予算委員会 第41号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/06/26
会議録
○稻村委員長代理 会議を開きます。 引続いて質疑をいたします。綱島正興君。
○綱島委員 大藏大臣に質問をいたします。実は予算その他の本質に関することでありますから、この線をはつきりしておきたいと思うのでありますが、先般大藏大臣は、統制経済をしなければ、生産及び流通経済界における無政府状態が生まれる、だからこれはいけないのだ。こういう意味の答弁をされたのであります。もちろん資本主義経済において、生産及び流通において、ある程度の無政府状態が生まれることは、資本主義貨幣の流通を基本とする以上やむを得ないことである。これは認めるのであります。しかしながら、私がこの前質問いたしました点は、時間がありませんから省きます。大藏大臣も記憶しておられるだろうと思うから、重ねては申しませんが、大体において要約して申し上げますれば、資本主義的作用をもつておる貨幣、すなわち生産手段を私有せしめる機能を有するところの貨幣の流通を認めておきながら、統制経済を行うということは、それ自身に矛盾が包藏され、その矛盾の発展によつて、生産が減退を來すという理論をいたしたのであります。その減退をする最も主なる理論の基礎となるものは、いわゆる無政府状態から生まれるのであります。かえつて統制をすることによつて、その無政府状態が拡大される。こういうことが、私の大体の質問の要旨であつたのでありますが、どう考えられたのか、無政府状態が生まれるから、自由主義ではいけないのだ、自由主義産業というものは、この前の戰爭限りでなくなつておるのだ。こういうようような答弁をされたのでありますが、ただいま日本においてやみが非常に横行しておる。そのやみが横行する理由というものは、この統制経済の計画に副うだけの行政力及び経済力に実現性というものがない。その理由は、資本主義貨幣は安定することを目的としておる。その資本主義貨幣というものは、生産手段を私有せしめる。それでこそ生産及び流通の無政府状態を來すところの性質をもつておる。その資本主義貨幣の安定をせしめることを目的とするためには、それは限度こそあれ、一定の無政府状態が生まれることはやむを得ない。基礎的に認容した問題であります。そういうことであるのに、さらにこの貨幣の機能を否定することによつて統制経済をやろうとする。ところが今まであるところの資本主義貨幣に対する人間の意欲というものが非常に旺盛でありますために、いわゆるやみ行為というものが出てくる。その間において資本主義というものは、実は純正な、自由主義産業以上に資本主義貨幣を流通せしめ、これを安定せしめるという線で統制経済をもつていくということは、かえつて逆作用を起すんじやないか。こういう理論をいたしたのでありますが、依然大藏大臣は、その点については同じ意見をもつておられるかどうか。つまり統制経済をやることによつて、生産及び流通上の無政府状態は生まれないと思つておられるか。この点をお尋ねいたします。
○北村國務大臣 お答え申し上げます。思想体系として自由主義がどうであるとか、あるいはしからざる統制的な経済の主義がどうであるというような問題を、ここで扱うことは適当でないと思います。それで私が前に綱島君の質問に答えた点は、貨幣交換経済というものが行われるところにおいて、その貨幣が統制があると自由主義であるとは、何らそのことには関係がないということを申し上げたのであります。ただいま純正資本主義という言葉を使われましたが、これは何が純正資本主義が、言葉の定義から伺わなければわかりませんが、いうところの意味は、自由主義に徹したるもの、かような意味ではないかと思います。さような意味に解して、この前お答え申し上げましたように、これは自由主義すなわち資本主義のごく当初の形態、純粹に自由というものを確保するところの経済主義においては、これはより自由というものの視野から、非常に経済に活動を與えるのではないか。 〔稻村委員長代理退席、小坂委員長代理着席〕 経済界が活発に動くという利点は非常に多くある。けれども、結局これは強食弱肉の経済主義であつて、從つてやがて周期的な恐慌が來るということを、たびたびわれわれは経驗をしてまいりました。從つてかような意味においての経済的無政府状態を現出することを、周期的に繰返すところの、いわゆる純粹の資本主義経済というものは、第一次欧州大戰をもつて終焉を告げたということを学者が言つておる。たとえばケインズのごときは、そのことを指摘しておるということを申し上げたのであります。それでわれわれは、現段階においては、ともかくも資本が足りない、資材が足りない、かような現状においては、これは利益があるから企業が起るか起らないかということでなくて、何が必要であるかということが第一である。從つて國家がその必要を決定して、必要とする部門に資金を注入し、また労力を注入し、資材を注入するのは当然でありまして、現段階における状況から統制を強化することは当然である。しかもまた、統制が行われておる経済であると、統制がない経済であるとを問わず、貨幣交換経済たることにおいては、何ら変りはない。かようにお答え申し上げたのであります。これは私の意見であります。お述べになりましたのも、御質問というより御意見でありますから、それを承つて私の感想を申し述べた、かように御解釈を願つてよろしいと思います。
○綱島委員 私お尋ねいたしましたのは、何も單なる意見を申し上げただけではありません。実にわれわれの前に提供せられておるところのこの予算案が、はたして維持せられるかどうかという基本問題に触れるのであります。そうしてそれによつて、わが國民がもたねばならぬところの生産が、増強せられるかどうかという、その点に触れてまいるのであります。もしもこの統制経済を維持するために、生産が減退していくような原因を、多少でもそのことによつてつくるならば、これについては、大きな檢討をいたさなければならぬ。これはわれわれに負わされたる義務でございます。また役所においても、その義務があるはずであります。從つてこれは單なる意見ではありません。また意見のない政治というものはない。アイデアのない政治というものはない。必ず意見に基いております。統制経済のごときは、一つの意見のもとに企てられたものでありまして、無意見のもとに企てられる統制経済というものは、全然ないのであります。そこで私どもが論爭いたさなければならぬ基礎の線というのは、そのことによつて生産を増強するかどうかという点が、重大な問題であります。それが生産を増強するようになりかどうか、さような機構をもつことによつて、むしろ生産が減退しはしないかどうか、こういうことが基本問題であります。また貨幣の作用は少しも違わぬと言われるが、それは違うのであります。貨幣の作用は、非常に違つてまいるのであります。私がお尋ねをし、考えていただかなければならぬことは、この必要なものをつくるということが大切だというが、必要なものが世の中につくられなかつたり、それから世の中に流通しなかつたりする原因が、統制経済によつて非常に行われてくるという事実を、私は指摘したのであります。たとえば今日あるところのやみ行為、もしくは價格つり上げを目的として、特に隱退藏するというような行為というものは必要物資の流通を否定する行為でございまして、ただいまの日本の状態といたしましては、これは由々しき状態でございます。そのことは何から起つてくるかといえば、政府によつて價格が決定されておつて、自由に價格が決定されないという点から起つてくるのであります。それがすなわち基本的に基礎生産資材の流通を閉塞いたしますところから、そのために生産が根本的にやんでまいるのであります。現に皆さんがやつておられるところの傾斜生産、いわゆる基礎的生産資材というものが、それに用いられる資材というものの價格の値上りを閉塞しておくということになれば、それが生産を助長するところの資材として経済的には消滅したと同じ結果に相なるので、そのために生産はだんだん衰えてまいるのであります。そこで私どもがお尋ねをするところは、さような線で統制経済をするということは、非常にこれはおろかなことではないか、もちろん皆さんが考えておられるような最終消費財についての統制は、さほど害はないようであります。しかし基礎生産資材を統制されることは、その資材の運轉のスピードが遅れるだけ、経済的には消滅したと同じ結果になるのであります。生産の上に乗らない資材というものは、経済的においては、実は消滅したのと同じ作用に陥るのであります。それが厖大なる隱退藏物資として、今日議会において特に取調べをしなければならないような問題を生む原因になつているのは、それはすなわち統制経済と自由主義的な貨幣経済、いわゆる生産手段を私有せしむる機能を有するところの貨幣を併用することによつて起る一つの非常な欠点であると、私は考えるのであります。それに対する御意見を伺いたい。これは実は統制経済をするかどうするかということの基本線であります。また統制経済をするには、消費末端部分について統制をするか、それとも基礎生産資材まで立ち上つて統制することの是非善惡ということに対する——これは日本の民族の産業が倒れるか倒れざるかの基本線に連なるもので、單なる意見なんということで片づけようとなさることは、はなはだ私どもは不愉快でございます。
○北村大藏大臣 先の私の御答弁で、大体御了解になつたと思うのでありますが、重ねて申し上げます。それは日本の現状は言うまでもなく資材も資金も労力も欠乏しておる、國民消費の総量を滿たすことはできないのであります。そこでいきおい重点的に何が最も必要であるか、続いて必要なものは何であるかということを——單にこれは経営者のあるいは企業家の企業意欲に訴えたのみでなくして、國家が需給の調節をはかつて何がまず第一に生産されなければならぬかというような需給全体を総合勘案いたしまして、どこに力点を置くかということを、國家意思において考える、このことが今日のごとき欠乏経済においては、当然行われなければならぬことでありまして、これを自由放任して弱肉強食的な純粹な自由経済、純粹な資本主義経済に委ねたままでは必要なるものが生産されないで、かえつて必要ならざるものが生産される。すなわち資本の浪費であり、労力の浪費であつて、これを國家が是正し、國家が一定の目的に從つて必要なる部面に主力を注ぐということは、今日のごとき段階においては当然である、かような基本的な考えにおいて、たとえば石灰の傾斜生産を行う。傾斜生産とは他産業を犠牲にする生産である。石灰が根幹的な工業資材であるから、これをまず必要な量だけ産出させる。あるいは電氣にしても肥料にしても同様でありまして、これを万遍なくおのおの企業家の企業意欲に從つて自由にやらせるということでは、日本の現状においては、とうてい今の経済を安定させるなどということは、もつてのほかである。かような考えに、私どは立ちまして、從つて必要な物は統制をしていく。必要ならざる物はむしろ統制をはずす。これは既定の方針でございます。また過去の経驗においても、これは國家が調節をはからず、全体総合的な需給の調節をはからない場合に、周期的な恐慌が起る。それが起つてから社会政策などで埋め合わせたけれども、なかなかおいつかない。そこに根本的な改正を必要とするところから、私どもの考えでは修正資本主義というものが、そういうところから必然に起つた。かように考えておるところでありまして、このことにつきましては、本会議ども御説明申し上げましたが、ただいまの御質問に対して、以上お答え申し上げる次第であります。
○綱島委員 ただいま日本に資材が少い、資本も少い。だから重点的にやらなければならぬ。こういういかにもちよつと氣のきいた話のように聞えるのでありますが、その前提となるものは、重点的にやることによつて、基礎の生産が上るという事実が、科学的に主張せられなければ、その議論はだめでございます。問題はそこにあるのであります。どれが重点であるか、これが重点であるかということと、それから統制をすれば、それで必ず重点的に物が生産されてくるかという点にあるのであります。ただいま伺つておりますと、もしもそれをやらなければ弱肉強食になつて、不必要なる生産のみが起るように聞えるのでありますが、いかなる場合でも、社会が欠乏に直面いたしたときには、必ず重点的に必要なものの生産にかかることは、今までの経済の立証するところであります。マルクスでさえもこの資本主義の発足の当時においては、最も活発に生産を助けたいということを認証しておる。社会が欠乏であつたり、他の社会に対して非常に劣等な立場にあるような場合においては、取急いで必要な生産にとりかかることが、資本主義の大体今までの歴史でございます。そこで周期的にこういうことが起るということを言われますが、その周期的に來るという——つまり生産を増強した後に起るところのデフレーシヨンに対する対策というものは、ただいま日本には必要ございません。デフレーシヨンに対する対策は、社会がデフレーシヨンに及ぶに至つて考うべきことでありまして、ただいま考うべきことは、いかにして多く物をつくり出すかという問題であります。社会的に総量をいかに多くするとかという一点にかかるのであります。それこそさような浅薄な考え方をしてはならないと、私どもは考えるのであります。それをする余裕はないのであります。日本においては、ただいま何をおいてもまず生産を殖やさなければならぬ。その生産を殖やす面において、どの線がほんとうに力があるか、どの線がよいかという点であります。かりに統制経済をいたすといたしましても、統制経済をすることによつて、資材の運行のスピードが落ちることを補うに足る統制をしなければならぬのであります。ただいまの実情から申しますと、統制をすると、統制基礎資材の配給になるのは、大抵年に二回ぐらい、どんなすぐれた会社でも、統制礎資材の配給を願い出てから、実際に手に入れるまでには六箇月かかる。年に二度ぐらいしか運行しておらない。かような状態で基礎資材の運行といふものは、スピードが遅れますれば、基礎資材がそれだけ世の中から減つていつたのと同じ生産形態にはいるのであります。その点に対するどういう考え方をしておられるか、統制経済をやると考えられるならば、基礎生産資材の運行のスピードの遅れることに対して、それを是正するために、一体どういう考え方をしておられるか、その点をひとつお伺いいたします。
