の二部は現場において、内務省の機関、おそらくこれは地方廳であつたろうと思いますが、それに二部を差出すというふうに、その措置をいたしたのであります。
○鍛冶委員長代理 それは進駐軍への引渡しでありますが、私まず聽いておるのは進駐軍へ引渡されたその手続ですが、アメリカへ渡すときも日本の地方廳へ出されるのですか。
○吉積證人 これはアメリカに渡します際にはリストをただアメリカに差出してこちらの控えにサインをしてもらうようにしてあります。実際はサインをしていただかないのが大分ありますが、サインをしてもらうのが規定であります。陸軍としてはそれで終りなのでありますが、さら応これを内務省が受取ることになつておりましたので、内務省とおそらく相談した人だろうと思います。内務省側の受取る人に同じリストの控えを二部交付するように陸軍省としては規定をしておつたのであります。
○鍛冶委員長代理 それは返還を受けたときではないのですか、両方聽きたいのですが——まず第二番に軍から進駐軍へ渡されたその手続を聽いておきます。
○吉積證人 それはさつき申しましたようにリストをつくつて、リストを出して現場にこういうふうにありますと説明をして、リストを添えて出します。その控えにサインをしてもらうようになつております。
○鍛冶委員長代理 それは現場々々でつくるのですか。それをまとめて総軍へくるわけですね。総軍からさらに陸軍省へこれ溶けのものを渡したという控えが來ているわけでありますか。
○吉積證人 そうであります。
○鍛冶委員長代理 その次は向うから返還を受けたときの手続について伺います。
○吉積證人 返還を受けます際には当時の陸軍が受けるのではありませんでと内務省が直接にもらうわけであります。ただおわかりにならぬだろうど、実際のやり方については時間が非常に少ぐありますので、兵器その他の軍需品が作職準備をしておつた関係上、廣範囲にしかも分散させてあります。その関係で一々現場で当ることが困難なので、進駐軍に出しますのと同じリストを二部余分につくつて、こういうふうに進駐軍に納めたのだということを内務省側の人、言い換えますと地方廳の方でございますが、二部差出すように規定をしております。返還は陸軍がもらうのではありません。
○鍛冶委員長代理 そうすると、実際はあなたの方から現場々々で進駐軍へ渡してサインをもらつて一應引渡しだことになりますね。
○吉積證人 そうです。
○鍛冶委員長代理 それからさらに返還を受けたときにはそれと同一のリストをつくつてそれを内務省へ進駐軍から渡されたのか。陸軍から渡されたのですか。
○吉積證人 進駐軍と内務省との関係は私はわがりません。陸軍としてはおそらく内務省はお困りになるだろうと考えて進駐軍に出したと同じリストのものを二部差上げただけであります。
○鍛冶委員長代理 それは皆その現場現場でやりたわけですか。
○吉積證人 そうでございます。
○鍛冶委員長代理 参陸軍としては返還については直接は責任を負つて書類をつくつたりしなかつたわけですか。
○吉積證人 進駐軍へ納めたらそれで陸軍の責任は切れますので、それからの先は陸軍は表向きは何ら関係はありません。
○鍛冶委員長代理 引渡しをせられたときのリストというものは、実際に陸軍へ皆集つてきちつとできているのですか、いかがですか。
○吉積證人 リストは今復員省にありますが、相当厖大なものでありまして、これを一々集計することが時間と人間の関係で非常に困難であります。
○鍛冶委員長代理 そのリストはいつ現在のものをもつて基準とされたものでしようが。
○吉積證人 それは渡しますときの……。
○鍛冶委員長代理 渡しますときというと、現実きよう渡したからきようというわけにいきますまいが……。
○吉積證人 リストをつくつて進駐軍に渡す準備をしておりますが、たとえば十月の初めに渡す分、十二月の初めに渡すものもありますが、食糧なんか食つていきますからなくなります。これはほんとうに渡すときに訂正をして出したのであります。
○鍛冶委員長代理 そうすると、渡すときの現在量ですね。渡す日を幾日ということできめたわけじやありませんか。
○吉積證人 渡すときの現在量を書いたのです。
○鍛冶委員長代理 そこでこの返還を受けたもののうち、特にわれわれの聽かんとするのは兵器であります。兵器に関してどういう処置をとられたか。直接の責任がなくとむ大体御承知だろうと思いますが、御承知の範囲を承りたい。返還を受けてそれから日本政府においてどういうやり方をしたか。
○吉積證人 これは私最近聞いたのでありますが、特殊物件処理委員会というものがありまして、その下に兵器処理委員会というものがあつて、それが射もに処置したと聞いております。それに対して陸軍との関係は、兵器処理委員会には陸軍の人間は出ておらなかつたと聞いております。しかしいろいろな兵器の数量とか位置とか、兵器のうちである程度補修改造を加えれば民間用に使えるというものはどういうふうな兵器があるのかということについて説明は数回したということを聞いております。
○鍛冶委員長代理 処理に対しては、ただ説明するだけであつて、直接に軍の方で関係した人はないですか。
○吉積證人 私の聞いておる範囲では、配分には関係してなかつたということを聞いております。ただ説明のために行つたということを聞いております。
○鍛冶委員長代理 あなたは特殊物件処理委員会の委員になつておられたんじやありませんか。
○吉積證人 委員であります。
○鍛冶委員長代理 そこではそういうことがよほど深く準備されるのじやありませんか。
○吉積證人 私まことに申訳ないですが、委員になつておることは事実ですが、委員会に出席したのは一回だけでありまして、自動車の配分に関して委員会があつたときに私は出たと思います。そのほかその当時陸軍は配分については関係ないという考えをもつておりましたので、特殊物件処理委員会はどういうふうな動きをしたか、それは私には頭に何も残つておりません。
○鍛冶委員長代理 あなたと一緒にあなたの下の方でも出たんじやありませんか。
○吉積證人 あるいは代理で出でおつたかもしれません。
○鍛冶委員長代理 代理が出たか覚えございませんか。
○吉積證人 出ておれば國武という人か、あるいは古川という人か。
○鍛冶委員長代理 それは何しておられる方ですか。
○吉積證人 陸軍省の軍事課の課員であります。
○鍛冶委員長代理 何かほかに委員の方でお聽きになることはございませんか。
○徳田委員 こまかいものだがひとつお聽きしたい。阿南陸軍大臣の高級副官の名前は御存じありませんか。
○吉積證人 美山要藏と申します。
○徳田委員 この人が軍の帳簿を燒却せよという命令を出したわけですね。
○吉積證人 軍の機密書類と私は聞いております。
○徳田委員 機密書類というと軍の作戰に関するものでありましようが、兵器や機材をもつておる帳簿、軍需品その他の帳簿、これが非常に大事でありまして、この命令でこれが燒かれておるんじやないでしようか。
○吉積證人 この命令が相当徹底しませんで、普通書類も全部燒いたわけであります。この命令がもとになつて、燒けと言わぬものまでも相当燒いたところもあります。
○徳田委員 兵器所有量並びに軍需品所有量は機密の書類ではない、これは國の財産でありますから、從つてこの財産の帳簿を燒いたということは、後においてこの書類に非常に障害を來さなければなりませんので、これは機密書類とは言えないと思いますが、どうでしようか。
○吉積證人 これは形式は機祕密書類であります。
○徳田委員 職事中はみな機密でありましようけれども、戰爭が済んで後に、これは作戰に使わないものでありますから、作戰は使う間は機密でありましようが、すでに作戰に使わなくなつているものは、これは國の財産でありますために、当然國有財産として処理しなければならない。だからこういうものを機密書類と称して燒くということになりますと、さてあとの処理はどうするか。
○吉積證人 これは実情を申し上げますが、二つはそれまでの陸軍の者は、機祕密書類と言えばすぐ頭に形式的に浮かんでくるものがあります。そのほかに敗戰という非常に大きな衝動を受けておりましたので、さつき申し上げましたように、機秘密書類でも何でもないものまでも燒いております。殊に経理上の書類まで一部燒いたものがあります。そういうふうに非常にトラブルが起きておりました関係上、あとでこれは燒いては非常に困るというものまでも、事実において燒いたものが一部あります。
○徳田委員 こういうものを燒いたために、非常に障害になつておるのですが、この燒いたものを八月二十八日に燒いてはいかぬ、取消すという命令が出ておるのではありませんか。
○吉積證人 それには燒くことについてまでは出しておらぬのです。注意はしたと思いますが、燒きまし先のは十四日の晩くらいから燒いておりますので、これは実際は通知を出しましたけれども、実情は通知を受ける前に燒いたところが相当あります。これはもう軍の習慣といたしまして、たとえば軍が重囲に陷るというときに終計機密書類を燒くとか、そういうくせから燒いたのだろうと思いますが、命令を出す前に燒いたと私は思います。
○徳田委員 もつともここでは重囲に陷つておると言えば重囲に陷つておるでしようけれども、軍全体が降服するのだから、もう重囲も何もないと思いますが……。
○吉積證人 ここのところは、私はその当時陸軍部内の頭が、そう百八十度には轉換していなかつたと思います。
○徳田委員 そうすると、放出しろというのが十七日々通達が行つてありますね。人民に必要なものは放出しろ、そして軍と民との隔離せられないように注意してやれという命令でありますね。これは十七日に出ておりますね。
○吉積證人 さようでございます。
○徳田委員 十七日にたしか出まして、実際実施せよという命令を出したのはいつでしようか。
○吉積證人 二十三日に出ております。
○徳田委員 これが実施命令ですね。
○吉積證人 はい。
○徳田委員 そうすると、こわから約十日前にすでに燒いてしまつたのですね。
○吉積證人 ちよつともう一回おつしやつてください。
○徳田委員 放出云、これを実施しろ、いわゆる格づけ全体は隠密だが、公然とやる。この命令が出たのは十七日で、これを実施せる日取りは二十三日でありますね。
○吉積證人 二十三日に実施しろという命令を出したのです。
○徳田委員 そうすると、実際はこのあとになるわけですね。実施しろという命令は二十三日でありますから、実施にあたつたのは、そのあとということになりますね。
○吉積證人 そうです。
○徳田委員 ところが帳簿を燒いたのは十四日だということになりますと、すでに実施したときには、帳簿もなし何もかもなしでやつたことになるわけでしようか。
○吉積證人 それは帳簿もない事態もあると思います。
○徳田委員 燒いて……。
○吉積證人 はい。それは実際を申しますと、実施命令は二十三日に出したのでありますけれども、一部の部隊ではその前に実施したとか、あるいは現場においてとられたというものも相当あります。そういうふうにこれはトラブルが起りておることは事実であります。
○徳田委員 そうすると放出に関しての処置はうこでは命令通り行われていないことになりますね。
○吉積證人 私は確認はしていませんが、当時噂に聞いたのでは、軍が放出をしているということでしたので、部の部隊がこの実施命令前にすでにやつたのではないかという疑問をもつております。
○徳田委員 あなたの方の命令ですと、ちやんと地方自治体、地方機関、それから民間團体と言いましてむ主として統制團体ということになつておりますから、統制團体ならそれぞれこれは政府の機関でありまして、実際の民間機関ではないわけですね。だからこうものに渡せ、放出しろということになりますと一般にばつといつて、これが隠退藏にはならないようにできているのではないでしようか。
○吉積證人 理屈はそうであります。
○徳田委員 しかし事実はそれに反してどんどん隠退藏をしたということになりますね。
○吉積證人 事実は、その当時私どもの聞いております範囲では、相当取られたというものがあります。
○徳田委員 武器に関してもそうですが。
○吉積證人 武器は大してないと思います。私が申しますのは、おもに衣糧関係であります。
○徳田委員 し着物ですね。
○吉積證人 着物と糧秣であります。
○徳田委員 それから藥はどうですか。言葉は衣糧と違いますが、藥はどうですか。
○吉積證人 藥もあつたと思いますが、藥の方は私は聞いておりません。
○徳田委員 そうすると、米だとか麦だとかいうものと着物類と、うことになりますね。
○吉積證人 それがおもだと思います。
○徳田委員 盗まれていつたのは……。
○吉積證人 はい。
○徳田委員 そうすると、武器はほかに放出せずに大体あるたわけですね。
○吉積證人 武器は保管轉換の範囲外になつておりました。だからほとんど渡しておらないと思います。
○徳田委員 原簿は燒かれても、実際はあつたわけですね。
○吉積證人 さようであります。
○徳田委員 そうすると、ここでお尋ねしたいのは、終戰時陸軍保有兵器調査表というものがあつて、あなたの方から出しています引揚援護廳復員局のこの書類を見ますと、これは八月三十一日現在となつておりますが、八月三十一日現在で総計をこしらえたわけですか。八月三十一日現在の調査表、こういうのはすべて終了の計、総計が全部出ておりますが、これは八月三十一日現在ですね。
○吉積證人 さようでございます。
○徳田委員 そうすると、八月三十一日現在ですと、すでに帳簿は燒けておりますので、あなたの方としてはこれをどういう方法でお調べになりましたか。
○吉積證人 これは兵器行政本部、航空本部、それと現地から報告をさせました。人をよこしたところもありますし、書類がきたところもありますが、現地がら集めて、それを大体検討してつくつたものであります。これは降伏文書によつてアメリカ側に書類を出さなければならぬだろうというようなことを予期して、八月三十一日現在のものを間に合うように努力したのであります。
○徳田委員 そうすると、これは兵器が散逸しないとしますと、大体これで終戰時のものと言うことはできるわけですね。
○吉積證人 これは私こまかく明瞭には申されませんが、大体においては、終戰時にあつたものが八月三十一日の数より大きな差はないというふうに私は見ております。
○徳田委員 それではお尋ね申しますが、その渡したときにそれぞれリストを作成して、このリストが陸軍省にみんな集まつていると言われますけれども、このリストの計算とこれとは合うわけですね。
○吉積證人 理屈は合わなければなりません。しかしまだ合わしたことはありませんので、私何とも申し上げかねます。
○徳田委員 そうすると事実大分相違しますので、実は困るのです。兵器処理委員会がいくら受取つたか、お前の六はリストをとつたのだろう、そのリストトと合わしてとつたに違いがいくらかと言いますと、いや、それはわからないとこう言う。リストなんか受取つた覚えはないと言いますが、あなたの方であなたの方でこれだけリストをこしらえて、また各現地で引渡しのリストがあれば、この引渡しのリストは当然兵器処理委員会に渡して処置しなければならぬし、殊に地方聽ではこのリストが二通あると申しますから、この二通のうちで、兵器処理委員会に渡すときに、すつかり調査してでないと渡しておらぬというのですが、そうでなしに、兵器処理委員会は全然リストなんか知らぬ、その場その場でとつてきたというのです。そうするとこれはよほどおかしいですね。
○吉積證人 私は現場におきましては二通渡しておると思つております。現場ごとに二通は地方聽の受取りに行つた人に渡している。しかもこれはその規定に書いてありますが、引渡後における内務省系統の保管、監視等に遺憾なからしむるために、事前において軍需品の品種、数量、位置及び取扱上注意すべき事項院——これは非常に危險なものです。取扱上注意すべき事項、現在における監視人員等に関し、つとめて、現地につきおおむね十月四日までに地方廳係官に説明するものとす。これは一遍に出してもなかなかわからぬので、あらかじめ地方廳の人にここにこういうふうにあるのだということを言つておけ、そうしてリストは進駐軍に渡すときに二通渡すというのです。
