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2回国会衆議院1948/06/18

予算委員会公聴会 第1号

発言数
63
登壇者
20
会派数
4
開催日
1948/06/18

会議録

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 開会いたします。  本日は二十三年度予算案に対する公聴会でございまするが、御承知のように東京急行電鉄のストライキのために、議員並びに公述人の方々の御出席が遅延いたしておりまするが、しかし時間の都合もございまするので、開会いたしまするが会議に先だちまして、公述人の方々が御多忙の中から御出席いただきましたことに対しまして、委員長といたしまして厚く御禮を申し上げたいと存じます。(拍手)  案件につきましては、お手もとに差上げてございまするが、二十三年度予算に関しまして、総論として、本年度予算と復興五箇年計画の第一年度実施計画の関係。本年度予算は経済中間安定の橋渡しとなり得るか。本年度予算と外資導入計画の関係。経済中間安定の段階と目標の具体的構想いかん。本年度予算と年間及び四半期別の資金計画並びに物資需給計画との調整いかん。本年度予算はインフレーシヨンを緩和するか、それとも激成するか。新物價、貸金体系は合理的根拠を有するか。新物價、賃金体系は維持できるか。新物價体系は企業の赤字を、新賃金体系は家計の赤字を解消できるか。本年度予算が実質的均衡財政となるための方策いかん。  各論として、歳入は、本年度予算の間接税中心主義は、インフレーシヨン下の租税政策としてやむを得ないか。源泉納税と申告納税の不均衡ははたして是正されたか。新所得税法案は、はたして勤労者の負担を実質的に軽減するか。申告納税の更正決定方法の改善策いかん。農業課税は農業生産に悪影響を與えないか。取引高税実施のほかに財源はないか。取引高税は新物價、賃金体系を崩壊せしめないか、あるいは脱税とやみ取引を助長しないか。法人税の軽減は外資導入に役立つか。酒類の税収成績を食糧政策と矛盾しないで高めることができないか。各種租税(特に所得税)の積算はいかにして行われたか。米、薪炭及び繭の價格改訂差額には、いかなる財政的措置が適当か。タバコ専賣益金の増徴は見積り過大でないか、あるいは新物價、賃金体系を動揺せしめないか。國民所得と課税所得の差額は、やみ所得を脱税せしめていないか。  歳出については、價格調整合等の赤字補填策は、企業経営の合理化を妨げないか。復金への政府出資を民間保有復金債券の償還のみに限ることは穏当か。交付公債を予算に託上しないのは至当か。行政費の節約は、行政機構改革によるか、天引行政整理によるか。六・三制予算の財源独立の可否。学術、教育、文化費は適当に計上されているか。災害復旧費の増額の財源いかん。公共事業費制度は、再検討を要しないか。終戰処理費等の直接及び間接費は、その他の支出額と調整されているか。軍事公債の利拂停止措置法は、國際信用を高めるか、赤字公債化とならないか、他の財源への充当は効果的か。本年度予算の消費支出と投資支出の不均衡は調整できぬか。これについては、消費支出(終戰処理費、賠償施設処理費、連合國財産返還費、價格調整費、物資及物價調整事務取扱費、政府出資金、政府事業再建費、價格補正等特別補充費、船舶運営会補助等累計二千七十六億円)投資支出(公共事業費、住宅復興資材費、新制中学、定時制高等学校、盲聾唖教育義務制実施費、農地改革費、農業技術浸透費等累計五百四十一億円)、各目節の予算單價はいかなる倍率によつているか。予算單價に交通、通信料金の値上げ及び各商品間のはね返りを見込まなくてもよいか。  地方財政、地方財政の国家財政への依存度(分與税、分與金各種補助金及び交付金)は、さらに低減できないか。地方財政の財源独立と支出増加をいかにして調整するか。地方税の増徴及び新設は、大衆負担を加重しないか。地方財政支出の使用監査をいかにして行うか。  財政収支の均衡、本年度予算の収支均衡をいかにして実現するか。本年度の収支政策と日銀及び復金の金融政策とは、綜合的に四半期別に確立されているか。借入金限度額及び大蔵省証券の発行限度額の拡張は、収支均衡策と矛盾しないか。  運賃、通信料金の引上げ、鉄道通信特別会計の独立採算制は、いかにして実現されるか。旅客運賃は公益事業料金か、それとも課税か。貨物運送原價の高騰はいかなる理由によるか。旅客、貨物運賃及び通信料金の倍率は合理的か。高熱量(六千カロリー以上)省用炭の使用が何ゆえに困難か、その総合的打開策はないか。鉄道会計の用品勘定、物資購入及び保有量は、合理的に運営され七いるか。鉄道通信特別会計制度自体とその運用に改善の余地がないか。鉄道通信特別会計所属の特殊物件ば、いかに処理されているか。鉄道通信特別会計の本年度予算は、両会計の復興五箇年計画と資金及び物資面においていかに裏づけされているか。鉄道、通信料金の種別収入予算額は合理的に配分されているか。  以上でありまするが、これらの多数の案件に対しまして、せつかく遠い所からわざわざ出席を願いましたにかかわらず、時間の関係上、公述の方々に対してはなはだ短い時間よりないことに対しましても、あらためてお詫び申と上げたいと存じます。

田中源三郎民主党

○田中(源)委員 ちよつと議事進行について——ただいまの委員長が御朗読になりました予算中に、歳出の第十一項について、政府用資金、政府事業再建費等に関するものはいわゆる総予算の面に計上されておりますが、私は先般來投資予算と消費予算の内訳を、本年度予算に対する資料の提出方を求めておつたのでありますが、まだ出ておらぬのであります。私から見ますと、政府出資金、政府事業再建費等は、純然たる消費予算に合流されるべきものでないと考えておるのでありまして、その点につきましては、これらなどはもう少し純正に見ますると、疑義のある問題でありますから公述人におかれましても、その点、お含みの上御意見を承れば、私は非常に結構かと思います。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 公述の順序は御出席の都合によつて多少の変更がございますから、その点は御了承願います。最初に金融資本側といたしまして、三菱銀行取締役会長千金良宗三郎君にお願いいたします。

千金良宗三郎

○千金良公述人 私がただいま御紹介にあずかりました千金良宗三郎でございます。あの今日ただきました問題の紙を、実は前から知つておりませんでしたので、あの通りの答えはあるいは用意しておらないかもしれません。私の考えておりましたことを申し上げておりますうちに、あれに触れてまいることももちろんあるかと思います。それでひとつ御容赦を願いたいと思います。  まず二十三年度の予算を概論的に見ますと、これは予算そのものではありませんが、しかし予算の作成がいかにも遅れている。これはいろいろやむを得ない御事情はあることと思いますが、しかし予算の成立が非常に遅れているために、一般政府の支拂も澁滯しております。これが結局金融面への負担にもなつております。申すまでもなく、現在非常に生産の高揚が必要なとき、今のような政府の支拂の澁滯、從つて産業資金がそれだけ澁滯するわけでありまして、生産面にもこれが及んでおります。われわれはなるべく資金の効率化を進めたいということを常に考えているのでありますが、どうも今のようでは資金が停滯しまして、結局生産資金はよけい要るというような状態になるのであります。  それから次は今度の一般予算三千九百九百九十五億、この中の約千億円あまりが経験処理費、それから賠償施設の処理費、こういうもので費されることになつております。なお地方の分與金、これが約四百四十九億、結局約四千億余りの予算の中で千五百億というものは、ほとんど國策の第一義的なものからはずれている。從つてわれわれはまずこの方をなるべく節約できるものならしてほしいという希望でありますが、しかしこの方がやむを得ないものとすれば、あとの残りの二千五百億円、これをできるだけ効率化して使つていただきたい。その点においていささか疑問があるのであります。  まず予算を立てるときにわれわれの希望としては、まず生産高揚ということが第一で、これを主眼としなければ、いかに均衡財政であつても、またインフレ克服の手段を努めておられても、結局それは履行できないのじやないかと思います。  こまかいところにはいりまして、まず物價の問題でありますが、昨年七月に物價の改訂をいたしました直後から、なおこの改訂の必要があるのじやないかというふうに思われておつたのでありますが、はたして赤字の累積でありまして、結局再度の物價の改訂が必要になつた。しかしこの改訂が、今度は非常にインフレーション対策という点からなるべく小範囲に止める、從つて物償の補正であると、こういうふうに言つているようであります。結局時期をいささか失している。この物償の改訂の面は、だんだん大きくなつてくるのではないか。どうも單に少数の物質の補正に止まらず、かなり全面的に物償が改訂されなければならぬようになりはしないかと考えられるのであります。この新予算の編成は、補給金と赤字金融、公債の引上げ、この三つからできているようであります。まず補給金の五百十五億、これを見ますと、なるほど二十一品目に限つて、それに対して基準年度の百十倍とか百二十倍というものをもつて一種の安定帯を考えているのではないか。これは一應ごもつとものようであります。しかしこの物償そのものがほんとうに維持できるか。二十二年度の当初予算において、百億円見込まれたのが、さらに追加予算で百三十八億円出された。こういうふうなことと同じことが起るのではないかと、われわれは多少心配いたしております。   それから赤字金融の点でありますが、今鉄道の百億と通信の五十億、これはとにかく未曽有の値上げをしながら、なおかつかくのごとき大きな赤字金融をするということは、実に驚くべきことなのでありますが、しかし國鉄にしろ、あるいは通信の方面にしろ、なお合理化の余地がないのか。どうも官業の常として、企業的な経営心というものがなお必要ではないかということを考えるのであります。私鉄の方にしましても、やはり非常な赤字金融はしているようでありますが、しかしなおかつ企業の合理化をやつて、かつかつ今のような國鉄におけるごときことはないのであります。もつと官業の方に企業化ということが必要なのではないか。もう少し合理化ができるのではないか。これは国鉄の人件費が物件費よりも少い、非常にパーセンテージが少くなつておるということで、人員の方の合理化ができないのだ、やるとしても非常に余地が少いのだ、ということを聴きますけれども、しかしこの人件費のベースになつておる、昨年度にすれば千人百円と二千九百円の混合ベース、今度はおそらく三千七百円ベースでやつているものと思いますが、そういうふうな小さい数字でもつて人件費を計算していれば、やはり物件費が人件費よりも嵩むというような計算は出てきます。はたしてこれが眞相であるかどうかどいうことを疑つておるのであります。それから公債の改正に伴いまして、必ず伴つてくる増加運轉資金の問題であります。これは現在物償を上げれば、必ず資金の供給がなければ、必然的に生産の量は減退するのであります。現に現在のわれわれが直面している資金難、この問題もおそらく資金は極端にまで枯渇しているという情勢がところどころに見えているのであります。これをもしも政府がいわゆる均衡予算の建前によりまして、いたずらに歳入とにらみ合せて支拂いを行う、あるいは四半期ごとに金繰りをつくりまして、その金繰りの範囲で歳出歳入を均衡して——これはもとより今の四千億という大きな予算、殊にまたこれに特別会計の予算を入れたならば、非常に大きな額であります。特別会計の純予算は、おそらく九百億だろうと思います。こういうような大きな予算を途行する上においては、もとよりある時期を限りまして、第一・四半期なり、あるいは第二・四半期なり、そういうふうな各期的に一種の金繰りをつける、これは非常に必要なことでありますが、しかしいたずらに金繰りにばかりとらわれてしまつたならば、非常な資金難を來す。もちろんこれは金融の方にその負担はかかつてきます。從つてわれわれの方でその跡始末をすれば、必然的に日本銀行の非常融資を仰がなければならない。これはなかなか今御承知の通り預金はそう増加しませんから、結局預金による資金の調達はある限られた範囲であります。そうすればやはり日本銀行券の増発によつて、この不足が償われるということになるのであります。いずれにしても、結局同じことになるので、ただそれが予算の上で収支の均衡のみはかつても、これはインフレーションの克服にならない。それは日銀券の面に出てくるというわけであります。  なおこれはちよつと氣ずいた点でありますが、最近外貨獲得というようなことで、いわゆる輸出貿易を振興させる。これは非常に結構なことではあります。しかし最近は非常に大きなものが出てきた。これは非常にいい傾向ではあります。たとえば船舶の輸出、これはごく最近に現われてきた現象でありますが、外國船の注文をとつて、日本で船をつくつて、外國に輸出する。これは申すまでもなく、造船のようなものは一種の総合技術でありますから、造船をすることは、各種の機械工業あるいは建築方面の仕事、いろいろなことを促進する。從つて日本の産業の振興という方面から申しますと、非常に望ましいことである。ただ、これを引受げますと、造船には一年もあるいは二年もかかる。從つてただ引受けて、でき上つて、それを海外に賣つて外貨を獲得するということになつたのでは、その間に内地のインフレーションは進行します。まず第一に外國から資材を入れて、それによつて船をつくるならば、これは労銀だけの問題であります。しかし、そのところが結局問題なんで、内地の造船業者としてはもちろん結構なことであるから、これは貿易廳の方で前拂いをするでしよう。また歩拙いもするでしよう。しかし肝腎の外國の方の造船注文者が前拂いをしたり、歩拂いをドルでするということがほんとうにきまつていなければ内地だけでいたずらにインフレーシヨンが起つてくる。もともと今度のはたしか聞くところによりますと、海外からは鉄鉱石と重油、あるいは粘結炭くらいはくるそうです。しかしそれでもつて内地で製鋼をして、製鋼した鋼材をもつて船をつくる。この間の工賃、この間のいろいろな副資材の消費を考えると、えらいインフレーションになる。おそらく一トンがただいまの円價に直して五万円ぐらいのものだろうと思いますが、結局大量の注文、たとえば今度は十七艘ぐらいの注文だといいますから、一万トン級とすれば十七万トンでありますが、しかしいろいろな形があるでしよう。少くとも百億近いものがただいまのところ注文がある。これがもしもこの七月の物價改訂の影響をこうむると、またどのくらい膨脹するかわからない。さらにまた、この上労働攻勢のいわゆる物價のはね返りを考えますと、おそらく百何十億というようなものになるのではないか。それでは貿易廳は如才もないことと思いますが、しかし海外との取引をするときに、やはり事業家的なセンスをもつて、十分ドルの前受金、あるいはドルのわけ拂、こういうものがもらえないと、内地だけでもつて前渡し、あるいは分割拂をしていたのでは、少しも日本全体の経済としては、インフレ対策にならない。申すまでもないことでありますけれども、こういうところは、ひとつ皆さんにおいて十分官廳の方も御研究くださつて、できるだけ日本の産業を振興し、かつまたインフレーションの対策も十分立つという面でもつて、産業が振興していくようにしていただきたい。こう思うのであります。私はまだ詳しいことは知りませんが、どうも沿革を聞いてみると、ほんとうにドルの前拂と、あるいは造船運轉資金がついているかどうかということが疑われるのであります。ついでながら増加運轉資金のお話をする機会に申し上げたようなわけであります。  それから新給與水準の例の三千七百円でありますが、どうもこの均衡財政を考えられて、その上でもちろんなるべく歳出を緊縮するということは、当然のことでありますが、しかしこの三千七百円ベースというのは、はたして維持できるものかどうか、これがもしも少きにすぎるようなことがあれば、やはり物價と賃金との悪循環を起して結局この予算の体系が崩れることになる。現に官公労の方では、この物價の改訂ということを前提としないで、四月手取額で五千二百円というような要求も出ているとか聞いております。ただ予算面で賃金べースを小さくきめても、結局それが実行されなければ予算そのものが安定しないということになるから、これを心配しております。  それから復金債券の問題でありますが、復金債券は、今度復金の政府の出資金は百八十億出ております。申すまでもなく、本年度の復金債の償還高は、たしか五百十億円、結局日本銀行の保有している復金債だけはそのままにしておいて、それでそのほかの復金債の満期になつたものをお拂いになる。こういうような筋合だろうと思います。しかし復金債というものは、初めから全部現金償還という建前です。なかなか消化は困難なのであるが、それを必ず現金償還をするということは、たびたび大藏大臣なんかも言つておられた。ただ民間の者だけが現金償還を受けても、そのほかの復金債が延びるということになれば、一種の政府の赤字を復金債でごまかしているのではないか、こう見られてもしかたがない、復金債の信用というものは落ちます。從つてなかなか今でも例の融資準則によつてむりやりに復金債を消化しているという情勢が一層円滑に行かないのではないか。こういうことを心配されるのであります。やはりこれは結果においては復金債を消化して、一方においてその始末をするということになれば同じごとではあります。しかし建前は建前ではつきりしておいて、ここにけじめをつけるということの方が、復金債のために、また國家の財政の將來のためによろしいのではないか、こう考えられるのでございます。復金自身はもちろん現在のような異常な金融情勢のもとにおいては非常に必要で生産が増強されるというためには、復金債がよけい出るということは、あるいはやむを得ないかもしれない、しかしその後始末はきれいにけじめをつける。それから新しいのを出すというようにしていただいたら、一般の金融業者も安心して持つようになるだろう。現在でも地方銀行関係では、もちろん地方銀行のみではありませんが、殊に地方銀行関係は復金債はあまり歓迎しない。これはなぜか、それがたくさんになると、終いにまた入氣が落ちるのではないかというおそれがあるからであります。復金補償というのを非常に歓迎しないのは、補償の満期が來たら復金債で拂うのではないか、こういう心配があるからであります。いろいろの点から復金債の信用ということは、ぜひけじめをはつきりつけていく方がよいのではないかと考えられるのであります。地方財政と例の行政整理のことでありますが、地方財政の分與金四百四十九億、それから新税事業税が二百六十億、地方債が二百十一億、約一千億近いものが、これで一應権衡はとれてつじつまは合つているようでありますが、しかしこの大部分が経常費関係でありまして、大体人件費、物件費、こういう方面にまだ節約の余地があるのではないか、こういうことが思われるのであります。殊に中央官職と地方官廳との事務の重複、こういうふうなことを考えますと、この点にまだ再検討の余地がないか。殊にまた一般会計の行政整理一五%、これも非常に少いのではないか。われわれは不思議に思いますのは、官廳の労働時間が六・六時間われわれ民間のものは皆それ以上働いている。しかし官廳は六・六時間で、しかも行政整理が一五%どうもちよつとふしぎに思われるのでありますが、何か特別な事情があるのかもしれません。大体そういうふうな点が氣づいた点であります。  歳入の方でありますが、四千億近い財政の切まわしにつきまして、税制の改革、この辺はまだ私は新聞で見たきりしか承知しておりません。しかし大体において、どうも直接税から重点が間接税に移つていくというのは、現在の情勢においてはやむを得ないのではないか、こう思うのでありますが、ただ日本の破壊された産業の復興、そのためにはどうしても資本の優遇ということが必要なんです。資本の蓄積ができないようでしたら、なかなか産業の復興ということもむずかしいという現下の情勢であります。法人税のようなものは、もつと一層軽減したらどうか、現在ではまだ税率が多少軽減のしかたが不十分ではないかと思うのであります。いずれにしましても、この四千億というような大きな財政の予算を遂行していきます上においては、なかなかの政治力が必要ではないか。歳入の方は特にそうでありますが、歳出の面においても、非常な政治力が必要なんじやないか。この予算の実行には、ぜひその点も非常に力強いものが要請されるものと私は考えております。はなはだ粗末でありましたけれども、考えつきましたことを申し上げました。(拍手)

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 特に御質疑はございませんか。——なければ、次に早稻田大学講師風早八十二君にお願いいたします。

