本会議 第5号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1948/01/23
会議録
○議長(松岡駒吉君) これより会議を開きます。 お諮りいたします。宮幡靖君より、本日から三週間病気のため請暇の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて許可するに決しました。 この際、しばらく休憩いたします。 午後二時十八分休憩 ————◇————— 午後二時三十二分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。 ————◇————— 一 國務大臣の演説に対する質疑
○議長(松岡駒吉君) これより國務大臣の演説に対する質疑に入ります。鈴木茂三郎君。 〔鈴木茂三郎君登壇〕
○鈴木茂三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、第二回の國会の開会に際しまして行われた片山総理大臣の施政方針の御演説に対しまして若干の質疑を行いまして、さらに政府の所信を國民の前に明確にいたしたいと存ずるものでございます。 片山総理の施政方針の大要は、昭和二十三年こそは経済復興、産業建設の年として、長期建設計画の第一歩を踏み出さんとするところに重点をおかれて、これとともにインフレの抑止、國民生活の最低限の維持のための対策等のように拝聽いたしたのでございまするが、ただ遺憾なことは、こうした片山総理の施政方針を現実のものとして実行するための昭和二十三年度の予算案が、同時に御提出にならなかつたという点でございます。どんなに高邁な方針であり、どんなにりつぱな政策であつても、多くは予算を伴うものでございますから、これらの方針、政策が財政計画となつて本年度の予算案に盛り上げられてこなければならないことは申すまでもないことでございまして、とりわけ本年度の予算案は、片山内閣といたしましては、初めて自分の政策を盛り、自分の方針を織り込み、片山内閣の性格を明確にいたすためにつくられる予算案でございまして、今までのように、自由党のやつた後の跡始末というようなものではございません。(拍手)從つて私は、片山総理の施政方針と関連いたしまして、本年度の予算案に対する具体的な問題についてお尋ねをいたしたいのであります。從つて私の質疑は、前段といたしましては本年度の予算案に対しまして若干の質疑を行い、予算案と関連をいたしまして切り離すことのできない関連といたしまして、軍事公債の利拂停止並びに四党政策協定に関しまして、片山総理の御所見を質さんとするものでございます。 昭和二十三年度の予算の編成の方針につきましては、片山総理も施政方針においてその抱負の片鱗をお示しになつたのでございますが、政府においては、まだ具体的な御方針としては御決定になつていないようにうかがわれるのであります。わが党といたしましては、昭和二十三年度の予算編成方針の大綱、すなわち基本的な方針といたしましては、わが党は、その政策の三大目標であるところの生産の増強、國民生活の安定、インフレの克服、この三つの大きな目標に從つて、歳出におきましては重点的に産業の復興を第一とする建前から、廣く働く勤労者の生産を保障するために、そこには一定の限界があるといたしましても、賃金と物資の両面からできるだけのことをすると同時に、わが党が重点をおいておる産業の復興、特に重点産業の建設による生産増強に要するところの資金と、その資材については、民主的な國家管理の形態を強めながら、できるだけこれのめんどうを見るこういうことのためには、われわれは歳出を惜しんではならないと信ずるものでございます。その代り、一部の階級の利益のためにその擁護に偏する疑いのある歳出は、思い切つて圧縮するか、あるいはこれを排除するという、こういう方針を立てなければならない。歳入につきましては、今日國民一般の租税の負担力はその限界点に達しておるやに見受けられるのであります。とりわけ勤労階級の直接税、間接税としての負担は、あまりにも重過ぎる。しかも他方におきましては、脱税や滞納のほか、大きなやみ屋、インフレの利益者が巧みにム負担を免がれて、國民一般の目にあまるぜいたくな生活をいたしておる不公正を公正ならしめるために、一方には勤労階級の負担を軽減し、地方にはやみ屋、インフレ利得を徹底的に捕捉するあらゆる一切の手段を講じなければならない、かように考えるものでございます。 私は、かようなわが党の本年度予算案に対する基本方針に基きまして、簡單に、まず二、三の問題につきまして、片山総理並びに大蔵大臣の御見解を質したいのであります。 第一にお尋ねいたしたいことは、私は予算委員長といたしまして、また社会党の政務調査会長といたしまして、安本の総務長官並びに大藏大臣から御提示に相なりましたところの、大議省の予算編成に対する第一の基本方針要綱というものを拜見いたしたのでございます。これによりますると、大蔵省の本年度予算編成方針の基本は、國民経済全体にわたつて整備、合理化をはかり、もつて外は國際信義を回復し、内は経済再建への基盤を確立することが強く要請せられているのでございます。大蔵大臣のこうした基本的な本年度予算に対する御方針によりますると、これを言いかえて申しますれば、民間の企業においては整備、合理化をやる、政府の官公廳や國営事業においては行政整理をやる、すなわち首切りによつて人員の整理を行うことが、國際信義を回復し、しかも経済再建の基盤となる、こういうお考えのようにうかがわれるのでございます。このことは、最近の政府の予算編成に関する閣議の内容といたしまして新聞紙上に漏れてまいりまするところによつてうかがいましても、人員の二割五分天引論というものを御議論になつている点より考察いたしましても、やはり同じ御趣意によつて、ただいま政府において御檢討になつているように承知いたしているのでありまするが、先ほど申し上げましたように、わが党の予算編成方針の基本的な態度から申しますと、一部階級のための利益の擁護に偏する経費の節約のようなことをしないわずかばかりの経費の前約を目あてに、失業救済のめやすもなく、首切り浅右衛門のように、いたずらに血刀を振り上げるようなことは、財界御出身の方は別といたしまして、社会党の委員長たる片山総理といたしましては、さようなことは万ないと、ひそかに私は総理に御信頼を申し上げておつたのでありますが、はたせるかな、昨日の施政方針を伺いますと、わが党のこれに対する見解を取入れられて、きのうの施政方針においては、まず行政機構の簡素合理化、行政事務の整理再檢討、行政機構の根本的改革を断行するため内閣に行政機構改革審議会を設置せられる等の御意見を明確にされたのでございます。 この問題につきましては、いわゆる與党三派の間における予算案を協議いたします懇談会におきまして、私は当局のとりましたところの天引き人員整理というようなことに反対をいたしました。戰時中から敗戰後の今日まで厖大な行政機構というものが拡張されてまいりまして、敗戰後、それが多くそのままになつておりますがために、民主化の時代において、行政機構の簡素化、能率化等を主眼といたしまして、まず行政機構の民主化のための改革案の決定が先決である。現にご承知のように、前回の國会におきまして、お互いに水産廳をつくり、建設省をつくるということに対して國会は努力をいたしたのでございますが、この管轄に関しまして、行政機構の中でいろいろと管轄争いがございましたために、國会の意思によつてりつぱな水産廳をつくり、りつぱな建設省をつくるということが妨げられましたような事実に鑑みましても、私は行政機構に対しまして、まず根本的な改革案をつくるということが先決でなければならぬと存ずるのであります。片山総理の御方針を承つて、私は人意を強ういたした次第でございます。 そこで、片山総理にお尋ねいたしたいことは、せつかく設置されました行政機構改革審議会によつて行政機構の根本的改革案が樹立されて、その結果、不要あるいは有害な行政機関の整理のための剰員というものが生じました場合には、私は、これは配置轉換を行うことはやむを得ないと存じますが、この行政機構の根本的な改革案の決定されるまで、大蔵省側において主張されてまいりましたところの二割五分の天引論というものは、この審議会においてまず根本方針が決定するまで、おとりやめになるかどうかという点を、第一点としてお伺いしたいのであります。 第二は、インフレの処理と生産資金に関連する金融機関の問題でありますが、片山総理の示されました御方針によりますと、インフレを抑止するために確固たる対策を講じなければならないとして、政府の財政支出の節減、産業への赤字融資の抑制、租税納入の促進、預金の増加、この四点を御指摘になつたのであります。本年度のインフレの情勢については総理も御承知のことと存じますが、私は容易ならぬ重大な歴史的段階に相なつてくるように見受けられるのでございます。総理は、昭和二十三年の本年は、経済の後與、産業建設のための歴史的な一年たらしめんとの御抱負でございました。私は、このままでまいりますならば、総理の御抱負に反して、インフレの歴史的な段階を画する一年たらんとする危險、危機に迫つてあるものと考えるのであります。 かような段階にあつて、インフレと関連する生産の問題について、総理あるいは安本総務長官にお尋ねいたしたいのでありますが、本年は、昨年の四割の増産計画をお示しになつたのであります。しかし、私が承知しておるところは、大林三割増産の程度ではないかと考えますが、それは別といたしまして、三割の増産にせよ、四割の増産にせよ、いずれにいたしましても、その基礎となるものの第一は、外資の導入、その導入された外資が十分消化されるということが前提條件でなければならぬと存ずるのであります。そこで、四割の増産を見込まれた政府の計画案にも、外資の導入が前提となつておることは、疑う余地がないのであります。この際お差支えがなければ、かりに貿易回轉資金であるとか、あるいはマツカーサー元帥の三億ドルの救済資金による食糧の輸入であるとか、こういう差支えのない範囲内におきましても、どれだけの外資を導入する計画をもつておるかということを明確にお示しになるのでなければならないと存じますので、私は、この点をお尋ねいたしたいのであります。 かような生産の増強は、ただいま申しましたように、外資の導入と、導入された外資の十分なる消化ということが前提條件をなすものでございますが、これよりももつと大きな生産増強の先決條件は、インフレーシヨンが抑止され、インフレーシヨンが克服されるということが、前提の大きな條件でございます。