農林委員会 第33号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1948/07/03
会議録
○井上委員長 これより会議を開きます、 前会に引き続きまして競馬法案の質疑を継続いたします。最初に平工君。
○平工委員 私第一條のところだけをお伺いいたします。「政府が行う競馬は、國営競馬といい、都道府縣が行う兆馬は、地方競馬という」。と書いてありますが、地法競馬のもとにもう一つ、お祭り競馬とか草競馬がありますので、三段になるか、二段になるかちよつと伺いたいと思います。
○井上説明員 競馬法で考えておりますことは、馬券の発費を伴う競馬のみを考えております。その他の競馬については、この競馬法では一應考えておらないのでございます。
○平工委員 もう一つ伺いますが、「政府又は都道府縣は、この法律により、競馬を行うことができる。」とありますが、その「政府又は都道府縣」というその次に「または十五万以上の都市」ということを入れていただきたいということが、全國の市長会議において決議され、当局に要請されておるのでございます。当局ではどの程度に御返事なさつたかわからないが、原案を見ると、それには陳情の含みがないが、抹殺してあるのか。当局ではそういうことに反対だからこれを入れなかつたのか。あるいは陳情が徹底しておらなかつたからでございますか、入れて差支えあるかないかということについて伺いたい。私ども十分研究しておりませんが、たとえば縣の方では、それをやりたがつておる縣といやがつておる縣とあるが、いやがつておる縣ではそれを市の方でやりたがつておるところがあるので、ちようどこれを挿入した方がよけい敵当である、こういうふうに思われるわけであります。そこで私どもは、全國の市長会議から陳情を受けられておるに違いないと思いますが、そのときの陳情に対してどういうことを考えておられるかということ、それからまた、私どもが今日それを委員として言つたらどうかという、この二つの問題に対して御回答をいただきたいと思います。
○井上説明員 まず第一の方から申し上げます。御陳情に対しては、われわれもしばしばいろいろ御質問申し上げ、御趣旨のあるところはよく拝聽いたしておるのであります。われわれといたしましても、関係方面とそれぞれ接触を保ちまして、御趣旨のあるところを関係方面に陳情いたしておるのでございますが、競馬場が相当な農地をつぶすという問題から、関係方面においてもかなり難色がございまして、原案のようにおちついたのでございます。その点時勢がよくなり、食糧その他の問題が緩和いたしたならば別ですが、現前の事実といたしましては、何ぶんにも農地その他をつぶすことの方が重大であるということから、ただいまのようなことになつた次第であります。
○平工委員 私はこれに対して、私の信念としてこれを強く主張するというところまでは考えていないのでございまして、全國の市長会議でこういう決議をして当局に要請したという事実に基いて、その要請を満たしてやつてはどうかというような意味で、お尋ねかたがた意見を交えて申し上げたわけですが、この間うちのこれに対する論議の中には、土地をつぶしてはならぬという考えは、ここは農林委員会でありますから、農業者の代表としては数が多いという点もありますし、國家的見地から見ても、そういうことを考えられておると思うのでありますが、一面全國の市長会議等から、この委員会の委員を通じて、いろいろ要請があるわけであります。もしこれが修正する部分が一部分あつたとしたならば、この問題は私は絶対的にがんばるという意味ではありませんが、各委員さんたちが研究してみて、採用してもいいというような意見がありまして、修正案ができる場合には、その修正案の中へ今申しました十五万以上の都市というようなことをわれわれとしては希望したいと思つておるわけでございます。一應御説明は聽きましたけれども、これは私の議論としてはいささか脱線かもしれませんけれども、一應厚生委員会の方でも責任がありまして、時間を縮めるために、委員長報告の問題について陳情を受けておいでになるだろうと思いますから、適当にひとつこの点について御処理を願いたいと思います。委員長にお答えを求めるのはむりかもしれませんが、この点について委員長の御意見を承ります。
○井上委員長 ただいま平工君からの御質疑につきましては、すでに與党の各派におきまして、全國の戰災市の市長及びその他の市長から、それぞれ今日の地方財政の非常に窮屈に現状を、何とか競馬によつて少しでも補いたいという切なる要望がありますので、今お話のように政府または都道府縣だけの経営ということではなしに、特に内閣総理大臣が指定する指定市という條文を挿入するように大体修正をすることに今話を進めまして、実は会期もあまりありせんから、すでに関係方面にその修正の内意を伺つておるようなわけでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
○平工委員 どうもありがとうございました。
○田中(織)委員 ただいま平工委員の質問に対して政府委員からの答弁もあつたのでありますが、農地関係あるいはその地資材の関係等から、競馬場の新設はほとんど不可能の状態にあると思うのでありますが、現に第二條にありまする國営競馬の場合におきましても、福島、新潟、横浜、阪神等この四つは破損いたしておりまして、当然修築しなければならないような状態にあるように聞いておるのでありまするが、この点につきまして、特に資材の面から競馬場は一がいに娯樂設備というわけにはいきませんと思いますけれども、そういう方面への資材の使用が極端に制限されておる段階において、この改造の場合、あるいは修築に場合においても、非常に資材の点、制約されることと思うのでありますが、この点について農林当局としてはどういうようなお考えをもつておるか伺いたい。
○井上説明員 お答え申し上げます。ただいま修理材料は農林省の割当の中で、極力まわしていただくように努めておるのであります。しかしながら畜産局の割当はきわめて乏しいのでありまして、自然に修理回復等が遅れておりまして、ただいま御指摘にように、十一競馬場のうち、現在かろうじて使つておりますのは六箇所ということになつております。資材がまわります限り、われわれとしては再開いたしたのでありますが、その実現が容易でないような実情になつております。
○田中(織)委員 この点は農林省の手持資材のわく内でありましても、関係方面、あるいは安本等との関係もあると思いますので、その点については全般的に公共施設、特に六・三制等の伴う校舎等の建設もきわめて困難な状態にありますことを十分考慮せられて、善処せられんことを希望するのであります。 次に第三條に関する問題でございます。第三項におきまして、競馬開催の日数は一回につき八日以内ということになつております。この点について年二回でしかも一回につき八日ということになるわけであります。現在は大体春季は三月下旬から六月の二十日ごろまで、秋季は十月下旬から十二月中旬までということになつておりますが、勤労者が競馬に行ということも当然経済再建に方面から考えなければならぬと思うのであります。祭日あるいは日曜日というような日は、もちろん一日でいいと思うのでありますが、土曜日について、現在一日やつておるということは、土曜日に、たとえば競馬場に近接の工場等に働く勤労者等が、仕事を放棄して競馬に行くというようなことも考えなければならなぬと思うのであります。外國の例を見ますと、土曜日は大体半日ということになつておるのであります。土曜日を半日ということにいたしますならば、一回につき八日という開催日をいろいろ出馬の関係等から見ますならば、三月の下旬を上旬に引上げ、また六月二十日ごろというのを下旬までに期日を引延す。秋季においても、十月の上旬を九月の下旬ごろから始めて、十二月の下旬までということにいたしまして、土曜日を半日にするという考えのもとに、一回の開催日を十日ぐらいにしたらどうかと思うのでありますが、この点についてそこはどういうようにお考えになつておりますか。
○井上説明員 ただいまお話の点は、われわれも非常に御同感でございます。実際におきまして、土曜日の開催は主催者の側からいたしますと、非常に收入減になるのであります。現に府中で行いました場合にも、日曜に五千万円くらい賣れるといたしますと、土曜日には三千五百万円くらいしか賣れておらぬのであります。かつまた馬を土曜、日曜と続れてやりますことは、現在に競走馬の資源が非常に不足しております現状では困難な事情でございます。なるべく御趣意に副いまして、日曜に開催いたすように今後努めたいと思うのでございます。 それから開催日数の延期につきましては、昨日もいろいろお話があつたのでありますが、この際におきましては、諸般の事情を考慮いたしまして、從來八日やつておりましてさしたる弊害もなかつたと思うのでございますから、特に國民の投機心と申しますか、そういうもにを助長しないということも必要だという考えから、從來の開催日数等についてはこの際手を触れない。しかしだんだん社会が落ちついてまいりますれば、自然にそういうことも考えたい。こういう趣旨から開催日数、開催の日数といつたようなものにつきましては、一應從來通りにいたしておるという趣旨でございます。今お話の点は十分によくわかるのでございますが、ただいまの見解ではさような見解で原案を提出をしたようなわけであります。
○田中(織)委員 次に第四條に入場料に問題でございます。地方競馬については、大体三千円程度が適当だと思うのでありますが、國営競馬におきましては、もちろん等級はわけて考えなければならぬと思うのでありますけれども、入場料があまりに低いと競馬にいろいろ傅助賭博等の賭博類似の関係の者、そういう質のよくない者の入場するおそれがあると思うのであります。その点について一等地と言いますか、そういうようなところは、思い切つて百円の最高限度を二百円程度まで上げる方が、むしろ競馬に行く者の質を向上せしめるためにいいと思うし、同時の入場料の收入の点でもその方がいいのではないかとさ考えるのでありますが、その点についてはいかなるお考えでありましようか。
○井上説明員 ただいま入場料は四十五円を最高としてとつておるのであります。もちろんこれは税込みであります。大体府縣といたしましても倍以上になるわけでございますので、一應この程度にしておいたらどうかという意見であります。しかしお話のごとくだんだん入場者も殖えますようになりますれば、その点もあらためて考慮してみたいと思いますが、ただいまのところはその辺で、一拳倍額以上の値上げになりますのでよかろうということで、原案を提出したのでございます。
○田中(織)委員 その点についてはいろいろ入場者の数等の趨勢を考えて善処していただきたいと思うのであります。 次にこの法律の施行に伴いまして、日本競馬会が解散されることになると思いますが、その解散にあたりまして、競馬会の資産は当然政府において引継ぐことになるようでありますが、日本競馬会の現にもつております施設、その他の財産を借り受けるということになるのでありますか、それとも買受けるということになるのでありますか、その点を伺いたいと思います。
○井上説明員 無償で政府が承継する意味であります。
○田中(織)委員 日本競馬会は、御承知のように戰時中政府に命令によつて設立された團体でございまして、その現在もつております財産は、競馬場を初め、すべて民間投資のものを無償で攝收したものではないかと考えるのでありますが、そういたしますと、日本競馬会の解散にあたりまして、その財産処分にあたりまして、いわゆる現所有者への補償ということについてはどういうことになるのですか。
○井上説明員 競馬が明治四十二年から大正十二年に至るまで馬劵の発賣を停止せられました期間中には、概略で約三百万円の政府補助金が出ておつたのであります。これを開催諸費用とか、諸施設の費用というものに使われておつたのであります。そうして殘りましたものが結局十一競馬クラブでございます。大正十二年に競馬法が発布せられまして、馬劵の発賣が公許せられることに相なつたのでございます。それから昭和十年まで各クラブがこれを経営しておつたのであります。そこで当時日本競馬会は、各クラブの施設、財産というものを全部承継したのでございますが、そのときの見解は、政府の保助金で大体施設その他ができてこれを維持せられたものであり、その後は公益法人として事業によつてその財産なり施設なりが殖えてきたものであつて、これは当然その團体が解消する場合には、國かあるいは日本競馬会が承継しても何らそこに無理はない。こういう見解でもつて昭和十年に日本競馬会がこれを承継したのでございます。從いまして、この事情から申しまして、今回日本競馬会が解消せざるを得ない事情に立ち至りましたため、政府がこれを承継いたすことは、その間の事情を考えますと一應無理ではない。こういう見解でこの度の法案になつておるのでございます。
○田中(織)委員 その点につきましては、競馬振興会というような競馬会に隸属した團体もあります。一部ではこれが競馬会の資産承継の権利があるようなことも主張されておるように聞くのでありますが、その点についてはいかがですか。これは今回無償で引継ぐということでありますれば、振興会等のそういう関係はどういうことになりますか。
○井上説明員 ただいまのお話は、関東競馬振興会と関西競馬振興会とのお話だと考えるのでありますが、この競馬振興会は馬主の團体であります。一部旧クラブの有力な方々がその中におられるのでありますが、大体において会員の大部分は旧クラブの関係者はきわめて少いように考えております。それからただいま申し上げましたような事情で、その方々が財産に関しクラブに権利があるというような考え方はとらないでもいいというのが、昭和十年の考え方であつたのでありますから、やはりこの際もその考え方に從つておるのであります。
○田中(織)委員 次に日本競馬会の現在の収支現況について承りたいのであります。はなはだしく赤字收支の状態にあるというふうに聞くのでありますが、その原因は一体どこにあるのか承りたいと思います。
○井上説明員 お答え申し上げます。はなはだしく赤字があるということも見方によると思いますが、現在競馬会が赤字として考えなければならぬのは、現金では約四千万円であります。この四千万円は大体戰時中に競馬をしばらく休んでおりましたのと、戰後も資材その他の関係で復旧がなかなかできませず、また復旧費が相当かかりましたような関係で、競馬が次第に順調になつてまいりまするにつれて、馬場の設備、あるいは馬場の拡張というようなことに相当な金を注ぎこんでおるのが、この赤字のおもな原因であります。その次に人夫賃、あるいは印刷費等の値上りも莫大なものに上るのでございますが、一方馬劵の発賣はどうかと申しますと、ただいまわれわれは年間約四十億を想定いたしておるのでありますが、戰爭前におきまして、やはり総賣上げは四億ないし五億に達しておつたのであります。從いまして馬劵の賣上げは約十倍であるにかかわらず、諸資材あるいは人夫賃等の値上りは、御承知のように数十倍あるいは百倍を超えるものも相当にあるのであります。さような関係で、一方におきましては施設の修復、一方におきましては馬劵の賣上げに対して、それぞれの資材あるいは諸費用がかさんでおる、こういう関係から、非常に経営が順調であつたものが今日の状態になつておるのであります。つきましては、これらの点について農林省としては十分に監督を嚴にいたしまして、極力冗費の節約に努め、赤字の克服をはかつておる次第でございます。その点どうぞ御了承願いたいと思います。
