農林委員会 第27号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/11/04
会議録
○委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。本日は予ねて御審議を願つておりまして農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團体の整理等に関する法律案、この二件を議題にいたしまして、これから討論に入りたいと思います。
○板野勝次君 農業協同組合法案と農業協同組合法の実施に伴う農業團体の整理等に関する法律案は、從來の官僚的な地主的な農業会を解体して、耕作農民によります自主的農業協同組合結成の途を切開いたものとして、誠に進歩的な意義を持つておるのでございまして、私は原案に賛成する者でありますが、併し現在政府が採つております自作農創設主義の農政の一環でありますところの本法律の範囲内におきましては、基本的には不徹底な農地改革の現状の下にありますので、貧農層の経済的、社会的地位の向上と、それを可能にしまするところの農業経営の共同化というものが何ら保障されていないのでございまして、これは前にもしばしば質問を繰返された点でございまするけれども、政府の答弁におきましても、何らその方向を保障するごとき答弁が得られなかつたのであります。そのために富農層の利益に主として奉仕する農業協同組合が発生して行くということは必然でありまして、從つて農事生産力の増進は一般的には期待する業はできないし、又現在の不合理な供出制度や、又最近改訂されました供出價格にいたしましても、依然として安い、都会の工産品に比較いたしましてシェレー差を多分に含んだところの價格しか決められていないのでございまして、そういう点からいたしましても農業生産力は縮小再生産の過程を迫るより外ないのであります。富農層の闇稼ぎの反面に、中農層、貧農層が收奪されてますます貧困化しておる現在におきまして、農業協同組合が農業生産力の増進に貢献し、発達する可能は、現実の基盤では何ら見出すことができないのでございます。從つて只今申上げましたような基盤の造成は、農村の民主化の徹底と、農村経済の発展によつてのみ可能なのでありまして、又そのことこそが昭和二十年十二月九日の連合軍の農民解放令の精神であると私は確信するのでございます。 從つてこの法律案の目的を眞に実現するためには、政府をして次に上げます七つの農業政策を強力に実施せしめることによりまして、これを法律作文化から防禦する、こういうふうにいたしたいのでございます。 第一の点は土地改革の徹底でございます。これは説明するまでもないと思います。 第二は適正利率によりまする長期短期の農業資金の貸付け、及び農業生産に直接間接必要な資材の供給の優先的確保これも説明するまでもないと思います。 第三は農業生産の共同化及び農業技術の向上のための積極的助成、これも説明の要はないと思います。 第四は部落農業團体の完全解体、これは農家実行組合等を指すのでございますが、これらがまだ農業における眞の民主化を妨害しつつあるので、これらを完全に解体して、眞に農業の共同化に進み得る態勢を作る必要があると思う。 第五は電力事業法等農業協同組合の事業を制約する統制法規の改正でございます。これも前に質問の際申上げましたことですが、電氣事業法等を改正することによつて、小型発電の可能の機会を作る、こういう点を強調したいのでございます。 第六案は公職追放者及び昭和十二年七月七日より昭和二十年九月二日に至る間、農会法産業組合法及び農業團体法に基く農業團体の役員であつた者を、農業協同組合の役員より排除するための行政的措置、これは農業協同組合を眞に民主化するという意味で、是非実施されなければならない点であると思うのであります。 第七は解体さるべき農業会が農業協同組合設立運動を行うことを抑制するための行政的措置、これも亦第六と同樣な精神から眞に民主化の方向に自主的に農民が活動し得る十分な機会を與えて行く、 こういう点を特に強調し、この点への実現に向つて、各位並びに政府において十分この趣旨に賛成せられて、その方向に進むならば、この農業協同組合法案は眞に農業共同化の実現を期し得る。從いましてこの裏附けなくしては農業協同組合ができましても何ら意味をなさない。從つてその点の実現に是非格段の行政的な措置をとられることを希望いたしまして、本案に賛成する者であります。
○松村眞一郎君 私は二法案の成立に賛成いたす者であります。二法案の施行に関しまして、行政廰に対しまして次に述べます三ケの要望をいたして成立に同意する者であります。 一、農業協同組合により廣義農業の綜合発達を期し、畜産、養蚕及び茶業並びに林業の專門的発達のための協同組合その他の團体の組成及び発展の自由を尊重しなければならない。 二、農業協同組合に対する金融の円滑及び協同組合の経理の調整に関し、適切な措置をなさなければならない。 三、農業協同組合員の農業に関する科学知識普及並びに技術向上のための農業技術員の重用に関し施設をなさなければならない。 両法案を施行されるに当りましてはこの三ヶの要望をいたしました事柄は必ず実施せられなければ、この農民の自由なる意思に基きますところの、協同組合の健全な発達を期することはできないと考えます。その意味におきまして三ヶの要望を述べる次第であります。
