予算委員会公聴会 第2号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/06/19
会議録
○鈴木委員長 開会いたします。 きのうに引続いて公聴会を開きます。交通関係の事情上、委員なりあるいは公述人の方々の御出席が遅れることと思いますが、時間の予定もございますので開会いたします。公述人の方々がお忙しい中からわざわざ遠路より御出席くださいましたことに対して厚くお礼を申し上げます。それでは御出席の関係上多少順序の予定に変更がございますが、まず日本化薬株式会社の社長の原安三郎君から御意見を承りたいと思います。
○原公述人 たいへん廣汎にわたつておりますので、私が氣がついたことだけ、自分の立場から申し上げでみたいと思います。 第一、この予算の編成は三千七百円べースでおきめになつておりますが、最近安定本部などの数字を拝見しますと、四月において三千九百円ということになつております。これですでに二百円の差がございます。この結果は四月、五月、六月ともなつておりますし、なかなか難航ではなかろうかと思うのです。それからこの書類に現われておりませんが、追加予算なしにこれでおやりになるというお考えがおありのようですが、これはもし御質問でもあれば、おそらく現段階においては、われわれとしては、すぐにこれでは不安であろう、これでは不足であろうということを申し上げかねぬことに相なりますが、とりあえず現在において、すでに二百円の差がある。これがすぐ百億が百二、三十億に影響するのではないか。それだけもうこの予算において、不足を生ずるのではないかと考えますので、この点は議会で御修正になつて、また全般的に組直しでも行われるのではないかというふうに考えるわけであります。全般の問題として申し上げるのはそれだけで、一々のこまかい問題について、私は仕事をしております面から申し上げてみたいと思います。 第一、私たちの考え方から申し上げますと、企業は官業であろうがまた民間事業であろうが、この中にたびたびうたつておいでになりますように、独立会計制といいますか、採算制といいますか、その人たちが行つたところが早速実際の結果に現われてくるというやり方が、能率を増進するに、たいへん大切なことではなかろうかと思うわけであります。この予算の中に盛られております運輸省、逓信省の運賃並びに逓信収入についても、相当大きな繰入金を現わしております。もつともこれには運賃の値上げ、または郵便関係の料金値上げの面が纏綿しておりますが、ここに一つ考えなければならぬことは、当予算に盛られておる行政整理の一割五分、これが妥当かどうかという問題を私考えております。一方労働基準法による人件費の増加などが、いろいろ全体の予算面にうたわれてはおりますけれども、さてわれわれ企業家が自分たちの企業を扱つております面から見て、もつとこの点を検討熟考しなければならぬのではないかと考えます。そういう面と同時に能率を増進するこの両方の点から考えて、まず官業が一般収入から繰入れなしに独立企業の形をとつて、これがすぐこちらに現われております價格調整費の五百十五億にあてはまつてくるわけです。民間企業も、実はそれぞれ、自分たちの働いた結果が、六箇月なり一箇年の終りに現われて、その現われた結果がりつぱな成績で、その人の努力の結果が表現されて、初めて働く力も出、また悪いところがあれば、これをかえていくことができるわけであります。物價調整の基礎をなしておる産業に対しては、民生安定の必要からといつてここに價格の調整費の補給金という制度を設けてありますが、全般的に企業者が、経営者側と言わず「労働者側と言わず、もしここにありとすれば、資本家と言わず、全部が何となく生産意欲を消耗するきらいがあるわけであります。どうしてもこの点から考えて、まず官業は独立採算制をとらないという制度を改めて、それぞれ、ちやんとした収支償う形をとつていただくようにいたしたい。それについては、價格調整費のごとき大項目について私合わせて申し上げたいのですが、おそらく今後一箇年間——すでに数箇月過ぎておりますけれども、來年の三月までの物價変動態勢を、昨年度の状態から測定いたしまして、とてもこれでは賄い切れないということを考えております。これは金額の問題であります。しかしまずかくのごとき調整費をおかないで、それぞれの企業が自分のセルフ・インテレストで働いて、その結果がちやんと数字に現われて、将來の発展なり、また企業の健全化をはかるようにすることがいいのではないかと思います。ちよつと例をあげさせていただきたいのですが、一体魚釣りが魚を釣りに行くのは、魚を欲しいために釣りに行くのではない。釣ることによつて漁獲物を得る愉快さ、これである。そのあと漁獲物を帰りに友だちの所に配付しても、またおそらくこういう人たちには賣る人はないと思いますが、人に與えても、非常に釣りが愉快だ。企業もそうだ。あとで補給金をいただくというよりも、まず自分のやつた仕事の結果を見て進んでいくことがやりいい。またそれが当然なんで、もうかつた場合は、これから税金でもおとりになり、また政府に納付金を出すということ、これはちつとも差支えない。この企業がこの努力によつてこうなつた。今度は赤字になつたが、どの点が赤字になつたのであろうか、これについて來期はこういう考え方をしようじやないか、これは経営者並びに労働組合に相談し、この次の期に同じような悪い結果を來さしめないように、またはそれに関するその他の改良方法を考えるということが、企業の進み方でなかろうかと思います。このごろはいろいろなむずかしい問題が纏綿しておりますから、自然にかくのごとき形をとらなければ、物質のインフレ態勢を押えることはできないという一面の見方もありますが、次第々々に統制價格を整え、また産業をそれぞれ自由の立場によつて充実せしめる方向に向つております場合、かくのごとき方法をとつていただくことを希望し、同時にそれには官業がまずその実例を示していただくことを希望いたすわけであります。 それからこれは私の範囲ではありませんが、世間の実況から申し上げたいのですが、学校の制度が新しく実施されまして、その結果たいへん昨年から予算も増加しておりますが、ここに現われておる新制中学校の実施費四十四億、これなどは私見て、直接教育に携わつておりませんけれども、父兄として都内のたくさんの学校のおせわをし、実況を聴いておりますが、ほとんど新制中学校に対しては施設ができない。古い建物にそのままはいり込んで不自由をしながら、はなはだしいところは、テントで学生を教える実況にあるというようなことで、施設に何ら費用をかけておらない。しかも各学校に必要な実験または理化学用品などを購入することができないで、これが全部父兄の負担になつておる。これでは大きな期待をもつている学制の改革が実際に行われないで中途半端なものになります。私はここで申し上げたいのは、この予算の全体を通じて、教育費関係の支出が非常に少い。將來の日本は文部省の支出が三〇%くらい占めるような。時代になつてほしい。次の時代の國民をつくる上から言つて、さいわいに昨年から行われている学制制度が試みられつつあつて、まだよい結果は得られるか得られないか相当の期間が経たないとわかりませんが、一應方向をきめた以上は、充実した方法で第二の國民、第三の國民をつくる形にもつていかなければならぬのではないか。戰爭中は長い間われわれは陸海軍に五〇%、六〇%の國費を負担してまいりましたが、教育費に將來二〇%ないし三〇%を負担することは易々たることではなかろうか。現在われわれが学校の寄附をとられ、または父兄として学校に強制的に納めさせられておる金額は、この今申し上げた國費の三〇%程度に近いものを、就学児童をもつておる父兄たちは強制されて納めておるのではなかろうかと考えます。のみならず、そういうことがあるがために、三人ある子供を二人は徒弟にして二人を学習させる、あるいは二人まで徒弟にする。または知能の啓発を必要とする者たちを、すぐ労働に從事させる。労働を私は悪いと言うのではありませんが、若いまだ筋肉のりつぱでない者をその方に働かせる。知能的な方面における教養に不足を來すようなことがあるのをおそれます。私は全般的に教育費についての増額を、今回の場合の予算組替ではございませんが、批評として自由に申し上げることができれば、それをあげたいと考えております。 それから小さな問題でありますが、われわれ気がつかないで長い間習慣になつておる事項が一つあります。それは刑務所の費用であります。私は支出の面を先に申し上げておりますけれども、この件だけに関しては、収入のことも申し上げたいと思うのですが、刑務所の費用が、この数字では相当の増員を見込まれて、約九万五千人を見込まれて、十一億九千三百万円をおつくりになりました。これに対しての刑務所の収入が五億一千七百万円になつております。これは從來の予算と引き合せてはおりませんけれども、どうも從來からの習慣で、刑務所の人に集團的に働いていただく場合、あるいは刑務所に製品を加工してもらう場合、民間よりも非常に安い。これは相当お考えにならなければならぬ点ではなかろうかと思うのであります。私は刑務所の十一億九千万三百円はおそらくこれに見合つて三十億の収入が得られるのではなかろうかと思つております。これは長い間の習慣でネグレクトされておることではなかろうかと思います。であるから、刑務所に特別な関係をもち、その附近におる者は、なるべく刑務所の方を使い、刑務所の物資を獲得し、あるいは確保してもらうことが有利だという考え方をもつております。またそれにはある因縁をもつておられる方も相当あるというようなことでございます。この点は非常に見落されておる点ではなかろうか。これは刑務所の収入を殖やす点についで、支出から連関して申し上げたわけであります。 それから収入の方に移りますが、この問題で私たち全体のうちで一番気になりますことは、取引高税の問題であります。取引高税はいつから御実施になるのか私はわかりませんが、予算が今月中か來月早々に通りましても、おそらく七月からの実施はむつかしいと思います。またこれには日本全体を通じての税務署の数まで相当お殖やしになつてやられるというお考えでございますから、相当浸透したるお手続きをとられなければ脱税されると思います。実はこんなことを皆さんに申し上げるのは釈迦に説法かもしれませんが、税金はなるべく徴税費がかからないように、簡単にしてしかも収入を完全にあげるものであり、同時に負担者が心づかずして負担するというのが一番いいのではないかと常識的に考えます。ところでこの取引高税は、また買上高税となつていつの間にか名前が変つでおりますが、一方皆さんが問題にしておられる物品税との連関が非常にめんどうなことではなかろうか、この区別がはなはだむつかしいことではなかろうかと思います。聞くところによりますと、この取引高税はまず非常特別の場合にいろいろな國家で行われたことであり、また一部残して運用によつて収入をはかつておる國家もあるようでございますが、これは廣い物品にまでわたつていないように私は聞いております。アメリカが一回か実行したというのも南北戦争直後の財政窮乏のときにやられたこともあり、ドイツではたしかこれは一九一八年であると聞いておりますが、ドイツの場合は実行の上において失敗であつたと言われております。もつとも取立方が非常にむつかしいわけであります。それともう一つ大きな問題は、ここに二百七十億を計上しておられますが、かりにこれを一箇年分として二兆七千億の費上金額と見なければならぬのですが、これが最終製品にかけることに相なつていないようでありますから、たまたま中間製品、また一つの工場から他の工場に移る仕上げになつていないものについてもかかつてこようと思います。その意味からまだ私はこまかく見てはおりませんけれども、品種によりますと約七回ぐらいの税金、すなわち百分の一下百分の七、七分の税金がかかるようなものがないとも言えません。一回きりのでき上つた製品なら百分の一で結儀だ。しかしでき上るたびに、また中間品となつて運ばれるたびに課税されるならば、一つのものが完成されるまで三回ないし四回、多い場合には七回も税金を百分の一で負担する。もつとも金額は段商用によつて違いますから、同じ品物が同じ額の百分の一を負担するわけではない。これを集計すると生産者は相当の額を取引高税において負担しなければならぬことを覚悟するわけです。そういう生産者は百分の一ぐらいではのむ、のむと言うよりも、自分たちの負担にしようということができると思いますが、自然にこれが何回か同じ製品にかかる、同じ品物に累加されるとすれば、百分の五にも七にもなりますと、当然これは物價の高騰、インフレの助長に相なると思います。すなわちこれが、ことによると皆さんが避けたい、政府でお避けになりたいと思つておられるインフレ助長になつて、追加予算の増徴を導くことに相なるのではないかということをおそれます。これはわれわれは製品一画課税ということにしていただくことを希望するわけであります。もつともこの二兆七千億円に対する数字は、二百七十億になつておりますが、この数字の見方が何月から見たのか私にはわかつておりませんから何とも申し上げかねますけれども、おそらくごの数字の見方は六箇月か七箇月くらいのものを見たのではないか。そのこまかい内容に立ち至らぬで、活字の配列だけを見て申し上げますが、今申し上げたように、数字のいかんを申し上げるのではなく、とり方を製品一回ということに願わないと、これがインフレ助長の種になる。消費者轉嫁になることをおそれるのであります。この点ことによると取引高税は悪税になるおそれがあるということ。それからもう一つ徴収の上において相当注意をしていただかぬと困ることが起るのではないか。すなわち印紙でとるとしても、また帳面を見てとるとしても、かりに印紙課税にいたしましても、ずつと昔に織物印紙税というものがあつて、それを徴収するために税務官吏が來て捺印をしなければならぬ。これが非常な手間である。非常な物を寝かす、資本を寝かすというようなことで、繊維工業界で悪税の一つとして長く悪名をうたわれておつた税金にこの種の税金がある。この税金について相当考慮をしていただかなければ今申し上げたようなことが起るのではないかということをおそれます。時間もあまりありませんので、気のついたことをかけ足で申し上げましたが、この予算について一應大きな問題ですから申し上げたいのですが、これをお取扱いになる國会の方々はよく御承知かもしれませんが、これは私たちの企業体において、こういう場合には國家の貸借対照表を添えていただく必要があるのではないか、たとえばどういうことかと言えば、大蔵省預金部の金を地方にお貸し出しになります。これが現在いくらお貸しになつておりますか。昨年度の収支は一体どうなりましたか。そういうことが地方に対する財政健全性などを知る上にも非常に便利になるのではないか。これは一々伺わなければどんな状態になつておるかわかりませんが、いわゆるわれわれの現金出納簿に対する予算をこれに現わされたというようなこと、また収支だけのものをお示しになつて予算と称しておられる。一体國家から出されたものがどんなことになつておるかということをわれわれが知るに不便であり、そういうものをお出し願いますと、貸借対照表と損益勘定を合わせてみて、いろいろ申し上げることができるのではないかと思いますがそれがありませんから、どうかと考えております。またおそらく預金部の金は地方財政を補助するために、地方の貸出にでもお使いになつておるのではないか。四十億の繰入れがございますから、おそらくこれは預金部資金が減つた。こういうことからこういうものを繰入れることになつたと思いますが、この貸出などはどこでチエツクされてやつておられるか。たいへん重要なことではないかと思います。また地方分輿税の方は、地方でそれぞれお使いになつておりますが、また別に公共事業費の一部を地方でだんだん使つておられるようですが、これなどについても——政治行政機構は、私たちによくわかりませんけれども、これもただ単に会計検査院だけの御調査でなく、ぜひとも大蔵省その他の官職において実行中にこれを一々チエツクし、または調べていただくというようなことが、私たちの企業のやり方から言つて大切ではないかと思います。終つてしまつたあとで結論をチエツクすつるよりも、必要なことではなかろうか。國家の大切な金を一厘一毛でも有効適切に使うための必要のやり方ではなかろうかと考えます。またもう一つ今度の予算を拝見しますと、今申し上げましたような物品税とかその他直接いろいろな税金のいき方が、直接税でなく間接税になりつつあります。この間接税になりつつあることは、おそらく氣がつかない点でインフレを助長し、または國家収支の関係を、はなはだ不明瞭にするということがないとも限らぬ。いろいろ現在の段階ではやむを得ないこともおありと思いますが、これはまた御質問を申し上げて御意見を聽けばわかるわけですが、私の考えておることは、あるいはただ皮相的な見方で——もつともおとといの晩これを頂戴して昨夜拝見したので、ただ氣のついたことだけを申し上げましたが、連絡をして数機関のものを見ており、行政状態も研究しておれば、もつと申し上げることができると思いますが、はなはだ簡単な公述をして申訳ございませんが、私の公述はこれで終ります。
○原(健)委員 ちよつと原さんに御質問申し上げたいのですが、價格調整費というのは、將來なくなつた方がいいというようなお話であります。それは將來としてはまことに賛成でありますが、現段階において、價格調整費に五百十億という莫大な費用を出しておるが、これは妥当なものかどうか。もしこういう金を出さなくてもいい——私の考えによると、こういうものは大体燒石に水のような感なきにしもあらずでありますが、もつと減らしたらその結果はどうか。殖やすことは私には賛成できないが、もしこの額をもつと減らしたらどういうことになるか、その見透しを伺いたいと思います。
○原公述人 この予算の範囲内で単純に減らしたのでは企業は起りません。独立採算制をとる場合には、その他の方面において、政府が用意をしておかなければ、額だけを単純に減らすことはできない。むしろこの安定帶にある物資、すなわち重要物資などに対しては、特に價格補償をして、そうしてマル公を高くきめることをしないで、消費者價格と製造者價格を違えられるということに、特別の理由があるということはわれわれも納得できませんが、一應ここ一、二年間の状態としては、われわれもやむを得ず認めておりますが、今申し上げたように、企業の独立性から言えば、すべての金融あるいは物資に関する交流、その他を十分検討していただいて、かくのごときものをいただかないで仕事ができるように各企業体にすることが、国家としてまた企業全体として望んでおるということを申し上げておきます。この場合五百十四億円は多過ぎるというお話ですが、私は少いと思う。今後の物の上り方が、このまますえおきにいくとは考えられない。インフレの足並みは緩にはなりましたけれども、下るあるいはデフレに必ずなるとは思われません。この数字の少過ぎるとこうことは、もしこの制度でいけば少過ぎるということをさつき申し上げたのであります。
○鈴木委員長 次は地方財政の問題に関しまして、東京都副知事の住田正一君にお願いします。
