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2回国会衆議院1948/05/25

水害地対策特別委員会 第7号

発言数
16
登壇者
8
会派数
5
開催日
1948/05/25

会議録

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 これより水害地対策特別委員会を開きます。  本日は特に利根川水系の復旧工事につきまして、意見を求めたいと存じます。御存じの通り利根川は支川を入れまして、その長さは千百里、その流域は一萬六千平方キロに及んでおります。去年の九月十五日の水害では十三萬町歩の被害を受けまして、罹災者は百八十萬に及んでおります。かような全国一の大きな川であり、かつ全国一の水害を受けておりますので、これらの復旧につきましては、非常な努力を要すると存じます。今日関係の農民は堤防と肥料を与えよと非常に強く叫んでおります。これについて各委員の意見を求めたいと存じます。

野本品吉国民協同党

○野本委員 昨年の秋、利根川を中心として関東地方一区を襲いました大風水害にあたりましては、関係各省大臣その他の方々は、ただちに現地に出向かれまして、この被害の激甚、参憺たる状態につきましては、ことごとく御承知のはずであります。なお常時地方民の切実なる要求に対しましては、急遽これが対策を立てて、萬全を期する旨を誓われておるのであります。しかるにその後遅々としてこれが進みませんために、先般栗橋におきまして、群馬、栃木、埼玉、千葉、茨城五県の人たちは悲壯な決意をもつて大会を催うし、何が何でも十億円支出するようにということを要求しておるのであります。これらの地方民の血の叫びに対して、当局ははたしていかなる方法をもつてこたえようとしますか、この点を明確にしていただきたいと思います。

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 私は前の山崎委員長のあとを受けまして、去る五月七日に選任されたのでございます。山崎君はあの通り練達堪能の士でございますが、私は不敏の者でございますから、特別皆様の御声援を願いまして、一致協力いたしまして、この目的達成に邁進いたしたいと思うのでございます。一言就任の挨拶を申し上げます。

外崎千代吉社会革新党

○外崎委員 初めての委員長にかれこれ言うのはおかしいけれども、関東、東北の水害問題について、農民が非常にこの委員会を重大視していることは、私の言うまでもない事実であります。私どももそういうわけで命をかけてこの農民の利益を擁護している。この委員会の重大な時間を利したのかもしれないが、悪用してこういう芝居じみたことをするよりも、本格的に委員会の審議をしていただきたいというのが、われわれの希望なのです。第一回会において全員一致をもつて水害に対する要求を政府にしたはずである。しかるに政府は未だにこれに対して何ら考えてくれない。本会議において私もこのことを申したことがありますが、いつまでも外国から放出物資をいただいて、そして感謝して生活をしなければならぬというよりも、いま一歩進めて三十億か五十億の金を出せば相当水害が救われるのである。また救うのが、日本再建の第一歩だとわれわれは考えている。これほど重大な問題をもつこの委員会がようやくにして開かれたかと思うと、ただちにこういうようは芝居がかつたことをして、はたして完全な水害対策ができるか。新委員長に対して言うのはおかしいけれども、この点に対して答弁を求めます。

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 外崎委員に対してお答え申し上げます。本日は新世界二ユースが参りまとて、全国一の大きな水害をこうむつた利根川の上流を数日にわたつて撮影してきた、そしてこれらの樹際復旧できない箇所を水害対策委員会がいかなる方法をとつているか、これを表わしたいというので——御存じの通り利根川は被害が一番大きくて占領軍が特に三千萬トンのセメントを放出してくれたわけであります。そこで新世界ニュースの希望を入れまして、活発な委員会の仕事を一般民衆に知らしたいというのでありまして、決して芝居がかりでやつたのではございませんから、この点は御了承願いたいと思います。

