運輸委員会 第9号
- 発言数
- 67 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1948/11/22
会議録
○有田委員長 これより会議を開きます。 日本國有鉄道法案を議題といたし、質疑を続行いたします。
○館委員 本委員会で審議いたしておりますところの日本國有鉄道法案につきましては、回を重ねて本委員会で審議いたしておるのでありますが、その委員会の空氣といいますが、審議の状態を見ておりましても、また土曜日における本法案に対する公聽会の一般公述人の公述状態を見ておりましても、どうも本法案がいわゆる公共企業体としての実態を備えていないで、單に從來の運輸省内における鉄道総局というものを、そのまま認めておるという形にしか見られない状況であります。この委員会の審議に過程においても、あるいはまた公述人の公述の過程においても、そういうふうに了解せられるのでありまして、私自身といたしましても、こういうような形式では、本法の第一條に規定された目的を遂行するのにきわめて不的確であると考えるのであります。それでしいて公共企業体というものが、総局の形と異なつている点を求めてみましても、それは單に監理委員会制度をそこへはさむということくらいが特徴でありまして、その特徴だと考えられる監理委員会の性格、あるいはまた権能、構成、あるいはそれのあり方についても、きわめて不明確なものがありまして、総体的に私はこの法案は非常に未熟だというふうな確信を持つておるのであります。そういうことでありますから、これを政府において今國会から撤回して、もう一度案を出し直す氣持があるかないかということを、まずもつてお尋ねいたしたいと思います。 さらにこれの実施期が、本法案によりますと來年の四月の一日ということになつておりますし、これとともに実施される公共企業体の労働法も同時になつております関係上、時日もあることでありますし、十分に本法案を再審議されて、第一條の目的がりつぱに遂行できる体制を備えられることが大事であろうと思います。その点を質問しておきます。
○小澤國務大臣 今館委員がお話のように、第一條の目的は大体二つにわかれております。すなわちこの國有鉄道事業の能率的の運営ということが一つのねらいである。もう一つのねらいは、公共の福祉を増進するということ、これが本法案のねらいでありますが、この三つのうち、いわゆる公共の福祉を増進するという点、すなわち労働法関係の問題につきましては、ある程度以上に本法案は目的を達しております。お話のような能率的の運営という面について言いますと、いろいろ御議論もあり、万全であるというようなことは、私どもも最初から言つておらないのであります。しかしながら、すべてものには順序がありますので、この二つのねらいがあるならば、一つのねらいの目的を達成して、しこうして後に一方の目的を順次強化して行くという考え方も、必ずしもむだではないという考え方もありますし、殊に一方の目的であるところの労働法規関係の期日というようなことは、客観情勢から見ますと、非常に緊要にして、すみやかにこれを実施しなければならぬというような環境に置かれておりますので、以上の点から政府といたしましては、これを撤回いたしまして、そして檢討の上再提出するというような意向は、現在遺憾ながらございません。
○館委員 この法案を審議するにあたりまして私がもう一ぺん再審議したらどうかという氣持は、委員会といたしましては、この法案を提出すると同時に知りたいことは、残余の運輸省内における機構がどうなるかということであります。ところが政府においては、この法案を提出いたしましたけれども、あとの運輸省の形態がどういうふうになるか、運輸省の機構がどういうふうに変化するかということがここに提出されておりませんので、ほんとうから申しますと、ここに運輸省の機構改革が同時にでき、提出をなされなければ、この審議をする場合に非常に片手落ちなことになるのでありまして、こういう片手落ちな審議を運輸委員会ですることは、非常にあぶなつかしいものであります。法案の性質も私がさつき申した通りでありますし、残つたこの運輸省の機構がどうなるかということについても、わかつておらないで審議を進めることは、これは本委員会がこれを通す、通さない場合の、審議の條件を具備しないで審議をしたという非難を免れないものであると私は考える。そういう面からも私はこの法案を審議することは、まず第一に條件を具備していないというふうに考えられて、今のように質問をしたのであります。政府当局としてはこれをこのままの形で審議してくれろということでありますが、それはちよつと私自身として賛成できがたいようなことに現在は考えております。今大臣のお話では、能率的な運営と労働方面の行政という二つの目的になつておるというお話でありましたが、この第一條のところで見ますと、「能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として」ということであります。能率的な運営によつてこれを発展せしめるという言葉は、もつと公共の文祉を増進するということの修飾語でありまして、私に言わすならば、二つの事柄があるとは思われないので、結局目的は公共の福祉を増進するということにあるのであります。この第一條の中では、労働行政をどうするというようなことは含まれておらないと私は見るのであります。もしここに含まれておるならば、公共企業労働法案というものを別個にここから抽出する必要はないのでありまして、この國有鉄道法案に関する限りは、その目的はほんとうに一つでありまして、能率的な運営によりこれを発展せしめることによつて、公共の福祉を増進するということの單一目的であると私は考えたいのであります。だから私は、ここでは公共企業労働法案を関連してあとで論するかもしれませんが、まず当面の問題としては、この能率的な運営をどうするか、これを前提としなければ公共の福祉が増進されない、こういうことに考えるのでありますけれども、今の総局そのままの形では、元の非能率的なと非難されました運輸行政がそのままの形で残るという点、これはどうも大臣も今言われた通り、この法案の形ではいなめないところであると考える。そういうことでありますが、ただ一つこの監理委員会という特徴的な――企業を能率的に持つて行くということのためか、あるいはまた公共の福祉を増進するということのためか、そういうものを設けて民主的なやり方になつておるようでありまするけれども、この監理委員会においても、監理委員会のあり方がこの法案では非常に漠然としておりまして、公聽会の公述人の細密な見解によつても、あり方がどこにあるのか、あるいは権能がどうなつておるのか、人事系統がどうなつておるのかということが、はなばた不明確をきわめておるのであります。まず労働組合の立場から申しまして、監理委員会の構成人員ですが、これは運輸業と工業、商業、金融業からのみ人間を選択することになつておりまして、労働者側なり、そういうところからの委員の選択がないのであります。おそらくこういうふうな選択の仕方をしたということは、日本國有鉄道法というものは労働関係の行政を考えないで、ほんとうに企業体としてものを考えたので、こういうふうな選択を仕方をされておるのじやないか。本法案はそういうところから書かれておるのじやないか、そのために、こういう選択の仕方をしておる法案だと私は思うのであります。しかしこの法文全体を見ますと、それにもかかわらず、きわめて多件に労働行政に関するものがこの法の中に含まれているのであります。もし公共企業労働法というものを別個にこしらえるのであつたならば、日本國有鉄道法の中から除かなければならないものがたくさんあるのではないか。これは労働組合に対する制約をきめる法律ではなくて、日本國有鉄道という一つの営業体を制約する法文が主体でなければならないと私は考える。この中には労働運動なり、労働組合に対する制約というか、言いかえれば労働法規によつて制約しなければならないものを多分に含んでいる。もしそれを含まなければならないのならば、なぜ運輸業、工業、商業、金融業のみから代表者を選んであるのか。こういう代表者の選び方をするならば、この法案の中から労働関係に関するものは全部除いて、別個の法律で的かなければならないのではないか。もしこれをこのまま承認するならば、労働者の中から代表者を選んで一人出すべきものではないか。この法案を施行する場合において、ざつと見ましても、第二十七條から第三十三條に至る間の中で任免の基準だとか、あるいは給與だとか、降職及び免職だとか、あるいは休職、懲戒だとか、服務の規律だとか、あるいは勤務時間の延長、時間外及び休日勤務というふうに、労働法規の中で、詮議しなければならないものがずいぶん入つている。これをこのまま通す場合には、ぜひとも労働者の代表を入れる必要があると思う。この法案を提出される場合に、これは労働法規に関係しているのではない、一つの企業体がその職務を扱う場合に基準をどうしても詳細に設けなければならないという意味から、これを入れたものたど、一歩讓りましても、そういう場合には、單に公共の企業の労働法案ができているからといつて、それにのみまかすべきものではなくて、ここにこれだけの項目がある以上は、やはり経営者側においてその中の各條項を十分に適切に行うためには、こういうふうな代表委員だけでは私はまずいと思うのであります。それと同時に、さらに國有鉄道が今後どういう発展をするかわかりませんが、恩給法だとか、あるいは共済組合の問題だとか、あるいは普通の状態においての厚生施設だとか、あるいは労働基準法の完全実施というような事柄になつて参りますと、日本國有鉄道自身が労働省から監督を受けてやらなければならない立場にある場合に、労働者代表がこの中にいないでおつては、この法案にきめられたことだけを履行する場合にも非常に惡い結果を生ずるのではないかと思うのです。労働行政というものを、日本國有鉄道の藤で行うのではない場合でありましても、これだけのいろいろな條項のある場合には、それを適切に履行するように委員会がこれを監視しなければならませんが、その場合に、どうしても労働者代表というものを入れておかないと、日本國六鉄道を運営するときに、完全な職員の指導といいますか、そういうことができがたいという意味から、どうしても労働代表というものをここに入れる必要がある。もちろん組織の中には、これからできるところの細目の加には、あるいは労働課というようなものが入るでありましようか。入らなければならないと私は思いますが、その場合に監理委員会の中にそれを代表する適切な労働中表がいる。こういうふうに考えますが、その点について大臣の御意見を伺いたい。
○小澤國務大臣 大臣担君の御意見は、まず第一條の「能率的な運営により」という言葉は、結局最後の「公共の福祉を増進する」というところの一つの抽象的な言葉であつて、二つ意味があるのではないというお話でありますが、これはその通りであります。先ほど私が館君の御指摘するような説明をしたかもしれませんが、私の言うのは、能率的な運営によりというその内容を解剖してみますと、たとえば独立採算制というような、能率的な内容を経済問題ということが一つ、それから公共的ということは、いわゆる鉄道の公共性にかんがみまして、運営あるいは鉄道の業務が原共の福祉に反しないようにという、この二つの目的があつて、この法律ができたのであるが、その一方のいわゆる公共の福祉という点でけは、ある意味においてこの法律で目的を達成できるけれども、今申し上げた第二のねらいであるところの独立採算制とか、あるいは運営上黒字になるような運営というような面に至つては、必ずしもこの法律はその理想にかなつていないということお答えしたのでありまして、そういう意味で結局お考えとは離れていないと思います。 それから第二点は、せつかく運輸省でこういう現在の鉄道総局というようなものが、一つの公法人になつてしまつたあとの残りが、運輸省の所管になるのであるから、その運輸省の設置法案を――鉄道の、経済的にも、人員的にも半数を占むるところの鉄道総局というものが公共團体になつてしまうのであるから、そういう大きな問題の処理をする場合には、同時に残りの分も一緒に決定することが適当ではないか、こういう御意見なのでありまして、その点も同じく反対しないのであります。この問題につきましては、たびたび本委員会でも御質疑等がありまして、でき得るならば、そうした面で御審議を願うことが最も理想的であるのであります。しかし御承知のように、各省設置法案というものが、前政府からたびたび各省ごとに出たのでありますが、これは行政組織法の施行を四月一日に延期をして四月一日までに各省足並のそろつた行政機構、すなわち各省設置法案を出そうじやないかということが前内閣当時からあり、また現内閣でもその考え方を引継ぎまして、來るべき通常会、すなわち第四國会にこれを出すということになりましたから、遺憾ながら今申し上げた通り、あまり理想的ではないけれども、とりあえずこれ観客情勢から非常に急ぐという関係から、これを出したのだという御説明をしてきたのでありまして、今のこの点に関する御質問に対しても、今までと同じように、そうした趣旨において、望ましいことではありませんけれども、これは出さざるを得なかつたという点で御了承願いたいと思うものであります。 それから第三には、いわゆる監理委員に労働者の代表を入れることが適当ではないかという御意見でありまするが、これに関しましても成田委員と覚えておりますが、詳細な御意見がありまして、それに対して私からもすでに答弁いたしております。すなわち経営管理の面に労働者の代表が参加することが適当であるかどうかという問題は、單に日本だけではなく、世界中の大きな問題になつておると思うのであります。從つて館君のお考えのように、労働者に代表を経営のある主体に入れるという考え方も、必ずしもいけないという意味ではないのであります。しかしながらまた経営の中枢である、いわゆる管理というものに労働者の代表は入れないという建前も、これは日本だけの議論ではなく、世界的の議論だと思うのであります。そこでわれわれといたしましては、現段階においては、やはり後者の議論であるところの労働者諸君、勤労者諸姿の代表が経営者の仲間に入ることは望ましくないことであるという見地から、この法案は出したような次第でありまして、意見そのものに対しましては、大いに首肯すべき点があるのでありまするが、現段階の政府の考えとしては、入れないことが適当だという議論を採用して出したということを御了承願いたいと思います。
