予算委員会 第11号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1947/10/11
会議録
○鈴木委員長 それでは開會いたします。 昨日の大藏大臣の質疑に續いて、きようは勞働大臣と安本長官に對する質疑の順序でありますが、質疑の申入れがございます。まず稻村順三君に願います。
○稻村委員 最近政府が千八百圓ベースに對しまして、これを堅持するというような立場をとつております。これについて私安本長官に對して質問したいと思うのでありますが、今おりませんので、そこで勞働大臣に關するものだけ一應質問してみたいと思うのであります。 千八百圓ベースが非常に問題になつてきた一番大きな原因は、一方におきまして公定價格を最初の豫想以上に高く引上げざるを得なかつたということであり、他方においてはやみの横行が最初豫定しておつたよりもはなはだしく、それで勞働者の生活必需品の中に占めるやみ物資と、マル公物資との間の比率が、政府の豫想したような比率にまで進んでいないということに大きな原因があろう、かように存じております。從いまして千八百圓ベースの問題は、公定價格の問題は別といたしまして、今日のやみの横行というようなことが、これを堅持するか堅持しないかということについて、非常に大きな問題となつている、かように考えております。そこで勞働大臣といたしましては、このやみの撲滅ということに對して、勞働者自身が、とても政府の官吏の力であるとか、單なる取締法令の力であるとかいうことによつて、これを撲滅することは非常に困難な事態にありますので、千八百圓ベースを一歩も讓らぬで、これを堅持するとか、また多少それをずらしても、たとえば少し引上げてもそれに近いものを堅持するとかいうようなこと、いずれにいたしましても勞働者階級自身の大衆的な力によつて、このやみを締め出さなければならぬということは明らかでありまして、これは勞働者自身が自らの生活を防衞する手段ともなつていくし、と同時に今後勞働者が日本の經濟再建に協力していくということにとつても、非常に緊要な問題である、かように考えております。そこでたとえて申しますならば、われわれは今日の食糧問題の場合を考えてみましても、國内の産額ではどうしても勞働者の必要な生活物資を全部自給することはむずかしいのでありまして、どうしても經濟を復興することによつて輸出するということがなければ、勞働者の生活資材というようなものも十分に入手することができない状態であります。從つてわれわれといたしましては、賃金が今ここに一應の基準が定められたならば、その基準を堅持することによつて將來の生活の不安のないように、何よりも大事なことは、やみを撲滅すると、いうことであろう、私かように考えておるのでありますが、これに對しまして勞働大臣は積極的に勞働組合に對して、かような猛運動を展開するように指導する意思があるかどうかこの點についてお尋ねいたしたいと思います。
○米窪國務大臣 お答えいたします。インフレが止らずにやみが横行しておるということをそのままにしておいて、勞働者の要求である名目賃金を上げるということは、一應それによつて生活費が若干カバーされるということになるのでありまするが、この點は決して實質賃金を高めるということにならないということは、勞働者自身がよくこの頃はわかつておるのでありまして、十月二日の勞働組合の代表者との懇談會においても、あるいはその他の新聞社主催の懇談會においてもこれらの點ははつきりしておる。そういうことが前提になるならば、それではどうしてこの最低生活費と現在の收入とのギヤツプを埋めるかということは、これはやはり流通秩序を確立をして、一日も早く新物價體系に物價をおちつかせる。言いかえれば新物價體系を策定したと同時に、商人がやみ物價をつり上げた。政府の方針としては新物價體系を策定して今までの物價體系の二倍半、あるいは三倍くらいに上げれば、當然やみはその線に近ずいて下つてくるだろうと思つたのが、日本の商人道徳というか、いろいろ原因があるのでしやうが、あるいわ配給機構というものが、非常に非民主的であるというような關係、いろいろの原因でやみ値は新物價體系がつくられたのを機會に、かえつて高騰したという状況にある。從つて今日見るがごとく物價はかえつて上つておる状態になつておるのであります。ここにおいてどうしても必要なのは、生活必需品を生産するということとやみを止めるということが名目賃金を上げるよりも先決問題である。これについては大體勞働組合の代表者はみな理解しておるが、一部の代表者のうちには、まずわれわれの最低生活費を政府が保障しない限り、生産増強もやみ撲滅運動もできない、こういうことも言つておつたのですが結局いろいろな話會いの末、そういうことを言つておつたならば、いわゆる物價と賃金との惡循環はいつまで經つても續いていく、どちらが先でどちらが後ということを言つておるという、そんなに餘裕のある状態ではないので、この點はいくら議論を鬪わせてもやはり鶏と卵の關係になるので、この點はやはり竝行してやつていかねばならぬ。こういうことに話合いがおちついたのでありまして、從つて私が提唱した政府のやみ撲滅運動には、おのずから限界がある。それから先は勞働組合が——G・H・Qのヰレン氏の言葉を借りて言えば、勞働階級がやみ被害者である。やみによつて一番被害を受けておるのは勞働階級、しかも五百五十萬という組織力をもつておるところの勞働組合が、自分等の生活防衞のために、やはりやみの撲滅運動を起さなけれでならぬという點については、どの勞働組合の代表者も一致した意見でございます。ただその方法としてどういう方法をとるかという——すなわら政府は一應はそういうことを提唱しました。政府の力でできるだけのことは、物資活用委員會であるとか、行政監察委員會であるとか、あるいは議會にすでに設定されておるところのやみ物資摘發委員であるとか、そういうものを議會及び政府でやるのであるが、これにもおのずから限界があるので、それ以外と點は、勞働組合がひとつやみ撲滅徹底委員會というようなものを、中央及び地方につくつて、勞働團體の自主性をもつてひとつやつてもらいたい。一應これは納得しておるようでございます。ただここで問題なのは、勞働組合がやみ撲滅運動を起すにしても、勞働組合員がやはり各自多少にかかわらずやみをやつておるので、また勞働組合員のうちには、やみをやらないと生計が保てないという者があるのでございまして、そこで政府といたしましては、そういつた程度のものをわれわれが目的とするというのでなしに、やみによつて不當なる利益を得、非常な利潤を求めようとするところの一部の階級に對して、勞働組合が自分の生活の防衞手段としてこれを摘發する。いわゆるやみ物價の調べとか、あるいは物資の偏在状況を摘發するとか、あるいは商人のそういう行爲を嚴重に監視するとか、そういつた方法でひとつやつてもらいたいということを申し入れておるのでございまして、きのうあたりから各團體に對して十月二日に申し入れたあの政府の勞働政策に對する對策、勞働組合としての對策を今囘答を求めておるようなわけで、具體的にどういう方法でやるようになつたかということ、たとえば全勞連を中心としてやるのであるか、あるいは個々別々の勞働組合が案を立ててやるのか、その場合においてはその勞勞組合と勞働組合との間の連絡調整をどうするか。こういうようなことについて具體的な方策を今囘答を求めておるような状態でございます。
○稻村委員 大體一般的な方策としてはそれでも一應話はわかるのでありますが、さて具體的な問題になりまして、たとえば勞働組合の人々がやみの摘發をやるとか、あるいは隱退藏物資の摘發をするとかいうようなことを積極的にやつたといたしましても、今日のいろいろな法規の關係で、あるいは權限がないから不當であるとか、あるいはまた越權行爲であるとかいうふうに、非常に問題が起りがちであろうと考えておりますが、そういう場合には勞働大臣としては、勞働者の摘發に關しまして、一應の相當強力な權限を與えるという御意思をもつておるのですか。その點をお伺いいたします。
○米窪國務大臣 勞働組合の具體的方策について囘答を求めておるのでございますので、返事が一應集まつたならば、これを勞働關係閣僚懇談會あるいは閣議にかけまして、そうして政府のなしておる同じやみ撲滅運動といかに調整するか、それから現行の法規でどの點までは勞働組合の運動に支障を起らせないように調整するか、そういつたことについてなるべく勞働組合のそういつた運動に對して、廣い意味の權限を與えるようにやつていきたいと思います。
○稻村委員 あつちとの調整とか、こつちとの調整とかいうようなことをあまり考慮しておりますと、結局廣汎なる權限が非常に抽象的な權限になりまして、何もできないというふうな結果に陷る危險性が非常に多いと思うのであります。これまでもやみの撲滅というようなことを盛んに言われまして、あるいは監察委員が民間から出たりなんかしても、そういう點で實に困つている點が多いと私は思うのであります。そこで私といたしましては、勞働組合がほんとうの意味で、不合理な摘發でないならば、自由なる摘發をある程度認めて、それを政府が受けて立つというくらいな態勢を整えないと、この混亂しておる經濟情勢のもとにおいては、やみを撲滅して經濟を軌道に乘せる力にはなり得ない。多少くらいはそこに無理があつても、これを經濟の軌道に乘せるという力になるならば、政府はこれをバツク・アツプするというくらいの氣持になつていただきたい、かように考えているのでありますが、これに對して勞働大臣の御返答を伺いたいと思います。
○米窪國務大臣 御趣旨はまことに結構でございます。ただ勞働組合にそういう運動の權限を廣範團に與えるということは結構ですが、もちろんそれには、まじめな産業が勞働組合のそういう活動によつて、あるいはかえつて萎縮するようなことが起るかもしれないという危險があるのであります。そういう危險のない程度においては十分に權限を擴めるように、今後急速に閣議で一つの限度を申し合わせて、この運動の實行を期待したいと思うのであります。
○稻村委員 まじめな産業が萎縮するということはどういう意味だかはつきりわかりませんが、しかしながら大體のところを言えば、まじめなる産業であつても、今日大なり小なりやみというものと關連して生産がとにかく續けられているという意味にもとられるのであります。こういうような場合におきましては、一應やみというようなものに對して徹底的に、勞働組合あるいはその他の大衆團體が、摘發すれば一時萎縮するかもしれませんけれども、軌道に乘ることによつてただちにそれが萎縮から解放されるというようなことになつていくのではないかと思うのでありまして、そういう點はあまり考慮を要しないのではないか、かように考えております。それはそれといたしまして、次に私は勞働大臣が新聞などで見ますと、千八百圓ベースというものに對して、多少のゆとりがあるように言つているというふうに傳えられているのでありますが、その點に關しまして米窪勞働大臣の御返答を承りたい。
○米窪國務大臣 非常にむずかしい御質問ですが、七月五日給與審議會において、勞働側が千八百圓と物價との惡順環を立ち切るその方策について、意見がとうとうまとまらない。政府側からの一方だけの責任で發表したものが千八百圓であつた。このときに政府の見透しとしては、八、九、十月は少しずつ減少していきますが、やはり赤字である。すなわち勞働側の主張と政府の主張との間に約八百圓ばかりの相違があるのですが、この八百圓については流通秩序の確立、あるいは一人あたり百五十圓くらいの勤勞所得税の基礎控除を上げる、あるいは新物價體系に物價が安定する、こういつた方法によつてこれを吸收する。しかもなおかつ大體三箇月の間に四百圓くらいの赤字が出てくる。こういう一應の數字がある。これは確定的ではないのですが、その當時の計算で一應の數字が出てきまして、その數字はその後におけるやみ物價の高騰によつて若干訂正されたように聞いておりますが、十一月になると新米穀年度になつて、そうして二合五勺の米の配給あるいはその代替物の配給が滿配になる。從つて今日の勞働階級の生計費の大部分は、いわゆる食生活にあるから、その食生活の經費の中心をなす米が滿配になつて、やみの米を買わないで濟むということになると、この趨勢に押されて副食物や調味料も下るだろうという大體の見透しのもとに、若干の黒字が出るだろう。こういう大體の考えが發表されたのであります。そこでこの黒字が十一月になれば出るから、勤勞階級すなわち國民に、十月までひとつがまんしてくれということを政府は言つておるのございます。また一方において千八百圓ベースをきめるときの米價が——今ここで數字を發表できませんが、そのときの米價で目下新しくきめようとする米價がきまれば、千八百圓ベースの方針が依然として持續されていくのでございますが、もしもそれ以上になつたときには、これは一應考慮しなければならぬ。また十一月に黒字が出ない場合には、一應考慮すべき段階にあるということを私は考えております。しかしこれは私だけの考えでありまして、閣議の決定ではもちろんないのでございます。そういうわけで千八百圓ベースは現状においては堅持する方針でございます。ただ勞働省としては、千八百圓ではとても生活費をカバーできませんから、勞務加配米その他勞務用物資の配給方法を、傾斜生産重點主義というものを改めて、そうして名目賃金と最抵生活費のギヤツプをカバーする方針に切りかえることによつて、今日そういつた種類の特配物資が多少でこぼこがあり、そうして不正配給が若干ある、こういうぐあいにわれわれもみているので、經濟安定本部の配給計畫を勞働省が實踐する場合に、これを一手に引受けて、そうして勞働省のいわゆる末端機關において、嚴重に調査をしていけば若干餘裕が出てくるのではないか。こういう考え方をしておるのでありますが、この配給機構の改正という點においては、閣議においても、あるいは勞働關係閣僚懇談會においても、まだ一致した意見に到達していないのであります。勞働省としてはやはりその線に向つていくことが、千八百圓ベースを物で裏づけて實質賃金に近づけるという方策である。こういうふうに考えております。
