本会議 第52号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/11/15
会議録
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。治安及び地方制度委員長より、警察機構変更の状況実地調査のため、千葉縣に吉川末次郎君、中井光次君、鈴木直人君、羽生三七君、村尾重雄君、大隅憲二君、草葉隆圓君、黒川武雄君、岡田喜久次君、青山正一君、岡本愛祐君、岡元義人君、小野哲君、柏木庫治君、駒井藤平君、阿竹齋次郎君、池田恒雄君、奧主一郎君及び濱田虎藏君を、十一月十八日、一日間の日程を以て派遣したいとの要求がございました。これら十九名の議員を派遣することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第一、國会法第三十九條第二項の規定による國会の議決に関する件、お諮りいたしますことは、明年三月三十一日まで、船員中央労働委員会の委員に本院議員板谷順助君を充てる件でございます。念のため申上げますが、議長は本件を予め議院運営委員会に付議いたしましたところ、同委員会においては異議がない旨の決定がございました。内閣総理大臣の申出にかかる本件を容れるごとに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第二、職業安定法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長原虎一君。 〔原虎一君登壇、拍手〕
○原虎一君 只今議題となりました職業安定法案につきまして、委員会におきまする審議の経過並びに結果について御報告をいたしたいと存じます。 先ず本案の内容について申上げますが、新憲法第二十二條に定められました職業選択の自由の趣旨、その他新憲法全般に現われておりまする精神に鑑みまして、職業紹介事業その他職業の安定を図る事業の整備刷新を図ることが、我が國現下の急務でありまして、この法案はこの必要に應ずるために制定せられたものであります。 その内容は、政府の行う職業紹介、職業指導及び職業補導、並びに政府以外の者の行う職業の紹介、労働者の募集及び労働者供給事業につきまして、職業紹介機関の組織とその運営の方針、並びに新憲法の趣旨に則る労働行政の民主化の実現に関する規定等が主要なものであります。 而して本法案の目的とするところは、その第一條に明記してありますごとく、公共職業安定所その他の職業安定機関が、各人の有する能力に適当なる職業に就く機会を與えることによつて、産業の必要労力を充足して職業の安定を図ると共に、経済の興隆に寄與せんとするものであります。 現行法といたしましては、職業紹介法があるのでありまするが、この職業紹介法なるものは、労務の統制、配置を目的として制定せられたものでありまして新憲法によつて人権が尊重せられまするようになりました現在におきましては、妥当を欠く点が多いのに鑑みて政府は今日これを廃止してこれに代るものとして本法案を提出したのであります。 而して本委員会は、八月二十二日から七回に亘つて予備審査を行いまして極めて慎重に審議を重ねたのでありますが、十月三十日衆議院から本院に送付されまして、更に本審査を行なつたのであります。政府から米窪労働大臣その他の政府委員が出席し熱心なる説明及び答弁があつたのであります。以上が本法案の内容の大体の説明であります。 これから法律案審議の経過の概略を申上げたいと存じます。 第一は、本法案の題目であります「職業安定」という言葉は、本法案の内客を端的に表現していないから、他の適当なる言葉に変更すべきではないかとの質問に対し、政府は、從來の職業紹介法は、職業紹介事業に重点を置いた名称であつたのに対して、職業安定法案は、この法律の究極の目的とするところに重きを置いたもので、法律の内容を示すにふさわしい名称であるとの趣旨の答弁があつたのであります。 第二は、本法案が、新憲法で認めておる個人の職業選択の自由の趣旨によつて一貫しておるのはいいが、そのために労働力の充足ができない場合の調整はいかにするかという質問に対して、政府は、先ず職業に対する啓蒙を行うこと、次いで労働力を必要とする産業部門の労働條件を改善することによつて、何らの行政手段を取らないで、必要労働力の充実確保に努める方針である旨の答弁があつたのであります。 第三は、職業行政の特殊性はこれを認めるに吝かでないけれども、他方において、地方自治の精神を重んずるように、本法案第六條乃至第八條に規定する職業行政の組織及び機関の権限を検討して、できるだけ実務を地方に委任すべきであるとの意見に対しまして、政府は、本法案は一方全國の職業安定機関の連絡統一ある運営をする必要性と、他方において地方自治体の本旨との調和を図つたものでありまして、できる限り都道府縣知事の存在を尊重して権限を委任してある旨の答弁がありました。 第四は、本法案第九條においては、都道府縣又は公共職業安定所において、專らこの法律を施行する業務に從事する者は、労働大臣の定める資格又は経験を有する者でなければならないことになつておるが、その資格又は経験の具体的基準はいかになつておるかとの質問に対しまして、政府は具体的には政令で定めることとして、目下研究中である旨の答弁がありました。又職員に婦人をも任用するようにとの質問に対しまして、政府もその趣旨に副いたい旨の答弁があつたのであります。 第五は、本法案第十二條に規定する職業安定委員会の運営に当りましては、努めて民主的にこれを行い、委員の中には婦人委員を入れ、又委員会の中に年少者に対する職業指導及び補導の部会を設けよ、又委員会は労働者代表、雇用主代表及び公金代表者がおのおの同数でこれを組織することが適当であるとの意見に対しまして政府は、その趣旨は十分に了承してその実現に努力する旨の答弁がありました。又更に職業安定委員会の委員には旅費、日当及び宿泊料を支給するものとする規定を本法案中に挿入すべきであるとの意見に対しまして、政府からはかかる施行上の細則は政令又は命令を以て規定した方が便利であると認めるが、本法案中に規定されても別段支障を來たすものではない旨の答弁があつたのであります。 第六は、争議行爲に対する公共職業安定所の不介入を規定している第二十條に「業務の部門」という字句を用いているが、これは明確を欠くので、これを「事業所」と改め、又争議行爲に関係のない業務の部門に求職者を斡旋することを認めている。第二項の規定は「中立の立場を維持する」という原則に反する虞れがあるので、削除すべきではないかとの意見に対し、政府は、公共職業安定所の争議行爲に対する中立性を維持する規定は必要であり、この法文の運用如何によつてその中立性が失われようとは考えられない。尚本條第二項も必要な規定とは思うが、委員会において他に適当なる表現に修正されるとも、政府は敢えて原案を固執するものではない旨の答弁があつたのであります。 