人事委員会公聴会 第2号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/11/18
会議録
○角田委員長 これより人事委員会公聽会を開きます。 開会にあたりまして委員長として公述人諸君に一言ごあいさつ申し上げておきます。本委員会は國家公務員法の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、特に公聽会を開きまして法律案全般について眞に利害関係を有する者、または学識経驗者等より廣く意見を聞くことにいたしましたのは、御承知の通り本法案は去る七月二十二日付内閣総理大臣あてマツカーサー元帥の書簡に基いて政府において起草し、本國会に提出されたものでありまするが、これは一般的関心及び目的を有する重要な法律案でありますると同時に、公務員にとりましては深し利害関係を有しておりまするため、院の内外、國民の各層におきましては、これに重大なる関心を寄せられており、また賛否の意見が活発に展開されておるのであります。本委員会といたしましては、この重要な法律案の審査にあたりましては、この重要な法律案の審査にあたりまして、廣く國民の輿論を反映せしむると同時に、多年の御経驗と御研究に基く、豊富かつ貴重なる各位の御意見を聞くことによつて、本委員会の法律案の審査を遺憾なからしめんと念願しておる次第であります。公述人諸君におかれましては、御多忙のところ、貴重な時間をさいて御出席くださいましたことを、ここに厚く御礼を申し上げますると同時に、本法律案につきましてあらゆる角度から忌憚のない御意見を御開陳願いたいと存ずるのであります。 なお公聽会の議事運営については、あらかじめ御承知を願つておきたいと思うのでありますが、公述人の発言時間はおおむね一人当り十分以内でありまするから、それぞれ重複を避けて重点的に御意見の核心をお述べ願いたいと思います。なお発言は発言台でお願いいたします。発言台にお立ちの際には、最初にお名前と職業をお述べ願います。公述人の発言の順序は原則として公述人名簿の通り進めてまいりますが、特に必要ある場合には委員長において適宜順序を変更することがありますから、あらかじめお含みを願つておきます。 まず最初に全日本石炭産業労働組合の石橋彌一郎君にお願いいたします。
○石橋公述人 私は全日本石炭産業労働組合配炭公團本部の中央執行委員並びに全公團從業員組合協議会事務局長の石橋彌一郎であります。 結論を申しますならば、本法案に対して全面的に反対であります。そもそも憲法第二十八條におきまして、勤労者の團結権と團体交渉が保障されておりまして、さらにこれの具体化といたしまして労働法規があります。これによりまして、勤労者は團結権、團体交渉権、罷業権を保障されておるわけであります。しかるに本法案は附則によりまして、はつきりとこれらの労働者の受けるべきところの権利を一切剥奪しております。さらに政治活動の自由をも封殺しておるわけであります。このような意味合いにおいてなぜ公務員であるがゆえに勤労者としての基本的人権を剥奪されなければならないか、その理由を案じまするに、本法案の至るところ、あるいはそれぞれのこの法案に対する前提條件としては説明の中にも、國民の利益あるいは公共の利益という名のもとに、これらを博奪して差支えないということが述べられておるわけであります、このような公共の利益あるいは國民の利益のもとに、勤労者のこれこれのものを剥奪するという思想は、かつての軍閥支配時代におけるところの、東條時代の慣用語であつたのでありまして、われわれはついこの間まで、この名のもとに一切の権利、ひいては全國民の権利が剥奪されておつたわけであります。從いまして、このようなことに対してはわれわれは絶対に反対するものでありまして、これら賃金をいただいております公共企業体の労働者に対する労働法によりまして、石炭あるいは電気産業というようなものの基本的権利を奪うものと両々相まつて、逐次國民の大多数を占めるところの勤労者の権利が奪われて行くということになると思うのであります。この場合電氣を奪うときには、國民という名のもとには公務員あるいは石炭の労働者も入つておりますし、石炭を奪うときには、今度は電氣産業、公務員が入つており、公務員が奪われるときには石炭、電氣産業その他一切の勤労者が入つているというように、この職種の違うという点を利用いたしまして、國民という名前によつてこれを奪つていく。そこで國民の一体どこが奪われるかということに話を進めて行きますと、結局それによつて奪われない國民というのは、ほんの一部の特権的な階級だけが残るということに当然なつて参ります。このことはとりも直さず、現在におけるところの独占金融資本の支配を意味するものでありまして、この金融資本の支配というものは、完全にフアシズムの支配そのものを意味していることは明らかであります。このゆえに本法案に対しましては、私はこの根本精神から行きまして全面的に反対するものであります。 次に、さらにこの中にこのような不逞な精神がどこに現われているかという点を若干指摘いたしますれば、たとえば人事院の権限がむちやくちやに大きい。これは公務員に関するところの立法、行政、司法というような、一切のそういつたものまで人事院の権限がむちやくちやに大きくて、これをおつかぶせているという点で、この人事院の権限の大きいということは、本法案を通じて非常に驚くべきものがあるのであります。これがフアシズム的な支配でなくて何でありましようか。 さらにもう一つこの法案の特徴をなすところの職階制というものについても、この点が指摘できると考えるのであります。本來この職階制の中の給與その他におきましては、公務員を保護するというような意味から、あるいは公務員の特殊性という意味から、まず憲法の二十五條によつてきめられたところの、健康で文化的な最低限度の生活を保障するためのスライド制を含んだところの最低賃金制、これをしるすのが至当であると考えるのであります。しかしながらこのようなことは一切きめられておらず、このような具体的なことは人事院がきめるということだけによつて、この問題はまつたく問題の外にされているのであります。そうしてそれにかわるに何が残されておるかといいますと、そこには最低花活の保障の上に立たないところの職階級が出ておるのでありまして、このような最低生活の上に立つておらない職階制は一体どういうことを意味するか。これに対して私は、結局日本における廣範囲にわたつているところの封建的な、身分的なものとの結びつきにおいてのみ考えられて來るのでありまして、あたかも軍隊において食糧不足でみんな困つているときに、將校だけが最もいい給與を受けて、兵隊は非常な困苦欠乏を受ける、こういつた状態、あるいはその間を幾つかの階級にわけてある、こういつたものを想起するのであります。このような職階級は日本の場合においては明らかに旧日本軍隊の精神の復活に寄與するものであると考えます。從つてこれはこの間までわれわれを苦しめておつてあの悲惨な戰爭に追い込んだところのフアシズム的な精神そのものの現われであると考えるのであります。考えて見ましても高級官僚と、たとえば公團におけるところの米屋だとか、石炭絵、こやし屋といつたような末端の人たち、あるいは郵便配達といつたような人たちを十ぱ一からげに同じ法律でもつて規制して行くということが、いかにばかげた問題であるかということは、常識的にもはつきりわかると考えるのであります。結論的に申し上げますならば、この法律は初めから終りまで公務員を心身ともに奴隸化するためにのみ、そういう條件によつて貫かれているものであつて、まつたくこれはわが國の外面的外資導入の道を強めるための法律であると考える。そしてわれわれの最も憎むべき敵であり、最もわれわれがこれに対して鬪わなければならないところのフアシズムへの道を開くものである。そのようなもののてこになる法律であると感ぜざるを得ないのであります。このような理由によりまして、配炭、貿易、肥料、石油その他の全公團を含めまして全面的にこの法案には反対を表明するものであります。
○角田委員長 次に中央労働委員会の鮎澤巖君にお願いいたします。
○鮎澤公述人 中央労働委員会の事務局長をいたしております鮎澤巖でございます。申し上げますことを五つほどのポイントにまとめて申し上げたいと思います。 最初に公務員法が改正になつた経過についてであります。これは労働組合法の制定の際に、その起草に参加しました者の一人として、これができましたとき、なおそれと関連して爭議を調停するために労働関係調整法ができましたときも同じような事情でありましたが、ときの制約がありまして、あの法は不完全ではなかつたが、いろいろ不備の点があり、不備のままでスタートしたのであります。最初から千古不磨の大典で、決して改めてはならないというものではなく、いろいろの点が改められるだろう、事態の変化に應じて、その不備な点を改めて行こうという心持でスタートしたもので、公務員法の関係において、この形の改正のごときものが行われるであろうことは、少くとも私としては予想しておりました。ところが労働組合法、労調法の制定後、その施行については、各段階において政府、それから関係方面という言葉でおわかりくださると思いますが、その行き方についてはよく承知していなかつた。その施行の上に何ら違法なことは行われていなかつたにかかわらず、突如として政令のような形でこの改正が行われるようになつたというそのいきさつが、好ましいことであつたが、いなかは論議の余地はあると思いますが、私はただいまそれを申し上げません。この改正が提議されるようになつたことについて、当事者のどちら側からか、あるいは双方にその與えられた権利の行使の上において、第三者が冷嚴な判断を下すと、行き過ぎといつたようなきらいがなかつたであろうか。およそいかなる自由にしろ権利にしても、無制限の自由とか、無制限の権利とかいうことはないのでありまして、自由には自制ということが伴わなければならない。そうしないと第三者から、外部から好ましからぬ制限が加わつて來るのであります。このたびの改正は、残念ながらやむを得なかつたということを最初に申し上げたいと思います。 第二に公務員法の特殊性についてこういうことを考えております。政府に二つの性格がある。それは支配者——行政権、司法権、警察権を行使する担当者として政府でありますが、同時に雇い主、使用者としての性格をもつておる。そうすると使用者としては適正な労働條件において労働者を使用しなければならない。支配者として権力づくで強権的に強圧的に労働をしいるということがあつてはならない。政府はそういうことは断じてしないという保証はないのであります。特に雇い主としての政府の特異性ということを考えてみますと、政府は公益的性格をもつて公益的事業であるところの鉄道とか電信、電話等を政府の事業としてやつております。またこのことはもうかるからというようなことで、政府がやつておるということはないであろうかというと、たとえば塩の專賣とかしようのうとかタバコとかいうものは、これは公益企業と考えるべきものではなくて、もうかるからという趣旨から出たもので、必ずしも民主主義的動機から出たものではなくて——あるいは言葉が妥当を欠くかもしれませんが、國家的資本主義的動機から出たものではなかつたであろうか。少くともそういうことが動機であつたとすれば、運営の上から見て、政府に雇われておるところの公務員は、決して労働條件においと最上な理想的な形にやられていない。むしろ民間の企業において、政府企業よりも労働條件が保障されておるようなことを應々見たのであります。從つて過去の経驗から申しますと、また今後においても、政府は常に賢明な能率的な使用者であるということはどこにもないのであります。そこで政府企業は本質的に、諸外國でも見られることでありますが、官僚式であり、非能率的であつて、そこに雇用される者の労働條件はよくない。もう一つの当事者として公務員でありますが、これも現実に二つの性格があることを記憶したい。今度官吏という言葉にかわつて公務員という言葉を使つたことでも明らかなことく、多数の人の必要を満たすために、パブリツク・サービスを行うものである。なおその上に労働者であるということであります。労働者としてやはり適正な労働條件を要求する権利を憲法のもとに持つておるのである。特にそういう権利を公務員の場合には持たなければならないことは、ここでこまかに申し上げる必要はないと思いますが、そういうことから結論として、一般の労働法の保護から公務員ガ拔けて、権利がいやしくも侵害されるようなことがあつてはならないのであつて、國家的に重要な職務を遂行しておる限りは、その権利の保障がほしいわけであります。 そこで第三に公務員の團体交渉権ということのポイントについて私の考えておりますことを申し上げますと、労働條件が惡いために、サービスが低下するというようなことであつてはならないので、同時に團体交渉権を禁じてしまつて、憲法に保障されたところの労働権その他が侵害されるということでなく、むしろこれは自制にまつべきものであるということにいたしたい。公益事業においては、公益事業は大体政府が行つているのでありますが、すべてが公益事業的性格のものでないということをさつき申しましたから、さらにその点を強調して言うことができますが、政府はロツク・アウトを行うということができない立場にある。鉄道、電信電話その他において、雇い主としてロツク・アウトという武器を使うことができないような立場にある場合は、やはり公正の原理から、労働者側においても罷業権ということを一方的に行うということは、公正でないと考えるわけであります。そこでどうしても適正な爭議の調停仲裁制度が必要になつてくると思うのであります。この公務員法案を見ますと、そこに公務員の團結権は認められているが、それ以上不平があつたときに、どうしても生活の保障の面から、こういうことではやり切れないというような場合に、それをどこでどう処理するか、その調停仲裁に関しては、この法律には何ら触れるところがなく、ただ罷業を行つてはいかぬ。怠業を行つてはいかぬ、この罰則を見ますと、それを行えば三年以下の懲役になつたり、十万円以下の罰金を科せられたりするというような強圧的な、強制的な面が非常に強く現われて來ておつて、労働者としての公務員であるものの生活を保障し、彼らの不平、不満、苦情を処理するための機関については、何ら親切な規定がどこにも見当らないということは、この法としてはきわめて大きな欠陷であるということを申さなければならないのであります。およそ労働関係において強制ということはできる限り避けたい。できれば絶対にそういうことは避けて、労働者の納得による——ということは、自発的、自主的な自制にまつどういうことにいたしたい。こういうことは他の國々においては、たとえばイギリスにおけるホイツトレー・カウンシル、あるいはアメリカでありますと、TVA、テネシー・ヴアレー・オーソリテイーにおいて行われている労働関係調整のごとき、いずれも相当の結果を上げておるので、わが國においても、どうかああいう形で行くことはできないものであるか。労働者側にしましても、爭議を禁止せられたから、爭議を行わないというのでなくて、自主発、自発的にみずから自制して、罷業行為に訴えない。といつたようなことから、社会的信用を確保することができるのである。もうすでに諸外國の経驗においても公務員が、ことに公益事業における罷業のごときものが、いわば両刀の劍のごとくで、たとえ罷業に勝つても、輿論に負けてしまうということから、進んでやらないことにしておる。わが國においてもこの際この法律をつくる際に、どうかそういうことにできないものであろうか。そこでこの法律をつくる限りは、こういう禁止條項、罰則を設けてやりますならば、その際にかなりのスペースを費して、親切に、綿密に、何人も納得することができるような、強力な第三者的な調停機関というものをつくつていただきたい。強力なということは、それが拘束力、つまり罰則その他をもつて強制することができるという意味でなくして、権威あるという意味であります。権威あるということは、どういうことかというと、民間一般人から信用され得る、信頼され得るということであり、言葉をかえれば、第三者の納得できるような組織であつて、彈圧、強圧、威迫、強迫等によらないところの調停機関をつくる。それなしに、こういう恐らしい罰則を設けたところの法律を、そのまま出すということでありますならば、私は実に残念ながら反対を申し上げなければならない。それは法案の趣旨あるいはその由來に反対というのでなく、先刻來申しましたように、改正はやむを得ないことである。むしろ予期されることである。しかし先刻私にこれについて最後には反対であるか、賛成であるか、どつちかはつきり言つてくれということであります。その御要求の趣意はわからないことはありませんが、それはやはりまた率直に申して不親切なことであつたと思う。私はやむを得ない立法であると思う。必要であるとそれは思いますが、ただ反対というのでなくて、これは通す限り、こういうものを通すのであるならば、第三者が見て、冷靜に判断して納得の行くように調停機関を政府がこの中につくると同時に、これを設けずに、こういう法規をつくるということは、実に残念であるけれども、反対せざるを得ないのであります。
○角田委員長 次に東京都職員労働組合の占部秀男君にお願いいたします。
○占部公述人 職業は東京都主事、職員労働組合の委員長をしております都労連の占部秀男であります。 この改正案は、次に予想されております地方公務員法の制定に切つても切れない非常な関連を持つておりますので、特に府縣廳あるいは市町村の労働組合の立場から意見を申し方げます。われわれが申すまでもなく、わが國の官僚制度を民主化しなければならないということは、特にわが國の場合には、再建の非常に重大な要素になつておるのでありまして、特にわれわれ官公廳の労働組合は、とかくの非難はありますにせよ、この三年間組合の組織活動を通じまして、この方面に非常な役割を果したということは事実でありまして、今度ともにわれわれ官公廳の労働組合の積極的な活動がなければ、官廳の民主化などというものは、絶対に不可能であると私は思います。從いまして今度の改正に際しましては、政府としては、マ書簡に基調を置くという見解を発表されておるのでありますが、ポツダム宣言あるいは極東委員会における十六原則であるとか、わが國の憲法であるとか、そうしたものによつて明確に示されております労働者の基本的な権利を、大幅に確保するような方向に積極的に努力することが、正しい政府の態度であると私は思います。ところがこの法案の趣意書を見てみましても私があとで具体的に指摘しますように、非常にマ書簡の事実を利用し、惡用し、無用に官公廳の労働組合の運動そのものを制圧せんとする、不公正な態度が非常に現われておるのでありまして、私はそもそもの政府のとつた立案に際しての根本的態度そのものについて絶対に反対であります。以下かくのごとき不公正な、妥当ならざる態度のもとに、むしろ改惡的な條項の二、三の重要な点について具体的に意見を述べます。 第一に、政府職員の組織とその機能についてでありますが、先ほど鮎澤さんからもお話がありましたので、あらためて喋々は申しませんが、改正案によると、われわれの組織というものは、労働立法の適用から除外されておりまして、その除外の上に立つて團体交渉、あるいは團体協約というものが全然抹殺されておる状態であります。われわれはこれは非常に不当なるものである、少くとも公務員法と混用する部面におきましては、労働立法は適用すべきであると思います。從いまして、特に第九十八條につきましては、この改正法律案の内容を、現行法の内容のほかに、「職員は労働組合を組織し、またはこれに加入することができる。労働組合を組織した職員は、その代表を通じて、当局と團体交渉その他の協議ができる。」こういうふうな條項を追加すべきであると思います。その理由としますところは、まず政府はマ書簡に基いてこれを改正しておると言われておりますが、そのマ書簡によりましても、公務員の労働運動というものは、制限された範囲において適用せらるべきであるとしるされておりまして、労働運動そのものを禁止すべきであるということは決してうたつてありません。しかも後段におきましては、選ばれた代表を通じての團体的の妨げられることなき権利を有しておると明記されておるのである。この團体が、マ書簡全文の関係から労働組合を指しておることは明瞭であります。さらに現在の官公廳の機構と、運営の現状から勘案しましても、労働組合としての適用を受けさすべきであると思います。と申しますのは、現在の官公廳の組織と機能は、少くとも日常の執務の面に至るまで、封建的な過去の残滓が非常に多くある。それがいかに國民に迷惑をかけておるかということは、皆さんも御承知の通りだと思います。特にわれわれが、從來直接の團体交渉の相手方としたところの理事者側は、この公務員法の適用の範囲外に置かれております。從いまして、たとえば公務員に関する國民の意思を正しく國会が立法化したとしても、それを執行する部面におきましては、國会の精神そのものがはたして正しく執行できるかどうか、非常に疑問なところがあるのでありますが、現に多くの官公廳の組織そのものは國会の決定したものを正しくすなおにそのまま執行するような、そんな組織になつておりません。今日上層部の間に、汚職事件であるとか、いろいろ不正な事件が頻発していることでも、それはわかるのであります。從つて、少くとも公務員の労働組合に、労働組合としての合法性を與えて、その組織的な活動をまつことによつて職場の秩序、あるいは能率、あるいは汚職の防止等に積極的に参加せしめることの方が、より正しいものであると私は思います。 第二の点につきましては、適用の範囲でありますが、單純な奥体的な從事者をこの適用の範囲から除外すべきであると私は思います。それは、いわゆる現業廳につきましては、この次に公共企業体に対する別の規定がありますが、肉体的な労働者というものは、單に規業廳だけにのみ、それはありません。一般官公廳にも非常に多数あります。たとえば小便さんであるとか、給仕さんであるとかはもちろんですが、中央関係においては、農林省の関係における農事試驗場や、あるいは営林関係等のごときにも、非常に多くの肉体労働者はいるのであります。地方公共團体に至つては、たとえば私が今勧めております東京都のごときは、交通はもちろん、水道あるいは港湾、衞生、医療、清掃、土木等にわたりまして、私の組合などは約三万二千ありますが、その三分の一以上は肉体的な労働者であります。こうした、たとえば昔のおわいやさんであるとか、あるいは道路の清掃夫であるとかいうような單純な肉体労働者を、少くとも中央、地方の行政面の執行に直接参画する者と同等の扱い方をするということは、そもそもこれは妥当ではないのであります。從つて第二條の規定には從來ありましたように第十三項、第十四項を追加すべきであると思います。 第三の点は、人事委員会と給與の点であります。これは私は重複を避けまして、この点については、今までの公述人の方々のおつしやつたことをそのままわれわれの意見としますが、特にこの点だけは念を入れておきたいと思います。それは人事委員が規則あるいは指令を出す場合におきましても、その最後の起草は決して行政府になく、すなわち國会に置かれねばならない。國会に置くことによつて、初めて人事委員の民主的な運営ができるという点であります。この点に加えて、少くとも労働者の代表を入れた監理委員会的なものを諮問機関として設けるべきであると思います。 第四の政治活動に関しましては、第百二條の追加第三項を削除すべきであると思います。その理由は、前日からの公述人の理由と大同小異でありますから、これは避けます。 第五、最後に私は罰則について申し上げます。ただいま鮎澤さんの方からも体刑のことについて申し述べられましたが、私も体刑の規定はすべてこれは削除すべきであると思います。私は法律の專門家ではありませんので、詳しい解釈の点はわかりませんが、終戰前の労働運動におきましても、爭議そのものに体刑を科したというような規定はなかつたと思います。爭議に伴ういわゆる不法行為について、いろいろの罰則があつたように私には了解されます。かりにマ書簡にありましても、雇用せられておる権利と特権とは放棄せられるということは明記されておりますけれども、こうしたものについては、体刑に処せとは決してマ書簡には明記してありません。労働運動は生きものでありまして、こういうような体刑規定を設ける前に、まず政府がわれわれの給與の問題その他について努力して実現することの方が、こうした事態を惹起しない唯一の道であると私は思います。さらに二、三の点についてでありますが、こまかくなるので申し上げません。 以上の総括しますならば、この改正案をこのまま通すことは、われわれ官廳の反動化をつくり上げるものであり、日本の御主化を逆行せしめると同時に、日本の再建を遅らすような種をみずから國会がまくものであると断ぜざるを得ないのであります。從いましてそういう点につきまして、私は絶対に反対の意向を表明いたします。
