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2回国会衆議院1948/06/02

文教委員会 第8号

発言数
40
登壇者
8
会派数
3
開催日
1948/06/02

会議録

松本淳造日本社会党

○松本委員長 会議を開きます。  請願の審査に入ります前に、委員の派遣に関する件につきまして御報告いたします。去る五月七日の本委員会におきまして、総合大学設立に関する現地調査のため、中國地方に委員を派遣することに決定いたし、ただちに議長のもとに承認申請書を提出いたしたのでありますが、議院運営委員長において保留と決定いたし、現在に至つておりますので、一應御了承を願います。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 それではただいまから請願の審査に移ります。日程第五、六・三制完全実施のため全額國庫補助の請願、岡村利右衞門君紹介、日程第一四、六・三制完全実施のため全額國庫補助の請願、松本淳造君紹介、この五と一四とは同一趣旨の請願でありますので、一括して上程いたします。その趣旨弁明を許します。岡村利右衞門君。

岡村利右衞門民主自由党

○岡村利右衞門君 新学制による六・三制中学は、平和日本再建にためにも、その建設は最も緊急を要するものであります。現下地方財政の実情は、経営支出の財源にすら困窮し、役場吏員の俸給さえ遅拂いの状況にして、とうてい新制中学建設のごとき多大の費用を賄う財源なく、これが建設遅延はもちろんのこと、まつたく不可能の状態でありますから、地方財政の現状を御賢察くださいまして、新制中学建設費全額國庫負担とするよう、格段の御配慮をお願いいたす次第であります。岐阜縣益田郡町村議会議長会の決議によりまして、右懇請する次第でございます。よろしく御採択くださらんことをお願いいたします。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 ただいまの請願に対しまして、政府の御所見を伺います。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 ただいま請願の御趣旨の御説明を承りましたが、今日の日本の状況においては義務教育を完全に実施するためには、できるだけ國庫において負担をすべきであるという建前をとりまして、文部省といたしましては全額國庫負担の交渉を昨年も本年も続けてまいつているわけでありますが、今日の國家財政も、御承知のように窮乏いたしておりますので、やむなく半額國庫補助ということに大体おちつくかと存じているのであります。義務教育の実施は、一面においては國家が課するものでありますけれども、同時に地方民が自分たちの子供に義務教育を授けるという点からいいますと、やはり地方にも責任を分担していただかなければならないものではないかというふうに考えますので、全額國庫負担ということにつきましては、理論的にはいろいろ論議されておるのでありますが、先ほど申しましたように、今日の窮乏の状態においては、できるだけ多く國庫負担をいたしたいという建前をとリまして、先ほど申しましたような処置をとつているわけであります。地方の実情もお察ししなければなりませんが、今日の國家財政の状態も御承知のようなわけでありまして、全額國庫負担は事実上困難であると思いますので、その辺御了察いただきたいと存じます。

岡村利右衞門民主自由党

○岡村利右衞門君 大体半額國庫負担ということは、決定したのでございますか。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 大体そういうふうになる予定でおります。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 他に委員の方で御意見ありませんか。——御意見がありませんでしたら次に移りますが、本件はなお檢討を要する問題と思いますので、採択、不採択は一時保留いたします。さよう御了承をお願いいたします。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 続きまして日程第三、六・三制完全実施のため全額國庫負担その他に関する請願、田口助太郎君外一名紹介(第一八七号)本請願はその内容を拜見いたしますと、ただいま説明されました岡村君の請願とまつたく同一趣旨であります。從つてこの際説明を聽取することは省略いたしますが、委員の方で御意見があれば承りたいと思います。御意見ありませんか。——ではこの件も採否は保留いたしておきたいと存じます。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 続いて日程第四、盛岡農林專門学校昇格並びに岩手綜合大学設置の請願、野原正勝君外七名紹介(第二二八号)——紹介議員野原正勝君の御説明を願います。

