司法委員会 第50号
- 発言数
- 183 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/07/04
会議録
○井伊委員長 これより会議を開きます。 檢察審査会法案を議題といたします。修正案について福原法制部第一部長から御説明を願いたいと思います。
○福原説明員 ただいま委員長からの御命令によりまして、檢察審査会法案の修正案について、かねて委員長の命を受けまして、衆議院法制部において考えておりましたところもございます。その点については一應修正案としてお手もとまでお配りしてありますが、その大要をここで申し上げて御参考に供したいと考えます。 まず修正案についてはこまかい点について一、二文章上の修正がございますが、その点は省略いたしまして、要は委員長よりの命令の御趣旨が、この法案が大体政府原案によりますると、当時の予算額面において三億四千二百万円ほどの費用がかかる。これは目下のわが國の情勢から申しまして、必ずしも小額とは言いがたいので、可及的小額においてこの趣旨を徹底できるような修正を考えてくれというお話でございましたので、その線に沿つてやつたことでございます。まず、考えまするに、原案はかような仕組みになつておるのでございます。まず従来の陪審員法の選任と大体同じ形をとつておりまして、陪審員に相当いたしまする檢察審査員の選任について、三段階の選任方法を考えておるのでございます。すなわち市町村選挙管理委員会が、檢察審査員資格者名簿をつくるということになつております。この檢察審査員資格者名簿と申しますものは、衆議院議員の選挙人名簿を土台といたしましてそのうちから特に政府原案の五條ないし六條の不適格者と申しましようか、そのような人を除いた名簿をつくるということになつておるのでございます。しかもその檢察審査員資格者名簿は選挙人名簿よりも職業という点を特にあげておりますので、また別個の調査をしなければならないことになつております。かようにしてつくられました檢察審査員資格者名簿というものは、大体選挙人名簿の九割方くらいの大きなものができるのではないかと考えます。その資格者名簿につきまして、今度は地方裁判所の事務局長の方から一府縣において一群から四群に分けまして、一群につき三百人ずつ合計千二百人の者の数をそれぞれの市町村に分けまして、通知を出すのでございます。そうするとその通知を受けた市町村は、市町村の選挙管理委員会で割当てられた数の檢察審査員候補者というものを選び出しまして、そうして検察審査員候補者名簿というものをさらにつくるのであります。すなわち選挙人名簿の中から資格者名簿をつくり、資格者名簿の中からさらに檢察審査員候補者名簿をつくる。こういうような段階の形をとつているのでございます。そしていよいよ檢察審査会の職務を執行する場合には、この候補者名簿の中からさらに地方裁判所の事務局が檢察審査員及び補充員を選定する。こういう形にしております。それをこの修正案におきましては非常に飛ばしまして、まず檢察審査会の事務局において市町村選挙管理委員会の方に、前の三百人の割当を総数では六十人の割当といたしまして、一群から四群まで、すなわち二百四十人の員数の通知を出しますと、これによつて市町村選挙管理委員会は選挙人名簿を土台といたしまして、その中から六十人ずつの——総計六十人ですから、各市町村についてはおそらく五人とか七人とかいうわずかな数の候補者を選んでその名簿をつくつて、これを檢察審査会の事務局の方に送る。これでもつてただちにその中から檢察審査会では檢察審査員及び補充員を選ぶということにして、中間の檢察審査員資格者名簿を全然省略することにいたしたのでございます。前にも申し上げたようにこの檢察審査員資格者名簿のというものは、選挙人名簿約九くらいの人を登載した厖大な名簿でございますので、これをつくるための費用が莫大だろうと考えるのでございます。それでその点を除いただけでもかなりの費用の軽減になり、その他さきに申した市町村への通知を三百人を六十人まで減らして五分の一にいたしました関係からも経費の節減ができますので、大体この案でいきますと、一億八千万円程度の予算でこの法律の運営が賄えるのでございます。非常に端折つて申し上げまして、御了解しがたい点があるかと思いますが、もし御質問があれば申し上げたいと思います。
○井伊委員長 御質疑はございませんか。
○松木委員 この資格者名簿というのは何ですか。衆議院議員の選挙権を有する者の中から第五條にある者を除いたのと、第六條にもありますが、こういう者を皆除いて、檢察の審査員資格者名簿ということになつておつたのですが、これは要らなくなつたというのですか。
○福原説明員 さようでございます。その資格者名簿の作成を省略してのでございます。そして選挙人名簿の中から適当な、さつき申しました六十人ずつ四群、二百四十人を選びまして、選んだ数の中から第五條、第六條の不適格事項があるかどうかを調べて、そうして最終的な檢察審査員及び補充員を選び出す。こういうふうに國民全体に五條ないし六條の不適格事項があるかどうかを調べる代りに、最終的に選ばれた者の中から、五條ないし六條の不適格事項があるかどうかを調べるということによつて、調査の対象を何千万から、全國で三万いくらにまで減らしたことになるのであります。
○松木委員 その選ぶというのはどうするのですか。十九條のこの規定に第一群、第二群、第三群というのがありますが、これはどういうことになるのですか。少し説明していただかなければわからぬのですが、有権者は衆議院議員選挙人名簿によつて、おのずからきまつておりますね。
○福原説明員 政府原案によりますると、選挙人名簿を土台にいたしまして、それに五條と六條の新たなる不適格條項が出ておりますから、その選挙人名簿の人員について、五條、六條の適格か否かということを調べた上で、資格者名簿をつくる、こういうことになるのでございます。その資格者名簿は選挙権をもつておる者で、五條、六條の適格か否かということを全部的に調べたものということになるのであります。その資格者名簿の中から、今度は一府縣を單位にいたしまして三百名ずつ四群、千二百人の候補者の必要数を割当てるのでございます。そうして割当てられた数を各市町村はその資格者名簿の中から、くじでもつて選んで、千二百人に相当する数の候補者名簿をつくり上げるのでございます。そうなるとその候補者名簿というのは全部、これは選挙権を有しまするし、また五條と六條の適格をもつておる者の中から選ばれますから、その者をただちに今度は裁判所の方で、その中からだれでもくじでもつて檢察審査員、あるいは補充員に選べば、それがそのまま檢察審査員であり、補充員として不都合がないことになるのであります。それが原案の考え方です。ところが修正案では、その選挙権を有する者全体について五條、六條の適格か不適格かを調べるということは、非常な手数がかかることですから、要は最終的の檢察審査員あるいは補充員が、五條、六條の適格を有しておればよろしいのですから、前もつて選挙人名簿を土台といたしまして、割当てられた数を選んでしまつて、その割当てられた数から選ばれた候補者というものが、一府縣からいたしますと二百四十人ずつが選ばれてきておりますが、その二百四十人の中から第五條、第六條の適格か不適格かを調べた上、不適格者を除いたもので候補者名簿をつくります。そうしてその候補者名簿は前と同じで、この中からはだれを選んでも檢察審査員であり、補充員であるのに不都合がないのでありますから、これを選んで、これに充てる。こういうことにしたのであります。
○松木委員 第十九條に毎年一月三十一日に第一群、四月三十日に第二群、七月三十一日に第三群、十月三十一日に第四群、こうなつて、候補者の中から一月は五人、四月は六人、七月は五人、十月は六人となつておりますが、これはどういう意味になるのですか。ちよつと半数改選みたいなやり方になつておるようですが、それに二十條を見ると、檢察審査員、補充員の任期は六箇月になつておつて、一年に一群、二群、三群、四群と、五人、六人、五人、六人と候補者のうちからくじで選定する。こういうふうになつておりますが、この関係はどういうようになりますか。
○福原説明員 ただいまの半数選任というのは、檢察審査員が審査会を開きます際の定員が、第四條において「衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじて選定して十一人の檢察審査員を以てこれを組織する。」とございますので、いつでも十一人の審査員ができていなければならないのです。このものの選び方を、一回ごとに全部十一人選べれば、それもまた考えようで成立つのでございますが、政府原案は事柄の性質上、委員長を選んだり、その他の議事の進行の円滑をはかる意味だと思うのでありますが、半数ずつ選んで十一人というものを絶えず組成していくということに考えたものと思われるのであります。それゆえこの十九條によりますと、毎年一月に選ぶときには五人、四月に選ぶときには六人ということにいたしまして、五人、六人、五人、六人と補充していきながら、いつも檢察審査員というものは十一人ずつ現任しているというふうに立案されているのでございます。
○松木委員 そうすると最初十一人を選ぶのですね。最初十一人を選ばなければ定員にならぬのですから、最初十一人を選ぶ場合の後にそうなるのですか。
○福原説明員 それは附則にございまして、ちやんと十一人選ぶことになつております。附則の二項にございまして、最初だけは十一人を選ばなければなりません。しかもその選ぶ日までも別にはつきりさせております。
○松木委員 そうですか。
○福原説明員 なお先ほど御説明の際、漏らした点がございますから、その点を申し上げます。それは先にお手許にお配りしました修正案の最後のところですが、この檢察審査会法案が通過しました曉、これを運営いたします上において裁判所事務官が相当数要るのでございます。それゆえ、その点については裁判所並びに法務廳と十分打合せの上、この程度のものが要るというので、先に印刷物の最終のところでございますが、「附則に左の一項を加える。」と書きまして、「昭和二十二年法律第六十四号裁判所職員の定員に関する法律第四條中「專任二百五十九人、專任三千百五十七人」を「專任三百二十一人、專任三千六百九十五」に」改めたい、こうなつております。これは先に定員について、第二回國会中にこの裁判所職員の定員に関する法律第四條が、全部改正になつておりますものですから、これを増員しなければなりません関係でかように改めたいと思います。すなわち裁判所職員の定員に関する法律(昭和二十二年法律第六十四号)第四條中「專任六百九十七人二級、專任四千七十一人三級」を「專任七百五十九人二級、專任四千六百九人三級」に改める、かように修正するのが妥当だろうと思います。附け加えて申し上げます。
○松木委員 これはたびたび会議を開くほどの用事はないだろうと思うのです。六箇月という期間は短いようですが、それでいいのですか。こんなに短くしておいて半数改選をやつてはたいへんだと思います。任期を六箇月にしておるのはどういう理由ですか。
○佐藤(藤)政府委員 実はこの檢察審査委員の任期をもつと長くしようかということも考えたのでありますけれども、長くいたしますれば事務的には非常に習熟いたしますけれども、また他面において地方色と申しますか、いろいろな色がつく。またある一方との因縁ができるというようなことになる弊害が起きやしないかということを考えましたので、短く六箇月といたしたのであります。一部では三箇月でいいのではないかというような議論もあつたのでありますけれども、その一年と三箇月の中間をとつて、六箇月ぐらいが適当であろうというところでこの案ができたのであります。
○松木委員 これは何も仕事をしないうちに送るというような感じをもつのです。第四十六條に、檢察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を送付するとなつておりますが、これはどういう意味からこういう規定を設けられたのでありますか。もう一つは、議決の要旨を掲示しなければならないとありますが、これはどういう理由によつて掲示することになつておるか、それをお聽きしたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会で、ある特定の事件の檢察官の行つた事件を特に審査いたしまして、その審査の結果檢察官の取扱いが不適当であるということを発見することもありまするので、さような場合には、檢察官適格審査委員会に送付して、檢察官としてさような事件の取扱いをするのでは、どうも適格に疑問があるのではないかというような疑いも起きまする関係上、審査会の審査の結果は一々檢察官適格審査委員会に報告して、そうしてある検事の事件の取扱い方は適当であつた、あるいは不適当であつたという檢察審査会の意見が、檢察官適格審査委員会に反映するようにという趣旨で、檢察官適格審査委員会に必ず送付しなければならぬといたしたのであります。なお檢察審査会の審査の結果であるいわゆる議決書の要旨を檢察審査会事務局の掲示板に一週間の間掲示しなければならぬということを特に定めましたのは、ある具体的な事件について、檢察官が一定の処分をした、不起訴処分をしたのに、特に檢察審査会でそれを取上げて調べ直しをしておるのでありますから、その調べ直しをした結果、檢察審査会の審査の結果はどうなつたかということは、一般人も注目しておるところでありまするから、それに應える意味において、掲示板に掲示して関心をもつておる人には知らしめるという方法をとるのが適当であろう、その方がむしろ民主的であろうというふうに考えたのであります。 〔委員長退席、八並委員長代理着席〕