松井豊吉民主自由党

○松井委員 鈴木新委員長を迎えまして、初めての対策委員会を開会するにあたり、政府の関係の方々に二、三の点をお伺いしたいのであります。御承知のごとく水害の予算関係については、関東、東北地区の被害地の方々、またわれわれ国土委員会委員を初め、水害対策委員の人たち、ほとんど被害地の国民の要望するところの予算を計上されておりません。従つてわが群馬県におきましては代議士やめろとまで言われております。この雪解け増水期を迎えまして、ほとんど重点的に工事が完成しておりません。もし昨年九月のあの大水害、あるいはあの何割かの増水を見たときには、また元の姿になることは私が言うまでもありません。実に水害被害地の国民は遺憾に存じ、われわれもその工事場をつぶさに調査いたしましたが、遅々として進んでおりません状態でございます。ここにおいてわれわれ水害対策委員といたしましても前の委員長のもとに委員会を開いて、関係政府委員の御説明、また質疑によつて適当なる御答弁を得ております。しかも大臣関係者の方々はいずれもうまいことを言つて逃げておりますが、前のようなことを繰返すならば、この委員会は必要ないと私は信じしおります。ここにおいて今度新委員長を迎えまして、この対策委員のわれわれを初め、政府の関係の方々が、それに対していかなる御意見をもつておられますか、また今日までの関東、東北地方の水災被害地に対する工事の進行縦状況、予算の関係について御説明を願いたいと思うのであります。

西村榮一日本社会党經濟安定政務次官

○西村政府委員 経済安定本部といたしまして、主として予算関係だけの御説明をいたしまして、工事の進捗状況については、建設院から御説明を願いたいと存ずるのでありますが、ただいま災害復旧費につきましては、予算を作成中でございますので、正確な御答弁を申し上げることができないことははなはだ遺憾でございます。いま二、三日お待ちくださいますならばやがて正確なことを御説明申し上げることができると思うのであります。ただ問題は、ただいま松井委員から懇切な、また適切な御意見がございましたが、政府といたしましてもよく災害地の状況を了察いたしておりますので財政と予材の許す限り、全力をあげてその復旧に従事しておるのでありますが、何分にも財政と資材の制限がございますので、御期待に副い得ないことは、まことに遺憾と存じております。ただいままで予定いたしておる災害復旧の予算は、総額六十八億六千二百五十六萬八千円でございます。これは昭和十一年度には復旧災害費はわずかに一三%しか占めておりませんでしたが、昭和二十三年度に至りまして利根川水害その他突発事故がございまして、公共事業費の割合を占むる災害復旧費は三五%を占めております。しかして本年度現在大体内定しておりまするものは、公共事業費総額の中から旧単値にいたしまして、ただいま御説明申し上げましたように、六十八億六千二百五十六萬八千円でございまして、これにまた御指摘のごとく突発的な事故ができるとたいへん困りまするので、それに対する予備費の二十億円というものを他に含んでございまして、それらを合計いたしますると、本年度大体予定いたしておりまする災害予算は、公共事業費総額に比しまして三三%になつておるのであります。前申し上げましたように財政とい資材の許す限りこの復旧に政府は誠意をもつて従事しておるということを御了察を願いたいと存ずるのであります。  なお詳細の利根川そり他の個々の問題につきましては、関係局長から御説明申し上げますとともに、先ほど申し述べましたように工事の進捗状態につきましては建設院から御説明を願いたいと存じますが、とりあえ予算関係だけ安本の立場から御説明申し上げます。

米田正文總理廳技官

○米田説明員 利根川の災害復旧に関しましては、昨年九月の洪水直後著手をいたしまして今日に及んだのでありますが、昨年の災害は利根川の直轄区域内におきまして八億の災害があつたのであります。その八億のうち昨年実施をいたしましたのが二十五千八百萬円で、今年度に持ち越しましたものが五億四千八百萬円になつております。昨年の分につましてはほとんど工事が完了しております。残りの今年度の五億四千八百萬円につきましては、これが全面的な工事ができ得るように努カをいたしておりまするが、これも資材その他とにらみ合せでいくらに決定するかは、前のお話にもありましたように、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。

