外務委員会 第1号
- 発言数
- 14 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1948/01/26
会議録
○安東委員長 これより会議を開きます。 本委員会は第一回國会におきまして國際経済に関する総合的調査、並びに講和会議に関連する諸問題の國政調査を要求いたしまして、八月二十七日および九月二十日それぞれ議長の承認を得たのでありましたが、右調査はその趣旨に鑑み同会期中に限られるものではなく、第二回國会においても継続すべきものと思われまするので、右二件の調査要求書を議長に提出し、その承認を求めたいと存じます。要求書を朗読いたします。 國政調査承認要求書 一、調査する事項國際経済に関する総合的調査 二、調査の目的國際経済の現状および動向を調査し國民外交の樹立に資す 三、調査の方法関係方面より意見聽取及び資料要求 四、調査の期間 本会期中 五、その他 右によつて國政に関する調査をいたしたいから衆議院規則第九十四條により承認を求める。 昭和二十三年一月二十六日 外務委員長 安東義良 衆議院議長松岡駒吉殿 ————————————— 國政調査承認要求書 一、調査する事項講和会議に関連する諸問題 二、調査の目的講和條約に関する準備研究 三、調査の方法官民各方面より意見聽取及び資料要求 四、調査の期間 本会期中 五、その他 右によつて國政に関する調査をいたしたいから衆議院規則第九十四條により承認を求める。 昭和二十三年一月二十六日 外務委員長 安東義良 衆議院議長松岡駒吉殿 以上の要求書を提出することに御異議はございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安東委員長 異議なしと認めます。さよう決定いたしました。 —————————————
○安東委員長 次にお諮りしたいのでありまするが、在米の同胞が日本人に対していろいろな物資を援助してくれておるのであります。すでにララの救援物資につきましては、議会において決議をいたしましたが、本委員会といたしましては、この在米同胞の救援に対する感謝の決議をやつたらいいかがかと存じますが、これについて御意見を承りたいと存じます。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安東委員長 それでは案文につきましては私の御一任願えますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○安東委員長 それではさよう取計らいます。
○高瀬委員 実は私はちよつと意見があるのでありますが、ただいま付議された案件については異議はありませんが、最近新聞で傳えられております終戰連絡事務局の内閣移管について、この委員会としては一向関知しないのでありますが、それは一体いかなる方法でやるのか、つまり外務委員長としての御見解を一應承つて、われわれもそれについて適当の機会に意見を開陳したいと思います。
○安東委員長 お答えいたします。本問題につきましては、連絡調整事務局臨時設置法案、賠償廳臨時設置法案が政府より議会に提出せられました。そこでこの法案を決算委員長と話合いの上、本委員会において審議するように取計らいたいと思つております。從つてこの問題を審議いたしまするときに、ただいま高瀬委員の言われる点は十分明らかになると存じます。 それではこれより最近の國際情勢に関して、與謝野政府委員の御説明を聽取いたしたいと存じます。
○與謝野政府委員 最近の國際情勢につきまして、御參考までに御説明申し上げます。 まず最初に、いわば國際情勢の外観と申しますようなことを簡單に述べまして、個々の問題についての御説明にはいりたいと存じます。 連合國側とドイツ、オースタリーとの講和條約の問題につきまして、昨年三月十日から開かれましたモスコー会談が決裂しましたあとを受けまして、昨年の末、十一月末から十二月十五日までロンドンで米、英、ソ、佛四國の間の外相会議が開かれたのでありまするが、この会議におきましては、若干の手続問題その他のこまかい問題について意見の一致を見ただけで、賠償問題、その他ドイツの経済問題、將來の政治機構の問題等の根本問題について意見の一致が見られず、この会議が決裂になりましたことは御承知の通りであります。