○松木委員 もう一点ちよつとお聽きしたいと思います。こういう制度はなければなくて済むのですけれども、こういう制度をつくつて民主化するというには、相当権威あるものでなければならぬと思われるのですが、第四十七條に「檢事正は、前條の規定により議決書謄本の送付かあつた場合において、その議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料するときは、起訴の手続きをしなければならない。」とあるが、この規定は、結局檢事正の権限いかんにある。審査会の議決は檢事正の意見でどうでも左右せられる、こういうふうに解釈されるのであります。一方起訴をするということは、内部はどうかわかりませんけれども、檢事正の了解を得て起訴不起訴を決定するようにわれわれは聞いておるのですが、そういうことはないにしても、自分の監督下にある檢事の不起訴にしたものを是正をして起訴することも、ちよつと檢事正としては監督の責任にある人ですから、やりにくいことであろうと思うのですけれでも、そうなつてくると、議決をしても、ただ参考にして起訴すべきものと思料すればするし、しなくてもよいということになると、審査会はほとんど権威がないように思われるのですが、その点はどうでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 その点は立案にあたりまして非常に問題になつた点でござまして非常問題になつた点でございまして、仰せのように檢察審査会の議決を参考にするというだけでは、檢察審査会の権威がないではないかという御意見はごもつともでありますけれども、かような制度ができまして、檢察の民主化を目指しておる以上は、檢事正はできるだけ檢察審査会の意見を尊重して善処することを私どもは期待しておるのであります。しからば檢事正がすべて檢察審査会の議決通りに動いたらいいではないかというふうにも考えられるのでありまするが、そういたしますると、つまり檢察審査会の議決に盲從することになりますれば、檢事正がその起訴、不起訴について責任を負うことができないことになるのでありまして、建前としては起訴、不起訴を決定し、その公訴維持することは、檢事正の全責任をもつてやらなければならぬという建前で、檢事正が起訴、不起訴を決定するにあたつては、檢察審査会の意見を極力尊重する。こういう二つの建前を調和してかような立案になつたのであります。檢事正が先には下僚の檢事の調べについて不起訴でよかろうということを決裁した事件について、あとから檢察審査会の起訴が相当であるという意見を尊重して、今度は起訴命令をするということは、非常にむずかしかろうという御意見はごもつともでありますけれども、かような制度ができた以上は、檢事正も虚心坦懐に反省すべきところは反省し、またその後に現れた証拠等も参照いたしまして、一般の声を聽いて、起訴が相当だ、こう思い返したならば、その思い返した適当な方法に進むことがむしろ望ましいのではないかと考えておるのであります。從來の檢察事務の運営につきましても、さような例はたびたびあるのであります。一旦檢事正が起訴意見をきめておりましても、上官たる檢事長と相談して、今度は不起訴にかわるとか、あるいは先には不起訴の意見であつたのが、あとで起訴の意見にかえなければならぬということがあるのでありまして、そのときの証拠関係あるいは犯罪後の状況等に照らしまして、起訴不起訴を適当に決定する方が檢察の運営としてはむしろ適切ではないかというふうな考えで立案いたしたのであります。
○猪俣委員 原案の二十二條ですが、ここに「地方裁判所長又は地方裁判所支部に勤務する裁判官は、前條第一項の檢察審査会議の開会前、檢察審査員及び補充員に対し檢察審査員の心得を論告し、これをして宣誓をさせなければならない」という規定がある。この裁判所が心得を論告してこれを宣誓させるということと、第三條の「檢察審査会は、独立してその職権を行う。」ということとどう調和するのでありますか。及び宣誓に違反するというようなことに対して、何か裁判でも科するようなことになつておるかどうか、ちよつと説明していただきたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査員は第三條に示してありまするように、どこまでも独立してその職権を行わなければならないのでありまするが、第二十二條で、裁判所の方から檢察審査員あるいは補充員に対して、その心得を論告したりあるいは宣誓をさせるということは、檢察審査員として良心に從つて公平誠実にその職務を行うようにということを論告し宣誓させるのでありまして、この点と檢察審査員がその職務を独立して行うという点とは、何ら矛盾しないものと考えております。なおもし宣誓に違反いたして不公正な取扱をしたというような場合については、特段な制裁規定は設けなつたのでありまして、一に檢察審査員の鋭い道義心に期待するよりほかはないのであります。ただそれがために別の制裁法規に触れるような刑事事件等が起きれば別問題でありまするけれども、單に宣誓違反ということについては、別段の制裁は設けてございません。
○猪俣委員 この檢察審査会を所管する政府の機構はどこになつておるのでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査員を選定したり、また審査員を招集して会合せしめ、そうして審査の結果について発表し、また連絡するというような事務は、すべて裁判所の事務局において兼ねて行うことになつております。從つて事務局としては、檢察審査事務局というものを裁判所に附置いたしますけれども、その檢察審査会事務局に從事する職員の身分等から考えますると、裁判所の事務局に檢察審査会というものの事務が所属しているように解釈できるのでありまするが、この法規自体においては、この行政事務がどこの官廳に属するということは特に規定いたしておらないのであります。私の方の考えでは、どこまでも裁判所の事務局の事務というふうな観点において立案いたしたのであります。
○松木委員 もう一つ、檢察審査会というのは少なくとも一箇年に四回開くことになつております。そうして第二條の規定によると「檢察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項」第二項には「檢察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項」こういうことと審査するのでありましようが、一体檢察廳の方から檢察審査会に対して毎月もしくは何箇月目かわかりませんが、公訴を提起したか、しないかという事件の経過でも報告するというような手続きになつておるのでありましようか。あるいはまた檢察官はいつでも檢察廳へ行つて書類を出させていろいろ取調べる、こういうことになるのでありましようか。その辺の取扱い方はどうなつておるのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会が活動する端緒になりますのは、たとえば刑事事件の告訴人または告発人、あるいは請求をまつて受理すべき請求人の方からある事件について檢察廳が不起訴にした、あるいはどうもおかしいからもう一遍調べてくれというような投書があり、あるいは密告があるというような場合に発動することが多かろうと思います。あるいは告訴、告発人に限つたことではありませんので、被害者の方からこういう事件の取扱いについてもう一度調べてもらいたいというような審査の申立がありますれば、檢察審査会が発動することになるのでありまして、檢察廳の方からすべての事件について、その事件の檢察の処分の結果を知らせるというようなことは考えておらないのであります。
○松木委員 そうすると公訴を提起しないという場合は、申立がなければ審査しないということになるのですね。そうすると檢察審査官というのは自分が進んである事実を調査するというような権限はないことになるのでありますか。どういうことになるのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点はこの法案の立案のときに一應問題になつたのであります。審査員の方で一人でもあの事件を調べてもらいたいというような希望がありますれば、全体がその人の意見に從つて審査を開始しなければならぬものであるか、あるいは全部がそういう意見になつたときに、初めて審査を開始することになるかという点について、議論をいたしたのでありまするが、結局第二條の第三項に掲げてありまするように、審査委員会の審査員が過半数あの事件を調べよう、だれからの申し立てはないけれども、あの事件の檢事の取調べがおかしいからひとつ調べようということに意見が一致しますれば、みずから知り得た資料に基いて審査を開始することができる。こういうふうな職権調査の途も開いておるのであります。
○花村委員 本案を提案いたしました理由といたしましては、「公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図る」というようなことが主たる理由に相なつておるようでありまするが、まず不起訴処分に関してのみ民意を反映せしむるというようなことを考えられたようでありますが、むしろ進んでいわゆる起訴陪審に対して民意を反映せしむるていう意味で、公訴権の実行に対する陪審制度というものを採用したらどうかと思うのでありますが、それはいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察の民主化の問題を解決するためには、仰せのように起訴陪審の制度をとるべきであろうという意見が、相当各方面から唱えられておるのであります。実はその問題を相当研究いたしたのであります。英米においてもご承知のように起訴陪審の制度をとつておりますので、新憲法のもとにおいて、わが國においてもひとつ起訴陪審をやつてみようじやないかという意見がかなりあつたのでありますが、從來の公判についての陪審制度を経驗いたしましたその結果から見まして、どうもまだ日本において起訴陪審を採用する程度に至つておらないのではないか。いろいろな弊害がかえつて考えられるということから、一挙に起訴陪審の制度を採用する段階に至らなかつたのであります。そこで起訴陪審まではいかないが、何とか檢察の民主化をはかる途がないだろうかというところを考究した結果、この立案になつたのでありまして、仰せのように起訴陪審ということも有力な御意見ではありますけれども、日本の現在の状況としては、どうも起訴陪審をとるには時期尚早であろう、不適当であろうという結論から、かような案が生れたのであります。 〔八並委員長代理退席、委員長着席〕
○花村委員 起訴陪審を実行することは、わが國の現状に照らしてなかなかむずかしいことであるというお説であるのでありますが、この不起訴処分は、むしろ起訴をするということよりも、よりむずかしい事柄であると申し上げてよかろうと思うのであります。要するに起訴をいたしまする方は、これは犯罪事実がありますることがきわめて明瞭であり、犯罪が成立するものと思料いたし得る場合において、起訴をいたしてまいればいいのでありますが、この不起訴処分の方は、刑事政策的の見地から、その被害者の経歴、あるいは性行、あるいは環境、あるいは家庭、あるいはその被害者の將來における関係、あるいは監督の関係といつたような、あらゆる事情を総合考覈して、そうして刑事政策上の見地から決定をいたさなければならないのでありますがゆえに、よほどこれはむずかしい事項に属するものであると申し上げてよかろうと思うのであります。從つてそういうむずかしい仕事でありますだけに、小学校以上の学歴をもつた者ということのみの條件では、そういう不起訴処分に対する問題を解決し得ないというようなおそれがあるように思うのでありますが、その点はいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 検察官が被疑事件について起訴すべきかどうかということを決定するにあたりまして、犯罪の嫌疑がなくして不起訴処分にするという場合は、これは簡單でありますが、犯罪の嫌疑があるが、これを起訴すべきか、起訴猶予にするか、いわゆる不起訴処分にするかということをきめますのは、非常にむずかしいのでありまして、仰せのように犯罪の状況、犯人の性格、犯罪後の状況等に照らしまして、刑事政策的の見地から起訴、不起訴の処分を決定するのは非常にむずかしいことではありますけれども、檢事の意見だけである起訴すべき事件を不起訴処分にしてしまうという場合が考えられるのであります。その檢事の意見のみによつて起訴相当の事件を不起訴にするという不適当な取扱がありました場合に、何とかそれを適当なレールに乗せることが必要であろうというところから、かような立案になつたのでありますが、もし檢事の一旦起訴処分に決定した事件を、檢察審査会において審査の上、これを起訴相当か不起訴相当かを決定するについて、どうも專門的な知識がなければきめにくいというような場合には、專門家を審査会に呼びまして、そうしてその專門家の意見も十分聽いた上で、起訴、不起訴の適不適を決するような道を開いておりますので、檢察審査員の資格としては、小学校卒業以上というように、レベルを相当下げておりますけれども、社会一般人の声を聽くという意味合いにおいては、この程度の学識を標準として起訴、不起訴の当不当を決定させる、なお必要があれば專門家の意見を徴せしめるという道を聞くことによつて、万全を期することができるのではないかというふうに考えられるのであります。
○花村委員 刑事訴訟法におきましては、御承知のごとく、公訴の提起については、便宜主義を採用いたしておるのでありますが、われわれもこの訴追について便宜主義を採用いたしておりますことに対しては、双手をあげて賛成をいたすのでありますが、今日までの統計を見ましても、不起訴処分に付されるものは、事件として取上げられたものの中で約七割何分という、大部分が不起訴処分に相なつておるように承知をいたしておるのであります。なるべく初犯罪者等に対しては、また偶発的の犯人に対しましては、それぞれやはり周囲の環境から見て、不起訴処分に付するというような方法で、改過遷善の方向にもつていつて、そうして本人の將來を戒めて過ちなきを期するというような方途を講じますことは、きわめて刑事政策上の見地から見て適当だと考えるのであります。しかるに本法案のごとき法案が、実際において実施をせられるということになりますと、この訴追に対する理想的な考え方であり、しかも外國の例を見ましても、便宜主義を採用しているというような関係、並びに今日までの実績から見ましても、相当の効果をあげておるというような場合において、こういう制度を実施することによつて便宜主義が遺憾なく行われないというようなおそれが多分にあるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 これまで檢察官が被疑事件を受取りまして、そのうち起訴決定をいたしまするのはごくわずかであります。まあ一割が二割程度の起訴率であつたのでありますが、最近は檢挙の能力において相当制限を受けており、また犯罪が非常に多いために、ごく軽微な事件の檢挙というものが少ないのでありますから、從つて起訴率がだんだん高まつてまいつておるのであります。しかしながらそれでも檢察官が受取つた事件の二割か、せいぜい三割程度の起訴しかないのでありまして、その他は全部不起訴処分、仰せのようにいわゆる便宜主義をとつておるのであります。この便宜主義は刑事政策を行う上において非常に私どもも結構な、適当な制度であると信じておるのでありますが、この起訴、不起訴を檢察官が決定いたしまするにあたつて、いわゆる独善に陷つてはならぬということを、常にわれわれはお互いに戒めておるのでありますけれども、万一にも一般の民衆の考えるところと違つた起訴、不起訴の決定がなされることが起つてはならないのでありまして、そういう万一の場合を防ぐ意味においても、一般民衆の批判を受けるということは、私は適当な制度である考えるとのであります。しかしながらかような制度を設けることによつて、いくらかでも檢察官の起訴、不起訴を決定する便宜主義に制限を加えることになりはしないかというお尋ねの点でありますが、その点はかような制度を設けても、檢察官としては從來と変わりなく、万人の声を聽いて、そうして公正な立場において起訴、不起訴を決定いたすのでありますから、便宜主義の制限となるような悪い影響をこうむることはなかろうと存じておるのであります。