しかるに、総理のお示しになりましたインフレの対策たる四点——抽象的な四点でございますが、赤字金融の抑制、財政の節減、租税の納入、預金の増加というような平凡なインフレ対策をもつてしては、滔々として発展するインフレの激化に対しまして、これを阻止することは私は不可能でないかと考えるものでございます。(拍手) インフレーシヨンの原因といたしまして、私どもは、終戰処理費によつて、やむを得ざるインフレの一つの大きな原因を認めなければならぬのでございますが、御承知のように、政府の財政の支拂の超過、これとともに、これに次ぐところの復興金融金庫の産業資金、これによる新円の散布が大きなインフレーシヨンの原因となつておることは、争えない事実でございます。昨年の通貨膨脹額は一千三百三億九千五百万円でございます。このうち、政府の支拂による、いわゆる散布支拂超過額は、その八割四分の一千九十五億円、日銀が復金の債券を背負いこみまして、これがためにインフレとなつてまいりましたものは、復金債券の八割に及ぶものでございまして、復金債券は、わずかに二割弱が市中において消化されておる。しかも、その二割弱は、戰時中において行われたと同じように、戰時インフレによつてどんどん札を出して、その札によつて債券を消化していくというやり方とほとんど変りがない。わずかに二割のものが、かような方法によつて市中において消化されておるというのが、今日の実情でございます。 復金に対しましては、世間では、これは債券を出して日銀から札を出しておりますから、第二の発券銀行であるというようにもいはれております。復金インフレということもいわれております。しかも、こうした赤字の融資を基本とする復金の融資は、きわめて不健全であるやに見られるものが少くない。ひとりこれは復金に止まらないで、市中機関といたしましても、その中には、通常の金融のほかに、いわゆるやみ資金の運轉が行われておるような事実もございます。そうでないといたしましても、実際に必要な事業に融資されないで、利潤の高い事業にだけ貸出しが行われるという傾向がございまして、いずれの点よリ見ましても、現在の金融機関に対して、わが党といたしましては、インフレの管理政策を強化いたしましてインフレを克服するためにも、金融機関の民主的な國家管理を強めなければならないということを感じておるものでございます。(拍手) そこで、この問題に関しましてお尋ねいたしたいことは、総理は、組閣直後の議会における施政方針においても、昨日の施政方針においても、金融機関は産業への奉仕者たるべし、金融機関は産業を支配するのでなくて、産業のために奉仕する金融機関たるべしということをお述べになつており、この御信念を繰返しここの壇上において明確にされておるのでございます。これは、私もまつたく総理と同一の見解をもつものでございまするが、こういうことは、單に総理としての信念をお述べになるというだけでなくて、総理の信念を実際に移して実現いたしますためには、私はどうしても金融機関の民主化ということが必要であると確信いたすものでございます。この点、総理の御見解は同一であるとは存じまするが、同一であるといたしまするならば、実際に金融機関をして産業への奉仕者たらしめるために、いかなる民主的な金融機関たらしめなければならないかとの、具体的な御見解をおもちであるかどうかという点をお尋ねいたしたい。 ついでに、本日の開会が遅れましたのは、片山総理大臣は、先般関東を中心として起つたところの全國的な水害に対しまして、その施設に関しまして、各方面の陳情を聴かれておつて、この開会が遅れたということでございますが、こういう問題に関しましては、前の國会より、政府は、この水害地に対しましては、食糧問題の観点より、あるいは産業振興のためにも、でき得るだけの思い切つた施策をとつて水害の対策を講ずるということを國会において言明されたのでございまするが、これはきわめて重要な問題でございまするがゆえに、この機会において、ここで片山総理の水害地復旧対策に関する具体的な御答弁を得たいと存ずるのでございます。(拍手) 第二は、大蔵大臣にお尋ねをいたします。よんどころない用事で御退出になつておりまするから、大藏大臣の御答弁は別の機会でよろしゆうございますが、大蔵大臣に対しましては、私は大体三点お尋ねいたしたいと存じます。これはただいま申しましたところの金融機関、復金に関するところの問題でございます。 第一点は、大蔵大臣は第一回の國会において、復金債券は市中で十分に消化をして、復金インフレを防止するということを言明せられたのでございまするが、今日の復金債券の情勢は、私がただいま申し上げた通りでございます。大蔵大臣は、これに対しまして今後いかに復金債権を処理されるおつもりであるか。先ほど申しましたように、政府資金を散布して、それによつて復金の債券を処理するというやり方は、戰時的のやり方であつて、ほんとうに復金の債券を処理いたしますについては、蓄積によつて——利潤によつて貯蓄されたものが復金の債権となつてまいらなければならないのでございまするが、この点に対し、大藏大臣の復金債券の処理に関する御方針を承りたいと存じます。 第二点は、蔵相は繰返して新円の再封鎖を行わないということを強調されております、この新円の封鎖ということは、新円の登録とは相違をいたすのでありまするがいずれにいたしましても、わが党といたしましても、この点に関しましては、政府、大蔵大臣とまつたくその見解を同一にいたすものでございます。しかし、片山総理のお述べになりましたような、インフレ処理の四点によりましては、滔々として氾濫するところの通貨、この新円を安定させることは不可能であつて、このためには、思い切つた対策がとられなければならないのでございます。これに対し、新円の封鎖を行わないで、この滔々たる新円をいかにして安定させるかという具体的な御方針を明示されたいのでございます。(拍手) 第三点は、取急ぎ、さしあたつての問題といたしまして、現在の復興金融金庫を事務機関といたしまして、この復興金融金庫を事務機関とした上に、民主的な委員会のようなものをつくりまして、別に復金に対しては、これを監査するところの監食機関をつくりまして、いやしくも復金の資金がむだに融資されたり、いやしくも一点の疑いをも残すことのないように、私は復金に対する改革をする御意思あわや否やということをお伺いいたします。 第三は、歳入に関する問題でございまして、大蔵当局は、何かというと、すぐ鉄道、郵便料金、タバコの値上げをされるようでございます。歳入にあたつて、とりやすい所からとる、弱い所からとる、弱いものに向つてすぐ徴税の目を向けるということが、私は最近の大蔵当局の傾向であり、運輸省、逓信省の御方針も、ややこれに似ておるようにうかがわれるのでございます。現に鉄道の運賃、郵便料金の値上げ等に関しまして、閣議において御論議されておるように承つておるのでございます。元來、かような政府事業につきましては、これらの独立採算制を確立するための事業再建に関する建設的な改革案というものができまして、それを十分檢討した上でなければ、私は今後は鉄道や郵便やタバコの引上げのような、國民一般、とりわけ勤労大衆に重い負担となることに対して、にわかに賛同することができないものでございます。かような國民一般の消費に重大な関係をもつております政府事業の料金の引上げに関しましては、政府が勝手にこれを引上げるということは不都合でございます。 財政法第三條の政府事業に関する料金は、すべて法律または國会の議決によつてきめなければならない、すなわち國会の議決、承認なくしては、政府は勝手にかかる政府事業の料金の引上げができないということは、御承知のように財政法第三條に照らして明々白々たる事実であるのであります。ただ今日までこれが行われてまいりませんのは、財政法の附則の第一條に、この財政法の第三條の精神を活かすためには、政府は施行の期日を政令によつてきめなければならないということがきめてございます。これが今日まで、政府の怠慢または何らかの御意見によつて政令が出ておらないために、國民に重い負担をかけるところの政府事業の料金が政府によつて勝手に引上げられるという、國会を無視した行いが行われてまいりまする現状に鑑み、私はここでお尋ねいたしたいことは、政府は即日財政法の附則を発令されて、いわゆる第三條の効力を発揮させる御意思はないかどうかということをお伺いいたします。(拍手) 第四は勤労所得税の問題でございます。國民一般の租税額がすでに限界点に達しておりますことは、おそらく政府においても御了承されておることと存じます。しかるに、所得税についてみますると、勤労所得と業種所得の二であつて、勤労所得はわずかに三割であり、業種所得は七割である。しかるに、徴税の状況をこの十二月までの概算によつて調べてみますると、今後本年の一月以降徴收するべきものが予算の六割六分、八百八十七億円を徴收しなければならない。私の見るところでは、おそらく、このうち五百億円は徴税不可能となつて、大蔵省証券を発行して、いわゆるまた新たなる五百億円の紙幣が濫発されてくるのではないかということを心配されるのであります。インフレ助長の一つの原因は、またここにあるのでございます。さて源泉課税による勤労所得は、昨年の十二月までの情勢によりますると、これはすでに六割六分を徴收されておるのでありまするが、申告制による業種所得は、わずかに予算の一割一分四厘しか徴收されておらないのでありまして、私は、こういう点を考えても、勤労所得税というものがきわめて不公正な取扱いを受けておるという現実を無視することができないと存ずるものでございます。 しかし、こういう所得に対する徴税の不公正ということもございまするが、現在の勤労所得階級の生活は、今日のような重い勤労所得をかけられたのでは、課税の不公平、不公正ということだけでなくて、とうてい生活に耐えられない現状に鑑みまして、本年度の党大会におきまして、この勤労所得税の免税点を、納税義務者に対して年額一万九千二百円、月額一千六百円、扶養家族の控除を一万二千円、月額一千円、ここまで引上げられたいということを決定いたしたのでございまするが、さいわいに政府におきましても、かような勤労階級の要望にこたえて、昨日の施政方針によりますると、総理大臣は勤労所得税の免税点の引上げを御決定になつておるということは、私といたしましては、きわめて喜びにたえないところでございます。 