厚生委員会 第6号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/06/08
会議録
○山崎委員長 ただいまより会議を開きます。 先般本委員会に付託いたされました藥事法案を議題といたしまして、まず政府当局より提案理由の説明を聽くことにいたします。
○喜多政府委員 ただいま議題となりました藥事法案について御説明いたします。現行藥事法は戰時中に立法せられました関係から、その規定の中には、今日において不適当と思われるもの、または不要と思われるものも多々あります。かつまた終戰後の新情勢に鑑みまして、新たに規定を設けねばならぬ点もありますので、ここに藥事制度の民主的運営、委任立法的規定の縮減及び公衆保健保護の見地からする取締規定の整備等の主眼を置いた藥事法案を國会に提出する次第であります。 法案の構成といたしましては、総則、藥剤師、藥事委員会、藥局及び調剤、委藥品、用具及び化粧品、監督、雜則及び罰則の八章及び附則からなつておるのでありまして、附則を加えますると、全條七十五條からなるものであります。 次に、この法案の骨子を申し上げますと、第一章におきましては、この法律において用いられる主要なる用語について、その定義を定め、法律適用の範囲を明らかにいたし、第二浦は藥剤師の身分規定でありまして、藥剤師の免許及び免許証の更新に関して規定を設けております。なお藥剤師國家試驗制度及び免許証の更新に関する規定は、新たに設けられたものであります。 第三章は藥事委員会に関する規定でありますが、藥事委員会には実質的に重要な権能を與え、藥事行政運営の民主化をはからんとしているのであります。法律に規定いたしました権能のおもなるものは、公定書の原案作成、藥剤師國家試驗の執行及び廣く一般藥事に関する建議でありまして、厚生大臣はこの建議を尊重して、民意に即した行政を行わんとする次第であります。 第四章は藥局及び調剤に関する章でありますが、現行藥事法と著しく異なつておりますのは、藥局開設の許可制度を廃して登録制度といたし、登録を毎年更新することにより業務の実体把握をはかりました点、及び藥剤師の調剤権を規定しております條文の但書として、現行藥事法においては附則において規定している医師、歯科医師または獸医師の調剤権に関する規定を加え、かつその規定の内容を、これらの者が自己の処方せんにより自ら調剤するか、藥剤師に調剤させる場合にはこの限りでないというように書き改めた点の二点であります。 第五章は医藥品、用具及び化粧品に関する章でありまして、現行藥事法は單に医藥品のみを法的規正の対象といたしているのでありますが、本法案においては医療器械器具、その他衞生用具及び化粧品の國民保健に対する重要性に鑑みて、新たに取上げて、これらについても医藥品に準ずる取締を加えておるのであります。医藥品の製造業、輸入販賣業並びに販賣業の許可制は、これを廃して藥局と同樣に登録制を採用し、一定の基準に達すれば自由に登録せしめ、用具及び化粧品の製造業についても同樣の制度を取入れてあるのでありますが、ただ用具はその範囲がきわめて廣く、取締の対象とする必要のないものもありますので、この法律の適用を省令によつて排除しうる規定を設けている次第であります。 次に不良医藥品及び不正表示医藥品に関しても詳細な規定を設けて取締の万全を期している次第であります。用具及び化粧品につきましても、医藥品に準じて不良粗惡品及び不正表示品の取締に遺憾のないよう措置しております。 第六章及び第七章は、監督及び雜則といたし、藥事監視員の規定、登録の基準並びに公聽会に関する規定を設け、運用の万全を期している次第であります。 以上概略を申し上げましたのは、この法案の骨子と、これに関するおもなる内容でありますが、現行藥事法に比し、その規定の内容はきわめて具体的でありまして、でき得る限り委任立法を避け、いやしくも権利義務に関係のありますものは、能う限りこれを法律中に規定した次第であります。 以上藥事法案の内容につきまして大要の御説明を申上げたのでありますが、何とぞ御審議の上速やかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
○久下政府委員 私からただいま提案理由の説明がございました以外に、補足的な御説明を申し上げたいと思います。若干重複するきらいもございますが、一應藥事法案の骨子、重点と申しまするような点を申し上げてみたいと存じます。 第一は提案理由の説明にありましたように、本法案の取締の対象を從來の藥事法よりも廣くいたしました点であります。御承知の通り医藥品またはこれに類するものといたしましても、医藥部外品、あるいは毒物、劇物というようなものは第一回國会の御審議もいただきまして、別個の法律で取扱つておつたのでありますが、今回はこれらもすべて藥事法案の中に取入れることにいたしておるのであります。このほか医療用器械器具その他の衞生用具がはいつておりますることは、提案理由の説明にありました通りであります。さらにまた化粧品につきましても、從來別の法律で取締つておりましたものを本法案の中に取入れました次第であります。 次は藥事委員会に関する制度を設けた点でございます。これにつきましても大体は提案理由の説明の中にございましたのでありますが、要するに藥事行政の民主的な運営をはかろうという趣旨でございまして、総数五十一名以上をもつて組織し、これには斯界の学識経驗者を網羅いたしまして、藥事行政の運営に遺憾のないようにいたそうという次第でございます。本法案を御覧をいただきますと御了解いただけますように、ほとんど藥事行政を行いますにつきまして根本的な重要な事項は、すべて藥事委員会の決定または建議に基いて行うように相なつておるのであります。 次は藥剤師國家試驗制度の創設という点であります。医療関係者のうち、すでに医師、歯科医師につきましては國家試驗制度が設けられ、すでに数回にわたつて國家試驗が行われておるのであります。さらにまた看護婦、保健婦、助産婦等につきましても、制度といたしましては國家試驗をやることに相なつておるのであります。藥剤師につきましてもこの一般方針に從いまして、藥剤師の資質を向上し、公衆衞生の発達をはかりますために、從來藥学校を卒業いたしますれば当然に免許がもらえましたのに、さらに加えて國家試驗を受け、これに合格いたさなければ免許を與えないような制度にいたすことにいたしております。 次は從來の許可制度を相当廣い部分において届出登録の制度に改めた点であります。これにつきましても提案理由の説明の中にありました通りでありますが、かようにいたしましてこの種企業の自由なる発達をはかろうという趣旨でありまして、ただ届出登録ではありますが、何でも無條件に登録するという考え方でありませんで、藥局なり、医藥品製造業につきましては、その最小限度の要求は藥事委員会で審議し決定をしていただきまして、その建議に基きまして、その要求に合うものを登録をしていくというような取扱いにいたしたいと考えておるのであります。 その次は藥剤師会に関する規定が新法案では全然なくなつておる点でございます。從來の藥事法におきましては、すべての藥剤師は藥剤師会を設立し、これに強制的に加入いたさなければならないことになつておつたのでありますが、新憲法の精神から申しまして、かような強制設立、強制加入の制度を設けておくことは適当でないと考えまして、医師会、齒科医師会と同様に法律の面からはこれを削除いたしまして、医師会、齒科医師会と同様に民法に基く社團法人として任意加入、任意設立の建前で、しかもその行います仕事におきましてはますます藥剤師本來の任務の向上をはかり得るような活動をしていただくことを期待いたしておるのであります。 以上はこの法案の骨子でございますが、そのほか二、三部分的な点を申し上げますと、実は医藥分業に関する規定の書き方を現行藥事法と変えた点であります。この点は提案理由の説明にもございました通りであります。それから新らしくペニシリン、ズルフアミン剤等の製剤につきまして、厚生大臣の指定いたしましたものは、医師、齒科医師の処方せんまたは指示に基かずに販賣または授與してはならないというような制度が設けられている点も新らしい規定でございます。それから藥剤師の免許証につきまして一年ごとに更新をするというような規定も新らたに設けられております。さらにまた從來の藥事法には、藥剤師は正当な事由がなければ調剤の求めを拒むことができないというような調剤義務の規定があつたのでありますが、新法案におきましては、当然のこととして法律の規定からは削除いたしておるのであります。 これらの点が從來の藥事法と変りましたおもな点でございます。以上をもちまして私の御説明を終りたいと思います。
