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2回国会衆議院1948/06/17

財政及び金融委員会公聴会 第3号

発言数
42
登壇者
11
会派数
3
開催日
1948/06/17

会議録

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 昨日に引続きまして公聽会を開会いたします。問題は去る六月八日本委員会に付託されました所得税法の一部を改正する等の法律案及び取引高税法案の審査のための公聽会でありまして、基礎控除、扶養控除及び勤労控除、その他所得税法の改正について、並びに取引高税新設についての二つの問題について、御意見を聽取したいと存じます。昨日も開会劈頭に申し上げたことく、今次の税制改正は、御承知のごとく最近における賃金物價等経済諸情勢の推移に即應して、國民の租税負担を調整合理化するとともに、財政需要に対應して租税収入を確保する等のため、税制の全般にわたる改正を加えられたものでありまして、租税の中枢たる所得税については、賃金、物價等の変動、課税の実情に照らし、負担の軽減をはかることに重点をおき、基礎控除、扶養控除及び勤労控除を相当程度引上げるとともに税率を大幅に引下げてあります。またこの所得税及び法人税の軽減による減収の一部を補填し、財政の基礎を確実ならしめるために、取引高税が創設され、各取引段階に対し百分の一程度の課税を行うことに相なつております。  以上の二税につきましては、たとえば所得税、法人税を中心として、負担の軽減をはかつてありますが、國民生活が一般に相当窮迫しておる現在、中央地方を通ずる國民の租税負担は、必ずしも軽くはないのであります。しかも二千六百三十二億円に上る租税収入を確保しなければならぬという事情や、取引高税にしてもその税率はきわめて低いが、結果において大衆課税になりはしないかというような、いろいろな御議論があると思われますので、公述人の方々におかれては、本財政及び金融委員会における法案審査の参考のため、卒直にして忌憚なき御意見を発表願いたいと存じます。昨日は学識経験者の方々の御意見を拝聽いたしましたが、本日は一般申出のありました公述希望者の方々のうちより泉吉之丈君、金澤甚衛君、工藤義男君、久保山雄三君、田中友章君、津曲百枝君、藪松五郎君の諸君に、御足労を願つたわけであります。これから公述人の方々の御意見を聽きたいと存じますが、時間の関係で、なるべく重復しないように、端的に要点だけを公述していただくようにお願いしたいと存じます。発言は発言席に立つてお願いすることにし、ただいまより御意見を拝聽することにいたします。  まず最初に金澤甚衛君の御意見を承りたいと存じます。金澤君は消費者連盟の代表者であります。ではどうぞ…。

金澤甚衞

○金澤公述人 消費者連盟と申しますのは、先ほど日本工業倶楽部におきまして、取引高税反対の全國大会を開きました際に、業者の代表としては、日本商工会議所その他の十一箇團体があり、民間の消費者の関係におきましては、九つの團体がございます。日本社会事業協会、東京都地区配給協力委員会、婦人民主クラブ、新日本婦人同盟、新生活運動協会、全日本民主委員連盟、これらを結集しましたものでございます。私がその代表を仰せつかつて参つたのであります。その全國大会おきまして、この取引高税に対しての反対決議をしたのであります。私が今日申し上げたいことは、今日の議題の二になつております取引高税について、これに限局して申し上げたいと思うのであります。なおさらに工業クラブにおける会合の際は、業者と消費者が一つになつて協議を進めたのでございますが、本日はただいま委員長からお話があつたのを受けまして、消費者の立場からこの問題について、きわめて卒直に所見を開陳したいと存じます。われわれがこの取引高税ついて、最も強く反対する面は、業者と同じ立場においてこれに反対する面もありまするけれども、また消費者としては、全然業者とあるいは対立した立場においてもここに反対せざるを得ないものがあるのであります。と申しますのは、業者ば必ずしもこの取引高税によつて、自分のふところが痛まないというふうな考え方で、積極的な反対を最後までもつ腹があるかどうかということを私たち感ぜざるを得ない。ところが消費者の立場になりますると、もつときわめて深刻に、この税によつての負担を受けるのであります。御承知のように、一般消費者というものは、ふだん何の組織ももつていないのであります。私は最近文部省なんかから出しておる雑誌の中で、声なき声を聽いて、政治を行わなければいけない。常に赤旗が動きスクラムが目の前に見えないと民意をくむことのできない政治であつてはならぬということを叫んでまいつたでありますが、一般消費者というもの、組織をもたないために、常に非常に弱いのでありまして、そこへもつてきてこういう売上税が出てきて、これが消費者の一般社会の問題になつた場合に、これに対して一般は非常に深くこの問題を考えなければならないし、消費者としてはこぞつて反対しなければならないはずであるのに、そういう声がなかなか起こつてこない。その一つの理由としては、所得税法の改正によりまして、勤労所得が非常に引き下げられる。そうしてその一つの財源として取引高税を考えておるというようなことが一つの理由になりまして、組織ある労働團体が、この取引高税がきわめて無差別に行われて、最後には困窮者を非常に脅かすものであるということであります。アメリカの連邦会議なんかでは、これが否決されているわけでありますが、わが國でも社会事業團体とか、民生委員とかいうような人たちは、これに反対はしておりまするけれども、ある点から申しますと、この税がやがてクーポンかなんかで納税せられた場合に、その税額の二%ないし五%が収納せられることになると、社会事業團体にとつては非常にプラスになるわけでありまして、この方の組織ある社会事業團体とか、労働者の團体が、純消費者と申しまするか、台所の人たちとうまくマッチしていけない。しかもこの取引高税がどういうものであるかということについては、一般の人はまつたくこれを知らないという実情であります。私は数日前一日に何百万円という大きな取引をするある業者に会つて聽いたのでありますが、この取引高税がどういうものであるかよく知らない。きのうもある高官に会つてこの話をしましたところが、これは物品税であろうと考えていたというようなことであります。まして一般の市民は、この取引高税というものが自分の上にかかつてくるものだということをちつとも知らないのであります。何か株屋さんの税金ででもあるかのような感じをもつている。こうしてこの税が一般の知らない間に成立して、みんながこれを負担することになる。おそらくこれが実現しましたならば、徴税の方法が非常に困難であるということもいろいろ傳えられております。いろいろな本にも書かれておりますが、私は長くハリーにおつて、ちようどこの税が課されたときに向うにいた人に聽いたのでありますが、その話によりますと、非常に巧まずして脱税が結果される税であつて、それを防ぐために政府は、日本で言えば三越とか松屋というような代表的な紳商五、六人をあげて、それに九十九倍の罰金を科して脱税を食い止めるようなことをせざるを得なかつたということでありますが、おそらく日本でもそういうようなことになりまして、結果的には正しい取引が全面的に隠れてしまつて、やみが一層繁く起つてくるようなことになるだろうと思うのであります。私はこういうようなことが経済的な問題であるばかりでなく、社会一般に與える心理的なものが非常に大きいのではないか。こういうふうに税制に対する國民の考え方が、今すでに権威を失つておりますが、さらに一層そういう結果を助長してまいりまして、時あたかもいろいろな問題の重なり合うときに、こういう課税が始まることになりましたならば、私は経済的な理由もさることながら、思想的にもつと根本的な問題が、この税の実施を契機として巻き起つてくるのではないか、そういう点を深く憂えておる次第であります。よく盡しませんでしたが以上であります。はつきりこれに対しての反対の意見をもつておるのであります。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 次は東武鉄道專務取締役の工藤義男君にお願いいたします。