○稻村委員 物に裏づけるということを申しましたが、結局においてはやはりその物が公定價格において餘計配給されるということで、やみの部分がそれだけ少くなるという、ただこれだけから言えば千八百圓ベースを堅持する建前にはなりますけれども、今勞働大臣が言われたように米價が問題となつております。そうしますと最初ここにおいて千八百圓ベースの説明のあつた當時、豫想された公定價格の倍率に比しまして、現在はその當時豫想された以上に、大體生活必需品の公定價格というものが引上げられている。殊に食糧價格が引上げられている。米價もそういうふうな現勢にある。こういうふうに考えると、この千八百圓ベースというものは、勞働省の立場からいたしますと、これは多少の訂正を加えなければならぬかという、理論的結論に到達するように考えられるのでありますが、それはどういうふうにお考えになりますか。
○米窪國務大臣 千八百圓ベースを算出するときの價格は、その後引上げられておらない。もちろん新マル公と舊マル公との——新マル公を引上げたそのはね返りというものが大體あるというので、千六百圓プラス二百圓、すなわち千八百圓、この千八百圓ベースを算定するフアクターの中には、やはり新マル公によつてきめるべき價格が入れられておるのでございまして、從つてやみに關する限りは別でありますが、新マル公がその當時と今日は變つておるということはないと思うのであります。であるから、千八百圓を崩さなければならぬという原因にはその點ではならない。米の問題についてはここで發表できませんが、これ以後の點は今稻村さんの仰せになつたような點はないのであります。
○稻村委員 實はその當時ないとはおつしやいますけれども、あるのです。これは安本長官が來た場合には詳しくお話ししようと思つておつたのですけれども、政府が千八百圓ベースを説明するときに、大體當時の公定價格の倍率を豫想しておるものが、鹽干魚が一・二というのが、實際上物價廳發表の東京都小賣價格公定表によりますと一・九になつております。それから生鮮魚介が一・一を豫想しておつたのが、やはりこれも一・九、さつま藷が一・七一を豫想しておつたのが、物價廳の公定價格表によりますと二・一になつておる。みそは一・四四と最初豫想しておつたのが一・七八、醤油は一・七一を豫想しておつたのが二・〇四というふうになつて、その當時大體舊價格がこれくらいの倍率で新物價となるであろうというふうに想像しておつたものが、實際上物價廳の發表によるとそれよりも高くなつておる。こういうことはどうかというと、勞働省としてはやはり先ほど申しました通り、これだけでも千八百圓ベースというものの理論的な根據と申しますか、それは一應訂正されなければならぬという域に達しているのだと、まあ先ほどの勞働大臣の説明からみますと、そう推論ができるような感じがするのでありますが、こういう點勞働大臣は御存じのことであるかどうかちよつとお伺いいたします。
○米窪國務大臣 經濟白書で發表しておるところの新物價の價格と、先ほど稻村さんの御指摘になつた豫想された數字との開きがあるということですが、私の記憶によると、七月五日、給與審議會で千八百圓ベースを算定した政府の當時の各物價の基礎というものは何ら發表されておらない。その豫想されたというのは、どういうところからそのデーターが出ておるかしれませんが、少くとも私に關してはそういうものは今まで聞いておりません。從つて私は經濟白書に現われた數字と、七月五日、給與審議會で發表された千八百圓算定の基礎との間には、そう大した開きはないと思う。もちろん上つたものもあるかもしれません。豫想された數字は私初めて聞きますが、その當時豫想された數字と經濟白書との間にもし開きがあるとすれば、上の方にはね上つた品物もあれば、また下つたものもありまして、平均してやはり經濟白書の價格の數字と、給與審議會において千八百圓をきめたときの價格の平均とは同じだと、こういうぐあいに考えております。
○稻村委員 なおいろいろと質問したいことがありますけれども、あとは安本長官に對して質問することにいたしまして、勞働大臣に對する質問はこれくらいにしておきます。
○鈴木委員長 安本長官は追つけ財政金融委員會の説明が濟むと、こちらへ來られまするが、それまで野坂君、安本長官でなく勞働大臣に御質問があるならば、そういうふうにお願いできませんか。
○野坂委員 よろしゆうございます。
○鈴木委員長 それでは野坂君。
○野坂委員 昨日の私のに質問對しと、勞働大臣の方ではこういうふうにお答えになつたと思います。官公職員の給與増額の問題が中勞委にかかつている。その結果、そこで行われる裁定が千八百圓のあの基準を上にはずれるといつた場合においては、内閣においてこれを審議する。そして豫算の増額に對して議會にこれを追加豫算というような形で出される、こういうふうな手續があるというふうにおつしやつた。そうしますと、その場合に、まず第一にお聞きしたいことは、今中勞委でいろいろ審議されていますが、この場合政府は一體どういう方針をもつて臨まれているか、つまりどういう腹で臨まれているか、今稻村君からも御質問がありましたが、千八百圓の基準はあくまで守るという腹で臨まれるのか、あるいは勞働者の今日の生活の窮乏、この具體的事實に基いて、できるだけ勞働者側の要求を容れるという態度をもつて進まれるか、こういう點をお聞きしたいと思います。
○米窪國務大臣 結論を申しますと、野坂さんの御質問は、私一人で政府を代表してお答えするという權限もありませんし、勢いこれは勞働大臣としてのお答えになる。この問題は單なる勞働大臣だけの意見で決定さるべきでなく、内閣全體の問題として閣議で決定される。昨日私の申し上げたことをもう一遍くり返してみますと、政府としては昨年吉田内閣のときに、政府の方から電産爭議に關して提訴をしておきながら、その裁定が政府の考えと食い違つて、非常に違いがあるというので、それに從わなかつたというような態度はとりたくない、これは一致した意見であります。しかしこんどの提訴は勞働組合の方から提訴しておりますから、まず前提としては、いかなる裁定が中勞委で下されるか。知りませんが、勞働組合がこれに應ずるということでないというと、政府だけがこれに應ずるということも言えないと思う。前提はやはり勞働組合がその裁定に服するということが前提になると思います。それから政府は今日はやはり千八百圓のベースを堅持したいと思つている。ただし、中勞委が千八百圓ベースを崩すような裁定をしたときには、頭からしてそれに服さないということは、今日政府として決定できません。もちろん服するか服さないかということは閣議でこれを決定する。いわゆる諸般の情勢、經濟界の實情、あるいは政府の方針といつたいろいろの、いわゆるデーターによつてこの際服すべきが妥當である、あるいはあくまでもこの千八百圓ベースを崩しては、日本の經濟界は崩壊になるという觀點から、中勞委の裁定であるといえども服さないということを決定するかは、あくまでも閣議で決定すべきものである、こういうぐあいに私は考えるので、千八百圓ベースを崩すという裁定のときには、もう閣議も開かずに、なんでもかんでも、それをはねつけるという考え方をもつているのではなく、一應は閣議にかけて、閣議の多數をもつていずれもに歸著する方に決定する、こういうぐあいになると考えます。
○野坂委員 先ほどから米窪大臣の言われたところ、あるいは昨日も言われたところ、あるいは、安本長官の言われたところ、こういうところから總合してみますと、われわれの印象はやはり政府は千八百圓のベースをあくまでも堅持する、こういう基本態度をとつておられるように、これはおそらく、そういう印象を大多數の人が得ていると思う。そうしますと、今中勞委にかかつているあの交渉自體に對しては、もう結論自體としては政府はでき上つている、調停いかんにかかわらず、ともかくも政府はあくまでこれで押していくというような印象を受けますが、この點もう一度念のためにお聞きしたい。
○米窪國務大臣 中勞委がどういう裁定を下すかは、これは中勞委の自主性、中立性というものをわれわれは尊重して、決して中勞委に政府の意向はこうであるとか、あるいはあらかじめ裁定に對してはこういう態度をとるというようなことは通じておりませんし、また通ずべきものではないと考えております。從つて中勞委がどういう裁定を下すか、あるいは千八百圓ベースを崩さずして、勞働者の要求の全部ではなくても、若干滿足されるような裁定が下るかわからないのでありまして、從つて政府として今中勞委の裁定を豫想して態度をきめるということはできない、從つて今日ではやはり國全體の立場から考えて、また物價賃金の惡循環を斷ち切るという緊急經濟對策の大方針から見て、千八百圓ベースは少くとも今日は堅持する方針である。
○野坂委員 先ほど米窪大臣は、もし中勞委の裁定が千八百圓を上廻るというような場合には、閣議においてこれの決定をどうするということをきめる、こういうように言われましたが、この場合にかりにどうしても上げなければならないといつた場合には、追加豫算が新しく組まれるということになる、こういう場合においても、すべては政府が全責任をもつものであるか、あるいは國家の追加豫算における國會においてこれが責任を負うべきであるか、こういう點を一つはつきりしておきたい。
○米窪國務大臣 閣議において千八百圓ベースがたとえ崩れてもよろしいときまつたら、これはG・H・Qの了解を得て國會に出すべきである、こういうぐあいに閣議で決定した場合に、昨日申した通り、豫算外支出でありますから、一應G・H・Qのアプルーバルを得て國會に出す。政府はもちろんそのときには意見を附して出すだろうと思います。この意見は今日においてこれは豫想できませんが、もちろん政府としては千八百圓ベースを堅持したいのであるけれども、中勞委の裁定がこういうことになつたのであるから、これは豫算外支出を要する、こういう理由をつけて國會に出すだろう、こういうぐあいに考えております。
○野坂委員 もう一度しつこいようですがお聞きしたい。昨日米窪大臣の御囘答はこういう印象を受けた。中勞委員が中勞委の責任で決定する。そこで千八百圓が崩れたという場合には、閣議がこれを考慮する。閣議の意見もきめるが、結局國會に追加豫算として出す。國會がその責任においてこれを承認するという形をとる。つまり責任は内閣になくて中勞委と國會にある、こういうように印象を受けたのですが、この點非常に重大な問題ですから……。
○米窪國務大臣 中勞委の裁定が千八百圓ベースを崩す裁定であつた場合においては、先ほどから何遍も繰返す通り、これをのむべきであるか、のまないで相變らす千八百圓を堅持していくかということは、もちろん閣議で決定する。その場合に閣議が一應これはG・H・Qのアプルーバルを得て議會に出した方がよいときまれば、それまでの經過等の理由を附して政府から出す、その場合に政府の責任になるか議會の責任になるか、そういうことについてここではつきり申し上げる自由をもつておりません。
○野坂委員 それでは問題を少しかえまして二三點ほかのことをお聞きしたい。先ほどの米窪大臣のお話では、やはり安本で發表した例の白書の中に、十一月には四百圓の黒字が出るであろう、こういう豫想の數字をあげておりましたが、やはり米窪大臣の方でもこういう數字、こういう材料を基礎にして問題を處理されておるのかどうか。
○米窪國務大臣 今の御質問よくわからぬのですが、一應安本は額はその後訂正されたのですが、十一月になると黒字になると言つたのです。黒字になれば千八百圓のベースを堅持する主張は通る、赤字が出た場合には、一應これは考慮しなければならぬ段階ではないか、こういうことです。但しこれも閣議において、たとえ赤字が出ても千八百圓ベースは堅持する説が多ければ堅持する。しかし一應國民に約束した十一月に依然として赤字であるという場合には、一應これは考慮する段階にある、こういうことを申し上げたのであります。
○野坂委員 そうすると先ほど稻村君の質問に對して米窪大臣は、こういうようにお答えになつておる。十一月になれば少くとも主食は滿配になるし、二合五勺、千八百圓は堅持し得る。その基礎は千五百五十カロリーである。これではどうしても食つていけません。どうしてもやみをしなければならぬ。そこにどうしてもやみというものが出てくる。こういう事情をどういうふうにお考えでありますか。これでも千八百圓でやつていけるかどうか。