第七は、本法案第二十八條の職業補導所の規定に関連して職業補導所に入所中の補導生に対し、安んじて補導を受け得るように補導手当の増額について、熱心なる要望があつたのに対して、政府は、政府としても予てこの点を考慮中でありまして、でき得れば追加予算において補導手当支給額の増額を考慮したい旨の答弁がありました。 第八は、労働者の募集に関する本法案第三十五條は、新聞紙、雑誌その他の刊行物に掲載する廣告又は文書の掲出、頒布による募集は原則として自由にこれを行い、募集内容を公共職業安定所長に通報することを要しないことになつているが、労働力の需要供給の調整を図る上から見てすべて通報を要することにすべきではないかという質問に対して、政府は、労働者の募集については弊害あるものを除いて、できるだけ自由な活動を認めるべきであり、公共職業安定所としては、その職務上当然管轄区域内の労働者募集の状況を知らねばならないが、それは募集を行う者からの通報によるのでなく、安定所自体の努力によつて当然知り得べきものでありますから、條文に規定する必要はない旨の答弁がなされました。 第九は、法案第四十四條に労働者供給事業禁止の原則を掲げているが、往往非合法的に行われる事実があるが、これらの対策如何という質問に対して、政府は、他人の労働に対する中間搾取を排除することは労働基準法にも明記してあることであり、本法に対する脱法行爲については厳重にこれを監視しまして、法の精神を十分に貫徹するように、努力するとの答弁がありました。 第十は、本法案の罰則について、その規定する罰金額は現下の社会情勢から考え軽きに失しないか。特に罰金刑については、もつと高額にすべきである。然らざれば悪質の違反者に対する戒告としては、その効果を欠きやしないかという趣旨の質問に対して、政府は、本法案の罰則は大体において労働基準法の罰則との均衡を考慮したる上に定めたものでありまして、罰則としても体刑と罰金刑とは選択し得るので、犯情によつては体刑を科することができるのでありまして実際上の不都合はない。又罰金額が現在の貨幣價値から見て、低額に過ぎるとの御意見ではあるが、これは刑罰法規全体に通ずる問題でありまして、いずれ檢討を加えることになるだろうという旨の答弁がありました。 以上が大体本法案に関する主要なる質疑應答の概要であります。 尚本法案の審議に関連いたしまして、企業整備について特に質問が繰返えされましたことを申添えたらと思います。これに対しまして政府からは、企業の整備に当りましては、先ず企業の経営自体を合理化すること、次に人員については、経営体内部における配置転換を行いまして極力失業者発生を防止し、止むを得ず発生する失業者に対しては、失業保險、失業手当制度の実施によりまして生活の不安を除くことを期したい。巷間傳えられるように、企業整備即首切りであつてはならないという旨の答弁がありました。 右申述べました質疑應答の外に、いろいろな角度から政府側と委員側とに詳細且つ多岐に亘る質疑應答が交換されましたが、これ速記録によつて御承知を願いたいと存じます。これらの質疑應答は殆んど予備審査中に終りまして、修正点につきまして協議を遂げまして、逐次衆議院側と緊密なる連絡をとり、打合せをいたしたのであります。従いまして配付になりました衆議院の修正案の中には、参議院の委員会の意見が多分に織込まれております。 かくて質疑を終りまして、討論に移りましたところ、第八條第四項及び第十二條第十二項に関しまして修正を加うべしとの動議が出たのであります。修正案を朗読いたします。 第八條第四項を次のように改める。 公共職業安定所の位置、名称、管轄区域、事務取扱の範囲、職員の定員その他公共職業安定所について必 要な事項は、労働大臣がこれを定める。 第十二條第十二項中「政令」を「命令」に改める。 かような修正案であります。その理由とするところは、本法案第八條第四一項に、公共職業安定所の位置、名称、管轄区域及び事務取扱の範囲は、労働大臣がこれを定めることになつておるのに、職員の定員その他必要な事項は政令で定めることになつておるのは、後者ばかりを政令によつて定める理由が薄弱でありまして、この場合特に労働大臣と政令とに二分する必要がない。第四項の規定全部を労働大臣が定めることにした方が適当と認める。又第十二條第十二項は職業安定委員会に関する補足規定ともいうべきものであるが、その大要が法律で規定されることになつたのでありますから、これ以外の事項は特に政令で規定する必要もなく、命令で労働大臣の專行に委ねた方が実際的であるのであります。これがこの修正の理由であります。 右修正動議の討論に入りまして、採決の結果、全会一致、右修正案を可決せられたのであります。次いで修正個所を除く法案全部を採決いたしましたところ、全会一致で可決いたしました。かくて職業安定法案は修正議決せられたものであります。 尚最後に申上げたいことは、この法案につきまして討論中、委員より左の諸点に関しまして政府に対し強く要望する意見の開陳があつたことであります。この要望の中には、先刻政府側と委員側との質疑應答中におきまして申上げました点もございますが、その要望の重要性に鑑みましてここに繰返し申上げたいと存じます。 第一は、本法案によりまする職業安定所は、國民に対する奉仕機関となつたのでありまするから、その職員をしてこの奉仕の精神を十分に正解せしむると共に、施設の改善、職員の待遇向上のために政府は遺憾なきを期するため、最大の努力を拂うべきである。 第二は、職業選択の自由によつて、今後は危険又は非衛生の甚だしきもの、その他これに類する職業を忌避して、これがために産業の興隆に支障を招く虞れなしといえない。かかる万人の忌避するような職場に対して十分に労働力を確保するために、政府はよろしくこの種の職業に就く者に対して、或いは施設の面において、或いは給與の面において、又その他の点において、特別の優遇措置を採用するか、又は事業主に対してこれをなさしむるようにという希望があつたのであります。 第三は、同盟罷業又は作業所閉鎖が行われました場合に、事業主は職業安定所に対してその事実を通報するよう、政府において適当なる措置を講じて欲しいという要望であります。 第四は、職業安定所は婦人求職者に対する窓口を成るべく別にし、特にその專任婦人職員の年齢、経験に留意すると共に、更に婦人求職者の特に多数と認められる地域においては、特別の婦人職業安定所を設けることを政府に対して強く要望せられたのであります。 第五は、政府は、職業補導所の拡充には特に留意し、補導所長及び指導員の地位、待遇の向上に努めると共に、補導所に対する資材の割当、道具の完備等に万遺憾なきを期すべきであるとの要望であります。 要するに、本法案成立によつて國民に対する奉仕本位の法律として、十分にその精神を発揮するように、特に政府の善処について強い要望があつた次第であります。 以上を以ちまして労働委員会の審議状況の報告を終りたいと存じます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。委員長の報告は修正議決報告でございます。本案全部を問題に供します。本案全部、委員長の報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員長報告の通り修正議決せられました。(拍手) —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第三、地方鉄道法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員長板谷順助君。 〔板谷順助君登壇、拍手〕
