災害地対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1948/11/15
会議録
○椎熊委員長 これより会議を開きます。 本日は災害地対策に関し、被害状況、復旧状況並びに補正予算等につきまして、関係当局より説明を求めたいと思います。まず建設省関係から説明を願います。
○目黒説明員 それではお手元に配りました資料につきまして御説明を申し上げます。 本年は三月、四月から、東北地方の溢水による水害を始め、その後六月、七月、八月と連続して局地的にいろいろの降雨がありました。また七月ごろには例の北陸地方の震災が突発、さらに九月にはアイオン台風の襲來等、被害は各地方に起つて、大体香川縣を除く四十五都道府縣に及んでおります。被害総額は大体四百五十億と推定されます。ことに被害の大きかつた所は、岩手の六十一億、宮城、群馬の四十億、北海道の三十億という例があります。これらに対して現行の規定による、三分の二の補助をいたしますると、國費として補助金が三百五十億ということに相なります。さらに國で直轄して行つておる河川の被害でありますが、國で直轄施行すべき災害が五十三億、砂防が三十七億、それから特殊な災害でありまするが、南海震災による四國、中國、近畿地方の地盤の変動がありまして、これらが十九億、それから福岡の炭鉱地帶における陥没による被害が二十億、これらをすべて合計いたしますると、非常に厖大な五百八十一億という災害になるのであります。これに対しましてわれわれは一應緊急やむを得ざるものとして追加予算の要求を提出しておりまするが、その額はまず十二月までに五十一億、その後十二月以降年度内に七十数億、百二十数億の予算要求をいたしておるのであります。これはまだ事務折衝中でありまして、決定はいたしておりませんけれども、この災害に対してこのまま放置することができませんので、さしあたり全額四十億の地方融資を交渉して大体実現しつつあるのであります。このうち災害に対して融資される分は二十五億程度であります。これは各府縣と大藏省との直接交渉によりまして、目下折衝いたしておりまするが、相当借入をしてしのいでいる縣が多いように聞いております。 さて水害がこういうふうに莫大な額に上る原因といたしましては、常に言われているように、戰時中あるいは戰前からの河川工事の中止、河川の荒廃、あるいは山地の濫伐濫墾というようなことが原因とされておりまするが、こういう自然的な原因よりも、さらにわれわれの見のがしてならぬ原因といたしまして、かつては災害というものは、災害の起りましたその年度において大部分を消化するといいますか、復旧をするというような原則でありましたが、予算の都合上、二年あるいは三年にわたつて災害の復旧を行わなければならぬという現状になりましたので、今年度の災害は昨年百五十億の災害を受けました約四〇%程度の仕事が完成しておりまするところで、また異常の出水を見たということによりまして、災害をより多く厖大なものにしたということが見のがせない現象だと思います。予算の過小による原因ということが見のがせないと思つております。さらにこれだけの厖大な災害を復旧せんがための資材の不足、このためによつて、ほとんど應急的な仕事にのみ忙殺されておりまするので、再び災害をこうむらぬように恒久的な施工が困難であつたということも、一つの原因と考えられます。 以上今年の災害の経過を御報告申し上げます。
○椎熊委員長 ちよつと御相談申し上げますが、ただいまここに道路局長も見えておりますので、御質問があれば道路局長の御説明を聞いてから後にいたした方がよろしゆうございますか、今一人々々ただいまの河川局長に御質問になつた方がよろしゆうございますか。政府側の一通りの説明を聞いてからにしますか。——それでは道路局長菊池明君。
○菊池説明員 道路関係の水災害でありまするが、これは内務省時代の災害補助関係の取扱いの点からやつて來た方針をそのまま踏んでおりまして、現在において府縣等に補助いたします分は便宜河川関係の中にまとめてやつてありますので、ただいま河川局長から話があつたうちに含まれておるものと御承知を願います。 金額におきまして、今年度はただいま河川局長から申しました金額の約四分の一は、道路の改良でございます。便宜一つの項目でまとめておるので、その中の四分の一、約百三十億円ばかり道路の災害を含んでおります。ただ國が直轄でやつております工事の関係の災害だけは、道路局の方で取扱つておりまして、それだけはただいまの河川局長のお話の中には含んでおりませんので、それを今ここでつけ加えて申し上げます。本年度道路の直轄工事関係の災害は、六、七月の災害で約八千三百万円、それからアイオン台風関係が一億二千二百万円、合計いたしまして道路関係、直轄で二億五百万円ございます。それに対しましてただいま緊急の災害復旧といたしまして、一億二千万円だけ本年度内に必要であるということで、結局一億二千万円を折衝中でございます。以上であります。