○住田公述人 ただいま紹介をいただきました住田正一でございます。地方財政の立場から、今年度の予算に対して、私たちの希望と申しますか、意見と申しますか、そういうことを申し上げたいと思います。 今度の予算を見ますと、大まかに申しまして、國家予算約四千億に対して、地方予算が約二千億、合計六千億ということになつておりますが、その中で地方予算の二千億の内訳を見ますと、分與税が四百十二億で約二〇%、國家補助金が五百三十九億で二七%、公債が二百三十六億で一三%、合計千百八十七億で六〇%、これだけのものが二千億の中で國の財政にわれわれ地方の者が依存しておる、こういうことになつておるのであります。そういたしますと、六〇%まで國に依存しなければならぬために、こういう組立であつたのでは、地方の独立ということが、ほとんどこの予算の中には盛られていないじやはいか、こういうことでいいのかと言いたいのであります。具体的に申しましても、入場税の地方委讓以外には大したものがないじやないか。内容的なことになりますが、殊に事業税などというものは、これは老若男女いやしくも事業をするものが、すべて負担していかなければならない最も画期的と申しますか、思い切つた税金でありますが、そのいわば主食にもあたるべきものの負担を取除いておる。しかも五十五億というほとんど骨抜きになつておる。それで住民税やいろいろなものに、無理があてはまつてきておるのであります。理論的に申しましても、事業税などというものは、すべてのものが負担すべきものでなければならぬ。そういう建前になつてこそ、初めて事業税の意味があるのでありますが、そういうものがほとんど顧みられていないのであります。それは部分的の問題でありますが、全体といたしまして、地方財政の独立ということをわれわれ長く念願しておりまものに対する予算の組立といたしましては、実に遺憾千万に思うのであります。議論といたしましてはそうでありますが、現実の問題といたしますと、われわれはこの二十三年度の予算においては、どうしても國に依存しなければならぬ。しかるに依存して地方財政がやつていけるかどうかということについて、非常に大きな難関があるのであります。この難関と申しますのは、この予算と地方財政との関係において、金融的な部面においてほとんど筋金が通つていないために、非常な苦労をしなければならぬ。実際上やつていけない。二十二年度の予算におきましても、私たちは非常な苦労をしたのであります。金融の問題について東京都の例を申し上げますと、二十二年度の事業の中で、起債のわくは十何億のわくをもつておりたのでありますが、それを実際上金にかえることができない。そのために二億五千万円というものが遂に事業ができなかつた。それを具体的に申しますと、住宅が予定通り建たなかつたとか、あるいは水害の復旧工事が遅れがちになるとか、こういう事業ができない。それはなぜかというと金融という方面から起債ができないということ、これだけの現実の問題に二十二年度においてぶつかつたのであります。しかるに同じことがまた先ほども申しますように六〇%も國家に依存するのやむなき窮地に陷つておる。依存しておつてもなお金融という問題で、事業上より大きい難関にぶつからなければならない。そこでこの機会におきまして、皆さんにひとつ御理解を得たいのは、地方予算と國の予算が根本的に違つておる。同じ予算であるのでありますけれども、金融の面から申しますと、似て非なるものであります。それはどういうことかと例をあげて申しますと、われわれ役人の俸給の問題であります。俸給を拂いますのに、國家の場合でありますと、たとえば七月一日に拂うといつても、七月一日にすぐ拂えるのであります。この場合に國家の方の立場は、どういうふうにやるかと言いますと、日本銀行から金をもらえばすぐ出るわけであります。ときには大蔵証券を出すときもありましようし、あるいはまたいろいろな金融市場で金の余つておるところからとることもありましようが、しかしいかなる場合でも金を拂おうと思うときに自由に抑えるのであります。しかしながら、その拂つた金は俗に言うインフレとなり、通貨がそれだけ増発されることになるのでありましようが、とにかく國家の場合は給料の例で言いますと、拂うだけ通貨が増発される結果になるのでありますが、それにいたしましても、すぐ金が拂えるのであります。しかるに地方の場合は四〇%は自力でありますが、六〇%は常に國に依存しておる。そうするとその金はどうするか。私の方では銀行へ行つてもすぐ金は出ないのであります。そうすると俸給の場合で申しますと、日本銀行あるいは大藏省の方々がたいへん骨を折つてくださつて融資を斡旋してくださる。そうして市中銀行から金を吸い上げて給料を調達する。つまりインフレにはならないのですが、とにかくそういう方法でわれわれは給料の支拂いをせざるを得ないのであります。そうするとその間にギヤツプができる。七月日に拂おうと思いましても、給料の場合は時間の余裕がありませんので、非常な苦労をしなければならぬ。政府の場合のように簡単にいかない。いかに努力しましても、二週間では事実できないのであります。そういうふうな苦労をしなければならぬ。俸給の場合などは短期でありますので、まだよろしいですが、事業資金となると長期になりますので、政府の場合には資金が自由に出るが、われわれの場合には、常にインフレを避けるという建前から市中銀行の金を吸い上げなければならぬ。その市中銀行は先ほど申しましたように、いろいろ斡旋はしてくださるけれども、なかなか困難で、二億とか三億とかいう金をどうしても繰越さなければならぬという事情である。こういうぐあいで、政府の立場と地方とは少し違うのであります。余談でありますが、よく東京都の財政が困難だ、東京都の台所が苦しいと申しますが、これは決して金がないのでもなければ、財政状態が悪いのでもない。そんなことでなくて、この短い金融ができない。短期の二週間とか三週間とかいうために駈けずりまわらなければならぬ。あるいは住宅をつくるとか、道路をつくるとかいう事業の金にしても、そういう金融のために困つておるという実情である。しかしこれは私の方のみでなくて、日本全國どの地方もそうなつておる。ただ私の方は、たとえば給料で申しましても、二十二年度では一箇月三億とかいうような大きな金で、地方経済でありますと一千万円とか千五百万円とかいう小さい金で、比較的樂でありますが、私の方はその資金難に困るのであります。どうしてこんな泣きごとを申すかと申しますと、皆様の注意を喚起したいのは、地方と国家とが全然金融の面からいつて違つておるということが’一つも考えられない。予算の組立の中にいろいろな不合理なものが出てくるということを申し上げたいからであります。いずれにいたしましても、そういうことでありますので、われわれは常に市中銀行の金を得なければならぬ。こういう建前に追いこまれておるのであります。そこでこれはひとつ議論になりますが、ちよつと二、三分議論をさせていただきたい。かくのごとき現実になつているのは、どういうわけかと申しますと、ごく簡単でありまして、それは私の言葉は妥当じやないかもしれませんが、不自然なるデフレ政策、むだなるデフレ政策に原因があると思うのであります。それは今度の四千億の予算を見ましても、賃金、労金、あるいは運賃というものを、程度の差こそあれ値上げをしていきますと、物價高が來るということは自然であり、たれがやつたところで、たれが考えたところで避けがたいあまりにも明白なことであります。この物價高を抑えることはもちろん希望するところでありますが、これを抑えるために不自然なデフレ政策、通貨の面からそれを抑えていこうという政策に誤りがある。少くともその政策のためにわれわれが迷惑を受けておる。物價が高くなるか低くなるかということは、通貨の面で抑えるということ、これは通貨と物價というものは、そう関係の深いものではないのであります。決して物價の高低というものは、通貨を殖やそうが減らそうが、それに直接の関係のないものであると、固く思うのでありますが、それにかかわらず、インフレ助長を避けるということで、何でもかんでも通貨を減らそうという政策のために市中銀行に金がない。これがいろいろ必要な事業を妨げ、われわれの金融を阻害している。理屈から言いまして、國の通貨というものは、私は予算に比例すべきものだと思う。これは何も私だけの議論ではない。世界の学者でも、その議論をとる人がたくさんありますが、要するに一番大きな消費者は国家であります以上、当然に通貨の量は、予算に比例しなければならない。それをどの限度にするか。とにかく比例しなければならぬ。そうすると二十二年度の場合を見ますと、國と地方との両予算を合わせまして約三千五百億、それに対する通貨が、調べによつて多少違いますが、大まかに言つて二千億という割合になつております。今度の二十三年度はどうなつているかというと、先ほど申しました地方と國で六千億、それに対して大藏大臣の御説明から考えまして一千億くらいの増加、というのはどうかと思いますが、そうすると三千億。昨年の割合より今年の割合の方がもつときゆうくつな通貨の割合になつてきている。そうすると、去年よりはもつと私たちは市中の金融に困つてくるのであります。こういうような考え方の行われるのは、やはりもちろんいろいろな議論の根拠もありましようが、通貨を殖やしたところで何も事業は起きないではないか。通貨を殖やすばかりが事業を起すわけではないというお考えが根本のようでありますが、しかしながら、私たち地方財政、地方の仕事を扱つておる者から申しますと、金がないために大切な仕事ができない。事業会社の場合ならば、あるいはもうかるとかもうからぬとか、あるいはもうかつても、場合によつてやらぬでもいいじやないかというようにもなりましよう。生産をやめてもいいじやないかということになりますが、地方の仕事というものは、どうしてもやらなければならぬ。たとえば水害復旧工事、先ほどの住宅問題、道路の問題、これはどうしてもやらなければならぬ。金さえあればできる。現に住宅の面から申しますと、統計は違うかもしれませんが、資材の面からいうと約四十万戸分の資材があるということを計算されております。それでこれは金さえあれば——、これは机の上の議論になるかもしれませんが、金さえあれば住宅はできるということになる。これは金を出しても仕事はできぬじやないかという議論の明白な反対の例でありまして、これだけ材料があるから金さえあれば、家はできるではないかということが言い得るのであります。しかしこれは住宅の問題のみでなくて、私たちの仕事は予算があつても金がないために、実際においてほとんど事業ができないというふうなことになつておりまして、金さえあれば大切な仕事はできる。しかるに先ほどのように、不自然なデフレ政策のために、金融に困つているということが実情であります。 そこで時間もありませんので、ただ結論だけを申しますが、地方財政の立場から申しますと、今度の二十三年度の予算というものは、地方財政を確立してほしいという今までの長い間の希望は一つも実現されておらぬ。それじやせめて実際的な面で、われわれが仕事ができるように、この予算が組まれているかと申しますと、先ほどから申しますように、地方と國とは全然違うのだという本質的な相違に一つも氣をつけないで、ただ予算が組まれたというだけのことなのであります。 そういうような状態でありますので、私たちの立場といたしましては、これではいけない、やはり根本的に地方財政を確立して、そんなに國のおせわになることの少いように、われわれの自力でできる財政といいますか、予算といいますか、そういう組立てをお願いいたしまして、私の希望を終りたいと思います。
○鈴木委員長 御質疑はございませんか、——御質疑がなければ、次の方に移ります。 次は扶桑金属工業株式会社総務部長、これは昔の住友金属でありますが、そこの日向方齊君。
○日向公述人 私は扶桑金属工業株式会社総務部長経理部長の日向であります。私は、従いまして事業といたしましては、基礎産業の立場をとつております。また職能といたしましては、経営技能者の立場をとりますが、半面において一人のサラリーマンといたしまして、経営の技能に携わつておる者の立場から、二、三感じたことを申し上げまして、他山の石に供したいと存じます。 まず第一にわれわれは最も関心をもつことは、先般発表せられました経済再建五箇年計画の成否でありまして今回の予算の成否ということも、根本においては、この五箇年計画に左右せられることは、申すまでもないことであります。それゆえにこの委員会におきましても、五箇年計画を御聽取になつたように聽いているのでありますが、この五箇年計画をわれわれ專門の立場から見ますと、自分の事業の分野から見ますと、いろいろ意見はあるのでありますが、ともかくも今日におきまして、一つの目標をもつてこれに邁進するという、その目標を掲げた意味におきまして、先般の五箇年計画は、たいへん賛成であります。ただこれに対して、さらに今後批判を加え、一層精密なものにしていくことと、またそれに実行性を與えて、着々実行していくという面において、はたして政府当局は、いかなる案をもつているかにつきまして、疑問をもつております。私の従事しております鉄鋼業の立場から見ましても、本年度第一年度のいわゆる百二十万トン計画につきましては、多大の疑問があるのであります。たとえば鉄鉱石を現実に入れられるかどうか、あるいは強粘結炭をいかにして輸入するか、その相手がどこにあるか、輸送の方法はどこにあるかというようなことを考えますと、大分懸念が多いのでありまして、最近においても、海南島の鉄鉱石入手がきわめて困難であるというような情報を聞いて、われわれ國家のためにまことに寒心にたえない状況であります。かくのごとき状況にあるのは、その原因がどこにあるかというと、要するに計画の組織的立案性がないという点が一つ。その実行についても、組織的な方法がない。單なる安定本部の二、三の優秀なる人たちが頭の中で描いた机上の計画をそのまま発表して、それをう呑みにしているのが現実の姿であつて、これに対して、それぞれ專門の実務家の立場から檢討を加え、一々その隘路に打開の方法を加えていかなければ、とうていこれを実現することは不可能であると断言して疑わないのであります。その意味において、この五箇年計画にさらに組織性を與え、実行方法を考えていくことを、ぜひ國家において考えていただきたい。すなわち立案官廳である安本の当該部門を拡充強化して、さらに科学的なる資材に基いて計画を立案し、また年を逐うに從つてその欠点を是正し、完全なものに仕上げていつていただきたい。またその実行についても民間その他の專門家の衆知を集めて、隘路打開の方法を考え、またその隘路に向つて官廳においても、たとえば資金の問題とか、輸送の問題とか、いろいろな面において協力して、ぜひともこれを敢行していただきたいと思うのであります。御承知のように、今日において長い計画を立てるということは、基礎的問題において、いろいろな問題があるのでありますが、それを一々考えておつたのでは、一つも前進できない。そこでわれわれとしては、ともかくも今日われわれが知り得る材料に基いて最善と考えられる案をつくつて、それに一歩々々前進していきたいと思うのであります。ソ連における五箇年計画の経過に鑑みても、また私、自分の話をするとおかしいのでありますが、わが社扶桑金属は、戰前における生産割合よりも、現在において約三倍の生産割合を示している。つまりよその会社の三倍くらいの増産を敢行し、ほとんど民需に轉換し得る全設備が活動しております。それに至りました経過を申し上げますと、まず終戰直後において、ただちに整理を断行して、從業員の圧縮を試み、経営の建直しをはかつたと同時に、ただちに再建計画に着手して、毎四半期に予算を立て、隘路打開に向つて邁進していく、その結果石炭の不足のときにおいても、電力不足のときにおいても、それぞれ危機を突破して、目標の約八割見当を達成して今日に至つております。これはもちろん國家計画にそのまま適用できるとは思いませんが、事業というものはそういうものだ、生産というものはそういうものだと思うのであります。今日為替をどうするとか、外資をどうするとかいうような先に立つ知惠に敗けてしまつて、少しも足が出ないというようなことでは、この五箇年計画の達成は困難であろうと思うのであります。この辺はよくお考えの上、政府において、五箇年計画達成の組織的行動という点に重点をおかれんことを希望いたします。 次にこれに関連して、この五箇年計画は御承知の通り、わが國経済のある意味における再編成を意味しております。すなわち從來の軽工業本位の立國から逐次重工業本位の立國、すなわち石炭と鉄鋼を基本どする重工業に立脚する、つまり東洋の工場となつていこうという考えでありまして、われわれもかねてから考えていたことでありまして、その方向にはまことに賛成であります。しかしながら、それでは現実に國家の政策がそこに向つて動いているかどいうと、これはまことに寒心にたえないものがあるのであります。たとえば戰後におきまして、傾斜生産の最重点といわれました鉄鋼業、これはわれわれ身をもつて体驗いたしておるのでありますが、鉄鋼業にはたして政府がどれだけ力を入れだかと申しますとまことに力を入れていない。傾斜生産というのは新聞や論文の上では言うておるが、決して力を入れていない。その一例といたしまして、鉄鋼行政の官廳である鉄鋼課というものは、商工省の鉱山局の一課にすぎない、一課である。しかるに一方石炭についてはどういうものができておるかというと、石炭廳というものができ、その中には五つくらいの局があります。その中には二、三十の課があると思います。はなはだしいのは亞炭局というものがあります。皆さん亞炭のために一局があるのに鉄鋼のために一課だけしかないというこんな言語道断なことがありますか。私はまことに痛憤にたえない、これは政府の組織の上ばかりでなくして、実際の上においてそうであります。鉄鋼業に対する昨年度における復興金融金庫の融資額は十五億であります。しかるに石炭に対する融資額は三百二十億くらいだと思いました。はなはだしい例を申上げますると、某化学工業会社に対する融資金は、実に二十二、三億に達しております。全國の鉄鋼業に対する融資額よりも、一化学工業会社に対する融資額の方が多い、こういうべらぼうなことがありますか。われわれは鉄鋼業の立場からいかなる形でいかなる理由で融資したか、まことに疑問にたえないのであります。これはわれわれ鉄鋼業の立場から見ただけでありますが、ほかの面におきましても、重点産業に対して重点を入れていくということがかけ声ばかりであつて、実際行われていないという事例が、多々あるのではないかと思うのであります。この点をひとつ十分お考えになりまして、ここにあります行政整理の何とかいうような項目がありますが、一律天引き一五%ということを言わずに、重点に向つて必要な資金は出していただきたい。その代りに要らないところはぶつ切つて重点的にやつていただきたいと思うのであります。時間がありませんから端折つて申し上げます。 次に物價改訂と賃金の点につきまして、卒直に申し上げますると、今回の物價改訂に伴う債務補給金等の問題につきましてはいろいろありますが、要するに物價抑制と財政均衡ということは矛盾を來すのであります。今日いろいろ意見はありますがここで一遍に補給金をなくして債務一本でいくということは、実は今日の價格水準をまるで一変した價格水準をつくるということになる。鉄鋼業でいいましても、補給金をなくしますると、一挙に十倍くらいの價格水準をつくらなければならないことになるのであつて、これはわれわれとしても好むところではないのであります。われわれ生産に邁進しておるのは、一に物資の増加を通じて経済の安定を思えばこそであるのであつて、單に企業だけが必要な採算をとろうというけちな考えは毛頭ない。その意味におきまして、補給金は実際少いのでありますが、まずあの程度の補給金でがまんして、あとは能率の増加で何とかやつていきたいと思うのであります。ただそれにつきまして問題になりますのは、賃金水準でありまして、三千七百円の賃金水準は、私は低いと思います。卒直に申し上げます。現に重工業におきましては、三千七百円水準に基いて四千三百二十円でありますが、この水準はとつくに突破いたしておる。從いまして、價路改訂ののちに、その物價改訂のはね返りでいつた賃金水準は、どうしても三千七百円では維持できないと思うのであります。重工業方面におきましては、大体五千円水準というものになるのではないかというふうに考えております。そこで賃金水準三千七百円を全般的にかえるかどうか。これは國家財政の面からいろいろありましようから、お任せするといたしまして、これについてわれわれ企業者として希望することは、たとえ三千七百円できめた場合にも、政府の態度として、三千七百円を維持するように御努力願いたい。このことであります。われわれも三千七百円で固定化させようという考えは毛頭ない。事業の経営が許す限り、少しでもその賃金を増加しまして、從業員の生活安定に資したいと思うのでありまするが、根本において價格決定の要素である賃金水準が三千七百円であるならば、これ以上のものは能率の増進であるとか、増産であるとか、何かの要素がなければ出てこない。このことをはつきり言いたい。このことをはつきり言つてないから、いつも問題が起る。殊に昨年の賃金、物價改訂のあとの様子などを見ましても、政府の態度が実にはつきりしない。そうして何かというと、すぐ企業者の方に押しつけておる。そういうようなことでありますから、組合と企業者の実力抗争を承認した形になる。そこで組合の勢力が強いところは、そのままどんどん行つてしまう。そうするとそれは賃金水準を次々に改めていくから、ここにさらに新たなる物價水準の改訂ということになつて、これでは賃金と物價はいつでも追いかけつこになる。そこでわれわれとしましても、これはもう企業と從業員と國家とが三者で協力して、少しでも安定させていくように努力していかなければいかぬのでありますから、事業の方も極力能率を上げて、賃金の増加をはかりますが、政府においても昨年のような空手形でなく、実際はいわゆる実質賃金の増加、傾斜配給というような面に力を入れてもらいまして、またその上いろいろ紛爭が起きたときにはほんとうに今日の國民生活水準として、どこに水準を置くかということを、中正妥当なる判断を願いたい。ただ力関係に放任しておつたのでは、いつになつても解決しないと思う。すなわち政府の態度並びに中労委のあり方、そういうような問題につきまして、十分ひとつ今回の物價改訂と関連して、はつきりした態度をお願いしたいと思うのであります。 それから次に資金の問題について申し上げてみたいと思います。御承知のようにインフレが進行しますと、賃金と物價が次々に追いかけつこしておりますから、企業というものは大体そろばんがとれないようにできておるのであります。これはインフレ下における生産続行に伴う不可欠な問題でありまして、殊に基礎産業におきましては、價格改訂がありましても、三箇月か四箇月の間そのままもてますが、次は必ずしももてないようにできておる。そこで、どうしてもこれを復興金融金庫その他の國家資金によつて補充してもらう以外に方法はないと思うのであります。ところが最近の日銀その他の金融の方針を見ますと、復興金融金庫にもつていくのを極力引締めまして、市中銀行にもつていくことに努力しております。いわゆる資金斡旋をしてやつておるのであります。これも金融引締めの方法としては、一つの方法であろうと思います。また先ほどお話がありましたが、金融などというものは、表向き緩和すべきではなくて、大体は引締めていくのが当然であります。