不当財産取引調査特別委員会 第21号
- 発言数
- 684 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/05/08
会議録
○武藤委員長 それではこれより会議を開きます。 この際諸君にお諮りいたしたいと思いますのは、かねて辻嘉六氏をめぐる政治資金の糾明の問題につきまして、当委員会に喚問をすることになつておりました、三木武吉氏が本日出頭をせられておりますが、これは中野四郎君の提案によつたものであります。本日簡單に尋問をいたしたいと思いますけれども、いかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 ではさよう決定いたします。
○中野(四)委員 議事進行について。私から喚問を要求した三木武吉さんのことですが、でき得るならば委員長に大体了承のつける程度においてまとめて御質問願つたらどうですか。ただ問題は各証人を要求して三木さんだけを残しておくということは、いかにも穏当でないという関係と、それから同じ証人として檢察当局において述べられた点もあるのだから、その点を中心にして委員長から適宜御質問なさつて、足らざる点を補足するという程度で御了承を願います。
○武藤委員長 それでは証人の諸君に証言を求める前に一言御注意申し上げます。昨年十二月二十三日公布になりました、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人に証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことになつております。宣誓または証言を拒むことのできるのは、一般の人については、証言が、証人または証人の配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項あるいはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するときに限られ、医師、歯科医師、藥剤師、藥種商、産婆、弁護士、弁理士、弁護人、公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者については、その職務上知つた事実であつて默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。そして証人が正当の理由なくして宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をなしたときは三月以上十年以下の懲役に処せられることになつております。一應このことを御承知になつておいていただきたいと思います。 それでは法律の定めるところによりまして証人に宣誓を求めます。御起立の上、どなたか代表してひとつお読みください。三木さんお願いしましよう。 〔証人三木武吉君各証人を代表して宣誓〕
○武藤委員長 どうぞ御署名御捺印を願います。 〔各証人宣誓書に署名捺印〕
○武藤委員長 本日お見えの証人は、吉田洞介さん、長沼弘毅さん、平田敬一郎さん、吉國二郎さん、前尾繁三郎さん、清水康雄さん、柿沼幸一郎さん、木村公平さん、由良基夫さん、竹中錬一さん、竹中藤右エ門さん、三木武吉さん、それでは三木武吉さんから先に伺いますから、残余の証人の諸君は、しばらく別室でお待ち願いたいと存じます。 三木さんに伺いますが、まず辻嘉六氏との関係を述べてください。
○三木証人 辻君とはいつごろから知り合いになつたか、よく記憶がありませんが、大体二、三十年前からと記憶しております。しばしば行き会うようになりましたのは、自由党創立後初めての選挙が行われた後です。日時はいつごろになりますか、大体そういうふうに記憶しております。
○武藤委員長 辻という人は政界においてどういう地位をもつておるのですか。
○三木証人 別に地位はないようですね。
○武藤委員長 自由党というわけでもないのですか。
○三木証人 自由党員というわけでもない。近ごろのはやり言葉で言えば、自由党のシンパのようなものです。
○武藤委員長 昨年の選挙の当時に、あなたのところへ神田むめという人から五万円の銀行為替が送られたことがございますか。
○三木証人 その通りであります。
○武藤委員長 それはどういう趣旨のものですか。
○三木証人 その手紙でありますが、加賀町の老人からお送りしてくれという話であるからお送りしましたと言うて送つて來ました。加賀町の老人というのはすなわち辻君のことを指すものであります。
○武藤委員長 何に使つてもらいたいというようなことはないのですか。
○三木証人 何もないのです。当時私は四國の離島で寂しく暮しておつたから、辻君がまあ小遣銭くらいに見舞に送つたのだろう、こう思うたきりです。
○武藤委員長 神田むめという人はどういう人ですか。
○三木証人 これは牛込で料理屋をしておりまして、私とは親類附合いでありまして、辻君はそういう状態に関係から相当やはり近しくしておられました。私と辻君との関係もよく承知しておる人です。
○武藤委員長 ときどき辻さんから金が贈られたことがありますか。
○三木証人 ありません。
○武藤委員長 前後これ一回ですか。
○三木証人 ええ、一回です。但し辻君から、私が上京でもするとよく往復いたしますから、御馳走にもなり、こちらでも御馳走をしてあげる。東京で屋敷が燒けて、ちようど辻君が近所ですから、私のために家を建ててあげましようとか、いろいろ好意的の話があつたのですが、そんなことは必要がないからと言つて、その好意を断つた事実がある。しばしば好意を現わそうとせられたが、断つた事実はあります。
○武藤委員長 この五万円は何にお使いになりましたか。
○三木証人 ちようど私が田舎で手狹ですから、バラックを建てておりまして、バラックの費用や小遣銭に使いました。
○武藤委員長 この金は中曽根幾太郎という人が詐欺的な行為によつて受取つた金を、辻氏に献金をして、その中から贈つたということを御存じがなかつたのでしようね。
○三木証人 むろん。
○武藤委員長 その他こまかいことは、本年一月二十日に檢察廳で田中万一檢事にお述べになつた通りですか。
○三木証人 寸分も間違いありません。
○武藤委員長 何かお尋ねになることがございますか。
○中野(四)委員 この際ちよつと伺つておきたいのは、辻さんとあなたぐらいに深い御関係でありまして、何ゆえに松が枝の神田むめさんを通じて、金額から言えば五万円ぐらいのわずかなものをば贈らなければならなかつたかということを、一つ伺いたいのです。さらに檢察当局において述べられておる点を大体見ますと、原玉重君とあなたとは最も深い関係にありまして、原玉重君と神田むめさんを通じて、加賀町の老人よりということになつておりますが、もしそういうような関係ならば、辻さんと原さんとの関係、原さんとあなたとの御関係において、直接原君があなたのところへお贈りすべき筋合のものだと私は思う。世間まま誤解を生みやすいのは、何ゆえに神田むめさんを通じてお宅へお贈りになつたか、どういうわけでこういう手口で、まわりまわつて贈らなければならなかつたかということについて不審は抱かれなかつたか、これを伺いたい。
○三木証人 原君がこのことに介在しておるということがわかつた今日ではそういう疑問が起りますが、原君が介在しておるということを知らなかつた当時においては、神田と私の関係、神田と辻君の関係から、当然辻君が神田の家へ遊びに行つたか、神田が辻のところへ用があつて行つたか、そのついでに三木に贈つてやつてくれということで、今になつてみるとややこしく考えるが、その当時はそういうことを考える余地もなかつた。
○中野(四)委員 そういうような疑問が解けてまいりますれば、三木さんともあろうものが、辻さんから五万円ぐらいの金を贈られるという点については、何かそこに選挙とか、ほかに意味するものがあつたとお考えになつたのか、あるいは十年來三木さんのところへ辻さんから、あるときには三木さんが小遣いに苦しんでおるだろうから、少しぐらいの小遣いを贈つてやろうということで、何も不審を抱かれなかつたのか、今委員長の質問にあつたように、辻さんと三木さんとの間に金銭上の問題はなかつたのですか、長い間に貸してやつたり、借りたりというような観点があつたかどうか。こういう点について伺いたい。
○三木証人 今も申し上げる通り、あまりないのですが、二十年も三十年もの間でありますから、あるいは時と場合によつたらあつたかもしれませんが、しかし記憶するほどのことはないのです。それから選挙の関係というが、私は当時小豆島という離島におりまして、追放の身だから、選挙には絶対に関係しておりません。從つて選挙の関係で五万円ばかり贈つてきたとは想像もしません。今日かりに選挙のことを想像するとすれば、辻君が五万や十万というような、そんなけちくさい金を贈つてくるはずがない。だから淋しいだろうからと、何か菓子でも贈るような氣持で贈つたんだろう。こう思つております。
○中野(四)委員 この機会に私は三木さんを通じて、やはり辻嘉六という人のあり方を明確にしておく必要があると思うので、先日鳩山さんにおいで願つたときにも私からお尋ねをしたのでありますが、近來國際関係の上において非常に誤つた認識をもたれますものは、敗戰後において新しい観点に立つた政党が、ややもすれば旧式なあり方を求めて、政界の黒幕的な存在をかなり大きく重要視し、延いてはその黒幕が時の政権を左右するというような面において、日本にまだ地下政府的な存在があるというような誤つた認識をもつておられることは、非常に日本を民主化する上においても、講和会議を目前に控えて悲しむべきことと私は思つておるのであります。從つて三木さんと辻さんとは同じく牛込においでになつて、特に政党的に過去は違つておられたけれども、相当に肝胆を照らす仲でありますから、そういう面からいつて辻嘉六という人がまつたく自由党の黒幕的存在であつたかどうか。自由党立党当時における辻さんの役割が、あなたが先ほど不測の間にもらされたシンパ的存在、この事自体が大きく誤りを犯すもとであつて、延いては吉田内閣当時においては、辻嘉六さんが大きく反映して、地下政府的存在なりとして誤つた認識をもたれるおそれが多分にあつたのであります。これはやはり辻君を特に知つておられる三木さんから、この機会に辻さんがはたして黒幕的存在であつたかどうか、延いては地下政府的存在として彼が活動しておつたかどうかということについて、明確にしていただくことが大事なことだと思いますが、この点を御説明願いたいと思う。
○三木証人 辻君については、世間からいろいろな観察がせられておるように聞き及びますが、私の辻君に対する見方は、辻君は非常に政治の好きな人です。一口に言えば政治の話を聽いたりしたりすることが何よりも樂しい。ちようど書画骨董いじりする老人が、人の顏さえ見れば書画や骨董の話をすると同じように、政治の話をすることが非常にすきな人だと言える。それから辻君の特長は、人の世話をすることがすきな人です。俗にいう世話ずき、頼まれないでも人のことをかれこれ心配してやるという非常な世話ずき、從つて頼まれれば、俗にいう越後から米つきにくる。頼まれないでもいろいろ心配する。ちようど私のところへ贈つてきたのを、私が無関心に五万円受取つて使つたようなものです。頼みもしないのに不自由していないか、さびしかろうというのでぽんと五万円贈つてくるというふうな人です。特に金銭については非常に恬淡な男であるということは世間一般の人は認識していることであつて、私がここであらためて申し上げるまでもないことだと思う。そういつた人だから、社会党の人が辻君のところへいろいろな話をしに行けば、社会党のこともあれこれと心配してやる。今の政党でいえば、民主党の人が行つて話をすれば、その話も聽いていろいろ心配してやる人で、政党についても源平当時とたいして選ぶところがない。ただ私が自由党のシンパのような存在だと言つたのは、自由党と辻君は私交的に懇意な人が多かつたという事実から、いきおい世間から見れば、自由党のシンパに見えるような形に自然となつてきたにすぎないんです。從つて辻君の力というものが政党を左右する、辻君一個の考えで政党が左右される、あるいは政府の政策にまでも力が及ぶというようなことは事実においてはなかつたであろうと思いますし、今後といえどもないと思う。しかしそれは辻君が今までそういうことに力のすべてを注がなかつたから、そういうことはなかつた、また將來もそういうことがなかろうと思うから、ないだろうと言うので、はたして一身を賭してまでやれば、できるかできないかと言えば、あるいはできるかもわからぬということも言い得られるかもしれません。これは人の力の問題であるから、できないと断言はできません。しかし少くとも今日まではそういうことはしておらぬ。また現在の辻君の心境から想像して、將來においても、そういうような氣持はもつておらない、從つて結論としては、政治の地下運動、あるいは地下政府をどうやろうとかいうことについては別に考えはないのじやないか、始終つき合つておりますから、そういうふうに考えております。
○中野(四)委員 私は結構です。
○武藤委員長 ほかにございませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。 —————————————
○武藤委員長 木村君に再びお出でを願いましたのは、あなたが去る四月五日に当委員会で証言をなされた問題について、偽証の疑いがあるということから、もう一度お出でを願つた次第です。この前お述べになつたことについて何か御訂正なされる箇所がありましたら、お述べになつてください。
○木村証人 ちよつと委員長のお許しを得まして、辻嘉六氏と私との関係をもう少しく述べさせていただきたいと思いまするが、辻嘉六氏は私の郷里の大先輩でありまして、私の父親とは四十年來の付合であります。從いまして私は子供の時分からかわいがられまして、新聞記者諸君の話によりますると、私が当選いたしましたときには喜びのあまり部室中を歩いてまわつたという話を聞いたほど私をかわいがつてくれておるのであります。しかるところ昨年檢察廳から書面がまいりまして、辻嘉六との関係並びに昨年の選挙当時の資金関係のお尋ねがありましたので、当時の記憶に從つて、辻との関係を述べ、さらにまた資金関係につきましては、当時の記憶を辿つて、もらつた憶えがないと申し上げたつもりであります。しかるところそれから約一、二箇月ののちに、辻氏の調書の中に私の名前があつたことを私は仄聞いたしまして、これは困つたことに相なつた、最も自分の好意をもつておる人の証言と、自分の申し立とが違うということに対しましては実に苦慮いたしたのでありまするが、先般の委員会におきましては未だ記憶の復活がなく、檢事局と同じことを認めたのであります。しかるところ万一私がどこまでも自分の記憶通りで進みますれば、辻氏に対する迷惑は非常なものであると思いまして、先般病臥中にいろいろ記憶を辿つてみたのであります。その結果私の記憶というものは、檢事局における記憶並びに当委員会における記憶、これは思い誤りでありまして、私の信頼する辻氏の申し立てることが眞実であることを発見いたしましたので、今日ここで訂正をいたしたいと思います。
○武藤委員長 なお辻氏の述べるところによりますると、昨年の十一月ごろですか、秋に一万円、明けて今年の二月ごろ五千円、あなたに差し上げてあると申しておりますが、その通りでありますか。
○木村証人 その通りであります。
○武藤委員長 何かお尋ねのことがありますか。
○宇都宮委員 ただいま証人のお述べになつたことを聽いてみると、辻氏の証言の中に自分の名前が出てきた。辻氏の証言と自分のとが食い違うと辻氏にたいへん御迷惑をかけるというので、自分はその前の証言を取消して、新しく辻氏の証言に從うというような言い方のように聞えたのですが、そういうことですか。
○木村証人 そうではございません。
○宇都宮委員 じや迷惑をかけるというのは。
○木村証人 ちよつと待つてください。辻氏の言と、私の檢事局における証言と当委員会の私の証言においても違つておる。これは私の苦慮の種でありました。そこで私はこのままいきますれば、辻氏に非常な迷惑をかけるというので、常に苦慮いたしたことは記憶しておりますが、その後病臥中にいろいろ過去を顧みまして、私の記憶を辿りましたところが、結局は自分の記憶の間違いである。辻氏の記憶が正しいということを発見いたしたわけでありまして……。
○宇都宮委員 それは辻氏に迷惑をかけるから、自分として困つたから……
○木村証人 そうではありません。辻氏に迷惑をかけることは苦慮いたしておりまして……。
○宇都宮委員 しかあなたの証言と辻氏の証言と違つておつた。自分の証言を通せば御恩になつた辻氏に対して御迷惑をかけるから、辻氏の証言に從うのであるというような言い方でしたが、そうではありませんか。
○木村証人 そうではありません。御迷惑をかけるということではなく、御迷惑をかけることを過去においては苦慮しておつた。たまたまそれとは別に病臥中に自分の記憶を迫ると私の記憶が間違つておつた。辻氏の記憶の方が正しいのであつたということがわかりました。