しかしながら問題は、どれだけ軽減するかということでございます。わずかのものをちよつと軽減して、片方で物が高くなつたり、紙幣がどんどん出て、通貨の價値が不安定でございましては、わずかの免税点の引上げではどうにもならない。從つて私が、ここでいわゆる社会党の委員長としての片山総理にお願いをいたしたいことは、党大会において決定いたしました勤労所得税の免税点を、政府の立てられようとする統制改革案の中にぜひとも織りこんでもらうことができるかどうか、この点に関する総理の御見解を承りたいのでございます。 第五は、いわゆるやみやインフレの利益の捕提というきわめて困難な問題に関しまして、最後にお尋ねをいたしたいのでございます。現在の徴税費は、わずかに一分二厘というきわめて貧弱な徴税費でございますが、私どもは、せめて外國並に三分あるいは三分五厘、あるいは五分くらいにこの徴税費を引上げ増額いたしまして、徴税機かることが必要であることは申し上げるまでもないところでございます。これと同時に、他方におきましては、不当な脱税または滞納を断固処置いたしますために、所得の調査をするため法律上の権限を徴税履に與えるとか、あるいは脱税者には重い刑罰を科するとか、この点は政府も私たちと同じ御見解のように承知いたしております。かような内容をもつた、いわゆる脱税防止法を制定しなければならないと存じますが、これに関する政府の御意見をお尋ねいたしたいのでございます。 それと同時に、いわゆるやみ利得の補足は、申し上げるまでもなく、現実としてはきわめて困難な問題でございまするが、わが党といたしましては、税制改正の一つの具体的な案といたしまして、いわゆる法人財産増加税を断行すべきであるという見解をもつているものでございます。この財産税の問題に関しましては、昭和二十一年の幣原内閣の当時、國民の財産を四千億と見て、これに対して一千億の課税を計画せられたのでございまするが、御承知のように、計画はいろいろの点から崩されまして、結局どうなつたかと申しますると、個人財産税のうち、申告をされたものが三百六十億円、わずかにこれが課税の対象になつたような状態であつて、いわゆる実績から見ますると、正直者がばかをみたという結果に陥つていることは、皆様御承知のところであると存じます。 こういうような第一次財産税の不公正を是正する意味においても、あるいは法人のもつておりまする豊富な遊休資材を放出させる意味においても、あるいは旧円と新円の会社の資金の不均衡を調整する意味においても、法人財産増加税を設定いたしまして、やみ利得、インフレ利益を捕捉する一案とする必要があると存じます。要するに、私どもがここに法人財産税を主張いたしまする一つの大きな問題は、片方で閑却されている、ぜいたくをしているやみ利得、インフレ利得をいかにして捕捉するかということが、重要な観点と相なつているものでございます。かような問題に対しまして、私は大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。 以上、私は前段、すなわち予算案に関しまする私の質疑を終りまするが、後段は、これらの予算案と重要な関連を有するいわゆる軍事公債の利拂の停止並びに四党の政策協定に関しまして、総理大臣の御答弁を得たいと存ずるものでございます。(拍手)私は、まず便宜上軍事公債の利拂停止の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。 軍事公債の利拂の問題は、片方においては本年の予算案の編成に関連をもつており、片方においては四党政策協定に関連をもつておりますから、從つて私は、予算案と政策協定との中間において、まず軍事公債利拂停止の問題に関して総理大臣の御見解を質したいのでございます。軍事公債の利拂の問題は、インフレの克服、國民生活の安定、生産の増強を目ざすわが党の三大目標の政策の中の、これはほんのわずかの一部に属する些々たる問題に過ぎないのでございます。しかし、この利拂停止のもつ意義は、きわめて重大なるものでございます。私どもは、この利拂停止のもつ重大なる意義を確認いたしまして、これを見逃すことのできないものとして、この利拂停止の問題を提出いたしたのでございます。 元來、軍事公債のような戰争に勝つことを前提とした國家の債務は、一般公債とこれをまつたく切り離して、軍需補償と同じように当然処理さるべきものでございます。一方、國民は戰争の重い犠牲を負担しておる。しかるに、ただ軍事公債を所有しておる銀行だけが、たといどういう理由があろうとも、この苦しい國家財政の中から利拂を保障されているということは不当であります。 大蔵当局は、この問題に関しまして、利拂の停止は財政上の負担から見れば僅少なものであるというようにお考えのようでございます。そういう大蔵当局は、昨年官公吏の二・八の生活補給金を支拂いますために、わずかの財源の不足から、國民一般に配給をいたしておりますところのタバコの値上げをいたしまして、十九億円の財源を捻出されたのでございます。 あるいは、軍事公債の利拂いの停止をすると國際的な信義を傷つけるという御意見もあるようでございます。私は、これはとんでもない間違いであつて、軍事公債のようなものは、軍艦やあるいは大砲のように、この際処理をいたしますことが、國際信義を強めるゆえんなりと確信いたすのでございます。(拍手)あるいは金融機関に混乱が起るということを言う者もございますが、財界においてさえ、インフレ処理のため法人の所有する第二封鎖預金を税金に取立てろと主張されている者もございますから、私は、こういうものを引当にいたしますならば、当局の憂慮されるような金融機関の混乱を引起すことは少いと存じます。その他、この問題に関しまして、いろいろと反対をする者がございますが、その多くのものは、それらを檢討してみますと、軍事公債の九割余を所有いたしておりまするところの銀行や、大蔵省の代弁者であるか、あるいは資本家陣営の代弁者がその中に多分に含まれているという事実を見逃すことはできない。(拍手) わが党が軍事公債の利拂の停止の断行を主張いたしまする理由は、インフレの激化、それによつて起つてくる生産の停滞、国民生活の困窮という危機的な情勢が…… 〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願ひます。
○鈴木茂三郎君(続) 容易ならぬ事態になつてまいりました今日、こういう容易ならぬ経済の危機を前にいたしまして、軍事公債の利拂の停止のできないようなことで、どうしてこの危機の突破ができるか。(拍手)私は、さようなことでは、断じてここに展開されようとするインフレの危機を乘り切ることはできないと確信をいたすものでございます。 かような見解の上に立つて、私は、ここに軍事公債の利拂の停止の重大な政治的意義を認めるものでございます。そうして、ここで浮き上つてきたところの——利拂いの停止によつて出た剰余金によつて、たといそれが多かろうとも少かろうとも私は、その財源をもつて、戰災者、引揚者、これらのために庶民住宅の建設、あるいはまたやみの利得を捕捉するための徴税費のそれぞれの一部に充てたい、こう考えているものでございます。これに対する総理大臣の御答弁を承りたいと存じます。 あるいは何かの間違いでございましようが、政府においては、社会党は大会において軍事公債の利拂の停止が決定していないようにも誤解されているやに承つておりますが、社会党は、明確にこの軍事公債利拂の停止——四党政策の協定の問題とは別に、インフレ対策といたしまして軍事公債利拂の停止の決定いたしているものでございます。(拍手) 次には四党協定の問題であります。私がここで四党協定と申しますのは、片山内閣の組閣の当時、すなわち昨年の五月十六日の四党幹事長会談において決定された、九項目にわたる政策協定を指すものでございます。しかし、この四党協定成立の前後にかもし出されましたところの保守的、反動的の雰囲気の中に、五月三十日に至つて、民主党内の事情、すなわち自由党との保守的、反動的な思想と一連のつながりを有するものと認められる、民主党内のいわゆる幣原減と称せられる人々を納得させるために、四党を三党連立に切りかえるための妥協案として民主党より提出されたところの、いわゆる三項にわたる政治協定……。 〔発言する者多し〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に。
○鈴木茂三郎君(続) いわゆる三項にわたる政治協定の問題を見逃すことができないのでございます。(拍手)この政治協定は、極右、極左主義に反対だとか、あるいは重要機密の漏洩をしないとか、社会不安を引き起す一切の行動をしないとか、こういう三項の條項につきまして、各党は、その党員の中にこれに違反する人あるときは、各党はこれに適当の処置を行う、こういつた、今日から考えますると、この不成立に終つた三党協定というものの内容は、はなはだおどけたような内容をもつておるものでございます。(拍手)ちようど、出るべからざる所に、眞盡間の銀座の柳に幽霊が現われたような内容をもつておるものでございます。 しかし、こういう政治協定がいわゆる政策協定というものに関連をもつてくる、こう考えられまするのは、いわゆる利拂の停止であるとか、あるいは財産税であるとか、あるいは金融機関の國家管理であるとか、こういう問題は、この三項目の中の平穏なる言辞と認められるという疑いをもちまして、從つて、こういう協定と関連をいたしたところの四党協定に対して、私どもはこれは当然破棄すべきものなりと考えたのでございます。(拍手) また四党の政策協定の問題に関しましては、わが党の党大会におきましては、組閣当時の中央執行委員会が決定せられました四党政策協定は、わが党の委員長たる片山総理の御承知のように、党大会においてこれを破棄することに決定をいたしたのでございますが、これを破棄する理由の第一は、この四党の政策協定は、ただいまも申し上げましたように、これも自由党を含めた四党の幹事長会談において決定をされたものでございまして、政治協定との関連はともかくも、この政治協定は当時不成立となつておりまして、今日形式的にも、また精神的にも、私は、かようなおどけたような協定が、断じて三党を制約してます。(拍手)これは事実がきわめて明白でございまするが、かような考えをもつところの自由党が、今日完全に野党となり、あるいはまた民主党の内部に残つておつたと見られる人々が当然離党をされまして、今日の現状は、名実ともに完全ある三党の連立内閣の形態を具えておるものと信ずるのであります。