從いまして、日本銀行の方針必ずしも悪いとは思いませんのでありまするが、この方法をあまり強行するがために、企業金融がきわめて逼迫しておるような状況になつておるのであります。じやあなぜそうなるかと申しますと、まず第一に市中銀行の資金というものはないのであります。皆さんこれは御承知と思いまするが、今日の市中銀行に集まつている金というものは、戰前の集まつている金に対して、比較してみますと、約十分の一になつております。これは通貨の流通量との比較とか、あるいは実際の物價で割つてごらんになれば、わかるのであります。市中銀行のもつておる金は、戰前もつておつた金の十分の一になつておる。この市中銀行に対して、厖大なる基礎産業の資金を全部押しつけようというのですから、はなはだこれは無理であります。これが、もう一つは市中銀行は、かりに金がありましても、基礎産業などに融資することを好まない。これはそのはずであります。基礎産業というものは、さつき申し上げましたように、インフレ下においては大体において赤字になるようにできておる。かりに一時は黒字でも、次は赤字になるようにできておる。これは銀行家の方が先刻よく御承知でありますから、どうしても貸そうとしない。殊に今日におきましては、いはゆる財産の償却などというものは、全然價格に見込んでありませんから、企業はその設備を毎年毎年食いつぶしておるのが実情であります。從つて市中銀行はこれに融資することを好まない。また國家としてもそういう事業に市中銀行の金を押しつけて、國民の貯蓄よりなる金融機関を弱体化せしめることは、必ずしもよくないと思うのであります。そういうような面からいたしまして、市中銀行に重要産業の資金を賄わせるということは、きわめて不合理であると思うのであります。殊に最近におきます物價改訂と同時に、いわゆる價格改訂のずれというものがありまして、價格の改訂と同時に、莫大な資金が必要になるのであります。すなわち物は賣りましても、代金はただちにはいらない。しかるに買付の代金はそこから上つてくる、賃金も上つてくるということによりまして、莫大な資金の必要があるのであります。このときにおきまして、むし從來のごとく、重要産業の金融を市中銀行一本やりでいくならば、重要産業は必ず破綻を來すのであります。そこでどうか、今回この予算にもありますが、復金の増資の問題、この問題をどうか將來も繰返して取上げていただいて、今後は復金を中心に重要産業の金融を見ていくようにお願いしたいと思うのであります。要するに復興金融金庫につきまして、從來いろいろな惡用などがありましたならば、それは大いに監督願いまして、是正願いたいのでありますが、善用すべくして、活用すべきものであろうかと思うのであります。 その次に、時間が少しなくなりましたが、國有事業の点につきまして、これはむしろ國民の一人としてお願いしたいのでありますが、この予算にも、國有事業に対する厖大なる補給金が載つております。また今回の價絡改訂におきましても、二倍、三倍の増賃を行うということになつておるようであります。この國有事業の増賃ということが、今回の價格改訂のきわめて大きな原因になつておるのでありまして、それが一つと、またその國有事業の増賃その他が國民生活に及ぼす影響、それが物價、賃金水準の高進に及ぼす影響などを考えますと、國有企業の増賃、値上げの問題は、きわめて國民的に見ましても、大きな問題であります。もちろん國有事業と言いましても、そろばんをとつていかなければならぬのでありますから、ある程度そういうことが必要でありますが、われわれ國民としてお伺いしたいのは、その赤字が何によつて生じておるかということであります。われわれはよそから見ておりますと、どうも國有事業は整理が十分いつていないのではないかというふうな漠然たる疑念をもつております。よく政府の高官が見えまして、企業の整備を実行するとかいうようなことを言いますが、民間の事業におきましては、厖大なる冗員などを抱えておるようなゆとりはございません。多少でも事業経営にまじめな会社は、冗員などありません。今日はむしろ從業員の補充難にあるのが通常であります。われわれから見ますと、冗員を抱えておつたり、企業整備を必要とするのは、むしろ國有事業ではないかというふうに、卒直に思つております。今回補給金を出されるにあたり、あるいはその値上げを行うにあたり、一体國有事業が戰前に対してどの程度の能率であるか、またそれに対して年々どの程度の能率改善をしておるかというような資料を、國民に明示していただきたいと思うのであります。われわれの事業におきましても、價格改訂のある都度、その能率増進をはかつております。價格改訂をしたときその賃金水準では、そろばんは決してもてない。そこでいつでも能率を増進しながら賃金を上げていく。そのようにしまして、價格改訂後三、四箇月は何とかして賃金は拂つておる。そのように努力しておるのであります。どうかひとつ、今回の料金値上げを機会といたしまして、官有事業におきましては、能率の増進という点に具体的な方策をもつて臨んでいただきたい。そうして願わくは民間企業に卒先垂範——もう卒先垂範じや全然ないのでありますが、あとからでもよいから、企業の経営合理化をはかつて、國民の負担を軽減せられますように、特にお願いをいたします。たいへん失礼いたしました(拍手)
○大神委員 鉄鋼には一課長しかない。石炭の方にはたくさんあるが、たくさんあつた方がいいと思いますか、ない方がいいと思いますか。
○日向公述人 これは不当に多くある必要はないのでありまして、役所などはなるべく少くして能率的にやつていいと思います。ただ役所の内容から言いまして、一鉄鋼課長と一石炭廳とがいろいろ折衝した場合に、たとえば資金あるいは資材をとるような場合、実際問題として太刀討できない、資金が鉄鋼はあれほどみじめなことになつたのもそういうことが一つの原因じやないかと想像する。やはりその事業の重要性にバランスをとつて、行政機構をつくつていただきたいと思います。
○大神委員 バランスをとればますます殖やさなければいかぬわけですか。
○日向公述人 むしろ私見を申さしていただきますと、亞炭課などどいうものはいらないと思います。石炭はすでに増産目標のあるところまで來ている。
○成田知巳君 委員外ですが、質問してよろしゆうございますか。
○鈴木委員長 許します。
○成田知巳君 先ほど基礎産業については、物價改訂をやつても、インフレ下においては、ただちに價格は破綻を來す。たとえば資金の面その他についてきゆうくつとおつしやつたが、それは裏から言えば、現在のような状態ならば、重要産業は自己資金でやることができないのだ、自分で資本の蓄積能力というものがなくなつているじやないか、そこで國家管理あるいは國有、國営の方向に進んでいくのがほんとうじやないかという氣がするが、そういうようにお考えになりませぬか。
○日向公述人 私はその点とは別問題と考えております。それでは國有の企業がうまくいつているかというと、必ずしもそうではない。インフレで物價が上つていくと、いかなる経営形態においても、採算割れが來ると思う。その採算割れがなるべく少く來るような形態にもつていくのがいいと思う。それではなるべく少くもつていくには事業によつてどれがいいかということが、はじめて出てくるのでありまして、事業の形態によつては、あるいは國有、國家管理というものにいいものがあるかわかりませんが、あるいは事業の性質によつては、全然だめと思います。鉄鋼業のようなものについては、業種があのようにありますので、国家管理というものは不適当と思います。イギリスあたりでは、いろいろあるようであります、情勢が違つておりますので、わが國においては國家管理、國有というものは、鉄鋼業に関しては尚早だろうと思います。
○成田知巳君 鉄鋼業については尚早だということですが、その他について適当なものはどんなものがありますか。業者の御意見で……。
○日向公述人 その他につきましては、私はどれがいいというふうに今考えでおりません。要するに單一管理ができるものでありますとか、集約的な総合管理によつて計画性が発揮できて、それからくる能率化の方が、いわゆる個人の創意を刺戟する能率化よりももつと大きいという状態、そういうものがあるならば國家管理必ずしも惡くないと私は思つております。どれが適当かということは、具体的な案はありません。
○鈴木委員長 それではこれで休憩いたしまして、午後は正一時から開会いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○川島委員長代理 午前に引続きまして公聽会を開きます。 午前中の日向公述人から二、三分先刻の意見につけ加えたいとのお申出がありますので、この際これをお許しいたします。日向公述人。
○日向公述人 再度時間を頂戴いたしまして恐縮でありますが、午前中ちよつと結論がぼやけた点、特に大神議員の御質問に対して、逆の結論になるような点がありましたので、ちよつとその点附け加えます。 行政整理の問題でありますが、商工省の鉄鋼課の問題でありまして、私は結論におきまして、鉄鋼課を鉄鋼局に昇格して、二、三の課をこれに配置していただきたいというのが結論であります。そのために要すれば石炭廳その他のそれほど緊急でない役所がある。そういうところを整理していただきたいというのであります。はつきり申し上げます。この点について一、二申し上げさしていただきますと、現在わが國の鉄鋼生産高は、戰前の水準に比較して十七、八%くらいになつているかと思うのであります。これはよほどよくなつたはずでありまして、昨年は一〇%内外、同時に全図の鉱工業の生産水準が三〇%以上でありまして、消費財が三〇%以上も出ているのに、鉄鋼材は一〇%以下であります。こういうことは近代國家においては、今まで例のないことでありまして、ロシヤ革命当時に、一度そういうことがあつただけであります。近代国家における基本産業の鉄鋼生産が、平均一〇%以下ということは、未だかつてロシヤ以外になかつたことであります。それから列國の生産高と比べて——これはやや古いのでありますが、昨年の三月あたりに比較して見ると、わが國の鉄鋼生産高は、ロシヤが占領している現在におけるポーランドのざつと二分の一、チエコスロヴアキアの六分の一、ベルギーの七分の一というような生産高でありまして、このような状況では、とうていわが國の再建は不可能であろうと思います。そこでどうしても鉄鋼に重点をおきまして、鉄鋼局をぜひ設置していただきたいと思うのであります。ほかの関係でありましても、たとえば化学局であるとか、繊維局、機械局というようなものは、それぞれ局になつているし、先ほど來申し上げました石炭廳のごときは、一廳五局二、三十課になるのか、非常に多くの課をもつてやつております。これに対して鉱山局鉄鋼課が一課というのは、もうほとんど常識はずれでありまして、これだけ申し上げたらはつきりすると思います。業者からも請願を出しておりますが、予算委員の皆さん、御機会がありましたら、ぜひ御賛意願いたいと思います。これだけ説明しておきます。
○川島委員長代理 次に鈴木武雄氏が見えておりますが、鈴木氏には何かたいへん急な用件が控えておるということでございますので、先に前京城大学教授鈴木武雄氏にお願いいたします。
○鈴木公述人 今年度の予算案につきましてのこまかい内容の分析とか、批判につきましては、すでに多くの方々が、いろいろな機会に意見を述べておられますので、私といたしましては、ここではそういう点につきましては申し述べないことにいたしまして、ただ一つインフレーシヨンとの関係につきまして、一言私の所見を申し述べさしていただきたいと思います。 北村大蔵大臣は、去る六月四日の本予算の説明の際の財政演説におきまして、政府としては一應中間安定を実現して、本格的な安定への踏み台としたいということを述べていられるのであります。そこでいわゆる中間安定ということにつきまして、政府もその構想を採用されたというふうに、私どもには感ぜられるのでありますが、はたして提案になりました二十二年度の予算案が、この中間安定の構想から見まして、それに忠実な内容をもつているものであるか、あるいは言いかえますならば、この二十三年度予算案におきまして、いわゆる中間安定の方策が、いよいよその第一歩を踏み出したものであるというふうに認めることができるかどうかということは、非常に検討を要する問題ではないかと思うのであります。 それで私の予算案を拝見した感じを卒直に申し上げますならば、この答えは否と申し上げざるを得ないのであります。いわゆる中間安定の構想というものにつきましては、私は非常な疑問をもつているのでありまして、この中間安定の構想によつては、はたして眼前当面の深刻なインフレーションの危機を解決し、そうしてこれを安定せしめることができるかどうかということにつきましては、非常な疑問をもつているものであります。しかしながら、それにもかかわりませず、いわゆる中間安定の構想というものは、一應理論体系として筋道の立つたものをもつております。しかしながら、政府は中間安定の構想を取上げるというような口吻を示しておるにもかかわりませず、実際に提出せられました予算案は、この問題と考えられる中間安定の構想そのものからも非常に縁が遠い、それに背いている。中間安定論者から言つても、決して満足することのできない予算案であると考えられるのであります。いわんや、中間安定論に対して強い疑問をもつている私といたしましては、なおさらこのような予算案が実施せられました曉におきましては、インフレーシヨン解決のチヤンスは、永久に失われてしまうのではないかということを、非常におそれるものであります。それで私といたしましては、中間安定の構想というものについての疑問を簡單にまず申し上げ、次いで二十三年度予算案が、この中間安定の構想から見ても、いかに不十分なものであるかということについて申し上げたい、このように考える次第であります。 いわゆる中間安定の構想と言われますものは、大蔵省、安本の事務当局においてその試案がつくられ、また日銀におきましても、その試案がつくられたというようなことが、新聞で発表せられておりますが、要するにこの中間安定の構想というものは、通貨措置によつてインフレーシヨンを解決することをできるだけ回避いたしまして、そうしていろいろな措置方策によつて、一時的中間的な、事実的な安定状態をもたらす、そうしてその事実的中間的な安定状態のもとにおいて生産の回復その他経済の復興再建をはかりまして、 〔川島委員長代理退席、小坂委員長代理着席〕 いわば経済の全面的な安定が実現せられた後において通貨的な措置を行い、そうして最終的な安定にもつていくというのが、その構想の中心的な核心であろうと思われるのでありますが、このような構想を立てるにつきましては、通貨措置というものは、金融緊急措置令のときのあの新旧円の交換、旧円の封鎖というような措置が失敗したあの経験から考えて見ても、これは非常にドラステイツクなもので、こういうドラステイツクな措置を、まだ経済の全面的な基盤が決して安定していない不安定な状態のときに行うということは、その影響が非常に危驗であるというような考えからいたしまして、通貨措置をできるだけ遠い將來に引延ばそうというところに、その構想の重点があると考えられるのであります。しかしながら、この中間安定の構想が実際に成功いたしますためには、私の考えるところでは、通貨措置以外の面におきまして、相当ドラステイツクな措置を講ずるのでなければ、決して成功しないのではないかと考えられるのであります。傳えられる試案の内容を見ましても明らかでありますように、まず物價と賃金の惡循環を断つということのために、外資導入その他によりまして、消費財の供給を増加する、それによつて実質賃金を確保いたしまして、そういう前提のもとに賃金の統制をやる。最初の段階におきましては間接な統制をやる。次の段階においては、直接的な統制をやる。そうして基準賃金を越える賃金要求の爭議に対しては、これを禁止するというような、きわめて強い労働攻勢に対する措置をとらなければならないという内容をもつているのであります。また通貨措置によつて起りますところの安定恐慌というものを、この中間安定の段階におきまして、できるだけなし崩し的にやつていこう、そうしてもはや安定恐慌というものが起らないで済むようなときに至つて通貨措置をやろうというのも、この構想の内容でありますが、そのためには意識的、計画的に強力な措置による企業整備、企業の合理化というものをやつていかなければならないと思うのであります。これはまた中小企業にとりましては、相当ドラステイツクな措置になると考えるのであります。それで私考えますのに、通貨措置はなるほどドラステイツクかもしれません。けれども、そのドラステイツクの通貨措置を避けるために、中間安定を実現しようと思うならば、通貨措置以外の面において、たとえば中小企業に対して、やはり相当ドラステイツクな措置を講じなければならない。こういうような中間安定の方策というものは、金融資本的なインフレーシヨン安定の方式ではないかというふうに考えられるのであります。金融資本的なインフレーシヨン安定の方式であるから、それば惡いとは一概には言えないかもしれませんが、しかしながら、今申しましたような内容のインフレーシヨン安定でもつて、はたして勤労階級というものが納得してこれについていくことができるかどうか。これをむりやりに引ずつていくということのためには、それこそ政治的に相当大きな混乱があり、これを押し切つていくためには、相当ドラステイツクな措置をとつていかなければならない。そのためにはインフレーシヨンの安定ということは、非常にむつかしいことになつていくのではなかろうか、こういうふうに考えられるのであります。やはりインフレーシヨンの安定というものは、通貨措置によりましてこれを安定することが、どうしても必要なのではないかというふうに、私は考えるのであります。そういう中間安定の構想を政府は取上げておるかに見えるのでありますが、しかしながら、二十三年度予算をながめて見ました場合に、これは中間安定の構想において準備期間というのが本年の十月までとなつておりますが、この準備期間において必要とせられる措置、財政の実質的な均衡をはかるというような点から見まして、それと非常にかけ離れておる予算案であるということが言えると思うのであります。政府はただインフレーシヨンはもう何とかしなければならない段階にきておるということから、ただこの中間安定の構想というものに、それが通貨措置を回避しておるということで、安易な氣持で飛びついたのではないかというふうに、私には考えられるのであります。二十三年度予算を見ましても、その一般会計と特別会計との純計は九千四百五十七億円、昨年に比べまして二倍以上の増加になつております。國民所得に対する比率は二八%、昨年は二七%でありまして、國民所得の増加という点から考えますれば、さほど大きな財政の膨脹ではないと政府は言つておりますけれども、しかしながら、中間安定をほんとうに実現しようと思うためには、もつと思い切つた予算の緊縮ということをやらなければならないはずであると思います。また歳出を切り詰めないで、歳入を膨脹した歳出に合わせていくためにいろいろ無理をして歳入をかき集めておる。たとえば取引高税、あるいは消費税、間接税の相当の増徴をはかつて、歳出に合うような歳入をつくり上げている。これはいろいろな面からいたしまして、物價騰貴に影響する歳入政策でありまして、これも中間安定の方策から見ましても、非常に遺憾な予算の組立て方であると言わざるを得ないと思うのであります。それから実質的な健全財政でないことは、特別会計、地方財政を含みまして、約八百七十五億円の赤字がある。復興金融金庫に対する出資金百八十億円を差引きましても、財政の赤字は約六百九十五億円になつておる。そのほかにまた財政の赤字を金融面に轉嫁した部分もかなりあると考えられますので、決して実質的に均衡を得た予算であるということは言えないと思うのであります。 それから外資導入ということを、政府は非常に強調しておられますけれども、今度の予算を拝見いたしまして、この外資導入の情勢が好轉したということが、何ら予算面に現われていないと思うのであります。ただこれまでの予算をふくらました程度にすぎない。そこに外資導入の情勢の好轉というものが、少しも現われていない。これも非常に遺憾と思うところであります。こういうようなわけで、もともと非常に問題があり、むりな基準であると考えられます三千七百円賃金べースというものが、早晩破綻するということも予想せられるのであります。これが破綻することによつて、さらに追加予算というものが必至になつてくる。こういうことによりまして、財政インフレーシヨンというものは、やはり避けられない。中間安定の構想すら、こういうような予算の立て方においては実現し得ないのではないか。いわんや最終的な通貨処理によつて、インフレーシヨンの安定をはかるというような理想から見ましたならば、この予算は非常に縁の遠い非常に遺憾なものである。こういうふうに私としては考えざるを得ないのであるます。 以上はなはだ簡單でありますが、インフレーシヨンとの関係におきまして、二十三年度予算案に対する私の所見を申し述べた次第でございます。
○小坂委員長代理 御質疑はありませんでしようか。
○青木(孝)委員 ただいま半ばから聽いたのでございますが、お説は中間安定方策は成功するものではないから、終局安定へ急げ、こういう結論になるのでありまするか。いかような御説明でありますか。
