財政及び金融委員会 第52号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/07/01
会議録
○梅林委員長代理 会議を開きます。 去る二十八日並びに三十日本委員会に付託せられました簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金の支拂による損失の補てんに関する法律案、物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律案、連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案、割増金附貯蓄の取扱に関する法律案、右五案を一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。 —————————————
○荒木政府委員 ただいま議題となりました五つの法律案につきまして、順次提案の理由を御説明申し上げます。 まず簡易生命保險事業における戰爭における戰爭危險による死亡に基く保險金の支拂による損失の補填に関する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。 政府において管掌いたしております簡易生命保險事業につきましては、御承知のごとく、郵便年金事業と併せて、簡易生命保險及び郵便年金特別会計という一つの特別会計を設け、これを保險勘定及び年金勘定に区分して、経理しているのでありますが、保險勘定におきましては、今次の戰爭による死亡事故に対する保險金の支拂が、これらの被保險者のために積み立てた積立金を超過いたしましたことによりまして、昭和二十三年度末までに、四億七千三百二十余万円の損失を生じたのであります。この損失の生じました理由は、主として保險料の料率の引上げを行わなかつたことに原因するものであります。すなわち保險数理上から申しますれば、御承知のごとく、今次の戰爭のごとき保險上の危險率のきわめて大きい危險が新たに生じてまいりました場合におきましては、その危險の率に相應する保險料を増加徴收する必要があるのでありますが、当時の諸般の事情からいたしまして、戰爭危險率を加味した保險料に改定することなく、戰前の保險料をもつて、引き続き契約を締結してまいりましたことに基因するのであります。 なお、民間経営の生命保險及び損害保險につきましても、簡易生命保險におけると同樣の事態が生じたのでありますが、これらに対しましては、生命保險中央会法、損害保險中央会法等に基きまして、その損失は國庫においてこれを補償することとなつておりますことは、御承知の通りであります。 簡易生命保險事業における昭和二十二年度末までに生じました戰爭危險に基く損失の額は、先に申し上げました通りでありますが、海外からの同胞の引揚げが促進いたしまして、保險事故発生の事実が逐次判明してまいりますので、昭和二十三年度におきましては、約一億二千万円の損失が生ずると見こまれますが、昭和二十四年度以後におきましても、引続いて相当額の損失が生ずると予想せられますが、かくては簡易生命保險事業の運営に多大の支障を來すこととなりますので、民間保險事業における損失の補償ともにらみ合わせまして、今回本法律によりまして、簡易生命保險事業における戰爭危險に基く損失は、一般会計の負担においてこれを補填することといたし、これに必要な措置を講じようと存ずるのであります。 すなわち、保險勘定における今次の戰爭に基く損失は、本事業運営の実情に顧みまして、昭和二十二年度末までに生じました損失額四億七千二百二十余万円につきましては、一般会計の負担においてする保險勘定に対する交付公債をもつてこれを補填することとし、昭和二十三年度において生ずると推定されます損失額一億二千万円につきましては、今後、戰爭危險に基く事故に対する保險金の支拂を現金をもつてしなければなりませぬ関係上、一般会計から、特別会計の保險勘定に対する現金による繰入れをもつて、これを補填いたす所存のもとに、過般提出いたしました昭和二十三年度一般会計予算及び昭和二十三年度特別会計予算に必要な額を計上いたしたのであります。 なお、昭和二十四年度以後におきまして生ずると予想されます損失額の補填につきましても、逐次昭和二十三年度までの分に対すると同樣な措置をとる所存であります。 なお、さきに申し上げました交付公債につきましては、政府において、これを交付するに必要な額に相当する公債の発行権限を得る必要がありますので、これに関する規定を本法律案中に設けておりますが、さらに戰爭危險に基く損失の範囲、損失額の決定方法及び損失の補填の時期に関する規定も、本法律案の中に設けた次第であります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしたのであります。なにとぞ御審議の上、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。 次に、物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律案の提出の理由を御説明申し上げます。 臨時物資需給調整法に基く命令の規定による生産用資材の割当事務に要する経費につきましては、現在全額國費をもつて賄つておるのでありますが、この経費は相当の額にのぼり、これを本年度の予算についてみますと、およそ十九億円と相なつておるのであります。この割当事務は、直接には当該資材の割当の申請をする者、または割当を受けた者の利益のために行われるのでありますから、一種のサービス料として、これらの受益者から一定の申請手対料及び割当料を徴收して、歳入の増加をはかり、これをもつてこの事務の取扱いに要する経費の財源に充てることが、現在の財政状況から考えて適当であると認められますので、本法に基いて申請手数料及び割当料を徴收することにいたそうとするのであります。 なお、申請手数料等の徴收を確実にするため、申請手数料に相当する金額の收入印紙をはらない割当申請書は、これを行政機関において受理しないこととし、また副当公文書に割当料に相当する金額の收入印紙をはらないで割当資材の取引を行つたとき、及び当該收入印紙に消印を押さないで取引を行つたときは、当該割当公文書を無効とすることとし、併せ規定いたしたのであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御賛成あらんことを希望いたします。 次に、連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案の提出の理由を御説明申し上げます。 御承知のごとく、わが國の保有していた金、銀、白金等の貴金属及びダイヤモンド等の貴石の大部分は、國有と私有とを問わず、連合國占領軍の管理下に移されたのであります。その後、その一部は申請に基いて解除せられたのでありますが、最近になりまして、連合國最高司令官の指令により、前に解除せられた貴金属等のうち一定のものについては、その代りとして、等價の貴金属地金を、政府から連合國占領軍に対し引渡すことを命ぜられたのであります。この法律案は、この場合その実行に伴う法律関係を明確にしようとしたものであります。 すなわち、まず第一に、以上のような指令があつた場合に、政府は、全資金の運用として保有する貴金属地金を引渡して、これに充てることを規定したのであります。次に、金資金は引渡しによつてそれだけの貴金属が減少するわけでありますが、さきに解除を受けた者は、それだけの利益を受けたわけでありますから、その代償として、この貴金属の地金の價格に相当する金額を、金資金特別会計に納付させることとし、これに附随する必要な規定を設けたのであります。第三に、解除を受けた者に対しては、その解除前と同樣な関係を法律上擬制する必要があります。それで、解除を受けた者が、その金額を國庫に納付したときは、その貴金属地金は、その者が買い受けて連合國占領軍に引渡したものとみなすという規定をおいたのであります。 以上の三点が、この法律案の目的のおもなものでありますが、そのうち第一の、金資金からの貴金属の地金の引渡しの点につきましては、至急これを実行する必要がありました関係上、本年二月にポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する勅令に基いて、大藏省令を制定しておりますので、この際これを廃止して、この法律を吸收いたしますとともに、所要の経過規定を設けたのであります。 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。 次に、金融機関再建整備法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 金融機関は、先般金融機関再建整備法に從いまして、その最終処理を完了いたし、新旧勘定を併合したのでありますが、それに伴いまして金融機関再建整備法等に若干改正を加える必要が生じましたので、本法案を提出したのであります。本法案における改正の要点は、次の五点であります。 第一は、登記期間の延長であります。金融機関は、去る三月末日までに最終処理を完了し、新旧勘定を併合することになつていたのでありますが、三月下旬頃に至り、各般の情勢から金融機関特に銀行、信託会社及び金庫の最終処理方法書を再檢討することになりましたため、正式の認可が遅れたのであります。しかもその正式の認可が行われましたときは、金融機関の新旧勘定の併合は三月末日にさかのぼつて行われたのでありまして、これがため金融機関は新旧勘定併合の登記及び減資の登記をそれぞれの法定の期間内に行うことができなくなつたのであります。從いまして、この登記の法定期間を百二十日延長する措置を講ずるものであります。 第二は、金融機関に対する政府の補償に関する改正であります。金融機関再建整備法の規定によりまする金融機関への補償は、預金部に対する補償金と合計いたしまして、百億円を限度とすることになつているのでありますが、企業の再建整備における評價が簿價主義を採用いたしましたため、その打切率が増加いたしましたと同時に、金融機関の評價におきましても簿價主義を採用し、さらにその健全性の確保のために愼重な評價を行いましたので、最終処理の完了の結果判明いたしました金融機関に対する要補償額は、百億円を超えざるを得なくなつたのでございまして、その額は先般金融債券を旧勘定を移しかえましたのに伴いまして生じた金融機関経理應急措置法による損失補償金の額を加えて、百六十三億円を要することになりましたので、その限度を引上げることにいたしたのであります。 第三は、調整勘定に関する規定を設けたことであります。金融機関の最終処理は、企業の建整備の未完了等によりまする若干の不確定な要素を含んだまま完了いたすことになつたのでありますので、特に將來の業務の健全な運営を考慮いたし、きわめてコンサーバティブな評價を行つたのであります。從いまして、今後金融機関の旧勘定に属しておりました資産の処分ないし確定に伴い、これらの資産につき相当多額の利益金を生ずることが予想されますが、その利益金は、預金等の切捨てを受けた確定損負担者等に、最も衡平に返還されなければならないと思われるのであります。よつて確定損を預金者等の債権者に負担せしめました金融機関は、新旧勘定併合後におきまして調整勘定を設け、さきに旧勘定に属しました資産及び負債につき生じました利益金を調整勘定において経理し、その純利益金を、政府の補償がありましたときは、まず政府に返還し、次に確定損を負担いたしました順序と逆の順序によりまして、指定債務の債権者及び整理債務の債権者に返還いたすことにしたのであります。なお、その運用につきましては、特に衡平を期するために、新たに債権者審査会を設け、確定損を負担しました債権者でその金融機関に債務を負担していない者からこれを選任することにし、金融機関が右の利益金を返還するとき及び旧勘定に属しました資産を処分するときには、債権者審査会の同意を得ることにし、また右の利益金の分配を受ける権利は、投機的賣買を阻止しますために、その讓渡を禁止し、特にその情を知悉しております金融機関の役職員については、それを讓り受けまたはその分配を理由にして手数料その他の報酬を收受することを禁止したのであります。 第四は、封鎖預金及び封鎖支拂制度の廃止であります。すなわち金融機関の新旧勘定の併合、最終処理の完了を機会に封鎖預金及び封鎖支拂制度を廃止し、新円一本建とし、もつて金融機関の業務を簡素にかつ能率化し、同時に新円再封鎖のうわさを一掃いたしまして、貯蓄増強に資せんとするものであります。なお海外からの引揚者の有しまする郵便貯金につきましては、今後も引揚げてまいりましてから一定期間内に申請があれば、從來通り第一封鎖預金となるべき金額は、これをただちに自由預金にすることにいたしております。 第五は、金融債券の旧勘定移換に伴いまする政府の補償及び預金部に対する政府補償を國債をもつて行うことにいたしましたと同時に、金融機関に調整勘定と同樣の概念を、預金部に対しても採用いたしたことであります。なお右の五点のほかに若干の條文の整理を行つております。 以上簡單でありますが、金融機関再建整備法の改正法律案につき御説明申上げました。何とぞ御審議の上速やかに賛成せられんことを望みます。 最後に割増金附貯蓄の取扱いに関する法律案について、提案の理由を御説明いたします。 抽籖をもつて割増金をつける各種の貯蓄の取扱いに関しましては、本年四月廃止せられました臨時資金調整法中にその根拠規定が設けられていたのでありまして、同法の廃止により、去る三月二十六日以後は新たにこの種貯蓄を取扱うことができなくなつたのであります。しかして貯蓄の増強がインフレーション抑制のための絶対的要請でありますこの際におきまして、貯蓄増強のためには、あらゆる角度からその手段を講じておる次第でありますが、この割増金附貯蓄制度は、金融機関側からも、國民の側からも、多大の期待と興味とが寄せられているのでありまして、臨時資金調整法の廃止後も引続きこれが継続実施の要望が熾烈な実情にあり、通常の方法をもつてしては、なかなか貯蓄増強の効果を期待しがたい現状におきまして、この制度は今後十分の成果を発揮するものとの確信が得られますので、ここに必要な根拠法律としてこの法律案を提出いたした次第であります。 その概要を申し述べますれば、第一には、この法律は日本銀行を除く全部の金融機関に適用せられることであります。第二には、大藏大臣が割増金附貯蓄に関して細目を定めた場合には、各金融機関は任意自由にその取扱いができることであります。第三には、割増金に対する所得税と、特定の預金証書に対する印紙税を課さないこととし、なお必要な罰則を設けることといたしたことであります。 以上この法律案の要点につきまして御説明いたした次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
○梅林委員長代理 昨日まで提案されました質疑続行中の各法案、並びにただいま説明のございました五法案について質疑を続行いたします。
○川合委員 連合國占領軍の管理から云々の法律案に関しまして一点だけ質問します。さきに解除を受けたものはそれだけの利益を受けたわけでありますが、その代償として貴金属の地金の價格に相当する金額とありますが、この地金の價格に相当する金額というのは、その價格が問題になるのでありますが、一体この價格は前受けたときがいくらであり、拂つたときがいくらであり、その間において價格の差があるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
○伊原政府委員 ただいまのお尋ねは第三條と思いますが、これはたとえばある人が金をもつておりました場合に、それが連合軍に接收いたされておつたわけであります。その接收せられました金を解除の申請をいたしましたところが、解除をしてくれた。ところがその金を使つてしまいましたあとで、連合軍の方から日本政府に対しまして、その金に相当する金をまた連合軍の方に引渡せという話がございまして、政府の方から連合軍にその金を引渡しをいたしまして、その代りに前に解除を受けて使つた人から金の價格に相当する金額をもらうわけでございますが、ただいま川合委員からお尋ねの通り、前に引渡したときの金の價格に相当するものを代金としてとる。たとえば金の價格につきましては非常に変遷がございまして、ただいまは一グラムが百五十円になつておりますが、昭和二十一年一月二十日には十七円、二十二年七月十七日には七十五円というふうにだんだんに金の價格が上つております。その接收せられて解除せられました当時の金の價格によりまして、金の價格を代償として納める、こういう計算にいたしておるわけであります。銀等につきましても同じ問題が起つておるのであります。
○川合委員 もう一つお尋ねしますが、解除された当時の價格によつてその代金を納めるというわけなのでございますね。
○荒木政府委員 さようでございます。
○井出委員 質問があまりないようでございまするから、一、二点地方税との関連において伺つてみたいと思うのであります。それは地方財政委員会が地方財政の彈力性という見地かく強く主張をいたしました酒、たばこの消費税についてでありまするが、これはまだ現在関係の委員会でいろいろと論議が交されておるようでございます。もちろん健全財政という立場は、中央並びに地方を通じて維持されなければならないのでございますが、地方財政に彈力性をもたせる場合において、何か特殊な財源を地方が強く要求をしておることもまた了察しなければならぬ点でございます。殊に地方財政委員会の委員の中の多くの人たちが政府案と衝突をいたして辞任をしたという例にも徴しまして、今後の地方財政の彈力性の問題は相当に重要性をもつて出てまいると思うのであります。しかしこの酒、たばこの消費税は、すでに國税として相当に巨額なものを——たばこはもちろん專賣益金という形でありましようが、課税いたしてあるのであつて、地方がもしこれを財源といたしまするならば、二重課税という点は免れないと思うのであります。こういう点について大藏当局はあくまでも酒、たばこは國税として確保してまいりたいというお考えをもつておられるように察しておりまするが、この点あくまでも堅持されようとするのでありますか、まず最初にそういつた点から伺つてみたいと思います。
○荒木政府委員 お説の通りでございます。
○井出委員 もう一点、將來地方から強く要望され、殊に地方財政委員会が現在のような形になつておる場合に、大藏当局にこの問題を強く迫つてくる場合でも、これは譲歩の余地のない問題か、そういうふうに強くお考えになつておられますかどうか、これも伺つておきます。
○荒木政府委員 お説のように地方財政委員会で決定を見ました案と、中央財政との関連における大藏当局との折衝は、相当の食い違いを來しておるのでございます。のみならず約二千億の地方財政所要資金中、四十億円に上るいわば地方財政面から見て赤字と目せられるべきものは、中央において一割五分の行政整理をするくらいに窮迫しておる現状を十分に地方財政においても考えていただきまして、この四十億くらいは地方の執務の合理化ないしは行政整理というがごときものによつて負担していただきたいというほどの、中央地方を通じまする現下の財政事情でありますので、少くとも現在におきましては酒、たばこの税收、もしくは專賣益金は中央財政のお役に立てるべく堅持すべきではなかろうかと考えておりまするし、よほどの財政の裕りが出ません限り御指摘のような考え方で進むつもりでおります。
