本会議 第58号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/11/28
会議録
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。去る二十六日木下盛雄君より理由を附して鉱工業委員辞任の申出がございました。許可することに御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、その補欠として寺尾豊君を指名いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第一、彈劾裁判所の裁判員及び同予備員の選挙、裁判員は七名、予備員は四名でございます。尚選挙に当りましては、予備員の職務を行う順序を定めることになつております。
○北條秀一君 只今議題となりました彈劾裁判所の裁判員及び同予備員の選挙につきましては、選挙の手続きを省略し、その指名を議長に一任することとし、尚予備員の職務を遂行する順序につきましては、議長の指名した順序によることとするの動議を提出いたします。
○岩崎正三郎君 北條君の動議に賛成いたします、
○議長(松平恒雄君) 北條君の動議に御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。つきましては彈劾裁判所の裁判員に 夾馬 琢道君 松村眞一郎君 水久保甚作君 鬼丸 義齊君 岡部 常君 齋 武雄君 西園寺公一君 同予備員に (第一順位) 宮城タマヨ君 (第二順位) 森下 政一君 (第三順位) 前之園喜一郎君 (第四順位) 鈴木安孝君 を指名いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第二、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五條の二の災害及び同條の規定を適用する地区を定める法律案(内閣提出、衆議院送付)、日程第三、昭和十九年法律第四号経済関係罰則の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。先ず委員長の報告を求めます。司法委員長伊藤修君。 〔伊藤修君登壇、拍手〕
○伊藤修君 只今議題となりました両案につきまして、委員会の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。 先ず罹災都市借地借家臨時処理法についての日程第二の法律案につきまして、その提案の理由及び内容について御報告申上げます。罹災都市借地借家臨時処理法の一部を改正する法律案が御承知の通り去る八月三十日両院を通過いたしまして、九月十三日、法律第百六号といたしまして公布せられました。この改正によつて新たに同法第二十五条の二という規定が設けられました。即ち従来戦災によつて滅失した家屋のある場合及び疎開によりまして除却せられました家屋のある場合、こういう場合にこの法律が適用されておつた次第であります。然るに二十五條の二の改正によりまして、風水害、震災或いは火災乃至はその他の災害のあつた場合におきましても、同様この法律を適用いたしまして、その滅失又は流失によりまして建物の損壊した場合におきましては、この法律によつてその借地権を保護しよう、その借家人を保護しようということになつた次第であります。この度この法律が施行されました以上、政府におきましては、終戦後今日に至るまで全国に起つたところの凡そ百ケ所におけるところの各水害、震災、風水害、火災その他の災害につきまして調査をいたした次第であります。その中五つの災害を取上げまして、これに対しまして、いわゆる二十五條の二の法律を適用するために、二十七條の二項によりまして、その災害及びその地区を指定せられた次第であります。その指定せられましたところの地区といたしましては、昭和二十年八月二十七日九州地方に起つた風水害、これに対しましては宮崎縣の延岡市、昭和二十年九月十七日の九州地方及び中國地方に起つた風水害、これに対しては宮崎縣の都城市及び延岡市、昭和二十一年十二月二十一日の南海地方に起つた震災及びそれに伴つて起つた火災、これに対しましては高知縣の高知市及び中村町、昭和二十二年四月二十日長野縣飯田市に起つた火災、これに対しては同市をその地区と指定されました次第であります。それから昭和二十二年四月二十九日茨城縣の那珂湊町に起つた火災、この五つの災害につきまして本法を適用することになつた次第であります。この地区の選定せられました標準は、凡そ全壊、全焼及び流失家屋の数が千戸以上あつた場合におきましてこれを適用するという一つの標準を定めまして、そうしてその関係地方長官に種々事情を聴取いたしまして、この法律を適用するということになつた次第であります。今その災害の程度を御参考までに申上げますれば、全壊が延岡市におきましては全壊千九十五戸、都城市におきましては千五百八十四戸、高知市におきましては千九十五戸、中村町におきましては千六百二十一戸、新宮市におきましては全焼二千三百九十八戸、延岡市におきましては二度目の全壊八百四十四戸、飯田市におきましては全焼四千二十五戸、那珂湊町におきましては全焼千百七十六戸と、かような被害を被つておつた次第でありまして、正に戦災によつて被つたところの場合と殆んど同様の状態でありますから、この法律を適用するに最も適当であると信じられた次第であります。委員会におきましても、政府の説明に対しまして諒といたしまして、且つこの法案を適用することの適切なることを認めまして、この法案に対しましては質疑並びに討論を省略いたしまして、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。 次に経済関係罰則の整備に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。この法律は昭和十九年初頭、第八十四帝國議会において、即ち同年一月二十一日の再開後、決戦的時期の緊張した空氣の中におきまして急速に審議を進められたものでありまして、同年二月十日、法律第四号として公布されたものであるが、その内容は、経済統制事務を行う経済團体の役員その他の職員に対し、涜職罪及び機密漏泄罪を規定し、併せて従來経済関係の各種法令中、右二つの罪の規定が極めて区々になつていたのを整備統一して、この法律一本に纒め、その適用を見る各種経済團体を勅令で列挙する方式を採つたのであります。併し戦後、統制の方式について重要な修正が加えられましたと共に、右勅令に指定された経済團体で、或いは消滅したものや、著しく変革されたものも相当な数に上つており、又新しく生じた統制会社等で、右規定の適用あることにした方が適当なものもあり、殊に独占禁止法の適用を除外されたもので、事業の性質上自然的に独占事業となる鉄鉱、電氣、瓦斯等の会社にも、本規定の適用あらしめることが適当と考えられますので、今回法律の改正を企てられ、政府より本案が提出さられた次第であります。 改正法案の内容につき少しく御説明申上げます。大体、本法は経済團体の種類、性質、その事務の種類等に鑑み、二つのグループに区別して規定されました。即ち第一條の高度の経済團体と、第二條のそれよりはやや程度の低いものと二種類で、この区別を改正案も踏襲したのであります。その一つは、元の第一條で、國家総動員法第十八条第一項若しくは第三項の規定により設立せられた團体又は営團、金庫若しくはこれらに準ずるものの役員その他の職員で、これらの者については、罰則の適用については、これを法令より公務に従事する職員とみなすことといたしました。國家総動員法第十八條第一項若しくは第三項の規定により設立せられた團体としては、重要産業團体令による統制会を初め、金融團体令による全國金融統制会等、港湾運送業統制令による地区別團体馬事團体令による日本馬事会、戦時海運管理令による船舶運営会、出版事業会による日本出版会等であり、営團としては、住宅営團、帝都高速度交通営團、農地開発営團、食糧営團、産業設備営團、交易営團、産業復興営團等があり、金庫としては、恩給金庫、庶民金庫、國民更生金庫、戦時金融金庫、復興金融金庫、南方開発金庫等があり、営團、金庫に準ずるものとしては日本銀行、日本証券取引所等があります。 