從つて私は、かような名実ともに三党の連立内閣ができました以上、自由党によつて制約されたところの四党協定は、当然破棄さるべきことだと存じます。これが第一の理由でございます。(拍手) 第二は、政策というものは、私が申し上げるまでもなく、政治経済の情勢に対應してつくられるものでございます。しかるに、現在のように政治経済の変化の速度の激しい情勢のもとにおいて、いつまでも昔きめられた政策が固定するという事実は許されないのでございます。情勢の変化に應じて、政策もまたつくりかえられなければならないということが、理由の第二でございます。昨年の組閣当時の情勢と、今日の情勢と、今後の展開さるべき経済情勢は、根本に大きく変化をしてまいりましたゆえに、私は新しい情勢の上に立つて政策をつくりかえなければならないと考えるものでございます。 第三には、私は、片山安本総裁の招集せられました、大蔵大臣、安本の総務長官、あるいは與党三派の政務調査会長、副会長のいわゆる懇談会の席上におきまして、政調会案として提出いたしましたところの昭和二十三年度予算編成方針要綱のうちに、前にも申し上げましたように、軍事公債の利拂の停止の條項がございまして、たまたまこれが、いわゆる古証文と考えられるところの政策協定の第五項の國債利拂の停止は行わないという條項に抵触いたしますために、一月八日以來、予算編成の懇談余を進めることに関しまして、一つの生涯となつておるということが現実の事実でございます。私は、こういう障害を取除いてまいらなければならないと、かく考えまして、これが政策協定を破棄いたしたいという私どもの理由の第三点でございます。(拍手) しかしながら、かような問題は、ただいま申し上げましたように、われわれの三点の破棄する理由といたしましては、これはわが党としては、四党協定の條文が抽象的であるとか、あるいは個々の條項がどうであるとかいうような、一々についての問題についてとやかく考えておるものではなくして、政策協定のもつ全体の性質が、今日破棄されなければならないものと確信いたしておるものでございます。(拍手) かような理由で、大まかに申しますれば、わが党は政治協定の破棄を決定いたしたのでございまするが、しかし協定を破棄いたしましても、私どもは破棄のしつぱなしではなくて、破棄いたしました上で、新たに三党協定を作成するか、あるいは現に内閣が嚴存いたしておるのでありまするから、重要な個々の政策については、必要に從つて與党間において協議をしていくということにいたしまするか、いずれにいたしましても、現内閣の政策。現内閣の方針をもつと強めて、この危機を乘切りますためには、われわれはでき得ることならば、この内閣を一層ゆるぎのないものにいたしたいという存念に基いておるものでございます。 具体的にこれをどう取扱うかということは、わが党の中央執行委員会の決定にまつものでございますが、私がここで片山総理にお尋ねをいたしたいことは、かような四党の政策協定の破棄について、わが党の委員長たる片山総理は、総理大臣として、わが党大会の決定をいかように御処理されようとのお考えであるかということをお伺いいたしたいのでございます。 以上、本年度の予算案に対し、また予算案と重大な関連をもつ軍事公債の利拂停止、政策協定の破棄に関しまする私の質疑を終了いたすものでございます。(拍手) 〔國務大臣片山哲君登壇〕
○國務大臣(片山哲君) 鈴木君のお尋ねのうち、私が昨日述べました施政方針の中に盛つておりまする建設教策、積極的な経済再建政策を予算にどういうふうにして裏づけるか、実行は子算が伴わなければならないものである、こういう御意見でありまするが、ごもつともであります。これをただの作文に終らしめない、ほんとうに実行面に移すために、予算にできるだけ盛りたいと考えております。二十三年度の予算は、開会劈頭に出す段取に進まなかつたのでありまして、多少時日を要しまするが、十分施政方針に盛つておりまする政策の裏づけといたしまして予算を編成する予定でありまするから、しばらくお待ちを願いたいと存じます。 次は行政機構の改革であります。これにつきましては、根本的な改革を、審議会を組織いたしまして檢討してもらうということにいたしますることは、昨日申し上げた通りであります。但し、これができるまで当面の問題を延ばすということは——経費節減あるいに充実する、こういう点から申しまして、延ばすことはまずいと思いますから、当面必要なる人員の整理、むだをはぶく、こういう意味によりまして、ただちに人員問題についても檢討いたしたいと考えておるのであります。(拍手)ただその度合、割合をどの程度にいたすべきであるかというような再柄は、なお檢討中であります。 昨日申し述べました政策では、はたしてインフレを防止できるか、はたして生産力の増強をなし得るかどうか、こういう御意見でありました。私は、ぜひともこのインフレは防止しなければならない責任をもつと考えるのであります。あらゆる努力を拂いまして、このインフレの打切りに、防止に、全力を傾倒いたしたいと考えておるのであります。これがためには、どうしても、ただいままでやつてまいりました経済緊急対策の上に乘つて——経済緊急対策、突破対策の上に、さらに加えるに、二十三年度を生産増強の年として、第一歩を踏み出したいと考えておるのであります。決して現下の情勢については楽観をいたしておりません。非常な難事であると考えておりますが、しかし、わが國としては、どうしても生産増強に力を入れまして、やつていかなければならないのである、そうしなければ、インフレを防止することができない、こういう意味から申しまして、計画を立てまして、増強に進みたいと考えておるのであります。それにつきましては、外資の導入をぜひとも懇請しなければならないのでありまして、いろいろと考えておりまするが、未だお示しをいたす段取にはなつていないのであります。 なお、金融機関をして産業の奉仕者たらしめるという本旨をいかに現実化するか、こういう御意見でありました。現在の段階におきましては、金融機関の國家管理あるいは國営というような理想案は、実現すべき状態にまではまだ至つておりませんので、私の申し上げました、金融機関を十分に國家全般の産業を発展せしむるための奉仕者としていかなければならないという心構えで進むことが、現在の状態に合つておる対策であると考えておるのであります。(拍手) なお、追加予算に盛るべき水害の費用の問題、先ほど私が本会議に出席することが遅れましたあの水害対策の問題でありまするが、この問題につきましては、大藏大臣よりあとで答弁をさせることにいたします。なお……(「総理の腹を聽くというのだ」と呼ぶ者あり)水害対策につきましては、昨日の施政方針に述べました通り、眞劍な努力を拂うということは明らかにいたしております。 なお、復金問題あるいは郵便、鉄道の問題、勤労所得税の問題等については、大蔵大臣あるいは安定本部長官から御答弁をいたすことにいたします。 ただ私に特にお尋ねになりました勤労所得税の免税点の問題でありまするが、昨日も申し上げました通り、勤労大衆の負担軽減には努力いたします。この勤労所得税の問題につきましても十分に努力はいたしまするが、その程度は、しばらくお待ち願いたいと思います。追つて必ずこれを明らかにいたしたいと思います。 最後に、公債の利拂停止の問題であります。政府といたしましては、現在のところ、公債利拂の停止は考えておりません。 なお、四党政策協定について最後にお尋ねになりました点についてお答えいたしたいと思います。四党政策協定は、昨年八月の十九日に、自由党がこの協定から離脱することを声明したときから、実質的には三党政策協定となつておるのでありまして、今までのところ、政府の政策決定の基準となつてきたのであります。しかしながら、社会党大会で破棄の決定がいたされましたので、今後與党三派内において、この問題について協議が行われることと思いますから、政府は、その結果に基いて愼重なる考慮を拂いたいと考えておる次第であります。(拍手)
○議長(松岡駒吉君) 大蔵大臣はやむを得ぬ公務のため欠席いたしておりますから、ただいまの質疑の答弁は、これを保留いたします。植原悦二郎君。 〔植原悦二郎君登壇〕
○植原悦二郎君 私は、ここに片山首相に対して、日本の現状に照し、國政上變理上、民主的平和國家建設のため、産業経済復興のため、國民生活安定のため、最も重要なる施策と思われまするもの数項につきまして、質疑を試みんとするものであります。 第一の問は、加速度的に高進するインフレ対策の問題であります。現内閣は、昨年八月、インフレ阻止のため賃金と物價の悪循環を断つと称して、いわゆる新物價体系と千八百円の賃金基準を立案されたことは、諸君御承知の通りであります。これは机上の立案といたしましては一應納得できるものであります。けれども、その実現を期するためには、これが前提として、あるいは少くともこれと並行して、行政の整理、過剰雇傭の整理を含む産業の合理化、労働争議の休止、原料資材の供給確保等により、まず生産の増強を実現すべきであることは、言うまでもありません。しかるに政府は、これらの必要なる施策を全然行うことなく、ために國民生活に必要なる物資の生産は増強せられず、ただ單に物價の断層的大幅の引上げを行うたのみであります、その結果、インフレは著しく激化し、国民生活はこれに追從する能はず、社会党内閣みずから、その同志であると呼称する勤労大衆の生活をも非常な窮乏に陥れ、各方面に賃金値上の争闘が頻発して、賃金基準及び物價の改訂を余儀なくせしめられておるのであります。これは、さきに物價と賃金の惡性循環を断ち、インフレを防止すると呼称した現内閣の失政の最大なるものであると言わなければならないのであります。(拍手)また、千八百円の賃金基準によつて十一月は黒字生活を実現すると高唱いたしました安本長官は、民主主義政治を唱うる政治家として、責任を感じ、今なお健在でありましようか。政府は今後いかなる方策によつてこの破局的インフレの防止に対処せられるのでありますか。昨日の首相の演説は、あまりにも抽象的に失しております。よつてここに、首相に対して具体的所見を質すゆえんであります。 われわれの見るところをもつてすれば、財政インフレの様相いよいよはなはだしく、通貨價値の加速度的下落を來さんとしておる現状に対処し、これが防止のためには、まづ第一に、強力に産業復興、生産増強の線に向つてあらゆる政策を集中すべきであると思います。