決算委員会 第9号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1948/05/31
会議録
○松原委員長 開会いたします。 本日の審議は日程の順により、まず高等試驗委員及び普通試驗委員臨時措置法案を議題といたします。政府当局から提案理由の御説明を願います。
○佐藤(達)政府委員 御説明にはいります前に、一言御了解を得ておきたいと存ずるのでありますが、実はお手もとに活版刷りで出ております法律案に対しまして若干の正誤がありまして、その手続はすでに数日前にとつておるのでありますけれども、その正誤がお手もとにおそらく印刷によつて届いておらないものと考えまして、とりあえず正誤済の形のものを謄写版刷りにいたしましてお届けしたつもりでございます。從つて便宜それによつて御審議をお願いしてはいかがであろうかと考える次第でございます。 次に、本案につきましての提案理由を御説明申し上げます。御承知のように國家公務員法は來る七月一日から施行されるのでありますが、その実体的の規定が現実に適用されますのは、まず職階制が確立され、おのおのの職階に應じまして試驗制度その他の諸制度が完成した後ということになるのであります。從いましてそれまではなお暫定的に現行の官吏制度が適用されまして、ただいま御審議いただきますこの高等試驗委員及び普通試驗委員の制度も、ここ当分は、七月にはいりましてもなお存置される次第であります。本案は右の事情を基礎といたしましてこの高等試驗委員及び普通試驗委員の制度について大略二点の改正を加えんとするものでございます。 その第一点は、近く実施せらるべき國家行政組織去との関連をあらかじめ見越しまして、この際これに伴う形式的なる調整を加えておこうというのがその一点であります。すなわち高等試驗委員は新しい行政組織法の目をもつて見ますれば、外局としてこれを扱うのが適当でありますから、その名称を高等試驗委員会——すでに御審議をいただいておると思いますが、國家行政組織法においては、外局の名称を委員会、廳、院というふうに統一しております関係上、これを委員会といたしたのであります。 それから第二点は、高等試驗委員の委員会の構成、殊に司法科試驗を担任しております第三部の組織を中心といたしまして。所要の変更を加えんとするものであります。すなわち行政科試驗がすでに廃止されました今日におきましては、司法科試驗の実施ということは、この試驗委員の重要な仕事になりますので、この点に着目いたしまして、從來は高等試驗委員は総理大臣の所轄にありましたのを、今度は法務総裁の所轄に移しまして、かつこの司法科試驗を所掌いたします第三部長は、現在は法務総裁の官房長が当つておるのでありますが、今度は司法科試驗殊に裁判官の資格試驗ということに重点をおきまして、最高裁判所事務総長をもつてこの第三部長に充てるごとにいたしまして、なお常任委員の中の二人までは最高裁判所の一級または二級の官吏から選ぶということにいたしたのであります。申し添えますが、現在常任委員は全体で九人ということになつておりまして、九人が第一部、第二部、第三部にわかれて属するという建前にしております。その中の二人は最高裁判所の方からとつてくるということにいたした次第でございます。 これがこの法案の大要の御説明でございます。たいへん簡單でございますが、あとは御質疑でもございましたら、お答えいたしますことにいたし、説明を終ります。よろしくお願いいたします。
○松原委員長 これより質疑に入ります。御質疑のある方はこの際御発言願います。質疑はありませんか。——質疑は終局いたしました。 これより高等試驗委員及び普通試驗委員臨時措置法案を議題として討論に付します。
○河合委員 この際討論を省略して、ただちに採決されんことを望みます。
○松原委員長 ただいま河合君の提出せられました動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松原委員長 御異議なしと認めます。原案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔総員起立〕
○松原委員長 起立総員。すなわち本案は原案の通り可決いたしました。しばらく休憩いたします。 午前十一時九分休憩 ————◇————— 午前十一時二十四分開議
○松原委員長 休憩前に引続き再開いたします。 先週に審議いたしました経済査察廳法案につき質疑を続行いたします。河合義一君質疑を願います。
○河合委員 過日來の本決算委員会において各同僚委員の御発言を承つております中に、不必要な、またとうてい行われないような統制はまず第一に撤廃したらどうかという御意見があつたように拜承いたしたのであります。私もやはりそれを同じ考えをもつておる一人であります。今日世間のことを見ましても——私はほかのことはあまり詳しくは存じませんが、國民生活に最も密接な関係のあります生鮮食料品のことについては、少しいろいろな方面で研究をいたしております。よく注意をいたしております。本日も省線電車に乗りましたが、常磐線で多くの人が二貫目どころじやない、五貫目も六貫目も十貫目もあるような重い荷物を運んでおる。これをきびしく取締りましたならば、ああいうことはとうてい行われないはずである。ところが世間もうざらに行れている。またそれが行われるのがあたりまえである。元來統制経済の一番大事なことは配給にあると私は思うのであります。過日も申しましたように、統制経済においては生活必需品は統制のわくに入れて、配給をもつて生活ができるようにすることであるということは、この前の國会におきまして、片山総理大臣が予算委員会でその通りの言葉で表明されたのであります。統制経済をやる以上は不十分ながら配給をしなければならぬ。その配給がないから年中遅配欠配で、蔬菜を遠方から運んだり、また賣りに來るのであります。その消費だけの面だけにおいてこれをきびしく取締るというのは、國民を餓死させることになるのであります。背に腹はかえられませんから、これを買出しに行つたり賣りに來る者を求めて生活をしているというのが今日の現状なんです。それは配給ができぬのは当然なんで、私は始終言うことでありますが、主食の方は生産の面から計画性が立つておりますけれども、生鮮食料品にいたつては昭和十六年に統制経済が実施されまして、ようやくこのごろになりましてはじめて肥料をもつてリンクするというような計画性を幾分かもたせたのでありますけれども、最も大切な戰時中はそういうことは少しもやらなかつた。