併し、これらのもののすべのを職員が公務に従事する職員とみなされるわけではなく、特に勅令を以て定められた團体並びに営團、金庫並びこれらに準ずるものだけについて、そういう取扱を認めることとし、これら公務に従事する職員とみなされる者は刑法涜職罪の規定の適用を受けることとなつていた次第であります。 然るに、國家総動員法はすでに廃止せられ、従つて同法第十八條によつて設立せられた前に申上げました統制團体は、経過的に昭和二十三年三月三十一日までに存続する船舶運営会を除き、その他は全部存在しないことになりましたので、改正案では、本條中統制團体に関する部分を削除し、船舶運営会については、附則においてその存続中尚本法の適用を受くるように規定されました次第であります。それから勅令で具体的に指定することは止めまして、現在存在するもので本法の適用あるものを別表に掲げることにいたし、尚政府の原案では、将來本條を規定すべき公益上の必要あるものを政令で追加することに規定されておつたのでありますが、衆議院では、法律を以てすべしという見地からいたしまして、この原案を削除せられた次第であります。 その二は第二條で、改正前は、特別の法令により設立さられましたところの会社、國家総動員法その他経済の統制を目的とする法令により統制若しくは統制のためにする経営をなす会社若しくは組合又はこれらに準ずるものの役員その他の職員で、これらの者がその職務に関し賄賂を收受し、又はこれを要求若しくは約束したるときは三年以下の懲役に処す。因つて不正の行為を爲し又は相当の行為を為さざるときは七年以下の懲役に処することとなつておるのであります。併し國家総動員法が廃止されましたことは御承知のごとく、そして統制も同法時代の統制とはその方式が改訂され、民間團体において統制の権限を行使する場合はなくなりましたが、ここに新しく臨時物資需給調整法の附則等によつて、政府の行う統制の補助業務を行うものを生じて來たのであります。これらのものは、関係業者からの報告をいたしたり、割当計画案を作成する等、統制事務中の相当重要な業務を行うものでありますから、これらの役職員に対しても、涜職罪及び秘密漏泄罪の成立を認め、その公正なる職務の執行を期待すべきことは、従來の統制会社も変わらないものと言うべきであります。更に鉄道事業、電氣事業、瓦斯事業その他その性質上当然に独占となる事業その他その性質上当然に独占となる事業を営む者は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用を除外されており、而も独占事業であるため、事実上協力な権限を有し、ややもすれば独占の弊として黄白によつて偏頗な処置に出ずる危険があるのでありまして、これを戒むる必要があり、そこで改正案ではこれも加え、出法のごとく勅令による指定の形式を止め、現に必要と認める三十一のものにつき、これを別表に掲げ、将來新たに別表に掲げる必要ありと認められるときにおきましては、原案は政令で追加する旨の第二項をもうけたのでありますが、前同様衆議院で削除されました次第であります。 その他改正の主要なるものといたしましては、第六條秘密漏泄罪の適用あるものも、旧法では勅令で指定することになつておりましたが、改正案ではこれを削り、別表に掲げたるものの全部に適用があるものといたしました。併し実際上はかかる秘密事項のあるものだけが適用を受くるものでありまして、ないものには適用のしようがないのであります。そうして戦時中と違つて、殆んど大部分は同條相当の秘密を持つておりませず、ただ復興金融金庫の資金融通計画が該当するものと考えられる次第であります。かような次第でありまして、委員会におきましては、これらの関係法令に対し十分慎重審議いたしまして、四回に亘りこれが審議を重ねた次第でありますが、質疑応答につきましては省略さして頂くことといたしまして、討論を別に用いず、原案通り可決すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第四、昭和二十年度歳入歳出総決算、昭和二十年度特別会計歳入歳出決算報告を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長下條康麿君。 〔下條康麿君登壇、拍手〕
○下條康麿君 只今議題に上りました昭和二十年度の決算につきまして、委員会の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。 昭和二十年度は丁度終戦を挟みました年度でありまして、いろいろ変革がありました関係上、特異な決算に相成つておるのであります。先ず歳入と歳出を通じまして予算と決算とを比べますると、実に百二十九億円余の不用額が出ております。これは今申したように、終戦に伴いまして臨時軍事費への繰入金がなくなつた結果でありまして、その他戦災、空襲、いろいろの関係からいたしまして、会計の証明ができないものが甚だ多くありまして、これらは大正十二年の関東の大震災の例に倣いまして、いろいろの方法、例えば実地検査をするとか、そういうような方法によりまして便宜検査を終らせて、ここに報告になつておるのであります。 会計検査院から毎年出て参ります予算及び法律勅令違背事項、即ち批難事項というものがありまするが、この昭和二十年度におきましては一般会計において十一件、特別会計においてやはり十一件、都合二十二件、それから既往年度の分で十一件、さような件数に相成つております。一々申上げるのは甚だ煩雑でありまするから、この中につきまして特に重要なものであり、且つ特に注意を喚起すべきものと認めたもの二三につきまして、要点を申上げたいと存じます。総じまして戦争中から一般官吏の会計経理に対する観念が非常に散漫になつたということは、この決算を通じて著しく窺い得るところであります。例えばこの農林省の関係から申しますると、農林省が青森縣へ食糧増産のために補助金を三百五十万円交付することになつたのでありまするが、実際やつて見ますると百万円も不用額が立つておる。のみならず実際にその金を交付したのは翌年度である。翌年度の四月に交付しまして、而も実地検査をしますると、その八月になつてもまだ一文も金を拂つておらないと、かような誠に緩慢なお役所振りを発揮しておつたのであります。一体この補給金を出します時に、ややもすると当局者は補助金をやつて関係者を喜ばせるというような考え方が多くて、極めて軽率に交付しておりような事実が甚だ多くあるのであります。例えば元ありました大東亜省が、終戦の後で昭和二十年八月十七日でありまするが、東亜経済懇談会に相当多額の補助金を出しております。ところがその時は最早終戦後でありますし、又諸般の事情から申しまして、東亜各地との連絡かうがない。さような関係からして東亜経済懇談会へ補助金を交付することは適当でないにも拘わらず、而も前年度の多額な剰余金があつたにも拘わらず、補助金を出したというようなことは、誠に不謹慎な行為であると思うのでありまして、かくごとき補助金の交付につきましては、政府におきましても将來巌に注意をして、そうして補助金を出す場合におきましては、その目的達成のために充分効果的になるように処置をして貰いたいというような決議をいたしたのであります。又例えば大蔵省の預金部で、終戦後即ち昭和二十年の八月二十一日に陸軍共済組合というのがありましたが、この陸軍共済組合が解散するから組合員にその金を配りたい。そこでその金の出場所がないために、満州、北支、朝鮮、台湾等の外地関係の有価証券、殆ど当時無価値と考えられておつた証券を大藏省へ持つて参りまして、それでそれを現金に引替えたのでありますが、その額が実に七百九十二万円になつております。