予算委員会 第26号
- 発言数
- 29 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/05/26
会議録
○川島委員長代理 これより會議を開きます。 若干の質疑が殘つておりますので、質疑を續行いたします。角田君。
○角田(幸)委員 安本長官にお尋ね申し上げたいのですが、過般安定本部から經濟復興計畫第一次試案の概要なるものが配付されたのであります。これによりますと、昭和二十七年に、日本の産業が昭和五年ないし七年と同じ程度に再建ができるという構想でありますが、再建の裏づけとしての資金というものが、相當考えられなければならないのでありますが、それはそれといたしまして、この際安本長官に承りたいのは、日本の惡性インフレがこれからどういうふうに進むのであろうか。そうしてそのインフレが進んでいつて、どういう段階において、安本長官は、インフレ安定のために暫定措置を講ずべきであるかという構想をもたれておるか。これは理論的な抽象論でよろしいのでありますが、承りたいのであります。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。この長期計畫につきましては、組閣以來國民に單に危機突破の對策でなしに、長期の復興計畫を立てて、危機突破對策に竝行してこの時局を乘り切り、そうして經濟復興の目的を達するという趣意で、實はその筋との了解を得まして、委員會を設けた次第でありまして、この委員會は、各方面からの知識を、また各黨からの知識を注入していただくという意味において、全國に呼びかけておる次第であります。そうして計畫につきましては、實はその委員會で十分御檢討を願い、さらに必要があれば、部會あるいは專門委員會を設けまして、それぞれの專門家に研究をしていただいて、それを總合的にした經濟復興計畫を立てるという趣意であります。しかし討議の必要とか、あるいは一應の研究の資料にとも思いまして、片山内閣以來、政府が研究しておりました試みの案を出したような次第でございます。あの試みの案につきましても、あれは第一次的のものでありますが、實は數字その他のものにつきましては、近く第二回の委員會を開きまして、そうしていろいろ試みの案についての御説明を申し上げ、それからさらに各委員の御研究、御成案を得るような手はずになつておるのであります。そこであの試案というものは、そういう一參考資料でございますので、そのような意味で、お考えを願いたいと思います。いろいろの點において、大いに補足しなければならぬ點もあり、またいろいろ資料としてさらに加えたいと思いましたけれども、諸般の都合によつて省きましたようなものもあるわけでございます。 ただいまインフレの見透しというようなお話がございましたが、經濟復興の計畫を立てるにつきましては、もちろん金融財政の面から申しましても、あるいは生産増強、流通の面から申しましても、インフレについての確固たる見透しと對策とを立てるということが必要でございまして、これもその方面の部會、專門委員會にさらに御研究を願うことになつたのであります。ただ政府といたしましては、この委員會に諮つていろいろな計畫を立て、御檢討を願うということになつておりますけれども、一應の安定といいますか、中間安定というものは、一應策さなければいかぬというように考えたのであります。これも委員會で御研究願つて、いろいろきまるわけでありますけれども、政府としては中間安定が立てられぬものかと思うのでありまして、インフレーシヨンの高進の度は、やや横ばいになつておりますけれども、しかしなお縣念すべき點が非常に多うございますので、そういう點において生産の増強と通貨面の措置と相合わせて、さらに外資導入、資材の輸入というような面、貿易の振興、かような面を組み合わせまして、中間の安定點を見出そうと思つておる次第であります。それから本格的に長期計畫に移行して、そうしてこの經濟復興の最終目的を達したいと考えておる次第であります。そこでインフレにつきましても、中間安定というところが、委員會などで策定せられますれば、その邊において大體一息つくことになるのではあるまいか。そういう意味においても、ぜひ中間安定というような措置も、併せて考えていただきたいと、委員會で要望しておる次第であります。 