つくる方はもうつくつてもよし、つくらなくてもいいということにしておいて、消費の面だけきびしく取締りましたから、從つてやみというものは当然自然発生的にできてきたのであります。この統制経済を完全にやろうと思うならば、生産の面から計画を立てなければいけない。その計画を立てないで統制をやるから、こういうやみが行われるのでありまして、今日においても私は肥料のリンク、あるいは生産に必要な物資をリンクするくらいなことは当然とらるべきでありまして、漁撈におきましては殊に天候の関係から計画を立てるということはとうてい不可能なことであります。必要量、少くとも十分とまではいきませんでも、半分でも六割でも七割でも配給ができて、そして富める者も貧しき者もその配給によつて生活ができるということならばそれは結構であります。しかしそれができないとならば、統制経済は非常に結構なものであるといたしましても、配給ができぬ統制経済は撤廃してもらいたい。過日も他の委員会でこのことを私は申したのでありますが、木炭にいたしましても公然とやみが行われている。それは生産物の價格が非常に安くて厚木を買うことさえもできませんから、炭燒きは生産いたしましてもあえて供出することはいたしませず、これをやみに流しているという事実があるのであります。われわれの生活必需品は大抵そうなのです。統制が完全に行われているものは一つもないのです。できればやることが一番よろしいのでありますが、できないとするならば私は統制をはずす必要があると思う。しかし統制を撤廃するということは、この席上で論議すべきことではありませずして、あるいは農産品配給規則とか、あるいは蔬菜及び漬物配給規則、鮮魚介配給規則というようなものを撤廃するということによつて初めて行われるのでありましようが、私はこの法案を見まして、第一條に揚げてあります「中央経済査察廳は、物資の生産、配給及び消費並びに物價に関する経済統制の励行を確保するため、左の事務を掌る。」こういう文字がありますから私は問題が起ると思う。私は経済の生産から配給、消費に至りますその過程におきましては、一貫してこれが正しく行われるということを望むものでありますが、統制経済が布かれなくとも、統制されている商品にしても、統制されていない商品にいたしましても、生産から分配、消費に至るまでを正しく監督していきまして規正するということは必要であると思います。統制をしているからそれを嚴しく取締るという以上に、統制を撤廃いたしましてもそれは私は励行する必要があると思う。 実例をもつて申し上げたいのでありますが、たしか昭和十六年の七月の二十五日であつたように記憶しているのであります。大阪の朝日新聞の記事で私は承知したのでありますが、警察が手を入れまして大阪の中央市場内を取調べいたしましたら、百五十人の人が檢挙されて、七十五人が暴利取締令によりまして起訴されました。私はこの点を指摘したいのでありますが、元來中央市場内において物を賣りますのは、市民によき品物をできるだけ安く食わすという目的で市が中央市場令に基きましてああいうものをこしらえている。それでありますから、その当時商工省が所管しておりましたなら商工省、農林省に移管されておりましたら農林省といたしましても、行政上の措置として、正当にそういうものを扱つているかどうかということを調査するとか、査察するとかいうことが当然のことであると思う。あの当時の委託販賣の制度は委託業者が一割の手数料をもつて許されていたのでありますけれども、事実はそうではなかつた。七十五人の人が起訴されましたが、その中では二十割の暴利をむさぼつておる人たちがあつた。そういうことは行政上の措置として、警察の手入れではなくして、農林省が所管するならば農林省がそれをやらなくてはならぬ。今日の時代におきましては、統制を撤廃いたしましても、商人がいろいろの奸策を弄してもうける腕があるならば、どれほどもうけてもよいということは、許すべきことではないと思う。過日も例を引きました議会内の食堂において、小さな三宝というみかんが一箇三十円で賣られている。東海道の汽車の中で二十粒ほどはいつているピーナツが一袋二十円で賣られているが、それは査察でもやりますならば、どこでその値段がふくれているかということはすぐわかる。 そういうことはなぜ取締なり査察をせぬのでありますか。配給もできないような統制を続けてやりまして、たまたま違反を押えても多くの違反を見逃すというようなことはいたしませずして、統制はずしてもなすべきだけのことをやつたらいい。そうして暴利を取締るというようなことを当然しなければならぬ。でありますから、経済の査察をするということは、統制経済に関してだけそれをやるのではなくして、一般の経済の行為についてこれをやるという必要があると思うのでありますから、私はこの統制という文字を省いてもらいたい。経済の査察を行うためにその事務を掌る、こういうようにやるのが至当ではないかと思うのであります。私は意見を述べることになりましたが、そういう点をおねらいになつているのではないか。 普通の経済行為はやりほうだいで許されるのでありますか。統制が布かれている物品だけの査察をするのでありますか。その点をはつきりといたしてもらいたいが、どういうお考えかそれを承りたい。
○田中(己)政府委員 お尋ねの点はまことにごもつともと考えるのでございますが、査察廳といたしましては、違反檢挙が主たる目的ではないのでございまして、取締りをいたしたといたしましても、大口やみの取締等によつてお説の配給を確保して、少くともマル公配給だけは確保するという方法でまいるはずでございます。そのためには予防に重点をおき、行政監査によりまして、いかなる点に欠陷があるかということを発見いたしまして、経済統制の励行を阻止する点を是正するということが主なる目的なのでございます。もちろん統制の布かれておる品物についてかような手当をいたすわけなのでありまして、全般にわたつてかれこれということはいたさないはずでございます。 それから消費という点でございまするが、これは大体使用と同じような意味でございまして、使用よりも少し廣い意味であります。大体さような次第でございまして、大臣がこの間も言われました通り、現在マル公配給が二五%という状況なのでございまするが、これをさらに増加いたして、少くとも五〇%ぐらいまではマル公配給で賄つていけるようにいたしたいというのが念願なのでありますから、配給の末端までの取締りは私どもの主たる目的とはいたさない次第なのであります。御了承をお願いいたします。