○館委員 第十二條の「運輸業、工業、商業又は金融業について、廣い経驗と知識とを有する年齡三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」というので、この中には、運輸業、工業、商業の代表者とはなつておらぬ。そこで私の言葉が惡かつたというならば、労働者の中からも選定するというふうにお考えになつた方が、労働管理というものが企業面においてこのごろ非常にウエートをもつておる、そういう意味においても運輸大臣は今のような態度をとられるかどうか、もう一ぺん念を押しておきたい。
○小澤國務大臣 今申し上げた通り、なるほど代表者ではありませんが、館君のお考えは、國有鉄道に最も密接な事業であるところの運輸業、工業、商業、金融業というような面から適当にあんばいして、そうして運輸の能率的な運営を望むという考え方から、これに職員の代表である監理委員を設けることが適当ではないかという御意見にはかわりはないわけであります。從つてその御意見であれば、ただいま申し上げました通り、御意見としては相当考慮する御意見ではあるわけでも、現段階においては、職員の代表諸君がただちにその企業の経営管理について参画しないという議論の方をとつて出したのだ、こういう趣旨であります。
○館委員 その点については非常に見解を異にするものであります。私は第十二條というものは、ほんとうに企業そのものを監理する委員をあげるという意味において、とつたものだろうと思つて喜んでおるのでありますが、法案の内容は十分労働問題に関係することを載せておる、これは日本國有鉄道においても、これを運営局理する場合に、労働管理ということがこのごろの企業を経営する上において非常な重さを持つておる。そういうことを考えての上で、こういう労働法規に讓つてもいいようなものを載せておるのではないかと私は思う。そういうときに、そういうことにたけた監理委員が一人構成分子の中に入つておるということは、この企業を運営する場合において、第一條の目的を遂行する建前からいつても、非常に有利なことである。企業体自身にとつても有利なことである。そういう意味においても、私はここに労働というものについて非常に理解のある委員を、労働者の中から一人を選定することが必要である。こういうふうに企業体自身に対する親切な氣持からも、私はこれは必要である、こう考えております。これについては、これで質問を打切ることにいたします。 次に私がお聞きしたいことは、第五條、日本國有鉄道の資本金は三月三十一日における國有鉄道の資産の價額に相当するということがありますが、この資産というものを評價する場合に、どういうふうな態度をとられるかということをお伺いしたい。
○小澤國務大臣 この問題につきましては、從來の経理の方法によりまして、大体資産というものに対する表わし方がある程度事務的に決定しておりまするので、ここでいわゆる資産の價額というようなことを算定する基礎は、從來の経理方法に基いてこれを算定することになりまするが、しかしこれは抽象的な概念でありまして、具体的に鉄道をどうするとか、レールをどうするとか、枕木をどうするとかいうようなこまかい問題についての御質疑でありますれば、政府委員からお答えいたさせます。
○館委員 財産を檢討する場合に、從來通りの評價によつておやりになるのか、あるいは評價がえをされるか。
○加賀山政府委員 これはまだそこまで何も考えていないと申しますか、きまつてないわけでございまして、現在のところではまだきめ得ない状態です。從つて五條のような表現を用いた次第であります。今後評價をほんとうにするというようになりました場合は、当然に評價がえと申しますか、單にブロツク・バリユーだけではいけないのではないかと考えております。
○館委員 この鉄道の資産その他がはつきしない場合において――この條項のどこかにありますように、借入金をするとか、交付金をするとかいう場合には、鉄道の資産状態がはつきりした上でなければ、そういうことはできないものですが、さしあたつて赤字が出るとか、あるいは運賃を値上げせねばならぬという騒ぎが現在持ち上つておるようでありますけれでも、そういう場合に、資産がはつきりしないうちに、金を貸すとか、あるいは交付金をするということは、きわめて危ういことである。そういうことをはつきりしてもらわなければ、この独立会社といいますか、企業体に鉄して、國がいろいろの援助をして行く場合、あるいは何をして行く場合に、その國の援助がきわめて不確実なものに対する――普通の状態でありますと、投資ということはできがたい。こういうことが非常にあぶなかしいことだと私は考えておりまして、この点を質問したのであります。 それから今政府は行政整理をしなければならぬと言つている。その行政整理をする場合に、鉄道の総局としてあつた場合ならば、國の行政整理で行くが、これが日本國有鉄道と分離した場合に、もし行政整理の必要が生じた場合においては、行政整理という形をおいてやられるのではなくして、日本國有鉄道という企業体がやることになるというように考えられる。そういうように日本國有鉄道がその企業整備をやるという場合になつて來ますと、一体企業整備を日本國有鉄道でやるのか。この法案の全体に流れる形が、どうも監理委員会があつても、総裁があつても、やはり政府の指令を求めなければ、そういう大きな仕事はできないという形になつておりますので、そのところが実に行政官廳と何もかわらない実体を持つておりますにかかわらず、日本國有鉄道という一つの嚴然たる企業体が、この法案通過によつてできた場合には、責任の当事者はどうしても日本國有鉄道になるのであります。そういうことが前途に起き得ることが、今の政府の心構えでは出て來るのでありますが、そういうことを考えてみますと、政府の行政整理の責任を、この法案をこしらえることによつて、日本國有鉄道に轉嫁してしまう。政府は間接的な非難はこうむるが、直接には日本國有鉄道が引受けなければならないことになる。組合はいろいろの交渉をする場合にあたつて、非常に隔靴掻痒的な感じを持たせられて、政府は一枚中に人間を置いて、そうして行政整理に対するいろいろな困難をそこへ轉嫁しておいて、間接的には実権を持つているのであるが、そのような場合において、第十條にきめられている監理委員会が、業務運営の面においてこれを行わんとするのか、それとも総裁がこれをやるのか、それとも政府がやるのかというようなかつこうになつておる。もしそういうものが起きると、非常に不安な状態を使用者側に與えるようなかつこうになつておるということに、私非常な危惧を持つのであります。どこに責任があるのか。そういうことのないことを私は望むのでありますけれども、今の政府の考え方とすれば、当然そういう問題が起きて來ると思う。そういうことを吟味いたしますと、この日本國有鉄道に勤務している六十万の從業員及びその家族の前途に対する不安というものが、きわめて大きくはないかと考えておる。現在の政府といたしましても、いろいろの賃金ベースの問題、あるいは寒冷地手当の問題にいたしましても、解決がなかなかな樣相困難を呈している。すなわちこれが政府当局ではない。肩がわりしてしまつた際における不安というものは非常に大きくなる。これはどうも政府当局に回答を求めるというのも至難かもしれませんけれども、どういうお考えか。私どういうふうにしてこれをお尋ねしたらいいかと思つておりますが、これは実に重大問題だと思つております。
○小澤國務大臣 大体に、現段階において行政整理の断行ということを現政府が考えておるが、この法案が通過した場合において、この鉄道内の行政整理がどういう形において行われて行くのかというような御質疑でありまするが、政府といたしまして、その行政整理が困難になるから、これを逃げようと思つてこの法案を出したのでないことははつきりいたしております。そうしていよいよ、かりに仮定のものでありますけれども、本法案が施行されまして、行政整理を断行する。行政整理の仕方について職員組合と相当の意見のかけ離れができたというような場合に、何人が責任を持つのかというお話が主だつたと思いますが、その場合においては、もちろん法律的に考えますと、人格は政府とは違うのでありまして、公法人でありますから、この日本國有鉄道法に基く公法人が直接の責任の衝に当ることはいうまでもないのであります。しかしながら現在でもそれと同じような形がありまするように、たとえば船舶運営会の職員というものは、運営会自身で運営し、また経営しておるのでありますけれども、政府がこれに対して補助を與えておる関係上、他の一般民間企業におけるとは全然異なりまして、その爭議の解決あるいはあつせんということにつきましては、ほとんど官業と同じようにこの問題について関心を持ち協力を続けておるのであります。電産の問題でもややそれに似通つておりますし、炭鉱職員に対する問題もかような形であります。ことに電産や石炭は政府と最も接近した姿にあるのであります。すなわちこの団体の損失は即國家の損失となり、利益の即國家の利益となるという密接不可分の関係にありますので、法律的に何人が交渉の主体であるかということになりますと、公法人の代表である総裁が当事者になることは明瞭でありますけれども、その最後の解決、あるいは條件等に関する考え方等は、一に政府の考えが大きくこれに反映いたしまして、その爭議あるいは交渉が成立するものと考えております。從つて本法案に基く公法人ができた場合と、現在の場合とによつて、そう差があるというようなことは考えられない状態であります。
○館委員 日本國有鉄道法案を施行しなければならない趣意は、これがほんとうに公共企業体の形をとることが必要だという建前から來ておることでありましよう。從つて営利を目的とし、独立採算制を目的とすることがこれの究極的なものではないかと思う。そういう場合に、会社として考えることは、ほんとうの営利事業、ほんとうの企業体としてものを考えて行くのが主でありまして、これが國有鉄道であつた場合のごとき、ほんとうに日本の國の力で日本の交通事業を発達させるとか、國の開発だとか、あるいは國のいろいろの問題のために、利益を多少無視してもやつておつたという、そういう意味のものがこれでは全然なくなる。そういう方向にこれが行くのであるとするならば、日本國在鉄道の考えることは、当然企業整備その他の方向に向つて主力が置かれるのであつて、そういう場合における職員の立場は、從來の運輸省の場合よりも、もつと自分の立場を守る場合における、そういう営業面からの制約がおもに取上げられて、不安な情勢をかもし出すのではないかと私は懸念しておるのであります。 次の質問者もあるようでありますから、きようは私はこれだけの質問にとどめます。
○有田委員長 正木委員。
○正木委員 私は上程されておりまする法案の審議に入ります前に、簡單に大臣に二、三の質問を試みてみたいと思うのであります。 まず第一にお伺いしたいと思いますことは、大臣の所管になつております現在の國有鉄道は、その精神において公共の福祉を増進するために、完全にその行政が実施されて來たか、來なかつたかということであります。言葉をかえて具体的に申し上げますと、この法律案の提案理由の説明の中に、大臣も氣がつかれたと思うのでありますが、これによりまして、國有鉄道が公共企業としていよいよ健全な発達を遂げ、もつて公共の福祉を増進するための第一歩を踏み出した云々、こういう提案の字句があるのであります。私は現在の國有鉄道は少くとも他の社会化された企業体の中では、非常に優秀な成績をやはりあげて來たものの一つであると考えておる者の一人でありますが、このことを質問しておきたいと思います。
