治安及び地方制度委員会 第38号
- 発言数
- 66 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1948/06/15
会議録
○千賀委員長代理 ただいまから開会いたします。 今日の日程は風俗営業取締法案、警察官等職務執行法案、市町村立学校職員給與負担法案の三件でありますが、その前に日程を追加いたしまして、警察制度改革小委員長の小暮藤三郎君から中間報告を聽取いたすことにいたします。小暮君。
○小暮委員 これより警察制度改革小委員会の今日までにおける審議経過の中間報告をいたします。 本小委員会は去る五月十八日設置せられまして、即日十四名の小委員が委員長より指名されまして、同時に不肖私が小委員長に指名せられたのであります。そこで五月二十四日第一回の打合会を開き、まず今後本小委員会をいかに運営していくかにつきまして協議いたしましたところ、今日までの警察関係におきましては、ただに警察法の改正の問題ばかりでなく、そのほか警察制度に関する問題の檢討、警察官吏の教養問題、警察官吏の待遇問題、殊にただいまいろいろ問題になつております通信施設の一元化の問題、勤務制度の問題、整備の問題等、これから解決しなければならない問題が山積しているのであります。そこで本小委員会といたしましては、これらの諸事項を随時取上げ、善処していきたいと思いまして、それには小委会で関係当局を招致しまして説明を聽取するほか、必要の箇所に出張して視察を遂げ、その他公安委員や警察官吏等とも懇談し、新知識の吸收に努め、常時研究改善を加えていくということに決定いたしました。本日本小委員会の名称を警察法改正に関する小委員会とせず、特に警察制度改革小委員会といたしましたのも、かかる用意のためであると思うのであります。 そこで本小委員会は、以上述べました諸事項のうち、まず警察法の改正問題を取上げまして、これを檢討したのであります。本日はこの問題につきまして大体の結論を得ましたので、これからその概要を御説明申し上げたいと存じます。なお残余の問題に関しましては、その都度適当の時期をみまして随時御報告申し上げたいと存じます。 本小委員会におきまして警察法改正問題に関し、五月二十五日以後小委員打合会を開くこと五回、有松專門調査員起草の試案につきまして愼重審議を重ねました結果、遂に一定の成案を得たのであります。そこで、不肖私は委員長としまして、有松專門調査員とともに、五月二十八日連合軍総司令部公安局にプリアム大佐を訪れ、大体につき打合わせを行つた後、さらに六月四日、私どもは再び公安局を訪問いたしましてイートン・ハロルドF、マルバー及びエンゲルの三氏に面会しまして、約三時間にわたりまして改正案の内容につき詳細説明をいたしましたところ、公安局側は終始熱心にこれを聽取しまして、逐一これを筆記し、しかる後これから述べますように答弁をされまして、最後に、このような会合はきわめて有意義であるから、今後しばしばこれを開いて、常時檢討することにいたしたいという双方の意見が完全に一致し、きわめて有意義なる協議を愉快にいたしまして、その会見を終つたのであります。しかして右会見の結果は、如実にこれを当委員会に御報告申し上げ、各位の御理解を深めておくことが、警察法改正に関し、必要のことと認めましたので、私はさらに有松專門調査員と一緒に昨十四日イートン氏を公安局に訪ねまして、懇談の後これより御報告申し上げることにつきまして完全なる了解を得たのであります。 これより去る四日の打合会の結果を御報告するに際しまして、順序としましてまずわれわれ衆議院側が主張いたしました諸点を逐一御報告申し上げ、それが済んでから、それに関する各項に関して公安局側が答弁された点を申し上げますが、きわめて満足にお話合いができたと思うのであります。何とぞ暫時御清聽を煩わしたいと存じます。 第一に、衆議院側の説明の概要を申し上げたいと思います。 一、國家地方警察隊現在の三万人を五万人に増員とたいという件でございますが、今回の浜松事件及び神戸、大阪事件を通じまして、現在の國家地方警察隊の陣容をもつてしましては、自治体警察から援助の要求があつた場合、人数が少いために適切に援助ができないということが発見されたのであります。その理由は、現在の國家地方警察官は、本部におつて一定の地位にある者を除いては、人口五千以下の村落の駐在所に勤務するものであつて、これらは各所に散在しておりますので、非常の場合これを招集いたしまするのには、非常な時間を要し、また手数を要し、かつかくしてようやく集めた者は、平素の團体訓練が欠けておりますので、部隊活動をするのに能率があがらない点が見られるのであります。そこでこれに対処するために、各縣に約五百人ずつの訓練部隊を置きまして、常時はこれを教養して有時の際に備へ、非常時は機動部隊としましてこれを活動せしめる。そうして常時訓練部隊設置の必要ある場所を四十二府縣、及び北海道は廣いから四箇所とすれば、一箇所五百人ずつとしますと、合計が二万三千人となるのでありますが、これを少し縮めて約二万人の増員としたのであります。 二は都道府縣非常事態の特別措置、非常事態の布告を発する際にして、一々内閣総理大臣の手を煩わさなければならず、また内閣総理大臣は國家公安委員会の勧告に基かなければ動けない從來の非常事態の制度をもつてしましては、たびたび起つてはなりませんが、これからたびたび起りやすいこの非常事態に対処する場合、時機を失し、遺憾の点があるということを考えますれば、將來の國家非常事態に準ずるものとして、大体國家非常事態の規定にならつて、新たに都道府縣非常事態に関する必要な規定を設けようとするものであります。その方法は都道府縣知事が都道府縣非常事態の布告を発するには、都道府縣公安委員会の勧告に基くことを要し、布告を発した場合には遅滞なくこれを内閣総理大臣に報告するとともに、布告を発して後二十日以内に、都道府縣議会の承認を求めることとし、もしその承認を得られないか、あるいは議決に至らなかつた場合には、その布告は將來失効する。布告の効果として都道府縣知事が、一時的にその都道府縣内の警察統制を行うことを規定する。また都道府縣非常事態と國家非常事態との関係については、同一事件につき競合し得るものといたしまして、但しその場合國家非常事態の布告が発せられたときは、都道府縣非常事態の布告は將來失効するものとする。 三は相互援助規定の完備、從來自治体警察が國家地方警察に向つて援助を要求し得る規定はあつたが、國家地方警察から自治体警察にまた國家地方警察相互間、もしくは自治体警察相互間に援助を要求し得る規定がない。援助に行つた警察官吏がその行く先で職務を行使し得る規定もないので、はなはだ不都合であつたから、今回規定を改正して、この不都合を除去することとしたのであります。また援助を要求する場合、從來はこれを自治体公安委員会がみずからなさなければならなかつたのでありますから、火急の場合に間に合わぬことがあつたので、今回はかかる場合には警察長がこれをなし得ることとし、その不便を排除して、警察長はこの場合遅滞なくこれを公安委員会に報告すべきこととし、公安委員会存在の意義を滅却することのないように期するものであります。また警察官吏が他管内へ援助に行つた場合、その費用に関しまして明文がなかつたために、從來支障が少くなかつたから、費用に関する規定を設け、疑問や支障を來さないようにいたしたいのでありますが、なお國家地方警察から市町村警察へ援助に行つた場合、その費用を國で負担することといたしたい。それはこうしておかないと、費用の節約のために、本來の大事な援助要求を怠り、治安の維持に遺憾が起りはしないかということをおそれたのであります。 以上の観点から警察法第五十五條を次のように改めたい。「都道府縣公安委員会または市町村公安委員会は必要があると認めたときは、他の國家地方警察または市町村警察に対して援助の要求をなすことができる。前項の場合において急を要するときは、警察長は前段の援助の要求をなすことができる。この場合においては警察長は遅滞なくこれを公安委員会に報告しなければならない。前三項の規定によつて援助のために派遣せられた警察官または警察吏員は、援助の要求をなした公安委員会の運営管理のもとにその職権を行使することができる」というふうにしたいのであります。第一項及び第二項の規定による援助のために必要な費用は、援助を要求した公安委員会の属する國または市町村の負担とする。但し國家地方警察から市町村警察へ援助に行つた場合は、その費用は國庫の負担とする。 四に應援費の問題、國家非常事態の場合、市町村警察長が國家地方警察本部長官または警察管区本部長の命令により、その市町村吏員をその市町村の区域外に出動せしめたときは、それに要する経費につきましては明文がないため、たれが負担するか明瞭でなく、そのためもしこれをその市町村に負担させるようなことがあつては酷であるから、かかる疑問や不合理を避けるために、これに要する経費は國庫の負担とする旨の明文を掲げたいのであります。 五、情報報告の義務、市町村警察長は、犯罪統計や、犯罪鑑識に関する事項は、一定の形式により、都道府縣警察長を通じ、これを國家地方警察本部長官に報告する義務があるが、情報の報告に関しては、何らの規定もありません。