○山崎委員長 それでは質疑に入ります。質疑は通告順によつてこれを許します。太田委員。
○太田委員 藥事の関して詳細な法律をお出しになつたことは、まことの結構でございます。まだ詳細に研究しておりませんので、追つて詳しい問題は伺いたいと思いますが、きようは基本的なものとして、政府は藥事に関しまして一般に守れる法律をつくるつもりなのか。主食の取締はするが、やみ買いをして食つてもよいという程度に形だけをして、実際は守りにくいことを承知しながらお出しになつたのであるか。それをお伺いしたいのであります。
○喜多政府委員 太田委員の御質問に対しまして、厚生省といたしましては、法律を提出いたしました限りは、その法律を守り得るよう取締をいたす決意をいたしておる次第であります。
○太田委員 第二十二條「藥剤師でない者は、取賣又は授與の目的で調剤してはならない。」という規定がありますが、はたして嚴重に取締れるという自信がありますか。すでに藥局においても、また医師も、この権限が與えられておりましても、あるいは看護婦がアスピリンを盛るというようなことはあろうと考えますが、こういう点をどうお考えになりますか。
○喜多政府委員 今回の法案の最も重要な点であると存じますので、医師に対しまする調剤権を、みずから処方せんをもつてこれを調剤するのみを認めているという点からみまして、代理行為につきましてはこれを極力取締る方針であります。
○太田委員 その方針は非常に結構だと思いますが、事実上は非常にむずかしいものだろうと思いますので、むしろ簡單な、藥剤は代理調剤をしてもよいというような規定を設ける御意思はございませんか。
○東(龍)政府委員 ただいまのところさような考えはもつておりません。
○太田委員 それではそういうことにしていただきます。 それからさらにこういう法律をおつくりになります場合に、現在すでに行政整理といつたようなことが問題にされておりまして、事務の簡素化ということがいわれておりますのに、非常にめんどうな手数をしなければならぬようなことがたくさんあると思います。殊に藥剤師の免許登録、調剤の登録、製造の登録を年々更新するというようなことは、非常な手数でもあり、政府はこれからますますめんどうに仕事をしていこうというつもりなのか、簡素化していこうというつもりなのか。それを伺いたいと思います。
○東(龍)政府委員 ただいま御指摘の通り、それらの仕事は非常に手数のかかることは十分承知いたしております。なおこれは本法案と離れますが、後に御審議を願います医師齒科医師法におきましても、免許について年々義務的なめんどうなことが規定されております。なるほどこれは行政の簡素化という面とは相反するようになるのでありますが、しかしながらこれを簡素化する途を実は知らないのでありまして、できる限り徒らに複雑なことになりませんように、実施にあたつては適当な方法を考慮いたしまして、御懸念の点のなるべく少いようにというつもりでおります。しかしながら決してこれは簡素化になつているとまで私は強弁はいたしません。
○太田委員 この問題につきましては、追つて研究いたしまして再び討議したいと思います。私の質問はこれで終ります。
○山崎委員長 次に榊原委員。
○榊原(亨)委員 逐條的の御質問はこの次に保留いたしまして、政府がこのたび御提案になりましたスルフアミド並びにペニシリン、ストレプトマイシンにつきまして、医師あるいは齒科医師の処方せんがなければこれを販賣することを許さないというようなお考えは、どういう点からきているのでございますか、承りたいと思います。
○東(龍)政府委員 私から申し上げるまでもなく、榊原委員はよく御承知だろうと思うのでありますが、さような條項を法文の中に入れましたのは、これらの藥剤が十分な医学的知識、治療上の処置に対する知識と経驗のないしろうとの方々によつて濫用せられます場合には、藥がかえつて毒になるという危檢があることと、なおこれはあまりに医学的專門的な考えにわたるかもしれませんが、それらの藥が効力を発揮する上に、徒らに濫用したがためにその力を減少する、すなわち有効適切な効力を必要なときに発揮し得ないというようなことも考えられますので、これらの藥は非常によく効きます、正宗の名刀のごときものでありますから、これを徒らに振りまわすとけがをするおそれがあるというふうな考えからいたしまして、最も安全なように医師あるいは齒科医師、獸医師等の、それらの藥を使うことに十分なる経驗と知識のある方々の指示あるいは処方せんによつてこれを販賣するがよろしいということを考えまして、これを差し加えた次第であります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、ペニシリンを濫用した場合にも、やはり毒瀬があるという御見解でございますか。
○東(龍)政府委員 これは私よりも経驗のある臨床医家の方々に私がむしろ伺わなければならぬと思うのでありますが、その毒性と申します事柄がどういうことを的確にお指しになりますか存じませんが、ペニシリンといえどもこれを濫用することによつて、不測の害のあるということをおそれる次第であります。
○榊原(亨)委員 私の了承している点によりますと、ペニシリンはいかに多量用いましても、ほとんど身体に害がないと某知しておりますが、その点の御研究がございましてこの法文の中にペニシリンをお入れになつたのでございましようか。もう一度お伺いいたします。
○東(龍)政府委員 この法文の中にペニシリンを入れましたことにつきましては、それぞれその方面の專門家の御意見を、私どもの方といたしましてはでき得る限り伺つたつもりでおります。
○榊原(亨)委員 政府のはつきりした御答弁がないようでございまするが、もう一度承りたいのは、ストレプトマイシンははたしてこれは過量濫用いたした場合に毒性があるという文献上の確かな根拠がありますか。
○東(龍)政府委員 ストレプトマイシンにつきましては遺憾ながら私の方に今仰せになりますような文献なり経驗はもつておりません。ただこれはアメリカにおきましてストレプトマイシンが取扱われておりますその方向にならつたのであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますると、今のお話では、ズルフオンアミツドを濫用いたします場合に相当毒性があるということははつきりしておるのでございますが、ペニシリン、ストレプトマイシンはこれを濫用程度に多量用いましても、あまり毒性がないというふうに私どもは承知しておるのであります。それにもかかわらずこの法文にこれをお入れになりました理由は、一にこれを用います場合に、常に血液中に同じ濃度を保つようにこれを用いなければならないとか、あるいはこれをごく少量用いまして場合に、あるいはこれをときどき停止いたしましてこれを用いた場合に、細菌に対するこれらの藥効的効力が非常に薄まつてきて、わが民族の間に存在いたしますところの細菌が、ついにこれらの藥に対して強い抵抗をもつてゐるために、たとえて申しますると肺炎にいたしましても、その他の種々の病氣がほとんど治癒しない状態になるということを憂えられまして、そしてこの法文にこれらのことをお入れになつたと存ずるのでございまして、濫用いたします場合に、これらの毒性があるからここにお入れになつたのではないと承知いたしまするが、その点につきまして政府当局の御意見を某りたいと存ずる次第であります。
○東(龍)政府委員 私から最初のお問いに対して申し上げましたように、毒性のみを問題として入れたのではなく、毒性の点と今榊原委員のおつしやいました細菌の方の、いわゆる藥剤に対する抵抗力の増強ということの可能請を考えて、その両方面を考えてこれを加えたと申したのでありまして、今仰せられます通り、いずれのものが毒性を主としておるか、いずれが今のような細菌の抵抗力増強を主としてこれを懸念するかという点につきましては、榊原委員の仰せられた通りであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますると、これらの、たとえて申しますると、ペニシリンにいたしましても、ストレプトマイシンにいたしましても、これらを多量に用いる危險よりも、むしろこれをごく少量に用いたときに、細菌が死滅しないで、ついにこれらの藥剤に対して抵抗力をもつということに危險があるのであろうと存ずるのでございまするが、しからば厚生大臣が許可して、そうしてある一定度の制限をもつて藥剤師その他の販賣業者に民間的に販賣を許されるというその量並びに質の点につきまして承りたいと存ずるのであります。