○堀江委員 簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金の支拂による損失の補てんに関する法律案に関する問題でありますが、根本的な問題として簡易保險制度の問題であります。簡易保險について巨額な損失を補填するというこの法律案でありますが、私はこのインフレ下におきまして簡易保險を存続していくことが正しいかどうかということについて大きな疑問をもつておるものでありますし、また戰時中におきましては簡易保險の募集に対して強制的な割当を政府はやつておつた。現在においてもその傾向がある。そのためにこの事務は郵便局でやつておるわけでありますが、逓信事務は非常に繁忙をきわめておつて、通信などが遅延しておるということが現状になつておる場合において、事務的にもこれを郵便局で扱わせることが正しいかどうか。本來の逓信事務以外のこうしたことをやらせることがいいかどうかの問題であります。そうしてなお政府は今回厖大な物價引上げに伴う予算案を提出しておるわけでありますが、そうするとなお一層インフレは高進していくということは事実であります。そうした場合において簡易保險に対する効果がすこぶる減殺されてくる。これは戰時中はもちろんでありますが、戰後におきましてもせつかく強制的にはいつた保險が受け取るときには無價値の金をもらう結果になる。そういう傾向から見て、自分らの地方ではかけておつた簡易保險をかけ捨てにしておるのが無数にあります。そうしたことはもちろん特別会計の利益になると考えるわけでありますが、そうした金額がどのくらいあるか。それは利益と見積つておるかどうか、それと相殺してこの損失補填の金額が出ておるかどうか、そうした諸点についてまずお伺いしたいと思います。
○荒木政府委員 簡易生命保險がこのインフレ下において有名無実になるような結果になつていはしないかというお説が一つあつたと思いますが、これは單に保險に限らず、預金等につきましても長期の預金はおのずからそういう結果にならざるを得ないものと思うのでありますが、さりとて保險制度そのものがインフレ下において無用であるかということになりますると、やはりインフレ下においても保險制度というものは危險を分散する意味におきまして必ずや必要であろうと考える次第であります。なお一般会計の支弁のもとに、簡易生命保險のいわば赤字を負担するということが適切でないようなお話でございますが、簡易生命保險そのものが非常に零細な、いわば一般庶民層の保險制度として沿革的に創設せられ、発達してまいりましたこととにらみ合わせまして、提案の理由のときにも御説明申し上げましたように、いろいろな事情があつたとは思いますが、ともかく結果といたしまして戰爭危險を織りこんだような保險料率の引上げを行うことが適切でなかつたために、そういたしませんでした。その結果が赤字となつて現われておるということでございますので、これはやはり一般國民の負担において、この零細なる契約者を保護するということは妥当である、かように考える次第であります。 なお郵便局の能率が低下しておる、そういうところへこういうことをまかせれば、なお一層この不当な結果は大幅になつていくのではないかという趣旨のお尋ねでございますが、官廳執務能率の低下と申しますか、逓信省関係における能率の低下は大藏省の所管ではございませんけれども、一國民として見ました場合に、戰前に比べて低下しておることは事実が裏書いたしておるのであります。これに対しましては、逓信省におきましても、それぞれ能率の向上をはかるべく努力をいたしつつある模樣でございます。なお保險金額が非常に零細なるために、今日の貨幣價値から見ますれば、粒々辛苦して拂込みました保險料に対して、あまりに貨幣價値の低い、わずかの保險金しか得られないという結果になるということも御説の通りでございまして、これはインフレ下におけるやむを得ざる結果とも言えますが、將來の問題としましては、一般の民間保險等との対應した関係におきまして、支障のない限りは保險金額の最高限度が引上げられるというふうな考慮も拂われているやに仄聞しております。そういうふうな考慮を拂うことによりまして、初め申し上げました保險制度が必要でないという断定を前提としますれば、ともかく保險制度は必要なり、しかも大口保險も必要であり、零細な庶民層を相手にする保險も必要であるという前提に立つ限りは、さような改善を加えることによつて存続していくべきものではないか、かように考える次第でございます。なおもつと数字的に具体的なお尋ねがございましたが、私からお答えできまませんので、他の政府委員からお答え申し上げます。
○堀江委員 今次官からいろいろ御説明を聽きまして、納得した点もあるわけでありますが、これが庶民階級の救済的な意味、社会政策的な意味をもつておるという御説明につきましては、納得いかぬ点があります。われわれの地方においては、簡易保險はほとんど強制割当であります。そうした少額の應募者が、みずから好んで自分から郵便局に行つて、保險契約をするというような例を、私は寡聞でありますが聞いていないわけであります。郵便局が上からの命令によつて半強制的に割当てておるという状態でありまして、私が冒頭に質問申し上げましたように、こうしたことで國家の厖大なる損失を計上するより、むしろ庶民階級の死亡とか、あるいは病氣のときに救済する制度を設けた方が有効であり、ごまかしではない。インフレ下に金融的な魔術をもつて庶民階級を收奪する結果になりはしないかということを思うわけでありまして、簡易保險制度というものについては、從來から非常に疑問をもち、こうした制度は廃止をして、違つた救済制度をやつた方が正しいのではないかというふうに考え、いろいろな質問を申し上げたわけでありますが、これについて政府はどうしても簡易生命保險が必要なものであり、今後も続けられるという御意思は今の御答弁でわかつたわけであります。これ以上は討論になりますので、これで私の質問を打切りたいと思います。しかしこの強制割当について、いかにお考えになつておるか、これはほとんど全國的な傾向ではないかと考えておるわけであります。強制割当をしてその成績が上つたからこれが一般の庶民階級といいますか、少額所得階級といいますか、そうした人たちの要望であると解せられるのは私は全然観点が違つておるというふうに考えておるものであります。この点に対する御見解を承りたい。
○荒木政府委員 大藏当局よりお答えすべき範囲外と存ずるのでありますが、簡易生命保險の募集等が半強制的というお話でございますけれども、これはしばしば租税の徴收につきまして、よく言われまする各地域ごとに一應の目標額と申しますか、努力目標的なものを示しまして、大いに徴税成積の向上を基待しておる。それと同じような意味におきまして、一種の努力目標的なものがあてがわれておると想像いたします。簡易生命保險制度そのものの存否についての議論は別といたしまして、加入者がだんだん殖えることは、結局長期預金とでも言うべき堅実の資金が増大するわけでございますから、インフレ克服の一手段として望ましいものだと思われるのであります。その結果が大藏省預金部の資金の性質を健全化する効果もございますので、制度があります限り、また加盟者が共鳴される限りは契約高の向上していくことを期待している次第でございます。
○堀江委員 いま一点、生命保險、あるいは金融機関再建整備法の交付公債というものは、赤字公債と解してよいわけですか。
○梅林委員長代理 それは午後簡易保險局長も來るそうでありますから、そのときにどうぞ……。
○堀江委員 それではそうします。
○倉石委員 政府職員に対する給與の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、勞働大臣がお見えになつておりますから、全官公勞と政府との折衝の経過をまず承りたいと思います。
○加藤國務大臣 政府と全官公廳勞働組合との折衝は、政府側から有田官房次長その他大藏省の今井給與局長等を中心といたしまして、各省からそれぞれ担任の局長諸公九名が政府側の代表に選定されておりまして、組合側との折衝を開始しておつたのであります。組合側の四月から五千二百円手取りの要求に対しまして、政府としてはともかく三千七百九十一円というものが、政府の予算編成の標準になつておるものであるから、これについてまず協議を進めたい。こういう回答をいたしまして話にはいつております。きのうまでにおよそ二回か三回か話合いを重ねたと思いますが、まだかんじんの給與の問題、もしくは組合側の要求である五千二百円の実質上の問題にはいりませんで、その前に物價改訂の反対であるとか、あるいは予算編成方針の意見についてであるとか、その他の政治上の問題が主として話合いに出たのであります。組合側は、これは組合の要求する賃金を説明する上においても、また政府側から給與の説明を受けるについても、その前提となるものであるがゆえに、これらの点についても話がなされなければならない。こういう態度でありまして、政府側としてはそれに対してともかく実際上の給與の問題にはいり、審議を進めていきたい。そういう予算編成の方針であるとか、あるいは物價改訂の問題であるとかいうことは、組合と政府との團体交渉の対象にはならない。それは別に國會等においてなされることであるから、というので話が行き悩んでおりました。昨日私に出席してくれということでありましたので、私が出席をいたしましたが、やはり話はそういう点にありましたので、私としては別にそれが團体交渉の項目になるとかならぬとかいうような角張つたことでなく、とにかく三千七百九十一円を説明するについても、また組合側の要求である五千二百円の説明を聽くについても、いずれにしても予算編成の問題であるとか、あるいは物價改訂の問題等は当然説明の内容にはいつてくるものであるから、そういうことにあまり角張らないで、話をすべきことは話を率直にやつたらいいじやないかという態度で臨んだのであります。しかしながらきのうは時間の関係もありまして、そういう内容にははいることがありませんでしたが、昨日までの模樣はまだそういう状態でありまして、実態上の給與の点に觸れておりません。それがきのうまでの経過の概要であります。
○倉石委員 私どもが勞働委員会において勞働大臣と新給與のベースについて論議し合つたのは、すでに本予算提出前であります。当時われわれは今日あることを予期いたしまして、しきりにその点を心配して政府にもいろいろ伺つたことは、大臣よく御承知の通りであります。しかるにこの新給與の法案が出ましたのは、きのうようやくここで政府当局から御説明があつた。そしてその御説明によりますと、わずかに六月二十三日から全官公勞の代表者と折衝を始めたというようなことを言つておるのでありますけれども、こうやつて会期が切迫してきて諸般の法案が山積しておるところへもつてきて、しかも相手方の勞組の代表者と何らの折衝をおやりにならないで、会期が切迫しておる間際にこういうものを押しつけて——押しつけるというと語弊があるかもしれませんが、これを通してもらわなければ困るのだというやり方は、私は政府の態度に態して非常に不満を感ずるのであります。のみならず勞組に対しても、誠意のあるやり方ではないと思います。時間がないから大抵のところでがまんせよというのは……。これらについては、われわれ議員として非常に不満をもつものであります。この三千七百九十一円の賃金ベースはしばしばわれわれ勞働委員会で論議があつたのでありますけれども、政府のおやりになつた第一次、第二次物價改訂、あるいは本予算におけるマル公價格引上げ、あるいはまた官業料金の大幅な引上げなどを総合して考えてみまして、三千七百九十一円のベースで維持できると勞働大臣は考えておられますか。この点について御意見を承りたい。
○加藤國務大臣 第一の、法案の提出が遅れたということについて、できればもつと早く出すべきものであるということについての御意見は、政府側としてまつたく私も同感であります。ただできれば議会に提出する前に組合側と話が進んで、組合側において三千七百九十一円そのものについては了承ができなくても、法律案を出すというそのこと自体について了解が與えられるならば——こういう態度をとつておつたわけであります。 元來ならば、私が予算委員会においても申し上げたことでありますけれども、前の二千九百二十円問題が解決した直後に、給與に関する委員会ができまして、その委員会において、折衝をして、そこで大体の了解点が得られたならば、それが本年度の予算編成の標準として取上げることになれば、組合側との摩擦を起すことなくて済んだわけであります。しかしながら御承知のように給與に関する委員会が構成される前に、委員会をつくろうという話の一番初めに、調停機関がどうであるとか、紛爭処理機関がどうであるとかというようなことについて、行き詰つてしまいまして、それについての打開ができずに、遂に委員会というものができないでしまつたのであります。それでもなおかつ時間が許されますれば、政府としても、極力この委員会が組織されるように努力するつもりでありましたが、いかんせん今日の日本の経済界の実情は、いつまでもそういうことによつて、本予算を編成しないわけにはいかないのであります。そこでやむを得ず本年春の二千九百二十円を算出した同じ算出方式に從つて、三千七百円ベースというものが生まれてきたのであります。それにはもちろんこれを五月の工業平均賃金を推定し、それに六月十五日から物價の改訂が行われるということを前提として、その物價の改訂がどのように生計費に影響するか、その生計費指数調査はC・P・Sの数字をとりまして、これもまた本年の二千九百二十円を決定したとの算出方式に基いたものであります。そういう諸般の事情を考慮いたしまして、三千七百九十一円というものを二十三年度予算の標準としてとつたわけであります。もちろんこれに六月の物價改訂ということは含まれておるわけであります。その限りにおいては、私は算出に妥当性がある。政府としてはそれ以上今日とるべき具体的な資料がないのであります。具体的な資料に関する限りは、妥当性があると信じております。しかしながら私がしばしば申し上げました通り全國工業平均賃金というものは、三月までははつきり数字ができておるのでありまして、その後四月、五月は推定によるものであります。從つてこの推定の数字が破れる。政府の推定したよりも上まわるものであるとするならば、それに対する適切なる措置が講ぜられなければならぬことを、これまた私は統計の数字を尊重するということからいつて当然である。こういうことをしばしば申し上げてきたわけであります。今日といえども同じ考えをもつております。しかるにその後発表されましたものによれば、四月の全國工業平均賃金というものは、政府の推定したよりも上まわつております。從つてここに政府の推定は一應破綻を來したということをはつきり認めなければなりせん。これはどのように言葉を設けても、数字を動かすことができぬという以上は、この数字を事実として認めぬわけにはいかない。だからといつて今すぐ予算を再編成する余裕があるかどうか。これは倉石さんも御承知の通り、とうていそういうことは日本の今日の経済的実情においては許されないことであります。時間的にみましても、技術的にみましても、相当時間を要するのでありまして、これがために便々として政府支拂いが遅れるということは、とうてい許されない実情にありますので、これは一應そういう推定ではありましたが、算出に妥当性があるとするならば、これによつて本予算を決定していただいても決して組合側に押しつけるものではない。組合側とは依然として團体交渉が継続されておるわけであります。從つて團体交渉の結果、どこに妥結するかはわかりませんが、妥結した場合に当然私は三千七百九十一円の賃金ベースというものは、その時妥結した線に沿つて是正されなければならない、このように思うのであります。
○倉石委員 勞働大臣の御説明を拜聽いたしまして、非常にわが意を得たりという感じがするのであります。大藏当局のお出しになつた今度の給與案の御説明によりますと、今ちよつと勞働大臣がお述べになりましたように、前の二千九百二十円ベースに対する物價改訂の事情を加味したものであるというふうな御説明ではありましたが、大藏当局の説明書によりましても、当時のものに大体三〇%をかけたものであるというふうなことをいつておられるのであります。しかしほんとうに今日の勤勞大衆の生活実態というものをしさいに点檢されましたならば、私はいわゆる三〇%をかけたということが、單なる機械的なやり方であつて、少しも親切みがなく、これではいかんという感じをもつておつたが、勞働大臣がきわめて率直に御説明になつたことを非常に私は愉快に思うのでありますが、まさにその通りであります。しかしながら財務当局の御説明によりますと、かりにわれわれが今ときどき口にいたしますような四千円ベースにするといたしますと、大体八一%の金額の増額を見込まなければならぬ。そうなると予算のバランスがとれなくなるから一應三千七百九十一円で出したのだということになつておるようでありますけれども、さようなことはその日暮しのやり方であつて、私は重大なる勤勞大衆の賃金をきめる場合に、こういう態度ではよろしくないと思うのであります。そこで大藏大臣は先だつての本会議において、追加予算ということを考えておらないということをおつしやつておられたのでありますけれども、当然破綻することが目の前に見えておるこの三千七百九十一円賃金ベースは、どういうふうに妥結されようとも、やはりこれは近く改訂しなければならない。しからば私は追加予算というものを当然考慮に入れるべきであると思うのでありますが、労働大臣のこの点についてのお考えを承りたいと思います。
○加藤國務大臣 ただいまも申しました通り、三千七百九十一円算出の方式は、二千九百二十円算出のときと同じ方式をとつておりますが、もちろん財政的な観点からもみておるこれも一つの要素であることは事実であります。しかし今申します通り、ただ單に財政のバランスが合うとか合わぬとかいうことだけがもし算出の基礎になつておるというならば、これはおつしやる通り重大な誤謬であると思いますが、これは一つに過ぎないのであります。決してそれが全部ではないということを御承知願いたい。そういうことでこれが編成されたのでありますが、大藏大臣が本会場において説明しました当時は、なお四月分の全國工業平均賃金の指数というものは発表されていなかつたのであります。從つて当時においてはなお政府の推定が妥当なものである、こういう見解の上に立つていたわけであります。それにしても一体二十三年度年間全部を通じてこの賃金で通す自信があるか、予算委員会においてこういう御質問を受けたのでありますが、私に率直にそういう自信はないとお答えいたしました。今日のようなインフレーションの高進下において、たとえどんなに、どの政府のだれがやつたにしましても、一挙にインフレーションを食いとめてしまうことはとうていできることではないのであります。ただインフレーション進行の度合をどうすれば緩漫ならしめ、どうすればその進展の度合を縮小していくかということに全力を入れるということが、私はインフレーションを食いとめる最も忠実なる途であると思う。これも一挙にできるということは一片の夢にすぎないと思う。從つてそういう意味から私はこのインフレーションの進行下において、年間を通じてこの賃金標準が維持できる自信があるかといえば、自信がないとお答えする以外にないのでありまして、殊にいわんや、今申します通り、大藏大臣が説明した事後において、四月分工業平均賃金というものの数字が発表されております以上は、私はこの数字に対する——今申します通り、統計の権威と数学の尊嚴に対しては、あくまでもこれを尊重しなければならないという建前から、当然追加予算という形式において——いつの日かこれはわかりませんが、それは私の一番正しいと思うときは、團体交渉によつて妥結したそのときが一番正しいと思いますが、そのときに当然財源があるとかないとかいう理由によつてではなくして、いかにしたならばその財源を捻出するかということに努めて、そうして給與も正当な、世間でも納得のいく状態において改められなければならぬと私は信じております。
