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3回国会衆議院1948/11/17

運輸委員会 第7号

発言数
54
登壇者
5
会派数
2
開催日
1948/11/17

会議録

有田二郎民主自由党

○有田委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き日本國有鉄道法案を議題として、質疑を続行いたします。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 質問をする前にお断り申し上げて御了解を得ておきたいと思うのでございますが、私二日ばかり委員会を欠席いたしまして、前に同僚委員がいろいろ御質問なさいました内容を存知しないのでございます。從つてこれから私が質問することは、前の質問と多くの点においてダブる点があると思うのでございまして、この点はひとつお許しを願いたい、こう思う次第であります。  まず第一に、この法案はマツカーサー書簡の勧告に基くものであることはいうまでもございませんが、さらに日本の鉄道事業そのものにとつての必要性、それはこの法案がその目的でうたつてあるように、能率的な運営をやつて、公共の福祉を増進することにあることはいうまでもございません。しかるにこの法案を見ますと、單にこれは鉄道総局を運輸省の外局に分離する、單純に切り離した運輸省の外局の感が強いのでございます。從つてこの法案の全体から受ける感じは、日本の鉄道事業そのものの独自性的な必要からではなしに、單にお義理にこれを改革する、こういう感じがするのでございます。当局はこの日本の運輸事業をこういう公共体に改革する必要につきましては、どういうようにその必要性の大きさをお考えになつておられますか。そうしてまたこれだけの機構改革でもつて、この第一條の目的が十分に達せられるものとお考えになつておられますかどうか、この点をひとつお伺いいたします。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 ただいま佐々木君がお話のように、第一條にはこの能率的な運営ということが目的の根幹になつております。從つてわれわれといたしましては、ただいま佐々木君の言うような趣旨におきまして、いわゆる勧告に基くこの法案を、大いにこの目的に沿うた線に改革をいたしまして、名実ともに第一條の能率的な運営という目的を達成しようと、いろいろ考慮いたしたのであります。考慮したばかりではなく、それに対する具体的な立案をいたしまして、その都度いろいろ折衝し、ある点につきましては了解を得まして、現に原案として出しておる條項もあるのであります。その他の点につきましても、およそ五、六箇所重要な個所がございますので、この点を一括して現在なお交渉中であるのであります。幸いにわれわれの考えておる点が了解を得られますれば、政府の修正か、あるいは皆さんの御了解を得て委員会の修正というような方法で、何とか目的を達成したいと思つておるのでありますが、原案そのものではまつたく佐々木君のお考えの通り、現在の鉄道総局というものを一つの公法人に置きかえたというような感じしかないのでありまして、その点は非常に遺憾でありまして、この点につきましては、提案の趣旨弁明の際も率直にその点を申し上げて御了承を得ておいた次第であります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 この法案を提出した理由としては、マツカーサー書簡に基くものであるけれども、もつと鉄道自体の独自的な要求がこの法案を提出した大きな理由であつたという大臣の御答弁は了解いたします。そこで独自的にこういうふうな機構改革をするためには、現在の鉄道営業の持つておる欠陷を分析業討した上において、改革案が出て來なければならないと思うのでございます。そこで運輸当局として考えまして、現在の機構ではどうして能率が増進しないか、その点の御檢討の結果をひとつお聞かせ願いたい。どの点が現在能率を増対させることをはばんでおるものと考えるか、その点をひとつ御説明願いたいと思うのでございます。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 お尋ねの趣旨とは多少違つておるかもしれませんけれども、およそ國有鉄道の改善しなければならぬという一番大きな問題は、戰前におきましては御承知のように黒字の鉄道経営であつたのであります。これが漸次收入が減じ、歳出が多くなりまして、現在では御承知のように、一般会計から損益勘定だけでも約三百億の補助を受けておるような現状であるのであります。從つてわれわれといたしましては、まず戰前のように黒字経営が可能というようなことは遠いにしても、少くとも独立採算制というような程度までは、どうしてもこぎつけなければならぬという強い考え方を持つておるのであります。では独立採算制をどうしてやるかということになりますと、これは非常に諸般の困難な問題がありますが、まず抽象的に申し上げますならば、経営の合理化を主眼として進まなければならぬ。