決算委員会司法委員会連合審査会 第2号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1948/06/15
会議録
○松原委員長 開会いたします。 昨日に引続いて決算、司法両委員の連合審査会を続けます。質疑は通告順によつてこれを許します。花村四郎君。
○花村委員 安本長官に質問をいたしまして、その答弁が残つておりまするが、法務総裁に重ねて一点だけを質問をしてみたいと思うのであります。要するに、この法案によつてやみを撲滅しようということを企図せられたのであろうと思いまするが、芦田内閣の前身である片山内閣、その片山内閣の延長が今の芦田内閣でありまして、その性格においては異名同体であると申しても決して過言ではなかろうと思うのでありますが、片山内閣の折に統制を徹底してやみを撲滅しようということを計画いたされまして、流通秩序確立方策なるものを実施をいたしました。これによつて一箇月以内に物價並びに家計の安定を期するということを声明せられまして、そうして公團方式の改善強化によつて配給統制を徹底するとか、あるいは輸送の統制及び取締りを強化いたしまして、輸送証明制度あるいは貨物輸証制というものを設けたり、あるいはまたやみの出所を閉鎖するという意味において、現物の給與を厳禁いたしたり、あるいはまた取締り態勢の整備と処罰の強化をはかるとかさらにまた國民運動を展開いたしまして、これによりて全國民の積極的支援を受けようというような諸施策を発表いたしまして、しかも内務省には七千有余人の監視官を設け、全國にこれを配置をしてやみ撲滅にかかつたのでありますが、その成果を見ますればほとんどこれは成功しておらない。いなむしろりつぱに失敗をいたしておるものであると申しても決して間違いはなかろうと思うのでありますが、かようにやみの撲滅に対してはあらゆる力を注いでやつたのであるけれども、その成果を見なかつた。見なかつたというのはこれは偶然ではありません。やみの撲滅を取締りによつて期待したということ自体が間違つておる。これはやはりどこまでも統制の施策よろしきを得るという方向に向つて進まなければ、とうていやみの撲滅というものはできぬと申さなければなりません。さらに言葉をかえて言えば、統制の施策よろしきを得ないならば統制はやめてしまうということでなければ、とうていこのやみを撲滅するということはできぬと申してよかろうと思うのでありますが、あたかも経済警察廳のごとき本案をもつてはたして予期の成果を改め得ると信じられておりますかどうですか、それをまず第一にお伺いいたしておきます。
○鈴木國務大臣 仰せの通りやみの撲滅ということは言葉は簡單でありますが、実際は実にむずかしいことであります。花村委員の仰せられるほど失敗であるとも思いませんが、大成功であるとは申しかねると思うのであります。しかしこの程度の取締りでもこれをしなければ、なお一層この弊害が大きいと思うのでありまして、理想を言えば統制を撤廃して自由にやらせるということが一番望ましいことでありますが、これはわが國においてはとうてい行われないことは、物資の絶対量の不足ということを考慮の中に入れますならば、何人も異論のないことであると思うのであります。そこで半分に整備された何万あるいは何十万という人員を擁した経済警察でありますならば十分にやみの撲滅の目的を達し得るかもしれないが、こういうある意味においては半呑半吐である、わずかばかりのものではだめじやないかということを仰せられることもごもつともであります。しかし財政の現況からそう大規模のものをつくることができませんし、また一般には警察が十二万五千あるのでありますから、これを有効に指揮してそうして経済統制を実施させるための指揮に任ずるという官吏だけをおくというのが、この経済査察の設置の目的でありまして、御承知のように警察が地方分権化いたしましたので、これをその弊を補いまするために、各自治体で別々の経済統制をやり取締りをやるということでありまするならば、とうてい経済目的を達することはできないことでありまするから、その意味において警察の自治化に伴い、分権化に伴いまして、どうしても経済査察廳というような全國を統一的見地から取締るところの行政官廳の必要を感ずる次第でありまして、そういう意味で御提案申上げておる次第であります。
○花村委員 法務総裁は失敗でないようなことを言われたのでありますが、それはいかなる根拠に基いて言われるのであるか、われわれの調べた統計に基いてみれば、少くともこの統制違反事件というものは減少しておらない、むしろ殖えておる。あるいは法務総裁は、数的においては殖えておらぬかもしれぬが、大きい違反事件を檢挙しておるとようなことを言われるかもしれませんが、その大きい違反事件についても、そう大して能率があがつておるわけではない。でありますから決してこの統制について成功どころか、大きな失敗をしておる。否むしろ日本全國の國民で統制違反をやらぬという者が一体どこにありましようか。過般新聞にも出ましたように、統制を守つてやみ買いをしなかつた判事は死んでいつたという記事も出ておる。それからしてあの有名な壽産院の幼兒殺しのごときも、ある者に言わしむると、あれは殺したんじやない。配給だけくれておいたので栄養失調になつて死んだのである、こういう説明をしておつた者があつたのでありますが、なるほどその通りなんだ。今日乳幼兒に配給するミルクがいくらであるかといえば、一ポンドである。医者のところへ行つて一生懸命で頼んでせいぜい二ポンドなんです。ところが乳幼兒はどうしても一箇月四ポンドないし五ポンドなければ生きていかれないということは、医学上から見て爭われぬところの事実であります。こういう点を考えてみますならば、なるほど配給を受けて、一ポンドや二ポンドで乳幼兒が生きていけようばずがない。過般農林大臣でありましたか、路傍のラジオの放送で、農林大臣もやみをやつておることを明らかに認めたのでありますが、ほとんどすべての人がやみをやつておる。こういうやみを取締るということがどうしてできましようか、やみをやらぬようにし向けなければならない。生産においてあるいは配給において、あるいは輸送において、あるいは消費の面において、やみをやらなくても、生活でき得るような施策を講じてこそ、初めてやみがなくなつてくるのです。食えないように政府がし向けておいて、それでこれを処罰するということのみに偏して、そして取締りを拡大強化していつたからといつて、とうていやみの撲滅はできようはずがない。もしこういう法案を出すことによつてやみの退治ができるというならば、それは木によつて魚を求めるの愚にひとしいものであると私は論断してはばからないのであります。そこでこの七千有余の経済監視官というものを全國に配置せしめて、経済違反の取締りをやらしておつたのでありますが、それが最近何か引揚げたようでありますが、この七千有余の経済監視官というものはどうなつたのでしようか、これを一つお尋ねしておきます。
○鈴木國務大臣 その最後の点にお答えをいたしますが、経済監視官の制度は、御承知のように新警察制度の実施に伴いまして、廃止いたすことに相なつております。廃止されたのであります。
○花村委員 本法案は前議会に安本長官から出された経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案というものと大体内容が同じものであるというような法務総裁の答弁があつたのでありますが、これは決して同じものじやないことはきわめて明瞭であります。この経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案というものによつて経済の取締りを強化しようというので、この法案を出したのでありますけれども、司法委員会においてはほとんど審議を了し、そうしてその採決に入らんばかりまでに進んでおつたのでありますが、遂にこれがお流れになつたのであります。それはこの法案の通過することを安本廳において希望しておらぬというような話も聞いたのでありますが、これを提出いたす場合においては、この法案によつて十分経済違犯に関する取締りができるのであるから、こういう法律を設けてくれということで出したのでありますけれども、もちろん撤回はいたしませんでしたが、ほとんど撤回と同様に審議未了に終らしめた。そして今回これに代るべき経済査察廳法案というものを出してきたのでありますが、この経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案というものをどうして審議未了に終らしたのであるか。この理由を承ることが一つ。それからこの法案とただいま申しました経済査察官の臨檢檢査等に関する法律案と法務総裁はほぼ同様であるというようなお話であつたのでありますが、その内容を見ればそのしからざることがきわめて明瞭である。本法案によりますれば臨檢檢査のみではない。さらに進んで差押えもできれば搜査もできる。搜査並びに差押えというものは、これは刑事訴訟法の見地から見ても強制処分であつて、しかもこの強制処分たるやまことに重大な処分である。殊にこの差押え処分のごときは、原則として判事でなければできぬという建前になつておる。ただ檢事もしくは警察官がやる場合においては、犯罰搜査の必要上証拠を維持するという意味において、例外的に起訴前において認められておる。かような重大なる訴訟上の手続までもなさしむるというのが本法案であるのであります。從いましてわれわれ國民の人権に及ぼすところの影響はきわめて大きいと申さなければなりません。これはむしら刑事訴訟法と相対照いたしてみます場合において、その價値においては決して劣るものではない。また劣つてはならない。そう見てまいります場合において、前の経済査察官の臨檢檢査に関するというような法律と同一視してこの法案を提示し、しかも説明をせられるに至りましては、まことに私は驚き入つた次第であると申し上げてよかろうと思いますが、この点に対する法務総裁の御所見を伺いたい。
○鈴木國務大臣 その点については前に政府委員からお答えを申し上げておると存ずるのでありますが、私の申し上げました意味も、職務権限の部分においてさきの法律と相似たものがあるということを申し上げた趣旨でありまして、全然同じものであるという意味で申し上げたのではないのでありますから、その点は御了承を得たいのであります。臨檢檢査、差押え、あるいは現行犯人等につきましては逮捕までできるというと、いかにも事実のようでありますが、これは、現行犯は何人も実際に犯罪を行いつつある場合には逮捕し得ることが原則でありまして、その他それぞれ裁判所の許可を得て逮捕ができるのでありますから、決して行政権だけの専断によつてなし得るというのではないのでありまして、またこれらの権限がなければ経済取締りということはその実を結ぶことができないと信ずるのであります。ゆえに御見解の相違はさることでございますが、この程度の行政措置というものはやむを得ないものと考える次第であります。
○花村委員 さらに進んで、本案に対する予算の関係を承りたいと思うのでありますが、本案実施による予算は大体どの程度にお見込みになつておりますか。そうしてその予算は今回の議会に上程された予算のうちに含んでおりましようか、どうでありますか、それをお尋ねいたします。
○田中(己)政府委員 大体この査察廳の予算といたしましては、このたびの本予算の中には七億円程度の予算を組みこんであります。
○花村委員 そうして前の暫定予算にはどうですか。
