人事委員会 第12号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/11/27
会議録
○角田委員長 これより開会いたします。前会に引続き國家公務員法の一部を改正する法律案を議題として、その審査を進めます。これより、岡部政府委員より前会に引続き本案に対する説明を聽取いたします。
○岡部政府委員 昨日に続きまして第三章、官職の基準について御説明申し上げます。 その前に一言申し上げておきますが、昨日資料として御配付いたしました政治的行為に関する人事院規則試案は、これはまつたく試案でございます。昨日までの関係方面との折衝の経過に基く中間案でございまして、いまだ最終案ではございませんが、大体の骨子をお示ししたものと御了承いただきたいと思います。これに関する御説明は第百二條の際に譲らせていただきたいと存じます。 昨日は第二十七條、二十八條に関しましては比較的詳細に申し上げましたので、本日は二十九條から申し上げることにいたします。二十九條は職階制に関する規定でございまするが、これは主として技術的な規定でございます。その改正の要点を申し上げますると、現行法の規定のもとにおきましては、職階制に関する計画は、この法律の実施前に國会に提出してその承認を得なければならない、というようになつております。それでこの法律の実施前――実施前と申しますと、今年の七月一日になるわけでございますが、その前にこの職階制に関する計画を國会の御承認を得なければならぬ、こういうわけでございまするが、根本的な職階に関する計画は、今鋭意作成中でございまするので、とりあえずの計画といたしましては、第二國会において御審議、御制定をいただきました新給與実施法に関する職階制をもちまして、とりあえずこの職階制に関する計画としていただいたわけでありまして、そのことは新給與実施法の第一條にもうたつてございますし、その趣旨をまた重ねてこの改正法の第五項におきましてうたつたわけでございます。すなわち「政府職員の新給與実施に関する法律第十四條の規定による職務の分類は、これを本條その他の條項に規定された計画であつて、且つ、この法律の要請するところに適合するものとみなし、その改正が人事院によつて勧告され、國会によつて制定されるまで効力をもつものとする。」ということにいたしました。今後職階制に関しまして詳細なる計画ができます場合におきましては、その計画をやはり國会に提出いたしまして、御承認をいただくことになつておるわけでございます。なお職階制は、人事院におきまして最も重要な仕事の一つといたしまして、目下鋭意研究中でございまするが、何しろ本格的な職階制と申しますものは、いろいろ職務の分類、調査を骨子といたしまするので、また相当の年月が要する見込みでございます。それでこれを全官職にわたりまして全面的に施行するのはまだ相当な日にちがかかるのでございますが、一部分におきましても、それが実施可能の場合におきましては、逐次これを実施するという建前におきまして、三十條第一項は、「職階制は、実施することができるものから、逐次これを実施する。」というようにいたした次第でございます。職階制につきましては、その程度の御説明にとどめておきたいと存じます。 なお次は、任免の根本規準でございます。職員の任用はこの法律及び人事院規則の定めるところによりまして、受験成績、勤務成績または能力の実証に基いてこれを行うわけでございます。その能力の実証と申しますのは、今後能率の標定制度を科学的に設けまして、それによつてやつて行くことになるわけでございます。なお職員の免職は、身分保障の建前からも、法律に定める事由に基いてこれを行わなければならぬことは当然でございます。法律に定める事由は何かということにつきましては、後ほど申し上げることにいたします。 なお第三十四條に参りまするが、現行法の建前におきましては、この法律の内部におきまして、それぞれ可能な定義をするという建前になつておりましたが、いろいろ専門的、技術的な用語が多いわけでございまするので、その用語の定義であるとか、説明であるとか、こういうものはすべて人事院規則でこれを定めることにいたしまして、人事院規則を統一して行うようにする予定でございます。 なお第三十六條に参りまして、採用方法について御説明申し上げます。職員の採用は今後原則といたしまして、すべて公開の競争試驗によるものでございまして、現在すでにこの競争試驗によつている官職も多いのでございまするが、すでに高等試驗のうち、行政科の試驗は今年度から廃止されまして、今年度におきましては、高等試驗のうち、司法科試驗が残つておるわけでございますが、その司法科試驗も今年度限り廃止になりまして、高等試驗の制度は今度をもつて終止されるわけであります。来年度からの新しい大学、専門学校の卒業生の各省への採用試驗は、これはすべて人事院が統一して行いまして、人事院の試驗に合格いたしましたものを採用候補者名簿に登録いたしまして、これをその要求に基き各省に提示して、その候補者を配属する、こういう予定になります。なお判事、檢事、弁護士になるための資格試驗、現行法のもとにおきましては司法修習生の採用試驗というものは、これに関しましては明年のこれに必要な時期までに、新たな試験制度が採用され、それが新しい法律をもつて制定されることになる予定になつております。なお試驗方法もいろいろ科学的な方法を用いまして、從來とかわつた新しい科学的な試驗方法が採用されるわけでありますが、すべての官職にわたりまして、すべて試驗制度で行くということもきわめて困難な部面があるわけであります。ことに競争試驗によることを適当としないもの、あるいは指導力でありますとか、統卒力とか、あるいは人格を主とするものとか、こういうものを一概に試驗制度によることは不適当な部門が多いわけであります。たとえて申しますると、教員の採用方法を試驗によるというようなことは、これは不適当であります。それで主として教員の採用方法というものは、選考によることになろうかと思います。またいろいろな大学の附密研究機関、試驗機関、こういうところへの採用も、選考方法によることになろうと思います。またこの職につけるのにはこの人でなければならないというような部門があるわけでございます。そういうものに対しましては、やはり公開の競争試驗によらずに、この選考方法を活用する、こういうことになるわけでございます。しからばその選考機関はどういうものを使うかと申しますと、それはいろいろ具体的にまつて來ると思いますが、ことに教員に関しましては、特來御制定いただく予定になつておりまする教育公務員法などの構想といたしましても、たとえば大学教授の採用には、大学教授会というようなものがその選考機関として予想されておるわけであります。そういうふうに機械的にならずに、実情に即してやるというような意味が、この選考機関の活用ということについて考えられるわけであります。なお職員の昇任に関しましても、原則として、そのポストより下のポストの者の間における競争試驗によるのを原則とするわけでありますが、場合によりましてはそれぞれそのポストの範囲を、適宜実情に感じてこれを定めることができるわけでございます。なお改正の要点といたしましては、受驗の資格要件、試驗の内容――試驗の内容につきまして若干申し上げますが、國家公務員の採用試驗は、それぞれの目的によつて異なる場合があり得るのでございますが、学理に偏して、從いましてこれを受ける者が試驗勉強に熱中する、そのために職務をおろそかにするというようなことは、その本末を轉倒するわけでございまして、國家公務員の採用または昇任試驗といたしましては、その目的はどこまでも職務遂行の能力を有するかどうかを判定する、職務において最も優秀なる能力を示した者が、その試驗において十分これをパスすることができる、具体的に申しますると、学理に偏することなく、その実務において優秀な者が昇任され、採用されるというような試驗方法を考えておるわけでございますが、その詳細につきましては時間の関係上省略さしていただきたいと存じます。採用試驗の告知につきましては、これは最も合理的な方法で、採用試驗を受けようとする者が漏れなく合理的に、その受驗に必要な知識を得ることができるようにする趣旨でございます。なお名簿の作成でございますとか、採用候補者名簿の問題とか、名簿の失効の問題とかいう技術的な面につきましては、説明を省略さしていただきたいと存じます。 次に第四款、任用が第五十五條以下に規定されてございます。任命権の問題につきましては昨日やや詳細に御説明申し上げました次第でございますが、もう一度簡單に申し上げますと、この任命権に関する規定が動き出しますのは、結局この任命権制度の根拠となつている制度が完備してから、実際に動き出すものであるというように御了承いただきたいと思います。それでありますからこの第五十五條の規定に矛盾するいろいろな任命に関する法規も、この法律が公布されると同時にその効力を失うのではなくて、実際にこの五十五條の規定が動き出しますまでは、なお從前の例によるわけでございます。でありますから、たとえば文部省の例をとつてみますると、現在教官のうち、文部教官も地方教官も、その一級官は内閣によつて任命される。二級官は文部大臣によつて任命される。それから地方教官の中で三級官は、地方教育委員会によつて任命されるわけであります。そういう制度は、この五十五條が適用されるまではそのまま從前の例によつて行く。それは昨年の秋國家公務員法が制定されましたとき、同時に制定されました法律第百二十一号によりまして、國家公務員法の規定が具体的に適用されるまでは、なお從前の例によることになつておりますので当分從前の例によつて行く、こういうようになります。この五十五條の規定がいつから適用されるかということは、これに必要なる法律または人事院規則が制定されたときに、初めてこれが適用される、こういうことになるわけであります。 次は採用候補者名簿による採用の方法について申し上げますが、今後人事院が採用試驗を行いまして採用候補者名簿ができますと、それを各省各聽からの要求に應じまして、その各省の希望者に対しまして五倍、原則といたしましては、高点順に從いまして五倍の候補者を提示することになるわけでございますが、現在のところこれを原則通りに行うことは、いろいろの事情において困難であろうということを考えまして、二十六年七月一日前におきましては、その倍数を最小限度二倍でよろしいというように規定しているわけであります。でありますから、大藏省か來年法科系統の卒業生を三十人採用したい、こう申し込んで参りました場合においては、六十人その候補者名簿を人事院から提示して、その六十人の範囲内において大藏省当局がその選択に從つて採用し得る。しかしその採用する範囲は人事院から提示を受けた六十人の範囲でなければならない、こういうことになるわけでございます。 次に條件附任用について申し上げます。今後職員はすべて條件附採用ということになります。條件附採用と申しますのは、結局その條件附採用期間におきましては、身分の保障がないわけでございます。その條件附採用期間といたしましては、「六月を下らない期間」と規定されておりまして、その期間を無事遂行したときに、正式の職員となるわけでございます。 次に、臨時的任用につきましては、格別の変更はございません。 次に給與について申し上げることにいたします。申すまでもなく、給與と、給與支給の原則はどこにあるかと申しますと、あくまでその官職の職務と責任に應じてこれをなす。すなわち同等の職務に対しては同等の給與が支給されなければならない、イコール・ペイ・フオア・イコール・ワークというのが國家公務員法貫く給與に関するる原則でありますが、現在のわが國の経済的、社会的情勢を考えますときに、この原則をそのまま適用することもきわめて困難なる情勢にありますので、現行法のもとにおきましても、その趣旨はできるだけすみやかに可能な範囲において達成せらるべきものではあるけれども、現行制度に適当な考慮を拂わなければならないということを強くうたつております。これは、いわばこの能率給、職務給の原則に対しまして、生活給の原則をもつてこれを調整したということが言い得ようかと思うのでございますが、この改正案におきましては、そういうことはなお含みつつも、できるだけ職務給、能率給の理想を高く掲げて、これが実現に邁進しなければならない、こういうことを強調した次第であります。但し現在の事情のもとにおきましては、生活給の要素を無視してはならないことは申し上げるまでもないことでございまして、先般の臨時人事委員会の勧告におきまして、勤務地手当を十分考慮いたし、かつ家族手当につきましても現行法の二百五十円を五倍の千二百五十円にするようにいたしましたのも、これは生活給を考慮するという点に基いているわけであります。しかしこれはあくまで現状に即したものでありまして、かの勧告案においても現われております通り、このような生活給的な要素は、將來なるべくすみやかに廃止せらるべきなのが原則であるということをうたつてある次第でございます。その趣旨をこの六十二條第二項は理想として掲げておる次第でございます。 なお六十四條第二項は俸給表に関しまして表現を明確にした次第でございます。 なお六十五條の第一項第五号に「扶養家族の数」をつけ加えましたのは、やはり生活給を考え、扶養家族をいかに扱うかということを研究すべきものであるというような意向がここにうかがわれるわけであります。たとえば家族数によりまして、あるいは家族の地位によりまして、すなわち妻と子供、あるいは扶養家族そのものの数につきましても、そこに取扱いを異にする必要がある場合におきましては、そういうことも考慮するというのがこの趣旨でございます。 なお六十六條、六十八條、六十九條、七十條につきましては、特に御説明申し上げることもなかろうかと存じます。 七十二條につきましては、勤務成績の優秀なものに対する表彰、それから不良なものに対する矯正方法についてでありますが、これは從来内閣総理大臣にそれに関する案を提出することになつておりますのを、人事院がみずから適当な措置を講ずる、表彰なり矯正をみずから行うことにいたした次第でございます。 七十五條の身分の保障に関しましては、昨日御答弁申しと上げた通りでございます。 次に七十七條の離職の問題、これは現行法におきましては彈劾に関する規程になつておりますが、この彈劾に関しましては、昨日御説明申し上げましたような趣旨によりまして改正いたした次第でございます。 次に七十八條に参ります。これは本人の意に反する降任または免職の場合でございまして、「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる」と、ございまして、從來の三つの場合のほかに「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職または過員を生じた場合」、これをつけ加へたわけであります。これは從來休職の一つの理由とされていたわけでありますが、これを免職の一つの場合としております。現行法の建前におきましても文官分限令におきましてはこれを休職または免官の場合としているが、それと歩調を合せておるわけでございます。一号におきまして「勤務実績が拳がらない場合」を「勤務実績がよくない場合」とこう改めたのであります。これは現行法のいくらか積極的な氣持を、少し消極的な意味において表現したかと思うのであります。勤務実績がよくない場合という漠然たる表現でありますが、これの運用につきましては、今後は單に上司の主観的な判断によらずに、勤務成績の評定ということを行いまして、これは現行法の七十二條をごらんいただきたいと思うのでありますが、その本人のいろいろな面の能力をはかるような、科学的な評定制度を設けまして、それによつて何人も否定し得ないような、あるいは何人が見ても結局において動かし得ない客観的な標準を、科学的な評定制度によりまして、その能力を現わして行きたい。そういう客観的な標準によつてこういう処分を行うことが初めてできようかと思うのでございます。殊に、少し詳しくなろうかと思うのでございますが、從來ややもいたしますと、官吏の責任の所在が不明でありまして、よく官吏が責任をとらぬ。いろいろな失策をいたしましてもその責任の所在が常に不明確であるという御非難があるわけでございますが、今後この職階制が実施されまして、その職務の内容と責任が、客観的にはつきりきめられまして、その職務内容に基きまして、それに関する今申し上げました客観的な評定制定ができますならば、初めてその責任の所在がはつきりするのではないかと考える次第でございます。 次に七十九條は本人の意に反する休職の場合を規定してございます。これは「又は人事院規則で定めるその他の場合」というのをつけ加えたわけでございまして、要するに人事院規則の運用によりましてその全きを期するという意味におきまして、こういう面におきましてもやはり人事院が独立の性格を持つことによりまして、こういうような條項がその運用に大過なきを期し得る、適切を期し得るということになろうかと存ずるのでございます。 次に休職の効果でございますが、現行法の下におきましては休職の期間は一年であるということになつておりますのを今後は事情に應じてそれぞれ休職の期間は人事院規則でこれを定めるということにいたしました。そうして休職の期間も、休職の事由、事故が消滅したときは当然に終了するという建前をとつているわけでございます。なお休職中は休職給として現行法の下におきましては三分の一の俸給を受けることになつているのでありますが、改正法案におきましては、給與準則、すなわち給與に関する法律でございますが、その給與に関する法律で、休職給に関して別段の定めをしなければ、休職者は俸給を受けられないということになるわけでございます。