通貨その他に對する信用についての見透しのお尋ねでございましたが、これは大藏大臣の方の御所管かと思いますが、併せて私から申し上げますと、これはやはり中間安定點のところへ、少くとも委員會などの研究によつて策定されますならば、そのあたりにおいて、諸般の現われた事情及び海外の諸般の事情というようなものによつて、為替あるいは通貨の國際關係、國内關係というようなものが、初めてはつきりしてくると思うのでありまして、そしてこの長期計畫について、通貨安定措置をとりたいと思うのであります。為替の問題にいたしましても、そういう意味において、本格的な為替というものが、今ただちに定め得るか、そういう意味になつておらぬと思うのであります。しかし輸出貿易の振興その他につきまして、外貨と外貨との換算、あるいは三角貿易の關係上、三つの外貨の換算その他についての措置は、早くとりたいと思つております。しかしこの措置は、決して為替の本格的な決定という意味ではないのでありまして、それはやはり長期計畫の作成、中間安定の達成というようなものとにらみ合わせてでなければ、これは定まらぬのではないかと考える次第であります。はなはだ抽象的でございますが、一應これでお答えといたしたいと思います。
○角田(幸)委員 そこで大體の構想を承りましたので、これから少し具體的にはいつてまいりたいと思うのであります。第一次歐洲大戰後のヨーロッパの惡性インフレの對策といたしまして、フランスにおきましては、なし崩し的に、いわば貨幣措置をやらないために、十年間かかつて初めて安定したようであります。ドイツにおきましても、ソ連におきましても、貨幣措置をやつてインフレの終熄をなしたのでありますが、さて日本の今年度の豫算を拜見いたしまして、そしてさらにこれだけでは結局だめじやないかという豫想が、專門家、學者間に抱かれておるのでありますが、大體七千億ぐらいになるのじやないか、こういうふうな見透しをしておるものもあるのであります。そこでそういう階段をずつと推し進めていきましたならば、かなりインフレが高潮してまいりますが、もとより安本でお出しになりました經濟復興計畫第一次試案なるものは、これは試案であることは、私もそう思うのであります。しかしながら、大體のこういう案を專門家においてつくりましたことによりますと、五箇年經たなければ、昭和五年ないし九年の生産ができ上らない。そこで私はドイツの貨幣措置をとつたときの生産状況というものを考えるのでありますが、ドイツにおきましては、戰前の生産の八〇%に達したときにおいて、貨幣措置をとつておるようであります。またソ連におきましては、百パーセントの生産があがつたときにおいて、貨幣措置をとつておるようであります。そしてさらに今申し上げましたように、フランスにおいてはなし崩し的にやつておつたのであります。そこで安本長官としての御構想を承りたいのであります。これによりますと、ちようどドイツあるいはソ連の貨幣措置の考え方によりますと、なお五箇年の後でなければ、貨幣措置がやれないではないかという、一應の考えがもたれるのであります。またいやそういうことではなしに、貨幣措置というものは必要ないのであつて、日本なら外資導入があるのだというようなことで、それによつてもとより政治上、經濟上の諸條件によつては違いますけれども、一體安本長官はなし崩し的に日本のインフレを解決しようという御構想でいられるのであるか、適當な時期において貨幣措置をやるという構想なのであるか、この點をひとつ承りたいのであります。
○栗栖國務大臣 きわめて將來のインフレーシヨン克服に重大な御質問と思います。内閣としては十分の意見はまだまとまつておらぬ、計畫その他の策定をまつてまとまるのでありまして、そこで内閣全體としての意見を、ここでただちに申し上げることはできないのであります。ただ方向として考えますと、今ドイツあるいはソ連、あるいはフランスも出ましたが、第一次歐洲大戰後のインフレーシヨン克服の過程についての實例をあげておられるのであります。ちようど私も間もなく後にフランス、ドイツにも參つたのでありますが、フランスはなおその後にもいろいろ動搖、變遷を經ておるのでありまして、生産の囘復が戰前の一定度に達したから、ただちに貨幣措置をやるということは、これは斷定しかねる問題ではないかと思うのであります。それと同時に、また生産が上つて、國内だけで貨幣措置をするのがいいか、あるいは先ほどもお示しになつたように、外資の導入、その他廣く為替に關する、あるいは通貨の信用に關する國際的の共同的な建設的考えといいますか、そういうようなものとにらみ合わせてするがいいかというような諸般の問題がありまして、今現在におきまして、どういうことになるかということをここで豫言をいたすことは、はなはだむずかしい、できない問題ではないかと思うのであります。しかしながら、私どもは貨幣的措置がいろいろな點において、一面において重大なる影響をも與えるのでありますから、政府といたしましては、こういう措置は避けて、そうしてもつと影響の少い、むしろ貨幣の實質及び信用を囘復するという方面に力を注ぎまして、外的及び内的に、貨幣の信用の實質を囘復する、こういう措置によりまして、通貨の安定その他をもやりたいというように、私一個としては考えております。