○北村國務大臣 生産の回轉率を問題にされてのことだと思うのでありますが、もつとつき詰めて申しますと、一体統制経済はいけない、そういうものは否定すべきものだというお立場であるのか、私ちよつとはつきりわかりません。從つてこれに対してお答えすることが、はなはだ困難なのでありますが、私どもは、やはり今のような欠乏経済であつて、生産を急がなければならぬというときだから、國家が最も必要とするものに対して、國家の意思決定によつて必要なところへ重点をおいていくというような生産方式は当然であつて、それをしなければ、國家は怠慢である、かように考えておるのであります。香水やおしろいと、それから鉄材と一体どつちが先だというようなことになれば、どうしても鉄材に主力を注いでいかなければならぬ。あるいはセメントに力を注いでいかなければならぬのでありまして、これはいまさら申すまでもないのであります。從つて自由放任の経済ではいけない。國家は國家として必要な統制を加える。そのことがまた生産回轉率を早からしめるゆえんでもあるし、現に具体的例としては、石炭のごとき相当の成果をあげておる。肥料にいたしましても、これは予定の百パーセントを超えておる。その他さいわいに、重点的な諸産業は、セメントにいたしましても、大体若干の増率を示しておる。かような点において、重点的な生産の方式というものは、大体成功しておる。かように考えておるのであります。
○綱島委員 具体的の事実としてみんな成功しておると言つておられますが、なるほど人間の数の限りを動員し、燒跡の今少い建築さえもせずに、鉱夫長屋などは戰爭中の倍も建てるようなことをして、配給なども農民の五割増しの増給をするというようなことで、職工がやみ流しをするほどの資材を配給したりして、それによつて多少の総量が殖えたということをもつて、私は決して生産が増強したとは言われないと思う。それは能率と員数に対する比率によつて決定することであつて、それにほとんど全力をあげてやつて、そのことによつて生産が増率したなどとは言われないのであります。これを諸外國の例にとりますれば、生産手段を公有に決定しておるところの、それこそ資本主義貨幣を流通させないで、統制経済をやつておるロシヤのごときにおいては、驚くほどの生産増強でございます。あなたが言われるような主要産業のごときにおいては、私の承知するところにおいては、一昨年と昨年とによりますと、一〇〇%以上の増強でございます。二四〇%ぐらいのものもあるようでございます。決して日本のような状態ではございません。また自由主義をシンボルといたしておるアメリカには、なるほどあそこにも少しの統制はございますが、しかし統制経済というものと、貨幣経済と衝突いたすのは、貨幣の物及び労働に対する支配力を否定せんとする線にまで統制力をやれば衝突が起るのであつて、この線を侵さぬ限り、統制経済必ずしも貨幣の否定にはならないのであります。そこでアメリカのごときものをもつて統制経済だと思われることは、非常な間違いであります。もしもそういうことを言われるならば、上杉鷹山の越中ふんどしだつて、やはり統制経済と言わなければならぬ。極端に言うならば、デパートで正札で賣つておるのも、一種の自主統制であります。そういうものの統制といつてよろしい。しかしそういうものでなくて、貨幣のもつておる基本的効力、物及び労力を支配するところの資本主義的貨幣、それは生産手段を個人に私有せしめる経済である。この貨幣経済を否定する線まで発展するかどうかということがわかれ目であると思う。それはすなわち貨幣経済を統制経済が否定していくかどうかという境目である。その線によつて、実際生産が制圧を食うか食わぬかという境目が、そこに出てくるのであります。そこであなたの言つておられる、総量で殖えたというようなことは、決してそれは殖えたということにならないのであります。一体人間の数と、それから投げこんだ資材、そういうものに準じて殖えなければ、統制経済によつて殖えたとは言われないのであります。私の承知するところによれば、石炭に対する労力、資材等の投げこみ方と、また家屋などから言えば、おそらく從前の倍に近いだろうと思うが、そういうことをしておつて、それで多少ばかりの増強ができたつて、それは何も経済上の機構によつて増強ができたという理論にはならないのであります。そういう点に対しては、どういうお考えを一体しておられますか。
○北村大藏大臣 お答え申します。大体話が大分妙に食い違つておるようでありますが、私は今の日本の置かれておる経済というものの前提を、まずきめてかからねばならないと思います。非常に欠乏して、生産手段が大半破壞されておる。こういう前提のもとにおいて行われるのでありまして、なるほどこれは世界水準に比べて、石炭の総量がたとえば三千六百万トン出ても、一人当りの稼働率が低いというような事実は認めなければならぬ。それでは出ない方がよいのかというと、出なければならぬ。必要な量はどういう犧牲を拂つても出さなければならぬ。なぜそれが能率が上らないかということに相なりますと、これはおよそ生産には予備生産というものがある。予備産業というものがある。石炭鉱業というものを一本で、石炭鉱業だけをねらつて、そこだけを傾斜生産で出そうということ自体が無理があつて、全体が正常な状態であるならば、石炭鉱業を中心として千数百の予備生業というものがある。これらのものと調和的に動くときに、初めて能率が非常に上るのでありまして、そうするには、日本では、時間的な、あるいはその他の事情において、まだ足りない状態に置かれておる。從つてやむを得ず、傾斜生産をやつておるのでありまして、漸次予備産業的なものが、調和的に動き出すときに、これはおつしやるように、総量において三千六百万トンの石炭じやなく、これを能率的に見ても、非常な高水準になるというような状態になるのでありまして、さような状態になすためにも、現在の統制方式をもつて、漸次そういう方向へ向わしめるということが、きわめて必要である。かように考えておるのであります。
○綱島委員 ただいま、いわゆる総合生産であるから、一つだけとらえてやることは困難だと言われた。そのことに統制経済の、いわゆる傾斜生産の基本的破綻があるのであります。そこをひとつ考えてもらわなくてはいかぬ。あなたの考えておられるそこが実は重点的問題であります。決して生産というものは、一つだけをとらえて生産はできない。またあなた方が考えておられるような、貨幣の價値をくぎづけにするとか何とかいうことは、一体統制経済というものは、貨幣價値を一定の予定をおいてやるのでありますが、そういうことはできない。あなた方はよく思い出さなければならぬが、日本の統制経済というものは、一番初めは低物價政策を遂ぐるために、價格停止令から起つたのであります。現実の價格がそのまま停止するという線から始まつたのでありますが、一箇月を出でずして、その價格の維持はできなかつたのであります。しかも当時はただいまのようなインフレーシヨンが予測されない状態であつたのであります。そういう状態でさえ、價格停止令というものはできなかつたのであります。一体資本主義貨幣経済というものにおいては、價格の変動のあることと、生産を増強することとは、不可分の問題であります。價格が一定することによつての生産の増強ということは、資本主義経済においては不可能であります。もしも必要なものだから、どうしてもつくらなければならぬのだから、そんな考えでは無理だと、こう言われるかもしれぬが、それではロシヤにおける職場委員制度のごときで、生産しない者は監獄にやるという制度ができない限りは、人間というものは、必要なんだからこしらえろと言つただけでは、またそれを意識しただけでは、生産というものが増強しないという現実から、生産手段の公有を遂げたロシヤにおいてさえ、第一次五箇年計画にかかるまでは生産が低調であつたという実証を示しておるのである。問題はそこにある。人類はもうかるということで働くか、しからざれば働かざれば監獄に行くということで働くか、その二つでなければ生産が増強しないということは、歴史がはつきり示しておるのであります。そこでいいかげんな、一方においては資本主義制度のほんとうの救済制度であるところのストライキ制度を援用しておる。一方においては統制経済、これは相違もなく共産経済のシステムであります。それをやつていく。職場責任制度は確立しない。最も惡い非能率のこの二つを併用して、日本の非生産状態を脱却しようという考え方に、私は基本的の間違いがあると、こう思うのであります。(「それが修正資本主義だ」と呼ぶ者あり)それが修正資本主義である。その点について、どういうお考えをおもちになりますか。
○北村國務大臣 私はさようには考えていないのです。非常にむずかしいお話でありまして、人類はもうかるということか、しからざれば働かなければ監獄にやられる、この二つの制約のもとに動くものであるというような考えでありますけれども、これは人生観、人間観を異にいたしておりますので、私はさようには考えない。さように考えることは、人類の侮辱である。現実にはもうかるということが人間の活動意欲を起す動機になることは事実でありますけれども、それだけではない。人間にはもつと高い精神的な欲求もありますし、高次な目的ももつておる。今日のアメリカにおいていうところの資本主義を基本とする世界においても、その中にはうるわしい道義もあるし、また必ずしも利益を中心として動いておるという企業だけではない。その点は私はロシヤのように、働かずんばもうお前は監獄にやるのだぞという、そういうような制約で動いておる。あるいはそうでなければ、もうかるから動くのだという考えではならぬ。そうでなく、もつとより高次の目的のために、國が一つの國家意思で、一人々々の單なる利潤追求の意欲だけに任しておいたのでは、今日のごとき欠乏経済を救済することはできない。そこで國家の意思決定によつてこれが大事だ、この次にはこれが大事だというような目的を定めて、これにある統制を加えるということは、現下の事情においては当然である。こう考えておることは前から申し上げた通りであります。
○綱島委員 これで私は大体時間がまいりましたから打切ります。いずれまた分科会ででもお伺いいたします。
○小坂委員長代理 大神善吉君。
○大神委員 大藏大臣にお尋ねしますが、終戰処理費のうち、朝鮮に送りつつある資材、費用等を明らかにしていただきたい。 〔小坂委員長代理退席、稻村委員長代理着席〕
○北村國務大臣 お尋ねの点は、ちよつとここで申し上げることができないことになつておりますから、御了承願いたいと思います。
○大神委員 発表しては惡いのですか。昨年は石炭の出た数をはつきり明確に仰せになつたと思いますが、あなたの時代になつてそれができなくなつたのでありますか。
○北村國務大臣 終戰処理費のことは、少し微妙な関係にありますので、調査をして、発表して差支えないということであれば、あとから詳しく表をもつてお示しします。
○大神委員 それではそれで了解しましよう。いずれまた御回答願う時期がありましよう。つきましては、軍施設協力会の名において、終戰前に各工事施設人が契約をいたしましたる軍との契約月日並びにその契約書を、私は再三願つておるが、提出がない。でありまするから、大藏大臣に特にこの点を明らかにしてもらいたい。
○北村國務大臣 了承いたしました。
○大神委員 ちようど水谷商工大臣が見えておりますので、眠むそうでありますから、ひとつ……。炭鉱國管を実施されまして、國管を通されましたが、まだ実施にはなつていないと思います。運輸省が現在志免の炭鉱をもつておりますが、この炭鉱から出まする石炭の價格標準がどのくらいになつておるのか御研究があつたでしようか。
○水谷國務大臣 その点は、数字の研究はしておりません。
○大神委員 商工大臣は、國管をやられる上においては、十分御研究になつたものだと思つておりましたが、今後ひとつ研究しておいていただきたい。
○水谷國務大臣 数字のことですから、もし正確に御答弁をする必要があれば、後刻いたします。今はその数字をもつておりません。
○大神委員 終ります。
○稻村委員長代理 苫米地英俊君。
○苫米地(英)委員 賃金と物價の問題についても、各同僚からいろいろ微に入り細をうがつて御質問申し上げましたので、これ以上お尋ねするのもいかがかと存じますが、少し角度をかえて御意見を伺つてみたいと思うのでございます。私はこれは一つの抽象的な議論になるというような御批判をこうむるかもしれませんが、物價のこういうふうに激変いたしますときに、賃金ベースをきめるということそれ自身が不合理じやないかという考えをもつておるのであります。それはちようど物價のマル公の基準を生産原價にとるということと同様であります。生産原價にマル公の基準をとつておるそのために、私がこの前の議会でも申し上げましたように、原價というものをいろいろな工作をしてだんだん引上げさせる方向に向つておる、同じような働きがこの賃金ベースについても起つてくるのであります。物價の方では、これが基本企業でありましても、企業の合理化はしない、やはり原價を高く見積つて赤字を出して救済を受ける、はなはだしきに至つては、税金が納められない、その税金をも赤字融資で納めておるというような状態にまで発展しておるのであります。同じようなぐあいに、この賃金ベースにおきましても、賃金の高いものを抑えることはできない。同時に賃金ベースがあるために、安い賃金はその標準まで上げていつてしまう。しかも價格差補給金を出しておると同じようなぐあいに、ぎりぎりのところまでしかこれが見積られないことでありますから、新しい賃金ベースができても、労働者のもつておる赤字は消えないのであります。從つてやみ値段が少し上つても、生計費に非常な影響を受けて、また新しい赤字が出てくるということになりますので、現在支給されている賃金が、平均どのくらいになるかということを調ベ、賃金ベースがいくらになつておるかという過去もしくは現在のことを調べるためには役に立つかもしれませんけれども、賃金ベースをきめて、これを物價に織りこんで、それで物價も安定する。賃金も安定するという考え方は、根本から間違つておらないかという疑問をもつておるわけであります。この点について御答弁を願いたいと思います。