○板谷順助君 只今議題となりましたる地方鉄道法の一部を改正する法律案に対する委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。 この法案は索道に関する問題でありまするが、索道は架空したる、即ち空に鉄線又はこれに類似したる路線によりまして、運搬器を吊して人或いは物を運ぶという事業であります。 〔議長退席、副議長着席〕 即ちケーブルカーであります。この索道は昭和二年に逓信省令第三十六号索道事業規則が制定せられておりましたが、この規則は法律に基く省令でありませんので、これが昭和二十二年法律第七十二号の規定によりまして本年末を以て失効することになるのであります。そこで暫定的の処置といたしまして、地方鉄道法第一條第一項に索道に関する事項を入れて、詳細の規定は命令に譲ることとしたのが、本法案の趣意であります。尚地方鉄道法第二十九條は地方鉄道業者の軍に対する供用義務に関する規定でありましたのでありますが、この点はこの際これを削除することにしたのであります。委員会は本月の十三日に開催されまして、先ず政府より提案理由の説明があつたのでありまするが、これによりますと、現在索道事業はその数が多いわけではありませんが、鉄道に比べて施設は簡單でありまして、建設費も左程多額を要するものではないので、相当地方的に発展を見るものと予想せられまするし、又公共的の事業でもあるから、危険防止の点から十分監督を必要とする。然るに索道事業規則が法律に根拠のない省令であるため、昭和二十二年法律第七十二号の規定によりまして、本年末を以てその効力を失うのでありまするから、暫定的に地方鉄道法中に索道に関する事項を入れることによつて、この法案を決めたいというのであります。詳細の規定は命令に讓ることになつておるのでありまするが、その命令は暫定的なことであるから、現行の索道事業規則を整理いたしまして、これと同様の規定を置くことにしたいと思うておる。又政府においては、新憲法の施行に伴いまして、現行の地方鉄道法はこれに索道も含めて種々不備な点を是正することに鋭意只今研究中であつて、成るべく早い機会に議会に改正法律案を提出したいと思つておるという説明であつたのであります。 本案は事理極めて簡單明白でありまするので、質疑、討論も簡單に終了いたしまして、採決の結果、全会一致可決すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立、よつて本案は全会一致を以て可決されました。 —————・—————
○副議長(松本治一郎君) 日程第四、昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。商業委員長一松政二君。 〔一松政二君登壇、拍手〕
○一松政二君 只今上程されましたる昭和二十二年法律第五十四号私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律案の商業委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げたいと思います。 本法案は予備審査のために商業委員会に十月二日に送付されまして、予備審査を重ねること三回、懇談会を一回開きまして、十月三十日その懇談会を終つて、衆議院の送付を待ちまして、去る十三日に本審査を開きましてそうして只今御報告申上げる通りの結果を得た次第でございます。 先ず本法案の本になつておりまするところの独占禁止法案というものにつきましては、この前の九十二議会の協賛を経て成立し、その後期会で、公正取引委員会の委員に関する規定に一二の改正を加えられた法律案が、いわゆる只今の私的独占の禁止法案であります。この法律の目的は第一條に詳しく規定されておりまするが、要するに事業者の公正且つ自由な競争を確保することを中心とし、國民経済の民主的で健全な発達を図ることを究極の目的といたしまして、そのために障害となる諸般の不当なる協定を排除し、又独占的企業集中体の発生を防止する等の措置を講ずることにあるのでありまして、我が國経済民主化の基本法とも称すべきものであります。 申すまでもなく事業者の創意を発揮させ、技術の進歩を図り、商品の品質を改善し、サービスを向上し、経営の無駄を省き、價格を低廉にする等、企業経営の合理化を図り、延いて一般消費者の利益を確保し、國民経済の民主的で且つ健全な進歩発達を図るためには、独占や不当な協定等を排除し、不公正なる競争を禁止し、常に公正且つ自由なる競争の行われることが肝要であります。この原則は今後の経済秩序の根本方針であり、從つてこの法律は、原則として一切の事業活動に適用さるべきものでありまするが、この原則には、本法案によつて三つの除外例が設けてあります。その一つは、國家又は公共團体の営む独占的事業でありまして、この法律におきましては、私的独占を禁止することを規定いたしまして、國営、公営の独占的事業を直接この法律の問題にするものではないことを明らかにしている。その第二は、私営事業であつても、鉄道、電氣、ガス、その他の事業につきましては、別の考え方をいたさなければならないのであります。又特許権、著作権等につきましても同様でありまして、これらにつきましてはその性質上当然に独占となるものであり、それぞれの法規によつて十分監督をいたすべきことは勿論でありますが、この法律の適用を除外することに規定してあるのであります。その三は、農家や小さい商工業者のような小規模の事業者及び消費者につきましては、その相互扶助を目的とする協同組合による團体を認めなければならないことでありまして、これにつきましては、原則としてこの法律から除外しておる。以上の三項目につきましては、私的独占禁止法の規定上、又その解釈からして、直接且つ当然にそういうことになるのであります。 只今から御審議を煩わしますところの、この適用除外等に関する法律案で取り上げておりますのは、以下三項目あるのであります。その一つは、現下の危機を乗り切るに必要な統制のための行爲は、別に取扱わねばならんことであります。尤も現在行われつつある統制は、私的の團体、会社による配給統制、價格統制等は、真に止むを得ないものの外これを行わせないこととする等、極力私的独占禁止法の趣旨を盛り込んだ方式によつて運営されておりますが、主として技術的な理由からして、例外的に私的團体に臨時配給統制の権限を認めることがあります。本法律案第一條で、第六号に食糧管理法、第七号に臨時物資需給調整法を掲げたのは、こういう場合を適出除外しようとするのであります。價格統制については、第一條第八号のポツダム勅令としての價格統制令がこの例に該当するのであります。