○角田(幸)委員 そこで承りたいのですが、これもまた外資導入のはいつてくる性格によつて違うのでありますが、これは日本經濟に大體どういうような影響を及ぼすであろうかということをお考えになつているか、たとえば物價の問題、株の問題、あるいは為替の問題、こういうような問題について、どういうようにお考えになつているか、安本長官の御構想を承りたいと思います。
○栗栖國務大臣 この機會に外資がどういうようにして導入されるかという點をまず申し上げませんと連絡がつかぬかと思いにますから、それを先に申し上げさしていただきたいと思うのであります。これは昨年大藏大臣をいたしましたときにも、ちよつと申し上げたのでありますが、政府と政府との間の外資の導入及び民間外資の導入、二つに分れるわけでございまして、政府と政府との間の外資導入は、これはいろいろなものがあるわけであります。ガリオ・フアンドによるような場合、これは救援的な意見を多分に含まれていると思うのであります。それから昨年の八月十五日に貿易が再開されると同時に、設定が提案されました囘轉基金の設定であります。これはむしろ産業、商業の増進という意味、貿易の振興という意味で使われるものであります。それからさらに日本の經濟が、單にアメリカの國民の納税によつて丸抱えで運營されるということでなしに、ある程度の自立するのに必要な資材その他を輸入しておけば、自前の經濟ができる、こういうように相なるように導く、こういうような方法が、昨今非常に言われておるのであります。そういう關係から、ヨーロッパにおいてはマーシヤル・プランによる、またそれと類似的の形式による外資導入というものも、いろいろ言われておるのであります。日本に對しても、そういうようなものも好意ある連合國に懇請し、そうしてこの目的を達するということも考えられるのであります。こういうような政府關係のものについては、いろいろなものがあると思われるのであります。それから民間關係のものでありますが、民間關係のものでありましても、平常の經濟状態に復しまして、そうしてこの投資といいますかインヴエストメントを主たる目的として導入されるものがあるわけであります。これは戰前に行われました電力債とかその他は、その種類のものに屬すると思うのであります。あるいは日本の會社に對する株式の投資も、その種類であつたと思うのであります。それからさらに資材をもちこんで、それを日本の工場で加工いたしまして、さらにその製品を向うにもち返る、いわゆる仕上委託加工、こういうような形式で行われるものもあるのでありまして、フイニツシング・クレジツトと言われますが、そういうクレジツトもあるわけであります。さらに外資あるいは株式、あるいは企業の參加というものも約束されまして、その約束のもとに原料をもちこんで製造し、それをまた外へもち出す。そうして加工賃を得る。こういうような形式で行われるものもあるのでありまして、民間のものは種々雜多であります。本格的の民間投資にいたしましても、株式に對する投資もあるし、あるいは公債、地方債、社債に對するものもある。あるいは純然たる貸付金の形になるものもあろうと思うのであります。千差萬別でありますが、しかしこの民間の個々に對する國内的にいろいろ態勢を整えるということも必要であると同時に、やはり日本の長期復興計畫等ともにらみ合わせまして、必要であり、そうして十分外資を入れても、利益その他の確保されるものというようなものが選ばれるわけでありまして、その邊は個々の具體的なものについて、十分考えなければいかぬと思うのであります。ただいま安本の中にも、外資に關する委員會がございますが、これは安本の内部における機構として存在しておるものでありますが、あるいは廣く民間外資の導入というようなことが呼ばれるようになりますれば、安本内部の機構を補助し、あるいはアドヴアイスを與えるような機關として、民間の知識を集める諮問機關等をも別にでもつくつて、必要に應じましては、その筋とも十分連絡をとつて必要なる個々の外資導入は大いに導入すると同時に、導入すればやはりその利益その他の確保等についても、十分考慮を拂うというような措置をする。こういうことも考えておる次第でございます。
