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2回国会衆議院1948/06/11

水産委員会 第19号

発言数
25
登壇者
6
会派数
3
開催日
1948/06/11

会議録

馬越晃民主党

○馬越委員長 これより会議を開きます。  本日の日程、船員保險法に関する件につきましては、厚生省保險局長がまだお見えになつておりませんので後回しといたしまして、請願を付議いたしたいと存じます。     —————————————

馬越晃民主党

○馬越委員長 日程第一、内水面水産増殖に関する請願、文書表第五四九号、田村源三郎君紹介、これを議題にいたします。田中源三郎君。

田中源三郎民主党

○田中源三郎君 ただいま上程されました本請願の趣旨につきまして御説明申し上げ、各位の御賛同を得て、速やかにわが國の蛋白給源の拡大に資せられんことをお願い申し上げる次第であります。  申すまでもなく政府はさきにわが國の國民に対しまして、総合栄養量の引上げを計画いたしまして、近くは主食を通じて二合七勺ないし二合八勺の配給基準の引上げを考慮いたしておられるのであります。しかしながらわが國の今日の食糧を考えてみますのに、今後の日本の人口問題と、限られたる領土内において生産せられまするところの主要の食糧すなわち米麦、芋類等によつて、わが國の食糧を充していくということは不可能な実態にあるということを考えていかなければならぬのであります。かかる観点に立ちましたる場合においては、どうしても政府の企図しておりますところの総合栄養の自給をいたしていかなければならないと考えるのであります。ここに生じてまいりまする問題は、申すまでもなく動物性の蛋白給源を多くつくり出していくということよりほかに途がないのであります。しかして今日動物性の蛋白給源を多くつくるということを考慮いたしまする場合には、何と申しましても陸上における有畜農業の奬励、いわゆる畜産の全面的な増殖計画をもつよりほかにいたし方がないのであります。これによる場合におきましては、多くの伺料及びその土地を必要とし、またその他の資材を必要といたすことは申すまでもないのであります。そこで魚類の面から考えてみまするならば、わが國において一番多くの食糧を生産されましたる大正十二年前後のいわゆる食糧の面のうちで、水産物における漁獲高が四百九万トンをもつて最高といたすと私は考えるのであります。過去において水産の漁獲高は十五億万貫と称せられておりました。しかし今日のわが日本の國においてのいわゆる操業海域の実態から考えまして、今後また世界各國の好意ある了解のもとに、かりに一定漁区の拡張をはかられたと仮定いたしましても、今日のわが日本の漁獲高は十五億万貫を海岸よう漁獲するということは容易でないと思うのであります。しかもこれに対しては石油、船舶その他の漁具、漁網等あらゆる資材を要するのでございまして、それが資材と相兼ね合いまして、今度においてかりに今仮定しました一定漁区の開放を見たといたしましても、われわれの予期するところの十五億万貫の漁獲をあげるということはまことに困難な実態であろうと思うのであります。ここで比較的資材を要せずして、しかもわが領土内において蛋白給源の増大をはかるということを得られまするためには、申すまでもなくわが日本國内におけるところの内水面の利用方策を講ずるということが必要であろうと思うのであります。現在考えてみまするならば、内水面におきましても今日まだ未利用水面と申しまするものは、冬田義鯉をいたしますならば三百二十万町歩の地帶が残されております。河川用水の面を考えますると、四万里の河川用水のいわゆる増殖地帶がここにあるのであります。湖沼において百万町歩、ため池において二十万町歩、池沼におきまして三十万町歩、合計五百七十八万町歩の水面を利用することができると思うのであります。過去において内水面の養殖並びに天然のわが國の漁獲高は私は二億万貫を下ることはなかつたと存ずるのであります。過去において十万人近いところの專業の養魚者と、同時に國民が自然にとつて自然にこの蛋白給源を補足いたしておつたところの総漁獲高を考えて見まするならば、二億万貫を下つていないと思うのであります。