○米窪國務大臣 千五百五十カロリーというのは、千八百圓ベースでとれるものだと考えております。ただ千五百五十カロリーというのは、今日諸外國、殊に歐州方面の食糧事情等を調査して、政府だけがきめたカロリーの基準ではない。これはある方面からも同じ意見であります。これはたまたま日本の米及びその他の供出物資と人口とで割出したものが、やはり千五百五十カロリーということになるのであります。これ以上の國民がとる、たとえば勞働者の要求する平均二千四百五十カロリーということになれば、結局海外からの援助的な輸入がとまると私は考えます。從つてその場合には一年續けて配給を受けるということが破れてしまつて、初めの八箇月か九箇月は二千四百五十カロリーとれるけれども、その後の數箇月というものは、はるかに落ちたカロリーで辛抱しなければならぬ。こういうようになると考えております。ただ念のために申し上げまするが、千五百五十カロリーというのは、老若男女を問わず、中央地方を通じての平均カロリーでありまして、もちろんそれだけで今日生活ができるだけのカロリーがとれないことはわれわれわかつております。しかし千五百五十カロリーというのは、そういつた意味の平均でありまして、實際においては年寄りや子供はずつと少いカロリーでやつていつておるのが實情ではないか。從つて成年男子に對しては、千五百五十カロリーをベースとして計算しても、二千二百カロリーぐらいは、働く階級はとつておるのではないかと考えております。
○野坂委員 政府の方では、たとえば千八百圓の給與の基準をきめるとか、いろいろ勤勞者側の生活に對しては制限を設けられますが、一方利潤の方面についてはいかなる制限を設けられておるのか。設けられようとしておるのか。この點をお聽きしたい。
○米窪國務大臣 今日一部の新圓成金や、やみブローカーを除いては、利潤の上つておるところはほとんどないと思います。經濟白書で言つておる通り、經營者も赤字であるとわれわれは考えております。もちろん將來になればあるいは利潤が生れてくるかもしれませんが、その利潤というのも、積立金とか、あるいはその他の會社經理における部面の、いわゆるレザーブド・フアンドの程度であつて、株主に配當するとか、重役が莫大な配當をもらうということは、おそらくないのでありまして、政府としては今日どれくらいでとめるのだということは考えておりません。むしろ政府としては會社保有金、必要なレザーブド・フアンド以外のものは、勞働者にプロフイツト・シエヤリングをするようなことを、今經營者に勸誘しております。
○植原委員 ちよつと野坂君の質問に關連してお許しを願いたいと思います。ただいま野坂君の御質問は、中勞委が千八百圓の基準をもつて現在の状態では生活できないと考えて、その基準をかえることを政府に申し出たときに、政府はそれによつて千八百圓の基準をかえるかもしれない。その場合にその追加豫算を補正した場合に、その責任は一體議會にあるのか、中勞委にあるのか、政府にあるのか、こういう御質問であつたと私は了解しております。その場合において米窪勞働大臣の御答辯は、私がはつきり聽き取れなかつたのか、私にはそこに非常に明瞭ならざる點がありましたから、たいへん重要なことだから、この場合にはつきりしておきたいと思います。中勞委が千八百圓の平均の勞働賃金の基準は、現在の物價状態では勞働者が生活ができないということを申し出た場合に、政府はそれを考慮してそれを變更することがある。こういう場合には當然豫算を補正して議會にお出しにならなければならない。その場合に責任がどこにあるかという場合には、政府は中勞委の意見を參考としてとるだけのことである。豫算を決定するのは國會議員の責任でありますが、さような千八百圓の基準を變更することは、いかなる變更であろうとも、それは全責任として政府が負うべきもの、こう解釋しなければならぬ。白書において千八百圓の基準をもつて十一月には黒字が出るというて、白書を發表したことも、政府の責任である。これを中勞委がその基準を變革しなければならないといつて申し出たときに、それを參考として政府が變更した場合には、變更した全責任は政府が負うべきものと私どもは解釋するが、その點が先刻の御答辯では、はなはだ明瞭でなかつたようです。私どもは全責任は政府が負うべきである、白書に對しても政府が全責任を負うべきものだ、こう解するのが當然のことだと思います。これを一つ伺つておきたい。 なをもう一つ、その場合にG・H・Qのアプルーバルというようなことをお言いになりましたけれども、それは政府の責任においてやるべきことで、G・H・Qのアプルーバルの問題は議會の問題とすべきでないと信じておりますが、それもひとつはつきりとした、明確な御言明を得ておかなければならぬ。 ついででありますから、ただいま稻村君の御質問に對してもまだ一つ不明瞭な點があつたので、それも確かめておきたいと思うのは、政府は何としてもやみ取引をできるだけ徹底的に取締らなければいけない。できればこれを退治するのが當然ですけれども、これは私どもの考えからいえば、やみ取引をなくするには、自由經濟にすればやみ取引はあるべきことでないと思つております。しかしそれは議論だから別として、その場合に、この勞働組合をやみの撲滅に利用するか利用しないかということも、中勞委に今意見を聽いておる。それによつて勞働組合をしてやみ取引の撲滅に活動せしめるか否やのことも、政府の見解を決定したいのだというような御答辯のように承りました。もしその御答辯がそうでなかつたら、私の聽き違いですから訂正しておきます。もしそういうのでありましたならば、勞働組合をやみ取引——勞働組合の人々は、物價の問題とやみ取引の問題は、給料生活者に非常に關係があるのだから、これらの人が個々に自覺的にやみ取引に對して政府の取締に協力するというならば異存はないのです。これは全國民さようにあつて欲しいことであります。けれども勞働組合をして特にやみ取引に對して政府に協力せしめて、これをあたかも政府の一翼のごとくにするのではなかろうかというような印象をお答えから受けました。これは非常な疑問を生ずることでありますから、その點もはつきりとしていただきたい。給料生活の人はやみ取引が非常に影響することは當然でありますが、勞働組合という團體をして政府と歩調を合わせて、この取締にあたらしむるということがあるとしたらば、これは可なり別な意義を有することだ。稻村君の御質問に對するお答えは、まさか勞働組合をしてやみ取引の一機關たらしめよとか、一翼たらしめよという御意見ではないと信じております。その點をはつきり私は聽くことができませんでしたから、この場合にお答えを得ておきたいと思います。
○米窪國務大臣 植原さんの第一の御質問にお答えします。これは昨日からも言つておる通り、中勞委の裁定がどう下るかということは豫想ができません。從つてこれは假定の上に立つておるので、その最低が千八百圓ベースを崩すような裁定があつた場合においては、私はたびたび申し上げる通り、閣議において中勞委の裁定をのむべきであるか、あるいはのむべからざるものであるかということを決定する。そしてこれを諸般の情勢から見てのむべきものであると閣議が決定した場合においては、當然豫算措置が起るのであるから、これは議會へ提出する、こういうことになる。この場合にG・H・Qのことを申し上げたのは單なる手續のことを申し上げたにすぎません。さらに深い意味があるのではないのであります。そこで中勞委の意見を參酌をして政府がこれを議會へ出すということのその責任は、全體どこにあるかというお尋ねであろうと思いますが、これは假定に出發したことでございまして、中勞委の裁定がどう下るかという假定に基いて、今日全責任を負うかということについて御囘答をする自由が私にはない。こういう工合に申し上げたのであつて、もしそういう假定に出發をして責任所在論をお問いになるのであつたならば、總理大臣にでもお問いにはるよりほかに方法がない、こういうふうに考えるのであります。 それから勞働組合のやみ撲滅運動を私が提唱したのは、やみ取引を手傳えという意味ではないので、多少植原さん誤解があるようであります。それでやみを撲滅するために、勞働組合が政府と別個に、下から盛り上つた勞働組合の自主制によつてやつてもういたいということを提唱しておるのであつて、もちろん結果においては政府と協力するが、政府のやつておるあらゆる構内に勞働組合が入つてきてやるという意味ではもちろんない。政府と別個にやみ問題についての一番の被害者である勞働組合が立つて、一つ君らの生活防衞のためにやるべきではないかということを提唱しておるわけであります。これについては目下勞働組合がそれぞれ具體對策を研究中である、こういうぐあいに考えております。
○植原委員 第二のことは私が聽き違いであればまことに結構だと思います。第一の點に對してはただいまの御答辯をもつて議會としてはそのままいるわけにはまいりません。勞調委が參考にかくかくだと申し出る。それを政府が至當だと思うて豫算を變更する。變更したその責任は全部内閣にあるのは當然でまりますが、その責任は政府の責任であります。今それが國會と責任を分擔するがごときお言葉だが、これは私ども議會としては了承できません。議會へ提出して議會がそれをどう決定するかということは議會の責任であります。政府が閣議できめたものは閣議として、國務大臣全體として連帶責任をもつべきもの、政府という言葉を使えば政府の責任でなければ豫算はきまらないのであります。そのきまつたものを議會の權能においてこれを修正することは、議會の當然の權能であります。豫算を決定して出す以上は、その決定した豫算に對してはただいまのような御答辯では滿足できないのでまります。その御決定になつた閣議の決定はすなわち政府の全責任である、總理大臣をここにお呼びして御答辯を得ても、米窪大臣がお答えになつても、政府で決定した豫算は政府の全責任において決定すべきものであるという御解釋以外に解釋はないと思います。それについて御意見があつたら重ねて伺つておきます。それを議會と分擔するかごときような今の御答辯は何としても受取ることができません。
○米窪國務大臣 私の答辯は、政府と議會とがその場合において責任を分擔するとは決して申しておりません。さらばといつて政府が全部責任をとるべきであるかということについては、ここで私は御囘答する自由をもたない。こういうことでその點については政府を代表するところの總理大臣にお尋ね願いたい。
○植原委員 政府できめた豫算は政府で全責任を負うべきものだ。それが議會に出て議會が修正して、その修正を政府が受けるか、受けないかはこれは御隨意です、議會は當然修正する權も、これをいかようにでも取扱う權は、議會の獨立した權で、政府との別な問題であります。政府が豫算を決定したときは政府の全責任であるというこの責任をとらないようなお言葉では、この議會としてこのまま議事を進行することはできません。いかなる豫算であろうとも、ひとたび政府が決定して議會に提出する場合には、その豫算に對しては政府が全責任を負うべきが當然で、これを議會と分擔するがごとき御答辯であるならば、私どもは總理大臣を呼んで、その問題を解決するまで審議を繼續できません。
○米窪國務大臣 私は政府が責任をとらないと言つておりません。ただそれは私がここで答辯するよりも總理大臣にお尋ね下さい。こういうことを言つております。
○植原委員 豫算を決定する責任を勞働大臣にとれとは申しておりません。その決定した豫算は政府の責任であり、政府の連帶責任である。それを議會に提出した場合に、議會の責任と分擔するがごとき先刻來のお言葉は、何としても私ども了解できません。はつきりとそれは當然政府の責任をとるべきものだと御訂正になればよろしいが、ただいまの米窪大臣のお言葉で、その責任を囘避しようとするならば、總理大臣を呼んでその點をはつきりするまで、私どもは豫算の審議を繼續できません。
○米窪國務大臣 私は議會が政府と責任を分擔するなどとは一言も言つておりません。ですからはつきりしたければ總理大臣をお呼びくだすつて、總理大臣の御意見をお聽き下さい。
○野坂委員 議事進行について……。事は私の質問から出たのでありまして、この問題はたとえば米窪大臣の方には、何か中勞委、政府、國會、この關係について、一箇の假定のもとにわれわれは論議しておるというふうに言われましたが、私はただ假定を言つておるのではありません。中勞委の問題、政府の問題、國會の問題、これらすべてがいかなる權威をもち、責任をもつかという根本問題になつてくる。言いかえれば豫算審議の問題になつてくる。ですから米窪大臣だけではもしお答えできなければ總理大臣を今呼んでいただいて、はつきりと政府側の答辯をやつていただきます。というのは今一番大きな問題は官公職員の給與の問題だと思います。これがわれわれは今度の豫算における一番の中心問題だと思います。この場合において今中勞委がこの問題を審議をしておる場合に、政府がこの結果にいかなる責任をもつかということは、われわれとしてはつきりここで聽く必要がある。これをもしわれわれの方に責任をもたせるというような腹が政府にあるならば、私は拒絶しなければならぬ。われわれはあくまで拒絶しなければならぬ。ですから委員長に私は提案しますが、總理大臣を呼んでいただいて、ここで總理大臣の言明をわれわれは聽きたい。
○鈴木委員長 それではお諮りいたします。ただいまの問題は總理大臣の都合を聽いて、總理大臣の御出席を得て、總理大臣から御答辯を聽いて、明瞭にいたしたいと思います。安本の總務長官がさいわい來ておられます。さつきの安本長官に對する質問がまだ残つておりますから、總務長官に對する質疑を續けて、その間總理大臣の御都合を伺つたらどうですか。
○野坂委員 私は總理大臣の出席をできるだけ早く望みますが、やはりわれわれとしては今ここで審議している豫算の問題を、續けてやつた方がよくないかと思います。
