文教委員会 第20号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/06/29
会議録
○松本委員長 それでは会議を開きます。 教科書の発行に関する臨時措置法案を議題といたします。 前回の委員会におきまして大体質疑を終了いたしておりましたが、なお質疑がございましたならば御発言を願います。
○柏原委員 この中で焦点になりましたのは、教科書の價格決定の問題だと思うのです。國定教科書の方は、昨年相当刷つてストックがあるようなうわさも聞いておるのですが、適正價格というのは、旧ベースでなしに新ベースになるだろうと思うのです。そうしますと、昨年つくつた書物が相当残つておるといううわさも聞きますが、その適正價格決定は新ベースを基準にして認可するのですか。そうするとかなり値上りになると思うのです。從つてストックをもつておる所は、しこたまもうけるというかつこうになるのではなかろうかと思うのであります。ところが旧ベースのままで價格を抑えておきますと、今度は非常に本が安くなる。その場合に檢定で生れてくるものとの差が非常な開きになるということも考えられるのであります。國定教科書と檢定教科書との開きはどのくらいの見透しをつけておるかということも伺いたいのであります。昨日政府次官は、國定教科書が十円とすれば檢定は十一円とするというような例をとられましたが、わずか一割や二割の開きで、檢定のりつぱな教科書はとうていできる見込みはないのであります。そういう一割、二割の開きを考えておるのか。あるいは二倍、三倍でも、高くてもよいものをつくつてやろうと考えておるのか。また昨年の教科書の残つておるものが相当あると聞いておりますが、それは旧ベースでできたものですが、新ベースで賣り出すようにするのか。價格の決定ということは、非常に重大なことだと思いますが、その点についての文部当局の御意見を伺います。
○稻田政府委員 ただいまの点につきましてお答え申し上げます。第一に國定教科書のストックが相当あるが、そのストックの分と新たに発行する分との定價算定について、いかなるベースによるかという御質問でございますが、第一そうストックはないのであります。教員数、生徒数にきちんと合わせまして、予備数としては五%ばかり見ておりますが、これはその後の生徒の異動とか、あるいは災害の場合の補充に使いますので、本屋の手もとにあるストック分はそうないのでありますが、かりにありましても、定價はこれは発行の日附によつて、いつ発行した分の定價は幾らというふうにきめますので、それをもし今後賣り拂いますような場合がありますれば、そのときの定價により、また今後作成いたしますものは定價算定基準によりまして、その時の生産費を基準といたしますので、その間紛淆はなかろうと考えます。また檢定教科書と國定教科書との價格の問題でありますが、これはもとより部数によつて定價は非常に影響しますので、一概にどちらがどのくらいになるという見当はつきにくいのであります。定價算定基準によつて計算いたしました場合、用紙代、印刷代はおのおのに通ずる性質のものであろうと思うのであります。ただ檢定教科書においては、編纂費あるいは印税という部分が、國定について見ますよりも、よけい見なければならぬ部分があります。この点について大体どのくらいに見ようかということは、目下この定價算定基準をいろいろ研究中でございますので、結論は出ておりませんが、檢定には檢定に相当な、無理のない定價算定基準を出したいと考えております。
○水谷(昇)委員 ただいまの質問に関連してでありますが、私どもの聞いておるところによりますと、ストックが相当数量あると聞いておるのであります。ただいま稻田局長の御答弁によると、そうないように伺つたのでありますが、これはひとつどの程度あるのか、特に御調査を願う必要があると思います。そうしてこれによつて疑いをさしはさむようなことのないように、今から御注意を願つておかなければならぬと思います。このストックがたくさんありますならば、國定教科書の値段も從つて安いと思います。安ければ安いほどいいと思うのでありますが、これと比較して、檢定の方はこれからつくるのでありますから、値段が高くなる。ただいま柏原君のおつしやつたように、檢定の方は、値段が高くなつても、内容がよくて採用する学校があれば、これを許可する方針にしてもらわないと、せつかく檢定の制度を布いても、実行ができないということになりますから、この点もよく御注意を願いたいと思います。