野原正勝民主自由党

○野原正勝君 盛岡農林專門学校の大学昇格並びに岩手綜合大学設置に関する請願について簡單に御説明申し上げます。  第一に盛岡農林專門学校の大学昇格についてでありますが、すでに御承知の通り、盛岡の農專はわが國最古の農業專門学校として、過去五十年間にわたつて、わが國、なかんずく東北地方の農業、林業方面振興の中核的存在として重要な役割を果してまいつたのであります。今日敗戰の結果、國土半減、人口が増加したという環境におきまして、わが國の農林的発展の方向は、必然的に東北、北海道にその中心を求むべき段階になつてまいりました。由來東北における文化あるいは行政の中心地は、常に仙台というふうに考えられておつたのでありますが、いろいろな情勢からこれを考えてみますと、今日ではむしろ東北の中心というものは、地政学的に見ましても、仙台ではなくして盛岡というふうに考えられるのであります。御承知の通り、岩手縣は面積約一千万里、四國四縣に匹敵する非常な廣さをもつておりまして、そこにある土地資源は非常に大きなものであります。今後の農業あるいは畜産、林業、あらゆる方面におきまして、岩手縣のもつ役割は大きいのであります。この盛岡農專はこうした中心的な一つの指導機関としての役割をもつておりましたが、過去五十年間営々として経営されてまいりましたために、内容は非常に充実をしております。さいわいに戰災も免れまして、從來の通り教育の殿堂として、文化の中心をなしておるわけであります。この学校が先般仙台にある東北大学の農学部として合併をせられるというお話を伺つたのでありまして、これは教育そのものから言いますと、あるいは仙台の大学と一緒にするということも結構なことであると思うのでありますが、何と申しましても、過去五十年の業績というものをもつておりますし、また仙台と一緒になりましても、非常に地理的に離れておりまして、急行で約五時間を要するような距離にありますので、にわかに東北大学と一緒にいたしましても、非常に不便な点が多いのであります。特に一般教養学科のごときは仙台でこの教育を受けなければならぬというような事情にあるのでございまして、そうしたことにおいて受ける岩手縣の教育上の非常な不便ということを考えるときには、仙台と合併をするというふうなことは好ましくないことである。御承知の通り、盛岡の農專を初めといたしまして、岩手縣には幾多の專門学校及び一つの大学があるのでありますが、こうしたものが一緒になつて教育の便宜を提供し合うということによつて、教育の理想実現が期し得る、かように考えまして、とりあえず第一の問題は、盛岡の農專を仙台の東北大学に合併するということをやめていただいて、そうしてあくまでも独立した大学としてお考えを願いたいという趣意の請願なんであります。  第二は、岩手綜合大学の設置に関する問題なんでありますが、現在私立大学として盛岡に岩手医科大学がございます。そのほかに師範学校、青年師範、それから盛岡工業專門学校、ただいまの農業專門学校、また縣立の女子專門学校が盛岡にある。そうした六つの学校が現在あるのでありまして、それぞれ綜合大学として將來昇格されることになると思うのでありますが、そういう場合において、新学制の体系の中で、これらの学校が互いにいわゆる総合的に運営されるということが、人的物的の交流によつて冗費の節約もでき、あるいはまた研究機関のお互いの提供によつて裨益する点が多いだろう、かように考えまして、これらのものができるならば綜合大学——綜合大学という言葉がただちにあてはまるかどうか私どもわからぬのでありますが、その内容とするところは、あるいは総合とか、あるいは連合、もしくは複合と申しますか、そういつたような趣意の大学にこれらのものをしたら一番よかろう、こういうことを実は考え、國会岩手会、私以下國会議員の岩手縣選出の者は、全員これに対しまして賛意を表しておるわけであります。この問題は最近非常に政治的な問題になつてまいりまして、地元におきましても、岩手縣議会及び市会などでたいへん問題になつておるのでありますが、最近の情勢は岩手縣の縣議会におきましても、こうした私どもの今回の請願の趣意とまつたく同じような考え方で進んでおります。ただそこに仙台の大学と合併をしようといういろいろな話合いが一應あつたものでありますから、仙台に対するいろいろな義理合もありますので、もしこうした要求が容れられるならば、盛岡の農專を仙台と一緒にしてもよろしいというふうな話もありました。そのことというのは、一般の教養学科をすべて盛岡でやつてくれるならば、仙台の東北大学の農学部として合併をすることを認めるというものが一部にあるのでありますが、こうした一般の教養学科を盛岡でやつて、ただ名前だけを東北大学の農学部にするというようなことは、どうも單なるゼスチュアであつておもしろくないことである、むしろこれは、教育の理想から申しましても、この際岩手縣におけるいろいろなこうした学校を一つのものにして複合大学として、それぞれがりつぱな教育のできるような形にしていただくことが、一番よろしいのではなかろうかと考えまして、この請願に及んだわけであります。以上簡單に請願の趣旨を申し上げた次第であります。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 政府の御意見を伺います。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 御承知のように、現在の日本にあります大学及び高等專門学校の数は六百六ありまして、官立のものが二百七十八あるのであります。官立の学校を來年度から轉換するということは、まだ正式に閣議の決定も経ておらないのでありますけれども、大体來年度を目標にして切替を始める予定になつております。この際に盛岡はかりでなく、全体の問題でございますが、一つ一つの学校を充実して新制の学校に適合するようにいたしますことは、望ましいことでありますけれども、実行不可能なことであります。それで現在はできるだけ学校を統合いたしまして、長短相補つて新制大学の規格に合うようにいたしまして、それを原案にして大学設置委員会の審査を経た上で、文部大臣が認可決定することになつておるわけであります。これらの全体の構想並びに方針等につきましては、つい昨今まで各学校等と打合せをいたしてまいつたのでありますが、大よそ見当がつきましたので、近日中に文教委員会にもお諮りいたしまして、御批判及び御叱正をいただきたいと思つておるのであります。