○小澤國務大臣 今の御質問の趣意は、現在の國有鉄道における公共企業体としての成績が、どのようであつたかというようなお話でありまするが、お話のように、一般の企業体、あるいはことに官業中におきましては、日本國有鉄道というものが比較的に優秀な成績をあげて來ているという点は認めるのであります。しかしながらものには程度がございまして、これが完全なものだつたということは申し上げかねるのでありまして、これ以上の理想に向つて邁進する余地があるならば、そこへ進むということは当然のことであります。今御指摘になりました本法案の説明の趣旨も、現在までは全然だめだつたという意味でなく、現在までも他の國営事業に比較いたしまして相当の効果をあげて來たが、より以上に、公共体の本質から考えて、その福祉を増進するという理想を達成するための努力をするのだという程度の差でありまして、今申し上げた通り、今まで國有鉄道が、全然問題にならぬという趣旨でないことだけは、はつきり申し上げておきます。
○正木委員 そこで重ねてお伺いしたいことは、この法案提出の大きな理由の中に、國有鉄道公共企業体の設立につき所要の研究を積み、特に経営の企業性と公共性を保障し、もつて経営の合理化と自主化を可能ならしむる云々とあるのでございます。今大臣のお答えになりました通りに、現在の國有鉄道の経営内容それ自体が完全なものでなかつたとしても、他の政府の事業と比較して、決して大きな欠陷はなかつたと御指摘になつたのでありますが、私もそう信じているわけであります。しかしこの法律案の全文を私ども詳細に拜見いたしますと、この提案理由の中にも明らかに指摘されているように、十分時間的に詳細研究を遂げるいとまがなくて云々とありますように、私は、この公共性を保障して、経営の合理化と自主化を可能ならしむるための諸般の研究が十分遂げられずして、諸般の事情から提出されたものと考えております。そこでこの企業の公共性を保障して、経営の合理化をはかるということが強くうたわれておりまする限りにおきましては、すでに大臣が就任されて以來、この問題は十分檢討されて來たのではないか、檢討されて來たとするならば、その檢討された具体的な内容はどのような方向に進んでおるか、当委員会を通じて明らかになりました点で、特に大臣の答弁の中で、私ども注意を喚起いたしました点は、この経営の合理化の一つとして、行政整理が取上げられたことであります。その行政整理の最終目的を達成する一つの方法として、むだを省くという大臣から御答弁があつたのですが、その点が特に私自身の注意を喚起したのであります。一体この法案が通過して実際にこれが実施に移つた場合、まつたく特殊な法人組織になるのでありまするが、現在の國有と実質においては、さしてかわりのないこの法人組織化した日本國有鉄道が、具体的に経営の合理化というものをどの程度まで押し進めて行くかということになれば、そこには当然その衝い当る総裁の経営に対する方針もありましようが、大体において現在の鉄道としても、現在の鉄道をどう持つて行くかということについての構想があるのではないか、こう考えられるので、この点について御答弁を願いたいと思います。
○小澤國務大臣 前会にも申し上げました通り、日本國有鉄道に使命というものは、必ずしも收支のバランスを合して、そうして営利的に合うのだという考えだけを持つべきものでないことは、言うまでもないのであります。從つて過去に黒字で收支がついた場合におきましては、あるいは資源の開発、あるいは地方の開発のためには、採算がはつきりとれないと思う所までも鉄道をつけまして、そうして將來の日本の建設のために、多くの費用を投資して來たことは、御承知の通りであります。從つてわれわれは、今後この日本國有鉄道の経営にあたりましては、その程度の差こそあれ、何とかこの國有鉄道の使命というものを、私鉄企業とは違つた意味において発展さして行かなければならぬ。こういう面から、ある線においては損をしておつても、ある線においては得をして、そうしてこの日本の運輸行政、あるいは交通というものを理想的に進めて行くという建前が、この日本國有鉄道に與えられた大きな使命であると思うのであります。しかしながら今日のように損益勘定におきまして、一千億の予算の中から、その三割、すなわち三百億程度が一般会計から補助を受けておるというような財政が、はたして日本の現在の経済政策にあてはまる行き方であるかどうかということを檢討しますと、いうまでもなくこの三百億というものは、一般の税から徴收されて來ておるのでありまして、そういう税の負担力と、それから鉄道運賃としての負担力との調和という点が、はたしてふさわしいものであるかというならば、私はこれではいけない。つまりできるだけ三百億の一般税からの收入、すなわち一般会計からの繰入れというものをなくすることがいいのだ。なくしてもまだ経営ができるのだ。経営ができるということは、ぼくの一つの考え方だけであつて、どういうことをすれば、そういうことができるかということは、まだ最後の結論には到達いたしておりません。ただ自分の信念としては、そういう考えを持つておりまするから、從つてそこまで今後進んで行きたいということが、私の希望であります。從つて何とか独立採算制にしたい。また独立採算制にするのにはどうすればよいかというと、私この前お話しいたしました通り、経営の合理化、あるいは廣い意巳での行政整理ということも考えなければならぬ。しかしその行政整理のうちにはいろいろな態樣がありまするが、そのうちのできるだけ職員あるいは人事に関係しない点で、極力節約をはかつて、一般会計からの補助をなくするという形で、一應全力を注ぎ、それでどうにもできなくなつた場合に――その場にあたつては、いろいろな考え方をするけれども、その次の段階を考えずに、第一の段階を極力努力してみるということが、現在の立場においては適切ではないか、私がそういう方向で進んでおるということは、すでにお話申し上げた通りであるのであります。從いましてこの法案が通過しまして、そうして公法人になつてからも、あるいはそうした考え方が総裁の考えとなりまして、そういう方向で進むかもしれませんが、少くとも私はこの法律が施行される以前までは、直接責任者であるのでありまして、今のような方向で進んで行きたい。こういうふうに自分は考えておる次第であります。
○正木委員 ただいま大臣の御答弁の中にもありましたが、独立採算制というこの基本的な精神は、私どももまつたく同感であつて、長く主張を続けておつたのであります。そこでただいまの御答弁の中に、具体的な数字の御発表があつたわけであります。二十三年度一般会計から國有鉄道の特別会計へ繰入れられる予算というものは、すでに計上されておるわけでありまするが、あの予算をもつてして、今年の年度内に、十分に現在の特別会計の運営ができるという見通しを持つておられますか、この点大臣の所見を伺います。
○小澤國務大臣 あの予算をもつてはかなり困難な部面があると思うのであります。たとえば損益勘定におけるところの災害の復旧の仕事というようなものに対し、当初予算で組みました当時の收入通りに行つておらぬ、收入減があるというような点から、かなり困難であるとは考えまするが、今すぐに、今國会中に追加予算をその方面で決定しなければ、どうにもできぬというような程度ではないと思います。しかし少くともあの予算通りの実行は、一般物價の値上り、あるいは收入の減、ことに災害の復旧費用というような点からで、ある程度の追加補正が要請されております。しかしそれは今年度内ぎりぎりにやらなければならぬというのではなくして、年度末までにおける諸般の状況を考慮しながら、ある場合においては追加補正に対する幾分かの計上ということも、考えなければならぬと考えております。
○正木委員 年度末までには、現在の予算上から見て、非常に困難であるという答弁でありまするが、この臨時國会に追加予算という形式をおとりにならずとも、通常國会にはどうしてもお出しになるようになろうかと存ずるのであります。その場合相当大きな予算額になると想像いたすのでありまするが、内閣の一員としての大臣は、その場合運賃値上げ等をも考慮されておるかどうか、その点の御所見を承ります。
○小澤國務大臣 御承知のように賃金が一般的に改訂せられまして――ことに人事委員会からの賃金ベースの改訂六千三百七円というような勧告も受けております。また現実に職員諸君がその日の生活に困つておるという事実も、率直に認めざるを得ないのであります。そういうことになつて参りますと、單に鉄道運賃ばかりではなく、一般の國の財政として、必然に起つて來る全般的な経済安定という線を考えまするならば、やはりある程度の補給金の改訂、物價の改訂、賃金の安定性というようなことが総合的に決定さるべき時期が必ず來るのじやないかと考えておるのであります。從つてそういう日本経済再建のための根本的な改革という場合におきましては、賃金の値上げというようなこともその線に沿うて是認しなければならぬと思いますけれども、ただ單に給與ベースの改訂、足よぬから鉄道運賃を値上げするというようなことは、断じてとるべきものではないという見地から、その時期がいつになるかわかりませんけれども、そうした総合的な考え方で、日本経済再建を決定するという見通しと同時でない限りは、鉄道運賃は値上げすべきじやないと考えております。
○正木委員 ただいまの答弁の中にも、この國家公務員法と関連して、この官公廳に從事する職員の給與の問題に触れたのでありますが、御説の通りこの國家公務員法の一部を改正する法律案と、ただいま上程されておりまする日本國有鉄道法と、これに関係する公共企業体の特別法律案というものは、一体不可分なものであると私どもは承知いたしておるのであります。しかもこのようつ來つた事柄も承知いたしております。そこで当然問題になりますことは、ただいま大臣が指摘された通りでありますが、人事委員会はすでに政府に対して大額を公表いたしまして勧告をいたしております。また全國の官公廳の職員も、一日千秋の思いで政府が國会に賃金給與から來る予算の提出を待つておるのでありますが、大臣といたしましても、この厖大な國有鉄道の所管大臣として、大きな責務と権利を栄誉を担うているわけであります。大体政府はいつごろまでにこの給與予算を國会に提出するお見込みであるか、その点を御所見を承ります。
○小澤國務大臣 政府といたしましては、この給與の改訂ということは、先ほど申し上げたような理由で、一日もすみやかにこれを出すということが必要であると思うのであります。ではどういう意味で述べておるかと申し上げますならば、われわれといたしましても――いろいろ閣僚によつて違うかもしれませんが、われわれといたしましては、できるだけ公務員の生活を安定させて、そうして百パーセントの能率を発揮するというような体制が望ましいのであります。それが望ましいということははつきりしておりますが、それではその財源をどこからどう出すかというようなことになりますと、そこに議論が出て参るのであります。その議論の出來るということは、現在の財政では皆さん御承知のように、ほとんど財源というものは枯渇をしないのであります。それで官業の値上げをしてまでも、この給與ベースを改訂すべしという議論もないわけではないのであります。しかし私どもといたしましては、これは避けるべきである。すなわち官業の値上げをするということは、國民の一部であるところの官公吏の生活安定のために、他の階層に大衆課税というような負担をかけるべきことで、これはこの際考えなければならぬ。こういうことをたびたび繰返しておつては、今インフレ阻止の一番大事な賃金と物價の惡循環というものをますます助長するだけであるから、ここしばらく官公吏の方にも、日本の経済再建のためにがまんしてもらうと同時に、他の財源を四苦八苦ではありますが、都合して、できるだけ官公吏諸君の生活安定のために協力する、その立場において少しでも官公吏のためによくしよう。換言すれば、どうしてこの一般官業のいわゆる大衆負担をなからしめて、しかも官公吏の希望に近い点に改訂をしようかというところに、相当延びている原因があるのであります。從つて希望といたしましては、今國会中に提案いたしまして、國会の御審議を得るべく努力をいたしておりますが、しかしこれはわれわれの希望でありまして、ただいま申し上げた線にいつ何日到達するというようなことは、今ここではつきり申し上げることのできないのははなはだ遺憾であります。大体政府といたしましては、ある程度の考え方を了承し合いまして、関係方面と今折衝中であります、折衝するにいたしましても、諸般の情勢から、ただ單に一つの案だけ持つて行つても、それが了解を得るに至らないという場合もありますから、そういう場合を予想いたしまして、A案、B案、C案というようなものまで用意しながら、関係方面と懇談中でございまして、この懇談が済み次第、本國会にこの案を御提案したいと思つておりますが、万が一その了解が、本國会に提出する時期までに決定しない場合がありますれば、遺憾ながらやはりこの國会ではその審議が不可能ということも考えられるのであります。しかしながら私どもはそういうことを考えずに、ぜひともという見解のもとに、今の予算の提出方について全力を傾注いたしておるような次第であります。
