治安及び地方制度委員会 第34号
- 発言数
- 171 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1948/06/03
会議録
○坂東委員長 これより治安及び地方制度常任委員会を開会いたします。 本日は日程はたくさんありますが、その中でますもつて風俗営業取締法案を議題に供します。この際質疑をお願いいたします。
○坂口委員 附則について質問いたしたいと思います。「この法律施行の際現に風俗営業を営む者は、この法律施行の日から三十日の間は、第二條の規定による許可を受けたものとみなす」というのがございますが、これにつきまして一昨日松澤委員から意見が出ております。私も大体その方に賛成するのであります。十二月に命令が廃止されまして、その後半年の間はこういうものに関する何らの根拠法もなかつたのであります。これは一面から言えば、われわれがこういう必案な法律を設けないというような手落ちではないと思うのでありますが、しかしわれわれに責任がある。しかるに從來それぞれ地方の法規によつて許可を受けておりましたたくさんの営業者が、たまたまそういう法律がなくなつたからということで、今まで通りやつておるという関係でありまして、ここに新たにまたこういう法律ができて、そうして同じようなことをやる根拠法をつくるということになるのであります。業者自体から言えば何らの過失もないわけであります。むしろ私は國なりが怠慢であつて、必要であるにかかわらずこういうものをつくつていなかつたということになるのではないか。しかるにこれによつてこの法律が施行されてから三十日以内は許可を受けたものとみなすということになりますと、各地方における條例ができて、それに準拠して今までやつておつた人も、おそらくはまだ新たに書類をつくつて、そうして許可を受けなくてはならぬということになるだろうと思う。これは余分のめんどうを業者にかける。一面から申しますとこの法律の適用を受ける大多数の者は料飲業者である。料飲業者は御承知のごとく、この一年來その営業を営むことができぬというような禁止を受けて、生活上非常に困つておる状況にあります。こういうものに対してまた新たにそれぞれ書類を出させてめんどうをかけるということは、私は少くともこれは親切なやり方でないと考える。それぞれの役所から言えば、完全な書類を出させて、台帳をつくつたりすることは必要でありましようけれども、しかしながら私はここに親心をもつて、昨年の十二月末まで適当な許可を受けて営業権利をもつておつた者はそのまま認める、その後に許可を受けずしてやつておるという者が、この附則にあてはめてやられるということにすべきではないか、一面においては國家自体が何ゆえこういう取締りの根拠法規をつくつていなかつたか、別に変つた事情はないと思うのであります。それを一面においてこの一年間休んでおる多数の業者に、またいろいろめんどうなことを書類をもつて提出させる。かりにそれを簡單に許可するといたしましても、そういうめんどうをかけることは、やり方として適当ではないと思う。それでこの点については各地方の條例できまることでありますが、しかしきめる場合に、そういう親心をもつて、適当に修正しておくということが必要であろうと思うのであります。こういう点を聽きたいと思います。
○武藤政府委員 御意見の点もつともなことと存じますが、これについて特にあらためて許可を受けなければならないということにした理由といたしまして、第一には十二月末以降こういう営業において、あるいは構造が変更しておる、あるいは営業の種目を変更しておることも考えられます。從つてそういうものについて從來の許可内容と変更を來しておる場合も考えられますので、この際新しい條例に基いてこれを許可するのが適当ではないか。もちろん新しい條例が從來の各府縣令とそう大きな差は生じないと存じますが、中には多少変更するものもあるかもしれない。そういう場合に、これは許可しなければならぬとか、その細部についてはあらためて許可を受けなければならないということになると、かえつて混乱を起すし、許可を受けるべくして許可を受けない者もあるということが生ずる心配もございます、それで御迷惑をかける点は重々わかるのでありますが、業態によつてかえつて混乱を來すことも考えられますので、この際あらためて許可を得るのが適当ではないかと考えるのであります。それから十二月前には許可を受けてやつておつたもの、これも料理店等は大体府縣令で営業許可になつておりますが、中には府縣によつては、自由にさして、許可なしでやつておつたものもあります。そういうものはやはり許可を受けなければならないということも考えられます。それから第三といたしましては、十二月まで許可を受けてやつておつたが、一月以降においては法令の根拠がないというので、許可なしで営業を始めておつたというものが考えられます。こういうものにつきましては、やはり既得権者という意味においては、同様に考えなければならないということも、法律上は言えると思います。そういうわけで、十二月前のものと後のもの、つまり法律がないから許可を受けないでおつたというものとの間に、差をつけることもいかがかと考えられるわけでございます。もちろん御説のような点は、新しい條例と從來の府縣令と、内容においていささかも相違がない、しかも実際やつておる仕事の内容、構造、営業種目その他全然変りはないというものがあるとすれば、條例において便宜そういうものについては記載を省略させるという方途を定めることも可能だと思います。あまり営業者に御迷惑をかけないで、事態を收めることもできると思います。とにかく新しい法律を立案することが、われわれの方が非常に遅れたという責任は大いにあるわけでありますが、やや混乱している業態というものを、この際整理することも必要であると思います。整理というのは、あるいは許可を受けている、あるいは許可を受けていない、あるいは営業種目と構造と内容等に変更を來している等、いろいろ錯雜しているものを、この際はつきりさせるという意味において、一應全部許可を受けることが適当ではないかということを考えた次第であります。
○高橋(禎)委員 私は審議の中途から委員に就任いたしました関係と、委員会の速記を入手いたしておりませんから、これまでの経過について十分承知いたしておりませんので、質問いたします事項が重複するような点が出ないとも限りませんが、一應御説明を願いたいと思うのであります。 まず本法案の第一條についてでござ、いますが、この第一條の第一号に「待合、料理店、カフエーその他客席で婦女が客の接待として客に遊興又は飲食をさせる営業」と定めてあるのでありますが、この客席で婦女が客の接待をして云々ということですが、もしこれを男子がするような場合は、本法案の取締りの対象にならないということになるのでありますか、私ども考えますのに、將來いわゆる客の接待と称して、男子がこれに当つて、客は多く女子であるというようなことが出てこないとも限らないと思うのであります。よく男娼なんというのがあるようでありますが、そういうものもここにあげて取締りの対象にすることが適当ではないかと思えるのでありますが、それについてどのようなお考えであるかということをお伺いいたしたいのであります。
○武藤政府委員 お話の点の、男子が接待する場合でございますが、多くは婦女が接待する場所が多いのでありまして、かりに男子が接待するという場合において、こういつた風俗的な問題からみて問題を惹起するということは比較的少い、そういう意味で、大体風俗に関係ある営業と申しますれば、女子が接待する場合が多いというので、かようにいたしたわけであります。ただ、ただいまお話のように、男子が接待するということも考えられるのでありますが、これも先般御質問がございましたように、男手のみで接待するというものは、こういつた業態では少くて女子が接待して、それに附随して男も出てきて接待するというようなものが多いようでありまして、それによつて大体ここに該当する婦女の接待する営業ということになると思います。またそういつた点で大体風俗に関する営業としては、婦女が接待するというものが全部であるという趣旨からかようにいたした次第であります。もちろん男子のみでやつておる、これに該当しないもので、男子のみというものが万一考えられましても、あるいはそういつた場合には刑法の方の規定ということも考えられますので、大体本法の目的としては、婦女が接待する営業ということによつて、目的を達することができるのではないかと存じます。
○高橋(禎)委員 政府におかれては、この風俗営業において発生するであろうと考えておられる風俗犯罪というものは、どのような種類のものでございますか。
○武藤政府委員 大体刑法の風俗に関する犯罪、ああいつたものを予想いたしております。
○高橋(禎)委員 刑法に風俗に関する犯罪を定めでおる。それが発生する危險があつて、それを取締りしなければならないという御趣旨のようでありますが、その場合に、第一條の一号、二号三号、こういうふうに業態を三種類にわけて定めてあるのでありますが、この各号を比較しでみまして、第一号だけに「婦女が客の接待をして」云々ということをあげておられるのでありますが、それではたして取締りは十分できるという御意見なのでございましようか。
○武藤政府委員 御趣旨の点は、第一号で婦女が接待するもののみ抑えて、その他をこれで押えていないが、それでよろしいかということですが、先ほどあるいはちよつと説明が漏れたかもしれませんが、風俗関係として、刑法の規定あるいはその他の法令で、風俗壊乱的なもの、それから賭博的なものといつたものが、防犯的目的から出ておる。第三号はそうした方面を特に見ておるという点でございます。第一号で大体われわれといたしまして、警察の防犯的目的から出まして、こういつた風俗あるいは賭博といつたものに非常に利用されやすい業態、そういつたものに陥りやすい業態というもののみを押えることが警察としては適当でなかろうか。從來の警察におきましては、廣くたとえば飲食店とかあるいは喫茶店とか、そういつたものまで警察の対象といたして許可いたしておつたのでありますが、警察というものが目的を局限して、紙粹化しているという立場からみまして、営業というものにもできるだけ警察の見地から直接関係のあるものだけに限ることが望ましいと思うのでございます。そういつた意味から特に本法案におきましては、たとえば飲食店あるいは純粋な喫茶店——喫茶店でもいわゆる社交喫茶等と呼ばれておる婦女が接待するものはこれに該当いたしますが、そうでないところの純然たるお茶を飲むところの喫茶店、こういつたものは警察の対象に置くことは適当でない、やはり防犯の目的に関連のあるものに限るという趣旨から抑えた。その考えからいたしまして今申し上げた純粋な喫茶店あるいは飲食店というものまで、風俗犯罪の対象としてのおそれのある業態といたしまして、これに盛ることはいかがかと存ずるのであります。そこで待合、料理店、カフエー、その他特に婦女が侍つて、風俗の犯罪について特に危險性の多いものに限つた次第でございます。
○高橋(禎)委員 次に第二條に関して質問いたします。第二條の第一項に公安委員会として、括弧をして、(都道府縣公安委員会、市町村公安委員会及び特別区公安委員会をいう。以下同じ)としてありますのは、どういう趣旨ですか。
○武藤政府委員 括弧して列挙してあるものは、いずれも公安委員会の中で、運営機関で行う公安委員会であります。國家公安委員会がこれから脱けておるわけでありますが、これは運営機関で行わない。純然たる行政機関であるので、脱けております。
○高橋(禎)委員 「前條の営業を営もうとする者は、当該都道府縣が條例で定めるところにより、公安委員会の許可を受けなければならない。」その管轄権とでも申しますか、許可を與える公安委員会は、この括弧をしてある中の、どの公安委員会がなすことになりますか。
○武藤政府委員 條例は都道府縣で定めるわけでございますが、この條例に基いて許可を與えるところの公安委員会は、自治体警察であればその市町村の公安委員会が許可をするという趣旨でございます。
○高橋(禎)委員 当該公安委員会が不当に許可を與えないというようなこともないとは限らないと思えるのでありますが、そのような場合の救済手段についてはどのように考えでいらつしやるのですか。
○武藤政府委員 これは公安委員会の権限として許可権を與えられております。公安委員会は御承知の通りその区域内の民衆の代表として選ばれておるものでございまして、その公安委員会において裁決をいたすのでありますので、そこにおいて許可をするということによつて、大体民衆の意向を反映しておるものと考えてよろしいのではないかと思います。事
○高橋(禎)委員 ただいまの御答弁では公安委員会は間違いを犯すことはない、このようなお考えなんでございますか。
○武藤政府委員 公安委員は輿論の反映として存しておるもので、そこの意見は尊重さるべきものであるという趣旨に考えてよろしいのではないかと思います。
○高橋(禎)委員 裁判制度等を見ましても、誤まつた裁判があるということを予想して、審級制度というものが認めてあり、また他の法律等によりましても、やはり民主的な委員会の決定に対して、種々、たとえば異議の申立とか、あるいは訴願を許すとかいう方法によつて、委員会その他の誤まれる処置についで救済方法が考えられているのでありますが、本法案の場合には、その点について何らの考慮が拂われておらないのは適当でないように思えるのでありますが、それはいかがでございましようか。