松井豊吉民主自由党

○松井委員 予算関係について安本から御説明がございましたが、今日までの実情を見ますと、委員会におきましては安本関係また大蔵関係、建設院関係を初め、うまい答弁をしておりますが、実際やつておりません。安本が予算の妨害をしておるということを聞いておる。これはほんとうに予算もないことはわかつておる。わかつておるが、この水害復旧工事費の関係については何年に一回かの臨時的のものだ。今日二十二年度の予算の関係を見ましても、何回もうそを言われておりますよ。三十億円の復旧工事費の予算関係についても、全議員が承認しておかます。一体政府がやる意思があるならばできるはずのものだ、やる意思がないからできないと申し上げて過言でない。こういう関係から再び取返しのつかぬような状況になつておることは、今日まで二十二年度において工事費を費しておりますが、これが雪解け増水期になつて、そのときにもしも重点的に工事が進捗していないということは、この予算が水泡に帰するものだということは御承知でしよう。これはきわものです。たとえば他の予算をどう流用しようとも、一応この水害復旧工事あるいは農耕地関係については、重点的にやる必要があると思う。政府が予算のないことは、どの議員も承知しております。やる意思がないからできないということに考えておる。一松建設院総裁からも、何回も聴いております。ほとんど二十二年度はあの一月三十一日の三十億円の決議案が通過されたその後というものはほとんど実行しておりません。大体ただいま二十二年度の関係について安本から報告されましたが、これによつて完全なものができるかどうか、その点もさらにお伺いいたしたいと思う。  さらに工事関係の状況をお伺いしたいのであります。建設院の関係の人はただいま予算関係を御説明されたのでありますが、単に利根川だけではございません。関東、東北地方の水害地関係の進行状況をお伺いしたいと考えております。特に群馬県のごときはひどい。これらの点についても明確なる御説明を願えれば私はさいわいと思う。

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 政府委員に希望いたします。本日は二十三年度の第一回の委員会であるものですから、松井君の御質問にお答えとともに、総括的な今までの経過と今後の見透しについてお話を願いたいと思う。     〔「今日は真剣だ」と呼び、その他発言する者あり〕

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 私語を禁じます。政府委員の答弁を求めます。

西村榮一日本社会党經濟安定政務次官

○西村政府委員 ただいまの松弁委員の御説、きわめて同感でございますが、政府は決して災害対策に対しまして冷淡ではないのでございます。きはめて至誠と精熱を傾けましてその復旧を希つておるのでございますが、何分にも制約されたる国家財政は災害対策とともにインフレーシヨン克服についても全力をあげなければなりませんし、国民生活の安定と産業の回復に対しましても、それぞれ資金を要するのでございます。これらの諸般の全般的な国政のすべてを考えまして、災害対策というものを立てておるのでありまして、決して安定本部は予算の妨害はいたしておりません。それよりも、いかにして建設院並びにその他から出てくる予算を、どの程度までこれの希望を満たし得るかということにつきまして、日夜苦心しておる次第でございまして、この点誤解のないまうに御了承を願いたいのであります。しかして公共事業費中の災害対策費の細目の問題につきましては、内田次長からただいま御説明をいたさせたいと存じます。

