人事委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1948/11/17
会議録
○角田委員長 これより人事委員会公聽会を聞きます。 開会にあたりまして委員長といたしまして、公述人諸君に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 本委員会は國家公務員法の一部を改正する法律案の審査にあたりまして、特に公聽会を開きまして、法律案全般について眞に利害関係を有する者、または学識経驗者等によつて廣く意見を聞くことにいたしましたのは、御承知の通り、本法案は去る七月二十二日付内閣総理大臣あてマツカーサー元帥の書簡に基いて政府において起草し、本國会に提出されたのでありますが、これは一般的関心及び目的を有する重要な法律案でありますと同時に、公務員にとりましては深い利害関係を有しておりますので、院の内外、國民の各層におきましては、これに重大なる関心を寄せられており、また賛否の意見が活発に行われておるのであります。本委員会といたしましては、この重要な法律案の審査にあたりまして、廣く國民の輿論を反映せしめると同時に、多年の御経驗と御研究に基く豊富かつ貴重なる各位の御意見を聞くことによつて、本委員会の法律審査を遺憾なからしめんと念願しておる次第であります。公述人諸君におかれましては、御多忙のところ、貴重な時間を割いて御出席くださいましたことをここに厚く御礼を申し上げます。と同時に、本法案につきまして、あらゆる角度から忌憚のない御意見を御開陳願いたいと存ずるのであります。 なお公聽会の議事運営につきましては、あらかじめ御承知願つておきたいと思うのでありますが、公述人の発言時間はおおむね一人当り十分以内でありますから、それぞれ重複を避けて、重点的に御意見の核心をお述べ願いたいと思います。なお発言は発言台でお願いいたします。発言にお立ちの際は最初にお名前と職業をお述べ願います。公述人の発言の順序は、原則として公述人名簿の通り進めて参りますが、特に必要ある場合には、委員長において適宜順序の変更をすることがありますから、あらかじめお含み願つておきます。なお委員の公述人の発言に対する質疑は、公述人全部の発言が終つたあとで、きよう午後にお願いいたします。なお労働委員の方々の委員外発言は委員長において適宜お許しいたしたいと存じますが、御了承を願つておきます。 それではこれより労働組合関係より始めます。ます最初に炭鉱労働組合連合会の猪狩正男君により御発言を願います。
○猪狩公述人 日本炭鉱労働組合連合会渉外部長猪狩正男であります。 最初に基本方針を申し上げます。われわれの考えておるいわゆる國家公務員法改正に対するわれわれの基本方針であります。 一、労働者としての基本的権利はあくまで認めらるべきである。 二、既得権は全面的に確保されねばならない。 三、公共企業体の意向を考慮して、法実施と同時に当該企業を國家公務員法の適用より除外する特別措置をとらるべきである。 四、政府は公務員の生活保障、体面と権威の保持について、保護責任を負うことを明示せらるべきである。 具体的な方針といたしましては、 一、政府職員の組織。労働法上の組織とし、その組織は組合の自主性にゆだねること、一般職及び特別職の範囲、現業関係、労調法上における單純労働從事者は國家公務員法における一般職から除外すること、実績主義に基く登用制度を早急に実施すること。團体交渉の件については法律の範囲内で團体交渉を行い得ること。 二、組織。非現業職員の組合においても團体協約を締結し得ること。 三、業務。協議会を存置すること。 四、職員に対する新たなる法案を國会に提出し、その議決を必要とする事項については、組合側との了解事項の栄現に努力する責任を政府並びに当局は負うこと。 五、人事委員会について。人事委員会の構成を民主的にするとともに複数責任制をとること、人事委員会の民主的運営をはかるため、諮問機関として人事委員会、人事監理委員会(仮称)を設けること。人事委員会は法制上内閣の所管下に置かれるも、國会に基礎を置くこと。從つて人事委員会において單独に廣汎な人事委員会規則、または指令を制定あるいは改廃し得る独立権限を認めないこと。並びに司法権限に優位するごとき一切の権限を有しないこと。 六、給與基準。給與基本基準は職場を遂行するに足る生活の保障が規定されなくてはならない。 七、組合活動及び政治活動の自由。職員の組合活動及び政治活動の自由は從來以上に制限しないこと。 八、適用範囲。地方公務員、教育公務員、裁判所職員等については、國家公務員法を適用しないこと。 わが日本炭鉱労働組合連合会といたしましては、公務員法対策委員会なるものを設置いたしておりまして、その線よりの発言でありますので、この点につきましては、われわれと同じ見解の発言がこの後に行われまするので、以下國家公務員法修正案につきましては、抜萃をいたしまして意見を申し上げます。 生活保障の原則。いわゆる第二十八條。公務員は公務員としての権威と品位を保ち得る生活の保障と労働條件の確保がなされねばならない。賃金は料学的調査資料に基いた國民的生活水準を下つてはならない。 第二十八條の政府案を次のごとく修正。この法律に基いて定めらるべき給與、勤務時間その他労働條件に関する基礎事項は、國会により社会一般の情勢の変化に適應するよう随時これを変更しなければならない。その変更に関しては、人事院において勧告することを怠つてはならない。 第三十八條 第五項を削除。 第七十三條の前文を次のごとく修正。人事院及び関係廳の長は職員の勤務能率の発揮及び増進のために左の事項について計画を樹立し、これを実行しなければならない。 第七十八條の第一項を削除。 第九十五條を次のごとく修正。人事院はすみやかに補償制度の研究を行い、その成果を内閣に提出するとともに、その計画を実施しなければならない。 第九十六條を削除。 第九十八條を次のごとく修正。前文は政府案。職員は組合を組織し、その代表者を通じて労働條件その他社会的、厚生的活動等に関し、團体交渉を行い、また必要なる團体契約を結ぶことができる。 第九十八條の次に、次の條文を挿入。第九十九條として、職員は一定数を限り組合專從者として組合事務に專從することができる。 第百一條を次のごとく修正。職員は特別の事情により所轄廳の長の承任を得た場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のため用いなければならない。以下を削除。 第百二條を次のごとく修正。職員は公務員たるの地位を利用して政党または政治的目的のために寄附金その他の利益を求め、もしくは受領し、または何らかの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関與してはならない。職員が公選による地方公務員につくことについては、職務に重大なる支障のない限りそれを妨げるものではない。 附則、第十七條を削除。 附則(二)を削除して、次の條文を挿入。從來國家公務員法で規定する職員で、鉄道、塩、樟脳、タバコの現業に從事する職員は、この法律施行とともに國家公務員の取扱いを受けない。前項の規定に関する職員については現行労働関係法を適用するものとする。 以上であります。
○赤松(勇)委員 議事進行について……。本日の公聽会の公述はきわめて重大なものでありますので、委員長におかれましては、委員会の全体の総意として、ただいまの公述人の公述を速記からすぐ印刷いたしまして、各委員に配付するよう要求せられんことを希望いたします。
○松澤(兼)委員 関連いたしまして、公述人におかれまして、もし参考資料をお持ちの場合は、委員長を通じて配付していただきたいと思います。
○角田委員長 赤松君、松澤君の御発言、了承いたして善処いたします。 次に全國進駐軍要員労働組合の市川誠君にお願いいたします。
○市川公述人 私は総同盟傘下の全國進駐軍労働組合同盟の主事の市川であります。私は全國二十四万の進駐軍の労働者を代表いたしまして、今次の國会に提出されましたところの國家公務員法中一部を改正する法律案に対しまして、その第二條のうちに、連合軍の要求によつて、連合軍の労務に從事するところの者を、特別職に入れろという主張をするものであります。以下われわれが、何がゆえにこの改正法律案に対しまして、修正の意見を持つているかという理由を申し述べまして、御参考に供したいと思います。 進駐軍の労働者は、御承知のように連合軍が進駐直後、その需要によりまして、当時日雇いの制度下に、その労務に從事せしめられたのであります。終戰後の混乱期にありまして、連合軍が要求する労務者を提出することは非常に困難でありました。その間にありまして、われわれの同志は、非常な言語、風俗あるいは習慣を異にするところの連合軍のもとに、労役に服しておりました。しこうして当時日雇い制度であり、また日給制でありましたが、駐屯の長期化に伴いまして、われわれはやはり労働組合を組織いたしまして、その待遇の改善等を要求いたしました結果、逐次この日雇いの制度は常用制に切りかえられ、また給與の制度も日給制から月給制にかわつたのであります。しかしながらこれらの施策の変化と言いましても、われわれの仕事を直接主管しておりますところの当時の終戰連絡中央事務局、現在の特別調達廳等におきましては、その官吏機構におけるところの能力の不備から、積極的なる施策の改善は何ら行われなかつたのであります。今に至つてわれわれが受けているところの待遇は、すべて労働組合の発意によつて、要求によつて初めて実現せられたものであります。そういうような状況下に置かれましたわれわれは、本年七月二十二日のマツカーサー元帥の書簡によりまして、政府が二〇一号の政令を出しましたときに、進駐軍の労働者も政府直営の者は公務員であるというようなきわめて大ざつぱな決定のもとに、この政令適用のわくをはめられたのであります。われわれの労働運動の限界点といたしましては、すでに私たちに対しまして昭和二十一年三月六日にその筋からの指示によりまして、ときの終戰連絡中央事務局から連合軍常用使用人の組合運動に関する件というものが出されておりまして、そのわくがきめられておつたのであります。その中には次のようにきめられているわけです。 一、聯合軍使用人ノ管理ハ日本政府機関ニ於テ実施スベキ問題ニシテ聯合軍ハ之ヲ直接使用シ其ノ用役(サービス)ノ提供ヲ受ケルモノナリ 二、聯合軍使用人ハ一般ノ勤労者ト同樣組合ヲ結成シ之ニ加入シ賃銀手当雇用條件等ニ関シ團体交渉ヲ為スノ権限ヲ有ス、カカル権利ヲ制限シ或ハ軍國主義的影響ヲ及ボスが如キ管理ハ之ヲ避クルヲ要シカカル行為アル者ハ排除スベキモノトスル 三、労働組合結成及運動等ノ為勤務時間中ニ職務ヲ離レ若ハ所定ノ勤労ニ支障ヲ來シ或ハ労働爭議ニ依リ聯合軍ノ為ニスル公務ノ進捗ヲ停頓セシメ若クハ妨害スルコト(禁セラル)カカル事故ニ対スル責任者ハ之ヲ解雇スルヲ要ス 四、組合運動等ニ基ク交渉相手ハ雇用主タル日本政府機関ニシテ賃金値上、待遇改善等管理ニ関スル諸要求ハ総テ日本政府機関ニ提出セラレ其ノ適当ナル施設ニ依リ処理セラルベク必要ナル場合ニハ右ノ日本政府機関ニ於テ聯合軍ト折衝シ之ヲ解決スルモノトシ使用人ガ聯合軍ニ直接訴願シ或ハ聯合軍ヲシテ日本政府機関ニ要求セシムルガ如キハ適当ナラズ。 こういうような四項からなるところの組合運動に関するところの制約が與えられておつたのであります。以來われわれはこのわくの中にありまして政府と労働協約を締約し、また協約に基くところの労務協議会を設置いたしまして、いろいろな問題について協議して來たのであります。ところが政令通達以後におきましては、今まで締約しておつたところの協約を破棄し、また労務協議会を消滅さして、いわゆめわれわれの業務を主管しておるところの特別調達廳は、われわれから團体交渉の権限を奪い、一方的な施策を実施せんとしておるのであります。私たちの置かれておるこういうような特別調達廳の一方的な管理によつては、とても身分その他の給與待遇等に対する事項は保障せられるものではないのであります。もともと連合國軍の常用使用人は、日本政府の自発的な意思によるところの雇用ではありません。現在進駐軍労働者の中には、連合軍労務要求書に基いて雇用せられる者、あるいは建物接收指令書等によりまして政府がこれを雇用しております。さらに連合軍の調達要求書に基いて、政府または民間の請負業者が雇用しておるところの労働者がおるのであります。こういうような労働者は、一旦政府または民間の雇用者に雇用せられた後は、いかなる状態に置かれているかと言いますと、直接使用は連合國軍將兵の監督のもとに、占領目的達成のために必要なる日常作業に從事せしめられております。從いまして、われわれ進駐軍労働者の置かれている状況は、いわゆる公共の利益に奉仕するという一般の政府職員とは、明らかに違つた状態に置かれ、またその雇用の形態も單なる政府の意思によるものでないことは明瞭であります。さらに身分の点につきましては過去における政府職員に対するいろいろな法律等において、政府職員の定義を下した際においても、政府は官吏あるいは官吏の待遇を受ける者、嘱託雇用員等をもつて政府職員と定義し、連合軍常用使用人はこれらから除いておつたのであります。しかして給與等待遇の面においては、われわれ進駐軍労働者を除外しておきながら、たまたまマツカーサー元帥の書簡に基く政令適用におきまして、労働運動の制約の面においては、いわゆる公務員であるといつて、われわれ進駐軍労働者に対して大きな制約の網をかぶせておるのであります。私たちは政令適用以來、政合適用を除外し、また公務員法の改正にあたつても、進駐軍労働者は公務員法の適用を除外せらるべきであるという意見を持つておるのであります。今度の改正法律案におきましても、公務員法の目的といたしましては、國民に対し公務の民主的かつ能率的の運営を保障する、これが目的として掲げられております。なおさらに憲法七十三條第四号の官吏に関する事務を掌理する基準を定めるということも、うたわれております。從つて公務員法改正法律案が目的としておるところの、今申し上げましたような点から行きますれば、おおよそこの公務員の範疇に進駐軍の労働者を包含するということは、やや目標をはずれたものではないかと思われるのであります。またかりに公務員法を適用すると仮定いたしました際に、この中に盛られておりますところの諸事項、たとえば採用に対するところの試驗による任免、あるいは保障事項、つまり不利益な処分を受けた際におけるところの審査の要求、あるいは公務疾病に対するところの保障ないしは退職恩給等、これらがはたして連合軍の常用使用人に適用することができるかどうか、はなはだ疑問であります。現在私たちが置かれておる状況におきましても、たとえば給與に関する規定も一應あります。退職金の給與に関する規定も一應あります。労働基準法も発令せられております。しかしながら実際の適用にあたりましては現地部隊將校のサインがなければ、これらの國家が保障した事項、ないしは業務主管廳が諸規定をもつて保障した事項の適用も、実施することができないのであります。こういうようなきわめて特殊の状況下におけるところのわれわれ進駐軍の労働者は、公務員法の中にしいて当てはめましても、その後に起つて來るところの問題、この適用が実施せられないということに対する労働者の不満、あるいはそれらのトラブルによつて、毎日々々が送られて行くであろうと思うのであります。私たちといたしましては、現在の特別調達廳の労務管理機構の不備、それからももちろんこの公務員法の全面的の適用がきわめて困難であるということが指摘できます。さらにまたただいま申しましたわれわれに関するところの諸規定の適用ないしは法律の適用というものが、すべて終戰処理費の支出に対するところの連合軍の現地將校のサインがなければ支出できないというような司令部の覚書に基きまして、いろいろ実施の面に困難があるという点を強調いたしたいのであります。現状におきましてすでにそういう状況に置かれており、今度さらにこの公務員法を適用するという場合におきましても、私たちといたしましていわゆる政府が政令適用を公務員に当てはめた場合に、公務員になればその裏づけとしての保障は、政府の責任と義務において実施せられるということをいわれております。しかしながらすでに政令適用の通達を受けた八月三十一日から三箇月を経んとしておりますが、業務主管廳であるところの調達廳においては、何ら積極的の施策等は行われておらないのであります。私たちはあくまでも労働組合員として、組合法に基くところの團結権、あるいは團体交渉権、これを確保いたしまして、そうして進駐軍労働者の利益を守つて行きたいと思うのであります。もちろんこの労働組合法に基くところの権利の行使にあたりましても、冒頭に読み上げましたように、二十一年にその筋からの、この連合軍労務使用人に対するところの組合運動の限界というものが與えられておるのであります。從いましてすでに過去において、そういうような制約のもとにおいて行動して來ましたわれわれといたしまして、ことさらにマツカーサー元帥の書簡が発令せられましても、それをあらためてわれわれに適用する必要はごうもないという点を指摘したいのであります。さらにまたこの政令適用あるいは今次の公務員法の改正の中に、われわれ進駐軍関係の労働者をも一般職に含めるといたしました場合に、後に起つて参りますところの困難なる問題も、今申し上げました通りであります。私たちといたしましてはわれわれが置かれているところの任務、これは連合軍に対するところの労務提供でありまして、きわめて重要なものであります。もちろんこの任務をわれわれが果す限りにおきましては、たとえ労働組合法に保障されたといたしましても、罷業権の行使等は絶対に不可能な状況にあります。しかしながら私たちは、進駐直後から困難な状況下にあつて、なおかつ團結権と團体交渉権をもつてその筋のわくの中において十分な活動をなし來つたのであります。今後におきまして、われわれは今までもつておつたところの既得の権利を剥奪して、そうして何もできないような状況の中に包含してしまうというような公務員の中に入れるということは絶対反対するものであります。私たちは以上の趣旨によりまして今次國会に提出せられたところの國家公務員法の一部を改正する法律案の第二條に対しまして、次のように修正を要望するものであります。第二條中の特別職の項に次の一号を追加する。十三といたしまして「連合國軍の需要に應じ、連合國軍のために労務に服する者。」以上この改正法律案に対しまして修正の上、進駐軍の労働者の今まで実施し來つたところの権利は將來ともに行使できるように希望するものであります。私たちの労働組合といたしましては、國民の代表として連合軍に直接接しているというような立場を十分考慮いたしまして、過去における運動を展開してきたのであります。從いましてわれわれはかつて罷業とか、あるいは爭議等を裏づけとするところの團体交渉は一切行つてきておらないのであります。そういうような点も十分考慮願いまして、特に制約面からのみ進駐軍の労働者を公務員の中に押し込めるというような改正法律案に対して反対をするものでありますが、今申し上げましたように第二條中に十三といたしまして特に修正していただきたいというように考えております。 以上で私は特に進駐軍労働者の利益擁護の立場から、この改正法律案に対する意見を申し述べた次第であります。