経営の合理化の中には、あるいは人員の整理とか、あるいは運賃の値上げとか、あるいは一般歳出の極度の節減というような面が多々考えられるのでありまするが、私どもは現在の客観情勢から見て、現在の社会情勢から推しまして、今ただちに人員を多量に、いわゆる從業員の意見に反してこれを馘首するというような態度を、最初からとるべきものでは断じてないと考えております。從つてまず鉄道関係の冗費を極度に節約する、この節約を徹底的にやつてみて、そうしてなお足らぬときにどうするかという問題をそこで考えて、そうしていわゆる独立採算制という方向に進むべきものと考えるのでありまして、その方向について、今どういうことをすることによつて年額三百億に近い赤字を克服することができるかということと、もう一つ收入の増加であります。收入の増加はもちろん端的に考えまして、これは運賃の値上げでありますけれども、サービスの改善とか、あるいは旅客に対する貨物の動き方とか、あるいは現在の経済意想を檢討した施設を設けることによつても、相当の運賃の増加ということが考えられると思います。從つてわれわれはまず運討を値上げせずに増收をはかるような方法、それから先ほどのような、経費を極度に節減するというような方法の二つの点を大きくつかみまして、歳出の減額、歳入の増加をはかつて、それが三百億に達したならば、一應さらに深い考えは別途としてそれぞれよいのですが、もし達しない場合においては、その達しない額とにらみ合せながら、今申し上げた適当の方法も考慮しなければならぬと考えております。以上のような考えで、あるいは御質問の趣旨とはちよつと違うかもしれませんけれども、一番大きな國有鉄道に関する國民の批判というものがここに來ている。こう考えておりますから、その大きい点だけを申したわけであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 私の聞きたい点は、從來國家が直接営業をやつておつた。それを今度は公共企業体に機構を改革するのでありまして、なぜ從來の國家直営の事業を、公共企業体に改革しなければならないかという、その根本的な理由を聞いておるのであります。たとえば國家が直接営業いたしますと、從來は役人営業でありまして、そういうような役人営業が從來の鉄道事業の能率を上げることをはばんでおつた原因であつた。從つてまたここに一つの民主的な方法、たとえばこれを商賣人的な営業をするような方向へ改革しなければ、現在の日本の鉄道は、その能率を上げて公共の福祉を増すことができない、こういうような理由があるだろうと思いますが、その点をどう考えてこの法案をつくられたのか。こういうことをお伺いするわけでございます。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 公益事業の、國有國営と民有民営という問題になりますが、われわれの考えから申しまして、日本の現実をつかまえてみますならば、國有國営の事業よりは、民有民営の事業が経営につきましては、きわめて合理的に節約的に行われているという見地を持つております。しかし見方によつていろいろ違いますが、少くとも私どもといたしましては、そういうふうに考えておるのでありまして、この法律がその線にあてはまるようにということを、全般的ではございませんが、局部的にはそういう傾向に進むようにという線で、やはり相当考え、向うとも折衝した点もあるのであります。いろいろの経営方法もございましようが、少くとも日本の一般企業の経営方法等を考えてみますと、どうしてもやはり國営の事業よりは、民営の事業の方が、経営がきわめて能率的であり、また経費も相当に節約されるようなことは、現実としてこれを認めなければならぬのではないか、こういうような見地からそういうことが考えられるのでありますが、この法案を提案した直接の原因は、そこまで行かずに提案しなければならぬ客観情勢になつて、提案いたしたのでありまして、ただそれを提案するについては、少くともそうした考え方を幾分なりともこれに織り込んで進めることが、正直なやり方であるという見地から、先ほどのような道をとりながら進んで來たのであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 大臣の御答弁よく了解ができるのであります。そこで從來の國家の直接営業よりは、民間的な公共企業体にした方が能率が上るというお考えには、私必ずしも反対するものではありません。私の問題とするところは、それほど当局が、この公共企業体を國家経営の経営形態とは大きく違つたものにしたいという御意向があつたのにもかかわらず、そういたしますと、これは客観的情勢のために、ただ名ばかりであつて、ほとんど從來の鉄道総局と実質的に違わないところの機構改革をやらなければならないやむを得ない情勢があつた、そういう條件のもとにこれをつくつたものだ、こういうふうに理解してよろしゆうございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 大体その通りであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 そうすると、営業としてはもつと徹底した公共企業体にしたいのだけれども、客観條件のためにこれ以上のことはできなかつた、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 現段階ではそうでありますが、一旦この法律が通過いたしましても、施行期日は明年四月一日でありまするから、われわれの考えをここであきらめたのではないのであります。