在外同胞引揚問題に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/09
会議録
○委員長(矢野酉雄君) 只今から委員會を開會いたします。昨日委員會におきまして引揚促進に關する決議と感謝の決議問題について、熱心なる御檢討を願つたのでありますが、本決議案は今までの引揚問題の一つの歴史の中に、大きなる記録として殘すべき内容を持つた、完璧の決議案としたいという各位の熱烈なる御希望もありましたので、前例をむしろ破つて、更にその案文を小委員會に再び付託いたしまして、再度の檢討を願つたわけであります。本朝早々小委員會の各位は熱心に御檢討下さいまして成案を得て本委員會にお届け頂いたわけであります。小委員會の委員長である中平君から、その決議案文について今御説明がありますから、御聽取を願いたいと思います。
○中平常太郎君 只今委員長よりお話がありました通り、昨日委員會におきまして付託されました小委員會の草案を提案いたしたのでありましたが、尚これが眞に引揚者に對する國民の切實なる輿望の現はれといたしまして参議院の全會一致の強い表現といたしまして、これを國民全體に及ぼし、尚更に聯合國全體に、この氣分が明かに現はれるように、又在外在留百萬の同胞がこの決議案を讀んで如何に心を慰めるか、又自分達のために、どんなに國會が心配をしてくれておるかというこの問題に對しまして十分なる反響を喚び起すに足るような決議案を出したいという各位の熱烈なる御總意によりまして、再び小委員會に草案に對して考慮するように、昨日は相談せられたのであります。それによりまして、昨日から今朝にかけて小委員會は愼重審議いたしまして、その文案につきましては過激を避け、又感情の不當なる激發を避け、而も強く聯合國にも在外同胞にも響くような文案につきまして深く檢討いたしたのでございます。その結果ここに現れました決議案を只今朗讀いたします。 在外同胞引揚に關する感謝とその引揚促進に關する決議案 連合國が五百五十餘萬同胞の歸還を實施され、更に未歸還者に對し許す限りの待遇を與えられておることは、感謝に堪えないところである。而も異境にあつて故國の空を望みつつ歸り得ない同胞が、今尚百萬近くもある。これらの人々は敗戰以來心身共に疲れ果て、又着のみ着のままの生活をする者さえあつて、果してこの冬を恙なく越せるかどうか誠に憂慮に堪えない次第である。 我らは、これらの殘留者の歸還が年内に完了するよう連合國の格別なる配慮を懇請してやまない。 我らは全國民と力を合わせ乏しきをわかち、同胞の歸還に備え、相共に平和國家の建設に努力せんとするものである。政府もまたこの心を以て心とし、同胞引揚のために萬全の方策を講ぜられたい。 ここに参議院は全議員の總意を以て右決議する。 これが決議案でございます。そうしてこの言外の意味は委員長より本議場におきまして十分に敷衍し説明される筈でございます。決議案といたしましては餘り長く亙るのは却つてそのポイントを外す點があるものでありますから、この案文の程度にいたしました次第でございます。右委員會に御報告を申上げます。よろしく御審議の上御贊成あらんことを希望いたします。
○委員長(矢野酉雄君) 有難うございました。
○淺岡信夫君 只今小委員長中平委員から大體決議案につきましての經過一切の説明がございましたが、その件につきましてただ一つ私は補足申上げたいと思うのであります。この參議院全員の決議を以てするという建前から、この特別委員會が別に外交委員會とも連絡を取り更に又この案文、そのものにつきましては文化委員會山本委員長の熱心なる、この文章に對しまして御檢討を願い、そうしてできたことを一應補足説明申上げて置きます。
○委員長(矢野酉雄君) 如何でしようか、この案文に對する……。
○中西功君 もう一度讀んで下さい。
○委員長(矢野酉雄君) 委員長が讀むことにいたします。 「在外同胞引揚に關する感謝とそのの引揚促進に關する決議案」連合國が五百五十餘萬同胞の歸還を實施され、更に未歸還者に對し許す限りの待遇を與えられておることは感謝に堪えないところである。而も異境にあつて故國の空を望みつつ歸り得ない同胞が今尚百萬近くもある。これらの人々は敗戰以來心身共に疲れ果て、又着のみ着のままの生活をする者さえあつて、果してこの冬を恙なく越せるかどうか、誠に憂慮に堪えない次第である。我らはこれらの殘留者の歸還が年内に完了するよう連合國の格別なる配慮を懇請してやまない。我らは全國民と力を合わせ、乏しきをわかち、同胞の歸還に備え、相共に平和國家の建設に努力せんとするものである。政府もまたこの心を以て心とし、同胞引揚のために萬全の方策を講ぜられたい。ここに參議院は全議員の総意を以て右決議する。以上。
○山田節男君 今のこれは、感謝となにが一緒になつているので、そうすると最初の方では、許す限りの寛大な處置を受けていると言い、その次には又、食うにも困る、着のみ着のままだ、年内にかえしてくれというようになつているのですが、これを感謝と別文にしたらどうでしようか。ちよつとおかしいのです。片つ方では、非常に寛大にしていると言いながら、その後で着みの着のままだ、こういうようなことが言い現してあるのですけれども……。
○委員長(矢野酉雄君) 委員長よりちよつとその文章についてお答えして置きます。「これらの人々は敗戰以來心身共に疲れ果て、又着のみ着のままの生活をする者さえあつて、」という言葉で、全稱斷定でなくて特稱斷定としての文章で、前段の感謝に矛盾しないように、小委員會では含みを持たした言葉を使つたという御説明を承わつた次第であります。