○東(龍)政府委員 この法案で今の厚生大臣の指定する云々ということについて考えておりまする点は、今の御質問のような質もしくは量というふうな方面には及んでおりません。ただいかなる形の製剤はこれを民間の藥業者に自由に販賣せしめてもいいか、あるいは惡いかという点を考慮して、厚生大臣の指定をする、そういうふうな考えであります。
○榊原(亨)委員 大体了承したのでございますが、たとえて申しますると、ペニシリンを含みました含漱藥とか、あるいはペニシリンを含みましたところの膏藥とか、そういうふうなものはこれを販賣許可をなさるおつもりでございまするか。
○東(龍)政府委員 具体的の面につきましては、先ほど説明の中にありました藥事委員会が、主たるこれらについての決定の意見を述べて、それに從つて厚生大臣が指定をいたすことに相なると思うのでございまするが、しかしながらただいまでも明らかに規定いたされますことは、今お話のような、たとえば何々軟膏というふうな膏藥の中にはいつているようなものは、当然自由に今まで通り市販せられて差支えないものと考えるのであります。また一方明らかに注射以外に用いられないような形になつておりますものは、当然やはり指定せらるべきものというぐあいに考えておりますが、その中間にあります具体的の品物について、いかなるものが指定されるであろうかということは、一に藥事委員会の決定にまつべきものと考えております。
○榊原(亨)委員 私の先ほどから主張いたしますのはこの点でございまして、たとえばズルフオンアミツド、あるいはペニシリンを外用的に用いました場合に、その細菌はこれらの毒物に対して抵抗力をもつのであります。またこれを吸入いたしましても、並行的に用いましても、ある程度の効果がある以上は、黴菌はこれらに対して抵抗力をもつのでございまして、この効力の弱い藥をしばしば黴菌に作用することによつて、遂にその黴菌は強力なる抵抗力をこれらの製剤に対してももつに至るのでございまするが、その点を私は憂うるのでございまして、たとえば彬菌のアルバジルに対する抵抗力は、すでにわが國においても強くなつてきておる状態でございますので、單に藥事委員会というような委員会におきまして、ぺニシリンは含有量が少いのだから、あるいはストレプトマイシンの分量は少いのだから、ズルフオアミツドの含有量は少いのだから、毒じやないからこれを賣らせようという考えそのものに危險があるということを私は指摘いたしたいのであります。なおこの点につきましては、この次の厚生委員会におきまして質疑を続けたいと思うのでございますが、今日はこの程度で私の質問を保留いたします。
○山崎委員長 有田君。
○有田委員 細目にわたりましては後刻質疑いたしたいと思いますが、総括的に政府当局に質問いたしたいと思います。まず最初に全國藥学生連盟から、私の紹介で請願が出ておりますので、その請願の点をお読みいたしたいと思います。 先般全國藥学生は一丸となり、藥学の発展を目的として全國藥学生連盟を組織し、爾來医療制度の合理化と意義及び内容の一致せぬ國家試驗の不当等を指摘しつつ今日に至つたのであります。しかるに今回政府原案として國会に上程される「改正藥事法案」は現行藥事法をさらに改惡したものであり、殊に一般公衆衞生及び医療制度合理化の万全を期し得られない惡法であると、全國藥学生一般の不満とするところであります。かかる要請により次に述べる諸点の事項を改善せられんことを請願すべく委員会は決議しました。 一、調剤の項における不合理に関して「第二十二條藥剤師でない者は、販賣又は授與の目的で調剤してはならない。但し、医師、齒科医師又は獸医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、又は藥剤師に調剤させる場合は、この限りでない。」これは從來暫定的に附則に認められていた医師等の調剤権が本則において永久化され、藥剤師と同等の権利を医師が保持することを意味しています。これが現実化すれば、診療処方を本業とする医師等が製藥調剤を本業とする藥剤師の本分を侵害するのみならず、一般國民保健上重大な影響を及ぼすとともに藥剤師の社会的地位を沒落させるものであります。さらに具体的に申し上げれば、医師等は調剤権に獲得によりみずから診療し、みずから処方し、みずから調剤し、みずから死亡診断を書き、この間何ら人命毀損上の過失罪の責任を問わるべき過程がないのであります。かかる過程に医師等の過失罪の責任を追及し、もつて医療制度の合理化の万全を期するは藥剤師の本分である社会的意義の存するゆえんであると信じますゆえに、調剤権は診療処方を本業とする医師に與えるべきでなく、製藥調剤を本業とする藥剤師に一任すべきであると信じます。 二、サルフア系製剤、ペニシリン製剤、ストレプトマイシン製剤其他抗菌性物質調剤の拘束條項は不当であります。「第四十一條左の各号に該当する医藥品又は用具は、これを不正表示医藥品又は不正表示用具とする。」厚生大臣の指定したサルフア系製剤、ペニシリン製剤、ストレプトマイシン製剤其他抗菌性物質製剤またはこれ等に類似した医藥品であつて、その表示に医師、齒科医師の処方せんによつて販賣すべき旨の注意が記載されてゐないもの。これは衞生思想の発展しつつある今日医藥品入手の経済的負担を増大せしむるものであります。例えばテラポール錠剤のごとき藥品は常備藥のごとく普及しているにもかかはらず、高價な医施の診察なくては一般大衆に入手できないからであります。 三、藥剤師の身分法が制定されていない。 四、藥剤師の免許証は毎年更新せねばならぬ。 第六條第二号藥剤師は厚生大臣の定るる手数料を納めて、毎年十二月三十一日までに、その免許証の更新を受けなければ免許証の効力を失う、また同樣に二十條に藥局の登録は毎年更新し、第二十九條に医藥品販賣業登録も毎年更新せるばならないことを規定している。これは藥剤師の高額な諸説に加うるに大衆課税的手数料を毎年納めなければならず、その経済的地位を低下せしめることによる。 以上二、三の箇処を指摘したにすぎませんが、近き將來藥剤師として社会的活動的分野、殊に藥事衞生に從事せんとして学びつつ、全國藥学生はあらゆる観点から、あらゆる事項に関し今回の改正藥事法案は改惡であると決論しております。 われわれ全國藥学生は決して自己のみの立場に立つて論じているのでなく、また現実にとらわれているのでなく、一般國民保健上から、また日本医療制度の合理化から、今回の改正藥事法案絶対反対を主張しているものであります。 何とぞわれわれ藥学生の立場を深く御理解の上、希望條件を御斟酌くださつと御盡力賜わらんことをお願いします。 一、医師等の調剤権を藥剤師のいない一定地域に限定していただきたい。 二、医師の処方箋を強制公開としていただきたい。 三、藥剤師法を制定していただきたい。 四、藥剤師免許を医師と同じく終身免許としていただきたい。 五、サルフア系製剤、ペニシリン製剤、ストレプトマイシン製剤その他抗菌性物質制剤の拘束條件を削除していただきたい。 六、藥剤師の地位を保証しない國家試驗案を却下していただきたい。 昭和二十三年五月十二日 委員長 以上の請願が出ておるのであります。いずれこまかい條項につきましては逐次審議をしていただきたいと思うのでありますけれども、ただいま問題になりましたサルフア系あるいはペニシリン系その他の製剤の問題が榊原委員から出ておりました。先般の説明会におきましても、榊原委員あるいは福田委員と論戰をいたした点でありますが、要は藥剤師あるいは医師というような立場を離れて、今日敗戰後の日本、特に花柳病が全國的に蔓延しておる今日の状態におきまして、もちろん弊害もあるでありましようが、國民がいかにすれば仕合せになるか。いかにすけば國民が安價に病氣を治すことができるかということが、私は要点であろうと思うのでありまして、いろいろサルフア系の弊害あるいはペニシリン製剤を濫用することによつての弊害という点は、私どももよく了承いたしておるのであります。しかし今日の急迫したしかも政府当局のやり方がまずいために、國民大衆は非常に経済的に困惑いたしておるのであります。そのときにおきまして医師の診断によらなければこれらの藥品が何一つとして得られないということになりますならば、結局は國民大衆は非常な不幸になると思うのであります。たとえばズルフアミン製剤につきまして榊原委員のおつしやること、あるいは東医務局長のおつしやることを全面的に受入れたといたしましても、もしもサルフア系製品でこの病氣が治らなくなつたという場合でも、ペニシリンを打つことによつてそれをカヴアーすることができるのであります。