○角田委員長 次に産別会議民主化同盟の萩澤公彦君にお願いいたします。
○萩澤公述人 産別会議民主化同盟の常任執行委員をやつております萩澤公彦であります。 最初に、法案の内容に入ります前に一言申し上げておきたいとこは、それは公聽会のことであります。まず、最初に申し上げたいことは、この公聽会がこういう形で開かれたことに対して非常な不満を持つているのであります。詳しいことは申し上げませんが、タフト・ハートレー法が制定されました際にも、あの公聽会の記録は上院、不院を合せて数万語に及んでいると思います。しかるに今度の公聽会は衆議院で三十名、参議院は十五名、わずか二日間であります。一人の手持時間は十分間、このような公聽会ではとうてい十分な意見が反映されるとは私には考えられません。しかも定刻になりまして、出席率から申しましても、人事委員の題君が、はたしてこの労働者全体が非常な関心を持つている法律案に対しまして、どれだけの関心と熱意をもつているかと疑いたくなるのであります。 次に公聽会の記録は完然に公開し、かつ一般の廣く頒布していただきたいということをお願いしておきます。それは憲法第五十七條及び第六十二條の精神から申しましても、当然にこの記録は廣く頒布され、國民の前に公開さるべきであると思うのであります。もちろん從來とても衆議院の子記録というようなものはあることはありましたが、それではまだ完全とは申されない。この記録を完全に一般國民の前に、公開していただくことをお願いしておきたいのであります。これだけのことを前置しておきまして、法案の内容につきまして四項目にわたつて、簡單に意見を述べさしていただきたいと思います。 第一点といたしまして、この法案の立案の根本趣旨でありますが、政令第二百一号は暫定措置でありますから、当然これは一切白紙に還元して、新たなる立場から法案を立案すべきことはもちろんであります。その立案に際しまして、公務員法は民主的かつ能率的な公務員制度の樹立を規定するものである以上、当然この二つの方面から考えられなければならないのであります、しかしながら今まで発表された原案を見ますと、かえつた遂に公務員制度の官僚化反動化を招くような傾向が強いのであります。この点につきまして、反省と申しますか、批判と申しますか、根本的に改めていただきたいと思うのであります。具体的に簡單に申しますと、たとえば第一條の第三項でありますが、この法案が他の法律と抵触する場合には、この法律は優先するということを定めておるのでありますが、これは法律学上の常識でありますから、ことさらにあらためて規定するまでもないと思います。このような條文をまつこうから振りかざされました場合に、私はかつての旧憲法時代の貴族院令第十三條を想起せざるを得ないのであります。さらに第八十五條の懲戒処分ですが、これは刑事裁判が係属するにもかかわらず、人事院が一方的に、自主的にこの懲戒手続を進めることができるという規定、それから先ほどから申されておりますから、くどくどしく申しませんが、労働三法の適用を公務員から除外するという附則第十六條の規定、こういうものは公務員制度の民主化に労働運動、労働組合がいかに重要であるかという一般の常識にもかかわらず、かえつて公個員を労働者から、あるいは一般國民から完全に切離して、一つの官僚王国の牙城を形成している時代錯誤的傾向に走つているという感じを深く受るのであります。さらに試驗制度でありますが、この試驗制度はもちろん当然のこととは思いますが、しかしながらこの試驗制度についても、從來のような法科万能の試驗制度を廃止するとともに、もう一つは特別任用の範囲を拡大していただきたい。メリツト・システムがスポイル・システムに拡大して出て参つたのでありますが、現在の日本においてはスポイル・システムの適用より、むしろ官廳制度の反動化というようなビユーロクラシーの面の弊害が、よりまだ強いて感ぜざるを得ないのであります。從つてそういう面から言うと、特別任用の制度を拡大することこそ、公務員制度の民主化のために、かえつて大いに役立つものと考えるのであります。 第二点といたしまして、公務員の範囲であります。この公務員の範囲については、先ほどから公述人の方々がしばしば申されておりますから、特にくどくどしく申し上げませんが、特に公務員と申しますものは、立法、行政、司法に直接関係のあるものと限定し、特に公務員法の冒頭におきまして、「公務員とは」という概念規定を設けている。これははなはだ煩雜になると思いますが、附表を設け、そしてこの公務員法の一般職に当るもの、つまり公務員法が適用されるものは、これこれこういうものであるという附表を詳細に設けていただきたい。それから憲法第七十三條第四号及び行政官廳法第八條によりまして、將來設けられます新しい官廳は、すべて法律によつて設置されることと思いますが、この法律によつて設置されます場合に、必ずこの官廳に使用される職員についての公務員法の適用については、これこれこうであるということをはつきりきめていただきたい。單なる人事院の解釈あるいは人事院規則によつて一方的に公務員法を適用する、しないというようなあいまいな独断的措置をとつていただきたくないのであります。 第三点といたしましては、公務員法改正という言葉に便乘して、労働運動一般を徹底的に彈圧しよう、抑圧しようという傾向に対しては、まつこうから反対したいのであります。具体的に申しますれば、先ほど鮎澤さんから発言がありましたように、團体交渉権というようなものでありますが、たとえば人事院によつて公務員の労働條件その他が規定される。從つて團体交渉で協約を結んでも、それがその通り行われるかどうかわからないというような例も一部にあるようであります。しかしながらすでに國会において審議され、決定されました法律の範囲内において、それをいかに適用し、いかに実施するかということは、まだまだ実際にその公務員を使用している行政当局者の手にあるわけであります。從つてその範囲内においては十分に團体交渉の余地もあれば、協約も結ぶ余地もあるのであります。從いましてその範囲内においては、一般職といえども團体交渉権、協約権は当然認められてしかるべきであると考えられるのであります。そういう形におきまして、一般職において組合をつくる以上、組合專從者は当然認められ、ただ組合專從者の待遇については別途に考慮される必要があると思うのであります。もしこういつたことを考慮しないで、ただ一方的に押える。そして上からも持つて來るというようなことをするならば、その不平不満が次第に鬱積して、一挙に爆発する時期が必ず來ると思うのであります。その時期は決して遠い將來でなく、必ず近いうちに來ると思うのであります。そういうことになりましたら、ゆゆしき事態を巻き起すと思うのであります。そういう点を考えられまして、十分御考慮を願いたいと思うのであります。 第四点といたしましては、人事院のことであります。人事院については先ほどから再三触れられましたようでありますから、特に申し上げることもありませんが、ただ人事を監理すると申しますか、人事院を民主的にするための諮問機関としての人事監理委員会のごときものを人事院に設ける。それから人事院の決定その他について必ず閣議、内閣の承認を得る。これだけをぜひ希望しておきたいと思います。
○角田委員長 この際公述人諸君に申し上げておきます。 公述人の供述は本法案に関する意見のほか、一切これを避けていただきます。もし他事にわたりましたときには委員長において発言を中止することがありまするから、あらかじめ御承知を願つておきます。 この際お諮りいたします。公述人中全逓信労働組合の高原普一君はやむを得ない事情によりまして出席ができないので、代理人として同じ全逓信労働組合の委員長土橋一吉君を代理人として意見を述べさしていただきたいとの申出がありますが、これに同意するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○角田委員長 御異議ないと認めます。それでは高原普一君の代理人として土橋一吉君より意見を聞くことにいたします。土橋一吉君。
○土橋公述人 私は全逓労働組合の土橋一吉であります。本日議題になつておりまする中心点は國家公務員に関する改惡法令の件でありますが、私はこの法律原案の基礎をなる昨年十月十五日、十六日参衆両院を通過しました法律第百二十号に関する基本的な態度から、この法律に対するわれわれの見解を披瀝したいと思うのであります。 ちようど昨年の今ごろにわれわれは第百二十号法案が通過する直前におきまして、公聽会の席上るる申し述べたでありまするが、この國家公務員に関する法律は、明らかにわが憲法第七十三條第四項の、官吏に関する法律のゆえをもつてこれが制定せられておるのでありまするけれども、われわれの見るところでは、國家公務員に関する問題は、明らかにわが國の憲法の基本的な態度に違反する條項を多々含んでおるのであります。特に労働組合法及びその他勞働関係法規を照し合せましても、明らかにこの法案が反労働者的であり、しかも反人民的である内容を多多含んであるのであります。特に申し上げたい点は、たとえば現行憲法の規定を見ますると、憲法の前文にも明確にうたつておりまするように、明らかにわれわれは、この法律が常に民主的に、しかも基本的な人権が尊重せられるもとにおいて立案せられることが、立法の建前であろうと思うのであります。 第二点は、少くとも基本的な人権に関しましては、憲法第三章第十一條の規定ば明記しておりますように、基本的人権は奪うべからざる永久の権利でありまするからして、おそらく当國会におかれましても、この奪うべからざる永久の権利を奪うような場合においては、私は國会の召集、あるいは審議の方法におかれましても、特別に御配慮があつてしかるべきではなかろうかと思うのであります。なぜかならば、この法案に基礎をなしておりますところの國家公務員と称せられる者の範囲において、われわれ一般勤労官吏は全部包含せられておることは、原案の第二條の規定を見ましても明白であります。從つてかような権利を剥奪し、これを奪う場合には、明らかに特別の國会が召集せられても、なお基本的な永久の権利を奪うことができるかは、きわめて重大なる問題であろうと思うのであります。さらにこの問題が政策的な意味合いから本法案が上程せられたことは、まつたく遺憾であるのであります。と申し上げるのは、わが國の國際的な関係を見まするならば、マーシヤル計画を中心として、國際的な金融資本の制覇が、わが國のまた独占的な金融資本を中心としてこの法案を策定すべく、非常な努力を拂つて來たことも事実であります。 第三点としましてはこの法案の直前に、片山内閣が千八百円ベースを強行したのでありますが、当時におきましても、われわれ官公吏の給與というものが、いかに民間の給與標準と違いまして、非常に低劣下にあつたかというような労働運動の事実を見ましても、この法案が急遽制行せられまして、われわれがまつこうからこの法案には根本的に反対であるという主張をしたことは、すでに事実であります。特にこの法案の根拠となつておるものは、かつて一八四五年のあの有名なアンドレ・ジヤクソン大統領が過重的な民主主義の結果、非常な政府面におけるところの重大なる支障を來したというので、國家の公務を担当する者には、常にその身分と給與を十分保障することによつて、行政事務について支障ないような状態を起さなければならないということが、この立案の基本的な考え方であつたと思うのであります。ところがわが國の現状を見ますると、この法案が予定し、考えておりますところの内容は、常に官僚のフアシヨン化であり、同時に官僚が國民全体の奉仕者であると同時に、きわめて能率的な業務を運用しなければならないというような美名のもとに、現在の官公吏二百六十万の諸君の、正当なる基本的な人権を侵害せんとする傾向を本質的に持つておるのでありますから、まずわれわれ労働者としては根本的に反対せざるを得ないのであります。特にその内容は、テーラー氏がとなえておりますところのテーラー・システムの規定を本格的に持つと同時に、職階制をも含んでおるのでありますから、ただいまのような日本の國民生活の状態と事務運用の内容から見るならば、この職階制はきわめて遺憾なものを持つておるのであります。すなわち上級職におる者はきわめて厚く、下級職にある者はきわめて薄く、從つて勤労意欲の上昇を促すような基本的な態度が見受けられないのであります。 次はわが國の状態から見るならば、少くとも委員各位は十分御了承のことと思いますが、ポツダム宣言の第十條の規定には、明らかにわれわれは基本的な人権が尊重せられることが中心となりましてこのポツダム宣言が規定せられ、その精神にのつとりまして、わが國は一九四五年の九月八日、降伏文書に署名をいたしておるのであります。同時に一九四六年の極東委員会においても、日本の労働運動に対する基本的な原則が規定せられまして、この内容においては、これが官業労働者でありましようとも、民間労働者でありましようとも、労働者の基本的な権利が、あらゆる機会を通じて認められることが当然規定されておるのであります。またわが國の憲法を見ましても、前言申し上げましたように、基本的な人権といたしましては、第三章第十條が明記しておりますが、加えて勤労者の基本的人権としては、第二十八條におきまして勤労者の團結権、團体交渉権及び團体的な行動権は、永久に侵すことのできない権利であることを明記せられておるのであります。なお私は憲法の性質から見まして、憲法第九十七條には、さらにこの基本的な人権の尊重のゆえんが明記せられると同時に、九十八條においてはこの憲法の條項に違反するいかなる法律でありましようとも、命令でありましようとも、あるいは詔勅でありましようとも、行政処分でありましようとも、その全部あるいは一部が無効であることを明記せられておるのであります。かような最高権威を持つわが憲法の規定から見ましても、現在すでに実施済みでありますこの法律一二〇号については、多多疑問の点を生ずるものであります。 次はこの法律が常に惡用せられておるということであります。すなわちマ書簡を契機としまして、たとえば二〇一号の政令についても、私は端的に皆さんにお聞き取り願いたいと思う。この政令が今日いかほど労働運動を阻害し、健全なるわが國の勤労意欲を阻害し、同時に國民諸君に多大なる御迷惑をかけておるということは、私が申し上げるまでもないのでありますが、この二〇一号政令をもかね含んでおるようなこの法律原案については、遺憾ながらわれわれは根本的に反対の意見を表明する次第であります。すなわち個個の條文を拾つて私が申し上げるならば、たとえば少くとも労働組合の本質的な考え方をわれわれが見る場合においては、それが國家の公務員でありましようとも、民間の企業一般の労働者諸君であろうとも、労働者であるという基本的な態度につきましては、いささかも異ならないのであります。マ書簡にもあるがごとく、もし國家公務員のゆえに特別の住宅、食糧、被服、交通に関する給與あるいは御援助が十分賜わるならば別でありますけれども、少くとも現在の社会生活を営む過程におきましては、私が詳しく申し上げないでも、國家公務員であろうと、民間労働者であろうと、農民であろうと、現在のような物價の状態においてはひとしいのであります。これが第一点。 第二点としましては、勤労者という立場を見るならば、その業務の内容そのものについては、國家及び公共團体の公務を担当するものでありますけれども、少くとも担当する個人は明らかに労働者でありますので、その労働者が持つております基本的人権は、私が冒頭申し上げた憲法第二十八條によつて忌憚なく保障せられておるのであります。從つて國家の公務担当の内容を、法律をもつて規定することについては、われわれはとやかくは申しませんが、その半面をなしている勤労者の基本的人権を、一方的な政策のもとにこれを制限し、これを彈圧し、これを剥奪するがごときことは、日本國將來のためにまつたく遺憾千万であると思うのであります。この点を委員の皆さんにも十分お聞き取り願いたいと私は思うのであります。從つて少くとも國家公務員に関するその組織は、あくまでも勤労者の集まりであり、しかも労働條件及び賃金並びに労働協約を中心とする一切の諸権利が確保せられることが正当でありまして、これを押え、これを彈圧せんとするような傾向は、明らかにわが國の政府あるいは現権力階級が、勤労階級に対する重大なる彈圧を企図している一方的な政策の現われであるということを、私は声を大にして申し上げたいと思うのであります。從つてわれわれの組織は、あくまでも一般労働者の諸君と同じように、労働三法を基本とするところの、その職種あるいは言語風俗、あらゆるものを問わず勤労者として当然労働組合が結成せられてしかるべきものと思うのであります。從つて警察官吏、消防官吏、海上保安廳の諸君も当然これは勤労者でありまするから、労働組合を結成し、彼らの不平不満というものを、團体交渉によつて政府あるいは理事者側に交渉せしめるのが、至当なる見解であろうと思うのであります。 第二点は一般職と特別職の問題でありまするが、この特別職の範疇を、現規定のようにきわめて一方的に制限することは、私は非常に反対であります。と申し上げたのは、先ほどの公述人も多々申されましたるごとく、一般職の中には、当然民間の筋肉労働者諸君と同じような見解の諸君もたくさんおりますので、かようなことは申し上げるまでもなく、当然われわれは労働組合法の規定を、憲法第二十八條が保障しておる権利を、あくまでも主張したいと思うのであります。もし千歩讓りまして、現在勤労官吏以外の勤労官吏を支配しておるところの特権官僚諸君には、あるいはかような法規も適用あつてしかるべきものと思うのでありますが、勤労官吏に関する限りにおいては、あくまでも労働組合法、あるいは憲法にいわれておりますところの基本的な態度が堅持せられて至当ではないかと考えるのであります。 次には團体交渉の点でありまするず、これは当然に團体交渉権を持つはもちろん、官公吏といえどもその賃金問題に関して紛爭状態に突入する場合には、正当なる権利として、罷業権あるいは怠業権、さような正当なる権利行使が認められなければ、現在の基本的人権を尊重しておる憲法あるいは労働法規の精神にも明らかに反するということを私は申し上げたいと思うのであります。 次は人事院の問題でありまするが、この人事院は、御承知おきのように特定の数名の者が人事院を構成することによつて、一方的に人事院規則あるいは人事院の指令を発する権限がこの法案には與えられているのであります。およそ民主的な國家形態において、しかも二百六十万の諸君の給與、あるいは身分、あるいは昇格、あるいは試驗、あるいは退職、さようものを規定する場合に、この法律が一方的に人事院の数名の者にかような厖大なる権限を付與するがごとき委任立法を行うことは、明らかに法律の基本的な態度から言つて誤りであるのであります。もしこの二百六十万諸君の権利について、かような三名ないし数名の諸君にこの厖大なる権限を付與する委任立法を行うがごときことは、わが國の法律形態の精神から申しても、明らかに憲法に違反するものでなかろうか。かように私は断ずるものであります。 次に特に重大なことは、この人事院が一方的に給與の基準をきめまして、それを政府がはたして忠実に実行するかいなかという点であります。今日わが國の政治形態は三権分立を基本としておりまするが、もし人事院がかりに六千三百七円ベースをきめたといたしまして、來年の三月三十一日までに五百五十億以上の予算を必要とするということがあつた場合に、政府がこれを認めるかいなかという重大なる難点に逢着するのであります。從つて政府の予算編成権と、政府の責任において行政を担当し、國会へかかる予算を上程するものとの間において非常な開きを生ずるのであります。でありまするからこの人事院の権限は、これがもし三権分回の精神を通すならば、明らかに賃金策定委員会にとどまるのであります。しからばかような厖大なる権限をこの賃金策定委員会にまかすがごときことは、これまた憲法の内容から見ましても、非常に前後撞着するのであります。こういう観点から、人事院の構成については、根本的にこの問題を却下せられ、從来の人事委員会なり、あるいは賃金策定委員会なり、あるいはそういうものの資料を整えることによつて政府に建議し、あるいは政府の考えによつてこれらを運用せられるのが至当ではなかろうかと思うのであります。從つて人事院が厖大なる権限を持つことは、明らかにわが國の憲法に違反するものである。かように断ずる次第であります。 次は給與の標準そのものでありますが、少くとも今日までわれわれが見るところでは、明らかにこの臨時人事委員会は、全官廳二百六十万諸君の試驗あるいは給與、あるいは給與に関する紛爭に関して処理をする問題、あるいは退職、あるいはその他の厚生福利を行うというだけの実際的な力も発揮していなければ、おそらく將来かような明文がつくられましても、事実は行わないであろうということを率直に私は申し上げたい。從つて給與等の面においても、先ほど申し上げたように、大藏省の徴税関係あるいは收入関係を考慮することなく、一方的にかようなベースを策定し、政府がのまないことが明瞭であるにかかわらず、かようなものが設けられるということ自身が非常に遺憾であると思うのであります。 以上申し上げました内容から見まして、私はこの法律案に規定しております人事院の構成、あるいはたとえば第一條の規定その他の罰則、かようなものすべて不満でありますので、この規定はすみやかに却下せられまして、從來通り全官公吏は労働法規の正当なる適用を受け、罷業権も、團体交渉権も、團結権も、さらに團体協約権も認められるのが至当ではなかろうか、かように考えるのであります。 次はこの法案を通過せしめられるならば、必ず公益事業に名をかりて再び政府は、たとえば電氣産業労働者、炭鉱労働者、あるいは交通労働者、あるいはガス労働者というような諸君に逐次この内容を適用することによつて、わが國の外國資本導入の素地をつくらんとしておるようにわれわれは見受けるのであります。このことにつきましては政策面を多分に含んで、しかも現在の奪うべからざる基本的な人権を奪うがごときことは、明らかにわが國の憲法の違反でありますので、われわれはとうていかかる法案には承服することができないとともに、この法案が即時撤回せられまして、現在の規定のままで行くことを私は主張したいと思うのであります。もしかような法案が通過するならば、われわれ全官公廳の者はおそらく重大なる決意を披瀝することによつて、その責任はこの法案を通過せられる國会並びに政府が負担をしなければならないという事態を、われわれは憂慮するものであります。でありますから、かような労働組合を彈圧し、しかも基本的な人権を阻害するような法案は、すみやかに撤回せられたいのであります。パトリツク・シヨー氏がかようなことを申されたのであります。およそその國の労働階級、勤労階級の基本的な人権が尊重せられているかいないかということが、その國が民主的な國家であるかいなかの標準である。従つていかなる内容をもち、いかなる理由を説明しようとも、勤労階級の基本的な権利を奪うような國家は、民主的な國家ではないということを、私はこの耳をもつて明らかに英連邦代表パトリツク・シヨー氏からお聞きしております。從つて今やパトリツク・シヨー氏が裏づけをしましたように、私は民主主義の名をもつて、基本的な勤労階級の権利を奪うようなこの法案にはまつこうから反対の意見を表明いたしまして、私の公述を終る次第であります。御清聽ありがとうございました。
