財政及び金融委員会 第24号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1948/05/20
会議録
○早稻田委員長 会議を開きます。 これより一昨十八日本委員に付託せられました政府職員の新給與実施に関する法律案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。 —————————————
○北村國務大臣 このたび本國会に提出いたしました政府職員の新給與実施に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げ、各位の御審議をお願いいたしたいと存じます。政府は、政府職員の待遇改善をめぐる官公職員労働組合の爭議を解決するため、先般臨時給與委員会の報告書に基き、給與水準を二千九百二十円に引上げるとともに、とりあえず、二千五百円水準の暫定給與の内拂いを行うため、政府職員の俸給等に関する法律案をもつて、本國会の御審議を願ひ、その御賛同を得た次第であります。しこうして政府は、右の暫定給與の支給については、各組合と團体交渉を行つた上で支給いたす方針にいたしましたが、遺憾ながら、一部のものを除いて、組合側の容易に承諾するところとならず、爭議の解決はいたずらに遷延を重ねていたのでありますが、遂に去る四月十六日覚書の調印を了し、組合側も二千九百二十円水準の給與を、現在の給與爭議の最終的解決として受諾するに至つたのであります。これによりまして、昨年以來、半歳以上に及ぶ爭議も、ようやくここに完全なる妥結を見るに至りましたことは、國家の現状より見まして、まことに御同慶にたえないところであります。しこうして、政府は、右覚書に基きまして、ただちに差額を支給するとともに、他面一切の政府職員組合の參加を得まして、新給與整備委員会を設置し、二千九百二十円水準の給與の配分方法、なかんずく職階制給與の線に沿う新給與体系の具体的方針の協議立案に当つたのであります。右委員会は四月二十日以來数回にわたり会議を重ね、去る四月二十七日両者の意見が完全に一致し、首尾よく成案を得るに至つたのであります。政府はその成案に從いまして、この法律案を作成いたし、ここに本國会へ提出の運びに至つた次第であります。 次にこの法律案の内容を御説明申し上げます。さきに政府職員の俸給等に関する法律本則におきまして、臨時給與委員会の報告書に基き、二千九百二十円の新給與水準及び職階制の精神に沿う給與体系を、一月一日に遡及して実施することとし、その具体的事項は、別に法律をもつて定める旨を規定したのでありますが、この法律は、右の規定に基き定めるものでありまして、一般の政府職員に適用されるものであります。 この法律は、臨時給與委員会の報告書に基き、いわゆる、職階給與制度の実現に一歩を踏み出したものであり、かたがた從來のわが國の給與制度に対して、根本的な変革をもたらすものであります。從つて、これが、完全なる実施を確保し、その目的を達成するため、内閣総理大臣所轄のもとに、新給與実施本部、地域給審議会及び新給與苦情処理委員会の三機関を置くことといたしました。 新給與実施本部は、主として新給與制度に関する総合調整の機関とし、本部長には内閣官房長官、次長には大藏省給與局長をもつて、これに当てることにいたしております。 地域給審議会は、勤務地手当の地区区分、支給割合等を調査審議するものとし、職員側及び政府側を代表する同数の委員をもつて組織することにいたしております。勤務地手当に関しましては、生計費が地域別に相当の差がある現状からいたしまして、從來種々やつかいな問題があつたのでありますが、今後は、すべて民主的に組織された地域給審議会の議を経て、大藏大臣がこれを行うことになるわけであります。 新給與苦情処理委員会は、新しい給與体系への移り変りに伴つて、生ずることを豫想される俸給の決定に関する苦情を、最終的に審査決定する機関とし、職員側、政府側及び第三者を代表する委員をもつて組織することにいたしております。この制度はわが國においては初めての試みのものでありますが、職員の意に反する不利益な処分に対し、正当な発言と修正の権利を確保するものでありまして、今後における人事管理に大きな寄與をなすものと期待している次第であります。 次に、この法律による給與の種類は、俸給、扶養手当、勤務地手当及び特殊勤務手当の四種に致してあります。 まず俸給について御説明いたします。わが國における從來の俸給制度は、学歴、資格、勤続年数、生計費等に應じて漫然と定められており、その人の從事している職務とは、必ずしも合理的な相関関係がなかつたのであります。しかしながら本來職階給與制度においては、同等の職務に対しては同等の俸給を與え、職務に関係のない事項によつて、俸給に差別が設けられてはならないというのが根本の原則であります。從いまして、この法律では第十三條において「各職員の受ける俸給は、その職務の複雜、困難及び責任の度、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労に関する條件に基いたものでなければならない」と規定し、新しい給與体系のあり方を考え方とを明らかにいたしたのであります。 