○田中(織)委員 その点は当然國家において引継ぐことになるのでありますから、当局として十分嚴重なる管理のもとにやつていただきたいことを希望しておきます。 次にこの法律の提案の理由の第一に、中央、地方財政の打開に大きな貢献をするということがあり、第二の理由といたしましては、不当購買力の吸收ということを掲げておるのでございます。第六條によりまして馬劵の種類も三種に限定されることになるのでありますが、第一の財政に貢献する増收をはかるという意味において、現在の三種のものよりもさらに一歩を進めて、馬劵の場外発賣を行つたらどうか、かように考えるのでありますが、その点について当局はどういうお考えをもつておりますか。かりに場外発賣を認めるということになりますならば、その場合にいかなる團体にそれを行わせようとするお考えでありますか、伺いたいと思うのであります。
○大島政府委員 先ほど御質問の中に、競馬法第一條の第三項について仮競馬を許すかどうかという御質問もあつたのであります。これは平工委員からのお尋ねであつたのであります。ただいま田中君から場外競馬を許すかというようなお尋ねがあつたわけでありますが、ただいまの競馬は、競馬の実際を拝見いたしましても、必ずしもその馬の素質をよく知つて、そこに興味をもつてやるという競馬よりも、むしろ連勝式というようなあくまでも富籤類以の方法が非常に多く採用されておることは事実なのであります。從つてただいま農林当局といたしましても、通称ガラと称するものもやはり計画の中に入れておるわけでありますし、さらにお尋ねのような場外競馬等につきましては、実は東京の一部にそういうことをやつておる人間があるのでありますが、今当然それは取締の対象になるわけであります。從つてこういうものが行われてくるというこの事実に鑑みまして、やはり政府としては一應これらの問題を考えておく必要があると思つておるわけであります。ただいまのところではこの法案一つの止めておきまして、まだそれ以上には考えておらぬわけであります。
○田中(織)委員 その場外発賣を実施される場合に、どういうものによつて行うかということについては、営利会社あるいは競馬発達のためにできておる協力團体等もあるのであります。その二つがいいと考えられると思うのであります。そういう点も考慮の上で、この問題はできるならば増收をあげるという一点からでございますが、考えていただきたいと思うのであります。 次に先ほど競馬振興会のことについてちよつと伺つたのでありますが、これが日本競馬会と実質において一種の隸属的な関係にあると思うのであります。先ほど競馬課長のお話になりましたように、過去の馬主というようなものだけではなくて、最近にはいわゆる異分子が相当はいつておると思うのでありますが、日本競馬会の解散に伴いまして、これに協力してまいりました民間團体としてのこの競馬振興会は、当然解消すべきものだと思うのでありますが、その点についてはいかにお考えになつておりますか。
○井上説明員 ただいまの御質問は、日本競馬振興会を解消すべきものだという考えかということだと承ります。ただいまの振興会は、振興会に限つて馬が出せるという特権を附與されておるのであります。しかるに今後はそういうわけにまいらぬと思いますので、法案にございますように、國で馬主を登録いたしましたものは、だれでも馬が出せるということに相なるわけであります。從つてこの競馬振興会は、中の様子が相当変つてくると思われるのであります。しかしながら競馬を施行いたしますには、馬主は最も主要な要素になるわけでありまして、この馬主さんの團体が当然必要でございまして、現在の競馬振興会そのものが、そのままの形で立ちいけるかどうかということは、ただいま申し上げましたような事情から困難かと思います。あるいはそのままの形でいけるか、形の変つたものになるかは、今日政府といたしましてはどうとも申し上げるわけにはまいりませんが、何かそこに内容が少し変つてくるような氣もいたすのであります。積極的に解消すべきものだというふうには考えておりませんで、競馬を施行いたしまするには馬主の團体が強力に推進していただくように、期待をいたしておるのであります。
○田中(織)委員 その点は、十三條によつて出馬するものは登録制になるのでありますから、変つてくるという御説明は了承できるのでありますが、この十三條において、登録を受けることのできない者に対する制限が出ておるのであります。私はこの一にさらに刑法上一年以上の処刑を受けた者、特に賭博あるいは、暴行その他の破廉恥罪の関係でこうした処刑を受けた者、こるは特に最近そういうような、いわゆる暴力團と言えば少し語弊がありますが、そういう関係において馬を持つておる者が殖えつつあるというふうに聞いておるのでありますが、特に競馬の品位を向上せしめる、賭博類似行為を抹消するしとう関係から、馬主に対しましては少くともこうした賭博、暴行その他の破廉恥罪によつて一年以上の刑罰を受けたような者は、登録の資格がないというふうにする必要があると思うのであります。殊にそれは地方競馬において、その必要を痛感するのでありますが、その点についてはこれをさらに追加いたしまして、制限するというお考えがあるかどうか。その点を伺いたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 ただいまの御質問でありますが、旧競馬法におきましては、大体そういう精神でやつておつたのであります。しかし今回の競馬法におきましては、破廉恥罪、その他この競馬法関係以外の犯罪については、でき得る限り寛大に取扱つてまいりまして、あれもいけない、これもいけないというような、やかましい制限を設けないようにいたしました。なるべく自由に、希望者はほとんどすべての者が、この競馬に参加することができるようにしたい。ただし旧競馬法及び本法に違反して、競馬に対して害毒を流すというような者については、これを拒否する建前だけを守つてまいりまして、そのほかはなるべく自由にしてまいりたいという考え方で、この法案をつくつてある次第でございます。
○田中(織)委員 最後にもう一点伺つておきたいのであります。ただいまの問題に関連いたしまして三十一條の罰則の問題でございます。三年以下の懲役という点については、原案でいいと思うのでありまするが、罰金刑の問題でございます。殊に俗にいわゆるのみ屋というような関係で行われておるものに対する制裁といたしましては、少くとも一レースで二十万円くらいの收益をあげておるという関係で、そういうことが馬券の賣上げにも非常に影響をもつてくると思うのであります。その五万円以下の罰金という罰金刑を、さらに相当御い切つて引上げたらどうかということを考えておるのでありまするが、この点に対する当局のお考えが一点。 もう一点、これは最後に伺つておきたいのでありますが、日本競馬会の解散にあたりまして、競馬会の現在の役員が、今後できまするところの政府または地方競馬の機構の役員に就任するという問題について、私は当然最近の農業協同組合等の場合を考えてみましても、これはやめてもらつた方がいいという考えをもつておるのでありまするが、競馬会の現在の役員の、今後できまする政府または地方競馬機構への就任のことについて、どういうふうにお考えになつておるか。その二点をお答え願いたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 ただいま三十一條の罰則についての御質問でありましたが、実はこの五万円以下の罰金に処するという規定は、一つの事案ごとに、一つののみ行為といいますかに、五万円以下の罰金にするということなにつております。ただいま御指摘のように、場合によりましては数十万、あるいはそれよりまだ大きなのみ屋行為があるということをしばしば聞くわけでありますが、刑罰全体の体系からまいりまして、これのみを非常に思くするというようなことが、なかなか困難なような事情がありまして、一應こういう形で罰則を規定したような次第であります。なおこの罰則の金額は、非常に少いような場合が生じますけれども、違反ができないように嚴重な取締りを励行してまいりたい。そうして大きな違反が行われないようにしてまいりたいということを、併せて考えておるような次第でございます。 なお現在の競馬会の役員等の問題であります。特に役職員の問題でありますが、今回の競馬法によりまして、競馬法の事業をそのまま國が引継ぐという際に、これらの役員や職員等の扱いをどうするかということは、一つの問題であつたのであります。ただしかし競馬の事業は御承知のように、きわめて進んだ高度の技術を要する点がありまして、今までの長い間の知識経験というものを相当尊重しなければならぬ、こういうふうに考えております。從いまして現在おる競馬会の役職員を全部引継ぐというようなことは、困難かと思いますけれども、相当のものはそのまま活用し、協力していただかなければ、うまく運営がいかないのじやないかというふうに考えております。
○田中(織)委員 最後の点につきましては、われわれの聞くところによりますると、日本競馬会はきわめて最近において閉鎖機関に指定せられるというふうにも聞いておるのでありますが、そういう関係から見まして、この競馬会の、職員の場合も問題だと思うのですが、特に役員をいろいろ競馬の技術的な関係等もありまするから、これをそつくりそのまま引継がないというわけにはまいらぬと思うのでありますが、この点についてはいろいろ日本競馬会の從來の運営についても、卒直に申しますならば、とかくの問題があるのでありますから、この点は大いに考えなければならないと思うのでありまするが、この点について大島政務次官の御見解を承つておきたいと思います。
○大島政府委員 新しくこの法案が通過した曉におきましては、一切の事務が國営になるのでありまして、從つて國としての建前からそれらの人選をして登庸することになると思うのでありますが、特にこの方面の仕事は相当專門の技術を要しますので、技術的にはこれらの人々を相当必要とすることと思うのでありますが、役員についてはこれは目下考えておりません。
○井上委員長 次は守田道輔君。
○守田委員 私は政府に対しましてお尋ねいたします。政府は今回國営競馬並びに地方競馬を行いますにあたり、從來の日本競馬会が行つてきたレース番組の独占的編成等に関しまして、この際官僚的な弊害を是正する目的をもつて、馬主、調馬師、飼主等、あるいは第三者の意思を尊重して行う考えがあるかどうか、こういう点をひとつ伺いたい。
○遠藤(三)政府委員 競馬の番組の編成につきましては、ただいま御質問のように、いろいろ今までも問題があつたことを承知しております。今回國営になるにつきましては、一層その点は注意をしなければならぬ点と心得ております。私どもの現在の考え方といたしましては、今お示しのような馬主の関係の方や、その他のいろいろな各方面の人たちの参加を願いまして、そうして衆議できわめて民主的な番組の編成をするようにしたい、こう考えております。
○守田委員 次に、從來行つてきたところの賞金額では、馬主の経済が維持できない段階にきておるように思われるのでありまするが、そうなりますと、優良馬の育成ということが困難になるのではなかろうか。この際賞金額を引上げるようなお考えがあるかどうか、この点を確かめたいと思います。
○井上説明員 お話のように賞金金が低いということは、たびたび関係者からお話が出ておるのでありますが、今までの関係をここで申し上げますと、日本競馬会の予算によりますと、賞金は平均一頭あたり七万五千円、それに附加賞が六千円出ておるのであります。今回政府が競馬を承継することになりますれば、一應馬の賞金をどの程度に見たならばよいかということを考えたのでありますが、この考え方の根本は、一頭五十万円平均の馬を買うといたしまして、一箇月の飼養費が約一万円だとわれわれは承知いたしておりますが、その算定につきましては馬主によつて多少の相違があつて、ある方は一万五千円と言い、一万六千円と言いますが、平均いたしますと大体一万円くらいということになると思います。馬も五十万円といたしましても、現在のように相当高額な馬があるのでありますが、四才になつて走る馬は五十万円見当だろうと思います。それを併せまして、馬代金を三箇年に償還する。それから飼養費を一箇月一万円といたしまして、それらの費用を合算いたしまして、その七割を賞金によつて償つていく、こういう考う方であります。三割は、馬主自体は馬をもつて樂しむのでありますから、その樂しみによつて三割を出してもらい、七割を政府が賄つていく、こういう考え方であります。
○守田委員 次に現在の競馬は特殊の競走のみに対しまして賞金を出す。弱い馬に対しましてはほとんど顧みるところがないのであります。この際旧來の補助政策をやめて、これらの馬券の最高の一部を各出場馬にも、頭数に按分して割当てるというような方法を考えているかどうか、お尋ねいたします。
○井上説明員 それは賞金のやり方でありますが、負けた馬に賞金をやるということはどうかと思いますが、政府の予算といたしましては、その点種々折衝の結果得られないような事情でございますので、賞金のやり方には、負けた馬も相当に歩のあるような番組を組む、あるいはやり方を講ずれば、具体的にはその目的が達せられるのではないかと思います。十分その点を考慮したいと思います。
○守田委員 次にお尋ねしますのは、旧來の取締当局の悩みであります、いわゆる競馬場内外ののみ賭博、のみ行為に対して何らかの対策をもつておられるか、その点をお尋ねいたします。
○遠藤(三)政府委員 のみ行為の取締りの問題につきましては、私ども非常に悩んでいる問題であります。競馬の公正な運営をはかるためには、のみ行為をでき得る限り絶滅するという方向へもつてまいりませんければ、とうてい明朗公正な競馬は得られないのであります。今回特にこののみ行為に対する罰則を強化いたしまして、ますますのみ行為の取締りを嚴重にしていくという建前をとつたのでございます。ただ警察官その他の取締りの官吏の人員等の関係もありまして、なかなか思うようにまいりませんので、將來におきましては、あたかも鉄道における鉄道職員の警察権をもつているものがありますように、そういう方法をも考えてまいりまして、場内における犯罪の絶滅を期していきたいということを考えております。
○守田委員 次にもう一つお尋ねいたしますが、國営並びに地方競馬を行うにあたりまして、政府は相当額の財源の計上をはかつておられますが、はたして予想通りの成績を收め得るかどうか、その御自信がありますか。