○武藤政府委員 ここの許可の問題は、その場合に許可をしなかつたという場合において違法という問題ではないと思うのであります。從來で申しますれば、警察署長においてこれを許可しておつたということでありますが、今回は特に公安委員会においてこれを裁決する。しかも公安委員会というものは五名の人からなつておるわけでありまして、十分にその間の意見によつて、その方たがいろいろ他の意見も参酌されるでありましようし、三人の公安委員が集まつてそこで裁決できめていくということになれば、御心配のような非常に不当な結果を生ずるということは考えられないと思うであります。
○高橋(禎)委員 ただいまの点につきましては、私は必ずしも公安委員会において不法ないしは不当の処理があり得ないということを確言することはできないと思うのであります。その点について再考を願える余地はございませんでしようか。
○間狩説明員 許可の出願に対しまして、拒否された場合の救済手段でありますが、その拒否も一つの行政処分と考えられるのでございまして、これがもし違法だということになりますと、御承知の民事訴訟の据置によりまして、裁判所に出訴できるわけでございます。違法でなくて單に不当だという場合でありますと、民事訴訟の途はないのであります。それでかような拒否した場合に、それが不当の場合というのはあり得るわけでありますが、違法の場合がはたしてあるかどうかという問題であります。公安委員会の許可処分は大体自由裁量による処分になつておると思うのであります。経つて自由裁量処分の見地から考えますと、不当ということはありましても、まず違法という問題にはならぬと思いますので、訴訟によつて爭うという途が結局なくなるのであります。そして一方訴願の問題でありますが、それでは訴願というような手続を考えたらどうかという問題でございますが、これは実は大体從來の訴願法の建前からいたしまして、上級官廳、下級官廰というような関係があります場合に、下級官廳の不当処分に対して、さらにその上級官職に訴願することができるわけでありますが、まず公安委員会はこれが実は最高の機関でございまして、さらに上級官廰がありませんので、訴願の途を從來の考え方で設けていくということにも難点があるのでございます。從いまして営業の権利を十分に保障しなければならないときにおきまして、そういう不当な処分として、法律的に爭う途がないことは、私どもといたしましても十分に完璧であるとは実は申し上げかねるのでありますが、現状といたしましては、その点いろいろ研究をしたのでございますが、以上申し上げましたような理由によりまして、法律的に爭うことができないわけでいざいます。実際問題といたしましては、公安委員会は合議体の機関でありますから、むろん多数決によつて決定するわけでありますし、さらに公安委員会自身が知事の監督を受け、さらに議会によつて牽制もされるわけでありますし、さらに不当に拒否されたと思う人が、公安委員会に、法律的に認められておりませんが、事実上異議の申立をなしたりすることは当然できるわけでございまして、現在におきましては、その程度において処置するよりほか実はないかと思うのであります。
○高橋(禎)委員 ただいまの説明にありました不法処分が行われたときに、訴訟の方法によつて救済を受けるということは私も存じておるのであります。しかし一足飛びに訴訟の方法によらなければ解決ができないというふうな法律はなるべく避けて、手近かに異議の申立なり、あるいは訴願等の方法で救済する途を考えておくことが、國民に対して親切な考え方ではないかと思えるのであります。御答弁によると、公安委員会における処分は不法の場合はほとんど考えられないように承つたのでありますけれども、私どもの考えますところでは不法な処分は起り得ることだと思つております。なおこの不当処分ということが実際問題として非常に多く起るのではないかと実は私は懸念いたすのであります。その場合には訴訟によつて解決することは御説明の通りに不可能だと思います。そうしてみますと何かここにこの不当処分を取消さしめて、出願者を救済するという途を考えておく必要があると思えるのであります。ただいまの御説明の、法規には規定しておかなくとも、事実上その委員会に異議を申立てたらよいではないか、それによつて解決がつくのではないかということも、一應は考えられますけれども、これは実に私の考えでは不徹底なや方方である。しかもそのようなことが法律に規定していないのでありますから、國民多数の中には、異議の申立てをなし得るものかどうかということを十分承知しないものがあつて、結局泣き寝入りをするというようなことにならないとも限らないのであります。またそういう形において、異議の申立を受けました委員会は、何と申しましても、当初その許可を與えなかつた、いわゆる出願者の申出を許否したところの公安委員会でありますから、やはりここに法律上しつかりとした救済方法を考えておかなければならないのではないかと思えるのであります。いかがでございましようか。
○間狩説明員 先ほど申し上げましたので、たいへん恐縮なのでございますが、さしあたり考えられる方法は、不当に許否された場合には、公安委員会に異議の申立をすることができるというような規定をおくか、おかないかという問題になるかとも思うのでありますが、さきに申し上げましたように、結局処分をいたしましたその公安委員会にまた異議を申立てるということは、事実上はいくらでもできるわけでありますので、はつきりさせることが非常に意味があるという御説でございますが、私どもといたしましては、一旦処分をした公安委員会にさらにその公安委員会に異議を申立てるということでありますならば、法律に規定しなくとも同じような目的を大体達成できるのではないかというふうに実は考えておるのであります。 それからなおちよつと附け加えて申しておきますが、これは從來でありますと知事の許可になつておりましたが、知事の許可に対しましては主務大臣に訴願することができることになつておつたのであります。かような場合におきまして、訴願を提起されたというような実例がほとんどなかつたのであります。時代も違いますし、情勢が違つてきておりますので、それでいいのだということは実は申されないのでありますが。新しい制度におきましては、合議制の公安委員会が比較的從來よりはさらに公正に職務の執行ができるということが一應考えられますので、以上のような考え方をもつておるのであります。
○高橋(禎)委員 この問題につきまして考えられることは、從來は警察の権限でもつて許可の点も解決をつけていこうという、極端な表現をいたしますと、非常に警察的な行政であつたように思うのであります。その時代においでも、知事のなしたる処分に対して救場済方法が講ぜられていたにもかかわらず、非常に民主的な法律を制定せんとするにあたつて、その時代に許された救済方法、救済手段という程度のものさえも認められないで、最終的に一つの委員会の決定に服さなければならない。しかも常識上その機関において不当な処置があり得るということが考えられまする場合において、やはり法律をもつてその救済方法を講じておくことが、これがいわゆる民主的ないき方であり、この際法律をつくるものとしては賢明ないき方ではないかと思うのでありますが、いま一度御所見を伺いたいと思います。
○武藤政府委員 新しい警察法におきまして、國家地方警察、自治体警察はそれぞれの公安委員会が運営管理の任にあたつて、それについては最高の責任と権限とを與えられているわけでございます。そこの決定について從來と非常に変つてきたのであります。從來はいわゆる下級官廰の行為に対して、上級官廰に対して訴願をするというのでありますが、今回の警察法におきましては、公安委員会がそこの運営管理について全責任と全権限をもつております。これに対して訴願ということは、現在の制度においてはそこが最高の処分であると考えたのであります。もちろん訴願とか、そういつた制度全般的な問題として別途に研究さるべきものであると思います。現状において警察の処分といたしましては、公安委員会は最高のものと考えなければならないと思います。
○高橋(禎)委員 その問題は一應この程度で打切りまして、第三條第二項の届出のことについてでありますが、私はこの届出というのは不必要ではないかと思えるのでありますが、政府委員のお考えはいかがでありますか。
○間狩説明員 この届出は許可いたしました風俗営業の実態を警察におきまして把握しておくことが必要でありますので、たとえば非常に重要な内容をなします事項に変更があつた場合には、やはり届出をさせなければならないと思うのであります。大体予想いたしますことは、名称が変つたとか、あるいは屋号の変更、あるいは長期に休業をする、廃業、あるいは営業者が死亡したというようなことがあつた場合において、届出を公安委員会にする、大体こういう規定の内容を予想いたしております。
○高橋(禎)委員 当初許可申請の際に、申請事項として記載されたところのものが、その後において変更した場合を予想して、その変更の内容を届け出でる、そういう趣旨でこの第二項の届出を必要とする、こういうふうにお考えなのでございますか。
○間狩説明員 簡單に申し上げましたので、先ほどのに附け加えてお答えいたしますが、許可條件の変更ということは当然考えられるわけでありますが、その基本的な事項の変更の場合は、これは許可が消滅するものと考えます。たとえば営業者本人が変る場合、あるいは構造、設備の重大なる変更でありますとか、あるいは営業種目の変更でありますとか、そういう場合には許可自体が消滅したものと考えまして、新たな許可を必要といたします。それ以外の附随的な、第二次的な事項の変更につきましては、これは許可そのものの消滅とは考えませんで、單に届出をさせて、そうして変更があつたということだけを承知しておきたい、こういう趣旨でございます。
○高橋(禎)委員 ただいま御説明のあつた許可の消滅したということについては、この法律に何か規定しておく必要はないのでありますか。、
○間狩説明員 かような場合の営業許可の主要なる事項は、営業者がだれであるかとごう問題と、営業所がいかなる営業所であるかという問題と、さらにいかなる営業をなすかという問題で、これは許可そのもののことでありますので、それが変りましたならば、許可が消滅するということは当然のことだと考えております。法律をもつて規定する必要はございませんが、各部道府縣の條例におきましては、さような場合においてさらに説明的な手続規定を置くことは予想されます。たとえば営業者が変るという場合は営業の讓渡といたしまして、営業の讓渡の場合は、こういう手続で許可を受けろとか、あるいは営業所の増築、あるいは改築の場合には、かくかくの手続で許可を受けなければならない、営業種目の変更をせんとする場合には、これまた許可を受けなければならないということは、これは條例でもつて、説明的な意味でございますが、手続がきめられると思います。
○高橋(禎)委員 第二條の第一項によつて許可を受けた者が、その後に開業をいたします場合に、その開業をする期間等についてはどのようなお考えでございますか。
○間狩説明員 つまり今の御質問は、許可の場合に開業の時期というものがあると思うのでありますが、それを守らなかつた、それがさらに非常に延びた場合にどうなるかという御趣旨ではないかと思います。これは從來も、許可をいたしましてから営業予定の期日より非常に遅れて、遅くなつてもなお開業しないという場合には、許可が消滅するという規定がございまして、そういうことは都道府縣の條例におきましても、規定される場合があると考えております。
○高橋(禎)委員 営業権を得てから後に、その営業権が消滅するということを、條例だけに任せるということは、適当でないように思えるのでありますが、いかがでありましようか。
○間狩説明員 今のような場合は、非常に例外的な場合で、しかも、予定期日を非常に経過しても、一向営業を始めないというような場合には、本人にまじめに営業する意思があるかどうかということも実際わからないわけでありますので、これをまじめに営業をする意思がないものというような考え方で、それが自然消滅するというような規定を置きますことは支障がないと思うのであります。それで許可條件の変更の場合にどうなるかというようなことで、條例でそういう規定を設けましても不都合ではないと考えております。
○高橋(禎)委員 私はその点について非常な疑問をもつものでありますが、一体一たび発生した権利を法律でない條例によつて消滅せしめるということを規定するのは、これは憲法の精神にも反するもののごとくに考えるのでありますが、いかがでございましよう。
○武藤政府委員 ただいまのお話は、許可を出願する場合におきまして、その内容として、開業はいついつからやるということが記載されてくる。それに対しまして、いわば何月何日から開くということが、その許可の條件になつているわけであります。從つて一旦発生した権利をまた消滅させるという筋のものでなく、許可の條件になつているものと考えております。
○高橋(禎)委員 そうしますと、條件附の権利であつて、その條件が到來しない場合には、権利が発生しないというようなことは考えられますが、その條件が到來して、権利が発生したというときに、その権利の消滅ということについてはどのような考えでありましようか。
○武藤政府委員 権利という言葉を使うことが適当であるか、どうか存じませんが、とにかく出願したその内容には、こういう営業をする、いつから始めるというようなことが列挙されておるわけであります。たとえば料理店と出願しておいて、実際はまあじやん屋をやるという場合には、当然、許可の條件と食違いを來しております。それと同様なものと考えてよろしいと思います。