内田常雄總理廳事務官

○内田政府委員 西田政務次官の御答弁を補足いたしまして、若干数字を申し上げまして御参考に供したいと思います。御説のように水害の復旧につきましては、夏の出水期殊に農業災害等につきましては、植付までに水の取入れとか、畑がつくれる始末をしなければ、あとになつて金を注ぎこんでもまつたく水泡に帰する場合もあるのでありますから、一年の初めの方に災害復旧の予算を見つけたいということで、われわれあせつております。しかしながら、はなはだ不幸にいたしまして、二十三年度は四月からすでに四、五と一月予算でまいつております。六月もまた一月予算が提出されておるというようなことに相なつておりますために——これは一年全体の予算がかりにきまつておりますならば一年の上期、なかんずく四月から七月の第一・四半期に主力が注げるのでありますが、悲しいかな一月ごとの予算でありますために、四月の予算に一年一中の重点をおく、五月の予算に一年中の重点をおくということができないのでまいつております。  しかしながらこの一月ごとの予算の中におきましても政府として水害復旧をいかに重視しておるかという数字を申し上げますと、四月に成立いたしました暫定予算は公共事業費総額で十八億二千六百萬円であります。その十八億二千六百萬円の中には、政府が昨年約束をして履行しなかつたところの六・三制の追加経費六億四千萬円ばかりを四月の第二次暫定予算として国会の御協賛を得ましたものも含んでおりますから、この六・三制の昨年度の追加分六億円余を引きますと、四月の暫定予算は十一億何がしでございます。その中において水害対策費として四億六千九百萬円、約五億くらいのものを組んだのであります。従いまして、その公共事業費の暫定予算における水害対策費の割合は、約四割から四割五分くらいであつたのでありまして、はなはだ多いようにも思われません。しかし四月には御承知のように六・三制におきまして六億四千萬円の追加予算を出しましたが、水害の方におきましては、いろいろな事情でどうしても、暫定予算の追加ができなかつた。その代りに、昨二十二年度の公共事業費の中でほかにまわす都合の経費があるのを、ほかの方を無理に削つて、二億円を昨年度の予算の中から水害にまわすということで、別に二億円をまわしましたから、四月に実際に水害に出ました金は六億六千九百萬円でありまして、六・三制を除く事業費予算の六割くらいを水害に出しておる、こういう数字か出ております。  次に五月の暫定予算でありますが、五月の暫定予算は、関係方面とも折衝いたしまして、一年中で一番工事を進めなければならない時期であるから、とても四月程度のこまかい暫定予算では過せないということで、思い切つて総額の措置をとつたのでありますが、これも諸般の事情がありまして、結局合計は二十二億という五月の公共事業費の暫定予算が成立したのであります。その中におきまして、ほかの方はかりに眠らせて水害だけはぜひよけいな金額を盛りたいということでありまして、五月すなわち本月の暫定予算におきましては、二十二億円中十三億三百萬円を水害対策費に割くことにいたしまして、これはすでに国会の御承認を経ております。従いまして、二十二億のうちの十三億でありますから、約六〇%というものはほかの事業費よりも優先させて水害にやつておる、こういうことであります。  六月の暫定予算は、これもまたむずかしい経緯をとつておりますが、総額で五月よりも二億ほど減りまして、総額二十億円の暫定予算案を国会に提出いたしたはずでございます。総額が二億円減りましたから、水害の方もその割合で減らなければならないのかもしれませんが、われわれといたしましては、たとえ総額が減つても水害だけは減らしたくないという熱情のもとに、やはり五月と同じように水害対策費十三億三百萬円をこの二十億円の中に盛りこんでおります。これは全対の予算に対して約七〇%を水害にかけておる、こういうことをいたしております。この四月、五月、六月の水害対策費の合計はさん十億七千六百萬円、こういうことにもつてきておるのであります。この間における四、五、六の暫定予算の総計は五十三億余萬円でありますが、そのうちただいま申しますように三十億七銭六百萬を水害費に今日までのところもつてきておる次第でございます。