神戸事件のごとき、すでに久しい前から尼ヶ崎市においてその徴候があつたのであるから、もし尼ヶ崎警察長がこれに関する情報を神戸市警警察長に送つていさえしたならば、あんな事件は重大事になることを未前に防止し得たのであろうと言われておる。なお市町村警察長に対して、新たに治安維持のため必要な情報の報告義務を課せんとするのであります。 六が教養の施設関係の規定の完備でありますが、警察管区学校、警察大学校に関する事項は警察法に別段規定がないから、これを政令で定めてもよいようなものでありますが、これらの学校は他の普通の学校とは違つておりまして、直接人民の福祉に影響する点が多いので、特にこれを法律で定むべきものといたしたい。また都道府縣警察学校をだれが維持し、運営するかに関して明文がない。管区警察学校及び警察大学校は、國家地方警察がこれを維持し、運営する旨の規定があるに比較し、疑問を生じやすいから、これを明瞭にし、かつ法文の体裁を整える上からも、都道府縣警察学校は、都道府縣國家地方警察が、維持し、運営する旨の規定を置くようにしたいのであります。 次に市町村警察の下部機構でありますが、市町村警察署の下部機構については、二つのものを規定いたしたいのであります。その第一は、都道府縣國家地方警察には、警察署の下部組織としまして、派出所または駐在所を置くべきことが警察法の第二十八條第四項の規定によつて明らかでありますが、自治体警察に対しては、これに該当する規定がないので、明瞭を欠く不便が多いから、改正の場合にこれを明らかにする條文を附加したい。但し都道府縣警察にありましては、置くことができるとしないで、單に置くと書いてあるから、派出所か駐在所かのどちらかを置かなければならないが、市町村警察にあつては必ずこれを置かなければならないこととすると、 〔千賀委員長代理退席委員長着席〕 財政などの問題から支障を來すこともあり得るので置くことができるとして、その設置に選択の余地を残したのであります。かつその規定の附加によりまして、市町村警察の下部機構は置いてはならぬという疑問が解消するわけであります。その第二点は市町村警察署に下部機構としまして、派出所または駐在所を置くことができるとする以上、その下部機構の位置、名称及び管轄区域は、市町村警察長がこれを独断專行しないために、市町村公安委員会の意見を徴して、市町村條例でこれを定めることとしたい。 八、國家地方警察本部等の警察官の階級、都道府縣國家地方警察に属する警察官の階級は、警察法第三十五條第二項に明記せられており、市町村警察に属する警察吏員の階級もまた第四十六條第二項の規定によつて明らかである。しかるに國家地方警察本部にありましては、本部長官、次長及び部長は法に明記せられておりますが、部長より下の課長以下の警察官の階級に関しましては明文がないのであります。また國家地方警察管区本部にあつても管区本部長以外の警察官の階級に関しては明文がない。そこでこれらのものが轉任したりする場合は不便が少くないので、大体都道府縣警察及び市町村警察と同様に、警部、警部補巡査部長、及び巡査の階級を設けんとするものであります。但し課長の地位にある者の階級は、都道府縣警察長に相当するものであつて、警視よりも一階級高めるのを適当と思いまして、新たに警視の上に警視正という階級を設けんとするものであります。 以上が私どもが公安局側に申し述べました概要でありまして、これにつきまして公安局側の回答の概要を申し上げたいと思います。 以上申し上げました話を聽きました後に、公安局といたしましては、國会がかくも熱心に警察法の問題に関心をもつておることを知り、深く喜ぶとともに、またかくも精細に意見を立てられたことにつきましては、大いに敬意を表するものである。ただいま述べられた諸点はいずれも首肯し得るものであつて、われわれもすでに考えていたものであり、これらはよく意に留めておいて、大いに参考といたしたい。ただいま述べられた諸点に関して、これから一々お答えいたしたいと思うが、その前にこのことを申し上げておかなければならない。それは、現在の警察法が國会を通過して法律になり得るまでには、過去二年という長い時間を必要とした、この法律がいよいよ制定せられるまでには日本の警察がいかに大きな努力を拂つたか、まずそれを念頭に置かれたい。また新警察法は昨年の十二月に公布せられ、それが実施せられたのは本年の三月七日であつた、本日までにわずか三箇月しか経過していないのである。なるほど新しい警察法は順調に滑り出した。しかしこれについては約五千人の公安委員、約十万人の警察官吏及び相当数の進駐軍職員を再教育せざるを得ない。そこで今新法を改正せんとするときは、またまたこの再教育を新たにやり直さなければならない。そこで今日この警察法を改正したいと思つておる諸点に関しては、法律を常識的に解釈し、運用し、この際どうにかして新法を生かす態度をとつてもらい、今後六箇月ないし八箇月間おもむろに推移を静観していきたい。そうすればあるいは今後改正しようと思うておる諸点もあるいは改正をしないでも済むかもしれない、とにかくそういう経過はあつても改正の意図を放棄しようというのではない。暫時試驗的に檢討期間を設け、その間に常時互いに研究を続けていきたいと思う。 それで一の國家地方警察隊三万人を五万人に増員する件、これについての公安局側の意見でございますが、一人の訓練を経た人は、数人の訓練を経ない人よりもましである。現在國家地方警察には三万人の隊員がおるが、これらの者の全部に対し、未だ新警察法の訓練が完了したとは言えない。今日の急務はまずこの三万人の訓練を全うすることである。この完了を見ないうちに、さらに二万人の増員をすることは、未訓練者を増加するものであるから困ることになる。またこの三万人の警察隊が、いかなる仕事をなすかは今日未知数であるから、この三万人という比率を変更する非難に対する回答は困難である。 二に、都道府縣非常事態の特別措置でありますが、都道府縣非常事態に際し、特別措置を講じなければならぬという意義は十分に認めるところである。ただ日本には地方自治の育成ということが必要である。しかるに非常事態が布告せられると、自治体警察は國家警察の統制下に服さねばならぬことになる。これは短期間といえども自治体警察の機能が停止することになるので、惡い習慣をつけ、地方自治の発達を阻害することとなる。われわれもこれより調査檢討してみたい。それには少し期間をおいてもらいたい。またこの問題は都道府縣内の問題であるから、法律を改正しなくても、都道府縣議会の問題として條例で同じ目的を達するようにはできないのであるか、互いに研究してみたい。 次に相互援助規定の完備、これについての意見でございますが、われわれも相互援助の規定を改正する氣持はあるが、改正しないで同じ目的を達するような工夫はできないのであろうか。たとえば國家地方警察から自治体警察に援助を求めた場合、自治体警察吏員は一市民として援助に行くものであつて、非常事態のごときは現行犯として律せられるものが多いから、市民が現行犯人を逮捕するというふうにやつてはどうか。また警察長が公安委員会の指令を待たないで、直接援助の要求をなし得るよう改正したいという問題については、法律を改正しなくとも、あらかじめかかる権限を公安委員会から警察長に移讓するように、都道府縣條例を定めるという措置をとつてはどうか。 次は情報報告の義務であります。この情報というものはややもすれば私生活に干渉する傾向のあるものである。非民主的なものであるがゆえに情報を報告することを義務的にするのは危險である。どうしても必要な場合は治安を維持するに必要な程度に限るべきものである。これが公安局側の意見の概要であります。 以上私の小委員長としての報告を終ります。
○坂東委員長 警察制度改革に関する小委員会が、その筋との打合せの結果はただいま小委員長小暮藤三郎君の詳細な報告の通りでありますが、本日は中間報告を聽取することだけにいたします。 ―――――――――――――
○坂東委員長 なお本日の日程は風俗営業取締法案、警察官等職務執行法案、並びに市町村立学校職員給與負担法案でありますが、便宜上市町村立学校職員給與負担法案を議題といたします。政府委員細野三千雄君からその説明を求めます。