そこで大体十三億万貫程度とれておつたときの約六分の一というものは、この内水面の漁獲物によつてわが日本の國民の蛋白給源にされておつたということが言い得られるのでございます。こういう面から考えてみまして、私どもはかつて内水面の五億万貫を生産するところの五箇年計画を立てたのでありますが、これは容易に立ち得るのであります。今日におきまして資材の関係及び濫獲及びその他の面において、ほとんど政府によつて擁護されていないために漸次これが激減されて、現在において自然と養殖と合わせまして日本全体の内水面の漁獲高は、今日では一億万貫以上で、これは二分の一以内に減少しているのが実際ではないかと私は想像するのであります。そういうわけで、私どもがなぜこの專用漁業者を一部的に擁護いたすかと申しますれば、なるほど政府も過去においてはいろいろと資材その他の面につきまして御努力になつておられますが、しかしこれは一部試驗場においてやつている程度にすぎません。しかしとそのものについて各縣の試驗場等におきましては、すべての増殖の根源となるべき親魚とかあるいは稚魚の育成等に今日非常な不便を來しております。はなはだ申しにくいことでございますが、今日の全國におきまするところの内水面の種卵、種苗、親魚の育成の九二%までは、民間の業者によつて保存されていると申し上げても決して過言ではないのであります。これは正確なる実地の調査と、数字の上に立脚して申し上げるのでございます。かようなわけでありまして、今日この残されたる未利用の水面五百七十八万町歩を利用いたしまして、專用漁業者において種苗及び種卵をつくらせて、これによつて全國の稻田養鯉並びに河川、湖沼、池水、ため池などを利用いたしますれば、五箇年間において國民一人当りに対して私は七十五日間、一日十五匁を配給することが可能だという数字的根拠を計画いたした次第でありまして、これをいたしますにつきましては、政府が今少しくこれに力を入れてくださいますならば、必ずこれは成り立つと思います。そこでこの專用漁業者に対する必要な資材のうちのおもなものは飼料でありますが、これがさなぎのごとく、あるいはいさだのごとく、あるいは潮虫のごとく、あるいは魚粕のごときものは全部統制されまして、これが飼料公團に配給せられますとともに、ほとんど養魚業者にはまわつてこないという実態であります。今かりに種苗、種卵等の生産のみに供して、養殖面に利用しないと仮定いたしましても、天然放流によつてこれはなし得ることができる。稻田養鯉その他のことによつてなし得ることができるのでありまして、稻田に養鯉いたします場合においては、反当收穫を殖やすということは、すでに皆さんの御承知の通りでございます。これを全面的に民間においてやらせることが必要であります。現在私が今申しましたように、実際に種苗及び種卵の維持をいたし、これの増殖をはかつておりますものは、今日では民間業者のみでありまして、この点に政府はしばらく御留意願つて御助成を願いますならば、私は少い投資をもつてここにわが國のいわゆる蛋白給源の自給的効果を現わしていくということを考えるのであります。なるほど海の方面におきましては、今日の実態から申しまして、計画されておる九億万貫及び十二億万貫に対して、比率と申しますものは、これは非常に逆比例をもつて内水面の方がよい比例をあげておると思うのであります。しかもこれらのものは一つとして、その原形のままにおいてこれを食べますために、完全に蛋白給源が供給されていくのであります。私が今申し上げましたことは架空でない。わが國の今日の食糧の面から考えまして、國民生活の面から考えまして、私は資材そのものの一番効果的であり、そうしてこの未利用水面を利用することができ得るのであります。どうか委員諸君におかれましても、特にわが國の今後の水産自給計画をお立てになりまする場合において、はつきりとした内水面水産事業計画を樹立になりますとともに、政府を督励いたされまして、この請願の趣旨の通りに、わが日本の蛋白給源自給計画の上において偉大なる結果をもたらすように一つ御考慮を煩わしたいと存ずるのでありまして、以上私の本請願に対するところの趣旨を申し述べた次第であります。何とぞ速やかに御採択の上、ただいま申しました私の趣旨に副いますよう、本委員会において御処置あらんことを切望してやまない次第であります。