○武藤委員長 それでは済みましたから、お帰りください。 —————————————
○武藤委員長 前尾繁三郎さんですか。
○前尾証人 はい、そうです。
○武藤委員長 あなたは今大阪造幣局長をしておられるようでありますけれども、その前には主税局長をしておられましたか。
○前尾証人 そうであります。
○武藤委員長 昨年の十二月十六日に、竹中工務店が、約五千万円の税金滯納につきまして、同店の東京店に対する債権について、大阪の北税務署の依嘱によりまして、東京麹町の税務署が差押えをいたしたということを御存じですか。
○前尾証人 その点につきましてはあとで聞いたわけであります。
○武藤委員長 あとというのはいつごろですか。
○前尾証人 ごく最近であります。
○武藤委員長 いつごろですか。
○前尾証人 差押えをいたしましたことは、すでにその以前に知つておりました。
○武藤委員長 いつごろから。
○前尾証人 十月ごろでありましたか、十一月でありましたか……。
○武藤委員長 差押えは十二月のようですが。
○前尾証人 それは記憶違いかもしれませんが、あるいは差押えをする段取りにしておるということを承知しておつたかもしれません。
○武藤委員長 差押えをする段取りになつておつたことを承知しておられたのですね。
○前尾証人 はい。脱税につきましてはずつと以前から知つておりました。
○武藤委員長 そうすると、差押えをする前から、これは差押えをしなければならぬということになつておつたわけですね。
○前尾証人 はい。そうです。
○武藤委員長 脱税というようなお話が今ありましたが、どういうことですか。
○前尾証人 申告額よりも追徴したわけです。
○武藤委員長 どのくらいですか。
○前尾証人 最初、いくらでありましたか、とにかく五千万円の税額になるということについては、八月ごろでありましたか聞いておりました。
○武藤委員長 昨年の八月ごろに、税金の滯納があるということを聞いた。これは税金の名前は何ですか。
○前尾証人 法人税、臨時利得税それから営業税だつたと思います。
○武藤委員長 法人税、臨時利得税、営業税等合わせて五千万円ばかりの滯納があるということを八月ごろに聞いておられて、それは差押えをしなければならないかもしれないということもお聞きになつておつたわけですね。どこからお聞きになつたのですか。
○前尾証人 それは大阪財務局であります。
○武藤委員長 大阪財務局からさような報告がきておつたのですか。
○前尾証人 はい。
○武藤委員長 これは差押えをする場合には、あなたのところに何か承諾を求めるとか、許可を得るとかの手続をする必要があるのですか。
○前尾証人 必要はありません。
○武藤委員長 しかし、する場合には、規則ではないけれども、一應了解を得るようなこともあるのですか。
○前尾証人 了解を得ることは大体においてありません。
○武藤委員長 この場合はどうでしたか。
○前尾証人 その場合にもありません。やらなければならないという、全般的な差押えをやつて整理をしろというようなことは、その具体的な問題でなしに、一般的に申しておりました。
○武藤委員長 竹中工務店の問題については別に指図をしたことはありませんか。
○前尾証人 ありません。
○武藤委員長 そうすると、あなたの知らないうちにこの差押えが行われたわけですね。
○前尾証人 はい。
○武藤委員長 差押えが行われた後にも何ら報告はないのですか。
○前尾証人 ありません。
○武藤委員長 あなたがお聞きになつたのはそれじやいつごろですか。
○前尾証人 それは二月、すでに轉勤後であります。経理課長から聞きました。
○武藤委員長 あなたが大阪の造幣局長に轉勤になつた後にお聞きになつたわけですね。
○前尾証人 はい。
○武藤委員長 二月ころ。
○前尾証人 そうです。
○武藤委員長 これが差押えが解除になつてことも知りませんか。
○前尾証人 解除になりましたこともその時に知つたわけです。
○武藤委員長 差押えをされたり、解除になつたり、一緒にそのことをお聞きになつたわけですね。
○前尾証人 そうです。
○武藤委員長 それでは、差押えなぜされたかということはおわかりだつたろうけれども、なぜ解除になつたかということもその時お聞きになつたんでしよう。
○前尾証人 大体聞いております。
○武藤委員長 どういう事情ですか。
○前尾証人 差押えを解除しないと、東京都でございましたか、結局國家にとられてしまうので、支拂いをしても、もつと金繰りに困つておる方面に支拂いをした方が有効ではないか、そういうようなことを言つておるというようなことを聞いております。
○武藤委員長 もう一遍。
○前尾証人 こちらの差押えた方に拂いますと、これは全部國にはいつてしまう、そうすると、結局ほかの非常に困つておる方面に支拂いができなくなるから、國にいくよりもほかの方にまわした方がいいのじやないか、というようなことで東京都が支拂いをしぶる、だから、むしろ差押えしたがためにとれないようなことが起るのじやないか、というような意味で差押えを解除した。それから、たしか十二月に二千万円でありましたか納め、それから一月にあと一部納めておるわけでありますから解除した、というようなことを聞いております。
○武藤委員長 そうすると、あなたの方で、税務署で差押えをしてとつてしまうと、全部税金ですから國へはいつてしまう、そうするとほかの方へ拂えない、というのは、東京都がこまかいほかの支拂いがあるので拂えなくなる、というのですか。それとも、竹中へ拂えば、竹中からほかのこまかい支拂いができるんだけれども、竹中がそれを拂わなければ困るというのですか。
○前尾証人 これは、ざつくばらんに申しますと、竹中に拂いましても竹中自身の手にはいるのじやない。それなら自身の手にはいる方面に拂つた方が都合がいいから、というようなことを言つて東京都が支拂いをしてくれない、というようなことを言つておるということです。
○武藤委員長 支拂いをしてくれないというのはおかしいことであつて、あなたの方は権力をもつて差押えをしておるのだから、これは支拂いをするもしないも、そんな思いやりや何かを顧慮するのならば……。
○前尾証人 いや、それは竹中の方でそう言つておるわけです。この詳細は北の税務署長がよく知つております。
○武藤委員長 東京都とすれば、どうせ五千万円の債務があるのだから、竹中に拂おうと國家にもつていかれようと、東京都はどつちみち同じですね。
○前尾証人 しかし東京都としては、全部は支拂いきれない、そのときに、まあ業者の自身の手にはいる方面に拂つた方がいいというようなことを言つておるというのは、これは竹中自身の方から申出があるということを言つておつたという意味です。
○武藤委員長 竹中自身の方で税金で差押えた方に拂うより、おれの方へ拂つてもらえば、自分の方であつちこつち支拂いをして一般に潤うから、その方が有効に金を使えるという意味ですか。
○前尾証人 そういう意味だつたろうと私は思います。北税務署では二千万円はいるわけでありますから、一部解除しても差支えないというので解除したということを、私は経理局長から聽いたのです。
○武藤委員長 差押え解除になつたのはいつごろですか、御存じですか。
○前尾証人 差押え解除になつたのはいつごろですか知りません。
○武藤委員長 十二月二十七日ごろではないのですか。
○前尾証人 それは私は知りません。
○武藤委員長 とにかく解除になつたのは、二千万円だけは入金したあとですか。
○前尾証人 その点も詳細は私は存じません。私が知つておりますのは、いつごろでありましたか、竹中社長みずから私のところへ参りまして、何とかしてもらいたいという話はありました。しかし何ともならないという返答をいたしました。それから少し支拂いを待つてもらえぬかということを申しました。しかし私は年度を越すということは絶対にできないが、一日も待てないというものでもないと言いましたところ、つぶれるとか何とかいう話もありました。しかし税務署としてもつぶす意思もないであろうから、よく実情を吐露して税務署に一度相談をしてみろということは申しました。しかし私は財務局長にも税務署長にも何らの指示はいたしておりません。
○武藤委員長 巷間傳うるところによりますと、この差押えの行われるや、栗栖前藏相があなたを呼びつけて、なぜこんな差押えをしたかと言つて叱りとばしたというようなことを聞きますが、そんなことはありませんか。
○前尾証人 全然無根であります。私は叱られた覚えはありません。
○武藤委員長 叱るのでなくても、栗栖さんから何かそれに類似したお話がそのことについてありませんでしたか。
○前尾証人 具体的に竹中工務店の問題については私は何も聽いておりません。
○武藤委員長 抽象的にも聽いていませんか。竹中工務店の特定した問題については……。
○前尾証人 竹中工務店という問題では聽いておりません。ただこれは抽象的に、差押えの問題なんかも非常にむずかしいから、何か係でもこしらえたらどうかというような話は承りました。それ以外には何らの指示を受けておりません。
○武藤委員長 解除についても、何か栗栖さんから解いてやつたらどうかというようなお話の趣旨もありませんでしたか。
○前尾証人 全然聽いておりません。
○武藤委員長 あなたが本省の主税局長から、大阪の造幣局長に轉任になつたのは、これはあなたの御希望でなつたのですか。
○前尾証人 もちろん希望ではありません。
○武藤委員長 それはどういう理由でしたか。
○前尾証人 理由は適材適所で行けということであつたろうと思います。
○武藤委員長 別にあなたが行きたくないのに、あつちへ轉任した方がよかろうというような話でもなかつたのですか。
○前尾証人 私は行きたくはありませんでした。しかし別にそれをむりやりに行けと言われたことはありません。また轉任につきましては大臣から何も聽いておりません。
○武藤委員長 そうすると適材適所で行つたんだとあなたがお考えになつておるのであつて、あなたの御希望で行つたのではもちろんないというのであるが、そうすると轉任する際に何かあなたに前もつてお話がありませんでしたか。
○前尾証人 大臣からは何の話もありません。
○武藤委員長 だれかからはありましたか。
○前尾証人 次官が非常に氣の毒だけれども、行つてくれと……
○武藤委員長 次官というのは池田氏ですか。
○前尾証人 池田次官であります。
○武藤委員長 非常に氣の毒だけれどもというのは、左遷というような意味ですね。
○前尾証人 それ以外にもいろいろな問題があります。しかし私も税につきましては相当責任をもつております。そうしてまたそれ自体についての覚悟ももつておりましたから、何事も言わずにと申しますより、実はやめさしてもらいたいということを申しました。しかしやめてもらつたのでは大藏省も非常に困るからという次官の話でありましたから、大藏省が困るなら私もいさぎよくどこへでも参りますと申し上げて行つたのであります。
○武藤委員長 大体局長程度の人事につきましては、突如として辞令が出るというようなことは普通ないことなのでしよう。
○前尾証人 そうです。
○武藤委員長 本人の希望でない場合には、大体はその意思に從うのが普通ではないのですか。
○前尾証人 まあそうであろうと思いす。
○武藤委員長 たまたまあるのですか、そういうことも……
○前尾証人 まさに私の例はそれであつたのであります。
○武藤委員長 一般にはないのですね。
○前尾証人 一般にはあまりありません。
○武藤委員長 そこでもう少し聽きたいのですが、何ゆえに本省の主税局長であるあなたの意思に反して、池田氏から氣の毒だけれども大阪造幣局長に行つてもらいたいという話があり、あなたもどうもおもろしくなくてやめたいくらいだけれども、がまんして行つたというような話で、どうもすつきりしない。そこに何か理由があるんだと思いますね。
○前尾証人 そうじやありません。私は税の徴收ぐらいが惡いことにつきましては、こういう事態になることについてすでに一昨年からいろいろ話をしておりました。こういう事態になると、こういう方法をもつてやるんだということは、よく申しておつたのであります。しかしとにかく現実において税金がはいらない。これはだれの責任であるかと言えば、もちろん主税局長の責任であります。從つて私はその責任を痛感して、あまんじて造幣局長に行くことは当然だと考えて行つた次第であります。
○武藤委員長 責任を痛感して行くならば、あなたが自発的にどうもこの地位には自分はいつておられぬ。主税局長は適任でないからほかにまわしてもらいたいと言われたであろうし、また言われなくても、喜んでそれは結構だと、こういうことになると思うのですが、不本意で行つたのでしよう。
○前尾証人 それは三月なり四月の現在まで、私がその地位におりましたなら、これはたびたび議会で申しておつた次第でありますが、必ず私は予算通りの税金をとるという自信ももち、またそう申しておつた次第であります。しかしとにかく十二月におきまして徴税成績が惡いということになれば、それについての責任は当然私が負うべきであると考えてたわけであります。
○武藤委員長 あなたは大阪へ行けという話のあつたときに、すでにやめてもいいとまで決心されましたし、宣誓もしておられるわけですから、ひとつ勇氣を揮つてほんとうのことがあつたら言つてもらいたいと思いますが、こういうことを言つておる者があるのです。竹中工務店を差押えしたことがよくないというわけで、栗栖藏相が、そいつはどうもあなたが惡いんだというようなことで、あなたを主税局長から大阪造幣局長に左遷をしてしまつたらしいということが流布されておるんだけれども、ほんとうはそういうことではないのですか。
○前尾証人 そういうことではありません。少くとも私はそうだとは思つておりません。
○武藤委員長 それから、お聞きになつているかどうか知りませんが、何か竹中工務店の差押えについて先ほど伺つたような理由では、たしかにはつきりした理由ではないかと思いますが、解除するにあたつて、竹中工務店の方から栗栖さんか誰か知らないけれども、相当莫大な政治献金で行われているのではないかというようなことを言つておるのですけれども、そういうことについては御存じないですか。
○前尾証人 私は何も存じません。ただ竹中工務店と栗栖前藏相との関係は、興銀から誰か竹中に行つておるので、何らかの意味でよく竹中工務店は大臣を知つておるということを私は存じておりました。しかしそれ以外に何らのことも聞いておりませんし、また栗栖さんからは何らの指示も受けておりません。
○武藤委員長 栗栖さんは竹中さんと懇意だという話ですが、ときどき行くのですか。
○前尾証人 それは存じません。
○武藤委員長 差押えがあつたのも知つていて十二月二十三日ごろに大阪に栗栖さんが行つたということを御存じありませんか。
○前尾証人 竹中へ行かれたということは存じません。大阪へ出張されたことは知つておりますが、竹中へ行かれたことは聞いておりません。
○武藤委員長 大阪へ出張されたというのは、今申し上げました差押えから解除までの間ですね。
○前尾証人 その解除がいつされたかということについては私は存じません。
○武藤委員長 暮に解除があつたのです。
○前尾証人 それはあとで聞いたことです。
○武藤委員長 いつごろかの御記憶はないですか。
○前尾証人 大阪へ出張されたのは二十日過ぎであつたことは知つております。
○武藤委員長 幾日出張されたのですか。
○前尾証人 その前に郷里の方にもお帰りになつて、たしか十五六日ごろにお出かけになつたかと思いますが、それで大阪からお帰りになつたのが五日か六日でありましたか、どうもその辺は記憶がはつきりいたしません。
○武藤委員長 あなたは徴税の方面において重要な地位についておつたので、一つ御意見を承りたいのだけれども、先ほどあなたから伺つたような趣旨で、相当長い間滯納になつて來た竹中工務店の五千万円を解除してしまうということは、当時の実情からいつて適当であつたであろうかどうかということですね。
○前尾証人 結果から言いますと、一月に全部納めておりますから、税務署長の措置が妥当であつたのではないか。本当の実情を知つておりました税務署長の措置は決して惡くなかつたのではないかというふうに考えております。
○武藤委員長 結果から見ると納まつておるから妥当だと思われるが、当時ははたして一月に納まるかどうかということはわからなかつたのでしようね。何か担保でも供しておるというのではないのだから。
○前尾証人 しかし十二月に二千万円をすでに納めておるのだから、その限度において解除することは差支えないと思います。
○武藤委員長 その点は問題ない。全額納めれば全般解除してもよい。残額についても……
○前尾証人 残額についても十分な担保があるかどうかということだけが問題であります。
○武藤委員長 そういう場合には、主税局の方針としては解散することになつておるのですか。
○前尾証人 残額で、十分担保ができるものなら、これはもう解除いたします。
○武藤委員長 他に何かお聽きになることがありますか。
○小松委員 証人に重ねてお尋ねしたいのでありますが、あなたは竹中工務店の差押え問題に対しまして栗栖藏相からあなたのおとりになつたことに対してたいへん叱責を受けたということを言われておりますが、栗栖藏相から直接あなたが叱責を受けたことがあるかどうか、重ねて伺いたい。