○細野政府委員 ただいま議題になりました市町村立学校職員給與負担法について、まず大要を御説明申し上げます。 第一條は、市町村立の小学校、中学校盲学校及び聾学校の職員の俸給その他の給與を都道府縣負担とする規定であります。この規定は從來政令で規定されておりましたが地方自治法の解釈、今回制定を予想されます地方財政法等によりまして、これを法律に改めることが適当であると考えたからであります。内容につきましては、從來の政令とほば同様でありますが、新たに義務制となりました盲学校及び聾学校を加えたこと、從來主として市町村負担でありました退官退職手当、日直手当、宿直手当を今回都道府縣の負担としたこと等がおもなる内容であります。 第二條は市町村立高等学校の定時制の課程の職員の俸給その他の給與を都道府縣の負担とする規定であります。 從來勤労青年の教育は主として青年学校において行われておりまして、その職員の俸給等は都道府縣の負担とされておりました。しかるに、この四月一日より青年学校が廃止されることになりましたので、勤労青年の教育は、主として新制高等学校の定時制の課程において行われることとなりました。從いまして勤労青年の教育を振興するという趣旨から、市町村立高等学校の定時制の課程の職員の俸給等を、青年学校と同様、都道府縣の負担とした次第であります。 附則におきましては、この法律が四月一日にさかのぼつて適用されることを明らかにいたしますとともに、先にも申し上げました理由によりまして、從來の政令を廃止いたすこととしました。しかしながら市町村立の旧制中等学校に併置された新制中学校につきましては、主として義務教育に属しない学年、すなわち本年度におきましては第三学年の授業を担任いたしております教員の俸給等は、從前通り市町村の負担といたしております。何卒愼重御審議の上、速やかに議決されるようお願いいたします。 なお本法に関連いたしまして、学校教育法及び義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律、公立高等学校定時制課程職員費國庫補助法、この二つの法律が財政及び金融委員会に付託になつておるのでありますが、今議題となりました法案の第一條の都道府縣の負担となりまするもののうちの半額は、この義務教育費國庫負担法の一部を改正する法律によりまして國が補助するのであります。 第二條の定時制高等学校の職員の都道府縣の負担になりますもののうち、十分の四は國庫が補助することにこの二つの法律で規定せられておるのであります。 以上説明を終ります。
○坂東委員長 議事進行の都合上、本法案に関する質疑は次会以後にまわしまして、次に警察官等職務執行法案を議題に供します。政府委員國家地方警察本部長官斎藤昇君から提案理由の御説明を願います。
○斎藤政府委員 今回政府より提出いたしました警察官等職務執行法案の提案理由について御説明申し上げます。 御承知の通り新警察法には、警察官及び警察吏員の職務執行上の権限や責任に関する具体的な規定はまつたくこれを包含していないのであります。從來は行政執行法及び行政警察規則において、警察官の職務執行の心得や、権限、責任等を規定いたしておつたのでありますが、その形式も内容もいささか新憲法の精神にふさわしくないものがありますので、先般御審議の結果行政執行法は廃止せられたわけでありまして、このために警察官等の行う保護や犯罪防止のための立ち入りや、緊急の場合におけるやむを得ざる措置について、新たに法的の根拠を設ける必要が生ずるに至つたのであります。その他警察官による緊急避難の処置や、犯罪の予防、制止の権能や、武器使用の権限などにつきましても、從來明確な規定がなかつたのでありますが、この際人権を尊重するまつたく新しい見地から、必要な最小限の事項を具体的に規定した方が新憲法の精神に副い、また民衆や警察にとつても好ましいと考えましたので、これらの事項を一括してこの法律を立案したわけであります。 次にこの法案の内容について御説明申上げます。この法案は本則八箇條、及び附則からなつておりまして、第一條はこの法律の目的を述べ、警察官等が警察法に規定されました職務権限を忠実に遂行する手段は右の目的のためにのみ用いられることを規定いたし、いやしくも濫用するようなことのないように戒めております。 次に第二條は犯罪の予防または搜査上必要な質問をすることができることを定めたものであります。 第三條は、應急の救護を必要とする者があつた場合、これに対しまして適当な保護を加えることを規定したものであります。 第四條は、天災、事変、交通事故、火災、爆発、極端な雑沓等の際、著しく秩序が乱れて、人の生命、身体、財産に危害の及ぶおそれのあるときは、警察官等の本務から考えまして、これらの場所に居合わせた者や、関係者に警告したり、必要なときはこれらの人々を避難させたり、または眞にやむを得ないときは、おのずから必要な措置をすることができる旨を規定したのであります。 第五條は人が無意識にまたはみずから意識して罪となるような事をしようとしているとき、これに警告してその行為をやめさせたり、それが著しく危險で急を要しまするときは、その行為を制止することができる旨を定めております。 第六條は、前の第四條、第五條のような場合に、その事の行われまたはこれに関係のある土地、建物、船等に立ち入ることと、人の多数集まる公開された場所において犯罪が行われたり、生命、財産に危險が起ることを予防するために、それらの場所に立ち入ることを規定しておるのであります。 第七條は、武器使用の規定でありまして、犯人の逮捕、逃走防止、正当防衞、緊急避難等の場合に限りまして、必要な限度で武器を使用することができるのでありますが、その場合におきましても、特に重大な犯罪を取扱う場合あるいは他にまつたく手段がない場合のほか、他人の身体に危害を與えてはならないと定められております。 以上がこの法律案の概要であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
○坂東委員長 本法律案は議事進行の都合上、質問は次会以降に讓ります。 次は風俗営業取締法案につきまして前会に引続いて質疑を続行いたします。
○間狩説明員 先日の委員会で第八條の関係につきまして御質問がございましたが、そのお答えを留保いたしましたのでこの際お答えいたします。 行政犯について両罰の規定を設けておりまするのは、他の法律におきましても一般に例のあることでありますが、この場合に法人または人に対し同條の罰金刑を課する、この人が刑事無能力者であるような場合には罰金を課することができるかどうかという御質問だつたのであります。この点につきましては学説は両方にわかれておるようでありまして、罰金を課することができるという説と、できぬという見解と相対立しておるのでありますが、別にこの点に関する判例は現在ございません。ところが以前の司法省の刑事局といたしましては、この点に関する見解を昭和十三年ごろに輸出入品等臨時措置法という法律において一應決定をいたしまして、指示されておるのであります。それによりますとかような場合に営業者が刑事未成年者なる場合といえども、その從業者の違反行為について責任を負うべきものとすという通牒が発せられておるのであります。從つてかような例がございますので、本法の第八條の関係につきましても政府としては同様の見解でおるわけであります。
○高橋(禎)委員 そうしますと、いま一度確かめておきますが、第八條の場合、人が刑事未成年者その他刑事無能力者である場合には、從業者の違反行為について刑事責任がある、こういう御意見なんでございますか。
○間狩説明員 さようでございます。
○高橋(禎)委員 むしろそういう御意見であるとすると、そのような営業者の法定代理人に刑事責任を負わせるということの方が取締りの目的を達するに適当であると思われるのですが、その点はいかがでしようか。
○間狩説明員 ただいまの御意見ごもつともだと思います。一般の場合に行政犯の両罰規定はかような形式、方法でもつて規定いたしておりますし、この場合特に一般の場合と異なつて、今お話のような規定を設ける必要もないかと思いまして、かような規定にしておるわけであります。
○高橋(禎)委員 私の見解では從來の立法例というものにこの際大いに反省を加えなければならないものがあると考えておるのでありまして、ほとんど新立法が同じ文句を踏襲して、いかにも惰性的に規定されておるのではないかという疑いをもつておるのでありますが、風俗営業のごときは、刑事未成年者が営業者になつておるような場合、実質上は法定代理人がその営業の実権を握つていて、その法定代理人の意思によつて営業をいたしておると見るべきものが大部分だということになるのでありますから、その実質的に営業をいたしておるものを取締らないで、單に刑事未成年その他犯罪無能力者を処罰したのでは、とうてい取締りの目的を達し得ないのではないかと思うのでありますが、その点について御再考を願いたいと思うのであります。
○間狩説明員 お話のように非常な年少の者が営業者になつておる場合には、法定代理人がその営業に関する連帶責任を負うということに事実問題としてなると思うのであります。さような場合に本人を処罰しないで法定代理人を処罰した方がより効果的であるという点もごもつともな御意見だと思うのであります。しかしこの場合はむろん体刑はないのでありまして、單なる罰金刑でございますので、法廷代理人が十分なる責任をもち、良心的にやつていくならば、その営業者本人に罰金を科せられるようなことがありますれば、ただちにこれは法廷代理人の責任だというふうに通常考えるものだと思うのであります。從いまして本人に罰金がかかるということでありますならば、十分に目的を達成することができると思います。
○高橋(禎)委員 私が前回に質問いたしました点について、政府側より御答弁のありましたところにまだ納得しがたき点がございますので、いま一應念を押しておきたいと思うのであります。それは第一條の第一号にありまする婦女という言葉を削つて、男子女子が客の接待をする場合全部を含むというふうに規定することによつて、本法の目的を達するに支障があるかないか。むしろ私のただいま申し上げた婦女を削つた方が、本法の目的を達するのによりいいものであると思えるのでありますが、その点についていま一度御答弁が願いたいと思います。