わが國の現状において、企業の独立採算を目標に、過剰雇傭を整理いたし、産業の合理化をはかり、生産第一主義のもとに、労資協調連帯して生産能率の向上を期することが、最大の急務であると思います。次に、行政機構の改革と行政義理を敢行するとともに、直接税、間接税及び法人税の各般にわたつて、税制全体の改廃を目途とする財政整理を断行して、財政面の支出を敗戰日本の現状に即應するよう節約することが急務であります。第三には、通貨の價値の安定の方策といたしまして、何らか円通貨に対する裏づけ策を講ずることが必要ではないでしようか。 これらの諸方策の実行は、とりもなおさず、國内における産業機構及び行政機構を健全なる態勢に復帰せしむることであります。從つて、これを実現せしむべき行程上、一時の窮屈さはあるにいたしましても、かかる財政経済産業政策は、社会主義の政策と異なり、必ずや國際信用を高めることは、疑いないと信ずるのであります。そうして、精神的、物質的に、自然に外国の援助を期待することも可能となりましよう。かくて、産業の復興と生産の増強をも招來し得て、財政の健全化も、インフレの防止も可能となるのであると思いますが、首相は、これに対する確固たる所信をおもちでありましようか、いかがか、これをお尋ねいたしたいのであります。 第二に私の問わんとするところのものは、財政の前途に対する見透しと方策についてであります。現内閣は、さきに二十二年度追加予算の編成にあたつて、総額九百二十億円に上る歳出予算と、これを賄うために九百六十億円に及ぶ歳入予算を決定して、一慶バランスをとり、つじつまを合わせ、いわゆる健全財政の建前を貫いたと称しております。しかしながら、その内容を見まするのに、生産に寄與すべき積極的費目はほとんどなく、いたずらにインフレ激化を招來するのみ、まれに見る不健全予算なることは、あまねく識者の所見を一にするところであります。しかのみならず、國民に対する租税の申告予納制度の不徹底と、徴税機構の欠陥とは、國民生活の極端な切詰めを前提とするがごとき、担税力をはるかに超える高率課税であります。その結果、わが國租税制度始まつて以來まれに見る多額の滞納事を招來しております。総額一千三百三十億に上る滞納租税、これを今年度内に徴收することは、ほとんど不可能と言わねばなりますまい。これを補うためには、相当なる大蔵省証券または赤字公債の発行を余儀なくされる結果となるのであります。かくて、政府のいわゆる健全財政は、実質上実にはなはだしき不健全財政となつておるのであります。政府は、これに対していかなる処置をとられんとするのか、片山首相の所信を承りたいのであります。(拍手)さらに、かくのごとき國家財政の現状のもとにおいて、政府は二十三年度予算を編成するにつき、いかなる方針をとられんとするのか、ここに首相の具体的所信を伺いたいのであります。 思うに、産業の復興遅々として進まず、生産面における國民所得の積極的増加の見るべきものはありません。この現状において、國民の実質的担税力が極度に低下しておることは、二十二年度租税收入の滞納状況からこれを見るも明らかでありましよう。從つて、このままでは、二十三年度予算の編成、決して尋常一様のことではありません。われわれの見るところでは、この際産業復興、生産増加の方向に國家の総力を思い切つて結集すべきであると信ずるのであります。(拍手)生産増加のためには、区々たる形式的健全金融の名にとらわれることなく、必要なる資金はこれを放出して、國富の増進と國民所得の実質的増加を企図すべきであると思います。(拍手)そうして、この上に立つて健全なる租税体系を確立して、國家歳入の確保をはかることが必要であると考えるのであります。この意味において、租税体系についての根本的改正を行うと同時に、歳出の面においては、行政機構の実体に触れた徹底した行政整理を断行し、支出は極力これを抑制して、つとめて健全なる歳入の範囲に限定し、やむを得ざる面についてのみ限度を限つて赤字公債の発行を認むるも、その範囲は、生産増強の実効をあげ得る方面とその限度に限ることとし、あくまでも、形式的な有名無実の、いたずらに数字上のつじつまを合わせたにすぎざる健全財政、健全金融主義を放棄し、実質的な健全財政、健全金融の確立を期すべきであると思われます。(拍手)私はここに、これらに対する片山首相の率直なる見解を求めたいのであります。 第三に質したいことは、石炭の問題についてであります。いわゆる石炭國管案なるものは、第一回國会において、現政府、すなわち片山内閣の最も重要視せる唯一の法案であつたとも言い得るのであります。にもかかわらず、これは政府、與党間において幾多の修正が施され、ほとんど原案は骨抜きにひとしきものとなつて國会を通過したことは、諸君御承知の通りであります。同法案が國会通過の直後、進駐軍の調査團が、九州から北海道における重要なる炭鉱の調査を遂げられ、親切にしかも最も適切に、わが國家再建、産業復興のために石炭の増産が必須物件であることを力説せられ、これには労務者が覚醒して、勤務時間を筒一ぱいに働くこと、その能率を発揮せねばならぬこと、また坑外夫より坑内夫を増員するの必要を指摘せられ、さらにまた政府は各企業家に対して重要資材の適正なる配給を行うとともに、必要なる資金の融通を断行せざるべからざることを勧告したのであります。その結果、労資強調、出炭に協力され、この冬空であるにもかかわらず、いずれも割当量を突破する実績を果したということは、進駐軍の調査團の報告によつて明らかなるところであります。これがため片山内閣は、明年度は三千万トンにあらず、三千六百万トンを目標として石炭増産の計画を立てられたのであります。しこうして、労務者が國家を思い、その任務に目覚め、企業家が金融及び資材の配給を満し、労資協調すれば、現在の機構において必要なる石炭は増産され得ることが、進駐軍調査團の督励によつて明瞭になつたことは、諸君御承知の通りであります。(拍手)この場合、下手な機構いじりをすれば、かえつて減産のおそれあるものと思われます。これにもかかわらず、政府は來る四月より、あえて國管案なるものを実施せんとするのであるか、いかん、片山首相の明瞭なる御答弁を煩わしたいのであります。 われわれは、マツカーサー元帥の新年の辞において、国家の経済的繁栄と産業経済振興の基本的原則は自由経済なりということを信ずるものであります。從つて、わが國の民主的平和國家の建設と、産業の復興と、國民生活安定のためには、戰時中よりわが國経済界の腐れ縁になつていた社会主義政策に基く諸種の統制を、緩急よろしきを得て除々に撤廃して、自由経済に復帰し、健全なる資本主義の経済を自立するべきであると思うのであります。片山首相は、あえて石炭國管案を実現せんとするのであるか、それによつて三千六百万トンの石炭が確保できると思うのであるか、明瞭に御答弁を願いたいのであります。 第四に質したい点は、日本経済再建に関する長期計画についてであります。片山首相は、旧臘二十七日の日本新聞記者連盟総会の席上、休会開け國会に長期建設案を発表する旨を述べられておるのであります。和田安本長官も、また同日の予算閣議で、二十三年度予算編成と関連して長期計画の概要について発言されたと新聞紙に傳えられております。また新年四日の朝日新聞は、その計画の概要なるものを掲載しております。これは当然であると思います。この経済危機を突破するためには、終戰後すでに三年を経ている今日、政府は應急策と並行して、一定新聞の見透しをつけた五ケ年計画あるいに三ヶ年計画の長期計画を樹立すべきであると思います。しかして、國民に対して将來の光明を與えることが、とるべき政府の途であります。 わが党においても、産業復興、生産増強の根本をなす燃料及び動力源、鉄道、自動車による陸運並びに海運、生産基礎物資等に対する一定期間を目標とする供給計画、復旧計画、新設計画を樹立する必要あることを主張し來つたのであります。それゆえに、もし政府がこれにつき具体的計画を有するなれば、この際その発表を期待し、大いに國家國民の将來のため愼重なる論議を重ねたいと思うのであります。しかるに、首相の施政方針演説中には、「復興建設政策は相当に長期にわたり、堅実にしてしかも合理的な計画なることを要しますが、さしあたり二十三年度をその第一年度とし」云々と言つたのみで、二十三年度におけるところの計画を示されたのみであります。われわれは、非常にこれを見て落膽いたしました。もちろん、確固たる三ヶ年計画などは、その決定については、現下の國情、種々なる困難を伴うことは、これは認めます。のみならず、その実現については、大いなる政治力を要するのであります。しかし首相は、すでにその施政演説において、さしあたり二十三年度を第一年度計画として発表せられた以上、これらの数字は、五ヶ年計画の一環としての数字であると思われます。また五ヶ年を一期として、五ヶ年後にどの程度に國家経済建の目標を置いたのであるか、数字がなければならないと思われるのであります。政府において、もしかかる継続年度計画からなるところの具体的案があるならば、この際、ここにこれを発表することをわれわれは希望し、かつこれを要求するものであります。 第五に質したいことは、國民道議の高揚に関する首相の信念についてであります。現下の経済危機を突破して、民主的平和國家建設のためには、何というても民族的調和を必要とし、その間、國民道義の高揚を必須とすることについては、何人も異論のないところであります。開会式における御詔勅の趣旨においても、また衆議院議長の式辞の内容においても、そのことが強調されておるのであります。この意味において、片山首相も、機会あるごとに國民道義の高揚を口にされておりますが、國民道議の高揚は、一種の口頭禪ではありません。(拍手)國民道議の高揚については、政治の民朗化がその前提であります。衣食足つて礼節を知るとかや、國民生活の安定がその基本條件であるのであります。しこうして、政府みずからすべての機会、すべての問題に対して、身を挺してその範を示すべきであります。殊に内閣総理大臣初め内閣諸公は、常に身をもつて範を示し、公私ともにその行動において、いやしくも道議に背反するがごときことがあつてはならないのであります。(拍手)しかるに現内閣は、常に道義の高揚を口にし、施政方針の演説においてもこれを強調し、國民の協力を要望しながら、そのなすところがしばしば言うところに背反することの多きは遺憾千万であります。(拍手) われわれは、追放された平野君の資格が追放令に該当するや否やは、関知するところではありません。