○北村國務大臣 これはたびたび申し上げたかと思うのでありますが、今のように経済の安定を欠いておるときに、年間の予算を立てるということ自体が、非常に無理であると思います。しかしながら、予算を編成いたします以上、賃金ベースをきめなければならぬ。それでお説のように、賃金ベースが一應どこかで高い標準が出ますと、右へならえで、事情、原因等のいかんにかかわらず、そういう方向へ非常な速度でくつついていくというような傾向があります。それでこういう賃金ベースを予定してかかることがどうかという意味の御意見だつたかと思いますが、予算編成にあたりましては、およそ過去の事実に立脚いたしまして、將來の全体の見透し等から、この辺が妥当であるという線を押えるということはやむを得ない。從つてまた予算編成にあたりましては、そういうものを織りこんだところの一つの物價の基準をもつて、これならば大体年間やつていけるというような見透しをつけた物價において予算を編成するということも、どうしてもやむを得ないと思うのであります。ただお説のごとくに賃金が上ると、そのこと自体が物價騰貴の原因となつて、上つた賃金の実質的な効果をなくしてしまうということがございまして、いわゆる賃金、物價の惡循環となりますから、この点については全体としての安定を考えなければならぬ。また賃金についても、賃金で生活をする人々を保護する上から申しましても、ある安定した状態に置かなければならぬ。賃金のスタビリゼーシヨンを考えるということは、きわめて必要なことと思うのでありますが、今の企業の現状、その他から考えまして、にわかにこれもやりにくいのではないかと思つておるのでありまして、この点はお説に対して反対の考えはございません。ごもつともだと思うのでありますが、一應やむを得ない点であると考えておるのでございます。
○苫米地(英)委員 予算編成の上にこれをきめてかかるということはやむを得ないという点は、私も特に認めておるのであります。ただそれが私の申しましたような事情がありますので、賃金ベースは予算編成の上において必要やむを得ないからきめたものである。きめた以上は、この予算を維持するために、ある程度これを確保していかなければならない。それを維持していかなければならないということも認めるのであります。しかしながら予算と賃金の実際については、何らの関係をもつておらないと考えるのであります。從つてこの予算面に織りこんでいきますには、これとまつたく関係のない賃金、と言つては言い過ぎかもしれませんけれども、とにかく生活の現実との間に開きのあることだけは認めなければならない。そこで私はこういう問題に対して、政府があまり固くなられることはどうか、もう少し融通のあるお考えをおもちになつた方がいいのではなかろうかと考えるのであります。殊に現在私からあらためて申し上げるまでもなく、産業界は非常な金詰りになつておる。やみの金利が一割とか一割五分とか非常に高いものが動いて、東京市中でもはなはだしいのは三割ともいわれておりますが、実態は承知しておりません。とにかくこのやみ金利が非常に高くなつておるのみならず、近ごろでは、お互いの決済ができないので、法律にもよらず、申合せでもなく、現実にモラトリアムが起つておるのであります。支拂いを停止するモラトリアムが無言の了解のもとに、今行われつつあるという現状を見まして、このやみ値が三・六であるというような、これは計算の上から見ては欠点のない計算でありましようけれども、このモラトリアムが行われておる、やみ金利が横行しておるという現実が、人心に及ぼす影響を見ますときに、必ずしもやみ相場がこれだけであるということを御主張になる根拠なかたろうと思うのであります。およそ物價の動きは、現定の需給にも基きましようけれども、人間の將來を見透す將來の観測心理作用が動いておるのであります。そこでこの賃金問題についても、はつきりこれを維持していくのだ、それでなければ財政がもてないのだと言われるのはごもつともでありますけれども、みこの問題についても、もう少しゆとりのあるお考えをおもちになつてはどうかと考えるのであります。また物價の面におきましても、價格調整費とマル公の引上げによつて、企業の収支が償うようにできたという御説明でございますけれども、これも單に企業の赤字のしりぬぐいをしたというだけにすぎないので、企業の赤字は決して消えておりません。從つて企業の赤字が残つておるがゆえに、復金に依存する度合も、過去と変るところがないと思うのでございます。このことをお認めになるがゆえに、復金の四百五十億という増資を御提案になつておるわけであります。そしてこの價格調整費の面を見ましても、昨年度のずれが七十九億ございますが、本年もこういつたずれが起つてくることは、ほとんど明瞭な事実だと私は考えるのであります。從つて物價の面においても、金融の面においても、あらゆる面で去年と同じようなことが繰返されていくのではなかろうか。つまり昨年の構想と本年の構想とが変らず、昨年の事情と本年の事情とが同一であるとするならば、同じことが繰返されていくのではないか。そこに私どもは非常な不安をもつておるわけであります。賃金、物價問題に対して、大臣の確信あるお言葉をたびたびお伺いするのでありますけれども、大臣のもつておられるところの確信は、移してもつてただちに私どもの確信といたすことができない。殊に昨日財金委員会で、主食の新しい消費者價格について御説明を承つたのでありますが、私の聽き方が惡かつたかもしれませんけれども、これがまだきまつておらない。これが織りこまれても、この三千七百円ベースは変らないのだという御説明は、どうも消化できないような氣持がいたすのでございますが、これらの点について、もう一度御説明を煩わしたいと思います。
○北村國務大臣 ただいまの苫米地委員の御質問は、賃金政策あるいは物價政策そのものについて、今やつておるやり方が、これではとてもいけないんじやないかという意味を含んだお尋ねではないかと思います。それでもしさようだといたしますと、これはいろいろ考えようがあると思うのでありますが、現在私どもはたびたび申し上げましたように、予算の上において、財政し物價賃金等との相関性を考えて、いろいろの材料に基いて、一つの決定点に達しまして、これから見透しの線をたどつて前途を見透して、そうして予算全体を編成したのでございますから、ただいまこれでやつていけるかという重ねての御質問でございますけれども、私どもはこれでやつていけるということを信じておると、重ねてお答え申し上げるより道がないのであります。殊に去年と今年と事情が同じならば、同じ結果を生むのが当然ではないかというようなお言葉でございますが、まつたくその通りに違いありませんが、私は去年と今年と、いろいろ客観情勢が変化しているという点は、取上げてもいいんじやないか。昨年は非常にかけ声で増産増産と申しましたけれども、現実に増産の実はあがらなかつた。本年ははなはだ大きな量ではございませんけれども、漸次増産の線に沿うているというようなことが一つございまするし、また輸入等の物資について、消費財の確保が、去年よりも一層確実性がある状態に置かれておると考えられまするし、その他基礎資材等の現状等も考えられるなどからいたしまして、私は去年の事情よりも、今年の事情の方が、よほど好轉しておる。だからといつて、決して甘く考えてはならぬことは申すまでもありませんけれども、去年の実情以上に悲観する必要はないし、むしろ好轉しているという事実は認めなければならぬ。かような考え方から、ただいまの賃金ベースをもつて一貫し得るということは、つまり消費財の基礎づけができるかできないか、実質的な賃金が確保できるかどうかということなのでございますから、その点においては確保はできる。さように信じておるので、ずつとさような御答弁を申し上げてきたことは御承知の通りであります。それから一方企業の赤字がなかなか解消しないじやないかというお話がございましたが、これは一面においては、國の物價政策というものと関連をもちまして、勝手に物價はきめられない、また國としては波及することをなるべく小さくするために、低い物價の線で押えて、これを補給金で賄うというような扱い方をしておるのでありますけれども、これだけではむろんまいりませんので、もちろん企業それ自体の中に内包するところの欠点もございますし、これの能率化、企業の合理化等々をやらねばならぬので、企業再建整備がようやくその緒につこうといたしておりますその現状において、私どもはこの点においても、残された問題でございますけれども、單に價格差を補償すればよろしいなどとは考えておりません。企業の自立ができるようにという方向にもつていかなければならぬと考えておるのであります。なお復金融資のことにもお話が触れておつたようでございますが、これは今回の分は、大体復金の赤字は今回の價格差の補給によりまして、これが解消をする。從つて産業の需要資金として出すべきものの範囲において、御決定を願おうというような態度でございます。もつとも中に若干の赤字が含むかと思いますけれども、全体が赤字金融などではむろんないのでありまして、この点も附け加えて申し上げておきたいと思います。
○苫米地(英)委員 大藏大臣の御説の通り、私自身も世間でインフレ対策について、いろいろ非難はありますけれども、大体においてよい方向に向つて成功の途をたどつているということは、認めておるのであります。ただ現在の大事な立場で、これを覆えすようなことがあつてはならないという心配から、こういうような質問をいたしておる次第であります。今もお話の通りでありますが、この物價をおきめになるときに、主食の新しい消費者價格を、かりにおきめになつても、なぜ織りこみにならなかつたか。また新物價をおつくりになつても、それが仕入れから製作、それから賣れてくる、この長い期間における時間のズレからくるところの赤字というものも、相当に見込まなければならない。これらはどのくらいに見込んでおるか。また金詰りのために、市民のやみ金融、また市中の現に行われておるモラトリアムというようなものが、先ほども申しました通りに、心理的にも影響してくる。こういうものが、どういうふうに取扱われておるか。これが私のお尋しておるところの中心問題でありまして、これらが適当に織りこまれており、考慮されておるということをお伺いすることができれば、大いに安心するわけであります。この点はいかがでありましようか。
○北村國務大臣 ただいまの御質問の中に、答弁を漏らしておつた点は、金融の点でございます。これは何としても予算が早く通りませんと、政府の財政支出はできませんので、金詰りに非常な拍手を加えておる。産業界といわず世間全般ではかような意味から現在の金融が非常に詰つておる点において、政府が早く予算をきめて拂うべきものを拂つてほしいという要求がたいへん強いのであります。この点は予算さえ通れば政府は迅速に支拂うべきものを支拂うことになつて、相当の資金を散布することにいたしたい、かように考えておるのでございます。それからなお金融の一部の是正策といたしましては、農業関係が非常に金融に詰つておられましたので、先般御報告申し上げたかと思われますけれども、農業手形の利用によつて、農薬、肥料あるいは農機器具等の金融をつける、あるいは製茶、繭の資金等についても、同様の農業手形の利用によつて金融の途を開いたのでございますが、そのほかにこれは農村、農林関係において、金融が非常に行詰つておる。このことは、日本の食糧生産その他と重大な関係がございますので、過日來いろいろ研究をいたしまして、およそ四つの方法がございます。第一には農林関係者の御希望になつておる復興金融金庫のようなものを、農林関係でつくるという点でございます。この点について相当研究いたしましたが、これはどうも財政の面の制約を金融の面で解こうとするものになるという危險があるというようなことで、先般関係方面からそういうような考え方は一切捨てなければならぬというような、たいへんにはつきりとした発表がございまして、こういうアイデアはいけないということにされたのであります。それから第二に考えられますことは、現在の農林中央金庫に少し活を入れて、政府補償等によつて資金をこれから流そうということを考えて、現在の農林、農林関係の金融を解決したいと考えたのでありますが、これもさきに申し上げましたアイデアに近いものだというわけで排撃を食いました。それで第三に考えましたことは、現在に復興金融の中に農林関係の特別のわくをつくつて、このわく内において農村金融をはかるということを考えましたけれども、これもまた同様の趣旨で、どうもうまくまいりませんので、最後に残りましたのが、政府特別会計において金融をはかるということにいたしたい。これは今朝の閣議で決定いたしまして、おそらく本日新聞等に発表したものと思いますけれども、この方法によつて、一應農林関係の金融は大体解ける。金額にいたしますと年間六十億、本年は中間ですから四十億くらい、かような方法で農村金融を賄いますれば、この点はよほどうまく変つてくるのじやないか。さきに申されました農業手形と併せて、この点はうまくいくであろうと考えておるのであります。 それから次に御承知のごとく、財産税の代用になつたもの、あるいは財閥の解体せられたもの、その他特経会社、独占禁止法によるもの等々で、非常に巨額の株式が現在政府の機関に停滞しておるわけであります。これを放出しなければならず、從つてこのことには有價証券金融をどうするかという問題が起るのでございますが、これにつきましては、從来の有價証券金融に相当改善を加えまして、これも昨日正午発表しましたので、御了解得たと思いますが、そのような点がまた金融循環の上に相当な効果をもたらすであろうと考えておるのでございます。 なお一般金融の問題といたしましては、いろいろ残つた問題がございますけれども、漸次解決していきたい。それから私は予算のことで没頭いたしておるのでありますが、このことから手が空きますれば、日銀、安本等と協議をいたしまして、今後の通貨の所要量というものを研究いたしまして、物價改訂その他による通貨の必然的な増発は、一体どの線までであるかというようなことをきめることによつて、市中金融の金詰りというようなものに対して解消策を講じたいと考えておる次第でございまして、以上のようなことが総合的に行われますというと、現在のいわゆる金詰りというものは、漸次解消するのではないか。なおこの際これは苫米地さんもおそらく御同感くださると思うのでありますが、今の日本の経済状態は、チブス患者の余後の状態じやないか。非常に食欲が旺盛でありますけれども、この食欲にこたえたのでは惡くなる。さればといつて、栄養は維持しなければならぬというのが、今の段階ではないか。締めすぎて惡し、ゆるめすぎても惡しという、きわめてむずかしいことでありますので、この点は愼重にいたしたい、かように考えております。一應金融政策については、以上申し上げたようなことを考えておるということを御了解願いたいと思います。