○間狩説明員 婦女を削除いたしまして、男子でも女子でも客の接待をいたしまして客に遊興または飲食をさせる営業ということになつた場合に、取締上不都合な点があるかないかというと、不都合な点はないと思います。差支えないのでありますが、私どもが風俗営業取締法案を立案いたします当初の考え方が、必要最小限度の取締りに止めていきたい、どうしても放任することができないものだけを取締りの対象にしていこう、さような考え方でございますので、婦女が接待をいたしますものが風俗犯罪の予防の見地から特に重要なのでありまして、男子が接待をするという場合には、それほど重要性がないと思うのであります。さような観点からいたしまして、むしろ範囲を拡張しないで、この程度の範囲の方が適当ではないかと考えるのであります。
○高橋(禎)委員 次に第二條の許可機関を公安委員会でなく、警察署長にするということによつて、何か弊害でもあり得るでありましようか、その点いかがでありましようか。
○武藤政府委員 新しい警察法の建前から申しまして、警察の運営の責任者は都道府縣の公安委員会あるいは市町村の自治体警察の公安委員会であります。從つて重要な事項については公安委員会の権限に所属せしめる方が適当ではないか、すでに道路交通取締法等におきましても、重要な事項は公安委員会の許可というふうにいたしておりますし、また古物商取締法、こういつたものはすべて公安委員会において許可をするということになつております。新しい警察の運営の点からいきまして、公安委員会制度によつていくことが適当であると考えます。
○高橋(禎)委員 実際問題としまして風俗営業というものは各地方に非常に数が多いと思うのでありますが、公安委員会においてこれを正確に調査して許可を與えるというような仕事が今の段階において完全になし得るというようにお考えになつておられるのでありましようかいかがでしようか。
○武藤政府委員 もちろん公安委員会が許可をいたすにつきましても、その事務局といたしましての警察がその調査等にあたるわけでありまして、十分に警察において調査をして、責任者として公安委員会がこれに許可をするといつた方向になつております。
○高橋(禎)委員 その場合今お話のように、警察が調査蒐集した資料に基いて公安委員会が決定をするというやり方は、警察が調査して公安委員会が責任をもつということになるのでありますが、警察が資料を蒐集し、それに基いて警察が責任をもつて事を決するということにいたした方が、むしろ公正妥当な結果が得られるではないかと思えるのですが、その点いかがでありますか。
○武藤政府委員 御意見でございますが、新警察法におきまして運営の責任者はあくまでも公安委員会でございます。從つてその事務局たる警察が十分に調査する、その調査したものをさらに公安委員が愼重にこれを檢討して、しかる上において許可あるいは許可しないという決定をするのが十分愼重を期するゆえんであり、事務局の單なる意見によつてすぐ決定しない、さらにそれを公安委員会において檢討するという点で十分に愼重を期する、同時にまた公安委員会がその警察の運営の責任者としての立場においてこれを決定をするというのが妥当ではないかと思います。
○高橋(禎)委員 現在の警察制度の点から考えまして、ただいまお答えのような趣旨のものであることは私も同感なのであります。ただ私の憂えますことは、本法がいわゆる異議の申立という方法を認めておりませんので、その異議申立の制度を認めたいのでありますが、その方法として許可権を警察署長に與えて、そうしてもしその処置が不正であり不当であるという場合に、業者から公安委員会に対して異議の申立をなすというような制度も考えられると思うのでありますが、これについての御意見はいかがでありますか。
○武藤政府委員 ごもつともな御意見とも考えるのでありますが、訴願法一般の問題として別個に研究すべき点もございましようが、もちろん違法の処分というような場合については、訴訟の途が開かれております。訴訟によつてこの方法を救済するということも考えられるわけであります。ただもちろん訴訟という煩雜な手続によらないで、もつと簡便な方法がないかという点が御意見の趣旨だと思いますが、これについては訴願法というものを檢討する必要があるということは私も考えております。現在におきましては、違法な処分については、訴訟という途によつてやるというのがよろしいのではないかと思います。
○高橋(禎)委員 第二條の許可を與うるや否やという問題と、第四條の営業の許可を取消し、または営業の停止を命じ、その他必要なる処分を命ずるということですが、それらの処分が不正であり、不当であるときの救済ということは、風俗営業の場合においては、きわめて業者としましては緊急を要する問題であるのであります。これについて異議申立の方法がなく、急速にこれを是正するの途が開かれていないということになりますと、ただいま考えられますことは、訴訟の方法一つでありますが、ただ救済手段があると言つて満足するのは、これは法律ということのみを考える、――社会の実際生活を考えないで、法律の條文だけを考えるということになればそうかもしれませんけれども、実際生活という点と総合して考えますと、どうも、訴訟の方法によつて実質的に救済ができるようなものではないのであります。これは前回もお尋ねいたしたのでありますが、現在の訴訟の状況をみますと、非常に訴訟が遅延しまして、長いものになりますと、数年間を要するというようなことになつているのであります。たとえば第四條の場合の例をとりましても、これまで営業していた者が営業の許可を取消されて、しかもそれが不正であつたというような場合に、訴訟の方法によつておりますと、かりに判決によつてこの処分が過つていたというので取消されたような場合でも、実際上はもうすでに業者は設備をそのままにもちこたえているという場合は少かろうと思えるのでありまして、とうてい訴訟によつて実質的には救済し得ないと思うのであります。ですからほかの法律において、異議申立、訴願等の救済方法が講じられておらないといたしましても、風俗営業のようなものは、その営業の態様等からみましても、ぜひ不正不当の処分を急速に救済し、是正する途を講じておかなければならない。それが立法者の責任であると私は思えるのであります。それゆえにここに救済の途を考えたい、異議申立の方法を考えたいと存じまして、先ほどお尋ねいたしましたように、その途が開かれておらない以上は、署長に許可権も與え、そうして公安委員会に異議申立等をなし得る途を開くことが賢明ではないかと思うのであります。何とぞ御答弁をお願いいたします。
○斎藤(昇)政府委員 ただいまの御意見はまことにごもつともでありまして、一つのりつぱな御見識だと私は存じます。ただ先ほどから刑事部長がお答えいたしておりますように、こういつた種類の許可は、警察署長でなくて公安委員会に許可させるという立法の前例になつておりまする関係から、原案がさようにつくられておるのであります。前國会に提案をいたしました古物取締法におきましては、警察署長に許可させるということになつておりましたのを、第一回の國会で公安委員会に許可をさせる方がよろしいという趣旨で、改正案を政府から提案いたしたのであります。さような意味で、公安委員会の権限を尊重するという意味で提案をいたした次第でございますが、私の方は強いてこの意見を固執するのではございません。他の法令にもすでに公安委員会の権限に属しておるものがございますので、これについての行政救済の途につきましては、なお別途訴願の方法等によつて解決をはかつていただかなければならぬ問題だろうと思います。率直な意見としましては、私は強いて反対いたしません。
○高橋(禎)委員 ただいまお話のありました警察署長よりは公安委員会を尊重するという御態度は、結局國民をいかにして保護するか、いかにして國民に満足のいくような立法をするかというところから出発されたものであると思うのであります。しかしただ形式だけが署長から公安委員会ということになりましても、さて公平に考えて、実質上國民が非常な不安をもつというようなものであつてはならないと考えますので、私は先ほどのようなお尋ねをいたしたのであります。 さらにお伺いいたしたいのは、この場合、許可権を公安委員会に與えると仮定しまして、異議申立その他救済方法を地方議会をして当らしむるような制度を設けるということについては、いかがでありましようか。
○武藤政府委員 一つの御意見として、十分に研究に値すると存じます。ただ御承知の通りに、警察法におきましては、公安委員の任免について知事が都道府縣会の承認を得るということになつております。それ以外の運営管理については、都道府縣知事ないしは都道府縣議会というものは、これに関與しない建前になつております。そういつた点とにらみ合わせて、相当研究しなければならない問題がたくさんあるのではないかと存じます。
○高橋(禎)委員 法律をもつて新しく地方議会に、先ほど申し上げましたような権限を與えるということにすれば、決して不可能でなく、不相当のものでないと思えるのでありますが、ただいままで御研究になつたところで、そのようなことはできないというような根拠を何かおもちでしようか。