しかも藥品というものは日進月歩をいたしておるのでありまして、ズルフアミンにつきましても、ズルフアミンの一期、二期、四期さらにズルフアピリジン、ズルフアメチール、チアゾール、あるいはズルフアチアゾール、ズルフアダイアジン、ズルフアメラジンというようにわずかの間に相定進歩をみておるのであります。またペニシリンにいたしましても、今日非常に急速な進歩をいたしまして、日本におきましても昨年度は五百五十億單位でありましたペニシリンの製剤も、二十三年度におきましては四千八百億單位というような、約十倍に近い生産が上るというような状態になつてまいつておるのであります。今日敗戰後の日本の國民が、どうしたらそういつた病氣に対して比較的経済的に、安易に治すことができるか。どんな病氣でも一々医者に行かなければならないというようなことが、はたして妥当であるかどうか。もちろんアメリカのように非常に文化の程度が高く、國の富んでおる場合は別でありますが、日本のような、敗戰後非常に混乱しており、しかも政府当局の無能のために、國民全体が今日非常に困つておるというような状態におきまして、アメリカと同じような法律、しかもアメリカの四十八州のうちでわずかに十四州が布かれておるにすぎないで、あとの三十四州ではまだこれが問題になつていないにかかわらず、敗戰後の混乱して、経済的に非常に困つておる日本の國民に、しかも花柳病が非常に蔓延しておる日本の國民に、アメリカの状態と同じようにそのままこれを押しつけようとすることは、國民のためにとるべきものでないと、私はしかく信じておるのであります。またその他の点にいたしましても、医師についても同じことでありますが、藥剤師につきましては特に毎年免許を更新しなければならないというごときは、私は実際においてできる得るものでないと思うのでありまして、これなんかも何年かに一遍やるべきだ。たとえば自動車の免許証にしましても、五年に一遍届出をすればいいというようなことになつておるのでありますから、この点は医師につきましても、藥剤師につきましても、もつと簡便な方法が行わるべきだ、かように考えておるのであります。またもしも医師に調剤権を許すということでありますれば、ぜひとも医科大学の科目の中に、調剤法あるいはその他の調剤に必要なる学科目を必修科目として課すべきだろう。かように考えるものであります。その他いろいろな点につきまして議論すべき点は多々ありますが、各條項にわたつて論議をいたし、そうして修正すべきものは修正いたしていきたいと思うのであります。
○東(龍)政府委員 今、有田委員から陳情書をお読みになりつつ、この藥事法に対する総括的な御批判があつたように思うのでありますが、藥事法に対するいろいろな批評につきましては、この法案が公表せられまして以來、各方面から承つておるのであります。それぞれの立場においてこの法案に対する十分なる御批判を受けることは、この原案をつくりました政府といたしましては、まことに喜ぶ次第でありまして、これの不備な点は完膚なきまでに御批判願いたいのであります。しかしながら政府といたしましては、この法案をつくり上げますまでには医藥制度調査会の小委員会において、愼重に檢討に檢討を重ねまして、そして当方といたしましては全力を盡してつくり上げたものであります。仰せまでもなく、法案は会案のためにつくつたのでないのでありまして、これは日本の國民大衆の安寧と福祉のためにつくつたところの法案であるのであります。その結果が、その方向に副わぬということになりますれば、それは法案としては致命的な欠陷だと思うのであります。その点につきましては十分なる御審議を願いたいのでありますが、私どもといたしましてはただいま御指摘にありましたような御批評を、いかにもごもつともでございますと、そのままお受けするほどわれわれはこれを改惡だとは信じておりません。十分現在において、われわれの能う限りの力をもつて改良するつもりでつくつたものであるということを御了承願いたいのであります。なおその他の点につきましては、久下政府委員からお答え申し上げるところがあると思います。
○久下政府委員 最後に御指摘のありました点について私からお答え申し上げます。四十一條のズルフアミン系製品等につきましての御指摘の点でありますが、先ほど御朗読になりました全國医学生の請願書の中に書いてありましたことと、その後手もとに最後案として御配付になりました分とは若干違つております。厚生大臣の指定するというような文句がはいつておるのでありまして、御趣旨のような点は、これによりまして運用上十分調整せられるものと考えておるのであります。それから免許証の更新についての御意見でございますが、この点につきましては私どもは藥剤師の免許は、やはりその人の身分についておるものでありまして、特別な取消を要するような事態の起りません限りは、免許そのものには動きはないのでありまして、ただこれを公に証明するところの免許証につきまして、毎年書き改めるようにしたいというのであります。事務的には極力簡易な方法で、藥剤師の方々にも御迷惑をかけないように、また私どもの方におきましても御迷惑にならぬようなつもりでやるように十分今研究をいたしておるところであります。それから國家試驗の課目につきましてお尋ねでございましたが、調剤方を入れたらどうかということでありますが、これにつきましては学問的に若干の網見があるように承つております。また法の体裁といたしましては、必要だということになりますれば十分加え得るような書き方になつておりますことを御了承願いたいと思います。
○有田委員 ただいまの御説明で十分わかつたのでありますが、とにかく私のお願いいたしたいことは、医師とか藥剤師とかいう問題でなく、この委員全体も同樣だろうと思うのでありますが、今日の敗戰後の混乱した日本の状態において、しかも花柳病が非常に想像以上蔓延しておるというようなところから考えまして、最も効果的な方法にこの法案を結論づけたい。私はかように考えるのであります。この際医師とか、あるいは藥剤師とかいう立場においてこの法案を論議すべきでなく、敗戰後の日本の一番大きな問題——どの戰爭におきましても、戰後におきまして一番大きな問題は、戰爭に勝つても戰爭に負けても、この花柳病の蔓延ということが一番大きい問題であろうと思うのであります。この点について最もよい方法を政府としておとり願いたい。また法案もそういつた方面に改めていくべきだと考えるのであります。 さらに毎年更新の点でありますが、この点につきましても、最もよく方法を厚生当局もお考えを願つて、私どもも考えて、そういつた條項に改めていくべきだと思うのであります。いずれ細目にわたりましては次会に御質問申し上げたいと思います。
○山崎委員長 本日の質疑はこの程度に止めまして、残余の質疑は次会に継続いたします。 —————————————
○山崎委員長 次に医療制度に関する件を議題に供したいと思います。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山崎委員長 御異議がなければ本件に関連いたしまして、晴嵐莊実地調査の報告を求めます。松谷委員。
○松谷委員 過般本委員会に陳情のございました茨城縣村松村晴嵐莊における強制退莊の問題に関する実地調査の報告をいたします。 さる四月一日より三日間、当委員会より民主党飯村泉委員、社会党松谷天光委員が派遣されまして、なお現地選出の石野久男議員、萬田五郎議員がこれに参加をされまして調査をいたしました。調査の方法といたしまして、まず莊側の代表、職員側代表、患者側代表を区分をいたしまして、おのおのの代表者と調査團との会見を行いましたところ、おのおののその報告に食違いが見えましたので、最後に合同会議の形式をとつたものであります。なお参考までに晴嵐莊の沿革及び敷地などを簡單に御説明したいと思います。 晴嵐莊の創立は昭和十年結核予防協会の手になり、同十二年國営に移管され、今日に至つております。この点で他の國立療養所が戰時中の設立であつて、近々六七年より経つておらぬのに対しまして、晴嵐莊は國営移管後もすでに十年を経ており、一つの歴史をもつたところでございます。 なお環境といたしましても、地理的には鉄道から約五キロほどを距てまして、附近の部落は割合に経済的に豊かな農家であるということであります。敷地は面積が約十三万二千七百余坪であり、建物の棟数は四百三棟、建物の延坪数は五千五百四十八坪という厖大なるものでございます。各病棟間及び職場の距離が非常に遠く配置されておるものでございまして、このためにいろいろ運営上において、あるいは日々の生活上において不備な点も出る可能性もあるような状態になつております。 