そのほかに先ほど申しましたように、昨年度の予算の余りの中から二億円は四月に出しておる。言いかうえますならば、三十二億七千六百萬円というものを今日まで無理算段をして出しておるのであります。  しかるにどれだけの金を出しましても、とうていこの水害対策は満足にできるとは、私ども安定本部といたしましても思つておりません、その数字を御参考までに申し上げますと、昨年の六、七、八、九月にわたります東北、関東、北海道等の災害によりまして、その災害だけの復旧所要費が今度の新しい単価の改訂の要素を入れませんで、昔の賃金物価体系のもとにおいて二百五十五億の復旧費を要するのであります。その二百五十五億は、利根川のように全部国費でやりますものと、各都道府県で国から補助金をもらつて、一部は地方費を加えて復旧する分とがあるのでありますが、国が出す見込みのある金はこの二百五十五億の総計ではありませんで、一応計算してみますと、百七十八億円を国が出さなければ、地方の金を集めても昨年の災害は復旧できない、こういう勘定になるのであります。ところが昨昭和二十二年にあれだけの災害をこうむりまして、大騒ぎをして追加予算等計算たしたのであります。昨年中における災害復旧費というものは、ちようど五十一億円出したのでありますが、その中ででカザリン台風の六、七、八、九月の水害に対して出しました分は約二十五億円ばかりでございます。従つてその五十一億の中から二十五円ばかりを引いた残りは、昨年の災害以前の、たとえば昭和二年とか昭和十八年とか、はなはだしきは昭和十六年に起つた災害の跡始末のついていないものの方にまわつているわけでありますから、昨年の新しい災害にまわした分は二十二年度中においては二十四五億の金しか出ておらぬ。そこで、私が今申しました国が出さなければならぬ経費の百七十億からこれを引きますと、あと旧単価で百五十億出さなければ、去年の災害だけでも復旧しないという状況であります。しかも今度新物価等の改訂がありますと、この百五十何億という金はそれだけふくらませておそらく二百何十億、あるいは二百億という金額にふくらむだろうと思います。そうして昨年の災害でありますが、先ほどもちよつと触れましたように、二十二年度の災害以外の災害で、今まで跡始末のついていない災害が何十億かあるのでありまして、昨年の災害の跡始末と、それ以前の年の災害、つまり過年度災害の跡始末を合わせると、国から出さなければなら金は旧単価で二百五十億円以上にも相なるだろうと思います。かような金とそれに伴う資材を出さなければ、この災害は復旧できないのでありますから、建設院を初め農林省その他の関係各省は、この際が復旧費の獲得に非常に熱心でありまして、ただいま政府で策案いたしております二十三年度の本予算につきましては、旧単価で二百十億円の災害復旧費の要求を経済安定本部に出しております。もしこの二百十億円を安定本部が認めますならば、これが私の申しました数字と合うのでありまして、昨年の災害はもとより、過年度の災害についても大体の跡始末はとれるだろうと思いますが、しかし各省が安定本部に要求されておりますものは、二百十億円の災害復旧費だけではないのでありまして、そのほかに約八百億円くらいの公共事業費の要求がございます。これにはむろん住宅の建設であるとかあるいは六・三制の学校の設備であるとか、あるいは港湾の改修であるとか、また災害に直接関係あるところの河川そのものの改修、あるいは砂防の施設、あるいは開墾、開拓等の農業土木、これらの要求もあるのでありまして、災害復旧費と一般の事業費の八百何億かを合わせました各省の安定本部に対する要求、それの合計は一千七十五億という数字が旧単価で現われておるのであります。言いかえますならば、この一千何十億がそのまま政府の財政の中にはいるならば、災害復旧費も二百十億がはいるだろう。また水害対策費の方の二百十億円たけは活かして、ほかの方の事業をうんと削つて、五百億か六百億の範囲でこの予算がまとめ得るならば、水害復旧の方もかなりの程度にはいけると思うのでありますが、悲しいかな旧単価におきましても、さような千億はもとより、何百億というような歳出予算は、財政の現状においてはとうてい組めないし、特に今度価格、賃金等の改訂がありまして一切の単価が上つてきました場合、ただいま新聞等で傳わつておりますように、国の総予算が終戦処理費とか価格差補償金、あるいは復金への払込みというような大口のものを含めまして三千九百億という場合には、とてもこの公共事業費全体の金額を新単価でふくらました何百億、あるいは千億以上というような予算はなかなかはいりにくい。