○徳田委員 そうすると、きわめて親切にやられているのですが、この兵器のリストは兵器処理委員会に渡すときには。このリストによつてやはり立会つて渡しているかどうかわかりませんが、渡すべき性質のものですね。
○吉積證人 兵器処理委員会には各部隊のリストは渡してないと思います。
○徳田委員 とにかく各部隊のリストが各地方廳にありますから、兵器処理委員会の構成というとこちに書いてありますが、内務省各府縣から兵器処理委員会に來るわけであります。ですからこの内務省が兵器処理委員会に渡すというのは、このリストをちやんと示して、これによりて渡すべき性質のもので、あなたの方ではそういうふうにすることを大体予定しでやつたものと思やますが、どうではうか。
○吉積證人 私はその当時それまで予定してはおりませんが、今おつしやればそういうようなことを考えてやつたのだろうと思います。そのときはつきり意識はしておりません。ただ御説明申し上げましたのは、今お持ちになつている書類、その内容について、昨年は兵器以外の数量を議会に出したのですが、その数量は大体やおいで兵器処理委員会においては説明したのだということは問いでおります。
○徳田委員 それはわかつております。実は兵器処理委員会は実際はリストがないという、ことに間違いがあつて、ここに大どろぼうをずるたくらみのキー・ポイントがあると私は考えております。そこでお尋ね申しますが、この各部隊から得たリストは非常に膨大なものだというお話でありましたが、これを國会にそのまま提出するわけにいきませんでしようか。
○吉積證人 これは私今はつきりお答えできません。それは今復員局で持つている書類は、勝手に所持できないことになつておりますので、一應研究した上でお答えいたします。
○徳田委員 そうするとそのリストを写すことはいいでしようか。なぜかと申しますと、各地方廳にはあるはずでありますが、各地方廳はこれを出しておらぬ。そういうものはないと言う。内務省などのものを調べましても、いやそそなことはさつぱり心当てがないと言つておりますので、あなたの御供述で非常にはつきりわかりまして、私としてはこの問題を解決する大きなキー・ポイントを握つたと実は考えているのであります。そこで内務省の方でないないと言つているものがあなたの方にあればこれがすべてを解決するもとになりますから、ぜひともこのリストを出していただきたいと思います。もし出すことが不可能でしたらわれわれの方から行つて写すことが必要だろうと思いますがうどうでしようか。
○吉積證人 差し上げることはできるかどうか——お写しになるのは構わないと思います。
○徳田委員 ではこれは写しましよう。
○鍛冶委員長代理 それはどこにあつて、どういう手続をすれば、写しをいただくなり、またこつちから行つて写すなりできるのでしようか。
○吉積證人 あるのは復員局であります。
○鍛冶委員長代理 どういう手続をすればいいのですか。
○吉積證人 今ちよつと申し上げられません。
○鍛冶委員長代理 それではまたあとで……。
○徳田委員 もう一つお尋ねしたい。ここに兵器処理委員会のいきさつというのが書いてあります。この出ておる書類によると兵器処理委員会の委員長は内閣副書記官長で、その委員は内閣審議室となつておりますが、このうちであなたの方では陸海軍の方が出ておられぬというお話ですけれども、この方に復員廳第一復員局総務部長、同部総務課長が委員に出ておりますが、これはどういうわけでしようか。第二復員局も出ております。
○吉積證人 私はそれは記憶がありません。
○徳田委員 ないでしようけれども、この図解によつて明らかなるごとく、兵器処理委員会に内務省から渡された兵器は特殊物件中の一部として、いわゆる廃兵器であつた。ちなみに中央特殊物件処理委員会の構成は次の通りであつたとなつておりますが……。
○吉積證人 兵器処理委員会は出ております。
○徳田委員 兵器処理委員会を監督するものです。兵器処理委員会というのは会社でこしらえているものですから、中央に特殊物件処理委員会としてできておりまして、これがすべてを監督することになつておりますが、その中に復員廳の第一復員局、第二復員局の総務部長並びに総務課長が出ることになつておりますか。
○吉積證人 それはさつき申しました私は特殊物件処理委員会のもともとできたときには委員でありまして、それで、二十年十二月一日に陸軍省がなくなりまして復員省というものができました。そのときに私は総務局長になつたのでありますが、それがそのまま総務局長であつたのかどうか、委員であつたかどうかということははつきりいたしません。その後、部長といいますとずつとあとであります。
○徳田委員 そうすると、あなたは総務部長ではなかつたのですか。
○吉積證人 総務部長ではなく、総務局長をやつておりました。
○徳田委員 そうすると、総務局長のもとに総務部長があつたのですか。
○吉積證人 復員省には総務局長というものがありました。それから、その復員省が解体いたしまして復員廳、それから復員局というように、だんだん小さくなりまして、局制が部制になりまして、総務部長というものができました。
○徳田委員 そうすると、この総務部長時代には、総務部長並びに総務課長というのはたれでございましようか。
○吉積證人 それはいつごろでありましようか。
○徳田委員 昭和二十年十月上旬となつております。
○吉積證人 十月はまだ陸軍省がありましたので、そんな名前はないはずであります。
○徳田委員 そうすると二十二年ですか。二十二年のは御存じでしようか。昨年の九月……。
○吉積證人 昨年九月ならば、部長というのは荒尾という人であります。それから課長は高山という人です。
○徳田委員 それから、特殊物件に対しての内務省内にあつた監督機関でありますが、これには引揚援護院というのが関係しておりますが、これはあなたの方では御存じないのですか。
○吉積證人 もう一度どうぞ。
○徳田委員 内務省に二十二年九月二十五日に特殊物件委員会ができでおる。その委員会の中に引揚援護院が委員を出しておることになつております。これは御存じないのですか。
○吉積證人 よくわかりませんが、おそらく私の想像では現在の引揚援護廳のことではないかと思います。前に引揚援護院となつておりました。
○徳田委員 援護院の中に復員局があるわけですか。やはりこれは陸軍が関歴ていないのですか。
○吉積證人 引揚援護廳の中に復員局がはいりましたのは今年の四月だつたと思います。昨年の暮に厚生省内の局になりまして今年の四月に引揚援護廳の一局になつたのであります。
○徳田委員 その当時は内務省には関係ないのですね。
○吉積證人 関係あるかないかはつきりいたしませんが、今おつしやいました援護院ということについては関係ないと思います。
○徳田委員 援護院には関係ないのでずね。大体兵器全体の量についてはここに個々の兵器の種別によりまして計を出しておりますが、これの大体の十ン数はわかりませんか。大体どのくらいのトン数があつたろうということはわかりませんか。
○吉積證人 これは今計算ができない状態になつております。
○徳田委員 およその見当はわからないです。
○吉積證人 私はこの間からトン数を、こつちから大体お調べになりましたので調べてみたのでありますが、鉄砲なら鉄砲の專門家は知つておると思います。鉄砲の專門家は一挺にどのくらいあるかということがわかりますが、それを全部にわたつてやるには一人や二人の人ではとてもわからぬと思います。燒きました書類の中のこまかいものを書いたのを見ればわかると思いますが、そのものが今残つておりませんので、鉄砲一つについて木材がどのくらいあつて、鉄がどのくらいあるか、基準の数字がわかりません。今やれば記録をとつてやらなければならぬ。記録をとりますには、專門家を相当数連れてこないとその見当はつかないと思います。
○徳田委員 その專門家を集めてこれの全体のトン数を調べるということは、あなたの方でできないですか。
○吉積證人 これははなはだ申し上げかねますけれども、今は私の方では命令権をもつておりませんので、來ていただきたいということだけで、なかなか集まりが惡うございます。これは相当廣い範囲集めなければならぬと思います。
○徳田委員 それらの專門家の人々の大体のリストはあなたの方でわかりませんか。
○吉積證人 調べればわかると思います。
○徳田委員 これは調べて提出していただくわけにはいかないですか。
○吉積證人 しかしそれは私だけの想像でありまして、その人を喚んだら必ず知つていると言えるかどうかわかりませんが……。
○徳田委員 しかし大体の想像でもやつていただきませんと、この総量について非常に疑問があるのです。たとえば千五百万トンあつたろうと推定されておる向きもあるし、いや七百万トンくらいだろうといづ措定もある。わが党が相当專門家を集めてやつたところでは、大体五百万トンだろうという想像をしております。これはいろいろの方面からやつかいな計算をして大体推定したのでありますが、そういうふうにまちまちになつておりますと、非常にやりにくいのです。いずれが正しいがということをやはりでき得る限りひとつ嚴密に調べてみたい。そうしませんと、この御題は解決されず、從つて兵器処理委画会はただ犯罪をこしらえるというだけに過ぎないのであつて、実際これのあり場所をすつかり捜査して、これを國民のために國の財産として使うということが非常に困難な事態に陷つておるわけであります。そこのところはあなた方としましても古い責任もあるわけでありますから、ぜひひとつ眞相をはつきりさせる手続だけは教えていただきたい。そうすれば、あなた方は今権限はないでしようから、当委員会、國会が働きまして、いろいろの人を呼び出して、鑑定をしてもらつて、当時の物の総計をひとつやつてみたいと思います。ただこれだけでば、これは各品種の総計でありますから、このうち鉄がどれくらいのトン数があるか、鉛はどれくらいか、アルミニユームはどれくらいかということが、これだけ見たんではちつともわからぬ。しかし、これは屑になつておりますから、從つてトン数が必要である。実は兵器処理委員会からいろいろトン数は出してきてあります。上鋼がいくら、雜な鋼がいくら、アルミニユーム系統がいくらというように出してきてありますが、非常に疑問がありますので、それでお尋ねをし、調べてみたいのであります。その調べる基礎的なものをあなたの方から、想像でもいい、ひとつ出していただきたい。
○吉積證人 御希望に副うものができるかどうかわかりませんが、努力はいたします。
○徳田委員 それじやお願いいたします。
○明禮委員 八月十四日の閣議決定によりますと、例示の第二号に「兵器以外の」という言葉が使つてありますから、この緊急放出においては兵器が除かれておるのだということは一應了解がつくのでありますが、今証人がお話になりました陸機密三六三号の軍需品、軍需工場等の処理に関する件、八月十七日の達、この達によりますと、一号に、飛行機、武器、彈薬、器材、被服、糧秣というように書いてありまして、こういう物は、「現在の儘保管し実情を調査整理し置てものとす」、と書いてある。今の除外した趣旨に從つて、ここに列記してあるような物は保管されておつたものと認められるのであります。しかしながらここに列記してあるような物の中には、たとえば兵器に属するものの、油ドラム罐、あるいは原材料——原材料も二〇%以上加工を加えた物はすべて兵器になつておるような処分の取扱を受けるわけでありますから、そうしますと、八月十四日の閣議決定は兵器を除外してあるが、ここの八月十七日の陸軍大臣の達によりますと、兵器に属するものに包含されておる物がここで脱漏されてるのじやないかと思うのですが、いかがですか。「現在の儘保管し実情を調査整理し置くものとす」と書いてありますけれどもここに書いてある範囲のものではやは七兵器に属するものがここにはいつていないで、自由に緊急搬出に用いられたものがありはしないかと患われるのでありますが、いかがでございますか。
○吉積證人 それは確かに飛行機、武器、揮藥云々と書いてあります川これは陸軍といたしましては軍需品の全部であります。これを逸散しないように整理しておけ。第二項はそのうちのこういうものは拂下をしてもいいのだ。原材料については第一項、第二項に準ずるのだというので大体包含されているのだと解釈されます。
○明禮委員 では戰車はどこにはいりますか。
○吉積證人 武器の中にはいります。
○明禮委員 武器の中に入れているのですか。油のようなものははいつていないのですか。原材料も二〇%以上加工したものはやはり丘器の中に取扱われているわけですか。
○吉積證人 半製品のごときものはそうこまかいことはこれには指示してありません。ごく大綱を指示してあるのでありまして、それは陸軍におきましては兵器行政本部関係が多いのでありまじて、そこのところが処理するのでありまして、間違いは起つてないと私は考えておりますむ
○明禮委員 それは処理するところはあるかもれませんが、全國的にこういう達が出て、そして二十三日に指示し、三十一日までにやつてしまうということになつている以上は、やはり現在から言いますと、兵器が問題になつているからお尋ねするのですが、兵器処理委員会においてこの兵器とはどういうものだというその範囲が書いてある。そういう範囲の中にあるものはしつかり当局で握つておられたものではない。あなたを責めるわけではありませんけれども、その当時のやり方としては相当逸脱せられているものがあつた。こういう書類によると間隙があつたのではないか、あなたの御意見を承りたい。
○吉積證人 はなはだ恐縮でございますが、お問いになることをもう少し詳しく……。
○明禮委員 つまり八月十四日の閣議決定において緊急処分を許したものは兵器を除いている。ところがこの陸軍大臣の八月十七日達の中から見ますれば、これだけのものは現在のまま保管して調査しておけというものでありますが、これがいわゆる私どものいう兵器の中に全部含まれでおらないのですか。
○吉積證人 第一項に含まれております。
○明禮委員 どうでしようか、ドラム罐のようなものは……油ですね。
○吉積證人 これは一番しまいに獣医資材等という等の中にはいつでいるのではありませんか。
○明禮委員 原材料はどこでやるのですか。
○吉積證人 原材料は補給廠か兵器行政本部でありますので、この命令をもらいましたならば、これに基いて兵器行政本部独得の命令をまた出すわけであります。これは一般の命令でありまして、軍司令官は軍司令官の自分で管理しているものについてのいろいろな必要な命令を出します。從つて軍司令官の出す命令と丘へ器行政本部の出す命令と全然違つたものがあります。対象が違いますから……。
○明禮委員 その兵器処理で兵器行政本部でそれをやつておりましようか。
○吉積證人 それをやらなければ兵器行政本部関係は動かぬと思います。
○明禮委員 今徳田委員からも質問されたのでありますが、私どもは要するにトン数がどのくろいあるかということを知りたいのです。相当日時も経つておりますから、その当時のことをいろいろ調査してみると、盗まれたものもたくさんあるというふうに見ておるのですが、私ども千五百万トンはあるかどうかということも確かな数字を握つておりませんから言い切れませんけれども、これと反対に兵器処理委員会で処理したのが百二十八万トンですか、百二十八万トンではあまりに少いのではないかと私どもは考える。そこであなた方陸軍——これは海軍も含んでおりますが、あなた方はこれをどうお考えになりましようか。そういう点はおわかりになりませんか。
○吉積證人 私はその方には全然素人でありまして、見当がつきません。
○明禮委員 もう一つは、先ほどリストということでありましたが、これは和歌山縣分が建設総務局から報告されておるのでありますが、廃兵器処理の引渡じ状況の調書によりますと、軍の方から連合軍の方へ引渡しましたリストには、名前は書いてありましても空欄が相当多い。そして連合軍の方から引渡しを受けた数量というところには数量がはいつておる。從つて連合軍の方へ引渡した数量は全然わからないで、渡してそして受取つだときだけわかつておるような報告である。どこのものでも大抵そういうような報告をしておる。これはどういうわけでそういうふうになつたのか、あなたがリストをつくらしたとさつきもおつしやいましたが、その時分にはこういうことになつておつたのでありましようか。