○鈴木公述人 終局安定と申しますことについて、ここで多少言葉の説明を申し上げなければならないかと存じますが、経済の実態の安定と申しますか、あるいは再建復興がなつた状態と申しますか、そういうものを終局安定ともし名ずけますならば、それはやはりある期間を終なければ、とうてい達成することはできないと思います。私が中間安定に対立せしめまして、最終処理と申しましたものは、通貨的な処置としての最終処理をやつて、安定通貨を発行して、その安定通貨の基礎の上において、今申しましたようこな終局的な安定と申しますか、本格的な安定と申しますか、経済の全面的な安定と申しますか、復興再建と申しますか、そういう努力をやつていくのが順序ではなかろうか。なるほど経済の全面的な安定が実現せられた曉において、最終的な通貨処理をやる、通貨の安定をやるということは、一番摩擦の少い無難なやり方であるということは、一應考えられますが、それではインフレーシヨンというものが、その期間に高進することによつて、おそらくその最終的な、全面的安定というものは実現せられないことになるのではなかろうか。通貨の安定も経済の全面的な安定も、どちらの安定も実現せられないことになるのではなかろうか、そういうことが心配せられるのであります。まず多少の無理はありましても、最終的な通貨処理を行つて、そうしてその安定した通貨の基礎の上に、経済の全面的な安定をはかるというのが順序なのではなかろうか、こういうふうに私は考える次第であります。
○青木(孝)委員 それでは通貨の処理という方法については、いかなる御構想をおもちになつておるのか、明らかに御説明を願いたいと思います。
○鈴木公述人 私の考えておりますところでは、安定通貨制度というものを確立いたしまして、現在のような不換紙幣制度を早くやめてしまう。そうして安定通貨制度の内容といたしましては、円を金またはドル——ドルに結びつけてもまあ金に結びつけたと同じことになりますが、金またはドルに結びつける。そういういわば金円貨幣制度というものを樹立すべきではないかと思います。そして、このためには通貨安定クレジツトというようなものを懇請いたしまして、金準備あるいはドル準備というものを設置する。そうしてその新しい貨幣制度は一種の金本位制度でありますが、もちろん古い金本位制度に返る必要はないのでありまして、いわば為替のコントロールというようなものが残りますところの、マネージド・ゴールド・スダンダードというようなものが必要であろうと思いますが、そういう一種の金本位制度の上に立つた金円貸幣制度、安定通貨制度というものを樹立することが必要ではないかと思います。しかしこういう安定貨幣制度を樹立いたしますことは、理想といたしましては、一日も早いことが望ましいのでありますけれども、しかしながら、やはりそのためには最小限度必要な條件というものがございます。この最小限度必要な條件を無規してあまりに急いで安定貨幣制度というものをもたらします場合には、やはりそこに相当の混乱が起きようかと思います。それで少くとも一年くらいの準備期間をおきまして、來年の上半期ころを目標といたしまして、そのころにこの安定貨幣制度を樹立するということを目標といたしまして、今からその準備措置を早急に実施する必要があるのではないかと思います。その準備措置といたしましては、何と申しましても、生産のある程度の回復ということが必要であると思います。この生産が全面的に回復するということは、安定通貨制度が実現せられて、その基礎の上でなければ不可能であろうと思いますが、少くともこの外資導入の條件の好轉というようなことを利用いたしまして、現状に比べて五割程度くらいの生産の増強というものが最小限度必要な條件として、この一年くらいの間に実現するということが必要ではないかと思います。そういう基礎の上に今申しましたような安定通貨制度を來年の上半期ごろを目標といたしまして樹立する。この場合に問題になりますことは、新しいゴールド・パリテイあるいはドル平貨をどういう点にきめるかという問題が第一。それからいわゆる國内的な通貨價値においては、切下げというようなことをやるべきかどうかということが第二。第三は、いわゆる一般的な貨幣呼称の変更というようなことをやるべきかどうかというような問題などがございますが、新しいゴールド・パリテイ、あるいはドル平價というような問題につきましては、これは私はそのときの円の價値下落というものを、與う限り正確に反映した水準にきめらるべきであるというふうに考えられます。そういう対外的な平價の決定によつて無用の混乱が園内経済に起ることは、こちらの希望としてはなるべく防ぎたい、こういうふうに考えます。 第二の問題につきましては、インフレーシヨンによりまして、不当に現金通貨というものが膨脹しております。安定通貨制度の基礎の上におきましては、そういう不当に膨脹した通貨というものは、必要がなくなるわけでありますから、これだけは切捨てるべきではないかというふうに考えております。私のごくラフな計算によりますと、ほぼこれは二対一くらいの比率になろうかと考えます。 第三の一般的なデノミネーシヨンの問題につきましては、日本のインフレーシヨンがまだ破局的な段階に至つておらない。つまり天文学的な数字というところにまで物償その他が至つておりませんからり、零をたくさん切り取るというようなああいう措置は、今のところまだ必要がないのではなかろうかというふうに考えます。但し電車賃が六円だの、五円だの、お豆腐が二十円だのというようなことでは、何だか安定したような氣持が出ないというのでありますれば、それをもう少し適当に、お豆腐がやはり昔のように一丁五銭になる、十銭になるというふうに、一般的な貨幣呼称の変更をやつてもよいと思いますが、これはすべてのものが一切変るだけのことでありますから、ただ便利になるかならぬかという問題だけでありまして、本質的にそれほど重大な問題ではないと思います。それからそれに関連いたしまして、預金に対するどういう措置をとつたらいいかというような問題がございますが、預金は私は原則としては手をつけないのがよいのではないかと思います。但しそういう安定貨幣制度を樹立いたしました直後、たとえば、六箇月くらいの間に預金を現金で引出すというものに対しては、一定の切下率を適用する。但しその切下率は現金の交換に対して適用した切下率よりは、多少緩和した切下率を適用する。こういうふうなことによりまして、預金は一應保護されるというような形をとつて、こういうことによつて失われた金融信用体系に対する信任をこの際確保するということも必要ではなかろうか。こういうようなことを考えております。まだいろいろこまかい点も考えておりますが、時間の点もありますので……。
○青木(孝)委員 その際に債権債務はどうなりますか。
○鈴木公述人 債権債務も、私の今の考え方では、手をつける必要はないのではないかというように考えております。
○長野(重)委員 私も中途で参りましたので、十分伺つておりませんで、あるいは私の誤解に基くかとも思いますが、大体伺いましたところによりますと、この予算全体を通じて決して健全財政の確保をはかられておらない。いたずらに歳出の面に水ぶくれになつて、それに対應するために歳入の面において掻集めが行われておるのだ、こういうふうに承つたのであります。これについて参考のためにちよつと伺いたいと思いますが、歳出の規制につきまして、一般会計並びに特別会計におきまして、経費の縮減であるとが、あるいは経営の合理化であるとかいうような点を除きまして、今日の予算の面に現われておりまするこの歳出に対されまして、こういう点はもつと削減すべきである、こういうものは不要である、というような点をお考えに相なつておりましたならば、伺いたいと思うのです。
○鈴木公述人 歳出の面につきまして私が今考えておりますことは、物價政策というものを、もう少し合理的に行うことによりまして、價格差補給金というものをもつと削減することができるのではなかろうかといううことが、第一の点。もう一つは公共事業費というものにつきまして、もう少し削減する必要があるのではなかろうか。と申しますのは、これは公共事業費というものが、非常に大事であるということは、もちろん疑問の余地はないのでありますけれども、しかしながら、通貨の安定という問題を考えます場合に、通貨の安定ということと、それから経済の再建復興ということとの間には、ちよつとここにずれると申しますか、矛盾があると申しますか、そういう要素があると思うのであります。これは経済復興五箇年計画第一次試案を見ましても、その問題があると思うのでありますが、つまりインフレの安定ということを、まず第一に考えます場合には、どうしてもすぐ間に合うような完成財貨と申しますか、完成消費品と申しますか、そういうものができるだけ豊富に供給されるということが望ましいのであります。しかしながら、経済の再建復興という長期的な観点に立ちました場合には、なるべく迂回的な生産を行つて、その基礎になるような生産資材がまず増強されるということが必要なわけであります。そういうわけで、安定ということと、再建復興ということとは、ちよつと矛盾する場面が出てこざるを得ないと思うのであります。しかしまず安定、しかる後に復興という大方針がきまりましたならば、ある程度安定の見透しが確立されるまででは、そういう迂回的な、長期的な方法は、ある程度犠牲にいたしまして、まず安定をはかるための手近な完成消費財の増強という方に、力を向けることが必要なのではないか。そうして安定の見透しが立つた上において、本格的な迂回的生産の方向に轉換するという順序に行くべきではないかと思うのであります。そういう意味からいたしまして、私は公共事業費というようなものも、現在の段階においてはもつと思いきつて削減することが必要なのではなかろうか、こういうようなことを考えているのでございます。
○小坂委員長代理 委員外ですが、北君の発言を許します。
○北二郎君 いつの予算でもそうでありますが、特に今度の予算もそうでありますが、日本では非常に人件費が多いのであります。この人件費に対してどうお考えになるか、ちよつと伺いたいと思います。
○鈴木公述人 人件費の問題につきましても、行政機構と申しますか、こういうような面におきまして、もつと根本的な合理化の対策を立てることによりまして、不要な人員を整理することは、これはやはりやらなければいけないのじやないかと思います。ただ、統制経済と申しますか、そういうようなものがある程度不可避的であるような現状のもとにおきましては、官廳の人員が相当多くなることは、避けられないことであろうと思うのでありまして、ただ漫然と人員が多いからこれを削らなければいけないとういうような考え方には、私は賛成することができませんけれども、しかし行政機構その他におきまして、かなり多くのむだがあるのではなかろうか。これをもつと根本的に整理し直す。そういうことによつて不必要な人員が出てきました場合には、これを削減するということは、望ましいことではなかろうかと考えております。
○田中(源)委員 先ほど青木君がちよつとお尋ねになりましたが、あなたのおつしやつた安定貨幣制度を、來年上半期ごろまでに徐々にその形態を整えていく、なるほど私の非常に共鳴する点はあるのですが、実は日本の今の生産状況で、消費、生産の両面の資材の欠乏している日本の現状で、われわれが好んでいる最後の安定通貨制度をとるというところにいくかどうか。今の工業水準と、消費生産両面の資材の状況とにおいて、これをむりにやるとすれば、結局英國がアメリカから第一次に借りた三十七億五千万ドルを食いつぶして、今また借りなければ貿易の収支の均衡が保つていけない実情にある。英図自体がその状態にある。日本がもしこれをやつたならば、そのドラステイツクなものが、あなたのおつしやるようなものが、そのときまでに大体準備が整えばよろしいが、私はちよつとむずかしいと思います。英國のような状態でなく、もうひとつひどい目に遭う、そういうことの見透しをつけて、一つのいわゆる安定帶というものも考えられてきたのだろうと私は考えている。その面について日本の生産状況が、かりにあなたの今おつしやつたように、私どもも希望はしておりますが、やるについて、その時期的のずれがなくいけるというお見込みをおもちになりますか。その点をひとつ伺つてみたいと思います。
○鈴木公述人 御質問の御趣旨を、あるいははき違えてお答えすることになるのではないかとも考えられますが、たとえば一、二箇月ほど前のニユーズウイーク誌であつたかと思いますが、あの雑誌の記者の観測が出ておりました。それによりますと、日本に対する外資援助が、今年を轉機として非常に大きな変化をみせることになつてきた。そのためにその刺激によりまして、日本の生産はかなり飛躍的な増加をするのではなかろうか。昭和五——九年の基準がらみまして今年は四五%くらいであるが、來年度にはそれが七五%くらいになるのではなかろうかと、いうような記事がございました。そしてその場合にその記者はさらに附け加えまして、但しこういう新しい刺激というものは、初めの一年間くらいこそ効果があるが、それからあとはほとんど刺激とならないで、同じように外資の援助が続けられても、生産上昇のカーヴはその辺のところで停滞して横ばいしてしまうのではなかろうか、そしてそれからあとの日本の生産回復の努力は、非常に困難なものとなるのではなかろうかというような観測記事が載つておりました。これは私は非常に同感したものでありまして、この最初の一年間は、新らしい刺激によりまして、生産の五割くらいの回復は決してそうむつかしいことではないのではないというふうに考えられます。しかしその五割くらい増加できたそのときに、なおインフレーシヨンの安定ということを怠つてしまいましたならば、つまり外資さえ導入されればインフレーシヨンというものは安定されるのだ、自然に収まるのだというような安易な氣持で、このチャンスを見逃してしまうというようなことをいたしましたならば、それから先はもう生産の急激な回復は、外資がはいつてきても望めないというようなことになるのではないかと考えられます。しかし決して生産がすつかり戰前の状態くらいにまで回復するのを待てというわけではないのであります。またそういうような考え方に、私は極力反対しているわけでありますが、少くともこの一年間ほどの間に、新らしい刺激によつて五割くらいの生産の増加を來したそのときにおいて通貨処理をやつて、通貨安定を実現することが必要ではないか。しかしながら、今御質問にもございましたように、経済の基盤は依然として脆弱であり、不安定であるのでありますから、そうして実現せられた安定通貨制度は、絶えず脅やかされる危険があることは申し上げるまでもありません。それを維持していく努力というものは、やはり非常に困難でありますが、それを努力していくことが必要ではなかろうか、こういうように考えている次第であります。
○小坂委員長代理 ありがとうございました。では次に移りたいと思います。次は國鉄中央執行委員調査部区長星加要さんにお願いいたします。
○星加公述人 私が星加でございます。本年度の予算案は、わが國の経済事情が非常な緊迫下にありますために、予算が当を得ているか否かということは、國民にとりまして、まことに死活の問題となつております。インフレが悪化の一途をたどりまして(経済がまさに崩壊の寸前にあるこの困難なわが國の経済状態を再建していきますためには、資本主義のもとにあるところの今日といえども、極力社会主義政策を採用する必要があります。このことが理想を高く掲げまして熱のある政治をするということであろうと私は考える。私はここに忌憚のない批判を二十三年度の予算に加えまして、この予算案が労働者が支持し得るところの予算案になることを待望するものであります。 まず歳入の点では、租税でありますが、千二百七十八億の増税となつております。これを二十二年度のものと比較いたしまして、パーセントで出してみますと、約九五%の増税となつておる。これが前年度の税の徴収成績その他から見ます場合に、前年度の税が國民の負担の限度を示しておるといわれておつたことを思いますならば、二十三年度に約二倍となりました結果は推して知るべく、國民大衆の苦痛というものは、昨年に倍加するものと思われるのであります。国家の財政が膨脹することも、一概に非難されることではありません。しかしながら、膨脹したところの原因あるいは使途が問題となり、またその財源を税に求める際には、國民のどの階層に負担をさせるかが問題となるのであります。所得税中の源泉徴収部分、すなわち勤労者に対する所得税は、今回の予算によりましては、税法の改正によつて減税をされたように見えておるのでありますが、総金額の点では、これは約二倍となつておるのでありますから、一般の増税率とは何ら変りません。われわれが支拂います金額といたしましては、今までの税金の二倍の勤労所得税を支拂わねばならないというふうになつているわけであります。またインフレに伴いまして、名目賃金の上昇ということはやむを得ない現象であります。すなわちわれわれの賃金ベースは昨年七月におきまして千八百円であります。本年の一月を基準といたしまして計算をいたしました結果は、二千九百二十円ということになつております。今回予算に含まれておりますところの賃金ベースは三千七百円でありますが、こういう数字がはたしてどこから出てくるのでありましようか。すなわち今回物價改訂によりまして、七割の値上をするということであります。しからば物價が七割値上になる。われわれの賃金ベースはただいま二千九百二十円ですから、これを計算が楽なように約三千円と見積るならば、これに七割を物價と同じように掛けてみるとしましたならば、二千百円をプラスすることになりますので、單なる計算面からのみの計算からいたしましても、三千円プラス二千百円でありますから、五千百円という賃金ベースがこれは素直な考えで考えられなかつたならば、二千九百二十円の生活で、今日これが四月までの生活として與えられているべースでありますが、このべースでわれわれの生活が今日生きていけないということがはつきりいたしている次第であります。また國鉄の大会におきましても、これが左旋回をしたというようなことがいわれている。その原因は何かといいますと、二千九百二十円では食つていけなかつた。從つて二千九百二十円を承認した者に対する責任を問うというような、一般労働者の気持がこれに現われておるのでありまして、今日二千九百二十円をもつて、國鉄労働者は申すに及ばず、全官公廳の労働者が生活をしていけない、四月においてさえそれが反対であつた、それが今度六月になりました際に、そのままのものを踏襲するといたしましても、これに七割の一般物價の値上を考えるといたしましたならば——少くも七割を考えねばいかぬ「ならば五千百円になる。それを三千七百円ベースで押えて予算を組んでおるところに、この予算がいかに労働者の賃金というものを抑えて組んであるかということであります。そこで、税金がこのように約二倍となつておるが、形式上はやはり半分ほどに減らされておるような税法の改正であります。しかしながら、かかる三千七百円べースでありますから、これを全官公廳の人間が受諾するはずもなし、受諾しても生活が成り立たないというわけでありますから反対をされるであろう。なおまたこの結果物價の値上りによりまして、名目賃金の増強ということが要求されるでありましようから、われわれが支拂います税金というものは、総願においてますます高い税率を課せられたも同じ結果となると思うのであります。そこでその他十八種目に及びますところの税金をながめましても、大衆課税の性格をもつておらないというものは一つもないように考えられる。納税ということは、國民の義務であり、労働者もその収入の一部を割いて國費に充てる義務がありますが、労働者の収入というものは、生活を賄い得ないほどの少額なものでありますから、余裕のある者が、その収入からこれを税金として支出するのと比へますときに、労働者が税金を支拂うために受けるところの苦痛というものとは、比較にならないと思うのであります。そこで税金は力に應じてとる。これがすなわち税負担の公平ということでなければならぬ、單に税率を、高収入の者には累進的に課税をするというのみであつては、税負担の公平ということはできないと思うのであります。そこで政府は勤労者に対すると同様に、新円階級あるいはやみ成金階級に対しまして、正確な収入を把握し、脱税の余地を與えではならないと思うのであります。その適切な手段が今日に至るも講ぜられておりません。こういうことは、ただいま中間安定、あるいは通貨的措置のみによつてインフレが防止できるものではないということをいわれておりますが、しかしながら、國家の費用というものは、國民が全部でこれを負担して公平にやつていくよりほかにないのでありますから、これがためには、ぜひとも具体的な方法といたしまして、ここに財産税を速やかに設置いたしまして、これをとるようにいたさなかつたならば、根本的な解決をすることができないと思うのであります。しかるに今回は取引高税というようなものを設置されまして、それで税収入の公平をはかり、もしくは脱税を防止されるというふうな意向でありますが、これは單に表面上を糊塗したのみであつて、また再び大衆にその税がかかるということになることを考えましたならば、やはりこれは反対せざるを得ないのであります。 