ただ、何ら権限なき閣僚が、みずから嚴粛なるべき追放の問題を云為し、さきには内閣不統一を理由として、拔打的に平野農相を罷免し、さらに不明朗にして納得しがたい中央公職資格審査委員会の経過と決定によつて平野君を追放したるがごときは、何としても一般國民の納得し能わざるところであります。(拍手)國民は、割り切れぬ一種の不安さえ與えられておるのであります。しこうして、これらのすべてが社会党内における暗闘に端を発し、長年の同志互いに相食むの印象を国民に與えたることは、いかに道義の高揚を口にし、同志愛と民族的團結を強調するとも、これらはまつたく口頭憚に終り、内閣に対する國民の信頼はまつたく地に落ちたものと思われます。(拍手)これに対する首相の所信はたしていかん。向後首相は、いかなる信念をもつて國民に対して道議の高揚を推進していくつもりてあるか、これを伺いたいのであります。 第六に質したいことは、いわゆる四党政策破棄と、連立内閣によつて立つ基盤に対してであります。最近社会党は、党大会において、現内閣政策の基盤となつておるいわゆる四党政策協定——実質的には三党の協定でありますが、これを破棄することに決定したようであります。もとより、政策をもつて立つ政党である以上、社会党がその社会主義政策の実行を主張し、これがために障害となる與党間の政策協定の破棄を主張することは当然でありましよう。また、これに対し民主党総裁の芦田君が、民主党が與党としてある限り、社会主義政策の実行はこれを阻止し、いわゆる修正資本主義による政策の実行を主張するということも、また当然でありましよう。しかしながら、立党の根本主義を異にする政党が連立内閣を組織せるにおいては、内閣は與党たる各政党間の政策協定の上に存立すべきである。國民もまた、いずれの政党の主義によつて政治が行われるかについては、非常なる関心と不安をもつておるのであります。ここに連立内閣における政策の動向を示す必要があるのであつて、政策協定は政党だけの御都合ではなくて、内閣はもとより、與党各派の國民に対する義務であり、責任であることを認識いたさなければならないのであります。(拍手)この意味において、社会党が一方的に政策協定を破棄された今日、現内閣の向後における政策は、いずれの政党の主義によつて立てられるのであるか、首相の明快なる所信を伺いたいのであります。これは、われわれが單に野党としてお尋ねするのではありません。民主政治の実現については、国民全体が知らねばならぬことであるのであります。(拍手)國政變理の任に当る首相みずから進んで、これを國民のために声明いたさなければならないと思うのであります。 首相は、あるいは政策協定破棄の決定は社会党内のことであり、内閣は必ずしもただちにその決定に從う必要なしと言われるかもしれませんが、それは民主主義、政党政治の根本精神をみずから蹂躙するものであります。(拍手)みずから政党政治を否認するものであると考えます。またいわく、一應政策協定を破棄しても、向後、個々具体的の政策について協定していくと言われるかもしれませんが、これは前述せる通り、主義を異にする連立内閣が、あらかじめ政策の協定をすることは、國民に対して政策の方向を示し、もつて國民を安定せしむるためにとるべき義務であり、責任であるのであります。(拍手)もし、これが不可能であり、政策協定が破棄されたままでありとするならば、すでに連立内閣の基盤を失つたものと言うべきであると思うのであります。(拍手)首相のこれに対する所信を伺いたいのであります。 さらに水害の問題に対して、水害を受けた東北地方の住民は非常に困難なはめにありますので、三十億の水害復旧費を本日決定して、政府に要求したとのことでありますが、これに対して政府は、これを実行する所信ありや否やを伺いたいのであります。 以上述べたるところに対し、項を追うて、一々明確なる首相の答弁を煩わしたいと思います。(拍手) 〔國務大臣片山哲君登壇〕
○国務大臣(片山哲君) 植原君の御質問の第一は、インフレ防止の対策ということであると伺いました。このインフレ防止につきましては、政府は組閣以來全力を盡して今日まで進んでおるのでありまして、緊急突破対策も、また昨日御説明申し上げました増産対策も、一にインフレを強く防止していかなければならない、そうして、この経済破局を救つていかなければならない、こういうところに重点を置いているのであります。但し、世界的な現象といたしまして、大戰争の後における被害、特に生産が破壊されております現状に鑑みまして、生産回復はなかなかの大事業であります。欧州各國におきましても、非常な努力を拂つておるのでありまするが、まだその成果があがつていないようでありまするとともに、わが國の現状を見ましても、なほ國民全体が非常な努力を拂つて復興対策を立てないことには、破局を救うことができないと考えているのであります。つきましては、生産力を拡充するためにはただ漫然と植原君の言われましたような労資協調、連帯というところでは、成果が十分に期待できないと思いまするので、政府といたしましては、労働生産性の向上、労働運動が最も現実に、労働者各自がわが産業を背負つて、立つという建前をつくつて、働いておる人々に働きやすい建前を開くことが最も必要であると考えておるのであります。(拍手)そういう建前から、ぜひとも積極的な対策を緊急突破対策と並べて進めていかなければならないという意味から、昨日御説明申し上げましたような積極対策を立てて、一にインフレを徹底的に防止しようと終始いたしておるような次第であります。 なお財政の問題でありますが、單に形だけつじつまを合わすというような形式的な健全財政主義をとつているのでは決してありません。実質的に生産の伴う歳入と歳出の関係を、実際的な実力主義、実際主義をもちました健全財政主義でやつておるのでありまして、これは、次に出てまいりますところの二十三年度の本予算において、十分に御檢討願いたいと存ずる次第であります。 石炭問題につきまして、第一回國会を通過いたしましたる石炭管理法は四月から実施になるけれども、あれでは生産はあがらないであろうと、こういうような予想的の御意見でありましたが、政府といたしましては、この石炭國家管理法は、増産主義であります。増産第一主義をもつて立つておる石炭増産計画でありますから、信念をもちまして、ぜひとも三千六百万トンを掘出すための、最も現下必要なる対策であると考えております。(拍手) なお、五箇年計画の二十三年度第一期を表わしただけであつて、第二年以後五年までの計画を同時に発表すべきではないか、こういうような御意見でありますけれども、現下の情勢から鑑みまして、まず政府といたしましては、二十三年度に踏出した第一歩、第一年度を諸君に御発表いたしまして逐次進んでいきたいという考えであります。追つてこれは、機会を得ましたるときに郷発表いたしたいと考えておる次第であります。 次は道義の問題でありました。政府は道義をみずから破つておる、こういうような御意見でありまするが、断じてさようなことはありません。道義高揚は、眞に私どもの最も掲げるべき重要事項であると考え、民主國家確立のため、文化國家建設のためには、道義政治の確立に最も力を置いておるのであります。その例とされまして、平野前農林大臣を罷免したということは、はなはだ不徳義であり、不道徳であると、こういうような御意見でありまするが、政治上として、政治上り問題において意見の相違いたしましたる場合においては、分れるということはやむを得ざる実情であると思うのであります。また現在の中央資格審査委員会がきわめて本明朗である、あいまいなことをしておるというような御意見がありましたが、断じてさようなことはないと私は信じております。何となれば、私は中央資格審査委員長でありまする牧野博士は、有数なる学者でもあり、その人格識見においても尊敬すべき方であると、深く信頼いたしております、その意味において、牧野委員長以下委員諸君が、政府に関係なく、最も公正に、最も民主的の立場に立つて審議を進められたのでありますから、その審議の結果に対しましては、十分に信頼いたすべきことであると考えておる次第であります。 最後に、四党政策破棄問題について言及されました。政府のとろうといたしておりまする建前は、先ほど鈴木君に対してお答えいたした通りであります。植原君は、すでに四党政策が破棄されて、今は何もないと、こういうような前提でありましたが、その前提は間違つておるのではないかと思うのであります。大体御承知の通り、この三党政策となりました政策協定は、九項目から成つておるのでありまして、問題になつておりまするのは、その一項目のうちの但書の中にあるのであります。但書の中の二つあります一つであります。九項目全体は、今日異議はないのでありまして、大体政府といたしましては、そういう方向で進んでおることは、御承知であろうと思います。何も見当なくして進んでおるようなことはありません。社会党の掲げておりまする社会民主主義、民主党の掲げております修正資本主義、あるいは最近いわれております。社会連帯主義と、國民協同党の協同主義——現下情勢に應じまして、十分に話合いを進めていくことができるものであるということを、深く信じておるような次第であります。(拍手)なお、今日の情勢におきましては、連立内閣は必要なる情勢であろうと考えております。自由党の諸君の言われる二大政党対立は、未だ時期至らざるものであるということを私は考えるものであります。(拍手) 〔植原悦二郎君登壇〕