従つて本年度においてもまた国会各位の御激励やら、おしかりやらを受けながら、何とか曲りなりにも、水害の跡始末をやつていく程度にしか及ばないのではなかろうか。かような全体の見透しのもとに、われわれは苦心いたしております。決して二十三年度においては水害復旧だけは優先的に楽々できるという見透しでは、残念ながらないのでありまして、できるだけ今暫定予算に現われましたように、多くを組みこむ努力をいたしましても、ほかの事業をやめるわけにもまいらないのでございまして、なかなかその辺がむつかとところでございます。  この例を今問題になりました利根川等を含む河川についてみますと、実は河川が非常に荒れるので、始末をしなければならぬのでありますが、災害復旧だけに追われておりまして、毎年新しい災害を繰返すのでありますから、建設院としては災害復旧だけは、ぜひやつてくれという強い希望がありますけれれども、われわれが全体の予算なり、資材なわを組みます場合には、災害の復旧をやると同時に、川が荒れないだけのもとを直す。いわゆる治山治水の方にもできるだけ同時に手をまわしていかなければならないのでありまして、たとえば砂防であるとか、河川の改修であるとか、あるいは河水統制と申しまして、上流にダムをつくる工事等、これらを併せてやると申しますか、ある場合にはそれらを優先してやらなければ、いくら堤防を継ぎ足しても、すぐまたやられる。こういう状態にあるのでありまして河川改修、つまり治水が先か、災害復旧が先かという、そこの間に予算、資材のにらみ合いの問題が起ります。しかるに二十三年度の予算にわれわれが一応想定いたしておりますものは、これはまだ政府が審議中でありまして、この通りになるわけではありませんが、お許しを得まして、かりに旧単価で申し上げますと、河川関係の災害復旧費に四十二億余萬円を計上する予定になつております。これに対しまして河川の改修、つまりもとを正す方には二十二億円というような数字を載せる。合計川に対しまして六十数億円の金を投ずるのでありますが、災害復旧の方にその中のちようど七〇%を割かれて、あとの治水費の方には三〇%しかまわらない。こういうような予算のかつこうに相なつております。これも災害復旧に七〇彩まわすのがよいのか、あるいは治水の方をもつとしつかりやるのがよいのか、要するに両方をやらなければならない問題でありますが、かような苦心のありますことをざつくばらんに申し上げる次第であります。  なお別の数字を申し上げさしていただきますと、日本の田地田畑が御承知の通り五百九十萬町歩あるのでございますが、そのうちで川とか湖水とかの附近にありまして洪水の影響危険を受けます面積が約百七十八萬町歩あるのだそうであります。これは建設院のお調べであります。その五百九十萬町歩のうち、およそ二百九十萬町歩ぐらいがおそらく水田だろうと思いますが、その水田二百九七萬町歩のうち百七十八言内町歩が水害の危険を受ける地域にあるということは、ざつと考えましても当つた数字であろうと思います。その百七十八萬町歩の危険田畑のうちで、今日まで河川の改修によつて、一応安全なりということに達しておる田畑は七十四萬町歩あるそうでありまして、結局差引まだ百四萬町歩というものが、雨さえある程度、三百ミリですか四百ミリですか降れば、たちまち危険をこうむる。こういう状況にあるのでありまして、何とかしてこの残りの百四萬町歩の土地を安全にするためには、やはり治山、治水、砂防、河川改修という工事をやつていかなければ、災害でだめになつた所を追駈けまわしても、いつまでもこの方には手が届かない、毎年々々の日本の例によりまして、災害は累積しております。過去の災害復旧ができ上らないうちに、新しい災害が起るということになつてまいりますので、この辺雨方をにらんで意を用いたいと思つて、苦心をいたしております。大対お尋ねの今後の予算の見透しなり、今までの状況をごく正直に申し上げますと、かような次第に相なつております。

