決算委員会 第6号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/05/25
会議録
○松原委員長 これより会議を開きます。 本日は経済査察庁法案を議題とし、質疑に移ります。河合義一君
○河合委員 第一条にこの法律のねらりておりますることは、「物資の生産、配給及び消費並びご物価に関する経済統制の励行を確保するため、左の事務を掌る。」こういうことが書いてあるのでありますが、まず第一に私は生産、消費ならびに物価に関する統制ということの中でも、配給というい面でどういう事務を掌るのでありますか。その説明を聴きたいのであります。生産消費よりも配給に重点をおきましてどういう事務を掌るか。それを承りたいと思います。
○國鹽政府委員 経済査察庁の目的とする仕事の範囲のうち殊に配給の点についての御質問でありますが、これは御承知のように臨時物資需給調整法に基きまして、いろいろな規則が出ております。たとえば繊維類について申せば、繊維の切符制度の問題、あるいは鉄鋼関係についても、鉄の配給については切符が要るというような幾多の配給に関する命令が出ております。それの確実な励行をこの機関が確保するように努力する。こういうのでありまして、切符そのものを発給するのはそれぞれの当該官庁、たと必えば繊維関係について申せば商工省であります。あるいは食糧品について言えば農林省がやるのであります。それがその通り行われておるかどうか、繊維公団なりあるいは食糧公団、鉄鋼の配給機関、そういうものがその規則の命令通りちやんと発行すべき方面に発行しておるか、政府の割当の方面にちやんと発行しておるかどうか、横流れの切符を発行していないかどうか、あるいはそれを現実に配給を掌る業者がその切符によつて規定通りの配給をしておるか、こういうことを見るのであります。これを目的としておるのであります。そういう配給に関する制度があるものはすべて査察庁がその対象として取扱う、こういうことになるわけであります。
○河合委員 私は特に生鮮食料品のことにつきましてお尋ねしてみたいと思います。この前の議会のとき、片山総理大臣は予算委員会におきましてこういうことを言われた。統制経済は生活必需品を統制のわくに入れて、配給でその生活がやつていけるようにするのである、少し言葉は違うかもしれませんが、大体そういう意味であつた。ただいま承りますと、いろいろの規則で配給することが規定されている、その配給が正実に行なわれているか、いないかということを、この法律によつてこれを正しくしていくのである、こういうように拝聴したのでありますが、間違つたこをやると処罰される、配給の面で申しますと、消費市民が配給される品ではどうしても生活がやつていけないから配給のルート以外から動いてくるところのものを買つたり、あるいは買出しに行つたりして生活している。それがいけないというて押えられる。元来配給さえ正しく行われておりましたならば、別にやみの物を買う必要はないのです。私は統制経済の一番大事な点は配給にあると思います。配給をせずにおいてきびしく規則を励行するということになりますと、国民は非常に困るのであります。例を生鮮食料品にとつて申しますと、これは私が兵庫県に参りまして、昨年の夏神戸市で調査したことでありますが、食糧対策議員連盟から派遣されまして食糧事情の調査に参りましたときに、県の役人に聴きますと、昨年の夏は一人当りに対して蔬菜四十匁入荷いたということであつた。それから公開の討論会で市民を代表する婦人団体の代表者に聴きますと、決してそうでない。県の話を聴くと四十匁配給しておるはずのものが十匁も配給されておらない。途中で流れてしまつておる。それでありますからやむを得ずして買出に行つたり、また売りに来たものを買うのであります。私がここでお尋ねするのは、いろいろの規則に違反したことは取締られるが、その違反のもと、根源は、配給がないからなんです。ただ配給のルート以外から物を手に入れることはいけない、処罰されるということなら、必要量を配給してやつたらよい。それもせずして取締りをきびしくするということは非常な間違いだろうと思う。私はこの法律が施行されるにあたりまして、やはり今までのように物を配給せずにおいて、生きていけないから何とかして手に入れると、それがいけないといつて取締られるというようなことでは、消費人は非常に迷惑する。そういう場合にはどうこの法律は取扱うのでありましようか。ただ違反ばかりを取締つて、十分に配給するという方面の方に何もねらつていないのでありますか。私はその点を承りたい。
○國鹽政府委員 御質問の御趣旨はきわめてごもつともなことであると私どもも考えるのであります。ただ物資が足りないから統制が加えられておる関係上、配給物資そのものが各需要者の満足するだけの物がないことはもう当然でありまして、この点はおそらく皆様方も十分御了解の上でただいまの御質問であつたろうと思うのであります。すると結局政府が約束したところのものを、その通り国民に配給するかどうか、こういう点に今の問題があるのではないかと私は思うのであります。たとえば米で申しますならば、二合五升を配給するといつておるのに二合しか配給がないとか、あるいは欠配がある、遅配があるというところにやみ買いの問題が起る。そのやみ買いをいたずらに峻厳に取締るということであれば不法じやないか、こういうふうに私はただいまの御質問を理解するのであります。なるほど二合五升の約束をしました以上は、政府は当然それに対して責任と義務とをもつのであります。政府がその約束を十分に果しておるかどうかということにつきましても、この経済査察庁は監査をすることになつておるのであります。すなわち第一条の第二項第七号に「行政機関の行う経済法令に関する経済施策の実施に関する事務の監査に関する事項」というのがございますが、これはただいまの米の例について申しますならば、政府が二合五升を配給する約束をしておる、こういう方針に従つてそれぞれ米を供出していただいて、食糧公団を通じて配給をしておる。その配給が適正に行なわれているかいないか、もし欠配、遅配、あるいは量が少ないというような事実がある場合においては、どこに欠陥があるかということを調べまして、これが是正に関する施策を当該関係大臣、または関係役員の方に進言し、そうして是正していただく、こういう役目をするようになつておるのであります。しかしてその約束した量が十分に配給されておるにかかわらず、なおそれ以上——この量でも決して国民は満足するということはないかと思うのでありますが、それ以上やみ買いをするというようなことがあるならば、これは現下の統制経済を行わなければならぬ経済事情から照らしまして、決してそれを正しい行為というふうに考えるわけにはまいらないので、そういう部分に対しては抑制する方法を講ずる、しかしながら経済査察庁といたしましては、そういう個々の買出を取締るというようなこまかい問題は取扱わないのでありまして、もつと根本的な大きな問題——その米のやみに関しましてももつと大きな問題を取扱う、個々の問題につきましては、従来の警察が一般犯罪の範疇において適宜必要に応じて取締るというてとに大体なつているのであります。さよう御了解願いたいと思います。