○吉積證人 現場の実情は私は存じておりません。
○明禮委員 放出は公然とやれということであつたが、実際は隠密裡に相当行われでおつたという事実はお知りですか。
○吉積證人 私の方では隠密裡にやつだようなことはありません。
○明禮委員 公然とやらしたわけですか。
○吉積證人 そうです。
○明禮委員 一体これは特殊物件なんでありますが、全部含めてトン数あるいは全部の特殊物件の拂下がどのくらいあつたかという特殊物件としてのお取扱はおわかりになりませんか。
○吉積證人 今わかりません。
○明禮委員 それから先ほどの陸報第一七七〇号と一七七一号というこの指令はどの辺まで徹底したでしようか。出された先はどこになつておりましようか。
○吉積證人 これは一番終いの通牒(電)先第一第二航空各総軍、内地各軍管区、各軍需動員部隊、船舶、内地鉄道、憲兵司令部、参謀本部、教育総監、これだけに出しております。
○明禮委員 これは内務省の方へも來ているのですか。内務省の方はその当時どうですか。
○吉積證人 内務省には出しております。
○明禮委員 内務省には來ておりますね。 それからもう一つ伺いたいのはこの緊急放出物資を提出示しましてからのちに、復員軍人の職業補導会というようなものにも、やはり拂下をしてもいいというような命令が行つておるとかすかに聞いておりますが、そういことはあつたのですか。
○吉積證人 職業補導会にできるだけやつてもらいたいという希望はもつておりましたが、命令を出したのちに出したという記憶は今ありません。
○明禮委員 なるたけやつてもらいたいというのは、復員軍人職業補導会というものだけですか、まだほかにありますが。
○吉積證人 あるかもしれませんが、私の方はその当時陸海軍軍人を何とか食えるようにしたいという考えであつたから、その補導会の方に少しは物資が融通できるようにしてもらいたいという希望はもつておりました。
○明禮委員 命令は出さなかつたのですか。
○吉積證人 命令を出したという覚えは今ありません。
○辻委員 終戰時におきまする陸軍の軍需物資の保有量につきましては委員会の方へ出ておるそうでありますが、私まだ怠慢で見ておりませんが、先ほどの徳田委員からの御質問のお答えによつても明らかなように、このお出しいただいておりまする経験時における軍需物資の保有量、進駐軍へ、引渡して、そのリストを総軍司令官の手もとで集計したものが現在復員局にあると言われまするその数量とは原則的には理屈上はとにかく一致しなければならぬ。これは私もそう思いまするが、おそらくこの数量の間には相当開きがあると思う。その開きはつまり終戰時がら緊急放出の命令なんかも出たような関係で、引渡し完了までの間におきまして、その軍需物資なるものが、あるいは盗難にかかるとか、その他の原因で散逸しあるいは隠匿されておる分量、そういうふうに解釈していいと思いますがいかがでございますか。つまり復員局にありまするリストの数量と終戰時の軍需物資の保有量の差額というものは、つまりその間において隠匿され散逸された、いわゆる單放出物資の隠匿物資、こういうふうに解釈すべきだと思いますが、いかがでございましようか。
○吉積證人 理屈は一應そうでありますが、それが必ずしもそうかどうかは私ちよつと疑問であります。
○辻委員 疑問があると言うと、どういうところに疑問が出るのでありますか。
○吉積證人 八月三十一日現在という今出してあります書類は、八月三十一日で帳簿を燒いたものもありますから、数字そのものに若干推定の入つたものもあります。それからほんとうに、進駐軍に渡します際に書いたものはほぼ確実だと思いまするけれども、その中でも落ちておるものもあろうと惑いますし、若干の誤記なんかもあろうと思います。そういう点においては数学的にその差額はどうというふうにははつきり言えないと思いますが、大体においてはそういうふうにお考えになつて差支えないと思います。
○辻委員 そうしますと正確にはそういう理由で合わないにいたしましても、その開きはそう多くないはずだということになりますが、そうすると現在復員局にありまする帳簿の写し雇いただき、それを計算差引きして、その差額が相当多いということは、その大部分はその間において散逸し隠匿ざれたものだ、こういうふうに解釈できるわけですか。
○吉積證人 それはそうできると思います。
○辻委員 そうすると復員局に現在保管されておりますリストの集計の計算單位は、やはり大体お出しいただいたような形式になつておりましようか。
○吉積證人 そうじやありません。各部隊ごとに出してきたものをただ集計したものがそのまま出できております。
○辻委員 ですからトン数とかいうことでなしに数量になつておりましよう。それを拾い集めてみますれば大体計算は單位が同じになつておりましよう。
○吉積證人 はあ。
○辻委員 そうしますとそれを集計すればわかるわけですね。そこで特に兵器におきましては、ああした緊急命令にも、いわゆる特に大切な軍需資材、兵器を初めとして、そうしたものはそのまま保管せよということになつております。現実においてもそういうもの以あまり持ち出したことはないどおつしやいましたわけでありますから、そうしますと、いずれ復員局にありまするリストも見せてはいただきますが、現在私の方にいただいておりまする軍需物資の保有量の中の兵器の数量は、その数量のうちで引渡しをいたしまして向うから返還されたものは、その大部分でありましようか。ほとんど全部が、つまり国民生活の安定復興のためというわけで進駐軍から返してくれたもの、こういうふうに御解釈になつておりますか、その辺の事情はいかがでありましようか。
○吉積證人 何とも申しかねます。わかりませんが、話に聞いたところでは飛行機のごときは初めからどんどん燒いたところがある。ゴム製品の防毒面、これも相当進駐軍で燒いたところもあります。從つてそういうふうなところでは相当渡したものと、こつちから進駐軍に引継いでもらつたものと大分差があるじやないかと思います。しかし大体の観念においては、私などの常識では向うに出しましたものはそのままもらつたというのが現実であつて、中にいろいろそうでないものもあるやに聞いております。
○辻委員 そういたしますと、そういう特殊なものを除けば大体引渡したものはそのまま返つておるというわけでございますね。
○吉積證人 弾藥はほとんど返つておらぬと思います。
○辻委員 それはわかりますが、どういうものが返つておらぬかということは……。
○吉積證人 私の方ではわからないが、内務省ではわかると思います。
○辻委員 ところが内務省には、この返還を受ける便宜のためにというのでわざわざリストを送つておりましたが、向うではそうしたリストがなく、計算單位が「トン」になつているわけでありますが、はたしてリストがなかつたか、照し合わせなかつたかどうか知りませんが、そこがむずかしいことになつておりまして、片方は数量、片方は「トン数」ということになつておりまして、そこがわかりにくいわけであります。現在復員局にありますリストによりまして、そういう特殊の返らなかつたものを差引きましてあとの数量を出しますれば、それが大体向うから返還されたものである。こういうように少くとも数量の面においては解釈することが出來ると思いますが……。
○吉積證人 大勢観察においてはそうたと思います。
○辻委員 そうしますと数量は技術的に容易ならぬ問題だと思います。数量を重量に換算すれば、つまり向うから返還されたというはつきりした量が出てくるだろうと思いますが、その辺はとうお考えになりますか。
○吉積證人 私もそう考えます。
○徳田委員 ちよつとお尋ねいたしますが、終戰時の憲兵の数はどのくらいありましたか。
○吉積證人 憲兵数だけ切離しては覚えておりません。
○徳田委員 ずいぶん多かつたじやないですか。
○吉積證人 多いとおつしやいますのは——補助憲兵はたくさんおつた。
○徳田委員 それも全部入れて……。
○吉積證人 数はわかりませんが、補助憲兵を入れれば万という数は突破しておつた。
○徳田委員 十五、六万くらい。
○吉積證人 そんなにはないと思います。
○徳田委員 何万くらい。
○吉積證人 私記憶はありません。
○徳田委員 調べはつきますか。
○吉積證人 調べたらあるいはわかるかと思いますが、正式の憲兵ですか、補助憲兵ですか。
○徳田委員 本当から言えば將校も入れたいのですが、補助も全部……。
○吉積證人 終戰前の憲兵は補助憲兵はあまりおらない。進駐軍が進駐の際に事故が起つてはいけない。憲兵の兵力が足らないということで補助憲兵は相当使つた。
○徳田委員 それはピストルを持つているわけですね。
○吉積證人 ピストルは持つておりません。補助憲兵は鉄砲であります。
○徳田委員 將校はどうです、ピストルを持つておりますか。
○吉積證人 將校は私物のピストルを持つている。
○徳田委員 私物といつても持つわけにいかないから兵器に入れるわけですが。
○吉積證人 將校の拳銃は自分のものであります。
○徳田委員 しかしそれは所持しているわけにいかないのではありませんか。
○吉積證人 これは全部納めました。
○徳田委員 あなたの方で政府に納めたのですか。
○吉積證人 アメリカの方に返納しました。
○徳田委員 それらの数はわからないのでしようか。
○吉積證人 拳銃編成表というものがありまして、それにこういう者は拳銃をもつということが書いてある。その編成表を全部燒きましたから、今ではちよつとわからぬと思いますが、この拳銃を持つという者でも、拳銃の製造が足りませんで、拳銃の代りに鉄砲を持たした者が相当あります。ですからほんとうの拳銃をだれが持つたかということは、わかりかねると思います。
○徳田委員 それではお尋ねいたしますが、兵器行政本部長、またはその本部長以外でも、この兵器行政本部の内情を知つている人間はおわかりでないですか。終戰当時……。
○吉積證人 兵器行政本部長の名前は知つておりますが、各部長の名前は覚えておりません。
○徳田委員 その本部長は何というのですか。
○吉積證人 兵器行政本部長は菅晴次です。
○徳田委員 その人を喚んで書類を持つてきてもらうと、兵器のいろいろの点はわかりますね。数量だの何だの……。
○吉積證人 それがさつき申しましたように、菅という兵器行政本部長は、全般の統轄はやつておりますけれども、鉄砲の持つている鉄の量がいくらある。それまでは專門でないから……。
○徳田委員 その方は別として、大体兵器の内容については、その当時のことはわかつてくるでしようね。
○吉積證人 兵器製造、それから補給微関係の一部はわかると思います。しかし兵器としてできたものは全部作戰車に渡しますから、これを運営するものは参謀本部、兵站関係、從つてこれをどこへどういうふうにもつていつたかということは、陸軍省でもよくわからぬし、いわんや兵器行政本部ではわかりません。兵器製造に関係するものは兵器行政本部でわかります。
○徳田委員 参謀本部関係でそれを扱つていた人はわかりませんか。
○吉積證人 兵端関係はだれだか今ちよつと名前は覚えておりませんが……。
○徳田委員 あとで調べればわかりますか。
○吉積證人 わかります。
○徳田委員 それではあとで一つ調べて……。
○吉積證人 終戰時のですか。
○徳田委員 そうです。 軍需工場における……。
○吉積證人 これは兵器関係ですか。
○徳田委員 軍需工場における兵器並に資材でありますが、この資材を終戰のときにどういうふうに処置したのでしようか。終戰時と言いましても、もうすでにでき上つておる軍需工場もあれば、半できのものもありいまだ資材もあつたろうと思いますが、そういうものについてはどういう処置をなされたのですか。
○吉積證人 そのこまかい処置は兵器行政本部でやつたと思いますが、私は今わかりません。
○徳田委員 そうするとそれは兵器行政本部に聽けばわかるのですね。
○吉積證人 わかると思います。
○鍛冶委員長代理 ほかにありませんか……。ちよつとお伺いしますが、今の八月十七日附の通達の第六項には「保有軍需品及軍需工場等にして現物引渡に際し照合に必要なる書類及軍需品等にして民間に拂下げたるものの書類は之を整理しおくものとす関係民間工場に附しても同様に指導するものとす」とありますが、これに基く拂下の書類は現にどこがにありますか。
○吉積證人 それは私は今頭にちよつとありませんが、どこかにはあるだろうと思います。
○鍛冶委員長代理 どこにあるかわかりませんが。要するにこのどさくさの間にどれだけ拂下をしたかということはわかるわけですね。
○吉積證人 それはおそらく今復員局の書類を調べればある程度のものが出てくると思います。全部のものが出てくるかどうかわかりませんが、出てくると思います。
○鍛冶委員長代理 これはだだ整理——置くものとすとあるのでありますが、整理したものを報告するかどうかわかりませんか。整理した以上あとで報告はあるでしようね。
○吉積證人 報告したものもありましようし、もう一つ各部隊がどんどん復員して來ますので、その部隊に関係の書類は最寄りの部隊に引継ぎます。最後は復員局に來るわけですが、その途中でなくなつたものもあるかもしれません。大体復員局にあると思いますが、今確答するだけの事実を私は知らないのであります。
○鍛冶委員長代理 では済みました。あとの証人でまたわからぬことをお聽きしなければならぬかも知れないので、しばらくどこかでお待ち願えませんか。
○吉積證人 質問をいたしますが、ろいろ出せと言われましたのは、期日があるのですか。
○鍛冶委員長代理 それは別に……。なるべく早くこの衆議院の委員会あてで出していただけば結構です。 —————————————
○鍛冶委員長代理 下村定さんですか。
○下村證人 はい。
○鍛冶委員長代理 あなたは、東久趨内閣の陸軍大臣であつたのでございますか。
○下村證人 そうです。
○鍛冶委員長代理 いつ陸軍大臣に御就任応なつて、いつまででありましたか。
○下村證人 私は昭和二十年八月二十三日、当時の兼任陸軍大臣東久遷宮殿下より申し継ぎを受けました。爾後東久邇宮内閣、幣原内閣を通じまして、昭和二十年十一月三十日退職いたしました。
○鍛冶委員長代理 終戰事時、でき得るものならば、あなたが陸軍大臣に御就任なさらぬ前からのことでおわか力のこともできるだけ承りたいと思いますがへ終戰当時において陸軍の軍需物資の保有状況、並びにその数量等大体のことでよろしゆうございますが、おわかりの範囲で聽かしていただきたい。
○下村證人 これはお尋ねでありますが、ちよつと記憶がございません。
○鍛冶委員長代理 軍需品の所管系統であるとか、数量であるとか、また所在の状況等は全然おわかりになりませんか。
○下村證人 私は陸軍大臣を拜命いたします前は外地におりましたので、内地のことは実ば知らないのであります。大体申しますれば陸軍の軍需品としては、陸軍省直轄の官衙、学校その他に保管してあるもの、それはいろいろな造兵廠その他を含みます。その他各車の大きく掴みますと第一総軍東京、第二総軍廣島、これは日本の本土を二つにわけて保管しておりました。それが兵器その他の物資を持つておつたと思います。なお朝鮮は別に朝鮮軍管区司令官が持つておつたと思います。
○鍛冶委員長代理 そこで経験直後にこれらの軍需物資に関する緊急処分がなされたということでありますが、俗に放出処分と言つておりますが、これはあなたの時代ではないようでありますけれども、御承知になつておることを承りたいと思います。
○下村證人 私の承知しております範囲では八月十四日鈴木内閣のときに閣議決定によりまして、軍の保有しておる兵器その他の物資を隠密に緊急処分旧せよということが発令されたと聞いております。その後陸軍といたしましてはそれに対する細部の規定を一、二回出したということを申し継ぎの際に承りました。就任前はそれだけであります。
○鍛冶委員長代理 今隠密とおりしやつたが、これはどういうわけで隠密裡にやらなければならなかつたものでしよう。
○下村證人 そこはいろいろ想像はできますけれども、確実なところは聽いておりません。
○鍛冶委員長代理 その当時書類の燒却も命じたということでありますが、その点は御承知でありますか。