○高橋(禎)委員 次に第三條について質問いたしますが、「善良の、風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」この規定でありますが、風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備等について制限を定めるということは善良の風俗を害する行為を防止するために必要だという場合だけではないように思えるのでありますが、いかがでしようか。
○間狩説明員 「善良の風俗を害する行為を防止するために」という制限がついておりますので、その範囲に限定されるわけであります。從來はもつと廣汎な制限を設けておりまして、たとえば衞生上の点でありますとかいうような制限があつたのでありますが、本法におきましてはさようなものは予想いたしませんで、風俗関係だけの制限を設けるという考えであります。但し「善良の風俗を害する行為を防止するために」という範囲をどの程度に考えていくかという問題でありますが、きわめて狹義に解するよりも、比較的廣義に解釈した方が実情に合つて適当であろうと思います。たとえば場所の問題といたしまして、学校やあるいは神社、寺院のすぐそばにカフエー、キヤバレーというようなものを許可するかしないか、また営業できないというような場所の制限、そういうことは直接「善良の風俗を害する行為を防止するために」ということとは少し遠いように思いますけれども、しかし全然関係がないということでもありませんので、その程度まで制限を加えることはできるし、またした方が結構ではないかというふうに考えております。
○高橋(禎)委員 私はこの風俗営業そのものは、善良の風俗を害する営業でないことはもちろんであると考えておりますが、たとえば営業の場所ということについて考えてみますのに、その正しい営業を、その場所でやるということは善良の風俗を害することになるということがどうもうなずけないのでありますが、立法する意図は実はその善良の風俗を害する行為ということだけを考えておられるのではなくして、ただいま御説明のありましたように、これを廣く解していかなければならない。すなわちもつとかげに別な意図があるのではないかというふうに考えられるのですが、そこはいかがでございましようか。
○間狩説明員 さきに申し上げましたような考えでありまして、「善良の風俗を害する行為を防止するために」という範囲より出ることは考えておりませんが、その範囲内におきましては狹義よりもむしろ廣義に運用していくべきだという考えであります。
○高橋(禎)委員 そうしますと率直にお尋ねしますが、その営業をその場所でやるということは、もしくはある時間内においてやるということは、社会一般風教に惡影響を及ぼすというような場合には、この「善良の風俗を害する行為を防止するために」云々という中にはいるというようなお考えでしようかどうでしようか。
○間狩説明員 大体そういう構えでございます。
○坂東委員長 お諮りいたします。休憩して午後一時から開きたいと思いますがいかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 それでは休憩いたします。午後一時から再開いたします。 午後零時十五分休憩 ————◇————— 午後一時五十一分開議
○坂東委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 それでは風俗営業、取締法案の質疑を続行いたします。
○高橋(禎)委員 第三條につきまして、先ほど質問いたしました善良の風俗を害する行為を防止するためというほかに、社会に惡影響を及ぼすものと考えられるような場合に、必要な制限をなし得るという文章をここに加える必要があるのではないかと思えるのですが、その点について政府委員の所見はいかがでございましようか。
○間狩説明員 この法律の目的といたしておりますことは、前にも申し上げましたように、風俗犯罪の予防、そういう目的のもとにかような営業に対する取締りをしていくという観点をとつておるわけであります。御承知の通りに、警察法の建前からいたしまして、警察の職責が何か犯罪の予防あるいは犯罪の搜査ということに限定されておりまして、犯罪に関係のない事柄につきましては、警察の権限でない、こういう建前になつておりますので、さような關係もございまして、この法律の狙いも、從來の取締りを關係よりはかなり範囲を狹くし、直接犯罪予防に必要な限度に止める、かような観点をとつておりますので、大体ここにおきましても、さように何か社会の一般に対して惡い影響があるというような、あまり漠然とした点まで範囲を拡げることは不適当であると考えておるのであります。
○高橋(禎)委員 ただいまの御説明によつて、本法案が犯罪の予防、殊に風俗犯罪の予防ということを目的として制定されようとしておるものであることは、表面上一應了承できるところでありますが、しかしこの第三條の、たとえば営業の場所について制限を設けるというようなことを考えてみますと、それは風俗犯罪を予防すると申しますよりは、むしろ警察本來の権限を越えた、その場所において本法の定めておりますような営業を行うこと自体を若干制限しようという意図が実際上は含まれておる、ひそんでおるというように考えられるのですが、そのこところはいかがでしようか。
○間狩説明員 ある一定の地域と申しますか、場所において、特別の風俗営業をすることはできないというような規定を條例でつくることを予想しておるのでありますが、その営業内容が直接善良の風俗を害し、あるいは風俗犯罪を惹起するおそれがあるという点からいたしますと、關係が薄いのでありますが、一面におきまして、結局その周囲に風教上好ましくない影響を與えるというような場合には、この範囲に含まれるというふうに解釈をとりたいのであります
○高橋(禎)委員 法律上使い慣らされた言葉で、善良の風俗、公の秩序、すなわち公序良俗という言葉が使われるのでありますが、警察法によりましても、公共の秩序を維持するために行動することは許されているわけでありますから、私といたしましても、社会一般の風教に非常に惡い影響を及ぼすと思える場合に、営業場所等について若干の制限を加える必要があるわけでありますので、そこのところは大胆に、風俗犯罪予防ということだけをお考えにならないで、もつと一般の社会秩序、美しい秩序を維持するために必要な場合にも、この種の取締りができるのだというような建前でもつて法律をつくるという考えは、正しいか否か、政府委員の所見を伺いたい。
○武藤政府委員 ここに使つてある善良の風俗という言葉でございますが、これは民法の第九十條の公の秩序または善良の風俗に反するという規定、大体あの善良の風俗という観念と同一と解してよろしいと思います。たとえば小学校のそばにこういつた営業が行われるということは、児童の風教に及ぼす影響ということが甚大である。從つてわれわれの立場からいたしますれ、ば、児童の風教、防犯といつた立場から、児童の立場というものも十分考慮しなければならない。從つてそういつた場所にこういつた営業ができることがはたして適当であるかということも当然斟酌されるべきだと思います。御趣旨のようなお考えの点は、十分この善良の風俗を害する行為を防止するため云々というので目的を達成するのではないか、御趣旨の点はよく了解でききるのでありますが、この條文によつて十分にカバーできるのではないかと思います。
○高橋(禎)委員 では第四條に関係しましてお尋ねいたします。この第四條の「当該営業に関し、法令又は前條の規定に基く都道府縣の條例に違反する行為をした場合において、」という言葉がありますが、この「法令又は」という法令というのは本法及び本法に基き発する命令を指すのですか。それともそういう限定されたものでなく一般の法令を指すわけですか。
○間狩説明員 法令は一應全般の法令を指すことになります。但しこの場合に関係のありますのは、そのあとで「善良の風俗を害する虞があるときは、」というまた條件がありますので、他の法令と申しましても、結局善良の風俗を害するおそれがなければなりませんので、主として風俗に関する法令の規定の違反ということになるわけであります。
○高橋(禎)委員 この「善良の風俗を害する虞がある」という言葉の中には、わかりやすく申しますと、再犯のおそれがある場合という意味を含むのでしようか、含まないのでしようか。
○間狩説明員 再犯のおそれがある場合であるかという御質問でございますぷ、大体そういう場合でございます。
○高橋(禎)委員 ただいま質問いたしました趣旨は、法令違反が直接善良の風俗を害する行為でなくても、本法その他本法に基き発する命令に違反する場合があり得ると思うのでありますが、そういう場合に、將來再びそのような違反をなすおそれがある場合をも、善良の風俗を害するおそれがあるものとしてこの規定の対象となり得るものかどうかという趣旨であります。いかがでございましよう。
○間狩説明員 善良の風俗を害するおそれがあるような違反行為の場合が問題になるのでありまして、いろんな法律の違反行為でありましても、善良の風俗に関係のない違反行為、たとえば経済違反その他の違反でありますならば、本條に該当しないと思います。
○高橋(禎)委員 本條の末段にあります「善良の風俗を害する行為を防止するために必要な処分をすることができる。」というこの必要な処分というのはどのような処分であるか、例示してお述べ願いたいと思います。
○間狩説明員 不適当な構造設備の改造でありますとか、あるいは違反をいたしました從業員の就業停止でありますとか、そういつたような営業自体の許可の取消または停止に該当しない、それ以外の必要な処分で、いろんな場合がほかにもさらに予想されるかと思います。
○高橋(禎)委員 この「営業の停止を命じ」という停止については期間は定める必要はないでしようか。、
○間狩説明員 営業停止は当然期間を定めての営業停止であります。無期限でありますならばこの場合には取消というふうになると思います。
○高橋(禎)委員 その停止の期間は無制限であつてはならないと思うのでありますが、どのくらいの期間というふうなことをお考えになつておられましようか。
○間狩説明員 営業停止の期間につきましては、むろん法律には制限ございませんが、その実際の処分にあたりましては、常識上許される限界があるべきであります。一方に営業の取消というものがあるわけですから、それに対照いたしまして、相当な期間でなければならぬということが考えられるのであります。実際問題といたしましては、大体一箇月あるいは三箇月、あるいは長くて六箇月という程度でないかと思います。
○高橋(禎)委員 そういうことでありましたら、この法律に停止の長期を定めておくべきではないかと思うのですがいかがでございましようか。
○間狩説明員 かような規定は、他の一般の許可営業の場合におきまして、普通にかような規定をしておるのでありまして、さような場合による停止の期間の最高限を特に明示しておるという先例その他もありませんので、さようなことをしないで、行政処分をする。官廰の常識的な裁量によつて、そう不当な長期にわたる制限というものはないというふうに考えておるわけであります。
○高橋(禎)委員 本條の場合におきましても、公安委員会の決定に対しまして異議申立等のいわゆる救済手段が講じられていないのであります。それにもかかわらず営業者にとりましてはきわめて重大な許可の取消し、または営業の停止を命じ得るということになつておりまして、しかも営業停止についてはその長期をも定めていないということは、はなはだ危險なことのように私には考えられるのでありますが、この第四條の規定と救済方法の規定のない本法案と、全体から総合的にお考えになつて、政府委員の所見はいかがでございましようか。
○武藤政府委員 営業の許可の取消し、あるいは停止の場合に関しましては、特に次の第五條におきまして、聽聞を行う、当該営業者あるいはその代理人の出頭を求めて十分に言分を聽いて、しかに後に公安委員会として決定をするという、特に今までにこの種の立法にはないところの初めての制度といたしまして、聽聞の制度を設けて、十分に愼重を期する、営業者の言分というものを十分に聽いて、しかる後にこれを決定するという愼重な手続をいたしました。これによつて相当営業者としては十分に主張ができる機会を與えておるというところでも、從來の立法にないものをおいたわけであります。しかしてさらに一歩進みまして、先ほどの御質問の問題にも関連いたしますが、この公安委員会の処分によつて、不法に権利の侵害を受けたという場合に、あるいはその他財産上の損害を受けたという場合においては、これは一般裁判手続に基きまして、訴訟を提起し得るのであるというふうに解釈いたしております。
○高橋(禎)委員 では第五條と併せて疑問の点をお尋ねいたしますが、この五條の規定による聽聞の制度、これはお言葉の通り珍らしい斬新な規定の制度のごとくに思えるのでありますが、その聽聞を行わんとするときに、営業者本人またはその代理人が出頭いたさなかつた場合には、どういうことに処置したらよろしいか、その点についてはどのようにお考えになつておりますか。
○間狩説明員 公開の聽聞は、当該営業者の立場を保護するために認めた制度でありますので、その利益を受ける本人が出頭しない場合には、利益あるいは権利を放棄したと見まして、あらためて聽聞をする必要はないと考えております。 〔委員長退席、坂口委員長代理着席〕
○高橋(禎)委員 第五條の第二項に、聽聞の期日の一週間前までに当該営業者に通告しなければならないという趣旨の規定があるのでありますが、この通告はいかなる方法でなすということを考えておいでになるのでありましようか。
○間狩説明員 この通告の方法は法律では規定いたしておりませんが、その通告の内容が、聽聞の期日、場所及び法令または條例の違反の行為、それだけを通告しなければなりませんので、内容が大分複雜になりますし、当然これは書面でもつてされると思います。