○赤松(勇)委員 第六十條の現行法の臨時的任用の項でございますが、この規定から言いますならば、六箇月とさらに六箇月、更新いたしまして都合一年間臨時に任用することができるという規定になつている。これはいわゆる職業安定法とも関連するのでございますが、いわゆる昔からの封建的雇用関係を排除するという意味で、こういういわゆる臨時雇というような制度は、できるだけなくするという考え方の上立つてわれわれは鬪かつて來たのでありますが、一体こういうような制度がこの中に盛られることが妥当であるかどうか一應人事委員会の御意見を伺いたい。
○岡部政府委員 この臨時的任用という制度は、從來の臨時雇というような考えとは違うのでございまして、結局緊急の場合と、それから性格が臨時の官職に関する場合、それから主として行われますのは、その職につきまして任用候補者名簿がない場合、こういうような場合について行われるわけでございます。でありますから、現在の制度の下にあります臨時職員であるとか、臨時雇、こういうような制度は、將來におきましてはなくなるのがほんとうである、こういうように考えております。
○赤松(勇)委員 臨時的任用というのは、具体的にはどういうような職種あるいは人たちを指しているのですか。
○岡部政府委員 これは具体的に申しますと、たとえば任用候補者名簿がまだできないという場合において、それに必要な仕事があるというような場合におきまして、臨時に任用するわけでございまして……。
○赤松(勇)委員 それはわかつていますが、具体的にどういうようなものを指しているか。
○岡部政府委員 それはいろいろな場合にあろうかと思います。この制度が実施されることになりますと、結局そのときどきに應じましてこれを臨時的任用にしてもらいたい、別に正式の試驗を通つたんではないが、臨時的にとにかく必要があるし、名簿もできていないから、こういう者をとりあえず臨時の職にしてもらいたいという、任命権者からの承認の申出によりましてこれを承認して設ける。しかしこれは何ら將來の本格的な採用につきましては、優先権を與えるものではない、こういうことになつております。
○赤松(勇)委員 この点は第二條の例の一般職の中の單純な労務を提供する者が廣汎に包含されているのですが、その問題と非常に絡んでいるので、この問題につきましてはさらに原案を檢討することにします。それから今の御説明中の第七十八條中、勤務実績がよくない場合には、七十二條の矯正方法によつてこれをきめるという御説明があつたのでありますが、第三号の「その他その官職に必要な適格性を欠く場合」、こういうような抽象的ないろいろの規定で、勝手にどんどん免職されるということは、非常に政府職員が不安を感ずると思う。一体「その官職に必要な適格性を欠く」というのは、具体的にはどういう場合を指しているのか、明らかにしていただきたい。
○岡部政府委員 そういうお尋ねがあろうかと思いましたので、実はこれにつきまして詳しく申し上げたわけでございまして、こういう條項が主観的な上司の意向によつて濫用されないようにというのが、私どもの念願でございまして、今後の公務員制度を貫く原則でなければならぬわけであります。でございますから、その評定制度を嚴格に実行いたしまして、その評定制度に現われて初めて適格性を欠くか欠かないかということを、判定し得るようにしたいと思うのであります。どういうのが適格性を欠くかということについては、それぞれの職種に感じなければならぬわけであります。その職種の種類によりましていろいろ違つて來ると思つております。
○赤松(勇)委員 たとえば昨日配布になつた政治行為に関する人事院の規則の試案の中でも、政党その他の政治的團体の運営に影響を及ぼすような役割をなすこと、というような抽象的な規定がある。こういうにともいわゆる評定法の中の最も重要な要素の一つになるのであつて、從つてこういうきめ方で評定をされるということには、どうもわれわれ賛成しがたいのでございますが、あなたの今の御説明でもどうもよく納得が行きません。さらになお詳細に御質問したいと思う。
○前田(種)委員 今の岡部政府委員の説明の中で、特殊な場合には、臨時的に六十條を適用してやるということでございますが、これは政府ばかりでなく、民間でも規定をこしらえるときには、特殊なときにしか適用せぬということを、往々にして言われる。実際にやつて参りますと、この特殊なときにしか適用せない條項を常時適用されるということが、過去において、官廳関係にあつても、民間にあつても相当あるわけです。それでこの問題は、どうせ一年間臨時雇で使えるということに現誉法でもなつておりますし、これは基準法もどこかに雇用関係の問題があろうと思います。それから職業安定法関係でもあるように私は記憶します。そうした法規の関係等については、あるいは法制長官に答弁願うことがいいかわかりませんが、そういう他の法規との関係上どうかという点を、もう少し明らかにしておいてもらいたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 それでは一應私から私の考えておりますところを御説明申し上げまして、足りないところを岡部政府委員の方が專門家でありますから、その方にお願いすることにいたします。私の理解しておりますところでは、六十條というのは今もお尋ねがありましたように、特別の場合をねらつておるのであります。一つは官職そのものは恒久的の官職であるが、急に人を補充する場合に名簿がないとか、あるいはまた試驗等の手続をとるいとまがないという場合、それからたとえば災害対策本部というものを急につくつて、臨時的の一つの官職を設けるというようなときと二通りあると思うのでありますが、要するにさような場合については、この法律に定めてある試驗とか、あるいは候補者名簿の中から選ぶという手続なしに、任用ができるという道を開くことに、重点をおいてできておるものと考えます。從いまして任用されました後において、あるいは候補者名簿の中に本人が登録される。すなわち試驗を一遍受けて登録されれば、その人がずつと永久に本格的の任用者として続いて行くということでありまして、窓口を臨機に拡げるというところに重点があるかと考えます。従いましてこの六十條の第五項等におきましても、前四項に定めるもののほか、臨時的に任用された者に対しては、この法律及び人事院規則を適用するということで、大体一般的の法律はかぶつて來るというのが、このねらいであろうと思うのであります。從いましてただいまお言葉にありました労働法規の関係、すなわち基準法でありますとか、職業安定法にありますかどうか私承知いたしませんが、それらのもののねらつておりますところとは、角度が違うのではないかというふうに考えておる次第であります。
○前田(種)委員 角度が違うと言われますが、この五十九條にも関連して御答弁願いたいと思います。もちろん五十九條と六十條は違いますが、五十九條の試みに六箇月間は試驗期間として設けるという、この六箇月間の期間が長すぎると思うのです。これはなぜそう申し上げるかと申しますと、今後かりに失業者が多数出たというようなことを仮定いたしますと、実際にはこの項目を使つて相当各市町村に至るまで人を使うということが往々にしてあるのです。民間企業にもあります。しかしここに危險がありますから、同一人間は一年以上使えぬというために、最初の六箇月は甲の人間を使い、それが切れるとまた乙の人間を六箇月使うというようなことをする。実際こは簡單にいうところの本傭いに任命しなければならぬにもかかわらず、いろいろな関係からそういう姑息なことをやつて、不安な状態のもとにおいて人を採用するということが、過去において往々にしてあるわけです。こういうことがないようにという建前から、基準法である程度雇用関係につきましては縛つてあると考えるのです。この縛つてある基準法の関係と、五十九條の六箇月間という試みの期間ということとは、何らの抵触もしないし、さしつかえないというような解釈が、基準法と相関連して、ここにいくらか疑義があるかどうかという点をお聞きしておるわけです。 それからもう一つはさきに申し上げました通り、惡用されるというような場合に、人事院は一体具体的にどういうようにしようと考えておられるか、惡用はない。緊急やむを得ない場合にのみ、こういうような採用の仕方をして臨時に使うということは、法律をつくろうとする場合にはその趣旨はよくわかりますが、実際に法律化した場合は、この條文が惡用される危險性が多分にありますので、これをどういうようにして取締り、あるいは監督するか、どういうように惡用されないようにするかという点の運営の方面については、むしろ人事院の責任において御答弁願つたらよいと思います。
○岡部政府委員 前田委員のお尋ねの点は、実際の運用面におきましてはまつたくごもつともな点があろうかと存じます。この五十九條の條件附採用にいたしましても、六十條の臨時的任用にいたしましても、これが濫用されますと、身分の保障という点が失われるわけでありまして、その点ば私どもこういう制度になれない役人といたしましても、これらが運用されるということについて、若干なじめない、親しめないという感じを持つことは事実でございます。しかしながら一面におきまして公務員の身分を保障するというからには、これを本格的に採用する上の話であつて、採用するまでは任命権者に、これが本格的にほんとうに採用して國家全体、國民全体の奉仕者としてふさわしい性格を持つものかどうかということの認定権を與えるということも、これは全体の利益と部分の利益との調和点の問題であろうと存じます。 しかしこれを濫用することはもちろんいけないことでございまして、これが濫用を戒める点につきまして、現行法においても改正法におきましても、六十條の二項、三項におきましてこれを規定しておるわけでありまして、もしも濫用の事実がある、あるいは一年以上のものを、これを更新するというようなことがありまするならば、それは人事院がこれを積極的に監督をする、こういうことになるわけでございます。その濫用につきましては、あるいはその員数を制限したりいたしまして、これを戒めなければならぬと存ずるのでありますが、要は前田委員の仰せの点は、主として運用の面に関するので、この運用に関しては、まつたく仰せの通りの点につきましては心を配らなければならぬ点であろうと存じます。
○前田(種)委員 実はこの基準法並びに職業安定法が施行される以前は、民間においては、はなはだしいところにおいてはほんとうの熟練職工がありながら、会社の職員というものは半分で、半分以上も臨時雇とか、下請とか、親方の雇用関係のもとに、直接会社に雇用されないという形で、実際会社の仕事をやつておるというのが全國に多数あつたわけです。今日もその法規が完全に守られていようとは考えませんが、ここに実際問題として、惡用される実例が相当あるのです。それから役所の場合も、中央官職よりもむしろ地方府縣その以下の出先ということになつて参りますると、予算はないわ、仕事は殖えるわ、そうして緊急やむを得ないという名前のもとに、往々にして相当のものが使われるということが予測できるのです。これが災害とか、あるいは特に緊急やむを得ない突発事件のために採用されるということはよくわかりますが、予算やその他の関係で縛られて、どうしても任用ができない、あるいは本雇にできないということのために、この條項が惡用されるという過去の実績が多分にあることを私は知つておりますので、この点に対する人事院の監督、あるいは運営の妙を発揮して、そういうことのないように制限するということを言つておられますが、この点は非常に大事なことでありますから、どういうようにして、そういう惡用されないような監督、あるいは指示制限をやるかという具体的のことについて、さらに聞きたいと思います。私は以上の点を過去の実績に徴して、非常に不安でありますから、重ねて申し添えておきます。
○岡部政府委員 現在この臨時雇という制度が、身分の保障なしに濫用される傾向にあるということは、まつたく仰せの通りと存ずるのであります。今後これを具体的にどうするかということは、いろいろ問題があろうかと思います。いろいろ諸般の報告を徴しましてその実情を調査する。そうしてそれによつて関係各省に勧告をするというようなこともあろうかと思いますし、また八十六條とかあるいは九十二條とかの規定を利用いたしまして、これに基きまして人事院が、この規定を濫用した官職に対して是正を命ずるというようなことも可能かと存じます。要は今後の運用につきまして十分心がけなければならぬ問題であると存じます。
○野本委員 六十四條の第二項の俸給表の問題につきまして、先ほど能率給、職務給の原則に生活給を加味したという御説明をいただきました。この條項は公務員といたしましては、きわめて重大な関心事であろうと思うのでありまして、一應抽象的には考え方が今の御説明でわかつたのでありますが、私はこの際人事院の考え方を具体的に知ることのできますように、先般政府に対して勧告されました六千三百七円の賃金ベースというものが、いかなる根拠に基き、いかなる見解に基いて決定されたかということの、詳細な説明を求めたいと思います。なお資料等でむりがあるというならば、あとにまわしてもけつこうであります。
○岡部政府委員 給與の勧告案につきまして、その基礎となる資料等につきまして御説明申し上げる機会をぜひ持ちたいものだと思つておりました。ただいまお尋ねがございましたので、專門的な資料に基きまして後ほど御説明申し上げたいと存じまするから、しばらく保留させていただきたいと思います。