○植原悦二郎君 ただいま片山総理に私がお尋ねした各項、但し水害救助に関する問題はお答えありませんでしたが、その他の問題のお答えを伺いました。一から十まで、残念ながら顧みて他を言うという感があつたのであります。(拍手)戰後の復興やインフレ防止はきわめて困難な問題だ、ヨーロツパ各國でも、これが思うようにいつておらないから、日本でもうまくいかないのはよろしいじやないかというような、まことに無責任きわまる御答弁においては、総理の答弁としては受取りがたいのであります。(拍手) 御承知の通り、インフレ問題につきましては、片山内閣は、物價を定め、労働賃金の基準を定めていけば、それでインフレの防止ができるということを再三再四声明されたのである。にもかかわらず。さらに増産方面において努力せられなかつたために、物價はますます高騰し、遂には御承知の通り、労働者と社会党と調和をとつてまいると申しますが、最近における労働争議、労働者の生活窮乏より來るところの不安は、片山内閣においても御承知のことでありましよう。(拍手)ゆえに、最近において、物價も労働賃金の基準も改訂しなければならないはめに至つていることは、政府みずから承知いたしていることであります。にもかかわらず、それに対して直面した答弁をせられないことは、実に遺憾千万の極みであります。 さらに私が、財政のただ数字上の歳入歳出のつじつまを合わせる不健全財政であると言いましたのに対して、片山総理は健全財政であると御主張なさいましたが、この場所で議論するよりは、國民の間にお聴きになりましたならば、いかなる識者であろうとも、生産増強の伴わない、税制改正の伴わざる、行政機構の改革の伴わざる、過剰労力の整理をいたさず、産業の合理化をいたさずして、收支償うがごとき財政計画を立てることは不可能であるのであります。(拍手)もし諸君が、この議事堂を離れて戸外に出て、はたして片山内閣の財政計画が健全財政であるかどうかを尋ねたならば、國民は異口同音に、きわめて不健全なる財政計画であると言うことは疑いないのであります。 さらに片山総理が申されますのに、道義の高揚について、政府みずからその範を示さなければならないと申しました。私ども、平野君の追放問題に対して、その資格の適否を論ずるのではありません。その取扱いがいかにも不明朗であつて社会党内の内紛を外に現わしたものであることは、日本全國民がこれを認めているところであります。(拍手)これをも、片山総理は言を左右にして白々しく、平野君の取扱いは道義に基いたものであるとおつしやられるならば、今まで宗教家をもつて任じ、人格者をもつて任じた片山君の估券の下ることを、友人として私ははなはだ遺憾千万に思うものであります。(拍手) さらに、石炭の増産問題のことを私は申しました。御承知の通り、石炭國管案が通過いたした直後、私が指摘した通り、新聞雑誌によつて傳えられる通り、進駐軍の調査團が参りまして、労働能率を発揮せしむるように労働者を督励した。労働者がその責任を果すように、労働者を覚醒せしめた。必要なる資材は企業家の手に届くようにした。苦しんでおる企業家に対して資金を供給するようにしたならば、現在はつきりとした増産が実現されておることは明らかなることであります。(拍手)かような状態であるものを、あえて機構いじりをする必要はないじやないかという質問に対して、明瞭なる御答弁のなかつたことを、はなはだ遺憾に存ずるのであります。 さらに五箇年計画についてであります。五箇年計画は、あるともないとも言わない。あるがごとき口吻を漏らして、しかも二十三年度だけ示せばよろしいではないか、あとは除々に示すと言うならば、五箇年計画は長期計画ではないのであります。(拍手)かような無責任の答弁を聽くに至つては、まことに私は心外千万でありますが、なおあらためて質問する機会もあろうと思いますから、きようは、この程度にいたしておきます。 〔國務大臣片山哲君登壇〕
○國務大臣(片山哲君) 生産増強につきまして、税制の改革の伴わないものはいけない、こういうふうに申されましたけれども、昨日申し上げました通り、税制の改革を行いたい、追つてその法案を今國会に提出したいということを明白に申し上げておるのであります。また行政整理にも手をつけたい。また労働者の立場をも十分に向上せしめて、生活の安固をはかりたい。ただ実質賃金、実際上の賃金を裏づけるための方策を十分に講ずるのである。名目賃金だけを上げるということは、いたずらに物價の高騰を誘致することになるから、実際上の問題で加配米等の手続をもつて、実際上の生活の安固をはかりたいというようなことは、昨日るる申し上げたところでありまして、これによつて極力生産力の拡充に邁進したいと考えておるのであります。 なお、道義の問題につきまして御発言がございましたけれども、私は牧野委員長を信頼いたしております。人格の高い学者でありまする同博士のもとにおいて審議されておりまするところの委員会は、決して不明朗なることはやつていない、最も民主的に合理的に議事を進められたものであるということを深く信じておるのであります。政治家の立場で意見が相違いたしまして、いろいろ政党からわかれたり、立場を異にするということは、諸君もすでに十分に経験されたところでありまするから、これをもつて不道徳呼ばわりは全然当らないことであるということを私は考えるのであります。 なお水害問題につきましては…… 〔発言する者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
○國務大臣(片山哲君)(続) 乏しき財源の中から極力捻出いたしまして、速やかに善処いたしたいと考えております。十分なる対策をとりたいと考えております。数字の問題は、先ほど申しました通り、追加予算の数字といたしまして、大蔵大臣が御説明することにいたしたいと存じております。(拍手) ————◇————— 輸入食糧放出許可に関する波多野國務大臣の報告
○議長(松岡駒吉君) 農林大臣より、輸入食糧放出許可に関し報告のため発言を求められております。これを許します。農林大臣波多野鼎君。 〔國務大臣波多野鼎君登壇〕
○國務大臣(波多野鼎君) わが國現下の困難なる食糧事情解決のために、これまでなみなみならぬ御好意をいただきました連合軍最高司令部は、今回一月分といたしまして、十二万五千三トンという大量の輸入食料の配給を許可せられ、本日その旨発表せられました。(拍手)私は、本議場を通じてこのことを國民諸君に御報告するとともに、連合國最高司令部の御好意に対し、ともどもに深き感謝の意を表したいと存じます。(拍手) この御好意に報ゆる途は、ただ食糧の増産あるのみであります。食糧行政の局に当る者といたしましては、関係各省と密接に連絡いたしまして、耕作農民諸君の生産活動に必要なる資材を確保するに全力を盡しまして、もつて一大増産の実をあげてもらう所信であります。以上、御報告を終ります。(拍手) ————◇—————
○議長(松岡駒吉君) 苫米地義三君。 〔苫米地義三君登壇〕
○苫米地義三君 私は、民主党を代表いたしまして、以下五点にわたつて、内閣総理大臣初め関係閣僚に質疑をいたしたいと存じます。 まず第一に、片山総理大臣は昨日の施政方針演説において、國難打開の焦眉の急務は実に生産の復興にありと叫ばれましたが、まつたくその通りでありまして、願わくは、その抱負を勇敢に実行され、國民が期待するごとき成果の一日も早く実現されるよう希望してやまぬものでございます。しかしながら、國情の客観的情勢と、産業経済の実情より考えまするならば、生産の急速なる拡大復興は、しかく簡單なわざではないのでありまして、政府は過去一箇年間石炭生産に対するいわゆる傾斜政策の強行をいたしてさえ、その実績は、遺憾ながら不成績に終つた事実に鑑みましても、明らかでございます。いわんや、その他の産業、交通等の現状を見まするのに、今やまさに縮小再生産の一途をたどり、その破局的様相は、ますます濃厚の度を加えつつあるといわなければなりません。 昨年内閣が組織されました当時は、食糧危機に当面いたしまして、民生の安定をまずもつて焦眉の急務といたしました関係上、政府の緊急対策も主として物價と流通政策に重点をおかれたことは、万やむを得ざる措置でありましたが、生産に対しましては何となく熱意が足りなかつたかの印象を國民に與えたのであります。事実また鉱工業の生産指数は、依然として戰前の三割内外にすぎない現状でありまして、生生活必需物資の欠之は、ますます顕著の度を加えつつございます。殊に電力の供給状態は著しく減退いたしまして、これがために、せつかく七割程度の回復をいたしました肥料生産のごときも、はなはだしき影響をこうむりまして、もし、このままに状態が推移いたしまするならば、政府が農民に約束いたしました肥料配給数量は、荷渡し不能に陥るのではないかという懸念さえあるのであります。 かかる縮小再生産の原因は、もとより多々あるのでありまするけれども、石炭、燃料、動力源の不足による基礎資材の生産が遅々として進まないのと、物資の國内ストツクがだんだん減少してきた結果であると存じます。かかる現実を冷静に考えまするとき、もはや、わが國の産業の回復は、國内の自力のみにては再起困難の状態に立至つたかと思われるのでありまして…… 〔発言する者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 静粛に願います。
○苫米地義三君(続) この際生産復興のために、恒久的な必要な緊急資材を連合國に懇請して、その輸入を仰ぐほか良策がないと思われるのでございます。政府もこれに対しましては、昨日の首相の演説において、外資の輸入を企てておるという考えを申されましたが、それはいかなる形式で、いかなる範囲において、これをもくろんでおられまするか、その点を伺いたいのでございます。しかるに、今日のわが國情を顧みますのに、遺憾ながら労働の生生産性は低下し、労資間の争議が続出しまして、ややもすれば國内に生産不安の感を與え、國内秩序の弛緩と秘税の滞納に表現されるごとき國民義務観念の衰頽等が、もしこのまま改善されることなくして、はたして連合國の好意ある援助を受けられるかどうか、懸念なきを得ないのであります。政府は、これらに対していかなる態勢をとるべきか、その施策について伺いたいのでございます。 一体、敗戰後の混乱経済を建直すためにも、また民生の安定のためにも、最も有力に役立つたはずのものは、終戰当時巨額の量を保有されておりましたところの軍官所有物資でございました。もし、これらの物資が正常なる方法によつて活用されておりましたならば、生産の復興ははるかに容易であり、國家財政の上に、また國民生活の上に貢献するところがすこぶる大きかつたことを思うのでございます。しかるに、これら巨額の物資は、一部貧欲なる者の手によりまして横奪隠匿され、惡用され、物價の高騰とインフレ増進の種となり、いたずらに國家の再建を阻害し、國民を苦しめたことは、まことに憎んでも余りある所為と言わざるを得ないのであります。しかも、今日なお國内各地に隠退臓物資の相当量が散在しておるということでありまするが、はたしてしかりとするならば、一日も早くこれを摘発して、國家のために利用しなければなりません。また軍官公有物はことごとく國民の膏血によつて得られたものでありますから、断じてこれを個人的私利私欲の具に供してはならないのであります。政府は、これらの処置に対してどういう考えをもつており、いかに積極的にこれに対処するか、その点に対して伺いたいと存ずるのであります。(拍手) 次に、商工大臣にお伺いいたしたいと思いますが、石炭管理法実施に対する準備の進捗状況と、政府の措置についてであります。