○下村證人 それは聽いております。
○鍛冶委員長代理 それはどういう意味でやられたものか。どういう書類を燒けと言つたものか。それからその命令はどういう系統で出ておるか承りたいと思います。
○下村證人 これももとは閣議決定もしくは政府全体できめられたことではないかと思つております。どういう書類を燒くということにつきましては、おそらくその命令の出たときには規定はなかつたのだろうと思います。実際私ども外地でその命令を受けましたときも、ただ出先のものが判断でこれは残せ、これは一番先に燒くのだというふうにやつたことを覚えております。内地でもおそらくそうだつたろうと思います。
○鍛冶委員長代理 それは何か機密書類とか何とかいう範囲があるのではありませんか。
○下村證人 もちろん作戰上の機密書類を先に燒くというのは常識としてもあたりまえだと思いますが、別に規定はなかつたと思います。またずいぶん燒く必要のない書類までも燒きました。
○鍛冶委員長代理 そこでこの軍需物資に関する書類等もたいてい燒いたものでしようか。いかがでしようか。百
○下村證人 それは部隊によつていろいろ違うと思いますから、何とも申し上げられません。
○鍛冶委員長代理 さらにこの緊急処分の命令に基きまして、どのように実施せられたかを、これはあなたの大臣時代のことであろうと思いますから、御承知の範囲を承りたいと思います。
○下村證人 私の就任以後でございますか。
○鍛冶委員長代理 これは就任前かもしれませんが、八月十七日に陸軍大臣として通達は出ておる。日附はそうですが、実際はもつと後ではなかつたかと思います。
○下村證人 申し継ぎの際に私の聽いておりました記憶は、最初閣議決定で緊急隠密に処分せよということが出ましでから、第一段として準備の命令を出しております。とにかく閣議決定によりて軍需物資は処分するのだ、しかしその実行は別に命令するというこをを第一段に出したということを聽いております。その後これは八月下旬にはいつてからと思やますが、その実行を命令しておるはずであります。 〔証人に書類を渡す〕
○鍛冶委員長代理 大体それがそのとき出た命令及び通達等の写しでありますが、記録をごらんになつてお答え願つて結構です。
○下村證人 これはいずれも八月十七日に出ております「軍需品、軍需工場等の処理に関する件達」、並びに八月二十三日附「復員に伴ふ軍需品等処理に関する件遷」で、この二つはいずれも私の就任前であります。二十三日はちようど私が拜命した日でありますが、親任式は午後五時で、実際上この命令は私が登廳する前に出ていると想像いたします。
○鍛冶委員長代理 直接命令等をお出しになつたのでなくて、おわかりにならなければよろしゆうございますが、この中で、三百六十三号の八月十七日の達しの中の一項に、「飛行機、武器、弾薬、器材、被服、糧秣、需品、衛生材料、獣医資材等は散逸隠匿、破壊することなく現在の儘保管し実情を調査整理し置くものとす」こういうふうになつておりますが、このうちいわゆる兵器というものは含んでいるのか、除外されているのかということなのですが。
○下村證人 これはむろん含んでおります。武器、弾薬、これは明瞭に兵器であります。飛行機も兵器であります。あと被服とか糧秣、これはむろん兵器ではありません。
○鍛冶委員長代理 これはあとで兵器処理委員会というものができましたね。あの兵器処理委員会で処理させた兵器はこの中のどれにはいるのですか。
○下村證人 その兵器処理委員会というものの性格、それから取扱の範囲、これは私記憶がないのです。それで嚴密にここにあげてあります各物件のどれか兵器処理委員会の所管に属し、どれがそうでないということは申し上げ兼ねます。
○鍛冶委員長代理 それではその第一項の次の但書に、「但し運輸並に國民生活に緊要なる一部軍需品は関係官職又は民間團体に拂下ぐることを得」となつておりますが、この拂下げ得る一部軍需品というものには、ここに書いてあります弾薬その他はもちろんはいりませんが、どういうものが除外されて、どういうものがはいつておつたか御承知ございませんか。
○下村證人 兵器というものの範囲が終戰直後においては明瞭でなかつたと思います。最初私の着任前々とられた政府の処理に関する根本の考えとしては、鉄砲と弾とか、ほんとうに職場で使うものは連合軍に引渡すのだ、そのほかのものは連合軍の方からは引渡しの要求はないの売というように解釈しておつたらしいのであります。そこで多分仁の項もそういう意味で、直接渡すべきとしからざるものと、取扱いを変えているのじやないかと思います。
○鍛冶委員長代理 そうすると、その前の第一項に書いてあります飛行機、武器彈薬を除いたそのほかのもので、運輸並びに國民生活に緊要なるものは……。こういうふうに解釈しているのですか。
○下村證人 はい、そういうふうに解釈いたします。
○鍛冶委員長代理 それからさらにここに「官廳または民間團体に拂下げることができる」と書いてあります。官廳と言えばたいていわかりますが、この民間團体というものの範囲はどういう程度のものでありましたか。
○下村證人 これは私何とも申し上げられません。その場にもおりませんし、またこれを書いた人も、実際はつきりした法的に明瞭な基準で書いたものじやないのじやないかと思います。
○鍛冶委員長代理 それからさらにそういうものを認定し、國民生活に緊要なるものであるとか、運輸に緊要なものであつて拂下げしてよいというものに対する裁定、並びに拂下げし得る相手方の裁定、そういうものはすべてどういう人がきめるものなのですか。
○下村證人 これは本來は連合軍と軍との間に、今委員長のお尋ねになつたようなものの範囲をきめて、その処分をすべきものだと考えます。
○鍛冶委員長代理 そのときはまだ連合軍はきておらない……。
○下村證人 だからこのときは日本独自にある程度の推測でやつていると考えますそこの詳しい正確な事情は私は存じません。
○鍛冶委員長代理 私の承りたいのは、そういうものを決定する者はだれかといことです。それだけの通達を受けて、そうしてそれを決定し得る権限をもつているのはだれであるかということなのです。
○下村證人 つまりその命令を受けた者としては、それはその保管の責任をもつている、先ほど申しました総軍司令官とか、あるいは造兵廠その他の長官とかいう人が、この趣旨でありますときめなければしようがないと思います。なお遡りまして、つまり日本の陸軍自体としては、かねて平時から兵器というものはかくかくのものだ、これは被服である、これは糧秣の種類に入れるというものがあるそれを大体基礎にして取扱うのがほんとうだと思います。
○鍛冶委員長代理 それからこの処分の際に軍工廠または軍需工場の仕掛品、材料等に関してはどういう取扱いをしたかは御存じありませんか。
○下村證人 これはまつたく承知いたしません。
○鍛冶委員長代理 これは第六項に書いてございますが、「保有軍需品及軍需工場等にして現物引渡に際し照合に必要なる書類及軍需品等にして民間に拂下げたるものの書類は之を整理しおくものとす」、こうなつておる。この通達によつて拂下げられたものはこの六項によつて書類が整理されておるべきものだと思うのですが、これは事実整理されておりましたか。またその整理されたものはどこへ報告せられておるかを御存じございませんか。
○下村證人 それはむろん部隊によつてまちまちでありますが、私が着任後調べましたところによつては、全部が完全に整理されているとは認めませんでした。これは過失もありましようし、あるいはまた怠慢もありましようが、理想的に整理されておつたとは私は信じません。
○鍛冶委員長代理 なおこの拂下に対しては、どこかで現金をもつて受渡しせよということになつておりますが、その点いかがですか。
○下村證人 それはまつたく記憶がありません。
○鍛冶委員長代理 実際にその通り行われておつたかどうかということを、お調べになつたことはございませんか。
○下村證人 その記憶はございません。
○鍛冶委員長代理 ところがこの緊急処分は後で閣議で取消されたようですが……。
○下村證人 さようです。
○鍛冶委員長代理 その取消された理由並びにその取消しに基いていかなる処置をなされたかを承りたいと思います。
○下村證人 取消の理由としては、私は二つあると思つております。その第一は、最初に日本軍が連合軍に引渡すべきものは、純然たる兵器のみと心得ておつた。それが実際代表がマニラに行つて指令を受けてきますとそうではない。軍需品の大部分をとにかく一應渡さなければならぬというふうに聞いてきたと思います。そこに食い違いがありました。第二は、八月十四日の閣議決定によつて軍から拂下もしくは保管轉換をやりましたやり方が惡い、惡いと一言に申しましてもこれはいろいろ原因がありますが、どうしても是正を要する、この二つの観点から八月二十八日の閣議決定が出たものと信じております。
○鍛冶委員長代理 そこで、それに基いてどういう処置がなされましたか。
○下村證人 陸軍といたしましては、この八月二十八日の閣議決定の直後大臣命令を発しまして、——これはあとに書類があるかも知れませんが、私の記憶では、八月十四日に決められた軍需品の拂下、保管轉換は二十九日に止めろ、それからすでにやつたものの中で回收のできるものは努めて回收せよ、できないものは少くもその内容を明らかにしておけ、これだけのことを私は命じたと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 そこで、その命令が十分徹底しまして、御命令の通り行われましたか、いかがですか。
○下村證人 これは原因はいろいろでありますが、なかなか実際思う通りに行かなかつたのであります。
○鍛冶委員長代理 なるべく徹底するようになさつたろうと思いますが、その実情は……。
○下村證人 それは各種の手段を講じまして、当時通信の情勢も非常に惡くありましたが、あらゆる方法でこれを各部隊に徹底し、また連絡者を呼び、また監督の者も派遣し、それから成規の報告を求める等、おそらくとり得る手段はことごとくとつたつもりであります。
○鍛冶委員長代理 九月二十四日に連合軍最高司令官から覚書が発せられたようでありますが、その覚書の内容並びにこれに基いてあなたの方でなさつた処置について、できるだけ詳細に承りたい。
○下村證人 この覚書によりまして、陸軍が新たに知りましたことは兵器その他の引渡しは、軍としては連合軍のそれぞれ関係の指揮官に対して行う、然る後の処分は連合軍からさらに内務省に引渡され内務省がその責に任ずる、こういうことがはつきりわかつた。よつて軍といたしましては、前からも命令してあつたのでありますが、直轄の第一、第二総軍司令部、それから朝鮮の軍、それから陸軍省直轄の官衙、学校、これに対してそれぞれ関係の連合軍当局に引渡す、これで陸軍の仕事は一應終るわけであります。ただその後内務省にそれらの物が引渡されてからの監視という問題があります。監視はどうしても必要なんでありますから、監視のために必要なる人員は、あるいは軍人としての身分により、あるいは内務省の方に轉属をして、依然監視を続ける。そのほか細部のことを規定したものと記憶しております。今ここにいただきました書類、九月三十日となつておりますが、これがそれに該当すると思うのであります。陸軍省副官から出ております。
○鍛冶委員長代理 そこで承りたいのは、まず第一番目に連合軍へ引渡すとおつしやいますが、事実上どういう方法で引渡しをなさいましたか。
○下村證人 それはたとえば倉庫その他固定したところに集積してあるものは、これらはごく容易であります。そのほか各軍が爆撃等を顧慮して分散してあるもの、それらはなるべく適当な地点に集積をしまして、その地区ごとに進駐して來る部隊に対して渡すのが一般のやり方であります。
○鍛冶委員長代理 部分的にも事実上引渡しはあるかもしれませんが、総合してほんとうにこれだけ渡しましたという何かありそうなものだと思いますが、その点はいかがですか。
○下村證人 そのときには全軍のもつているものをすつかりまとめて表をつくり、あるいは数量を明らかにして、それを一本にして陸軍省から連合軍に渡すということは事実上できなかつた。むろんできる範囲のものはやりましたけれども、先ほどからたびたび申します各命令系統ごとにそれをやらせて、逆にそれを陸軍省に報告させたと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 その報告のまとめたものは陸軍にあるわけですね。
○下村證人 これは私記憶がありませんが、それに相当するかどうかはこれまたはつきりいたしませんが、第八十九議会のときにごく大体の数量を当時の陸軍次官から何か委員会の席上で報告しておる。これが私の記憶にある範囲であります。完全にすべて集めた表を私自身見たことはありません。
○鍛冶委員長代理 さらに今度は向うから返還を受けましたが、その返還を受けました現実の手続はどういう方法でありますか。
○下村證人 現実の手続としては軍は切それに関與しないわけであります。各進駐地の米國軍憲から内務省の関係官吏に渡した内務省系統の中央地方の官吏にこれを引渡した。そしてそのときから内務省の所管になるというふうにやつたのであります。
○鍛冶委員長代理 実際一々物を動かして歩いたわけじやありませんから、結局書類でこれだけ進駐軍に引渡しします。さらに進駐軍から書類でこれだけ返還を受けたということになるほかないと思いますが、それに対しては陸軍が關與しなければ、進駐軍もわからなければ、内務省もよくわからないのじやありませんか。
○下村證人 それは局地ごとになりますけれども、陸軍から書類を二通りつくつて連合軍にまず渡して、連合軍に対する申し継ぎはそれで終り、同時に同じものを内務省に渡してこれだけは渡しましたから、連合軍からこのうちのある物があなたの方に來ますぞということをやつたのです。
○鍛冶委員長代理 それは現実に一々物と照らし合わしたかどうか、大体合わしたことにならなければいかぬと思いますが、それは何月何日現在とか、どの時を基礎にしてとかいうことはありそうなものですが、その実情はいかがでしたか。
○下村證人 それは何と申しますか、嚴密に言えば、終戰当時の物がそつくりなければいかぬ。ところが、放出をやりましたために、実際そのときに軍から連合軍に渡し、連合軍から内務省に來たものは、最初の数量とはおそらく同じじやなかつたろうと思います。しかし少くともそのとに軍が保有し、回收しておつたものは正確に出したろうと思います。
○鍛冶委員長代理 現実に渡すときの数量でしようか。また何月幾日の数量ということになりましようか。
○下村證人 それは現実たらざるを得ないと思います。何月幾日と申しましても、ずつといろいろなふうに出入りがありますから、むろん期日は書きましようけれども結局現実渡したときのものが一番正確なものだと思います。
○鍛冶委員長代理 そこで内務省でこれの返還を受けましてからこれに対する処分について軍としてどういう御関係をなさいましたか。
○下村證人 それはほとんど関係はありません。というのは、東久邇宮内閣の終りころ、十月の初旬と記憶しておりますが、そのときに各省次官会議におきまして特殊物件処理委員会というものができて、その中には陸軍としては軍務局長と課長が一名たしか入れられておつた、それがその後における軍と内務省と申しますか、処理委員会との繋りであります。
○鍛冶委員長代理 これは閣議でもきまり、また次官会議でもきまつたようでありますが、閣議でもあつたじやないですか。
○下村證人 それは確実に記憶しておりません。むろんそういう大事なことでありますから、閣議に少くとも報告はあつたと思います。
○鍛冶委員長代理 そこで軍務局長がその委員になつて、おられまするから、それに対しては大臣としてやはり監督の責任があると思いますが、その点は実際においてどういうことをやつておつてどういう実情であつたか御記憶はありませんか。
