厚生委員会 第16号
- 発言数
- 195 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/06/26
会議録
○山崎委員長 会議を開きます。恩給法の一部を改正する法律案を議題といたします。審査に入るに先立ちまして、政府側より提案理由の説明を聽取いたします。三橋政府委員。
○三橋政府委員 ただいま議題となりました、恩給法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 今回の改正は、主として新民法の施行その他諸法令の改廃等に伴うものでありまして、そのおもな点は、およそ次の諸点にこれを要約することができます。 第一点は、民法の改正に伴う遺族に関する規定の整備であります。現行法によりますと扶助料または一時扶助料を給される遺族は、公務員の祖父母、父母、配偶者、子、または兄弟姉妹であつて、公務員の死亡当時、これと同一戸籍内に、言いかえれば同一家にあることを必要としているのでありますが、民法の画期的な改正に伴い、從來のような家は廃止されました結果、このような條件によつて遺族の範囲を定め、扶助料の給否を決定することは適当でないと考えられるに至りましたので、右のような親族であつて、公務員の死亡の当時、これにより生計を維持し、またはこれと生計をともにしていた者をもつて、遺族とすることにいたそうとするのであります。 また現行恩給法の本文におきましては、未成年の子が数人ある場合には、これらの子は、死亡した公務員と被相続人としたときに家督相続人になる順位で、扶助料権者になり、また、祖父母または父母の間にありましては、祖父または父は、祖母または母に先立つて扶助料権者になることになつており、また、昨年日本國憲法施行に伴う民法の應急的措置に関する法律が施行せられました際には、未成年の子が数人ある場合において扶助料権者となる順位につきましては、これに應じて、とりあえずの措置として、嫡出子を先にし嫡出子でない子を後にいたしまするとともに、長幼の順によらしめることといたしてまいつたのでありますが、新民法により相続制度が改正せられましたから、その改正の趣旨に鑑みまして、かような單なる男女の別、または長幼の別等によつて差別的取扱いをすることは、適当でないと考えられますので、この差別的取扱いを廃し、祖父母、父母または子の間にありましては、男女または長幼の区別なく、等分の権利をもつて、扶助料または一時扶助料を受けることができるようにいたします等、民法の改正に伴い遺族に関する規定を整備いたしたのであります。第七十二條から第八十二條までの改正規定、並びに改正法附則第三條及び第七條の規定が、これであります。 第二点は、刑法の改正に伴うものであります。現行法によりますと、年金恩給受給者が、二年を超える懲役または禁錮の刑に処せられた場合にはその権利を失い、二年以上の懲役、または禁錮の刑に処せられた場合には、その刑の執行中、恩給の支給を停止されることになつております。これは從來、執行猶予が二年以下の刑に対し言い渡されていましたので、その二年の刑期を標準として定められたものであります。ところで、先般刑法の改正によりまして、執行猶予言渡しをなし得る懲役、または禁錮の刑期二年以下は、三年以下に改められましたから、右のような恩給の失権、または停止の区分となる刑期につきましても、これと歩調を合わせて、三年を超える場合には失権することとし、三年以下の場合には停止することといたそうといるのであります。第九條第一項第二号、第五十八條第一項第二号及び第七十七條第一項の改正規定並びに改正法附則第二條の規定がこれであります。 第三点は、警察法及び消防組織法の制定に伴う警察監嶽職員に関する規定の整備であります。警察法及び消防組織法の制定によりまして、警部補、巡査、消防士補、消防機関士補及び消防手たる地方事務官または地方技官と、経済監視官補たる地方事務官とは、すべて廃官になりましたから、恩給法上の公務員たる警察監嶽職員の中から、これらの諸官を除きますとともに、國家地方警察に属する警察官として、新たに設けられました、警部補、巡査部長、または巡査たる警察官は、從來の警部補及び巡査たる地方事務官と、恩給法上同じように取扱うべきものと考えまして、これを恩給法上の公務員たる警察監嶽職員として指定することにいたそうとするのであります。第二十三條第一号及び第五号の改正規定並に改正法附則第六條の改正規定がこれであります。 第四点は、いわゆる若年者及び多額所得者の普通恩給の一部支給停止に関するものであります。現行法におきましては、普通恩給を受ける者が四十歳以下の者であるときは、その年令に應じて、その恩給年額の四分の一ないし八分の一を停止し、また年額一千円以上の普通恩給を受ける者が、恩給外の所得年額一万円を超える者であるときは、その恩給年額の一割五分ないし三割に相当する金額の支給を停止することになつておるのでありますが、現行法における普通恩給額は、はなはだしく少額であり、從つて、この制度による停止額もまたはなはだ僅少な額でありますること、この制度運営のための事務負担とを考え併せまして、恩給金額が、現状のごとき少額である間は、暫定的に、この制度の運営を中止することが適当であると思われますので、当分のうち、この停止に関する規定を適用しないことといたそうとするのであります。改正法附則第九條がこれであります。 第五点は、保健所制度の改正に伴うものであります。保健所は、從來、都道府縣及び大阪、京都、横浜、神戸、名古屋の各都市がこれを設置することになつておつたのでありますが、さる四月から、これらの都市以外の都市においても、特に保健所法施行令第一條に定められた都市は、保健所を設置することになりましたから、從來、これらの都市にあつた保健所は、都府縣立から市立に移管されることになり、その機関に勤務する職員は、道府縣の吏員から市の吏員となることになりましたので、これらの職員の中、その移管の際まで、恩給法上の公務員としての取扱いを受けていた者につきましては、その退職給與制度の確立をみまするまでの暫定的な取扱いと致しまして、当分の間、市吏員としての在職年を、恩給法上の公務員として引続いて在職するものとして、取扱うことといたそうとするのであります。改正法附則第十條の改正規定がこれであります。 第六点は、立法の趨勢に伴う法令の整備であります。現行法におきましては、相当多くの実体的規定を政令に委任し、これを恩給法施行令に規定しているのでありますが、最近の立法形式の趨勢に鑑みまして檢討を加えました結果、同施行令中手続的の事項を規定した僅少の條項を除きまして、ほとんど大部分の條項は、これを恩給法自体において規定することが適当であると考えられますので、これらの條項を恩給法に移すことにいたそうとするのであります。第十條第二項、第十條ノ二、第十二條の規定、その他相当数の規定がこれでありますが、実質的改正となるものはありません。 以上のほか國家公務員法に基く法令あるいは人事委員会規則等が逐次整備され、恩給法の規定の中であるいはこれらの法令規則と矛盾、牴触するものを生じたような場合には、それらの規定に予盾する恩給法の規定の効力がなくなるように、あらかじめ措置いたしますとともに、又簡單な字句の修正及び不要となつた條項の整理等をいたそうとするのであります。第八十二條ノ二の規定等の改正規定等がこれであります。 以上が本案を提出するに至りました理由であります。なお詳細なことにつきましては、御質問に應じまして、御説明したいと存じます。 —————————————
○山崎委員長 次に医師法案、保健婦助産婦看護婦法案、歯科衛生士法案、歯科医師法案及び医療法案並びに國家公務員共済組合法案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。太田委員。
○太田委員 保健婦助産婦看護婦法案の第二十一條に、國家試驗を受ける者の資格が、文部省の学校と厚生省の養成所と二つあるので、これに対しては先日山崎委員から一本にしてもらいたいという要求がありましたが、重ねて私はこれが近く一本に厚生省の監督のもとになされるかどうかということを、もう一度あらためてお伺いいたしたい。さらに現在ある学校並びに養成所は、内容においては同じものかどうか。またこの養成所並びに学校において、生徒が実際には講義の時間よりも勤務時間が非常に多くて、生徒であるから労働基準法には牴触しないであろうが、労働基準法をも無視したような勤務をさせておるというふうに伺つておるのでありますが、現状を少し御説明願いたい。都合によつては私は委員会として主だつた養成所、東大のようなところを一度視察したいと思います。
○久下政府委員 御質疑の点につきまして私から一括してお答え申し上げたいと思います。保健婦、看護婦、助産婦の養成施設に対しまして、文部大臣の指定するものと厚生大臣の指定するものと二つにわけておるのでございますが、これは学校教育法との関係を考慮したのであります。学校教育法に基く成規の学校と認められるものにつきましては、文部大臣においてこれを指定するように考えておるのであります。事柄が教育に関することでありまするので、強いて申しますれば、全部文部大臣の所管になることなのでありますが、しかしながら厚生省といたしましては、特に看護婦、助産婦等の養成施設は御承知の通り、ほとんど大部分のものが病院に附置して設置せられておるものが多うございます。從つて病院の一般的な監督をやつております厚生大臣が、そうした病院附属の養成施設につきましてはこれを所管するのが適当であろうという話合いによりまして、さようなものを厚生大臣の所管にすることに了解がついておる次第であります。第一の御質問につきましては右のように御了承をいただきたいと思うのであります。 次にこれら養成施設におりまする生徒の勤務についてのお尋ねでございます。お話の通り從來の主として看護婦養成施設につきまして、養成所の生徒が病院に勤務をする、すなわち教育の方法として実習のために病院は勤務するという建前のもとに、実はそれ以上に実際病院の勤務を生徒にさせております実情があつたのでございます。しかしながら本來教育が主体であるべきものでありますので、私どもといたしましては、すでに昨年この法案の実体をなじておりますることを政令できめまするときにも、それらの点を將來に向つて改善をすることに方針をきめました。すでに國が直轄しておりまする國立病院、療養所の療養施設につきましては、看護婦制は度これを本來の勤務につかしむべきものではない、実習として病院の勤務をすることはある程度実習上必要なる限度においてやりますことは認めまするけれども、本來の勤務にわたつては、勤務をすることは適当でないという考えに方針をきめて現にやつておる次第であります。さような関係上、労働基準法の適用も当然に養成所の生徒にはないものというふうに考えておる次第であります。
○山崎委員長 太田委員に委員長としてお答え申し上げます。ただいま太田委員からお話のありました看護婦養成所に対して、本委員会としてこれを視察するという点につきましては、ごもつともの御意見でありますので、適当なる時期にさように取計らいます。
○太田委員 御参考までに申し上げますと、聖路加の看護婦学校におきまして、二学年の講義内容は、一週間体操の一時間を加えてわずか十三時間という状態である。そうしてしかも一月八時間の勤務を強制しておるという状態であるということを私は知つておるのです。またほかの病院におきましても、相当こういう無暴な状態があるということも想像されるのであります。どうかそういうことを十分お含みの上でぜひひとつ視察をしたいと思います。なお文部省の方の指定だと思うのですが、指定の方は厚生省の監督のうちにはいつていないかもしれない。文部省の指定学校の状況についても同じようなことがあるであろうと思います。今申し上げました聖路加も文部省指定ではないかと思うのですが、講義内容については、文部省の指定も、厚生省の養成所も大体似たような、統一した方針で今おやりになつておりますが、どうでしようか。
○久下政府委員 お話の通りに、御引例になりました聖路加女子專門学校は、文部省の所管の学校でございます。しかしながらお話の通りに文部省所管の養成所と厚生大臣所管の養成所は、先ほど申し上げた理由のみによつて所管を区別しておるのであります。その実際においては当然一致すべきものと考えております。すべに厚生省所管の養成所施設につきましては、省令を公布いたしまして、ただいま御指摘になつたようなことのないような学科課程、時間割等も詳細にきめたものを指示いたしております。その内容は同時に文部省とも協議の上に決定をいたしておりますし、その結果はただちに文部省の方にも連絡いたしまして、文部省が学校を指定いたします際にも、同樣の基準によつて指定されるようにという話合いがついておる次第であります。
○太田委員 いずれ視察をすることになればわかると思いますが、現在專門学校としての保健婦並びに看護婦学校の講義時間は、ほぼ何時間ぐらいに規定されておりますか。
○久下政府委員 ちよつと宙に数字を記憶しておりませんので、後刻御返事いたすことにいたします。
○太田委員 私の質問はこれで終ります。
○有田委員 昨日の政府の御答弁の中に、処方せん料をとるのが妥当である、こういう御答弁であつたのでありますが、処方せん料をとることは、世界各國にその例を見ないのであります。昭和十九年でありますか、昭和十八年でありますか記憶しておりませんが、政府の答弁として、処方せん料は診察料の中に含まれておるという答弁があつたのであります。しかるに昨日の委員会における政府の御答弁は、処方せん料をとるのが妥当であると言われております。私はそれと見解を異にするのであります。世界各國において処方せん料をとつておる例がどういう状態にあるかをひとつ承りたい。
○久下政府委員 昨日処方せん料をとるべきものであると私が申しましたのは、もつぱら理論的な理由に基いて御答弁を申し上げたのであります。処方せん料を実際問題として徴收すべきであるかどうかということにつきまして、お話のように各國の事例もあることでありますし、單に理論上のみの結論をもつて事柄を処理すべきものでもないと思います。さいわいに提案をいたしております医療法の中にも、医療法審議会を設けまして、医療方針につきまして本格的な審議をしていただくつもりでございます。さような際にそれらの点につきましても、具体的にどうするかということを十分考慮いたしたいと考えます。 それから御引例になりましたのは第六十五帝國議会のことだと思いますが、政府の答弁は処方せん料を撤廃する意思はない、こういう実態になつておる点だけを申し加えておきたいと思います。
○有田委員 先般当委員会において通りました藥事法の事二十五條に、「藥局開設者は、当該藥局で調剤した処方せんを、調剤した日から二年間、保存しなければならない。」こういう條項が設けられておりますが、その規定の理由は医者が患者を診察したならば、必ず無料で処方せんを渡すというような思想から、こういうものが出ておるように解釈いたしておるのでありますが、この点についての政府の御意見を伺います。
○久下政府委員 藥事法におきまして、処方せんを二年間、保存しなければならないという規定を設けましたのは、必ずしも処方せんが無料で発行せらるべきものであるという趣旨で規定しておるのではないと考えるのでございまして、いろいろ処方せんに基いて調剤をいたしました結果に関しまして、後刻問題の起きる場合もございますので、後日の証拠に保存をしていただくということにしておるのでございます。
○有田委員 この医師法案第二十三條において、医師は、患者に療養の方法その他保健の向上に必要な事項を指導しなければならない、ということが規定されておりますが、これは医師として当然なさなければならない義務でありまして、処方せんは患者を診察して、その病氣を判定し、その病氣を治す指導書であると私は考えるのであります。もしもそういう考え方が許されるならば、医師は処方せんを当然患者に渡すことを義務として、無料にすべきものであるという見解が許されると思うのでありますが、これに対する御所見をお伺いいたしす。
○久下政府委員 医師法第二十三條に関してのお尋ねでございます。この点も必ずしも御質疑のような意味において考えておるのではないのでございまして、処方せん料の問題は、この規定とは別個に説明が考えられなければならないものと考えております。
○有田委員 政府は從來から、任意分業が國民の利便本位の制度である、と言つておられますが、ところがこの國民利便本位の制度が、適正に行われていない原因は、処法せん料をとることであるとあると私は考えております。言いかえれば処方せん料をとることによつて、國民の利便を阻害しておるわけであります。かように考えられるのであります。いわんや政府は今日医藥分業が本來の建前であると言明しておらるるときに、單に処方せん料をとるがために國民の利便が阻害されることが是認する考えであるかどうか、この点も承りたいのであります。