○角田委員長 次に中央労働委員会の末弘巖太郎君にお願いいたします。
○末弘公述人 公務員の労働関係を、一般の労働者と同じような法規で必ず取扱わなければならないかということにつきましては、私にも一つの意見がございます。しかしもしもこの際公務員法を改正して、一般の労働者の違つた取扱いをするというならば、本來からいえば、ほんとうに國会あたりでひとつ委員会を特別につくられて、今の労働事情というものをお調べになり、また外國の方々の実例あたりをもお調べになりまして、愼重に研究をして提案になられることが、本來の筋合いであると私ども感じております。その意味において、今度のようにマツカーサー元帥の書簡が與えられたことがきつかけとなつて、どうも私そとから見ていると、政府においても、十分に私が今希望するような意味においての研究調査をされずに、今度の原案が出ているということに対しては、非常に私は遺憾に考えております。このことは今回の問題には直接関係はありませんが、今年の初めから労働組合側からしきりに労働法改惡絶対反対云々の運動が起り、しかも一面いろいろの政党の側では、労働法を改正しなければならないということを言われたり、あるいは今度の内閣もそういうことを言われておるやに新聞紙上で傳えられておりますが、これらのことを私ども見ておりますと、たとえばイギリスの例なんかで申しますと、こういう大きな改正をしようというならば、非常に愼重なる調査をして、その調査の結果、ほんとうに何人も納得できるような根拠を見出して改正をしているので、そういうことをやらないで、公務員法改正から何かこれに便乘して、一般の労働法までも何ということなしに改正してしまおうという、そういうことをやつてはいけないのであるということを私は考えておりますので、根本の考え方としては、今度のような形で改正案が出て來たことに対して不満を感じております。しかし同時に実際問題として、今この機会において、その点についてただいまの土橋さんのような直接の利害関係者から根本的な反対論をお話になることはしごくごもつともだと思いますが、その点について私の立場からいろいろこまかいことを申し上げても、この機会は不適当であるように思いますので、私はきようは、少くとも今の原案に対してこれこれの点だけは簡單に修正もできることであり、しかも非常に重要な点だと思う点を三点だけ申し上げます。これをぜひ実現方について、何らかお考え願いたいということを考えております。 まず第一の点は、今度のマツカーサー元帥の書簡をよく読んでみればわかるように、決して公務員の組合に、團体としての意見を述べることを禁じておらないのであります。それでその意見を述べる方法というものについては、いくらでも形式が考えられるのであります。大体公務員の場合でも、そういうふうな一般の日本の労働組合が行き過ぎだとか、いろいろなことを言うておられますけれども、私の実際見ておるところでは、実は團体交渉の長年の習慣ができておらないために、團体交渉がまずいのであります。團体交渉の作法が惡い。團体交渉のやり方がまずい。そういう点に対する批評があるのであります。公務員の場合にも、團体交渉の一つの形式というものを考えればいいわけであります。それでこれはすでに皆樣御承知でありましようし、それから現にこの公務員法の問題が対日理事会で問題になりましたときに、イギリス連邦の代表であるパトリツク・シヨー氏は、特にイギリス本國及びオーストラリアにおけるこの公務員の場合の交渉形式のことを詳しく紹介されております。この方法で交渉をなさしめていいのだ。そうしてイギリス関係の諸國においては、すべてりつぱに成功しておるのだということを言つております。これに対してアメリカ側の方も、非常に建設的な意見を伺つてありがたいという返事をされたということが、新聞紙に報道されておるのであります。この方法と申しますのは、この機会は詳しく述べる機会ではありませんから、お尋ねがあれば別の機会にいくらでも申し上げますが、私以外にもりつぱなこういうことの專門家の学者が方々の大学にもおられますから、資料ならばいくらでもとれます。簡單に申しますと、イギリスでは御承知のようにこの前の世界大戰の中ごろから、労働問題を解決するために、時の多分軍需大臣であつたのでありましよう。ロイド・ジヨージ氏、あの人の発案であわゆるホイツトレー・コンミツシヨンというものを方々の職場につくつて、労資の混合協議会的なものをつくつたのであります。これが間で非常に成功をしておるので、やがて公務員の労働組合において、これを官廳の場合にもぜひ取上撮てああいう方法をやろうというので、遂に何らこれは法律に根拠はないのでありますが、イギリスでりつぱに——つまり言うと、組合側から一定数の交渉委員を出させ、政府からも交渉委員が出て、各官廳ごとに、また一つは統一的な委員会をつくりまして、そうしてそこでどういうことを議題にするかが、ある一定の協定ができてきまつております。そうして一定の方法によつてやつておりますが、特に給與の問題などにしても、そこで十分話合いをした上で政府がそれを國会に出す。究極の決定権は國会にあることはむろんでありますが、その國会に出すまでに十分その委員会で檢討をして、そうして労働者側の意見を聞き、また政府の立場から労働者側にも納得をさせて、そうしてこの原案をきめて國会に出すというような方法をやつておるのであります。こういう方法をとることは、マツカーサー元帥の書簡にありますように、何も労働組合と政府でことをきめていつて、國会を圧迫するようなことにはならないので、現にやつております。ぜひこの問題を考えていただきたい。これは私は実際問題としては、ほんとうは公務員法の法律の中に何らかそういう規定を置くがいいと思いますが、もしもこの際それがいけないと思われるならば、あるいは附帶決議的に、そういうことを実際にやれるような道を開くことをおきめになるようなことも一つの方法でありましようし、あるいは人事院規則をもつてそういうことをきめさせることもいいのでありましようが、いずれにせよ、政府が一方的にいろいろなことをきめて、ことに給與の問題などをきめて、上から天くだりに與えるという方法は、民主的だとか民主的でないとかいう言葉の問題ではなくして、そういうことでは今のような、ことに一般に生活の苦しいときに納得するはずがないので、やはり納得をさせるためには十分交渉をさせるということを、こういうような方法であることができるんじやないかと考えますので、この問題をひとつお考えを願いたいと思います。 それから第二の問題は、今度の法案で、いわゆる労働三法をすべて公務員からはずすということを考えておられるようでありますが、この点につきましては先日中央労働基準委員会——私ここでも会長をいたしておるのでありますが、そこで決議して政府に建議をいたしておりますが、かつて戰前、工場法の時代——あの時代に工場法というものは、政府の國営の工場にも適用があつたのであります。ただ政府の仕事だから法律違反は起らないだろうというふうに頭からきめて、それでいわゆる工場監督ということを行わないのであります。政府は惡いことをしないときめているのであります。そうして罪則と工場監督ということを行わないのであります。その結果、最も工場法違反的な現象があるのは役所であります。これは私は戰後組合の要求によつて、二、三の実際の官廳関係の職場を調べた実例があります。それなぞの中に、明らかに現在でもきわめて基準法違反明瞭だと思うようなことがざらに私どもに見えるのであります。それで先日中央労働基準委員会では政府に対して、基準法を政府ははずさないということを原則で言つておるのでありますが、もしもはずすならば、公務員について、やはり公務員に適当した基準法的な規定を公務員法の中につくれ、それから最も大事な点は、その基準法規が完全に行われるために、監督制度をはつきりしなければならない。今までの経驗で、政府が自分で自己監督をするというようなことではだめなのです。それで御承知のように労働基準法による基準監督官というものは、ある程度の地位の保障が與えられております。地位の保障が與えられておりませんと、昔の工場監督官のように、少し監督を嚴重にやると免職になつたものであります。私の弟子であるある法学士は、かつて非常に誠心誠意私の講義を聞いて、感心した結果でありましよう。誠心誠意工場監督を嚴格にやりましたために、ただちに免職になつた。それで今度の基準法では、基準監督官の地位の保障をやつております。そこで公務員法において、公務員についても基準監督制度をはつきりきめて、これはやはり自己監督をするのじやなくて、基準監督制度によるあの監督官、いわば地位の保障せられた、ある程度第三者的なものをして監督せしめるということをやらなければいけない。ところが今の日本の役所は、何だか役所がそういう監督官などというものに監督されることを、いかにも権威に関するかのように考えておるのでありますが、これはそもそも非常な誤りである。ぜひとも監督ということについては、今の基準監督官のような、地位の保障された第三者をして監督するようにしてほしい。それで監督事務というものは、そう簡單ではありませんから、人事院で簡單におやりになるということを、もしも人事院でおつしやつたならば、これはだめだとお言いにならなければだめである。これは相当経驗を持ち、訓練されたものでなければできない仕事であります。そうして私この問題を思つてみますに、もしも公務員の労働組合運動が非常に行き過ぎであつて不都合であるから、これを押えなければいけないというならば、一方でマツカーサー元帥の書簡にもありますように、十分厚生福利、その方面、すなわち基準法的な面を十分に充実しなければいけない。そうしてそれが十分正確に行われるということを保障しなければいけない。それには監督制度を嚴格にしなければならないというところにつながるのでありまして、これは決してただ労働三法を簡單にはずすのがいいとか惡いとかいう問題ではなくして、公務員の労働組合運動に何らかの整理を加える必要がありとせば、ぜひとも他面そういうことをやらなければいけない。そうして日本の今までの役所は、その点において非常にいけなかつたということを特に頭に入れていただきたい。 それから第三に、今度の改正案によりますと、労働三法をすべて公務員を適用からはずすということになります結果、今のままで行きますと、労働委員会というものは、全然公務員の労働問題に関係がなくなるのであります。現に問題の政令が出ましてから以後、調停斡旋等もすべてやめろというようなことで、やらないことになつて、今日に及んで來ております。しかしながら実際にこういう実例がありますことを、一つ御承知おきを願いたい。実はあの公務員の給與の問題の大きな調停問題で、七月の末に大騒ぎをやつておる、あの前から國立病院及び國立療養所の待遇改善の問題の調停を私どもの委員会でやつておつた、これもあの政令の結果やめた。しかしながら私どもあの國立療養所及び國立病院の労働事情というものを調べてみまして、こんな怠慢なことを今まで一体日本の政府はどうしてやつておつたか。こんなことをしたらば、この戰後の、さなきだに國民の健康状態が衰えるおそれがあるという状況のもとにおいて、待遇、施設その他の関係から日本のああいう公営の、つまり比較的安い値段で、あるいは無料で國民のために療養をする施設としてわずかに残されておるところの國立療養所、國立病院というものは、その待遇及び施設の面から、もう現に崩壞しつつある。看護婦のごときは、ひどいところになると、定員の六〇%くらいしか得られないのであります。それから医者にしても食えないから來ない。それで非常に労働過重になり、十分な能率を発揮しておらないのであります。それで私どもの委員会では、幸い今の政令の間は調停斡旋等はしちやいかぬということになつておるというので、労働組合法第二十七條によると、調査するという権限及び建議するという権限が今なお残つているものをわずかに私ども利用いたしまして、さらに一層調査を進めまして、その調査の結果を厚生大臣にも、人事院にも、またこちらの厚生委員会の方にも、参議院の厚生委員会の方にも提出したのがありますが、御関係の方はぜひごらんを願いたいと思うのであります。そういうふうに、公務員と申してもいろいろあるのでありまして、しかもそういう日本國民の今後の國民保健の重大な面の労働問題というものが、お役所にまかせておけば非常な欠陥をもつてほうり出される。これを見つけて來る者は労働者である。そしてこれを訴えて行く場所というものが、もしも今度の公務員法がこのままで行つたならばございません。人事院に來たらよいじやないかと言うが、人事院はパトリツク少佐もおつしやつたように、結局人事院はエンプロイヤーであります。労働委員会というのは御承知のように、見方によつては中立委員のほかに労働者、使用者の委員もおつて、あれはどうも勝手なことを言うて厄介な委員だと言われる方があるかも知れませんが厄介なところがあの委員会の特長なんであります。つまりあすこにこそ訴えて行けるのであります。あれはやはり訴える場所として非常に適当な一つの機関なんであります。それで今度の國立病院、國立療養所の場合のごとき、実際に厚生省の事務当局においては、われわれの申し出しました建議書というものを非常にくわしい理由がついていますが、非常にまじめに取上げて考えたのであります。ただそれを妨げるものは大藏省であります。大藏省は何もわからないで、ただ当面の赤字がどうだ、こうだというようなことばかり考えて、國民がそのために死んで行く、國民の健康状態が下つて行くというような根本問題は考えない。これは内閣が全体として根本的に考えるベき問題、それから國会がまたお考えを願わなければならぬ問題である。私どもも公務員の全体の調停その他の問題で、私どもの手から離れます問題についてとやかくは申しませんが、やはり一つのそういう不都合なことを見つけて申し出して來るのは、これは働いておる人が一番よく知つておるのであります。そういう人が申し出して來た場合に、公正なる第三者が調べて、これを建議をするということを通してそういう不公正な不都合な状態がなくなるようにということは非常に大事なことなんであります。私はぜひともこれは中労委だけでなく、地労委も含めて、労働委員会の労働事情の調査及び建議に関する権限というものを公務員についても残しておいていただきたいと思います。これを通して、政府はやつかいなそういうことはおきらいかもしれませんが、いわば一種の民主的お目付役を全國に配つておく方がよいのであります。そこで労働委員会の調査報告が不公平であるとか不公正であるとかであれば、世間が批評いたします。また皆さんが批評なさればよいのであります、決して労働委員会は、みずからとしてはそういう不公正なことをするわけではないので、できるだけの公正なる立場をもつて調べる、この問題はかくあるべきである、こういう意見を述べるべき機関であり、述べなければならないと私ども思つておるのであります。以上三点、時間がありますればもつといういろいろわしくお話し、殊に最初のイギリス風の交渉委員会の制度のごときは、ぜひこの際御採用願いたいと思うので、くわしく申し上げたいのでありますが、この際は申し上げないことにいたします。 最初に申し上げたように、終りに一言つけ加えておきたいのは、どうも公務員法改正から何か全然りくつなしに、これにつながつて一般の労働法規を改正するのだというふうな空氣がだんだんできておるようであります。私どももむろん今から三年前に労働組合法をつくつたときには、日本にほとんど労働組合がない、あるいは労働運動のないような状態で白紙の上につくつたのでありますから、その後の経驗によつて労働組合法その他を改正しなければならない面が多々あるということは十分考えております。しかしこれを改正するについては、先ほども申しましたように、ひとつ國会において國会議員のみ、あるいはそれにそれ以外の專門家をも加えて、ほんとうに公平な立場から事実を調べていただきたい。そうして事実を調べたことに基いて報告書を出していただきたい。そうしてその報告書に基いて、ほんとうにこれはなるほどもつともだと、たれしも思うような改正が行われることを、私どもぜひやつていただきたいと念願いたすのでありますが、そうでなしに、今度の公務員法改正の場合のように、何らか時の動き、力に動かされたまま、何ということなしに、りくつなしに法制を改正して行くということは、なすべきではないと考えておるのであります。特にお考えを願いたいことは、今のところは外國法を参照するというようなことが、アメリカ法の場合以外は事実日本で行われておりませんが、外國法の参照ということは、たとえばアメリカの今の公務員制度がこうなつておるというのにはあの國の歴史もあり、政治的事情、経済的事情、いろいろなことでああいうふうになつておる。それから紙の方にはああいうふうに書いてあるが、アメリカの制度だつて実際にうまく行つておるか、行つてないか、調べてみればよくわかるので、この点については私ども多少の事実を知つております。それから世間ではよくタフト・ハートレー法が出たから、日本も何かあんなことをやろうということを簡單に考えますが、ああいうものが出たり、また今度あれが廃止されるとか改正されるということは、それぞれ非常に裏にいろいろな事情があるのであります。どうか十分に日本の事情をお調べを願いたい。外國の法制の比較研究もされたいのでありますが、これがただ條文の形の上だけをお調べになるというようなことでなしに、ほんとうに科学的に外國の実例等をもお調べを願つて、日本の労働立法をいかにすべきかということをぜひ御研究を願いたい。その上で改正を実行していただきたい、こういうことをこの際つけ加えてお願い申すわけであります。時間がありませんので、簡單で意を盡しませんでしたが、申しました三点は、私は今のこの段階でも、何とかお考えになろうとすればできることだと、私は私の知つておる限りの事情では考えられることであります。これはくだらないことのようでありますが、案外急所にふれておる大事な事だと思いますので、ぜひお考えを願いたい、こう考えます。(拍手)
○角田委員長 これにて休憩いたします、午後一時半から開会いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時五十五分開議
○角田委員長 午前中に引続き公聽会を再開いたします。 中國研究所平野義太郎君に発言を願います。
○平野公述人 官吏と申しますのは、性質上國家公権力の発動に参加し、そして執行の任に当る責任者でありますが、その責任者でない下級の勤労官吏に対して、その團体交渉権、あるいは團体協約、ないし爭議に関する基本的な権利を制限する、ないし否認するということは、近代的な労働法及び法憲の建前におきまして、きわめて重大な問題に当面していると存じます。ことにただいまパリの第三回國際連合総会におきまして、國際的人権宣言が採択せられんとしております。その第二十一條を申し上げますと、これは公務員たると非公務員たるとを区別しておらぬことは、極東委員会における労働原則十六箇條でも同樣だと存じますが、二十一條は「各人は勤労の権利及び給與の正当かつ有利な條件及び失業の保護に対する権利を有する。各人はその利益を保護するため自由に労働組合を組織し、それに参加することができる。」これがただいま國際連合の総会において採択せられつつある國際的人権宣言の第二十一條であります。今後もしわが國が講和條約の締結以後に國際連合に加入が許されるときにおきましては、この 國際的人権宣言が、あらゆる憲法の解釈、運営におきましても、基礎、基準になるのでありますから、それにのつとつてすべての法律の改正及び運営がなさるべきことになりますので、もしまたそれにそぐわないことがあるならば、もう一遍影響を受けて來ることがないとは限らないということを、今日の主題たる國家公務員法の改正についても考量する必要があります。われわれは日本のポツダム宣言を忠実に履行するということのほかに、今日パリでこのような國際的人権宣言が採択せられつつあるということを、今日この問題についても参酌すべきであるということを、前もつて申し上げておきたいと思います。 一番重要な問題は團体交渉権、労働協約あるいは爭議権という、基本的な人権を規定しております新憲法において、法律の形式、すなわち國会の多数決によつて議決せられます法律の形式にもつてしても、これを制限することができないというのが、旧憲法と新憲法との根本的な違いであります。政令ないし命令をもつてしても、これを奪うことができないということはもちろんでありますけれども、國会により法律の形式をもつてしてもこれを侵害できないというのが、今度の新憲法の旧憲法と違う点でもあり、またアメリカ及び日本の新憲法の特異な性質として、他の憲法と区別せられておることは御承知の通りであります。從つて法律の形式をもつてしても奪うことのできないというこの点、あるいは議会の多数決をもつて、法律の形式をもつてすれば、基本的人権を制限することができるとも考える人がないでもないが、これが誤りで、永久に侵すことのできない(憲法第九十七條)というところに、基本的人権ということの根本の点があるのであります。かつての憲法は行政権に対して人権を保障しておりましたが、今度の憲法はそれのみでなく、行政権のみならず、立法権に対しても基本的人権を保障しておるという点において、前の憲法と違う点が十分に参酌せらるべきであると考えます。と申しますのは、先刻のポツダム宣言による憲法改正にしましても、現新憲法が旧憲法の変革改正でなくして、旧憲法の延長存続であり、單に修正にすぎないという現在、意見によつて勅令第五四二号のいわゆるポ政令を根拠づけております。かく明治憲法の緊急勅令の第八條をそのまま援用することによつてポ政令を根拠づける人があり、あるいは新旧憲法の一貫性ということを、金森徳次郎氏がこのごろ書かれております。(警察時報第三巻三号)けれどもまつたく主権が在民になつたという点、國会が最高かつ唯一の立法機関であるという規定、この点におきまして旧憲法と新憲法と全然違うということは、きわめて明らかであります。しかもまたこの基本的人権は、法律の形式をもつてしても永久に奪うことのできない基本的権利であるということも、美濃部、佐々木氏らが言い、おそらくは学者の間で異論のない点であるということを、まず第一に申し上げます。農濃部氏は「旧憲法においては、法律をもつてすれば、いかなる定をもなし得べく、人民の権利及び自由は、これに対抗すべき何らの力をも有しなかつた。新憲法はこれに反して國民の基本的人権をもつて、法律をもつても侵すことのできない天賦の権利となし、その権利の保障をもつて法律に優る効力ある最高法規たらしめた」(法律時報昭和二十一年十二月号四頁)と述べておる。 第二点は司法権の優越性、——ジユデイシアル・シユプレマシイを本法案は侵害せんとしていることである。この点についてこのたびの國家公務員法案は、この憲法の基本原則を侵しているという点であります。申しまでもなく基本的人権を、憲法の重要な規定に関しましては、法律をもつてしても奪うことができないが、かりにもし議会で、かような人権を侵害する立法をした場合においても、最高裁判所がこれを審査判断するという最終の審査権が、実質的にも、形式的にもある。