○河合委員 私今の御答弁を聽きまして、ちよつと了解しにくい点がありますが、累近な例を引きましてお尋ねをしてみたいと思います。それは果実は統制が撤廃された。ところが蔬菜はまだ統制されておる。この法律は統制を布いておる蔬菜だけに限つて、果実の方はどれほど高く賣つてもそれは許されるということになるのでありますか。私の考えは、たとえ統制が撤廃されてもむさぼり取るように高く賣るようなことがないようにやつてもらいたいと思うのでありますから、統制が布かれておらないものに対しましても、経済の査察を励行する必要があると思う。そこで私の希望を申しますと、そういうふうにやつてもらいたいのですが、これは「経済統制の励行」と書いてありますから、統制を布いている商品に限るということになつてくると思うのでありますから、それを確かめているはずであります。果物の方は査察をやらない、蔬菜の方は査察をやるということでありますか。それを承つておきたい。
○田中(己)政府委員 御質問の通り蔬菜につきましては、これは重要な食料品でございまして、生産量も非常に寡少でありまするがために、國民の生活をある程度まで確保するためにはぜひとも統制が必要であると考えておるわけでございまするが、それにいたしましても、果実のごときものはさほど必要がないというので、價格統制をはずしたというような事情もございますので、その点御了承を願いたいと思うのであります。
○松原委員長 委員長から申し上げます。そういうようなお答えならこれはいつまで経つてもだめです。今の御答弁は政府委員が非常に親切を欠いていると思う。河合氏がさつきから尋ねておられるのは、はずした果物はいくら高く賣つてもいいか、それは査察の対象にはならないかということを聽いておる。それはあなたの耳にはいつておるはずである。それに対してそういうような不親切な御答弁はいかぬ。それではいつまで経つても意味はなさぬ。もつと親切にお聽きの上にお答えしていただきたい。
○河合委員 果実は人間の生活にそれほど必要はないというようなことは、それは他の場合に論議する機会があると私は思う。私の尋ねておるのは経済査察廳法案について質問しておる。あなたは果物はそう生活に必要ないとおつしやるけれども、私はそうは考えていない。よく考えてごらんなさい。年中果物は何かあります。びわの次にはりんごが出てくる、柿が出てくる。年中果物のないときはない。夏の間しばらく切れますが、間もなく青いりんごが出てくる。これは天が人間に食うものを與えておるのです。ところが、今の経済の組織が惡いためにぜいたく品として取扱われる。こんなちつぽけなりんごが二十円も三十円もする。そういうようなことについては他の場合に論議するが、あなたから果物はそう人間の生活に必要性がないから統制をはずしたというような答弁は聽きたくない。この法律は統制をはずしたものにも及ぶのか、及ばないのかということを聽いておる。
○田中(己)政府委員 私のお答えがまことに不十分で申訳ないと考えておりますが、果実につきましては、マル公ははずしたのでありますが、これを法外な高値で賣るような場合におきましては、これは物價統制令の第十條に該当する。つまり暴利の対象となるわけでございまして、從つてこの物價統制令の関係事項を扱います査察廳といたしましては、やはりこの暴利の点につきまして査察をいたすことに相なる次第でございます。
○河合委員 次の機会に讓りまして、本日の質問はこれでやめます。
○木村(榮)委員 二、三点質問申し上げたいと思います。第二十二條の現行犯としての逮捕の問題ですが、私この前も聽きましたけれども、どうも納得のいかない点は「経済法令に関する現行犯人を逮捕する場合においとは、」とあるのですが、大体逮捕する場合の規定がほかにないようでありますが、第二十五條を見ますと、第二十二條の現行犯人逮捕の問題と関連いたしまして、第二十五條では「経済査察官は、現行犯人がその場所にいるときは、許可状を受けないで」云々と書いてありますが、大体その場所にいるというのはどんな場合ですか。現行犯人というものは現場にいるのが原則であつて、現場にいない現行犯人というものはないと思う。これは大体現行犯人がその場所にいるときは許可状を受けないで逮捕する、今度その前の二十二條には「経済法令に関する現行犯人を逮捕する場合においては」とこうなつておる。これはどういう関連性があるのですか。われわれは日本語を習つたものですから、どう読でんみてもこういう関連性の言葉はかわらないんです。
○國塩政府委員 現行犯人に関することをこの法案の中に規定してありますのは、現行犯に関しましては、刑事訴訟法上一般私人といえども逮捕する権限があるわけであります。そういう権限は経済査察官も刑事訴訟法で当然もつべきであるという見地から、刑事訴訟法の精神に則つて規定があるのであります。二十五條の「現行犯人がその場所にいるとき」と申しますのは、これはやはり刑事訴訟法の言葉を用いているのでありまして、現行犯人が物を持つて逃げつつある——あれが泥棒だということがはつきりしておりましても、逃げつつあるような場合、あるいはその逃げる途中において発見したというような場合は、その場所にいるときという場合にはならないと私は考えているのであります。二十二條の方は二十五條を受けているのであります。條文としましては、二十二條が先になつておりますが、二十五條の現行犯を逮捕するというのと同一のことを言つているのであります。
○木村(榮)委員 そういたしますと、たとえば経済諸法令の違反事件の調査になるわけですが、そういつた場合現行犯人が逃げているという場合は現行犯でないことには間違いないのですが、今司法警察官が行つている現行犯人、たとえば食糧の移動なんかの場合、リユツクサツクの中にあるものを引上げて出す。これはあるかないかは、出して見なければわからない。リユツクサツクを持つておつても、必ずしも全部食糧管理法違反とか、食糧規則違反ではない。現にやつていることは、ほとんど命令書も何もなくて、リユツクサツクを開けさせているが、これは拒否する権利は憲法の第三十三條及び第三十五條においてはつきりとある。それが現に司法警察官がやつておりますのは、リユツクサツクの中に何がはいつておろうが、あるまいが、許可状も何もなしに開けさせている。それが現行犯でなかつた場合は、現行犯人がないから、大きくいえば人権蹂躪である。それを今のあなたのお説のような方法でいきますと、たとえば食管法あるいは食糧緊急措置令なんかによつて供出の問題を取扱う場合に、当然それが起る。そういたしますと、何かの供出の問題になつてきて、供出が不振だといつた場合、経済査察官が出かけて家宅捜索をやる、そして掴まえて、現行犯として、現にあつた、こういつたことを何も権限なしにやる。そういつたことをやらすための補助機関——そういうことをやらすために便利がいいように、この法律に書いてあることをお認めになると、この一項があることによつて、この使いわけでどんなにでも現行犯人だということになる。だから、いわば基本的な憲法第三十三條あるいは第三十五條の問題を合理化する、そして簡單にこそつとやつてしまうために、ここへ特に現行犯云々というものをたくさん書いて、解釈のしようによつてはどんなにでも解釈できるようなふうに巧妙にあいまいに、うまく法文をくつつけたものか。これはそういつた場合に、簡單にうまく人を縛つたり、あるいは物を取上げたりするために書かれたものと解釈して差支えないわけですか。
