文教委員会 第11号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/10/02
会議録
○松本委員長 それでは會議を開きます。 これより本委員會に付託されました請願の審査に入ります。 日程第一、第二、第五、第三〇、第四〇、第五〇、第五三、第五六、第五七、第六五、第七六、及び第七八、ないし第八〇、以上十四件の請願は、小學校教員の恩給増額に關する請題で、同一趣旨でありますから、一括議題といたします。紹介議員圓司安正君がご出席になつておりませんので、代つて高津正道君にご説明をお願いいたします。
○高津委員 この請願は、小學校教員の恩給増額に關する請願でありまして、請願者は山形市香澄町字木實小路二百三十三番地、末野義四郎氏外三十六名で、紹介議員は、今、委員長の言われたように、圓司安正君でありますが、ちようど御出席がありませんので、私が代つて請願の趣旨を申し上げます。 一般俸給生活者は、俸給令改正により、約二十倍の俸給増額を見ておりますが、恩給額はそのままであります。これは今日物價暴騰の折柄、他に收入の途もなく、恩給を唯一の生活の資としている受給者にとつては、まつたく耐えられないことであります。だから恩給増額について、特別の配慮をされたいという趣旨であります。どうかその趣旨を了とされて、愼重審議の上御採擇をお願いいたします。
○松本委員長 右請願に對しまして、政府のご意見を伺いたいと思います。
○日高政府委員 終戰以來諸物價の騰貴に伴いまして、一般俸給生活者の俸給、給與が相當額増額せられておるのでありますが、恩給受給者には、從來のままになつておりますことは、はなはだ不合理な状態であると思つております。文部省といたしましては、これの増額については、關係方面と折衝をいたしまして、ただいま交渉中でありまして、各方面において増額についてはむろん異存はないのでありますけれども、その具體的の査定につきまして、まだ意見の一致を見ておりませんので、できるだけ早い機會に成案を得て、一般俸給生活者に準ずる取扱いをいたしたいと思つております。
○松原(一)委員 私のは出ておりませんけれども、私も一千五十六名の請願書を屆けて紹介しております責任上、この際含めて趣旨の辯明を申し上げて、當局の愼重なる御決意竝びに御判斷をいただきたいのであります。恩給生活者の中には、明治初年生れの人もあり、慶應の人もあり、もう生活能力を失つておる人々が非常に多いのであります。それが月額わずか百圓にも足らないような少額の恩給で、老後の生活の配給物資をもらうこともできないほど苦しい立場に立つておりますので、これにはおびただしい悲話、哀話が伴つております。しかしこの人々も一面には社會の感情とでも言いますか、軍人その他の給與を絶たれた人々のことを思うて、非常に遠慮いたしておるのであります。遠慮はいたしますものの、あまりにも悲慘なる現實から、何とか特に御考慮が願われまいかと、辭を低うして申し出ておる者も少くございません。比較的若い人々で、他に職業をもち得る者はとにかくとしましても、實情許しがたき者も現在あるのであります。生活保護法によつて保護を受ければ、それは恩給よりもはるかに高給與でありますが、やはりひとつの誇りをもつて、生活保護法にはよりたくない。多年この道に働いて來たのだから、できる限り若干の恩給の増額によつて、とにかく老後を支えていきたいという切望をもつておるのであります。この點につきましては私どもたくさんの人々に接觸をして、同情の念わくことを禁じ得ないのであります。思給局長にも會いまして、恩給全般に關する問題の取扱いについて聞いてみました。ただいま當局のお話の通りに、増額の意思はもつておるけれども、どうにもできない實情にあるということでありますが、お見込みはどうなんでしようか。どうしても今のところでは當分できないのでしようか。それとも近く解決の途があくのでしようか。あくとしまするならば、およそどの程度まで増額のお考えなんでしようか、この點もひとつお聽きいたしたい。もちろん、立法面からわれわれも具體策は考えねばならぬのでありますが、まず當局のお心持を伺つておきたいと思うのであります。
○日高政府委員 ただいまのお話を承りまして、まことにこれは捨ておきがたいことだと存じます。先般來、官廳の職員の給與の問題が、組合等との交渉にいろいろ行き惱んでおりまして、それの基本的なものが決定しがたいので、恩給の方も決定が遲れておるという話であります。私も二、三囘この會に列席いたしたこともございますが、全體としては相當額増額しなければならないということは、委員の意見が一致いたしておりました。具體的にそれをどの程度に上げるかということにつきましては、まだ決定をみておらなかつたようであります。遺憾ながら最近の情報を申し上げるまでに調べておりませんので、はなはだ恐縮であります。近日中によく調べまして、どの程度まで見込みがあるかを申し上げたいと思います。御了承いただきたいと思います。