○正木委員 ただいま大臣の御答弁の中に、運賃の値上げが他の國民大衆に與える影響が大きいという言葉がございましたが、そのお言葉まつたく本員も同感でありまして、この際いたずらにとりやすい財源としての運賃値上げ等は、すべきでないというのがわが党の基本的な意見ではございますが、大臣は今非常に重大な御答弁をなされたのであります。だからといつて官公吏にがまんをしていただくということは、これは相当問題ではないかと本員は考えるのであります。ということは、今日まで憲法によつて保障され、その憲法に基いて労働法規の憲章ともいうべき三法律案がすでに実施されて來たわけでありますが、マ書簡に基いて、その法律からさらに若干それました今回の公務員法の一部の改正というものが実施され、しかも公共企業体としての一つの企業の面の変革を來し、さらに公共企業体に從事する労働者に対する特別立法が実施されたのであります。從つて憲法から見ますと、國民の一人として、主権者の一人として、当然これは生活の保障ということが前提にならなければならぬものであります。その生活の保障が前提條件となることが、本法案の精神でございますから、政府という立場に立つた場合には、今日の三千七百円ベースでは、國民の忠実なる公僕としての生計を維持することができないということは、もう御承知の通りなのであります。そこで大臣の答弁の中にもございましたように、鋭意その筋と折衝されておるわけであります。そのされておることが、今大臣が指摘されたように、財源の関係で今國会には提出されないかもしれないということでは私はやはり政府の責任というものは相当重大になつて來ると考えるのであります。一方に責任のみ非常に強く押しつけて、そうしてしかもその権利というものを一つの法律で縛つておいてしかも生活は保障しないということになつたのでは、これから受ける影響というものは非常に大きなものである。政府はどのように御苦心をされても、すみやかにこの議会に賃金給與に関する限りにおいては、私は予算案というものは出すべきではないか、また出すのが当然ではないか、官吏をがまんさせるというのではなくして、この名会においてこそ、私は官吏の士氣を鼓舞し、生活を保障するから、法の精神に基いて忠実なる公僕としての職域を全うするように、というふうにすべきではないかと思いますが、重ねて御所見を承ります。
○小澤國務大臣 正木君の仰せの通りであります。正木君と同じような熱意をもつて同じような努力をいたしまして、今回出そうと考えております。先ほどあるいはということをかりの問題としてお答えいたしましたが、御承知の通り本國会は、今月末以上は延期されつこはないのであります。続いて翌日から第四國会になるのであります。そこでたとえば本國会が十日でも一週間でも延期される可能性があるということになれば、そういうような仮定の論は申さないのでありますが、法律的には本國会は本月一ぱいでおしまいであります。從つて來月一日からただちに第四國会になるのでありまして、かりに一日遅れても本國会には出ないことになりますし、一日遅れただけで來月になれば、本國会は消えますから、仮定論を申し上げて言つたのでございまして、給與改訂に関する熱意と努力という点においては、まつたく正木委員と同一の趣旨で、全力をここに傾注いたしております。
○正木委員 人事委員会から官吏の賃金給與については六千三百円案が提出されたのでございますが、政府といたしまして、この六千三百円が妥当であるか、ないかというような科学的な分析をされたことがあるかどうか、この一点をお伺いするとともに、現在の運輸省として数十万人の從業員を擁しておりまして、監督の行政とを相兼ね備えております役所としては、当然私は人事委員会案を中心として、本当権威のある科学的分析がなされたと思うのであります。またなされなければならないと思うのでありますが、これに対する政府としての御所見と、同時に運輸省としてなされたとするならば、なされた結果に基いた御所見を承ります。
○小澤國務大臣 政府といたしまして、この公務員諸君の生活それ自体に対する人事委員会の案が、いい惡いというかりに最後の線に行きましても、政府はこれを実現する場合には予算の裏づけがなければならぬのであります。從つて私どもは閣議においては、まだまだ六千三百七円が適当であるとか、ないとかいう最後の点には到達しておりません。というのは、今申しましたように財源を考慮しながらこの問題を考慮することが適当であるという見地で進んでおるからであります。しかし個人では考えておらぬかといえば、自分自身といたしましては運輸省の関係からしても、もちろん國務大臣としても考えております。考えておりますが、せつかくのお話でありますけれども、こういう大きい政治問題を私個人の考えとして述べることは、かえつて誤解を招くおそれがありますから、これを発表いたすことができないことを御了承願いたいと思います。
○正木委員 私は、國の全体としての財源の関係から、かりに人事委員会案が妥当なものであつても、万やむを得ず、人事委員会案に政府としては承服するわけにはいかないのだという議論は成り立とうと思うのでありますが、私のお伺いしているのはそうではなくて、人事委員会の六千三百円というものが、科学的に分析してみて妥当であつたか、妥当でないかということを、政府それ自体として御研究なされたかどうかということです。また運輸省としても、國の一つの企業体ではありますが、國家再建の非常な重要なお仕事を担当されております省でありますので、國の財源とは別個に、同じく科学的に妥当であつたか、なかつたかということの研究がなされたかどうか、この点をお伺いしておるわけであります。
○小澤國務大臣 お話の通り、そういう見地に基いて各閣僚は檢討を進めております。しかしながら先ほどお話した通り、そういう論拠に基いても、現段階では閣議で政府の意見としてまだ結論を得ておりません。また運輸大臣といたしましても、先ほど申し上げた通り、自分自身の考えはすでに決定いたしておりまするけれども、これを発表したりするということは、非常に政治の誤解を招きまするので、そういう発表をすることは御遠慮したい。御了解を得たいと思います。
○正木委員 大臣の御答弁で、この法律案と不可分の関係にございまする給與の問題については、せいぜい努力をしておるけれども、今回召集された臨時國会に、はたして間に合うかどうかということは、責任を持ちかねるというような意味の御答弁であるわけでありまするが、現在の全國二百数十万の官公吏諸君の生活から考えてみました場合、一日としてゆるがせにできないことだけはお認めくださると思うのであります。そこで政府は、かりにこの臨時議会に予算案を出すことがどうしても困難だというようなお見通しの場合には、現在の俸給の一箇月くらいの繰上げ支給等について、緊急処置をおとりになる御精神があるかどうか。この点お伺いいたします。
○小澤國務大臣 この問題につきましては、すでに政府も現在における官公吏諸君が非常に生活に窮しておられるという点を十分了承いたしましたから――御承知のように現在の官公吏の給與は二回にわけて支給いたしておりまして、運輸省関係ではこの月の十日、あるいは下半期は二十五日、こういう方法で支給して参つておつたのでありまするが、先月の二十五、六日ころから執行委員会の要求もありましたし、また要求が無理でないという見地から、この十日の支拂いを最小限度五日まで繰上げて支給しよう、また下半期の支拂い、すなわち十一月二十五日に支拂うべき賃金は一週間繰上げて十八日に支給しよう、こういう建前で方針を一旦決定して、そうして関係方面の了解を得べく全力を注いだのであります。 〔速記中止〕
○正木委員 私が非常に心配いたしておりましたことが、ただいまの大臣の御答弁で明らかになつたわけでありまするが、私はこのような緊急処置をとるべきだと実は考えておつたことは、元來政府の職員に、國がこともあろうに一箇月の俸給を二回にわけて分割拂いをいたさなければならぬということは、いずれの政党がその政治の衝に当ろうとも、決してこれはほめたことではない。これは決して正しいことではない。こう考えておりまするし、またそういうことは決して望ましいことではないのであつて、私のただいま大臣に対していたしました質問は、十二月に逆に一月分を繰上げ支給して、緊急の処置を講ずる、こういうことすらもいたすべきではないかと、こう存じて質問を申し上げたのです。そのことはただいまの御答弁で非常に困難なことがわかりましたが、ぜひ政府に御努力を願いたいと思うのです。 さらにあわせてこの機会に所管大臣であるあなたにお伺いをいたしたいと思いますることは、北海道における鉄道の從業員諸君の――御承知とは存じまするが寒冷地手当、石炭手当、これはすでに事務当局においても非常にこの点については努力をされておることは、私十分承知をいたしておるのであります。いたしておるのでありますが、さて実際の問題になりますると、いまだ政府が当初全官公の代表の諸君に約束したこと、また寒冷地地帶より出ておりまする私どもに約束したことは、ほど遠いのが現実の姿でございます。そこでもう北海道においては、一尺以上の降雪を見ておりまして、すでに時期は遅れておるのでありまするが、年末を控えて、今ただちに石炭手当なり寒冷地手当をいたしませんと、まつたくその効果がむだに近いものになるわけであります。しかも北海道におけるところの鉄道輸送成績というものが、國全体の産業の上に及ぼす影響がいかに重大であるかということは、大臣よく了承されておると思うのでありまするが、所管大臣として、この点についての御所見はどうなのか、ひとつ希望の持てる御答弁をお願いいたします。
○小澤國務大臣 正木委員のお話の、寒冷地手当、石炭手当というものが実質的に必要なことはまつたく御同感であります。從いまして政府は、当初昨年と同じような形で、石炭手当あるいは寒冷地手当を早急に追加予算として計上して、この方の措置からも、一部だけでも満足させようというような考えも持つておつたのでありまするが、客観情勢は、給與のほかに寒冷地手当あるいは石炭手当というような考え方を持つことが思わしくないという客観情勢になつて参りましたけれども、しかし私どもは名前はどうであつても、実質的に石炭手当に該当するような金額、あるいは寒冷地手当に該当するような金額が、現実に職員に入ればよろしいのだという見地から、その線に沿うて今追加予算の審議にあたつては、極力私からも主張し、また全閣僚もこれを了承されまして、現在そうした方向に進むべく努力中であります。ことに私の所管に非常に從業員努君が多いのでございまして、私はこの問題に対しましては特別に努力をいたしまして、何とか正木委員のお考え通り、名前はかわつても実現したい、こう考えております。
○正木委員 以上で一應大臣に対する私の質疑は終りまして、資材局長並びに陸運局長を中心にして、今後質問をしてみたいと思うのであります。資材局長にお伺いをいたしたいと思いますことは……。
○有田委員長 正木委員に申し上げますが、大臣のおられる間に境さんの質問を……。
○正木委員 では一時質問を保留しておきます。
○境委員 私は大臣がお急ぎのようでありますから、きわめて簡單に大臣の御意見を伺いたいと思います。 それはこの前の公聽会のときもありましたし、それからこの委員会を通しても、國鉄の公共性ということが、大臣からいろいろな面で説明せられて來ましたが、この公共性の問題について私はお伺いしたいのです。大臣の権限については四十九條、五十三條にあるのでありますが、公共性ということと、独立採算制ということとの間には、相当問題が包藏されていると思うのです。独立採算制をとつて企業としての商業的な性格を持つ、こういう方向であれば、独立採算制を保てないような國鉄の建設ということは、まず一應考えられないでしまう危險性がある。そういうものについては大臣の権限としては五十三條の第一項の前段にあるようでありますが、これは國鉄が大臣の認可を受けた場合にというふうになつておるのであつて、実際公共性に合致するような絶対必要な線があつた場合に、國鉄は独立採算制をとるために、それを故意とは申しませんが、計画をしない。國の理想の上からいつてぜひ必要な線も、それをむりにやると、独立採算制を保てない、ますます赤字を出して行く、それで國鉄側でそれを計画しない。その場合に、これに対する建設命令というものを、公益性の上から出すという権限がどこにあるかということになると、五十三條にも四十九條にもないし、それかな監理委員会の十條のところを見ますと、そこに監理委員会の性格が決定づけられているのですが、この内容もはなはだ不明瞭ですから、従つてそこからも、こういう場合の建設命令というようなものが出て來ない。それならば総裁はどうかといえば、十九條のところで総裁にそれだけの権限があるかどうかということになると、これもなさそうであります。從つて公共性という建前に立つて、新たに絶対至上命令といいますか、そういう言い方はどうかと思うのですが、新しい線が必要だというときに、國鉄側の計画をまたないで、國の建前で命令を出す場合に、一体どこから出して行くか、こういう問題が起き得る可能性があると思うのですが、この点に関して大臣の御所見を伺いたいと思います。