○田中(己)政府委員 六月分の暫定予算として一應七千万円ばかり組みこんで要求してあります。
○花村委員 六月だけですか。
○田中(己)政府委員 そうです。
○花村委員 本法案が通過するかどうかわからぬのに、すでに予算を組まれておるということは、まことにこれは奇怪千万であります。これは財政経理の上から、今なお海のものか山のものかわからぬような法案についての予算を組むということは違法であると考えるのですが、いかがでございましようか。
○栗栖國務大臣 予算ですから私からお答えいたしましよう。これは実は速やかに御承認を得て発足をいたしたいと思うておるのでありまして、六月にでも発足するということに相なれば、予算も要るわけでありますし、殊に六月は暫定予算でありまして、本予算その他においてさらに整理清算をするものでございますから、そういう趣意も兼ねまして、暫定予算としてこれだけのものを計上したような次第であります。もし今後相当の金額を予備費で使うということになりますと、なかなかこれは使えなくなる関係もあります。また経済査察の事務は非常に速やかに出発することを必要としますので、予算というものをかねがね暫定予算という性質の中に入れて組んだような次第でございます。清算は本予算その他においてもし不用になれば組みもどしをする、こういうことになろうと思うのであります。これは財政法の規定に從つていたしたいと思つております。
○花村委員 そうすると、これは、経済査察廳というものが現在存在しておらぬのに虚偽の予算を組むということが國家財政計画の上から許されるとおつしやるのですか。違法じやないとおつしやるのですか。
○栗栖國務大臣 それは虚偽ではないのでございます。一方で法案が提出されまして、そうして法案が御承認を得て、それから予算を組むということになると、その間のずれ等がありまして、この経済査察廳の任務はすぐにも発足しなければならぬものでありますから、これは財政法及び財政に関する一般の規定の扱いとしてかようなことをいたしておる次第でございます。たとえば軍公処理の問題などについてもそういうようなことがあるわけであります。
○花村委員 安本長官の言われることはよくわかつておるのでありますが、しかし、虚偽でないと言われるのだが、これがはたして通過するかしないかはわからにじやありませんか。もし通過ぜざる場合にはどうなりますか。あなたは通過するという前提のもとにそう言われるのだが、通過せざる場合も予想できる。そういうことに相なりますと、経済査察廳に関する物件費あるいは人件費、一級官何名でいくら、二級官何名でいくらということでその財政計画はつくつてあるのでありましようけれども、それが虚偽でなくて眞実であるということがどうして言えましようか。本案が通過しなければ経済査察廳というものはないじやありませんか。想像であなたはおやりになるというのですか。
○栗栖國務大臣 予算をきめますには、一方で法案が出ましたならば、速やかに実行するようなものにつきましては、すべて予算の上にそれを現わしておくことがしばしばあるのであります。たとえば税法の改正にしましても、御審議を願つておりますけれども、それを織込んで今回の予算も組んであるというようなものであります。これは虚偽ではないと思うのです。法案が通過しない場合、あるいは修正された場合、定員等で変更があつた場合には、不用になるわけでありまして、それは財政法一般の取扱例にならつて組みもどしをしまして、そうして法案が実際通過し、その定むる規定の出発の日から予算を正しく盛るように整理をするのが常であります。
○花村委員 ただいまの安本長官の御説明に対してはわれわれは承服しかねるであります。官廳ができないのに、できるのであろうというような予想をして予算を盛る。これはただ一例にすぎぬのでありますが、じからば、いくつもの官廳をつくるという計画をして、そうして國家予算の上に計上する。未だできるかできぬかわからぬようなものを、法案を出しておいて、そうして予算に盛るというようなことがもしできるということに相なりまするならば、これは大きな弊害を釀すものであると申し上げてよかろうと思うのであります。そんなことは私は財政法の上からできぬものであると申してよかろうと思うのでありますが、この点は安本長官が違法にあらずと申されるので、要するに見解の相違でありまするから、この程度にいたしておきます。 そこで、七億十万円の経済査察廳についての予算を組んであるということでありまするが、この法案によつて見ますれば、中央経済査察廳それから管区経済査察廳、あるいは地方経済査察廳、さらに経済査察署を置くことができるということで、この出先官憲が日本全國にできるということに相なるのでありまするけれども、これは今の國家機構の情勢から見まして、決して感心したものじやない。申すまでもなく今日行政整理の問題が大きく取上げられておりまするけれども、現政府においても一割五分の行政整理をやるということを声明しておられる。一割五分ではまことに手ぬるいものであつて、まあお役目的にやるように思うのでありまするけれども、とにもかくにも行政整理をやらなければいかぬということで、一割五分かはやるということを声明しておる。けれどもわが國の國家機構のうちで、出先機関というものがいかに多いかということを考えてみまする場合に、驚かざるを得ないのであります。昨年の調査でありまするが、総数で三万六十三ある。しかしこれは現業機関等もありまするから、こういう必要欠くべからざる現業機関は除外いたしましても、一万六千三百六十四ある。この中で地方自治法の改正によつて、この設置が國会の承認を要すると認めらるる部類に属するものだけでも、一万四千三百二十九ある。こういう中央官廳の出先機関の濫立というものが、地方自治行政の遂行にいかに大きな支障を起こしておるかということは、私が今日申し上げるまでもない。公選知事もその弊害そ述べており、また政府でつくつておりまする行政調査部においてこれをを認め、さらにまた今日私どもの書箱へ参りますれば、山なす書状が來ておるのでありまするが、その書状はいずれもこの出先機関の整理を希望しておる。おそらく今日は輿論の向うところ、すべてこの出先機関の整理に向つておるとまで申し上げても決して間違いはなかろうと思う。わが國の窮乏せる財政を救う意味において、行政整理をせんければならぬ。殊にその行政整理は、無益でありしかも自治行政の運行に支障を來さしむるところの出先官憲の整理に向つて、鋭きメスを揮うということでなければならぬ。それが第一の條件であると申してもよろしいのでありまするのにもかかわりませず、こういう場合に、さらにまたこういう出先官憲をつくる。しかも本案は名前は経済査察廳ということになつておりまするが、これは経済警察廳の別名であると私は申し上げてよかろうと思う。日本全國に警察が細胞的に設けられてあつて、そうしてこの犯罪の檢挙等に至りましては、この警察を通してやつておりますることは、申し上ぐるまでもございません。この整つておりまするところの警察がありまするのにもかかわりませず、警察と同じような仕事をやるところの、こういう出先機関をまたしても設ける。それに七億十万円の金を使うというようなことが、はたしてわが國家財政の見地から見て妥当であるかどうか。また行政整理の面から見て正当であるかどうか。それを一つ伺つておきたいのであります。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。政府か地方の出先機関の整理を、行政整理の一環として、また地方自治を達成するために、行政調査部その他においていたしておるということは事実であり、これは忠実に実行したいと思うのであります。しかし必要なるものについては、最小限度の形において地方の出先機関を設けざるを得ないことになるのでありまして、実は査察廳につきましても、出先機関は何とかという考えはもちましたけれども、これはむしろ各省間の連絡をとる点に非常な重点もあるのでありまして、各省間の連絡をとるのに、地方廳に委讓するということもなかなかむずかしい点がありますし、またこれは一般の機構と違いまして、臨時的な、一時的な機関でありますから、そういう意味で、また安本、物價廳とともに、なくなればなくなるものでありますから、そういう点などを見まして、最小限度においてこの出先機関を設くるということにいたした次第であります。但し地方出先機関の最下部のものにつきましては、これはただちにどの範囲い置くかというような点について、政府もなお考慮をいたしたのでありまして、これはこういう場合の財政上の措置といたしまして、経費を省くという面、あるいはそれがなくても目的は達せられるという面においてはこれは省き得る。こういうように考えたのであります。
○花村委員 安本長官はそういう御答弁を眞檢でやられておりまするかどうか、私は大いに疑わざるを得ないのでありまするが、ただ單に経済違反に対する連絡をとるというのでありまするならば、そのような法案をつくればよいのでありまするが、これは連絡に対することが主じやないのです。要するにその主目的としまするところは、経済違反の取締りにありますことは、これは疑うべからざる事実であります。かような官廳が必要であるというようなことは、それは本気で言われるのですか。私をして言わしむるならば、またしても官僚の巣食うところの官廳をつくるのであると、こう断言せざるを得ない。経済の取締りに関することでありまするならば、こういう官廳を設けずとも、警察法をごらんになつたらどうでありますか。警察法に明らかに書いてある。これは警察の事務を扱うのでありますよ。しかも重大な刑事訴訟法に認められておりますところの、強制処分であります搜査、差押え、臨檢をやる、こういうまことに重大なる役割をやる。ところがこの警察官吏は警察法に基いて働いておるのでありまするから、やはり一般の行政官とは趣を異にしておりますことは私が申し上げるまでもございません。警察法の前文には「國民のために人間の自由の理想を保障する日本國憲法の精神に從い、又、地方自治の眞義を推進する観点から、國会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会の責任の自覚を通じて人間の尊嚴を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するために、國民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、」とありまして、これが警察法の制定せられたゆえんであります。しかもその第一條には「警察は、」云々、「被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。」「警察の活動は、嚴格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本國憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。」という規定までも設けられておる。この精神に則つて警察官は働かなければならない。警察の仕事はすべからくこの精神に則つでやらなければならぬことは警察法で明らかに規定してある。のみならずその第二條の第三項には、「この法律にいう犯罪とは経済法令に関する違反を含むものであり、」云云と規定されておる。警察法の中でちやんと犯罪として含んでおるのじやありませんか。あなたがたの政府においてつくられたこの警察法において、経済違反というものは警察法の規則に則つて取締らるべきものであるという規定をりつぱに設けておる。しかもこういう取締りは格段なる注意と、憲法の精神を蹂躪しないところの崇高なる官吏の考え方をもつて運行していかなければならぬというりつぱな規定が設けられておる。ほかの行政官とは特に違つた規定が設けられておる。これは当然であります。基本的人権をなすところの自由や権利を踏みにじるようなことがあつてはならないからだ。でありまするから、もし経済の取締りをなさんとするならば、何がゆえに、この警察法に基き今日現に日本全國の警察に経済警察というものが設置せられておるが、その経済警察によつてどうして行われないのであるか。今日の警察における経済警察たのむに足らぬとおつしやるのであるか。信頼ができぬとおつしやるのであるか。それを私はお尋ねしたい。