この法案をできることならば、通常國会まで最後の努力をして、提出することが適当だとほんとうは省内でも考えておつたのですが、これが客観情勢のために、どうしてもこの臨時國会にというような話になりましたので、このままでこれを提案したのであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 そういたしますと、そこで明確にしておきたいことは、そういうようなもつと徹底した公共企業体に改革したいという御意思があるのだが、現在の客観的情勢のもとでは、これしかできないという條件は、時間的な條件でございましようか。それとも内容に対する一つの客観的な條件でございましようか。いずれでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 それは見透しの問題になりますが、大体それは両方に含まれておると思います。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 大分御答弁はあいまいでございますが、われわれがこれからもし修正するとすれば、その点はきわめて重要であると思うのでございます。もし時間の点でこういう不徹底な改革ができたとしまするならば、時間的にこれを考えて解決する道がありますのでまだ人期は十四、五日あるのでございますから、その間に勉強いたしますれば、必ずしも理想案ができないとは限りません。またもし内容に対する客観的情勢でございますれば、これは当然それらの條件を解決する、つまり了解を得るまでの行為をしなければなりませんので、これはその方面で進まなければならないと思いますが、一体主としてどちらがこのような不徹底な案のできた條件でございますか。もつとはつきりお答えが願えないのでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 佐々木君の御質問もあまりはつきりしていないので、抽象的で、つい答弁も抽象的になりますけれども、具体的にこういう点が経営のためにあるのだ、そうしてわれわれが行つて交渉すべきところはして、そうしてこういう修正をするのだというお考えであれば私どもは少しもこれに対して反対的な考え方は持ちません。どうぞそういうふうにお願いしたいと考えております。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 そうすると、これは主として時間的な関係で解決するものと考えますので、具体的なものは順を追うてひとつ御質問申し上げることにいたします。  そこでこの鉄道の機構改革をもつと徹底せる公共企業体にしまするには、どうしても鉄道が將來その営業を発展せしめるための一つの資金とか資材とか、こういうものが絶対の條件になつて來ると思うのでございます。この法案で見ますれば、この資金は國家が貸し出すことになつておるわけでございます。しかし現在國家の財政状態から見ますれば、この鉄道事業を急速に発展せしむるような資金の貸出しの可能性は、まず薄いものではなかろうかというふうに考えるのでございます。從つてこの点につきましては、この法案は主として——主としというよりも、絶対に國家の資金だけでやるようにできておりまするが、どうしてもこの目的を達成するためには民間資本、こういうものを参加せしめることが考えられなければならないと思うのでございますが、この点に対してどういうふうにお考えでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 佐々木君の御質問はまつたく同感でありまして、私どももそれをなすべく具体的に條項を設けましてこれを交渉いたしました。これは具体的にそのような條項を出したのであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 民間の國内資本を吸收するということについてはよくわかりましたが、とかくうわさをされておりまするように、公共企業体に対しては、いわゆる外國の資本の導入ということが考えられておるわけでございます。運輸事業についても、こういうことがしばしばうわさに上つておるのでございますが、この機構改革と外資の導入の関係——外資と言いましても鉄道の資金を意味するのでありますが、こういうものは將來何らか関連性がありますかどうか、こういうことにつきましてお考えになつておられますならば、その点お伺いいたしたいと思います。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 外資の導入、すなわち外國資本を鉄道に輸入するという点につきましては、現段階では何にも考えておりません。