その後欧州の復興のために計画されましたいわゆる米國のマーシヤル案と申しますものが着々具体化されまして、昨年夏以來アメリカの議会に提出され、今年の一月に議会が再開されました後に、目下その審議が続けられているのであります。 一方このマーシヤル計画というものに最初から反対の態度を示しておりましたソヴイエト及び東ヨーロツパの衞星國の政府は、マーシヤル案をもつてこれをアメリカのヨーロツパ支配にほかならないと主張して、これに対抗するために種々経済的、政治的の條約を結んで、これに対應する態勢を整えつつあるのであります。また御承知の通り昨年十月公表されましたいわゆるコミンフオルムの形成、またこの成立に際しまして、ソヴイエトのジユダノフ氏は、マーシヤル計画をあらゆる努力を続けて爆破すると述べて、態度をはつきりさせておりますが、昨年十一月以來ドイツ、イタリーでは大規模なストライキが勃発いたしまして、これは共産党の一つのマーシヤル計画に対する攻勢であるとも見られたのでありますが、このストライキは結局共産党側の失敗に終つたのであります。またこの外相会議の決裂後、アメリカ、イギリス当局は、ドイツの米英占領地の経済統合ということを一層強化するために、いろいろ協議しておつたのでありますが、ソヴイエト政府は、この米英の占領地の統合はポツダム宣言の違反であるということを指摘するとともに、ソヴイエト占領地域の方の共産党の指導に服さない政党を彈圧する等の方法をとつて、みずからの占領地域の粛正を強化しており、また御承知の通り、去る二十二日イギリスの下院におきまして、西ヨーロパツ諸國の連合結成を唱えられましたベヴイン外相の演説というものがございまして、これとアメリカ議会で目下マーシヤル案の審議に伴つて行われておるいろいろの演説等を見ますときには、米英側がソヴイエトの政策に対しまして断乎たる決意をもつて臨もうとしておることがうかがわれるのでありまして、米ソの対立ということがだんだんとはつきり浮び上つてきておるというような感じをもつのであります。 また対日講和條約の問題につきましては、昨年七月十一日に米國が初めて講和会議の開催の提案を関係國になしまして、爾來関係國間にしばしば意見の交換が行われたのでありますが、アメリカ、ソヴイエト、中國等の諸國の見解がお互いに対立を示したまま、今日までその対立の打開ないし緩和ということに関する情報は何も得られない状況なのであります。ただ今年にはいりましてから、去る一月六日にアメリカの陸軍長官がサンフラシスコにおきまして、日本が自立するに至るようにこれを再建すべしと述べまして以來、あるいは六千万ドルの綿花の借款に関する外電、また去る二十二日、極東委員会におきましてマツコイ將軍が日本の経済自立に関する報告をなした等の、いろいろ朗らかな情報がはいつてきておる状況でございますが、対日講和予備会議に関する米、英、ソ、中の四大國の意見の歩み寄りということに関する見透しは、今日のところ困難ではないかと見られておるのであります。 これから國際関係のおもなる問題につきまして、詳細に御説明申し上げたいと思います。まず最初に対日講和会議の問題がどうなつておるかということを御説明申し上げます。御承知のように、対日平和予備会議の招請につきましては、昨年の七月にアメリカが、大國の拒否権というものを認めないで、極東委員会を構成している十一箇國の三分の二の多数決による、これによつて予備会議を開催したいという見解を示したのでありますが、米、英、ソ、中四大國の会議だけで、しかも拒否権を保有して会議を開催しようというソヴイエトの見解と米國側の見解とは対立しておつたのでありますが、昨年の八月の末から九月の二日に至るまで、キャンベラで開催されました英國の連邦会議におきまして、英連邦の対日講和会議に関する方針が米國の提案を支持しこれと同調するという確信をもつたので、あるいは米國は、九月の中旬から開かれました國際連合総会の間に、場合によつてはソヴイエト連邦を除外しても平和予備会議を招請するのではないかという観測をもつ者も一部にはあつたのであります。