○河合委員 ただいまの答弁で私は非常に満足いたしたのであります。今米を例におつしやいましたが、元来主食の方は遅配、欠配がありましても私はやむを得なと思つております。ところが生鮮食料品に至りましては年中遅配、欠配なのです。それも私から申せば当然なのです。なぜなれば同じ農林省の所管にいたしましても、主食の方、は食糧管理局でやつておりまして、生産の面から計画性が立つております。作付段別をきめまして供出をさせて米を貯蔵している、あるいは輸入した食糧をそれに加えて、不十分でありますけれども、二合五升なら二合五升配給しておる。ところが生鮮食料品に至りましては、生産の面には何らの計画性もないのであります。この節になりましてようやく肥料のリンクとかいうようなことをやつておりますけれども、あれによつではたして生産の計画性が立つかどうかということは、私はまだ疑問だろうと思つております。この配給取締りのいろいろの規則がきめられたのは昭和十六年と私は心得ておりますが、それ以来、今度肥料をリンクして生産は計画性をもたすいうことをこの度やりますまで、殊に戦時中生食が不在して、せめて菜つぱでも十分配給してやらなければならぬときに、何の計画性もなかつた。そうしてやむを得ませんから、消費者が買出しに行つたり、売りに来るのを買うと、それがいけないといつて押さえた、そんなむちやなことはないと思います。私はその点を、この法律ができましたならば、農林省の食品局のやつていることに間違いがあるならば、どしどしそれを衝いてもらつて、元来生産の方は自由経済のときのようにつくつてもよしつくらなくても構わないというのに、放つたらかしてただ消費の面だけをきちつと縛りつけて、そうして違反を処罰に処するというそんなめちやなことはない。私は特に配給という点に重点をおいてお尋ねしたので、私の意のあるところはそこなんです。、配給をやろうとするならば、生産に計画性がなくてはできないことは当然なんだ、ところが今までは生産の方には何の計画性もなかつたのであります。もしそういうことをねらつて、この法律が役人の間違いでも指摘して、積極的にただ違反を取締るというのは、これはネガチヴの取締りであつて、それよりも大事なのはポジチヴの面である。生産をして必要なだけ、十分でなくても八分通り九分通り配給するというが、元来統制経済の重要な点です。その点に触れていなかつた。もしこの法律が施行されまして、そういうことを厳格に取締つていただいて、配給の制度に欠陥があるならばそれを衝いて是正するというところまでやつていただくならば、これは非常に結構なことだと思つております。私はそういう意味で尋ねたのでありますが、第七号においてこのことがはつきり励行されまして、国民に迷惑がかからぬようにしていただければ、これだけでもこの法律はまこに私は結構だと思うのです。 私はまだその他につきましても詳細にわたつて、お尋ねをしたいと思つたのでありますけれども、本日はまだ準備をいたしてありません。ただこの法律の名称ですが、経済査察庁というと、語呂が悪くていいにくいのですが、何とか国民に言いやすいような名称にかえてもらえないでしようか。もしお考えがありましたらどうかれは改めていただきたいと思います。
○國鹽政府委員 ただいま御指摘になりました査察庁の査察という名称の点でありますが、これは私ども最も苦心をした点であります。なかなか適当な名前がないのであります。従来こういうことをする仕事の担当者あるいは担当課を経済保安課とか経済保安というような言葉を使つておつたのありますが、経済保安という言葉を使いますとききわめて警察的な色彩が多くなる。この役所は決して警察機関ではない、警察的方法で行政をするものではないという関係方面の注意もあり、またわれわれもそうあるべきだと考えまして、経済保安という名前をやめたのであります。そうすると経済取締という言葉もぐあいが悪い。しからば経済監視という言葉はどこか。これはきわめて冷厳な感じを与える。何かじろじろ横目でながめるような感じを与えて適切でない。現在安定本部の監査局に査察官という名称の官吏がおりまして、政府の行政の監査をしておるのでありますが、この査察という名前が感じがいいではないかということで、最後に査察という名前におちついたわけであります。その間経済統制励行庁というような名前も一時出たこともありますが、いずれもぴつたりこないというようなことで、この名前になつておるのでありまして、皆様方でいいお知恵が借りられれば私ども喜んで御修正に応ずるつもりであいます。どうかよろしくお考え願いたいと思います。
○河合委員 先ほど政府委員の答弁を聴きまして私は文字についてなおさらその感を深くするのでありますが、察という字は検察庁もかいう察と通ずる。査は検査というようなどうも冷ややかなこわいような感じが与えられる。ところが私は先ほど承りましたこの第七号の中に、もし配給が十分に行われなければどこにその欠点があるか、どこに間違いがあつて遅配欠配が続くのであるかということを調査し、積極的な部面に働くということになれば、なおさらこの法律の名を聞いても、これから遅配欠配もなくなると喜ぶ感じをもつような名称がいいと思うのであります。国民に主食ならば二合五升、蔬菜なちば十五匁でも二十匁でも結構です。それがきめられただげ配給されるという方に法律が働きかけるということならば、これほど国民に歓迎される法律はないと思う。そういう感じをもたせるためには査察という言葉はいけないと思う。今の答弁を聴きましてなおら私はその感を深くするのであります。
○松原委員長 委員長から申しますが、河合君の御質問は非常に重大な意味のあるこの法案を積極的に生かす意味があると思うのですから、この点につきましは政府の方で十二分に御考慮いただきたい。配給を積極的に国民が安心するようにさせる任務をこの法律においてもつという点においては、今河合君の力説せられた点に私どもまつたく賛成であります。そういう意味におきまして、政府においても十二分に御考慮願いたいし、なお名称の問題もこれでは消極的だということも委員長同感であります。どうかひとつお考え願いたい。
○木村(榮)委員 私は一般的なことについて政府に御質問したい。この法律案を簡単に読んでみると、大体機構の問題が主になつておると思う。最初に第一条の中に各号にわたりで目的とかいろいろなものが書いてございますが、これはきわめて抽象的なものであつて、その後のたくさんの条項は大部分が機構の問題だと思う。そこで私は大体四つの点についてお尋ねしてみたいと思う。第一はこれを見ますと、あたかも警察の補助機関のような点が多分にあると思う。たとえば現行犯人としての逮捕の権利を査察官に与えるということがございますが、これでは小やみが捕まつて、今まで警察がやつておつたような小やみ取締りが強化されて、一般に現在の生活状態を考えますと、国民の大部分が恐怖的な政治におびえる結果になる形勢が多分にあると思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになつておるか。従つて全国五千人の経済査察官というものが、名前は査察官でありますが、今までのような経済警察官と申しますか、経済についてのスパイ組織、刑事的組織が強化されましても、こういうことだけでは現在の経済不安が少くなつて経済が正しく回転するという方向へ向かないと思う。それから大やみを捕捉する手段といたしましては大体二十一条だつたと思いますが、簡単にその筋が書いてございますけれども、この条項を見ると、大やみを捕えるためにはその手続が煩瑣で裁判所あるいは警察となかなか段階があつて、簡単には捜査並びにその他の手続ができないことになると思う。こういう仕組では今までの経済警察なんかがやつてきた実際の状態を見ると、現在の経済保安の状態というものが大体大やみ業者、それを取巻く高級官僚といつたふうなものが中央地方を問わずある。最近の状況はよくそれを物語つておると思う。