このようにして、各職員の受ける俸給が定められてこそ、初めて勤労意欲の向上も、行政能率の発揮も期待し得られるわけであります。この意味におきましてこの法律により從來のわが國における因襲的な俸給制度を一擲いたし、新憲法下における民主的行政機構にふさわしい給與制度への、画期的轉換を行うことになつたのであります。 しかして具体的に、いかに俸給を定めるかと申しますと、まず職員の職務を、その職務内容、責任の軽重、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労に関する條件に應じて、これを十五級に分類いたします。その分類の具体的基準は、新給與実施本部長が定めることになつております。 次に十五級に分類せられた職務の各級につきまして、この法律の別表にありますごとく、一定の俸給の幅を設け、職員はその幅のうちのいずれか一つの俸給を受けることにいたしてあります。もちろん、一般の行政官廳と現業官廳等とでは、職務の級のわけ方、各級における俸給の幅について、おのずから別箇の取扱いが必要とされるわけであります。從つて特殊の職務、特殊の職域につきましては、政令で一般の行政官廳とは異なる級のわけ方、俸給の幅を定め得ることといたしました。 右のようにして一應各職員の職務の級に應ずる俸給が定まるわけでありますが、各職員の現に受けている俸給の額が、その者の職務の級に應ずる俸給の幅の最高をも超えるような場合には、特に極端な場合を除いて、当分の間、その現俸給の額を認めてゆく方針にしております。なお現行の年齡による最低保証給も、第二十七條の規定により、臨時給與委員会の第一報告書の定めるところによつてこれを改訂することにいたしてあります。 扶養手当は暫定給與の場合における暫定扶養手当と同樣、扶養親族一人につき二百二十五円でありまして、その支給方法はすべて從前通りであります。 勤務地手当はその地区区分、支給割合等、すべて大藏大臣がこれを決定してきたのでありますが、前にも述べましたように、新たに地域給審議会を設け、この審議会の議を経て、大藏大臣がこれを行うことにいたしました。 特殊勤務手当につきましては、從來必ずしも明確な法令の根拠をもたない種々雜多な手当が存在し、給與体系の混乱を來していたのでありますが、この法律施行を際してはこれらを整理いたしまして、俸給をもつて処理し得るものはできる限り俸給に取入れることとし、今後における特殊勤務手当は、正常の職務以外の特殊の勤務で、その勤務に対する報酬について特別の考慮を必要とする場合に限り、これを認めていくことにいたしました。その細目についてはこの法律に基く政令をもつて定めることにいたしてあります。 最後にこの法律による給與と、すでに支給濟になつている二千五百円水準の給與との差額は、この法律案が御賛成を得て公布されましたならば、速やかに、これを支給すべく準備を進めている次第であります。 次にこの法律案を実施するに必要な予算額は、一月ないし三月分につきましては、昭和二十二年度一般会計予算補正(第十五号)及び特別会計予算補正(特第十号)に、四、五月分につきましてはそれぞれの暫定予算に計上いたし、すでに御承認をいただいた通りであります。 この法律案は先に本國会の御賛同を得ました政府職員の俸給等に関する法律の委任に基いてつくられたものであります。またその内容についてもすでに組合側とおおむね意見の一致を見ておりまする関係上、本國会におかれてもなるべく速やかに御審議の上、御賛同あらんことを希望いたします。
○川合委員 ただいまの大藏大臣の説明によりまするならば、本法案は臨時給與委員会の答申に基いてなされたものという御説明があつたわけでありますが、われわれは臨時給與委員会の構成について、当時いろいろな委員の選定や何かで、かれこれと論議があつたということを聞いておるのであります。從つてこの案は全官公労組が全面的にこれを承認というか、内諾をしたものであるかという点を、まずお伺いしたいと思います。
○今井政府委員 お答え申し上げます。臨時給與委員長の參加につきましては、問題のございましたことは御承知の通りでございますが、この報告を今回の新給與の体系水準の基礎にするということにつきましては、すでに去る三月の二十日法律第十二号をもつて國会の議決を見たところでありますが、その線に沿いまして組合側と交渉いたしました結果として、その間紆余曲折はございましたが、四月の二十七日新給與整備委員会という形式をもちまして、團体交渉が全面的に成立いたしました。從いましてこの案につきましては、組合側から完全な了解を得ておる、かように御了承願いたいのであります。