(裁判所法第十條)形式上において違法であるかどうかを見るのみならず、実質的に憲法に違反するかどうかをきめるのが、今度の憲法の特色であり、最高裁判所の司法権の優越性——ジユデイシアル・シユプレマシイであります。しかもこのたびの國家公務員法の第一條に挿入せられる規定においては、この國家公務員法のある規定が、無効とされる場合において、この法律の他の規定の適用はその影響を受けることがないといつている。この法案自体このように憲法違反による無効を想定したことくであると同時に、またその場合においても他の規定の効力は影響がないといい、この点において最高裁判所に対して制限を加えることになる。この第一條の二項の規定が、憲法の規定する本來のジユデイシアル・シユプレマシイ——司法権の優越性を制限することになる。すなわち新しい憲法の原則を無視して來ることになるという点が第二点の重要点であります。 第三点は國会の立法権を人事委員会に委讓することになるという点において、國会を行政執行権のもとに從属せしめるという点であります。すなわちこのたびの國家公務員法によりますと、人事委員会が廣汎な権限に基いて規則を制定し、あるいはまた人事委員会が指令を発するという。職員の地位、種類、定員を定める國家行政組織法をも、さらに優越せしめるような、廣汎な、委任的かつ包括的立法である。人事委員会自体に委任をすることになるといたしますと、本來人事委員会の基礎は國会にあるにかかわらず、その國会が自己自身の権限をすべて委讓して、人事委員会に包括的に委任立法を許すのでありますから、すなわち國会は新しく内閣以上の権限をもつこの人事委員会に対して、國会自体の権限をもすべて包括的に委讓するということになる結果として、これは一面立法機関をこの人事委員会に從属せしめることになる。また他面ではその人事委員会は國会の立法権を從属せしめつつ、日本の明治以來の古くからあります弊害である官僚的な制度、すなわち行政執行権の優越独善をつくり出し、立法権に対して優越して参りましたが、これをもう一ぺん新しく温存ないし強化するという結果になる。であるから、立法権とこの行政執行権とのその関係において、本法案は十分にこの際考えなければならないのではないかと思います。 大きく申し上げたい第二点は、今のと関連をいたしますが、本法案が官僚制度を強化することになる点である。予算の編成権にいたしましても、すべて國会がまだ十分に立法機関としての働きをしておりません今日において、この官僚的な制度、特に特権的な、上層的な官僚の制度、これによりまして立法権が現実にはなお遺憾ながら官僚に対して從属性をもつておる。この際に、この官僚制度の改革こそマ書簡にもすでに現われておる。あるいは現國家公務員法改正の場合においても、官僚制度を改革するということが、國家公務員法の制定の趣旨でありましたのに反しまして、本法案はあべこべにこの官僚制度を温存することになる。 第三点は、官吏と申しましても冒頭に述べました通り、性質上國家公権力の発動に参加し、かつこれを執行するところの責任者が官吏である。その人人のおいては、團体交渉権も、あるいは爭議権も、ガバーメント自体がその公権力の発動であり、その責任者でありますから、これを制限するということは考えられますけれども、官吏にはおよそ二種必ず生じておるのでありまして、このような局長、部長、課長という國家公権力のその発動の責任者であり、また執行の責任者であるというこの本來の官吏と、性質上一般事務を掌り、他の一般勤労者と甲乙のない下級勤労官吏とは、まつたく性質が異なつており、これは官僚制度の支桂ではなく、一般の勤労者と異なるところはない。ところで昭和十五年と二十一年、二十三年までとの官吏数を比較いたしますと、御承知の通り日本の國家資本主義の発展とともに、厖大な官吏数を包容することになりました。昭和十五年の百四万二千人。これは一般会計における官吏数(嘱託を含む)の数字であります。実人員はでこぼこがあり得るのでありますが、一般会計における官吏数が、昭和十五年に百四万人、二十一年には百五十九万二千人とふえ、しかも特に国家統制を掌り農林、大藏、商工という経済官吏が多くなつたこと、しかも特に今述べました官吏の二つの種類について申し上げますと、いわゆる一級、二級の勅任及び奏任の官吏が、判任の官吏よりもはるかに大きなレートで増加して來ておる状態であります。数を申し上げますと、一級の勅任官は昭和七年を一〇〇といたしますと、昭和二十三年には六五四という六倍半強の増大を示しております。二級の奏任官の場合には、昭和七年を一〇〇といたしますと、六一七、約六倍強という増加を示しておりますのに反して、判任の三級官吏は昭和七年を一〇〇といたしますと、わずか二八九という約三倍に足りないだけの増加をしておるにすぎないのであります。この点から見ましても、今日戰爭及び戰後を通じました統制経済の結果、厖大な官吏制度を必要としており、特に上層官吏が増大した。今日の國家におけるこの官吏制度の内容は、一級、二級の勅任、奏任官の厖大な官吏数を包容しており、これが官僚制度を形成している。その下に働く下級判任官の官良の増大の割合はそれほどでないという点において、日本の官吏制度、官僚制度は上の勅任及び奏任官の数が、比率的に見て非常に厖大になつているのであります。この点から見ましても、下級の勤労官吏及び権力自体の発動に関與し、あるいは執行に対して責任をもつ上層の官吏については、今のようなこの國家公務員法という問題が生じて來てよいのでありますけれども、それに対して勤労し、普通の事務をする官吏とは性質が異なつておるし、これが今の國家構成上におきまして二つの対立した官吏制度になつているということが、おわかりいただけると思うのであります。從つて國家から俸給を受けている者は、すべて公務員であるという單純な包括的な概念が、いかに誤まつておるかということがわかつていただけると思います。 次にはここでいわれております公務員の範囲でありますが、これはすでに午前中にるる例が指摘せられました通り、どの職員の場合におきましても、小使さんも、あるいは給仕もありますし、あるいは先ほどの國立病院、國立療養所の職員から看護婦まで入るし、正式の国家公権力の発動に関する当面の責任者でないそのすべてが、この國家公務員法においては、一括して公務員という名前を付せられて、小使さんも農事試驗場の草むしりをする人間までが公務員となるように仕組んでおりますが、これは先ほど言いました上級の官吏諸君に適用せらるべきこの國家公務員法を、むしろ勤労する一般單純労働力の下級の官吏に押し及ぼしているという不都合な結果を生じておる点があるのであります。要するに、本來の國家公務員法は上層官吏にのみ適用せらるべきで下級の勤労官吏には適用さるべきではない。 第三にはいわゆる公共事業、これは公共企業労働関係法との関係もありますけれども、本來公務員は國家権力の発動自体に関する責任者でありますから、性質上からいえば、いわゆる官業労働者はもちろん公務員ではない。從つて專賣局員についてだけは公共企業労働関係法においては別になつておりますけれども、この場合における公務員とは本來高級の官吏を指すべきである。この場合に適用せられるべきであつて、一般の官業労働、教員あるいは造幣局、食糧公團とか、印刷局の從業員というものについては全然適用せらるべきではない。これらの企業は民間の企業と異らないからである。從つてまた、同じ理由で公共企業労働関係法國鉄、專賣局從業員においても團体交渉権及び爭議権を否認する、禁止する、制限するというようなことが、同様不当である。 さて、特にアメリカでは公務員と申しましてもシヴイルサーヴアントでありますが、これには罷業権も団体交渉権もないというような、そういう先入主が與えられたかのごとくに思います。しかし今日すでに鮎澤氏もTVAの懸を申されましたし、末弘氏からイギリス、オーストラリアのホイツトレー・カウンシウルを述べられましたから、私はなお具体的にTVAの團体協約に関する條文を読み上げます。すなわちTVAの例と申しますのは、テネシー河域公社とテネシー労働会議との労働協約であつて、(一九四〇年八月六日)なるべく爭議を起させないようにしますが、前提は團体交渉権そのものを認め、かつ理論上は爭議権をも予定してあります。この第五條第二項は」團体交渉並びに被用者、経営者間の協力のために、パブリツク・コオポレーシヨンの被用者は團結し、かつ自由選択による代表者を指名する権利を持つ。この権利行使にあたつては被持者は経営者及び監督側のあらゆる制限、干渉、強制を受けることがない。この項は被用者が他の合法的目的のために團結する権利を制限してはならない」というのが、テネシー・ヴアレーのTVAの團体協約に関する基本的な建前であります。むろんこの際に「労働会議」というのが双方から選ばれました委員によつて結成されるのでありますが、ここでなるべく爭議を起さないようにいたしますけれども、團体交渉権、團体協約はこのようにしてはつきり認め、かつ経営者からの干渉、強制、制限を排除しておるのでありまして、ただアメリカの公務員は他の一担企業の労働者、勤労者よりもはるかにいい俸給をもらつておりますから、事実上爭議をしない、あるいは紛爭が起きたときにもこういう自主的な團体交渉権に基き、労働会議によつて紛爭を調整するという仕組はできておりますけれども、理屈の上で團体交渉権を、今度の法律のように権限なり、否認、禁止するという建前を全然とつておらないということです。これはホイツトレー・カウンスルの場合にもイギリス、オーストラリヤの場合でも同様です。フランスの官吏はもちろん團体交渉権、爭議権をもつている。日本の法案では團体交渉権を禁止制限し、(國家公務員法、公共事業労働関係法)あまつさえ違反者には懲役三年の重刑をもつて彈圧しているが、これは全然英米に例がない。世界に類例のない彈圧法である。殊にこの場合日本がアメリカでタフト・ハートレー法が廃止されるからという他の國の例を用いる必要はないと思いますけれども、タフト・ハートレー法はトルーマン大統領の選挙綱領にもあり、殊にトビン労働長官は、ただちにやめるという声明を出している。アメリカにおいては特にTVAの労働協約によつて、團体交渉権は明白に認めているにもかかわらず、あたかもなきがごとくにいわれておりますから、この点をここで明らかにし、殊にまたイギリスのホイツトレー・カウンシウルなどは十分に参酌して事を決していただかなければならないと思います。 要するに、一番大事であると私が申し上げたいことは、基本的人権の制限が法律の形式をもつてしても奪うことのできない、永久に動かすことのできない権利であると規定せられたということ、第二には、國際的な人権宣言においてもこの点が國際的には明らかにされて來ているのでありますから、もしも日本が國際連盟に入るような場合においては、國際規約として法律上も拘束力を受ける、そうでなくても道義的な拘束力を受けるという状態に今日なつているということを十分に考えて、このような主要な法案を決して行かなければならない。もしもそうでなければ、これは憲法違反になる。もしもこれに國会が賛成いたしますならば、國会は新しい憲法の蹂躙をすることになるものと考えますし、また國際人権にも反して行くものと考えます。のみならず、事実上官吏の給與が惡ければ能率が惡くなつて來ますし、税務官吏一つとりましても、給與が惡ければ結局若い人しかおりませんので——現在の税務官吏の実情を見れば年功のあり、経驗ある人は皆いなくなつてしまいまして、全部若い人ばかりであり、若い人の未経驗者では、とうてい複雜な税務をつかさどることはできないし、もしもそれでもそのようにしなければ、必ずやみ屋なり、買收に乘ることになりますし、多くの收賄などが行われていることも事実であつて、これが一事が万事で、結局十分な給與の裏づけをすることなく、しかも國鉄の從業員に対しても、狩勝トンネルの非常に曲つたところにどうして増し手当が必要かということは、やはり勤労者の意見を常に取入れなければわからない。人事委員会でこういうところの実情に手の届くようにあわせて考慮をすることは全然できないものと考えます。この意味においても團体交渉及び團体協約は、アメリカのTVAの労働協約、イギリスのホイツトレー・カウンシウルにおいても、日本のように罰則をもつてこれを彈圧しているということはないということ、日本の本法案は世界まれな彈圧法であること、この点を十分に参酌していただかなければならぬ。今後の日本の新しい労働立法について、ポツダム宣言にのつとつて、基本的権利を伸ばして行くことが、日本の眞の再興の基礎になるということ、及び極東委員会の労働組合に関する原則にのつとつて行くことが、今後の日本の発展にとつては基礎になつているというこの点を、最後に十分に私は強調いたしたいと思います。
○角田委員長 次に労働組合総同盟の河野平次君にお願いいたします。
○河野公述人 今まで多くの公述人によつて、法理論等を中心として申し述べられたようでありますから、私は一般労働運動に身をもつて携つている者としての立場から申し上げようと思います。その前に私の身分を申し上げますれば、私は東京都の職員で、所属團体は東京都交通労働組合に所属し、さらに都電、市電の從業員をもつて組織する全國の日本都市交通労働組合連合会に加盟しております。さらに日本労働組合総同盟、この團体に加盟しておりまして、本日は総同盟の立場からと、さらに私の所属する日本都市交通労働組合連合会という二つの立場から申し上げたいと思うのであります。 私どもはマ書簡に基いて発せられた二百一号の政令なるものが憲法違反であるかどうかということにつきましては、もちろん法律家ではございませんし、そういうことについては深く論及することを避けて参りました。その是非はともかくといたしまして、日本の今日置かれている客観的な地位というものは、そういう問題にいたずらにこだわつているときではない、また現実問題として、そういうものにこだわつておつて、どれだけわれわれ労働運動の將來のことに役立つであろうか、あるいはまたそういうことをたてに鬪うことが、はたして適当かどうかということについても、相当深く考えなければならないかと思いまするので、そういう点については深く触れることを避けて参つたのであります。要はこのマ書簡に便乘して、不必要に労働運動を圧殺しようとするきわめて惡い傾向に対して、これには強い反対運動を行つて、この傾向を正しい方丁に是正するという努力こそ、最も必要なのではなかろうか、こういう意味で私どもの運動を展開しているわけであります。そこで國家公務員法の問題について、先ほど申し上げました立場から二、三申し上げまするならば、逐條的に申しまして、まず第二條の適用範囲の問題であります。これは多くの方によつて申し述べられたと存じますが、逓信、鉄道あるいは專賣等現業関係が、從來の公務員法においては一般職から除外されておつた。しかるに今回はそういう司法、立法、行政というような、われわれの解釈をもつてする純然たる方面、そういうものと、車掌や運轉手やあるいはタバコの女工さん、そういうようなものまでも同率に考えるということは、先ほど申し上げましたところの、便乘的な意図から出たものであると言わざるを得ないのであります。ことにこの政令におきましては、國家公務員法のほかに現在のところ地方公務員法はない。それであるのに、地方廳の公吏に対してまで、同樣な制限を加えられている。地方廳の公務員と申しましても、國家と同じようにいろいろな現業関係がある。交通とか、水道あるいはガス、清掃、土木、建築、こういうような純然たる労働者をたくさん包容しておるわけでありまするが、こういうものについても、やはり純然たる公務員と同樣に取扱われている。こういう國家の意思機関としての職責を果しているのではなくて、事業遂行の面にあたつても、單純労務者と思われるものに対してこの法律を適用するということは、明らかに行過ぎといわなければならないと思うのであります。從いまして、改正前の公務員法のごとく、これは完全に公務員法からは切り離されてしかるべきものと考えるのであります。このたび國鉄に対しまして、公共企業体の労働関係法ができたようでありまするが、これは公共企業体労働関係法という特別法をここに設けてバ公務員からとりはずしたまではよいのでありますけれども、せつかく公務員法の適用除外に置いても、さらにこういう大きなわくをこしらえて、その行動を拘束しようとすることは、この公務員法から切り離した趣旨にも、もとるのではなかろうかと思うのであります。從いまして國鉄関係あるいは專賣の関係等につきましては、公務員法から除外された以上、これは当然労働三法を適用するという建前で行かるべきであろうと思うのであります。 次に第九十八條の團体交渉権の問題であります。これもマ書簡によりますと、ストライキ、サボタージユ等の脅威を裏づけとするいわゆる團体交渉はよろしくないということでありまして、この團体交渉というものの解釈が非常にまちまちであるわけであります。政府の考え方は、いわゆる團体交渉というのは、あらゆる場合にストライキとサボタージユがついてまわるのだというふうに考えているもののごとくでありますけれども、私どもはそうは考えません。要するに、労働組合と事業主とが対等の立場に立つて交渉する。何もそこで意見が決裂したとしても、ただちに実力行使に訴えなくてよろしい。要するにその立場が対等であるということの原則が打立てられなければ、交渉というようなものはかいもく意味をなさない。そういう意味におきまして、團体交渉というものを認める以上は、これは当然労働協約というものの締結の裏づけがなければ意味をなさないということを強調したいのであります。この場合苦情、希望を申し述べるというようなことであつたのでは、これは労働者のいろいろな問題に対して何ら得るところがない、あつてもなくてもまつたく同じであるということを言わざるを得ないのであります。 次に百二條の政治運動の制限問題でありますが、この点につきましても、私どもはこういう強い制限を受けなければならないということは、どうしても理解できない。官吏といえどもやはり社会人として当然政治的権利があるわけであつて、しかも明らかに憲法に保障されている基本的人権を剥奪すると申し上げても過言でないと思います。そのほかにたくさんありますが、重複する向きもあると思いますので、要点をこの程度に止めたいと思います。そこでこの公務員法全体を通じまして注目すべきことは、人事院の権限機能というものが非常に強くなつたということであります。從いましてこれは官公吏の身分、待遇、給與等、一切人事委員会によつて左右され、いわば官公吏の生殺與奪の権を人事委員会が握ることになるわけでおります。從つてその任務は非常に重大であるし、この運営についても愼重なる態度をもつて臨まなければならないことは申し上げるまでもないところであります。しかしながらそういう意味におきましても、眞に適正なる運営が人事委員会によつてはたしてできるかどうか。私は人事委員会を構成される方々を疑う意味ではありませんけれども、必ずしも適正なる運営に全面的に期待をかけることはむりであろうかと思うのであります。そういう意味におきまして人事委員会だけの見解に基いて、これらの重要問題を全部処理するということではなくて、それに対して公正なる意見を供するという見地からも、権威ある諮問機関を設置いたしまして、その諮問機関の意見を尊重して実際運営に当られることの方が適当ではなかろうかと思うのであります。 最後に私の労働運動の今までの経過を参考までに申し上げたいと思います。私の場合は先ほども申し上げましたように、東京都の從業員によつて組織されておる組合でありますが、大正十三年に組織され、昭和十五年までその間には官僚、軍閥あるいは資本家の猛烈なる反動攻功がありました。それは政治的に、経済的にいろいろな面からの彈圧を受けたのでありますが、私どもは毅然として労働組合を組織し、堅持し、必要に應じて爭議もやり、サボタージユもやつて参つたのであります。しかしながら遂に軍國主義がいよいよ高潮いたしまして支那事変が起りまして以來、いわゆる産報運動も政府の方において提唱され、それに便乘して特高関係が躍起になつて労働組合の彈圧工作にかかつたのであります。私どもはこの軍國主義的な傾向に対して断固として闘いました。けれども昭和十五年に至つて、遂に刀折れ矢盡きて、解散せざるのやむなき状態に立ち至つたのであります。十五年にそういう解消せざるを得ない状態になりましたとはいえ、その間においては実にりつぱな、これは單に私どもの階級的な立場から見て、りつぱというだけではなくて、事業主の立場から見ても労働組合が眞に健全なものであるならば、いかに事業に大きな貢献をなすものであるかということを、事業主自体が認め、事業主自体からは一指の彈圧もなかつたのであります。そうして実によく統制のとれた運動をやつて参つたのであります。かつて軍國主義の最も強かつた時代において、なおかつわれわれはそういう健全強固なる運動を続けて参つたのであります。幸いにして終戰後世は民主化の一色に塗りつぶされました。そうして労働組合法ができ、労働関係調整法ができ、さらに去年は労働基準法ができたのであります。そうして日本の経済を復興し、平和的民主國家を再建するためには労働組合を、労働者を保護して、それらを國家目的に合致せしめて日本の再建に役立たしめなければならないという意図から、そういう施策が行われたことは言をまたないところであります。しかるに何ぞ、われわれが軍國主義のはなやかなりし当時において、なおかつ堂々たる團体交渉権と実力によるストライキ権をもつておつたにもかかわらず、世はあげて民主化の方向に驀進しつつある今日、軍國主義の最もひどかつたときよりも、もつとひどい彈圧をわれわれ労働者階級に加えるとは何事ぞや、どこに民主化の色彩があるか、かようなことによつて、日本民主化に役立つことがあつたらお眼にかかりたいと申し上げたいのであります。私どもは今日労働組合の持つべき使命の重大性を、深く認識しておるつもりでございます。決して労働組合は單に労働者だけの利己的立場に立つて運動を進めるのではなくして、社会公共の福祉と完全に一致せしめるような方向に導いて行かなければならないと考えるのであります。多くの労働組合の中には、ときに行き過ぎの行為があるものがあつたといたしましても、そういう一部の行き過ぎのもののために、全体の健全なる労働組合までも圧迫するがごときことは、これは明らかに角をためて牛を殺すの愚にひとしいことであろうと存ずるのであります。この意味におきまして、この國会におきましては、労働組合の今日担うべき重大なる使命を完全に遂行せしめ、そうして日本の再建と、國民生活の安全のためにこそ、協力せしめる方向をとるべきであろうと思うのであります。そういう見地から、こういう軍國主義あるいは封建主義時代におけるより以上の、過酷なる束縛規定を排除して、もつと民主主義の今日にふさわしいところの行政をとらるるのが、最も今日の急務ではなかろうかと思うのであります。そういう見地に立ちまして、そういうことを一つの御参考に供されまして、いかにこの國家公務員法案というものが時代に合わないものであるかということをお考えいただきまして、私どもの切望する方向にお運びを願えれば、幸いこれにしくものはないと思うのであります。 はなはだまとまりのない愚見でございましたが、私の公述はこれをもつて終ります。
○角田委員長 次に全國財務労働組合の佐藤誠君にお願いいたします。
