決算委員会司法委員会連合審査会 第3号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/06/17
会議録
○松原委員長 開会いたします。 先日に引続いて決算、司法両委員の連合審査会を続けます。質疑は通告順によつてこれを許します。中村俊夫君。
○中村(俊)委員 一点だけ政府にお伺いいたしたいと思うのであります。それは新しい実に不愉快な事実を最近私が知り得ましたので、この点を中心として政府の意図が那辺にあるかということを伺いたいと思うのであります。 元來経済査察廳法案は、さきの國会におきまして、きわめて簡單なこれと同種類の法案が司法委員会に出まして、われわれはその法案の内容について調査いたしました結果、とうていこれは新憲法下において、かくのごとき法案を通過せしめることは、時代錯誤だという考え方が、多くの司法委員を支配いたしまして、遂にその案は審議未了となつたのでありますが、今般形をかえてこの厖大な組織を前提とする経済立法が國会に提出されたのであります。從いましてこの法案を精細に調べますと、われわれ昨年抱いたと同樣の、あるいはそれ以上の疑念をもつのでありまするが、私はただいまただ一点についてお伺いいたしたいのでございます。それはすでに政府で御承知の通り、この経済査察廳法が立案されるとともに、全國の各府縣に対しまして——一例を兵庫縣にとつてみますが、兵庫縣当局、神戸市当局、弁護士会、檢察廳、裁判所、商工会議所、これらの各團体の代表者を集められまして、近々この経済査察廳法というものができるのだが、適切な廳長たるべき候補者を推薦してもらいたいという申入れがあつたのでございます。それによりまして神戸弁護士会で一致の決議をもつて北山亮という弁護士をこの廳長の候補者として安本に推薦をいたしまして、安本からさらに檢察廳に対してこの人の調査を求められて、檢察廳は適当なる人なりとして意見を具申しておるはずであるます。ところが最近におきまして安本の幹部がこの候補者である北山君と電報で東京に呼び寄せて、次のごとく申出をしておるのであります。それは、あなたは兵庫縣の廳長の候補者として推薦を受けているが、こちらに都合があるからしてあなたは大阪の地方管区の部長に変つてもらうわけにはいかないだろうか、こういう申出があつたのであります。そこで北山さんはそれはどういうわけであるか聽いたところが、実は兵庫縣の廳長には安本の官吏を据えたいと思うという申出があつたのであります。そこで北山さんは、自分は弁護士会から一致の推薦で兵庫縣の地方の廳長の候補者として推薦を受けており、同時に地方檢察長の賛同を得ておるのであるから、一應帰つて推薦團体と相談の上返事をするということで帰りまして、そうしてその結果兵庫縣の廳長たる候補者以外には就任の希望なしということを断つている事実を、私はこの候補者自身から聽いたのでございます。これはそもそも何を物語るものであるかと申しますると、実に依然として彼らがこの出先機関について、必ずその長に官吏を充てることによつて、すべてのそういう機関の長というものを自分で握ろうという一つの依然とした官僚独善の思想がこれに現われているのだと、私一人の見解ではありません、この話を聽いた推薦團体の一同は、まことにけしからぬという結論を得たのであります。われわれはこの経済査察廳法案というものがいかに新憲法下において違法性を帶びておるかということについて多くを言う必要はありませんが、かりにこの法案が曲りなりにな通つたといたしましても、これの運営が依然としてかくのごとき旧態依然たる、民意を尊重することなく、ただ義理合いにその推薦を委託して、そして結局はその各長に経済安定本部の行政官をもつていこうとする意図を見るときは、実に辣然としてわれわれはこの安本自体の考え方について徹底的に考えなければならぬと思つておるのでございます。つきましては以上の事実を前提として私はこういうことをお尋ねいたしたい。おそらくこれは全國だと思いますが、何がゆえにこの種の團体に推薦方を依頼されたかという理由、それからいかなる意図をもつてその推薦されたる人にかくのごとき地位の変更の申出をなされたかということ、それから今後におきましても民意を尊重されるという意思がはたして安本にあるかどうかという、この三点についてお尋ねいたしたい。同時におそらく全國の各團体に対して候補者の推薦を依頼されておると思いまするから、資料としてその推薦されたる人の氏名、職歴、その他詳細なるリストをこの合同委員会に提出されることを要求いたします。
○司波政府委員 ただいまお尋ねの民間團体等に人事の問題を推薦方をお願いした理由でありますが、これは経済査察廳の性格に鑑みまして、なるべく多方面から人を得たいという趣旨で、特に民間の優秀な方にも相当幹部のポストに、また一般のポストにも御依頼したいという趣旨で依頼したものであります。これに対しまして神戸の弁護士会から北山亮氏を神戸地方査察廳の廳長として御推薦になつた事実、それにつきまして地方檢察廳の身もとの御調査を依頼したこと、その結果適任者だという御返事のあつたことはよく了承いたしております。ただ地位の変更云々の問題につきましては、ちようどその衝に当つておられる監査局長が現在出張中でございまして、ただいまこちらに出席いたしておりまする政府委員ではそういう事実があつたか否かという点に承知いたしておりませんので、從つてその理由につきましてはただいまこの席ではお答えができません。おそらくそういう事実はあつたことと思いますが、その点は御了承願います。それから第一の点で申し上げましたように、査察廳の運営につきましては十分民意をも入れて、從來の経済取締り一本で來たやり方に何らかの改善を加えまして、新しい意味での統制励行の確保をはかるいき方を見出していきたいという熱意をもち、この法案の中にもそういう精神を十分織りこんであるつもりでありまして、民意を十分に尊重していこうという熱意は十分もつておるつもりであります。ただ一般的に申しまするならば神戸においてりつぱな方の御推薦を受けましたのは唯一の例でございまして、ほかの地域では全然そういう御推薦はない。ただいろいろ個人なルートその他から民間人の御推薦を受けたことはありまするけれども、そういう團体その他から民間人の適任者を御推薦を受けた例は神戸が唯一の例であるということを申し方げます。從いましてこの資料を、もし個人的なルートその他から出ている候補者の名前なり何なりを御要求の趣旨をも含めるなら、それに應じたいと思いますが、その点を一度お確かめしたいと思います。
○中村(俊)委員 私のただいま質問いたしました問題に関する当の責任者である監査局長が御臨席になつていられないようでありますから、これはやむを得ないと思います。なお資料の提出について今御言明の通りであれば結構でございます。ただ私は最後にもう一点お尋ねいたしたいのは、神戸の例をもう一度申し上げますが、兵庫縣の実情に明るい者が大阪へまわされて、兵庫縣の実情を知らない安本の役人をもつて兵庫縣の廳長にしたいという申し出、これはあるいは安本全体の意向であるか。監査局長個人の見解であるか明らかにすることができませんがこの事だけを見ましても実は私は不自然なことだと思いますが、政府としては大体この兵庫縣のような一つの事例を全般として考えてみるならば、そういうような意図を全般的におもちになつているのかいないのかということだけをお尋ねいたします。 私の想像するところに間違いがなければ、先ほど冒頭に申し上げましたように、旧態依然たる官僚がその重要なるポストを占め、そしてせつかく民間から推薦された者を有効適切に利用することなくして、中間的存在にこれをもつていくのではないかと疑われる節が顯著なのであります。從いまして兵庫縣の例のごとき考え方を、たとえば練達堪能の士であり、地方の実情をよくわかつておる者ですらこれをわからないところへもつていく、しかもさらに地方の実情のわからない中央の役人を、あるいは他の地方の安本の役人をその代りに据えるという考え方を全体の人事についておもちになつておられるのかどうかということを伺うわけです。
○司波政府委員 北山氏の問題につきましての監査局長の眞意はよく了解いたしかねますが、ただ経済取締りを一部として担当する関係上、これは私の意見を混えた推測でございますが、從來神戸なら神戸で長年弁護士をし、あるいは民間会社の顧問あるいは重役をなされた方はそういう取締りの事務の面では、神戸その土地では不適任ではないかというようなお考えもあつたのじやないか。これは実は後刻確かなところはお確かめ願いたいのでありますが、ただいまお尋ねのような趣旨で民間の練達堪能の士を一線事務から遠ざけて、管区へ祭りこむというような意図は全般的に全然もつておりません。その土地柄に合い、人柄もりつぱだということでありますならば、あらゆる点を考慮いたしまして、その地位にすえる特殊の民間人を虐待するといいますか、変に扱うというような氣持は全般の人事方針としては全然ないことを申し上げておきたいと思います。
○松原委員長 田中君。
○田中(健)委員 ちよつとお尋ね申し上げますが、先ほど連合審査においでになつた委員の方から昨日速記なしの暗の質問と同樣な問題をやや具体化して御質問があつたのじやないかと思いますが、まだ法律が施行されない前から、あまり手つ取早く準備したので、いろいろなぼろを出しておるというように考えるのです。そこでどの程度の御準備をなさつたものか、地方廳長あるいは査察廳の地方のいろいろな人事をきめるにあたつて、現在どういうふうにして法律施行に備えて御準備をなさつておるかという点でございます。それから何か推薦母体のようなものをつくつて、そして廳長の推薦をなさつておるものか。あるいはまた全面的に安本から人を出してやるつもりであるか。その点の準備の詳細なる内容についてお伺いいたしたいと思います。現在どういう人物が推薦になつておるかということを中心にしまして、それをお伺いいたします。
○司波政府委員 ただいまお尋ねの準備の問題につきまして、主として問題になりますのは、廳舍と人事の問題なのでございます。これは大体中央で地方の安定局にその準備をやらせるという建前のもとに進めておるわけであります。從つてそれぞれ安定局ごとに若干やり方の違いはあろうかと存じますが、まず廳舍の問題につきましては、ただちに新しく建設することは、現在の日本の國家財政の面から言いましても非常に困難であるので、主として既設の建物の借上げという方針でいくということで、各地の府縣知事その他公共團体等の御援助を仰ぐようにという方針を中央安定局に示しまして、中央安定局でそれぞれ係官を管内各府縣に派遣いたしまして準備をいたし、建物の点につきましては大体七、八割程度は目途がついておる現状でございます。また人事の問題につきましては、いろいろな新しい機構の性格に鑑みましても、なるべく多方面から人材を求めるという方針のもとに、いろいろの團体あるいはいろいろな個人的の関係で、なるべく民間人からもよけいに出てもらうように話を進めるという方針を、各地方安定局に通じましてやつてもらつておるわけでありまして、一律に——たとえばそれぞれの各府縣の弁護士会から廳長を選んでもらうというような、画一的な方法はとつていないのであります。ただ現在までの準備の状況は、民間からの希望者あるいは推薦者が非常に少いのであります。それはいろいろ給與の関係あるいは生活問題ということも絡み合つておると思うのでありますが、結果としては、從來何らかの意味で経済に関係のある官吏、あるいは朝鮮、台湾の方より引揚げた官吏、民間人というような人が、候補者の相当数を占めておるのであります。
○松原委員長 ちよつと速記を止めて……。 〔速記中止〕
○松原委員長 速記を始めてください。
○田中(健)委員 そうすると私の前に質問した委員の質問によると、何か弁護士会から推薦しておるがという質問と思つたのですが、弁護士会その他特定の團体に限つて推薦してくれと言つてやつたのではなくして、廳長の推薦については、その地方々々によつて違うのだ、こういうお答えですか。
○司波政府委員 さようでございます。しかも廳長と限らず、廳長以下のいかなる一般の要員でも推薦してくれという趣旨で、神戸の問題でございましたら大阪の安定局の方で、おそらく地元のいろいろな團体にお願いしたのではないかと思います。ただ聞き傳えますところでは、お願いした團体の一つである神戸の弁護士会から推薦があつたということであろうと思います。
○田中(健)委員 そうすれば、兵庫縣だけは神戸弁護士会から推薦すればいいが、よその方ではそうでないということでは、そこに理由となるべき根拠があるのですか。私は全國画一でなければならぬということを言つておるのではないのですが、ほかの方はどうして弁護士会の方に推薦を依頼しなかつたということです。
○司波政府委員 その問題は大体各安定局に任せたのでありますが、おそらく各安定局も、人を出していただけでそうな適当な各種の團体に、そういう御依頼をしたのではないかと思うのであります。神戸の場合でも、おそらく商工会議所とかその他にもお願いしているが、ただそのほかの團体からは何らの御推薦がなかつたが、弁護士会からたまたまあつた。たとえば中央におきましては、経團連等の会合にも出まして、何か適任者があれば出していただきたいということを御依頼した事実もございます。
○田中(健)委員 この法律ができて、そして中央の機構が一應形がつくられたならば、これは当然任命の形式でいくべきだと思いますがしかしそういう方法をとつておらないけれども、最も民主的な方法としてそういう選任の方法がいいのだ、こういう御意見ですか。
○司波政府委員 廣く各方面から人材を求めるという精神でありまして、お説のようにこの方法が民主的であるということになるだろうと思います。
○田中(健)委員 それならばもつと方法がたくさんあるだろうと思います。それから選挙するのが一番いい。しかしながらそこまで考えることも、これは行き過ぎた考えではなかろうかと思いますけれども、そのように民主的な方法として地方の各團体に相談して廳長を選んでもらう、こういう意味であるならば、これは労働團体もあるいは農民團体も、あるいは法曹界の方からも、あるいはその他官界、財界、政界方面にも廣く相談して出すべきものであつて、ただ弁護士会だけに相談したということであれば、またある方面においては、ただ縣知事だけに相談したということであるならば、これは結局先ほどのどなたかの質問じやないけれども、安本が欲する者を任命したということになると考えられますのでこの廳長に任命にあつたては、あるいはその他のもつと下の方の最高の人事を行うに当つては、どうしても相談をするのならば、もつと廣く組織立つた方法によつて相談をするというお考えがあるかどうか。私の考えを申し上げますならば、ただいま申し上げましたように、廣く各團体に御相談なさつた方がいいのではないかと思う。相談しないで、法律が公布されるのを待つてやつていくというのなら別であるけれども、相談するというのならば、今のような自分の好きな者だけに相談して、たまたま好きな者が推薦されてこないからそれでは赴任のできない所に任地をあてがうようなことをして拒否するという不明朗な、惡い言葉で言うならば、陰謀めいたやり方ではなく、私はその点を非常に心配いたしまして、先ほどの質問は、こういうことがざらにあるので、私はやや抽象的だつたけれども、お尋ねしたわけでございまするが、どういうようなふうにして今後地方に御相談申し上げるかどうか。この点をあらためてお尋ねいたしたいのであります。