それでいろいろそれにつきまして大蔵省から説明を聴きましたが、或いは当時の事情としては急に共済組合の組合員に金を返さなければならん、或いは若しこれを一時に市場に出したならば、或いは市価が暴露するというようなことを弁明しておりまするけれども、それは事実と違つておりまして、この当時の事情をよく研究いたしましたのみならず、尚証人として当時の陸軍次官、陸軍省整備局戦備課長、大蔵省金融局長を召喚いたしましてよく聴き質しましたが、結局その当時の観念におきましても、この扱いは甚だ不当である。殆んど全部欠陥となつたような買入方をしたということは誠に慎重な処置ではない、将來かくのごときことのないように政府においては十分注意をしてやるべきものだというふううに決議いたしたものであります。かようなことが各項にありまするが、特に著しいのは鉄道関係であります。運輸省の決算につきましては、会計検査院の指摘したものが非常に多いのであります。運輸省の決算につきましては、会計検査院の指摘したものが非常に多い。例えばこういうことがあります。批難事項が非常に多い。例えばこういうことがあります。東京鉄道局で昭和二十年の七月上旬に、疎開のために必要だからと言うて或る土地を買う約束をしたのでありますが、それで而も直ちに疎開したと言つておりまするけれども、実際は疎開した事実はありません。而も買収したのは終戦後の十一月であります。それでその土地は何に使つたかと申しますると、それより先、予め計画しておりました職員のための畑を作つておつたというようなことが事実として現れたのであります。その外、例えば昭和二十年の十二月に鉄道関係に食糧増産部を作りました。そこではいろいろ農耕とか製塩事業をやつておりました。ところがその金がありませんから、その金は鉄道改良費とか用品及び工作費、事業費というものから、合計金額千八百余万円を流用して使つておつたのでありますが、これは明らかに予算の使途と違つたことをしておつたのでありまして、これは明らかに会計法規に違反しておるのであります。その外まだ沢山ありますが、例えば防空用の暗幕の生地を買入れた。 これは買つた時は終戦後の九月であります。九月に防空用の暗幕を買つた。而も買う時には四十口の小口に分けまして、そうして現金で金額が小さいからと称して課長限りでこれを買つたというような、実に怪しからんことであります。而もその価格は公的価格の十数倍に上つておるのであります。かようなことが沢山ありまして、誠に運輸省関係の決算については遺憾な点が多いのであります。これらにつきましては、政府において十分に注意をいたすべきであると存ずるのであります。尚これに附帯いたしまして、かような企業会計制度によつておりますると、いかにもいろいろ不自由の点が多いのでありまして、これは一般私的企業の場合におけると同様に、或いは企業制とか或いは機動性を発揮するように、官業の能率を高めるために改正を加えまして、特殊の会計制度を設ける必要があるというように考えて、この点も委員会としては決議いたして、政府に注意を促しておるのであります。 最後に、最近新聞で問題になつておりますところの大阪陸軍造兵廠に関するものでありますが、大阪陸軍造幣廠が香川造船造機株式会社に船を注文したのであります。ところがその船は昭和二十年の七月に注文いたしまして、小型輸送船二十隻でありますが、それがまだ少しもできておりませんのに、八月十三日に全部できたと称しまして、八月三十一日に請負代金を全額支拂つたという事実があります。後で調査いたして見ますると、その著工したのは僅か六隻でありまして、而も完成品に換算いたしましても二隻四分という程度であります。大阪造兵廠につきましてはいろいろ問題があるように思いまするが、これも確かにその一つでありまして、実に乱暴なことをしたものであると思うのであります。かようなことのないように、政府においては今後十分会計の運用につきましては注意ありたいということを強く申述べるものであります。 その他沢山ありまするが、これは会計検査院の報告書に譲りましてこの程度に止めて置きますが、要するに戦時中から会計経理に関しまして甚だ政府の注意が十分でないということが明瞭でありまするから、政府におきましては今後ともさようなことのないように、最も大なる注意を拂うようにお願いいたしたいと思います。誠に簡単でありまするが、決算委員会の報告をこれで終ります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 以上二件とも決算委員長の報告通りで御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) この際日程の順序を変更して、日程第五より第七までの請願、及び日程第二十六より二十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。 〔塚本重藏君登壇、拍手〕
○塚本重藏君 只今議題になりました請願文書表第二百二十号、結婚問題に関する請願を審議いたしました委員会の結果を御報告申上げます。 請願の趣旨は、國会及び政府が結婚の問題を産業経済や衣食住の問題に劣らん重要な問題として取上げ、速やかに適切な対策を実行されることを希望するというのであります。 その理由は、政治道徳の根源は家庭の中にあるのであつて、結婚問題は國及び社会の基礎をなす重要な問題であるに拘わらず、日本では昔から個人の私事としてのみ取扱い、國及び社会の立場からはいつの時代も看過放任されて來た。明治以來精神方面の政策を閑却して物資に片寄り過ぎた政治政策が、結局國を亡し國民を窮地に追い込んだ悲惨な教訓と、終戰以來の思想的混乱並びに國民道徳の頽廃等を思い合わせるとき、これ以上結婚の問題を看過することはもはや許されないことである。特に日本は長期間の戰争と経済事業の逼迫とにより、止むなく婚期を過ごした男女が非常に多く、夫の戰病死により再婚を希望しまする未亡人や、壮年男子の戰病死により人口比率過剰となつた女子、又は自信と自制を失つて風紀を紊す青少年等、至急に保護救済を要する問題が山積し、今や大きな社会の病弊となつて國家の基礎を侵しつつあるのである。すでに新らしい民法は、個人の尊厳を守るために家の束縛を解除して結婚の自由を認め、更に未成年者も結婚することによつて成年に達したものとみなすという規定ができました。これは実に画期的な大改正でありまして、従來個人の私事としてのみ考えられていた日本人の結婚は、今後國及び社会にとつて未成年を完成された社会人とみなすところの大切な行事であると、法律によつて確認せられたのであります。つまり民法の改正は、偶然にも結婚の社会的意義と重要性に対しまして、國民の再認識を喚起し、平和な道義國家建設は先ず結婚問題を正しく解決することから始めなければならん理由を強く示唆しておるのであります。大要以上のような理由に鑑みまして、國会及び政府は庶政更新の今日を期し、断乎結婚の在り方を正して、適切な政策を実行して貰いたいというのが趣旨であります。 具体的には、第一に、利己的個人主義と、誤つた自由主義とを正して、社会生活、家庭生活、夫婦生活に必要な知識としつかりした心構えを持たせるため、未婚の青年男女に社会正義並びに道徳、倫理、結婚の心構え、性知識、結婚衛生、家庭生活、出産、育児、妊娠調節等の成人教員を普及すること。第二に、戰争に原因する晩婚者、未亡人、過剰婦人の結婚を援助し、適正適配結婚を助長するため結婚助成法を制定し、各町村ごとに徳望ある結婚委員を委嘱する一方、主要地に結婚斡旋所を設置すること。第三に、結婚の助成保護は専ら社会の秩序を正し、民生を安定するための対策であつて、出産奨励と誤解されないよう、これと並行して妊娠調節の指導相談所を設置すること。第四に勤労生活者に対する結婚手当の支給制度を設けられとい。 これに対しまして紹介議員赤松常子君より説明があり、政府委員との間に質疑應答が行われたのであります。この問題は先に本院におきまして可決せられました兒童福祉法の審議におきましても、その兒童福祉施設の中に結婚相談所或いは優生相談所を加うべき必要があることが論ぜられたのであります。この請願の中の結婚助成法制定の問題を除いては、願意の大体は妥当なるものと認めまして、これを採択し、院議に付して内閣に送付を要するものと、委員会では決定いたした次第であります。 