○佐藤公述人 私は全國財務労働組合の佐藤であります。私どもの所属しております組合の大会の決議によりまして、國家公務員法改正に関する私の意見を述べさしていただきたいと思います。 本日正午に日比谷の音樂堂に、東京の官廳を中心といたします約三万の労働者が集まつて大会を持つております。その趣旨は、國家公務員法の改惡に反対し、七千三百円を要求するという大会であります。われわれといたしましては、今回の國家公務員法の改惡について云々するよりも前に、昨年十月十五日に出ましたところの國家公務員法そのものに対して、われわれはあくまでも反対の態度を堅持しておるわけであります。なぜわれわれが公務員法及び公務員法の改惡に対して反対をいたしておるのか、またしなければならないか、この点について簡單に申し上げたいと思うのであります。 まず第一番目に今回の國家公務員法の改惡は、それ自身日本の憲法のみならず、ポツダム宣言にも、極東委員会の十六原則にも違反しておるという点であります。第一にポツダム宣言の第十項には、いわゆる民主主義傾向の復活強化を助長せしめ、さらに基本的人権は尊重せらるべきである、こういうような規定があるのであります。さらに極東委員会の十六原則には、日本の労働組合の活動に関する基本的な問題が指令としてあるのでありまして、この件につきまして、一般の労働者と公務員とが何ら差別されてはならない。そういうことは、去る八月二十八日の対日理事会のパトリツク・イギリス代表の言葉にも明らかになつておる通りであります。なお今回の國家公務員法のいわゆる改正案なるものを見ますときに、われわれは非常にこれによつて日本の民主化が阻害され、われわれの基本的人権が阻害されることを憂うるものであります。その内容につきましては、すでに数人の方から言われましたので、詳しくは申し上げませんが、第二條の一般職の範囲拡大等の問題につきまして、おそらくはこれはアメリカにおいて弊害のあつたと称せられるいわゆる猟官制度、スポイル・システムがあつてはならない。こういうような考えからなつたのではないかと思うのでありますけれども、現在の日本におきましては、そういう猟官制度よりも、むしろ政党人が官界内に入り込むということよりも、むしろ逆に頭の古い官僚が政党の中に入り込んで政党を官僚化する。そういう憂いの方が今はかえつて濃いのではないかと考える次第であります。そういう点から考えまして、今の日本の政治情勢におきましては、むしろこういうような一般職の拡大をやめまして、もつと廣く、少くとも課長以上は特別職になり、さらに一般の肉体労働者も、すべていわゆる公務員という適用から除外する。それが最も現在の情勢に適合しておるのではないかと考えるのであります。 その次に人事院の問題でありますけれども、これらも先ほど全逓の土橋委員長初め数人の方からいわゆる人事院の独裁化、その問題につきまして種々述べられたのでありますけれども、実際その通りでありまして、数人の人事委員によりまして二百六十万の官公吏の生命が、いわゆる生殺與奪の権限が握られておるということは、はなはだ非民主的である、かように考えるわけであります。しかしなお人事院で扱います官公吏の給與身分等が、法律でも政令でもない人事院の規則によつて律せられる。こういう点に至りましては、まさしく國会を無視し、日本の憲法を無視しておるものと言わざるを得ないのであります。そのほか人事院につきましてはいろいろありますが、改正案全体を通じまして、いわゆる少数者の手に二百六十万という大多数の官公吏の生命、給與が握られておる。こういうような非常に独裁的な法律、こういうものはないと考えるのであります。そのほか百二條におきます政治活動の問題とかいろいろありますけれども、とにかく今度の改正案は非常に非民主的である。かように考えるものであります。 その次に指摘いたしたいことは、今度の國家公務員法の改惡をそのまま通すことは、日本をさらに無謀な戰爭に導くものである、かように考えておるわけであります。かつて日本の企画院を中心にする新官僚及び大藏省、商工省を中心にする経済官僚が、いかに軍閥と結托してあのような悲惨な戰爭を引起したかということは、皆さんよく御承知の通りであります。この非常に強固な官僚制度というものが、はたして終戰後非常に民主化されたかどうか。その点については非常に疑問とするところが多いのであります。すでにこの國会においても種々の案件、特に予算問題等については、國会議員の皆さんは官僚の予算についてのデスク・ワークにたよらなければなかなか予算ができない。かような点もしばしば指摘されておるのであります。このような官僚が現在非常に強固な権限を持つておるということは、本年の六月十四日の総司令部の農業課長であるダイヴス氏が言つておる言葉があります。御参考のために申し方げますと、現在の土地改革を阻害しておるものは官僚である。特に農民に対して高率な課税を強行しておるところの大藏官僚である。こういうことを総司令部のダイヴス氏が記者團会見において言つておるのでありますけれども、現在その通りであります。私どもの職場はいわゆる税務機構でありますけれども、現在非常に強行な割当課税なるものがやられておるのであります。しかしながらこの割当課税というものは、決して國会の皆さんによつて、つまり議員の皆さんによつてきめられた税法通りに税金をとるというのではなくして、むしろ行政機構である大藏省の官僚がきめた税金をとつておる。これが現在の割当課税の実情であります。そのために先月おいては、大森の税務署員がこの問題に関して、とうとう自殺したというような事件があるのであります。これは明らかに公務員法の犠牲といつても、さしつかえないのではないかと考えるのであります。つまりこの税務官吏はいわゆる税法に忠実のあまり、國会できめた法律通りの税金をとろうとした。ところがそれに対して税務署長が、そんなのは安過ぎる、実は大藏省からこれだけの割当が來たからこれだけとれ、こう言つてむりやりにとらした結果、とうとう二十三になる若い組合員でありますがゐその税務官吏は煩悶して自殺したという事件が先月起つておるのであります。これは明らかに現在の官僚組織、官僚制度の欠陷であると考えざるを得ないのであります。かように今なお残つておる強固な官僚組織、これが今回の國家公務員法の改正に当つてますます強化され、遂には國会をも無視するに至ることは、火を見るよりも明らかであると考えるのであります。御承知のように日本の軍國主義にしても、あるいはドイツのナチズムにしても、遂に國会を無視するところから、あのようなフアシズム的な狭裁が現われて來るのでありまして、この点は嚴に警戒しなければならぬところであると考えるのであります。 その次に指摘いたしたいことは、この國家公務員法の改惡につれて、労働組合の力というものは実質的に非常に弱くなる。つまり罷業権は剥奪され、團体交渉権も制限され、その結果どういう事態が起るかと申しますと、つまり官僚機構全体に大きな腐敗が愛じて來るわけであります。たとえば思どもの組合を例にとりましても、今でもそうでありますが、今までは労働組合の力が強いために、給與の問題にしても、あるいは身分の問題にしても、常にこの労働組合の一つの團結した組織でもつて鬪い取つて行たのでありますけれども、もしこの労働組合の力が非常に制限され、弱体化されますときに、現在の第一線の税務官吏のみならず、一般官吏はどこに自分の安定場所を見出すか、結局それは個人的に、いわゆる不正な方向に逃避するよりほかに、しかたがないのであります。このことは明らかに指摘されると思うのであります。しかもなお下級官吏のみならず、もつとひどいのは、上級の官吏にありましては、現在は労働組合がありますがゆえに、商工省の例をとつても大藏省の例をとつても、労働組合の力によつて数々の上級官僚の不正が摘発されておるのでありますけれども、もしこの労働組合の力が弱くなつたときには、上級官僚の腐敗はますます深刻になつて、下級の官公吏にも及んで來る、これは必然の結果ではないかと思うのであります。 最後に私が申し上げたいことは、今回の國家公務員法改正についての審議の問題であります。これは内閣及び國会の問題であると思いますけれども、御承知のように、マツカーサー元帥の書簡の冒頭には、官公吏の給與を科学的に合理的にきめて、少くとも公務員としての体面を保持するだけのものは與えなければならないということを、明らかに指摘しておるのであります。ところが現在の政府は何をやつておるかといいますと、給與の問題はそつちのけでありまして、公務員法だけを通過させよう。そのためには防政演税もやらない。こういうことを政府が現在やつておるのでありますけれども、非常に私ども公務員といたしましては不可解なことと存ずるのであります。やはりわれわれといたしましては、公務員法の前に現在の官公吏の給與というものを安定してもらわなければならないと考えておりまして、この公務員の待遇の改善ということは、何もマツカーサー元帥の書簡が出てからの問題ではなくて、実は一昨年労働関係調整法が議会を通過する際に、すでにその附帶決議といたしまして、官公吏の待遇改善ははからなければならないことを明記しておるのであります。このことをよく議員の皆樣方に考えていただきまして、どうかこの給與の問題につきましては、公務員法を改正する以前に、これを先にやつてもらわなければ困ると、かように考えるわけであります。もちろん今大きな問題といたしましては、この官公吏の給與についての財源というものが問題になるのでありましようけれども、財源につきましては、私どもの所属しております全國財務労働組合といたしましても、どういう財源が実際税の面でとり得るかということについては、現在研究中でありまして、おそらく一週間以内には結論が出るのではないかと思いますが、財源の問題についてはともかく、この給與については早く安定してもらわなければ困る。かように考えておる次第であります。 一番最後に申し上げたいことは、先ほど平野義太郎先生も言われたのでありますけれども、現在の國際的な環境というものを、どういうふうに政府並びに國会の皆さんが考えておられるかという点であります。先ほども平野さんが言われましたように、パリにおける國際連合の総会におきましては、國際人権宣言が制定されておる。さらに今回のアメリカの大統領選挙にあたつては、保守的な共和党が落ちて民主的なトルーマン大統領が当選し、さらに上院、下院においても、タフト・ハートレー法に賛成した議員は、八十二名という多数が落選をしておる事実があります。さらにアジアにおきましても、御承知のように中國において人民解放軍の勢力が伸びておる。こういうような國際的な関係におきまして、もはやこの國家公務員法のようないわゆる基本的な人権を剥奪する非民主的な、反動的な法律を支持する勢力というものが、國際的にも駆逐されつつあるという現在において、政府がなおかつこれを強行しようとしておることは、非常に不可解に存ずる次第であります。 以上のような見解によりまして、どうか今回の國会におきましては、この國家公務員法の改正案をそつくりそのまま政府に返上していただきまして、われわれ二百六十万の官公吏の生活のみならず、日本の民主化のために國会の各位はがんばつていただきたい。かように考えます。 以上で私の意見を終ります。
○角田委員長 次に日本自治團体労働組合総連合の菱信吉君にお願いします。
○菱公述人 日本自治團体労働組合総連合の菱でございます。自治労連三十万の組合員を代表いたしまして、問題の國家公務員法の改惡には絶対反対であるという意見を、簡單に申し上げたいと思います。 御承知のように戰後の日本の労働組合を中心としました民主化の一つの目じるしになつている、あるいは一つの指導標になつているというようにわれわれ考えております極東委員会の労働組合に関する十六原則には、われわれが労働條件を改善するために、労資の間における交渉をする権利を認めているのであります。ところが今度の公務員法の改惡案によりますと、そういうような権利がないということになつている。あるいは、同じくその次に書いてあるのでありますが、われわれが日本の平和的あるいは民主的な建設に、團体として参加することを奬励するというように書いてあります。ところが今度の改惡案では、われわれは使用者側と経営協議会あるいは業務協議会というようなものをつくりまして、官公廳内部での民主化運動、内部での民主化のために努力をすること、こういうことは認めない。中労委の末弘先生はこれを非常に大きな問題として、かねがね主張されているのでありますが、こういう非常に重大なわれわれの仕事が、このことによつてはばまれるようになつている。また今申しましたようなことでなく、もつと廣くいえば、外部的にわれわれが日本の民主化のために努力しようとすれば、それは当然政治的な活動を行わざるを得なくなる。この点に対してやはり改惡案は、百二條で投票権あるいは人事院の規則できめたごくわずかな範囲のほかは、公務員というものは政治的な活動ができないというようなことを規定している。このように今度の改惡案は、明らかに極東十六原則の違反であるということが言えるわけであります。いろいろ他の公述人の皆さんから、憲法違反の問題その他言われたのでありますが、今申し上げたようなことをとりましても、この一事をとりましても、いかにこの改惡案が反動的であり、日本の民主化をはばむものであるかということを、御了解になると思うのであります。しかも政府はこのような案を持ち出す理由として、公共の福祉ということを言つている。あるいは君たちは部分的な立場である。しかし政府は全体的な立場に立つているのである。だから部分は全体の利益に服從しなければならない。そういうことを言うのでありますが、しかし現在われわれは、決して今の政府が全体の立場に立つて行動しているというには考えていない。それは残念ながらそういうふうに考えられないからであります。ああいうような腐敗墮落した事実を、もし全体の立場でやつているということで粉飾できるとするならば、これはとんでもないことではないかというように考える。われわれはもちろん納得できれば、このような改正案も了とするのでありますが、今のような政府が全体の立場であるということを主張して、このような十六原則、あるいは憲法の違反までも強行して、このような改惡を遂行するというような挙に出ていることには、絶対承服できないのであります。先ほどからいろいろ言われておりますように、この改惡案の内容がきわめて非民主的であるということは、改めて申し上げるまでもないのでありますが、なお一つ、二つ申し述べてみたいと思います。 その第一は、現在の公務員法、つまり現行法ではその九十八條に、「職員はその職務を遂行するについて誠実に法令に從い、かつ上司の職務上の命令に從わなければならない。但し上司の職務上の命令に対しては、意見を述べることができるというようになつているのであります。ところが今度の改正案では、この点は單に、職員はその職務を遂行するについて法令に從い、かつ上司の職務上の命令に忠実に從わなければならない。」忠実という言葉が入りまして、そのあと上司の命令に対して意見を述べることができるというような点を削除している。これは非常に小さい問題のようでありますが、われわれは事重大と考えております。かの最も反動的で、非民主的であつたというように言われる軍隊においてさえも、上官に対する絶対服從という陰には、しかし上司に自分の意見を述べることはできるのだというようになつておつたと思うのですが、今度の公務員法の改惡によつて、われわれは昔の軍隊以下のいわば身分的な隷從と言いますか、そういうようなわれわれの意見さえも述べることができないというような、非常にひどい立場にそれを突き落そうとしている。この精神、こういうものの考え方、これが一貫して今度の改惡家の底を流れている。この点を私は強調いたしたいのであります。すでに人事委員の権限が非常に大きい、あるいは罰則の問題等いろいろ皆さんが述べられておるのでありますが、実際はこの改悪案の文章を読んで参りますと、何か公務員を頭から不逞のやから的な扱いをする、何か公務員というものは初めから惡いことばかりをたくらんでいるような人間だという考えで、こういう法律をつくつたのではないかというように思われる筋がたくさんあるのであります。ですから罰則をごらんなさい。非常に強い罰則がたくさん出ている。われわれが單に政治的な活動をしたというだけで、もう三年以下の懲役あるいは十万円以下の罰金、こういうような重い刑罰が加えられる。これを労働組合法第十一條違反に対する刑罰と比べて見ればよくおわかりになると思うのであります。 なおもう一つ申し上げますと、この國家公務員法の改惡につきましては、われわれ自治体の労働者に対して、実はわれわれの聞いておるところでは、地方自治体を一部改正いたしまして、この改正によつて公務員法の重要な改惡諸点を、われわれ自治体の労働者にも適用するというような措置が準備されているように思います。われわれの入手しましたこの点をよく調べてみますと、結局都道府縣廳にあるわれわれの組合は、内閣総理大臣の監督と統制を受ける。それから市町村の職員でつくつている組合は、都道府縣知事の監督と統制を受けるというようになつているのであります。これは今までもそうであつたのですが、名前だけは地方自治ということを非常に政府は強調するのでありますが、実質はこういうように地方自治というものを考えていない。やはり昔通りの、内閣から地方自治体にまで一貫して官僚的な統制、官僚的な監督を、こういうようなやり方で継続しようとしている。この点を考えましても、こういう非民主的な内容であるということを、われわれは主張できると思うのであります。まだいろいろ問題はあるわけですが、ほとんど皆さんの言われた点を繰返すにすぎなくなりますので、いかにこの改惡案の内容が非民主的であるかという点についてはこれにとどめます。 次に申し上げたいのは、現在われわれ全官公廳労働組合協議会が、政府に七千三百円を八月の手取りとしてもらわなければ、われわれの公僕としての満足な生活ができないのだという要求と主張をいたしておるのであります。しかし政府はこれに対して全然一顧を與えようともしない。また人事委員会が合理的な計算ということで出しました六千三百七円、これも財政上出せない。こういうように、全然われわれの生活のことを眞劍に考えていないということであります。この改惡案に見るような、ひどい非民主的な内容をなぜ政府が押し通そうとするのか、これは言うまでもなく、われわれが罷業権を持つて、この権利を行使する、あるいは團体交渉をする、これを非常にいやがつておる。ですからそういうことをしておるのだと思うのですが、もしそういうわれわれの罷業権なり、あるいは團体交渉権なりの行使がそれほどいやであるならば、なぜわれわれがストリイキをしなくてもいいような状態、われわれが一々團体交渉をしなくても、われわれが最低生活を保障してもらつて、とにかく公僕としての努めを果せるのだという、そういう現実をまずつくろうとしないのか。われわれはこの点今度の措置はまつたく逆であると考えるのであります。かつて皆さんが労調法をつくられましたときに、この労調法はやはり労働者の生活が、労働條件が改善され、あるいは保障される労働基準法というものが施行された後でなければ、こういうことをやつてはいけないのだというように決議になつたのでありますが、これと同じように、やはりわれわれの生活の問題、われわれの最低賃金制の問題が解決しない場合には、絶対このような公務員法を改惡するようなものを取上げないということを、ぜひおきめ願いたい。かように考えるのであります。現行の國家公務員法も、もちろんわれわれにとつては満足なものではありません。たとえば特別職の範囲はきわめて狹いというようなこと、あるいは現在の人事委員会の運営そのものが、まだまだきわめて非民主的で、その点を改善するために人事管理委員会というようなものを設けて、その諮問によつて仕事をするようにしたらよかろうというようなわれわれの意見もあるのであります。あるいはまた、この第六十二條の中に、今申したようなわれわれの生活保障の問題も、ぜひうたうべきだというような意見も出ております。このように現行法はむしろ改正さるべきで、以上申しましたような改惡は絶対反動的でもあり、現実にも即しないものであり、われわれの給與との問題と関連して考えました場合に、実に前後轉倒しているというように考えられるものであり、その他いろいろ言うわけですが、とにかく以上の諸点に思いをいたされたい。今國際的な民主主義勢力がこの議会を注視している。また外電に傳えられているように、アメリカの官辺筋、あるいは極東委員会の官辺筋でも、この公務員法の内容をどういうようにするかというような点は、日本の國会の責任であると言われておるのであります。どうぞ皆さんの賢明なる御判断、十分な御考慮の上で、この國家公務員法改惡は、われわれの最低賃金制が確立するまでは絶対に議会の日程に上げないというような御決定をされますことを、切に希望するものであります。簡單でありますが、以上われわれの改惡絶対反対の趣旨を申し述べたわけであります。
○角田委員長 この際赤松理事に委員長の職務の執行を願います。 〔委員長退席、赤松委員長代理着席〕
○赤松委員長代理 次に日本青年会議の岩澤公平君に公述を願います。