そういつたものを根本的に捕捉しなかつたならば経済が正しく運行されないということはあたりまえのことで、この法律案によつてはそういつたものを強力に捕捉することはできない。従つてこの法律案でいけば大やみ業者は依然として高級官僚と結託して悪いことができるような面か残されておる。そういう点では大やみ業者を捕捉するところの具体的な方法といつたものが考慮されなければならぬと思う。そういうものがないと思うが、そういう点でどんなふうにお考えになつておるか。そこで問題があるのは民間のいろいろな協力というか、民間のいろいろな民主的な団体あるいは調査機関といつたふうなものと協力をいたしまして、うまくやみの根源その他の問題を捕捉していろいろさつき問題となつた配給の問題にいたしましても、遅配欠配といつたような責任がどこにあるか。その原因も調査しなければならないということが起つてまいります。そういつた場合には民間の団体その他のものと強力に連絡をとつてやる方法が特に必要ではないかと思うが、そういう点は一つもこの法律案の中には明文化されていないと思うのです。もしこの法律を施行するならばそういうことを明文化する必要があると思うのですが、その点をお考えになつたことがあるかないか。大体この四つの点について大ざつぱに御質問してみたいと思う。
○國鹽政府委員 最初の現行犯の逮捕に関する規定でありますが、これは一般私人といえども刑事訴訟法によつて現行犯は逮捕できるということになつております。従つて経済査察官でありましても、一般私人と同一資格においては現行犯が逮捕できるということに刑事訴訟法上当然なるのでありますが、その場合において、経済警察たる身分を有するがゆえに、それに対して一般私人とは異なつた手続をとらせまして、そしてその間若干の取調べもでき、検事に引渡す場合にはどういうふうにするかということをきめたのが現行犯の逮捕に関する規定でありまして、特別に現行犯逮捕の権限を経済査察官に与えたのではないのであります。また現行犯を逮捕するというような場合には、経済査察官といたしましてはきわめて例外に属することで、大体その取締りの対象としますのは大口なやみ取引を相手とする。われわれといたしましては、むしろやみの根源になるような事項、たとえば政府の配給さるべき物資が横流れになる。戦災者に配給すると称してある物資の割当を受けながら、それを大量に横流しをした。そういうようなやみの元になるようなところに主として力を入れたいと考えておるのであります。そういう事件を取調べる場合に、なかなかその行為をその場で行つておつたというようなことがありますれば、それを逮捕する。そして取調べの端緒にするという必要からこの規定がおかれておるのであります。その辺の街頭にやみ市場がたくさんありますが、そういうやみ市場の現行犯を逮捕するというようなことは、経済査察官の任務とするところではないのであります。 第二に、経済警察と同じような感じを与える規定がたくさんある、もしそうなればこの新しい機関は従来の経済警察の復活であつて、大した意味はないのじやないか。こういうような意味の御質問であつたように思うのでありますが、経済査察官の権限ということに関しましては、最も慎重なる検討が加えられたのであります。先ほど申し上げましたように、経済査察官は決して司法警察官ではないのであります。またその調査の方法も行政的方法を行う普通の行政官と同じような方法で調査を進める。税務署の官吏が税について調査をする。あるいは建築関係の官吏が建築の無断設立というようなものについて調査をするのでありますが、それと同様な方法で調査をする。決して実力行為を背景とするところの警察的方法でやるのではないのであります。そういう性格をもつておるのであります。従いまして、逮捕したり臨検検査をするということはなるべく避けまして、そういう方法によらないで調査をするという建前で進むのでありますが、やむを得ない場合においては判事の令状をもつて逮捕ができる。大体の捜査はできたが、最後の核心をつかむために、いよいよ本人の陳述を聴かなければならぬために、逮捕を必要とするという場合において逮捕をするというのであります。その逮捕をする場合の実力行動、すなわち身体に拘束を加えるという行動は経済査察官はできない。令状をもちましてもその仕事は同行した警察官によつてやつてもらう。こういうことになつておるのでありまして、そういう点におきまして警察とは非常に性格が違うという点を十分御了解願いたいのであります。 第三は、大きなやみの取締りをするのにこの規定では不便ではないか、これではかえつて大やみを助長するようなことになるのではないか、こういう趣旨の御質問でありますが、これはただいま申し上げましたように、経済審察官に警察官的性格をもたせないようにするために、逮捕したり捜査臨検するというような場合の制限が加えられておるのであります。実力的な行為はすべて警察官によつてやつてもらう、それ以外の身体、財産に実力強制を加えないところの捜査は経済査察官がやれる、こういうことになつておるだけでありまして、それがために大きな違反事件がその取調を阻害される、調査を妨害されるということはないように私どもは考えます。慎重な計画的な方法でやりますれば、必ずその捜査は結果をあげると思つておるのであります。また経済査察庁の目的とする一般違反事件の取締りの対象は大きな違反事件でありまして、個々の小さな違反事件は取締をしないという趣旨であります。従いまして、ただいまの御質問の点に関しましては、以上の説明で御了解願えるのではないかと存じます。 最後に民間関係業者あるいはその団体との連絡に関する御質問であります。それに関する規定が本法にはないではないかという御趣旨でありまするが、この規定は経済査察庁それ自体の行動を規制しておるのでありまして、それに関しては関係経済官庁方面との連絡に関する委員会と申しますか、協議会と申しますか、そういう規定はあるのでございますが、民間すなわち大体対象となる業者との連絡ということに関しましては、規定は設けなかつたのであります。しかしながら、実際活動の面におきまして、連絡をとる必票が各方面にあるということは私どもも考えておるのであります。従来の経済警察におきましても、その種の連絡機関というものは設けておりましたが、今後もこの規定にはなくとも運用によつて、さような連絡協議会と申しますか、一種の協議連絡機関、意思疏通機関、殊にそれが予防的な面において必要を痛感いたしまするので、さようなものの設立は考慮いたしておりますが、以上申し上げましたような趣旨で法律には規定しなかつたのであります。さよう御了解を願いたいと思います。
○木村(榮)委員 ただいまの御説明で大体わかりましたが、そこで問題になるのは、全国五千人の経済査察官という問題になつてくると思うのです。ただいまの御説明によれば、この経済査察官というものの任務は非常に重大であつて、しかも相当常識も発達しておれば、一般の経済的な問題もよく理解できるような能力のある者でないといけない。経済査察官が非常に能力のない者だと、この法文の中にある現行犯の逮捕云々をたてにとつて刑法上の行為をやる危険性があると思う。そこでむろん国家公務員法によつて採用されることになるかと思いますし、それが五千人以内になつていると思いましたが、一県平均でいけば百人ぐらいの査察官、大都市はもつと多くなるでしようが何しろ相当の人数なんですが、この待遇問題、あるいはこうした査察官になるような資格といつたようなことに、特別な御考慮が払われておるかどうかということをお尋ねしてみたいと思います。