○小澤國務大臣 それは今御指摘のように、五十四條には監督上必要な命令ということがありまするが、今の建設という問題と監督とは違うのじやないか。監督というのは、事務的なことを言うのじやないか、というような考えに一應この言葉がとられますけれども、ここで監督上ということは、非常に廣義な意味でありまして、たとえば新線が日本の経済再建のために、あるいは國力の充実のために絶対必要であるにもかかわらず、公共企業体がかつてにやらなかつたというような場合には、やはり五十四條の規定でこれを命令するような考えであります。たとえば國会の権限で、請願あるいは決議案等が出まして、そうしてこれはどうしても必要だというような場合に、行政の代表として運輸大臣は、この命令に基いてこの公共團体に命令を出して、この新線はやるべし――もちろんその場合において、財政的な面を全般的に考慮して、命令を出さなければならぬことは、いうまでもないのであります。
○正木委員 資材局長にお尋ねをいたしたいことは、元來私どもは、日本の再建の上で一番大切なことは、何といつても日本の鉄道の再建であるということを実に強く主張して参つて來たのでありまするが、残念なことには、過去においては日本の鉄道の復興に要する資材その他万般の面において、石炭、鉄鋼と比較いたしますと、非常な隔たりがあつたことは、当局も十分御承知の事実であります。ただ幸い今日におきましては、鉄道の復興資材その他の面においても、重点産業に取扱うというように國の方針が決定されたのでありまするが、さて一番大切な数十万の鉄道從業員の作業上必要な資材、一口に言うと労務物資でございます。特に寒冷地帶における從業員に対する労務資材の配給が、まつたく円滑を欠いておつたということは、あなたもお認めになつておられると思います。その結果どういうことが現われて來たかといえば、今朝のある新聞なども非常に妙を得たやゆをいたしておるのでありますが、昨年北海道においては輸送の一大混乱の状態を招きまして、その結果前の次官である伊能君が総局長官をされておつたときに、自分自身北海道まで出かけて、その現地を親しく視察されて、その結果に基いて相当思い切つた措置をとつたのでありましたが、時すでに遅く、北海道の鉄道輸送は非常な困難な状態に追い込まれた。私は今年もまた再び東北、北海道においてかようなことが繰返されてはいけない。これはどのようなことがあつても繰返さるべきものでないと深く考えております。幸いに当委員会においても、有田委員長が非常にいろいろな点に御配慮をされて、過日懇談の形式ではありましたけれども、商工省その他関係各省の係官から労務物資についてのいろいろの報告を受けたのであります。一体鉄道当局として今年度は決して心配はないという確信あると見通しをお持ちになつておられるかどうか。昨年北海道で一番端的な例はどういうものであつたかと言いますと、これは局長自身ごらんになつたとは思いまするが、私ども運輸交通委員として現地視察をして驚いたことは、あの零下二十度を越える北海道において、貨車の操作をするのに必要な軍手がない。それで札幌鉄道局は窮余の一策としてどういうものをあみ出したかというと、私ども承知いたしておりませんが、あのいなわらでえたいの知れない手袋をつくりまして、國の一つの資材として從業員に貸し與えた。ところが現地に行つてあの冬のさ中に、いなわらでつくつた手袋でどういうような仕事ができたかと従業員に聞いてみ、また従業員が現場で働く状態を見ていますと、これは一日使うことによつて、このわらでつくつた手袋がボロボロになつてしまう。そればかりではない。御承知のようにいなわらは多分に水分を持つておりまするし、水分を吸收いたしまするから、北海道では、見ているうちにこの手袋が凍つて氷でガラガラになつてしまいます。これをもつて時の運輸当局は、あの危險な作業に従事せよと御命令なさるのでありまするから、私はどのような誠実な從業員であつても、職場において完全に働き得ないのだという結論に到達いたしたわけであります。手袋ばかりではない。ゴムぐつにいたしましても、その他すべての労務物資にいたしましても、その通りでございます。さらに驚きましたことは、何であつたかという外套でございます。これは北海道や東北においてしばしば見られる自然的な現象なのでありますが、今日は猛烈なふぶきが來ておる。ところがすぐに暖かい風にまじつてみぞれが参ります。そのときに外套がないために鉄道当局がとつた処置は何であつたかというと、御承知のように外米を入れて参りますところの、私どもには何かわかりませんが、あの袋を外套につくりまして、それを着せて作業をさせるが、これまたただちに凍りついてしまう。氷のついてガラガラ音のするものを着せて、従業員に仕事をさせようとするのでありまするから、どのような誠実な從業員でも、思い切つてその仕事の責任を果し行うことができない。これが北海道及び東北一部の現地の偽らざる実情であつたわけであります。そうでこの問題は決して等閑に付しておくわけに行きませんので、昨年も今年の春も当委員会において非常に強く取上げられた問題でありまするが、先ほど私申し上げましたように、今年は再びその轍をふんではいけない。そこで運輸当局としては、これらに対する点については、私はもう十分に手配、処置がとられておると確信いたしておりますので、資材局長にその十分にとられておるところの処置についての、具体的な御報告を承りたいと思います。
○吉次政府委員 ただいまの御質問に対する答弁を申し上げます。仰せの通り昨年度の轍を本年度は何としてもふみたくない、こういうような決意から、國有鉄道の從事員に対する労需物資の輸送、特にそのうち北海道その他東北地方の雪害地帶における從事員に対する対策は、年度当初から主力を注いでとつております。先ほど正木委員からもお話がございましたが、國有鉄道從事員に対する労需物資は、石炭あるいは供米等々と同樣の重点的処置を講ずる、こういうような閣議決定の処置をとられる段階にございましたが、実際問題としては、御承知の通り供米あるいは漁業の関係、あるいは石炭産業、これらの関係については、配給上について特殊な切符制度を関係筋の指示によつてとつております。從つて現品の流れになりますると、どうしても現在とつている國有鉄道從事員に対する現品の流れというものは、先ほど申し上げました石炭とか供米関係が優先的に動いておるというのが、過去上半期経驗した実情でございます。從つて今年度の國鉄從事員に対する労需物資の割当並びにこの割当を現品化する措置については、あらゆる努力を傾倒いたしておりますが、なかなか思うような結論というものが、必ずしも出ていないというのが現状でございます。過般開かれましたこの委員会でも、その状況等につきましては資料によつて御説明申し上げ、あるいは資料をお配りいたした次第でありますが、しかし結論的に、札幌鉄道局、北海道の國鉄從事員に対する冬を控えての労需物資の配給の現状は、大体ただいまお話がございましたが、外套あるいは制服、あるいはさらに特にズボン等の毀損が非常に多いのであります。ズボンの特別の配給、あるいははきものの関係で地下たび、ゴム長ぐつ、ズツクぐつ、軍手、こういうようなものについては、規定上屋外の作業に從事し、もしくは列車乘務に從事しておるとか、その他規定上どうしても配給の裏づけをしなければならぬという、從來からやつて來たものに対しては、すでに現品の配給がほとんど全部完了いたしております。制服についても、外套についても、あるいは地下たびについても、ゴム長ぐつについても、ただ規定の裏づけができなかつたものは、昨年度もこれが非常に大きな問題で、また輸送能率の向上の点からも、きわめて遺憾な結果を招來したのでありますが、軍手については年度当初から、先ほど申し上げたいわゆるリンク制配給との関連において、思うような措置が十分にとられておりません。從つて北海道地区に対してもまだ完全な体制がとられていない、こういうような現状になつております。しかし昨年度と比較いたしますと、大分事情は違つておりますが、北海道地区も從事員に対する軍手の配給は年間完全配給をするのには二十九万三千双を必要とする、こういうことに私どもの観測ではなつております。しかし年度当初から過船の委員会で申し上げましたが、本年度の軍手の配給は、國有鉄道の要望二百五十万双に対しまして、供給が不如意のために閣議で決定された結論の数字は七十九万五千双、約三分の一、こういうようなことになつております。二百五十万双配給しないと完全配給はできないのでありまして、從つて札幌鉄道局の二十九万三千双を配給するのには全体的には二百五十万双入らなければできない。それが閣議決定で七十九万五千双ということになりました。それで私どもの初めとりました手段は、早期に代用の手袋を、これを非常に單價も高くなりまして、使う方でも本物の軍手に対しては非常に使いにくいと思いますが、古被服を材料として手袋をつくる、こういうような措置をとつて参りまして、上半期にできましたものが五十二万六千双、この中から札幌鉄道局に五万九千五百双を配給しております。しかも本來の軍手については七十九万五千双が閣議で決定され、安定本部で計画されましたが、現実にはその後第一・四半期、第二・四半期とまだ遺憾ながら一双の切符も発行されておらなかつたというのが過般の委員会までの経過でございます。過船当委員会においても、いろいろと安本当局、あるいは商工省に対して御質問等がありました。かねて商工省当局とは事務的な折衝を再三やつておりましたが当時の本委員会のこの席上で商工省と運輸省側で話をまとめまして、急遽四十五万双の軍手を至急に今月中に現品化するようにしようということで、今日までの運びで、あの委員会の翌々日実は発券事務を完了しております。当時商工省は、四十五万双の現品はもちろん裏づけされるというような前提で出されましたが、その後現品確保のため、実際に各メーカーに当りました。供米の関係、あるいは石炭関係、供出関係のリンクの現品が優先されておりまして、つまりひもがついておりまして、四十五万双のうち、おおむね半分くらいは、現品がどこにあるかということがまだわかつていない。こういう状態で、毎日実はこの現品の割当を商工省にせつついて、一日も早く現品のあり個所を商工省から教えていただいて、現品確保によつて配給したい。こういう状態に相なつております。從つて本年度の関係のものについては、発券七十九万五千双に対して、四十五万双、ごく最近、今月の十日だつたと思いますが、発券はされましたが、現品確保については、まだ半分ぐらいのものには配給いたしかねておるという状態でもあります。そこで特に雪害地帶、あるいは寒い地帶に対する初めからの対策として、大体年間の計画は、要望に対して三分の一程度ですから、上半期、暖かい時期においては――もちろん軍手は必要なのでありますが、やむを得ざる手段として、九月末までは各局に軍手を配給しない。特殊なものだけについては約十一万双ほど配給いたしておりますが、それ以外は原則として配給しない。こういうような特殊な対策をとり、下半期の関係については、札幌鉄道局と仙台、新潟の雪害地帶については、私どもの目標としては所要量の百パーセント配給しよう、その他の地区に関してはおおむね五〇%で本年度は満足していただいて、上半期は使つておりませんから、下半期だけは雪害地に対してはその上半期分も含めた数量を、今ここで降雪期にあたつて全部配給しよう。こういうふうに努力をして参つております。現品化の関係が先ほど申しましたような事情にあります関係上、二十九万三千双の私どもの配給したい数字に対して、ただいままでに配給を完了しておりますものは十二万双、半分以下ということになつております。ただいま申しました四十三万双の、今年度の上半期分の発券と現品確保ができたら、このうちから北海道地区に対しては十七万三千双、合計二十九万三千双になるが、百パーセントの配給をしたい、その現品化が今若干ひつかかつております。