○椎熊委員長 以上河川局長、道路局長の御説明に対しまして御質疑はございませんか。
○金野委員 河川局長に御質問申し上げたいのでございますが、おそく参りましたので、こまかい支出の点は十分聞き得なかつたのであります。私の質問はピンと來ないかもしれませんが、ピンと來ない点がありましたならば、さらにつけ加えて細部の点にわたつて御説明を願いたいと思います。今年度の災害に対しまして総計百二十九億程度の追加予算の要求しかやつておらない。こういうことになりますと、私ども地方をまわつてみまして、今年度の水害状況と追加予算の要求の額を対照してみますると、非常に少額であるというふうに考えられます。この点は聞くところによりますと、安本、大藏当局は、なかなかこの追加予算の要求に対して眞劍に考えておらぬようであつて、ただ財政的な一つの事務処理の面にばかり拘泥いたしまして、建設省あるいは農林省の要求に対しまして全面的に賛成をしておらないというようなことを承つておるのでございます。この点の事情をもう少し具体的に御説明願いたいと考えております。私どもは來年度の植付なんかに最も重大な関連のある災害でございますので、この臨時國会に相当額の追加予算を出してもらわぬことには、二十四年度の一般予算では、この工事の復旧というものは、困難な状態に、時期から見ても思われますので、この機会に追加予算を獲得することによつて、全國の災害地の復旧をはからないと、食糧増産の見地からも重大な問題と相なろうと考えておるのであります。從つて、不幸にして芦田内閣が途中で倒れたのでございまするが、芦田内閣の一松建設大臣は、臨時國会においては相当額の追加予算を計上するということを國民全体に対して言明をしておりまするし、われわれ議員に対しましても言われておるのでございまするが、今度の吉田内閣においても、この追加予算だけはどうしても災害地対策特別委員会としては獲得しなければならぬのでございまして、次の委員会等から、大藏関係、安本関係の主管大臣に出てもらつて、われわれは果敢な闘いを開始するつもりでありまするが、そのための資料といたしましても、今予算の折衝の過程を許す範囲内で具体的に御説明を願いたい、かように考える次第であります。
○目黒説明員 三百五十億程度の災害に対して現在要求しておりまする百二十九億何がしは非常に過小ではないかというお話もあります。今昨年の例を見ますると、表に載つておりまするが、昨年二十二年度の災害は総額百三億五千万円というのでありまするが、これに対しまして本年度は相当災害を重視してもらつた関係上、予算を支出したのでありまするが、それにいたしましても三十七億四千万円程度であります。そういうわけでありまして、残額が現在六十六億二千百万円というものがあるのであります。過去の二十二年度災害の残額さえ現状かくのごときありさまであります。われわれは六十六億何がしは二十三年度にぜひ全了しなければ、とうてい食糧増産あるいは次の年度に來るべき災害に対しても責任を持てないような状態であると主張して來つたのでありまするが、実際問題として、予算の関係、財政の関係でこういうふうな状態に立ち至つておるのであります。從つてこのたびの本年度四百五十億の災害をこうむつたという原因がここにあるというふうに感ぜられるのであります。從つて本年も相当額を要求したいのでありまするが、われわれとしては國の財政の都合も相当考慮の上で、緊急やむを得ざるもの、しかもこれが年度内に完全に消化できる程度のもの、こういうことを考えまして、百二十九億を現在提出しておるのであります。昨年の災害の実績、十数億の支出に比較しますると、相当大きなものと考えられるのであります。現在安本と十分なる折衝を遂げておりまするが、安本としてはこれをいかに査定するかということもまだ事務折衝が参つておらないのであります。聞くところによりますると、これらの災害の復旧費に対する財源として、相当苦慮をしておるということを開いております。いずれこれらは相当研究され、査定され、ある程度災害の費用をわれわれのところに追加してくれると信じておりまするが、ただいまのところは、まだその段階には立ち至つておらないのであります。われわれとしてはどこまでも災害の費用を、追加予算に提出してもらいたい、こういう主張をやつておる次第であります。