○松本委員長 他に御意見はありませんか。
○永井委員 私の紹介をもちまして、全北海道の關係者から、やはり同様の請願を提出してありますので、今、内容について高津委員竝びに松原委員からいろいろ切々たるお話がありました通り、ほかのいろいろな關係の退職者とは違いまして、教育關係の者は、在職中も貯金をするほどの餘裕がありませんで、恩給を唯一の頼りに老後を養つていたのでありますが、それが全然生活の資に充てられないというような現況になりまして、まつたく路頭に迷うような關係の人たちが非常に多くなつておる實情は、喋々説明の要がないことと思うのであります。こういう現状に對しまして、いろいろ事務的な關係はありましようけれども、こういうまじめに生涯を國に捧げて、そうして老後をこれによつて細々生きていこうという者を路頭に迷わして、荏苒事務的な折衝というようなことで日を送つておることは、これは殺人的な行為であるとわれわれは考えますがゆえに、時間的問題の必要であることは、もちろん双方において意見がないところでありますから、そのことが運ばれることをわれわれは期待するのでありますが、さらにこれに時間的な問題がありますので、急速にこれらの問題を解決していただきたいということを切に希望するのであります。これに對して時間的にどれほどの熱意をもつて問題の解決に當られるお考えであるか、重大な問題でありますので、重ねて當局の決意を承つておきたいと思います。
○日高政府委員 ただいまの御鞭撻、まことにごもつともだと思うのであります。昨年來關係方面の意向をも徴して、増額案を大藏當局の方で準備中であるという報告を得ておりますが、その後インフレを助長するいろいろの條件が重なつておるというような點で、交渉がある程度停頓しておるということを、私どもちらと聞いております。その邊のところをよく突き止めまして、極力促進するようにいたしたいと思います。
○松本委員長 他に御意見はありませんか。
○久保委員 大體前に申された方々の御意見に盡きておると思うのですが、まつたくそれに同感であります。そこで直接この委員會からでも、文部省を通ぜずに、恩給局の方の意見なり、あるいは大藏の意向を確かめてみてはどうか。個人的には、松原委員もお話になつた通り、これは私もちよつと當つてみたのでありますが、個人的に聽取したり、あるいは意見を述べたりするよりも、委員會の意思としてそうした動きをとつた方が私は有力だ、事がはつきりし、さばけることも早いだろうと思うのでありますが、委員諸君の御意向はどうでありますか。
○松原(一)委員 恩給局長は、委員會の御希望ならば、いつでも出席して、自分のとつておる態度をば説明すると申しております。大藏省のその方面の關係者等も、この委員會に來てもらつて、そうして委員會の席上で突き止めたらどうだろうかと思うのでありますが、いかがですか。 〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 ただいまの久保君、松原君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 それでは近いうちに大藏當局を呼んで説明を求めることに決定いたします。他に御意見がございませんでしたら、本請願に對しまする採擇、不採擇その他の決定につきましては、愼重審議を要すると思いますので、しばらく留保いたしまして、適當な機會に決定をいたしたいと考えますが、御意見ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 それではさように決定いたします。 —————————————
○松本委員長 次に移ります。日程第二九、教員の恩給總額に關する請願、文書表第三一一號、紹介議員樋貝詮三君。——樋貝君のご出席がありませんので、高津正道君に代つて御説明を願います。