しかし今の商工省の操作によつては、年末までには北海道地区に対しては百パーセントの配給が可能であるというぐあいに見通しをいたしております。本年度も軍手が一番まずい関係になつておりますが、北海道地区に対してはすでに十二万双、昨年度当時の状況は、おそらくこの数字の二割程度しか配給をしていなかつた。こういうぐあいに思つておりますが、その他にさらに昨年度の経驗にかんがみ、年度当初からこの冬季に対する対策を、他にいろいろ防寒用の目的をもつて、すでに準備をして、目下配給指示を出したことになつております。現品はまだおそらく各個人にわたつていないと思いますが、それらのものについては、たとえば外套のずきんは北海道地区に対して約五千、地下たび、これは今まで貨與していない職名に対しても、雪害地帶に対しては出そう、こういうことで特に札幌鉄道局には二万五千双、これも特配として指示を目下出しております。そのほかズツクぐつが一万足、さらに防寒チヨツキとして、これも年度当初早く手配をしておきました。人工毛皮と眞綿のチヨツキ、両方合せて二万着、これを北海道地区に特配をする、こういうような措置を講じております。なおまた最近ゴムの長ぐつを、年度当初よりも、特に國有鉄道の冬季必要なる地区に対して何とか特配しよう、こういうような措置かまとまりました。特に二万足、これは北海道その他東北地帶を含めて特配をする、こういう財源が出ましたので、その特配の指示も目下出しておる現状であります。大体全体的に見まして、昨年度に懲りておりますので、特に年度当初から割解の確保と同時に、現在の早期配給に目途を置いてやつて参りましたが、全般的に昨年度時期遅れで、しかも特殊手段をとられて、実際の現品配給は、ほとんど雪の期間が過ぎてから各個人に渡るというような結果になりましたので、今年は総計した数字よりも、さらに上まわつた数字が、雪に入る前に現品化ができておる。ただ一部軍手のごとき百%配給を下期に集中してやりたい、こういう決意が、若干今事務的に支障を來しておりますが、これも年末までには解決がつくであろう、こういうぐあいに見通しをいたしております。さらに特配関係等につきましては、運輸省予算の関係からいたしまして、有償の配給をいたしておりますが、趣旨としてはこれも相当の量に相なるので、有償額支弁――有償費の支弁等についても、非常に生活の苦しい際、困難な問題はあろうとは思いますが、單價はいずれも公定價格もしくは公定價格以下で入手しておりますので、一般の市中にぶら下さておるような物に比べると、三分の下もしくはそれ以下の單價に相なつておるということは、申し上げられると存じます。大体以上の通りであります。
○有田委員長 この際正木委員に私からお話したいと思います。先般石炭増産協力会に出席をしまして、特に冬場の北海道の資材関係、軍手その他の問題について会議を開きまして、運輸省からも商工省からも安本からも來て会議を開いたのでありますが、石炭の方へまわされる物資を現地で運輸関係にまわそうという話を承つて來たわけであります。從つて先般ここで資材の会議を開きましたようなわけでありますが、とにかく長ぐつといたしましても、半長ぐつに安本は重点を置いておる。この点につきましても雪害の点からいつても、どうしても長ぐつでなければ困るという建前から――第三・四半期の安本のわくを見ますと、ホースあるいはベルト、それから工業用品に約千四百トンほどの生ゴムが配給されております。しかもこれはいずれも製品がヤル公を割つておる。しかも製品につくらないで、生ゴムが横流しになつておるというような事態もあるのであります。正木委員は商工政務次官もおやりになつておられた関係上――私もできる限り資材方面とも協力して、この点の打開に努めたいと思うのでありますが、正木委員におかれても、過去の御経驗から、ぜひともひとつ資材方面と御連絡をおとり願つて、根本的な生産の面において、運輸省関係への資材の配給ができるような方向に進むことに、御協力を願いたいと思います。私としても、本委員会においてできるだけこれを取上げてやりたいと思つておりました最中に、日本國有鉄道法案が上程されました関係上、それに十分なことができないのは遺憾でありますが、とにかく私の現在まで調査したところによりますと、鉄道総局方面の努力は、他の役所よりも非常にぬきんでておりまして、安本方面でも鉄道総局の努力については非常に認めており、この点は私もひとしく認めるのでありますが、鉄道総局の力だけではどうにもならぬのでありまして、國会方面の努力を得なければならぬ。從つて資材局長におかれては、どうかひとつわれわれと連絡をとつていただいて――特に本委員会は午後一時から開会される関係で、午前中は私どもあいておるわけですから、正木委員は前商工政務次官の立場もあり、私も商工の方の委員をやつておつた関係上、いろいろ御連絡をおとり願つて、われわれを連れて安本なり商工省なりに行つて、これらの資材の解決に御協力願いたいと思うのであります。
○正木委員 だんだんと資材局長の話を聞いて、私も昨年度から比較いたしますと、今年の労務物資に対する手当が非常に順調に進んでおるということを聞いて、安心をいたしましたが、重ねて資材局長に聞きたいことは、作業用のズボンです、あれも昨年度私どもが参りましたときの状況から見ますと、非常にかわいそうで見ておれぬ、破れてボロボロの作業ズボンをはいておるわけです。青いズボンです。それを一点あなたに聞きたい。それからもう一つ、有價支弁ということでは、労組を中心としてまた問題を惡化するという非常な危險を感ずるわけであります。そこで総局長官にお伺いしたいと思うのですが、現在の國鉄の経理の内容から見た場合に、國民の受ける印象は、数百億の赤字を持つておる、しかも從業員は、國民からいうと、まだまだ整理の余地があるのだ、こういう印象を抱いておることだけは間違いないと思う。私は現在の國鉄の経理そのものの点で改善する余地がないかといえば、改善する余地が多々あると思います。だからといつても、國民が印象を受けているほど、日本の國鉄というものは決して非能率的なものとは私は考えない。私は戰爭中を通じ、戰後を通じて、國鉄健在なればこそ、日本の再建は今日あるのだと極論したいくらい、國鉄というものを重く見ております。しかもその会計の内容等から申し上げても、なるほど現在のインフレ下において、貨物運賃の引上げというものが國民経済に與える影響の大きいことも承知しておるが、しからば一体その貨物運賃を他の諸物價の指数と比較檢討してみたときに、科学的に妥当であるかないかという議論になれば、まだまだ議論の余地があると思う。また一体進駐軍関係の輸送の経費はどこが負担すべきかということすら、國会においても、國民の間においても、具体的に明瞭には取上げられてはおらないと思う。また戰災をこうむつたための復旧費というものが、どういう形で弁償さるべきかということすらも、十分に取上げられておらない。そういうもの全体を含めての現在の鉄道の赤字については、私は國会においても、國民それ自体においても、深く檢討されておらないということを考えてみたときに、私は特定の雪害地帶における從業員の支給物資については、当然無償であつていいのではないか、それが公共企業性の持つた鉄道としてのなすべき一つの手段ではないか、こうまで考えられるのであります。今一体東北の一部、あるいは北海道の一部の從業員にに作業のズボンであるとか、軍手であるとか、地下たびであるとかいつた物を有償でもつて支給するか、無償でもつて支給するかによつて、特別会計のこの厖大なる予算の中でどれだけの費用がそこに加わるのか、それとも、そういう無償の処置をとることによつて、東北及び北海道の全從業員が奮い立つところの輸送能率という面を考え合せてみたときに、私は当然無償にすべきだ、こういう見解を持つのでありますが、総局長官の御所見を承つておきます。
○加賀山政府委員 國鉄道全般並びに特に北海道の寒冷地に從業する從業員に対する御同情ある御見解を承りまして、私どもはまことにありがたいと同時に、非常に力強い限りに感ずるのであります。ただいま資材局長の申しました有償云々の問題は、ただ全般の規定上いわゆる貸與というものと、しからざるものと、こういうように規定上わかれているところからいたしまして、貸與する職務にあらざる者は、これは一應有償ということに相なるわけであります、しかしながらその面におきましては、單に有償ということを――先ほど公定價格あるいはそれ以下というように、單價について申し上げたわけでございますけれども、それと同時に北海道に対しましては、実は特別の方策を講じておる次第でございまして、たとえば石炭等につきましても、一般の配給よりは少し國鉄に見てもらいたい。当然これは無償ということには成り立たないわけでありますが、それに対して報労の意味をもつて、從事員にその働きに應じて報労金を出すというような措置を講じておるわけであります。先ほど申し上げましたような物資についても、これはそう言つた報労金等によつて、ある程度まかない得るような方策が最も至当ではないかと考えているわけであります。この報労金でございますと――たとえば一億三千万トン輸送に関して、特に最近北海道におきましては、木材なり、石炭なりの直通運轉をはかり、昨年より少くとも三割近い増送をいたしているわけであります。これらに対して、しかも職場離脱者大勢を出しておきながら、輸送成績をごうも落さないでがんばつていることに対して、これを報奨じやなくて、報労する、この報労金をもつて、そういつた有償價格のものによつて、從事員のふところを痛めないようにしたいというような方策を講じている。そうすれば規定上それで行きますし、最も実際に合うではないかと考えている次第であります。
○正木委員 大体資材局長関係の質問はこれで一應打切りまして、陸運監理局長にお伺いしたいと思います。私の入手いたしました書類によりますと、十一月二日の閣議決定事項として「駅における小運送業者数の複数化実施の件」というのがございます。それと関連して、小運送審議会規定というものもできたということを聞いているのであります。もし私の入手しましたこれが事実と仮定しましたならば、駅における小運送業者数の複数化実施の件というこの内容の精神は一体どこにあるのであるかをまずお飼いしたいと思います。これと関連して、このたび提出されましたこの日本國有鉄道法案との関係でございますが、これの精神と、この閣議決定の精神とは相一致するものであるかどうか、これであります。というよりは、この日本国有鉄道法案はマ指令の書簡に基くことは申すまでもありませんが、現在の形態の國有鉄道では、公共性及び経営の自主性を発揮することはできないというのがその精神なのであります。ところが、一方現在のこの閣議決定の複数化というものは、日本の小運送を、特殊の会社組織によつて担当しております日本通運だけにはまかせきれない。むしろ逆に日本通運というものを公共的な性格から解体して、私の会社にかえるとともに、逆に複数制をとらなければならない、こういうのでありますから、この法律案と、この閣議決定のこの複数化の精神というものとは相合致するのかしないのか。この点などもあわせて御所見を伺いたい。
○小幡政府委員 御承知の通り、ただいま各駅におきまして小運送業は一駅一店という方針でやつております。これは結局鉄道施設を効率的に利用するという面、また高度の計画経済を円滑に強力に実施するという面から、大体一駅一店という関係で進んで参つたのであります。しかしながらその結果、一方においてはその目的をある程度達しまして、ただいまの困難な経済状態において、よくその使命を達して参つたと考えるのでありますが、一面においてまたいわゆる独占の弊が出て参つたことは、いなめない事実なのであります。そういう点から、つとに國民一般の声といたしましても、小運送業を現在の一駅一店という方針をやめて、複数制にしてもらいたい。それによつてサービスの向上をはかり、また企業経営の効率化、あるいはさらに進んで小運送力の増強という面をはかつてもらいたいという声が高かつたわけであります。私どもといたしまして、これはしごくごもつともな話だというので、いわゆる小運送業の民主化という観点に立ちまして、一般の世間の声はごもつともだという理解のもとに、なるべくすみやかにこれを実施したいという方針をとつたのでありますが、実際の実施といたしましては、小運送業法を改正いたしまして、国会の十分御審議を経た法律の根拠に立つてこれを実施することの方が、よりベターであることは当然でありますので、そのつもりで一方小運送業法のすみやかなる改正という問題を実施したいつもりで努力したのでありますが、これが御承知のごとく、いろいろな事情で遅れて参りました。そこで私どもといたしまして、極力これを早く國会へ提出することを一方に考えなければなりませんが、と同時に、少しでも早く小運送業の複数化ということを実施することは、世間の世論にもこたえ、また行政上実際においてもいい方針である、こう確信いたしましたので――現在小運送業法でも、もちろんこれが禁ぜられておるわけでもありませんから、政府の方針をかえまして、小運送業の民主化という見地から、これを早く実施いたしたい。さらに一方小運送業法の改正という問題は、これは本格的な問題としてすみやかに國会に提出できるように手当する、こういう方針で現在進んでおるわけであります。從つて私ども小運送業の民主化という見地から、この複数制の実施を考えておるのでありまして、日本國有鉄道法が國営鉄道から公共企業体にかえられるという方針と、別段矛盾があろうとは実は考えていないようなわけであります。