○野本委員 第七十九條と第八十條に関連してお伺いいたしたいと思います。七十九條の一号を見ますというと、「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」は当然休職になるということが規定されております。ここで私のお伺いしたいのは、たとえば肺結核患者のごときものは、勤務をすれば相当できる状態におつて、しかも実質的には周囲の者に対して非常な影響を與える、この一番顯著な実例は教職員の肺結核患者の問題であります。教職員が肺結核にかかつておりまして、しかも勤務にはさしつかえない心身の状態にある、それが続いて教壇に立つておりますために、一学級の半数の兒童が結核に感染したというような、戰慄すべき事態が各所にあるのであります。かような事態に対処いたしまして、先般教員組合と文部省との間に團体協約が成立いたしまして、特に早朝に、実質的には勤務に耐え得るような早期に発見して、そうして十分な療養を與えることが、教育の上から考えて、特に兒童に及ぼす影響から考えて必要であるというので、三箇年間給與を與えて休職にするという特別な扱いをするようになつております。このことは私は近代における文化的な措置として、非常に尊いものであるというふうに考えておつたわけです。かような者に対してどういうような措置をなさいますか、その点についてお伺いいたします。
○岡部政府委員 今の後段のお尋ねにつきましてお答え申し上げます。現在教員の結核のために休職しなければならぬ方々に対しましては、職務の性質上、当然特に手厚い保護をし、その療養の完全を期するために、休職の期間を二年間とし、その給與も全額を支給するという建前になつていたかと存じますが、これはまことに尊重すべき方針でございまして、その趣旨につきましては、今野太委員の仰せの通でりございます。こういう趣旨は、將來できます教育公務員法の中にも織り込まるべきものと考えておるのであります。すなわち教員に対しては療養のための長い休職期間を與え、その休職期間中もその生活を保証するために俸給の全額を支給する、こういうような建前は尊重すべきことは当然でございます。それに比較いたしまして、しからば他の一般の國家公務員はどうするかということに関しましては、それとの均衡が、本條あたりにおいては、必ずしもとれていないのではないかというような感じがいたしますのは、私自身といたしましても、遺憾の感じがしないわけではないのでございますが、そういうこの規定で足りないところは、國家公務員の積極的な共済制度その他を活用してこれを補うべきものかと存ずる次第であります。ただいまは教職員の、ことに兒童に接するというような特殊の立場にあります点を、特に國家としてもこれを強調し、保護して行くという立場につきましては、私どもまつたく同感に存じておるということを申し上げます。なお前段にお尋ねがありまして保留いたしました新給與に関する御説明は、山下政府委員から申し上げることにいたします。
○山下(興)政府委員 六千三百七円のベースが出ましたことにつきまして、大体のお話を申し上げたいと存じます。これは独身の成年男子の生計費をまず出しまして、それが最小限度の給與として、そしてあとはその人間の成績によつて給與を増して行くというわけで、その生活費の必要量をまず計算したわけであります。それは七月分の ○PSをとつたのでありますが、七月分というのは古いようでありますが、しかし予定しないで実績の一番新しい資料は七月分でありますから、推定を全部やめて、そうして現実的な数字のみによるということで、七月分の。OPSをとつたわけであります。それによりますと、独身成年男子一人当りが一千七百四十三円になるのであります。それでこれは東京都でありますから、東京都でなく、これを小都市に全部換算いたしまして、まず小都市のものを出すという方針をとつて行つたのであります。それによりましてこれをフイツシヤー指数で小都市の價格の方に換算いたしますと、食糧費が一千百二十八円という計算になるのであります。この一千百二十八円が食糧費でありますから、それに食糧以外の費用を、小都市の実績を調べたものが千百十二円でありまして、その両方を加えますと二千二百四十円ということに相なります。その二千二百四十円に、それに対します租税の百二十五円、共済組合の積立金及び恩給積立金百五円を加えますと二千四百七十円となるのであります。この二千四百七十円というものを大体四級一号の者の給料ということに仮定したのであります。四級一号と申しますと、中学を出まして三年ないし六年経つた独身の者であります。これで一番下の給與が出たわけであります。一番上の給與はどうして出すかと申しますと、これは民間の一番高いところと一番低いところはどれだけになるかというカーヴを引いたのでありますが、そのカーヴを引きますのに、官廳の仕事と民間の仕事は違いますから、たとえば官廳の五級なら五級、六級なら六級というのは民間の何が相当するであろうかということをまず調べたのであります。その調べは、われわれの方で職階課の人間を使いまして、大体二十八万六千人に相当するだけの者の抜き檢査をいたしまして、それでカーブを引いて行つたわけであります。一番低い給料が出ましたから、その一番高いところの給料は大体民間のものにならいまして、そうしてとつたのが一万五千五百円というところになります。それは十四級で、一番高い次官級などの給與は、民間の方で申しますと、まず重役よりちよつと下くらいでございます。それでそのカーヴを引きますと、一番高いところと一番低いところとが出るわけであります。その間を結びますのが……。
○赤松(勇)委員 そういうことは、資料が配付になつているのだから、それを見ればわかるので、そういう説明はやめてもらいたい。
○角田委員長 それでは、この際お諮りしたいことがあります。今日理事の木村公平君が委員を辞任せられましたので、その補欠として理事一名を補欠選挙しなければなりませんが、これは先例によりまして委員長において指名したいと思います。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○角田委員長 御異議なしと認めます。それでは根本龍太郎君を理事に指名いたします。
○赤松(勇)委員 午前中社会党から要求しておきました吉田内閣総理大臣の出席を、午後の委員会におきましてはぜひとも出席していただくように、委員長から強く要求していただきたいということをお願いしておきます。
○角田委員長 赤松君の要求の趣旨を了承いたしまして、委員長において善処いたします。 これにて休憩し、午後は二時より再開いたします。 午後零時五十分休憩 ――――◇――――― 午後二時四十八分開議
○角田委員長 これより休憩前に引続き会議を開きます。
○島上委員 第七十八條、第七十九條、第八十條関係ですが、「勤務実績がよくない場合」「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」「その他官職に必要な適格性を欠く場合」「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」というような降任、冤職の場合の規定ですが、先ほど午前中にどなたかの質問にもあつたように、非常に漠然としていて政府職員の身分が保障されていないといううらみがあるのであります。たとえば「心身の故障のため、職務の遂行に故障があり」云々といつたことについて、これはそういう程度とか、標準というものを、だれがいかなる基準によつて判断するかということを伺いたいのであります。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。ただいま島上委員がお尋ねになりました点は、國家公務員のみならず、あらゆる公務員を通じまして、それの身分の保障をどうするかという問題と、國家なり、公共團体が要求する事務能率をいかにあげるかということの、両者の調和点といたしまして常に問題となる点でございます。そういう点におきまして從来問題になりましたのは、島上さんも御存じのことでございますが、かつての政党内閣時代におきましては、こういうようなこれに似た表現を利用いたしまして、官吏の身分というものがしばしばその保障を危うくされたことがあるわけでございます。その弊を防ぐための方法といたしまして、一時その後の時代におきましてくふうされましたのが、どうして身分の保障をするかという問題で、これは例の休職なり、免職する場合におきましては、分限委員会にかけなければならないということによりまして、身分の保障が行われたわけであります。その結果またそういう手続のために非常に官界の人事が沈滯し、能率があがらないので、公務の能率的な運営のために、この身分保障制度は撤廃しなければならないということが輿論となりまして、その制度が廃止されたこともよく御承知のことと思うのであります。そういうことを考えますと、要するにこういうことは、これ以上具体的にそういう場合を抽象的に書くかと申しましても、問題はそれの基礎になる運用の問題であります。この人事行政が科学的に客観的基礎に基いて行われ、その制度なり、基礎なりがない場合におきましては、どうしてもこれがほしいままな状態になつたり、あるいは動脈硬化を起すという状態になるわけでございます。それをこういう抽象的な規定ではありますが、それに客観的な基準を置きまして、そのよろしきを得、上司のほしいままなる裁量によらしめないということが、今度の國家公務員制度の基礎、すなわちメリツト・システムな基礎観念であります。そういう客観的な基準がなしに、身分の保障がなければメリツト・システムは行われず、死んだものとなるわけであります。このために能率の評定というのは――勤務成績の評定制度というのが、これからの人事行政の一つの主眼となつて來るわけでありまして、そういう客観的な本人の能率をはかる基準を、いかにして設けるかということが、今後の新しい人事行政として大事な点でございます。これはまつたく島上委員の仰せの通りでありまして、人事行政が科学的になるに從いまして、こういう点の客観的基準が得られることと思います。しかしながらいかにそう申しましたところで、それが常に一朝一夕に参るものではございません。また從來の実績に徴しまして、從來各省に考課表制度というものが行われておるわけでありますが、これが実はうまく行つているためしというものを寡聞にして聞かぬわけであります。そういうことから申しまして、島上委員の仰せはまつたくごもつともでございます。現実の問題といたしましては、それをどういうようにして救うかというのが八十六條以下の勤務條件に関する行政措置の要求、なかんずくこの八十九條、九十一條、九十二條の規定をそのために活用いたしまして、これによりましてその意に反して職員が不利益な処分を受けたという場合におきましては、これが救済をはかるわけであります。この制度をうまく動かすために、人事院というものには、ほかの官聽に見られない特別な組織を設けよう、これによつていわば一種の公平な立場において、裁判的な機能も行わせよう、こういう機能があるから、人事院が準司法的機関と言われるわけであります。この制度を活用することによりまして、公務員の不当なる馘首、意に反する処分に対する擁護をいたしたいというのが、この趣旨でございます。
○島上委員 それでは第七十九條の心身の故障のために長期の休養を要する場合、その本人の意思に反して休職せることになつておりますが、心身の故障といつてもいろいろ程度がありますし、長期といつても三月も長期と解釈できるでありましようし、二年、三年というものも長期と解釈できるであろうと思う、この点心身の故障の程度とか、長期の期間という問題をはつきりしてもらいたい。健康保險法の休養期間との関係を考えておるかどうかという点です。第二は刑事事件に関し起訴された場合とあるが、起訴されてえ往々にして無罪になる場合があることは御承知のところだと思う。もちろんあとの項では、無罪になつた場合には、その休職の事由が消滅したときは終了するというのはこれに該当すると思いますが、起訴されただけで休職にすることが一体妥当であるかどうか、私は必ずしも妥当でないと考えておるのですが、この点に対する御見解を承わりたい。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。第一の心身の故障により長期の休養を要する場合と申しますのは、結局これは医学的に十分判断しなければならぬことでありまして、本人が自覚をする、あるいは自覚をしない、あるいは自覚するにかかわらず、経済的その他の事情によつて、押して勤務をする場合があろうかと思います。そういう場合におきましても、遺憾なことでありまするが、たとえば開放性の結核患者というような場合におきまして、同僚のみならず、接触する各方面に危險を及ぼすというような場合におきましては、明らかにこれに該当することと存じます。その他あるいは心身の一つの場合といたしまして、精神病学の見地から、客観的に診察いたして、それが本人の自覚するしないにかかわらず、一種の精神病になつておるということが明らかな場合におきましては、こういう條項を発動しなければならぬと存ずるのであります。午前中野本さんのお尋ねにお答えいたしましたけれども、殊にこういう條項について、本人自身のためにも、あるいはまた接触する國民全般のためにも考えなければならぬのは、教員の場合であります。でありますから、教員の場合においては、現在の取扱いにおきましても、將來の立法においても、これは特に手厚く保護しなければならぬことになつております。他の一般公務員につきましても、こういう保護という方面につきましては、できるだけ均衡をはかるように措置すべきものと考えるわけであります。なお刑事事件に関し起訴された場合、その休職の場合に該当するかどうか、該当すべきものであるか、あるいは必ずしもそれに対して休職処分をしなくてもよいじやないかということがございまするが、事檢察に関しまして、かなり客観的な事情があります場合においては、官紀維持の上におきまして、御本人の事情にかかわらず、これは一應休職にいたして、將來その結果が判明いたしました場合におきましては、できるだけ、これをつぐなう道を講ずる。その間において月給が減らされておつたという場合におきましては、もちろんこれをさかのぼつて支給するというような方法をとるのが、全体の利益と、個人の利益の保護との調和点であろうかと存じます。大体從來もそういうような立法例で、今後も大体そういう立法例が基準になるというふうに考えます。
○島上委員 見解の相違はまた別としまして、もう一点お伺いしたいのです。第八十條に、「その事由が消滅したときは、当然に終了したものとみなされる。」ということがあるのでありますが、この事由の消滅したというのは、起訴されて無罪になつたという場合のことを指すのか、それともたとえば執行猶予等になつた場合のことはどうなるかということをお聞きしたいのと、それからこの休職は、以前には三分の一の俸給を受けるというのを、今度は無給になつておるのです。それだけにこの休職は、民間の労働者で言えば、首を切られたとほとんど同様なものなのです。それだけに非常に愼重に扱わなければならぬと思うのでありますが、事由が消滅したというのは、今言つたように執行猶予等の場合も含むのか、それとも起訴されて無罪になつた場合というのも含むのか、それから今のお話では、たとえば起訴されて無罪になつた場合は、さかのぼつて給與を支給するのが当然である。それがさかのぼつて給料を支給するというはつきりした建前の上に立つておるかどうかということを明確にしてもらいたい。それからなぜ無給にしたかという理由が明らかでないのですが、その点も明らかにしてもらいたい。