しかしながら外資の導入が將來必要である場合も予想されます。しかし外資の導入ということに対しましては、國民の考え方が相当に批評されるものでありまして、そういう批評、非難が起きない範囲で、そういうことを考慮すべきものだと考えております。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 現在ではこういう法案をかりにやむを得ないといたしましても、政府自身が、將來実施期間までに——通常國会等でできれば公共企業体にもつとふさわしい機構にしたい、こういう御意見でございますし、できれば民間その他の資本が参加できるような方法にしたいというお答えでございますが、もしそういうことを前提としてこの法案を考えますと、この法案は非常に官僚性が強い。少くとも日本國吾鉄道という言葉をもつて現わしており通り、この名前そのものが非常に封鎖的な名前、そういう感じを受けるのでございます。日本國有鉄道という名前が將來の鉄道の発展性に対しましてふさわしくないものだ、こういうふうに私たちは考えておるのでございますが、当局はいかがお考えでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 名前の問題は、國会がこういう名前ではどうも望ましくないという御意見でありますれば、運輸省といたしましてはあえてこれには反対いたしません。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 要するにこういう機構の改革も、その営業の能率を上げて、公共の利便をはかり、利益を與えることにあることは、いうまでもないことでございます。そのためには、特に鉄道が將來独立採算制を目ざしておる限りにおきましては、生産の高揚をまず第一に考えなければならないと思うのでございます。しかるにこの法案を見ますと、監理委員会の構成で行きましても、鉄道営業、金融業その他の業者を主体といたしまして、この生産性を高揚する絶対條件である労働の面をほとんど顧みておらない。どうしても將來の企業の発展は、その絶対的な條件として、労働がいかにその生産に意欲を持ち、協力するかということにかかつておると思うをでございます。この法案の機構の中に、もつと労働の代表を入れて、そうして労働の自主的な協力というものを求めるような方向をお考えになることが必要と考えますが、当局はいかがお考えでしようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 生産の高揚に、労働が唯一だというほど重要性のあることはお認めいたします。ただきの労働者を監理委員会の委員に推薦しないからといつて、これを無視した考えだとはただちに断定できないのでありまして、他の方法によつて労働者の考え方、あるいは協力の姿を具現するような方法を考えつつ、現段階ではやはり監理委員の少数の人はこの方法でいいんじやないか。しかしながら労働に理解ある人が入ることがいけないのではありませんで、一定の資格があつて、國会がこれを承認すれば、いわゆる監理委員になるのでありますから、その中に労働者が最も崇拜する、あるいは労働者が最も熱意をもつと推薦する人も、入る可能性のあることだと考えております。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 むろんこれは國会の承認を得て、必ずしも労働者の代表がいけないということはないから、この中に参加せしむることはできるでありましようけれども、この法案でもつて、はつきりとこの監理委員会の委員になる得る一つの條件として、運輸業、金融業その他何々業と、こう列挙する以上は、これははつきりとこの際労働者の代表もこの監理委員に入れる、こういうことにしないと、この法案はそのときどきの人の考え方によりまして、とかく労働者の代表というものが抹殺されがちになると思うのでございます。私はこれはぜひそうしなければならないと考えまして、私どもといたしましては、この点一つ考慮したいと思いますので、その点当局でもお考えおき願いたいと思うのでございます。  そこで結局この國有鉄道は、現在ではその不足分を國家から補つてもらうのでございますけれども、先ほど大臣がおつしやつたように、將來はこれ独立採算制を目ざして進まなければならない。それはごもつてものことでございます。そこでそのためには、先ほども大臣がおつしやつたように、まず先一に能率を上げなければならないはずでございます。運賃の改正の必要が起きるかもしれません。それから行政整理のことは当局は考えておられるようでございます。しかし大臣は現在の情勢から、これらの行政整理、運賃の値上げをやらないということに対しましては、これはきわめて時宜に適当したお考えでございますので、私は満腔の賛意を表するものであります。そこで独立採算制を強く主張するこの鉄道の営業が、もしもこの運賃値上げをしないで、あるいは行政整理もやらないで、なお独立採算制を強く推し進めるということになりますならば、道は大体におきまして、その能率を数倍に上げる以外にはなかろうかと考えるものでございます。