○遠藤(三)政府委員 國営競馬になりまして、從來の競馬以上に賣上が上つていくかどうかという点については、私ども國営競馬に切替える方針を考えます場合に、最も注意しなければならぬ点だと思います。ややもすればいわゆる官僚的な運用になりまして、おもしろくない競馬になつてしまう。そういうことになりましたならば、ほんとうのねらつている國営のよいところはあるといたしましても、最も惡い面が強調されるようになりまして、この國営競馬は失敗に終るというように考えておりますので、そこはいわゆる官僚的な運営はできる限り廃しまして、そうして伸び伸びした、しかもおもしろい競馬にするようにあらゆる点を考えてまいりたいというふうに考えております。
○守田委員 私の質問は打切ります。
○井上委員長 この際ちよつと皆さんにお諮りをいたします。治安地方制度委員会から本競馬法に対して連合審査会を開きたいとの申出がありましたが、御承知の通り非常に会期も切迫しておりますし、かつ本委員会においてもまだ十分審議が盡されてありませんので、私から地方制度の委員長に対していろいろ懇談をしました結果、地方制度委員会から特に本委員会に代表的に委員を出しまして、地方制度委員として発言をしたいから許してくれという申出がありますので、この際これを許したいと思いますが、異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 それでは許します。門司亮君。
○門司亮君 それではお許しを得まして、二、三御質問を申し上げたいと思います。最初にお伺いいたしたいと思いますことは、第一條の第二項であります。「政府で行う競馬は、國営競馬といい、都道府縣が行う競馬は、地方競馬という。」こういうふうに書いてあります。すでに守田君の御質問の中にもあつたかと思いますが、競馬が國営となり、さらに地方公共團の行うものになつてまいりますならば、必然的にこの競馬の性質が多少変つてこなければならないと思います。從來馬匹に改良のみに重点をおいて民間に委ねておりましたものが、このたびはその方面が比較的薄くなつて、競馬自体が財政の方面からかなり強く反映してきておるというように解釈ができるのであります。また今回の競馬法にも大体そういう意味のことが書いてあると思いますが、こうなつてまいりますと、必然的に地方財政と非常に密接な関係をもちまするので、從つて國の行いまする競馬は、別といたしましても、地方競馬の開催の土地が各府縣二箇所と限定されております。各府縣と申しましても、非常に大きな縣と、また一つの都市に匹適するだけの人口を持ち合わせていないような小さい都市もあるのであります。これらがことごとく一つのわく内にはめられて開催するということは、いささか私は不合理だと考えざるを得ないのであります。殊に地方財政を考えてまいりまするならば、こういうことは考えられるのであります。從つてもし、都道府縣に二箇所を限定して許されるといたしまするならば、卒直に申し上げますれば、五大都市のごとき大きな財政を必要とする都市、殊に多くの人口を擁しておりますような都市においては、当然これを開催することができるような改正をしていただきたいと考えるのでございますが、この点に対する当局のお考えはどうであるかということをまず第一にお聽きしておきたいと思うのであります。 次にお聽きしておきたいと思いますることは、第二十一條であります。第二十一條のところに「都道府縣は、競馬を開催するときには、その入場料のうちから、地方税法の定むる入場税に、附加税を当該市町村に交付しなければならない。」という一條項を加えていただきたいということであります。これを國の行います競馬におきましては、当然地方税法に定めまする税額を、いわゆる入場税というものを当該市町村に、あるいは府縣にこれを附加税としてとらせるという規定になつておりまするが、都道府縣の行います競馬におきましては、この規定がないのであります。從つて入場料の全額を都道府縣が收入いたしまするが、当該市町村は競馬を開催いたしまするのに多くの費用が要ると考えますけれども、その当該都市に対しては何らの收益がないような形になつていると思います。これは私は非常な不合理だと思いますがゆえに、地方財政をゆたかにするためには当然当該都市、市町村に附加税として入場税相当額のものを附與するという規定を設けていただきたいと思いますが、この点に対する御見解をお伺いいたしたいと思うのであります。 次は第二十二條の規定でございますが、これは第九條にもあつたと思いますが、第九條並びに第二十二條の規定の中に、拂戻しの金額の税率というものが、國の競馬にあつては百分の二十五、地方の競馬にあつては百分の二十九と書いてあるのでありますが、この点が私は非常に問題となると思うのであります。先ほどもいろいろな質問應答を聽いておりますと、のみ賭博に対しまして、これを絶滅するというお考えがあるようであります。しかもその取締りの警察官をしてこれを取締らせる。それができない場合には、鉄道のように、特別にこれを監視する警察官に類するようなものを配置してまで取締ろうというお考えがあるようでありますが、これは私はずいぶん惡い考えであると思いのであります。監視をいかに殖やしましても、取締ることはなかなか困難であります。これを絶滅するためには税率を下げる以外には方法はないのであります。のみ賭博が跋扈するということは、この税率が高いために、平たく申しますと、いわゆるばくちのてら銭がとれる。この範囲内の税率にしてあります限りにおいては、のみ賭博はいくら取締りをしても絶えないのであります。観客の一人一人に監視をつけたらどうか知れませんが、これ以外は私は取締りができないと思います。それゆえに國がこういう大はな税金をかけないで、そうしてのみ賭博を絶滅いたそうとするならば、この税率を下げて、そうして拂戻しの金額を多くしてやるということの方が大衆的であり、かつ競馬が非常に公明正大に行われると思うのであります。この点に対する当局のお考は非常に間違つておいでになると思いますが、その点の御見解をお伺いいたしたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 お尋ねの第一点であります。お話のように大都市を含む都道府縣ときわめて小さな府縣が、同じように二箇所ということでは非常に不合理だという点でございます。この点については一應ごもつともでありますが、実は昨日もこの委員会でいろいろ議論がありましたように、競馬場の数をどんどん殖やしてまいりますと、いわゆるサラブレツトその他の競爭馬が汎濫してまいりまして、そうして馬産の健全な発達が期し得られない。一方において馬の生産の方面からの非常に大きな問題がございまして、かたかた競馬場として用いております用地が食糧増産の用地とかち合うようなこともあります。場数を殖やすということにいろいろ困難な事情があります。今回の改正におきましては、今まで通りの場数をそのまま踏襲するという考え方でやりましたので、御了承願いたいと思います。 第二十一條の附加税の問題でありますが、これは地方税方の関係で、当然当該市町村で附加税がかけられるということになつております。 第二十二條の拂戻し金額の問題でございますが、これは御指摘の通りでございます。でき得ればなるべく引去りの歩合を少くしてまいりまして、拂戻しの金額を多くしてまいりますれば、のみ屋のはいる余地が非常に少くなつてまいりますので、のみ行為の制圧も非常に大きな作用をなしてくると存じます。ただこの問題につきましては、競馬の本來の目的がどこにあるかという問題にもう一度帰つて考えてみなければならぬと思うのでありますが、御承知のように今回の競馬法の建前におきましても、競馬は三つ大きな目的をもつている。一つは畜産の振興である、もう一つは財政収入を確保するのだ、第三は國民に健全な娯楽を提供するのだ、こういう三つの大きな目標があり、その第二の財政収入を確保するという点から申しまして、控除歩合を非常に少くしてまいりますと、財政収入が非常に減つてまいります。この点についていろいろ議論がありまして、先般府中の第二次の競馬の際に、実驗的に今まで三三%程度差引いておりましたものを、二二%程度まで下げてやつてみましたけれども、その結果はやはるそう成績が上つてまいらないという結果が出てまいりましたので、この控除率を今まで通りの率で継承してまいる、こういうふうなことでこの法案を出しているような次第であります。
○門司亮君 重ねて質問して恐縮でありますが、ただいまの当局の答弁ははなはだ不可解に私は考えております。 第一の問題でありますが、もし当局のお考えがそういうお考えであるといたしますならば、これは法の上でもいかようにも処置ができるのであります。たとえば今すでに成案となつて現われております自轉車競走法のごとき、また私どもの委員会において起草しておりますドツグ・レースのごとき問題におきましては、これとちようど同じ問題でありますが、都道府縣において二箇所にする、但し五大都市のごとき特定の市をもつている府縣においては、ほぼ一箇所に限定するということになれば、競馬場の数は殖えないのであります。法律の上でそういう問題はどうにでも片付くと私は考えるのであります。從つてそうすることが競爭も避け、さらに地方の財政をゆたかにならしめる一つの大きな原因になつてくるというふうに考えられますので、当局もぜひそういうふうにお考え願いたい。競馬法だけがこういう形を示しておりまして、他のそれに類するものは大体そういう條項となつて、自轉車競走法案というものはすでに成案となつて通過しております。これと同じように歩調を合わしていただきたいということを私は申し上げるのであります。 次の問題であります当該市町村の当然附加税がかけられるという問題でありますが、これは非常に微妙な問題がありまして、國が地方税として移譲いたします場合におきましては、地方税として入場料を移譲いたしましたが、その場合におきましては、都道府縣が本税をかけまして、十五割の中の五割を都道府縣がとり、さらに十割を附加税といたしまして、その中の十割が当該市町村にまいるようになつております。從つて文章の中にも、やはり当該市町村はそれに相当額の税金をかけ得るものであるということを明記していただくことの方が非常に私は問題を起さないことになる、こう考えておるのであります。そこで当然これは取り得るものだという規定を一つ設けていただきたいと考えておるのであります。そういたしませんと、都道府縣がこれは税金をとるのでありませんで、都道府縣が当然主催権をもつておりますので、税金の形になつておりませんので、市町村がこれに税金をかけました場合に、たとえば当該市町村が百分の二十五をかけ得るということになつてまいりますと、ちよらど入場税の移譲額と同じ額になつてまいるので、そういうことを明記していただきたいということを私は申すのであります。 次ののみ賭博問題でありますが、先ほどから申しますように、きわめて当重ねてここに申し上げておきます。それは財政の問題が大体主となるものだと私は考えております。もはや日本の現状におきましては、そう軍に必要のような馬を育成する余地は私はないと思います。現在日本で必要な馬産と申しますれば、輓馬であるとか、役馬であるとかいうものがむしろ重要であつて、アラブとかサラブレツドの競走を主とする馬というものは、主として娯楽に使われることに相なつていると思うのであります。そう考えてまいりますならば、競走が健全な娯楽の一つとして考えられ、さらに地方財政の収支が主たる目的だと考えるのであります。そうなると、どうしても控除率は下げていただいて、のみ屋の跋扈する余地をなからしめて、大衆の健全なる娯楽として、自由に、しかも拂戻しの多い、大衆に迷惑をかけない方法でいくことの方が、はるかに私は賢明だと思う。先ほど府中のことのお話がございましたが、一日そういうことをやつてみたところで、それはおそらく徹底するものでありませんし、そういうことが必ずしも理論づけにはならぬと考えるのであります。從つて当局はのみ賭博をぜひなくするということが主眼であつて、しかもそれに重きを置かれて、將來これに対する何らかの特別の係官まで派遣するというばかげた考えをもつておるとすれば、この競馬は腐敗墜落するということは、今日より以上にはなはだしい。そういうことをぜひ考えていただいて、できれば自轉車にいたしましても、あるいはドツグ・レースの問題にいたしましても、大体私どもは百分の二十あるいは百分の十五が至当だと考えておりましたが、現状の財政その他を考えるならば、これを二十五に改めておりますので、この際地方競馬におきましても、それは二十五程度に押おてもらいたい。健全なる娯樂と市町村の財政をこれによつて賄う一助にするということに改めていただきたいということを、私は当委員会に対して申し上げておきます。これで終ります。
○小川原委員 この競馬法のごとき今日まで長い期間にわたつての悩みでありましたものが、会期が明日、明後日というところでこれをお出しになつたということについて、私は非常に不愉快に思うのであります。これをもつと早く出していただきまして、われわれに審議期間を與えていただきたかつたのが、それができなかつたのを非常に遺憾に存じます。この競馬法を見ますと、この競馬法には目的がないのであります。何をするのかということがちつともわからないのであります。これはどういうわけでこういうように書かれたのであるか。前の法律でありますと、競馬は畜産のためにやるとか、どうとか、いろいろ書いてあるが、これはどうしてこういうように書いたのでありますか、その一点を承りたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 普通の法律の場合でありますと、第一條にこの法律の目的を掲げるのが例でありますが、今回のこの法律には、これを明記することを避けまして、各本條それぞれの條項からおのずから競馬の目的がにじみ出るようにするつもりで、最初に法の目的ということを避けたような次第であります。
○小川原委員 それは他意あつてお尋ねするのではありませんが、目的にするにいたしましても、その出たところの金がなかなか返つてこない。この例を示すならば、地方競馬は畜産の改良のもとに現法法ではなつて、地方競馬というものをやるのでありますけれども、なかなかそういうふうにいかぬのでありますが、これが國営競馬でやるというようにいたしましても、目的がはつきりしておらないとその金をどこに使つてもよろしいということになつてしまうと思いますが、そういう点には御考慮がなかつたものですか、いかがでありますか。
○遠藤(三)政府委員 これまでの競馬法におきましては、御承知のように政府の収入、いわゆる政府納付金はその四分の三以上を馬事のために使い、残りの四分の一以下を社会事業に使うということを明記してあつたのであります。しかし今回の建前においては、これは國家の収入として何に使つてもよろしい。一般会計の収入として國家にはいり、その使途は國会においてこれをきめていくという建前になつております。しかし精神としましては、財政当局とも打合せまして、この條文を落してはおりますけれども、その精神でもつて今後も引続いてやつていく。事実問題としまして、競馬から上つてまいります政府収入は、畜産の方面から上つてまいりますから、畜産の予算がその競馬収入を見合つて相当とれやすくなつていくということは、事実としてあると思いますけれども、財政当局との申合せにおきまして、その趣旨でやるということになつております。