○倉石委員 政府は、勞働大臣よく御承知の通り、しばしば中間安定策というものを折にふれて御説明になります。われわれも政府がこの中間安定策をお考えになりました理由については、十分理解をいたすものでありますけれども、この中間安定策を講ぜられる一番必要な條件は物價と賃金の安定がなければ、いわゆる安定方策というものは破綻いたすのは当然であります。そこでわれわれはそういうふうに小刻みに賃金ベースを動かしていかれるよりは、いつそ思い切つて四千二百円というぐらいのところまでぐつと一遍にこちらから引上げて、そうして大体それを政府の考えておられる経済安定帶の賃金ベースとされるような、つまりその程度の賃金で一應賃金の安定帶を設けるということに対して、労働大臣はそういうお考えはありませんでしようか。
○加藤國務大臣 それは結局一個の最低賃金制に類似した形になると思うのです。今後これだけ物が上るだろうというそういう想像のもとに、現実の計算の基礎なくして賃金を一定のところにもつてきて、それが賃金の安定帶ということになれば、これは一個の最高水準を設けることになりまして、一種の賃金くぎづけになると思います。私は労働大臣の責任においては、そういうことについては反対であります。あくまでも物價と賃金との均衡を保つという考えでなければなりません。またそれがために苦しい状態においても、いろいろな統計、あらゆる資料を集めて、合理的な算出において賃金が算出されるということによつて、できるだけ物價の抑制方針をとつていく。これは他の政治的経済的諸般の措置と相まつて行われることでありますが、ただ單に形式上の物價と賃金だけの安定を保つということになれば、今倉石さんのおつしやつたように、一個の最低標準を設けて、そこに安定線を引く、こういうことになる。それはよくいわれておるところの最高賃金制——賃金制というと語弊がありますが、最高賃金安定帶を設けようという一個の賃金ストップにすぎないことになりますから、それは私どもとしては反対であります。
○倉石委員 私ども考えておりましたのは、今政府の中間安定方策を、およそ十一月ごろからそういう計画にはいるというくらいな見透しでやつておいでになるのだからして、その間は賃金もやはり一應安定帶を設ける方がいいのではないかという考えで申したのでありますけれども、これは他の閣僚にお尋ねをいたすことにいたしまして、労働大臣に率直に私が伺いたいのでありますが、今日組織労働者のうちの一番有力な團体、つまりいわゆる全官公労の諸君二百六十万の人々の團体、この團体の最近の運動傾向というものは、大臣よく御存じの通りであります。われわれは昨年長野縣の上諏訪における國鉄労働大会の様子を聞きまして、実は内心非常に喜んでおつたのでありますけれども、最近の國鉄の動きは、よく大臣御承知の通りであります。その他全逓、全財、あらゆるこういう大きな、何と申しますか、比較的インテリ層がはいつていると見られる組織労働者の團体の動きが、最近においてはわが國の経済再建ということから見ましたならば、非常に逸脱した行為をやつておられる点が多いのではないかとかように思われるのであります。われわれはかようなことを申しましても、決してあの勤労大衆の運動に理解をもたないのではないのであまりして、その点は大臣よく御承知の通りであります。しかしながらわれわれは、今日本の労働組合法あるいは労働基準法というようなものは、十分に経済が安定して、そうして企業が赤字を克服し得たような時代において初めてこれは理想であります。しかしながら、わが國のあらゆる方面を見ますと、非常に跛行的でちぐはぐである。一方においてはいわゆる文化國家の名にふさわしいような労働基準法というようなりつぱな法律もありますけれども、それのいわゆる受入態勢というものが、労組の方には非常に欠除しておると思うのであります。その点はおそらく何人も異論のないところだと思うのであります。現に私ども承知いたしております。たとえば最近世間の問題になつております東宝撮影所におけるあの爭議の状態、あるいはまたこの間も問題になりました新潟の小千谷における理研工場のあの乱暴な騒ぎ、これは結局そこにタッチいたしましたところの警察官も、労働運動ということに対して理解がないし、またそこの從業員諸君も非常にわれわれの予期せざる行動をとつておいでになる。かようなところにいたずらにりつぱな法律を設けて、これらの人々を保護するようなことを考えてみても、極端に言えば、さるがかみしもを着たようなもので、かみしもを着る資格のない者に着せたようなものであります。であるからしてわれわれの考え方といたしましては、このかみしもに相当したところの教養の度を労組にもつていただくように指導しなければならないと思うのであります。その点において、私は労働組合法に対して幾多反省すべき点があると思うのであります。いわんや今、御承知のようにこの知識階級層がはいつておると見られておる全官公労の運動方法などを見ても、はなはだ不満にたえない点があるのであります。先般本会議において政府の労働対策をお尋ねいたしましたときに、私はタフト・ハートレー法の例を引きましたが、労働大臣はタフト・ハートレー法のごときはアメリカの國情においてこそ初めて施行されるべきものであつて、日本がいたずらにまねをする必要はないという御答弁でありました。われわれもその点は同感であります。いたずらに外國のまねをする必要はありませんけれども、アメリカのような安定した、あれほど繁栄しておる國ですら、なおかつタフト・ハートレー法のごときものの必要性を痛感されておる。大統領の拒否権があつたにもかかわらず、これを採用されたということは、今日の敗戰日本がほんとうに皆歯を食いしばつて起ち上らなければならないというときにこそ、私はああいつたような制限法というものが必要だ、かように考えるのであります。そこで現在私どもは、大臣も御承知でありますけれども、各地に行われておりまする労働爭議の実態を調査いたしますると遺憾ながら労働運動が一足先に進んでいるアメリカやイギリスに比較して、非常なる遜色がある、私は昔イギリスにおりましたときに、北部の小さな炭鉱にストライキがありました。その当時そこを旅行しておりましたときに、小さな新聞に書いてあつた。この炭鉱爭議をやつておる炭鉱の労働者が、職場を放棄しておるにもかかわらず、なおかつやがて協定が妥結したときには、大切なる國富を掘り出す機械であるというので、ストライキをやりながら機械を磨いておつた。私はこういうふうになつてこそ、初めて日本の労働運動が健全なものであると思うのであります。そこで私はこの今日の日本の経済を再建する場合には、先日も本委員会で安定本部長官がいろいろ條件を述べられましたが、その中に企業の安定と労働不安の除去ということを強調されておりました。われわれも至極同感であります。この点は階級的立場意識を離れまして、ほんとうに日本人の一人として考えましたならば、今日の労働組合法、労働基準法、この二つの立法にはやはり私は手加減を加えて、そうしてこれが結局大臣がときどきおつしやるように、労働法規の改正をすることによつて、勤労大衆の生産意欲を阻害するようなことをしてはいかん、この意味で反対であるということをおつしやつた。われわれは一旦與えたる権利を剥奪して、だんだんいわゆる資本攻勢というようなことで、この一旦彼らに與えたる権利を剥奪してしまうというような、いたずらなる反動的政治家や、反動的実業家に組みするものでないのであります。今の場合であるからしてしばらく安定するまでは、日本の労働不安はこの程度ならまず安心だと海外の資本家に思わせるという。極端に言えば見てくれだけでもそういうようにおやりになることが、日本再建に益するところが多いのではないか。もともと経済中間安定方策というものも、非常に政府が無理をしてやつておるのは、結局外資を導入して、日本の経済の再建に資しようというわけでありますから、私はこの点については政府職員に対する給與を審議すべき場合に、ぜひ一つやはりわれわれの考えを労働大臣に御了解を願えれば非常に仕合せだと思いますが、この点について一つ御意見を承りたいと思います。
○加藤國務大臣 ただいま倉石さんの立場からごらんになりました、現下の労働組合の動き並びに労働問題に対する御見解をお伺いいたしましたが、倉石さんの立場においての御意見としては一個の御意見であると存じます。ただしかしながらわれわれといたしましては、何と申しましても、基本的に日本の現在が敗戰の結果であるとはいいながら、今民主主義革命の変革過程である。私はこの大きな前提の上に立たなければならないと思うであります。それが望ましいことであるか望ましくないことであるかということは別問題にしまして、ともかく敗戰の結果として、必然の現象として、ここに民主主義革命の進行の過程が今歩み出されつつあるわけでありまして、こういう時代においてはとかくさまざまの部面において、ジグザグの現象が現われるということは、これはまたやむを得ない必然の現象であるといわなければならないのであります。ある一つの部面を捕まえてこれがただちに現実に合わない、またある一つの部面を捕えて、これはあまりに現実に後れておる、そういう一つ一つを部分的に切り離して見ますれば、そういう指摘はできるかと思いますが、私は全体を一括して民主革命の変革途上にあるという大きな前提の上に立ちますならば、そうしたおのおののジグザグな現象は、これはやむを得ざる必然的の現象であるとして、是認されなければならないと思うのであります。ただしかしながら、いつまでもそういうジグザグ現象をそのまま必然であるからというて、放任しておくという意味ではありません。当然それは正しき発展の順序に從つて発展せしめるということにしていかなければならぬことは、いうまでもないのであります。そうした現象の中で、労働組合の動きを見てみまする場合、確かに私は倉石さんが御指摘なさつたような点も、部分的にはこれを見ることができると思います。しかし労働組合本來の使命、労働組合本來の職能というものが、だれが何と申しましても、これははつきり一つの社会的存在、経済的存在としてそれぞれ一定のカテゴリーというものが、定まつたものがあるわけであります。その労働組合の範疇に属するように発展せしめるということが、私は労働組合をして正しく、健全に、しかも自主的に発展せしめるゆえんであると、こう考えております。ただこれが今御指摘になりましたような、部分的な現象を見るということは、これまた私のしばしば申し上げた点でありますが、戰爭という非常に大きな社会的事実のために、あまりにも極端に過去の道がゆがめられて、そのゆがめられておつた反撥現象として、今日のような若干行過ぎと思われる点が現われてきたのであると、こう私は見ておるわけであります。從つてこの反撥現象として、今日の多少行過ぎと思われておるような事柄も、時間的にいま少しの経過をたどりますれば、ちようど時計の振子がそれぞれ適正なる反動の運動を起すと同じような意味において、やはり一定の水準を基準として左右に動くようになつていくのであります。時計の振子が左に傾いたときは、左へ傾いた、これはけしからぬといつて、責めることはできない。すぐにまた右の方へ適当な反動運動を起しますから、そういう一定の平衡を基準として若干の左右上下の動きというものはあり得ると思います。これが労働組合の運動の上においても、当然そういうふうに立ち返つてくる、私どもはこう見ております。なお日本の労働組合の発達が、戰爭中中断されておつた運動から急に発達し始めましたために、数の上においては六百万というように、世界のほとんどこの國においても類例を見ない大きな発達を遂げておりますが、その内容においては、数の発達に匹敵するだけの内容の充実を見ていないということも事実であります。從つてわれわれは、この数の発展と照應するがごとき内容を整えてくるように、労働組合がみずから訓練していく、みずから反省すべきものは反省していく、こういうふうになつていくことが望ましいのでありまして、労働行政というものをそういう意味において、ただちに労働組合の運動を、かくあるべし、あるいはかくあらねばならぬというように、指導的態度をとるのではなくて、労働組合が自分自身の力において、その労働組合としての與えられたる範疇の中に発展していくように、側面からこれを助成をするという方針こそが、私は正しい労働行政の行き方であると思つております。もし労働行政が直接に指導するというようなことがありますと、労働行政の行き過ぎである、私どもはこのように解釈しております。さて、しかしこういう見解の上に立ちまして、今日の労働憲章ともいわれる労働三法律についてみますれば、なるほど今倉石さんが指摘されましたように、労働基準法のような法律は、日本のように中小企業が日本経済の枢要なる地位を占めておる点から見まして、実情に則しないものがあると思います。しかしながら、これはもう一度大きくわれわれは過去を反省しなければならないと思うのであります。たとえば満洲事変発生当時においては、日本の労働者は、農村の恐慌と相まつて、極端なるチープ・レーバーの状態におかれたわけであります。そういうことから日本の労働状態はまるで苦役労働であつた。こういう隸属的な苦役労働において生産された品物を國際市場において扱うということは、文明國家の恥辱であるというような口実のもとに、世界の至るところにおいて市場閉鎖を食つたことは、御承知の通りであります。そういうような現実の事実から、その後の國際労働会議等におきましては、どうすればこういうアジア的な低賃金の労働、ほとんど隸属労働ともいわれるような状態を訂正して、眞に労働者をして、文明國家の國民としての生活水準を與えしめることができるかということが、これは日本政府の代表者も、日本資本家の代表者も、日本の当時の労働組合の代表者もそれぞれ参加して、この國際労働会議において檢討せられたわけであります。その結果定められた事柄があるいは條約案となり、あるいは勧告案として決定されてきたのでありますが、当時の日本の状態は、御承知の通り、太平洋戰爭を生み出すべき原因をなした軍閥、あるいは軍閥を手先とする金融資本等の独占化において、これらの文明的な國民の生活水準を引上げようとする國際労働会議の條約案、勧告案というものが、採用されないで、戰爭になつてしまつたわけであります。それを戰爭後において、日本の民主化を大眼目とする太平洋戰爭の目的から、戰勝國家が、戰勝國の権利としてしかも日本が無條件で承認したポツダム宣言の規定するところによりまして、どうすれば日本を民主化することができるか、この日本民主化の基本的條件として、現在のような封建的な制縛状態から勤労大衆が解放されなければならないということで、労働者には團結の自由と團体行動の自由が保障されることによつて、労働組合法が生れてきて、さらにその労働者の團体運動、團体交渉の自由を確保する点と、それから過去の日本労働者に與えられた不名譽な隸属状態から脱却せしめる法的措置として、労働基準法というものが生れてきたわけであります。こういうような沿革から考えてみましても、なるほどただちにこれが日本の実情に適せざるものがありますけれども、われわれは適しないからといつてこれを現実に引きもどすのではなく、今申します通り、大きな民主主義革命の過程にあるという点からいつて、どうすれば文明國家としての水準に達するかというこの点から、どうすれば現実をそこに発展せしめるようにすることができるか、こうにうことに私は全國民が努力をしたならば、法律が現実に合わぬというのでなくして、法律はなるほど現実に若干行き過ぎた点はありますけれども、行き過ぎは変革過程においての一歩前進であるという観点から、この変革に應ずるように現実をそこに発展せしめるように努力する、これは私はそう大した困難なくして、何も日本の経済的な基礎條件を壊すとかなんとかいうことなくして、容易にできるのではないかと思うのであります。たとえば中小工業等におきまして、これはまだ私自身としても未定稿な問題でありますけれども、できれば同種職業の小さな人々が集まつて生産協同体というような形態において、その労働基準法から受ける大きい負担を、平素から分担することができるように、蓄積分担する方法を考えたならば、現実はなるほど一人々々の企業体であるが、これが一つの生産協同体というようなものをつくつてプール制にでもすれば、こういうものから受ける経済的負担も軽くすることができるということも考えられるわけであります。こういう点についてどこからも具体的な意見を聞いておりませんが、私自身も未定稿でありますから、まだ発表する勇氣はありませんけれども、ともかくも現実を漸進せしむる。そういうことなくしては封建的なこの惰性を容易に破ることはできぬ、こう考えております。從つて今基準法であるとか、組合法であるとかいうものを改めて、そしてこれを現実に適合せしむるようにすることは、それ自身が発展を食い止めるばかりでなく、その発展の効果を、逆に今までの封建的なそのものの制縛の中に置いていこうという考え方でありまして、この考えは私としてはとらないところであります。從つて私は結論的に申しますれば、法的措置によつて、そういう変革過程における進展状態を、現実の封建的な残滓を多分にもつておる中に押しこめようというのではなく、あくまでも自主的な労働組合の成長をなし得るように、また労働組合が他の力によつて支配されることのないように努めるということ、これを促進せしむるように現実の方法においてもつていかるべきであるという考え方をもつておりますので、今法律をどうこうしようという考えは私にはありません。
○倉石委員 もう一、二お尋ねいたしたい。今の大臣のお説はある一点を除いてはまつたく私ども同感であります。あの慘憺たる圧迫を受けた勤労大衆が、終戰後解放せられたということについては、われわれ非常に喜んでおるのでありますが、ただ大臣と食い違つておるところは、なるほど時計の振子が今左に行つた、それがやがては中正にもどるのだということでありますけれども、今の日本の企業というものはもどるゆとりのないうちに、窒息してしまうものが多いと思うのであります。現に大臣も御承知のように、現在の政府あるいは日本銀行の金融政策の結集、中小企業というものは青息吐息であります。そして重点産業でも配給を受けたところの資材を、ひそかにこれを横へ流して、そこから得た利益をもつて賃金を支拂つておるというふうな企業も相当多いのであります。であるからしてやがて日本が安定した場合には今度のような理想的な労働法規をつくるのだから、その間しばらくがまんしてもらう方がいいのじやないかという、その一点が大臣と違うだけであります。これは結局水掛論でありますから、私はその点において意見が違つておるということを申し上げておくに止めます。 最後にお尋ねいたしたいのは國家公務員法についてであります。國家公務員法は御承知のように身分上の保護規定というものは相当ありますけれども、この公務員に対する國家が要求すべき義務の点においては十分であるとはいえません。そこで私どもは今日のような日本の情勢を勘案いたしまして、國家公務員法を手心を加えて、非現業員にストライキを禁止するというふうなお考えはありませんか。これもやはり私が今申しましたよう、いたずらに圧迫しようというのではないのでありまして、諸外國の労働運動の樣子を見ましても、大臣よく御承知の通りであります。私は今日の國家公務員法というものは非常によい面もあると思いますけれども、さような点において欠陷があると思つておりますが、これを改正される御意思はありませんか。
○加藤國務大臣 結論だけを申し上げますが、現在の労働関係調整法の中には、非現業員、官廳職員の爭議権は認められていないのであります。從つてこれ以上に公務員法をかえて、あらためて公務員法においてそういう規定を設ける必要はない、このように私は考えております。