○武藤政府委員 私が申し上げました趣旨は、法律の形式の問題ではなくて、新警察法の精神の実体という点から考えて、都道府縣議会が公安委員会の職について関與するといつたことが、はたして新警察法の性格からいつて適当であるかどうかという点で、大いに研究しなければならないということを申したのであります。
○高橋(禎)委員 第六條のいわゆる風俗営業の営業所に立ち入るということは、この前の御説明で、從來の臨檢ということと同趣旨のように承つたのでありますが、私はこの規定はやはり憲法の精神に反するものと思えるのであります。政府の御答弁のごとくにいたしましても、私はそこに非常に疑問があると思いまするから、この立ち入りをなし得る場合、やはり他にこれまでいろいろの立法例がございますが、裁判官の許可状を得るということにする方が適当ではないかと思えるのですが、この点についてはいかがですか。
○武藤政府委員 この一点につきまして、憲法第三十五條との関係については、先般の委員会において法制長官から御答弁申し上げた通り、三十五條の規定とは関係なきもの、別個のものであるという解訳を堅持しております。食品衞生法その他前会に例を引いて申し上げました通り、さような法案に出ておりまするような立法例もたくさん出ております。それに從つて本案もつくられたものであります。
○高橋(禎)委員 裁判官の許可状を得て立ち入るということにすることについて、何か取締上支障が起り得るでありましようか。
○間狩説明員 第六條の立ち入りは、公安委員会が取締りに関する行政上の権限をむろんもつておるわけでありまして、その行政上の権限を良心的に、また適正に行使するために、営業所の状態を檢査、あるいは視察することが必要だ、それを認めたという趣旨なのでございまして、さような行政上のためにする立ち入りの場合に、一々裁判官の許可状がなければできないということになりましては、とうてい風俗取締りの目的を達成することができないだろうと思います。
○高橋(禎)委員 第六條の場合には、私どもの考えでは警察官が活動される場合が非常に多いと思うのであります。現在の警察官の程度をもつてしては、第六條の規定を濫用するようなことが起るように考えられてならないのでありまして、そこに裁判官の許可状を得て、公正に立ち入るということの方が、これは業者のためのみならず、現在の程度の警察官をもつてしては、警察官のためにもなるというふうにさえ考えられるのでありますが、いかがでございましよう。
○間狩説明員 立ち入りをいたしまして檢査等をする必要は、法律や條例にきめられた違反の、大体に現行の場合が非常に多いと思うのでありまして、あらかじめ一定の不都合なと申しますか、好ましくないことがあるので、それを調べるというような場合よりは、むしろこの業態の通常の形といたしまして、現場にはいつて見たときに、その從業員なりあるいはお客の間で、好ましくない行為が行われておるというようなことが多いと思うのであります。さような場合にこれに対する適当な行政上の制裁を加えなければならぬというようなこともありますので、一々裁判官の令状がなければはいつて行けないということになりますと、十分に目的を達成しがたい。同時に警察官自身のこれに対する濫用はまた別の問題といたしまして、この法律が施行されますれば、一層嚴重に教養をいたし、また監督も嚴にしていかなければならぬと思うのであります。同時に立ち入りが、むろん正当な理由なくして不法の立ち入りというようなことになりますれば、これは当然にこの第六條に認められた現場を視察するものとしても、不法なる侵入になりますので、当該営業者としてもこれに対する対抗の手段が法律上認められるわけでありますので、まず目的を達成いたしますためには、この程度の規定にいたしまして、運用の上におきまして十分に注意をするということにいたしたいと思うのであります。
○門司委員 ちよつと一言だけ聽いておきたいと思います。第五條に「公開による聽問」と書いてありますが、この聽問の範囲を一應お聽かせ願いたいと思います。
○間狩説明員 第四條による営業の許可の取消しまたは停止を命ずる場合――前提條件といたしまして、当該営業に関して法令または前條の規定に基く都道府縣條例の違反行為がなければならないということになつておるのでありまして、その違反行為があつたかなかつたかという点につきまして、公正なる判定をするというために、この聽問を行うわけであります。從つて公安委員会が聽問を主宰いたしまして、当該営業者の出頭を求めて、営業者側の言い分を十分に聽く。この場合に当該営業者が弁護人を代理に立てたり、あるいは証人を利用するということは、もちろん自由にできるのであります。
○門司委員 これは公開となつておりますが、さらに第二項で、この「聽問の期日及び場所を、期日の一週間前までに、当該営業者に通告しなければならない」と書いてありますが、これはただ当該営業者だけでありますか、それとも公開という問題は、一般の聽衆を入れてもいいという意味でありますか、どつちでありますか。
○武藤政府委員 字句としてあるいは正確を欠いておるかもしれませんが、公開によるという趣旨で、当然一般に示す、從つて裁判所等でやられておるように、警察署前に公告をするといつた方法によりまして、一般に公開するということであります。
○高橋(禎)委員 ただいま門司委員の質問にお答えになりましたこの第五條関係でいわゆる公開なさるのでしたら、当該営業者に通告するだけでなく、一般に公示するというような制度を置いた方が徹底すると思うのですが、それはいかがでありますか。
○武藤政府委員 正確に申しますれば、そういつたことも必要と存じますが、この公開によるという字句によつて、おのずから公開という趣旨を示しておるつもりでございます。
○高橋(禎)委員 第六條の点でありますが、先ほどの御答弁ですと、いかにも現行犯を発見するために必要があるから立ち入るといつた感じをもたせられるのでありますが、それであれば、なおさら非常な危險が感ぜられるのであります。それは不法に立ち入つたならば、そこに立ち入つた者の権利の濫用として、いろいろ犯罪その他の問題が起りますから、その方で救済できるというような御意見と思うのでありますけれども、しかし業者はある意味においては警察に対しては非常に弱い立場にあると思うのでありまして、とても一つ一つの不穏当なる立ち入りに対して、それを正式に公の機関に訴えて救済を受けるというようなことは、そうだれにでもできることではないと私は思うのであります。むしろ多くの人は泣き寝入りをするというようなことになりがちだと考えるのでありまして、先ほどの答弁を伺いましても、私の考えておりますように、非常に業者に不安をもたせる、そうしてまた一般の正しい客に対しても不愉快な思いをさせるようなことが多くて、この風俗営業といえども正しい営業として認め、そしてこれを正しく発展さしていこうという考え方からしますると、どうしても先ほどお尋ねしましたような裁判官の許可状をもつて、公正妥当にその職務を遂行していくということの方が、非常に進歩した文化的なやり方だ、民主的なやり方だと思えるのでありますが、いかがでありますか。
○武藤政府委員 この立ち入りにつきましては、本法並びに條例が励行されておるかということを見て歩くわけであります。たとえば家の構造、あるいは電氣などの照明というものが、條例を守つておるかどうかということを見て歩くといつた趣旨のものであります。かようなものについて、一々裁判官の令状を請求してやるということは、あまりにも手数を要するというようなことも考えられますし、また警察官について非常に御信頼なさらないお言葉もございましたが、この点は公安委員会において十分に警察官の紀律というものは保持されると思います。また警察官の懲戒というものも非常に嚴格に行つておりますので、それによつて趣旨を達成することができると思います。
○高橋(禎)委員 最後の附則のところに、昭和二十二年十二月三十一日までに営業の許可を受けて、この法律施行の期日に至るまで引続いて風俗営業を営んでおる者は、都道府縣が條例で定めるところにより必要な届出をしたときは第二條第一項の規定により許可を受けたものとみなすといつたように規定しておくことが、諸般の実情に即するように考えられますがその点いかがでございましようか。
○武藤政府委員 お説の点でございますが、これについては先般來御説明申し上げまして、特別に新たに附加するものもないのでありますが、御承知の通り本年の一月から空白の期間がありまして、その期間に事実上営業を始めておる者があるということも考えます。かような者と、それから從來からかりに許可を受けてやつておりましても、本年の一月以降において構造の変更をしておるというようなことも考えられます。あるいはその営業内容に若干の変更を來しておるという場合も考えられます。從つてさようなものについても一應新しい條例の見地から、内容をあたらなければならないということになりますと、事実上結局全部についてあたつてみなければならないという結果になります。もちろん府縣でつくる條例というものも、從來のものと非常に大きな変り方があるということも考えられませんので、大体において從來許可を受けておつた者は、今度のものにおいても許可を受けられるということになるだろうと思います。実際問題としてはさきほど不都合も起らないのではないかということを考えております。