○前尾証人 絶対にありません。
○小松委員 しからば私は証人にあらずして、この問題を提出せられました高橋英吉君にお伺いしたいのですが、よろしうございますか。 〔「討論会ではないぞ」その他発言する者あり〕
○小松委員 これは委員長からお聽き願いたい。このことを要求いたします。
○武藤委員長 静粛に願います。小松君のお話は証人調べが済みましてから協議いたします。何か質問がございますか。
○石田(博)委員 先ほどあなたは差押えをするときには一々主税局長の許可が要らないとおつしやいましたが、それでは大阪財務局からの報告によつて脱税の税金を納めていないという事実を知つてそれによつて差押えしなければならぬということの文書の報告を受けたとおつしやつたのですが、そういう指図をし、許可を求める必要がないことについてどういうわけで文書の報告があつたのですか。
○前尾証人 それは第一回に來ましたのは、大阪財務局の法人係の第二課長が参りまして、このごろどうだと言つたときに、相当大きなものが出ておりますというので、竹中工務店の五千万円の税金の問題を知つたわけであります。それから百万円以上滯納になつております分を報告をとりました。その中に竹中工務店ははつきりはいつておりました。それで私は知つたわけであります。
○石田(博)委員 その点についてあなたの許可は要らない。あなたは差押えするについて何も権限はもつていないということであるにかかわらず、竹中工務店の方からあなたの方にこの問題についていろいろお願いにきたということをおつしやいましたが、権限をもつていないあなたに、どうしてそういうお願いに参つたのですか。
○前尾証人 権限というよりは、具体的ないろいろな問題について主税局長はいろいろ指示をいたします。権限があるかないかという問題ですが、これは当然税務局の指導監督の任に当るわけでありますから、それについては指令しようと思えば指令ができるわけであります。しかしそのときに私はこの税金を負けるというようなことはどうにもなりません。ただ日にちの問題なら、今日といつて今日絶対にとらなければならぬというわけでもないので、ほんとうの実情から申しまして、それでつぶれてしまうというような実情なら、その実情をはつきり話して、税務署長に相談したらよかろう。こういうことを申したわけであります。從つて税務署長の公正なる判断によつてやればよい問題でありますから、私は全然指示をいたしておりません。
○石田(博)委員 指示すればできるという立場は、もしあなたが指示をされたならば大阪の財務局長はその指示に從わなければならない関係にあるのですか。
○前尾証人 まずそういうことになりましよう。
○石田(博)委員 それから栗栖さんが差押えの問題は重要であるから、別に係りを置いて取扱つたらどうかということをあなたに言つたということをお述べになりましたが、その栗栖さんの御意見を詳細に承りたい。それからそれに対するあなたの御意見、あなたはその申出に対してその際どういうお返事をなさいましたか。
○前尾証人 大臣は、殊に戰時補償特別税その他の問題で、いろいろ問題になつておるものがあります。それは非常に法律的な專門的な問題であります。從つてそういうような法律関係を、場合によつては大学の先生なんかを顧問にしてそういう係をこしらえて、あるいは一つの課を設けてやつたらどうか。そうして滯納処分についても同樣な法律問題があるというような御意見でありました。私の方といたしましては、もちろんそれは相当優秀な人は必要であります。しかし課を設けるほどの必要はその当時にはないと私は考えておりました。まあ優秀な二、三人の事務官が、大臣の話されるように大学の先生なんかに相談してやれば事足りるものであつて、それよりもつと当時の管理課、税務署の実務指導をやるというような課をどんどん大きくしていくことの方がより重要だというふうに考えておりましたので、幾分そこは大臣とは考えが食い違つておつたのは事実であります。
○石田(博)委員 大藏大臣がそのお話をあなたにされた時期はいつごろでありますか。
○前尾証人 それはずつと前にもちよつとお話がありましたが、はつきり申されたのは、たしか大臣が岩國の方にお帰りになる前だつたと思います。十二月の十日前後でありましようか。
○石田(博)委員 この差押えが行われた前ですか、後ですか、それははつきり記憶にありませんか。
○前尾証人 私は先ほど申し上げましたように、差押えがいつ行われたかについては知らないのであります。
○石田(博)委員 あとから御承知になつた時間関係を辿つて見ると、きわめて近接した時期であつたわけですね。
○前尾証人 あるいはそうかもわかりません。
○石田(博)委員 それから先ほどからるるお話の中で、あなたが徴税を徹底させるためにあなた自身の御方針をもつておられた。その御方針に基いてやれば四月までに所期の成績を收める確信があつた。その御方針というのは、差押え等をやつて非常に強硬な手段で徴税をやるという御方針も含んだのでありますか。
○前尾証人 大体現在私の考えておることが実現されたと言つてよいのじやないかと思います。
○石田(博)委員 そうなりますと、先ほどの差押えについて特に研究しなければならないという栗栖さんの御意見は、差押えを大藏省の主税局、あるいは徴税という立場からだけやるのではなくて、もつと法律的にさらに研究しなければならない、あるいは産業上の立場からも研究しなければならないという考え方からそういうものを置こうという御意見ですか。
○前尾証人 まあ大臣としての御意見は、殊に役人だけでそういうことをきめることは非常に一方的な考え方になりやすいから、やはり大学の先生というような公正な立場に立ち得る人の意見も聽いて、というような意味があつたのじやないかと私は考えております。
○石田(博)委員 つまり言いかえますならば、あなたのとろうとされた徴税方針を差押えという点についてはもう少し緩和するなり、考え方をかえるなり、実行の方法をかえるなりした方がよい、そうしなければならぬのじやないかというような栗栖さんの御意見を含んだものと解釈してよろしゆうございますか。
○前尾証人 そこまでのお考えがあつたかどうかは私は知りませんが、とにかく非常に愼重にやれ、法律問題等が相当絡んでおりますから、その法律問題を專門的に取扱う必要があるのじやないかという御意見であつたのであります。
○石田(博)委員 当時は徴税の成績が惡いと申しますか、非常に遅れておつた。そのために國家財政、ひいては日本のインフレーションの状況に非常な影響を及ぼしておつた。その際一般的な風潮と申しますか、國家財政の要求と申しますか、そういうものが徴税を徹底的にやれ、やらなければならぬという氣構えになり、同時にあなた自身がどういうお考えをもつておられたと私はただいまの御証言から考えるわけですが、そういうあなたのお考えと栗栖さんのお考えとは、特に十二月十日前後、竹中工務店の問題が起つた前後にある程度対立をいたしておりますね。
○前尾証人 多少そういう点があるかも知れません。
○石田(博)委員 あなたが御不満であつて、行きたくない、一般的に考えて左遷だと思われる轉任、しかも局長級の方を、事前に何らの連絡もなく、突如としてそういう轉勤をされたというこの異例の出來事の背後には、そういう意見の対立が相当な要素をなしているというふうに考えられますが、この点についてはいかがですか。
○前尾証人 私個人としてはそういうふうには考えていないのであります。
○石田(博)委員 個人の御見解と申しますか、一般的に考えましてあなたの主税局長としての仕事のやり方が栗栖さんの線に沿わない、これが轉勤の原因になる、こう考えられませんか。
○前尾証人 あるいは大臣はそういうふうにお考えになつておつたかも知れませんが、私個人としては別にそこまでは考えておりません。
○石田(博)委員 つまりあなたのとつておられた徴税方針が大臣のとつておられた徴税方針と違つておつたということと直接の関係があなたは考えられないかも知れませんが、時期的にきわめて切迫したときにおいて、あなたの異例な轉勤が行われたというこの二つの事実は、あなたはお認めになるわけでありますね。 〔「誘導尋問じやないか」と呼び、その他発言する者あり〕 それは今までの御証言ではその通りに解釈されるわけでありますが、その通り解釈してよろしいでしようか。
○前尾証人 私個人としてはそう考えていないのです。
○石田(博)委員 考えでなくて、二つの事実です。
○前尾証人 世間ではそういうふうに言つておりますが、私個人としては……
○石田(博)委員 その二つの時期は近接した時間に行われたということはお認めになりますか。
○前尾証人 時期は近接しておるということは言われます。
○高橋(英)委員 今の石田君の質問を具体的に言いますと、徴税方法については相当愼重にやれというふうな抽象的なことばかりではなく、具体的に竹中のごときは名家であるから、差押えをするのは妥当でないとか、なかつたとかいうふうな言葉は出なかつたですか。
○前尾証人 私は聽いておりません。
○石田(博)委員 今の栗栖さんの抽象的な指示というのは、差押えの前にせられたと今御陳述になりましたが、差押えをしてから後も、そういうふうな話はなかつたですか。
○前尾証人 差押えは実は税務署長の権限においてやつたので、私自身は差押えがいつ行われたかどうかについては知らないのであります。
○高橋(英)委員 知らないけれども、現在はその時期はちやんとわかつている。新聞にも出、雜誌にも出て、大問題になつておるのだから、どの時期にあるかということはあなたはわかつておるはずだ。現在の立場からお話になつたらいい。その当時は知らなかつたけれども、あとから考えて見れば、差押えの後だつたと言われればいい。
○前尾証人 その差押えの日をさつき言われましたが、何日でしたか。
○武藤委員長 十二月十六日ごろではなかつたかと思うのですが……
○前尾証人 そうするとその以前であります。
○武藤委員長 高橋君に伺いますが、十二月十六日の差押えであつて、十二月二十七日に解除になつたということは間違いないですか。
○高橋(英)委員 十三日差押えという説もあるのですが…… 〔「新聞に出ておつて、はつきりわかつておると言つておるじやないか。」「証人にそんなことを言うのは無理だ。」と呼び、その他発言する者あり〕
○前尾証人 北税務署長にお聽きになればはつきりすると思います。
○高橋(英)委員 いろいろ不規則な発言もあるようですが、一々お答えするわけにはいかないけれども、私は調査要求をしておるのであります。
○武藤委員長 そういう問題は別にして、証人に聽くことがあつたら聽いてください。
○高橋(英)委員 いろいろ聽かなければいけないのですが、これが確実になつておれば刑務所にみなはいるのだから、刑務所にはいるかはいらないか、大臣をやめるかやめないかということを調査するための提案なのだから、そういうような意味においてお聽きするのです。 〔「今の暴言を取消せ」「委員長私語を許すな」と呼び、その他発言する者多し〕
○高橋(英)委員 速記録を見た上で、わが輩に間違いがあつたらいつでも取消す、おそらく間違いはないのだ、私の言つたことは絶対に間違いがない。懲罰でも何でもやつてみろ。証人にお聽きいたしますが、証人は、長沼局長がこの差押えの問題について、栗栖藏相から何か話をせられた、たとえば叱責をせられたという事実をお聽きになつたことはありませんか。
○前尾証人 長沼局長がちよつとそういうような話をしておつたことは確かにありました。
○高橋(英)委員 長沼局長が叱られたという話をお聽きになりましたか。
○前尾証人 叱られたというところまでの話ではなかつたのですが、長沼君は何かそういうことに関して知つているのじやないかと思います。
○高橋(英)委員 長沼局長に対して、栗栖藏相がこの差押えに関して何らかの意思表示をせられたという事実、そういうことはなかつたのですか。
○前尾証人 私は長沼君からは、何かその差押えの問題について大臣から話があつたことは聽いております。それから大臣が、君にも話があるのじやないかというようなことを言つておりました。しかし私はその後何も大臣から聽いておりません。
○高橋(英)委員 それから竹中の差押えの問題についていろいろ大臣から何とか言われたとか、もしくは左遷されたというふうなことについての不満を漏らされておることはありませんか。
○前尾証人 そんなことは絶対にありません。私は竹中工務店の問題と、私の轉勤の問題とは全然関連がないと思つておりますので、何ら不満をもつておりません。
○高橋(英)委員 宣誓してあるのですからほんとうのことを言つてもらわぬと困るが、不満を漏らされたことはありませんか。
○前尾証人 ありません。
○高橋(英)委員 だれにも漏らしませんか。
○前尾証人 竹中工務店に関して、そんなことは何も申しておりません。 〔発言する者多し〕
○武藤委員長 御靜粛に願います。高橋君、質問だけに限つてください。
○高橋(英)委員 証人は、証人をめぐつた竹中の差支えの問題についていろいろな説が流布されているということは、むろん御承知だつたんでしようね。
○前尾証人 最近聞いております。実は最近になつて東京から來てくれました新聞記事が、中央公論に書いてあることを示してくれたのです。
○高橋(英)委員 それについてだれかとお話になつているような事実はないですか。
○前尾証人 私は何もありません。
○石田(博)委員 先ほどあなたは戰時補償特別税といろいろの問題があるということをおつしやいましたが、戰時補償特別税と、そして土木関係の税金の納付問題、それから戰時補償特別税の処理の経過について御説明を願いたい。
○前尾証人 それは私は議会の関係で非常に忙がしいものでありますから、戰時補償特別税について一々私個人が考えたり、また関係方面との折衝をするという余裕がないのであります。從いまして一事務官が行つて関係方面と折衝する。その点についてはなはだ大臣として不満であるという点をお話がありましたわけです。これはまことにもつともな点だと思つておりましたが、しかしもうそのときには大体において戰時補償特別税については整理がついて、あと数件の問題が残つているという程度になつておりました。そのために特に課を設けるまでの必要はないじやないかというふうに考えたのであります。
○中野(四)委員 一点だけ伺つておきたい。前尾君とは九十議会の、いわゆる財産税を課ける時分から大いに委員会でお目にかかり、あなたの当時の徴税方針はよく私は承知しているのですが、あなたの考えておられる今までの職務執行上において、相当優秀なる官吏とし自他ともに認めていると思うのですが、それが突然、たとえ適材適所とは言いながら…… 〔発言する者多し〕
○武藤委員長 御靜粛に願います。この委員会は申すまでもなく起党派的にやりたいと思いますから、いずれも御靜粛に願います。中野君、引続いて御発言願います。
○中野(四)委員 私の質問中にもし不穏当なところがあれば、何どき育議を狭まれてもよろしいが、まだ質問過程において故意に妨害する人間に対して、これは委員会の進行上どうしても妨害になるから、陳謝する必要がある。陳謝せざる限りにおいてこれを懲罰に付していただきたい。それまで質問の保留をいたします。
○武藤委員長 ほかに御質問ありませんか。
○尾崎(末)委員 私は今の問題です。この問題を今中野委員が言われるように円活に議事の進行ができるような状態におくためには、今の問題についての何らかの処置を委員長がとられることをまず前提として希望いたします。
○石田(一)委員 ただいまの問題は、先だつと本会議でなされたいわゆる不規則発言であつて、今の宇都宮君の発言は後ろにいるわれわれでさえ何を言つたかわからないような不明瞭な発言でありまして、おそらく速記録を見てもわからぬと思いますが、その言葉に対して中野氏が大声を発して、承知しないぞという言葉を発せられて、その声に答えて宇都宮委員が承知しないとは何かということから発したささいなことでありまして、そういうことについて懲罰とか何とかいうことを言つておりますと、議事はますます遅滯いたしますから、この辺で……
○武藤委員長 質問がありましたら、聽いてください。証人に聽いてください。
○鍛冶委員 質問はもちろんあるが、質問をするのについて、前提を申したい。今石田君は言われたが、発言の内容を言つているのではない。証人に対して質問をしている際に、大声を出されたのでは、質問はできはせぬじやないか。そのことを言う。そういうことはいかん。明らかな質問妨害だ。言葉の内容ではない。これは何とか処置したまえ。 〔「了解々々」「今のことを確認してからやれ」その他発言する者多し〕
○武藤委員長 質問がありましたらやつてください。