○栗栖國務大臣 今の点につきましては査察廳を設ける根本の精神にも触れると思いまするから、すでに申し上げましたけれども、花村委員に対して申し上げて御了承を得たいと思うのであります。第一の点は違反の取締りというだけがこの官廳のすべき対象になつておらぬのであります。これはこの目的のところにも掲げてありますように、犯罪のもとになるものを除いて犯罪を事前に予防し、指導していく、そうして犯罪に至らぬように防ぐ、あるいは犯罪の原因であるものをまず除去する、こういう点に相当の重点があるのでありまして、そういう点につきましては経済警察だけでは不十分であると思うのであります。なお普通の違反事件と違いまして、経済違反事件というものはなかなか微妙であります。経済行為というものが非常な複雑なる現象から構成されておりますので、そういうものについては専門の知識を要するところも多々あると思うのであります。そういう場合には経済警察に協力をしてこの犯罪事件の調査などをする、こういう点にあるのであります。私どもはこういう点においても経済違反に対する処理が人権を蹂躪するというような結果にならぬように、人権を擁護するためにこれを使つてもらいたい、こういう趣意からそういう点をあげでおるのであります。この経済警察と協力をし、そうして初めて妥当な処理を違反事件についてもするように、こういう考えで二面から考えてこれが設けられるようにいたしたような次第であります。
○花村委員 ただいまの御答弁は、私はそんなことは聽いていない。そんな説明をしなくても、本法案が経済違反の取締りでないことはこの一條に書いてあるじやありませんか。そんなことはよくわかつております。本案を見ればわかる、質問するには本案を見ておる。そんなことでなくて、もちろんいろいろな仕事は盛られておるのでありまするが、その眞髄はどこであるかと言えば、要するに経済査察官の仕事じやありませんか。その経済査察官の仕事で本法案は大部分を占めていはしませんか、安本長官は本案をよくごらんになりましたか私はお尋ねしたい。ただいま申し上げたような権限は一條を見ればわかる。一條にちよんぼり書いてあるけれども、あとは経済査察廳の機構とそうしてその大部分は経済査察官の権限に終始しておるじやありませんか。この経済査察官の違反取締りの問題が中心でないと言われるのはどこから言われるのですか、この法案を見ればわかる。それが私は詭弁だと申し上げたい。そうして違反事件はきわめて微妙であるということは、もちろんその通りであります。日本全國の國民かやつておることであるから公然でもあり、また公然の祕密でもあり、またまことに奇妙でもあります。けれどもそういうむつかしい違反事件を檢挙するには、永い聞経済警察官として鍛えられた腕のある人でこそ初めてできるのでありまして、法案ができて、それではそういう経済違反に関する素養をもち、知識をもち、経驗をもつた者をみんな査察官として入れられますか、おそらく入れるのは役に立たないような官吏の古手ばかりでしよう。今日までの経済監視官を見てごらんなさい。安本長官でつくつてあります経済査察官の三百三十五人の履歴を見てごらんなさい、安本長官ごらんになりましたか、みんな官吏の古手じやありませか。役に立たない姥捨山に捨てなければならないようなものをひつぱつてきてやつておる。これは言い過ぎかもしらぬが、大体の観念としてそうなんだ。そういう非難がまたある。そういう者で微妙な経済取締りをやらせるんだと言つて、そういうことができますか、それが私は机上の詭弁だと言う、そういうことはできぬならできぬでざつくばらんに言う方がいい。できないならば、できるようにこの法案が通ればやつていくのだと正直に言えばよい。そういうつじつまの合わない詭弁を弄するがために、われわれは質問せぬでもよいようなことでも骨折つて質問するようになる。これは経済警察でよいじやないか。あなた方のつくつた警察法にちやんとあるではないか。警察法をまさかお忘れになつたわけではないでしよう。しかもこういう人権にまことに重大な影響がある臨檢檢査をやり、あるいはまた差押え——差押えは押收の一種でありますから、いずれも行政処分です。本來ならば判事がなすべきものである。例外として檢事にやらせる。司法警察官の下端の者にはなるべくやらせぬという精神である。こういうことをやる。こんなことは國家財政窮乏の折柄、また出先官憲を整理しなければならぬ、行政整理をせんければならぬという声の高いときに、それから各政党も今日まで行政整理を看板に掲げている。このときにあたつて、こんな不必要なものをさらにまたつくるというようなばかげたことを一体どうして考えられるか。あなたの説明ではわれわれは決して承服ができない。こういう案はすべからく撤回すべきだと思いますが、撤回する意思はありませんか。
○栗栖國務大臣 いま一度申し上げたいと思いますが、この査察官と経済警察官との仕事の範囲は明らかに違うのでありまして、この経済警察官に協力をするという点にあつて、初めて國民の権利義務、殊に人権を蹂躪されないようにという点に四章は中心をおいて規定したものであります。私はこれは非常に必要な制度と思います。殊に流通秩序を確立するためにはなくてはならぬものと思いますので、政府としては撤回する意思はあけません。なんとかして皆さんの御承認を得て、法律として出発させていただきたいと思うのであります。運用の点についてはいろいろ御注意があり、御意見もありましたので、こういう点については十分考え、万善を期したい、かように考えている次第でございます。
○花村委員 どうもよく法案をのみ込んでおられぬと思うのです。この法案に書いてあることは、経済警察官はみんなできることです。経済警察官ができる権限よりも少い分量をもつてあるのです。経済警察官以上のことをやらせるというのである、今の経済警察官では間に合わないからこういうものを設けなければならぬという説明であるならば、これは了解できる。ところが経済警察官までに至らない、ほんのわずか、ちよつぴりした権限しかない。それですから経済警察官よりも権限が少いのです。この少い権限を與えて、そうして経済の取締りを期そうなんていうことは、これは思いもよらぬことだ。あなたは何か感違いをしておる。その点はどうですか。
○栗栖國務大臣 先ほども申しましたように、経済警察官とこの査察官とが一緒に協力をして、さらに経済違反その他に対する取扱いの万全を期する、こういう趣意でありまして、個々別々にするという趣意ではないのでございます。
○花村委員 協力の点は私は後にお尋ねしようと思つていますから、その場合にお尋ねすれば、今の答弁の誤りが明確に相なろうと思いますから、さらに進んでお尋ねをいたしたいのでありますが、本案には五千人以下ということに相なつておるのでありますが、この七億十万円の予算では何人ぐらいを採用するお見込みですか。
○田中(己)政府委員 この予算は五千人を採用する予定でおるのであります。
○花村委員 まことにこれは行政整理に逆行する案で、遺憾でありますが、しかしかりに百歩を讓つて本案を採用するといたしましても、五千人で一体どれだけの成果があがりましようか。前に片山内閣の折には、経済監視官を七千有余名日本全國に撒布した。けれどもこの七千有余名の監視官というものは多く警察官の古手等がはいつておつたのでありますが、しかしこれらのもの、並びに済安定本部におつた査察官の二百有余のものは、これはいずれも経済違反等に対する専門家であるというようなことを言われておつたのでありますけれども、それらの多くの数をもつてしても何らの成果もあがらなかつたことはきわめて明瞭なんです。でありますから、この五千人をかりに採用するとして、五千人を日本全國にばらまくならば、一縣に約八、九十人になるんじやないでしようか。八、九十人の経済査察官を撒布じて、そうして日本國民のほとんどすべてがやつておる経済違反の取締りを一体どうやつてできると思いますか。たとえば地方に住んでおる経済警察官という本職で、しかもその地方のことも知り、その地方の情勢も知り、人情風俗もわきまえておるというような人でも、なかなか檢挙するのがむつかしいといわれておるこの経済違反に対して、本省の方からだしぬけに派遣されたその査察官が、知らないところにひよつこり飛びこんでいつてどれだけの取締りができるかという点を考えてみますれば、これは思い半ばに過ぎると思うのであります。こんなことであなたはその成果をあげ得ると思いますか。もしあげ得なかつた場合にはどうなさいますか。そこまで私ははつきりお聽きしておきたい。その決心、あげ得るという自信があつておやりになるのか。自信がないか。あるならば、もしあがらぬ場合にはあなたはどういう責任をとられるか。出先官憲整理のこの折において、國家財政窮乏の折において、こういう無謀なことをしようというには、そこまで私は突込んで意見をお聽きしておかなければならぬと思います。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。五千人以下ということがありますが、これは財政の窮乏した現在その他ともにらみ合わせての点が一つあるのと、他の一つの点は、國家及び自治体の警察官と協力してとにかくその目的を達する、こういう点においてだいたいやつていけるものと考えるのであります。これは國民の十分なる協力を得ることが必要であると同時に、國家の財政とも見合わせていくわけでありますので、また出先機関が整理されるという今日におきましては、最小限度としてこれで進むという趣意であります。これで一通りの目的は達し得る、こう考えておる次第であります。
○花村委員 それではさらに進んで本案についてお尋ねいたそうと思うのでありますが、本案を見れば、これはきわめて杜撰なんです。ます第一に、第一條には「物資の生産、配給及び消費並びに物價に関する経済統制の励行を確保するため、」云々とある。ここに輸送割当等を除外したのは一体どういう理由に基くのでしようか。輸送も割当もやはり経済統制の励行の一部として取上げなければならぬことは当然なんです。これはむしろそれが重要であると申してよかろうと思うのであります。これをことさら除かなければならぬという理由はどこにありましようか。
○田中(己)政府委員 この中にあります配給の中に、割当が包含せられておると考えるのであります。また輸送は各生産、配給、消費物價につきましても、いずれも関連がございまして、ここで「生産、配給及び消費並びに物價に関する経済統制の励行」ということにいたしまして、その関するという字に含ましてある次第でございます。
○花村委員 それはどうも驚いた話で、配給の中に割当がはいつていますか。前に出した臨檢檢査等に関する法律案につきましても輸送、割当というのは特にあげられておる。また臨時物資需給調整法並びに食糧管理法あるいは隠匿物資等緊急措置令等に関してもやはりこういう文字が使われておる。これはやはり生産、輸送、割当、配給、消費という言葉が使われておる。しかるに割当というのが配給のうちにはいつておるというあなたの解釈ですか。