○苫米地(英)委員 今私がお伺いしたもう一つの点、この新物價が実施せられて、それから生ずる赤字について、どういう考えをもつておられるか。物價をおきめになるときに、どういうふうにお取扱いになつたかということと、主食の新しい消費者價格について御説明を願いたい。
○北村國務大臣 新しい物價をきめるときに米價をなぜきめなかつたか、これはいろいろ御要求があつたのでありますが、実はバツク・ペイメントは絶対まかりならぬという、非常に嚴重な意見が某方面から出まして、それがために処理が困難になりまして、目下いろいろ檢討いたしております。何とかしなければならぬというので、檢討いたしております。これは関係方面の解釈によりますと、値段がきまつて、済んでしまつた取引に対して、過去に遡つて拂うことは、一般の商取引の慣習にはないから、なすべきことではないという考え方であるのであります。これも一つの理論でありますが、それでは困ると思いますので、目下折衝いたしておりまして、まだ解決いたしかねておる点がありますので、この点はもう少し御猶予願つてお答え申し上げたい、かように存じております。
○苫米地(英)委員 それは物價の方にはどういうふうに織りこんでありますか。來年度の主食の消費者價格、これが物價にどういうふうに織りこんであるか。
○北村國務大臣 物價の補正が現実に予算の面に直接の影響をもつてくるのは、大体今までの例によりますと、一箇月くらい後に起つてくる。その辺から考えまして、物價が一箇月くらい遅れて、ほんとうに影響を受けてくるというように彈力性をもつておりますので、その間のズレの赤字は処置ができる、こういうふうに考えております。
○苫米地(英)委員 もう一つ、今の御答弁では新物價がきまつて、一箇月ぐらい先にいつてから、それが現われてくる。だからこの間の時間のずれの赤字は、そのときに適当に処理できる。こういうお考えのようでありますが、主食の來年度における消費者價格、これがどういうふうに織りこまれてくるかということについては、物價体系に非常に深いつながりがあると思うので、これをお伺いしたわけであります。
○北村國務大臣 お尋ねの点は、まだ実はきまつておりません。各部門に若干ずつの、さような修正すべき多少の予備金をもつておりますので、これで大体賄える。かような考えをもつております。
○苫米地(英)委員 そこで私はこのマル公の改訂、物價体系の改変ということに関連いたしまして、國家予算というものが、マル公を動かすことによりまして、全般的に大きな影響を受けるのであります。昨年の秋、いくつか出ましたところの補正追加予算、これも昨年七月の物價改定の影響で、全般的に非常に財政が膨脹したことは、否めない事実であると思うのであります。今度も七割物價を上げるということになりますれば、財政面において、物件費において、少くとも七割はどうしても上げて見込まなければならない。石炭を使つておるところの運輸省あたりでは、石炭の新しい價格を全部織りのまなければならない。こういうことのために、非常に財政が膨脹してくる。それが官聽において直接必要でないものに対しても影響をもつている。そこでたびたび繰返される議論でありますが、現在の状況においてやむを得ないものだけは統制して、そのほかのものは統制をはずす。そうして財政の膨脹を一挙にせしめるような方途を避けるのがいいのだと考えるのであります。そこで政府におかれましても、大体その方針であるということを伺つておりますが、今七万種にわたる品目のうちで、どのくらいの程度まで統制をおはずしになる御計画であるか。これをお伺いいししたいと思うのであります。
○北村國務大臣 ただいまお尋ねの点は、物價廰で相当調ベておるのでありますが、まだ御発表申し上げる段階に入つておらぬようであります。但し方針といたしましては、すでに無用に属するマル公もあり、また中にはあることがかえつてまずいというようなものもございます。これははずすベきものははずしたいが、全体の物價等との関連がございますので、物價廰において、相当ただいま調査が進行しておると思います。あまり遠くないうちに御報告申し上げることができるだろうと考えておる次第であります。
○苫米地(英)委員 それからこれは財政金融の方でお伺いするのがいいのかもしれませんが、この機会に質問さしていただきます。それは軍事公債の利拂停止問題であります。これはもうすでに経済問題を離れて、政治的の問題になつていると思うのであります。その経済的の面につきまして、いろいろ議論をする点は、ほとんど残されておらないほど世間で問題にしておりますので、私はこの点につきましては触れないつもりであります。私がお伺いいたしたいのは、これがすでに政治的な問題になつているという立場において、お伺いいたしたいと思うのであります。 民主政治におきましては、あらゆる國家の政策は、正義に立脚して國利民福の増進、國際信用の高揚、こういうことを目途とすベきものでありまして、この線から逸脱することは絶対に許されない。いわんや党利党略のために政策を左右するというようなことは、許さるベきでない。これが私の信念であります。そこで私はまずこの問題はおそらく三党の協定があつたから、それに基いてこういうふうな処置をとつたんだと、必ず御答弁があると思いますが、政策の協定、それ自身が國利題福、國際信用の高揚、この線を離れてはいけない。その線を離れた政策協定ということは、あり得ベからざることだと、私は信ずるのであります。これは大藏大臣その他総理、栗栖安本長官なども御同様と思いますが、從來の経緯から考えて、心の底からこれは経済再建のために必要であるという信念に基いたものであるとは、私どもは信ぜられないのであります。これは私どもに対しては、いかようにも弁明いたされ得ると思いますが、神に対して自己の信念を実行しておるんだというお答えは、私はできないと思うのであります。もしこれが神に対して自己を偽わつておらない信念であると仰せられるならば、その信念のよつて生れたところのゆえんと、どういう理由で——信念は理由から生れるものではありませんけども、その信念の基礎となつておるところの事実を、お伺いいたしたいのであります。 去る四月二十八日の軍事公債の利拂処理懇談会から、芦田内閣堤理大臣に提出された報告書の内容を拜見してみますると、これはだれが読んでみても、賛成論と反対論と、これをほんとうに理知的に、科学的に、そうして良心的に読んでみて、停止の反対論が國利民福のためであり、國際信用を高めるものであるか。停止をする方がその方向に向つておるかということは、だれにもはつきりすると思うのであります。この報告書に基いて、これを正しく御判断になつたのかどうか。ただ三党協定に從つて、こういう処置をとつたというのであるか、この点について伺いたのであります。 なお先般参考人として財政金融委員会に出て意見を述べられた、これは金融界の信頼すべき人であると思うのでありますが、それらの人々は賛成をしておらない。現在でも賛成しておらない。これが撤回されることを期待するというような——そうは言われませんでしたが、含みのある言葉を用いられておつたのであります。対外信用につきましても、かつてから数回繰返えされた総理の御答弁と、まつたく反した意見が述べられておつたわけであります。このことについては、私今詳しい材料を持つておりますが、申し上げません。ただこの國利民福、国際信用の向上という信念でこれを扱われたのか、ただ三党協定というものに縛られてやられたのであるか、こういうような点について、御答弁を伺いたいのであります。
○北村國務大臣 どうも苫米地委員から信仰の告白を要求せられた感がありますが、これは國債の利拂いを停止すべしと考え、そういうことを思いこんだ人が良心的でなかつたと申し上げることはできぬと思います。從つてかような問題は、いろいろな考えようがありまして、國利民福のためには、公債利拂いを停止すべしと主張した人は、やはり良心的に主張したと思うのであります。それで二つの意見が懇談会において一つの線にならずして、そのまま総理の採決に任された。その結果総理は今回法律案となつて出たような方向にこれを決定いたしましたので、事かようになりましてから、お前は実際どう信じたか、こうお尋ねを受けましても、ちよつと私はここで見解を述べることは、きわめて困難でありまして、ただ一言申し上げておきたいのは、さきに申し上げましたように、いずれもこれは國利民福を考えてこのことである、見解が違いましただけのことであると、かように思うのでありまして、利拂停止すべしと考えた人も、やはり良心的であつたと、かように私は思いますので、この問題はこの程度以上に申し上げることは困難でありますから、御了承を願いたいと思います。
○苫米地(英)委員 私の申しますことは、そういうことでなくて、社会党の諸君がこれを主張されたのは、社会主義イデオロギーから主張されたのでありまして、それがイデオロギーから出発したるのであるという点で、党の性格としては、賛否は別といたしまして、当然のことだと思うのであります。ただ三派協定によつてきまつた、その三派協定においてきめられるようになつたというのは、これはもし社会党の諸君とその他の諸君とが、自己の信念において一致するならば、國家のために政策の協定をなすべきである。しかし國利民福、國際信用の向上という信念に反するならば、かくのごとき協定はなすべきものでない。ここに政権維持のために心ならざる三党の協定をしたのだ、現内閣は内閣のための政策を行うのであつて、國家の政策を協定していくのではないというような非難が民間にあるのであります。私はこれはまことに至誠國のために政治にあたつておられる方々が、こういう誤解を受けられるということは、まことに遺憾なことであると思います。のみならず、現在におきましても、金融界においても、民間においても、この法案は通らないようにということを念願しておるものが、たくさんあるのであります。でありますから、この最後の時期においてでも、私は信念に殉じ、政治家としての去就を誤らないように、もう一度踏み止まつてお考え願いたいという希望だけを申し述べまして、この質問を打切りたいと存ずる次第であります。
○稻村委員長代理 苫米地君に御相談いたしますが、大藏大臣は余儀ない所用で、三時に出かけなければならぬそうですが……。
○苫米地(英)委員 そういうことにして、こちらの質問は次々と延ばさして、それでこの予算の進行しないのは野党の責任であるかのごとく言われるのは、まことに迷惑なのでございますが、大藏大臣がやむを得なければ、再び本委員会においでになるのを待つて、私の質問を継続いたすことにいたします。 〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長代理 それでは休憩しまして、懇談をすることにいたします。 午後三時三分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後三時五十五分開議
○稻村委員長代理 会議を開きます。古賀委員。
○古賀委員 地方財政委員会に関係があります野溝國務大臣に、ごく簡単に要点だけお尋ねいたしたいと思うのであります。地方財政が現今非常に窮乏いたしておりますことは、國家財政以上でありまして、國家の場合におきましては、大藏証劵の発劵、あるいは日本銀行を利用するというような便法がありますが、地方におきましては、せつかく許されましたところの起債があつても、そのわく内さえ資金化することが、なかなか困難な現状であります。承りますれば、本年も二百八十億とか、またこの間は二百四十億とかいうような起債を許されておるやに聞いておりますが、この資金化ということが、地方財政に最も重大なる役割をもつておることは、私が申し上げるまでもない次第であります。これに対して野溝國務大臣は、相当の御配慮をいただくというような、先日のお話でありましたが、はたしてそれが本年は資金化することができるかどうかということを、まずお尋ねいたしたいと思うのであります。
○野溝國務大臣 お答えいたします。御指摘になりました通り、非常に困難な事情にあることは、その通りであります。しかしこの起債の点につきましては、特に政府におきましては、十分愼重檢討の結果、政府において責任をもつて斡旋するということになつておるのであります。單に責任をもつて斡旋するということだけではいけないので、さらに内容を明らかにするということになつておりますから、近々のうちに具体的にその結論が得られることと考えます。
○古賀委員 近々のうちに目鼻をつけてやるというような、ただいまの御説明でありますが、この議会の開会中にでも、それが明瞭になりますか。お尋ねいたします。