次に日程第六、教員の恩給増額に関する請願の九件、日程第二十六、恩給法の改正に関する陳情の三件、日程第二十七、恩給増額に関する陳情、及び日程第二十八、教員恩給増額に関する陳情の三件を一括して厚生委員会におきまする審議の経過、その結果を御報告申上げます。 請願と陳情と違い、恩給の増額といい、恩給法の改正というも、その内容はほぼ同一の趣旨のものであります。その趣旨は、現今諸物価は日に月に昂騰して、戰前に比べて百倍以上となつた、生活費も亦約五十倍を必要とするに至つておる。その物価の騰貴につれて一般の俸給及び労銀も相当額が引上げられた。然るに一般恩給及び教員の恩給は以前のままに引上げられないで、恩給者の生活は維持することができない事情となつて來た。営々として蓄積いたしました零細な貯蓄はすでに生活費に蕩盡し盡しておる。衣類、什器、調度品までも賣却して生活を維持して來たのであるが、それすらすでに盡き果てて、子女の教育もできかね、在学中の子女も中途退学の止むなきに至つておる。受恩給者は二十年乃至四十年の長期勤務の後に退職した者でありますから、すでに概ね老齢の域に達しておるのである。一方海外の引揚者、復員者も多く、生産工業の縮小によりまする失業者の増大があります。又更に行政整理による失職者も多くならんとしておる現状の下におきまして、これらの人々が新しく就職することは至難中の至難といわなければならないのであります。かくて生活の窮迫は家庭の紛議の因となり、種々の悲劇をも続出するに至つておるのである。このようなことは現職に在る教職員の思想上にも大きな脅威と悪い影響を及ぼしておる。よつて、曾て第一次世界大戰後一般物価が急騰いたしました際に恩給が増加せられました例に倣いまして、緊急に恩給法の改正、若しくは暫定的な措置を講じて救済の途を実施せられたいというのであります。これに対しまして政府委員の所見を質しましたところ、一般恩給の増額と教職員の恩給増額に関する請願の問題は、これら恩給の全額が非常に少いために、生活の困窮の実情は十分お察と、同情申上げておるのであるが、でき得るならば若干の増額をしたいと考えているのであるけれども、御承知のように敗戰後の日本の現状であつて、國家の施策しなければならない事柄は山積しておるような実情であり、軍人遺族の人人には恩給がなくなり、軍人傷痍者の恩給も減額せられております。そうしてその生活も苦境にある。その他海外引揚者、戰災者等の救済、生活の保護の方面におきまする施策もいろいろ盡さなければならない点があるのでありまして、こういうことも未だ十分行届いていない現状から考えまして、一般恩給受給者、教職員の恩給受給者の増額のことも考えているのであるけれども、今のところは実現し得ない現状にあることを明らかにせられたのであります。 委員会におきましては、これらの請願に関連いたしまして、現行恩給法の不備に関しこれが改正の必要があること。更に進んで生活保護法の給與金を増額する必要があること。又全國民の生活を護るために生活保障法の制定を必要とする等のいろいろの論議が交わされたのであります。その審議の結果、願意のすべては大体妥当なるものと認めまして、これを採択し、院議に諮つて内閣に送付を要するものと決定いたした次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情はこれを採択し内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○議長(松平恒雄君) 過半数と認めます。よつてこれらの請願及び陳情はこれを採択し、内閣に送付することに決定せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第八より第二十五までの請願及び日程第二十九より第四十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員会理事北條秀一君。 〔北條秀一君登壇、拍手〕
○北條秀一君 只今上程せられました議題第八から第二十五まで、及び第二十九から四十五まで、いずれも在外同胞引揚問題に関する特別委員会に付託せられましたる請願、陳情でもありまして、審議の結果、請願第五号外十一ヶの十二件を請願審査報告書第一号を以て、又請願第三百六十八号外六ヶの七件を請願報告書第二号を以て、議院の会議に付するを要するものと決定し、それ意見書を請願特別報告第一号及び第二号を以て附し、又陳情第三号外四十三ヶの四十四件についてここに一括して報告申上げる次第であります。而して右の報告書第一号は十月二十二日に、報告書第二号は十一月二十四日に、それぞれ印刷し、これを諸君のお手許に配付し、慎重に御検討を願つた次第であります。 在外同胞引揚問題に関しまする請願、陳情は、我が國が敗戦という事実によりまして、空前であり且つ絶後の事態に処します問題でありまして、特別委員会におきましては、これを設立以來慎重に且つ現実に基ずいて審議いたしましたのでありまして、これを本日の本会議に上程し諸君の御賛同を要望して止まないのであります。 これらの請願は、敗戦の結果、多年海外にありました同胞の引揚げから、本國の國民生活に復帰するまでの諸問題についての請願であります。陳情であります。即ち引揚げの促進と上陸港における應急援護、及び上陸から定著に至るまでの基本的問題の解決についての請願、陳情であります。これは戦後処理の基本的な大きな國内問題であつて、且つは新憲法の精神に基ずく國家再建の基礎條件であると考えるのであります。即ちこれらの請願を通して一貫するところの根本理念は、戦争犠牲の公平化というところにあるのであります。我が國人口の一割に達する引揚者、復員者及び未復員者は、戦争犠牲を最も過重に負担せしめられておるのでありまして、これらの人たちは、敗戦の慘苦を具さに嘗め、戦争に対する深い反省を持ち、老いも幼きも均しく母國の平和再興を念願し、ひたむきな愛國の精神と実践意欲を堅持して本國に帰つたのであります。未だ帰らざる未復員者の心中につきましては、到底我々の推測し得ざるところであると信ずるのでありまするが、従つて又引揚げの促進は、先の本院の決議のごとく実現せられることを我々は念願するのであります。更に今日までは帰還いたしました同胞たちが、一日も速かに正常なる國民生活に復帰しまするように念願して止まないのであります。これらの同胞を迎えましたところの國内の情勢はどうか。余りにも大きな困難が彼らの前に横わり、而も國家はその困難の排除に積極的な政策を断行することなく今日に及んだのであります。土地と家と一切の資産と職場と、そして多くの命さえも失つて帰國したこれらの戦争犠牲者たちの本國における更生の困難は、全く筆舌のよく盡し得ないところであります。一村一家を挙げて移住しました農民たちは、帰國後定著すべき土地も俄かに求めることもできないのであります。技術者、勤労者には職場は少く、企業家には本國における実績がないという理由のために再出発が極めて困難なのであります。学徒は就学の機会を與えられることに困難を痛感し、孤兒孤老は身を憩うべき塒にさえも事を欠きがちなのであります。 こうした有様でありますので、ともすればこれら帰還同胞たちの眼に映ずるものは、敗戦日本民族の惨めで、非協力で、利己的な姿であります。彼らが國内同胞に比して、いかに不公平な待遇を受けておるか、極東軍事裁判に付されておりますA級戰犯者よりも遙かに冷遇され、或いは刑務所の囚人よりも一層虐待されておるという感じを受けるのも亦人情の自然かと思うのであります。全國の小学校の幼い娘たちが裁縫の時間に、先生の指図によりまして一片の端切れを持つて行こうとしましても、母親たちはその端切れを與えることができない実情にあります。こうして事態が童心にいかに悪い影響を與えるかということは言うまでもありません。これらの同胞は、母國の人たちと同様に國のために多くの戦時公債を買つたのでありまするが、その公債は持ち帰りが禁止されております。従つてその僅かな利子さえも受取ることができないのであります。これに反して母國の人たちはこのインフレ問題が非常に緊迫しております時に、戦時公債の利子をまる受取つておるのであります。本國の戦災者は終戦後一ヶ年の免税の特典を受けたのでありますが、帰還者たちはその特典を與えられなかつたのであります。