○高津委員 この請願は教育の恩給増額に關する請願で、甲府市橘町十八番地、吉田祐吉氏外四名提出にかかるものであります。紹介議員の樋貝詮三君が出席いたしませんので、私が代つてその要旨を申し上げます。 前の請願と大體趣旨は同様でありますが、前の請願は、一般俸給者は俸給令の改正によつて、約二十倍に俸給の増額をみたが、恩給はそのままになつておるから、これを引上げてほしいという請願でありましたが、これは一般俸給者の生活のことなどは何も言わないで、ただ退職教職員の恩給受給者の生活は極度に逼迫している。ついては現恩給受給者を十倍に増額されたい。十倍という数字を出しておりますが、まつたく現在のインフレの進行状態を考えますと、十倍に増額されたいという希望はもつともであると考えて、紹介議員として紹介した次第であります。どうか愼重審議の上御採擇くださいますようにお願いいたします。
○松本委員長 ただいまの請願に對しまして、政府當局の御意見を伺います。
○日高政府委員 ただいまの請願の御趣旨は、まことにごもつともだと思います。前の請願と同じように、できるだけその趣旨に合うように骨折りたいと存じます。
○松本委員長 他に御意見ありませんか。——御意見ございませんでしたら、前の請願と同じように取扱いまして、採擇、不採擇その他の決定を留保いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
○松本委員長 それではさように決定いたします。 —————————————
○松本委員長 次に日程第七七、濱松工業專門學校昇格に關する請願、文書表第六八五號。紹介議員川合彰武君。
○川合彰武君 官立濱松工業專門學校を工業大學に昇格に關する請願につきまして、紹介議員として紹介の言葉を述べさしていただきます。關する請願人は静岡縣知事小林武治氏であります。 濱松工業專門學校は、創立以來二十五箇年間を經過しておりまして、その歴史はあえて私から説明するまでもなく、全國に著名な存在であります。今囘新學制の實施に伴いまして、來る二十四年度より新大學制が實施せられるわけでありますが、かかる際、本工業專門学校を工業大學に昇格せしめていただきたいというのが請願の趣旨であります。 御承知の通り、濱松は東海地方におけるところの工業都市として有名でありまして、殊に遠州織物の中心地帶でありまして、今後におけるところの日本の産業復興、わけて貿易産業上きわめて重大なる地點であります。そもそもこの工業專門學校が、當初濱松高等工業學校として設置されたゆえんのものは、濱松地方が紡織を初めとする工業の中心地點であるという關係から、二十五年前に設置されたわけであります。その後、時勢の變轉に伴いまして、この學校におきましては特に電子學の研究、わけて高柳式テレヴイジヨンの研究におきましては、世界的な研究の成果が發表されておつたわけであります。しかし、最近におきましては、平和時代の轉換に伴いまして、また再び昔に還りまして、紡織工業、化學工業方面に、主として教育竝びに研究の重點を指向しておるようなわけであります。現在この濱松工業專門學校は戦災に遭つて焼けましたけれども、舊濱松高射飛行學校の跡を管理轉換を受けまして、現在建物といたしましては三千八百坪、土地は六萬七千坪ありまして、現在の建物及び土地という方面におきましては、學校の規模と内容をもつにややふさわしい状態にあるわけでありまするが、なおかつ土地におきましては一萬三千坪、建物におきましては二千坪、それから機械その他の設備に關しましては約四千萬圓の費用を要すると見込まれておるわけであります。これらの費用を合算いたしまして、工業大學の實體にふさわしいような内容を完備するためには、約六千萬圓の費用が要ると見込まれておるわけであります。これに對しまして卒業生竝びに地元民は、その約半額の三千萬圓を寄附金といたしまして寄附して、そうしてこの學校の大學の昇格を要請しておるようなわけであります。工業專門學校を大學に昇格するにつきましては、單に日本の教育行政を掌つておるところの文部省だけの見解ではその移管が決せられないと思うのであります。おそらく關係方面のいろいろなサゼツシヨンによつて決せられると思うのでありますが、この請願人といたしましては、濱松工業專門學校の歴史と、また現在の状況からいたしまして、必ずや工業大學に昇格が許可せられるものと強い期待をもち、そうして今申し上げましたような寄附金の募集その他の運動を展開しておるようなわけであります。その他の專門學校におきましてもこの種の昇格申請があることとは存じますが、今申し上げました通りに、この額校の歴史と、またこの學校の現状と、さらに濱松の工業都市というような性格、それがひいて日本の産業復興に重大なる影響をもち、同時に静岡縣の教育その他の方面にきわめて好影響をもたらすというような觀點に留意せられまして、各委員の方々が愼重審議せられて、ぜひとも御採繹あらんことを強く希望いたしまして、紹介議員としての言葉を申し上げる次第であります。