工藤義男

○工藤公述人 工藤義男でございます。鉄道業者の一人としまして取引高税につきまして、鉄道方面より見ました点を申し上げたいと存じます。結論をまず先に申し上げまするならば、業者といたしましては取引高税の新設に対して反対の意見をもつておる者でございます。政府で本税を新設されるに当りましては、取引高税というものが鉄道業に與える影響は軽微なものであるとお考えになられるかもしれません。なるほど旅客につきましては、通行税があつて取引高税はかからない、貨物輸送についてのみ取引高税がかかるのでありますから、数字的に見ましてその影響は軽微なものである、またそういうぐあいに御観察なさるのが至当かとも存じるが、なかなかいろいろの方面にこれが影響してまいりまして、種々の副作用も生じますので、われわれとしてはにわかにこれに賛同することができないのであります。鉄道の貨物運賃は、現在のところ非常な安値で輸送しておるのでございまして、鉄道の貨物運賃は、輸送実費の三割にも充たないのであります。たとえば私たちのところで年間三千万円の貨物収入をあげたといたしますならば、一億円以上の赤字がそこに生れるのでございます。今回鉄道運賃が三倍半に値上げになるという話でございますが、なるほど三倍半値上げになりますれば、あるいは貨物輸送について黒字は出ないまでも赤字が減る。あるいはとんとんというところまでいくかもしれませんが、それは現在の物價なり現在、の人件費なりを基礎にして計算した場合のことでありまして、運賃の値上げがありますと同時に、石炭であるとか、電力であるとか、鋼材とか、セメントとかいうようなものにつきまして大幅の値上げが行われる、さらにこれが従業員の生活にはね返つて、ここに人件費の膨脹を来すというようなことがありますれば、たとえ三倍半の値上げをいたしましても、貨物輸送の赤字というものは長く続くというのが現在の実情でございまして、これがために各鉄道会社は、いずれも赤字営業に悩まされておる次第でございます。従つてそういう状態であるときに、たとえわずかなりともこの取引高税が課せられるということは、業者にとつては非常な苦痛であるということでございます。しかしこれが單に貨物の輸送に対して取引高税がかけられるというだけでありまするならばなお忍ぶべきでありまするが、鉄道業者と申しますと、御承知の通り非常に多くの物資を使用いたします。しかも鉄道会社は最終の消費者でありますように、われわれが購入いたします物品というものは、何回もの取引を重ねて、取引高税を何回も納めたあとで私達の手もとにまいるのでありますから、われわれの購入する物資は決して一%や二%の値上りで済むものではない。ちよつとした電鉄会社であるならば、購入物資におきましても二千万円、二千五百万円というような負担の増加を来すということは、予想にかたくないのでございます。そういうようなわけで、これが平常の状態であつて、会社が多少なりとも黒字の経営をしております場合には、この程度のことは、われわれ忍ばなければならぬと考えるのでありまするが、今日の窮境におきましては、かくのごとき負担でもはなはだ堪え切れない状態にあるのでございます。御承知の通り鉄道会社の人件費の方で申しましても、賃金の値上げ、労働基準法の施行に伴う定員の増加というようなことからして、人件費が百倍にも上つておる。それに、物件費の方において見ますと、石炭が百三十倍、その他鋼材にしましても何にしまいしても非常に上つておる。殊にやみ物資を買わなければならぬという場合におきましては、そえはむろん三百倍も五百倍も値上りを来しておる。しかるに運賃はと申しますると、運賃は貨物運賃においてわずかに二十一倍、旅客におきましては、最近七割五分の値上げを許可していただきましたけれども、それでも三十倍そこそこである。人件費、物件費ともに百倍からの騰貴をしておるのに、運賃の方は二十倍ないし三十倍という値上りでありまするから、赤字経営に悩むのは当然でありまして、われわれ今日の輸送状況を見まして、まことに世間に対して申訳ないと思つて、いろいろ復興のために努力いたしますけれども、なかなか遅々として進まない、これは皆様毎日ごらんの通り、殊にこの関東地方において鉄道の復興が遅れておる。戦争のために直接受けた災害の復旧、あるいは戦争中の資材、鋼材その他の供出のためにとりはずした設備の復旧、こういうものが進みません。その他、戦時中の資材の不足、労力の不足、戦後といえども資材の不足のために、どうしても手を入れなければならぬということがあります。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 そういうようなことから非常に会社の手元が逼迫しておつて、これでなかなか鉄道の復興もできないというときに、さらにここに取引高税を課せられて、そうして会社の経営をますます困難にするということにいたしますると、これはそうしても輸送の復興ということができない。今傾斜生産とか申しまして重要産業には特別な扱いをしておりますが、しかしこの輸送力の復興がなければとうていインフレを止めることはできません。インフレは物資の絶対量が少ないためでもありましようが、しかしこの輸送力不足のために物資が偏在してそうぢてこのインフレを進めておるということも明らかでありまして、これにはどうしてもこういう私鉄の負担を軽くして、税の負担をこの上重くしないようにて、そうして輸送力を整備して、インフレを止める。今日の電車の混乱しないようにする。物資の輸送を円滑にするということがぜひ必要でありまして、この取引高税とかいうようなものの新説は、どうしても鉄道の復興、輸送の復興、こういうものを防げるものと考えますので、何か政府方面において、他に方法がある限り、かくのごとき新税の創設は避けていただきたい。これが鉄道業者の取引高税に対する希望でありまして、本税創設に対する反対意見の要旨でございます。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 御苦労さまでした。  次は計理士を営んでおりまする田中友章君。