○小川原委員 これまで國家が必要といたしておりましたところの種馬の購入などについても、農林省自体が必要であるという要求を國庫いたしましても、金がでてまいらなかつた。今度は目的のない國庫の収入というものは、どのように使つてもよろしいということになりますと、耕馬であるとか、あるいは輓馬であるとか、あるいは牛であるとかいう、あらゆる畜産に必要な方面に、農林省が大蔵省から金をとり得るという自信がありますかどうか。私は今まで長い間何十年間の経驗を見ましても、おそらくそういう方面に金がとれないのではないかと思うのであります。この点は政府はいかようにお考えになつておりますか。
○遠藤(三)政府委員 非常にその点は痛い御質問でございますが、実は今後の日本の農業を見ますと、畜産なしでは農業の生産力を維持することができないことはもちろん、いわゆる縮小生産の過程にある日本の農業を拡大生産に轉換することはとうてい不可能であります。從つて畜産の予算をとることにつきましては、情勢の推移とともに、ますます強くとり得る情勢になつてはいるということを確信すると同時に、また必ず財政当局も相当の予算を出すものと信じておる次第であります。
○小川原委員 それは観念の相違になるかもしれませんが、私は実態に即して考えて、それはできないと考えるのであります。これは私をして言わしめるならば、競馬というものは、ほんとうはすきでないのであります。競馬をやつて娯樂を得るとか、財政を賄うということは、それは妙な話であると私は考える。しかしながらこれは仕方がない。今多くの社会の人たちが、競馬をやればもうかるのだから、おれの方も競馬をやろうということは、まことに迂遠な話であつて、私どもの思想とはまつたく違つた考え方である。私どもが競馬をやることは、國民の娯樂ということもありますが、第一に農耕になくてはならない、われわれ人類に必要なところの畜産というものを奬励しようという根本の目的として、一つの娯樂方法として競馬をやるのでありまして、競馬によつて収入を得るなどという、そんな末梢的なものでないと、私はこう考えておりますが、この点は政府はどうお考えになつておりますか。
○遠藤(三)政府委員 この点につきましては、先ほども御説明申し上げたのでありますけれども、今回の競馬法は三つの目標をもつております。一つはあくまでも畜産の奬励をし、畜産の発達をはかるために、この競馬を施行する。もう一つは、併せて財政の収入を確保するということであり、第三は健全な娯樂としてのスポーツを國民に與えるという、三つの目標をもつておるのであります。私どもは畜産の改良と、畜産の発展のために、十二分に競馬を活用したいということを考えておる次第であります。
○小川原委員 その問題はそれだけにしておきまして、それならば、この競馬を何ゆえに國営競馬となさるのであるか。國営競馬ということであれば、ここに機構を示さなければならぬが、一つも機構が示されておらない。同じ競馬をやるとしても、民有國営の競馬もあれば國有國営の競馬もあれば、國有民営の競馬もあれば、あるいは半官半民の株式組織の競馬もあるので、いかような方法もできるものを、何ゆえに國有國営の競馬にするのだという断定をなさつたのでありますか。先の三つの目的から考えて、國有國営が三つの目的を達するに一番よいというお考えでありますか。それとも何かほかにお考えがあつたのでありますか。何ゆえにこれをお選びになつたか、お聽きしたいのであります。
○遠藤(三)政府委員 この法案の建前としましては、國は直接の施行主体になるという意味の國有國営の建前をとつております。現在の段階におきましては、國有國営の建前が最も三つの目的を達するに適当であるという考う方に到達して、本案をつくつたような次第であります。
○小川原委員 國有國営の競馬は、世界のうちでソ連だけであると私は思うのであります。われわれが指導を受け、われわれの模範としようとしておるところの民主的政治をやつており、民主的産業をやつておるアメリカにおいてさえも、これがないのであります。それを何ゆえに、日本が今までのような全体主義ではいかぬかといつて、全体の組織をこわし、戰爭中にやつた組織を全部こわしておるのに、競馬のみが、國有國営でやるという結論に達し農林省当局のお考えを、私はまずもつてお聽きしたいのであります。
○遠藤(三)政府委員 御指摘のように、現在競馬を國有しかも國営でやつております國は、ソ連だけと思つております。ただ日本の現状からいたしまして、終戰後のきわめていろいろな問駿が複雑輻輳しておる社会情勢のもとにおきまして、長い間の將來の大きな変轉の後における形はともかくといたしまして、現在の情勢としましては、やはり國有國営の形が最も適当であるというふうに考えており次第であります。
○小川原委員 私は共産主義のこともあまり多くを研究いたしませんが、大体の私の常識、あるいは書物によつてながめましたものを考えますと、今農林省から提案になつておりますところの、今日の議題以外におきましての計画生産農業の仕方と、今またこの國有國営の競馬をやるということと、一貫して農林行政を見たときには、あるいは共産党に近いところの施設をしようというのであるかどうかということを、私は非常に疑うものである。これは私の共産党に対するところの研究が足りないから、こういうことを言つて皆さんのお笑いを招くかもしれませんが、そういうふうに大局的に政治をながめてみると、どうもそういう流れがあるように見えるのであります。しかしそれが何か脈絡があるかないか。この点をはつきりしていただきたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 ただいまの御質問の点でありますが、この法案におきまする國有國営の形態は、共産党的なイデオロギー的なものでやつておるものと考えておらないのであります。最も民主化された経営の形態としましては、各人が自由にやる競馬と、しかもこれをさらに徹底した社会化された、あるいは國家の名においてやるという方式の二つの方式があると思うのでありますが、その後者のいわゆる國家的な形における民主的な経営を、この際考えたような次第であります。
○小川原委員 私は畜産局長というその人をながめたときには、共産的な考えのある人とは一つも思いません。なるほどりつぱな、われわれ自由主義者と同じ考えをもつておられることとは思います。しかしながらこの法案は、今アメリカの國にもない、ソ連に片寄つたような現実にもどろうというような疑いが非常にあるのであつて、それが一番よい法案であるという御説明ならば私も納得いたします。決して小さく考えておりません。あなたの御議論に私は必ず降伏をいたします。しかしただいまも言います通り、四つも、五つも組合せはいくらもあるのであります。もつとよい方法はあるのであります。しかし農林当局がこれがよいのだという断定のもとにお出しになつたものだといたしますれば一歩譲りまして、その通りとして質問を進めます。現在においてさえも農林当局の御監督のもとにある競馬場が損をしておる。これを國営國有にお移しになつて、必ずあなた方の目的が達せられるものであるという結論が出るか。この点をお伺いします。
○遠藤(三)政府委員 現在の公認競馬におきまして、なるほど御指摘のように競馬会は赤字が出ております。この赤字が出ております原因は、総賣上高の六・五%でもつて競馬会の方の経費を賄うことになつており、以前からやつておるわけでありますが、その後人夫賃あるいは印刷費その他の経費が非常にかさんでまいり、賣上高もだんだん上つてまいりましたけれども、その速度に追いつかないような結果になりまして、自然競馬会の経理は非常に苦しくなつてまいりました。しかし政府としましては、二五%内外の税その他の納付金をとつておりますので、赤字になつておりません。競馬会は赤字になりましたけれども、政府の黒字と競馬会の赤字を差引きますと、やはり政府としては非常に大きな黒字になつておるような次第であります。その点も御了承願いたいと思います。
○小川原委員 その点はちよつと後回しにしまして、その問題の結論に達する前に、一つの経路としてお尋ねいたしたいことは、現在あるところの競馬場の財産であります。その財産を、國有に移るときにはどういうふうになさるおつもりでありますか。
○遠藤(三)政府委員 競馬会の所有しております財産は、國が権利義務を承継する形で引継ぐことに考えております。
○小川原委員 そうしますと今までもつておりました人の財産に対しては、何か代償としてお拂いになるおつもりか。あるいは一時借りてやるおつもりですか。
○遠藤(三)政府委員 競馬会の現在もつております財産につきましては、この財産の性格をここで簡單に申し上げておきたいと存じます。明治四十三年に競馬が禁止になりまして、その後大正十二年まで競馬が禁止されておつたのであります。その間四十三年に至るまでに、それぞれの民間の方々が、それぞれの出資をし合いまして、競馬場を建設いたしたのでありますが、競馬が禁止せられるにつきまして、それらの財産に対して非常に大きな打撃を受けました。その際政府としましては、その当時の金で約三百万円を補助金として出しました。大体その損失を補償するという建前でやつておつたのであります。その後競馬が再開せられるにあたりまして、十一の競馬場が残つておりましたのが再開されたのでありますが、そのときには、いわゆる民法の社團法人になりまして、この財産は個々の社員に帶属しないような形の社團法人になつたのであります。從いましてその後競馬法の施行によつていろいろな施設が殖えてまいりましたけれども、これは國家の特別の許可によつてできてまいりました財産でありますので、個々の個人に帰属すべき性格のものではないというふうに考えております。それが戰爭の直前に競馬会に統合せられていつたというのが現状であります。從いまして競馬会のただいまもつております財産は、もともと政府に帰属すべきものであるというふうに私どもは解釈しておるような次第であります。 なおこれについて一つの特例がございます。これは根岸の競馬場の問題でありますが、根岸の競馬場につきましては、競馬が閉鎖になりましたときに、根岸に限つて補償してまいらなかつたのであります。從いまして根岸の競馬場を競馬会に昭和十二年に統合いたしますときには、約四十三万円を根岸の競馬場に政府としては拂いまして、そうして円満に競馬会に統合しておりましたので、全体の財産といたしましては、競馬会としては何人の所有にも属さないものの形になつておるわけであります。從つてこれは性質上、当然政府に帰属すべきものであるという解釈のもとに、今回は政府が承継するという法制を立案したような次第でございます。
○小川原委員 よくわかりました。しからば私はここでもう一つ先の結論をもとめたいために申し上げたいのでありますが、この間の種牡馬統制法の改正のときにお聽きしたが、よく聞えななつたのですが、サラブレツト競走馬百五十万頭と聞いたが、私ちよつと腑に落ちなかつたのであります。実際は政府は競走馬をいくらにしようというお考えでありますか。
○井上説明員 ただいま種牡馬といたしましては二十三年度において四千五百頭あるのであります。このうち軽種が八十五頭であります。サラブレツトが五十八頭、アラブが二十七頭であります。これが五箇年計画で、すなわち二十七年には種牡馬の全体の頭数を七千五百頭といたしまして、そのうち二%、すなわち百五十頭が軽種とするはずであります。その内訳はさらに六〇%がサラブレツト系、四〇%がアラブ系。軽種で申しますと九十頭がサラブレツト系統で、六十頭がアラブ系統、こういうふうにする見込みであります。ただしこれはただいまお話の種牡馬統制法等によつて強制的にするというわけではありません。そういうふうに、政府といたしましては民間の需要を考えて、そういう指導をやつていきたいと考えております。
○小川原委員 その計画通り進んだとして競走用馬がいくらできることになりますか。
○井上説明員 競走用馬といたしましては、地方競馬の方は、大体御承知のように地方の農馬等の役馬であります。これにつきましては、われわれといたしましては、軽種は計画的にやらなければならぬということは全然考えておりません。いわゆる政府で行います競馬について考えますと、必要なる頭数は、現在の状況におきましては千頭内外でありますが、これについては、十一競馬場がうまく動くようになれば、大体その倍数、すなわち約二千頭見当あればよいということになるのであります。そこでそれから逆算いたしますと、当歳から二歳、二歳から三歳、三歳から四歳になりますまでに、一割ないし一割五分の損耗がございますので、見当をつけますと三割くらいの損耗があるとして、二千頭できてまいりますのに三割の損耗がございますので、年々の生産数は三箇年で更新いたすといたしまして約六百頭、この六百頭に損耗を加えますと、九百頭程度の年々の生産を必要とするように考えております。
○小川原委員 サラブレッドを特にこしらえるものに対しては、何か國が助成金を出すお考えでありますか。また特定の施設をおつくりになるおつもりでありますか、かかがでしよう。
○井上説明員 サラブレッドの増産につきましては、從來種馬統制法のございました当時も、助成金というものは少しも出ておらぬのであります。今後におきましても特にサラブレッドを奬励するという態勢はとらぬでもよいと考えております。
○小川原委員 それでほぼわかりましたが、馬の育成については経費は要らない、建物、施設については経費は要らない、そうであるから國営でやつても賄いがついていくのだというお見透しのようでありますが、先ほども局長のおつしやられた通りに、競馬会がやつて損をしておるものが、これが國営に移して利益が上るのだとは考えられない。そうすると助成金を出すことができないから、たとえと申しますならば、今までは損は民間がいたしましても納付金は國が使つて、言わば國は何ら手要らずに相当の収入を得ておつたのだ、こういう結輪でありますが、今度はそれをやめてしまいまして、國の方で一切をやるということになりますと、國家が考えたような利益はない。また今日世の中で騒がれておる通りに競馬は利益があるのだ、國でやつた方がもうかるのだ、地方財源になるのだと申しましても、それはかけ声ばかりで、実際に効果はあがらぬという結輪を今お尋ねしてわかつたのでありますが、その点は当局はどういうふうにお考えになりますか。
○遠藤(三)政府委員 今回の國営におきましても、從來以上に非常にたくさんの収入があるとも考えないのでありますが、少くとも從來同等、またはそれ以上の収入をあげてまいりますように、それを目標にしてまいる考えでおります。諸種の経費の節減をはかりまして、そうしていろいろの弊害を除去してまいりますならば、少くとも今までよりも財政的に見ましてもよい競馬でできると考えておる次第であります。