○國塩政府委員 この規定は先ほど申しましたように、一般市民が現行犯を逮捕し得る権限以上のものを経済査察官に與えておらないのであります。一般市民が現行犯を逮捕するというのは、物を持ち、あるいは物を必要としない場合においても、その場で犯罪が行われておるということが、たれの目に見ても明らかである。現に行われておるという場合におきまして逮捕するのであります。從いまして捜査に行つて家宅捜査をして米があつたような場合は、もちろんその中に包含されないのであります。米がありましても犯罪が行われておるかどうかということは、捜査しなければわからないのであります。そういう場合は現行犯の観念にはならないし、全然問題にならない。また経済査察官はリユツクサツクを背負つておるような小さなやみ事件というものは取扱わないのであります。流通経済の根本に関する大きな統制の励行を行うのを任務としておるのであります。法文上大きな事件ということを書けなかつたのは、大きなというのは、何をいうのかという技術的な点が問題となつたので、法文には表わしておりませんが、これは関係方面との打合せの際においても数次強張された点でありまして、これは他の方法によりまして、後日法令なり何なりによりまして明らかにするつもりであります。いわゆるかつぎ屋と申しますか、そういうものは経済査察官はその取締りの対象といたさないだろうと考えております。
○木村(榮)委員 この前から盛んにかつぎ屋云々と言われますが、この法律でやれるということは間違いないと思います。ただやるとかやらぬとかいうのはお互いの腹の中の話であつて、やろうと思えば現にこの法律でやれることは間違いないと思う。それと同時に現行犯で一般市民が云々と言われますが、一般市民がもつている権限というものは、たとえばどろぼうとか、人殺しとか、そこで物をとつた。これはだれだつて犯罪と認める。ところがこの厖大な経済統制令の一々をとても一般市民、われわれでもみな知つている者はない。これをみんな詳細にやればほとんど町に出ればこれのどこかにひつかかる。ひつかからないものは一つもない。実際の話ではこういつた場合に現行犯か、現行犯でないか、というようなことは全然わからない。だから專門的に査察官が経済法令を研究していつたならば、現行犯として逮捕するということは、今あなたが何辺もそういうことはないないと言われましたが、ないというのは口だけの話であつて、やろうと思えばやれるということを一應この法律で認めていただかなければならぬ。それはそれとして非常に不可解な点がたくさんあるのは、第三十一條にたくさん書いてあるが、「その管轄する区域内の都道府縣警察長又は市町村警察長に対して、実力による應援を求めることができる。」私は法律の專門家じやないのですが、日本の法律にはこういう言葉は今まで聞いたことはない。実力というのはいかなる意味のことを言うのかわからない。一体ここでいう実力とはいかなる意味のことか。具体的にどんなことをやるか。これについて御答弁願いたい。 それから三十二條でも「警察その他の行政機関は、第一條第二項第四号」と云々と書いてあり、「これに基いて経済法令に関する違反行為の予防及び捜査を行わなければならない。」とあるが、これは一体警察組織法との関連で、どの程度までの問題になるか。この問題がこうはつきりしてきますと、今までの警察組織法を改組するか、何かしないといかぬ点が起つてくると思いますが、その点どういうふうに御解釈になるか、その点について御答弁を願いたい。
○國塩政府委員 三十一條の警察に対する実力應援の請求でありますが、実力應援というような言葉は、從來の法律には多分私もないと思うのであります。要するに警察官に発動を求める。武装しているような警察官は、普通何らかのいわゆる武器に類するものを携帶しているのであります。さような警察官の出動應援を求めることができる、こういう意味であります。たとえば大きな違反事件がある。それを調査する場合に非常に危害を加えられるおそれが顯著である。調査するのに身体生命に危險があるというような場合において、それの保護を求める。あるいはそういう行為があつた場合にそれを抑圧してもろう。こういう必要からこの規定が設けられているのであります。経済査察官は普通の行政官と同じく何らの武器を携帶しない。普通の通常服で制服のない官吏であります。從つてそのような應援を求めない場合は調査が不可能な場合も予想せられるので、この規定があるのであります。 第三十二條の警察の経済法令に関する違反行為の予防及び捜査に関する事務でありますが、警察は当然法令違反に関する違反行為につきましては、予防並びに捜査を行わなければならない義務があるわけであります。しかしてその行為を警察が常に経済査察廳と連絡をとりまして、十分に行つてもらうようにするのを建前としているのでありますが、あるいは警察側においてそういう事件を知らなかつたというような場合におきまして、経済査察廳からその方面の注意を喚起した場合におきましては、警察はこれについてやつてもらいたい。そういう意味の規定であります。
○木村(榮)委員 三十一條のことは大体わかりますが、警察官の方から應援を求めることは、他の條項にもたくさん規定がある。その上特に実力應援を求めるというようなことが要るのですか。どういう必要性からかはつきりしなかつたのですが……。
○國塩政府委員 警察と査察廳との関係はいろいろあるので、一々の場合においてできるだけ明確にしたい。かように考えましたので、おのおのの條項をわけて規定してあるのであります。ただいま申し上げましたように、調査にあたりまして非常に危險が存在する場合におきまして、その調査の円滑な遂行を期するためにする保護のための應援という意味におきまして、ここにあるわけであります。
○木村(榮)委員 それから今度は第二條の問題ですが、「中央経済査察廳」云々と書いてあつて、「政令の定めるところにより経済査察官その他所要の職員を置く。」というふうになつておりますが、これは五千人以内においてのことを言つているのですが、五千人を超えた場合のことも含まれますか。