○花村委員 そうしますと、本法案を提起しなければならぬという必要に迫られたことは、今日までの不起訴処分が妥当なる運営をせられておらなかつたというのであるか。あるいはこの不起訴処分の運行に民意を除外されておつた、そういう関係から不合理であるから、本法案を設けなければならぬというような建前に相なつたのですか。その点はいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 從來檢察の運営について妥当でなかつたというような考えから、それを救済する意味においてかような制度を考案したのではないのであります。先ほど申し上げましたように、從來といえども檢察官は万人の声を聽き、そうして公正な立場において適切な処断をいたしてきたのでありますけれども、その制度の形において、いかにも檢察官のみの判断によつて起訴、不起訴が決定されるような制度になつておりますので、專門家たる檢察官が專門的な立場において、起訴、不起訴は決定するけれども、その間に一般民衆の声も反映させて、適切なる決定をさせたいという形の上においての民主的な檢察の運営ができるようにという点を目標にしたしまして、かような法案を立案いたしたのであります。
○花村委員 さらに進みまして、第三條に檢察審査会は独立してその職権を行うとあるのですが、独立してその職権を行うということはどういう意味でありますか。この法案を通覽いたしてみますのに、檢察審査会は独立した一つの機構制度であつて、こういう規定を設ける必要は認めないと思うのでありますが、ことさら独立してその職権を行うと規定したのは、何か含みがあるわけでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点は、先ほどお尋ねになりました第二十二條に、檢察審査員がすべて良心に從い公平誠実にその職務を行わなければならぬという趣旨が二十二條に現れているのでありますから、それで十分であろうというふうに考えたのでありますけれども、一部にはただいま申し上げましたように、この法案は檢察の民主化ということを形の上において制度として現したいという意図のものに考案されたのでありますために、檢察審査会は他の國家期間に関係無く、また一般民衆の力、何ものにも恐れず独立してその職務を行わなければならぬという当然のことではありますが、さような規定を形の上でやはり設ける方が適当ではないかというような意見もございましたので、さような意見に從つてわざわざ第三條を挿入いたしたのであります。
○花村委員 第五條の一号に檢察審査員となるべき者の資格の中で、小学校を卒業しない者、または小学校卒業と同等の学識を有しない者という規定があるのでありますが、陪審法を見ますれば、多分読み書きができればよいのだという程度の條件であつたと思いますが、ここには小学校を卒業している者、もしくは小学校卒業と同等以上の学識を有するということが檢察審査員になる條件に相なつているようでありますが、これはいかなる理由になつて小学校を卒業した者というような條件を附したのでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 陪審裁判におきまして陪審員の資格については、仰せのように読み書きのできる者ならばすべて陪審員たる資格を有するというふうに常に廣くその資格を認めているのでありますが、從來陪審法の実施によつてその実施状況を経驗いたしますと、單に、読み書きができるという程度だけではどうも事件の裁判に関與せしむる資格としては相当ではないのでないかという意見もございますので、仰せのように被疑事件について起訴、不起訴の不当、妥当を決定するというむずかしい仕事をするのは、單に読み書きをできる程度の資格では足りないので、さらに小学校卒業程度以上の学識を有する者でなければならぬという最低の標準を引上げたのであります。
○花村委員 ただいまの答弁はよくわかつたのでありますが、そうするとこの第五條には、小学校を卒業しない者または小学校卒業と同等以上の学識を有しない者という規定が設けられておりますが、小学校を卒業した者はこれははつきりいたすのでありますが、小学校卒業と同等以上の学識を有する者というこの條件を判別するにはどういう方法でやりましようか。何か試驗のようなものをやるのですか。いなかる標準をもつて小学校卒業以上のものなりとの認定を與えるのであるか。それをお尋ねしたい。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねのように、小学校卒業の者すべて檢察審査員となる資格があるのであります。小学校を卒業しないけれども、小学校卒業以上の学識を有するということの認定が下されますれば、それによつて檢察審査員となる資格が生ずるのでありまして、その小学校卒業と同等以上の学識を有するかどうかという認定は、この制度におきましては檢察審査員を選定する事務局に一切任せているのでありますが、実際問題になりますと、その檢察の審査会の事務局の方でどういう方法でその認定をするか。たとえば外國において教育を受けた者であれば、外國の学校の卒業証明書をもつて認定の資料とするか。あるいは日本のみに居る者でありましても、現在の社会的な地位あるいは活動等の状況に照らして、小学校卒業と同等以上の学識を有するものと認定するか。その認定の方法については今のところ具体的に考えてはおりません。すべて檢察審査会の事務局の認定に任せておるのであります。
○花村委員 これは檢察審査会の事務局で決定すべきものではないと私は思うのです。要するにこの規定は檢察審査員の資格に関する欠格條項を定めた規定でありますから、從つてこの檢察審査員の資格者名簿に載せる場合に、小学校を卒業しておるか、あるいは小学校卒業と同等以上の資格をもつておるかということを、決定するということでなければならないのじやないでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 ただいまの私の答弁は間違つておりましたので、取消させていただきます。檢察審査員の欠格條項があるかないかということは、すべて市町村の選挙管理委員会において決定するという仕組みになつておりますので、從つて小学校を卒業しない者であるけれども、小学校卒業と同等以上の学識を有するか否かという点については、市町村の選挙管理委員会において決定することに任せられておるのであります。
○花村委員 そうしますと、これはこういう規定を設けておきましても、実際運営の上に非常にむずかしい問題が起きてくると思うのであります。市町村の選挙管理委員会が決定するのでありますけれども、小学校卒業と同等以上の学識を有するかどうか。要するに小学校を卒業しておらざる者について、すべて穿鑿をせなければならぬということに実際の運営の上からはなつてくると思うのでありますが、そういうことは少数のものならよろしいのでありますけれども、相当数に上る檢察審査員資格者名簿をつくる場合において、一々そういうことを檢討することが実際できるとお考えになるでありましようか、いかがです。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点はまことにごもつともでありまして、全國の選挙人資格者名簿の中から、檢察審査員としての資格があるかないかということを一々あたつてきめることは、非常にむつかしい仕事でありますので、理論としては全國の國民が一應資格がある。その資格がある全國民の中から欠格者だけを取除くという方法でいきますれば、最も理論的であると存ずるのでありますが、さようなことを理論的に行いますと、莫大な費用を要しますので、当委員会におきましても、非常な費用がかかるという点に鑑みられまして、この点を修正して、選挙人名簿の中から一定数の候補者を選び、そして選ばれた候補者の中から欠格者を除いて具体的に檢察審査員を決定するという方法をとるという案のように伺つておるのでありますが、さような方法にいたしますれば、國の経費としては非常に省け、また手数も省くことができるのでありますけれども、理論としては仰せのように非難される余地が残るのであります。
○花村委員 それでは次に第四項でありますが、「一年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられた者」ということが欠格條件の一つになつておるのであります。これは多分軽微な犯罪は欠格條件に入れる必要なしと認めたものであろうと思いますが、しかしながら「一年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられたる者」という標準を決定したのは、その根拠はどこにありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 一年の懲役または禁錮以上の刑に処せられた者をもつて欠格條項にするという他の制度における前例は、今記憶はないのでありますが、檢察審査員の資格を決定するにあたりましては、起訴、不起訴の当不当を決定するという重大な任務を行うものでありますから、なるべく刑に処せられた者は欠格條項にいたしたいという考えであつたのでありますが、すべての刑に処せられた者を除くというのは、これはあまり酷でありますし、また一般民衆の声を聽くという本法案の目指しておる目的を達する上から申しましても、あまりに制限することは不適当でありますので、大体一年以上の懲役、禁錮に処せられたことがあるかないかということを標準にいたしたい、かように考えたのであります。申し上げるまでもなく、恩赦の恩典を受け、または前科抹消の刑法の適用を受けることによつて前科のなくなつた者については、もちろん第五條の第四号は適用されないのであります。
○花村委員 それからさらに進んで第八條でありますが、檢察審査員の職務を辞することができるという中に、学生及び学生がはいつておるのでありますが、私ははつきりした記憶はありませんが、多分陪審法においては、学生、生徒は欠格條件のうちへ入れてあつたと思うのでありますが、学生、生徒のごときものをこういう檢察審査員のごとき公職につかしむるということは必ずしも適当でないと考えるのでありますが、しかるに学生、生徒も要するに辞さない以上は檢察審査員になり得るということに規定を設けたのは、いかなる理由に基くものであるか、それをお尋ねいたします。
○佐藤(藤)政府委員 学生、生徒でありましても、小学校卒業以上の学識を有する者でありますならば、檢察審査員となる資格は十分に備えていると思いますけれども、学生、生徒は現に学業に從事をしておるものでありますから、この審査員の職務を行うために、みずからの学業を放棄して、檢察審査員の職務をとらなければならぬというふうにいたしますのは、これは少々行過ぎであるという考えのもとに、学生及び生徒が自分で檢察審査員としての職務を辞退するならば、その学生、生徒の任意に任せようという意味で第八條に列記いたしたのであります。
○花村委員 学生、生徒ごとき、やはり学業をもつており、しかもそれが大学生程度ならばまだしもでありますが、要するに学生、生徒でありましても、小学校卒業した以上のすべての者にかくのごとき職務を行わしむるというようなことは、本人の意見いかんにかかわらず、こういうことは制度の上で考えるべき問題ではなかろうかと思う。殊にこの檢察審査会の機構等から見まして、やはり相当に時間を費す場合も考え得るのであります。また第二十七條を見ましても、三箇月おきに開かれなけれならぬということに相なつており、特にまた必要と認めるときは何時でも檢察審査会長は会議を招集することができるということに相なつておるので、もしこういう事件が非常に多くなつてまいりました場合においてはこれは相当のやはり日月を要するものであると申してよかろうと思うのであります。あるいは学生生徒のうちでも、好奇心にかられ、あるいはまた希望いたしまして、かかる委員になるというものもあるいは相当に出てこようと思うのでありますけれども、しかし教育のことはなかなか重大な問題であります。教育方面をおろそかにして、こういう公職につかしめなければならぬという特殊な事情がありますならば別でありますけれども、こういう規定は私は必ずしも妥当ではないと思います。でありますから陪審法等におきましても、やはり学生、生徒は陪審員となり得る資格をもち得ないという欠格條項のうちへ入れてあるのでありますが、その点はいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点につきましては、本法案の立案の際に相当論議せられたのであります。それは学生、生徒に限らず、官吏、公吏それから学校の教育、それから國会または地方公共團体の議会の議員というようなものを、すべて第七條に列挙して、されておる議会の議員であるとか、あるいは官吏、公吏、教育、学生及び生徒というものは、これは本來十分な資格のあるものである、むしろ最も適当な資格をもつておるものであるが、しかし自己の職務のために、あるいは学業のために、その者の選択によつて職務から除外するという方法の方がむしろ適当であろうということにおちついたのでありまして、御意見のほどは十分了承できるのでありますが、第八條において、学生及び生徒は資格はあるが、しかし本人が学業等に照らして職務につくことを好まない場合には、審査員を辞退することができるという余地を認めたのであります。
○花村委員 さらに進みまして檢察審査会の会議に関する事項でありまするが、第四章の第二十七條を見まするど、檢察審査会は、毎年三月、六月、九月及び十二月の各十五日に檢察審査会議を開かねばならない。また必要があると認めるときは、いつでも檢察審査会を開くことを認めておるのでありまするが、しかし不起訴になつた事件をいつ取上げるかということについての規定が設けられておらないのであります。これは公訴の時効にかからざる限りにおいては、何どきでも不起訴処分になつた事件は取上げられるという意味になりましようか、いかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 仰せの通りでありまして、不起訴事件は公訴時効にかからない以上は、何どきでも檢察審査会の審査の対象になり得るものと考えております。