馬越晃民主党

○馬越委員長 本請願に対する政府の所見を質します。

藤田巖農林事務官

○藤田政府委員 現在の漁業及び食糧の事情から申しまして、内水面をさらに一層高度に利用するということの必要性につきましては、私どもも十分これを認めている次第でございます。お話のございましたように、未利用の水面も多く、またその魚然が積極的の指導によつて、増殖し得る対象になし得るものも多いのであります。私どもといたしましても、この内水面の積極的利用については、今後とも一層力を盡してまいりたい、かように考えておるわけであります。私どもといたしましては、とりあえず、河川等におきましていかなる範囲にこれを利用し得るかというような事礎的調査について、まだ欠くるところがございますので、河川漁業の調査というものを、基礎的な調査をやつていきたいということで、この点につきましては昭和二十三年度の予算におきましても、若干の経費を要求しているわけであります。なおそれと併せまして、河川、湖沼等の利用と漁業場の利用というものは、その性質からいたしまして、公共的な性格を帶びる増殖事業の部分が多いのでございます。從來專用漁業権を対象といたしまして、漁業会によつて増殖施設をなすという方針でやつておりますけれども、この形態でやつてまいりますことについては、從來の経過から申しますと、まだいろいろの点において欠陷が多く、内水面の高度利用の徹底を期し得ないというようなことを感じております。現在考えております漁業法の改正にあたりましては、この点につきましても考慮いたしまして、國が河川、湖沼等の増殖事業に積極的に関與していく、積極的にこれを指導し、普及していく。これをまた國の事業として取上げていこう、こういうような態勢で現在考えているわけであります。現在請願にございますような養魚の普及奬励事業については、國庫が補助をするという問題でありますが、私どもも補助の必要は認めておりまするけれども、現在の財政状態から申しますと、非常にこの補助金は実現が困難であります。先ほど申し上げましたような方向に、これを取上げてまいりたいと思つております。なお現在ございますところの全國養魚連盟、こういうような團体につきましても、たとえば放流用種苗の生産でありますとか、供給事業の一部を養魚連盟に委託をいたしまして、これらの團体の協力をも得てまいりたい、かように思つておるわけであります。なお河川湖沼の養魚につきまして、現在一つの隘路になつておりますのは、お話にございましたような飼料の問題であります。現在河川方面の魚は統制が撤廃されておりますので、生産の流強をはかるには、公定價格に押えられておる海の魚に比べまして非常に有利な地位にはありますけれども、せつかくの飼料が非常に不足しておりまして、思うように伸びないという点があるのであります。この点について飼料の販賣業者の資格を現在の府例の養魚特別漁業会がこれを得る。こうして養魚関係の飼料の獲得確保に資してまいりたい。こういう点につきましては私どもも至極大賛成であります。ただこの問題につきましては飼料販賣業者の指定を受けることのできるものの資格が非常に限定いたしております。また現在のところでは、安定本部からの訓令に基きまして、その資格が制限されておりますので、これをただちに改正いたしますことは、関係方面において困難な事情があると考えております。実際問題といたしましては、私どもといたしてはこの飼料配給公團と話合いをいたしまして、府縣の養魚特別漁業会が、各府縣の特に養魚業者がたくさん集つておる市でありますとか、郡でありますとかいうものを区域にいたしまして、指定販賣業者の認可を受けます。そうしてその府縣全体の販賣を担当していくというようなやり方で、実際的の措置につきましては漸次解決されておる状態であります。今後も実際的な措置におきまして、飼料の確保に遺憾のないように十分注意をいたして進んでまいりたいと思つております。

田中源三郎民主党

○田中源三郎君 ただいまの水産局長のお話よく了承いたしました。私は二つにわけて政府に御考慮願いたい。大体今日は何の面におきましても、生産消費の資材はすべて不足しておるときであります。無理を申すというよりもこれを高度的に利用して、その能率を増進せしめていく方法をとつていきたいと思う。  そこで第一点は今日の優秀なる技術をもつておる全國の飼料生産業者を督励いたしまして、稻田と河川とに放流するところの飼料の大々的生産をさせまして、これを全國到るところの未利用水源に放流するという計画でございます。それをいたしますならば天然飼料をもつてやつていきたいと思うのでありまして、それにはまず一番繁殖力の多いおいかわであるとかげんごろうぶなであるとかいうような魚の飼料をうんと生産をいたしますれば、相当にこれはなし得られると思うのであります。現に私の縣におきましても、自然的にげんごろうぶな、へうぶなの飼料は百万尾くらいのものは年々生産されておる現状でありますので、こうした面に少しく政府が手をお入れくださいますと、かりにこれが濫獲されてもよろしい、漁業権の問題を超越して、あらゆる未利用水面にこれを放流するという施策を講じていくことが、今日私は給源を供給する一つの施策になると思うのであります。  次の一点は既往の業者を高度に利用しその合理性を保たせるということであります。ただいたずらに多くの高いやみの飼料を買い取つてこれを販賣供給することは、私は今日の物價政策の面から策を得たるものではない。從つて当業者の合理的な飼料の獲得と生産に基いて、これに特殊的な、つまり一部を配給飼料によつて一定の確保をしていきますとともに一定の生産を上げて、また親魚を養成せしめるというような二つの手を手取早く打つていきますならば、かえてその方がいいのではあるまいかと思います。漁業権の問題もございましようし、いろいろこれと錯綜いたしまして、かえつて生産を阻害しておる面もあろうとも心得えます。私は今日無理を申しません。  私は今申しましたこの二点に政府が重点をおかれますならば、ここで相当な生産が上がると私は思います。稻田養鯉にしましても、農業会に対して各府縣の養魚組合とタイアツプして、これに対して政府が少しく犠牲をお拂いくださいますならば、おそらく関東以西におきましては、げんごろうふな及びおにかわは、こいとかあゆとかますとかいう高級魚でなくて、需要價値の多いかつおに匹敵したようなもので、これを大々的に放流して生産せしめるということの方がいいと思うのであります。そうして一應この政策をとつておるうちに、自然的に國民がこれを愛護し、これを生産しなければならぬという憤習がついていくだろうと思うのであります。たとえて申しますならば私は濫戸内海においてたこの孵化繁殖事業を考え出してやらせたときに、一部の営業者はこれをわらつたのであります。ところが今日におきましては、たこの減産のためにたこの孵化繁殖保護法をやつてくれということを、各漁業組合が今日唱え出してきた実体でございますので、私は浦島太郎のおとぎ話ではございませんが、保護繁殖というところの観念を國民全体に植付けて、昔上杉鷹山公が、一軒の家には一坪の養魚場をこしらえて、そのときの強兵政策に具えたかのごとく、今日わが國において國民にそれを植付けていくということをやつていことが、大くきな給源の確保になるかとも考えておるのでありまして、この点は御答弁は要しませんが、どうか政府におかれましても、私の意のあるところを十分にお汲取の上で、この面にもう一歩進んだ積極的な施策を御考慮賜わらんことを併せて、お願いを申し上げておく次第であります。有がとうございました。