○下村證人 それはほとんどありません。兵器の問題は非常に大事な問題でありますから、私もその当時相当頭を使いまして、今書類はありませんけれども、大事なところだけは覚えておるつもりでありますが、軍務局長からこの委員会の仕事について報告を受けて重要だと考えたようなことは、まつたく記憶がないのであります。軍務局長を出すということもこれは次官会議の方で、陸軍からは出せばむろん軍務局長だろうというふうに知らしてこられたものと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 その後一般物資にいたしましても、兵器関係以外の特殊物件にいたしましても、兵器にいたしまして、いろいろ問題が起つていることをお聞き及びだろうと思いますが、それに関して陸軍として監督並びに助言等をすべきことで手落ち等があつたとはお思いになりませんか。
○下村證人 それは盡し得ることは盡したつもりでありますけれども、実情におきましては十分でなかつたと思います。と申しますのは八月二十八日に閣議決定で、從來やつておりました放出をやめろというた瞬間から、私はその回收、整理また不法処分等の報告等は嚴密に督励したのでありましてだんだん報告も集まつてまいりました。私がやめますときには、たしか三割ないし六割のものは回收したという大体の確信を得た。またその不法処分につきましてもこれはいろいろぴんからきりまでありますが、その中で処罰を要するものも相当ありまして、これも記憶でありますが、私のやめますときにはたしか七百件ばかりのことについて処罰をした。なお少し長くなりますが、やるにはやつたが思う通りにいかなかつたということで、申訳のようになつてはなはだ相済みませんけれども、内地の軍隊は十月の十五日にいやが應でも復員してしまうということがありまして、調査の途中でもずるずる復員していくわけである。それからもう一つ調査に困りましたことは憲兵が十月でなくなつたことであります。本來はこういう犯罪とか不法行為の調査は陸軍としては憲兵にやらせるのが順当であつた。それがなくなつたから調査には非常に困りました。それだけのことを申し添えておきます。
○徳田委員 ちよつとお尋ねしますが、この隠密に処理せよと云々というのは八月十四日の閣議で決定されております。これを実行したのはあなたが大臣に着任して後のことと思いますが、どうでしようか。
○下村證人 実行と申しますか、先ほど申しましたように、この閣議決定の実行の第一着は、八月の十七日の軍需品軍需工場等の処理に関する件、まずこれから公式に始まつておる。むろん私の在任間ずつと継続しておる。但し八月二十八月にこれを止めましたから、実際の動きはそこでがらつと変つておるわけである。
○徳田委員 閣議の決定は鈴木内閣ですけれども、実施したのは東久邇内閣のときですね。
○下村證人 そうです。
○徳田委員 十四日の閣議決定でありますが、これは國の財産でありますけれども、この重大な國の財産をこういうふうに処理することを、内閣でなしていいものですか、どうですか。
○下村證人 私は法律家でありませんから確実なところは申し上げられませんが、その当時は私もおりませんでしたが、どういう事情で内閣がこれをきめたか、またその権能がはたしてあつたかどうか、これはお答えできません。
○徳田委員 しかしこれを実施せられたのはあなたでありますから、前内閣がこれを閣議で決定しでも、この閣議決定が違憲である場合に、法律上の関係を單に法律家が理解するわけじやなく、國務大臣たるものはやはり憲法に違反しているかどうかはこれを決定せられなければならぬ。これは法律家がすることで國務大臣は知らぬから、まあいい加減にしておこうでは、國務大臣たる責務は盡されないと思います。これは國有財産ですから國有財産の拂下はちやんとその法律があります。どういうふうにしなければならぬか、いかに危急の場合といえども法律を無視することはできない。これは憲法上から言いましても、この閣議決定が有効とは思いません。こういう法律に該当すべきものはすべて國会の議決を経なければならぬし、もしそうでなく緊急である場合には緊急勅令でなければならないのですが、ただその一片の閣議の決定でこういう國の財産の無茶苦茶な処理をすることはだれが考えてみても憲法違反である、法律上の違反である。これは非常に重大な責任だと思いますが、この責任に対して糾明をなさらずに、ただちに東久邇宮内閣においてあなたのお名前で十七日にちやんと通達が出て、その後達で催促が二十三日に出ております。こういうふうに処理されておりますが、この責任問題であります。この責任は一体どういうふうに考えられますか。
○下村證人 ちよつと質問の途中でございますが、十七日、二十三日は私まだ着任しておらない。それから先ほど私は法律家でないからと申しましたが、これは決して責任を回避する意味でもありません。これは軽くとつていただきたい。
○徳田委員 いつ着任されましたか。
○下村證人 二十三日の午後七時に着任いたしまして、それからすべて責任をとります。
○徳田委員 この十七日、二十三日のときは陸軍大臣はどなたであますか。
○下村證人 東久邇宮総理大臣が兼年されておりました。それからかくのごとき國法違反の問題をなぜ取消さなかつたかという御質問ごもつともだと思います。私は範囲はどのくらいのものか存じませんけれども、しかしこれは八月二十八日の閣議で事実上取消しておる。
○徳田委員 しかし二十八日の閣議というのは、マニラにおいて連合軍最高司令官との会見の後に、マニラから川邊虎四郎中將がお帰りになつてからその報告を聽いて決定したのではないですか。
○下村證人 報告はむろんその前に聽いております。それから八月二十八日の閣議で前にやつたことを押えましたのは、先ほど委員長に申し上げました通り二つの理由がある。
○徳田委員 それは私は聞きましたが、その二つの理由はむろんやらなければならない理由ですけれども、しかしこれが連合軍司令官から命令をされない前には実際にはやらなかつたということですね。
○下村證人 それは一言言わしていただきます。あの状態というものはだれが見ても止めずにはいられません。これは連合國から言つてきたものと、私どもが考えておつたものとは食い違いがあつたというそのことを除きましても、あの当時の状態というものは、日本國民だれが見ても止めずにはいられません。
○徳田委員 それから二十三日に実施を準備しろという命令が出まして、準備から実施までわずか五日間でありますが、あなたが着任されたときにはこれを廃止すべきものだということの確信を得られて、これを廃止しろ、そしてもとに復元しろということをあなたから提議されたわけでありますか。
○下村證人 さようであります。それは私だけではありませが、私も明らかにその一人でありました。
○徳田委員 それは川邊中將の報告のいかんにかかわらずですね。
○下村證人 それは別問題です。
○徳田委員 さつきもそう言つておられましたが、いわゆる武器以外の軍需品は引渡さぬでもいいじやないかというお考えであつたのですね。
○下村證人 最初はそう思いました。
○徳田委員 從つて引渡しをする必要のないものは大体放出していいのではないかという意見ではなかつたのでしようか。
○下村證人 放出と言いますか、これを民需に轉換して、当時疲弊しております國民の生活を安定させるという目的できめられたものと思う。
○徳田委員 しかしきめられても、これがちやんと緊急勅命で出て、この命会に從つて処置せられるということがわかれば、これは私はまだいいと思う。このやり方はただ陸軍達、陸軍の命令だけでやつているかち大衆は何のことかわからぬ。だからここに大混乱が起つていると思います。私はここが違法だと思うのですが、どうですか。
○下村證人 そこはどうも私着任前でありまして、その辺の事情はわかりません。
○徳田委員 あなたが來られてからはこういうことは全部廃止する、こういうわけになつているのですね。
○下村證人 そうです。
○徳田委員 ところがその点でちよつとお尋ねしたいのですが、二十八日に命令を出して、二十九日後はこういうことはいかぬ、復元しろという命令になつて、三割ないし六割は回收せられたとありますが、回收せられたことについての書類がちやんとあつたでしようか。どれだけ回收してどうしたという……。
○下村證人 当時はあつたのでありますが、今あるかないか存じません。
○徳田委員 それはどこが保管すべき責任があるのですか。復員局が保管しておるべきはずですか。
○下村證人 それは何とも言えません。私は復員大臣をやりませんから……。それは筋道がら言えば残るべきはずです。
○徳田委員 そうするとあなたのあとに陸軍大臣もしくは復員局の責任者になりましたのは香月さんですか。
○下村證人 復員大臣は幣原喜重郎氏です。
○徳田委員 その下の次官は香月さんですか。
○下村證人 そうです。
○徳田委員 この人がちやんと保管すべき責任をもつておるわけですね。
○下村證人 それはそう言言わざるを得ないと思います。
○徳田委員 それではそれを調べます。実は回收したものはないと報告されておるのです。なぜならばあなた方原簿をみんな燒いてしまうようなことになりましたから、原簿がないからこれをもどせと言つても原簿がないのにどいへもどすのだというので、これは全部隠退藏物資になつたとわれわれは大体考えておるのですが、これが回收されたならば結構であります。画收されたその実際を証拠や書類について聽きたい。それは委員長書いてくださいませんか。そこから書類をとればいいわけですから……。
○下村證人 これは一言申し上げます。三割ないし六割というのは私がやめたあとのことでありまして、そのときにこれだけは残つたんだぞという書類がちやんとまとまつてあつたとは私は申しません。
○徳田委員 大体の見当ですね。
○下村證人 これは議会へ報告するために正確に調べたものであります。数量においては間違いはありません。その書類の保管というものは私はおのずから別の問題だと思います。そこは御了承願います。
○徳田委員 実は回收されたものはほとんどないと報告されておりますので、あなたの言われるのと大分違いがある。回收した以後にあなたに報告して、実はどこへ行つたかわからぬというものもなきにしもあらずでありますから……。
○下村證人 それは何とも言えない。イエスともノーとも言えません。
○徳田委員 もう一つ、大阪造兵廠は陸軍の管轄であつたと思いますがそうですか。
○下村證人 そうです。
○徳田委員 大阪造兵廠の事件を御存じですか。
○下村證人 新聞に出ておる程度の断片的なことは承知しております。
○徳田委員 ああいう事件の起るべき原因はどこなんでしようか。
○下村證人 あの事件がどうこうということはありませんけれども、これはいろいろな原因があると思う。第一私は大阪造兵廠事件なるものの実体をしつかり知つておりませんかち横道にいくかもしれません。天体ああいう新聞に出でおるような方向にあつたとしますと、これは本人の過失、怠慢あるいは故意、いろいろあります。
○徳田委員 それは本人の過失怠慢いろいろありましよう、それは人だからそれも一つの原因ですけれども、それのもつと深い点で実際上原簿を燒いてしまつた。そうして届出のリストは要するにあとでこれを連合軍に授受せられますために、リストが陸軍省にきたそうですね。このリストは大体いい加減なものをやつて、原簿が消えておるからわきへ余しておいてこれを引ずり出したということになるのではありませんか。
○下村證人 それは何とも判断つきません。
○徳田委員 そういうことになつているから結局だめになつておる。だからしてあなたの三割ないと六割という残りがどこにあるか知りませんけれども、二十八日ずつと以後になつてやられている事件でありますか。
○下村證人 そうであります。
○徳田委員 だからして二十九日からは止めるといつたのは実際土実施されなかつたのではないか。
○下村證人 そんなことはない。実施はしたが、先ほど申したように理想的にいかなかつた。
○徳田委員 実を申しますと、大阪造兵廠は最も書類がよく揃つておつて一番いいところであつて、それ以外のところはまつたくむちやくちやなところが多かつた。その中でも山口縣の光工廠、これは海軍ですか。
○下村證人 そうです。
○徳田委員 陸軍の方はよかつたのでしようが、海軍のここなどは兵器処理も何もない、みな盗み出してしまつたというような事実が現われておりますので、あなたの言われることがはたしてどれくらい行われていたかということに対しては、非常に疑問をもつのですが、どうでしようか。
○下村證人 いろいろの噂も飛び、また事実もありますから、疑問をおもちになるのはごもつともと思います。しかしその三割ないし六割というのは、私がその当時集まつてきた書類を調べて、これだけは正確であると信じたことを発表したのです。これ以上それがうそであつたかどうか、私は何とも言えません。それは部下のやつたこと尾信じて今でも三割ということは確信しております。
○徳田委員 その方は調べておきますが、さてもう一つ八月二十八日に命令を出しまして、二十九日以後はこういう放出いわゆる特出しは大体やんだということ忙なつておりますかどうですか。
○下村證人 それは事実においてはありません。というのはその当時は通信状態その他も非常に混乱しておる。電線はかかつておつたかもしれませんが、その仕事に從事する者の精神状態が、平時では考えられないほどの一種のパニツクを受けておる。八月二十九日に命令を出して、本來ならば翌日到着すべきものが行かなかつた点がありまして、またいろいろなそれに類した原因で。八月二十九日以後は全然やらなかつたということは言えない。殊にその前に出あれました放出実行の命令が遅く着いている部隊もあるのでしよう。それが八月二十九日以後に着いていたとするならば、やはりやつておつたかもしれません。それはいたし方がありません。
○徳田委員 そうすると、相当やつておつた見込みですね。
○下村證人 それは見込みとは言えません、全然ないということは言えないと思います。
○徳田委員 最後にもう一つお尋ねとたい。これはあなたもおわかりだろうと思いますけれども、七月までの日本銀行の発券高は大して殖えておりませんけれども、八月になりまして、八月いつぱいでの日本銀行の発券高が大体四百五十億も殖えておる。この事実は世間では、軍需工場並びに軍需工場における兵器の完成品、未完成品並びに資材を政府がそのままにしておいて買つたことにして、どんどん資金を軍需工場に放出した結果であると言われておりますが、陸軍省ではこの支拂をした覚えはありませんか。
○下村證人 それは私は記憶ありません。
○徳田委員 全然記憶がないですか。
○下村證人 ありません。記憶がないというのは、そういうことをしたという記憶がないのではなく、それについて正確にお答えができません。お答えするだけの記憶がありません。
○徳田委員 それは不思議な表現ですが、そういう事実はあるのですか、ないのですか。
○下村證人 それは知りません。
○徳田委員 陸軍省ではちつとも拂つておらぬですね。その記憶がない。
○下村證人 私はないと信じますけれども、実際これがあるじやないかと言われたら、私が知らないことであつたかもしれません。
○徳田委員 実はこの書類の中にこういうことがあるのです。工場などにつきまして、資材のごときものは契約を解除して、そうしてこれに関しての「軍需品並に原材料及軍需生産施設の拂下は原則として有償とす但し地方官廳等に対するものは無償保管轉換することを得又有償拂下代金は直ちに全額支拂を要せず」こう書いてある。一般的の軍需品でありますが、この工場などの問題につきましても、すべてこれは契約を解除すると書いてあります。契約解除後の処置について皆手形を書きかえるとか、損失の賠償をどうするとかこうするとか書いてありますが、こういうことをあなたの方でやられなかつたとは思われませんが、賠償云々のことについてどういうふうなことをなされたか。いわゆる軍需品の工場は戰争が済んだのでありますから、皆製造を解除してしまうと書いてある。その解除したことに対して皆損失を蒙つておるわけでありますが、その損失をいかにして支拂つたか。簡單に言えば問題はこれなんです。
○下村證人 それは私どもとしてはそこにお持ちになつている命令以外のことは事実わからないのです。