その二番目は、特定の事業について特別の法律、がある場合に、その事業の性質上、私的独占禁止法の規定を適用することなく、その事業法の規定を適用する方がよいという場合であります。本法律案第一條第一号から第五号までに掲げた地方鉄道法を初めとする法律の規定がこれに当るのであります。これらはいずれも料金等に関する協定を認可し又はこれを命令する規定であり、私的独占禁止法の規定に抵触するが、地方鉄道等に対する監督方法の一つとして、これを存続する必要があるのであります。その第三は、私的独占禁止法と同法以外の経済民主化法令との関係を調整することを要する場合であります。他の経済民主化法令で私的独占禁止法と異なる規定をしておる場合、又は両者の規定が競合しておる場合に、他の経済民主化法令が特別の指定会社等につき特別の事項を規定しており、一般法たる私的独占禁止法を適用せず、当該経済民主化法令のみを適用するを適当とするときは、これか適用除外しようとするのであります。本法律案第一條第八号ポツダム勅令中のいわゆる制限会社令、持株会社整理委員会令はいわゆるこれに属する次第であります。尚右の適用除外に関する法律案の第一條の規定は、私的独占禁止法の実体規定が、すでに七月の二十日から施行されております関係上、七月二十日に遡つて運用することといたしたいのであります。 次に、私的独占禁止法は、今後の経済秩序に関する基本法でありまして、我が國経済にとりまして一つの新らしい綜合的なる考え方に基ずく経済秩序を打ち立てることを宣言したものであります。勿論この法律を俟つまでもなく、終戰以來あらゆる面で経済民主化が促進されて参つておりまするが、未だ戰時中の残滓と認められるものもあり、更に戰前の諸制度の中にもこの法律の予定する経済秩序と矛盾し抵触するものが少くないのであります。從つて法令上の措置といたしましても、私的独占禁止法と他の経済法令との調整を必要とするのであります。政府におきましてもあらゆる場合に、私的独占禁止法に矛盾し、存続を主張すべき理由のない法令の改廃の手続を進めることとし、本國会にも別途二十件近くの法律につき改廃の法律案を提出又は提出の手続を進めております。又公正取引委員会におきましても、関係各方面の協力を得て、既存の経済法令のすべてに亘り私的独占禁止法の原理に照して批判を加え、場合によりましては、私的独占禁止法の第四十四條による公正取引委員会の権限として、右の結果に基ずき國会に意見を提出し、適宜の措置を具申することといたしたいと考えておる次第であります。併しながら檢討を要する経済法令員数百件に上り、檢討に時日を要し、又問題はしたく簡單ではありませんので、取敢えず私的独占禁止法の規定に抵触する法令の規定は、本法律案第一條で適用除外したものの外は効力を有しない旨を規定し、一括整理することにいたしたのであります。この趣旨を規定したのが本法律案第二條の規定であります。この第二條の規定は、從來の法令にその例を見ない荒つぽい規定のようでありまするが、形式的に独占禁止法違反の事件について公正取引委員会、又は裁判所が事件を判断するについては、当該事件における事業者の行爲が或る法律に基ずく行爲であるにしても、その法令は無効なものとして、專ら私的独占禁止法の規定によつて判断するという意味でありまして、又実質的にはこの第二條の規定で効力を失う法令の規定は、統制を主たる事業とする組合に関する規定が多く、これらについては予てから関係省で整理と切換えを進めておる次第でありまして、これがため現実に経済界に混乱を與えるというようなことは殆んどない。以上が大体政府提案の理由の説明なんであります。 商業委員会におきましては、その提案の理由に基ずきまして、先ずその私的独占の根本法である私的独占禁止法そのものにつきまして一二の質疑があり、更に適用除外の、特に食糧管理法及び物資需給調整法に基ずく適用除外令につきまして質疑應答のありました二三の点につきまして御報告申上げたいと存じます。 元来私的独占禁止法の目的は、只今の政府の説明にありました通り、事業者の創意を発揮させて、事業活動を盛んにし、雇傭及び國民実所得の水準を高め、一般消費者の利益を確保することにあるのがその目的でありますけれども、この目的と背馳する懸念のある事項がある。そういうふうに考えるが、そういう目的と背馳するような懸念のあるものについては、運用上非常にこれは手心を加えなければならんではないかという質問があつたのであります。これに対しましては、政府におきましても、この法律の運用については日本の実状及び産業経済の実体に即するよう十分努力するという旨の回答があつたのであります。 更に、本法はいわゆる過度の弊害を生じ易い。財閥の発生をするという弊害を除くようなことには頗る役に立つけれども、いわゆる中小商工業の企業意欲を抑える慮れがある。でありまするから、成るべく適用の除外の範囲を廣くしたがよいという或る委員の質問に対しましては、府政におきまして各省の担当宮とも詳細に研究したところ、この法律案以外に除外すべきものはもうないという回答があつたのであります。尚この法律案の第一條の第六と第七については、いわゆる食糧管理法及び臨時物資需給調整法につきまして懇談会の席上、或いは委員会におきまして可なりの質疑應答がありました。その詳細は速記録によつて御覧を願いたいと存じますが、その中におきまして、特に今両院に提出されておりまするところの公園法につきましての一二の質疑應答について御紹介を申し上げて置きたいと存じます。 本法律案の適用除外によりまして、公團法を設ける理由が、私的独占の禁止法に抵触するという理由が、この適用除外例によつて法律は一應消えたわけなんでありまして、その必要はないではないかという質問があつたのであります。その質問に対しまして、実際この法律の、いわゆる法理論上からは、すでに適用除外が決定さるれば私的独占禁止法には抵触しない。でありますけれども、物資需給調整法の指定、その他或いは配給を、或いは統制を更によくする別途の意味におきまして、先ず除外はしたけれども、私的独占に傾き易いような体形のものは、早くこれを廃めるのが本旨であるから、そういう意味においてやはり公園は望ましいのであるというような回答があつたのであります。 尚それ以上のことにつきましては速記録を御覧を願うことにいたしまして、そうして一應質疑の終了を先程申し上げました通りに十月三十日に終了して、約二週間待つておつた次第であります。更に十一月の十三日に質疑の有無につきまして委員会に諮りましたところ、別段の質疑もござりませんので、直ちに討論に入りましたが、すでに質疑によつて盡しておりますために、別段の御意見もありませず、更に本案を一括して委員会に諮りましたところが、原案通り可決確定すべきものであるとして、総員起立でこれを確定いたした次第であります。以上を以ちまして報告を終る次第であります。(拍手)
○副議長(松本治一郎君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○副議長(松本治一郎君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決されました。 —————・—————