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 建設院総裁からちよつと設備関係の説明を願いたいと思います。

一松定吉民主党建設院総裁

○一松国務大臣 実は二時半から刑事訴訟法の小委員会を開くことになつているのでありますが、昨日以来の御要求でありまするし、皆様の御要求に対して、許す限り災害対策について申し上げまして、皆様の御理解を得たい、こういう考えで今向うの方を延ばして、こちらへ参りました。  今までの大蔵省の係官の御説明によりまして、予算のこまかいところは、ほぼ御了承を賜わつたことであろうと思いますが、私が今ここで申し上げたいことは、公共事業費、すなわち治水治山その他災害に関しまする大わくの予算の審議の状況を、許す限りの範囲内において皆様に御報告を申し上げて、御理解を得たいのであります。実は御承知のごとく公共事業費のわくの中で、災害復旧、一般河川の改修、港湾、道路、砂防、六・三制、国立公園もしくは国民健康保険というようなことを払うことになつておるのでありまして、公共事業者というわくの中には、このようにたくさんの種類が含まれております。それで私どもはとにかく教育だとか、あるいは水害対策というようなものは、わくをはずして、十分に活躍のできるようにした方がいいのじやないかということを、閣議で再三再四意見を述べておりますが、それがいろいろな事情ために許されないのであります。  そこで、しからば公共事業費というわくの中で、安本の方でどういうような予算を組んできたかということを大体申し上げますると、私ども公共事業費に直接関係ありまする閣僚が、いかに奮闘しておるかということの御理解を得ようと思うのでありますが、実は最初二百七十億というものを組んでまいつたのであります。ところがその二百七十億のうちで、二十億というものを災害の予算ということでこれをとつておく。すなわち二十三年度において何時災害が起るかもしれない。そういうときの応急処置費として、二十億円というものを予備にとつておくのだということでありまするから、結局のところ二百五十億円の金を公共事業費に使う。しかもその中で水害対策に使う費用は、ただいま大蔵省の関係官から御説明申し上げましたような金額にすぎないのであります。これではとうていわれわれの予期しておるような仕事の、十分の一にも足りないようなものでないか、こういうようなことではとうていわれわれは理解できないということで、いろいろ樽俎折衝を重ねました結果、結局のところ四百十億ということに、そのわくの範囲を広げてまいつたのであります。ところがその四百十億のうちで、やはり二十億というものは予備費にとつておくということでありますから、使うことのできまするのは三百九十億、その三百九十億というものは二百五十億に比べますると、百四十億殖えたということになつて、非常に喜ばしいようでありますが、それは結局二百七十億という予算を組んだ当時の物価に比較して、だんだん物価の高騰をその中に入れまして、これをはじき出してみますと、必ずしも百四十億というものが殖えたからといつて喜ぶにはあたらないのであります。でありまするから、それではいけないじやないか、もう少し何か殖やそうではないかというので、大蔵当局、安本当局、われわれ、文部大臣、厚生省も参加していろいろ研究したのでありまするが、なかなか金額思うようにとるごとかできない。そうするうちに御承知の軍事公債利払停止というようなことによつて二十七億何千萬円という金が浮いて出ることになつたのであります。その中でいろいろな費用だとか、あるいは穴損だとかいうようなものを詳細に計算してみますると、十五億ほどの金がそこに出てくるのであります。ゆえにその十五億の金のうちから災害の復旧費にまずとわあえず十億をまわそうとか、残りの五億のうち三億を海外引揚同胞の住宅経営の面に、わずかであるけれどもまわそうとか、残りの二億を六・三制の方にまわそうとか、そういうふうに話を進めてまいつているのでありますが、それでもなかなかわれわれの考えていることには達しません。そこでいろいろなことを考えてやつておりますが、今関係方面ともしきりにその点について交渉しております。本日も午後関係大臣がその方に出向いて折衝を重ねているという状況ですから、いま少しく多くの金がこのうちに織り込まれるようになろうと思うのであります。それ以外に今松井君のごときは、前の第一国会のときでもこの点について熱烈に御主張になりまして、私もその御熱には裏心から敬意を表しておりますので、何とかしてこれらの点を殖やしたい、かように考えておりました。与余の策として水害復旧国庫債券というようなものでも発行して、五年もしくは十年の償還期限ということにして、災害民の希望に応じてこれらのものを引受けていただく。それでも今の四百十億というわくのほかにそれだけ加えてやるということになれば、よほど工事進捗を見ることができるのではなかろうか、こういう方面にもひとつ関係方面とも折衝していただきたい。もしくは折衝しようということに実はいろいろ検討を重ねておる、のであります。ところが今民間における担税力というのさえも、今日よほど困つておる、六・三制の費用、その他の費用もずいぶん多い、そういうときに災害復興の国庫債券というものを発行して、はたしてこれを受け入れることができるだろうかというようなことまで実は心配しておりますが、しかしながら自分らの生命身体を保護するためにこれだけの金を出す、但しそれでは山しきれないが、ある一定の期間がくれば低利といえども少しばかりの利息がついて返つてくる。それなら他のものを辛抱してこれを引受けようという熱心なものももちろんあるだろうし、その点から研究してみようということで、実はそういう点で極力研究を続けておるのであります。  こういうふうでありますから、私どもの考えは、できる限り、予算の許す限り、この災害復旧をやろう、こういうことで熱烈に今やつております。もちろんこれらのことは二十三年度の予算がほぼ近いうちにきまつて、皆様の御審議を仰ぐごとになりますから、それまでしばらくの間お許しを願いまして、その全貌が明らかになりました上、にさらに詳細申し上げたい、かように私は考えておるのであります。今日はただほんの全貌だけを皆様に申し上げて、政府、なかんずく建設院の立場である私は特にその点についてカを区して、今閣議において奪国努力をしておるということだけを御理解願いたいのであります。詳細の数字は今の大体のことがきまりませんとほんとうはきまらない、それらの大きいことがきまりまして、そのきまつたものを何にどう振り当てるというように、現在その基礎はありますが、その基礎によつたものがほんとうの実行予算になろうと思います。さようにひとつお許しを願いたいのであります。

鈴木彌五郎民主党

○鈴木委員長 これより懇談会といたしましてざつくばらんにお話を進めていただきたいと思いますので、委員会はこれで散会いたします。     午後三時六分散会

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