○角田(幸)委員 ただいま民間の外資導入のお話があつたのでありますが、それはいつごろ民間の外資導入がある豫定でありますか。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。これは形式といたしましては、今は相當制約があるのでございまして、傳え聞くところによりますれば、個々にいろいろ話も進んでおるとも思うのでございます。しかし現下の占領下の状態におきましては、その筋及び安本、大藏省その他とのいろいろな連絡もありますので、それがいつごろどのくらい導入が見込まれるかということは、申し上げなれないと思うのであります。しかし好意ある連合國の援助という點からもになみ合わせてみまして、いろいろ民間の申出もあるようでございますから、そのものについて差支えないものについては、その筋の承認を得て行われるものも相當にあろうと思うのであります。それから本格的な投資の形式によるものは、相當遲れるということも、考えられる次第であります。
○角田(幸)委員 今大體の見透しはおわかりにならないでしようか。そしてまた一體日本の現在が民間投資のはいる受入態勢に十分であろうという御所見でありましようか、その點をひとつ。大體時期と受入態勢は十分か。この點について伺います。
○栗栖國務大臣 これは先ほど來申し上げましたが、委託加工とか、あるいは投資の經營參加の豫約のもとに原材料をもつてくるとか、そういう意味のものは、近く相當見込みがあろうと思うのであります。しかし本格的なものになりましたならば、占領下の諸事情とにらみ合わせまして、そういうようないろいろな點がもつと展開される時期において、また為替の問題などが相當はつきりする時期によつて望めると思うのであります。民間は個々の間にいろいろの話も行われておりますので、數字等をもつて、ただちにここでお示しするわけにまいりませんけれども、相當いろいろな個々の話はあるようにも聞いており、また相談をもちかけてくる者もあるのでございます。
○角田(幸)委員 それではまだ見込みが立たぬ、こう了承してよろしいでしようか。
○栗栖國務大臣 今ここで個々の問題についていろいろ申し上げることをはばかるわけでありまして、まだいろいろの點がございますので、相當の見込みがある。こうお考えを願えれば結構だと思うのであります。
○角田(幸)委員 私の承りたかつたことをお答えがありませんでしたが、そこで進んで外資導入の結果、日本經濟に一體どういう影響を及ぼすのであろうか。これは私の考えでは、これによつて惡性インフレが高潮するのではないかという懸念をもつのであります。というのは、この前ドイツが貨幣措置をやつたときには、一億分の一の切下げでありましたが、株式については一番切捨ての多いものでも五十分の一、切捨ての少い石炭とか特殊の會社のものは、五分の一とか六分の一に株式を切下げた。こういうところから非常に株が上つていつた。その結果惡性インフレが高潮したのではないかという感じをもたれるのでありますが、この點についての安本長官の御見解を承りたい。
○栗栖國務大臣 なかなかドイツの實情にお詳しいようでありますが、ドイツではああいうように第一次大戰後措置をとりましたが、これは當時における對外のいろいろな諸事情に制約されておりますし、また國内的の事情にも非常に制約されておるのであります。そういうような内外の事情は、日本の事情とは相當違うものがあるのであります。それがまたいい經驗を世界に示してくれたわけでありますが、手段においても、必ずしもああいうやり口が私は妥當とは思わないのであります。そういうような點から考えてみますと、現在の日本におきましては、寡少生産の現在において、生産を増強し、通貨面の措置とともにインフレーシヨンを克服する上においては、どうしても原料資材その他が必要である。これは輸入をまつということでなければいかないことは明らかであると思うのであります。ドレーパー使節のお話にも、工場があいておつて、資材、原料がないために運轉ができない。これは昨今の紡績工場などをごらんになりますと、よくわかることであります。それでわれわれは資材その他の輸入の措置と同時に、それに安心することなく、受入態勢、企業面の措置と、金融面の措置と合わせて總合的にいたすことによつて、これはむしろこのインフレーシヨンを克服する大きな要素になると思うのでありまして、助長することには相ならぬと思うのであります。これはそのほかの措置を怠たり、あるいは安心することによつて助長することになるかもしれませんが、われわれはさようなことでなしに、もつと深刻に、總合的に考えて、あらゆる施策を實行して、このインフレーシヨン克服の大きな主眼といたしたいと思う次第でございます。