風早八十二

○風早公述人 少し手続の上の手違いから、昨日私は参議院ですでに予算問題に関しまして公述を終えたのであります。さらに再び今日衆議院で皆様に私見を申し述べることははなはだ恐縮であります。いろいろ鈴木予算委員長を初め、委員方の特別なお取計らいに深く感謝いたします、できるだけ昨日の公述と重復しないで、若干ほかの視角から意見を出してみたいと思います。  大体今度の予算がその歳出においても、また歳入の面からしても、極端にインフレを助長させる膨脹予算である。またその間にそのいずれの面からしても、非常に階級的であり、かつ民族の独立を非常に危くするような危險も藏しておりはしないか。こういうことについては、昨日すでに述べましたので、今日は省きます。大体いろいろほかの公述者のお話などを伺つており、またいろいろ議員の方々の意見を聴いておりますと、この財政問題、特に予算に関する論議が、とかく同じ資本家陣営の中で、資本家的な利害と、非資本家的な利害とをいかにして調整させるか、こういう点から論ぜられるように、多く見受けられるのであります。たとえば金融界の利害を特に代表しておられる方々からは、財政の方面が非常に手薄である。たとえば復金などにおいても、復金に対する政府の出資金というものが、今度はわずか百八十億である。これは非常に少い。この結果は結局復金の復興公債の発行などから見ましても、一千億以上というものは復興債券として出す。結局日銀がこれを引受げなければならない。これは財政の負担というものを、結局金融界に背負わせるものである。こういうかうな御意見が相当あるのであります。しかしながら、これはその裏を返せば、また同じようなことが財政の面から言える。これは補給金の問題などにつきましても、まつたく同様でありまして、やはり金融問題と財政問題とについて、お互いに論議を交しておられるようなふうに見受けられるのであります。軍事公債の利拂停止の問題につきましても、これは大体が世会党の左派の方々が、最も熱心に主張されたところであります。これに対して、從來民主自由党の方々なり、またその他にもいくた反対がある。こういう場合におきましては、これは必ず金融界を代表して、その利益を守る立場から反対しておられる。しかしながら、こういうふうな、ただ財政と金融との想互の対立摩擦をどの程度に調整しようかというようなことによつては、今日の問題は解決しない。殊にいずれにしましても、財政がもしもその場合に多少緊縮されても、そういう立場からの緊縮であるならば、これはきわめてわずかでありまして、金融界は非常な圧迫を受けなければならぬ。インフレをますます助長させなければならぬ。しかもこれを突き詰めてみますれば、財政面における基礎というものは、結局は税金であります。金融面においても、結局はインフレーションはどこにそのとばつちりがいくかといえば、言うまでもなく、これはまず第一に勤労大衆である。そしてまたまじめな産業資本家であります。これは税金の場合においても、また特にインフレーションの場合においても同様でありまして、今日問題は、むしろその一部のまじめな産業資本家並びに全勤労大衆と、そしてこの金融資本家なり、あるいはこれの利害を最も忠実に代表されようとする方々である。こういうふうな二つの対立抗争がむしろ根本でなかろうか。これを徹底的に解決し、今までの金融資本中心の考え方を今改めていくのでなければ、これは予算問題はおろか、日本の再建はとうでい不可能である。今日はそういう段階にきていると私は思うのであります。  このことは、もう一つさらにつつこんで、今度の財政予算の背景をなす國際的な諸関係に目をやるならば、これは一層はつきりしてくると思うのであります。今日のいき方は、すでにその土台がぐらついている。大体現在のこの予算、さらに遡りまして、すでに政府の方で発表されました経済復興五箇年計画は、それ自身独立したものでなくして、やはりドレーパー報告、もしくはジヨンストン報告に大体照らし合わしたものである。このドレーパ一報告、五箇年計画、そしてまたこれを達成するための中間安定方策というようなものを十分にらんで、その上に今度の予算が立てられたものであると、われわれは解釈している。それは一應きわめて論理的でありますが、しかしながら、しからばこれらの予算の根底をなしているこういつたいろいろな國際的な條件がはたして安定しだものであるか、またそれは成就するものであるか、この点がはなはだ疑問なんであります。これは外資の問題一つとりましても、きわめて不安定なものであることは、皆様もつくづく最近は感じておられると思います。このガリオア・フアンド四億二千万ドルというものはともかくといたしまして、そのほかこれは救済資金でありますから、直接わが産業再建、日本の復興に決して役に立つわけでもないと思いますが、直接産業再建に役立つはずであるエロア・フアンドであるとか、あるいは回轉基金であるとか、あるいは綿花の借款であるとかいうようなものになりますと、これははなはだ不安定であります。先ごろアメリカの國会におきまして、このエロア・フアンド一億五千万ドルが、下院では全面的に否決されている。これは上院の委員会では、その六部分が復活しつつありますが、これはまだどうなるかわからない。また同軸基金一億五千万ドルは、ほとんどもう望み薄であることは、一般に予想されているところであります。残るところは綿花の借款わずか六千万ドルだけである。こういつたことによつて、はたして日本の再建ができるかどうか。殊にこの一億五千万ドルのエロアがはいるかはいらぬかできまるような、そんな安つぽい日本の再建ではなかろうと思う。一億五千万ドルをかりに一ドル二百円と換算いたしましても高が知れております。二百億やそこらの金がどつちに轉ぶということによつて、わが國の前途がどうにかなつてしまうというようなことではなかろうと思います。これらのことを考えまして、大体この非常に零細な外資にのみ頼るという政策は、それが成就してもしないでも、これは決してわが國の再建にほんとうの基礎を築くものではないということを、われわれは信ずるものであります。それでアメリカ側の國会で、なぜエロア・フアンドが否決せられたかということについては、すでに一般の新聞においても出ていることでありまして、今日ここに申し上げるまでもありませんが、われわれはどこまでも連合軍というものを多角的に考えていく必要があるということだけは、ぜひ申し述べておきたい。これを非常に固く、特定の一國だけに限つて、これにとにかくすがりついていきさえすれば、それによつてわれわれはどうにかなるというような考え方は、それ自身日本の独立性、独自性をみずから放棄し去つた考えとまつたく相表裏するのであります。もちろんこの独立性と申しましても、国際法上の独立性を言つておるのではない。これはポツダム宣言その他によりまして、事実上その効果として認められ得るところの独立性を言つておるのであります。しかしながら、その意味におきましても、独立性をまつたくみずから放棄し去つて、一國だけに頼る、これは非常に柔軟性のない対外政策であると私は思う。この柔軟性の欠けていることと、独立性をみずから放棄することとは、今申したように、まつたく相表裏している関係であると思うのであります。もう少しこれからいろいろな國々の、場合によつては対立する利害関係を十分つかんで、もつと柔軟性のある対外政策を考えて、その上に立つて、われわれこの予算を考えた場合においては、今の予算の組み方とは非常に変つたものができなければならないと思うのであります。この予算はわれわれが常々申しているごとくに、非常に階級的なものでありますが、こういうふうな組立方が、事実どういう効果を及ぼすかというと、この予算によつて遂行せられる日本の再建の政策をきめて、日本の工業の特來のあり方をきめていく。すでにドレーパ一報告なり、あるいは今度の政府の発表した経済復興五箇年計画なりによりまして、予想せられました日本の工業の將來のあり方というものは、はなはだこれは特徴あるものであります。これに対しては中國を初めオーストラリヤ、イギリス、あるいはその他の諸国におきにまして、ほとんど共通して反対の見解をもつている。それぞれの反対の理由は違いますが、これは反対である。いずれにしても、日本が再び軍閥、財閥の結合した専制的な独裁的な支配のもとに置かれることになりますれば、アジアの諸國は非常な不安である。今日ドイツに対してアメリカの政策が非常にヨーロツパの諸国に対して不安を生じているということと同様に、やはりこれはアジアの諸國に対して非常な不安を巻き起している、こういうことを言つておるのであります。これはまたアメリカにおきまして、いわゆる第三党としてヘンリー・ウオーレスのラインがすでに指摘していることである。そうして最近におきましては、トルーマン大統領やマトシヤル國務長官の所属している大体民主党の議員の中からも、多数非常に批判的な見解が発表せられている。そういうわけでありまして、これらを十分に廣く考え合わせますならば、われわれが今日もうこれだけが唯一の日本のいく道だというように考えておる。今度の予算に示された大きな方向に対して、もう一つ自己反省を促さなければならないのじやないかと考えられるのであります。その意味で、私は今回この予算が遅ればせながらも議会で上程せられる場合に、社会党の議員諸公初め、各党各派の議員諸君におかれまして、もう一つ虚心担懐に、ほんとうに日本の民族再建、日本の國民経済復興の立場に立たれまして考え直していただきたい。私は結論から言えば、今度のこういう組立方の予算と一いうものは、その根底が少しぐらついている、これが実現した曉には、非常な禍の本になる。これが國際的にもきわめて不利な情勢を日本に対して巻き起すものになるということを申し上げて、これに対する全面的な反対の見解をここで述べたいと思います。そうしてもちろん額におきましても、総額は四千億でありますが、これは結果でありまして、結局その内容が問題なのだ、こういう内容を盛る限りは、これは終戰処理費諸関係においても、また補給金諸関係におきましても、そのほが警察費あたりの増大というような点から申しましても、これは当然こういう組立方をすれば膨脹せざるを得ない。しかもこの膨脹の事実を許すところのものは税金にほかならないのであります。でありますが、もうすでにこの税金を徴収することがいかに困難になりつつあるかということは、すでにこの一年間の経験が示している。この二十二年度の最後の二、三箇月におきまして、今年にはいりまして猛烈な徴税が行われた。たしかにその成績はあがつた。しかしながら、その場合の成績というのは、相当これは私はあえて暴力的とは申しませんが、しかしながら、きわめてこれは乱暴なものであつたということは断言してはばからない。この非常に乱暴な更正決定などによりまして、もう首を縊つて死んだ者はいくらも私どもは知つている。またこれによつて破産した者もある。われわれの近所の八百屋さんなどでも、これは私どもが事実税務署にお連れして、これらの問題について解決を迫つたのでありますが、もう税務署の方では、お前のような人間は死んだつてもいいというようなことまで言つておる。しかも死ぬ方法まで教えてくれておる。こういつたような乱暴な仕打で、ずいぶんと無理な徴収をやつたということがあるのでありまして、これをまた今年度の終りに当つて強行するということは、私はきわめて危険な問題であると考えるのであります。そういうような意味におきまして、この財政の唯一の基礎であるところの徴税が、すでにこういう状態にある、危殆に瀕しておるということは、結局はこの膨脹がすでに限界に達しておる、むりであるということを証拠立てて余りあるものと考える。その意味におきましても、徹底的な財政の収縮というものは、当然考えられなくちやならない。一般に資本家の財政というものは、まず歳出がありまして、そうして歳入というももがある。しかし今日われわれにとつては、まず歳入を考えてその上に立つて歳出を問題にしなければならなくなつてきている。それほど國民生活は危殆に瀕しておるのであります。この事実を十分に御了承願いまして、この予算の徹底的な緊縮という大衆の要求を十分に取入れられんことを私は切望してやまないのであります。  今日はきわめて抽象的な問題で終つたのでありますが、すでに時間もありません。問題はこの予算そのものだけを切離して、今日はもはや何ものも解決できない。予算そのものの解決はできない。どうしても今日すべてわれわれの根本的な態度を切換えていかなければ、予算の問題も行詰つてしまうんだということを申し上げて、私の公述を終りたいと思います。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 青木孝義君から質疑があるそうです。

青木孝義民主自由党

○青木(孝)委員 風早氏にちよつとお伺いいたしたいと思います。  ただいまいろいろと御説明をいただきまして、われわれにもよくわかるのであります。しかし風早氏の言われる通りに、あまり抽象的でありまして、現在私どもが本予算を取扱つております立場から考えますと、もう少し具体的なお話を願つたらばという感がいたすのであります。たとえば現に本予算は直接税から間接税に移行してきている。しかもそのうちで特にわれわれの関心をもちますのは取引高税とか、あるいはまた事業税とか、こういうふうなものがすぐ頭に上つてくるのであります。これらを一体どういうふうにしていつたならばよろしいか。われわれとじては、できるだけ所得税中心主義でいきたいということは、これはだれも考えておるところでありますが、しかし現在の日本の財政においては、とうていこれでは賄つていかれない。であるから改めて新しい財源を求めなければならぬが、その財源をここに求めておる。しかしこのことは、およそ不当であるというようなことにも考えられますし、あるいはまた國民の担税能力が非常に貧困で、いわば飽和点と申しますか、最高度に達しておるということも、われわれは知つておるのであります。こういう二つの点、あるいはその他今回の税制等において見られる点については、いようにお考えになつておられますか。その点ひとつ伺いたいのであります。

風早八十二

○風早公述人 大体この税制につきましては、もちろんいろいろ数字をあげて申すべきことでありましたのですが、時間もありませんから、根本的な問題だけに限つた次第でありまして、はなはだ申しわけありません。大体税金の種類でございますが、今お話のごとく、確かに直接税から間接税へというような傾向はもちろんあると思います。この間接消費税というものを中心にするということは、これは資本主義の発達から言いますと、実はフアシズムの財政におきまして、最も特徴的な税金のとり方であります。今これがますます殖えつつあるということは、これははなはだ特徴的であります。今度所得税の免税点を引上げ、また所得税の税率の方も若干緩和した。こういうようなことが一應理由になりまして、その穴埋めを間接消費税でもつて賄う。そこで取引高視というものが新設されるというような提案が出ておるわけであります。もちろんこれはさらでだに今日間接消費税がもうあらゆるものにかかつておるのでありまして、これにさらに過大に二重の課税をしようという。これは税法の建前から申しましても、私は少くもこれは税法の趣旨には反する乱暴なとり方であると考えるわけであります。もちろん取引高税は全廃しなければならないと考えております。しかしながら、取引高税だけが問題ではないのでありまして、間接消費税とは言われない、たとえばタバコの專賣益金にいたしましても、また鉄道運賃値上げ、通信料金の値上げにいたじましても、皆間接消費税というそめ本質においては、少しも変らないと思います。これらをみな合わせれば間接消費税の割合というものは、出欠に全体の六〇%以上、税収入の六割以上に達するというような現状であるのであります。こういうふうな間接消費税中心の税体系は、差詰めどこにその負担がかかるか、言うまでもなく消費者、大多数の勤労大衆にかかることは、わかり切つているわけであります。しかしながらさらにこれに附げ加えそ税金の問題に関連して、直接税というものそれ自身が、また問題になつているということを申し上げたいのであります。それは直接税の中で、勤労所得税は言うまでもありませんが、あるいは甲種、乙種、丙種の事業所得税、特に業者に対する事業所得税や、農民に対する乙種事業所得税のごときは、これはその大部分が非常に問題であると思います。それはどういう意味であるかといいますと、これが大衆課税であるという意味で問題であるというのであります。私が大衆課税と申します意味は、これが生活費に食いこんでいる税金であるという意味であります。結局業者の場合におきましても、その必要経費というものの中には、自家労力の費用ははいつておらない。しかしながら、この自家労力は、天から降つてくるわけではないのでありまして、やはり三度の飯を食い、家族を養いながら出していく労力であります。その費用が全然はいつておらない。もしこれを入れますならば、完全に赤字になるという経営が実に多いのであります。これを入れないで黒字を出して、そうしてその事業所得というものをこしらえて、これに対して残酷なる税金がかかつてくる。こういうふうに名は直接税であり、所得税でありますが、実際は大衆課稔である。勤労所得税に至りましては、これは問題でないのであります。ほとんどすでに食べられない賃金である。つまりそれ自身もすでに生活費に食いこんでいる資金というものから、さらにその上をはねているのが、この勤労所得税でありますから、これこそは典型的な大衆課税である。われわれがもし税金を強いて分類いたしますれば、大衆課税であるが、資本課税であるかということを重視しなければならぬのであります。その意味におきまして、こういうふうな大衆課税は大幅に軽減し、場合によりましては、これを全廃するという方法をとつていきたい。これを今間接消費税に反対す主張と併せて申し上げたいのであります。  さてその財源でありますが、財源はかねがね私どもも強調しております。これは大体この今日の不当ないろいろな取引から生ずる、あるいは不正な取引から生ずる不当利得者、こういうものも、特にこれはいわゆるやみブローカーと言われる人たちがその中心でありますが、これらからの税金を徴収していく。これは実はほとんど税金をとられておらない。実にはげしいものでありまして、これは実例だけについて申し上げます。皆様は議会の中におられますから、いろいろな点について、われわれ街を歩いております人間から、しばらく御報告をお聴き願いたいと思うのであります。たとえば私どもが今住んでおります地域におきまして、この間区役所において責任のある調査をいたしました。それによつて明かになつたことでありますが、たとえば民主自由党の総裁をやつておられる吉田茂氏、こういうふうな方が所得なしでありまして、所得なしというのは、年収三万以下です。そうして都民税、区民税がわずか百二十円、こういうふうなことになつておる。そのほか新宿や高円寺あたりのマーケットの大親分、名前は一々省きますけれども、それらの人たちがやはり所得なしで、都区民税合わせて二百四十円でのるとか、あるいは三百何十円であるとか、こういうふうな実例がざらにある。しかも実際においてこれらの人たちがどれだけ收入を得ておられるかということはこれは私どもも一人々々についてはつきりはわかりません。しかしながら、全体として日本にやみの金がどれだけ動いておるかということ、しかもそれらを実際運営しておる人たちが、この二つに符合することだけは間違いない事実でありまして、われわれはこれを十分証明することができる。こういうふうなところから、徹底的に徴税していくということが、何よりの早道だと考えるのであります。しかもこれは決してできないことではない。税務官更の方々はもちろん、これをやろうとしてもできない。場合によつては、暴力をもつて抵抗せられてできないというような場合がありますが、これはしかしながら税務官吏の方々だけでやろうと思うからできない今日こういうふうな税制の大きな切替をやる場合におきましては、どこまでも一般の國民大衆の支持のもとに、これらと協力してやらなければならない。この協力を求めますならば、これらの徴税ということは、必ずしも私は不可能ではないと考える現にこの議会におきまして、不当財産取引委員会ができただけでも、非常にいろいろな成果があがつておる。これはもつと廣く國民の中から、委員が出てこれに当るならば、もつともつと大きな成果があがるというふうに期待し得るのであります。こういうふうな変革期にあたりまして、今まで通りのただ一通りの考え方というものを排除して、やはりこの変革期にふさわしい変革的な措置をとることによつて、初めてわが國はこの財政危機からも救われるのであるというふうに考えるものであります。  お止めがないためにたいへん長くなりましたが、実は賃金の問題につきましても、この賃金の問題が今度の予算の問題の根底をなしておる。これが三千七百円ベースというふうなものに一應くぎづけられて、それが根底になつて予算が立つておるということに、すでに無理がある。三千七百円というものが、実際においてはこの二千九百二十円の基準、一月に二千九百二十円であつたものが、六月におきましては、その実質購買力は一四%下つておるという計算を、私どもは今出しております。これは東京商工会議所のやみ相場指数、それから物價廳のやみ相場指数、警視廳のやみ相場指数、日銀及び東洋経済のやみ相場指数、こういうふうなものを、いろいろ平均し、また考慮いたしまして、今日これを推算いたしまて、その結果としてきわめてうちわに見積つても、今日もしも三千七百円を拂われるとすれば、一月の二千九百二十円の基準に対しまして、一四%の実質低下であるということが断言できるのであります。こういう意味におきまして、これが國民に対して通用する気づかいはないのであります。もちろんこのことについては、政府部内でもいろいろと異論も出ておるということでありますから、私から申し上げる必要もありません。こういうふうなところに、すでにこの予算は根本的にもうぐらついておる、無理があるということが言えるのではないかと考えるのであります。

青木孝義民主自由党

○青木(孝)委員 とこも階級的な立場からいろいろ御説明願いまして、ありがとうございました。

田中源三郎民主党

○田中(源)委員 風早さんにちよつとこの機会にお伺いしておきたい。先ほどあなたのお述べになりましたいわゆる予算編成の基本的構想の一要素とでも申しますか、すなわち外資導入をもつて將來のわが日本の産業復興計画の上において、現実の國際情勢において、單に一つの面のみを見て、その面の最も不安定な條件をとらえて、わが日本の國の今後の産業復興に対して考えていくということは、まことに堅実なものでないという御意見をお述べになりました。私どもはわが日本の産業復興の再建に関しましては、能う限りわれわれの國民の総力によつて、これをやつていきたいと思うのであります。しかしながら、この日本の現段階におきまして、今後の日本の情勢におきまして、あなたの仰せられたいわゆる柔軟性のある多角形的な一つの構想のもとに、国際情勢をにらんで、それに善処していくことが必要であるとおつしやつたのでありますが、しからば一体日本は國際的援助條件というものなしで、今後いかにわが日本の経済、わが一日本の國民の総力をあげて産業の復興ができますか。まああなたの言われる柔軟性をもつていくには一体どういうふうにもつていつたらいいか。現段階におきましてあなたのおつしやつた問題はよほど大きな問題であろうと思うのであります。この点について、今少しく詳しくもあなたのお考えをお述べ願つておきたいと思うのであります。