○司波政府委員 任命はそれぞれ上で任命することになつておりますが、その選考につきましてはなるべく廣く選ぶという精神は今でも変つておりませず、將來も同様であろうと思うのであります。おそらく先ほども繰返し申し上げましたように、神戸も弁護士会だけに相談したのではなくて、ほかの團体にも廣く——あるいは抜けたところもあるかもしれませんが、精神としては、大体人を推薦してくれそうな團体に、選り好みなく、いろいろ御相談した、そういう方針だろうと思うのであります。
○松原委員長 委員長からちよつとお尋ねしますが、最初五千人の事務官ができて、六千七百人ばかりの人間を増員するということは、この行政整理の際に穏当でないということに対して、政府側の答弁には、極力現在ある官吏その他からの配置轉換をやつて、実人員の増加をはからないようにする。極力配置轉換によるという御返答があつたのですが、公募せなければならない今の実情で、官吏以外からとらなければならない人の数が大よそ何割くらいおありになるか、その御予定があつたら承りたいと思います。
○司波政府委員 その点は別に何割ということを制限しての考え方ではないのでありますが、いろいろな條件と見透しを判断いたしました結果、大体二割見当、少くとも五千人のうち千人くらいは民間から任命いたしたい。あとの八割四千人については、経済各省とか、あるいは檢事、事件、それから從來の経済警察官中の優秀な者をもつて充てようという方針で選考を進めておるわけでございます。ただ結果といたしまして、あらゆる判断を加えた面では、ただ数の上で一番多いのは從來の経済警察を担当しておつた者になるだろうというふうに予想いたしておるのであります。
○田中(健)委員 なるべく民目的な方法で人事をきめたいというようなお答えでありましたが、この際地方々々のでんでんばらばらのやら方に任せないで、指示を與えてやるために、地方における官廳、またはその地方廳に管内におけるこれこれの團体の代表者に來てもらつて、そうして相談してきめるように、こういつたようなことをおやりになる御意見がないかどうか。もしおやりになるとするならば、これは次の委員会までに、これこれの團体と相談してやるという團体の名称のようなものをここへ出していただきたいと思います。また私が申し上げるまでもなく、そういうふうにやつておるというならば、その指令の通達なり、達しの内容をここに御発表願いたいと思います。
○司波政府委員 一般の民間から人を採用する場合の精神は、ただいま御説明の通りでありますが、対象の團体をこれこれこれこれこれに特定する、またそういう方針を示して、必ずしれと協議の上でなければ大をきめられぬということは、ちよつと行いかねるのではないかと考えます。しかも経済査察廳の人事につきましては、ちようど北山氏の問題のときに私の意見として申し上げましたが、経済違反行為の取締りという事務をもつております関係上いかに個人としてりつぱな方であつても、いろいろ経済関係で親類縁者、あるいは関係者が業者等に非常に多くて、しかもその対象が経済違反行為を起しやすいような場合には、いろいろな角度から檢討して、必ずしも一般から推薦されましても任命しかねるというような事態の起る可能性もあるのでありますから、その点は決してそういうむちやなことはやらないということで、政府を御信頼くださいまして、ただ精神は今言つたように廣き人材を求める精神でいつておるのだということを御了承願いたいと思います。
○松原委員長 木村榮君から質問の通告がありますが、田中君まだありますか。
○田中(健)委員 私はそういう抽象的なお答えをしていただくつもりでなかつたのであります。どういう指令を出して、どういう方法で將來やつていくか、こういうことをお尋ねいたしたのであつて、最初から相談しないのだつたら別です。ところがある地方では弁護士会へ相談し、ある地方では安本の出先に任しておくといつたような、統一のとれないようなやり方をしておることが、いろいろ地方から苦情が出てきておる。そういうことであるから私はその点がまずいと思う。そこであつちこつちから文句が出て困るから、そういうやり方ではなく、どうせ相談をするなら廣く相談をした方がいい。相談に拘束されることをおそれて、あなの答弁はまつたくそれと逆な答弁になつておるのです。それでは地方と組織的な形において相談いたさないということになる。あなたのおつしやるところでは、それでは相談いたさないと言つた方がいいので、その点はどうなのですか。相談するのかしないのか、都合がよければ相談するし、都合が惡ければ相談したことでも踏みにじつてしまうということでは、相談したことにはならないのではないかと思うのですが、その実はどうですか。
○司波政府委員 人事につきまして、全般の問題をそれぞれの地もとのいろいろな團体に相談するというのではないのでありまして、なるべくあらゆる廣し範囲から御推薦を願いまして、政府でその人事を決定するという趣旨であります。
○田中(健)委員 どうも納得がいきません。昔の台湾か朝鮮のようなやり方で、民間で選んだ者のうちからすきな者を任命する、こういつた遅れた行政機構の場合のやり方ではないかと私は思いますが、私はそういう意味じやなく、もしおやりになるとするならば、廣く各團体に相談しておやりになつたらどうかと言うのです。やらないならば最初から官吏を任命する方法で、高びしやにやればいいのだから、その点で現在皆さんがやつておられることが苦情のたねになつておるから、それをお改めになる御意思があるかないかということをはつきりお尋ねいたします。
○司波政府委員 実は私の方でただいまは北山氏の例は聞きましたが、そういう各地方の苦情を具体的に承知しておらないのでありまして、そういう具体的な例がありましたならば、ここでひとつ御披露願いまして、よく私どもも反省してみたいと思います。
○田中(健)委員 ここで具体的に出せと言うならばいくらでも出しますが、しかしそうすれば長くなります。この間も私は秋田縣の例を出した、今日ももつと別な例を出した。そういう例がごちやごちや出ております。それならば一應委員会で時間をおいて、ここにはこういうことがあるということをはつきり出しましよう。それから議論を展開することにいたします。
○木村(榮)委員 この前もちよつとこの点をお伺いしたのでありますが、どうも納得がいかない点をお尋ねしたいと思つております。 補則の三十一條に「管区経済査察廳長宣は地方経済査察廳長は、経済査察官の行う経済法令に関する違反事件の調査につき必要がある場合には、その管轄する区域内の都道府縣警察長又は市町村警察長に対して、実力による應援を求めることができる。」「都道府縣警察長又は市町村警察長は、前項の規定により應援を求められたときは、できる限り、これに應じなければならない。」こうなつておりますが、これは大体管区経済査察廳の長は、刑事訴訟法の規定その他によつて裁判所の判事あるいは檢事と同一の資格を與えることになるのですが、それと関連いたしまして、その前の二十九條には、「この法律の規定による警察官又は警察吏員の行為については、刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」となつております。ところがこれは二十九條の規定とは別個に、経済査察廳の長が局轄内の警察長に対していろいろなことの應援を求めることができる。おかしいことにはその應援を求められても「前項の規定により應援を求められたときは、できる限り、これに應じなければならない。」となつておつて、いやだと言つて應じなくても差支えないことになると思います。そういたしますと、今度は逆に、その前の二十一條によつて認められました経済査察官の権利としてもつております権限と、この長のもつております権限とは違う。一應査察廳の長たる者はこの三十一條に規定された権限を警察的にはこれによつて行使できるが、その他の面においては刑事訴訟法に準じて、やるということになるわけですが、そういたしますとこの場合に別個の場合だからいやだと言つて、やらなくてもいいということになれば、権限をもつて頼むんじやなくて、ただ個人的にどうも物騒だからお願いいたしますと言つて來た場合、どうもいやだという程度で断われるものか、相当強制力をもち、権限をもつたものか、その点非常にあいまいでどんなにでも濫用されると思います。その点どう解釈せられておるか承りたいと思います。
○司波政府委員 第三十一條は一昨日も御説明申し上げましたが、例といたしましては、たとえば列車の相当惡質な集團的やみ屋を檢挙しようという場合、あるいはまた相当惡質なやみ屋が集團しておる場所で、その中には拳銃等を持つておる者もあるというようなことが予想せられた場合に、経済査察官は全然武裝いたしておりませんので、そういう場合には武力をもつておる警察の應援を求めることができるという趣旨であります。しかもそれは個個の経済査察官ではなくて。その長である管区経済査察廳長あるいは地方経済査察廳長から警察の長に対して正式にそういう應援を求めるという趣旨であります。 また第二項に「できる限り」とありますのは、御承知のように、警察は警察法によりまして相当廣汎な、しかも重大な任務を課せられておるのであります。しかも軍をもたないわが國といたしまして、十二、三万の警察力では現在の日本の治安を維持するのに非常に困難を來しておる。從いまして應援を求めた場合に、必ずこれに應じなければならないということを規定しておる場合に、そういう惡質経済事犯以上の、たとえば相当大きな騒擾事件がその地域で起きておる、その方面に警察力を全部とられておる、その場合にも必ずこれに應じなければならないということを法律で規定することは時宜に合わない。從つて「できる限り」という言葉を入れまして、そこに警察側が協力に應ずる場合に若干の余裕を認めた次第であります。 それからちよつとお話が出ました経済査察官が裁判官と同じような云々というお話がございましたが、経済査察官と裁判官とは全然権限も違いますし、むしろこの法律の第四章の規定で、経済査察官が、調査活動をいたしますには裁判官の許可状をもらつて、裁判官の批判を受けて公正なる処理をするという計前にいたしておるのであります。從いましてこの経済査察官の行為いつきましては、経済査察官を司法警察官とはしないが、一般行政官と同樣の立場でやるという意味で、直接には刑事訴訟法の適用はないのでありまして、この法律の適用で動く。ただ告発その他の処理につきましては刑事訴訟法を準用するという建前をとつております。また第二十九條の「警察官又は警察吏員の行為については、刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」と申しますのは、許可状を執行する場合に一昨日も申し上げましたが警察官を同行しなければならない。そうして警察官をして逮捕させたり、あるいは捜索させたり、物を差押えさせたりする。その場合に警察官の差押え逮捕等の行為につきましては、本法でそういう行為を行うという根拠はあるわけでありまして、刑事訴訟法自体がただちに適用はないのであります。從いましてそれらの行為につきましては、刑事訴訟法を準用いたしまして、刑事訴訟法の線に沿つて活動するということが妥当であるということで、この準用規定を設けた次第であります。
○木村(榮)委員 どうも最初の御趣旨の説明と大分変つてきました。そういつた列車を取締つて警察官を派遣してやるとか、あるいは不穩な行動があるというようなことを経済査察廳がやらなくても、司法警察官がおつて、警察の方で現にやつておる。東北の列車においても、またその他の方面においてもやつておる。ところが説明では、経済警察の復活ではない、どこまでも予防調査が一番目的であつて、その他のことは警察がやるのだということである。今度はここになつてくると、そういうやみ列車があつたりすると警察を指揮してこれを檢挙する、こういうことになるわけでありますから、最初の説明の趣旨とだんだん変つてきて、名前は経済査察廳になつておるが、実際は経済警察が今度はこういつた廳をこしらえてその方を專門にやるんだということをあつさり言われて方がわれわれとしては理解するにいいと思う。あなたは言葉の上ではいろいろ言われるが、察際問題として具体的には、やみ列車がある場合には司直の應援を求めてやる、あるいは集團的なものもやるということだが、何も経済査察廳の長が應援を求めたりなどしてやらぬでも、そんな大きな事件はわかつておることだから警察官あるいは檢事がちやんとそれくらいのことはやる。そんなことができぬようなら警察なんか要らない。非常に矛盾しております。経済査察廳の設立された趣旨はどこまでも経済警察のようなことをやつてはいかぬ、またその復活強化のような概念を一般に與えてはいかぬということを最初に言つておる。しかし実際現実にやることはそれとは逆なことをやる。それを何か言葉のあやでその時々違つたような答弁をしておられます。そんなことを言わなくても、実際問題として本質的には経済警察の強化であるということをあつさり言つてもらつた方が簡單でいいと思う。
○司波政府委員 從來の政府側の答弁として、この経済査察廳が経済違反行為の調査、すなわち從來経済警察のやつておつた取締りに類する行為はやらないということは言つてないと思うのであります。ただそれのみが査察廳のやることでなくて、それのみによるやり方が從來の経済警察に対する効果があがらないとかなんとかいろんな非難となつておることに鑑みまして、それにプラスするに一條に並べてあるようなあらゆる方法を総合的に活用することによつてやる、しかも取締りの面におきましても從來の警察のやつておつたようなどつちかと言うならば末端方面の取締りをやる、しかも実力行使ということが警察力の一つの特徴でありますが、そういう方法によらないで、大きなやみの根源をつくような知能的な調査をやるんだ、そこが從來の経済警察と経済査察廳とが違う点であるということをたびたび強調してまいつたのでありまして、経済警察的なことは全然警察のやることであつて査察廳はやらないということを申し上げたことはないと思うのであります。從いましてもちろん警察もやりましようが、経済査察官が相当惡質なしかも相当廣地域にわたるような集團的なやみ行為につきましては、ばらばらになりました現在の警察組織ではやり得ないようなそういうことにつきましては、みずからも手を出した調査するという必要のあることは御了承願えるだろうと思うのであります。