○金野委員 大体河川局長の説明でわかりましたので、今度はひとつ委員長にお願いしておきたいのでございますが、災害の関係はおもに建設省と農林省、この二省が災害の問題を処理する当該官廳であると考えております。從つて次は農林省の方から災害に対する御説明を願うと同時に、ただちに大藏大臣、安本長官等を次の委員会には必ず出席するようにいたしまして、われわれこの災害の追加予算を獲得するためには、建設、大藏両省に対して協力をして行かなければ、この予算獲得は非常に困難だと考えておりますので、次の委員会には必ず大藏、安本両大臣を委員会に出席するようにおとりはからい願いたいということをつけ加えまして、私の質問を打切ります。
○椎熊委員長 金野君にお答えいたします。実は建設大臣、大藏大臣等には私直接にお願いに出て連絡をとりましたのですが、本日は本会議等で、ことに災害復旧費に対する緊急予算の提出を要求する決議案などが出るので、ちようど時間が本会議とかち合つておるために、やむを得ず大臣は出られないということだそうでございます。次会は必ず出たいと申しております。それから大藏省からは主計局次長阪田泰二君が参つておりますから、大藏省関係は本日のところ主計局次長から承りを願いたいのであります。次会から必ず連絡をとります。 大藏省主計局次長阪田君はまだ政府委員の発令がございませんので、本日は説明員として御説明を願いたい、御了承願います。大藏省主計局次長阪田泰二君。
○阪田説明員 災害関係の経費の件につきまして御質問があつたのでございますが、遅れて参りまして、ただいままでどういうお話がありましたのか、ちよつと存じておりませんので、御説明が見当違いになるかもしれませんが、一應お答え申し上げます。 災害関係の経費につきましては、御承知のように災害救助法に基いて、いろいろ應急的の措置をいたしまする経費というものにつきましては、災害発生の都度予備金等で國の負担に属する分を支出しておりまして、福井縣の災害、あるいは一ノ関の災害、そういう際には、それぞれ應急費としてただちに予備金の支出を実施しております。その額は大体今日までに二億円程度になつておると記憶しております。ただいま詳しい数字を持合わせておりませんが、その程度のものになつておるのではないかと思つております。これはその際急いで出しました金額が、実際精算いたしてみますと、不足いたしますので、その後また追加を出しておるような次第であります。それからその他にいろいろ災害関係で各官廳に必要な経費、あるいはそれぞれの官廳のその他の施設を復旧いたします経費については、一部には予備金を出したものもございます。その額はまだ今ちよつととりまとめて持つて参りませんので、申し上げかねるのでありますが、これはあまり大きな額にはただいまのところなつておりません。それで大部分の大きな災害復旧関係の事業、これは大部分は結局公共事業の方にまわることになるわけであります。それで御承知のように、公共事業は現在の経費を各四半期毎に認証して実行して行く、こういう形になつておりますので、福井の災害復旧等の場合におきましては、今までの予算額の中から認証して行く、昇速工事を着手させるというようなことで認めて行つたものが御承知のようにございますが、それ以外に全体として予算がどうしてもこれでは足らなくなる、從つて追加しなければならない、こういうような部面につきましては、福井縣の分、それからアイオン台風の関係のもの、その他に各地に今年度としては災害がございます。その分の要求、これが大体安定本部の方に集まつておりまして、それを現在安定本部の方で審査しておられる段階になつております。それで私の方といたしましても、その方の関係の内容はかねがね前から承つておりまして、予算的にどうして措置したらよいかということも内々檢討しておるような次第でございますから、いろいろ御承知のことと思いますが、今回の今年度の追加予算全体の扱い方につきましては、いろいろ財源の問題、それから災害以外の経費の問題、むずかしいところがございまして、現在までのところでは、どういう程度に災害復旧の土木費の予算が出し得るような運びになるものか、その辺のところはちよつと私ども事務的には申し上げかねる段階になつておりますので、はなはだ遺憾でございますが、安定本部そのほか各省の御要求の方も十分檢討いたしまして、ただいま審議いたしておる、こういう段階にあるということで、ひとつ御了承願いたいと思います。