次に鉄道及び通信両特別会計に対しまする料金の値上げでありますが、両特別会計の赤字は、これは昨年七月におきますところの物價改訂に原因をしておるのであります。すなわち物價改訂は資本に対する利潤を確保するために、労働者の生活を苦しめる結果となり、またインフレを深刻にいたしたのであります。すなわち物價が比較的安いというものと、そうして労働者の賃金が相当に上つておる、その開きをバランスせしめるために、物價改訂が行われたということにはなつておりますけれども、その眞意は、やはり労働者の賃金というものは、インフレの現実におきましては、名目上は上つておつても、実際の効果、すなわち実質賃金という面からいたしましたならば、下つておつたにもかかわらず、これに厖大なる物價の値上げをいたしたのでありますから、ここにわれわれの生活は非常に苦しくなり、かつまた政府予算で賄つているところのものでありますから、ここに物價が上り、鉄道で申しますれば、石炭の値段が上る、その他購入する資材が非常な高騰を見せます際には、莫大な赤字が生じてくるのであります。 〔小坂委員長代理退席、鈴木委員長着席〕 かくのごとく物價改訂をすることによつて生じました赤字を、運賃の値上げもしくは通信料金の値上げでカバーしようとするが、これは利用者大衆を犠牲として資本家を益せんとするものである。すなわち、とにかく企業が成立するようにということにのみ観点を置きまして、その赤字をバランスさせようとするものでありますから、そもそも無理な資本家擁護一点張りの物價改訂というものが、この赤字の原因をなしている。それがために運賃の値上げをするということでありましたならば、國民大衆から受けるところの國鉄に対するところの非難その他は、國鉄にとりまして実に大なる迷惑と言わねばならないのであります。また運賃を値上げするということ、あるいは待遇改善をしなければならないということの申訳といたしまして、行政整理をする意向を発表いたしておるのでありますが“行政整理をいたすということになりますと、人員を縮小するということになります。すべて現在の政府の考え方は、企業の整備にいたしましても、その再建方策にいたしましても、人員をもう少し減らして、支拂うべき金額を減らしていこうということを考えておる。これは一資本家の立場で考えるならば、私はもつともであろうと思う。それくらいの考えより出なかろうとは考えるけれども、これが政府であり、もしくは議会であり、政治家が、このようなことを考えるとすれば、これは政治家の資格も、また政府の資格もなかろうと私は考えるのであります。すなわち今日の社会情勢は、はたしてどういう状態であろうか、ここで人員を減らして企業から放り出した人間は、はたして外に行つて何をするであろうかということを考えてもらいたいと思う。そのときには、また正しいほかの業務に從事して生産に従事することができるであろうということを考えますと、彼らのやり方というものは、やはりやみ商賣にはいり、もしくは法律を犯すような行為をするであろう。そうしても彼らは生命を全うせざるを得ないのでありますから、必然的にそのような形態をとるであろうと思う。そうすると、犯罪者が殖え、警官を増員しなければならぬ、また刑務所を設立しなければならぬ。こういうことで、企業整備もしくは行政整理をやることによつて、人間を減らすことばかり考えて、減らした結果というものにおいて、その人間が何をするであろうか、そしてその人間がしたことによつて、一体どういう費用が殖えるであろうかということを考えましたならば、これはそのようなことをただいますべきではないということがはつきりすると私は思うのであります。実に今日國鉄には六十一万という従事員がおります。これが非常に大人数であるかのごとくに宣傳をせられておるのであります。しかしながら、この人数というものは、やはり仕事をいたすために必要な人数であつて、ただいま國鉄においては休みもろくにとりにくいという現実にあります。このことは皆さんが御理解しにくいことであろうと思う。戰前においては三十万人程度の人数で運営をしておつたものが、ただいまその倍の六十万人という人間で運営をしておつて、なぜ休みがとれぬほどに忙しいのであろうかということであります。実情は、今日皆さん方がひとつどこかの駅、もしくは機関区というようなところへおはいりになりまして、そうしてただいま一年間に二十日という休暇をもらえることになつでおりますが、業務に支障なくその二十日の休暇を支拂い出せるような状態になつておるか否かということを一遍調べてもらいたい。現実はいかにも疲労を來しておるので、休みたいと思うのですが、君が休んだなれば仕事に差支えるから、何とかして出てもらいたいという、それで出ておると、疲労が蓄積しまして、若い者が少し長らく休まねばならぬというような病氣になる者が多い現実でありまして、罹病した者に、君は一体仕事をしておるときに何が一番辛かつたのか、しんどいときに休みがもらえなかつたことが一番辛かつたということを申しておるのが現実であります。そこで、なぜそのように國鉄にたくさんの、倍からの人間がおつても、忙しくて休みも支辨い出せぬという実情にあるかということを簡單に申し上げますと、すなわち戰前のキロと比較をいたします。終戰後今日列車が動いておりますところのキロ数というものは、これは人間が三十万人程度で動かせるところのキロ数であります。これは年数に直しまして、昭和十年度くらいの列車走行キロ数であります。ところが、これに載せておりますところの旅客なり、貨物輸送の人・トンキロということでまいりますと、終戦直前の最もたくさん客貨が輻湊いたしましたときの輸送能率を上げておるのであります。 すなわちただいまではよほど以前の昭和十年ごろの列車キロをもちまして、運んでおりますものは、計算上四倍という能率が上つてまいります。そこでこの能率を考えますに、現在の人間は、三十万人でする仕事の四倍の仕事をしているのであります。そこで仕事ができるだけたくさん人が要るとしましたならば、四倍として、千二百万人というような数字にもなろうかと思う。しかしながら、そうばかりにもいきませんので、結局のところ、約その半分のまず六十万人というような程度であります。ただここで問題は、労働基準法が実施せられることになりましたが、この多いというような観念からいたしまして、労働基準法による欠員がなかなか補充できない。当局の計算によりまして、四万人の人員を要するものが、約一万五千人の許可をもらつて、五月一日からこれを実施しなければならないというのが、最近に至りまして、ようやく一万五千人の採用が許可されたような現実にあるのであります。かくのごとき状態でありますから、運賃値上を計画し、そしてそれを計画することによつて、國民にそれを納得させるために、行政整理を発表するがごときは、実に國鉄の実情を無視し、從事員を犠牲とする以外の何ものでもないと思うのであります。これわれわれが運賃値上に対して反対せざるを得ない理由であります。 次に、歳出について見ましても、労働者のための教育、文化、衛生あるいは失業対策、または公共事業費による水害復旧等は、はなはだ不十分なものがあると思うのであります。また六・三制に関連いたしましては、これは六・三制の費用が今日計上されているものは、約八番目の部位をもつておりますが、この金額ではたして十分かどうかということは、これをもつて学校がいくら設備できるかということが書いてありませんのでわかりませんが、実情からいたしますと、この六・三制に要する費用が非常に少いということであります。それはわれわれに対して寄付金が非常に多く要請されている。子供が一人学校へ行つておりますと、やはり学校を担えねばならない、六・三制による新制中学の校舎が必要である。またはそれに対する備品が必要であるから、寄付をしてもらいたいということであります。町内からは町内としての寄付金が要る。子供は先生からそのことを言われて帰つてくる。そこでわれわれといたしましては、はなはだ金のないところから、六・三制に対して、子供の言うことである、彼の言うことをむげに退けることはできないというので、寄付金に應ぜざるを得ない実に國民は子のための寄付金に泣かされているという現状であります。しかるに價格調整費及び政府出資金等は、歳出の約二〇%を占めておりまして、資本家のために使われていると言わざるを得ません。また終戰処理費は当然といたしましても、その主要部分が土建者業に支拂われますときに、土建業者の献金問題等は、國民に対して不審の念を禁じ得ざらしめているものがあると思うのであります。政府は二十三年度予算を説明するにあたりまして、牧支の均衡をはかり、経済二再建に備え、國民生活の安定をはかり得るものとしておりますが、先に述べましたことく、資本家の利潤擁護に終始いたしまして、インフレに押し流された、理想も、政治的良心をも失つた予算を組んでしまつたと言わざるを得ません。予算の成立が遅れることは、いろいろと不都合を生じますが、不合理な予算が国民生活に及ぼす害悪を思いますときに、私は本予算が修正されて、われわれ労働者が支持し得るものとなることを期待する次第であります。以上であります。(拍手)
○鈴木委員長 國鉄の星加君に対して何か御質疑がございますか。
○淺利委員 ちよつとお伺いしたいのでありますが、実は私どもは運輸省の示された表によつて了解しかぬる点があるのでありますので、実務に携わる方の御説明を承つたら最もいいと思います。ただいまのお話の中にもありました終戰前の三十万の人間で運行しておつた当時と、今日においては走行キロ数においては変りない。しかし人員は四倍に殖えておる。從つてこれに從事する職員も、その業務量に感じて四倍にしなければならないということは、一應うなずけるのであります。しかしながら、戰前においてはわれわれは今日のような殺人的の列車に乘つておらなかつた。從つていずれも腰をかけて乘つておる。今日はほとんど一つの列車が満場立錐の余地なく殺人的の列車である。この多量の人を一つの車輌によつて運ぶということになりますと、車輌の数はあまり殖えておらない。車輌の数は殖えておらないけれども、人員が殖えればその割合で乘務員は必要であるかどうか。その点はどういう比率で乘務員というものはおかれるのか。乘客が一つの車に四倍になつたら四倍の乘務員を要するかという点に一つの疑点をもつのでありますが、この点について、実際はどういう状況にあるのか、その点の御説明をひとつ伺いたい。
○星加公述人 人員が非常にたくさん殖えますと、車掌はこれを整理いたしまして、業務をいたしますためには、やはり一箱に一人ぐらいずつは乘りませんと、その中を檢札することも、案内をいたすこともできないというような実情になつてきます。しかしこれに対してたくさんそれほどには殖やすことはできませんが、やはり特別に車掌を殖やしております。それで戰前は一人でありますが、今日においては二人にし、なお車内を警戒いたしますために、警乗的な意味におきまして警察官の代りに乘つているわけでありまして、人数にいたしましても、一列車に四人くらいということになつております。それから機関車に乘つております者も、これは戰前は一人で石炭をたいておつた。ところがそれだけの人数が乘りますと、これはちよつと運轉理論になつてまいりますが、列車の重量というものが速度をも決定する重大な要素であり、また牽引力がそれだけ必要になるということになりますので、大きい力の強い機関車が必要になつてくる。ところが機関車はそういう大きいものができないので、石炭をたくさんだいて蒸気をたくさん使わねばならない。そこで石炭もたくさんたきますが、その石炭が今度は質が惡いのでありまして、そこで六千カロリーの石炭を使つておつたものが四千カロリーないし五千カロリーに落ちております。從つてその落ちたカロリーだけよけいの量を汽車にくべねばいかぬ。そこで戰前は一人乘務であつた機関助手というものが、やはり二人乘務になつてくるというわけでありまして、乘務員の方もそのように殖えてまいり、また御承知のように、満員以上のものを乘せますと、車輌そのものに対する故障がたくさんに出てまいる。それで戰前は網棚が折れるというようなこともなかつたのですが、よほど荷物を乘せますために、ただいまは網棚が完全なものがない。それでつり革にいたしましても、今日それをとつて帰るというような人もないのですが、やはりそれにぶらさがる人が多いので、結局その修理にいたしましても、それを取付けましたならば一月はもたぬというような現実でありまして、修繕の面からいたしましても、非常な人手を食つておるということで、乘務あるいは修繕、あるいはサーヴイスの面でも、これだけの人数をもつてしては、とうていサーヴイスをしきれぬという実情にあるわけであります。たくさん人を積込めばそれだけ比例的にとは申しませんが、やはり倍の人数は必要になつてくる。そこで機関助手も一名であつたものが二者必要である。車掌もそのように殖えておる。そういうことであります。
○淺利委員 大体の御説明はわかりましたが、施設の問題なり実際の乘務員というものがどの程度になつておりますか。われわれは始終乘つているのですが、われわれの見るところと多少還つているのです。一つは車内の積込みの数量が多いということは、鉄道の小荷物の委託というものに信頼がおけないということも非常に関係があるのです。そういう点は、鉄道の輸送が信頼を受けるということになつたならば、よく整理もされると思います。これは当局として別の観点からお考えをいただきたいと思うのですが、ただいまの運賃は上げない、また人の首も切らない、そしてこのやり方は大衆に責任を轉嫁する資本家のやり方であると申しまするが、國鉄に関する限りは、資本家は國であり、また株主は國民であるのでありますから、國鉄に関する限りは資本家といい、株式といつても、対象になるものは國民であるということも考えなければならぬという点が一つありますが、観点は別といたしまして、今のようなお話によつて、値上もしない、人も整理しない、そうすればどうしてやつたならばこの鉄道の経営はできるだろうか。結局は一般会計によつて國民の負担においてこれを補うほかはないということになるのですが、一方において國民の負担は勤労大衆を含めて、國民全体の負担になるのではないか。そういう点についてどうすればいいか、鉄道の採算がとれるのにはどういう方法をやつたならばいいかということを、実際の仕事に携わる見地からお聽かせ願つたならば、われわれは参考になると思います。われわれに政治家の資格があるかないかは別といたしますけれども、これは観点によつて違いますから、あなた方が政治家であつたならばどういうふうになさるかという具体的のことについて、御高見を承りたいと思います。
○星加公述人 今日の状況においては、これを局部的にながめまして赤字が出ているところに運賃を値上しなかつたならば、赤字は補填できるものではない。また人員を整理せずにこのままの人間を抱えておつて、赤字の中から待遇を改善しようとするならば、それもまた不可能なことであるし、またその二つをやらないとして、今度は一般会計の方からもつてきて、國民から金を出させてこう、うことをやろうというよりほかに手がないではないか。もしまた国民からそれをとつてくるということに反対であるならば、もうやり方がないので、ではどういうふうにするかという点を聽かれておるのであろうと私は考える。そこで私は運賃というものを考えますが、物價にいたしましても同じであろうと思う。これは國民が納得をするかしないかということが問題なのでありまして、運賃が三倍半に値上をされるということは、國鉄が赤字であるからとにかく収支を合わすために三倍半に値上をしなければならないのであるから値上をするということで、ほかに何かするべきことが残されておる、やるべきことをやらずにおいて、その方にのみやられるというところに、國民が納得しない点があるのでありまして、運賃に限らず、物價に限らず、これらはやはり今日の情勢においては、もはや昔のように、これだけの値段であるから好きなら買いなさい、いやなら買うのをやめいということで過ごせる事態ではないと思う。そこで物の値段も、すなわち米でも、みそでも、しよう油でも、その通りであります。そういう物の値段も、それからまた鉄道の運賃のごときもこういう状態であるから、これが納得のできる線ではないか。すなわち適正物價の一環としまして、適正運賃というものをはかるようにいたしたい。これはすなわち労働者の意見なり、労働者の考えなりというものが取入れられて、そこになされるべきことが行われて、單にこれが労働者側もしくは國民大衆の犠牲のみによつて行われておるということではないようにすることが、最も必要なことではなかろうかと考える。そこでまず労働者側あるいは國民大衆のみが犠牲とならないような方法というものを考え出してやつていくべきであろうと思う。すなわちわれわれの見解としては、税収入の不足ということにつきましては、やはり財産税を設置するなり、あるいはその他。方法をもつてでもよいが、新円階級というようなものの収入を完全に押えて、そうして税金を的確にとる、脱税というようなことが行われないようにして、その上にできた赤字というものについては、別途の考え方をもつに至るであろうと思う。そういうわけでありますから、まずそのなされるべきところを十分にして、労働者の意見がこれに十分反映するようにしたい。ただいまのところは労働者の意見をくむ、あるいは労働組合の考えを尊重するということで、経営協議会というようなものも設けられておりますが、しかしながら、われわれの意見というものが、経営協議会を通じて、その経営の面に実際に反映するものではない。また経営協議会に出されるところの内容というものが、しかく虚心坦懷に出されておらないであろうし、また民主党にしましては、修正資本主義ということが理想として掲げられておるようでありますけれども、修正資本主義というものは、労働者並びに経営者というものに重点を置いて、資本の圧力というものを比較的軽く見た運営をして企業をやつでいこう、運営をしていこうというのであるけれども、それもはなはだよい考えであろうと思う。けれどもそういうことを実際に移す上に、これがはたして行われたかどうかということを考えてみるときに、よいということがわかつておつても、なかなかその方向に向つて邁進されないというところに、労働者側なり國民大衆の批判の目が向けられるものである。またそれが協力し得ないものでありますから、結局それに対して不満な点があり、不明瞭な点がある場合には反対ということを言わざるを得ないと思う。
○淺利委員 私の伺つたのはそういういろいろの理論ではなく、具体的にどうすればよいかということです。今伺つたところによると、結局財産税でもとつて一般会計から補給する以外に途がないという結論のようですから、大体御意見がわかりましたから、それ以上は伺いません。
○庄司(一)委員 これは物の見方で、昭和十二年度において二十六万何千人でやつておつた鉄道の職員が、ただいま御説明のように六十万おつて、それでもまだ足りないのだというあなたの見方も一つの見方であろうし、内閣各省の他の役所と比べて、今から十年前に比べて倍以上殖えておる役所は、あなたの役所以外にはないであろう。殊にぼくはこの予算総会において、前後二、三回述べておると思いますが、運輸省関係において、増産隊とか開墾隊とかいうものができて、米を買うのに五万円要るとか、住宅を買うのに十万円とか、そういう金をもらつて、宮城縣だけでも二箇所増産とか開墾とかやつておられる。その数もおびただしい数であると思います。結局この間運輸大臣は今年はもうやらないということを言明されておりましたが、あれは全國の統計をとつたら、よほどの頭数があると思う。増産とか開墾とかいうことは結構であるけれども、それは農林省関係の仕事であつて、決して運輸省の仕事ではなかつたのである。ああいう方面に大分人をやつておつた。だから鉄道の現場においては、実際のところは必要がなかつた人を出しておつたのではないでしようか。お互いに良心的にひとつ研究してみたいと思うのですが、いかがですか。
○星加公述人 それは実際に必要のない人間を出したというわけではありません。これはどういうことになりましたかと申しますと、この増産というようなことをやらねば、やはり食糧の確保ということが困難であつたという実情と、それに使えた人間があつたということは、これは外地から引揚げてきました復員者、及び外地鉄道よりの受入者、とにかくこれを受入れねばならぬ。そのままこれを放り出しておくということができませんので、それをそのまま鉄道は受入れたのであります。これも受入れにあたりましては、政府の方針で受入れた。よその民間の企業は営利のためにのみやつておりますから、外地から復員者及び兵隊が帰つてきましても、おれの会社は雇うことができぬといつて首にする会社がたくさんあつた。けれどもそういうことをしましたら、はたしてどうなるか。鉄道はとにかく復員をしてきた兵隊及び外地鉄道におつた人を吸収したのであります。そこでその人がとにかく適当な部署が定まるまで一應増産に從事をしてもらいたいというので、そういう人員が増産の方にまわり、部署ができ次第に、前歴を考慮いたしまして、適当なところへ復職をしておるという現実であります。從つて増産に種事をした人間というものは復員者であり外地引揚者であつた。それを受入れねばそういうことはなかつたであろうけれども、食糧の増産ということが必要なことであつたという事実と、それから外地引揚者がある。これを受入れねばならないという國家的要請があつた。だからしてそのような形になつたのであります。現在ではこれが欠員によりまして、適当な部署へ帰れるものはどんどんと帰りつつありまして、この増産というような業務を順次に縮小させていつておるという実情であります。