風早八十二

○風早公述人 今一つの要点に関しまして、お尋ねがあつたわけであります。私が主張いたします柔軟性のある対外的な考え方、政策というものが、いかにして可能であるかというような御質問であつたと思うのであります。これはもちろん同時に國内態勢の問題になることは、およそ御想像されておると思いますが、まさしくその通りでありまして、結局今日政府の局に立つておられる方々におきまして、みずから日本の独立性を——これは先ほど申しましたように國際法上の厳格な意味における法的な独立性というわけであります。これは今一時的な制限を受けておることは言うまでもないのであります。しかしながら、十分にポツダム宣言並びにそれ以後のポツダム指令なりその他の條項によりまして認められておるわれわれの権利、こういうものをはたして今日の政府当局の方々はまじめに実行されておるかどうか。これは実行されておらないとわれわれは考えるのみならず、おそらく実行される能力がないのだというふうに考えるのであります。これはやはりもつと國民的な全勤労大衆を基盤にした政権に切りかえていかなければならない。今まで議会というものがすでにできておりまして、これが全國民大衆の代表であるということは、もちろん否定しないところでありますけれども、しかしながら、まだまだその実質が真に民主政権になつておらない。アメリカの内部におきましても第三党の新しく興つておる勢力、これはわれわれが新聞で見るところによりますれば、おそらく千五百万人の支持者を得ておると言われておりますが、こういうふうな大きな勢力が今擡頭しつつある。それから、中國におきましても、蒋介石の國民党政権そのものがすでにそうでありまして、これらが日本の民主政権を望んでおる。重要なことはこれらの人々が現在の政権を決して民主政権とは考えておらないということであります。これは必ずしもトルーマン大統領やマーシャル國務長官と一般の人たちと意見が一致しておらない。われわれはこの世界のより民主的な勢力と十分に結合して行ける資格をもつておる日本の政権をどこまでも考えておるのであります。これによつて初めてこれらの世界の情勢に適合することができると言いたいのであります。

川崎秀二民主党

○川崎委員 田中さんの質問に関連して質問しますが、柔軟性のある外交政策をやれ。そこで一國だけの投資に頼るということは、日本の將來を過るものであるというようなお話があつたのですが、われわれももちろんアメリカだけでなしに、カナダでもオーストラリヤでも、あるいはフィリピンでも、でき得るならばどこの國からでも投資をしてもらつて、日本経済の再興の誘い水にするということについては賛成であるが、現在の國際情勢からして、はたしてアメリカ以外の國から多量の物資を導入することができるかどうか。この点についてのお答えをいただきたいということが一つ。  いま一つは先に非常に大胆に現在の財政状態は、むしろ国民の担税能力が限界点に達しておるから、歳入の方を最初にきめてから歳出をきめていくべきだというような意味のお話があつたと思いますが、こういうべらぼうな話はわれわれには受けとれないにしても、あなたは将來かりに共産党の内閣でもできたら、大蔵大臣でもやらなければならぬ立場に立たれておるんだと思います。もしあなたが今困難な財政を担当したら、歳入をどういう方法できめていくか、一体不当に牧益をもつておる者から取上げるというようなお話であるけれどもそういうものをどれだけ見積つておられるか、そういうことについて具体的に理論として伺いたい。

風早八十二

○風早公述人 お答えいたします。あとの問題から先にお答えしたいと思いますが、大体いつでもわれわれは歳入を基礎にして歳出を考えるというようおなことを言つておるわけじやないのであります。今日すでに担税能力が國民に枯渇しておるというこの現状をわれわれは確認して、その上に立つむしろ歳入の確保ということをまず見透しを立てて、その上に必要な経費を考える。でありますから、いかにこれが必要であると言いましても、これは歳入を十分に見透しを立てないで、やたらにやるといおことになれば、今度はかえつて今の非常に乱暴なる徴税、あるいは徴税でなければ悪性インフレーシヨンか、どつちかへ必ずいくにきまつておるわけですから、それはみすみすわが國を破滅に陥る、やはりその力相應の建直しから、まず始めるべきであるという意味でありますから、その点は御了承願いたいと思います。さてそれにしましても、その歳入がはたして具体的にほどういうふうに見積られるか、こういうことでありますが、これはもう数字で出ておると思います。大体今まで直接税あるいは間接税、あるいは流通税、いろいろな分類によりまして、それぞれその割合が出ております。また直接税と言いましても、その中で非常に無理な税金、つまりわれわれが見て明かに大衆課税であるというものが相当の割合を占めておる。これらを大幅の軽減もしくは削除していく。そうしますれば、残るところは、今日大体高額の所得者なり、あるいは高額の法人所得をもつておる者に対する、法人税なりというようなものだけが焼残るのでありまして、これらは全体の税收入のうちの、おそらく二割内外にしか達しないというふうに考えられるのであります。でありますから、あとのほとんど七、八割までをわれわれはほかの税源から求めなければならぬわけであります。これが先ほど申しました大やみブローカーからの租税を防止して、これに徹底的な税金追求をやるということであります。大体どのくらい脱税があるかということにつきましては、全國財務労働組合の方で発表しております数字によりますれば、昨年度末までにすでに五千億あつたのであります。これは今年の一月の全財新聞に公表せられておる数学であります。しかしながら、それからもまた新しい物價の値上りがあります。すでに今年にはいりまして、この半年の間にも、大体総平均いたしましても、二割以上の物價の値上りがあるのであります。しかしその物價をこまかく割つてみますと、特に生活必需物資の価格は非常に大幅に上つておる。やはり七割、八割まで上つておるものがある。またそれほどでないものはむしろ下つておるものもあります。しかしこれらは必ずしも必需品というようなものでなくても、相当街を歩いてみればいろいろなものがあるわけであります。これらは平均してみても二割以上の値上りになつておる。こういう点を考慮いたしますと、またまたこれらのやみ利得の新しい膨脹、そして租税さるべき部分の増大ということが考えられるのでありまして、これに対していかにして徴税をするかということを、われわれは的確に考えさへすればいいと思うのであります。その徴税の方法については、先ほど申しましたように、單に税務署の官事だけに任しておくということでは、できないということであります。  なお第一の御質問でありますが、川崎さん、もう一度おつしやつてください。

川崎秀二民主党

○川崎委員 もうわかりましたから結構です。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 お諮りしますが、休憩して食事を済ましてからにしますか。それとももう一人中小工業の中島氏から伺うことにしますか。今の質疑で大分時間が超過いたしましたので……。     〔「続行して下さい」と呼ぶ者あり〕

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 それでは中小工業協議会代表中島英信氏から伺うことにいたします。

中島英信

○中島公述人 私ただいま御紹介をいただきました全國中小工業協議会の中島でございます。最初御通知をいただきましたときに、特に中小企業の振興に関する点、それから税負担に関する件についての意見を聴きたいということでありましたが、ここにございます問題の全体について、あるいはこういう順序でお話をすることにはならないかもしれませんけれども、この点についてはお含みおきを願いたいと思います。  今日の國家の財政というものは、國民経済の安定発展を指示し、促進することが重要な任務になつておると思うのでありますが、そういう観点からしてわれわれが一番関心をもつておりますのは、日本の産業心経済の中におけるあらゆる業種、あらゆる企業が、総合的に考えられておるかどうかという点であります。つまり率直に申し上げると、中小企業は全体的な日本の産業の構造なり関係の中に適正なる比重が與えられておるかどうかということになると思うのであります。中小企業の立場からも、あるいは國民の立場からも一番関係しますものは、今度の財政で、國民経済なり、國民の生活の安定がいくかどうかという問題であります。予算をつくられた方はいろいろ苦心されたと思いますが、ただ若干われわれが疑問をもちますのは、やはり現在非常に税金が高くなつてきておるということでありまして、今度の予算でも國民所得の一兆九千億に対して約二%になつておる。なかなかこの税金が國民生活に対して重い負担になつている反面に、インフレーシヨンを防止するという建前になつておりますけれども、同時に公定価格の改訂が行われ、いろいろまた賃金の値上げが行われる。運賃の値上げ等も行われるというような関係からは、たしてインフレーシヨンの高進が抑えられるかどうかという点に疑問があるのであります。殊に中小企業というものは、インフレーシヨンが高進しますと、非常にその影響を受けることが大きいという点から、インフレーシヨンの緩和という点に、今度の予算の結果が、はたしてどういうように効果をもつてくるかというところに、若干疑問をもつておるのであります。結局全体的に生活を安定させるために、賃金の関係と物價の関係のいわゆる悪循環を、どこで切るかどいう問題がありまして、これらの点について、もう少しはつきりとした方針の上に立つて予算を組まれる必要があるのではないかという感じがいたします。それで将に復興計画につきましては、ここにいろいろ問題が出ておりますけれども、われわれ考えますと、大体現在の復興計画というのは、從來から傾斜生産方式によつてつくられてきておる。これはある程度現在日本の國民経済の状況から言いますと、やむを得ない点があるということは考えられますし、殊に基本的な産業を復興しなければならぬ点については、まつたくやむを得ない事情にあるということを考えます。但し実際にはその基本産業への傾斜、こういう名前のもとに、非常に大規模に延長した生産がとられておる。從つて他の産業関係が十分に考えられていないではないか、その点で予算を拜見しますと、いろいろなことに非常に強く出ておるように思うのであります。これは後ほど若干その点を申し上げたいと思うのですが、概論的に申しますと、そういう点が非常に予算の歳出の面に強く出てきておる。実際において中小の企業というものは、基本産業の関連産業にも相当大きなものがあります。生活必需品関係のものもあり、その他中小企業は一般の消費財だけでなしに、生産関係の部面にも相当の仕事をしておるのであります。これらは同時に基本的な産業に対しても直接閥援にそれを形成しておる。從つて傾斜的の生産計画が非常に永い間にわたつて強化されますと、その間に多くの中小企業は非常に疲弊をしてくる。またようやく基本産業が進んでいこうとする場合に、すでにまいつてしまつており、また事情が非常に変化してきておるということになつておる。結局こういうことになつてまいりますと、中小企業の非常に大きな犠牲というものは結局基本産業の復興を待つておることはできないということになつてきておる。そういう政策を強行していきますと、再び日本は外國によい市場を求めなければならぬという関係がさらに強くなつてきて、殊に基礎工業の振興というものでなしに、從來戰争を必要としたと同じような状況へ追いこまれていくのではないか、こういう点が縣念されるのであります。從つて今日必要なことは、やはり生活の安定と同時に、大企業における企業の合理化という点を、相当重要視して考えていく。こういう点を勘案し、同時に中小企業関係、その他全産業関係を考慮して、重点主義的な生産復興の計画というものを再検討される必要がある。こういうことを概論的に考えるのであります。  これを予算の中の歳出の面について見てみますと、この中には産業復興関係の費用というものは割合に少いようであります。終戰処理費が二〇%以上を占めておりますし、その他にあまり生産的でない費目が相当に出ておりますが、産業復興関係のものは、その意味から言うと、われわれとしては非常に少いのではないかと思います。この産業関係の費用を見てみますと、たとえば価格調整金というものが相当出ておりますが、こういうのは言うまでもなく大企業関係、重点産業関係だけの方に向けられていくので、こういうものは、中小企業関係については、ほとんどまわつてこないのである。その他たとえば公共事業費関係、あるいは終戰処理費の中の事業関係の費用というものは、ある意味で産業方面にも出ていくと思うのでありますが、これらの実情を見てみますと、ほとんど大企業の方面に流れていつておるのであります。一例をあげて申しますと、土木のようなものでありましても、実際に家を建てる、こういう建築の仕事をしておるものは、最下等の仕事をしておる小企業であつて、実際の基礎工業、あるいはそれの附帶工事については、左官にしろ大工にしろレンガ積工にしろ、ほんとうの仕事は、分解しますと中小企業がやつておる。ところが実際には大企業に流れていつて、その面において非常に多くのものがとられておるという点があります。こういう点で、現在の歳出の主要なものというものは、産業に関係したものも非常に大きな企業へ流れていくようになつておる。特に先ほどから復金の問題が出ておりますが、この復興金融金庫に対する出資の問題についてどう考えるかと言いますと、金額が多いとか少いとかということは第二の問題でありまして、これが非常に有効に使われるならば、金額はあるいはもつと多くても差支えないと思うのでありますが、問題はその費用がどういうふうに使われるかということにあるのでありまして、こういう点について、もつと具体的に検討をしていただく必要があると思うのであります。御承知かと思いまするけれども、昭和二十二年度二月末の残高では、総貸出高の五百四十億ぐらいの中で、中小企業関係は十九億余になつております。全体から見て、わずか三%強であります。これを一般産業融資の中で見ましても、わずか一五%にすぎない。こういう状況でありまして、ここに出された金は、ほとんど全部が大工業関係に流れていつておる。それも非常に健全なる方向へ向つておるかどうかというと、実際は必ずしもそうではない。かえつて企業の合理化を抑えるという面に使われるきらいもある。こういう金の出し方が——重要な國家資金の支出の方向がこういう面においてゆがめられてきておる点があるのではないかと思います。ですからこの復興金融金庫関係の予算といつたようなものは、もしできるならば、むしろこれは額を多くしても、現在特に日本の経済の復興に必要になつておる中小企業関係に、やはり相当の金をまわしていくということが必要であると考えるのであります。中小企業あるいは中小工業が、日本の産業復興の中にもつている役割という問題については、これは前提になる問題でありますけれども、そういう問題を今ここで述べておる時間はございませんけれども、現実的に中小工業が日本の産業の中で、企業数においては九九%以上も占めており、工員の数からいつても、五〇%ないし六〇%に及んでおる。工業生産高においても、約半数を負担しておるという実際の事実に立脚して、その点をつかんでいただきたいと思うのであります。なおこの歳入方面の問題につきまして、所得税が今度はやや減ぜられるようになつておりますが、この点で一般に勤労所得税が低下されるということは、勤労者の生活を安定させる意味からいつても、望ましい方向であると思いますが、実際には別な面から生活費がなかなか軽減しない。それらこれは経営者の面、あるいは企業自体の面に実際は深く関係しておるのでありまして、殊に中小企業あたりでは、この勤労所得税というものは、実際は企業者の負担になつていた。こういう点から見て、この軽減という点は望ましいと思うのであります。特に小企業者の企業所得税の点については、もつと強く、この事業の実態に即して、基礎控除の面をもつと高くしていく必要があるのではないかと思います。それは中小工業と言いましても、非常に多くの種類のものを含んでおるのでありまして、上の方は大企業と大して変らないようなものももちろん含んでおるのでありまして、下の方にいきますと、労働者と変らないような人たちが中にはおる。ごく小さな、自分の家でもつて簡單な道具をもつて仕事をしておる、こういう人たちの生活というものは、ほとんど労働者と変らない。そこにもつてきて非常に多くの所得税がかけられてくる。しかもこれに経費の面で生活の費用が控除されない、認められないということがあるために、実際には過重な負担になつておるのでありまして、こういう点については、もつと控除の比率を高くする必要があるのではないかと思います。なお法人税関係の問題は、これはやはり企業経営の上から言つて、われわれヘは必ずしも外資導入という意味からでなしに、新しい産業の資本を蓄積していくという見地から、法人税の軽減ということは、非常に必要なことであると考えます。この点については、この方向に向つておるようでありますけれども、特に実際の税金関係において、中小企業の負担というものは、最近非常に強くなつてきておる。これは地方税とも関係がありますけれども、税金のために工場を閉鎖しなくてはならなくなつたというものが非常に多いのでありますから、こういう点でこれはちよつと問題が少し混乱しましたけれども、法人税の方は、こういう意味において軽減されるということに、われわれは賛成なのであります。  今のもう一つの問題は、地方税と関係しますけれども、営業税がやはり相当に強く負担になつてきておつて、それは営業税と國税とを総合的に調整するような方法で考えて、中小企業における営業税の問題については、これをもつと減免する必要があるのではないかと思います。というのは、これがかかつてきますのは、中小企業だけでありまして、いわゆる中小企業のうちの八〇%というものは、これは個人の営業になつておる企業が多いのであります。從つてこういうところでは一般にこういうふうな声が議会その他に反映しにくいのでありますけれども、この営業税の負担というものが一率になつておつて、これに相当強く圧迫されておるので、こういう点において特に考慮をして、減額をしていく必要があるのではないかと考えるのであります。  なお税金関係では、ここにも問題が出ておりますけれども、申告納税が基本になつておるにもかかわらず、更正決定をする。この更正決定の方法がはなはだ不明確である。申告と非常に開きがある。これは申告者に欠陥がある場合もあるとは思いますが、この申告納税の制度を活かしていくという点から言つたならば、もつと更正決定というものを合理的に、公平にやつていく。このためには業者のつくつたいろいろな納税関係の團体なり、あるいは会議の民主的な交渉方法というものを認めて、税金が適正に決定になるような方法が考えられる必要があるのではないか生思います。  なお取引高税の問題は、一般に中小企業関係の圧迫になるという点で反対が非常に多いのであります。但しこれは同じ中小企業の中でも、商業と工業では若干趣きを異にしておる点もありまして、中には現在のような状況のもとにおいて、こういう大衆課税の性質をもつものであるけれども、こういう間接税をもつてとることもやむを得ないのではないか、こういう議論も若干あると思います。但しこれは商業関係と此べた場合に、若干違うというだけであつて、相当に重い負担になつてくる。さらに実際は正直に申告する者がかえつてばかを見るというような結果になるのではないかという点がおそれられておるわけであります。但しそれでは取引高税を廃止した場合に、どうした他の歳入によるかといつた問題については、これはわれわれの專門の仕事でもないのでありますから、そこまでは検討をいたしてはもちろんおらないのでありますけれども、この実施については、どういう品目について実施するとか、細目の点についてよく検討をしていただく必要がある。こういうように考えます。  なお、非常にこまかい点になりますけれども、一中小企業関係の予算の中には、商工省の中小企業廳の予算がありますが、これが全体の予算から見て、ごくわずかの金額だけになつております。そうして現在中小企業振興ということが非常に重要に考えられておるにもかかわらず、わずかの千数百万くらいの予算になつておるようであります。これだげでは中小企業の振興をはかるということについては、決して十分であるとは考えられないのであります。しかも商工省の予算などを見てみますというと、そのほかに概算要求で中小企業振興のために、規格実施の徹底に関する予算というのが別に出ておりますけれども、これなども実際には現在のきめられておる規格をそのままに強く実施していくということは、決して産業の技術を正しく向上させるということにならない。これは現在の中小企業の技術というものが、現在の國内の事業に対してどういう関係をもつているかということに対する実態を正確につかまえていないために、こういう問題が出てくるのであります。決してこれは不必要のものではないのでありますが、使い方に相当の考慮を要するのであつて、内容のいかんにかかつては、逆の効果を生ずることもあると思うのであります。この程度の予算が組まれているということをみますと、中小企業の振興のためには、もつと重要な仕事はいくらでもあるのであつて、先ほど申し上げたように、復興金融金庫で出している金は一二月末でわずか十九億である、從つてこの予算全体の中で半分ぐらいは生産的な方面に向けられるとして、その一〇%少くとも二億くらいの中小工業のための振興費が組まれてしかるべきものであると思います。結論的に申し上げますと——結局中小工業者はとられる方はとられるが、出す方は大きい方にまわつていく、こういう関係になるのであつて、これが要するに産業の全体の均衡の面からいつた場合に、一方からは取上げて、出す方はこれを大きい方へまわしていく、実際に相当の重い額を負担しておつて、その支出の面になつてくると、中小企業の振興の面にはほとんど向けられてないというのがこの予算のやり方の実情であると思います。從つて大局的見地から見て、そう大きな金額にはならないわけでありますから、もつと実際に産業の振興と日本の経済の復興のために、この中小工業に対する支出というものを考えられる必要がある、かように考える次第であります。  なおこまかい点で若干ございますが、時間が來たようでありますから、これで終りたいと思います。(拍手)

青木孝義民主自由党

○青木(孝)委員 ただいま御説明をいただきましたが、あなた方は中小企業と一般企業とのけじめをどの辺につけたらいいというふうにお考えになつていらつしやるのでありますか。九九%以上も中小企業であるということであるが、日本の産業のうちで、いわゆる大企業というか、そういうものが非常に少いのでありまするが、実際にわれわれが課税するというような場合に、どのあたりで中小企業と大企業と申しますか、その辺の区別をどんな方法でどんなふうにきめたらいいかということをお考えになつておるか、ちよつと伺いたいと思います。

中島英信

○中島公述人 私の九九%以上と申しましたのは、たとえば昭和十七年の工業統計によりますと、九九・三%になつておるのですが、これは從業員百人未満の工場の数をとつたのであります。一般に現在中小工業のわけ方については、いろいろ見解がありまして、いろいろなわけ方がありますが、結局結論的に申しますると、非常に常識的になるのでありまして、企業を構成しておる要素り中で、やはり一番基本的になる人員の点から見て、すなわち從業員の点から見て二、三百人以下のところを大体中小企業と考えておるのであります。しかしそこでもつてはつきり一線を引くということは困難であつて、從つて多くの中小企業がもつていたと同じような問題をもつておる、あるいは同じような悩みをもつておるものまでこれに含めて、こういう場合もありますから、その間には非常に厳格な一線を引いて考えるというわけにはいかない点がある、こういうふうに考えております。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 それではこれで休憩いたしますが、午後からは時間の都合がありますから、午後の休みの時間が少うございますが、一時半に開会いたします。なるべく早く食事を済ましていただきます。では休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議