田中友章

○田中公述人 私は田中でございます。私は政府の提出いたしました取引高税法案並びに所得税の改正法案に対しまして賛成をするものであります。私はその前に、今ご紹介をいただきました計理士という職業でここへ立つておるのではないのでありまして、ただ私が一日本人という立場で、ここに立つておるということを一應お含みおきをいただきたいと思うのであります。  私は日本の債権のための税のあり方というものについて、次のように考えております。それは一應大日本帝國が抹殺されて、日本國と相なつたのでありますから、國民すべての方々が敗戦意識に一應徹底していただきたいと思うことであります。さように相なりまするというと、まだこの程度の税金では、十分に徴収し足りないと私は考えております。要すれば、日本の税法というものは、由来非常に難解をもつて聞えております。従つて國民の大部分の方々が、またこれを專門にしておる方々の大部分も、この税法を一二分に了得してこなすということができないのが現状であります。ところがこれに対して、一つのエポツクを見出しておるのであります。私がいつも会合の席上で申し上げることでありますが、日本の税法というのは、昭和二十二年に自申告自納税になつてからは、國民が一應正直に申告をするならば、その申告を是認しなければならぬ。過去の税法というのは、まず昭和十五年の税法の改革から、あの大東亞戦争の敗戦までいきました、あの税のいろいろの上昇の状況は、私は数字をもつてもうしあげたいのでありますが、さようなことはこの際、昨日いわゆる学識経験者の方々が、いろいろ数字をあげて御説明なさつたであろうと思いますので、私は数字をあげませんけれども一應概念的に申し上げますると、あの当時税と國債と並行いたしまして、政府は戦争に勝つためにというので、相当國民にいろいろ無理を強いた面があると思います。その場合國民はどのくらい日本の政府の施策に対して協力したかというと、昭和十五年の貯蓄の目標が百二十億、これに対して実績額は百二十八億でありますから、一〇六%であります。昭和十六年が百七十億の目標に対して、実績は百六十億、約九割七分であります。昭和十七年は二百三十億に対しまして、二百三十四億、一〇一%となつております。昭和十八年は二百七十億の貯蓄目標額に対しまして、四百八十四億でありまして、目標額に対しまして一割九分の増加を示しております。かくのごとく、日本人全体の気持とというものは、非常に純真であつて、正直であると私は思うのであります。またさように解釈してやりたいと思います。ところが日本がご承知のように敗戦になつて、税制の根本的な改革があつた。昭和二十一年には御承知の財産税、この財産税の執行に対しまして、現行の税法の自申告自納税の、いわば先行的役割を演じたのであります。その水先案内人を務めたのでありますが、財産税の執行にあたりましても、私は当時説明会において、現在の安本の次長をやつていらつしやいます渡邊喜久造氏が、その説明会の私の席上で、一應もし國民がこれを正直に申告したならば、それを是認してもらえるかと言つたら、そういたしますと、はつきりお答えになつたのでありますが、実際にこの財産税の執行をした各現在の税務署の取扱いぶりというものを、一應ちよつと考えてみまするというと、必ずしもあの自申告自納税というものが徹底としておらないのであります。結局正直に申告しても、やはり不正直に申告したというような取扱いぶりをする、こういうふうな現状であります。そこで私は、今おそらく國会議員皆さんがわれわれ公述人の口を経て、皆さんがこの取引高税並びに所得税法の改正法律案を通過させるにあたつて、どういうように大藏省に注文をつけたらよいだろうかということのために、私たちに何か意見があつたら申し述べてみろというように、私は一應私の解釈をいたしまして、およそこれほど厖大なものを実際皆さんにお渡ししても、税というものはそう簡單なものじやない。非常にじみなものてありますから、絶えず長きにわたつてこの税法に取組んでおりませんと、とかく大蔵省の一方的な解釈で、税法は通過してしまうのであります。しかしこの秘法の草案者は、少くとも大藏省の俊秀、非常に優れたる官僚の諸君らが草案されたのでありまするから、おそらく皆さんが観念論で食い下つても、事実論で反駁をされてしまつて、結局は大藏省の言いなりほうだいに通さざるを得ないということになるのではないかと思う。そこで私は、この法案は相当りつばなものだ、問題はこれをいかに執行するか、こういうことについて私は皆さんにお願いしたいのであります。  その執行は、私は絶えず申すのでありまするが、とにかく日本の再建を一日も早くするためには、ある程度苛酷な税金でもしかたがない。しかしその税金を徹底してとつてもらいたい。徹底してとるということは、税務署に適当にまいないを使つたり、あるいは顔役でうまくやるというようなことをなくして、まじめに申告した者は、ある程度それを認めてやるという、その方針を徹底さしていただきたいと思う。それにはどうしたらよいか。それは現在の税務署の機構というものを根本的に改善をしなければならぬのです。改革ということは私は避けたい。むしろ漸進的に改善をする。じやあどういうふうに改善をするか。これはいろいろ大きく具体案ももちまするが、簡単に申し上げますると、現在の税務署の吏員では十二分に手がまわらないということが一つ。また素質が非常に低下しておるということが一つ。その他ありまするが、要すれば税務署の連中が大学、しかも夜学に通つておる程度の連中が、何十万、何百万の決定をするのでありますから、私たち計理士の業をしておつてときどき参りますが、実ははらはらする。こんな若い連中一体全体こんな決定をさせてよいか悪いか、私は良心的に考えて非常に心配するのであります。そこで私は一言にして申し上げますが、業者の方々というものは、ある程度狡猾といいますか、なかなかお上手であります。従つて上手に税務署の役人をおだんごにした場合にのみうまく自分のみが抜けがけをすればよろしい、なに税務署なんか扱うのはうまくちよつとやればよいのだ、というふうに軽くお考えになつておる。そういうような考え方をぜひとも私は拂試していただきたい。そうすることによつておのずと、正直に國民が申告したものはある程度認めてやる。これがすなわち昨年の税制の改正になりました根本なのであります。にもかかわらず國民の大部分は、税金は税務署で決定するものだというふうに未だに思い込んでおります。これは当然であります。しかし昨年の申告納税の実績から見ますと、必ずしも國民は正直者とは言えませんけれども、不正直者のように結局導いたということははなはだ遺憾ではありますが、それは政治力の弱いところにあると私は思うのであります。はなはだ横流れになりましたが、私はこの案には賛成いたしますが、正直者がばかを見ないように徹底して税金を徴収していただく。  ではどうしたらよいか、現在こういう点を私は考えるべきだと思います。税金を納めておる人を調査するよりも、粉金を納めないで生活している人の調査を、逆にとていただくことにようて一應これは私は補えると思うのです。ところがここで議員の皆様にも私は御注意申し上げたいのでありますが、この税法の一部に従来の譲渡所得が今度改められまして、資産の所得というものになりましたので、言わば着物だとか家財道具を費りましても、一應税金をかけられるように今度の税法は改められでおるのであります。従がつてもし大蔵省にして十分に人員を整備いたしますならば、必ずや税金は國民全体に徹底して、一應徴収できるような構えだけはできております。ただ税法は非常にりつぱであります。しかしこれを運用する者は遺憾ながら税務署の若い職員であります。この若い職員をただいたずらにもち上げることのみを従来の方々は考えておるように私は考えます。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 田中さんに申し上げます。横道にはいらぬように願います。端的に要点を述べでください。不穏当の言葉はお改め願いたいと思います。

田中友章

○田中公述人 はい。要するに税務署では営業をやつておれば必ず利益がある、こういうように見られることは非常に業者としては痛いのであります。おそらく今年の二十三年度の税の執行にあたりましては、相当プラスの階級もありましようが、マイナスの階級も相当あろうと思います。そこでぜひともこの税の執行にあたりましては、私は大岡裁きをやるようなお気持ちでもつ席を通じてお願いしたいのであります。  それからまた同時に大蔵省には、俗に自申告自納税でありますから、法律を端から丹念に読み、また施行規則、施行細則を丹念に読み下げていけば、一應申告もでき、また税の折衝もできるはずでありますが、そのわきに大蔵省の内規とか通牒とかありまして、それによつて仕事をやつておりますので、もし納税義務者が税務署に参りまして、これはどうだ、あれはどうだと言つても、内規がこうなつておるからと言われてしまうと、そのまま引下がつてしまわなければならぬ。これも私もかりにも二十二年度の税制改革によつて、自申告自納税というものを一應とつた以上は、この線に沿いましてあくまで国民を悪人扱いしないで、正直な国民になるように指導をしていただく。そうしていただけば、今度の改正案、また取引高税につきましても、相当めんどうなことがいろいろ記載されてありますけれども、とにかく税金は今後上ればとても下るわけにはないのであります。従つてどうしてもこれから税は上げていかなければならないとしたなれば、その税の執行にあたつて公平にこれが賦課せられていく。要するにおれは税金をうまくのがれたということを得意にするような日本人が一人でも少なくなることが、今後の税の執行にあたつて重要であると考えるのであります。はなはだ雜駁でありますけれども、一應私がかねがね考えておりました考えの一端を述べまして、この法案の原案には賛成でありますが、賛成するにあたりまして、昨年の税制改革によつてとられた自申告自納税、これがこの法案の趣旨であります。また本年度の改正案もやはり自申告自納税の骨組みが残つておるのでありますから、どうかこの執行にあたりましては、十分に国民の意思を汲んで、自申告自納税を採用してやつていただきたいということを切に希望して私の意見にかえたいと思います。

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 質疑はやつてよいのですか。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 まだ質疑には入りません。あとでまとめてやります。  次は弁護士をしていらつしやいます。藪松五郎君にお願いいたします。なるべく逸税しないように、問題の要点だけお述べ願います。