○倉石委員 大臣のお考えはよくわかつたのでありますが、今行われております全官公労の諸君の爭議、たとえば先般行われました全逓の爭議などをつぶさに調査いたしましても、これは非合法という刻印を打つことができるかどうかは多少疑問がありますけれども、非常に非合法的な行為を行つておるのであります。しかも私はかような公開の席では申しにくいほど、今日の占領治下における日本人としては、はなはだ遺憾な言動が多いのであります。その点は大臣もよく御承知であることと思います。そこでわれわれは穏健なる労働運動の助成、発達ということは、全力を上げなければならないと思つておるものでありますけれども、今日のあの多くの官公労諸君の爭議を指導しておられる人々の中には、故意に敵は本能寺で、他に目的があつて、そして日本経済の発展を阻害しようとされるような分子があるのであります。われわれはこれは非常に遺憾に思うのであります。極端に申しますならば、共産党のフラク活動があらゆる面ににおいて活動しておられる。その点は政府においても御存じのことでありますが、これをこのまま放置いたしておくということになつたならば、その禍害の及ぶところは、けだし私は非常に恐るべき結果を生じはしないかと思うのであります。今にしてこれを善導するということをおやりになりませんでしたならば、先ほど大臣のお話のように、彼らの自由な意思によつて、この発達を期待するのであるということができ得れば、それは結構であります。しかしヨーロッパにおけるあらゆる共産運動を見ましても、そうでありますけれども、全然目的が別に存在してこれをやつておいでになるのでありますから、これをそのまま放置いたしておくということは、私は國民に対してはなはだ不忠実なことだと思うのであります。政府この点に対してはどういうお考えをもつておりますか。
○加藤國務大臣 ただいま御指摘のような事実について、もしこれが現われておるとすれば、それはおのずから別個の方法によつてなすべきでありまして、抽象論としてはいかがかと思いますが、われわれはあくまでも労働組合は労働組合であり、政党は政党である。労働組合員がどの政党に所属しようと、それはまつたく個人の自由でありますけれども、その自分たちの所属している労働組合の運動、もしくはその統制を他の團体の指導によつて行われる、また行わしめようというような考え方については、私は反対の意見をもつております。労働組合はあくまでも労働組合として自主的に運営されるべきものである。この点共産党の諸君が金料玉條としておられるレーニンすら言つておるので、レーニンの「左翼小兒病」という本を見ますれば、その中にははつきり労働組合というものは大衆團体である。多かれ少なかれ反動的性質をもつておる、これに党としての仕事をやらせようということは、これは労働組合について見ることを誤つておとるいうような意味のことを書いてあります。また一面もちろん他の一方からいけば、労働組合は共産党の思想的な学校であり、党の運動のプールであるということも、一部の共産主義の諸君によつては言われておりますが、日本の労働組合はそういう段階には現実においてない、これははつきり申し上げます、もちろん個人々々の組合員が、あるいはそういうフラク的な存在として、フラク的な活動をやつておることは事実としてありましよう。これはあると思います。しかしそれはおのずから別の問題でありまして、労働組合それ自身がただちに共産党の代行をしたり、もしくは労働組合をしてただちに共産党の運動とすり代えて行わしめるというような具体的な事実は、日本の労働組合の上にはありません。たとえその幹部が共産党の諸君によつて占められておると思われる組合においても、そういう事実はまだ見ることはできません。これははつきり申し上げることができると思います。從つて今政府といたしましては、そういう個人々々の組合員がどういう政党に属しようと、これをかれこれするという権限はもちろん政府にありません。あくまでもこれは労働組合の教育の力によつて、自主的に労働組合が運営されていくような方向にもつていかれるように、側面から教育的な助成をしていく、こういうことに力を入れておるわけでありまして、これらの点につきましても、私はやはり個人々々によつて考え方が違うかもわかりませんが、全体として見るならばあるいは一個の反撥現象として見るべきものであつて、順次組合の中においても、みずから反省して自主的な力によつて組合が運営されていかなければならぬという力は、徐々ではありますが、確実に成長していきつつあるということも、また見逃すことのできない事実であります。こういうことこそ望ましい現象である。このように考えております。
○倉石委員 今の点については私は非常に大臣と意見を異にしておりますが、その点については他日の労働委員会に讓ることといたしまして、給與に関する質問はこの程度で終りたいと思います。
○佐藤(觀)委員 今度の三千七百九十一円ベースにつきましては、いろいろ疑問がありまして、大体労働大臣の話で了承したわけであります。官公吏の給與につきまして、一番不快に思いますのは、御承知のように労働組合の関係でございまして、大都市の中央においては、そういうものが非常によく解決されるのでありますが、大都市以外の普通の都市におきましては、現在も非常に待遇が惡いのでありまして、おそらく労働委員会等にも、地方から地域給の基準につきまして、相当の請願が來ておるはずであります。労働大臣はこういうような点につきまして、今後この地域給の問題について、何か合理的に解決されることをお考えになつておるかどうか。まず第一点の質問をしたいと思います。
○加藤國務大臣 ただいまの御質問の御趣旨は、私どももしばしばその地方からの陳情を聽いておるわけでありまして、よくわかつておるのであります。從つてこれが合理的な解決をしなければならぬと考えておりまするが、これらの点につきましては、大体労働組合のやはり團体交渉の内容の一つになつておりまするので、今政府が一方的にこれを決定するということにはなつておらぬのであります。從つてそれぞれの地方の組合の諸君は、地方におけるそういう事実、生活上の事実、たとえば乙地においても実際附近の大都市の甲地と具体的に物價等については変りがないというような事実等を、組合の本部の方に通達されまして、組合本部に地域給に関するやはり專門委員が出ておるようでありまするから、そういう諸君の方に十分認識せしめるように、組合においてこれらの点は努力してもらいたいと思うのであります。もちろん政府側からその團体交渉に出ておりまする者も、そういう地方的な実情等については、十分斟酌するように意見は述ベられるのでありまするが、これは双方の交渉の結果として、まとまる性質のものでありまして、過去のように大藏省の給與局だけが、勝手に一方的にきめるという段階にはないのであります。今までの二千九百二十円の問題をきめまする場合においても、これは完全に組合側と話合いの上できまることになつておる性質のものでありますから、どうかその点をひとつ機会がありますれば地方の組合員の諸君は、その組合本部に向つて、そういう地方の実情を正確に——組合の本部の諸君といえども私はなかなか一々地方の実情をそうこまかいところまで知られるはずはないと思いますから、政府にそういう資料を示していただきまするとともに、組合の本部に向つても、そういう事実を知らして、組合本部をして十分に地方の実情に通ずるようにして、お互いが話を円満に進めて、そうして政府と組合の代表者との間の話が容易に妥結して、その妥結が地方において不平の起らないようにしたい、こういうように考えております。
○佐藤(觀)委員 第二の問題としましては、先ほど倉石君からも御質問がございましたが、三千七百九十一円ベースにつきましては、おそらく労働組合の方面に異論があると思うのであります。おそらくこの七月の末から八月ごろにおきましては、相当この問題につきまして、官公廳方面からも反対があると思うのでありますが、この次の補正予算にいたしましても、これらの新しい賃金ベースの基準を、どのようにおかるベきか、またこれに対する政府がどんなような方法でこの矛盾した三千七百円ベースを打破つていくかというような、腹案がございましたらひとつ御説明願いたいと思います。
○加藤國務大臣 まだその点については何らの腹案がありません。今後はもつぱら組合側との團体交渉において、政府は政府の妥当と信ずる内容を説明し、組合側から組合側の要求に対する説明をお伺いして、両者においていずれも満足というわけにはいきませんが、不満足の中にもこれならばやむを得ないという妥結点を見出すように努力するということでありまして、具体的にいくらのベースがいいということは、まだ何ら算出しておらぬわけであります。
○田中(織)委員 労働大臣に一、二お尋ねしたいのでありますが、この法律は、六月以降の政府職員の俸給等に関する法律案となつておりますが、先般の全官公の爭議の解決にあたりまして、現在までの二千九百二十円ベースは一應一—三月の暫定的な水準であるという了解を労働組合側においてもつておるのであります。今回全官公から要求いたしております五千二百円ベースに対しましても、当然これは四月にさかのぼつて実施する。しかもこの五千二百円の中には物價改訂を織りこんでいない。物價改訂を織りこみますならば、これに倍する額に達すると思うのであります。政府といたしましては六月以降という考え方でありますが、物價改訂を織りこんでおらないという関係、並びに前回の解決にあたつて労働組合側が一—三月の暫定的水準であることを了解しておることと、政府の考え方とに食い違いがありますが、この点は、四月、五月の分については政府としてどういうようにお考えになつておるかを、お伺いしたいと思います。
○加藤國務大臣 ただいまの御質問に対して、まず第一の点は、現在の二千九百二十円という給與は、組合側は一月から三月までの暫定給與と理解しておるが、どうであるか、こういう点でありましたが、これはその通りであります。一月から三月までの暫定給與としてきめられたものであることに相違ありません。ただ問題は、それならば四月になつてただちにかえるかどうか、この点でありますが、そのことは二千九百二十円問題の解決いたしましたときに、四月以降において物價改訂その他重大なる事態の発生したときにおいては適当に考慮されなければならない、こういうように言われてまいつておりまして、きのうもこのことは組合の代表者諸君にも私ははつきり申しました。從つて当時の実情においては、四月の末か、遅くとも五月の初めに物價改訂が行われるという予想がありましたので、四月以降において物價改訂その他重大な事態が発生したときには適当に考慮する、こういうように言つてきたわけであります。その後三月から四月へのやみ物價の移動、さらに四月から五月への動き等を見てみますと、実際において三月から四月へのやみ物價の動きは〇・三でありまして、一%にも達していないのであります。そういうようにほとんど完全と言つてもいいくらいの横ばい状態にありまして、やみ物價は値上りを來していない。そういうような状態でありますから、四月、五月には重大な変更があつたとは思われないのであります。從つて六月十五日から物價改訂を予想しておりますために、賃金は六月分から改めらるベきである。物價は六月十五日でありますが、給與は当然六月一日から改訂される。また当時の考え方におきましては、勤労所得税の問題につきましても、これは元來七月からやるという予定でありましたけれども、物價が六月十五日に改訂されるならば、六月十五日から改定勤労所得税は適用さるベきである、こういうように話が進んできたわけであります。その後物價の改訂も遅れ、從つて勤労所得税法の適用も若干遅れる現実の事態が発生しましたけれども、考え方としてはそういう考え方の上に立つておるわけでありまして、私どもは物價改訂の行われる六月こそ賃金改訂が行わるベき時期である、こういうように考えております。
○田中(織)委員 その点は大臣の御答弁を了解するものでありまするが、次にこの点は黒岩委員からも指摘せられて労働大臣の答弁によつてやや明確になつておるのでありますが、三千七百九十一円というベースはわが社会党といたしましては、先般鈴木政調会長から声明いたしておりますように、これを予算編成上の一つの算定基準と了解しておるのでありますが、それは実質的に五月の一般工業物價賃金水準、政府から発表されておるものから見ましても、これではとうていやつていかれないという根拠に立つておるのでありまして、團体交渉の過程において、これと違つた結論が出るということは当然のことと思うのでありますが、そういう観点から考えますると、現に政府の説明にありまするように、團体交渉が行き惱み状態でありまするから、この三千七百九十一円に基くところのこの給與は、われわれは実質的には團体交渉によつて決定すべかりしものに対する内拂い的の性格をもつておると了解するのでありますが、その点はわれわれの了解するように内拂いと解釈してよいかどうか、その点から当然補正予算の問題が出てくると思うのでありまするが、この点に対する労働大臣の見解をもう一度確かめておきたいと思います。
○加藤國務大臣 第一の三千七百ベース、正確には三千七百九十一円というものは、二十三年度本予算編成の標準としてとられたものであるということは、まつたく私どもも同樣の見解をもつております。問題は後にお示しになりました三千七百九十一円というものを、團体交渉が妥結したときに、あらためて追加予算を出されようとするか。そういう場合に三千七百九十一円というものを内拂いとしてその差額を六月に遡つて拂うかどうか。こういう点にあると思います。その点については政府としてはまだ別に何ら具体的の話合いはしてはおりませんが、今後團体交渉がどのうよに進展していくか、この團体交渉進展の模樣によつて決定さるべきものであつて、いわゆるバツク・ペーの観念によつて、過去にさかのぼつて支拂わぬ。こういう決定的のものとして見ることはできない、私はかように考えております。これはまつたく團体交渉の進展いかんによつて決定する事柄である、このように私は考えております。
○田中(織)委員 もう一点労働大臣にお伺いしておきたいのでありますが、それは今後の團体交渉の過程においても現われる問題だと思うのでありまするが、現在の財政上並びにインフレ阻止という見解から見まして、名目賃金については一つの限界があるということはわれわれも了解されるのであります。この制約のもとにいかにして労働者の生活を確保するかという観点から申しまするならば、当然物の裏づけによる実質賃金の確保ということは、当然政府としても考えられなければならぬ問題だと思うのでありまするが、特にこの物の裏づけによる実質賃金の確保という面について、労働大臣としては具体的にどういう構想をもつておられるか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
○加藤國務大臣 まつたく御説の通り、名目賃金がいくら引上げられましても、実質上の物資の裏づけがなければ、いたずらにインフレを高進せしめる以外の何ものでもない。從つてあくまでも給與は実質的に物資の裏づけによつて保障されなければならない。こういうわけでありまして、これを数字的に見ましても、何らかの方法によれば、物資の裏づけはある程度確保できるのでないか。たとえば現在の生計費指数によりますると、物資の面においては三割五分がやみ物資、これに支拂つておりまする生計費は七割五分を占めておるわけであります。六割五分の配給物資に対して二割五分の生計費が支拂われておる。いかにやみ物資に多くの生計費が支拂われておるかということは、これによつて明瞭であります。從つてもし三割五分というやみ物資が、三割になり二割になるということになりますれば、やみ物資に支拂う生計費の率というものは、非常に減少してくるわけであります。それだけ実質給與の裏づけが確保されるということになるのでありますが、それならば一体政府においては、現在の状態において、そのやみ物資をどれだけ少くする確信があるか。いかに配給物資を増加せしむる自信があるか、こういう点に帰すると思うのでありますが、この点につきまして、現在政府として考えておりまする点は、これも私は率直に申し上げまするが、昨年の片山内閣当時においては、流通秩序の確立ということと、配給物資の計画とが千八百円ベースのときに発表されたわけであります。ところが当時この千八百円賃金ベースは、配給物資計画が実施されることによつて保障されたわけでありまするけれでも、遺憾ながら計画物資は計画通りに配給されなかつた。從つて千八百円ベースというものは破綻を生じたのであります。そういう経驗に鑑みましてもこの内閣においては配給計画を確立したならば、それは單なる机上プランでになくして、実際の配給を保障し得る具体的事実がなければ、容易に計画として発表すべきものでない。こういう観点に立つておりまして、実際に三千七百円程度のものを維持するについて、それだけの率ならば配給は今までと同樣に確保されると思いますが、さらに実質的に高まる生活苦をどうしたら食い止め得るかという点からも、具体的に配給物資を増さなければならぬということになりますると、計画というものは軽々しく発表はできないと思います。そういう点から、まだ発表の最終段階には來ていないのであります。いずれにしましても、こういうことは連合國側の好意ある了解を得なければならぬ点であります。從つて今こういう点についてどの物資をいつ、どのようにして、という具体的の数量と方法等については、目下折衝が続けられておるわけであります。これが完了しますれば、その具体的な配給を確保し得る計画というものが発表されるわけでありますが、今日のところにおいてはまだ発表する段階に達していない。こういう状態であります。
○中曽根委員 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き財務局及び税務署の増設に関し承認を求める件について荒木政務次官にお伺いいたします。この中に東京第二財務局というのがございますが、これは関東地方の北部諸縣を統轄する財務局として設置され、しかもこれは東京に置くことになつているようであります。ところが関東地方の北部というのは独特の地勢入文を有する所でありまして、これが管轄外にあるということは非常に地方民にとつても不便であり、かつ迷惑なことであろうと思うのであります。たとえば繭の資金にしても、あるいは雪害の問題にしても、あるいは災害復旧の資金にしても、そういう問題についても、地元におらなければわからない。そういう点について、東京へ置かなければならないという事情は若干わかります。関係各府縣の妥協がつかなかつたということもあつて、御当局の御苦労も察するのでありますが、永久にここに置くということには私は反対であります。関係各府縣の了解ができ次第速やかに関係各府縣のいずれかにもつてくるということに関して荒木政務次官の御答弁を承りたいと思います。
○荒木政府委員 今中曽根委員の御指摘の通りでありまして、政府といたしましても、その所轄区域外に財務局の本局を置くというのは適切でないということは十分に承知いたしておるのでありますが、今仰せになりましたような事情等もございまして、やむを得ずさしあたり管轄区域外の東京に置く、こういうことに相なつております。從いまして、関係各縣におきまして十二分にお話が進みまして、最も適切であるという所に話がおちつきますれば、その場合には十分に考慮をいたしまして、政府側といたしましても財務局の廳舍の移轉等も考えたいと存ずる次第であります。
○梅林委員長代理 午後二時半より再開いたします。午前中はこれで休憩いたします。 午後一時一分休憩 ————◇————— 午後二時四十六分開議