○花村委員 そうしますと、まことに危險な場合が出で來るのではないかということをおそれるのであります。要するに、不起訴処分になりました事件が、時効が完成せざる限りにおいては、檢察審査会で取上げ得るということになりますと、二年も三年も、あるいは四年も五年もその犯罪の性質によつてはやはり相当長い期間この法律で律せられるというような結果に相なるのでありますけれども、少なくとも不起訴処分に関しまして、その正否を決定するということは、やはり証拠等から申しまして、その不起訴処分をなしたる最も間近かな期間において、その是非曲直を審査するということが望ましいと思うのであります。もし長い間相当の期間を経過した後にこういう処分ができるということになりますれば、証人喚問等の規定も設けられておるのでありまするが、証拠に対する関係がだんだん薄くなつてまいりまして、ほんとうに事件に適合した妥当な判断ができぬおそれが出でくるのでありまするが、そういう点はお考えにならぬでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 一旦不起訴になつた事件が長い年月の経過によりましてそれが再び審査の対象になりましても、証拠関係等によつて前の不起訴を覆すに足るような審議の結果になることは非常に困難と思うのでありますけれども、それがために檢察審査会の審査の対象となるべき事件を制限して、たとえば不起訴の処分を知つてから何年間は申立をすることができるとか、あるいは何年経つた後は審査を請求するとこができないというようなことで制限いたしますことは、せつかくかような制度を設けて民主的に檢察を行うという大きな趣旨にかなわない関係にもなりますので、一應仰せのような議論は出たのでありますが、結局何らの制限なしに審査の対象にしようということにおちついたのであります。
○花村委員 なるほど一面から見ますればそういうことも考えられるのでありますけれども、しかし少なくとも審査にかけるということは、その不起訴処分が妥当なりや否やということを決定するのでありますから、この根本的の精神を失うようなことがあつてはならぬと考えるのであります。殊に先ほども御答弁になりましたごとく、家庭の事情、あるいは社会の環境、あるいは本人の性行、あるいはまた被害者の將來における事情というようなことは、日を経るに從つてやはり見方が変つてまいりますことは当然だろうと思う。でありますから今からたとえば、今日檢察審査会議が開かれて、三年後における事件が取上げられたという場合において、そういうまことにデリケートな問題を取上げて、そうしてその是非を決定するのでありますからして、とうてい長日月を経た後における審査というものは、とかく真相に副わざるものであつて、決してその真実の発見はできぬものであるとまず認めなければならぬと思うのでありますが、ただ民意を反映せしめて、そうして不起訴処分を一様に審査会にかけて取扱つていくというような考え方からいたしまして、その事案の真相を無視した、むしろ妥当性を欠くところの、また不当なるところの審査の結果を見なければならぬというようなことは、本法を規定した根本精神に副わないのではないか。要するに本法を設けたゆえんなるものは、もちろん民意を反映せしめるという意味において重大なる異議をもつておるのでありますけれども、檢事が一人で扱つた事件に独断專行のおそれはなきか、これがすべてのものから見て適当であり、正当であると認められるかどうかという点に集中されて、審議が進められなければならぬことであろうと思うのでありますが、この根本的なる精神を失うというようなことであつてはならぬ。その審査が不公正であるということになりますならば、むしろこんな制度を設けざるにしかず、という結論になると思うのでありますが、その点はいかがでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 仰せのような御意見は有力に主張されたのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、せつかくかような制度を設けて、一般民衆の声を聽こうというのであるから、起訴処分があつてから何年経過すればもうだれも不服申立ができない。審査請求もできないというふうにその途を閉すということは、どうも適当ではなかつたという意見が強かつたので、結局かような無制限な規定になつたのでありますが、仰せのような意見は、私どもとしても非常に有力な意見であるということは、万々了承しておるのであります。
○花村委員 そうすると結局民意を反映せしめて、いかなる事件でも取扱わしむるというような建前から考えて、不適正なる審査が行われてもよろしいということをそれではお認めになるわけですね。それはいかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 不起訴処分がなされてから長年月の経つたあとで、檢察審査会がこれを取上げて審査いたしましても、だんだん年月の経過に從つて証拠が薄弱となるのでありますから、審査会の決定をもつて、前の檢察官の不起訴処分を覆すというような有力な審査会の決議がなされることは、あるいは期待することができないかも存じませんが、しかしながら、無制限に檢察審査会の対象としてこれを取上げましても、それによりまして檢察審査会が不公正なる決議をなすかも知れない。また不公正なるその決議に從つて檢察官がさらに起訴、不起訴を決定するかも知らぬというようなことは考えておらないのであります。
○花村委員 そうすると公訴の時効の消減せざる事案に対しては、すべて取上げられるということになりますと、公訴の時効にかからざる限りにおいては、審査の対象になるということになると、死刑にあたる罪については十五年、無期の懲役または禁錮にあたる罪については十年、長期十年以上の懲役または禁錮にあたる罪については七年、長期十年未満の懲役または禁錮の罪については五年、長期五年未満の懲役もしくは禁錮または罰金にあたる罪については三年、刑法百八十五條の罪については六箇月、拘留、科料にあたる罪については六箇月。こういう規定があるのでありますが、そうすると死刑に該当する罪などは、そういうこともありますまいと思うのでありますが、しかし調べた結果犯罪なしと認めて、死刑にかかる罪についてもあるいは不起訴処分にする場合もある。規定の上からはこういう予想ができると思うのであります。そうすると十年、十五年経つても、やはり本審査の対象になる。こういう結論になるわけですか。そうお聽きしてよろしうございますか。
○佐藤(藤)政府委員 犯罪の種類によりまして、刑事訴訟法に則つて、それぞれ時効期間の長短はございますが、時効期間の、公訴時効の経過するまでは、何どきでも檢察審査会の審査の対象になり得るものと考えております。
○花村委員 そうするとたとえば十五年昔の、あるいは十年昔の不起訴処分になつた事件を取上げて、そうして今日審査するというようなことで、ほんとうに真実に適当したところの立派な審査ができると政府当局はお考えになつておりますか。そういう自信をもつてこの法案を出されておりますか。いかがでしよう。
○佐藤(藤)政府委員 その点につきましては私の方も花村委員の御意見とまつたく同様でありまして、証拠は事件の発生してから後、なるべく短い期間において証拠を蒐集するのでなければ、有力な証拠は蒐集できないものであると考えているのでありますから、ときの経過に從つて証拠がだんだん薄弱になる。また有力な証拠を蒐集することが非常に困難になるということは存じておりますけれども、それだからと言つて、長年月経過した事件は、全然檢察審査会の対象にならないというふうに途を塞いでしまうということも適当でなかろうという考えのもとに、かように範囲を拡めたのであります。
○花村委員 その点については私どもどうも同意しかねるのでありますが、こういう法案がもし今言われるごとくんば、かえつて悔いを後世に残すような問題が起るおそれを多分にもつていると申し上げてよかろうと思うのでありますが、この点はまだ大いに考究する余地があろうと存じます。時間がありませんからその点はこの程度にして、次に四十三條では証人を呼び出して尋問をすることができるということで、証人喚問の権限を與えているのでありますが、しかし不起訴処分をいたします場合において、はたして起訴すべきか、しからざるものかというような判定をいたします上においては、やはり物的証拠というものがある程度まで重要なる役割をもつてくるのでなかろうかと思うのであります。でありますからやはり証人を喚問するというばかりでなくて、その適正なる審査を期さんとするならば、物的証拠を調べる点にも権限を與えるということであらなければならんと思うのであります。たとえば臨檢、捜査等に関する何らの権限も與えておらぬ。こういうことでほんとうにこの事件に適應したところの立派な判定ができることになりましようか。これはいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 被疑事件の起訴を決定いたしますまでに、檢察官としてはあらゆる努力を拂つて、物的、人的証拠を蒐集して起訴、不起訴を決定するのでありますが、その起訴処分という結果に対して、檢察審査会がさらにこれを審査し直すのでありますけれども、その審査にあたりましては、全然檢察官と同じような職権をもつて物的、人的の証拠を調べ直すということは、これはいろいろな点において制度運営としては適当でなかろうというふうに考えましたので、主として人的証拠を調べて、また法務廳その他の公私の團体に照会して事項の報告を求める。あるいは專門家の意見を求めて、一旦なされた檢察官の起訴処分について適当な判断を求めるということが、最も妥当であろうという考えに落ちついたのでありますが、この制度としては、お尋ねのようにどこえでも臨檢捜査をして、物的証拠まで捜してやるというような廣汎な職権は認めておらないのであります。
○花村委員 なるほど檢事と同様に、すべての強制処分ができるという権限を與えることは、これは考慮の余地が十分にあるのでありますが、たとえば檢察官が集めた物的証拠の中で不十分のものがありと認めた場合、あるいはその犯罪の現状に臨檢して実地に檢証してみなければその真実が発見できぬというようなことをこの審査会において認めた場合においても、そういう手続きは全然できぬということでありますと、結局犯罪行為に適合をした正当な判断ができぬということに相なろうと思うのでありますが、そういう証拠の上において不充分の点ありと認められた場合においても、証拠の補充を企図するがごとき方途が講ぜられぬというようなことであれば、これは意味をなさぬと思うのでありますが、その点はいかがでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねのようにある有力な物的証拠がある、それを調べなければ檢察審査会としては適当な判断をすることができないというような場合には、檢察審査会の方で、檢察官に対してあの資料を出せと言つて、必要な資料の提出を求めることができるのでありますから、みずからその場所に臨檢しなくても、ある程度の調査はできるのではないかというふうに考えております。その点は本法案の第四十一條に規定しております。
○花村委員 ところが必要なる資料の要求をした場合に、もしそれに應ぜぬ場合にはどういうことになりましよう。應じなければならぬという規定もないようでありますが、それはどうなりましよう。何かそういう規定がありますか。私も今この法案を一通り見ての質問で、全部を見ておりませんが、要求に應ぜざる場合にはどうなりますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会から檢察官に対して必要な資料の提出を要求した場合に、檢察官がその要求に應じなかつたという点については、特に制裁の規定はありませんけれども、この法律において檢察審査会の要求があればその資料を提出しなければならぬという義務を檢察官に義務づけておるのでありますから、さような義務を履行しない場合には、その檢察官に対して行政権の発動を促すことができると思います。
○花村委員 私はこの程度で質問を終りますが、ただいま法案を渡されて見たのでありますから、本案を整理して質問することのできないことをまことに遺憾に思いますが。しかしちよつと見たところによりましても、やはりある程度の欠陷を包藏しておると思うのであります。一面において民意を取入れるという意味においては、まことに望ましい法律案ではあるのでありますが、しかしもし運用を誤るということに相なりますならば、まことに重大なる結果を招來するものであると申し上げてよかろうと思うのであります。この不備な法案の運営たるや、まことに重大であると申してよかろうと思いますが、政府当局におかれましては、本案実施後における運用については誤りのないよう、この法案不備の点は運用よろしきを得る点において是正していくという方面に対して、十分の御努力あらんことをお願い申しまして、私の質問を終わります。
○井伊委員長 暫時休憩いたします。 〔午後四時三分休憩〕 ━━━━◇━━━━━ 午後五時五十九分開議
○井伊委員長 休憩前に引続き会議を開きます。鍛冶良作君。
○鍛冶委員 まず私が承わりたいのは、第二條「一 檢察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項、二 檢察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項」となつておりますが、公訴を提起したる者に対して不当だという審査の要求はでき得るのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 公訴を提起した事件については、裁判所の公正な判断に委ねられまするので、特にかような期間において審査するという必要もないと存じまして、それは全然除外いたしたのであります。
○鍛冶委員 一應そうですが、不当というところを見ると、裁判所ではやつておるが、起訴したことが不当だ、こういう場合はなきにしもあらずと考えるのでありますが、第二号では檢察事務の改善に関する建議となつておりまするが、そういうことをかりに言うて出るとすれば、それは不法な申請であるというので、却下するおつものでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会の方で、檢察事務の改善に関して建議なり勧告がございますれば、檢察廳あるいは法務廳の方でそれを適当に受入れて処理することと存じます。