○國鹽政府委員 ただいまの御質問で御指摘になりました通り、この経済査察官の職務はきわめて重大でありまして、いろいろの知識経験を必要とするのであります。従つて従来の一般経済警察官に要求された以上の学識なり経験なり素養を必要とするのであります。任用資格等につきましてもさような点を考えまして、私どもの手もとにおいてただいま任用資格規定を準備しておりますが、相当経済方面に知識なり経験なりがあつてある程度の年限それに従事したことを要求するというふうにきめております。従つて待遇はそれに相答したものでなければその人は得られない。五千名の人間をただいま各方面から採用するということになりましたけれども、五千名というと少いようでありますが、またある見方をすれば非常に多い。これを有能な人材ですべて充員するということは容易ならざることであります。殊に一般官吏の綱紀が堕落腐敗しておるという非難がある今日におきまして、経済査察官がさような非難を招くようなことになれば、せつかくこの機関を設けましても何らの効果を発揮しない、むしろ設けない方がよろしい。これだけのものを設けることは、それだけ国費をむだにすることになるという点を考えまして、職務の代償として受ける俸給だけで十分に生活ができる、何ら迷惑を他人に及ぼさずして生活ができるという報酬をわれわれは考えまして各方面と折衝をいたしたのであります。この点につきましては理論として御了解をいただいたのでありますが、実際上財政上の問題になりますと、そこに幾多の困難が伴いまして、現在までの話合いでは当初は一般警察官その他役人の約二倍くらいの報酬を考えたのでありますが、結局最後に約平均三割の増加報酬を出すということに話がまとまつて、現在の予算はその方針でまいつております。しかしながら最近また承りますと、国家公務員法の実施に関連いたしまして職階制に基くところの俸給制度が関係方面で審議されておるのであります。それによりますとまたいろいろの役人が一般官吏とは違つた高い俸給をもらうような計画があるようであります。そういたしますと、それとのバテンスにおいてさらにこの三割を再検討する必要が起るのではないかと思つておるのでありますが、現在までの情勢は一般官吏より約三割の増加俸給を出すということになつておるので、きわめて十分とは考えておりませんが、現在の情勢においてはまずこの程度から進んでいく以外にはやむを得ないのではないか、かように考えましてその程度で了承いたした次第であります。
○木村(榮)委員 これは私の個人的な希望なんですが、待遇はうんとよくしてやる。その代りに職務の上において経済問題なんかに対しての収賄あるいはその他の不正行為があつた場合にはきめて処罰をやる。今までの例を見ますと、経済警察あたりでも悪いことをやつた警官でもただ単に免職、場合に、よつては依願免官といつたようなことで、今度はやみの手先に転向して御用となつておるといつたようなことが多い。従つてそういつた中にはいつていくと金もうけのこともよくわかる。官吏をやめて罰金の少々を出しても金もうけをやつた方がいいということになつてくると思う。そこで待遇をよくしなければならぬことはむろんでありますが、そういつた違反行為に対しては相当な厳罰を科すということの内務規程と申しますか、内規規程が設けられた方が最も効果的である、かように思います。これは希望ですから答弁はしていただかなくて結構です。
○松原委員長 ほかに御質問ありませんか。
○河合委員 ただいま木村委員のお説を聴きまして、私は思い当ることがあるのですが、最近農村に所得税の更正決定が行われまして、全国各地の農村は非常に大騒ぎをやつております。私の最近知つた一つの例があるのですが、これは大阪府下で行われておるのです。ある村では一つの部落民が寄りまして、税務署の役人をごちそうするためとその人に贈物するために十萬円の金を部落長が集めた。それをもう使つてしまつた。それで問題を起しておるところがある。これは大阪府のその村だけではないと思う。各地にこれがある。料理屋に連れていつて税務官吏にごちそうする、こういうことが全国的に行われておるようですが、今の木村さんの心配するところもそこにあると思うのです。その点は役所が発足するときから十分厳格に、そういうことがないように御注意願いたいと思うのであります。私は昨日もこの委員会で行政組織法のことで申し述べたのでありますが、行政整理ということにすべての国民がこれを望んでおります。それで機構だけの整理ではいけないということを私は申し述べたのであります。その一例に東京へ参りまして、役所へ私たちが伺いますと、朝仕事を始められるのは十時、昼まで二時間、それから昼からは一時から四時までの三時間、一日五時間、農村は本年度におきましては食糧一割増産ということをやかましくいわれておるのでありますが、こういう日本の現状はこのたび経済白書が公にされましてどういう状態にあるということがあれにはつきり掲げてありますが、これはなみ大抵のことではないのです。農民の食糧の一割増産は、これはやらなければならぬ。その代りに役所の役人も一割ぐらいよけい働いてもらいたいのです。五時間働いておるのを少くとも六時間くらい働いてもらつても私は非難は起らぬと思う。私は労働省が初めてできますときにもこのことを申したかつたのですけれども、げすの知恵はあとからでそのときはさよう申さぬ。こういうふうに役所が初めてできますときはよく考えまして、日本の再建をやるというときに一日五時間くらい働いてそれができるでありましようか。東京にあります役所のすべてがそうとは申しませんけれども、大体そうなのです。五時間くらいしか働いておりません。それでよろしいでありまし上うか。この役所が発足するにあたりまして、その点も承つておきたい。八時間まで働けとは申しません。せめて六時間くらい働かなければいけません。今日は五時間くらいしか働いておりません。それでよろしいでしようか、その点を承つておきたいと思います。
○田中(己)政府委員 ただいまの御発言はまことにごもつともの次第でございまして、私といたしましては、この経済査察庁の発足にあたりましては、仰せの点を十分注意いたしまして、信賞必罰という線で厳重に監督してまいりたいと存じておる次第でございます。なお勤務ぶりにつきましても非常に適切なお話でございまして、われわれ十分に今後この点につきましても注意いたして執務いたしてまいりたいと存じております。どうぞ御了承をお願いいたします。
○松原委員長 ほかに御質問ございませんか。——それでは委員長から一つお尋ねしますが、第一条第二項第七号の「行政機関の行う経済法令に関する経済施策の実施に関する事務の、監査に関する事項」、たいへんややこしい文章で、「関する」が三つあるんですが、こういうふうな書き方にしなければならないものでしようか。この点について御所見いかがですか。