○副議長(松本治一郎君) この際労働大臣より発言を求められました。米窪労働大臣。 〔國務大臣米窪滿亮君登壇、拍手〕
○國務大臣(米窪滿亮君) 先日本会議におきまして川上さんからお尋ねがあつたのでございますが、当時他の会議に出ておりまして答弁をする機会を失いましたので、この機会にお尋ねに対してお答えをしたいと思います。 第一の点は、民間会社の從業員はすでに千八百円以上の給料をとつているのであるが、官公吏は依然として千八百円ペースで釘附けになつておる。その間、給與の点において生活費と睨み合わせて甚だ不合理ではないか。政府はどういう工合にこれを考えるか。こういう大体のお尋ねであつたと傳え聞いておりまするが、これについては、千八百円ということに大体標準賃金を決めた当時の経緯は、本年の七月五日の給與審議会におきましては、当時の官公吏並びに民間企業の従業員の各業種別の総平均を取つて見ましたところ、大体にお價を決定した場合における跳ね返り二百円というものを追加して千八百円と決めたのでございます。勿論これは新物價を策定する原價計算によつて、新物價を決める時の労務費の標準として決めたのでありまして、決して政府としては釘附けをしようという意味ではないのでございます。併しその後において、物價がだんだんと昂騰いたして行きまして、從つてそれが官公吏並びに民間企業從業者の方の生計費の大部分を占める生活必需品の物價が上つて参りましたために、勢い千八百円の標準給料では最低生活費との間に非常な開きが出て來たことは、政府もこれを率直に認あるのでございます。民間企業の方は、相当團体協約によつてこの物價の昂騰に應じて給與の率を上げる弾力性があるのでございますが、官公吏は予算の関係上、これを物價昂騰に対應してスライド式に上げて行くことのできないということについては、国家財政上甚だ止むを得ないと思いますが、政府としましても、その点は官公吏の諸君に対して誠に同情に堪えないのであります。併しこの点については、すでに官公吏の各組合並びにその協議会等からして、労働委員会に提訴が行われておりましてこれは後程第三の御質問に対してその経過を簡單に報告する積りでございますが、昨日、中央労働委員会から調停案が示されまして、そうしてその調停案の一つとしまして、十一月中に臨時給與審議会というものを設けて、それで以て來年の一月一日から國家財政並びに民間企業の方の労働者の給與と睨み合せて、新しい給與制度を考えるという調停案が下されましたので、政府はこれに対して深甚なる考慮をして、そうしてどの程度に結論が出るか分りませんが、この中労委の意見は尊重して、成るべくその調停案を実現したいと、こういう工合に考えている次第であります。 それから第二の点の、過日行われました逓信從業員のいわゆる非公認争議の点でございます。これに対して從業員の方では、これは決して争議ではない。争議行爲ではない。これは給與が足らなくて、生活費との間に非常な開きがあつて、そうして十分なカロリーを取ることができないので、肉体的に非常に困難を感じて、自然発生的に職場を離脱したのである。或いは欠勤が多くなつたのである。こういう説明をしているようでございますが、我々もその点については決してこれを頭から否定するものではないのであります。ただ問題は、そういうことであるならば、当然他の官公吏の大量の職場離脱が行われるべきでございますが、他の官公吏については多くそういう現象がない。而も從來あつた欠勤であるとか或いは職場離脱というものは大体二割三割程度であつたものが、当時六割或いは七割というような大量の職場離脱が中央郵便局において行われた。そうして而もこれは争議行爲ではないとは言うけれども、我々から見れば、すでに給與その他の労働條件について中労委に提訴が行われている。即ち争議が行われている。争議が行われておつて、而も集團的に、今日はこの机のこちら側に座つている者が職場を離脱、明日はその者は出て來て、その反対側の者が職場離脱をやつている。一定の計画性があるということが考えられる。すでに労働争議が行われておつて、而も中労委に提訴されている。そうしてその要求を貫徹する意味において一つの牽制策としてそういう行爲がとられておると誰しも考えざるを得ない。而もこれは労働争議ではないとは言いながら、そういう計画的な意思の下に行われていることが歴然たる行爲がそこにある。而も責任者はない。これは労働組合が何ら決議をしたのでもなければ、或いはそこの支部長、執行機関が命令を下したのじやない。そこで決議の下で行われたのでもない。労働組合の闘争というものによつて行われたものでない。責任の所在はいつも分らない。こういう争議は決して我々の考えているところの健全な労働組合主義の上に立つた行爲ではない。勿論すでに調停期間は経過しておりますから、公然と労調法によつてこれは争議が行われるので、であるから組合が決議をして、そうして或いは闘争委員会を作つて争議が行われるということはできる。それをせずに、そういつた手続をとらず、事実は争議行爲をしているということにおいては、これは政府としてもこれを黙つて見ているわけにいかん。勿論憲法によつて團結権も罷業権も認められているのでございますが、同時に憲法においては、それらの権利を行う場合においては、公共の福祉に反しない、社会の安寧を乱さない、そうして延いては産業の興隆に寄與することを妨げないということが憲法において明らかになつており、且つ労働組合法、労調法においても同じく明らかになつているのであります。從つて政府は決してこれを弾圧するとか、お尋ねのような意味でやつたのでなくして、政府は予め警告を発して、今までのことは不問に附するが、今後そういうことがある場合においては、政府として、殊に電報を取扱い、手紙を取扱うという公共の機関に関係ある者が、そういうことであつてはいけないという警告を発したのでございまして、その警告を聽かない場合においては、政府は労働組合法の第一條の二項、或いは労調法の四十條、或いは官吏職務紀律の規定によつて、これを処断するということを予め警告を発したのであります。而もその警告に從わないので、逓信大臣として官吏服務紀律に基ずいて、その職場離脱をした間の給料を差引いた。こういうことが実情でございまして、決して非民主主義的でもなければ或いは強圧をしたわけでもないのでございます。この辺は十分なる御了解を願いたいと思うのでございます。 それから最後のお尋ねである官公吏の諸君の要求の経過を簡單に答弁しろというお尋ねでございまするから、この機会に今日までの経過を御報告いたしたいと思います。最初六月の二十五日に官待準備委員会で組合側委員から、一月から六月までの赤字補填金として月收一ヶ月分支給してくれということを要求されたのが始まりでございます。そうしてそれが七月五日になつて全官廳労組が総理大臣に対して要求を提出したのでございます、その間代表が参りまして各大臣と折衝がございましたが、そういうことは省きまして、七月十二日に総理大臣が七月五日の要求に対して全官廳労組に回答をしたのでございますが、官公廳労組の方では不満として再交渉を要求して参りました。