そういう御方向をとつておられるといたしますならば、そういう運賃値上げ、行政整理を行わずして、独立採算制が可能だという何か具体的な御計算でもございますならば、これを一つ承りたいと思うのでございます。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 この問題につきましては先ほどお答え申し上げました通り、まず第一に歳出を極度に制限、節約するという点をはかりまして、その結果、独立採算制にどの程度即應するか、あるいはそれで一ぱいになるかもしらんのでありまして、それはちよつと理論だけでありますけれども、そういうような点を考えてから、おもむろにこれを決定すべきものでありまして、少くとも私どもは今のような客観情勢においては、運賃値上げ、あるいは從業員を首にするというようなことを提前として、この独立採算制にただちに移るべきものではない。いわゆる冗費の節約を徹底的にはかつた上で、また現在の運賃で増收というものを徹底的にはかつて、そうしてそこに出た一つの目途についてあらためて考慮すべき問題であつて、最初から二つの問題をたてにしてやるというようなことでは、現在の社会、現在の國民の期待を裏切るような形になる。こういうような見地から、何も隠しておるのでも何でもなく、考え方をそこに強く持つておつて、そして最後のぎりぎりの場合には、そのときにあらためてこういうことは考えていいのではないかというふうに考えております。從つて今ただちに、その次の考え方であるところの運賃の値上げとか、あるいは行政整理をして大いに馘首するのだというようなことは、申したくもなければ、考えたくもないのであります。かりにそういう事態が起きた場合におきましても、私ども民自党としては、せんだつても唱えましたように、できるだけ出血のない方法、たとえば、自然淘汰と申しましようか、年々何パーセントか自然辞職する人があるのでありまして、そういう人を新規採用せず、あるいは一部分だけを採用して、大部分は残しておいて、漸次独立採算制に行く方法もあるというのであつて、今ただちにこれについてどうこうというわけではないのではないのであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 私のお聞きしたい点は、そういうようは行政整理や運賃の値上げをしないで——現在すでに赤字経営であるはずであります。それから新賃金ベースもこれは当然行われるものであろうと思うのでありますが、それらによつて生ずる赤字を、大臣が御答弁なさるように、單に冗費の節約によつてこれをまかなつて、独立採算制がとれるということについては、具体的の数字を伺わなければ、おそらく私とともに國民が納得しないであろうと思う。そこがもし当局がそれらの問題を冗費の節約によつて可能があるというのならば、現在の國家直営の鉄道を公共企業体としての鉄道に機構改革することによつて、一体どれだけの冗費が節減できるのであるか、この点をひとつお聞かせ願わなければ、われわれは了解がつきかねるのであります。  それからもう一つは極力増送その他の能率を高めるとおつしやるのですが、そういたしますと、もしこの新賃金ベースその他を含んだ赤字を克服するに足る増送が、機構改革でできるとするならば、現在までの鉄道事業の経営者は、ほとんど無能力であつたということになると思いますが、一体機構改革をやるだけで、どれだけの具体的の増收ができるか。この二つの点についてお聞かせ願いたいと思うのであります。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 それはこの法案改正それ自体では、何の期待も持つておりません。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 そういたしますと、政府におきましてはどれだけの増收ができて、運賃の値上げ及び行政整理をやらなくてもいいという計数的、理論的根拠はないのだ、こういうように考えてよろしゆうございますか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 それは先ほど申し上げた線に沿つて漸次進行いたしております。ただここでは発表する段階ではないというだけであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 この法案をきめるにあたつては、はたして独立採算性というものが可能かどうか。それからまた能率の増進がこの機構が可能であるかどうかということが問題であると同時に、今日國民が重大な関心を拂つておる運賃の値上げ、行政整理とこの機構改革がどういう関連性を持つておるかという、いわゆる科学的、理論的機構でなければ、とうていこの法案を國民が承認しないであろうと私は思うのであります。ただ現在発表する段階に至つていないという御答弁でございますると、私たちはむしろ政府においては、そういう確信なくしてこの法案を提案したものだと理解したいと思うのでありますが、それでよろしゆうございますか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 どうも佐々木君に先ほどから何回も言つており通り、行政整理とか、そういうことを主眼としてこの法律ができておるのではないのです。