○野溝國務大臣 速急にやるつもりでありますが、議会中にその結論を得るかどうかということは、決定的に申し上げられませんが、議会中に結論を得るように努力いたしたいと思つております。
○古賀委員 今までの地方財政の歳入財源といたしましては、分與税、分與金及び國庫の補助金、住民税がおもなるものでありましたが、今度大臣が委員会において非常に御斡旋になりまして、もともと入場税は地方の税でありまして、あの戰爭前に中央集権的の税制の改革によりまして、中央に取上げられたものが、この際還元するということに相なりましたが、このことは地方財政の今日の窮乏の時代に、まことに地方財政の上にもたらしますところの効果は、非常なものだと私は存じますが、大臣は一歩進んでどうしても地方財政の確立ということは、中央財政の健全化と最も密接な関係にありますので、所得税に対するところの府縣及び市町村の附加税をお認めになることはできないかということを、お尋ねしてみたいと思うのであります。
○野溝國務大臣 所得税附加税を地方に委讓する。この御趣旨の点については同感でございます。しかしこれは現在の税制制度のもとにおいては容易でない点もありますので、これら中央、地方を通ずるところの税財制に対しましての根本的改革をする段階にきておりはせぬかと私は思つております。しかしそれが即刻に間に合いませんので、とりあえず政府におきましては税制財政審議会をもつて目下根本的な改革基礎案を檢討しておるわけでございます。よつて御趣旨においては同感でございますが、以上申したような事情にありますので、即時それを実施に移すということはできないと存じておる次第でございます。
○古賀委員 ただいまも所得税の二三・七九でございますか、それが分與税分與金として、地方に委讓されておるような次第でございますが、一歩進めまして所得税の附加をするということは、私といたしましては、決して至難でないと存じまするが、重ねて大臣の御所見を承りたいと存じます。
○野溝國務大臣 現在でも所得税の一部を分與税の中に入れておるということは御指摘の通りでありますが、中央地方の財政とにらみ合わせなければなりません関係から、今回はこの程度でやむを得なかつたのでございます。
○古賀委員 本年度の地方財政の需用資金は、二百億円以上まわる。また物價の改訂あるいは賃金水準の改訂によりまして、相当上まわるように私は存じますが、かようなときにおきまして、その彈力性ある財源が地方にはほとんどないのであります。さいわいにして先ほど申しました通り、入場税は地方に委譲していただきましたので、いくらか財源は助かるようになりましたが、そのほかはもう地方の独立税にいたしましても、ほとんど漁り盡しまして、税源を見出さないのであります。どうしても私どもといたしましては、彈力性のある所得税の附加税を御設定くださるよう願いたいということを要望いたしまして、この問題はこれで打切ります。 次に地方税法を改正する法律案要綱というのをいただきましたが、この中を檢討いたしまするに、現行の税目のうちで、地租及び家屋税に対しまして、非常な大幅な引上げでございます。宅地租は今では、百分の二十四、宅地以外の田租あるいは畑というようなものは、今までは百分の七十二であつた。これが百分の二百という厖大な税率に相なつております。こういうことになりますれば、地方の今の担税力からいたしまして、はたしてこれが負担にたえるか。また家屋税にいたしましても、今までは賃貸價格の百分の四十二でありましたものが、今度は二百五十という大幅に引上げられます。それから住民税は從來は四百円であつた府縣が二百六十円、それから市町村が百六十円であつた。これを五百円に大幅に引上げられることになつた。こういうことに相なりますれば、地方の住民というものは、負担にたえぬというばかりでなく、徴収するところの当局といたしましては、ほとんどこれが徴収は不可能ではないかと思いますので、これに対して今度の税率改正ということを適当であるかどうか。大臣の御意向を承りたいのであります。
○野溝國務大臣 一應ごもつともな御質疑でございます。なるほど今回の税率改正によりまして、地租は從來の百分の二十四が百分の二百ということになりました。しかし御指摘になりました通り、地租は明治年間に設定したものでありまして、特に先般一應の改訂がありましたけれども、それはほんの僅少でありまして、現下の物價の変動状況並びに諸関係等とにらみ合わせてみますと、現在の地租は非常に低位に置かれておるのでありまして、この点は他との釣合いもとれませんので、一應百分の二百ということにしたのでございます。なお家屋においては百分の二百五十ということで、これまた一應引上げました。しかしこの点はひとつ御了承願いたいと思いますが、地租ほど日本中に低かつたものはないのでございます。地方財政委員会におきましても、原案におきましては百分の八十くらいまでの原案を立てたのです。でありますので、この点から見てあまり無理はない。かように了承して一應この点を認めたのでございます。なお住民税の問題について、いろいろ御質問がございました。しかしこの住民税も実は前年度は四百円でありましたが、しかし制限外課税は各府縣ともとつておつたのでございます。六百円程度まではとつておりました。原案といたしましては八百円でございましたが、これが千円になつたということでありますが、これも古賀委員も御了承の通り、実は三千七百円ベースにいたしますると、四万四千五百円になる。そうしますると、千円にいたしますと、二分くらいですから、これも物價システムから見、生活システムから見ると、一應計数的にはあまり無理がない、かように思つております。しかもこれが実質上の生活様式になつてくるということになりますと、いろいろ相当意見もあると思うのであります。そこでこの点は十分実施の上において特に考えた点でございますが、一應千円にはなりましたが、人頭割として二百円均等にいたしました。あとは資産所得によつて累進的にかけることにいたしましたので、この点勤労階級に対しては、相当の勘案を凝らした成案だと思つております。
○古賀委員 今までの住民税に対しますところの納税義務者一人当り平均の制限制度を廃止されまして、今度は所得に重点を置かれて、そこに彈力性をもたせられたということは、まことに結構なことだと思いますが、今おつしやるところによると、賃金から考えて、労働者、下層階級に対しては、あまり負担にはならないというようなお話でありますけれども、私が考えますと、ひとりこれは金持階級、有産階級ばかりではない、大衆に相当の負担がかかると思うのであります。それでもやはり、お説の通り大衆課税にはならぬ。こう大臣はお思いになりますか、重ねてお尋ねいたします。
○野溝國務大臣 お答えします。決して大衆課税にならないというのではありませんが、今日地方財政の税目を見ますと、芳しからざる税目がたくさんあります。このことをまことにわれわれとしても遺憾に考えるのでございますが、現在の地方財政を堅持していく方法といたしましては、御指摘になりました通り、彈力がないのでありまして、有力な財源を地方に委譲して自主性を保たせるか、さもなければ補助並びに分與の方法をもつて、大幅に地方に金を出すか、かくいたさなければ、地方の自主経済が成り立たないのでございます。そこでいろいろ折衝した結果、地方における財政の維持に彈力性がないために、やむなく新たなる独立新税を設定し、ないしは税率を改正いたしました結果、一つの現われとして、住民税なども増率してきたわけでございます。そこで特に私が先ほど御答弁申し上げたのは、住民税は大衆課税ということではありますが、しかしこの大衆課税という中にも、なお一層社会政策的な意図をもつて、それに対する累進税を設定したわれでございます。なおそれを二百円にするという考え方は、一應われわれの考え方といたしまして、大きな考え方の一部をそこに現わしたのでございますが、地方の條例によつて、その高をきめることができます。あるいは三百円にするか、あるいはそれを五百円にするかということは、地方の條例によつてきめることができますから、それらの点につきましては、多分に地方の自主性に任していきたいと思います。なお御指摘になりました通り、千円の住民税を八百円くらいに止めたということについては、私どももちろん賛成でありますけれども、諸般の事情から、今回はこの程度でやむを得なかつたということを御了承願いたいと思います。
○古賀委員 家屋税が大幅に引上げられますし、また宅地に対するところの今までの百分の二十四が百分の二百ということになりますれば、相当ここに地料あるいは家貸に対するところの問題が、各地に起ると思うのであります。現在田舎でございますと、二十坪くらいの戰爭前の家そのままでございますと、家貸の統制令に抑えられまして、約三十五円ぐらい、そういうことになりますと、もう今度の税率からいきますと、ほとんど公價に身流してしまうような状態になる。また地料にいたしましても、田舎になりますと、まだまだ一坪玄米一升とか一升五合とか、あるいは金額にいたしましても、坪当り二円とか三円とかいうような、非常に安い賃貸料であります。こういうところから、どうしてもこういうことになりますと、先ほど申し上げます通り、公價に身流してしまう。それでは納税がされない。納税するには公價以上の、いくらか利益を見込んで家賃なり、あるいは地料も改正しなければならぬということになりますと、地料に対するところの紛爭、あるいは家屋に対するところの紛爭が、各地に起つてくると思います。大臣は地料及び家賃の統制令を撤廃される意思があるか。またそういうふうな地料なり、あるいは家賃の賃貸いたしております相互間の話合いにおいて、適当なる引上げをお認めになる考えがありますか、承りたいと思います。
○野溝國務大臣 地代につきましては、これまた貸金ベースとの関係もありますので、目下物價廳において檢討いたしておりますが、あるいはくぎづけになるかもしれないと思います。また家賃の点についても、ただいま申し上げます通り、貸金ベースの関係もありますので、あるいはくぎづけになるかとも思います。貸金ベースとの関係において、もし計数的に上げてもよいということになりますれば、少し上るかとも思います。これは今物價廳で檢討中でございます。
○古賀委員 物價廳で御研究中だというようなお話でありますけれども、これは実際問題といたしまして、地方においては貸主、借主の相互間にすぐ起る問題であります。これも大臣が一層御配慮くださつて、適当なる措置をしていただくことを要望いたす次第であります。大体かような税制の改革、あるいは税目を新たに設けるというような眼目は、どうしても大衆負担を軽減するというのが目的でなければならぬと思います。そうして國民の負担の公平と、少くとも明日の負担に備えるところのゆとりをもたせるということが必要だと思うのであります。ところが今度のこの地方財政の改革から考えてみますときに、おそらく納税者は納税ができないというようなことに追いこまれはしないかという、私は危惧をもつておる次第でありますが、私がこの改正案を見てみますときに、中央から財源を與えない——もつとも中央も非常に財源にお困りになつているということはわかりきつておりますが、與えられないから、しやにむにその末端に負担をさせるというような今度の改正案のように私は見受けますが、これをいよいよ実施さるるときにあたりましては、相当困難があると私は思う。大臣はその辺はどうお考えになりますか、承りたいと思います。
○野溝國務大臣 同感でございまして、非常に心配をしておるものでございます。しかし何と言いましても、しかたがないからというて、これを放棄していくわけにもいきませんので、特に地方財政委員会は、法律の許されておる範囲において、地方の彈力のあるものに独立課税ができることにいたしました。從來は制限外課税あるいは独立新税をする場合は、中央政府の了解を得なければ、なかなかできない状態にあつたのでございますが、今度は地方の自治体において、その條例によりまして、新たに彈力のあるものからこれを徴収するようなこともできることにしたのでございます。たとえば從來ラジオ税、金庫税、塀税、門柱税というようなものは、なかなかとることができませんでしたが、今後はそれらもとることになりました。相当社会政策的な新税をも、地方條例によつて設定することになつたのでありまして、地方の場合におきましては、できるだけ公平な課税方針をとるように努めてまいるつもりであります。しかしそれは御指摘になりました通り、まだまだ廣くありまして、とうていそれだけで地方の財政運営ができるかというと、そうではないのであります。この点中央、地方の財政の調整が完全にできていないことを、まことに遺憾とするのであります。特に税制の審議会ができておりますので、かような点についても、根本的な檢討を加え、早く結論を得なければ、中央と地方の調整がうまくいかないのではないかと案じておるものでございます。
○古賀委員 私の質問はこれで終ります。
○稻村委員長代理 本間君。
○本間委員 ただいま地方財政委員長をされておる野溝さんのお話によりますと、陳方財政委員会の方では、大体百分の八十程度まではとつてもよろしい、こういうような見解であつてけれども、それ以上百分の二百程度はとり得るだろう。それから家屋税の方も、百分の二百五十くらいまではとり得るだろう。こういう御見解で、今後改正をされたということであります。それから住宅税もそうでありますが、大体八百円程度を限度に、地方財政委員会の方では考えられたようでありますが、それをさらに二百円引上げまして、千円程度にきめておられるようでありますが、この点が地方財政委員の間でも、非常な論戰が交れされたと、私承知いたしておるのであります。殊に地方財政委員の方は、長い当局としての体驗から、今日の農村の実情、今日の地方の実情でとてもこれはとれない、百分の八十程度、あるいは住民税は八百円程度まではいけるけれども、それ以上はとてもいけぬということを判断をされて、そうして御意見を述べられておられたように、私は思うのであります。それを三千七百円ベースを計算いたしますと、四万四千円の國民所得になります。從つて八百円程度でありますから、野溝大臣の指摘されるように、なるほど二分程度でありますけれども、これはほかの税制の関係もありまして、今日の地方の実情から考えまして、私どもも非常にむりな税率ではないかと考えるのであります。それを十分とり得るという根拠を、もう少し大臣から御説明を願いたいと思うのであります。