しかるに昨年の九月九日に、中國の張群行政院長は、ソヴイエト連邦の参加のない対日講和会議は中國も参加できないということを声明いたしまして、爾來ソヴイエトを除外した單独講和反対、拒否権の保持主張ということを唱えておりまするので、米國の対日平和予備会議招請の努力も頓挫した形でありまして、アメリカとソヴイエトの見解の対立を打開するという以外に、アメリカと中華民國の対立の打開もまた重要な問題として起つてまいつたのであります。アメリカと中國との交渉につきましては、昨年王外交部長が國際連合の総会に出席のためアメリカに渡りました機会に、何らか交渉が行われたかということも傳えられたのでありますが、中國政府は、昨年の十一月十七日に、アメリカ、イギリス、ソヴイエト三國政府に一つの提案を行つたのであります。この要点は、できるだけ早い時期に対日平和條約の草案を作成して、最終平和会議に関する事項を決定するために、極東委員会の全構成國から成る予備会議を招請する。ただ右会議の決定は四大國の賛成投票を含む会議構成國の多数決によつて行われる、こういう中國側の提案があつたのでおりまして、会議の構成國を極東委員会の参加國とするという点ではアメリカ案を支持してをるのでありますが、四大國の賛成投票を含む多数決ということは、四大國の拒否権を認めておる。この点においてまたソヴイエト側のかねての主張に同調した折衷案なのであります。この中國側の提案に対しまして、米國政府は何ら正式の回答を行つておらないのでありますが、ソヴイエト連邦は昨年十一月二十七日に、一九四八年の一月、つまり本年の一月、中國において対日平和條約の準備事項を討議するために、四箇國の特別外相会議を招集するということを提案したのであります。しかしながら、中國政府はこのソヴイエト側の提案は、從來のソヴイエトの態度と何ら変化はないものであると認めまして、昨年の十二月の五日に重ねて対日予備会議の構成及び表決の手続につきましては、極東委員会の例になろうという、從來の中國政府の立場を重ねてソヴイエト連邦に申入れたのであります。イギリス政府は中國及びソヴイエトの昨年の十一月の提案に対しまして、十二月の十四日にイギリスとしては、極東におけるすべての利害関係國の平等な参加を主張するということを通告いたしまして、拒否権というものを含むいかなる手続も早期和平の締結を遅らせるものである、日本の敗北に寄與したという理由だけでなく、日本の侵略によつて損害を受けた度合い及び太平洋地域の將來の平和的発展に関する重大な関心をもつ國々が平等に対日処理会議に代表を出す資格をもつものであると考えると主張しまして、予備会議を四大國だけに限ろうとするソヴイエトの案に反対を通告したのであります。昨年十二月の中ごろに、ロンドンの外相会議が決裂したのでありますが、昨年十二月三十日に至りまして、ソ連政府は中國政府の十二月五日の第二次覚書に対しまして、急に回答を寄せまして、四箇國の外相会議が対日の講和條約を準備すべきである。ただ対日戰に協力した他の諸外國の利益ないし公権というものを考慮することは、講和会議の準備の過程において考慮されればよい。つまり言葉をかえますならば予備会議におきまして、四大國以外の参加協議を認めるけれども、表決権は四大國に限るという提案をなしたのであります。この提案に対しまして、中國の政府は、公式にはまだ意見を述べておらないのでありまするが、イギリス外務省のスポークスマンは、イギリスは從來の態度を変えないということを語つておるのであります。またU・P電報によりますると、マーシヤル長官も、四大國に拒否権を認めるソ連の方式は受諾できないと語つたということが傳えられているのであります。このような段階にございまして、対日講和会議が急速に実現するかどうかは、昨年言われておりましたように、アメリカ政府がソヴイエトを除外しても予備会議を招集するかどうか、そういう問題だけではなく、米ソの間に介在して中國政府が、今後いかなる態度をとるかということにもかかつてくるとみられるのであります。米國の通信員の電報によりますと、中國のこの態度の背景をなすものについては、やはり米國からの中國経済的援助を確保するための考慮であるとか、また対日講和会議において、抗戰八年の犧犧を受けた中國の特殊の立場を強く会議に反映さすための考慮であるとか、また中ソ関係の特殊性というようなものをいろいろ考慮した複雜なものがあると報じておるのでありますが、本年にはいりましてから、中國のある新聞の論説におきましては、中國はどうしても拒否権をもたなければ安全感をもなてい。