○早稻田委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。 午前中に提案されておりました全部の法律案を一括して議題といたします。これより質疑を続行いたします。
○小平委員 最初の復金の資本金及び拂込資本金のことについてお伺いいたしたいのであります。政府の提出されました二十三年度予算参考書によりますと、二十三年度末におきまする資本金の見込額が千六百億となつておりまますし、また拂込未済の資本金見込額が九百七十一億円、こういうふうになつておりまして、二十三年度末におきまする拂込済の見込額はこれから計算しますと六百二十九億となるようであります。一方二十三年度の通常予算に掲げております拂込額は百八十億でありまして、現在までの拂込額七十億に加えますと二百五十億ということになります。さきに申し上げました参考書から推定されるところの拂込済の見込額と、予算面から見た拂込済の金額というものが非常に違うようでありますが、これはどういう関係でしようか。
○愛知政府委員 参考書の方に掲げましたのは、率直に申しまして希望と申してよろしいかと思うのであります。そのように最後になることが望ましいという数字でございます。それから拂込みの実額が、御指摘の通り、百八十億と七十億になつておりますのが現実の姿でございます。その間に差が生じておるわけでありますが、その点をさらに今少し説明申し上げますならば、本來復金につきましては、政府の出資とそれに対します実際の政府の拂込額というものはできるだけ多いほど望ましいわけであります。たとえば債券を発行いたしますれば、その債券の総額というものは、出資額の範囲内ではございますが、現実に拂込みがございません部分に相当するものは債券の発行額としてあるわけでございます。それが現実の予算の姿から申しまして、從來は債券の発行額すべてについて何とかしてこれを現金で償還するように心がけてまいつたのでありますが、最近のように債券の発行額が非常に多くなりますと、市中に消化いたしまして市中銀行の手持になるものが約二割あまりになります。たとえば百億の債券を発行いたしましても、二十億あまりしか市中に消化されないのであります。同時にこの市中に消化される部分については、財政の現実がいかに苦しくあつても、これだはけ何としても政府の拂込みによつて現金償還をする。こういう努力をいたしております。從つて二十三年度の今後において発行いたします債券の総額に対しまして、現実の拂込みは非常に少くなつておりますけれどもこれによつてどうにかして市中に消化した債券だけは必ず期限通りに一年以内に現金として清算しよう、こういうことを守つておるわけでございます。從つて、本來あるべき姿とまた現実に償還いたしますものは、他の財政の状況に照らしまして、できるだけ圧縮しなければならぬという要請のために、そこに非常な矛盾を生じておるわけであります。從つて参考書と現実の計数の上には相当の開きが出ておるわけでございます。
○小平委員 一方予算の説明、これは未定稿でありますが、これによりますと、本年度においては百八十億の拂込みを計上する。これは復興金融債券の本年度中に償還期限の到來する分五百五十九億のうち、日本銀行以外の一般市中金融機関の保有にかかるものを目途として、その償還財源として拂いこむ予定である。こういうふうに書いてありますが、そうしますと、ただいま御説明を承つたわけでありますが、本年中に償還期限のくるものはこの説明書に書いてある以上になるわけですか。
○愛知政府委員 復興金融金庫の債券は、現在のところすべて償還期限が一年になつております。從いまして、たとえば今回もし四百五十億の増資が御承認願えれば、復金の現在の資本金額は千三百五十億になります。それから政府出資を除きました残りが債券の発行額になるわけであります。でありますから、四百五十億の増資が認められましても、千三百五十億から政府出資を差引きました残りが今回発行される債券でありますし、それから二十二年度中に発行されました債券が二十三年度中に從つて償還になるわけでありますが、大体参考書に出ております数字はそれ以上には償還の計画がなくてすむというわけであります。つまり一般市中金融機関で消化されました分が二十三年度において現金で償還される。そうしてそれは政府の現実の拂込みということになつてくるわけであります。
○小平委員 そうしますと、参考書に載つている方は、要するに本年度償還すべきもの全額を拂込みをするという建前で参考書ができておるわけでありますか。
○愛知政府委員 大体さように考えてよろしゆうございます。
○小平委員 もう一つ伺いますが、復金の方では本年度におきます貸出しの予定というようなものは大体できておるのでございましようか。
○愛知政府委員 本年度中の貸出しにつきましては、実は第四・四半期についての貸出金の予定というものははつきりしたものはまだできておりません。現在のところは、第二・四半期と、それから第三・四半期の大体の予想をいたしておりますわけでありますが、的確に申しますと、第二・四半期については大体かくあろうと思われる程度ができておるのでありまして、第三・四半期になりますと相当推算がはいつてまいるわけでございます。御参考までに申し上げますならば、第二・四半期におきまして、まず一般産業と公團関係をわけまして、一般産業については、設備資金が大体百七十七億程度、それから運轉資金が五十七億程度、それから公團関係で、設備資金が二十一億円、運轉資金が七十六億円、その総合計が約三百三十二億円程度になるものと想定いたしておるわけであります。
○小平委員 第三・四半期の推定はどうなりますか。
○愛知政府委員 第三・四半期の推定としては、第二・四半期よりもやや多くなるという見込みでございます。
○堀江委員 所得税法の一部を改正する等の法律案でありますが、基礎控除の問題について一番重要なことをお尋ねすることを忘れておつたわけであります。四千八百円が一万五千円になつたことは確かに上つたのでありますが、一万五千円にされた基礎であります。昨年政府は物價をきめる場合において、昭和九年ないし十一年の六十五倍、それから今年の物價改訂において百十倍に物價を改訂されておるようでありますが、この税金の基礎控除の問題を考えてみましたならば、昭和十一年の基礎控除は千二百円であつたわけであります。これを六十五倍あるいは百十倍にしますと相当な額になるわけであります。私いろいろ研究してみまして、物價の上り方、新物價体系と、こうした基礎控除との関係が非常にでこぼこがある。この基礎控除の問題については、同僚委員からいろいろこれが低過ぎるという問題について意見があつたり質問があつたわけであります。考えてみると、そうした物價の指数と基礎控除の指数がとんちんかんである。一万五千円であつたならば、昭和十一年の十二、三倍にしかなつていない。そういう点について大きな疑問と、そうしてこれに対しての不満をもつものでありますが、これに対して、一万五千円をきめられた根本的な基礎というものについての御答弁を願いたいと思うのであります。
○脇阪政府委員 物價の百十倍というのと、今回の基礎控除あるいは勤労控除の上げ方とが著しく不権衡であるということは御指摘の通りであります。しかしながら、実は私も、昭和十一年あるいは九年のベースを基準として基礎控除あるいは扶養控除というものを研究もしてみました。ところが、これはそういうふうにすれば今御指摘の通りであります。しかしそれでは負担は著しく軽くなりますが、現在の財政需要を考えますと、とうていそれをするだけの余裕がないのでございます。そこで政府の方で考えました趣旨は、一應昨年を基準といたしまして、昨年から本年についての、たとえば消費者物價指数、すなわちC・P・Sでありますが、あれを基準にいたしますと、大体今年の五月、六月辺はこれは多少推定がはいつておりますが、昨年の平均に対しまして、八割ないし九割差があるのではないか。それからまた例の勤労者の賃金統計を見まして、それをやはり多少の推定を加えまして、五月、六月辺を見ますと、大体十三割ぐらいの増加率になつておるのであります。そういつた点を考えまして、大体昨年よりは少くとも倍の必要があるのではないか、こういう一應の基本をこしらえました。大体そうなりますと、それを基準にいたしまして、たとえば扶養控除につきましては四千八百円を一万五千円、あるいは昨年は勤労控除でいいますと、四月は三万円でありましたのが、七月からは五万円になつておりますが、それを十五万円にする、あるいは昨年の扶養者控除は一人あたりが、途中で改正がありましたが、平均月三十円になつております。それを百五十円にするというようにいたしまして、概括的に申しますれば、今申しましたように昨年を基準にして、これを合理化し、調整するという方針で、今回の基礎控除その他が出ておるわけであります。
○堀江委員 昨年を基準にされて一万五千円の基礎控除ができたという御説明に対しては了承いたしました。しかし昨年の課税が非常に下に重かつた、農業所得に重かつた、あるいは勤労所得に重かつたということは、たびたび指摘した通りでありまして、今回の税制がそうした不当なるところの昨年の課税の基準を標準とされておるということは、ことしの税制も不当であるという結果を招くものではないかというふうに考えるものであります。いたずらに、ほかのものはみなパリティー計算、倍率をもつてされておるにかかわらず、この基礎控除なりあるいは勤労控除、そうしたものを昨年の不当なるものを基礎においてやられるということについては、大いに意見をもつておるものでありますが、これは討論になりますので、省略するといたしまして、租税完納の問題について、租税を完納するということは少くとも公平な税制のもとでなければならないということは当然なことであります。そうした問題について、私廣島財務局に行きまして財務当局とも話し、また財務労働組合の諸君とも話したときに聽いた話でありますが、昨年の場合において、五万円以下の所得からはいつた全体の税金は三割にすぎない。五万円以上の所得からの税金が七割である。むしろ税率を上げることが、大所得者に対するところの徴税が的確に調査ができて増收になるというような意見を拜聽し、もつともなことであるというふうに考えたのであまりす。非常に小所得者に多く、小所得者を対象とするがゆえに、非常に税務の第一線としては、手が足りない。十分な調査ができないために、税金の不当なる課税となつて現われ、また不公正な税金がかけられるということになると考え、財務労働組合の代表の諸君の御意見をもつともと感じた次第でありまして、これに対して当局はいかにお考えになるか。小さい税金を追求することが正しいか、あるいは納税の成績があがるか、租税完納の目標に適するかどうか。またこれはたびたび論じられました最低生活費の問題にも関連するわけなのでありますが、納税技術の上からいいましても、そういう意見をあなたの部下の財務労働組合から聽いたわけでありまして、それに対する御見解を承りたいと思います。
○脇阪政府委員 租税が公平でなければならぬ。その公平な租税制度を基本として納税完遂運動というものが円満にいくというのは、御指摘の通りでございます。從いましてわれわれとしても、できるだけ負担の合理化、調整をはかつたわけであります。最前申し上げませんでしたが、最前申し上げましたのは、扶養控除あるいは勤労控除の問題でありまして、それと同時に税率を著しく合理化したつもりでございます。すなわち今御指摘の、たとえば五万円以上の者につきましては、現在の法律でありますと五〇%になつております。それを昨年十二月、いろいろな関係から、七万円以上はさらにあとになつて上げました関係上、かなり高かつたわけでありますが、今回はそれを、二十万円を超ゆる所得についてはじめて五〇%の税率を適用する、こういうようにいたしておるのであります。從いまして、これによつて勤労控除の関係と、今申しました扶養控除その他税率を合わせますと、私は小額所得者、特に勤労所得階級には相当の負担軽減になつておると考えるのであります。大所得者に対して課税するよりは小所得者に課税するのが技術的に樂だとか何とか、そういう見方もあると思いますけれども、われわれといたしましては、大所得者は当然それを調べまして、課税を徹底的に行うべきものであると考えております。その点につきましては、しからばやみ利得の捕捉が不十分であるというような点につきまして、ここにおきましても、あるいは参議院の方におきましても、たびたび指摘を受けておるのであります。この点につきましては、なかなかやみ利得の課税ということはむつかしいのであります。実際むつかしいのでありますが、これは税制の問題よりは、むしろ徴税機構の問題でありますので、前にあるいは局長から答弁いたしたかもしれませんが、今度は國税査察官という制度を設けまして、本省財務局にこれを配置いたしまして、少くとも大口のやみ利得が租税を免れるというようなことのないように、できるだけ重点をそこにおいて運用していきたいと思つております。相当の効果があると考えております。決して小額所得者だけが、とりよいからとるというような考えをもつておるわけではございません。
○堀江委員 ちよつと今の問題について、全財労の諸君の指摘されましたように、五万以下の所得からは全体の三割しかあがらない。五万円以上の所得で七割あがる。小所得者を多く追求することは、今の税務署では手が足りない。小所得者の控除額を上げて、そうして大所得者の方に重点をおいた方が、納税の実績があがるという意見を拜聽したわけでありまして、それに対して今の税務署の陣営からいつて、あまりに手を拡げる納税対策を起されることは、納税比率上正確な課税ができぬという結果になるという意見を、全財労の諸君から聽いたのでありますが、それに対しての御見解を承つたのであります。
○脇阪政府委員 たいへん失礼いたしました。ちよつと感違いをいたしておりましたが、それは一般的に申しますれば、たとえば納税者の数を少くいたしまして、課税の充実の方に力を入れていけば、相当の効果があるということは認められると思います。認められるとは思いますが、しかしながらいかに課税の充実をいたしましても、やはり現在の財政事情から考えれば、所得がある程度小さくても、その人も納税していただくようにやらなければ、全体としての收入はなかなか所期しがたいと考えます。
○後藤委員 総合行政企画をやられる安本当局に、この機会に二、三伺つてみたいと思います。今日の國が行いまする施策につきましては、賃金ベース並びに物價、國家財政、課税、一連の有機性をもつておることは周知の事実でありまするが、この中の物價の面から見ました御見解を安本当局に伺つてみたいと思うのであります。昨年の千八百円ベースの設定が、すなわち賃金と物價の惡循環をそこで打切ろうという一つの試みであつたのであります。しかるにこれは当時の和田安本長官の言明でありましたところの十一月黒字説がふつ飛びまして、遂に二・八箇月分の補給金を出さなければならぬということになつて、政府の施策は一應失敗したのであります。再び現芦田内閣になりまして、ただいまの当局は三千七百円ベースに引上げることによつて、安定帶物資を昨年の六十倍ないし六十五倍のラインから、百十倍もしくは百二十倍のラインまでものによつてはやむなし、こういうことにされておるのであります。何のことはない、一箇年経過いたしました今日におきまして、千八百円ベース設定の当時から見ますと、満一箇年を経過しない今日に、すでに惡循環を断ち切るベきはずであつた施策自体が、政府みずからが三千七百円ベースたらしめ、六十倍ないし六十五倍を百十倍ないし百二十倍にもつていかねばならぬ、こういうような惡循環を施策の上に認めて、政府自体がやつていかねばならぬということは、はたしてわが國のインフレ高進の阻止に対して大目的を果しておるかどうか、施策の上においてこの反省が必要であると思うのであります。私の見解から申しますと、一應労働攻勢の重圧に耐えかねて、賃金ベースの引上げを政府が容認をする。この新賃金ベースの設定の結果、それに適合するところの物價を策定する。最も安易なる途であります。政治的に弱い。この安易な途を選んだことが、とりもなおさずただいま指摘いたしまするように、政府みずからが施策の上において三千七百円ベースたらしめ、百十倍ないし百二十倍ならしめておるのではないか。少くとも國際経済との連関性の上において、わが國の経済のインフレ高進を阻止せんとする試みがあるならば、もつと強力な施策を、こういうような少くとも低物價政策の方に賃金の実質化をはかつて向けるのが、むずかしいけれども、正道である。賃金ベースの引上げと、それを要素とした價格の引上げであるならば、だれでもやる。自然に放任をした賃金、物價の惡循環と、政府がここで打切るベしとした千八百円ベース竝びに今日の三千七百円ベースの策定においては、私は何らそこに政治性の効果が認められない。かように考えているのであります。むしろ私自体といたしましては、強力なる政治性による実質賃金の裏打ち、低物價政策には、かような方途はもつベきでない、かように考えているのであります。しかも今まさに策定せんとする三千七百円ベースと、百十倍ないし百二十倍の倍率によるところの新物價は、すでに実施を見ない今日、全官公廳その他の要求によつて五千円ベースが要求されんとしつつある。実施前からまさに新物價体系崩壊の危機に瀕しているではないか。この点に関してのまず一般的なお考え方を聽かしていただきたいと思うのであります。逐次質問を行いたいと思います。
○谷口政府委員 お答えいたします。昨年の價格体系設定以後一年を経過して、水準を高くしてまた再びここに均衡をとつて出発しなければならぬことは、インフレーションの高進ではないか、これは物價と賃金の惡循環を断つて、インフレーションの高進を防ごうとする施策に反するのではないか、こういう御質問であつたと思うのであります。昨年の七月の体系におきましては、物價と賃金との惡循環を断ち、そうして企業を正常なルートルに乘せて、経済の正常化をはかり、インフレーションの高進をチェツクしていくという方針に出たことは、お説の通りであります。その後流通秩序の確立とか、実質賃金の充実に努力をしてまいつたわけであります。その後の経済は御承知のように、賃金は物價の上昇率を上まわつて上つてまいつております。また実質賃金の充実の面につきましては、昨年の八月以來満配の事情を継続いたしているのであります。食糧に関する限りは一應の目的をはたしているのでありますが、賃金の上昇以上になつたのでありまして、実質賃金の上昇、つまり賃金の手取額と物價との対比において実質賃金を出してみますと、これは昨年の八月以降逐次上昇しているのであります。大体今年の三、四月の交におきまして二割見当の高さをもつているのであります。こういうふうになつて出てきました結果は、企業におきましては昨年の七月價格体系設定当時ペーしたものが、最近赤字が生ずるというような情勢になつたのであります。この情勢をどうして処理するかというのが問題であります。價格の水準を維持するためには、補給金なりあるいは赤字の金融をもつてきつく抑えていく方法もあるのであります。しかしこれは財政的見地なりあるいは通貨の見地から、いつまでもそういつた施策はできないのであります。やはりインフレーションが昨年以來徐々に高進してまいつた。そのアンバランスをここで國民経済の見地から戰線を整理して再出発をしなければならぬという段階に達したのが今日の状況であります。このたび予算なり物價、賃金をこの面におきまして國民経済的な見地から一應均衡ある体系に整えたというのが今日の段階であります。