○田中(己)政府委員 そうであります。
○花村委員 それならばそれでいいのですが、これははいつておらぬことは明瞭であります。割当と配給は違うのです。配給する前のことが割当じやありませんか。これはもうはつきりしておりますが、同じだというからそれ以上は追究いたしません。さらに第一條第三号の「経済法令に関する違反行為の調査に関する事項」この調査というのはどういう行為が含まれておるのであるか。その行為を詳細に具体的に並べてもらいたい。そうしてなおこの調査のうちには個々の事件の調査がはいるかどうか。この第一條の六号の「一般的情報收集」という中には「個々の事件の搜査に関する証拠についての情報收集」ははいらぬということを特に設けてあるのでありますが、多分これも調査といううちには個々の事件の調査ははいらぬと思うのでありますが、はいりますかどうか、これを具体的に述ベてもらいたい。
○田中(己)政府委員 第三号の違反行為の調査のうちにはもちろん個々の事件の調査が含まれておるのでありまして、その詳細は第四章の規定にこまかく述べてあります。
○花村委員 第四章のあれと言うてもわからぬから、今のように具体的に言うてください。どういう行為、どういう行為と……。
○田中(己)政府委員 経済法令の違反行為の個々の調査を申します。
○花村委員 個々の調査はわかつているが、その調査の内容を聽いているんじやありませんか。どういう行為であるか、具体的に何の行為、何の行為と並べて言うてくれ、こういうのじやありませんか。私の質問がわかりませんか。個々の調査であることはさつきあなたが言うてわかつているじやないですか。そんなことを聽いているのじやない。もう少し眞劍におやりなさい。
○田中(己)政府委員 個々の事件につきまして違反行為がございますれば必要な調べをいたしたいのであります。あるいは臨檢搜査あるいは差押えの手続をこの規定に待つていたす次第でございます。
○花村委員 大体おぼろげながらわかりました。第一條第四号に先ほど安本長官も盛んに述べられた「経済法令に関する違反行為について警察その他の行政機関の行う予防及び搜査に対する勧告及び協力に関する事項」この協力というのはどういう行為であるか。協力行為の内容の御説明を願います。
○田中(己)政府委員 この協力と申しますのは、いわゆる査察官と警察官の相互援助の意味でありまして、警察その他の行政機関の行う予防並びに搜査につきまして経済査察官の援助を要する場合とか、あるいは経済査察官が警察その他の行政機関に対しまして援助を求めたような場合には、互いに積極的に應援をし合うという趣旨であります。
○花村委員 協力という言葉の意味はわかつております。援助をするということは一体どういうことをやるのであるか。援助することが協力であることは当然じやありませんか。そんな説明を聽いておるのではない。よくお聽きにならなければ困りますよ。こつちは眞劍に質問しておる。そんなふざけ半分の答弁はやめてもらいたい。援助の行為の内容がどういう行為であるか。どういうことをやりどういうことをやることが協力であるかという、その例をあげればわかるじやないですか。
○田中(己)政府委員 例をあげて申しますれば、たとえば魚、野菜等の取締りをいたします場合、各種ばらばらではぐあいが惡いという関係もございまして、警察の方でやつてもらいたいこと、あるいは自分の方でやることを互いに連絡いたしまして、その取締りの万全を期するということにいたすわけであります。
○花村委員 これ以上答弁を求めても無理ですからこの程度にしておきますが、それでは一向わからないのです。協力の意味がわからずにここに使つておるのです。こういうわからない文字で人権蹂躪をするようなことが必ず出てくる。文字の意味がわからないだけにやはり取締りの行為もはつきりしないで間違いを起すもとがここにある。しかしよくわからぬようでありますからこれ以上の答弁は求めません。 さらに進んでお尋ねいたしたいのは、経済査察官の性格についてであります。きのうの法務総裁の答弁によれば、司法警察官であるというようなお話であつたのですが、それはそうであろうと思いますが、司法警察官と一般的な行政官との二個の資格において経済査察官というものの性格がつくられておるのであるか、あるいは司法警察官のみであるか、あるいはまた行政警察官のみであるか、その点をお尋ねいたしたい。
○司波政府委員 ただいまのお尋ねでございますが経済査察官は行政、司法両面における警察官ではないのであります。なるほど経済査察官は第一條第三号によりまして経済法令に関する違反行為の調査、從つてこういう犯罪の搜査に類した行為は行いますけれども、経済査察官の任務はこの三号だけではなくて、八号に羅列してあるような行為をいたすのであります。しかも第三号の違反行為の調査といたしまして、調査という言葉を避けた趣旨は、第四章にもその点が現われておると思いまするが、警察官の行うようないわゆる実力を背景としたような調査は絶対に避ける、知能によつて経済違反の根源を衝くというような調査をする趣旨で搜査という言葉を避けておるのであります。從つてこれは経済査察聽全体の性格にも関連するかと存ぜられますが、そこにいわゆる從來の経済警察という性格を、この新しい機構からは沸拭するということにいろいろな点で意を用いてあるのであります。從いまして経済査察官は司法警察官ではない。もちろん行政警察も行うものではございません。
○花村委員 そうすると一般の行政官ですね。そう承つていいですね。
○司波政府委員 さようでございます。
○花村委員 そうすると昨日田中さんですか、法務総裁だつたか、森林もしくは鉄道法に関する特別なる司法事務を扱うところの司法警察と同じような性格をもつたものであるという説明をなすつたじやないでしようか、しませんか。
○田中(己)政府委員 いいえ。
○花村委員 そうすると刑事訴訟法の二百五十條というものの適用はありませんね。それだけ一つはつきりお聽きしておきます。
○司波政府委員 御説の通り適用はないのでありまして、この経済査察官の行う行為はすべて経済査察廳法に基いて行動する。從つて一部刑事訴訟法の準用はございますが、刑事訴訟法の直接の適用はないわけであります。
○花村委員 そうすると普通の行政官ですね。普通の行政官がこういう臨檢、搜査、押收等に立会えるということに法律を設けようとするのですね。これはまことに恐るべき法律であると申さなければならぬ。それはまたあとでだんだんお尋ねいたしますが、そうすると二十一條に許可状というのがあります。この許可状というのは憲法の三十三條並びに三十五條の例と同一なるものである、こう言うのでありますか、そうすると刑事訴訟法の令状とも同じことですか、それはいかがですか。
○司波政府委員 憲法の令状の一種でございますが、刑事訴訟法の令状とは異なります。
○花村委員 刑事訴訟法の令状とは違うのですか。それは間違いありませんね。念を押しておきます。そうするとますます不思議になつてくるので、刑事訴訟法に規定せざる令状を裁判官が出し得るというのですね。
○司波政府委員 本法によりまして裁判所が出す。刑事訴訟法にあらずして本法が令状を出す根拠になつておるのでありまして、このことにつきましては間接國税反則に関する税務官吏につきまして前例もございます。
○花村委員 刑事訴訟法によらずに臨檢、搜査、差押え等に関する今状をこの規定で裁判官に出さしむる、こういう意味だというのですか。これはどうもとんでもないことであると申さなければならないと思うのであります。だんだんとお尋ねしていきますが、二十一條の原案には「経済査察官は、第一項の許可状に基き臨檢、搜索又は差押をするときは、許可状の執行に從う警察官又は警察吏員を同行しなければならない。」とありますが、この「同行」とい意味はどういうう意味ですか。許可状の執行を警察官になさしめなければならぬという意味なのか、ただついておつて見ておればその許可状の執行は経済査察官がやるという意味ですか、どちらになりますか。
○司波政府委員 法文にも明かでありまするように、許可状の執行に從う警察官でありますから、同行する警察官が許可状の執行をやるわけであります。
○花村委員 それでは警察官をひつぱつて行つてやらないでも警察官にやらせればいいではないですか。許可状だけもらつて警察官をひつぱつて行くのは意味をなさないではないですか。警察官が一人で行つてすむところを査察官が三名も四名もそれに随行して行かなければならぬという理由はどこにありますか。査察官がこの許可状に基いて執行するというのであるならばこれは必要ですが、ただ許可状だけもらつて警察官を連れて行つてそれを執行させるというのであるならば、ますますこれは無意味ではありませんか。これを無意味でないと言われるのですか。
○司波政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、経済査察官にこういう実力行為を伴う犯罪搜査の行為を担当させないということが、経済査察廳が警察でないという性格を現わす一面なのでありまして、あくまでこういう実力行使は警察官にやらせよう。経済査察官は臨檢、搜査、押收、差押等の許可状を裁判所に求めて、それをもらつて現場に警察官を伴うていつて警察官にやらせる。その結果押えたものを調査に利用していこう。一口で言いますならば知能的な調査がこの査察官の特徴なのでありまして、実力の伴う仕事は全部警察官にやらせるという考え方なのであります。
○花村委員 そういうことであれば、経済査察官というのは、要するに許可状をもらうという小吏のような仕事をするだけですね。書面を裁判所にもらいに行つて、それを警察官に渡して、警察官からその令状を執行してもらうということだけですね。経済違反の取調べをしようということだけなら、結局警察官がやつたつて同じことじやないですか。知能的だとか、何とかりつぱな言葉は使うけれども、実際の仕事を考えてごらんなさい。そういうことがつまり役人の机上プランだといわれる。取調べも警察官に渡せばやるというのでは、実際に合つていないじやありませんか。違反があつたか、なかつたか、その物件はどこからもつてきたか、もつてきた物件はどこからいくらではいつてきたかということまで詳細に警察官が調べる、それをやつているのに経済査察官は何を調べようとするのですか。同じことを調べようとするのですか。
○司波政府委員 調査の主体はあくまで経済査察官なのであります。ただ調査を実行する上におきまして、臨檢とか、搜索とか差押えをする必要の生じた場合に、許可状をもらいまして現場に臨んで、搜索、差押え等をなすわけでありますが、その場合に、先ほどちよつと説明が足りなかつたと思いますが、もちろん経済査察官もみずから、末項の場合を除いては、搜索等はいたすのであります。そしてこの執行に從う警察官は、ただ同行するということだけではなくて、経済査察官の所持する許可状を相手方に示して、執行を容易ならしめ、あるいは万一経済査察官が執行にあたつて相手方から抵抗を受けたような場合には、これを排除するというような行為を警察官がいたすのであります。從いまして調査の主体はあくまで経済査察官なのであまりして、別に胴とか手足とかいう関係には立たないと考えます。