○金野委員 ただいまの説明を聞いていますると、まことに心細い説明です。私ども責任ある御答弁を願いたいと思つて、責任ある大臣に出席願いたいという注文をつけたのでございますが、災害問題の追加予算を組むにあたつては、災害がいかにわが國の食糧増産の上に重大な関係があるかということを十分認識の上に、予算編成に当つていただきたいと思いまするし、さらに次回の委員会にはこの程度のものはできる、この程度のことはできないのだというように、はつきりした見透しを持つて出席してもらいたい、こういうことであります。事務的な点をいろいろこまかく言われておりましたが、そんなものは問題の限りではないのです。今当該河川局長にも私は苦言を呈したのでございます。あれだけの厖大な災害をこうむつておるにもかかわらず、わずか百二十九億というような少額の要求をしておるようなことはけしからぬじやないかということを申しておるのございます。これはおそらく建設省といたしましては、最小限度の要求であろうと考えておりますので、この最小限度の要求に対しましては、当局におかれましても、必ずこれを承認するというような方向に事務を進めて行つてもらいたい。かように考えているわけでありまして、私はこの問題は責任ある大臣に対して次会に質問を試みるつもりであります。
○林(大)委員 今日は第一回の委員会でもありまするが、私はこの災害対策委員会というものは、今年の各府縣の水害に対する、いわゆるこうやく張りのような百二十九億を、もつと大きくして出すというような問題も、もちろん必要でありますが、日本の國家としましては、この特別委員会が開かれたに際して、二十三年度の問題は、もちろん徹底的にやらなければなりませんが、たとえば去年六十六億出すところへ、もしもその前の年に十億でも余分に出してしつかり予防をしておいたならば、去年六十六億出さなくても済んだのではないか。今年もまた百二十九億だそうでありますが、これを去年において予防的に、たとえば三十億でも五十億でも使つておいたならば、今年こんなにたくさん支出しなくても、十分に予防ができる面が多分にあつたのではないか、こういうことを私は考えるのであります。すなわち年々こうやく張りに行くがために、國費全体としては非常に大きなものを失つて行くというような氣がいたすのであります。從つてこうした委員会ができました機会に、今年の災害に対する手当をすると同時に、國家百年の計をひとつこの委員会においてつくりたい、かように私は希望するのであります。從つて過去十数年の間ほとんど手当をせずに参りました日本の河川、治山の状況、こういうものに対して、せつかく今日建設院の方がおいでになりまするから、專門的な立場からごらんになりまして、これだけの手当を今においてしておいたならば、相当大きく災害を予防し得るのだという一つの大きな御計画が当然あるだろうと私は思うのであります。このことは日本の治山、治水という点から見ましても、もちろん必要でありまするし、なおかつ完全雇用の問題であるとか、配置轉換の問題であるとか、こうしたことを考えまする場合に、この治山、治水に対して大藏省方面においても特別の建設公債を出すとかいうような方面で大きな道を與えて、特別な交渉を関係方面ともして、そうして聞くところによるとセメントなども多少余裕ができて行くような傾向にあるようでありますし、資材その他についても、今年これだけつぎ込んでおけば來年これだけ防ぎ得るのだという技術的な証明を、材料をもつて交渉することによつて、大きな治山治水に対する手当をなし得るのではないかと思うのであります。ですから今年に対する問題に限定せずして、この委員会の継続期間中に、そうした大きな國策をここでおきめ願うように、今のうちに建設院を中心に材料をお集め願つて、適当な機会にこれを御発表になり、これを大きな何箇年計画とかというようなものにして、委員会も一緒になつてこの問題を解決して行きたい。今日わずかの金を使うことによつて、來年、再來年の大きな災害を防ぎ得るという面において、ぜひわれわれ國民の負担になる税金を生かして使つて参りたい、かように思うのであります。こういう点において関係当局の方々にもひとつ十分御協力を願い、委員会としてもこの際私の提案に対して、できることなら御賛成を願つてその筋に沿つて大きな一つの問題といたしたい、かように提議いたす次第でございます。かたがた関係当局にはこれに対する御準備を願いたい、かように要望いたす次第であります。