○岡部政府委員 休職期間中の休職俸の取扱いでございます。これは現行國家公務員法は、從來のわが國の立法例に從いまして、三分の一の休職俸を支給するという建前になつております。どういう合理的な理由があつて三分の一にするのか、身分は休職として持つております。休職中といえども、その間の身分は持つておりますが、その職務には從事しない。そういう意味におきまして、これに三分の一の俸給を支給するわけでありますが、三分の一の俸給を支給すれば、それでまあ食えるだけの、最低限度の月給をやつておるということになるのだという考えも從來あつたかと思いますが、そういう考えが成立つかどうかということは、現在の実情のものにおいては問題であろうと思います。從いましてこの三分の一の休職俸ということも、合理的に考えますと批判を受ける余地があるわけであります。そういう意味におきまして休職俸をどうするか、この合理的な根拠をどこに定めるかということは、実は今後の研究の課題であろうと存じます。そういう意味におきまして休職期間中、給與準則で別段の定めをしない限り、給與を受けないのだということにいたしまして――給與準則というのは、御承知の通り給與に関する法律のことであるのであります。從いまして今度御審議いただきます給與に関する法律において、これを必要があれば――必要があればと申しますと言い過ぎでありますが、給與に関する法律で、この休職に関する俸給を合理的に規定すべきものと、ただいま考えておる次第でございます。 それから休職の事由が消滅したときと申しますのは、もちろん起訴されまして、それが起訴事由がないとして無罪になつた場合――無罪となつたという表現は不正確であろうかと存じますが、不起訴の処分になりました場合におきましては、当然終了したものとみなされるわけであります。そのような場合におきましては、人事院はこれに対しまして俸給を回復しなければならぬわけでありまして、それにはやはり手続が必要であろうと存ずるのであります。第九十二條によりまして、その職員がその処分によつて受けた不当な措置を是正しなければならない。「人事院は、職員がその処分によつて失つた俸給の弁済を受けるように指示することができる。」これに該当するものと考えております。なお執行猶予になりますと、これは一應休職の限界外と存じております。
○高橋(禎)委員 ただいまの問題に関連してちよつとお尋ねいいたします。第七十九條第二号の、刑事事件に関し起訴された場合に休職処分にするということは、いかにもきれいなことでありますが、ただ今度の改正案によりますと、國家公務員法で縛られる者の範囲が非常に廣くなつております。從來の官吏に対する考え方とは異なるわけであります。ですから、もしもこれをこのまま嚴格に運用するということになると、國家の事務にも相当支障を來すと思われます。それにまた最近の犯罪の趨勢を見ますと、きわめて微罪なものを起訴するという傾向がある。たとえば軽犯罪法のごとき、また経済違反事件の軽微なもの、これが起訴されたということでもつて休職処分になる。そうしてそれが有罪になつたというので、結局職を離れるというようなことになりますと、本人に対する関係においても非常な不安を持たせる。現在の社会の一般の犯罪状況、趨勢から見て、本人が非常に不安を持つ。こういうことになるのでありますから、その問題はよほど緩和する必要があると思うのですが、その点についてのお考えはいかがかということをお伺いいたします。
○岡部政府委員 お答えになるかどうかは存じませんけれども、現在までのところ、こういうような建前におきまして、起訴される本人の法的利益の擁護と、それから起訴された人間が、なお國家の公務をとつて行くということに対する國家全体の、公益とまで行かなくても、国民感情、それとの調和をはかるというのがこの建前であると存じます。その建前につきまして、今仰せのような社会的、経済的、政治的な情勢によりましては、いろいろそこに微妙な感じの差異があろうかと思いますが、現在のところは、そういうような点で調和をはかるということを申し上げるよりほかはなかろうと存じます。
○高橋(禎)委員 犯罪には御存じのように過失を処分する場合が非常にあるわけであります。たとえば失火罪のごとき、あるいはまた自動車の運轉をあやまつて、わずかに人に傷害を加えたというような場合にも、しかもかなり嚴重に起訴処分を受けるということになつております。そういう場合に、やはり休職にするということは、非常に嚴格過ぎて、かえつて國家公務員全体の精神に反するので妹ないかという氣持がしてならないのですが、その点はいかがですか、
○岡部政府委員 失火という御引例でございますが、失火というようなことも、公共に対し非常な脅威を與えるものでありますから、そういう理由に基いて起訴されました場合に、これを休職にしないでおくかどうかということは、一つの問題であろうと存じますが、あるいは事情によりましては、この法文の表現にあります通り、これを休職にすることができるということになつておりますから、これはあるいは解釈の余地によりまして、情状によりまして、あるいは御引例の後段のような場合におきまして休職にしないでもさしつかえないという社会通念が認める場合におきましては、そういうことがあり得るのではないかというふうに、今高橋さんの御意見を承つているうちに考えさせられたのであります。これは率直に申しますと、そういうことが可能かどうかということについて、なお研究させていただきたいと存じます。
○高橋(禎)委員 次にお尋ねしたいのは臨時人事委員会として、この七十九條を適用される場合に、今おつしやつたようにこれを休職にすることができるということになつているから、私が例を引きましたような過失犯とか、その他非常に軽微なものが起訴されても、それは休職にさせない方針である。こういうふうな御方針であるかどうかという点を伺いたい。
○岡部政府委員 高橋委員の仰せの事情に関しまして、お答え申し上げるわけでありますが、ほんとうの過失犯でありまして、それを休職にせしめることが、この法律が維持しようとする國家の公益に全然影響がないものである。それによつて國民の感情を阻害することがないというような場合におきましては、そういう運用もできようかと存じます。
○高橋(禎)委員 ただいまは主として過失犯で例をおとりになつたのですが、たとえば故意犯の場合におきましても、最近これは全般的と申し上げますと言い過ぎかもしれませんけれども、かなり多数のと申しますか、むりな檢挙ということが行われている。そうしてことに最近の傾向は、有罪か無罪か裁判を受けてみればよい。必ずしも無罪になるということは確信しないけれども、疑いがあるから一應裁判を受けさせようという氣持でもつて、起’訴される傾向にあるわけです。そしてともに働いている者、すなわち同じ職場にあつて、本人の性格なりその他実情を十分承知している者たちは、その檢挙はむりである。それは犯罪のないことを確信すると思えるような場合でも、不幸にして檢察当局の意見は異なつていてこれを起訴している。周囲の者たちはこれはぜひとも救い出さなければならないというような氣持が湧くような事件が、かなり多くあるわけです。そういうふうな、部内にあつてその同僚なり、あるいは監督者なりが、これは無罪なりと信じ、これを起訴するのは檢察当局のむりであると確信しているというような場合でも、なおかつそれが起訴されたというので、これが休職処分に付せられるというのは、これまた非常に不合理、不穏当な話だと思いますが、その点はいかがでしようか。
○岡部政府委員 申し上げるまでもなく起訴されたからと申しまして、それをかりそめにも有罪者であるがごとくに取扱うことはいけないことは当然のことでございます。また檢挙の方針に触れられたわけでありますが、そういう檢察の心構えにつきましては、私からお答え申し上げる筋ではなかろうかと存じますが、いやしくも一旦檢察権が発動いたしまして起訴されたというような場合におきましては、御引例の單にその職場における同僚の心構え、あるいは心証というようなもので、すぐどうということもいかがかと思います。要するにはなはだ抽象的にわたりまして申訳ございませんが、これは國家の公益あるいは國民感情というような点が、その判断の基礎になろうかと存じます。
○高橋(禎)委員 その問題はその辺でとどめておきまして、先ほどの島上委員に対する御答弁の中にも現われました、この九十二條によつて処分を受けた國家公務員が不正の処置であつて、その処分によつて失つた俸給の弁済を受けるように指示することができるということになつておるから、それで救済できるのだとおつしやつたのです。ところがこの九十二條の第二項の指示することができるなどという文字をこういう場合には使わないで、必ず指示するということにしなければならないのではないかと思うのであります。と申しますのは、行政当局の方でその処分によつて失つた俸給の弁済をしない、そうして本人にその請求をなすの力が足りないというような場合に、人事院が指示することができるなどというので、指示とたり指示しなかつたり、かりに指示しないというような場合には、結局損害を受けて、その弁済を受け得られないというようなこともあり得るんじやないかと思えるのであります。このような場合には人事院は必ず指示をする、いわゆる必要的な指示の制度にすべきではなかろうかと思うが、その点はいかがですか。
○岡部政府委員 お尋ねごもつともでございますが、そのお引きになりました字句の前に、人事院はその職員がその処分によつて受けた不当な処置を是正しなければならない、こういうようにちようど高橋さんのお尋ねの趣旨を規定しておるわけでありまして、それの内訳の権限といたしまして弁済をも指示することができると、これは権限を規定しておるわけでありまして、その場合にしなければならないという点が、その上にかぶつているものと解釈していただきたいと思います。
○前田(種)委員 今の岡部さんの答弁を聞いておりますと、いろいろ言訳的な答弁をされておりますが、この活字になつて表われて來ますところの法律案というものは、この文章が物を言いますので、言い訳をいろいろされたことは大したことにはならぬのです。だから立案者は立案者の立場に立つて明確に答弁した方が、今後いろいろな点で疑義をはさまないということになろうと思います。いろいろな事情を、あれもごもつとも、これもこうだというようなことでは、決してこれの審議にはなつてないと思います。立案者の立場はあくまでもこの法の解釈はこうするということを、明確な答弁を得る方がかえつていいのです。そういう点で不都合な場合は、われわれで適当に修正するという意見も出て來ますから、その意味においてはつきりしていただきたいと思います。むしろ法政長官に私聞きますが、先ほどの七十九條のうちの刑事事件に関する起訴をしたというような場合は、この文字から言えば明確になつておるのです。今高橋委員がいろいろ過失その他の事件の内容というものは、多岐にわたつておりますから、いろいろ同情すべき問題はたくさんあろうと思いますが、そういつた同情すべきことによつて、この條項が左右されるべき余地があるかないかという点については、私はこの改正案で行けば全然余地はないと思います。あるいは人事院規則その他ということにもなつておりませんから、本法で行けば起訴さえされれば、犯罪の内容がどうであろうとも、いかに同情してもどうすることもできぬというのがこの改正案であるし、この改正案については、これはきつすぎるのではないか。もう少し筆を何とか入れなければならないのではないかというのが、質問者の質問の要旨でありますので、この法の法的解釈というようなこどについて、佐藤政府委員からもう少し明確に御答弁を願いたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 七十九條の本文は、先ほど岡部政府委員が説明いたしましたように、「その意に反して、これを休職することができる。」と書いてあります。必ず休職にしなければならないものでありますならば、「その意に反して、これを休職にする。」というふうにはつきり打ちとめてしかるべきところであろうと思うのでありますが、できると書いてありますところから、先ほどの説明がありましたように解釈をしてよろしいというふうに考えております。それから九十二條の関係と、今の説明が多少精密に言いますと、ぴつたりと合わないことになるかもしれませんが、第九十二條の第二項は、これも前段におきましては適当な処置を是正しなければならないとはつきり書いてあります。但しそのあとの分ができるというので、では前の説明と食い違いはせぬかということを、おそらく御指摘になるのじやないかと心ひそかに思つておるのでありますが、これは是正しなければならないということの是正の措置の中には、俸給の弁済を受けるようにするということも入つておる。それを忘れてはならないという意味で、それを行をかえずに同じ行の中に書いておるわけであります。われわれはさような趣旨でこれを了解しております。
○玉井委員 ちよつとお伺いしたい。はなはだ初歩的な質問をいたしますが、第七十九條の第二号の中に「刑事事件に関し」という事件は、どのように規定されておりますか伺いたい。
○佐藤(達)政府委員 刑事事件は文字通りの刑事事件でございまして、刑事犯罪事件という趣旨だろうと思つております。
○玉井委員 もう少し具体的にお伺いしたいと思つたのですが、刑事事件というのは刑法上の問題、かようにお考えになつておられますか。
○佐藤(達)政府委員 廣い意味における刑罪法上の事件、さように考えております。
○玉井委員 そうしますと、私の伺いたいのは、第百九條以下の罰則は、いわゆる刑罰であるか、あるいは單なる罰則であるか、これをお伺いしたい。刑罰であるとするならば、これはいささか憲法違反になると思いますが、刑罰でないとするならば、この罰則によつて摘発された人は、廣い意味の刑事事件かどうかという点に関して、さつきお伺いしたのですが、つまり刑事事件というのでないとすれば、この罰則のような処置を受けた人は、当然休職されるようなことはないというふうに理解するのですが、その点はいかがですか。
○佐藤(達)政府委員 ちよつとお尋ねの趣旨をお確かめしなければなりませんが、私どもは刑罰をきめた規則のことを罰則と呼んでおるわけでございますから、その意味において百九條、百十條は刑罰をきめた規則、すなわち罰則というふうに考えております。
○玉井委員 そうすると第四章の罰則にあたつたものも、刑事事件に関し起訴されたものに当然はいるのだ、こういうふうにお考えですか。
○佐藤(達)政府委員 これらの罰則に触れまして起訴されますれば、七十九條にいう刑事事件に関し起訴されるという言葉に、形式論としては入ります。
○高橋(禎)委員 いま一点先ほどの問題に関連して、第八十條の「休職期間中その事故の消滅したときは、」というこの「事故の消滅」という中に、先ほどは執行猶予の問題についてお答えがあつたわけですが、私ども法文を見まして、結局刑事事件に関して起訴されて、それが有罪の裁判を受ければ、これは休職期間中にその事故の消滅したものに該当しないのだというふうに考えられます。しかし先ほどいろいろ例をあげましたような過失犯で、きわめて小額の罰金とか、科料処分を受けたというふうなものに対して、その事故が消滅しないのだという取扱いをすることは、これまた七十九條の場合に、國家公務員に対して非常に氣の毒な関係があると同じような関係が認められるのですが、その点いかがですか。