○野溝國務大臣 地方財政委員会といたしましては、本間委員の仰せの通りでございます。しかし地方財政委員会としての決定意見は、もつて地方財政委員長として臨んだのでございますが、本間委員も御承知のごとく、私は國務大臣として就任し、同時に就任した後に内閣総理大臣から財政委員会の主管大臣をやれという命を受けたのでございます。よつて片方は行政事項でございまして——國務大臣も行政事項を掌るのでありますが、行政事項主管のウエートから見ますと、やはり國務大臣というのがウエートは重いのでございますので地方財政委員会の委員長として委員会の意見をもつて出たのでございますが、内閣におきまして、各般の情勢を檢討した結果、かようなところに落ちついたのでございますので、この点は組織人としてであることを、御了承願つておきたいと思います。
○本間委員 一應野溝大臣のお立場のきわめて平板的なお話を承つたのでございますけれども、ともかくも二十三年度の所得税でまいりますと、農業所得税は昨年の八割強であります。それから事業所得税にいたしましても、昨年度の二倍であります。さらに宅地、家屋税もそうであります。なるほど何とかして地方財政に彈力性をもたしたいというのが、今日の地方の実情から推して当然でありまして、その彈力性をもたしたいと政府がお考えになりますお考えに、私ども満腔の敬意を表するのでありますが、昨年のほとんど十倍以上に上つておるのであります。今日の地方の実情から私ども考えまして、はたしてこれがほんとうにとり得るだろうか、非常に苛斂誅求に陥りはしないだろうかということを、私どもは心配いたすのであります。從つてこの程度ならば、それほど苛斂誅求にならぬという大臣のお考えの根拠を、もう少し具体的に承りたいと思います。
○野溝國務大臣 この点は一つ御了承を願つておきたいと思います。農業所得八割強、事業所得二倍という御指摘は、大体当つております。地租及び家屋税が確かに殖えました。しかし一面地租の方の問題は、大体農村が多いのでございます。この点から見ると、一面地方財政委員会の初期の案といたしましては、事業税といたしまして莫大なる税金をとることになつておつたのでありますが、百億近くの税金を現下の食糧事情及び生産の基礎、外人導入等からにらみ合わせて、一日も早く食糧の需給調整をはかりたい。なお二十三年度米の需給を見ましては、食糧の点について相当考えなければならぬのではないかというようなことを、いろいろ考察いたしますときに、生産者の意欲を落してはならぬというようなことを勘案いたしまして、さような税金は省くことにいたしたのであります。かような点から見ると、一應町村並びに自治体の帳面ずらの経費の上に上つておらないのでありますが、私は物見ざる間に一種の彈力性をもたした。この点はお認めいただきたいと思うのであります。かような意味において、地租並びに家屋税は二百倍になりましたが、その比率を見ますと、数十億の開きがある。この点は農民が数十億の得をしているわけでありますから、かような点をひとつ御了解願いたいと思います。 なお住宅税の問題ですが、これもお示しになりました通り、決して私どもといたしましては、増額することをいいと思つておりません。しかしいかんせん、中央と地方との財政調整がなかなかとれませんので、引上げられたこの程度を、國務大臣として承認せざるを得なくなつたのでございます。満足とは思つていない点を御了承願いたいと思います。
○本間委員 財政委員会の方でも、酒、タバコの一割地方還元という問題が熱心に主張せられた。これが政府の方でお取上げにならずに、日の目を見ずに今日にきているのでありますが、その理由はどこにありますか。その点を明らかにせられたいのであります。
○野溝國務大臣 財政委員会といたしましては、御指摘になりました通り、非常に彈力のある税といたしまして、酒、タバコの消費税の新設を強く要望したことは、事実であります。しかしこの点は私よりむしろ大藏当局が來ておりますので、この際大藏当局からの答弁を願いたいと思います。
○福田政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、結局酒、タバコにつきましては、中央の財政においても、どうしても財源が足らぬというような状況となつておるのであります。そこで中央の財政を充実するための酒、タバコ、その上にさらに地方の附加税をとることにいたしますと、もうすでに中央財政の見地から見まして、酒、タバコの値段をフルにとつている。その上にとるということは、とうてい円滑な賣れ行きができないというようなことで、今回この問題は見合わせようというような事態になつているのであります。タバコのごときは、ただいまピース六十円というような体系でやつておりますが、これをさらに上げますと、とうていどうも賣れ行きの確信がないというような状況になつているのであります。さように御了承願いたいと思います。
○本間委員 ただいま大藏当局から酒、タバコの消費税の関係について、大体國の方で今日の経済事情から言つて最高限度までにらんで税率を決定したものであるから、さらに附加税としてこれをとることは困難だという意味の御答弁があつたのでありますが、これについては、私どもいろいろ意見があるわけでありますが、この点はまた分科会でこまかに伺うことにいたしまして、要するに先ほど古賀委員からも御指摘になつたのでありますが、大体野溝大臣の御説明になりましたような税額を是認いたすといたしましても、大体地方債にまわつてまいりますものは二百八十億弱あると私は思うのであります。ただいま野溝大臣のお話によりますと、何とかこの二百八十億の地方債の資金化については、責任をもつて善処する。近いうちにどういうふうにして具体的にこれを資金化するかということを決定して発表することになつているという意味の御答弁があつたのでありますが、結局問題は最後に落ちつくことと思うのであります。これは今日の地方財政の結論的な問題である。なるほど野溝大臣の御指摘になつた通り、中央地方の財政の根本的調整問題があるといたしましても、それはしばらくおいて、二十三年度の地方財政については、一番結論的問題だと思うのであります。大藏省預金部の資金計画を見ますると、上半期に大体地方債の方に見込んでいるものは、六十億余万円程度だと承知いたしておりますが、その点どうなつておりますか、大藏当局からこの一点だけお伺いいたしたいと思います。
○福田政府委員 お答えいたします。預金部の資金につきましては、当初は相当小さい額というふうに考えておつたのでありますが、地方財政の状況等から見ますと、さようなことではいかぬ。相当馬力をかけてやらなければいかぬということになつて、ただいまお話の二百八十億というような赤字が結論において出てくる。これは大体さようなことになると思うのであります。しかしながら、地方においても、行政費の整理節約等を極力やつていただきたいと考えておるのでありまして、ただいまのところは、大体の見当といたしまして、二百四十億程度のものは、これは政府としてどうしても極力金融の斡旋をいたしまして、公債の消化を完全にできるようにいたしたいと考えているのであります。すなわち残りの四十億程度のものは、ぜひ地方側において、経費の節約を断行していただきたいことを、期待いたしておるのであります。
○本間委員 当初私どもが計算しておつたところによりますと、大体預金部資金の方が百二十億程度、それに郵便貯金その他を地方が一生懸命にやつて、百五十億程度は完全に資金化し得るだろうという予測を立てておつたのでありますが、ただいま大藏当局の御説明によりますと、二百四十億でありますから、私どもの計算で、約百億ばかりよけい責任をもつて必ず資金化するという御言明があつたのであります。そこで最後に地方財政の責任者であります野溝大臣にお尋ねいたしますが、先ほど大藏当局から、なるほど二百四十億を必ず責任をもつてやるという説明があつた。そういたしますと、残る問題は、あとの三、四十億円の問題である。そうすると、この二百四十億は、必ず政府が責任をもつて資金化するというこの線で、大体今問題になつておる地方廳側、あるいは町村側と政治的な解決がつき得るのではないかと考えるのでありますが、この点について、どういう御見解をもつておられますか。野溝國務大臣御指摘の通り、資金が今大藏当局の答弁通りになりますならば、一應は落ちつくと思います。しかし地方財政委員会から見ると、それ以上の考えがあるのであります。それはどういう点かというと、一体起債を仰ぐとか、分與金制度とか、自治制をまねたような構想それ自体が、自治制をすでに侵している封建的な考え方だというところに、基本的な問題が残つておるわけであります。しかしそれは將來の問題といたしまして、一應当面の問題といたしましては、ただいま起債二百四十億というものが、当面の問題になつておりますので、一應これらの点が明確になりますならば、財政委員会といたしましても、暫定的に了承するであろうと、かように存じます。
○本間委員 野溝大臣それから大藏当局の御答弁によりまして、問題がほぼ明瞭になつてまいつたと思つております。いずれにいたしましても、あと四、五十億はあるいは地方財政委員会と政府当局の方との、いろいろな政治的な折衝を重ねられることと思うのでありますが、最低二百四十億を必ず資金化するということでありますならば、話はつかないでもないだろうと思うのでありますが、今野溝大臣も、政府当局の二百四十億の地方債を完全に資金化するというところに、まだ多少御疑問があるようにも、私御答弁を伺つたのでありますが、大藏当局も本委員会におきまして、明答されておるのでありますから、私どもはこれは必ず資金化し得るものだと確信するのであります。そういう観点から、野溝大臣といたしましても、今日の地方の窮迫いたしておりまする地方國体の財政に、何とか二十三年度にやつていけるような見透しのつきますように、さらにどうか御努力を願つて、そうしてただいた問題になつておりまするこの問題を、速やかに善処されて、そうして食糧増産その他に欣然進み得るような体制に、さらに一般と御奮闘あらんことを切望いたしまして、一應打切りにいたします。
○庄司(一)委員 議事進行について——先刻大蔵大臣は、約一時間ほどの何か急用があるような口吻を漏らしてお出掛けになられたようでございますが、聞くがごとくんば、院外において何かラジオの放送討論会とか、そういうものにただいま出ておられるというようなうわさを聞いておりまするが、いやしくも一般質問のこの予算総会の最終日である大切なこの日に、特に本間委員は大藏大臣並びに野溝國務大臣の御両方にきのうより出席を要請されておつたのであります。しかるにただいまうわさに聞けば、ラジオの放送討論会の方が一体大藏大臣として大切なのであるか、國家政治最高機関であるところのこの國会議員の要求を受けて答弁をされることが軽いことであるか、軽重本末を顛倒しておるようなおそれが、十分あるように感知されてならないのであります。先ほど鈴木委員長のお話にも、努めて本委員会が能率的に效果的に、なるべく速やかに予算の審議を終りたいというようなお言葉もあり、われわれもその線の沿うて、ただいまで協力を怠つておりません。当初政府の予算の提案が遅れ、あるいは大藏大臣を初め、政府の閣僚の出席が悪い、あるいは速記の関係等等の理由もありましたために、予定よりは遅れておりまするけれども、われらは何ら悪意をもつてこの予算委員会の審議を故意に遅延したようなことは毛頭、委員長の御承知の通り、ございませんのであります。しかるにただいま申し上げたように、國会に出席を要申されておりながら、何か余儀ないことのような口吻を漏らし——ラジオの放送討論会どころの騒ぎではない。四千億の大予算を審議するところの本予算総会の重大性というものを、大藏大臣は一体何と御認識になつておるのであるか。どうか委員長において速やかに大藏大臣のさような態度、本予算総会を軽視する傾向の多分にございまするかような問題について、適当なる措置をとられんことをお願い申し上げる次第であります。
○苫米地(英)委員 委員長は私の質問の中途に、私に相談があるが、大藏大臣は三時から差支えておるから、中途で打切ると言われたのですが、その時に委員長はそういう事情を御存じなくて、私の質疑を打切られたのでありますか。
○稻村委員長代理 重要な所用があるからという話だけを承つておつたのであります。それで今ここでも秘書官の人に、委員長は約束の時間に來なければいけないから、至急呼ぶようにと話しております。約束の時間がそういう問題で遅れたということを委員長代理としてもきわめて遺憾に存じております。もうすぐ來るというような話でありますから、農林大臣に対する質疑を続行していただきたい。
○鈴木(正)委員 もちろんすぐに約束通りに來なければならぬことはわかつておりますが、來たといたしましても、この予算委員会の最終審査日に当つて、さような理事のもとに中座したというならば、それに対しましては、委員長はどういう考えでありますか。
○稻村委員長代理 委員長といたしまして、そういう用件でここに出席することができなかつたということに関しましては、大藏大蔵より釈明していただく、かように考えております。
○鈴木(正)委員 その釈明の結果によつて、われわれは意見を発表いたします。