藪松五郎

○藪公述人 私は弁護士をやつております藪松五郎であります。意見のほどは先日委員長の手もとまで複写を送つております。私は取引高税の新設については意見はございません。第一番の所得税法の改正諸点について申し上げたいと存じます。  第一番としまして、基礎控除という点でございますが、現行の所得税法の基礎控除は、勤労者と一般個人とについて不公平な基礎控除になつておる。これは国民平等の原則に反する。そのゆえにこの基礎控除は平等なるべきものが原則であると思います。これは憲法二十五條をお引きになればわかると存じます。それは国民平等の原則を規定しておるものでございます。労働者が所得があるのに、基礎控除が普通の人より多いという理由がどこにありますか。まず憲法を正解しなければならぬ、その点を強調したいと思います。  次に現行の基礎控除は物價と並行しなければならぬということであります。昭和十八年の所得税法をごらんになればわかりますが、基礎控除は四百円でございます。当時の収入は大体月給者で百二十円、その割ですと、そこらの会社の主任くらいであります。主任くらいで生活しておつたものでありますから、年額千四百四十円見当の収入で基礎控除が五百円、それからだんだん基礎控除が上りましたが、物價は非常な騰貴をしまして、現在では当時から見ますと百二、三十倍になつております。この基礎控除の理論は、結局国民の最低生活の保証ということになつておるのでございまして、基礎控除がただ金を引いてやるという意味ではない。それでありますから、物価が上がば基礎控除も当然上るというのが当然であります。従いまして現在基礎控除をその当時から比較しまして百二十倍の物價騰貴としますと、約六万円の基礎控除が必要であります。これが国民に最低生活をさせるために当然こうならなければならぬ。この所得税改正にあたりましては、この点を御考慮願いたいと存ずるものでございます。憲法のもとにおいても国民の最低生活を保証するという規定がある以上、当然代議士諸君はこの憲法を遵守しなければならぬと私は存ずるのでございます。  次に扶養控除でございますが扶養控除については現行法の税額からの控除はやめて、一体一人一人は一年にどのくらい収入がなければ食えないのかということから、扶養控除の理論を展開していただきたいと存ずるのでございます。その一人一人の生活費——今三千七百円ベースとかいつて騒いでおりますが、私どもの家族がもし配給生活を最低限度といたしましても、たはり一人について月に二千円、これは食うだけでございまして、衣の方にはまわらない。われわれは現在の敗戦の事実を考慮いたしまして、衣の方はまあ我慢しよう。われわれはぼろ服を着ておりますが、これでまあ我慢しておこう。しかしながら労働者は、われわれが洋服一着を労働者と同時に買いましても、私の方は十年着ますが、労働者はそれだけ着ることはできないということがあります。この控除について多少考慮するという点くらいで、とにかく一年に二千円としますと、二万四千円の一人に対する扶養控除が必要であると考えるのでございます。このように物價に並行してする。税で引くということは国民にわかりにくいから、これを税額で引かないで、総所得から生活費を考慮して引いてもらうという方が、よく国民に納得できる。税率を出しておいてから、扶養控除をするということは非常に困難である。国民にもわかりにくい。だからぜひ税額から引かないで、国民の生活を考慮して所得の中から天引きするようにしていただきたいと思います。  それから勤労の控除額というのが先ほどのことと関連いたしますが、これは一般に控除すべきものを特別に高く控除するというようなことは理由のないことでありますから、やめてもらいたい。私はこれは憲法違反だと思います。ですから勤労者には資金の面で上げてやる、こういうようにして能率を増進せしめるということが政策の一端でございます。何も能率増進というかけ声をしないでもいい。法律というものは変なものでございまして、法律は國民に影響するところが非常に多いのであります。その心理状態法律を施行するのにむやみにやつてはいけない。なぜならば、いかに心理状態が動いていくかということを考えて法律を制定しなければならぬ。その点で能率給にしていてそういうようにして勤労控除はこれをやめて、賃金の面からやつていく。すなわち勤労者をして勤労意欲を上昇せしむるような方法を講じて、勤労控除ということはこれをやめもらうように税法を改正していただきたい。  その他所得税法の改正についてでありますが、税務署の税法を見ますと、だんだん罰則が多くなつていつております。これは大体法律マニアがやつておることであると思います。法律というものは罰則が多いから施行ができるという、そんなばかげたものではない。もつと法律の本質を知らなければならない”罰則を多くすれば何でもできるという考え方はいけない。私は弁護士でございますから、法律については多少語ることでができるかと思いますが、罰則を強化することは、これはまつたく下の下である私はラジオを聽いておりましても、罰則を強化するということをよく耳にしますがなんというなさけないことかと考えさせられる。これはよくないことで、権限の拡大ということ罰則ということと違うのでありますから、その点をよく御考慮願いたいと思います。所得税法の第四十四條ごらんになつたらわかりますが、ある一定の予告申告をいたしますと、政府によつて調査したところといつたような言葉がつかわれております。政府によつて調査したところに異なるときは云々と書いてある。これは官僚と人民とが接触する面の言訳になる。ただこれだけの條文を見逃してはいけない。これは認定という言葉であります。政府によつて調査したところ云々というが、調査の限界がない。これはよくない。これは法律技術的には最もまずい。國民と官吏とを疎隔せしむるところの條文であります。これによつて人権は擁護できない。國民のほんとうの申告ができないというのは、この政府において調査したところという、ただこの言葉の中にあるのであります。私をして言わしめるならば國民が納得して政治ができるようになるためには、ここに具体的に、具体的数字をもつて認定したときというふうに書いていただきたい。かような條文はいくらもあります。その次の第二号のところにもあります。いろいろありますが、こういう点、所得税法それ自体をこんなあいまいな言葉にしないで、もつと具体的に、しかもこのうしろに、もし異議があつた場合には、税務署は即時かつ具体的に確固たる数字の理由をもつて説明する根拠がなければいけない、そういうように税務官吏に義務を負わせなければいけないというような條文をこの中に入れてもらいたいと思うのであります。これは結局專制政治のときの條文と同じだということを議員諸君は考えてもらわなければならない。これは前の條文、昭和十八年くらいのときの所得税法の條文でもそうありました。今新憲法が、施行されたのに、この專制政治をいつ、までも継続するということは、私はおかしな話だと思う。この点は、税務官吏もやはり國民の公僕であるかもわれわれの不平に対しては、即時かつ合理的な説明を用意する義務があるという、ことを、ちやんと條文にうたつておいてもらいたい。審査の請求をすると、ほつたらかしておいて、いつまで経つてもしない。これは國民を圧迫するものだ、認定した以上は根拠がなければならぬその根拠は確固たる数字のもとにやるべきであるが、再調査を要するとしても、少くとも三十日以内に再調査をして國民に裁決を與える義務があるように條文を置いてもらいたい。國会法第五十六條及び七十五條の規定をごらんになるとよくわかる通り、國会の地位が前の議会よりも非常に高まつている。これは國民の地位が高まつたということである。所得税法においても、やはり即時かつ有効な回答がなされなければいけないと思う。なるほど税務署は事務多端でありますけれども、それだけの用意と腹がなければいけない。國会法第五十六條及び七十五條のような規定を、庶民階級と官吏との接触面においても置いていただきたい。私の実例を申し上げますと、昭和十七年度の法人所得の決定に対して、これはいけないということがありましたので、審査の請求をしておいたのが、まだ決定していないのがあります。また昭和二十三年一月に提出したものが、まだやつておらぬ、やつとこのごろできた、こういうようなことがあります。このようなことは、結局こういうところで官僚に乗せられていることを知らなければならない。それから法人税法第三十四條の場合においても、やはりそういうような規定を置いていただきたいと思うのであります。  それから財源の問題でありますがこれは国会の諸君が、いつでも一等のバスをもつておられるので、言いにくいのでありますが、交通機関について無期限の無賃乗車証をもつておる者は。非常な利益を得ておる。これは一枚について何万円かの利益を得ることがあるのでありますから、これについてもぜいきんをかけたらいいだろう、これは所得のうちだと思う。公務に行く場合には、われわはれよく戦時中に証明書をもらつて行つたが、証明で結構だと思う。証明を出せば、鉄道はその証明書によつて行く先までのキップをやればいい。何もバスをやる必要はない。そういうふうに一つお含み置き願つて、そういうものに課税して財源していただいたい、こういう意見でございます。取引高税については、ここへ来てから初めて見たのですから、意見はありません。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 次は日本出版協会理事久保山雄三君にお願いいたします。