○岡部政府委員 私からお答え申し上げますが、いよいよ有罪の判決が下りまして、それが禁錮以上の刑に処せられるというようなことになりますと、これは官職につく能力を有しないことになりまして、当然に退官することになるわけであります。禁錮以上の刑に処せられまして、その執行を終るまで、または執行を受けることがなくなるまでのものと申しまして、申すまでもなく執行猶予期間中のものは、これに該当するものと解釈しております。單にそれが罰金で終つたというような場合におきましては、罰金は官吏たる身分を喪失することに該当しないというふうに解しております。
○高橋(禎)委員 ではその点をいま一度お尋ねして明確にいたしたいと思います。罰金以下拘留、科料等の処分を受けたものは、この八十條の休職期間中その事故の消滅したものの中に入る、こういうふうな御意見に伺いましたが、その通りで間違いありませんか。
○岡部政府委員 そのように解釈しております。
○徳田委員 休職する者に対してもそうですが、その前に任命を下したり、免職したりすることにも関係する問題です。勤務の実績がよくない場合、あるいは心身の故障云々ということになりますが、勤務の実績がよくない場合というその勤務実績なるものは、一体だれが査定するのですか、人事委員会が査定するのですか。
○岡部政府委員 この降任、免職、そういうことは任命権者の権限でございまして、人事院の権限ではございません。
○徳田委員 そうするとこの実績はそういう実際に任命する権利を持つておる人間が考査するわけですね。そうするとこの考査は一定の基準によらなければならぬと思いますが、その基準はどうしますか。
○岡部政府委員 それが先ほど來いろいろお尋ねがございまして御説明申し上げた点でございますが、七十二條の勤務成績の評定、これをごらんいただきたいと思います。これにつきまして先ほど申し上げました通り、この勤務成績がいいか、よくないかということにつきまして、客観的な標準を設けさせます。これは主観的な任命権者の自由裁量によらないように、人事院が一定の方式を採用いたしまして、客観的にいろいろな要素に分析いたしまして、單に主観的な判断で進めないように、いろいろな、たとえば百あるいはそういう多数の要素に仕事職務、勤務状況を分析いたしまして、一定の科学的な線を設ける。その線よりも下つた場合におきましては、これは客観的に見て勤務成績が著しく不良であるという線ができるわけであります。そういう線に下りました場合はこれに該当するものという標準が一應立つわけであります。しかしそれに基きまして、そういう処分を受けたものが、それに該当しない事由があるということもあろうかと思います。そういう場合におきましては、人事院にこれを訴える道を開いているわけであります。
○徳田委員 それはあとに書いてあります。更改するとか何とか書いてありますが、一体科学的に、そういうものをきめて、実際上今の状態でやれますか。どういう科学的なことをもつてやるのですか。
○岡部政府委員 その方法につきましては、この人事管理というものがだんだん科学としての形態をとつて來るにつれまして、いろいろな方法があるわけであります。そのどういう方法をとるかということにつきましては今研究中で、ありますが、大体の構想はでき上つております。これは少し学説になるのでりますが、いろいろな学説、方式があるわけであります。それに基いてやることになります。御参考までに、時間の余裕があれば、何か参考資料でも提供したいと思つておりますが、何らか科学的な基準を設けてやる、こういう原則は御理解いただきたいと思います。
○徳田委員 それはアメリカだつてやつております。いろいろな機械を使つたりしてやつていますけれども、ここに終始数百万人の人間の成績表をつくつてやれるだけの設備があるかということです。今の日本の行政がどんな状態にあるかは、あんたも知つておられる通り、三千七百円ベースなるものは、われわれの調査からすると、昭和十二年の給料に比較すると、大体五分の一だと思う。実際人間らしい生活をしておらぬですよ。こういう人たちの状態のもので、こういう科学的の云々ということができますか。アメリカのようにちやんと食つて、相当な生活をしているものなら、人間の能力の大体のボリユームというものはわかるけれども、こういう営養不良的な生活をするようにできていて、それをしないためには、特殊の才能をもつて特殊の仕事をしなければならぬ。そういうような事態においてこんな、あんた方の言ういわゆる科学的な方法が、事実上できますかと言うのだ。品ではそう言うけれども、そういうことはできないことはわかつでいるじやありませんか。今、朝定時に來て、きちきちと時計のように、一生懸命に仕事ができますか。こういう科学的檢査というものは、すべて機械のように、ちやんときちきち動くようにできていて、それにきちつとはまるようにできなければ、この科学的というものは使えない。客観的というのはなかなかそう口で言つたつてできるものでない。しかも精神科学におきましてはまだまだ不十分である。これに関しましてはソビエト同盟でも非常に大きな問題になつて、諸君の御承知の通り特殊の研究所を設けてやつているけれども、実際の成績からいつてそうはつきりしておらぬ。しかもあんた方はこの案に対して、こういうふうに抽象的に言うておりますけれども、これが小使の成績とか、給仕の成績とかならば、ある部分において、はいいかもしれませんが、そういう人たちと機械を使う者と、この標準が皆違う。これが今度は事務的の才能をやらなければならぬときには、さらにこれが違う。この事務的な才能でも機械的な部分と、さらにこれが政治的な能力を持ち、大きな社会的影響を與える問題を取扱うということになりますと、こういう單なる科学的な、客観的なものではできません。家に寝ていたつていい能率を出す者もいる。幾らまじめに働いて夜通しやつたつて、考えの及ばない者もいる。そういうものをあなた方は科学的に、客観的にとか言つてできますか。できる自信がありますか。自信があるならばそれを示しなさい。それならばわれわれは論議することができる。アメリカでこうやつているからといつたつて、日本の現在の状態でこれを同じように取扱うことができますか。今高橋君の質問に対してもあんた方は言われたけれども、ああいうものは普通の正常な社会状態においてのことですよ。今はみんな不正常です。嚴格に言うて今あらゆる法令に違反せずして生きることができますか。あんた自信がありますか。どうです。二合七匀で、いもばかり毎日押し込まれて、それで生きて行かれますか。それで実際生活ができますか。やみを買つてはいけないということになつている。それがあなたはできますか。さあ答えなさい。(笑声)
○岡部政府委員 徳田さんからいろいろ教えていただいたわけでありますが、この人事行政というものはほかの行政の部門と違いまして、これをどうするかということは非常な問題であります。しかし徳田さんのおつしやるのは、現実と、あるべき姿とを混同しておられるわけであります。現実の今の状態がノルマルでないことは私も承知いたしております。しかしながらわれわれといたしましては、科学的な、民主的な公務の運営をはかるという目的から、この困難な人事行政を科学的にしよう。そこに基礎を置こう。人事というものが恣意に流されないものにしようという理想、目標をここに掲げるわけであります。これで何十年來の人事行政というものが、上司の主観的な判断、あるいは單なる評判によつて動かされて來ていたというのを、幾らかでも科学的にやろう、こういう努力にすぎないのでありまして、現在の混乱している世相において、ただちにこれが理想通りに実現するかどうかということは、これは別問題であろうと存じます。われわれとしては絶えず一歩ずつでも、こういう科学的な人事行政確立のために進むのを、私どもの使命と考えているわけでありまして、その意味におきまして御審議いただいておるわけであります。
○徳田委員 だから今あんた方の言うのは口ばかりだと言うのです。民主的にやるというならば、こういう科学的とか何とかいうことよりも、多数の人間が見て、これが正しいかどうかということを判定した方がいい。一部の單なる長官だとか、人事委員だとかいう人間がこれを云々して、こういう人間が規則を定めてやつたつて、人間の仕事というもの、精神生活というものは、そう簡單にできぬのです。だから多数の人間がこれを見なければならぬ。この多数の人間が見るためにこそ組合は必要だ。組合運動をして、正しくないものに対して組合がちやんと監視する方法をやれば、そうすれば勤務はよくなる。あんた方が何と言つたつて、大体こういうものは科学的にできないにきまつているのです。できなければ結局するところ上司の恣意、かつて氣ままにしなければならない。そういう数字だとか何とかで判定するとかいうことは、これまでも幾らでもかつてに直された。また今後とて直されるものだ。そこで問題は、この公務員法を、もしほんとうにまじめにやろうとするならば、この公務員の種類がたくさんあつて、これは同一性格のものではない。同一にこれを取扱うべき性質のものでない。だから各公務員に対して、すべて親切に、その公務員に適合するものを一々詳細にやらない限り、これは成立たぬと思う。そうでしよう。成立ちますか。公務員には大臣に近い者もおりますよ。一般職に次官が入る以上は、大臣とすれすれです。場合によつては大臣はロボツトで次官がみなやるときもある。ことに現在はそうだ。(笑声)大臣は大概この議会へ來ておしやべりをするが、紙をもらつてしやべるだけなんです。実際はみな次官がやるようにできておる。こういう人々の勤務の成績をいかにしてきめるか。たとえばこの中には郵便局もはいつております。電話もはいつております。こういう電話交換手の勤務と次官の勤務とを同一に見るわけに行かぬ。それから配達をする人々の勤務と、たとえば技師の勤務とは同一に見るわけには行かぬ。だからして、もしこれをほんとうにやろうとすれば、人事規則なるものをもし定めるとすれば、これだけのものでも、これだけの本を書かなければ実際上できぬ。はたしてそれでできるかどうか、あなたは理想だ理想だと言うけれども、理想と言つたつて理想だけではだめですよ。要するにこの法律なるものは現実に行われなければだめです。法律には理想というものを書いたつて、それはものにならぬ。すべて現実に行わるべきものでなければいかぬ。すなわち現在われわれがいろいろ行政をしたその成果が、大体憲法にもなり、法律にもなるものだ、單なるこうあるべきだという理想を示したつて、できないものは法律たる價値はない。結局その法律は流されてしまう。あつたつて何にもならない。そういうことになりましよう、なりますね、なるならばあなた方がこの公務員法を布いて、大事な憲法第二十八條の権利をみな奪おうとするわけですから、それだから私は、この公務員法ができても、この公務員法は無効だということを宣言するつもりである。また無効です。だが論じておかねばならぬから論じておきますが、事実そういう大事な権利をすつかり消してしまつて、そのかわりにつくられるこの公務員法は、実際に行われない單なる理想だ。そうあるべきだ。そうあるべき姿というもので規定されてはならない。どうです。
○岡部政府委員 だんだん徳田さんのいろいろ御意見を承つたわけでございますが、ひとり実定法と申しますのは、もちろん理想を掲げておるばかりではないのでありまして、現在の制度と、それをよりよくするための現実的な理想との調和、ここに私は立法の大切な点があろうと思うのでありまして、いろいろ仰せごもつともな点もございますが、先ほどおつしやつた通り、ソヴエトにおきましても、この人事行政というものは科学的な研究を進めるわけでありまして、人事に関する行政のいろいろな面を、多くの人が見ることも大事であります。けれども多くの人が見ると同時に、またこれを合理的な基礎において判断する努力、これが大事なことだろうと思います。その努力の一端がここに現われておるわけでありまして、徳田さんもよもやそういう現実であるからといつて、何ら科学的な基礎を人事行政に置く必要はない。かように仰せられるのではないと思います。
○徳田委員 それができればいいですけれども、たとえば筋肉労働の者もこれにはいつておりますが、筋肉労働ならば筋肉労働はわきに寄せなければならぬ。別にしなければならぬ。筋肉労働ならそれは筋肉労働によつてできた生産物の成績によつて、その質と量とにがければこれは実際上できます。工場だつて大体できます。こういうものならばそれは計算によつてできます。またいわゆる科学的方法でもできます。できますが、あなた方はそれではできないような次官などの仕事も、みな同一にしようとするから、私はいかぬと言うのだ。できないことをやるというからいかぬと言うのだ。だからそういう科学的にあなた方が評定できるものは、労働組合法を適用してもちつともさしつかえない。現にこれははつきり現われるのだ。ところがあなた方がこれもみな次官と一緒にやろうとするところに、この公務員法の根本的な誤謬がある。間違いがある。すなわちできないことをやろうとするところにある。そうしてこのできないことを、すべて適用すべからざる人に、ぐんぐん適用しようとするところに、私は根本的な間違いがあると思う。どうですその点は三…。
○岡部政府委員 重ねてのお尋ねでありまするが、要するに私どもといたしましても、いろいろな職種「千差万別の職種に対しまして、同じ方法を適用しようとするのではないのでありまして、これは申すまでもなく、おわかりでありまするが、筋肉労働なら筋肉労働の能率をはかるにつきましては、一層合理的な方法があるわけであります。あるいはタイピストでありまするとか、流れ作業の仕事につきましては、それに相應する方法があります。また比較的智能的な、判断とか、決断とか、あるいは指導力とか、そういう要素を主とする部門もあるわけでありまして、それぞれにふさわしい評定方法を見出すことが科学的と、こう申すわけであります。高級の行政官と現場に働く者と同じように扱う。それをいつしよくたにするということは、むしろ非科学的な能度だと思つております。