○鈴木委員長 さきの質問を續行いたします。
○野坂委員 補正第四號、ここに一時手當の支給に關する法律案と出ていますが、これはいわゆる千六百圓ベースから千八百圓ベースに上げた。この差額に對する補給金であるのか、そういうふうにとれます。それならばなぜこの議案の中にそれがはつきりうたつてないか。これは突破資金とも解釋しいていものですか。この點をお伺いしたいと思います。
○米窪國務大臣 これはあくまでも千六百圓を七月五日給與審議會で、千八百圓ということに一應標準賃金をきめた。そのことに對應して二百圓追加するという意味でございます。突破資金という意味ではございません。
○鈴木委員長 安本總務長官に對する質疑がございます。
○稻村委員 まず第一に安本長官にお尋ねしたいことは、今度の豫算が大體において千八百圓ベースに引上げることを前提として、千六百圓ベースで與えておつた官吏の給與を三箇月にわたつてそれを修正するという意味をもつておることは、米窪勞働大臣が言われておつたと同じであります。從つてわれわれといたしましては、前に勞働省の豫算の審議の際にあたりまして、千八百圓ベースに對してある程度の論議があつたようでありますが、しかしながらこれは勞働省の設置を非常に急いだ結果といたしまして、その審議が十分になされないで今日まで殘されていると思います。ここでもまた官廳職員の當面の生活問題を補うという意味におきまして、この點についてあまり時間的餘裕をもつことができないように考えられるので、その點でははなはだ遺憾とは存じます。しかしながらやはりこの點に對して多少われわれはふれなければならないと、かように考えておるのであります。大體千八百圓ベースというのは、二つの點から見られると思うのであります。それは今日勞働者が生きていくために必要な食糧、これは生活費の大部分が食糧費なので、その食糧のもつておるカロリーというものを土臺にして、一應計算されることが一つであり、第二にはそのカロリーに基いて、その他の生活必需品と合わせて、それの價格を見積つた。この二つのことで千八百圓ベースというものが言われておる、かように考えます。そこでカロリーの點に關しましては、やはり千五百五十カロリー平均ということになつておりますが、この點に關して、はたして正しいか正しくないかというような點についても、この前にも一應議論がありました。現に一部ではこれは一人當り二千四百カロリーくらい要る。四人家族としては九千六百五十カロリーくらいは必要だというような説もあります。この量でありますと大體戰前に攝取しておるカロリーと考えられますし、そして一家にして政府の案との間に三千四百カロリーの差が示されておるのであります。そこで私は安本長官にお尋ねしたいことは、この千五百五十カロリーというのは、今日のように自由に食糧輸入が許されておらない限りにおきましては、大體許可された輸入量と國内産の食糧これを合計して、それで人口割にして大體はかつたカロリーを、一人千五百五十カロリーというふうに計算なさつておるのだろうと理解しておりますが、その點どういう考えであるか、まず第一にお伺いいたしたいと思います。
○和田國務大臣 ただいまの點にお答えいたしますが、これは配給人口で、農民ははいつておりません。
○稻村委員 そうしますと私たち考えたところによりますと、これは二千四百カロリーを一人がとるとなれば、カロリーの質力が非常に高くて、しかも價格が安いというようなものが、主食として考えられるのでありますが、これは米とか芋とかいうようなものの主食の増配が中心にならなければ、二千四百カロリーというようなものはとることができない。かように存じております。從つてもし米でもつて増配のカロリーをとるものとするならば、私の計算するところによりますると、今日の二合五勺に加えまして、一人當り約四合一勺の平均的配給をしなければならぬという結果になるのであります。そうなりますと一人當り四合一勺の配給ということになりますれば、國内で生産するところの食糧と、輸入食糧とを合算したものでは、おそらくこの四合一勺という平均は、とうてい配給できないというふうに考えられるのでありますが、その點安本長官の所見を伺いたい。
○和田國務大臣 千五百五十カロリー平均を全般的に引上げて二千四百カロリーということは、お話のように、今の實情ではちよつと、できないと思います。
○稻村委員 今大體におきまして、やみは非常に物があるのであります。そこで、このやみの物を全部總動員して、現に一人當り千五百五十カロリー以上のものをとつているのだからして、ということを前提に考える考え方もあるようでありますが、もしそういうふうな建前から、ここに千五百五十カロリー以上の食糧を實際上加算していきますと、この點日本のような占領下にある國といたしまして、ただちに輸入食糧に響いてくることは明らかであらうと思います。そこでわれわれは考えなければならないのは、どうしても千五百五十カロリーというのは、今日の食糧情勢の下においてはやむを得ない情勢であると、かように理解しているのであります。しかしながら私たちから考えていくならば、さような千五百五十カロリーというものを前提として考えましても、なおそれで千八百圓ベースが正しいか正しくないかということが、一つの問題となつてくると思うのであります。なぜかならばさきに安本長官が八月十二日の勞働省設置に關する豫算案の審議の際に、大體主食、蔬菜、生鮮魚介類鹽干魚、調味料等々の食糧品を全部あげまして、それが月々に一定比率で、マル公價格で配給されるものと、やみ價格で入手されるものとの移動を示しまして、その比率が次第々々にマル公價格に、配給されるものの方に重くなると考えて、そうして十一月になれば、これはあとから訂正されましたが、その當時約四百圓の黒字が出る、こういうふうに言われたのであります。ところが、それから今日まで約二箇月たつているのでありますが、その間にマル公價格でどれだけものを配給することができ、そしてマル公價格で配給したものが、勞働者が現に消費しているところの生活必需食糧というものとの間に、どれだけの比重をもつようになつてきたかという點に對してお伺いしたいのであります。もつと具體的に申しますならば、でき得るならば、主食とか蔬菜とか生鮮魚介とか、あるいは鹽干魚とか、調味料とかいうものを、どれだけの品を増配するようなことになり、それが確保されているかどうかということを、簡單に御説明願いたいと思うのであります。またその後光熱費とか、サービス料の引上げが行われております。たとえば風呂錢が二圓から四圓、床屋錢がたしか十六圓くらいに平均なつていると思う。こういうサービス料や光熱費というものが、千八百圓ベースに對してどれだけの影響をもつとお考えになつているか、その點をお伺いしたいと思う。
○和田國務大臣 細かい點はまだ資料がございませんのでわかつておりませんが、お話のように千八百圓のベースによる價格改訂の場合に示した家計費調査というものは、いろいろの假定に立つておることは御承認くださるだろうと思うのであります。その場合における主食の點につきましては、八、九、十の輸入食糧による滿配が確保されましたので、主食の點については問題はないと思います。但し蔬菜、魚等の點につきましては、これは計畫通りにはまいつておらないのでありまして、それらの點に關しまして、やはり八月の分は相當の赤字が出ておるということになつております。以後はこの間出ました生計費價格指數によりますると、八月が七月にうんと上つた結果また下り、九月も横這いをして、八月に多少下つておる結果が出ております。その價格調査を使つて、私どもがやつておりました生計費に當てはめてどうなつておるかという計算はいたしておりませんが、八月それから、九月になつても、生鮮食糧品の點につきましては計畫通りにまいつておりませんし、その點について相當の影響が出ております。こう思うのであります。
○稻村委員 この際もう一つお伺いしたいことがあるのであります。それはたとえて申しますると、蔬菜なら蔬菜という副食物をとつて當時政府が給與審議會等で説明したところによりますると、大體一箇月二貫六百三十三匁が公定價格で品物が配給される、それからやみ價格、自由市場で入手すると言つておりますが、やみ價格であります。五貫二百二十八匁というものを大體やみで拂うものだという、こういう比率になつておると思うのであります。これは大體において公定價格で配給されるものが三四%、やみ價格で入手するものが大體六六%というような比率になつておると思うのであります。ところが實際においてわれわれが私たちの附近を調査いたしますると、公定價格で約一〇%くらいしか配給されないのであります。大部分は、九〇%はやみで入手しておるという比率になつておるのでありますが、やみ價格が政府の豫定したものよりも非常に上つておる。また公定價格も、政府が給與審議會で説明した比率よりも、遥かに上つておるということを度外視して考えてみましても、これだけの實を言うと差があるのでありますが、これによつてすでに十月の半ばになつておる今日、副食物の點だけでも、いわゆる千八百圓ベースというものの理論的基礎というか、そういうものが一應訂正されなければならないような事態になつておるのでないかと考えられますが、その點和田長官の御説明を願いたい。
○和田國務大臣 私は理論的基礎が改訂さるべきでなくて、やはり政府で立てた計畫の實施面をもつと進めていくということに、問題が移つてきておるのだと思います。
○稻村委員 これは私と長官とその點て質疑應答を繰返しましても、どれが理論的基礎かということを繰返えしても、單なる押向答に終るだろう、こういうように考えておるのでありますから、その點に追及はいたしません。しかしながらこれだけは政府でも、和田長官はお認めになると思うのでありますが、當時マル公によるところの配給というものと、やみ價格の入手率が大體において十一月になつても今のところとても三四%と六六%という比率ではいかぬ、そういうところが是正していないと考えておりますので、この點に關してもすでに千八百圓ベースを計算する基礎というものを、一應訂正しなければならない状態になつておるのじやないか、かやうに考えるのであります。またやみの撲滅が非常に成功して、十一月になつて當然この比率を豫定通りにすることができたとしても、ここで問題になつてくることは、いわゆるマル公價格というようなものが、さきに政府が豫想しておつたときよりも、はるかに高くなつてきておるのではないかというふうに考えるのであります。たとえばその當時政府の豫想した蔬菜の一貫目の平均價格は十二圓九十錢であつた。ところがそれが實際には今物價廳發表の東京都小賣物價公定表によりますと、一貫目平均が二十七圓六十八錢となつておるのでありまして、これは約二倍以上になつております。その上にさらに東京都ではいわゆる協定價格と稱して、配給所でこれを配給する場合には、さらにそれの倍額の五十五圓三十六錢でやつているという事實があるのであります。また同じ比率であつたとしても、やみ値も最初政府の豫想では、四十四圓五十錢ぐらいでなかつたかと思いますが、實際上はその三倍の百三十圓になつております。そうしますと政府の配給計畫がうまく行きまして、公定物價のものとやみ物價のものとの比率が豫定通り行つたとしても、ここに非常に大きな狂いが生じてくるのであります。すなわち野菜だけを考えてみても、その當時三十三圓九十七錢くらいの豫想であつたものが、實に百四十五圓七十錢というので、これは百十一圓七十三錢の開きが公定物價の中にだけでもできてきておる。やみに至つては政府の豫定の二百十一圓七十四錢に對して、實に六百七十九圓六十四錢というようになつてきて、その差額は四百六十七圓九十錢となつてしまいますので、やみとマル公で配給されたものとを合してみても、その差額は合計五百七十一圓六十九錢というふうになつております。その點同じような政府の豫想した比率でいつても、こういうふうになるのでありますが、それが一割と九割というような比率になると、これが七百十七圓五十錢の赤字というふうに、野菜だけをとつてみても、こういうふうになつてきておるのであります。これは政府で發表した數字による計算から想像しても、こういうふうになつてきておる。すなわちやみの價格は政府の豫想したよりも、はるかに急騰したし、公定價格ですらもが相當の高騰を來しておる。この二つの事實はいわゆる千八百圓ベースを計算する基礎を失つたと言えば話弊がありますが、これを訂正しなくてはならなくなつたことを證明するのではないかと考えておるのでありますが、その點に關する安本長官のお考えを承りたい。
○和田國務大臣 千八百圓ベースを計算する基礎を失つたというのでありませんで、今あなたのおつしやいましたものは野菜でありますが、これはやはり生計費とすれば、全體として見ていつていいだろうと思います。そうすれば總務廳で發表した生計費調査、ああいう總合的な調査もそこに考えていかなければならないと思います。生計費指數自體が八、九と下つてきておるという事實は、やはり相當大きな事實だと思います。ただ個々のものについて公定價格があの當時豫定しておつたよりも上つたと申しますが、野菜なら野菜についての實際の配給されるものの内容によつて違うと思います。もう一つは今おつしやいましたように、やみの指數は確かにある程度上つております。しかしそのやみの指數と公定價格の指數とが、個々のものについて上つておる點だけとらえて、全體的な千八百圓ベースの基準が崩れたとは言えないと思うのでありまして、これはやはり全體として見ていただきませんと困ると思います。それからもう一つ私が申しておきたいのは、それらのものがそういう傾向をとつてきたということは、それだからやはりその千八百圓そのものをかえていくということではなくて、これは新しい價格體系を維持していく上において、むしろその内容自體をもう少し實質的に確保していくという努力は、やはりやるべきであると考えております。