すなわち、前國会においてわが党が天下に声明せる公約を忠実に果し、その生命をかけて通過を見ました與党三派の石炭鉱業管理法は、やがて実施されましようが、政府と経営者と労働者が眞に一体協力の体制を整え、現実に石炭増産の成果をあげますことは、祖國復興の第一歩であると、國民は心から期待いたしておる次第であります。(拍手)二十二年度の石炭生産実績は、三千万トンの目標を達成することができぬ現状でありまするが、さいわいにして、昨年十二月の全國石炭生産は二百九十五万トン余に達しまして、ここに飛躍的な増産を見たのであります。新聞紙の傳うるところによりますれば、連合軍司令部の協力による現地調査團が、炭坑現場において経営者と懇談協議した結果だということでありまするが、政府は、この成果に鑑みまして、労資協力体制の確立になお一段の努力を傾注いたしまして、國管実施後の石炭生産にいささかも支障のないように、万全の方途を講ずべきであります。言うまでもなく、炭鉱事業は地の一般工業と異なりまして、現在の採鉱場を採掘し終れば、さらに他に新しい採鉱場を開発して、順次に移行しなければならないのでありまして、もしこの計画と施設が遅れまするならば。継続的な長期にわたるところの増産は、とうてい不可能であります。この長期増産対策といたしまして、政府は石炭鉱業の管理と並行いたしまして、産業復興公團を活用し、企業に対して開坑施設等の援助を與うるはずになつておりましたが、その後、政府はいかなる御処置をとつておられますか、この点を伺いたいと思います。(拍手) なお政府の石炭生産計画は、昭和二十三年度において三千六百万トンを採掘いたすという、最も喜ばしき計画を発表いたされましたが、石炭の品質改善に対しては、いかなる処置をとられるか。ただ数量だけを考えまして、その品質を閑却するならば、眞に増産とは言われないのであります。政府は選炭を励行いたしまして、品質の向上をはかるべきでありますが、その具体策は、ただいまのところ、いかになつておりますか、この点も伺いたいと思います。また企業を正式に管理するということは、わが國初めてのことでございまして、いわゆる官僚統制の弊に陥らざるよう、嚴に警告を発したいと思うのであります。 次に、電力の問題について一言触れたいと思うのでありますが、昨秋以來、電力供給量の減退がはなはだしく顕著になりまして、ひとり産業界のみならず、われわれ國民生活にも重大なる苦痛を招來しつつあるのでありまするが、これは雨量不足による自然的関係ばかりではなく、発電設備の補修不十分の結果おこる故障その他相当の事情があるように伺います。もとより、修理資材の不足等遅くべからざる理由はあると存じますが、猪苗代発電所一齊停止の例もありまして、技術的、作業的能率の減退より派生しておるのではないか、國民は多分に疑惑をもつておる次第であります。発送電及び配電会社は、先年統一せられまして以來、官僚化の色彩が強く、殊に労働攻勢に悩まされまして以來、業務命令の下部侵透が不十分だといううわささえ聞くのでありまして、日々電気不安を体験しつつありまするところのわれわれ國民は、その眞相を承ると同時に、一日も早くその原因を排除いたしまして、豊富なる電力の供給を回復せらるるよう望んでやまないのであります。また地方小口発電を自由に動かし、農業用水利と並行して、農村電化の一助にされるよう工夫をいたしたいのでありまするが、政府は電力政策についていかなる方針をもつておられますか、この際伺いたいと存じます。 なお、電力に関係をもつ治山治水の問題は、実に刻下の重大問題でありまして、昨年関東、東北にわたつて起きました水害のよつて來るところは、治山治水の不徹底にあることは申すまでもありません。政府は、この点に対し十分の施策を講ずべきでありまするが、同時に、水害の復旧はまことに焦眉の急務でありまして、もし災害農耕地の復旧が遅るるがごときことがありまするならば、食糧生産上ゆゆしき影響を與え、また河川の修理が遅れるなれば、雨期に至つて再び災害を繰返す危檢があります。政府は財政と資材の乏しきを割いても、ぜひともこれが復旧事業を急がなければならぬと思いまするが、政府のこの点に対する——、先ほどのお答えもありましたけれども、なお大蔵当局の熱意をもつたお答えを伺いたいと存ずる次第であります。 第二点は、労働問題についてであります。わが國の労働問題は、戰後急速に発展いたしまして、今や勤労大衆の大部分は組織化され、組合運動として健全なる発達を遂げつつあることは、まことに喜ぶべき現象であります。しかるに、戰後わが國経済界の破局的進行は、一方物價の高騰とインフレの進行を促進し、地方生活物資の欠乏がはなはだしくなりまして、勤労大衆の生活を圧迫し、國家の保障する配給生活物資のみによつては、わずかに生命を保つにすぎないのみならず、それさえ遅配、欠配が常態となりまして、生活上の不安と焦燥の念を與え、これがため、はなはだしく労働の生産性を妨げておることは、まことに遺憾至極でございます。かかるせつぱ詰まつた事情のもとにおいて、労働者が生活保障を要求し、生活賃金の増加を求めることは当然でありまして、その手段たるいわゆる労働攻勢が断続的に行われておりまするが、これは、物價高とインフレの高進と生活物資の欠乏を続くる限り、やむを得ない現象かと思うのであります。このことは、普通平常時において発生するところの資本家に対する賃上要求とは、著しくその本質を異にいたしておるのでありまして、まつたくわが國終戰後の特殊的変態経済の中に起る現象であると思います。すなわち、資本家の労働搾取によるものでなく、企業そのものがすでに赤字に悩み、資本を食いこむ実情でありまして、政府の強行しつつある統制経済下において派生するところの畸形的現象であると存ずるのであります。從つて、その大半の責任は政府の負うべきものであり、統制の未熟または欠陥のもたらす結果とも申されるものであると思います。その意味において、今日の労働問題は全画的に政治の問題であり、政治は國民のひとしく参加するところである以上、労働組合が経済問題を超越いたしまして、政治運動にまで進展せんとする傾向があるのも、無理からぬことかとも思われます。また経済問題といたしましても、企業参加、人事権関與のごとき問題が、今なお労資間の懸案となつて残されております。政府は、この労働組合の限界をいかように考え、いかように指導せんとせられるか、この点、労働大臣の御意見を伺いたいのであります。 次に、わが國の労働運動並びに組合組織は、その範を欧米に学んでおりまして、今日政府のとつておりまする労働政策も、またしかりであります。しかるに、欧米の労働組合は、主として肉体労働者の團結であるのに反しまして、わが國におきましては、熟練工、技術者、事務員、指導者、管理者をも含めて組合を結成いたしており、その構成と内容においで著しく欧米の労働組合と異なつておることは、御承知の通りであります。一昨年來國内各地に頻発いたしました労働争議において、欧米にその例を見ることができないいわゆる生産管理、企業管理等が行われまして、経営者側はまつたく孤立の状態に陥つたという事実は、わが國の労働組合が特殊的性格をもつ証拠であります。この特殊的組合の健全なる発達を助成せんとするには、おのずから、わが國独特の方策をもつて指導誘掖しなければならぬと思います。政府は、これに対していかなる見解を有せられるか。また争議行為といたしましても、生産管理のごとき、企業権を侵すがごとき行為を認められるのであるかどうか、この点に対しましても御意見を伺いたい。(拍手) また組合事業は、組合員相互の自主的責任と義務とにおいて運営さるべきはずであるにもかかわらず、組合専從者として、公務員または会社従業員は、その待遇をそのまま受けながら、本來の業務を放擲いたしまして、もつぱら組合の仕事にのみ從事しつつある事実を見るのであります。組合の健全なる発達を促します過渡的処置といたしましては、あるいはやむを得ない一時的現象と思いますけれども、政府は、これに対する基本的見解を明らかにいたしておく必要があると思うのであります。 私は、前に申し述べました通り、わが國の労働組合の本質が、欧米のそれとははなはだしく相違いたしておることからいたしまして、翻訳的な労働組合と呼ぶよりも、むしろ勤労組合と称すベきが妥当かと思うのであります。しこうして、わが國の勤労者は、今こそ救國の大任を果すべき中核的立場にあるのでありまして、祖國の興亡は一にかかつて勤労者の手にあると申しても差支えないと思います。勤労は、実に全入格の発露であり、もはや單なる賃金取引の対象物ではありません。ここに、わが國独特の勤労組合が創建せられる段階に到達しており、断じて飜訳的組合に堕してはならないのであります。 資本主義全盛のアメリカにおいてさえ、近ごろ労働者に対する地位の向上と利益の配分を認めまして、いわゆる社会化されたる修正資本主義に轉向しつつあることは、前の米國商工会議所会頭エリツク・シヨンストン氏の公表するところであります。(「定足数を欠いている」と呼ぶ者あり)わが國は、財閥解体、独占禁止、企業集中排除等によりまして、資本の分散が行われ、資本の威力が消滅して、企業の支配力を失つたのでありますから、今後におきましては、民衆の努力によつて得られる蓄積のみが、貴重なる資本として経済面に現われるものであると思います。
○議長(松岡駒吉君) この際、定足数を欠きますので、しばらく休憩いたします。 午後四時五十五分休憩 ————◇————— 午後五時四十三分開議
○議長(松岡駒吉君) 休憩前に引続き会議を開きます。 苫米地君は質疑中でありましたが、本日はこの程度に止め、残余の質疑とともに延期し、明二十四日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松岡駒吉君) 御異議なしと認めます。よつて本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十四分散会 ————◇————— 出席國務大臣 内閣総理大臣 片山 哲君 外務大臣 芦田 均君 厚生大臣 一松 定吉君 農林大臣 波多野 鼎君 商工大臣 水谷長三郎君 労働大臣 米窪 滿亮君 國務大臣 木村小左衞門君 國務大臣 齋藤 隆夫君 國務大臣 竹田 儀一君 國務大臣 西尾 末廣君 出席政府委員 法制局長官 佐藤 達夫君 法制局次長 井手 成三君 建設院総務長官 阿部美樹志君 外務事務官 太田 一郎君 農林政務次官 井上 良次君 商工事務官 玉置 敬三君