文教委員会 第22号
- 発言数
- 163 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/07/01
会議録
○松本委員長 それでは会議を開きます。 日本学術会議法案を議題といたします。昨日の委員会におきまして、大体の質疑は終了いたしましたが、なお質疑があれば発言を許します。
○柏原委員 昨日から問題になつておりました二十四條の学士院の会員の推薦母体の問題でございますが、原案でありましたならば日本学術会議がこれを選定するのでありまして、日本学術会議創設準備委員長の兼重さんの覚書の第一項でありますが、昨日の御答弁では、これは内容は同じようなものだ、結局において同じになるのだ。学術会議がきめるのだけれども、実際の運営にあたつては、ほぼ同数の委員を出してきめるようになるんだ。但しこの原案のわく内においてこれを行うのである。こういう御答弁でありました。そこでこの原案を修正するということは非常に困難なことかもしれませんが、二十四條第四項の文章と覚書の第一項とが実質においてほぼ同樣であるという政府側の御意見を聽いておりますし、原案の文章をいらうということは非常にめんどうな問題になりますので、四項の意味は覚書の第一項のようなものである、そうつた内容をもつたものであるということを法文の上に明記する必要があると思うのであります。そうしておきませんと今度新しく生れる学術会議にいたしましたら、法文だけを見て、文章に現われていないものは問題ではない。兼思さんがいかに努力してもこれは問題にならぬ。新会員は法文だけでやつてくるのでありますから、こういう覚書のようなものは、ほごになるおそれがあるのであります。そこで原案をいらうことはむつかしいのですから、第四項に但しをつけて、四項の内容はこういう内容をもつたのであるということを説明らかにする。すなわち「日本学士院の会員を選定するには、日本学術会議と日本学士院の各々が推薦する同数の委員をもつて構成する候補者」云々と、あとの文章に但書をして追加しておけば、その内容が明暸になると思うのであります。もちろん学士院の要望通りではありませんが、学士院の要望の半ばは達せられるし、またこの覚書は学術会議の方においても大体了承ができると思うのでありますから、そういうふうにすることが可能であるかどうかということも政府当局にお伺いしたい。もしそういう方法をとつておかぬと、学士院会員を選定する場合に、原案の通りでありましたならば、学士院は何らそれに関知できないというかつこうになるのであります。それではどうかと思いますので、そういうふうな取扱いが適当でなかろうと考えますが、それに対する当局の御意見を承りたいのであります。
○清水政府委員 ただいまの御意見は、覚書の第一項を第二十四條第四項の但書とするというお話でありますが、この点は法案に明記いたしますことは、学術体制刷新委員会の委員長としては原案はこのままで通して、この程度の手段方法について新して会員をみな納得させることは可能であるという決心をもつて、こういう案をつくつておられるのであります。これを原案に載せるということについては、すでにこの決議がなされてから準備委員長として、少し越権ではないかというような感じをもつておられるのであります。 ただいまこういう覚書ではほごになるというお話がございましたが、國会においてこういうことをぜひ希望するということが決議されましたならば、そうして文教委員会において、あるいは委員長において学士院側と刷新委員会側を招いて、納得させられ、國会の意見としてこれをぜひ実現するように要望されたならば、必ず実現するのではないかという考えをもつものでありまして、できるならば原案の通りにしておいて、そうしてこの覚書をできるだけ実現するように、あらゆる努力を拂うということにしたならば、いかがかと考えておる次第であります。
○柏原委員 まだ討論になりませんが、これに努力をするという國会の決議は、それだけの権威があると思うのでありますが、政府当局の申されるることには、私どもはまだ得心の行かね点があります。
○織田委員 昨日お伺いした第四條の問題には、内閣に科学技術行政協議会というものを政令をもつて定めるというお話がありましたが、この点について、その内容を詳しく御説明していただきたいと思います。
○岡野説明員 学術体制刷新委員会におきまして、総理大臣に答申を出しております。その一点は日本学術会議のことでございます。もの一点はわが國の行政に十分科学が反映されない、あるいは各省の科学行政がまちまちであるということを指摘されまして、内閣にそういう協議会を設けて、日本学術会議の意思が十分政府側に反映するように考えてほしいという答申がございました。これに基きまして政府側におきまして立案をいたしたのは、先ほど局長から申し上げました科学技術行政協議会というものでございます。これは日本学術会議が成立しまして後にできるのが本來でございますが、しかし事態は必要性がございますので、できればこの法案が通過した後にこういうものをつくりたい、その内容を概略申し上げますと、科学技術行政協議会は内閣総理大臣の監督に属して次の事項を掌る。第一は二つ以上の廳の所管にまたがる科学または技術に関する業務を調整すること。第二は政府の諮問にかかる科学技術に関する事項に対する日本学術会議の答申及び日本学術会議がその所管の範囲内において自発的に行う勧告を、科学技術行政に反映させる目的で審議すること、この二点をその所掌事項として掲げております。協議会は会長一人、副会長一人及び委員二十五人以内でこれを組織するというふうに規定いたしまして、委員は関係各廳の次官またはこれに相当する官吏及び学識経驗のある者から総理大臣が任命する。そしてこの学識経驗ある者の中から命ぜられる委員の数は十人といたしまして、その任命は日本学術会議の推薦を考慮して行うということにいたしました。この協議会は毎月一回定例的に開くというようなことを規定した政令案を用意しておるわけでございます。ただし日本学術会議が成立いたしますのは來年の一日になりますので、その間の暫定措置としましては、現在ございます学術研究会議が日本学術会議の設置されるまで、日本学術会議の職務を行うということを経過的に規定したものでございます。
○織田委員 その次に第五條の点でありますがこの学術会議の設立及び目的の中に「わが國の科学者の内外に対する代表機関として」とあります関係から、また特に日本の科学と世界の科学との交流を円滑ならしむるという点から考えまして、第五條の第一号と第二号の間に、何というか、世界の学術会議との連絡を緊密円滑ならしむるという事項を入れたらいいのではないかと思いますが、その点についてお答え願いたいと思います。
○清水政府委員 ただいまの御質問はごもつともでございますが、実は前文にも世界の学界と提携するということが示してございますし、第五條の中に、國際関係も含めておる考えでこの法案はできておるわけでございます。從つて特に國際関係を強調する意味においてあげるということも一つの考えだと存じますか、この法案では國際関係はこれらの方策の中に含められておるという考えでございます。第三條の第二号に「科学に関する研究の連絡を図り、その能率を向上させること」という中にも、國際関係的なことが考えられておるのでありまして、それのこまかくなつたのが第五條だと考えられるのであります。それらの問題につきましては、特にここに掲げませんでしたけれども、前文にもございますし、これらの方策の中に含まれておる、こう考えております。
○織田委員 それから第四章の第二十一條ですが、学術体制刷新委員会の選挙の結果、結局年寄りの人ばかりが出てくるというような結果を見たという話を聞いたのですが、その点「会員の選挙に関して必要な事項は、日本学術会議の定める選挙規則で、これを定める。」とありますが、この点を詳しく説明していただきたい。
○岡野説明員 日本学術会議の会員の選挙規則と申しますか、これは日本学術会議が定めることにいたしたわけでございます。第一回の日本学術会議の選挙規則につきましては、学術体制刷新委員会が定めることに相なりまして、すでにその規則ができておる次第でございます。それを御説明申し上げますと、地方区を七つにわける、全國の府縣を七地区に配分するということを規定しております。全員の選挙権を有する者は、現にその他に勤務する場所によつて地方区をきめるということを規定しております。さらに十月十日までに管理委員会に登録用カードを有権者が提出するということをきめております。一方管理委員会の方は学会または研究機関に依頼しまして、その所属成員なたは会員で有権者と認められる者の名簿を九月十日まで提出されます。その名簿に基きまして、会員または成員に登録用カードを送付して登録を促すということを規定しております。今御質問のございました年寄りばかりになる懸念はないかというお話でございますが、実際上この会員が選ばれますにつきましては、有力な学会がこの人こそはという方を推薦せられることになると思うのであります。結局その推薦制によりまして散票が防がれまして、衆望を担つて会員が出てこられるといういうふうに考えられるわけでございます。なお有権者名簿を縱覽させる規定もしてございます。また登録その他選挙に関して不正行為をした者は、選挙権及び被選挙権を失うということも規定しております。なおこの不正行為を判定するのは管理委員会がこれを行う。その決定に不服のあるものにつきましては、日本学術会議の再審査を求めるというようなことも規定してあります。
○圓谷委員 第十七條の選挙権、被選挙権の資格についてですが、第二号に「旧師範学校令(昭和十八年勅令第百九号)」とあるのですが、これは專門学校になつてから以後の教員養成機関の卒業生を指しておつて、昭和十八年以前の師範学校の卒業生はこれに該当しないという意味ですか。
○清水政府委員 昨年も同樣の御質問に答えたわけでございますが、第一号は大学程度、第二号は專門学校程度というわけで規定をいたしたわけでございます。從つて專門学校程度になりました師範学校につきましては、この第二号があてはまり、それ以前はあてはまらないのであります。それはその次の第三の「その他研究歴五年以上の者」この中に包含されるわけであります。
○圓谷委員 ところが実際の問題からすると、昭和十八年以後の師範卒業生は学徒動員とかその他、入学率等において、それ以前よりは質が劣つている。名義はなるほど專門学校という名前になつておりますが、優秀なる者はそれ以前にあると思います。「その他」の所に入れるとしても、これは「研究歴五年以上」というようなことで規定されているとすると、これは全面的にはいりますか。どういう方法をもつてこれを入れられるか、何か審査会にかかるようなことがあるのですか。
○清水政府委員 ただいまお話の旧師範学校の方が実際には実力があつて、專門学校の資格を得てからの師範学校の方が、かえつて実力は低下しているというお話は、あるいは事実であるかも知れないと思います。しかしここに程度を表わします場合に、大学程度、專門学校程度と規定いたします場合には、認められた資格の学校によつて規定する以上に方法がないのであります。実力がどうであるかということは、非常に判定の困難な問題でありますので、これは形の上でこう規定いたしたわけであります。この形にはずれるものは、第三号の「研究歴五年以上」というもので、全部救われるつもりにいたしております。研究歴五年と申しますといかにも長いようでございますが、師範学校を出て、あの人は研究者だと言われるような方は、五年あるいは十年、相当研究をしておられる方が多いのでありまして、大体第三号で救われる方だと考えております。
○松本委員長 ほかに質疑はございませんか——ではこれにて質疑は終了いたしました。
○水谷(昇)委員 この際ちよつと休憩をしていただきまして、休憩中にちよつと懇談をしたいと思います。
○松本委員長 それでは暫時休憩いたします。 午前十一時二十五分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午前十一時四十四分開議
○松本委員長 再開いたします。 質疑は全部終了いたしました。これより討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。柏原義則君。