押川定秋民主党

○押川委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。  公述人の方には御苦労様であります。たいへん時間が短く二十分間でありますがい公述人の方は、どうかよろしく短時間の中に要領をお盡し願いたいと思います。  学術経験者関係で、慶應大学教授金原賢之助君にお願い申し上げます。

金原賢之助

○金原公述人 きようは突然お伺いしまして、用意もないのでありますが、またすでに大勢の方々からいろいろ申し上げて、同じことを繰返すことになるかもしれないと思いますが、しばらく考えておりましたところを申し上げさせていただきたいと思います。私にはインフレあるいは金融面、そういう面から今度の予算をどう思うかというようなお尋ねがあつたのでありますから、自然申し上げますことは抽象的になりまして、お役に立たないかと思いますが、そういう面からごく簡單に申し上げたいと思います。  今度の予算案を拜見いたしまして、今日のようなインフレの循環過程におきまして、予算を編成することが非常にむずかしいことはよくわかりますし、それからまた一般会計、特別会計、中央、地方の財政を通じまして、購政の均衡化をはかろうとした努力のあとは、十分に考えられると思いますけれども、なおそこに幾多の問題が含まれておるのではないかと思うのであります。  第十の点は財政の大きさの問題でありますが、この点につきまして、卒直に私の感じを申し上げますと、やはりこの財政は相当大きい財政であつて、ある程度インフレを進める力をもつものではなかろうかと思うのであります。昨年度の予算から考えまして、本年度はどのくらいになるだろうかということを、私どもも考えておつたのでありますが、昨年度の財政を編成したとき以来の物価の値上りを考えてみますと、どうしても四千二、三百億円くらいには少くともなるだろうと思つておつたのでありますが、これが一般会計において四千億円弱で済んでおるという点から見ますと、ある程度の圧縮を加えたということは、言えないこともないかと思うのであります。それにしましても、終戦以來、だんだん財政の規模が大きくなつてきておりまして、今度の分もやはり同じ方向をたどつてきておるように思います。その点はこの予算の説明にありますように、國民所得との比較におきましても、前年度より割合が増加しておるのでありまして、もし國民所得におきまして、実質的に一〇%の増加があるとしましても、その増加分を全部財政で吸収してしまう。こういう形になつておると思います。それだけに今日國民生活の不安ということが問題になつておる際でありますので、かりに國民所得にいくばくかの実質的な増加があつたとしますならば、それだけ國民生活の方向へまわすようにすべきでなかろうか、こう思うのであります。そういう点から考えまして、財政の大きさはやはり相当のものであり、ある程度にインフレを進める力になることは免れない、こう考えるのであります。  次にこの予算案は確かに均衡をはかろうとしたあとはわかるのでありますけれども、それは財政の面における均衡でありまして、財政金融全体を通ずる均衡という点から考えますと、欠けておるところがあるのでないかと思います。どなたも御承知の通り、財政面における均衡をはかりました結果、金融面に負担がまわされておりまして、それだけに金融面におきましては、一般産業への金融を圧迫するという結果にならざるを得ないのではないかと思うのであります。  それから次にかりにこの予算案が均衡を得たものであるといたしましても、はたして追加予算を必要とすることがないかどうかという点に疑問があると思います。もし追加予算が必要となつてくるとしますれば、当初目途とされました均衡の実は、それによつて失われるということは当然のことでありまして、この点おそらくそういう方向に向わざるを得ないのではなかろうかと思われるのであります。またかりに予算案が完全に均衡しておるといたしましても、その予算案がはたしして毎月円滑に運営されていくかどうか、收支の調整が、はたして十分に得られるかどうかということにつきましても、昨年度以來の経験に鑑みまして、相当の疑問をもち得るのではないかと思うのでおります。たとえばその一つの條件としまして、租税收入を取上げてみましても、租税収入が二千六百三十二億円になつておりまして、昨年度の約倍額になつております。昨年以來の物償の値上り、また今後の物価の値上りから、名目的な國民所得が増加していくとしますれば、それだけ租税をよけい拂い得るはずのものではありますけれども、御承知の通りインフレの過程におきましては、國民所得の再分配がすでに行われまして、だれでも一様に所得が増加するというわけのものではありませんから、ある面におきましては、租税の負担に耐えられない、容易に佛い得ないという部分も出てまいりまして、はたして予定通りの租税收入を得られるかどうか、また予定通りの金額がだんだん円滑にはいつていくかどうかということにつきましては、相当の疑問をもち得るのではないかと思うのであります。また國民経済の実態を考えてみましても、昨年あたりとはだんだんに変つてきまして、一般の手持ち品というようなものも、だんだん少なくなつてきておる。それからまたこの予算案の説明書にもありますように、現在は物償の値上りが比較的緩慢になつておりますから、また今後もかりに物価の値上りがそう急激でないとしまするならば、手持品をもつておつても、それから得る利潤というものは、比較的少なくなつてまいります。その際に相当大幅の税金をどんどん納めなければならなぬということになりますと、一般企業も相当の困難に当面するのではないかと思うのであります。從つて租税收入というようなものも、円滑に、順次に徴收し得るかどうか、この点に相当の疑問がありますので、從つてこの予算案が相当の均衡を得たむのであるとしましても、実施面においいて破綻をある程度示さざるを得ないというようなことも考えられるのではらはいかと、こう思うのであります。  また次に、この予算案の前提となつておりまする物価の値上りにつきましても、私どものよくわからないところがあるのでありまして、昨年のマル公の七〇%引上げ、戰前の百十倍のところを目標としましても、一般の物價がはたしてその割合の程度に落ちついていくかどうか。いわゆるはね返りが予想以上になり得るのではないかということも、十分に考えられるのでありまして、その点から申しましても、本予算案の実施面に、相当の困難にぶつかることがありはしないかとう思うのであります、また現在は、この一月以來比較的物價の値上りが緩慢でありますことは御承知の通りでありますが、しかし緩慢ではありまするけれども、若干ずつ上つてきておりまして、一方通貨面はあまり増加しない。一時減つて、再び増加してまいりましても、年初とあまり変りがないような状態でありながら、やはり物價の方はじりじり高くなつてきておるという状態でありまして、しかもこの予算案が実施されまするならば、相当の政府支拂が出てくることと考えなければなわませんので、そういう点とにらみ合わせて考えますると、やはり物價もある程度、あるいは相当程度の値上りが、本年の下年期において起る可能性は十分にあるりではないかと、こう思うのでありまして、かように考えしてみますると、この予算案実施面に多大の困難を伴うおそれが十分にあると、こう申し上げてもよいかと思います。ところで私は、そういう点を考えまして、一体今日のような非常な事態におきまして、予算というものを一年間のものとしていこうというところに相当の無理があるのではないかと、こう考えております。むしろ半年ぐらいのものとして一應考えて、さらにこれを検討し直して、次の段階に処する途を講じていく方がいいのではないかと、こう思うのであります。大体私の考え方ですと、通貨と物價の両面から見まして、経験以來今日まで、わが國のインフレは、大体六箇月ないし八箇月の期間をもつて一つの循環過程を終つて、次の段階に進んでいく、こういう経過をたどつておると思います。これは図に書いてみますと、よくわかるのでありますが、大体そういう期間でインフレの進行の段階が進んできておると考えるのでありまして、今回はちようど第五の段階の終りであつて、今度この予算案の施行と物價の改訂を機会として、第六の段階にはいるのではないかと考えております。結局本年の下年期は第六の段階になりまして、今海外からの外資の借入れ、それに伴う物資の輸入というようなことを別の問題として考えてみますと、相当程度の、物價騰貴を來し得る状態に現在あると、こう考えられるのであります。そういう際に、一年間分の予算を検討しましても、十分検討し得ないところが残つてくるのではないかと、こう思うのであります。またそういう点から考えましても、追加予算ということが当然起つてこなければならぬ。こういう事態にあると思いますので、その含みをもつて予算案を検討すべきではないか、こういうふうに思うのであります。殊に予算案そのものにつきましては、私どもから考えますと、なるべく早く成立するほどよいのであつて、あまりこれが延引いたしますと、やはりインフレ不安というものを相当生ずると思いますので、それらの点から鑑みましても、半年分として考えることは、法規上の本來においてはどうかと思いますが、実際的にはそういう考え方で検討していかなければならないのではないか、こんなように、大ざつぽでありますが、考えておるのであります。  なお齢予算案の内容の各部分についブては、いろいろ問題もあると思いますが、そういう点は、時間の関係がありますので、触れるのを避けますが、ただ一、二点だけ申し上げておきますと、一般会計から特別会計へ赤字補填の繰入れをすることになつておりますが、この趣旨はよくわかります。説明書にもあるように、当面の事態から生ずる臨時特別の措置でありますから、その趣旨はよくわかるのでありますが、このやり方はなるべく早い機会にやめまして、それだけ一般会計の方を圧縮して、いわゆる國民生活の安定面にいくばくでも寄與し得るようになすべきではないかと思います。また一面、特別会計の方において赤年が出てくるとしますれば、その赤字につきましては、日本銀行からの措入れなり、何なりの方法を講じまして、一つの企業体として負担していかれるような仕組にすべきではないかと、こう考えるのであります。もちろん今回の鉄道運賃、通信料金の値上げ等を行つた後におきましても物價の値上りとのにらみ合いにおきまして、なほ値段を引上げなければならないような事態も起す可能性はあると思いますが、そういう際に、もちろんできるだけこれらの料金等につきましても、適正な價格をきめまして、独立企業体として、赤字を出さないような経営合理化を当然はかつていくべきではなかろうか、こう思うのであります。もちろんこういうような料金につきましても國策上特別に安い料金でもつてしなければならない、面がありますから、そういう面から生ずる赤字は、一般会計から負担するのが当然だという理屈も成立たないではありませんけれども、一つの企業体として見まするならば、そういう方法をとらずに、一般民間の企業と同様に借入金なり何なりの方法によりまして、十分独立してやつていかれるような経営の方向にもつていくべきではないかと、こう考えております。  さらに、もう一つ申し上げますのは、一番問題になつておると思います取引高税でありますが、今日の事態におきまして、どうしても財源が必要である、從つてこの税金がやむを得ないというならば、もちろん私もやむを得ないと言うほかないのでありますが、御承知のとおり徴收が非常に困難であるばかりでなく、一般價格の引上げを招來するおそれが十分にあるのでありますから、でき得る限り早い機会においてやめるという條件をつけるべきではないかと思うのです。一般会計における圧縮とにらみ合わせまして、できるだけ速やかな機会においてそれをやめる。もし存するならば、別に租税体系全般からこれを考え直すという方向へもつていくのが至当ではないかと、大体こんなように考えておる次第であります。  非常に漠然としたお話でありましたが、以上私の考えておりますところの、ただ筋道だけを申し上げまして、私の責任を果したいと思います。

田中源三郎民主党

○田中(源)委員 今ちよつと、あなたのお考えだけを聽かしていただきたいのですが、この予算をごらんになりましたときに、租税收入の面から考えました場合には、國民所得というものは一番重要な問題でありますが、政府は一兆九千億円の國民所得を組みまして、これによるところの課税をいたしておるわけでございますが、一兆九千億という算定にも、いろいろ見方もありましようか。あるいは國民所得というものは、もつと低いとお考えになりますか。あるいはそれより高い所得があるというふうにお考えになりますか。この点だけをごく簡潔に、あなたの御所見だけ、この際承つておきたいと思います。

金原賢之助

○金原公述人 その点につきましては、私は自分で推算もしておりませんし、この一兆九千億という推定がどこからどういう方法で出てきたかということも承知いたしておりませんので、これが多いか少いかということについては、私としてははつきり申し上げる材料がありません。しかし感じといたしましては、日本の現在の生産の状況から見まして、國民所得はそう多くないと考えた方が妥当ではないか、多いと言うよりも、それは名目的なものではないかと考えておる次第でございます。

押川定秋民主党

○押川委員長代理 ほかにございませんか。——それでは次に地方財政関係で全國町村長会長の生田和平君にお願いいたします。

生田和平

○生田公述人 私生田和平でございます。御承知のように地方自治法が施行せられまして、地方自治体の有様は、名実ともに非常に変つておりますことは、皆様御承知の通力でございます。地方財政委員会ができまして御承知の通り、市長代表、町村長代表が委員として任命されまして、私は全國町村長を代表して委員になつたのですが、地方財政の確立ということは、至難中の至難だと考えました。   〔押川委員長代理退席、委員長着席〕 なぜならば、みずから省みまして、全國一万三百六十箇町村には五千二百万の住民がおります。一町村わずかに五千人でございます。この五千人の世帯が、政治、経済、文化の面において、みずから治め、みずから生活することは困難だと考えます。これは根本的に町村の合併、あるいは廃合をしなければ、十分にいかないものだということを考えなければならぬと思います。ただ現段階におきまして、何とかして地方財政の確立に資しなければならぬ任務をもつておりますから、本年一月八日に出発いたして以来は、われわれ委員は、共同の責任において、相当力を養したつもりでございます。三月になりまして内閣が更迭して、委員長が更迭いたしましたが、それまでには、大体の成案を得ておつたのです。すなわち地方財政法案、地方税の改正法案、地方配付税法案、それから地方團体中央金庫法案、災害復旧基金法案、これら五つの法案はできておりました。委員長が更迭しまして、事業税の一部に修正を加えたのでございます。そのほかは大体既定方針に則りまして案をきめました。この度現内閣が二十三年度予算を編成するにあたりまして、委員長は委員会を代表して内閣と折衝を軍ねたのでありますが、その途中において、安本の調停案なるものが現われまして、閣議を制して、われわれの意思に抹殺され終つたのであります。御承知のごとく、地方財政の自主化は、みずから生きることでありますら、從來の分興税法をなるべく圧縮して、國家のごやつかいにならないように努めたい。また地方にはそれぞれ独立税を設けて、地方財政の独立に資したいという根本方針をもつておりますし、また一面中央と地方との負担の区分につきましても、十分法案を練つたのでございます。分與税法は御承知のように、所得税と法人税と入場税がその財源になつております。この百分の二十八コンマいくらが地方分與税になつております。昨年における分與税総額は百九十億、本年度におきまして、このままじつとおきましても、なおかつ三百八十億の分與税があることになつております。しかしわれわれは先に申しました通り、分與税を増すという観念は抜きにして、なるべくこれを圧縮したいというつもりであつたのであります。一方歳出の方には、御承知のように自治体警察、これは警察法の附則第八條に、地方公共團体の財政計画が確立するまで國及び府縣が支弁する、こう規定されておるのであります。もとより今回は地方財政を確立するといつのが目的でありますが、第一番にこれを抱きこんだのでございます。警察費の総額は平年度におきまして百十億でございます。また六・三制の教育改革による費用は、大体七十億円に少し欠ける程度と思つております。この二つの金額がすでに百八十億に達するのです。これを地方公共團体は抱えこんでしまつた。ここで財源を求めなければならぬ。そこで営業税をやめまして事業税を起し、あるいは地租、家屋税・住民税等を増加し、いろいろくふういたしましたけれども、わが國の財政政策は、相合らず中央集権でありまして、地方には適当な税がございません。そこで万やむを得ずして、酒、タバコの消費税二割を要求いたしたのであります。われわれは國の財政の均衡も考えなければならぬ。いかにすれば國の財政がよくなるかということも考えました。また税の改正のことも考えてみたのであります。かりに酒にいたしますれば、米で造石することを全部やめて芋燒酎あるいはその他の澱粉で燒酎をこしらえる、これでがまんする。これは相当の額が税の上に現われてきます。また食糧難の今日といたしましても、教十万石の米を酒に消費することはもつたいないと考えております。しかしとれらは財政委員会としては行き過ぎであるという結論に達しまして思いやめました。いま少し進んで、いかにすれば地方財政が確立するかという根本政策にも触れてみました。これは地方税と國税とを一本にして、町村に全部これを徴収する、その上に地方公共團体の必要な税額を先にいただく、その残りを国家に差上げる。これならば地方財政は確立いたします。しかし今日の日本の現状では、これも行われません。やむを得ず遠慮に遠慮をして、ごく消極的にこしらえたものが地方財政委員会の案でります。これは入場税を地方税に移譲してもらいたい。入場税は御承知の通り平時において百十億であります。このうち三十億はずでに公興税として毎年もらつている。平年度において八十億円であります。本年は七月一日からとしましたなれば五十億円になる。また酒及びタバコの消費税、これは酒が五百円のときに計算して二百四十二億でありました。今回八百円になりましたならば、おそらく三百二十億ぐらいになると思います。この税だけを地方に何とかわけてもらいたい。大蔵当局は、消費税は國税であつて、地方には渡せないということが從來の持論でございます。われわれは、かなり酒が庫出しをするときに税であれば、これは消費税であるが、地方にいつて一升、二升小賣をするときは小賣税である。また酒タバコは地方住民がのまない者はほとんどない。法人税は分與税としてもらつておりますが、これは地方には法人税は少いのでありますから、もらうのにあまり気持よくない。われわれは、自分がのんで自分が税金を納めている酒タバコから適当な税を還元してもらうことは、当然の要求なりと信じておるのであります。しかしこれらの法案は、すべて葬り去られました。さらに金融の面におきましては、地方公共團体金融金庫法案なるものをこしらえました。その要点は、政府から百億、地方から百億の共同出資ございます。そうでてこれの十倍にあたる二千億までは公私債を発行することができる権能を有する組織にいたしたい、そうして現に大蔵省預金部が運営いたしております仕事をこの地方金融金庫むずからやつてみたいという非常な熱意を持つておつたのであります。ところが政府はこの金庫はこしらえない。あるいは復金、あるいは農業金庫、これらのものはあるが、将来はこしらえないという一点張り。また預金部の運営によつて地方資金は十分間に合つておる。こう言われておつたのでありますが、決して間に合つておらない。現に昨年におきましては、百十億円の地方資金でありました。そのうち政府は預金部から六十五億円をまわし、地方銀行に十億円を分担させまして、残りの三十五億の穴があいておつた。この穴埋めを政府に要請いたしましたところが、ようやく預金部から、政府所持の公債二十億円を賣却してこの穴埋めを行つた。ところがこれの貸出しに対してはいろいろな條件をつける。その最も悪質なものは、地方に郵便貯金を強いるのでございます。七割または五割の預、金をしなければ金を貸さない。やむを得ず、これは六・三制の費用がおもでございますが、地方においては郵便貯金をして金を借りておる。本年度におきましては、酒、タバコ消費税を取止めました結果大きな穴があいた。その総額が二百八十億でございます。あるいは政府は二百七十億だとも申しております。この裏づけはどうしてするのかということを、去る十五日の預金部資金運用委員会で聴きますと、そのうち百五十億は郵便貯金その他から賄う、残りの百三十億に対しては、やはり地方から郵便貯金その他の金を集めて貸すのだ、こういうのです。政府は決して百五十億を無條件で貸さない。その上足りないものも地方資金を集めて貸そうというのです。昨年の成績を見ましても、まだ二十一億余の金は政府は貸さずにおる。もう年度を二箇月も三箇月も過ぎてなおかつ二十一億という金を途中でとどめておつて、地方公共團体を苦しめておる。こういう大蔵省のやり方は、われわれ地方公共団体としては承服することはでき得ないということを、運用委員会でも申したのであります。結局政府は中央集権の余弊な案改まらずと申してよいと思います。この時外に一歩も出ません。ここに財政委員会と政府との間に、全然意見の背馳を來したのでございまして、さらに一酒タバコの地方移譲にとどまらないと私は信じております。これは私のみならず、同僚である神戸、安井両委員も同様の考えであることを附け加えて申し上げておいてよかろうかと思うのであります。  かような次第で、その後政府とはしばしば交渉いたしましたけれども、國家財政の窮乏を理由とし「あるいは予算編成後のことを理由として、われわれの要求を用いてくれません。かるがゆえに地方財政は確立せずという結論に達しておるのが、ただいまの状況でござま。最近政府からわれわれの質問に答えるために、本日の閣議でその返事が決定せられるはずになつております。この回答文を仄かに承りましても、もとよりわれわれの承服するような條件は入れておらぬと思います。また二百八十億の起債に対しても、あるいは責任を盡す、あるいは努力するという一点張りでありまして、具体的の回答はないようであります。國家財政が健全財政で赤字公債発行を抑制いたしましても、地方はまつたく赤字財政でございます。二百八十億のうち、いろいろな費目は含まれておりますが、しかしほとんどこれらは消費すべきものばかりでありまして、この八割ぐらいまでは赤字公債と申してよろしいのであります。結局地方は本年また二百数十億の負債を背負いこんだ。そのおもなるものは自治警察の費用、六・三制の費用が大きな原因をなしておると思います。はなはだ簡單でありますが、以上をもつて御報告といたします。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 何か御質疑がございますか。