○鍛冶委員 これは將來私はそういうことがあると思うから、ここで明白にしておきたいのですが、この公訴の提起は不当なものであるとか、あるいは不正なことがあつてこういうことをやつたんだとかいうようなことを言うた場合、はいるのかはいなぬのかを私はここではつきりしておきたいとこう思うのです。先ほどの説明では裁判所へいくからと言われたが、裁判所へいくから全部不当にあらずとは言われぬので、裁判所へはいつたが、あれは不当に提起したのだ、こういうことがあり得ると思います。そういうときに、それはこの中にはいつておらぬということは不法な申し立である、こう言つてそれを却下できるのかどうかということを私は申し上げておるのです。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねのように檢察官において、公訴を提起した事件については、檢察審査会は全然これを審査する権能はないのでありますから、もしさような申し立があれば当然却下することとなります。
○鍛冶委員 私が今ここで申し上げんとする趣旨は、本法は一應結構な、いわゆる民主化の大前提であるという形はできておりまするけれども、今日の日本の民度においてこれができますると、はたして妥当なる裁定ができるかどうかということを疑うのみならず、いわゆる三百などに悪用されるおそれが、多分にあると考えるのであります。從いまして告訴したがやらなかつた、公訴を提起しなかつたといえば、必ず三百なんかがおだててこれをやらせる。なお今あなたの方ではつきりせられて、それでいいならいいが、この公訴の提起も不当である。第一号にははまらぬが、第二号をもつてやるべきだという意見が出ぬとも限りません。そうなるとはたして檢察の威信を保つていかれるかどうか、この点を非常に憂うるのでありますが、立案者の方ではその点をどのようにお考えになつておりますか。またさようなことがあるとすれば、それを防止する方法をお考えになつておるかどうかを承りたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会の議事は、すべて過半数をもつて決することになつておりまするので、殊に起訴を相当とする。一旦不起訴となつた事件を起訴することが相当だというふうに議決するには、十二人のうち三分の二の八人以上の多数決によらなければならぬという規定を設けておりまするので、ただいま御心配のようなことは、檢察審査会の自治に任せても、決して憂うべきことはないのではないかというふうに考えております。
○鍛冶委員 第一に考えべきことは、國民全体が檢察ということに対して相当の関心をもち、または知識があることを前提とせなければ、これはおもしろくないと考えるものでありまするら、今日の日本ではほとんど一般民衆においては檢察というものに対して、ただこわいことで、引張つて行かれるとか何とかいうことは考えておりまするけれども、どういうことをもつて内容とし、いかなることをもつて正とし、いかなることをもつて邪とするかというような目途は、遺憾ながらまだないのじやないかと思うのであります。從いましてこういうものはいま少し國民に檢察というものの理解をさせる。たとえば檢察官を公選にして、常に檢察官というものに対して國民が深い関心をもつようになれば、初めてこういうことは効果を現すのでありますが、何も知らないところへもつてきて、ぴちつと國民に出すということになつたら、まつたく五里霧中ではなかろうかと考える。しかのみならずこの第六條において、弁護士及び弁理士、公証人などというものを除いておりますると、民間における法律知識階級というものを皆除いてしまうことになる。そうしてみるとほとんど五里霧中の者が出て、そこへたまたま三百のようななまじつか少し理屈を知つておる者が出てくると、これを支配し、もしくはこれを悪用するということは、遺憾ながら予想せざるを得ないのでありまするが、その点の御意見はいかがでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 本法律案のねらいとするところは國民一般の常識を反映せしめて、檢察官の起訴、不起訴を適正ならしめようというところが目標でありまするので、檢察審査会の審議の途中において、もし專門の知識が必要であるという場合には、特にそれぞれの專門家を呼びまして、その意見を参考にして、審査会の結論を生み出す方法も開かれておりまするので、かような制度の運用については、審査員も、また國民一般も当然これに協力しなければなりませんけれども、御心配のような弊害は今のところ予想いたしていないのであります。
○鍛冶委員 國民の常識を反映するということはその通りでありまするが、常識というには理解し得る常識がなければならぬので、何もわからない者でもいたし方がない。それをもつて常識だというならば、常識の常の字も欠けている。法律的に言えばそういうものでありまするから、われわれは非常に憂えざるを得ません。 そこで第六條の十七、十八の「弁護士及び弁理士」「公証人及び司法書士、」これを除かれたのはどういうわけなんですが。これは何か根本の基準があるだろうと思いますが、その点から具体的に聽きたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 ただいま御指摘の弁護士、弁理士、公証人、司法書士等を除きましたのは、かような職掌の人々は、具体的事件について関係されていることが多いのでありまして、從來も陪審法等においては、陪審員の職につくことを排除いたしておりまするので、その例にならいまして、かような職掌の人々を審査員の職務につくことから排除いたしたのであります。
○鍛冶委員 先ほどから私が言つておるのは、ひとり弁護士や公証人等を言うだけではなくて、これらのものを除くという基礎観念です。そういうものを除かなければならぬというのは、何かそこに基準をおいてやられたものと思うのですが、その点をまず聽きたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 第六條の一号から十八号まで列挙してある身分あるいは職掌の方は、それぞれ理由は違いましても、結局は審査員の職務につくことが不適当だと思われる地位身分にある者、あるいは職掌を司つている者を掲げたのであります。
○鍛冶委員 くどくなりますが、その不適当であるという観念です。それはただ一つ一つ、あるいは官吏をやつている者はいかぬとか、裁判事務をやつている者はいかぬとか、何かそういうものがあると思いますがどうですか。
○佐藤(藤)政府委員 その点は檢察審査員の職務の特質に鑑みまして、それぞれ適当かどうかということを判断いたしまして、第六條に掲げたのでありまして、その理由はそれぞれ各号によつて違いまするけれども、結局は檢察審査員の職務の性質に照らして、かような職掌の者、かような地位にある者は、どうも不適当である、こういうふうに認められまするので、ここに列挙したような次第であります。
○鍛冶委員 ただいまここへ修正案が出ておりまするが、この修正案については政府当局として御賛成でありましようか、いかがでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 修正案をただいま拝見いたしたのでありまするが、大体において賛成の意を表するにやぶさかでないものであります。
○鍛冶委員 これを私が聽くのは予算が聽きたいからであります。原案と修正案とではたいへんな予算の違いがあるのですが、まだ修正案について御檢討がないなら原案で承つてもよろしゆうございますが、どのくらいの予算が要ると思つておられるのでしようか。その予算についてこれを施行するとすれば、どういう手配をし、いつからどういうことになるか、その見透しがあるか、そういうことを聽きたい。これは修正案でもいい。
○佐藤(藤)政府委員 政府提出の原案に基きまする予算でありまするが、檢察審査会設置に要する経費として、大体計上いたしまする予算は、最初の昭和二十三年度においては約二億円余でありまするが、その後の通常の年度における年間の予算としては、三億円余の計算になつております。抽籖の方法等についてただいまお示しの修正案によりますれば、よほど簡略にできまするので、経費の点はおそらく約半分くらいで済まされるのではないかというふうに考えております。
○鍛冶委員 そうすると二十三年度にすでに予算が要るというならば、今議会においてこの法律を通さなければならぬということでありますと、予算はとつてなければならぬと思いますが、そういう予算は本年度予算にはいりましたか、いかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 この法律案を提出する際には、なかなか予算の計上が間に合いませんでしたので、本年度の本予算には計上いたしませんでした。
○鍛冶委員 そうすると追加予算ででもとらなければいかぬことになりますが、それはそういうおつもりですか。法律が出ればいやでもやるしかしらぬが、追加予算はやらぬ方針だと政府は言つておられるが、これを通そうと思われるならば、それは当然つけて出さなくちやいかぬものだと思いますが、いかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 さいわいこの法律案が可決になりますれば、早速追加予算等の請求を準備いたしたいと考えております。
○鍛冶委員 準備せられると言うのですが、私はこの議会において通すものを、この議会において通す予算にないのならば、むしろおやめになつた方がよい、やるべきがほんとうじやないかと思いますが、先ほど私が言いましたような理由もありますし、なるべくやめてもらいたいと思いますが、事情やむを得ないならしかたがありませんが、論理一貫せないものと心得ます。それだけ申しておきましよう。 それから先ほど花村君が質問しておつたのですが、第五條の第四号は「一年の懲役又は禁錮以上の刑に処せられた者」と、こういうのですが、これは前科抹消になればはいらないのだという先ほどの御答弁でありましたが、どうもこれを読んだだけではそういうことが見られないようであります。「処せられた者」とただなつておるのですから、一遍処せられればいつまででも処せられた者ということは抜けませんが、その点はどういう御解釈から出てくるのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 この法案の第五條の第四号だけをごらんになりますと、確かにさような解釈が出る余地があるのでありますけれども、他の法制のもとにおいて、たとえば恩赦によつて、あるいは刑法の前科抹消の規定によつて資格の回復を得た者は、当然この第五條の第四号の適用がないものと解釈するのが相当と考えております。
○鍛冶委員 それは前科抹消の法律によつて、もしくは恩赦によつて、処せられなかつたことになるのですか。そうでないと処せられた者というだけでこれは出てきません。
○佐藤(藤)政府委員 恩赦によつて刑に処せられなかつたものとして資格を回復することになりますので、一旦刑に処せられた者でも、その恩赦制度によつて恩赦になつてからは、資格が全然回復してしまう、こういうふうに解釈いたしておるのであります。それから前科抹消の刑法の規定は、一定の期間の経過によつて刑の言渡しの効力がなくなつてしまいますので、やはりその期間の経過によつて刑に処せられた者とはならない、刑に処せられない者として資格の回復を得られるものと解しております。
○鍛冶委員 次に第五條の第三号ですが、これはこういうものを随分入れてありますので、耳の聞こえない者、口のきけない者はしようがないが、目の見えない者は入れてもいいのではないかと思いますが、その点は別といたしまして、この審査会事務局で選挙人名簿から委員を選んで出すのですが、そのときにこの人は盲であるとか唖であるとか書いてあればよろしいが書いてないので、その点めんどうなことが起りはせぬかと思いますが、立案者は実際にあたつてお考えになりましたかどうですか。
○佐藤(藤)政府委員 御指摘の欠格條項にあたるかどうかということは、この制度においては市町村の選挙管理委員会に任せておりますので、市町村選挙管理委員会は選挙人名簿を作成するにあたつては、御承知のように資格者からそれぞれの届出をさせて、そうして選挙人としての資格ある者をもつて選挙人名簿を作成するのでありますが、その選挙人資格者名簿に基いて欠格者であるかどうかを調べて、そうして欠格者を排除して残りの有資格者だけをこの檢察審査会の事務局の方に知らせるということに原案はできておるのでありますけれども、さようにいたしますれば最初に大勢の選挙人名簿について、一々資格があるかどうかを調べることは非常な手数でありますので、理論としてはその方が正しいと思いますけれども、当委員会の修正案のようにいたしまして、各市町村に割当てられた人数について欠格者であるかどうかを調べるということにいたしますれば、非常に手数が省けますので、結果においては同一でありますから、そういう簡略な方法をとる方がむしろ実際に適しておるのであろうと考えておるわけであります。
○鍛冶委員 この修正案では六十人だけでしたからよほどらくになりましたが、衆議院議員選挙人名簿に基くとこうある。選挙人名簿には小学校を卒業しない者だとか、盲だとか、唖だとか書いてあればいいが、書いてありません。これはなかなか容易なことではなかろうと思います。それはあまりにこまかく立入りすぎておるように思いますし、きようそういう議論をしておつてもしようがありませんが、私はこれを読んで吹き出したのであります。原案の十九條の一番あとのところは、私これはわからぬのですが、第何項になるのですか。「第一項のくじは、地方裁判所の判事、地方檢察廳の檢事及び関係市町村の吏員各一人の立会を以てこれを行わなければならない。」それから「この場合において、立会をした者は、檢察審査委員及び補充員の選定の証明をしなければならない。」これは何のことか私にはわからないのですが、どういう意味ですか。
○佐藤(藤)政府委員 この選定の証明と申しますのは、檢察審査員及び補充員の選定が公正に行われたということの証明をするということでありまして、いわゆる選定の公正を担保する一つの方法と考えておるのであります。
○鍛冶委員 何の証明か実際わからなかつたのですが、選定の適正に行われたることの証明なのですね。
○佐藤(藤)政府委員 そういう意味です。