それから七月二十六日に、総理大臣から再びその要求は日本の今日の財政状態並びにインフレ抑圧の意味におけるところの物價維持という観点から、どうしても政府としては聽かれないという回答を出したのに対して、全官公廳労組の方は不満であるとし、再び要求書を出して参りました。そうして更に九月十七日に至つて文書で以て総理大臣に対して同じ要求を出したのであります。これに対して九月二十三日、総理大臣から文書を以てこの要求を拒否した。こういうので、ここに初めて手切れになつたのでございます。そこで九月二十六日に全逓が先ず中労委へ提訴いたしました。九月三十日に國鉄が中労委に提訴をし、十月六日に日教組が中労委に提訴した。十月十二日大藏三現が中労委へ提訴したのでございます。更に十月二十八日に全官労が中労委に提訴いたしました。そうして十月二十九日には全公連が中労委へ提訴をいたしました。大体今までのところ、そういう工合でございます。そうして昨日中央労働委員会からして調停案が示されたのでございます。その中労委の調停案なるものは一番最初に提訴した全逓に対する調停案でございまするが、これは当然今後その他の提訴に対しても共通な回答になるだろうと我々は予則しておるのでございます。全逓から出した提訴は相当いろいろの案件を含んでおりまするが、主なるものは物價安定を基礎といたします最低賃金制の確立、それから生活補給金として一月から六月までの赤字の補給金を支出しろ。そういうことでございました。その他にもいろいろございまするが、主なるものはそれでございます。これに対しまして中労委といたしましては、こういう調停案を政府並びに全逓の代表者に発表したのでございます。これは、政府は本年十一月中に臨時給與委員会というものを設けて、明年一月から新給與を支給し得るよう早急に給與案を作成しろ。これが第一でございます。第二の点は、一月から六月までの生活費の赤字を補給する意味において、この際二月と八割、二・八の千八百円ベースにおけるところの一時金をこの際支出しろ。こういう調停案を発表されて、政府としましても十日間の期限を切つておりますから、本日からして労働関係閣僚懇談会でいかなる回答をすべきかということを審議することになつております。政府は原則として中労委の権威を尊重し、中労委の調停案というものに対しては十分にこれを尊重して考慮するつもりでございまするが、果してこの通りに政府かこれを承諾するか否かということは、今後関係閣僚において十分に調査し、財源並びに新物價体系が崩れるかどうかという点と睨み合せ、深甚なる考慮をするつもりであります。以上御報告いたします。(拍手) —————・—————
○副議長(松本治一郎君) 議事日程変更につきましてお諮りいたします。この際、日程第五より第十五までの請願、及び日程第二十四より第二十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松本治一郎君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。 〔木下辰雄君登壇、拍手〕
○木下辰雄君 只今議題となりました請願第百三十三号、同百四十五号外六件と、請願第三百二十五号外三件及び陳情第百六十七号外四件につきまして、水産常任委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。 請願第百三十三号、第百四十五号は、熊本縣牛深漁港修築に関する請願であります。紹介議員田方進君並びに内村清次君から請願の要旨について御説明がありましたが、同漁港は我が國重要なる漁場たる天草灘の根拠地で、漁獲高は年間一万五千トン、加工水産物三千トンその他海藻類を加えますと、二十一年度におきまして二億円の生産があり、同漁港に繋留する漁船は大小合せて六百隻、その外各種運搬船も多く、從つて暴風雨の際港湾に收容できず、港外島影に避難するも被害多く、二十一年度被害漁船大小合せて百三十五隻にも達しておるような状態であります。この際港湾修築工事を速かに完成したいから、二十三年度より継続工事として國庫補助を仰ぎたいというのであります。 請願第二百十九号は岩手縣八漁港修築に関する請願でありまするが、紹介議員千田正君からその要旨について御説明がありました。同港は青森縣八戸港と岩手縣宮古港の間四十里の海岸線に唯一の良漁港であり、避難港であります。又同漁港は三陸漁業の中心地であるばかりでなく、本州と北海道との中継港として重要なる位置にあります。然るに港内経隘、設備不十分で、而も漁船の急増、船型の増大はますます修築の急を要するので、國庫補助を仰ぎたいというのであります。 請願二百二十五号は福島藤江名漁港改修工事費國庫補助に関する請願でああます。紹介議員橋本萬右衞門君から請願の要旨の説明がありました。同漁港は太平洋漁場の重要漁港で、四季を通じて揚繰、底曳、「かつお」漁業等重要漁業の根拠地で地元の漁船のみでも百三十隻を数え、二十一年度の水揚高は五百八十七万四千余貫、一億一千二百余万円に達しております。然るに港湾内に岩礁があり、繋船荷揚に不適当であるから、速かに國庫補助により改修を仰ぎたいというのであります。 請願第二百二十六号は、同じく福島縣中之作漁港改修工事費國庫補助に関する請願でありまして同港は江名漁港と共に、重要漁港で、機船底曳網漁船その他多くの漁船の根拠地でありますが、港内に岩礁があり、盛漁期にが完全に繋船することができない状況にあります。目下福島縣においても、工費千九百三十五万円で修築計画を樹てておりますが、縣内及び地元のみにては負担に堪えないから、国庫補助を仰ぎたいというものであります。 請願第二百四十七号は、兵庫縣柴山漁港改修工事に関する請願で、同港は京都府舞鶴港と鳥取縣境港との中間における唯一の避難港であり、重要な漁港でありますが、水深浅く、このため毎年十回内外の暴風雨時に避難する船が損害を被ることが甚だしいのであります。昭和十三年に農林省の助成を得て防波堤を構築したが、完成しないから、この際國庫補助の下に防波堤の延長と内港の浚渫を仰ぎたいというのであります。 〔副議長退席、議長着席〕 請願第二百五十五号は、焼津漁港構築に関する請願であります。紹介議員河井彌八君から詳細なる説明がありました。焼津の地は太平洋岸で、かつお漁業の根拠地として極めて重要なるところであり、昭和十五年度の生産高は、鮮魚、生節、鰹節、蒲鉾、塩辛、塩「さば」を合せて一万四千五十六トンを算し、東京、大阪、名古屋に出荷され、又漁船のごときも大型船八十余隻を有しておりますが、岸壁がないため、天候のいいときにおいても資材の積込み、漁獲物の陸揚げに多大の時間と労力を空費し、その損失は年間四千余万円に達し、時化の時には遠く清水港に避難して、繋船、水揚げ、資材の積込み等をなす状態であるから漁港の構築が必要である。尚農林省においてもその必要を認め、昭和十四年より七ヶ年計画で築港に着手したが、戰争のため中絶しておる状態であるから、この際速かに構築を仰ぎたいというのであります。 請願第二百七十三一号は、伊豆半島伊東漁港改修に関する請願であります。