○角田委員長 次に日本教員組合の金本東治郎君にお願いいたします。
○金本公述人 教員の立場から今度の國家公務員法に関しまして率直なる意見を申し述べたいと思います。まず私どもは國家公務員法制定の趣旨は、國家公務員をして明朗なる環境において十分な能力を発揮させ、一般國民に対して、公務が民主的にしかも能率的に行われることを保証するものであると考えております。しかるに今度の改正案を読みますと、公務員の身分保障を規定する半面に、公務員の当然もつべき基本的人権を無視し、公務員たるのゆえをもつて、その個人の自由を不当に拘束し、個人の價値を軽視し、道徳的にも公務員の人格を軽視しているように感ぜられるのでありまして、新しい憲法の解釈に対する疑義さえも起さしめるものと考えております。かくてはかえつて國家公務員をして萎靡沈滯させるか、さもなければ卑俗な立身出世主義に追い立てまして、公務員はもちろんのこと、行政の一端を信託している一般國民にとりましても、まことに重大な問題であると考えます。以下具体的に内容を要約して申し上げたいと思います。 まず第一條に長文の追加條項がありまするが、これを読みますると、この法律や人事院規則あるいは指令をほとんど絶対的なものと價値づけておりまして、独善的に立法権、司法権を無視しているものと考えられます。また不必要に公務員に恫喝的な面を與えておるのは、公務員をして萎縮させる以外に何ものもないと考える次第であります。 また次に第二條における一般職と特別職亭ありまするが、現行法においては公團職員あるいは單純なる労務者等は区別されておりますのに、今度の改正においては、すべてが十把一からげに一般職の中に入れられまして、高度の身分拘束を受けることになります。やはり現行法程度にしておきまして、現業非現業の区別を設け、上級官吏にはむしろ政治的責任をとらせるような身分にしておくことが当然であろうかと考えます。次は人事院の問題でありまするが、かつて企画院が内閣の中の内閣のごとき存在をしておりましたことは、われわれが十分承知しておりまするが、今度の人事院は、まさに人事行政に関する往年の企画院を思わせるものがありまして、この機構ないし運営を誤りますれば、相当な問題になるのではないかと考えまして、あくまでもその機構運営においては民主的なものにすべきであり、その一助といたしましては、このもてに適当なる民主的な諮問委員会のようなものは設置するのが適当ではないかと考える次第であります。 次は職階制の問題でありまするが、科学的な合理的な職階制は一應了としまするけれども、極端になりますれば、われわれ教員が、かつて子供の上級学校の入学試驗の準備において、教員も一般父兄も、ひどい経驗をもつておりまするような立場に追い込められることを考えねばなりません。從つて職階制の運用においてはその弊害の生じないように、十分な注意をするような規定を入れなければならないと考えております。 次は八十條に休職の規定がありまするが、現行法においては若干の給與を與えることになつております。これも削除になるのに、既得権のものを剥奪する意味において賛成できかねるのであります。 次は九十八條でありまするが、九十八條に実に七百字以上の長文の修正條項がはいりまするが、これによつて勤労者のいわゆる憲法に保障されておりまする團結権、團体交渉権が否定せられますことは、ただに公務員の活動意欲を阻害するばかりでなく、現在の世界の情勢からしても、日本の労働運動の後退を意味するものでありまして、この点において十分御考慮を願わなければならないものと考えます。また團体協約の結べない團体交渉権というものは、まつたく無意味であるということもつけ加えたいと思います。 次は百二條でありまするが、百二條において政治制限が規定されておりまするが、今日の公務員の地位は、わが日本の民主化の先駆をなすべき存在でありまして、もしこの存在からその政治的感覚を奪い去りますれば、必然的に暗黒的な、あるいはフアツシヨ的な社会が生れることを、一應われわれは覚悟しなければならないと思います。從つて眞の為政者であり、百年の大計を立てるならば、十分その辺に御考慮あるべきものと考える次第であります。 次に本改正案にあります罰則規定があまりにも重過ぎることであります。この点についても先ほども申し述べました通り、いたずらに公務員をして萎微沈滯せしめ、能率向上を妨げるようなことは避くべきものと考える次第であります。 さて私は教員の立場において一應國家公務員法の改正案を見たのでありまするが、この國家公務員法の改正にあたりまして、教員はまた別な見解をもつておるのであります。そもそも今年十一月一日から教育委員会が生まれまして、通常の行政機能と別個な機能に教育行政が置かれておることは御承知の通りであります。教育は不当な支配に服することなく、正しい民意によつてその行政が行われるということを本條といたしまして、教育基本法の精神にのつとりまして教育委員会法が生まれております。しかも教員の免許状の発行も、また任命権も、その他教育に関する行政権の一切の権限を持つておるのが、この教育委員会であります。この委員会が生まれました精神は先ほども述べた通りでありまするが、教育行政は一般行政と全然性格が異なるということから規定されておるのであります。從つて教育委員会に所属しますところの教員は、一般國家行政の手段として置かれまするところの國家公務員、ないしは地方公務員と、その立場が異るのであります。この意味におきまして國家公務員法、あるいはこれに準じたところの地方公務員法のわくにおいて教員を縛りつけますことは、今日の教育思潮にまつたく相反するものであります。往年われわれ教員は官吏の身分をもつておりましたために、眞の自由なる教育が妨げられまして、今日のような時代をひいた一因とも考えておる次第でありまして、教育は國家の行政の手段としての立場でなく、別個の立場において律せらるべきものとの見解を持つております。これは全國五十万教員の一致した見解といえるのであります。聞くところによりますと教員の特例を設けるやに伺つておるのでありまするが、この特例がどの程度のものであるかわかりませんが、根本的に身分拘束を一般官吏にしておきまして、表面的な教壇の面だけを分離した行政は何の意味がなく、依然として教育の官僚統制であり、権力統制であることに間違いはないのでありますので、この際十分日本の教育をお考えいただきまして、教員の立場から、教員を一般公務員、地方公務員のわくよりはずして、教育公務員法と名づくべきものでもつて律せらるべきであるということについて、十分お考え置きを願いたいと考えるのであります。この点につきましては種々の参考書類もあるのでありますが、時間の関係で省きます。 その一節といたしまして、米國教育施設團報告書なども十分に参考になるものと考えておるのであります。それは教員は教育の自由、学問の自由から出発するのでありまして、教職員自体が公務員として自由な立場に置かれなければならないということを主張するのであります。米國教育使節團の報告書の中に次のように述べてあります。教師は他の公民の持つている一切の國権と機会とを與えられなければならない。そして任務を申し分なくりつぱになし遂げるには、思想と言論と行動の自由をもたねばならない。また地位の保障に相当な給料と、十分な退職金とをもらわねばならない。これは米國教育使節團の報告書にありまする一部分でありまするが、まさにこの短かい文に盛られてありまするような立場で教員は教育公務員法等のごとき、一つの單独法によつて律せらるべきものであつて、一般の國家公務員法、地方公務員法において身分を拘束さるべきものではないということを重ねてここで申し上げる次第であります。 最後にきのう、おととい、全國教員の代表の会がありましたについて一言申し上げます。それは現在百二條の適用によりまして、全國の教員で公職を兼ねている者は約二千に近いのであります。これらの公職を兼ねておりまする者は、一般市民から最も信頼されて選出された者でありまして、一片の法令をもつて民意を台なしにして、その職を去らせるということは、われわれのどうしても了解のできないところであります。從つてこの兼職の制限に対しまして、反対する立場をとつた、きのう、おとといの全國の代表者の会議があつたわけでありまして、この見解を最後に申し添えまして、教員の自由なる立場のために、篤と御考慮のほどを重ねてお願いいたす次第であります。以上で終ります。
○角田委員長 次に東宝株式会社社長渡邊銕藏君にお願いいたします。
○渡邊公述人 今日は、昨日突然のお呼出しでありまして、何の問題か存ぜずお伺いいたしたわけでありますが、このような問題について、とつさにお話を申し上げることは困惑いたします。しかしここにお呼出しを受けたのは、経営者側と書類に書いてあります。個人といたしてならば、平素頭に往來いたしていることを申し上げてもよかろうかと思つておるのであります。なお時間も僅少のことでありますから、一点に集中した方がよかろうと思つております。但しその一点はすこぶる重要なことであります。 大体公務員法の改正に関する要点等は新聞紙上で承知しておりましたが、官吏の罷業権禁止、團結権制限、あるいは政治行動等に対する規定は、すべて今回の修正案に現われました人事院の組織、権限、監督権等について、すべて私どもは賛成の意見をもつておるのであります。一般的のことを申すと長くなりますので、先ほど申した一点について申し上げたいと思います。それは公務員の中から共産党員を除くべきや否やという問題でありまして、これはもちろんアメリカでは非アメリカ行動委員会として非常に問題となりまして、あるいは憲法違反という論議もありました。また憲法を改正してまでやるのだという論議がありましたが、結局大統領の教書によつて、公職からの追放が行われたことは御承知の通りであります。軍部についても同じであります。なおその後もさらに選挙に関する公職についても排除すべしとの案が議会に出たようであります、それはまだきまつたことは承知しておりません。その他この問題については大分積極的に続いて論議がされておるのであります。タフト・ハートレー法の廃止と申しましても、もちろん労働関係法規は何らかの形で現存すると思います。共産党役員排除規定は残るのじやないかと思いますが、これは余談であります。さてこの公務員についての排除の問題を私が考えましたのは、半歳にわたります東宝の労働爭議を通じまして、一会社の組合との爭議に対して、公務員の組合の方面からまで連絡がある。産別全体の包囲攻撃を受けたのはもちろんでありますが、公務員関係の組合の共産党員までが、会社の信用を害し、あるいは首にもなるかも知れぬということに行動するということがありましては、とうてい耐えられない。それは一会社の問題ではない。なおすべての基本的産業を営んでおる國家の命脈をもつておる産業の方面からも、さような脅威を受けました。これは別に爭議取締法の問題でありますが、少くとも公務員が非常な権限をもつておる。そういうところにわれわれから申して非常な危險な分子がはいつておるということは、まことに戰慓すべきだと思うのであります。しかし共産党そのものについての危險の程度の判断でありますが、これはまずユートピア的の思想、共産主義的な思想をもつておる。それから第二にはそれが政党もしくはある種の團体を組織して、それを政治的な活動で実現しよう。第三にはそれが革命的の破壊的の行動、政府を顛覆し、経済を破壊し、政治を破壊するような行動に出る、こういうふうに三つにわけて見る必要があると思います。日本共産党がどの段階にあるかということの判断いかんであります。もちろん私どもも憲法、ポツダム宣言、労働基準法等の規定の精神は熟知いたしております。ただ思想のゆえによつて差別するということはなすべからざることを知つておりますが、半歳の強い、嚴しい経驗によりまして、日本共産党の行動、またなさんとするところが、すでに第三の段階を考えなければならぬところに來ておる。但しそれかと申しまして、ただちにこれが全面的に非合法的の政党であると断ずるというところまで來ておれば、いろいろの立法も簡單でありましようが、そこまで私としても断定する勇氣はありません。しかしながら現実に重要なる部面については非常な危險がありますので、この点について考慮を要することがある。たとえば公務員にいたしましても、人の任命に関するもつと具体的に申した方がよいかも知れませんが、あるいは裁判、檢察、公務員、あるいは労働委員会、これはつくづく苦しみを感じましたが、そういう種類の職とか、また公務員を離れますればその他いろいろの團体がありましようが、これは産業の方の問題である。公務員について申しますれば、種々ある程度の段階を見て、日本では警察署はあつても軍隊はありませんが、少くとも特定の範囲について、今の共産党の行動の程度とにらみ合せて、公務員法について、ある程度排除を考える必要があるように私は思いますので、この点ひとつ議会におかれまして十分に御審議を願いたいと思うのであります。
○角田委員長 次に食糧配給公團労働組合の熊倉四五七君にお願いいたします。
○熊倉公述人 私食糧配給公團労働組合の熊倉でございます。ただいま他の公述人から、今回の國家公務員法の改惡友対に対しての御意見につきましては、るるその要点を申し述べられまして、私どもまつたく同感の次第であります。そこでこれらの点につきましては重複をする関係もございますので省略いたしまして、まずもつて私どもの携わつているいわゆる食糧配給公團の立場から、いかにこの不合理かという点につきまして申し述べ、各位の御了解を得たいと存ずる次第であります。 御承知のごとく、わが食糧公團は管理法の制定によりまして、從來の米穀業あるいはいも、澱粉、そうした從來の業者を主体としている状態でございます。しかもこの食糧配給公團は法人であるということは周知の事実であります。しかもわが食糧公團の面に対しましては、從來食糧公團の特殊性を十分御認識を願いまして、特別職のゆえをもつて今日まで來ているわけであります。しかるところ今回の改正案の意見によりますと、これを一般職に含めることに相なつているわけでございます。かかる問題に対しましては私どもはなはだ了解に苦しむ点があるわけであります。しかも今日の食糧配給公團の組織の状態から申しますと、いわゆるマ書簡にいわれておりますところの鉄道及び塩、あるいはタバコの三現廳、これらのものが公共企業体の性格を持つてさしつかえない。食糧公團の場合も、こうしたいわゆる三現廳で今後行われんとする公共企業体の性格を十分に持つているものである。これらの組織を持つているところの食糧配給公團のわれわれに対して、何ゆえに一般職をもつて適用せんとするのであるか。こういう点がはなはだ不可解に思うわけであります。しかもわれわれの食糧配給公團の職員の構成の面から見てみますと、現在の職員が約九万あるわけでありますが、これらの職員の中の約二万五千は、いわゆる三級官と称しておりますが、職階俸で申しますと、三級官以上同格者なるものは、いわゆる政府職員であるということをいつておるわけであります。しかもこれらの六万何千の大部分の者は、いわゆる政府職員でないという形に相なつておるわけであります。これらの構成を持つておるこうした面に対して、全面的に公務員法を適用せんとするものであります。しかしこうしたことに対しましては、われわれははなはだ不可解な点が多々あるわけでございます。そこでわれわれの言わんとするところは、現在の政府事業の中には、普通では私企業に属するとみなされる企業を含んでいる場合がある。かくのごとき政府事業職員は、官廳職員と同樣な拘束を受ける必要はないのであるということは、最高司令官の書簡の中にも明瞭にしるしてあるところであります。こうしたような面から申しましても、われわれ食糧配給公團の面に公務員法を適用するというようなことは、はなはだもつてわれわれはその意を解せない次第であります。なおこの機会に具体的にわれわれの仕事の範囲をひとつ申し上げて御参考に供したいと存じます。御承知のように、各位がちまたにおける今日のいもの配給、あるいは粉の配給、これらを見ていただきますれば、はつきりと仕事の内容、量等につきましては、おわかりの通りであります。御承知のように朝に晩に、荷車に品物をつけまして、ちまたに配給をいたしておるあの職員に対して公務員法を適用いたしまして、いかに高度の能率をあげようとするのでありましようか。これらの点につきましては、各位は十分御了解ができると存ずる次第であります。なおこうした観点におきまして私どもは爾來人事委員長にいろいろとお話を申し上げました。アメリカのパンを製造する者、あるいはパンを配給する者が、いわゆる公務員法を適用されているかどうか、こういう点を御指摘申し上げまして、淺井人事委員長といたしましても、先般司令部の方に了解をつけまして、わが食糧配給公團等については、まつたくそうしたことの矛盾なることを十分了知いたしまして、今日特別職を持つておるわけでありますが、これらの問題につきましては十分各位の御了を得まして、いわゆる一般職に包含するということなく、最も高度の能率をあげていくという面に対しましては、國家公務員法の適用を除外していただくという点以外にはないわけでございます。こうした点につきまして、私どもは國家公務員法の全面的な適用に対しましては、衷心から反対を表明するものでございます。いろいろ申し上げたいことはあるわけでありますが、時間の制約等もあるわけでありますし、私どもの食糧公團の実体のあり方から皆樣方の御了察を願えれば、食糧公團に対しては、公務員法の適用はまずもつて不適当であるというようにお考えを願えるだろう、かように考えております。以上大体食糧配給公團の性格並びにこれが國家公務員法の一般適用の面に対しまする除外に対しまして深くお願いを申し上げ、御了解を得たいと存ずる次第であります。 以上食糧配給公團の立場から公述をいたした次第でございます。
○相馬委員 議事進行について――本日公述人として出ておる方々は特殊の職種の代表者であるとともに、労働者の方は労働者の代表であるはずだと思います。先ほどの市川君及びただいまの熊倉君の御説明を聞いておりまして、時間がないのでやむを得ないとは思いまするが、その属しております特殊の組合の事情、これは先ほど松澤委員からも要求がありましたように、後ほど文書によつてお出し願うといたしまして、ただいまは國家公務員法の一部改正に対するわれわれの参考意見としての意見を徴しておるのでありますからして、公述人はその点をよく考えてお述べ願うことを、委員長からお願いいたします。
○角田委員長 委員長において相馬君の発言の意味を了承して善処することにいたします。公述人の諸君さように願います。 〔「その必要なし」「そのために理事会が選んだ」と呼ぶ者あり〕