○松本委員長 ただいまの請願に對して、政府の御意見はありませんか。
○日高政府委員 濱松が東海地方の特に工業の中心地でありまして、從來その方面におきまして濱松工業專門學校が相當の役割をいたしておりましたことは、今紹介議員のお話になつた通りであります。歴史においても、現状においても、近く行われます高等專門學校の大學轉換について、最も有力な候補學校であることは申し上げることができると思うのでありますが、ただ今囘の高等專門學校の大學への切り替えの問題は、全國的な問題でありますので、前にも申し上げたかと存じますが、これは文部省一存で決定することは、かえつていろいろの弊害を生ずるおそれがありますので、學校法によつてきめられております大學設置委員會というものを設けまして、學校關係者竝びに學識經驗等を入れ、さらに國土計畫等とも十分にらみ合わせまして、具體的の轉換問題を審議していただいた上で文部大臣が決定いたしたい、そういうふうに思つておるのであります。從つてこの大學設置委員會において別の角度からいろいろ意見が出てるかもわかりませんけれども、文部省といたしましては、濱松工業專門學校が有力な大學昇格候補學校であるということは、申し上げることができることができると思うのでありますが、ただ今日の國家財政の状況を見ますと、これをいつ轉換できるかということとについては、愼重な全體的な計畫が必要なのでありまして、この點を十分考慮いたしまして、御趣旨をできるだけ尊重いたしたいと思つております。
○高津委員 今、日高局長のお話の中に、高等學校の大學への昇格は、文部省一存できめないで、廣く委員を集めて委員會を設けて、その議に付して文部大臣が決定すると言われましたが、その委員會はいつごろ設けられるつもりであり、どういうような範囲から委員を選ばれるか御存知でしようか。それをお伺いいたします。
○日高政府委員 學校教育法にきめられております大學設置委員會というのは、これは目下官制について準備中でありますが、今のところ大體四十人から五十人くらいの委員を設けまして、その官制ができましたならば、豫算を要求して、なるべく早く出發いたしたいと思うのであります。今のところでは、官立學校については二十四年度から大學轉換を始めるつもりでありますので、二十三年度の初めからその委員會が活動できるようにいたしたいと思つて努力中でございます。その委員會の構成メンバーにつきましては、關係方面ともいろいろ折衝をいたしました結果、現在大學基準協會というものができておりますので、その方から約半数の委員を送りこむことに了解をつけてございます。そうして他の半数については、高等專門學校の代表者及び政府の關係官聽の最小限度の必要なものと、國土計畫審議會等、あるいはそれらの方面の專門家等を入れまして、なるべく公平妥當な判斷の下されるような委員構成をいたしたいと思いまして、目下具體案を作成中であります。
○松本委員長 ほかに御意見はありませんか——ではこの請願も採擇、不採擇その他の決定は愼重審議の必要ありと認めますので留保したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 さように決定いたします。 —————————————
○松本委員長 續いて日程第五二、熊本藥學專門學校復興促進の請願、文書表第五四三號、紹介議員打出信行君、寺本齋君、松野頼三君。——紹介議員がまだ御出席になりませんので、代つて坂田道太君に御説明を願います。
○坂田委員 この請願書は、代表、熊本市出水町國府、藤田君になつております。紹介議員打出信行君外二名の方がおられませんので、代つて私が請願の趣旨を申し上げます。熊本藥學專門學校は、東日本における富山藥學專門学校とともに、全國ただ二つの獨立の官立藥專として、多数の藥學技術者を世の中に送り出して、その聲價をうたわれましたことは、皆さん方御承知の通りであります。ところが不幸戰災によりまして、この專門教育機關の生命でありますところの研究、實驗及び實習室その他附屬設備が致命的打撃を受けまして、教育上重大なる危局に立至つておる現状でございます。もちろん戰災以來、學校當局竝びに父兄、同窓竝び地方有志などが鋭意これが復刻に努めてまいつたのでございますが、資金、資材ともに逼迫しておる今日、八方ふさがりの状態で、なかなかその實現に至らないのであります。もちろん當局におかれまして豫算も組んでありますが、ほんのわずかで、その緒につかないような状態であります。願わくはこの文化國家建設の緊急機關たる熊本藥學專門學校の戰災復興のために、物心兩面よりする絶大なる御援助を賜わらんことを請願しておる次第であります。何とぞ皆さん方各位の御愼重なる審議を煩わしまして、御採擇あらんことをお願いする次第であります。