○穗積眞六郎君 今の點について、ちよつと筆記を止めさして頂きたい。
○委員長(矢野酉雄君) ちよつと速記をやめて下さい。 〔速記中止〕
○委員長(矢野酉雄君) 速記を始めて下さい。 皆さんから非常に有意義な御所見が出ましたが、昨日の本委員會におきましても、大體の本旨においては全員擧つて御贊同を願い、その文書の運び方、或いは文字の使い方等については、適當なる修正をお委せするというような實は決議を得ておるのでありますから、今山田委員の御意見や、その他各位の意見等を斟酌いたしまして、更に完璧を期するようにしたらいかがでしようか。外文委員長にはまだ全文は見せてはおりません。文化委員長にも完璧を期するために一應連絡を取つて置きますから、そういうふうにしたらいかがでしようか。 〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野酉雄君) 決議案としてはGHQの公式囘答を得るまでは、ここに確定することはできないのでありますから、實質的のよしんば決議を得ましたといたしましても、一應こういう程度にして置いたらいかがかと考えております。その點……。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野酉雄君) 御承認を得たものと思います。つきましては、これについて上程の方法は、ここに御參加下さつております各委員が、それぞれの會派、政黨の代表者でいらつしやいますので、昨日も懇請して置きましたが、一層これを皆様の政黨の心の聲と、魂の叫びというようなふうにまでして頂くように是非御斡旋を願いたいと思います。そうして委員長初め全委員各位の連名の下に、これを上程する形式をとりますれば、いわゆる參議院全會派、全政黨の提出という形にもなるかと思いますから、この點いかがでございましようか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野酉雄君) それからこの上程決議案の説明は、大體歸らざるところの子を思う母親の氣持を披露いたしまして、そうして次の如き意味を、數字をこれに加えまして敷衍していつたらどうかと思つておるのです。 終戰後全アジヤ各國各地に抑留せられたる五百五十餘萬の我が同脆は、聯合國関係當局の豐かなる友情と、言語に絶する努力によつて既に大部分の送還を見るに至りましたことは八千萬國民の等しく感謝し感激するところであります。これ我が同脆にとつての喜悦ばかりでなく、ポツダム宣言を容認せらるる多數の各國各民族の滿足せられるところであろうと信じます。然るに終戰既に二年の今日、今尚各地に百萬になんなんとする同胞が懐しの祖國を待望しながら未歸還の實情であります。世界の食糧事情から推察いたしましても、大部分の抑留者の生活力は次第に低下し、更に終戰當時の夏季の著衣等を考察いたしまするとき、寒風凛烈骨をも凍らせる第三囘目の嚴寒の越冬を思うだに慄然たらざるを得ないのであります。骨肉の情に置かれる者は勿論のこと、人道的立場からしても全く忍び難きものがあります。政府はこの事態を正しく大觀して、宜しく聯合國關係當局の海の如き懇情を仰ぎ、各方面の明斷を仰望して、一日も早く全日本人の祈願達成のため一段の熱意を高め、萬全の策を講ぜらるるよう深く要望して止まざるものでありますと言つて、本委員會の決議等を加えてその説明としたいと思つております。何かにつけて御助言や御鞭撻を仰ぎ得ますならば非常に仕合せと思うのであります。
○北條秀一君 今の最初の「連合國關係當局」とありますが、「關係當局」という四字は抜いた方がいいと思われます。
○委員長(矢野酉雄君) 聯合國司令部という中には、對日理事會というのは包括されていないでしよう。
○北條秀一君 その點は「連合國」と簡單に言えば、總てを包括するわけであります。「關係當局」といいますと、それだけに限定せられますから……
○穗積眞六郎君 一番初めの數字、あれは總数をあげて六百何萬だか……。
○委員長(矢野酉雄君) 引揚げたのが五百五十餘萬ですから……。
○穗積眞六郎君 總數の方がいいと思います。
○淺岡信夫君 大體今穗積委員のおつしやつたことと大要同じなんですが、若しできますならば、復員者が三百十五萬、それから海外同胞が約四百二十五萬、合せて六百四十萬、これが先刻は五百五十萬と、引揚げたのを對象とされておりますけれども、できますならば、全部海外に殘留しておつたものの數がいいのじやないかと思います。
○委員委(矢野酉雄君) さつき申上げましたように、數字等はこれを骨とし、肉とするような按排にいたしたいと思います。
○田村文吉君 昨日の私の發言の中に芦田外相がこういうことを言われたということを申しまして、當時速記をとつておられましたが、その字句だけを削除して頂きたいのです。
○委員長(矢野酉雄君) 承知いたしました。委員長において適當に處理いたします。 本日はこれで委員會を閉じることにいたします。どうも誠にありがとうございました。 午前十一時一分散會 出席者は左の通り。 委員長 矢野 酉雄君 理事 淺岡 信夫君 北條 秀一君 星野 芳樹君 委員 中平常太郎君 山田 節男君 草葉 隆圓君 小杉 繁安君 井上なつゑ君 宇都宮 登君 楠見 義男君 田村 文吉君 穗積眞六郎君 中西 功君