○後藤委員 大臣がお見えになりましたから以下私が行いまする質問につきましては、大臣の御答弁を得れば仕合せだと存ずるのであります。客観的に見ますと、今や三千七百円ベースとこの新價格体系が出発をせんとする今日、すでに労働攻勢の段階にはいつておるのでありまして、わが國においておそらく本月中ないし八月中には労働攻勢が熾烈になつて——百十倍、百二十倍の比率による新物價と三千七百円ベースというものは適合せざるものである、すでに五千円ベースを唱えておる。労働攻勢が熾烈になつて政府がこれに対應しなければやむを得ないだろうということは、すでに今日客観的に容認し得る状態であります。しからばこれが事実として現われてまいりまして、七、八月にさらに給與水準を引上げねばならないということに相なりますならば、今回の價格形式はその改正をすべき賃金ベースによつてただちに運賃の改正となり、あるいは生産費の高騰となりまして、現在の價格体系の変更にまでさかのぼらなければならない、かように私は考えておるのであります。この点に関しましてまず御所見を伺つてみたいと思うのであります。
○北村國務大臣 お答え申し上げます。大体今日のような経済の安定を欠いております際に、年間を通じて予算を編成するということは非常に困難な仕事でございます。さればといつて暫定予算を続けるわけにはむろんまいりませんし、また一應現実の数字をもとにしてあとはどんどん追加、補正等をやるというような態度も、これは予算の編成の態度としてよろしくない。それで今回私どもは非常に困難ではありますけれども、財政の実情と、それから物價、賃金等を均衡的ににらみ合わせまして、こういう観点から予算の編成に当つたのであります。そこで問題になりますことは、ただいま御指摘になりました物價と賃金の問題が非常に大きな問題になるわけであります。これは私どもといたしましては、財政当局といたしまして一應の見透しをつけて、賃金は三千七百円ベース、物價は新物價というものを立てまして、これに基いて一つの一貫した予算をつくつた次第でございます。それでこれがはたして事実維持できるかどうかというようなことが問題になると思うのでありますけれども、これはすでに物價廳関係から御答弁があつたかとも思いますが、三千七百円を決定いたしますには、それぞれの根拠をもつていたしましたので、從つて予算編成当時入手し得る限りの材料に基いて編成をいたしたのであります。しかしながら年間の予算でございますから、どうしてもこれはあるところまでは具体的な既往の事実としての統計に基き、あるところから先はそういうものを基礎として方法は科学的であらねばなりませんけれども、一應の見透しというものをつけなければならない。從つて將來その通りになるかならないかということに問題がひつかかつてくる、さように思うのであります。三千七百九十一円が妥当であるかないかということは、計算上は妥当である、しかしそういう名目賃金をもつて実質的に將來ずつと続けられるかどうかということは、これは今後の國の生産の量、それから主として消費物質の供給量等に依存するわけでありまして、從つてそれがどうなるかということが最後に実質的に三千七百九十一円が保持できるかどうかということをきめることになると思うのであります。私どもの見透しといたしましては、今まで大体配給は順調にいつておる、しかしながら今回の三千七百九十一円を決定するにあたりましても、数量的にはこの金の七五%が非配給物資、やみを含むところの自由物資である、かような変態的な状態がわれわれの考えております生産の増強にその他の各般の努力によつて漸次改善されていくという見透しをつけておるのであります。從いまして七五%の自由物資が金額的に七〇%、六〇%になり、五〇%になるということによつて、実質的な賃金が上り、実質の裏づけができる、かように考え、また日本の実情から申しましてこれから先物價は上るのだ、インフレはますます激しくなるのだというようなことでは、いつまで経つても安定できませんので、政府といたしましては政府の願いとそれから政府の見透しと今までの事実等々から考えまして、三千七百九十一円を妥当の線としてこれを守るために全力を盡す。という意味は消費財の供給、裏づけ物資の供給等において遺憾なきを期する、かようなことによつてどうしてもこの線を守りながら健全財政を保持しなければならぬというような内外の情勢を深く考えまして、これで予算を立てたのでございますから、私どもといたしましてはこの点からいろいろな事実とそれから見透しをつけて三千七百九十一円は一應妥当な線である。実際問題としてはこれはもちろん團体交渉等しなければなりませんので、また現にやりつつあるのでありますから、それはどうなるか今わかりませんけれども、財政当局としての予算の立て方としてはこれでやるべきであるし、また日本の財政の現状等から考えましてこの線を守り、また勤労者諸君にもこの線でやつていけるように裏づけ的な努力を十分するということでやるよりほか手がない。かように考えましてこの予算を編成いたしたのであります。
○後藤委員 大臣はこの点に関しては御所管外でありますが、閣僚の一人としてこういう結論だけ聽いていただいて次の項目に移りたいと思います。その結論は千八百円ベースは十一月黒字説で破れましたが、とにもかくにもその期間支え得た。年末に至つて二・八の補給金も呑まざるを得ない状態だつた。本年の三千七百円ベースはそれから百十倍、百二十倍の安定帶物資はすでに出発当初からその矛盾を指摘されておる。昨年の千八百円ベース並びに安定ライン物資の價格と賃金の割合が本年はより以上に拙劣さが客観的に見受けられる。それはすでに出発点において崩壊せんとしておるのである。こういう点を指摘しておきたいと存じます。 次に所管大臣といたしましての大臣に直接に伺う問題といたしまして、私は今回政府から物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律案がさらに本委員会に提出をされておるのでありますが、これらを見ますと申請一件に対して五十円の手数料、それから配給に相なりました物資に対して一%の割当料を徴收しようというのであります。政府が統制をいたします物資の配給に対して一%を賦課するということは、取引高税をさらに延長いたしまして、減免資材に対して一%を課税していこうということで、取引高税がさらに國が統制する原料の配給量にまで及んでおる。こういう実体をこの法案を通じてみることができるのでありますが、この法律で源泉において減免資材に対して一%をとり、各段階において取引高税を一%とるということと、基礎的に價格差補給金を出しておることと、根本精神において背馳しないのか。この点に対してまず御所見を伺つてみたいと思うのであります。
○北村國務大臣 今回特配物資等についての手数料制度でありますが、これは税ではございません。手数料でありまして、今日の場合にそれを受けるということは、ある意味においての一つの特権であるとも考えられる。それからまたその実費に当るものだけをまず利用する人からとるということは、それだけのものを大衆全体の負担にするよりも、利用者から適当な妥当な手数料をもらつて、それで決済して、一般國民大衆の負担から除くということは、これは一つの受益者負担という意味においての負担であつて、税ではありません。手数料であるというような意味で、これは私ども妥当であるというように考えて提案をいたしたのであります。それからこれは價格差補給とは別に関係なしに考えてよいのであります。價格差補給は物價政策の観点からいたしたことでありまして、この割当の手数というものが実に煩鎖な大きなものでありまして、これを國の経費で一般に割かけて全國民の負担にすることは妥当でない、むしろこの点は受益者負担的に徴收して、これで大体過不足なしというような程度に手数料をとるということは、現状においてはやむを得ないことであるし、また必ずしもこれは間違つたことではない、かように考えまして提案をいたした次第であります。
○後藤委員 御説のように法律案自体は税とは書いてないのであります。しかし行います内容につきましては、そのものの量と價格に比例いたしまして一%とるのであります。これは重要物資に対しまして、源泉において價格差補給金を附與することによつて、末端の物價高に及ぼす影響を源泉において立ち切らんとするそのねらいとまつたく相背馳するのであります。税ではありませんけれども、名目は税でなくても、要素は量と價格に比例して一%とられます限りにおいては、價格差補給金のねらいとまつたく逆に物價に轉嫁されるのであります。これは、取引高税が各段階において一%ずつ賦課されることが末端の價格に轉嫁されるということとひとしい理論になるのであります。これらを合わせました平年度の額と、それから價格差補給金を支給いたします本年度の約五百億と、大体金額においてマツチしてくるのであります。ここでもはや價格差補給金と低物價政策——何段階か経ますことによつて、末端の價格が高くなることを押えんといたしますところの價格差補給金のねらいの精神とはまつたく相背馳するのでございまして、私は税の性質であるとか、手数料であるとかいう名目にこだわらずに、その実質においてこの手数料の徴收といい、あるいは取引高税、これらの二つのもつております要素が、價格差補給金を出そうとする要素とまつたく相容れないギャツプのある政策である、この点を申しているのであります。
○北村國務大臣 御説のように、價格差補給金は國の物價政策からくる一つの重要な方策であると思うのであります。金額から申しますと、昨年の七十億も含んでおりますが、五百十五億、今回の手数料は総額で十九億でこれくらいの負担は國民全体の負担にすべきではなく、利用する方に負担してもらうのが妥当であると私は信じているのであります。このことが五百十五億に及ぶ價格差補給と、わずかに十九億の手数料というものとは、性質も違いますし、必ずしも比較して論ぜられるほどのものではない、かように考えている次第であります。
○後藤委員 どうも私の質疑が御理解されておらないようでありますが、私はこの法案單独に申しているのではありませんので、これらの減免資材の配給に対する一%プラス取引高税において、各段階において課税されるところの一%は、末端においては何段階かを経由して、消費者の手にわたります際には、高物價になる要素をもつているのでございます。これの徴收料と取引高税の二つを合した精神と、價格差補給金の精神が相容れない点を指摘しているのであります。
○北村國務大臣 お話でございますが、私どもは妥当であると信じて提案しておるのであります。それから價格差補給金につきましては、これは今回の取引高税の中に規定いたしておりますように、政府から價格差の補給を受けるものについては、取引高税はわく外になつております。全然関係ございません。その点御了承願いたいと思います。
○後藤委員 政府から補給を受けるもの自体の價格は、なるほど取引高税は課しておられまんが、それらが総合的要素となつて一つの物資となり商品となつた際に轉嫁される点を私は指摘しておるのでありますが、これ以上申し上げることは、かえつて討論がましくなるから、この程度にしておきたいと思うのであります。 さらに伺いたいと存じますことは、さきに安本の物價関係についてお伺いをしたのでありますが、私どもは今回の経済査察廳が決算委員会において審議されまする際に指摘しておいたのでありますけれども、経済の基礎的に重要な地位を占むるもの以外には、價格の面においても、あるいは物の面においても、可及的に統制をはずしたい、その統制の撤廃が前提となつて、基礎重要的な商品にのみ限局して、それを前提として経済査察廳を認めていきたい、こういう考え方をもつておつたのでありまするけれども、政府はそれに対しての考え方を、今回の價格改正とにらみ合わせて、どの程度までまず價格の面からする統制をこの際撤廃することを用意しておられますか、この機会に伺いたいのであります。
○谷口政府委員 このたびの價格の補正に際し、價格統制を撤廃する範囲はいかんという御質問と了承いたします。重要物資及び日用の必需物資につきまして統制を続けなければならぬ今日におきまして、價格関係におきましては依存度が非常にあるものでありますから、これを廃止いたします限度もおのずから限られておるわけであります。しかしながら過去の統制の結果から考えまして、この際ある程度の價格の統制を廃除していくという方針をとつております。今、次に申しますような方針のもとにやつておるのでありますが、関係方面と折衝中でありまして、品目のお話はこの際できないことを御了承願いたいのであります。まず現在價格統制の対象となつております品物の中で、重要物資の生産とか、または日常、生活上あまり重要でないもの、統制を継続することがあまり実積がないもの、こういつたようなものはこの際撤廃を考慮するという方針でおります。 第二には、この價格統制が技術的に困難であるもので、しかも重要物資の生産上、または日常生活上あまり影響がない、そういつたようなものは、この際技術的観点からも撤廃を考慮したいという考え方をもつております。 第三には需給の関係であります。今日相当やみ價格とマル公とが接近しているものもあります。そういうようなものは、このたび原價計算によつてマル公をつけますと、やみ價格よりもマル公の方が高くなるといつたようなものは生ずる場合もあろうかと思いますが、そういつたものにつきましては、この際價格統制を廃除することを特に考慮したい、こういうふうに考えて、今物價廳におきまして、これらの方針に則つて品目を選定し、G・H・Qと折衝中であります。そのうちにこれも遠からぬ時日におきまして、発表ができる段階になると思いますから、御了承願いたいと思います。
○後藤委員 具体的な品目に関しましてはそういう関係でありまするから私も伺いたいとは思いませんが、大体その限界で、たとえばどう程度の品目、つまり何十種類あるいは何百種類の程度、その範囲並びにほぼめやすのつく時期等について、この機会に御言明を願いたい。
○谷口政府委員 今考慮いたしております品目をここに拾つて考えてみますと、的確な資料をもちませんが、やはり数百に上ると思います。それから時期は大体七月中には発表できる時期になると考えております。
○後藤委員 なお伺いたいのですが、今同審査会へ出たい関係もありますので、この程度で私の質疑は打切ります。
○早稻田委員長 堀江君に申し上げます。午前中に御質疑のありました保險関係について、逓信省保險局長が見えておりますので御質疑を願います。
○堀江委員 簡易保險局長には質問の趣意を今話しまして御回当願うわけでありますが、大藏大臣はお忙しいようですから一点だけ質問したいと思います。企業再建整備法の一部を改正する法律案におきましては、百六十三億かの交付公債を発行されて、その損害の担保に充てられるようなことになつていることを午前の説明によつて拜承したのであります。これに対しまして、私政府委員の方に、この交付公債なるものは赤字公債と性質が同じものであるとの見解を自分はもつている、それに対して赤字公債に類するものであるかないかという質問をしたわけですが、その御答弁を保留されたのであります。これは健全財政の建前をとつておられるところの大藏当局にとつて重大な問題であると考えるのでこの点御回答を願いたい。
○北村國務大臣 交付公債を発行いたしますにいたりました原因は、御承知の通り、日本の歴史あつて以來非常にドラスチックな軍需補償を全部打切るというようなことをやつた。しかもそれは主として金融機関の犠牲においてやつた。それで打切られた軍需会社そのものよりも、それに最大の債権をもつておつた金融機関が総倒れにならざるを得ないような状況になりまして、政府としてこれに対して一部の補償をすることは当然でございます。從つてその補償を現金でやるべきでありますけれども、いゆわる交付公債すなわち代償発行という観念で交付公債をもつて現金にかえたというのでございまして、從つて多年にわたる日本の経済の大問題でありました軍需補償の打切りという、政府としては一應約束した重大な契約を打切つて、そうしてこれで決済をした結晶が交付公債となつて現われたのでございます。但しこれは御承知の通り、政府の交付公債は出ましたけれども、これをもつて全部の決済が終つたわけではなくして、最近の金融機関再建整備法においてあるものは百パーセント株券を失つた、多くの者は九十パーセント失つた。各政府の金融機関の犠牲においてという意味は、資本金の全額あるいは九割を失うほどの犠牲において預金を守りながら、政府の一方的な措置である軍需補償の打切りをしたようなことになりまして、その一部を政府が負担した。それが今度の交付公債でございまして、これは現金で拂わるべきものを便宜公債の形で渡したというだけでございます。そういう性質のものでございますから、これは交付公債で出したことは妥当である、こういうふうに考えております。
○堀江委員 妥当であるかどうか、その措置が正しいかどうかということにつきましては、ただいまの大藏大臣の御説明を了承するものであります。それをおやりになることに対しては何ら反対するものではありません。これが健全財政の建前をとつておられる大藏当局の方針と違いはしないか、つまりこれは赤字公債ではないかということを質問しておるわけであります。その御見解を伺いたい。
○北村國務大臣 これはいわゆる赤字公債とは考えておりません。この交付公債はすなわち代償発行でありまして、政府の債務をそれで消したのでありますから、必ずしも赤字公債とは思つていないのであります。現在の財政事情において現金で交付することといずれをとるかを考えてみます場合に交付公債でやつた方が財政的にも妥当であると考えるのでありまして、いわゆる赤字公債とはおのずから別に考えなければならぬと思います。
○倉石委員 大藏大臣がお見えになつておられますから、ただいま提案になつております政府職員に対する給與の点について簡單にお尋ねいたしたいと思います。すでに物價の改訂も行われておるのであります、賃金ベースもおきめになつたようでありまするが、この程度で政府は別に新しい措置を講ぜられないで、このままいかれる見透しがついておられるかどうか。
○北村國務大臣 私ども財政当局としてはこれでいたしたい。それは裏づけ物資等の配給その他によつて実資的にこれを維持するということは可能である、こういうように考えております。
○倉石委員 ただいまの大藏大臣の御答弁で了承できたのでありますが、本会議の予算の質疑においてやはりただいまの御答弁と同じような御答弁を得ておるのであります。政府は本予算を編成されますときに、賃金ベースはもちろん三千七百九十一円を基準におやりになつたものであると思うのでありますが、さよう了承してよろしゆうございますか。
○北村國務大臣 さようであります。
○倉石委員 それではお伺いいたしますが、ただいま官公労組の代表者と政府とが折衝されておりますあの問題は、労組の方では遠からず中労委に提訴するということを今日もある人が申しておつたのでありますが、大藏大臣のお見込みでは、政府の御予定の通りに進行できるとお考えでありますかどうか。
○北村國務大臣 さきに私申し述べましたけれども、財政当局としてはということを申しました。予算を編成いたします財政当局としては、その予算を編成いたします当時の最も入手し得る限りの材料に基き一應の現実の点を押え、また先を見透して全般の予算を立てたのでありますから、われわれとしてこれを維持しなければならない責任を感じますが、また維持しなければならない、かように思うのでありますが、しかしながら御承知の通り、これは團体交渉しなければならない問題でございまして、政府は予算編成にあたつて財政当局者として賃金ベースをどうするかという問題を解決いたしたのであります。目下團体交渉中でありますが、その結果どうなるかはおのずから別問題である、かように考えておるのであります。
○倉石委員 大藏大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、しばしば物價の改訂を行うべきものでないことはもちろんであります。最近行われておりまする、いわゆる補正物價は大体ただいまの政府のお見透しではどの程度これを崩壊せずにすむとお考えか、その点をお伺いいたします。