○岩澤公述人 私日本青年会議の議長をいたしております岩澤であります。國家公務員法改惡に関しまして私は一般的な立場からこれを客観的に批判してみたいと思います。 われわれがこの問題を批判します前に前提としなければならないことは、まず第一に新憲法が施行されて、これに対して政府は憲法遵守の立場をとつて施政をして行かなければならないということが一点、第二には、國民の立場から見ていかにこれら日本における民主主義的な労働運動が推進され、かつはまたこれが実行されておるかということを見なければならないのが第二点。第三点といたしましては、これらの運動がいかに労働者の利益になり、あるいはまた労働者を含めて全國民の利益になつておるかということの点であります。 これら三点を前提として考えますならば、まず第一に申し上げたいことは、國家公務員法そのものに対して、私たちは反対するということがその態度の第一であります。なぜかならば、先ほどまでの公述人各位のお話にもありましたように、公務員として、いわゆる下級職員としての二百六十万の公務員は、何らほかの勤労者とかわつておるところがない、むしろかわつておらないどころか、ほかの勤労者よりも以下の生活すらしておるというのが実情である。從つてもしもこれをただいま申し上げました前提の第一点としての憲法の立場から見るならば、いわゆる憲法第二十五條及び第二十八條等を勘案してみても、明らかにこの國家公務員法を施行するということは、憲法に対する違反ではないかということが言えるのであります。しかもなお日本の労働者に対しましては、終戰後極東委員会におきますところの日本労働運動に対する十六原則、あるいはわれわれ國民が受けましたところのいわゆるポツダム宣言等の趣旨等から言つても、明らかに一般労働者とこれら政府職員、公務員を別々に扱うということは、何ら規制されておらないということは事実であります。從つて八月における対日理事会等の発言等をわれわれが見てみましても、明らかにこの点はうなずける点であろうと思うのであります。これら一連の問題をわれわれが考えますときに、この國家公務員法に対する政府の意図はなへんにあるかということを、われわれは一般的な立場から見たいのであります。 まず第一に政府の意図はすなわち二百六十万を擁しますところの、日本労働運動の前衞的な運動をしておる全官公労働者に対する脅威を感じ、この運動を何らかの形で阻止したいというのがその一つの大きな意図であります。なぜかならば、現在七千三百円ベースを要求し、常に労働者全般の立場に立つて、全官公の労働者が運動をして來たことは事実であります。これらをどうにかして現在の政府は彈圧しなければ、圧伏しなければ、どうしても彼らの政策が遂行でき得ないということは、いわゆるこの意図の第一点であろうかと思うのであります。 第二点は、現在叫ばれておりますところの資本家的な経済再建、あるいは外資導入によるところの企業整備首切り等々の一連の政策を実行するためには、どうしても現在の國家公務員、あるいは政府職員等を、軍國主義的な過去の態勢に温存させなければならないという点が、その第二点ではないかと私は考えるのであります。なぜかならば、もしも國家公務員、いわゆる政府職員が非常に民主的になり、これらが目覚めまして、大きな労働運動が展開されるならば、現在日本における封建的な分子は一掃されるであろうからであります。從つてこれらの問題からして、現在の政府はどうしても全官公に対する彈圧を考えなければならないと考えておるのではないかと思うのであります。 第三点には、これは最も重要な点だと思うのでありますが、これら全官公の職員に対する政策は、実はただ單にこれが二百六十万の公務員に対する政策ではなく、実にこれはいわゆる全日本の労働者に対する、ひいては労働者を含めた全部の働く人民に対するところの、彈圧政策に移行するのではないかということが考えられるのであります。なぜかならば、現在國家公務員に対しましては、いわゆる行政整理、首切り等によつて非常に彈圧して來ております。しかもこれらのお役人がこのように首を切られゐあるいは失業することによつて、國家の機関と産業は麻痺いたしまして、これが及ぼすところの國民の生活の不便というものは、実に言語に絶するものであります。これら一切を考えて、もはや政府のやつていることは、この公務員法を制定し、かつは今回のごとく改惡することによつて、現在政府が実行しておるところの資本家的の経済再建を遂行するもの以外の何ものでもない、こう私は第三者的に見て考えられるのであります。 次にこの公務員法にうたわれておりますところは、ただ單に政府職員に対する一方的なとりきめだけであつて、実は官公労働者に対するところの給與水準の引上げ、あるいは労働條件の改善等々は、決して考えられておらない。いわゆる一方的な措置にしか終つておらないということが言い得るのであります。これらを考え合せまして、私は公務員法自体にも憲法上から言つて相当の疑義があるし、またポツダム宣言、あるいは極東委員会十六原則等から言つても、多大の疑義を有するということを言いたいわけであります。 次の点といたしましては、從つて現在ただいまここに出されておりますところの改正案に対しましては、根本的に私は絶対反対の態度をとらざるを得ないわけであります。まず第一に條文的に見ましても、先ほど私が前提とした申し上げた三点に、ことごとくそれが触れておるということであります。なぜかならば、まず第一点には、いわゆる人事院というものが、この公務員法においてはきわめて大きく権限を強化されております。これはこの第一條に言うごとく、この法律はあらゆるほかの法律よりも優先するというようなことを掲げてある。第二條におきましては、先ほどからの御発言等にもあつた、いわゆる一般職の範囲を非常に廣くしておるということであります。たとえば國鉄あるいは自由労働者等の範囲にもこれを廣めまして、これら一切を含めて國家公務員法の適用をし、かつはこれに対する一方的措置を加えんとしておるのが、はつきりとうなずける点であるのであります。またさらにこれが追加せられまして、すなわち公共事業にもこれが一方的措置によつて押しつけられ、いわゆる公務員法の適用も押しつけられるという條文が今回の案には載つておるのであります。それが第一点、第二には人事院の権限の強化という根本的問題で、これはまず第一番目に内閣総理大臣の統轄をもこの人事院は受けない。あるいはたまたま大臣の任命権を制限するということがうたわれております。すなわちこれらが憲法でいうところの行政権は内閣に属する第六十五條、内閣総理大臣の指導監督権をうたつている第七十二條、あるいは官吏に関する事務を掌理するところの第七十三條の四号等々から照し合せまして、これは明かに憲法に反すると断定せざるを得ないのであります。 第三番目には同じように法律の執行に関しては必要なる事項については勝手に人事院において規則を制定し、かつは人事院指令を発することができるということが書いてあるのであります。これは第十六條であります。しかしこのことを考えますときは、すなわち憲法にうたわれておるところの第七十三條、いわゆる政令の制定は、ただ憲法、法律の規定を実施するためのみ云々というところの條項、あるいは第四十一條の條項にも私は違反するのではないかという疑いを持たざるを得ないものであります。 次にこれらの問題を考え合せますときに、これはいわゆる新憲法の精神を蹂躪するのみでなく、先ほども申しましたように、いわゆる極東委員会、ポツダム宣言の違反でなくして何であろうかと、私は言いたいわけであります。 次に問題になりますことは、すなわち給與に関するこれらのとりきめであります。いわゆる職階制なるものをこの法律によつて制定いたしまして、しかもこの職階制なるものは、いわゆる政府職員に対して上に厚く下に薄いという、すなわち私たち働く者が要求しておるところの最低賃金を確立し、その上に立つての能率給ということを考えることなく、ただ單に賃金、いわゆる予算のわくをきめて、これを職階制に振り当てるというような、きわめてあいまいな、きわめて飢餓的な賃金をすらこの職階制によつて押しつけようとしておることが考えられるわけであります。 次に問題になります第百二條の政治活動の問題にいたしましても、私が憲法をひもといて、いわゆる政治的な自由を考えますならば、これらも考えてもらわなければならないと考える次第であります。 次に一番問題になりましたところのいわゆる第九十八條のとりきめであります。これはすなわち政府職員に対する全般的な組合活動の制限がはつきりとうたわれております。それは私はいわゆる憲法の第十四條、あるいは先ほど申し上げましたポツダム宣言ないしは極東十六原則にはつきりと違反するということをどうしてもいわざるを得ない。すなわち基本的人権の無視だということを私は断言したいのであります。これらの問題等々を考え合せますときに、この國家公務員法改正案なるものは、きわめて改惡であり、しかもきわめて労働者に対し、ひいては全勤労人民に対するところの私は圧迫以外の何ものでもないと考える次第であります。 第三番目に申し上げたいことは、これらの問題に関連いたしまして、すなわち四月二十二日に出されましたあのマ書簡に基く政令として、政府が曲解惡用して出しましたところの政令第二百一号は、この際もはや憲法の立場からいつて、明らかに違憲であるということを認め、第九十八條の立場からこれを撤回していただきたい、特に千数百名に上るところの國鉄從業員の犠牲者、あるいは全逓從業員の犠牲者等々は、非常に現在彈圧せられております。それら一切を含めて、私はこの釈放等を考えてもらいたいということを言いたいわけであります。 次に側面的に見まして、これを利用者の立場から、すなわち國家公務員法を一般大衆の立場から見ますならば、國鉄に例をとりましても、もしもこの法律が施行されて、組合活動がかくのごとく制限されるならば、サービスが向上するどころか、むしろ汽車はとまり、かつは國民大衆にきわめて大きな迷惑をかけ、決して能率の向上にはならないし、國民大衆に不快の念を與えるだけである。しかもそれだけではなく、現在國鉄の労働者、あるいは全逓の労働者、あるいは全財の労働者、すべて二百六十万の官業労働者が要求しておるのは、ただ單に賃金の問題だけではなくて、これが税金の問題に発展し、しかも大きくはいわゆる現在の荒廃した國の産業を建て直す、すなわち生産復興鬪爭の要求すら掲げて組合活動に專念しておるのであります。しかもこのような運動に対して、この法律をもつて接するならば、國鉄のごときは、私をして言わしむれば壞滅状態に瀕するであろう。特に私は北海道における柚原トンネルの例をあげるだけでなく、まだまだ世間一般には知られていない事実が多々あるはずであります。特に盛岡等におきましては、すでに戰時中から突貫工事とかいいましてトンネルを堀つた。そのトンネルにはセメントを塗らないで、ただ單にほら穴だけのトンネルをいまだに使つておる。先日われわれ組合が運動いたしましてそれを撤回させましたが、そのようなあぶない所があるのであります。また清水トンネルのごときは、水によつて腐蝕いたしまして、レールががたがたしておつてきわめて危險である。これらの問題も、あげて國家公務員は政府にその改善を要求しておるのであります。しかもこの問題がもしもこの法律によつて彈圧せられるならば、それら一切を含めて、日本の産業はがたがたにくずれるであろうということを、私は利用者の立場からしても痛切に感ぜざるを得ないのであります。 最後に第四番目といたしまして、先ほども申し上げましたような極東委員会における動き、あるいは先ほども公述人の方が言われました、いわゆるアメリカにおける大統領選挙の現われ、すなわち世紀の奇績であるとジヤーナリストは唱えておりますが、私をして言わしむれば、これこそ正しい一般大衆の批判の結果であろうと思われるのが、あのトルーマン選挙の現われであると思うのであります。また日本を含めて現在の民主的な動きは、きわめて大きな運動として現われております。もしも國会におきまして、この國家公務員法改正が通るのであつたならば、今や労働者は、ただ單に労働者だけでなく、全勤労國民とともに、この國家公務員法を通過せしめたところの議員等に対し絶対投票しないという運動をすることは事実であります。官業労働組合といわず、また私企業の労働組合といわず、現在選挙対策を立てておりますが、それらすべてがこの國家公務員法の問題に集中いたしております。私の所属いたします日本青年会議におきましても、國家公務員法はフアシズムの現われであると断定いたしまして、もしも今後総選挙があつた場合には、これらの法案を通した議員に対しては、投票しない運動を展開しようではないかというような動きすらあるのであります。私はこれらの問題を考え合せまして、どうかこのような世界の民主的な世論に反するような、または國民の生活を危機に陷れるような法案は、終対に本國会を通過させていただきたくはない、どうかこれを全力をもつて各議員の方々が阻止していただきたいということを、特にお願いしたいと思うものであります。
○赤松委員長代理 次に日本電氣産業労働組合の藤川茂太郎君にお願いします。
○藤川公述人 私、日本電氣産業労働組合の藤川であります。 國家公務員法案が昨年八月の三十日に片山内閣によつて國会に提出され、十月の十五日に残念ながら共産党及び第一議員倶樂部の堀江氏を除きまして、各位の賛成のままに修正可決され、そしてその後になりまして、すでに今年の二月当時から、この國家公務員法改惡の問題がうわさに上つていたのであります。それでこの問題につきまして、先ほどから多数の公述人のお方がいろいろの点をあげてこの反対の意見を述べられたと思うのでありますが、憲法上の問題につきましても、たとえば本法案の第九十八條が憲法第二十八條の團結権その他を侵害するものであるというような点、あるいは本法案の第三條、四條並びに人事院規則の第五十五條によつて規定されているところの人事院の権限が、憲法の第六十五條、第七十二條、第七十三條等を侵すものである、あるいは本法案の第三條あるいは第九十二條が、憲法第七十六條、第八十一條において述べられている司法権に対する侵害であるというような点は、一應私が申し述べなくても、この人事院がこういう超憲法的な性格をもつてわれわれに臨まなければならないという点が、特にわが國の現在の情勢に合せて、きわめて重大な点ではないかと思うのであります。先ほど佐藤君が述べられたように、こういう新官僚をつくる基礎というものは、結局われわれとしては、戰時中の軍國主義的なあの軍閥と官僚との結びつきによつて、現在いわれておるところのいわゆるフアシズム的な傾向を、わが國の中にはつきりと出して來る一つの危險があると思わざるを得ないのであります。 〔赤松委員長代理退席、委員長着席〕 それから、この國家公務員法案を見ますと、これは服務規程あるいは職階制、そういうものをいろいろまぜて、その中に労働運動を圧殺しようとする企後がはつきり出ており、官公吏の諸君を一般労働者から区別して、これと対立せしめて、しかもこれを低賃金で縛り、そうして身分制によつて酷使しようとする意図がはつきり出て來ておるわけであります。私の所属しておりますところの日本電氣産業労働組合が、現在行つているところのこの爭議状態の紛糾を見ましても、実にこの全官公労働者諸君の給與そのものと、われわれの給與そのものとがまつたく同じ線において結ばれておるということを身をもつて体驗するものなのであります。大体團結権あるいは罷業権、そういうものがなくなつたところの労働者が、いかにみじめなものであるかということは、罷業権をもつて闘つている労働者すら、今日非常に苦しい目に追い込まれている事実で、よくおわかりと思います。たとえばわれわれの属しています電氣産業労働組合では、この三月以來会社あるいは政府自体が、みずからわれわれと結んだところの協定を破つた。その事実によつて発生しているところの爭議に対して、われわれが行使している罷業権を、あらゆる形においてこれを奪い取ろうとして、現に二百余名の檢束者を出し、三十何名の起訴されているものを出している実情でありますが、その場合においても、実際にわれわれが現在言われているところの賃金というものは、いわゆる全官公労の労働者諸君の賃金、それをわれわれとが同じ形において出される。ここにおいていわゆる職階制的な形でもつてわれわれに臨んで來ているわけであります。從つてこういう状態を見るときには、われわれはこの賃金、あるいはこの國家公務員法というものが、われわれの基本的な権利を奪い去るとともに、われわれを生活のできないような状態に追い込もうという意図がはつきりしていると思うのであります。大体において、この國家公務員法が提出された今日までの状況を見ますと、たとえば昨年すでに貿易が始まろうとした、そのとたんにおいて、これが内閣において國会に提出された。と同時に、外資導入の態勢をつくることを唯一の使命としたところの芦田内閣がこれが改惡を企図し、マ書簡に便乘して、これをポツダム政令の形においてわれわれに押しつけて來た。こういう事情を見ましても、明らかにこれを外國資本導入の手先としてこういう仕事をやつて來たということは、はつきりしていると思うのであります。從つてこういう事態がわれわれ労働者の中にほんとうに入れられて來れば、先ほど他の公述人からも述べられた通りに、実際においてわれわれがほんとうの労働ができ得ないという状態がたくさん出て來ると思うのであります。現に電氣産業におきましても、たとえば群馬縣におけるところの三十万キロの発電所の半分以上が、政府官僚のサボにより、あるいは経営者のサボによつて全部つぶれている。そうしてこの冬の電力危機というものがますますひどくなろうとしておる。こういう事態を実際に復活し、復興して、皆さんのところへ電氣が送れるというためには、われわれ労働者の、働き得る條件が整えられない限りは、絶対だめにだと思うのであります。從つてこの法案が通過し、あるいは実施される場合におきましては、これは決して二百六十万の全官公の労働者諸君のみでなく、あらゆる労働者が、これと同じような條件をいつの日にか押しつけられるということは、火を見るより明らかと思います。先ほどこの部屋の外に聞えましたところのあの歌声は、今日人民廣場に集まりました三万の同志諸君の、この法案に対する反対の叫び声なのであります。そういう意味合いにおきまして、私はあの諸君たちを代表して、この法案が絶対に議会を通過しないように、即日こういうものを皆さんは政府に返上していただきたいと思うのであります。われわれはこういう法案が今日この議会に現われて來るということそれ自体が、すでに日本の民主化が非常に阻害されているということを身をもつて痛感しているものであります。どうか本日われわれがここにおいていろいろ述べましたところの観点、そういうものを十分に考慮されて、ぜひともこの法案に対しまして、絶対に反対の意を表明していただきたいと希望いたしまして、私の公述を終ります。
○角田委員長 次に日本私鉄労働組合総連合会の保科正治君にお願いいたします。
○保科公述人 私は日本私鉄労働組合総連合会の中央執行委員、青年部長をやつております保科であります。私はただいま種々の公述人の方から言われましたことで、完全に盡きておるというふうに考えておりますので、この國家公務員法につきまして、今度の改正と言いますか、それを青年労働者の立場からどう見るかということについて、一言触れてみたいと思います。大体國家公務員法の問題につきまして、一連その適用を受けるのは青年労働者であるというところに問題があると思うのであります。第一に、今回の人事院の問題に関しましても、いろいろ言われております通り、この人事院が出します賃金体系というようなものにつきましては、これがものすごい職階制であるということは、これがどういうふうなりくつをつけて、どういうふうにうまく言いくるめましても、現在金融独占資本を先頭とするその政策に便乘する政府が行うところの、外資を導入して日本を植民地化するというような收策に即つながるのではないか。この職階制という問題が、ただ上に厚く下の薄いというようなことだけで問題になるのではなく、そういつた一貫した流れが、この職階制というような問題に強くひびいて來る。その一番被害をこうむるものは青年労働者であり、われわれがその立場からいろいろな問題について行動を起すという点について、これを縛りつけるというようなことに対しては、絶対反対せざるを得ないのであります。大体私は私鉄に属しておりますが、過日の経営者連の大会におきましても、この國家公務員法の問題が議会を通過した際には、われわれは磐石の基盤の上に立つて安泰であるということを言つて、満場の経営者から拍手を送られた。そういうことがどういうふうなことを意味しておるかと言えば、これは働くもののためにはならない。われわれのためにはならないで、だれか一部の人たちだけの喜ぶ結果になるということに対しましては、われわれとしては絶対に承服できないところであります。それからこれは繰返するようになりますが、これはマ書簡に便乘した非常に惡法である。どういうふうなりくつをつけて、どういうふうにごまかして、これが改正ということを言いましても、これが改惡にならざるを得ない。こういうふうな改惡に対しては、われわれは絶対に反対である。現在の情勢におきましては、すでにアメリカにおいては、タフト・ハートレー法の廃止ということも叫ばれておる折柄、日本がこれをつくることについては、民主主義国家において、われわれはまつたく許すことができない。また絶対に默過することができないのである。これからの日本の再建というものを考えた場合にも、われわれの純眞なる正義感から來る憤りを覚えるものであります。 また憲法の蹂躪ということに関しては、種々言われましたが、われわれが考えても、芦田さんも、この憲法による團結権、罷業権は、法律では侵すことができないのだという解釈をはつきりと言つておりながら、自分が総理大臣になつた場合には、それを侵して、芦田総理はそういうようなわれわれの基本的な西権を剥奪するようなことを平氣でやつておる。そういうものが、われわれの前に今至るところの出されることに対しましては、マ書簡あるいはポツダム宣言を繰返して読んでいただきまして、その上に立つて——これが國民全体の利益というふうな言葉で言われますが、マ書簡あるいはポツダム宣言を繰返して読んでいただけば、その精神が那辺にあるかというふうな観点に立てば、おのずからその結論が出てくるというふうに考えております。なお今回の國家公務員法の改正をする前に、まずわれわれに飯を與えてもらいたい。われわれは低い賃金、あるいは食えない賃金、そういうものをもらつて、それ以上に働きなさい、その上食うために、あるいは生活権を守るために行動することもできないということになれば、ただわれわれはのたれ死にする以外にはないというふうなことになりまして、この法律の審議云々ということをやります前に、まずわれわれの生活をどういうふうにしたら保障できるかということをやつていただきたい。 それから今回の人事委員会、あるいはこの改正の要点をずつて見ましても、これが特権階級の温存と、フアシズム的傾向に走らざるを得ないということはつはきりと、われわれにもわかるわけであります。これは二重政府的な機関にならざるを得ないのでありまして、こういうことが、現在の日本の情勢において許さるべきかどうかということも認識していただきたい、こういうふうに考えております。絶対主義、至上主義の強化以外には何物もないというような精神が、この改正案を見ましても、ずつとわれわれには見られるのであります。そのこまかい点についていろいろ指摘いたしますと、長くなりますからやめます。從つて結論といたしましては、これを改正する必要は毛頭ない。いや改正ではなしに改惡でありますが、それをする前に、まずこれを却下して、われわれに最低生活をどうしたら保障できるかというような法案を出してもらいたい。それを出した上に立つて、この國家公務員法の改惡というような問題はやつてもらいたい。それがなければ、今回の法案はいくら改正と言おうとも、幾ら國民の利益を守るというような甘い言葉でだましても、いろいろ法律上の解釈もありますが、われわれの現実はただ食えないということだけでありまして、それをわれわれが食えるようにしてもらえるならば、絶対にそういうような法律を出さなくともいいような事態が起つてくるのでありますから、そういうふうにぜひやつていただきたい。いくら改正という言葉を使おうとも、これは改惡である。われわれのためにならず、一部の者のためだけである。また昔の軍國主義の精神で彈圧するような法律にしかならないということを、はつきり断言することができるのであります。そういう観点に立ちまして、ポツダム宣言あるいは極東委員会の十六原則、マ書簡を十分読んでいただきますならば、ただ單にここで公務員法の改正を論議するということは非常な行き過ぎではないか。そういうような情勢をわれわれはつくる出した覚えはない、こういうふうに考えます。
○角田委員長 これにて本日出席されました公述人全部の意見の陳述は終りました。引続き公述人の発言に対する質疑に移ります。
○玉井委員 鮎澤公述人にお伺いしたいのでありますが、先ほどきわめて遠慮がちに御発表になつたと思うのであります。この公務員法が、結果においては残念ながら反対、こういうふうなお話であつたわけであります。そこでこの改正の要点その他につきまして、こまかいことは要りませんが、私の方ではやはり反対の御意見であろうかと想像いたしたのでありますが、その点はいかがでございましようか。
○鮎澤公述人 そうなのであります。この法律がこういう形で通過することには反対しなければならない。
○玉井委員 それからもう一点お伺いしなければならないのは、これは中労委の鮎澤さんというお立場ではなく、日本の労働行政全般ににらんでおられる労働委員としてのお立場でお答え願いたいのですが、今度の國家公務員法が通過いたしますと、労働委員会自体がすでに一般職の中に入るような形勢にあるように感ずるのであります。さような形が生れた場合、日本の労働行政に対して、先ほど末弘先生からお話がありましたように、かような点についての疑義を私個人としては持つておるのでありますが、この点に対する御意見を承りたいと思います。
○鮎澤公述人 お言葉の端をとらえるようで失礼にあたりますが、今日申しますことは、すべて私個人の立場から申し上げておるので、中央労働委員会の立場でないということを御了承願いたい。それから第三者として労働委員会というものの運営を見まして、過去二年有半の間、それから今後どういうふうにこれが運用されて行くであろうかということを考えますと、この公務員法が、このままで何らそこに修正が加えられずに労働委員会にも適用されるということになりますと、労働委員会は非常にハンデイキヤツプというか、手足を縛られたようなかつこうになります。労働委員の立場が、從來のようなかつこうに、自由に、最も有能な、経驗のある社会的に信頼の置かれるような人物を得ることが、この法案ができると困難になりますので、その点もよほどゆとりをもつてこれに修正が加えられますか、あるいはこれが法律として通過いたしましたら、さつそくそれに伴つて出るところの政令というものに、労働委員会に関しては特例を設けられるということでありませんと、労働委員会全体の機能を十分に発揮することができなくなる危險を認めております。そういう点からも、これに関しましては私、非常な躊躇を感じております。