しかしながら中國が今日までいかなる会議においても拒否権を使用したことはないではないか、こういうことを論じておる者もあるのであります。また戰時中にできました中國とソヴイエトとの條約においては、お互いに日本との單独講和を禁じておるのでありますが、中國の新聞の傳うるところでは、現在の日本政府というものは、当時の日本政府とはまた異なつたものであるから、單独講和を禁じておる中ソ條約の適用ということは、この場合はあてはまらないということを論じておる者もおるわけであります。大体現在のところこういうような状況にありまして、その後何らこの講和予備会議の手続問題に関して四大國間の交渉というものは進展を示しておらないのであります。 次に、簡單に最近の中國の情勢について述べたいと存じます。今日國共の戰爭というものは、滿洲を中心にいたしまして華北、華中に廣がつております。國民政府軍は大体都市と交通線の防禦に追われまして、中共軍が自由に攻撃作戰を実施してくるのに対しまして、もつぱら受動的立場に轉じておるという観を呈しているのであります。また満洲は絶対に放棄しないと國民政府側はしばしば声明しているのでありまするが、外國の軍事通信員等ははなはだこれを危惧している模樣でありまして、奉天における英米人に引揚が命ぜられたとか、奉天の運命も今明日に迫つているというような外電は、しばしば傳えられておるのであります。両軍の現有勢力につきましてはいろいろな数字がありまして、共産軍が大体百五十万の兵力をもつているのに対して、國民政府軍は三百五十万といい、あるいは四百万、五百万という数字もあげられているのでありまするが、何分にも國民政府軍の方は廣汎な交通線と都市の防衞のために追われているわけでありまして、また装備の点においても、昨年ほど両軍の差異はない、中央軍の各所における攻勢に対処するのには、相当の苦労があるように傳えられているのであります。現在のところ満洲の九三%、華北の七〇%が中共の支配下にあるといわれているのであります。また國民政府側の拠点としておりまする各都市は、非常に深刻なインフレーシヨンに悩まされておる、しかるに共産軍の拠点は比較的インフレーシヨンの影響を受けることの少い農村であるということも、両軍の勢力を判定する上に影響があるということを傳えるものもあります。 このような中國の情勢でありまするから、米國においてはこの情勢に多大の注意を拂つている模樣でございまして、昨年の臨時議会では千八百万ドルの対華借款で供與されたほかに、去る二十二日マーシヤル國務長官は、目下政府は中國援助の具体案を作成中であると述べているのであります。なお中國の経済安定借款の交渉のために、目下貝租怡氏が渡米中でありまして、今後米國がいかなる中國の援助に出るかということは、目下注目されておるところでございます。 次に、ヨーロツパの情勢について申し上げますが、昨年十二月ロンドンの外相会議が決裂いたしましたことは先ほど申し述べた通りでありまするが、この会議におきましては、こまかい点において多少意見の一致を見たものもあつたのであります。たとえば共通の輸入計画を作成することであるとか、ドイツの鋼鉄の生産の水準を引上げることであるとか、あるいはドイツ産の石炭を他の欧州諸國に公平に分配するように勧告することであるとか、あるいは賠償工場撤去の方法の問題であるとか、こういう問題について多少四國外相間に、意見の一致を見た点もあるのでありまするが、主たる問題は、特にソヴイエト言邦が今後ドイツから二十箇年開に百億ドるの賠償を要求するという案につきまして、とうてい米英佛三國の受諾するところとならないで、決裂に至つたのであります。またオーストリアとの講和條約につきましても、結局妥結に至らなかつたのでありまするが、ロンドン外相会議の散会後に、モロトフ外相は多少妥協してもいいという案を出しました。その後外相代理の間でオーストリア條約の審議が多少続行されたのでありまするが、今日まで結局妥結を見ないで終つているのであります。