○高橋(禎)委員 書面で通告をする場合に、発信主義をとるわけでありますか、それとも到達主義によるべきであるとお考えになりますか。
○間狩説明員 到達主義によるものと考えております。
○高橋(禎)委員 そういたしますと、たとえば配達証明あるいはわざ夫による送達、そのようなことが一應考えられるかと思うのでありますが、その事実際の到達主義をとつて、しかもこの期日の一週間前までに営業者に通告するという確実な手段というのは、どのようにお考えになるのでしようか。
○間狩説明員 確実であれば何でもいいわけでありますが、普通の状態といたしましては、警察の派出所あるいは駐在所を通じまして、そこの警察官が書面を当該営業者の所に自身でもつていくという場合が大体一般だろうと思います。
○高橋(禎)委員 この期日一週間前までに通告をしないで、そうして聽聞の期日に出頭しなかつた。それがために公安委員会において当該営業者の営業の許可を取消し、または営業の停止を命じ、その他処分をしたというような場合の救済は、いかなる方法によるを最も適当と考えられるかという点についてお伺いいたします。
○間狩説明員 今の場合は、一週間前に届かなかつた場合のことと思いますが、それは取消または営業停止の処分が違法になりますから、一般の手続により裁判事所で爭えると思います。
○高橋(禎)委員 ただいまお尋ねしたように、明瞭に違法な手続によつて違法な処分をしたという場合に、一々その処分を受けました当該営業者に対して、訴訟によつてその救済を受けろというのは、法律としては非常に不親切なやり方のように思えるのでありますが、その点はいかがでございましようか。
○武藤政府委員 お話の点は、こういつた行政処分に関する一般の原則に関連いたすと思います。しかして現在においては、從來の行政訴訟というものは民事訴訟に移されている。あるいはまた別に訴願法というものがある。それによつて救済の途を講じているというのが一般でございまして、その全般の行政処分に関する救済といつたものと関連して考えなければならないと思います。殊に警察法におきましては、公安委員会というものが最高の機関ということになつておりますので、その場合においてさらに救済の方途を講ずるというよりも、やはり一般の民事訴訟によるところの救済の方途を講ずるというほかにいたし方がないのではないかと考えております。
○高橋(禎)委員 裁判の実情から申しますと、國民に、自分の権利を擁護するには訴訟手段によれこれは一應の理屈ではありますけれども、ほんとうに親切に民主化された法律というのは、訴訟によることはこれこそ最後の手段で、他に何らか簡單な救済方法を設けていかなければならぬということは、爭いのないところではないかと思うのでありますが、ただいまの御説明では、もつとも法律上は一應筋の通つたお話でありますけれども、國民に対してははなはだ不親切な、そうしてそのようないき方は法律が決して民主化されたものではないと思えるのであります。その点について政府委員におかれては、もしも裁判手続によらないで、他に適当な救済方法が考えられれば、その方法によりたいものだなというようなお考えはおもちでございましようか。
○武藤政府委員 お話の趣旨は私非常によく了解できます。ちようど家事審判、あるいは各種調停制度といつたものが非常に簡易な手続として考えられているごとく、行政廰の一般の行政処分に関しての簡易な方途と請うものが研究されてよいのではないか。これは行政処分一般の問題として十分に研究に値するものではないかと思います。
○高橋(禎)委員 先ほどの聽聞に関する私の質問に対してのお答えで、聽聞期日に出頭しなかつた場合は、権利を放棄したものと認めて、公安委員会において聽聞をなさずして決定をするというふうにお話があつたのでありますが、しかし期日に出頭し得ない理由にはいろいろあつて、たとえば病氣とか、あるいはまた期日の指定の通告は法律上到達はしていたけれども事実上営業者不在のためにこれを知ることができなかつたというようなことがあり得ると思うのでありますが、そのような場合にでも権利を放棄したものと認めて処置することについてはいかがにお考えでありましようか。
○間狩説明員 さような場合におきましては、事情を公安委員会に申し述べまして、公安委員会がそれでは日を変えて聽聞を行うというようなことが普通に行われると思いますが、しかし法律的にはさような必要はないのであります。そういつた場合には、代理人を立てますとか、あるいは業業自身にとつては営業の行為に関しまして違反行為があつて、それで警察の取調べその他を受けておるときでありますので、近く聽聞か行われるかもしれないというようなことは十分に予想できる状態でありますので、万一の用意のために、ぜひ聽聞を受けたいならば、あらかじめそれだけの用意をすることもできると思うのであります。從つて法律的には、あらためて聽聞をする必要はないということにいたしております。
○高橋(禎)委員 私はただいまの御説明を伺いまして、それは國民に対して非常に難きを強いるものではないかというふうに実は考えるのであります。私ども法律をつくります場合には、申し上げるまでもなく、最後の一人をも救済していこうという精神がなければならぬと思うのでありまして、人間の生活が非常に複雑であつて、そうして現在のような社会状態からいたしますと、本人に故意または過失なくして聽聞期日に應じ得ないというようなことは想像するに難くないと思うのであります。このようなものをこの程度の法律をもつてしたのでは、せつかく法律を民主化していこうとしておられる当局の努力が水泡に帰するのではないかと思うのでありますが、この点についての所見を伺いたいと思います。
○武藤政府委員 ごらんの通りこの聽聞制度自体がすでに画期的な制度として從來の天降り的な禁停止というものにかえて、十分当事者の意見を聽く機会をつくつたという点で、この聽聞制度は一歩の前進ではないかと考えておるのであります。しかして実際営業について善良の風俗を害する行為があつた。それについて取消あるいは停止を命ずるというような場合は、実はよくよくの場合でございます。第四條にございます通り、普通の場合であれば、大体先ほど御説明申し上げましたように、この風俗を害する行為を防止するために必要な処分をさせるという程度で済むのでありますが、禁止ないしは停止というのはよくよくの場合であります。從つて当事者においても十分にこれはたいへんだということが意識されるような場合であります。從つて故意も過失のなく、このときにも出られないというほば当事者も投げやりではあり得ない事應の場合でありまして、もちろん実際問題としてそのときどうしても出られない、また代理人すら出すことが困難な事情というようなときには、公安委員会に申し出て、期日を若干かえていただくというようなことは、事実問題としては行われると思います。
○高橋(禎)委員 ただいまの御答弁は私といたしましてははなはだ不満足なのであります。当局におかれましてできるだけ法律を民主化していこうという意図をおもちになることは認めるのでありますが、しかしこの第五條の規定では、方法はいいのでありますけれども、それがはなはだ不徹底だと考えるのであります。御説明のようにきわめて重大な処分をするのであるから、重大な事実の存在したことを前提としなければならないのであります。ただ問題はそのようた重大な処分をされるような事実の存在しなかつたときに、それにもかかわらず重大な処分をされた。しかしそれが何ら救済される途がないということは、私は法律としてははなはだ理想的なものでないように思えるのでありますが、いかがでありましようか。
○武藤政府委員 われわれといたしましては、当事者の救済、当事者に十分陳弁の機会を與えるということにおいて、この第五條において十分に目的を達し得るのではないかと存じます。法律の執行というものにつきまして、われわれといたしましては一面においては営業者の擁護ということを十分に考えなければなりませんし、また一面においては社会全体の利益ということも考えなければなりません。從つてこれだけ当事者に十分意見陳弁の余裕を與え、しかして聽聞会において意見を開陳する機会を與えるということによつて、当事者の利益も擁護できるのではないか。当事者の故意、過失のないということで荏苒この処分がときを過すということは、またこれ社会全体の立場からも反省しなければならない。從つてこの第五條の程度において当事者の利益が十分尊重されるのに適当ではないかと思い事ます。
○高橋(禎)委員 どうやら見解の相違というような辺におちつきそうなことをはなはだ遺憾に思うのでありますが私は政府委員のお述べのごとく第五條の規定によつて業者が完全に最後の一人までも保護し得るものではないかと考えるのであります。しかし問題をかえまして、この委員会においては本人の聽聞をしたけれども、問題とする事実の存否について疑問を生ずるようなこともあり得ると思うのでありますが、そのようなときにはいかに処置すべきであるというお考えでありましようか。
○間狩説明員 結局公安委員会が許可の取消または停止をする場合に、第四條に該当するかしないかという判断は、公安委員会自体の判断であります。從つてたとえば当該営業者の方で違反の事実はないということを申しましても、一方において警察の方では証人を立てたり、あるいはその場の証拠によつて違反の事実があつたことを指摘いたしまして、それによつて最後の判断は公安委員会自身が決定をするわけであります。
○高橋(禎)委員 そうすると、いわゆる訴訟法的に申しますと、起訴した側の人の証拠はいろいろあるが、起訴された方の、すなわち業者の方は本人の聽聞によつて、それで事を断ずる。それが適当な方法だとお考えになるのでありましようか。
○間狩説明員 むろん営業者の方も弁護士あるいは証人を自由に利用することができるわけであります。それは特には規定してありませんか、制限してないわけでありますから、当然自由にできる、こういう考えであります。
○高橋(禎)委員 しかしそれは証人を申請し、聽聞を受けられるものだということを規定しておかなければ、公安委員会独自の考えで、証人を聽関することはできないのだという意見をもつて事を決した場合に、業者に非常に不利益なことになると思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
○間狩説明員 それは先ほど申し上げましたことを繰返すことに結局なるわけでありますが、警察官の側でも警察官自身が証人的な立場に立つ場合もありますし、あるいは第三者をつれてきて証人に立てる場合もありますし、反対に営業者におきましても、弁護士に代理をしてもらつたり、第三者の証人を立てたりすることが双方自由にできる。むろんさような趣旨は十分徹底されますので、公安委員会がさような趣旨が徹底しておるにもかかわらず、故意に証人あるいは弁護士を許さないというようなことは、実際問題としてはできないと思います。
○高橋(禎)委員 もし業者側が証人の申請をしても、それを無視して最後の決定をしたような場合には、どのようにして救済すべきだというお考えなのでありましようか。
○間狩説明員 結局警察側と営業者側の両者の提出した証拠が矛盾する場合の問題であると思います。これは矛盾いたしました場合には、公安委員会が決定をするよりほかないのでありまして、しかもなお営業者の方では絶対に違反の行為はないということでありますならば、これは裁判所に訴え、正式の裁判で爭うよりほかないと思います。
○高橋(禎)委員 業者が風俗犯罪に関係があつたという疑いの存する場合に、裁判所にその事案が起訴された、しかも裁判の結果事実の存否について疑問があり、または事実の存在しないことが明瞭になつたため、その事案は無罪になつた。そういうような場合に、公安委員会においてはその事実の存在したものと認めて、常業の停止または取消をいたしておつたというようなときにも、やはり裁判手続によらなければその救済ができないというふうなお考えでありますか。
○武藤政府委員 御説の風俗犯罪として刑事裁判にかかつて、それが無罪になつたという場合であります。この場合においては、善良の風俗を害するおそれがあるというふうに認定された場合でありましても、両方完全に一致する場合もありますが、また多少範囲において違うことも想像できるのであります。從つて裁判所の裁判の結果が当然これに影響するという趣旨のものではないのでありますが、しかしもちろんその間に非常な関連はあるわけであります。公安委員会が善良の風俗を害するおそれがあるというところで、この聽聞会を経て、取消なり停止をやつたという処分ついては、裁判所の問題とは別個に考えらるべきものでございます。もちろん先ほど申し上げたように、この公安委員会の取消なり停止なりの処分が違法である場合においては、別個の訴訟によつてこれを爭うべきものだと考えます。
○高橋(禎)委員 ただいまの御説明の前提になりました部分は、私の質問のやや徹底しなかつた点があるのではないかと思いますので、いま一應繰返して申し上げます。第四條の「法令又は前條の規定に基く、都道府縣の條例に違反する行為をした場合」という、法令に違反する行為のありたる場合、しかもそれが犯罪になる場合、そしてそれが起訴された場合のことをお尋ねしたわけなのでおりまして、公安委員会において営業の許可の取消または停止をなされるには、その犯罪の行為が存するということが前提になるわけであります。その場合に起訴はされていたが、裁判所でその行為なしとして無罪の裁判を受けた、そのような簡單な場合でもやはり訴訟手続によらなければ救済の途がない。 〔坂口委員長代理退席、委員長着席〕 それではあまり國民に不利益ではないか。そこに簡單な救済手段が講ぜられなければならないのではないか、このように思えるのでありますが、いかがでありますか。