○正木委員 結論から申し上げますと、今の局長の答弁は國民の世論にこたえるのだ、ややもすると独占化す傾向のある今の小運送事業の民主化をはかるのだ。こういうお言葉でありますが、では今までなされて來た運輸当局の小運送行政というものは、さように大きな欠陥があつたのかどうか、こういう点を私指摘したいのであります。運輸省が元來この小運送業の全國的な統一をはかられたことは、もちろんただいまの御答弁の中にありましたように、鉄道施設の効率的な利用と、計画的な強力な実施という面にあつたろうかと存ずるのであります。そういたしますと、現在の國有鉄道を大きくながめてみたときに、現在においてもこの鉄道施設の効率的利用というものは、最大限定にいたさなければならぬ、同時にこの鉄道輸送の計画というものにマツチさせるためには、それと相合致したような小運送体系を整えなければならぬと私は思います。そのことなくしては、鉄道のこの法律案に見られるところの公共の企業性というものを、一貫的に十分に発揮することは困難ではないか。かりにもし國民の間において、今日までの小運送行政の面において非難があつたとするならばその全國的な統一体であるところの、日本通運というものに対する監督官廳としての運輸当局の落度であつて、また同時に、日本通運という特殊的な性格を持つた会社の運営それ自体の中に欠陥があつたのではないか、精神そのものにおいては欠陥があつたのではなくして、むしろ精神的からいうならば、進んでさらに、私はこの小運送の末端の組織までもすら、この法律案と同樣な公共の企業体に合致する方向に持つて行くべきではないか、こういうように考えられますが、その点の御所見はどうか。
○小幡政府委員 仰せのごとく計画経済を強力に実施する、また鉄道の施設を最も有効に使う、こういう面から行きまして、小運送の一駅一店主義というものをとつて参つたのでありますが、その結果として、ここにただいま正木委員から政府の監督が惡かつたというおしかりを受けましたが、やはりどうしても独占の弊というものが起つて参つたということは言えるのでありまして、私ども今日の立場として、もちろんその点は十分認めなければなりませんので、一方で独占の弊をためるということと同時に、また今までやつておりました施設の効率的な利用とか、計画経済の強力な遂行とかいうような面と、両立させるという考え方でやつて参らなければならぬ、かように考えておる。從つてこのたびのこの閣議決定の趣旨をごらんいただきましてもわかりますように、その間のあんばい調節をはかりながら、新たな業者を免許して参る、こういう方向で進んで参らなければいかぬ、かように考えておるわけでありまして、どうしてもそこにいずれか一方の目的を達成しようといたしますれば、また弊を伴つて参るので、その間の調節をうまくとつて参るということは相当困難とは思いますが、それに全的に努力して参るという方向で進んで参るべきではないか、かように思つておるのであります。また日本通運そのものの問題については、これは御承知の通りに企業再建整備の問題で、目下これが懸案になつておりますが、この再建整備をいたしますと同時に、日本通運そのものの今後の監督という面については、その再建に伴つて十分に注意を拂つて行かなければならぬということは申し上げるまでもないのでありまして、その点についても、申し上げるまでもなく考慮もし、具体的にもいろいろと檢討を加えておるようなわけであります。
○正木委員 一般論はその程度にして、閣議寿定事項の具体的な面でお伺いしたいと思うのですが、閣議決定事項の五の中に日本通運株式会社を廃止して同社を通常の商事会社とする、こう一項目があるのです。一体日本通運株式会社法という、特殊な性格を持つた法律で運営されている会社であつたればこそ、運輸省は強力なる監督権を持つことができたと思うのですが、これがあたりまえの商事会社になつた場合、一体運輸省はこの本日鉄道の大きな運送計画に対して、この商事会社、さらに局長が指摘されるような複数になりますと、非常に多くの営業者が出ようと思うのでありますが、これに対する行政監督というものは、具体的にどういうようなるか。これが私の会社になつちやうのですが……。この点をお伺いします。
○小幡政府委員 お話のごとく、ただ監督の面だけから参りますならば、特殊法に基く法律によりまして、きつく監督するということの方が、実際の眼が行届くと申しますか、力が及ぶと思いますから、その点においてはよかろうと思います。しかしながら、これを一方でいわゆる独占の形態でなしに、自由な公正な競爭の形に置くということは、私どもが上から見た眼で監督するのでなしに、自発的にこの競爭に基いて、みずから惡いところを改善することになるということを、大きく期待しているのであります。何と言いましても、独占ということは幾ら上から監督の眼を届けると言いましても、十分に行かない。やはり自発的な氣持から改善してもらうことが大事なことでありますから、その点から申しますと、むしろこれを自由公正な競爭状態に置くことの方が、実際の自発的な改善という面からいつても、十分改政が行われるのではないかと考えます。
○正木委員 局長と本員との間に、その点で非常な大きい意見の相違を來していることを遺憾とするのですが、小運送行政に対する根本精神はどこにあるのだという点です。これはあくまでも公共的なもので根本精神でなければならない。一体日本の國鉄の今日までのがんは何であつたかといえば、鉄道の大輸送ということでなくて、むしろ極端な言葉で言えば小運送行政が非常に復雜多岐にして、運輸当局が企図する、また意図するような計画的な体系が整えられなかつたというところに、日本の運輸行政の一つの欠陷があつたのではないか。これは私はかたい一つの信念をもつて申し上げることができると思うのであります。だからこそ、この理想体系を整えるために、当時における國民の猛烈なる反対を押し切つてまでも、閣議決定の最初に項にありまするように、鉄道施設の合理的な利用、それから計画経済に協力するために、今日の日本通運株式会社法という法律が生れたのだと思います。ところが局長は、ただいまの状態を見ると、それは間違つていたのだ、あくまでも独占企業を廃して自由意思な、しかも自主的な協力体系が整えられなければならぬと言われます。さて実際問題として、この法律案にも明らかになつておるように、この法律案自体は結論から申しますと、鉄道総局をそつちへやつて、あとは從來と何らかわらない、しいて言えば監理委員会ができたにすぎないのであります。次官の言葉を借りれば、一時に大きな変革を行うことは困難であるから、途々に行う過渡的の処置なんだと言われておるのでありますが、一体あなた方が監督権を持たない、指揮命令権も持たないで、私の会社がそちらにもでき、こちらにもできても、それガ運輸省の考える意図通りに行かなければ、たとえ機構の上は、いかに合理的に、計画的にできていても、鉄道の計画輸送が根本的にくつがえるということは、專門家のあなた方は百も承知だろうと思う。從つて私は日本通運株式会社法を廃しまして、これをあたりまえの商事会社にするということ自体が、鉄道の運送計画という精神から見ると相反しておるのではないか。逆に私の言いたいことは、日本通運という独占的な企業体が、その経営の内容においていろいろの欠陷があることは承知しております。むしろそれを根本的に民主化して、その民主化された機関が、監督官廳の立場に立つ運輸省の策画運送と完全にマツチする体系を整えることの方が、先決問題ではないか。この先決問題を処理した後においても、なおかつ欠陷があるならば、特定の地域に対す基複数制を第二段として考えらるべきではないかと思いますが、局長の御所信を伺います。
○小幡政府委員 お話のごとく施設の最も効率的な利用とか、あるいは計画経済の強力な遂行という、そういう必要に基いて今までの一駅一店主義がとられて來たのでありますが、いわゆる太平洋戰爭に直面した日本の実情におきましては、またそれ以前からの小運送業界の強化と申しますか、そういう面の必要性に基いてこれがとられて來たのでありまして、われわれ先ほどから申し上げたように、この方針というものが、相当程度の実績をあげて來たことは、いなまれない事実であると思います。今日になりまして、これに伴つて起つて來た独占的な弊というものを矯正しながら、しかも今までの目的にも沿い得るようにゐこの間の調整をとつて参りたいということを先ほど申し上げたのですが、結局今までのやり方には十分意義があつた。また今日になつた見まして、この方針に若干の修正を加えるということも、相当意義のあることではないと考えているのであります。もちろんただいま申し上げました特殊会社法というものから除きまして、通常の商事会社とするということになりました場合に、政府としての監督は、先ほど申し上げました通りに特殊会社法の方がはるかに強力な監督ができることはもちろんでありますけれども、しかし念のために申し上げておきますが、全然無監督に自由放任にするという考え方ではないのであります。第五に掲げましたこと、あるいは第六に掲げてありまする計算事業の問題、こういうような問題は、いうまでもなく單独に今回この小運送の複数制実施と同時にやろうというものではないのでありまして、この会社法を廃止するということになりますれば、当然國会の御協賛を経た上でなければ実施できないことであります。これは先ほど申し上げましたりに、運輸事業法というものの全般的な改正を計画して、次の通常国会にはぜひとも提出いたしたいと思つておりますから、そのときにこの問題についても十分御審議願い、あわせてただいま正木委員のお話になりましたような御方針についても、さらにデスカツスしてみるということにいたさなければならぬと思つております。今回同時にこれを実施しようという考え方ではございませんので、この複数制を実施するということについては、大体日本通運会社法というものを廃止してもらいたい、同時にこの計算事業という面につきましても、これを一個の事業体という形にして政府の強力な監督のものに置くという形にいたしたい、かように考えて一應閣議としてそういう方針で行こう、複数制に関連して閣議としては決定したのでありますが、もちろん國会の御承認の得た上でなければ実施できない、かようになつていることは民承知の通りであります。
○正木委員 私がなぜこういうことを具体的にお伺いするかというと、この前の議会には御承知のように道路運送法というものが國会にかかつたが、貸物自動車その他荷牛馬車を持つて小運搬の業に当ろうとするものの公共企業的な精神を規定しているところに、あの法律のねらいがあろうかと思います。けれども、あの法律の精神から考えてみた場合に、政府は相当むちやをやつているのではないか。たとえば自動車一台持つても、今の新しい憲法の精神から行けば、当然企業の許可はあつてしかるべきものである。ところが当委員会において非常に問題になりましたが、現在ですら、相当の台数を持たなければあなたの方はこれに許可を與えない。その與えない理由は何かというと、鉄道の大輸送計画にすべ前の小運送をマツチさして行かなければならないから、一定の規模経営に從つた台数がなければ、許可がまかりならぬという精神が生れて來ているのであると思います。從つて今度の閣議決定事項の場合においても、國会に法律案を出して、その承認を得なければ、具体的の実施に移せないことは当然でありまするけれども、今の日本通運会社を解体して私の商事会社にしてしまう。さらにまたこれからできるであろうところの運送点も商事会社か個人経営のものになつてしまう。おそらく個人経営は不可能でしようが、この閣議決定の事項を見ますと、同一経済地帶とされてありますから、監督というものがそれに延びないということが行われますと、これは必ず大きな問題になつて來す。それでなくてさえも、今日世間に官僚独善であるという非難の声が起きているときに、これはよほど警戒を要しなければならぬ問題だと思うから、私は質問をいたすのでありますが、では、ャ体的にお伺いいたしますと、この小運送審議会規程の第二條の四項に「小運送業法及びその附属法令の改廃又は制定」という一項があります。この小運送業法といいますか、こういうものの改正の法律案が通常國会に出されるであろうと思いますが、そういうような場合においては、ただいま私が申し上げたような各般の事柄について、この法律の中に新たに規定が設けられるのかどうか。この点もあわせてお伺いしておきます。