馬越晃民主党

○馬越委員長 他に御質疑はございませんか。     —————————————

馬越晃民主党

○馬越委員長 それでは議事の進行上日程第二から日程第四二までは後廻しといたしまして、委員外の議員の紹介になります請願を上程いたしたいと存じます。 日程第四三、音戸漁港修築の請願、文書表第四八〇号、大原博夫君紹介 日程第四四、三津港修築の請願、文書表第四八一号、大原博夫君紹介 日程第四五、沖浦漁港修築の請願、文書表第四八二号、大原博夫君紹介 日程第四六、安浦漁港修築の請願、文書表第四八三号、大原博夫君紹介 日程第四七、田島漁港修築の請願、文書表第四八四号、大原博夫君紹介、 右五案を一括上程いたします。紹介議員の御説明を願います。大原博夫君。

大原博夫社会革新党

○大原博夫君 五つも紹介しておりますので簡單に理由を申し述べてお願いをいたしたいと思います。  まず音戸漁港修築の請願でありますが、これは廣島縣安藝郡音戸漁港は、音戸瀬戸の咽喉を扼して呉、廣島両市へも一時間以内の位置を占め、立地的にも好個の漁港であります。終戰後引揚者、軍需工場閉鎖により漁業に轉ずる者が増加しましたので、漁業の開発が急務となり、年來改修の要望のあつた本港の修築工事を速やかに施行されたいというのであります。  次は三津漁港修築の請願でありますが、これは廣島縣加茂郡安藝津町三津港は、内海沿岸の中心に位し、藝南諸島の漁獲物集散場として発展して來ましたが、戰時中は漁港の補修はまつたく顧われず、しかも三井造船安藝津工場が設立されまして、本港沖海面を七メートルも浚渫したため、荒天時の波浪はますます激大し、船だまりの安全、荷役の安全を期し得ないのであります。ついては速やかに該漁港の修築工事を施行されたいというのであります。  第三番目は沖浦漁港修築の請願でありますが、沖浦漁港は廣島縣南東、大崎上島の南端に位しまして、縣下有数の漁場として、特に鯛つりの名所としてうたわれる漁港でありますが、戰時中より何ら修築を加えられず、年々の大風に港は荒らされ、船だまりは狹小かつ不完全で、漁船の避難にも困難をきわめ、漁船その他の損害も少くないのであります。速やかに該港の修築工事を施行されたいというのであります。  次は安浦漁港修築の請願であります。廣島縣加茂郡安浦町は、縣下屈指の重要漁村でありますが、安浦港には目下船だまり、防波堤の施設がないため、漁村その他の受ける被害は多大であります。ついては不用艦船あるいは商船の拂下を得て、これを海底に沈めて、防波堤に代用する等、國庫補助を以て防波堤の築造をされたいというのであります。  次は田島漁港修築の請願であります。廣島縣田島漁港は縣下有数の漁港でありますが、その施設としては、東部箱崎に船だまりがあるだけで、西部には何ら施設がないため、漁船は隣村に設けられた波防堤に頼つている実情である、ついては速やかに該港を修築されたいというのであります。詳細な提案の理由をもつてきておるのでありますが、あまり多数にわたりまして御迷惑を存じますので、以上簡單に提案の理由を述べた次第であります。何とぞ愼重御審議の上、これらの請願を御採択いただきまするようお願い申し上げまして、私の提案趣旨の説明を終ります。