○柏原委員 敗戰後の日本は、武器を捨てまして、平和國家として、文化國家として起ち上らなければならぬ。貧弱な日本の國の將來性の見込みは、わが民族の頭と努力、そういう意味におきまして、学問の興隆ということが、わが民族を再建する上の基礎問題であるのであります。この学問の興隆をはかる上におきまして、今までの因襲を脱却し、あらゆる学界の封建性を脱皮いたしまして、学界の民主化とともに、眞理と平和を希求する眞劍な学者陣の総括動によつて、日本の再建をやらなければならぬ。こういう意味において今回できました日本学術会議法案なるものは、大体においてこの線に沿つているものと思うのであります。但し、この学術会議を生み出す選挙母岩である日本のインテリ層であります。インテリ層と申しましても、堅実なインテリ層もあれば、またずいぶん浮薄なインテリ層もあるのでありますけれども、將來の堅実は、りつぱなインテリ層の構成という方面に相当の信頼を置きまして、この法案を成立さすのがいいだろうと思うのであります。今までの日本の学会には学士院という、名誉機関でもあり、日本の最高学問研究の一つの集團機関があつたのでありますが、今回こうした全日本をあげての民主的な日本学術会議なるものが生れますので、その中に歴史をもつた学士院を含む。そうして從來の学士院の封建性といいますか、我観にとらわれたものから脱却してほんとうの栄誉機関として——中にはそんな学士院のようなものは要らぬじやないか、こういうことを述べる人もありますが、現在ほど学者が生活に困つている状況はないのでありまして、何といつても物質的な應援をしなければ、学問の発達はしないのであります。從つて学士院のような名誉的なものを設けて、実質面におきましては相当の年金を差上げて、努力さえすれば、おちついて勉強し、老後も安らかに行けるのだという一つの見透しを與える。そういう途を開いていくということも、学問奨励のためにきわめて重要なことであると考えるのであります。そういう意味におきまして、学術会議の中に学士院を包容して、そうしてこれを新しい学士院として育てるのでありますが、さて新しい学士院の誕生とともに、古き学士院もその中に含まれるのでありまして、そのつなぎ合せには各種の問題が起ると思うのであります。学問の道は個人々々の頭ではありますけれども、師弟の関係というものが非常に深い意味をもつて、先輩から学問的遺産を後輩に讓らなければならぬ。こういう点で古い形の学士院と学術会議の間に変な摩擦相剋があつたのでは、日本の学会の健全な発達のためにも、日本の再建のためにも、大きな障害をなしますので、そういう意味におきまして、学術本制刷新委員会の御意向も尊重しますが、また、学士院の意向も相当三酌いたしまして、そこにりつぱな一つの日本学会というものを生み出すことが適当と考えるのであります。そういう意味におきまして二十四條の第四項には、栄誉機関である学士院の会員を選ぶのに「日本学術会議がこれを選定する」とあるのでありますが、学術会議に出てくる人は、おそらく新進氣鋭の、しかも政治的手腕をもち、弁説の立ち、社交のうまい人が出てくるだろうと思うのであります。こういう人が客観的に公平に選んでくだされば問題はないのですが、あるいはこの選挙母体なるものは政治性をもつておりますので、時には右に偏し、右に偏するおそれもありまして、大体日本の学界インテリ層をある程度は信頼できるとは推定いたしますけれども、混乱期の日本におきましては、あるいは矯激な左に偏するか、右に偏するかということになりますと、神聖なほんとうの科学とか、人類の幸福を生み出す学問というものが、その政治性のためにゆがめられて、結局日本の学問は眞の科学を生み出さずに、便宜主義的な貧弱な学問の程度になり下る。これでは貧弱な日本がますます貧弱な学問になつて、文化國家としてもますます低劣な程度に落ち下ることを心配いたしまするので、そういつた会議の政治性をある程度修正する意味において、学士院という、一旦なつたならば一生涯同じ信念で一貫していけるという学士院の栄誉的な存在も、日本の業界にはまことに重要なものだと私は考えるものであります。ただ單に封建的な保守的な、学士院を弁護するようなけちな考えでなくて、やはり永久の將來にわたつて政治性をもつた学会と、そうでなくして不動の学会、こういう二つの理由はどうしても必要と考えるのであります。そういう意味において学士院の会員を選定するにあたつては、日本学術会議だけがこれを片づけるのでなくして、学士院の意向をも大いに尊重して、これを選定する場合にはほぼ同数くらいの委員をあげて、両方の委員が会議して、そこに妥当性のある候補者をあげて、結局最後の決定権は学術会議が握るのでありますが、大いに学士院の意向を尊重する、こういうやり方が適当と思うのであります。これは現在の古い型の学士院を弁護するために言つておるのではなくして、永久の將來にわたつてそういう方法をとつていくことが日本学界のためによろしいという考えでありまして、二十四條第四項に関しては、原案はこの通りで結構でありますが、運営するにあたつては、必ずこういう方式でやつてもらいたいという熱烈なる希望を附しまして、日本学術会議法案原案全般に対して賛意を表するものであります。
○松本委員長 次に田淵実夫君。
○田淵委員 日本社会党はまず本法案の前文の精神と前文の意義というものに対しまして賛意を表するものであります。從來日本の学問、科学、学界というものが学者の学界であり、学者の学問であるという印象を與える嫌いがあつたのであります。殊に一部もしくは大分の学問、学界が一時は特権階級の御用機関であり、特権階級の御用任務を勤めたこともおおいがたい点があるのではないかというふうに考えられるのであります。そうした立場からいたしまして、今回日本学術会議法案がここに上程せられましたことは、この法案の実施によつてそうした学問機関、学問なるものが、眞に社会の、眞に大衆のものとなり終るための革命的の意義をもつものであると考えるのであります。從つてこれは少しく誇張的に申しますならば、まさに科学行政上のコペルニクス的轉回であるとも考えられるのであります。そういう意味合において本法案の精神と意義というものをまずわれわれは認めるのであります。法案中の各條各項にわたりましては、多かれ少かれ疑義をさしはさむべき点が多々あつてのであります。これは当局の説明によつてほぼ了解したのであります。特に問題となりましたのは、第四條の第二号に見えます政府所管の研究所、試驗所所び委託研究費等に関する問題でありますが、これらの政府所管の研究所、試驗所等の運営上の連絡というものは、科学技術行政協議会が設けられることによつて、そのよろしきを得るであろうということを説明によつて了解したのであります。從つてこの科学技術行政協議会なるものが設立されること並びにこれがよろしく運営されなければならないということを希望意見として申し述べたいのであります。 第二番目は、第十條の学術会議の部門わけにおける問題でありますが、特に注目されますのは、哲学部門に多くの人文科学分野を包括しておるということであります。但しこの部門わけはいろいろな観点から各種の解釈と意見があるのでありまして、にわかに適正妥当なる部門わけというものを判定することは容易なわざでないと考えますので、この哲学部門に心理学、倫理学、宗教学あるいは社会学、なかんづく教育学が含まれるものであるということを了承したのであります。 次に第十七條の会員の選挙権及び被選挙権についての問題であります。このうち本條の第一項第三号における「その他の研究歴五年以上の者」というこの項であります。この項の規定するところには、公私の試驗所もしくは究研所あるいはこれと同質同位と認められる学術機関において研究歴五年以上もつものである。しかもこの認定は選挙管理委員会において行わなければならないものであるという説明もこれを了承することによりまして、この項に賛同するものであります。 最後に、本法案中最も大きな問題とされなければならなかつたのは第二十四條の日本学士院に関する規定であります。從來の日本学士院すなわち現存の学士院の改廃ということは、これは日本の学界の民主化に伴うて必然的に行われなければならないものと考えるのであります。学界における現存の学士院は、枢密院学存在であり、裏御所的存在であるというそしりも坊間多く聞くところなのであります。そこで、この学士院を日本学術会議の一機関として規定するということは当然だろうと考えるわけであります。但し、現在の日本学士院側からは、本法案の規定に対しまして相当の意見が開陳されたのであります。この学士院の意見なるものは、われわれはこれを重要な参考資料とすることには努めたのでありますが、全面的にこの意見を取入れるという点まで賛同するわけにはいかなかつたのであります。そこで、本條の第三項の「日本学士院は、日本学士院会員をもつてこれを組織する。」及び四項の「日本学士院会員の数は、百五十人とし、日本学術会議がこれを選定する。」という規定は、このまま存置いたしまして、強い希望意見といたしまして、日本学術会議創設準備委員長より内閣総理大臣あてに提出されましたところの日本学士院会員の選定方法に関する覚書を実行されることを要望するのであります。その理由といたしましては、日本学士院は日本学術会議の一機関であります。しかも本法案の規定するところでは、これはどこまでも名誉的機関であり、碩学の優遇機関であります。從つて名誉機関であり、碩学の優遇機関でありますならば、これの扱いについては、これを構成する上の手続につきましては、日本学術会議なるものがその総意によつて決するのが至当であると考えるのであります。けれども、学士院は創設以來多くの功績を学界に残し、なお今後もその活動とその存在の意義が認められるわけでありますがゆえに、ここに名誉機関として学術会議内に置くということ、但し法は久しく改めないで済むべき法をつくることが立法の理想といたしますならば、日本学術会議が生成発表することによつて、ここに日本学術会議と、その一機関であるところの日本学士院との間の連絡、調整、協力というものが円滑に進められるに從つて、日本学士院側の申出であるところの御意見の意味する点は漸次に解消されていくものであると考えるのであります。かような立場より、本條の規定はそのままといたしまして、特に強い希望的意見といたしまして、ただいま申しました覚書を実行実施いていかなければならぬということを申し添えたいのであります。 なお二、三触れるべき点があるかとも存じますが、大体以上の意見をもちまして、日本社会党は原案に賛成するものであります。
○松本委員長 西山冨佐太君。
○西山委員 日本学術会議法案は、科学を政治及び産業に反映せしめるために、また民主的なる点におきまして、日本再建のために革命的の適切な法案と信ずるものでありまして、かくならなければならないと考えるものであります。しかしながら、これは選挙によつて選定されるものでありますから、あるいは眞の学者を得がたい場合も想像されるのでありますがゆえに從來の学士院のもつところの碩学優遇の意義を滅してはならないと考えます。よつて日本学士院から内閣総理大臣あてに提出されました日本学士院会員の選定方法に関する覚書の意味を実行することを希望條件といたしまして、民主党は原案に賛成するものであります。
○松本委員長 黒岩重治君。
○黒岩委員 わが國の学術振興のために、学者の自主的な活動を期待することのできる制度といたしましては、本法案は望ましい内容をもつておると思います。但し從來の日本の実情から考えますと、学者の待遇はまことに薄きに失しておつたと思います。またその研究費につきましても、あまりにも過少であつたということは國民のひとしく認めるところであると信じております。せつかくの制度ができましても、その点について政府は特別の考慮を拂わなければ、佛つくつて魂を入れざる類に陷るのではないかということを憂慮するわけでございますので、特にこの点について將來の考慮が望ましいと思います。また学者自体におきましても、從來社会の一部において強く非難されておりました学閥の問題でありますが、かようなものをみずから自粛一掃いたしまして、学問に忠実な新人の進出に対して、相互のうちに期待のできるような特別の努力を拂うことによつて、國民の期待にこたえなければならぬということを強く要望するものであります。私は國民協同党を代表いたしまして、次の希望條件を附しまして、本法案に賛成をいたすものであります。 ただいま申しました、政府の学問振興に対するところの予算を、將來において國民の期待に副うだけの計上をすること。学者自体の自粛によつて、國民に期待されるところの、この制度の実をあげるように努力されること。これを前提といたしまして、第十七條の選挙権、被選挙権の資格につきまして、政府の御答弁によりますと、学歴はなくても、國家試驗に合格し、專門学校以上の卒業と同等の資格を有する者は、その選挙権、被選挙権をもつことができるというのでございますが、しかしながら法文の中へはそれを明記してございません。從つてこれが周知方については、十分に徹底をはかるようにお考えを願いたいというのであります。なお十七條の三項にあげました「その他研究歴五年以上の者」という項目の中に、いわゆる学歴のない、野にある碩学の士をも漏らさないようにするという御意図がございますのでありますが、たとえば、例をあげますと、植物学者の世界的泰斗といわれております牧野冨太郎氏のごとき、まれにあるところの篤学者は、学歴をもたずして生れるものであると思います。かような優秀な学者がもし漏れるということになりますと、國家な一大損失であると存じますので、かような点につきましても、將來は十分の配慮あらんことを希望するものであります。 なお社会党からも申されましたが、第十條の区分につきまして人文科学部の哲学部門が、その包含しておる内容があまりに廣きに失するということを私も感じます。なかんずくその中に含まれましたところの教育学は、人を育てる根本に関連をもつところの学問といたしまして、一つの部門をもつだけの存在であると考えるわけであります。これは從來の学者間の分類によりまして、哲学部門に包含されることが当然であると現在はお考えのようでありますが、將來につきましては、さらにこの点についての御檢討をも希望いたすわけであります。 以上申し上げました諸点を、特に將來の制度運用の上に御配慮あらんことを希望いたしまして、賛成をいたします。