この外相会議が決裂いしました後に、英米佛三國の代表部の間では、今後の占領地域をどうやつて経営していくかということについて、いろいろ話合いが行われた模樣でありまするが、今年の一月六日から三日間フランクフルトに米英占領地区の各州の長官、また経済委員会の委員というものが招致されまして、英國の占領地区と米國の占領地区、両地区にわたりまして、立法部、行政部、最高裁判所等を有する新しい機構を設立するという計画を立てまして、アメリカ、イギリス側はこれをもつてドイツ経済の復興を促進するための経済措置として、これの実行、実施を進めているのでありまするが、これはソヴイエト占領地区と英米占領地区との対立を、むしろはつきりさせるものでありまして、ドイツを東西へ分割してしまうものだということで、ドイツの一部社会民主党その他の政党の中から、反対の声もあがつているとのことであります。ところがフランスはこの英米の占領地区の統合問題に関しまして、事前に協議を受けておらなかつたというために、アメリカ、イギリスに対しまして抗議することになりまして、また近くベルリンにおきまして、米英にフランスを加えた三國会議が、開催されるだろうということになつているのであります。一方ソヴイエト政府は米英側の占領地を統合する案に努しまして、これはポツダム宣言の違反であるということを唱えて、これに反対しているのであります。なお最近ベルリン・ウイーンその他ソ連軍と米國軍との接触している地客におきまして、いろいろこまかい事件が起きまして、アメリカ占領軍としてはソヴイエトがいかなるいやがらせをしても、われわれはこの占領地区、ベルリンを離れることはないというような声明を、いたしたりしたこともあるのであります。なお米英の占領地区におきまして、最近食糧事情が非常に惡化しまして、これは農民が食糧をやみに流すことが、主たる原因と傳えられているのでありまするが、食糧事情の惡化のために國民の食糧の配給量というものが減らされる。これに対する不満から本年の一月六日以來、ハンブルグその他の都市におきまして、ストライキが起つてまいつたのであります。米英軍の当局は、このストライキは共産党が後押ししておる。米英に対する反抗運動であるというふうに、みなしておつたようでありまして、このストライキもまた米英とソヴイエトとの微妙な関係を、反映しておるように見られていたのでありますが、最近の新聞電報によりますと、大体このストライキも一時收まつたように見られます。 次にマーシヤル・プランというものに対應する東ヨーロツパ諸國の大勢について、簡單に申し上げます。昨年の十二月、アメリカの臨時議会におきまして、トルーマン大統領はヨーロツパ援助計画に対する教書を送つたのでありますが、この教書の中に対欧援助の最初の計画といたしまして、最初の十五箇月分に六十八億ドルという金の支出を要請したのであります。目下アメリカの議会はこのいわゆるマーシヤル・プランの実施、対欧援助計画案について審議を開始し、外交委員会において官民各方面の意見を聽取しておるのでありますが、この最初の十五箇月間に支出を予定されております六十八億ドルのおもな割当は、イギリスに対して十七億六千万ドル、フランスに対して十四億三千四百万ドル、西ドイツに対して九億ドル余り、イタリヤに対して八億ドル、ギリシヤに対して一億八千万ドルという金が、大体予定されておるのであります。かくのごとくマーシヤル・プランが一方において具体的に進められております反面、ソヴイエトの勢力圈内にあります東ヨーロツパの諸國におきましては、ブルガリアであるとか、ルーマニア、ハンガリアまたユーゴスラビア等を加えましたあるいは連邦の結成である、ないしは軍事同盟の締結説である、いろいろなことが昨年來傳えられておつたのでありますが、これらの諸國の間に昨年の夏以來、あるいは相互援助條約、あるいは経済協定その他多角的ないろいろな同盟関係が結ばれておりまして、東ヨーロツパにおきましては着々ソヴイエトの圈内諸國は、一つに固まつてまいつているという情勢であります。これに対しまして去る二十二日ベヴイン外相がイギリスの下院で、四大國の一つが弱小國に対して、自己の政治的、経済的の権利を押付けようとする限りは、四大國の協議ということはもう同意できない。イギリスとしてはソヴイエトがヨーロツパ大陸を支配するという強い意思に対坑するために、西ヨーロツパの連合結成の措置を講じておる。