○中野(四)委員 前尾証人にいま一度お尋ねしたい。質問中に衆人の前でたいへんぶざまなところをお目にかけて恐縮ですが、私とあなたとは九十議会の財産税の問題以來、かなりあなたの徴税方針に対しては敬意を表しています。況んやあなたの手腕に対しては自他共に認めているものでありますが、今回たとえ適材適所とはいいながら、あなたが大阪の造幣局長に左遷されたことについては、これには竹中工務店以外の点について何か理由がありますか。私はこの点に重大な点だと思います。率直に、あまり周囲に牽制されずに述べていただきたい。これがそもそも誤解のもとであろうと思う。今も大体結論をつけるつもりで好意的に質問をしようとしたとたんに、宇都宮君から容易ならぬ向葉が出たので、私は信念に向つて強い意思表示をしたのであるが、あなたがあまりに周囲に牽制されたり、あるいはこういうことを申し上げたのでは支障があるのではないかというような点を一切なくされて、あなたが長い間の主税局長としての手腕からみて、なぜ大阪の造幣局長に左遷されなければならなかつたかという点については、非常に世間で疑惑をもつておるから、率直に竹中工務店以外の問題についても、こういう観点に立つてあなたが大阪の造幣局長にやられたのであるということを明確にしていただきたいと思います。
○武藤委員長 ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○武藤委員長 速記を始めて……それでは秘密会にしたいと思いますが御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 御集議ないと認めまして祕密会にいたします。公開を禁止いたしますから、しばらく委員外の方は退席を願います。
○武藤委員長 なおこれは正式の委員会にしますか。あるいは懇談会にして速記をとらずにやりますか。
○鍛冶委員 速記をやめて懇談会にしていただきたい。
○武藤委員長 ただいまの御意見に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 ではさようにいたします。これより懇談会に入ります。 ————————————— 〔午後三時四十五分懇談会に入る〕 〔午後四時三十分懇談会を終る〕
○武藤委員長 これにて懇談会を終ります。
○武藤委員長 轉勤の辞令をもらわれたのは何年何月何日でありますか。
○前尾証人 月曜でありますか、十二月三十日でございますか、二十五日でございますか。日曜日に閣議できまつて、その曜日です。
○鍛冶委員 そうすると次官から話のあつたのはその何日くらい前ですか。
○前尾証人 その前々日です。
○鍛冶委員 二十七日ごろですか。
○前尾証人 金曜日の晩あたりと思います。
○鍛冶委員 金曜日の晩なら二十六日です。
○前尾証人 それならざつとそういうところです。
○尾崎(末)委員 簡單に伺います。先ほど伺つた中に、局長としていわゆる大口の滯納等についての調査報告を受けておつたというお話でございましたが、その大口の調査報告書の中に、竹中管理人以外のものでああいつた大口の分がどのくらいあつたか、それとその名前とをお聽きしたい。
○前尾証人 あの当時は一番大口は芝浦、それから芝浦と竹中とす幾分状況が違うのですが、大財局として五千万というのは大きいのです。それ以外で千万以上というのはそうたくさんはなかつたと思います。
○尾崎(末)委員 私の質問しようとするところは、大口の徴收方については係の者を設けて愼重にならねばいかぬ、こういう意見ですか。
○前尾証人 そういう意味でなしに、こういうことを言われたのです。滯納処分についていろいろの法律問題があるだろう。それでそれにはやはり專担の課を設けてやれというお話だつたのです。しかし滯納処分については、國税徴收法というものをもう何年も前からやつておりまして、判例をきまつておる。法律問題としては大して問題ではない。ただまあ適宜な処置であるかどうかということを監査するという程度の仕事でありますので、これはむしろそのときからすでにこさえておりました監理課でやればよい。また監理課の仕事はむしろそういう仕事でありますから、特に課を設けるというほどのことはないと私はそのとき考えておりました。
○尾崎(末)委員 そうすると、大臣の言われた趣意というものは、さつきから考えておつて判断がつかないのですが、そうして適当な監理課なり何なりがあるのに、特別な愼重を期さなければいかぬという、こういう話の内容は、あなたのお考えでは何とお考えになりましたか。
○前尾証人 大臣の言われることを正面にとりますと、私は別に特に課を設けなければならぬという必要はなかつたのではないかと思います。
○尾崎(末)委員 わかりました。
○武藤委員長 ほかにありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 済みました。御苦労までした。 ひとつ諸君に御注意申し上げますが、御質問はなるべく要点だけをしていただくことと、それから他人の質問中には靜粛にやつていただきたいと思います。 —————————————
○武藤委員長 たいへんお待たせいたしました。大阪の財産局長をしておられるようですが、あなたの管区の竹中工務店の昨年十二月初めごろにおける税金の滯納状態をひとつお話しください。
○吉田証人 今詳しくこまかい数字を記憶いたしておりませんが、メモを見てよろしゆうございますか。
○武藤委員長 よろしゆうございます。
○吉田証人 竹中工務店の法人税の滯納が約五千万円でございまして、これに対して北税務署で、この竹中工務店が政府関係に対する債権がありましたので、たしか八月の初めごろだと思いますが、八月に債権の差押えを——管轄が麹町の税務署でありますから、北税務署から麹町税務署に債権差押えの依頼と申しますか、滯納処分の引継ぎをしたのであります。ところが、これはその後私北税務署長から聞いたのでありますけれども、何かの行違いで、その滯納処分の引継書が着いていないというようなことで、十二月になりまして北税務署の事務官が引継のために上京いたしまして、それで北税務署から麹町税務署にそのときに引継ぎまして、十二月十日に麹町税務署が債権の差押えをいたしました。その後十二月二十三日——これは私年が明けて一月になつてから、はつきりした日にちは記憶いたしませんが、一月になつてから北の署長から報告を受けたのでありますが、竹中工務店の方において誓約書を出して、年内に一部を支拂い、一月中に残額を支拂う、約半額ずつでありますが、支拂うという誓約書を出しましたので、さらに一右これ以外に北の税務署において不動産の差押えをやつておりました関係上、年内における一部收入が確実であるという点、さらに一月中に残額が全部收入し得るということ、それからさらに北の税務署管内において不動産を差押えておるというような関係からいたしまして、北の税務署長において債権差押えの取消を二十三日の日に麹町の税務署宛に発付いたしまして、麹町の税務署においては二十四日に債権差押えを解除いたしております。そしてその後年内に二千百万円、それから翌月の下旬に約二千万円ばかりが收入になりまして、これをもちましてこの滯納は全額完納になつたわけであります。以上が十二月初めと申しますか、この竹中工務店の滯納税金に関する滯納処分の状況であります。
○武藤委員長 年内に二千百万円で、年が明けて二千万円、四千百万円ですね。
○吉田証人 それ以外に七月にもぼつぼつはいつておりまして、五月ごろからぼつぼつはいつておるのであります。
○武藤委員長 前年のですか。
○吉田証人 二十二年ごろ……
○武藤委員長 そうすると、五千万円はなかつたのですね、年末ごろには二千百万円と二千万円で完納されたのでしよう。
○吉田証人 二十二年には七百九十万円はいつております。この四千九百万円という数字は、このほかに延滯金もはいつておると思います。差押えまでは日歩いくらでありましたか、延滯金がつきますので、この債権差押えをやつたときの未納延滯金を含めた金額であります。
○武藤委員長 先ほどお話の管内で不動産を押えたというのは、同一の税金、債権についてですか。
○吉田証人 そうです。
○武藤委員長 それは完納するまで解除になつておらないのですか。
○吉田証人 解除になつておりません。
○武藤委員長 その不動産に價格はどのくらいですか。
○吉田証人 不動産の價格はちよつとはつきりいたしませんが、後ほど北の税務署長がおりますから……これは不動産の差押えをいたしましたのが二十二年の十一月でございます。
○武藤委員長 そこで本日問題となつており、特にあなたを煩わしたことは、この竹中工務店に対する滯納税金について差押えをし、それが完納されないで解除になつてしまつた。完納されないうちに解除されたということは何かそこに政治的な動きがあつた結果ではないかという疑いがあつて、そのことを確かめるためにあなたにも伺つておるわけです。その政治的な動きというのは、当時の栗栖大藏大臣が竹中工務店と個人的にか何か知合いがありまして、その結果栗栖氏が差押え後解除前に大阪へ行かれたり何かしてこれが解除になつたのではないかというような疑いがあるわけなんです。何か当時あなたのところへ、あまりひどい差押えはせぬ方がよいとか、あるいは解除してやつたらどうかというような話が栗栖前大藏大臣あるいはその使いの者からありませんでしたか。
○吉田証人 竹中工務店の問題について栗栖大藏大臣から話を聽きましたことは全然ございません。
○武藤委員長 その当時もその後もございませんか。
○吉田証人 ございません。
○武藤委員長 栗栖氏が当時大阪へ行かれたことは御存じですね。
○吉田証人 ええ。
○武藤委員長 それはいつごろですか。
○吉田証人 大臣の日程は大体先ほど見たのですが、十二月二十一日か二十二日で、今私ちよつと手帳を持つておりませんからはつきりしませんが、山口の方へ行かれまして、帰りに廣島から大阪を通過して京都へ行かれました。大臣はその晩京都へお泊りになり、翌日大阪へおいでになつて、その晩大阪を発つて東京へお帰りになりました。これは事実であります。それはたしか十二月の二十一日か二十二日です。
○武藤委員長 そうしますと、故意か偶然か、とにかく差押え後、解除前にはなつているのですね。
○吉田証人 そういうことであります。これもはつきりいたしませんので、先ほど大臣の西下の日程を刷つたものがありましたので、それによりますと、二十一日、二十二日となつておりますから、それに間違いないと思いますが、あるいは一日くらいずれがあつたかもしれません。大体今問題となつている日にちに大臣が來られたことは間違いないと思います。
○武藤委員長 何かお尋ねになることがありますか。
○高橋(英)委員 そうすると、証人は栗栖前藏相と会つてはいるわけですね、京都か大阪で……。
○吉田証人 はい。
○高橋(英)委員 そのときに話しは少しも出ませんでしたか。
○吉田証人 全然ございません。
○高橋(英)委員 徴税問題は非常に大きな問題で、このために前尾局長も轉任になつたくらいの大問題ですが、その徴税方法とか何とか、竹中だけの問題じやなしに、徴收方法で、差押えすべきか、せざるべきかということについて何か話はなかつたですか、一般的な徴税方法で……
○吉田証人 具体的にはございませんでした。徴税方法について大臣から積極的のお話はありませんでした。大臣は日程が非常に忙がしくて、たしか京都へ行かれて、直ぐ新聞記者会見をやり、それから京都の商工会議所で講演をされた。あのときはすでに、租税完納の國民運動が展開されておつたときでありますが、講演をされて、その直後大臣は京都商工会議所で財界人と懇談をせられたというようなことで、私ども個人的にお話を伺うような時間はほとんどございませんでした。
○高橋(英)委員 その延滯金はどうなつているのですか。支拂いになつたのですか、免除したのですか。
○吉田証人 支拂いになつております。
○田中(角)委員 簡單に御質問いたしますが、前尾さんが主税局長当時、昨年の十月、十一月に税金滯納という問題が非常に議会でも問題になりまして、財政金融委員会でも、もうぶつかけてとる以外にしようがないだろうというような方法を大藏省の主税局長はとつておるのですが、あなたを前にしては、非常に変な話ですが、一番成績の惡いのはあなたの財産局管内だつたというのですけれども、そのときにいわゆる強制徴税というような問題について本省から各財務局長に指令があつたはずですが、そういう具体的な方法——徴税強制執行というような問題に関して本省から大阪財務局長に八月から十二月までの間、こういう問題が起る前に、特殊の指令があつたかないかということをお尋ねします。
○吉田証人 特殊の指令というものは別にないと思います。もちろんその間にたびたび各部長会議、局長会議などが当局でございまして、一般的の方針として、滯納処分の特別整理計画を立ててやれというようなことで、局としましても、大口の滯納につきましては、特別の整理計画を税務署をして立てしめ、着々滯納を整理していこうというようなこどがございましたが、具体的なこまかい指示は本省からどの件についてどう、どういう方法でどうというところまでございませんでした。
○田中(角)委員 ただいまあなたが言われましたように、部局長会議が中央にあつたという当時のことも知つております。しかも大阪財務局管内は非常に成績が惡いというようなことが、徴税に対して非常に御熱心であつたと思うのですが、小さなものは別として、こういう大口の徴税、しかもこれがあなたの財務局管内ではなく、差押えの対象の物件は麹町でありますが、そういう場合は特にあなたの方に禀議決裁を経てくる——禀議決裁というほどではないけれども、当然北税務署だけの單独権限で執行するとは考えられない。あなたの先ほどの御証言の中では、一月何日に十二月の差押えが解除されたということは、あとから北税務署の報告で承知したと言つておりますが、この差押え執行という前にも当然あなたの許可を得るとか、あなたのところに相談があるとか、これは非常に大口な問題でありますからそういうことが当然あつたと思いますが、その間の事情はどうであつたでしようか。
○吉田証人 滯納処分の一般的な方針は與えますが、大口の滯納でありましても、税務署長の権限に属している事項もあり、それについて一々財務局長に禀議決裁さすということはやつておりません。ただ金額が大きいというだけでありまして……
○田中(角)委員 わかりました。先ほどの前尾局長のお話では率直なお話で、竹中工務店のみでないけれども、竹中工務店もまじつてこの差押えを何とかしてくれないかということは大臣にもお話があつたということは聽いておりましたし、これによつて大臣が動いたか動かないかということは別にしまして、当然業者としては陳情に上るということは私たちもやつておりますから、そういうことは事実と思います。しかも前尾主税局長のところへもそういうことを言つてきたけれども、私は取合わなかつたと言つておりますが、あなたのところは所管財局でありますから、当然あなたのところへも竹中さんだけでなく、ほかの業者も陳情に伺つておると思いますが、竹中さんもあなたのところに伺つた事実があるのかどうか。
○吉田証人 竹中工務店のことに関して私は陳情を受けたことはございません。
○渡邊委員 先ほど前尾局長が、大臣が関西へ行かれる前に差押え問題についていろいろ大臣から大臣の方針について話合いを受けたと言つておりましたから、京都へ參られて税務署長がお会いになれば、当然その話が出るはずだろうと私どもは察せられる。竹中のことは言わないけれども差押え問題についていろいろ話があつたということは言つております。それで私はお伺いするのでありますが、大体において各省の大官級の連中が地方に参りますと、地方のその職務関係の人々はそこに参りまして職務関係についての報告をするのが前例になつております。それをやつたかどうか、その点について伺います。
○吉田証人 これははなはだ申訳ないお答えになるかもしれませんが、最近まで大臣が送られるたびに見えますが、大臣の御日程は非常にお忙しくて、大藏省の大阪における例を申し上げますと、造幣局以外に集まる場所がありませんから、造幣局の廳舍へ大藏省の関係官廳——四つございますが、その官廳の長、幹部を集めまして大臣から御訓示がありまして、そのあとすぐ新聞記者との懇談であるとか、あるいは職員の労働組合との話というようなことで日程が済んでしまいまして、一々大臣へ管内状況の報告を最近は全然やつておりません。何か御質問があればお答えいたすという程度でありまして、私大阪に参りましてから、管内状況を正式に大臣に申し上げたことはございません。
○石田(博)委員 あなたは竹中工務店と栗栖さんとが非常に御親密の間柄にあるということは御存じですか。
○吉田証人 私存じません。
○石田(博)委員 それから先ほど北税務署の方から麹町税務署ほ一番最初に多牒された差押えの引継が紛失したとかあるいはなくなつたということは、どのくらい経つてからお氣づきになつたのですか。
○吉田証人 これは北の署長から話を聽きましたが、私が特に聽いたわけではございませんからはつきりいたしませんが、初め八月に引継をやつたようでございます。税務署といたしましてその書類が何で届かなかつたのか、処分分割がありました直後でございますので、たしか麹町もそうだと思いますが、北の方もそうでございますし、そういうことでなくしたのではないかと思います。さらに引継ぎましたのが十二月でございます。向うに業務引継がいつてないといふので、こちらから係官がそのために上京しましたのは十二月であります。