○角田(幸)委員 あまりに抽象論で、どこを見たらいいかわからないということになつたのですが、最近世間に、來年の三月あたり貨幣措置が行われるかわからぬというような不安をもつている者があるようであります。そこで安本長官に希望しておきたいことは、經濟復興第一次試案を發表されたについて、これに裏づけするところの資金の面、經濟の面、しかしてインフレに對する見透し、それに對する對策というようなものを併せて發表していただきたい。そうでありませんと、われわれは豫算をやる場合において非常に不安でありまするから、このことを希望して、安本長官に對する質問は打切ることにいたします。 この際お許しを得て、大藏大臣の御所管のように考えられますので、二、三質問をお許し願いたいと思います。 大藏大臣に承りたいのは、日本の惡性インフレは、とにかく相當進んでまいろうと思うのであります。そにでただいま安本長官に承つておつたのでありまするが、安本では經濟復興計畫第一次試案なるものを發表されたのであります。これは經濟復興というよりも、生産復興と見た方がいいと思いますが、五箇年間にこれだけの生産を復興するという案であります。そこで生産が順調にまいつて、元通りに達してしまえば、結局は日本の惡性インフレーシヨンは消えるのであります。しかしそこまでもつていくことについて、相當困難が伴うであろうと思うのであります。そこで貨幣措置をなし崩し的に何年かかかつてやるという、いわばフランス流に——フランスは十年かかつたのでありますが、なし崩し的に日本の貨幣措置をとつていくのか、それとも生産のどんな階段において貨幣措置をおとりになるお考えであるのか、この點について大藏大臣の御構想を承りたい。
○北村國務大臣 お答え申し上げます。先ほどから大分この實例は引かれました。ドイツのインフレーシヨンの問題と關連すると思うのでありますが、これは御承知の通り、私の記憶が間違いないといたしますれば、一ドルが結局四兆マルクになつたところが惡化した頂點だつたと思うのであります。そしてこれがよく例に引かれて、日本のインフレーシヨンがそういうところまでいくのではないかというようなことが、巷においてしばしば話題にされるのでありますけれども、私どもの見方は、ドイツの場合はきわめて例外的なインフレーシヨンの型であつて、すなわち資本逃避が原因をなして、金融的な非常に大きな恐慌があつた結果、貨幣價値の暴落速度が非常に早かつたというようなところからまいつたのでありまして、これはドイツとは全然違う日本の實情においては、資本逃避が封鎖されておりまするし、その他諸事情が全然違つておりますので、從つてインフレーシヨンの型を異にしておる。それで先ほど來お話がありましたが、貨幣措置の内容にもよりますけれども、これはインフレーシヨンの實態をどう見るかということと、非常に不可分の關係があると考えるのであります。インフレーシヨンを抑えて、それから生産を始めるのか、生産をやつてインフレーシヨンを抑えようとするのかというようなことも、しばしば論議されますけれども、私は日本においては二つにわけて考えるべきものではなくて、何としても物の窮乏、過少生産がインフレーシヨンの最大の原因であつて、ドイツのごとく資本が國外に逃避したということを原因としないのでありますから、生産を非常に重く見なければならないことはもちろんであります。と同時に、これは通貨として健全財政主義をとつて、財政支出から來るインフレーションは、通貨面において極力食い止めねばならぬ。食い止めながら、また一方において生産を増強しなければならぬ。こういうことになると思いますが、その生産の問題に相なりますと、今まで資源地帶をかなりもつておつたときでさえも、原材料の輸入を非常に必要とした。いわんや國土は小さくなり、人口は比例的に非常に多くなり、資源地帶をことごとく失つた今日でありますから、過小生産状態をもう少し生産を増強さすためには、どうしても外資に結びつかねばならぬ、そういう必然の運命をもつておる。從つて先ほど來お話の外資と結びつく、原材料が輸入せられるということが、これが一面インフレーシヨンを抑えることに非常に大きな効果をもつ、こういうふうに考えるのでございます。