すでにイギリスはこの目的のために、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ諸國との間に交渉を進めておるし、またフランスとの同盟関係をさらに強化して、イタリアその他の諸國をもこの中に加えようと考えておるということを声明したのでありまして、これに対しましては米國におきましても非常な観迎を受け、またベルギー、オランダ、ルクセンブルグ三國はもちろんこれを歓迎しておる模樣でありまして、フランス、イタリアにおいても大体みな英國政府が議会で発表しましたこの方針に、贊意を表しておるのであります。ただ西ヨーロツパのその他の諸國、スエーデンであるとかスイスであるとか、從來中立を守つていた國におきましては、まだこれに対して沈默を守つておるのでありますが、東ヨーロツパ諸國がソヴイエトの勢力圏内におきまして、一つの同盟を形成しようとしておるのに対しまして、これに対坑する西ヨーロツパのまた一つのブロツクというものが形成されかかつているという状況にあるのであります。なお昨年十一月以來フランスの罷業は熾烈をきわめまして、これは共産党がもつぱら指導したということに対しまして、米國としても、いわゆるマーシヤル・プランというものが成果をあげますためには、この問題が非常に重要な問題でありますがために注視していたのでありまして、昨年の十二月にはロンドンに滯在しておりましたアメリカの特使のダレス氏をフランスに派遣して、各方面の意向を打診させたということもあつたのでありまするが、目下のところフランス政府の彈圧政策が成功いたしまして、共産党のストライキは大体失敗に終つた模樣であります。イタリアにおきましてもまた十一月の初めにフランスにおける騒擾と大体時期を同じくして騒動があつたのであります。十二月の中ごろには遂に内閣の改造を行うことにもなつたのでありまするが、イタリアにおける左翼の攻勢というものは、アメリカの重大関心をもつところであつて、場合によつて共産党の支配下に入つた場合には、アメリカはイタリアの経済援助を停止するという考えも発表したのでありまするが、大体において今日のところイタリアにおける共産党のストライキ戰術というものも失敗に終つたように見られております。 次に、簡單に昨年開催されました國際連合総合について申し上げますと、第二回の國際連合の総会は、昨年の九月十六日に開会されまして、十二月二十九日閉会となつたのであります。ところがこの会議の一般討論におきまして、アメリカとソヴイエト代表の演説というものは、すぐ対立を示したのでありまして、その後連合にかけられました問題につきましては、バレスタイン問題でソヴイエトの反対がなかつただけで、あらゆる問題において米ソの対立ということが示されたのであります。今回の國際連合の総会の決定しましたおもなるものとしては、次の総会までに継続的に暫定の常設安全保障委員会つまり総会の小さな形、小総会を設置すること、バルカンの紛爭監視委員会を設置すること、朝鮮に國際連合の監視委員会を派遣してその監視のもとに、本年の三月三十一日までに総選挙を実施させ、早急に朝鮮の独立実現をはかる。また八月一日までにパレスタインにおけるイギリスの委任統治を終了させまして、十月一日を期してユダヤ、アラブの二つの独立國にわけ、エルサレムは國際連合の信託統治地域にすること、この四つの問題がきまつたのでありまするが、小総会を設置すること、バルカン及び朝鮮に委員会を置くこと、これはいずれもソヴイエト側が烈しい反対をなしたのでありまして、この反対を押し切つて可決したものでありまして、ソヴイエト側はこれに絶対に協力しないということを宣言しているのであります。バルカン紛爭監視委員会ができましたが、ギリシヤにおきましては共産党のマルコスという將軍に統率されました共産軍が叛乱を起しておりまして、新しい共産政府を設立したということを声明して紡爭が起つておるのでありますが、この共産軍政府は國際連合の紛爭監視委員会に対する協力はしないということを言つておりますし、またユーゴスラビヤその他の國においても同樣なのでありまして、この國際連合のバルカン紛爭監視委員会の活動は困難が予想されるのであります。また國際連合の朝鮮委員会の方は去る一月十一日から京城で会合を開いておりまして、南北両占領地域の選挙の運営その他について討議しているのでありまするが、委員会が北緯三十度以北の北鮮に入ることもソヴイエトはこれを拒否しておるのでありまして、委員会の活動ということはその成果が疑問視されている状況でございます。