庄司一郎民主自由党

○庄司(一)委員 公けの租税外に地方町村の負担の面において、町村住民の非常な悩みのたねとなつておるものは、最近においては、税に準ずるものと考えられるところの社会専業の共同募金の天降り的な割当、あるいは農村においては水利組合の会費、これは從来あつたことでございますが、水利組合費、あるいは灌漑用水のうまくないところが電力でやつておるその電力組合費、あるいは最近流行のP・T・Aの負担料、そういう大藏省等からあまりはつきりと見えないけれども、町村住民にとつてかなり過重な負担が相当町村の財政を悩ましておる。あるいは全國的町村の国民健康保険組合の負担なんかも、とうてい現在の町村住民の財政においては賄い切れないで、全國の一万二百の町村のうちの約過半数がストップ状態になつておるといううわさを聞いておりますが、全國町村長会の会長さんのお考えはいかがでございますか。

生田和平

○生田公述人 ただいま御指摘になつておりますことは、もとより地方町村の非常に迷惑を感じておるものであります。ただそれ以上に迷惑しておるものは、米の供出と六・三制です。米の供出問題は、町長村の当然の責務と思いまして、昨年も全図大会を開きまして供出完遂運動をいたしました。その結果、期限内に供出ができたと思います。ところが一方六・三割の問題は、御承知のごとく、國が半分もつて地方が半分もつということに表向きはなつておりまするが、学校の建設費は、一坪当り五千五百円、その半分で二千七百五十円を地方で負担しておる。この負担を公債と寄附金でやつております。この寄附金を集めるために、また六・三制を実施するために、町村長がいかなる悩みをもつておりますかということは、おそらく全図で数百人の町村長が今辞表を出しておることでもわかると思います。御指摘になりましたことも、町村は困つておりますが、しかしそれよりなお困つておるのは、米、麦その他の供出と、六・三制の費用でございます。國では半分出せばいいという建前で、この建前を少しもかえない。われわれは全額國庫負担を要求しております。しかし今日の財政におきまして、必ずしも全額を貫うとは言わない。あるいは実質的に半額であるとか、七割であるとか、程度の問題でありまするが、この六・三越の問題を解決しなければ、地方の財政の安定はつきません。これは皆さんに十分お願いしてきます。また供出の面におきましても、これは米の價格の問題が、非常に重大な問題であります。御承知のように、米のやみ値に比べると、供出債権は十分の一であります。この安い價絡で農村に供出を強いるということは國家財政上やむを得ないでありましよう。また食糧事情においても、これはやむを得ないでありましよう。しかしやむを得ないといつて、町村長にその重責を負わしておいて、一面事業を押しつけるが、來年も少しも考えないという國の態度に対しては、大なる不満をもつものであります。また御指摘になりましたようなことも、こまごまありましようがこの機会にそのことを附け加えまして、皆様にお願いいたす次第であります。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 どうもありがとうございました。  次は家庭学園園長小松愛子君。

小松愛子

○小松公述人 初めに家庭学園園長と申されましたけれども、私園長ではありません。ただそこの先生でございますから、それをちよつと訂正いたします。  私ども婦人は、日本が形式的ばかりでなくて、内容の点からも、ほんとうに文化的な平和的な民主的な國になるということを、みんな心から願つております。婦人はほんとうは戦争とか鬪争とか、人間と人間が戦い合つたり、憎み合つたりするということが、とてもいやなのです。それで日本は今度は憲法でもつて外國に対して戦争を数棄するということを宣明いたしました。けれども私たちは、もう一歩準めて國内の戦争状態をなきしていただきたいと思います。國内の戦争状態というのは、國内に貧富の差があまりひどいこと、文化度のあまりひどいこと、農村と都市との対立がひどいこと、そういう差があるときは、必ず戦争状態、鬪争状態が起る。私たちがとり得る唯一の闘争というものは、平和のための鬪争、それだけしかないのであります。今度の予算を拝見いたしまして、主としてそういう観点から印象とかお願いなどを申し上げたいと思います。できるだけいい予算をつくり上げる上に、何かの御参考になればたいへんさいわいだと思います。  初め二、三のこまかいことについて希望を申し上げて、だんだんと基本的な問題に触れて、最後に最も根本的な問題に触れていりきたいと思います。  まず歳出入について、歳出の方をずつと調べてまいりますと、私ども一番関心をもつのは教育費の問題であります。今もおつしやいましたように、六・三制の予算を十分とつてない。文部省の予算は八十億、それで直接教育実務に携わつていたつしやる日教組の方たちの要求は三百五十億、これではけた違いの開きで、現実にきめられた予算を見ますと七十七、八億であります。それで敗戰後私たちが文化國家として立ち直るということをお題目のように聞かされております。それはよくわかつておりますが、それには物質的な経済的な裏づけがなければできないということは、おかり切つた話であります。六三制というものの基礎と考えられるその予算は、一般会計の全体の割合から見ますと一・二%にしか当つていない。こういう状態では本気でできるかどうか、たれでも一應考えてしまうだろうと思います。たとえば北鮮なんかでは教育文化費として二四%の予算をとつておる。そういうのを見ますと、たいへんうらやましいと思う。それから森戸文部大臣は、今度文部省案が通らなければ辞任するとまで言つていちつしやつたのでありますが、それはたいへんうれしいことで、すべて文部大臣が一應自分の信念に基いて出処進退をきめていただいたら、多分文部省というものの位置は、もう少し重くなるじやないかと思います。  それから六・三制の問題に次いで栄養士の問題に関連して、学校給食の問題、子供の教育は体とつ頭と両方大事で、頭だけの教育では何にもならないので、そのためには今各学校で給食しておりますが栄養士を一人ずつ配置していただきたいのであります。今栄養士の数が少くて全然問題になつておりませんし、待遇が悪いのです。作業員としてしか扱つておりませんから、子供たちはおばさんあばさんと言つておりますし、先生たちに対する指導性も発言権もありません、栄養士としての第一義的な仕事も、なかなかできないという状態で、これについては、先生側からも父兄側からも、栄養士の側からも、さんざん不平を聞かされておりますから、もう少し栄養士の待遇をよくし、物質的にも恵まれるようにしてほんとうに子供の体をよくするために、苦しい中から学校給食をやつておるのですから、人的にも物質的にも、むだのないようにしていただきたい。  それからもう一つ、これは朝鮮人教育の問題ですが、この間のような不祥事件——朝鮮の校長先生たちを強制収容したという事件、私たち卒直に申し上げますと、あれではたいへん心を痛めたのであります。朝鮮人のおかみさんたちから、私たちはどこまで不幸なんでしようと泣かれますと、ほんとうに申訳ない、非常に気の毒なことをしたと思う。あれだけの思い切つたことをなすつた。そのあと、どうにかして責任をもつて文部省の中に、たとえば朝鮮の教員の養成とか、向うの特殊の民族的な事情に應じた教科書編纂、そういう予算をおとりになつてでもいいから、ぜひ教育を引受けたからという責任をちやんと果していただきたいと思うのであります。朝鮮の人も税金を納めておるのですから、当然その中に教育費というものははいつておるわけであります。  それから時間の関係であまり詳しくは言われませんけれども、公共専業費までが去年は追加予算まで入れて百四、五十億だつたと思います。今年はそれが四百二十五億になつて、一應うれしいと思いますが、ここで見ますと、託児所とか文化費、娯楽費に対する割合が非常に少い。ですから、簡軍に喜べないというわけです。生活保護費が七十四億、失業保険費が十九億と見てくると、どうしても暗くならざるを得ない。つまり企業整備だとか、小やみの撲滅などで生ずる失業者を米国関係の産業貿易で吸収する。それからあとは失業保険、公共事業に吸収して、どうにもならない。あまりは生活保護法でどうにかするという、大量の失業者を前提としておるような暗い感じを抱かせる。少年犯罪も児童福祉法だけでは不備で、積極的な政策と物的な條件をつけてやらなければ、これはどうしても少年犯罪を減らすことはできないと思う。だからもつと人民のために娯楽費とか、文化費とか託兒所などをつくるための予算をぜひつくつていただきたいと思いますつ。  それから歳入の面についてみますと、相当多額に税収入を見込んでいますけれども、過大評價があるのじやないかと思う点の一番大きなのは、税のかけ方のアンバランス、これが目立つ。担税力のない者に非常に多くかけて、えらい人だとか、やみ屋さんというような人、それと一緒にしてはいけないのですが、そういうところはむしろ軽いという状態です。これは実例がたくさんございます。ですから、こういうことだと、皆不平を言つて、税金不拂同盟なんかをつくつて騒ぐようなことになつてしまう。また間接税がマキシマムに達しておると思います。たとえば物價が高くなつているほかに、あらゆる商品に間接税がかかつてきております。タバヤや入場税は言うまでもありません。主食だの入浴という生活必需物資だとか、生活必需的な行為にまで間接税がかかつてこようとしておる。こういうことから考えますと、担税能力がマキシマムに達しておると思いますから、もう少しやみ利得などというものに対する課税を、徹底的に本気にやつていただいたらたいへん仕合せだと思います。また年収五万円の課税は不当だと思う。物價が百倍に上つたのですから、免税点ももう少し引上げていただいたらなおいいと思います。勤労所得税をいくら下げても、このくらい下げたのでは、運賃だの通信費、それからタバコだとか、そういうものの値段が上りますから、直ぐ埋合せがついでしまう。好きなタバコものめないとか、お風呂にはいれないとかで、皆が不氣嫌になる。タバコものめないで、旦那さんが氣嫌が悪いときに、たいてい家庭のおかみさんだの奥さんはつらいとおつしやる。  それからこのプリントを拜見いたしますと、健全財政というものを目指しておる。それはよくわかるのでございますけれども、これがはたしてお台所を安定させて、人民生活の最低を保障してくださるものであるかどうかと考えてみたのであります。まず中間安定ということで、政府は賃金を三千七百円べースにすえておいて、物價の新しい体系をつくり、物價と賃金の悪循環をここで断ち切ろうということで、十月ごろから中間安定期にはいるという御計画であると聴いておりますけれども、なるほど租税その他の歳入は、今年の一月から三月ごろまでは、かなりうまくいつておる。日本銀行の発券高も割合に少くて済んでおります。けれどもこの状況を中間安定的と見るかどうかということは、たいへん問題だと思います。経つてインフレの速度というものは、なかなか思うようには止らないと思います。公定價格が上つてもそれで食べていくためには、どうしても配給物資も今よりずつとよくならなくてはならないと思います。二合五勺が二合七勺になつたと言われてもだめで、砂糖だのあんずだのを入れてカロリーだけを合わしたのでは、実際の生酒には問題にならないのでございます。それこそ今どんなに女の人たちが苦労しておるかということを、ちよつとお耳に入れておきたいと思います。それで安定のきつかけとして、米國の援助資金あるいは日鮮復興費というのを見込んでいるようですけれども、國内の財政がこんなに不安定ですと、外資導入についても、どうしても外国側が二の足を踏むと思います。  もう一つの問題は三千七百円水準というものははたして妥当かどうか。この根拠は去年の二月から今年の三月までのウエージ・サーヴエイの平均賃金を三千五百円を見、それに四月の物價値上りを見て、五月以降は三千七百円となさつたのだそうでございますけれども、この資料のとり方がそれでいいかどうかという点で、ちようと疑問をもつのであります。総理廳統計局の四月の調査によりますと、これは調べていただくとわかるのでありますけれども、この予算の基礎となつている三月の状況よりも非常に上まわつている。全官公労の要求している五千二百円に比べて三千七百円というところに水準をおいたのは、少し基礎が薄弱のように思われます。それからもし働く者の最低生活の三千七百円べースが崩れた場合、この予算は非常に危険なものになります。もし予算をそのまま強制的に乗切ろうとして賃金をストップしますと、物價の方が上つてきますから、働く者の生活は、いや應なしに強制的に実質的に、賃金切下という結果になるわけでございます。この案のように賃金を釘づけにしても、新物價とのバランスが破れないという見解には、非常に不確実な不明朗な要素があま。多すぎるような気がいたします。  最後に、この予算の三千七百円ぺースの根拠は、C・P・I、すなわち消費者價絡指数を基礎にお出しになつたと思いますけれども、そのC・P・Iは結局消費者價格調査C・P・Sがらおとりになつております。その方法はいろいろ調べてみましたら、今の近代統計数学の最も進歩したところをおとりになつて、数学的にはたいへんにいいのでございますけれども、その一番もとの基礎の層の切り方でございます。そのストラータの切り方が、ちよつと問題ではないかと思います。これは工業稼率つまり工場労働者の密集比率で全國稼率を二十八ぐらいの地域的な都市の区切つておるのでございますけれども、その切り方は、たしか昭和十五年の國勢調査を基準にしていらつしやるようでございます。そしてひどいのになると、昭和五年の調査であらまして、昭和五年と昭和二十三年の今日ではたいへん違いがあるのでありますが、そこから調査所帶の五千三百所帯をアット・ランダムにとつておやりになるとか、それから先の手続としてはほんとうに半分なく正確にやつていらつしやるけれども、最初にとつたときの層の切り方は、べース・ユニヴアーをあまりとりすぎて、とてもこれでは現状を処理しきれないと、私は思うのでございます。これは去年の國勢調査あたりの材料でやつていただけたら、もつと違つた結果が必ず出てくると思います。こういうように、基礎になる母集團、べース・ユニヴアースがないりに、それを推測的に統計の基礎にして、算式は精密でありますけれども、算式にあてはめるところの材料が不備なのでありますから、その結果はハイヤスが多い。そのバイヤスの多い材料を非常に大胆に使つてこういう計算をするということについて、まず根本的に不安を覚えるのでございます。ですから、その点は狭い意味の数理統計的には成立しても、社会統計的には、何か私たちが非常な不安をもつということを申し上げたい。  時間も大体なくなるようでございますから、結論として申し上げますと、とにかく私たちは生活を安定させたいということを、それからもう少し皆いい暮しをしたいということです。今若しくても先に見込みがあるならばがまんをする。何も税金を支拂うのがいやたというのではなくて、もつとアンバランスをなくしていただきたい。それから収益性の少ない税金を拂うのを國民はいやがるということを、よくわかつていただきたいのでございます。せつかく婦人代表としてお招きくださいましたけれども、申し上げることがあまる理屈つぽすぎて、婦人の代表にならなかつたかもしれませんが、今婦人の問題は婦人の問題だけで片づかない、どうしても全般的な解決によらなければ片づかないという段階になつてきております。たいへん勝手なことを申し上げましたが、私はこれで終ります。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 御質疑ございませんか。なければ次に産別会議の財政部長山田有三君。

山田有三

○山田公述人 私は労働組合の代表でありますので、一般会計及び特別会計の予算につきましても、労働者及び勤労者、小市民の利益においてこれを見なければならない。そしてまたそういう観点からお話申し上げますので、この点を御承知おき願いたいと思います。  本予算の骨子をなしておりますものに、物價と賃金があります。この物價は現在の公定價格の七割程度の引上げでございます。賃金は三千七百円程度よいうものが根幹になつておるのであります。しがし御承知のように、すなわち全官は政府に五千二百円の要求をいたして交渉を続けております。かようにこの予算の根本であります賃金ベース自体が、この予算が可決されない今日におきましてすでにもう破たんとしておる状態であります、なお物價におきまして、現在の七割程度というようにされておりますが、われわれの聞くところによりますと、今度の物價改訂のうち基本的な物資と申しますか、たとえば電力について言えば二・六倍、塩については二・六五倍、薪が二・三八七倍、また醤油が二・二倍、また風呂賃のごときものが二・五倍、かような数字と聞き及んでおります。一方もちろん下るものもあるそうであります。しかしながら、寫眞機とか、蓄音器とか、かようなものは労働大衆の日常使うものではないのあります。ただいま申しましたような生活必需品のほとんどが、現出仕の二倍以上に予定されておるといたしますれば、この物質の基礎である七割というものは、はたして実行できるかどうか。われわれはそういう点から非常に不安に感じておるのであります。またこの予算は、根本におきまして、外資導入の地ならし予算というように言われておるようでありますが、われわれ労働者の立場から考えますると、外資が導入されることは、現在の日本の経済状態から申しまして、また再建の意味から申しまして、これを全面的に根本から否定するものではもちろんございません。しかしながら、過去の日本の資本家諸公がやつてまいりました方法等を勘案いたしまするに、この外資導入のためには、まず第一條件において、われわれ労働者の低賃金は否めないのであります。またこれによる企業の整備ていわゆる人員の整理は、予測せざるを得ないわけであります。かように考えまするときに、われわれはこの予算が実施されるならば、はたしてわれわれ労働者及び勤労者階級が、いかような窮迫した状態に押しこまれるか。かような観点から、私たち労働者といたしましては、両とかこの予算の審議に当られます皆様方が、ほんとうに労働者の立場を御認識くださいまして、この予算の実施反対に御協力願いたいと考える次第であります。  なお個別的の内容について申し上げまするならば、まず歳入についてであります。租税について勤労所得税の基礎控除額が大幅に軽減された。かようになつております。しかしながら先ほど申しましたように、物償は実際においては倍額以上になる。そして賃金を三千七百円に押しこめようとしている。かようなことから考えますならば、はたして勤労所得税の基礎の控除額が、勤労者にどれだけの利益を與え、否かえつてわれわれの実質賃金を低下せしめるものであるかということを断言せざるを得ないのであります。殊にこの税金の問題につきましては、現在の税務機構の弱体を理由とされまして、從來も新税その他の財源についてなかなか取りにくいのだ、かように御説明されておりますが、この予算案におきまして、取引高税というものを新しく設置されております。この取引高税は、取引ことに價格の一%というようなことでありまして、一般には非常に低いもののように考えられておりますが、事実におきましては、普通の生産品が少くとも三回ないし五回の取引が行われる。しからばこれは実際には五%になる。なおその途の専門家の意見を聴きますると、少しともこのはねつ返りから一割は予想し得られる。しかもこの取引高税は、実際問題として過去の間接程その他の方法から考えて、必ずこれは最後の消費者である勤労大衆にこれが轉嫁されるのであります。かような場合に、一方業者といたしましては、専業所得税の関係上、この取引高税を逃れんとする。かような運動も実際上には出てくる危険性が多分にあります。そういたしますと、中小企業者と申しますかは、取引高税において搾られ、そしてまた事業所得税、また地方財政において課税される。かような関係になり行くのではないかと考えます。政府自身におかれましても、取引高税は悪税であるということを是認しなければならないというようなことを言われたやに聞き及ぶのでありますが、われわれはこの取引高税は悪税を通り越して、搾取税であると断ぜざるを得ないのであります。  なお歳入の專賣益金でありますが、このたびタバコを主といたします專賣の益金が、非常に多額に計上されております。現在の労働者、勤労者のわずかの收入から、何が楽しみであるかと言えば、大体においてタバコであります。從いまして、益金というものは、われの大衆課税である。こう考えなくてはならないのではないかと考えます。  次に歳出についで申し上げれば、経験処理費とか、賠償施設撤去費、その他消費的な日本再建に直接寄與しない面、しかしながら必要やむを得ざると言はれる面が、相当の部分をとつているに反しまして、公共事業費、教育その他については非常に少く、少くとも現在政府が考えておられます三千七百円べースでは、われわれ労働者の子弟は学校へさえやれない、事実においてわれわれの子供を学校へやる場合に、規定の月謝とかそういうものでない、いわゆる寄附金とかいうようなものが相当でありまして、これは皆様方も御承知のことで、かようなことがはたして三千七百円でやれるむのかどうかということは、皆さん御納得のことと存じます。なお特別会計におきまして鉄道運賃及び通信料の値上げと関連いたしまして、今回政府におかれては、この両種目につきまして独立採算を強調されております。もちろん企業である以上独立採算はとるべきかもしれません。しかしながら、鉄道とか通信事業とかいうものが、はたして普通の企業扱いをすべき現在の日本の状況かどうかということを考えまするならば、私、まだ独立採算制は無理なのではないかかように考えるわけであります。殊に鉄道運賃の値上げにつきましては、一般の市民に対しては、これは鉄道從業員の賃上けであるからというようなことを一部言われておりますが、事実われわれが調べまるすならば、現在の鉄道の赤字の八〇%というものは石炭によるものであります。この石炭については價格調整費とも関運がございますが、はたして今回予想されておりますような、トン当り二千二百円というような金額が正しいかどうか、われわれもちろんその筋の者でありませんからわかりませんが、しかしながら、こういう債務が決定される場合に、必ずこれが資本家側から提出された資料その他によつてつくりあげられ、もしトン当り三千二百円の中に、かりに二百円でも三百円でもふぐらましがあると仮定いたしますならば、これはあらゆる物價に対して非常な大きな影響を及ぼすものであります。從つて價絡調整補給金というようなものに対しては、その基礎的な物資の償格決定の際に、もつと根本的に慎重に取扱いを願うべきではないか、かように考えるわけであります。また鉄道運賃の値上げにいたしましても、貨物運賃と旅客運賃がありますが、この旅客運賃に大幅の引上げをされるわけでありますが、これは貨物運賃を上げればいろいろの物資が上るという御理由もあると思いますが、しかしながら、常に少く上げても多く上つた方向にやみ物價はいくのであります。結局一体だれがその物資によるものを——貨物運賃の安い部分を利得するか、かように考えまするならば、これは決して勤労者の、労働階級の利益にはならないと断ぜざるを得ないのであります。殊に旅客運賃の九割九分までが三等運賃であるかように考えまするならば、独立採算制を強調されておるその内容は、企業としての独立採算でなくして、これは大衆を搾るものである、かように見られるのであります。かように一連のこれらのことから考えまして、もしこの予算が実施されるならば、ただちに厖大なる追加予算を必要としなければならない。すなわち基本的に予定されております物價の七割、また賃金の三千七百円が破れざるを得ない現状にある場合に、これが強行されるならば、労働者自体の——資本家の方々に言わせれば、労働攻勢と言われるかもしれませんが、われわれ労働者としてつは、われわれの不安というものは、いきおいこれが労働組合の運動となつて立たざるを得ない状態に追いこまれておる。そしてこれが追いこまれれば、ここに大きな追加予算というものができ、そのためにこの予算が一應均衡がとれておるけれども、実際上においては均衡のとれたものではない、インフレに拍車をかけるものである、かように断ぜざるを得ないのであります。どうかこういう意味合いから、現在置かれております労働者階級の現状をよく御承知、御認識くださいましてこの日本の再建を擔わされた労働者のために、この予算の実施を中止するよう、これを御協力願いたいとお頼みする次第であります。これをもつて簡単ながら私の公述を終ります。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 別に御質疑ございませんか。——なければ次の方にお願いします。次は全逓信從業員組合中央執行委員長土橋一吉君に願います。