○角田委員長 次に海上保安廳水路局職員組合の小力武典君にお願いいたします。
○小力公述人 海上保安廳水路局職員組合委員長小力武典であります。海上保安廳水路局を代表して、本日の公聽会に特に御出席をお許しいただきましたことを厚く御礼申し上げます。國家公務員法改正に関連して、発展途上にある官廳労働組合に対してこれを圧縮せんとする政策に対しては、本日列席の全官労の委員長佐藤公述人と、まつたく意見を同じうするものでありますので、ここに省略させていただきます。特に本日出席をお願いしたわけは、國家公務員法改正案第九十八條、警察、消防職員と関言いたしまして、海上保安廳職員がこの適用を受けるということに関し、われわれとしてはぜひ聞いていただきたいことがありますので、これから海上保安廳の職員の現状及び性格を御説明いたしまして、法案審議に際し、委員各位の愼重なる御考慮をお願いするとともに、われわれの要求する國家公務員法改正案第九十八條の修正意見の御採択をお願いいたしたいと思うのであります。 憲法第十三條の生命、自由及び幸福追求に対する権利及び第二十一條集会、結社及び言論、玉版その他一切の表現の自由、あるいは第二十八條、勤労者の團結する権利及び團体交渉その他の團体行動をする権利、これらは明らかに憲法によつて保障されておるのであります。しかるにこれらの諸権利が、今回の改正案が通過するときには、われわれから一切剥奪されてしまうのであります。これらの憲法によつて保障されたところの自由というものは、公共の福祉に反し、または明らかに反対すると認定された場合にのみ、法律によつて制限されるのが至当ではないかと考えるものであります。國家公務員法改正案第九十八條第二項に規定する事項が、海上保安廳の一般職員、これは海上保安廳でも船舶乘組員は海上保安廳法案により組合結成を禁止されております。從つてそれ以外の一般職員に適用された場合には、何ら公共の福祉に反しないとわれわれは考えておるのであります。それから、海上保安廳の水路局というのは、大体海の測量、あるいは海流の観測、あるいは海図の編纂印刷等、その業務内容とするところはまつたくの技術官廳でありまして、大体職員は一千名おるのでありますが、現在まで労働法規上は現業官廳の労働組合として罷業権まで認められておつたのであります。しかるに今回罷業権、團体交渉権はもとより、團結権すら奪われんとするのが、本改正案の趣旨なのであります。從つてわれわれとしては、これらの自由を全面的に奪われたときには、往時の軍隊と少しもかわらない地位に置かれるのでありまして、この点われわれとしては、全面的に第九十八條の修正を要望してやまない次第であります。もしこの修正案が通るならば、これは明らかにポツダム宣言並びに憲法第十三條、第二十一條、第二十八條並びに海上保安廳法第二十五條――ちよつと二十五條を読んでみますと、「この法律のいかなる規定も海上保安廳又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」――これらの違反並びにその精神を蹂躪するものとして、われわれは絶対に反対するものであります。われわれの要望するところは、警察職員あるいは消防職員と海上保安廳職員を、どうしても一緒にしなければならないというのであつたならば、よく実情を調査されて、人事院の許可あるいは別な規則をもつてこれを制定していただきたいのであります。なおわれわれの主張に対しては、GHQ関係の責任者の方が、もしかかる法案が事実とするならばこれは明らかに行き過ぎであると言つて、われわれを激励してくださつたことを附言いたします。私の申し述べることはこれだけであります。
○角田委員長 次に全國官廳職員労働組合協議会の佐藤安政君にお願いいたします。
○佐藤公述人 氣象台の事務官で、全國官廳職員労働組合協議会委員長の佐藤であります。 私は、この前、國家公務員法が制定される場合の公述人の一人としてここに出まして、むしろこれは非常に皆樣からお怒りを買うかもしれませんが、議員の皆樣に警告を申し上げておいたわけであります。現行の國家公務員法に対しましても私たちは絶対反対であり、むしろこれは撤廃すべきであるという意思にはかわりありません。その理由は、私がかつての國家公務員法の制定の場合に、あるる説明申し上げましたから、ここではあらためて申し上げませんが、そういうふうな理由があるにもかかわらず、さらにそれを全面的に改惡して今度上程された國家公務員法の一部改正案、これに対しては、やはり前のわれわれの見解と同樣に、われわれはこれに反対するものであります。それから、私は議員の皆樣に警告を申し上げておく一つは、こういうふうな法律が通ると、必ず日本の將來には独裁的な形態が生れて來るだろうということを、その一つに私は含ませて発言したことを記憶しております。でありますからわれわれとしては、今回の國家公務員法の改惡の問題については、前よりも声を大きくして反対をするわけであります。それから、われわれが國家公務員法の現行の法律に対して具体的に反対した理由の一、二を振り返つてみますと、今回改正される法案の反対の理由にもなりますので、一、二点を申し上げてみたいと思います。 まず官吏秩序の民主化が、全然國家公務員法が制定されてからできておらないということ。それから、國民の側からの官吏に対する責任追究といいますか、監視の余地が全然ないということ。それから、労働秩序の民主化と官廳外部よりする責任追究ももちろんないということ。それから、官吏の基本権の確立、これはわれわれの生活の問題なのでありますが、これが大体労働三法によつてきめられた外になつております。この労働法できめられた分野の中での團体交渉権とか、あるいは労働協約等は全然認められておらない。それから、特権官僚がこういうふうな法律ができ上ると、よけい今までの形よりも強固な形で、惡い面をいよいよ発揮して來るのじやないか。そういうふうなことが國家公務員法員制定されて以來、非常な顯著な事実になつて現われております。その非常に集約されたものが、今回の國家公務員法の改正の現実になつて現われて來たのじやないか。こういうふうに私は考えております。それから、具体的な問題については、時間が十分間に制約されておりますから、本日資料を持つて來なかつたのは非常に残念なのでありますが、明日労働委員の皆樣と人事委員の皆樣に差上げるお約束をして、大体國家公務員法に反対である理由の上に、さらに今回改惡される非常に重大な問題、それを一、二指摘して私の公述の責任を果したと思います。 第一点としては、憲法に非常に多く牴触しておるという点であります。その点から、國会でこの國家公務員法の改正案が審議されること自体が、非常にわれわれは疑問に思つております。これが前提としてお考えいただきたいということ。それから、憲法の上で人間として、労働者として保障された当然のわれわれの権利を含む労働三法の適用が、全部國家公務員法によつて拒否されておるという、非然に重大な一事があります。それから二点としましては、こういうふうなことがされておりますので、人事委員会の権限の増大なのであります。これは法治國家として嚴存する議会を全然無視しておるという内容が十分含まれておるのであります。すなわち、内閣の行政とか、國会の立法、裁判所の司法、そういうふうなものに影響を及ぼすことが、今度の人事委員会の権限の増大の中に含まれております。從つて、そういうふうなことをやりますので、われわれ公務員の側から見る直接的な、非常に大きな被害というものは、これは話にならないへどなのでありまして、こういう憲法國家でありながら、自分を自分から守ることができないということ。そういうふうな場合には、法律で保護するかというと、法律では労働三法が拒否されておるために、全然それがなされておらないということ。こういうふうなことをわれわれ考えますと、初めにわれわれが國家公務員法制定の場合に警告申し上げ、あるいはわれわれが主張しておつた独裁的な、非常に特殊な形態が、この中に非常に大きく現われて來たというのが現実であります。これはわれわれが常に、あるいは議員の皆樣が常に言う民主化などということは、この中に全然含まれてもおらないし、におつてもおらない、こういうことを私は主張したいと思うのであります。こういうふうなことをわれわれがもし見送るならば、あるいは議会でこういうふうなものを無視するならば、こういうふうなやり方、こういうふうな内容が非常に自然な形でだんだんに拡大されて來るのではないか。こういうことを考えますと、これは非常に大きな問題で、われわれとしては黙つておるわれにも行きませんし、この点特に審議していただきたいことを、私は特にお願し申し上げます。 時間がありませんから、結論だけを申し上げて、先ほど申しましたように、資料はあす差上げることにします。今非常に簡單に言つたことなのでありますが、これはわれわれから言えば、徹頭徹尾官製に近い官吏奴隷法だということを、私は主張したいのであります。それから人事委員会の権限は、日本民主勢力の一〇〇%のうちの四〇%を代表する官廳労働者の自由を、全然手も足も出ないように、みじめな奴隷的な底にたたき込む内容が含まれているので、その範囲なりあるいは精神なりが次第に拡大されるならば、これはどういうふうなことになるかというと、これは私が常識的に申し上げなくてもわかるだろうと思うのでありますが、これはひいては國会や内閣、政党が全然人事委員会には関與できないので、このために非常に早く現われる現象としましては、政党勢力の排除が非常に極端に現われるだろうと思います。それからわれわれが非常に問題にしなくてはいけないことは、これはまだはつきり現われておらないと思うのでありますが、人事委員会に法律顧問というようなものがつくようになつております。この法律顧問を設ける場合に、これは國会で審議されて設けるのではなくて、あるいは人選されて設けるのではなくて、人事院の規則によつてこの顧問ができ上るのであります。これはわれわれが考えますのに、將來日本がどういうふうな環境に置かれても、これが固定化して來て、非常にこの変革がむずかしくなるのではないか、こういう危險を私は感じております。こういうふうな点も十分審議すべき大きな問題ではないかと考えます。それから今度の國家公務員法の問題にしましても、これについては國内外の民主勢力なり、あるいは輿論が非常に疑問視して沸騰しております。その一つの現われとしましては、アメリカのタフト・ハートレー法が廃止されるような機運にもなつております。私はこういうように情勢が非常に変化して來たにもかかわらず、依然として國家公務員法がそのままの形で、あるいはよけい改惡されるようなことがあるならば、もちろんわれわれの國会に対する感情なり、見方なり、考え方なりが――われわれのみでなく、考え方なり御大衆の皆さんまでが、その問題を非常に疑問に思うだろうと思うのであります。 われわれが最後に強調し主張したいことは、これほど大きな問題が包含され、國内外の輿論がここに集中されてある法案、それから憲法に非常に多く抵触する点、こういう点から、むしろ私は今度の國家公務員法の改正案は、そのままそつくり返上さるべきではないか、こういうふうに考えます。從つてわれわれは、こういうふうな主張のもとに、われわれの主張なり何なりを通して行きますし、皆さんにおかれましても、こういうような重大な問題をよくお考えいただいて、これを返上するように、議会なり何なりの動向を持つて行つていただきたい、こういうように私は考えます。先ほど申し上げましてように、わずか十分間で、非常に雜駁でありまして、おわかりにならないと思いますから、明日資料を差上げることをお約束して、私の公述を終ります。
○角田委員長 この際おはかりいたします。公述人中学識経驗者としての清岡四郎君は病氣のため出席ができませんので、同じく労務法研究所の長谷川正安君を代理人として意見を述べさせたいとの申出がありますが、これに同意するにに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○角田委員長 御異議なしと認めます。それでは清岡四郎君の代理人として、長谷川正安君より意見を聞くことにいたします。長谷川正安君。
○長谷川公述人 私は清岡氏の代理で参りました大倉経済專門学校で憲法の講師をいたしております長谷川であります。私は今まで労働組合の方々が、具体的な実務方面から、この國家公務員法改正案というものが、改正でなく改惡であるということをお話になつたことを、今度全体的な立場から、主として法律学上の立場から、これがいかに改正ではなくて、改惡であるかということをお話したいと思います。 まず第一に申したいことは、この草案がきわめて独断的な性格を持つておるということをお話したい。それはどういう点かといいますと、改正案の第一條の松項、四項を見ると、はつきり出ておる。新憲法によりますと、憲法の八十一條に、最高裁判所に法令の実質的な審査権が認められております。そうしてこの法令の実質的な審査権というものが、單に個々の具体的な場合にとどまるのか、それとも一般的な効果を持つのかということに関しては、東大の宮澤俊義教授の説によれば、そういう実質的な審査権というものは、一般的な確定的な効力を持つのだというような有力に学説さえあります。そうして新憲法において、司法権の独立ということを尊重する限り、このことはきわめて重要なことであります。ところがこの草案は「この法律のある規定が、効力を失い、又はその適用が無効とされても、この法律の他の規定又は他の関係における適用は、その影響を受けることがない。」というふうに、立法権の側から一方的に法令審査権の内容を制限しようとしております。」また次に「この法律の規定が、從前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律の規定が、優先する。」というふうに、またこれも立法権の側から、いかなる法律でもつて司法権が発動するかということは自由であるはずなのに、それを一方的にこういう制限をやつております。結論しますと、こういうやり方は今まで法律の常識ではおよそ考えられませんし、立法権の優越という新憲法における一つの原則を利用して、行政権がきわめて独断的な宣言をなしたのではないか、そういうふうに考えられます。 それから次に、この國家公務員法適用の範囲が現行法以上に拡大されておる点でありますが、これについて私は二重に誤つておるということを言いたい。その第一は、まずどういうふうに拡大されておるかというと、いわゆる下級官吏、下級公務員の方面に非常に拡大されている。それは特別職というものを大幅に減じて、現業、非現業の区別をなくする。それからまた現行法にある「單純な労務に雇用される者」というものを、これもまた一般職にしてしまつている。いやしくも國家から給與をもらう者、金銭をもらう者はすべて一般職というふうな建前でおるわけです。たとえば給仕さんとか、日雇いの草刈り人夫であつても、この法案によればすべて一般職というふうな取扱いを受けます。これは職務内容をよく考えてみて、全然私の企業のそれともかわらないようなものを、そうして当然労働者として保護され、労働組合をつくつて保護されるべきものを、公務員として強力な拘束のもとに置いてしまうという一つの誤りではないか。それから第二には、この一般職を廣げた場合にいわゆる上級官僚というものを一般職に廣く入れている。たとえばもちろん現行法通り課長、局長は当然でありますが、次官までも一般職に入れておる。このように拡大することは何も意味するかといいますと、実質的には國家の意思を決定する國務に参與しておる官僚を一般職ということにして、政治から全然切り離してしまう、政治上の責任を何ら持たせないということは、今までわれわれが痛切に感じておつた官僚制、特権官僚の弊害を再び強化することになりはしないか、こういうふうに二重の誤りがありはしないかと私は考える次第であります。 次に一体公務員の基本的人権は、この法案によつて守られておるかどうか。第一に爭議権はもちろん、團体交渉権すら認められていないという点を問題にしたい。それは憲法の二十八條には明白に労働者の團結権、團体交渉権、その他の権利として爭議権を認めております。そうしてこの権利が法律をもつてしても、一般的に禁止し制限することができないということは、常識ある法律学者ならばだれでも認めておる点であります。たとえば昨今なくなりました美濃部博士も、この点については明記しております。それでこれを政府は憲法第十二條、第十三條の公共の福祉ということを理由にして、法律で制限しようとしておりますが、この公共の福祉によつて制限できるのは憲法に明記してある場合、またこれから改正して明記するならば、公共の福祉ということを理由にして法律で制限できますが、それ以外の場合に公共の福祉を廣く常識的に解釈して、公務員の権利というものを一般に制限しようとすることは、明治憲法へ逆もどりすることではないか。ということは、明治憲法においてもやはり臣民の権利義務というものは認められておりました。しかしそこにはほとんど全部が法律の範囲内でという制限がついておつたのであります。ところが新憲法においてはそういう制限をなくして、そのかわりに非常に狹い意味で公共の福祉ということをつけ加えたのであります。ところがこの公共の福祉ということを理由にして、法律でもつていつでも廣汎に制限できるとするならば、新憲法がどういう点で明治憲法よりも進んでおるのか、私は疑問にしたいと思います。その点について最も新しい草案では、政府はいろいろ考慮して、交渉――團体交渉の交渉などという文字を入れておりますが、團体協約すら結べない團体交渉権というものがいかに無意味であるかということは、労働者諸君がすでにお話したところであります。 それから基本的人権の第二に、政治活動について公務員にほとんど認めていない。はつきり認めておるのは選挙権だけであつて、その他については、たとえば人事院の規則という点に逃げてしまつて、その他の政治活動の自由を認めていない。この理由としては、政府は憲法十五條の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」ということを理由にしております。しかしこれは政府が政党政治というものは、一部の利益しか代表しないという非民主的に誤つた考えに基いているのではないかと私は思います。もし政治活動というもの、すなわち政党政治というものが一部の利益しか代表しないとしてこれを全部排除し、その残つたものに初めて公共の利益があるのだという政府の考え方は、今までの歴史を見てみますと、官僚というものは、確かにある面では政党の政治というものを排除してやつて來ております。しかしそういう利益を排除して残つたものは何かというと、官僚の利益という一部の利益しか代表していなかつたのであります。これに関して私はむしろ積極的に、できる限り公務員に政治活動をさせて、そうして眞の意味の政党政治ということを理解させて、初めて公務員というものは民主的に公務を行い得るのだ、そういうふうに断言したい。