○花村委員 これは驚いた答弁で、われわれ質問のしようがなくなつてきたのであります。臨檢、搜索ということは、現行犯でなければできぬことに規定がなつているのじやないですか。二十二條に現行犯に限つては臨檢、搜索、差押えができるとある。これも疑問です。現行犯を逮捕した場合には、こういう強制処分がある。行政官の性格をもつている査察官にやらせるということはもつてのほかです。刑事訴訟法でも原則は裁判官にやらせることになつておる。ただ起訴前のやむを得ざる場合に檢事なり、警察官ができることになつておる。しかしこれは重大であるから、刑法にも特に規定を設けてあるじやありませんか。「搜索については祕密を保ち、被疑者の名誉を毀損せざることに注意すべし。」こういう規定までも設けられておる。そうして刑事訴訟法でもこれは重大なる処分として相当愼重に扱つておる。それを現行犯であるからといつて、行政官にこういう強制処分をやらせるに至つては大なる間違いである。間違いであるばかりでなくて、第一矛盾しておるではありませんか。許可状の執行は警察官に執行さして、本人は執行できぬということになつておりながら、その許可状の取調べ等よりも、もつと大事な臨檢、搜索あるいは差押えというような重大なる強制処分をやらせるに至つては、まことに言語道断であると申し上げてよかろうと思う。こういう規定から見ればなるほど現行犯の場合には、こういう大それた重大視しなければならぬ強制処分をやらせるという規定を設けて、しからざる場合には許可状だけもらつて、そうしてこれを警察官に渡して執行してもらう。もちろん執行するばかりでなく、あるいは犯罪人を逮捕した場合においては、ただちに渡すでありましよう、あるいは物を押收した場合においてもそれはただちに渡すでありましよう。渡さなければならぬことになつている。そうすると査察官の權限は、現行犯にあらざる場合においては、ほとんど骨拔きであり、子供の使いのようなことをやる。しかして現行犯の場合においては、判檢事もなかなかできないようなことを簡單にやれるという規定がこの規定であります。これは私はまことに未だかつて見ざる乱暴な法案であると断言してはばかりません。 これ以上この点を質問いたしましても同じことでありますから、さらに進んで質問しますが、第二十五條に「経済査察官は、経済法令に関する現行犯人がその場所にいるときは、許可状を受けないで、これを逮捕することができる。」こう御丁寧に書いてある。これも矛盾している。刑事訴訟法を見てごらんなさい。刑事訴訟法の第百二十五條には「現行犯人其ノ場所ニ在ルトキハ何人ト雖之ヲ逮捕スルコトヲ得」とある。これは何人もできることではありませんか。行政官でなくともできることなんだが、それを麗々しく、刑事訴訟法の百二十五條で何人もできるようなことを、経済査察官ができるという意味に書いてあることは、何かこれに含んでいる意味でもあるのですか、どうでしうようか。
○司波政府委員 これはそれほど含んだ意味はないのでありまして、お説のように刑事訴訟法によつて、経済査察官も一般人と同様にできるわけでありますが、むしろこの面では、経済査察官にそういう責任があるという面を現わすと同時に、以下現行犯人を逮捕した場合、どうすべきかということのつなぎに、この條文を書いてあるわけであります。
○花村委員 そんなばかげたことを書く必要はないじやありませんか。何人もできることを査察官がいかにもできるように書くことは、これは立法の拙劣であるばかりでなく、これはほとんど問題にならぬと申し上げてよかろうと思うのであります。これもまことに不合理きわまる規定であるということを一言申し上げておきまして、さらに第三十一條に進みます。 第三十一條の末項には「実力による應援を求めることができる。」とある。この実力による應援というのはどういう行為を意味するのであるか。これも一つ具体的に詳細に列挙して述べてもらいたいと思います。
○司波政府委員 これは例をあげて御説明申し上げますが、たとえば武力的な抵抗を受けるようなおそれのあるような違反事件を調査するような場合には、武力をもたない経済査察官では不適当であります。たとえば第三國人の惡質な違反を調査する、あるいは列車の集團的なやみ屋を檢挙する。そういうふうなどうしても警察の実力による應援を必要とすると認められるような場合には、この條文でやつていくわけであります。
○花村委員 そうするとこの実力というのは、やはり第一條の「協力」の中に含まれているわけですね。第一條の「勸告及び協力に関する事項の、協力の中に含まれているのだろうと思いますが、特にこういう、何だかあまり感心しない、実力によるなんという文字を用いないでもいいのじやないですか。警察官は何も実力によつてやつてくれと言わないでも、もし拳銃をもつて戰わなければならぬような犯人であれば、それは当然警察官がみずから判断をして、それ相当な逮捕態勢をとつてやるべきで、ことさら法文で、お前はピストルか何か持つてやれとか、あるいは武器を持つてやれというような、やることに應援を頼むことについて、実力というようなあまり感心しない文字をこういうところで用いないでもいいのじやないですか。これは用いる必要があるというのですか。
○司波政府委員 この実力による應援と申しますのは、先ほどの一條の第四号の協力の一つの態様でありまして、從來の経済事犯の調査の実績に鑑みますと、いわゆる武装警官の配置を必要とするような事例が相当あるのであります。これは御説のように、警察官独自にもやり得ることではありまするが、経済査察官の方で、何か計画的に、こういう武力の背景を必要とするような調査をやろうという計画をいたしましたときには、警察官の應援を求め得る途を開く必要があるというのでここに書いたのであります。これは立法の経緯からいたしますと、経済査察官を武装さしてもらいたいというような、一つの考え方も立案の経過においてはあつたのであります。ところがこれは関係方面との関係で、遂に実現しませんで、どうしても惡質な経済事犯を摘発するという立場からは、武装應援、実力による應援ということを法律にうたつておく必要があるという考え方からこれをおいたのであります。
○花村委員 法務総裁がいないのでまことに遺憾であります。実は法務総裁の確固たる答弁を聽きたいと思うのでありまするが、やむを得ませんから、もう一点最後にお尋ねして、——まだいろいろありますけれども、あとに質問なさる方もありましようから、私の質問は一應留保しておきたいと思うのでありまするが、最後にこういうことをお聽きいたしたいと思います。 もちろん経済査察官というのは、物資の生産、配給、及び消費、並びに物價に関する経済統制の励行に関して、これらの関係者に報告をさせたり、またその事務所や営業所や、工場や事業場、倉庫、その他の場所に臨檢して、業務の状況もしくは帳簿、書類、その他必要なる物件を檢査させるというような権限ももちろんはいつておりましようね。本案には明瞭に相なつておりませんが、そういう権限ももたせてありますか、いかがですか。
○司波政府委員 第三十五條が大体御指摘のような点でございまして、この点は物資需給調整法、食糧管理法等にありますような一般の所管大臣の当該官吏をして行わしめる臨檢檢査ということと書き方を少しかえてありまして、臨檢、檢査、差押えというような強制的な力が加わるというものにつきましては、全部裁判所の裁判官の許可状を條件とした、それ以外の所管事項につきましては、物資の生産または配給の事業を営む事業者に対しまして、帳簿の作成とか報告書の提出を命ずる、また経済査察官をしてその作成を命じた帳簿の檢査をさせるという点、これだけを三十五條に規定しまして、これに違反するものについて罰則を設けておる。從いまして昨年秋に当院で御審議願いまして、審議未了に終りました経済査察官の権限に関する法律案につきまして、司法委員会からいろいろ御意見の出た点は十分に参酌いたしまして、この第四章の規定をつくつておるわけであります。第三十五條はそういう御趣旨でお読み願いたいと思います。
○花村委員 そういうことになりますと、臨時物資需給調整法第一條の規定、並びに食糧管理法第二條に規定してある主要食糧に関する事柄、あるいはまた隠匿物資等緊急措置令第一條にも規定してあるのでありますが、これらの法律によつておのおのの所管の官廳の、やはり経済査察官という名義には相なつておりませんが、経済査察に関する仕事をやる、その仕事とこれと重複する場合が出てきますね。たとえて言えば、臨時物資需給調整法の規定に基いて、商工省が甲という者を、Aという違反事件で檢挙したという場合に、本法律においてもやはり同一の犯人につき同一の事柄について檢挙ができることになるのですが、そういう犯罪檢挙が競合した場合には、どちらが権力をもつことになりますか、同一犯人、同一事物に対して、たとえば農林省の経済査察に関する職員と、本法に基く経済査察官とが競合して、その取締りにかかつた場合において、いずれの官廳の権力が優先するのですか。
○司波政府委員 農林省とか商工省とかが、それぞれの法律にもつております臨檢、檢査帳簿の作成、報告を要求するというような権限は、犯罪を搜査するというような目的で設けられたものではないのであります。それはそれぞれの省でいろいろな経済施策を実施に移すわけでありますが、それが末端まで浸透しておるかどうかという励行の問題につきましても各省に責任がある。各省におきましいてはそれぞれの所属の職員をして実行面、励行面をよく指導させるという趣旨から、それぞれの法律に臨檢、檢査等の規定がおかれておるのでありまして、たまたまそういう励行の指導のために臨檢、檢査して、そこに違反が行われておるような場合、これは一般の官吏の告発義務がございますので、檢察廳その他適当な機関に告発することになるのでありますが、主眼はあくまで励行の指導という点にあるわけであります。從いまして経済査察官の犯罪調査、違反の調査ということは競合することはない。從つて優先、非優先ということは起らないと思います。
○花村委員 あなたはよくお聽きになつておらないから、答弁がどうも私の質問にぴつたりしてこないのであります。例をあげて申しますれば、たとえば帳簿の作成、または報告書を提出せず、こういう場合には要するに本法においても罰せられるわけであります。帳簿を作成しろ、あるいは報告書を出せと言うた場合に、ある一定の人に対して、一定の事項に対して、帳簿、報告書の提出を求めた場合に、それは本法による査察官も同時に求め、そうして農林省の査察に関する仕事をやつておりまする職員も一緒に報告をしろと言うた場合には、それはどちらに從つたらいいということになるのでありますか。それが一つ、もう一つ不合理きわまるのは、この規定の三十六條によると、「報告書の提出をせず、若しくは帳簿又は報吉書に虚偽の記載をした者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。」こうある。ところが、たとえば食糧管理法並びに隠匿物資等緊急措置令によつて同じことをやるというと、この現在の本法においては、重い処刑を受けるのでありますが、たとえば食糧管理法によりますと、千円以下の罰金になつておる。そうすると結局同じことをやつても、同じ違法行為をやつても、それが食糧管理法に問議せられる場合、すなわち農林省の役人につかまつたという場合には千円で済む。ところが本法の査察官につかまると、同じ事柄をやつておりながら、同じ人で、懲役一年で一万円以下の罰金に処せられるという重い刑を着なければならない。こんな不合理きわまることがありますか。これは一体同時にやつた場合にどつちで罰しようというのですか。これをお尋ねします。