これは提案の趣旨にも申し上げたように、マツカーサー元帥の書簡に対して答えた法案がこれであるのであります。しかしわれわれはそれだけではいかんから、この法案の第一條に書いておる趣旨に沿うて何とかして行きたい。換言するならば、佐々木君の主張している通り、経営の合理化も含まれるような趣旨でこの法案を出したいと努力いたしたが、遂にそこに至らなかつたのであります。しかしこれがわれわれの最後の努力ではなくして、今後この法案実行までに努力いたします。こういう意味でありまして、その点は提案趣旨の説明のときからはつきり申し上げているのであつて、どうぞ誤解のないように願います。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 どうも大臣が私の質問をよく理解しておらないと思うのでございますが、私はこの法案ができなければならない必然性については承認するのであります。マツカーサー書簡の勧告によつて当然やらなければならぬことは私は先刻承知しているのであります。しかしこの法案は先ほども申しました通り、それ以外に鉄道の営業能率を高める、公共の利益を増進するという目的に沿うような機構改革でなければならないのでございます。從つて具体的にその能率を増進させるという結論を私は聞いている。大臣のお話では、要するに運賃も値上げをしない、また行政整理もやらま、独立採算制の方法をとるということでありますが、私はこれに賛成するのであります。そこでそれならば、運賃の値上げをせず行政整理もやらずにどうして独立採算制をとるかと私が聞きましたところ、それは冗費を節約し、一方においては増收その他によつて増收をはかる、これでまかなうと大臣は御答弁なさつた。そこで私はそれならば冗費はどれだけ節減することができるか、また増送その他でどれだけの増收ができるか。この計数的、科学的根拠ができませんで、この法案が持つている機構改革で十分か、それともわれわれはまた別の機構改革をここで修正しなければならぬか、それがこれではわからない。私はそのために具体的な科学的、理論的根拠を聞きたい。こういうことを要求しておるのであります。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 これも同じことなのですが、つまの佐々木君の言われることは、この法案の提案された直接の原因はわかつたし、また原案というものがこの程度で出さなければならなかつたのは、やむを得ない情勢であるということを認めたのである。しかしながら本來のこの法案の目的は、やはり経営の合理化、換言すれば独立採算制ということを大きく目的に出してこそ、この法案が生きるのではないか。そうであるならば、この法案の問題は別にして、運輸大臣としてお前はどうこの計画を立ててその目的を達成しようと努力しているか、こう言われますから、この問題についてはいろいろ考えられる。すなわち経費の節減ということをまず第一に考える。また行政整理ということも考えましよう。また運賃の値上げということも考えましようが、その運輸の値上げあるいは行政整理という問題は一番あとにして、最も節約のできる問題だけを先に今やりつつあるのでありまして、その数字を今出せと言われましても、まだその数字がどれだけあるかという程度にまでなつていないから、今発表できない、こういう順序であります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 よくわかりました。それでは別にそういう計数的な科学的根拠に基いてこの機構改革をやつているのではなくて、とにかくマツカーサー司令官の覚書の勧告で、やらなければならぬからやつているのであつて、まだそれらの計数の根拠は出て來ないのだ、それはこれからやるのだという御答弁で、私はただ承つておくのでございます。  それからお聞きしたいことは、この監理委員会の委員の年齢を三十五年以上ときめておるようでございますが、これは考えようによつては監理委員会の保守性を裏づけるような氣がするのであります。適当の人でありますならば——今日選挙権は二十歳以上は與えておるのでございますから、別に三十五歳なんという高い年齢に線を引く必要はなかろうと思うのでございますが、この点いかがでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 これは答弁しないでもいいでしようけれども、ちよつと言葉のあやですが、所管に基いて、やむを得ずどうでもいいのを出しているのだという趣旨ではない。今の経営の合理化という点についてはそうなつているけれども、これは公共企業体に対する労働関係法規の適切なる運営ということが、この法案の中には大きくクローズ・アツプされているということをお含みおき願いたいのであります。何の意味もない法案というわけではない。これは経営の合理化ということ、あるいはそれに近いような意味の法案だということを御承解願いたい。その点誤解のないように願います。なお三十五年という年齢のことについては政府委員から申し上げます。