○稻村委員 そうするとどうも私の腑に落ちないことが出てくるのであります。新物價體系を維持していくという點につきまして、やみの價格は別個の問題になりますけれども、公定價格が上つたというようなことになりますと、これは今までとは考え方が、長官の考え方と私とは非常に違つてくるのであります。公定價格は確かに政府がその當時千八百圓ベースの説明資料として使つたものとの間には、これは部分的でなくして、さらに總じて上つておると私は思うのであります。これは給與審議會に發表した數字だそうでありますが、これによりますと、單に蔬菜だけの問題ではない。さつきもその點勞働大臣に話したのでありますが、鹽干魚は大體倍率にして一・二倍のものが一・九倍になり、生鮮魚介類が一・一倍のものが一・九倍となり、甘藷が一・七四倍のものが二・一二倍となり、みそが一・四四倍のものが一・七八倍になつておる。しよう油も上つておる。かように公定價格が總じて豫想より上つておるということになりますと、その點ほかの、たとえばやみ價格の問題でなくて、これだけ上げたものでも、大體食糧品は公定價格として上つておるのであります。生計物資といえばおそらくその中には木綿であるとか、あるいはまたその他いろいろな物もはいつてくるだろうと思いますが、しかしながら一番重要なものを占める食糧に關しては、公定價格は軒並に上つておると私たちは考えておるのでありますが、公定價格が上つた上に、さらに私たち非常に問題になるのは、今度の米價であろうと考えるのであります。この米價がさらに上つたというようなことになりますと、これはいよいよもつて千八百圓ベースの計算の基礎を訂正しなければならぬのではないかという感じが強くするのでありますが、いわゆる千八百圓ベースというようなものの計算の基礎が、すでに崩れたということになりますと、今後われわれとしては十分考えなければならぬ問題ではないかというふうに考えられるのでありますが、その點和田長官の御意見を伺います。
○和田國務大臣 七月に豫定しましたときは、もちろん公定價格がきまつているのでありますが、今日の公定價格がその當時の推定と違つていることは事實であります。しかしその後におきまして、ある程度の幅を見て、千六百圓のものを千八百圓に引上げたのであります。ただいまの米價の問題は、これは私はやはり價格體系の中においてこれを決定していくという態度であつて、もう一遍千八百圓ベースを崩していくということは、考えておらない次第であります。
○鈴木委員長 皆さんにちよつとこの際お諮りしたいと思いますが、安本の總務長官に對する質疑が野坂君、上林山君、川野君が殘つておりますが、安本長官は今日午後はどうしても都合が惡いそうでございます。安本長官に對する質疑が殘りますが、今日午後は總理大臣はよその委員會に出られるのを繰り上げて、こちらに先に出てもらうことにただいま交渉いたしましたから、午後一時に總理大臣は御都合がよろしゆうございます。續いてこの議題の議案に直接關係のあります給與の問題については、大藏省から今井給與局長が出席されておりますから、午後引續き今井給與局長に對する質疑を續けまして、總務長官に對する質疑は月曜日、十三日の午後一時から引續き豫算總會を開いて、その際に殘つております安本長官に對する質疑を續けたいと思いますが、そんなふうに取計らいまして、ここで一應休憩いたしたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 それでは休憩いたします。 午後零時十二分休憩 ————◇————— 午後一時二十八分開議
○鈴木委員長 それでは午前に引續いて開會します。 午前の會議において植原悦二郎君よりの御質疑に對しまして、内閣總理大臣より明快に御答辯を得たいと存じますについては、一應簡單でよろしうございますが、植原悦二郎君より御質疑の點を、もう一度總理大臣のためにくり返していただきたいと思います。
○植原委員 私の質問は、野坂君の御質問に對する勞働大臣の答辯において、はなはだ不明瞭なることがありましたので、その關連質問として私が質問いたしたのであります。その質問をくり返しましたに拘らず、勞働大臣の答辯は依然として曖昧でありましたがゆえに、總理大臣を煩わして御答辯を願わなければならないような破目になつたのであります。問題の重點となりますことはきわめて簡單明瞭なことで、憲法の解釋、議會政治の本義から申しましてイロハとでも申すべき、まことに簡單なことであるにもかかわらず、國務大臣がその答辯を曖昧にいたしましたことは遺憾千萬なことであり、またかような簡單な問題であるのに、わざわざ總理大臣を煩わすこともはなはだ心もとない次第でありますけれども、要は議會政治の責任の所在に關するきわめて重大なる問題であります。それゆえに問題の起りを簡單にこの場合に申し述べまして、明快なる片山首相の御答辯を煩わしたいと思うのであります。質問の要點はかようなことでありました。政府は先に八月十二日に經濟白書を發表し、その當時安本長官は、千八百圓の勞働賃金のベースを定めて發表いたしました。當然これは安本長官、政府の責任である。しかるに最近諸物價の變動等のために、このベーシスを動かさなければならないではないかというような問題が起つておる。そこで米窪勞働大臣のおつしやるところによれば、ただいまその問題については中勞委において審議されておる。中勞委の意見がはつきりした場合においては、政府はそれを參考とし、そうしてその中勞委の主張が正しいという場合には、政府は千八百圓のベーシスを變更する。その變更した場合においては、豫算に對しても自然修正を要することがある。さような場合において、千八百圓のベーシスを中勞委の意見を參考考慮して政府が變更した場合に、しかしてその修正豫算が議會に提出された場合に、その責任の歸屬はいずこになるかという意味の質問でありました。かような場合に當然千八百圓のベーシスを變更するかしないかは別問題として、そういうような場合に政府が豫算を訂正あるいは修正した場合においては、その修正の責任は政府が當然とるべきものである。そうしてこれが議會に付託されましたときに、その豫算を議會が否決しようとも、修正しようとも、それは當然議會の責任である。まことに明瞭なる點であるにもかかわらず、米窪國務大臣はさような場合には、政府の責任でもなく、議會が責任を負うべきもののごとき答辯をすると思えば、政府と議會との責任に歸すべきものであるがごときの、きわめて不明瞭なる御答辯でありました。ゆえにかかる問題に對してはいかなる問題でも政府が問題を決定して議會に出す段取りになつた場合に、その決定した事項に對しては當然政府の責任である。これが一たび議會に付託されて、議會がそれを修正あるいは否決した場合においては、議會の責任である。かようにいたさなければ責任政治、議會政治はできないのでありますので、その點を米窪勞働大臣に繰返して尋ねましたところ、依然として政府と議會とともに責任を分擔するがごとき言を用いて、きわめて不明瞭でありましたがゆえに、政府が決定した事項に對しては當然政府の責任である。議會においてとるべき處置に對しては當然議會の責任、この責任の歸屬を明瞭にしておくことが必要でありますがゆえに首相を煩わしたのでありますから、その點を簡單に御答辯を得れば差支えないことであります。要はきわめて簡潔なことであります。しかも問題そのものの答えはきわめて明瞭でなければ、責任政治のできないことでありますから、その點をはつきりとお答えを願いたいのであります。
○片山國務大臣 植原悦二郎君の御質問の前提として述べられたる御意見の通りであると思つております。假定的なお話でありまするが、議會政治運營の筋としては、當然さような筋になつてこなければならないということは、植原君と同樣な考えをもつております。すなわちかりに中勞委において千八百圓のベーシスを改訂しなければならないという意見が起りまして決定いたしましたる場合におきましては、あらゆる問題を參照いたしまして考慮いたすのはもちろんであります。その問題を決定したからといつて、それをそのまま從つていくかどうかは、いろいろの問題を參照して當時の情勢に應じ、殊に物價體系の問題を考えていかなければならないものでありますから、容易には結論をここで申し上げるわけにはいきませんけれども、假定的のお話としてお答えいたしまするならば、政府の責任において追加豫算の改訂をいたしますし、また追加豫算が改訂されたる問題を國會が審議する場合においては、國會は自由なる立場において御審議あればよかろうと思うのであります。筋は植原君の言われました通りきわめて明瞭でありまして、責任の所在は初めのことは政府の責任であり、あとのことは議會の自由なる權限に屬せられることと考えております。
○鈴木委員長 總理大臣はお急ぎのようでありますが、上林山君よりごく簡單なことについてお尋ねしたいことがあるそうでありますから、どうぞ……。上林山君。
○上林山委員 安本長官に質問したいのでありまするが、その前提となるべき一、二の問題について簡單に總理大臣の意見を伺つておきたいのであります。 第一に尋ねておきたいのは、安本長官は食糧が滿配になるというようなことを基準にして、その他各般の事情を斟酌しまして、十一月には黒字になるという説を固執しておられるようでありますが、これに對しまして片山首相はどういう御意見をもつておられるのか。殊に報道せられておるところを承りますと首相はこの千八百圓ベースに關しては自信を失つておる、言いかえますと流通秩序が確實に確立せられなかつたという關係等からして、もつと言葉をかえると國民の協力が十分でなかつたために、この千八百圓ベースを維持することはできないかのごとき報道をせられておる首相の意見を承つておるのでありまするが、これに關してはどういうお考えをもつておられるかという點が第一點であります。 第二點は、安本長官は米價をきめるについて主として消費者を基準にし、殊に新物價體系の範圍内においてこの米價をきめていきたい、こういう意見のようでありますが、平野農相は新米價は供出ということを多分に取入れた米價にしなければならない、こういうような意見を發表しておるのでありますが、これに對してどういうような意見をもつておられるのであるか。さらにこれと關連いたしまして、平野農相は新米價の決定を基準にして千八百圓のベースを改訂してもよろしい、こういう意見をもつておるのに對して、和田安本長官は先ほど申し上げましたごとく、新價格體系の範圍内においてこれをやるべきであるという閣内の意見が區々であるのであるが、もちろんこれは後日政府の責任において最後的に決定せられるでありましよう。しかしわれわれは、これは追加豫算を審議していく最も根本的な問題であると考えましたので、首相の御意見をこの際承つておきたいのであります。
○片山國務大臣 第一の問題で、十一月になれば黒字が出るであらうということに對する私の考えを申し述べたのと、千八百圓のベースはどこまでも守つていかなければならぬという考えについて申し上げたことと、上林山君は一緒にされて御質問の前提の御意見の發表であつたと思います。これをわけてお答えいたしたいと思います。すなわち理論と實際とはとかく合致し得ないものであり、また合致さすことに幾多の困難があるものでありまして、理論的に運びますると、十一月には黒字が出得る豫定である。すなわち新物價體系を嚴に國民一致の状態で守つて、やみを排撃して配給をお互いに守つて、また政府配給に對して最善の努力を拂い、その體系が順調に進んでいきまするならば、十一月は黒字という結果になる得る理論である。これを目標とし、これに希望をつないで、積極的に努力して國民の協力を求める、こういうふうに政府は全力をあげていこうという建前をとつたのであります。これは別に國民にすべてをなすりつけて、政府は何もしないでおくという意味ではなしに、それを目あてとして政府は全力を傾倒してやつていく。それが成功すれば十一月は黒字である。こういう意味の説明をしたことになつておるのであります。それが實際においては理論通り行かないものでありまして、順調なる、しかも完全に近い運びが進まなかつたために、いろいろの困難ができたということを私がいくらか心配をする、憂うるというので、思う通りにはなかなか行かないものである、こういうことを話しただけでありまして、できなかつたから、千八百圓のベースは破らなくてはならないような状態になつたと言つたのでは決してないのであります。そこの結びつきは少しもないのであります。そうなつておるけれども、しかしわれわれは全力を盡して千八百圓のベースはどうしても守つて、物價體系を壊さないようにしてインフレを防止していかないことには、この再建の望みは達せられない。幾多の困難があるけれども、どうしても乘り切つていかなければならない。こういう意味で、實際は理論通り行かなかつたから、千八百圓は破つてもいいというようなことを決して言つたわけではないので、今日においても嚴にこれを守つて、物價體系は維持していかなければならないと考えておるのであります。 第二の米價の問題でありまするが、まことに重大な問題で、目下私どもは眞劍に、かつあらゆる方面の問題を考慮に入れて檢討しておるのであります。すなわち生産者たる農民の立場をも十分考えて、その生産費も考えて、殊に三千五十五萬石という相當重い責任を農民に負わせた供出問題から考え、米價問題の取扱いは、はなはだむずかしいし、重大であると考えておりまするが、しかし農民の立場だけというわけにもいきませず、大勢の消費者諸君、殊に産業に從事されておる勞働大衆諸君の消費面を考えていきまするならば、米の價格の上りは生活にただちに響いてくる。殊に物價關係に響いて、先に立てました物價體系を破るということになつてまいりますと、これこそ大ごとである。こういうことを考えるものでありますから、目下のところは双方を十分考慮に入れまして、わが國の情勢に適合し、物價體系も破らない。すなわち千八百圓のベースは十分に守つていける意味において、かつまた農民の立場も考慮に入れて、供出問題も順調に運ばれるような——至難な業でありますが、その至難な問題を解決しようと思いまして、懸命の努力を拂つておる次第であります。これは近く發表し得る段取りになるだろうと思つておりますが、まだ結論を得るに至つておりません。最近の閣議でもいろいろ檢討しております。そのうちに諸君に發表し得るということになりますが、上林山君が指摘せられた問題を考慮の對象として、適正なる價格を見出したいと、せつかく努力中であります。