紹介議員藤井新一君から説明がありましたが、同港は伊豆相模沿岸の各種漁業の重要な根拠地であり、昭和十一年度に漁港修築の工事をなしたが、土砂沈積し、漁船の出入に支障を來しておるから、國庫補助の下に改修工事を実施して貰いたいというものであります。 右に関しまして、委員会においては十月七日、同十五日の両日慎重審議をいたし、又各委員と政府当局との間に質疑應答を重ねましたが、この漁港修築に対し、政府当局の説明の要旨を申上げます。農林省における漁港修築の計画は、北海道五十四港を五ヶ年計画を以て実施する計画を樹てておる、即ち二十三年度十七港、二十四年度に十二港、二十五年度に十港、二十六年度に八港、二十七年度に七港である。又内地においては現在薦手中のもの五十八港、明年度から五年計画で修築するもの九十港で、二十三年度三十五港、二十四年度二十港、二十五年度十五港、二十六年度及び二十七年度各十港でありまして、工事費は北海道四億二千八百万円、内地八億二千万円を要する計画であるというのであります。而してこの請願の中、牛深漁港、中之作漁港、焼津漁港、伊東漁港、江名漁港はいずれも農林省の修築計画中のものでありまして、速かに修築に着手いたす計画であるが、八木漁港及び柴山漁港は商港としての性能をも兼ねて、運輸省において目下修築計画中であるから、その完成を待つて、或いはこれと並行して漁港として築設する計画であるとの答弁がありました。 尚政府委員の説明によりますと、北海道の漁港の修築は全額國庫負担で、内地は五割補助となつておるとの説明がありましたので、千田委員から北海道の全額國庫負担は結構だが、どうして内地の漁港のみ五割補助とするかとの質問に対しまして政府の答弁は北海道は從來拓殖費から全額支出しておつた関係もあり、まだ内地程負担力がないから、今後も全額支出となつておるとの説明がありました。これに対しまして千田、緒方、江熊の三委員から将來は内地も北海道同様全額国庫支出の途を開くの要があると希望意見を述べ、質疑を終了いたしました。討論に入りましたが別に発言もなく、全会一致を以てこの請願六件はいずれも議院の会議に付し、意見書を内閣に送付することに決定いたしました。 次に、請願第三百二十五号外三件は委員会において十一月六日と十一月十日の両日にわたり審議いたしました。即ち請願第三百二十五号は舞阪漁港修築費國庫補助に関する請願であります。同港は静岡縣西部における唯一の漁港で、昭和十九年十月暴風雨により東端防波堤が決壊したため流砂が多く、航路を埋没して漁船の航行不能となつたので、本港の持つ重要性を考慮されて、國庫補助を以て本港の改良工事を実現されたいというのであります。 請願第三百五十六号は鴛泊漁港築設に関する請願であります。紹介議員堀末治君から説明がありましたが、同港は北海道利尻島の北端にある良港で、近海は四季を通じて活溌に漁撈が行われておる北海道の宝庫である。更に近海航路の最難関である小樽、稚内間の避難港でもあつて、地理的にも重要な所であるが、港内が狭いので一朝時化の場合はその対策がなく惨状を呈するので、この防止のため新たに外港として鴛泊漁港を築設せられたいというのであります。 請願第三百六十六号は、小濱漁港浚渫に関する請願であります。紹介議員松下松治郎君の説明がありました。同港は構築以來十年余、未だ港内の浚渫を行なつたことかないので、毎年樹氷時には河口に土砂を流出し、沖合よりは波浪のため砂礫を打上げ、水深著しく浅くなり、干潮時における漁船の出入は不可能な状態であるから、國費を以て港口及び港内の浚渫を実施されたいというのであります。 請願第三百七十四号は、廣田漁港修築工事継続施行に関する請願であります。紹介議員千田正君から説明がありました。同港は岩手縣の南端にある重要な漁獲物陸揚げの縣指定港である。同港の第二期工事は物價暴騰のため、工事半ばを施行したのみでありますから、このまま中止するとすれば、現在までに費した長年月と、莫大な経費は十分なる効果を挙げることができず、又漁業生産上甚だ遺憾であるから、当港の修築工事を続行されたいというのであります。 以上四件について、各委員と政府当局との間に、種々質疑應答を重ねました。而して政府当局の答弁によれば、以上四漁港はいずれも重要であるから、速かに修築に着手する計画がある。尤も鴛泊漁港は商港としても重要なる性格を持つておるから、運輸省において修築計画があるから、農林省はその完成を待つて漁港としての施設をなす計画であるとのことでありました。これで質疑を終了、討論に入りましたが、別に発言もなく、全会一致を以てこの請願四件はいずれも議院の会議に付し、意見書を附し内閣に送付することに決定いたしました。意見書案を申上げます。 請願第百三十三号第百四十五号熊本縣牛深漁港修築に関する件外九件 右の請願は我が國における漁場の根拠地たる漁港を改修することは、食糧増産上極めて重要であるから何れも速かに國庫補助によつて之が実現を計られたいとの趣旨であつて参議院は、願意の大体は妥当なものなりと思う。よつて内閣は鋭意これが実現に努力せられたい。ここに國会法第八十一條により別冊を送付する。請願は以上であります。 次に陳情第百六十七号外四件につきましては、九月二十六日と十月一日の両日に亘りまして、小委員会を開いて慎重審議が行われ、十一月六日と十一月十日に委員会を開会いたしまして審議をいたしました。十一月六日の委員会におきしまして、江熊小委員長から次の通りの報告がありました。以下は江熊委員長の報告であります。 陳情第百六十七号は便宜上第二百四号と一括して審議をいたしましたところ、青山委員より漁業法の改正、漁業協同組合法の制定を遅延せしむることは、漁業者の精神的不安を醸し、生産意欲の減退を招來する虞れがあり、又漁業権は漁業協同組合の共有とし、又これが開放は真に働く漁民にすることが極めて適切であり、又漁業会の民主化を図ることも極めて必要なことであるから、本件はこれを採択し、意見を附して内閣に送付するを適当と認む、との意見があり、討論に入り更に採決いたしましたところ、全員異議なく可決いたしました。次に、陳情第百七十一号沿岸漁民の加配米に関する件は慎重審議いたしましたところ、沿岸漁業者も遠洋漁業者と同様重労働であり、現在漁業労務者の加配米は二十トン以上の以西底曳網漁業及びトロール漁業、「かつお、まぐろ」漁業、三十トン以上の捕鯨業及び魚類運般業從事者については、一人一日二合五勺の定量加配米があります。代るに沿岸漁業者に対しては、單に鮮魚百貫供出に対して二升五合のリンク配給があるのみでありますから、この際沿岸漁業に対しても遠洋漁業と同様漁獲物に対し自家用消費を除き完全供出、計画配給を前提として加配米制度を改善し、遠洋漁業同様定量配給をなすの要がある。よつて意見を附して内閣に送付すべきであるという意見が多く、討論に移り採決いれしましたところ、全員異議なく決定いたしました。 次は、陳情第百七十二号機船底曳網漁業取締に関する件を審議いたしましたところ、戰時中食糧不足と漁業労力不足のため、禁止区域丙の機船底曳が黙認されておつたが、終戰後漁業労力も充実し、沿岸漁業者の保護並びに魚族の増殖の上からも、禁止区域侵犯は嚴に取締るの要があり、殊に瀬戸内海は重要なる海面であるから、関係府縣の取締船による取締ののみに委せず、農林省が取締船を常置して違反漁業の徹底的取締をするの要があるという意見に一致しました。