○徳田委員 だから君は非科学的だというのだ。私の言うのはそういうものとわけなさいというのだ。この公務員法なるものは大体は身分法なんです。これは服務紀律だ。だからしてこの方は高級官吏にはやつてよろしい。私の意見では、ここに特別職というのがありますが、この特別職には一定の範囲では、むしろ公務員法を適用した方がいい。これは政治的な何もありますから、みな一様にというわけではないけれども、適用した方がいい。殊に大臣などは一ここの一番しまいの罰則だが、これは特別な不思議な罰則を設けている。しかるに大臣はこの罰則にあたらぬ。ところが事実は、大臣が政治をやり行政をやるのにあたつて、もし故意にでもやつて與えるところの損害というものは非常に莫大だ。現在社会を腐らし、ここに道義的にも大頽廃を来している。この事態に対しては大臣の悪事というものは非常に関係がある。これこそ最も罰せらるべきものだ。これを刑事法では罰せられるごとく誓いてはあるけれども、うまい手づるをやつて、うまくすり拔けて、なかなかつかまらないようにできている。これはうまい手づるではどうにもならないようにすぽんすぽんとつかまるようにしておくならば、この公務員法はやりたまえ。しかるにそういうものには刑罰を科する法律を何もつくらずに、ほんとうに小使だの給仕だのという人、この人たちはあなた方、かわいがらなければならないと口では言うけれども実際はひどい虐待を――ちよつ間違えばすぱんと、大々的な、ほとんどこれは憲法違反な刑罰を科する。こういうことが事実起きて來はしませんか。だからこの勤務成績というのも、あなたの今言うようにできるようにするというならば、この公務員法は全部解体して、そして新しく出直してくれ。そうなれば論議の的になる。さもなければこれは論議の的にならぬです。 それはそのくらいにしておきますが、次に問題になるのは、心身の故障のため職務の執行に支障があり、またはこれにたえない場合、こういうのですけれども、これが実際職務のためにできる場合は非常にある。この判定はむずかしい。現在のようにあなた方のやり方では、定員を補充しない場合がたくさんある。逓信省にしましても、どこにしましても、みなある。これは各官職とも下になればなるほど、定員は補充しておらぬ。この定員を補充せずに、また労働基準法違反などたくさんある。これを労働基準法違反じやないかといつてぐんくんやられる。それでも今の官職はみなだまつている。こんなものはとり合わんでいる。それから時間外労働、いわゆる超過労働をした場合に、これに手当を與えるということもなかなか行われない。これもむりやりやらしておく。こういう事態におきましては、この心身の故障のため職務の執行に支障があり、またはこれにたえない場合が、実際職務をまじめにやればやるほどこういうふうになる。これはあなた方はどう考えているか知りませんけれども、この辺までは障害があるとか、この辺までは障害がないとかいうふうに、特別に型が出るわけはありません。実際仕事をしているちにふらふらとなる者いくらもある。殊に諸君が今のように定員を補充せず、過重労働を課して、そうして賃金は先ほど言つたように昭和十五年の五分の一である。こういうことをしておいて、二十五日もあのグロテスクないもばかりむりやり押し込んでいるときに、こういうことを一体何によつて諸君は判断するか。ほんとうに職務の執行の上にこういうものが生じた場合どうするか。これは一定のほんとうに正常な社会生活をやられた場合には、まだ理由が通るけれども、現在のような場合に、実際上に働いている人が自然にそういう状態になつて来るとする。そういう場合にはあなた方はどうするか。やはりこの法律を厳密にやりますか。どうですか。
○岡部政府委員 幾度もお答えいたしますように、心身の故障のため職務の遂行に支障があるという場合におきまして、これがある場合におきましてはその意に反してこれを解任し、または免職する、こういう規定でございますが、その徳田さんの言われるのは、主として主観的な意味から出て來るわけでございます。私どもといたしましては、これはもちろん濫用してはならない規定でございます。これはまつたく濫用すべきものではないのでありまして、これが濫用されたら身分の保障がこわされることはあたりまえでありすが、この心身の故障ということを、どういうところに基準を置くか。これは私は医学的な判断にまつよりほかはないと思います。殊に精神分裂症とか、そういう場合におきまして、自覚症欣がない場合があります。これはやはり國家の公務を遂行する上におきまして、危険な場合におきましてはそういう場合があります。御指摘のようにいもばかり食わされまして、そのために心身が過労して倒れたというような場合が、これに該当するものとは何人も考えないわけでありまして、こういうような場合があつてはならないことは同感であります。
○徳田委員 そうするとこれは精神病者に限りますか。松澤病院の鑑定によつて起る問題ですか、どうです。
○岡部政府委員 ここには表現は心身の故障のためと規定してございまして、ひとり精神病に限る趣旨ではありませんが、これが濫用されてはならないことは明らかであります。
○徳田委員 だから心身が疲れるとみな故障が生ずるのです。そうでしよう。現在のような場合には、この故障の生じている人はたくさんある。いわんやこれが心身というように、心と身と両方でありますから……。それで今私たちの知つているところでは、労働組合でみな体格檢査をさしている。実際過労でどんどん参つて行くので、どんどん体絡檢査をやつてもらつているのです。殊に呼吸器関係は非常に多いのでやつております。そういう場合に、この心身の故障云々が、一体どのくらいの限界で、どういうものかという点は、なかなか微妙でむずかしい。ことにあなたはこのことに関しまして、今教員の例を示されましたが、教員などの肺病というものは非常に多いのであります。これがこの氣のある者をすべてこれによつて処断するということになりますれば、たいへんなことになる。これはまた実際上教員ばかりでなしに、たくさん集まつて生活をするのが、普通のこの公務員法に従われる人々の実情であります。これは官聽というものはたくさん集まるのが普通である。外部の人々とどんどん接するのも普通である。こういう場合、一々心身の故障をとがめ立てして、こういう無慈悲なことをやりますれば、これはどういう結果になりますか。この点をあなたは、何か医者に見せれば右から左にわかる、かように言いますけれども、これはとてもたいへんですよ。今非常にこれは殖えつつある。まじめに働けば働くほど、どんどんからだがこわれつつある。精神分裂症とあなたは言われますけれども、精神分裂症などというものは特殊の病気だからわかりますけれども、身体異状は目のこともあるし、肺病のこともある。いろいろからだの悪くなる部分はたくさんある。こういう場合に一々医者がついていてこれを見て、そうしてこれを上げたり下げたり、やめさせたり、いろいろやりますか、どうです。
○岡部政府委員 お答えいたします。結局こういう字句を運用するこのために、何らか科学的な基準を設けなければならぬ。また基準が行われました場合においても、それが適切を期するかどうかという事後の措置が大事になるわけであります。いろいろ論議いたしましても、これをしからばどういうふうに表現するか。もつと具体的に表現することも困難でありますが、單に現在の医学上の知識を利用いたしまして、これを精密に書きかえたところが、やはり問題は解決されない。具体的にこれに該当するものとしてどういう処分を受けたか、これが從來も問題でありますが、これからの問題でもあります。この國家公務員法は免職するような場合におきまして、これは従来と類似の例をとつているわけでありますが、これは心身の故障のために、どういう人間がどういう処分を受けたかということ、そしてそれがどういう根拠によつて、どういう程度のものであるか、それが正しかつたか、正しくなかつたかということは、これは自主的に人事院が判断する権限を持つわけであります。結局つづめて申しますと、そのために人事院が準司法的機関と言われるわけであります。ここで定められるそのケース、これをごらんいただくよりはかなかろうかと思つております。
○徳田委員 それゆえに労働基準法なるものがあり、それゆえに團体交渉もあり、團体協約もある。こういうものがほんとうにむごく行われないようにある。だからこういう服務紀律とか、こういう身分法とか――これはあまりひど過ぎますが、その一点は刑罰があるからなおいけないのであるが、こういう刑罰を全部除いて、こういう身分法なり何なりが、もつと緩和されてあつて、一方憲法第二十八條の権利があつて、いわゆる労働組合法、労働基準法、労働関係調整法があつて、これでお互いにかばい合つて行く。要するにこういうむごいことができないように、別な方向から労働者自身がこれをチエツクしない限り、こういうものは残酷に扱われるのは当然です。ことに日本のごときは官僚制度が長く続いて、天皇制のもとに、天皇の名においてというので、ばんばんやつた癖がまだ抜けない。ひどいものです。そういうものでこれをやつたのじやたいへんだというのです。だから労働三法をこの問題から除くということに至つては、これ自身が常軌を逸したフアシズムになるというのです。人事院がこれを適正に云々、司法的に云々と言いますけれども、それはだめですよ。なぜなら同じ官吏だ。同じ上級官吏で、天皇制の長い間の悪いくせばかり堆積した悪い人間だ。五尺のうち四尺九寸九分九厘までは、大体天皇制だ。最近やつとあれしただけだ。こういう人がこんなものをやつて行つたら、皆行政官聴のやつておることを是認することになる。それではいかぬから、民主的に憲法の二十八條が設定されて、これと対抗さし、その悪いことをチェックする。すなわちこれが反動的に悪く行くことをチエツクして、正当な民主的な方向にもどす。正しい方向にもどす。これが社会的な観点からいつて実際上に現われて來る事態だろう。このことはだれしも理解し得べきものだ。理解されなければならないものだ。これを破つてこういう公務員法をつくるところに、欠陷が現われておる。これが問題なのです。この点はあなた方は人事院々々々と言いますけれども、今言つたように、人事院は質的にそうだが、たつた三人ですよ。考えてごらんなさい。三人でどんなにやつたつて、今この公務員法を実行すれば、事件は山ほどある。一遍にあなた方三人の前に持込んで来る。問題は百万以上になると思う。なぜならば百六十何万人いますから、その中の九九%まではすぐ事件が起る。それをみな持出したら三人でどうなると思いますか。やれますか。あつちこつちに支所を設けるとか言うけれども、そんだつて幾人もいない。最後的決定は三人でやらなければいかぬ。それができますか。だから人事院が司法的権利を持つ前に自動的に――社会というものは自動的に両方が食いあつて、問題が最後の決定まで行かぬ前に、両方調和をとつて進んで行くのが社会なのです。そうですね。そんな最後に決定するとか何とか言つたつて――裁判所だつてそうです。裁判所だつて、両方食いあつているうちに、一番特徴的なものだけやるのであつて、一つの規定からこれに反したものをすつかりやるわけにはいかぬ。そんなことは子供だつてわかる。あなた方法律を設定するような人間が、そういう普通の社会学でさえわからぬようでは、これを起草する能力がない。これは能力に適しないものとして、ただちにこれを免職さるべきじやないか。そうじやないか。この点をあなた方はどう思いますか。
○角田委員長 徳田君に御注意申し上げます。審議に関係ない部分はなるべく御遠慮願いたい。
○徳田委員 もつとこれを的確に、実行する上に故障がないかどうか、その点を……。
○岡部政府委員 いろいろ御論議がございましたが、結局ただいまの御論議の点は、國家公務員法全体の構想に関することでございまして、この七十八條、七十九條に関する点につきましては、先ほど申し上げた以上にお答え申すことはございません。
○徳田委員 それなら社会保険との問題はどうなのですか。耐会保険はやるやると政府は言うておる。厚生委員会でも始終言うておる。この社会保險はどうですか。これらはすべて社会保険と関係のある問題です。心身の故障といい、いろいろのものといい、すべて社会保険と関係があるが、これは社会保険とどう関係があるか。
○佐藤(達)政府委員 本案といたしましては、公務傷病に対する補償の問題及び恩給制度の問題として、人事院の大きな職責の中に、それらの立案実施の仕事が入つておるわけであります。
○徳田委員 ごの國家公務員法は非常に制約があるのでありまして、社会保險の一般法則は除外するようにできておりますが、社会保険とは全然関係がないわけですね。これだけですべてやるわけですね。参國家公務員法だけでそういう救済も……。
○佐藤(達)政府委員 除外するとは申しておりません。本案といたしましては、それらの二つの点を掲げておるということを申し上げておきます。
○徳田委員 除外しないならば、どういう点を社会保険で救済し、そうしてこの公務員法を実行するにあたつて、これが社会に有害にならないようには、どういうふうにするかという点を述べてください。そうしないと問題にならない。
○佐藤(達)政府委員 その点は一般社会保険の問題といたしまして、政府として考究いたしております。
○徳田委員 考究いたしているではない。具体的な例を上げて、これはこういうわけだから、これだけでは有害なように見えるけれども、一方こういうふうに救済せられるから、だからこれは大丈夫だということを言わなければならぬ。あなた方は公務員法を出すにあたつて、これは公務員を保護するためだということを最初から言つておる。保護するどころか、有害ではないか。損害を與えることばかりやつておる。
○佐藤(達)政府委員 ただいま申しましたように、公務員を中心としては、公務補償に関する問題、恩給の問題に関して考えたい。なお一般社会保険の問題については、この方向において当局において研究をいたしております。
○高橋(禎)委員 先ほど徳田委員からの質問に関連しまして、主として分限の問題についてお尋ねいたします。第七十八條の規定によると、降任し、または免職することができる。そうして一号ないし四号まで列挙してあるのでありますが、その降任する場合と免職する場合は、この四号の全部にかかるのですか。
○岡部政府委員 全部にかかるものと解しております。
○高橋(禎)委員 そうすると第四号の場合も同様ですか。
○岡部政府委員 同様でございます。
○高橋(禎)委員 そうしますと、先ほどからいろいろ問題になりました、この各号の場合に降任するか、免職するかということの標準を定めることが、非常に困難だと思いますが、それはどのようにして定められますか。
○岡部政府委員 客観的に標準をきめることは、非常に困難かと思つております。先ほど徳田委員からお尋ねがございましたが、病氣といいますか、だんだん過労のためにこの激職にたえなくなつたというような場合におきまして、これを一層軽い地位に降任するというようなことも考えられます。また勤務実績がよくない場合におきましても、これも降任するというような場合が考えられようかと考えます。それから定員の改廃がありました場合におきましても、一層低い地位において余裕がある場合においては、これを降任する。むしろこれは主として運用の問題でありまして、厳格な基準を設けるということは困難であろうと思います。
○高橋(禎)委員 そういたしますと、先ほども問題になりました、任命権者が独断でやると申しては多少語弊があるかもしれませんが、任命権者がこの処分をやるということにいたしておきますと、非常にあやまちを犯しやすい。だからここに職員の懲戒処分について適当な諮問機関を置いてしかるべきではないかと思うのでありますが、その点について……。
○岡部政府委員 この國家公務員法の建前といたしましては、各任命権者がこういう処分をいたします場合におきまして、諮問機関を設けることを禁止する建前ではございません。しかし義務的にそのような諮問機関を設ける必要を認めてはおりません。
○高橋(禎)委員 第七十七條、第七十入條、第七十九條等の人事院規則によりというこの人事院規則には、一体どのようなことが規定されるわけですか。
○岡部政府委員 この七十七條の「職員の離職」と申します場合には、非常に廣汎なものでありますから、これは「法律及び人事院規則でこれを定める。」という包括的な規定でありまして、この法律及び人事院規則は、各條項にまたがつて来ると存じます。次に七十八條の「人事院規則の定めるところにより、」と申しますのは、これは大体手続規定を定めるつもりでございます。それから七十九條の休職の場合におきましては、これはちよつと問題のある場合でございまして、これの運用の適正を期するために、目下研究中でございます。さよう御了承願いたいと思います。
○徳田委員 ここの第七十八條の第四号に「官制若しくは定員の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」こういう場合には免職したり降任したりするとありますが、定員に滿たないようなことは大体前提にあるのですね。現在のように定員も補充しないような状態は一体どうです。