○上林山委員 さらに簡單に重點だけをお伺いいたしたいのは、ただいま首相は十一月の黒字説の出たのは理論的に出たのであつて、政治の實際を通じては、そういうふうにはならないかもしれない。場合によつてはならないだろう。しかしわれわれは新物價體系の線に沿つて極力努力をしておるのだ。こういうふうに承知していいかどうか、念を押しておきたいのであります。さらに平野農相が供出その他の關係からいつて、米價を相當引上げなくてはならない。その米價が引上げられた場合は、千八百圓のベースも改訂の必要があるかもしれないという見解に對しては、明瞭なお答えがなかつたようにも思いますが、この點をさらに簡潔に示されたいのであります。
○片山國務大臣 理論と實際と合わないから、實際の問題を破つてもいいという心持ちで進んでおるのではないのであります。どこまでも理論通りやりたい。そうして破らないように效果を上げたい。物價の上ることを希望してやつておるわけでもありません。ほんとうに職業の安定、生活の確保をはかりたいという意味で、それだけの操作をしなければならない。こういう意味で努力しておるのであります。破つてもいいとか、できないであろうとかいうようなことを考えてやつておるのではないのであります。 第二の平野農林大臣が、米價を上げれば千八百圓は破られるであろうというようなことを言つたとは思いませんが、おそらく農林大臣といたしましても、千八百圓ベースは守つていかなければならない。そうしなければ物價體系は壊れる。その範圍内において米價の改訂、米價の相當上ることは考えていかなければならない、こういう意味であつたと考えるし、またそうあらなければならないと考えております、
○野坂委員 ちよつとこの際片山總理に……。先ほどの植原君の質問に對して、はつきりしない點がありますので、簡單にお尋ねします。問題はこういうようなお答えでした。つまり今係爭中である官公職員の給與の増額について中勞委にかけておる。この裁定が千八百圓の基準をかりに割るという場合には、政府がこれにもし同意する場合には、これを豫算に組んで議會に出すというふうなお答えであつた。その場合の責任は政府が全責任をもつ。この場合に私のお聽きしたいのは、政府がすでに中勞委の裁定に、ともかくも百パーセントか何パーセントか贊成して、一箇の成案として國會に提出される。この場合には、もし國會がこれを否決した場合において政府はいかなる責任をもたれるか。この問題は一箇の假定ではなくて、政府がこういう種類の問題についていかなる態度をとられるか。また中勞委、政府、國會、この三つがいかなる權限と責任をもつか。同時に片山内閣がこの中勞委の裁定に對していかなる態度をとられるか、責任をもたれるか、こういう問題でありますから、單なるこれは假定に基いたもので答えることができないという答辯はなさらないようにお願いします。
○片山國務大臣 植原君の御質問と野坂君の御質問は筋が違つておると思います。植原君の御質問は、議會政治の建前としてこういう場合があつたときには責任はどうか、こういう御質問であつたので、先ほどのようなお答えをいたしたのであります。ただいま野坂君からは、そういう意味ではなしに、今日の問題として取上げられた御質問であつたと思いまするから、それについては違つたお答えといたしまして、中勞委の決定がどうなつてくるかはまだわかつていないのであります。政府といたしましては極力新物價體系及び賃金、この惡循環を是正してインフレを防止して、わが國の經濟の順調なる發展を希望する意味において、千八百圓と新物價體系とはどこまでも守る點において誠意を披瀝して、中勞委の委員會に臨むつもりであります。その結果かりに千八百圓のベースと違つた、それ以上の賃金ベースということがきまりました場合においては、假定の問題といたしましても重要なる問題でありまするから、諸般の情勢を勘案いたしまして、さらに深き檢討をいたさなければならないと考えております。それより先の問題は今日具體的に申し上げるわけにはいかないと思います。それはその場合においてそれぞれの御質問に應じてお答えすることが適當であろうと思います。今の建前といたしましては、どこまでも中勞委において千八百圓を守つていくことが政府としてとるべき適當の建前である。こういうことを固く維持して進んでいくつもりであります。
○野坂委員 今のお答えはやはり私の質問したものと食い違つているようです。私の質問の本質は、やはり植原君のあの質問の繼續になると思います。あのときに千八百圓の基準を變更するようなことに政府が政策を立ててこれに基いて豫算を出したらばどうか、こういう一つの假定のもとに問題が進まれた。このもとで私たちは質問したいのは、もし國會でこれを否決したというような場合においては、政府はいかなる態度をとられるかということなんです。今中勞委にかかつておる問題に對していかなる態度をとられるかという私の質問ではない。
○片山國務大臣 政府が責任をとるというような問題は、假定的に、あるいは抽象的にお答えするわけにはいかないと思います。その問題が具體的にあがつてまいりまして、その内容がきわめて明白に現われたるときに、はつきりといたします。今、今日まだ現われていない問題も假定して、責任問題をお答えするわけにはいかないと考えております。
○野坂委員 そうしますと今のお答えによると、政府はこの中勞委にかかつている問題については、何ら、これを解決のために努力をする、官公職員側のこの要求をなるべく充たしてやろう、こういうふうな意思はないというふうに解釋できますが、こう解釋していいですか。
○片山國務大臣 中勞委における審議の状態というのは、中勞委から發表になるだろうと思います。政府といたしましては誠意を盡し、極力わが國の經濟態勢を維持する上において新物價體制を立て、千八百圓のベースを立て、勞働大衆諸君の了解を求めるべく努力しつつあるのでありまして、決して今野坂君が言われたような、何ら解決の意思なくして臨んでおるというような態度では決してありません。
○鈴木委員長 それでは今井給與局長に對する御質疑をお願いいたします。上林山委員。
○上林山委員 大藏大臣に追加豫算の財源の問題、ないし補正豫算の財源の問題について尋ねたかつたのでありまするが、これは別の機會に讓りまして、私は政府職員に對する一時手當の支給に關しまして質してみたいのであります。政府が今囘千六百圓ベースから千八百圓ベースに基準を引上げまして、その差額を政府職員に一時手當として給與する問題について、先般同僚委員から、これは危機突破のための臨時手當であるのか、あるいは新物價體系をもつて基準とした給與であるのかという質問に對しまして、あくまでもこれは危機突破の臨時手當ではない、こういう政府側の説明でありましたが、そういうふうに承知していいのでありまするか。この點をまずお伺いいます。
○今井政府委員 申し上げます。これは解釋のしようによりまして相當いかようにもわかれやしないかと考えます。と申しますことは、大體新物價體系がきまりまして、從來の千六百圓水準というものはその實質内容を確保するために、これを千八百圓に上げる必要があることは政府も認めたところでございますが、水準そのものの決定につきましては、勞働問題の性質上組合側と團體交渉を要します。千八百圓水準を組合側として承認するか、承認しないかという問題がそこに起つてまいるわけであります。この問題はとうてい話のつくわけにまいりませんでした。ところが政府といたしましては、千六百圓と千八百圓の差額である二百圓をとにかく用意してあるから受取つてはどうか、こういうお話をもちかけたところ、それはぜひもらいたい。千八百圓云々の問題は後日の問題にしても、とにかくそれだけの金を拂おうという用意があるならば、自分らも金に困つておるからぜひすぐにもらいたい、こういうお話であります。從いまして一應政府の考え方は二百圓の差額を三月分積上げた結果ではありまするが、しかしながら受取る方の立場から申しますと、とにかく六百圓というまとまつた金をこの際受取るのだ。こういつたことにも見方によつては相なるのであります。直接には官房長官がやられたのでありますが、八月二十一日正式に全官公廳勞働組合連絡協議會に對しまして、その要求されておる二千圓、千圓の生活補給金をお斷りする際にでこぼこ調整金と、この二百圓の差額の問題を取上げて、これを政府として支給する用意があると申し上げたところ、組合側では、それは當然こちらとしてももらう筋のものであるから、官公職員待遇改善委員會の方で技術的に細目を協定して受取りたい。かような結末でこの話がまとまつたのであります。從つて千八百圓そのものに對する見解が、政府側と組合側との間に最終的な段階に妥結いたしておりません關係から、この問題は見方々々によつていろいろにわかれる危險性がある問題だと、かように御了承を願いたいのであります。
○上林山委員 見方々々によつて危機突破の臨時手當にもなれば、新物價體系に基準を置いた待遇改善にもなるという御意見のようでありますが、私は主として政府側の意見を質しておるわけであります。政府としてはこの問題に對してどういうふうに考えておるのか、あるいはまた今答辯の中に、千八百圓を要求したが、まとまらなかつた。けれどもとりあえず政府が月に二百圓の金を用意してあるから、これを受取つたらどうだと言つたところが、組合側はこれを千八百圓ベースという妥結ではなくして、別の意味で受取つた、こういう話であります。しからば政府としてはその當時からこの千八百圓ベースに對してどういう見解をもつておつたか。多少の不安を含みながらも、とりあえずこの方針でやつていこうという考えをもつていたのかどうか、この點を質しておきたいのであります。
○今井政府委員 千八百圓水準というのは、要するに千六百圓というもとの水準を新物價體系によつて引直すためには、千八百圓を相當と認めるというところから出發したものでございます。從ひまして千八百圓水準に引上げることは、新物價體系、すなわち七月から引上げることが至當である。かような見解に相なりまして、そこで月に二百圓という差額を生じたわけでありますが、その點から申しますれば、この水準の差額を支給するというだけの問題であつて、生活資金とは全然關係がない。かようにおとりになつて少しも差支えないわけであります。またこれをもらう時間的な關係から申しますれば、とにかく一番苦しい時期にまとまつた金がいるという意味において、今組合側の要望しておる生活補給金とは性質が異るかもしれませんが、ある時期における一種の生活補填金とも考えられる。こういつた解釋も一面からは成立つのではなかろうか。こういう意味でございます。
○上林山委員 私はあくまでも政府側の見解を質しているのであつて、何も相手の氣持になつて説明を要求しておるのではありません。私どもとしては審議をする建前上、その給與の本質、性格を明確にしておきたい。こういう前提のもとに今質問をしておるのであります。この點を明らかにせられたいのであります。
○今井政府委員 失禮いたしました。政府の算出の根據は、二百圓の差額というものを三月分累積して六百圓、こう彈き出したものであります。
○上林山委員 それはいわゆる新物價體系によるその差額として認めるという意味に承知していいのであるか、念のために質しておきます。
○今井政府委員 その通りでございます。
○上林山委員 しからば私はさらに質問を續けたいのでありますが、今度の政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案が、すでに財政金融委員會に提出されておるのでありますが、この問題をよく檢討してみますと、今日まで甲、乙、丙という三つの段階に區別せられておつたものが、超特地、特地、甲、乙、丙という五階級に區別せられておるのであります。この三つの段階であつたものが五つにも段階を設けて、しかもはなはだしくその差額の開きが大きいのであるが、その基礎となる政府の見解を承つてみたいのであります。