○川合委員 本法案が事前に組合側の完全な了解を得たと、今、今井給與局長からお話があつたが、大藏大臣の説明ではおおむね了解を得たというような御説明であつたので、その点を懸念して質疑したわけですが、給與局長が完全な了解を得たという点は、われわれとして非常に喜ばしく思います。なおこれらの問題に対しましては、午後の機会に全官公の労組の方々の意見をいろいろ聽くことになつておりますが、私はその前に二、三内容について質問したいと思うのであります。 まず第一にこの二條にある新給與実施本部、地域給審議会あるいはまた新給與苦情処理委員会というものは、実施機関となつておつて、いわゆる執行力をもつておる機関でありまするが、これは官廳であるかどうかという点において、われわれは從來の行政法上の観念からしまして非常に疑問に思うのでありますが、これは官廳であるかどうかという行政法的な説明を承りたいのであります。
○今井政府委員 地域給審議会の方は法律上の観念では、いわば諮問機関で、行政官廳と申すわけにまいらぬと思います。しかし苦情処理委員会の方は最終的な決定をいたします。從つて形式上行政官廳の観念にはいると考えます。ただ普通の行政官廳と意味の違います点は、使用主と雇用者との間で話合いをきめるという意味合いで最終決定をいたす機関でありますので、実質的に申しますと、行政官廳であるかどうかといふ点に若干疑義はあるのでございますが、形式的には最終的な決定をなす機関である。その決定が法律上の効果を生ずる意味におきまして、行政官廳と申してよろいしのではなかろうかと考えております。
○川合委員 最近におけるところのかかるいろいろな立法にあたつて、委員会というような名称のもとに、行政官廳であるか、今言つたような諮問機関であるか、非常にまぎらわしい点があるのでありますが、これは本問題のそとにありますのでしばらくおきまして、新給與苦情処理委員会は、明らかに私は行政官廳であると今政府の言われたことをよく了承いたします。 次にお尋ねしたい点は、特にこれは大藏大臣にお伺いしたいのでありますが、この新給與実施本部というものが、非常に政治的な重みをもつているという関係上、本部長が内閣官房長官であり、しかも内閣総理大臣の所轄のもとにあるというもとは、けだし当然であろうと思いますが、最近この所轄というような言葉がしばしば法律上の用語として使われております。この所轄という意味を、從來の行政法の観念においてはわれわれは理解しがたいのであります。この前のたしか証券取引法においても、こういう言葉が法律上の用語として初めて現われてきたように私は理解しておりますが、それはそれといたしまして、こういうようにして内閣総理大臣の所轄のもとに、新給與実施本部というものが設けられる。しかし一方において給與関係を取扱う官廳は、大藏省所管のもとに給與局があつて行つているというようなことからいたしまして、私はかかる問題を一元的に実施する意味において、給與廳というものを内閣総理大臣の所轄のもとにおく意思はないかという点を大藏大臣に伺いたいと思います。
○北村国務大臣 ただいまの川合君の御質疑にお答えいたします。これはただいまのところ、お話のような、内閣に給與廳を置くというようなことは考えておりません。しかし給與の問題がだんだん廣汎煩瑣のものになつてまいりますし、從つてこれを適性に行うためにはどうしたらよいかということは、むろん行政機構改革審議会等で研究の課題になると思いますので、これはしばらくそういう研究にゆだねまして、ただいまそういうことを行うというようなことは考えておりません。
○川合委員 次にお尋ねしたい点は、この新給與苦情処理委員会は、最終的の決定権をもつているがゆえに、官廳であるというようなことを言われたのであります。ところが第九條の二項に、この委員はこれを委嘱するということになつておるのであります。私は職員、あるいは政府を代表する委員というものは、いわゆるこれは政府の職員であるがゆえに、かかる者は從來の立法技術といたしましては、命ずるという言葉をもつてし、第三者というような民間の者に対して初めて委嘱するというように行つておつた。それが從來の立法技術の慣行であつたわけであります。ところが今回の場合においては、いずれも委嘱というような言葉を用いている。委嘱というような言葉を用いた官廳が、はたして官廳というような機構に適應するような言葉であるかどうかという点を、まず立法技術上の問題としてお尋ねしたいと思います。
○北村國務大臣 お答え申し上げます。これはどうも観念上は、最終の決定をいたしますという点において一つの行政官廳的な性格がある、こういうことでございますが、純粋に行政官廳であるかどうかということになると、なお若干の疑問かあるのじやないか。これは雇用者、使用者、それから第三者とからなる一つのそういう協議会的なものでありまして、最終の決定をするという点において行政官廳的な性格がある。そういうことでございますから、必ずしも純粋な意味においての一般の行政官廳と同一であるというような考え方は、少し無理があるのじなかろうか、こういうふうに私は解釈しておる次第であります。
○川合委員 本法案で一番関心を拂うべき点は、第八條の新給與苦情処理委員会にあると私は思うのであります。その新給與苦情処理委員会は、先ほど政府の説明の通りに、最終的な決定をするということになつております。その場合において、その最終的決定というものは、個々一人々々について行われるというふうにこの法案からは察せられるのでありますが、その場合におきまして現在各官廳において團体交渉が行われ、またその間に労働協約が実施されておるわけで、これらの関係というものはどういうふうに実施さるべきものであるかという点に関して、政府の所見を伺いたいと思います。