○久下政府委員 お尋ねの通りに政府といたしましては、医藥の完全分業に將來は進むべきものであり、さらにその階梯として任意分業もできるならば早いときにおいてやるべきものであるというふうには考えておるのであります。ただ今日の実情におきまして、さのいずれをも徹底的にやりますことは、いろいろの條件から困難な実情にある。かような認定のもとに、多少いずれの点も不徹底な結果になつておる次第であります。処方せん料をとりますことが任意分業の実行に支障がありますかどうかということは、処方せん料の内容の檢討が必要だと思うのであります。いたずらに処方せんが貰えないような高い料金をとるようなことは、もちろん嚴重に戒めなければならないと思います。さらにまた医療の実態を調査をいたしまして、処方せん料というものを特別にとる方が適当かどうかというようなことは、單なる理論上の説明のみでなしに実際上の状況からあるいは別の結論が出てくるかとも考えております。いずれにいたしましてもさような意味合におきまして、実際に合い、しかも合理的なものでありますとしますならば、それをとることによつて必ずしも任意分業に大きな支障を來すものとは考えておらないのでございます。繰返して申し上げますると、さような今申し上げたような意味合におきまして、今後処方せん料の問題につきまして十分檢討をいたすつもりでおります。
○有田委員 政府の御所信はよくわかつたのでありますが、パブリツクヘルスの医務課の副課長ミルトン博士が、個人的な意見として処方せんは無料の方がいいではないかというような御意見をもつておられるやに聞いておるのでありますが、今までのその筋との交渉において、この処方せん料の問題については、どの程度の状態であつたか。御報告できる範囲内において御報告願いたいと思います。
○久下政府委員 お尋ねの点につきまして私は詳細を承知しておりませんのでありますが、私の承知しております限りにおいては、正式にこの問題について右左を聞いたことはないのでございます。
○有田委員 医師は処方せんを出そうが出すまいが、現にその診療録には処方の内容を書かなければならないことになつておると思うのでありますが、いかがでございましようか。
○久下政府委員 お話の通りでございます。
○有田委員 しからば処方せんを出すとしても、別に手数料がかかるわけではないのであつて、もしも一歩を讓つて單に処方せんの用紙代としてとる程度が妥当ではないかと思うのでありまするが、これについての御所見を承りたいと思います。
○久下政府委員 お尋ねの問題を私がこの席におきまして、ただちに一般的に結論を出しますことは、私としてはいかがかと考えておるのでありますが、前回に申し上げましたように、理論的には前回申したようなことが説明がつくと思うのであります。さような理論的のみの説明をしてまいりましたときには、や話の点と別の結論もでてくるかと思います。いずれにいたしましても実際の医療費というものが、どういう形式においてとられており、処方せん料というものがそういう意味合においていかに取扱われておるかというような実際の扱いを、さいわいにいたしまして私の方で昨年秋に調査いたしましたものがすでに一部まとまりつつございますので、それらのことも参考として十分檢討いたしたい。
○有田委員 昨日私が政府当局に申し上げました樂の内容の公示という問題、並びに処方せん料の問題につきましては、いずれ各派の理事会におきまして檢討をしてその結論を得たい、かように考えまするのでそこに讓りたいと思うのであります。 さらに第三條におきまして、「未成年者、禁治産者、準禁治産者、つんぼ、おし又は盲の者には、免許を與えない。」こういう項があつて、第四條には「左の各号の一に該当する者には、免許を與えないことがある。一精神病者」というのがあるのでありまするが、精神病者を第三條に入れなかつたゆえんのものを御説明願いたい。
○久下政府委員 精神病者は御承知の通り從來の法律におきましては、絶対的欠格條項の中にあがつておるのでございますが、それを今回第四條にもつてまいりました理由は、学問的に精神病者に該当をいたします者は、非常にその範囲が廣いそうでございます。それらの点からそのすべてを絶対的な欠各條項にするのは、必ずしも適当でないという意見もございましたので、医師法、歯科医師法におきましては、これを相対的な欠格條項といたしたのでございます。
○有田委員 第十九條に「診療從事する医師は、診療治療の求めがあつた場合には、正当な理由がなければこれを拒んではならない。」という項目があるのでありまするが、現行医師法におきましては、これに違反した場合には、たしか罰金五百万以下というような罰則があつたと思うのでありまするが、本條項にはその罰則がないという点について、非常に私は妥当でないと思うのであります。私どもが今日医師の事業税に、党をあげて反対しておるゆえんのものは、一に医師が患者の求めに應じて行かなければならぬという、医師の非常な御苦労な立場をわれわれは推察いたしまして医師の事業税に反対をいたしておる。これが罰則をおとりになつた理由を承りたい。
○久下政府委員 應招義務に対する罰則をとりました理由についてのお尋ねでございます。この点につきましては実はいろいろと議論があつたのでございますが、いずれにいたしましても最高の教育を受けました医師、歯科医師が、大体におきましてかような應招義務を守るべきであるとしうことを倫理的に当然考えられてよろしいものである、こういうような見地から罰則をもつて強制しなくても、少くとも法律上の義務として掲げる程度をもつて十分であるというような趣旨で、この規定をいたしたのでございます。
○有田委員 御趣旨はよくわかるのでありますが、実際の問題として、たとえば日曜日に非常な急病患者があつたという場合に、医者をあちらこちらかけずりまわつたが、ついには医師がいろいろな理由が來なかつた、そのことのために死んでいつたというような例がここにかりにできまするといたしますならば、政府はこれに対してどういうお考えをおもちになつておるか。
○久下政府委員 お話の通りに医司、歯科医師の業務は、人の生命に関する重要なる業務であります。患者が診察治療を求めてまいりました場合に、これに違反をしても法律上の義務だけは課せられておりますが、罰則がないために守らなくてもいいような結果になるということになりますることは、私ども望んでおるところではないのであります。さような事態が多くの医師、歯科医師の中にないとは申せません。さようなものにつきましては、またおのずから本法の中にありますいわゆる行政処分、免許の停止、取消というようなことが自然的に行われ得ると思いますので、さような面から十分取締りをしてまいりたいと思つておるのであります。なお補足的に申し上げておきますが、今回行政処分に関連をいたしまして、医導審議会というものを法律に基いてつくることにいたしておりますのも、さような面における医師としての倫理道徳を積極的に守つていただくように、これに違反する者に対しては、ただいま法律的には行政処分をもつて嚴重に臨むというような考え方で進みたいと思つております。
○有田委員 先般の藥事法第二十二條の場合におきまして「但し、医師、歯科医師、又は獸医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、」という項につきまして、これに違反したる場合におきましては、もちろんこれは罰金刑になるのですが、これについての実際の方法として、全國に対して嚴重なる通達を出すという御説明があつたのでありますが、これと同じように、第十九條におきまして「正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」罰則がとれましただけに、それだけ政府においては十分なる手をお盡しにならなければならない。というのは、われわれの知る範囲内におきましては、非常によいお医者さんもおられるのでありますが、またそういつ求めに應じない、そのために死んでいつたという事態も、私どもは存じておるのであります。從つてこの行政処分の面におきまして、さらに政府において全國の都道府縣廳に対して嚴重なる通達を出していただいて、この第十九條の罰則がとれましたことによつて、國民大衆が困るというようなことのないようにしていただきたいと思うのでありますが、これに対して政府はどういうふうな方法で全國に御通達になるか、またどういう御決心でありますか、重ねて御説明願いたいと思います。
○久下政府委員 御意見には全然同感でございまして、私どもといたしましては、先ほど申しましたような方法によつて、應招義務の履行を実際にやつていただきたいと思つておるのであります。その具体的な方法といたしましては、御指摘のように地方廳に対して、嚴重な通達をいたすつもりでおりますし、さらにまたこの罰則をとりました趣旨は、決して應招義務を守らないでもよろしいという清味ではないのだということを十分医師会、歯科医師会に徹底いたしまして、その方面からも医師の自発的なる義務履行を期待するようにしたいと思つておるのであります。
○有田委員 最後にお聽きしたいのは、昨日果し上げました檢案医の問題でありますが、政府の現状の檢案医の状態ははなはだ手ぬるいのでありまして、私が昨日申しましたのは、全國的に少くとも小都市以上の所におきましては、死亡した者の診断は、必ず政府の檢案医がこれをみるというようにすべきだと思うのであります。医者が診察をして、そうして死んどしまつてからの死亡診断書を医者が出すというのは、私は妥当ではないと思います。また防犯の立場からいきましても、また医学の進歩の立場からいきましても、ぜひとも診察する医者と、死んだ死骸を檢案する医者とは異にすべきである。しかも敗戰後日本の領土は非常に狭くなつた。また外地から多数の医師も帰つておられまするし、また國内におきましても戰時中多数の医師が出ておりまするし、医師の失業救済の立場からいきましても、また日本の医学が非常に進んでおる、また藥学が非常に進んでおるにもかかわらず、平均年令が依然として、男子は四十五才、女子は五十五才というような状態でありまして、他の文明先進國に比べまして、まことにお恥かしい状態であります。從つてこの檢案医を充実させることによりまして、ただいま私が申しましたように、医学の進歩、さらにまた防犯の立場におきまして、また医師の失業救済の立場におきまして、あらゆる面からいきまして非常に私は妥当な処置だと思うのでありますが、この点につきまして政府はいかなる御所信であるか。同時にこれが妥当であるとお考えになりまするならば、この檢案医を全國的に設置していくということに対しての將來の御方針を、この際承りたいと思うのであります。
○久下政府委員 檢案医の制度につきましては、すでに一昨年から六大都市と福岡市におきまして、実際に仕事を始めているのでございます。この制度につきましては、全然御意見と同様の考え方をもつて出発をいたしたのでございます。その考えにもかかわらず、國家財政上の都合もあり、また地方都道府縣当局の財政上の事情もありまして、私どもの理想といたしました点が、この七大都市におきましても未だ十分に行われていないことは、はなはだ遺憾といたす次第であります。しかしながらこの不十分な制度をもつて出発をいたしましたにもかかわりませず、この制度が御指摘のような意味におきまして、それぞれの都市において非常な成績を上げておると私どもは確信をいたしておるのであります。御趣旨の線に副いまして、私どもといたしましても今後とも努力をいたしまして、まずこれから七大都市の施設の拡充をはかるとともに、できるだけ速やかな機会に、他の地域にもこの制度を及ぼすようにいたしたいと念願いたしておるのであります。十分なる努力をいたしたいと思います。
○有田委員 処方せんの義務発行の問題と、処方せん料の問題、その他の問題につきましては、理事会に一任することにいたしまして、本日の私の質問はこれで終りたいと思います。
○野本委員 最初に私は議案の審査の問題につきまして、委員長並びに政府側の御意見を承りたいと思います。それはきわめて会期が切迫しているときに、あとからあとからと矢継早やに新らしい幾多の議案が提出されてくるのであります。そうしてそれぞれの議案には、それ相当の提案の理由があることはわかりますが、その都度愼重審議して、速やかに可決することを希望されておるのでありますけれども、今のような状態では、愼重審議の文字に値する審議をすることはきわめて困難であります。從つてわれわれといたしましては、國民に対して確信をもつて審議をしたということが言い得ないような状態になるのではないかということをおそれている。從つて今提案されております各種の法案の軽重と申しますか、本末と申しますか、一應の序列をつけて、そうしてこれらのものはもし会期がないならば、やむを得ず次の國会にまわすというようなことができるのならば、私はそうしていただくことが、きわめて議員といたしまして、良心的に國民にこたえる途ではないかと思いますが、委員長それから政府のお考えを承りたい。
○喜多政府委員 ただいま野本さんの御質問に対しまして、厚生省といたしまして、会期の切迫問際に多数の法案を提出してはなはだ恐縮に存じておる次第であります。いずれも厚生省といたしましては重要な法案でございますので、まことに恐縮に存じますが、何とかいたしまして御審議を賜わらんことを懇願いたす次第であります。
○山崎委員長 野本委員のお説に委員長としてお答え申し上げます。御意見のほどはまことにごもつともな次第でございまして、この短期日の間に、この重要な法案をあまたあげてしまわなければならふ責任がありますので、十分にその点については私ども努力いたします。そこで明日は日曜でございますけれども、午前十時から委員会を開きまして、できるだけの努力を拂つていつて、そうして上程されました議案はこの会期中に仕上げてしまいたい、この熱意をもつてやるつもりでありますから、委員の方におかれましても、まことに御苦労とは存じますが、何分にもどうぞ御精励のほどをお願い申し上げます。
○野本委員 どうしても通さなければならないというならば、この間から問題になつております速記者の問題、その他時間嚴守の問題、各種の問題につきまして、委員会の審議の効率を高めるようにお互いに善処していただきたいと思います。
○山崎委員長 了承いたしました。
○野本委員 私はきわめて概括的なことをお伺いしたいと思います。医師法それから歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法及び医療法案等の提案説明の冒頭に、提案の理由として、新憲法施行下の現在の事態には適合しない点が多いのでありますとともに、一方終戰後の社会情勢の変化に対應する新たな医師制度の確立が必要でありますので云々と申されておるのであります。そこで私はこれらの各種の法案の立法の精神を誤りなく理解する必要から、戰後の社会情勢の変化に対應するというのでありますが、この戰後の社会情勢の変化というものを、どういうふうに御認識になり、お考えになつておるのであるか。そうしてその社会情勢の変化に対しまして、かく対処しなれればならないというその立場を御説明願います。
○久下政府委員 戰後の社会情勢の変化という大きなことを掲げましたけれども、その内容として私どもが考えておりますることは、主として新憲法の精神を考えておる次第であります。特に具体的に社会情勢の変化と申し上げました点は、私じも申すまでもなく、終戰後におきまして、一般にわが國の民主主義的な傾向が非常に濃化せられておりまして、さような面におきましておりまして、さような面におきましても、医療制度の民主化というようなことをこの法案には出しましたつもりでございます。具体的に一、二の例をあげて申し上げますと、たとえば從來は医師、歯科医師の適正配置をはかりますために、医師、歯科医師の免許を受けた者に、免許を受けてから一年間の間は、厚生大臣が必要な地域に勤務を命ずることができるという規定があつたのでございます。さようなことは今日の情勢から考えますと、当然削除すべきである。かような考えのもとに、そういう規定は削除いたしたのでございます。さよにまた今日の法律的なものの考え方と申しますか、さような点から憲法的な法律総括委任的な規定がたくさん現行の國民医療法にはあつたのでございます。そうして法律をもつて規定しなければなりませんようなことが、政令あるいは省令をもつて規定せられておりましたのが数多いのであります。それらの点は新しい社会情勢におきましては許されないことと思いまして、それらをいずれも法律の中に取入れまして、その結果一つの法案に取りまとめが困難になりましたので、現行の一つの法律を四つの法案に分離をしたというようなことも、社会情勢の変化に應ずる改正の現われでございます。そのほかたとえば診療所の開設につきまして、從來は許可制度をとつておりましたが、これを届出に改めた部分もございますし、おもな事例をあげますと、さような点を考えております。さよにまた新憲法の精神と関連をいたすことでございますが、今日わが國の医療の実態を見ますが、今日な医療を期待し得られます病院の設備は、都市の地域に集中いたしておりまして、農村方面には十分なる医療機関が欠如しております実情でございます。それらの点を解決して、新憲法二十五條の精神に副いまして、國家は國民の健康を保持しなければならない義務を負います。さような点から新しい医療法におきましては、法的医療機関の制度を設けまして、法的公共團体等に対しましては、國費の補助をして医療機関の整備をはかり、國民にあまねくいい医療の恩惠に浴せしめるように考えなければならないといたしました。さような点も情勢の変化に應じて考えました大きな事例であります。
○野本委員 大体わかりましたが、あらゆる部面において社会化ということが考えられておるのでありますが、医療の社会化ということもきわめて重大な問題であろうと思います。法的医療機関の拡充ということもこの医療社会化の線に沿うものだと思いますが、その他のこまかい点において、そういつた情神の現われております点はどんな点でありますか、お答え願います。