○石田(博)委員 相当厖大な額で、しかも大阪財務局管内の徴税成績は非常に惡いという折柄、五千万円という額の差押えの引継をして、その進行状況についてはこの期間内では何らお考えになりませんでしたか。
○吉田証人 これは私の想像でありますが、税務帳長としてはおそらく麹町署における債権差押えは引継を受けてあるものと考えておつたのではないかと思います。
○石田(博)委員 あなたもその経過についてはお考えにならなかつたのですか。
○吉田証人 私はいつ債権差押えをやつたか覚えておりません。
○石田(博)委員 差押えをやられてから解除するまでの間ちようど十三日になつております。十日に差押えて二十三日に解除する、比較的短かい期間だと思いますが、それを解除する條件として不動産の差押えがしてあるとおつしやいましたが、それは麹町税務署に引継ぐ前に判明しておることで、あらためて生じた條件ではないわけですね。
○吉田証人 解除するために不動産の差押えをしたのではございませんで、前に差押えをしてあります。
○石田(博)委員 だから解除するときの條件にならないわけです。新たに添えてつくつた條件ではないのですね。
○吉田証人 解除しますときの状況は一方に不動産が差押えてあつたということです。
○石田(博)委員 そうしてあとは年末までに納める、残りは一月下旬までに納める、こういう誓約書で解除されたわけですね。誓約書で解除できるならば、差押えをする前にその誓約書をおとりになつたらどんなものでしようか。その方が手数がかからないで済むように思ひますが……
○吉田証人 これは税務署長の権限に属する行政運営の事項でございますから、おそらくそのときの判断といたしましては、政府に対する債権があるからというので差押えをやつて、差押えをやつても一向に政府の支拂いがない、一方その後になつて誓約書が出てくる、しかもごく短期間内にすぐはいる、残りはさらに一月中にはいるという状況判断で税務署長が解除したと思います。
○石田(博)委員 私ども非常に疑惑をもつのですが、先ほど前尾局長のお話の中に、竹中工務店の滯納の問題は大阪財務局長、つまりあなたからの報告によつて知つておつたということを伺いました。つまり滯納の問題についてはあなたはこれを上司に対して報告しておられる。しかも北税務署はあなたの管轄内にあつて、行政上あるいは内規から言つて、こういう徴税上の内規から言つて、こういう徴税上の法律処分については税務署長の権限に属する。あなたは全然関知しないということも言えるかもしれませんが、私どもとしましては非常に多額な金である。しかもあなたはおそらく自分の管内の徴税成績が惡いことに非常に苦労されておつただろうと思うのです。その際にこの多額の法人税の滯納の問題について、その処置一切を税務署長に委ねて知らない。経緯もよく知らないということは、私ども非常に納得しがたい点があるのですが、いかがですか。
○吉田証人 税務署において差押えをやりまして、その後の状況をそうしよつちゆう財務局長が監視そておるわけでもございませんし、差押えをやつておりますれば、それによつて逐次整理されていくものと、また税務署においてもいろいろ督促も督励もし、いろいろな方法をもつて滯納税金の整理に当つておるのでありますからして、私が事後に報告を受けて、事前に知らなかつたことは不都合じやないかといつてお叱りを受ければそれまででありますけれども、そのために特にどうということはないと思います。
○石田(博)委員 額が少ければ別ですが、繰返すようですが大阪財務局の徴税成績が惡い、何とかしてそれをよくしようとあなたがお考えになるのは当然である。そのときに五千万円という滯納があることも事前に承知しておられるはずである。それを報告しておられるのだから、事前に承知しておられるはずである。その場合に差押えをやるという判断を税務署長がやつてしまうまであなたがそれを御存じないということは、どうも額の点からいつて、またあなたの職責から考えて納得いきませんが、御存じだつたのじやありませんか。
○吉田証人 差押えがあつたということですか。
○石田(博)委員 これからやるということ……
○吉田証人 大きな滯納についてたしか徴收の方に報告が出まして、それの顛末について、現に差押え中であるという正式の文書と報告が財務局に参ります。具体的にその書類を私が見たかどうかということは記憶ありませんけれども、そういう書類が出まして、財務局長としては滯納の整理の状況がどうなつておるかということを知り得るわけです。具体的にこの事件について解除したということをあとから報告を受けた……
○石田(博)委員 事務上機械的に考えればたしかにその通りです。しかしあなたが財務局長として徴税成績を上げようとし、そういう事務に当つておられる場合に、五千万円という多額の金の滯納の処置について、その程度の事務的の考えしかもち合わせておられなかつたとは私には考えられませんが、お役所というものはそういうものでしようか——返事がないということはいろいろに解釈されますので、この程度に止めておきます。
○辻委員 あなたの管内は大分滯納税金が多かつたようでありますが、こういう五千万円という大口は少いだろうと思いますが、少くとも一千万円以上の滯納税金が各税務署に相当あつて、それぞれその税務署から滯納税金の処理報告については報告を受けておられたというお話です。大体この一片の誓約書で差押えを解除されたような例があなたの局内の税務署においてございましようか。
○吉田証人 これは一部であるとか、あるいは他に差押えを受けておるものがある。一片の誓約書でほかに例があるかとの御質問に対しては、私今ちよつとはつきりあるともないとも記憶にございませんから、お答えいたしかねます。
○辻委員 たえず各税務署における滯納の状況を御心配になつておるわけですからして、相当それには心をお配りになつておられるはずである。もし他の税務署において、それぞれの税務署の権限においておやりになつておるとしますならば、他の税務署においてこういう処理の方法がないならば、ひとり北税務署において五千万円の滯納税金に対して、先ほど承れば一文もはいらないうちに——さいわいにあとからはいつたからよろしいが、こういうような処理をされたということにつきまして、財務局長として何らか特にそこに微妙なる関係がありやしないかということを御配慮になつたことはございませんか。ただ漫然と聽き流して報告を受けられたという程度ですか。
○吉田証人 差押えを解除したのは二十四日でございましたか、二十五日はお休み、六、七経つて七は土曜日で八から御用終いだと思いますが、北の税務署長はときどき参ります。一月になつて参りましたときにやつた、しかし半内に約何千万円、二千万円かはいつた、あとは誓約書をとつてあり、一月中にはいるはずになつている。一月中にはいつたときに北の署長はすぐ來まして、完納になりましたからという報告は口頭でいたしております。
○辻委員 大阪はやはり相当大きな実業家もありましようし、ただ單に新興成金というものはなんですが、相当の金額の何のなにがしというような法人なり、あるいは実業家なりの滯納などはあると思います。ただ單に対人信用によつて、誓約書のみによつてこれを解除するということはどうかと思うのでありますが、そういう点について一脈危惧の念をお懐きになるのが監督官廳として当然であろうと思います。それぞれの税務署からも絶えず御報告を受けておられる以上は、こうした事例があつたかなかつたかということについても御注意なすつて、こういう場合に特に御調査を重ねられるのが至当であると思います。そういうことにはお氣ずきにならなかつたか。
○吉田証人 私の報告を受けましたときはすでに半額がはいつておりますし、あと誓約書通りで、残額二千万円くらい、一方不動産の差押えを解除しておらず、そのままありますので、この処置につきまして別にどうこういうことは考えたことはございません。
○辻委員 報告を受けたときははいつておりましたけれども、解除になつたときは、さかのぼつて考えれば一文もはいつておらなかつた。そういう処理について、それはそれぞれの税務署長の権限であるから差支えないというお考えか、それともそうしたやり方は特に大阪において徴税成績が上らぬと言われておる折から、非常に危險な方法であるとお感じになつたことはありませんでしたか、そういうことについて御注意を促されたことはありませんか。ただ漫然と聽き流しておいた程度のことでありますか。現在のあなたの御心境でもよろしい。こういうように一文もはいつておらぬうちに、ただ誓約だけによつて解除するというやり方、このやり方について局長としてどういうお考えをおもちになつているか。
○吉田証人 これは結局具体的の滯納者の状況なり、そのときの税務署長の認定の問題もございましようが実際何と申しますか、行きた行政でありますから、いろいろの状況を判断いたしまして確実である、しかも解除する方がその税務署などの考えでは、差押えを受けておるために年末における政府支拂が延びるというようなおそれがあつたものでありますから、解除せられることによつて政府の支拂いを受けて、それによつてさらに滯納の整理が促進される。その方がベターであるという判断によつてやつたという報告を受けております。私としてもこれについて署長の処置はけしからぬとかどうとかという考えはなかつたのであります。
○辻委員 私はどうしてもこれは一種の特例のように考えられますが、——あなたの管内の税務署におきまして、少くとも一千万円程度の滯納税金についてどういう措置がとられておつたか、こういうような事例があるかないかということを御調査していただきまして、御報告が願いたいと思います。
○高橋(英)委員 簡單にこの際証人の証言の信用の度についてお飼いしたい。差押えの問題について、前尾局長の陳述によりますと、竹中工務店の方から陳情に來ておる事実があるのです。ただいまのお話によつても、差押えの解除がせられなければ、政府支拂いができないというふうな事情もあり、また重大な影響を及ぼす問題について、地元の局長のあなたのところに全然陳情に行かなしということは、どうしても私は納得できないのですが、いかがです。
○吉田証人 この滯納処分につきまして私のところに陳情に参つたことはございません。また私そういう話を受けたことはございません。
○高橋(英)委員 東京まで來ておるのに、大阪の地元へは陳情しないというのは、われわれはどうしても納得できないのです。よく記憶を喚びもとしていただきたいのですが、どうですか。
○大森委員 ちよつと証人にお尋ねいたしたい。差押えによつてのみ税を徴收するという目的でありまするか。差押えを解いても、その解くことによつて財産等を処分して支拂うという目安が立つ場合には解くこともないか。私はこういうふうに考えておるのであります。現在の徴税によりますと、全部差押えをしてとるということがあなた方の趣旨であるかどうか。それでなくても、ある場合においては、話合によつて解除してもとれるという見込が立つならばそれでよろしいというお考えでありましようか。私は差押えが目的でなく要するに税金を徴收することが目的であると考えるのであります。その点についてあなたと見解を異にしますが、それを伺いたい。
○吉田証人 租税の徴收を円滑にやることが最初の目的でありまして、差押えなり、さらに差押物件を競賣処分するということは、やむを得ざる措置と考えております。從いまして、差押えをしなくても特例によつて徴税ができれば、これに越したことはないと思います。
○武藤委員長 それでは二十二年度の残つている滯納税金について竹中工務店のごとく取扱つた実例があるかどうか。その実例がありましたら一週間以内ぐらいに文書で御報告願いたい。
○吉田証人 これは各税務署でやつておりまして、局に参ります報告は單に差押え中とか処理済という報告でありますから、具体的に一千万円以上のものを拾うのは簡單でありますが、それについて調査の必要がありますから、一週間ではとうていできないと思います。
○武藤委員長 どのくらいでできますか。この月一ぱいにはできますね。
○吉田証人 今月一ぱいにはできると思います。
○武藤委員長 今月一ぱいに到着できるようにお願いします。
○吉田証人 そうすると、二十二年度残存の滯納について金額一件一千万円以上のものについて、差押えを解除した実例があるかどうかを委員長宛に書面をもつて報告すればよろしいのでございますね。わかりました。 —————————————
○武藤委員長 では北税務署長吉國次郎さんですね。
○吉國証人 そうです。
○武藤委員長 あなたに伺いますが、昨年の十二月初めごろ、あなたの管内の竹中工務店の滯納税金はどのくらいあつて、それはどういう種類の税金ですか、お話ください。
○吉國証人 これは正確な数字は現在申し上げられませんが、約四千九百万円あります。この四千九百万円は二十年度の法人税、法人臨時利得税及び法人営業税並びに二十一年度の打切決算期における法務税及び法人営業税であります。それに加えて滯納の延滯金が若干加算せられております。これが税金の内容であります。
○武藤委員長 これが大分溜つていて、遂に任意に支拂いが行われないようなわけで、あなたの方の税務署から東京の麹町税務署の委嘱をして差押えを行つたということがございますか。
○吉國証人 二十二年の八月一日に麹町税務署に引継ぎを行いましたが、当時はちようど八月一日前後において全国に税務署の増設がありまして、そのためにこの委嘱がついておりません。その後十一月になりましてから、私の管内における不動産を差押えまして、なお不足いたしますから、東京都廳の支拂分である債権を差押えるためにこれを麹町に嘱託したわけであります。
○武藤委員長 管内の押えた不動産は、何でどのくらいの價格があるのですか。
○吉國証人 不動産は家屋二棟及び土地二筆でありまして、價格は現在私として覚えておりません。
○武藤委員長 大体わかりませんか。
○吉國証人 大体の額は私としても今はつきり申し上げられないと思います。記憶がございません。
○武藤委員長 家二棟、地所二筆ということがわかつていて……
○吉國証人 それは差押え調書でわかつております。
○武藤委員長 大体おわかりなのでしようね。
○吉國証人 それでは坪数を申し上げましようか。
○武藤委員長 構造、坪数、所在地を言つてください。何区何番地、木造か鉄筋コンクリートか。
○吉國証人 大阪市北区同心町二丁目五十五の一番地、大阪市北区同心町二丁目五十六の二番地、宅地二百十坪二合三勺、及び宅地四百五十二坪二十一勺、それから大阪市北区堂島中二丁目三十、三十一、三十二、三十三番地、事務所兼宿舎、大造瓦建平屋建百十九坪、物置木造瓦葺き平屋百十六坪、右であります。
○武藤委員長 大分あるのですね。それを差押えをしておるにもかかわらず、なお全額について再び東京都の債権を押えたわけですか。
○吉國証人 そうです。これではなお不足いたしますから……
○武藤委員長 大体見積りとして不動産を押えて不足額がどのくらいと、そういう見当で押えるのでなくて、だぶつて押えるわけですか。
○吉國証人 これは今説明を落しておりますが、大体東京都の債権差押えが主要眼目でありまして、嘱託をする前に自分の管内のものを差押えないで嘱託をするということは手落ちになりますので、一應十一月の二十六日ころだと思いますが、差押えをいたしまして、それから嘱託をした、こういう順序になつております。
○武藤委員長 一應差押えをしても相当の担保力があるものを押差えをしておれば、残額をするのが普通ですけれども、そうではなかつたのですね。
○吉國証人 念には念を入れたわけであります。
○武藤委員長 かような差押えをする場合には、あなたの方の財務局長なり、あるいは嘱託をする土地の財務局長なりに連絡をとるか、承認を求めるか、あるいは報告をするかいたすのですか。
○吉國証人 差押えをいたした場合には、事前には大体協議はせずに独自の立場でやります。差押えをいたしましたならば、その報告は大体滯納の報告を出しますから、それについて処分事績をつけて報告することになつております。
○武藤委員長 財務局長にするのですか。
○吉國証人 そうです。
○武藤委員長 こういうふうに嘱託をした場合には大阪の方でも東京の方でもいたしますか。
○吉國証人 これは嘱託をしたことを大阪財務局にだけ報告いたしております。
○武藤委員長 東京で差支えをすると東京財務局長に麹町の税務署からするのですか。
○吉國証人 これはいたさないと思います。引継ぎを受けた税務署は別に報告をいたしておりません。
○武藤委員長 この差押えはその後解除になりましたね。
○吉國証人 債権差押えは解除になりました。
○武藤委員長 どういう理由ですか。