又これらの同胞は戦後海外にありまして、戦禍と混乱の中にあつて相互の團結と犠牲によりまして、互いに相助けあつて無事に本國に帰り得たのでありまするが、その間彼らの貴い勤労によりまして得た資金同胞相互の救済資金として醵出したのでありまするが、この救済資金の解決さえも今日までなすことなく來ておるのであります。誠に遺憾と言いましても遺憾の意を表し得ないような状態であります。戦争の犠牲は全國民大なり小なり受けておることは事実であります。併し本國におりました人たちと、海外から帰還しました人達との間に、以上述べましたところだけでも、その間に非常に差があるということであります。この不公平は最も大きな努力を以ちまして公平に負担しなくちやならんことは言うまでもありません。海外よりの帰還者と國内の同胞を比較して見ますと、恰もそれは戦災都市のようなものでありまして、國内の人たちは焼け残つた家のようなものであります。海外帰還者たちはその焼け残つたことを本当に感謝しておるのであります。この焼け残り家屋に比すべき國内の人たちは、悲運にして海外より帰りました人たち、即ち焼けた家屋に比ぶべき海外の帰還者でありますそれらの同胞に対して、心底から同情し、そうして大きな協力を惜しんではならないのであります。そこに日本民族の道義の根本があり、又日本建設の基礎があると考えるのであります。 こうした理念に立ちまして、現実に基ずいて我々は請願及び陳情を検討したのであります。冒頭に明らかにいたしましたように、これらの請願、陳情を二つに分類いたしまして、いずれも小委員会の専門的な審査の結果に基ずいて、更に政府の見解を十分に質しまして、その結果特別委員会は意見書を先のごとく第一号及び第二号に纒めたのであります。すでに諸君の御検討を願つておる筈でありますので、一々改めて御報告申上げることを遠慮したいと思うのであります。ただ次の二つについて特に申述べたいのであります。 一、請願第二百七十二号は本報告書提出後政府の善処によりまして、概ね願意を解決し得たということであります。第二は、請願第三百六十八号、三百七十号、二百七十号、五十五号、九号の五件についてであります。これらの請願は、一、敗戦の結果海外から帰りました数百万の同胞が海外にありまして、多年公正且つ平穏に勤労によつて蓄積しましたところの彼らの個人財産、それを敗戦後正当な手続きによつて連合國に接収されたものであります。第二は、敗戦の結果國家の一切の在外機能を停止しましたので、外地にありましたところの同胞たちは、先程申しましたように、戦火から自分たちを護るために互いに結束して、そうして各種の自治團体を作つたのでありまするが、これらの自治團体及び残留在外公館員が政府に請訓いたしまして、これらの窮迫せる同胞を救うために、救済資金を同胞の間から借り受けるということに本國政府の請訓を仰いだのであります。これに対して、政府はそれを保証するという訓令を発したのであります。従つて政府はこれらを行政費として確認しておりまして、その総額を九億一千七百余万円と計上しておるのであります。従いまして、この二つの問題は外地から引揚げて参りました同胞たちが、正常なる國民生活に復帰するために極めて必要なものでありまして、従つてこれが補償又は返還をするということは必然的に考えなければならない問題であります。従つて本特別委員会といたしましては、この問題につきましては、次の二つの措置が必要であるというように考えたのであります。第一は、戦後処理方針が確立された際には、第一の個人財産については早急にこれが補償の方途へ講ずべきである。第二の点につきましては、速やかにその返還につきまして適当なる措置を取らなければならんということであります。 以上申しましたことは、敗戦日本を救うために政治の根本理念であるという信念に我々は立つておりまして、従つて日本再建の基礎を築くべきこの第一回國会におきまして、これらの請願、陳情を採択することによつて、國会はその根本方針を明らかにし、政府又乏しきを奮いまして、不可能を可能とする底の最大の善処をなす決心がありますならば、不平等を喞つ外地からの帰還者たちは、自分たちが公平に待遇せられるという方針を公示せられることだけによりましても、その人心を鼓舞し、これらを勇気付け、眞に國家の基礎を固め得ると考えるのであります。 最後に一言附加えたいのでありまするが、これらの請願及びその陳情はその実現の時が問題なのであります。日暮れて途遠しというような結果になりましたのでは、折角全國民及び連合國各國の御好意によりまして、外地から帰還しました者たちが更生せずして、中道にして斃れるという結果になるのであります。願くばこれらの外地からの引揚者たちが、或いは復員者たちが、帰國後彼らが燃ゆるような救國の精神、みずから更生せんとするところの、旺盛なるところの生活意欲を持つております間に即ち鉄がさめない間に、日が暮れない間に、これらの請願、陳情の実現を図らなければならないということであります。以上審査につきましての御報告を申上げ、参議院の全議員諸君の心からなる御賛成を重ねて要望する次第であります。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、これを採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。 財政及び金融委員会より所得税法の一部を改正する等の法律案外二件につき報告書が提出せられる筈でございますから、その委員長報告を求むるため、午後一時半まで休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 —————・————— 午後二時二十二分開議
○副議長(松本治一郎君) これより午前に引続いて会議を開きます。参事をして報告をいたせます。 〔宮坂参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。 所得税法の一部を改正する等の法律案可決報告書 非戦災者特別税法案可決報告書 失業保険特別会計法案可決報告書 本日財政及び金融委員中西功君より左の報告書を提出した。 所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戦災者特別税法案に対する少数意見報告書 —————・—————
○副議長(松本治一郎君) この際、議事日程に追加して、失業保険特別会計法案、所得税法の一部を改正する等の法律案、非戦災者特別税法案(内閣提出、衆議院送付)を一括して議題とすることに御異議がございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。尚所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戦災者特別法案については、少数意見の報告書が提出されております。先ず委員長の報告を求めます。財政及び金融委員長黒田英雄君。 〔黒田英雄君登壇、拍手〕