○高橋(禎)委員 ただいまのお話の、本年一月以後許可を受けないで営業をやつておるという者に対しては、これはまあ、また別に考えてみる必要があるかもしれませんが、昨年十二月三十一日までは正式に許可を受けて、そしてこの取締り関係の法規を遵守してまいつて、そしてこの法律が制定されても、ただいまお話のように、まあ大部分は許可を受けられるだろうというような見透しであれば、なおさら、煩瑣な手続を必要とせず、しかもまた業者におきましても、氣分的には新しく許可を受けるということと、單に届出だけで営業がなし得るということとは、非常に差異があると思えるのであります。やはり親心を示してやることの方が賢明のごとくに考えられるのでありますが、その点についていま一度お答えを願いたいと思うのであります。
○武藤政府委員 從來の府縣條例によつて許可を受けておつたというものについては、そのまま届出てよいのではないかという点でありますが、これはわれわれも法律上の観点から、内部で相当関係方面とも研究した問題でありまして、本年の一月からの空白時代、つまり自由営業時代に営業を始めたものと、それから從來の府縣條例に基いて許可を受けて営業をやつておるものとこれは共に既得権者という立場においては同じ立場に立つものである。それを片方のものだけは届出でよろしい、片方は新たに許可を受けなければならぬということは、法律上、非常に疑義が起るという意見も相当有力にありましたし、かような見地から、やはり一應全部を許可するということが、かえつて公平の途ではないかということを考えた次第であります。業者に対する親心というお話がありましたが、これは十分この法の運営において現われてくる点でありまして、この法令でも十分にその趣旨が達成できると思います。
○笠原委員 ちよつとその点について一点お尋ねしたいのですが、大体この法律の目的は、カフエーとか、ダンスホールとか、喫茶店というようなところにおきまする賣淫、賭博というものを取締るのが目的だということを、政府委員の方で説明されたのでありますが、そうしますと、現在の一般の状態を見ておりますと、もと貸座敷というようなものが営業しておりまして、これはほとんど今の営業の目的は、むしろ料理店とか、喫茶店とか、そういう営業以上に、主要の目的は賣淫にあるというようなことがあるのであります。それからもちろん最近始めた営業の中にも、われわれが社会的に見まして、これはもう賣淫が主要目的であるというような営業があるのでありますが、そういうような営業は当然許可しないという方針ですか。あるいはまた内容が変つてきたならば許可するという方針ですか。たとえばもと遊廓の跡にできておる、まつたく現在におきましては、主要目的は賣淫であると思われるものがあるのでありますが、この点をひとつ伺いたい。
○間狩説明員 もとの貸座敷営業が、現在は変つた姿になつて経営しておるのですが、そういうものに対する御質問だと思います。これは從來の貸座敷営業は許可を受けて賣淫行為をすることを認められておつたのでありますが、それが連合軍の指令によりまして、一切のそれに関する法律規則が撤廃されたので、從つて法律的に申しますと、現在はもう許可を受けてやつておるのではなくて、いわゆる密賣淫ということに形式的にはなるわけでありますが、しかしこの問題は沿革の非常に古い問題でもあり、また將來いかにするかということも実に重大な問題でありますので、現在までのところ暗默にそれを認めている。かような状態できているわけであります。その賣淫の問題につきましては、結局從來の考え方は、この地球上からそういうものを根絶するというわけにはどうしてもまいりませんので、ある一定の地域にそれを限定いたしまして、そこだけに許して、他の全國一般の地域にさような風俗的に好ましくない事柄がどこでも行われるというようなことを絶対になくしていこうということが、從來の風俗取締りの根本的な方針としてきておつたのであります。しかしそういう関係からいたしまして、法律規則等が廃止になつてまいりましたので、これを今後いかにするかという問題が重大なわけでありますが、また一面賣淫処罰に関する法律案というようなものが、現在法務廰で立案せられておりまして、それがやがて國会に提出されるというようなことになるのではないか、それの関連におきましても、大きな問題を生ずるわけでありますが、現在私どもの考えといたしましては、從來のわが國の方針をそのまま將來に向つて堅持するというわけには、新しい時代の流れからしてできないかと思いますが、しかしまた一挙にしてああいう地帶を壊滅さしてしまうということも、これまた行過ぎでないか。結局一つの新しい方向の理想を目指して、漸進的にこれを改善をはかつていくというような方向に今進んでいくよりほかないのではないかというふうに、現在のところ私どもとしては考えております。
○笠原委員 そうしますと、大体営業の許可並びに営業の取消の基準というものは、どういうところにおくことになるのか。賣淫をやつた者はもう営業の取消す。あるいは賣淫の疑いの濃厚な者については営業を許さないというようなことが、大体條例あたりできまつてくるのじやないかと思いますが、現在の時代におきましては、そういうようなきめ方はできないという見透しなんでございますか。賣淫の事実があれば営業を取消すとか、あるいは賣淫を目的とするらしいものについては営業を許さないというような明文を、條例の中におくことは現在ではできないというお見透しであるかどうか、その点お伺いしたいと思います。
○間狩説明員 さきに申し上げました從來の貸座敷営業の場所におきまして、賣淫が行われるということは別問題といたしまして、その他の場所におきましてみだりにさようなことが行われるということは、風俗上最も好ましくないことであることは言うまでもありません。この風俗営業取締法の主眼も、さような事柄を粛正すると申しますか、ないようにしようというところに、目的があるわけであります。從つてお話のように、賣淫を現に行い、あるいは行うおそれが多分にあるというものに対しまして、営業の許可を與えなかつたり、あるいは與えた許可を取消すということも、当然できることだと思います。
○笠原委員 そうしますと、その許可とかあるいは取消の基準というものは、抽象的にそういう條例の中に盛ることはできないので、やはり古い歴史的な関係や何かを調べまして、その地域とかなんとかいうものを参酌いたしまして、許可するということになるのでしようか。先ほどから繰返して申しますように、賣淫を業とする者は許可しないというようなことは、條例の中に規定することができない。ただ公安委員会において、たとえばもとの貸座敷地域で賣淫をやるという場合に、料理屋の営業として許可してやろうというようにやるのですか。條例の中では規定できないという考え方でありますか。
○間狩説明員 從來の貸座営業に対しまして、賣淫をかりにしておつても、営業の許可をするということは、いわゆる賣淫の默認になりますので、そういうことをやむを得ず默認するわけでありますが、これを條例に規定することはもちろんできないと思います。
○大澤委員 大体今の政府委員の方や、各委員の方々の質問や答弁によりまして、この風俗営業取締法案に対してのお話はわかつたような氣がするわけでありますが、大体八月一日からこの法律を施行するということになつているようですが、一月から八月までの空白、現在すでにその空白の時期になつているわけですが、その間あすからでもその空白の時期は今の風俗営業を始めても差支えないことになつているのですか、その点をちよつとお伺いいたします。
○間狩説明員 八月一日がくるまでは自由でありますので、営業することはできます。但し結局第二項の三十日間の猶予期間がありますので、八月三十日まではできるのでありまして、三十一日以後は新たに許可を受けなければ営業を継続することができないということになるわけであります。