○久下政府委員 まず現行の法律と比較して医療民主化の面が現われておりますものは、ただいまお話にございました以外では、各種の審議会をたくさん設けました点でございます。具体的には医師の行政処分をいたします医道審議会の議を経なければならない、あるいは法的医療機関の整備について医療機関の整備審議会を設けております。さらにまた法的運用機関の運営に関する審議会を設けるというようなぐあいに、殊に病院の運営については、これを利用する方面の人々にも運営委員会にははいつていただきまして、医療機関を利用いたします人々の氣持が運営の面に現わるれように考慮いたしました。そういうような点は民主化の一つの現われだと考えております。
○野本委員 医師法の第一條に医療の國家公益性というようなことが、きわめてはつきりとうたわれておるのであります。医師法の第一條はただいまお話のありましたように、憲法の第二十五條にもうたわれております國民の健康なる生活の確保、公衆衞生の向上ということを明確にしておるのであります。かように考えてみますと、私どもはしみじみと法の上において医療というものの國家公共性がこの規定に盛られていることを非常に喜ぶものであります。從つて私は以下医療の公共性と申しますか、そういう観点から二、三の点について質問いたしたいと思うのであります。 医師法第三條には、これこれの者には免許を與えないということが規定されており、また第四條には、これこれの者に対しては免許を與えないことができると規定されており、また第七條には、かくかくの場合には免許を取消すことができるというようなことが規定されておりますのも、ことごとくこの医療の公共性というような観点からの規定であろあと私は思うのであります。そこでひとつお伺いしたいと思いますことは、この七條に規定されております「医師としての品位を損するような行為のあつたとき」云々とありますが、この医師としての品位を損するような行為というのは、具体的にはどういうふうにお考えになつておりますか。
○久下政府委員 医師としての品位を損する行為ということは、具体的に從來の事例をもつて申し上げた方がよろしいかと思います。從來行政処分をいたしましたもので、この品位を損するものに該当するものとして処分をいたした事例のありますのは、あまり数がないのでございますが、患者に猥褻行為を行つたようなことが、後において発覚いたしまして問題になつたような医師に対して、品位を損するものとしてやつた事例がございます。いろいろな具体的な問題に應じまして考えたいと思います。
○野本委員 次に第九條に「医師國家試驗は、臨床上必要な医学及び公衆衞生に関して、医師として具有すべき知識及び技能について、これを行う。」こう書かれておるのでありますが、これだれでみますと、私は医者というものをある技術者のように見るのであります。特に医療というものが非常に公共性をもつたものであるという観点から考えますと、医師として具有すべき知識と申しますか、そういう方面の中に特に、思想問題、あるいは社会問題等に対する正しい理解と認識とをもつていることが、医療の公共性とか社会性とかいうものを十分に発揮する上に必要だ。從つて医師としての教養を授けるところのお医者の学校におきましても、あるいは医師としての國家試驗におきましても、かような点に触れる必要があるのじやないかと思いますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
○久下政府委員 医師國家試驗の内容をいかにすべきかということにつきましては、連合軍総司令部の中に、わが國の医学教育の有力者を集めまして医学教育審議会というのが設けられまして、学近はこの仕事を日本医師会の仕事に移すように相なつているのであります。この審議会の審議に基きまして方針をきめたのであります。その際に御質問のような意見が相当強く述べられたのでございますが、國家試驗としてさような倫理、道徳の面の教育をすることははなはだ困難である、さような点は長い医学教育の経過において、十分教育の課程においてやることを期待することによつて、國家試驗としてはここに書いてありますように、医学及び公衆衞生に関してやれば、まずそれで千分ではないか、こういう議論でありましたので、現在やつております試驗もその程度に限定をいたしております。しかしながら実際問題といたしましては、最近医学校を卒業いたしまして者が、御承知のように一年間病院に配属せられまして実地習練をやつております。この実地習練の過程において、その人の人格につきましても、院長から報告を求めておりまして、國家試驗の判定の中に、人格的に適当でないという報告のあつた者につきましては、できるだけの考慮をしたいというような議も現に起りつつあります。できるだけはいたしたいと思いますが、実際上の困難から、学課目の中に入れて試驗をするということが非常にむずかしいのでさような結論で取扱つているのであります。
○野本委員 全部がそうだと言いませんけれども、世間の一部では、医師の一部の人が比較的に保守的であり、あるいは固陋であるということも言われないでもない。私はかような点から、医者というものが、單に技術者でなしに、やはりその当時の社会の動き、思想の動向というものを正しく理解しておることがきわめて必要である、かように考えますので、もし國家試驗の科目としてそれを入れることがきわめて困台であるというならば、医師を養成する教育機関において、この種の方面の事柄を相当重視するようにしていかなければならぬ、かように思うのであります。文部省関係の方、及び厚生省関係の方のこの点についてのお考えを承りたいと思います。
○久下政府委員 本日文部省からはまいつておりませんが、私はこの問題について多少過去において関與いたした関係がありますので、私から知る限りのことを申し上げたいと思います。御指摘のように、この問題は先ほど申しました通り、非常に重要視いたしておる問題でありまして、医学教育の内容にその趣旨のことを十分取り入れることになつておるのであります。それも特定の科目をあげてやるということでは不十分であつて、あらゆる医学の教授が、常に医学の技術的な教育をいたしますときに、御時に医師の先輩として、師表として、身をもつて範を示すような教育を行う必要があるというようなことに相なつておりまして、さような線に沿いまして各医学校において努力すべきであるという結論に立ち、文部省におきましても、その趣旨に副いまして処置いたしておるものと承知しております。
○野本委員 ただいまの御答弁で大体了承いたしました。ぜひ今後ともそういう方面に十分力を注がれまして、そうしてわれわれの尊敬し得るいわゆる國手の養成、國手による國民の健康生活の確保、公衆衞生の増進ということが進められるように、今後とも努力せられんことを特に希望いたす次第であります。 それから第十九條でありますが、医師法の第十九條に、「正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とあります。そこで私がお伺いしたいのは、診療を拒み得る正当な事由とはどういう場合であるか。
○久下政府委員 これも具体的な事態にぶつかりませんと、簡單に一般的に判定をいたしかねるのであります。大体御承知の通り、医師はそれぞれ自分の診療いたします患者の便宜のために、診療科名を標榜いたすことになつております。たとえば内科を標榜しております医師の所へ、外科の怪我をした、そして相当な手術を要するような患者を連れ込まれました場合、自分の所はできない、しかしさいわいに近所に適当な外科医師がおるというような場合には、その医師としては、自分の所ではできないから、そこへ行つてもらいたいと言うような場合を、正当な事由の典型的なものとして考えております。それらの場合でも、もし近所に適当な外科病院がなかつた場合には、内科医師といえども、そこでできるだけの処置はとるべきであると思います。いずれにいたしましても各種の條件を考えませんと、一概にこういう場合、こういう場合というふうに限定的に申し上げかねますことを御了承いただきたいと思います。
○野本委員 それと関連しておると思うのでありますが、医療法の第二十六條に、医療監視員の事柄が規定されております。すなわち医療監視員は病院、診療所等の清潔保持、構造、設備、記録の檢査というようなことがそのおもな事項としてあげられておるのでありますけれども、先ほど來私の申します万一の場合にありますところの医師の反社会性と申しますか、反公共性と申しますか、そうした部面についての監視監督というようなものは、だれがどういう形において行わんとするのでありますか。
○久下政府委員 御指摘のありました医療監視員の任務は、さような事柄を監視することが主たる目的ではないのでございます。さような問題につきましては、地方の衞生関係部局におきましても、常に関心をもち、さらに出先の機関でありますところの保健所におきましても、一般的にそういうようなものに注意いたし、かりにもそういう問題が起きたといたしますならば、独断的な判断をせずに、まず都道府縣知事のところに問題をもつてきてもらい、その意見に基き、さらに必要がありますれば、最後的な決定は厚生大臣のもとに設けられます医療審議会において判定をいたすようにいたしたいと思つております。いずれにいたしましても、反公共性というようなことに対しまする判旅は、よほどいろいろな事情を考慮いたしませんと、一面的な見方のみでやることは適当でないと考えまして、今のような方法で愼重にやりたいと思つております。
○野本委員 医療法の第三十四條に、必要に應じて公的医療機関の設置を命ずることができるということが言われております。これはどういう場合でございますか。
○久下政府委員 これは、その地方におきます医療機関が十分でなく、あるいは欠如しておりまして、その附近の住民が非常に医療上困つておるというような実情にあります所に、私どもとしては、まず第一段階としては、当該都道府縣、市町村等に話をいたしまして、そうして自発的に設置をするようにしたいと思つておるのであります。しかしながら、もちろんさようなことを処置いたします前提としては、医療機関整備審議会というものができることになつておりますので、それらの意見にまつことは当然でございます。そういうふうな結果に基きまして、まず第一には話合いをいたしたいと思つております。それを、話合いをいたしましても、正当な事由がないのに、十分能力があるにも拘らず設置しようとしないというような所に対しましては、かような規定を設けておくことによつて、いわゆる傳家の宝刀的効力を発揮させたいという考えでございます。
○野本委員 三十三條、三十四條に、相当の補助金を交付するということを言われておりますが、さしあたつてこうした公的医療機関の設置に対しまして、政府はどの程度の予算的な考慮を拂われておるのでありますか。
○久下政府委員 先ほど申し上げました通りに、三十二條にございます医療機関整備審議会の決定に基きまして、具体的な数字を割出したいと思つております。現在のところまだその段階に至つておりません。本法案を御審議いただきましたならば、速やかに医療機関整備審議会を設けまして、その答申に基きまして具体的な予算折衝をいたしたいと思つておるのであります。
○野本委員 予算案に見えます医療施設補助費としての五千四百四十六万二千円というものは、そういうもの及びその他どういうものを含んでおりますか。
○久下政府委員 お尋ねの数字につきましては、医務局所管でございませんので的確なお答えがいたしかねるのでございますが、医務局所管に一般的な関係におきましては、まだ今日までその種類の予算は顔を出しておらないのであります。おそらく御指摘の点は國民保險関係の医療機関の補助費ではないか。かように考えております。 〔委員長退席、山崎(道)委員長代理着席〕
○野本委員 医療法の第一條に病院設置等に関する各種の規定がなされております。そこで私が特にお伺いしたいと思いますことは、ここに規定されておりますものは物的な條件があげられておるだけであります。そこで、病院を設立してこれを医師に任せておる、つまり企業的に病院を設立する人があるかもしれない。かような病院は当然の結果として好ましくない結果を生んでくるのでありますが、病院設立者の人物というようなものについて、相当綿密に考えなければならぬと思うのでありますが、この点についてどう考えますか。
○久下政府委員 病院、診療所の開設者につきましては、医療法の第七條、第八條あたりに規定しておるのでございます。まず第一に申し上げたいと思いますことは、医師、歯科医師または助産婦がみずから開設をする場合でございます。これは事柄は二つにわかれておりまして、病院の場合と診療所または助産所の場合と区別されております。診療所または助産所の場合におきましては、医師、歯科医師または助産婦がみずから開設をいたします場合には、第八條によつて届出をもつて足ることになつております。これは医師、歯科医師または助産婦は、それぞれ所定の高い教育を受けまして、こういう面においては十分に人物的にも信頼し得る人々であるということを考えておりますので、さような意味合から届出をもつて足ることにいたしておるのであります。しかしながら、医師、歯科医師または助産婦以外の者が、診療所または助産所を開設いたそうとする場合には、第七條によりまして許可を要することにいたしております。これは、ただいま御指摘のような趣旨におきまして、その開設者の人となり、あるいは評判なりを十分審査の上で、営利的に企業的に運営をされる危險を避けようという趣旨でございます。さらに第七條の第二項には、営利を目的として病院、診療所または助産所を開設しようという者に対して許可を與えないことがあるということにいたしてあります。実際の運用としましては、この規定に基いて、営利を目的とする者には許可を與えない方針でございます。病院につきましては全般的に許可制をとつておるのでありますが、これは、開設者の人格ももちろん考慮をいたしますが、後に他の規定がございますように、いろいろと病院につきましては、第二十一條、第二十二條あたりに各種の施設を要求いたしております。これらの病院規格に合致しておるかどうかというような面の審査が必要でありますので、許可制度にいたしておるのであります。結論といたしまして、医師、歯科医師または助産婦がみずから診療所または助産所を開設する場合のほかは全部許可制度にいたしてありまして、営利を目的としてやるようなことは大体許可しない建前でございます。
○野本委員 ただいまの御答弁で了解いたしました。往々にして、許可が、一種の形式的な、それから物的な條件のみに眼を奪われやすいのでありますから、設立者の人となり等につきましては、先ほど來申します医療の公共性というような観点から、十分の御注意を希望しておきます。最後にお伺いいたしたいと思いますことは、公的医療機関の拡充ということがまさに時代の要求でありまして、國といたしましてもその線に沿つて、逐次日本の医療の問題を解決していこうと努力されておることはわかつております。しかしながら不幸にして、私どもの見聞するところにおきましては、從來の公的医療機関は必ずしも成功しておらぬ。相当失敗しておるということは事実がこれを証明しておる。今までの公的医療機関が何故所期の目的を果すことができなかつたか、予期の成果を收めることができなかつたかという原因、理由についての当局の反省等がありましたならばお伺いしたい。
○久下政府委員 お話の通りに、從來の公的医療機関が必ずしも全部公的医療機関たるの成績をあげておることは、私どもも考えておらないのでありまして、この一番主要な理由となりますことは、公的医療機関の経営主体の医療機関がいかなる使命をもつべきものであるかという認識が欠けておるがゆえではなかろうかと思います。今日におきましても、病院を経営するということは、何らかこれを歳入の手段として使うというような氣持をまだ一部にはもつております地方公共團体の人々もあるようであります。私どもといたしましては、それらの点は、最近におきましても常に是正するように努力をいたしておるつもりであります。さいわいにいたしまして、新憲法二十五條の規定等も設けられました関係上、國民医療を担当する医療施設を設けるということは非常に重要な意義をもつものであるということが、私どもの信ずる限りにおきましては、各方面十分に認識が増してきたように考えられます。從いまして從來と異つて公的医療機関というものの成果が十分にあがつていくものと考えておる次第であります。 〔山崎(道)委員長代理退席、委員長着席〕
○野本委員 公的医療機関が予期の成果を收め得ない理由の一つといたしまして、私どもは待遇の面において、その他各種の生活上の條件の上において、その土地に安住し得ないというようなことが大きな理由であろうと思うのであります。これらの点につきましては、將來の公的医療機関の設置を奨励し、あるいは命令する際に、医師の待遇その他生活條件を向上させることによつて、医師が一定の地に安住し、その聖職に專念し得るような條件を與えなければならぬと思うのであります。この点について伺いたい。
○久下政府委員 御指摘の通りでありまして、私が公的医療機関の開設者は十分公的医療機関の使命に徹しておらないという意味を申し上げました趣旨の中には、そのに働く医師その他の職員の待遇に十分な考慮が拂われてないということも含めて申し上げたつもりであります。私どもといたしましても、現に直接やつております國立病院、國立診療所に関しましても、その任務の多いのにもかかわりませず、職員の待遇が必ずしも十分でないと考えております。さような面の改善につきましては、現在の職階制の実施等の関連をいたしまして、十分努力もし、考慮もいたしておるつもりでございます。
○野本委員 以上で私の質問を終ります。