馬越晃民主党

○馬越委員長 本請願に対する政府の所見を質します。

藤田巖農林事務官

○藤田政府委員 ただいまお話のございました五つの漁港につきましては、それぞれ私どもといたしましても漁港修築の必要性は認めておる次第でございますが、中にはまだ縣から具体的な計画の御提出のない部分もございます。私どもといたしましては財政の許します限り、できるだけ速やかにその最も必要なものからこれを実現いたしてまいるように考慮いたしたい、かように考えておる次第であります。

大原博夫社会革新党

○大原博夫君 縣から言うてきておらぬというのは、どういうのを言うてきておらぬのでございましようか。また順次というお話でございます。むろん本年はできないという御答弁と思うのでありますが、本年はできませんでしようか、また來年度はどうなるかというようなお考えがあれば、ひとつお教え願いたいと思います。

藤田巖農林事務官

○藤田政府委員 その中で三律漁港でございますとか、田島漁港でございますとか、こういうようなものにつきましては、まだ具体的な計画が出てまいつておりません。それから本年度にこれを実現できるかどうかという問題でございますが、これを御承知のように公共土木事業費全体は非常に削減をいたされてまいつております。さような関係でございますので、今年これを実行するかどうかということについては、なお困難な点があろうかと思いますが、できるだけ財政の許します限り、速やかに実現をするようにやつてまいりたい、かように考えております。

馬越晃民主党

○馬越委員長 他に御質疑はございませんか——御質疑はないものと存じます。他の請願は一時これを後回しにいたしまして、ただいま厚生省の宮崎保險局長がお見えになりましたので、船員保險法に関する件を議題に供したいと思います。  この船員保險法につきましては、私から一應本日の日程に加えました趣旨について皆さん方の御了解を得ておきたいと思うのであります。なお同時に政府委員に対しても御質問をいたしたいと思うのであります。私どもが承りますところによりますと現行船員保險法の一部が近いうちに改正されるやに承つておるのであります。またすでに閣議においても決定いたしまして、近々國会にも上程されるということも承つておるのであります。しかるにこの船員保險法と申しますものは、労働規準法とも称すべき船員法の制定と併せて、船員を対象とする船員保險法でありまして、まことに時宜を得たものと思うのでありますけれども、現行のこの保險制度は、実際において漁船の実情を無視した、実情と適しない点が多々あるのであります。たとえて申しまするならば、失業保險の強制加入の制度、あるいは養老年金の強制加入の制度等については、特に漁船の船員の実情とはほど遠い隔りがあると考えられるのであります。たとえばこの養老年金のごときは、十五箇年以上加入していなければもらえないことになつているのでありますけれども、しかし普通の漁船の船員というものは、漁業の性質から申しまして、一年を通して漁業に從事しているものではないのであります。おそらく半年くらいしか從事する期間がないと思うのであります。さようにいたしますると、満十五年勤続とすれば、三十箇年間勤務していなければ十五年の勤続にはならぬようにも考えられる。またこの労務の性格から申しまして、同一漁船に長らく勤務するということはほとんどないことであります。壯年時代わずかに数年ないし十年足らずの勤務年数しかないのでありますから、せつかく高額の保險料をかけておりましても、実際において漁船の船員は養老年金をもらうという機会に惠まれないのであります。また失業保險におきましても、ほぼ同樣なことが言い得ると思うのであります。しかるにこの保險料は、百円に対して十九円八十銭のごとき高額な保險料をかける、ほとんど二割からの保險料をかける。そのうち約六割方は船主負担となり、四割は船員が負担すべきものでありますけれども、今日の漁業者の実情から申しましても、漁船乘組員の実情から申しましても、かくのごとき高額の保險料の負担には、とうていたえられないものと考えられるのであります。それで私思いますに、失業保險の制度並びに養老年金の制度は、強制加入でなくして、任意加入の制度に是正すべきものであると考えておるのであります。なおまたこの船員保險法の運営に当るべき委員会の構成でございますが、この構成は全員十八名から成つておりまして、船舶所有者を代表すべきものが六名、被保險者つまり船員を代表すべきものが六名、公益代表者として六名が出ておるのでありますが、この船舶所有者の中では、わずかに水産関係の者は日本水産の專務取締役である万城氏が一人出ておるばかりであります。また船員代表者といたしましては、漁船の船員は一名も出ておりません。また公益代表といたしましては、運輸省の船員局長等がなつておりますけれども、農林省水産局長等がこれに加わつていないのであります。しかるにこの適用を受ける船員の数の比率を調べてみますと、全國の船員数は二十万人であるということでありますが、このうち漁船乘組の船員が八万人あるということであります。さよういたしますと、他の船員十二万人に対して八万人の船員であるということを考えますと、船舶代表者といたしましても、また漁船の船員の代表者も、それぞれこの委員の中に相当数加わつていなければならないものと考えられます。また公益代表といたしましても、ただいま申し上げまするように、運輸省、厚生省等の関係官がはいつておられます以上、農林省の水産局長等がこの委員の中に当然はいつておるべきものであると考えます。かように考えてみますと、この委員会の組織についても、私どもは非常に物足らなさを感じておるのであります。こういう点について、近くこの船員保險法が改正されるというのでありますが、その係当局であります宮崎保險局長は、これらの点についていかなる御構想をもつておられるか、承りたいと思うのであります。