○千賀委員 私は高橋委員のもつておられる思想並びに見解と大体一致をいたしておりますのみならず、この場内の空氣も大多数はこれに一致だろうと思いますが、なおこの際はつきり伺つておきたいのは、第六條の臨檢にかかわることでありますが、今までの應答を聽いておりますと、やはり淫賣の現行犯をあげるために臨檢をするのだ。その臨檢は火急を要するからなかなか裁判所の許可を得て行くことができないということのようでございますが、風俗営業といえども、必ずしも淫賣婦を家で養い、あるいはよそから連れてきて、これに営業させるというばかりでなく、風俗営業はいたしましても、ここで正しい人生生活が行われていく例もたくさんあるでしようが、これがことごとくこうした臨檢の対象の中にはいるということになりますと、そこのあらゆる生活というものは人権が保たれないことになります。たとえばここでは届出た営業所の臨檢をするのだということのようでございまするけれども、さてそれでは営業所として届出ていない、家人の生活の区域も、ここで風俗営業にかかわる反則なり犯罪なりを犯しておる場合は、ここから向うは届出ていないから、この部屋は臨檢はせずに帰るということはおそらくあるまいと思います。行つてみたが、覗いたところにお客が寝ていないから、ここから向うは家族の居間にあたつておるけれども、これもひとつついでに臨檢をしてやろうということになりまするとまつたくここに風俗営業に携わつておるがゆえに、人生の秘密も、人間としてのほんとうの、何と言いましようか、男女生活の、夫婦としての家人の樂園も結局あつさりと踏みにじられることになるのでございますが、かような点につきまして、この第六條があまりにも軽く取扱われておることは不満でございます。それならば、そういうことがいやならば、こんな風俗営業をしなければよいじやないかということであるならば、風俗営業というものは人権を主張し得ない、いわゆる昔の言葉で言えば、賤業者の認識をもつてやる者だけが、風俗営業者として立つのだということになりまして、全風俗営業者というものは、やはり官吏のどんな蹂躙にも耐えていく、しがない稼業の人だけということになる。淫賣は賤業である、何と圧迫を受けても、踏みにじられても、ただ頭を下げて淫賣で飯を食つていくのだということになると思う。この点がすこぶる曖昧であり、また人権を過度に蹂躙し、人間としてのヒユーマニズムというものを法律の力で破壊していくのだ、かように思います。その点からいいましても、やはり第六條は裁判所の許可を得て臨檢にはいるのが当然である。せめて裁判所でなくても、警察署長なり公安委員会の許可なり認定なりを得ていくということになつても、まだ警察官個人が勝手に表を歩きながら、ひとつ嵐を吹かそうかというので、飛込むよりもよいかと思うのでありますが、この点はどうお考えになりますか、ここにおきましてこの臨檢という制度があつたために、どれくらい一部の國民が泣かされたか。また不良な警察官はこれに便乘して、そういう家にとぐろをまき、やみ酒に醉いしれて、おれの顔を立てなければ臨檢をやるばかりだというような場合がいくらもあつた。私どもが過去において地方議会の議員としております間、そういうような惡政に泣いた人たちがどれくらいわれわれの門をたたいて苦痛を訴えているかしれません。依然としてこの法律を改正されましてもそういう欠点が除かれないということになりますると、私たちは眞劍に考えなければなりません。政府当局ははたして第六條というものは、ここに從前の形をそのまま踏襲して差支えないか、何らかの形によつてこれは改正する方が当然であると、いまだにお感じにならないか、この心境を伺います。またわれわれがこの点に修正をいたしましたならば、あなた方にはその修正に服從をせられる氣持の上、見解の上の余裕がおありかないか、われわれが修正をいたしましても、あくまでこの原案を可なりとして、これを金城鉄壁なりとして、これによられる意思であるかどうか、その御決心も伺いたいのであります。
○斎藤(昇)政府委員 もちろん御修正になれば、われわれはその法律をその通り実行するのが至当でありますから、これにつきまして修正された後にとやかく申すことは一切ございません。ただ先ほどからいろいろお話の点は、警察官吏の常軌を逸脱した行為、あるいは一部にときどき遺憾な例を見ますような、よくない警察官が現われることがあるという点についての心配が一番多いと思うのでありますが、これらは新しい警察制度の運営におきまして、府縣及び市町村公安委員の方々が責任をもつて指導し、また監督をしておられるわけでありまするから、身近かにそういつた民主的な公安委員の方の御指導御監督のもとに、警察官がそのような権限を執行いたします場合には、從前よりそれらの点につきましてはよほど改善せられる点が見られるだろうと私は考えておるのであります。署長なりあるいは公安委員会の承認を得てという点でもあればというお話でございますが、これらは警察署長なりあるいは公安委員の方が運営について責任をもつておられまする以上は、必要とあればそういつたことを自発的にやられることと私は考えるのであります。かような半ば行政官的な職務を行いまする警察官が臨檢をいたします際に、普通裁判官の令状は、犯罪があるという相当の証拠を裁判官のところに提出をいたしまして令状をもらうのが常例だと思うのでありますが、この行政規則が守られておるかどうかについて臨檢にまいります際に、裁判官の令状を一々もらいますことは、前例にないということは理由にはなりませんが、おそらく裁判官がどういう事由で令状を與えられるか、これについても非常に困難な点があるかと考えるのであります。今日の実情から、善良なる警察官がこの法律及びこれに基いて出されまする條例が、議会なりあるいは縣会、市町村会のきめられた通りに運営されておるかどうかということを見てまわるというとこの必要は、やはりあるのではないかと考えます。その点は十分御了察いただきたいと思うのであります。
○千賀委員 裁判官が臨檢の許可証を出すのには証拠をもつていかなければ出すことができない。これは一般の犯罪がそうなつておるからさようにおつしやると思いまするが、私どもの殊に心配いたしますのは、その点ではなくて、もちろん風俗営業をしておつて、一應どうもあの家は淫賣が盛んに行われておるようだから臨檢してみたいということだけで、もちろん裁判官は出して結構であります。われわれはその点についてちつとも不服を言うものではありませんが、さて一回や二回の臨檢に許可証を裁判官から発行してもらつて行くということならば常識的でありまするが、その後何回重なつても、今日も行つた、明日も行つた、次も行つた、一月のうちに二十日も臨檢をしたというようなことをやりまして、作意的にその家を潰してしまおうというような企てが行われましても、たれもこれに不服を言うこともなければ、どうする手段もないということが、このままではあり得るだろうということを想像して、それをおそれるのであります。裁判官なりあるいは公安委員なりがさような要求をもしも警察官から受けたときには、およそ淫賣の疑いがありましても、一晩か二晩行つてみて、それで事実がつかめなければ、また時を経てやるのが当然であるとか、あるいはその警察官が拙劣であるとかいうことを考えるはずでありまするが、続いて矢継早に同じような臨檢をやるということになりますると、そういう要求が出てくれば逆に、これは警察官に何の目的があるか、この風俗營業を取締るということのほかに、何らか不正な目的が藏せられておるということをただちに感づいて、警察官の方の取締りに逆に注意を喚起する端緒になりますから、それで私どもはくどくもさようなことを言うのであります。これを警察官のなすままにいたしておりますれば、明治、大正、昭和と長い間この弱き営業者が取締官憲に苦しめられてきた不合理な、長いものには巻かれろというような、屈從的な、奴隷的な、実際唾棄すべき関係から結局脱却することができない。そこで私どもはそれを憂えて言うのであります。あなた方が第一回の臨檢、あるいはほんとうに常識的な、回数の少い臨檢についてさえ、証拠を持つていかなければ裁判官の許可がとれないということで、われわれの言うことに抵抗しておるならば、大きな間違いであります。われわれはその次の場面を心配をしてこのことを大声叱呼しておるのであります。いかがでしようか。
○斎藤(昇)政府委員 ただいま例にあげられましたような警察官のむしろ乱暴と申しまするか、かような行為の抑えといたしましては、どうしても公安委員会の指揮監督というところに期待をし、またこれに望みをかけなければならぬ。この公安委員会に信頼ができないということでありますると、警察官からいかに権限をとりましても、やはり惡いことをしようという警察官は除かれないと思うのであります。公安委員会及びその命を受けてやつております署長が、今日の時代をよく考えられて、そうして民主的な警察の運営をするという精神に徹せられることが一番肝要なことでありまするし、またそれをもつて足りるのではないだろうか。今日の制度のもとにおける公安委員会に対しては、それらの信頼が十分おいていただけるものと思いますし、またこれに信頼がおけるように、輿論なりあるいは國会なりそれらの方からの御監視あるいは御指導がなければ、警察署の運営はいつまで経つてもよくならない、かように考えております。もちろん一番の重点はこの点に最大の期待をかけ、またこれを信頼いたしていきたい、かように考えております。