○木村(榮)委員 大分明瞭になつてきました。結局あなたのおつしやるのは、大きな集團的で今の警察機構では跨つておるからできぬといつたふうなことで、今度は経済査察警でやるんだということになれば、言葉をかえて言えば経済警察を強化拡充することだと解釈して差支えない。今の警察法によつてはばらばらでやれないということだが、やる方法はたくさんあります。それはあなた御存じの通りであります。その方法でやらなくて今度は経済査察廳というものでやるということになれば、言葉をかえて言えば経済警察の拡大強化だと解釈して差支えない。もう一つは、知能的なことをやると盛んに言われますが、列車でやみ物資を運ぶやみ商人を檢挙するということは経済査察官が知能的にやらねばならぬといつたことでは全然ない。また今までずいぶんやつておる。知能犯でどういうふうに調べなければわからぬといつた違反行為でなく、現行犯でわれわれが見たとて米なら食糧管理法違反、その他すぐわかる。それを今度経済査察廳もやるということになれば、いくら美辞麗句を並べられても経済警察を人間を殖やして強化しておやりになるということだと思う。このことはさつきはつきりと今の警察機構ではいけない点がある、これで簡單にやるといつたようなことを申されましてよくかわつたのでが、だから経済査察廳は決して政府が説明いたしますような調査予防といつたふうなことではなくて、それもあるが、ほんとうは全般から言えば経済警察の強化拡大であると認めて差支えない。またそういうふうなことがはつきり、先ほどの言葉の中に言われたと思いますが、さように解釈して差支えございませんか。
○司波政府委員 経済警察の強化拡大ではないという趣旨で私は先ほど御説明申し上げましたので、その説明によりましてそういうふうに木村委員の方で御解釈になるならば、私としては実は説明のしようもないわけでありまして、御解釈に任せるほかないと思います。それともう一つこういう点をよく実体を御認識願いたいのであります。從來の経済警察というものは約二万名の專從員、しかもそのバツクには十万以上の警察力をもつた経済警察專從員がやつておつたのであります。ところが警察法の実施によりまして現在のところでは経済警察專從員というものは大都市の自治体警察のみに認められておるのであります。從いまして一般の國家地方警察及び小さい自治体警察には專從の者を置いておりません。というのは現在十三万くらいの警察力ではほかの一般の治安の問題が非常に重大な問題でありまして、経済の面を顧みるいとまがない。それともう一つは警察本來の使命からそういう経済の專門の係を全面的に置くということは感心しないという関係方面の意向もありまして、現状はさようになつておるのであります。それにかえるに五千名の経済査察官をもつてして、はたしていわゆる経済警察の拡大強化になるかどうか、よほどいろんな新しい行き方をしない限りは、前の経済警察が行つていた程度の統制確保の効果すらあげ得ない。そこでいろいろ新しい方法を今後この法律の精神に副うてくふうをいたしまして、現在のとうとうたるやみ態勢に対処しようというのがこの査察廳法を立案しました眞の精神でありまして、その点ひとつ御了解いただきたいと思います。
○木村(榮)委員 ますますわからなくなつてきますが、警察の機構の問題はいろいろあるのでございましようが、あなた方は東京においでになるからわからないかもしれませんが、私どもの村では今度警察制度が変つて、今までは駐在巡査一人であつたものが、にわかに部長ができ、その下つ端ができて五人も六人もいるといつた村が何箇所もある。今まで巡査がたつた一人いたのが、バーの二階がにわか仕込みの警察署になつて、そこには用もないのに五、六人がんばつている。そこで何をやつているのかといいますと、その村には強盗もなくその他の犯罪も全然ございません。まあやみの取締りと申しましようか、とにかくそのことだけであります。全國的に見ましてやみ違反の檢挙が、この警察機構の改革によつて要らなくなつたというのは、それはただ安本の役人さんが机の上で御計算なさつただけの話であつて、現実には決してそうではない。むしろ強化されているとわれわれは見ている。そこでさつき言われましたが、そういつた経済警察の面を見ますと、あなたは経済警察の復活ではないかと言われたが、結果を申しますれば復活だと言われるのと同じことになる。たとえば郡なら郡の警察署の所属の漁村から、魚一箱なら一箱持つて出ますと、ちようど町の境目くらいで警戒している町の警官にとつかまる。お前はどこだ、私はどこそこの村でございます。この警察はどこそこの官轄だからあつちへ行け、めんどうくさいから向えへ行け。ここまでは村のものだからほつとけ、こういうことになつてほつたらかしになつたり、今度は逆にこれはそつちの方だつたら勘弁してやるが、お前はこつちにまわつてきたのだから運が惡いのだとうんと油を搾るというようなことをやられている。それを今度は経済警察で経済取締り面においては、一元的に押えていくために経済査察官、あるいは経済査察廳というものが、警察の経済統制に関しては別箇の立場から統一いたしまして、それをうまく押えていくという目的のためにこしらえたものがたくさんあると思います。その面は、さつき御説明になつたように、國家警察になつて、いろいろ相互連絡が困るからそれを置くのだと言われることは、何も経済警察の復活ではないというのではない。今あなたの解釈が云々と言われましたが、私の解釈ではなくて、あなた自身がそういつた不安があるから経済警察を強化する、強化という言葉は使われなかつたが、内容的にはそうおつしやつておるもので、最初御説明になつた決して経済警察の強化ではないということとは食い違つている。しかるにあくまで経済警察の強化ではないと、それは言葉のあやで何でも言えますが、いくらわれわれが法律に素人だと言いましたも、まるで子供を遇するようにそのたびに言葉が違う。さつきから申しますように、いろいろ言葉のあやはあるが、根本的には経済警察の強化、拡大であると率直に認められる方が、委員といたしましても、この法律を審議いたす上において便宜だと思います。経済警察の強化でないという説明のもとでこれを討議しようとするから、いつまで経つてもなかなか審議が進行いたしません、だからあつさりと経済警察の拡充強化であるということが、その全部ではないが大きな部分を占めておるということを仰しやれば、われわれは権限を認めて、それなら結構だということになりますが、どこまでもそうでないと言いながら内容的にはこれとまた逆なものを出して、それを審議してこれということになれば、いつまで経つても解決がつかない。それは言つても言わなくてもわれわれとしては経済警察の強化拡大であることを認めざるを得ない。
○司波政府委員 今の点は何度説明しても同じだと思います。
○田中(健)委員 何遍言つても同じだと仰しやるが、重大なことはこれは経済警察の復活であるかどうかということで、この法律は内容的にはそうなつておるのじやないか。この点は私は答弁する必要があると思う。これはいかがでございますか。 第二点は木村委員の御質問に関連してでございますが、應援を求められた場合にはでき得る限りこれに應じなければならぬとあります。実力の應援というものは相当重大な應援を求めることであつて、その重大なる應援を求められた場合にはできる限りこれにこたえなければならぬ。これははなはだ全体から見て納得のいかない点です。第三十二條の場合にもその通りです。やはり警察その他行政機関は第一條第二項第四号、第七條第二項または第十三條以降の規定による勧告があつたときは、できる限りこれに基いてやらなければならぬ。実力の應援を求められた警察は今度はでき得る限りやればいい。こういうふうに改正しなければならぬと勧告を受けた場合には、でき得る限りこれをやればいいという、この諸君の考えが私は了解に苦しむ点です。私の質問いたしたいことは先ほどの木村委員の質問に対する答弁がきわめてあいまいである。ここでこれをはつきり言つていただきたい。それから今申し上げた通り、できる限り、こういうようなあいまいなことでは嚴重な取締りはできるものじやない。取締り取締りと諸君は言うけれども、取締りをするのならばできる限りの應援では取締りはできるものじやない。この二点だけ関連して質問申し上げます。
○司波政府委員 何度も申し上げたように、経済査察廳は警察的な機能を抹消しようという点でいろいろな配慮を拂つてあるのでありまして、その意味で経済警察の復活強化にあらずということは、何度もお答えする通りであります。この点の御判断は委員諸君及び背後におられる國民各位の速記録を読んだときの御判断に委したいと思います。 それからできるだけということにつきましては、先ほども御説明申し上げましたように、警察力がほかのさらに重要な部面に使われ、必要だという場合に應じ得ない場合も、それを法律で必ずというふうに縛つてしまうことは実情に合わないという趣旨でございます。
○田中(健)委員 そうするとほかに重大な事件があつた場合には應援することができない。そういう場合には査察官の方から求められた実力の應援をしなければならない。 それから警察がもつておる事犯の間に軽重の差があつて、その判定のもとにできるだけということをきめるわけでございますか。その点はどつちが重くとどつちが軽いのでございまか。実力による應援を受けるということは、相当重大なる應援であります。もしその場合にできるだけということになれば、今そこにばくち打ちがあつたからできません。どうぼうがあつたからできません。今手一ぱいでございます。人が足りません。こういうことで皆さんが引込みますか。その点でございます。
○司波政府委員 ただいまのいずれが重要なりやという点は、おのずからそのケースケースに應じまして、客観的に判断さるべき問題でありまして、警察官の側においても、経済査察官の側においても、常識がある以上は、おのずからそこに解決がつくだろうと考えます。
○木村(榮)委員 最後にもう一点お尋ねいたしますが、ただいま司波政府委員が言われましたことに非常に矛盾いたしますのを、例をもつて申し上げますと、第三十七條であります。「この法律は、経済法令に関する違反事件を積極的に捜査すべき警察官及び警察吏員その他の行政機関の責務を軽減するものではない。」とはつきり書いてある。ところが御説明だと、いや警察法が変つて、経済警察の方のことはもうやらなくなつたというようなことを盛んに言われます。ちやんとここに、経済法令に関する違反事件に搜査にあたつては、何らその責務を軽減していない、言葉をかえて言えば、以前の通りやるのだということ、そういうことが明記してある。だからそれは矛盾だらけであつて、われわれは政府委員の説明は、速記録を読めばわかるとおつしやいますが、全然理解することができない。これに対してはどうですか。御答弁があればしていただきたいと思います。
○司波政府委員 三十七條は、警察法によりまして、一般の警察官は、あらゆる犯罪についての捜査の責務を有するのであります。從いまして、経済法令に関する違反も、やはり犯罪の一部門でありますから、それを取扱う責務を軽減するものでないということを書いたのでありまして、これは当然のことでありますが、ここに特に規定した趣旨は、経済査察廳ができれば、一般の警察は経済から全然手を抜いていいのではないかというような誤解が起る可能性があるという意味で、これを置いたのでありまして、ただ実質的には、各警察に経済警察の專從員というものが、先ほど御説明申し上げましたような事情から、警察法改正前の警察と非常に違つておる、そういう意味で、実質的には、経済取締りに関する警察の機能が弱化している。これは一つの実態でありまして、法律上の責務の問題とは、おのずから別であろうと思います。
○木村(榮)委員 從來のものより、経済警察專任者が減つたとか、あるいは機能が低下したからということを言われましたが、結局経済査察官というものを設けて、それを拡充し、補充することになると思います。だからあなたが経済警察の拡充ではないといくら言われても、言葉の端にちやんとしつぽが出てくる。今の言葉がら見ても、これは結局三十七條の問題と関連いたしますと、これが拡充強化ということをおつしやつたと同様だと思います。それに対して反駁できたらやつてみてください。
○花村委員 今の木村さんの質問に関連してちよつとお尋ねしてみたいと思います。今までの政府委員の答弁によると、本案の規定にあります司法警察官の職務権限は、要するに経済査察廳法案によつて與えられるということになると思うのでありますが、そうお聽きしてよいわけですか。
○司波政府委員 御説の通りでございます。
○花村委員 そうしますと、一面においては警察法による司法警察官といたしまして、統制違反取締りに関する権限をもつておるのでありますが、要するに司法警察官といたしましては、警察法に基く本來の統制違反行為に対する取締りの権限と、さらに経済査察廳の法律によつて與えられたる司法警察官としての権限と、両方をもつということに相なろうと思うのであります。それは一方からいえば警察法という特殊な、また特別な規定のもとにおける権限であり、それからこの本案による権限はいわゆる行政的意味をもつた権限であるのでありますが、その行為についてはいずれの責任を負うのですか。行政官的本法における権限の責任を負うのであるか、あるいは警察法に基く司法警察官としての責任を負うのであるか、どちらになるわけですか。
○司波政府委員 ちよつとお尋ねの趣旨がはつきりしない点がありましたので伺いますが、今のは経済査察廳に規定してある警察官の行為ですが、経済査察官の行為ですか。——協力を求められた警察官の行為ですか。
○花村委員 そうです。
○司波政府委員 協力を求められた警察官の行為につきましては、経済査察廳法案の二十九條に規定がありますように、「この法律の規定による警察官又は警察吏員の行為については、刑事訴訟に関する法令の規定を準用する。」というのでありまして、本法及びこれによつて準用された刑事訴訟法によつて起訴されるのでありまして、警察法にはこういう協力を求められた場合の警察官の行動を律するような規定は今のところないのであります。