○間狩説明員 ただいまのような場合でございますと、第四條に該当しない。つまり明らかに違法なる行政処分だつたということが確定するわけでありまして、さような場合には、公安委員会は当然にみずからなした処分を取消すべきものであります。それで取消の規定はございませんが、みずから取消すことはむろん自由にできるわけでありまして、さような場合には当然ただちに処分を取消さなければならぬ。これは違法の処分であることが明瞭でありますので、当然のことだと思います。
○高橋(禎)委員 第四條の関係につきましては一應この程度で打切りまして、第六條についてお伺いいたします。第六條の第一項に規定してあります「営業所に立ち入ることができる。」この立ち入りということについての定義をひとつ御説明願いたい。
○間狩説明員 立ち入りの意義でありますが、営業所の現場に臨みまして、行政上の目的をもつて視察、檢査することであります。
○高橋(禎)委員 いわゆる臨檢と同じですか。相違があるのですか。
○間狩説明員 言葉が変つておりますが、從來の臨檢と内容におきましてほとんど変りはないと思います。
○高橋(禎)委員 第六條の冒頭の「当該官吏及び吏員」というのは具体的にはどういう方なんでしようか。
○間狩説明員 管轄権を有する警察官吏あるいは警察吏員、その他の警察職員であります。
○高橋(禎)委員 この「風俗営業の営業所」という意義をひとつ御説明願いまする
○間狩説明員 営業の用に供しておる場所でありまして、個人の私宅は含まないことになつております。
○高橋(禎)委員 第六條第一項の「都道府縣の條例の実施について必要があるときは」という、その條例実施の必要というのは例示していただくと、どういうことなんでしようか。
○間狩説明員 都道府縣の條例におきましては、第三條に基きまして種々なる制限が加えられるわけであります。また第二條におきましても、必要な場合には届出をしなければならないというような規定の條例も設けられるのでありますが、さような規定の励行を確保するために、営業所に立ち入つて調べる必要が生ずる場合であります。
○高橋(禎)委員 風俗犯罪の現行犯があるかないかを確かめたり、あるいは犯罪搜査の目的を含めての立ち入りというようなことは考えておられるのでです、いかかがでしよう。
○間狩説明員 犯罪搜査の立ち入りはこの場合考えでおりません。あくまで行政の目的のためにする立ち入りだけであります。
○高橋(禎)委員 第六條第一項の規定は、憲法第三十五條の規定の精神に違反するものではないでしようか。
○間狩説明員 憲法第二十五條との関係でございますが、憲法第三十五條は司法手続に関する保障であるということに、法制局の意見が固まつておるのでありまして、第六條の関係は行政上の立ち入りでありますので、第三十五條には関係もありませんし、抵触もしない、さような見解であります。
○高橋(禎)委員 憲法改正前において、行政上の目的ということに名をかりて、犯罪捜査のためにこの種の規定が濫用されたことは、世間でも相当認ているところであると私は思うのでありますが、第六條のこの規定が、司法警察のために濫用される危険が非常に多いものであるというようにはお考えになりませんね。
○間狩説明員 行政上の目的をもつて立ち入りをいたしますが、そこで司法上の刑事事件と関連を生ずるものは、それはそこに現行犯があつた場合かと思うのでありますが、現行犯の場合には、刑事訴訟法によりましても、令状なくして搜索できるわけであります。刑事事件に対してこの規定が濫用されることはないと考えます。
○高橋(禎)委員 私は風俗犯罪の捜査という司法的な関係を全然顧慮しないとすれば——、御説明のごとく單に行政的な方法として立ち入るということが考えられるのであれば、いわゆる立ち入り、臨検ということは認めなくても、十分行政目的を達し得るのではないかと思うのでありますが、いかがでありましよう。
○間狩説明員 実はかような風俗営業におきまして、取締りの目的を達成していこうと思いますれば、單に司法手続によつて犯罪の檢挙をやるだけではとうてい不十分でありまして、犯罪の嫌疑あるなしにかかわらず、営業所に立ち入る必要がある場合には、立ち入りまして檢査をすることが、どうしても必要でございます。
○高橋(禎)委員 非常に抽象的な御答弁のごとくに私には考えられるのでありますが、やはり臨檢の場合にも、裁判所の令状をまつてなし得るというふうにすることが、眞に國民の基本的人権を擁護するの精神に合するものではないかと思うのでありますが、いかがでありましよう。
○間狩説明員 これは行政上の目的に関連する事柄でありますので、それを裁判所にもつていくことは、建前としていかがかと思いますし、この権限が特に與えられておりませんと、——先ほど申しましたように、カフエーあるいはキヤバレー、あるいは待合というようなところにおきましては、必要がある場合には簡単に立ち入りができるということになつておりませんと、風俗営業取締りの目的を達成しがたいと考えておるのであります。
○高橋(禎)委員 この第六條第一項につきましては、立ち入りということを許すとすれば、やはり裁判所の令状でも受けてなすということにしなければ、国民の基本的人権が侵害される危險が非常に多い、かように考えております。しかしその問題はこの程度で打切りまして、第二項の「証票を携帶し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない」という規定についてでありますが、証票を示すと同時に、その理由を告げるというふうに規定する方が適当ではないかと思うのでありますが、いかがでありましよう。
○間狩説明員 この場合の立ち入りは、特に犯罪あるいは違法行為の嫌疑があるために、その捜査に立ち入るという場合でありませんで、法律あるいはこの法律に基く條例が適当に遵守されているかどうかというような点を確めるためでありますので、いかなる理由によつてということを具体的に呈示することは困難だと思います。
○高橋(禎)委員 理由を呈示することが困難だということになりますと、結局臨檢してみれば何かあるかもしれないから臨檢してみよう、こういうふうな趣旨で立ち入る場合が多いというふうなお考えなんでありましようか。
○間狩説明員 法令または條例が遵守されておるかどうかという点を確かめるためでありまして、さらにそれに基いて第四條等によつて必要な行政処分をする場合も生ずるのでありますが、さようなためにするわけであります。
○高橋(禎)委員 ほんとうに行政上の目的のためだけで、ただいま御説明のあつたような趣旨でありましたら、今申されたようはことを説明して、すなわちそれを理由として述べて立ち入るということのほうが、穏当のように思うのであります。何も理由を告げないで、しかも立ち入ろうとする、そしてその証票を関係人の請求があうたときはこれを呈示しなければならない。業者というのは非常に弱いものですから警察官が臨検に來られて証票をひとつ呈示してもらいたいと言うような人は、非常にまれではないかと思うのであります。しかしそこに非常に遠慮するところにいろいろの間違いが起つた事例もあるのでありますが、これは非常に親切な規定としましては、行つて証票を示して、そしてかくかくの行政上の目的のために来たんだぞという理由を述べて、穏当に臨檢するということが正いのでしはなかいかと思うのでありますが、いかがでございましようか。
○武藤政府委員 お説の点もよく了解できるのでありますが、実際問題といたしまして警察官が默つてのそつとはいつていつて臨検するものでもございませんでしよう。この條文にあります通り、都道府縣の條例の実施について必要があるために臨檢するのでありまして、実際問題としては営業所を見に來たと、それぞれ話をすると思います。法令において親切にこまかく規定することも結構でありますが、実際の運営をより親切にすることが肝腎でございます。そういつた点について警察官が立ち入り濫用にわたらないように、また権限を振りまわすことのないように、指導によつて十分目的を達し得るのではないかと考えます。
○高橋(禎)委員 いま一点救済手段についてお尋ねいたしておきますが、もとへ還るわけでありますが、訴訟によつて救済を受けろと簡単に御説明があるのでありますが、この種の営業をしている者が、営業の停止、許可の取消、あるいは停止処分を受けて、そうして実際上営業をなし得ない状態にしておいて、その救済は訴訟によつてやれとおつしやつても、日本の現在の状態からしますと、訴訟というのは非常に長期間にわたるわけでありますから、営業を総続していくという立場から考えれば、それはただ名目だけであつて、実際上はほとんど救済し得ないものであると私は考えるのでありますが、それらの点についてはいかがでありましようか。
○間狩説明員 結局先ほど來の説明を繰返すことになりまして恐縮でございますが、実は警察法と関連しまする問題でございまして、現在の訴願法によつては簡単な救済の方法が、新しい警察法の建前からいたしましてできないということになつてまいりましたので、警察法に関連する一つの新しい、しかも單に風俗営業だけでありません、他の公安委員会の権限、行政処分を規定いたしました法律もたくさんあるわけでありますが、そういう場合一般の問題といたしまして、將來研究をしなければならぬ問題であると思うのでありまして、それまでのところ、さしあたりましては、事実上当該営業者が公安委員会に異議を、あるいけ不服を申し立てましたり、その他の方法によつて救済をはかるということ以外に、方法がないわけであります。
○高橋(禎)委員 第八條について質問いたします。第八條の規定は、最近の立法の傾向を見ますと、この種の法律にはほとんど同じような言葉でもつて規定されているのでありますが、この冒頭にある「法人の代表者」ということについて考えてみますと、たとえば株式会社等においては取締役中、その会社を代表すべき代表取締役を定めることができるということになつておりまして、その場合には他の取締役は会社を代表しない、すなわち法人の代表者でないということになるわけでありますが、その代表権のない取締役が、法人の営業に関し、前條の違反行為をなしたるときは、どのように取扱われることになるのでありますか。
○間狩説明員 みなはいると思うのでありまして、代表者でない者は「使用人その他の從業者」という方にはいると思います。
○高橋(禎)委員 第八條の中に「その法人又は人に対し、同條の罰金刑を科する。」とありますが、その人というのが刑事未成年である場合には、もちろん罰せられないのでありますが、その場合は法定代理人をどう処置するかということについては、お考えになつたでありましようか、いかがでありましようか。
○間狩説明員 ただいまの点は実は研究いたしておりませんが、これは研究いたしましてお答え申し上、げます。
○高橋(禎)委員 一應私の質問はこの辺で打切りたいと思います。
○坂東委員長 千賀委員。
○千賀委員 私は質問をいたします前に、先ほど某方面に当委員会を代表いたしまして意見を質しに行つた点がございます。それは門司委員が前回地方制度の一部を改正する法律案の中で、修正意見を吐露いたしましたので、これを向うが了解するかどうかという点について話合いに行つたのでございます。大体その点は了解を得ましたのでその点をここで発表いたしまして御参考に供したいと思います。朗読をいたします。 「地方自治法の一部を改正する法律案の修正案(追加) 第百九十五條第三項に次の但書を加える。但し市にあつては條例で四人とすることができる。」これは監査委員が大きな市では二人で少いのではないかという問題であります。 「第二百四十七條第一項の次に次の三項を加える。前項の規定により普通地方公共團体の長の職務を行う者のがないときは、都道府縣知事については内閣総理大臣、市町村長については都道府縣知事は、普通地方公共團体の長の被選挙権を有する者で、当該普通地方公共團体の区域内に住居を有する者の中から臨時代理者を選任し、当該普通地方公共團体の長の職務を行わせることができる。臨時代理者は当該普通地方公共團体の長が選挙され、就任するときまで、普運地方公共団体の長の権限に属するすべての職務を行う。臨時代理者により選任または任命された当該普通公共團体の職員は、当該普通公共團体の長が選挙され就任したときは、その職を失う。」こういうようなことでありまして、これは市町村などが、あるいは縣も同様でありますが、役職員が一遍にすつかり辞職をしてしまつたときは、次の長が正規に選挙せられるときまで行政の空白時代ができるから、その点をどうするか、これに対する処置でございます。これを御参考に申し上げておきます。
○坂東委員長 ただいま千賀委員から内閣提出第四一号の地方自治法に関する関係方面との一部折衝事項の緊急報告がございました。この点につきましては、遠からず正式にその法律案の討論の場合がございますから、さよう御了承をお順いいたします。