○織田委員 過去のわが國の科学者並びに科学界というものは、行政、教育など、現実に遊離しておつたということ、並びに個々の学界における割拠主義という観点から、いま一つは敗戰國であるわが國の今日の立場というものは、乏しい資源と、そして過剩なる人口、そしてまた狹い土地という、非常なる悪條件のもとに置かれまして、動搖常ない状態でありまするが、この危機を脱却する途というのは、ただ單に今日の表面に現われた、ささいな問題のみを取扱うことによつて脱却できるのではなくして、より根本的に人間性の革新と、そうして科学技術の振興ということによつて解決されるものであると私は信じております。かかる立場からいたしまして、今回日本学術会議法ができましたことについて、この趣旨に全面的な賛成を表するものであります。以下二、三の希望條件を申し述べまして賛成いたしたいと思います。 すでに各委員から申されました希望條件のうちに、ほとんど包含されておるのではないかと思いますが、まず第一に、第一條第三号の、國庫負担の点であります。國家の財政が許す限りにおいて、極力多額の費用を國庫が負担するように努力してもらいたいということ。 それから第四條の問題、これは社会党の方からもお話がありましたが、科学技術行政協議会というものの活躍、円滑なる運営に対して多大なる希望と期待をもつておるものであります。 それから第五條において、私は質疑の際に申し述べたのでありますが、具体的なる條項として、世界の学界との提携に関する方策というものが具体的に表面化されておりませんが、特にこの点に留意していただきたい。わが國の立場というものは、歴史的に、また自然的な事情において、科学においては世界の各國に比べて立ち後れておつたのが、わが國の偽らざる現状であります関係上、特にこの点を私は強調いたしたいのであります。 それから第十條の問題、これもすでに取上げられた問題でありますが、今日政治、経済、文化、社会各般にわたつて、非常なる激動期にあります状態といたしまして、この分類の仕方は、むしろ過去の戰前の日本の学界のあり方をそのまま認めておる、少し古くさい立場であると私は思いまするが、しからば新しい立場という点においては、学会においても、また一般の情勢においても、区々まちまちで、まだこの点について安定を得ておらないといす実情じやなかろうかと思いまする関係上、私はこの問題について、私個人といたしましては、自然科学、社会科学、人文科学、こういうようなわけ方をするのに賛成をしておるものでありましたが、この点に関連いたしまして、別表の人員の割振りその他この区分の仕方という点については、今後愼重に研究し、大いに討論をして、新しい方向を発見していただきたいということを希望するものであります。 最後に、会員の選挙の第二十一條の問題であります。私が先ほど質問をいたしましたことに対する御答弁のうちに、大体学会の推薦制によるだろうというようなお話があつたのでありますが、私この点について、一つ懸鴨いたしまするのは、学会というものは師弟の関係において結ばれておるのであります。師弟の関係において結ばれておる学会において、この学会の推薦制というものは、ともすれば御老人のみがここに出てくるのではないかと懸念されるのであります。昔から新しいものの発見、あるいはいわゆる天才的な才能をもつておる人というのは、むしろ二十代、三十代において、その業績が完成されておるという事実に徴しまして、この点について新しい人、若いほんとうに能力ある人が出せれるということを考慮していただきたいと思います。ともすれば國費を使つて、過去のかつての日本の学会の弊害をなした学閥の轍を踏む危險を感じております関係上、このデ特に強く要望いたしまして、私は原案に賛成いたすものであります。
○松本委員長 久保猛夫君。
○久保委員 私は日本の過去の政治が、日本においてもそれぞれ日本学術の振興研究の機関であつたにかかわらず、平時においても、戰時においても、あるいはまた戰後においても、これを活用することを知らない政治であつたということを、非常に残念に思つておるのであります。日本の戰爭前の科学の水準が維その頂点においてはさほど世界の学術の水準に劣つておるものではなかつた、こう言われておる。戰爭にはいつて戰爭科学になつても同樣であつたと思うのでありますが、これをわが日本の政治においては一向平時産業あるいは社会福祉のためにこれを活用することがきわめて薄かつたのである。戰後におきましては戰勝國といわず、戰敗國といわず、相当文化の高い國におきましては、戰後復興のためにいかに科学技術の振興ということに頼つておるかということは、いまさら私が言うまでもありません。お隣りのソ連におきましても、すでにあの終戰後ただちに彼らが発表したソ連復興の五箇年計画の第三項であつたかと思いますが、このことを掲げておるのであります。最近の記事によりますと、すでに食糧においても、寒冷地においての食糧、稻のごときものの栽培に成功した。あるいはまたかつて不毛とされておつた砂漠地方における植物の栽培等に科学的な研究を積んでおるとか、ましてや科学兵器等においてはこれは言までもないことでありましよう。そういう努力を拂つておる。あるいはお隣りの中華民國においても、あの蒋介石が終戰後そういうことを言つておる状態であります。わが日本においてこそ戰後の産業復興、生産の増強という点から見ましても、科学技術に頼らねばならぬということは、これは絶対的なものである。にもかかわなず、一向政治の上でそれがはつきりしてこないということを、私は遺憾に思つておるのであります。一昨年の議会においても、科学技術の振興に関する決議案というのを、衆議院で満場一致これを可決しておるにかかわらず、その後それがどういう状態になつて現われてきたかという点においては、見るべきものがないのであります。私はここでくどくど申しませんが、この学術会議法というものは、大体においてりつぱにできておると私は思つております。私はこうした法案は第一に、いわゆる日本の学会の人が満足するような法案をつくることが一番よい、こういう考え方をもつておる。学者それ自身が彼らの手によつて満足するような案ができたら、それが一番よす、こういう考えをもつておつたのであります。それを基礎としてわれわれはここに案を決定すればよい。今日議会において政治家がなすことは何であるかといえば、この学術会議法という立法がここにできたとしても、日本の過去現在の政治の状態が、國民の科学なり技術なりを軽んずる傾向がある。軽んずるまではいかなくても、これを政治の上に生かして、眞に日本をゆたかにするという立場から、これを活用しようという政治意識がはなはだ乏しいこてを私は遺憾に思つている。その点においてこそ、われわれは努力すべきではないかと思う。そういうことを、このことについては考えておつたのであります。しかしながら学士院会員の選出の方法については、私の今述べたような考え方からしますと、学士院会員の方で多少異議があつたように見受けられるのでありまして、この日本学士院の会員の選定の方法は、私の希望とすれば、さつき申しましたように、その当事者が満足するような法案をつくつてやることを根本的に私はこの案に対しては考えておつたのであります。そうした観点からしましても、この学術体制刷新委員会の日本学術会議創設準備委員長である兼重寛九郎という方から、芦田総理大臣あてに覚書が來ているようでありますが、この覚書の趣旨によつて運営されんことを希望するものであります。 その他の点については私原案に賛成するものであります。
○松本委員長 これにて討論に終局いたしました。 ただちに採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○松本委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決いたしました。 なお本案についての委員会報告書の作成方に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 それではさよう御了承願います。 なお各党代表によりまする討論の中で、第二十四條第四項の運営その他についての強い御意見がございましたので、その御意見を有効適切に活かしますために、近く学術体制刷新委員会の代表者並びに日本学士院の代表者の方々をお招きいたしまして、当委員会としての強い希望意見を申し述べておきたいと思いますが、この点につきまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 ではさように決定いたします。 午前はこれにて打切りまして、休憩といたしたいと思います。 午後は一時から再開いたしまして、教育委員会法案についての審査を進めることにいたしたいと思います。 なおこの際政府委員から発言の通告がありますからこれを許します。清水局長。
○清水政府委員 ただいま満場一致をもつて日本学術会議法案の原案につきまして御賛成をいただきまして、ありがく感謝いたします。先ほど來各党の代表の方から種々に御希望かつ御意見が述べられたのでございますが、その各点につきましては、十分御意思のあるところを実現いたしますように、政府学会一体となりまして努力をいたしたいと考えております。 元來この法案の縁由いたしますところは非常に古いのでありまして、終戰後日本の学会をどうするかということは、学会自体においても、また政府におきましても、いろいろな方策を考えて論議いたしてまいつたのでございまして、その間実に三年を経過いたしまして、先ほど久保議員からお話のありました議会において議決せられた科学技術振興の決議案も、いろいろな経緯を経まして、またいろいろな意味におきまして、これを実現することができなかつたのでございますが、この民主國会においては、科学者の総意に基いて学会の再建をはからなければならないという信念のもとに、実に長い間の審議を経ましてこの日本学術会議法案に到達した次第であります。先刻來いろいろ御奬励御鞭撻のお言葉をいただきましたが、本法案が議会を通過いたしました上は、これに基きまして日本の科学技術の眞の振興に対する、また國家再建の基盤として文化國家建設の根底として日本の学術振興のために、政府学会協力いたしまして、また議会の御鞭撻御協力によりまして、必ず達成いたしたいと考える次第であります。 ここに厚く感謝の意を表する次第であります。
○松本委員長 それではこれにて休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後一時五十三分開議
○松本委員長 これより再開いたします。 教育委員会法案を議題といたし、審査を進めます。 第二節 教育委員会の会議 (委員長及び副委員長) 第三十三條 教育委員会は、委員のうちから、委員長及び副委員長各三人を選挙しなければならない。 2 委員長及び副委員長の任期は、一年とする。但し、再選されることができる。 3 委員長は、教育委員会の会議を主宰する。 4 副委員長は、委員長を助け、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を行う。 〔「質問なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 次に移ります。 (会議の招集) 第三十四條 教育委員会の会議は、委員長が、これを招集する。 2 委員二人以上の者から、書面で会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。 3 会議開催の場所及び日時は、会議に付議すべき事件とともに、委員長が、あらかじめこれを告示しなければならない。 4 招集は、開会の日前、都道府縣委員会にあつては七日、地方委員会にあつては三日までに、これを告示しなければならない。但し、急施を要する場合は、この限りでない。
○久保委員 ちよつとここでお尋ねしてみたいのですが。第二項の「書面で会議に付議すべき事件を示して」云々、これは臨時会の招集の場合を書いてありますが、そうでない場合には「書面で会議に付議すべき事件を示して」云云と、こういう事項がどこにも出ていないのですが、これは出す必要はないのか。たとえば定例会の場合です。それとその告示はどういう方法で行われるのか。任意であるかどうか。 それから「都道府縣委員会にあつては七日」とあるが、それは告示の方法によつては、私は七日というのは、定例会などの場合だつたら足らないのではないかと思うのですが、その辺お尋ねいたします。
○辻田政府委員 お答え申し上げます。第一の点でありますが、二項につきましては、これは臨時会のことが書いてありまして、定例会につきましては、三十五條の第二項によりまして、毎月一回これを招集することになつております。その具体的内容につきましては、その都度招集権者から発布されるわけであります。從つてこの内容はその都度明らかになるわけでございます。なお会議規則等によりまして、あらかじめ定例会につきましてはこまかく定めることもできるわけでございます。臨時会につきましてのみ三十四條の第二項では書いてございます。次に告示の方法でございますが、これは新聞等によつて告示されるのが普通であろうと思います。 それから七日の問題でありますが、これは地方自治法の縣会あるいは市会の招集されます日をここに援用したわけであります。
○久保委員 大体わかりました。都道府縣委員会で、学校の設置廃止という問題があります。今まで地方の町村の学校の問題で一番むずかしいのは、設置廃止の場合などであります。これはもう血を見るようなことがあり、私の縣などでは、結局村が二つにわかれて、私立の学校を建てて二年間爭つたというような歴史もあるくらいであります。そういうのを決定する場合には、一方的にきめられるということが非常に多いのです。そういうことはあつてはならないのですけれども、もし会議に付議すべき事件がここにうたつてないと、それをいいことにして、今日何があるのかわからぬ、大したことはないだろうと思つておつたら、大事なことがきめられてしまつた、こういうことがないともいえない。そういうことを私は心配して言つたわけです。 もう一つは、これも告示になるかしれませんが、なるほど新聞で七日程度でいいと思うけれども、私の縣などでは壱岐、対島、五島列島——壱岐郡、上縣郡、下縣郡、南松浦郡というあの四郡は全部島でありまして、大体秋の十一月から三月までの間は、ほとんど定期通りに船が出ない。從つて新聞などは十日、十五日ほど向うに着かないので、非常に困ることが多いのであります。そういうときには、別な方法が講ぜられるのでありましようけれども、雪國などでは——私は行國の状態は知りませんが、そういうことも考えて、七日というのはどうか、こう思つたわけです。今言つたような点について、なお御考慮があつたら承りたいと思います。
○辻田政府委員 学校の設置、廃止等の重要事件が、突然会議に持ち込まれるということがあつては適当でありません。そこでこの会議は住民の面前におきまして公開主義でありまするが、そのためにまたこの第三十四條の第三項において場所とか、日時、会議に付識すべき事件は、定例会、臨時会にかかわらず一般に十分知らせまして、その上で相当の心の準備をして会議に臨まれることになろうと思うのであります。從つて重要事件につきましても、十分審議し得ることと思つておるのであります。 次に七日の問題でございますが、これはお話のような事柄につきましては、また特別に考えなければならぬことがあるかと思いますが、地方自治法の建前をそのままここへもつてきて七日、三日というふうに規定したのでございます。