○花村委員 私の今の説明が惡かつたのでありますが、司法警察官は、もちろん警察法によつて支配を受けるのでありますが、司法警察官は刑事訴訟法の二百何條かによりまして、当然司法警察官としての個有の経済統制の違反に関する取締りの権限をもつておるわけなのであります。本法がなくとも司法警察官は経済違反ありと思料する場合においては、刑事訴訟法の定めるところに則つてそれぞれの手続のできることはきわめて明瞭であります。しかるに本法による司法警察官の権限は、要するに刑事訴訟法を準用すというので、準用されておるがゆえにまた一面においてこの本法から流れ出た司法警察官としての権限ももつておる、こういうことになるわけであります。要するに一つの経済事犯に対して二つの権限で臨むということに相なるのでありますが、その場合にいずれも責任を負わなければならぬということになるのですか。本法によるところの司法警察官としての責任を負うということになるのか、あるいは刑事訴訟法に與えられたる個有の自分がもつておる司法警察官としての行為に対する責任を負うのであるか、それをお尋ねしておきます。
○司波政府委員 ただいまの本法による警察官の行動と申しますのは、いわゆる司法警察官としての行動ではないのであります。ただ警察官と規定しておるのもその趣旨でありまして、これは必ずしも司法警察官である資格を要しないのであります。しかもやるのは許可状の執行部面に関與するという程度でありまして、主体は経済査察官にあるわけでありますから、その責任ということがどういう御趣旨か、よく了解いたしかねますが、刑事訴訟法の適用による司法警察官の行動とは全然別個の本法によつて規定された行為なのであります。
○花村委員 それはどうもわからぬのです。本法の司法警察官というのは二十九條によつて「刑事訴訟法に関する法令の規定を準用する。」とあるでしよう。でありますから本法によつて司法警察官として行動する場合においては、少くとも刑事訴訟法の二百何條かの司法警察官の職務権限の範囲において行動をしなければならぬということは当然じやないですか。司法警察官でないというのはどういう意味ですか。
○司波政府委員 司法警察官でありますならば、司法警察官には当然その行為については刑事訴訟法の適用があるので、この法律にことさら準用するということを規定する必要はないわけであります。
○花村委員 そうするとこの規定の許可状は、要するに憲法の三十三條並びに三十五條の令状と同樣なものであるというならば、こうした令状は警察官もしくは警察吏員でなければ執行はできないじやないですか。それ以外のものでもできるというのでありますか。少くとも司法警察官または警察吏員、しからざれば刑事訴訟法の何條かによる——たとえば森林法あるいは鉄道輸輸に関する法律等によつて、やはり刑事訴訟法上の取締りに関する権限を與えられておらなければ、結局こういうことはできぬじやないですか。殊に臨檢であるとかあるいは捜査であるとかあるいは差押えというような刑事訴訟法に認められた強制処分はできぬじやないですか。
○司波政府委員 前回たしか花村委員の御質問に対してお答えしたと思いますが、本法による許可状は憲法に規定したところの令状ではあるが、刑事訴訟法の令状とは法律上の性質を異にする。お説の刑事訴訟法の令状を執行するのは原則として司法警察吏でありまして、それ以外に例外的に監獄官吏等が執行する場合がありますが、それ以外のたとえば本法に基くような特殊な許可状の執行は司法警察官吏がこれに当る必要はないのであります。特別にそこに規定されたものがやる。これの前例といたしましては、間接國税に関する法律による許可状につきましては税務官吏がその執行に当るということになつております。
○花村委員 憲法の令状と刑事訴訟法の令状と今違うと言われたのですがそうですか。
○司波政府委員 さようです。
○花村委員 それは違わないじやないですか。憲法第三十三條に「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐゐ犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」となつておる。
○司波政府委員 今のは御質問の趣旨を取違えました。
○花村委員 從つて「犯罪を明示する令状」という逮捕状は刑事訴訟法を認められたものじやありませんか、刑事訴訟法の逮捕状を意味しておるじやないでしようか。それと違つておつしやるのですか。
○司波政府委員 憲法の令状の意味の方が刑事訴訟法の規定してある令状より範囲が廣いのであります。でありますから憲法の令状はイコール刑事訴訟法の令状ということにならない。憲法から刑事訴訟法が流れ出ておるわけでありまして、大部分の場合は刑事訴訟法に規定されておるが、本法とかあるいは税務官吏のやる場合のように特別の場合があるのであります。
○花村委員 税務官吏の場合でもやはり刑事訴訟法が準用されて、そうしてやはり司法警察官的な性格をもたなければやれぬじやないですか。もたなくてやれるとおつしやるのですか。そういうことであるならばその條文を示していただくことと、そうして憲法の第三十三條による令状は刑事訴訟法より廣いとおつしやるのですが、その廣い面はどういう面であるか、それをはつきり伺つておきます。
○司波政府委員 間接國税犯則者処分法の第二條等にその規定があるのでありますが、ちよつと読み上げてみます。「第二條 收税官吏ハ犯則事件ヲ調査スル為必要アルトキハ其ノ所属官署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又は簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ臨檢、捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得」本法の経済査察官のこれに書いてあることと大体同趣旨の規定がありまして、以下それを執行する場合どうするかというような規定があるのであります。しかしそれは日本語があいまいであるからかもしれませんが、刑事訴訟法上のいわゆる犯罪捜査ではないのであります。この経済査察廳法の調査また刑事訴訟法上の犯副捜査ではない。しかもその場合に令状を出す、それは憲法の精神から出まして、從つて憲法の令状の方が刑事訴訟法の令状より廣いということが言い得るのであります。
○花村委員 今あげられた問題については、これは法律もしくは勅令によつて司法警察官たる資格を與えられておるという規定がそのあとかどこかにありはしませんが、いずれその規定の中にそういう規定があると思いますが、それをごらんになつて、それから憲法の令状は今言われたような事例の分も含むとおつしやるのかしれませんが、私は逮捕のことを言うておる。憲法第三十三條は犯罪を明示する令状によらなければ逮捕ができないということで、逮捕は要するに犯罪を明示した令状でなければいかぬということ、これが刑事訴訟法の令状とどこが違いますか。よく三十三條をごらんなさい。「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐゐ犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。」これは逮捕状をもつていかなければ逮捕ができぬというので、逮捕に関する保障憲法ではないかと思うのですが、憲法以外にこれより廣い権限があるというのはどういう点ですか、具体的に言つてもらいたい。
○司波政府委員 昨年、花村委員も御承知のことと存じますが、経済査察官の権限に関する法律案が当院の司法委員会に係属いたしましたときに本問題は出てきたのであります。純粹の意味どの犯罪捜査は刑事訴訟法の規定に從つてやる。しかしながら間接國税の場合、あるいは経済査察官の場合は憲法上疑義があるという議論で結局許可状をつける必要があるのではないかという議論が出たのであります。そして前の経済査察官の場合には、これを司法警察官吏の職務を行うものとして、ただちに刑訴を適用してもよいような、いわゆる犯罪捜査の権限をもつておりましたために、よけいに紛議を來したのであります。そういう意味で今度の経済査察廳法におきましては、経済査察官の特殊の性格に鑑みまして、これを司法警察官としないで、純粹な意味での犯罪捜査ではないが、犯罪捜査的な役割を果す。それには憲法の三十三條、三十五條の精神からやはりあの令状というものをこれに條件としなければ、憲法全体の精神から妥当にあらずという考え方から、この許可状を條件といたしたようなわけでありまして、文理解釈上からいたしますならば、憲法三十三條あるいは三十五條の令状というものは、花村委員の御解釈のように、これは判事訴訟法の令状と同じだと言うてもよいのでありますが、もつと廣い行政行為についても実質的に犯罪捜査と同樣に、人民の権利義務を侵すようなおそれのある行為をするということは、憲法全体の精神からやはりこれにひつかける必要があるという廣い意味の解釈といたしまして、この許可状をつけるというようにこの法案を構成しているわけでありましてそういう意味で憲法の令状は刑事訴訟法の令状よりは廣いと申し上げたのであります。 それから税務官吏を司法警察官とうる規定というものは、全部御通読になればわかると思いますが、ないのでございます。
○松原委員長 この際、栗栖長官が出席せられましたから、長官に対する質疑を御続行願えませんでしようか。
○栗栖國務大臣 一昨日の鍛冶委員からのお尋ねの点を、各省とも連絡をとりました上でお答えいたしておきたいと思うのであります。経済査察官が臨檢捜査、逮捕等の許可状の執行につきまして警察官の協力を求めた場合、協力に應じて許可状の執行に從つた警察官の行為につきまして、経済査察官が責任を負かどうかという御趣意のお尋ねでありましたが、この場合は二つにわけてお答え申し上げたいと思うのであります。 まず第一の点について申し上げます。経済査察官が警察官を同行して許可状の執行に從事中、経済査察官から協力を求めた趣旨に副う警察官の行為につきましては、経済査察官が全面的に責任を負うと解釈すべきであります。ただ協力を求めた趣意を明らかに逸脱した警察官の行為、たとえば許可状に記載していないものを警察官の独断で差押えたような場合には、経済査察官に責任のないことは明らかだと思うのであります。 第二に、一昨日も御説明申し上げた点についてでありますが、許可状や逮捕状を執行した後、警察官が差押物件を保存したり、身柄を留置したりしておる間に、その物または人に対して不法行為をいたしました場合は、経済査察官はその不法行為につきましては責任を負わぬというべきであります。 経済査察官が警察官に協力を求めた場合に、これに應じてなした警察官の行為につきましては、経済査察官が責任を負うとすれば、経済査察官の行為は結局從來の経済警察と同じにはならないかとのお尋ねがあつたと思うのでありますが、これにつきましては、経済査察廳は、査察廳法の第一條第三号でも明らかなように、その仕事の一環として、從來経済警察の担当していた違反行為の檢挙取調べに類する違反行為の調査をやるのでありまして、その意味は御説の通りかと思いますが、ただ御留意願いたいのは、経済査察官の行う違反行為の調査につきましては、その方法についていわゆる警察的な行き方を排除するために、特別の配慮を拂つておる点であります。すなわち経済査察官を司法警察官とせず、從つて刑事訴訟法の直接の適用を排除し、第四章に特別規定を設けて、実力行為を必要とする部面の仕事は全部警察官の協力にまつこととしたような次第であります。 また提案の理由でも触れておりますように、経済査察廳が統制励行確保の方法として、違反行為の調査のみに依存せず、そのほかに啓発、宣傳等の防犯措置、行政監査、隠退藏物資の調査摘発等をも重視し、これらを総合的に運用して効果を上げることを期しておる点も、経済査察廳が從來の経済警察と異なる特別の性格をもつたものじやないか、かように思う次第であります。
○鍛冶委員 大分明確になつたことを喜びまするが、そこで承りたいのは、経済査察官が司法警察官を使つてやつた場合は、経済警察官としての仕事をすると同樣ではないかという疑問について、いま一度改めて承りたいのであります。まず今の長官の御説明を承りますると、第一は、査察官は司法警察官でないのだ、そして目的は司法行為をなそうという目的でないのだ、こういう御説明に盡きたと思います。そこで承らなければならぬのは、査察官が同行を求めて、協力を求められた相手方の警察官は、これは司法警察官でありますか、いかがでありますか、これをまず明らかにしておきたいと思います。
○司波政府委員 その点はただいま花村委員からも同樣の御質疑が出たのでありますが、その警察官は司法警察官ではないのであります。
○鍛冶委員 それは司法警察官たる権限をもたぬ警察官をつれて行く、こういうのですね。
○司波政府委員 司法警察官としての行為については、刑事訴訟法の適用を受けて行動する司法警察官の権限は、全部それにあるわけであります。ここに書いた警察官というのは、警察法に規定してある警察官ということと一般でありまして、その点異なるのであります。
○鍛冶委員 わからないから、もう一遍わかるように御説明を願います。
○司波政府委員 御承知のように、司法警察官は純粹の犯罪捜査をいたします、そしてこの経済査察官の犯罪、違反行為の調査と申しますのは、ただいま大臣のお言葉にもありましたように、犯罪捜査に類するそれではない、特殊の行為なんだという御説明で盡きると思います。從つて刑事訴訟法の適用は受けない。しかしながらそれを準用するという趣旨であります。
○鍛冶委員 私の言うのは、同行を求められる警察官は、司法警察官たる権限のあるものかないものか。それだけ聽いているのであります。
○司波政府委員 警察官は現行の刑事訴訟法においては、全部司法警察官たる権限をもつているわけであります。從いまして個々の警察官は、もちろん半面司法警察官たる権限をもつておりますけれども、本法に言う司法警察官は、司法警察官たる資格で動くのでないというのであります。
○鍛冶委員 司法警察官たる権限をもつているものが、権限を離れていくのですか。それとも身につけていくのですか。
○司波政府委員 これは刑事訴訟法の特殊の論爭になるのですが、これは鍛冶さんも弁護士としてよく御承知のように、現行刑事訴訟法によりまして、一般警察官は、從來行政警察と司法警察と両面の機能をもつている。しかして司法警察官は刑事訴訟法によつて律せられ、その目標とするところは犯罪捜査である。ところが経済査察官の行う行為及びそれに協力する司法警察官は、そのらち外であるというのであります。
○花村委員 僕はそれをやつたところでやめたのでありますが、あなたは取締りの主体の方面から議論をするからわからぬと思うのです。今度は一つ取締られる方から見たらどうです。取締られる方は、要するに経済統制のやみをやつて、違反事件に問われる人、だから当然刑法の規定によつて犯罪として訴追せられなければならぬ人なんです。そこで本法が経済違反事件を犯罪として、現在刑法の規定で処罰をいたしておりますることは御承知の通りであります。從つて一般の警察官といたしましては、経済違反事件は、司法警察官の立場において取締り得ることは当然でしよう。どうです。