○千賀委員 次に御質問をいたしますが、私はこの前の委員会におきまして、風俗営業取締法案、これを審議するのに参考書がついていないから審議ができないのだというので要求をいたしまして、風俗営業関係地方廰令の規定の概要、これを御配付になつたのであります。これを見まして大体地方におきまして風俗営業を取締つておる状況はわかるのでございまするが、私がこの点について憂慮いたしておりまするのは、風俗営業者といたしまして取締りをされるのは、ここに指定をされておるような業者でありまして、これは官憲の力からすればまことに鶏の首を捻るよりももつと易々たることであります。しかしながらこういうような階層に対して、いかに威力を加えてこれを取締りましようとも、はたしてわが國がこの滔々たる頽廃の一途をたどつておるこの風俗頽廃の現状を救うことができるかどうか、この点につきましてはまことにあきたらざるものがございます。以前にも私は指摘をいたしましたが、若い学生が若い女性と相擁して街に歩いておつたり、実に若い人たちのこの風俗営業の範囲で取締られるらち外におるだろうと思われる人たちの、風俗の頽廃ははなはだしいのでありまする。これらがまたわれわれの第二世に、ごく年の若い少年少女に、どんな影響を起しておるか、これこそほんとうにわれわれが心をひそめて考えなければならない風俗頽廃の事実でございます。この配付になつた地方関係の書類を見ただけでは、依然としてこの点について解決をいたしていないのであります。大体が風俗営業者のところに寄りつくやつは、すでに風俗頽廃をいたしまして、まあ頽廃しておらぬかもしれませんが、みずから求めていく人たちで、この人たちがどの程度の風俗を頽廃しようとどうしようと、大した全体的の問題でもなければ、またそれらの人に対する相手方をどんなに取締つてみたところで、それでわが民族の風俗が善良になつてくるというようなことは、さほど考えることができませんけれども、この一番大きな問題に対して、政府がどう考えておるのか、どういう手を打つていこうとするのか、この点を私どもははつきり見定めたいと思つたのでありまするが、潰憾ながらこの参考書ではこの問題に対しまして解決の手が打たれていないというよりいたし方がないのであります。当局はこの点をどうお考えになつておるか、單に教育の力をもつてこれらを解決するということだと、これはまことに百年河清をまつというか、われわれの第二世が教育の力をもつて、そういうふうなことに無関心であり、また免疫になつたころには、もうすでに大多数の者が風俗頽廃の底に蝕害をされてしまつておるということになりますると、われわれの心配しておるところはまことに残念ながら救済されないのであります。まず第一に私はこの目の前の大きな問題をどう政府の当局はお考えになるのか、キヤバレーやダンスホールだとか、あるいは置屋、宿屋、こんな中でいかがわしいお客と從業員との行いを目くじらを立てて取締つておるうちに、それより数倍、数十倍も社会を蠹毒するような行動を青年達が公々然と白晝大道においてやつておるというような、しかもそれを取締りもせず、人も怪しまないというような図柄になつてしまつては、一体それでわれわれは風俗取締りに遺憾なしというような氣持がもてるのであろうか。私は一番大きな点は、この点にもつと当局が掘り下げて解決の途をつけなければいけないと思います。何かこの行政上の点でかような点にお考え願つておるところはないか、これを伺いたいのでございます。 次には第二條の中に善良の風俗という字があるのでございまするが、善良の風俗を維持しあるいは奨励発展させるということは、この前出てきました「じゆん化」という言葉がありましたね、「風俗のじゆん化、」これとどう違うのか、その点の御見解を承りたいと存じます。これは私はあげ足をとるのじやない、ともに研究したいのです。ほんとうにこういうことはわれわれは解決をしていかなければならない責任があると考えておるのだから、そのつもりで答弁してください。ただ逃げを張るだけでは満足をいたしません。御答弁に從つてまた質問を重ねます。
○武藤政府委員 たいへん重要な問題の御提起でございました。われわれ全然同感でございます。青少年の風教といつた見地から非常に寒心すべき状況にあるという点、まことに御同感でございます。これに対して一切の機関があげて努力をすべきものであると存ずるものでございますが、警察といたしましては、犯罪予防といつた見地から、青少年が知らず知らずに堕落していく、惡の淵に沈んでいくということをみすみす手を拱いていることは、決して警察としての本分を盡すゆえんでないと存じます。そういつた見地から警察といたしましては、特に青少年の惡に陥らないような予防、補導というものについては、特に力を入れてまいりたいと思うのでございます。最近においては各縣において特に青少年の課なり係を設けておつたのでありますが、現在におきましても警視廰においては少年第一課第二課をきいております。また各縣の防犯課というものの機構拡充によつて、特にこの青少年の問題というものと真劍に取組んでいきたい、警察によつては各署に少年の係というものを置いて、その誘惑に陷りやすいような地帶には警察官が行きまして、これを補導する、そうして惡に陥らないように、これを未然に防止していく、必要に應じてその親なりあるいは学校なりに連絡をとつて、本人が惡に陥らないように、未然に防止するというふうに努力をいたす。これが警察としての親切であり、また社会に盡すゆえんであると存じておりますので、特に青少年の補導という方面について、今後は一層努力をしたいと思うのであります。もちろんここで考えますことは、青少年のこういつた腐敗堕落防止ということについては、警察として非常に関心をもち、またできるだけのことをいたすつもりでおります。現在の犯罪の情勢から見ましても、再少年の犯罪率というものがますます殖えていくという傾向にあるということもございますし、警察自体といたしましては、あらゆる努力を拂うつもりでありますか、実際警察だけによつてその所期の目的を達するということは、これは実は困難なことであります。そこで社会事業機関あるいは矯正事業関係のものなり、あるいは学校、さらには家庭といつたものの相互の連絡、こういつたものにまで進展しなければならないと思うのであります。浮浪兒の問題にいたしましても、ただ警察がこれを狩り集めるというだけでは決してこれを更生させるゆえんではない、これを受け入れて、再び善良な少年に立ち返らせるところの社会施設というものも、併せて緊要なものであると考えるのであります。警察といたしましては、警察の立場から青少年の犯罪の未然防止ということに、今後一層の努力を拂うと同時に、他のまたこういつた機関との連繋、またこういつた機関のより一層の発展をわれわれは切に希望するところでございます。聞くところによりますと、政府において犯罪予防更生法案というものを立案中でございます。この中においては特に成人と少年とにわけまして、この二つについての全國的な大々的な補道事業を開始される計画をしておられるようであります。警察といたしましても、これは一枚加わつてこの方面により一層の推進を遂げたいということを考えております。
○鈴木(俊)政府委員 ただいまの用語の問題でございますが、地方自治法の改正法律案の中で「風俗のじゆん化に関する事項」という言葉を使つておりますが、この風俗営業取締法の「善良の風俗」とは、どういうように違うかというお尋ねのように伺いましたが、これは醇風美俗というような意味で「風俗のじゆん化」ということを地方自治法の改正法律案では用いておるのでありまして、実質的に申しますと、善良の風俗と申しましても、あるいは醇なる風俗、醇化された風俗というものとは同じような内容をもつことになると思いますが、地方自治法におきましては、風俗をよくすることと申しますか、善良にすることと申しますか、そういう意味に用いておるのでありまして、漢字の字句として使えば、あるいは風俗の善良化ということが言えるかもしれませんが、どうもそれではやはり字句としては熟しておらぬように存じますので、「風俗のじゆん化」ということは、やはり語としてはうまく納まりがつくのではないかと思いまして「じゆん化」という字を用いた次第であります。
○千賀委員 言葉の方から先に第二の質問をいたしますが、日本が敗戰のために民主化されまして、非常に大きなシヨツクを各方面に受け、またこれを甘受しなければなりません。用語の上においても同様でありまするし、その他表現の仕方についても同様であります。天皇の一天万乘とか、あるいは天皇は十善とかいう言葉を使つておつたのが、最近はあつさり天皇は民族のシンボルである、象徴であるということで、大きな革命的な変化が起きておるくらいでございます、またこの法律の表現の用語にいたしましても、大きな革命があり、変化があつてもしかるべきでございます。醇の字などは、私はこの前から指摘しておりますけれども、むしろこれは現在、使い得ても、あの二千数百字の範囲内にいたしましても、これはやめた方がいい字だと思います。淳風美俗ということは、明治二十年以來法律から使われておる言葉でありまして、字だけを辞書で見れば、酒のまじりけなく、濃厚なるものとして、これを人の世にあてはめれば醇朴、いずれにしても昔の為政者、封建主義の、封建色の濃かつたころの為政者は、民はよらしむべくして、知らしむべからず、この典型的な民をつくるために、淳風美俗などと言つて、いわゆる民衆指導の目標にした言葉であることは間違いありません。私らが民衆の代表として、あなた方のやつておることに不満があつてこうがみがみ言つておることは、これは淳風美俗ではない。こういう私らのような人民をつくらないことが昔の封建制度の時代ではよかつたのでしよう。見ざる、聞かざる、言わざる、この三ざるがほんとうに昔の為政者の最も好んだ愛すべき人民であり、風俗であつた。これを要求したのが、淳風美俗でありましよう。今これを再び繰返しますが、淳化する、淳風美俗化するということは、使い得る字でありましても、これはやめた方がいいくらいに感ずるのですが、これをわざわざ使うというのはどういうことであるか。私が先刻來指摘しております天皇の表現の字も、無理に無理をして、シンボルである、象徴であると言うくらい、今言葉の革命のために苦心をしておるのでありまするが、こうしたわずかな言葉の端でも、ここに為政者としての、知性の閃きがなければならない。またいかにして間に合い得る言葉で表現をだんだん進化していくか、いわゆる日本語の單純化、この線に沿つて言葉をつめて、その一つの制度の目的を達しようということろに、あなた方のこれに同調する苦心が見えなければいけない。それであるのに、ただ昔の言葉を使つて醇の字を仮名で書いてみるというようなことは、これは全然とらざるところで、今ここに使つてある、この美風という言葉で結構であります。善良の風俗を維持するということになさいましても、または美風の維持発展という言葉を使われましても、それはどちらでも結構でありますが、全然同じ意味が表現できる言葉が、許される漢字の中であるのに、これをわざわざ使うというのは、いかにもあなた方の怠慢と言いましようか、あまりにも言葉に対する感受性が鈍いと言いましようか、法律ばかり研究しておられるから石頭になつたのかもしれませんが、少し頭をやわらかくして、民族の大目的に合致して目的を達するということを考えていただきたいと思います。「じんかい処理」のごときも同じことで、かような趣旨から十分われわれの許されておる、使い得る漢字の中から、同じ言葉を探し出し得るのでございます。不可能だとおつしやれば、不肖でありますが、われわれいつでも御相談にものります。討論のときに修正意見を出しても結構でございます言葉につきましては、それだけ申し上げておきます。 次に風俗営業の根本問題であります。今当局は大体不良少年の矯導ということに重点をおいて御答弁でありますけれども、私のほんとうに憂慮するのは不良少年ではないのです。世の中の全体が滔々としてアブノーマルの傾向に滑りつつある。これをいかにして破壊させようかという点に非常に関心をもつておるのでございます。またその一部面としては、不良少年少女あるいは浮浪兒たちの行いを正しく指導するということも、もちろんその一翼にはなりますけれども、もつと大きいことは、直接にどうして彼らを惡の道に親しまないようにするかという問題でございます。そこでひとつ御参考に申し上げますけれども、私は自分の郷里の方で近ごろの若い人たちが、ときに窃盗をやつたとか、初歩の犯罪にひつかかつて、警察に檢挙をせられた。親たちが飛んで來て、たいへんなことだから何とかひとつ説諭をしてくれろというような話で、その少年たちに留置場から警察の方々の配慮で出してもらつて考えを聽いてみますと、まことにたあいがないのであります。たつた一人で俺もは信念をもつてやつたんだ、この世の中に反抗するために、この惡の道に染まつたんだ、首でもひつ切つてみろ、矢でも鉄砲でももつてこいというような面魂の返答をする少年が一人ぐらいはあるのではないか、それを期待していたのでありますが、一人だつてない。これは何十人、何百人そういうのに接したかしりませんが、そういう所で会つてみると、全部めそめそと涙を流して泣きやがる。実に、自信がないと言いますか、それほどだつたらなぜお前たちは惡いことをするのだと言つても、ただ頭を下げて涙をこぼして、もう再びせぬから頼むというようなことを言うのですが、これは現在の惡に染まつていく少年少女がいかに自信がないか、信念がないか、いかに考えによりどころがないか、実にあわれむべき、何と言いましようか、心の一つの力を失つてしまつたというのか、これも敗戰の影響と言えば言えるでしようけれども、ほんとうに人生のキヤピタルを失つてしまつたあわれな姿をどこにも見出すのでございます。かようなわけでありますから、官憲と言いましようか、当局と言いましようか、この方々が少しそちらに努力と心を用いて、少年少女の惡化していくことを防止しようという努力が現われますならば、おそらくこれは非常な大きな効果が現われていくのではないか、こう信じております。私は單に風俗営業締締りということは、むしろ数からいえばそういう少年少女の数は数十パーセント内外あるかもしれませんが、むしろこれは中老以上の享楽の対象になるような場合が多くて、取締つても取締らなくても、日本の全体の風俗がどうなつていくという影響力はむしろ少くて、やはり影響の大きいのは、そういう目にあまるちまたに溢れた若い少年少女の風俗を規正することであると思います。それに関係してごく小さい少年のためには、三國人がやりまするばくち、いろいろな玉轉がしや各種のばくちがありますが、そういうものに対する取締りも明示されておりません。