この点についてアメリカの公務員制度をまねして、いわゆるメリツト・システムというものを職階制という形で日本に直輸入しておりますけれども、アメリカではその前にスポイル・システム、猟官制というものがあつた事実をわれわれは忘れてはいけない。日本にアメリカの制度を直輸入することの弊害については、蝋山政道氏などが常に声を大にして叫んでおるところがあります。 それから第三に、公務員は一体自分の受けた損害について裁判を受ける権利があるかどうかということ、それはこの法案の九十二條に、公務員が損害を受けて、それに対して人事院にその損害を補償するように請求する、そうしてそこにおいて人事院が行つた判定は最終のものであつて、人事院規則の定めるところにより、人事院によつてのみ審査される、そういうふうに書いてあります。しかしこの人事院の判定が最終のものであるということが、それ以上裁判にかけることができないということを意味するのであれば、明白に憲法七十六條の「行政機関は、終審として裁判を行うことができない。」また三十二條の「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」という、そのいかなる人でも持つておる裁判を受ける権利というものを剥奪するものではないか、そういうふうな疑問さえ生ずるのであります。 問題をかえまして、人事院の権限拡大ということがこの草案でうたわれておりますが、これは一体何を意味するものであるかといいますと、第一に行政権との関係を見ますと、結論から言うと、人事院の構限を拡大するということが責任回避という結果になりはしないか。たとえば草案によれば、人事院は内閣の所轄のもとに置から、決定した事項は内閣総理大臣に直接報告せしむ、そういうふうにされております。ですから形式上は一行政機関にすぎないものでありますけれども、実質的に見ますと、人事院の権限というものは一應内閣から独立した形になつております。しかし形式的にこれを独立させてしまうと、憲法七十三條の四項に相反するわけであります。しかし実質的にのみ切り離したとしても、現在その弊害がはつきり現われておるように、もちろん人事院で給與のベースをつくつて内閣に報告する。そうすると内閣は千円も低いベースを、政治的に解決しようとしてこれに臨むというふうな形になつております。そうしてこの場合、たとえば直接利害関係のある労働者の諸君は、一体だれに責任を問うていいのかということがきわめてあいまいになつてしまうのであります。内閣に行けば、それは人事院の権限であると言う。人事院に行けば、結局は内閣できめられるというふうに責任がすりかえられる。從來の官僚制が、だんだん上へ上へと責任がさかのぼつて、上御一人のところで消えてしまつた。そういう弊害が、今度は上がないので、こういう内閣の内部の組織で横にずれて行つてしまつておる。こういう点を指摘したいと思う。 第二に、司法権の関係についてはすでに述べた通りであります。 第三に、立法権との関係について申しますと、この改正案の十六條に、この法律の執行に関し必要な事項について、人事院規則を制定し、人事院指令を発する権限を定めております。この法律はきわめて多方面的でありながら、ほとんど細目については述べられておりません。そうして細目についてはすべて人事院規則とか、人事院指令にゆだねております。これは戰爭中の國家総動員法に見られたような包括的な委任立法になるおそれがあります。しかも法案に見ますと、人事院指令の制定権について、人事院の議決を要するとは書いてないのであります。非常に重要な他の諸官廳をも拘束するような人事院指令の制定について人事院の議決を要しないとすれば、これは人事院総裁の独裁的な傾向になりはしないか、そういうことを指摘しておきたいと思います。 最後に、一体われわれは内閣の責任でないような予備費を設けていいのかどうかということを、新憲法の立場から批判してみたいと思います。草案における人事院の予算作成とか、それから予算の提出ということは、財政法に述べられておる原則をもちろん排除しております。その上予備費を人事院総裁の管理下に置いて、人事院の議決で支出できるというふうに草案の第十三條に書いてありますが、これが一体憲法八十七條に書いてある予備費は内閣の責任でこれを支出するのだということにはたして抵触しないか。以上のように憲法学上の立場から言いまして、いろいろな点で現行法の改正というものは憲法違反の疑義がある。その中の一、二をとつてみれば、今まで言つたようにきわめてはつきりした点がある。それゆえ私はこの改正案をもし審議するならば、先決問題として憲法の改正ということまで審議しなければならないのではないか、そういうことを結論としてお話しておきたいと思います。
○角田委員長 これにて休憩し、午後一時より開会いたします。 午後零時十一分休憩 ――――◇――――― 午後一時四十分開議
○角田委員長 休憩前に引続き公聽会を継続いたします。次に國鉄労働組合の澤田廣君より発言を願います。
○澤田公述人 本公述人は國鉄労働組合といたしまして、各議員さんにすでに配付してある資料に基いて申し上げるのでございます。配付された資料がもしありましたならば、それを御参照されながらお聽き願いたいと思います。その前に私は、本公務員法改正については、すでにマツカーサー元帥の書簡に示されたことく、この改正と不即不離の関係にあるところの、生活保障という点について十分考慮されなければならないと思うのであります。この意味において本國会における各議案に先立つて、優先審議せらるべきであると私は信じ、公務員法改正に当る公述の前に一言申し上げるわけであります。 主要点といたしまして、その意味における身分保障が公務員法改正の中に明確に規定されなければならないということを、まず第一に申し上げたいのであります。すなわち第二十八條でございます。第二十八條においては百分の五%の経済状況の変遷と、それらに関連するところの人事委員会、國会における審議事項が規定されてはおりますけれども、われわれ公務員に対する生活保障については一言もこれらに触れておらないということは、はなはだもつてわれわれとして遺憾にたえない点であります。その意味合において第二十八條の前段に「公務員は公務員としての権威と品位を保ち得る生活保障と労働條件の確保がなされなければならない。賃金は科学的調査資料に基いた國民的生活水準を下つてはならない。」以上の項目が当然挿入されてしかるべきはずであると私は信じておる。これはすでにマツカーサー書簡の内容にも明示されておるところの諸点でございます。 次に第二点につきましては第九十八條の團体交渉権及び團体協約等についてであります。私たちの基本的な態度といたしましては、配付されております資料の基本的方針の中に明示されておるのでございますが、第九十八條の前文は少くとも次のごとくに修正せられてしかるべきであると信ずるのであります。すなわち「職員は組合を組織し、その代表者を通じて労働條件その他社会的、厚生的活動等に関し團体交渉を行い、また必要なる團体協約を結ぶことができる。」以上の点は少くとも公務員といえども確保せられなければならない点であると信ずるのであります。 次に第三点でございますが、第三点は政治活動についてであります。すなわち第百二條、それから第一次改正法律の附則第二條であります。この点についてはわれわれ公務員たるがゆえに政治活動を制限せらるべきところの何らの根拠はないものと私は信じておる次第であります。これはマツカーサー書簡その他についても当然触れられておるところでありまして、何らわれわれが選挙権のみに制限せられるということの原理は、われわれとしては考えられないと思うのであります。その意味合において、当然百二條及び附則第二條については從前以上の拘束があるべきものでないと思うのであります。その点については百二條を次のごとく修正いたしたいと思うのであります。「職員が公選による地方公務員につくについては、職務に重大なる支障のない限りそれを妨げるものではない。」当然公務員としての立場も考えなければならないといたしましても、以上のような程度に最低限は確保せられなければならないものと思うのであります。 なお附則第二條は新しく挿入せられたのでございますが、この点については、われわれ國鉄労働組合の職員については重大なる関連がありますので、念のために申し上げておきます。今回の國会に公共企業体労働関係法案及び國有鉄道法案が提案されていることは、すでに御存じの通りであります。そうして二十四年の四月一日にこれらの法案が施行せられるということに原案はなつております。ところが附則の第二條は二月一日すでに地方公職たる地方議員に対しては当然失職しなければならない措置が講ぜられているのであります。しかしながらわれわれ公共企業体労働関係法案及び國有鉄道法案に該当する職員については、一般公務員法から除外されるのでありますから、この二箇月間の暫定期間のために、第一線に近い地方公職員は辞退しなければならないという必然的な結論を生み出す二箇月間になつております。そういう意味合において、第二條についてもこれまた善処せられていただきたいと思うものであります。すなわれこれについては最後の除外例、あるいは暫定立法について申し上げますが、以上のような意味合において、われわれ職員に対する二箇月のために、わざわざ地方公職員をやめさせなければならないという理由は何ら発見せられないと思うのであります。 第四点は組合專從者についてであります。組合專從者については、第百一條及び第九十九條に規定されております。あまり長くなりますので省略いたしますが、少くとも現在の労働組合運動の発展成長の段階においては、職員の一定数を限つて組合專從者として当然認められてしかるべきであると思うのであります。 第百一條につきましては、勤務時間中職務に專念する義務を負うておるのでありますが、これもその所属長の承認を得た場合においては組合運動も行い得るという程度のことは、必然挿入せられてしかるべきであると思うのであります。 次に人事院の運営強化についてであります。現在の法案の人事院の運営強化については、先ほど前者の方が言われておりますが、第三條及び第十二條につきましては、特に御考慮願いたいと思うわけであります。 第五点として罰則でございますが、これらはマツカーサーの書簡にもあります通り、雇用上の條件を失うということは言われておりますが、それ以上に第百十一條に掲げてあるがごとき、三年あるいは十万円のような罰金、あるいは懲戒というような処分については、これまた苛酷なる罰則だと言わざるを得ないのでありまして、この点もわれわれとしては、ただ雇用上の條件を失い、さらにまたこの刑事上の判決を受けるということは、二重にわれわれを処罰するところの意図でありますので、十分この点についてもわれわれとしては、雇用上の條件を失うだけで少くとも十分であるというふうに考えておる次第であります。 最後の第六点といたしましては、これらの公務員については、当然少くとも基準法は全面的に適用されてしかるべきである。組合法あるいは労働関係調整法については一應の疑義があるといたしましても、少くとも基準法は当然施行されてしかるべきであると思うのであります。これは第一次改正附則の第十六條に書かれてありますが、この点も十分御考慮願いたいと思うのであります。 最後に私國有鉄道の立場に立つて申し上げるのでありますが、いわゆる附則の第八條に、この法律通過とともにポツダム政令が当然効力を失うというように規定されております。それと同時に、從來國家公務員法で規定する職員で、鉄道、塩、しようのう專賣の現業に從事する職員は、この法律施行と同時に國家公務員法から除外する。この條文がこの附則の中に挿入せられるよう、ぜひおとりはからい願いたい。これについていろいろ申し上げることは省略いたしますが、現在のマツカーサー元帥の書簡の中にも、鉄道、塩、しようのうは除外されてよいと信ずるというふうに明確に規定してありますので、從來國家公務員法で規定されておつたところのものではあるが、鉄道、塩、しようのうはこの法律施行と同時に、國家公務員法と適用は除くのであるということを、明確に一項ぜひ御挿入願いたい。なお前項の規定に関する職員については、現行労働関係法を適用する。これは今申し上げたように除外されてよいと信ずる点からいつても、当社かくあつてしかるべきものと私は考える次第であります。このように國家公務員法でわれわれ労働者、あるいは公務員たる立場を縛つて拘束して行くということよりも、より健全な組合運動を助長することを期待するための方途に講じていただきたい。ただ罰をつくり、あるいは法律で縛るのみがこの法律のゆえんではないのでありまして、健全な組合運動を期待し得るような條文に今後改正せられるよう措置せられることを特に希望いたします。どうか私たちが配付いたしました資料についても、お忙しいところではありますが、特に十分御研究願いまして、御考慮賜わらんことをお願いいたしまして、私の公述人としての勤めを終りたいと思います。
○角田委員長 全專賣局職員組合の高柳潔君にお願いします。
○高柳公述人 私は全國專賣局職員組合総務部長高柳潔であります。今議会に政府が上程中の國家公務員法改正案に対しましては、その内容で私は改惡であるということを指摘いたしまして、その改惡に対して絶対反対するものであります。 まず私の申し上げたいことは、この席上で私は國家公務員法から除外になる專賣局の労働組合の者ですが、なお私ここでもつてやはり國家公務員法の改惡に反対しなければならないということ、この問題は大きな問題であるということを申し述べておきたいと思うのであります。でありまするから、私は本問題は各議員の皆樣におかれまして、とくと御審議を願いますということと同時に、やはり今まで政府がわれわれ労働者にどういうようなことをやつて來たかという、最近の経路とその政治的な性格というものを、やはりわれわれはここで考えて行かないと、この國家公務員法の全貌なり、あるいはその性格なりというものが非常にぼやけて來ると、こう私は思うのであります。それで私としましては、委員の皆樣方に、これは当然政令との問題とも関連しておりまするからして、かような歴史的な経過というものも、やはりあわせて考えていただきまして御審議をしていただきたい、こうお願いする次第であります。すなわち前芦田内閣にえきましては、マ書簡というものを運用して、われわれ労働者階級を圧迫して來た。そうして全官公二百六十万の爭議権あるいは團体交渉権を圧殺しようとして來た。しかも進行中の調停を一方的に拒否してしまつた。こういう事実があるのであります。かかる政府の反動的な政策が、すでに進歩的な学者あるいは專門家によつてこれは論議されておりまして、これに対する違憲性につきまして相当攻撃が集中されて來たのであります。そうして労働者のこれに対する憤激は非常に高まつております。また國民の非難も相当高まつておるのであります。しかもここで注意しなければならないことは、やはり現在の政府におかれましても、前内閣と同じような考え方を持つておる。あるいはそれよりもつて輪をかけたような改惡をしておるように私たちは見受けるのであります。それでかかるような一連の労働者の彈圧の事実というようなことは、結局私は次のことを言い得ると思うのであります。それはすなわち明らかに國家公務員法を改惡することによつて、いわゆる官業労働者の基本的な権利を抹殺し、そうして民間労組にも襲いかかろうとするものであり、なおまたその次には、全國民をも彈圧しようとするこれは独占資本攻勢の橋頭堡である。そこにわれわれは賣名的なフアシズムが擡頭しつつあるということを見のがしてはならないと思うのであります。以上のような國家公務員法改惡の裏面に隱れたところの危險な反動的な性格を、まず本質的な改惡反対の理由といたしまして指摘したいのであります。 次に内容の点についてでありますが、内容の点につきましては前公述人がすでにるる申し述べられておりますように、少くともわれわれは公務員としてその職務が果せるような、完全な國家公務員法の内容をつくらなければならないということを言い得ると思うのでありますが、中で私は二、三重点的に申し上げまするならば、特に公務員の給與状態の問題であります。これはマ書簡の冒頭におかれましても、やはり本制度は正当にして公平な待遇を要するということを書いてあるのであります。しかるにこの國家公務員の生活を保障せよという大前提に対しまして、いまだもつてわれわれの生活状態というものは非常に惡いのであります。これではやはり片手落ちではないかと私は考えるのでありまして、今後の改正につきましては公務員は公務員としての権威と品位を保ち得るような生活、あるいは労働條件の確保がなされなければならない、こういうように私は第二十八條は当然改正すべきであろうと思うのであります。なお團体交渉権につきましては、これは團体交渉権を認め、そうして必要な團体契約を結ぶことができるというような條文を、第九十八條に当然改正規定すべきであると思うのであります。なお政治活動につきましても、これは当然大巾に緩和しなければならない、こう考えるのであります。なおわれわれ專賣局職員組合といたしましては、先ほどの國鉄の公述人も述べましたように、基礎的に附則の二を削除いたしまして、次のことを挿入してもらいたい、こう思うのであります。それは「從來國家公務員法で規定する職員で鉄道、塩、しようのう、タバコの現業に從事する職員は、この法律施行とともに國家公務員の取扱いを受けない。前項の規定に関する職員については、現行労働関係法を適用するものとする。」この一項をぜひ加えていただきたいとお願いする次第であります。 次に私は官廳民主化の立場から、若干重要な問題があると思うのであります。それはもしこれが改惡されて、内容が骨抜きになつたならば、終戰以來今まで全官公廳の大多数を占める勤労者諸君が、労働組合をつくつて役所の民主化をはかつて行く、こういうふうに日本の民主化が官廳労働組合を中心として民主化されつつあることは事実であります。そういうふうな趨勢が、ここで骨抜きされたならば、また元の状態にもどつてしまう。このことは非常に重要なことじやないかと私は思うのであります。その点におきましても、この内容について、とにかくわれわれが極東十六原則並びに日本憲法に明示せられたところの労働者の基本的権利をあくまで確保する、侵害されてはならない、こう私は思うのであります。そうして公務員を一般労働者と区別して、特別な立場に置くことは、官僚の反動化の素地をつくることになるのでありまして、行政の民主化を著しく阻害すると私は思うのであります。どうか皆さんにおかれましても、官廳民主化の立場から、ぜひこの内容について、團体交渉権なり、あるいは労働協約なり、そういつた重要な今までのものは、ぜひ確保していただきたい。そうしなければ、日本の國自体の民主化が非常に危險な方向に流れて行くということを、私はここで指摘したいと思うのであります。 大体以上のような総括的なことを私は申し上げましたが、具体的な問題につきましては、今までの公述人の方の陳述と同じでありますので、省略させていただきます。以上であります。