○國塩政府委員 経済査察官の定員はあとの規定で五千名ということに限定されておりますが、経済査察官その他の職員を置く、この「その他」と申しますのは普通の廳内の会計事務をとるとか、文書の整理をするとかいう事務官であります。あるいは雇用負——雇用員は政令では普通置かないのでありますが、二級官、三級官の事務官を何名置くかということは、やはり別に規定する必要があるのであります。また五千名以内において四千名を置くか、四千五百名を置くかということもまた政令できめる必要があるのであります。そこでこの規定があるわけであります。
○木村(榮)委員 そうすると、この中の政令の定めるところによつて経済査察官を置くという、この経済査察官というのはとつてもよいのではないか。五千名ということがあるわけですから、政令によつて今度は四千名、今度は三千名と絶えず変るわけです。五千名以内とあるからには一々政令を出さなくても操作ができるのではないか。そうではなくてちようど復金か何かのようにどんどん上つて、やれ今度は二千人、やれ今度は二千五百人と、そのたびに政令でやるのですか。
○國塩政府委員 中央の経済査察廳、管区の経済査察廳、各地方の経済査察廳と一應独立の形でできるのであります。從つて中央については五千名のうち何名の経済査察官を配置するかということを中央経済査察廳に関する政令できめる必要があるのであります。管区は何名置くかということもきめなければならぬ、そういう趣旨も含まれておるのであります。
○木村(榮)委員 それは五千名内のことですね。
○國塩政府委員 さようでございます。
○木村(榮)委員 それでは今度特に経済査察官ができて問題になるのは、食糧の供出の問題です。その場合に食糧管理法の違反であるとか、食糧緊急措置令の違反とかいうものが出ますが、こういうものに関連して経済査察官は、現在の食糧調整員だとか、あるいは村の割当をする者などにどの程度の権限をもつて、干渉するというか、相談するというか、そういうことはお考えになつておりませんか。
○國塩政府委員 米の供出に関する違反事件でありますが、法令違反ということになつて、それが犯罪ということになれば、関連的にはその調査の対象になることは御説の通りであります。しかしながら個々の小さな犯罪は取扱わない方針であることはわれわれの根本方針としておるところでありますので、実際問題としてその方面に調査を進めることはないと今考えております。また僅か五千名の人間で、これを全國に配置すれば一縣百名足らずということになりますから、政府の決定した経済統制の根本に関する方針の励行ということに全力に盡す関係上、そうした農村のすみずみにまで調査の手を延ばすということは、実際問題としても不可能であるように考えられるのであります。しかしながら法令的には一應その範囲内にはいる。また積極的に米の供出を勧誘するかどうかということでありますが、さようなことは経済査察廳の任務とするところでないわけであります。
○松原委員長 委員長から関連してお尋ねしますが、今の木村君の質問の中にありましたその他所要の職員とありますが、その予算面に御要求になりました全総数は何人ございますか。
○國塩政府委員 手許にただいま的確な数字はございませんが、二級、三級の事務官が百三十六名、雇用員は千五百名くらい、合せて千六百余名であります。
○木村(榮)委員 もう一つお尋ねしたいのは、この間労働委員会で加藤労働大臣は最近の生産管理の問題について答弁されましたが、その中で生産管理それ自体は今の段階において何ら違法ではない、しかしながらそれに関連して、他のたとえば住居侵入だとか、あるいは暴力行為だとかいつたようなものがあつた場合には、それは全然生産管理に関係なしに、他の刑法上の問題として檢挙する場合がある、しかし生産管理それ自体は大体合法的のものだ、こういうように御答弁になつておる、その問題に関連いたしまして、今度の経済査察官が、たとえば生産管理にはいつてきますると、商工省の今まで配給があつた物資の配給停止の措置というようなものがあるわけです。そういたしますと、ちようど内容的によく調査いたしますと経済諸法令の違反にひつかかることがこまかい点から場合によつてはあるのであります。そういつた場合には経済査察官の方は臨檢、捜査または差押えといつたような方法で——今までは加藤労働大臣の言によれば生産管理それ自体は合理的のものである、しかし今度こういつたものが出ますと合法化されないように、今まで行つておつた以外の方法で、生産管理は実際上はできないようなふうに押えつけてしまうことができるのでないか、その点についてはどういうふうにお考えになつておるか、簡單でも結構ですから西村次官にでも御答弁を願いたい。
○西村(榮)政府委員 ただいまの木村委員の御質問の御答弁に当るかどうかわかりませんが、生産管理の問題につきましては、加藤労働大臣が御答弁申し上げた通りであります。それと同時に生産管理と本法が絡みついて何か生産管理の断圧の道具に使うのではないかというような危險があるかどうかというふうな御質問でありますが、そういうふうな懸念は本法並びに新しく実施されます査察廳においては全然ございません。ただこの際、木村さんの御質問から少し離れておりますが、御了解を求めたいと思うことは、大分経済査察廳法案について誤解が含まれておると思うのでありますが、本法案を國会へ提案いたしました理由の根本的な問題は、先ほど米の問題についてもお触れになつたのでありますが、いかなる範囲内においてやみを取締り、いかなる範囲内においてその能力が及ぶかということは、その限界がきわめて困難な問題であります。しかしながら政府といたしまして、どの程度まで取締るかと言われますならば、食糧を現在外國から輸入されており、その食糧の代金も支拂えない、主として救済物資によつて賄われておるという現状におきましては、まず第一に日本政府のとるべき態度は、國内のやみの撲滅であるのであります。しかしながら、そのやみの撲滅の結果社会不安ないしは國民生活を著しく圧迫するということになりますと、やみを撲滅するという趣旨が反対の作用を起すのでありまして、この点は取締りにあたつては十分留意しなければならないと思うのであります。しかして先ほど定員の問題にもお触れになりましたが、本官廳が有しまする定員は五千名を超えてはならない、その他の職員も千六百名ということになつておりますが、これは逐次定員が殖えるのではないか、復金のように殖えるのではないかという御懸念もございますが、実際は殖えないということを御約束できると思うのであります。