○司波政府委員 当然であります。
○花村委員 当然だということになると、僕が先ほど言つたように、二つの権限が競合するではありませんか、それと本法による許可状をもつて行つた場合の取締りもできるでしよう。たとえば例をあげましよう。ここに甲といも者がおつて、米を十俵横流しした。これは食糧管理法の規定によつて違反になることは明瞭である。それでこういう場合においては、刑法の規定に基いて処罰をされますることは疑いがない。その取締りは、要するに司法警察官本來の権限に基き、刑事訴訟法の規定によつてできるのですよ。これは明瞭でしよう。そうすると、そういう事犯に対しても、この法律で取締りができることになつている。これもあなたは否認せられないでしよう。そういう今申し上げましたような事実に基いて、経済統制違反もこれによつて檢挙できるでしよう。そうすると、同じ司法警察官が、今申したような同じ事件について、許可状をもつて行動する場合においては、そんな許可状がなくても、本來の司法警察官として、判事訴訟法の規定によつて当然取締りができる。そういう権限と、さらにこの法律によつて許可状をもつていれば、與えられた権限と両方の権限をもつのではありませんか。それはどうです。
○司波政府委員 実質的にはそういう米十俵くらいの事件は、経済査察廳で扱わない方針ですが、なお御説明申し上げますと、そういう事件を発見した場合には、司法警察官が独自の権限で犯罪を捜査することは言うまでもありません。しかし何らかの関係で経済査察官がそういう事件を扱う場合に、裁判官に犯人を逮捕する、あるいは差押えするというような許可状をもらつて、これを執行するために本法による警察官を同行する。その場合その警察官は、刑事訴訟法に基く独自の司法管察官として捜査に從事するのでなく、本法に從つて経済査察官がやる行為に協力する。從いましてやみ屋を逮捕する、留置所に連れて行く。身柄を留置するという外形だけの責任を負うわけでありまして、その取調べ等はその場合はなし得ないことになるのであります。 〔委員長退席、中曽根委員長代理着席〕
○花村委員 そこがどうもおかしいではないですか。そうすると、許可状をもつている場合においては、司法警察官としての固有の取締りに対する権限を失うというのですか。まさかそうではないでしよう。失うというわけではないでしよう。そうすると、ある一つの物体に対して、一人の警察官がやつた場合に、許可状をもらつているから当然本法による取締りをやるのだとも断定できません。取締りをする固有の権限があるのだから、あるいは刑事訴て本法でやつたのか、あるいは刑事訴訟法でやつたとかいうことがどうしてわかります。少ととも客観的に見てはわからぬではないですか。あるいは警察官が一々自分の今やつている行為は許可状をもつてやるのだ、あるいはまた、今やつている自分の行為は、刑事訴訟法によつてやるのだ、こうはつきり言つて行動した場合においては、それはわかるでしよう。わかるでしようが、しからざる限りにおいて行為をするとき、あるいはしたあとから、その行為がいかなる権限によつてやつたかということを判定する場合に、それは今言つたように、はつきりせぬ場合においては、いづれの権限においてやつたかわからぬではありませんか。それとも許可状をもつてしたのだから、経済査察廳の方では、それはこの法律によつてやつたのだということは、それは勝手な解釈である。そんな解釈ができようはずがないではありませんか。だから権限が競合する場合が出てくるのではないかということを私はあなたに念を押しておのです。経済査察廳の方で、いやその行為は許可状をもつているのだから経済査察廳の法律に基いてやつた行為だというて勝手にきめても、その司法警察官の行為を評價するあなたの方で決定権はありはしないのだから、從つてそういう場合にわからぬでしよう。
○司波政府委員 司法警察官が独自に行動する、これはもちろんただいまも御説明申し上げましたように、刑事訴訟法に基いて行動するわけであります。新憲法施行前のように、むやみにちよつと來いということだけではひつぱれないのであります。從つて当然司法警察官の立場において、刑事訴訟法に基いて裁判官の令状をもつて行動しなければ、司法警察官としては動けないのであります。 それから本法の許可状をもつて行動する場合には、経済査察官から裁判所に許可状を求めて、その許可状が降りれば警察官に協力してくれ、同行してくれというのでやるのでありまして、これは容観的に非常にはつきりしておると思うのであります。この司法警察官と申しますのは、刑事訴訟法に基いて行動する警察官を言うということは刑事訴訟法のA、B、Cでありまして、私は今まで御説明申し上げませんでしたが、長年弁護士をなつている花村委員のことですから、かえつて失礼と思つて御説明申し上げなかつたのであります。
○花村委員 それでは大体もう一点申し上げて、あとは鍛冶委員に讓りますが、今の点ですが、こういう場合はどうですか。甲という司法警察官がAという場所において特定の者に経済違反行為ありと信じ、これを逮捕しようということで、裁判所から逮捕状をもつて行つた。しかるに本法により裁判長からその事件に対する許可状をもらつている査察官に同行を求められた。そして一方には裁判官からもらつた逮捕状をもち、一方の方からは許可状をもつた査察官と一緒に同行を求められてその現場に行つて、同じ物体に対してその許可状の執行を求められて執行した場合にはどうですか。これでも競合しませんか。あなたは今逮捕状をもつて行かない場合のことを考えたがそれをもつて行つた場合はどうですか。その両方の比較がありましよう。
○司波政府委員 ただいまは非常に極端な場合を御説明されたわけですが、その場合においては運用においてよく経済査察廳と警察関係の機関がよく協議し合つて、そのいずれかということを明らかにして、どつちか一方でいくか、それ以外に対処する途はないと思います。
○花村委員 そんなことは、話し合う、話し合わないもありはしない。どちらでやつてもよいのじやないか、犯人を逮捕するのにお前がもつてきた令状でやる、やらぬということはない。犯人を逮捕するのにいかなる令状であろうと話し合う必要はないじやないですか。もう一應附加えておきたいのは、そういう競合した場合に、やつたその行為が本法によつての責任を負うのであるか、あるいは刑事訴訟法によつての責任を負うのであるか、そういうこともおそらく判断することはむずかしいでしよう。先ほど安本長官は査察官の指示した方向に向つてやつた司法警察官の行為については査察官が負う、こういう話であつたのですが、その趣旨はよくわかりますが、しかしよく考えてみれば、査察官が指示することはない。査察官が指示するとしてもこれは警察官はこの命令に服從しないでもよい、ただ許可状の執行のみに権限があるのですよ、それですから査察官が指示する余地がないじやないですか、どこにありますか。ただ司法警察官というのは渡された許可状によつてのみ執行権をもつておる、そうすれば警察官が指示するものがないのに、警察官が裁判長の出した許可状によつて行つた行為についての責任を負うというようなことになりますよ。人のやつた、自分の関係しておらない裁判長の命令によつてやつたその行為に対して、自分が横で見ておつて責任を負うというようなことは、これは無過失責任以上の責任だ、そこにおつただけで責任を負うというようなばか氣た責任というものはどこにありますか、世界のいかなる法律で人の行為に対して責任を負わなければならぬというばか氣たことがありますか。そう言い得るのでありますが、二段としてもしその権限が競合しておるということをあなたが認められるならば、その行為に対する司法警察官、査察官の責任は私が今言うた通りだから多くは言わぬでよろしい、警察官の責任はどちらが負うのであるか、それを突つこんでお聽きしたいと思う。
○司波政府委員 概合した場合に話合いでいく、これは現在の警察官の常識をもつてすれば当然速急に話合いがつきまして、いずれかでいくということは解決がつくと確信いたします。從いましていざ執行という部面になると、双方の許可状でいくということは考えられません。それからただいま大臣の御説明のお言葉の指示云々というのが出ましたが、ただいま大臣から御説明になりましたのは、許可状の執行に從事中経済査察官から協力を求められた趣旨に從うところの警察官の行為というのでありまして、もう少し具体的に申し上げますと、許可状を警察官が裁判所からもらう。それを執行するために査察官みずからも行くけれども、その同行を求めて、そうしていろいろな実力を要する部面は警察官に担当してもらう。しかしその方法は一應許可状に明示されておりますけれども、必ずしも細目については、その現場に臨みまして、いろいろ疑義があるということは、從來の今状の執行の場合あるいは押收、搜査した場合にあり得るのであります。その場合に協力を求めた経済査察官の立場から、その協力を求めた趣旨に副う行為に対しては一緒におるのでありますから、これは当然責任を負うのはあたりまえであります。
○花村委員 司法警察官というのは要するに許可状を執行するのだから、その許可状の執行の範囲においては、こまかいことを査察官から指図を一々受けないでも自分で勝手にやり得る権限をもつておるじやないか、それが許可状じやないですか。ただ行つて許可状に書いてあることだけやるのみでないのだ、許可状に掲げてあるその精神を体して、こまかいことはやはり司法警察官自体が勝手にやる得るのでないですか。何も許可状に書いてあることに束縛されて、こまかいことはできないから一々査察官の指図を受けなければできぬというものじやないのだ、許可状というものは、大体の輪郭を示したものであつて、その趣旨に反せざる限りにおいて、またその精神をくんでやる以上は、こまかいことでも何でも司法警察官が勝手にできるのでないですか。でありますから、その点についてはそれは査察官が指示するものは勝手であるけれども、指示しないでもよいじやないか。また査察官が指示しても、その指示に服從する必要もないでしよう。その許可状の執行に限つては、どうですか。その点は……。
○司波政府委員 私から何度も説明申し上げましたが、この経済査察官に協力を求めた場合の執行は、司法警察官ではないのであります。花村委員はたびたびこの場合に司法警察官としてとお言葉をお用いになりますが……。
○花村委員 ここに書いてあるじやないか。
○司波政府委員 許可状の執行に同行させるのは警察官と書いてありまして、司法警察官とは書いてありません。よくごらんを願いたいと思います。その点はひとつ誤解のないようにお願いしたい。 それからもう一点でありますが、必ずしも人間の行為は——たとえばある家に搜索に行きまして、門をはいるときからのすべての人間の行動に対して指示はする必要はない、結局許可状に示されたわく内の、その趣旨に從つたところの警察官の行為につきましては、経済査察官が全面的に責任を負うのだという趣旨でありまして、この点で御了承を願えませんか。
○鍛冶委員 大分多岐にわたつたが、私は花村君の言われる趣旨と同じでありますが、もつと簡單明瞭に書いてもらいたい。司法警察官たる警察官を連れていくということはさつき肯定されましたね。
○司波政府委員 いやそうではありません。
○鍛冶委員 権限を言つたのですよ。司法警察官たる権限をもつている警察官を連れて行くというのですよ。それからひとつきめていただきたい。
○司波政府委員 言葉の意味はどういう意味かちよつとつかみかねますが、司法警察官たる警察官という意味は、司法警察官というのは刑事訴訟法に基いて行動する警察官というだけであります。資格であります。ところがこの本法に言う警察官というのは、なるほどそういう資格は一面あります。その資格とは全然関係なくして、一般警察官として同行するというのにすぎないのです。
○鍛冶委員 そうすると同行するときは、司法警察官たる権限を捨てて行くと言われるのですか。
○司波政府委員 その必要はないわけです。
○鍛冶委員 必ずであるなしを言うのじやないのです。その前に司法警察官たる資格をもつているかいないか、それを言うのです。
○司波政府委員 もつております。
○鍛冶委員 そこであなた方はその言われるならば、同行していかれるときに、司法警察官たる権限を絶対に使つてはいかぬと言うて行かれるのですか。
○司波政府委員 さようであります。もちろん司法警察官としての独自の刑事訴訟法に基く行為というものは、経済査察官が警察官を同行する場合には絶対いかぬという趣旨であります。
○鍛冶委員 あなた方は、査察官が連れていくときには、そういう意思で連れていくとお思いになれかしらぬが、片方は権限をもつております。もし司法警察官たる職務を行うことを、同行するときにやつたら、査察官は責任を負わないのですか。
○司波政府委員 ただいまの御説明をもう一遍繰返しますが、たとえば警察官として同行して参ります。その場合に執行に当つた事案とは全然別個に、それと関連した犯罪を見つけたという場合に、その警察官がいわゆる司法警察たる資格において、独自に行動するということはあり得るのでありまして、そういう意味での司法警察官として行動しないというのではありません。ただ執行に從事している事件に関する限りにおいては、主体は経済査察官でありますから、絶対に司法警察官としての行動はあり得ない、從いまして司法警察官として行動した場合には、その部面においては経済査察官は責任を負わぬのであります。
○鍛冶委員 なるほど、連れていくときにおれの目的じやなかつたと言われるつもりでしよう。先ほど花村君の言われる通り、取締りを受ける者からみてさようなことはわかりません。ここまでは経済査察官の仕事だ、ここからは司法警察官としての仕事だ、これはどういうところでそういう区別をつけられるのですか。
○司波政府委員 ただいま申し上げました設例において、経済査察官が調査しようとする事案の許可状に執行に警察官が同行したという場合にほかの事件がそれに関連して……。
○鍛冶委員 同一事件でよろしい。
○司波政府委員 同一事件では全然司法警察官としての行為がないわけでありますから、もしそれを逸脱して独自にやろうとして、たとえばある経済事犯で搜索に行く、そうしたところがいろいろ帳簿を探しておるうちに、ある人に賄賂をやつておることを発見したというような場合に、それをこつそり警察官がいわゆる司法警察官として持つて帰つた。それは経済査察官の関與しない問題であります。