○山口説明員 実はこれは従来の安定本部の監査局におきまして行われておりました経済行政の監査の事項に該当するのでありますが、経済安定本部におきまして監査局のやつておる所掌事務というものは、安定本部令の第一条に書いてあるのでございます。大体その趣旨を申しますと、安定水本部の企画立案する経済再建施策の基本に関する行政事務の実施の監査、こういうような長い文句で書いてあるのでござ心ます。従つてこの査察庁法の第一条第二項第七号の書き方とはちよつと違つておるのでありまして、その理由は、安定本部令によりますと、物資の生産配給消費、物価だけに限らず、たとえば労務も、貿易も、金融も、あるいは建設もというように、経済一般に関するのであります。ところがこの査察庁法によりますと、第一条第二項の冒頭に書いてあります通り、物資の生産、配給及び消費、物価というように、その範囲が相当狭められておるのであります。これにつきましては経済査察庁が経済統制の励行に関する事務をを行うといたしましても、経済全般についてかような事務を行うということになりますと、定員の関係その他から申して力が分散いたしまして、かえつてその効果があがらないのではないか、むしろその力を重点的に集約いたしまして効果をあげようということで、かようにその範囲が狭められたのであります。従つてこの範囲内におきまして行政監査を行うということになりますと、現在安定本部の監査局でやつております行政監査と、それから査察庁のもとにおいて行う行政監査とでは若干その範囲が違つてくるのであります。そういたしますと、この行政監査に関する事務をどういうような文字によつてその所掌事務を表わすかと申しますと、どうしてもこの第七号のような、ちよつと不手際な方式によらなければならないことになるのであります。と申しますのは、これ一々分解して申し上げますと、ここに「行政機関」というのがございますが、この「行政機関」というのは立法機関あるいは司法機関に封対する言葉でありましてどうしてもこの「行政機関」という言葉は必要になつてくるのであります。さらに「経済法令に関する」というのがございますが、この経済法令と申しますのは第一条第二項の第三号に「経済法令(別表第一に掲げる法令及び政令で指定される法令並びに当該法令に基き発せられた命令をいう。以下同じ。)」となつておりまして、その別表をごらんになるとおわかりになります通り、臨時物資需給調整法とか、食糧管理法とかいうような、経済統制法令のうち、特に重要なものだけを九つあげてあるのであります。物資の生産、配給、消費並び物価に関する統制経済と申しましても、実はもつともつと範囲が広いのでありますが、この九つの重要法令だけに範囲を限定いたしまして、先ほど申しました重点的な励行の運営をやろうという考えなのでありまして、この点からも新掌事務の範囲が制約されておるのであります。そういたしますとこの「経済法令に関する」という言葉も欠くことを得ないのであります。さらに「経済施策の実施に関する」と、「経済施策の実施」という言葉がありますが、この行政監査は商工省とかあるいは農林省とか、そういうような経済関係官庁の施策を監査しようという趣旨なのでありまして、行政機関の中にも検察庁とかあるいは警察というのも行政機関には相違ないのでありますが、検察庁あるいは警察の仕事の監査というのはさしあたりごの第七号では目的としていないのでありまして、その方面に関する監査と申すと語弊がございますけれども、監査的な仕事をしようというのはまた他の条文が設けてあるのでありまして、ここの監査の対象にははいつておらないのであります。そういたしますとどうしても「経済施策の実施」という言葉を入れませんと、警察や検察庁のやる取締り事務というものまでも監査の対象にはいつてくることになりまして、ここに「経済施策の実施という言葉を入れて初めて農林省とか商工省とかいうような、経済行政の施策を監査するのだということが現われてくるのでありますから、この言葉もどうしても欠くことを得ないのであります。かように一つ一つただいまご説明申し上げました通り、こちらで目的といたしまする行政監査の事務を表わすには、非常に不手際と御指摘を受けた通りなのでありますが、どうしてもこれだけの言葉を使いませんとこちらの意味が出ない。さような意味合からかような言葉を使つたのでありまして、この点は御了解をお願いしたいと思うのであります。
○松原委員長 いま一つお伺いいたしますが、さつき河合委員から質問せられましたように、配給の実績があがらないところからかような法律も行われなければならないことになるのでありますが、配給の実積があがつておるかどうかをば、個人の配給を受ける面について調査するといつたようなことも、この法令のの範囲内に含まれておるのでしようか。この点政府委員のお考えを承りたい。
○國鹽政府委員 国務一般の政府の施策の実施の結果についての調査をする場合はどうかという点でありますが、政府の施策が適切に行われておるかどうかということを確めるためには、どうしてもやはりその結果を国民各戸の家庭なり工場なりについて、その事実を確かめる必要が生ずるのであります。但しその場合におきましてこれを権力行動として行われるのではなくて、相手方の承認を得て同意のもとにその事実があるかどうかを見る。従つてもしその場合におきまして違反事実がそれに付随して発見されるというようなことがありましても、それはその目的としておるのではないのであります。おおむねさような場合は従来の取扱いにおきましても注意をする程度で不問に付する。要するに政府の施策がはたして適切に行われておるかどうかという証拠を集めるだけの調査をする。それも同意のもとに行わせる。こういう建前になつております。
○松原委員長 委員長のお尋ねしようとしたのは、「経済施策の実施に関する事務の監査」とありますが、単なる事務上の監査でなくて——事務上の監査は帳簿等によればわかるのですけれども、はたしてそれが行なわておるかという実績を受配給者について調べて、その点から責任ある行政官庁に向つてこれを警告し、これを遂行せしむるというところまで、この査察庁は手を延ばすかどうかということをお尋ねしたかつたのです。
○國鹽政府委員 ただいまの委員長のお尋ねの通り、単なる帳簿検査をするとかという問題ではなくて、生鮮食糧品の配給について言うならば、政府の計画通りそれが行われておるかどうかということを見るのであります。そうしてその通り行われておらないとすれば、どこにその欠陥があるか、政策の立案そのものがきわめて杜撰であつたかどうか、政策の立案はよかつたけれども、その実施について官吏が怠けておつたか、あるいは途中民間業者の方に非常な欠陥があつたか。その欠陥が明らかになりますれば、それをいかにして是正するかということを関係方面と協議の上で意見をきめまして、そうして当該関係庁にそれを直してもらう。その直してもらつた結果改善されたかどうかを見届けるまでの仕事をするというのがこの第七の目的とするところであります。従つてただいま委員長の御指摘の通りのことをやろうというわけであります。
○松原委員長 よくわかりました。御趣旨はよくわかりましたが、それほど親切に政府の責任をも監査して、そうしてこれを果させるように積極的に働きかけようということであるならば、先刻河合委員が、言われたように、この法令が出たことを喜んで、国民が、いやこれで助かつたという気持を端的に現わすような文字の表現がほしいと私は思う。こういう難解の文字を七号に使つてもどうもこれはわからない。われわれにわからぬのだから国民全般にはなおさらわからぬ。配給の実績が上らなかつたならば、これは政府の責任当路者の責任だから、それをもこの法律によつてどこまでも正していつて国民の受ける権利をば護る。積極的にこれをば行わせるという気持が、今の御説明にはあるけれども、七号にはそういうものが現われておらぬと思う。私は先刻河合委員の質問が非常に重大な、この案の死活に関する問題だと考えましたのはその点であります。役人一流のぎごちない文句で表現してあつて、御説明を聴いて、ははあ、そうかといつたようなことじやどうも安心がいかない。かうよな点につきましてはなおわれわれも審議しますが、どうぞ今後もつと親切に扱つていただきたいという希望を申しておきます。