久保山雄三

○久保山公述人 國民生活と最も大事な関係をもつておりますこの税案を國会が審議されるにあたりまして、公聽会をお聞きいただきましたことを、早稻田委員長初め委員各位に謹んで敬意を表します。特に政界多端な折柄にもかかわらず、御出席くだされた委員各位の本法案の審議に対する熱意に対して、重ねて謹んで敬意を表したいと存じます。私は日本出版協会ほか六團体の、すなわち出版に関係ある出版業者、並びに全国数万の業者でもつて組織しております各團体を代表いたしまして、ここに取引高税に対する團体の意見を申し上げて、特に皆さん方の御賢察を願いたいと存じます。  最初に総括的に結論を申し上げますならば、取引高税に対しては絶対に反対を申し上げ、皆様方に特に御了承を願いたいと考える次第であります。もちろん反対はありますけれども、必ずしも税金を納めることに反対申し上げるわけではありません。私どもが納めようとする税金が、現内閣の立案されております予算と同額であるかは別問題といたしまして、私たちの氣持においては、少くとも今日提案されております現内閣の予算をできるだけ縮減して、縮少した範囲のそれを賄う税金だけは、われわれ國民において負担しなければならないと考えるゆえんであります。もつと具体的に申し上げますならば、取引高税に対しては根本的に反対申し上げますけれども、取引高税に代つて少くとも出版物に対しては、発行税という形においてに徴税が願いたいと思うのです。それは私どもが出版業者であり、出版関係の團体を代表としての希望でありますから、出版物に例をとつただけでありまして、他の数十科目にわたつております税金についても、出版物における発行税のごとく、すべて源泉課税によつていただきたいというのが、私どものこの法案に対する希望であるのであります。どうかその点を十分お含みの上、私どものお聽き願いたいところをお聽き届け願いたいと思います。たとえば出版物においてその例を申し上げますならば、改造社という出版社で発行して、おります「改造」という雑誌が、たとえば九州の福岡の書店に現われました場合、改造社本社から直接博多の書店にまいる雑誌もあるわけであります。ところがもう一つの方法は、日本出版配給株式会社社という大きな機構を通つて、同じ博多の他の書店にまいる本もあります。また戦時後に幾多取次店ができておりますので、それら中小取次店を通つて同じ博多にまいる本もあるわけであります。これを具体的に申し上げますならば、出版社から、直接博多の書店にまいりました本は、一段階を経たわけで、一%の課税をそこに課せられるわけでありますけれども、他の取次店を経てまいりますと、多いのになりますれば四段階、五段階を経て博多の書店にまいるということになるわけであります。そこでもしここに取引高税がそのまま実施されたと仮定いたしましたならば、同じ改造社から発行されております「改造」という雑誌一冊に、甲の書店にまいります分は一段階の一%の税が課せられており、他の書店にまいりますものは四段階、五段階の取引高税が課せられるということになるわけでありますけれども、かような実際問題を検討してみました結果、では「改造」という雑誌は博多でおのおの異つた賣價で賣れるかどうかは私は疑問だと思います。おそらくこの場合に、その一段階の方でありますところの一%の課税に、右へならえとして課税されようとは考えません。おそらくこの場合実際問題として、一番高い段階に向かつて右へならえをされてのうぜいされるであろうことを私たちは遺憾ながら信じざるを得ないのであります。かように考えました場合に、この一%一段階しか経てない場合の雑誌の中に隠されました取引高税がはたしてまじめに税務署に納められているであろうかということを私たちは疑わざるを得ないのであります。かようにかんがえましたならば、私たちはこの取引高税が必ずしも政府の予期される徴税額を納め得ずして、その間に介在する不正な業者に不正な利得を與える手段となりはしないかということを遺憾ながら憂うるものであります。かような見地におきまして、出版物に対する限り発行税のようなものとしていただきまするならば、現在われわれの調査によりますと、出版物の金額においては年額約百六十億円の出版がなされていると私たちは見ておりますが、ここに一%の課税をされるならば、優に一億六千万円の課税は単なる出版物においてなし得るであろうということは明白になつているのであります。  そこでこの出版物に対する課税の方法も、戦時中に特別行為税という制度が設けられましたけれども、これも私ども過去を考えてまことに遺憾な点が多々ありました。それは特別行為税という形に隠れて、実際は徴税しておりながら、税務署に納められる金額が、受取つただけ正しく納められていなかつた事実を私たちは承知しているのであります。要するにここに取引高税でいきまするならば、あまたそこに不平が行われるからして、その不正を防いで、國民の負担において納められた課税が正しく税務署に納入されて、健全なる國家財政の構成に役立たせるために正確に納税を期するならば、私たちは戰時中にとられた特別行為税という形で事なく、他の方法によつて、徴税していただきたいと考えるのであります。そこで出版物に対しては、たとえば花札などの売買に対して印紙の貼付をされているように考えておりますけれども、出版物の定價に從つてそれぞれ収入印紙なり、特別商標なりを貼付しておかなければ書店で売ることができないということが明示されておりまするならば、一銭一厘といえども不正な税金をごまかすようなことは、とうていなし得ないことだと思うのであります。どうかひとり出版物だけでなく、今回の取引高税という形において徴収するものを、正しく正確に徴税の目的を達するために、発行税ないしは制衣製造高税その他の方法によつて、この徴税をなされんことを特に皆さん方に御考慮願いたいのであります。またもし原案のままにおいて実施されたといたしますならば、私はこの取引高税なるものは阿片、麻薬に等しい弊害をもたらすものではなかろうかと思うのであります。何となれば、ここに取引高税を設けられましたゆえんのものは、私が申し上げるまでもなく、勤労所得税の軽減という問題から現われたものであることは申すまでもありません。そこで労働者、勤労大衆諸君は、勤労所得税の減免によつてもし実際に利益が得られるならば、私はこの法案の目的が達し得られるものと思いますけれども、ここに勤労所得税の減免を行う反面において、取引高税がもし実施されるとするならば、私は現在以上に勤労大衆諸君は生活苦に追込まれるであろう結果を憂えざるを得ないのであります。何となれば、ただいま申し上げましたように、実際に消費者大衆諸君から徴税されたその税金が、正しく税務署に納まるというならばよろしいですけれども、現在の取引高税で申し上げますと、おそらく勤労大衆の消費の部面から、取引高税という形に隠されて徴税されたものが、政府の予測するだけもし税金が納まるならば、それは実際に消費大衆諸君からは、それ以上の税金がとられておつたということを申し上げて差支えないと思うのであります。ここで実際問題を考えてみますと、勤労所得を軽減されるからといつて、勤労大衆諸君が給料袋のうちから天引される税金が減つたからといつて、一時は喜ばれるでありましようけれども、その反面において、取引高税の形の中に隠れて、勤労大衆から取上げられる税金は、より以上高度のものであるということは先刻申し上げた事実によつて明かなのであります。阿片、麻薬は用うるとぎには実に快感を覚えますけれども、それがいくたびか重なり、日を経るに従つて骨の髄まで食い込まれる恐るべぎ害毒であることを考えましたときに、この取引高税という問題も、勤労大衆諸君に口ざわりはまことによろしい、耳ざわりはまことに結構な言葉でありますけれども、その結果において決して今日の商人諸君が取引高税の徴収をもつて満足しようとは決して考えられません。少くとも取引高税を百円納めるならば、もちろんその性質の善悪の多少にかかわらず、百一円とるものもあれば、百十円とるものもある、あるい二百円とるものも中にあるであろうということを考えましたならば、勤労大衆のより大なる負担になろうことは明らかな事実であります。  さらに私は最後に皆さん方にお願い申し上げたいことは、すでに終戦後町には強盗が横行し、あるいはギャングが横行して、まさに國民の思想の頽廃であるとして、皆さん方も少くとも心ある人は歎いておられるものであろうと思うのであります。もちろん國会の皆さん方は陣頭に立つて、日本國民の思想の頽廃について、これが挽回の施策を御講じになつておられるでありましよう。また全國の小学校では第二の國民を教育して、日本國民の健全なる思想の涵養に努力せられておることも御承知の通りであります。國をあけて國民思想の頽廃を何とか挽回しなければならないこのときに、私は取引高税の設定は、この國民思想頽廃に対して拍車をかけるものの一つとして歎かざるのを得ないのであります。もしここに原案の通りの取引高税が制定されたといたしましたならば、あらゆる取引商人の家庭では、税務署に何とかして税金の負担を軽減してもらうことにのみ腐心されて、たとえば主食の統制を破つて、今日の配給状態では良心にとがめながらも買出しをしておる家庭を考えますと、たまたま省線などの中でも、親子連れでリツクサックをしよつて買出しをしておる向きがちよいちよい見受けられます。これらは親が子供に対して、悪いことをしちやいかんよと言う意見をしなければならぬ親みずから、法を破つておる事を子供自身も承知しておるのであります。あるいは学校の先生がみずから悪いことをしてはいけんと説いていながら、みずからもいささかの良心の呵責にとがめながらも、いくばくのやみはされておる今日です。今日子供に対する教育の上においても、現在の社会情勢においては、心ならずも法に触れるような買出しその他が行われておるときに、もしこおの取引高税がそのまま、原案のまま実施されたと仮定いたしましたならば、かような各家庭において税金をごまかす。税金をごまかすと税務署が來た場合に親が狼狽する。またその親の狼狽を子供が知るというような点から考えましたならば、少くも第二の國民の手によつて日本の國民思想の頽廃を挽回しなければならぬと私どもも考えており、皆さん方もその点には十分留意せれておられることと思いますけれども、かような健全なる國民思想の発展という建前からも、この取引高税といつたようなものは、ぜひ皆さも方のお力によつて正しく徴税できる方法に特別の方法を御研究いただきまして、最善の処置を講ぜられたことを切にお願い申し上げまして、まことに前後を失しまして要領を得ないところもあるかはしれませんが、この趣旨を御了承くださいまして、どうか取引高税に代るに他の税法をもつてしていただくことに御努力を願いたいと思います。出版物においては、もしただいま申し上げました方法によつてなさつてくださいますならば、日本出版協会はもちろん、全國小賣商連合会その他七團体連合して、政府に納税に対する協力を申し上げることをここでお約束申し上げて差支えございません。どうか皆さん方の御賢察をお願いいたしまして公述を終る次第であります。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 それでは次に販質業を営んでいらつしやる津曲百枝君にお願いいたします。