○椎熊委員長 ちよつと委員長から申し上げます。当委員会存在の理由、性格等については申し上げる必要はないと思いますが、新國会におきましては二十一の常任委員会をもつて、特別委員会はなるべくつくらぬという趣旨でありましたが、特に関係方面との了解を得て目下三つの特別委員会ができております。これ以上は大体つくらぬという運営委員会の方針なのでありまして、特に災害対策のこの委員会を認めたにつきましては、ただいま林君から申されたように、非常に衆議院におきましてはこの委員会に大きな期待を持つているわけであります。從いましてお説のごとくこれが將來の日本復旧のため、再建のために、基盤となるべき、大計画をもあわせて研究し、結論に達するような方向にこの委員会を運営して行きたいということは、委員諸君においても異論のないところであろうと存じますので、せつかく御勉強の上、今お説のような結論に達するように願いたいと思います。ただ本日は、大藏当局といたしましては、阪田主計局次長がいまだ政府委員でないという立場で見えられておりますので、政治的な大きな責任のある発言はおそらくできないのではなかろうかと思います。次会におきましては最高責任者にぜひ出席していただいて、政治的な御発言をお願いしたいと思います。当委員は單に災害の状況をつまびらかにするということだけでなくして、それよりも、むしろ復旧の予算をどの程度に、いつ出すかということが國民の待望している重大問題なのでございますから、そういうお答えを求める際は、相当責任のある方々に御出席を願わなければならないかと思います。本日は幸いにして建設次官の赤木正雄君が見えておられますので、建設省と大藏省との間の予算の折衝並びに見透し等については、幾らか明確にできるのではないかと思いますが、赤木さん、いかがでございますか。
○赤木政府委員 ただいま御質問のありました、單に災害復旧にとどめないで、水害をなくする根本策をこの委員会でお考えになるということは当然と思います。それについて一言申し上げておきたいことは、御承知の通り昭和八年までは災害がありましたたびごとに、実は災害全体の國庫費用を出せたのであります。ところが昭和九年に全國的の大水害がありまして、そのために臨時國会を開きまして、昭和九年から何分たくさんの國庫金を一年度に出すことは困難になりまして、初めて数年に区分して補助するということになり、今日に及んでおります。これはまことに残念なことでありまして、われわれとしてはやはり財政の許す限り、その年の災害は少くとも次年度までに治めたい。こういうふうにしない以上は、防災を十分完成していない所からまた災害をこうむる。現にそういう場所が本年もたくさんあります。こういうことはなるべくなくしたいという方針に今後は持つて行くことに努力いたします。なお災害を未然に防ぐ点は、單に災害復旧だけではいけません。根本施設をやらない以上は、決して災害をなくすことはできません。それには治山治水、河川改修を徹底的にやるのが必要で、建設省といたしましても相当の案をすでに練つております。あるいは河川改修にしましても、砂防にいたしましても、今後どれほどの仕事がいるかということは、事務的にも技術的にも相当の案はすでにできておりますが、ただ遺憾ながら財政の都合上それを実現することができません。私どもは何とかしてこれを一日も早く実現したい。今までのような災害復旧対策では、日本の水害は何百年たつても治めることができない。こういう観念は十分承知しておりますから、なるべく皆さんの御希望に沿うように今後もいたしたいという考えは毎日持つております。たとえて申しますと、本年の岩手縣の一ノ関の水害であります。ここは昨年に次ぐ非常に大きな水害を受けました。そこで一ノ関にそれぞれの関係官が行きましたが、実は私昨年参議院の國土委員長をやつておりましたから、あの水害のほんとうの原因はどうかということで、十二月にすぐ行つてみました。ところがあの水害は尋常一様の水害ではありません。これは何か普通の雨以外に原因があるのではないかということを考えてみました。図面を見てもはつきりわかりますが、これは結局栗駒山千六百メートルの高さでありますが、栗駒山から磐井川全体を考えない以上は、治水の根本計画は立たないという考えをもつておりました。そして本年の水害で初めてその上流地帶である栗駒山を全部調査したのであります。ところが昨年は栗駒山の頂上が大崩壊をしております。