○小幡政府委員 その点につきましては、もちろん正木委員の御心配になつておるような点は、この中に取上げられて参るわけであります。なお先ほどお話のございました中に、鉄道の道路運送関係の中で、本來いえば、自動車一両持つておる者でも認めるべきだということ、なるほどごもつともであります。ただこれを、やはり相当の規模を持つておるものでなければいかぬと申しますのは、結局において、不当競爭ということになつては困る。これは道路運送法の中にははつきり出ておるのであります。群小のものが乱立の形になりまして、共食いの形になつて不当競爭をするということは、公共の利益を増進するゆえんじやない。結局公共の福祉を増進する上に、不当な競爭を起すことでは困るというので、そういう点は、自動車を一両でも持つておる者を認めるというような方針では、もちろん行つていないのであります。このたびの小運送業法の複数制の問題につきましても、もちろんであります。やはり、自由ではあるけれども、同時に公正に競爭でなければならぬ。その点は十分に配慮を加えて、先ほどから申し上げますように、調整あんばいと申しますか、そういう点について、留意をいたしてやつて参らなければならぬ。かように考えておるわけであります。
○正木委員 さらに問題を進めますが、今の局長の御答弁、それが非常に問題になるわけでして、これは多くの民間人が、実は理解できるようで、現実にはできないことなんですね。一両の自動車を持つて営業許可の申請をすれば、まかりならぬ。では十両でよろしいのか。まかりならぬ。不当競爭はしてはいけないのだということになると、最初の、独占形態はいけないのだから、自由競爭というものの精神の上に立つて、自主的なものでなければならぬという原則との間に、矛盾が出て來るわけです。そこで、この通運事業でもそうなのでありますが、おそらく局長のただいまのお言葉に從えば、こういうことになるのではないかと思いますことは、閣議においては、新規の免許は、その事業が開始されることによつて、公共の福祉が増進さるるとともに、小運送事業が増強され、かつ不当競爭が引起されない場合に、別に定める免許基準によつてその許否を決定する。新規免許は、既存業者のほかにさしあたり一業者とする。新規免許は運輸大臣の責任において民主的な方法でなるべくすみやかにこれを実施する。新規免許の免許基準はおおむね左のように定める。一、新規免許は一つの同一経済地帶を一單位として、原則としてその單位地区別に新規免許を行うこととする。ほかにもありますが、これから想像いたしますと、おそらく今の日本通運というものは、局長の言葉を借りれば、特殊な会社的な性格を持つたもので、独占的な営業をやつて來た、だからそれがいけないんだから新しく複数制を設けるのだ、こうは言われますが、では具体的には、今の日本通運というものをばらばらに解体してしまうのかどうか、独占だからいけないのだ、複数制を記けるのだから解体してしまうのかといえば、おそらく解体ではないと思う。今の日本通運というものは、新しい会社組織にかわるけれども、今の独占的な全國に網を張つたその経営形態というものはそのままにしておいて、いろいろの理由のもとにおいて適当な所には複数制を認める、こういうお考えだろうと思いますが、それに対するお考えはどうか。
○小幡政府委員 大体お話の通りでござゐます。今閣議決定の條項をお読み上げになりましたが、私どもといたしましては、この閣議決定では、新たなものを免許するについての條件を相当嚴重にいたしております。この嚴重にいたしております理由の最も大きなものといたしましては、先ほど來申し上げましたように、これは本來法律をつくりまして、その法律の根拠の上に立つて免許をやつて行く、法律の根拠の上でできるところの委員会できめてもらつて、民主的にやつて行く、それで行きたいというのが根本でありますが、今度のやつは、それには相当の時日を要します関係もあり、複数制の実施というところだけは、少しでも早目にやる方がいいのじやないか、こう考えましてやる。そのかわりに、これは本來の本格的な法律に根拠を持つたものでやりまする場合でなしに、いわゆる暫定措置としてやるのでありますから、ここに疑いのない、当然免許してよろしいという形のものに免許して行くという考え方で、相当嚴重に、持にこういうようなことでやつて行こう。かように考えておるわけであります。ただいまのお話のように、日本通運は独占だから、これをばらばらにしてしまうかどうかという問題につきましては、もちろんそうではないのであります。これは鉄道の大輸送というものに対する、その唇歯輔車的な関係にあります小運送面でありますから、大輸送の目的に沿うように、大運送がうまくスムースに参りまするような形において残すということは、これはやむを得ない当然の措置であろう。かように思うのであります。從つて隔地取引という現状において、いろいろな重要物資の計画的な輸送というような面から考えまして、どうしてもやはり全國に網を張つたような形態に残すということは、やむを得ないのジやないかと私どもは考えております。ただこれは、御承知の通り持株整理委員会の方でこの日本通運の再編成の問題は檢討を加えられておることでありますから、私どもの意向では決定する問題じやない、当然委員会の方で御決定になることではありますが、私どもとしては、そういう方針で、やはりばらばらな解体というものは考えられない。どうしても鉄道大運送の目的を遂行させるに必要な形態には残さなければならぬ。かように考えております。
○正木委員 ただいまの御答弁でさらに私はわからなくなつたのですが、現在の独占的な経営形態をもつておる日本通運というものはそのまま残すのだ。では具体的に言うと新しく許可するというその運送点は、どういう所にどういう條件で一体許可するのか。それをお伺いいたします。
○小幡政府委員 それがそこに一から四までの間に書いてありますのが、大体どういう所に置くのだという、抽象的ではありますが、方針を示しておるのでありまして、具体的にわかりやすく申し上げますれば、現在小運送力が現実に相当不足しておる所があります。そういう所で、しかもあまり乱立にならない、同一経済地帶を一つの單位として考えまして、そこに一業者という程度のものを認めて参る。かような方法で行きたいと思つておるのであります。
○正木委員 私は率直に申し上げますが、日本通運株式会社というものはそのままにしておくのだ、そうしてある一定の同一経済地帶を單位として原則として許可するのだ。しかもこの閣議決定の三を見ますと、運搬具、労務員は集配、積みおろしを通じて小運送作業を均衡を保ちながら遂行できるものとする。こうなつて参りますと、あるいは推しはかつてまことに恐縮にはなりまするけれども、具体的に言うと、日本通運会社が赤字でもつて、どうにもこうにもならないという所だけが、許可の対象になりはしないかという心配が多分にあるのですが、これに対するお考えを伺いたい。
○小幡政府委員 運搬具、労務員等は集配、積みおろしを通じて小運送作業と均衡を保ちながら遂行できるものとする。これは結局いわゆるブローカー式に――実際運搬具も持たない、労務員も持たない、そういう者が、この小運送業という一つの仕事をブローカー式に取扱いまして、実際はほかの者にやらせるのだという形になることを、実は避けるという考え方に立つておるのであります。今正木委員の御質問になりましたように、日通が赤字でもつて弱つておるような所に、多くするのはどうかということでありますが、そういうような考え方は毛頭ございません。また実際から申しましても、おそらく私はそういう形になつては現われないということを確信いたしております。
○正木委員 時間も大分遅くなりましたから、結論を急ぎますが、先ほど局長の御答弁の中で、一つの法律に基いてこの閣議決定事項の処置をはかりたいのであるが、複数制に関する限りは暫定処置として進みたいという御方針のようであります。本員はこれに絶対反対をいたします。私はあくまでも、一つの國有鉄道法案が、この臨時國会に非常に重要な役割をもつて上程され、さきには道路運送法が上程されたと同樣に、これらの問題も小運送業法及びその附属法令の改廃または制定と関連して、日本通運株式会社法という一つの廃止法案がこの國会に上程されると同時に、この問題が十分國会を通じて審議され、國会の決定に基いて諸般の措置をとられんことを要望いたします。これは閣議決定等によつて暫定的な処置をとるべきものではない、こう考えております。そこで要望は要望といたしまして、この小運送審議会現程案を私は入手いたしたのでございまするが、これによりますと、審議会というものは運輸大臣の諮問機関であつて、この複数制の免許を行う重要な審議会であります。私がなぜ法律的な根拠を與えなければいけないかと言うと、さきの道路運送法においても、中央及び地方において二つの委員会があつて、この委員会は非常に重要な権利と義務を持つておる機関であります。それと同樣に、この重大なるところの小運送審議会の機関というものも、この道路運送法に規定されているところの中央及び地方の委員会と何ら異なるものではないという観点から、強く申し上げるわけであります。そこでこの運送審議会というものの規定に基いて、何ら当委員会にはからずに、しかも大臣がその行政的な権限の処置として一体これを行うのか行わないのか、行うとすれば、これをいつから実施するのか、この点を伺いたいのであります。
○小幡政府委員 申し上げるまでもなく、こういう審議会をつくりまするのに、法律に根拠を置くということが最も大事なことは、先ほどから私が申し上げました通りであります。それで特別事業法を改正してそれに基くものでやつてもらいたい、道路運送法に基くものと同じようにやつてもらいたいということは、当然考えられることであります。ただ正木委員は、これは結局議会を通つてから後にしろという御意見でございますが、私どもとして、小運送業のいわゆる複数制というものは、もちろん一般の國民の声として、一日も早くこれの実施を希望しておつたということを了解いたしておりましたし、また私ども政府といたしましても、これはすみやかに実施する方がよろしいという見解を持つておりましたので、実は先般の第二國会の当委員会におきましても、私はその点を申し上げて、小運送業法はいつ出すのかというお話で、それがいろいろな事情で遅れておることは申訳ないが、せめてもの複数制という問題だけは、現行法においてもできることであるから、ぜひ一日も早く実施した方針である、小運送業法とは別途にやりたいのだということは申し上げたのであります。もちろんそれをやりますにつきましては、さつきも申し上げましたように、法律に根拠を置くということが一番大事であると考えますがゆえに、できるだけこれは――むしろ乱立をするといつたようなことの決してないように愼重にやつて参りたい、そうしていわゆる本格的な審議というものは、法律に基く委員会ができたときに、これにおまかせする。それまでの間は、本格的な委員会ができました場合にも、おそらく文句なしに通るであろうと思えることだけを、暫定的な措置として一日もすみやかに実施した行く方がよろしいのではないかということで、考えて出したわけであります。從つて先ほどから申し上げましたように、相当強く制限いたしまして、そうして後の委員会でもつて、ああいうばかなものを免許したと言われることのないように、あくまでも当然だれでもこれは免許するだろうと思えるようなものだけを主としてやつて行くのだという氣持でもつて、この審議会をつくつておるわけであります。法律の決定まで待てということになりますと、別問題でありますが、まずそれまでに実施するということになるならば、今正木委員の御趣旨もくみまして、このいわゆる審議会というものが横暴にならないように考えるという考え方で、出発いたしておるわけであります。
○有田委員長 この際正本委員会におはかりいたしますが、本会議が定足数が足りませんので、本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、いかがでございますか。
○正木委員 残余の質問は留保して、私の質問はこれで打切ります。
○有田委員長 本案は國家公務員法と一連の重要法案でありますので、明二十三日は祭日でありますが、質疑を続行すべきであると存じますけれども、皆さんの御意見はいかがでありますか。 〔「あすは休みましよう」と呼ぶ者あり〕
○有田委員長 皆さんの御意見をくみまして、明二十三日は休みます。 この際委員長としてお願いいたしたいことは、本法案に対する質疑も、諸般の情勢から次会あたりで終了いたしたいと思いますので、各党におかれましても、本案審議に対する今後の御準備をお願いいたしたいと思います。 それでは次会は明後二十四日午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十九分散会