○稻田政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、ストックは総量の五%でございまして、これはおおよそ私どもの見込みからいきますと、年間にかけてしまう性質の分量でございます。今配給しておりますのは、小学校、中学校にしか参りませんけれども、なおそのほかに教員養成諸学校、あるいは教育行政関係であるとか、あるいはなお國外関係から相当注文がございます。むしろ増部しなければならないのではないかというふうに考えておるくらいでございます。なおまた國定につきましては、年々適当な時期に応じました修正をやつてまいります。從いまして、新本は新本、旧本は旧本としまして、内容から見ましても実質が違つてまいります。ストックがあるからといつて、そのためにストックを持つておる者が不当にもうけをするというようなことは、まずなかろうと思います。御注意に從いまして、十分その点は研究いたしたいと思います。
○高津委員 將來は檢定が全部國定にとつて代るであろうと思いますが、その中間の過渡期において、檢定の見本を展示会に全國に配つた場合に、たくさん注文が殺到して、そうしてそれを一つの発行所では発行ができないような場合が生ずるかと思われますが、そういう場合に、文部省はどのようにそれを処置するつもりでありましようか。
○稻田政府委員 檢定の教科書につきましては、それぞれの編纂者、著作者が、著作権に基いて出版権を設定するわけでありますので、かりに今申しましたような場合におきましては、やはり著作者及び出版社の間において、自然話合いが進められて落着がつくべきものだと考えております。文部省におきましてそこに関与すべき性質のものではないと考えます。もし自然その間において関与斡旋の労をとる必要が生じました場合には、それにはいりますが、一応それは著作者及び出版社の自由に相談すべき性質のものであると考えるのであります。
○田淵委員 教科書の定價を決定する前に、文部大臣の認可を得なければならないという第十一條の規定でありますが、文部大臣の認可を必要とする場合に、そこにあるいはこれを助けるべき審議機関、もしくは査察機関、そういつたようなものを設けてならないというお考えがありますならば、なぜ設けてはいけないかという、その理由をひとつ御答弁願いたいと思います。
○稻田政府委員 定價の認可につきましては、先般御説明申し上げましたように、定價算定基準と申しますこまかいものを設定いたしまして、それによりまして機械的に算定するようなことを考えております。從いまして、個々の算定にあたりましては、自然にその結論が出てまいるわけであります。ただ算定基準そのものをきめます場合におきましては、なるべく廣く大方の御意見、專門家、実際家の御意見等も入れまして、われわれだけでなく十分方々の御意見も伺いまして適正にきめたい、こう考えております。
○田淵委員 そうした場合、方々の意見を取入れる際に、そうした機関を法制化しておく必要はないのでありますか。
○稻田政府委員 ただいまのところ、そのために特別に法規に根拠する機関を設けるということまでは考えていないのでございますが、教科書制度全般に対する諮問機関としては、教科書委員会もあり、また特別委員会もございますので、そうした方面におきまして、そういう問題についていろいろ御研究の点もあり、もちろんそういう御意向は十分参酌いたしたいと存じます。
○松本委員長 他に御質疑はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 それではこれより討論に入りたいと思います。通告に從いまして圓谷光衞君。
○圓谷委員 この法案が教科書の需要供給を円滑にすることと、さらにまた檢定制度によつて、りつぱな教科書をなるべく地方の状況に適したように配給するという目的でできておるのでありまして、至極結構な法案と思うのでありますが、ただ問題は、第十一條の價格が、文部大臣の認可によつて決定されるという問題であります。いかによい教科書が編纂されましても、結局價格が高い、國定教科書と格段の差があるという場合においては、この檢定教科書が普及する可能性がないではないかと憂えるものであります。いろいろ政府当局の弁明によりますると、ただちに文部省だけの價格の決定が、現在の状況では、できないやむを得ない事情から、こういう処置をとらなければならぬということでありますが、法は要するに運営の問題でありますので、運営よろしきを得れば、文部大臣の認可となつておつても、この檢定教科書の普及が可能であるという観点より見て、第十一條の運営を、檢定教科書をして、やがては國定教科書に代らしめるという信念のもとに、文部省においてこれを育成するならば、あえてこの法案も、円滑なる配給ができるであろうということを考えまして、ここにこの十一條の運営を最も良心的に、つまり適正なる價格を維持するということを第一條に掲げておりますが、これを條件として私は賛成したいと思うのであります。 さらにもう一つは、第十四條は、これは業者を制肘するところの一つの辛辣なる條項であります。つまり発行を停止する、あるいは三年間の発行を指示しないということでありまするが、これは第九條においても、一項、二項のごときは、現在の紙の配給制度、あるいは業者の能力というものを、主観的に文部省が査定いたしまして、非常に不自由な苦難の間に発行される場合であるので、この第十四條の適用というようなことも相当勘案されまして、この運営の点において御考慮を願う。この二つの條件を附して賛成いたすものであります。 〔速記中止〕