○鍛冶委員 何遍読んでみても何の意味かわからないで、間違いではないかと思つたのですが、修正できないでしようか。趣旨をかえるのではないのですから、そういうことをしたからといつて面倒ないのですが、委員長どうですか。補充員の選定が適切に行われたことの証明をしなければならない、こうしたらいかがですか。もし差支えなかつたらそういうふうに直されることを希望いたします。 次は第三十一條でありますが、ここを読んでみて不審を抱いたのは、全員の出席がなければ会議を開いて議決することができない、こうなつております。そこでもし出頭しないものがおつたときは、補充員の中からくじで臨時に職務を行う者を選定しなければならぬ、こういうことになる。こんなことをしておつては、その日うまくやれるならばよいが、補充員が出てこなかつたら会議を開けないことになりはせぬかと思います。全員出なければいけないのか。そうするとその日になつて頭数を呼んでみて一人欠席しておるというので、それから補充員を呼んできてやるということになると、その日に開けぬことになりはしませんか。
○佐藤(藤)政府委員 御心配の点は、おそらく檢察審査会の事務局の方で支障のないように適当に処理することと思いますが、たとえば十二人を呼ぶべきところを十四人なりあるいは十五人を呼んでおく。そうして十二人が——ただいま十二人よりも多く呼ぶだろうということを申し上げましたが、原案の二十八條で、会議を開くときの招集状は一應檢察審査員と補充員の全員に対して招集状を出すということになつておりますので、その中から事故があつて出頭しない者、あるいは除斥の事由のある者が発生いたしましても、大体定足数は充され得るものと考えております。
○鍛冶委員 四十六條に檢察官適格審査会というものがありますが、何かこれに関する規定がどこかにありますか。これは何の法律に基いてどういうものなかの、一應承つておかないとちよつとわからないのですが……。
○佐藤(藤)政府委員 第四十六條にありまする檢察官適格審査委員会というのは、檢察廳法の中に規定されている委員会でありまして檢察官の能力について欠格があるかどうかということを審査する決定機関として、檢察廳法に認められているのであります。
○鍛冶委員 わかりました。まだ聽けばいろいろありますが、この程度にしておきます。
○中村(俊)委員 一点だけお尋ねいたします。第六條と第七條とはもちろんこれは両方とも非適格である條件になるのでありますが、四十條にはいわゆる除斥に関する規定があるのであります。かりに四十條の規定によつて、審査会長が審査員に対してその資格などを聽いた場合に、それを述べなかつた場合に、拒否ができ得るというような制度がなければならぬのでないか。それが欠けているのではないか。 それからもう一点は、この除外されるという中に、告訴告発人、被告訴告発人と審査員との間に、第七條に掲げてあるもの以外の事情にして、しかもなお偏頗な審査をなすおそれがあるような事情、たとえば親分と子分の関係、その他密接なる雇主と雇われ者との関係のごとき、そういう特殊な事情で偏頗な審査をなすおそれがある場合、これを拒否するというような條項がなければならぬと思いますが、その点に関する御意見を伺いたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 嚴格に規定いたすことになりますれば、まことにお説の通りでありまして、一面において除斥の規定をなし、他面において拒否の規定をなして、表裏一体となすのが、他の制度においても例を見るところでありますけれども、この檢察審査会におきましては、なるべく檢察審査会自体の自由に任せようという氣持で、あまりさような点は嚴しく規定いたしませんで、審査員の各自の自治的な運用の方法にお任せしているのであります。もし審査員自体が、自分が申立人とこういう関係があるからどうも除けたい、除いてもらいたいということを申し出でますれば、第八條の第五号によつて檢察審査会の方からこの職務を辞することは承認できますから、御心配のような点が発生することをあまり予想しておらないのであります。
○中村(俊)委員 かりに四十條の規定によつて審査会長からこの趣旨を述べたにもかかわらず、その中の一名もしくは数名の者が、この七條に当たるにもかかわらず述べなくて、審査が終つてその決議に加わつたその後にそういう事情が発見された場合も、その審査会の決議の効力については何ら規定されていないのですか。そういう場合にはどう処置をされるお考えでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 お話のように当然除斥せらるべき理由があるにもかかわらず、ある審査員が除斥の理由を述べなかつたので、そのまま審査員として審査会に加わつてある決議をしたような場合に、そのことがもしも後になつて発見されますれば、よううな不当な手続きによつて行われた審査会の決議に対しては、檢事正の方においても結局その決議をあまり尊重しないという結果になるだろうと思うのでありますが、さような審査員に対して特に制裁を科するような規定は設けておらないのであります。そこは先ほど申し上げましたようになるべく檢察審査会の自治に任せ、その了解に從つて円滑な運営を期待いたしておるのであります。
○鍛冶委員 審査の請求に虚偽の事実をもつて請求した場合は制裁はあるのでありますか。また何かの方法でそれを取締るのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 その点につきましては檢察審査会法案自体には何ら取締りの規定は設けておりませんけれども、さような事例がありますれば、場合によつては刑法の誣告罪が成立するだろうと考えております。
○鍛冶委員 誣告罪というときには人を罪に陷れるためにやることは誣告罪になるのですが、事実なかつたことを附加えてむりに起訴させようという場合も、やはり誣告罪になりますか。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねのような場合、全部誣告罪になるとは考えませんけれども、虚偽の事実を申告して、一旦不起訴になつた事件を起訴するのが相当だというので、審査会の発動を促すようなことがありますれば、場合よつては誣告罪の適用を受けるだろうと考えております。
○鍛冶委員 いずれにいたしましても私が恐れるのは、これを特殊の者に悪用されることなのでありますして、これらの点はよほど御注意を願い、また必要があれば適時改正して、そういう悪用のないように万遺憾なきを期せられることをお願いしておきます。
○石川委員 わかり切つた問題のようでありますが、お伺いいたしたいことは、四十六條についてであります。審査の結果議決した問題ですが、この議決は起訴すべしという議決を予定しておられるのでありましようか、起訴しないことが当然であるという議決をも予定しておられるのでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 四十六條に檢察審査会が審査の結果議決したときは議決書を作成しなければならぬということを規定してありますが、この議決は仰せのように審査の結果起訴を相当とするという議決の場合もありますし、あるいは不起訴が相当であるという議決の場合もあることを予想しております。
○石川委員 そこで起訴すべしという議決がありましたときの法律上の効果を伺いたいのであります。あるいはこれを見ますと起訴すべしという議決がありましたときは、四十七條にまいりまして、議決を参考にして、檢事正が公訴を提起すべきものと思料するときは起訴の手続をしなければならないと思いますが、この議決は檢事正の單なる参考のみに止まるのでありましようか。この点を伺いたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 制度といたしましては檢事正が一旦起訴になつた事件を起訴するについて檢察審査会の議決、すなわち檢察審査会の意見を尊重して公訴提起を定めることになるのでありまして、法文の上においては、その議決を参考にして起訴しなければならぬ。こうありますのは起訴、不起訴を決定し、そうしてその公訴を維持する責任はどこまでも檢事正がこれを負担しなければならない、檢察審査会にその責任を負わせてはならない、こういう趣旨のもとにおいて檢察審査会の決議に必ず服從しろというふうには規定しなかつたのでありますけれども、この法律によつて檢察審査会が設けられた。また檢察審査会の意見が檢事正に送付されました場合においては、檢事正はどこまでもその檢察審査会の意見を尊重して起訴、不起訴について善処することを期待しておるのであります。
○石井委員 この法案がいわゆる民意の反映ということに中心を置きますならば、起訴すべしという議決が檢察審査会においてなされました場合に、やはり起訴すべきものと御規定なさるのが当然でないかと思われるのでありますが、それをおとりにならなかつた理由は、檢事正がそこまで踏み切ることは、やはり弊害があるとお考えになつたからでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 その点はただいま申し上げましたように、起訴、不起訴を決定し、また公訴を維持することは、どこまでも檢事正の責任においてこれをしなければならぬという制度を維持しておるのでありまして、もし檢察審査会の決議通に檢事正が行動するということになりますれば、その起訴、不起訴の決定について、あるいは公訴の維持について、檢事正の責任はあるいは軽くなるかもしれませんけれども、檢察審査会にさような責任を負わせることになりますので、制度としては不適当であると考えまして、かような制度にいたしたのであります。しかしながら、せつかく民意を反映せしめて起訴、不起訴を決定せしめよう、その方が適切な檢察の処分である、こういうふうな考えのもとにおいて、檢察審査会が設けられるのでありまするから、檢事正は、檢察審査会の決議に対しては、十分これを尊重して、善処するだろうというふうに考えておるのであります。
○石井委員 「檢察審査査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を附した議決書を作成し、その謄本を当該檢察官を指揮監督する檢事正及び檢察官適格審査委員会に送付し、且つ、その議決後七日間当該檢察審査会事務局の掲示場に議決の要旨を掲示しなければならない。」と四十六條で規定しておりますが、その起訴すべしという議決がありました場合に、なお檢事正がこれを起訴しなかつた場合は、その理由は、こういうわけで起訴しないのだということを示す必要がないのでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会の議決の要旨を掲示板に掲示しなければならぬというふうに特に定めましたのは、一旦不起訴になつた事件について、檢察審査会がこれを取上げて審査いたしました場合には、その事件について、特に関心をもつておる民衆においては、その結果がどうなるであろうかということを熱心に待つておることになりまするので、さような人々に、その議決の結果がこうなつたということを知らしむる目的で、必ず掲示しなければならぬというような制度を取入れたのであります。かように檢察審査会の結果を一般民衆に知らしむると同時に、檢事正にもこれを送付し、檢事正がこれを参考にして、起訴、不起訴を決定するという場合におきましては、どこまでも檢事正は、その檢察審査会の議決を尊重して善処しなければならないのでありまして、もし檢察審査会の起訴相当という議決に反して、なお不起訴の意見をもつて、あえてしようという場合には、それ相当の理由がなければならぬのでありますから、その理由についてはもちろん上司に対しても、あるいは外部に対しても、必要があれば示すことができるように、その理由をもつておらなければならぬと考えるのであります。さような場合には、檢事正の方から不起訴についての理由を掲示しなければならぬという制度にいたす必要もなかろうというふうに考えまして、そこまでは制度を規定いたさなかつたのであります。
○石川委員 それでは檢察審査会から、その檢事正が起訴したかどうかということを明らかにしてもらうことを求める権限が、今規定されていないのでありますが、かりに求めました場合にはどうなるでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会の方から議決を檢事正に送りまして、檢事正がその議決に從つてどういう行動をとつたかということを知る必要がある場合には、もちろん檢察審査会の方から檢事正にそれを要求することができるのでありまして、さような要求があれば檢事正においては快くその自分のとつた方法なり、あるいは理由について明示することと考えられます。
○石川委員 四十六條において、さらに檢察官適格審査委員会に議決書を送付するということになつておりますが、これはどういう御趣旨で送付を要求したでしようか。これはたしか免職とか、檢察官適格審査委員会の活動を要求するために、これの送付を規定したのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察官適格審査委員会におきましては、ある檢察官の適格について檢察官たる適格があるかどうかということを、随時審査することもできますし、また定期的に全國の檢察官について、その適格を審査しなければならぬという職務をもつておりますので、檢察審査会の方でいろいろな不起訴事件を審査いたしまして、この檢事はどうも事件の取扱いについて不適当である。たとえばその係りの檢察官のとつた不起訴事件を何件も調べてみたが、いずれもどうも相当でないというような場合が、もしも現われたとしますれば、その具体的な檢察官は、檢察事務の取扱いについて不適当である。檢察官としての適格について疑があるということにも考えられますので、さような資料を檢察官適格審査委員会に送付いたしまして、檢察審査委員会の運営の参考に供せしめるために、必ず送付しなければならぬというような制度にいたしたのであります。
○石井委員 四十八條でありますが、この審査会はいつでも檢察事務の改善に関し、檢事正に建議または勧告することができるという規定でありますか、この四十八條において檢察審査会が勧告し、建議することのできる範囲は、檢事正の職務の範囲のみに限るかと存じますが、そういう趣旨でありますが。それとも國全体の檢察事務についてこういう点が改善してもらいたいという建議ができるのでありましようか。檢察審査会の建議、勧告というようなことは、檢事正自体の権限の範囲のみに限られておるかどうかを伺いたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 お尋ねの点は立案に際しましては、当該檢事正の管轄範囲内に限つたわけではありませんので、もし当該檢事正の管轄外のことでありましても、檢事正はその建議なり勧告を受入れて、そうして管轄の檢事正にそれを送付する、あるいは上官にそれを取次ぐということによつて、檢察審査会の意見がどこまでも檢察事務の改善について有力な参考となるようにいたしたいというふうな考えのもとに立案いたしたのであります。