○西村(久)委員 農業大臣に質問いたしたいと思います。私は農業大臣に対しまして、わが國の食糧製策に最も重大なる関係のありまする水産関係の問題をお尋ね申し上げておきたいと存ずるのであります。農業行政の関する問題につきましては、各委員より、各方面からの質問が続行されたのでありまするが、水産に関係する問題は、質疑がないのを遺憾といたしまして、ここに農林大臣の御出席を煩わして、水産行政に関する諸問題について質疑をいたさんとするものであります。 先ほど來野溝國務大臣がおられたのでありますが、野溝國務大臣がおられる方がよかつたのではないかと思つておるのであります。かく申しますゆえんのものは、今回新設せんといたしておりますところの漁業事業税に対しまして、私はいささか異つた意見をもつておるのでございます。この漁業税を課することが適当であると、水産当局であられる農業大臣はお考えになるかどう、まずこの点をお尋ね申し上げたいと思います。
○永江國務大臣 お答え申し上げます。当然今日のような原始産業の経営上非常に困難な際におきまして、その一つであります漁業に税をさらにかけてまいるということは、私は原則としては妥当でないと思います。ただ今わが國の置かれております占領下の特殊的な情勢から申し上げまして、財政上の処置として、やむなくこの予算に、事業税の中に漁業関係のものが加えられておる、こう御了承願いたいと思います。
○西村(久)委員 農林大臣の御答弁の趣旨はよくわかるのでありますが、農業も漁業も、営業ではないのであります。これは特定の行為であります。從いまして、漁業に対しましては、漁業税という特定の行為税を從前から漁業者は納めておるのであります。今回営業税の形をかえて、その中に行為者たる農業、漁業を附加して、原始産業に対する課税を立法されるということは、私は根本において誤つておるのではなかろうかと考えますが、農林大臣は私と同じように考えられるかどうか、お尋ねいたしたい。
○永江國務大臣 前にお答え申し上げましたように、原則としては原始産業にこれ以上の課税をかけていくということは、私は妥当でないと考えております。
○西村(久)委員 農業方面に対しまする関係の事業税の中で、主食に関係する部分は、非課税の中に加わつておるかのように承知しておるのであります。同じ食糧事情を緩和すべき鮮魚介を非課税の中に加えないで、これに課税するということについては、水産行政の上から考えまして、はたして正当であるか、私はこれは正当なる取扱いでないと考えるのでありますが、農林大臣はいかようにお考えになりますか。
○永江國務大臣 この点につきましては、かつてお答えしたことがありますが、農業と漁業の間におきまして、生産方法、過程が相違しておるのであります。今申しましたような原則から申しますれば、原始産業にさらに税を加えていくということは、私は妥当でないと考えておりますが、財政上のやむを得ざる処置によりまして、数学的にこれを勘案いたします際におきましては、やはり主食の面だけを税から除くという処置をとつたのであります。
○西村(久)委員 今農林大臣のお答えをお伺いいたしますと、主食の面からだけ税を課することを避ける方針をとつたと言われるのでありますが、鮮魚介類は主食に該当すベき食糧であるということの解釈をいたしますれば、同じ扱い方をとらなければならぬと思つておりますが、この点にいかにお考えになりますか。
○永江國務大臣 ごもつともな御意見でありますが、やはり今日主食として範疇に加えられておりますものは、農産業の四種類であります。それ以外のものは、やはり副食物として私どもは考えております。
○西村(久)委員 この点に対しましては、意見は多数もつてんるのであります。実は洗般野溝國務大臣を問い詰めまして、野溝國務大臣は立腹されたのであります。大臣も原始産業たる漁業水産物に税をかくべきものでないとお考えになつてはおられるようでありますが、地方財政の緩和を図らなければならぬ今日の苦しい段階においてのみ、こういう税を創設するかのような御意見があつたのであります。私もそういうような趣旨で原始産業に課税しておるものと考えるのであります。しかしながら、これをもつていくばく地方の財政が緩和されるかということを考えまする際に、おそらく大した金ではなかろうかと思うのであります。こういうようなものに二重、三重の課税をするような政治をやりまして、そうして魚介類の増産を叫ばれましても、魚介類の増産にはならないのではないかと考えるのであります。魚介類を増産して國家に要請にこたえ、漁民の増産意欲を向上させるためには、つまらない税を努めて避くべきであろうと私は考えます。こういう観点から、漁業事業税に対しては、私は遺憾ながら意見を同じうして賛成することができない一員であることを、御了承願いたいのであります。この点に対しては、この程度にしておきますが、何を申しましても、水産の振興をはかつてまいりますことが、今日の急務であることは、農林大臣も御同感であられようと思うのであります。われわれの水産の振興に最も根本的に関係の深い漁業制度改正法案、あるいは漁業協同組合法案というような基礎法律は、前片山内閣時代から出そうで出ないのでありますが、これは必要がないのでありましようか。私は速急にこういう制度はこさえなければならぬものと感ずるのでありますが、農林大臣の御所見を承つてみたいと思います。
○永江國務大臣 今お尋ねの法律案につきましては、御趣旨はまことにごもつともだと思います。もちろん政府といたしましても、早急にこれらの基礎的な漁業に関しまする法規を完備いたしまして、國会の御審議を願うつもりで、鋭意立案中でありますが、実のところ、本日まで、それらの点につきましても、関係方面と折衝を続れておるのでありますが、まだ成規の手続を経まして國会の御審議を願うわけにはまいらぬのであります。なお会期も非常に切迫した際ではありますが、できるならば、これらの法規中におきましても、漁業協同組合法につきましては、大体の見透しがございますので、これが両院の完全な御審議を願う時間的余裕はございませんけれども、まず政府が立案して成規の手続が終りましてものは、公の席上におきまして、その法案について、一應の説明を申し上げるということは、ぜひこの会期中にいたしたいと考えておるわけであります。
○西村(久)委員 漁業協同組合法に対しまする政府の御意見は、拜承いたしたのでありますが、漁業協同組合なるものは、漁業権制度と密接不可分の関係にあるものだと考えるのであります。一方だけをこさえましても、この協同組合法が漁業権制度に関係がありまする以上、今度は漁業権制度が協同組合法の先にできましたために拘束をせられて、そうして完全な漁業権制度にならないような憾みを生ずるような際に、こういう制度は一緒に出されるのが順当ではないかと考えますが、この点に対しましては、農林大臣はいかようにお考えになりますか。
○永江國務大臣 お尋ねの点が、私のお答えする点と違いましたら、あらためてお尋ね願いますが、二つの法規につきましては、漁業協同組合法は、先ほど申し上げた通りでありまして、他の基礎法であります漁業法につきましては、これは遺憾ながら、この会期中にたとえそれを公式に説明いたしますについても、その段階に至つておりませんから、私の先ほど申し上げたことが、十分でなかつたかもわかりませんが、この両案とも本國会に正式に提出をして、審議をしていただくということは、非常に困難な状態に、残念ながらなつたのであります。ただ協同組合に関しまする法律だけは、一應関係方面の了解を得て、政府案を説明するにとどめたい、かように考えております。
○西村(久)委員 ただいまの農林大臣のお言葉は、漁業権制度の改正法案はしばらくむつかしい。漁業協同組合法案は、その骨子を説明する程度に終る。これも正式の法案を本議会に提出する運びには残急ながら至らないということに了承してよろしいでしようか。
○永江國務大臣 今お尋ねの通り両案とも、はなはだ遺憾ではありますが、今國会で正式に御審議を願う時間的な余裕がございません。
○西村(久)委員 事の重大なることは、申し上げるまでもないのでありますが、今日までの経過が、この両案の議会提出の運びに至らないことは、はなはだ遺憾に存じますが、なるだけこういうふうな法律案は、水産振興のために、漁民救済のために、速やかに立法されまして議会に御提出になるように、今後御努力をお願い申し上げておきたいと考えております。 漁業に関する金融関係の問題は、過去におきましても、常になおざりになり勝ちにあつたのでありまして、まことに私どもは遺憾に存じておつたのであります。今日農業方面の御意見を伺つてみますと、農業に対しましては、農業金融の途を開きますために、農業手形制度を設けて、農民の救済をしようというような制度を立てられておるようであります。ところが同じこういう制度を立てますならば、漁業者に対しましても、相通ずる手形金融の制度を開かなければならぬのじやないかと実は考えておるのでありますが、一体農業方面の手形制度だけをお考えになつて、水産方面の手形制度をお考えにならないということは、どういうふうな理由に基くものでありましようか。
○永江國務大臣 漁業手形につきましては、農業手形のように、早急にこれを具体化しまして行うことができなかつたのであります。目下鋭意これは立案を急いでおります。なお金融の点につきましては、いずれ近く國会の御審議を願うために、農業に関しますること、水産、林業に関しまするこれらのものを、今まで申し上げておりました農業復興金庫というようなアイデアのもとに立案をいたしまして、特別会計で大体年間六十億、本年は四十億くらいの程度のものをこれら原始産業の金融として行いたいと考えております。本日の閣議で大体関係閣僚の間において意見の一致をみましたので、早急に法案として御審議を願うつもりであります。
○西村(久)委員 ただいま農林大臣の御意見を伺いまして了承いたしたのであります。実は先ほど大藏大臣のお話では、農業金融に対する計画をただいま農林大臣のお話かのように伺いましたので、水産関係はこれに含まつていないのではないかと考えましたので、お尋ねを申し上げたのでありますが、今農林大臣の言われる通りに、水産その他の関係も一緒に含めての金融の途を開こうというお話であられるならば、私は了承いたそうと思うのであります。 次にお尋ね申し上げてみたいことは、御承知の通りに、日本の漁船が拿捕されて、第三國に引張られている状況であります。これは禁止区域を荒らしました関係によつて、拿捕されたものでありますか、あるいは禁止区域内を航行中に拿捕されたものでありますか。農林当局としては、この点に対して拿捕船の関係の内容を檢討し、禁止区域を侵したものであるとするならば、断乎処断をすべきでなかろうかと考えます。もし禁止区域を荒さずして、航行中のものが不当に拿捕されたといたしますならば、これは速やかに返還を要求しなければならないんじやないかと考えますが、この点に対します農林大臣の御意見なり、また今日までの状況なりがおわかりでありましたら、お知らせが願いたいのであります。
○永江國務大臣 御承知のように、連合軍の好意によりまして、ある程度の漁区が拡張されました以降、遠洋漁業がかなり大きな区域にわたつて行われておりますが、今お話のように拿捕されておるものにつきましては、その拿捕された場所がいかなる地域において行われたかということについては、関係方面を通じて調査をいたしております。なおできるだけ寛大な処置を願つておるわけであります。もちろんお示しのように、せつかく好意ある漁区の拡張を受けまして、これを越えて区域以外に出ますことは、嚴に戒めなければならないかように考えております。
○西村(久)委員 海上の問題は風向等により、いろいろ船が左右される関係があるのでありまして、禁止区域を荒らして、操業して拿捕されたものであるか、あるいは不可抗力のために船が進路を誤まつて航行中に拿捕されたものであるか、この認定につきましては、相当めんどうな関係になるのではなかろうかというふうに考えるのでありまか。從つて農林当局も嚴正公平なる批判を下されまして、もし誤まつた行為のため拿捕されたものであれば、第三國の処断を受けるまでもなく、日本政府において、さきにこれは断乎たる処置をとつていただきたいと考えます。しかし先方が誤まつて拿捕いたしておるといたしますならば、これは速やかに御返還を願い、そうして事業に從事させていただくということが、とるべき途であろうさ考えますので、この点も特に農林大臣に要請申し上げます。 次にお尋ね申し上げてみたいのは、この問題はすこぶるめんどうな問題でありますが、生鮮食料花の配給確保に関する件であります。政府は昨年の十一月に、漁業者のとつた鮮魚介類は政府の出荷計画に基いて出荷しなければならない。その代りに政府は漁業者所要の資材、油等は政府の責任においてこれを配給するという緊急処置をとられておるので、今日も同様その処置を御堅持しつつあるものと思いまするが、はたしてその通りでございましようか、お尋ね申し上げておきたいと思います。
○永江國務大臣 お尋ねの点につきましては、もちろんこれらの供出された魚に対してリンクをいたしまして、政府としては責任ある数量について、目下関係省の間において折衝中であります。この際附け加えて申し上げておきますが、漁業生産者の諸君に、政府がリンク物資としてお約束をしまする油及びその他の生産資材につきましては、その中ではかなり連合國を通じまして、外國より輸入をしなければならない物資が多いのであります。ただ経済安定本部におきまする計画だけによりまして、生産者でありまする漁業家、漁民諸君に、そのプランだけで約束をするということは、ややともいたしますと、政府が約束を違えるという結果を招くのであります。本年度はさようなことのないように、一應関係方面とも十分連絡をとりまして、なお生産の責任にありまする商工省ともさらに協議をいたしまして、経済安定本部、商工省並びに農林省の間におきまして、十分なる審議の上で、これらの数字を発表し、発表いたしました以上は、責任をもつて実施するということで、数回の閣議におきましてこの案を練り直しておりますから、近くその結論を得ることと思います。
