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2回国会衆議院1948/06/28

司法委員会 第44号

発言数
33
登壇者
8
会派数
3
開催日
1948/06/28

会議録

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 ただいまより会議を開きます。  この際お諮りしますが、警察官等職務執行法案について、司法委員会より治安及び地方制度委員会に対し、治安及び地方制度と司法の連合審査会の開催を要求したいと思います。御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 それでは治安及び地方制度委員会に対し、司法委員会との連合審査会を開くよう手続をとります。     —————————————

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 次に刑事訴訟法案の審議を進めます。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 まずお伺いしますが、刑事訴訟法を実地いたしますと、費用はいくら要りますか。また強制弁護人のための予算はいくら計上してありますか。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 裁判所関係の予算になりますが、概算として手許にある数字を申し上げますと、新刑事訴訟法を完全に運用するとなると、判事七百九十五人、書記九百六十九人、事務官、技官百五十人、傭職人千二百人が新に必要であります。これらの人員採用に要する費用は、約二億八千余万円であります。法廷は百九十七個あり、これらの費用は約二千七百万円であります。以上は完全運用の場合でありまして、早急に実施するためには、應急費として計上してあるものだけいただけばよいわけであります。これは判事百人、書記八百四十六人、事務官、技官百五十人、傭職人千百人でありまして、その費用は三千七百万円であります。この費用は刑事訴訟法が明年一月一日より施行するとして、三月までの間にこの人員を充当していきたいと考えております。別に法廷の方は新設はなくても、増築していけば一應は間に合うと考えております。  次に檢察廳関係予算を申し上げますと、現在欠員が六十九名ありまして、その補充を早急に求めることは困難であります。一應檢事が増加しないとして、計算してみると、副檢事百人、二級三奇の檢察事務官計千二百人、雇員千三百四十人、傭人三百七十七名を新規採用するとすれば、これらの人件費は約二億一千四百二十一万円となります。  以上の数字はどうして出したかというと、次のような事情を考察した結果であります。すなわち公判立会が、一箇月七回になつているのを二倍と見て、一箇月十四日立会として算える。被疑者の黙秘権が認められているから、捜査が手間取ると考えられる。それで從來檢察官の処理件数が、從來担当数より二割くらいは減ずるであろうと思はれる。それで右の数字は、ただちに必要となるわけでなく、一月から三月までの間に増大すればよいので、前の必要数の四分の一を右の数字としたのであります。なお檢事の補充ができて、その人員の増加が期待できるとすれば、副檢事の増員はそれだけ減らしてよいわけであります。  次に強制弁護人の費用はいくらかと言えば、國庫負担は昭和二十二年度の十一万二千七百七十二名の数字が出ているので、これに弁護人の費用一人七百五十円として、合計八千七百五十余万円となる。但し從來弁護人選択の中二十一%は私選であるから、國選費用を差引くと、六千五百余万円となる。二十三年度の予算としては、國選弁護の國庫負担としては一千五百万円計上してある。