○山崎(道)委員 私は保健婦助産婦看護婦法案について、先日の質問のときに落しましたことをちよつと補足さしていただきたいと思います。医師、歯科医師の試驗委員の中には、お医者さんが皆はいつておるのでございますが、この國家試驗の委員の中には保健婦、助産婦、看護婦がはいるようになつているのでしようか、その点ちよつとお伺いしておきます。
○久下政府委員 はいることになつております。
○山崎(道)委員 次に國家公務員共済組合法についてお伺いいたしたいと思います。第二條の「國立学校に属する職員」とありますのを、國立学校並びに公立学校に属する職員というふうに改むべきであると思いますが、それについては政府はどうお考えでありますか。
○大平説明員 お答えいたします。國家公務員共済組合法は、國庫から報酬を受けて、國家に使用せられておる職員を対象といたします。從つて当然には地方の公立学校の職員ははいらないのでありますが、ただいままで共済組合に加入いたしておりますので、地方公共團体の方でこれに代るべき施設ができるまでは、附則をもちましてこの共済組合に加入できることに相なつております。
○山崎(道)委員 第五條に「組合の適正な運営を図るため、各組合に共済組合運営審議会を置く。」というふうになつておりますのをこれを私はこの際運営委員会と改めていただきたいと存じます。それから運営委員会の委員の選出に際しましては、各省各廳の長がこれを命ずるということになつておりますけれども、これはまことに官僚的だと存じますので、これを選挙制度に直すべきだと考えますが、この意思ありや否や、お伺いしたいと思います。
○大平説明員 運営審議会の名称の御質疑でございますが、これは原案はおつしやるように、共済組合運営委員会となつておりました。ところがただいま國会で御審議願つております行政組織法の中で、委員会という名称は行政権の主体になる場合にだけ使うというようなことになつたという法制局の御注意もありましたので、審議会という名称に改めた次第であります。第二番目の御質疑の審議会の委員の選出の問題でございます。御説の通りに若干官僚的に相なつております。ただ御了解願わなければなりませんことは、共済組合というものはなるほど法人でありまして、執行機関、決議機関が本来ならば要るものでございますけれども、共済組合の組織活動の細目に至るまで、ほとんど全部法律に規定いたしてあります。こまかいはしの上げ下げまで法律に規定してありまして、本來決議機関に付議いたしますような重要な案件はほとんどないのであります。ただこの法律の基きました細目だけの審議をお願いするということになるのでございますが、從來こういう制度がなかつたのでございますが、先ほどからの御質問にもございましたように、最近民主化の線に沿いまして、共済組合にも組合員の声を反映させる制度がなければならないというようなことで設けたのでありまして、細目の打合せという点に限定されておりますので、こういう規定で十分賄えるのではないかと、かように私どもは考えるのであります。
○山崎(道)委員 從來なかつたからといつて、やはり私は十分念を入れて審議していく。そうして改めるべきものは改めるべきだと思います。あなたも非常に官僚的であつたということをお認めになつたのでありますから、これはぜひ改正してほしいと思います。 次に三十五條「組合員が分べんしたときは、分べん費として俸給の一月分を支給する。」という條項の第三に、「組合員の被扶養者である配偶者が分べんしたときは、配偶者分べん費として俸給の半月分を支給する。」というふうになつておるのでございますが、これをぜひ私は俸給一箇月の八割くらいは支給するように改めなければならないと存じます。そうして続いて三十六條のほ育料の問題でございますが、一箇月百円を支給するというように相なつております。今日の一箇月百円はいくらになるかということをひとつお考えになつてほしい。そうして旧法におきましては、昭和十六年の勅令でございますが、これによりますと三十円となつておる。昭和十六年の三十円と今日の百円、これはまことに了承に苦しむのであります。私はこの際これを相当額に直さなければならないと存じておりますが、どういうわけで百円のほ育料というものが算出されたか、それをお伺いいたしたい。
○大平説明員 お答えしたします。御承知のように、今度の健康保險法の改正によりまして、國に使用せられる公務員も健康保險における強制的な被保險者と相なります。それでただ共済組合で給付を受けておるものは、健康保險給付をやる必要がないということになつておりまして、共済組合は文字通り健康保險の代行組合でございます。從いまして共済組合の健康保險給付に相当する給付は、ほとんど健康保險に規定された給付と同額にいたしております。ただいま御指摘のありました分べん費、配偶者分べん費、ほ育手当金も健康保險と均衡をとりまして規定してあるのでありまして、ほ育手当金の百円も、健康保險の改正案が百円と相なつておりますので、自動的にそのままの金額を計上いたした次第でございます。
○山崎(道)委員 私はどうもわからない。この点はぜひお考え直しを願わなければならぬ。(「簡單」と呼ぶ者あり)先ほど私は間違いました。やはりほ育料は勅令当時も百円であります。今日も百円、こんなべらぼうなことはないのであります。これはぜひ改めなければならない。簡單ということでありますから、簡單に先に進めます。 第三十七條埋葬料、これが最低二千円、家族半箇月分ということになつております。これを少くとも今日の貨幣價値からまいりまして、二千円でお葬式ができるかどうか、最低できるだけの費用に改めるべきだと思いますので、これは最低三千円にしてほしい。 それから五十三條の罹災弔慰金、これも私は最低三千円を下らないようにしてほしい。少くとも罹災給付というような名前がついておりまする以上、給付になるべき金額でなければならない、かように存じますので、ぜひこの点を改正してほしいと存じます。私は、今まであつたからそれを据え置いたのだというようなお言葉に対しまして、断然了承いたすことができません。昨日学生の陳情を受けましたときにも、高等師範あたりの政府の給付金といいますか、あれが二十五円なんです。こんながかなことがありますか。二十五円なんかもらつて、四年間縛つておく義務年限をつけるというふうに、何でもお座なり的な考え方で法律をつくられますことは非常に迷惑でございますので、少くとも生かされる法律でなければならない。こういう意味におきまして、私がただいま御質問いたしましたことをぜひ改めなければならない。かように存じております。
○大平説明員 ただいま埋葬料につきまして、俸給の一箇月分、最低保障が二千円は非常に少いという御質疑でございましたが、ただいまの貨幣價値かり見まして、たいへん僅少な金額であることは私どもも十分認めております。ただ官吏につきましては、御承知のように死亡賜金という制度がございまして、別途四箇月分が支給されることに相なつております。健康保險給付としての給付はお説の通りまことに僅少でございますけれども、別途葬祭料に相当するような給與が別にあることを御了承願いたいと思いすま。 それから罹災給付でございますが、これは健康保險にない給付でございます。これをなぜ設けたかといいますと、從來日本の慣修といたしまして、たとえば自分の局員がなくなつたというような場合に、局長といたしましても、あるいは大臣といたしましても、何がしかの金品を靈前に供えておつたのでございます。ところがそういう予算は実はないのでございまして、そういう公金を支出する以上は、何らかの根拠がなければならない。にもかかわらず、何らの根拠なくやつておつたのが例でございますので、そういう惡弊を一掃いたしまして、罹災給付というところで共済組合の給付としてきつぱりと出すということにすれば、そういう弊害が除去されるようなわけでございまして、これは健康保險給付にない給付を新しく設けまして、そういう要請に答えたわけでございます。つまり御靈前に供える金品だというように御了承願えれば結構だと存じます。 〔委員長退席、有田委員長代理着席〕
○山崎(道)委員 今までないのをこれに出した。今まで局長から出したいわゆるポケットマネーがこれに相当するのですね。何でもいいのです。私は法律をよくしたいのですから。一時的言逃れでなく、本心の御答弁を願いたい。
○大平説明員 ただいま申しました通り、出すべき途がないので出しておつたというような弊害を除去したいために、しかも同僚がなくなつたということは組合員全体の悲しみでもありますので、組合員が掛金をかけて、できたフアンドでお見舞を差上げるように直した方が、共済組合の性格といたしましても、またそういう情勢に対應する同僚の敬弔の意を表する形式といたしましても、適当ではないかと考えて、こういう法案をつくつたわけであります。
○山崎(道)委員 私はこの埋葬料につきましては自分が勉強不足でございまして、ほかにそういう規定があるということを承知しておりませんでしたから、なお研究してみます。それからほ育料の問題、これはどうしても御改正を願わなければならないと存じます。これをもつて私の質問を打切ります。
○大平説明員 ほ育料と御指摘がありました金額の僅少な点は十分認めますので、健康保險を管掌されております厚生省などと協議いたしまして、御要望に副うような改正案を次の機会に考慮いたしたいと存じます。
○山崎(道)委員 私の質問は一應打切ります。
○榊原(亨)委員 歯科医師法についてお尋ね申し上げたいのでありますが、在來歯科医師に死亡診断書を書くことができる権限がありましたのに、死亡診断書を書くことを許さないようになりました。その理由をお話し願いたいと思います。
○久下政府委員 從來歯科医師に死亡診断書の発行を認めておりましたことはお話の通りでございますが、その点につきましては、若干の議論があつたのでございます。新しい法律案の制定にあたりましては、この点につきましていろいろ論議をいたしました結果、歯科医師が死亡診断書を書くということは、歯科医師の素養の点から適当ではないという考え方のもとに、今回におきましては特に明確に法文のうちに表わした次第であります。
○榊原(亨)委員 歯科医師が自分の患者を治療しておりますときに、もしその患者が死亡いたしましたときには、具体的にどんな方法によつて死亡診断書を書くか。あるいは檢案書を書くのでございますか。
○久下政府委員 歯科医師が診療中に患者が死亡いたしました場合には、全身的な判断を下することについて、その能力ありと認めて國家が免許を與えております医師に請うて、その死亡の原因を判断して死亡診断書を書いてもらうように扱わしめたいと思つております。
○榊原(亨)委員 歯科医師が治療してありましたときに、すでに死亡してしまつた患者についても、死亡診断書を医師から求めることができるのでございますか。
○久下政府委員 私がただいま死亡診断書という言葉を使いましたのは、はなはだ失礼いたしました。死亡してしまいました場合に、医師が初めてこれを見ます場合には、死体檢案奥の制度がございます。
○榊原(亨)委員 次に医師法についてお伺いいたしたいのでありますが、第四章の第十七條の「医師でなければ、医業をなしてはならない。」の医業という意味は、医師でなければ人体に危險を及ぼすような医療行為というふうに解釈してよろしゆうございますか。医業の解釈を伺つておきたいと思います。
○久下政府委員 医業の観念は実ははなはだむずかしいのでございまして、私どももこの観念が一般的に確定したものがございますれば、むしろこれを法律の中に取入れて書きたいと思つていろいろ研究もいたしたのでございますが、法律の中に医業の観念を規定するほどに、一般的に固まつていないように感じました。以下申し上げる医業の観念もさような意味でお聽き取り願いたいと思います。私どもは、医業とは医を業とするものである。医を業とするということは、多数人に対して反復継続の意思をもつて行うものであると解しております。すなわち医術というのは、私どもの考えといたしては、疾病の診察、治療、投藥などをいうものと解しております。何が疾病であり何が治療であるかということにつきましては、もちろん医学も日進月歩のことでありますから、今固定的にそれの観念を下し得ないと思いますが、疾病の診察、治療、投藥、そういうものを指すものと理解をいたしております。
○榊原(亨)委員 いわゆる医業類似行為との関係はいかがでございますか。
○久下政府委員 この点につきましても医業類似行為に関するあん靡、はりきゆう、柔道、整復、等の関係につきまして、まだ客観的に確定した解釈があるわけではないのでございます。私どもは廣い意味におきまして医業と申しますれば、いわゆる医業類似行為もこれに包含するものと考えております。しかしながら特別な法律をもつてこの医師法に原則が掲げてありますけれども、これと同一の効力を有します他の法律におきまして、そうした行為の医業に属しますことが認められておりますことによつて、その例外として特別な法律によつて医業の内容に属するものが特定の範囲内において特定のものに認められておる。こういう解釈をいたしております。
○榊原(亨)委員 医道審議会の具体的構成はどういうふうになつておりますか。あるいは医師会、歯科医師会におきまして、裁定委員会というようなものもございますが、これとの連関、あるいはそれらの團体との連関を具体的にどういうふうにお考えになつておりますか。
○久下政府委員 医道審議会の構成につきましては、まだ確定的な原案をもつておらないのでございますが、御指摘の中にありました医師会の裁定委員会のメンバーの中からなどは、当然医道審議会の中にはいつていただく必要があると思います。私どもといたしましては視野を廣くいたしまして、この主力をなしますものは医師、歯科医師であろうと思いますが、同時に医道審議会は一種の行政処分に対する判断もいたしますので、第三者的な学識経驗者にも加わつていただきまして、公平な判断のできますようにいたしたいと思つております。
○榊原(亨)委員 次に医療法案の第六條にあります直接診療所を開設していない者、その者のうちに、たとえば生命保險の診察医のような者についても、かくのごとき御見解をおとりになりますか。
○久下政府委員 生命保險の診察医をしております医師が、すべてこれに該当するかどうか、その根拠となつております所において診療所なり病院をやつておるかどうかにおいて多少違うと思うのであります。多くの場合第五條に該当するものであろうと考えております。
○榊原(亨)委員 第二十一條の一「省令を以て定める員数の医師、歯科医師、看護婦その他の從業者「この員数というのは大体御見当でどれくらいのことをお指しになつていらつしやいますか。その十一の暖房施設、一四の診療に関する諸記録、これはどの程度のものをお考えになつていらつしやるかをお聽きしたい。
○久下政府委員 まず第一のお尋ねであります省令をもつて定むる員数の医師、歯科医師の数でありますが、これは大体病院のベツド数に應じて医師、歯科医師の数を定めたいと思つておりますが、少くとも最小限度二十ベツドの病院におきましては三名ということを考えております。また薬剤師が一名、看護婦が七名、こういうことを考えておるのであります。それからその他の暖房施設等につきましては、まだ具体的にこういうもというふうに確定したものをもつておりませんので、医師会、歯科医師会その他の関係團体等とも御相談をいたしまして、実際に適合する、しかも医療機関の病院としての規格の向上が期待できるような目的をもつて御相談をいたしました上で決定をしたいと思つております。診療に関する諸記録と書いてありますのは、いわゆる診療録のみではないのでありまして、そのほかにレントゲン・フイルム、あるいはその他診療上の参考記録、特に最近は新しい考え方から、医療社会事業というような事柄も、大病院においてはできればそれの專任の人を置きまして、そうして医療の社会化の方面の担当をしてもらうように指導をしたいと思つております。さような面におきます記録もさような意味におきまして、各方面に関する記録を集めていくことなどもこの趣旨に含まれておるのであります。きわめて廣い意味でありまして、今後の病院の総合的な運営というようなことに役立ちますようにあらゆる記録を保存し、整理し、これを活用していただくような趣旨で、特にこういう要件を掲げた次第であります。
○榊原(亨)委員 次に國家公務員共済組合法につきましてお伺いしたいのであります。大体これにおきまするところの組合員の数はどれぐらいのところでお考えになつていらつしやいますか。この組合と普通の健康保險組合の給付その他に関する違つた点をお知らせおきを願いたいと思います。
○大平説明員 共済組合員の数でありますが、最近の調べで二百一六万八千人となつております。それから次に、健康保險給付と、共済組合給付との直違でございますが、保險給付については、大体健康保險と大差ございません。そのほかに休業給付という制度を設けておりますが、その中の傷病手当金と、出産手当金は、健康保險と相違はありませんが、一つの新しいアイデアといたしまして、休業手当金というのを共済組合はもつております。これはどういう趣旨かと申しますと、ただいまの給與のわれわれの考え方は、休んだ日は給料をやらないということに逐次直していかなければいかぬと思つております。しかし休みましても、生活費が要ることは事実でありますので、それを國庫からの給與としてやらずに、同僚の醵金による共済給付としてやつた方が適当ではないか。もつともこれも、ストライキで休んだ場合にやるとか、あるいは怠けて休んだ場合にやるとかいうのではありませんで、たとえば忌引の場合とか、あるいは奥さんが出産したとか、そういつた場合に休んだ、やむを得ない場合に休業手当金といつた給付でもつてカバーしよう。そういう考え方でありまして、これが健康保險と短期給付につきまして、別な給付が一つあるということであります。それから退職給付、癈疾給付、遺族給付につきましては、これはただいま現業の雇傭員にだけ適用されておる給付でありまして、健康保險ではなくて、厚生年金保險に相当する給付であります。それからもう一つ、短期給付で健康保險にない給付は、罹災給付でありまして、先ほど山崎委員の御質疑がありました弔慰金と医族弔慰金、それは健康保險にない給付であります。それから災害見舞金と申しまして、水災、火災、震災等の場合に、家屋が流失した、家財を燒失したというような場合に、共済組合として若干のお見舞を差上げるということに相なつておりますので、罹災給付と休業手当金が短期給付で、健康保險にない給付でありまして、退職給付、癈疾給付、遺族給付は厚生年金保險に相当する給付であります。