土橋一吉

○土橋公述人 本日はわれわれのために國家予算と賃金の関係について説明せよ、かように鈴木委員長並びに委員各位の御理解あるところの公聽会が開催せられまして、労働者の代表として意見を述べることは、まつたく光栄と仕合せに考えておる次第であります。なお委員の皆様にも厚く感謝の意を表するものであります。  さて私に與えられた題は、おそらく逓信特別会計と賃金の問題であろうと思うのでありますが、私はその前に、從來の政府がこの國会におきまして、予算の編成において、各委員の方々の労を煩わして厖大なる予算が組まれつつあつた事実を申し上げたい。なお二十三年度のこの予算が非常に厖大であるために、特にわれわれは過去の例を考えまして、これがさらに悪性インフレの原因である、かような点まで考えておる次第であります。昭和二十一年度におけるところの、初年度における一般会計予算ば、たしか五百六十億程度の予算が國会へ上程されたのであります。しかるにかかわらす、三回の追加予算によりまして、一千百億程度の予算が編成されたのであります。昭和二十二年度におきましても、一千百億程度の初年度予算が計上されたのでありますが、さらに追加予算を計上いたしまして、三千二億程度の予算を二十二年度の会計年度におきましては完結したのであります。今年度も初年度におきまして三千九百九十三億というような厖大な一般会計予算がただいま組まれておるのでありますが、さらにこの初年度会計予算で、今年度が通り越すことができるであらうかどうかという点から、私は考えたいと思うのであります。過去の例を考えまして、特にこの予算の内容を見ますると、この予算は收入面がきわめて過小であるにかかわらず、過大の支出面を見ておるのではないかという点が第一点であります。第二点といたしましては、この予算の支出の面を見まずるならば、実際はもつと大きな過大な支出が悪質インフレ下の現下において要請せられておるにもかかわらす、現実は予算の面が過小視せられておるのではないかという点が第二点であります。從つてこういうような予算の編成を行うならば、必ず今年度内におきまして、さらにこの程度の追加予算がまた政府から提案をせられて、皆様の労を煩わすのではなかろうかという懸念があります。かような予算が來年度もまた組まれるどいうことになつたならば、わが國の物價の状態はいかようになりましようか。從いまして、この予算全体を見まするならば、まず私は終戰処理費というようなものについて、眞に委員各位の御努力にまつてこの内容が検討されておるかどうかという点を、私はお伺いしたいのであります。この予算は九百二十四億という厖大な絡戰処理費を上程されているのでありますが、特にこのうちに事業費として八盲八十八億程度というものがあるのであります。この内容につきましても、私が費目を調べたところによりますど、百億以上の予算費目が六項目もあるのであります。從つて、これは特に現在の民間土建業者等の関係から見まして至大な資金の放出が政府の名において行われておるのじやないかというような点が考えられる次第でありますので、特にこの点は慎重にお調べを願いたいと思つておる次第であります。  次は價格調整の補助金でありますが、この内容も大体五百十五億程度と聞いておるのであります。從つてこの内容も昨年度の予算によりますれば、食糧の價格差を補給するために、大体七十億程度の予算が、別に盛られておつたということを聞いておるのでありますが、今年度はそういう経費もなくして、五百十五億というような厖大な費用が賄われておるのでありますが、これは大体われわれ労働者的な立場で言うならば、この金はすべて持てる者諸君のために政府支出の金が賄われておるのじやないか。かように考えておるのであります。  次に公益事業費でありますが、先ほども公述人からお話がございましたのでありますが、この内容の四百二十五億のうち、たとえばおもな内容はさておきましても、特に河川なり、あるいは港湾なり、あるいは農業等の土木費は、非常なものを占めておると私は思うのであります。こういうものについても「現在実際に皆さんが御審議を願つて考えておられるところのものが、この予算においてほんとうに実現ができるであろうかどうかという点であります。特に考えられるのは、國会においても不当財産取引調査委員会において、一部の方々がただいま俎上に乗せられて審議追究中であるのでありますが、そういうような内容もただいま申し上げた終戦処理費、あるいは公益事業費等のうちから、そういう点が考えわれるのではないかという点を、われわれ勤労者としては感ずるのであります。なお船舶運営会に対するところの四十億、あるいは政府の責任において予算外支出としておりますところの金融機関へ政府が麦拂いをするようなかつこうになつておりますところの二百三十億、特にこの二百三十億のうちには、二百二十二億程度までは金融機関へ補償する金額になつておるのでありますが、に、ついうようなものについて、眞剣に國会においてはお考えを願つておるかどうか。これは労働者的な立場、働く勤労者的な立場から、私は申し上げておるのであります。從つて御意見の違う点があることは承知しておるのでありますが、こういう厖大なる支出が、勤労大衆的な立場において賄われないで使われておるという点が、われわれにはいかにしても了解できないのであります。從つて收入面におきましても、先ほどの御説明等によつてよくわかるのでありますが、大衆課税的な立場において一切のものは賄われ、出る方面の支出の約八〇%ないしそれ以上とも思うのでありますが、そういうものは持てる諸君の利益の擁護と、企業の経営可能のために支出されておる点であります。從つてこういうような矛盾した財政は、おそらく全勤労者としては納得のできない予算面ではなかろうか。かように考えでおるのであります。  以上のような観点から見まして、まず労働者にはただいま三千七百円基準というものが政府から示されておるのでありますけれども、この三千七百円にいたしましても、ただの一度も労働組合の代表、あるいはそういうような諸君を通じて政府は話合いがなかつたのであります。寝耳に水のうちに予算が編成されまして、三千七百円基準で一般の行政整理は二割あるいは一割五分ども言われておるのでありますが、天引きでこれが行われるということであります。かような資本主義的な再建の方式によつて、もしわが國の企業が将来営まれるならば、常に労働大衆は全面的な反対の意見を表明するとともに、その行動は、より悪い方向、あるいはよりはげしい方向に向うであろうということを、私は憂えて寄るものであります。  從つて逓信特別会計の面を、さらに申し上げるならば、逓信はただいま二千九百二十円下、このままの物債でいくならば、百五十一億程度の赤字を出すのであろう。であるからして、運信は料金を四倍程度に——もちろん郵便、電信、電話、そ他為替等の料金は各まちまちでありますが、概略四倍程度引上げということになつております。從つてその結論は、なお一般会計から五十一億程度の赤字を賄わなければ、逓信は運行できないというように、現政府は考えているのでありますが、はだしてその根拠はいずこにあるかというならば、皆さんも御承知のように、逓信特例会計の独立採算利であるのであります。この独立採算制は、私は少くともただいまの段階におきましては、まつこうから反対をせざるを得ないのであります。なぜかならば、逓信は戰前及び戰爭中は、年に八千万円ないし一億円程度の一般会計へ繰入れをしておつたのであります。ところが永年の逓信施設の老朽と、特に戦災等をこうむまして、逓信事業の施設というものは、ほとんど荒廃の極に達しているのであります。にもかかわらず、かような観点からかつて南逓相以來、特別会計と同時に独立採集制ということが提唱されて、それが実現できたのは仕合せではないかというような皮相な見解で説明があつた方々の御意見も聴いたのでありますが、これはまつたくわか逓信特別会計の内容を知らさる者の言であると思うのであります。それは例をあげて申し上げるならば、働くだけ働かせて、全身、足も腰も立たなくなつた、年をとつた老朽した人に、さあこれからお前は五人の家族を養えというようなことを強要するのと同じような状態に逓信特別会計はただいまなつております。從つてわれわれは一般会計からいかなる犠牲を拂いましても、逓信特別会計ないし鉄道特別会計には、十分働き得るだけの措置を講じて、しかる後なお独立採算制ということを考えるのならば、まことに至当な点もあるのでありますけれども、ただいまも例を引いて申し上げたような、こういう状態の逓信特別会計に独立採算制を強要すること自身、基本的に誤りであるのであります。  次の点は、逓信のすべての郵便、電信その他の業務にいたしましても、すベてこれは普通性をもつておるのであります。特に全市民がこれを利用し、この内容については、きわめて低廉にしかも安直に利用され、社会の文運進展のために寄與しなければならないということは、これは言をまたないのであります。にもかかわらず、独立採算制をとるならば、これは字の通り、独立をして採算をするという建前になるならば、これは必然的に私企業化するのであります。待つて、私企業化するならば、常に合理的に、能率的に相ならなければならないという結論が出てくるのであります。こういうような私企業化する意味において、逓信の各分野が進行するならば、たとえば電話加入債券等について、皆さんが御審議を願つた例でも、いろいろあつたと思いますが、金をもつ者物をむつ者でなければ、逓信の業務は利用できないという一面が出てくるのであります。これでは電話業務にいたしましても、あるいは普通郵便にいたしましても、小包郵便にいたしましても、その他の保険、貯金、輸送等の業務におきましても、これはいささか公共性ということと、普遍性ということの根本理論を忘れている考え方ではないかと思います。待つてこういう点から考え、第二点として独立採算制はただいまの逓信業務についてはまつたく当らざる理論であるといろのであります。特にわが逓信部内の電気通信業務に関しましては、ややもすると、これを合理的に、しかも能率的にというような名称のもとで、電話、電信業務が全市民の公器である、これを普遍妥当に利用する点がきわめて看過せられるような傾向にあります点は、まつたく遺憾至極であります。  同時に外國資本の問題でありますが、少くともわれわれは、外国資本の導入を無條件に、しかも卑屈な状態において受入れるような態度は、戒めなければならぬと思うのであります。これは現政府の基本的な政策の第一項目であるのでありますが、もしわれわれが民族の独立とか、あるいは政治的な干渉を受けないとか、さらにいろいろな諸候件が十分考えられた上においての外資の導入ということならば、これはまた考慮する余地もありましようが、そういうような國家百年の計をも、また民族的な平和國家再建の独立というような点まで蹂りんせられて、なお外國資本の導入については、遺憾ながらわれわれは賛成することはできないのであります。こういう面から見ましても、電話業務がおかれておる地位はきわめて微妙な地位にありますので、独立採算制、この立場からも私は再批判する必要があると考えるのであります。從つて独立採算制は、ただいま私がきわめて簡単な例示をあげて申し上げましたような意味合においても、われわれは反対をしているのであります。從つて逓信省が逓省だけの会計で賄うもので、資金なりあるいはその他のものを出せということは、全面的にわれわれは賛意を表しがたいのであります。そこで三千七百円のもとの問題に還りまして、三千七百円の基準はいかようなる資料によつて出たかというならば、物償は七五%上る、從つて郵便料金、鉄道料金は三倍半ないし四倍を上げる。ところがやみ物債というものは、どういう算定をしているかというならば、二・六%程度の値上りだろうということを考えているのであります。私はこういうような計算をされた政府の提案内容については、まつたく賛成することはできないのであります。というのは、昨年の七月一日の給與審議会において、あの片山内閣が十一月黒字説というようなことを申しまして、いろいろな説明があつたのでありますが、結論においてどうであるかというならば、その内容が実行されていないのであります。從つてやみ物價においては、当時の三倍以上の公定價格引上によつて、四倍も五倍も上つた実例を、われわれは昨年の今ごろすでに体験済みであるのであります。從つて政府がかような説明をいかほどいいたされましても、おそらく有識者、一般の業者、一般の勤労大衆は、だれが何と申しても納得しないでありましよう、必ず七五%上るならば、やみ物債においてはさらに二倍、三倍上るかろうということは、火を見るより必然であります。またこの郵便料金なり鉄道料金というものが、手数料であるか、課税であるかというようなことについて、いろいろ議論があるのでありますが、結論的には、やはり大衆課税であるのであります。從つてこの郵便料金をかりに業者が納めるとしましても、最終的な消費者、着る者、食べる者、住む者の最終的な者が、最終的に負担をする結果になるのであります。從つて名目は何でありましようとも、あくまで大衆課税の引上げにすぎないのであります。從つてこういうものは、おそらくまじめに働く勤労階級なり消費市民というものは、賛意を表しないと思うのであります。われわれ労働組合代表といたしましても、絶対に郵便料金、鉄道料金の値上げには反対すると同時に、公定價格引上による膨脹財政は、要するに亡國的な國家予算である、かように断ぜざるを得ないのであります。從つてわれわれの皆さんに特に御了解願いたい点は、収入の面においてもさらに再吟味をお願いしたいのでありますが、支出の面においては格段の留意をせられまして、さような一般会計のルーズなもの、あるいは粗骨なものがあるならば、ただちにさようなものを繰入れて、特別会計へ御編入願いたい。從つて一般会計の責任において特別会計が動くような体制をとることが緊要であるという点であります。  次はしからば逓信特別会計にはどういうふうなこまかしい腹案を君はもつておるかというような御意見もありましようが、逓信特別会計の——ただいまの逓信大臣以下、從来の官僚諸君もそうであつたのでありますが、逓信部内においては、まだ多少の財源があるのであります。それを政府の諸君がやらなかつたということには、いろいろ事情もありましようが、やる気がないということであります。現在の官僚及び閣僚の諸君の一部分では、やる気がないということであります。その内容は、たとえば逓信でも、局舎は全國にまず一万五千局舎をもつております。電話は全國的に七万程度もつております。電信柱は大体二百五十万程度もつております。ポストは大体七万函程度もつております。こういうようなものにもつと目を開きまして、廣告権等の適切妥当な、しかも外観と、ある品性を保つようなものを考えて、廣告権を設定するとか、あるいは郵便はがき、あるいは封筒というような規格を——もちろん官製はがきでありますから、一定はしておりますが、そういうものにさらに上下とか、あるいは裏面の一端に廣告権を設定するとか、あるいはいろいろな切手等においても相当のことを考えてくふうをするならば、収入は腰だめではありますが、おそらく二十億ないし三十億程度の金が、逓信部内にはいるのじやないか、かように考えられる節もあるのであります。また節約等の面から見た場合には、從來逓信省も各省も同様でありますが、特定の業者に不用品を拂下げするというような悪い慣行があるのであります。これは特に委員の皆さんにもいろいろお調べを願つて、そういう悪い慣行は、ただちに廃止をいたしまして、入札あるいはその他の方法によりまして、逓信あるいは鉄道もそうだろうと思いますが、そういう不用物資の拂下を、厳重に監視することによりまして、なお相当の節約ができるのじやないか、かように考えているのでおります。この節約面の、あるいは積極的な面における収入は、それは全体の中から考えた場合にはわずかのものでありましようが、こういうものをもつて善処するという気構えが、逓信省には今日までなかつたのであります。從つて委員各位の協力支持を得まして、こういう内容についても、ただちに政府をして行わしめるように御努力を願いたいと思うのであります。結論的に申し上げるならば、われわれは労働者の代表として、働く全勤労着の一人といたしまして、かような亡國的な厖大なる予算については反対をする。從つて少つくとも働く諸君の生活の安定するところの食糧政策なりその他の面を十分勘案せられて、もつと健全な、もつと収支の見込みの確実な予算を組まれまして、この年度内には決して追加予算を出さないというような、明確な確信のもとにやつていただかないと、先ほど例を引きましたように、一昨年、昨年以來もう追加予算を計上することは、慣例のようになつておりますので、その結果は常に全勤労大衆が苦しむという結論を御銘記願いまして、われわれの考えているような、料金値上、あるいは公定債格の引上というようなことについては、十分御勘案を願いたいと思うのであります。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 御質疑はございませんか——御質疑がなければ、次の方に移ります。次は全國財務労働組合の副中央執行委員長徳島米三郎君。