鍛冶良作民主自由党

○鍛冶委員 委員長、弁理士法の一部政正に関する法律案につき、鉱工業と司法との連合審査会を開き、これに出席したい。吉田君、中村俊夫君も出席しないか。

吉田安民主党

○吉田委員 出席する。

中村俊夫民主党

○中村(俊)委員 ぼくも出席する。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 控訴審が覆審制とならず、第一審が事実審理を詳細にやるとなると、第一審で速記をつける必要があると思う。速記者の費用を見積つてありますか。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 速記者をおく準備ができていないので、速記費用の見積りもできていない。しかし徐々に速記を使う方に向けたいと思う。事実審理の書類は、裁判所書記が所るわけですが、今後は優秀な者でなければならぬわけです。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 多額の予算を計上することは、國費多端の折柄むつかしいと思う。新刑事訴訟法のように、人的物的設備や準備のかかるものを明年一月一日から実施するのは困難でないかと思す。各議員も愼重にこの実施期を檢討されたいと思う。新刑事訴訟の実施に伴う費用や、資材も、徐々に充実してやつていけばよいのでないかと思う。たとえば、教育の革新として、いわゆる六・三・三制が実施されて、教育の民主化の形が整つたけれども、学校や器具が新築又は備付できぬので、実質的には教育の基本はかえつて減退しているのではなかろうか。刑事訴訟法の実施は、新憲法の基本的人権を擁護する手段であつて、民主化のためには、まことに結構であるが、あまり準備が整わないのに実施を急ぐのは、角を矯めて牛を殺すことにならぬかと心配する。刑事訴訟法の施行期日をとやかく言うのではないが、愼重に考慮されたい。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 先般來からお答え申し上げた通り、この刑事訴訟法は、憲法上の基本的人権を実際に具体化しているから、この法律の実施は、一日も早い方がよい、そこで準備期間としては、六箇月が相当と思う。実は新憲法の実施も準備期間は六箇月であつたし、刑事訴訟法の実施にも、一箇年とか、あるいは、三箇月とかいう意見もあつて、結局六箇月後と定まつて次第です。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 次に罪証隠滅のおそれがあるときに、保釈を許さなくてよいことになつているが、この理由は悪用されて、隠滅のおそれがないのに、そのおそれがあるという口実で保釈を許可しない結果にならぬかと憂える。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 今回新刑事訴訟法では、根本方針として、原告と被告とが相互に攻撃防禦をする。これに対して裁判所が正しい判決を下す。被告の身柄を拘束しない、これが建前となつている。この意味で刑事訴訟法第八十九條が設けられている。裁判所の保釈請求があれば、保釈することは、自由になつている。但し第一号から第五号に該当する事実があるときは、保釈を許さないことになつている。明禮委員の質問は、もつともであつて、裁判所は権利保釈をする場合に、從來のように、保釈の勝手な取扱をせないようになると思う。裁判所が口実に利用しないように証拠湮滅につき相当に顯著な理由があるときは、修正されても結構であると考えている。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 今回の刑事訴訟法では、留置の必要がなくなつたときには、裁判所は釈放することになつている。このように檢察官の意見を聽かずに、裁判所が勝手に釈放できるのはどうかと思う。檢察官が裁判官に干渉するのは困るが、裁判所が釈放する場合には、檢察官の意向を酌んでやることにしてはどうか。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 第二百七條において留置の必要がないときには、ただちに釈放せよと規定したのは、内偵捜索のごとき逮捕状をもつて捕うべき場合でも、人違いか何かの問違いがあつたときは、人権保護に反するから、檢察官が釈放を要求することができると思う。檢察官が釈放の指揮ができるか、どうかについては、司法警察官に対する一般的規定、すなわち刑訴第百九十三條の適用の場合となる。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 裁判所は檢察官の意見をを聽いて、決定した方がよいのでないか、この点重ねて尋ねる。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 問題は警察官との関係であつて、警察は檢察廳に対して独立している。そこで檢察官は百九十三條の一般的準則を定めることになつている。これは現行の司法警察官職務規範に相当する。そこで誤なきように、條項を入れて運用方で連絡をとつて誤解ないようにしたいと思う。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 第三百八十五條、第三百八十六條を見ると、控訴裁判所は決定により棄却せねばならぬと定めている。裁判は公判を原則とするから、これを決定によつてすることは、憲法違反になりませんか。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 憲法の趣旨とするところは、最終の判決を主として指しているので、方式違反とかを、控訴権の消滅後のものは決定でやることは、憲法違反にならぬと思う。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 第四百八條には「判決で」と書いてある。決定と異なるではないか。第三百八十五條の場合は別として、第三百八十六條の場合は、相当に意味があると思うが、どうですか。ただいまの説明ではわかりかねるから再度お尋ねする。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 第三百八十五條の場合は、控訴申立に対して規定しているので、これは現行法と同じ、第三百八十六條の場合は、控訴趣意書の規定をしているのである。この法立に規定した條件に合致しないときは受理しない。よつて第三百八十六條は、第三百八十五條と性質上同じと見ている。それで同じところに並べたわけであつて、この意味から憲法違反の問題を生じないと思う。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 控訴審におれる事実審理について、この際再檢討の必要がないか。第一審で速記つけるならよいが、予算の都合上つかぬとなれば、第一審の記録を読んで、これでよいと思つても、裁判所書記の筆記がおちていることもある。控訴審でも、覆審制度を考える必要があると思うがどうか。この点重ねて意見を聽きたい。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 まず調査書からお答えします。公判調書については、新刑事訴訟法案は現行法に比し、画期的に違つている。第七十九條、第五十一條に書いてある。たとえば弁護人側が公判調書に漏れているものがあると異議の申立をする。裁判所書記は、調書をつくつておかねばならぬ。ここに書かれた事項は、控訴審で主張することができる。  次に、刑の量定について申すと、刑の量定の不当については、第三百八十一條により、著しくの文字がなくなつている。新証拠については、第三百九十三條により、控訴審においては調査のときは、職権により事実調査をするが、これは事実審理と同一でない。控訴の取調べの必要のため取調べることができるのである。この場合に訴訟当事者は、裁判所の職権発動を促す行動をなすことができる。この運用を適切に行えば、御懸念の問題は解決できると思う。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 電報が遠方から來た場合、また手控書が間違つたとき、結審後でもこれを提出しないとわからぬ。調書も二、三日かかつて間に合わぬ、弁護人が十回も行かぬと調書を読み切れない場合もある。職権で調査をするといつても、大部分は抹消されるのが落ちである。極端に言えば、人権蹂躙はここから起るのでないか、新刑事訴訟法が第一審主義で行くのはよいが、控訴審で覆審くらいにする方がよいのでないか。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 この刑訴では第一審に重点をおいている。攻撃防禦は第一審で出盡すものと期待している。但し人間のすることであるから、控訴を認めるわけであります。第一審主議によつても、眞に保護されてよい者は保護されると思う。

木内曾益檢務長官

○木内政府委員 第三百九十三條の場合は、弁護人の側から職権の発動による調査を要求することができる。この調査要求が判決に重大影響を與えるものならば、裁判所の良識に訴えて必ずとり上げられると思う。

