鉱工業委員会 第8号
- 発言数
- 17 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/06/18
会議録
○伊藤委員長 これより会議を開きます。 去る六月十四日本委員会に付託されましたる特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(第一四六号)及び六月一日予備審査のために付託されましたる弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出)(予閣第六号)を一括議題としてその審査に移ります。まず両案の提案理由の説明を求めます。正木政府委員。 —————————————
○正木政府委員 ただいま議題とされました両案のうち、まず特許法等の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明いたします。 先般施行されました新憲法の戰爭抛棄に関する規定並びに裁判制度の根本的改正に伴いまして、特許法、実用新案法、意匠法及び商標法中これに関連する部分につきまして、必要な改正を行うことと、最近の経済事情を考慮しまして、特許料及び登録料を発明奬励を妨げない限度で適当に増額することが、この改正案提出のおもなる理由であります。以下本改正案の要点について御説明いたします。 第一は、日本國憲法の戰爭抛棄の規定との関係上、いわゆる祕密特許制度を廃止したことであります。すなわち軍事上祕密を要する発明または軍事上必要な発明に関する特別扱いの規程をすべて削除いたしました。 第二は、裁判制度の改正並びに行政事件訴訟特例法の制定に関連しまして、技術的判断を主たる内容とする特許事件の特殊性に鑑み、爭訟に関する規定を改正して必要な関係條文を整備したことであります。すなわち抗告審判の審決または決定を受けた者が、その処分を違法とする場合、その取消をその審決または決定の送達を受けた日から三十日以内に、東京高等裁判所に提起できるものといたしました。そうして裁判所は右の請求が理由あるものと認めたときは、審決または決定を取り消すのでありますが、破棄自判はなさないのであります。審決または決定が取消されたときは、抗告審判の審判官は、さらに審理を行つて審決または決定をいたすのであります。その他にも訴訟に関する規程が相当増加いたしましたので、一章を起して第六章ノ二としてここに一纏めといたしたのであります。 第三は、最近の物價趨勢を比較考慮しまして、特許料及び登録料を五倍に増額することとし、また民事訴訟法の改正にならいまして、過料の額を二倍に引き上げたことであります。 第四は、その後の状況の変遷に伴いまして、この際軽微な字句的整理をいたしたことであります。 以上を以て特許法等の一部を改正する法律案の大要の説明を申し上げました。何とぞ愼重御審議の上速やかに可決されんことをお願いいたします。 引続き弁理士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明いたします。 最近の経済事情、社会情勢等を考慮いたしまして、弁理士登録料を適当に増額するとともに、罰則中罰金並びに過料の額を、他の処罰法規との均衡を保つように引上げるために、弁理士法中これに関連する部分につきまして、必要な改正を行おうとするのがこの法律案提出のおもな理由であります。以下改正案の要点を御説明申し上げます。 第一は、弁理士の登録料を引上げたことであります。最近の物價趨勢並びに他の関連法律の規定を比較考慮いたしまして、弁理士の登録料を弁護士登録税額と同程度に増額することにいたしました。第二は、罰則中罰金及び過料の額を引上げたことであります。他の処罰法規との均衡上、罰金を約十倍に、過料を二倍に引上げることといたしました。 以上をもつて弁理士法の一部を改正する法律案の大要の説明を申し上げました。何とぞ愼重御審議の上速やかに何決されることをお願いいたします。
○伊藤委員長 これにて政府の提案理由の説明は終りました。
○福田委員 特許法の一部を改正する法律案につきましてはその趣旨もよくわかつておりますので、この際質疑及び討論は省略して、ただちに採決されてはいかがですか、他の委員の方にも御意見があろうと思いますが……。
○伊藤委員長 ただいまの福田委員からの御意見について、いかがでしようか。
○豊澤委員 私はこのような根本法案に対して、ただ異議なしで通すのはどうかと思うのであります。たとえば特許料逓増の問題にしても、後日また十分審議し直す必要があると思うのであります。この際このことを附言いたしまして本案に賛成いたすものであります。