○小川原委員 これは観点の相違と言われればそれまででありますが、私どもとまつたく正反対であります。私どもはかく申しては畜産局にまことに相済みませんけれども、日本の國営で何か利益があがつたものがあるかと言いますに何もない。それを利益のないものを國営に取上げてしまつて、利益をあげようというならば、これはもつてのほかの見当違いであると思うのであります。民間であればこそ夜も寝ずしてやつておる。こちらのお役人と違つて、重役が下に言いつけるばかりでなく、下の者がかえつて重役の仕事をしないのを怒るような世の中になつて、今のところは能率をあげておるのであります。それがまつたく官僚の手によつてやることになると正反対の結果になつてくる。いかに國が利益が上ると言つても、結果は大きな赤字になつてくると私どもは想像するのであります。また地方競馬においてもその通りであります。地方の民間の人たちが、尾篭なことを申しますが、馬が糞をたれましても、みずからその糞を取りのけてやることをいたしますから、多少でも利益があるのでありますけれども、役人ということになつたならば、そういうものもまた別に役夫をおいて仕事をすることになる、そうすると経費ばかりかかつて利益はあがらぬ結果になつてくるのであります。それは私どもの方においてもその実例を申し上げればいくらでもあります。そういうことになりますと、この法律案をこしらえても、結果は非常な惡法であるということになるのでありますが、その点農林当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
○遠藤(三)政府委員 國営になつて、その経営が非常に官僚的になり、そうしていわゆるお役所仕事式になりまして、能率がさがり、収益が減るようなことになる点は非常に恐れておるのでありまして、その点は私ども極力そういうことにならないように努力してまいりたいと思つております。
○小川原委員 これは私の意見ではないのであります。現在御監督になつておるところの農林省におきましては、終戦後においては相当利益がありましたが、近ごろこの収入がさがつてまいりまして、各地方競馬においても競馬は非常に利潤のあるものでと思つておりましたが、現在の赤字を出す時代になりまして、御承知の通り農民とい言ず、中産階級の商工人と言わず、非常に紙幣に悩んでおる。紙幣の洪水であつて、その紙幣の洪水に悩むという事態が起つてきたときに、これを國営に移して財源を求めるというがごときことは、とうてい不可能であると考えるのでありますが、この点はいかがでありますか。
○遠藤(三)政府委員 この点は多少見解の相違になるように存じますが、私どもといたしましては、あくまで収入の減らないために——減らないどころではなくむしろ從來以上に収入が殖えるように、あらゆるくふうをしてまいりたいと考えております。
○小川原委員 それはまた同じことになりますから、その点はそういたしておきます。それよりもどうしても競馬をやらなければならぬということならば、いつそのこと牛官牛民にして、政府が二分の一の株式をもち、民間においても二分の一の金を出させて、これを株式会社としてやつた方がいいように私は思いますが、その点はいかようにお考えになつておりますか。
○遠藤(三)政府委員 競馬をやつてまいります場合に、やはり中心的な問題になりますのは競馬場の数の問題であります。ある程度数の制限をしてまいりませんと、必ず優勝劣敗の形になつて、條件のいい競馬場はどんどん繁栄いたしますが、條件の惡い競馬場はこれに反してつぶれていくような結果になるのでありまして、数を制限することが不可避な問題であるごとく私は考えております。さて競馬場の数を制限してまいることになりますと、特定の人がその制限された数において利益に浴し、特定の人が恩惠をこうむるというような結果になりますので、その点が私的独占とか、あるいは集中排除等の精神に反するというようなことが、いろいろ関係方面との議論の間にも出てきたのでありますが、そういう見地から半官半民の機構をこの際は避けることにいたしまして、純然たる國営にするようにしたのであります。もともと日本競馬会は、半官半民と言いますよりはむしろ官に近いようなものでありまして、現在行われております公團の機構等に比ベましても、はるかに官に近い性格をもつておるように私どもは考えておりましたが、それでもまだ民的な色彩が若干残つております。純然たる官ではないというところに問題がありますので、純然たる官が経営するという建前にしたような次第であります。
○小川原委員 それは見解の相違ということになつてしまいますから、私も一應は保留しておきまして、さらにお尋ねしたいのであります。さつき賞金の問題が出ておりましたが、賞金は一等五十万円ということでありますが、これをもつと民主的な立場におきますならば、これを八十万円くらいにお上げになつたらどうですか、この点はどうお考えになつておりますか。
○井上説明員 賞金の点につきましては、從來七万五千円で、附加賞金は五千円ということになつております。大体の計算をいたしますと、附加賞金は元通りになりますが、一頭当り平均十一万五千円に増設されております。從來競馬会で行いました賞金には補助金が出ておつたのでありますが、しかし今度政府が行います場合には補助金が出なくなりますので、ただちにこれだけの増額になつたということは申し上げませんが、若干よくなつていることは事実であります。
○小川原委員 これは今まででありますと、御承知のように競馬をやるのに馬持ちを集めるためには非常に金をかけたのでありますが、今度やります場合におきましても、必らずこれはそうしなければ馬は集らぬと考えられるのであります。そういうことを考えますときに、いかに收入をはかろうとも、いかにおもしろいところの競馬を行おうと考えましても、馬が集らなければ何もならないことになります。馬を集めることについては賞金を上げる。そしてこの損耗に対しても國家が補償をしてやる意味の賞金でなければならないので、馬が損失したからすぐに補償金をくれとは言わないが、賞金の中に補償金を含ませてその賞金を高くすることが、國家の今考えている目的を達する一番の近途と考えるのですが、この点は政府と私と大いに相違がありますが、いかが考えられますか。
○井上説明員 ただいまのお話の点は、馬の購買費に毎日の飼養等を合わせて見て、七割を賞金で補償するという考で方であります。計算がちよつとできませんが、從來はそれよりも大分下であつたように思うのであります。三割は馬主が馬を出して競馬をやる樂しみ料に負担していただく、こういう考えであります。
○小川原委員 このレースの番附をつくるのに、これは國営であるからと言つて政府でつくつてお出しになるのでありますが、それともあるいは民主的に考えまして、そのレースを、あるいは馬主であるとか、あるいは調教師であるとか、騎手であるとか、またはフアンの中の特定の人などを集めまして、民主的にレースの番附をつくるという考え方でありますが、その点もお聽きしておきます。
○井上説明員 ただいまお話のように、きわめて民主的に今後のレース番組の編成等については運営していきたいと考えております。
○小川原委員 それでは競馬委員会というようなものでもおつくりになる御意見があるのでありますか、どうですか。
○井上説明員 ただいまここで成案を申し上げる時期に達しておりませんが、大体お話のようにいたしたいと考えております。
○小川原委員 これまで振興会というようなものがあつたのですが、あれはどういうようにお始末なさるお考えですか。
○井上説明員 振興会につきましては、現在の振興会は馬を出す特権をもつている團体でありますが、今後は政府において登録したものは、だれでも競馬ができることに相なるわけで、自然に振興会の内容なり、性質なりが変つてくると思います。しかしながら馬主團体というものは、競馬を遂行するについてきわめて大事なものでございますので、今後政府がやるといたしましても十分に尊重しまして、馬主團体の援助をいたしたいと考えております。
○小川原委員 競馬場の問題のことをさつき局長からお話になりましたが、私は競馬を殖やせとも減らせとも申し上げるのではありませんが、現在の馬が足りなくて、そして競馬場を円滑にうまく使つていく、そして地方競馬におきまして、各府縣の收入になるようなことができるお考えでありますか、どうでありますか、この点をお尋ねいたします。
○遠藤(三)政府委員 地方競馬は各府縣に二箇所、北海道六箇所ということになるのであります。公認競馬は十一箇所ございますが、終戰後の状況に鑑みまして、馬が非常に不足であるということに悩んでおるのでおります。馬が不足であるためになかなかよい競馬ができないというので現状でありまして、この馬が不足のときに、競馬場の数をどんどんふやしますと、馬の引付料その他非常に経費がかさんでまいりまして、競馬場の経営がますます困難になる事態になつてまいるのであります。現状としては競馬場の数はほとんどマキシマムにきておるのじやないかというふうにさえ考えておる次第であります。
○小川原委員 私の質問もほぼ盡きたのでありますが、お話を聽いておると、これによる收入によつて、畜産に還元するという方面がまつたく途絶えてしまう。そういたしますならば、收入をあげるということを目的とし、娯樂その他ということになるならば、これをまつたく農林省から切放してしまつて、大藏省かどつかへもつていつた方が一番悩がなくていいと思いますが、その点は当局はどうお考えになりますか。
○遠藤(三)政府委員 その点につきましては、私ども再三申し上げますように、あくまで畜産の改良増殖、畜産の振興にために、この競馬をフルに活用したいと考えておりますので、やはり馬産あるいは畜産を所管するところで、これを統一的にやつてまいることが適当であるというふうに考えております。
○小川原委員 私は先の質問において大体おわかりのことと思いますが、今までのようなどあいに收入がないということを断定しておるものであります。しからばいかようにもして畜産に金をもつていこうかと考えても、畜産にまわる金がないという結論に達するのであります。そういうやつかいな、畜産に必要ないものを、畜産局がこれをやらなければならぬという理由はない、國が收入をあげるとか、國民の娯樂が目的であるというならば、一つのそういう機関を設けて、畜産局から切放してしまつた方が——サラブレツトがどうあろうが、それはまた別の考え方である。私はさように思うのであります。眞にこれが畜産に必要であるのだ、畜産改良のためにやる気だ、農馬や役馬を多くするために、ただサラブレツトなどという馬は娯樂におくのだから、これも農馬や役馬をふやすための一つの方法であるということであるならば、これは畜産局においてその利益金を畜産に還元していくということが当然の処置だと思う。國家がばくちから金をとつて、平たい言葉で言えば、そのテラ銭で仕事をするなどということは、國民思想の上から言つても結構でないと断定するのであります。これも見解の相違だと言われれば、それまでのことであります。ひとつ当局のお考えを伺いたい。
○遠藤(三)政府委員 ただいま御指摘のように、なるほどこの益金を畜産の方面に使うということは書いてありませんけれども、競馬を施行してまいりますと、ことによつて馬の原種の淘汰をしてまいりまして、改色の基礎になる馬の選定をしてまいることになるので、その点から申し上げましても、畜産のためにはきわめて重要な意味をもつておる。と同時に單なる財政收入の点からのみ競馬をやつてまいりますと、いたずらに競馬の数が氾濫いたしまして、その結果は農耕馬、輓馬等にまつたく役に立たないような、しかも原種の改良にも役に立たないような競走馬のできそこないのようなものがたくさん氾濫いたしまして、日本の馬産果になるおそれがあります。それらの点を考えまして、どうしてもこの競馬は畜産の奬励、畜産の保護助長の問題と結びつけていかなければ、正しい発達が期し得られないと考えておりますので、あくまで畜産の政策と一致した競馬方策というものを進めてまいりたいと考えております。
○小川原委員 その意見には私も同感であります。しからば第一條にその目的を明記して、國家が畜産に対して最も力を重くみるという法律をつくつておかなければならぬと思う。それが一点、もう一つお尋ねしたい点は、これが一箇年が暫定的のように見えますが、もしこれを國有國営でやつたといたしまして、一箇年の後において、ある方面につきましてはこれを國有にするか、あるいは民有にするかについては、まだ決しかねておるような状態であるのでありますが、また國民もそれに対して非常な関心をもつておるのでありまして、一箇年の後にこれをまつたく自由に——自由といつてはいけませんが、会社とかそういう方面に代るということになりましたときに、國家はその損失があるかないか、この二点を承つておきたい。
○遠藤(三)政府委員 今回の競馬法の有效期限を一箇年といたしましたのは、一箇年の間に國営競馬を実施してみまして、その実績等を考えて、その間に將來の恒久的な機構というものはいかにあるべきかということを考えた上、檢討していきたいというふうに思つておるのであります。特に一箇年を限りましたのは、最近の社会情勢から言いましても、差当りの安定の策を考えて、長に將來の問題としては、その後に愼重に檢討いたしました上にきめてまいりたいというつもりでございます。
○小川原委員 もう一点お尋ねいたしておきたいのは、今年は農林省から大藏省に対しまして、畜産に関して要求されましたところの全額は何ほど出ましかた。それから畜産によつて得たところの金がどれだけありましたか。私は將來日本の畜産は伸ばしていかなければならぬと考えますので、局長も御承知のように支那からも日本の馬を未だかつてないほど多量に買いたいということが來ておる。講和が消みますと、必ず日本の馬を東洋において相当輸出するという見込みが立つておりますので、私は畜産に力を入れてやつていくということが、國家のために非常に重大な問題であると考えまして、今の質問をいたしたのでありますが、これらの点のお見透しをお尋ねいたしまして、私の質問をやめたいと思います。
○遠藤(三)政府委員 畜産関係の予算につきましては、昨年度は大体一億五、六千万円程度であつたのであります。しかし今年度の予算におきましては、七億余になつております。一般のこの方面の予算は大体三倍程度でありますけれども、それをはるかに上廻りまして、特に全体からみますと、畜産予算は非常に多く認められておるというふうに考えておるのであります。 なお畜産の將來の輸出問題につきましては、東亞諸地域に対して、日本の種畜を供給するということは、きわめて有望な日本の産業になると思うのであります。現に支那あるいは朝鮮方面から種畜の要求がございます。われわりは將來ますますこの要求にこたえ得られるように、畜産の生産についての態勢を整備してまいりたいと考えております。
○井上委員長 清澤君が簡單に質問したいそうですからこれを許します。
○清澤委員 この競馬法でまいりますと、政府が資材から施設実施まで全部行われるとしますのならば、政府が一の事業團体のような形になりますから、その運用は何か單行法などで出されるのであるかどうか、同時にその係とでも申すべき役人はどういうふうな取扱いになるのか、こに二点をお伺いしておきたい。