○角田委員長 次に日本経営者團体連盟の鹿内信隆君にお願いします。
○鹿内公述人 日本経営者團体連盟の鹿内でございます。このたび上程になつておりまする公務員法改正の問題について、私自身の見解でございますが、それを少しく申し上げてみたいと思います。 私はこの公務員法の改正をこのたびの議会で、お取上げになるまでの経緯が、今度のこの公務員法の内容を決定する非常に大きな要因になるだろうと思うのであります。御承知のように、われわれ経営者側の者の考え方といたしましては、日本の経済が民主的に再建されることこそ、われわれの今後生きて行く最大要件であるということを考えておりますので、その意味におきましては、労資あるいは使用者と勤労者の関係が、新しい形でこの再建の非常に大きな條件として確立されることを念願しておるものであります。その意味におきましては、このたびの公務員法の改正は、いささかわれわれとしては非常に不幸な事態であると考えておるものであります。しかしながら御承知のように敗戰に基いて労働者諸君に與えられたこの労働権というものは、ある意味において偶然であります。この與えられた労働権というものは、社会公共の福祉のために、その負託にまつたく沿うような行使が今日までなされて來たとしたならば、おそらくこのたびの公務員法の改正という問題も起らずに、官業労働者諸君の組合がほんとうに民主化され、その民主的運営の上に、社会の負託に沿つて行くことができたのではないか、そういうふうに考えるものでありますが、御承知のように官業労働者諸君の――あるいはこれは一部の方のことになるかもしれませんか、日本の労働運動におきまして、官業労働運動というものは非常に特異な形をとつております。御承知のように日本の労働攻勢の最頂点に立つて、官業労働者諸君が終戰後の労働運動に動いて來られたこと、これもまた事実でございます。そういう意味におきまして、それなら官業労働者諸君が今日までとつて來られた労働運動それ自体が、ほんとうに日本再建のために新しき適切な行動であつたかということならば、この改正の問題も、あながちこういう形で起らなくてもよかつたのではないか。そこに私は過般の二・一ゼネスト、その後におきまする今年の七月の官業労働者諸君の運動形態、それをお考えいただきますと、その四月手取り五千二百円という賃金要求の前提要件として御承知のような物價改訂絶対反対、あるいは大衆課税の絶対反対、あるいは行政整理の反対、あるいは最高賃金制の反対、あるいは紛爭処理機関設置の反対、こういうふうな、あるいは國会自身においても現在御決定になるのにきわめて困難な政治的要件が、その要求の前提條件として掲げられて参つたのであります。そのためにその運動の要求は、御承知のように、あるいは議会外の大衆動員によつて、その目的が達せられるような方向へそれが要求されて來ることになれば、明らかにそこに大きな社会的な指彈というものがあつてしかるべきであると思うのであります。その結果私は不幸にして、この國家公務員法の改正という書簡が突如として、まつたく突如として七月二十二日に発せられた。こういうことはわれわれの民主的な再建途上において非常に不幸なことだと考えます。しかしながらこの書簡というものは、やはり偶然によつて與えられた労働権というものが、労働者諸君の深い反省の立場から再び新しい建設へ向う。そういう意味であるいはこのたびの改正の内容はかなりシーリアスなものに一度は後退してもらう。そして將來われわれが考えるような、賢明にして叡知ある行動に基く労働組合運動のために、また社会、また國民の総意である議会においても当然納得のできる段階にその次の労働権の拡張というようなところに進んでいただくことが、このたびの改正そのものが、明らかに今までの労働組合運動に対する非常に大きな戒告的な意味によつて発せられておる。こういう事態から考えて、私はそういう基本的な考え方を持つておるものでございます。そういう意味において、このたび御檢討になつておられる原案そのものについては、大体においての賛成をいたしておる者でございます。ただ私たちが新聞紙上で仄聞しておりますところによりますると、この書簡が発せられた当時のこの問題の扱い方と、その後におけるいろいろな政治情勢、その他を御勘案になつた扱い方との間に、かなりのギヤツプが出ておるのではないか。そういうことは、私たちがある一部の方の声を聞いておりますると、この問題の扱い方は時間をかけることによつて、その本質的な扱い方についてもわれわれの攻勢によつてかなり緩和することをわれわれとしては努力するんだというようなことを、考えておられる方もあるようなので、私はこの段階において、むしろ將來の労働者の労働権というものの健全なるあり方のためにも、この際は少し耐え忍んでいただくということの方が望ましい。こういうふうに考えて、今のこの問題が取上げられた後におけるいろいろな復雜な、そして私たちには納得の行かないようなことが、たびたび新聞紙上でも拜見することを非常に遺憾に思つておるものでございます。 大体の基本的な考え方をその程度に申し上げて、少しくただいまの案そのものの内容についての意見を述べさしていただきたいと思います。問題になりました第九十八條の内容の問題であります。御承知のように、ここでは團結権、團体交渉権、爭議権の問題が取上げられておりまするが、本條の二項におきまする職員の組合または團体については、新しく第一次の改正案の附則第四條において、「組合又は團体に関して必要な事項は、法律又は人事院規則で定める。」ということになつております。この規定によりますると、現存の労働組合法に基いた團体が、そのまま引続いて存続せしめられるということになるわけでありまするが、この考え方については私は反対でございます。公務員法の職員組合または團体は、明らかにこのたびの公務員法の改正に基いて、質的な大きな変化をもたらしておるのでありまするから、新しき公務員法に基く組合は、その目的、構成あるいは組合員の範囲、活動、組織、それから手続、規約というようなものを設けられて、その設けられたものとおける組合というものが、生れかわつたその規約に基いて新しく建て直されるというものでなければならないと思うのであります。それからこの組合の範囲あるいは活動、組織というような問題につきましては、すでに公共企業体の労働関係法案の中の職員の團結権で、非組合員となる者については、管理または監督の地位にある者及び機密の事項を取扱う者、こういうふうなかなりはつきりした規定がきめられております。また組合規約の必要記載事項の中にも、無記名投票による役員選挙及び組合員に関する会計報告をなさしめる、あるいはまた組合資金の定期的な監査を行う、こういうふうにかなり組合規約その他職員の範囲というようなものが明確に示されておりまするので、この公務員法の中にも、この程度の明確な規定を一つおきめいただきたいと考えるのであります。 それから團体交渉の問題でありますが、給與準則に規定せらるるということのこの給與準則そのものが、今この中できめられている交渉の議題とされることがないのだということを、はつきりきめていただいた方がよろしいのではないかと考えます。 それから「社交的厚生的活動」云々という字句がございますが、御承知のように福利厚生的なものの管理全般を組合に委任するということも、この文章の中には考えられるのではないか。それはこの段階においては、私たちがいろいろな工場における福利施設の管理を全面的に移讓した結果、必ずしも成功をしておりません。それを申し上げておりますと非常に長くなりまするので、要するに組合に参加できる範囲、限界、それから國家意思がそれに滲透し得るような規定、そういうようなアローワンスがあつてよろしいのではないかと考えます。 それから第百二條の政治的行為に関する問題であります。 そこでは人事院規則で行めるということになつておりますが、この人事院規則で定めるという事項を削除していただいた方が一層明確になるのではないか。 それから全般的な問題についてでありますが、先ほど労働組合側の方のお話にありました労働基準法そのものの問題であります。ここでは労働基準法そのものには触れておられないのでありますが、現行の労働基準法そのものには、むしろ肉体労働的な勤労者諸君を対象にしたものが盛られておりまするがために、事務所あるいはホワイト・カラーというような面における労働基準法のまつたき成功というものは非常に困難な事情が多々あるのであります。そういうような事情から、公務員法に基く官公吏の労働基準法というものも、新しく公務員法が改正をせられた趣旨にのつとりまして、これらの設定が望ましいということを私は最後に申し上げて、私の責めを果したいと思います。
○角田委員長 次に全日本大金属労働組合準備会の徳原弘君にお願いいたします。
○徳原公述人 私は全日本大金属労働組合準備会の書記長をやつております徳原と申します。本日この席上で、私は金属労働者十八万の公務員法改惡に対する態度を率直にお話申し上げたいと思います。 対日理事会のシーボルト議長の言明によつても、マツカーサー書簡は示唆であるということを言われておりますが、政府はともすればこれを命令であるとして、依然として國際的にも、また國内的にもポツダム政令、憲法違反という立場から論議されているこの問題をなおざりにして、すでに公務員法改訂の問題を議会に上程しております。しかも現在そういう情勢の中で、公務員法改惡の具体的な問題がわれわれ労働者階級をおおつておるのであります。北九州においても、またあらゆる地域においてすでに官憲と結びついた彈圧というものが始まつておるし、また公務員法改惡のこの精神が、全資本家階級の精神となつてわれわれ全労働者を苦しめております。その意味でわれわれは、これを單に全官公労二百六十万の方々の問題でなく、全労働者階級の問題として、公務員法改惡はもちろんのこと、むしろこのようにまぎらわしい問題を惹起するところの國家公務員法そのものを一日も早く廃止されることを希望するものであります。人事院は民主主義の精神に反して、一般政府職員の人事行政全般にわたつて、まさに独裁的な権限をほしいままにしておる。これはわれわれがこの法案の内容について風聞しているところであります。このような人事院の独裁的な方向は、まさに内閣そのものからも独立し、また民意を代表して人民のための政治をしかれる代議士の方々の意見すらも盛り込まれないような、このような機構の上に立つているということは、從來日本の民主化のために最もその障害とされておる現在の封建的な官僚制度そのものを、徹底的に民主化して行くための大きな仕事、これをまさに徹底的に妨げるものであるというふうに私たち鉄鋼労働者は考えております。 次に八月二十八日の対日理事会においてキスレンコソ連代表はもちろんのこと、パトリツク英連邦代表は、マツカーサー元帥は現業、非現業をはつきり区別しておるけれども、日本政府はこれを明確に認識しておらないということを述べておられます。しかも個有の民間企業、それに類似するような現業に携わつている官公労の労働者に対して個有の政府職員並の制限を付する必要はないということも、明確に述べられていると思います。しかも現在政府は現業、非現業を含めて、全官公廳從業員二百六十万に及ぶ労働組合員の反対する、また國際的にはポツダム宣言、極東委員会の十六原則に反する、あるいは國内的には憲法によつて保障されたところの実に貴重な、われわれ労働者の團体交渉権、罷業権、また職務專念の義務というような規定によつて、組合專從者というものを実質的に否定し、勤務時間中の組合活動そのものも認めず、事業上はもはや團結権すら圧殺して行くという方向に向つておることは、決してわれわれ労働者として無視することはできないと考えます。しかもこのことは、おそらく行政整理によるところの大量首切りを前提としているのではないかというふうにわれわれは考えざるを得ない。さらにまた先ほど有名な首切り重役として天下に名をうたわれておるところの渡邊氏の御意見によれば、思想の自由、政党支持、加入の自由、あるいはまた政治活動の自由、そういうものを非常に否定せられておるようでありますが、その精神がやはり依然としてこの國家公務員法の中に盛られておるということは、決してわれわれはこれを偶然視し得いのであります。われわれは敗戰後、日本民主化の推進力としての労働組合というものがマツカーサー元帥により、また政府によつて保護助長されておつたという形を考え、また実際にそれゆえにこそ、労働者の自覚から日本の民主革命を徹底的に遂行して、ほんとうに樂しい日本というものを再建すべく努力して來たものでありますが、このような反動的な法案が実施されるならば、もはやそのことは夢になつてしまうと思うのであります。從つてわれわれは、今までにかち得たところのものをあくまでも既得権として守り拔いて行くことが、われわれ労働者として、いな人民として当然なすべきことであり、また今後生れて來るであろう日本の民族のためにも、徹底的に守つて行かなければならない問題であると思います。また先ほど鹿内さんは、非常に明瞭に階級的の立場に立つてこの法案についての御意見をるる述べられました。すなわち九月九日の日経連の大会でもつて全國からお集りになつた経営者の方々四百名の方たちがおおむね決定されたところの線に沿い、いとも勇敢に御意見を述べられたことと思いますが、この鹿内さんの言葉の中によつてこそ、われわれ公務員でないところの民間企業勞働者が、徹底的にこの法案に対して鬪つて行かなければならないという決意を、本日この席上でますます固めたということもまた偶然ではないと思います。さような精神をもつて全日本の資本家階級の方々が現在すでに実際行つておる。すなわち労働協約の一方的の破棄、あるいは罷業権、團結権、爭議権、そういうようなものも実際上振えないような立場に追い込んでおる。われわれは憲法によつてこれらの貴重な権利を獲得しておるとはいえ、しかしながら実際上に現在の労働者というものは、現実に食えないところの賃金をもつて働いておる。しかもそのような状態でもつて、労働條件の向上のために鬪爭を一たび展開すれば、法律上は確かに爭議権は認められておるけれども、実際上はどうかといえば、あすの米代がないというような現状であるのであります。このことは、むしろ今まで公務員法そのものの精神が、日本の資本家階級に一般的に行き渡らないその前においても、すでに実際的に労働者の爭議権というものは、非常に僅少の程度しか振い得なかつたという事実を私たちは無視することはできないと思う。しかもこの公務員法改惡をきつかけとして、労働條件の最低線を示したものであるというふうに言われておるところの労働基準法すら、改惡されようとする御意図が、先ほどの鹿内のさんのお言葉の中にも十分うかがわれるわけであります。從つて私たち民間企業の労働者においても、絶対にこの公務員法改惡に対しては反対であるということを繰返し申し述べて、金属労働者十八万の民意思をお傳えする次第であります。
○角田委員長 次に全日本産業別労働組合会議の吉田資治君にお願いします。
○吉田公述人 全日本産業別労働組合会議の事務局長吉田資治でございます。ただいま金属労働者を代表いたしまして徳原君が申し述べましたが、私は全然同意見であります。先ほど渡邊銕藏氏から全面的な支持の御発言がありました。このことは、この法案がどの階級の利益のためのものであるかということを明瞭に物語つておると思うのであります。われわれは労働階級の立場から絶対反対を表明するものであります。民主党内閣がこれを立案いたしまして、続いて民自党内閣がこれを議会に上程をする。民主党と民自党と、党はかわりましても、資本家階級の利益を代表するという点におきましてはいささかもかわれはないと私たちは考えております。この法案の精神は、先ほど渡邊氏が申し述べておられましたが、單に現在ここに現われておるだけでなしに、進んで人民の一切の権利を奪おうとする意図が含まれておると考えるのであります。渡邊氏は端的に共産党の問題に触れておられました。それが資本家階級の本音であり、この法案の底を流れている基本方針だと私たちは考えております。資本家階級は共産党に対して最も恐れております。それは自己の階級の支配と搾取を根底からくつがえすものは共産党以外にないということを、その階級的本能からよく知つておるからであります。從つて渡邊氏がこの法案の提出に賛成されめ機会を利用されまして、この本能的な恐怖の心情を吐露されたことは、実に当然なことだと考えるものであります。(「討論でないから注意してください」と呼ぶ者あり)私はこの法案を反対するにあたつてその基本方針に触れておるのであります。從つてこういう意味におきまして日本の労働階級は反対するのであります。この法案の提出される基本になつたのはマツカーサー元帥の書簡であります。これにつきましては先ほど公述人が言われておりましたから、私はこれを繰返す必要はないと考えるのでありますが、これに続くポツダム政令の実施にあたりましては、先ごろGHQの労働課長並びにその課長が辞表をたたきつけて本國へ帰られた。このときの声明に、言葉はいろいろでありましたけれども、その内容は、こんなことではだめだ、日本の民主化を促進するというポツダム宣言にもとるじやないか、これでは日本の再建も、占領政策すら実施できないじやないか、こういうふうな意味のことを言われておるのであります。なおこの問題につきましてオーストリヤ代表のパトリツク少將は、マツカーサー元帥の書簡を曲解いたしまして、これに頼つて労働者階級の権利を奪うというやり方を指摘された。オーストラリアでは公務員というのは直接行政に携わる者だけで、映画館の切符賣り同樣な仕事をしておる人たちを公務員として実施するのはきわめておかしい。こういうことを指摘されたのであります。なおソビエト代表部からの意見は、ポツダム政令のみならず、マツカーサー元帥の書簡そのものの撤回をすら要求されておりました。こういうふうにしまして右はキレン氏から左はキスレンコ少將に至るまで、國際的な民主的勢力は、かかる政令の発布や、このに基く法案の改惡については、絶対反対の意見が表明されておるのであります。ひとり國内の労働者階級が反対しておるのではないのであります。われわれはそういう立場から、現在の政府の意図されておる國家公務員法の改惡のこの案の上程は、日本の民主化の方向と逆行するものである。ポツダム宣言の精神に違反するものである。人民の一切の権利を奪い奴隷的な状態において從來の資本家的な搾取と支配の形態を持続せんとするところの陰謀であると断ぜざるを得ないのであります。われわれはそういう意味で、眞に日本の民主的な再建、日本の繁榮、そうして何ものにも拘束されることのない日本の自主性をわれわれが鬪い取るためには、かかる資本家階級の利益のための法案を、われわれは許容するわけにはいかない。労働者階級を先登にいたします、日本民族の九五%を占めるところの勤労階級の意見を代表する者こそが、眞に日本を再建させる要素であるとわれわれは信じておるのであります。それゆえに本公聽会におきましては、われわれはこの勤労階級の意見を代表いたしまして反対の意見を表明し、本法案が議会においてこの國民の輿論を反映して否決されんことを私は要望したいのであります。アメリカにおきましては、労働者の権利を抑圧したところのタフト・ハートレー法案に賛成した議員諸氏が、ほとんど多数今度の選挙において落選したということは、これは人事ではないはずであります。日本の労働者階級といえども、自己の利益を蹂躪し、その権利の無視せんとするいかなる行動に対しても、決して目をつぶつてはいないのであります。大きな目を見開いて、かかる行動に対して常に注視をしておるのであります。私はそのことを最後につけ加えまして、本法案の改正に対する反対のみならず、國家公務員法そのものの廃止にまで努力せられんことを要望する次第であります。