ただ時期が非常に迫つておりますし、また学制改革上の未決定の点もございましたので、処置がだんだんに遅れてまいつたのでありますが、それも近日中におよそ見当がつきますので、御報告かたがた御批判をいただきたいと考えておるわけであります。盛岡の場合も実はその例に漏れませんので、このことは從來混乱した関係がございますので、二つにわけて考えていただきたいと思います。盛岡農林專門学校が東北大学の農学部になるということは、新制大学としてなるということではなかつたのでありまして、旧制大学の制度の中で東北大学に合併するという問題が、昨年來起つていたわけであります。私どもは仙台の東北大学を、宮城縣の大学とは考えておりません。東北全体の大学というふうに考えておりますので、盛岡は東北の農業の地点としては、最も東北の代表的なものであるということは、專門家からも聽かされておりましたし、私どももそうに違いないと思つておるのであります。東北大学に農学部をつくつて、從來のいわゆる総合大学をできるだけ完全なものにいたして、東北の文化及び教育の中心にいたしたいということを念願いたしておりました際に、東北大学の側と盛岡農林学校の方とが話合いをしまして、これはぜひ一緒にしてもらいたいということを、文部省に陳情に参られたのであります。それで地方の意見はどうかということも私どもは氣づかつたのでありますが、その当時盛岡の市会が全会一致をもつてこれに賛成するということがございました。私どもも多少の無理は、今野原議員がおつしやいましたように、距離が少し遠過ぎるというような点は疑義をもつておつたのでありますけれども、しかし農学部や水産学部のようなものは、地理的な條件が非常に重きを置かれなければなりませんので、これは一種の例外としてやむを得ないというふうに考えまして、私どもが進んでしたのではありませんけれども、学校当事者の両方の意見が合致したのと、盛岡市会の賛成を得ましたので、旧制大学としてそれを結びつけることを考えたのでありますが、途中に盛岡の元関係者の人たちを中心にして、これに反対の運動が出てまいつたのでありまして、私どもとしてはいずれが盛岡縣民の意思であるかを捕捉しがたいのであります。実は盛岡の縣会の議を経、公の代表の意見を見るために、既定方針を控えておつたわけであります。三月の末でしたか、その縣会の議が定まつたからというので、その議決を御報告いただいたのでありますが、これにはまた捕捉しがたい條項が入つております。ほとんど不可能なことを條件にして賛成をするという意見なんであります。それは全額國庫負担の総合大学をつくることを條件にして、それを國費による総合大学というふうに書いておるのでありますが、地方は財政的の負担はしないけれども、全額國庫負担による総合大学ができるということを條件にして、かつ盛岡に教養学部を即時置くことを條件にしてというような意味の條件がついておりまして、盛岡の農專と東北大学とが合併することを賛成するという意味であります。私はその縣会の代表者諸君に対して、一体この第一は、現在の日本の状態では非常にむずかしい、各地に大学相設の運動はあるのであるけれども、文部省にいろいろ陳情をされるときには、各地方が積極的な意図をもつて大学の設置について、財政的にも経済的にも大いに應援するという意思を表示した上で、こういうふうにしてくれということを申されるのであるけれども、盛岡の場合はそうでなくて、黙つていても國が自然に総合大学をつくつてくれるというふうなことを期待されておるようである。けれども、これは日本が國力を快復すれば、そういうことはないとは断言できないが、今の場合はほとんど不可能に近いのであるけれども、これができなければ合併に不賛成でありますかということを聽きましたところが、どなたも明確な返答をなさいませんでした。それから教養学部を置くことを前提とするということをおつしやるけれども、これは学校と学校との間の話合いがきまらなければ、文部省で勝手にそれをきめるわけにいかないのであるから、これもすぐには返答できない、これもできなければ不賛成であるかということを申し上げたのでありますが、これについても明確な御返答がなかつたわけであります。実はこの点については、私どもも両方とも多少の無理があると思いますので愼重を期しておりまして、せんだつて縣会議長に來ていただきまして、文部省の意のあるところを申し上げて、合併をするという前の既定方針をやるかどうかについて、御相談をいたしてあるわけであります。私どもといたしましては、盛岡が総合大学の一部分になるということは、学問の進歩の上には相当有利な條件もあると思うのでありますが、勉学上の不便は考えないわけではありません。それで多少妥協案になるのでありますが、盛岡農專が東北大学の農学部となるような場合には、農学部にはいる学生のうち、盛岡出身者が盛岡で勉字できるような便法は考えたい。もう一つは、將來國力が回復をしたときには、盛岡に独立の大学ができることは予想できるけれども、今からお約束することはできない。こういう方針で事を解決していいかどうかということを、盛岡の縣議会議長の方には申し上げてあるわけであります。初めから文部省が積極的に一緒にさせようという意図をもつたわけではないのでありまして、学校と学校との間に完全な意見の一致があり、かつ盛岡の市会が賛成をされたので、そういう処置を今日までとつてきたわけであります。この点御了承いただきたいと思つております。  それから次に岩手縣の岩手総合大学の設置ということは、これは一般の問題と同じでありますけれども、先ほど申しましたように、できれば各府縣單位で相当実力のある大学ができるように取計らいたいと思つておるのでありますけれども、何分にも六・三制の実施にもつまずいておるような今日の國家の財政状態においてその上の大学教育に厖大な、あるいは巨額の財政計画を立てて大学の轉換をはかるということは、少くとも今の制度のもとでは不可能ではないかと考えておりますので、來年度の問題といたしましては、できるだけ各地方の積極的な御援助を得て、新制大学の規格に合うような具体的な條件を設定していただいたものを、年次計画によつて順次大学に轉換するより以外に知惠がないのであります。その点も縣当局にはお願いいたしてあるわけであります。理想としてはここに掲げられましたことには、ごもつともなところがたくさんございまするが、これを実現するのには非常にいろいろな障害がありまして、私どもも難澁いたしておる次第でありまして、東北のためにも、盛岡のためにもいい大学のできるように、関係議員の皆様の御援助を得たいと思つております。