これは決して森林を濫伐したのではありません。國有林のりつぱなぶなの林があります。この林が山と一緒に崩落して、それがたびたび流れております。これがあの磐井川の大惨害、ひいては一ノ関の水害の原因であります。本年はその栗駒山のふもとの方の三、四百メートルの丘陵地帶、これも二、三十年生の薪炭林の決して濫伐した所ではありません。それが至るところ崩壊しております。そうして昨年はその部落にはなかつた大惨害が——昨年はたしか橋が一つしか流れておりません。本年は全部橋が流れております。そういうことが本年のあの一ノ関の——もとより昨年の水害に基いて河川の改修をやつていないのも原因でありますが、大洪水を來した大きな原因と思われるのであります。そういう観点からいたしまして、日本の治水をどうするかという場合には、どうしても山の頂上から河口に至るまで一貫して再調査して、そこにほんとうの國土の再建をしなければならぬ。こういう方針をもつて技術部面にも今までと違つた徹底的な調査をするように、こういうことを特に奬励しております。この点を御了承願います。
○圖司委員 ちよつと関連してお伺いいたしたいのでありますが、赤木政務次官は砂防方面の権威であられることはよく承知いたしております。砂防に関しましては、農林省でやつております森林砂防と、建設省の所管に属しております砂防と、両方あるようでありますが、これを一元化することが目下焦眉の急であろうと思いますが、それに対してどのように御交渉が進んでおりますか、それが一点。 もう一つは、防災と復旧というものは、これは現下の対策として並行して進められて行かなければならぬと思うのでございますが、その防災の大きな役割をするものは、何といいましても砂防なのであります。その砂防についての予算は、この百二十九億を御要求になつているものの中に、どれほど占めておられますか。また將來において砂防というものは一体災害対策のどういう地位を占めらるべきであるかというようなことについて、お伺いいたしておきたいと思います。
○赤木政府委員 お答えいたします。まず第一に農林省関係の砂防と建設省関係の砂防の件であります。これは実は私の方から進んで機会を見はからいましてお話申し上げて、特にお考えを願いたいと思つた点であります。もともと砂防は明治十一年から全部内務省でやつていました。明治四十三年に大水災がありまして、そのときに初めて第一回治水会議ができたのであります。その席上である委員の方が、砂防の事業は全部内務省でやつているが、農林省が森林を所管している関係上、農林省でやつてもいいではないか、こういう発言があつたのであります。それがもとになりまして、明治四十四年から農林省では荒廃林地復旧工事という名前で、実は砂防と同じ仕事をやつております。ところがやつてみますと、同じはげ山に一つは農林省、一つは内務省、両方からやりまして、何ら両方の間に設計の協議もなく、山の中の人夫の取合い、資材の奪い合い、仕事はますますしにくくなるばかりであります。これではいけない、何とかしなければならぬということが、議会の方面でたびたび問題になりました。その後今日の建設省の前身である内務省といたしましては、大正十二年の関東震災に端を発しまして、渓流にもつともつと仕事をしない以上はだめだということがはつきりしました。そこで渓流工事、今日の護岸、堰堤、それを主にやることになりました。ところが農林省でもまたそれをやる、ますます煩雜になつたのであります。それで昭和三年に、閣議でこれを何とかまとめようということになりまして、その閣議決定事項といたしまして、渓流におもに仕事するものは内務省、但しこれに関連して山腹に仕事するものは内務省、また山腹に造林の目的をもつて仕事するものは農林省、これに関連して仕事するものは農林省と、同じようなことになつてしまつたのです。その結果これは閣議の決定と申しましても、結局大体ははげ山の仕事をするのは農林省、谷川の仕事をするのは内務省、こうなつていますが、これは不可分の問題で、かりに谷川の仕事するときに、そこに同時に山が崩壊しておる場合には、その崩壊を防がない以上は谷川の仕事の効果は十分ありません。同時に山の崩壊の仕事する場合に、そのふもとの護岸なり堰堤を設けない以上は、決して崩壊はとまるものでありません。全然不可分の仕事が二つの省にまたがつておる。これが今日非常にがんをなしておるのであります。実は今度建設省ができます場合にも、参議院といたしましては、この問題を少くとも農林省関係の仕事は建設省に移してほしいと要望いたしましたが、いろいろな関係でそのままになりました。