○角田委員長 これにて本日出席されました公述人全部より意見を聽取いたしました。引続き公述人の発言に対する質疑に入ります。玉井君。
○玉井委員 最初に市川公述人にお伺いいたしたいのであります。先ほど時間の関係でおそらくお話になれなかつたのではないかと想像いたしますが、進駐軍の労働組合関係の方のお話はよくわかりましたけれども、一般的に今回の國家公務員法に関しての御意見がはつきりしておりませんので、その点についての御意見をひとつお伺いいたしたいということと、特に爭議権に関する問題についてどのようにお考えになつておるか。この二点についてお伺いしたいと思います。
○市川公述人 ちよつと御質問の趣旨を伺いますが、第二点爭議権についてというのは、進駐軍の労働者の爭議権のことですか。
○玉井委員 そうではなく、公務員一般についての爭議権であります。
○市川公述人 御質疑に対してお答え申し上げます。私たち進駐軍の労働組合といたしましては、今度の公務員法の一部を改正する法律案、これは当然マツカーサー書簡に基いて改正せらるべきであるということを了承いたしまして、その上に立ちまして先ほどもるる申し上げた次第であります。特に直接の関係について先ほど述べたのでありますが、一般的な公務員法についての意見の重点を質疑されましたので、若干申し述べたいと思います。 まず特別職関係でありますが、現在行われておりますところの公務員法においては、特別職が十八種あげられております。それが今度の法案におきましては十二に縮小されておるのであります。こういうような点から考えてみましても、この改正法律案においては、現行の特別職に入つておるものをさえも、一般職の方に包含せしめて、より多くの制限を與えようとしておる意図がそこに見受けられるのであります。このように制限面のみを拡大するというような改正法律案に対しましては、反対をするものであります。 さらに私たちが最も直接関係のあります問題といたしましては、九十八條の問題であります。九十八條におきましては、新しい公務員法においての公務員の團体組織の件並びにそれらの代表の事柄についてきめられておりますが、この中の第二項におきまして「職員は、組合その他の團体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。職員は、これらの組織を通じて、代表者を自ら選んでこれを指名し、」云々というふうに、ここに代表を認めるような規定が出ておりますが、これらの代表につきましても、私たちの立場から言いますと、從來労働組合が組織せられまして以來、官公吏の労働組合におきましては、いわゆる政府の給與を受けての組合事務專從員というものが認められております。われわれ進駐軍の場合におきましても、きわめて短期間でありましたが、この政府給與支弁を受くるところの組合專從員が認められておつたのであります。ところが本年一月二十日に、これは司令部の労働課の勧告によりまして、労働組合の事務專從員は政府から給與を受くることは適当でない。よろしく組合の自主的な財政負担によつて組合活動に專念すべきであるというような勧告がありました。私たちといたしましてはその勧告を受入れまして、本年の二月一ぱいをもちましてこの政府の給與支弁というものを打切りまして、そうして組合費の支弁によるところの組合專從員を置いて、組合活動をしておるのであります。今度の改正法律案におきまして、もしこれらの代表の範囲につきまして、この改正條文では明瞭でないのでありますが、かりに同じく公務員の資格を持つた代表のみを、いわゆるこの法律の代表というように考えるならば、せつかく民主的な労働組合の発展のために、新しい示唆を受入れて、そうして組合事務專從員というものを自主的な財政負担によつてまかなつておるわれわれの組合といたしましては、もしそういう代表者に対する範囲の制約があつた場合においては、非常に大きな問題でありますので、九十八條のこれら代表には、いわゆる同じ組織体のうちの人たちと同じ資格の者はもちろん、その他の者であつてもその團体が民主的な手続によつて代表を選んだ場合においては、その資格の有無を問わず、この代表の中に包含すべきであるというように考えております。従いましてこの九十八條の代表という字句につきましては、われわれが、將來この法案が決定せられた後に、解釈上の疑義によつて不利益を受くるようなことのないように、明瞭な規定を要求したいのであります。
○角田委員長 時間の関係がありますから、簡單に結論的なものをお答え願いたい。
○市川公述人 その次は政治活動に対する制約であります。これまた他の公述人が述べましたように、この政治活動に対する制約が著しく強化されているという点、これはわれわれがやはりたとい公務員でありましても、その公務員一部の利益代表というのみでなく、一般の國民から信任せられて選出された限りにおいては、政治的な活動は可能なる範囲において許容すべきであるというふうに考えております。 さらに第二の爭議権の問題であります。これは公務員におきましても團結権、団体交渉権、これを今度の公務員法改正法律案においては一部認めております。しかしながら團体交渉権においては、労働協約を提結するところの権利は認めておらない。こういうような制限、これはもつと廣い権利を認めて、労働協約を締結するところの権利を認むべきであるというように解釈いたしております。
○中曽根康弘君 ちよつと関連して伺いたい。先ほど市川さんは、進駐軍関係の労務者は特別職にせよという御議論であります。進駐軍関係の公務員が一般の公務員と比べて特に不当な待遇を受けておる。たとえばあなたがさつきおつしやつたように、経費を支出するときには、進駐軍將校のサインがなければ支出できない、こういう例をお出しになりましたが、どういう点についと特に不当な待遇を受けておられるのか。箇條書き的に、簡單にひとつお述べ願いたい。
○市川公述人 進駐軍の労働者が他の公務員諸君と比較しまして、どれだけ不利な取扱いを受けておるかという点についての御質問でありますので、お答えいたします。 まず私たちがすでに政府に雇用せられましてから三年余を経んとしておりますが、未だに私たちの負傷あるいは疾病等に対するところの共済制度が何ら確立されておりません。いわゆる政府職員に対しましては國家公務員共済組合法が制定せられておりまして、全面的な保護がなされております。しかしながら進駐軍の労働者は、この國家公務員共済組合法から除外されておりまして、何ら実施せられおらないのであります。その過渡的な措置としては、單に給與規定の中におきまして、病氣の場合には九十日間を限つて有給の休暇的な措置が與えられております。なお父母、妻子等の死亡に際しましては、最高七日間を限つて忌引が認められております。この二点だけがいわゆる共済制度確立までの暫定的な措置として與えられております保護の唯一のものであります。しかもこの有給の九十日の休暇が認められておりますが、御承知のように今連合軍の部隊におきましては、経費節約という面から各部隊に定員制をしておるのであります。たとえばあるモーター・プールにおいてはドライバーが何名、修理工が何名、掃除夫が何名というふうに定員制がしかれております。從いましてもしかりに一名の者が病氣で医師の診断を受けて、休業の証明書を提出しまして、休業を承認せられたといたしましても、部隊の側といたしましては、五人で作業すべきものが一名減りますと作業能力が減りますので、ただちに補充という問題が起つてまいります。この際その休業を認められた者の籍がありますと、部隊側といたしましては補充することができないのであります。そのためにたまたま九十日の保障がありましても、その途中において、かりに二十日間だけ経過したときに、部隊側が作業上の必要によつて人員を補充するという場合には、この病氣で休んでおります者は、遺憾ながらここで解雇をせられまして、そして新たな者が補充せられるという状況になります。その場合に残つておる七十日間の保護をいかに取扱うかという問題であります。これは現実的に作業をしておらないという意味におきまして、部隊の將校のサインをもらうことができないのであります。労働組合と部隊との関係が円滑に行つているところにおきましては、部隊將校の好意的な理解のもとにサインをいただいて、そして残つておるその期間の作業保障をしてもらうことができますが、より多くの部隊におきましては、そういう理解を得ることが困難でありまして、二十日に至らずして、十日あるいは一週間くらいの休業によつて解雇せられてしまうというような状況になります。その際解雇せられた者に対していかなる退職保護がなされるかといいますと、現在退職給與規定もありますが、これまたその部隊におきまして、この者には退職給與をなすべきであるというサインがなされなければ、退職金も出ないというような状況であります。端的に申しまして共済制度の全面的な適用がまつたくない。またこれにかわる健康保險法の適用も何らなされておらないというような状況であります。さらに現行給與規定の中におきましても、ただいま関連して申し上げましたように、九十日間の有給の休暇がありまして、それが部隊將校の承認、理解がなければ得られないという点であります。これらの事柄は労働基準法の関係の事項の適用におきましても、また同じ條件であります。 さらに災害補償の点について申し上げますならば、労働者の業務上の傷痍疾病に対しましては、災害補償規定によりまして適用せられるようになつておりますか、私たち進駐軍労働者に対しましては、本年の十月二十一日かにようやく適用が決定せられたような状況でありまして、まつたく今までそういうような保障面がなんら実施せられなかつたというのが事実であります。
○玉井委員 全官の佐藤公述人にちよつとお伺いしたいのですが、先ほどお話の中で、國会及び政党の方の力から人事問題は離れて行つて、國会、政党の方の力の監督が党かなくなる。こういう点を言われましたが、その点を具体的にお伺いしたいのが一つ。それからもう一つは、法律顧問制度に関する問題のお話がありましたが、この点に関する御説明をお願いしたい。
○佐藤公述人 第二の問題からお答えしますが、人事委員会の法律顧問というようなものができることは、國会でその法律顧問が選出される場合、あるいは審議されてその人が人選される場合には問題はないにしても、人事委員会の今度の改正案がそつくりそのままの形で通つて、その法律顧問にどういう人がつくかはわからないのですが、もしそういうふうな顧問がつくことによつて、なおさら政党とか内閣議会というものから権限が独立しているので、その形がそのまま非常に固定化されると、これは非常に申し上げにくいことになるのですが、たとえば講和條約ができて、進駐されておる皆さんが日本から帰られても、そのあとに非常にかわらない環境がまたでき上つてしまう。 もう一点は、第三條、第四條、第十條それから第九十八條第五項、こういうふうな條項をごらんいただけばわかると思います。先ほど申し上げたように人事委員会が準司法的な権限をもつ。これは人事委員会が独立した権限をもつてしまうので、國会は人事委員会との関連が非常に少くなる。だから内閣の行政、國会の立法、裁判所の司法というものがあわせ持たれるから、國会との関係とか、政党などの関係が非常に稀薄になるし、切断されるということを申し上げたい。今申し上げた條文を御理解いただけば、十分それが納得が行かれるのではないかと思います。
○高橋(禎)委員 今人事委員と國会との関係についてお話がありましたので、それに関連してあなたの御意見をちよつとお伺いいたします。私も実はその点について深い関心をもつているのですが、たとえば人事官の彈劾制度について御研究になりましたでしようか。お考えはありませんか。
○佐藤公述人 彈劾制度は研究というよりも、私たちは國家公務員法の制定がある場合には、全官労としては一般國民側からの官吏に対する彈劾権と、責任追究の余地とを残してくれという主張をしておりました。
○高橋(禎)委員 この人事官の彈劾についての訴追は内閣がするということについては、どうお考えになるでしよう。ところが人事官は内閣が任命をして、そして行政権は内閣に属して、その行政権行使については内閣が連帶して國家に対して責任を負う。そういうことになつておるのですが、その内閣が人事官彈劾訴追権をもつていたのでは、そこのところが國会との関連において非常に薄弱になる。また彈劾訴追権の公正なる行使ということが非常に危ぶまれるというふうにも考えられるのですが、やはりこの人事院が準司法的機関であるということになれば、裁判官の彈劾を、國会を中心とする特別の裁判官彈劾制度を設けられたように、これに準じてやはり國会にもつと深い発言をもたせるような――たとえば國会で彈劾訴追権を持つておるという方が、行き方としてはいいのじやないかとも考えられるのですが、それらについてはどうでしよう。
○佐藤公述人 これは人事委員会――もとは官吏に対する彈劾権、それがだんだんかわつてきて、こういうふうになつたと思うのですが、私はやはり官吏に対する彈劾権とか、それからあなたのおつしやる人事委員会に対する問題……。
○玉井委員 人事官の彈劾です。
○佐藤公述人 だから人事官というものもやはり一つの官吏だと思う。だから前に主張したように、國民の側からの、もちろんそういうふうな人事官の追究の問題。それから國会側からのもちろんこういうふうな問題に対するいろいろな問題は、当然それは両方面からやらなければいかぬのではないかと考えます。
○島上委員 ちよつと佐藤君に伺いますが、先ほどの御意見を承つておりますと、今度出された國家公務員法の一部を改正する法律案に全面的に反対することはもちろん、現在の國家公務員法そのものにも反対である、こういう御意見のように伺いましたが、そういたしますと、國家公務員に関する法律は全然いらぬ。今のいわゆる労働三法を適用するだけで事足れりとお考えであるか。それとも現行の公務員法にかわるに、適当な何か法律が必要であるとお考えになるか、その点が第一。 第二にお伺いしたいのは、マツカーサー元帥の書簡に関連することですが、今、日本が置かれている立場からしまして、このマツカーサー元帥の書簡の内容の指示するところ、マツカーサー書簡の内容が示しているところのものを拒否し、あるいは無視するということができるかどうかという点。 それから第三の点は官公吏の――公務員の政治活動の点でありますが、私たちも、公務員の政治活動をこの改正案のように制限することには、もちろん賛成できないのでありますが、しかしさればといつて、たとえば現職の税務署長が民自党の支部長で衆議院に立候補する。あるいは現職の警察署長が共産党員で共産党の選挙運動をするというような場合があるとしましたならば、そういうこともさしつかえないとお考えであるかどうか。この三点を伺いたいと思います。
○佐藤公述人 第一点の現行の國家公務員法にも反対するのだ。これはもちろんわれわれは反対です。これは今の段階では、こういうふうなままの、こういうふうな法律は、これは非常に有害になる面が多い。裨益するところが非常に少い、そういうような立場から絶対に反対します。しかしこれは今の状態がかわつてきて、少くも労働者としての先決的な問題が解決されれば、そのときの状態いかんでは、もちろんわれわれは良識があるのですから、あるいは一般の國民、労働者というような区別がなくても、これは現実にうまくいくのではないか。こういうふうな考えのもとから反対します。 第二のマ書簡の問題ですが、マツカーサー元帥の書簡というものは、もちろんわれわれは芦田さんに來た手紙だからというので、端的にこれは捨て去るべきものではなく、われわれが問題にしているのは、マツカーサー書簡が出て、その書簡を芦田さんがいろいろ解釈して出されたことに問題があるわけです。ですからわれわれの場合は、マツカーサー元帥の書簡の内容の示唆は非常に重大だと思う。しかしわれわれの場合には、マツカーサー書簡が芦田さんに出されて、芦田さんがそれによつてわれわれにいろいろな問題を提起しているよけですから、われわれの場合には、マ書簡というのは、芦田さんに対する非常に大きな問題として取り扱つております。 それから第三番目の政治活動の問題は、これは政党支持の自由が、日本の民主化が徹底するまでは―今、共産党員で警察官というような例が引かれたと思いますが、あくまでも原則としては嚴守されて行かなければいけない。それからやはり過渡的な問題もいろいろ含まれると思うのですが、こういうふうな場合の情勢としては、ほんとうの民主化が一應常識的に世の中一般に具現されるまでは、政党支持の自由―これは民主化が徹底すれば、こういうふうなことは問題になりませんから、取り上げられる問題ではないと思うのですが、私は官吏でも警察官でも、どういうふうなものでも、自分の確信することだけで、人が納得行かないような問題では困りますが、それが非常に正しく、妥当である場合には、ぼくはこれは全然さしつかえない問題と考えます。
○島上委員 今の御答弁少しまだもの足りないのですが、私は政党に加入することだけを言つているのじやない。加入することはもちろんさしつかえないと思うのですが、かりに現職の―これは仮定しているのですよ。現職の税務署長が民自党の支部長で立候補するとか、もしくは候補者の應援をさかんにやる。自分が勤務する地区でそういう選挙運動をやる。現職の警察署長が共産党に入つて、その地区で立候補する。もしくはその地区で選挙運動をやるといつたようなことが弊害がなくて、許されてよろしいかどうかという点です。 それからマ書簡に対しては、非常に重大な示唆を含んでいるという御答弁でしたが、そのことは、マ書簡の指示することを正しく解釈するという意味においては、尊重しなければならぬということであるかどうか。