○鍛冶委員 私は経済取締りのために行つた者が別の犯罪をやつたことを言うのじやありません。第一條の第三号に書いてある違反行為の調査に関する事項として言うのであります。あなた方は一体違反行為に対する調査とはどの段階を言うのですか。
○司波政府委員 それは結局最後は檢察官に告発することになつておりますが、その告発までの段階でありまして、その間に必要があれば逮捕状によつて身柄を留めて調べる場合もございますし、捜索、差押えの許可状によりまして、物を捜索してそれを差押えるという必要のある場合もございます。全然強制調査をしないが、任意に取調べるということもあり得ると思います。最後の切れ目は、告発あるいは全然事件にならないためにそれを終結するというような処置、そういうことであります。
○鍛冶委員 告発という意味は、司法警察官が捜査のためにやるのとは違うのですか。
○司波政府委員 司法警察官がそういう段階に実質的に同じような行為をした場合に、それを司法警察官でありまするから刑事訴訟法に基いて檢察官に送致するわけであります。ところが本件は、類する行為であるけれども、それは刑事訴訟法に基く行為ではない、本法に基く独自の違反行為を調査するのだ。それは司法警察官ではないから、それを檢察官に告発するという言葉を使つたのであります。これは一般の官吏の告発と同樣の場合であります。
○鍛冶委員 なるほど観念的にはさように考えられますが、ここに経済違反がないかといつて行つた。そうして調べて経済違反あるものとして檢事に送致する、この段階全部が刑事訴訟法にいう捜査であります。これは間違いないと思います。そうしてみればあなた方が言われる範囲は捜査の一部分であることは間違いありませんか。これはいかがですか。
○司波政府委員 非常に観念的にわたりますが、お説のように観念的にはいわゆる捜査という言葉も使わないで、調査という言葉を使つたゆえんは、刑事訴訟法に基く犯罪捜査でないという趣旨であります。だから実質的に犯罪捜査に類する行為だということは、ただいま大臣の御答弁にもあつた通りであります。
○鍛冶委員 私の言うのは、言葉を使われようが使われまいが、事実を言つたのです。犯罪捜査の一部分でありますか、どこですか。犯罪捜査の一部分でないということなら別です。
○司波政府委員 ちよつと鍛冶委員にお尋ねしますが、その犯罪捜査は刑事訴訟法に基く犯罪捜査でございますか。
○鍛冶委員 そうです。
○司波政府委員 それならばそれに該当しないわけであります。それとは別個の法律で律せられる特殊の行為で、犯罪捜査に類する行為とお答えするほかありません。
○鍛冶委員 私は観念を聽いておるんじやない。事実を聽いておる。査察官が同行しなかつた場合に、司法警察官が独自で行けば、ここに経済違反でありそうだといつて取調べて、檢事に違反ありとして送致するまで、これは全体が刑事訴訟法の捜査ですね。その捜査の行為と、あなた方が査察官として同行せられた場合における行為と別のものじやない、一つの行為だろうと言うのです。
○司波政府委員 法律的にでなしに、社会的の事実としては継続する段階の一階梯だということはお説の通りであります。
○鍛冶委員 しからば司法警察官たる権限をもつておる者は、査察官に同行せられぬでもやり得るわけでしよう。これはいかがですか。
○司波政府委員 お説の通りであります。
○鍛冶委員 しからば査察官と同行せられて、司法警察官がこれをやつたからといつて、査察官は止められますか。元來のもつておる権限を行使するのですから、これを止められるのでしようか、いかがでありますか。
○司波政府委員 これは査察官として止める権限はございません。
○鍛冶委員 しからば査察官と同行して、司法警察官たる権限をもつてふるまつた場合には、査察官はどういうことをしますか。私はあなたに同行してきたが、私は司法警察官である、私は私でやる。こう言つてやつたらどうしますか。実際問題として……。
○司波政府委員 それは当然この法律に基きまして、経済査察官に協力しなければならない。警察官がそれに違背するような行動をとつたわけでありますから、それぞれの長官に連絡いたしまして、懲戒の手続をとるというようなことになろうかと思います。
○鍛冶委員 そうすると、これはあなた方がやつてくれということと、元來もつておる司法警察官としてやることと、ひとつも変りはないじやありませんか。私が私のもつておる権限でやるのがなぜ惡いのですかと言つたら何と答えますか。
○司波政府委員 一應同行を求める場合には正規の手続をとつて、上司にも話して同行を求めてきておるわけであります。從つてその現場に臨んで、警察官が司法警察官として独自の行動をとつたこと自体ではなくして、協力を求められたにかかわらずこれに應じなかつたということをこちらとしては追究する点です。
○鍛冶委員 仕事が違うのならそうも言えましよう。同じ仕事なんですよ。あなた方はなるほどこれは査察官の命令としてやつてくれと言う。同じことなんで、私は司法警察官としてやつておりますと言う。そういうときにどこで区別しますか。同一の仕事ですよ。
○司波政府委員 この点は花村委員にもお答えしました通り、司法警察官として独自の行為をやろうという場合に、何らかの令状を警察官としてもらわなければならぬ。この同行を求めた趣旨は、強制調査をやるわけであります。それと同じ行為はやれないわけです。
○鍛冶委員 この許可状をもつてやるのか、刑事訴訟法上の令状をもつてやるかということになれば、そういうこともありましようが、かりに許可状がない場合、同行して調べた。なるほど告発まではやりません。しかし檢事に送致します。こう言つてやり得るし、またやるのがあたりまえであります。
○司波政府委員 ただいまの許可状によらざる点で、この本法で同行を求めるということは考えられない。同行といいますのは、あくまでも許可状の執行をやるための同行なんでありますから、お説のように任意調査でいくならば、一緒に協力してやろうということもありましようけれども、そうでなくて同行を求めるということは考えられない。
○鍛冶委員 許可状のない場合には、あなた方は告発するとおつしやいますが、いや告発に應じない。これは明瞭だから檢事に送致しますと言つたときにはどうなりますか。それは止められるのですか。
○司波政府委員 それはどういう意味でございますか。許可状が二本の場合ですか。
○鍛冶委員 それは一つでもいい。
○司波政府委員 その場合は司法警察官としてその送致することを止める権限はありません。しかし今申し上げました通り、協力に應じなかつたわけでありますから、そういう点の警察官の責任はその上司に求めることができると思います。
○鍛冶委員 應じなかつたのじやない。査察官と一緒に仕事をした。そうしてあなたの今の言葉を聽けば、査察官が告発すると言つたら、いや、司法警察官だから私は檢事を送致しますと言つた場合、それはいかぬということが言えるかというのです。資格をもつているのですから。
○司波政府委員 たとえば物を差押えるとか、身柄の留置のある場合を考えましようか。それとも全然ない場合ですか。
○鍛冶委員 それは、ある場合でも……。
○司波政府委員 ある場合ならば、司法警察官としてはそういう身柄を取調べたりそれから物を差押えるという義務はありますが、差押えた物を、帳簿なら帳簿をひつくり返してみるというように協力の範囲を逸脱している。司法警察官として勝手にそういうことをして送致する。それは送致するのを止める権限はないわけでありますから、見送るよりほかはないが、そういう逸脱したということに対する行政上の措置は別途にとれるのじやないかと思います。
○鍛冶委員 そうすれば、あなた方が同行していつたことを利用して向うが送致したということになりますね。これは間違いありませんね。それではあなた方が同行していつたのは刑事訴訟法上の捜査の一部の競合しないとは言われないと思うが、これは先ほどから花村君とずいぶん議論しておられたが、それは競合する。すなわち、もつと言えば、査察官が連れていつた行為が即刑事訴訟法上の捜査になり得る、かように私は断定するのだが、それはどうですか。
○司波政府委員 そういうふうな、協力の趣旨に逸脱してなされた場合では、そういう場合もあり得ようかと思います。
○鍛冶委員 そうすると、結局行政官としてなされる行為が刑事訴訟法上の行為として化けてくることになりますが、それで一体あなた方は、われわれは責任がないと言えるのですか。俗にいう犯罪行為の調査が、即刑事訴訟法上の捜査になる。これだけ言つたら明白でしよう。それに対してはどうですか。
○司波政府委員 それは経済査察官が警察官に協力を求めた趣旨を逸脱するもので、経済査察官としては周知しない問題であるということになります。
○鍛冶委員 どこが逸脱しているのですか。
○司波政府委員 それは協力を求めた趣旨に副うならば、ただ許可状の執行をする。執行に從うというだけの行為であるにかかわらず、その執行に從うことに名をかりて、自分の司法警察官たる身分を活用して、そうしてそれと併行して刑事訴訟法に基いた犯罪捜査を行つたという点は、協力の趣旨を逸脱したものと言わなければならぬと思います。
○花村委員 それではもう一つお尋ねしておきます。この前大体質問しておいたのですが、要するに食糧管理法あるいは隠匿物資等緊急措置令あるいは臨時物資需給調整法第一條、こういう法令の取締りと本法により取締りが競合する場合があり、しかも同じ違反行為について本法は一年の懲役並びに一万円以下の罰金に相なつておるが、食糧管理法その他の法令によれば処罰規定は千円以下の罰金になつておる。でありまするから同一違反をしても、もし食糧管理法に問議せられる場合においては千円の罰金で済み、本法によつて檢挙せられた場合においては一年の懲役もしくは一万円以下の罰金を食わなければならぬ、こういう場合が出てくるのではないかということをこの前にお尋ねしたのであるが、そういうことはあり得ないというお話であつたのであります。しからばその点をひとつ詳しく申し上げましよう。本法の別表を見ますると、経済査察廳において所掌する経済法令という本法についておりまする別表の中には、食糧管理法並びに隠匿物資等緊急措置令あるいはまた臨時物資需給調整法という法律についての査察が行われるということが、本法において明瞭に相なつております。從つて本法でかようにはつきり書いておりまするがゆえに、食糧管理法の法規と競合する場合が出てくるというのはここにある。それでこの食糧管理法もやはり本法と同じことをやつておるのであります。これはおそらく農林省の役人が査察、檢査をやるのでありまするが、食糧管理法第十三條によりますと、「主要食糧ノ生産費、生産高、現在高及移動ノ調査、家計費ノ調査其ノ他主要食糧ノ管理ヲ行フ為必要ナル調査ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」とある。そうしてその二項には「政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ調査ヲ行フ為必要ナル報告ヲ徴シ又ハ当該官吏」これは本法で言えば査察官でありますが、「当該官吏若ハ吏員ヲシテ必要ナル場所ニ臨檢シ業務ノ状況若ハ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ檢査セシムルコトヲ得」という規定がある。こういうことを本法において経済査察廳の査察官は当然行われるのでしようね、別表に書いてあるのだから。その点どうですか。
○司波政府委員 御質問の趣旨がちよつとはつきりしかねるのでありまするが、別表に掲げている法律の違反といいまするのは、そういう形式的な問題も含みますけれども、実体は実質的な違反を指しておるのであります。それから食糧管理法に基いて農林省の官吏が主要食糧の生産費、生産高、現在高及び移動の調査、家計費の調査その他主要食糧の管理を行うため必要な調査というのは、いわゆる農林行政、食糧管理行政の必要上こういう行為をするというのでありまして、この経済査察官が違反行為の調査をするために第四章に基くような行為をすることは全然性質を異にいたしております。 それから前回この罰則の点で不権衡があるという御指摘がありましたので、よく研究いたしましたところおそらく花村委員のおもちになつておる食糧管理法の規定は古いものであろうと存じます。私どもの手もとにある食管法三十三條には、「本法ノ規定ニ依ル報告ヲ怠リ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ又ハ本法ノ規定ニ依ル当該官吏若ハ吏員ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ一万円以下ノ罰金二処ス」というふうにありまして、経済査察廳法とそういう点に関する限り権衡はとれております。
○花村委員 それは何年のものですか。
○司波政府委員 おそらく一番最近の改正は昭和二十二年十二月法律第二四号によるものだと思います。
○花村委員 そうすると臨時物資需給調整法も改正になりましたか。——これは罰則はどうでもいいといたしまして、とにかく今言つたようま農林行政の立場からやつておるというのでありまするが、これは統制の違反を防止するという意味も含まれているのですよ。農林行政の立場からばかりでありません。いわゆる主要食糧に対する経済統制の見地から、要するに主要物資を正式なルートに流すといういわゆる流通秩序の観点から見てこういう規定を設けておるのでありまするから、本法の規定と同じことではないですか。そうしてこれを援用しておるのではありませんか。それでありまするから、農林省の役人のやつておることと違うということはないではないですか。どこが違いますか。それは官吏は違いますよ。一方は経済査察廳の役人がやるということと、一方の食糧管理法の方は農林省の役人がやるという取締りを実施する主体の官職については相違はあるけれども、その仕事自体は同じものじやないですか。よくこの法文をごらんになればわかると思う。臨時物資需給調整法もやはり同一ですよ。これも援用しておる。しかもこれは罰則の規定が違います。私の二十一年二月だから去年の暮に改正されておりますからその点は別といたしましても……。
○司波政府委員 御質問の御趣旨はこの別表に掲げておる罰則、法律の第一條の三項による調査と、農林省の關係の食管法の十三條のものとが関連するという御趣旨であるのか。それとも食管法十三條と本法の三十五條にあるこれとの関係はどうかという御趣旨か、いずれでしようか。
○花村委員 三十五條には「経済統制の励行を確保するため必要があるときは、その所管事項について、物資の生産又は配給の事業を営む者に対し、帳簿の作成宣は報告書の提出を命じ、経済査察官をして当該帳簿を檢査させることができる。」これは食糧員理法よりはいくらか権限が狹くなつておるように思いますが、しかしこういうことがいわゆる食糧管理法による当該官吏が行うことができるのであります。もちろん本法はこれ以上の大きな権限をもつておるのでありますけれども、比較対照してみます場合において、同一な取締り條項もあるということだけは、これは間違いないと思うのですが、どうですか。