○遠藤(三)政府委員 今回の國営の競馬におきましては、國有、國営の建前を一貫しておるのでありまして、國が直接経営するという建前になつているのであります。その経営のこまかな点につきましては、なを政令あるいま省令に讓りまして、こまかく規定していく部分もございます。
○清澤委員 そうしますると、國営だけということになれば、一つの國営法というものができてそこで役人がきまり、予算が組まれて、一つの事業体系が整わなければならぬと思いますが、そういう点はどうなつておりますか。そういう法律はどう用意ができておるかということがあります。
○遠藤(三)政府委員 一應その大綱はこの競馬法によつておるわけでありますが、予算は別途財政委員会の方にかかつておるはずでございます。
○清澤委員 次に大体小川原さんが馬券の利益とか入場料の利益の配当については、お聽きになつたようでありますから、あとで議事録を拝見することにいたしまして、私はいま一点お聽きいたします。役人がはたしてうまくやつていけるかどうかということであります。今まででもボスが非常に跳梁して、ほとんど手がつけられないというのが競馬の実態ではなかつたかと私は考えておりまするので、それを取締る非常に弱い役人が、徹底的にそれを行使できるかどうかという自信を一つはつきり聽いておきたい。
○遠藤(三)政府委員 その点につきましては、非常に大きな問題でありと思うのでありますが、私どもとしましては、從來競馬を施行しておりました人たち、特に技術経驗をもち、そういう問題についての相当しつかりした腹をもつてやつておられるような人たちを、この國営、縣営の競馬に協力していただいてやつていきたいと考えております。
○清澤委員 そこに質問の要点がございますので、そういたしますと、この競馬を施行しますには、これをこの人たちによつてこうやつていくのだという別な法律が出なければならぬ。ただこれだけの法律では私は競馬がやつていけないので、それが用意してあるか。その顔ぶれによつては重大な問題が出てくるのでありますが、是非を決定するのはそこに重点があると思う。その点は少しも不安がないと言われるのか。そういうものがないとするなら、この法案だけでは実際施行ができないではないかという結論に達するのであります。
○遠藤(三)政府委員 その点につきましては、この法律で一應職員を任命することになつておりますので、その任命によつてそれぞれの必要な人にこの國営、縣営に協力していただきまして、そうして、大体やつていけるだろうという見透しをたてて提案しておる次第であります。
○清澤委員 その任命が非常な問題であるから、少くも法律をもつて、こういう任命は定むべきものであつて、ただ役所で認定によつて、任命するがごときことであつては、競馬というものは今までの競馬よりまだ乱れて惡いものになると考えておるのであります。その点は地方競馬と國営競馬とにおいてわかれるのでありますが、地方競馬のやり方もやはりお考えの通りでやられますか。
○遠藤(三)政府委員 その点は國営も地方競馬も同じ考え方でまいるつもりであります。しかし御指摘の点は非常に重要な問題でありますので、私の方でもよく考えてまいりたいと思います。その人的構成については細心の注意を拂つてまいりたいと思います。
○清澤委員 それ以外にもお話を伺いたいことがありますが、問題は小川原さんがその筋に御交渉なすつたときにも、そういうボスの跋扈というものを警戒しておられる点が非常に多いのに、結局今度はそれが公然の殺人の形で行われることになりますならば、この法律でわざわざ國営にした效果がないのであります。非常におせきになつておりますから、私は、はなはだ不滿でこんな競馬法に賛成はしたくないのでありますが、皆さんがこれがなければ競馬ができないと言いますから、一年を限つてありますし、一應はのみこんでいこうと思いますが、その点は十分御注意願いたいと思います。 その次にお尋ねしたいのは、これは簡單でありますけれども、地方競馬と國営競馬が同一縣内において行われる場所があります。新潟縣のごときは國営競馬も指定しておりますから、こういう場所においては、國営競馬によつて地方競馬が何か制約を受けるか、受けないか。
○遠藤(三)政府委員 同一縣内に國営競馬と地方競馬がある場合にはその開催の期日等については打合わせてまいりませんと、相互に不便を生じますから、そういうことについては円滑な運営をはかりたいと思いますが、相互に制肘は全然受けない建前になつております。
○清澤委員 済みました。
○永井委員 競馬法に関する質疑はこれをもつて打切られんことを望みます。
○井上委員長 永井君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 それでは競馬法の関する質疑は打切ることに決定いたしました。 —————————————
○井上委員長 それではこの際食糧確保臨時措置法剰を議題として討論に付したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 そりではこれより食糧確保臨時措置法案を議題とし、討論に付します。本案の修正案の説明を許します。小林運美君。
○小林委員 ただいま議題となりました食糧確保臨時措置法の與党三派並びに國民党結成準備会の修正案につきましては、各位のお手許に配付されてある通りでありますが、この際朗読をいたします。 食糧確保臨時措置法中改正案 第二條第二項中「生産数量」の下に「生産者保有数量」を「供出数量」の下に「(代替供出の範囲及び比率を含む)」を「農機具」の下に「等」を加える。 第三條第一項中「意見を聽いて」を「意見に基き」に改める。同條第二項の次に次の一項を加える。 「政府は、主要食糧農産物の生産を確保するため必要な資金の融通につき、計画を定め、その実施に関して必要な措置を講ずる」。 第七條第五項中「農機具」を「農機具等」と改め、「命令に基き」の下に「時期を失しないで」を加える。 第八條第四項に次の但書を加える。 「但し、第五項において準用する第六條第二項の規定による決定があるまでは、食糧緊急措置令(昭和二十一年勅令第八十六号)第一條の規定による收用は、これを行わない。」 第九條中「農機具」を「農機具等」と改める。 第二十九條を次の如く改める。 「第十條」の上に「第三條第四項の指示又は」を加える。 何とぞ御賛成を願いたいと思います。
○井上委員長 これより討論に入ります。民自党の岩本君。
○岩本委員 私は民自由党を代表いたしまして申し上げます。今修正案をいただきましたけれども、原案とともに反対を表示するものであります。と申しますのは、この法案が食生活の安定をはかるというところに重点があるのでありますけれども、そうするためには増産をせねばならぬ。ところがこの法案に基いては増産は不可能である。こういうふうに見るからであります。 まずその主要なる部分を申し上げてみますと、割当量が過当であるという場合においては、この條文は全部死滅するのであります。そういう理由にあるときに、割当については実際の生産者である農民はほとんどタツチすることができないことが一つの点であります。 いま一つは價格の決定についてこれまた発言権がないということであります。かような不十分な下におきまして、しからば政府は責任を負びてこれに対処しておるかといえば、裏付物資においてできる限りということでありますために、まことにこれは片務的なる処置であると考えるのであります。しかもこの法案と、これに関連いたしまして御承知の通り食糧管理法及び食糧緊急措置令という法律と勅令とが現存いたしておりまして、從いまして農民が違反を起した場合においては、他の法律によつてまた縛られているという現状におきましては、かような屋上屋の條文をつくりましても、なんらの成果をあげ得ないと感ずるからであります。しかしそうした具体的な問題につきましては、ここでは反対の意見を留保して、本会議において申し述ベることにいたしまして、この場合私はかような大局的見地から本案に反対するということを申し上げておきます。
○井上委員長 次は成瀬君。
○成瀬委員 私は社会党を代表いたしまして、與党三派によるところの原案の修正意見に賛成をするのであります。 この食糧確保臨時措置法によりますれば、はず大体農民が戰時中及び戰後、現在にいたるまで多年要望いたしておるところの、増産と供出方法の民主化と、また國民食糧の確保と公平なる割当の内容がそこに織込まれているのでありまして、かかる法律が一日も早く実施されることは、すなわち精農家とかまた貧農家がともともに増産の熱意に燃え、以上の目的を達するのであります。まず私は増産の見地に立ちまして、ただいま民自党におきましては、増産は不可能であると断定されておる。その理由とするところは、割当量が苛酷であるというのであります。なるほど私どもは割当量が苛酷であるということの事実を認めるのでありますが、その割当量の苛酷であるということは、どころから生れたかということを考えなくてはなりません。いわゆる全國における田畑等の面積調査が正確でないというようなこと、あるいは地方調査が正確でないということ等が大体基礎となりまして、一部の面には軽く一部の面には重い。いわゆる公平なる割当ができておらないところに苛酷な面が出てくるのでありまして、大体自党におきましては、——先般來の政府資料の内容を考えてみましても、どこに根拠があるか知りませんが、昨年度は五千八百万石であつたにかかわらず、六千三百万石という全國の農民が夢想もしておらないベらぼうな数字を発表いたしておる。さような基礎がどこにあるかということを詳らかにいたしておりませんが、はたしてそういうような数であるとすれば、それらの数字によりまして公平なる割当ができましたならば、決してこれは苛酷なる割当でないということが言えるわけであります。また増産におきまして、面積調査が確保され、地方調査が徹底いたしまして、いわゆる農民が責任生産の建前におきまして、十分食糧の増産がなし得る。また保有米が優先確保できる。今まではなるほど農民の保有米というものは一應確保するという建前によつてやつてまいりましたが、何分不公平から生ずる諸般の事情が農民の保有米を確保し得ざる地帶が各方面にできてまいり、いわゆるはだか供出の地帶もできてまいつたのでありますが、この法律によりますれば、この保有米の優先確保が一條項はいりまして、そうしてこの面におきましても非常に大きな安心感を農民與えるものであると考えておるわけであります。また資材確保におきましても、特にこれを明記いたしまして、農薬、農器具等が各地公平にやるということが決定されております。それからまた追加割当をしないということによつて、いわゆる努力收穫を確保することが認められておるのでありまして、今までにおける割当方法によりましたならば、惰農家も精農家も一つにいたしまして、いかに努力して増産いたしましても、その努力した收穫を、そのまま全部食糧管理法等等によりまして、政府が強奪するというような形であつたのであります。この点非常に大きな進歩飛躍であると考えます。以上の諸点から増産を確保することはでき得るものであるというふうに考えております。 ただ私は今民自党の方が言われたところの價格決定権のないことということは、われわれも賛成でありまして、まつたく專賣法にひとしいわけで、收穫のときに政府が全部買上げて、それを國民全体に配給いたしておるというような点、またインフレーシヨンの高進下におきましては、農民の農産物の販賣時期におきましての非常な不利益という点を考えましても、ぜひ價格政策を徹底いたしまして、そして農民がこの農産物價格の面からする経済上の脅威を免れるように保護するような單行法とか、あるいはまた財政法その他の点におきまして考慮さるべきものであると考えまして、その中に價格決定の定めがないことをもつて、これに反対するしということは、これはいわれなきものであると考える次第であります。 次に私どもはこの食糧増産の面におきましては、ぜひ資金関係におきましても、政府は一段の創意、くふうをここにもつてまいりまして、増産奬励確保の意味といたしまして、現下窮迫せる資金面におきましての飛躍的な考慮がなされなければならぬということを考えますが、これもまたこの法案の中に織込むことは無理な考えかと考えますので、別にこの方につきましても政府は考慮さるべきものであるということを附け加えて申し上げておくのであります。 それから供出に対する民主化の方法でありますが、現在におけるところのあり方が非常に惡い。いわゆる麦に対する割当の現状を見たならば、この食糧確保臨時措置法そのものを通すわけにはいかない。これはある意味からすれば憲法違反であるという説も、過般來鬪わされておりましたが、少くとも八千万同胞の、われわれ民族全体の食糧観念から見まする場合、また諸外國から食糧の輸入を仰いでいるというような現状下におきましては、自由経済的の市場におけるところの行動は許されないのでありまして、かような統制経済下におけるところの食糧の供出方法は、この法案の中に盛込まれているところのあり方が、社会通念といたしまして、当然のことであるとしてわれわれはしばらく辛抱しなければならないと考える次第であります。しかして現在におけるあり方は、戰時中の昭和十五年から十七年以來におけるところのあり方を、そのまま踏襲してきているのでありまして、そこに何ら見るべきものがありません。今回の食糧確保臨時措置法によりますならば、ここに初めて中央におけるいわゆる農林大臣によるところの中央農業調整審議会、また都道府縣、それから市町村、こういう三段階におきまして、この民主的の委員会における公平なる意見が、盛込まれていくということに相なつております。以下時間の関係がありますから簡單に申し上げます。 次に私は食糧確保と公平な割当という面におきまして申し上げます。これは農業計画及び異議の申立、それから供出数量の変更及び食糧緊急措置令による強権発動は、異議の申立期間中はできないというような点、また不急作物の作付制限等々が、内容となつておりますので、これらの点から見ますならば、まず國民食糧確保と公平なる割当を期することができるものであると、かように考えているわけであります。 以上の見地から、私どもは精農貧農の長年の苦しみを考える場合、この法案が皆さん方の熱意と御理解とによつて、一日も早く成立するよう、御賛成あらんことを切に願うという立場から、ここに賛成の意見を述べる次第であります。
○井上委員長 次は農民党の北君。