○黒田英雄君 只今上程に相成りました失業保険特別会計法案、所得税法の一部を改正する等の法律案、非戦災者特別税法案、この三案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。 先ず失業保険特別会計法案について御報告申上げます。本法案は先に本院において議決されました失業保険法並びに失業手当法、この両法案に関係をいたしておるのでありまして、その失業保険事業の経理につきましては、各種の保険事業におきますると同様に、失業保険に関しまする歳入歳出はこれを特別に経理して、その収支を明確にすることは適当であるというので、特別会計を設けるのであります。 尚、失業手当法に基ずきまする失業手当金及び失業保険金の支給の事情についても、その歳入歳出の経理をその性質上本特別会計で併せて行おうというのが本案の主な内容であるのであります。 これにつきましては衆議院におきまして修正がありまして、附則の第十七條に、「この法律は、昭和二十二年十月一日から、これを施行する。」とありますのを、「この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを適用する。」と修正に相成つたのであります。 委員会におきまして質疑に入りましたが、ただ失業保険法は特別会計は必要であろうと思いまするが、特別会計はすでに多数にありましたものを整理する方針で参つておるのに拘わらず、だんだん特別会計法が出るのであるが、将來どういう考えであるかということにつきましての質問に対しましては、政府は、その方針で参るつもちでありまするが、これは特別に必要があるので設けるというような趣旨であつたのであります。かくて討論に入りまして、別に発言もなく、採決を行いましたところ、全会一致を以て本案は衆議院の修正通り政府提案を可決すべきものと議決いたしたのであります。 次に所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戦災者特別税法案について、委員会の審議の経過並びに結果について御報告を申上げます。 委員会は、委員会を開きまする外に公聴会を二日に互つて開きまして。廣く意見を徴したのであります。公述人の陳述されました意見につきましては、委員会においてもいろいろ質問論議が行われたのであります。本案の内容は、すでに先般本議場において大蔵大臣から提案の理由とその内容を詳細説明があつたのでありまするから、これを省略いたしたいと存ずるのであります。質疑應答につきましては、委員会において非常に熱心に御審議に相成りまして、いろ尊重要なる質疑應答が交されたのでありまするが、これは速記録を御覧を願うことにお許しを願いたいと思うのでありまして、ただそのうち二三のものについて御紹介を申上げたいと思うのであります。 先ず所得税につきましては、扶養家族の控除を二千四百円から四千八百円に引上げられておるのでありますが、その四千八百円という根拠はどうであるか。又基礎控除においても税率を上げておりますが、その根拠が明らかでなければ、この改正が適当であるや否やを判断することはできないという御質問があつたのでありまするが、これに対しましての答弁は、これは種々の観點からいたしたのであつて、即ち最低生活費の点も考慮し、又課税技術の上からの、小額所得者に対しまする課税の困難、少額所得者に或いは酷でもあるという点、財政上の減収になりまする心配等もいろいろ考慮して、実際最低生活を保障することには、尚相当増額をしなければならないと思うのであるが、併しこれによつて勤労所得者の負担は軽減され得ると思うというような説明であつたのであります。尚、最低生活の保障というものは税制の上において考えなくてはならんではないか。尚それについては、家族の数、或いは所得額等の関係も考える必要があると思う。尚、基礎控除の方は所得から引き、扶養親族の控除の方は税金から引くというように区別しておる理由はどうかというような御質問に対しましては、これは課税の技術上からであるというような意味の答弁があつたのであります。尚、所得税は申告納税の制度に相成つたのでありまするが、これによつて申告額が非常に少い。又滞納も多いと思うのであるが、将來の税収入を果して予定だけ挙げ得るかどうかというような御質問があつたのでありまするが、これは政府においても憂慮しておることであるが、併し所得税につきましては、すでに施行一年近くにもなるのでありまして、その申告も、人員では大体予定しておる人員であるが、所得額が少いのであつて、更に今日は更生決定をやりつつあり、又これに努力するつもりである。又その他罰則の強化について、從來適用しなかつたのでありまするが、悪質のものには十分この罰則を適用して行く。尚、税の趣旨の徹底、或いは協力を得るために納税強調運動等も起して行くつもりであるということであつたのであります。併しながら最低生活に根拠を置かないところの現在の税制は、國民生活から遊離した税であるからして、そういう運動を起しても効果がないのではないか。又税率が高いために却つて収入が少いというふうなこともあると思うのであるからして、むしろ今日物価も騰貴しておつて、そのインフレによつて利得したところの階級に課税をして行くならば、それによつて収入も確保し、又勤労大衆に対する課税をしなくても済むのではないかというふうな意味の御質問もあつたのであります。これに対しまして政府といたしましても、これらの新らしき利得者に対しまする課税については努力しておるのであるが、何分これは非常に困難なことであるのであつて、努力は十分にいたす考えであるということであつたのであります。尚、税務官吏の待遇が他の官吏に比して非常に低いということは事実であるか。又将來これを改善する意思ありやということに対しましては、税務官吏の待遇は他の官吏に比して低かつたのである。その原因は余りはつきり分らないのであるが、これのでこぼこの調整は今やつておるのであるし、又将來それによつて平準には達すると思うのであるが、尚将來その待遇の改善については、いろいろな点を今考慮しておるのであつて、又國会に提出して御協賛を願うようなこともあると思うというようなことであつたのであります。尚、物価が騰貴して來たのであるからして、免税点も引上げることがいいではないか。それから今回の改正は、いかにも財政の緊急の附則を補うためにやつたものであつて、來年度の予算の編成の際においては、税制も、もつと合理的に根本的に改正する意思ありやというふうな御質問もあつたのであります。これに対して大蔵大臣からいたしまして、來年度の予算においても、将來税制はもう少し理想的に根本的に改正をするように進んで行きたいというふうな御答弁があつたのであります。その他経常財産税、それから農業税等についての政府の所信も聴かれたのであります。その他多くの質疑應答がありまするが、先程申上げました通りに、速記録に護ることのお許しを願いたいと思うのであります。 それで質問を終了いたしまして、討論に入りましたところ、日本社会党の森下委員からいたしまして、不本意であるが本案に賛成をする。今日経済状況の不安定である状態で、理論的な現制を作ることは困難であろうということは察するのである。これは追加予算に充てるための財源ということを主張としたものであると思うのであるが、いかにも今回は取り易きところからの取る態度に見られるのであつて、理想的なものではないと思うのである。もつと來年度の予算を編成する際におきましては十分に考慮して、理想に近い、インフレの克服に重点を置いたところの租税政策を採られることを希望するというような意味の御意見がありまして、本案に賛成をされたのであります。次に共産党の中西委員からして本案に反対であるということであつたのであります。これは実は非戦災者特別税と一緒に採決の際であつたのでありますから、さように御了承願いたいと思うのであります。併し中西委員の反対の理由は、中西委員が後でお述べになるそうでありまするから、これは省略さして頂きたいのであります。次に日本民主党の木内委員からいたしまして、賛成の意見を述べられ、尚、税の内容等は國民に周知せしめるような措置をとつて貰いたいというような希望があつたのであります。 次に、非戦災者特別税法案について申上げます。本法案の内容も、すでに本会議において大蔵大臣から御説明があつたのでありまするから、これを省略いたしたいと思います。 質疑應答に入りまして、その二三を御紹介をいたしたいと思います。一委員から、昭和十九年に愛知縣に起こつた震災等によりまして、家屋に損害を受けたところというようなものは、この調査時期、調査時期というものは二十年の八月十六日となつているのでありますが、その場合の賃貸価格によるのであるかどうなるか、ということに対しましては、それらは、その後において訂正をしておりませんものは、今度申告をする際において申告をされるならば、賃貸価格の調査をして改定をするということであつたのであります。 又、この非戦災者特別税につきましては、緊急止むを得ない税収入を図るために作られたと思うのであるが、反対の意見も多いのである。自分も誠に好ましくない税と思うのである。