○榊原(亨)委員 実際、かくのごとき共済組合の運営にあたりまして、最も困つておりますことは、各種の保險組合あるいは共済組合というものがたくさんありますために、殊にこの療養の給付、並びに療養にあたつております医療者の方面におきましては、非常に困つておるのであります。在來のいろいろなものがここに併わされて、こういうふうなことになりましたのは結構でありますが、今お聽きいたしますと、健康保險とほとんど変らないものであつて、ただ、たとえば罹災とかなんとかいう、共済的に御見舞をあげるとかなんとかいうような点にだけ、異なる点がありまして、他の点は健康保險とあまり変ならいように拜承したのでありますが、これをひとつ、かくのごときものはなるべく一本にするということが必要なんでありまして、これらの國家官廳に勤めておる方だけが、別にこういうものをつくつて給付を受けるということそれ自身が、先ほどお話になりましたいわゆる濃厚だと私は思うのでありまして、この場合に一本の健康保險というものにしまして、先ほどお話になりましたような違つた点がもしあるとしたならば、そのことだけをもつて一つの組合をおつくりくださるわけにはいかないのでありますか。特別に諸官廳に勤めておられる方だけがかくのごとき組合をつくらなければならぬという具体的な理由をはつきりお知らせおきを願いたいのであります。
○大平説明員 ただいまの御意見につきましては、究極の考え方としては、健康保險にはいりまして、官民同樣の給付を受けるのが理想であろうと思います。ただ現在なぜわかれておるかと申しますと、御承知のように共済組合というのは、非常に古い歴史をもつておりまして、明治四十年ごろに、すでに現業の共済組合ができておりまして、それで現在の健康保險給付であるとか、あるいは厚生年金に相当するような給付をその組合で行つておつた古い歴史があるのでございます。またそういう組合におきましては、こういう仕事に非常に慣熟いたしまして、現在組合の利用の度合は、非常に良好であります。そういう沿革からいたしまして、健康保險とか、厚生年金保險とか、あるいは船員保險とか、そういつた給付を沿革的に一つの共済組合という仕組を通じてやつておりました関係上、現在そのまま残つておるという形になつておるのであります。現業以外の共済組合は、昭和十六年に初めてできたのでありまして、この面につきましては、今榊原委員が御指摘されたように、健康保險にはいつていいじやないかという御意見につきましては、特別に反対する理由はないと思います。ただそういう方向にまいります第一歩として、今回の健康保險法の改正におきましては、國家公務員をすべて強制的な被保險者としておりまして、ただ共済組合の制度があつて、ガバーされておる場合には、健康保險の給付は行わないでいいということに相なりましたことは、そういう方向に対する前進の第一歩であろうと思います。主として沿革的な理由と、それから各種の給付、厚生年金とか、船員保險とかの給付を合体いたしまして、共済組合で、ただいままではやつてまいつておつたということ、そうしてそういう仕事に相当慣熟して、相当の実績を上げておるというようなことが、別個に取扱われておる理由ではないかと思つております。
○榊原(亨)委員 診療所担当側あるいはその事務的方面におきましては、しばしばこの保險問題は統一していただきたい。あるいは関係方面におきましても、そういう意向があるにかかわらず、ただいまお話を聞きますと、單に沿革的なことである。沿革的な関係から、こういうことが進歩の第一歩としてというお話でありますが、御承知のごとく官僚独善ということも許されなくなり、ここに新憲法があらためてできたのでありまするから、今までの沿革というものは、何らこれを左右する原因とはならないと私は思うのであります。この際はぜひ卒先して、官僚が民衆の中に飛び込むという意味から申しましても、健康保險一本にお願いしたらどうかと私は存ずるのでありますが、これ以上は意見でございますので、いずれ機会をもちまして申し上げることにいたします。 第三十一條の「組合の指定する医師、歯科医師、」云々とございますが、この組合が医師、歯科医師その他を指定なさる場合には、いかなる基準に基いてこれを指定なさるのでございますか、承りたいのでございます。続けてまた「厚生大臣の定める基準に從つてその費用を」云々とございますのは、これはいわゆる社会保險の算定協議会によつてきめられたものを基準となさるという御意思でございますか、承りたいと存じます。
○大平説明員 指定医と申しますのは、健康保險医のことでございます。それから「厚生大臣の定める基準に從つて」とありますのは、ただいま御指摘の通り健康保險の診療費支拂いの制度そのものを指しているものであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、健康保險医に医者がなりましたら、必ず國家公務員の共済組合の医者にならなければならないという御意見でございますか。
○大平説明員 これは健康保險との取扱いを同一にするために、健康保險医にかかつた場合に、厚生大臣の定める基準によつて、診療費を拂う取扱いを区々にしないために、規定したのであります。
○榊原(亨)委員 私の前段にお聽きいたしましたのは、この組合の指定区としてきめます場合に、どういう基準によつてこの指定医をきめるかということをお聽きしたのであります。おわかりでございましようか。
○大平説明員 これは健康保險の保險医になれば、自動的に共済組合の指定医になるということでございます。
○榊原(亨)委員 今のお答えはちよつとお間違いではないかと思います。御承知のごとく健康保險の指定医たる者は、今度の法律によりますと医者の自由であります。けれども健康保險医というものになる以上は、この組合の診療をもしなければならぬ義務があるのでございますか、——いや、今おわかりにならなければ、あしたまでにお調べくださつて結構なのであります。
○大平説明員 その点なお研究いたしまして、あした御報告申し上げます。
○榊原(亨)委員 その次に第五十五條の四項に結核性疾患に対しては、前項の期間をこえ通じて三年に至るまでの療養の給與を受くることができる。この三年とおきめになりましたのは、どういう理由によつて三年とおきめになりましたのか承りたいのであります。——これもおわかりにならなければあすまでで結構でございます。 次に第七十三條に、審査会の構成が書いてございますが、その構成につきまして、ほかの健康保險その他のものにおきまして審査会の構成が変ります場合には、これにおいても御改正になる御意思がございますかどうか承りたいと存じます。
○大平説明員 ただいまの御質問は、公益を代表するものとか、あるいは政府を代表するものとかいう組合の構成てございますか。
○榊原(亨)委員 さようであります。
○大平説明員 これは國家公務員を対象としての審査会でございますので、政府を代表するものが一方にあり、組合員を代表するものがあり、かつ公益を代表するものがある。これで十分ではないかと考えるのであります。
○榊原(亨)委員 それはわかつているのであります。しかしながら保險の給付をいたします場合の組合の運営というものは、保險者と被保險者だけであるのであります。公益を代表する者はオブザーヴアーとしてただ一部分を構成すればいいのであつて、その一つ一つが三分の一ずつの権利をもつということに、私は疑義をもつているのであります。こういう点がほかの保險の場合と比べまして、改正さるるようなことが起りました場合にはこれを御改正になつてもよろしいのでありますか、どうしても三分の一ずつの勢力をおもちにならなければいけないのでありますか、これもおわかりにならなければ、あしたでよろしゆうございます。
○大平説明員 ただいまの点は、ほかの保險制度の審査会が保險者と被保險者との代表でもつて足りるというような見解でございましたならば、これを改正するにやぶさかでないのでありますけれども、政府関係では莫大な國費をこれで使わせていただいておりますので、一般公益を代表するという者の中には、納税者であるとか、あるいは医療関係の方であるとかいうような方を委嘱する方が、むしろ妥当ではないかというような一應の考えをもつておりますが、なおこの点は熟しておりませんので、研究させていただきたいと思います。
○榊原(亨)委員 質問は終りました。
○山崎(道)委員 私は医務当局にちよつとお伺いいたしたいと思います。近頃出てまいります法案で、医師や産婆の施設なき場合はこの限りにあらずという法律が、ちよいちよい出てくるのであります。今度出てくる性病予防法におきましても、これは重要なことになるのでございますが、この際お伺いいたしたいことは、現在全國に無医村がいくつぐらいあるかということと、これに対しましてその無医村をなくしていく方針をおもちであるかどうか、これをちよつとお伺いいたしたいのであります。
○久下政府委員 私どもの方の調査によりますると、現在医者のおりませんいわゆる無医村が千七百五十三箇村ございます。二、三年前までは、この数字の倍ぐらいに上つておりましたが、御承知のように戰爭に伴う疎開等によつて、約半数に激減しているのであります。なお歯科医師のおりませんいわゆる無歯科医村と申しますものが、全國で七千六百四十四箇村に上つておる実情であります。かようなことをこのまま放置しておきますることは、憲法二十五條の精神からも適当でないと考えておるのであります。医療法の中に公的医療機関の制度を設け、これに対して國家が普及のために助成することを考えておりまするのも、この種の無医村、あるいは無歯科医村をできるだけ早い機会に解消したいと思つてやつておる次第であります。
○山崎(道)委員 農村の保險思想の普及は緊急の問題だと存じておりますので、ぜひこの点一日も早く充実されますることを、心から希望いたしておきます。この際政府当局へ苦言を呈したいと存じますが、いつも法律をつくるときには、まことに熱心におやりになるのでございまするが、運営の面におきましては、どうも御熱心さが欠けるのではないかと思うようなことが、しばしばあるのであります。予算をとるまでは御熱心であるが、予算の適正な運営という点にも、不満な点が多々ございまするので、ぜひこういう大切な法案を審議をいたしまする私たちの希望といたしましては、これにどこまでも熱意をもつていただき、遺憾なきを期することを御努力願いたいと存じます。
○久下政府委員 御希望でございましたが、この問題についてはあえてお答えをさしていただきたいと存じます。私どもといたしましては先ほど申し上げました通り、この問題については非常な熱意をもつて実現をはかるつもりでおるのであります。ただ過去において、厚生省といたしましても数年前に無医村解消のために、無医村診療所の開設に対して、設置費の補助及び経常費の補助をいたしますことを実施をいたしました。数箇年間この経常費の補助も続いたのでございます。これは独立して無医村に診療所のみを設ける建前でやりましたために、結果におきましてはその無医村にせつかくつくつた診療所に、かんじんの医師におちついてもらえないというような結果を來しまして、この点は過去の実績は失敗をいたしております。さような点を御指摘でありまするとすれば、事実さようでございます。これは考え方が誤つておつたと思つておるのであります。私どもといたしましては新しく無医村問題を解消いたしますためには、かような点についても十分な考慮を加えて、過去の失敗をなめないように、しかも國民医療の十分なる普及が期せられまするように、努力いたしたいと思つております。ただ厚生当局としても誠意をもつけれども、國家財政の関係から、これらの点に相当程度の制肘がいつも加えられますることを、はなはだ遺憾に思うのであります。私どもといたしましてはさような問題をできるだけ突破いたしまするように、万全の努力をいたしますことをお約束申し上げます。
○山崎(道)委員 無医村問題の解決の前提といたしまして、これができ上るまでこのままの状態では、一刻も放置できないように私には考えられますので、さいわいに保險婦さんの待遇を改善し、その使命が十分果せられるような措置を講じていただきまして、全國津々浦々にこの保健婦さんの活動が期待できまするよう、ぜひ御考慮が願いたいと存じます。それによつてお医者さんがそこに駐在することのできるまでの暫定的な処置といたしましても、その土地の保健指導にあたることのできるようにと、心から希望してやみません。私はこれをもつて質問を打切ります。
○武田委員 この前にすでに同僚から質問のあつたところでございますが、この際もう一度はつきり政府の御意向を承りたいと思いまして、重ねて質問いたします。それは医師法における処方せんの問題でございますが、私は次の理由から処方せんは医師の義務発行とし、処方せん料はとらないというのが妥当ではないかと考えますので、それを申し上げて御意見を承りたいと思います。一体処方せん料をとるということは、世界でほかの國にはあまり例のないところでありまして、このことは藥事法の中の第二十五條で、藥局では調剤した処方せんは、必ず二年間は保存しなければならないということになつておるのでございます。この規定の理由は、医師が患者を診察したならば、必ず無料で婦方せんを渡さねばならないという思想に発しておることによると私は考えます。それから医師法の第二十三條に、医師は患者の療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならないということになつております。これは医者としては当然しなければならない義務でありまして、処方せんは、患者を診察いたしますと、その病氣の判断をして、その病氣を治す指図書とも考えられるのであります。そうでありますならば、医者は処方せんを患者に渡す義務があるのではないか。義務であるとなれば、当然無料で渡すべきではないかと思います。もう一つは政府は今回の医藥分業ということは、國民の便利を本意として制度だ、こういう考えをもつておられるように承るのでございますが、この國民の利便本意の制度がなぜ適当に行われないか。医藥分業が適当に行われないかと申しますと、その大きな原因は処方せん料をとるということにかかつておると考えます。言いかえれば処方せん料をとることによつて、國民の利便が非常に妨げられるというか、負担が重くなる。ですから政府としては現在医藥分業ということが本來の建前であるということを言明しておる以上、この医藥分業が自然に行われることを旨として考えられる場合に、処方せん料をとるということのために國民の利便が外止されるという矛盾は、どういうふうにお考えでしようか。もう一つやはり処方せんを書くということについて、医者がずいぶんめんどうだということになるかとも思いますが、めんどうというよりは、医者としては処方せんを出すということが当然といたしますならば、そこに責任がずいぶん重くなるような煩いがあるのではないかと思われるのでございますが、現在の医者の診療録の方には、その処分は書いてあるはずでございます。その処方の内容その他治療に必要な事項は、書かねばならないことになつておるのでございますから、処方せんの方にはただそれを写すということだけで、それほど大きな煩いを加えるものではない、こう考えられるのでございます。その場合に用紙が要るから、一歩讓つて用紙代を考えても、これは非常に軽いものだと思います。現在処方せん料をとつているところでは、ずいぶん高いものをとつております。用紙代とは考えられないような高いものをとつております。三樂病院などでも五十円くらいとつております。あるいは地方の大きな病院にありましては、時によると百円以上二百円もとるということを聞いております。こういとことは私は妥当でないようなとり方と思われます。こういう点についてひとつ政府の方でお考えを願いたいと思います。