○門田定藏君 簡單に賛成意見を術べます。今囘提出されましたこの農業協同組合法案全部に対して、原案に賛成するものであります。ただ希望といたしまして、從來の農業会のごとく、ボス的の存在でなくして、眞にこの農業協同組合が民主的ならんことを実現するために、以前のごとくこのボス的存在を維持せんがために活動せんとする分子があるように考えますので、これを十分政府は警戒して、本当に民主的な協同組合を実現さるべく、努力して頂きたいと思う。ただこれだけの希望を附して原案に賛成する者であります。
○高橋啓君 農業協同組合法案が発表されましたときに、第九條第三項について林業家は非常に疑義を持つたのであります。それはこの文言によりまして、農業と林業とはその本質を異にしておるにも拘らず、而も法的にも明確に区別されておるにも拘らず、何となくその関係が極めて曖昧になつたというような疑義を持つたのであります。第二には本組合組織の強化に急であつて、外の組合に対する影響を考えない結果、その他の組織に対して混乱を來すことになりはしないかというような疑義を持たしたのであります。その次には今日過般の水害等によつて、國土緑化計画というものが非常に大事なときに、農業と林業とが二途に用いられる関係上、眞に施業案確立に支障を來すことなきやという懸念を持つたのであります。その他生産統制の上において不徹底を來しやしないか、或いは保護奬励の上に農業関係或いは林業関係別々にこれをなすがために、不均衡を來して生産の不円滑を來すものではないかというような懸念があつたのであります。これにつきまして沢山の陳情がありまして、その中には立場々々における陳情でなく、権威ある学者或いは体驗家が、而も有数な人々が、この陳情に名を連ねられておるということは、私共は見逃せない事実であると考えるのであります。このようにこの一項に対して國民は懸念を持つておる人が非常に対数あるということを私はここで指摘したいと思うのであります。 ここにおきまして、農林大臣にこれらの懸念についてどうするのだと質問いたしたところが、これは行政的措置によつて何とかするというお話であつたのであります。これらの懸念は行政的措置によつて、方法が何とかできるというものであれば、私は何ら差支えないと考えておるものでありますがそれは林業が專門的な立場において、はつきりとこれらの林業に関する行政が一元化されて、この問題の処理に当つても林野局がこれに当るというような農林大臣の意向であるとすれば、それに関する諸般の行政的措置によつて何とかできるということを私も考えるのであります。政府当局もそれに対して万全の方法を採つて、かくのごとき懸念なからしむるということを心配してくれるならば、私はこのまま通しても末端における弊害も除去されるのぢやないかと考えるのであります。結局こういうようないろいろな懸念が出て参りますのも、森林制度をはつきりと確立するということによつて除去されるのぢやないかと私は考えるのでありまして、この際我々参議院の立場といたしましては、林業の発達並びに國土保安の立場から、この山林緑化を実現するために、森林制度をはつきりとここで立てるということについて皆さんの御賛成と御協力を得ることに期待いたしまして、これに賛成いたす次第でございます。
○寺尾博君 私は本案に賛成する者でありますが、特に今後の日本農業技術の進歩発達という見地から、この協同組合法に重要性を認めたいと思うのであります。從來の農業技術の指導は概して個々の農家を対象とし、即ち篤農家のごとき農家が発生することを期待して指導して來たかのごとき感があるかと思うのでありますが、技術的進歩即ち新技術を実際の農業に活用するということになりますと、農家の本來の性質である保守性、保守的の性格、或いは我々は特にこれを農家の不動性、動かざる性質などという言葉などを使つて論議することがあるのであります。そういう関係で新技術の參透普及ということがとかく行い得ない。で、どうしても新技術を実現するのにはここに共同ということが是非共必要になる、協同体の研究とその綜合した設備によつて農業改良の新らしい途を取ろうぢやないかということは、從來の個個の農家の考えでは概してむずかしい。又かような新技術には必ず能率の高い新らしい機械が伴う。例えば先頃或る地方へ丁度麦の頃行つてみますとその農業会或いは郡農業会支部が動力噴霧器を使つて、毎日各農家の麦畑を一日六町歩ぐらいの割合で藥剤撒布をやつておる。かようなことにして初めてその科学的技術が実際に活用できる。これを個々の農家に一人々々やることを何ぼ数えたり勧めたりなどしても、なかなかその普及が徹底するものでない。又そういう機械を個々の農家は備えることはできない。知識的にも精神的にも又実際的にもこの能率の高い機械、そうして殊に新らしい機械は特殊の知識と技術を要する。これを個個の農家に期待することはできない。かような意味において協同ということと新技術の発展ということは車の両輪のごときものであると考えるのでありまして、その他尚能率の点からいいましても、協同というこの必要は非常に高いものである。尤もロシヤであるとかアメリカのような農地の非常に廣い所、從つて同一條件の農地が非常に廣く発展するようなところにおいては、農作業までも共同的にして能率を高めるという面も一面ありまするが、我が國の國内においても、場合によつてはいわゆる作業を共同的にすることも有効に適用される機会のないことはないと思いますが、必らずしもその種のことまで無理に共同を強いることは実際に副わないことがあると思う。