○松本委員長 右につきまして政府の御意見を伺います。
○日高政府委員 熊本藥學專門學校の戰災の被害率は、大體三七%ということになつております。この復舊に關しましては、三菱所有の元の航空機の製作工場の建物を轉用する豫定でございましたのですが、その處理が徹底いたしませんので、本年度の復舊豫算に計上することがはなはだ困難でありまして、ただいま應急的処置として燒残殘りの校舎に増築費五十萬圓を計上して當分の處置をいたしておる次第であります。なお戰災諸學校の復興は、御承知のように資材の面におきましても、資金の面におきましても、非常に緊急ではございますけれども、思うように進んでおりませんので、この點ははなはだ残念でございますが、これは全國の官公私立學校の戰災復舊と併せて考えなければならない立場にありますので、學校當局及び地方にははなはだお氣の毒でありますけれども、今の國家財政の立場から考えますと、これ一つを特に優先的にすることもできません、はなはだ不十分ながら、方々を助けながらいきたいと思つておりますので、その邊御了承いただきたいと思います。
○松本委員長 御意見はありませんか。——御意見がありませんければ、本請願も採擇、不採擇その他の決定を愼重審議の建前で留保したいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 さように決定いたします。 —————————————
○松本委員長 續いて日程第三一、熊本市に綜合大學設立の請願、文書表第三二九號——紹介議員吉田安君外九名——吉田安君説明を願います。
○吉田安君 熊本市に總合大學設置の請願に關しまして、紹介議員の一人といたしまして、私から請願の趣旨を申し上げてお願いをいたしたいと思うのであります。 私どもは、地方文化を興隆いたしまして、平和國家の建設に邁進せんといたしておりまする縣民の總意と熱意を、國會竝びに關係當局に開陳いたしまして、速やかに熊本市に綜合大學が設置せられまするように請願を申し上げる次第であります。その理由といたしまして、今や新學制が實施せられまして、教育の機會均等は必然的に學校の地方分散を招來いたしまして、國民文化の高揚と學問の權威の尊重となりまして大いに慶賀にたえないところであります。思いまするに、眞の文化國家の建設は、高度の科學技術の蘊奧を考究する最高學府の力にとつて、最もよく合理的に推進せられると思う次第であります。しかるに北九州にはすでに御案内のごとくに、福岡に總合大學が設置されまして、着々として文明の建設に實績をあげつつありますが、將來日本の建設に最も重大なる責務に任ずべき地である南九州におきましては、未だこの施設がないのであります。地方的に、また國家の文化配置の上からいたしまして、この點ははなはだ遺憾と思われる次第であります。わが熊本こそは、あらゆる角度からこれを檢討いたしまして、また特に終戰後の交通、運輸、食糧、住宅等の状況を勘案いたしますと、自他ともに許す文化經濟の一大中心地は熊本であると、かように在ずるのであります。總合大學建設には、最適の立地條件を具備しておるような次第であります。 由來熊本の地と申しますのは御承知のごとく九州文化の中心でもありますし、遠くは菊池重朝は菊池に聖堂を建てまして弟子の教育に力を盡し、日本におきまする學校の教育の基を開き、加藤清正は、その文化によりまして産業の開發、土木、交通その他各般にこれを實施いたしまして、日本にその範を垂れました。のみならず、細川重賢は時習館というものを興しまして、秋山玉山以下日本の碩儒を集めまして教育の大殿堂を樹立し、當時幕府の湯島の聖堂と竝び、日本の双璧をなした事實におきましては、西日本の教育の中心たる實績をあげ、日本の範となり、明治の文化の根源は、元田永孚、井上毅兩先輩その他によりまして、七十年の文化の基を樹てまして、明治文化の中心人物を輩出した歴史的事實と文化的傳統を背景とした教育縣であることは、つとに世人のこれを認めるところであると確信しております。かの厖大なる第五高等學校の敷地は、その創立當時すでに將來の總合大學を目標とせられたのであります。加うるに熊本醫科大學、熊本工業專門學校、熊本藥學專門學校、熊本師範學校、熊本女子專門學校、熊本語學專門学校等の官公私立の高等學術の諸施設は、早くより設備いたしまして、文化の進展に、多大の貢献をなしてまいつたのであります。