○北委員 私は日本農民党を代表いたしまして、ただいま議題となつております食糧確保臨時措置法案に反対するものであります。 本法案は食糧事情の安定をはかる上に、また食糧を円滑に配給する上に、はなはだしい障害となり、また先ほど民自党からも言われましたが、この法案の内容には米價に対する農民の発言権も認められていないので、農民の生産意欲は著しく減退され、重大な結果をもたらすので、まことに百害あつて一利なしと確信するものであります。從つてこの法案が実行されますと、米價を安くすることはあたりまえであります。また農業が商工業の犠牲になることも、これまた明らかであります。食糧の生産を増大するには、何といつても生産者が喜んで生産に從事することと、いま一点重大なることは、まず生産者自身の食糧が完全に確保されねばなりません。しかるに昨年度の還元米の事実につきましても、食糧管理法に農家の保有は平均四合と認められておるのでありますが、事実はまつたく認められていないのであります。かかる考え方では、政府の根本的な農業政策が変らずしてこの法案をなし得ると考えておることは、過般も連合國のデヴイス氏が声明されたように、とりもなおさず、はなはだしき官僚思想、極端なる封建思想であると断じてはばからぬ。元來この法は農民だけを第象としたものでありますが、他面農民の生産上または生活上の必要品にはかような法令はなく、資本家、営利業者のなすがままに放任されておるのであります。農民の一日十数時間の、しかも炎天の中における眞に血と汗との結晶である労働の成果を、官僚の手によつて二束三文の價格で取上げようとする法案であつて、まさに農民を奴隷視するもはなはだしいと言わざる得ないのであります。また天然と人力よりなる日本農業の実態を弁えず、事前割当をいたしましても、事実上食糧の確保にはならないのであります。日本農業は非常に氣候に支配されるのである。ある地方がその年に非常に収穫があつた場合と、また天災などによつてある地方が非常に減収する場合が必ずあるのであります。たとえば北海道のごときにおきましては、反二俵しかとれない年もあるし、また天候によりますと倍もとれるような年があるのでありますが、多い方は考えない、減じた場合のみにあてられる法案でありまして、これではいつまでもたつても政府の必要量は赤字になることは明らかであります。 さらにまた、食糧管理法といい本案といい、政府は農民に対してまつたく嚴罰主義で臨んでおるのであります。政府がもし眞に農村の実情を把握して食糧問題の解決に当るならば、かかる法案は断じて要らないと私は確信しておるのであります。まだ理由は数々ありますが、あとは本会議に讓りまして、委員会の討論はこの程度で終える次第であります。
○井上委員長 次は民主党の寺島さん。
○寺島委員 わが民主党といたしましては、食糧確保臨時措置法案につきましては、この法案が臨時農業生産調整法なる題名のもとに前國会に提案せられたる直後、特別委員会をつくりまして慎重なる檢討を加えたのでありますが、日本農政の現状を直視し、かつまたその將來を展望いたしますときに、ただいま同僚小林委員より開陳せられましたる修正案に賛成をいたしたいと思うのであります。さりながら、本案を修正可決いたしますについて、農業当局にわれわれが嚴重に要望いたしたい一点が存在しておるのであります。 第一点、日本農政の將來は、いわゆるエジプト米の輸入によつてすでに端的に立証されておりまするがごとく、ポンド圏地域との交易によつてすでに世界農業の一環としてこれを構想し、かつ施策しなければならぬ段階に到着しておるのであります。よつて、本案によつて與えられるところの農政の動向、また日本の農村並びに農家の現状においては、多少の拘束を與えるものではあるけれども、將來外國農業との間において避けがたき対立のかなたにおいて、予想せられるところの農業恐慌の場合においては、これを保障し、日本農民を保護するという立法に切りかえるという脈々たる自信と抱負とが本法案の内部に包藏されなければならぬのであり、これあつてこそ本法案は初めて世界的視野において日本の農民を譲るものであろうと考えます。さりながら、私は本國会以來永江農政のあり方を各議員との質疑應答の間にくみとつてながめてみたいのでありますが、本法案は三年間の臨時立法である、あとはあとのことである、客観情勢の推移に鑑みて、そのときにはそのときのような施策を講ずるのであるというような、いわゆる荏苒としてその場限りのような立場において、かかる厖大な法案を農民に押つけるという永江農政の立場に対しては、永江農政が勤労農民大衆の代表者をもつて呼号する以上、吾人はその所論に対して著しく不満を感ぜざるを得なかつたのであります。よつて本修正案に対して賛成するところの私は、永江農政はもとより、農林省の全機構を即時動員せられまして、速やかに日本農業経営の体系、日本農業の骨格構造の変革を今日及び將來において把握し、その一環として本案が実施せられるよう、その実施にあたつて客やかなる措置をせられたい。これ吾人が本案に望むところの第一点であります。 第二点、本案は、もとより不可分の関係にありますところの食糧管理法と車の両輪をなすものであります。本法において供出を求める以上、速やかなる機会において食糧管理法、特にその第三條を改正いたしまして農家の再生産を償うに足るところの價格を保障する措置を、法の明文において改正せられたいのであります。それとともに、本法案においてわれわれが修正の最後において挿入いたしたのでありますが代替供出の範囲及び、比率の問題に関して一言申し上げたいのであります。今日の農村加工業は、農民の手において自由にできないような形に、食糧管理法は農民を縛つておるのであります。さきにデヴイス農業課長並びにブラウン農業資源研究班長によつて指摘せられたごとく、農林行政が眞に耕作農民の味方ではないのである、農林行政は他の加工業行政の支配にともすればゆがめられているという事実を指摘せられた、この事実を私はこの中にも如実に指摘し得ると思うのであります。すなわち食糧管理法において一個に例をとつてみますならば、わずかに全國に五百軒内外しか存在していない澱粉工業者を、本立法によつて農林省の食糧芋類行政が行われておるの感が、私は端的に指摘し得ると思うのであります。この代替供出の範囲なるものは、今日一町歩という制限せられた宿命の上に立つておる日本の農家並びに農村の構造を、いわゆる技術のマージンを加えていくかなたにおいて解決いたすという必然の回答がなされております以上は、農村並びに農家が加工業に対して、もつと何の桎梏もなくできるように食糧管理法の改正を行つて、本法とともに車の両輪として遺憾なきを期せられたい。これ吾人が望むところの第二点であります。 第三点、法はもとよりその運用によつて良民に対する保護ともなりますが、しかしながら一たびこれを誤まりますならば、大衆怨嗟の的になるということは申すまでもありません。同僚である民主自由党の議員各位の眞摯活発なる質疑も、またこの一点に集中せられたと私は思うのでありますが、もとよりこの法律における事前割当制が、從前の実収量割実制に対してまさつておるということは申すまでもないのでありますが、一たびこの事前割当の量が苛酷に失しますならば、ひとり農民の生産意欲を阻害するばかりでなく、全日本の農家の経営体系に非常な矛盾をきたさせるのであります。農林官僚諸君においては、さらにまたこれを督励する農林大臣においては、その割当が嚴重にならざるように、眞に耕作農民に対してこの法律が擁護の立法にあるよう、如実の姿をもつて示されたいのであります。それとともに政令に譲つておる一点でありますが、中央農業調整審議会の構成に対しては、一たびこの人選を誤り、いわゆる運用の妙味を逸脱するに至りますならば、いわゆる政党政派の走狗ともなると考えられることは申すまでもない。永江農相は民主自由党の某委員の質疑に答えて、これは民主的な農民團体の代表者等をもつてコンポジヨンするものであるというような答弁を與えられておるが、かようなことであつては断じてならない。これはいわゆる日農、全農等の出制機関になることがないように、嚴に私は忠告をいたして、中央農業調整委員会が、眞にまじめな耕作農民の代表とならしめるよう、永江農相の出身である立場に鑑みて警告を発するとともに、吾人はこの一点に対して痛切に望んでおく次第であります。 第四点、吾人が本案の修正過程において、なお修正しながら、いわゆるその筋等の意向に基いて及ばなかつた一点でありますが、農業生産者に対して國家がこれを罰し、國家が農民に対して求むることはきわめて大であり、この法律もまたきわめて巧妙精緻をきわめておるのでありますが、必需物資産業に対する措置はまつたくおざなりであり、つけたりであることは、先ほどの同僚議委岩本氏の指摘した通りであると私は考えるのであります。およそ農業はその本質として、経済運行過程においていわゆる價格変動的時差、経済学の言葉で増しますところのラグの影響を受けることが、最も他の産業に対してウエイトが多いのでありまして、それ自体の内部において封建的零細化の宿命を温存しておるのであります。同僚議員の質疑に答えられたる農村零細性、日本農業の封建性の原因として指摘せられたる永江農相の所論は、明かに近代にいわゆる農林学説の主流を私は見失つておるという点を、実は農民組合出身の大臣でありながら、私どもは実に物足らなさを感じたのであります。あえて私は、ここに農政学上の一個に問題として農林大臣に申し上げようと思うのではない。事は現実の問題として、当面の問題として、鉱工業者にもこの法律にうたわれている範囲を嚴に励行いたして、いわゆる必需物資の裏ずけに対しては嚴重なる法律の追及をいたしていただきたいという点であります。今日の全耕作農民の胸に澎湃としてみなぎつておりますところのものは、米作りの農民のみがいわゆる米を作りつつ罰せられて、しかも米の原料である肥料、農機具等の生産業者に対する國家の訴追は実に寛大であるという、ひがみにも似たところの農民に対する解決を與えることなくして、何の永江農政であると私どもは言わざるを得ないのであります。この一点嚴重に本法運用に鑑みて私は励行いたしていただきたいと思う。 最後に農林金融について一言申し上げたいのであります。ようやくにして本法の明文に一項として農林金融の一項を入れたのでありますが、要は全体日本國家財政の下における農林金融部門のウエイトであります。さきに院議の背景をもつて米の價格差支拂いを決議しながらこれが何ら実行されておらない。また農林省において、いわゆる農林省の復金のわく六十億を要求しながら、これが全面的に否定を見ようといたしている。これに対して実に私は物足りなさを感ずるのであります。よつて農林金融逼迫危急の段階については、この議場においてしばしば論ぜられたことでございまして、私はこれについて申し上げようとは思わないが、ただ一点、ある地方の農業会においては、すでに取付け寸前の状態にまで農業金融逼迫が行われているという実情であります。本法を実施するに際しましては、よろしくこの営農資金の割当について、これらの状態を勘案せられまして、農村に対して農村の預貯金が他の方面に対しまして向けられることを極力防ぐとともに、農村金融に対して万全の措置を講ぜられて、本法が眞の耕作農民の味方となる法律であり、併せて世界農業に対する日本農民の保護立法になるような運用をいたされんことを切に希つて修正案に賛成をいたすものであります。(拍手)
○井上委員長 次は社会革新党の平工君。
○平工委員 私は革新党を代表いたしまして本案に絶対反対せざるを得ぬ結論に到達いたしましたので、議論は十分盡されておりますから、きわめて簡單に申し上げます。食糧確保臨時措置法の修正案というものを與党三派において御協定くださいましたが、それに私ども野党側の者も賛成すベきであるというような御勧誘をいただきました。それで私ども内輪話を申し上げますと、松田委員に一任いたしまして、個人的友情を頼んで、いかなる手段でもよいから與党も野党もみな一致してでき得る限りの修正をいたしまして、意見を一致させて修正案を通過させたいという念願でありました、ところがいろいろな事情で、私詳しいことは聽きませんが、遂に妥結に至らなかつたことはまことに残念でございます。私ども信念によつてこれは反対いたしますが、どうやら今日の空氣を見ましても、私どもの反対説は数において敗北だと考えます。しかしこの與党三派の修正案をここまで熱心に御審議くださいましたことについては感謝いたします。そうして私どもの説はたとえ破れるとも、農林当局においても現に農林政務次官の大島義晴氏など、私ども非常にその人の力を過大評價して——信じておりますために、たとえ破れても、これの運営については日本の農民から反撃を受けることがないようになし得るとは思いますけれども、大体昨日の本会議の予算の討論にもありましたように、ほかの物價はどんどん上るが、米價問題だけすえ置くというのは、これは一つ二つの政党ではない。衆議院議員の個人々々の農村を代表する性格がきわめて弱かつたという結果であります。この農林委員会もまことになごやかに、農民の生活をお守りくださる議論は御熱心でありますが、殊に社会党の溝淵委員の農林大臣と渡り合われたときのあの御議論なるものは、これも日本農民に聽かせたら喜ぶ、しかし結果において與党で三派の妥協案をつくられた、野党の方がどうしても賛成できないという議論は理屈拔きにして残念だと思いますが、私どもはこれには賛成いたしがたい。しかし私どもは敗れた上でも、本法の運用についてはまた農林委員会はこぞつて仲よくして、実際問題について御努力を拂われんことを希望しておきます。
○的場委員 私はこの修正案に賛成するものでありますが、賛成の理由を簡單に申し上げます。 今まで農民たちは食糧管理法によつて規則を受け、これによつて相当の圧迫を受けたことは皆さんの御承知の通りであります。ところが今私どもが修正いたしました食糧確保臨時措置法が成立いたしますれば、今まで規制され、圧迫を受けた点が緩和される結果になりまして、一部農民たちの保護になると考えますがゆえに賛成するものであります。すなわち第二條の生産者保有数量が農業計画の中に加えられたということ、これは農業計画は從來作付けの反別生産の数量、供出の数量だけが指示されて、それによつて生産数量に異動があつた場合には、自家保有が減つて、供出数量が減らなかつたのであります。今度保有数有がその計画の中に加わることによつて、優先的に自家保有がとり得られることになりますれば、從來のような悲惨な境遇に百性は陷らないことが保障される結果になるのであります。なおさらに代替供出の範囲ならびにその比率がきまりますと、おのおのの耕作します土地に何の作物が最も適当しているか、いわゆる適地適作ができるし、本人々々の特技が発揮される結果になりますので、私どもは百性としては非常に喜ぶことであろうと考えるのであります。さらに農業用の資材等の供給が、時機を失せず供給されるようにこれに規定されておりますし、さらに農業生産資金についても、この修正案に規定をされましたが、資材供給の任に当つておりまする生産者並びに輸送等に從事する者たちも処罰を受けることになりますから、今までのように百性だけが一方的に処分を受けた法律が、肥料、農機具等の資材を供給し、生産し、販賣し、輸送する者たちもこの法律によつて規定された通りの行動をなさない場合に、これを処分すると法律が変つたことは、農民保護であると言つて私は差支えないと思うのであります。かような立場から私どもはこの修正案に賛成するものであります。 以上簡單でありますがこの修正案に賛成する理由を申し述べました。
○井上委員長 次に森山君。