まず第一に莊側の代表との懇談会におきましては、莊側の代表といたしまして莊長、庶務課長、事務局長等の出席を求めまして、莊の紛争に関する経緯を聽取いたしました。その報告によりますと、ちようど莊長が病氣のために二十一年の八月から二十二年の十二月まで、ほとんど不在がちとなつておりまして、殊に現在の庶務課長は昨年の十一月に轉勤されて來られたということでありますが、終戰時に軍事保護院から移管されました物品等の問題につき、患者自治会は物品倉庫の公開を要求して來たのでございますが、これに対しまして論議の結果、庶務課長立会いの檢査をいたしましたが、その結果は何らの不正をも認めざることが明らかとなりました。在庫の繊維品につきまして、患者自治会から個人支給を要求いたしてきたということであります。この際に庶務課長の話によりますと、当時問題になりました軍事保護院から移管されましたえりまき百本につきましては、大体單價が十円であると申しておりましたが、これは近いうちに配給をするもくろみでおる、こういう話でございました。こういう要求に対しまして莊当局といたしましては、その不法なることを説明し、あるいは説得に努めまして、即時にこれに應ずることを拒否いたしましたが、患者自治会はさらに進みまして、莊当局と同等の権利をもつて莊一般の経営に参加せんことを要求いたしまして、それが容れられないというので遂に莊長に不信任を決議いたしまして、目的貫徹のために脅迫、騒擾、デモ、面会の強要などを反復いたしまして、また無断に脱柵をいたしまして、各方面に連絡をとり、宣傳に努め、各労働組合へも働きかけをいたしたということであります。莊当局は誠意を盡して談合と説得に努力をいたしましたが、彼等が常に多数をもつて会見を迫つたというので、全然妥協の意思を示さなかつたと申しております。たとえば二月の二十日、莊長が彼等の要求に答えまして、面会の約束をいたしました際にも、突如として二百名の患者が集合いたしまして、莊長の一言一句を罵倒いたしましたために、これもまた妥結をみることができなかつた。さらに三月の六日は、夕刻から七、八名の者が、莊長の官舎及び庶務課長の官舎にデモを行いまして、面会を強要いたしましたり、戸を叩きましたり、罵倒いたしましたり、脅迫をしたしましたりして、さらに会議中の医局員並びに医務、庶務両課長を徹夜脅迫に及び、莊内の治安維持のために莊長の立場から、——この晴嵐莊には十年ほど前に一つの騒擾事件がございまして、この場合においていくらかの怪我人を出さなければならなかつたという過去の経驗から見まして、これはなんとか無事に収めなければならないという考えから警察の協力を得まして、その首謀者、九名、縣警察に告発をすることに至つた。なお三月の六日、七日來、要求貫徹の手段といたしまして開始されていましたハンストも、その筋の命令によりまして一時中止をいたしましたが、それにもかかわらず莊長に対する不信任案を撤回せず、要求貫徹に努力をいたしておりましたので、厚生本省とも打と合わせまして、その指示に從つて療養所の入所規定第七條に照しまして、逐次首謀者を命令退莊せしめることといたしました。三月十七日以來十一名の患者の家族に対しまして、引取り方來莊の打電をいたし、言渡し終了いたしました者が八名であると述べております。莊側の説明は以上のようなものでございましたが、委員会に陳情を受けましたいわゆる患者に対するところの給食停止、あるいはふとん取上げは、これはなかつたと言明をいたしておりました。 次にもちました懇談は莊の斡施によりまして、十数名の村会議員あるいは村の代表との会見でございました。その席におきまして村民から訴えによりますと、村としては晴嵐莊のためにできる限りの便宜を與えておるにもかかわらず、村としては今日非常に迷惑な状態に置かれておる。それは患者がしばしば野荒しに出てくる。あるいはその他村の平和を乱すような行為がある。あるいはやみの根源を病院の患者がつくつておるというような意見が開陳されたのでございます。 なおこれに続きまして、次は患者自治会との会見をいたしました。いわゆる患者自治会のこの騒擾に及びましたその説明によりますと、患者としては療養者としての分を知らぬのでもなく、被保護者として他に対する感謝を忘れたのでもない。また流行現象のいかなる爭議的な行為を好んだのでも決してない。ちようど本年の一月十四日庶務課長との会談以來、一貫して平和裡に莊運営の合理化、明朗化及び現実に即應した療養生活の確立に対する当局の理解を要望した。ところが集團の断食、大衆的な陳情など、こうした五十日余の交渉の結果、患者としては他にとる方法を知らず、遂にやむを得ずしてとるに至つた。むしろ患者をしてこうした手段を選ばせるに至つた当局に対して、はなはで遺憾の情を禁じ得ない。その交渉の間において患者側からの意見としては、全然莊当局に誠意がないということを考えさせられる行為が一つ一つ重なつておつた。闘爭形態を一應中止した後も、当局のとつた卑劣に行為に対して、第三者の嚴正な批判を切望するより途はなくなつた。原因は今日始まつたものではなくい、むしろ一月以來のことであり、なおその根幹はもつと遠く、かつ深いところにあると見られる。患者の行動の一部分を取上げて、これを理由に問題のすべてを押しつぶそうとする意図のもとに、代表者三十二名に対して退莊命令の発動を予想されておつた。すでに十名に対して強制処分が付されておつた。かかる行為のために当局の一方的な独善振りが明瞭になつてきたのであつて、殊に警察に対する出頭命令を促している点などは、行政処分であきたらないで、刑事処分にまで発展させようとする一つの意図が明らかにうかがわれるものであるというのでありまして、特に患者側といたしましては、庶務課長なり、莊長なりに一人、二人代表を送つたのではほとんど問題にされない。何度参りましても拒絶をされる。從つて多数がともに庶務課長の官舎を訪れた。その場合にこの行為をデモとみなし、この行為を騒擾とみなすということに対して、患者としては承服のできない点がある。殊にそうした行為に対して首謀者とみなされるという点から、いきなり家族に対する退莊命令の言渡し、いわゆる電報一本をもつて家族を呼び寄せ、即時に患者を引取れという命令があつた。殊にその中の訴えによりますと、四國から來ております一患者の家族は、その莊から受取つたところの電報の文面によつて、これはてつきり死んだのであろうというので、いわゆるお葬式の支度を整えて、その覚悟をもつて悲しみのうちに莊に來たところが、事実はそうではなく、この事実を知つて唖然とした。このほかに二、三の患者の家族が、これと同じような受取り方をして莊に來ておるという事実も被瀝されておりました。いわゆるその電文の内容にいたしましても、非常に誠意のない打ち方をしておるということに対しての異議もございました。なお患者のその行動をした者に対して、中の二名はふとんを取上げられ、六名に対しては七日間の食事の停止があつたという訴えをいたしております。なお患者の不満の中には、いわゆる作業場に対する、勤労に対する——今日のインフレ状態の中にあえぐ患者たちが作業をいたしましても、作業療法という建前に立つておる莊からは、何らの報酬を受取ることができない。殊にそこに生み出しました果実の分配などにあたりましても、これがどうも明朗でないという点も指摘いたしておりました。 次に職員組合との懇談を要望いたしましたところ、莊側といたしましてはぜひ職員代表と視察團との懇談会ということにしてわしてしいう要求がございました。私ども視察團といたしましては、職員組合と視察團との懇談会にしてもらいたいということを莊に要求いたしましたが、この場合いわゆる職員側というのと、職員組合というのとの懇談会の段取りも論議があつたのでありますが、私どもといたしましては、正式に認められておるところの職員組合との懇談会ということを強く要望いたしました結果、そこに出てまいりました懇談会からの内容は、職員側との懇談会といたしました場合とは、おのずから結論が違つておることを職員組合懇談会の中において、私どもは見出さなければなりませんでした。職員組合との懇談会によりまして、いわゆる莊運営の一つの連絡機関は、莊と患者自治会との連絡会、あるいはまた職員組合と患者自治会との連絡協議会、あるいはまた職員組合と莊との懇談会、運営協議会というような三者がこもごもに連絡をしておつたということがはつきりいたしました。