これらの既施設を打つて一丸となしまして、一大總合大學たらしめ、最高の文化と學問の殿堂を築くことは、まことに縣民多年の宿望であります。殊に新年平和日本に許された唯一の進路が、教育、學問、産業の興隆に向けられるべき今日、本縣の總合大學問題は、歴史的にしてまた現實的必然的の要請と相なつたのであります。その建設が實現せられますならば、南九州一圓の地方民は、高度の文化と學問の恩惠に浴することができます。その精神的収穫はもとより、また地方産業はよくその理論的、科學的基礎づけを得まして、ここに飛躍的高度の發展をなすことは期してまつべきものであると信ずるのであります。私どもはかような見地からいたしまして、本問題は再建日本の現状から見て、須兒も逡巡を許さず速やかに國立總合大學のため、たとえ相當の犠牲は拂いましても、この目的を貫徹いたしたい、かように存じます。すでに熊本縣會におきましても、全會一致で總合大學創設の建議案を可決いたしております。また本縣各界を網羅する總合大學創設期成會が結成されるというようなかつこうを呈しておる次第であります。國費多端の折柄でありまして、當局におかれましても、その點御配慮のことは十分拜察できる次第でありますが、以上申し上げましたような諸點を勘案いただきまして、殊に本委員會におきましては、ぜひともこれが達成ができますように御採擇のほどをお願いいたす次第であります。
○松本委員長 これについて政府の御意見を求めます。
○日高政府委員 わが國の人口、産業、交通、教育、文化等のいろいろの條件を檢討いたしまして、各地方の適當な場所に學術文化中心になります總合大學を設けるということは、われわれの衷心からの願いであります。こういう觀點から見まして、熊本市に總合大學を設置するような地方の要望がありますことも、まことにごもつともなことだと思つておるのでありますが、總合大學の設置には、いろいろ複雑な條件も必要でありますし、殊に今日の日本の財政經濟状況から考えますと、これはなまやさしい事業ではないのでありまして、それらの點については、先ほど申し上げましたように、大學設置委員會の議を經まして、なるべく地方の要望に副うような線において、それに諮つて適當に處置いたしたいと存じております。
○松本委員長 御意見ありませんか。——では、本請願も、愼重審議いたします建前上、採擇、不採擇はしばらく留保いたします。御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 さように決定いたします。 —————————————
○松本委員長 續いて、日程第八ないし第二八、第三二ないし第三九、第四一ないし第四三、第四七、第五一、第五四、第五八ないし第六四及び第六六ないし第七五、以上の五十二案を一括議題に供します。これは六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願でありまして、前會において紹介説明は一應濟んだのでありますが、なお佐々木更三君より、紹介議員の一人として紹介の趣旨を述べたいとの希望でありますから、その發言を許します。佐々木更三君。
○佐々木更三君 六・三制完全實施の請願の理由につきましては、くどくどしく申し述べる必要はないと思うのでありますが、現在日本が置かれておりまする内外の諸情勢から、六・三制の實施は、わが國文教政策の至上命令といつても過言ではなかろうと存ずるものであります。從つて、日本は、現在の窮迫せる財政のもとにおきましても、なおこれを實施しなければならないのであります。しかるに、くどくどしく申し上げるまでもなく、その相當額が地方の起債にまたなければならない状態であります。今日疲弊せるところの地方財政において、この六・三制の實施は、地方財政の根本的破綻を來すやもしれない、非常に危險な状態に置かれておるのであります。殊に私の紹介いたしました關東、東北、北陸地方の水害地におきましては、數次にわたる水害のために、地方財政はほとんどその窮乏の極に達しております。とうてい町村財政だけでは、その起債さえも、裏づけのない起債に應ずる銀行がない状態でございます。それにもかかわらず、御承知のように東北、北陸の地方は、すでに寒さが迫りまして、校舎のない所で、どうしてこの六・三制を繼續することができるでありましようか。かかるときにおきまして、六・三制を完全に實施しようといたしますならば、これは全額國庫負擔にまつより以外に途はないのであります。いわんや六・三制は、これは義務教育であります。國民の義務としてなすと同時に、これは國家がこの教育制度を完備する義務があることも當然であります。