○森山委員 ごく簡單に申し上げます。私は第一議員倶樂部同志を代表いたしまして修正案に賛成の意を表するのであります。 理由の一といたしまして、ただいま的場委員のお話のごとく、依然として食糧管理法の適用下にあるか、それとも新しくここに一定の規範を示すかということが大切なのであります。そこで私はこの観点からいたしまして、農民のために、また國家のために非常な賛意を表するのであります。およそ世上に絶対ということはあり得ないのでありまして、本修正案といえども至上のものとは考えておりません。しかしながらこの程度の修正で、一非國家の食糧確保なり、他面また農民の生産供出に関する権益が確保されますならば、まことに貴重な立法であると思うのであります。しかし農民の生活の根本である生産物價が自主的に決せられないということは、私もまことに遺憾に思うのであります。この点については先ほどからいろいろ意見がありました通り非常に農民のためにもまた國家のためにも、今後心しなければならぬと思うのであります。しかしながら本修正案によりまして第一供出の法的基礎が確立されたこと、農業計画の実体が明確にされたこと、並に農業調整審議会が自主性をもつたこと、生産計画、供出計画に対する異議の申請の制度が確立されたこと、追加供出の禁止されたこと、かくのごとき修正によりまして農家保有の確保ができること、並に資金の調達の面が規定されたということは、私どもはもつて生産と増強の農民生活の安定のために少からず寄與するものと確信するものであります。 以上賛成意見を申述べます。
○北委員 ただいまの私の反対意見は本会議でもやりたいと思うのでありましてこの委員会におきましても少数意見として取上げていただきたいと思います。
○井上委員長 少数意見として残しておきます。 討論は終局いたしました。これより採決いたします。まず修正案について採決いたします。社会党、民主党、國民協同党三派提出の修正案に賛成の諸君は御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数、よつて修正案は可決いたしました。 これより修正部分を除いた原案に賛成の諸君の御立を願います。 〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数、よつて本案は修正部分を除いた原案の通り可決いたします。 これにて食糧確保臨時措置法案は修正議決をいたしました。なお衆議院規則第八十六條の報告書作成の件は、委員長に一任するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議ないものと認めまして、そのように決しました。 —————————————
○的場委員 この際皆さんの御賛成を得て決議案を提出いたしたいと思うのでありますが、まずその案文を朗読いたします。 決 議 政府は主要農産物價格の決定措置に関し國会の意思を尊重するよう次期國会において関連法規を改廃すること 右決議す。 この食糧確保臨時措置法案におきましても價格の面が規定されておりませんので、それを補う意味において私どもはこの決議によつて、政府が次の國会までに國会の意思を尊重して農産物の價格を決定するような処置を講ずるように要求したい。よつてこの決議を提出するものであります。皆樣の御賛成をお願いします。
○井上委員長 ただいま的場君から一般農産物物價に関する決議案を本会議に上程したい。こういう提案がございましたが、これを採択するに御異議ありませんか。
○北委員 私はこの決議には賛成でありますが、一体米價にいたしましても昨年の追加支拂いをこの委員会で決議し、しかも本会議でやつたにもかかわらずその後何のさたもない。そういうやり方では実際困る。そこで委員長はもつと徹底的に、積極的にこの決議案を実行できるようにやつていただきたいということを希望いたす次第であります。
○井上委員長 ただいまの的場君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めまして本決議案を本会議に提案することに決しました。 —————————————
○永井委員 お諮りいただきたいのでありますが、先ほど競馬法案に関する質疑打切りの動議を提出いたしまして可決になつたのであります。この競馬法案と一緒に併託されております馬匹組合整理等に関する法律案の質疑も併せて打切りの動議を提出します。お諮り願います。
○井上委員長 永井君のただいまの動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認め、馬匹組合等に関する法律案の質疑は打切りに決定いたします。 —————————————
○井上委員長 この際速記の関係がありますので、特に現在本委員会に参議院から回付されております指定農林物資檢査法案、森林資源造成法の一部を改正する法律案、右二案を一括いたしまして政府の説明を求めることにいたします。農林政務次官。
○大島政府委員 指定農林物資檢査法案の提案理由を御説明申し上げます。 この法律案の目的は、わら工品、特殊農作物、木材、薪炭、加工水産物等につきまして、全國的に総一ある規格を定め、これに基いて公正なる檢査を実施することにあるのでございます。農林物資につきましてはすでに古くから檢査制度が確立しております。すなわち農産物、林産物、水産物等原始生業の生産物及びこれらを原料として軽度に加工した製品につきましては、都道府縣知事の檢査が行われ、みそ、醤油、カン詰、びん詰等の工業食品に対しましては、民間團体による檢査が実施されておるのでございます。都道府縣知事の檢査は、國家からの委任事務とした明治三十四年玄米及び精米についての檢査制度が樹立されまして以來、明治四十一年にはわら工品、明治四十五年には麦類、及び菜類と逐次その品目を追加し、大正の末期から昭和十年ごろ、すでに重要な農林生産物は大部分がこの都道府縣営檢査の対象とされるまでに至つたのでございます。ただ主要食糧につきましては昭和十七年十二月二十五日から、政府みずからが檢査を実施することにいたしましたから、現在は都道府縣営からは除外されております。工業食品に対する檢査が行われるようになりましたのは、ここ十四、五年前からでありまして、製造業者または特別の知識のある人々の集りであるところの協同組合とか社國法人とかが檢査を実施してまいりました。すなわち昨年末現在におきまして、みそ、醤油は統制会社、カン詰びん詰は日本罐詰研究所、ソースは協同組合が檢査を実施しておりました。ただ本年になりましてから統制会社がなくなり、それにかわりまして食料品配給公國が成立しましたので、その取扱物資であるみそ、醤油、カン詰等は公團が檢査を行うようになつております。 このような檢査制度が実施されるようなりましたのは、御承知のごとく第一に品質改善のため、第二に製品の規格を統一するためという目的があつたからでございます。品質の改善と申しますのは、農林物資の生産業は一般的に申しまして零細な小規模経営が多く、たとえて申しますれば、わら工品中かまず、むしろは全部が農家の副業的生産でありますし、なわはその生産額の八割までが農閑期を利用したの農家の片手間による生産なのであります。また加工水産物の生産状況を見ますに、株式会社組織で生産されているものはほとんどなく、多くは家内工業的に営まれているのであります。このように零細な小経営でありますから技術の進歩も遲く、また良質の製品をつくることも困難であります。それはひいては彼らの生計を脅かす結果ともなりかねません。政府が積極的に働きかけて技術的な指導を行い、徐々にでも品質の改善をはかることが必要な理由もここに存するのでございます。規格の統一をはかる必要性と申しますのは、日本のような狹い領土内で多数の零細な小企業において、勝手に雜多な規格を定めておりましては、取引上非常に不便が多い上に、價格を公定する場合に製品の品質の優劣に應じて價格差をつけることが絶対に必要でありますから、規格の統一が行われておりませんことには價格の適用が非常に困難となり、ときには不公平な結果を生ずることにもなつてしまうからなのでございます。 以上の理由で設けられた檢査制度はいかなる法的根拠に基いていたかと申しますと、都道府縣知事の場合は旧憲法第九條に基いて発せられた独立命令である各都道府縣令でありました。これは各知事が個々に施行していた命令でございましたが、規格の点に関しましてはやはり独立命令である明治四十三年農商務省令第六号(重要物産の種類並びに檢査手数料等に関する件)第三條に基きまして各知事は農林大臣の認可を経てから定めることとされておりましたから、その点で規格の全國的な統一がはかられてきたのでございます。民間團体の場合にありましては農林大臣の指導監督を受けて規格を定め、檢査を実施しているのでありますが、その檢査はいわゆる任意檢査で、法令に基くものではありません。ただ物價統制が行われるようになりましてから價格を公定する場合の方法として、この檢査規格が利用されるようになりましたから、生産者に対して受檢義務を課したと同一の結果を生じているのでございます。ところがこの檢査制度の法的根拠につきまして昨今重大な問題が発生したのでございます。すなわち都道府縣知事の場合につきましては、昭和二十一年法律第七十二号(日本國憲法施行の際並に効力を有する規定の効力等に関する法律)第一條の規定により前述の都道府縣令が昨年十二月三十一日限り夫効いたしましたから、これに代るベきものとして、中央で法律を制定するか、または都道府縣に條例を制定させるかしなければならないことになつたのでございます。しかしながら今都道府縣別々に條例を制定させることにしますと、前述の明治四十三年農商務省令第六号が失効しておりますから、法的に農林大臣が規格の統一をはかつていく方法がなくなるわけでございます。このことは前述のように取引不便となり、公定價格制度を維持する以上不都合な結果を生ずることとなつてしまいます。政府が法律の制定の途を選んだ理由はここに存するのでございます。 次に民間團体の檢査につきましては、前述のごとく、それが物價統制に関して、事実上生産者に受檢義務を課することになりますから、民間團体に特権的地位を與える結果になり、今議会に提出して御審議をお願い中でありますところの事業者團体法案に牴触するおそれがあります。それゆえにこの際民間團体にかかる特権的地位を與えることをやめ、少しでも経済民主化にこたえたいと存じまして、公團で行うもの以外のもので主要なものについて、法律の規定に基いて、都道府縣知事に檢査を委任していきたいと考えているのでございます。 以上の理由で、この法律案の御審議をお願いする次第でございますが、その要点を要約して申し上げますと、 一、農林大臣は規格審議会の議を経て規格を定めること。 二、規格審議会は農産物、林産物、水産物及び工業食品の四審議会とし、これを農林省に置くこと、委員は五人から十人までとし、生産業または販賣業に利害関係のないもののうちから農林大臣が委嘱すること。 三、農林物資を二つに分け、一つは命令で指定する國の機関または都道府縣知事に檢査義務を課することとし、他は都道府縣知事の自由意志に委せたこと。 四、從來國の機関が都道府縣知事から委託を受けて実際に檢査を実施しているものについては、國営檢査としたこと。 五、生産者または販賣業者に受檢義務を課したことでございます。 各委員におかれましては、愼重御審議の上、速やかに御可決あらんことを切望いたします。 次に、森林資源造成法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。 森林資源の造成を確保いたしますため、政府は造林事業に対し、森林資源造成法によりまして、農林中央金庫をして拂込金額の倍額の額面の造林証券を発行せしめ、その事業の実行後額面金額を支拂うことによりまして、実質的に造林費の半額を補助することといたしてまいつたのでありますが、その証券の発行限度は、総額にして三億円に限られていたのであります。しかしてこの三億円と申します数字は、本法制定当時すなわち、昭和二十年初頭の物價を基準とし、当時の要造林面積約九十三万町歩を造林するに要する費用として算定されたものでありました関係上、その後の物價の変動によりまして、いくばくもなく引上を要することとなつたのでありますが、一應三億円を使用しきるまで法律の改正をなさず、今日までを運用を続けてきたのであります。しかしながら造林費の公定價格の数回にわたる値上の結果ついにごく近い將來においてその頭打を予想される状況と相なりまして、ここにその金額の増加を絶対必要とする段階に立ち至つたのであります。ところで、この三億円を現在の造林費によつて計算し直すといたしますと、約百六十億円と相なる勘定になりますが、將來の物價の変動等を考慮いたしまして、今回からは、この総額計上制度を改め、一應現時の造林費を基礎といたしまして、本年度に必要な金額のみを追加することといたし、その額を十二億円ときめ、これに必要な改正措置を講じようとするものであります。以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことを希望いたします。
○井上委員長 これに対する質疑は明日行うことにいたしますが、この際特にお諮りをいたしたいことがあります。閉会中に目下内閣において設置されております地方開発協議会において、北海道総合開発五箇年計画を樹立しつつあります。ゆえに、北海道の寒冷地農業及び開拓等について、実地を視察する必要がありますので、委員を派遣したいと思いますが、閉会中の委員の派遣については、國会法第四十七條により、院議により継続審査の許可を得なければなりませんので、閉会中の審査申出書を議長に提出するに異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 異議なきものと認めまして、そのように決しました。
○大島政府委員 ただいま提案理由を説明いたしました指定農林物資檢査法の第五條の中に「その檢査を受けて合格したもの」とありますのは、「その檢査を受けたもの」の誤りでありますから、法案そのものの御訂正を願いたいと思います。
○井上委員長 委員長から特に委員諸君にお諮り申し上げたいのでありますが、御存じの通り会期は明日、明後日と二日しかございません。農林委員会に付託されております議案中審議を続けなければならぬものがまだ数件ございます。そのほかに請願が約三百余件、陳情が約五百件ほどまいつております。そこで委員長といたしましては、皆さん方には非常に御迷惑ではございますけれども、明日曜特に委員会を開くことのお許しをいただきたいのであります。明日曜午前十時に委員会を開きまして、本日質疑を終結いたしました競馬法並びに馬匹組合の整理等に関する法律案について採決をいたします。なおその後ただいま提案になりました二件について質疑を行いまして、討論に入りたいと思いますから、この三件並びにその他の法案につきましても各党とも党議を決定して明日御出席を願いたいと思います。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会