宮崎太一厚生事務官

○宮崎政府委員 ただいまの委員長からのお尋ねは二点あると思います。  第一点でありまする船員保險法の一部改正の問題についてでございますが、船員の中で漁業関係者の失業保險及び養老年金につきまして、現実の姿といたしまして、少しく実情に適せざるものがある。そこでこれを何とかしなければならぬということについては、私どもかねて考えておつたわけでございます。また農林省水産局の方からも御意見があり、またかつを、まぐろ業者その他からいろいろな御意見があつたのでございますが、ただ船員保險法と申しますものは、船員法の裏づけでありまして、船員法の規定におきまして、船員である者に対しまして私どもの方では保險の被保險者として保險給付をしておるという関係がありまして、この前の第一回國会におきまして、船員法の改正に伴いまして船員保險法を改正いたしまして、三十トン以上の漁船に乘組んでおる漁業從事者を被保險者といたしたのでございます。しこうしてこの漁業從事の方々につきまして、失業保險及び養老年金を任意制に直すことの可否につきましては、かなり議論があるわけでございます。殊に失業保險及び養老年金を強制制度からはずすということはかなり大胆な問題でありまして、養老年金にしても、失業保險にしても、國がやつております保險は強制というところに意味があるのでありまして、たとえば任意になりますと郵便年金保險と変りがないことになるわけでございます。そういうようないろいろな意味がございまして、強制制度を任意制度に直すということは相当研究を要する問題でございます。  それから漁業の実態におきまして、全部の労働者が任意制でいいのかどうかという点も相当議論の余地もございますし、それからわが國の今後の傾向といたしまして、憲法第二十五條の、健康で文化的な國民の生活を保障するというこの規定の裏づけといたしまして、社会保障の制度を今後実施する上に研究しなければならないという趨勢にあるのであります。そうなりますと、國民全体を被保險者とする保險を開始しなければならない。その中に養老も失業もすべて包含するような構想が今考えられておるわけであります。そういう際でございますので、どちらかと申しますと、船員保險と申しますものは、健康保險も、年金保險も、養老も、失業も、災害補償も全部を一つにまとめた、わが國唯一の理想的な保險になつておるわけでございます。そういう保險から漁業者をこの間入れて今すぐはずすという点につきましては、これは内外に與える影響もございますので、相当檢討を要する。それから海員労働者方面におきましても、今しばらく研究してくれという意見もございますので、先般の船員保險委員会にこれを御審議願いましたところ、もうしばらく保留してくれというお話もございましたので、今回の改正にはこれを載せないで、次の國会において御審議を願うときまでに農林省あるいは運輸省等とも御相談をいたしまして、また船員保險委員会の御審議をも願いまして研究いたしたいと思つておる次第でありまして、閣議におきましても、農林及び厚生の両大臣がそういうことで今度の改正案にはこれを載せないで、漁業関係につきましては次の機会において研究をして法の改正を考えたい、こういうことで御決定を願つたような次第でございますので、今回はこれを載せておりません。その点をおことわり申し上げておきます。  それから船員保險委員会の委員でございますが、これはただいま委員長が仰せてになりましたように、この委員会は労資及び公益代表の三者から六名ずつを出しておるわけでありまして、船主側の委員のうち五名は汽船及び機帆船の船主側から選出しております。これは船員保險制度の実施の沿革から勘案いたしましてこういう選任があつたのでございますが、しかし漁船関係につきましては、先ほど仰せになりまして葛城さんお一人でございますので、この点につきましては、まつたく私どももお説の通りだと存じますので、委員が任期終了の際に代ることになつておりますから、その際に考慮をいたしたいと存じておるのでございます。それから労働者代表には一人漁業関係の人がはいつておるわけでございます。それからそれまでの暫定の措置といたしまして、この漁船側の代表に幹事の方を加えて漁業界からの意見を承りたい。また水産局の方にもこの点をお願いしたいと存じておるのでございます。以上お答え申し上げます。