○玉井委員 もす状し根本的な問題になると思うのですが、今の日本の労働界の情勢のもとで、この公務員法だけで——官公廳方面の労働運動の方はこれでよろしいのでありますが、全般的に見て、こういうような行き方だけで解決ができる、こういうふうなお考えをお持ちですか。あるいはやはり労働委員会というようなものがなければうまく行かないだろう。從つてこれに対して、公務員法からはこの点に関する制限は除かなければならない。かようなお立場でおられるか。その点もひとつ承りたい。
○鮎澤公述人 お答え申し上げます。それはけさ申し上げたことを多少繰返し、あるいはそれを敷衍することになりますが、このたびの公務員法の改正はまことにやむを得ない事情があつたとは考えます。しかしそうなつたことがいいことであつたかどうかについて一個の見解はもつておりますが、申し上げる場合でないから、申し上げないことにいたしましよう、実はこういう形に現われた立法措置については、その根本思想がそもそも誤つておつたと私は感ずるのです。労働関係ということは、強圧をもつて、罰則をもつて臨んで、それで解決されると考えては相ならぬ。しかし一方には、労働爭議というものはまず起らないのだという前提でありましようが、起らざるを得ない。それをどう処理するかという処理の面は全然沒却してあつて、罰則の面は——およそ爭議関係について私はあまり世界の事情を存じませんが、爭議行為に対して体刑を科すということの例は——不幸にして特にあのフアシヨやナチの法令を調べておらぬものですからよく存じませんが、フアツシヨのコーポレーシヨンのあの法律の中には、これに類似した体刑を科したことがあると思う。それからナチの労働法にもあつたやに存じますが、その他の國々においてはこういう体刑を科するというようなことはまずなかつた。タフト・カートレ法が非常に惡法と一般にいわれております。私が申すのでなくて、そういうふうにいわれておる。これも公務員の罷業を禁じておりますが、罷業を行えば体刑を科するということはあの法律にすらない。そうしてあの法律は全面的に、あるいは少くとも部分的には撤廃され、あるいは改められるだろうというようなことをいわれておるのであつて、日本がこれを通過することになりますと、世界にこういう面においては先例を開くことになるのではないかと考えております。かたがた根本的な考え方が間違つておりはしないか。処罰をもつて臨む前に、もし罰則をぜひとも必要とされるというならば、その処罰に値するだけの犯罪行為が起らないように、あらゆる手段がそのために講ぜられておつて、その手段を盡せば自分らの要求は何とか通るのだ。そういうようなものがここに設けられておらなければならない。それが設けられておらないで、完全なこういう形で通れば、これは惡法といわれることはどうも避けがたいと思う。そういうものが通ることでは、そもそも日本の國会がどういう意図をもつて、どういう立法精神からこれをやつたかということについて、日本の残念ながら完全なる認識を持つていないと、極東委員会あたりからやつかいなことが起るのではないかと考えております。
○相馬委員 鮎澤さんのただいまの補足を聞いて、御反対であるということがよく了解できました。しかしその大修正を加えれば、これは通すべきであるという立場も一つであろうと思いますし、その場合には、御承知のように今度の改正は改惡と私は言いたいのですが、皆さんは改正と言つておりますから改正でもいいのですけれども、この改暗名は團体交渉権を禁止するということが一つ、人事院を強化するということが一つ、この二つが大きな問題であろうと思います。これは徹底的にこのことについては拒否するようなふうにまで大修正をすれば、本案が通ることも賛成であるというのであるか。もう一つお尋ねいたしたいことは、マ書簡が出たときの情勢と現在の情勢とでは、私がるる御説明申し上げるまでもなく、いろいろな條件がかわつておると思います。むしろ日本の現実からは、このような法案は通さない方が不難なのだ、この程度にお考えであるかお聞きしたいと思います。
○鮎澤公述人 第一にこういう法律であればどうか通していただきたくない。そうして自然の情勢の発達を見て、日本國民の良識にまつて善処することを待ちたいと思います。大修正といいますとほとんど根本的な修正になります。それにはまず調停制度を十分に考えていただきたい。そうして爭議が起らないようにしていただきたい。どこかで昔読んだことで、引用を間違つて笑われるかもしれませんが、孔子樣がどこかに行つて、こんな爭いが起つたら、孔子樣、あなたは偉い先生ですが、どういうふうに処分なさいますかと聞いたところが、訴えを聞くことわれなお人のことし、必ずや訴えなからしめんかと言つた。爭議が起つてしまつてからどう取扱うかをここで今考えるよりは、爭議が起らないようにしたい。それにはいろいろな段階を設けておきたい。そうしてそういう機関をつくるのが、まず國会のこういう大きな問題に対処する方法ではなかろうか。それをそうでなくして、まず大きな刀をはつさげて見せて、三箇年の体刑である、十万円の罰金であるというようなことをもつて臨むというのは、ほんとうの根本政策において、あるいはものの考え方において、大きな錯誤があるのではなかろうか。その点非常に遺憾に思いますから、根本的にこれが改まらなければこの法律を通しては相ならぬ。日本國民の名誉のために、列國から看視されておるわれわれとしては、こういう法律を通してはならないと思います。
○徳田委員 ちよつとお尋ね申し上げますが、この法律は一体労働組合法規に関係する、いわゆる労働者に対する法規だとあなたはお考えになりますか、どうですか。今私がこれを聞きますのは、皆さんの御公述がすべて労働組合法規の一つの変形だ、労働者の行動を制限するところの一つの法規だ。これは労働組合法の一つの範疇にある最も最惡のものだというふうに考えられておりますが、はたしてそうですかと言うのです。
○鮎澤公述人 労働組合法がもとなのでありますから、それは不備の点が多かつた。だからその不備を補うということは、いつかはなされなければならなかつたであろうとけさ私は申しました。そういう趣旨からそういう試みでなされること自体に反対するものではないが、確かに公務員はやはり労働者である。政府が支配者であると同時に使用者であり、公務員はやはり司法権、行政権その他を行使する衝に当つておるパブリツク・サーヴアントであると同時に労働者であるということから、労働者としての労働立法の一部でなければならない。そういう意味で労働法の上に大きな改正が加えられていいはずなのである。しかるに労働法から離して、労働法のもとに與えられたいろいろな——あるいは労調法も合せてでありますが、権利の保障や保護というものが奪われたなりで、そうして他に今まで見られなかつた、他の國においても類例のなかつた罷則をもつて臨むという点が大きな間違いではないか、大胆なことを申しますが、その点をおそれますから、もしこれが労働法と言われれば言わざるを得ないだろうと思います。
○徳田委員 私はこれは労働法ではない。これは一体服務紀律ではないか。身分法ではないか。むしろ公務員の服務並びにこの身分に関する法律である。すなわち公務員の試驗のこともはいつておる。公務員の身分のさしつかえもはいつておる。公務員をどこにやるかどうかということもはいつておる。試驗をしてどうするということもはいつておる。むしろこの方が基本である。すなわち労働者としての憲法二十八條による権利、これをすべてこの服務紀律の方に吸收して、これを全部抹殺している法律ではないか。私の考えるのは、この二つは両立すべきものである。どこの官公廳でも業務規律というものがないはずはない。行政官である以上、行政官の紀律がある。同じように、公共事業なら公共事業で、これは行政官ではありませんから、やはり公共事業の紀律がある。おのおのその業態に從つて紀律はあるべきである。その紀律をこれは相対的に規定しております。そうして一方、憲法二十八條にある労働者の権利とは、これは別個のものである。この身分法及び行政法——これは人権を犯さないように、人権を蹂躪しないように、一定の服務行動のもとに制限されてやられる。片方はまたこれがあるから、労働者の権利というものもやはり制限せられる。これはやはり均衡を保たなければ、社会制度全体において一定の正当な妥当性を與えることができないと私は思います。從つてこの法律というものを労働法規と見るか、これを服務紀律、公務員の身分法と見るかということにおいて、私は重大なる差があると考える。從つてこれを身分法と見れば、これが通つても、この労働三法というものをここに適用してはいかぬというのは憲法違反である。これは全部削つてもよいという理屈になると思いますが、どうですか。私はこれが通ることについては絶対に反対する。もし通つたとしても、これはこちらの方に関係すべからざるものである。憲法上そうである。だから、いくらがんばつても憲法に違反しているのだから、この問題は当然全部削るべきであると思いますが、どうですか。中央労働委員会事務総長としてどうお考えになりますか。
○鮎澤公述人 これは法学者であり弁護士であられた徳田さんの御意見を愼んで拜聽させていただいて、いろいろ学問させていただいて、ありがとうございました。この法律が身分法であるか、あるいは現実の面における労働法であるかというような、アカデミツクな問題については私はあまり関心をもつていない。労働法であるならば労働法らしく、労働者の権利を十分に保障してやる。労働組合法についてはいろいろ非難もございましよう。労調法については全面的な反対のあることは認めますが、ともかく日本民主化の上には、何らか役立つているのじやないか。今度はこれに関連してできていると思うこの公務員法が、しかも二百六十万の労働者としての公務員にこれが適用されるとき、世界のどこにもなかつたような、きびしい刑罰を加えるというようなことでなく、やはり何らか日本の民主化に役立つであろうところの立法をしていただきたい。私は今朝発言します前に、イエスかノーか最後にはつきり言つてもらいたい。しかし公述したあとで、こちらはイエス、こちらはノーとわけられることは私としては実につらい、不親切であるという言葉を使つた。というのは、そういうふうに簡單に片づけられるものではなくて、これがこういう段階に達する前に、私御相談を受けるなら受けさせていただきたかつたので、こういう段階においてこういう形で受けましたら残念ながら私が申し上げますように反対せざるを得ない。そうして皆さんに向つても、これはどうか通してくださなると申し上げざるを得ない。ただ反対するのじやない。これに大きな、根本的な改正を加えてやられるのだつたら、私は賛成します。これは時間がかかりますから、どういう点というようなことは申し上げませんが、重大な問題でありますから、それはやはりこのついでに考えていただいていいのじやないかと思います。
○徳田委員 一体労働組合法というものは、大臣だとか、何だとかいうものを特別職にしておきますが、これは労働組合法などに書くべき性質のものではないじやないですか。
○鮎澤公述人 もし身分法であるならば、同時にこれと並立的につくるか、あるいはこの中にかなり大きな章を設けて、身分関係なんかと同時に、労務関係を規定したものを設けられることが必要であり、なお現在あるものの中には、いろいろ削除さるべきものがあると思います。
○徳田委員 私が言うのは、これは身分法規なら憲法上理解されるか、労働法規ならば憲法上理解し得べからざるものである。すなわち二つあるべき性質のものを——二つあつて二つで牽制し得べき性質のものを、一つの身分法だけに限つているために、これは奴隸法になつている。これは奴隸を強制する法律、奴隸を使う法律、権利は全部抹殺しているというところに根本的な問題を含んでおるので、その点を中央労働委員会としては、もしこれができても否定して、一般労働組合法規で扱うべきではないか。私は政令ができましたときに、中央労働委員会がむしろあの政令に対して非常に消極的に認めて、そうして諸君の職務を中断したことに対して、非常に遺憾であると思う。私はかつての中央労働委員としてもこういう態度をとるべきではないと思う。すなわちこの政令は労働法規を明らかに蹂躪しているのであります。これはまつたくの身分法たるべきものを規定しておる。労働組合法規を取扱つておる中央労働委員といたしましては、これに対してはまつこうから反対して、この労働法規に対する正しい職務の執行の方法をどうしても守らなければいかぬのじやないかと思います。それは過去のことですが、これは労働組合法規というものを誤つてしかもこれを身分法に吸收して、すべて権利を抹殺したというところにあるのじやないかと思うのですが、これに対する御見解をもう一ぺんひとつごめんどうながら、あなた方の御発言は非常に権威のあるもので、全体に対して大きな響きを持ちますから、どうかそのことを御答弁願いたいと思います。
○鮎澤公述人 御同感です。
○徳田委員 もう一つここにこういう問題があるのです。この法規ができますと、相当に労働委員会の法規も改正されまして、中央労働委員会に強制的に集中されて、地方労働委員会を中央労働委員会の下部組織にするという傾向になる。これが通れば当然そういう方向に向うと思います。そうするとこの労働委員会というものは、從來の性格をすつかり改めまして、一つの官廳になる。今でも労働省の外局とか、何とか言いますけれども——実際上は外局にはなつていないけれどもそう言うておりますが、あれは完全に中央労働委員会を冐涜しておるものであります。ああいうやり方はいかぬと思います。しかしこの法律ができればいよいよそうなる。そうすると中央労働委員会、地方労働委員会というものは一つの官廳になる。そうなるとこれは非常に一大事でありまして、労働組合運動の全面的な一つの大きな轉機を画する。すなわちこういう場合になりますと、中央労働委員会というものはあつても、地方労働委員会というものはあつても、労働者にこれに対して絶対ボイコツトせざるを得ないことになつて來る。なぜならばこれは一つの官廳なんですから、これが仲裁機関あるいはこれが両方の行動に対して批判をする機関ということになりは得ない。そういうふうになりますと、非常に不幸だと思う。そういうふうになるから決定的にわかれて、ボイコツトして自分の力を両方とも行使することになる。これでは大大的な衝突が起らざるを得ない。これではいかなる状態が起ろうとしようがない。この法は、この意味におきましてフアシズムへの進行であり、労働者階級が決然として身を挺してでなければ、自分自身の利益を守ることができないというところに、どんどん押しやつて行く最も惡いトラクターみたいなものだと思います。その点について、中央労働委員としても、あなたは大きな関心を持たれると思うのですが、どうでしようか。
○鮎澤公述人 徳田さんが労働委員会制度のために大いに弁じてくださることを感謝いたします。これは運営の仕方によつてはずいぶんまずいことになりますから、十分に皆さんに監視していただいて、そういうことにならないように御協力を願いたいと思います。
○徳田委員 そういうふうになるのじやないですか。運用としては、いわゆる官廳として上からひつぱたかれて、お前いかぬじやないか、それをやれ。お前やらなければ罷免だ。これをやらなければお前はあすから出て來るに及ばぬということになれば、これは何もできない。いかなる運用でも、運用の妙はやり上です。これが保障せられることにならない限り、労働組合運動全体を破壞しまして、非常に大きな轉機を画するということになりますから、そういう点について、ひとつはつきりしていただきたい。これは日本の社会に非常に大きな轉機を來す。これはただじや済みません。こういう重大な問題であるということに対して、あなた方の立場から警告を発していただきたいというのが、私の質問の要旨であります。
○鮎澤公述人 これがただちにそういうことが結果するということはあり得ないと思います。大体労働委員会は好むと好まざるとにかかわらず、最初から官廳の機構なのです。それがたとえば外局という名前がついたことについては、使い方によつて、あるいはその人によつて意味が違うかもしれませんが、外局になつたことによつて、從來よりはもつと自由に動けるような形になつて、もつと権威を増すようになつた。そういうことに了解して、そういうふうな形に持つて行きたいと私は考えております。
○徳田委員 これはまあそうですけれども、私たちが中央労働委員であつた時代——これは初期でありますが、これは官廳ではありませんでした。あなた方も官廳でないと言われた。これは官吏と國の行政機関やその他の権力には独立しているものであつて、これから一つの籍をわけるということに対しては、中央労働委員会は常に反対していたじやありませんか。
○鮎澤公述人 非常な独自性といつたようなものを持つて、自由に官廳に対して批判したり、抗議したりしておりましたけれども、それは技術的には残念ながらと言いましようか、やはり官廳であつたし、現在も官廳である。それはしようがない。あなたは法律家だから、私から申し上げるのは逆になりますが……。
○徳田委員 そういう見解ならば、これは運用じやなくなります。
○鮎澤公述人 私はよい、惡いを言つておるのじやないですよ。
○徳田委員 とにかくそれは見解の相違でしよう。
○鮎澤公述人 お氣の毒ですが、その点は法律的に間違つております。官廳の一機関です。
○徳田委員 その点、官廳という意義に対して、あなたと見解が相違するかもしれない。だからそれは別にしましよう。しかしこれができれば別のものであります。これができればたいへんになります。職権委託ということになれば、これは代表でもなんでもありませんからね。そういうことになりますれば、だれだつて労働委員会の権威なんて認めない。労働者はこれを認めなくなる。だからこの問題は労働組合運動に対して、日本の社会全体の動きに対して、非常に重大な轉機になるという、その点をどう考えますか、ということを聞いているわけです。見解の相違ではしかたがありません。
○鮎澤公述人 先刻申し上げましたように、徳田さんがこの点について御懸念を抱いてくださることを感謝いたしますが、この法律から必ずそういうことが結果するとは考えません。しかしこの法律につきましては、これが通過することは非常に不幸だろうと考えておりますので、私は反対いたしますし、皆さんにもそういう観点からひとつ反対していただきたいと申し上げたのであります。
○前田(種)委員 私は一点だけお伺いしたい。というのは鮎澤さんは全面的に改正案に対しては反対だという意思表示はよくわかりますが、そのうちの大事な問題の一つでございますところの、人事院の権限の問題です。この問題はフーバー氏も日本の政党政治のもとに制約されるようなことでは、公平な人事行政ができないから、独立させなければならぬという意思表示をしておられます。これはよくわかります。それで特に鮎澤さんにお聞きしたい点は、鮎澤さんは世界の情勢もよく知つておられますし、非常な博識でございますので、この点に対する鮎澤さんのはつきりした御返事が得られますならば、この問題の修正その他の問題の審議の上に非常に参考になると思います。それは今の日本の現状、官僚の教育程度、官僚制度の現状、ここ四、五年將來を考えてみたところの日本の現実の姿から見て、この改正案のような、人事院の権限を非常に拡充してやつて行きますことは、第二の政府ができるような感がしますし、あるいは第四官僚が跋扈するという危險もあります。結論から申しますならば、プラスになる面よりも、マイナスになる面が非常に大きく杞憂されるということを私はしみじみ考えておる。その意味において、ある程度の制限を、人事院の権限、構成その他の面について十分に考慮しなければならぬと考えますが、先ほど申し上げましたところのフーバー氏のものの考え方、要するに政党政治から制約されないところの、独立した神樣のような氣持で人事院を構成してやつて行かなければならないというこの理想的な氣持と、日本の現実、それは現にここで審議しておりますところの人事院の権限の内容等について、どうあるべきかという点について、鮎澤さんの御見解をお聞きすることができれば、非常に参考になると思いますので、ぜひお伺いしたいと思います。
○鮎澤公述人 私は言葉じりで失礼ですが、全面的に反対すると申し上げたのではなかつたので、この中にはいろいろやはり法律の形として、必要なこともあるのじやないかと思います。私が反対をいたしました主要な根拠は、調停等の制度をほとんど何ら考慮せずに、ただ処罰をもつて臨むという、その点が非常な欠陷であるということを述べたのであります。この人事院の権限その他に関しましては、これは実は労働委員会の関係としましては、少し関係——無関係とは申しませんけれども、関係が薄いものですから、十分に研究しておりません。でありますから、その点から別に賛成するとか、反対するとかいうことを申し上げない方がよろしいと思います。
○前田(種)委員 鮎澤さんの今日の立場はよくわかりますが、しかし労働委員会の責任者というよりも、鮎澤さん個人としてでも結構でありますが、もし改正案のような権限を持つた人事委員会ができるということになつた場合の、実際の官廳機構あるいは人事委員会の権限等から考えてみまして、われわれが心配するように、プラスになる面よりも、マイナスになる面の弊害が多い。だから人事院の権限については、大幅に考慮しなければならぬということをわれわれは考えている、しかし先ほど申しましたように、フーバー氏の高い理想もわかるのです。そういう点等もいろいろ勘案いたしまして、世界各國のいろいろな情勢から判断して、日本の官僚の民主化の段階におけるところの今日、こういうような権限を持つ人事委員会の法規が通過するということになつた結果が、一体どうなるかということについて、個人のお考えでも結構ですが、あなたの見通し、見解等があれば言つていただきたい。
○鮎澤公述人 全然最初からそうなんでございますが、個人的に感じておりますことを申し上げますと、これだけ大きな権限を持つて、普通の人の生殺與奪の権限を持つくらいに考えられるところのものが、割合にむぞうさに任命される。そうしてその権限の行使についてこれだけの大きな権限を行使するのであれば、いろいろな立法的な用意があつて、それが民主的に行われ、万人が納得する形において、その事務を行つて行くというような措置が講ぜられておつていいのではないか、機構的に見て、非常に大きな権限を持つている人が、むぞうさに任命されておつて、そうして割分にその権限に対して責任が事実あまりむぞうさに行使されるということは、何か危險であるという感じがいたします。その程度で……。
○菊川委員 私二、三お伺いしたいと思います。 一つは午前中にお述べになつたことで、公務員の團体交渉権その他の團体行動に対する制限について、政府はロツク・アウトを行うことができないのだから、從つて公務員においても、爭議権の制限はやむを得ない。これが公正の原理から得られる結論である。こういうお話を伺つた。そこで私考えますのは、政府がロツク・アウトを行えないということは、これは政府自身がこういう企業をあずかり、あるいはまた全体のサービスの仕事をやつておるという見地から、当然自制的に行えない。決してこれは法律をもつて禁止しておる事項ではないと考える。從つてこれに対しやする公務員もまた当然爭議権の制限を受けるということは、公務員自身の自覚と訓練によつてしかるのであつて、法律的にこれを禁止するということであれば、これは公正の原理に反するということになるのではないかと思います。その点において鮎澤さんは、やはり、公務員の場合においても、公正の原理から法的に公務員の爭議権を禁止する必要があるとお認めになるのか、それともこれは自制的にしかるべきである。原則として公務員といえども團結権、團体交渉権並びにこれに伴う爭議権の権利は持つべきである。こういうようにお考えになるのか。