野原正勝民主自由党

○野原正勝君 日高局長の御説明でよくわかりましたが、岩手縣はこの盛岡農專の問題に関しまして、非常な難題を申し上げたというお話であります。なるほど難題といえば難題のような感じがしますが、これは岩手縣議会におけるいろいろな議事録の内容を見ますと、必ずしも全額國庫でなければならぬというのではないのでありまして、むしろ縣議会の中には、この際あくまでも教育のためには地元であらゆる犠性をもつべきである。進んでわれわれはその負担に任じなければならないという積極的意見がたくさん出ております。ただ結論として全額國庫の費用でやつてもらいたい、あるいは教養学部を盛岡にもらわなければならぬということになりましたのは、どうしてそうなつたかと申しますと、これは結局縣会が消極的な戰法でもつて合併を否認した結果なのであります。つまりこうしておけば合併になるまいと考えたわけであります。大体仙台と東北大学を合併するということで進んでおつたのをいまさら関係者としては合併という形に行くことはできないから、義理は悪いが、縣会としてはこういう條件をつければ合併にならないだろうということで、いろいろと縣会の意向となつて現われて、一見岩手縣が教育に対して冷淡であり、不熱心であるという結果に見えるのでありますが、実はそうではなくて、非常に熱意をもつておるのでありまして、そういう現われのものがこうした形になつて現われたというふうに、その紙背に徹してお考えを願いたいと思うのであります。  またただいまいろいろのお話がありましたが、私どもは盛岡出身の学生だけを盛岡で一應教養の学科を修めさせるような措置も講じたいというお話には、どうも賛成しかねるのでありまして、そういう変則な教育をあそこで特にそのためにやるということは、はたしていかなるものかと考えております。私ども國立の新制大学というものに対しての措置については、いろいろ考えておりますが、私どもの考え方を申し上げますと、時間が長くなりますから、具体的なことはやめますが、たとえば総合大学が現在あつて、その地元にある学校ならば、それは合併する方がむしろいいと思います。卒直に申し上げれば、当然これは合併して内容を充実させていくべきだと思います。またごく近い所ならば、これは一緒にするのもいいと思います。しかしながら非常に遠隔な地であつて、教育上非常に不便があるというようなところを無理に一緒にするということは、どうもまずいのではないかと思います。岩手縣の場合にしますと、盛岡農專は、すでに先ほど申しましたように、非常に古い傳統をもち、内容も充実しておりますので、もうりつぱな單科大学としてやつていけるだけの價値があると思います。同時にそこには現在工業專門学校がありますが、そうしたものや、また將來師範のようなものも当然学藝大学として発足すると思うのであります。そういうものがやはり教育の便宜を提供し合うというようにやりますならば、從來の観念における綜合大学というものにはあてはまらないかもしれませんけれども、複合大学と申しますか、連合大学と申しますか、そういう形でいく方が利益が多いのではないか。岩手縣の場合におきましては、その中心になるものは、やはり非常に充実した内容をもつておるところの盛岡農專制なければならぬ。盛岡農專が中心になつていろいろな学校を一つにした複合大学をつくつていただくことが、國家的に見て一番正しいのではなかろうかと考えております。その点決して盛岡農專を單科大学としていき、別にまた綜合大学をつくるというような二つのものではないのであります。その二つのものが常に一つの大きな教育の理想に向つて帰一する点があるわけであります。來年度から新制大学もいろいろと実施されるようでありますが、新制大学の設置にあたつては、教育の理想を考えられて、われわれの意図するような線で実施していただきたいということを、文教委員長初め委員の皆樣にも特にお願いするわけであります。盛岡の農專については、いろいろとデリケートな問題になつてきましたけれども、要は東北における盛岡農專が残してきた過去におけるいろいろな業績や、將來に向つてわれわれの期待しておるいろいろな教育上の理想を考えるときに、これを軽々に仙台の東北大学と一緒にすることは非常に間違つておるという点が、この議論の中心をなすのであります。  これはこの際特に申し上げておきますが、盛岡の農專と東北大学が一緒になるという一つの原因は、昨年すでに東北大学で農学部が発足したのでありますが、その施設の充実が地元においてうまくいかなかつたので、東北大学としては、この際大学の農学部としてすでに設置を見たけれども、その内容を充実させるのには、今日の実情ではなかなかうまくいかない。盛岡の農專と一緒になることによつて、そうしたことが可能であるということから、むしろ教育の理想というものの立場を捨てて、いわゆるイージー・ゴーイングでこういう結論を急いだという意図が見えてえりますので、私どもとしましては、教育はあくまでも高い理想によつて行動すべきものである、かように考えまして、こうした請願があり、また地元においてこれが非常に大きな運動となつているということを特に申し添えまして、ぜひともこの問題に対して御採択を願い、また委員各位によつて、この問題の実現を特に切望してやまない次第であります。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 委員の方で御意見ありませんか。