○吉國証人 その理由は十二月の二十三日——その前に実は竹中工務店から私の所にまいりまして、この東京都の財源を全部差押えをいたしましたために、政府支拂いの主力である東京都廳の財源が全然押えられた、そのために年末の支拂いがまつたくできなくなりまして、それで竹中工務店が年末に破綻を來す危險があるというので、差押えの解除を願つてきたことがあつたのであります。この場合私としては、すでに麹町税務署に嘱託したのでありまして、一部の解除をすることはできない、引継ぎの取消をすることはできますが、一部の解除をこちらから麹町に頼むことはできないということで、一應前に断わつたことがあります。ところが二十三日になつて、同じく竹中工務店から話がありまして、同じような理由とともに、東京都廳の財源が差押えを加えられておるがために、これは年末の特別支拂いの対象とする必要がないというような口吻を漏らされた。從つて差押えを受けたがために、かえつてこの支拂いが遅れて年を越す可能性があるということを言つてまいつたのであります。これについてすでに竹中工務店の債務がいまだに政府から支拂いを受けていない、留保を受けておるという事実もそのときに聽きましたので、事実すでに時期が迫つておりますから、政府支拂いとして債権を差押えの麹町税務署へ支拂うのはまず年を越すものと認めまして、そうするならば徴收を急ぐがために差押えをしておきながら、かえつて徴收が遅れる、しかも竹中工務店が現在まで滯納してまいりました大きな理由といたしまして、政府支拂が遅れておるということに大きな理由があるのでありますから、これでまた債権の支拂いが遅れるならば、滯納税金もそのまま残るし、債権の支拂いもなお行われないという結果になるので、この際差押えを解除して、年内に現在の滯納額の半分を納めさせ、残りを一月中に納めさせるならば、債権差押えを解除した結果と結局同じことになるという判断をいたしまして、年内に二千五百万円を納め、一月末日までに残額はこれを必ず納付するという誓約書をとりまして、麹町税務署に引継ぎの停止を行つたのであります。その引継ぎの停止に從いまして、自動的に麹町税務署は債権を解除したわけであります。
○武藤委員長 差押えを解除したのですね。そこでこれを解除するについて、何かあなたの方へ上の方から、解除したらよかろうというようなことはなかつたのですか。
○吉國証人 これは全然いたしません。
○武藤委員長 何かお尋ねのことがございますか。
○石田(博)委員 その解除をせられるときには、どなたにも御相談なさらずにあなたがやられたのですか。
○吉國証人 これはまつたく私の独断でやりました。
○石田(博)委員 差押えをした報告は上司にされたわけですが、それを解除するときには、あなたの独断でやつて差支えないのですか。
○吉國証人 これも事後報告をやれば差支えないのであります。
○石田(博)委員 次にお尋ねいたしますが、それを解除した理由として、東京都の竹中工務店に対する支拂いが差押えを受けたために、年末特別支拂いの対象にならない。從つて差押えをしても徴收の実績にはならない。こういう理由ですが、それは東京都の方に対してその事実をお確めになりましたか。
○吉國証人 これは私確めたいと思つたのでありますが、すでに時二十三日でありまして、二十四日、二十五日は休み、二十八日は日曜日で、御用納めが二十七日、かような状況で、問合せをしておるならば、時期を失するという判断をいたしたのであります。
○石田(博)委員 そうすると、主として竹中工務店の年末支拂いの事情に則つて解除されたわけですね。
○吉國証人 年末支拂いのためにというよりは、その年末の支拂いが延びるというおそれをもつてやつたわけであります。
○石田(博)委員 竹中工務店が金を押えられたために、竹中工務店が支拂わなければならない資金に窮した。こういう陳情ですね。
○吉國証人 それはすでに前に……
○石田(博)委員 前に受けておつた陳情ですね。
○吉國証人 そうです。
○石田(博)委員 そうしてその陳情に基いてその陳情の大きな理由として今東京都廳の理由をおつしやつたわけですね。
○吉國証人 その陳情は理由がないと思つたのであります。これは税務署側としてはその事情をのむことはできない。東京都廳の側のそういう事由を知つたから、私はやつたわけであります。
○石田(博)委員 知つたというのは確認せられたわけではないのですね。
○吉國証人 つまり主観的な半断をしたわけであります。
○石田(博)委員 そういう事情の陳述は、その当の当事者である竹中工務店が自己の利益を主張する一つの材料として使われた陳述でありますね。
○吉國証人 私はそうは考えなかつたのであります。
○石田(博)委員 どうお考えになりましたか。
○吉國証人 竹中工務店から來た代表者は経理部長でありますが、この経理部長についてはすでに課税の当時においても私はその人が非常にまじめな人間である。このことを私は信じておりましたから、その言を疑わずにのんだのであります。
○石田(博)委員 そうするとまじめな人間と信じておる経理部長が、税金の差押えをする前にあなたの方からおそらくいくたびか督促をせられたと思います。その際にそれ相当の理由を述べ、あるいはそれ相当の約束をせられたことは当然だろうと思います。それは信じられなかつたのですか。
○吉國証人 それは約束ができない。たびたび一部納付はいたしておりました。たとえば八月に八百万円持つてきたというようなこともありますが、それで極力努力はしておりますが、何分にも、ちようど課税の当時の状況を申し上げますと、竹中の利益が二年度を通じまして約五千万円でございますが、その当時において税務計算上見込んだ未收金がすでに六千万円ある。從つて実際の利益分は未收金の中に含まれている。そういう事情を私はよく知つておりますので、実際苦しく思つたのでありますが、徴税上のやむを得なて手段として差押えをやつたわけであります。
○石田(博)委員 そのときに、あなたが差押えをやるときに約束できないということを、あなたは経理部長を信じておつたけれども、やられたのですね。
○吉國証人 そうでございます。
○石田(博)委員 そうすると、二度目に同じ経理部長の、年度末にどれくらい拂えるという約束は信じられたのですか。
○吉國証人 これは信じました。
○石田(博)委員 どういうわけでたつた一箇月前に……
○吉國証人 前はその約束はできぬ。その債権の支拂われるまで、政府支拂いがあるまでは、現在経理部長として進行中の工事その他を支拂うためには、現在はとうてい拂えぬということでありますから、差押えをやつたのであります。ですから、差押えをしないということははつきり言える男であります。
○石田(博)委員 そうしますと、たつた一箇月の間に、前はいろいろと経理部長は支拂いをしなければならぬからだめだ。一箇月経つて、東京都に対する債権というものは前からわかつており、事情もわかつておるのに、急激に今度は支拂いをした上で債務を押えられ、税金を拂える。つまり差押えということによつて生じた新たな事態に即應して約束できないということも、約束できるというような態度をきわめて簡單に豹変しているように思いますが、そういう人間を私どもはあなたの言うがごとく信ずることができるかどうか。少しおかしいと思いますが、どうですか。
○吉國証人 それは政府支拂いの見込みは実際問題として当時はついておりませんでした。十二月にはいつて特殊支拂いが行われるということがわかつたのであります。その前においてはいつになつたら拂われるかわからない。現にすでに二年経つて完成しておりながら拂つていないものもある。從つて政府支拂いが確実にいつ行われるということがわかればもちろん約束はできたのであります。
○石田(博)委員 税金の課税額についてまけてくれとか、あるいは延ばしてくれとか、延期の方法を構じてくれとかいう陳情は差押えの前に受けておりませんでしたか。
○吉國証人 それは受けております。
○石田(博)委員 そうしてあなたは、前尾主税局長のところに竹中工務店が行かれたという事実を御存じですか。
○吉國証人 私は現在は知つておりますが、当時は知りませんでした。
○石田(博)委員 あなたは竹中工務店の経理部長と肝胆相照らすほど御懇意だそうですが……
○吉國証人 懇意というわどではない。私は個人的なつきあいはしておりませんで、職務上の調査その他において知つたのであります。
○石田(博)委員 竹中工務店と栗栖大藏大臣とが、何か御関係があるということをお聞きになつたことがございますが。
○吉國証人 全然そのようなことは私は想像もしておりませんでした。
○辻委員 簡單に御質問申し上げますが、四千九百万円の竹中組に対する徴税額につきまして、先ほど椎きましたところとちよつと食い違うようでありますが、あなたの方では現在はこの四千九百万円を全部收納しておりますか。
○吉國証人 全部收納しております。
○辻委員 そうすると十二月二十四日当時は四千九百万円でございましたか。
○吉國証人 そうでございます。
○辻委員 そうしますと食い違いがあります。さつき立務局長さんが言われたのは、二十二年度に二千百万円納めて、二十三年度一月から二までの間に二千万円納めてあるということで、これが四千百万円で八百万円の差がございますが、十二月二十四日現在に四千九百万円の滯納額があつたわけですね。
○吉國証人 約四千九百万円であります。
○辻委員 約で結構です。そうしますと、先ほど財務局長は、十二月のうちに二千百万円を納め、今度一月から今までの間に二千万円納めて完納しておると言うのですが、ここにはたしか延滯金が……
○吉國証人 それは延滯金がはいつておることは事実でございます。
○辻委員 その延滯金はどうされましたか。
○吉國証人 とりました。
○辻委員 二千九百万円ははいつておりますね。
○吉國証人 はいつております。
○辻委員 もう一つお聽きしたいのは、あなたが十二月中ごろに政府の特殊支拂いがあると言われたが、私たちも知つております。これは十二月十日ごろから進駐軍に対する特殊支拂いをする、これはあなたのお考え通りでありますが、この差押えをしておるために東京都が拂わなかつたということもわかります。そうしますと、あなたはこれり財務局の法人課長にお話をしてございますね。
○吉國証人 それはいたしておりません。
○辻委員 そうすると財務局長さんにだけ話したのですか。
○吉國証人 財務局長には事後に話してあります。
○辻委員 そうするとそこに重大な証言の食い違いがございます。私の方から考えますと、先ほどの前尾局長は大阪財務局の法人課長が東京に來られたときに報告を受けたと言つております。しかも吉田財務局長は、私は竹中の滯納と差押えに対しては、全然報告を受けておりませんし、私は知つておりません、こういうことを言つておる。そうして前尾局長は先ほどの証言の一番初めに、竹中組の差押えをなぜ解除したかという理由として非常に親切なお話があつた。いわゆる東京都が差押えをやつておると國家の收入になるのであるから債権債務が相殺されるので、そうすると竹中組に対して現在多くの仕事を預けておるけれども、東京都としても実際工事を完成させたいがために、竹中組にこの金を支拂つてやりたい、そういうことを聞いたということを言つているのですが、あなたは前尾局長にどこでお会いになつて御報告になりましたか。
○吉國証人 前尾局長には報告しておりません。吉田財務局長に報告してあります。
○辻委員 そうするとここに重大なる食違いがあるわけです。(「質問が違う」)いやこれは議事録を見るとおわかりになると思いますが、前尾局長は少くとも税務署長か財務局長のいずれかから、この問題を事前に聞いておるわけです。聞いておるのに税務署長は前尾局長に話していない。しかも吉田財務局長に聽いたときには、吉田財務局長は、私はそういうことは全然知つてもおりませんし、前尾局長にも全然話してありませんということになると、この二者の間には正反対の陳述の食違いがあります。
○吉國証人 その点について私から申し上げてよろしいですか。私は今前尾局長の証言を聽いておりませんから、私としてははつきりしたことはわかりませんが、前尾局長が竹中問題を御承知になつたのは竹中の税金が非常に大きな決定を受けたということを法人係長が上京した際に、たしか八月か九月に話しておるはずです。そのことではないかと思います。
○辻委員 なにゆえ差押えを解除したかと言われることに対しまして、速記録をごらんになればはつきりおわかりになるように、前尾局長はこういうことを聽かれたということをはつきり言つておりますから、これは私は議論はいたしません。この速記録にいわゆる現在の税務署長が言われたように、私が申し上げたように、いわゆる前尾局長とそれから財務局長との間に、食違いがありましたら再喚問を申請します。
○高橋(英)委員 差押えしたのは支拂いの見込みが立たない。約束ができなかつたからしたと言われましたね。
○吉國証人 そうです。
○高橋(英)委員 そうすると、支拂いの見込員ないものだつたら差押えしたところで支払いの見込みはないわけですが。
○吉國証人 いや、差押えをしておけば政府から支拂いが行われたときにとれるわけです。これは保証手段としてやむを得ない。
○高橋(英)委員 そうなれば今の経理課長ですか、そういう誠実な人が支拂いを政府から受けたものをあなたとの約束においてそれをほかへまわすというようなことはしないはずなんだ。そうすると政府からもろう金があるけれども、それは絶対に滯納税金の方へまわせないということを課長は言つたんですか。
○吉國証人 いや、それは申しておりません。
○高橋(英)委員 申していなければあなたがそれほど信じておる人が見込みがないと言うんだつたら、差押えをしたところで結局見込みがないでしよう。
○吉國証人 見込みがないと言うのははいる見込みがないということではなくて、いつ拂えるかわからないということです。ですからそれを確実に担保しておくためには差押えしておくということが当然だと思います。
○高橋(英)委員 そうしますとあなたが誠実な人間だと信頼されているその人間が、政府から支拂いを受けたならばそれをすぐ支拂うという約束をすれば、それに信頼していいんじやないでしようか。差押えをしなくてもそれほど信頼している人であつたら、その人の言うことを信頼したらいいでしよう。
○吉國証人 これは税務署の手続上やはりそれだけのことはしなければならぬのです。
○高橋(英)委員 とにかくあなたの言われるのは矛盾するんだ。もし課長に絶対的な信頼をおいておられるんだつたら差押えをする必要はない。その人の言葉を信じたらいい。もし差押えをしなければとり得ないような状況であつたら、それはその人を信頼していないことになる。要するに差押えというものは相手方を信頼し得ない場合において、初めてやるところの強権の発動なんだ。だからあなたの言われた絶対的信頼という言葉と差押えという言葉とは矛盾する。とれないものは差押えをしたところでとれないし、とれるものは差押えしなくてもとれる。
○吉國証人 その点御説明申し上げます。現在の國税徴收法におきましては、実際は督促状を発して何日以後なお滯納の場合には財産を差押うべしと書いてあります。しかしこれは実際の慣例としてなかなか行われておらないのでありますが、これはやはり手続上それをとるのが税務署長の職責でもありますので、從つて私の申し上げたことが今のことと矛盾するかどうかは、これは委員の御判断を願うよりほか仕方がないと思います。私としては矛盾していないと思います。
○高橋(英)委員 これは議論になるからその程度に止めますが、竹中から陳情したのはいつごろですか。
○吉國証人 はつきりしたことは覚えておりませんが、それは麹町の税務署に移嘱したときであつて、その中の債権を一部解除してくれということは私としては申す筋でないと申しましたのは十七、八日頃かと思います。これは私はつきり記憶に止めておりません。そのときは全然そういう問題は私に起つてこようとは予測もしなかつたものですから、二十三日になつて突然に債権が延びるかもしれないという追詰められる傾向になるとは思つておりませんから、麹町に嘱託した以上はそのままでいいもの、私としては責任を轉嫁した形でいつておりますから、はつきりした記憶はありません。
○高橋(英)委員 そういうふうなことは思い設けなかつたことであるということになると、年内に支拂いがあるということは確信されておりましたか。
○吉國証人 信頼してやつておりました。
○高橋(英)委員 それならば差押えしなくても、その人の言を信じて……
○吉國証人 それは差押えをしてから、特殊支拂いがあるということがわかつたのであります。
○高橋(英)委員 大分言葉が違つてきた。
○吉國証人 引継ぎの日をごらんくださればわかると思います。
○高橋(英)委員 そうすればそれがわかつたならば、初め差押えをしたときの状況と違つた新しい事態が発生したんですね。そうしますと支拂つてもらえることは確実であるから、十七、八日に竹中の方からあなたの信頼する課長が來て陳情して、滯納するんだつたらそのときに解除してやつたらいいんじやないですか。
○吉國証人 それは私としてはその事情はわかりますけれども、税務署としてはその債権が遅れて徴收が遅れるということがなければ、その竹中工務店の内情だけによつて解除するということは、これはできないことです。
○高橋(英)委員 ただ栗栖藏相がそのころ、二十一日か二日ころに偶然にも大阪へ行つている。そうして二十三日に解除の指令が出ている。ここに疑惑があるということになつておるが、何かそこにあつたんじやありませんか。
○吉國証人 まつたく偶然の一致です。