○川島委員 ちよつとこの機会のお伺いしたいことがあるのであります。國鉄の從業員で結成されておる労働者の数は、およそ六十万と言われた。近ごろこの一般國民の間に、殊に乘降客の目につきやすいところにある接客部面、おもに駅あるいは車中の車掌等、そういつたものについて、比較的に國民の批判を受けておることが必ずしもないではないように思いますことは、国鉄の上にとつて、私はすこぶる好ましくない事柄だと思うのであります。それだけを通して。國鉄というものを國民が見る批判というものは、必ずしも妥当でない。殊に國鉄の内部における相当の数を占めておりまする從業員中の、たとえば機関車乘務員、あるいは長距離の荷物の非常に大量を上げおろしする荷扱手、あるいは檢車区の一部分、あるいは通信区あるいは保線区等のような、非常に過重なる労働に耐えながら、國鉄の再建に全力をあげて邁進をしておるというこの事実が、國民にあまりにも知られでおらないというところに、私は國鉄が表面だけの皮相の観にかつて、多くの國民から批判を受けるような形になつておるのだということを、痛切に感じておるのでありますが、この機会にあなたにお伺いしたいことは、今申し上げましたような、國鉄内のきわめて重労働に携つておる人たちに対する金銭的な所得の上におけるところの待遇の状況、あるいはそういつた人々に対する物質的な、たとえば生活必需品の重点的な特配というような面について、どのような状況になつておるかということは、私は國鉄の從業員の大部分を占める過重なる労働に耐えながら、日本の國鉄再建のために挺身しておる人たちにとつても、われわれの立場からとしても、重要な問題だと思うのであります。それで労働組合の調査部長であるあなたに、そういう点について、どういう形になつておるかということ、それからまた労働組合としてはそういう方面に、もし條件的に欠けるところがあるとすれば、どういう形で生活を保障し、明日の過重な労働に耐え得るような、そうしてそういう方面に國鉄の從業員の人たちが、進んで配置轉換の場合には趣くというような、氣合いを沸き出させるような研究をされておるかどうかということについて、まず一点お伺いしたい。 第二点は國鉄の物件費、この物件費については、國民の間にも批判がないではない。その物件費の面について、多少でも労働組合の人たちが眞劍に、國鉄の再建に取組んでいこうという氣持になつた場合に、今までの官僚だけがつくつてきた物件の予算に対して、あなた方の血と汗の体驗によつて得られた感じからいつて、その物件費を節約するような面があるかどうかということ。 それからもう一つ、一遍にお伺いしておきますが、第三点は、國鉄の外郭團体である交通公社、あなたの御承知の通りに、この交通公社で扱つておる歳入の大部分の切符費りさばきの手数料は、国鉄では昭和二十二年度においては大体二百二十億、そのうちの一分ということになつておるのですが、その一分の手数料だけでも、大体において一億を越えるような手数料を、國鉄は支拂つておる。今度運賃値上げがかりに三・五倍というようなことになりますと、その交通公社にはいるところの手数料どいうものは、おそらく三億を越えるのではないかと思います。こういう国鉄が非常な苦難のときにあたつて、交通公社に頼まなければ、乘客に切符が賣りさばけないのかどうか。あなた方自身の力によつて、窓口の能力を最大に発揮すれば、この三億円に余るような切符の手数料を、國鉄の歳入に当てられるような方法はないものか。私はいたずらに外郭團体の交通公社によつて、今度の三・五倍とすると、私のめのこ勘定であるけれども、三億数千万円になると思う。この三億数千万円、國鉄は今一億の金でも五百万円の金でも非常にほしいときである。そういうときにあたつて、交通公社にそういう手数料をとられておることがいいか惡いか。そうしてそれを國鉄のあなた方の力でやるという計画をもつているのか。またやる意思をもつているのか。そういうことは交通公社と直接に関係にある重大なことであろうと思うので、その三点だけについて、あなたに組合としての立場から、具体的な正直なところのお話を承つておきたい。
○星加公述人 特地におります者に対しては、荷扱手あるいは線路工夫というものについては、月五百円の手当が出されておる。けれどもその他の場所には、この手当が出されておりません。從つて手当の額がはなはだ僅少である。その他の労務用物資については、タバコが月に二十本程度配給になるのが定期的なものであります。その他のものはほとんどありません。次に労務加配米がありますが、これも十分なものとは言えぬが、もらつておる人間は感謝しておることであろうと考える。しかしながら、これを民間の会社と比較いたしますと、お話にならぬというような程度の低いものでありますので、この点が非常に苦労をするところであります。そこで民間とのバランスをとつてもらつて、國鉄のそのような労働者に対する、すなわち国鉄現業の特異性を認められた給與をいたしたいということが、最も根本であります。けれども全部官吏として一本に取扱われております現状において、はなはだ不満な実情にあるというのが現実でありますので、これが一般民間の労働者とバランスのとれたものにするための待遇改善費というものを、ひとつぜひ考えていただかねばならぬというふうに考える次第でおります。 次は服装なり態度なりが惡いということですが、そういう点については、從事員が今日軍隊的な統制から、民主主義ということで放たれたということに対する惡い意味の反動もあるであろう。こういう点は直さねばならぬ。あるいは被服その他が十分に配給されませんので、今日鉄道職員の制服がはなはだまちまちにまつておる。そうしてかつこうもいろいろなかつこうになつておる。ちよつと外から形を正させにくいというような実情でありますので、きちんとした一様な制服をこれに貸興し、外からの形を整え、内輪におましても、今日從事員の態度が、給與の改善とともに、接客に從事しておる者は旅客に対する態度を、十分に改めねばならぬと考える次第であります。 交通公社の問題でありますが、交通公社に対して約一億円の切符の取扱費というものを出しておる実情でありますが、これはしかしサービスという点から考えませんと、駅まで行つて前賣切符を買つてきておくというようなことも、便利が惡いという点もありましよう。旅客に対するところのサービス、デパートでも買える、あるいは劇場の中でも買えるというような点で、便利な点もあるいはあるであろうと思いますが、その金はやはり國鉄がもうけるべき金であります。そこで今日のごとく國鉄が赤字であるという場合におきまして、そういうものに金もうけをさしておることは、いかぬではないかということが言えるわけでありますが、われわれとしても、もし交通公社というものを、國家の予算において一般会計で引受けられるならば、それでよろしかろうと思う。けれどももしそうでなかつたら、これは國鉄が犠牲になつておるのであるということを、十分に皆さんに御理解願わねばならぬ。交通公社の仕事というものは、これは單に切符の取次ぎ販賣をするのが交通公社の目的ではないのでありまして、外客誘致あるいは日本の観光その他に関しまして、本來の使命がありますので、今日といえども外國に対する観光宣傳というようなことは、國策としてやらねばならぬ必要もある。それらの費用は、これから出ておるものが多いのであります。そこでそのような交通公社の外客誘致その他連絡輸送とかいうようなことに関する仕事を、これが政府の一般会計予算でやられるということになりましたら、そうではありませんが、今年度の予算にも二百万円ですか、私ちよつと数字を忘れましたが計上されておる。けれどもそれだけの額では、現在の交通公社が本來の交通公社としての事業を賄い得ないのであります。現在交通公社に切符を賣らしておるということは、交通公社が國家的事業としてなさねばならぬということに対する費用がないので、これに対する補助を國鉄の切符を発賣させることによつていたし、國鉄が犠牲を拂つておるというふうにお考えを願いたい。それで交通公社に対する切符販賣権の可否ということに関するならば、國鉄としてはこれは賣らさない方がよいので、しからばその代りには交通公社の事業に対する費用をほかからみてくれるようにということを、私は申し上げておきます。現在國鉄が交通公社に切符を賣らしておるということは、これは國鉄が國家的事業のためにやはり犠牲をこうむつておるという点を御了解願いたい。こう思います。
○川島委員 ついでに申し上げておきますが、交通公社のことは、あなた方の立場では一應了承しておるようなことでありますが、私どもには意見があるのです。それは別にして、今お伺いすると、地域別の待遇はあるが、それ以外にはないのだということであります。私はそういうことは労働組合としても考えてほしい。われわれも考えなければならぬと思うのですが、先ほども申し上げたように、機関車乘務員あるいははなはだしいのは連結手、操車場に働く人たち、こういつた人たちが、普通の國鉄從業員より以上の過重な労働をされておるということは、あなた方もよく御承知のことと思います。ところが私どもが圏外で見つておりますと、そういう特に著しい労働に携わつておるあなた方の同齢に対して、別な待遇をされなければならぬという声が比較的にわき上り方が薄い。こういうことは、私は諸君の同僚のための労働組合のあり方としては、必ずしも妥当な行き方ではないと思う。運輸省自身も、こういうことについては、相当深刻に考えなければならぬ。しかるに運輸省自身も、きわめてそれを軽視しようとする。殊に諸君の同僚である人たちの中に、日夜雨に打たれながら、雪に打たれながら、風に打たれながら、身命を賭して過重な労働に携わつておる数万の同志諸君がおる。その同志諸君に対しての心強い励ましの言葉ともなるような、ほんとうに底からわいたような同志愛的な待遇改善、あるいはその他のことについての心配をする声の上り方が少い。こういうことであつては私はならぬと思う。あなたに言うことは釈迦に説法であるけれども、連結手とか機関車乘務員とか、あるいは操車場の從業員、これは國鉄の統計をまつまでもなく、死亡率、負傷率において、実に一番大きい部面を占めておる。そういう人々に対して同志諸君がほんとうに眞劍に考えていくことによつて、國鉄の労働組合のほんとうのあり方も、そこに一つ生れてくる。そういうことについて諸君は熱心に考えておるのではありましようけれども、表に具体的に現われてこない。從つて連結手とが、機関車乘務員とか、過重な線路工手とかいう労働に携わる方面の人たちが、月に年にだんだん少くなつてくる。かりにあつてもきわめて素質が惡いものである。こういうことであつては、かりに國鉄再建五箇年計画を立てても、また國鉄全体の労働者の配置轉換を行つても、その目的は達成できない。同時に大きく言えば國鉄再建計画の一番基盤になるべきそういう方面に対して、あなた方が重点的に考えてほしいと、われわれは外で見ておつた場合に考えられる。そういうことについて組合自身もあなた方のお力によつて、そういう方面に全力を盡してみるという考えに、あるいはいろいろな調査をされて、待遇の諸條件の改善、そういうことを中心にして全体の待遇の問題を考えるということに、私どもは外から見ておつていつていただきたい。そのことが望ましいことではないかというように、私どもは痛感をしておるものであります。われわれも國会議員としてそういうことについて、政府に対していろいろ具体的な情報を進言いたしまして協力をするつもりでありますけれども、この際ひとつあなた方にも組合の今後の待遇改善問題についてはそういう方面に大きく目を開いてやつていただいて、諸君の同僚である、しかも過重の労働に携わつておつて、しかも死亡傷害率の多いきわめて不幸な人たちが、年々歳々何百人と出ており、片足をなくし、あるいは生命を落し、その家族がそのあとにおいて生計に苦しんでおるという人たちが、私は相当おると思う、そういう方面にも私どももやりますが、諸君自身においても、ひとつお力添えをして、努力をしてもらいたいということをこの際お願いを申し上げます。
○星加公述人 いや、どうも……。
○鈴木委員長 これからはいわゆる一般公述に移るわけでありますが、第一に日本教職員組合の中央執行委員長荒木正三郎君、東京であります。荒木君どうぞ……。
○荒木公述人 ただいま御紹介にあずかりました荒木であります。本年度の予算につきましては、きのう來各労働組合の代表の方から、それぞれ意見を述べられました。われわれもまた同一の意見をもつておりますので、ここに詳細述べることを省略させていただきまして、だだ結論だけを申し上げますと、今度の予算は、その性格において、反勤労者的である。資本家擁護の予算である。しかもこれによつては現下のインフレを克服することもできない。また國民生活の安定をはかり、経済再建にも期待することができない。かように考えまして、この予算案に対しては全面的に反対の意向を表明するものであります。 そこで予算一般に対する見解は、その結論だけに止めまして、私からは主として教育予算について申上げたい。かように考えるのであります。 教育予算の中核になつでおりますものは、六・三制実施に関する問題でありますので、主としてこれを中心にして意見を申し上げたいと思うのであります。皆様のお手許にその資料をお渡しいたしておりますので、その資料に基いて順次説明をいたしたいと思います。六・三制は昨年の四月から実施せられたのでありますが、この実施計画がきわめて杜撰なものであつたために、今日全國的に六・三制は非常な混乱に陷つておるのであります。そのことは私どもの調査によつて、明瞭に数字的に現われておるのでございます。そこでその表をごらんいただきたいと思いますが、表の右半分は教組において調査統計をいたしたものであります。ぞれによりますと、現在の新制中学校においては、小学校から多数の教室を借用いたしまして、それによつてようやく賄つておるという状態であります。小学校から四万一千六百五十二という教室を借用して、これを新制中学に充てておるのでございます。小学校にこれだけの余裕があるかと申しますと、戰災あるいは水害等のために、小学校自身においても、教室が非常な不足をしておるのであります。この不足の中から、さらにこれだけの教室を中学校に提供しておる。そのために小学校では、全面的に二部授業をやつておるのであります。中学校に教室を提供し、そうして小学校みずからは二部授業によつて、ようやくやつておる。こういうことがはつきり出ておるのであります。その数が実に四万教室に及んでおるということ、これが教育にいかなる影響を與えでおるかということは、申し上げるまでもないと思うのであります。それからこれのみでもまだ新制中学の教室が足らないので、新制中学自体においても、二部授業や、仮教室を多くもつておるのであります。この仮教室はあるいは会社の倉庫だとか、そういうものを使つておるわけなのですが、その数が一万七千百十四教室という大きな数に達しでおるのであります。そこへさらに加えて本年度の新制中学に新しく入学します者は百三十三万人ばかりでありまして、これに要する教室は三万三千六百十四ということになるのであります。すなわちこれを総計いたしますと、本年度において新制中学の児童を収容するのには、普通教室のみにおきましても、九万二千三百八十教室が入用となるのであります。これに対しまして、本年度、政府はこの六・三制実施に必要な経費をいくら見積つておるかということを、左の表において申し上げたいと思います。これは結論を先に申し上げますと、今度議会に提案された六・三制予算は、その表には書いてございませんが、すでに御承知のように、五十三億八千万円であります。そのうち戰災復旧費として五億円、それから災害復旧費として一億円、それから四月には追加予算として六億円、それから今年度の新制中学建設費として四十一億円、合計五十三億八千万円ばかりが計上されているのでありますが、そのうち実際に新制中学の建設費として計上されている國庫負担分は四十一億円であります。この四十一億円から出てくる教室は、その左にある一万九千八百三十七であります。これを右の表と比較いたしますと、本年度どうしても入用な最小限度の教室は、九万二千三百八十であります。これに対して政府の予算の基礎になつている教室数は、一万九千八百三十七にすぎない。すなわち最小限必要な大体四分の一に足らないのであります。 なお、いかにしてかくのごとく削減を見たかという今までの経過をこの際申し上げたいと思うのでありますが、当初文部省は今年の新制中学の自然増加は約百万人と見込んだのであります。そうしてこれに必要な教室を二万二千七百七十九と見て、その予算額を九十八億円、こういうふうに見たのであります。この算定は、この自然増加において教組の調査によると百三十三万、これに対して文部省のものは百万、非常な開きがあるわけであります。これは私どもは実態調査において全図の学校からその調査を集計して得たものであります。これに対して文部省の調査は推定調査でありまして、昭和十四年の数を基礎にして昭和二十三年を推計して百万という数字を出したのであります。從つて文部省調査が実態に即しておらないということが言い得ると思うのであります。この自然増加に、加えて、二部授業と仮教室を解消するために三千六百六十三教室を建設しなければならぬ。これは一部の解消であります。これの合計が二万六千四百四十二教室、少くとも文部省は新制中学の建設費として、文部省の考えの上に立つても、二万六千教室は建てなければならないのであります。ところが上の欄では二部授業を一部解消して、下の欄では二部授業をさらに強化して四万三千六百教室をこれから俘かしていく、こういう措置をとつたのであります。そして差引要求額として二万二千百三十六教室を要求したのであります。このことは私どもとしては、了解できないところでありまして、文部省は最小限二万六千教室なければやつていけないということを世間にも公表しているのであります。それをさらに二部授業を強化することによつて、四千教室を俘かしていく、それが最後の決定になりますと、さらにそれよりも二千教室あまり減らして、結局最後決定は一万九千八百三十七教室になつている。かようにずんずんと減らされてきているということについて、私どもはどうしても了解し得ないものがある。かように六・三制の実施によつて現在約十万教室が足らない。それに本予算においてはわずかに二万教室しか組んでいないということについて、私どもは非常に不満をもつているのであります。このことは教室だけのことを申し述べましたが、いかに今六・三制実施が混乱に陷つでいるかという一つの他の例として、教員の数が非常に定員数に不足をしているという事実であります。私どもの調査によりますと、大体新制中学において、七万人の教員が足らないのであります。それから小学校の方においては、約十七万人足らないのであります。從つて今日教員の足らない教室というものは、非常に多いのであります。それに加えて施設の不十分、あるいは教科書の不完全配給その他から、小学校・中学校通じて、非常に教育の内容は低下している。それが反映いたしまして、兒童の不良化というような憂うべき現象が起つているのであります。特に教員の数が足らないというばかりでなく、教員の質の低下ということも、また非常にはなはだしくなつているのであります。これらについても、詳細に申し上げる余裕はありませんが、その一例をあげましても、十九才以下の教員、これは必ずしも年が若いから惡いという意味ではありませんが、しかし一般的にそれだけ素養が低いと見なければならぬと思うのでありますが、十九才以下の教員が全國で小学校において二万五千六百六十三人、これは全体の一〇%にあたつているのであります。それから教員のうち、女教員が大体五〇%を超えているのであります。これは女教員が質が惡いということをいつているのではありませんけれども、このこともまたわれわれとしては考えなければならぬ。また考えていただかなければならぬ問題であると思うのであります。こういうようなことを実態を調査して、その結論を申しますと、教育は非常に混乱している。強いて言うならば、教育は崩壞に瀕しているということが言えると思うのであります。これはどこから原因しているか、いろいろ理由があると思うのでありますが、やはり政府の教育復興に対する十分なる政策がないということに起因すると、私は考えるのであります。しかも敗戰以來歴代政府の教育に対する考え方は、きわめて反勤労者的であるということを言わなければならぬと思うのであります。そのことは事実において現われているのであります。すなわち、教育費を國家が負担しないために、先ほど公述人からもお話があつたように、強制寄附が行われているということであります。この強制寄附に対する一般國民の反感は、非常に強いものがあります。しかし子供の教育を考えて無理な中からその寄附に應じているというのが現状であります。東京都においても一人当り多いのになると、五千円ぐらいの強制寄附がされそいるということであります。これを全國的に見ましても、的確な数はわからないのでありますが、二千円とか三千円というものになるのではないかと思います。これを集計いたしますと、二百億あるいは三百億という強制寄附が行われている。こういうふうに考えられるのであります。すなわち、政府は昨年以來六・三制の予算に対して、総計して百億に足らない。そのために地方ではこの負担が直接国民大衆の上に降りかかつている。これは明らかに政府の教育政策は勤労階級の犠牲によつて事実行つていると言わざるを得ないのであります。過日の全國の町村長会議において、義務教育費は全額國庫負担にしろ、こういう決議がありましたが、これは國民の声であると思うのであります。そこで議会におかれましても、この國民の声を反映していただいて、教育費の國庫負担を大幅に増額していただきたいということを、切に要望したいのであります。 簡單でありましたが、大体以上申し上げまして、この予算審議にあたりましては、教育費の大幅の増額をせられるよう切望してやまない次第であります。(拍手)