津曲百枝

○津曲公述人 私は津曲百枝でございます。病気いたしておりまして、何も準備もございませんので、実は今日は欠席しようかと思つておりましたけれども、まあとにかく情勢を拝見かたがたまいつたわけでございます。ところで何も準備はございませんが、ただ申し上げたいことは、今日税務署で大いに納税についてご奮闘なさつていることにつきまして、私は税務署諸君の御活躍に、はなはだ敬意を拂つておるのでございますが、脱税と申しますか、つまりやみ商賣をしておる者が検挙されないで——まず申告の方法もございまして、税務署の方で納税の申告についてはなお調査をして、そして多額の納税をした人もございましようし、また未納の方もあつて、いろいろ罰則もできております。それで先ほど罰則はいけないという話もございましたが、しかしながらやむを得ないわけでございましよう。あとから完納したですかどうですか。新聞などを大変にぎわしている人もありますようでございますが、今日租税の改正また新税の新設というようなことにつきまして、ここにこういう公聽会でもお開きになることは、はなはだ当を得たことだと私は思います。各位の御健康を祝福して、國家のために御健闘あらんことをお祈りいたすものでございますが、先ほども弁士の方がおつしやつた通り、この取引高税を新設されるということは、今日國費の多端のときに税額の多からんとを欲することは、まことにやむを得ないことでございまするけれども、新税についてはよほど考慮を要する。いわゆる取引高税のごときは、まず國民一般に納税の義務を知らせる意味からいたしますればよろしいかもしれませんが、先ほども弁士の方がおつしやつた通り一方には同じ本が非常に高く売れ、一方には非常に安いようだと、販路についてもいろいろ影響いたしまするようでございますし、また税務当局といたしましても、税の徴収については、はなはだ困難なさるだろうと思いますが、この上税務官吏を苦しめるということも、はなはだ考えものでございますが、もつとも優遇方法も講ぜられましたでしようと思いますが、官吏の優遇法ということは、これは行政整理もなさつておりますけれども、また一面におきましては、今までの郵便局などの窓口の事務からいたしましても、下級吏員ほど激務鞅掌いたしまして、激務と申しましても、勤労でございますが、まず行政整理をする以前におきまして、勤労並びに事務併せて心身ともに疲労するところの、ああいう下級事務員に向いましては、非常に待遇をしていただかなければならぬ。ついては郵便料金の値上げというような問題も、当然起るのでございますが、待つてここに新税の創設もございましようけれども、この取引高税につきましては、もつと深く考えを練られまして、國民の負担義務を重くするよりもまずあのやみ商賣をして隠れて商賣をする者と、店舗を張つておる者とでは非常な違いで、店を張つておる者は非常に高い税金を納めているので、権衡を得ないことまことにはなはだしい。同じ國民でありながら、かくのごとき不権衡があつてはならぬ。ここをもう少し何とか矯めていただくことができなければ、今日納税の義務の完璧を期することはできないと、私は断じている者でございます。  皆様今日御多用のところを御出席を願つて、せつかく御討議なさることでございますからこれが國会に実際反映しまして、実際に國民にかぶせるところの納税義務が、どうか平均して行われんことを私は痛切に考えまして、はなはだ組ほんでございますけれども、一言ここにご挨拶を申し上げて私の公述人といたします。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 次は上野信用組合長をしていつしやる泉吉之丈君にお願いいたします。