○久下政府委員 処方せんの発行に関しますことについての総合的なお尋ねでございます。まずお尋ねの順序に從つて、お答えを申し上げたいと思います。御引例になりました藥事法の第二十五條の規定は、処方せんは無料で発給せらるべきものであるということを必ずしも前提として、規定したものでないと理解をいたしておるのでございます。むしろそれよりも処方せんに基いて調剤をした結果について、後々いろいろな問題の起りますときの証拠書類として保存をしていただくようにいたしておるつもりであります。それから医師法第二十三條の規定を御引例になつてのお超でありましたが、この規定からは必ずしも医師が当然に処方せんを発行しなければならないというような趣旨は出てこないと理解をいたしておるのであります。むしろこの規定は医療が十分に行われ、患者の疾病の治療が一日も速やかになりますように、藥剤の用途あるいは食事のとり方、その内容、起居、その他の仕方につきまして、できるだけこまかに注意を與えるようにということを規定いたしておるのであります。医藥分業をいたしますことが國民の利便であるかどうかということでございますが、私どもといたしましても、たびたび申し上げておりまするような諸條件が整いましたならば、將來の理想としては、医藥分業が國民の利便であると考えておるものでございます。しかしながら今日の段階におきましては、医藥の強制分業を実行し、あるいは処方せんの強制発行をしなければならないという事態になつておらないと考えておりますし、さらに処方せんの強制発行ということは、非常特別な場合でございますけれども、診療上必要によりましてはかえつて強制発行しない方がいいという面も考えられますので、医師法、歯科医師法等においては但書を設けて、特に診療上支障のある場合はこの限りでないということを考えておる次第であります。いずれにいたしましても、私どもといたしましては患者が希望をいたしました場合には、大体そうした特別の例外を除きましては、処方せんの発行をすることがむしろ患者の利便であると考えまして、できるだけ処方せんの発行の機会を多くするようにということで、今回のこの関係の規定の改正の趣旨もまたそこに出ておることでもありますので、今後とも関係の方面を督励をいたし、適当な指導をいたしまして、処方せんが從來と異つて、出ることを期待をいたしておる次第であります。 診録録に記載をするがゆえに処方せん料をとる必要がないのではないかというお話でありましたけれども、この問題は、私どもとしては、これを理詰めにものを考えました場合には、医師が患者の診察をいたしましたその結果、投藥をするとか、あるいは特定の処置をするとか、あるいは手術をするとか、あるいは何らの処置も、投藥も必要がない、こういうような注意をするだけで済むような場合もあろうと思います。そういう各種の場合を考えますと、おのずからだんだんと治療ということをわけて考える必要があると考えるのであります。そういう意味合におきまして、理詰めにこれを申しました場合には、診察料と、それから処方せんの発行という一つの治療の手段として考えたものとの間には区別があつてしかるべきものと考えるのであります。しかしながらこの点は先ほども他の委員の方の御質問にお答え申し上げましたように、單純に理屈のみで、理論のみで問題の解決ができると考えてもおりません。医療の実体がいかになつておりますか、さような面について詳細な必要な調査もまとまりつつありますので、それらを参考といたしまして、十分医療法に基く医療報酬審議会などで檢討をいたしまして、具体的な方策を決定いたしたいと思つておる次第であります。 現在処方せん料が高いという御批判でございますが、これなどにつきましても、ただいま申しまして審議会におきまして十分檢討をいたしたいと思つております。ただ一應公的な資料として御千考に申し上げられますのは、社会保險の診療報酬におきまして、処方せん料というのは、特に掲げないが、五点の点数が認められております。五点の点数と申しますと、ただいまの單價で申しますれば三十円になります。これが社会保險の診療報酬として一つの定めがなされておるのであります。これらにつきましても、私どもとしては社会保險の診療報酬全般の問題とにらみ合わせまして、ただいま申し上げました資料に基き、医療報酬審議会において一括して全般の問題として十分精細な檢討をした上で具体的な処置をきめたいと思つておるのであります。
○武田委員 ただいまのお話でございますと、これから処方せんはできるだけ発行させるように向けたい、こういう御意見のように伺いましたが、この二十二條の條文にございます「患者から藥剤の交付に代えて処方せんの求があつた場合には、これを交付」することになつておりますし、但書の方はそれを断るときの條件になつておりますが、むしろ処方せんを交付することを本体として、この但書の方を書いておいた方が、今の御意見の通りに行われやすいと思うのでございますが、いかがでございましようか。
○久下政府委員 御質問の点につきましては、この規定によりまして、大体御質問の点と同様の結果が出るものと私は理解いたしております。それが現行の処方せん発行に関しまするものは、医療法施行規則の規定によりますると、從來は——現行の規定によりますと、患者から処方せんの求めがあつたとき、診療上支障のない限りこれを交付しなければならない、というような表現の仕方がしてあつたのでございます。これを診療上特に支障があるときはこの限りでないというこにして、しかもそれを但書にいたしました氣持は、そういうような具体的な場合、診療上必要がある場合は多くの診療側から申しますと、比較的少いということが実際の法文の表現の上におきましても現われておるものと思うのであります。そういう意味合におきまして、処方せんの発行はこの法文におきましては從來と異つて、非常にたくさん発行せられることが期待できると思いまして、私どもといたしましても医師会方面とも連絡をとりまして、この目的の実行ができますように十分指導をいたしたいと思つておるのであります。ただ患者の求めがなくてもかようにすべきであるかどうか、この問題でございますが、その点につきましてはこの種の問題の性質上、また今日の実際の状況から申しまして、求めのないにもかかわらず、処方せんを出さなければならぬという決定を法文としていたしますことはいかがかと存じます。國民が自覚をし、それが利便であると感じた場合に、どんどん要求すれば、特別な場合のほかは発行しなければならない予定になつておりますので、論理的にも、実際的にもこれで正しいかと思つておる次第であります。
○武田委員 私はもう一つ他の立場から、処方せんを患者に藥とともに出す方が望ましいと思うのでございます。それは病氣になりましたときに、初めて病氣に対する関心を非常に深くする。そうしてその藥とかあるいは保健上の問題、衛生上の問題についても、みな考えるのでございまして、一体日本人はそういう衛生上の知識が非常に低いということは、今までの医療というものはお医者さんにまるきり預けられるような感じで、あなた任せであつたから、そういうことにもなつたのではないかと一面考えられるのでございます。私は医者から藥をもらつた場合に、その藥の内容が何であるかということを、これはほとんどの人がまず第一に考えることだと思います。それが今のように治療上に非常に支障があるから知らしていけないようなものでございましたら別といたしまして、処方せんでこの藥の内洋を知つて、そうしてその藥がどういうふうな場合どれにきくかというふうなことは、こういう際にみなが調らなければこれを尋ねて明らかにするとか、あるいはそれに対して非常に自分で適当な服用や食事やその他のことについても注意を與えることができるとか、そういうふうなことにつきましても、藥の内容をはつきりさせた方がよいと思います。のみならず今申し上げたように、病氣によつてその病氣だけでなく、一般の衛生上の考え方というものを刺激されて、自分からも研究し、家族の者もみな考えるというようなことが、今の場合むしろお医者様の方から指導するという立場、教育するという立場でこの処方せんは出された方が、私は患者にも、これは治療そのもののみの目的でなくて、國民の衛生知識という方からいつても、私は一つの啓蒙教育の動機になるのではないかと思うのであります。こういうことは非常に一般のこととは考えられませんけれども、お医者様から藥をいただいたのが、どうもその藥がきくかきかないかわからないというふうなことは、これはやはりその藥の内容に対して確信が持てないというので、あるいはときどきはこれは重曹だけではないかとか、あるいはアスピリンであろうか、何であろうか、なめてみなければわからない、そういうふうなこともございましよう。またときには体質によつて、同じ解熱剤でも使い方が違つて、自分では体質上それは使つてはいけないような藥というものも十分患者も知つておるものもございましよう。そういう点はただ自分の経驗だけを申すのでございますけれども、処方せんではつきり藥を知るということが、すべてにおいて物事を合理的にさすゆえんではないかと考えます。その点ではこの処方せんの発行ということ、患者に藥の内容を知らすということは、大きく私は要求したいと思うのであります。いかがでございましようか。
○久下政府委員 藥の内容を知りたいというような人々に対しましては、要求によりまして処方せんを渡すことになつております。大体その目的を達し得ると考えております。ただ藥を渡すとともに処方せんをまた別に渡さなければならぬというふうにいたすことにつきましては、処方せんの性質から申しまして、いかがかと思いまするし、また一面におきまして、さようなことが國民の利益になります遠上があるかとも思うのでありますが、さらとてさようなことを一般的に行わなければならないといたしますと、実際問題としてほとんど実行困難な状態になるのではないかと思うのであります。藥を渡すと同時に、常に支障のないときには処方せんも書いて渡さなければならぬというようなことになりますと、実行問題ではなはだ私は期待を持てないのでございます。さような点から藥のほかにさらに処方せんを渡すというようなことにつきましては、いかがかと考えておる次第であります。同時にまたかようなことを私が申し上げるのはいかがかと存じまするが、もちろん國民が科学的に発達をし、医療に対するある程度の批判、批評ができるということも必要かと思うのでありまするけれども、また一面から考えますると、人間性の本質からいいまして、ある程度自分のかかつておる医者を信頼するということも、治療上の効果をあげる上に必要なことだと思います。もちろんそれが全部とは思いませんが、さようなこともかような問題の解決には一應考慮に入れておく必要もありはしないかと考えておるのであります。
○武田委員 今おつしやいましたその実行上困難というのは、どういう点で困難とお考えになるのでありますか。
○久下政府委員 一開業医の問題にいたしましても、あるいは大病院にいたしましても、大病院などで一日数百人に対して投藥をしております。その際に一々患者にそれをいたさなければならないというようなことになりますると、非常にたいへんな手数で、そのために余分な人も雇わなければならぬでありましようし、そのことは同時に結果においては、また医療費の問題にからんでまいると思うのであります。同時にまた個々の開業医がさようなことをいたさなむればならぬといたしますると、能力にも制限があることでありまするから、十分患者の求めにも應じ得ない。診察、治療の求めにも應じ得ないというような、結果も生ずるでありましようし、一方においては紙の資材の問題もございましようし、さような実際上の面から、一般的にこれを要求することに困難がある。こういうふうに考えておるのであります。
○武田委員 私は処方せんというものは卒業証書のようにりつぱなものでなくてもよいのでありますから、紙などが非常に高くなるからということはちよつと考えられませんし、それからそれにつきまして、特別な人を入れなくても、お医者さんの方でそれをカルテの方にお書きになつたら、それを写すというので事は足りはしないかと思うのでありますが、これは間違いでございましようか。
○久下政府委員 その点を私は申したつもりでありますが、医師が一々カルテに書きましたものを、同時に医師自身が書かなければならぬ。あるいは同時に人を置いて書かさなければならぬということになつて、少くともその面において手数のかかりますことは事実であると思うのであります。カルテはカルテとして、またこれは絶対に診察治療の上に、医師自身が後に適正な治療をいたします上に、欠くことのできないものと思います。その上さらにさような要求をいたさねばならないというところに実行上の無理がありはしないか、こういう意味で申し上げたのであります。
○武田委員 処方せんの問題はそれだけにいたしまして、次に保健婦助産婦看護婦法につきましてお尋ねしたいのでございます。保健婦と助産婦との業務の内容につきまして、本法の二條に「保健婦の名称を用いて、保健指導に從事することを業とする」と書いてございます。三條の助産婦の方は、ただそれに「助産又は妊婦、じよく婦、若しくは新生児の保健指導」こういうふうになつておりますが、保健婦はそうしますと、助産ということには全然触れることはできないのでございますか。
○久下政府委員 お説の通りでございまして、保健婦は助産ができない。
○武田委員 今地方にずいぶん保健婦がおります。保健婦は一般の指導でございますから、もちろん妊婦や産婦、幼兒というような者の指導にも当るわけでございますが、その場合に保健婦がもし出産に面した場合には、救急、應急の処置として出産を取扱うことができましようか。
○久下政府委員 お話の問題は保健婦の業務と重複しております助産婦の業務すなわち「妊婦、じよく婦若しくは新生兒の保健指導をなす」ということにあると思うのであります。お説の通りに、保健婦は内容的には対象に限定がなく妊婦、じよく婦、もしくは新生兒の保健指導をすることができる。そういう意味におきまして妊婦またはじよく婦の指導をしておつた場合には、保健のことは助産婦にはできません。しかしながら助産婦を呼ぶこともできない、あるいは急に呼ぴにいつたけれども、助産婦がおらなかつたというような場合に、緊急の処置として何らかの処置をいたしますことはやむを得ないと考えております。これはあくまでも後の規定にございます臨時應急の手当ということで考えたいと思つておるのであります。
○武田委員 次に助産婦の應急の処置ということにつきまして、今までのところでは大体應急の処置と申しましても、藥を使うこともできなければ、注射をすることもできないのでございますが、この助産婦の應急処置ということになりますと、私は手当に対してもう少し廣い範囲のものが許されてよいのじやないかと思います。
○久下政府委員 御指摘の点については、今後は助産婦の教育程度も非常に高まつてまいりますので、これらの助産婦が実際妊産婦を取扱い、助産の仕事をいたします場合には、從來と違つて十分に安心をして任せることができることが多くなると思うのであります。そういうような意味合において、臨時應急の手当というものを、さような制度の変改に應じまして、解釈を変えていくことは当然のことと思います。具体的な例で申しますれば、産婦に対して強心剤を注射するというようなことの必要が場合によつては起きてくると思います。これらは臨時應急の手当ということでできるように処置いたしたいと思つております。
○武田委員 そうすると、今の点をもう少しつつこみまして、今の臨時應急の手当には、注射としては強心剤の注射は認めて——もちろん臨時應急の手当でございますが、そのほかは止血の注射などはどういうことになりますか。
○久下政府委員 これは具体的な場合の解釈でございまして、非常な大出血をしておりますときに、一体注射だけでよいかどうかという問題もありましよう。私は医学の方面はあまり明るくありません。私の方においても、具体的にそれではどういう場合だけをこの場合に解釈するかというところまで限定的な、確定的な解釈はきまつておりませんので、はつきりした御返事が申し上げられぬことははなはだ遺憾に思いますが、要するに、先ほど申し上げましたような精神によつて十分相当のことまでできるようにしなければ、実際その産婦の命にかかわるというようなときに、この解釈を窮屈にすることによつて手当が遅れるということはおもしろくないと思います。できるならば私どもとしては、そうした正常産が異状産に変化してまいりましたような場合においては、あらかじめ他の規定で予測しておりますように、常に助産婦は嘱託医をもつておりまして、そうして必要な場合には嘱託医に來てもらえるようにすることを規定しておるのであります。本則的に申しますれば、そういう状態が見えましたらならば、できるだけ一刻も早く本來の医師を呼んで來て手当をしてもらうことを期待しております。それもいろいろの場合でできない場合もあろうと思います。それだからと言つて、ある程度の判断がつくにもかかわらず、放つておくということはもちろんとるべき措置でないと思います。いずれにいたしましても、そうした他の條件も加味されて、具体的な判断がくだされるものと思いますが、これらの点については、なお具体的な研究もいたしますが、要は助産婦としての任務を正しく認識し、なお健全なる常識をもつて運用するというような精神で、具体的な場合を処理していただくよりほかないと思つております。