この職員組合からの報告によりますと、倉庫公開の際、あるいはその他の報告につきましては、ほとんど他の懇談において得た報告と一致をいたしておりましたが、いわゆるこの職員組合の見方といたしましても、今回の患者自治会のとりました行動を騒擾である、こう見ます向きと、決して騒擾ではない、いわゆる患者として当然ああした空氣の中からはあの行動が生れたであろう、こう是認いたします向きもあつたのでございます。殊にそのデモと稱します際に、具体的に棒をもつたという意見が一方にあり、あるいはあれは棒ではない、棒とは考えられないという意見が一方には出てまいりました。またこの職員組合の中に村会議員であり、村会の議長を勤めておられる方がありまして、その方の意見によりますると、村会では今度の問題に対しては全然触れないことになつておる、なんらの意見も出てはおらないという報告がありました。殊に職員の中から、結果として出ておりました強制退莊の一十名への打電にいたしましても、なんら主治医に対して莊長からあるいは庶務課長から相談を受けなかつたということに、主治医としてはなはだ遺憾の意を表明いたしておりました。特にその際に看護婦さん側からの訴えでありましたが、いわゆる特別手当が昨年の九月からほとんど支給されておらないという一つの不満の声もありました。 なお大体以上のような問題につきまして、次に職員側と患者側と莊側と私ども調査團との懇談会をいたしました。その際に患者からの報告と、莊からの報告で食い違つておりましたいわゆる給食停止の問題、これはその内容におきましては、その命令を受けたという看護婦さんも出てまいりましたり、あるいは食事係においては、いやそういうことは言わなかつたというような、三者懇談においていろいろ食違いが出てまいりましたり、また合致いたしますところも出てまいりましたりして、なかなか調査の明確性を得ることが困難ではありましたが、私どもその繰り返えされる論議の中におきまして、一應休食命令は出たであろうということを予測しなければならないような状態でございました。但しいろいろ患者の方にも、また看護婦さんの方にも質してみましたところが、事実上は休食命令が出ておつて食事は減らされておつたけれども、しかし同じ病室の同僚たちの計らい、あるいは看護婦さんの計らいで、食べることだけはとにかくほかのをへずりながら食べておつたいうことでありました。またふとんの取上げにいたしましても、一名は強制的にもつていかれておつたけれども、一名は主治医の計らいでまた貸し與えるようにした。その一名もつていかれたというのも、何か感情的の行き違いで、退莊するというからもうふとんは要らないだろうという意見で、決して莊としてはそれを強制的に取上げるというのではなかつた。要らないだろうと言つたところが、患者の方でも、もつていくならもつていけというような言葉があつたので、これをもつていくようになつたというような感情論まではいりまして、問題はなかなかはつきりした点を、これまた得ることができませんでしたが、一應六名に對するところの給食の停止、あるいは二名に対するところのふとんの取上げということは、種々なる側の一應の発言によりまして、私どももあつたであろうということを推察せざるを得ませんでした。但し私どもがまいりましたときには、すでにふとんももとに戻し、食事ももとに戻つておりましたので、すでに過ぎ去つた過去の問題について、事実をキヤツチすることがなかなか困難でありました。また強制退莊あるいは告発の問題につきましては、患者側からの訴えそのままの数字を莊側でもこれを認められておりました。 細かい点は省きましたが、大体以上のような経過を経まして、私どもの得ました結論といたしましては、私どもがその調査の経過におきまして得ました第一のことは、莊全体にまだまだ非常に封建的な空氣が漂つておる、官僚的な空氣が漂つておる。一つのこまかい例でありますが、職員組合懇談会の場合において、莊とは違つた立場、いわば患者を擁護するがごとき発言をなしたお医者さまがありました。そのお医者さまは、その会合が済むとすぐに庶務課長から呼ばれて叱られたというようなことです。私どもがいるそのうちに、そうした事実があつたということ一つから見ましても、非常に官僚的であり、封建的であるということが察知できたのであります。また私どもがはなはだ遺憾だと考えますことは、少くとも國立病院であり、患者が入院をいたしております間は、いわゆる莊が國家の責任においてこの患者を預からなければならない、療養に努めさせなければならないという立場にありながら、未だかつて、おそらく國立病院ではかかる事実はなかつたと私ども信ずるのでありますが、いわゆる療養を途中にあるところの患者を、いかなる理由があるといたしましても、警察に騒擾あるいは脅迫というような点で告発をするということ自体が、私どもとしては大変に遺憾に思う点であります。あるいはまた退莊命令を出すにいたしましても、それが主治医とはなんら交渉がなくして、一方的な点においてこれがなされたということに対して、妥当を欠くものであろうと考えざるを得ないものであります。殊にまた予測できたところの給食の停止なり、ふとんの取上げというものは、私立病院であつてもこれは許されない問題でありましようが、殊に國立病院という立場にありながら、かかる病人の給食を停止と、あるいはふとんを取上げるという事態は、断じて出してならぬ問題であろうと私どもは考えざるを得ないのであります。殊にこうした問題の起りました一つの原因が、最も大きな責任あるところの莊長が、疾病のために約一箇月半にわたつて莊の一分なる運営に当ることができなかつたという点にも、一つの原因があつたのではないかとわれわれは考えます。またこうした事情からまいりまして、私どもの考えました結論といたしましては、そのときに莊と連絡を、また御了承を願つたことは、いわゆる告発は、莊長の説明によりましても、過去に起したような障害を防止するために他に方法がなかつたので、一應告発をしたのである、さいわいにそうした障害を出すことなくして平穏に済ますことができたのであるから、一應の目的は達したのであるという莊長の御意見もあり、告発は即座に取下げることに話を進めました。 なお私どもといたしましては、問題になつておりました強制退莊にいたしましても、一應この際はこれを白紙に戻して、新たなる方法によつて運営の善後策を講じた方がよいであろうと考えたのであります。と同時にまた患者の方に対しましては莊長に対するところの不信任が出ておりますが、この不信任も一應この際取下げてはどうかという交渉をいたしました。双方が一應白紙になりまして、新たに今日全國立病院の問題となつておりますところの長期患者で、ほとんどもう療養は終了に近くなり、退院しても一向差支えないという病人が相当数療養所に收容されているにもかかわらず、病院外には相当の惡化した患者がたむろしている。かかる場合においても、病人の新陳代謝をやらなければならないという点からいたしましても、いわゆる健康に近くなつて療養を終つたところの患者に対しては、その主治医の意見を容れまして、徐々に退莊をするような方法を別にとらしてもらいたい。あるいはまた莊長の問題にいたしましても、この問題の結論というのではなくして、今後莊の一層の運営を、あるいはこうした療養所の一切の運営の面から見まして、当局としては一分にその責任を考えて処理をしていただきたいということを当局に対して要望するものであります。私どもが調査を終えまして帰ります際にも、莊側との懇談によりまして、告発はすぐに明日にも取下げますというお話であり、また強制退莊命令の撤回につきましては、いわゆる上司からの命令であればこれを撤回するというようなお話もございました。これに対して当局は、その後どういう御処置をとつておられましようか、また私どもの考えさせられました一つの解決の方法といたしましては、おのおのが白紙に還つて、そうしてこの際新しい協議会的な——三者がともに運営上におのおの意見を反映させて、おのおのが十分な理解のもとに療養を続け、また莊の運営をすることができるというような意見で、三者の懇談会を何らかの形でつくるようにしてはどうかという意見も附け加えてまいつた次第でございますが、その後の晴嵐莊に対する当局としてのとられた処置について伺いたいと思います。私どものところには、もう二箇月にもなんなんとするけれども、当局からは何らの御交渉もない。何らの処置もなされておらないということも聞いておるのでありますが、これに対する当局のその後の御報告を伺いたいと思います。 以上をもちまして簡單でありますが、晴嵐莊の調査の報告にいたします。
○山崎委員長 本件につきましては、榊原委員も委員会から派遣されまして、実情調査をすることになつておりましたが、小野委員長との間におきまして、電話の連絡等の不便のためにそれができなかつたのです。小野さんが御病氣で休んでおりますので、次会に出席された機会に、その点につきましても明確にしたいと存じております。