○司波政府委員 先ほども御説明申し上げましたように、商工省、農林省等のこういう命令と、査察廳からやる命令とはその性質、角度が違うわけであります。從つてもし同一人がそれぞれの違つた趣旨、角度からこういう命令を受けた場合には両方やらなければならない。從つて全然別個になるわけであります。
○花村委員 そういう無謀きわまる答弁なら、答弁をしてもらう政府委員を私は忌避します。そんなことがありますか、同一の事柄について同一の取締りをする。法規が両方あるじやありませんか。同じものなのですよ。あなた見ていますか。おわかりにならなければごらんなさい。見ておれば同じことはわかつておるじやありませんか。同じ性質の犯罪に対して、同じ者に対して、同一なる規定で取締つている場合に、これが本法で出してある法律だから食糧管理法の方と本法の方と違うというばかな説明がどこから出てきますか。そんな説明をするのは日本全國にあなた一人ですよ。
○司波政府委員 私が申し上げましたのは、農林省がこういう帳簿の提出、報告書の提出を命ずるというのは、たとえば食糧行政の実施という角度から出すわけであります。この法案による中央経済査察長官が命ずるというのは、本法の査察長官がもつているこの権限、その角度から出すわけであります。そういう意味で、全然別個である。ただいま花村委員から農林省が行う査察云々というお言葉もございましたが、農林省では決してそういう査察的な意味、取締り的な意味でそういうことをやつているのではないのであります、そういう点御了承を願いたいと思います。
○花村委員 これは問題になりません。これはこの前の経済査察官の臨檢、檢査に対するこの問題について私はよく調査しているのだ。あなたは何もわからないのだ。これは、この食糧管理法を見ても、これと同じものです。これは前の経済査察官の臨檢、檢査等に関する規定で、帳簿を提出しなとか、あるいは檢査に應じないとか、書類の提出を拒んだとかというのと、ほとんど変りないじやありませんか。そんな考え方をしておつてはだめですよ。問題にならない。それはその程度で、これ以上聽いてもわかりませんから、やめておきますが、それはよく御研究になる方がいいと思います。 それからもう一つは、三十六條に違反した者は一年以下の懲役または一万円以下の罰金に処することになつておりますが、法人がやつた場合、または法人の代表者がやつた場合、あるいはさらに代理人がやつた場合、また使用人がやつた場合、あるいはまたその他の從業員がやつた場合、そういう場合にはこういう者は罰しないのですか。ここに規定がないから、おそらく罰しないと思うのでありますが、こういう者を罰しないでいいですか。こういう人がむしろこういう違反行為をやることが多いのじやないですか。それはどうですか。
○司波政府委員 ただいまの御指摘の点は、他の法令等との権衡上御疑問ごもつともと思うのであります。この点につきましては、私どもの考えとしましては行為者本人のみを処罰すれば目的を達するだろうという考えでかようにしたわけであります。
○花村委員 これは食糧管理法や、あるいはまた臨時物資需給調整法や、あるいは隠匿物資等緊急措置令については、こういうただいま申し上げたような法人もしくは代理人等を処罰する規定を設けておる。ところが同じ事柄についての罰則規定を設けておきながら、本法においてはこういうものを逸脱しておるということは、取締りに対する不公正を來すゆえんでありますことは、きわめて明瞭であります。しかし、これ以上質問しても一向私の質問にぴんと答えられないようでありますから、私はこの程度にいたしておきます。しかし、こういう重大な少くとも人権擁護に大きな影響をもつておりますこの法案が、ただいま私が質問しただけでも不備、欠点、不合理で終始しているというまで極論してもよいと思うのでありますが、こういう法案をことさら必要なりとして、窮乏せる國家財政を救う意味において行政整理をせんければならぬという今日、しかも出先官憲の整理こそはきわめて肝要であり、しかもそれは世論の向うところであるという今日、こういう杜撰きわまる法案を出されて、しかも憲法上與えられたるところのわれわれの基本的人権に関しまする重大な影響をもつ法案に対して、法務総裁も出て來ず、安本長官は出てきても居眠りをしておられるということで、一向何ら答弁ができない。たまたま政府委員に答弁をさせれば、わけのわからぬ答弁をしているというようなことで、ほんとうにこの経済統制ができますか。私は國家のために遺憾に思う。じようだんじやない。國家が今乘るか反るか、一体統制違反をどう解決するかという場合に、この重大なる法案を出されて、しかもその説明がろくにできず、またこういう不備欠点だらけの法案をもつてそうしてすでに予算までも組んでいる。これは言語道断だと申さなければならぬ。政治をおもちやにするものだ。かような点に対して政府当局の強き反省を促すと同時に、かくのごとき法案に対しましては、あらゆる観点から、委員長並びに委員諸君の善処あらんことを切望いたしまして、私の質問を一應打切ります。
○河合委員 ただいま最後に委員長なり委員に対する懇切な御注意がありましたので、私は一言申し上げたいのであります。元來政府が出してきておりますこの法案にはいろいろの欠点があり、また是正すべき点が多々あると思うのであります。それはわれわれに與えられた権限でありますから、最も完全なる法律にいたしまして、これを施行すればよいのでありまして、どうしても政府が提案している通りにこれを承認しなければならぬというはずのものではないと思うのでありますから、こういう討議をいたします際には、そうむきになつて、私どもが聽いておりましてもあまりおもしろくないような言葉はお互いに愼しんでまいりたいと思います。私ははなはだ失礼でありますが、ただいま御発言のありました方にお尋ねしたいのであります。御発言の中に人権というようなこともしきりに述べられましたが、はなはだ結構なことであります。ところが一面におきましては、この席上には官吏の諸君もおられる。現存安本で採用しておつたところの監視官が官吏の古手である、あるいは今度の役人もまた巡査の古手を採用するのであるというようなことを言われました。私どもが満足せぬような役人も警察官もあるでしよう。しかし中には非常に忠実に働いて尊敬すべき人もあるのでありますから、私どもは世間からあれは代議士の古手だというような言葉を使われるとあまりおもしろくないと思う。私ははなはだ失礼なお尋ねをするのでありますが、官吏の古手とか、あるいは警察官の古手とかいうような言葉には、発言になつた方はそういうような侮辱の意味を含んでおられますか。正しいお考えでこういう言葉を述べられたのであるか。その点だけ参考のためにちよつと承つておきたいと思います。
○松原委員長 これはただいま花村四郎君から委員長並びに委員に向つての御要望に対しての御質問と思いますから、どうかお答えを願います。
○花村委員 そんなことはお答えする筋のものではなかろうと思うが、強いて求められるがゆえに、私は一言申し上げますが、そういうことは私が言うよりも、むしろ輿論がそういうことを言つているので、それをお聽きになつたかならぬか、政治はすべからく輿論に聽かなければならぬことは御承知であろうと思うのでありますから、そういうことは私に尋ねるよりも、あなたの選挙区に帰られて選挙民にお聽きになる方が、より以上よいのではなかろうかと思います。
○松原委員長 委員長並びに委員に向つての懇切な御忠言がございましたので、今のお言葉も出たと思います。私もこの席から承つておつて、なるべく言葉はお互いに紳士的にやつていただきたいという希望だけをもつておつたことを申し上げておきます。
○花村委員 そうすると、私の言葉使いが惡いと言われるのですか。紳士的でないと言われるのですか。
○松原委員長 私はやはり河合委員と同感の氣持をもつたことだけを申し上げておきます。
○花村委員 どういう点がそういうことを申されるのですか。官吏の古手というのが惡かつたというのでございますか。
○松原委員長 同感でございます。
○花村委員 そういうことはだれしも言うておるんじやないですか。本会議でもそういう言葉を使つておるじやないですか。
○河合委員 私はただただいま発言なさつた方の氣持がわかればよいのです。それが正しいとも、わるいとも私は言つていない。あなたがどういうつもりでそういう言葉を使われたかということを聽いておけばよい。私は選挙民に聽くとか聽かぬとか、そんな御注意は受けなくてもよい。
○木村(榮)委員 きよう政府の答弁を聽きまして、この前私が疑問に思つて質問いたした内容に相当たくさん触れておると思う。ところが私が承つた答弁と、きよう花村委員に対する答弁とは相当食い違つております。これはあとで速記録をごらんになればよくわかると思う。ことほどさように、このことに対する政府の答弁は不誠意きわまる。特に政府委員と称する方々の答弁に至つては人を愚弄するもはなはだしい。私は今まで人を愚弄した、鼻であしらう答弁を何回にわたつて承つた。その結果はいきおい言葉の上においてあるいは少々行き過ぎのような言葉を現に発していかなければならぬような事態も起る。これは発言者の方に罪があるんじやなくて、われわれの方の疑問に対して、あたかも鼻であしらうがごとき、その場逃れの答弁を平気でやつておる政府側にあるということを特に強調したいと思う。
○田中(健)委員 私は連合審査などということは御免であるということをしばしば主張してまいつたのであります。しかるに本日連合審査になりまして、いろいろ政府の答弁を承つておりますのに、木村君が言う通り、やはり政府の答弁は非常にしどろもどろで、一貫性がないのであります。そこで先ほどの花村委員の質問に関連してこの際お伺いしておきたいと思いますが……。
○松原委員長 田中君、ちよつとお待ちくだざい。実は通告がありまして、関連事項ならよいのですが、質問なら鍛冶君の順序になつておりますから…。
○田中(健)委員 関連事項です。
○松原委員長 なるべく簡單にお述べを願います。
○田中(健)委員 第二項の経済法令というのは、別表に食糧管理法、電氣事業法等九つの法令が掲げられております。そこで私はこの別表の九つの法律を調べてみたのです。それによりますと、たとえば花村さんの申されました臨時物資需給調整法、この規定をこの法律から考えてみます場合には、調査したり、報告を求めたりあるいは監査したりすることは全部この法律によつて主務大臣がこれをやることになつております。安本総裁がそういうことを行われると、すなわち臨時物資需給調整法の第一條第二項、第三項その他にこの規定があります。それから罰則のような規定があります。ですから特に経済査察廳を設けなくとも、経済安定本部の総裁が臨時物資需給調整法によつてこれをやれるということになつておるのであります。そこで私たちはそれを読んで今まで審議する場合に了承しておつた。けれども本日の花村委員に対する政府側の答弁を聽いておりますと、われわれの今までの審議が完全に無視されておる。つまり矛盾した答弁をしておる。これらの一切の法律は全然別の観点に立つものである。こういうふうに受け取れるのです。これを一々読み上げるのも何ですが、食糧管理法の場合においても、あるいはまた石油の配給公團に関する法律の場合においても、その他いろいろな部門の法律をこまかに見ますと、大体そういう感じがいたすのでありまして、まつたく統制法律通りに規定されてあつて、監査も行えるし、調査もできるし、啓蒙もできるし、報告を求めることもできる。にもかかわらずさらに屋上屋を架するような法律をつくらなければならぬという根本の問題において、もう一遍私はこの際関連してお伺いいたしておきたいと思う次第でございます。 なおもう一つ申し上げたいことは、官吏の古手問題である。官吏の古手という言葉がございました。それは私は事実をもつて申し上げたいと思うのですが、一昨日秋田縣の縣会議員が参りまして、経済査察行廳設置に関して地方においてはいわゆる官吏の古手諸君が、経済査察廳の地方廳に採用せられようとして暗躍をなしておるのであります。そして現存古手でありますところの私の郷里の芳賀という警察署長が今度それにはいるはいらぬということで、いろいろ評判になつておるそうであります。こういうふうな実情でございますから、侮辱したとかしないとかいうことは別問題といたしましても、こういうことが現在起りつつあるのでございますから、この廳ができました場合には、いわゆる官吏であろうがだれであろうが、そういう古手という言葉にあてはまるがごとき人物は一切排除しなければならない性質のものじやなかろうか、そういうふうに考える次第でございます。この二点について特に安本長官の御答弁をお願いいたしたいと思います。