石原圓吉民主自由党

○石原(圓)委員 本案に対しまして委員長の御発言並びにただいまの説明で、大体のことは了承することができたのでございますが、私はこの保險制度が今期國会に提出せられないということは、非常に好都合であると思うのであります。この際……。

馬越晃民主党

○馬越委員長 ちよつと石原君に御注意いたしますが、この船員保險法はすでに出ておるのでありまして、今度は一部改正の法律案が出るということなんです。そうですね。

宮崎太一厚生事務官

○宮崎政府委員 そういうことでございます。

石原圓吉民主自由党

○石原(圓)委員 とにかく提案されておる案は適用しない、今年はやらないというように聽きましたがそうでないのですか。

宮崎太一厚生事務官

○宮崎政府委員 ただいまお答え申し方げましたのは、現在は漁船関係の失業保險、養老年金保險が行われておるわけでございますが、それを任意制度に改めてもらいたいという意向があるのでございます。その任意制度に改める部分は今回の國会に提出しないで、もう少し研究してこの次まで考えたいというわけでございます。

石原圓吉民主自由党

○石原(圓)委員 わかりました。そこで、漁業に從事する人々が八万人——遠洋漁業だけで八万人あるのであります。これは一般海上労働者と違つておるという点から、全然切り離した漁業船員のみの制度に改めることを私は希望いたしたいのであります。一般の海上勤務者は月給制度が大部分ありますが、遠洋漁業はそうではないのであります。全然所得分配制度であります。それであるから一般海上労働勤務者が固定的な給料をとつておるのと違うのであります。この点はもう根本的に違つておるのでありますから、その意味から申しまして、漁業者のみの保險制度に改めてもらいたいということを希望するものであります。  なおこの率でありますが、保險料百円に対する十九円二十銭というような、約二割に当るものは、とうていこのままならば漁業者は加入いなしということになると思うのでありまして、この点も十分御研究を願いたいのであります。元來この制度を定める上において、今の委員でありますが、日本水産の代表者もすでに辞職をしておるようであります。そうしたならば漁業代表者と称すべきものは、この十八人の中には一人もいない。かりにこの日本水産が代表者としておりましても、これはいわゆる資本を代表するものであつて、大体乘組員は給料制度が基準になつておると思うのでありますが、遠洋漁業の八万人は一人も給料をとつておる者はないのであります。そういう八万人の代表者が一人もはいつておらない。從つて適当な案が立つていないということははつきりしたのでいいと思うのであります。ゆえに次の國会までに單独な、漁業者のみの保險制度に改められたい。これに対しては多数の漁業者代表を委員としてあげて、十分審議を盡していただきたいという希望をもつておるのであります。これに対する御意見を伺つておきたいと思います。

宮崎太一厚生事務官

○宮崎政府委員 ただいまのお言葉でありますが、漁業の特殊性につきましては、私どもも十分承知いたしております。ただ漁業のみについて保險を設けるかという点でありますが、これは御承知かと思いますが、保險というものは危險分散の程度が廣くなければ成り立ちません。そういう意味で漁業だけで保險をやることが、はたして保險制度の妙味を発揮するかどうかという点について、相当檢討を要するかと存じます。それで船員保險の中で漁業について特別なる措置を講じてやる方がいいのではないかと考えておりますが、その点についても、この次の改正案を作成いたしますまでに、十分檢討いたしたいと存じます。またその案を作成するにあたりましては、漁業関係の方々にお願いをいたしまして、いろいろ御意見を拜聽し、また農林省の方々にも御相談をいたしまして、よく業者及び労働者の方々の御意見の反映するような研究を遂げたい、こういうように存じております。  それから保險料でございますが、これは先ほど申しましたように、船員保險の保險料はあらゆる社会保險を総合いたしておりますので、ほかの保險と比べまして高いのであります。これは陸上の労働者がばらばらの保險でありますものを、海上労働者は一つの保險でやつておるということで保險料が高いわけでございますが、今度出します改正によりまして保險料は相当減額いたしまして、今まで十九円何がしのものが十一円五十銭に下るわけであります。その点お答え申し上げます。