○松本委員長 他に御質疑ありませんか。次に移ります。 (定例会及び臨時会) 第三十五條 教育委員会の会議は、定例会及び臨時会とする。 2 定例会は、毎月一回これを招集しなければならない。 3 臨時会は、必要がある場合において、その事件に限り、これを招する。 4 会議招集の告示後に急施を要する事件があるときは、前條第三項及び前項の規定にかかわらず、直ちに、これを会議に付議することができる。
○久保委員 第三項「臨時会は、必要がある場合において、その事件に限り、これを招集する。」「その事件に限り」という言葉を特別にここに入れてありますが、その必要はないように私は思います。なぜ特別にここに入れられたのでありますか。
○辻田政府委員 この会議は定例会と臨時会とありますが、定例会につきましては毎月一回開きますので、大体のことは定例会において審議されることでと思うのであります。ただ特別の必要が起りましたときには臨時会を招集しなければなりませんが、その場合には、その事件に限つて、議事を進める方が能率的であるというふうに考えたのであります。
○久保委員 私の言うのは、たとえば懸案になつておる問題があるとか、臨時会をやつたついでに、あれも片づけようじやないかという問題が実際は起ります。それを付さないということになるのでありますか。その事件に限るということがはいつておりますと、前に定例会で十分でなかつた問題があつて、その次に臨時会を招集する必要が生じてきた。その事件は大体一時間か二時間で片づいた、ちようどよい機会だから前の事件をこの際会議にかけようじやないかというときに「その事件に限り」という言葉がありますと、それはかけられないということになる。それでこの言葉は非常にこれを拘束するように思うのですが、それを特に入れなければならなかつた理由を、そういう場合が起つてくるから実はお聽きするのであります。
○辻田政府委員 そういうお話のような場合に、それが非常に急を要するような場合においては三十五條の四項によつて、特に会議の議に付することができることになつておりますが、それほど急施を要する場合でない事件については、定例会に讓るというふうにしてもらいたいと思います。
○田淵委員 その事件というのは、前條に掲げられておるものを指すのですか。
○辻田政府委員 前條に掲げてあります事件であります。
○田淵委員 同條に示されておるのであればその事件と申してよいのでしようが、前條にある場合にはこれは私は言葉の不備ばかりを拾うようですが、ちよつと表現が不備なのではないか。
○辻田政府委員 私の説明が十分でありませんでしたが、三十四條の第三項の「会議に付議すべき事件」というのは、この文章としましては臨時会の招集をする場合には、その内容がわかつておりますので、この臨時会に付せられるその事件という意味であります。
○松本委員長 では次に移ります。 (会議の定足数) 第三十六條 教育委員会の会議は、在任委員の半数以上が出席しなければ、これを開くことができない。但し、同一の事件につき再度招集しても、なお半数に達しないときは、この限りでない。 よろしゆうございますか。 〔「異議なし」と呼で者あり〕
○松本委員長 次に移ります。 (会議の公開) 第三十七條 教育委員会の会議は、これを公開する。但し、委員の発議により、出席委員の三分の二以上の多数で議決したときは、祕密会を開くことができる。 2 前項の委員の発議は、討論を行わないで、その可否を決しなければならない。
○松本(七)委員 「祕密会を開くことができる。」という規定を置いた理由をお尋ねいたします。
○辻田政府委員 この教育委員会が、会議制の行政機関でありまする性格から考えまして、審議をいたします内容につきましては、祕密を要える場合も当然起つてこようと思います。たとえば人事等につきまして、公開することを適当としないような場合に、この祕密会を開くことができるというふうにしたいと思つております。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 では次に移ります。 〔議決の方法〕 第三十八條 教育委員会の議事は、出席委員の過半数で、これを決する。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 では次に移ります。 (議事参與の制限) 第三十九條 教育委員会の委員は、自己又は配偶者若しくは三親等以内の親族の一身上に関する事件については、その議事に参與することができない。但し、会議に出席し、発言することができる。
○圓谷委員 「その議事に参與することができない。但し会議に出席し、発言することができる。」という意味は、議事の決議に参與することができないという意味と思うのですが、いかがでしようか。
○辻田政府委員 さようでございます。
○圓谷委員 そうすると議事には参與できるのですね。そこのところの意味は、発言して議事に参画ができるのですか。議事に参與するこのがどきないとして、あとに「会議に出席し、発言することができる」とあるが……。
○辻田政府委員 会議に出席して発言することはできますが、表決をすることはできますが、表決をするとか、あるいはその他会議として一つの意思を決定えるときに、その議事に参與することができないというのであります。
○圓谷委員 そうするとこの文章では、やはり会議に出席して発言することができれば、議事に参與できるじやないですか。それで議事には参與することができないのですか。
○辻田政府委員 三十九條にありますような事件につきましては、この事件自体の議事に参與することができないという大原則でありまして、ただその場合に、その会議に出席しまして意見を述べるとか、あるいは一身上の弁明をするというようなことだけはできるという意味であります。
○圓谷委員 会議に出て発言して意見を述べれば、議事に参與するのじやないですか。そこのところを聽くのです。そうすると前段の文章と矛盾を來すじやないですか。
○辻田政府委員 議事に参與するという意味は、表決権まで行使するというふうに解釈いたしまして、この議事の参與の中には、表決にも議決にも参與するということを含めた意味にとつておるわけでございます。
○松本委員 これはこうではないのですか。議事に参與すると会いてあるが、意見があるなら出席して発言するけれども、終始その議事に参與するわけにはいかないのでしよう。参與ということは、そういうことでない。決議に加わることができないという意味ではないように解釈されるのです。だから意見があるなら意見を陳述できるが、始終議事に参與しておるわけにはいかないというふうに解釈されるわけではないのですか。そこのところをもう一度お尋ねいたします。
○辻田政府委員 ただいまお話がございましたような意味に解しております。
○田淵委員 蛇足でありましようが、私はこの規定はこれでいいのだろうと思います。議事に参與するということは、一人の議員がその会議において認められることなのです。從つてこれの発言ということは、会議としては無視することはできないのであります。ところが議事に参與しないで発言するという場合は、これを無視する、しないは、その会議そのものの判断一つできまることなのであります。そういうことだから、私はこの規定はこれでいいじやないかと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 では続けます。 (会議規制) 第四十條 教育委員会は、会議規則及び傍聽人規制を設けなければならない。 2 この法律に別段の定がある場合を除いては、教育委員会の会議に関する事項は、会議規則でこれを定めることができる。 御質疑ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 では次り移ります。 第三節 教育長及び事務局 (教育長) 第四十一條 教育委員会に、教育長を置く。 2 教育長は、別に教育職員の免許に関して規定する法律の定める教育職員の免許状を有する者のうちから、教育委員会が、これを任命する。 3教育長の任期は、四年とする。但し、再任することができる。 御質疑ございませんか。
○織田委員 教育職員の免許に関して規定する法律というのは、私十分こまかいことは知りませんが、今までは小学校の教員資格とか、中学校の教育資格とか、高等学校の教員資格とか違つておつたのですが、その点どうなつておるのですか。
○辻田政府委員 「別に教育職員の免許に関して規定する法律」と申しますのは、新しく教育職員免許法というような法律が近く予定されておるのでございますが、その中には、大学の先生以外のすべての先生につきまして、免許に関する規定ができるわけでございます。それは学校教育法に根拠があるわけであります。從つて一應教育職員免許法には、本体としまして教員の免許に関する規定が大部分を占めるのであります。この教育長はその專門的な知識、技能をもつておらなければならないという教育長の性格から考えまして、教育職員の免許法にその資格なり免許について必要な規定を設けることが妥当であるという考えのもとに、目下研究いたしておりまする教育職員免許法には、そのことを考慮していよわけでございます。從つてその法律ができまするならば、それではつきりいたすわけでございます。ただその法律ができますまでの措置といたしましては、別に附則の方の八十二條に適当な規定を若干加える必要があると思いまして、政令で定める資格を有する者の中から教育長を任命するというような規定が必要であると思います。
○織田委員 その新しく出そうと予定している教育職員の免許法といいますのは、從來のように小学校教員の資格、中学校教員の資格、高諭学校教員の資格というようにわけているのですか。それともこの免許を、資格さえあれば小学校でも中等校でも高等学校でもできるという一本建になつているのですか。わけているとすれば、教育長というのは、どれか一つをとつておればいいのですか、その点お伺いしたいと思います。
○辻田政府委員 教育職員免許法案は、まだしつかり定まりませんので、法案の内容につきまして今詳細に申し上げることは困難でございますが、ただ教育長として必要な免許状を規定することになると思います。從つて小学校あるいは中学校の先生の免許状があればだれでも教育長になれると言うのではなくて、むしろ教育長としてこういう資格が必要である。この者にはこの免許状を與えるということになる予定でございます。
○織田委員 そうすると結局この條項の審議は、教育職員の免許法というものができなければ、私たちに審議できないことになるのではないかと思いますか、その点お伺いいたします。
○辻田政府委員 教育職員免許法が出ますまでの間につきましては、先ほど申しましたように、附則で経過規定をつくりまして、そこで処理するようにいたしたいと思つております。それができました暁には、もちろんその規定によつてやることになると思います。
○織田委員 それは措置としてはそうでしようか、たとえば教育職員の免許状を有する者のうちから教育委員会がこれを任命するというこの條項を、われわれが賛成できるかできないかというのは、結局教育職員免許法の内容がきまらないことには、われわれ責任ある賛成か否かということを決定できないと思いますが、その点重ねてお伺いいたします。
○辻田政府委員 経過的な教育職員の免許法につきましては、できるだけ早い機会に提出して、皆樣の御審議を願うことになると思いますが、それまでの間におきましては、ただいま申し上げましたように、政令によつて資格を定めまして、その者の中から任命することになると思います。その間におきまして附則の第八十二條に規定がありますように、たとえ免許法ができましても、その免許法にそのまま合致する人が、すぐにはなかなか得にくいような事情もあると考えますので、八十二條はそのために特に規定してわけでございます。從つて、かりに免許状がなくても、委員会が適当と思う人を任命することができるように、八十二條で規定しているわけでございます。
○織田委員 普通の教育職員の免許でなくして、教育長としての資格というものを特別につくるとすれば、この項目は非常に重大な問題ではないかと思います。教育長としての資格が非常に限られた範囲内からしか出ないということになり、またこの法案全体をながめいみますと、教育長というものはすべての実権を握つているかつこうになつております関係上、教育長の資格をどの程度に考えているのか、それがわからぬ限り、審議は進められないと思います。
○辻田政府委員 教育長の必要な資格と申しますか、免許状をもらうに必要な條件と申しますか、それにつきまして目下考えております事項は、大学で一定の教育行財政の学科を修めたり、また一定の実務経驗をもつている者、第二は教育行財政関係の職員で、一定の教育課程を経たる者、また教員で一定の教育行財政の課程を経た者というふうに今予想しているわけでございます。
○松本(七)委員 さつきの局長の答弁では、はつきりした教育職員の免許法ができるまでは学識経驗のある有能な者を登用することができると解釈してよろしゆうございますか。
○辻田政府委員 さようでございます。
○松本委員長 次に移ります。 第四十二條 教育長は、教育委員会の指揮監督を受け、教育委員会の処理するすべての教育事務をつかさどる。 これについて御質擬はありませんか。
○圓谷委員 「教育長は、教育委員会の指揮監督を受れ」とあるのですが、「指揮」とは指図を受めることです。ところがこのあとの條項にいきますと、「教育委員会は、教育長の助言と推薦により、左の事務を行う。」として、十八ばかりの権限を附與されています。ここは「指揮」という文字は要らないと思います。「監督を受れ」ということにならないと、かえつて教育長が委員会を助けてやつているように思われるのですが、御当局の御答弁を求めます。