即ち戦災に遭わなくても、必ずしも担税力があるとも今日はいえない、又戦災に遭つても、その後いろいろな、インフレ等によつて利得をして担税力が非常に殖えている者もあると思うのである。又、農村と都市とにおいても非常に担税力の違いがあるのでありまするから、担税力のないところに税がかかるような懸念が非常に多いと思うというような御質問であつたのでありまするが、これは積極的に担税力を持たないことが誠に欠点であると思う。併し、戦災者と非戦災者との間においては、今日経済の状況からいたしましても、相当目立つた違いができて來ていると思うのである。國民感情の上から考えても、この均衡を得るために課税することはよろしいと思う。又、税額としても余り高いのではないのである。財産税の最高は九〇%までに至つておりまするが、併しこれは極く一割にも達しないものであるから大したものではない。六十五億円の税源が今日ないのであるからして、止むを得ずこういうものは選んだものであるというような説明であつたのであります。又果して本年度予想してゐるところの六十五億四千百万円という収入が、年度末までに得られるかという質問に対しましては、これは來年の一月の末までに申告をする。申告と同時に納めるのであつて、農村等でも役場においてよく賃貸価格が分つている。それがいろいろ世話をしてやりまするから大体納期前に納まるものと思うということであつたのであります。又この税は表面に現われたものが取られるということになるのであつて、誠に國民の感情からいつて面白くないというような御質問があつたのであります。政府はただこれは戦時補償打切りの一連の施策として考えているのであつて、保険金のごときも、焼けたものは保険金の一部分しか受取らないというような状況であるのであるから、それらの権衡上これを設けたのであるということであつたのであります。 それから延納のことでありますが、延納は六箇月であつて、一年までは延ばすことはできるのでありますが、高額のものは一年では短か過ぎはしないかという御質問に対しまして、今日の経済の変動の激しい時においては、成るべく税金を早く徴収しなければ実際の要をなさない実情である。止むなく一年に限つているのであるが、一年になつてもどうしても納まらないというようなものは別途金融の途を開くとか、或いはその他事態によつては税法の改正をするというような問題は起るかとも思うというふうな答弁であつたのであります。この非戦災者特別税につきましては全面的に賛成の方もありますが、多くはこれは好ましくないといいうような御意見であつたのであります。 かくて討論に入りまして、先程申上げましたように、所得税法の一部を改正する等の法律案と一括して討論に入りましたので、先程申上げましたような討論が行われたのであります。かくて採決に入りまして、両案一括して採決をいたしたのでありまするが、共産党の中西君を除く外全員賛成でありまして、即ち大多数を以て両案共政府提案通り可決すべきものと決定をいたしたのであります。これを以て報告を終ります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 少数意見者から報告することを求められております。報告時間は十五分間に制限いたします。中西功君。 〔中西功君登壇、拍手〕
○中西功君 所得税法の一部を改正する等の法律案と非戦災者特別税法の二法案について我々日本共産党は反対であります。その少数意見を今から報告いたします。 現在の税制並びに徴税機構が危機に頻しているということについては殆んど万人が認めていることであります。從つて又参議院におきましても、徴税機構の問題について特別に自由討議がなされたのであります。その際各党派から沢山の意見が出ました。又改革意見が出ました。併しこの度の追加予算に絡まるところのこの税制の改革には、そういうものが殆んど採用されていないのであります。私は本院の権威から申しましても、我々のそうした意見が殆んど採用されなかつたということについて大いに遺憾とする次第でありますが、今日は特別にどこに問題の所在があるかということについて、簡単に、数点を指摘したいと思うのであります。 この度改正されました点、例えば金融所得の一部の控除額の引上げとか、或いは又七万円以上の所得者に対する税率の引上げ、そういうものの改正の趣旨は、政府自身が謳つておりますように、負担の衡平を期するとか、或いは大口利得者に対する課税を強化するとかいうふうな一應尤もらしいことが言われておりますが、実際におきましてはこうしたことは殆んど何の役にも立つていない。反対にインフレの進行或いはいろいろの事情から、現在の徴税体制はいよ厖大衆には堪えられない、全く堪えられない存在になつておる。そうしたことを少しも改善していないという点は明らかであります。今の税制は戦時中或いは戦前日本に極めて非民主的な体制ができておつた時代に作られ、その裏附けとなつて來ておつたものであります。從つてこれには非常に大きな根本的矛盾があります。一口でいえば、これは取れる者からは取らない。余り取らない。そして取れない、出すことができない者からのみ取つて行くという体制、それは種々の悪税となつており、又人民大衆からも悪税反対運動が引切りなしに起つておるという状態なのでありますが、この所得税、それだけ取つてみましても、或いは又この度の追加予算に関連したいろいろの実際の数字を取つてみましても、非常に矛盾に富んでおります。例えば皆さん御存じの通りであります現在のこの税率で以て正確に所得を掴まえて、そうして課税したならば殆んどこれは食えない。食えないどころでないのです。首を吊つて死ななければならないことは確実であります。五万円の所得のある人で、実際にその所得を五万円として計算したならば、月生活費四千円と計算いたしまして、赤字が二万円以上出る。七万円の人でも九万円の人でもこれは駄目なんです。やつと三十万円に至つて漸くにして月五千円の生活費が出る。こういうふうな高率なのです。これは単に所得税ばかりでない。いろいろその他にもありますが、とにかくこういうふうな苛酷な高い税金なのです。でありますから、正確に取つたならばみんな破産、みんな死んでしまわなければならん。これは確実なのです。ところがもう一つ面白いことには、それではこういうふうな苛酷な税率を置いておいて、政府がどれだけ所得税を見込んでおるか。ここには大きな穴があるのです。若し國民所得を我我が九千円と評価するならば、現在の税率で以て、最低の税率で以て、所得だけで一千四百億以上の税金が上つて來なければならん。これは最低なのです。四割五分、最低としてそうなるのです。ところが所得税は六百億前後です。一千億の穴が開いておる。政府自身、結局取れないもの、所得は本当に掴めないということをちやんと頭に置いて立てておる。政府自身がこういうふうに矛盾しておるわけです。從つてこういう結果いろいろの状態が起つて來ます。政府自身がそういうふうな本当に所得を実際に正確に掴もうとする金然意欲がないということが現われておりますが、我々人民も成るたけ脱税しよう、なるたけ少なく報告しよう、そればかりしか考てていないのです。そして税官吏はどうか。税官吏はこれは税金を大体決めて置いて、そうして所得の額を決めるという逆算をやつております。これば事実なんです。こういうふうにすべてが顛倒しております。でありますから、こういう結果どういうことになるか。結局大きい者は適当な方法で以て逃れることができる。非常に資力の弱い小さい者だけが、この高い税率で苦しめられる。全然意味がないのです。而もこういうことを平氣でやつておる。これが所得税の根本的な矛盾です。 併し現実にはこれだけではないのです。もう一つの問題が掛つて來ております。それはインフレの進行によつて、旧來のこういう体制がいろいろ我々に桎梏になつておる。例えば昭和十二年度において最低の所得税を納めた人は、現在ならば大体そういう人は十万の所得を持つており人です。だから十万円の所得から本当は所得税をかけるべきなんです。それが戦前と同じであるならば……。それが現実は一万円前後からかけております。そうして税率を見ましても、昭和十二年は、百円について十二銭、現在ではどうかとうかと申しますと、百円について三円二十銭である。これだけ強化されておる。