徳島米三郎

○徳島公述人 ただいま御紹介にあずかりました徳島であります。午前中の公述におきまして、風早さんに対して相当突つこんだ御質問がありましたし、またその歳入の御説明については、相当一部の方で揶揄的な雰囲気がありましたので、私は主としてそういう歳入の面について、餅屋は餅屋としての立場から、一應私の意見を申し上げたいと思います。ます説明の順序でありますが、きよういただきましたプリントに從つて、第一の間接税中心主義に対して、どういうふうな意見をもつかという点でありますが、御承知の通り、本年度の予算におきましては、間接税の増徴歩合が非常に急激でありまして、二十二年度においては大体直接税百に対して間接税は專賣益金を含めて百六、大体半々であります。ところが本年度予算におきましては、直接税百に対して間接税が百四十三、つまり、直接税においては大体昨年にくらべて一倍半殖えておりますが、間接税においては二一六%、二倍以上に殖えているのであります。それでは間接税中心主義がインフレーシヨン下の租税政策としてやむを得ないかという点になりますと、これはわれわれとしてはやむを得ないと言い切れないのであります。租税制度におきまして、もちろん直接税中心がいいのは申すまでもないことであります。できるならば直接税中心で担税能力に憾じた課税をすべきだ、これは皆様方も御異存ないことと存じます。問題は結局直接税でとれないから間接税でとるということになつてまいります。しかし日本の從來からの租税政策におきましては、とかく間接税依存主義と申しますか、とりやすい方からとるというふうな方針が一貫して流れておりまして、それが今年の予算におきましても、大体直接税は頭を打つたから、もう間接税に頼らなければならないというので、最も猛烈な、最も大衆課税的な税金である取引高税、これは非常時の租税として諸外國の例にもあるのでありますが、それが本年度登場したわけであります。それでは直接税はもう頭を打つかという問題になつてくるわけであります。私は総体的に考えますならば、現在の國民所得に対する割合からいつて、もう頭を打つているのではないかという意見でありますが、しかし同じ頭を打ちながらも、間接税に頼らなくてもまだ直接税でとれる方法があるという意見をもつているものであります。その具体的な点につきましては以下項を遂つて説明するうちに大体御了解願えると思うので、次の源泉課税と申告納税の不均衡ははたして是正されたか。直接税において一番大きな問題はこの問題であります。つまり源泉課程と申告納税との間に大きな不均衡があつた。課税の時期においてまた課税の充実において、ほとんど比較にならないくらいの不均衡があつた。これはすでに御承知の通りであります。源泉課税におきましては、毎月きちんきちんと給料から天引されておりますが、申告納租の方におきましては、皆様御承知の通り、昨二十二年度は非常にこれが時期的に遅れまして、そして昨年十二月から本年の一月にかけて、租税完納運動が大々的に行われたような次第であります。この申告納税の方は、その後一月以來大体事態が改善されたと申しますか、非常な権力が加わりまして、大体において予算額程度はとれるような見透しがついたのであります。しかし時期的にはそういうふうな点で非常に不均衡がまだ残つておる。本年度におきましても、すでにもうそういう時期的な不均衡は起つております。つまり源泉課税におきましては、一月分以降五月分まではもう月給袋から天引されておるのでありますが、申告課税の方におきましては、一月以來の利益対しては、まだ一銭も納入されていない。こういう状況であります。それでは時間的な問題を離れて、課税の充実という方から言うとどうか。これもすでにいろいろな方から指摘されるまでもなく、非常に不均衡が起つておる。しかし同じ不均衡でも、この申告納税の中で、農民に対する農業所得税、あるいは商工業者の中でごく小さな業君に対するもの、こういうもの比較的充実した課税が行われております。これは今度の更正決定にあたつて比較的充実されております。しかしわれわれとして最もおとらなければないもの、それは現在のインフレ利得であります。こういう点につきましては、ほとんどと言つていいくらいとれておりません。從つて総体的に見れば、課税の充実の点において大きな開きがあります。しかしその開きのある中で、中小商工業者あるいは農民に対する課税の充実の点においては、ある程度更正決定によつて均衛が得られた、あるいがそれ以上に課税されておる向きもあるかもしれないということが考えられるのであります。  それでは次の問題の新所得税法案によつて、はたして勤労者の負担は実質的に軽減されたか。現在政府は勤労者に対する所得税を軽減した代償として、取引高税を用意しておるのであります。しかしはたして軽減されたかどうかという点は、大きな質問があります。まず第一に考えていただかなければならないことは、新賃金ぺースは昨年度の税法制定当時に比べまして——昨年度の税法と申しましても、これは追加予算のときに、勤労所得税は軽減されております。その軽減された税法制定当時に比べてすら、現在の賃金ペースは倍以上にならんとしております。これは政府の考えておる案でも倍以上になろうとしております。一應かりに計算を簡單にして賃金ベースが倍になつたといたしますと、この負担割合は基礎控除額の引上げにもかかわらず、課税額はかえつて殖えるというような結果になつております。  一應所得額を倍にして、もとの所得額二分の一の所得との税額のグラフを書いてみますと、独身着の場合は、最初から全部賃金べースが倍になつた場合は、今度の所得税法の方が税額がよけいかかるという計算になります。また扶養家族三人ある場合の計算をいたしますと、大体月収七千円程度からつは今度の所得税法の方が負担額が多いという結果になります。從つて実質的にこれは決して税負担は軽減されていないというこが言えるのであります。軽減と申しますが、物慣指数あるいは生計費の指数が上つたために基礎控除が上るのは当然でありまして、これは軽減でも何でもぽいということが言えるのであります。たどえばドイツのあのインプレーションのもう爆発点に近づいた時期からは、源泉課税の基礎控除はほとんど過ごとに変つていつたのであります。これは軽減でも何でもなく、当然そうなるべきものであります。それでは次の申告納税の問題を一應飛ばしで、農業課税は農業生産に悪影響を與えないかという点について申し上げたいと思います。この点につきましては、十五日の各新聞に出ておりましたが、十四日の新聞記者会見におきまして、G・H・Qの天然資源局の農業課長のイーヴイスさんは次のような意見を発表せられております。  日本の農民は、全人口の四七%を占めておるが、その収入は二一・六%にすぎず、さらに世界まれに見る高率税金が課せられ、新たに入手した土地すら旧地主に返還する例があり、土地改革の成果がなくなるおそれがある。また批判されるのは、農林官僚よりも大藏官僚にあり、大腰官僚を非難するとその報復が恐ろしいという奇妙な習慣すらある。大藏官僚は農民にかつてに課税し、その権限を秘密な方法で行使しておる。これらの処置を索制し得るのは國会である。  こういうふうな意見がG・H・Qの課長さんから発表されております。それでは一体農民はどのくらいの課税を受けておつたか。こういう点で國民全般から比較して、はたして公正な負担を負つておるたかどうか、この点について御説明申し上げたいと思います。  その前に一体國民全体としてわれわれはどれくらい税を負担しておつたか、この点について昨年度の國民所得に対する税負担の資料が税制委員会並びに國会の方へ提出されております。それにようますと、日本は英米に比べて國税の負担割合が非常に低い。英國は三七二%、米國は二〇・九%、しかるに日本は國税において一七%しか負担してない。この一七%の負担割合をさらに直接税と間接税にわけてみますと、先ほど申し上げました割合でわけると、大体直接税は国民所得に対して八・二%、こういうことが言えると思います。つまり国民全体で八・二%を負担せねばならなかつた、こういう結果になつておりますが、農民はどれだけ負担したか。これを農林省の統計調査局の発表に、よつて調べてみますと、調査農家が千九十六戸で、この農家の平均申告所得額が二万六千五百四十七円、これによつて税務署がやつた更正決定の金額が平均一戸当り三万九千十七円これに対する所得税額が八千八百三十六円、更正決定に対して割合は二二・六%、こういうようになつております。さらにこれを農家の申告に対しますれば三三・三%という数字が出てまいります。つまり国民全体の平均では八・二%しか納めないのに、農家の方ではその二七・五%、つまり大方の三倍近く納税をしておるということが言えるのであります。從つてこれは相当大きな影響を與えるということは、当然予想されることであります。殊に農家の課税におきましては、ほとんど一律に割当課税——名前の点においていろいろ大蔵省あたりで意見がありますが、実質的に言えば割当課税であります。つまり大蔵省の方で大体全体の租税負担の割当をきめまして、各財務局に振り当てる、財務局は各税務署に振り当てる、税務署におきましては、農民所得に対して反当りの所得というものを大体種類別にきめます。從つて税務署におきましては、機械的に耕作面積にその反当りの所得をかけ合わして決定いたします。もちろん実際の調査もいたします。しかしほとんど人員が少いのと、調査の時間がないので、そういうこまかい計算をする暇がないので、機械的な仕事になつております。從つてそこに非常に大きな不合理があります。第一の不合理は、経営規模によつて収入が非常に違うという点を無視しておる。それから供出制度によりまして、小農民は供出制度の犠牲になつて比較的不利な立場に立つておる。こういうものも考慮されていない。これは当然考慮すべき問題である。というのは、これは税務官吏としても、ほとんどみな承知しております。しかしそれをやるだけの時間がない、人がない、これが現状であります。從いまして、これは非常に過酷な税金になつておるということは、われわれとしてはやむを得ないと言えないのでありますが、現状はそういう次第であります。それからそれでは農民はそれだけの負担をしておるが、勤労者はどのくらい負担しておるか。これも具体的な数字を上げて申し上げますと、エコノミストによつて大体勤労収入の平均を調べてみますと、去年の七月当時のことでありますから、所得続が改正になつて軽減された月であります。この月の平均勤労収入が四千二百六円であります。これに対して大体消費單位から家族数を換算いたしまして扶養家族三人という平均にしてみますと、税金が六百七十円かかります。そうすると、大体税金の負担割合は一五・九%、こういうことになります。つまり勤労者は全体の平均の一九三%、つまり二倍近い負担をしておる。こういう結果になつております。こういうふうに勤労者や農民というむのは、米價が政府の一方的な値段によつてきめられたり、あるいは賃金が政府の方針によつて非常に低くきめられて、その画だけで非常に大きな犠牲を拂つておるのに、課税の面において最も能力の少い者が最も大きな負担をしておる、こういうことが結論的に言えるのではないかと思います。それではどうしてそんな結果になるのかというと、これは申すまでもなく、國民所得の中の相当部分が課税されておらないから、こういう結果になるんだ。結論的に言えばそういうことになります。それではどれくらいの脱税があるか、これは先ほどの質問でもいろいろつつこんで聽かれましたが、この点につきましては、資料をもつて私から申し上げたいと思います。  福井税務署に照会して調べた資料でありますが、これは全國的に一應照会を出して調べてみたのでありますが、二十二年度の大体申告納税の所得税の目標指示額、これは予算に合わした目標指示額であります。それは大体二億三千七百十九万二千円、これに対して調査額は全体でざつと三億であります。こまかい数字を省きます。この目標指示額二億三千七百万円の中で、福井税務署では脱税の摘発をいたしました。それはわずか三件の大口の脱税の摘発でありますが、その三件の脱税額を合計いたしますと五千三百四十三万九千円、つまり申告納税の目標、つまり予算の割当額の大体二二%、わずか三人分脱税がこれだけのものを脱税しておつたということになるのであります。またこの場合問題になるのは収入未済額の方でありますが、福井税務署は、大体目標額に対して調査額はそういう結果になつておりますが、収入調査額の方では二億六百万円しかはいらずに、結局収入の割合では八六%しかはいつておりません。そうして未済額の方は九千四百万円、大方一億円近くの未済額でありますが、それで三人の脱税の未納額を合計いたしてみますと四千六百万円、つまり未納額の約半分は三人がその責任を負つておるというような結果になつております。これは一例であります。從つて現在このインフレ利得に対する調査を拡発するならば、われわれ想像できないようなものがとれるのではないか。これはもちろんインフレ利得の性質によりまして調査が非常に困難だということは当然であります。しかし現在はこういうものに手をつけるだけの人がないのであります。最近の新聞に上りますと、政府の方は今度インフレ利得を徹底的に捕捉するために、國税査察官というものを約一千名簡抜して、大蔵本省に二百名と財務局に八百名置くということを発表しております。しかしこれは発表しておるだけであつて、はたしてこれがうまくいくかどうか、非常に疑問であります。その疑問の理由を申し上げますと、同じくこういうことを発表しております。税務職員の職責の特殊性に対應する任用資格、職階、給與、身分その他に関する制度を確立して、量及び質において所要の人材を確保する。つまり職階制度において有利にするから、量及び質において人材が集まつてくる、こういう説明であります。しかしながら、不思議なことには、優秀な者を簡抜するという大蔵本省、あるいは税務署、これが今度の政府が二千九百二十円ペースにおいて企図した職階制においてはまるで逆であります。つまり優秀な者を財務局に從來からも簡抜しておつたのでありますが、今度の職階制では、財務局は税務署よりも一号下げる、こういう方針であります。これはわれわれは絶対に反対しておるものでありますが、実施本部の意向だということでその方針を押つけてきております。大藏本省につきましては、一般職はもちろん財務局よりもまだまだ下であります。つまり優秀な者ほど職階が下だという結果になつております。こういうような職階制を実施して、どうして優秀な者が集まりますか。われわれは今政府がやろうとしておる職階制に大きな疑問をもつております。また税務官吏の職階制を有利にするということを発表しておりまが、これは非常にわれわれとしては不満足であります。昨年の十一月におきまして、議会の審議を経まして、税務官吏に対する特別手当が成立いたしました。その結果われわれとしては、約月収の二割五分に相当する特別手当をいただいておつたのであります。これは一月から三月までの実績であります。待つて今度の職階制においてこういうものを織りこむということになれば、当然二割五分というものが職階制において認められなければならない。こういう主張をわれわれはもつておるのであります。主税局の案も最初はそういう案でありました。ところが途中で大蔵官僚の中でごたごたいたしまして、これが実施本部の意向だというので、われわれが協議してから一月経つて示されたる案では、これは大方半分近く減されて、二割五分の特別手当相当額は一割三分に減つてしまつた。こういうふうなけちな考えで、政府はインフレ利得をとろうとしておるのでありますから、およそどういうことか想像にあまりあるのであります。われわれといたしまては、このインフレ利得を徹底的に調査するために、いちいちな方法を考えておりました。われわれとしては、特別調査班を設ける必要があるというので、盛んにこの意味の宣傳をしておりました。そして官府の方で——官職というより大藏省の官僚の方で、積極的にこれに着手しないので、それではわれわれ労働組合でこれをやろうじやないかというのでやり出しますと、これは労働組合がやるのはいけない、官紀紊乱だ、おれの方でやる。今度は労働組合で積極的に自発的にやつてはいけないが、おれの方がやるというので、特別調査班というものが官制ででき上りつつあります、これでも結構であります。しかしそういうふうに何でも面子にとらわれて、われわれがやろうとする熱意を冷却さす、こういうふうな考え方で、どうして積極的にインフレ利得というものをつかむことができましようか。つまりインフレ利得というものは、徹底的に捕捉するということは困難でありましても、これを可能な限り捕捉するというまでには、まだまだ余地はあるのであります。從いまして、われわれとしては、その次の問題の取引高税実施のほかに財源はないかどうかという点につきまして、こういうふうな與えられた條件で、可能な範囲の施設をしつて、徹底的にインフレ利得をとろうという努力があれば、まだまだとれる。取引高税を実施しなくてもとれるということは、税務官吏全部が痛感いたしておることであります。それがいくらぐらいとれるかということは、国民所得というものが日本では正確でないので、われわれとして確信をもつたことが言えないのでありますが、現在の実情をながめてみるときに、あまりにも現在の税務機構というものは貧弱であります。從つてこういう財源の問題は、まず政府にインフレ利得をとろうとする意思があるのかないのか、これが根本の問題であります。さらに申し上げますならば、その他法人税等の問題におきましても、いろいろの問題におきましても、金融資本というものに対する遠慮が、非常なものであります。われわれ財務局におりました当時でむ、保険会社あるいは銀行に対する調査は一應やつても、これはあとめんどうだがらいい加減にやつておけという気分が非常に多いのであります。保険会社でそうかう実例が一件あつたそうであります。私知らなかつたのですが、そういう例を聞きました。また去年こういう例がございます。これも福井縣の例でありますが、ある銀行が一万一千円の利益を計上しておつた。ところが税務署で調査いたしますと、大体三百十六万四千円の利益があたり。これは何もむりしたのではなしに、理屈の上からそういう結果になつたわけです。ところがこれに対していろいろ大蔵省のえらい人の意見が出ましてそれがいろいろまわりまわつて訂正された結果、結局一万一千円の利益に追加すること八十四万七千円、それに二百十三万六千円という利益と、十六万九千円という利益の三つの脱税があつたわけでありますが、その中で一つだけ八十四万七千円の分を一應利益に加算して、あとの分を放つてしまつたという結果があります。その結果当初税務署で計算した税額が二百四十五万円、これに対してそういう意見が出たために訂正した結果の利益が四十七万円、大方二百万円というものがここで消えてしまつているのであります。また法人税におきまして問題になるのは、法人税は事務が非常に遅れているということであります。これは税務局によつていろいろ違うのでありまして、特に東京あたりは遅れているのでありますが、大阪あたりの比較的中庸を得たところにおきましても、法人税の予算に出ておる数字というものは前年度の繰越分が半分と本年度の分が半分、大体そういう割合になつております。つまり繰越が非常に多い。申告納税制度になりまして、幾分かその点は是正されるかもしれな心のでございますが、この申告というむのがまた非常に低くて、ほとんど税務署で決定しなければならない。つまり法人税の申告額と脱税の摘発によつて増加した金額と、ほぼ半々であります。從いまして、そういう点についても、また人員の問題になつてまいります。  そういうわけで、直接税の方にはまだまだ手を入れる余地は十分あるのであります。從つて申告納税の更正決定の方法というものを、いろいろ改善する方法はありますが、何を申しましても、これをする人がない。また現在のこの給與制度のもとにおいては、どんどん優秀な人がやめていく。たとえて申しますと、私がおりました職場の大阪財務局の直税の法人の特別調査班は約六名か七名おりました。ところがその中で最も中堅級の仕事をする人間が三名三月頃から辞表を出しまして、うち二名はいろいろ慰留されて現在も残つておりますが、一名はやめました。そういうわけで、相当な経験者というものは、ほとんどやめてまいります。從つて人員は殖えておりますが、質的に非常に低下しまして、お話にならないような現状であります。  それで次の問題の取引高税実施のほかに財源がないかどうか。それで一應私の意見は終るのでありますが、取引高税がはたしてどんな結果をもたらすか、この点は非常に大きな問題であります。現在物品税が相当廣範囲にかかつておりますが、今度の取引高税は、主食を除いたほとんど全部のものにかかります。あらゆる労力にかかります。從つてこれは最も徹底した大衆課税であります。特に日本のように仲介業者の多いところにおきましては、生産者から消費者に渡るまでの取引の回轉数が非常に多いのであります。先般の財政の公聴会におきまして、取引所の方が例をいろいろあげておられました。たとえば石けんの回轉数が最高十三回轉、書籍が十五回轉、こういうふうな例を出されておりました。もちろん回轉数に感じて税率は上りますが、十回轉するから一〇%かかるというのではなしに、その段階のいろいろな労力、そういうものに應じてかかつていくのであります。これが楯当かかる。三%以上ぐらいかかるだろうということは、もう腰だめでも大体予想されるものであります。待つてそれが物價に影響しないということはうそでありまして、非常に影響があるだろうと思います。特に今日のように物資の少いときにおきましこは、殊に生活必需品においでは、大きな影響があるだろうと思います。  それから脱税と、やみ取引を助長しないかという点でありますが、脱税の危険性はこれまた非常に大きいのであります。それは税務行政の面から言いましても、この取引高税の申告を正直にいたしますと、所得税が比較的とりやすいのであります。つまり正直に申告すれば、それだけの取引高があつたということになつて、それに應じて所得税が課税されます。從つてこういう点について、從来の、物品税の脱税とか、あるいは遊興飲食税の脱税が多かつたのでありますが、この例がこのままこれにあてはまるのであります。從つてそういう意味の脱税が非常に多い危険性がある。それに税務官更が多ければある程度防げるのでありますが、現在税務署で一番弱体なのは間税課であります。この取引高税は、間接税として当然間税課の受持でありますが、間税課は人が足りません、ほとんど充実しておりませんので、この税金は非常に危険があります。現在の税務署は間税課の者に最初の出発をやらして、あとの締めくくりは直税課の方でやろうというようなことを申しておりますが、現在の直税課は、一々納税者に当つていつて所得税を決定しているのではありません。税務署では、それで望遠鏡という言葉を使います。つまり調査期間が非常に短いので、ある程度望遠鏡式の調査をやります。從つて一々こういう取引高税の調査をしようと思つて納税者をまわつて歩くことになると、とても今の人員の三倍くらいなければできないということになつてまいります。從つてこの取引高税の脱税の危険は非常に大きなものであります。  次は法人税の軽減というふうな問題になつてまいりますが、この場合考えなければならないのは、法人営業と個人営業が非常に密接な関係があるということであります。法人税は必ずしも大きな会社ばかりではありません。二、三人寄つた小さな十万円、二十万円という会社が大部分であります。待つてそういうものに対する法人税を軽減いたしますならば、個人営業がほとんど法人に変ります。從つてこういう点で税務は非常に複雑になつてまいります。從つて外資導入のために、法人税を軽減するならば、法人税全般を軽減する必要があるかどうか。この点が疑問になつてまいるのであります。殊に現在大法人はほとんど納税しておりません。大きな法人はほとんど現在無税の状態であります。從つて法人税を軽減したために、にわかに外資導入がはたして実現されるかどうかという点も疑問であります。  それから次に租税積算はいかにして行われるか。こういうことは、われわれも知りたいのでありますが、こういう点は、なかなか秘密でありまして、われわれにもわからないのであります。從つてわれわれとして、これに対する答弁としては、自分の考えを申し上げることもできないのでありますが、この租税の積算が非常に杜撰なものである。これは日本の統計制度が杜撰であるのと同じように、あるいはそれ以上に杜撰なものかもしれません。從來昭和十一、三年ごろまでは、大体主税局の統計を基礎にして国民所得も推定されておつたのでありますが、これは現在物的の方法、あるいは人的の方法によつていろいろ変つてきて、相当低下した國民所得ができ上つてきております。それによりますと、主税局の見込んでおる所得と、物的の方法によつて計算した國民所得の間には、大きな開きがあるといつうことが言えますこの点はある程度最後の問題のやみ所得にも関連してくるのでありますが、主税局の方では、とれるような見込みのもとに租税の積算をやつております。從いまして、この積算は絶対的なものでないということが当然言えるわけであります。  なおこの取引高税について、先ほど公述人の方から、これはできるだけ早い機会に止めるようにしなければならないという意見がありましたが、これは諸外國の例を見てもわかりますように、アメリカでも行われたのでありますが、殊にこれはドイツのインフレーシヨンのときに、危機突破税として採用され、フランスでも財政危機のときに採用されたのであります。しかしこれが一旦採用されたとなると、この税金は非常に重要な役目を果しまして、租税收入のほとんど中心的な地位にまでぜり上つてくるりであります。從つてこういうふうに從來からの日本政府、殊に大藏官僚のやり方を見てみるときに、この税金が一旦きまつたならば、これは毎年戸々大きくなつていくに違いないということは、十分想像できるのであります。こういうふうな大衆課税は午前の公述人風早さんも申されましたが、これはフアッシヨに続く途である。結局ドイツはこういうフアツシヨに続いた大衆課税によつて、いろいろな軍備をやつたということも考えられるのであります。  最後に今度の通行料金の値上げに絡んで通行税は非常に大幅に——昨年の予算に比べて約十一倍半の増徴になりました。これは今度の三倍半の値上げから計算してこういう数字を出したのだろうと思います。今まで通行税はキロ数に感じて課税しておつたのでありますが、今度は通行料金に感じて課税する、こういう制度に変りました。從つて料金が変るごとに、通行税は自動的に上つてまいります。東京から大阪までの通行税で計算しても、今までば二円七十六銭ほどの通行税が、今度は二十七円に上ります。こういう面から言つても、こういう通行税というようなものは、こういうふうな方法でもつて、とりさえすればいいというような考え方で、はたしていいものかどか。この点も大いに検討しなければならぬと思うのであります。なお最後にわれわれとしていつも痛感することは、今日税務行政が非常にむずかしいということであります。ほとんど摩擦なしに税務行政をやることは、現在は一日もできないことであります。先般來租税完納本部ができまして、いろいろな宣傳ポスター、そういうものがはられました。現在でも東京の財務局におきましては、入口のところにころいうポスターがあります。「今あなたが納める税金はやがてあなた方により以上の収穫を與えるものです」。こういう文句を書いたポスターが、新潟税務署と名前がはいつて財務局の入口にはつております。百姓が百円税務署を通じて日本政府へ納めた税金が、今度は農事試験場の設置となつて百円納税者のもとに帰つてくるという絵が書いてあります。はたして現在のこの予算の上において、そういうことができ上つておるかどうか。われわれはこういう何でもないようなポスターでありますが。非常に重大だと思うのであります。われわれが納めた税金が、結局われわれにそれ以上の利益となつて帰つてくるかどうか。今までのように何も文句も言わずに、今日まで権力でもつて抑えつけられてきた時代ならいざ知らず、こういうふうに民正主義がやかましく叫ばれておる時代において、こういうふうなポスターは、非常に有害であります。つまり現在の予算制度は、決してこういうポスターのようなことが実現されておりません。從つてわれわれとしては、この予算というような問題は、われわれが税務を執行する上において、重大な関心をもつておるわけであります。つまりわれわれは納税者を説得する場合に、予算全体から考えて、われわれとしては納税者に対應していかなければならないのであります。その意味において、この予算制度そのものが、われわれの考えているように、結局歳入の方は能力に應じてとる。そうして歳出の方は、なるべく困つた人間に多くの予算を出す。こうしなければ、現在のこの租税危機の突破もできなければ、日本の再建ということも、非常にむずかしいものではないか、これが税務署の目を通じてながめた予算に対する要望であります。この点においてわれわれとしては、今年度の予算は、全面的に不満であり、反対であります。從つてわれわれとしては、この租税の問題を通じこの租税がどういう方面に使われておるかということについては重大な関心をもつております。その意味において、どうか愼重御審議の上、十分われわれの意見を取入れられるようにお願いして終りたいと存じます。(拍手)