こんなときから法律を犯す愉快さを覚えて、その次に性の方に走つていくという順序になるのだと思います。こういう点にももう少し断固と言いましようか、自信のある取締りをやつてもらいたいと思います。まあ直接にはこの法案に関係がないが、あるいはそこまで修正するのはちよつと筋違いかもしれませんけれども、しかし目的は同じでありまするから、その点に対して相当に愼重な立法をされたい、かような要求をいたします。また新たな立法でなくとも、これを修正される点があれば修正する、そういうところに及んでも結構でございます。 それから風俗営業の点でありまするが、私の前の質問者の質問は、大体私らも肯綮にあたつておると思います。私の言わんとするところもよく盡されておるのでございまするが、公安委員会は裁判所で言えば裁判官の役をするところでありまして、檢事の役をするところではないと思うのです。であるのに、これに行政長官の役もさせ、檢事の役もさせ、裁判長の最終の審判をする役もさせる。一つのものに二役、三役を買わせるところに不合理があつて、これではいたずらに紛糾を起させ、またこの法律によつて、ゆえなくして苦痛を訴えるような國民をつくるばかりであつて、実効をいかに期待されるか、まことにこの点については私は自信はないと思いまするが、やはり私はこの届出を受け、しかしてこれを許可する権能をもつ者は警察署長であつて、もしも警察署長の措置に不十分なものがあり、あるいは民衆の肯綮にあたらざるものがあるならば公安委員会に提訴させる、どういう形で提訴するか、必ずしも提訴という字を使わなくてもいいのですが、公安委員ははたしてその警察署長の据置を是とするか、非とするか、かような裁きをする。こういういうことでいいと思うのであります。一つのものに二役三役と背負わしたので、いくら議論をしてもどうしても議論が盡きない。この点について、当局がわれわれの言うところを聽けば、この法案の根拠は崩れるし、聽かなければ見解の相違だということで、つつぱつてみなければならないことになつてしまう。問題はそこにあると思います。この点を反省して修正をなさる御意思ありや否や、またはこの際もしもわれわれが事急を要するために、これを認めたといたしましても、將來この点を修正する意思ありやいかが、この点を伺うのでございます。 さらに、なるほど公安委員というものは民主的にできたのには違いありません。しかしながら民主的といいましても、できるまでの経緯が民主的であつたというのでしよう。市町村長が推薦した者をそこの地方議会が承認したというのですから、民主的だと言つてもいいのでありまするが、しからばそのできた人たちがやる仕事が將來民主的であるか、非民主的であるかということは、一々事に当つてみなければわからない。それをいつも民主的にできたものだから、それらの人がやることがことごとく民主的だと断ずることは断じてできないのでございます。それは公安委員の罷免もできるんだから、 そのときに公安委員の罷免を提訴すればいいじやないか。公民の大部分に、訴えて、公民の投票によつてこれがきまる。これは理屈でありますけれども、何も料理屋を願つて許可されなんだ人々、大体こうした風俗営業に陷るような人は弱勢な人なんです。強力な人ではない。こういう人たちがただちに政治的な大運動を起し得るかというと、そんなことはできやしない。できないのにそういう途をいたずらに高唱して、こういう途があるから解決されておるのだというようなことは、これは断じてできません。それから公安委員会のやりまする措置が民主的であるか非民主的であるか、あるいは正しいか正しくないかという点に至りましては、これはあながちみんな正しくないというわけではありませんが、正しくない場合はいくらでもあり得ると思います。この仕事を警察がやつておつた時代、私は二十年も地方議会の議員をやつておりまして、常にこういうことに遇つておりまするが、私怨をもつた業者に、自分の氣持を報ゆるために、係りの警察官を買收しておいて、そちらの営業の欠点をあれだこれだと訴えて、密告しておいて処分をさして快哉を叫ぶ。あるいは自分が独占的な利益を得るというようなし方は、私ども随所にこの目で見て來でおる。警察官にあらずとも、一町村にわずか三人やそこらの公安委員なら、こういうことは必ずやらないということも保証ができない。やる場合もあるかもわからぬ。そんなようなことがその町全体の民意である、最も民主的な措置であるということは断じてできない。さような場合にも、ほとんど不可能にひとしいような大がかりな反対をしなければ、これの是正ができぬというようなことは、これはどうしても民衆のためにとらざるところであると思います。簡單に公安委員のやることがどうしても承認ができないというような場合には、その地方の議会に提訴し、議会でこれを大勢の頭で審議をして判決を下すというようなことをしたら、どんなものだろうか。こういう方向に修正なさる氣持はないかどうか、この点を伺います。
○鈴木(俊)政府委員 私は今の千賀委員のお話に対して、答弁を申し上げるつもりではございませんが、ただいま千賀委員の仰せになりました言葉の中に、はなはだしく不穏当な言語を使用して、私なりあるいは武藤政府委員なりの説明に対して御批判をなさつておるように伺つておるのであります。御批判であるならばむろん私は何も申し上げませんが、字句としてはなはだしく不適当のように私は考えますので、委員長において千賀委員の御発言についてしかるべき点は速記を善処せられんことを希望いたします。
○千賀委員 どういうことが惡いかわかりませんが、もしもあなた方が非常に御迷惑なことを私が言つているなら、委員長の措置として速記録の中から抹消になることを承諾いたします。
○武藤政府委員 惡に陥る青少年などについて、大きい立場から考えろという御意見全然同感でございます。私が先ほど申し上げました点は、非常に大きな事業、千賀委員は当局という言葉をお使いになりましたが、私は当局だけではない國をあげての大事業だと思います。この大事業の中で警察としていかなる点を分担すべきかという点を、先ほど申し上げました。警察というものは犯罪に陷らんとする者を未然に防止する、あるいは惡に染まつたものを軽いうちに救いあげるといつた点において、この仕事に大きな役割をしていかなければならない。われわれとしてはこれに非常な力を注いでいきたいということを私は申し上げたのでありまして、御趣旨の点は同感でございます。この点についてこの風俗営業は特に風俗営業というものに局限して、いわばその大きなものの一環としてここに掲げられたものでありまして、なおお話の中にこれは大人だけを対象にしておる、子供には関係ないように仰せになりましたが、実は大人がいい手本を示さなければ子供にまた影響するところが大きいのであります。私はそういつた意味において、御意図の点もまたこの法令の中において大きな影響を見出すものではないかということを考えております、。 第二の点は公安委員会でなくて、署長にさせたらどうかという御意見でありますが、御承知の通り新しい警察法におきましては、公安委員会がその運営管理に当つて、署長以下の警察官はいわばその事務局として警察の執行に当るということになつております。その運営管理の最高責任者であります、昔の言葉で言えば行政官廰に当るものが、この公安委員と申してもよろしいだろうと思うのでおります。そういう点において署長に権限を任せるよりも、公安委員会において果すのが至当であると思います。またすでに第一回國会で御提案申し上げて、御承認を願つたところの他の法令においても、この種の許可は公安委員会がなすことにいたしておる次第でございます。 第三点の公安委員の運営が正しくない場合があるではないか、選任は民主的であるが、あとの運営は正しくない場合があるではないかという御話でありますが、私はこういつた公務員というものは、常に國民の批判の前に立つものであり、ガラス箱の中で仕事をすべきものであるということを固く信じております。法令できめられなければ何をしてもいいのだといつた性質のものでは絶対にない。正しいガラス箱の中で仕事をするというのがわれわれの信念でございます。公安委員がそういつた意味においてあくまでも正しく仕事をされるということをわれわれは期待もし、熱望もし、また確信もいたしておるのでございます。これの救済について先ほどから詳細なる御質問があり、何か考えるべきではないかという御説でありましたが、これもとくとわれわれとしては研究すべき問題であると思います。さしあたりはこれはひとりこの法律だけの問題でなく、全般の行政処分問題に関連をいたす問題でございます。從つてこれについては全般の問題として、殊に訴願法というものもあつて、これの改正ということも考えられるべきではないかということを考えます。そういつた問題の一環として考究すべきものであると思います。
○松澤(兼)委員 ただいまの警察許可の問題ですが、警察と公安委員とどちらが許可の権限があるかという問題で、御趣旨はまつたく同感なのでありますが、一つ例をとつて申し上げますと、たとえば道路交通法の中におきまして「左の各号の一に該当する者は、命令の定めるところにより、警察署長の許可を受けなければならない。一、道路において工事又は作業をしようとする者、二、道路に碑表、廣告板、飾塔等を設置しようとする者、三、道路に露店、屋台店等を出そうとする者」等四項があるのでありますが、道路に露店、屋台店などを出そうとする者の許可は警察署長だけでよろしいということになつておるのであります。そういたしますと、料理店などは相当大きな建築様式あるいは從業員等の関係がありますから、警察署長よりはもう一つこの公安委員会がその許可をするということは、まず大体考えられるわけであります。しかし第三項に「玉突場、まあじやん屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技」、これはもう少しだんだんとこの解釈を拡げてまいりますというと、たとえばピンポジ屋などでかけをする場合とか、あるいはその他パチンコであるとか、その他射幸心をそそるおそれのある営業というもので、必ずしも大規模な構造をもたないでも営業できるというものもあるわけでありまして、露店、屋台店などと、この第三項にあります射幸心をそそるおそれのある営業、あるいはまた屋台店で料理を食わす、そこに婦女が一人とか二人いて接待をする営業というものとの間にどれだけの相違があるか、一方では道路の露店、屋台店などは警察署長の許可である、一方は客席で婦女が客の接待をするというような簡單な飲食店及び射幸心をそそるおそれのある簡單な設備をもつた営業というものは公安委員会の許可であるということに、多少の矛盾があるんじやないかということを考えるのであります。先ほども申しましたように、大規模のものはもちろん警察署長よりも、もう一つ上級である公安委員会で許可をするということはよくわかります。風俗営業の取締りの対象となる最下級のもの、道路交連取締法のいわゆる道路において露店、屋台店などを出しておるものは警察署長の許可である。それは單に量的な相違であるのか、私はそういう相違を設ける必要がないのであつて、どちらも同じように警察署長なら警察署長、あるいは公安委員会なら公安委員会にこれをそろえる必要があるんじやないかという感じがするのでありますが、この点当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
○間狩説明員 道路交通取締法の二十六條と風俗営業取締法第二條との関係の食違いの問題でありますが、今御指摘のような場合に、道路交通取締法で許可いたしますのは、結局その場所を制限するだけの問題に止まるわけでありますが、風俗営業取締法におきましては、その営業自体の許可という問題になつてまいりますので、その点風俗営業取締法による許可の法が非常に重大だと思うのであります。そういう見地からいたしまして、風俗営業取締法の方は直接職業の自由と申しますか、そういう権利に重大な関係のある事柄でありますので、すベて公安委員会の決定によるということにいたしたわけであります。
○松澤(兼)委員 そうすると道路交通取締法の中における警察署長の許可ということは、單に場割をする、場所を使用するというだけの許可であつて、営業の許可ということははいつておらないというふうに解してよいのでありますか。
○間狩説明員 さようでございます。
○松澤(兼)委員 そういたしますと、屋台あるいは露店などにおいて飲食業類似の営業、もしくは射幸心をそそるおそれのあるような営業をするという場合は、やはり公安委員会の許可を受けなければいけないというわけですか。
○間狩説明員 第一條に該当いたします場合には、公安委員会の許可を必要といたします。
○坂東委員長 お諮りいたしますが、この法案につきましては多少まだ質疑が残つておりますから、次会に願いまして、他に三件ほど今日きめねばならぬものがありますから、その方からひとつお願いしたいと思いますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 御異議なしと認めます。門司君。
○門司委員 その前に一点だけこの法案について……。附則の第二條と例の政令の百十八号が來年の四月三十日まで延期になつておりますが、その関係ですが、片方で政令で営業の禁止をしておつて、それでこの附則によつて許可をするというその矛盾は、一体どういうふうにお考えになつておるか。許可はするが、営業はさせないという矛盾を、どうお考えになりますか。