○北村國務大臣 これはこの委員会で申し上げたかと思うのでありますが、大体経済が安定を欠いておるときにおいて、年間を通じての予算を編成するということは、非常に困難なことであります。從つて物價が上ればおのずから補正追加でやるという手もあるし、また暫定予算なんかの手もあるのでありますけれども、さような形体はこれは変態予算であります。どうしても年間予算を立てなければならぬというので、年間予算を立てたわけでございますが、これにあたりまして、一番問題となります点は、やはり賃金の問題であります。賃金をどうするか、賃金と物價、これは一つの相関性のもとで、もう少し詳しく申しますと、財政と賃金と物價との相関的な観点の上で賃金をいくらと決定し、物價をどうするかというような問題をあらゆる統計資料と現実の面から見まして、判断をつけたのであります。從つて私どもはこの半断が半断通り行くか行かぬかということは、むしろ賃金の貨幣的数量というよりも、実質的に保持できるかどうかの問題でありますから、從つて今後の生産がどうなるかということ、また消費財の供給量がどうなるかということが大きな問題であると思うのであります。かような観点から私どもは今の情勢を考えまして、これならばやつていけるという見透しをつけて立てたわけなのであります。但しこれはこれからの客観的情勢の大なる変化によつていろいろなことが起り得ないとは申されませんし、あるいはお話にあつたような労働攻勢等のこともないとは言えませんので——現に起つているようでありますが、さようなことも問題になると思うのです。ただ財政当局としての私どもはこれでやつていける、またやつていけるように裏づけ物資等の供給に対して全力を盡さなけばならぬ。そうしてこれがやつていけるようにしなければ、日本経済の安定はとうては保持できない、またこういう不安定で、安定点に達することが困難であるとするならば、外資導入とか、その他のいろいろな條件に対して惡影響を與えるので、何とかしてこれで保持できるように最善を盡したい、かように考えておる次第でございます。
○早稻田委員長 大臣に対する御質問はありませんか。
○小平委員 まず今度できます國税犯則取締法についてでありますが、これによりますと、租税納税を妨害する運動につきましては、非常に嚴格に臨まれるようでございます。ここに煽動した者は重い罰則があるようでありますが、この罰則の適用について根本的にどういう御方針で臨むか、それを伺いたいと思います。
○北村國務大臣 これは法文通り実行いたしたい、かように考えております。
○小平委員 具体的に申しますと、本年初頭におきましては、ずいぶん不当課税の反対運動ということが各地に起つたのでありますが、こういうものは取締る御方針であるか、どうですか。
○北村國務大臣 大体御説の通りであります。
○小平委員 不当課税を修正してもらうという運動に対してもさようでございますか。
○北村國務大臣 適正な税においても、徴税当局に欠陷はないと申されません。人間のする仕事でありますから、誤りのある点は是正することは当然でありますけれども、一部で税の完納を阻害するような運動がたくさんあつたのであります。さようなことが起つたのでは財政の面にも、行政の面にも、非常に重大な影響を與えますし、今日税金というものは國家財政の基本をなしておる際でありますから、これに対して明らかに妨害をされておるというような集團的行為のあつた場合には、これは法律を適用する、こう考えております。
○内藤委員 損害保險料率算出團体に関する法律案、これにつきまして、きわめて簡單な一事項についてお尋ねしたいのであります。第九條に「会員を拘束するものであつてはならない。」こう書いてありますが、これは私素人ではなはだどうも申訳ないお尋ねかもしれないがお許しいただきたいと思います。この会員を拘束しないような料率をきめるようなことならば、この法律は要らぬのではないかと思うのでありますが、この点だけひとつお答え願いたいと思います。
○愛知政府委員 ただいまの御質問は、一見いたしますと、まことに御説の通りの感じがいたすのでございます。この料率團体の思想は、何と申しますか、從來の日本的な感覚では、ちよつと解釈しにくい点が率直に申してございます。御承知のように、保險料法で現在規定してありますような料率のきめ方をすれば、独占禁止法違反になる。しからばいかなるきめ方をしたならばいいだろうか。殊に金利についてやつております金利調整委員会というようなやり方をいたします場合には、金利の場合には日本銀行という公的な機関がございまして、それが政府との間に一つのクッションになつて、そこでその委員会が中心になつて議をとりまとめるということになつておりますが、損害保險の料率につきましては日本銀行に相当するようなものも実はございません。しかしながら公正な料率はきめなければならないというので、料率團体の設立ということを法律をもつて認める。そうしてその料率團体に加入いたしました会社が、個々の團体に対して自分らのところの料率をきめる根拠になりますようなあらゆる資料を提供する。そうして各会社が相互に資料を曝け出して、そこで協議をいたしまして、これが一つの公正な料率だという結論を出します。しかしそこでその團体の構成員だけを拘束するような強制的措置をとるならば、それが一種の何と申しますか、独占禁止法に牴触するかのような疑いをもつような團体になるおそれがある。それで一つの料率團体の中できめました料率も、構成員である各社がそれぞれ別個の公益の代表者であり、監督者であるところの大藏省に対して認可の申請をする。そうしてここで認可を受ける。決して同業者間の團体も相互間の拘束力によつてこれを拘束するものではない。こういうような思想構成をとつたわけでございまして、一方においては公益的なものでありますから、公正料率をつくらなければならない。しかもそのつくり方は民主的にかつ明瞭にきめられなければならない。しかしながらそれを認めるかどうかということを、同業者相互間の強制力によるものではなくして、公益を代表しておる政府がこれを認可するものである。こういうような構成をとつたわけであります。非常にまわりくどい説明で恐縮でございますが、そういうことであります。
○塚田委員 所得税法に関連いたしまして主税局長になお一、二の点をお尋ねいたします。第一点は所得を御決定になる場合の債権主義と申しますか、要するに金がはいつていなくても、債権が確定しておればそれで税金をとるという建前が從來の取扱いのようであります。これは理論の上からいけば、私ども別に反対する筋はないのでありますけれども、実際問題としては昨年度の実例なんかにおいても、こんなことがたくさん起つた。殊に農業所得において、米を供出して、米の代金がまだもらえないうちに、税金をどんどんと納めなくちやならないという破目になつて、そうでなくてさえ現金のない單作地帶の農家は非常に困難をいたしたのであります。そこで理論的にはどうお考えになつておるか、これを念のために一つお伺いいたします。 それとなおそれに合わせて取扱い上何か特殊の便宜をはかつていただく途が合いものかということを、ひとつ伺いたいと思います。
○平田(敬)政府委員 ただいまのお尋ねは、政府の更正決定に対しまして、課税上異議があるという場合におきまする税金の徴收の問題であると思いますが、この問題につきましては、税法に規定がある通りでございまして、原則としては、徴收を猶予しない、しかしながらやむを得ない事情がある場合は、認定によつて猶予することもできる。かのように相なつておるわけでありますが、もしも、審査の請求を出せば税金の徴收が当然猶予になるということになりますと、実際上弊害がございますので、さようなことはできないということになつておるのが、現在の税法の建前であると思うのであります。ただ実際問題といたしましては、誤謬が一見して非常に明らかなような場合、その他いかにも納税者にとりまして、ただちに税金を徴收することは明瞭に妥当を欠くという場合におきましては、行政の運営上しかるべく措置ができる、かように考えておる次第であります。
○塚田委員 御答弁が少し食い違つておるのじやないかと思うのであります。私のお尋ねしたのは、別に異議があるというのではなく、確かにそれだけの所得があるのだし、それに対して異議があるのではないが、金がまだもらえていない、そして税金はすぐにも納めろ、しかもその金がもらえてないのは、政府がまたお支拂いにならないのだということであつて、一方では税金はどんどん取立てられてしまうというのでは、單作地帶のように、供出代金以外に全然收入のない地方は、まつたく困るのであります。そこでそういうものを取扱い上何か便宜にやつていただけないかということになるのでありますが、この点もう一度伺います。
○平田(敬)政府委員 所得税は、御承知の通り、最後の格定申告の場合でありますと、前年の所得をもとにいたしまして、所得額を計算して、その所得額に対する税額を一月末までに納める、かようなことになつておる次第であります。從いまして、今お話のように、少し米の供出が遅れたとか、あるいは供出は早くしたが、代金がはいらないという場合におきましては、若干納税者にとりまして納めにくいという場合があろうかと思います。この点につきましては、一方におきましては、支拂い等の促進をはかると同時に、納税者におきましても、事前にそういうことについて認識をはつきりしていただきまして、できる限り納税の確保ができますようにお願いいたしたいと考えておる次第であります。これは全面的に延ばすということは、なかなか困難だろうと、かように考えております。
○塚田委員 政治は温情をもつてやつていただくという途も、必ずしも法律通りということでなくとも、あるのでありまして、何とか事前にとおつしやつても、実際上何とかなるようならば何とかするのでありまして、事前に何ともならない。昨年の実際などにも、ほんとうにきびしく税金の取立てが來た、しかしまだ金がもらつていないということになつておつた実例があつたのであります。今の御答弁のようなことでは実際困るのでありまして、そういう特殊な事情があるならば、そのときそのときに何とかひとつ善処させるというような御答弁でもいただけないものかということなのであります。
○平田(敬)政府委員 実際問題といたしましては、更正決定等が若干遅れることが通常でありますので、そういうようなことによりまして、相当程度調節はできるのではないかと考えておる次第であります。ただそのことのために遅らすということは、ちよつと申し上げかねますことを御了承願いたいと思います。
○塚田委員 それではこの問題はこれくらいで了解できたことにいたしまして、次に、前にちよつとお尋ねしたかと思つておりますが、第三國人の税というものが、これは法律の上からは当然大体の税はとるということになつておるのでありますし、もちろんその線に沿つて努力せられておると思うのであります。そこで昭和二十二年度あたりの実例において、どれくらいの税が所得税において現実にはいつておるかというようなこと、並びに第三國人の税について、政府当局がどういう態度で今後臨まれんとしておられるかということをお伺いいたしたいと思います。
○平田(敬)政府委員 第三國人の課税の問題につきましては、先般ある委員のお尋ねによりまして、その方針及び現在の運用の実際につきまして、御説明申し上げておいたのでございますが、私どものところにおきましても、特別にそういうものだけについて調査した資料は目下もつておりません。ただ先日も申し上げておきましたように、最も活発に活躍をしておられる地域は、神戸と横浜のようでありまして、目下神戸、横浜につきまして、確定申告の不十分なものに対しまして、更正決定等の手続によつて納税の促進をはかつておるような次第であります。人員から申しますと、神戸、横浜ともそれぞれ千名ぐらい、千名は超るかと思いますが、相当の人がまとまつて営業しておられまして、本年度は相当の納税をしていただけるのではないかということで、目下進めておる次第であります。
○塚田委員 二十二年度におきましては、数字は調査がないということでありますが、相当な收入が課税の上において得られておりました。
○平田(敬)政府委員 確定申告によつてある程度の額は出てきていたと思います。ただその額が相当私どもの調査と比べまして低いので、そういう意味におきまして目下更正決定の手続をとるべく進めておる次第でございます。
○宮幡委員 だんだん時間も迫つてまいりましたようで、実は税法関係の質問は、勝手に申せばまだたくさんあるわけでありますが、政府当局並びに與党の御意向も尊重いたしまして、きわめて必要な点と思うところを一、二質問させていただきます。まず主税局長さんに所得税法等についてお尋ねいたしますが、今度の改正案を拜見いたしますと、所得税といわず、法人税といわず、いわゆる税務官吏の調査質問等の権限が大きく規定せられるようになつております。元來新憲法の趣旨によりますと、いわゆる基本的人権を尊重する立場から見ますと、一方において権限が強化されますならば、これに対應しますところの一種の弁護権というものが相対應して規定さるべきものと、私は確信いたしております。從つてかように調査、質問等の権限が拡大されまして、罰則も強化せられたことに対應して、納税義務者もやはり保護するという規定を設けるべきであります。具体的例で申しますと、ただいま塚田委員からも質問がございましたが、更正決定に対しまして、いわゆる審査請求、異議申立の期間は一箇月と定められておりますが、これに対しましてこの異議申立を調査決定して、納税義務者の通知いたします政府側の期限の定めがございません。從つて政府の御都合、いわゆる出先税務署の御都合で、半年でも、一年でも、二年でも、三年でも——税の時効になるまではひつぱらないでありましようが、それに近い期間までひつぱつても、早くやつてくれなければ困るではないかという苦情だけは言えますけれども、法的にこれを救済する手段がないのでありまして、まことに片手落ちであると思います。殊に最近は事務当局でもしばしば御声明の通り、質的に量的に税務署の機構が弱体化されておりまして、なお全財労組の会議等が、働いております場合にひんぴんと行われまして、事務が遅延に遅延を重ねております。天災地変その他不可抗力というような理由によります遷延ならば了解できるのでありますが、場合によつては故意、惡意とさえ認められる遷延、遅延の策が講ぜられておるのであります。これでは納税義務者は何ら審査請求によつて救済される途がない、かように断じてもよいというような場面がしばしばあるのでございます。よつてわれわれといたしましては、でき得ますものならば、これに対して調査決定して、その異議申立に対しまする補正なり修正なりその他の処置をいたしまして、納税義務者に通知いたします期間の定めを政府としておつくり願いたい、かように考えておりますが、この点いかなるものでございますか。
○平田(敬)政府委員 御説の通り、異議の申立をいたした場合におきましても、でき得る限り早く調査して、適正な課税に引直すということは、これは当然のことと考えているわけでありまして、今年度におきましても現実においていろいろな事態が起きている事実に鑑みまして、特別に通牒を発して、実は敏速なる措置を督励いたしてまいつたわけでございます。從つて本年度におきましても、先般も申し上げましたように、大体六月末で異議の申立は七、八割程度、局によつては八、九割程度まで処理できているような状態であります。ただ法律によつて、一定の期間を設けて、全部その期間までに納めるように、右から左にきめたらどうかというようなお話でありますが、これも有力なる一案であろうと考えますけれども、しかし多数の納税者の中には、なかなか調査困難なるものがございまして、殊に今日の複雜なる経済状態のもとにおきましては、あまりに急ぎますとかえつて課税の適正を失したり、あるいは納税者に対しましても、逆に不親切な結果にならぬとも限らないのでありまして、一般的に調査、審査の請求があつた場合におきまして、なるべく早く処理するという御方針にはまつたく賛成でございますが、法律によつて全部画一的にきめるということにつきましては、今の段階においては、どうも私どもとしてはかえつていい結果を生ずるかどうか、大いに疑問に考えている次第でございますが、將來におきましては、それは一つの方法だろうと思うわけでございますが、今の段階においては、画一的に期限をきめることは、かえつてどうかというおそれがあるので、國会の批判を受けて、適正に処理すべく全力を上げてまいりたいと考えております。
○宮幡委員 ただいまの主税局長の御答弁は、一應了承するものでありまして、近くさような処置を講じたいという御意図のあることは、國家のために御同慶にたえないわけであります。ただその中で、もし期限を法定したならば、その期限内にむりにきめることになつて、かえつて納税者との摩擦が起きるだろうという点について、さらに御再考を煩わしたいと思うのであります。それはどうも調査が困難であるから、かりに二箇月なり三箇月の処理期間をきめても、その間にできないので、やむを得ないからこちらの言う通り押しつけてしまえということではなく、ほんとうにまだ調査が済まないというような場合には、一應の期限は二箇月なら二箇月となつていても、政府が調査未了のために特に通牒を発して、これの期限を延長できるというような、補足的な條項を設ければ、惡質納税者に対して乘ぜられるようなおそれはさらにないと思います。かような点を十分考慮せられて、近き將來に何らかの処理をおとりになるということに、御再考をお願いいたしたいと思います。 さらに法人税について申しますと、六十日以内に、いわゆる二箇月の間に申告納税をいたしまして、それに対して調査の行われるのは、最も早くても六箇月ないし一年の間であります。これは納税者の方の側から行けば、一應納税が済んでおるのでありまして、更正決定のあつた場合においては、その更正決定のあつたときから増加追徴の税額に対して、いわゆる加算税、追徴税等がつくことは了解できますが、政府の都合で調査がだんだん延びた、一年も一年半も延びたにかかわらず、更正決定によります差額の追徴額に対して加算税を徴收し、あるいは追徴税をとる、かような趣旨でただいままで行われておるのでありますが、これはまことに苛酷な規定であろうと思います。政府の都合で調査が延びておつたならば、いわゆる延期というような性質をもつ加算税というようなものは、二箇月なら二箇月、三箇月なら三箇月の期限を定めて、そのあとは政府の調査が遅れているのだから、加算税はとらない、かようにすることがまことに民主的であり、事実に副つたことでありますが、この点についてはいかがでありますか。
○平田(敬)政府委員 所得税でも、今お話のあつた法人税でも、御承知のように、税法の根本的な建前は納税者が申告によつて所得を計算し、それによつて納税する、これが実は税法の根本原則と相なつているのでございます。從つて税法といたしましては、一應申告によつて税を納めることを原則にいたしておるわけでありまして。もしも申告と違つた場合においては、税務署はこれを取調べて更正決定をいたしますが、さような場合におきましては、税法の一般原則の義務、その義務の違背に対して、あとの遅れた分についてはそれぞれ加算税がついていく、かようなことが現行税法の建前であるということを御了承願いたいと思います。ただ実際におきましては、過渡期の制度でありまして、申告納税の制度はなかなか思うように運用されていない、これは御指摘の通りで、まさにそういうところから今のような御質問が出てきたのであろうと思いますが、これは私どもとしては、法人税でも所得税でもなるべく早い機会に、納税者が申告によつて納めれば、それで納税額がみな納まるというような態勢に、全力を上げてもつていくという方向によつて、御指摘のような問題を解決いたしたい、かように考えている次第であります。