○辻田政府委員 教育長は、先般の会議でも申し述べましたように、大体二つの性格があるわけであります。一つは教育長自体といたしまして、教育委員会に対して助言と推薦をする、いわば專門的な知識支能をもつている人でありますから、その面からの補佐をするという意味の性格であります。それが四十九條にある点でございますが、四十二條はもう一方の性格をうたつているわけでございまして、教育委員会におきまして決定いたしました事項を、事務といたしましてそれを処理しなければなりませんが、その場合に教育委員会の指揮監督を受けまして、事務をとるということであります。
○圓谷委員 わかりました。
○松本委員長 次へ移ります。 (事務局) 第四十三條 教育委員会の裏務権限に属する事項に関する事務を処理させるため、教育委員会に事務局を置く。 (事務局の部課) 第四十四條 都道府縣委員会の事務局には、教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課を置く。但し、教育の調査及び統計に関する部課並びに教育指導に関する部課は、これを置かなければならない。 2 地方委員会の事務局には、教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課を置くことができる。
○松本(七)委員 先般第四十四條中に会計課及び土木課を置くことは許されないと規定するという有力な修正意見が出されたのですが、これについてはその他の点と併せて政府も研究しておくという御答弁でありました。この四十四條の原案では、「教育委員会規則の定めるところにより、必要な部課を置く」と明記してございます。「発要な部課を置く」としてあるのに、なぜことさら土木課及び会計課を置くことを許されないという法文を規定しなければならないか、ちよつと了解できないのですけれども、法律の体系というか、そういう点から必要な部課を置くという規定でいいじやないか。この点に関する政府の御意見を伺いたい。
○辻田政府委員 有力な修正案として会計課及び土木課を置かない、あるいは置いてはならないというふうな規定をすべきであるということについての意見でございますが、おそらくその趣旨は、推察いたしますところ、会計課とか土木課というふうな比較的その教育に直接的には関係が薄い、いわば技術に属するような課については、あるいは場合によつたら、縣であれば縣のそういう課等と連絡してその技術を活かすというふうにすればよいではないかという趣旨からではないかと推察されるのでありますが、お話の通り、必要な部課を置くことは認められておるわけでございますので、必ずしもそういう規定は必要でないと思うのでございます。ただ実際に実情としては、必ずしも会計課及び土木課というふうな名前のものを、この委員会事務局に置く必要はないのでございまして、必要な仕事ができればよいわけだと思います。從つてなお分析して考えますと、会計課について申しますと、会計課に関しましては、その出納事務は出納長または收入役が掌ることになつておりまして、委員会においては、それに対し支出については命令をすることができます。從つてそういう意味において、会計課というものを特別に置く必要がないというふうに考えたのであろうと思うのであります。 從つてこの会計課というものを必ず置かなければならないとは思つておりません。 次に、土木課の件でございますが、これにつきましては、四十五條の事務局の職員の中に建築その他必要な事項について專門職員を置くということになつているのでありまして、從つて必ずしもこれも名称としての土木課というふうなものを置く必要はないかもしれませんが、学校建築その他の事項について專門的な職員がおりまして、それによつて適当な実施並びに指導の面に当ることは、当然なければならないと思つているのでございます。
○松本(七)委員 そうすると、かりにこの四十四條の中に会計課及び土木課を置くことは許されないという規定がはいつても、実際の運営にあたつては差支えないという御意見ですか。
○辻田政府委員 結論としては、さようでございます。
○水谷(昇)委員 ただいまの局長の御答弁によりますと、支出の命令を出すことができるというふうに言われたのでありまして、会計課を置くことができないというのでありますが、そこでこの委員会は支出命令を出納長に出す権限があるかないか。あるとすれば、そういう規定はどこにあるのか。 それからその決算については責任はどうするのか、またその規定はどこにあるのか。その点を御説明願いたいと思います。
○辻田政府委員 ただいまお尋ねになりました点につきまして、まず委員会が出納長または收入役に支出を命令することのできる規定でございますが、これは五十九條にございまして、その所掌にかかる配当の範囲内で、支出を出納長または收入役に命令することができることになつております。 それから次に、決算の問題でございますが、これは五十八條に予算の執行という規定がありますが、この五十八條によりまして、地方公共團体の議会において予算を議決しました場合には、その地方公共團体の長は、教育委員会の所掌にかかる予算について、当該教育委員会に配当しなければならないということになつております。すなわち、地方公共團体の長が委員会に配当をいたしまして、その配当の範囲内において教育委員会は支出するのであります。從つて決算につきましては、配当の責任を地方公共團体の長がもつております関係から、当然決算についての責任は、地方公共團体の長がもつていることになつております。
○圓谷委員 そうすると、万一出納において不正な事件等が起りました場合には、支出命令は委員会が出す。しかして万一不正その他のときの責任は町村長が負うというふうに解釈してよろしゆうございますか。
○辻田政府委員 五十八條の配当の意味でございますが、これは予算の執行権を当該教育委員会に委任したという形になるのであります。從つてその委任した地方公共團体の長が、あくまでも最終的な責任をもつているわけであります。
○織田委員 「教育指導に関する部課」とありますが、どの範囲までの教育指導をやろうとしておるのですか。
○辻田政府委員 教育指導に関する範囲でございますが、これは四十五條に「事務局の職員」としてありまして、そこに指導主事以下のことが書いてありますが、この指導主事は純粋の学校の指導に当るのでございまして、人事その他の行政事務には携わらないのでございます。從つて教育内容につきまして一種の助言をするというようなことに相なると思います。
○松本委員長 質疑はありませんか。——次に移ります。 (事務局の職員) 第四十五條 都道府縣委員会の事務局に、指導主事、教科用図書の檢定又は採択、教科内容及びその取扱、建築その他必要な事項に関する專門職員並びにその他必要な事務職員を置く。 2 地方委員会の事務局には、都道府縣委員会の事務局に準じて必要な職員を置く。 3 前二項に規定する職員の定数は、当該地方公共專体の條例で、これを定めなければならない。 4 第一項及び第二項の職員並びに学校の事務職員は、教育長の推薦により、教育委員会が、これを任命する。 第四十六條 指導主事は、教員に助言と指導を與える。但し、命令及び監督をしてはならない。 第四十七條 教科用図書の檢定又は採択、教科内容及びその取扱、その他特殊な事項に関する專門職員には、教員をもつて、これに充てることができる。但し、その期間中は、教員の職務を行わないことができる。 御質疑はありませんか。
○久保委員 四十七條ですが「特殊な事項に関する專門職員には、教員をもつて、これに充てることができる。但し、その期間中は、教員の職務を行わないことができる。」と、こうなつております。これは小学校、中学校関係、あるいは高等学校関係の專門職員がおるだろうと思いますが、実際問題として地方教育委員会で專門職員を任用する場合に、その区域内で適当の人が求められないというようなことが起つてくるだろうと思う。そういう場合には、やはりその区域内に轉勤してもらつて、そこの学校の中に籍を置かねばならないのではないかと思いますが、いわゆる経費関係、経費の負担など、その辺はどうなるのですか。
○辻田政府委員 お話のようなことが起ることはあろうと思います。ただその前に申し上げますが、この地方委員会におきましては、必ずしも全部の專門職員をそろえなければならぬことはありません。しかし、そろえる場合におきましては、ただいまお話のございましたようなことも起ると思いますが、その場合には、甲の委員会と乙の委員会と申しますか、教員の勤めているところの地域の委員会と、これを專門職員として頼む方の委員会との両者がよく相談いたしまして、経費の関係とか、あるいは勤務の関係とかを相談して、実施ができると思います。四十九條十三号に「教育事務のための契約に関すること。」とありますが、この両者の構成團体あるいは委員会間におきまして契約を結びまして、そこで話合いがつけば結構だと思います。
○水谷(昇)委員 專門委員に教員がなつたときには、俸給のほかに手当をつけることができるかどうかということと、それから「教育内容及びその取扱」とありますが、教科内容をどうするのか、ちよつと意味がわからぬと思います。説明してください。
○辻田政府委員 まず手当の問題でございますが、手当につきましては、出すことがいけないという規定は、ないのでありまして、從つて俸給のほかに必要な場合は、もちろん手当を出すこともできると思います。第二の問題の教科内容及びその取扱とありますが、これは基準の大綱につきましては、文部省し申しますか、中央の教育行政機関できめましてそれを地方にお示しする。そのお示しした内容の範囲内において、教科内容をその土地の事情に合わせるように適当に取捨選択いたしまして、それによつてその土地の事情に合うような事項を採用するというようなことの仕事をもつておるわけでございます。從つてその取扱いについて個々の場合の取扱いと、その地域全体を統轄する取扱いというようなことにつきまして、やはり專門的な知識技能が必要でございますので、そのために專門職員を置くというようにしたのであります。
○水谷(昇)委員 私もそういうふうに想像しておつたのでありますが、それならば教科内容の取捨選択とか何とかいう文句をここに入れなければ、意味をなさぬのではないかと思いますが、いかがですか。
○天城説明員 「教科内容」という言葉は、いろいろ解釈があるようでありますが、われわれの解釈といたしましては、ここに言つております教科内容は、各教科の教材を系統的に配例した、いわゆる教材構成という意味に考えております。教材構成は、全國につきましては國が定めまして学習指導要領等によりまりして、最低基準を定めてございますが、これにその地方々々の特殊性を加味いたしまして、具体的に定めるわけであります。それをやるのが教育委員会の任務だと考えておるのであります。
○水谷(昇)委員 いずれにいたしましても、「教科内容」というただけでは、その内容をどうするかということはわからない。たとえば「教科用図書の檢定」といえばわかる、「採択」もわかつておりますが、「教科内容」だれでは意味がわからぬと思います。その構成なら構成、取捨選択なら取捨選択という言葉を、ここに入れなければ、はつきりしないと思いますが、どうですか。
○辻田政府委員 お話の御趣旨はよくわかりました。今の点は私たちといたしましては、四十七條を碎いて申しますと、教科内容に関する專門職員、あるいはその教科内容の取扱いに関する專門職員というように「関する」ところに專門職員をもつていきましたために、そういうような教科内容に関する專門職員でわかるような氣がいたすのであります。
○田淵委員 ただいまの質問は、そういうのではないと思うのであります。教科内容に関すると「関する」に続くのでありましようが、教科内容に関するという言葉がわからない、そういう質問だと思います。教科内容に関する專門職員というだけでは、それは内容のことに関してあれこれする職員だということになるのでありまして、これは舌足らずの言い方だというふうに私は思います。そういう質問だと思いますが、私からも重ねてお尋ねいたします。
○辻田政府委員 重ねて申し上げますが、教科内容に関する專門職員でわかるというふうに解釈したために、こういうふうな規定になつたのでありますが、その教科内容に関する專門職員ではわからないということでございましたならば、その点は適当にわかるようにしなければならぬと思います。
○松本委員長 では次に移ります。 第三章 教育委員会の職務権限 (教育委員会の所管) 第四十八條 都道府縣委員会は、都道府縣の設置する学校その他の教育機関を、地方委員会は、当該地方公共團体の設置する学校その他の教育機関をそれぞれ所管する。 (教育委員会の事務) 第四十九條 教育委員会は、教育長の助言と推薦により左の事務を行う。 一 学校その他の教育機関の設置及び廃止に関すること。 二 学校その他の教育機関の運営及び管理に関すること。 三 教科内容及びその取扱に関すること。 四 教科用図書の採択に関すること。 五 教育公務員の任免等に関する法律(昭和二十三年法律第 号)の規定に基き、校長及び教員の任免その他の人事に関すること。 六 教育委員会及び学校その他の教育機関の職員の任免その他の人事に関すること。 七 教員その他教員関係職員の組織する労働組合に関すること。 八 学校その他の教育機関の敷地の設定及び変更並びに校舎その他建物の営繕、保全の計画及びその実施の指導に関すること。 九 教具その他の設備の整備計画に関すること。 十 教育委員会規則の制定又は改廃に関すること。 十一 委員会の所掌に係る歳入歳出予算に関すること。 十二 教育目的のために基本財産及び積立金の管理に関すること。 十三 教育事務のための契約に関すること。 十四 社会教育に関すること。 十五 校長、教員その他教育職員の研修に関すること。 十六 証書及び公文書類を保管すること。 十七 教育の調査及び統計に関すること。 十八 その他法律に別段の定のない、その所轄地域の教育事務に関すること。