○今井政府委員 この委員会は新しい給與、すなわち二千九百二十円のこの給與だけに関する委員会でございます。二千九百二十円の水準並びに体系につきましては、本則といたしまして、先ほど大臣の説明にございましたように、四月二十日以降もちました全職員組合と政府代表との團体交渉、これを新給與整備委員会という名前をもつて行いました。それにおきまして通則をきめまして、なお各省個別にやる必要のあるものは、その各省で分料会というものを開きまして、その結論の調整はあげて新給與実施本部に一任する、こういう約束になつておりますので、團体交渉と衝突する面は生じないものと考えます。
○赤松(勇)委員 川合委員の質疑はさらに続行されると思います。なお各党におきましてもさらに質疑が行われると思うのでありますが、この問題は御承知のごとく非常な大きな爭議を経まして妥結点に到達された問題であります。なお私はこの爭議の解決に関しましては、國会に対しまして爭議解決勧告決議案を提案いたしまして、これまた院議をもつて決定されておるのであります。ところが本日政府の方から御提案になりましたこの政府職員の新給與実施に関する法律案中、いささか腑に落ちない諸点もございますし、また團体交渉の過程にありまして、十分政府並びに政府職員との間に意見の妥結点を見出して、それを新法律に盛るということになつておつたのでありますが、これにつきましても政府職員側では相当の異論がある、あるいはまた疑義があるのであります。從いましてこういうような諸点につきましては、問題は全國の政府職員の給與に関する問題でありますから、この際私は何らかの方法によりまして、一應全官公廳職員の御意見もお聽きしたい、かように考えておるのであります。ここで一應質疑を打切つていただきまして暫時休憩をされ、理事会において私がただいま提案いたしました趣旨に副うて、適宜そのお取扱いをしていただくようにお取計らいを願いたいと思います。
○早稻田委員長 お諮りをいたします。ただいま赤松委員より、本案に対する質疑は一應中心して、懇談会を開いてこれが取りまわしについての協議をしたい。なおその問題は理事会で諮つてもらいたい、こういう動議が出たわけであります。さよう計らいまして御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早稻田委員長 御異議はないようでありますので、さよう計らいます。暫時休憩いたします。 午前十一時三十九分休憩 ————————————— 午後一時四十分開議
○早稻田委員長 休憩前に引続きまして会議を開きます。
○赤松(勇)委員 ただいま本委員会に政府より提案になつております政府職員の新給與実施に関する法律案の内容は、はなはだ政府職員側の間に意見の相違を來しておると思います。本法律案のもつております重要性に鑑みまして、午前中川合委員の質疑を一時中止いたしまして、委員長にお願いの上理事会にお諮りをいただき、政府職員側、すなわち全官全廳側の代表者から、それぞれ御意見を述べていただいた後において再び審議を続行するよう動議を提出いたしまして、さいわい採択になつたのであります。しかしながら本來私個人の願望は、事重大でありますので公聽会を開いていただきたいのでありますが、手続その他の点に関しまして、多少時間の関係でそれも不可能と存ずる点がありますので、大体國会法の規定に從い、ただいまから一時懇談会に移り、その席上で全官公廳側の御意見を述べていただくというふうにお取計らい願いたいと、かように存ずる次第であります。なお本委員会の懇談会における官公廳側の発言はきわめて重要と存じます。よつて特に速記をお願いいたしまして、きわめて責任のある御発言をお願いしたいと、かように存じますので、委員長におかれましてはよろしくお取計らいを願いたいと思います。
○早稻田委員長 ただいま赤松委員より発言のありました点は、午前中の理事会において大体御決定を願つた線に沿つておるわけであります。從つて本來から申し上げますれば、公聽会を開いて正式に御意見を拜聽するのが本來でありまするが、時間の関係もあり、國会法との関係もございますので、この場合懇談会に移しまして、その席上において代表者の方の御意見を拜聽することにいたしたいと存じます。 それではただいまより懇談会に移ります。 ————————————— 午後一時四十五分懇談会に入る 午後二時三十九分懇談会を終る —————————————
○早稻田委員長 懇談会を終つて会議を開きます。 本日はこの程度に止めまして明日午前十時半より開会し、本案に対する質疑を継続いたしたいと存じますが御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○早稻田委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十分散会