○鍛冶委員 それに関連して承りたいのですが、先ほど四十六條は、起訴すべしという議決をした場合もしくは不起訴を相当とする議決をした場合の両方あるとおつしやつたのですが、これは起訴すべしという場合だけではないですか。これを読んでみますと、大体不起訴が相当なものだつたというときに、何もまた檢察官適格審査委員会に送付しなければならぬわけがないと思いますが、それはやはり要りますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会で審査の結果、ある檢察官が具体的事件の取扱いについて適当であるか不適当であるかということがよくわかるのでありますから、ある檢察官の取扱いが不適当だというときばかりでなく、適当な場合でも、ある檢察官の取扱いは適当だということを適格審査委員会に送付することによりまして、適格審査委員会の方では、具体的な事件を取調べるとそのものの適格は十分にあると認める一つの参考資料になるのであります。先ほど申し述べのしたように、檢察官適格審査委員会は、不適格の檢察官を調べるばかりではありませんので、定期的に全國の檢察官全体についてその適格の当否を調べる機関になつておりますので、ある檢察官の具体的事件の取扱いについて適当かどうかということが檢察審査会でわかりました場合には、その結果を一々適格審査委員会の方に連絡していただいた方が、檢察官の適格を定める上において非常に便宜であろうというふうな考えのもとに、かような規定を置いたのであります。
○鍛冶委員 この四十六條の議決ということは、不起訴を適当なりというときにまでも議決をしなければならぬのでしようか。ここに書いてある議決はどうも起訴を相当とすべしという場合のように思いますが、どうですか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会の議事は、すべて過半数の議決によつて定まることになつておりますし、なお起訴を相当とするという議決をするには過半数だけではなく、三分の二以上の多数を得なければ議決することができないというふうに三十三條で定めてありますので、四十六條の議決という中には、起訴を相当とする場合と不起訴を相当とする場合と、いずれも含んでおるものと解釈いたしておるのであります。
○鍛冶委員 四十八條に基く建議または勧告、——一種の建議をしよう、勧告をしようという、これも議決だろうと思いますが、これは議決の中へはいらぬのでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会が檢察事務の改善について、ある事柄を檢事正に建議するか、あるいは勧告しようという場合に、檢察審査会としての行動をとりますには、やはり議決をして、いわゆる過半数の賛成を得て、檢察審査会としての行動をとらなければならぬのでありますが、それは四十六條の議決とはまた違うのでありまして、四十六條で言つておる「審査の結果議決」というのは、これは條文の上から申しましても、当然起訴、不起訴に関する議決に限られるものと解釈いたしておるのであります。
○鍛冶委員 私もそうだろうとは思いますが、四十六條を読んだだけでは、ただ議決と書いてありますので、やはり建議あるいは勧告するには過半数で議決するものと思います。そうなりますとなおさらこの四十六條は起訴を相当とするというときだけではないですか。それ以上こんなことは要らないのじやないですか。
○佐藤(藤)政府委員 三十八條の規定を見ましても、檢察審査会の議決というのは、檢察官の公訴を提起しない、いわゆる不起訴処分が適当であるか不適当であるかという両方の議決があることを予想いたしておるのでありますから、四十六條の議決もやはり両方含んでおるものと考えられるのであります。その後に出てきまする第七章の建議及び勧告の場合は、これは四十八條の一箇條だけで檢事正に建議、勧告することができるという規定でありまして、その建議、勧告に基いて檢事正がどういう行動をしなければならないか。あるいは建議、勧告の効力がどうかということは何ら触れておらないのであります。
○鍛冶委員 その次に承りたいのは、四十八條でありますが、ある具体的の檢察廳の事務の改善であれば、その檢察廳の檢事正へ言うのは適当でありますが、一般檢察事務に関してかくありたしということであれば、一つの檢事正へ言つても不適当のように思いますが、そういう場合はやはり檢事正でなければいかぬということですか。全國檢察廳に関すること、もしくは檢察事務全体に関する事柄、こういう場合檢事正ということでは意味が狭いと考えますが、いかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 檢事正は御承知のように、各府縣においてそれぞれの地方檢察廳を主宰いたしております関係上、いわゆる第一線に立つて地方民と最も接触いたしておるのでありますから、國民一般から檢察事務の改善に関して意見を徴するということについては、最も適当な地位にあるものと考えられるのであります。從つて檢察審査会がその職権に基いて建議、勧告する場合には、まずもよりの檢事正に勧告することができる。こういう途を開いたのであります。
○鍛冶委員 そうすると檢事正を通じてそういう申し立てをすると解釈すればいいのですか。ここで見ると、その檢事正に言うということになつておりますが、ところがその檢事正に対する行動を言うのではなくて、もつと上の方ににも言うということになると、檢事正を通じてそういう建議をやるということにならないで、檢事正そのものに言うと書いてあるのですが、檢事正が上に通じないでもいいということに考えられますが、いかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 それは先ほども申し上げましたが、檢事正が自分の所管事項について建議または勧告を受けますれば、ただちにそれに從つて善処することができると考えるのでありますけれども、もし所管外の事項でありますならば、その所管の檢事正なり、あるいは檢事長なり、あるいは法務廳なり、それぞれの適当な所管者に建議、勧告の意見を傳えることと考えておりますが、その点については別にどうしなければならぬというこまかい規定はいたしておりませんけれども、最後は檢察審査会に特に建議または勧告の権限を認めたのでありますから、この規定の趣旨に照らしまして檢事正が適当に善処することを期待いたしているのであります。
○石井委員 四十四條についてお伺します。「專門的助言を徴することができる」とありますが、專門的助言を徴せられる人が來なかつたりしても、何の制裁もないということになりますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会は、必要がある場合には專門家の出頭を求めて、その專門的な助言を徴することができるのでありますが、もしその專門家が檢察審査会の要求に應じて出て來なかつたというような場合については、証人の場合と違いまして、特に制裁の規定は設けておらないのであります。
○石井委員 よくわかりましたけれども、田舎等におきまして專門的助言を求める人がきわめて少ないような場合においては、一人か二人の人が来てくれなかつたらその目的が達せられなくなるのではないかと思いますが、これは四十四條等に何ら強制力は要らないというお考えでしようか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会が專門的な助言を求めるためにその出頭を求めたにかかわらず、これに應じなかつたというような場合には、その專門家に対して特に制裁の規定は設けておりませんけれども、出て来られて場合については、第四十五條に、政令の定めるところによつて相当な旅費、日当、宿泊料を給するということになつておりますので、かような規定の趣旨に鑑みまして、おそらく特別な事故がない以上は、專門家がそれぞれ進んで檢察審査会に出てまいりまして、その專門的な助言を供することだろうと考えられるのであります。
○石井委員 五十一條ですが、五十一條によりますと、檢察審査委員に対して不正の請託をいたしました者の制裁が書いてありますが、この檢察審査員がこれを受けました場合には、刑法の規定によつて処罰するというのでありましようか。ここには檢察審査員に対し不正の請託をした者は、「一年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。」とありますが、その意味にお尋ねいたしたいと思います。
○佐藤(藤)政府委員 五十一條の規定は、申し上げるまでもなく檢察審査員をして公正な立場において職務に精進せしむるために、その檢察審査員に対して不正の請託をした者を処罰する規定でありまするが、もし檢察審査員がその不正の請託を受けて、たとえば賄賂を受けたというような場合には、刑法の公務員の涜職罪の規定によつてそれぞれ処罰を受けなければならぬものと考えます。
○鍛冶委員 この二十七條の規定に基いて檢察審査会議を開くことになつておりますが、これはどこで開くのでありますか、場所の指定はないのでありますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会は、第一條の規定によりまして、各地方裁判所及び地方裁判所支郡の所在地に檢察審査会を設けることになつておりますので、その檢察審査会の設けられた所で、檢察審査会の実際の会議が催されることになつておるのであります。
○鍛冶委員 私の聽かんとするのは、場所は特に指定しないで、この所在地であればどこででもやつていいのか、それともここでやるということがきまるのか、それを聽いておるのであります。
○佐藤(藤)政府委員 この法案が可決せられ、なお所要の予算が通過いたしますれば、それに基いて全國に二百を下らざる数の檢察審査会が各地に具体的に設けられまするので、その審査会の設けられておる所、すなわち檢察審査会の事務局が設けられますので、その事務局が設けられますので、その事務局の所在の場所で具体的な檢察審査会が開催されることと考えられるのであります。
○鍛冶委員 そうすると建物については、裁判所と特別のつながりはないのですか。そうするとこれは二十二條のときには、裁判長はそこに出張して来なければならぬことになりますか。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会のために各地に事務局が設けられるのでありますけれども、それがために特に新たなる建物を用意するというようなことは、目下の財政状態においてとうてい困難だろうと考えられますので、当分の間は裁判所の事務局の一部をこの檢察審査の事務局に充当せられるものと考えております。
○鍛冶委員 そこで第二十二條に檢察審査員の心得ということがありますが、何か檢察審査員心得という特別のものができるのでありますか。できるとすれば、それはどういうような内容のものであるかをちよつと聽いておきたい思います。
○佐藤(藤)政府委員 檢察審査会議の開会にあたりまして、地方裁判所長または地方裁判所支部に勤務する裁判官は、あらかじめ檢察審査員及び補充員に対して、檢察審査員として守らなければならぬ心得を諭告するのでありますが、この諭告すべき心得は、結局檢察審査員及び補充員は、良心に從つて公平に誠実にその職務を行わなければならぬという心得を諭告することになるのであります。
○鍛冶委員 今のお話ですが、おつしやつたのは、宣誓はそうなるのだが、宣誓と諭告というものは違うのでありませんか。裁判所において証人の場合でも、やはりこうこうしてそれから宣誓をさせるのです。ここに書いてある良心に從い公平誠実にその職務を行うということは、これは宣誓の内容でありますが、そのほかに諭告するのであるか。たとえば罰則を聞かしておるとか、これから審査の方法はこうしてやるのだとか、そういうことがなかつたら意味をなさぬように思いますが、いかがですか。
○佐藤(藤)政府委員 実際の場合においては、その心得について詳しく諭告する場合もありましようし、あるいは簡單に諭告する場合もあるだろうと思うのであります。ただいま鍛冶委員の御指摘のように、会議の内容については漏らしてはいけない、あるいは会議の途中において他の力に支配されてはいけないとか、いろいろな具体的事項が出て諭告するだろうと思いますが、要するに檢察審査員は良心に從い公平誠実にその職務を行わなければならないのだという趣旨に帰着するだろうというふうに考えておるのであります。
○岡井委員 この法律ができましたら、予算は、何もかもひつくるめて、全体で大体どのくらいかかるものでありましようか。
○佐藤(藤)政府委員 政府提出の原案をそのまま運営することになりますれば、大体年額三億円あまり、最初の二十三年度で二億円あまりを予算に計上いたしたいと考えておるのでありますが、缺格者を排除する、いわゆる檢察審査員の選定の方法等について、当委員会においてお考えのような改正案に改めまするならば、よほど簡略になりますので、その所要の予算額も、あるいは半分くらいで済まされるのではないかというふうに考えられるのであります。
○岡井委員 檢察当局におかれましては、かような法律がなくても、ほんとうの本筋の檢察をやつていかれるだけの意氣込みをもつていただきたいと思うのでございます。刑事訴訟法ができまして、未だ一度も公訴の取消しをおやりになつたことがないと思います。私は檢察当局の良心を疑うものでありまして、必ずや公訴の取消しをなすべき事件があつたと思います。一たび公訴をした以上は、裁判所の判断に任せるとか、あるいは執行猶予にすればよいではないかというような意見は、これは法律家であり、また檢察当局である人のとるべき態度ではないと思います。これは公訴の取消しでございますけれども、また大いに公訴すべき事件については、公訴しなければ相ならぬのでありまして、檢察審査会から監督を受ける必要はないように思うのでございます。私は司法部の意氣がはなはだあがらない、檢察当局の意氣があがらないということと、もう一つ良心的でないということを今まで慨しておつたものでございます。そこでかようなものを設けなくとも、檢察は檢察として豪壮なる意氣込みを示し、また形式論議でなくして、ほんとうに良心に從つて檢察を御実行せられるような氣持をもつておられるかどうか。この点をこのたびの法案をお出しになるにつきまして参考までにお聽きしたいのでございます。