泉吉之丈

○泉公述人 私は各税法改正その他意義を申せばたくさんあるはずでございますが、私は現在におきましては、代議士の方が十分練つて練られてやつておられるのでありますから、やむを得ないものはいたし方がないと思います。しかしこの税を喜ぶ者はないのであります。税が安くなるのは喜んでも、高くなるのを喜ぶ者はないはずであります。でありますから、この税が高くても國民の責任として、この場合やむを得ないというふうに納得させていくことが、この税を引下げることの重大なる根拠であると私は思うのであります。ゆえにピントが外れておるようにとられるかもしれませんが私はこの税を批判するよりも、國民が早く収めなければならぬということを理解しなくてはならないと思います。理解さす機関をつくつてもらうことが、根本的にその不平を解決さすものと私は信ずるのであります。それにはいかなることを私は考えておるかと申しますと私は貯金を扱つております関係上、貯金者がいろいろ私のところへ参りまして、不平を並べておる。それを聴き、また自分は罹災後千葉の方々に集まつていただいてはいろいろと話をいたしまして、どうすればわかりいいかということを研究し、また皆様とともに語り合つて研究してきたのでありますが、結局はこの税金を安くするということには理解が必要である。その理解に中心をおいて、これから後政府におかれましては教育の施設をしていただきたいと思うのであります。というのは何と申しましようか、教育をされる方が、今までは学識のある方がおおむねやつておられたので、國民の大半であるところの農業、漁業、その他の商人等にはその意味が徹底していないのであります。ゆえにその類の者によくわかるように教育をしていただきたいと思うのであります。そうしていただくなれば早く理解をするというわけで、インフレの防止にもなり、現金を安くしていただく方法もあると私は信ずるのであります。それなくしては、この税金を今改正し、また上げたにしましても、順々にまた物價が上り、税金が上る。いたちごつこを繰返しまして、これを解決するものは、とき以外には絶対にないと思います。そのときを早めるためには、この議論の中心になつておりますところの経済教育に重点をおいていただきたい……。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 ちよつと申し上げます。この取引高税についてよいならよい、悪いなら悪い、こうしろというはつきりした御説を言つていただきたいと思います。逸脱しないように、教育問題ならば省いていただきます。

泉吉之丈

○泉公述人 では私はこの取引高税には絶対に反対するということを申し上げます。なぜなれば、今申し上げた点から反対するのであります。それから控除につきましては、そのベースを單位として控除していただきたいと思うのであります。それ以上は私としては一般の人が喜ばないものは、私もその一人として喜ばないのであります。なるたけ税金を下げるようにしていただきたい。また税金を拂うのは國民の義務であるということを私は申しまして、今日の議案に対して、現在としてはいたし方ないと申し上げる一言で打切る次第であります。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 以上をもちまして、本日お越しをいただきました公述人の方々の御意見は終つたわけであります。各公述人の御意見に対して、委員各位より質疑等がありますれば、この際発言を許します。

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 久保山さんにちよつとお尋ねしたいのでありますが、久保山さんの御意見を傾聽いたしました、しかも根拠十分でわれわれもたいへん参考になつたと思いますが、その中で書籍り場合におきまして、段階が四段階が最高のような御説明がありましたが、昨日日本商工会議所の專務理事である三樹樹三さんの御説明では、書籍の段階は多いところで十三段階、少いもので七段階、こういう表明がありましたが、これは取引高税を出版業の面から検討いたしますのに、根本的の資料になるわけであります。この狙いはあなたの責任ではないでしようが、いずれが正しいでありましようか。一応御判断願いたい。

久保山雄三

○久保山公述人 ただいま宮幡さんのお尋ねで、四段階というお言葉でありましたが、私の記憶違いであれば別ですが、四段階ないし五段階と申し上げたように記憶しております。そこでこの段階については具体的に申し上げますると、たとえば日本出版配給株式会社という大きな出版社からもつてきたものを一應中間を通して一般の小売店にまわす場合があります。そうしてまわしてまた売れ残つて返つてきたものは、日本出版配給株式会社ではすでに出版社から買取つておる場合がありますから、買取つたものに対してはもう一遍日本出版配給株式会社が仕入れた値段を割つてから売りにまわす場合もあるのであります。かような特殊の場合も考えてみますると、あるいは十回にもなると考えますし、ただいま私に名刺を届けてくだすつた前の公述人の金澤さんの方の調査では十三段階であるというようなことも聞いておるわけであります。もちろん日本商工会議所かすべての商品の段階を二・五とか、あるいは二・八、私の記憶違いか場もしれませんけれども、そういうぐあいに平均すればなるといつたような調査も合つておつたようであります。そこで私は十五分の時間の制限を受けておりました関係上、あるものは十一段階もあり、十段階もあり、あるものは一段階である、こう申し上げましたので、詳しい説明をする時間を與えられておりませんでしたので、おおかた四ないし五段階というように申し上げれば、出版界全体の平均になるのではなかろうかといつたような私の感だけで申し上げておつたことをご承知願いたいと思います。そこで私一番段階の少ないところは一段階、多いところは十段階を越す場合もあるということをご承知おきを願いたいと思うのであります。そうして日本商工会議所における調査は、間違いないものであることを私はここであらためて確認申し上げます。

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 その点はよくわかりました。藪さんにちよつとお尋ねしたいですが、勤労控除の廃止のご主張でありますが、これはただいまご承知のように、労働攻勢なかなか熾烈なときでありまして、憲法違反であるという根拠につきましては、私も計理士、税務代理士なのでありますが、弁護士としてもう少し根拠をはつきりさしていただきたいと思います。

藪松五郎

○藪公述人 憲法第十四條に「すべて国民は、法の下に平等であつて、」差別されないという一項がございます。これは実質的平等というように解する人と、形式的平等と解する人と両方ありますが、私は法というものは決して形式から成つているものではない。法を解釈するにあたつては実質が動いているのであつて、やはり実質がものを言う。憲法の條文を見ますと、ただ字を書いてあるだけである。これが形式である。法というものはそれを解釈する実体があるべきである。そうしますとわれわれの才能が平等であるということは望めない。才能がすべてを決定するならば、実質的にわければ牛馬から人間まで、あるいは神までいくかもしれない。しかしながらそういうことをヒめ憲法が規定しているのではない、やはりわれわれの通念に従がつての平等である。それが実体をなすものであると存じますので、この勤労者階級の扶養控除、勤労控除というものが高率であり、一般人が少いということは、なぜそうなつたかと申しますと、勤労者は飯をよけい食うから、着物をよけい着るからというような、くだらぬ考え方で勤労控除をよけいした方がいいという考えだと思いますが、そうではない、勤労者に所得をよけいやればいい。そうすると一般の國民は勤労意欲が出る。そういう一つの法が影響する物と申しますが、その物をもつと大きく考えることによつて、実質的平等が作用する方面に出てくるのであります。法は心理的影響を國民に與えるものであるということをよくお考えになり、勤労控除は不平等を形式化したものであり、実質的平等ではないということを御了承願いたいと存ずるのであります

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 これは討論ではありませんから、御意見は御意見で承つておきます。  なお勤労控除の問題につきまして、不平等との御主張でありますが、勤労・控除の点について、不平等の点がただいまの税法に残つております。改正法にもそのまま出ておりますが、いわゆる給與所得と事業所得と二つもつているものは、今度の案でいくと双方から一万五千円ずつ控除されるこういう場合に対するお考えはありませんか。

藪松五郎

○藪公述人 ございます。これは先ほど來申しました現行基礎控除が物債に並行しないというところに重点があるのでありまして、昭和十八年の税法を見ますと、一人つき四百円ということになつている。その翌年は六百円が八百円になりましたが、これはなぜそうなつたかと申しますと、物價に並行させるという考え方であつたのであります。その点をご考慮になりますれば、昨年片山内閣が物價を改訂したという頭をもち、終戦後いかに物價が高騰したかということから頭をもち上げるならば、やがてそれは現在の段階におきましては、勤労所得と否とを問わず、私の意見に従がえば、勤労控除はやめろというのでありますから、六万円以上は必要である。なぜならば六万円というのは、月五千円の生活費という意味であります。それを控除する。そうすれば大体うまくいくんじやないかと思うのでありまして、具体的の数字はともかくといたしまして、物價に並行しろという点から勤労者には給與を余計にしろ、しかしながら勤労者と一般國民との間の差別を設けることはいけない。物價と並行しろということである。

藪松五郎

○藪公述人 そういうことは勤労所得を控除しないという考えから当然一人一人所得単位として計算さるべきであつて、勤労からと、他の所得からという意味は、無意味であると無意味であると存じます。