○武田委員 ただいまのような場合に、助産婦の方でも、まつたく妊産婦の命を救うというふうなときにとれます処置には——これらの助産婦というものは、今までとは違つて非常に高い教育と、そうしてそれだけの資格をもつた者でございますから、それがある程度までのことはできるようにお考えをいただきたいと思います。もちろん藥などにおきましても、十分その点については御配慮いただきたいと思います。私はこの助産婦の仕事というものは、ここに保健婦と看護婦と助産婦とがひとまとめにして一本の法律になつておりますけれども、元來これは別個のものにして、助産婦法というものをひとつつくつていいものではないかと思うのであります。歯科医師にしましても、獣医師にしましても、あるいは歯科衞生士というようなもので別個の法律がございますのに、助産婦は保健婦とは立場が違つて、ごく一部分ではございますけれども、人の命を預り、これを生かし、かつもし死産などの場合でありますと、死体の檢案書まで書く立場になつておるのでございますから、この仕事は内容、性質からいいましても、医者、歯科医師などと同じような性質のものではないかと思います。この法案では保健婦助産婦看護婦法とこうなつておりますが、この意味から申しますならば、助産婦というものを一番上に置いて取扱うべきであり、あるいはさらに別の法律として助産婦法というものを設けるのが至当ではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○久下政府委員 助産婦を別個の法律をもつて取扱うべきであるという御意見でありますが、私どもといたしましては、この内容で御了解いただけますように、助産婦と保健婦と看護婦とは、基礎的な素養においては大体重複する面が多いのでございます。そういう意味合におきましては、助産婦教育の前提となります三年間の教育は、看護婦と保健婦はいずれも同樣にしております。言い換えますと、保健婦になりますためにも、助産婦になりますためにも、看護婦になりますためにも、いずれも三年間の共通の教育機関が必要である。その上に助産婦としての特別の教育をすれば十分である、保健婦は保健婦としての教育を受ければ十分であるという考えのもとに、この全体の構成をいたしておりますので、さような意味から申しますと、それぞれの内容におきまして、重複する面が非常にたくさん出てまいります。同時にまた婦人の業務でもありますので、それらの面からも一緒に取扱いまして少しも差支えないものと思つている次第であります。 それから次に、助産婦を別扱いにする理由として、名称の組み方の順序などについても御意見がありました。この点については、私ども別にこだわつて考えているわけじやないのでありまして、むしろこれは見解の相違になるかもしれないと思いますが、助産婦は、お話の通りきわめて重要な任務をもつているものと私どもも理解をしております。また保健婦も別の意味におきまして、助産婦とはその任務は違いますが、任務が違うだけに、また別の考え方において重要だと言われるのであります。言葉の順序が先になつているものが重要であるというようなことは毛頭考えておりません。さような趣旨に御了承いただきたいと思います。
○武田委員 助産婦を保健婦と同一の法案の中に編まれたということは大体了承いたしました。この医者、助産婦などの應招義務の不履行といいますか、正当の理由なく應招に應じなかつたときには罰則がないのはどういうわけでありますか。
○久下政府委員 應招義務の違反に対する罰則をとりましたのは、この種の人々が相当高い教育——助産婦にしても新しい制度においては、大学程度の教育を受けなければならぬ。医師、歯科医師については、一般の大学の教育のほかに、さらい二年ないし三年の特別な教育を必要としております。さような高い教育を受けた者でありますので、おのずからその間においてこの種の仕事については、その人々の倫理感として、当然守つていただくことが期待せられるというのが第一の考え方であり、またこの種の性質の事柄は、そういう意味において運用することが適当であると考えまして、從來ありました罰則を削つたのであります。しかしながらあえてこの規定に違反するような行動に対しては、いずれもその業務の停止、あるいは免許の取消しなどの処分を行い得ることにしておりますので、不当に世の指彈を受けるような処置をとりました者については、そうした行政処分の規定の活用によりまして、さような問題の起きないように処置したいと思つております。
○武田委員 先ほどちよつと聞き漏らしたのでありますが、助産婦が出産の処置をいたしましたときに、先ほどのように医師の方の連絡がとれないで、大出血などをした場合には、どういうふうに処置をとつたらいいのかお伺いいたします。
○久下政府委員 助産婦は從來からもそうでありますし、この法律においても結論として正常産だけを扱えるという観念でございます。助産婦は第三十八條の規定によりますと、「妊婦、産婦、じよく婦、胎兒又は新生兒に異常があると認めたときは、医師の診療を請わしめることを要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならない。」こう書いてあります。すなわち異常のある場合には医師の診療を請わしめなければならないということが原則になつておるのであります。從いまして先ほども申し上げましたように、異常のある産婦を取扱います場合には、あらかじめそういうことを予想いたしまして、助産所の開設者である助産婦はあらかじめ嘱託医をきめておく。嘱託医と申しますのは、こちらがお願いしたらいつでも來てもらえるように約束しておく意味の嘱託医をきめてもらうことになつております。從いましてお産に立会つておりましても、異常がある、大出血がある、あるいは心臓の鼓動がやみそうになつて命にかかわりそうダというような症状が現われましたならば、まずその家人に話をいたしまして、今申し上げました嘱託医を呼んできて、まず医者に見せるという処置を第一にとつてもらいたいのであります。さような場合におきまして、医者を迎えに行つておる間に、あるいは医者が特別な用事のためにどうしても來られないという場合もありましようし、さような場合に産婦が異常の状態にはいつてまいりますようなときは、助産婦の判断において、臨時應急の手当として、相当程度のことまでやつても差支えないと思つておるのであります。これらは先ほど申し上げたような方法におきまして、そのときどきの状況に應じて、具体的な判断をする以外にないと思つております。
○武田委員 大体助産婦は正常産を取扱つて、異常産と認めた場合には、嘱託医の方にかからせるということは、その建前でございますが、お産はほんとうに大丈夫だと思つておりますのが、とんでもないことから思わないような状態になることがしばしばあるのでございますから、この点につきましては、助産婦の取扱う範囲と申しますか、急に予測しない状態で異常産になつたり、あるいは大出血をしたりしたような場合には、十分これに対する処置ができますように、つまり医者が間に合わなくても助産婦の方でも処置ができるような程度に、これの施行にあたつて御考慮願いたいと思います。
○久下政府委員 この点は助産婦制度、医師制度の根本にふれる問題でありまして、助産婦がさようないかなる異常産においてもその処置を誤らずに適切な処置ができるようにするためには、少くとも医師と同樣の素養がありませんと、私どもは制度としては安心して任されないと思います。從つて助産婦の教育をこの程度において免許を與えます限りにおきましては、私どもとしては異常産に対してもいかなる場合にも処置しても差支えないのだというようなことを、制度としては容認するわけにはまいらないのでございます。
○武田委員 私の質問はこれで終ります。
○榊原(亨)委員 ただいまの質問に関連してですが、ただいま久下政府委員のおつしやいましたことと、武田委員の言われましたことについて、私どもが了解しておりますのは、原則としては今久下政府委員の言われた通りであると思いますが、もしどうしても医者のところに行くことができない、あるいは周囲の状態が許さないというような場合には、人道上の立場から便法としてそういう処置をとりましても、別に法律上には触れないというように解釈いたしていいだろうと思うのでございますが、いかがでございましようか。
○久下政府委員 大体さように考えております。「但し、臨時應急の手当は、この限りでない」と書いたのはその意味であります。ただ問題は、個人の独断的な判断でなく、やはり問題になりました場合には、客観的にそれぞれの條件を勘案しなければならないのではないかと思います。
○田中(松)委員 もうすでに各委員から詳細にわたつて質問たいし、当局の御意見も伺つたのですが、私の聽き漏らした点もありますので、ごく簡單に念のためにお伺いしたいと思います。第十九條と第二十二條の正当な事由という言葉ですが、それは実はこういう場合だという一例でよろしゆうございますから、お聽かせ願いたいと思います。
○久下政府委員 第一は十九條の場合の具体的な事例でございますが、たとえば大けがをした患者を連れこまれましたところが、当該の外科医師は他の重大なる手術に携わつている、あるいはやむを得ざる事由で外出しておつたというような場合に、他に行つていただきたいということは正当な事由となるものと考えます。さらに現在、各医師は自分自身それぞれ内科とか外科とかいうことを標榜いたしております。從つて内科医は内科患者の來ることを期待しておりますが、その内科を標榜している医師のところへ、どうしても特別な処置を要するような患者を連れこみました場合、しかもその近所にはりつぱな設備をもつた外科医がいるというような場合には、これは自分のところでなくあそこへ行つてくれというようなことも、正当なる事由となるものと考えます。それから診療上支障のあるときと申しますのは、たとえば神経性の患者などに対しまして催眠剤、鎮靜剤を欲しいというような場合には、最初は催眠剤を與えましても、内容を減してしかも催眠剤と言つて與えることが、かえつて治療上の効果を來すような場合があると考えられますので、さような場合を一例として考えております。さらに再起不能の病状、たとえば胃癌のごときものになつております者に、その処方内容によつて、自分がその病氣にかかつておるというようなことを知らせますことは、普通一般的に考えましたときにはかえつてよくない。むしろ知らさない方がよろしいというふうに考えるのであります。その他具体的な事例もございまするけれども、結核患者に対する処置といたしましても、たとえば結核患者は発熱を伴うのが常でございます。安靜にしておれば熱も下るのだと言うて、実際は藥の中に解熱剤を若干投入いたしまして、安靜にした結果熱が下つたのだということで、そのあとの治療方法として、本人自身が安靜にすることが治療の効果をあげることもございます。そういうようなことを典型的な問題として考えております。
○田中(松)委員 処方せん料でありますが、これは公定價というか、一枚書いた場合になんぼというようなきまりがありますか。それが一点と、場合によつて五十円とか百円とかというような、特別な処方せん料が公に認められておるのか。それは体のいい非合法でやつておるのか。そういう点についてお答え願います。
○久下政府委員 現在処方せん料といたしまして公に認められておりまするものは、社会保險の診療報酬について点数制度というのがございます。一点の單價をきめまして、個々の場合に應じてある問題は何点というふうにきめておるのであります。それでこの場合に処方せん料として点数五点をとつてよろしいということになつておるのが、公のものとしてある例でございます。一般的には別に権威のある取極めというものはないのでありますが、從來法律に基く医師会、歯科医師会が存在をしておりましたときには、医療報酬につきまして、標準額について医師会、歯科医師会の定めによるということに相なつておりました。そういう定めの中に処方せん料などをきめてあるものもございます。しかしながら今日の状態におきましては公的なものとは考えられません。さような実情でございます。
○田中(松)委員 その五十円とか百円とかいうものは、それが何も法外に高いという意味ではありませんが、特にわれわれがまだ氣もつかないような、及びもつかないような病状の場合等、特別の場合もあり得ると思えば、五十円、百円という処方せん料をとられても、これはあたりまえと思いまするが、專門家の立場から、そういうべらぼうなことはない。とつたところが定めにある十円か二十円というのが、通常であつて、五十円、百円あるいは二百円というような法外なことは、それはむちやだ。こういうぐあいなものについてですが、これはごく常識的な御答弁でよろしうございますが、まず今おつしやつた医師会、歯科医師会が申合せできめておるというのも、大概今日では十円か二十円か三十円かできめられておつたら、それは高いとも安いとも思いません。あたりまえとしか感じませんが、突拍手もない百円も二百円もとつたという場合、そういうことも特別にはあると解釈すべきでありましようか。それはむちやだというふうにとるべきでありましようか。
○久下政府委員 先ほどから他の委員の方の御質疑に対してお答えを申し上げておりますように、処方せん料をとると自身が不適当であるという御意見も、相当各方面にございます。また一方におきまして処方せん料を実際にとつておるという実情でもあります。これらの点につきましてはさいわいに私どもの方で数百の病院、診療所を選びまして、昨年の秋にいろいろと医療費問題を調査しておりますので、それらの資料に基いて、この医療法に基く医療報酬に関する処置をいたしますときに、十分考慮をした上で、とるべきであるか、とるとすればどういうことだ、あるいはとらない方がよろしいかというようなことをきめていきたいと思います。それまではしばらく現状について御説明を申し上げる以外にないのでございますが、先ほど申し上げましたように社会保健の診療報酬單價表によりますと、五点になつております。現在その一点單價は六円でございます。從つて三十円というのが処方せん料ということに一應なつております。大体医師会においても、この社会保健の診療報酬というものを、一般慣行料金に一致させることが理想であるということ、建前としてはそういうことを言つておられますので、一應その程度のところが妥当だと私ども考えておるのであります。ただ実際問題としては、非常に多額なものを要求いたしますものについて、今日としてはこの法律でも、公的医療機関以外にはちよつと措置ができないようになつているのであります。これにつきましてはもちろん医師会などの自主的な処置によりまして、もし現状においてかりにとるにしても、そう法外なものはとらないように思慮をしていただきたいと思つておるのであります。
○野本委員 國家公務員共済組合法案について、一、二の点につきまして、私のこの法案を調査する基礎的のこととしてお伺いしたいと思います。その一つはこの法案は今までの恩給法との関係がどこかにあるか。この点についてお伺いしたい。
○大平説明員 お答えいたします。この法律の本來の意図は、恩給も包含して共済給付に統合した意図でつくりました。と申しますのは、恩給は御承知のように給額が非常に少額でありまして、現在は何ら生計費のお役に立つほどの金額ではございません。これを何とか上げなければならないという考え方が一方にございます。しかしながら恩給法においてはわずかの國庫納金を納めまして、一方的に國庫から恩給を受けるというような制度になつておるのでございますが、新しい時代の恩給はそういう制度でなくて、一つの保險制度的なものとしてつくり上げる必要があるというような考え方もございまして、この法律の中に退職給付、廃疾給付、遺族給付という制度がございますが、それでもつて官吏、雇傭人全体を通じての給付といたしたいつもりでつくつたのでございます。しかしながら恩給法は恩給局との打合せ等におきまして、しばらくその方は待つてもらいたい。國家公務員法に基きまする恩給制度が、近く立案を見ることになつておるから、それまでの間しばらく待つてもらいたいという御注文がありましたので、附則の九十四條におきまして「第十七條第二号から第四号までに掲げる給付」、つまり退職給付と、廃疾給付と、遺族給付につきましては、恩給法の適用を受ける者、及び命令で指定する組合の組合員に対しては、当分の間これを行わないという、経過的な規定を置いたわけでございます。
○野本委員 そうしますと、恩給法の適用を受ける組合員に対しては、当分の間これを行わないということは、増額の必要を当分の間認めないということですか。
○大平説明員 増額の必要を認めておるのでございますが、先ほど申しました通り、國家公務員法に基きまして、新しく恩給制度が考え直されることになつておりますので、しかもそのために政府部内で委員会を設けまして、目下檢討中でありますので、その成案が出るまで、これを行わないという意味でございます。
○野本委員 國家公務員法による恩給制度の樹立されるまでということでありますが、それならばそれはいつごろになりますか。
○大平説明員 早急に成案を得べく、関係各廳の間で檢討中でございますので、おさらくこの通常議会には提案になるのではないかと思います。但し國家公務員法に基く恩給制度にそれ自体がなり得るかどうか、現在の恩給法をもじりまして、給額を上げるという経過的な制度になるか、あるいは完全に國家公務員法に基く新しい恩給制度になるかにつきましては、まだ結論が出ておりませんが、給額を上げまして、今日の必要にミートする意味の恩給制度の改正につきましては、すでに審議を開始しております。
○野本委員 現在の恩給の給額を上げまして、当恵の要求に対処するということにつきましては、別に御異論はございませんか。
○大平説明員 異存ございません。
○野本委員 次に先ほどの御説明によりますと、將來公務員が休業しました場合には、これに給料あるいは手当等を支給しないのが原則的に考えられるべきであるというふうに伺つたのでありますが、さようでありますか。
○大平説明員 現在の官吏俸給令におきましては、公務による傷病で休んだ場合は、その期間は無限に給料全額を支給されることになつています。私病の場合におきましては、九十日までは全額でありまして、九十日を超えた場合は半額になつております。しかしながら労働基準法が去年の九月一日から施行されたのでありますが、その根底を流れる思想は、働かない日、働かない時間につきましては、何らの報酬がないという思想でありまして、そういう線に沿いまして、官廳給與におきましても、欠勤の日につきましては給料を支拂わないという建前でもつて、目下各種の給與法令を整理中でございます。但し今國会で成立いたしました官吏の暫定俸給に関する法律におきましては、所轄廳の長が、特に必要と認めた場合の欠勤については、給料を拂うということにいたしておりますが、それ以外の場合は、ノーワーク・ノーベイという原則を貫いて立案されております。今度新しい給與水準の引上げの場合に、おそらくそういう主義は踏襲されると思いますが、所轄廳における認定そのものがややあいまいでありますので、將來の制度としてはもつと完全にその原則が貫かれるものと私どもは予想いたしております。