荒木茂久二運輸事務官

○荒木政府委員 この年齢の三十五年と申しますのは、運輸業、工業、商業、金融業に廣い知識と経驗とを有する人間というのは、おのずから三十五年くらいであろうということで、いろいろ関係方面とも折衝した結果生れた数字でありまして、これによつて監理委員会が保守性、反動性を持つというふうには考えないのでありまして、一應知識と経驗を有するということになりますと、相当の年齢に達するようになる、特に苦しくてりつぱな人もございますが、普通の場合はそうだろうという考えのもとにやつておるのでございまして、反動性、保守性を持たせるように、三十五に年齢を限定したという趣旨は毛頭ないのであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 質問が、また大臣の答弁によつて前もどりをするのでございますが、労働條件その他のことは別といたしまして、私は主として鉄道の営業の面から先ほど質問したのでございまして、労働の面その他のものがこの法案に盛られておることはよく存じております。  そこでもう一つは監理委員会の委員の任期でございますが、監理委員会の委員の任期が五年で、総裁、副総裁の任期を四年としてあるようですが、私の考えとしましては、これは長過ぎる、これはいわゆるこの法人の官僚性を固定化する原因になると考えるのであります。すなわちこの法案では、鉄道総局を單なる運輸省の外局にしたにすぎないで、官僚性の強いものがあるにかかわらず、この経営の任に当る委員の任期が五年、総裁、副総裁の任期が四年ということは、非常にこの官僚性を固定化する原因になると思うのであります。すなわちこれらの役職員は、こういう長い期間その地位の保障によつて、いわゆる営業に対する積極性を欠くおそれがあると私は考えるのでありますが、当局はいかがお考えでありますか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 その問題については私は佐々木君とまつたく同感であります。從つてこの法案を初めて事務当局から説明を受けたときに、私がその意見を出したので、事務当局もおそらくその意見に基いて折衝されたと思うのでありますが、その詳細は関係政府委員から説明させます。

荒木茂久二運輸事務官

○荒木政府委員 こういつた監理委員会の委員の任期は、御案内のアメリカのテネシー・バレー・オーソリテイー・あるいはイギリスの國有鉄道になつておりますブリテイツシユ・トランスポート・コミツシヨンの委員になりますと、九年という長いものもございます。英米におきましては長期にわたつてそれに專念して、一生をそれにささげて、事務練達になつて行く、円熟して行くという考え方のもとに、そういうふうに任期が長期に相なつていると思うのでありますが、わが國の実情からしては、一挙にそこまで行くのはいかがと思いまして、極力その年数を引下げるというふうな考え方によりまして、そういう向うの例に從わないで、ここまで任期を下げて來たわけであります。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 これは考え方の相違でございますから、答弁だけ承つておきます。  そこでもう一つ、監理委員会の地方局の構成が少しも明記されておらないのでございますが、当然この法律に基いて、地方の監理委員会というようなものが設けられると思うのでございますが、もしそうだとすれば、この地方局の構成をこの法案に明確にしておく必要があると考えますが、いかがでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 それはせんだつて成田委員から御質問があつてお答え申し上げましたが、この法案は、監理委員会については中央の委員会だけで、地方のことは、名前はどうするかわかりませんが、大体地方鉄道局長に監理を一任する建前でありますから、從つて地方にはこの委員会は置かないという考え方をとつております。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 それでは少し方面をかえて伺います。この法案の日本國有鉄道法という名前は、非常にわれわれに官僚機構のにおいを與えているのでありますが、もしもこれが公共企業体といたしまするならば、実質的にはこの法案は会社の定款にも相当すべきものというふうに、私たちは理解したいのでございますが、この点いかがでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 つまり公法人ということは、明文ではつきりいたしております。從つて今佐々木君のお考えのように現在の日本の法律の法人制度、たとえば営利法人、公益法人というような問題からいたしますならば、これは定款そのものではありませんが、定款を規律し、同時に定款の内容までも含む法律だと考えても、間違いではないと思います。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 私もさように考えます。  そこで次はまた方面をかえまして、この定款にもひとしいような法案に、労働関係のものが非常に強くうたわれているのでありますが、労働関係の諸法規の一々のことは、しばらく抜きにいたしまして、日本國有鉄道の職員は、これにも書いてあります通り、職員の組合をつくることができるのでございますが、これはもちろん原則として、いわゆる労働三法の適用を受けるのでございましようか。