○松本(七)委員 前後して恐縮ですが、四十八條でちよつと質問したいことがあるのでお許し願います。四十八條でも有力な修正意見が出ております。それは、「当該教育委員会間の取極により、都道府縣の新制高等学校を地方教育委員会に、又市町村の新制高等学校を都道府縣教育委員会に移管することについて規定する」としたらどうかという意見が出ております。これについて政府の意見を求めます。
○辻田政府委員 四十八條に対して有力な修正意見がございます。この点に関しましては、一應文書の上では当然のことをうたつてあるように思われますが、必ずしもわが國の法制としては必要ないのではないかというふうに思うのであります。しかしこれはそういう規定がありましても差支えはないと考えます。
○織田委員 私はこの第三章の教育委員会の職務権限というのは、第二章と交代になるべきではないかと考えるものであります。この教育委員会の事務を見ますときに、大体今日の縣廳の学務部なんかのやつておることとそう変らないことであつて、この教育委員会法案が提案されておる第一條の「教育が不当な支配に服することなく」という、この中には、私は最も被害をこうむつたのは教育者みずからではないかと思います。教育者みずからが不当な支配を受けておつたということを感ずるものであります。填理とか正義とか、その時その時の流れを超えて、より高いものを求めていかなければならない教育者がその時この権力者に右顧左眄し、その時の権力者に常に使われてきており、また一々教える内容に至るまで指揮命令されて、教育は一個の道具にしかすぎないというのが過去の実情であつたのではないかと思います。そういう点を考えてみましたときに、教育の内容とか運営とか、教科内容の選択とか、こういう権限を教育者自身または教育者の團体に委讓しなければならないのではないかと考えておるのです。この四十九條をながめてみますと、ほとんど今までのあり方とちつとも変つておらないと感ずるのでありますが、この点について答弁を願います。
○辻田政府委員 四十九條の各号は教育委員会の指示事務についてうたつておるわけでありますが、この根拠はもちろん本法案の第四條を基礎としてやつてきておるわけでございます。從つてこの教育委員会が行政機関として事務をとる場合には、こういうてうな事項について事務をとるということを規定したわけでありまして、今まで教育者が抑えられておつた、それについて不当な支配に服しないように適当な方法を織り込むべきだという御趣旨はよくわかりまするが、ここでは事務の面から見ました教育委員会の仕事を書いておるので、その点は矛盾しないと思います。
○織田委員 そうすると逐條的に質問いたしますが、まず第一番に「教育長の助言と推薦により、左の事務を行う。」そうすると教育長の助言と推薦がなければこれ以下の事務が行えないわけですか。
○辻田政府委員 さようでございます。
○織田委員 そうすると非常にこれは教育長の権限が強くなつて、委員会の委員会の委員会の委員というのは権限が弱まると私は考えるのです。教育委員会でこういう問題を取上げるときに、別に教員長の助言と推薦というこの項目は必要ないと私は考えるのです。続いて第一号並びに第二号は教育委員会の所管事務としていいと思いまするが、この前の四十七條で「教科内容及びその取扱」というのが問題になりましたように、この第三号の「教科内容及びその取扱に関すること。」及び第四号の「教科用図書の採択に関すること。」この事項は教員あるいは教育者團体に委譲していい。教育委員会はむしろその基礎的な、設置とか管理とかいう方面に携わるべきで、教科の内容とか運営とか、図書の選択、こういうものは教員あるいは教育者團体に委譲していいと考えるのでありますが、この点御答弁願いたいと思います。
○辻田政府委員 四十九條によつて教育長が強くなり過ぎて、教育委員会の委員はかえつてロボツト的存在になるのではないかという御心配でございますが、この点につきましては、たびたび申上げますように、教育委員会が絶対の権限をもつておるわけでございまして、教育長は助言と推薦をする。要するに專門的な立場から教育委員会で意思を決定されます場合に補佐的な役割をするというでけでございまして、必ずしも助言というが——助言し推薦をしなければなりませんが、その教育長の原案通り教育委員会がのまなければならぬということではないのです。從つて教育委員会の会議におきまして、教育長が原案を出す場合もございましようし、また委員会の委員の方から原案を出されることもあると思います。その場合に專門的な立場から教育長が助言と推薦をするということであつて、その点は必ずしも教育長が原案をつくつて、それを教育委員会がうのみにするというようなことはない。教育委員会は、地方の教育行政に関しましては、最高の執行機関でございます。その点を御了承願いたいと思います。 それから次に四十九條の第三号、第四号の問題につきましてお尋ねでございますが、三号につきましては先ほど四十七條のときに申しましたような趣旨でございまして、その意味は先ほど申しましたような趣旨でございます。ただ三号、四号のようなことは教育者自身に任すべきではないかという御意見でございますが、この点は最終的には教育者が自身できめられる問題かと思います。しかし國として一定の基準についての大綱を定めまして、その範囲内におきまして、また地方々々によりまして、それぞれその地方の実情に合うように内容をきめまして、それを今度実際兒童あるいは生徒に対して教育をする立場におきましては、先生がその範囲内において適当に取捨選択して教育をなさるわけでありますが、この地方を一丸とする教育内容あるいはその他取扱い、あるいは教科書、教科用図書の採択というようなことにつきましては、教育委員会でやるのが適当だと思うのであります。なお、この教育委員会におきましてそういう事務を行います場合には、特にその道の專門家を煩わしまして、その意見を十分聽いてやります。また必要な場合には教員の方にも加わつていただいて実施することになりますので、その点は実情に合うような取極めができるのではないかと思うのでございます。
○黒岩委員 この法文を通じて考えますに、監督の責任者というものが一切ないようになつております。命令とか監督とか、民主主義の社会では好ましいものではないと思いますけれども、秩序を維持する上には必要なものではないかと思います。委員会が任免その他の人事を行うということはありますが、それは事務であります。校長を任命する場合に、だれが適当であるかということを決定することはできないと思います。たれが適当であろうということがきまつて、その事務をとるのが教育委員会である。かような解釈をいたしますときに、その決定をする権限は一体だれがもつか、その点について御答弁を願いたいと思います。
○辻田政府委員 まだ提案理由の御説明をいたしていないのでございますが、第五号に規定してありますように、教育委員の任免等に関する法律案が國会に提出されておりまするが、この教育公務員の任命等に関する法律案の内容に、そのことについて書いてあるのであります。それによりますと、教員の資格をもつておる人といいますか、教員の免許状をもつておる人々につきまして、教員の候補者名薄というふうなもの、教員の志願者名薄をつくりまして、その志願者名薄の中から教育長が適当だと思う人について案をつくりまして、委員会におきましては、その点を十分審議いたしまして、それに対して是であるか非であるかということをきめまして、適当に処理されるわけでございます。
○黒岩委員 手続のことはわかりましたが、教育長に監督の権限はないと思います。しかしながら任命をする権限は別の法律によつて定められておる。かりに校長や教員の中に不祥事が発生した場合に、それがはたして服務に関する規定に違反するかどうか、またそれを不祥事として認定することが適当であるか否か、かような問題について取扱う権限はどこにありますか。
○辻田政府委員 教員につきましては、教育公務員の任免等に関する法律の中に、その服務に関することについれも若干の規定がございまして、この服務に反するような場合が起つたときにおきまして、それをどういうふうに処置するかということにつきましては、教育委員会が任命権者となつておりますので、その教育委員会自体がそれぞれ適当に処置するわけでございます。
○黒岩委員 臨時に学校を閉鎖するような事態が起つた場合に、命令を出す権限はどこに規定されておりますか。
○辻田政府委員 ただいまお尋ねのような事件につきましては、学校教育法にその根拠の規定がございまして、たとえば法令の規定に故意に違反したときとか、法令の規定により監督廳のなした命令に違反したときとか、六箇月以上授業を行わなかつたというような事項がありましたときには、学校の閉鎖を命令することができる規定になつております。これは学校教育法の十三條に規定してございます。
○黒岩委員 法に違反したときはわかりましたが、たとえば傳染病が発生したとか、それから天災その他の事変によつて、あたりまえの授業を行わなければならない日に授業をやめるというような場合の命令であります。それが教育委員会において発することができるかどうか、その規定であります。
○辻田政府委員 ただいまお話のような事項が起りました場合には、教育委員会で処置ができるわけであります。
○黒岩委員 それらが法律に定めるところによつて命令や監督ができるという、その表現がどこかになければ、この法を見ても「事務を行う」というだけでは、はつきりそうしたことがわからぬと思います。そこらの点についての御意見はどうですか。
○辻田政府委員 教育委員会制度の根本といたしまして、相互の教育会間におきましては、特別の事項を除きましては、命令とか監督とかいうふうな関係は規定していないのでございまして、そういう意味において対等の申しますか、平等と申しますかの地位にあるわけでございます。從つて人事等においても、從來と異なりまして、府縣の委員会と地方の委員会との間におきまして、上下の関係はないわけでございます。從つてその委員会自身がこれを処理するということでありまして、委員会が民主的に選出された委員をもつて構成され、それに特別の場合以外は全権を任せるという第前になつておるわけでございます。從つてただいまお話のような場合が起りましたときには、一つ一つの具体的な事項について、こまかく規定してはありませんが、四十九條の第十八号のところに、特に法律で別段の定めがない場合には、その所轄する地域の教育事務に関することは、一切この教育委員会で事務をとるということをうたいまして、それでその他いろいろの事項がございますが、その場合にはそれによつて処理するという考えでございます。なお四十九條の権限の根拠は、この法案の第四條に基きまして、そこで教育委員会が教育事務を管理し、執行するというところに根拠があるわけでございます。
○黒岩委員 十八号にあります「その所轄地域の教育事務に関すること。」というこの教育事務の中において、今私が質問したことについて、從來命令と解しておつたような事柄についても、教育委員会に行えると解釈してよろしゆうございますか。 それからもう一つ、現職教員の意思を反映させるところの方法としては、四十七條の專門職員には教員をもつて充てることができるということのみに限ると見ております。父兄代表としての委員は、父兄側の意思の反映は十分にできるだろうと思いますが、現職の教員が委員になることはできないというような規定でございますから、教員全体の意思表示をこの委員会の中へ反映させる必要がありはしないかと思います。この点についての御見解を承りたいと思います。
○辻田政府委員 お尋ねになりました事柄の第一の点の傳染病その他が起つた場合に、これについて緊急に命令をする必要がある場合に、四十九條の十八号の規定だけで十分であるかというお話でございます。この点につきましては学校教育法の方にそういう場合の規定があると思いますが、後ほど條文を御説明いたします。それから次に現職教員の総意を委員会の仕事の上に反映すべきではないかというお話でございますが、その点もごもつともなことと存ずるのでございます。教員の結集した総意はどこに出てくるかということにつきましては、にわかに條文的に説明することは困難でございますが、教育者が委員を選挙される場合に、最も適当だと思われる委員につきまして、選挙権を行使する場合に、一つの意思表示ができるということがあると思います。なお次にただいま御指摘がありましたように、四十七條のところで專門職員を教育が兼ねることができるのでありまして、そのときに教育者としての專門的な立場から、十分意思を反映することができると思うのでございます。
○黒岩委員 教育者が信頼のできる委員を選挙するということで、教育者の意思が委員会の仕事の上に十分に反映するとは、私は解釈できぬのであります。これは大体において信頼できる人物ということは、選挙によつてわかりますが、個々の問題について教育者の意思を反映させるような制度にはなつておらないのです。ただ労働組合の立場において、團体交渉その他適当な労働組合法に許された方法においての交渉は可能であります。ところが現状から考えますと、そうした労働組合法に基く交渉のみにこれを任すことによつて、弊害が予測せられる点はないか。権利を主張し合つて、委員会と教育者團体とが対立をするおそれはないと思うかどうか、この点についての御見解を承りたいと思います。
○辻田政府委員 四十九條の第七号によりまして、教員その他教育関係職員の組織する労働組合に関しては、その交渉相手になるわけでございます。この場合に組合関係だけを通じて、必ずしも教育者全体の意思がそのままわかるかどうか。また組合以外の活動もあるわけだから、その点についてどうかというお尋ねと解釈いたしまして申し上げますが、その点につきましては、もちろん組合関係のことはこの第七号で適当に処理されると思います。ただそのときに教育委員会と組合とが相対立するようなことは、われわれとしてできるだけ避けたいと思うのでありまして、その点につきましては、それぞれ事務局を構成しております指導主事以下その他の人々が常に教育者のことにつきましては注意を拂つておりまして、この間に十分教育者の意思が、教育長が助言と推薦をなします場合に、その重要な資料として提起されることを予想しておるわけでございます。