それらのことを併せてやりながら、一方においてはやはり健全財政主義を堅持いたしまして、いわゆる財政支出から來る財政インフレを抑えていくということをやりながら、かような方針で進めていく。最近の情勢では、通貨の線とやみ物價の高騰の線とかパラレルになつておる。從つて現在のインフレの進行状態は、今のところ横ばい状態を續けておるというような點等から考えまして、これはかような状態において、もし適當な時期に適量の、あるいは適質のものを輸入せられて、日本で現在遊休しておるところの生産設備がフルに動くことになつてまいりますれば、これはその面から相當效果をあげることができるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。從つて通貨處置をするということが、いろいろの意味に考えられておると思いますけれども、名目的な處置あるいは實質的な處置、いろいろあると思いますが、これはドイツのごとく、たとえば一ドルは四兆マークであつたかと思いますが、四兆マークが單に一ドルの値であるというほどインフレーシヨンが惡化状態になると、國内的な名目處理をしなければ、實際計算上の生活ができなくなるというところから、これは餘儀なくやつたと思いますが、日本の現在の實情において、通貨に手をかけて、通貨の信用をみずから低くするようなことをしてはならぬ。そういうような不安を絶對除去しなければならぬ。健全財政主義は、同時にまた健全第一主義でなければならないのでありますから、通貨への不安感を一掃しなければならぬ。こういうふうな考え方から、政府としては名目的にもしろ、實質的にもしろ、ただいまのところ通貨處理をするということは、われわれとしては考えておりません。こう申し上げたいのであります。
○角田(幸)委員 大藏大臣の御見解、私の同感を表される點が多いのであります。もとよりドイツのインフレと日本のインフレは、その性格において違うのでありますから、ドイツのように急速にまいろうとは私は考えておりません。また今貨幣の發行高とインフレの線とが隔りがあつて、貨幣措置をやるということの危險を考えておるのでありますが、結局ドイツのようなことにならないとしても、日本のインフレは財政インフレの非常な危險にはいつているのではないかと思います。私は今日はまだ本豫算が出ておりませんから、この際は申し上げませんが、どうかほんとうの實質的な健全財政というものをおやりになつていただくということを要望いたしまして、私の質問を打切つておきます。
○川島委員長代理 次に庄司君。
○庄司(一)委員 建設院の當局にお伺いしたいことが一、二點ございます。それはただいま議題となつております暫定豫算の建設院都市局關係豫算の百八十何萬圓かに關連してお尋ねをしておきたいことは、政府は戰災都市の復興計畫を、當該關係市町村の都市計畫委員會、あるいは縣單位の都市計畫委員會、きわめて民主的な都市計畫復興委員會等の答申によつて、ただいまは建設院において許可、認可という意味でございましようか、内閣告示の名稱のもとに御決定に相なつているのであります。しかるに建設院が一旦告示され、政府官報に發表になりました都市の復興計畫、あるいは都市計畫が、第三者の運動等によつて、その告示されたところの原案が左右されることがあつては、せつかくの政府の告示の權威が失墜するのみならず、全國幾百の戰災都市の復興計畫の上に、運動さえすれば原案が變更になるのである、あるいはその都市計畫中の最も當該市の繁榮あるいは交通等に關係のあるメーン・ストリート等が、變更をなし得るのであるとういうような感じを與えて、一黨一派その他の第三者が運動費をばらまいて、運動によつて、すでに政府が確認され公に承認され告示されたその復興計畫が變更されるようなことが、もし不幸にしてありましたならば、これこそ朝三暮四、あるいは朝令暮改的なそしりを免がれ得ないと思うのであります。建設院の都市局は、特にこの點に深き留意と關心をもたれ、一旦官報をもつて告示された政府の御方針は、あくまでも斷固としてこれを確保されることに御善處なさることは、言うまでもないことと思うのでありますが、かようなことについて、建設院のお考えはどういうものであるか。實は一松總裁よりお伺いしたいのでございますが、なにか御都合のために御臨席ができないというので、財津都市局長より、念のために、本豫算を審議する上の參考のためにお伺いをしたいと思うのであります。 