○佐藤(藤)政府委員 本法律案が提出されるまでもなく、從來の檢察官は、具体的に事件の起訴、不起訴にあたりましては、その事件の発生当時の状況であるとか、あるいは被害者の性格、また犯罪後の状況等に照らしまして、それぞれ適正な処断をいたしてまいつたのでありますが、民主的な新憲法が実施されましたこの時代に、さらに一層民衆の意見を反映せしめて、從來よりもさらに適切な処断をなすことを期待いたしまして、特にかような制度を立案いたしたのであります。この制度を設けられましても、從來の檢察官が良心に從つて、何ものにも恐れず、何ものにも屈しないで、独立不覊の心構えをもつて、それぞれ檢察の道に精進いたしておるのでありますが、その心構えにおいては何ら変わりはないのでありまして、ただ今後從來よりも一層民意を反映せしめて、いわゆる社会の良識に從つた適切な檢察の道が行われるようにということを期待いたしておるのであります。
○岡井委員 その意見がございましたら、それを待遇改善の方にお向けになりましたら、その方がかえつて内部の職員の方々の元氣を増していただいて、その方からほんとうの檢察ができるのではないかと思うのでございます。檢察廳や裁判所へお伺いいたしましても、どうも待遇が菲薄で、しかも事件をたくさんもつておられて、へとへとに疲れておられる。そこへ私どもが、真実の叫びを発して陳情いたしましても、なかなかそれをお聽きになつていただくだけの精力なり、時間なりをお持ちになつておられぬというような状態を拝見いたしまして、かようなぐあいでは、一家の中に事件を起したものは、泣寝入りである、ほんとうの真相は発見していただけない、かような感じを持つものでございます。それからこのことは、裁判官なり檢察官なりと打明けて御懇談をお願いいたしまするというと、ほんとうの檢察なり、ほんとうの裁判なりということは、望みがたいということを、懇意な方は教えてくださるのでございます。かような点に、ほんとうの天下國家の憂えがあると、私は考えておるのでございます。どうも今のような状態で真実発見をお願いいたしましても、次から次へ電話がかかつてきたり、面会人が押し寄せてきたり、檢察官と應待したり、さようなことに忙殺せられまして、ほんとうに仕事に打ちこむというだけの余裕をもつておられぬように思うのでございます。せめて待遇の改善でもいたしましたならば、この下級事務官の方も、われわれにつつけんどんに應待されるとか、形式的の仕事をせられるというような弊害もなくなつてくるように思うのでございます。 〔委員長退席、石井委員長代理着席〕 すでにこの法案が通過せんとしているときに、かようなこと申し上げていかがかと思いますけれども、將來司法部におかれましては、いたずらに新規の立法をせられずに、それの費用を内部の職員各位の志氣を振興するような方面へお使いになつて、そうしてほんとうに実質的の仕事をしていただいたならば、罪ある者も、また大多数の罪なき國民も、その方を感謝するのではないかと思います。これは別に御意見をお伺いするのではございませんが、もし御意見がございましたならば承りとうございます。
○石井委員長代理 暫時休憩いたします。 午後七時四十五分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後八時四十八分開議
○井伊委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 本案については相当審議を盡してまいりましたので、質疑はこの程度で打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井伊委員長 御異議なしと認めます。それではこれをもつて質疑を終了いたします。 —————————————
○井伊委員長 次に討論にはいりたいと存じますが、この際委員長の手もとに各派共同提案の修正案が提出せられております。これを朗読いたします。 檢察審査会法案の修正案 第五條第一号中「又は」を「、但し、」に、「有しない者」を「有する者はこの限りでない。」に改める。 第六條中第五号を第六号とし、以下第十八号まで順次一号づつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加え、第十四号「経済監視官吏」を「経済査察官吏」に改める。 五 会計檢査院檢査官 第七條第一号中「被害者」を「被疑者又は被害者」に改める。 第八條第三号中「官吏、」の上に「國会職員、」を加える。 第九條より第十四條までを削る。 第十五條を第九條とし、「檢察審査会の置かれた他に在る地方裁判所又は地方裁判所支部の事務局長又は上席の裁判所事務官」を「檢察審査会事務局長に」、「三百人」を「百人」に改める。 第十六條を第十條とし、次のように改める。 第十條 市町村の選挙管理委員会は、前條の通知を受けたときは、当該市町村の衆議院議員選挙人名簿に登載された者の中から、同條の規定により割り当てられた員数の倍数のそれぞれ第一群乃至第四群に属すべき檢察審査員候補者の予定者をくじで選定し、各予定者について檢察審査員としての資格を調査した後、その資格を有する予定者の中から同條の規定により割り当てられた員数のそれぞれ第一群乃至第四群に属すべき檢察審査員候補者をくじで選定しなければならない。 前項の調査の結果その資格を有する予定者が割り当てられた檢察審査員候補者の員数に足りないときは、その足りない員数についてこれを充足させるまで前項の規定を準用する。 市町村の選挙管理委員会は、第一項又は第二項の規定によりくじを行う日から、少なくとも三日前にくじを行うべき場所及び日時を告示しなければならない。 第一項又は第二項の規定によりくじを行う場合においては、衆議院議員の選挙権を有する者は、これに立ち合うことができる。但し立合う場合には少なくとも、三人が立合はねばならない。 市町村の選挙管理委員会は、第一項及び第二項の規定により選定された檢察審査員候補者について、その氏名、住所及び生年月日を記載した檢察審査員候補者名簿を調製しなければならない。 第十七條及び第十八條を第十一條及び第十二條とし、それぞれ同條中「地方裁判所又は地方裁判所支部の 事務局長又は上席の裁判所事務官」を「檢察審査会事務局」に改める。 第十九條を第十三條とし、同條中「地方裁判所又は地方裁判所支部の事務局長又は上席の裁判所事務官」を「檢察審査会事務局長」に改める。 第二十條を第十四條とする。 第二十一條を第十五條とし、同條中「第十九條」を「第十三條」に、「地方裁判所又は地方裁判所支部の事務局長又は上席の裁判所事務官」を「檢察審査会事務局長」に改める。 第二十二條乃至第二十五條を第十六條乃至第十九條とする。 第二十六條を第二十條とし、同條第一項中「四百五十人」を「六百人」に改め、第二項の次に次の一項を加え、末項中「檢察審査会事務官」の上に「檢察審査会事務局長及びその他の」を加える。 最高裁判所は、各檢察審査会の檢察審査会事務官のうち一人に各檢察審査会事務局長を命ずる。 第二十七條を第二十一條とし、同條中「第十九條」を「第十三條」に改める。 第二十八條乃至第三十條を第二十二條乃至第二十四條とする。 第三十一條を第二十五條とし、同條中「第四十條」を「第三十四條」に「第二十四條」を「第十八條」に改める。 第三十二條乃至第三十九條を第二十六條乃至第三十三條とする。 第四十條乃至第四十五條を第三十四條乃至三十九條とする。 第四十六條を第四十條とし、同條中「且つ、」及び「なければならない。」を削り、「議決の要旨を掲示し」の下に「、且つ、第三十條の規定による申立をした者があるときは、その申立にかかる事事についての議決の要旨をこれに通知しなければならない。」を加える。 第四十七條及び第四十八條を第四十一條及び第四十二條とする。 第四十九條を第四十三條とし、同條中「第四十三條」を「第三十七條」に改める。 第四十八條 この法律の施行に関し必要な規定は、政令でこれを定める。 附則第二項の次に左の一項を加える。 裁判所職員の定員に関する法律(昭和二十二年法律第六十四号)第四條中「專任六百九十七人 二級 專任四千七十一人 三級」を「專任七百五十九人 二級 專任四千六百九人 三級」に改める。 提案者の趣旨説明を願います。石井金次郎君。
○石井委員 ただいま委員長が朗読せられました各派共同になる修正案の提案理由を説明いたします。 原案は檢察審査員の選挙等につき、市町村の選挙管理委員会が衆議院議員選挙名簿を土台とし、これにより第五條及び、第六條の不適格事由あるものを除き、檢察審査員候補者名簿を作製した上、檢察審査員会を單位として一群より四群まで各三百人ずつ計千二百人の檢察審査員の候補者をくじで選定してその名簿を調製し、これを檢察審査員会事務局に送付し、同事務局がこれより毎三箇月ごとに檢察審査員及び補充員五人または六人を選定することになつておつたものであります。それを市町村の選挙管理委員会は衆議院議員選挙名簿のうちより檢察審査会を單位とし、一群より四群まで各百人ずつ、計四百人の檢察審査員の候補者をくじで選定してその名簿を作製し、これを檢察審査会事務局に送付し、同事務局がこれより毎三箇月ごとに檢察審査員及び補充員五人または六人を選定するものとして、手続きの簡略化をはかり、その経費等を約半減することにいたし、この手続きの変更に伴う最小限の事項を修正いたしたものであります。 以上修正案の提案理由を簡單に申し上げた次第であります。各委員の御賛成をお願いいたします。
○井伊委員長 それでは修正案及び原案を一括して討論に付します。石井繁丸君。
○石井委員 社会党を代表いたしまして、修正案並びに修正案を除く本案につきまして賛成の意を表する次第であります。簡單に賛成の趣旨を申し述べたいと思います。 この法案は一見いたしますると、まことに簡單な法案でありまするが、しかしつらつら考えますると、民主主義の政治構想において欠くことのできないところの重大なる法案であると考えるものであります。つまり民主主義の政治構想は、各機関に独裁を許さないというのが中心点になつており、國会には解散あるいは四箇年ごとの総選挙があり、裁判官にはまた國会による國民審査あり、行政機関におきましては総理大臣の國会の指名あるいは各省大臣の総理大臣による任免等がありまして、おのおのその機構が制約をせられておるのであります。しかるに檢事の起訴権につきましては、何ら制約せられるところがなく、かつて起訴権を政治的に利用するというようなことによりまして、いろいろと司法フアツシヨというような問題も出たことがあるのであります。かようなことを考えてみますると、この檢事の起訴権に対するところの一つの民意の介入というものがあることは、日本の民主主義の健全なる発達のために欠くべからざる要点であろうと考えるのであります。この点を考慮し、制定されましたるところのこの法案は、非常に意義のある法案である。ただ新しい法律でありまするから、國民が正しく利用するということの能力いかんに相当疑点がもたれるのでありますが、國民が民主的に訓練され、そうしてまた各界がそれに努力をいたしますれば、有終の美が保てようと思いまして、本案については賛意を表するにやぶさかでない次第であります。特にかようなる画期的法案でありまして、その上に修正点におきましては、経費をかけないということに非常に努力をいたしましてこの修正をいたしたのであります。経費をかけないでさような重大な目的が達せられる、この点につきまして、社会党を代表いたしまして、心から賛意を表する次第であります。
○井伊委員長 八並達雄君。
○八並委員 民主党を代表いたしまして、本案並びに修正案に賛意を表します。 この提案の趣旨はまことに結構なことでありまして、まつたく賛意を表するのでありますが、ただこれに要する費用につきましては、修正案によりまして相当の削減をし得たのでありますが、そのでもなお約二億に近い國費を要するのであります。現在財政の非常に困難なわが國の現状に鑑みまして、この國費を出されることは、非常に財政上の負担ともなると考えますが、諸般の情勢上やむを得ないと思いますし、お願いしたいことは、できるだけ経費を削減することに御努力願いたいと思うであります。なおかつて私どもは、陪審員法において必ずしも成功をいたさなかつたのであります。從いまして、この法律につきましても、現在のわが國の民度、文化の程度におきましては、よほどその運用に努力いたさないと、法の目的を達せられないじやないかということを考えているのであります。さような点につきましても、万ぬかりなく政府におきましては御準備なり、適当な御指導を賜わらんことを切望するものであります。
○井伊委員長 大島多藏君。
○大島(多)委員 先ほど來の討論の中にもありました通り、本法案を実施するためには、相当多額の経費を必要とする点、並びにそのような多額な経費を費やしても、はたして所期の効果を期待し得るかという点において、相当疑念を私は有しております。それで私といたしましては、にわかに賛意を表しがたい点もありますけれども、しかしながら警察事務の民主化に徹するという点、並びに諸般の情勢を考慮いたしまして、私は進まぬながら、政府原案並びに修正案に賛意を表することにいたします。
○井伊委員長 松木宏君。
○松木委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本修正案並びにそれ以外の原案に賛成するものであります。刑事訴追に関する一種の民主化ということは、われわれも非常に賛成であります。しかし法案の内容には、私ども多少の不満があるのでありますけれども、初めての試みでありますから、今後運営して、しかる後にあるいは改正すべきものがあるとも思われるのでありますけれども、この際賛成の意を表しておきたいと思います。
○井伊委員長 これにて討論は終局いたしました。 これにより採決いたします。まず各派共同提案の修正案について採決いたします。提案のごとく修正するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○井伊委員長 起立総員。よつて全員一致をもつて、提案のごとく修正に決しました。 次に、ただいま採決いたしました部分を除く原案について採決をいたします。ただいま修正に決しました部分を除く原案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○井伊委員長 起立総員。よつて修正部分を除く他の部分は、原案の通り決しました。よつて本案はここに修正議決せられました。 これにて散会いたします。 午後八時五十九分散会