これに対し水産局長の答弁を求めたるところ、水産局長も禁止区域侵犯を徹底的に取締る方針である旨の答弁があり、討論に移りましたところ、青山委員より、本件は極めて重要であるからこれを採択し、意見書を附して内閣に送付する旨意見があり、丹羽委員の賛成意見もあり、これを採決いたしましたところ、全員異議なく可決いたしました。 次に、第百七十三号、海中沈没物速時引揚に関する件につきまして、審議の経過を申上げます。本件についても慎重審議しましたところ、丹羽委員より瀬戸内海は我が國重要なる漁場であるが、この漁場内に戰時中艦船、飛行機等沈没物が多く、これがために漁撈に甚だしく支障を來し、漁具、漁網等の損傷も甚だしいので、速かに大型沈没物の引揚を政府においてなすことは極めて必要であるから、これを採択し、意見書を附して内閣に送付するより決定すべきであるという意見がありましたので、これを採決いたしましたところ、全員の賛成を以て可決いたしました。 以上が江熊小委員長の報告であります。そうして更に十一月十日の委員会におきまして、政府当局との質疑應答が行われました。その概略を御報告申上げます。即ち江熊委員、千田委員、青山委員、小川委員等より、漁業法の改正並びに漁業協同組合法の制定については、本國会開会の初め政府当局は準備の都合上、この國会には間に合わないが、來國会には初頭において提出すると明言せられた。而して本國会もすでに二回に亘り而も約三箇月の会期延長になつておる。その間相当期間の予裕があつたにも拘わらず、政府当局より法案の提出がないことは甚だ遺憾である。殊に漁業協同組合法の制定前に、中央水産業会は近く閉鎖されるというようなことを聞く。若し事実なりとすれば漁権並びに漁民の指導の中心を失い、漁民の精神的不安は多くなり、生産意欲を減退し、延いては我が國食糧増産上甚だ遺憾である。又水産局の一部の者より流布されたと称し、巷間傳うるところによれば、現在の漁業会系統機関の役員は、新たに制定される漁業協同組合関係の役員にはなれないと言われておるが、この点はどうかという質問に対しまして、政府当局は、漁業法の改正並びに漁業協同組合法の制定に関する現在の見通しは、漁業権制度の改正につき若干未解決の点があるが、できるだけ早く完了し、來國会初頭において提出する考である。又現益の漁業会系統機関の役員は、すでに公職追放関係は済んでおるから、漁業協同組合系統機関が設立された場合に、その指導的地位に選任されることは何ら差支ないと信ずる。以上のような答弁がありました。そうして討論に入りましたが、別に発言する者もなく、小委員長の報告通り議院の会議に付し、内閣に送付することに全会一致を以て可決いたしました。以上を以て御報告といたします。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。 —————・—————
○議長(松平恒雄君) 日程第十六より第二十三までの請願を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。運輸交通委員長板谷順助君。 〔板谷順助君登壇、拍手〕
○板谷順助君 只今議題となりましたる請願第十五号外七件の、委員会における審議の経過並びに結果を簡明に御報告申上げます。 請願第十五号の熊本縣人吉市を基点とする三路線に省営自動車運輸開始に関する請願、第六十二号、中央線高藏寺、名古屋鉄道小牧両駅間に國営自動車の運輸を開始することに関する請願、第六十四号、山形縣最上郡内に國営貨物自動車の運輸を開始することに関する請願、第七十六号、柳井駅より三路線に、及び田布施駅より二路線に國営自動車の運輸を開始することに関する請願の以上四件は、いずれも自動車運輸能力の強化のため、國営自動車運輸の開設を希望する趣旨の請願でありまして、その内容は請願文書表に記載してありますから、ここでは省略をいたします。委員会は数回に亘り開催せられ、熱心に審議されましたが、その詳細は速記録を御覧を願いたい。 今その概要を申上げますると、先ず國営自動車運輸の開設に関する政府の方針を質しましたるところ、目下の情勢では予算、資材、車輌等の不足から、一般的に申して國営自動車運輸の開設はなかなか困難である。又一部には民営を主張している論者もあるが、特に國有鉄道との関連において緊要な路線については開設を考慮している。尚國営開設の場合は、極力民営との摩擦を避ける方針であるという答弁でありました。次いで各請願について紹介議員の熱心な説明があり、審議の結果、これら請願はいずれも当該地方の交通の需要に対し、自動車運輸能力が不足しているから、あらゆる方法によつて政府は速かに自動車運輸能力の強化を図られたい。尚又その実施に際しては既存民営自動車の強化を図り、特に必要あつて国営自動車運輸を開設する場合には、民営自動車業との関係を円満に調整する方針の下に慎重に考慮せられたいという意見を附してその内閣に送付するが至当であるということに、全員一致可決いたした次第であります。 次に請願第三十六号、高崎、熊ヶ谷間に電化工事を実施することに関する請願、第七十八磐号、常線松戸、我孫子両駅間電化工事実施に関する請願、第九十四号、宇部電線電車運転を山口市宮野地区迄延長することに関する請願、第九十九号、常磐線松戸、水戸間電化促進に関する請願の四件でありまするが、これらの請願はいずれも当該地区鉄道輸送力増強のため電化を希望する趣旨の請願でありまして、その内容は請願文書表に記載してありますから省略をいたします。委員会における審議の概要を申上げますと、先ず鉄道電化に関する政府の方針を質しましたるところ、電化は石炭の節約、営業者の軽減、輸送力の増強、その他いろいろの利点があるが、他面多大の資金、資材を要するので、大規模の実施は困難であるが、輸送量の多い線区から極力電化して行くつもりであるという答弁でありました。次いで各請願について紹介議員の熱心なる説明があり、審議の結果、これらの請願の地区は、いずれも交通極めて輻輳し、鉄道の電化を必要と認められるから、政府は予算或いは資材等の事情を睨み合せ順次電化を促進せられたし。尚新規電化と同時に、既設電車区間の強化を合せて考慮せられたしとの意見を附して内閣に送付するを至当とするということに全員一致可決いたした次第であります。以上請願第十五号外七件の委員会におけるところの経過並びに結果を御報告申上げます。(拍手)
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願は委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。 〔総員起立〕
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定せられました。これにて本日の議事日程は全部議了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十五分散会