○徳田委員 しかしそれはちよつとおかしい。あなたは大臣としてこういう命令を出されまして、あとの処理をやはり見ておられるのだ。大きな支拂いをしなければならないのですから、これはもうどこでも大砲をこしらえる、いろいろなものをこしらえるのに一生懸命になつておるので、ぽかんと解除、それだけでは済みません。だからしてこれをどう処置するかは陸軍省の大きな責任であります。これをどう処置したか。ただ一片の陸軍省通達が出ただけでは、これだけを見て問題は解決できないのであります。それで実際上あなたがこれをどう処置されたかを聽いておるのであります。
○下村證人 それは達を出した以上は監督もする、報告も要求します。しかし私の信念としては、一旦命令を出した以上は、その通り実行してくれなければ困る、それを意思に反してやつた者があつて、その報告がなければ私としては知らぬというよりほか仕方がな
○徳田委員 具体的に申しますと、損害賠償は皆したわけですか。
○下村證人 それは今言われましても何とも言えません。
○徳田委員 そこが大問題でありまして損害賠償は損害賠償とする、金は出す。この兵器及び資材はどうこれを処置したかということをあなたにお聽きしたいのであります。それはあなたの責任だろうと思います。
○下村證人 責任には違いありませんけれども、私としてはやるべきことをやつておつたのです。
○徳田委員 そのやるべきことをこれだけ書いてあるからその通りだというのでは、これは紙の上に書いてある命令であつて、この命令を具体的にどうなされたかということをお聽きしたいのです。もつと詳しく言えば、どこの会社へ、三菱の航空機会社にはどれだけ金を拂つてやつたかということです。
○下村證人 そういうことまでは大臣が一々……。
○徳田委員 これはここにはどういうふうに拂つてやつたか、向うにできている兵器はどうした、資材はどうしたということが大体おわかりにならないとすると、大臣はただ命令を出してああそうか、うんうんというのでは、あとは飯を食つて酒を飲んでおればよろしいということになる。それでは私は問題にならぬと思います。
○下村證人 それはあなたのお言葉をまつまでもなく、そういう無責任の者はおそらく大臣にはなかろうと思う。だから一々どこの者が損をしておるからこうしろというようなことは、大臣の大きくくるんだ責任の中にははいりますけれども、忙しいときに一々今この兵器処理委員会で調べられるように記憶があるということはそれはむりです。
○徳田委員 しかし一々三菱はどうした、中島飛行機はどうしたということはおわかりにならぬけれども、しかし実際上この損害はどういうふうに支拂うが、また支拂つたか、そうしてこの支拂の対象になる物資、たとえば兵器を受取つたか半製品を受取つたら、向うに供給してあつた資材はどうしたかという大体のことだけは、やはり大臣が裁決して書類は出てくるでしようから、よろしいといつて判をついて渡してあるはずである。これはめくら判でない限りは、大体その筋はおわかりであるだろうと思う。これは善後処置としては一番大事な仕事である。
○下村證人 それは何回お尋ねを受けましても、記憶のないものはないので、これは頭が惡いのかもしれませんが、もし專実の調べが必要であつたら、もつと実際取扱つた主任者ならば、少くとむ一つ二つの例は出るんじやないかと思います。
○徳田委員 これはどういう人を調べればわかりますか。
○下村證人 それは補償の関係あたりであれば、当時の経理局の者を調べればわかります。
○徳田委員 そうすると、これは兵器行政本部長を調べれば、大体の骨子はわかるんじやないですか。
○下村證人 それは何とも言えません。
○徳田委員 どうもその機構まで大臣が忘れるんでは……。
○鍛冶委員長代理 経理局というのはあつたのですか。
○下村證人 ありました。
○鍛冶委員長代理 経理局長でわかるんじやないですか。
○下村證人 わかります。それから兵器局長というものもあります。
○徳田委員 こういう連中はわかるわけですね。
○下村證人 それは実際取扱つた人ですから、私のような記憶の惡い人間じやなかろうと思います。
○徳田委員 記憶が惡いんじやない。伴食みたいな、どうもあなたが少し逃げておつた形じやないかと思う。
○下村證人 私は無能ですからいくらでもお叱りを……。
○徳田委員 無能というわけじやない。北支で大戦鬪をなさつて勇名輝いたのたから、そんなことはないだろう。
○下村證人 一介の武弁であつたがために、わからぬ。
○徳田委員 それならようございます。
○辻委員 一言だけ御証言を得ておきたい。これは兵器処理の問題だけに限定いたしません。廣く軍需物資が終戰直後を頂点といたしまして多量に隠匿され、これが横流しされたということはあなたの御証言でも大体お認めになつておるようでありまするが、その額が一体どれくらいにのぼるだろうか。世間では数百億だ、いや数千億だというふうに取沙汰いたしておるわけであります。金額はもとよりわかりませんが、少くともその軍需品の品目なり、数量というものは割り出していけるんじやないかと思うのです。それにはこうした隠匿された時期というものが大体二つにわけて考えることができると思います。もちろんああいう場合でありますので、正確を期することはできないことは軍務局長からも承りましたが記大体終戰当時八月三十一日現在における軍需物資の保有量というものが出ております。私もいただいております。それから進駐軍の方へ引渡したそのリストも復員局にあるそうでありまするから、つまりその引渡しの完了した間においてこれが隠匿されたのが一つの時期、いま一つは、引渡された軍需物資が向うから内務省を通じて特殊物件として返還された。もちろん兵器もはいつておりまするが、その中にも飛行機など燒かれたとか、彈丸など返つてこなかつたというお話もあるから、そういうものを除外いたしまして、つまり特殊物件として返つてきた時期、この二期にわけで考えることができると思います。それで第一期の方は、現在復員局にあると聞きまするところのリストの総計から、いただいておりまする終戰当時の保有量、これを差引きますれば、数量とその品名だけははつきりすると思います。これは一應理屈上でありまして、技術的には相当むつかしいと思いまするが、とにかくそういう理屈になるわけだと思います。それから内務省へ返つてまいりまとた特殊物件、このリストもあるはずでありまするから、それを引渡しました復員局にあるところのリストから引きますると、その間にいつた分、もちろん今申しましたように向うにおいて処理された特別のものは除きまして差引きますれば、その間においてとにかく散逸いたしました雲隠れしたところの数量が出て來る。從いましてさらにこれを加えまして、要するに終戰当時における軍需物資の保有数量から内務省へ返還されたところの特殊物件の数量を差引きますと、いわゆる軍需物資が大体どれだけの数量隠匿され、これが横流しの原因になつておるというこの数字を割出すことができると私は考えるのでありますが、あなたはこれをいかにお考えになつておりましようか、その点をちよつと伺つておきたい。
○下村證人 それは各数字が正確でありまして、今お述べになりましたような立論でいけば、少くも正確に近い数字が出るわけであります。
○辻委員 その数字そのものがああした場合でありますので完全に正確を期することはできません。多少の誤差はありましようけれども、その前提を認めますれば私が申し上げましたように、技術的には問題がありますが、とにかくこれを差引いてまいりますれば、どういう品物がどれだけの数量、とにかくこの間において雲隠れしたということははつきりわかる、これをお認め願えるわけでありますか。
○下村證人 所在不明になつた数量は相当正確にわかると思います。
○中村(元)委員 重複して御迷惑だと思いますが、現在私やみ利得の委員をやつておりまして、直面しております問題で御参考までに伺つておきたいと思いますが、終戰当時軍として引渡上の際に二通のリストを作成して、一通は進駐軍に渡して一通は内務省へ渡した、こういうことであります。そうして内務省はそのリストに基いて縣ならば縣へそのお考え、立場あるいは処分方を受諾なさつた、そのときに現実の品物を引渡す際にまた軍が立会つてリストを拵えておるものでしようか、但し最初に外務省へ出したものだけでありましようか、その点ちよつとお伺いしたい。
○下村證人 それは嚴密にやるためには、ぜひその二段の手数が必要だと考えております。しかしその実行におきまして全部の部隊がそうやつたかどうかは保証できません。
○中村(元)委員 実際は今秋その問題に直面しておりましてリストを要求いたすのですが、なかなかはつきりしたものが出てこないのです。今の御説からいきますと内務省へ一通出ておりますが、内務省はそれに基いてその縣の所在物資を処置することを命ぜられたものだと思います。地方長官はそれに基いてそれの受渡しをなされておるのだ、こういうふうに考えるのですが、現実引渡しの際のリストがあるのがほんとうじやないかと思われるのですが、その現実に引渡されるときはやはり軍の人が立会つておられることでありましようか。
○下村證人 それは本來杓子定規に申しますれば内務省の手に渡つて後は軍の者は來ないでよいわけです。さつきも申しましたように親切にやればやはり立会うのがほんとうだと思います。どうもそこは実行においては規定の文面をそのままその通り杓子定規にやれば、軍としては連合軍に渡しさへすればもうあとはということも言えぬことはない。それではやはりものが円滑に行きませんので、実際問題としては立会うのが正しいことだと思います。
○中村(元)委員 そうでしようね。引渡すまでは物自体は個人のものではないので國家のものですから、当然それまで保管なされ監督なされた人が、引渡すまでは少くとも立会つておられたものだとわれわれは考えるのですが、実際その際のリストを今調べているんですが、実際は出て來ないのです。私は今それに直面しまして非常にこれについて悩んでいるので、御参考までに承つたようなわけであります。
○明禮委員 いまのリストの問題ですが、実際は各地から報告が來ておりますが、軍の方から將軍の方に引渡されたときのリストの中で名前を書いて、下に数字のはいつておらないのがたくさんありまして、こんど内務省の方に引渡しを受けたときのは大体はいつているようであります。その点についての事情は御承知はありませんか。
○下村證人 その事由につきましては承知しておりません。
○明禮委員 その点が非常に遺憾なので、このためにどのくらいあるのかというのが問題なんですが、これもあなたとしてもおわかりにならんでございましようね。
○下村證人 わかりかねます。
○明禮委員 もう一つお尋ねしたいのですが、先ほビ徳田君が聽いておりましたが、八月十四日の閣議決定によつて緊急処分命令が出て、八月二十八日にこれを停止した。その停止後においても復員軍人職業補導会というようなものにはやつてもよいというようなことを命令しておられた事実がありはしないかというのですが、この点いかがですか。
○下村證人 これはたとえば職業補導にやるにしましても、やはり正規のルートを経て内務省に渡し、内務省から職業補導会に渡すというように仕向けておつたと記憶しております。
○明禮委員 それが聞きますところによりますと、やはり緊急放出というような形で訂正されて、停止の通知が行つているにかかわらず、ある部局からは職業補導会の者には緊急放出をしてもいいというようなある指令が行つているように聞いているんですが、まだ書類が來ておりませんからはつきりここで申し上げにくいのでありますが、そういう事実はあつたのですか、なかつたのでありますか。
○下村證人 それはあつたかもわかりませんが、それは公式のものではないと思います。つまり陸軍大臣なりその部下の者でも、責任をとつてそういう命令は出せるはずはないと思う。これが故意に規定を破る、あるいは從來の行きがかりからそのままになつているというものはあるかもしれません。
○明禮委員 そうすると、停止したにかかわらず、さような緊急放出を職業場補導会に対して公式にやつたことはないということになるわけですか。
○下村證人 公式にやつたことはありません。
○鍛冶委員長代理 ほかにございませんか。——では済みました。 —————————————
○鍛冶委員長代理 原守さんですね。
○原證人 はい。
○鍛冶委員長代理 あなたは東久邇内閣時代の陸軍次官をしておいでになつたようですが、その通りですか。
○原證人 十一月からしております。
○鍛冶委員長代理 いつ就任されて、いつまでやつておられたのですか。
○原證人 二十年の十一月一日からで、十一月で陸軍次官は終りました。それから復員次官が十二月一日から十二月十七日か八日まででございます。
○鍛冶委員長代理 そうすると終戰当時は何をおやりでしたか。
○原證人 終戰当時は教育総監部におりました。
○鍛冶委員長代理 それでは軍の内部における、陸軍内における仕事はあまり御関係がなかつたわけですね。
○原證人 関係はございません。
○鍛冶委員長代理 御関係なくて御承知ないならばやむを得ませんが、御承知のことだけ承ることにします。終戰直後軍の持つておつた軍需物資に対して緊急放出命令が出たということですが、その点御承知でありますか。
○原證人 これは後に聞いたことでございまして、あつたということは知つております。
○鍛冶委員長代理 それに対してどういう処置を軍でやられたかは御承知ありませんか。
○原證人 それはわかりません。
○鍛冶委員長代理 その後八月二十九日に、これを取消したということは御承知ですか。
○原證人 はい、それも聞きました。
○鍛冶委員長代理 どういうわけで取消されたか御承知ありませんか。
○原證人 はつきり記憶にはありませんが、不当に横に流れてはいけないし、また軍需品というものが、当時兵器に限らず、全部含まれるべきものであるというような指示を連合軍側から受けたためであつたかと思います。
○鍛冶委員長代理 そこでわずかの間ではありますが、その間において、たいへんな物資が横流れしたという実情にあつたのですが、これに関して実際あつたこと、並びにそれに対する軍としてとられた手段等については御承知ありませんか。
○原證人 それはわかりません。
○鍛冶委員長代理 あなたが御就任になつた後においても、そういう横流れのものを回收したりなんかする手続はやられたのではないかと思いますが、いかがですか。
○原證人 手続をせいといつて、指示を與えたという記憶はございませんが、実際それは回收すべきものであることは常識として考えられるのであります。私がおりましたときにそういうことが起きておるので、こういうふうにせんならんというふうな起案をし、これを当時の軍関係に傳えたというようなことは、ちよつと記憶がございません。
○鍛冶委員長代理 九月二十四日に連合軍から覚書が出されましたが、これは御承知でありましようね。
○原證人 当時これを読んだような記憶がないのですが、こういうふうになつて軍需品が連合軍に渡つているものと考えております。
○鍛冶委員長代理 連合軍に引渡した実情は御承知ありませんか。
○原證人 実際現地の末端のことは見てもおりませんし、承知しておりません。
○鍛冶委員長代理 さらに連合軍から日本政府へ返還を受けたことに対しても御承知ありませんか。
○原證人 返還を受けるということは知つておりますが、内容については……。
○鍛冶委員長代理 どういう手続で返還を受けたか御承知ありませんか。
○原證人 これは連合軍に渡しまして、連合軍から内務省が責任でありますから内務省に渡す、こういうふうになつておると思います。
○鍛冶委員長代理 それはわかつておりますが、現実にどんな手続がとられたかを御承知ないですか。
○原證人 と言いますと陸軍の処置ですか。
○鍛冶委員長代理 陸軍なり連合軍なり……。
○原證人 常識的に言うことになりますが、実際にどうしたかということを言うわけにはまいりません。
○鍛冶委員長代理 ではその後その返還を受けたものの処理に関して、内務省が受けたとは言うものの、軍にも相当関係のあることでありますから、軍としてその処理に関してどういうことをやつておられたか、いかなる関與をしておられたかを御承知ですか。
○原證人 実際問題としましては関與しておらなんだのじやないかと考えております。私そのものが内務省がこれをどう使い、どうするというような報告も通報も受けたこともございませんし、事が起きて、これをどうするというような、判決をするというか、そういうこともございません。