○榊原(亨)委員 ただいま松谷委員からお話がありましたが、その最後のところでお述べになりました、たとえば告発を取止めるとか、あるいは不信任を取下げるとか、その他莊長の問題、長期の患者に対して主治医の意見を聽くというふうなことを、松谷並びに飯村両委員がおいでになりまして、そう当局に御要望なすつたのでございますか。あるいは御感想としてお述べになつたのでございますか、殊に今の御報告の後半におきましては、当局に意見を聽く、あるいはその後の処置はどうだというようなお話合がございますが、これは御報告として承つておるのでございますか。それとも松谷先生自身が御質問なさつておられるのでございますか。その御質問を委員長はお許しになつておるのでございますか。その点を承りたいと思います。
○松谷委員 私の申の上げ方が混乱したかと思いますので、その点はおわびをいたしますが、私としてはまいりました委員の感想として附け加えさしていただくのが至当だろうと思います。報告をいたしまして、本委員会に掛けていただき、本委員会の結論を出して、本委員会から当局に一つの要求をなす。あるいは示唆をするのが妥当だろうと考えております。ただ本委員会の各委員が結論を出していただく場合の一つの参考資料といたしまして、飯村、私両委員の出しました私どもとしての結論を、報告の中に加えさしていただきましたことを御了承いただきたいと思います。
○徳田委員 この問題の報告にあたりまして、こうした問題の起つた根本的な原因、また当時における想像だとか何とかいろいろ言いますけれども、これはそうじやなくて、その間における一種の爭議的行為であつて、この爭議的行為の発生した近因につきましても、これからそれらが何を要求したか、この要求に対して当事者は、相手方である莊側は一体どういうことをしたかということは少しも述べられておりませんので、事の眞相はちつともわからないと思うのであります。われわれの聽き及ぶところによりますると、この問題の眞因は、莊側において非常に不正な事実がたくさんある。特にここには特殊物件と称すべき軍時代、戰爭時代における築造物及びその他の配給品があるのである。これを不正に横流した事件、あるいは横領した事件、これらを患者に配らなかつた事件、それがたくさんあると聞いておるのである。なおまた莊の取扱いが規則を破つて、きわめて乱暴なやり方をしておることも聞き及んでおるのである。こういうことが原因になつて、これは一種の爭議行為に発展しておるのである。でありますからこれはひとつ爭議行為として判断しなければ、單に想像をしたとか、この取扱いが惡かつたというのでは、問題を解決すべきものではないと思うのであります。從いまして報告者にそれらの点について一層深い報告をこの委員会にしてもらいたいと思う。
○松谷委員 ただいま徳田委員からお話がございましたが、いわゆる軍事保護院時代からの移管物資の横流しという点につきましては、患者自治会から私どもにまいりました訴えにつきましては、そうした不正事実に対する問題は何ら加味されてなかつたのでございます。私どももこの点を自治会に追及はいたしましたが、今度の問題はそうした物品の横流しとか、そういう問題ではないのだということをはつきりと患者自治会側も申しておりましたので、私どもといたしましては、特に今回の調査をそうした物品の横流しに重点を置きませんでした。殊にただ一つ加えられますことは、私ども帳簿に対しまして種々閲覧を求めましたところ、その帳簿にほとんど監査と申しますか、檢閲と申しますか、いわゆる從來であるならば庶務課長なり、あるいは莊長なりの承認の印なり、檢閲の印があるのが当然でありましようが、こうしたことがほとんどなされていなかつた。言い得る点は帳簿に対して非常にルーズであつたということだけは、われわれ調査團も見ることができました。その点についての私どもの意見はございますが、ただいま徳田議員からの御質問は、そうした何か具体的な陳情が徳田委員の方にあつたのでございましようか。少くとも私どもが初めに得ました陳情におきましては、そうした点は全然含まれておらなかつたということを申し上げることができるのでございます。
○徳田委員 しからばこの事件の起つた原因は一体何です。原因はどこなのです。原因はここにはちつとも報告されておらぬ。單なる現象を捉えて、これがああのこうのと言つておるだけである。患者と莊長との間に、こういう大騒動が起る原因は一体何であるか。これに一体何を要求しておるのか。それからあなたの報告によりますと、村の人々のいわくでは、ここがやみの巣屈になつているというようなことを言われましたが、一体これはどういうことを意味するのか、これらの点もひとつ明らかにしてもらいたい。
○松谷委員 ただいま徳田議員の御指摘の、一体それではこの紛爭の根源はどこにあつたか。それはいわゆる経営参加を要求したというところに一つの原因があつたと考えます。あるいはまた莊長初め各職員の封建的な官僚的な感覚から出てくるところの莊運営に対する不満があつたと考えます。いわゆる経営参加を要求するに至つた場合のその原因は、いわゆる物がありながら配給をしないというところに一つの原因があつたと見ております。その具体的な私どもにまいりました問題が、赤モスリンであるとか、あるいはえりまきであるとか、こういう訴えになつてきております。その点につきましては患者自治会でも了承をして、現物はそのまま保存されておるということにされております。また村議との対談の中で、ここがやみの根源になつておる、こう申しますその理由は、莊側との対談のときにも一つの問題になつておりましたが、このごろ結核病院に対するところの特別なる配給がいく。パターであるとか、あるいはたばこであるとか、その他の品にいたしましても、こういうものを結局患者はそのまま食するよりも、あるいはそのまま身につけるよりも、これをやみに賣つて他の物を求めなければならないという、今日の満足を患者に與へることのできない國立病院の賄い、あるいは國立病院の経営、そうした欠点から出てくるところの一つの現象でありましようが、患者が配給の物を村に賣り歩く、それで村に対するやみの根源は病院にある、村にはないようなものが病院に配給をされて、そうしてそれを村に賣りに來るから非常に困るのである、こういう見解に立つてのやみの根源であるという言葉を村人は使つておりました。
○徳田委員 われわれの知るところとは大分違いますので、この点は実は特殊物件の処理問題につきましても、不当財産取引委員会でも相当問題にしなければならないものがあるのである、事実これらの病院及びその他療養所におきましては、たくさんの戰時中の貯藏品がある。この貯藏品の行方に対しては、以前にもこの厚生委員会で問題になつたのでありますが、相当莫大なものが不当に処分されておることは明らかである。大体推察がつくのである。この問題とこれとは非常に関連がある問題でありますから、私としてはどうしてもこの問題をもつと追究しなければいかないと思う。これだれを隠してこの爭議だけを取扱うということでは、この事件の眞相を掴むわけにはいかないと思う。また莊長その他この病院の今後の改善につきましても、この問題を引き離しては問題にならぬと思う。それですから、どうしてもこれはこの報告に基きまして、さらに晴嵐莊の爭いの当事者である両方を証人としてここへ呼び出して、相当こちらのもつておる材料につきましてこれを尋問してみたい、尋問しなければならない、そうすることでなければこの國立病院の乱脈は改善することはできないと思うのであります。この國立病院につきましては、なおほかにも重大な問題がある。しかしこれは今すぐにここに問題にしたくありませんけれども、非常に重大な問題である。これは主として食糧問題でありますが、重大な問題である。それから看護婦の取扱いに対しましても、重大な問題があるのであります。これらのものはまた民生に対する保護、國民の保護に保護法の適用などにつきましても、重大なる問題を含んでおるのであります。これらはやはり関連する問題でありますが、本日はこのあとの問題は取上げなくても、少くともこの事件の起つたもつと深い原因をわれわれは衝かなければならぬと思う。そうしないとこの問題は片付かないと思いますから、いずれ委員会におきましてこの問題に対する証人の申請その他につきましては、今日は定員も足りないようでありますから、これを提議することを保留して、本日はこの質問を打ち切りたいと思うのであります。
○山崎委員長 次に委員外の菊池豊君より医療資材に関する件に関連いたしまして、水害地救援物資について緊急質問を求められておりますが、これを許すに御異議ありませんか。——御異議がなければこれを許します。菊池豊君。