第二點は、これに關連して直接關係のある一つのサンプルとして、昭和二十一年十一月十一日、内閣戰災復興院告示第二四四號によつて、都市復興計畫として發表されました仙臺市の仙臺驛前川内線のメーン・ストリートを許可された、この問題に關し、現に本年の二月ごろより一黨一派によるところの猛烈なる第三者運動が始まりまして、三徳無盡會社というものが數十萬の運動費をばらまいて、原案をさらに變更する變更派の運動が起きたのである。しかるに建設院におかれては、本年四月十五日附をもつて、前の内直告示通り都市復興計畫は進捗せよという意味の公文書が發せられました。しかるにその三日後において、今度は一松總裁が現地に行つて公聽會を開き、關係方面のお話をよく聽いて、その上現地を見て再檢討する旨の電報を宮城縣知事に發せられまた。その通り總裁においては公聽會を開かれ、各關係公職者あるいは市民の聲を詳細に聽かれましたことは、まことに民主的な結構なやり方であつたのでありますが、そのお歸りに、この問題は重大なる問題であるから、とくと本省に歸つてた建設院の事務關係、あるいは技術關係の諸君と御相談の上、いずれとも速やかにこの月内において決定する旨のお話があつたのでございますが、總裁のお話により、關係市民は首を長くして再檢討の結果の御囘答を待つておるような次第であります。一旦都市局長の名によつて、電報をもつて發送された宮城縣知事宛の公文書が、一片の運動により電報によつて、いとど戰災都市の復興計畫が遅延しておるのであります。この上遅延するようなことが萬々一ありましたならば、まことに全國の戰災都市の復興計畫の上に大きな暗影を投ずるおそれがあると思うのでありまするから、その結果いかに善處されたか。おそらく前の内閣告示通り、原案の執行を御決定のこととは拜察する次第でございますが、一應公式に都市局長より、この件に關する御報告を承つておきたいと思うのであります。私の質問はこれだけであります。
○財津政府委員 お答え申し上げます。第一點は、戰災都市の復興計畫に關しまして、一旦告示したものを變更することがあるかどうかという御質問のように承りました。お話のように復興計畫は、各市におきまして都市計畫委員會というものにかけまいて、民主的に決定をいたしております。從いましてこれを決定いたしました以上は、その決定を極力尊重いたすのでありますが、しかしお互いに人間でありまして、あるいはときに誤りということがないとも保しがたいのであります。そういう意味におきまして、一旦告示いたしたものでも、ときにかえることがあり得るのでありますけれども、それは稀な例外であつて、原則といたしましては、一旦告示したものは、大體原案によつて執行するというのが建前になつております。 第二に實例をもつてお話になりましたが、仙臺驛前の道路に關しましては、これは原案を決定するときから、相當問題があつたのであります。仙臺驛前の最も重要な大通り、この大通りをできるならば、まつすぐな道路にしたいというのが、大體一般に普通常織で考えられるところでありますが、しかしこのまつすぐな道路が、仙臺驛に對して正面にぶつからないということになりますと、これまた道路としてはなはだおもしろくないものになるのであります。そこで驛前の正面に結ぶか、または直線道路にするかという二つの案は、原案の設計者にとつて最も頭を惱ましたところであつたのであります。種々なる條件、事情を考慮した結果、仙臺驛が動かない以上、やはり仙臺驛に多少の角度はつけられても、仙臺驛の正面に結ぶべしという結論にその當時達したのであります。この計畫に沿つて、仙臺市においてはその事業を執行してまいつたのでありますが、たまたま仙臺驛前の道路を直線にせよという請願が市會に提出されまして、市會においてこの請願採擇され、市會の全員一致をもつて變更案が通過したのであります。しかしこの全員一致の變更案には、一つの條件がついております。それはその直線道路の正面に仙臺驛の計畫を變更することを條件にして、市會は全員一致の可決をみたのであります。この市會の議決が、さらに縣會においても認められて、私たちのところに變更の陳情がまいつたわけでございます。そこで私たちとしても、市會の要望の通り、仙臺驛を直線道路の正面に變更することができるならば、さきの計畫が一旦総理大臣の告示まで經てはおるけれども、殊にその直線道路が市民大多數の要望であるということになれば、必ずしも原案にとらわれて、變更は絶對にいけないというわけのものではないという囘答をいたしたわけであります。ところがその後この問題の第一の焦點であつた仙臺驛を動かすことができるかどうかという點に關しては、運輸省の方と折衝した結果、どうしても現實の問題としては不可能であるという結論に達したのであります。從いまして、仙臺驛を移轉することを條件とした直線案というものは、このときから崩れたわけであります。