私どもの考えといたしましては、今建設省とかあるいは農林省とか、そんなことを言つておる場合ではない、これを一つにまとめぬ以上はほんとうの仕事はできないのであります。そのことは、ひとつこの委員会で特によく御審議願いまして、はたして一つの方がいいと思えば一つにする、二つにわけました方がよければ二つにわけてもいい。この委員会として特に御審議を私たちも政府の一員として願います。そうでない以上、ほんとうの治水はできないのであります。この点を特にこちらから説明かたがたお願いする次第であります。 それから砂防の予算の点ですが、それは百二十九億に対しまして六億一千万円要望しています。はたしてこの要望通りにできるかどうかわかりません。しかし、なお今後の砂防についてどれほどいるかという御質問でありますが、少くとも私の考えでは——私といいますか政府の一員としての考えといたしまして、建設省だけでも八百億はいりはせぬかと思つております。でありますから、こんな六億や十億でやつては、まるでお話にならぬ。そういうことでありますからこれも私自分が砂防をやつた関係から申して、はなはだ済みませんが、ほんとうに日本の治山治水はどこにあるかということをこの委員会で特に御檢討なされて、どこに重点を持つて行くか今までの重点でよいか悪いか、これも特にこの委員会として御研究御審議を願いたいと思います。
○圖司委員 もう一点お伺いしたいのでありますが、それは東北、北陸、北海道というような寒冷積雪地帶であります。工事を施行するにいたしましても、またいろいろな制約が多いのでありまして、資金の面、あるいは資材の面、その他労務の面等において、特に時期を早めて御心配願わなければならぬと思つておりますが、それに対して建設省ではどういう手を打つておられますか、お伺いいたしたいのであります。
○赤木政府委員 今のお話はごもつともであります。現に昨年がそういう例を示しております。融資が遅れたために、りつぱな仕事ができない。雪が降つてはできないので、昨年は幸い雪が少かつたものでありますから、仕事をする期間も割合多くありましたが、時期によつて早く仕事をしないと、全然その効果がないということがよくあります。すなわち予算を分配する場合には、特にこの仕事はいつできるか、そういうことも私も多少現場におりましたから、よく審議してなるべく貴意に沿うようにいたします。
○椎熊委員長 他に御発言ございませんか。 この際私から赤木政務次官にお願いしておきます。赤木政務次官は斯道の大家であつて、この問題に対しては非常なる御経綸を持つておられるが、どうかこの委員会を活用せられて、日ごろの豊富経綸を一日も早く実現せられるようにお願いしたい。それにつきましてはあなたのお役所にございます根本的なる治山治水の資料等は、全部当委員に御配付を願いたいと思います。あなたの御研究と相まつて、諸君の御勉強によつて相当の結論を得たいと考えます。
○赤木政府委員 実は今委員長からの御発言でありますが、この砂防問題をどうするかということにつきましては、昭和十二年に全國にわたつて根本調査をしました。その調査した結果、どの縣のどの郡のどの村のどの字に、高さどれだけの堰堤を何箇つくつたらいい、そういう調査は全部あります。それは高さにして約一間くらいの大きなものでありまして、それを全部の方に配付するということは困難でありますから……。
○椎熊委員長 そういうあなたの御研究の大綱をなす問題でいいのです。どの村に何箇あるというものは必要に應じて書類を取寄せることにいたしたいと思いますから、そういうことにお願いいたします。 お諮りいたします。本日は建設大臣、大藏大臣、安本長官等も見えておりませんので、政府側から予算に対する責任ある御答弁をいただけなかつたことは、まことに遺憾でございます。第三回國会は会期が非常に短かいのでありますから、委員諸君非常に御多忙ではございまするけれども、重大な問題でありまするから、なるべく連日委員会を開いて、早く結論に達したいと思います。とりあえず明日は午後二時から本委員会を開きます。二時十分前に理事会を開きたいと思いますのでさよう御承知を願います。 なお明日の委員会には農林大臣、大藏大臣、建設大臣の御出席を強く要望したいと思います。御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○椎熊委員長 それでは本日はこれをもつて散会いたします。 午後三時二十六分散会