加賀山之雄運輸事務官

○加賀山政府委員 この法律の中に規定しないことにつきましては、労働組合法、労働法準法等が適用になるわけであります。特にその特殊性に基きまして本法の中には基準法の特例を入れておりますし、また別に御審議を願うことになつておりますところの公共企業体労働関係法の後半に、現在の労働組合法並びに労働関係調整法の特別規定を規定しております。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 この法律で特別に規定したもの以外は、原則といたしまして労働三法を適用するということはよくわかりました。そこでこの法案では、公法人ではあるけれども、しかし公共企業体の建前からは、この法案は実質的には定款の意味を持つて來る。こういうことになりますれば、この法案の中にはいろいろ機構とか運営とか、あるいは職員の身分とか権利義務とか、こういうものを盛り込むことは当然でありますけれども、この定款にもひとしいものの中に、あらかじめ労働條件を規定するということは私は不適当であろうと考えておるのであります。すなわち第三十三條にはこの労働條件を規定する、すなわち労働基準法の一部をこの法律によつてあたかも制限もしくは変更するがごとくとられるものがあるのでございます。現在これらの労働條件につきましては、別階この法律で第三十三條に設けなくとも、労働基準法にもこの三十三條と同じことが書かれておりまして、これは当然具体的な労働條件でありますので、定款にもひとしい法案の中に盛ることは非常に不適当であろう。私はこの内容の論議はここでする必要はないと感ずるのであります。從つて今回公共團体労働関係法が、これらの日本國有鉄道等のために特に制定されることになつておりまして、その中には当然労働協約の点が含まれておるのであります。從つてこれらの関係から考えますれば、第三十三條の労働條件は、公共團体労働関係法に定める労働協約によつてこれをきめるようにすることが当然であろう。こういうふうに考えまして、私はこれはむしろ削除した方がよいのではないか。こういうふうに考えますが、当局はいかがでございましようか。

小澤佐重喜民主自由党運輸大臣

○小澤國務大臣 この問題につきましては、先日成田委員からも深刻な御意見がありまして、これに対してお答えしてありますが、なおその詳細につきましては政府委員から説明いたします。

加賀山之雄運輸事務官

○加賀山政府委員 この法律中に、実はさらに労働関係、その調整関係も含めて、國有鉄道に関する一切の法律を盛り込むという案すら当初はあつたわけでありますが、諸種の事情によりまして、労働関係、調整関係並びに労働組合関係は、別の公共企業体労働関係法規に盛り込まれるという関係になつてことは、先ほど申し上げた通りであります。ただ本法においては御承知の通り、今回コーポレーシヨンとなる日本國有鉄道の職員は、公務員ではなくなるということでございまして、公務員と違う性質を持つ。もちろん公務に從事するものとみなして行かれる部分もあるのでございますけれども、そういう点からして、職員の勤務につきまして、規定をいたしておるわけであります。しかしごく簡單に申しますれば、從いましてこの法律の中に、職員に関しましては、公務員と、一般の從事員に関する労働関係の中間的な性格を持つものが規定されなければならぬということに相なるわけであります。さらに申し上げますれば、日本國有鉄道の比類のない公共性、独占性にかんがみまして、これに一般の利害、公共の福祉といつたものを十分に守る規定が一方にいるわけであると同時に、また先ほど申しました公務員から離れた職員の労働関係に規定しなければならぬといつたことで、この三十三條が入つて來ておるように御解釈願いたいと思うのであります。從いましてこのこまかい点にお触れになりませんでしたが、ここに規定しておりますことは、労働基準法に規定してあるままのことではありませんが、先ほど申しました公共の利益擁護の見利から、あるいはこの國有鉄道の経営の特殊性に伴い、一部拡張あるいはこれに適合するような規定を入れた次第であります。全然労働基準法に規定するところと同一ではないというふうに御承知を願いたいと思います。

有田二郎民主自由党

○有田委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

有田二郎民主自由党

○有田委員長 速記を始めてください。

佐々木更三日本社会党

○佐々木(更)委員 それでは本会議も始まつたようでありますから、私はなお質問の個所があるのでございますが、これを保留して次回の委員会にいたしたいと思います。     〔速記中止〕

有田二郎民主自由党

○有田委員長 委員会における御発言中、委員長として不適当と思われる個所がありましたら、委員諸君、運輸大臣ともよく相談いたしまして、これを修正いたしたいと思いますが、御異存ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田二郎民主自由党

○有田委員長 御異存ないものと認めます。本日はこの程度で散会するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

有田二郎民主自由党

○有田委員長 御異議がなければ、次会は明日午後一時より開会することとし、本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十四分散会

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