○岡部政府委員 ちよつとお尋ねの趣旨がはつきりいたしませんが……。
○徳田委員 いや、あなた方は手前がつてだと言うんですよ。自分の方は出員ができたとか、予算が少くなつたのだとか言つて、どんどん首を切ることができると書いておきながら、実際現在は定員を補充しておりません。だからこの規定の反面では、常に定員は一ぱいに補充しておるということを前提にしておるかどうか、公務員はその前提に立つておるかどうか、どうですか。
○岡部政府委員 その問題は、もちろん官制もしくは予算に関する定員と申しますのは、國会において御審議をいただくわけでありまして、そういう官制が必要であり、それを充員することが國政上必要であるからといつて議決いただくわけであります。またその官制を廃止いたします場合、それからそれに伴う予算を減少いたします場合、たとえば経済統制をどうするとか、こういう関係の、ような場合、これはすべてこの國会による議決をいただくわけでありまして、手前がつてというお言葉は少し当らないかと思つております。從いましてその建前といたしまして、どこまでも官制は必要な官制であり、それに盛るべき定員は必要な定員であるという建前において議決いただいておるわけであります。
○徳田委員 それならば、定員は実際予算でもつて決定し、そして國会を通過した定員が補充されないような場合には、その責任はだれが負うのですか。あなた方みな公務員の責任ばかり追究しておりますが、公務員は実際今定員が足りなくてえらい目にあつているんですよ。そういう場合これを適用して追究するのだが、そういう定員の補充をしない場合には、どういうふうにして権利を守りますか。
○佐藤(達)政府委員 定員とそれに充てらるべき生きものであるところの人間との関係につきましては、機械的にただちに、この定員がかりに何人と設けられたとたんに、それだけの人員を整えてそれにはめこむということは、事実の問題として不可能なのでありまして、この定員に満たない実員が生ずるという場合は、やむを得ない事情による場合もありましようし、いろいろその理由については考えられるところがあるわけであります。従いまして非常に不安当、不合理な理由による場合、あるいはやむを得ない理由による場合等いろいろございましよう。それらの事情によつて事柄を判断すべきであろうというふうに考えます。
○徳田委員 そうなると実績があがらないとかあがるとかいうことも、すべてこれは定員と非常に関係がありますね。定員が一ぱいになつているときの実績と、定員が足りなくなつたときの実績について、なかなかこれが判定しがたい。そういう場合にも特別な規定をみな設けるわけですな。
○岡部政府委員 それはちよつと問題が違うかと思います。この勤務実績がよくないとか、上る場合とか申しますのは、定員と関係なしに、その人の勤務成績を評定できるものと信じております。
○徳田委員 その評定はできますね。
○岡部政府委員 できます。
○徳田委員 それならこういう評定をするとかいろいろなことが、みな人事院規則によることになつておりますが、この人事院規則は非常に厖大なものになるが、これができない以上は、この條項はすべて適用しないのですね。人事院規制ができ、この條項が適用せらるべき準備がずつとできた後でなければ、この條項は適用しないということを大前提としてあなた方は説明しておられるようですが、そういうことになりますね。
○岡部政府委員 この條項をいつから適用するかということは、先ほど申し上げました通り、必要に感じまして準備が整いましてから、逐次これを適用して行くわけでございます。従いましてこの分限に関する規定をいつ適用するかということは、法律または人事院規則、及びこのたびの改正案による人事院指令によりまして、準備ができ次第適用して行くということになります。
○生悦住委員 第百三條第二項が修正された理由はどういうわけですか。
○岡部政府委員 まだそこまで逐條御説明申し上げておりませんでしたが、この点だけ切り離してお答え申し上げてよろしゆうございましようか。
○角田委員長 そう願います。
○岡部政府委員 これはいわゆる天くだり禁止規定でございまして、従来職務上密接な関係にありました職員が、その関係を利用いたしまして、関係の民間会社に天くだるというようなことが、官紀の維持上きわめてよくないことは、國民の何人も御了承御同感せらるるところであります。その趣旨におきまして百三條の現行法ができておるわけであります。但し現行法は、その職務上密接な関係にある営利企業を代表する地位というふうに非常に限定しておりまして、いわば普通の株式会社でありますると、その代表取締役というような、ごく限定された地位に限られておるわけでありまするが、現在のこういう事情のもとにおきましては、ひとり代表する地位のみならず、これをもつと廣げる必要があることはこれも御同感いただけると思うのであります。しからばこれは無限に廣げていいかと申しますると、これもいろいろ実情を考え合せなければならぬのでありますが、結局たとえて申しますると、ある省の職員であつて、その職務と密接な関係にある営利会社に入ることを、絶対に禁止することがいいか悪いか。ことに下級の職員にまでそれを及ぼすことにつきましては、やはりこれは考慮しなければならぬ。またその考慮の上に立つて考えますと「たとえば局長級の者が会社の代表的な地位につく。あるいは幹部の地位につくということがいかぬのみならず、たとえて申しますれば、三級官級の低い職員であつても、それが繊維の割当をやつておる者が、繊維会社の営業方面にまわるということは、これは地位のいかんを問わずおもしろくないことであります。この点は禁止しよう。しかし今引例いたしました繊維の割当をしておる者が、同じ繊維会社ではあるけれども、会計の方であるとか、文書の方であるとか、そういう方面にまわることまでも押える必要はないじやないか。そういう仕事と直接関係ない地位でも影響があると言えば言えるのでありますが、そこは実情に即して適当な限界を設けようというのであります。でありまするから、結局國の機関とその会社とは一應関係があつても、従来占めていたポストが関係がなければいいことにしようというのが、この改正の趣旨でございます。
○生悦住委員 これでは非常にはつきりしないように私は思うのであります。第百三條の前の規定で行くと、「職員であつた者は、その退職後二年間は、その退職前二年間に在職していた官職と職務上密接な関係にある営利企業を代表する地位に就いてはならない。」となつておつて、これであればはつきりしますが、今度の改正案で見ますと、「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた國の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」となつているが、こういうことになつて来ると、非常に範囲が拡大されたように私は考えるのであります。こうなると、前に役人をしていた者は、直接國のそういう機関と結びつくことができないということになりまして、その人の基本的な人権と申しますか、その人の將來を封鎖するというような結果になると私は思う。ですからこれは非常に重大な問題が起きないかと思う。この点についてもう少し明瞭にする必要がありはしないかと考えますが、いかがでしよう。
○岡部政府委員 この表現はなるほど現行法の方がわかりやすいのでありますが、結局現行法は、その官職と営利企業とを結びつけたわけであります。このたびは先ほど申上げましたように観点をかえたわけでありまして、ある職員がついているポストというものは、その職務と関係のないポストならば、その者が勤めている役所と密接な関係にある会社に入つてもよろしい。ただ職務同志、ポスト同志が密接な関係がなければよろしい。そういう点で非常に緩和してあるのであります。代表的な地位ということをずつと廣げたことは御承知の通りでありまして、これは非常に問題になる條項かと存じまするが、その趣旨とするところは、官吏が民間企業に職務上の関係を利用して天くだることを禁止しよう、こういう趣旨に出ているわけであります。これに関連いたしまして申し上げますがう現在の官職には、その官職の特殊性に感じまして、民間の知能を利用しなければやつて行けないというので、いろいろ民間の方を採用しているわけであります。その民間の方々がついている地位というものは、比較的臨時の地位が多いわけであります。例を申し上げますれば、経済安定本部のいろいろな地位というものは、それに該当しようかと思うのであります。でありますから、たとえば経済安定本部の局長なり、幹部の地位に、民間の会社の人がつかれたという場合におきまして、この方々がやがてまた元の会社なり、銀行なりに帰ろうというような場合におきましては、これはこの條項の適用からはずさなければならぬ。それは次の第三項によつてこういうものははずして行くつもりであります。これは必ずしも民間の知能を官聽に動員する妨げにはならないと考えております。
○生悦住委員 そうしまするとかりに例を申しますると、商工省の繊維局に勤めている人がやめて民間会社へ入ろうという場合に、繊維でなくて化学の仕事に携わろうという場合には適用しないわけですね。
○岡部政府委員 御指摘の例はこれに該当しないものと考えております。
○生悦住委員 そうするとこの修正案の文章は、先ほど申しましたように、むしろ強化されたような形に見えることが非常にあいまいである。これについてあとでほかの委員からも質問が出ると思いますが、私は当然修正さるべきであると考えております。
○玉井委員 この百三條第二項については、実は非常に危険だと思つております。この公務員法が通ると、なわのれんみたいにたくさんぶら下つている罰則にひつかかつて、やめさせられる人が相当出て來ると思うのであります。しかし罰則にひつかかつて適用された人はまだいいが、そうでなくて、先ほど論議されたように心身の障害とか、あるいは官職に適しない――これは適しないということに非常に問題があるのでございますが、ともかく適しないという理由でやめさせられた人が、今まで五年間勤めておつた所と関係のある職業につけないということになつたら問題だと思うのであります。自分でやめるならばほかに職業を求めておいてやめることもできましようが、やめさせられて、その上行く先を制限されたということでは非常に問題になると思うのでありますが、この点に関してどういうお考えを持つているか伺いたいと思います。
○岡部政府委員 お尋ねの点は、こういうきびしい制度を設けます以上は、いろいろ問題になる点が具体的に出て來ようかと思つております。そのために次の項が設けられておるわけでありまして、所轄聴の申出によりまして、人事委員会の承認を得た場合にはこれを適用しない。でありまするから、玉井さんが今御指摘になりましたような例の場合におきましては、従来勤めていた官職を不当に利用し、そこにコネクションをつけて、民間の会社に天くだるというような危険や心配がないような場合におきましては、これは排除し得る余地があろうと考えております。
○玉井委員 そうしますと、非常に運用の妙をはかつて、そういうことをしないようにしたいという御趣旨であろうと思うのですが、今のような点が一應守られたにしても、お話になつたような形の、たとえば天くだりを防止することに対しても、この第三項はかえつて逆に非常に危險な状態を持つておるのじやないかと思うのです。つまり首を切られてしまつて行先がない場合には第三項を使つて、第二項は一應排除してしまつていい。そういうふうに考えてもいいが、同時に逆に第三項を使つて、相当天くだり的な人でも、人事委員会の承認を得て、特別のコネクシヨンをつけて、天くだりして來る人がまた出て來るのではないか、こういうような氣がするのですが、この点に対してはどういうようなお考えですか。
○岡部政府委員 これは立法精神が、その官職と、職務上密接な関係にある営利企業になつておるわけでありまして、これを濫用するということでありまするが、これは実はいろいろ一定の基準を客観的に置くつもりでございます。たとえて申しますならば、先ほどちよつと例を申し上げました安本におきましては、こういうような出身で、こういう身分の者は、これはこの適用を廃止するのだというように、合理的な基準を置くつもりであります。この趣旨を没却しないような一定の実例に基く基準によつて、これを運用して行きたいと思つております。
○角田委員長 この際玉井理事に暫時委員長の職務の執行を願います。 〔委員長退席、玉井委員長代理着席〕
○野本委員 今の百三條の第二項は、前職の地位その他を利用して起るいろいろな弊害を防ぐ規定でありますが、その逆、つまり繊維関係の仕事をしておつた者が、繊維関係の官職に任用される場合を予想いたしますと、これは公務員が天くだりに行くのとまつたく同じような弊害が予想されるのであります。この点について御見解を承りたいと思います。
○岡部政府委員 まつたくお尋ねの点につきましては、これはきわめて根拠のある問題でありまして、これが將來わが國の人事行政の一つの問題になるだろうと思います。御指摘の点が最も極端に現われておりますのはワンダラーマンの制度であります。これをわが國におきましても大体應用いたしまして、経済統制官吏には、こういう制度をやろう、また現に相当実施しつつあるわけであります。また世論も、経済統制を実施するためには、民間の知能を動員しなければならぬという考えが強いわけであります。これにも根拠があるのでありまするが、しかし今後の人事行政の趨勢は、こういう点に行くだろうと思います。少しよけいなことを申し上げるようで、お許しいただきたいと思いますが、結局民間の知能を使わなければならぬということは、公務員側において専門的な知識がないという点に、一つの原因があるわけであります。そういう面から行きまして、今後公務員もそれぞれ専門的な知識を養成する、なおそれでも足りない点があるだろうと思いますが、できるだけ専門家を養成しで行く。從いまして将來の趨勢といたしましては民間の方を採用する場合はむしろ少くなるのではないか、ワンダラーマン制度は將來の趨勢としてはだんだんなくなつて行くだろうと思つております。しかし現在のところ経済統制をできるだけ民間の実情をくみ入れて円滑にするためには、現在のような官吏制度では不十分であるという定評があるわけであります。その欠陷を補うために、こういう方法をやつておるわけであります。從いまして御指摘の点は十分問題を含んでおる問題だろうと思いますが、現在のところ、これはやむを得ないわけでありまして、そういうふうに起用された人が、また民間にもどるのを、これによつて押えるのは少し行き過ぎではないかと思つております。これはいわば運用の一つの基準に属する問題と思います。
○野本委員 大体わかりますが、この規定だけ表から考えてみますと、公務員はすこぶる信頼されしかも非常な好都合を受けるが、民間人はきわめて信頼されない。将来もそう思われる。そこに矛盾を感ずる。その点について……。
○岡部政府委員 その点もまつたく多くの問題を含んでいるわけでありまして、今後の國家公務員のあり方に関連して来るわけであります。現在のように大藏省商工省の役人が四十前後で局長の地位につき、一、二年にしてすぐ民間の会社に飛び出すというような制度は、今後の國家公務員のあり方としては非常に不健全なあり方でありまして、今後の国家公務員の制度に驚いては、そういうのをやめよう。繊維行政の専門家は、長く相当な年齢に達するまで繊維行政に従事させる。こういう建前になつておるわけであります。それが背景となつて、こういう制度ぶ運用されなければ、この百三條の二項を厳重に運用することは、きわめて酷な制度になるだろうと思います。