○齋藤委員 久保政府委員にお尋ねいたします。この特許法によつて扱われる発明発見ということでありますが、敗戰後の日本、武器なき日本が、文化國家として立つのには、何よりまず何を最も重大視ししなければならないかという問題であります。文化生活のためにも、産業発展のためにも、國家はこの発明、発見を大いに奬励助長していかなければなりません。なぜ日本はかくのごとき状態になつたか。それは科学の振興を重視しなかつたからであろうと思うのであります。海軍の発見は陸軍に祕密にして知らせないようにする。民間の國家有益なる大発見も、何ら國家が援助しないで、それが活用されずに終つてしまうという状態でありました。過去の政府があまりにもこの発明発見を軽視したということを遺憾に思うのであります。私は物資のない日本、國土の狹い日本が、今後國力を充分に費して、この発明発見を大いに助長すべきであると考えるのであります。政府は奬励助長に対して、如何なる具体策があるのか。また現在如何なる施策があるのか。この点について御答弁を願います。
○久保政府委員 お答えいたします。この特許料の引上げの眼目は、財政收入の増加を図るということでございます。 特許権、実用新案権等の主体をなしまする科学技術の内容が、この法律制定当時に比べまして、現今は遥かに向上しているため、特許料もそれと均衡を保つべきであると思うのであります。特許料逓増率の問題につきましては、大体昨年程度でよいのではないかと思うのでございます。 次に発明発見の援助に関しましては、今後日本の無形の資源を獲得する必要から、大いに援助すべきであると思うのでございます。米國の繁栄はアメリカ人の発明発見の尊重、並びに工業家資本家が、発明を積極的に工業化したことにあつたのでございます。特許法が発明奬励に大きな役割を占めておりますので、早急にこれを改正せねばならないと考えておるのでございます。特許局といたしましてはこの特許法が発明発見を助長するものであることに鑑みまして、この法の運営に努力している次第でございます。補助金につきましては経済上はなはだ困難でございますが、本年度研究補助金といたしまして百五十万円、優秀な発明家のために開放研究施設補助金といたしまして六十万円、社團法人発明協会の援助金二百万円、また特許局の審判を速やかにすることが科学振興に大いに必要でございますので、この人員を充実させる考えでございます。
○齋藤委員 ただいまの御答弁によつて補助金百五十万円という、あまりにも少い額で実は茫然としたのであります。國家的重大なものに対して、かくのごとき少額とは何たることでありませうか。私は國家のためにまことに遺憾とするものであります。一つの発明発見を工業化するにも、何百万の費用が必要であるのに、本年度の予算が百五十万円であるとは実に驚かされた次第であります。私は本委員会の決議として、科学振興及びこの種の事業に対して大増額を政府に要望するよう決定したいのであります。 これを強く主張いたしまして本案に賛成いたします。
○有田委員 この問題は特許局だけに依頼しないで、本委員会全委員の決議でこの増額に努力しなければならないと思うのであります。
○福田委員 これらの問題は至極もつともであるのであります。將來日本再建は発明に起点を置くべきであると思うのであります。この問題はこと重大でありますから小委員会を作つて愼重に審議いたしたいと思うのであります。
○伊藤委員長 敗戰日本の再建のためには、科学技術にまつところが非常に多いのでありますから、小委員会を作つて審議いたしたいと思うのであります。 暫時休憩いたします。 午前十一時三十分休憩 ————◇————— 午前十一時三十四分開議
○福田委員 先刻の理事会の決定に從いまして、質疑はこの程度に止め、討論を省略し、ただちに採決されんことを望みます。
○伊藤委員長 ただいまの福田君の動議に御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつてこれより「特許法等の一部を改正する法律案」について採決いたします。本案は原案の通り可決するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。なお報告書についてお諮りいたします。これを從前通り委員長において、作成の上、議長に提出するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは後刻委員長より文書をもつて議長に提出いたします。 弁理士法の一部を改正する法律案につきましては、次回に審査を継続することとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十分散会