○今井政府委員 申し上げます。先ほど一言觸れましたように、政府としましては、さきに豫算委員會で御承認をいただきましたでこぼこ調整の金と、この六百圓の金を支給しよう、こういつた相談を組合側の方に持ち掛けまして、團體交渉を重ねてきました、でこぼこ調整の方につきましては、實は昨年以來の公約の關係がございますので、これはすべてでこぼこに應じて配付すべき金とも考えられるものでありますが、現在における組合員の生活事情等も考慮いたしまして、これにつきましても組合側の忌憚のない意見を求めまして、その結果半額は頭割り、半額はでこぼこに應ずるという、妙な形で話がまとまつたのであります。同時にこの六百圓の問題につきましても、組合側に對して意見を求めたのでありますが、組合側といたしましては、組合内部の統制が困難な理由、及び千八百圓水準を承認したというような立場になることを恐れるといつたような關係から、この點に關しては積極的にどうしても意見を述べることができない。政府で一方的にきめてほしい。一切は政府案によつて實行してほしい。かような話で一箇月以上の交渉を重ねました。その結果できましたのが今囘の案でございます。この金は、六百圓というものをこの際ともかくもまとめて出す意味において、しかも從來のでこぼこの金と違いまして、從來に關係の少い金であります關係から、この分け方はいかようにも組合側の要望を取入れる用意はあつたのでありますが、ただいまのようなことに相なつたのであります。われわれは最近におきましての各地區別の生計費の實情等を具體的に檢討いたしまして、その資料は本日お配りしてあつたと思うのでありますが、その中特に根據にいたしましたものは、統計局の消費者價格調査でございます。それによりますと、本年にはいりまして以來、地域的な差異はますます増大いたしておりまして、乙地を基準といたしまして、京阪神等は飲食費を中心といたしますと、一〇〇に對する二三〇、總生計費を基準としましても一八〇、かような開きを見せるように相なつております。そこで、もちろんこの現實の數字まで足を屆かすべきか否かにつきましては問題がありますが、一應從來の幅をある程度擴げることがこの機會において適當な策である、かように考えまして、京阪神は總體におきまして丙地に對しまして一六〇に近い差に相なるようにいたしましたものが、今囘の配分案でございます。今囘の配分案は一應京阪神十二割と書いてございますが、この十二割は三月分が合計十二割でございますので、一月分に割りますとこれは四割と相なります。この四割に現在もらつておる給料を加えます。そういたしましたものが大體地域的な差を認めた根本の基準の形に相なると思うのであります。そういたしますと丙地を一〇〇といたしました場合に、乙地は一一三、甲地が一三一、特地が一五〇、京阪神が一五九、かような指數に相なります。この數字を組合側にもお目にかけまして、そうして大體の御了承をいただきまして、こちらへ提案をいたしました次第であります。但しこれは政府が一方的に任された場合にやつた案でございますので、十月以降の地域給の問題につきましては、別にあらためて組合側にさらに相談をしてきめたい、かような約束をいたしております。
○上林山委員 本一時手當の給與が危機突破の資金でない。いわゆる新物價體系を基礎にしてのこれが一時手當であるという見解からいたしまして、政府側の方では政府の責任において生計費の調査をやつて、そうしてその生計費の調査の指數の開きによつてこの案をきめたのであつて、あくまでも政府側で單獨にやつたのであるが、場合によつて組合の要望があれば、その要望にも應ずる準備があつたのである。こういうような御見解のようでありますが、私は言うまでもなく本待遇の引上げは、新物價體系によるものであるからして、あくまでも甲乙丙の三つの區分の程度で、その差額をあまり擴げこにやつていくということが、最も實情に適しておるものである。こういう見解をもつものであります。今お調べになつておる生計費の指數についても、それぞれ批判をしていきたいのでありますけれども、時間の關係があるのでこれをやめにいたしまして、いずれにいたしましても、この改正案は輿論に逆行した案である。あくまでも政府がわずかな期間に机上で計畫した一つのプラン、でなければ惡意をもつてこれを批判するならば、あるいは政府のこの考えと、組合一部幹部のやみ取引によつて、こういうような暫定案ができたのではないか。なぜかというと十月以降にはこれは妥當と認めないから、十月以降には改訂の用意があるという答辯を聽きましても、私はそういうことが言えると考えるのであります。これを數字によつて見ますと、超特地は本俸の一、二倍であるところの千五百七十二圓、特地區は本俸の一、九倍であるところの千百七十九圓、甲地區は本俸給料の一、六倍で七百八十六圓、乙地區は給料の〇、三倍で三百九十三圓、丙地區は給料の〇、二倍で二百六十一圓というような關係になつておるのでありまして、これが危機突破の資金であるという性質を含まないとするならば、私どもはこの地域差というものはあまりにも差が大きくて、教育が國民に機會の均等を與えなければならぬと同樣に、これに從事する教育者にもまた私は生活の機會均等を與えなければならぬという大局的な見地からして、相當この問題は嚴格に批判し、場合によつては政府側から修正をしてもらわなければならぬ。あるいはまたわれわれにおいても、適當にこれが檢討を加えなければならぬというふうに考えておるのであります。これに對しまして政府としては輿論に逆行してまでもやるつもりであるか。あるいはこれに對して各地方の職員組合等から、猛烈なる反對運動が展開せられておる實情に鑑みて、この案に對して相當の修正を加え、將來十月以降に對しても、極力妥當なる改正案をもつて臨むというようなかけ引きではなしに、私は率直な態度を表明していただきたいのでありますが、これに對しましてどういうお考えをもつておるか、明らかに承りたいのであります。
○今井政府委員 申し上げます。この算出の根據につきましては、私どもがこの配分案のために急に調べたという資料は一つも使つておりません。すなわちただいま申し上げました消費者價格調査のごときも、昨年の七月總司令の統計課の指導によりまして、日本で今まであつた中では一番科學的權威のあると思われる、またそういう折紙のついている資料をまず一番最初の根本的な資料にいたしました。しかしながらそのほかにも勞働省その他におきまして、いろいろの面から調べた材料というものを基礎にいたしたわけでございます。しかしその生計費の現實に出た姿にそのままよらせよう、こういつた考え方は私どもとつたわけではございません。しかしながらとにかくこの六百圓という、まとめて一時金の形でやる場合、この率はまた別途に考慮するということにつきまして、組合側と協議を重ねた結果でございまして、ただいまお言葉の中には、組合幹部と云々というお話がございましたけれども、一度ごらんになればおわかりになるのでありますが、この官公職員待遇改善委員會は、二・一ストの跡始末のために、國鐵、全遞を初めといたしまして、八組合の幹部から代表されておる團體でございまして、決してそんな政府の意のままに動くような機關では絶對にございません。これは過日財政金融委員會の席上に、證人として呼ばれました人の速記をごらんになつても御了解願えるのではないかと思います。千六百圓の問題もそこで妥結された問題でございます。そこで少くとも正當に代表されました組合側と話をしました結果、組合側の了承のうちに政府側に一任され、その一任された案がまた組合側の方に示されまして、そうして組合側の方でもそれでよかろう、こういつたことに相なりまして、組合の方ではすでにこれを全國的に流しました形の案でございます。從いまして團體交渉の結果生れた案でありますがゆえに、もちろんこういつた地域的な問題、あるいはでこぼこの問題、かような性質の問題については、組合の中には一部どうしても納まらぬ不平の分子も出てくることは十分想像されます。またごもつともな次第であります。しかしながら團體交渉の性質上、やはりそこの全體としてまとまりましたラインにまとめていただく以外に方法はないのじやないか、かように存ずる次第であります。
○上林山委員 先はどの答辯の際は、團體交渉ないしはお互いが妥結にいつたのではなしに、それとは別個に、政府の責任においてこの案はきめたのであるという御見解のようでございましたが、その點は食違いはないのでありまするか。
○今井政府委員 あるいは申し上げ方が惡かつたかもしれませんが、團體交渉によりまして政府に一任する。政府の案に任せる。それに對して異議はない。かような取極めで進んだのであります。しかしながらその間非公式には案を示しましたし、また確定後正式に案を示しまして一應の非公式な起案は受けたのであります。從いまして私は政府側の方からとにかく案を示せ、かような申入れをして、その案を示されて、政府側の方に一任された結果、しかもそれを一任して異議はない、かようになりました案でありまするがゆえに、團體交渉によつて成立したものと、案そのものの内容につきましては、正式の了解は得ておらぬといたしましても、これは團體交渉の結果生れたものと、かように解釋してよろしいのじやないかと考えております。
○上林山委員 いわゆる机上プランによる生計費その他の調査資料については、別途に批判を加える餘地が殘つておるのでありますが、それは先ほど申しましたように、一應別といたしまして、官公廳職員あるいはこの組合の幹部諸君は、大體多くどこに住つておる人でありますか、この點を明らかにしてもらいたいと思います。
○今井政府委員 詳細一々記憶しておりませんが、二十五名の委員の中には、地方から選出された方も半數近くおります。
○上林山委員 私どもは新物價體系という本質から考えて、中央であろうと地方であろうと、新しいマル公に極端なる差額があるとは考えていないのであります。そういう建前から言いましても、あるいは俗に言うやみ物價、これを全部にわたつて調べたわけではありませんが、かりに主食についてこれを調べてみましても、六大都市よりも中都市、場合によつては町村においてですら、やみ物價の高いところがあるというような實情でありまして、そういう新らしいマル公から言つても、あるいはやみ物價から言つても、今出ておる生計指數が數字としては一應つじつまがあつておるかもしれないが必ずしも實際の生活の實態から言うと、さほど極端なる差額があるとは私どもは考えていないのであります。殊に甲地區、乙地區、丙地區の諸君が非常なる反對運動を起しておる事實を、單なる一部の者の反對であるかのごとく政府は答辯されておるのでありますが、この實情をよく吟味せらるるならば、この案が決して妥當なものでもない。實情に即しておるものでもない。ましてそれが組合と正式に團體交渉によつての妥結でないとすれば、その手段としては一應連絡はあつたといたしましても、政府の責任によつてある程度これが動かし得る餘地のあるように私承知したのであります。そういう見地からいけば、私は十月以降に、さらにこの調査をして差額を縮めようというような意味をもつておられるならば、本案が決して正しい妥當な案でないということは、政府も相當部分認められておるように考えるのであります。それでそういうような點から言つて、そうお互いしかつめらしくならなくても、場合によつては實情に即して、ある程度の修正を加えてもよろしいという政府側の意見であるか、あるいはそれでないならば、われわれはわれわれといたしまして、さらに檢討を進めていかなければなりませんが、その點を明らかにしてもらいたいのであります。
○今井政府委員 申すまでもなく生計費の調査というものはきわめてむずかしいものでありまして、從いまして絶對的に正しい統計というものは、おそらく世界中を探してもあるいはないかもしれない。殊にわが國においてはこの憾みが強いのでありますが、少くとも現在においては、ただいま申しました統計局の消費者價格は、その算出のとり方におきまして、またその基礎が同じ基礎から調べておるという點において、わが國においては、とにかくにも一番根據のある、一番權威あるものとしなければならない數字かと考えます。千六百圓水準もこの數字を基礎にして算出されたものであります。たおこの數字には、もちろん現實のやみが完全にはいつておりまして、現實の生計費の集積でございます。お話によると千六百圓から千八百圓に上りました二百圓は、マル公の改訂だけに充てらるべきではなかろうか、こういう御意見に拜承したのでありますが、私ども絶えず組合側と接觸しております者の立場としては、組合側の諸君の希望は、やはり現實の生計費によつてほしいということでありまして、千六百圓の水準の時代においても、六月、五月において、從來の率がやはり決して全體の開きを埋めでおつたわけではないのであります。それを埋めておつたといたしますと、非常に飛躍した説のようにおとりになることもごもつともと思いますが、現實の生計費になるべくマツチするように配分を考える。こういう立場からそういう組合側の要望を容れまして、私ども地域の配分も、その他の處置もいたしております關係からいたしますと、マル公が改訂されました場合に、マル公だけによつてやるならば、これは全部フラツトでもいいわけでありますが、そういうわけにまいりかねるということに相なりはしないかと思うのであります。なお組合側に對しては、非公式に八月二十日頃大體この案に近いものを示しまして、國鐵、全遞等においてはこれを地方に流したのであります。もちろんこの反響がありますれば、私どもの方に當然その後の交渉において現われてくるはずなのでありますが、正式に妥結いたしました九月十九日の公の交換の際に、二十五人の委員出席の上で、政府側の案に任せて異議がないという正式の覺書の交換までしたのであります。その後九月二十七日に確定案をお目にかけまして、この案で實施する。この案で國會に出すということについて組合側の確認を得たわけであります。その後從來絶えず委員會に出席しておられました一つの組合から、確定後に意見が出たのでありますが、しかしながらとにかく官公吏待遇改善準備委員會の立場から申せば、一旦決定をいたした以上、この交渉をやり直すならば別でありますが、これの意見を徴しないうちに、一部の組合の意見によつて決定した案をひつくり返すというわけにはいかないじやないか、きわめてむずかしいじやないか、かように存じます。