○鮎澤公述人 けさその点はかなりはつきり申し上げたつもりでありましたが、御質問をいただきましたので、私は喜んでお答えいたします。御質問を感謝いたします。 私の主張します要点は、労働関係においては、強圧をもつて臨んではならない。両当事者の納得、そうして第三者の納得ということが最終的なものである。それで公務員の側において、向うはロツク・アウトができないから——できる部面もあるのですが、大体においてしてはならない。またいましませんので、こちらも罷業をやらないということについては、それは法律をもつて、罰則をもつて臨むという形でなくて、みずから制するという形においてやるところに権威を増し、國民の信頼も増して行く。過去における諸外國の、そして各時代を通じての経驗から見ても、そういうことでありますし、それを自制する形において諸外國でやつておつて、りつぱな成績をあげているというようなこともありますので、そういうふうな事態に立つて、そして自制するときには、その自制に報いるだけの組織ができているわけであります。それをこまかく申し上げるときでもございませんから申し上げませんが、いろいろな措置がここで考えられる。そういうようなことをこの際はどうか講じていただきたい。この公聽会は、私間違つておればありがたいのですが、もうきまつてしまつたものについてイエスかノーかを言わせられておるのであつて、こうあらしめたいからといつて、それに関する修正案のようなものを申し上げる段階でないように承知しているものですから(「そうではありません、どういうふうに修正しようがわれわれの自由だ。」「否決してもいいし、修正はどういうふうにするかこれからです」と呼ぶ者あり)それでしたらその中に少くとも一連のワン・チヤツプターを置いていただいと、そうして調停と仲裁の制度をこしらえていただいて、それに関してはけさほどちよつと申し、それから末引先生もあとで言われたそうでありますし、平野先生もそれについて触れておられましたが、あるいはアメリカにおけるTVAの労働関係など参考にしてやられるとか、そういうふうなものを勘案して、この際日本としては最も進んだ、他の國のとつてもつて模範とすることのできるようなものをつくつてもらいたいと思います。
○菊川委員 それで午前中お述べになつた中にも、米英のいろいろの例をおあげになつて、米英においては必ずしも公務員なるがゆえに罷業権を法律をもつて禁止はしない、しかもそれによつていい成績を得ているというお話があつたのです。從つて先ほどの公正の原理について、あるいは私聞き漏らしたかもしれませんが、お尋ねしたわけであります。そういうふうな今のお考えは理想としてお述べになつているのであるか、それとも日本の現在の労働組合の発以の段階において、日本の官公廳労働運動の現在のやり方についても、なお当然そういう方法で行くべきであるかというお考えを伺いたい。
○鮎澤公述人 理想でありますが、どうか試みていただきたいと思います。
○菊川委員 それではもう一つお尋ねしたい。しからば今出ているところの改正案では、明瞭に労働三法の適用から公務員を除外しておるわけであります。これについて労働三法から除外をするという項目につきましては、根本的改正ということを先ほど言われましたが、根本的改正の中に入つているかどうか。その点をお尋ねいたします。
○鮎澤公述人 少くとも基準法から取り去つてしまうことに私は非常に危險を感じます。これは日本の政府が、どうか過去の戰前の政府のようなものでないことを希望いたしますけれドも、けさほど申しましたように、政府であるから最も賢明な、そして英語のビネヴオレントということは日本語で何に当りますか、非常に人道的な、仁慈に滿ちた指導者であるというようなことは考えられないので、残念ながら日本の政府でもその点はむしろ今までの経驗から見ると、逆であるというようなことから、あの基準法にあるくらいなことは、あるいはそれ以上の保障がないと、民間企業においては罷業というようなことが行われたりして、使用者側の反省を促すことができるが、公務員においてはそれができないということがありますれば、基準法におけるがごどき保障は、たとえば生活費がどんどんと上つて行くというときに、それだけ生活費が上るごとに公務員はやせ細つて行かなければならぬというようなことでなく、ある程度の生活水準は保つことができるだけの保障をそこに置きたいということから、まず基準法の限度のものは必ず確保するようにいたしたい。それから爭議の界のあつせん、調停、仲裁に関しましても、もし必要がわれば現在から切り離して、しかしそれによりもつとぐあいのよい、円滑に運用さるるような機構が考えられないことはない。そういうふうにひとつ編み込んでいただきたいと思います。 最後に労働組合法でありますが、組合法に保障されましたところの團結権、團体交渉権は、やはり日本國民として、公務員であるが認めて、ただその公務員が爭議を行つて、交通機関が止まつてしまつたり、電氣が消えてしまつたりして、第三者の國民一般に迷惑を及ぼすというようなことはいたさないで、その良識良心に訴えて自制をするであろうことを予期して、しかも必ずそれを期待することができるだけの生活の保障、あるいは爭議にならないで済むような、必ずや訴えなからしめるという形を立法の中に編み込んでいただきたい。それはできなければならないし、またやればやれるだろうと私は確信しております。
○菊川委員 いま一つ、そこで労働三法のことについてですが、國家公務員といえどもやはり——全体に奉仕をするものではありまなけれども、その勤務の関係においては、國民の代表者を雇い主として、それと労労契約を結ぶわけであります。從つてわれわれが労働三法を公務員において考える場合においても、他の民間の産業における從業員と同じように、雇い主と対等の立場において交渉する、こういう原則をもつてわれわれは臨んで行きたいと考えるのでありますが、こういう見解について……。
○鮎澤公述人 ただ政府は使用者としての性格を持つておるということを申し上げましたが、これは國民から委任を受けてやつているのであつて、そして政府が労働組合から強い要求を受けて、その重圧のもとに、あることを承諾してしまつて、実は政府は使用人で雇われている、あるいはマネージヤーである、実際さいふを握つているものは國会であるというようなこともありますから、そこに特殊な関係があるということは今申し上げるまでもない。ですからそういう点を考慮しながら、政府だから國民の上に位するというものではなく、対等の関係で、政府は確かに國民の安寧幸福を増進するというためにつくられたものであつて、それをなし得ない政府は、政府として存在價値がないので引きさがらなければならないということでありますから、どちらが上か下かと言いますと、主権在民の日本におきましては、むしろ國民の方が上で、少くとも対等、この原則は動かないところであると思います。
○菊川委員 もう一つ、百二條に政治行動の制限があります。われわれの了解する範囲におきましては、たとえばかつてのワイマール憲法などを見ましても、公務員については、全体に奉仕するものであつて、一部の奉仕者ではないということを明記しておりますけれども、同時にあらゆる政治的な信條の自由を保障し、その立場から公務員としての行動はしなければならない。こういうことを明記しているだけであつて、政治行動を制限しているという例を私は聞かない。こういう例が他にあるかどうか。それからまた日本のごとく一般勤労者と公務員とがこういつた比率を持つている人々に対してまで、あるいは選挙にあるいは選挙に立つことを制限するとか、あるいは政党の幹部になることを制限するとかいうことが妥当であるかどうか、こういうことについての御見解を伺いたいと思います。
○鮎澤公述人 ここに條文を持つておりませんが、その点については私疑念を持つておるのです。そういう例といたしましては、タフト・ハートレー法の中に労働組合が連邦議会の議員の選挙に関して、組合の費用を使つてはならない。これに関する支出が禁ぜられておるということがあつたり、あるいは有名なる共産党員が幹部におらない。あるいはそれに対する同情者を持つておらない。それから暴力行為あるいは非合法行為等に訴えて、政府をくつがえそうとする。そういう思想を持つておる者が幹部におらないという誓約書を出して、出さないところの組合には團体交渉権を認められない。ああいう制約がある。これはアメリカとして新例であり、それは惡法とされて、それに対する非難ごうごうとして、それを撤廃するための運動がアメリカ全國に起つておるということは御承知の通りであります。それから一九二六年のイギリスのゼネストのあとでできた法律で、これは二年前に撤廃になりましたが、あの中に政治行動に関する制約があります。それらを除いて、私寡聞にして不勉強なものですから、あまり例を知らないのです。これを日本できめることになりますと、やはり日本が世界に先んじて新例を示すことになるのではないかと思います。
○赤松(勇)委員 ちよつとお尋ねしますが、この間実は、この委員会でも出たのですが、総理大臣が二人いる。つまり人事委員会と政府です。予算の編成権は政府が持つている。ところが二重政府のもう一つの方の政府、これは職員の職階、任免あるいは人事行政の総会調整に関する非常に廣汎な軽限を持つておるわけなんです。一方においてこういうような非常に強い権限を持ちながら、実際は賃金ベースに関しましては、ただそれが一つの勧告の意味だけしか持つていない。この間もここでいろいろ質問したのだが、たとえば人事委員会で発表した六千三百七円の新ベース問題について、もし政府がいやだと言つたらどうするか。政府ができない。予算編成の関係上、とうてい財源がないので、これはどきないと言つた場合には、人事委員会の権限はどうなるのかということです。もつと突つ込んで言えば、六千三百円ベースを政府に勧告しながら、淺井さんは、たとえば政府が五千七百円のベースをきめると、その五千七百円のベースを支持しなければならぬという立場に置かれるわけです。こういう矛盾に対する鮎澤さんの御見解を一ぺんお伺いいたしたいと思う。もちろんあなたは全然反対だということはよくわかりますが、こういう点について、あなたの御見解を伺つておきたいと思います。
○鮎澤公述人 私も困ります。よくわかりません。たしかに奇妙な立場になると思います。
○相馬委員 土橋君に伺いたいのですが、君が全面的に反対であるということを、全官公廳の立場から述べられたことは、よく了承しました。その中にパトリツク・シヨール氏との会談のことをちらとおつしやつたのですが、これは今後審議の上に非常に参考になると思うので、時間がないので長々とやられると困るが、適当にひとつわかりやすく、一應説明してください。
○土橋公述人 それでは簡單にパトリツク・シヨー氏とお会いしましたときの、パトリツク・シヨー氏のお話の内容をお話いたします。 ちようど九月の十六日の日に、われわれはパトリツク・シヨー氏にお会いしたのでありまするが、そのときの通訳は、参議院の羽仁五郎先生が担当してくださいました。パトリツク・シヨー氏が言われるのには、まず、わが英連邦においては少くとも働く者の権利を正当に認めておる、從つて働く者の権利を正当に認めておるやいなやということが、その國は民主主義的な國家であるかどうかという基本的なものである、これがまず第一点であります。第二点は、少くとも官公吏諸君が、不平不満がなくして自分の業務に專心し得るような状態になつておることが最も望ましいことである、これが民主的な國家においては必要な條件である、これが第二点であります。第三点といたしましては、少くとも現在われわれが文書をもつて承知しておる範囲においては、人事委員会が、官公吏諸君の苦情、不平不満、さようなものについては、これを調停するような状態にあるやに見ておるが、政府の機関において諸君の不平不満を調停するとか、あるいは裁定するというようなことは、これは一方的な考えであるので、必ずさような紛爭状態に入つた場合には、すみやかに第三者を入れた調停機関によつて、それが適切妥当なる勧告なり、調停案を出されるのが至当である、これがまず第三点であろうと思うのであります。第四点は、シーボルト議長がいろいろ仰せになつた節にも、私はすでに答えておつたが、問題はシーボルト議長のお言葉にもあるように、これは勧告といわんより示唆である、かように仰せになつたことについては、私は英連邦を代表して非常に賛意を表し、將來日本の國会は自主的な立場において、この國家公務員法に関する法案を策定する十分なる余裕を與えられておる、このシーボルト議長の御発言には、心から敬意を表するものであるということを申し上げたことも、またこの席上諸君に申し傳えるものである、こういうような御発言の内容があつたのであります。そこに加えまして、なお自分の國では、少くとも官公吏が紛爭状態にはいつた場合には、官公吏紛爭調停法という法律によつて、第三者を入れたものによつて、これが解決せられるように努力をしておる。 以上申し上げた内容が、大体の概略でありまするが、同時に、少くとも政府が、たとえば白紙委任状による逮捕状をもつて公務員を逮捕するというような態度は、まつたく遺憾千万である、同時に諸君のいろいろな不平不満がある場合には、この代表部の方へ文書をもつて十分にお知らせを願うならば、必ずパトリツク・シヨーの責任において、ワシントンに近いうち開かれると思うが、この極東委員会にも、オーストラリア、ニユージーランド、インドを代表して、諸君と同じように、反動的な、フアシスト的な政治の動向については、鬪う決意をもつておるものである。 以上簡單でありまするが、要約して申し上げると、こういう内容の説明がパトリツク・シヨー氏からあつたのであります。
○相馬委員 ありがとう。
○吉田(安)委員 私は特にあなたに名指しをしておいたのですが、一向発言の機会がないので、ただ一点お尋ねしてみたいと思います。 土橋さんは六回も全逓の委員長をなされ、四十万の全逓の労働者を率いて、労働展開をやつておられます人でありますから、私は最前細大漏らさず、片言隻句といえども聞き落さない氣持で拜聽をいたしたのであります。御主張の点、すべて私よくわかります。ただ一点、本法案を審議いたします建前上、割切れないところがありましたために、さらにお尋ねをしたいと思いますが、土橋さんのお言葉の中に、一般労働者も、公務労働者も、労働者たるには間違いがない、すべてこれは労働者である。そのうち特に公務の労働に從事する者を一般労働者と一律に待遇をするということはどうか、待遇の点で区別の必要が——言葉は違いますが、ありはしないかという意味の御主張があつたのでありますが、これは非常に参考になることでありますが、この点はもう一度御意見を承つておきたいと思うのであります。
○土橋公述人 ただいまの御質問でありますが、これは憲法の七十三條第四号をごらなになれば、憲法の規定では、別に定める法律をもつて官吏に関する事務の掌理をする、かように憲法は規定しておるのであります。官吏に関する事務の掌理をするという條項はどう考えてみても、先ほど徳田委員からお話がありましたように、官吏の職務の内容及び職務執行に関する事項について、國家及び公共團体、さようなものの廣い意味においての事務を担当するのでありまするから、そのものの事務内容についての身分あるいは職務の内容、あるいは職階、こういうような國家公務を担当するという面においては、私は國会等において公務員の職務の担当に関する事項についての法律案、あるいはそういうものを御審議願うのが正しいと思うのであります。しかしながら半面は労働者でありまするから、労働者としての基本的な罷業権、團体交渉権、あるいは組織権なり、あるいは團体協約を通結ぶ権利というようなものは、当然これは保有せられるのが至当である。從つてもし憲法七十三條第四号が憲法第二十八條、あるいは憲法第十一條等の規定に抵触するならば、その際にはこの憲法自身がいま一度解釈を統一するものを持たなければならぬ。かように私は考えておるのであります。でありまするから、基本的にはあくまでもわれわれの権利は尊重せられてしかるべきである、こういう結論であります。
○吉田(安)委員 もう一点お尋ねをいたしたいのですが、ずつと今度の公聽会を聞いておりますと、マ書簡の解釈、この解釈論が非常に論点になつておつて、いろいろ問題があるようでありまするが、一体このマ書簡が七月二十二日に発せられるに至つた理由、動機、こういうことはどういうふうにお考えになつておるのでしようか、なぜこんなものが出たかという点を御研究になつておるでしようか、これをひとつ参考のためにお尋ねしたい。
○土橋公述人 マ書簡が出ました内容については、これは七月の十二日であつたと記憶しておりますが、関係方面におきまして、各代表の方々の非常な御討論の結果、このマ書簡が出るようにお手配になつたということを聞いております。事実のほどはわかりません。しかしながら当時の状況におきましては、われわれ全官公は七月の七日の日に、中央労働委員会へ八日現在手取りにおいて五千二百円、大衆課税は反対である。物價値上げも反対である。最高賃金制の設定も反対である。紛爭処理機関の設定も反対である。同時に首切りを伴う行政整理は反対である。以上の要件を絶対の條件として政府へ要求したのであります。もちろんその前にはいろいろ事情がありまして、芦田総理に対して、私はたしかこの部屋だつたと記憶しておりまするが、六月の十二日の午後二時ごろ氏に要求をいたしましたが、遺憾ながら当時は、ちようど六月の八日の日に大藏大臣があの亡國的な予算を計上いたされまして、これを國会へ報告されて、そうして賃金ベースは三千七百九十一円であるというような御決定をもつて、予算を編成されておつたのであります。そこでわれわれは再三再四交渉いたしました結果、七月の三日の日にこの予算委員会で、あの四千百四十四億の初年度一般会計予算が通過したのであります。そこでわれわれの側から見た場合には、われわれは五千二百円という要求を出して、しかもそれについて政府は対等な立場において、組合の代表と團体交渉をすべき責任を有しながら、片や國会においては一方的に三千七百九十一円ベースなるものをもつて予算の処置をしておる。こういうような非常な芦田内閣の一方的な政策に対しまして、もうわれわれはかんべんならないというので、中央労働委員会へ七月七日に提訴いたしまして、中央労働委員会でもいろいろな御意見があつたのでありまするが、これを無條件で取上げて、政府はこの六條件の内容につきましては、ものによつては三條件について條件付の應訴をするという態度もありましたが、中央労働委員会の二十一名の委員諸君が全部これに当ることによつて、政府がいかような答弁をいたしましても、これは全官公廳と政府との間における考え方の相違であるから、中央労働委員会としては正しくそのものを取上げて、そのまま行くということで第一回の調停委員会が七月十四日、第二回が十六日、そういう状況でありますので、ちようど今申し上げたように、関係方面において十二日にさような討議をせられたということについては、私は意味はわからないのであります。あなたが仰せになつておるように、全官公廳が八月七日には、労調法の規定によりまして罷業権を獲得するのでありますけれども、私があなたに申し上げたい点は、今日まで全官公廳の爭議を行つた場合には、中央労働委員会の調停が出ましても、少くとも二箇月ないし三箇月を経過していなければ、罷業権には訴えていないのであります。ややもすると全官公廳は非常に行き過ぎなことをやつておるという御批評がありまするが、常に、行き過ぎ的な、團体交渉権を制限するような予算を組んだり、あるいは食えない賃金を強行する。たとえば昨年の千八百ベースのあの片山内閣の強行政策、こういうものは常に行き過ぎであつて、われわれの方は常に全官公廳として國民諸君の声を聞き、中央労働委員会の調停を常に聞きながら、セーブしながらわれわれは鬪つておるということをむしろ私どもから申し上げたいと思うのであります。
○吉田(安)委員 そうしますと結論的に言えば、八月攻勢という言葉が全國的に廣がつておつた。これに対しては非常に一般國民は脅威を感じて、どうなるかということを考えておつた。その時に、七月二十二日にマ書簡が出て事なきを得たのである。こういうことで、今のような事情がわかつておる人は別ですが、一般大衆はそういうことまでわからぬ。從つて全官公廳のやり方は行き過ぎだ。行き過ぎであるがためにマ書簡が出たのだ、こういうことを言われておる。労働者諸君にはそのわくにおいて考えられることだから、一向そういうことにお氣づにならぬかもしれないが、わく外の一般大衆はそう見ておる。從つて私はもう一つお尋ねしたいことは、そうすると、そうした今までの労働者諸君の態度は決して行き過ぎじやないのだという御意見で、私よくわかりました。そこで行き過ぎということと、行き過ぎでないということに、結局憲法の十二條の問題やら、あるいは十五條の問題やら、あるいは二十八條の問題やらが起つて來るのであります。しかし違憲論であるとか、あるいは法律論は、別におのおの考えるところがありますから、ただ今おつしやつた行き過ぎでないということを承つておけば、私参考になりますから、これでけつこうです。
○土橋公述人 もう一度あなたの御質問に附言したいと思います。ちようど九月十四日に中國代表部の謝南光という先生にお会いしたことがある。その時にちようど今あなたがお考えになつておりましたように、とかく政府の全官公廳が行き過ぎをするというような宣傳を始終聞かされておるから、土橋君の方ではそういう内容を解明するように努力せられることを要望する。謝南光先生は、とにかく五千二百円の問題はどうなつておるか、あるいはちようどあの日は福田赳夫という大藏省の官吏が、昭和電工の問題か何かで強制收容された日でありますので、特に諸君は摘発闘爭をやりなさい、そういうものを徹底的におやりになることがやはり諸君の御支援を得るゆえんであるというような、非常な御忠言を賜わりまして、ちようど今の方の御質問と同じようなことがあつたということをつけ加えて置きます。
○吉田(安)委員 それでは二十二日の書簡の内容ですが、そうするとどういう意味で出たかということにお考えになつておりますか。
○土橋公述人 私の見るところでは、これは國際的な反動的金融資本と、今日の政権を担当されておりまする政党を支持する基盤的なものとのかみ合せによつて、少くとも外國資本を導入する場合には、その資本の間金、利息を保障する態勢を整えなければならないというような、大きな観点を含んでいるものではなかろうか、かように考えておるものであります。
○吉田(安)委員 結構です。
○生悦住委員 きような非常に御熱心でありましたが、この公述人がこの件について返事をするという人は別としまして、修正意見があれば公述人の修正意見を参考にしたいと思います。それで期日をきめて、委員長の方からこれの提出を求めてもらいたいと思います。
○角田委員長 委員長は了承して善処することにいたします。 ここに公聽会を閉ずるにあたりまして、委員長といたしまして一言ごあいさつを申し上げます。公述人各位におかれましては、御多用中のところ貴重な時間をさいて御出席をいただき、國家公務員法の一部を改正する法律案の利害関係者として、あるいは学識経驗者として、あるいはまた國民一般の立場に立つて、あらゆる角度から活発熱心に御意見を発表していただき、本委員会の本法案審査の上に多大の参考となつたことと信じます。ここに委員長といたしまして、厚くお礼を申し上げます。 それではこれにて國家公務員法の一部を改正する法律案審査のための人事委員会の公聽会を終ります。 明十九日は午前十時より人事委員会、労働委員会連件審査会を開き、本法律案の審査を進めます。本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会