結局國際連合の加盟國、特に五大國の間に本質的な異見がある間は、國際連合は十分な機能を発揮し得ないということを國際連合の事務総長が申しているのであります。ソヴイエト連邦はこの國際連合の総会で宣傳禁止という提案を出したのでありますが、これは否決されまして、これをいわば骨拔きにした平和を脅威する一切の宣傳を禁止する、また友好関係促進のため、適切な措置をとるという妥協案が代つて採択されたのでありました。 その他極東の問題につきまして、いろいろこまかい御報告すべき点もあるのでありますが、簡單に申し上げます。 第一に最近廣東で起りましたイギリス公館の燒討事件というものがございました。これは昨年の末以來、香港政廳が香港の対岸の九龍にあります城内の一部に在住しておりました中國民の難民約二千名に対しまして、保健、保安の理由から立退きを命じたのであります。ところが中國政府はその土地は中國側の行政権のもとにあるということで、イギリキ大使に抗議をしていたのでありますが、イギリスは從來自分の方ゐ行政権を行使していたということを根拠といたしまして、強制立退きを本年一月十二日に実施してしまつたのであります。この香港政廳の措置に対しまして、南京、上海、廣東、漢口の学生が大規模の反英デモを行つたのでありますが、一月の十六日に約一万五千名の群集が廣東の沙面の英國総領事館をはじめイギリス銀行等を燒討ちした事件が発生したのであります。これは一九二七年のいわゆる南京事件に匹敵するような反英民衆運動に発展するのではないかという危險性を示していた模樣でありますが、中國政府も遺憾の意を表しまして、イギリス人の生命財産の保護ということを嚴命いたしまして、鎭圧に努めて、大体今日收まつた模樣であります。これに対しまして廣東省の主席であります宋子文氏は、これは中共の分子に煽動された暴徒がデモを利用して暴行を行つたのだという声明を出したのでありますが、米國の通信員その他の電報によりますと、反英運動ではあつたけれども、反米的のところは一つもなかつた。從つて中共の策動であるかどうかは非常に疑わしく、むしろ國民運動、國権回復運動という色彩をもつたものではないかという見方が、かなり多いのであります。 次に、昨年の十二月十日ビルマ独立法が公布されましてから、独立の準備を進めておりましたビルマ政府は、一月四日に完全な独立協和國として発足したことは御承知の通りであります。 また長い間紛爭を続けておりました蘭領インドにおきまして、オランダとインドネシヤとの交渉が行われていたのでありますが、國際連合の安全保障理事会が昨年派遣いたしました三國調停委員会の斡旋のもとに、いろいろ交渉が行われ、結局去る十七日オランダ側とインドネシヤ側との間に停戰協定ができました。別に細目等は申し上げませんが、これも御承知の通りであります。 その他イラン等におきましても、昨年米ソヴイエト側との紛爭に基いて政変等もあつたのでありまするが、その他のこまかい問題については今日は省略いたしたいと思います。 大体これだけであります。
○安東委員長 御質問はありませんか。
○馬場委員 朝鮮南北の國境紛爭事件について、この間何か出ておりましたが、あれをおわかりなつていたらもう少し……。
○與謝野政府委員 この紛爭については、私今日資料をもつてきておりません。ちようどベルリンで米軍の將校がソヴイエト側の歩哨につかまつたとか、そういつた事件がかなり頻発したのでありますが、それに似たような事件が朝鮮においても何か起つたようであります。
○菊池(義)委員 インド・ネシヤとオランダの戰は大体どんな條件で停戰になりましたか。
○與謝野政府委員 大体昨年八月末に蘭印総督のハンモーク氏が発表したオランダ側とインドネシヤ側の占領地帶に、ハンモーク・ラインというのがありまして、これは私地図によつてはつきりまだ調べておらないのでありますが、これによつて占領地域をきめまして、その中間に三國の調停委員会の管轄する非武裝地帶というものをまず設ける、双方の軍隊をともかくその非武裝地帶及び相手側の占領地帶内から自國側の占領地帶としてきめられた地帶に撤收する、ジヤバ、スマトラ、マヅラ、現在オランダ側が占領しておる地域では一九四九年一月一日までに人民投票を行つてその帰趨を決定する、そういうことが骨子のようであります。
○安東委員長 他に御質問がなければ、これをもつて散会いたします。 午前十一時三十五分散会