○間狩説明員 飲食営業緊急措置令の方は御承知の通り臨時的な法律であります。それに反しまして、こちらは恒久的な法律という関係上、飲食営業緊急措置令の方が優先するわけであります。実際の取扱いから申しますと、飲食営業緊急措置令の関係上、営業ができない者に対しまして、本法施行後は本法による許可を與えるかどうかという問題でありますが、これは営業者の利益と申しますか、土場を保護し、安定を與えるという見地からいたしまして、飲食営業緊急措置令の関係はありますけれども、本法による許可を希望する者のには許可を與えるということが適当であると思つております。大体さようになると思います。
○門司委員 その点は非常に取扱いの上でむずかしいと思います。臨持措置をしなければならない状態のときに、恒久措置である許可を與えるということの使いわけは、なかなか業者の方面にも困難だと思います。從つてまた取締りに非常に困難が伴うのではないかというような感じをもつのでありますが、この点をもう少し具体的にどういうふうに処置をなさるのか、実際の許可を得てきた場合に、お前は許可はするが、営業はできないという附帶條件でもはつきりつけて、御許可になるのか。政令の方でむろん業者にはわかつていると思いますが、そこに誤解があつては問題を起すおそれがあると思いますので、この点はどうお考えでありますか。
○間狩説明員 本法によつて許可をいたします場合に、許可の條件としてそういうことを特に例示いたしますかどうかという点は、私もはつきり申し上げることはできないのでありますが、むろんそういうことをしても結構でありますし、しなくても法律の上からはいいという意味で、第一線の扱いになりますので、私としてこの法律の上からはつきりしたことを申し上げかねますが、いずれにいたしましても、許可を受けましても、飲食営業緊急措置令がある間は営業ができないということは、これは十分念を押しておかなければなりませんし、十分周知がはかれることだと思います。
○坂東委員長 それでは列車内の治安維持対策に関する件、小委員長の報告があります。門司君。
○門司委員 列車内の治安維持対策小委員会の審議経過に関しては、すでに去る二月二十四日中間報告をいたした通りでありますが、その後の経過について、さらにここに報告をいたしたいと存じます。 すなわち、本小委員会におきましては、その後打合会を開くこと三回、その間政府側としては、運輸省及び國家地方警察本部の係官から種々説明を聽取し、また各小委員相互の間においても、いろいろ意見を交換し、研究の結果、おおむね左のごとき結論を得たのであります。すなわち 一、鉄道公安を維持するため、運輸省に保安官及び鉄道副保安官をおき、鉄道総局及び鉄道局に分属させること。 二、警察官または警察吏員は、鉄道保安官等の設置にかかわらず、列車内、鉄道構内またはその直近の場所において、從來通り、犯罪を搜査し、その他完全な警察権を執行し得るものであることを再確認すること。 三、鉄道保安官等の設置は、私設鉄道においても職権を行い得るものとし、かつ現在の社会不安状態が継続する間だけのことであつて、この状態が解消すれば、かかる必要がなくなる。本然の警察の姿に還元すべきものであるから、臨時的のものとすること。 四、鉄道保安官または鉄道副保安官は、それぞれ刑事訴訟法に規定する警察官また警察吏員の職務を行うものとすること、但し、現行犯人または被疑者の拘束については、取調べのため必要で、かつ相当な時間に限るものとし、留置の必要があると認められる場合には、ただちに檢察官にこれを送致し、または警察官もしくは警察吏員にこれを引渡さなければならぬものとすること。 五、鉄道保安官等の職務の範囲は、國有鉄道及び私設鉄道の列車内、鉄道構内に行われる犯罪、鉄道構内またはその直近の場所で行われた國有鉄道及び私設鉄道運輸業務に対する犯罪に関するものに限ることとすること。 六、鉄道保安官等が職務を執行するにあたつては、原則として、制限を着用し、身分証明票を携帶せしめること。 七、鉄道保安官等が職務を執行するにあたり、必要な場合は武器の携帶を許すこと。 八、鉄道保安官及び鉄道副保安官は、労働組合法第四條第一項及び労働関係調整法第三十八條の規定の適用については、これを警察官吏とみなすこと。 九、以上の諸点を実現するため、政府は速やかに法案を具して、これを國会に提出すること。 以上をもつて報告といたす次第でございます。
○坂東委員長 ただいま門司小委員長から報告がありまたが、これを委員会は認めまして、國政調査事項の一として正式にこれを議長に報告し、また総理大臣及び関係方面にこれを参考事項として送他することにして異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 それでは異議ないと認めます。 —————————————
○坂東委員長 次には請願に入りまして、日程の順序をかえまして、日程第四、海上保安廰法案並びに海港々則法案に関する請願を議題に供します。島上善五郎君外一名に代りまして、松澤委員にお願いいたします。
○松澤(兼)委員 ただいま上程になりました海上保安廰法案並びに海港々則法案に関する請願の趣旨を申し上げます。この請願の請願者は東京都知事安井誠一郎君でありますが、請願の要旨といたしますところは、海上保安廰並びに海港々則法の中で、地方自治体において管理または経営している開港に対し、開港場の保安強化の名目のもとに、新たに中央官廰の特別行政機関を各港ごとに設けんとする條項があるのは、地方港湾運営一元化に反するばかりでなく、地方自治尊重の精神にも反し、かつ地方港湾の振興上障害をなすものであるから (一)開港々則法案に規定せる港長及び港長事務は海上保安廰より除外すること (二)開港々則法の施行は、地方公共團体の管理する港湾については、地方公共團体の長の権限とすること等の修正をされたいというのであります。右紹介議員に代りまして、私より請願の趣旨を申し上げました。何とぞ御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
○坂東委員長 海上保安廰山崎保安局長から、これに対する政府の御意見を伺います。
○山崎(小)政府委員 この問題は海上保安廰法案の御審議を願いましたときに問題になりました点で、すでに政府としては意見を申し上げている次第でありますが、簡單にもう一度繰返して申し上げます。この開港々則の仕事は、港内における交通の整備、あるいは港内の清掃というような警察事務でございまして、港の管理経営の事務でないのでございまして、今日日本の民主化が行われております一環といたしまして、警察事務を管理事務から分離せしめるというのが一つの大きな根本方針になつておりますので、その線から申しまして、港の経営者が警察事務を直接にやるということは、この際改革すべきであるということに方針が進んでいるようであります。それからそうすればそういう警察事務を経営者から独立するにしても、地方の自治警察でやらしたらどうかという第二の意見もございますが、海上保安廰法案ができますときにも御説明いたしましたように、海上の警察は陸上の警察と少しく趣を異にいたしまして、一元的にこれを統合することの方が総合的に経済的であり、合理的であるというところから、海上保安廰法におきましても、これはすでに本議会で議決をお願いしたのでございますが、港長は海上保安廳の職員をもつて任命するということがはつきりしておりますので、その港長事務というものは海上保安廰でやるということに海上保安廰法案ですでに議決を願つているような次第であります。但し港長をおきましても、港の経営者、あるいは港を利用いたします者と、警察をやる者とがきわめて緊密な連繋をとりまして、港の運営に妨害になるようなことは極力避け、ほんとうに三位一体となりまして、港の運営に寄與するように、極力政府といたしましても指導いたしておりますので、この点御了承願いたいと思います。
○松澤(兼)委員 この問題は海上保安廰法案を審議いたしますときに、私からも非常に強く申し上げたのでありますが、結局原案の通り可決されたわけであります。警察事務と仰せになりますけれども、錨地の指定だとか、あるいは点錨とかいうことは、純粹に経済的の問題であつて、必ずしも保安と申しますか、あるいは警察という面がそれほど大きくはないと思うのでありまして、私どもから言いますれば、石炭を積んできた船は、石炭荷揚場へ着くということは常識であつて、たれがそれを運営しようと、結局石炭置場のない所に石炭船を着けるということもなく、あるいは貯木場の近所に材木を積んできた船を着けるというようなことはきまつたことであつて、私どもに言わすれば、そういうことは警察事務というよりはむしろ経済事務であつて、港湾を施設した地方團体がそういう指令を出す、あるいは錫地の調整をするというようなことは地方にお任せになつたならば、それですむのではないか、こういう意見をもつていたのであります。法案がその運り通過いたしました今日といたしましては、いたし方がないことでありますけれども、一應請願者におきましては、將來の場合も考えまして、そういう請願の趣旨が貫徹するようにというふうに考えておるのでありまして、この点をよく御了解願いまして、今後運営上おもしろくないというような点がありましたならば、躊躇しないで港長の問題についてはお考え願いたいと考えるのであります。 それともう一つの問題は、一方におきましては、中央官廰の出先官廰が整理されようとするときに、海上保安廰関係の役所もそうでありますが、これは一應國会の承認を得ておりますから、海上保安廰関係の役所を設置するということはよろしいのでありますが、それに関連して地方港湾に港長をおくということは、これはやはり一つの出先官憲が殖えることにもなるのでありまして、そういう意味から申しましても、やはり港長を地方團体の長がするということの方が、出先官憲整理という面から考えても適当であるというふうな考え方から請願しているということもひとつ御承知願いたいのであります。 なおついででありますからお伺いしておきますが、海上保安本部、海上保安部というものの設置は國会の承認を得たように思うのでありますが、今申しました港長の設置ということは國会の承認を得ておつたものでありますか、私はうかつで、海上保安本部などの設置は承知しているのでありますが、港長の任命、設置などにつきましてはあの法案にはいつておりましたものですから、念のためにお伺いいたします。
○山崎(小)政府委員 先ほど御質問になりました錨地の指定のことでございますが、あれは確かに警察事務か、あるいは経営者の事務かという問題がございますが、港長をおきましても、錨地の指定ということは全部の港にやるわけでございませんので、大体原則的には錨地の指定は経営者でやつてもらうことになつておるのであります。ただ警察がそこにはいつて、いわゆる交通整理をやらなければ非常に事故が起るような特別な港にだけ例外的に錨地の指定をやるということになつておりまして、大体今政府で考えております錨地の指定は現在やつております港だけについてやるようにしまして、あとの錨地の指定は少いと思いますが、港則法を出しますときに十分御審議を願いたいと思います。 それから今港長を置きます港につきましても、こういう時勢でありますので、不必要なところにむりに置くことは極力政府といたしましても愼んでいきたいと思います。ただ先ほどお話がありましたが、港長をどこに置くかということにつきましては、保安廰法をつくりますときにはまだ港則法ができ上つておりませんので、まだその案が出ておりませんが、今度港則法を出しますときに、その港長を置く港が港則法の中に別表として出ておりますから、そこで御審議を願います。
○門司委員 今の請願に関連してでありますが、港長の問題はこの法案を通過させる場合にも相当意見があつたり、私もいろいろ話をしたと思いますが、非常に法案の審議を急ぐ形になつておりましたので、一應認めざるを得ないような関係があつたのでありますが、先ほど松澤委員からお話の通りでありまして、國において主管いたしますいわゆる從來の國港の場合は、ある程度、施設その他がすべて國の方において行われますので、直接港湾をもつております都市との関係は少いのでありますが、その他の多くの——ほとんど日本の全部の開港いたしております港の施設というものは、当該市町村の経済的の施設にまたなければできないのが事実であります。そうなつてまいりますと、港長の方で要求いたしますことが、必ずしも市町村の経済において受け入れられるかどうかということ、さらに当該港湾をもつております市町村が拡大するとかあるいは波止場をどういうふうにしようかというような、いろいろな問題ができてまいりますし、また必然的にそれが行われるのでありますが、そういう場合に、港長が民選でない形では、やはり從來の中央集権的なあるいは官僚万能的の行政に陥りやすい傾向を多分にもつと私は考えます。同時にそういう運営は非常にやりにくい形を來す部面が多々あると思いますので、松澤委員の紹介になりました請願は御採択になりますよう委員各位にお願い申し上げます。
○坂東委員長 ただいま門司委員から本件は採択すべしという動議がありましたが、御提議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 御異議ないと認めまして、これを採択いたしまして内閣に送付することにいたします。 なお先ほど鈴木自治課長から、千賀委員の発言に対して不服の点があるということで、それに対して千賀委員から、調べて不穏当の点があるならば委員長においてしかるべく取計らうようにとのことでありましたので、委員長は速記を見た上でしかるべく取計らいたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○坂東委員長 それではさように取計らいます。 明日午後一時から開会することにしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十四分散会