と申しますことは、本査察廳法案というものは、古き秩序が崩壊いたしまして、秩序の混乱から回復への過程において必要なる官廳でございまして、國民生活が安定し、日本の経済が安定いたしますならば、本官廳も自然となくなるのでございまして、今おかげをもちまして漸次経済秩序は回復に向いつつあります。從つて本官廳における査察官の定員は將來激増するというふうな懸念は、経済の見透しの面から言つてないと思うのであります。從つてそういうふうな経済が安定に達しますならば、本官廳の有しまする任務は、新しき統制経済に対する啓蒙宣傳の任務——先般來河会議員から御指摘になりましたような價格に対する調整ないし調査をして、公正なる價格というものをそこに政府が大体照り合せてみるというふうな、主として経済を案内する、経済を誘掖するというふうな任務であるのでありまして、定員の増加というものは大体予想せられないのでありますから、これらの点もひとつ御了解を願いたい。要するに本法案は経済の混乱から回復への過渡期的の法案であるし、過渡期における存在の意義ある官廳であるという点を御了解を願つて御審議を願い、なるべく早く発足するようにという内外の要望がありますので、よろしくお願いしたいと存じます。
○木村(榮)委員 まことにごもつともな御説でございましたが、その御説の通りにいけば結構であるのであつて、その方へ向うためにわれわれといたしましては努力していただきたいと思いますが、この法律案を見ますと、政府委員の方では盛んにそういうことをやらないとおつしやるけれども、実際運用の面において今までの経済警察がやつたと同じような取締りしかできない面が多いと思うのです。むろんそういうことも必要であつて、全然必要でないとは申しませんが、ただそういうことのみをやるようなことでは國民に対して恐怖政治を與えることになるから、そういつた面はほんのつけたりで、ほんとうのところはそうでないという点を強調できるように、またそういうふうに國民が理解できるように、法律案を、特に第四章の、警察官の定員及び権限の中の全部とは申しませんが、二十一條あるいは二十二條、その他にもございますが、この中の点を、今西村次官から言われましたような趣旨に副うように、改めていただきたいということを申し上げて、今日はこのくらいでやめます。
○西村(榮)政府委員 ごもつともなお説でございまして、政府といたしましては、本法の目的並びにその存立價値の毀損せられない範囲におきましては、國会における自主的な御修正には應ずるつもりでありまして、その意味においてどうぞ存分の御審議を願いたいと存じます。また、皆樣の方から、こういう字句の問題はこうだというふうな御明示がございますならば、それに向つて御協議を申し上げたいと存じます。
○冨田委員 時間がありませんので詳細な質問は後に讓りまして、ごく簡單に二つだけ御質問申し上げたと思うのであります。それは昭和二十三年度の五月の暫定予算の中には経済査察廳の予算が組んであるわけであります。そしてこの予算はすでに議会を通過いたしております。これはわれわれ國会に席を有する者としてまことに不用意であつたことをみずから自責の念にたえません。しかし私どもがこの法案を頂載いたしましたのが五月十四日と思います。そこで私は五月十四日にこの法案を手にして、どうしてもこの法案は緊急を要する法案である、それゆえに六月一日より実施と政府は予定しておられるけれども、これは困難じやないか、それにしてもおそらく六月の暫定予算には経済査察廳の予算が頭を出してくるに違いない、と思いまして、早速私は予算委員会の方と連絡をとりまして、もしその予算が出ておるならば、これは押えてもらはなければならない、これは表裏一体をなすものであるから、どうしてもそうしてもらわなければならぬ、ということを注意を喚起しておいたのであります。ところが六月の予算には出ておらないという返事を受取りました。しからば六月一日に実施するということを予定し、しかもこうした大きな法案をわれわれの前に出される以上、予算のない法案があるはずがない。さらに檢討いたしましたところが、これはすでに五月分に計上されております。五月にこの予算をすでにおとりになつて今日に至つておりますが、はたしてこういう、いわゆる幽靈に対する裏づけといつたような妙なことが現実に行われております。これが新しい憲法の上から、あるいは財政法の上から、あるいは会計法の上からどうおとりになつておられるかということを一点お伺いいたします。 それからいま一つはさらに摩呵ふしぎな事実があります。それは六月の暫定予算をお調べになりますと、これには経済査察廳ありません。そうしていかにもふしぎに経済査察院なるものが登場いたしております。私どもは一方において、御承知の通りに、國家行政組織法なるものを討議いたしておりますが、この國家行政組織法の第三條第二項によりますと、「行政組織のため置かれる國の行政機関は、府、省、委員会、院及び廳とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。」こうはつきりうたわれております。ここに院と廳というものは一つの段階をなしておるのみならず、その設置及び廃止は必ず法律によるというのであります。法律はだれがおつくりになりましたか、法律によらずしてもしも院、廳なるものが勝手に政府の独断によつてできるというならば、まさしくこの國会を侮辱するものである。事ごとに國会を無視し、そうして政府がこういう一つの廳としてわれわれの方に出した。しかも五月三十一日の今日においてわれわれの受けとつておるところのこの法案は経済査察廳の法案を審議しておるのである。しかるに一方予算委員会においては経済査察院の予算を審議しなければならない、このような態度はいかにも三百代言的な揚足取りのようにお考えになるかもしれない。しかし私はそうは思わない。このような重要な法案に対して委員会を無視するのみならず國会を無視する。こういうことが公然と行われるということを政府はどのようにお考えになつておるか。形式論でございますけれども、きわめて事重大でありますがゆえに、あえて政府の証言を拜聽しておきたいと思います。