○黒岩委員 労働組合としての教員組合は、主として経済にことに関して、使用者側としての委員会と交渉をすることができると思いますが、文化面についての交渉ということは、この法律だけでは、機関として認められておらぬわけです。ところがその経済の問題から考えましても、予算を出すことはできるけれども、決定権は議会にある。提案権もその自治体の長にある。してみると、いかに俸給その他の給與問題について要求をされても、これを解決する力を教育委員会はもつていない。やどり木のような教育委員会は、その使用者としての責任を完全に盡し得ないと私は考えますが、その点についての御見解を承りたい。
○辻田政府委員 御指摘の通り、この教育委員会が財政権につきましても完全な独立をいたしますことが理想でありまして、その場合にはあらゆることについて一元的に教育者のために種々のことができることであろうと思いますが、今日の状態におきましては、この教育委員会がただちに財政の方面につきましても完全に独立するということにつきましては種々の困難がございまするので、その点につきましては次善の措置をとりまして、本案の五十五條以下にありますような予算の措置をとつて、しかもそれについては普通の予算の編成の仕方でなくて、特別のやり方を採用いたしまして、それによつて教育委員会の権威と申しましようか、できるだけの独立性を確保しようということを考えたのでございます。從つてこの場合にいろいろ話し合いました結果、どうしても教育委員会とそれらの地方公共團体の長との間に意見の相違がありまして、しかしその意見の相違につきまして、地方議会におきまして、むしろ地方公共團体の長の意見を採用するというふうなことになりました場合には、お説の通り教育委員会の立場から申しますと、喜ばしくない事態が起ることも予想されるのであります。しかしこれらにつきましては、その事前におきまして、議会から出ておりまする委員等が中に入りまして斡旋して、適当なところに定めるようにしたいと思つておるのでございます。
○黒岩委員 希望的に申されるので、その御希望通りにいけば、これは何も問題はありません。しかしながら制度を定めるときには、最悪の場合にも十分それを解決できるような制度をつくらなければ、制度としての意味が非常に薄いと思います。かりに教員が増俸の要求をしたときに、使用者としての教育委員会が、その要求に対して確たる使用者としての回答をすることは困難だと思います。その場合に一体相手となるものは教育委員会であるか、実権はその背後にある手の届かないところの自治体の長とか、あるいは議会とかいうものにあります。そうすると教育は要求いたしましても、のれんと腕押しのようなかつこうになつて、とりつく島がないということになりはしないかと思う。不幸にしてそうなりましたときに、委員会自体も、中にはさまつて苦慮しなければならぬし、教員の方も大いに不満をもち、遂に爆発するような事態が惹起されて、ストライキを起すようなことも、今日の情勢では頻繁に起る心配があると思います。こういう点についていま少し当局として、そうした心配のないように、この法案をつくるときに何かお考えになつたことはないか。余儀ない事情によつてこうなつたのかもしれないが、その前にあなた方がおつくりになるときに、何かお考えになつたことがあれば、お聽かせ願いたいと思います。
○辻田政府委員 先ほどから申しますように、財政権の完全な独立ができていないことは、この委員会制度の欠陷だと思います。この点につきましては、われわれとしても、はなはだ残念であります。そこで規定は本案のようになつておりますが、文部省といたしましては、目的税としての教育税についても研究しておりますし、また学校財政法というような法案も考えて、國と都道府縣と市町村等における教育費の財政区分につきまして、一定の比率を設け、それによつて地方に適当に教育費を流していくといいますか、教育費に対する財源を與えていくことを研究しておる次第であります。
○黒岩委員 文部当局がそれだけの御苦心を拂われることについては、まことに敬意を表します。しかしながら、そうしてお考えを具体化してこの法案と併せて提出するのでなければ、この法案提出の意義がはなはだ少くなる。禍根を將來に残すような法律ができますれば、教育者並びに一般の國民にもはなはだ迷惑をかけることになりますから、われわれはこの点審議について愼重に考慮しなければならぬと思うのであります。ところがこの法案の成立が非常に急がれておるということも一面聞くわけであります。しなしながらこれをこのまま通しては、まことにわれわれの職責が盡せぬと思います。それでもあなた方はこの法案の國会における一應の成立を希望せられるのであるか否か。また今お答えになりましたような欠陷を補足する法案を、続いてお出しになる運びになるか否かをお聽きしておきたいと思います。
○辻田政府委員 教員の民主化がだんだん経済的には、形の上では進んでおりますが、その中軸をなします教育行政の民主化が非常に遲れておりますので、一刻も早くこの法案をお認め願いまして、教育行政民主化の実現をはかりたいと念願する次第であります。いろいろ御指摘がありましたように、財政との関係におきまして、必ずしも完全ではないと思うのでありますが、次善の措置をとりまして、できるだけ委員会の独自性自主性を確保することに努めます。ただいま研究しておりますような事項について、すぐ次の國会に提出されるかどうかにつきましては、はつきりしたことを私から申し上げることはできないのでありますが、学校財政法の問題につきましては、眞劍に研究しておるのでありまして、関係方面とも折衝の段階にある実情であります。
○久保委員 今辻田局長の黒岩委員に対する御答弁で私は非常に喜んだのであります。この法案の大きな欠点は、この委員会法が財政的な予算面において、確固たるものをもつておらぬという点に大きな欠点の一つがあるということは、前にわれわれの指摘したところでありますが、その当時の政府委員の答弁は大臣であつたかどうか覚えませんが、非常にあいまいであつた。しかし今卒直に自分もそう思うということを言われたようであります。私はそうあつてほしいのでありまして、われわれが前にいきり立つて質問したりしましたのは、何だか政府委員の答弁の中に、われわれは國を憂える氣持で言つておるのに、こういうものを通していいのだという氣持が見える。たとえばこういうことをやつたら絶対うまいことはいかぬと言うと、絶対ということはありませんなどと、これはあなたではありませんが言われておる。われわれははつきり現実を見てものを言つておる。こんなものをそのまま通したのでは、実にたいへんだと思うのであります。それは実際國を憂えてのこと、教育を憂えてのことなのです。そう思つて今までこの委員会に臨んでおるのに、どうもそんなことはないというような態度があつて非常に不満であつた。今の黒岩委員へのそうした御答弁はたいへんよかつたと私は思います。 さて四十九條に移りますが、四十九條のうち一番問題になる点は一行目にあると思います。つまり教育委員会が事務を行うのに、教育長の助言と推薦を前提條件として行われなければならぬということになつておる点だと思います。この点がはつきりしなければ、われわれが前に一般質問のときに言つた通り、これは事務局を非常に強化して、委員会をロボツト化するおそれが多分にあつて、過去の官僚といいますか、内務官僚並びに文部官僚関係の者から、教育界が非常に不当な圧迫を受けたという弊をそのまま残すことになるのをわれわれはおそれるのであります。これはさきに問題になつた四十二條の教育長のところで、「教育長は、教育委員会の指揮監督を受け」と、こうなつておるのだから、何もここに今度は教育委員会がこれを前提としてでなければ事務を行えないというような規定を設ける必要はないのであります。それをことさらここに、「教育長の助言と推薦により」と、この言葉を入れたところに、いかにも官僚みたいなところがある。いかにも教育長の地位を強くしようとしたところがあると、私は思うのであります。この点この四十九條だけで言うとそれが端的に現われておるのはそこでございますが、さかのぼつて考えてみますと、たとえば九條の選挙の場合に、どうしても現職教員に被選挙権を與えないとすること、あるいはまた專門的な教育がわかる者は委員会に望まないという、一人二人という小人数でもあまり好ましくないという考え方、そういうのがあつて、そしてこの四十九條では教育長というものの地位を強いものにしてある。これは私はきわめて大きな問題だと思うのであります。何も「教育長の助言と推薦により」という、この一句をここに入れる必要はないじやないかと思うのであります。どうしてこれを絶対に入れねばならなかつたか。私はその点を今黒岩委員に財政問題で満足する御答弁をやられたように、眞にあなたがどう考えておられるか、その点を卒直に聽きたいのであります。
○辻田政府委員 教育長に相当の権限を與えてあつて、教育委員会がロボツトになるのではないかという御心配が、皆樣方の方にあられたようでありますが、これにつきましては、教育委員会の建前が、先般から繰返して申し上げますように、教育委員はいわば教育に対して見識あり関心をもつておるりつぱな人の会議体でありますが、しかし教育には素人である。それで教育長、いわゆる玄人の方が、專門的な立場から補佐するということであります。從つてこの間においては、はつきりした上下の関係があるのであります。教育委員会がロボツトになるかならぬかということにつきましては、これは結局は場合によつては人の問題に帰するようなことになるかもしれませんが、われわれといたしましては、制度の上では上下の関係をはつきりいたしておるつもりであります。從つて四十九條の「教育長の助言と推薦」ということが、教育委員会の事務を行います場合の必要な條件でありますが、しかし先ほど申しますように、教育長の原案を教育委員会が審議するという場合もありましようが、そうでない場合、すなわち教育委員会自身が発案し、教育委員会の委員自身が発議することも当然あるわけでございまして、ただその場合に、玄人の意見を聽く、玄人の助言を聽くというのであります。從つて教育委員会制度の根本的な建前といたしましては、教育委員会と教育長との関係は、右申し上げたようなことになつているのでありまして、その間に、この制度はわが國としても初めての制度がありますから、この円滑なる運営につきましては、われわれといたしましても、また関係方面すべてにおきまして格別な御協力を願つて、円滑なる運営を期待し得るというふうに信じているわけでございます。
○久保委員 私は教育長なり、事務局の助言が必要でないと言うのではないのであります。どうしても教育長あるいは事務局によつて事務をやらせるのでありますが、それならそれとして、やはりその法律としての表現のしようがあると思う。この表現によると、あまりに教育長というものの地位を擁護しておる、こういうような感じを私は受けるのであります。しかしこれはまた総合的にそういう感じを受ける点が多々あるものですから、ここで議論をしても盡きないだろうと思うので、その点はさらに質問はいたしません。 さて第二号でありますが、学校の運営に関する点については、どういうことを考えておられますか、これについて少し承わりたいと思います。
○辻田政府委員 ここで第四十九條の第二号に運営及び管理というふうな使いわけをしておりますが、これは管理の方におきましては主として物的の管理の面を考えており、運営の方は物的以外の教育活動を考えております。
○久保委員 管理をするということは、もう当然なんです。学校の運営ということは教育内容全般にわたることであつて、きわめて重大なことであります。大体学校というところは、校長、職員並びに教育事務に当つている人もありますが、ことごとく教育を理解する人の集りである。しかも教育の営みというのは、いろいろの法令に基いたその範囲の中の活動であつて、なお具体的に言いますと、教科書というのがすでに規定されておつて、その最も有力な教科書によつて教科課程というものが営まれる。だからその学校の教育活動というものの運営というものは、これはその学校に任せていいものであると私は思うのであります。それで、あえて私は管理のことをお尋ねせずに、運営という点について聽きたいのでありますが、この運営ということは、あまりほかからいろいろ言われては、本質的な教育作用が非常に弱まるということになると思うのであります。この点どうお考えになりますか。私はむしろ学校の運営ということは、ここからはずしてもいいじやないかと思うのであります。
○辻田政府委員 この運営を管理の問題でございますが、もちろん御存じのように、実際教育活動それ自体を運営するものは、教育者それ自身であると思います。ただここでは学校その他の教育機関が運営するというようになりまして、物的ないわゆる管理以外の、たとえば人事に関すること行も含めた廣い意味であります。ただ人事等につきましては、これは特に重要なことでありますので、この五号の方に特記してございますが、そういう意味で教育活動それ自体を指すのではないのであります。
○久保委員 それじやまつたくわからめじやないか。学校に任せておけないところの部分が何があるか。もしここに委員会なり、あるいは実質的には教育長であると見ねばならないのでありますが、そういう学校に任せられないものというのは、どういうものがありますか、それを聽きたい。なぜ学校に任せられないのか。
○辻田政府委員 御指摘の通り、教育活動自体は教育者に任されるものでありますが、先ほど申しましたように、本來第三号以後については、それについての運営等の特に重要なものについて規定してあるのでありまして、ここの運営の意味は総括的な意味においての事項で、教科内容とか教科書の採択とか、あるいは人事とか、そういつたものをすべて含めた意味の運営という意味であります。