○野本委員 給料等の問題につきまして、生活給與あるいは能率給與の問題がしきりに論義されておりますけれども、少くとも新しい時代の考え方といたしまして、生活給というものが相当重く考えられなければならぬというふうに私は考えますが、その点についての御所見はいかがでありますか。
○大平説明員 お説の通りでありまして、能率給とか、あるいは職階給とかいもうのが、目下非常に強調されてまいつておりますけれども、現在のように、給與そのもののベースが低い段階におきましては、そういつた要請を十分盛りこむことは困難でありまして、でき上つたところを見ますと、生活給に重点をおかれた給與にならざるを得ない現状でございます。
○野本委員 そこで問題は、生活給に重点をおくということになりますと、先ほどお話のありましたたとえば家族が亡くなつたために休んだ、あるいは子供が生れたために休んだということになりますと、家族の死亡、あるいは子供の出生ということは、その家庭の生活の支柱になつておる者にとりましては、重大な負担が加わつたものであります。この家族の死亡あるいは子供の出生ということに伴う重大な負担ということを無視しての休業手当といつたようなことを考えるということは、ただいまお話のありました生活給を重点的に考えなければならない現段階にあるということと、矛盾を生じませんか。
○大平説明員 給與体系の問題といたしましては、生活給の原理と、能率給の原則とを、どういうふうに調和さすかが根本の問題になるのでございます。生活給に傾き過ぎますと、全体の能率を阻害いたしますし、といつて能率給に一氣に踏みこめない現状にありますことは、先ほど申し上げた通りでございます。そこで休業手当金の問題でございますが、全額差上げるということにいたしますと、勤務しております者の志氣に影響をいたしますので、先ほど申しました、その二つの原理の妥協点をどこに見出すかということで、公傷病の場合は全額を差上げますが、今言つたような場合におきましては、十分の六でかんべんをしてもらうということになつております。但し御承知のように、労働基準法におきましても有給休暇という制度がございまして、勤務年限の長短に應じまして、相当大幅の有給休暇を與えられておるのであります。現実の官廳勤務の状態におきましては、その有給休暇をさえ十分に利用するほどお休みになつていない状態でありまして、有給休暇制度の活用によりまして、大抵の場合はカバーされるものと思います。よくよくの場合に最後のレスキユーを考えておくというような意味におきまして、休業手当金が考えられておると御承知置き願えれば結構だと思います。
○野本委員 本人の怠惰であるとか、何人が考えてもわがままから出た休業であるというのなら別でありますけれども、先ほどの御説明のように、家にやむを得ない事態が生ずる。しかもその生じた事態というものが、本人の負担を一層高からしめるような事態でもつた場合に、その給與を減額するということは、理論的にも、実際のわれわれの生活から考えてみましても、どうも納得できないと思いますが、この点について伺います。
○大平説明員 先ほど申しましたように、官吏の俸給に関する法律におきましては、諸官廳が眞にやむを得ないと認めました場合の欠勤につきましては、給與を減額しないということになつておるのであります。こういう條件をもはずしてしまつて、実にはだかの給與制度にしてしまうまでまだ政府が踏み切れないという理由は、今野本委員がおつしやつたような要請が足もとにあるからだと思います。從いましてそういう眞にやむを得ないような場合におきましては、俸給は貰えるのでございますから、ここに掲げました休業手当金が発動するというような場合はないのであります。從いましてこの制度は、先ほど申しましたようによくよくの場合、今のところわれわれが頭の中で考えてみるだけでありまして、現実にそう発動するような段階にはまだ至つていないのであります。
○有田委員長代理 榊原委員にお諮りいたします。先刻榊原委員の國家公務員共済組合の質疑に対しまして、政府において答弁でき得なかつた点について、ただいま答弁でき得るようになつたとのことでありますが、答弁をいたさせましてよろしゆうございますか。
○榊原(亨)委員 よろしゆうございます。
○大平説明員 先ほど御質疑の第三十一條の指定医の指定に関してでありますが、これは二つの場合があります。一つの場合は、組合の直営病院または國が直営しておる病院でありまして、組合が借受けて使つておりまする病院、そういうものは当然指定いたします。その他の医師、紙科医師、藥剤師、医療機関につきましては、健康保險の保險医でありまして、共済組合の指定医たる指定を希望するものを指定する所存でございます。第二の点、五十五條四号の結核性疾病に関する傷病手当金の支給期間でございますが、これを三年ときめました原因は、戰時中御承知の結核対策要項が出まして、結核にかかつた者につきましては一年間給料全額を拂うということに相なつておつたのでありますが、その一年間の期限が切れまして、あと一年半は共済組合の方で傷病手当金を支給しておりました。從いまして、ただいままで都合二年半は傷病手当金の支給を受ける有効期間になつておつたのであります。これに三年といたしました理由は特別にないのでありますが、各労働組合等におきまして、すでに團体交渉において三年の有効期間をかち取つたというような所もありますので、一括して三年にまで引上げた次第でございます。
○榊原(亨)委員 五十五條の四号の点でありまするが、実際上これらの官公廳にお勤めの方々が疾病にかかりましたときに、いつもお困りになるのは、結核その他の長期の疾病が一番お困りになると思います。普通の健康保險にはいつておる方々よりも、給與の点においても上でございますので、軽い病氣についてはそれほどお困りになるのではございませんが、結核とかそういうことになりますと、ここに給與が非常に問題になつてくると思います。すでに御承知でありましようが、イギリスにおきましては、結核保險給付におきまして、結核その他の慢性の疾病において、重症主義をとるか軽症主義をとるかということは非常に問題になつてきておるのでありまして、先ほど御質問申し上げました健康保險とほとんど変ることなき國家公務員共済組合をもしおつくりになるならば、むしろこの点が違つた点といたしまして、結核その他慢性の疾病にかかられました重病者に重点的に給與をまわすということが、これらの官廳にお勤めになつている方々に対するほんとうの親心と考えるのであります。それにもかかわらず、たつた三年をもつてこれを打切りになるということにつきましては、非常に疑義が私はあるのでございまして、今後この方面につきましてはさらに御研究くださいました、これらの官廳にお勤めの方に、もしも健康保險以外にこういう組合法によつて給與をするという場合には、軽症主義よりもむしろ重症主義をおとりくださいまして、さらにこれらの疾病に対して長期の給與ができるようにお取計らいを願いたいと思います。
○松谷委員 簡單に二点ほどお尋ねしたいと思います。第一は医師法の第二十二條の但書でございますが、「診療上特に支障があるときは、その限りでない。」いわゆる処方せんの交付につきまして、この支障があるときはというのをどの限度にお考えになるか、あるいは何か基準があるかどうかということを伺いたい。
○久下政府委員 先ほど田中委員のお尋ねに具体的な事例でお答えを申し上げたのでありますが、一應抽象的な標準を考えておりますので、それを申し上げてお答え申し上げたいと思います。 まず第一には、診療上特に支障があるときの第一の事例といたしましては、診断が決定しておりません時期におきまして、直接その疾患に無関係な藥品、あるいはその投與によつて、診断を決定するための藥品を服用せしめてその内容を患者に知らしめることは、その疾病の治療に必ずしも効果を及ぼさないと考えることがこの第一の規定でございます。第二はがんをもつてお答えを申し上げたのでございますが、再起不能の状態に陷つていて、特効藥がなく、処方の内容を患者に知らしめることが病状に惡影響を及ぼすような場合 〔有田委員長代理退席、田中委員長代理着席〕 第三には処方の内容を示すことによりまして、その病名が推察され、病状に惡影響を及ぼすような場合があります。第四には、神経性の疼痛で、病理学的の原因のない患者に対しまして、もつぱら精神的効果を狙つて投藥するような場合、かような場合を診療上特に支障があるときと考えておるのであります。
○松谷委員 ただいまの御説明でその基準は大体了解いたしましたが、それを各医師に通達なさる御予定でございますか、あるいは医師の判断によつて、ただ差障りがあるときという漠然たるものでお止めになる御予定でございましようか。
○久下政府委員 私どもといたしましては、本法案を御可決願いましたならば、もちろんこの法案が的確に適用せられますことを期待いたします意味におきまして、この種の重要な規定につきましては、十分この趣旨を末端に徹底せしめるようにいたしたいと思つております。順序といたしましては、まず地方の知事に対しまして必要な通牒を出すのが例でございまして、さような場合におきまして、できるだけ細部にわたつて指示をするようにしたいと思つております。
○松谷委員 次は保健婦助産婦看護婦法についてお尋ねしたいと思います。昨年七月と記憶いたしておりますが、保健婦助産婦看護婦法が制定になりました際に、すでに問題が出ておりましたいわゆる看護婦の中の甲種看護婦と乙種看護婦の相違が出てまいることになりますが、現在までいわゆる看護婦としての資格を獲得しておられる方々が、今後甲種看護婦としての身分を獲得したいというにあたつての補修機関をどういうふうに今日設けておいでになるか、御説明いただきたいと思います。
○久下政府委員 從來の看護婦が新しい制度に基く甲種看護婦たるの資格を得ますために、その補修機関といたしましては、一般の看護婦につきましては若干の予算を使いまして、現在まず甲種看護婦たるに必要な教育を施し得る指導者の養成というようなことを、本年度にはいりましてからもすでに一回実施いたしておるのであります。今後も予算の許します限りまずそういう方面に力を注ぎまして、さらに進にでその人々の手を通じて一般の看護婦にこの教育を徹底するようにいたしたいと考えておるのであります。なお國立病院、療養所におります看護婦につきましては、直接私どもの所管に属する関係もありまして、看護婦再教育の予算を別途もらいまして、この点につきましてもすでに一回一般的なもので加わつたものもございますので、その意味におきましてはすでに二回とも言えるのでありますが、指導者の養成をいたしております。これらの指導者の手を通じまして、またブロツク的に一般の看護婦の教育をいたしたいと思つております。そういうふうに國立病院、療養所の看護婦につきましても、またそれ以外の看護婦につきましても、まず第一に指導者の養成をする。指導者の養成が終りましたときに、続いて一般の教育に移つていくというような段取で、実行をいたしたいと思つておるのであります。ただはなはだ遺憾に思いますことは、國家財政の現状によりまして、この教育に対する費用が私どもの希望するほど十分に承認せられなかつたという点を、遺憾に思つておりますが、私どもといたしましては少い金をできるだけ有効に使いまして、効果をあげるようにいたしたいと思つております。
○松谷委員 ただいま御説明のございました指導者の養成が終了いたしますのは、いつごろの御予定にしておいでになりましようか。
○久下政府委員 この点は予算の都合もございますので、たびたび実施できないことをはなはだ遺憾に思うのでありますが、少くともまた近い機会に本年度もう一回やりたいと思つております。
○松谷委員 今の御説明で、実は私の考えておりました指導者の養成と、当局の実施しておいでになる指導者の養成と食い違つておるのではないかと思います。それは期間を区切りまして、何年か指導者の養成のみをなさつていくのでありますか。それともある一定期間だけで指導者の養成は終つて、今度はその養成しました指導者を主体にして一般の養成にはいつておいでになるという御予定じやないのでございましようか。
○久下政府委員 私どもといたしましては、当初の計画はまず全國的に適当に各地方々々で、從來の一般の看護婦の再教育ができるようにいたしまして、その第一段階としてまず指導者の講習があり、さらにそれに並行して講習を受けた者が郷里に帰りました地域におきまして、どんどん一般の看護婦の教育が行われる。またさらに他の地域の指導者には、それと並行して中央において必要な教育をやる。その指導者が帰つていくと、またその地方において一般の再教育が始まるというようなぐあいに、有機的に実行案を立てて、必要な予算をとろうといたしたのでございますが、はなはだ微力で申訳ないのでございますが、本年度予算には二十七万円の予算が認められたのみでございます。できるだけ努力いたしてきたのでありますが、さような結果でありますので、先般とりあえず第一回の講習を実施し、さらに今準備をいたしておるのでありますが、この秋には四箇月間の指導者の講習会を開催いたしたいと思つております。それが終らなければ一般のものを始めないというのではなく、ただいま申し上げました予算の範囲内で、地方的に適当な講習の始まりますように、できるだけの努力をいたしたいと考えておるのであります。
○松谷委員 ただいまのお話で大体わかりましたが、二十七万円の予算で一体どれだけの看護婦の養成を御予定なんでございましようか。もし伺えれば、御要求くださいました額はどの程度であつたのでありましようか。
○久下政府委員 具体的な数字の御要求でございますが、私どもの予算の要求額は、ただいまここで記憶しておりますのでは二百三十万円の要求をいたしました。それに対しましてわずか一割強の二十七万円が承認されたという実情でございます。講習の実際といたしましては、第一魔として今年の三月、四月に本年度の予算において実行いたしましたが、五十名の指導者の教育を二箇月間にわたつてしたのであります。それからこの秋にやりますのは、もう少しみつちりやる必要があると考えますので、大体ただいまの予定では四箇月ぐらいやりたいと考えております。これはやはり同樣に五十名の指導者の教育をしたいと思つております。これだけの計画ではもちろん二十七万円ではまだ金が余りますので、先ほど申し上げました地方的な一般看護婦の教育につきましては、わずかな金でも少しずつでも助成をいたしまして、さいわいに看護婦の全國的な会合であります日本保健婦助産婦看護婦協会というものができておりますが、この協会でもこの方面に関心をもつて、できるだけの経費を割いてやりたいということでございますから、これらとも協力いたしまして、地方的な一般看護婦の教育をやりたいと考えております。
○松谷委員 ただいまのお話では一般看護婦にはある程度の助成をする。國立療養所関係の看護婦に対しましては、全額國庫負担で講習をしておるのでございますか。
○久下政府委員 御説の通りでございます。大体國立療養所の看護婦につきましては、先ほど申し上げますように、この三月四月の二箇行いました指導者講習会にも國立病院の看護婦を参加さしております。その後國立病院の看護婦だけにつきまして、期間は短うございましたが、五月に指導者講習会をいたしたのであります。この人々が帰りまして、それぞれの地域の病院において、所属の看護婦を養成するようにしております。それらの費用も今数字はちよつと失念しておりますけれども、必要な経費は見込んであるのであります。今年度の予算におきましては、私の記憶によりますと、私ども一應全部終りたいぐらいのつもりで要求はいたしましたが、予算の額から申しますと、はつきり記憶しておりませんが、全看護婦の四分の一ぐらいがたしか今年度終るぐらいかと記憶いたしております。
○松谷委員 大体了承いたしました。ただ要求くださいました約一割だけが與えられたということについて大変遺憾だと思いますし、これによりまして出てまいります効果も、それでは一割だけの効果よりあげることができない。ただいまの久下政府委員のお話では、できる限りの効果をあげたいとおつしやつてくださいます御努力には感謝いたしますが、ぜひひとつこの点は十分に御努力いただきたいと思います。私ども女性の経済的な独立の問題は、女性解放の根本的な問題になつてまいりました。殊に甲種、乙種の区別ができました將來においては、そこに経済的な差額が相当大きく切離されてくるだろうと思います。こういう点もどうかお考えくださいまして、ぜひひとつ一人でも多くの甲種看護婦への発展のできますように、全力をあげていただくことを希望いたしたいと存じます。
○田中委員長代理 この際お諮りいたします。本日議題となりました中の医師法案、保健婦助産婦看護婦法案、歯科衞生士法案、歯科医師法案、医療法案、國家公務員共済組合法案及び理容師法の一部を改正する法律案、以上はこれをもつて質疑を打切りたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長代理 御異議がなければさよう決定いたします。 本日はこれをもつて散会いたします。次会は明日午前十時より開会いたします。 午後五時十五分散会