○大神委員 都市と農村の教育費支給の関係について、どういうお考えをもつておられるか、伺いたいと思います。
○荒木公述人 ただいまの御質問は、都市と農村における教員の需給状況はどうかという御質問であると思いますが、これは現在の生活事情が反映いたしまして、都市の教員数は非常に不足を來しております。その半面、農村における教員は過剰ではありませんが、都市に比べて非常に良好な状態にあるということは言えると思うのであります。
○大神委員 いや、甲地区、乙地区とあるでしよう。あれに対するあなたの感じを伺いたいと思います。
○荒木公述人 給與の面についてでありますか。
○大神委員 そうです。
○荒木公述人 これは私どもその地方の生活の実情に合うような給料が支拂わるべきであるという考えに立つておりますので、当然都市と農村の待遇は相違があるべきであるという考えをもつているわけであります。
○加藤(シ)委員 ちよつとお伺いいたしますが、ただいま男女の同一労働、同一賃金ということが問題になつておりますが、あなたのごらんになるところでは、教育関係においては、それは今日すでに実行されているとお思いになりますか。まだそうなつていないとお認めになりますか。
○荒木公述人 これは一般的に申し上げまして、大体給與の面においては、全國的に見まして平等の地位に引上げられております。しかし一部まだそこまで行つていないところがあります。これは主として教員組合の要求によつて、あるいは熾烈なる闘争によつて昨年來行われたものであります。
○加藤(シ)委員 それでは先ほど教員の質が低下してきたということを御説明になりました中に、女教員が今日小学校において約五〇%を占めている、この比率は必ずしも女教員の質低下のためにあげたのではないという御説明があつたのでございますけれども、それではどういうわけでそこへおあげになつたのでありますか。
○荒木公述人 それはまず先に年齢の問題をあげましたが、その次に女の教員の数でありますが、やはり男教員になる志望者が非常に減少してきたということ反面申し上げたつもりであります。その意味にお心て申し上げたのであります。
○加藤(シ)委員 そういたしますと、全体の教員の数の中で、將來女教員が数多く占めるということは、必ずしも教員の質の低下にはならないとお考えになりますか。
○荒木公述人 そり通りであります。誤解があるといけませんが、教員の志望者が男子において非常に減つてきたということは、その反面質の低下を物語るものであるということが言い得る。しかし女子の教員が殖えるということとはまた別であります。
○庄司(一)委員 あなたの日教の組合からごらんになつて、小学校の養護訓導の全國市町村の分布状態、また学校書記の分布状態、またそれらの國家待遇等に関して、どういう御観察をなされておりますか。
○荒木公述人 養護教員の問題は、大体都市及びその近辺においては実施されている状態でありますが、なお全國的には十分に実施されていない面があるわけであります。それから事務教員の待遇の問題でありますが、これは教員に比べて一段惡いのであります。そこで今度の二千九百二十円を実施する際に、われわれとしては教員と大体同じような待遇が與えられるように努力をしているのであります。
○鈴木委員長 次はやはり東京でありますが、城南信用組合の專務理事、小原鉄五郎君にお願いいたします。
○小原公述人 私城南信用組合の專務理事の小原鉄五郎であります。私は中小商工業金融と庶民金融を多年やつてまいりました関係上、現在の中小商工業者並びに庶民大衆の金融状況といつたような面につきまして、お話を申し上げたいと存するのであります。現在の中小商工業者は、政府にいたしましても、一般指導者にいたしましても、中小商工業の振興対策といつたようなことは、非常に叫ばれておりまするけれども、実際の面におきまして、これが実行できているかどうかということを考えましたときに、ほとんど掛声ばかりで実際の面に中小商工業者の対策はできていないというふうに考えるのでございます。 まず私が考えますときに、中小商工業者は、現在金融の面におきまして、ほとんど行詰つているということは、皆様方も御承知であると存するのでございます。その面につきまして、中小商工業者は、ほとんど個人の金貸業者によつて今日の資金を賄つているというふうな現状にあるのでございます。政府並びに皆様方の御心配によりまして、先般復興金融金庫ができまして、復興金融金庫が中小商工業者に対する金融をやるということを言われておりまするが、先般私が東京都の中小商工業の対策委員会に参りまして、復興金融金庫の当局者からお話を承つたところによりますと、昨年末昭和二十二年末現在でもつて、いくらの中小商工業者に貸付があるかということを伺つてみましたときに、昨年末現在で四億の貸付があるそうであります。四億と申しますと、この復興金融金庫が貸出しております中小商工業者と申します面は、大体一口あたり百万円以上五百万円以下といつたようなものを指して中小商工業金融ということを言つておられると思うのでございます。そこで件数にいたしましたならば、かりに百万円の一口あたりの貸出しをしたといたしましても、四億の数字であつたならば、幾人の中小商工業者を救済したかということを、私どもは伺いたいのでございます。そうしてそのときにもつと少しやつてもらいたいということをお願いしましたところが、ことしは十億ぐらいに殖やすということを言つておられたものですから、昭和二十三年度におきましては、幾分増加はいたしたと思いますが、大した増加はしてないというふうに考えられます。復興金融金庫の面におきまして、皆様方が御心配くださいまして、その出資金といたしまして、先般伺いますと、本年度におきましても、百数十億の予算を與えられるそうでございますが、そのうちにおいて、中小商工業者に與えまする資金といつたようなものはどのくらいございましようか。私ども本年度におきましても、まことに中小商工業者のために悲しむべきものではないかというふうに考えられるのでございます。この面におきまして、今申し上げた復興金融金庫が貸出しいたします面は、百万円以上五百万円以下といつたような——中小と申しましても、中の中のごく上の部の中小商工業者の金融がこれでたとえわずかでもできるのかもしれませんが、その百万円以下のあるいは一万円以上百万円以内の、つまり資金の必要な中小商工業者の面につきましては、復興金融金庫を利用するといつたような面が全然ないのでございます。もう一つには、今までのは大体復興金融金庫の状態でございますが、今日一般庶民大衆に対しまする庶民金庫というものがございますが、この庶民金庫が小口貸出をいたしておりますが、今日の庶民金庫はほとんど金を貸し切つてしまつた。また貸した金がとれなくなつてしまつたといつたようなぐあいで、ほとんど開店休業といつたような状態に置かれております。昨年厚生省の御心配によりまして、海外引揚者、あるいは戰災者に対しまして、生業資金という名目で貸出をいたしたのでございますが、ほとんどそれは使いはたしてしまつて、どうにもならないという状態でございまして、中小商工業者なり庶民金庫を利用いたします庶民大衆は、こういうものから貸出を受けることができないという実情で、先ほど申し上げましたような個人の金貸から月一割とか二割、今日では三割以上と言われておりますが、そういう高い金利をもつて商売をいたしております。現在私どもが携つております市街地の信用組合でございますが、この市街地信用組合が現在五十億を超える貯金をもつておりますが、その五十億円のうち、現在二十二億ばかり貸出しでございます。先ほど復興金融金庫が昨年末、中小商工業者に対します貸出が四億と申し上げましたが、現在私が直接担当いたしております城南信用組合という一つの組合ですら、三億以上の貯金を集めまして、一億四、五千万円、現在中小商工業者なり一般大衆に貸出を行つておるのでございます。ところが今日の市街地信用組合に対します日本銀行のあり方でございますが、私から見ますところは、大銀行の親銀行であり、発券銀行のような感がいたすのでございます。私ども市街地信用組合といつたような面からいたしますならば、ほとんどこの銀行は利用できないことになつております。日本銀行に私どもの城南信用組合あたりが、一遍取引をいたすような途を講じたのでございますが、もし日本銀行の金を借りることになれば、日本銀行から庶民金庫の方に資金をまわして、われわれの方に資金をまわすというぐあいになつておるのでございます。結局日本銀行と大きな銀行とは直接の取引ができるが、私どもの市街地信用組合には日本銀行から直接取引をしてもらえないのでございます。そこでどうしてそういうようなことになつておるかと申しますと、庶民金庫はほとんど資金がないという状態になつておりますので、われわれのように一生懸命に貯蓄を殖やしてやつておりますものの方が、むしろ今日大きいスケールになつておる。こういうときに庶民金庫が日本銀行から資金を借入れしたものを、今度は庶民金庫にいくらか手数料をとられてわれわれが金を借りなければならぬ。借りたものを中小商工業者に貸付をすることになりますと、中間に庶民金庫がありますために、中小商工業者に貸し出します面が、それだけコストが上がることがはつきりしておるのでございます。そこで日本銀行がどういうわけでそういうことをするかという面を考えてみますと、日本銀行と庶民金庫、あるいは大蔵省と庶民金庫という面には、人的に非常につながりがある。こういつたようなことで、庶民金庫が現在開店休業という状態にありながら、その庶民金庫を利用しなければ、日本銀行から資金をどうすることもできない。私どもが金を借りてきまして中小商工業者に貸出をし、また庶民大衆に貸出をしたいと考えまして、現在國債なり社債なりを相当額もつておりますけれども、その見返りのものがございましても、銀行ならば国債をたくさんもつておれば國債見返りで日銀からどんどん借入れができるのでございまするが、庶民金融機関に対しましては、日本銀行がどうも御理解がなくてやれないのでございます。先般私は日本銀行のある会合にまいりまして、そのときに申し上げたのでございまするが、ともかく銀行でなくとも、たとえ銀行と形は変つたものであつても、法律によつて許されておる金融機関ならば、それが小さい規模のときには日本銀行として直接にめんどうを見るということは困るかもしれないけれども、小さな機関であつても、だんだん中学生になり大学生になるというぐあいで、大学生になつたときには、たとえ変つた金融機関でも、日本銀行が直接にめんどうを見てやつてもらうというふうにしていただきたいと考えるのでございます。なぜそういうふうに申し上げるかと申しますと、結局國債や社債を相当もつておりまする一面、私の一つの組合といたしても、三億以上の貯金をもつております。そうすると、いざというときには貯金の拂戻しの準備もしなければならぬということになるのでございまするが、すぐにここで三億集まつたものを三億全部貸してしまうということは、むろんできませんが、相当額の國債なり社債なりの担保があるならば、そういう場合には、いつも日本銀行が心配するという裏づけがございまするならば、私どもはどんどん貯金も集めて、その集めましたものを、どんどん中小商工業者に貸せるということになると考えるのでございまして、ぜひ日本銀行と市街地の信用組合との間に直接のつながりをつけていただいて、中小商工業者なり庶民大衆の金融を便ならしめていただくようにお願いしたいと思います。 なお復興金融金庫の問題でございまするが、復興金融金庫の中小商工業者に対する貸出は、ほとんど中の上の部の貸出しかしてないのでございます。それ以下の貸出の面につきましても、願えることならば、復興金融金庫の中小商工業者に対する貸出のわくをもつと殖やしていただくように、皆様方から御心配願つて、そうして復興金融金庫が直接に貸出をするのでなくして、復興金融金庫に直接に小さい人たちが行つても、ほとんど現在受けつけてもらえないので、資金を貸してもらうということになりますと、相当そこに何かの担保が要るというようなうわさも伺つておりまするが、この復興金融金庫の中小商工業者に対するわくを與えてくださいましたならば、全國の五千以上の戸数のある町には、必ず市街地信用組合がございまするので、どうかそういう面につきましては、この市街地信用組合という地もとのよく事情のわかつたものに貸出をするというふうな條件をひとつつけげていただくように、お願いしたいと思うのでございます。 なお現在の庶民金融機関につきましてのあり方でございまするが、銀行や大蔵省の方の関係では、どうも市街地信用組合を非常に圧迫しておるように今考えられるのでございます、今日では課税の問題であるとか、いろいろの面で同じように扱われ、この間の金融機関再建整備法でも、銀行と同じように扱われるのでございまするが、ただ市街地信用組合法という法律がございまして、市街地信用組合には、今日かりに法人にいたしましても、法人が加入する途はできておりますけれども、二十万円以下の会社でなければ、市街地信用組合に組合員として利用ができない、こういつたような非常にむずかしい條件を設けておりますし、貸出においても、貸出することは五万円以下という非常にむずかしい條件をもつております。また区域にいたしましても、この区域というふうに、非常に狭い区域で仕事をするようにしろといつたぐあいに、いわゆる大きな銀行の方でやつていかぬというのは、信用組合のような機関が発達されることを恐れるのではないかと考えまして、どうも法の上において、非常に組合の仕事がやりにくい、これもぜひ是正していただくようにお願いしたいと考えるのであります。 私は以上申し上げましたように、復興金融金庫の中小商工業者に対する資金のわくをもつと殖やしていただくことと、庶民金庫の小口貸付では、とうていすることはできないので、何とかして庶民大衆に対する貸出という面につきましては、もう少し積極的に御心配を願いたいと思いますることと、日本銀行の庶民金融機関に対するあり方について、資本主義のやり方でなくして、どうか日本銀行はただ銀行だけの親ではなくして、日本全体の金融機関の親になつていただくことをお願い申し上げて、私のお話を終ります。
○鈴木委員長 御質疑ございますか。苫米地君。
○苫米地(英)委員 お伺いいたします。今お述べになりましたことは、まことにごもつともな点であつて、いろいろ考えてみる必要もあると思いますが、私どもから見ると、もつと直接の問題がありはしないか、こういう点についてお触れにならなかつたのですが、今度所得税法が改正になつて、市街地信用組合が三〇%の税金をとられることになつた。この影響は相当大きいと思いますが、この点いかがでしようか。
○小原公述人 お尋ねの点についてお答え申し上げます。今度市街地信用組合に対して、特別法人税というのがなくなつて、法人税一本になるという問題と、それから所得税の非課税の廃止、こういつたような問題が出ております。その他地方においては事業税のようなものが、今度かかることになつておりまするが、市街地信用組合は、先ほど申し上げたように預金を扱いまするのにも、銀行で扱いまするような層の大きい人ではなくして、ごく中産以下の零細な貯蓄を扱つております。それゆえ実際の面におきましては、今まで貯金など生れて一偏もしたことはないというような人たちに対して、貯蓄を奨めたりして、ごく零細な貯蓄を扱つております。そのために同じ貯金にいたしましても、銀行に比較してコストが高い。また貸出の面においても、先ほど申しましたように、市街地信用組合としてはごく小さな、つまり一万円以上大体五十万円以下といつたようなぐあいでございまして、平均にして四万か、五万程度の貸出が一口当りでございます。從つて資金コストはどうしても高くなる。また貯金の面においても、今日インフレを防ぐについては、たくさんの金をもつているような人たちは、貯蓄奨励をしなくても貯蓄してくれると思います。ところがそういう階級でなく、ごく小さな人たちが相当浪費をしていることは否めないのでございますから、そういう人たちにも、將來のために貯蓄をしていただくようにお願いしている。こういつたものを扱つておりますので、自然貸出においても、また貯金を奨める上においても、コストは高くなるのでございます。その意味におきまして、市街地信用組合には、今までは中小産者の機関であるというので、今お話のような特典があつたのでございますが、今度の税金関係においては、その面が全然なくなつてしまうことになると、市街地信用組合は、なかなか成り立たないのではないか、今日都会地における唯一の庶民金融機関となつておりまする市街地信用組合が、そういう経営難に陷ることは、非常に重大な問題ではないかと考えられるものですから、この市街地信用組合の課税、つまり所得税の非課税問題であるとか、取引高秘の問題であるとか、事業税の問題であるとかいう点について、何分の御盡力をお願いいたします。
○上林山委員 ちよつと金融機関の代表者という意味でお伺いすることは無理な点もあるかと思うのでありますが、その点を考慮に入れられましてお答えを願いたい。こういうように考えるのであります。というのは、金融機関全体から考えると、今度の政府の原案になつておりまする軍公の利拂を一年間たな上げする、この問題が非常に金融界の混乱を來すべきものであるという有力なる意見があるのでありまするが、あなたの立場からこれに対してどういう見解をもつているか。できるなら金融界を代表したような氣持で御発表願いたいと思います。
○小原公述人 ただいまの軍事公債のたな上問題につきましては、私は金融人といたしまして、絶対に反対でございます。その理由といたしまするものは、今年かりに軍事公債の利拂のたな上げをするということになりますと、公債に対する國民の考え方が、また大分変つてくると思う。今年だけのだな上げでなくして、また來年も國家資金が足りないというような場合には、たな上げするのではないかというぐあいに考えられるということになりますと、結局現在金融機関がもつておりまする國債が、現在六十何円かいたしておりますが、もつともつと値下りをしてしまつて、おそらく五十円以下にもいくのではないか、こう考えるのであります。五十円以下になりますと、ちようど金融機関の再建整備法によりまして、國債につきましては、確定の評價基準というものは、御案内の通り出ておりまして、あれが百円に対して九十八円の價格になつております。百円に対して九十八円の價格になつておりまするものが、かりに五十円に下つたといたしまするならば、大体四十八円ばかりの値下りということになります。四十八円ばかりの値下りと申しますと、かりに一億の國債をもつておりますれば、四千八百万円という多額の値下りになつてしまつて、四千八百万円の値下りになつたものは、何を見合うかといいますと、これは金融機関の預金が見合いで四千八百万円という金がそこに出てまいります。そういたしますと、預金をいたしておりまする預金者の利子というものは、金融機関の國債を最後の期限がくるまでもつておればいいが、途中で必要な場合もむろんあると思います。途中でもつて必要な場合があつたときに、その金融機関の財産目録を洗つてみたときに、ここに四千八百万円という赤字が出たということが一般の心理に映つたといたしますならば、預金する人に、今日貯蓄奨励をいたしましても、金融機関はそれだけのえらい欠陷があるということを十分に國民は考えまして、どうしても私はそういう心理状態からいたしましても、今後の國民貯蓄の上に非常に影響があるということが第一、もう一つには今後の國債というものに対する國民の考え方が、なるほど軍事國債であるから、それは戰爭当時のものであるからといつて片ずけられない面は、國家が発行したような國債を、しかも國債については新勘定に入れていい財産としてあります。そういうようなことをはつきりした法律が出ているにかかわらず、この國債の利拂をたな上げをしたということになりますと、國家に対する今後の金融機関なり一般國民の考え方が全然違つてくる。そこでもつて今後國家が相当の利息を支拂いましても、なかなかこの國債に應ずる人がなくなつてくるという面を考えましたときに、將來に残す禍根が非常に多くて、わずかの金額のたな上げをするために、えらい犠牲を拂うということについては、私は絶対反対であります。
○上林山委員 ありがとうございました。
○大神委員 復興金庫の貸出が昨年は四億、本年度は二億ほど見ておる。これは中小工業に貸している。だがこれを借りるのに非常に不便である。これはあなたの御言葉にも出ておるが、いろいろな批評がある。そこでこれはこういう金があるならば、これを市街地の土地の事情のわかつた人間のあなた方にまわした方が早いというわけですね。