久保猛夫民主党

○久保委員 関連した問題ですが、先刻日高局長からの説明の中に近く大学設置委員会の方で審査にかけ、大臣の決定をまつて、その間に文教委員会の方とも連絡をとる。こういうお話がありました。実は昨日委員が集まつたときにも、私意見を申したのでありますけれども、委員会の方には、たくさんのこうした問題が請願になつておりまして、これを委員会としてはどういうふうに処置し、國会としてどういうふうに結末をつけていくかということについて、今相当差迫つた状態になつておる。そこで私が心配していたところは、文部省は文部省として、國会は國会として、そういうことになりますと、そこに食い違いができて、あとで予算その他の問題をめぐつて摩擦が生じるだろうということを氣づかつておるのであります。こちらとして一應意思を決定したものについて、文部省の方で非常にそれを軽く扱われるということになりますと、われわれはわれわれとしての体面、責任上、默つておれない立場にもなつてくると思うのであります。そこでお尋ねしたいのは、設置委員会を開かれて直轄学校の昇格について審議されるには、大体何月のいつごろから開始されるかということ、それでそれが終るのはおよそいつごろであつて、ぎりぎりのところ來年度の予算編成の都合もありましようと、從つて最後の文部大臣としての決定をなさるのは、遅くともいつごろになるか、その点をはつきりして、およそのところでもいいですからお示し願いたい。それによつてわれわれはこの委員会としてこうしたたくさんの請願の処理を講じなければならぬ、こう思うのであります。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 今のお尋ねはまつたく私どもも実は処置に苦しんでおる問題であります。正直に申しますと、文教委員会の当然の権限というものと、文部省の行政上の責任と、どの辺から区別したらいいかが、私どもにはわからないのであります。実は参議院の方でもそのことはぶちまけて申し上げたのでありますが、具体的にこの文教委員会で全國のたくさんの学校のどことどことをどういうふうにしろというようなことを御計画になることは、失礼ながら事務の手足をもつておいでにならない建前からいつて、これはできないのではないか。そうかといつて私どもが原案をつくつてしまつてからこちらに出して、この点がいけない、あの点がいけないということで意見の食い違いが非常にたくさんできても、実行上は非常に困るのであります。そういう点で、どういう点まであらかじめ御了解をいただき、御批判をいただいておいたらいいかということが、私どもにははつきりわかりませんので、附燒刃でありますが、國会に関する著書も読んだのでありますが、どこにもその権限がはつきり明示されておるものはないのでありまして、実は判断に苦しんでおるわけであります。私個人といたしましては——文部省の意見でありませんで、私個人の意見でありますが、これはこういう全國的な問題について、もしも國会が積極的な意図をもつて、どうしてもこうしなければならないという御意見であるならば、やはり法案の形でもつて出していただく以外に途がない。そうでない限りは文部大臣のもつております教育行政上の責任をもつて、あらかじめその範囲内においてでも文教委員会等とよくお打合せをいたしまして、御意見のあるところはあらかじめ承り、その上で案を立てて御審議いただいたならば、一番円滑に進みはしないかというふうに考えておるわけであります。先ほど申しました文部省の非常にたくさんの官立学校の轉換の問題についての方針も、実は学校局の係の者が寄り集まりましていろいろ討議をいたし、教育刷新委員会の方でも、これを無方針でやつてはいけないから、國土計画的な立場から考える、人口とか産業とか交通状況とか地方の文化の開発とか、こういう点を十分考えて一應の方針を立ててやれというようなお話もありました。現在は專門の小委員会をつくつてその点を檢討されておるのでありますが、まだ結論が出ていない。私どもとしては、教育刷新委員会が今回の学制改革の全般についての意見を総理大臣に答申される機関として活動されているその中の一環として、全國の大学高等專門学校の轉換についても御意見のあるということは当然のことであると思いますので、その結論を十分参考としてやりたいと思つておりますが、結論がまだ出ていない。出ていないけれども、來年度には元ほど御質問のありましたように大学設置委員会が審査をいたしますのに——これは紙の上の審査ではなくて、現実に行つて実地を調査し、中味の審査もいたした上で、教授陣の適不適までも一應は檢査するということになつておりますので、非常に時日と費用とを要します。そのために大学設置委員会の方では七月末日までに原案を出さないものについては、來年度には間に合わないということを言つております。それまでにあらましの案を立てなければならないような必要に迫られておるわけであります。そのあらましの案を立てますのに、無方針ではいけないので、大体の方針を決定いたしまして、各学校と折衝をして、それでどのくらいな支障があるか、どのくらいな例外を認めなければならないかということを、実は五月十一日から二十八日までの間、各学校と折衝したわけです。それでおよその見当もつきましたので、二十八日でしたか、初めて文部省全体の会議にそれを報告して、批評を求めているようなわけでありまして、文部省の方針というものが十分に決定しかねており、まだ大臣にも政務次官にもその結果を十分報告するひまがないので、文部省の省議には、本來は大臣も政務次官も御出席になつていろいろ御意見を述べられる機会もあり、また御叱正いただくようになつておるのでありますが、御承知のようにいろいろ政務がつかえておりますので、先日の省議にはおいでにならなかつたようなわけで、特別にこのことについては大臣にも政務次官にも説明しなければならない、その説明を終えたらすぐにこちらにも御連絡をしなければなりませんし、また関係筋にも了解を得たいと思つているようなわけであります。いろいろ混雑しておりまして、すつきりした態度を申し上げかねるのは、はなはだ残念でありますが、そういう事情になつております。それから大学設置委員会の審査の時期というのはおよそ九月からだということを言つておりまして、少くとも來年の二月までに、できるだけ愼重に審議した上で決定いたしたい。こういう意向のようであります。