○栗栖國務大臣 最初の点については政府委員から申し上げたいと思います。第二点につきましては私は官吏の古手その他ということは必ずしも申しませんけれども、これは選考任用でございまして、適材を適所にもつてくるということに考えております。殊に選考任用でございますので、民間人をも與う限り経驗達識者を入れたいと考えておるのでございます。しかもその入れるにつきましては選考の委員会を設けまして、そうしてそこで情実その他を排除して委員会で選考をしてきめたい、かように考えておる次第でございます。
○田中(健)委員 あと一点だけお伺いしたいと思うのです。実は今の政府は御承知の通り民主、國協、社会の三党の連立の政府でございます。そこでこの査察廳をつくつて直系の官吏を採用して、経済査察問題にからんで政府はこの取締りの対象となるところの実業人その他の人に向つて偏跛な取締りを行うのじやないか。こういつたような不安を地方において、もつておるのです。現在の警察は、御承知の通り、政府がみだりに干渉することのできない組織になつておる。しかるに経済査察廳だけはこれは明らかに政府の機関でありまして、これを通じて卑劣なるところの惡意ある干渉が行われるのではないか、こういうことを耳にいたしてまいつたのであります。これは先ほどの古手官吏の採用問題に関連して、與常に関連のある地方の党員であるとか、あるいはその人たちと親しい仲にある人を査察官に採用して、そうして特定の惡意ある取締りが行われる、こういつたことについて非常に不安を抱いておる者があるのであります。もちろん栗栖長官はきわめて公正な方でございますから、さようなことはないと存じますけれども、これはきわめて重大なことではなかろうかと思いますので、この点をお伺いしておきたいと思います。
○栗栖國務大臣 御注意の趣意はよく拜聽いたしました。私自身は決してそういうようなことをしましてかえつてあらゆる面において害毒を流すような社会にすることは毛頭いたさないことをここにお約束しておきます。なお安本長官も私だけでなくいろいろ人も送ることでございますが、その人選その他についてもこういうことは十分注意いたしまして、そういうことのないように心得たいと思う次第でございます。
○鍛冶委員 まず昨日留保になつておりました答弁を承りたいと思います。
○栗栖國務大臣 鍛冶委員の昨日のお尋ねのうちの三番目の点であります。これは、速記その他の事情、法務総裁の発言等をも十分調べましてここにお答え申し上げたいと思うのであります。 査察官の職務は單に違反事件の調査だけではなく、そのほかに廣く査察廳の事務をいたすのであります。それはあの條文の劈頭に書いてあるところであります。しかしこの点は解釈上はつきりしておると思うのでありますが、なおこの解釈をはつきりさすという上においては四章の規定の性質を明らかにする必要があると思うのであります。四章の規定はすでに政府委員その他からも申し上げておると思うのでありますが、いわば査察官の権限の中では特別な権限を規定しておると見るべきであろうと思うのであります。すなわち強制調査に関する規定は、国民の権利義務に関係をもつものでありまして、そこで特に法律をもつて定める必要がありますので、そういう趣意から四章があそこに一群の規定を設けておる。こういう趣意でありまして、四章の規定のみが査察官の規定を定めておる、こう即断するのは当らないと思うのでございます。かような次第でございますので、この査察官の経済違反の予防その他に関する劈頭に掲げております一群の権限は解釈上当然あると思う次第でございます。ただ昨日鍛冶委員からお示しがありまして、いろいろ疑義を生ずるということでございますし、疑義をこういうものについて省くということが最も運用上も間違いをなくするという上において妥当であると考えられますならば、あるいは二十條の第一項に査察官は上官の命を受けて第一條に定める事務を掌るというような趣意を念のため入れておく方がはつきりするかとも思うのであります。これは各委員諸君のいろいろな御意見あるいはこの委員会の決定というものに副うて、政府も善処したいと思う次第であります。
○鍛冶委員 その点もありますが、それよりもこの違反事件調査のためにやる実力的行為というものの責任者はだれであるか、指揮者はだれであるか、これが根本なんです。この点が何であるか聽いておるのです。
○栗栖國務大臣 これは先ほど來申し上げましたように、令状は裁判所で裁判官が出しますが、それを執行する責任は警察官が執行すると思います。それに査察官は協力するということになると思います。警察官は國家警察官と自治体警察官と二つのものが協力することになると思います。最高の責任者はだれかという問題になりますと、國家警察の場合においては公安委員がすべてを指揮すると思います。自治体警察官については自治体の公安委員会が最高になりまして、現行の警察官制度としてはそれ以上の関係は生じていない、こういうことに相なると思います。
○鍛冶委員 そこでます最初の御答弁に対して聽きまするが、昨日安本長官はみずから、私も法律を学んだとおつしやつた。法律の規定にこれは第一章として中央経済査察廳となつておる。これはおそらくわれわれが常に言う総論に当るものだと心得えます。この中央経済査察廳はこういうことをするつもりでできておるのだ、こういう任務をもつておるんだ、こう書いてある。その中には査察官なるものの仕事は出ておりません。これは査察廳の仕事が出ておる。この仕事をするために査察官を置く。そこで査察官の権限はどういうことをするのか、こういうことが第四章なのであります。第四章をながめてみますと、第十九條は定員を書いてあるだけであります。第二十條以下二十九條に至るまでは、この二十條の違反事件を調査するために必要な取調べ、この取調べに対する内容並びに査察官の権限を規定しておるものであります。しかも先ほど來の説明を聽きますと、この違反事件を調査するために必要なる事項、いわゆる違反行為の調査に関する事項、第一條の第三号に関する事項、これには予防その他のものがはいらぬ、まつたく経済違反があるかないかということを調べるためだ、そうして第三号の仕事を査察官にやらせる、こうなんです。第四章は定員として五千人を置く、査察官なるものは二十條以下でこの第一條の第三号の仕事をさせるのだ、そしてこれこれだけのことができるのだ。これ以外のことは何も書いてない。この規定以外に査察官の権限というものが当然出るとは、われわれはどこからも考えられぬが、どうしてどこから出てくるのですか。その点をまず第一番に承りたい。
○栗栖國務大臣 これは第一條のところに経済査察廳において行います事務が書いてあるわけでありまして、しかも四章の規定の特別な性質を明らかにする必要があるのであります。四章の規定は特に違反事件の強制調査に関する規定についての一群の規定があるのでありまして、そこで行政査察廳としての機能自体からして、解釈上当然廳の一般事務は行い得る、こうわれわれは解釈しておる次第でございます。
○鍛冶委員 どうもそれはいつまで経つてもこんにやく問答になるが、権限とここに書いてあるのです。権限と書いた以上はそれ以外に権限の規定がどこにあるのか、これがないならまだよろしゆうございます。権限と書いてありながら、これ以外に全体にわたる権限があるというならば、これ以外になくても性質上出てくるということも言われましよう。
○栗栖國務大臣 御指摘の趣意、私も法律を知つておりますからわかるのでありますが、これは本來ならば四章において定員及び特別の権限と書けばはつきりしておると思いますが、しかし單に権限と書いてありますので、その点においていろいろな疑義を生ずると思うのでありますが、これを設けました趣意その他につきましては私が申し上げたような趣意でございます。
○鍛冶委員 私は何もここであなたをいじめようと思つて言うのではありません。昨日はあなたの方の政府委員も、法務総裁も、これは欠陷だつたと言つておられる。しかしあなたが出てきて当然権限が出てくるということを言われておる。それなら私の方も考え直して修正してみますと言つたらどうですか、それでもどうしても出てくるとどこまでもつつぱるなら、われわれもつつぱつて質問をしなければならぬ。
○栗栖國務大臣 私はつつぱるわけでもありませんが、これがなくても解釈上出てくる、こう解しておるのであります。しかし先ほども申しましたように、法務廳総裁もいろいろ欠陷があるという答弁があつたというから、それを私として言及したのであります。しかして二十條の一項にこういう趣意を入れるならばこの欠陷は補いができる、こう解釈した次第であります。なおこの章というようなものをすべて除くならば誤解を招くことも少くなるじやないか、こうも解釈しておる次第であります。その趣意は今も申し上げた通りであります。
○鍛冶委員 それならわれわれも修正をいたしますが、あなたの方も認められたら、しかるべき何らかの方法をとつていただくことを申し述べて、その質問はそれでやめましよう。 その次の問題でありますが、先ほど來政府委員の御答弁を承つておつたのでありますが、警察官を同行するのは警察官に協力を求めると言われたようにも聞えますし、われわれの仕事は経済違反をなからしむるための協力を本質とするのだということにも聞えますが、経済違反に対して第一條第三号並びに第二十條以下の規定を設けておりまする趣旨は、経済違反ありと考えるときには査察官がみずからその違反を調べようとなさるのか、それともいわゆる経済警察にいいようにやつてもらうというそのことを協力してやるというのか、それはどこに本心があるのか、どこに中心があるのか、その点をまず明らかにしてもらいたい。
○司波政府委員 ただいまのお尋ねの趣旨は、経済査察官は、第一條第三号にありますように、みずから調査する、そのみずから調査する場合の特別権限を第四章に規定しているのでありますから、許可状をもつて警察官を同行して臨檢檢査をするという場合は、主体はもちろん経済査察官でございます。ただその特殊の場合に警察官を執行に從わせるという点だけでありまして、たとえば差押えた物件、逮捕した人、これらの調査というものは査察官が主体としてやるのでありまして、身柄を逮捕したような場合には、警察としてこれを預かるという責任だけで、これを調べるという権限はもたないのであります。