○高橋(英)委員 それまでにたびたび陳情しているはずだ。二十一日に新たな事態が起つたと言われるけれども、そういう事態があらかじめわかつておらなければならぬ。十日に差押えをして二十三日まで、その間約二週間の間に竹中も非常に奔走している。その間東京都の方にも話をし、そのほか、いろいろ事情をお話して、あなた方にも差押えの解除をお願いしている。しかもそれが二十三日まで解除にならずに、栗栖藏相が行つた直後ただちに解除になつたということについて、世の中の疑惑があるんだが、その点について何か心当りはございませんか。
○吉國証人 全然ございません。
○鍛冶委員 八月一日に委嘱したのが届かなかつたということは、いつわかりましたか。
○吉國証人 これは最後に十二月になりまして、差押えをするために、私の税務署の方から人が行つております。そのときに着いておらなかつたということがわかりまして、その場で引継ぎを行つたのであります。
○鍛冶委員 そうすると八月から十二月まで五箇月ありますが、その間あなたは差押えしてあると思つておつたんですか。委嘱した以上は差押えをしてあるものと思つておつたんですか。
○吉國証人 これは引継ぎの報告が來るものと思つておりましたが、参りません。こういうことを申すと非常にいかぬと思いますが、大体におきまして税務署は今手が足りません。わずかな人間でやつておりますので、他の税務署から嘱託したものは、大体において実は置いておくのが普通なんです。從つて遅れるということは私は自分でわかる。從つていずれ來るものとは期待しておりましたが、その点手拔かりがあつたということは事実です。
○鍛冶委員 いや、そういうことより私の言うのは、委嘱があれば向うは差押えをするのがあたりまえだが、おそらく差押えになつているものとあなたは思わなかつたんですか。
○吉國証人 いえ委嘱して差押えをいたしますと、こちらへ引継ぎを終了するという通知が來るんですが、これがやつてこない限りまだ差押えをしていないということです。從つて私は差押えしているとは思つておりません。遅れていると思つておりました。
○鍛冶委員 五箇月もさようなことでいいのですか。十日や二十日ならば何だが……
○吉國証人 当時は、全國の税務署が八月一日に分割をして、新廳舎の設備等で非常に忙しいときでございました。それに続いて所得税の更正決定をやらなければならぬというようなことで、自然そういう点に手拔かりがあつたことは、私も認めます。
○鍛冶委員 差押えを依頼したにもかかわらず……
○吉國証人 その点放つておいたのは、いささか手拔かりだつたと思います。
○鍛冶委員 実際それから書類が粉失したんですか。
○吉國証人 引続ぎの書類は遂に参りません、八月一日のに対しては。
○鍛冶委員 麹町に着いておつたんですか。
○吉國証人 まだついていなかつたと思う。というのは本人が行つて調べて、差押えの引受けの書面を必ず引受ける。引継ぎをして、その引受けのときに、署長の印を押すことになつております。その帳簿上に載つていないのでありますから、引継がなかつたと思わざるを得ない。
○鍛冶委員 その次にあなたの方から麹町に人をやられたのはいつですか。
○吉國証人 それは正確に覚えておりませんが、十二月一日か二日だつたと思います。
○鍛冶委員 あとは麹町の署に任したのですか。
○吉國証人 麹町も人が足りませんので、派遣した二人が実務はやつております。
○鍛冶委員 差押えはいつですか。
○吉國証人 十日であります。
○鍛冶委員 それであなたの方から行つた係官が、差押えした書類は持つて帰つたのですか。
○吉國証人 それは麹町署の身分においてやつたのですから、麹町から引受けの通知が來た。
○鍛冶委員 それはいつごろあなたの方に。
○吉國証人 これはちよつと記憶しておりません。その男が帰つて來て引受けしたというので、私は安心しておりました。
○鍛冶委員 それが済んで、竹中から陳情に來たのは幾日ごろ……。
○吉國証人 大体十七、八日だつたと思います。
○鍛冶委員 十日に差押えしてから何回も來ましたか。
○吉國証人 いやその時一回あつただけであります。それは経理部長ではなく、経理部長の下にいる人であります。
○鍛冶委員 それで二十三日には二度目であつたのですか。
○吉國証人 二度目であります。
○鍛冶委員 ああいう重要なことが一回でうまく話がつくものですね。
○吉國証人 これは具体的な税務の状況に基いて判断すると、税務署長として実際その場についてごらんになればわかると思います。私としては理論上の判断からも、税法の趣旨に從つても行うべしと判断しました。
○鍛冶委員 これは竹中から持つて來たのですか。あなたから出されたのですか。
○吉國証人 先ほど申しましたように竹中から持つて來ました。
○鍛冶委員 そこで二十三日に誓約書をとられたのですか。
○吉國証人 そうであります。
○鍛冶委員 はなはだ失礼ですが何時ごろ……
○吉國証人 午後であつたと思います。
○鍛冶委員 夜近くですか。早くですか。
○吉國証人 夜ではなく二時か三時ごろだつたと思います。
○鍛冶委員 それからどういう手続をとられましたか。
○吉國証人 ただちに差押えの引受中止の書類をつくり、それをただちに送るべく手配したのでありますが、送つておつたならば必ず二十七日ごろに着くのであります。從つて持たしてやらなければなりません。私の署員では管轄違いでできませんので、竹中の人に密封した書類をやつて、麹町まで使いに出しました。
○鍛冶委員 なかなか便宜をおはかりになりましたが、そういうことは差支えありませんか。
○吉國証人 その後の差押え解除によつて徴收を全うしようという、今まで申し述べましたことを完全に遂行するにはそれ以外に方法はありません。
○鍛冶委員 竹中の人が持つて行くというようなことは私の常識では考えられませんが、さようなことは始終ありますか。
○吉國証人 これはまつたくの特例であります。
○鍛冶委員 竹中に持つて行つていいという判断は……
○吉國証人 その点で判断に誤りがあれば、それは私の責任であります。
○鍛冶委員 過ちがあればではない。そういう特別の御便宜を拂われるということに……
○吉國証人 それは竹中のために便宜をはかつたのではなくして、徴收を完全に行うためにはかつた手段であります。
○鍛冶委員 それでいいのですか。あなたは融通のきく方ですね。
○吉國証人 恐縮に存じます。しいて言えばそうなります。
○鍛冶委員 そのようなことをしてもいいと御判断になるのは、何か差支えないというあなたに自信があるからと思うがどうですか。
○吉國証人 それは私の判断は間違いないと思つたからであります。
○鍛冶委員 それ以上はいいですが、われわれはさように考えません。
○辻委員 竹中組が東京都に持つておりました債権は全額でどれぐらいになりますか。それから麹町税務署を通じて差押えしたのはその全額でありますか、それとも内額でありますか。内額とすればどれくらい……
○吉國証人 東京都における債権は竹中の請求願において残額二億八千万円でありました。これを全部差押えるのはいかにも不当のように考えられますが、実際は先ほども申し上げましたように、政府の特殊支拂が時期的に見るといささかアツトランダムになつておりまして、いつどれが拂われるかわからない状況でありますから、全体の差押えを行わない限り、確実な歳入は得られない。從つて全体を差押えをしました。しかしこの二億八千万円の残額と申しますのは、竹中の請求額でありまして、査定を受けてなお減る部分があつたかと思います。從つて正確な数字は私にはわかりません。
○高橋(英)委員 それは一千万円ぐらいではありませんか。
○吉國証人 一千万円ということは知りません。
○辻委員 それから年末の政府の特殊支拂いが内定したということをお聞きになつたのはいつごろですか。これは大体債権額の何割ぐらいになつておるということを御承知でしたか。
○吉國証人 それは私の方で正確に知つておつたわけではないのでありまして、新聞で読んだと思います。相当多額の支拂いが行われる予定だということを読んだと思います。とにかく差押えをしてからそういう事実を知つたのであります。
○辻委員 先ほど石田委員からの御質問にもあつたが、東京都の方にお確かめにならなかつた。そうすると新聞によつて政府の支拂いがあるように知られた。同時に眞に信じたのはその竹中の経理部長からの話だと思いますが、その程度のことでこういう融通無碍のお扱いをなさるということは非常に冒險のように思います。しかし政治は動いておりますから結構だと思いますが、そういう実例がほかにありますか。
○吉國証人 このような切迫した実例はございません。これは実に特例であります。
○辻委員 先ほど述べられましたように、税法上から見ても、論理上から見ても、なるほどこの場合融通をつけようという実例が、おそらくあなたの署内にもほかにあるのじやないかと思いますが、そういうものはありませんか。
○吉國証人 こういう事情にあるものは、ほかに小さい債権その他では差押え中でも取除している例もございます。これはその納税者の実情を考えずに差押えしたというような場合に、実際に支拂能力がないものを解除したことはありますが、こういう大きなものでそういう例はありません。
○辻委員 それから年内にと聽きましたが、二千百万円、これは年内いつごろにはいりましたか。それとともに政府の支拂がどれぐらいあつたように聽きましたか。
○吉國証人 私は約束通り十二月二十七日に二千五百万円がはいつたと聽きました。その経路については覚えておりません。
○鍛冶委員 栗栖大藏大臣が二月二十七日に來られましたが、あなたは会いましたか。
○吉國証人 私は会いました。
○鍛冶委員 どこで。
○吉國証人 大手前会館で納税國民運動の説明演税会がありました。そのときに私はそれを聽き行つたのでありますが、たまたま控室に大臣その他新聞記者を含めて十四、五名おりまして、私は東の署長と一緒に參りましたが、ちようどドアが開いてわれわれが來たのを総務部長が見て、ついでだから挨拶していきなさいということで、私は東の署長と挨拶しました。それだけであります。
○鍛冶委員 徴税のことに対して何か話がありましたか。
○吉國証人 北の署長でありますと申し上げたら、栗栖大藏大臣は、若いのに大変だ、しつかりやりなさい。それだけ申されました。
○鍛冶委員 若いのに大変というのはどういう意味でありますか。
○吉國証人 集事が大変だということであります。
○武藤委員長 それでは他にございませんか。御苦労さまでした。 —————————————
○武藤委員長 長沼弘毅さんですね。管理局長をせられておりますね。
○長沼証人 そうです。
○武藤委員長 そこで伺いたいのですが、昨年十二月十日ごろに竹中工務店の滯納税金約五千万円について、大阪の北区税務署から東京の麹町税務署に嘱託がありまして、東京都に対する竹中工務店の債権を差押えをしたということがありましたか。
○長沼証人 ありました。
○武藤委員長 そのときに何か当時の大藏大臣の栗栖さんからあなたにお話がありましたか。
○長沼証人 竹中さんは東京に二十一社の土建業の團体があるのでありますが、その代表者をしておられまして、しばしば二十一社の支拂いの促進についてその代表者として陳情されておりました。そのほかに竹中の税金滯納の問題も私伺いましたが、私の所管と違いますので、その点は私としては何ら関心をもつておらなかつたのであります。大臣から税金の問題で事前に特に何か言われたということはございません。
○武藤委員長 何か税金の差押えをしたのはよくないというようなことで叱られたと言つてはおかしいが、少し大臣からそういう話があつたのじやないかという説がありますが、そういうことは全然ないんですね。
○長沼証人 ただいま申し上げたのは、差押えの前に差押えについて何らかの考慮をしろというふうなことは言われたことはないという意味でありまして、その後十二月のたしか二十四日と記憶しておりますが、大臣が関西の御旅行から帰られて、その朝私が喚ばれてまあ叱られたと申しますか、相当興奮して、はつきり言葉は覚えておりませんが、竹中の差押えをしたということはけしからぬというふうな意味のことを興奮して言つておられたことを記憶しております。
○武藤委員長 大阪から帰つて來てからですね。
○長沼証人 そうです。
○武藤委員長 そのけしからぬというのはどういうことですか、滯納がないのに押えたというのではなく——あるのはあるらしいのですが、けしからぬという理由は何か言つておりましたか。
○長沼証人 理由は私は聞いた覚えはないのですが……
○武藤委員長 ただけしからぬ……
○長沼証人 はい。まあ想像するのに、何と申しますか、たまたま政府の支拂いが数千万円行われることになつておりますので、そういうものを引当にすれば差押えをしなくても済むのじやないかというふうなことを考えられたのではないかと想像しております。
○武藤委員長 あなたはどういうふうに返事をしましたか。
○長沼証人 私は自分の所管ではないということを申しました。
○武藤委員長 そうすると、それは当時の前尾主税局長の方の所管であるというお話だつたのですか。
○長沼証人 そういうわけでございます。
○武藤委員長 そこで前尾に話そうというようなことを言つておりませんでしたか。
○長沼証人 そこのところは私は記憶しておりませんが、私の所管でないということだけで、自分の席に帰つてしまいました。その後どういうふうにされたかよく存じません。
○武藤委員長 それではその後差押え解除になつた事情等については御承知ありませんね。
○長沼証人 ございません。
○武藤委員長 何かお尋ねになることはありませんか。
○石田(博)委員 あなたの所管は政府の公共事業その他政府の支拂いを行うにあたつて、その内容を調査、監査する役目ですね。
○長沼証人 支拂いの予算を配布する役割であります。
○武藤委員長 その場合に何か特定の業者あるいは相手方に対して支拂いを早くやつてもらいたい、あるいは出してくれとかいうような意味の指示とまでいかなくても、そういう話合を今まで上司の方から受けられたことがございますか。
○長沼証人 ございます。
○石田(博)委員 御記憶に残つておる事例をお申し述べ願います。 〔委員長退席、河井委員長代理着席〕
○長沼証人 実にたくさんありますので、ほとんど憶えておりません。
○石田(博)委員 昨年の十二月には特にそういうことはございませんでしたか。
○長沼証人 十二月ごろになりますると、一般に金融機関の手許が非常に苦しくなりまして、金融は一方において非常に詰る、もちろん政府は支拂いをやるのですが、業者が考えておるほど早くは行われませんから、非常に苦しい立場になるということがございまして、そのために何らか特別の処置を講じなければ暮が越せないという事態になりますので、支拂いをでき得る限り促進と申しまするか、繰あげて合法的にできる範囲内で支拂うという処置をいたしました。その間いろいろな方のお名刺をおもちになつたり、また業者の方が直接支拂いを早くしてくれというような陳情は実にたくさんありました。
○石田(博)委員 その場合にあなたの上司にあたる人が、特定の業者に対して便宜をはかろうようにと言われたことがあつたと言われましたが、今度はそういうことをあなたに言うた上司のお名前を承りたい。
○長沼証人 一番はつきり憶えておりますのは、東京の土建業者が集つて建設工業会という團体をつくつております、その中の殊に進駐軍関係の大口の工事を担当しております業者が東京で二十一社あります。その二十一社の代表が竹中藤右衞門氏と清水組の清水さん、このお二人が業者の代表として大臣官邸にお見えになりまして、大臣に非常に金融が詰つて困つておるというようなことを陳情された。私はそこへ呼ばれまして、こういう陳情を聞いたが、できる限り便宜をはかつてやつたらどうか、ということはそれによつて支拂いを促進いたしますれば、年末の金融機関の金の回收も併せて便宜である。こういう意味で何とか便宜をはかつたらどうかというお話を受けたことがあります。
○石田(博)委員 これは一遍に今そこで御記憶がないかと思いますが、昨年末の特融と言うとおかしいけれども、特別の支拂いの促進、その支拂先と金額、日時を後ほど委員会の方へお出しを願いたいと思います。
○長沼証人 支拂先というのは、全國の全部の業者ですか。
○石田(博)委員 今の二十一社で結構です。あとは総額です。
○長沼証人 総額は工事関係だけで二十一億であります。
○石田(博)委員 その特定の業者という中に、たとえば清水組、竹中組、今名前が出ましたが梅林組というものに対する支拂いのことはついてはお聞きになりませんか。
○長沼証人 ございます。
○石田(博)委員 それはどういう経路でございますか。
○長沼証人 それは一回は大臣官邸に呼ばれまして、梅林組の支拂いがどうなつておるか、これをできるだけ早く支拂うようにしてもらいたい。こういうお話であります。二回目は、その後何回か私はお話を受けたかもしれませんが、ある日のことであります。あすの朝大臣官邸に早く來い、こういうお話でありまして、私が出かけましたところが、途中で大臣の車とすれ違つた。その際大臣は車を止められまして、今官邸にある人物があるから、その人から話を聽いてくれ、こういうお話を受けました。それで私は官邸に参り、官邸の門前でその待つておられる方の名前を聞きましたところが、梅林氏であるということを知りました。それで私は大臣の御命令ではありますけれども、管理局長といたしまして、特定の業者に官邸に呼びつけられて支拂い云々の問題を論議することは愉快に感じませんので、そのまま上らずに帰つてきました。