久保猛夫民主党

○久保委員 二月までにそれを決定してはたして四月の間に合いますか。その点、私は、少くとも十二月の半ばごろか、遅くとも十二月いつぱいぐらいまでにはそれが決定しなければ——十二月いつぱいというのはむしろ遅いのではないかと思う。準備もあろうし、予算編成のこともありましよう、学校としての準備もありましよう、はたして二月ぐらいでよいものかどうか。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 二月が遅過ぎるということは、文部省としてはそういうふうに感じておるのであります。しかし、大学設置委員会は、文部省の諮問機関でありますけれども、独立いたしておりますので、私どもの方から干渉するわけにはいかないのであります。私どもも意見は述べるつもりでおります。ただ、どのくらい申請が出るか見当がつかないのであります。先ほど申しましたように、全國で六百ばかりありますから、そのうちの何割がどういうふうに出てくるかということの見当がつきませんのです。もちろん大学設置委員会も、できるだけこれを早い期間に切上げるつもりでおられることは確かであります。多分用意をして二月下旬ぐらいまでには片づけたいということを言われておるのだと思います。  それからもう一つ申し上げたいのは、実はこれは官立でも私立でも同じなんでありますが、四年制の大学も、教授陣というようなものを十分そろえて審査を受けるというようなことは、実行不可能なのであります。たとえば、三年制の專門学校が四年の大学になりますときには、專門の教授はもちろんのこと、一般教養を受持つ教授たちも、予算のないうちにその人を現実にひつぱつてくるわけにいきませんので、たとえば内諾で事を済ませる、あるいはこういう約束ができているとかいうようなことで審査をしていただかなければならない、そういう不備もある。これはどの学校も完全にはできないかと思います。しかし過去の事実と信用とによつて、將來に対する見透しも考えて判断をしていただくようにお願いしてあるわけであります。そういう点も、非常に短かい時間にたくさんの、しかも複雑な仕事をしなければならないので、大学設置委員会も非常に骨を折つておられると思いますが、困つておられるようなわけであります。御説のようになるべく早く切り上げるようには、私どもからもお願いしたいと思つております。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 ただいまの請願ですが、特に大学設置の問題は相当重要な問題でありまして、今学校教育局長も御説明いたしましたように、設置基準その他につきまして、近く本委員会に大体のお話があるということを、実は昨日、私、局長とそれを話しまして、水谷君、久保君の御質問の趣旨もそういうことになつておるのであります。從つてこの問題につきましてはさらに愼重に檢討する必要があると思いますので、本日この委員会で採択不採択ということにつきましては一時保留いたしたいと思いますので、その点御了承願いたいと思うのであります。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 続いて日程第一五、京都工業專門学校昇格の請願、中野武雄君紹介(第八四二号)

近藤鶴代民主自由党

○近藤委員 紹介議員の中野武雄氏に代りまして、趣旨を申し上げたいと思います。この請願は京都工業專門学校同窓会代表鈴木忠三氏によつて請願されておるものでございます。  趣旨は、学校教育法の施行に伴い、新教育制度が目下着々と実行されつつあることは、われわれの最も欣快とするところである。しかして文部省直轄專門学校の新制大学への轉換は今や目前に迫つた。この時にあたり、京都工業專門学校は、戰時中の増設学科を切り捨てて、美術工藝に関する独特の性格をもつ工藝大学として昇格すべく、われわれはこれが実現のために貴院の御高配を賜わりたく請願する次第である。  理由につきましては、そもそも京都工業專門学校は、京都高等工藝学校として明治三十五年五月一日に設立された古い歴史を有する。しかしてその創設は、当時の第十三回帝國議会において、美術工藝の最も盛なる地、京都に工藝に関する学校の設立要望に対する建議案が可決されたことに基くのであり、かつその建議案は当時の京都府並びに京都市在住の商工業者を中心とする人々の多年にわたる熱心な運動の結晶であつた。かくて本校は当初色染、機織、図案の三科をもつて開始したのであるが、昭和四年陶磁器科を加えて四科となり、爾來京都の工藝界のみならず、日本工藝界に寄與してきたのである。しかしながら、今次太平洋戰爭中、機械、電氣、化学工業等の科を加え、あるいは既設科の内容を轉換せしめられ、漸次当初の特色を失い、校名も京都工業專門学校と改称され、今日は色染、紡績、建築、窯業、化学工業、機械、精密機械及び電氣の八科を有する状況である。われわれは、目下の國家財政窮之の際に、八科をそろえて昇格することはとうてい許されぬことであり、かつまた、今日われわれの最も必要とするところは、平和産業による國家経済の復興であると考える。しかしわが國の工藝は、日本文化を形成する重大要素であるとともに、わが國平和産業の大宗であり、今後は輸出産業の中心となるであろう。特に京都は古來工藝の都として知られてきた地であつて、工藝をもつて立つている。ここにおいて同校は、時世に鑑み、創立の精神に基き、かつ京都産業界の要望にこたえて、機械、精密機械、電氣及び化学工業の四科を切り捨てて、新しい構想のもとに色染工藝、機械工藝、窯業工藝及び建築工藝の四科から成る工藝大学として昇格実現を期している。すなわち色染工藝、機械工藝及び窯業工藝の三科は、京都の代表的産業であるとともに、日本の代表的工藝であるそれぞれの分野における最高の專門教育と研究を目的とし、建築工藝科は、建築設計の教育と研究を行うとともに、工藝の師父といわれる建築藝術を基礎として、工藝意匠計画の技術に関する教育と研究とを行う。さらに同校の特色としては、彦根の経済大学と連合して、技術と経営の二方面を有機的に結合せんとしている。すなわち両大学では、相互の学生が在学中に、特殊研究部門として、他方の大学における專門学科目を履習し、工藝技術を專攻しつつ経営学を履修し、または経営学を專攻しつつ技術教育を受けることを可能ならしめんとしている。われわれは京都工藝大学の構想が全面的にわれわれの要望に合致することを認め、同大学の成立は日本工藝界の振興に不可欠の條件であると考える。もちろん京都には京都大学が存在し、多方面にわたる最高教育と研究に当つている。しかしながらわれわれは京都工藝大学のごとき独自の性格、独自の目的及び使命を有する大学は單独に存在すべしと考え、ここに京都工芸藝大学の実現に対し貴院の深甚なる御配慮を賜わりたく請願する次第である。  以上の趣旨でございますので、どうかこの特殊性に鑑みまして、十分当局においても御研究の上、ぜひ御採択、実現を期していただきたいと思います。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 ただいまの請願に対して、政府の御意見を伺います。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 京都の工業專門学校が工藝大学となつて発展していくことについては、私どもも趣旨には賛成なのでございますが、ただ彦根との連関問題等については、いろいろ他との問題もありまして、研究をいたさなければならないと思います。現在のところでは、京都の工藝大学というようなものをつくりたいという意向で、各関係学校と打合せ中でありまして、御趣旨そのままではないと思いますけれども、御趣旨に副うように努力いたしたいと思つております。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 御意見はありませんか——ではさらに檢討することにいたしまして、本日は採択、不採択は保留にいたしたいと思います。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 続いて日程第一、久美濱農学校昇格に関する請願、大石ヨシエ君紹介(第三号)——大石ヨシエ君の代りに、高津正道君に説明を願います。