○司波政府委員 この食管法十三條で農林官吏がやるのは、御趣旨のようにいろいろ主要食糧の管理を行うめた必要でありますから、完全に供出され、それがルートに乘つてうまく流れるという流通秩序を確立するためにやる。それが農林行政であるわけであります。それを実施にあたつていろいろ調査の必要があるという立場から、この十三條をおいております。その他の法律も同樣、それぞれの主管行政の立場から、その主管行政を軌道に乘せて、法令に規定してあるように動いていくというためには、ただ法律を出しつぱなし、あるいは通牒を出しつぱなしというだけではいけない。実地にあたつてみる必要があるということから、これがおかれておるのであります。ただそれはその積極的な立場から行政を軌道に乘せるという必要からであります。ただそれに反しまして経済査察廳の違反行為の調査というものは、そういう農林省その他の行政官廳の官吏の努力にもかかわらず、引上げにルートからそれる物が出てくる、そのそれる物を調査して、それに対して適当な処置を加えていくというのが、違反行為の調査のわけであります。それともう一つは、十三條と三十五條の関係でございますが、この十三條は、食糧行政の立場から必要な調査である。三十五條は、第一條に掲げられてある所管事項、その必要からこういう物資の生産、配給の事業を営む者に対して帳簿の作成、報告書の提出を命ずる。あるいは経済査察官を実地に派遣して帳簿を檢査させる、その意味でありまして、大体食糧管理法関係のたとえば調査という、第一條第三号の立場からこういう報告を求める場合もありましようし、あるいは予防の見地からやる場合もありましようし、その他いろいろそういう場合もあるのでありまして、実体的に申しますならば、たとえば食糧管理法関係の調査という立場からやるならば、客観的に見まして重複する面も出てこようかと思いますけれども、趣旨は今言つたような趣旨で三十五條が規定されてあるのであります。
○花村委員 その重複する置も出てくるであろうというお話、それを私は聽いておるので、もちろんこれは双方の職務権限というものに対して廣狹の差別のありますことは、これは明瞭であると思う。そういうことを聽いておるのではありません。要するに農林省の当該官吏がやつておりまする、これも一種の査察です。査察という言葉は用いておりませんけれども、一種の査察行為をやつておる。その農林省の当該官吏、あるいは物資需給調整法の商工省の当該官吏、こういう官吏のやつております取締り事項に関しても、本法は適用されるのではありませんか、こう聽くのです。うしろに別表がついておりますから、適用される意味でうしろに別表がつけてあるのでしよう、どうですか。
○司波政府委員 どうも私が頭が惡いのか、花村委員が頭が惡いのか、よくわかりませんが、御趣旨がよくわかりません。
○花村委員 それではもう一度お尋ねいたします。本法の第一條の第二号に「経済法令(別表第一に掲げる法令及び政令で指定される法令並びに当該法令に基き発せられた命令をいう。)」とあるでしよう。今読んだ別表第一に掲げられている経済法令の「遵守の奬励その他経済法令に関する違反行為の予防のためにする一般國民の啓発に関する事項」とあつて、これは要するに本法の二十二條以下が受け継いで、こういう第一條の職務権限に関する事柄について、あるいは臨檢し、または帳簿書類その他の物件を檢査し、あるいはまた報告せしむるというような権限が盛られているのであるから、その別表第一というのは、私が今ここで読上げる食糧管理法、隠匿物資等緊急措置令、臨時物資需給調整法というようなものが載つているから、從つて食糧管理法の中で、農林省の当該官吏が査察をしておりまする主要食糧の生産、配給、消費等に関する調査、あるいはまた食糧の管理を行うため必要なる調査、あるいはそれがために当該官吏が臨檢するとか、あるいは帳簿書類等の檢査をやるとか、あるいは報告をせしむるというような、農林省の当該官吏がやつているような事柄でも、やはり大臣でやるのではないですか。こう聽いているのです。
○司波政府委員 御趣旨はよくわかりました。本法の三十五條で経済査察廳長官がやらせる帳簿の作成、報告書の提出というものは、第一條に掲げてありまするたとえば一般國民の啓発、違反行為の調査、その他これに掲げてある一連の目的のために、そういう必要からこういうものに対して帳簿の作成または報告書の提出を求める。從いまして別表にも食糧法の関係事項について一般國民の啓発をやる、あるいはその食管法に違反した行為を調査する、そういう必要から業者に帳簿を出せという場合はあり得るわけです。ところがこの食糧法の十三條に報告を徴したり何かしておりますのは、何度も説明いたしますように、これは査察あるいは取締りという目的ではないのであります。たとえば現在の配給の必要上から政府米がどこどこにあるか、その現在高を調べる必要がある。それから移動の調査でありますから、その輸送の状況について運輸省と連絡して実地を調査をする必要がある。それから米の配給量を決定する上に家計費において占める割合がどうであるか、そういう家計費の調査、その他食糧管理局で所管している食糧の管理をやる、その管理行政を円満に行うために、その角度からこういう調査を行いまして、査察廳が行う角度と、本法の行う角度というものは全然異なるのであります。これは前回にもよく御説明申し上げましたにもかかわらず、何度もやはりこれを査察である、取締りであるということをお繰返しになるのでありますが、これはひとつもう少し花村委員の方でも御研究を煩わしたいと思います。
○花村委員 臨時物資需給調査法の文句がきわめて本法に似ているのだが、その法律の原案がないのですが、昨年の経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案が出されたときに、ただいま申し上げた臨時物資需給調整法であるとか、隠匿物資等緊急措置令、あるいは食糧管理法という資料をわれわれに配付して、ときの安本長官と内閣総理大臣を呼んでお尋ねをしたときには、同一のものであると言つて認められたのであります。それは速記録をごらんになればわかります。同一のものであると言うて認められた。はたして同一であるとすれば、その罰則の規定が異なつているが、その二箇の法令の違反行為が競合した場合において、いずれの法令によつて処罰するか。臨時物資需給調整法は今申したように、多分私の考えでは千円以下の罰金で、何かの場合には五百円以下の罰金と規定してあつたと思います。ところがこの経済査察官の臨檢檢査等に関する法令でいきますと、その処罰が重くなつている。それでこれは犯罪が競合した場合においていずれの法令で処罰をするか。一方の法令で処罰してもらえば安くなり、一方の法令で処罰をしてもらえば高くなる、こういう不公正な法制上の扱いはいかぬじやないかと言うて私が質問して、その質問に答えるというまで、答えなしにお流れになつてしまつた。そのままでこれは自然に流れることになつたが、政府で流したかどうか知りませんが、その後一向委員会を開かなくなつた。そういうわけでこれは認めているのです。あなたの言われるような説明はしておらない。そこで私はやはりこの法律と同じようなものであるからして、同一行為に対して同じ取締りをやつていくにもかかわらず、処罰が違うのはいかぬじやないかというお尋ねを今しようと思つておつたのですが、食糧管理法はなるほど昨年の十二月に改正されて、これはこれと一致してあります。しかしながらそれはごらんになればわかりますが、その他の法令は多分違うと思います。そういうことで安本長官も総理大臣も調べてきた上でそういう答弁をしております。それだけ私は念を押して申しておきますから、よく速記録をごらんになつていただきたいと思います。 それでは安本長官にこの前にお尋ねした点が残つておりますから……。
○栗栖國務大臣 ちよつとお尋ねが中途半端で打切られたいと思いますので、ごくかいつまんでいま一度承りたいと思います。経済問題だつたと思いますが……。
○花村委員 要するにこういう法案を出されて、これで経済査察廳を設けられる。なるほどわが國家経済の見地からみれば、七億十万円というものは大した数字ではないと言われるかもしれませんが、こういう要するに経済警察廳にもひとしい——なるほど経済査察廳という名目にはなつておりますが、その実質は先ほどはだれか申されましたように、われわれをして言わしめるならば、これは経済警察廳にもひとしきものである。こういう廳をつくつて、しかも窮乏せる国家経済の中から七億十万円も使い、しかもこの法案でみれば、出先官憲を至るところに設けることになつている。こういう法案をつくることによつてはたして所期の目的を達することができるか。安本長官が大藏大臣をやられておりました前内閣の折におきましても、流通秩序の確立方策なるものを立てて、一箇月以内に必ず物價と家計の安定をせしめるということで、統制を徹底してやみを撲滅するということを発表された。そうしてなかなか容易周到に公團方式の改善と強化によつた配給を徹底するとか、あるいは輸送の統制及び取締りを強化することによつて輸送証明制度等を実施するとか、あるいはやみ物資の移動を抑圧するとか、さらにまたやみの出所を閉鎖する意味において現物給與を嚴禁する等、あるいはまた取締り態勢を整備して処罰の強化をはかるというようなことで、経済監視官を七千有余名も日本全國に配置し、そしてまたかようなことを実施するについては、國民運動の展開によつて全國民の積極的支持を背景として実施していくのだというようなことで、いろいろやられたのでありますけれども、結局その成果としてはみるべきものがなかつたと申し上げてよいと思う。あるいは成功したと言われるかもしれませんが、われわれのみるところによれば失敗であるとみる。また世間一般の人もみたいる。これによつて経済違反事件が少くなつたかといえば、否むしろ殖えている。統計を私調べたのがあつて、この前には持つてきたのですが、きようは安本長官が出てこられないだろうと思つて持つてまいりませんでしたが、むしろ違反事件の数が殖えている。減つておらない、これだけのことを、あなたが大藏大臣をやつておられるときに、ときの政府が全力をあげてこの流通秩序の確立に向つて猛進をしたものです。ところがかえつてやみ事件は減るどころではない、殖えている。あるいは言うかもしれません。しかし数においては殖えておつても、大きいやみを檢挙していると。しかしながら旧來の統計を調べてみましても、昨年は必ずしも大きなやみを檢挙したとはいえない。これだけのことをやつてそうして失敗に終つている。そういう経驗をもつておりながら、今日またこういう無益な経済査察廳をつくつてやるということが、どういうものであろうか。今日はわれわれのところにも、日本全國から出先官憲を整理してもらいたいという陳情がさかんに來ておるのでありますが、この中央政府の出店を整理せんければならぬということは、もう今日においてはほとんど議論の余地はございません。しかも政治整理もやらなければならぬ、行政整理をするにあらずんば、わが國のこの窮乏せる國家財政は救い得ないという場合に、なおかつこういう法案をつくつて、出先官憲を日本全國に設置し、そうして行政整理どころかますます拡張する、こういう無益なる査察廳をつくつて、経済警察にもひとしい、しかも経済警察より劣るところのものをつくるということは、決して当を得たものでないと思うのでありますけれども、安本長官はこの法案が通過することによつて、必ずやみ僕滅の——撲滅と言えば語弊があるかもしれませんが、やみを退治し得るところの自信をもつておられるか、そうしてもしもつておられるということめで、本案を実施してその成果があがらなかつた場合においては、どういう責任をおとりになられるか。いかにもこれは重大問題でありますがゆえに、そこまで私は聽いておきたい。これは人権に及ぼす影響も相当に大きいといわなければならぬ。こういう意味において、そこまで私は突き進んで安本長官の信念のあるところをお聽きしたいと思うのであります。
○栗栖國務大臣 花村委員より、この前にもその点についてのお話がございましたが、きようはなお総合的にお答えを申しておきたいと思うのであります。まず、私はやみをなくするということが、経済再建の上にどうしても必要だということを申し上げたいと思うのであります。このやみということがあることによりまして、正常なる物資の流れが流れず、さらに生産が阻害され、國民の生活安定をも阻止されるのでありまして、これをどうしてもなくしなければならぬということについては、何人も疑わないであろうと思うのであります。できないできないということで放つておくのではなしに、どうしてもやらなければならぬという点が、まず第一に必要だと思うのであります。しからばそれをなくする上に、いかなる方策をとるかという点であります。これは片山内閣以來の問題であります。和田前安本長官のいろいろな話も出ましたけれども、大局から見まして、あれだけの耐乏生活を説き、そうして流通秩序の確立ということを前内閣がいたしたのでありますが、この点についても全部十全の成果があがつたということはいえぬかもしれませんが、相当の果効を收めておるということははつきりいたしておると思うのであります。われわれは、今芦田内閣において、このやみをなくするためにどういう方策をとるかでありますが、これはやみの原因をなくするということが第一であります。これには國民生活の必需物資とか、あるいは繊維類とかその他の品物についての配給を増すというきとが第一であることは申すまでもないことであります。これは今日においては非常な困難でありますが、政府は全力を盡したいと思つておるのであります。ただいまマル公による國民の生活は、一錢の上ではマル公は安いために二五%くらいになつておるのでありますが、物量の上では六五%に相なつておるのであります。これをさらに増していきたい、これは國内増産とそれから海外の輸入物資ということによつてやりたいと思つておる次第でございます。それからこのやみの流れるところのもとである物資の所在をつきとめるとか、あるいはその流れるルートをつきとめるとか、それから國民に、やみ物資というものが横行することによつて、それが結局においてはインフレを促進し物價と賃金の惡循環がさらに続く結果になることを十分に啓発宣傳する、こういうことが必要であるわけであります。さらにそれに違反をする者については、それを摘発し、あるいは必要な場合惡質者に対して制裁を加えるという行為を必要であります。