川島金次日本社会党

○川島委員 ちよつと徳島君にお伺いいたします。午前中の公聴会の際に、風早氏から、全財の機関新聞に、昭和二十二年度において所得を捕捉し得なかつたいわゆるやみ不当利律の総額は五千億に及んだ。こういうことを公表されたと風早君からお話があつた。もしそれが事実だといたしましたならば、全財の各位におかれましては、この五千億に上る巨額の根拠をどういうところにおいて、そういう金額を発表されたかということと、そういうことを知りながら、どのようなことで、ぞれが捕捉し得ない事情になつてしまつたか。もしそういうやみ利得、不当利得があるにかかわらず、それを税務署の先端に立つあなた方が、眞にこれを捕捉するために、今後税務署においてどのような條件が整えば、そういうものが捕捉し得られるような形になるかということについて、あなた方の考え方をひとつお示し願いたい。

野坂參三日本共産党

○野坂委員 それに関連して税務署内部の機構とか、人員を殖やすとか、質を向上するとか言われましたが、税務署機構以外の力をどういうふうにすればできるか、それを從いたい。

徳島米三郎

○徳島公述人 第一の御質問の点は、五千億という数字はどうして出たのかという点であります。これはわれわれの組合の新聞におきましても、五千億というのは一應仮定的な数字であります。仮定的な数字と申しますのは、國民所得そのものが非常にわれわれとしては信頼をおいていない数字であります。從つて一應國民所得を昨年度は九千億と申されておりましたが、九千億という数字が一應正しいものとするならば、これに対する課税対象になつておつた所得、こういうものが四千二、三百億ほどありました。はつきりした数字を今記憶しておりませんが、四千二、三百億あつたと思います。待つて差額は約五千億、これは全部脱税であるかどうかという点については、一應の疑問はありますが、その大部分がこの課税の対象にならない金額ではないかということが推定されるのであります。  次にそれでは税務署としては、どういうふうなこれに対する対策をとつておるか。われわれの組合としてはこういうものについては、先ほど申し上げましたように、特別調査班というようなものをつくつて、積極的に重点的にこれに対應しなければならないという考えをもつております。同時にこれについては、現在のやみの所得というものは、われわれが税務署の中におつたり、あるいは単に納税者の家を歩いておつても、きわめて少い人員で、きわめて短い時間の間にこれを探知するということは、非常にむつかしい問題であります。從つてこれにつきましては、組合の力でもつて、いろいろな労働團体あるいは農民團体とかその他の中小商工業者の團体に呼びかけまして、積極的にわれわれの所得税はこんなになぜ過酷なのか。それは結局やみ所得が脱税されておるから、その分までわれわれが負担しておるのだ。それを除くためには、われわれ全部が結束して、こういうやみ所得に対する摘発をやらなければならぬじやないかという運動を起しております。從つてそういうわれわれの力と外部の力とが両々相まつて、こういうやみ所得に対する捕捉というものに向けられたならば、非常に大きな効果があるのじやないかと考えております。現在のところ、まだわれわれの運動も、十分効果をあげるまでには至つておりません。しかしこれが相当な程度の効果をあげておるということは、われわれの調査したところでは、ある程度例もあります、また労働組合の通報によつて、脱税の摘発ができたという例もあります。從つてこういう点については、税務官吏というものが、非常に数が少いので、やはりそういうふうな制度が必要じやないか。つまりこれに対しては民主的な團体が中心となつてこういう税の査定に対する一つの機関が、民間にできてもいいのじやないか、われわれはこういう意見をもつております。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員 今の御説明のうちに、やみの所得を五千億と推定した。それは昨年の國民所得が九千億であるから、そのうち課税対象となつたものが四千何百億である。だからそれを差引いたもの五千億と査定したというのですが、これは何か論法があまり飛躍的で、課税対象にならぬもののうちには、免税点以下のものも相当あると思うのですが、その免税点以下のもので課税対象とならなかつたものと、やみ利得で課税を免れたもの、こういう二つにわけられると思うのですが、免税点以下のものはおよそどのくらいの所得があるとお調べですか。

徳島米三郎

○徳島公述人 その点については、先に一應全部が全部やみ所得ではないということを申し上げたのでありますが、免租点以下の所得、これは現在結果的に言つても、この数字は捕捉できません。というのは、勤労所得の実人員というものの捕捉が非常に困難でありまして、この点正確な資料はまだ私承知しでおりません。從つてこれはどの程度にあるかということは、わからないのでありますが、大体現在の免税点というふうなものから考えるならば、そういうものは大したものではないのじやなかろうかと思います。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員 課税対象になる人間と、課税されない人間とを比率から見たら、大体どのくらいですか。

徳島米三郎

○徳島公述人 勤労所得の場合で申し上げますと、その後勤労所得税の方は、私が計算した当時の金額よりもずつと上まわりまして、勤労所得税の收入は、御承知のように一四〇%になつております。從つて勤労所得の方は、相当課税されたと思われます。勤労所得の例で申しますと、これは裏年の國民所得の内訳の計算を聴いてみますと、勤労所得の計算の根拠は、千二百万の勤労者を勤労統計によつて出してきている、それに千八百円べースをかけ合わしたものが、大体去年の勤労所得というふうに承つておりますが、一懸予算の面で課税の対象になると考えたものは、課税の対象というより、税務署で大体調査の材料にしたものは八百万ほどあります。従つて大体三分の二であります。従つてあとの三分の一というものがどれくらいの所得をもつておるか、これは現在の勤労所得の基礎控除から考えるならば、あまり大したものではないかという感じをもつております。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員 私のお伺いしたいのは、單に勤労所得ではない。國民所得が全体で九千億である。そうして課税対象となつたものというのは、今のお話によれば勤労所得だけですが、すべての……。

徳島米三郎

○徳島公述人 それは全部です。

淺利三朗民主自由党

○淺利委員 全部の税金でしよう。そうすれば課税対象にならなかつたものが五千億もあつて、それがすべてやみということは飛躍的な論理ではないか。

徳島米三郎

○徳島公述人 それではまた別の観点からこういう資料を申し上げたいと思う。それは去年の四月、つまり当初予算が編成されるまでに理財局でこういう資料を発表いたしました。それは主税局の大体課税推定を元にして國民所得を計算してやつた案があります。これは昭和十二、三年ごろまではそういう國民所得の推定方法をやつたものらしいのであります。ところが今度物的、人的の方法によつて、別の観点から國民所得を推定してみますと、一方は三千億、一応は五千億、まあ倍にはなつておりませんが、大体それに近い数字が出ております。この数字のどこが違うかというと、勤労所得の方は大体一致しております。違いは事業所得であります。事業所得がほとんど倍ほど違つております。從つて一應そういう見方も言えるのではないかということを考えたわけであります。

川島金次日本社会党

○川島委員 ついでですから、ちよつと大切なことについてお尋ねをしておきたと思います。あなたは言うまでもなく、徴税の第一線に立つておられる方ですが、これについでは非常に大切な事柄でありますので、率直に御答弁願いたいと思うのです。それは取引高税は、本年度は御承知のように二百七十億、この二百七十億の取引高税という新しい税金をとるためには、それを完全に遂行するためには、それに相当する人件あるいは物件、その他のことについて、いろいろの條件が必要だと思う。その二百七十億をとるための條件と同じ條件で、かりに二百七十億に相当するやみ不正利得を追究してそれを捕促するという形をとれば、どつちが容易であり、どつちが困難ということについて、ひとつあなた方の体験に基いた率直なお話を伺いたいと思う。

徳島米三郎

○徳島公述人 結局やみ所得の捕捉ということは、技術的に非常にむずかしい。いろいろ外部の援助がなければ困難だということは考えられます。一面間接税というものは、とりやすいから間接税を殖やすわけであります。從つて間接税の方は最初の年においてはある程度効果的ではないかという意見も出てくるだろうと思います。しかしながら、この取引高税というものは、諸外國の例を見ましても、当初これを設けるときには、かなりな徴税費が要るのであります。つまりそれに應ずるかなりな人員を必要とするのであります。從つてこの人員はもちろんいろいろ技術的な点から言うと、ただ簡單に取引高税を調べる方が、やみ所得を捕促するよりも、技術的に言えば容易でありますから、未経験者もある程度役に立つかもしれない。やみ所得の方がむずかしいかもしれない。しかしながら、現在の人員を今申しましたように三倍にした場合に、はたして二百七十億の税金がとれるかどうかという点でありますが、これはおそらくとれるのじやないか、と申しますのは現在すでに御承知の通り、所得税の見込額にいたしましても、勤労所得の方は一四〇%上つております。それからそのほかの申告納税の方は一〇〇%収入する見込みがついております。しかもなお先ほど福井縣の例で申しましたように、未納額が多分にあります。從つてこういうものに対して十分にとるならば、そういう二百七十億というものは、あまり心配しないでもよいじやないか、こういうことを私は自分の感じとして申し上げます。

川島金次日本社会党

○川島委員 私のお尋ねしたい中心は、二百七十億の取引高税をかりに止めたとして、あなた方の力で不当やみ利得を追究することの方がた重点的にやればとりいいのか。二百七十億の取引高税の方が簡単で、一方のやみ利得の方がほとんど不可能かという問題です。

徳島米三郎

○徳島公述人 政府の方では取引高税の方がとりやすいに違いない。それはすでに入場税等におきましても、これは間接税でありまして、私らの常識からするならば、当然間接税は一々検査して税金をとるのが建前です。ところが撞球の入場税のごときは、大体割当で課税しておるという所もあります。從つてこういう取引高税が非常に納税者の数が多くて調査も何もできないということになれば、ある程度割当課税が行われるのではないが。つまりその方がとりやすいから正確な調査もせずにとられる危険性があるということを申し上げたい。無理してとれば——これは今度の所得税の更正決定でもそうですが、無理してとればとれるわけです。

川島金次日本社会党

○川島委員 大切なとですからもう少し聴きたい。どうもねらいがはずれたような形ですが、私の聴きたいのは、二百七十億の取引高税をとるために、いろいろ大蔵省や税務署が條件を整えて、かりに取引高税を止めてしまつて、その代償としてかりに二百七十億、不当やみ利得の追究に同じ條件で向つたときに、それでやれるかどうか。それからまた取引高税をとるという條件だけから二百七十億円に値するむのはやみ利得からはとれない。もつと人員、経費を増さなければならぬことになるのか。取引高税と同じ傑作でやみを追究していつたならば、この二百七十億を止めても、新しい課税でとれるかどうかということです。

徳島米三郎

○徳島公述人 それは技術的にいろいろ調査方針とか、そういうものを徹底してやるならば、やみ取引の課税によつて二百七十億ぐらいはとれないことはない、こういうふうに思います。

稻村順三日本社会党

○稻村委員 お話非常に参考になりました。私も実は非常にいろいろな点で脱税が行われているということは認められるのでありますが、殊にやみ所得などは、ほとんど脱税といつてもいいくらいでありますが、そういうものを捕促する場合に、陣容の整備ということが、みんなの一應の頭に残るわけですが、陣容の整備のほかに、何か現機構のもとにおいてとか、あるいはまたそういうものの調査をする上におけるいろいろな制度上の欠陥とか、そういうものがやはりあるものですかどうですか。それをちよつとお聴きしたい。

徳島米三郎

○徳島公述人 制度上から申しまして、やみ取引は、一地域に限られたやみ取引というものは少い。やみというものは必ず相当遠距離にわたつて全國的な規模でやみ取引が行われる場合もあります。從つてそういうやみ取引の調査ということになれば、どうしても機動的な調査能力というものがなければこれはむずかしい。現在税務署の機構として自分の税務署の管轄外に出るをいうことは、非常にめんどうな手続が必要なわけです。從つてこれが機動的に動くということは、現在事実上不能でございます。だからそういう点を改めるということ、それからいろいろな資材の問題でも、現在科学的な資料の調査というものは行われておりません。運輸関係の資料にしましても、まだほとんど行われておりません。また金融機関の調査というものも、ほとんど行われておりません。従つてこういう点について、積極的に施策を講ずるならば、われわれとしては、今までよりも労少くして効多い調査ができるのではないか。これはいろいろわれわれとしても考えることがるのでありますが、現在の大藏省のいろいろな人事を見ましても、われわれとしては、全調査というようなむずかしい仕事は、どうしても検事程度の資格のある者がやつて、初めて効果があがるのではないかと思うのでありまするが、現在は大部分が中学の卒業者であつて大学を出た人は課長もやりません。署長から本省へ帰つたり何かして、結局うわつつらだけすつと通つていくわけでございます。從つて大蔵省には、こういう優秀な頭のよい人がおるのであるから、もつと積極的な調査方法とか何とかいう、そういうものを実地にやつて、ほんとうに科学的な全調査方針というものを確立しなければ、うそじやないかという感じがするのですが、現在そういう科学的な方法というものがとられておりません。ほとんどが担当者の勘あるいは経験であります。経つてこういう制度をかえることによつて、人員の面においても質の面においても、ある程度の補充ができるのではないかと思いますので、そういう面でも非常な欠点があることを御承知願いたいと思います。

稻村順三日本社会党

○稻村委員 もう一点お尋ねいたしますが、そうすると今お聴きになつたところでは、機動性がないということが大きな問題であります。私も実は地方の税務署長から、いろいろとやみ所得の捕捉についての意見などを聴いてみますと、とにかく税務署長の現在の権限内では、なかなか捕捉し得ない。それからもう一つ考えられるのは、よく聴くのですが、税務署の人間は、東京都のようなところはいざ知らず地方の市なんというところに行くと、自分の管轄内においてだれがやみをやつて、どのくらいの所得があるということは、大体見当がつくけれども、その見当を押していくことができない。こういうふうなことを税務署長などから聴くのであります。それでその点についで、あなた方第一線におる人だから、見当はついておるのだろうと思います。その見当をつけたものを、どうかということを突き止めるというような点に関して、それはあなた方のお考えで、それを突き止める方策というものがあるのかどうかということをお聴きしたいと思います。

徳島米三郎

○徳島公述人 この点について、情実でそいつがうまくできないという向は別問題といたしまして、それが日本の今の税務署には実力がなくて、うまく調査ができない、こういう実例が最近方々にあります。たとえば岡山縣にも、新聞にも出た例でありますが、あまり現金をたくさんもつておるので、現金屋というある店がありますが、一億もうけたとか、何千万円もうけたどいううわさがありますが、あぶなくて、そこにはほとんど調べにいけないこれは軍政部の方へ連絡もしましたし、G・H・Qの財政課の方に一應報告して、援助を求めたのでありますが、実際あぶなくて行かない。これが実情であります。そういうのが同じ税務署の中に三、四軒あります。だからこういうふうな点を何とか解決できれば、そういう一番大きなやみ屋というものに対する課税ができるのではないかと考えます。われわれの力ではなかなかできない。

中原健次日本社会党

○中原委員 ちよつと、今の問題で……。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 公述人は相当に疲れておられるだろうと思いますから……。

中原健次日本社会党

○中原委員 ただいまちよつと現金屋というような、やみ商人のお話が出ましたが、それは事実あるのです。ところがまず一番に、警察権が及ばない。警察署長以下が、大体そこの前に行つたら頭が上らないという関係に追いこまれている。從つてすべてのことがそういうわけで、金力をもつてあらゆる力が締めつけられている。それを突破するだけの力が組織されなければ、とうてい捕捉できない。これは明かにお言葉の通り限度があるのでありまして、これは岡山縣だけでなくて、全國各地にもなるだろうと想像いたしますが、これは今後あらゆる面からの対策として参考になる一つの事実じやないかと思いますので、ちよつと申し上げておきます。

鈴木茂三郎日本社会党

○鈴木委員長 なおあとに國鉄の労働組合並びに労働組合総同盟の方が残つておりますが、國鉄の代表者は、G・H・Qの所用のために、やむを得なくて、きようの公述の時間には間に合わないように、ただいま連結がございました。労働総同盟の代表者との間には、電話の故障で連絡がとりかねておりますが、ただいま労働組合総同盟より、決議を委員長の手もとに、届けてまいりました。御参考までに簡単でありますから朗読してみます。政府は本年度本予算四千億円案を発表するに至つた。それによると、われわれ労働階級の血税たる給與所得税が軽減されているが、その程度は、物償改訂による新賃金ベース三千七百円に現行税率を調節したに過ぎないもので、眞の負担軽減とは稱しがたい。しかるに取引高税の新設、地方税の増徴、運賃三・五倍通信料金四倍値上げ等、労働階級の負担を激増せしめ、労働生活をざらに窮乏に陷れるものであり、歳入の面において労働階級に対する犠性の増加を強要するものである。他方歳出の面においても、労働生活安定、産業復興等の支出は僅少なるに対し、資本救済が多く、これは明らカに勤労大衆の犠牲の上に、資本家本位の経済再建を意図するものと断ぜざるを得ない。われわれは本予算委案がインフレを高進せしめ、労働生活を脅かすものとして、これに反対する。政府は、労働生活安定のため、物償改訂の幅を縮小し、大衆課税を減免し、実賃質金を充実する方針をもつて、予算案を修正することを要求する。     日本労働組合総同盟        第三回中央委員会 以上であります。  本日は公聴会はこれをもつで散会いたしまして、明日午前十時より二日日の公聴会を開きます。     午後四時四十九分散会

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