○鍛冶委員長代理 軍務局長が特殊物件処理委員会の委員になつておられたようでありますが、これに関してはどんなことをやつておられたか御承知ありませんか。
○原證人 これもできたのはよほど前ではないかと思いますが、私がまいりましたときにはもうあつたのだろうと思いますが、それについて格別の報告も何も受けたことはございません。
○鍛冶委員長代理 その後において、あなたの復員省の次官時代ですか、兵器処理委員会等ができて、それに関してやられたことについても御承知のことはありませんか。
○原證人 それもございません。
○辻委員 軍需物資の進駐軍引渡しの管理をいたしたのはあなたの復員次官当時のように思いますがいかがでありましようか。
○原證人 復員局へ勤めておるころかとも思います。
○辻委員 引渡しを完了して、それを集計して、そのリストは復員局に現在あるというお話でございますが、その間のいきさつは御存じありませんか。
○原證人 おそらく各軍あるいは関係のところから復員局に報告してきた書類を現在の復員局がもつておるのだと思います。
○辻委員 それは引渡しが完了すると同時にそうしたリストを集計したのではないかと思いますが、その時期はあなたの復員次官のときではなかつたのですか。それは御記憶ありませんか。
○原證人 ある程度の集計はしたと思います。それは私が次官をしておりますときに、議会で兵器などのことを御質問がありまして、当時お答えしたことがあるのでございます。現在大砲は何門あつて、自動車が一万台で、小銃が何十万か、何百万かという正確な記憶はありませんが、その当時として集計したもりはあつたと思います。
○辻委員 それは完了前の中間報告になりますね。
○原證人 そうであります。十二月でございますから。
○辻委員 議会であなたが復員次官として御答になつておりますね。
○原證人 そうであります。
○辻委員 そのころの状況は速記録でわかるわけですね。
○原證人 貴族院の大河内子爵がお尋ねになりまして、そのときに当時集計してわかつておるだけ申し上げたかと思つております。
○鍛冶委員長代理 ほかにございませんか——では済みました。御苦労さんでした。 —————————————
○鍛冶委員長代理 保科善次郎さんですね。
○保科證人 そうでございます。
○鍛冶委員長代理 あなたは鈴木内閣から幣原内閣に至るまで、軍務局長をしておいでになつたようでありますが、何年何月から何年何月までおやりになつたのですか。
○保科證人 昭和二十年五月十五日から同年十一月十六日までと記憶しております。
○鍛冶委員長代理 その後は。
○保科證人 その後は十一月一ぱい海軍省出仕みたようなかつこうでおりまして、復員省になると同時に現役を退きました。
○鍛冶委員長代理 鈴木内閣の終りごろでありまするが、昭和二十年八月十四日附で、軍その他の保有する軍需用保有物資、資材の緊急処分の件という命令が閣議決定に基いて出ておるようでありまするが、これに対しで御承知ありますか。
○保科證人 閣議決定にそういうものがあつたということは承知しております。
○鍛冶委員長代理 大体どういう趣旨のものであつたか御承知になりますか。
○保科證人 内容は覚えておりませんが、その当時國民生活が非常に窮迫しており、食糧とかそういうようなもので占領軍の管理下にはいらぬだろうと想像されるようなものを、國内に早くなにしておいた方がよいではないかというようなことで、そういう閣議決定があつたと記憶しておりますが、内容はどの程度であつたか今詳細記憶しておりません。
○鍛冶委員長代理 それに基いて海軍としてどういう方法をおやりになりましたか。
○保科證人 はつきり記憶しておりませんが、そういう閣議決定があれば、その所管の長にその決定の趣旨を傳えて、そういうように施行させるのが大体海軍のやり方ですから、そういうぐあいに行われたと思います。当時どういうものをやつたか今記憶に残つておりません。
○鍛冶委員長代理 達か何か出しておりませんか。
○保科證人 達が出ているだろうと思いますが、達かあるいは海軍省内におるものですと、これはその長を呼んで口達をしたと思いますが、全般に亘りますから、そういうものに対しては書類で達が行つていると思います。それは調べてみればわかるじやないかと思いますが……。
○鍛冶委員長代理 これはあなたがお調べになればわかりますでしようね。
○保科證人 これは私も参りませんからよく知りませんが、終戰後の書類は燒けておりませんから、多分元の復員局に保管されていると思います。復員局の残務処理部が元の海軍省の中にありますから、そこで聽かれればすぐわかると思います。
○鍛冶委員長代理 通達はあつたろうというくらいですから、通達の内容は御承知ないでしようか。
○保科證人 記憶ありません。当時ごたごたしておりまして、私のやつておる仕事は、当時の状況はどうして連合軍の要求通りやるかという仕事が非常に多くて、そういうところはちよつと記憶しておりません。
○鍛冶委員長代理 しかしやるとすればあなたのところの所管でしよう。
○保科證人 私のところで多分起案したと思います。全般的な閣議決定の事項をそれぞれの所掌の場所に傳えるのは私のところの軍務局の仕事でありますから、私のところでやつたには違いありません。
○鍛冶委員長代理 この閣議決定を見ますると「陸海軍は速かに國民生活安定のために寄與し、民心を把握し、以て積極的に軍民離間の間隙を防止するため、軍保有資材及び物資等につき隠密裡に緊急処分方措置す、尚陸海軍以外の政府所管物資等についても右に準ず」と書いてあります。この隠密裡ということはどういうことであつたか御記憶はないですか。
○保科證人 ありません。まだ戰爭が済んでいないものですからそういう言葉を使つたのではないかと思います。
○鍛冶委員長代理 記憶にはありませんね。
○保科證人 よく頭に残つておりません。戰爭が済んで、連連合軍と話をした上であれば、何もそういう言葉は使う必要はないと思います。まだ戰爭終了前だからそういう言葉を使つたのではないかと、これは想像でありますが思います。起案したのはおそらく内閣でしたのだろうと思います。
○鍛冶委員長代理 そのとき書類を燒却せよという命令も出たこいう話ですが……。
○保科證人 書類の燒却は海軍では命令としては出していないと思います。各部機密書類あたりでは非常の場合にはそこで各部適当に処理をすることになつておりますから、機密書類を燒けという命令は——私今ちよつと記憶にありませんが、これは調べてみればわかりますが、海軍省あたりではほとんど燒いておりません。
○鍛冶委員長代理 各部隊とか、その他では……。
○保科證人 各部隊では信号書とか、その他そういうものは燒いておるようであります。しかし大体作戰関係のものでなければ、ほとんど海軍関係では燒いていないと思います。
○鍛冶委員長代理 そのときに軍工廠または軍需工場の仕掛品であるとか、原材料等に対して、どういろ処置をやられたか御記憶はありませんか。
○保科證人 大体海軍の仕事のやり方というものは、御承知だと思いますけれども、それそぞれ工廠関係は艦政本部、航空工廠関係は航空本部というものがありまして、その内容はそういうところから指示するようになつておりますから、海軍大臣から出る命令はごく大きい命令であります。仕掛品をどういうようにしろというようなことは当然そういうところから出ておりますが、私書類を見ておりませんので、どういう命令が出たが記憶にありません。
○鍛冶委員長代理 そうすると工場関係とか工廠関係はどこから出るのですか。
○保科證人 艦政本部からです。
○鍛冶委員長代理 その他のものに対しては……。
○保科證人 今申し上げました通り、工廠関係は艦政本部、航空廠関係は航空本部、軍需部関係は軍需局からであります。医務関係は医務局から、そううように各部にそれぞれ所掌があります。施設関係は施設本部からというように、細目の指定はそういうところからやります。
○鍛冶委員長代理 そこで命令を出したかもしれぬとおつしやいますが……。
○保科證人 出したでしようと思います。そうでなければ動きませんから。
○鍛冶委員長代理 事実上各現地において随分放出されたのではありませんか。
○保科證人 それはその命令を出されるときは、大体その通り行われるということを予期しておつたわけなんであります。ところが実際やつてみますと、やはり若干の精神的異常を來したのだろう思いますが、いろいろ噂が傳わりましたので、海軍においては早くやめなくちやならぬということを言つております間に、いつでしたか、八月の下旬と記憶しますが、命令でやめろということになりました。その前から海軍では、これはどうしても是正をいたしましたり、特に適正にやるようにということで、井上大將を委員長とする査察團を出しまして、そういう動きについて適正をはかるような処置をとりました。それは九月になつてからであつたかどうか、時期は記憶しておりませんが、今委員長のおつしやるようなことが中央にみなはいつたわけであります。われわれはそういうことは予期しておりませんでしたが、そういうことがございました。
○鍛冶委員長代理 あなた方の方で予期している処分範囲はどのようなものであつたのですか。
○保科證人 当時最も適正な、たとえば食糧であれば食糧関係を扱つておる農林省とか地方の農林関係、そういうようなところに移すことを考えておつたわけであります。大体主として公の機関あたりに移して、民間あたりの関係はなるべくつけたくないということを、当時われわれは中央において考えておつたわけであります。ところが実行する場面では必ずしも中央の期待したようにできていなかつたと思うのであります。いろいろな問題が起りました。それでやめなくてはならぬ、こういうような感じを当時もつておりました。
○鍛冶委員長代理 直接民間人へ渡さぬようにして、團体であるとか官廳であるとか……。
○保科證人 そういうところを狙つておつたわけです。
○鍛冶委員長代理 どういうものを出してよろしいということは……。
○保科證人 大体、当時われわれが考えていたのは食糧、衣料、そういうものが主体でございました。しかし今の閣議決定で見ますと、いろいろほかのものがあるようであります。われわれが当時考えておりましたのは、食糧、衣料、これが一番困るだろう、当時御承知の通り困つておつた時代ですから、これは連合軍の意に反しない範囲において、できるだけ國内に置いておこうというような気持であつたと思います。
○鍛冶委員長代理 この物を拂下げても差支えない。これはいかぬがこれはいいということを決定し、それからこの者へやつてよろしいとか、この團体へやつてよろしいとか、こういうことをきめるものがなかつたら拂下げはできないが、それをきめるのはだれですか。
○保科證人 それは中央で指令いたしません。今申し上げましたような艦政本部とか、航空本部あたりでそれを敷衍して言つておつたかもしれませんけれども、大体そういう趣旨を傳え、あとは現地に任したわけであります。
○鍛冶委員長代理 その現地にだれか責任者が決定するものがありませんか。
○保科證人 それはたしか航空隊なら航空隊の司令が、主計長なりに相談してきめるということになる。そこまではとても指示する余裕がありませんのでそういうこまかいことは指示をいたしません。それは明瞭に言えると思います。
○鍛冶委員長代理 そういう決定をする人がルーズだつたから、先ほどあなたがおつしやつたような……。
○保科證人 そうでございます。それはあとで調査して非常にルーズなところもあり、適正にやつたところもあるわけであります。
○鍛冶委員長代理 陸軍では八月二十八日に、さきの命令を取消しをする通達を出しているのですが、海軍も相談の上でやられたのではありませんか。
○保科證人 それは閣議で取消せということになつて、それによつて命令を出しておりますから、同じ時期に取消しの命令は出していると思います。
○鍛冶委員長代理 その取消しの命令の内容は御承知ありませんか。
○保科證人 それは記憶しておりません。これも命令が出ておればその書類は残務処理部に残つていると思います。
○鍛冶委員長代理 その間に処分をするとすれば、めちやくちやにやるべきものでないので実際やつたものがいるかもしれませんが、だれにいくらでどれだけのものをやつたということの記録がなくちやならぬと思いますが、そういうものに対しては特に御注意なすつたんじやありませんか。
○保科證人 それは先ほども申しました通り、井上大將の査察團と、それから谷本主計中將を首班にして適正に処理されたかどうかを調べる一つの査察をやつた。その報告があるはずです。その報告は私がやめるまではでき上つておりませんでしたけれども、多分出ていると思います。それを見ればわかると思います。
○鍛冶委員長代理 あれはどこにありますか。
○保科證人 やはり残務処理部にあると思います。それは必ずあると思います。
○鍛冶委員長代理 その報告よりか、処分すれば処分した記録があるに違いないと思いますが……。
○保科證人 あるでしよう。それは航空隊あたりが解散になるときに、そういうものを鎮守府なら鎮守府の所属に渡しておれば、その鎮守府で保管しておると思います。解散のとき書類の処理を、処理済みのものとして全部燒却でもしてしまえばわかりませんがそうでなければ鎮守府麾下の部隊や地方の部隊のは鎮守府にあると思います。鎮守府の残務処理部で今は縣の中にはいつておりますが、場所はやはりもとの軍港にあると思います。私はまだ行つておりませんからよくわかりませんが……。
○鍛冶委員長代理 軍港にあれば、さらに海軍本省に報告すべきものではありませんか。
○保科證人 そういうものは地方限りで処理いたします。
○鍛冶委員長代理 処分したものは……。
○保科證人 処分いたしましたものは艦政本部や航空本部に來ておるかどうか、私はそこがよくわかりません。鎮守府には経理部というものがありまして、そこで監督の責任もありますし、そういうものは適性に扱うわけですから、その全体の経理部で扱つて、あるいは経理局長のところまで來ておるかもしれません。書類を調べればわかると思います。
○鍛冶委員長代理 処分してもよろしいいうでとは、ただ何でもかんでも放り出せという意味ではありませんから、拂下するなら金をとらなければならぬし、無償でやるなら無償でやるという理由がなければならぬ。
○保科證人 無償でやつたものはないと思います。
○鍛冶委員長代理 そうすれば必ず書類があるはずだが……。
○保科證人 書類はあります。それが地方部隊は経理部で止つておるか、あるいはこちらまで来ておるか、残務の処理をいたしましたから経理局まで來ておるかもしれません。その方は私はかかり合わなかつたからよく存じませんが、今委員長がおつしやる通り、その始末の結果は國庫法に関係がありますから、当然経理局まで来ておるはずです。
○鍛冶委員長代理 もしあればやはり残務処理の方に残つておりますか。
○保科證人 はい、あります。
○鍛冶委員長代理 今あなたのお話を聴いても、その点は深く考えておられなかつたようですが……。
○保科證人 適正に物を残すということが頭にあつてその費つた金をどうするかということは、私自身はあまり考えておりませんでした。経理局長は当然考えておつたと思います。
○鍛冶委員長代理 あまり深く考えないで処分せいと言われたことが、今日いろいろの問題が起きておる根本ではありませんか。
○保科證人 あるいはそうかもしれません。その当時大臣は考えておられたかもしれませんが、私はその金の方をとうするというそこまでは—、費つたものは國庫に納めるのが当然でありますが……。
○鍛冶委員長代理 金だけではありません。物の行方がはつきりしておらないということです。私の言うのは……。
○保科證人 物の行方については場所は指定いたしませんが、大体公共團体あたりにやれということでした。それは場所々々によつて違うものですから、中央からどのものにやれというよな一般的な指定はできなかつたと記憶しておるのですが、あるは書類の中でどういうふうに書いてありますか、それを見ればわかると思います。