○西村(久)委員 つとめて速やかに御成案を得られまして、漁業者の資材のリンク配給を円滑にしていただきたいと存じまするが、漁業者の中にも純眞なる覚悟をもつて、政府の要請に應えて出荷をいたさんとする純良なる漁業者は、多数あるのでございます。また一部悪い者もおりまして、横流しをし、あるいは不当な販賣をする漁業者もないとは申されないのであります。私はあると思うのでございます。そういう悪い漁業者の建前は、これを業者間で是正をしていくべきだと考えまして、私どもは常にその方面につきましては、指導いたしておるのでございます。ところがそれを指導いたしますると、やみ物資を買うて事業をしなければならぬ関係上引合わないのである。引合わないからやむを得ず高い魚價に賣れるところがあつたら賣つて、收支のバランスをもたなければならないじやないかという、これも企業の建前から言つて、ひと通りの理屈があるのでございます。それで政府の方では獲つた魚を出させることに力を注がれるよりも、私はまず先に事業資材をなるたけ多くその生産量を増させて配給していただきたい。力を注いでいただきたいと実は考えておるのでございます。農林当局もこの点に対しまして、そのお心持で御努力になつておりますることは、私も諒といたします。しかしながら、農林省だけのお考えでうまくいかないことがあるのであります。運輸省に関係がある貨車の関係がまたうまくいかない。貨車はあつても製氷の設備の関係上、氷が少いために、獲れた魚を都会地に輸送することができないということになりまして、結局都会地へ計画されました量がはいらず、地方で消化すべく計画された量は、地方が消化量以上に消化をしなければならないというような今日の状態にあるのでなかろうかということを実は考えるのであります。從いまして、農林当局といたしましても、鉄道方面の貨車の配置なり、その他関係各省と緊密なる連絡をとられまして、配給等の円滑を期することに御努力を願いたいと、実は考えておるのであります。農林省一手だけでいかないことを明らかに申し上げます。なお漁業床の最も必要といたしまするところのマニラ麻類が非常に少いのであります。この点につきましても、國内で今年度中にどれだけの量が使われる御予定であるのか私は承知いたしませんが、定めし少かろうと思うのであります。量はお尋ね申し上げませんが、なるだけこの量もよけいに輸入を願うことにいたしまして、漁業者の仕事に支障のないように御努力願いたいと、実は考えておるのでありまするが、農林大臣はいかようにお考えになつておられまするか、この点をお尋ね申し上げておきたいと存じます。
○永江國務大臣 今御説にありましたように、ただ規則づくめで供出を督励するという方策よりも、やはりその裏づけになる生産資材をより多くリンクいたしますることの方が重要であるということは、まつたく私も同感であります。御承知のように、リンク物資につきましても、漸次これが好條件に向つております。從つて供出数量等も、飛躍的に上つてきておりますることは、私は非常に感謝をしておるところでありまして、これらは生産者はじめ、各方面の御協力によることは当然であります。そういうようにいたしまして、できるだけリンク物資を確保することに努力をいたしておりますが、今お尋ねになりましたマニラ麻につきましても、ある程度昨年よりは、相当多量のものを、目下折衝中でありまして、これらが確定いたしますれば、先ほど申しましたように、経済安定本部の單なるペーパー・プランでなくして、実質的に政府全体として、生産者の皆様に約束のできるだけのものを明らかにいたしまして、適当な機会にこれを公表するつもりでおります。
○西村(久)委員 政府は先日高級魚の價格の撤廃をおやりになつたのでありまするが、その後出まわり状況はすこぶる順調であるかのように伺います。なおかつお魚の値段も時によつてマル公を下まわるかのように承知いたすのでありまするが、この点に対する御調査はいかようになつておりましようか。おわかりでございましたら、お知らせを願いたいと思います。
○藤田政府委員 高級魚の價格撤廃も、その実施後日が浅うございまして、まだはつきりした結果まではまいつておりませんが、これはその成績を調べるようにという関係方面のお話がございまして、調査をいたしております。正確な数字はまだ手もとにははいつておりませんが、ともかく公に公定價格を撤廃して、自由價格で販賣されるというふうなことになりました結果、從來市場方面には出まわつておりませんでした魚が、荷受機関を通じまして市場に出荷されたこの事情は、確かにあるのであります。なおこの統制を撤廃いたしました結果のよしあしということにつきましては、これはなお各方面から現在調査をしておりますので、正確なものは今申し上げる段階にまいつていないわけであります。
○西村(久)委員 ただいま局長のお話を伺つたのでありますが、私はその筋からそういう調べをせよということの申出があるまでもなく、当局の方において高級魚の價格の撤廃をしました以上は、その結果は当然お調べを願わなければならぬ。お調べ願つて、その成績が統制をしておりました際よりもよろしいという結果になりますれば、これに準じて他の魚族も、速やかに統制を解いて、その價値を発揮させるということが、とるべき途であろうと存じますが、お調べの結果、出まわり等がよろしいということでありますれば、鮮魚の價格は、近々のうちに價格統制等の撤廃をされるお考えがあられますか。この点をお尋ね申し上げてみたいと存じます。
○永江國務大臣 鮮魚につきまして、高級魚は今お話のように、マル公を撤廃したのでありまして、もちろん政府におきましては、その撤廃後の経過については、愼重に調査をいたすつもりであります。しかしながら、この調査の結果、一部高級魚のマル公を撤廃したことで、非常に出まわりがよくなつたということは、一應ありましても、なお大衆的に相当多量に蛋白給源として必要である魚につきましては、ただいまのわが國の食糧事情におきましては、にわかにマル公を撤廃するという段階にはいかない、かように考えております。
○西村(久)委員 私はさよう考えないのであります。主食のような保存のできるものは、農林大臣のようなお考えで食糧の確保に全力をあげなければならぬかとは存じますが、生鮮魚はもたないのでありますから、必ず処分しなければならぬのであります。ところが今日の國民の購買力は、農林大臣も御承知であろうと存じますが、実はずつと減つているのであります。マル公で処分をしようといたしましても、配給機関が処分をしようとする品物のはけが、実はぐあいが惡いというような状態に立至つているのであります。マル公よりも安い値段で処分しようといたしましても、マル公で括られております関係上、下に値を下げ得ない、從つて鮮度がだんだん惡くなる。鮮度の惡くなつたものを高いマル公で買わなければならぬという不自然な結果を招來している現況でなかろうかと、実は私は思うのであります。大衆的に多産いたされますところの大衆魚も、大衆の購買力が続かなければ、際限もなく値が上るものではないということを、私は信じて疑いません。量が多くなればなるほど、統制を撤廃して市場に円滑にまわしても、今度の場合いささかも支障がない、かように考えるのであります。かけ引をしようとしても、かけ引をするのに氷が要る。貯藏をするのに倉庫が要るというようなものをもつて、また翌日新しい物が出まわつてくるのと、競爭をしていく上については、なるたけその日に処分した方がよいということで、必ず値段が下ると私は思うのでありますから、統制を撤廃していただきたい。農林大臣もこの点はほかの品物と違いまして、保存のできない関係を御考慮に入れられまして、実は統制を撤廃していただくことに御努力が願いたい。お考え直しを願いたいと思いますが、いかがお考えでございましようか。
○永江國務大臣 一應考え方としてはごもつともであろうかと思います。私も就任以來その点については各方面の御意見を承つたのでありまして、大体大衆魚にあらざる高級魚は、御承知のようにマル公を廃しまして、近く水産加工品につきましても、かなり廣い範囲にマル公をはずす処置がとられることと思つております。しかし今のような食糧事情におきましては、大衆的なものを自由にやりますことは、現在のところでは配給の責任をもちます私としては、ただちにこれに同意しかねるのであります。
○西村(久)委員 今日の政府の建前からは、農林大臣の申される通りかもしれませんが、私は私の信ずるところを申し述べたのでありまして、今後各方面を比較檢討なされまして、私の申し述ベることが妥当であるというお考えが浮びまするならば、速やかに撤廃をお願いいたしまして、そうして消費者に鮮魚の円滑なる出まわりがされるような方法をお考え願いたいと思います。 最後に私は、政府がとつておりまするところの水産行政のうちで、漁港船溜りの建設に対しまして、お力の入れようが足りないのじやないか、かように考えておるのでありますが、この点に対しましては、農林大臣はいかようお考えになられるかお尋ねいたしたい。
○永江國務大臣 もちろん現下の食糧事情から申しまして、漁港船溜りの重要性は私ども十分に認めておるので、これらの施設につきましては、すでに十分御了承願つておりまするように、公共事業費のわく内で行われることでありますので、各般の事情から、本年度におきましては、十分な予算として計上できなかつたことを遺憾に思います。
○西村(久)委員 公共土木事業費の総額からにらみ合わせまして、水産の漁港船溜りの費用が、あまりにも少なすぎるのを、はなはだ遺憾に思うのであります。これが先ほど冒頭に申し上げました水産に対する認識が足りないのじやないかということを、私は考えるのであります。今日政府の御計画は、港をつくるのに、國家的に新規の漁港はわずかの数であるかのように承知いたしておるのでございます。ところが港をつくつていただかないために、漁業家は少なからぬ不便を感じておるのであります。また損失をも招いております。一朝しけてまいりますると、港がないために船を壊す。壊れた船を修繕するというて、修繕費によけいな費用を入れるばかりでありませず、操業日数を讓るという結果になつて、あとさき非常なる損を招いておるのであります。こういうふうな点につきましては、農林大臣も農業方面にお力を注がれると同じように、水産方面にもいま少しくの御努力を願つてほしいと実は考えておるのであります。今年度の予算を見て、一般事業と災害の関係とをにらみ合わせまして、両方で三億二千万円程度の予算でなかろうかと思うのであります。ここ二、三年前ならば、三億という金は大きい金であつたのでありまするが、今日の三億では、実は何にもできないのであります。漁業家は一生懸命になつて増産をしようといたしましても、政府の施設に対する方の入れようが足りませんと、実は失望落胆するのであります。この点につきまして、今後農林大臣は、こういうふうな方面にも相当力を入れて、漁港、船溜りの完成、促進を期せられようという御意図があられるか、承つてみたいと思います。
○永江國務大臣 ただいまお示しの数字につきましては、私どもは大体五億以上に出ておると思つておるのでありますが、しかし五億ではとうてい十分でないことはお示しの通りであります。なお予算としての補助金の額は、今申し上げたものでありますが、一両日中に御審議を願います農業、林業、水産業に関しまする特別会計による復興金融金庫のアイデアをもつておりまする法案が、さいわいにして両院の御審議を経ることができまするならば、先ほど申しましたような、相当多額な金融を低利で運営ができるのであります。そういう面におきましても、漁港、船溜りにこれらの金が金融されると考えておるのであります。いずれにいたしましても、いろいろ御鞭撻がありましたように、私どもといたしましても、日本の食糧事情打開のためにも、今お示しがありましたような点は、十分今後努力をいたしてまいりたいと考えております。
○西村(久)委員 漁獲物の増収をはかつてまいりまするために、当業者と官廳とが一心同体となつて、魚の増産に努めていかなければならないと思うのでありまするがゆえに、私は農林大臣にかくのごとき事情につきましては、閣議の際に、水産の振興を阻害しないように、特に御努力をお願い申し上げます。また今日わが國の漁場は、ほとんど荒廃の域に達しておりますので、当然再度漁区の拡張を連合國に要請しなければならないのではないかと考えるのであります。それでお役所にありますあなた方は、ただ案を練られるだけで、実際に仕事をなさらないのであります。ここで申し上げていいか惡いか存じませんが、今日市場に出ております品物は、限られた漁区でとつておるものも多数ありまするが、実はそうでないものもあるのでなかろうかと思われる節があるのであります。昨年度あたりまでやつておりました漁区では、どうしても引合わない。やむを得ず今私が暗示を與えましたような方法に出なければならないというふうなことになつてまいるのであります。そういうふうになつてまいりますると、問題がめんどうになつてまいりますがゆえに、その前に拡張に対するお許しを願うように、最善の努力を拂つていただきたい。そしてお許しを受けました海域において、漁業家がおじけなく活動のできるように、御努力を願いたいと考えるのであります。この点に対して、いかようにお考えになるか承りたいのであります。
○永江國務大臣 今御心配の点については、私も同様の感じをもつておるのであります。從つて政府としては、関係方面に対して、かなり廣範囲の漁区の拡張の許可が與えられますように、今鋭意折衝中であります。
○西村(久)委員 ただいまお述ベの御方針に基いて、一日も早く漁区の拡張が達成せられまするように、お願い申し上げてやみません。そうでないと、必ずや近いうちにまためんどうな問題が起らぬとも限らないと存じます。そのめんどうな問題が起ることは、なるほど起す漁師の方が惡いのでありますけれども、増産をして刻下の要請にこたえようといたしまする熱意のためには、やむを得ず、知らず知らず侵害をする疑いが多分にあることでありますから、その点はお考えおきを願つて、御加勢を願いたいことを要望いたしまして、私の質問は一應終りたいと思います。
○稻村委員長代理 今大藏大臣は、財政金融委員会の方に出席しておりますが、ただちにこちらに來るように手配してありますから、しばらくお待ちください。
○稻村委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十二分散会