石原圓吉民主自由党

○石原(圓)委員 一應了承しましたが、どうも漁業部門のみを切り離すことが、何だか範囲が小さくて、御納得のできないような口吻を漏らしでありますが、それはもつてのほかだと思うのであります。漁業というものは他の仕事と違つて、御承知の通りに、進駐軍の了解を得て、遠洋漁業者は赤道直下まで進出しようという意氣込みでやつておるのであります。從つてこれらの人々は非常な危險を冒してやるのでありまして、大きな何万トンとか何千トンとかいう船に乘つて、そうして夜は着物をかえて船室で寢るということもできないという状態で漁業に励んでおるのであります。しかもこれが日本海から太平洋から廣い範囲に拡大されんとしている。日本の水産は今や飛躍的に進まんとしておるときでありまして、このときに漁業者のみの保險制度が範囲が小さいというような見解は、全然改めてもらいたいと思うのであります。なお保險料は十一円くらいに下ると申しましても、それでも高いということを固く私は信じておるのでありまして、いかに保險制度ができても、保險料が高いとか、條件が有利でないために被保險者がなかつたならば、これは有名無実になるのである。ほんとうの漁業者に即したところの制度を設けるということが今日の民主主義のやり方であり、また保險局等が一種なわ張り的な考えをもつことは絶対にやめてもらいたいと思うのであります。この点を強く要望をいたしておきます。

馬越晃民主党

○馬越委員長 お諮りいたします。この船員保險法につきましては、実際問題といたしまして、失業保險におきましては、乘組員は壯年時代に遠洋漁業に從事しまして、年を経るに從つて近海沿岸等の漁業に職場をだんだんと轉じていくようになるのでありまして、漁船から離脱いたしましても失業状態になるということはほとんどないのであります。從つてこの失業保險の交付を受ける機会に惠まれない。また養老年金にいたしましても、先ほど私から申し上げましたように、十五箇年以上も勤続して乘り込むというようなことはほとんどないのであります。でありますからこの失業保險並びに養老年金のいずれのものも、保險金というものは漁船船員に限つては受取る機会がない。しかもこの保險料は百円に対して十九円二十銭、さいわいにして今回改五御提案になるものでは十一円五十銭に引下げられるということでありますけれども、しかしもらえる恩典に浴せないということがわかつておつて保險料をかけるということは、結局漁船船員が他の汽船船員あるいは機帆船船員等の將來を保護してやるようなことになるのであります。この制度につきましては、私どもとしましては十分に研究をしてみる必要がある、かように考えるのであります。また承るところによりますと、この保險委員会の委員であります日本水産の專務取締役は、この委員会の席上において、こうした矛盾を是正すべく、十八人の委員中ただ一人孤軍奮鬪を続けられたのでありますけれども、この委員会におきましても、かかる漁業の実情を知らない他の委員たちによつて、この日本水産の專務の漁業に対して十分理解ある意見というものが全然取上げられずして、遂に悲憤慷慨、辞職せられたやに聞いておるのであります。こういうような点を考えてみましても、この船員保險料につきましては、われわれは重大な関心をもたなければならぬと考えるのであります。つきましては近々この一部改正案が國会に提案せられるということでございますが、委員長は昨日、この法案が提案せられましたときにおいても、この法案はどの委員会に付託されるといたしましても、必ず水産委員会との共同審議をするようにということの申入れをいたしておきました。なおまたおそらくこれが付託せられるであろう厚生委員会の常任委員長に対しましても、私から以上の申入れをいたしておきましたので、おそらくこの改正法案は本委員会にも合同審議されることと考えられるのであります。それまで皆さん方におかれましても、この船員法につきまして十分御研究になつていただいて、そのとき愼重なる御審議をしていただきたいとかように考えるのであります。本日は宮崎保險局長の本案に対します御意見を一應聽取いたしまして、この案件につきましては他日の機会に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

馬越晃民主党

○馬越委員長 それでは残余の日程はこれを延期し、次会の期日は追つて公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午前十一時十七分散会

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