併し先程申しましたような殊に科学技術、有効なる能率の高い技術を適用するということ、更に又今後この地方々々に適したところの農産加工であるとか、或いは農村工業であるとか或いは副業の成立という事柄が農業の経営上非常に重要なものになる。その中には輸出農産物の加工品等の発生もできるのでありまして、この種のごときものは全く協同態勢によつて初めて成り立つものである。又その副業には勿論農業のみならず、農業以外の方面におけるところの技術的の発達が必要である。かように考えて來ますと、今囘協同組合法が成立するということは、科学技術の発展の見地から実に喜ぶべきことである。又それは言葉を変えて逆に言えば協同組合法を実現せしむると共に、その組合の発達を図ると共に、協同組合の技術的発達を全うするような國家的施設が是非必要である。今後において、協同組合の基礎ができた上においては技術的発達に関する施設を最も重要視すべきである。或いはこれらの組合は自主的に進歩さすべきものであるという見方が一面あるかも知れませんが、実際において今申しますような有効なる技術的の発達ということを、個々の組合の自然の発達に放任して置くことは、大きな期待をすることが困難である。どうしてもここに國家的の施設を必要とするのでありまして、今囘の協同組合法の成立ということに私は技術上の見地からそういう意味を以て特に賛成をいたすのであります。
○羽生三七君 この二つの法案に、次に述べるような希望意見を附して賛成するのであります。 第一に、先程もどなたかのお話がありましたが、土地改革の徹底が是非必要であると思うのであります。土地改革の徹底と相俟つてこの法案が施行されませんと、この法案は作文に終る懸念を十分に持つております。固より土地改革によりまして、所有権が移動するということも大きな変革ではありますが、ただ所有権を変革しただけで日本の農業生産が必ずしもプラスになるとは申されないのであります。所有権の変革と共に、同時に農業協同組合等の運用よろしきを得て、生産面における基本的な発展が伴わなければ、この法案の意味は私は余りないと思うのであります。つまりこの法案が生産部面においてその協同性を十分に発揮するか、流通部面においてその協同性を十分発揮するかは、当該農業協同組合員自身が決定するのでありまして、これは飽くまで自由の原則に基くのでありますが、併し私共は日本の農業の將來を考えまして、強いてみづからの希望を言うことが許されますならば、我々はこの農業協同組合が完全にその成果を果すためには、特に生産部面における協同化がきわめて重要である。そのためには農地改革、例えていうならば更に現在以上の改革のみならず、土地の交換分合に法的基礎を與えるとか、その他諸般の方策が採られなければならないと思うのであります。このことによつてのみ初めて私は本協同組合の意義が達成されるので、そうでなかつたならば從來の農業会と殆んで変りのないものになり終るであろうと私は思つております。 いま一つは、先程やはりこれもどなたかからお話がありましたが、農業技術の飛躍的発展を図るために、從來の農業試驗場等が象牙の塔に籠つておるようなあの態度を一擲いたしまして、新らしく生れる農業協同組合等と一体になつて、日本の農業技術の高度化を図つて行かなければならない、こう思つております。併しこれらのことは先程申しましたように新らしく生れる農業協同組合員自身が決定すべきことでありますけれども、併し我々がかくのごとき希望を持つておるということは一向差支えないと思いますので、そういうことを期待しておるわけであります。 以上の点を希望意見として、法案に賛成いたします。
○委員長(楠見義男君) 討論はこれで終結いたしました。これから農業協同組合法外一件につきまして採決に入りたいと思います。
○岡村文四郎君 衆議院の修正になつております施行の日のことでありますが、三十日を超えんことになつておりまして、その通りでいいと思いますが先程も申上げては置きましたが、どうぞ当局の方で、十二月の一日が施行日になるように御協力を願つて置くように希望を申上げて置きます。
○委員長(楠見義男君) それではこれから採決に入ります。この二つの法案は御承知のように施行期日の点を衆議院で修正されてこちらへ廻つております。從つて衆議院の修正案を基礎にいたしまして、これから採決いたしたいと思いますが、衆議院の修正案通り可決することに御賛成のお方の起立を願います。
○委員長(楠見義男君) 全員賛成であります。從つて両法案は衆議院の修正案通り可決することに決定いたします。 尚例によりまして委員長が口頭報告をいたします要旨につきましては、從來通り委員会の経過を中心にいたしまして報告いたしたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。それでは本日はこれで散会いたします。 午後三時四十一分散会 出席者は左の通り。 委員長 楠見 義男君 理事 木下 源吾君 森田 豊壽君 高橋 啓君 委員 太田 敏兄君 門田 定藏君 羽生 三七君 北村 一男君 柴田 政次君 西山 龜七君 平沼彌太郎君 木檜三四郎君 小杉 繁安君 佐々木鹿藏君 石川 準吉君 宇都宮 登君 岡村文四郎君 河井 彌八君 島村 軍次君 寺尾 博君 藤野 繁雄君 松村眞一郎君 山崎 恒君 板野 勝次君 廣瀬與兵衞君 政府委員 農林事務官 (農政局長) 山添 利作君