○石田(博)委員 そういうことをあなたに引継いだというか、指示したというか、大臣としてそういう支拂関係全般に関してのいろいろな指示は、これは一應考えられると思いますけれども、その中の特定の業者の名前を指して、特別にそういうことをさせるということを、当然奇異に感ぜられたと私は思いますが、その結果、そういう処置に出られたと思うのですが、この前の栗栖大藏大臣になりましてから、そういうことが特に頻繁に行われることを、管理局長として特別に不思議にお感じになつておられましたか。
○長沼証人 支拂いの促進をしてくれというお話は、もう各方面から、実は耳にたこのできるほど聞いておりますので、特に大臣からお話があつたといつて、私格別氣にもとめません。多くの陳情の中の一つであるというふうに承知をいたしておりましたので、格別奇異に感ずるということもございません。
○石田(博)委員 しかし陳情する方から場所を指定して、そこへ來いということは、あまり例がないように思いますが、そういう例はほかにございますか。あなたの方から出かけて行くということはありますか。
○長沼証人 あまりございません。
○石田(博)委員 片山内閣が倒潰して、芦田内閣が成立いたします過程にあつて、栗栖氏に対する大藏省の排斥運動が非常に起つたように聞いておりますが、お耳になさいましたか。
○長沼証人 職員組合の全部でございますか、一部でございますか、とにかく職員組合の側から留任を希望しないという声があつたことを承知いたしております。
○石田(博)委員 その理由をお申述べいただきたい。
○長沼証人 それは私にはわかりません。
○石田(博)委員 金その中にただいまのようなことも若干加わつておるようにはお感じになりませんでしたか。
○長沼証人 そうは感じません。 〔河井委員長代理退席、委員長着席〕
○高橋(英)委員 梅林組の支拂いの問題について、今述べられた以外に昨年末大臣から話があり、またいろいろな方面からの話もあつて、何か局長としての御処置をなされた。それがために大分の合同銀行、福岡銀行から、莫大な融資が梅林組に行われたというふうなことを聞いておりますが、局長はそのことに関係しておりますか。
○長沼証人 梅林組から政府の下げ金の一部を担保にしまして、大分合同銀行と福岡銀行から金を借りたい。ついてはその証明をしてくれという証明願が出たのであります。これは大分銀行と福岡銀行と二口に分れておりますが、それぞれその土地の縣知事の、工事の一覽表がついて、この通りに相違ないという証明書が附いております。この証明書を見ましていろいろ調査をしたのでありますが、その工事の中には、まだ復興院の査定を受けておらない工事が含まれております。從つてなにがしかの金は当然拂われるというふうには、確定的に私どもには申し得ない事情もありますので、一覽表の通りに相違はないけれども、査定額の中に無査定のものを含んでおるから、將來これは査定の結果減額することがある。こういう意味の証明書を出したことがあります。
○高橋(英)委員 その査定問題について、大臣から何か局長に話がありませんでしたか。
○長沼証人 この証明の問題は、旅行から帰られましてから、これは祕書官からでありましたか、大臣からでありましたか、記憶いたしておりませんが、別府でございますか、大分縣で大分合同銀行の頭取に会つたので、金を融通するように依頼をして、一應その承諾を得てある。ただ証明書さえ出せばよろしいということになつておる。こういうお話を受けました。
○高橋(英)委員 それは大臣じやないですか。
○長沼証人 であつたと思うのですが、そこははつきりいたしません。
○高橋(英)委員 その問題についていろいろ奔走した人もたくさんあつたそうですが、綾部健太郎という元の代護士、それから小坂政務次官なんかもおやりになつておりませんか。
○長沼証人 綾部健太郎氏が役所へ見えられまして、この証明書を梅林の代理として受取つてまいりたい。こういうお話で見えられました。
○高橋(英)委員 その証明書をただちに芦田総理大臣の所へ——そのときは外相でしようが、綾部氏から持つて行つたという事実をお聞きになつたことはありませんか。
○長沼証人 どこへ持つておいでになつたか知りません。
○高橋(英)委員 それから小坂君は口をつけましたか。
○長沼証人 たしか小坂氏からは電話で、自分はよくわからないけれども、梅林の証明という問題があるそうだが急いでやつてくれという依頼を受けたので、合法的にできることならばさようしてもらいたい、という電話を、たしか連絡を受けたことがあります。
○高橋(英)委員 この融資問題については、最初は復金から借入れようとしたのだけれども、内規で土築業者には融資ができないことになつたので、地方銀行から借りることになつたというようなお話をお聞きになつておりませんか。
○長沼証人 その間の事情は存じません。
○高橋(英)委員 それから、先ほど竹中、清水の両名が、大臣に頼んで、大臣からあなたに話があつたというふうに聽きましたが、夜分でも官邸にあなたが招致せられて、その席上に竹中氏や清水氏が同席せられておつた所でそういうふうな話があつたということを聞いておりますが、そういう事実はありますか。
○長沼証人 清水さんと竹中さんは二十一社の代表としてやつておられましたので、官邸でお目にかかつたのも一回や二回じやなかつたのです。いつでございましたか、夜になつてから、お二人と、大臣と、私と、支拂い促進の方法についていろいろ話をしたことはございます。
○高橋(英)委員 夜分に官邸に招致されるようなことはめつたにないのでございますね。
○長沼証人 時間はおそらく、当時四時か五時ころに來いというお話だつたと思いますが、お客さんが多いとか、会議があるとかいうことで一時間か二時間待たされて、結局七時ころになつたと記憶しております。
○高橋(英)委員 七時ころですか、八時ころですか。
○長沼証人 そこのところは正確には覚えておりません。
○高橋(英)委員 それで、翌日か翌々日でも、あなたは竹中、清水をお呼びになつて、夜分大臣官邸で、しかも二人が列席の上で自分にああいうことを言われると、あたかも大臣を使つて君らが命令したようにとれて不愉快だが、それよりも、そういう話なら、お互に知らぬ仲でもないから、役所で話してもいいじやないか、というふうな話をされたところが、それはよく承知はしておるけれども、自分の方から大臣に頼んだのじやない。大臣の方から、近ごろどうだ口つけがなくてもよろしいかというふうに言つて來られたので、大臣のその言葉をむげに退けるわけにもいかないから、大臣に頼んだのだ。氣を惡くしてくれるな、というような弁解があつたように聞いておるのですが、どうですか。
○長沼証人 正確なことは覚えておりませんが、お話の半分くらいは同様のことがありました。つまり、清水さんだつたと記憶いたしますが、役所にやはり支拂い促進の問題で來られましたので、私は、局長として一々官邸に呼びつけられて、大臣のおられる所で業者の方から何か言われることは困るので、むしろ役所に來て事務的に連絡を願うようにしてもらいたいということを申し上げたのであります。これに対して、いやそれは立場はよくわかつておるけれども、自分の方から行くばかりではないので、助けてやらなければいかぬがとか何とかいう、そういう、内容は存じませんが、自分の方から言うばかりではないので、先方から電話がかかるということもある。そういうことを言つておられました。
○高橋(英)委員 先生というのは大臣ですね。
○長沼証人 大臣です。
○高橋(英)委員 それから、そのときに、そういうふうに親切に大臣がやるとすれば、相当政治献金でもしなければいけないというふうなこと、まあ献金はしたことはないがやらなければいけないのじやないかというようなことを竹中か清水から申したことはありませんか。
○長沼証人 全然存じません。
○高橋(英)委員 正式の問答としてでなくても、じようだん半分に、心やすいのだから、そういうことの問答めいたことがあつたことはないですか。
○長沼証人 ありません。
○宇都宮委員 証人にお聽きしたいのでありますが、この梅林組は、梅林時雄君ですね、梅林組の組長は今梅木時雄君ではないのでありますが、この梅林組にいくらの融資をしたのか、それを聽きたいのと、それから、梅林組が融資を受けたのか、あるいはゐ梅林組は進駐軍工事の請負の代表者であつたのであるが、その代表者としての梅林が融資を受けたのであるか。梅林の取前が、巷間傳うるところでは、五千万円もの取前があるわけはないとわれわれは考えるのでありますが、あるいはあつたかもしれませんが、その金は工事金拂下を引当としての融資であつたかどうか。梅林組のみがその融資を受けたのであるかどうか。梅林はその代表者でやつたのかどうかということをひとつお聽きしたいのです。
○長沼証人 私は内容の点は詳しくは存じませんが、書面の上から申しますと、梅林組独立のものであつて代表者としての役割ではないように見受けられます。それから金額でありますが、銀行から現実に融資を受けた金額は私は存じません。ただ政府が支拂証明書をつけた金額は六千万円であります。
○宇都宮委員 梅林組の代表者は梅林時雄になつておりますかどうか。
○長沼証人 梅林襄であります。
○宇都宮委員 そうすると、その融資は梅林組が全部受けたことになつておりますね、あなたの書面では。
○長沼証人 はい。政府の支拂金ですね。
○宇都宮委員 支拂金です。梅林組が全部受けたことになつておりますね。私は梅林君から直接聽いたのでありますが、二十一社かの代表として自分は融資を受けたが、それは政府に受取金のあるものを担保として受けたというのですが、あなたはそういう事情はお聞きにならないんですね。
○長沼証人 全然聞いておりません。
○明禮委員 今宇都宮委員の言われたことですが、この六千万円の証明をなさいました日時はいつなんでしようか。
○長沼証人 十一月二十四日附であります。
○明禮委員 もう一つお尋ねいたします。その当時にはたしか法律百七十一号とか何かで、銀行では土建業者に金融を止めておられたような実情になつておつたように思いますが。
○長沼証人 そういうことはございません。銀行の手もともかなり苦しくなつておりますから、貸出しをできるだけ嚴しくいたしまして、資金の回收をあせつておつたというのが一般の情勢であつたのであります。
○明禮委員 金融を止められておるという実情ではなかつたのですね。
○長沼証人 そういうことではなかつたとい思ます。
○辻委員 最初のお話にありました、栗栖前藏相が大阪から帰られまして、暮の二十四日でありますか、非常に興奮して、竹中組の差押えをしたのはけしからぬと小言を言われましたのは、大臣が管轄を間違えられて、本來は主税局長に小言を言うのを、筋違いのあなたに言われた、こういうふうにあなたはお感じになりましたのですか。
○長沼証人 間違えたと申しましたか、いずれにしても、私がお叱りをこうむる理由はないのでありますから、私は平氣でおりました。
○辻委員 それは主税局長の方だとあなたははつきりその時言われた。
○長沼証人 主税局長と申しましたか、所管が違うと申しましたか存じませんが、いずれにしても私じやないという意味のことを表明いたしました。
○辻委員 その当時前尾主税局長がどこかへ送るだろうというような、同僚の間柄でありますから、うわさでもありましたか。それとも辞令が出て、寢耳に水で御承知になつたのですか。二十四日から四日おいての出來事であります。
○長沼証人 送るとか何とかいうことは、しいて想像すれば想像し得るかも知れませんが、日本政府部内だけの問題でないある問題があつて、前尾君がかなり苦しい立場におかれておつたという事実は承知いたしております。
○辻委員 そういううわさをいつごろお聞きになつておりましたか。
○長沼証人 私の記憶では、私の耳にはいりましたのは、おそらく十二月の半ばごろではなかつたかと思います。
○田中(角)委員 簡單に御質問申し上げます。それは梅林組に対するもののみではなくお問いするのですが、十二月末にあなたのところで発行された融資証明書、いわゆる支拂証明書は十二月半ばにあなたの方できめられたところの、二十一億という特殊支拂いがございましたが、あの金額の中に織りこまれてあるものを対象にして証明書を発行されたのであるか、そうでないかということをお伺いします。
○長沼証人 御質問の趣旨がちよつとわかり兼ねるのですが、支拂証明書と申しますのは、梅林組の問題でございますか。
○田中(角)委員 そうです。大分銀行に出された証明書です。
○長沼証人 二十一億の中であります。
○田中(角)委員 そうしますと、あなたの方では、現に大藏省でもつて金を抑えておりますが、終戰処理費の決裁方法としましては、大体支出担当官は五百万円以上は建設院の長がやり、五百万円以下は地方長官がやるということになつているのですが、この支拂証明書を出して、しかもこれが合法的な証明書であるということは、普通の現在の法規では、建設院の長がお出しになるのであつて、大藏省からこれを発行されるということはちよつと違法ではないかと思うのですが、この間の事情を御説明願います。
○長沼証人 大藏省は國庫大臣として、あるいは終戰処理費の予算の配賦をする責任がございますから、國庫大臣としての立場上証明するということは当然のことだと思います。
○田中(角)委員 ちよつとこまかくなつて恐れ入れますが、今までの大体の金融証明書というものは、もちろん全部地方長官もしくは建設院の長がやつているのが普通でありまするが、大体地方長官でやつている。東京都のものなどは、東京都の都知事の名前でもつて発行しているということは事実でありますが、昭和二十二年十二月十二日か十三日に公布になりましたところの法律百七十一号の適用によりまして、いわゆる二十二年度の十二月の工事費の査定に非常に混乱を來して、二十一億の概算拂をやるというような特殊措置をあなたがおきめになつたのですが、ちよつと重なるようですが、この二十一億はもちろん建設院からあなたの方に上申されて、あなたの方で決裁された額です。先ほどの話は梅林君その者に六千万円の融資をされたように大体人は感じておりましたが、さつきの宇都宮さんの御質問によりますと、こういう業者の取下げ予定金額を受取る代表として梅林組に証明書を発行されというふうに私考えられるのです。いわゆる九州地区の二十二年度の特別支拂の額というものは、あなたが御査定になつて、その内拂いとして、年末まで見込があるからというような意味で御発行になつたのであります。しかもその御発行になつたものは、当時二十一億円は十二月三十一日までにほとんど業者の手に渡つたはずであります。十二月三十一日に業者の手に渡る融資ということに対しては、融資の対象として考えていいのじやないかと考えるのですが、そういう九州地区に対する支拂いは現実には十二月末に行われたのでありますか。当然行われると思うのですが、その間の事情をちよつと御説明いただきたい。
○長沼証人 暮に工事費関係だけで終戰処理費から支出されているものは四十八億ある。そのうち年末の特殊支拂としてやりましたものが二十一億円、二十七億というあとの方は、いわゆる正常ルートと申しますか、普通の手続でやつてまいる。從つて二十一億の非常措置の方は三十一日までに済みましても、二十七億の方は年を越えるということは多分に考えられることです。
○田中(角)委員 そうすると二十一億の金を対象として証明書を発行されたのではなく、残額の二十七億を対象にして証明書を発行されたわけですか。
○長沼証人 これは二十一億のわくの中でございますけれども、國の全体のふところぐあいから申しますと、金に色がついておりませんから、変りはないことになります。
○田中(角)委員 そうすると結局二十一億の金は十二月三十一日までに全部支拂われたのじやありませんか。
○長沼証人 これはちよつと誤解があるようですが、私どもが措置をするのは、予算の配賦をする手続を完了することです。從つて各支出責任官に——たとえば大分縣でございますれば、六億なら六億お前さんの方で拂う権限を與えますぞという支出責任官に対する令達です。それがさらに小切手の認証を受けてキヤッシユになつて業者の手にはいるまでには、少し時間のずれがあります。
○武藤委員長 ほかにございませんか——それでは済みました。御苦労さまでした。 それでは本日喚問できなかつた証人のうち池田勇人君、平田敬一郎君、愛知揆一君、柿沼幸一郎君、この四君を來る二十一日午後一時。竹中藤右衞門君、竹中錬一君、由良基夫君、清水康雄君、藤田榮君、この五君は二十二日午後一時に、それぞれ当委員会へ喚問をしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武藤委員長 それではさよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十一分散会