そこで問題は仙臺驛を移轉しないということにしても、なおかつ道路を直線にすべきか否かということにかかるわけであります。市會の全會一致というのは、驛を動かすことを條件としておつたのでありまして、そういう點から全會一致は御破算になつたわけであります。そこでこの問題について私たちの方としては、市民の要望がどの程度までこれにかかつているかという調査をいたしたのであります。その結果は御承知の通り贊否兩論あるのであります。贊否兩論ある以上は、われわれとしては事務的にはやはり原案を支持する以外に途はない、いたずらな策動によつて變更したということは、はなはだおもしろくないという結論に達して、事務的にはそのときに原案を變更せずという結論に達したのでありますが、この問題があまりに大きな政治問題になつたために、總裁が机上における事務的な結論ちよつと待て、一度現地を見て、現地の人々の意見を十分聽いた上で愼重に結論を出したい。かようなお話でありましたので、その結論の出るまで一時この問題に對する執行を留保してもらつたのであります。これが實情でございます。總裁が仙臺に行かれまして、双方の御意見を聽かれました結果は、その當時の仙臺地方の新聞にも出ておりますし、われわれのところにもまいつておりますが、やはり贊否兩論相對立しておるようであります。そこで私たちといたしましては、一黨一派に偏したり、または一部の者の策動によつて動かされることのないように、公正妥當な結論を出したい、かように信じて討議をいたしたのであります。その結果はまだ發表するところまでは至つておりませんけれども、その結果がどういうふうになるかということは、決して皆さん方の御期待に副わないような結論は出ないということを申し上げて御了解を願いたいと思います。
○庄司(一)委員 私の質問はこれで終ります。
○野坂委員 先ほど角田委員から安本長官に御質問があつたことに關連して、一言明確にしておかなければならぬことがありますので、安本長官にお聽きしたい。 それは外資導入の問題について、ガリオ・フアウンドその他のいわゆる外資と言われておるものの中で、安本長官の方で、これは政府對政府の關係、こういうふうに申されましたが、これは日本政府の債務として導入されたものであるか。これがどういうフアウンドにあつて、どういうフアウンドにないか。こういうような點について、お聽きしたいと思います。
○栗栖國務大臣 この問題については、かつてこの席でもちよつと申し上げたいと思うのであります。ガリオ・フアウドの問題が、終局的にどういうふうに處理されるかということは、平和條約その他の場合に初めて決定することと思うのであります。この際その間の事情を推測してこうだとは、未だ申されぬような状態であります。
○野坂委員 私の聽いておるのは、ガリオ・フアウンド以外のものも、大體同じだと解釋しても差支えないと思いますが、ところが農林大臣はかつて、たとえばアメリカ側から來る小麥その他の主食の輸入は、これは寄贈してもらつたようなものだというふうなことを申されたことを聞いておりますが、今こういう結論を出すのは正しくないように思います。その點どうですか。つまりガリオ・フアンウド以外のトラスト・フアウンドのようなもの…。
○栗栖國務大臣 食糧その他の輸入について、どの農林大臣でありましたか寄贈というようなことを言われたことがあるかどうか、私は存じませんけれども、かりにあるといたしましても、まだきまらぬことでございますので、それは何かのお考え違いではないかと思うのであります。それからガリオ・フアンド以外のものということになりますと、たとえば囘轉基金の問題、それからマーシヤル・プランその他に類するものによるものということが起つてくるのであります。囘轉基金については、すでに契約も向うでできて、こちらに代表者もはいつてこられたわけでありまして、代表者については、昨日ちよつと會つたのでありますが、そういう關係でありまして、處理その他の明示があつてきまつてくると思うのであります。これは近くこういうようになつたということが申し上げられると思います。
○稻村委員 六月暫定豫算に關する質疑は、この程度で終了せられんことを望みます。
○川島委員長代理 ただいまの稻村君の動議に御異議ございませんか。
○川島委員長代理 御異議がないようでありますから、これにて質疑は終了いたしました。 明日は午前十一時から會議を開き、兩案を一括討議に付して採決いたしたいと存じます。本日はこれにて散會いたします。 午後四時十三分散會