○佐藤公述人 第一点は、ぼくは程度の問題だと思う。たとえば税務署長が立候補するとか、あるいは選挙運動をやつても、自分の職業を全然問題にしないで、ほつて置いてそういうふうなことばかりやつていては、ぼくはもちろんまずいと思う。それは極端な例だと思うのですが、これはやはり自分の本格的な職業にあまり関係ないように、こういうふうなことは当然許さるべきだと私はお答えしたわけです。 それからマ書簡の内容については、重大なる示唆があるかもしれないけれども、われわれについて考える場合には、そのマ書簡を受けた芦田さんが、芦田さん流の解釈でわれわれにいろいろな問題を提起したところに、われわれは問題があるということを申し上げたのです。だからマ書簡は、直接には國民としては一應内容は檢討の余地はあると思う。ただそれが政府に來て、政府がわれわれを―われわれの場合ははつきりしていると思う。これによつて組合の彈圧の面ばかり考えて、給與の面なんか全然考えないというような、こういう出方がたまたま大方の傾向なので、われわれは芦田さんから出されたいろいろな問題について、問題にしているわけです。
○島上委員 まだ私は満足しませんが、つまり芦田さんなり吉田さんが出している國家公務員法改正の法律案は、マ書簡の示唆するものを正しく理解して、それを正しく理解した上に立つてものであるい、ないかという点には、私ども議論があると思うのです。私は自分の考えを言えば、正しく理解したものではない。勝手に自分の方に都合よく解釈したものである、こういうようにとつて、そういう意味においてわれわれは賛成しがたいところが多分にあるのです。國民としても檢討しなければならぬというお言葉でしたが、つまりマ書簡を正しく理解するという意味においては、尊重しなければならぬ立場にあるかどうか。それを拒否もしくは無視してもさしつかえないものであるかどうか。その点を簡單でけつこうですから……。
○佐藤公述人 それはこういうふうに申し上げたらわかると思うのです。全官公廳の労働組合としては、一應マ書簡がどういう内容であるか、政府にどういうような形で來たのかということを、非常に非礼な話ですが、質問書を出したことがあります。これについては向うから何も言つて参りませんが、われわれとしては、例えば原文の直訳と政府で訳したのにも相当問題があるわけです。ぼくは語学が堪能じやないから、例を引いて、こういうふうな言葉がこういうふうな解釈だということを申し上げられないのですが、たとえば示唆とかいろいろな解釈についても、われわれがマ書簡の直接の原文から解釈した場合と、政府が解釈してわれわれに出した場合と非常に違つております。だから、私はマツカーサー元帥は必ずしも政府で出したような前文の意図で出したのじやないというように考えております。
○島上委員 私の質問に対する答えになつていないが、それでよろしいです。
○角田委員長 次に相馬君。
○相馬委員 私は食糧配給公團の熊倉君にお尋ねいたします。十分と時間を制約した公述だつたので、こちらが聞き下手であつたかもわかりませんが、あなたの公述されたことを聞きますと、改正を前提として、改正されるだろうという意味合いにおいて、その中に食糧配給公團の者を入れてもらつては困る、こういうふうに響いたのですが、さよう了解してよろしいか。それとも國家公務員法に対しては、基本的な問題としては反対であるのか。この点が一つ。 第二点は、三級官以上の者は配給公團においても政府職員となつておる。その以外の者までもこの中へ入れるということは現実に沿わない、こういうお説に聞いたのでありますが、そうしますと、配給公團の中に國家公務員法で縛られてさしつかえない部面の人もあるが、そうでない者もあるから、だからこれを入れちやいけないのか。私の了解が違つていましたならば、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○熊倉公述人 お答えを申し上げたいと思います。もちろん労働者の基本的な面から、この改正案に対しましては絶対反対でございます。さらに第二点の問題でございますが、この点につきましては、先ほど公述の際におきまして、私申し上げましたことの要点が、相馬先生にははつきりしなかつたと存ずるわけでありますが、前公述者がすべての点に対しまして触れておりますので、私は省略さしていただく、こういうことでございました。さらに私どもの職員は、構成の面から見まして、三級官以上の者云々ということを私は申し上げたわけでありますが、三級官以上の者は政府職員ということに相なつております。しかもこの三級官以上の者が、大体二万四、五千人おると思います。あとの六万七、八千といういわゆる現業、非現業、そうしたような者に対してこの適用を受けてもよいのかというふうに相馬先場はお考えになつているようでありますが、私どもは現在そういう現業、非現業というような二つの組合を持つておりません。從いましてこの問題に対しましては、全面的に反対であるということでございますので、御了承を願いたいと思います。
○中曽根康弘君 熊倉さんからもやはり特別職に入れてくれというような御発言があつたように思うのでありますが、私食糧公團のことはあまり知りませんので、素朴な質問ですがひとつ教えていただきたい。食糧公團の今の職員の方々は兼職をやつているのかどうか。たとえば今まで米屋をやつておつて、食糧公團の職員になつている人が多いと思うが、精米所を依然としてやつておりながら、しかも食糧公團の職員である、こういうような方々があるのですか。
○熊倉公述人 その点に対してお答え申し上げます。公團法によりまして、そういうことは絶対禁止をせられております。從來私どもの構成から申しますと、現在の八万七千の職員は、今日におきましては、大体はつきりした数字は申し上げられませんが、私の了察するところによりますと、大体六割程度は從來の業者がおると思います。さらにそこに店員として働いておつたような職員、これらのものがいわゆる事務系、現業を通じまして大体一万くらいいると思います。さらに終戰後この公團に移行いたしまして、いろいろな面からいたしまして、いわゆる私どもの專門的な言葉で外部と申しておりますが、外部から入つた職員がそのあとを占めているというような構成に相なつておりますので、先生のお尋ねになりまする食糧公團の職員は、統制上の配給所におる者で兼業しておる者というようなお話でございますが、これらの面に対しましては、全面的にございません。
○中曽根康弘君 そうしますと、公務員法の適用をしては困る、あるいは特に一般職では困るというような御議論は、経済的な理由からではないわけですな。
○熊倉公述人 経済的な理由もございます。ございますが、御承知のように、私どものようなまつたく私企業に近いような面に対しまして、爾來すでに特別職という一つの資格をもつておつたわけであります。これらの点から考えまして、今回の改正案を見ますと、一般職に包含をするということに相なつておりますが、これははなはだ不合理ではないかというふうに考えておるのであります。もちろんこれは、先ほど私公述の際に申し上げたわけでありますが、アメリカのパン屋さんのパンを燒いている職人あるいは配達をする職人とわれわれは何らかわからないわけであります。こうした方々がアメリカにおいて必ず公務員の資格を持つているのか、あるいは外されているのかというようなこともいろいろお話をいたしまして、食糧公團の場合は特別職ということに相なつておつたわけであります。
○中曽根康弘君 もう一つお伺いします。そうしますと、経済的な理由もあるが、アメリカの例その他を見ても、また前の取扱いは特別職であつたから、一般職に入れることは不当である、こういうような御議論と拝承いたしました。私はごもつともな御議論であろうと自分では感じております。しかし、といつてこれを特別職にしておいて、全然規制のないものにしてよいかどうかということも、食糧配給業務という相当重大な問題でありますから、考えを要するのでありますが、われわれが考えてみても、これは一種の現業官廳的な要素があるのであろうと思う。食糧を配給するという現業である。しうしますると、國鉄であるとか、あるいは專賣であるとか、塩を配給しておるものにも該当するように思われますので、現業官廳的な取扱いを、他のものと一緒にしたらどうかというような御議論に対しては、どういうような御見解を持つておりますか。
○熊倉公述人 私どもの企業の形態から申しまして、今考えられておりまするところの公共企業体というようなものが最も適当じやないか、こんなふうに考えております。
○中曽根康弘君 わかりました。
○相馬委員 小力君に一つお聞きしたいのであります。あなたの公述された中で、速記をとめられた部分というものは、われわれが今後法案を審議する上において、非常に重大なる関係を持ちます。というのは、相当長い期間をもつてこの法案が最初立法されて、ここに提案されているのですが、その間において、あなたが速記をとめてしやべられたようなことが事実であるとするならば、これは相当大きな問題であるから、さしつかえない範囲内において、速記をとめないで、もう一度そのことを繰返してお聞かせください。これだけです。
○角田委員長 それでは、ちよつとお待ち願つて、内容を聞いてから、そのことを許します。――ではその質疑應答を許します。
○小力公述人 それではお答えいたします。これは國家公務員法第九十八條の終りの項にあるのでありますが、警察職員、消防職員、あるいは海上保安廳の職員は、これらの第二項に規定するところの團体を結成し、もしくは加入することができない。こういう條項に関連してでありますが、これは全文を英訳いたしまして、われわれ警察関係を直迷監督しておるところのGHQに持つて行きまして、われわれの主張を申し述べたのであります。ところが向うの回答といたしましては、これはわれわれが知らなかつたことである。もしこれが事実とするならば、この法案を修正するために、われわれは諸君の力になつて闘おう。こういうような御回答を得たのであります。從つて私も、それまでは実際、まさかそういう事情があろうとは思いませんでしたので、保安廳当局あるいは人事院に行つて、再三われわれの立場を説明したのでありますが、諸君のあれはわかるが、これは解釈論ではどうしても出ぬ。立法論でなければできないから、とうていあなた方のあれには沿い得ないというような回答を得て、それでGHQに行つたところが、まつたくわれわれの意外とするような回答を得ましたので、その足でただちに人事院を訪れまして、こういうような回答であるが、だれがこういうような條項を入れたかというようなことをただしました。ところが、これは某事務官がうつかり口をすべらして、これは私初めて会つた方ですが、確かに人事院の事務官にい違いありませんが、この人が、実は警察から來て、この條項はどうしても入れてくれなくちや困る、そういうようなことを言われた。從つて海上保安廳はやはり警察職務を相当するものだから、ついでに巻添えを食つて入れた。こういうようなことを言われたのであります。從つて私といたしましては、特に委員の方に、先ほどもお願いしたように、かかることが許されるとしたら、日本の將來にとつて非常に危險きわまりないものである、從つてこの点を特に御留意の上に御調査をしていただきたい。そうして私といたしましては、こうしたことがないことを望んでやまないものであります。
○相馬委員 もう一つ、私は鹿内さんにお尋ねしようと思つたのですが、姿が見えないので非常に残念であるということを委員長に申し上げて、質問を終ります。
○角田委員長 その次は船田君。
○船田委員 日教組の金本公述人にお尋ねいたしたいと思います。先ほどのお話で、教育関係の職員を國家公務員法の適用から除外しなければならないという御意見が述べられたのでございますが、時間の関係から、非常に簡單に過ぎて、それの理由が十分に納得ができなかつたような点もあると思いますので、御迷惑でも、もう一度もう少し具体的に、なぜ除外されなければならないかということについて、お述べを願いたいと思います。
○金本公述人 お答えいたします。われわれは教育の本質面と、今日の教育行政の二つの面から、当然教育に関係する職員、つまり名づけて教育公務員と申し上げますが、教育公務員は、國家の教育行政機能の、いわゆる手段である行政官とは違うという見解に立つておるのであります。その教育の本質面につきまして、個人的な、あるいは全國の教員の考えがありまするが、それはさておきまして、簡單に、時間に制限がありますので、独善に陷らぬように、米國教育使節團の報告書の一部を読み上げます。 教師の能力が最もよく発揮できるのは、自由の雰囲氣の中でだけである。行政官の任務はこの雰囲氣をつくり出すことであつて、決してその逆ではない。兒童の持つているはかり知れない資質は、ただ自由主義という日の光を受けてのみ、ゆたかな実を結ぶものである。教師の任務はこの日光を與えることであつて、その逆ではないと、はつきり言つております。また、なお本質面についていろいろ申し上げたいのですが、行政面からいたしますると、御承知のごとく教育委員会が生れました。この教育委員会が生れましたのは、その教育委員会法の第一條にも明瞭にうたわれておりまするが、教育が不当な支配に服することなく、國民全体に対して直接に責任を負つて行わるべきであるという自覚のもとに、公正の民意により、地方の実情に即した教育行政を行うために、教育委員会を設けて、教育本來の目的を達成することを目的とするとうたわれまして、全然一般の行政機能と違つた立場で、教育委員会というものが生れております。そうしてこの教育委員会の職務権限というものは、やはり同法にはつきりとありますが、今まで文部大臣、知事、市町村長、地方議会の持つておりました教育上の権限の一切が、この教育委員会の手にあるのであります。ただ教育予算の議決権だけが目下地方議会の権限にあるだけでありまして、それ以外の教育上の権限の一切はこの教育委員に手にあるわけであります。文部大臣といえども、府縣の知事といえども、市町村長といえども、地方議会の議員といえども、何らの権能を持つておらないのであります。そうしてこの職務内容といたしましては、第四十九條にはつきりありますが、学校の設置、廃止、管理、運営から教員の免許状の発行、教科書の檢定、一切合財この教育委員会の権限になつております。しかるに教員の身分拘束だけを一般行政官の中に入れて拘束するということは、これはついこの間までわが國が受けておりました教育のいわゆる官僚統制、中央集権制、これと何ら本質的にかわりはありませんので、せつかく生れました教育委員会法の精神というものは、何にもならないわけになるのであります。そこで教員はやはり別個な一つの立場に立たなければならない。國家公務員及び地方公務員、そのほかに教育委員公務員というものがあつて、教育公務員は、先ほど申し述べました通り、まつたくある自由な雰囲氣において、何人にも拘束を受けない、不当な支配に服することのない教育を行わなければならないということであります。また、先ほども一言述べたのでありますが、同じく米國教育使節團の報告の中にも、繰返して申し上げますが、教師は他の公務員の持つている一切の特権と機会を與えられなければならないと、はつきりうたつてあります。以上のような見解におきまして、教育の本質面と今日の行政上の立場から、教育公務員――これは仮称でありますが――は國家行政機能のものとは全然性質が違うということを、申し上げたいのであります。
○松澤(兼)委員 関連して伺います。官立学校の教員は別としまして、一般大多数の教員が國家公務員でないということは、私どもよくわかるのであります。先ほどのお話の中に、教育公務員を何か特例で規定するというような話があるという仰せがあつたのでありますが、そういう具体的な事実がありますか、どうか。
○金本公述人 これについては、第二國会の会期終了の二日ばかり前でありますが、文部省があたふたと教育公務員の任免等に関する法律案というものを出しました。これは現行法の國家公務員法の附則十三條に、学校職員には特例を設けることができるという附則がありますが、その附則によつて特例を設けたのであります。その内容は、教員は職階制が当てはまらないということ、そういつたようなことからいたしました。ところがそれが第三國会の冒頭において撤回になりました。聞きますと、何か若干修正して出されるということを耳にしておるのであります。
○松澤(兼)委員 それではあの教育公務員の任免等に関する法律案をさしておつしやつたものと了解してよろしいのですか。そのほかに何か特例法というものをつくるということが、政府の中で協議せられておるのかどうか。
○金本公述人 あれであります。
○松澤(兼)委員 もう一つは、教育公務員法という單独立法をつくつてもらいたいということを、日教組の側から非常に強く要望されておるのでございますが、この点も私は賛成であります。しかし現状においては、教育公務員法という單独員ができても、國家公務員法と同一内容をもつたものであろうということは予測される。その場合においては、そういうものでも國家公務員法からはずして單独立法をつくつた方がいいのか。あるいは先ほどお読みになりましたような教育使節團の盛つている内容、そういうものを織り込んだ單独立法であることを條件とされるのか。
○金本公述人 われわれ教員の立場からいいますれば、われわれ教員の立場はやはり相当自由な立場に置かれなければならない。それは皆さんの御子弟を教育するにの、極端な例でありますが、いろいろの例の一つを申し上げたいと思いますが、たとえば、ある英語の先生が、英習字の時間に、三十度角に英語というものは書くのだといつて教えておつた。ところがそこへ校長さんが入つて來て、しかもその校長さんはすこぶる嚴格な校長先生でありまして、紙を一々机と平行に並べ直して歩いた。そこで英語の先生はたまりかねて、英習字は三十度の角でやるんだよ、と再び生徒に教えた。ところが校長はむつとして部屋に帰つて、後刻いろいろ批判を受け、遂に二月ごろになつた退職を言いつかつた。こういう恐しい実例がありますが、そういつたような、一つの権力支配による教育というものは、皆樣の御子弟を必ずそこねるものであるということを、われわれは確信しておるのであります。やはり教員には教員として、公民としての立場で自由な立場がなければ、皆樣の御子弟を十分人間としての個人の價値、個人の尊嚴としての立場からの教育はむりではないか。こういう意味で申し上げておるのであります。
○松澤(兼)委員 そういたしますと、現在問題になつておる國家公務員法と同じような内容のものは、やはり教育公務員法としても反対するというお考えかどうかということと、それから今度の法律案によりますと、政令は、この國家公務員法の改正が実施されるときには、國家公務員に対しては適用されないということになつておるようであります。そうすると、地方公務員と教育公務員に対しては、政令が有効であるというふうにもとれないことはないのでありますが、政令がさらに教育公務員を縛るということについては、どういうお考えを持つておりますか。