そういう場合におきまして、この経済査察の任務はやみの原因をつきとめるとか、あるいはやみのルートを調査するとか、あるいは経済違反の起ることを事前に防止するために國民の協力を求め、哲発宣傳をするというような点にもこの査察の任務があるのであります。さらにこの惡質な経済違反その他に対してこれに制裁を加えるにつきましても、経済行為でありますから、專門の知識と專門の取扱いというものを要する。その一面においては人権の蹂躙にならぬようにいたすということでも経済査察というものが必要でありまして、こういうような事前予防あるいは事後の始末、再びこれを繰返さないようにすること、こういうような点において経済査察はやみをなくするという上において非常な重要な一つの手段であると思うのであります。こういう意味において國家は財政の点においても非常な窮乏でありますけれども、しかしながら財政を建て直す上において、また國の経済を建て直す上におきましても、やみを抑えるということが必要でありまして、窮乏の中からこの七億円ばかりの予算を組んでこの仕事に当らせよう、こういうわけであります。しからばこれを、出先機関が多いが、財政整理の面からいつても、國の経済を建て直す上からいいましても、これを整理しようという折柄、創設するというのはどうかというお話もあります。これは私は必要なものまで整理するのでなしに、必要なものについてはやむを得ない範囲において設けることは、これはやむを得ないと思うのであります。必要なものは設け、必要ならざるもの、またさきまで存在價値のないものについては大幅に削るというようなことをして、地方出先機関その他の行政整理をやりたいと思うのであります。一時的な必要のためではありますけれども、出先機関として安定局その他を設けるということも、この任務の点からいつてやむを得ないのぢやないかと思う次第であります。しかしながらこの規定には査察廳などについても設け得ることになつておりますけれども、これはいろいろ予算その他の点と実際上の必要とにらみ合わせまして、なるべく國庫に負担のかからぬような方法においてこれを設けたい、そうして設ける点についても十分考慮を拂いたい、こういうように考えている次第であります、かようにして査察の目的を果したいと思うのであります。査察廳の健全なる運用と、そのほか各般のやみ取引その他をなくする施策と相まつて、私はこのやみ取引をなくし、そうしてこの経済再建への物資の流通を正常なるルートの上に立たせたい、こう思つておる次第でございます。そのために政府はこの必要を痛感しましてこれを設くるように相なつた次第であります。
○花村委員 安本の機構を見ますると監査局なるものができまして、本案のうちに盛られているような仕事を今日までやつておりましたことはきわめて明瞭であります。ただ本案と異なるところは、要するに安本廳の監査局でやつておりました事柄よりも、もつと司法的意味を含めた取締りを強化したということが一つと、そうしてこの機構を独立せしめて拡大強化したにすぎないように思うのでありまするが、これ強いて言えば、ただいまある安本廳の監査局に毛の生えたようなもので、何らの新鮮味をもつておらない。今安本長官が言われるように、やみ取締りに対しての成果を得られるということでありまするならば結構でありますけれども、本案によつては決してその成果はあがらぬとわれわれは見る。しかもこの法案の内容を見ますれば、ほとんど不備だらけ、むしろこいう姑息なことに金を使うて國家財政を傾けるよりも、手取早くただいまの警察署の経済警察を拡充強化したらいかがでありましようか。あるいはそういうことになれば全般的の連絡がとれぬと言われるかもしれませんが、それはあなたがちとれぬことはなかろうと思う。いくらでもとり得る方法があるし、また現在の警察法令の上から見て、あるいは連絡の点において多少不備な点はあるけれども、現在の警察の重大なる犯罪に対してそれぞれ全國にわたつて連絡をとりつつ、相当の成果をあげておる。でありまするから、こういう不徹底な出先官憲を多くつくるような事柄に國費の多くを費さず、むしろ経済警察官を殖やして、取締りを嚴にすることこそ望ましてと思うのであります。先ほど木村さんが言われたように、田舍へでも参りますれば、前に一人であつた警察署が何人にもなつて、しかもどろぼうだとか、巾着切りとか、あるいは強盜のような犯罪がほとんどなくて、タバコをすつたり、あるいは惡質の者はやみのお手傳いといつては言い過ぎかもしれませんが、今日は警察本然の姿における働きをしておらぬ。それは要するにその配置がよろしきを得ないので仕事がない。これは木村さんの言われるように私どもも同感でありまするが、警察署の機構をもう少し改めて、警察官を再教育して、こういう取締り方面に当らせぬことがむしろ願わしい、こう私は申し上げてよかろうと思います。こんな今まで安本でやつておつたと同じような事柄に、司法的に変るような色を塗つて、これでやみを退治しようというようなことは思いもよらぬことであろうと思うのでありまするが、そういう点に関する安本長官の御意見を承りたい。
○栗栖國務大臣 大分見解の相違もあると思いますが、しかし実情をいろいろ把握している点から申しまして、今の安本の中にある機構だけではこれは不十分であると考えまして、この行政整理その他が叫ばれる今日、あるいは殖やすというようなことは必要やむを得ないことだけに限られると思います。これは必要やむを得まい、やみの撲滅ということはたれも考えておりますので、必要やむを得ないものとしてこれを拡大するような趣意であります。拡大する以上は、單に経済警察のような持前と違いまして、專門の知識経驗等をも十分発揮さすと同時に、そういうことを知る、そのことによりまして人権蹂躪にもわたらないようにという範囲をもちましてかような機関を設けよう、こういう趣意であります。それでこれに代るべき方法その他ということもお考えかと思いますが、しかし私は今考えましたことにつきましては、これが從來の経済警察より一段と効果をあげ、また弊害も少い趣意だとこう考えておる次第でございます。
○河合委員 私は連合審査会の性格をよく弁えないのでありますが、それで申しますことがあるいは間違つているかもわかりません。実は司法委員の諸君がおてだになりまして、いろいろの有益なる御議論も拜聽いたすことができまして、啓発されたことの多かつたことを非常に感謝するのであります。しかし中にはすでにわれわれが論議を盡しまして、本日承りましたようなことは、二度も三度も繰返しまして私たちは審議いたした。はなはだ遺憾なことには近ごろ印刷の都合で速記録がただちに手許に取寄せてみることができません。また見ていただくことができないのははなはだ遺憾でありますけれども、これは一つ速記の方の生の記録でも見ていただいたらよくわかるのであります。また一面を考えますと、國会は國憲の最高機関でありますから、最も國情に適合した法律を制定すればいいのでありまして、安本の方からこういう案が出てきておりましても不合理な点、あるいは間違つておる点の是正をいたしまして、國会を通過させればいいと思うのであります。実は今花村委員からお述べになりましまことはまつたく同感でありまして、ただ單にやみを行う者を縛るだけでは、やみというものはとうてい撲滅することはできない。やみにはいろいろ種類がありまして、われわれ日常生活に最も深い関係をもつている小やみのごときは、これは統制のやり方が惡いからである。その一例を申しまするならば、近ごろは、本日の新聞に記事を見ましても、魚介蔬菜に至つてはよほど配給が殖えております。これは今までのやり方であれば殖えないのでありますけれども、生産に計画性をもたせました。すなわち肥料のリンク、あるいは油のリンクをいたしまして、十分とは申しませんが、生産に多少の計画制を立てたから、その結果配給が殖えまして、やみが減つたのであります。ここなのだ。そういう点に今の経済警察は触れません。しかしながらやみの起るのはどこに根拠があるか。配給制度にどれだけの間違いがあるか。また機関を扱つておる人たちがどういう間違つたことをやつているか。たとえばこのたびの食糧営團が公團に代りますときに、多額の金を分け合つたというようなこと、あるいは木炭の生産者價格と消費者價格とが非常に開きがある。それでありますから生産者はやみに流す。そういうようなことに査察を加えることはとうてい今までの経済警察ではやれない。私たちはむしろこの法律のそういう面を重要視いたしまして、そうして各党から出ております委員の間におきまして大体修正する点は一致点を見ておりまして、そういうふん縛るというような消極力なことばかりではなく、なぜやみというものが行われるか、それをこういうように査察しなければならない。今申しましたように、生産にもう少し計画性をもたせ、そして又必要なものはたとえ七でも八でも配給すればやみというものは自然なくなる。そういう査察をやる。この法文の中にも生産と配給と消費というような文字が使われてあります。私はむしろそういう点から考えますと、この配給ということは統制経済が布かれたときに限るように思われますから、むしろこれは分配という言葉にかえたらどうかというくらい私は考えておる。元來統制を撤廃することは私ども理想としており、むろんそれは必要としておる。しかし私たちが世上の論者とは違うところは、たとえ統制を撤廃いたしましても、そのあとは腕のある者はもうけ次第、商人はあらゆる奸策を弄してどれだけでももうけることが許されるような自由経済は望んでいない。ここにも限度がありますから、ここに一つのリーゾナブルな手数、口銭をとつてやる。それ以上とつておるやつは査察してそういうことはまかりならぬ。それは物價統制令を活用することによつてできる。そういう方面に法律の重点を私たちはおきたいと思つております。ただいままで司法委員の方から拜聽いたしました意見は、まことに私ども参考になりましてはなはだありがたく思つておる次第であります。こういう点はすでに私たちが十分論議をいたした点でありますから、ひとつ速記録でもごらんを願いたいのであります。これもいろいろの関係から、本日の新聞の記事を見ましてもそうでありますが、統制を強化するという方針になつたのであります。それならばそれと同時に、どこに今までの統制経済のやり方に欠点があるか、隘路があるかということを発見することはなおさら必要でありますから、一日も早くこの査察ということを励行する必要があると思う。はなはだ差出がましいことを申しましたが、一昨日來の司法委員の諸君の御意見はまことに私どもはありがたく拜聽いたしたのでありますが、決して皆さんの御意見と相背馳しておるところは少しもないのでありまして、ただ私どもは專門の法律家ではありませんから、その用語あるいは言い現し上におきましては拙劣でありますけれども、御意思のあるところは十分に私どもも今まで審議をいたしてきたのでありますから、その点はひとつ御信用をしていただきたいと思うのであります。
○鍛冶委員 今河合委員の言葉に関連して申しますが、今の河合委員のお言葉をかいつまんで言うならば、われわれ決算委員会において十分盡しておることだから、お前らもう言うことは要らぬというように聞えますが、これは河合委員だけでなく、私はみんなに聽いてもらわなければならぬ。その根本点である警察官がやる行為に対する責任をたれがもつかという伴は、きのうときようと根本的に変つてきておる。これはわれわれが來てから変つたのです。これでもわれわれの質問は要らぬのですが、なくてもよいのですか。
○中曽根委員長代理 速記をやめてください。 〔速記中止〕
○中曽根委員長代理 速記を始めて……。
○木村(榮)委員 大体この権限の問題では私らも質問を出しましたが、何といつてもそういつた法律的の点は素人でありますから、なかなか刑事訴訟法に関連し、その他司法警察官の権限といつたようなことは、われわれにわからない。そこでこの間司法委員の方々がそれぞれの專門の立場からいろいろ質問した。それに対して政府側の答弁を聽きまして大体よくわかつた。私はこの前から出席いたしまして全部聽いておりますが、大体私が質問したと同じようなことも中にある。それに対する私に対する答弁と今度は專門家の法律をおやりになつた方に対する答弁とは相当違つておる。これはさつき河合委員が言われましたように、速記録を見ればわかる。これははつきり申してよい。しかしてきのうからの答弁ときようはすでに違つた点を私は認めておる。これは速記録を見ればわかる。こういつたようなことは司法委員会云々と河合さんも言われましたが、なるほどわれわれ調査いたしました。私は專門家ではないが、第四章の権限の規定は非常に問題だ。これは篤とみんなが審議をいたして何とか訂正をしなかつたならば、これではどうもわれわれとしてはわからないと言つたところが、向うさんの方でもそういう点はよくわかるように、とにかく改正して差支えないという話だつた。それに対してこの間小委員会か何かやつたときでも、ほかの方は修正意見がございますが、それを見ますと、ただ單に第何條は何項になるくらいの話で、何ら本質的のことに少しも触れていない。ただちよつと字句が変つておつて、一番かんじんの点前であり第四章の権限について、私が特にお願いしたようなことは、そのことを不問に付して何か変つていない。これを変えないと本質的のものは何ら変つてこないと私は思つておる。だからこの際こういう支離滅裂な答弁があつたり、とにかく法文そのものがいろいろに解釈ができたり、文会そのものにいろいろの矛盾があつたり、これは率直に政府庫も認められておる。この前鈴木総裁が、現行犯人はその犯人でなくても、その場所にすれば運が惡くとつつかまつたりすることがある。経済違反というものはそういうものだというようなことを極言されたことを私は記憶しておる。その他法務総裁が言われたことと政府委員の司波さんの御答弁とは相当食い違つておる。これは間違いない。こういつたものをこのまますべて國会の名誉にかけて通すということは、これは非常に危險なことであつて、この際一應政府原案というものを撤回いたしまして、そして経済統制をうまくやつて配給を円滑にし、あるいは違反がないということはだれだつてこれは異論がないわけでありますから、政府が企図しておりますような、ほんとうの建設的の趣旨に則るような法案を、この際司法委員会の方々と決算委員の方と両方で共同して、全國民が納得して、なるほどりつぱな法律で、これは守つていかなければならぬ。これだつたらやみが抑えられる、あるいは物資の円滑な動きが起つてくるというものをこの際こしらえることを、私は動議として提出いたします。そしてこの原案は一應撤回する必要があると思います。
○中曽根委員長代理 議事進行に問題がはいりしましたので、速記を止めて懇談に移りたい。 〔速記中止〕
○中曽根委員長代理 それでは速記を願います。 本日はこの程度として散会いたします。 午後五時十四分散会