○宮幡委員 ただいまの主税局長さんの御答弁は、どうも全部納得が行かないわけでありますが、申告納税の際にうそを言つたので、税が殖えたのだからもとからとつた方がいいのだ、こういう御趣旨のようでありますが、法人税の課税の方法などは必ずしもさようなものではありません。もしそういううそがあつたのだといつても、早期に発見して、いわゆる歳入の時間的ずれを調整する意味におきまして、ただいまのように、申告してから一年も一年半も延ばして調査するということは、決してほめた話ではありません。從つてこれを早く調査して、とるべき本税をまずとつて、そして罰則的なものはなるべく負担を軽くしてやる、これが税務行政の上においてなさなければならぬ問題だと思います。もしこれがなされないとするならば、申告納税の調査期間は、三箇月以内に行うべし、五箇月以内に行うべしというような法律をもつて、税務を執行する方々を強制しなければならぬというような意見になつてまいると思いますが、この点についてなお御意見を伺いたい。
○平田(敬)政府委員 先ほどのお尋ねの御趣旨を、あるいははき違えてお答えしたかもしれませんが、お話のように申告があつた場合に、なるべく早く調査して更正決定をして、それによつて歳入のずれを少くし、納税者といたしましても正しい納税を早くしていただくということについては、私どもはまつたく同感でありまして、なかなか税務署の手不足のために、從來さように運んでいない部面もありますが、そういう方針についてはまつたくさようでございますので、今お話の通り、鋭意努力をいたしたいと考える次第であります。
○宮幡委員 それでは主税局長さんにお尋ねすることはこの程度で一應止めておきますが、政務次官に一言お伺いいたします。それは取引高税についてでありますが、われわれも取引高税に対しての質問は未だ一つもしておりませんが、一体政府当局で新税をつくるねらいがどこにあるのであろうか、事務局の方の御説明を聽きますと、現在は徴税機構が質的にも量的にも弱体であつて、いろいろなことをやるのにはなはだ困難である。税金も徹底的にとれない、あるいは税の逋脱ということが盛んに行われておるではなかろうか、かようなことを心配せられておるのでありますが、元來今の事態としましては、昨年アメリカのレオ・チャン氏の御指導によつてできましたこの予定申告納税制度、これを國民に徹底せしめることが、現在の税務行政としては一番肝要であります。それであるのに、片山内閣以來歴代の政府は、新税に次ぐ新税をもつて國民に臨み、國民には納税知識がないのでありますから、その趣旨が普及しないうちに新しい税を新しい税をとあてがつてまいりますれば、納税成績もよくないし、また反則者も多いし、いかなる面においてもうまくいかないのであります。國家の実情といたしましては、現在の制度に対して國民の納税思想の涵養、納税知識の普及宣傳そうして現在の制度のもとにおいて、税の自然の増徴をせられることを企図すべきであつて、新税をあてがつていたずらに國民生活を混乱と苦悩の中に追いこむということは、これはなすべき手段でないと思います。しかるにかかわらず、またここに取引高税というものをもつてまいりまして、われわれはこれが大衆課税であるとか、あるいはその他の面であるとかいうことで反対はいたしません。しかしながら今はこの根本的に税法の趣旨を國民に知らしむるために努力すべき時期であつて、新しい税をもつて國民を一層深く惑わしむる時期でないという意味において、ここで討論はいたしませんが、意見といたしましては、どうも賛成のできない点があるのであります。つきましては新税を設けてはならない、新税を設けないで現在の制度の中で徴税をがつちりしていく。こういう点につきましての政府の御所見を承りたいと思うのであります。
○荒木政府委員 ただいまいろいろ新税を次から次へと創設することは、たださえ申告納税等で混乱しておる時期において、適当ではあるまいというふうな点につきましては、私どももさように存じます。ただしかしながら、さしむき御承知のような國家財政の状況下におきまして、一方において諸般の事情から法人税の軽減を行いますとか、あるいは勤労所得者の租税負担を軽減するとか、いろいろなことを含めまして、数百億に上る減税をいたしておるのであります。それによります歳入の欠陷もございますので、それを補完すべき適当なる新税を起せというような要望からいたしまして、取引高税というものを選択いたしたことと、もう一つは國会におきましても機会あるごとに、こういうインフレ下においてはやみ所得者が横行するから、そういうことによりまして正直者がばかをみて、不正直者が得をするということになるので、やみ所得の捕捉について徹底的にこれを追及すべしという督励もいただいておる次第でありまして、さような見地からこの税を見ました場合に、税率はきわめて低率でございます。國民負担という見地においては、たださえ税が重い上に、わずかの税金でありましてもプラスされることは適当であるまいという見方も、あるいはありますけれども、比較的軽易た納税ではなかろうかと思います。ところが一方におきまして、いわばやみ取引の捕捉というような見地においては、相当の効果があるのではないか。かように存ずる次第であります。またいろいろ正面きつてこれに対します御反対もございますけれども、もとより大衆的に轉嫁されるというふうな欠陷だけを見ますれば、あまりよい税ではないという見解も立つのでありますが、一方におきまして副作用的にと申しますか、他の面におきましては、その税法としてのきわめて微妙なねらいも発揮できますので、こういう現下の國家財政の逼迫しております時期といたしましては、税率がわずかに一%であり、各段階には課せられますけれども、きわめて低率な税であるという意味におきまして、これを総合して判断して適当ではないか。かように考える次第であります。 なおこの税の実施上の点におきましては、お説のごとく、財務当局といたしましても、これが周知徹底をはかるとともに、國民諸君も十分に現下の財政状態を認識して御協力願いたい、かように考えておる次第であります。
○宮幡委員 ただ私が政務次官にお尋ねしたいと思いますのは——本來大藏大臣にはつきり伺いたかつたのでありますが、財源に苦しんで取引高税をつくつたということでありますが、現在の機構をもつて徴税強化をがつちりして、完全に脱税を防ぐという方向に進んでいけば、まず二百七十億くらいの増收ができないことはなかろう、こう私は考えておるのであります。從つてその点はとりやすいところからとるのだという税制の行き方は、徳川幕府時代の惡政と同じになります。だから今の機構をそのまま推進して強化していけば、二百七十億でも三百億でも増收が生れるのではないかとわれわれは見ておる。その点の見解をお答え願いたい。
○荒木政府委員 御説のように、陣容を整備いたしまして、徹底的に態勢を整えて追及していけば、とれるはずであります。ただ予算的に見ました場合においては、昨年の実績、あるいは現在の陣容、もとより税務署の増設ないしは財務局の新増設までも行いまして整備はいたしますし、また先ほど主税局長が申されましたように、納税査察官とでもいうべき特別の督励役を設けまして、あらゆる努力はするつもりでおりますので、昨年度よりは歩留りは多くなるとはもちろん存じますけれども、ただ現実の問題といたしましては、一方においては七百数十億の減少をいたしましたその補完として、何らかのことを考えなければならないという実際の必要もございまして、この税を立案したような次第でございます。税法に定められております税率によつて、所得がある限りにおいては、理論的にはそのくらいの歳入を財政面において期待することは不可能ではないと存じますけれども、現実の問題としてはさように参らぬと思うのであります。
○小平委員 私はまず第一に勤労所得税のことについて伺いたいのでありますが、御承知のように、最近勤労所得税につきまして、労組等の要求によりまして、これを事業主の負担にせいという要求が非常に強いのでありまして、現に先ほど來話題になつております全官公廳の要求等におきましても、所得税は別というふうに聽いておるのでありますが、もちろんただいまの税法から申しますと、これを事業主が負担した場合には、さらにそれを所得として税をかける建前かと思うのでありますが、今後政府はこれをも事業主負担というふうにしていつた方が勤労者の要求にも合致するし、また税の取扱いをする上においても簡單になつてよろしいと思うのであります。それに対する御方針を伺いたい。
○平田(敬)政府委員 所得税の性質、税法の建前、あるいは制度の建前として事業主の負担が当然だということは、賛成いたしたいと思います。
○小平委員 次に讓渡所得のことについてちよつと伺いたいのでありますが、從來讓渡所得については、不動産を取得し、その他列挙主義にしておいたようでありますが、今後は廣く財産の讓渡ということになつております。これを非常に嚴密に適用し、その資産の評價にあたつて取得價格を非常に安く見るということになりますと、これは一般大衆に及ぼす影響が大きいと思うのでありますが、あらためてその理由をひとつ伺いたい。
○平田(敬)政府委員 所得税は、御承知のように、あらゆる所得を捕捉して課税するということが所得税の理想でございますので、一切の所得を捕捉いたしまして課税をするという方向に漸次所得税は変つてまいつたのであります。昨年度の改正案におきましても、御指摘のように、一時所得等につきましても、全部所得税の対象になる、この所得の性質に顧みまして十分の五これに課税する、こういうふうに改正してまいつたのであります。しからば日用消費財等を販賣して、それによつて利益が出てきたり、いわゆる賣食いといつたようなものにまで課税するのかということでございますが、その辺は一定の限界を設けまして、むりのないようにしてまいりたいと存じております。
○小平委員 次に同居親族の合算の問題について伺いたいのでありますが、同居親族の合算ということは考えようによつては從來のわが國の家族制度をそのまま認めるとも思われるのでありまして、これはむしろ合算をしないで個人々々にかけるという方向へもつていくのが適当ではないかと思うのですが、現在のように合算することによつて、たとえば事業税の場合においても、あるいは勤労所得税の場合においても、同居している場合、負担額が均衡を失しますので、これをむしろ個人に課税するということを原則にしていく方がよろしいのではないかと思うのですが……。
○平田(敬)政府委員 ただいまの問題につきましては、大分いろいろ御説明申し上げておいたのでございますが、所得税の建前上、生計を一にする親族間の合算、これは私どもやはり理論的には、原則的には正しいのではないかと考えております。ただ現在の実際問題といたしまして、勤労所得と事業所得等につきましては、あるいは勤労所得者がその当時におきましては負担の実情に即しない点がございますので、合算はいたしますが、基礎控除によりまして若干の調整を加えまして、事業所得、勤労所得にも基礎控除をやつて、実際問題としての調整をはかつてまいる見込みであります。合算を廃止するということにつきましては所得税の性質上、なかなかそういきにくいということを御了承願いたいと思うのであります。
○小平委員 次に税と関連しまして寄附金の問題でありますが、地方におきましては御承知のごとく、ほとんど税金と同様に、あるいはそれ以上にも寄附金の負担というものが大きくなつているのであります。現在当局におきましては寄附金について何らかの規定と申しますか、取締りはしないのでありますか。
○平田(敬)政府委員 これは私のあるいは個人的見解になるかものれませんが、寄附金というものはあくまでも寄附金であるべきものでございまして、單に一應の割当とか——割当というのも正しくないかもしれませんが、何か募集者等がまいりましても、これはまつたく個人の自由意思によつて寄附するか、しないか決定せらるべきものではなかろうか、そういう方向にいくのが民主化の一つの方向ではないかと考える次第であります。ただしからばといつて寄附にわたるようなことをむりに募集するというようなことにつきまして取締り法規を設けるかどうかということは、一つの問題だと思いますけれども、今ここで具体的に意見を申し上げることはお許しを願います。
○大上委員 昨日当局に対して資料を要求いたしまして、その資料を提出してもらつてから質問したいということで、特に皆さんの御了解を得ておりましたので、ちよつと質問いたします。まず法人税及び特別法人の未処理件数がいくらあるかというと、十二万五千九百五十一件あります。これを徹底的に調べ、あるいはその他の方法をもつてするならば、相当額の税額が出てくると思います。まずこの税額をちよつとお尋ねいたします。
○平田(敬)政府委員 昭和二十二年度中に申告をし、あるいは更正決定をすべき件数が三十八万件ほどございます。その中で二十二年度に申告をし、あるいは決定をいたしました件数は二十五万件ほどございます。残りの十二万件ほどが御承知のようにまだ未処理で残つておるのであります。法人税の決定につきましては、先ほど宮幡委員からお尋ねがございましたが、極力促進をはかりまして、歳入にずれのいたさないように今努めておる次第でございます。予算におきましても、さような趣旨で研究をいたしておる次第でございますが、額から申しますと、今正確な数字は——はつきりしたことは、あるいはお答えに即するかどうかわかりませんが、大体未処理の分の税額は、三十七億程度残つておるのではないかと思います。
○大上委員 三十七億のいわゆる未処理の大体の徴收税額は、本年度新しく出された二十三年度の予算にはいつておるかどうかということが一つ、あるいは旧法、すなわち所得税法を一部改正する法律の施行前のものといたしますならば、調査のいかんによつて、ここにあらためて三十七億という財源ができてきたのではないかという見解をもちます。さらに例をとるならば、語弊があるかもしれませんけれども、直間を問わず現在の税で十分調査し得る能力で、調査を徹底的にやるならば、いわゆる取引高税という新税を新説されなくても、大体二百七十億近くの財源を得られるのではないかと考えますが、その点いかがでありますか。 なお最後に一つだけお尋ねしたいのは、税法の四十四條にありますが、われわれ國民がいわゆる納税申告をする、あるいは更正する、あるいは取引高税についても更正決定がある場合、われわれが納税したものと政府の見込みが違う場合、法文上は政府において調査したものと異なることとなつておりますが、これに一つの大きな限界があるだろうと思う。先般も質疑をやつたのですが、執務規程とか事務規程というものがあつて、これに縛られておる。從つてわれわれの思うのはどういう限界、どういう点が政府の見込みと違うという点を大まかで結構でございますが、述べていただきたい、この質問をもつて私は質問を打切ります。
○平田(敬)政府委員 一番最初に御指摘の三十七億円、これは当然本年度の予算に見込んでおります。本年度に終了する分で來年度に繰越す分はございますが、前年度からの繰越分はもちろん見込んでおります。それからいま一つ法人税その他の決定を促進すれば、取引高税は起さないでもよいのじやないかというお尋ねでありますが、これは前々から申し上げましたように、促進につきましても大分一生懸命だということは当然なことでございまして、さようなことに心がけておるわけであります。それでもなお不足いたしまするので、この際取引高税を創設いたしまして、財政收支の均衡をはかろう、かように申し上げておるわけであります。 もう一つ所得の計算の方法についてお尋ねのようでございますけれども、これは御承知のように、われわれは解釈規定をいろいろ設けまして、税務監督局に通知し、あるいは一部は公表し、あるいは書籍等にも書きまして、周知方をはかつております。どういう点が違うか、今一々申し上げることはどうかと思います。本日申し上げましたように、かような趣旨につきましては、できるだけ公表をはかりまして、申告納税が徹底するようにいたしたいと思います。
○梅林委員 先般來提案されておりました所得税法の一部を改正する等の法律案、取引高税法案については、すでに質疑がないものと思いますので、これにて質疑を終了せられんことを希望いたします。
○早稻田委員長 梅林君の動議のごとくはからつて御異議ありませんか。
○早稻田委員長 よつて所得税法の一部を改正する等の法律案、取引高税法案はこれをもつて質疑を打切ります。
○梅林委員 動議を提出いたします。大藏省預金部特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、國有鉄道事業特別会計及び通信事業特別会計における事業運営以外の行政に要する経費の財源に充てるための一般会計からする繰入会に関する法律案、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案、連合國占領軍の管理下から解除された貴金属等に代るべき貴金属の地金の連合國占領軍に対する引渡に関する法律案、 以上四法律案はこれをもつて質疑を打切り、なお損害保險料率算出團体に関する法律案については討論を省略して採決せられんことを希望いたします。
○早稻田委員長 梅林君の動議のごとく取計らつて御異議ありませんか。
○早稻田委員長 御異議なしと認めますので、さよう取計います。 それでは大藏省預金部特別会計の昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案、以下三件はこれをもつて質疑を打切ります。 さらに損害保險料率算出團体に関する法律案は質疑を打切り、討論を省略いたしまして、原案の通り可決確定いたして御異議ありませんか。
○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決確定せられました。
○早稻田委員長 次に午前中に堀江委員より質疑のありました点について保險局長の答弁を求めます。
○岡井政府委員 簡單にお答えをいたします。簡易保險の業態についての御質疑でございますが、まず第一に簡易保險の件数増加の模様であります。昭和二十二年度においては八千九百二十万件、その保險金額が四百四十七億円でありましたのが、五月末においては、件数が九千五百万件、金額が六百十六億円、百六十九億円の保險金額の増加であります。それから失効解約率は大体昭和二十二年度においては契約件数に対して六厘、つまり千件について六件、これが失効解約されております。その件数は五十四万件、その金額は大体千五百万円になつております。それから保險料の滯納模様であります。これは昭和二十一年度の統計しかとつておりませんが、それによりますと、四千三百三十七万九千円、かようになつております。なおこのほかに戰災不明契約、証拠書類がすべてなくなつておつて、権利者の行方がわからない。こういう契約が、大体推定でありますが、百六十万件でありまして、これに対する積立金が大体四千八百万円あります。これは窮極におきまして、どうしても権利者がわからないという場合には、保險特別会計の收入になる金であります。なお保險事業の経営状況についてつけ加えて申し上げまするが、御承知の通りに現在はインフレの影響によりまして、事業費が非常に膨脹いたしまして、その結果昭和二十三年度において累計五億八千五百万円の赤字を算しておりますが、しかしこれは將來二、三年のうちには健全な経営状態に立ち返るという見込みをもつておりますから、さよう御了承願います。これで終ります。
○早稻田委員長 明日は午前十時半より開会することにいたしまして、本日はこれをもつて散会いたします。 午後四時五十分散会