○金本公述人 前の御質問の、國家公務員法の同一内容であつたらということでありますが、前にも述べましたように、われわれはやはり、若干國家公務員、地方公務員と内容が本質的に違わなければならない。そういう建前において教育公務員法を單独立法すべきである。万イいろいろなことで國家公務員あるいは地方公務員と一切合財が同じだといつても、今日の行政面から考えまして、これは当然別個のわくに入らなければならないのであります。人事の拘束だけを一般行政に置いて、そうでないものがわかれているという、こんな矛盾したものがもし日本の國法にあるとすれば、実にこれはこつけいしごくだと私は言わなければならぬ。こういうふうな意味で、かりに全然内容が同じでありましても、全然別なわくで行かなければならぬ。しかしわれわれの主張、それではなく、やはり教育は教育の立場で、ある種の相違がなければならない。それは、やはり米國教育使節團の例をあげますが、教師みずからが組織した会合が通常最も効果のあることは確かである。教員組合も含めたあらゆる種類の教師の團体には、結社の自由が與えらるべきである。思想を廣めるためには、会合を催す権利はこの上なく重要な民主々義の原則である。こういうように教員の自由というものに対して、非常に擁護しておるという事実も、またわれわれは考えなければならない。それから政令の問題でありますが、政令二百一号に対しましては、日本教職員組合においては遠憲であるという見解をとつております。從つてこれは当然廃止さるべきものであるという見解に立つております。
○松澤(兼)委員 私の質問の仕方が惡かつたのでありますが、この改正法が実施された場合には、國家公務員だけが政令からはずされるわけで、その反対に言えば、地方公務員と教育公務員は、新しい法律ができない限りは政令によつてしばらくの間縛られるであろう。ほかの法律はないのですから、それよりほかにしかたがありませんが、それに対してどういう考えか。本質論は別ですけれども……。
○金本公述人 当然これは廃止するようにしていただかなければいけないと思います。
○角田委員長 徳田君。
○徳田委員 渡邊銕藏君にお尋ねします。あなたはさきの陳述のときに、共産党員は公務員になつてはいなぬ、これは除いてしまえ、こういうことを言われたそうですが、理由はどうなのですか。
○渡邊公述人 理由は――午前中の速記はまだ読まれませんか。
○徳田委員 読みません。大体は知つていますが、あなたの言葉を聞いてからの方がいいと思いますから、ひとつ言うてみてください。
○渡邊公述人 ではあらためて申し上げます。詳しく申し述べると非常に長くなることと思いますから、簡單に申し上げます。 一つは、私の六箇月間における爭議の結果として感じたこと、それはあの東宝の爭議は、労働爭議ではないのであります。一つの会社と組合との爭議ではなくして、あれは共産党と東宝との鬪いである。徳田君が絶えずあそこへ來て煽動演説をやる。幸いに爭議が終結しても、まだあそこへ來て煽動しておる。こういう証拠はあとで幾らでも世間に発表します。一党の総裁が、自由党の総裁であれ、社会党の党首であれ、一つの爭議に來て直接に指導するということはありません。なおこれを証明することは、すでに新聞、雜誌等について書いておりまするからこれ以上申しません。結論だけを申しておきます。 なおそれを証明することをもう一ぺん言い直します。一千名を整理したのでありますけれども、四分の三は一箇月にして終了いたした、何らの異議もなく円満に。しかるに撮影所を中心とする共産党員及び日映演、地方の数名の共産党員だけが提訴して、都労委ではそれを扱つておる。共産党の都会議員である岩田君が直接指導しておる、徳田君が直接に指導される、こういう事実があつたのであります。私はあの爭議は会社と労働組合の爭議ではない。労働組合との爭議ならば、一千名を解雇したときに、ただちに共産党の組合である日映演のみならず、反共の組合である全映演こぞつて蹶起しなければならぬのに、そういうことはなく、反共の組合は默々として円満に解決し、日映演も大部分は解決し、ただ一部共産党員だけがああいう爭いをしたのであります。それで徳田さんの直接指揮ということを私どもは痛感して、さような結論をする。全体としてそういう事実があつたことが一つ。 いま一つは私は共産党というものについて――昨年も五大政党というので一緒に公開演説に立ち会つたことがあります。しかし私は共産党を普通の政党とは考えていない。他の政党――社会党とかにも多少共通的な社会経済理念がありましようが、大体が社会党の大多数におきましても、殊に民主党、自由党においては、その國の実情に應じた政策、大体において資本主義の経済体制といわれておりまするが、また今日のような憲法において與えられた政治組織のもとにおける運行をいたし、それで國民の生活事業、あるいは文化を守つて行こう、こういうのでありますが、共産党は世界に一定の思想のもとに超國家的の政党であります。超國家的の政党であるということは是認されるでしよう。そこで今日のわれわれの爭議を通じて見ましても、あの爭議に産別が全部こぞつてわれわれを包囲攻撃しました。それを鬪い拔いたのです。國鉄も見えたが、全逓、日通、あるいは……。 〔「簡單にやり」と呼ぶ者あり〕
○角田委員長 簡單に願います。
○渡邊公述人 簡單にと言いますと、それだけの重大な問題を……。 〔「結論を言え」と呼ぶ者あり〕
○渡邊公述人 結論は午前中に言つた通りで、今日午前中私がここで申し上げたことを速記録をあとで読んでいただけばいい。今日午前中に述べたことに、もう一つ、あれにまた例としては、私はたとえば全財であるとか、あるいは殊に義務教育を負担する教員組合、そういうものについてはも、公職について適宜に考えてもらいたい。午前の趣旨はそういうこと。ただ例というものは、もつと考えなければならぬ。一般的論と部分的論というものは、これは憲法問題の可否を論議することと、現実の日本の共産党のやり方というものを詳しく解剖して見て、それが私の考えておる、私の把握しておる事実だけにとどまるか、また議会の各位がもつて材料を持つておられるか、あるいは政府はもつて深刻な材料を持つておるかもしれません。それらによつてどういう範囲においてこの問題が考えられて行くか、取扱われて行くか、こういうことになつて來ると思う。
○徳田委員 あんたの主張によりますと、要するにあなたは苦しめられた。私が爭議を指導したとか、岩田君が指導したとか言うが、だれが指導したとていいじやないか。爭議を指導していかぬということがありますか。だれが指導したつていいのだ。われわれが法律を犯せば、法律上の責任を負わねばならぬ。指導したのがなんだ。しかるにあんた方はどうした、日経連で指導しておるじやないか。全労働者が、あれを助けるのはあたりますじやないか。同一の利益を感ずる労働者がこれを援助するのはなんでもない。それが惡いからこの公務員から共産党がいけないと言うなら。あなた方どうした、日経連はどうした。日経連は全体として、今でもみんな各爭議に対して團結してやつておる、指令まで発してやつておる。ちやんと証拠を握つておる。さらにあなたはこの東宝のときにどうだ、武力をもつて彈圧したじやないか。共産党がどうしてあの武器を持つたか。あんたは武器を持つて共産党は政府を轉覆する云々と言うけれども、一体はあなたはどうだ。武力をもつて共産党に向つたのみならず、全労働者に向つて彈圧を加えたじやないか、暴行も加えたじやないか。
○角田委員長 徳田君に御注意しますが、討論でなく、質問にしていただきたい。なるべくそれも一問一答くらいにしていただきたい。
○徳田委員 そういう意味において、それならば爭議を應援し、――そういうことはすべて政党は、これは資本家にかかわらず、労働者にかかわらず、どつちでもすべて拔けというならば、日本でいかなる政党だつて全部公務員になれない、それは一体何だ、そういう趣旨かどうか、これを聞きたい。
○渡邊公述人 三つお答えいたしましよう。今徳田君が言われたことは二つでありますが、もう一つつけ加えないといけない。今日経連がバツクにおつたという、それは産業界全体の問題であります。法律の解釈すべてにつき経驗ある者の意見を聞き、ことにこの経営権人事権を回復するということは共通の問題であります。そうしてこの日経連というものは決して危險な團体ではないのであります。ところが私は共産党に対しては危險を感じておる。それは一会社としての危險ではない、日本國家の上から危險を感じておる。これはこれだけにしておきまして、 第二の武力。東宝は武力をもつておりませんし、それを行使する権限ももつておりません。かようなことを徳田君がここで言われることはまことに意外千万なことであります。かの爭議に際し、都労委で解雇問題について十数回審議がなされて、それで円満にとは行かなくても、とにかくそこで合法的の解決がつくのに、それを待たずして会社が事業ができないように多数の團体があそこへ侵入してきた。それはすべて共産党である、共産党の團体である。共産党事務局、共産党相談所というものがあの中にできた。神奈川共産党支部も來る、朝鮮人連盟も來る。産別の東芝その他たくさん入誠て占領しておる。そうして新聞雜誌にあるような防備を施しておる。会社から行きます場合には、私いつも單身で行つた。もう一つ……。
○徳田委員 問題にならぬ。
○渡邊公述人 問題にならぬことではありません。ちようどいいことを徳田君が聞いてくれたから、この天下の議会の席上において私はこれを一言いたしたいと思います。解雇を発表したときにも、共産党員は、君は殺されるかもしれないということを言つた。馬淵君は仮執行するならば殺すぞといつて脅かされておる、そういうことであります。さてこの仮処分ということはどういうことで行われたか。まず組合側が先に申請した、三日遅れて東宝会社が仮処分をした……。
○角田委員長 本件に関係のないことはひとつ……。
○渡邊公述人 本件に関係したことです。武力ということを言われるから――武力は國家が権威を守り憲法を守るために実行したものであります。 それから第三点を申し上げておかなければならぬ。國家公務員法について、爭議の経驗から得た体驗を申すというのは、事業の一端にすぎないのでありまして、全世界を見ておる、アメリカの事情を見ておる。それでアメリカの共産党員に対する公職からの追放というようなある程度の制限とかいう種類の立法の経過等も見ておりまして、日本の現状において共産党の諸君のやられるありさまを見るときに、日本においても同樣の必要があるということを感じておる。その限度がどこまで日本の実情において行くべきかということはなお研究を要する。憲法その他の法律的の解釈ということについてもなお研究を要すると思つております。
○徳田委員 ほかのことはうわごとだからどうでもいいが、今アメリカの共産主義者が特別制限を受けているということは、タフト・ハートレー法だが、これは廃止されることになつておる。それから非米委員会、これは一体何だ。これは今や停止されておる。むしろ非米委員会の委員長は何をやつたか。これは國の経費を食いつぶしておる。そういう意味で、こういうことをするのはよくないのだ。こういうものはみな廃止されておる。これはトルーマン全体の政策からいつても、共産主義者を云々と言うに睦つては、これは共産主義者を恐れての話だ。共産主義がおつかないのは、君らが正当なことをやつていないことに基因する。君らは政府政府と言うけれども、今の政府は資本家の政府亭ある。政府が使う武力は君らが責任を負いべきだ。
○渡邊公述人 今の点について答えます。アメリカの例について徳田君の言われることは、そこに多少の誤りがあると思うのであります。公職追放はタフト・ハートレー法案ではない。大統領が一昨年の秋、ことに昨年の春三月ごろでありましたでしようか。教書を出しまして、それによつて官吏に忠誠を誓わしめ、それから種々の調査が始まり、大体予算も二千万ドルも使つたと思います。旅券の下附その他のことをやつた。それはタフト・ハートレー法案ではない。それからタフト・ハートレー法案も、日本にはこれが廃止されるという電報が簡單に來ておりますが、これはおそらく廃止するといつても、あの名前のついた労働関係法規が廃止されるのではない。レーバー・リレーシヨン・アクト、つまり日本の労働組合法に当る労働関係法その他関係法規が廃止されるわけでは絶対にない、数箇の條項が改められるだけのことだと思うのであります。共産党員が役人になるには宣誓を要する。裏からいえば、労働組合の役員に共産党員はなれない。少くとも労働関係法の保護を失うという規定は、はたして廃止されるかどうかわからぬ。先般の電報によりましても、クローズド・シヨツプの問題ぐらいはどうなるかわからぬが、今の問題につきましては、現在のアメリカの労働長官が、労働組合の役員に共産党員がなれないということは、企業の経営の方にも同樣の規定が設けられるならば是認し得る、かように申した電報が日本の新聞に出ておる。日本の新聞をお読みなさい。
○菊川委員 私渡邊さんに続いてお尋ねしたいと思う。今共産党員排除の問題を、アメリカの例についていろいろお話になりましたが、これを日本に適用するについては日本の憲法上の問題を研究しなければならない、こういうことをちよつと言われたようであります。ところが、日本の憲法に問題につきましては、いまさら研究するまでもなく、この問題については不合理なお考えじやないかということを考えるのであります。私その点から二、三お尋ねしてみたいと思います。 われわれは言うまでもなく憲法第九十九條によつて憲法を尊重し、擁護する義務を負わされております。從つて今日われわれが國家公務員法の改正をするにあたりましては、われわれはまた憲法を尊重する義務を負うという建前から、あなたの御意見を伺つておるわけであります。ところが憲法には、たとえば第十九條におきまして、われわれは良心と思想の自由を認められております。また十四條におきましては、われわれ日本國民は「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会問関係において、差別されない。」こういうふうになつております。また公務員につきましては、十五條において「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者亭はない。」さらに十七條におきましては、この公務員の不法行為に対しては、國または公共團体に対して賠償を請求するところの権利も認められております。かような建前から見まして、今日日本憲法におきましては、共産党員なるがうえに特に公務員となることを差別待遇すべき任地がないわけであります。これは研究するまでもなく、そういう余地がないのだ現在の憲法であると私は考えておりますが、これに対して研究の余地があるというお考えはどういう点であるか、その点を伺いたいと思います。
○渡邊公述人 今日ここへ参りましたときには、実は何の問題で呼び出しを受けたかわかりませんので参つて、公務員法の問題を十分間話せと言われたので、私の脳裡にある問題をお話した。そうしてこういう着眼点をしておる。それは憲法の問題にも触れようし、なかなかむずかしい問題である。公務の範囲でもどういう範囲か。そして共産党と言いましても、私は三段にわけてお話したので、共産主義のユートピアの思想を抱いて研究したりしている、あるいは政党を組織してそれが活動する。第三の段階はそうでなしに、それがもう革命的の手段でもつて、あるいは強力手段で、ただちに國民の大多数が好まぬことを実行しようとする段階になつておるという、この三段にわけて、第三段目に到達したと見た場合に、ここで初めて問題が起る。そしてそこで全面的に日本の共産党をあらゆる公職からのけるということが言える程度に來ておるか。また今のように第三の段階の暴力革命でもやるということは、全面的であるか、はたして部分的であるか、その限度に應じて、法律においてそれを防止し、たとえば危險なるところを破壞される公職で――あるいは財務、あるいは一方においては電産、全逓というものもありますからこれは公職に限らないのであります。それは爭議の取締りの方とも関連しますが、そういうことについてわれわれは今根本的に考える時機に達しておると私は考えておるのであります。ことに法律論になると、なかなかむずかしいのであります。そこで一言ただ申したいのは、アメリカでも、これは違憲論が委員会で出たのであります。憲法問題で、何箇月ももめたのであります。これは憲法違反になるかどうかというのであつたが、結局これは憲法違反にならぬのだということで通過された。アメリカでは憲法を改正しなくともいいのだということで行つたけれども、フーパーあたりは、憲法を改正してもやるということまで言つておつた。日本の場合においては、憲法の規定及びポツダム宣言の規定及び基準法等の規定その他私の氣づかない規定がありましようが、容易に一律に一つの党とかいう名をつけて、これを公職から除外するというようなことは、なかなか困難であろうと思います。そうかといつて、憲法を改正してまでということは、これは重大でありまして、他にもそういう問題があつて、國家的の重要な場合にはそれも考えてもよいと思いますが、そこまでせずとも、この第三段階に共産党が達しておると認識された場合には――共産党でなくても他の團体または他の労働組合という、いろいろな團体でそういう行為をするおそれがある場合に、公職ばかりでなしに、労働組合の役員のことも一緒に考えられるわけです。そういうことについて共産党と名をつければ露骨なこともあります。それを避けている場合もあります。また避けた方が廣く適用される場合もあるから、政府を轉覆するとか、たとえば國家に危害を及ぼすとか、そういうことの規定でもよいのです。書き方はこれこれの公職にはつけないとか、あるいは人事委員会でそれを適用する場合の政治的の心得とか、いろいろの方法があろうと思います。しかし政治的にはそういう必要を感じているということを申し上げたのです。
○菊川委員 もう時間の関係上多く申しませんが、今伺つてみますと、かえつて危險な思想は、共産党よりも、むしろ共産党を攻撃されるところの渡邊さん御自身の考えである。たとえば今日民主的な日本憲法があるにかかわらず、憲法に基いて國民の基本的な権利をお考えなさるのはけつこうであります。しかるに憲法に幾多の研究の問題があると言いながら、その憲法を乘り越えて、ここに國家公務員のみならず、場合によれば他の方面にまで及ぼして、國民の基本的権利を制限されるということをお考えになる。これは國家非常の場合においてはやらなければならぬ、こういうことを言われる。これを言いかえますれば、これは恐るべきフアツシヨ思想である。
○角田委員長 簡單に願います。討論にならぬように。
○菊川委員 私はこれを議論することはやめますが、今日この席上において、さような御発言があつたということは、きわめて遺憾であり、しかもそういう発言をお持ちになつている方々が國家公務員法の改正に関して積極的な関心を示しておられる。これこそ國家公務員法改正に便乘する資本家的な反動であるということを申したいと思うのであります。
○角田委員長 本日の公聽会はこの程第にとどめたいと思います。公述人諸君におかれましては、御多用中のところ貴重な時間をさかれて御出席の上、熱心に御意見を開陳くださいましたことを、委員長として厚く感謝を申し上げます。次会は明十八日午前十時より公聽会を続けることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時九分散会