○冨田委員 昨日この経済査察庁の法案について御説明を拝聴したのでありますが、私のお尋ね申し上げたいと思いますのは、この経済査察庁ができなければならない周辺の事情を拝聴くいたしまして、まことにごもつともな点があると思います。しかし根本的な問題としてお尋ね申し上げたいことは、この膨大な五千人という官吏を擁して経済査察をやるという政府の意図は、ますます経済統制を強化していく意図のもとにつくられたものであるか。それとも総理大臣以下最近はむだな統制は発していくつもりだといようなことを新聞紙上で散見いたしますが、統制をあくまで強化する方針のもとにあるか、あいはまた総理大臣の言われるように、むだな統制を発していくという方針のもとに進んでおられるか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○國鹽政府委員 経済査察庁を設けることと統制を強化するかどうかというとは別問題であると私どもは考えておるのであります。政府におきましては必要なる統制は行う。それ以外の必要のないものは逐次これを発するというとを言明しておられるのでありますが、その必要なる残されたる統制というものは、確実にこれを励行するということでなければならないのであります。必要なる最少限度の統制はどうしても必要であるから残すのでありますから、統制が行われなければ意味がないのであります。それを行わせようというところに目的があるのであります。さよう御了解を願いたいと思います。
○冨田委員 必要な限度における統制を確実に行つていくという御趣旨はよくわかりました。そうすると今まで経済安定本部の監査局でやつておられたと思いますが、経済安定本部の監査局たけでやつたのではどうしても力が足らないという事実はどういう点でございましようか。
○國鹽政府委員 従来経済安定本部の監査局で行つておりました事務は、第一条第二項第七号の先ほど問題になりました「行政機関の行う経済法令に関する経済施策の実施に関する事務の監査に関する事項」行政機関の行うところの経済行政の監査を行うということでありまして民間関係業者あるいは国民一般の経済統制法令励行に関する仕事は、直接相当しておらなかつた。その根本に関する事務につきましては計画の立案はやつたのでありますが、それは警察と検察庁とがとれを実行しておつたのであります。しかしながら昨日の大臣の御説明にもありましたように警察制度が改正になりまして、国家地方警察と自治体警察とに分割されまして、そうして従来経済警察官が一萬五千人ほど配置されておつたのでありますが、これが廃止になつたのであります。経済犯罪そのものは一般犯罪の窃盗、強盗と同列において警察は取締りをするけれども経済警察官が従来やつておつたように経済問題の取締りをするものがなくなつた。同時に全国統一してこれを行うことができなくなつたのであります。各独立の自治体警察ができました関係上、一斉に野菜の取締りをすると、あるいは一斉に輸送関係の取締りをするとかいうようなことができない。また自治体それぞれの長の見解に従つて取締りをする関係上、あるいは必要なる取締りが、そのときに行われないということもあるであろう。それをひとつ確保するために、別の機関が必要になるというので、経済査察庁というものができることになつたのであります。すなわち相当広範囲の一萬互選の経済警官が担当しておつたような別の仕事をやらなくてはならぬ。そういう関係で人数を大いに殖やしたということになつたのであります。
○冨田委員 経済警察がなくなつたために非常な手不足を来すということはよくわかりました。それからまた、別に大きな仕事があるという点もわかりましたが、きのうの説明を拝聴いたしますと、経済査察庁は特に重大な違反事件についてこれを調査するのである。といいますと、先ほど御質問がありまして、いわゆる末端における配給がはたして確実に行われておるかどうかといつたようなこまかいところまでおやりになる、こういうお話も承りました。そうすると、経済警察はなくなつた。だれがその末端までおやりになるか。五千人といえば非常に多い数でありますけれども、全国の配給の末端に至るまでの調査を、この経済査察庁の査察官がおやりになりますか。それともやはり現在の警察官を、経済警察という名称を用いませんでも、その手をお使いになりますか。この点をお伺いしたいと思います。
○國鹽政府委員 行政監査の場合における末端の調査は、必要な箇所を抽出いたしましてやるのでありまして、全部をやるということではないのであります。またその一つの事実を調べるだけでありますから、それで類推できま’すので、全部やる必要も認めないというので、五千名で十分カバーできる。一般の違反の数に非常に多いわけでありますが、それを五千名でカバーできるかどうかということになりますと、それは五千名ではカバーできない。しかしながら小さい経済違反事件につきましては、これは警察が従来通り犯罪という見地から取締りができるということになつておるので、その方面と十分連絡をとつて、警察にやつていただくように経済査察庁の方でやる。しかし大きい事件はみずからやる。こういうことになると思います。
○冨田委員 ただいまの説明でよくわかりましたが、大きな違反事件を取扱う。そうしてこの大きな仕事の中に特にあげられてあります、たとえば隠退蔵物資の調査及び供出の促進に関する事項、こういつた大きなものがございます。これは一方国会におきましても、隠退蔵物資に関する特別の委員会がすでに開かれた。最近は不当財産取引に関する特別の委員会が開かれる。そういつた面における、国会でやつております特別委員会と、この経済査察庁との連絡はどのようになさるおつもりでございましようか。
○國鹽政府委員 ただいま国会で行われております不当財産取引調査委員会とこの査察庁との関係についての御質問でありますが、直接の関係はないのであります。片方は立法機関の独自の権限に基きまする御調査であり、経済査察庁は行政を担当するものであります。しかしながら御要求がありますれば、資料の提供なり、あるいは調査の実施の担当なりということは、当然いたすことになると思いますが、直接関係はない、こういうふうに御了承願いたいと思います。
○冨田委員 この経済査察庁ができました場合には、いわゆる経済安定本部にありました監査局というものは廃止になりましようか。
○國鹽政府委員 監査局は廃止になりまして、経済査察庁に統合されるのであります。そうしてその人間も合わせて五千人になるのであります。
○冨田委員 この経済査察庁の設置は六月一日ということになつておりますので、従つて六月の暫定予算には経費を計上なさつておるはずであります。そうしてただいまのお話の安定本部における監査局廃止、こういうことになりますから、この六月の暫定予算に現われました経済査察庁の予算は、大略どのくらい計上なさつており、そうしてまたこれによつて廃止になりました方の費用がどのくらい削減になり、差引どのくらいの経費が計上されておりましようか。
○國鹽政府委員 経済査察庁の六月分の暫定予算額は八千四百五十五萬円であります。監査局の一月分の予算は、ただいま正確なる数字が出ませんので、覆刻またお調べいたしまして御報告いたしたいと存じますが、一箇月約五百萬円であります。従いましてその差引七千九百萬円くらいが増ということになるのでありますが、これは臨時費が非常にかかるのであります。建物の借上費、いす、テーブル、自動車というようなものが非常に殖えるので、当初は非常に額が殖えるのでありますが、毎月これだけの経費が要るというわけではないのであります。