○鍛冶委員 よくわかりました。しからば取調べの責任は査察官にありましよう。まず物を押え、臨檢檢査——ただ先ほどの言葉から言うと、抵抗があつたり実力を要るす場合は、普通官吏たる査察官がやるということはおだやかでないし、また不能であるかもしれぬから、警察官を使う。かように解釈されなければならぬと思う。してみれば、この調査に関する責任は査察官が負わなければならぬと思うが、その調査に関する責任は警察官が負うということは、一体どこから出てくるのですか。
○司波政府委員 ただいまの点は少しわけて考えなければならぬと思うのであります。調査の責任は査察官でありますが、その間同行して、たとえば執行に從うとか、あるいは二十一條の末項にあります差押え及び身体についての搜索は警察官のみがこれをやり得るわけであります。そういうことは本法に基いて警察官が固有の権限としてやるわけであります。その関係で経済査察官は警察官を指揮命令することはできないわけであります。言うことをきかないで、そこに不法行為が行われたという責任は、その範囲に関する限りにおいては警察官が負うべきだというのが今までの御答弁の趣旨だろうと思うのでありますが、私からもその趣旨を補足申し上げます。
○鍛冶委員 あなたの御答弁にはまことに恐れ入りました。協力を求めるとか同行するとかいうのは、あなたが調査をするために警察官を使うのでしよう。警察官が手足ですよ。それなのに、その責任が警察官にあるとは、一体どこから出るのです。ひとつまじめに考えてみてください。協力を求めるとは、主体があつて片一方に補助させる、調査は査察官がやる、そのために必要なことをやらせる手足ですよ。同行を求める、これをやれと命ずるのはだれですか。査察官じやないですか。これを手足として動かしている、手足がやつたことに対しては、命令したその者が責任がないというのはどこから出てくるのですか。私はあなた方がお座なりの答弁をせられるなら質問をやめます。
○司波政府委員 ただいま例をあげて御説明申し上げたいと思いますが、たとえば逮捕のための許可状が出ます。それを警察官をして執行させて警察の留置所に留置させる。その留置の間は、警察官が本法に與えられた固有権限をもつているわけであります。その間にたとえば凌辱行為をやられたものに対しまして、その責任は経済査察官が負わないという趣旨なのであります。
○鍛冶委員 そんなことは警察官の私の行為ではないか。そんなことをわれわれは問うているのではない。あなたも檢事だつたじやないですか。そんなことを言つてはいかぬ。第一、令状はなるほどあつたでしよう、許可状はあつたろうが、ただ令状があつたから出してくれと言う——かりに國家地方警察としましよう。そこであなた方が警察官の同行を警察署長に頼んで、連れて來て協力させられた。警察署長はどこへ行つて何をやつているか一つも知りませんよ。査察官がここへ行つてこういうものを押えてこうしてくれと言う。そうしてそこへ行つたところの警察官に失敗があつたからというて、國家警察署長が責任を負えますか、ひとつ考えてごらんなさい。
○司波政府委員 そこの限界が非常にあいまいな部面があると思うのであります。ただいま私があげましたような事例が一番はつきりすると思つて申し上げたので、たとえば搜索の許可状をもらつて一緒にやつてまいります。この間その執行に関係した行為は査察官が責任をもつ、これは当然だろうと思います。
○鍛冶委員 それを私は言う。査察官が責任をもつのは当然だとあなたは言われたが、それなら先ほど長官が言われた返答はどうです。公安委員から最後は本部がもつというのが答弁なんです。あなたがさつき言われたように、人を連れてくる、それがかりに女だつたとして、警察官が凌辱行為をやつたとする。これは違反の調査以外のことなのだから、あなた方が責任を負わぬのはあたりまえです。それは私行なんです。但しそういう者を官吏として任命したという責任はあるかもしらぬが、そのやつたことに対しては責任のあろう道理はありません。けれども経済違反調査のためにあなた方が連れていつて、それから後にやつたことに対して何も知らぬ、警察官が責任を負わなければならぬということになると、これから貸してくれませんよ。危ない。行つた先で何をやるかわからぬ。どこへ行つたかわからぬ。かりに民法の不法行為の規定から考えてごらんなさい。私人の職務に関する行為であれば、私人が知らぬでも、その職務に関しては私人が責任を負わなければならぬ、本人たる私人が責任を負わなければならぬ。いわんや官廳の行為です。これをやつてくれ、あれをやつてくれと言つて、安定本部の経済査察のための職務の行為をさせられるものに対して、査察廳が責任を負わないで、他の警察の者が本部が負うという。これは一体あり得ることですか。あなたの返答を聽いた以外に長官の返答を聽きます、——私は重ねて申し上げます。この根本論が出てくるのは、行政官たる官吏がかような人身を拘束したり、強制的に人の物を差押えたり、臨檢檢査をするということは、あり得ることではありません。きのうからも言つたのですが、これは何としてでもいわゆる司法部内に属する者でなかつたらできない。檢事は行政官であるといえども、司法にたずさわる特別の行政官で、われわれはその意味において檢事の採用に対しても、普通の行政官と違つた採用をせなければならぬと言つているし、現にそのようになつてきております。それでも非常に嚴重な資格が要ると思います。しかるに純然たる行政官吏である安本の下僚がこういう重大なる司法のことをやり得ると考えられるところに根本の間違いがある。いわんやその責任をわれわれは負わないのだというに至つては、通る理屈ではありません。おそらく返答なりますまい。またそこでお座なりの返答をせらるるなら聽きません。惡いことは言いませんから、もう一遍考え直して、出直してきてもらいましよう。はつきり申し上げます。
○司波政府委員 ただいま御質問の趣旨を若干誤解した点がありまして、あるいは少し間違つた答弁をしておるかもしれませんが、私のお答えした趣旨は、御説明のような場合は、もちろん経済査察官が責任を負う。ただその同行するとか、あるいは逮捕の間に、経済査察とは無関係に何らかの不法行為があつたという場合を考えまして、責任がないと申し上げたのでありまして、そういう点は一貫しておるのじやないかと思います。
○鍛冶委員 一貫しません。それなら長官が言われた答弁とは全然違います。
○司波政府委員 ただいまのお問いと、それから私の方のお答えが多少趣旨を取違えている点もありまして、若干の誤解があつたかもしれませんが、御答弁申し上げます。警察官の行為につきましては、一般的に経済査察官は責任を負いません。ただ必要もないのに経済査察官が裁判官から許可状の発行を求めて、これに基いて警察官が執行に從つたにすぎない、あるいは差押える必要もないような物件を査察官が警察官に要求して差押えをしてもらつたというような場合に、査察官自身が右の不当な執行行為に関係している限度内では査察官にも責任があることはもちろんであります。しかるに警察官が査察官とはまつたく無関係に執行に関連して不法行為をなしたような場合、たとえば逮捕状によつて留置中の嫌疑者に対しまして暴行を働いたような場合には、査察官には責任はない。この場合にたれが責任を負うかという問題は、すべて警察法の規定に從つて解決すべき問題だと思います。大体以上の趣旨であります。
○鍛冶委員 一向わかりません。わかりませんどころではない。はなはだもつて私は友人司波君でありますが、不都合であると思う。警察官が査察官に関係のないことをやつたら査察官が責任を負わぬ、そんなことは聽かぬでもわかつておる。これは私的の私行である。先ほども言つておるじやないか。それならばそれはたれも責任を負う者がない。ただ上官としてそういうものを任命したという責任はあるかもしれないが、そんな責任を負わぬことはきまつておる。しかるに経済査察官が違反行為の調査のためにやらした仕事、協力を求めたとあなたは言われる。もう一遍聽き返します。協力を求めるというのはこつちに主体があつたのだ、主体があつて協力を求める。主体はたれなんですか。主体は査察官でしよう。それからここに行つてこういうことをしてくれ、あそこへ行つてこういうことをしてくれ、こういうのは警察官の上官の警察署長なり公安委員なりが知つておるのですから、もつぱらあなた方査察官が命じてやらせるのです。査察官の命によつてやつたことを全然知らない。警察の上級の者が責任を負うということは一体これはどこから出てくるのですか、私はそれを問うておる。それにもかかわらず査審官に責任がないのだ、こう言われるならば、これはたいへんなことが起る。どうしてそういう責任がないか、私はこれを言つておる。先ほどの私行のことは、そんなことは聽く必要がない。であるからちやんと説明しておる。先ほども言つたように、民法ではこういう大それたことでなくとも、他人の業務に関して使用人がやつた場合には、その使用者が責任を負という規定ができておる。いわんや官吏が他人の物を強制して搜査する。憲法上許すべからざることをやつて、それを命じたり同行したりした者が責任を負わないで、何も知らない者が責任を負うということは、どこから出てまいりますか。そんなことはとんでもないことです。
○山口(好)委員 ただいまの質疑を聽いておりますのに、安本長官及び政府委員の考えておりますことは、鍛冶君の質問とは察議の上で軌道に乘つておらない。すでに安本長官の答弁がはなはだしく間違つておつた。それを政府委員がしきりに擁護いたそうとあせつてまことに支離滅裂な、こちらの質問の本旨に副わないところの答弁をやつて、それを繰返しておるような次第でありまして、私の考えるところでは、政府委員も安本長官も、その質問に対してどういうふうに答え、彌縫していくかというようなことであせつておりますがゆえに、所詮これは正確な責任のある答弁が本日はできない、こういうふうに思います。これはしばらく質問を続けて、頭も混乱いたしておるのではないかと思う。要するにこれは頭を冷しまして、ゆつくりあらためてよく考え直して答弁をしてもらいたいと思いますがゆえに、本日はこの程度で閉会をしていただきたいという動議を提出いたします。
○猪俣委員 今の鍛冶委員と政府委員の答弁を聽いておりますと、問いに対する答えは出ておるのではないかと思うのです。たとえば責任問題であるが、押收すべからざる物、搜索すべからざる物を搜索した場合には、査察官が責任を負う。こういうのです。ただ執行に対する警察官の人権蹂躪問題とか、そういうものに対しては警察官自身の責任であるこういうのであるが、そうするとそれ以外のいわゆる政治的責任は別として、法律上の責任問題でどういう場合に鍛冶君心配のところがあるのか、そこを明らかにしてもらつたらどうか。どういう場合があり得るか。今の政府委員の答弁以外の責任を負わんければならぬ、どういう事例があり得るのですか。
○鍛冶委員 それはどうも猪俣君の言うことは解せぬところだ。差押うべからざるものを命令させた。それは当然でしよう。命令をした者が責任を負わなければならぬ。差押うべき目的物であつて、調査の範囲内であつて、それに違法が生じた場合どうするか、安本ではそのときはたれも責任を負う者がない。こういうことが前提に出てきておる。
○松原委員長 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○松原委員長 本日はこの程度に止め、連合審査会は明日午後一時より開会することにいたしたいと思います。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 御異議なしと認めます。 それでは今日はこれをもつて散会といたします。 午後四時二十五分散会