○鍛冶委員長代理 九月二十四日に連合軍最高司令官から覚書が出たようでありますが、その点は御記憶はありませんか。
○保科證人 九月二十四日ですか。憶えておりません。どういうものか、
○鍛冶委員長代理 軍の保有物資に対する覚書でありますが……。
○保科證人 どういう内容か言つていただけばあるいは記憶が甦るかもしれませんが、どういうものがありましたか、ちよつと記憶しておりません。
○鍛冶委員長代理 保有物資は全部連合軍に引渡しせよ、その引渡しによつてさらに日本政府に返還してやる。返還の際はこういうやり方でやれという……。
○保科證人 これは政府に対して來たものですね。記憶しております。たしかこれによつて特殊物件処理委員会のようなものが生れたのではないかと思います。
○鍛冶委員長代理 いやそれより先きに、それに基いて軍に引渡しなさいましたですね。
○保科證人 はい。
○鍛冶委員長代理 それは実際どういう手続をもつて引渡しをせられたか。
○保科證人 それは各部でリストをつくつたわけです。物をもつておる場所で……。そしてこれを鎮守府では鎭守府でまとめて、そこに来た連合軍に引渡したと思います。
○鍛冶委員長代理 各鎭守府、鎮守府でやつたのですか。
○保科證人 私はよく知りませんが、リストを出したのは中央では艦政本部とか軍需局あたり、特に持つておつたところでは出したかもしれませんが、中央でまとめたものは記憶しておりません。
○鍛冶委員長代理 しかし出たものは、どれだけのものを引渡したかということは、海軍省ではわからなければならぬと思いますが。
○保科證人 それはあとで出したものの写しは多分残つておると思いますが私は今記憶がありません。こちらに残務処理をしたものが来ておれば、わかる思います。
○鍛冶委員長代理 そういうものの主管の局長はどなたですか……。
○保科證人 そういうものは、たとえば艦政本部系統なら艦政本部にくるわけであります。航空本部系統のものは航空本部に……。
○鍛冶委員長代理 それをまた一つにまとめなければならないと思いますが……。
○保科證人 それが区分されて、そういうものをまとめて一應官房にはいるわけですが、書類が各部から來ましおものはその所掌の所にわけるわけですから、それは海軍省で全部まとめたというのは、あるいは進駐軍関係の連絡をはかる場所があとからできましたから、あるいはそこでまとめたのかも知れません。
○鍛冶委員長代理 その間の処分は、連絡部を通じてやるか知らぬが、それはあなたの所じやないですか。
○保科證人 私の所は全体の関係は軍務局でやるわけですが、向うに渡すときに、最後にまとめて渡しておるとすればへそれは軍務局を通つていくわけです。中央連絡事務局に……。
○鍛冶委員長代理 そういう書類を全部まとめた記憶はありませんか。
○保科證人 まとめた記憶はございません。あるいは私が辞めたあとに、そういうものをまとめて渡しておるかも知れませんが、私のおつた時代は、これはまとめると厖大な、非常に廣範なものになると思いますが、そういうものをやつた記憶は、見た記憶がございません。
○鍛冶委員長代理 それから今度は向うから返還を受けましたね、日本政府へ。これはどういう手続でやつたか御承知でございますか。
○保科證人 返還をうけましたのは、今申しました通り軍の物資として兵器なり、そういうものはみんな現場で保管者がおつて、向うの手に引継ぎをするまでは現場に保管をしておりまして、それから向うで見て要らないものは、これだけよこすということですから、内務省の方に返還された物資の方は海軍には関係がありません。
○鍛冶委員長代理 海軍に関係といつても、どういう手続で返還されたか御承知ですか。
○保科證人 手続はよく記憶しておりませんが、これは軍から内務省の方へ何して、それの処理については特殊物件処理委員会があつて、私は出たことはありませんが、委員になつたと記憶しておりますが、それをどういうふうにわけるかということについて、主務者が参加をしておつたように記憶しております。
○鍛冶委員長代理 先ほどお聽きしたように、あなたの方から連合軍へ渡されるときには、そういうふうにとにかくリストはありましたね。
○保科證人 あります。
○鍛冶委員長代理 さらに内務省で引継いだときもリストはあつたでしようね。
○保科證人 あつたと思います。
○鍛冶委員長代理 陸軍の方は、内務省自身がわかりませんから“陸軍で向うへ引渡したときと同じリストをもつて、さらに返還したということにした、こういことを先ほどから係りの方に聴いたのですが、海軍の方でも同じやありませんか。
○保科證人 そうですね。それは私よく承知しておりませんから、ちよつとここで申し上げかねますが、どうせ内務省はわからないけれども、その保管しておる場所ではそれをやつたと思います。それですから保管しておる者が海軍のものを保管しておつて、それを向うに渡したから、それを内務省に渡せといつても内務省のものは多分それはわかるはずじやないけれども、そこにおつたものは内務省の役人のようなわけで、内務省に加勢してやつたむのたと思います
○鍛冶委員長代理 それはあなたの方から命令なり、達なり……。
○保科證人 命令は出しておりません。それば進駐軍と内務省との関係で、海軍が本省がその中にはいつてどうやれというようなことは言い得ないような時期なんで……。
○鍛冶委員長代理 いや、海軍の人が実質上。
○保科證人 海軍はただ管理しておるだけであつて、向うへ渡してしまえば海軍の責任から離れてしまう。
○鍛冶委員長代理 理屈はそうですが、何というか手助けというか……。
○保科證人 そういう手助けはやつてないと思います。
○鍛冶委員長代理 そういうことはあなたの方から、こういうふうにやつたらいいというような。
○保科證人 それは鎮守府あたりから指図をしたかもしれませんが、中央からそれに対して何ら命令を出したということは、記憶がありません。
○鍛冶委員長代理 記憶がないというならばしかたがありません。それでは今おつしやいましたその後内務省において返還を受けたものの処理について、どういうことをしましたか。
○保科證人 それは特殊物件処理委員会というのがたしかありまして、それに軍務局長が委員になつていたと思います。私は一回もその委員会に出た記憶ばございませんけれども、たとえば海軍大学校を学習院が使いたいとか、海軍は権利はない、責任はないのですけれども、前に持つておつたということで、いろいろなところから希望がまいりまして、それを取りまとめたものを参考資料として特殊物件処理委員会が—主務省がまとめて出して、それを参考にして特殊物件処理委員会がきめていた。こういう形になつておると思いますが、しかし海軍では処理の権限は全然ありません。
○鍛冶委員長代理 委員会にあなたの代にだれが出ておつたのでしようか。
○保科證人 それは吉田大佐、機関大佐をしておつたと思うのですが、今ちよつと度忘れいたしました。
○鍛冶委員長代理 それは軍務局の……。
○保科證人 軍務局の局員であります。それが係でずつとやつておりました。それに聽けば細目はよくわかります。
○鍛冶委員長代理 さらに兵器の処理に対して、または兵器以外の特殊物件に対してどういうやり方をせられたかは御承知ありませんか。
○保科證人 兵器は連合軍に渡してから、海軍は兵器の処理についてはいわゆる管理している者が加勢しただけで、これは連合軍の方でやつたので、海軍は別にどういうふうにしたらいいというような指図はしてないと思います。
○鍛冶委員長代理 特殊物件処理委員会がきめたのではないですか。
○保科證人 特殊物件処理委員会は兵器以外のものであります。兵器ははいつておりません。
○鍛冶委員長代理 どうも海軍として、あなたが一番よぐ御承知のはずだと思うのだが。
○保科證人 私陸軍と少しやり方が違うと思うのです。海軍のやり方は……。
○鍛冶委員長代理 そうすると、先ほどおつしやつた艦政本部、航空本部施設本部、軍需局ですか。
○保科證人 はあ。それから経理関係は経理局。
○鍛冶委員長代理 そういうところに責任があつたわけですか。
○保科證人 いや、いろいろな処理の責任はそういうところに方針を示して任されたわけです。
○鍛冶委員長代理 それへ任すということについての何か今覚えはありませんか。
○保科證人 それは書類か、送達か何かあると思いますが、実はどういうことを聴かれるかわかりませんので、書類を調べておりませんでした。三年前のことですから、大分記憶から遠ざかつております。もし書類について何されるのでしたら、書類を調べてみれば明答できると思いますが、その当時のことは、もう大分記憶から去りまして、まことに恐縮でありますが、知らぬことをいい加減に申し上げることもできません。
○鍛冶委員長代理 ほかに聴くことはありませんか。
○明禮委員 艦艇のことをちよつとお聴きしたいのですが、旧海軍所有の軍艦はこれもやはり連合軍に引渡したということになるのでしようぬ。
○保科證人 さようでございます。
○明禮委員 それはどのくらいの数字があつたのでしようか。引渡したときの艦艇のトン数並びに何隻ということ。
○保科證人 それも今数字は記憶がございません。これは書類を見ればすぐわかります。明瞭にわかります。
○明禮委員 引渡した時期はいつですか、それはわかりますか。
○保科證人 それはわかります。これは十五日にすぐ引渡せる準備をしておりました。それで向うから受取る人が來たらすぐ渡しておると思います。それは場所々々でやつておりますから……。
○明禮委員 時期もわかりますか。
○保科證人 時期もわかります。
○明禮委員 それもひとつ出していただけませんか。
○保科證人 早速残務処理部に話せばわかると思いますから……。
○明禮委員 そしてあなたがこの委員会へ、あなたの報告を向うで調べさして、それを出してもらえませんか。
○保科證人 それは簡単にできると思います。
○明禮委員 どのくらい……。
○保科證人 私はあすから数日旅行いたしますので、その後でよろしいか。
○明禮委員 何日ごろ……。
○保科證人 二十四日ごろに帰つてきます。
○明禮委員 そうですが、今月一ぱいには出るでしよう。
○保科證人 今月一ぱいにはわけないと思います。そういう艦艇の数字は……。
○明禮委員 調べさしておいて、できるだけ早く出してください。
○保科證人 承知しました。艦艇とそれから引渡した隻数ですね。
○明禮委員 できれば艦艇名と、それから引渡しの時期、トン数、隻数。
○保科證人 わかりました。それと引渡しの場所、停泊しておつた場所ですね。
○明禮委員 その軍艦はやはり連合軍から返還されたわけですね。
○保科證人 返還されたものもあります。
○明禮委員 連合軍へ全部引渡して、全部返してもらつた……。
○保科證人 そうではありません、皆こわされたのもあります。一部分が今度の保安隊の主体になつたものがあります。
○明禮委員 引渡したものと返還されたもそれと今の各トン数、隻数、それから停泊しておつた所。
○保科證人 その引渡されたもの、今行つている所、ある場所は要りませんね。
○明禮委員 今ある所も書いてもらいたい。
○保科證人 そうすると、それは少し時間がかかるかもしれません
○明禮委員 かかつたらやむを得ませんが、そこまでひとつ……。それからそれは初め復員局でやつておられたのですか。この処理についての関係はあなた御承知でありますか。艦艇解撤の処理。
○保科證人 解撤をする場合……。
○明禮委員 解撤をするについてどういうふうにしておるかということは、今あなたの復員局関係では関係ないのですか。海軍関係は。
○保科證人 それは海軍を離れましたから……。
○明禮委員 それはどこへ……。
○保科證人 解撤関係は商工省が主体になつておるのではありませんか。例の兵器処理委員会。
○明禮委員 海運総局でしようか。
○保科證人 兵器処理委員会ではございませんか。
○明禮委員 兵器処理委員会ではございません。海運総局だと思いますが、それはあなたの方には関係ありませんか。
○保科證人 わかりません。しかし鎭守府あたりをまとめればわかるかもしれません。
○明禮委員 そうですが。それから今艦艇の解撤が行われているのでありますが、これについて監督上のことはあなたの方にはございませんね。
○保科證人 はあ、ございません。
○明禮委員 それから解撤業者との拂下関係もあなたの方に関係ありませんね。
○保科證人 関係ありません。國有財産の方の艦船関係は大蔵省の國有財産の艦船関係でやつておられませんか。
○明禮委員 それはわかつております。 もう一つお伺いしますが、各艦艇の建造費というものはわかりませんか。
○保科證人 それは造つた当時ですか。
○明禮委員 造つた当時です。
○保科證人 それは書類があればわかると思います。
○明禮委員 できましたら、それも参考に。
○保科證人 造つた当時の建造費ですね。それは今の表の船ですか。
○明禮委員 大体私どもの聞いておりますのは、終戰当時戰艦とか、航空母艦、それから小さいものを入れまして、大体四百隻ぐらいあるように聞いておるのですが、残つておるものが……。
○保科證人 残つておるものについての……。
○明禮委員 引渡したものと両方……。
○保科證人 そうすると、今のリストの中に製造費を入れればいいわけですね。
○明禮委員 これは、私の方では、四百隻ぐらい残つておるものについて今問題になつておるのですけれども、参考に、引渡されたものもなんぼあつて、そのうちどれだけが返つてきておるのだということですね。
○保科證人 承知いたしました。
○明禮委員 これは復員局の残務処理部へ要求すれば出るわけですか。
○保科證人 さよでございます。ここから直接おつしやつても同じことでございます。私は存じませんから、そちらへ言つていだだけば一番……。
○明禮委員 書類は一應そちらへ出しますけれども、あなたは連絡がおよろしいでしようから、書類が行つたら、出すように。
○保科證人 そうしていただければ、非常にやりやすいわけです。
○明禮委員 今のような書類を調べておくように言うておいてくだざいませんか。
○保科證人 どうぞその書類を出してくださるように、お願いいたします。
○足立委員 ちよつと事務的のことをお尋ねいたしますが、八月十四日に閣議決定が出ましたね。そいつを下の方へ流すのには、具体的の一つの処置を講じなければならないと思うのですが、その折にあなたの方で具体的の処置を、何か規則でもつくつて流されたのか。閣議決定をそのまま艦政本部とか軍政部とかへ流していくのですか。大体の事務的系統を……。
○保科證人 大体中央では、閣議があると大臣が関係者をいつでもお呼びになるのです。そうしてこういう閣議決定があつたから、これを処理せよということを大臣が言われる。それで漏れる部分は、軍務局長がそのほかのことについて傳えるというのが、大体海軍のしきたりでございます。
○足立委員 そうすると、軍務局長を通さずに、各艦政本部とか航空本部に……。
○保科證人 それは同席いたします。こういう閣議決定があつたから、こういうようにやろう、そこに漏れる部分ぼ軍務局長が下へ出す。しかし念のため、重要なものであれば、書類をあとからやるという場合もあります。そのときに書類を書いてあとからやつておつたかどうか、今記憶にないのですが、それは書類を調べればわかります。
○足立委員 そうすると、かりに規則でも書類でもこしらえるとすれば、艦政本部なり、航空本部なり、まちまちのものができるわけですね。
○保科證人 大体趣旨はわかります。経過においてはそういうことになりますが、趣旨ははつきりしておりますから……。
○足立委員 これは陸軍の方は一本の達ができておつて、いつておるようですが。
○保科證人 達が、記憶がありませんが、海軍のやり方と陸軍のやり方と違いますから。
○鍛冶委員長代理 ほかにありませんね。それでは、下村定証人から、先ほどの証言で訂正するところがあるというお申出ですから、引続いて承ることにします。
○下村證人 訂正をいたします。先ほど徳田委員の御質問中に、陸軍における兵器経理の主任局長ということにつきまして、私が兵器局長という言葉を使いましたがあれは誤りで、兵器行政本部長官であります。
○鍛冶委員長代理 それだけですね。わかりました。御苦労さまでした。本日はこれで散会いたします。 午後六時二十三分散会