○國塩政府委員 最初の五月分に予算を計上した経緯でございますが、この法案の関係方面との関係で、五月一日から実施することができなくなつたのであります。それで審議をお願いする期間がなかつたという関係で、予算は準備してありましたが、法案そのものを國会に提出することが不可能になつたのであります。その間に予算だけ御審議を願つてという関係になりましたので、決して惡意はなかつたのであります。從いましてこの予算は通過いたしましても、法律案が成立しない以上は、当然使用ができないのです。これが六月一日から実施になるという計画を次に立てました関係上、しからば六月一日以後に繰越すということに大藏省の方から承つておるのであります。 それから次の院の問題でございますが、行政組織法が当初六月一日から実施される予定になつておつたのでありますが、関係方面との関係で訂正することになつておりまするうちに、また行政組織法の実施が一月延ばされた、こういうことになりましたので、もとの案に立ちもどりまして行政組織法が成立いたしますれば、それに調子を合わせて修正をしていただく、行政組織法がまだ成立いたさないのにそれに則つた案を出すのは、もし組織法が修正変更になつた場合においては先走つておるという関係からもとの案にもどつた。從いまして國会の方には経済査察廳という名前で出しました。予算もそういういきさつからそのとき一應修正したのでありますが、その後にまた方針が変更になつたというやむを得ざる事情があつたことを御了承願いたいと思います。
○冨田委員 関係筋というお言葉が出ますが、その関係筋と政府との折衝のことについては、われわれつんぼ座敷におります者ではわかりません。しかし敗戰日本は占領下におる。私どもは日本の現地位をはつきり認識いたしております。しかし五月の予算にお出しになつた。しかも四月のうちにこれは審議が終つております。そうしてあなた方はこれを五月十四日にわれわれの手もとに渡した。その時にどういう処置をおとりになつたか。少くとも決算委員会を一回も休んでおりません私は、それに対して、何らの御通知を受けておりません。これは私はいくら御弁解をなさつても、手落ちと申し上げるよりも、委員会と侮辱しておるとはつきり言い切ることができる。予算は通過してしまつた。しかし今になつてこの法案を出すのが遅れた。これは関係方面との関係があつて遅れましたということをなぜ一言言わなかつたか。これははつきりと侮辱した嚴然たる事実である。あなた方が百万遍の言訳をなさつても断じてこれは許されざるところの國会に対する侮辱であると私は認める。もし私の言いますることが過激な言葉である、あるいは私がたまたま籍を置いておるのが野党であるからだとおつしやるならば、國民大衆の裁きをお待ちになつてごらんなさい。世の中に理屈と道理がある。あなた方の言われるのは理屈である。私の言うのは道理である。一切の党派を離れて、眞実に向つて私は謙抑な心をもつて進まれることを念願しておる。ただこれを関係筋の関係があつたとか、いろいろ複雜な事情があつたからごまかそうとなさるのか。予算はとつておいて、しかもわれわれの手もとには今になつてお出しになつた。 さらに第二点においてもそうです。これは國家行政組織法が通れば、それに調子を合わせて院に直すのだと言われるけれども、大藏省の御印刷になりました厖大な印刷物、これが予算委員会に出ておる。そうしてわれわれは連日頭を悩ましておる経済査察廳の問題で、今もこの場に論議されておることは経済査察廳の法案に対する論議である。私は今に一言どなたか御挨拶がある思つて待ちくたびれておつたけれども、経済査察院に改める予定だという問題に対してどなたも御発言にならない。これで委員会を無視し、さらに國会を無視していないかどうか。あまりにも今の立法機関として弱いかもしれません。われわれは少くとも國民の名において戰つておる。官僚の走狗として戰つておるのじやない。きようこの場で論議されることは、やがてこれが通過したならば、われわれの現実の生活の上に大きな束縛となつと現われる。先刻來河会議員よりあまりにも手近な店頭にあるさくらんぼう一つ、びわの実一つの値段に注意を拂われたのは、事きわめて具体的ではあるけれども、あのびわのような一箇の果物の中にわれわれの政治が宿つていなければならないはずである。それを軽くあしらつておる政府委員の態度はどうです。法律をつくる根本の立法の精神というものは、為政者のためにつくるものじやない。安本長官の前でもその点を私は強調したのです。民主化ということは支配者のために権力者のために法律をつくるのではない、われわれ國民の生活のために一つの機関を與えんがためにつくられるものが法律なのです。それが法律の民主化なのです。われわれの汗の中に、われわれの血の中に、われわれの涙の中に、この法が生きてきてこそ、これが民主的な立法なのです。一かけらの炭、一粒の果実、これを通してわれわれの生活が生きる、その中に法律がしみ透つていくような、つまり治められる立場から見たところの法律というものは、近代立法の精神でなければなりません。これなくして何の民主化があり得ますか。私はこうした形式論を申し上げたいために言つておるのではありません。たまたま現われたこの二つの事実を通して、立法者の根本精神を疑つているのです。おそらく栗栖安本長官と西村政務次官の間には、イデオロギーにおいて根本の相違がある。そうしていわゆる同床異夢、やむを得ず同じ床の中に異つた夢を見ておられる。いわゆる正しい夫婦にあらずして、やがてわかれていく二号的なものであるかもしれぬけれども、いわゆる経済統制の根本理念において、あなた方が異つた夢を見ながら、しばらく同じしとねに休んでおられるという感じがする。私にはお二人の経済理念がはつきりわかります。けれども今そうした不義の中にできた子供としても、われわれは現実の面において、われわれの生活の上にこの法律を生かさんがためにこそ努力しておるのでありまして、その間にこうした大きな問題を、いまだ今日に至るまでわれわれの前に一言のお断りもなかつたということは、特に政府当局に警告を発しておく次第であります。これ以上は言訳をお聽きしたところでむだだと思います。なお内容については十分御質問申し上げるつもりであります。