高津正道日本社会党

○高津委員 大石ヨシエ君がお見えになりませんから、私が代つて請願の趣旨を申し上げます。  京都府熊野郡教育委員会で、昭和二十二年九月一日に次のような決議をいたしたのであります。読み上げてみます。  熊野郡は京都府の西北端の僻地であるため、文化に惠まれず、中等学校としての府立久美濱農学校のみが、唯一の地方文化の中枢的役割を果しているのであるが、新学制の実施に伴い、久美濱農学校を中心とする高等教育を振興して、一つには新制中学校教育の延長発展のため、一つには勤労青年学徒の燃ゆるがごとき向学心を滿足せしめるために、左の事項を緊急重要と認め、その実現に努力することを決議する。  一、府立久美濱農学校を府立の全日制課程の高等学校に昇格せしめること。  二、右の新制高等学校に定時制課程を併設すること。   適当数の分校を設置すること。  三、昭和二十二年度に卒業する新制中学校生徒の入学志願者を收容するため、昭和二十三年度において昇格せらるべき久美濱高等学校の全日制課程に最小限一学級を増加すること。 こういう決議をいたしまして、井垣弘氏を代表者として、熊野郡教育委員会は、府立久美濱農学校の高等学校昇格を緊急必要と認め、別紙決議文を添え、御理解を賜わり、実現に努力せられんことをお願いいたしますと請願しておられます。これは昭和二十二年十月一日に請願しておられます。どうか御理解の上、御採択あらんことをお願いいたします。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 政府の御意見を聽きます。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 新制の高等学校につきましては、その基準と大体のわく等につきましては、文部省がおせわすることになつておるのでありますけれども、これを認可するかしないかにつきましては、知事の権限に属しておりますので、この地方の実情は、承るとごもつともだと思うのでありますが、文部省が直設に取扱うことは困難でありまして、知事の方に御希望をお傳えいただくことが一番近道な、適切な処置ではないかと考えるのであります。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 御意見ありませんか。

久保猛夫民主党

○久保委員 今の日高局長の御意見の通りと私も思います。これは國費をもつてすることでもなし、文部省で決定することでもない。こういう問題の請願は、今の問題であれば京都府知事の方にまわされることが適当だろう、われわれはこれを実際に見て調査するところまでの必要はなかろうと思うし、從つて國会としては、こういう請願が出ておるが、一應書面の上でも、もつともと思うが、しかるべくというところで知事の方に回送されたらそれでいいのじやないかと私は思います。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 ただいまの久保君の御意見ごもつともと思いますが、いかがですか。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕

松本淳造日本社会党

○松本委員長 御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本淳造日本社会党

○松本委員長 ではさように取計らいます。     —————————————

松本淳造日本社会党

○松本委員長 続いて日程第二〇、山口縣に國立綜合大学設立の請願外一件、受田新吉君外五名紹介(文書表第一〇三五号)——紹介議員受田新吉君。

受田新吉日本社会党

○受田新吉君 ただいま御審議をいただくことになりました國立山口大学の設立に関する請願について、その紹介議員として趣旨の説明を申し上げます。  ただいまお手もとに申請書を差上げますので、ごらんいただきたいと思うのでありますが、山口縣は特に教育縣として古い傳統をもつておりますし、文化の点においては、例の室町時代から西の京都といわれて、大陸文化の輸入地でありました。また明治維新以後においても、この点、西欧文化の輸入地として、特にその海外の文明を輸入する基点になつておつたのでありまして、こういう歴史的の因縁からも山口縣が教育を非常に尊重する傾向をもつておつたことと、そういう環境に惠まれていたということを、私出身縣として十分誇りに感じておる次第であります。特に地の利を得ているということ、アジアの東部の、ちようど大陸へも近いし、南方へも適当な基点になつているという点においてのみならず、経済的にも、水産の上において、また工業、もう一つの鉱業という点において、また防長米と稱せられる農業の上においても、特に中國、四國地方においてその尤として誇つておつた縣でありまして、こういう点から、これらの経済文化の中心として、現在官立の專門学校が、ここにあげてありますように経済、工業、高等師範、青年師範、こういうふうにつくられておりますし、また官立第二水産講習所もありまして、非常に教育の毀盛を極めておる次第であります。ただ憾むらくは、ここに現在官立大学を持たなかつた点であります。しかしながらこの点においては從來つとに防長大学設立が計画されて、これが実現を見るに至らなかつたにすぎないのであつて、その萌芽はずつと前から防長の天地にみなぎつており、かつ中央においても、しばしばその空氣が反映されておつたのであります。さいわいにしてこのたびの大戰の被害を受けることが少く、山紫水明の山口を中心として、これらの五つにあまる官立の專門学校はその堂々たる校舎をそのまま存置しているし、また設備の上においても從來のあらゆる総知を絞つた粹が集められているし、なお山口縣廳、山口図書館、教育博物館等は、全國的に袴る優秀な建築物でありますし、内容においても確かにこの方面の権威であるということを袴つている次第であります。こういう條件と、もう一つは占領軍当局の好意を得て、その方面の使用しておつた宿舎その他を非常に多数提供していただいて、ここを教育の場所として、実に惠まれた環境と同時に、その設備とあらゆる條件が競合して、山口に國立綜合大学を設置するという機運が、昨年以來澎湃としてみなぎつたのであります。その点については、いささか運動の立ち遅れもありましたけれども、著々として堅実な歩みを続けて、その具体的な計画を立てて、ここに示したような大綱を皆樣の前にお見せすることができるようになつた次第であります。いろいろな観点において山口に國立綜合大学を設けることが非常に適当であると認めまして、私は山口縣の要望、山口縣の総意というものを十分くみとつて皆樣にお諮りいたし、熊樣より全國的に見て山口縣に國立綜合大学をつくることが適当であるということの御判断をいただいて、そうして愼重審議の上御採択をいただき、文部省にもこれに対して十分御了解願つて、これが実現の運びに至らんことを念願してやまないのであります。なおこの山口國立綜合大学設置の概要についてはこれは皆樣の前にあります表に、学部設置の構想として人文学部、経済学部、教育学部、教育学部別科、工学部、水産学部、農林学部、医学部というようなものを掲げておるのでありまして、このうちで官立ではなく、現に縣立として獸医、畜産別科及び医学專門学校及び縣立女子專門学校というようなものがそれぞれ適当に官立國立綜合大学に吸收されていくことを願つてやまないのであります。わけてこの中で水産学部は、官立第二水産講習所をこれを文部省に管轄の中に入れていただいて、水産学部として独立願いたい。この点においては、山口縣が水産縣として全國で最右翼にあるということを御了解願えるならば、おのずからこの点おわかり願えるだろうと思います。農林学部、医学部についてもそれぞれ綜合大学の学部として新発足を願いたいと念願しておる次第であります。詳細にわたつては本日ここへ山口縣百四十万縣民の総意を代表して山口縣知事が見えておられるので、説明の足りないところを補足していただきたいと思います。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕

松本淳造日本社会党

○松本委員長 それでは速記を始めてください。  ただいまの請願に対して政府の御意見を願います。

日高第四郎文部事務官

○日高政府委員 山口に五つの官立の学校がございます。それらのものを來年度以降において大学に轉換いたさなければならないことは必至の状態でありまして、山口の御希望のような理想的なものがはたしてどの程度にできるかは別問題でありますが、ある程度のものができることは、ほぼ確実であろうと思つておるのであります。ただ初めに申し上げましたように、日本の國家財政の状況とも見合わせて具体的な案を立てなければなりませんので、主として現実的な條件ということに重きをおきまして、実行可能な案が立ちましたものを先に大学設置委員会にかける予定でおりますから、その辺はお含みおきいただきたいと思つております。  なお縣立の学校が四校ありまして、それを官立にできれば移したいという御希望も、ごもつともであると思うのでありますが、初めに申しましたように官立の学校が二百七十八ありまして、それらのものの処置をいたさなければならないような任務を文部省としてはもつておりますので、そういうものの片づく見透しがついた上でないと、新たに縣立の学校を官立に移すということは、そう簡單にはできないと思つておりますが、具体的な條件をよく檢討いたしまして、なるべく御希望に副うような案をつくりたいと思つております。

松本淳造日本社会党

○松本委員長 委員の方で御意見ありませんか。——では先ほど岩手綜合大学設置の請願の際に申し上げておりますように、大学設置は重要な問題でありますので、近く設置委員会の意向を文部省側から提示して、文教委員会ともよく協議するということに先ほど話合つておりますので、今の山口綜合大学の件につきましても、さらに愼重な檢討をいたしたいと思います。そこで本日ただちに採択、不採択を決定することは一時保留したいと思いますので、その点御了解願いたいと思います。  それでは本日の委員会はこれで散会いたします。     午後零時三十五分散会

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