明禮輝三郎民主自由党

○明禮委員 職権で調査できるのか、あるいは調査を要するのか。ここは調査を要すとしなくてはならぬのでないか。

野木新一法務廳事務官

○野木政府委員 第三百九十二條第一項の場合は、必ず調査しなければならぬ。同條第二項の場合は調査の義務があるのではない。第三百九十三條第一項の場合は、取調べできるのである。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 刑事訴訟法に対する質疑は、これをもつて一應打切りとします。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 次に予備審査として本委員会に付託せられている青年補導法案を議題としたします。提案者より御説明を願います。

鬼丸義齊民主党

○鬼丸義齊君 ただいま議題となりました青年補導法案の提案理由を御説明致します。  現下の犯罪の激増振りはかつてその例を見ないほどの状態であります。中でも青年の犯罰がきわめて多いこと、及び初犯の累犯の割合が戰前の三対七に比べて、七対三と逆轉いたしておりますことは、まことに民主日本の再興の上に、大きな暗影を投ずる問題でありまして、まことに遺憾にたえないところであります。この問題の原因は種種ありませうが、一般的に申しまして、現在わが國の置かれておる政治的経済的ないしは社会的情勢、たとえば國民道義の頽廃、政局の不安定、物價の奔騰、失業の瀰漫、深刻な生活苦等をあげることができると考えるのであります。殊に、誤れる一部の指導者によつて惹き起された戰爭に駈り立てられ、終戰とともに、家を、家庭を、職業を奪われた青年は、まつたく前途の目標を失いまして、そのまま社会悪の渦中に投ぜられ、ついに道を踏み誤つて罪を犯すに至つたのであります。このような事情によりまして、罰を犯す青年に対し、ただちに刑を科しますることは、はたして適当でありましようか。  そもそも罰を犯した者に対して刑罰を科するゆえんのものは、復讐的または應報的観念によるべきものではなく、社会的に犯罪を防衞するとともに、犯罪者を教化して正常な社会人として再出発せしめることにあるのでありまして、学者間におきましても、こうした考え方が支配的になりつつありますことは、御承知の通りであります。しかしながら、飜つてわが國の行刑の現状は、必ずしも満足すべきものではなく、その成果につきましても、幾多の疑問の点があるのであります。ここにおいて行刑制度及び犯罪者の予防更生制度の根本的改善の必要が痛感されるのでありますが、さらにまた刑を科しますることは、その者に前科の刻印を押すことにもなるのでありまして、社会の嫌悪を買つて、結局再び悪の道に踏みこませる結果となるおそれが多いのであります。このような現状から申しまして、前途洋々たる青年が罪を犯した場合に、これを犯罪と社会悪の中から救い上げて、正常な社会生活を営ましめますためには、ただちに執行猶予を言渡して、そのまま身体の自由を與えることは、累犯のおそれなしとせず、また一般の懲役刑を科することが、眞に行刑の目的を達成するゆえんでない場合が、非常に多いのであります。ここに刑罰に代えまして、職業補導を中心といたしました適切な施設に收容して、正常な社会人として再生せしめる処分が、絶対に必要であると考えられるのでありまして、本法案提出の理由もまたここに在する次第であります。  法案の内容につきまして簡單に御説明申上げます。法案は一、処分の性格二、青年補導所の構成三、補導及び処遇の内容より成つておるのでございます。まず第一の処分の性格でありますが、処分は手続その他につきましては、刑罰に準じた取扱をいたしますが、純然たる保護処分でありまして、刑罰に代えてなされるものであります。さきに述べました本法案の目的から生ずる当然の帰結であります。第二点の青年補導所の構成でありますが、これは法務廳総裁の管理に属する國立の施設でありまして、その運営に関しては、青年補導所運営委員会を置きまして、所長の専断に陷らしめず、きわめて民主的に運営する建前になつております。第三に補導及び処遇の内容でありますが、補導は必要な教養を施し、勤勉で規律のある生活のもとに、主として在所者に適應した職業の補導を通じまして、正常な社会人として再生させるようにこれを行うのであります。その処遇につきまして重要な事項は、補導所運営委員会の議を経ることにいたしまして、公正な取扱が行われるようにいたしております。  なお、第一回國会におきまして提案いたしました際と内容の異なつております点は、第一に仮退所の規定を削除いたしました点でありますが、これは犯罪者の予防更生事業の全面的な再檢討が、目下関係の方面において考慮せられつつありまして、仮退所につきましては、その制度に讓りたいと考えたためであります。第二に補導所には、この法律の規定のみでなく、他の法律によつて適当の認める者をも入所せしめ得る道を拓いた点でありまして、これは、この施設をあますところなく利用することを期待した趣旨であります。  以上青年補導法案の提案の理由について御説明申上げましたが、何とぞ愼重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願い申上げます。

井伊誠一日本社会党

○井伊委員長 暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ━━━━◇━━━━━     〔休憩後は閉会に至らなかつた〕

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