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 最後に田中さんにお尋ねいたしますが、田中さんは最初私は一日本の住民として、計理士としては話さないというお話でありましたが、公述させられておるうちに、計理士としての公述にはいられたわけでありますが、そのうちの御賛成の案ということのご意見は謹んで承つておきますが、税法をつくつておる大蔵省の優秀な官吏の前に国会はまつたく無力であるという御意見がありました。特に委員の皆様に御注意申し上げるまでおつしやつておりましたところの、法律としては非常にりつぱにできておるから意義はない、こういうお話でありますが、われわれはこの法律は不完全きわまりないものと考えておるのでありまして、そういう前提でお話になりましたことのうちに、どうもわれわれがあなたの賛成論を支持いたしまして、検討を続けていくということに困難を感ずる言葉がありまして、先ほど同僚堀江委員からも御注文があつたようでありますが、すでに御承知のように本委員会におきましては、現在の田中さんの御職業であります計理士制度の改正につき、きわめて近い場合に公認会計士法としてここで審議を続けることになつておりますが、現在計理士の立場から考えておられます御所論が、一方的にあまりに偏して解釈せられるということは実はどうかとはなはだ心配したり、あるいは力強くも思つたりするわけでありますが、その点につきまして私はただいま提案されております税法の根本が、他の公述人の御意見の中にありましたように、決して万全のものではなく、われわれ委員会はこれ対しまして徹頭徹尾國民の代表として恥かしくないところの修正なり、あるいは廃止なりを要求して進むべき方針であります。希くは田中さんから御賛成の点を、委員会あたりでつくつてもろくなものはできないから、まずもつて大蔵省の立案がいい。ただ運用の面ににおいてこれをやればいい。そういう御賛成論でなく、御賛成ならばもつと具的な意見を、きわめて短い時間でいいのでありますから、ここではつきりしていただきたいと思います。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 宮幡さんに御相談いたしますが、討論じやないので、あなたのお説で十分だと思いますが、どうでしようか。

宮幡靖民主自由党

○宮幡委員 ただいま委員長からのお話でありますから、ただいまの田中さんに対することは私の希望であつたということにいたします。御都合では速記も取消していただいて結構であります。委員長にお任せいたします。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 ほかに御意見はありませんか。

堀江實藏第一議員倶楽部

○堀江委員 久保山さんにちよつとお伺いします。先ほどの回轉の問題について、ぼくの了解しておる点と違うようでありまして、あなたは四回ないし五回の回轉とおつしやつたわけでありすし、昨日の商工会議所の方は十二、三回になるとおつしやつた。その根拠は、あなたは出版してから先の回轉をおつしやつておるのであり、商工会議所の方は製紙からずつと続けての回轉数をおつしやつておるので、そういう違いができるのではないかと私は了解しでおるのですが、その点についての御見解はどうでしようか。

久保山雄三

○久保山公述人 堀江委員からお尋ねの点、たとえば出版業者から書店へ直接行く分なり、あるいは二、三回の段階を経て行くものに、製紙会社から印刷業にわたり、製本業にわたり、あるいは折屋の手にわたるというようなものを加味しますと、製造過程から小賣者の手にわたるまでに十三回というような調査もまた正しい調査だと言えるのです。ですからこの点については、それぞれ特殊な個々の場合があることを御承知おき願いたいと思います。もし出版業者から小賣店へ数段階経て行くものに対して、製造過程の段階を加えた場合には、十五、大臣になる場合もあると考えなければなりません。ですからただいま堀江委員の申されましたその事実も間違いのない事実であることを私は認めます。但しそういうあれもそうだ、これもそうだということは、決して同一事態に対してそれもそうだと申し上げるわけではありません。調査した人の立場によつてそれぞれ異つた調査をされておられる向きがありますから、それに対してそれも間違いないと申し上げるわけであります。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 お諮りをいたします。時間の関係でこの程度で会を閉じたいと存じますが、先ほど來お説のありましたように、各公述人の方々の御言動の中に、あるいは他を誹謗し、あるいは不穏にわたる言辞が若干あつたようにも存じますので、その点は速記録を検討いたしまして、委員長において適当にこれを削除、あるいは訂正することを皆さんにおいても御了承をいただきたいし、なお公述人の各位においても、その点は委員長においてそうした処置をとることを御承認を得たいと思います。御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり〕

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 それではさよう取計らいます。

大上司民主自由党

○大上委員 田中さんにお尋ねいたします。宮幡委員から出た希望は、私もその通りでございます。ただ税務官吏員の調査能力の劣等、いわゆる技術のまずいというようなことかお話にありましたが、そうすれば新説法を通適せしめれば早速実施しなければいかぬ、こういうふうなものであれば、現在の陣容では、第一線の現場は不可能だというように私は聽いたのであります。さすれば何かあなたの御意見はないか。これが第一点であります。  それから最後に、この税法はとにかく賛成だというような御意見でございましたが、その末の言葉に、徹底的に徴収をすることが必要である。まだまだ徴収漏れがあるという言葉に私は解釈したのですが、さすれば國民全体から見て、またいかなる方法で、あるいはどれだけ担税力が残つておるか、すなわち担税力をお調べになつておつたらその実例をお知らせ願いたい。この二点をお伺いいたします。

田中友章

○田中公述人 では私からお答えいたします。第一点については、今度は自分の業という立場も含めてお答えいたしますから、さよう御承知願います。およそ税務行政というものは技術的な面が非常に多いのであります。従がつて現在質的に非常に低下しておる。少なくとも税務吏員といたしましては五年ないし八年の経歴を経なければとうてい一人前の……。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 田中さん、そういうことは皆知つておりますから、端的に要点だけを述べてください。

田中友章

○田中公述人 はい。これは数字を手もとに持つておりませんから申し上げられませんが、第一点につきましては、戰爭の結果現在技術的にもまた人員的にも非常に劣つておることは、私の過去の経験から推して申したことであります。  第二点は、これは例でありますが財産税につきましては自申告自納税制度の最初の役割を演じたのでありまして、実際にこれを実施した大蔵省の案そのものは非常にりつぱなものでありまするが、実施廳であるところの税務署におきましては、実際に実施するにあたつて、たとえば一例をあげますれば、財務局の表通りに申告をいたしました者に対してこれだけの機械の評價、これだけの材料の評償に対しては、大体何分増しというような財務局の通牒的なものによつて一應申告よりも増しておるという実情であります。そういうようなことに対しまして、むしろそういう申告をした者に対してのみ調査をする、たとえば組合にはいつておる組合員名簿を提出した場合に、組合にはいつておるからたまたま税金がかかつて、組合にはいつておらないとその年期の台帳から漏れてしまうというような実例が多々あるのであります。そのために私が徹底調査と言うことは、現在納税をしておる者については、その申告が正しかつたと認めた場合には一應それをたな上げして、その他納税せずして生活しておる者について、いま一段の調査工夫をなしたらどうだろうか、こういう意味の点について重点を入れて申したのであります。  それから担税力の数字の問題でありますが、その点たまたま今私の手もとに用意がございませんから、この瞬時にお答えはできませんけれども、もしその点出せという御希望でありますならば、私は宅にもどりまして、それからお答えをすることにいたしたいと思います。その程度で御了解願います。

大上司民主自由党

○大上委員 今のお話で大体了解したのですが、いま一つお願いいたしたいのは、最後の担税力の点を御迷惑とは存じますが資料をいただきたいと思います。

早稻田柳右エ門民主党

○早稻田委員長 長時間にわたつて、各公述人の方々はご繁忙中を特にお越しをいただいて、熱心な公述をいただきましてまことにありがとうございした。厚くお礼を申し上げます。  本日はこれをもつて閉会いたします。     午後零次二十五分散会

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