○冨田委員 大体今度の経済査察庁の設置の趣旨にもありますように、これは任務の範囲は非常に広汎でもあるし、また組織が相当に大きくなる。それがために経済安定本部にこれを包摂すると、あまりにも経済安定本部が膨大な組織になるから、それでこれは別に一つの庁を設けてやるのだ。こういう御趣旨の説明があつたのでありますが、しかし今度でき上りました時分に、経済査察庁の長官と経済安定本部の長官とは、どうも事務の連絡がまずいから、一人で兼ねる、こういうことになりますと、結局経済査察庁というものは、経済安定本部をただふくらまして広大したという結果になる。そうしてそれは六月の暫定予算がただいまお話のありましたように暫定予算がただいまお話のありましたように八千四百萬円としましても、むろん設備のために臨時費はかかる。大ざつぱにつかんで約十億円金はかかるわけです。約一十億の予算をもち、五千人の官吏をつくる。こういうことが現実の日本の行政機構改革の重大な時期に当面してはたして正しいものであるかどうか。一方において先日お配りを願いました臨時行政機構改革審議会の方の中間報告の中にもうたつてありますように、最近の情勢において所掌事務の量の減少した部局はもちろん、その他の部局においても不用不急事務を極力整理し、機構の縮小をはかるというようなこと、あるいは過度に複雑または膨大な機構を有する部局については、その所掌事務の整理に伴いその規模をできる限り簡素合理化するといつたようなことをあげられておるのであります。この面から考えまして、今統制を強化するという点については先刻の御説明でよく了承いたしましたが、いま一度考え直していただきたい。こうしたものを一学につくり上げる、それでなくてさえ国家財政の面において非常に困つておりますときに、このよなものをつくるよりも、今までやつておられた経済安定本部の監査局をいま少し広大強化して所期の目的が達成するうにお考え直しができないものか。何が何でも経済安定本部の監査局を発してしまつて、新しい官庁をつくらなけれげならないかどうか。これはただいま予算の面についてお話になりましたように、地方に官庁ができると、建物が要る、椅子が要る、テーブルが要る。それに伴つて五千人の人間が家族を率いて各地に赴任していかなければならない。輸送の困難な時代、食糧の困難なとき、こういうことをはたしてやるべき時期に到来しているかどうか。この点について一応お考えの上で御提案になつたかどうか、その点をお伺いいたします。
○國鹽政府委員 新しい官庁をこういう時節におきまして設立し、そうして増員をするということに関し、慎重なる考慮が払われなければならないというお考えに関しまして、われわれもきわめて同感であります。しかしながら経済統制励行の任務が現在におきましても非常に重要であるという点に思いをいたしまするとき、現在の機構、制度をもちましては、いかに努力いたしましても十分に行えないということも、われわれが各方面と折衝いたしました結果得た結論であります。安定本部の監査局の機構を広充すると申しましても、安定本部の監査局は、従来の仕事が、先ほど申しましたように、行政監査の仕事だけで、国民の経済統制励行の面には直接関与しておらない。それを直接関与するということになりますると、やはり相当の人数を増員しなければならないのであります。警察解体に伴いまして、これは人的の面から言いまするならば、やむを得ない一つのむだとも考えられるのであります。幾多の機構に分割されますと、いきおいそこによけいな人間が必要になつてくるということは、きわめて遺憾なことでありますが、さような事実であります。私どもも従来通り警察がこの仕事を取扱つてくれておるならば、従来の通りの組織でありましたならばう何らこういう機構を設ける必要はなかつたわけで、警察制度の改革というところから、やむを得ずかようなものをつくらなければならないということになつたのであります。その点ひとつ御了解願いたいと思います。
○冨田委員 もともと経済の法則を法律の力で無理押しをしようとするところにいろいろな統制経済の困難もあるわけでありますが、根を洗つてしまえばこうした違反事項の起るもとは、だれも喜んで違反を起すのではない、面白半分に違反をしておるのではない。いわゆる経済違反と申しましても、これは物を盗むとか、火をつけるといつたような刑事的な犯罪意思をもつてやつておるのではない。むしろ自分みぞからが食わんがためであり、生きたためである。この現実の生活の中からにじみ出してくるところのやむにやまれぬ犯罪が非常に多い。もちろん悪質のものもございましよう。すでに過去において警察が経済事犯に対して手を入れたときに失敗があつた。これは法律の世界があまりにも経済の世界に深入りをし過ぎたところに大きな欠陥があつた。これから先はいわゆる政治論になりますからいくら申し上げてもむだでありますけれども、むしろ経済事犯のよつて起つてくる根本を一日も早くなくすることが結局こうした煩瑣な手数をかけないで済むことになる。その手を打たずして、ただ権力をもつて徹底的に取締るといつた一つの権力国家的なものの考え方は、あまりにも時代錯誤であり、あまりにも幼稚きわまるものの考え方だと思う。口先だけで民主化と言い、あるいは主権在民と言つても何ものでもない。結局官僚の手によつて、いざとなつたら縛るぞ、罰金をとるぞというこの恐怖心が全国民の背中におおいかぶさつております。たとえば税務署の税金のことでも、官庁の方からいえば大体活字で小さく書いた最後の一行がどれだけ善良な民衆の身に針のごとく刺さつておるか、くぎのごとく刺きつておるか。この痛手はやはり確実に税金を納められないところを無理をして納めておる人の気持になつてみなければわからない。一升の米をやみ買いするという違反でも、これをもつてもうけようとか、不当の利益を得ようという気持ではなくして、やむにやまれない経済的な事情から食わんがためにする犯罪も相当ある。それゆえにもつと根本を突きとめて、こうした事犯を一日も早く少くする。そのためには一つの査察庁をつくつて大勢の役人をつくつてその負担をまた国民にかぶせて、ここに十億の金が要る。去年などは小学校の子供が学ぶのに、まどにガラスがない、机がないというのに、六億三千萬円の予算さえも文部大臣が泣いても泣いてもとれなかつた。とうとう二十三年にもと越してようやくあの予算をおとりになつた。さてふたを開けてみたらことしの予算もとれそうもない。現実に小さな子供が教育を受ける場所を失つておる。これだけのことを考えてみると、なかなか十億という金はそう少い金ではない。しかもそれはたれが出すか、すべての裏づけは国民の勤労の力である。すべての人の汗と膏の力である。日本銀行の中に金貨があつて保護してくれるのでもなんでもない。それを考えたらこういう膨大な官庁をつくつて屋上屋を架する考え方をあつさり捨てて、もつと端的に根本に向つてメスを揮うべきときではないが、私はこう考えます。もちろんこれは政治上の意見でありますからこれ以上申し上げませんけれども、よくその点をお考えくださつて、たとえばこういう経済察査庁というものができるといたしましても、そうした気持でこれを運営していかれるよう私は望んでやまないものであります。
○竹谷委員 第六条に「中央経済査察庁及び関係各庁の間の連絡調整を図るため、中央経済査察庁に、中央経済査察委員会を置く。」という条文がありますが、従来こういう関係各庁間の連絡ではなくて、広く民間の民主的な隠退蔵物資なりあるいは経済統制なりに関する意見を聴くための諮問機関ですか、議決機関ですか、そこまで詳しく存じせんが、そういうような委員会があつたように記憶しておりますが、それはどういうことになりますか。