○西村(榮)政府委員 ただいまの御質問に対して簡單にお答え申し上げ、かつおわびを申し上げておきたいと思います。 決して経済安定本部は本法を提出する上において、國会並びに当委員会を侮辱したとか、無視したとかいうようなことは毛頭ないのでございます。(「ところがたくさんあるのだ」と呼ぶ者あり)あればそれは田中君の誤解だと思うのです。申し上げるまでもなく、この法案を私どもが提案いたしましたのは、ただいまの冨田さんの御指摘のように、大多数の人々の幸福と安寧を経済生活の上に護るというような意味において、信念的に提出した次第であります。ただ提案の時期が遅れましたのは、先端も申し上げましたように、三月八日に警察法が改正になりまして、経済警察というものはそのまま空間を生じましたので、急速にその面において充足しなければならないという意味において成案を急いできたのでありますが、何分にも字句の訂正、その他行政組織法の改正等が重なりまして、國会への提案が遅れたのであります。ただ本案を提案する冒頭におきまして、今政府委員から御答弁申し上げましたようなことを申し上げなかつたことは、一にかかつて國会の権威を尊重し、國会の自主的な御審議にまつて本法案の可否を決していただきたい、それがためには、政府といたしましては、関係方面云々ということはいかなる場合でも避けたい、こういうような意味から申し上げなかつたのでありまして、この点は切に御理解を願いたいのであります。 しかして私と長官との間においてイデオロギーが違うという御指摘がございましたが、現在経済安定本部は日本経済再建のために、上下をあげて渾然一体となつて邁進し、努力をいたしておりますから、その意味において御了解を願うとともに、この上ともの御支援を懇講する次第であります。
○田中(健)委員 先般も私は質問いたしましたが、聽き落した点もありまするので再質問いたします。 経済査察官が全國に五千人できるわけですが、これが例の労働組合をつくつたら、それから爭議行為ができるわけじやないか、この点政府はどういう御見解をもつているかということを御伺いいたします。
○國塩政府委員 その点に関しましては、労働組合法に別に明確な規定がございませんので、法律的にはできるものであると私は考えております。
○田中(健)委員 ちよつとこまかくなりますが、第一條の第五号に「啓発」とありますが、これは一般を啓発するのであるか、目下の御計画についてお漏らしを願いたいと思います。
○國塩政府委員 國民啓発のためにどういうことを計画しておるかという御質問でありますが、ただいま詳細なる具体的計画は準備いたしておりませんが、法令の趣旨の徹底のための関係業者の会合を催すとか、その統制事務に携つておる人々の関心をさらに高めるための講習会を催すとか、あるいは一般に講演をする、あるいは映画その他で宣傳をする。要するに種々の方法によるところの教育的あるいは普及的な催し集会等を行うことになると思うのであります。
○田中(健)委員 第五号に「経済法令の規定の趣旨についての警察官及び警察吏員の啓発に関する事項」とありますが、そうすると経済査察廳が警察の方まで手を伸ばしてやるわけですか。
○國塩政府委員 警察官が経済犯罪を取締る場合におきましては、一般の犯罪の中の一部として取扱われるのであります。今後は特殊な大きな都市は例外として、一般には経済警察係は設けてはいかぬことになりました関係上、その非常に複雜な法規を常に研究することはなかなか困難になつたのであります。從いまして経済統制励行の根本に関する方針は、経済査察廳で立案計画することになりましたので、その必要なる励行をはかるべき法規に関しても、その要点、あるいはそれの実施をいかにするかというようなことにつきまして、資料を作成し、それを警察官に連絡配付するというような方法によりまして、警察官のその方面に対する知識素養の低下することを阻止し、さらに積極的に活動していただくようにする。そういう意味におきましてこの第五号があるのであります。
○田中(健)委員 第三條の監査局というのは、第一條の第七号に出ておる、「行政機関の行う経済法令に関する経済施策の実施に関する事務の監査」。 これを行うためにこの監査局を置くのでありますか。
○國塩政府委員 大体さようなことになると思うのであります。
○田中(健)委員 査察局及び物資調査部はどういうことをするのですか。
○國塩政府委員 物資調査部というのは、第八の「隠退藏物資の調査及び供出の促進に関する事項」であります。それから査察局は、一般國民の間の経済統制の励行に関する事務であります。從いまして主として第三、第四、第五、第六に関する事務になると思うのでありますが、そのほか一、二に関することは監査局も査察局も双方関係をもつておることになると思うのであります。
○田中(健)委員 この際委員長に対して要求いたしたいものがあります。先ほど冨田委員から國会を侮辱したとか何とかいうような発言がありました。それは予算に関連しておる問題でありますので、法律が出ないうちに予算が通つたということで大分しかられておるようでありますが、そこでその予算の提出にあたりまして、政府がいかなる説明をなし、いかなる予算の審議が行われたかを詳細に知ることが、この法案を審議する上においてきわめて必要なることと思いますので、過日の予算委員会において審議された項目について速記録を取寄せていただきたいと思います。それをよく檢討しまして、必要なる場合においては予算委員長を証人として喚問することもまた必要じやなかろうかと思いますので、さしあたつて速記録を早急にお取寄せ願いたい。これだけ委員長に対して要求いたします。 それから予算が通過したという話でありますけれども、これに関する予算の詳細なる内容について、各款項目にわたつてどういうような事業をなさつておるのか、なお予算と対象いたしまして具体的に知りたいと思いますから、予算の説明と討論の審議の内容の速記録、それから通過いたしましたところの予算の各款項目にわたる詳細なる内容について、書類としてこれをお取寄せ願いたいと思います。予算を審議する意味ではなく、法律を審議する上に、千考のために必要なのであります。
○松原委員長 田中委員にお尋ねしますが、それは速記録を取寄せるのですか。速記録とともに、政府の説明をも求めるのですか。
○田中(健)委員 予算委員会において政府の説明したことと、それから審議の内容——質問も何もなかつたならば内容はないわけですが、そういつたことについて関連する事項全部をお取寄せ願いたいと思います。
○松原委員長 もう一つお尋ねいたしますが、速記録は先般ここでも御報告いたしましたが、二箇月後でなければ委員会の速記録ができてこない経過になつておるので、速記録というものは当分できません。それでは生の速記そのままを取寄せるという意味になりますか。
○田中(健)委員 生のものといたしましても、われわれはそれを持帰つてこれを研究するというようなことはできませんので、やはり速記録の官報号外に出てくるものがいいのではないか、生のものをもつてきても、それをもつていくわけにいかないですから……。
○松原委員長 ちよつと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○松原委員長 速記を始めてください。本日はこの程度に止めまして、散会いたします。次の委員会は追つて御通知申し上げます。 午後零時四十三分散会