これは勤労所得税においては最もひどいです。勤労所得税においては、以前の波で申しますならば、現在の十五万円の人からかけるべきです。ところが一万五千円前後からかけておる。こういうふうにインフレ自体がどんどん進んでいつて、生計を立てて行けんです。これには政府は何の手を打つておるか。一つも打つていない。例えば基礎控除にしても、現在は四千八百円であります。これを以前の三百円といたしましたならば、当然インフレの影響だけを考えましても、二万円にしなければいけない。ところがそういうことはやつていないわけなんであります。でありますから、この第二の問題で結論をいいますれば、インフレの影響だけを考えましても、二万円にしなければいけない。ところがそういうことはやつていないわけなんであります。でありますから、この第二の問題で結論をいいますれば、インフレの影響で、財産税は考えていない。考慮していない。対策も持つていない。でありますから、元々これが非常に不合理であるが故に、インフレによつてこの体制がますます不合理になつておる。そのためにますます大衆は困つておる。でありますから、例えば今度七万円以上の人人に高率を課すことによつて大口所得者を捕捉するのだと言つておりますが、これも極めておかしい、極めておかしいのです。なぜならば、十万、十五万円の現在の所得の人は、以前でいえば最低の所得者です。税金を納める最低の所得者、主として中小工業者でありますが、そういう人々が政府の発表からいいましても、七万円以上の大多数はこのクラスです。このクラスに対して極めて小刻みに税率を上つておる。そうして百万円以上の人は何人おるか。政府が考えておるのは僅かに二千人であります。而も百万以上の人には一定額で決して税金は上つていないのです。こういうふうに大口所得者を捕捉するのだといつて置きながら、実は中小工業者を極めていじめておるというのが今度の七万円以上の引上げなんです。ですから本旨は一つも通つていない。道なんです。 もつと申しますれば沢山な事実がありますが、時間もそう沢山ありませんので、その他は省きますが、特に非戦災者家屋税の問題について申しますれば、若し政府が本当に所得を正確に掴まえるということをするならば、こういう非戦災者特別家屋税というものは要らない、取る必要はないのです。自分自身で本当に所得が把握できないということを前提としておるし、そういう無能を認めておるからこそ、こういうふうな極めて煩瑣なものが設けられなければならん。而もこれは増加所得税の場合においては、対象人員は三百万人、この非戦災者家屋税においては九百万人、いかにこれが煩瑣なものであるかということがお分りだと思います。増加所得税のときにも極めて大きな沢山の問題を生みました。現在においてもこれは誠にひどいのです。その他標準の決定や、或いは又いろいろ着眼点の相違やいろいろの問題がありますが、若し本当に政府が負担の均衡を期するというならば、なぜ八十億に上るところのあの戦時公債の利子を打切らないのか、本当にそういう意思があるならば何故打切らないのか、これこそ本当の負担の軽減である。引揚者におきましても海外から引揚げて來て僅かに一軒の家しか残つていない。そういう事情が沢山あるのであります。而もその家から税金を納めなければならんのであるが、而も所得税を納めてしまえば赤字になるというところであつて、何故他にこういう余分の金ができるか、できるとすれば闇とやるより他にないわけでありますが、而も政府に対してその答弁を求めるならば、それはなかつたならば現在止むを得ないから家を売つてでも拂つて貰わなければならん。こういうふうなことを言つておるわけであります。でありますからこの非戦災者特別税も結局においては極めて悪税である。大衆課税であることはもう非常にはつきりしておると思います。このようにしていろいろの事情の結果、実際にはこれは滞納額やそうしたものを見ましても殆どこれは実行できないのです。そうして特に大切なことはこの期末におきまして、非常に根強い大衆の反抗運動が起つて來ます。これはもう必至であります。そういう時に果してこの大衆の反抗運動を我々が悪いと言えるかどうか、これは当然であります。この責任は当然この税制にある。それを遂行するところの政府にある。それに賛成する人々にあるわけでもあります。私はこの大衆の悪税反対、天降り決定、そういうものに対して非常に廣汎なる運動が起ると思います。そういうものが起りました時にこれに賛成される方々が非常な責任を負わなければならん。そうして又実際いろいろこの社会問題が起こつて來ますが、ここにこの法案に賛成された方々がはつきりとして置いて貰いたいことは、私の議会外に向つて、わしはあれに反対であつたのだというふうなことを言つて貰いたくない。実際に今後大衆に極めて苦痛が起るとするならば、非常な又いろいろな危機が起るとするならば、むしろこの税制に出発しておる。石炭國管案においてどんちやん騒ぎをすることよりも、むしろこの法案をこそ、最も直接的なこの案をこそ、我々は慎重に審議をしなければならない筈であります。我々日本共産党を大衆を殺すような、大衆に首吊りを強いるような、こういう税制に対して賛成することはできないのであります。併しそれならばもつと他に税金が取れないのか。これは私は若し現在のような危機的な状態において歳出が或る面において膨大する。大きくなるというような止むを得ない事情の下において、いろいろ方法はあると思います。時間がありませんのでそういう問題は述べませんが、実際はあるのであります。併し実際には幾多の方策があるわけでありますが、とにかくこの税制におきましてはそういうような大衆の非常な負担をますます増して行く。そうしてこれは決してインフレ克服にも何にもならないで、反対にインフレを激化するのであります。若し本当にある者から取る、インフレを激化するのであります。若し本当にある者から取る、インフレを激成しておる者から取るならば、本当にインフレの克服のために役立ちます。こうした税制をうまく運用すること、そのこと自身がインフレ克服に役立つのであります。でありますから我々といたしましては、本当にそういうことに役立つ、インフレ克服に役立つような税制を作ること、これは可能である。併し多くの人の議論では現在においては確かにこれは悪い。不満足なものだ。併しただこういうような危機の際においては止むを得ないということで賛成される方が多いのでありますが、それも亦々間違つておると思うのであります。歳出が増大すればする程、そうして又現在の財政が危機であればある程我々としましては、本当に人民が協力できるような税制を作らなければならん。そうしなければ決して所期の目的を達することはできないのであります。私はこういう税制は何ら人民の協力を得ることはできない。反対に猛烈な反抗を買う。そうして社会的危機を激化して行くと思う。その責任はこの税制にある。この政府にある。同時に又それに賛成した人々にあるということをはつきり皆様に知つて貰いたい。我々日本共産党がこの税制に反対いたしますのは、そういう問題に対して責任を負うことはできない。そう考えるからであります。私の少数意見をこれで終ります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) これより採決をいたします。先ず失業保険特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を願います。 〔起立者多数〕
○副議長(松本治一郎君) 過半数、よつて本案は可決せられました。 —————・—————
○副議長(松本治一郎君) 次に所得税法の一部を改正する等の法律案及び非戦災者特別制法案の全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を請います。 〔起立者多数〕
○副議長(松本治一郎君) 過半数と認めます。よつて可決されました。 これにて本日の議事日程は全部終了いたしました。明日は午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知申します。本日はこれにて散会いたします。 午後三時七分散会