○上林山委員 團體交渉であるとか、あるいは場合によつてはその程度のものでなかつたとかいうような説明が、ところとときによつていろいろ變更された御答辯であるので、私の方でも質問を續行するのに非常に不便でありますが、そういう點は一應抜きにいたしまして、しからば組合側、もしくは全國の組合から非常な反對があり、希望があるとするならば、政府としてはこの案は修正してもよろしい、あるいは修正する餘地もあるのだ、こういうようなお考えをもつているのであるかということが一點、さらに私はこれはきわめて常識的に、あるいはきわめて政治的に御意見を質したいのでありますが、平均六百圓づつもらうべきものが、その基準によつて一時手當が支給せられるものが、丙地區においては二百六十一圓だけしかもらえずに、超特地においては千五百七十二圓もらつた場合、これをもらうべき側の教育者の立場から考えて、きわめて妥當な案であるというふうに思考し得るものであるかどうか、この點をあつさりお考えになるところを答辯せられたいのであります。なお資料を要求しておきますが、超特地その他の地區別の教員の員數を、後日資料として提供せられたいのであります。以上質問と希望を申上げまして、私の質問を一應打切りたいと思います。
○今井政府委員 問題そのものが、組合側との話合いを基礎としてきめられた關係から、今までのこういつた給與に關する團體交渉は、すべてそういつた正規の團體交渉機關をもちまして、二・一スト以來、そういつた手續をとつて、あらゆる問題を處理してまいつてきているのであります。ただ最近の二千圓、千圓の生活補給金問題だけが、組合側の都合によりまして、この委員會の權限外とされているだけでございます。從いましてこの委員會、實體は團體交渉機關でありますが、この團體交渉機關によつてもたらされた案でありますので、政府といたしましては、やはりこの團體交渉機關である正規の機關のルートを經てもち出された意見でありませんと、個々の組合の意見を個別的にとり上げることは、むずかしいと申し上げざるを得ないかと思います。それからこれだけの開きが教員に對する影響いかんということを率直に申すようにとおつしやいましたが、私も大分各方面の勞働組合の諸君とおつき合いをいたしておりますが、この給與に對する考え方が、教員の方々と一般の官公職員との間には、若干食い違いがあると思います。教員の方々は一般に私どものところに見えましても、山奥で、農村で教えている六年生なら六年生に對する授業も、東京の眞中で教えている授業も、全然變りがないじやないかということを強く主張されます。その意味において地域差というものを、むしろ撤廢しろ、こういつた御意見が一般に強うございます。その點も私ひとつの理窟として、もちろん筋の通つていることと考えているのでありますが、また他の官公職員の諸君は反對に、現實の生計費に應じろ、もちろん本俸、基本的となるベース給だけは一本である必要があろうが、地域による生計費の差に應じて、差等をむしろ擴げていけという意見の方が、非常に多いのであります。ただ現實問題といたしまして、丙地、乙地におられる方々は、教員の方々の方が割が多い、あとはせいぜい郵便局その他警察官の一部にしかすぎないといつたような、利害關係のこみ入つている面もございますが、全面的に申し上げますれば、そういつた意見の方が多うございますので、私どもはどちらの意見に從うことも、すべては組合という團體交渉機關においてまとめられた御意見には、いつでも敬意を表する用意はございます。現在までのところでは、まとめられた御意見というものが、今囘は政府案のような方向に向つておりますので、こういつた方向をとり上げた次第でございます。たとえばついででございますが、でこぼこ整理の場合におきましても、へつこんだ省と、でこの省と、非常に組合内部においてあつれきが起りましたのも、ことの性質上やむを得なかつた問題でございます。そこで私ども從來の立場を全然放擲して、なるべく最大公約數にまとまるところに案をつくろうといつたところから、理窟を離れまして、半分は頭割り、半分はでこぼこに應ずる、こういつた案を、私どもがかえつて仲裁的の役割のつもりになつて提示して、辛うじて案をまとめたのであります。今囘のこの案についても、私どもの氣持といたしまして、すべてそういつた最大公約數といつたところにおちつけたいといつた氣持以外に何ものもないのでありまして、その點だけは御了承いただきたい、かように存じます。
○上林山委員 私の最後に聞きたかつたのは、理論としてあるいは數字の上から、一應つじつまを合わしたり、團體交渉を主としての結論をあなたは主として述べておるので、一應私はそういう點は他日に讓りまして、ただ平均六百づつをもらうべきものを、丙地區においては二百六十一圓もらつた、あるいは超特地區においては千五百七十二圓もらつたと、こうした場合、これを受けるべき人々の側からこれを考えたときに、きわめてこれは妥當な案であるというふうに思考するものであろうかどうか、今日あなたは非常に一部だと言われるけれども、全國的にこれらの地區の人々が、この案に反對をせられたいという、いろいろ注文がきておるのであります。そういうような實情を勘案いたしまして、どういうふうに考えるか、さらに進んで、ついででありますから申し上げたいのは、十月以降には、この地域差では妥當でないから、もつと妥當なものをつくりたいという御意圖であつたように承つたが、それはその通りであるかどうか、この二點について説明を求めます。
○今井政府委員 二百六十二圓、千五百七十三圓の差に關する問題は、これだけを切り離せば非常に大きな開きがございますことを、私ども十分了承いたしますが、ただ先ほど申し上げましたように、これは三箇月に割つて考えていただかなければならぬ數字でございますし、それに現在もらつておる本俸、本俸というよりは月收、その月收の上にそれだけの差額のものを積み重ねた數字を比較する、こういたしますると、先ほど來申し上げましたように、丙を一〇〇とした場合に超特地は一五九、これを數字で申せば千三百九十八圓に對する二千二百二十八圓、かような數字に相なるわけであります。それでこの程度の開きは、從來これはむろん百パーセントに全部の組合員の總意を代表しておらないかもしれませんが、とにかく權限を與えられました各地の諸君、あるいはまた官待の委員諸君の從來の意見を忖度してみますると、私はさほどに開いたものと考えません。なお十月以降の問題でありますが、この點はとにかく不幸にして組合側は今特殊な内部事情にありますために、この際意見を述べることができなかつた。政府としてもこれをむろん忖度したとは言いながら、形式上はとにかくも一方的にきめた。從つて一方的にきめたということを前例とすることは、政府としても好ましくないということで、十月以降は君らの意見でやつてくれ、こちらも意見を言うけれども、そこであらためて話をしよう、こういう約束になつておるのでありまして、この幅にむろん組合員全體の御意見が、この幅が多過ぎるということになれば、むろん縮りましよう。また反對にこれでは狹過きるということになれば、廣がるかもしれない。その點は兩者の間で議論を交した結果でないとわかりませんが、とにかく約束したことは、このものは六百圓の問題に關する一時的な例であつて、將來の根據にしない。十月以降はあらためて別の角度から、白紙で全然檢討し直す。その意味において約束をいたしておるわけであります。
○野坂委員 今の今井局長の御答辯の中に、きめられたこの地域差の支給額というものは、一つの大きな疑問になつておることが大體はつきりしたのであります。ところが今私たちは十月のものについて言つておりますが、今の局長の意見では、十月以降の給與の問題については、このままの率ではいかないかもしれぬ。そうすると今ここで十月分を審議して決定するという場合においては、もう少しわれわれは愼重に、親切に考える必要がないかと思います。というのは、最近特に教員組合側の方ですけれども、しばしば來られて、あれでやられては非常に困るという痛烈な要求があります。それから官公職員の上の方でなく、ずつと中あるいは下の方に行くと、これに對して非常な反感があります。こういう條件のもとにあるときに、このままこの豫算委員會で通過することは、私は適當でないと考えます。もしそうならば、あるいは公聽會の形をとつて、もう一度官公職員の方々とわれわれと直接に談合して、はたしてこれでいいかどうかということを、もう一度念を押す必要がないか。
○中崎委員 今野坂君の言つた問題については、實はこれと同一内容のものが、財政金融委員會においてすでに審議されました。そうして同じような角度から關係勞働組合の幹部の人を、證人として出頭を願い審議したわけであります。同じ國會においてまた同じ問題を繰返してやることはどうかとも思いまするので、その必要があれば、金融財政委員會における速記録等を參考に見ていただいて、その上において態度を決定していただきたいと思います。
○鈴木委員長 お諮りいたしますが、ただいま議題になつておる問題は、法律案が財政金融委員會にこれより先に提案されておりまして、財政金融委員會においても相當審議を進めてこられておりまして、委員長においては大體財政金融委員會の委員長と連絡をとつて、委員會の進行の模樣も承知しておりますし必要によつては財政金融の委員等に出席をしてもらつて、委員會の審議の模樣の御報告を求めようかと存じております。しかしまだそういう必要も感じておりませんでした。 今井局長に對する御質疑はほかにございませんか。小島君。
○小島委員 その問題に關連して一點だけお聽きしたいのでありますが、政府の方ではこの格差が非常についておるということについては、すでに委員會の方で相談した上できめたのだから、それに從うのだと、かようなことをおつしやつておるのですが萬一組合で組合全員が正式に權限を與えられた委員會において、またふたたびこれを違つた方法で拂つてほしいというような場合があつたらば、それに從う御意思があるのですか、どうですか。
○今井政府委員 團體交渉のラインでやつてきたことでありますし、從來からもこういつたことはそれによるべきだと考えておりますので、組合測の正規のルートによる變更の申出、あるいは異議の申出があつたならば、いかようにも再考の餘地はございます。
○上林山委員 これに關連して希望を申し上げておきますが、財政委員會の委員長を招致して、いろいろ聽取せられるのもいいと思いますし、あるいはまた野坂君の提案された公聽會のごときを開くというようなことも非常に適切だと考えます。その場合私としては先ほど各地區別の教員の員數の資料を提供するように希望しておきましたが、各地區別の員數に應じて、各地區別の代表も、できるのならばその組合の委員に附加して、あるいは豫算委員會獨得の立場から、こういう方面に意向も聽取してもらいたいという希望を申し述べておきたいのであります。
○鈴木委員長 それは理事會で一度御相談いたします。
○川野委員 私は委員長に希望を申し上げておきたいと思いますが、先ほど委員長は、財政金融委員會と密接な連絡のもとにやつておるというようなお話であつたようであります。しかし給與の問題等は、豫算委員會において問題になつてくることは明らかな事實であります。それで財政金融委員會等において公聽會等が開かれる。こういう場合には、當然この豫算委員會も併せて、連合公聽會というようなものを開いていただいておつたならば、こういう問題も私は起らないかと考えます。將來においてはそういう關連する問題がありました場合には、この豫算委員も併せて公聽會を開く。このようにあらかじめ各委員長に御交渉願つて、そうしてそういう場合には豫算委員にも公聽會に列席させる。かようにしていただきたいと考えます。
○野坂委員 今井給與局長にお聽きしたいことは、きようの議題の二百圓の差額の問題、これは千八百圓と千六百圓との差額であることははつきりしましたが、そこで七月、八月、九月、十月、とこうなつてきておりますその間に、千八百圓では食えないということは、今井局長自身御存じのはずである。そこに大きな赤字が生計の上に出ております。これに對する補給金はどういうような方針をもつておられるか。あるいは全然やらないつもりであるか、あるいは考慮するという考えをもつておられるか。
○今井政府委員 せつかくの御質問でございますが、その問題は私から申し上げることは少し荷が大き過ぎると思いますので、安本長官なり、大藏大臣なりからいたすことがしかるべきかと思いますので、遠慮させていただきます。
○鈴木委員長 他に給與局長に對する御質疑はございませんか。 それではきようはこれで散會いたします。 午後二時四十九分散會