○小原公述人 そうです。
○大神委員 かつまた信用ができるというわけですね。
○小原公述人 そうです、
○大神委員 庶民金庫は今まで事業をしたことがないものがやつておるわけだろうと思います。だから損をしてしまつて、貸付けた金はとれない。これが日本銀行が信用してこれに取引をわざわざさせて、一般中小工業の頭を搾取しておるわけです。こういうものは撤廃した方がいいというのが、あなたの御意見ですか。
○小原公述人 そうです。
○大神委員 わかりました。
○鈴木委員長 ただいま本会議が始まりましたから、一應議員の諸君が出席されましたから、ただいまこちらへ出席の手続をとつてこちらへ來られますから、しばらくお待ちを願います。 次には大阪の方で、朝日実業株式会社の社員坂井俊君。
○坂井公述人 坂井でございます。公聽会にお招きに預りまして恐縮に存じます。先ほど來公述人のおつしやつたことと、ダブりますと、時間の空費となりますので、なるべくこれは避けるようにいたしますが、あるいは話の都合でタブるかもしれませんが御了承願います。 まず二十三年度総予算、特別予算案を物價対策と賃金水準について拜見いたしますと、運賃、通信料金を大幅に引上げ、さらにタバコの値上げ、一般公定價格の七割値上げを行いますならば、公定價格以外、いわゆる市價、やみ價格を三・六%の上昇に止めることは、絶対に不可能であると存じます。現在すでに五月初めより一〇%上つておりまして、物によりましては、一割上つておるのがあります。これではとうてい三千七百九十一円の賃金水準はペーパープランにすぎないこととなりまして、日ならずして追加予算の提出を余儀なくされまして、インフレをますます高進させることは、昨年すでに経験済みじやないかと、私は思うのであります、それをまたことし繰返すということはせずに、私の希望といたしましては、これらの意味合において最小限度に止めていただき、そして賃金水準に再檢討を加えていただきたいのであります。それから経営の合理化、これは関係御当局において、すでに御研究とは存じますが、鉄道関係について多少目立つたところを申し上げますが、これは先ほども述べましたが、列車の走行キロ数が非常に殖えておる。これは戰時中に軍事上の目的から私鉄を買収したからだろうと思いますが、その相当買収したものを民間に拂い下げていだだいたらどうかと思います。それからこれは全國的ではありませんが、大阪鉄道局管内だけだろうと思います。私鉄の從業員が、その身分証明書をもちまして、大阪鉄道局管内の路線を無賃乘車しているのに、これを鉄道從業員が黙認しております。これを取締つていただきたいのであります。取締つても金額にしては大したことはないと存じますが、しかしこういうことを放任しておいて、鉄道運賃の大幅値上げをするということになりますと、一般國民の鉄道從業員に対する感情は、尖鋭化するだろうと思います。 次には流通秩序の確立でございますが、賃金水準の裏づけとしてでも必要であることは、私から申し上げる必要もないと思います。 次に秘法の改正につきまして意見を申し上げます。それはます第一に勤労所得税の基礎控除の引上げ。原案では今後の物價とにらみ合わせますと、依然として勤労者階級に過重な負担をかけることになります。これは少くとも月二千円、年に二万四千円に引上げていただきたいと思います。これが代り財源といたしましては、高額所得者、殊に事業所得者は、特にその基礎控除を引下げていただきたい。それからインフレ利得者を消費面でとらえていただきたい。インフレ利得者は、もうけるときはあまり人に知られないようにもうけるのでありますが、使うときにははでな使い方をいたします。まず第一に新旧円切換え以後に不動産を取得した人、これは家屋は時價によりまして十万円以上のものを取得した人に税金をかける。ただし農地改革による田地の取得者は、除外していただきたいのであります。 それから次に贅沢品の購入者、衣類、家具、書画、骨董、化粧品などの購入者に対して、今の物品税は品目別の税率になつておりますが、同じ化粧品でも、二十円の物もあれば二、三百円の物もございますから、この一定價格以上の物品に対して、物品税の増徴でも結構でありますが、取引高税の方でもこれを考慮をしていただきたいと思います。 その次にこのごろできましたいわゆる礼交喫茶、女給がサービスをするキヤバレーとか、カフエーとかいうもの、あれを利用する者は、インフレ利得者に限られておりますから、これに対して遊興飲食税の大幅引上げをしていただきたい。 それか政政令に違反して飲食した人、粕取なんかは高が知れておりますが、山海の珍味を並べた豪華版で、宴会をしている人には、できるだけ重い罰金を科していただきたい。なおその人々の住所とか事務所とかを調べますと、インフレ利得がつかめるのではないかと思います。 次に映画館、劇場の特別席の入場者に対しても、入場税の方で特別に御考慮を煩わしたいと思います。 それから乘物利用に賛沢をする人、汽船汽車の一、二等でありますが、現在鉄道の運賃は二等は三等の三倍をとつておりますが、二等は三等の五倍程度の料金に引上げていただきたいのであります。それから鉄道公債を発行する場合には、この一、二等乘車券と抱き合わせにして、一、二等の乘客にこの公債を負担させるというような措置をとつていただくことが、適当じやないかと思います。 それから今度は取引高税について申し上げますと、取引高税は取引の実態を完全につかめない現在では、はたして予定の税収を得ることができるかどうか、きわめて疑わしいのであります。でありますから、これが徴税の煩瑣に乘じまして、脱税をされますから、それを防止するのに人件費の膨脹を來すということにもなりますので、これを修正していただきたいのであります。そうして大体において物品税率を引上げる。但し生活必需品の税率はこれをすえおきにして、贅沢品のみ税率を引上げていただきたい。それから物品税の対象外の取引についてのみ、取引高税を適用していただきたいのであります。 それから納税観念が昨年度の税収に徴じましても非常に低下している。過小申告をするということが、もう社会通念のようになりかけているのでありますが、これを防止して税収を確保するために、追徴税率をもつと引上げていただきたい。そうして過小申告者とか脱税者には、これをどしどし課していただきたいのであります。 それから延滯料でありますが、これを五銭から十銭に引上げた程度では、普通に借金して税金を納めるよりは、延滯料で賄つておく方がずつと安くあがる。そういう横着な観念から、なかなか税金を納めない人が出てきて、結局差押え一歩手前まで納めないということになりますから、この点に御考慮を願います。 それから徴税技術の問題でありますが、税の更正決定について、昨年は一年分をまとめて更正決定をされて通知をされたので、この通知を受けました納税義務者が、いかにも過重の感じを受けた。でありますから、これをできることならば一納期ごとにやつていただきたい。そうしてその際に前期の決定額とそれをにらみ合わせて申告に不審がありますれば、その場で納税義務者に一應質していただきたいのであります。そしてその際に押問答をしておりますと、結局税収の能率の方にも影響しますので、その要旨を聽いておいて後ほど調べる。結局納税義務者が事実相違をやつておる、事実に反しておることをやつておるときには、どしどし追徴税を課していただきたいと思います。 急いで申し上げましたが、この予算全体を見ると、何となく追加予算を予測させるような予算でございますが、これは決して健全予算とは申しがたいように思いますので、前に申し述べました趣旨について、何分の御修正を煩わしたく存ずる次第でございます。
○鈴木委員長 御質問がございませんか。——なければ次に移ります。次は福岡縣の方で農業西村兼一君にお願いします。
○西村公述人 私は農民代表という委員長のお言葉に自分の責任の重大さを感じておりますが、しかし私が申し上げる言葉以上に、農民は現実の問題について、非常に関心をもたれていることと思います。重要産業の再建は、石炭、鉄等の傾斜生産方式により、急速に復興しつつありますが、農業についても、こういう施策を講じ、また予算面に組み入れるよう考慮していただけますれば、われわれはなお一層に意を新たにして、農業増産に邁進するものと思います。 現在農業政策は重要産業とは反対に、物價、課税政策の犠牲により圧迫せられているような現状であります。これらを裏書きするものは、全國各地にあります廃耕届、こういうものによく示されているわけであります。何十年、何百年、何千年という間耕やしてきた土地に愛着のある農民が、農耕地を放棄するということは、よくよくの原因がなくではならないものだと思うのであります。この点について、政治家、特に予算委員の方に、強くお願いするものであります。私も福岡縣の一農民として、政府が現在音頭をとつておられる一割増産ということには、非常に関心をもつておるものであります。食糧において一割増産と政府が申されなくても、われわれは昨年の春以來一割増産へと計画し、実行しておるものであります。本年にはいつてまた一割増産という計画をもつてやつております。ついては私たちの増産意欲をほんとうに実現させるためには、特に予算の中で考えていただきたい点が非常に多いのであります。今日このようにして機会を私に與えられたことは、農民代表ということを別として、私個人としても非常に喜ぶものであります。農産物價の價格は、すべてパリテイ計算によつて行われておることは周知のことでありますが、その基礎になる米價のパリテイ計算を、公正にやつていただきたいということを要望するものであります。また米價は年四回ないし五、六回に区切りまして算定するようにお願いいたしたいと思います。現在日一刻とインフレーシヨシは進んでおるものであります。そういうことを問題とされまして、なお一層農民に犠牲を多く負わせないという点に御考慮を願いたいものであります。六月の十五日、毎日新聞紙に総司令部のデヴイス農務課長殿の談話が載つておりますが、現在の日本の農家は、米價、あるいはその税金、あるいは農業福利、そういう点に相当考慮する余地があるのでないかという談話を発表しておられます。そういう点においても、すべてただ政府当局のみでなく、われわれも積極的にその点は働きかけるつもりであります。今年度の農民課税の問題につきましても、徳川三百年以來の圧迫以上の、矛盾の多いと申しますか、過酷と申しますか、非常な重い税金の問題でありますが、私たちから申せばこれは糞づまり徴税と申しますが、この点は税率を根本的に改革することと、徴収の方法を徹底的に民主化する。私の考えでは、この査定委員会に農民の代表を少くとも四割ないし五割くらいを入れていただきまして、査定していただきたいという点を希望するものであります。また現在予算に農業技術の浸透についての予算が組み入れられてあるということは、私たち農民にとつては、非常に嬉しいことであります。しかしずつと前より私たちの村にも農業技術指導農場というものがあります。私たちの村を対象とすれば、それにあたるかもしれませんが、私たち八箇農村で一農場をもつておるのでありますが、その技術指導者はたつた二名しかないのであります。そうして限られた時間に全産業に技術の浸透をはがることは、現在の実情において非常に困難な点があるのでないかと思います。その点におきまして、一層政府当局が技術の浸透という点に重点的に御考慮を願いたいと思うものであります。また農業に畜力が必要だということ、これは農業に一番必要な問題であると思うのであります。非常に過酷な税金のために抑えない、差し押えが來て困つて牛馬を賣る。そういうことによつて、ついに農業の有畜化あるいは機械化、能率増進は阻まれておる。牛馬がなくて手でやつていけるものではない。そういう点において、政府は畜産的方面に重点的に力を注ぎくださいまして、全農家の有畜化という点に御協力をお願いいたしたいものであります。 これは直接農業とは別の問題でありますが、六・三制の問題については、全額國庫で受け持つていただきたいと私は思うのであります。今日の農村は、六・三制を生誕し得る経済能力はもう全然ないのであります。去る五月二十七日の毎日新聞紙上に、森戸文相はこう言つております。今度の予算は絶対に通過させる。すべての点で國民に少しでも文化的なものを與えるためには、私は大臣のいすをなげうつても鬪うという、力強いところの、われわれ農民あるいは労働者に明るい言明をしてくださつたものであります。こういうことを聞いたわれわれ農民は、あすの將來に明るい夢を見、將來の民主化あるいは社会の合理化という点を念頭に置きまして、一割が二割、いや三割でも増産をやる決心を新たにして、すべてに邁進しておるものであります。 また治山、治水の問題についても、全國三千有余の大小河川があります。そうしで五割、すなわち千五百くらいの早急に修理しなければならない川があると承つております。長期予報によりまして、今年は台風が來る見込みが非常に多いということを聞いております。その点におきましても、川の修理をしなければ、農家が何十年間耕してきた愛着のある、また國の食糧をつくつていく美田を一朝にして流してしまうという恐ろしいものでありますから、そういう点におきまして、なお一層の御考慮をお願いしたいものであります。 以上いろいろ申し上げましたが、私の申し上げたことは、農民の代表として申し上げるには、非常に足らないものがあると思うのでありますが、全國約三、四千万の農民は、私以上の要望があるものと思つております。そうして融会の下積みとなつている農民に対して、熱意ある指導をお願いいたしまして、私の話を終るものであります。(拍手)
○田中(松)委員 米價の改訂を年に三、四回とおつしやつたようでございましたが、これはたとえば物價改訂などがあつたときに、そのたびにという意味ですか。それに関係なしに三、四回くらいというお含みでしようか。
○西村公述人 それは物價の改訂に関係なくやつていただきたいということです。
○田中(松)委員 実際上にはどういうお含みなのですか。こういうぐあいにしてほしいというような御希望はありませんか。
○西村公述人 私個人の考えといたしましては、非常にインフレは進んでおると断定するものであります。そういう場合に、どこを基準としてよいかわかりませんけれども、農家は朝暗いうちから、夜暗くなるまで、十二時間も十五時間も過剰労働をやつておるのであります。六箇月間において反当五俵ぐらいとれたといたしまして、保有米が二俵一斗ぐらいだといたしますと、供出は二俵、三俵出しても、三千有余円ぐらいにしかなりません。それは半年の自分の被服、電熱器、農業に必要な経費、その他交通費、あるいはすべてを計算した場合、とうてい食つていかれないのでありますから、直接引上げるということはむずかしいことであると思いますが、助成金というような名目でもよろしゆうございますから、そういう処置をとつていただきたいのであります。
○加藤(シ)委員 有畜農業のことをおつしやいましたが、たいへん結構な御意見だと思いますが、ただいま福岡縣において家畜を飼つておる農家などに、國家あるいは縣当局から、具体的に補助を受けていらつしやるところがございますか。
○西村公述人 人から話を聽いたのでありますが、末松会長さんが京都郡で牧畜業をやつておられましたが、自分の家の財産のみでやつたために遂に失敗されました。また昨年五月ごろに福岡縣下に炭疽病がはやり、そのために農家の牛ないし馬が相当の打撃を受けだのであります。あるいは現在のように肥料事情の惡いときに牛馬の糞をもつて肥料とする。あるいは農業一本では食つていけないという場合は、馬を使つて馬車を挽いて仕事をやる。そういう面においても、また必要じやないかと思うのであります。私個人の考えでありますから、あいまいなこともあると思います。
○加藤(シ)委員 補助は何も受けていらつしやらないのですか。
○西村公述人 受けておりません。もう一つ、忘れておりましたが、今度議会に新たに提案中の土地使用税、あるいはそういう問題については、私たちは非常に不満を感じておるわけであります。内容はよくわかりませんけれども、現在のように農村の経済事情の逼迫した時代において、反当七百円くらいの税をかけることは、非常に考慮してもらいたい点があるんじやないかと思います。
○鈴木委員長 最後の公述といたしまして、全國問屋協会の專務理事有賀禄郎君の御意見を承りたいと思います。
○有賀公述人 私有賀でございます。私は商業者の意見を総合いたしまして、皆様方に傳達してみたいと思います。時間の関係もありますので、簡單に申し上げます。 今まで各政府において、中小企業振興という看板をかけましたが、眞に振興された面がどれだけあつたでしようか。業者はこれを不満に思つております。なかんずく商業においてしかりであります。商業面に対する政策に何があつたか。これは明治以來回顧してみますと、商業組合制度ができたくらいのものであつたでありましよう。その他はいずれも取締りの規則であつたのであります。これで何で中小商工業、なかんずく商業者が振興されましようか。現在政府におかれましても、中小商工業の方面に対して御配慮をわずらわしているような次第でありますが、現在商業者が最も困つておるのは、先ほどもお話がありましたが、資金の点、第二には統制の点であります。第三には税の点であります。統制については、たとえば物價統制の品種が何万あるか、何十万あるかわからぬほどあるのであります。こうした物の公定價格を励行し得たならば結構でありますけれども、現実においては、おおむね励行されないものが多いではないかというふうに見られております。非常に遺憾な現象でありますが、そこで考えなくてはならないのは、ほんとうに公定價格を守つて、正直な営業をなす者の営業が次第に萎縮し滅亡しようとする実情にあるのであります。新興商人、やみ商人の経営は振つておりましようけれども、正直に営業をしている者の営業は不振の極に達しておるのであります。よつてこの統制は、國家全体から見てぜひともせねばならぬもの以外については、ひとつ整理を行つてほしい、こういうことであります。税の点については現在思わざる税を課せられて呻吟している者が非常に多いのであります。税を重く課せられたその結果はどうなるかと申しますと、この税金を拂うためにはやみで物を売らなくては拂えないのであります。こう申してよろしい次第であります。これは非常に遺憾な現象でありますが、そうした者もあるわけであります。要するに業者として、なかんづく正直な業者として負担にたえきれない課税、これが問題なのであります。今度取引局税が出るそうでありますが、この税金なども、取引の各段階において税が課せられるといたしましても、結局最終消費者に渡るまでには、相当な高税率になりますことは、先ほどもどなたか申されましたが、この取引高税は、結局やみ売を助長する結果に陷りはせぬかと考えるのであります。こうした各種の脳みを商業者はもつております。税金をもつと軽くしてほしい、こうした熱望を皆もつております。それにはいろいろな方法があるかもしれませんが、商業者が外観からあるいは素人として考えまして一番よいのは、行政整理をすることであります。現在の官廳の中には整理されてもよい機構があるのではないか。またそれによつて人員の減少もできるのではないか、こう考えられております。もつともこの行政整理については、失業者の出ることも予測せねばならぬのでありますから、失業者の対策は、失業者の対策として別に考えられて、そうして行政整理を断存してほしい、こう言つておられるのであります。さらに國有財産の方面においても、何か収入になる途があるのではないか、こう言われております。さらに國有企業に対しても、民間に拂下してよい種類のものが探したらあるではないか、こういうふうに言われております。 次に申し上げておきたいのは、民間における企業整備が進捗し、官廳の行政整理が進捗する結果は、当然失業者が出てきます。今までの政府あるいはその他有力学者の考えといたしましては、商業面へ失業者を出すことが最も無難であるというふうに考えられております。しかし商業面は失業者の捨て場所ではない。商業人口がますます多くなるということは、結局やみを多からしむることになり、品質を低下せしめ、消費者に御迷惑を與え、さらに生産者にも御迷惑を與える結果になるのでありますから、失業人口を商業方面にあまりに多く、必要以上に多く出さないところの政策をとつてほしい、こういうわけであります。その次には先ほど申し上げました優良業者が今や滅亡せんとしておるのであります。やみあるいは惡質業者をいかに取締つても、これは取締りきれるものではない。よつて優良なる業者の営業を維持育成せしめ、それを引伸ばしてやる。そうしたことによつて、自然的に惡質業者を排除し得るという状態にさせてほしい。要するに優良業者の維持育成策、これにはあまり金はかからぬと思いますが、とにかくこうした政策を今後強力に推し進めてほしい。こういうわけであります。 以上非常に簡單でありますが、申し上げまして、私の責をふさぎたいと思います。
○鈴木委員長 御質疑はありませんか——それでは以上で二日間にわたる公述を終了いたしました。長い間たいへんありがとうございました。公述においていろいろ有益な意見を聽きましたので、これを十分参考にいたしまして、明日日曜でありますから、明後日午前十時より質問を続行することにいたします。 本日はこれで散会いたします。 午後四時五十分散会