○久保委員 そういうふうに言われると、なおわからぬようになる。これは、教科書内容とか取扱いとかいうことは、これは專門の職員によつてなされることだと解釈ができる。そういうことは一應わかるのであります。ところが「教育期間の運営」と、こう大きくあげてありますと、これはお話の通り非常に廣汎なものですが、しかしそれは学校に任すべきことではないですか。それを任せておくのだが、なお重要な点、たとえば人事であるとか、あるいは教科書の採択であるとか、あるいは教材の内容の取扱とかいうようなことは、すでに別にまた取上げてある。それは取上げてあつて、そのほかに何かもつと任せておけないものがあるのかどうか。私は第二号の運営という言葉は、もう要らないのではないかと、こう思う。管理ということはわかるが、その点がどうもはつきりしません。
○辻田政府委員 ただいま取立てて、運営の具体的な内容につきまして具体的な事項を指摘することは困難でありますが、まあ管理という面を廣くとりまして考えたわけであります。
○久保委員 この点はなお後で考えることにいたします。次に第八号であります。「学校その他の教育機関の敷地の設定及び変更並びに校舎その他建物の営繕、保全の計画及びその実施の指導に関すること。」この「実施の指導」ということはどういうことを言うのか承りたい。
○辻田政府委員 これは、建物等の営繕、保全の計画をし、及びその実施につきまして「その実施の指導」と申しますのは、設計をしたり、あるいは請負契約をした場合には、それについて監督取締りをするというふうな意味なのでありますが、監督取締りというふうな言葉は適当でないということで「指導」というふうな文字を使つたわけでございます。
○久保委員 わかりました。第九号の「教具その他の設備の整備計画に関すること。」——これは学校に任してならぬのか。年次計画や経費関係があつたりして、こういうことを入れられたのか、その点を承りたい。
○辻田政府委員 第九号は、ただいま御指摘の通り、経費関係あるいは資材の配給等の関係がありますので、総括的にやらなければならぬという事情がありましてやつたわけであります。
○久保委員 第十二号「教育目町のために基本財産及び積立金の管理に関すること。」とありますが、教育目町のための基本財産とかあるいは積立金というのは、これはいろいろなものがあると思うのです。これは後援会等がやつたものもあり、あるいは学校自体でやつておるというようなのもあります。あるいは縣、市町村等でやつておるものがある。いろいろな形のものがあります。あるいは同窓会でやつておるものもあります。そういうのをすべて含んだとすればこれはおかしい。ここでいう「基本財産及び積立金」というのは、どういうものを指しておるのか、その点について伺いたい。
○辻田政府委員 第十二号におきまして指摘してありますのは、これは公共團体として特に教育目的にために設定しておりまする基本財産及び積立金の管理の意味でございます。
○久保委員 公共團体の基本財産、積立金を委員会が管理するのですか。それは大体公共團体の管理に属すべきものではないかと思うのですが、いかがですか。
○辻田政府委員 ただいま御指摘がありましたように、基本財産、積立金につきましては、公共團体自体が主体となるべきものであると思いますが、その事務をここで扱う意味であります。第六十條におきまして関係の規定がございます。教育委員会が法令により地方公共團体の議会の議決を経るべき事件のうちに、教育目的のための基本財産及び積立金の設置、管理及び処分に関する事項につきましては、議案の原案を地方公共團体の長に送付するというふうにありまして、六十條、六十一條、六十五條等におきまして、その設置並びに管理に至ります場合の手続等を規定しておるのであります。これらの條文によりまして條例を設けられまして、その條例のもとに教育委員会が管理するということになるわけであります。
○久保委員 六十條の第一号でありますが、これは私は不要だと思うのです。「教育目的のための基本財産及び積立金の設置、管理及び処分に関すること。」これは委員会でこういうことをやるべきではなくて、地方公共團体で自主的にやるべきものであつて、委員会としては法律の上でこれをうたうのは、少しおせつかいではないかと私は思うのです。今の四十九條の十二号についてお尋ねしたのでありますが、どういう性質の基本財産なり積立金を考えておられるのか、もしこれが今の御答弁のように公共團体のものであるとすれば、こういうことは好意的にやる、あるいはその土地で必要なことがあつてやる、その委員会で取上げてやる、これは第十八号の中に入れることにして、十二号でこういうことをうたい、あるいは六十條でこういうことを規定する必要はないのではないかと思いますが、いかがですか。
○辻田政府委員 これは教育のために設れられておりまする基本財産、あるいは積立金等の管理とか処分の場合におきまして、委員会としてはもちろん非常な関心をもつべきであると思います。從つて教育の目的のために、一定の基本財産が設定されておりまする場合、たとえば山林等をもつておる場合におきまして、それが管理につきましては、委員会におきまして経済的な見地と同時に、教育的な見地から、これを管理するということがまた適当であると考えて、この規定を入れたのであります。
○久保委員 教科用図書の採択を委員会でやる。そうすると各委員会によつて將來採択される檢定教科書が違つたものになつていく、こういうことが予想されるのであります。そういつた場合に困るのは、轉校する生徒なり兒童でと考えるのであります。從つてある地域に委員会の連絡機関みたいなものが考えられねばならぬのではないかと、思うのです。そういう点について、それはほかの意味からもそういうことを考えられるのでありますが、御考慮になつたことがありますが。
○辻田政府委員 この委員会は先ほど申し上げましたように、対等平等の関係がありまして、しかも府縣委員会との関係におきましても、地方委員会は対等平等という関係になつておる関係上、その間に連絡等がきわめてまずくなるおそれがありはしないかということは当然考えられるわけであります。このために法規の上に実はそういうふうな関係の規定が、最初の案にはあつたわけでありますが、それが諸種の事情からそれを法規の上に書くことは適当でないということになつておるわけであります。しかしこれらにつきましては、われわれといたしましては法律に基かずに実際上実施できるというように考えまして、この連絡協議会を相互の関係において申合せによつてなし得るという考えのもとに、最初の案にありましたものを削ることにしたのでございます。その場合の規定の根拠としましては、四十九條の第十三号にあります「教育事務のために契約に関すること」この規定を活用いたしまして、相互の委員会間において一種の契約を結んで、そこで仰せのような事項については処理し得るというように考えているのであります。
○久保委員 最後にもう一つ、これに関連することでありますが、公聽会のときもそういうことがちよつと出たのでありましたが、教科書並びに教科課程等から考えてみますと、ブロック的の今言つたようなことが考えられる。これは人事行政の上からも必要ないことではありませんし、これは必ずしも九州なら九州プロックだけで考える必要はないことでありますが、一應教科書の採択なりあるいは学科課程等については、そういうものが非常に必要になつてくると思う。そういうものが必要ではないかということが、ちようど公聽会でもある人の意見が出ておつたと思うのです。そういうことについても一應そのときにお考えになりましたか、そうしてその間どういうふうなことでこうなつたか、お答え願いたいと思います。
○辻田政府委員 先ほど私が説明申しましたのは、むしろ府縣以下の、府縣を含まない地方教育委員会の関係において、連絡協議会のことを申したのでございますが、府縣等における委員会の関係においても、連絡協議会と申しますが、そういうふうな連絡調整の機終を設けた方がいいじやないかという意見は、教育刷新委員会の建議の中にもあるのでございます。それにつきましては、やはり最初の案の中にあつたのでございますが、これも法規の上に書くことは適当でないというふうな結論になつたのでございます。それでこれも現在の都道府縣の間におきまして、法規には根拠はありませんが、実際にはそういうことが行われているようでありまして、この委員会の関係においても、実際上それを行うということで、その目的を達し得るように考えるのでございます。
○水谷(昇)委員 先刻來織田君や久保君から御質問になりましたが、この「教育委員会は、教育長の助言と推薦により」という言葉、これを前提としと教育委員会が左の事務を行うということは、はなはだおもしろくない。それで次のような質問をしたいのであります。この、第一号から第十八号に至る事務の内容は、非常に多岐にわたつておりますが、この多岐にわたる事務に対して教育長がはたしてそれぞれに対して助言と推薦をなし得るか、こういうことであります。もと教育長一長が完全に助言と推薦をなし得なかつた場合には、教育委員会においては、それぞれ適当な人から助言なり推薦なりを取入れることだと思うのでありますから、そういう場合には、ここに特に「教育長の助言と推薦により」という文句を入れる必要はいなと思うのであります。 それから教育長は、説明によりますと、委員会の建前が素人と玄人という建前で、委員会の委員の方の構成は素人の建前だといいますが、先般來私からも申し上げたように、現職の教員が辞職をして委員になつた場合には、これは素人とはいえない。また教育長になる資格は、教職員の免許状を有する者から選定するということになつておりますが、教職員の免許状さえあれば、それで玄人だと言い得るとも思えないのであります。こういうような点からいたしますると、素人の委員会だというこの建前にこだわり過ぎておるのではなかろうかと思うのであります。はたして政府は、素人という建前を自主的にとつたのかでうかということを、良心的にお答えを願いたいと思います。
○辻田政府委員 教育委員会と教育長との関係につきましては、先般來大臣以下るる申し上げた通りでございます。この点につきまして、最も教育委員会制度の発達しており、しかも最も円滑に運行されておりますアメリカにおきましては教育長と教育委員会の関係は、大体この法案にありますような行き方になつておるのでございます。從つてわが國としては、わが國の実情がそれぞれあるわけでございますので、いろいろ実情に合わせて考慮しなければならないと思うのでありますが、御心配のような、教育委員会がロボツとになつて、教育長が実権を揮うというふうな弊害の絶対にないように、われわれとしてはあらゆる方法で、この法案がさいわいに通過いたしますると、これについて努力をしなければならないと思つておるのであります。さきに御指摘がありましたように、やめた教員が委員になつたのは玄人であつて、素人でないのではないか、また教育長は、一片の免許状があれば教育者になれるのであるから、從つて玄人といつても大した玄人ではないではないかという御批判もあるのでありますが、これは、法の建前としては、やはりその職業的な現実の問題から玄人、素人というようなわけ方をしておるのでありまして、実際上は國民の中に、相当な玄人と申しますか、專門家がおるということはあり得るわけなのでありまして、この点はいわば形式的なわけ方だと思うのであります。また、一片の免許状を持てば教育者になり得るということであるので、大した玄人でないということにつきましては、これはある種の一定の学校を出るというだれでなくして、なお教育上のいろいろの学歴をもつておる者でなければならないのであります。なお当分の間におきましては、先般岩木政務次官からお話がありましたように、アメリカから講師が参りまして、相当長期の講習会をやりまして、その講習会において講習を受けた者がこの教育長に当る、教育長の候補者になるというふうなこともある次第でございまして、そのような意味におきまして、相当訓練をされたと申しますか、その道の知識技能を身につけた者が教育長になるということになろうと思うのであります。なお教育長が、いわゆる新しい意味の官僚的な作用をなすのではないかということにつきましては、さようなことがあつては、この教育委員会の本旨からまつたく逸脱いたしますので、さようなことがないように、これらのつきましてもいろいろ対策をしなければならぬと思うのであります。教育長と教育委員会との関係は、繰返し申し上げますが、はつきりとした身分関係がありまして、教育委員会が頭であつて、教育長はその下にあつて、指揮命令を受けて事務を執行するということであります。なお、助言と推薦をする場合には、指揮命令を受けて助言と推薦をするわけではありませんが、これにつきましても、玄人としての意見を述べるというに止まつておるのでありまして、これに拘束されて委員会が意思決定をしなければならぬということではないので、その点を重ねて申し上げる次第であります。
○水谷(昇)委員 私どもが質問にしておるところを申し上げて御説明を承ると、それで理解ができるのでありますが、この條文を読んでそのまま理解はなかなかできない。こういうようなものはわかりやすく書いた方がいいのであつて、わかりにくいように書いていたのでは、法律の効果が薄いのでありますから、なるべくひとつ民主化が徹底するように書いておいてもらいたいと思います。でありますから、こういう書き方をしないで、何とか適当な文句にかえるようなことをひとつ考慮しておいてもらいたい。素人とか玄人とかいうのは形式的なものであつて、その内容を言つておるのではない、こういうお話でありますから、その点はそういう意味において了承いたします。
○松本委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。 午後四時二十一分