○菊池豐君 事は茨城縣と埼玉縣をめぐりまして、昨秋の洪水の際に起つた事件でありまして、内容の片鱗を申し上げて御判断を乞いたいと思いますゆえんのものは、かようなことが繰返されますると、社会事業の円滑なる、健全なる進行を阻むと存じまするがゆえに、委員長並びに当局の重大なる関心を喚起いたしたいと思うのであります。金はわずか二百万円そこそこのものでありますが、たとえて申せば、隣人愛において供出いたしました一戸一点の数千点の物資を、水汚救援交付金の中に買上げたと称して申請しております。また当局はこれを公告いたしております。その他幽靈の物資等もを非常に莫大なるものがありまして、このことがいかにも進駐軍の耳にはいり指摘するところとなり、司直の手の発動となつたのであります。私ども思いまするに、かようなことが発表されますることは、罹災民に対する理解と同情をもたぬものであるというようなこと、それから一面罹災者に対する温い同情と緊急不可避の施設として仕方がないというような観点から、ともすれば内容の檢討を等閑に附され、あるいは使つてしまつたあとの監査とか、調査とかが非常にないがしろになりがちであつた既往のことが少くないと思うのであります。それに一部の不心得なる官僚が参加しておると思われますことは、茨城縣の古河町の町長さんが事件の対象になつておるのでありますが、取調べ、あるいは一部の廉直な町民青年の蹶起に対してかような答弁を與えております。この金は公金ではない、印刷物にも載り、公報にも声明書にも載つておりますが、公金ではない、これはわが輩と縣当局の間に渡された金で、町会に諮る義務は断じてもたないものだ、こう放言しております。もちろん縣当局は町会の審議に附すべき性格のものであると、最近の臨時民会で公表いたしておりますが、この不逞の言葉に徴しましても、一部の関係者がこれらのいわゆる清浄無垢の金銭あるいは物品に対して、大きなやみ取引をしているということ、あるいは大きな濫費を働いておるという事実も想像することができると私は思うのであります。(「そこが大事なんだ」と呼ぶ者あり)元來、昨秋の國土計画委員会でも、私かようなことを申しまして資料を委員長まで出しておきましたが、昨秋ばかりでなく、昭和二十三年度の予算で、辛うじて府縣に交付いたします補助費のごときは、十八年度のものを今年のうちに補助することができると言つておるのであります。累々たる砂利取り場となつてしまつた田地田畑、あるいは未だに雨露を凌ぐ家もつくることもできないような人たちが、血を吐くような叫びをあげております事情に藉口して、一顧に値いしないにもかかわらず、こういう金を使つているどさくさまぎれの火事場泥棒は、追放するに躊躇しません。それを金銭をもつて莫大なねぎらいをしているというようなことは、まことにゆゆしいことでないかと思うのであります。かような観点に立つて考えてみますときに、正直者がばかをみるということが、緊急不可避の社会事業費の中からも現われているということは、まことに悲しむべき事実でありまして、これに対して最近の滔々たる道義の頽廃の一つの原因なりと指摘することもできると私は思うのであります。現に香取村と申します村の村長は——一町八箇村から物が出たのでありますが、この村長はこういう申請書を書けという縣当局の指示に対しまして、実に意外に思い、そして夢と情熱とをもつて行つた品物を、金で賄うということは不当だと思う、いわんやその員数において、金額において、不当過大な要求をしろというようなことは、われわれは断じて與することはできないと一應は拒絶いたしておるのであります。さようなわけで、この問題は私思いますのに、今までも相当災害の救援金、あるいは緊急災害防除費等の中に、かような暗い陰惨なる影がなかつたと断言することはできないと思うのであります。これは古河町に現われたことだけでありますが、いわゆる氷山の一片、龍の片鱗でありまして、実は過去数十年にわたつて、かようなことが白晝のもと堂々と行われてきたということを私は否定することはできないと思う。この点について國土計画委員長も近く現地に駕を枉げられるはずであります。当局のはつきりとして所信を質し、そうして過去はとにかくといたしまして、將來かような明朗性を欠いた費目の支出のないよう、おそらく踵をついで來るであろうこれらの災害に対して、格段の御考慮を煩わさなねばならないと思いますので、ごく簡單でありますが、一切は書類によつて委員長の明断を仰ぎたいと存じます。委員各位の格別の関心を賜わらんことを要求いたしまして終ります。
○山崎委員長 菊池君、今の厚生省関係の事件についての核心がよくわからないのです。
○菊池豐君 それは社会局長のお話であります。
○山崎委員長 それはただいまあなたの今の御質問に中に厚生省関係において……。
○菊池豐君 いわゆる水害救援交付金、おそらくこれ、取扱いました熊谷と耗します茨城縣の民生部長は、辞表を提出する意思があることを新聞にも漏らしておりますので、これだけの重大問題を社会局長が知らぬということはないと思います。
○山崎委員長 知らぬという意味ぢやない。あなたの質問の核心が、この委員会において質問されることの焦点をはつきりおつしやつてください。
○菊池豐君 この委員会に深い関連をもつておりますことは、社会事業費、いわゆる緊急不可避の水害に悩んでおります人たちを救援いたしました費用の費目の使途について、はなはだ不正、不義の点がある。しかもその金を受けた土地の人たちが、大乘的な見地から不正、不義の金だから受けられないと決議しているのです。
○山崎委員長 わかりました。
○木村(忠)政府委員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。御質問のありました点につきまして不正のありますということにつきましては、ただいままで私聞いておりません。至急に調査いたしまして、調査の上お答えいたしたいと思います。
○菊池豐君 私はこの事件につきまして、司直の人たちの意向も聽きました。またあちらの人たちの意向も聽きました。あちらの人たちが指摘して司直の人たちの司法権の発動になり、一方純眞なる青年の蹶起、廉直なる町会議員の奮起とかいつたことがありまして、縣会としても重大な事件として取上げられておるのであります。当人がすでに辞意を漏らしておるということは、おわかりにならないはずはないと思います。かような重大な不祥事に対して、まつたく報告がないということは、これは明らかに地方の出先官憲がこれに参與しておる。この暗い計画に参與しておるという事実を、私は雄弁に物語つていやしないかと思うのであります。こういうことが少しも報告されておらない、知らなかつたということは、地方の新聞その他日本経済新聞でしたか、地方版にも載つております。相当重大なる問題として連日何段拔きかで取上げられている問題でありまして、知らなかつたということは社会局長の答弁としてどうかと思うのであります。
○木村(忠)政府委員 茨城縣におきまする茨城民生部内の不正事件については、私も聞いておるものもあります。これは相当惡質なものでありまして、規模もある程度大きい。これにつきましては司直の方でお調べになつておりまして、ある程度の調べを上げられております。ただいまお話のありました事件とは荒つておるように私ども聞いております。しかしながらその方のことじやないかと思いましたから——今お話のありました水害の際に、政府の出しました救済金の方につきましては、そういう問題は聞いておりませんでした。ただ他の方で水害に関する救済の品物につきまして間違があるということは聞いておりました。これは今相当大きな問題になつていることは存じております。これにつきましてはこういうことのないように嚴重にいたしたい、かように考えております。特に今度の事件に関連しまして問題になりましたのは、主としてララの物資であります。ララの物資につきましては、それが横流れその他のことのないようにいたしまするために、特別に嚴重なる措置をとつておつたのでありますが、たまたま水害に際しまして、これに対する警戒の方法が惡かつたために、これが端緒となりまして、その後茨城縣におきまして相当な横流しというか、横領というか、そういう事件があつたのであります。これにつきましてはわれわれにおきましても、嚴重な処置をとるようにいたしたいとかように考えております。
○山崎委員長 本日はこの程度に止めまして、次会の明後十日木曜日午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十五分散会