○松本委員長 それでは続けます。高津正道君。
○高津委員 この教科書臨時措置法案は、審議期間が非常に短かいのでありますが、國民は重大関心を寄せていると思います。それは教科書が適宜に行き渡つていなかつたこと、それから現在教科書が変動期にあるということ、また定價をきめずに、渡してあとで定價をきめたというようなこと、いろいろな点で國民は非常に教科書の問題を注意して見ているのであります。そうしてその出された法案は、非常に急ぐ事情があるからと言われるので、ますます審議期間が短かくなつて、われわれはこれだけの審議では非常に不十分だと思うものでありますけれども——もちろんわれわれには、この法律を改正する権利も、修正する権利もあるのでありますけれども、非常に急がれる事情があるらしいので、運営いかんを見極めたいと思います。從つて本法の実施にあたつては、文部省は遺漏なきを期せられたい。 なお圓谷委員が注意された二点は私も同意見であります。われわれは文教委員会の一員でありますが、文部省がどのようにこの法案を実施されるかを、委員会は閉会になつてもよく注意して見ておりたい、こういう考えでおります。これをもつて賛成の演説を終ります。
○松本委員長 西山冨佐太君。
○西山委員 私は第十一條の定價は文部大臣の認可を経なければならないという、この点につきまして、反対の意見をもつておるのでありますけれども、これが先ほど稲田局長のお話のごとく、教科書用図書委員会等とよく協議を遂げるというようなこと、大方の意見を徴して適正な價格をきめるということにより、なお望むらくは業者の方の意見をやはり考慮に入れられまして、よろしきを得れば結構であろう、この際その意味におきまして賛成をいたします。 それから第十二條の定價の三分に当る保証金を納めるという問題でありますが、これは小さい企業家にとりましては、相当長い期間寝金をさすことになりますので、これは相当に苦しい問題でありますけれども、この出発にあたつて、こういうこともあるいは必要であるかと思うので、これも認めますけれども、將來においてはなるべく業者の便をはかつて、不安がなくなつたときには、こういうことを撤廃するなり、あるいはこの割合をきわめて少くするなりしたい、こういう意見を附して賛成をいたします。
○松本委員長 黒岩重治君。
○黒岩委員 私は國民協同党を代表いたしまして、本法案に希望條件を附して賛成をするものであります。 教育の民主化を徹底いたしますところの一つの方途といたしまして、教科書の面から民間で編纂いたしますところの檢定教科書を使用し、將來は國定のものを廃止するというお考えのもとに、暫定措置として、その過渡期における國定と檢定との併用という一つの過程をたどる意味の暫定法でございますので、將來におきまして、この法の運用いかんによつては、民間の編纂にかかるものの発展を阻害するおそれがないとは限らないと思います。この意味において、まず文部省はこの法に盛られた趣旨を十分に実現いたしますように、民間編纂の教科書の將來の発展について親心をもつて対処せられたいということが一点であります。 次は第六條の目録並びに見本展示会に関することであります。目録にも展示会に出品する見本にも、予想價格を附せられまして、使用者の便宜に供することを特に御考慮を願いたいと思います。 第三点は第十一條の文部大臣の認可にあたり、教科書の定價は教科用図書委員会に諮問しまして、民主的に基準を定めるということを実行していただきたいという点であります。 以上三点の希望を附しまして、本法案に賛成するものであります。
○松本委員長 これにて討論は終結いたしました。教科書の発行に関する臨時措置法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○松本委員長 起立総員。よつて本案は原案通り可決いたしました。 なお本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 それではさよう御了承願います。
○細野政府委員 教科書に関する臨時措置法につきまして可決をいただきまして厚く御礼申し上げます。委員各位から述べられました数々の御注意、御希望等は、この法案を運用する面におきまして、十分心に体して実行いたしたいと思つております。なお教科書は新学年までに全國の学生生徒一同に漏れなく確実に渡すということが、何よりも必要なことでありまして、今度は檢定制度への過渡期でありますから、いろいろの面におきまして十分注意いたしたいと思いますが、なお委員各位からも何かと御教示を賜りたいと思う次第であります。
○松本委員長 本日はこれをもつて散会いたします。明日は午後一時より開会いたします。 午後三時四十九分散会