○千賀委員 私の言うように、もしも裁判官の許可にあらずして、公安委員会か警察署長でもいいのです。そういう方の認定書なり許可証なりを持つて行くということになれば、なおさら公安委員会が警察官の行動を監督するということに最も便利な途であり、これは一石二鳥になると思うのであります。ただ総体的に公安委員会は警察官を監督しておるから、公安委員会と警察官が対立しておる限りは――対立でないかもしれませんが、これがある限りは、絶対警察官に監督上の便宜を與える必要もなければ、また監督に適当な形をつくつてやる必要もないという議論ならば何をか言わんやでありますけれども、ただ概念的に、監督をしておるからいいじやないかというのでなしに、公安委員会の認定書を持つて臨檢に行くということであるならば、非常にこれは監督の実際から、適切なる監督がその條項を通じてできると思うのであります。これから先は議論になると思いますから、この点は答弁を求めません。 最後に附則のところでございますが、私はこの点はやはり大勢の中には、三十日の間に届出でよということでございますけれども、これはなかなか三十日の間に官報を見て届出るとか、あるいは新聞を見て届出るとか、民衆の方がしてくれれば結構でありまするが、なかなかこの法が施行せられたことを知らない業者も多いのだろうと思います。それでこれが三十日の間に届出でなければ権利を失うというようなことになりましては、やはりこれは非常に不便であると思います。私の理想といたしましては、許可を受けるための届出、私はそれよりも三十日の間にただ届出をすればいいのだということであれば、権利を失うことがないので、たとえば科料に処するとかいうようなことがあつても、人生の根本的な権利に関係しないから、やはりこれは許可よりも届出の方がいいのだと思います。それから法律空白の時代、この六箇月の間に新しいものができたという点につきましては、もちろんこれは法律上の許可を受けてつくつたと同じ権利でございましよう。だからこの間に好ましからざる所にもしこうした営業者ができたといたしましても、これは当然國家及び市町村等、たとえばそういうものをつくられては困ると思う側の方の責任でありまして、法によつて、これを再許可を申し出て來たときに、かわいそうに蹴散らかすということよりも、むしろそういうのがあつて、よそに移轉させなければ町村全体、縣全体の体裁の上にもよろしくないというような問題がもしかあつたとしますならば、これはそうした方面まで、適当な補償費を與えて、その営業を買取つてやる、補償費を與えて取り潰して、その人らを別な職業につくように補導してやる、そこまでの責任を持たなければ、いかに空白時代といえども、一旦われわれ同胞が自分の職場と定めた所で基礎的な営業を営んでおるのに、一片の法律の取扱いによつてその存在を否定し、その人間としての根本的生存の権利を奪つてしまおうというようなことは、実にこれは大それた計画であります。かような点において、私どもは断じてこれは賛成をすることはできません。むろん町としてこういう所に風俗営業があつては困ると思う所に、新しくできる例はあろうと思います。これはおのずから私がただいま申したところの取扱いによつて、その人らの轉業なりあるいは更生なりを考えなければならぬのであります。空白時代につくつた者の権利につきましては、空白ならざる前に官廰の許可を得てつくつた者と断じてこれは同じでございます。この点に何らの開きはないと考えているのであります。してみると、そういうものがあるために、全部をここで許可を願い出させるということは、根本的に考えが間違つております。そういうものはあつてもよいから、これは全部届出制でやらして、もしも行政官廰がそういうものの存在に困るという区域があつた場合には、この人らの処理なり轉業なり、あるいは更生指導なりは別の方法で、民主的にほんとうに人権を尊重する同胞愛の上に立つて、おのずから他の方法でやる途があるのであります。この点につきまして、御見解はいかがですか。
○間狩説明員 まことにごもつともな御説でございますが、この取締りの実際の処理の面から申しますときに、やはりこの法律によりまして新しい取締りをやつていくというためには、この営業者の場所でありますとか、設備、構造あるいは営業者本人、それらが風俗取締りの上支障のないものでなければならぬということは言うまでもないのであります。現にやつている人を全部許可をしたものとみなしまして、届出るだけで足りるということにかりにいたしましても、しかし風俗取締り上、法律の精神から見て支障のあるものはやはり許可を拒否するという措置をとり、またそれに必要な規定を設けなければならぬと思うのであります。そういたしますと、結局この法律の施行の上から見て、支障があるかないかということを確かめまして、支障のないものは届出で足りる、そうでないものはやはり一應全部許可の申請をさせるということになつてまいりますので、結局全部について一應審査をしなければ、この法律をせつかくつくります目的を達成しがたいというような関係になるわけでございます。一應法律といたしましては、新しい法律がここにできることでありますので、現に既得権者として営業している者も、それによる制限を受ける受けるということは、一應やむを得ないことであります。運用の上におきまして、その権利を十分に尊重していく、風俗取締り上支障のあるものは別といたしまして、そうでない場合は、十分にこれを尊重するということによりまして、業者の立場と、またこの取締りの目的といたします公共の立場の適当なる調整をはかりたい、かような考えであります。
○松浦(榮)委員 この前私大体質問しておいたのですが、第三條の規定は、私の質問したことは、いろいろ縣によつてまちまちになるおそれがある。それを抑えなければ、そこに非常に取締り上不便が生ずるという立場から、この前質問をしたのでありますけれども、もう一歩つつこんで、この第三條の内容について、大体の標準をきめてもらわなければならないということを提唱したいのであります。一体風俗というものは何であるか、その風俗については何もうたつていないのでありますが、こういうことが風俗であつて、こういうことについて風俗を害するということは、これでは何もわからないのであります。大体都道府縣に任されておりますが、それでは府縣でまちまちであり、法律そのものが何を目標にしておるかわからないということになりますので、大体においてどういう点を風俗上取締るのかという基準をこの第三條に掲げる必要があると思うのであります。 それからこの前も話しましたが、從前は料理屋、飲食店その他の取締規則に違反した者は勾留科料程度であつたのでありますが、この法案によりますと、相当重い刑を科せられまして、懲役罰金という刑で非常に重いように見えるのでありますが、この点は考慮を要すると思います。 それから前に戻りますが、第一條の待合、料理店、カフエーその他客席で婦女が客の接待をして、客に遊興飲食をさせるところという点でありますが、婦女が客の接待をしない場所といつた料理店もあるのでありますが、そういうものに対しても取締力を加える必要があるのではないか、こういうものも一様に取締りをしなければ、脱法行為が行われるおそれがあります。 それから先ほどから何人も申しておられるように、許可の権限というものは公安委員会に與えてはならぬという意見でありますが、私もそれについては同意見でありまして、公安委員会は執行機関ではないのでありまして、執行機関はどこまでも警察署長ということにしなければ、今後のいろいろな警察の仕事の立場上非常にむずかしい問題がたくさん出てくると思います。どこまでも執行機関は警察署長にあるという建前で、警察行政というものを進めていかなければならぬ、こういうふうに思つております、この点について御質問いたします。
○間狩説明員 第三條の制限を、條例によらないで結局法律で規定するか、あるいは法律に大綱を規定しろという御意見でございますが、前回も申しましたように、第三條の制限はここにございますように、営業の場所あるいは営業時間、あるいは営業所の構造設備、その他営業主または從業員がその営業に関連いたしまして、いろいろな守らなければならぬ事柄があるわけでありますが、そういう事項につきまして善良の風俗を害する行為を防止するために制限を設けるわけでありまして、この内容にわたりますと、かなり詳細な、しかも廣汎な内容になつてまいるのであります。それを結局法律で全部を規定いたしますと、かえつて地方の実情に合わないというような結果になるわけでありますが、たとえて申しますと、從來東京においては旅館と料理屋と兼業することを認めていないのでありますが、東京都でかりにさような制限をおくことが適当であるといたしましても、地方においてはさような制限を設けることが実情に副わないということもむろんあるのでありまして、むしろこれはやはり実情に應じた制限を設けることの方が適当だと思います。大綱だけをここに掲げるといたしますと、結局この第三條の案のごとき漠とした規定を設けるよりほかないということになるのであります。善良の風俗を害するというのは、これはさらに具体的な内容がないので非常に困るということでございますが、これは結局社会的な通念によつて善良な風俗の内容が定まると思います。また具体的には條例でございますので、各都道府縣の議会によつて設定されることでありますので、不都合なこともないだろうと思います。それから罰則の関係でございますが、從來の廰府縣令の罰則に比較いたしまして、本法による罰則が非常に重くなつておるということは事実でございますが、この罰則の関係については、法務廰において大体あらゆる法律との均衡を考えて決定をしてもらつたわけでありまして、現に食品衞生法等においては、むしろ本法案よりはさらに重いような状況になつておりますので、他の法律との関係において、本法の罰則は決して重いものではないと思います。それから第一條第一号で、結局婦女の接待しないものも、やはり風俗上取締る必要があるという御意見でございますが、さきにも申し上げましたように、婦女が接待するときに非常に風俗上の問題が起るのでありまして、婦女が接待をしないということでありますれば、大して風俗取締りの上からそれほど重大な関心をもたなくてもよろしいと考えておるのであります。
○坂東委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。 明日は午後一時から開会いたします。 午後四時八分散会