○徳田委員 しかしそんなことを言えば、一体このむちやくちやな官僚統制、またこの官僚統制をするためには民間からも人を引上げなければならぬが、大体あなた方はいつこれをなくすのか。これがなくならなければだめでないか。いつなくなる見込みですか。
○岡部政府委員 それはどうも私からお答えするのは不適当かと存じます。
○徳田委員 そうするとこの條項は、これがなくなるまでは適用すべき情勢でないからというので、適用しないのですか。そういう情勢が出て來ない限り……。
○岡部政府委員 私が野本委員に申し上げましたのは、そういうことを背景としてこれがよく理解されると思うのでありますが、現在の情勢のもとにおきましては、やはりこれを適用しなければならぬ実情にあろうかと思います。これはただちに適用するつもりであります。現に適用されていると解しております。
○徳田委員 なるほどあなたの言われる通り、そういう意味で理解するのはいい。理解するのはいいけれども、そういうふうに理解すれば、現在これを適用してもいいと言いますけれども、こういう適用が実際上弊害を生じているのではないですか。こういう適用をしても、いわゆる今までは離職前五年間に在職したもの云々、これと同じようなものを扱つておりますか。年限もやはりそうですか。現在も実際上弊害が生じているではありませんか。そうすればあなたはそういう弊害をなくするためにやつてると言うが、何らのかいがないじやありませんか。それはどうですか。
○岡部政府委員 お尋ねの趣旨がちよつとはつきりいたしかねますが……。
○徳田委員 あなた方がこの規定を設けたのは、官職についた者が天くだり的にある会社に行くと大きな弊害を生ずる。全体としての國家的の大きな弊害を生じ、情実とかいろいろなことが生ずる。だからこれはいかぬというのです。だからこういうものを設けているわけでしよう。現にこれを適用して実際上やつている。しかるにどんどんこの弊害は出ているではないですか。ちつともこれを実行したかいも何もないじやないですか。
○岡部政府委員 この現行法の百三條第二項は、今年の七月一日以後適用されておるわけであります。でありますから七月一日以後この條項に違反いたしました者は罰則の適用があるわけであります。
○徳田委員 そうすると現在これが七月一日から適用されているから、これは改正法ではなく、改正前のものです。今七月一日から適用されているからそれでいいと言われるのですね。そうすると七月一日から今まで何箇月になるか、この期間でこれが実際やられているからいいというだけのものならば、これは問題にならないではないですか。問題はこういうことをしても、実際上あなた方の期待するようなものができないだけではないかということにある。そうでしよう。あなた方の目的としているものができないということにある。殊にこれは一つの繊維なら繊維の問題に関係しなければいいということになつているだからあなたの方から言えば、繊維関係の者はうんと長く勤めさせるようにする、こういうのです。ところが今の俸給で、繊維関係に十分な鍛錬をしたような者が長く勤めることが、実際上の情勢でできますか。それができないのが一つ、もう一つは必ずしも繊維は繊維に下るのが弊害があるのではなくて、繊維に今いてもこれが化学にかわつても、やはりこの行政機構の中での取扱いの方やいろいろのことをやれば、いずれに下つても官職にいた者は、今のような官僚制度では必ず弊害が生ずるのです。手づるはあるのだ、その手づるをうまくやつてやるのだ。たとえば大蔵省でも、税の関係にいた者は、いわゆる秘方面に関係のない会社というものはないのだから、すべての会社はみな税を納める。そうするとすべての会社にこれは入れないということになる。だが一方これが金融関係のみ扱われている人は、金融関係以外のものはほかの会社に全部入れるということになります。そうするとここに非常に不公平が生ずるが、金融関係の者がほかの会社に勤めることができれば、税関係の者でも大磯省に勤めていた以外の者は、これをうまく処理することができるようになつておる。だからこういうことを言つたつてできるものではないのです。これはあなた方の言うような成果をあげることはできない。現にこれに関係があるなしにかかわらず、今の経済統制では、官僚統制では、厖大な不正事件が起つている。この不正事件をあなた方はこれでとめるつもりですか、どうですか。
○岡部政府委員 この第百三條第二項が七月一日から適用されても効果がないではないかという仰せでありますが、この七月一日以降、少くともこういうような事例がきわめて押えられたということは、私は顯著な事例だろうと思います。その他につきましては御意見と承つておきます。
○前田(種)委員 これはこの改正案から行くと、離職前五年間に在職したとあるが、五年の間には相当異動があると思うのです。そうすると人によると全般に影響する者が相当あります。私は例をあげてみますが、かりに大藏次官ということになると、全般に関係する。そうするともう二箇年間は商賣もできなければ就職もできぬ。何もできないということになりはしないかと考えます。それから檢事はやめて二年間は弁護士もできぬということも該当すると思いますが、檢事の場合は該当するかしないか、しないならばしないという答弁をしてもらつたらいい。要するに運輸省に勤めている者は、運輸省関係はいかぬということははつきりしでいるが、國の全体に関係したところの官吏は、二年間というものは結局何もできないというようにしばられることになります。そういたしますと、結局二年間というものは生きて行けない。要するに職につけない。商賣もできないというようなことにもなろうかと考えますが、その点の幅がどういう実情あるかという点を、例をあげて御答弁願いたいと思います。
○岡部政府委員 ただいま前田さんのお尋ねのうち、これは営利企業と限定しておりますから、検察官と弁護士との関係は全然別問題と御了承いただきたいと思います。それから、いろいろ例をあげよという仰せでございますが、まつたくお話の通り、これは抽象的に基準を設けましてもなかなかはつきりしない問題でございます。それから、これをやるのは酷ではないかという仰せでございますが、それぞれ密接な、たとえば繊維関係のものをやつている者が、繊維会社にすぐ退職後就職できないということにつきましては、御本人にとつては非常な不便を感じ、非常につらいというような、個人的な影響というものは非常に深刻だろうと存じますが、それと國家全体の利害とを考慮いたしまして、こういう非常に公共性の多い規定ができたわけであります。この趣旨につきましては世論が一致して支持しているところであろうと存じます。要はその運用の問題であります。 それからもう一つ、五年間と申しますのは、五年間経歴していた職務を指します。それでありますから、その五年間に歩いて来た経歴がその制限を受けるわけです。具体的に申し上げますと、これからの問題もあるのでありますが、國の機関をどういうようにしぼるか。現在までのところ、これはいろいろ実情に即應しなければならぬのでありますが、大体産業官廳におきましては、それぞれの局を一つの單位とするのが適当である、こう考えております。
○前田(種)委員 どうもいろいろ言つておられますが、檢事の場合は今の答弁でわかりましたが、その他の場合は営利企業の單位を一体どうするか。何百万円以上の会社というように限定するのか、個人企業も指すのか、あるいは自分みずからが商賣することも指すのか、こういう点もはつきりしなければならぬと思います。どうせ退職後何かしなければ生活の道が開けないと、いう退職した人のためを考えますと、これは非常にきゆうくつにしている。その意味で私はこの法規は要するに官職にあつた者が民間企業と、いろいろ惡いことをしないようにしようというのがこれの趣旨だと思う。しかし、これがために有能な官吏を得られないという、逆な結果が現われて來るということも考えなければならぬと思います。こういうことのために、よい人が官職に就職しないという一面が相当強く考えられると思います。だから一概に、惡いことをするからしばつておかな分ればならぬという面で、このようにここでうたつてありますが、その逆の点をいろいろ考えると、要するにプラス、マイナスいたしますと、この條項というものは重要な問題になつて來ると考えます。今、ある局に勤めでおりた、だからどうとか言われますが、五年間には相当轉職するでしよう。だから五年間の官職ということになると、相当廣範囲にわたつて來るから、官吏の中には事実上二箇年間は何にもやれないというような結果になりはしないかということから、私はその点をもよ少し明らかにしてもらいたいと考えるのであります。
○岡部政府委員 御承知の通りこの現行法におきましては、退職前二年間という規定でございましたが、それが改正案におきましては五年間ということになりました。実は前田委員も御指摘の通り、現在の役人は非常に轉々しております。殊に幹部になるほどそうでありますから、たとえばある省の幹部は二年間でさえ相当轉々しておるだろうと思います。将来はそういうことがだんだんなくなると思いますけれども、現在の実情のもとにおきまして、過去五年と申しますことは、非常に広範囲にわたると思います。そういう面におきまして、これに該当する職員には非常に酷に当りはせんかという感じは、率直にいつて私個人としましてはいたします。それから営利企業の地位と申しますのは、これは大小は間わないわけでありまして、結局営利企業であればいけない、こういうことに解釈しております。これは結局運用の適正を期する上にはきわめて困難な問題なのでありまして、実はこれは率直に打明けて申しますと、個々の実例によつて解決して行くよりほかないわけであります。個々の実例につきましては、関係方面と一々実例につきまし打合せしまして、その上で一定の基準を設けることになつておる。これは現にやつておる問題でありますので、いろいろやつているうちにいい標準ができようかと考えております。
○菊川委員 どうもお聞きすればするほどおかしくなるのであります。それならばお尋ねしますが、この改正案の第二條には、現に現業廳、公園その他これに準ずるものの職員というものは除外しておられます。そうしますと例をもつて申しますれば、食糧配給公團の職員は、本來米屋さんであります。ところが日本でいつまでも米の配給、いう制度が続くかどうか疑問であります。そうすると食糧配給公團に、從來は独立の米屋であり、そこの從業員であつた者がたまたま食糧配給公園という一時的なものができたために、公務員にされてしまつた。そうして今後米屋さんがいよいよ自由にやれるといつた場合に、その法規のために全國の配給公團に入つた人は米の営業ができなくなつてしまう。これは実例であります。そういうことを一々関係筋と打合せなければできぬという話はないのであります。そこで私お尋ねしますが、一体この條項は今度の第二條の適用範囲とにらみ合わせておきめになられたものであるかどうか。はなはだずさんきわまるものであると思います。もしこの條項を生かすならば、これに該当する者はたくさん出ると思いますが、それは第三條において特別職としてお考えになつておるのであるかどうか。
○岡部政府委員 そのことは先ほどちよつと解れて置いたと思います。公国の職員はほとんど大部分、例外なしに民間企業が統合されてでき上つておるわけであります。從いまして公團の職員をこれに適用する意思は私ども持つておりません。すなわちこれは百三條の第三項によつて、はずすつもりでおります。しかしこの公團の職員を全部はずすのか、あるいは公團の職員の中でも、種類をわかつてこれをはずすべきか、どうかということにつきましては、先ほど申した意味において交渉中でございます。
○高橋(禎)委員 その問題につきまして、結局この百三條の第二項に違反すれば犯罪になるわけですか。この改正案が実施されれば、早速檢事は検挙を始めるわけですか。今おつしやつたように、あいまいであつては罪人が非非にたくさん出て來る。そういう刑法の内容をして、いるものですから、非常に明確にしておかなければならぬと私は思うのであります。
○岡部政府委員 先ほどお答え申し上げました通りでありまして、公團の職員なら職員というものは、これをはずす、こういうことにいたすことも可能であります。具体的にはずされないうちは、これと業務上密接なる関係があるもの、これに該当するものと解釈するほかありません。
○玉井委員 百三條の第二項の点ですが、五年間には相当に同じ公務員の地位において、各官廳をまわる人も出て来るわけですね。そうなると相当五年間には、どうも危なかしくなると應場所をかえて責任を轉嫁するというようなことが、たびたび官廳においては行われるのです。そういうふりになると、その人はやめて出てきた場合に、非常に匿い範囲において就職ができない。就職ができないならば、いつそのこと今のうちにうんとふところをふくらまして、涜職でもやつておこうというような者も出で來ないとも限らないと思いますが、この点はどうですか。
○岡部政府委員 これは先ほど前田さんのお尋ねと関連いたすのでありますが、離職前二年間を五年間に拡張したということは、きわめて影響するところが大きいわけであります。
○徳田委員 この職にあつた者というのは、すべて職員と名のつく公務員には全部適用するわけですね。小使にも、給仕にも、全部そうですね。
○岡部政府委員 全部でございます。
○徳田委員 そうするとたとえば電話の交換手であつた者は、電話をつくる会社には行けないというわけですね、利害関係があるから……。それは懲役かね。そんなばかな話はないでしよう。だから限定すべきじやないか。
○岡部政府委員 それは第二項自体におきましても、それは徳田さん誤解があるのでありまして、電話の交換手が電話会社の地位につくことは、職務上密接な関係があるものとは考えません。
○徳田委員 同じだというのならば、それは電話の技師も電話の交換手も区別はないじやないか。電話の技術者が電話製造会社に行く場合に、これは当るのでしよう。そうするとこれと電話交換手をこの法律ではどう区別するのですか。あるいはその中間にあるものはどう区別するのですか。
○岡部政府委員 これは結局そういうものは社会通念によつて解決しなければならぬわけでありまして、この法の趣旨とするところは、あなたが百も承知の通り、経済統制なら経済統制に從事している官吏が、その職務上の関係を利用して、営利企業に天下りしようとすることを禁止するという趣旨であります。電話交換手が電話会社に轉職することを押える趣旨でないことは、これは明白なことと存じます。
○徳田委員 なぜそんな明日なら明白のように書かないのですか。日本の官廳というものは、いつも不明確にして収いて、そうして労働者を弾圧しようとする場合には、その不明確さのゆえけ非常に拡大して弾圧をしておるのだ。現に今これは横行しておるのだ。農民に対してもそうだ。すべて不明確にしておいて、不明確のゆえに拡張解釈をして、じやんじやんやつおるが、これは犯罪を伴う、監獄も伴う。世界一般どこにもない法律ですよ。だからそれが拡張解釈のできるようなことをしてはだめである。政府は拡張解釈のできないように厳格にしなければならぬ。
○角田委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明二十八日午前十時より開会し、本案の審査を続行いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時一分散会