○國鹽政府委員 この第六条の中央経済査察委員会と申しますのは協議会でありまして、統制経済に関係ある官庁の間の統制励行に関する統一連絡をはかるための組織であります。従来経済安定本部の監察局関係の仕事に関係してありました委員会は物資活用委員会でありまして、これは隠匿物資の調査摘発に関する仕事について、大臣の諮問に答え、協力していただくという機関なのであります。この委員会は新しい経済査察庁ができましても、引続き経済査察庁に置かれることになるのでありますが、それはどこまでも隠匿物資の摘発、活用、あるいはその予防ということを任務とするのであります。経済統制の励行、あるいは統制監査の方に関与する委員会では性格上ないのであります。しからばその委員会を改組して全部に及ぼしたらどうかというような意見も、そう委員会の一部の方から出たのでありますが、種々の検討の結果従来の委員会の構成等から見まして、やはり遊休物資活用の範囲に限定するのが至当である。かような結論になりまして、それぞれ二つの委員会は別個の委員会であるということになつたのであります。
○竹谷委員 そうしますと、後来の物資活用委員会というものは法令によつて設置せられたものではなく、便宜上任意につくつたものですか。
○國鹽政府委員 政令であります。
○竹谷委員 そうすると政令はそのまま存置せられて、相変らず物資活用に関してはその委員会は同様の権限をこの査察庁法案ができても存続することになりますか。
○國鹽政府委員 さようであります。
○竹谷委員 何ら権限に変更はないのですね。
○國鹽政府委員 権限と申しますか、その仕事の範囲につきましては若干の修正を加えたいので、ただいま検討中であります。委員会の方々とも御相談の上で一致しました点は、従来は遊休物資の摘発並びにその活用に関する点について、調査審議することになつておつたのでありますが、それを改めまして遊休物資の発生の防止に関する事項に関しても調査建議するというように——すなわち発見とそうして発見されたものの配分に関して意見が出されたのを、さらにそのもとにさかのぼりまして、発生の予防に関する処置についての発言ができるという点が違つてくるのであります。
○竹谷委員 その点は了承いたしました。 次に経済査察官五千人を置くという規定が第十九条にございますが、この五千人はどういう人をもつて充てるか。どういう人をこの査察官に採用するか。すでに説明があつたかと思いますが、まだでしたらひとつお願いします。
○松原委員長 一応の説明はありましたが、なおお尋ねでありますから、答えていただきます。
○國鹽政府委員 この仕事の性質からいたしまして、相当高度の知識経験をもつた人たちをもつて経済査察官に充てる必要があるのであります。従来の巡査のもつておつたような知識的水準、あるいは経験をもちましては、十分でないとわれわれは考えておるのであります。しからばそういう人たちをどの方面から求めるかということでありますが、関係方面等の意向は、できるだけ広く一般経済界あるいは経済関係官庁等から求め、従来の経済警察等を担当しておつた者を採用する場合においても、きわめて勤勉な、知識等も十分あるものを採用し、その地位等も高いものを採用する。具体的に申しますならば、警察官を採用するにいたしましても、警部、少くも警部補以上の人間で構成する。最初の理想は全部二級官でもつて構成するということであつたのであります。関係方面の要望もその点を強調しておつたのでありますが、日本の現在の官吏組織においてさようなことは不可能である。しかしながら二級官の比率を一般官職よりは広くしようということになりまして、二級官一人に対して三級官が三人、一対三の比率に全体の構成がなつております。要するに知識経験をもつている者をよい待遇で採用する。そうしてその求める範囲は警察官であると民間人であるとあるいは警察外の官吏であるとを問わず、できるだけ経済知識のあるものを各方面から採用したい、こういう方針にいたしておるのであります。しかしながら実際問題といたしまして、現在の経済情勢から民間から有能な人をたくさん得ることははなはだ期待が薄い。われわれの努力にもかかわらず、今日その方面の希望者は遺憾ながらきわめて乏しい。見透しを申しますならば、大体官吏あるいは官吏出身者をもつてその大多数を構成せざるを得ないのではないか。これは本旨ではないのでありますが、そうならざるを得ないのではないかということを心配しておる次第であります。
○竹谷委員 國鹽政府委員が申されるように、なかなか優秀な人は得られないと思います。優秀な人を得なければなかなかその理想の実現は困難であらうと思いますから、せいぜいりつぱな人を集められたい。なお定員は全国を通じてわずか五千人、一県あたり百人であります。普通の県は市町村の数が大体二百近くもある。そうすると一町村に一人もいないということでありますので、どうしてもこれはあとの方の規定にもありますように、検事と連絡をし、警察官をうまく活用しなければならない。それには単に経済法令に通暁し、経済取引に経験があり、その他の経験がありましても、これら公務員との連絡を十分にして警察官を上手に使う能力ある人でなければ勤まらぬ。そうでなければ百人で仕事をしてもとても一県内の経済取締りは不可能であろうと思います。優秀な駐在巡査はただ一人であつても、村民の絶大な信頼を得れば、村民全体が協力してその村の完全な治安を維持していく。それと同じようにこの経済警察官がわずか一人でも、一般国民の協力を得、また警察官の援助によりまして、その優秀な能力を発揮すれば、数は少くとも最大の効果をあげることはできる。この経済査察官の教養訓練について、その職にはりつぱな人を採用し、これにりつぱな仕事をさせることについては特別な配慮が必要であろう。これに関してどんなお考えをもつておられるか、これをお伺いしたいと思います。
○國鹽政府委員 ただいま御指摘のように、わずか五千名の人間をもちましてこの膨大な仕事を担当するのでありますから、非常な困難を伴うのであります。それに関しまして殊に警察その他と経済事犯を協力をしてやつていかなければならぬということが起つてくるのであります。第一条の第二項第四にありますが「経済法令に関する違反行為について、警察その他の行政機関の行う予防及び捜査に対する勧告及び協力に関する事項」それから第五の「経済法令の規定の趣旨についての警察官及び警察吏員の啓発に関する事項」こういう仕事を通じまして、警察その他の機関に経済法令違反の防止及び摘発について活動をしていただく。それがためにはまずみずから相当の教養をもたなければならないのであります。のみならずその権限の章にありますように、調査方法につきましても、犯罪の捜査方法につきましても、従来の司法警察官が行つておつたようなやり方とは非常に趣の違う新しい方法によらなければならぬ。そうした必要から採用されました経済査察官につきましては、中央並びに各部におきまして十分な指導講習を行いまして、それによつて今後の運用の過ちなきを期したいと考えております。予算におきましても、それがために必要な経費を十分とは言えないまでも、相当豊富にとつておるのであります。御質問の趣旨を図しておるかどうか知りませんけれども、以上お答えいたします。
○松原委員長 速記を止めて。 〔速記中止〕
○松原委員長 速記を始めて。 それでは本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時から質問を続行いたします。本日はこれにて散会いたします。 午後零時九分散会