從つて義務教育である以上、この困難なる六・三制の完全実施は、國家の責任においてなさなければならぬことも當然でございます。かかる觀點からいたしましても、この六・三制の實施は全額國庫負擔にされるように適當にお取計らいを願いたいと思うのであります。 しかして、特にこの際、この委員會に對してお願い申し上げたいことは、現在地方の起債は、前に申し上げましたように、裏づけのない起債はほとんど不可能であります。從つて、特に東北、關東、北陸、これらの水害地につきましては、いわゆる國庫負擔の額、國家から給付いたしますところの額を適當に増額して、今年度の計畫を實施できるようにひとつお取計らいを願いたいと思います。 次にこの問題と直接關係がないかも存じませんが、附帶いたしてお願いしておきたいことは、今囘これら廣汎なる水害地におきましては、兒童の教科書、文房具、これらのものはほとんど流失その他の關係で、現在兒童がその日の教育を受けるに非常な不便を感じているのであります。この際、本委員會の活動におきまして、これら水災地において失いましたところの教科書竝びに文房具その他、いわゆる六・三制實施のために必要なる、かかる學童の需要品に對しまして、特別の御配慮をいただきたいと思います。右何とぞ愼重御考慮の上にお取上げくださるように請願申上げる次第でございます。
○松本委員長 右につきまして政府の御意見がありますか。
○森戸國務大臣 ただいま佐々木委員からの請願についての趣旨を承りまして、まことにごもつともな點で、できれば、私どももそういうふうにできることを望んでいるのであります。本來、教育民主化の大きな方向の一つは、教育の地方分權ということが、非常に重要視されているのでありまして、教育の地方化ということの一つの重要な基礎は、教育が財政的にも地方化されるということであります。言いかえますならば、殊に中・小學校が地方的な費用で支えられるようになるということが、その大きな方向であります。しかし一面中學校及び小學校の教育が義務教育であるという點、多面、今日地方の財政の戰後における窮乏の状態から、そのことを實行することが非常にむずかしいということを私ども痛感いたしておりますので、大きな方向はそういうところに行くとしても、現實には、できるだけ多くの國庫の補助がなさるべきであろうと私どもは考えまして、このたびの最小限度の豫算を閣議に御相談を願いましたときにも、實は全額國庫負擔でやつていくように、私どもは提言したのでありますけれども、多面、日本の今日の經濟の事情から、どうも六・三制の全額を國家が負擔するということは、非常にむずかしいということでありまして、結局いろいろと折衝の結果、約半額だけ國庫の負擔にまつて、他は地方で調達していただかなければならぬ、こういう次第になつたのでありまして、地方の財政を考えまして、これはなかなか重い負擔であるということは、私どもも十分お察し申すのでありますけれども、右ような状況で、そういうようなことにおちついたのであります。この大きな原則は、今日の日本の財政から考えて、轉換いたすということは望ましいことでありますけれども、非常に困難であるというように存じております。そこで地方の負擔は、いろいろな方法があるでしようが、一つの考え方として、これに對しては、できるだけ國庫が裏づけをしてほしいということが考えられる。これもまたごもつともでありまして、私どもも當初からそういう考えをもつておつたのであります。新債についてはかようなことになつておりまするが、新制中學については、そういう方向に大いに努力をいたしておりまして、大藏當局も、その事情は十分にわかつておるはずでありまするから、その方向に最善の努力をしてくださるものと存じておるのであります。なお水災の地方は非常にお困りになつておる、またそれがために學校の建設等にも非常な支障があるであろうということも、十分想像されるのでありますが、この水災の面におきましては、水害の救助という面において、これを救濟していくという形で進むのが原則でありまて、そういう方向に進んでおると存じております。なお學校に關する面につきましては、實は鋭意損害状況を調査しておるのでありますけれども、文部省自身が、實は各縣に出張所というようなものがありませんという點と、各縣廰に問い合せておるのでありますけれども、もつと緊迫した救濟に非常に忙しくて、學校に關する損害についての報告が、全部はまだ到達しておりません。近縣については、人を派遣して調べておる状況でありまして、それが集まりますれば、勘案して、文部省として取るべき處置は十分にとりたいと存じております。殊に子供の教科書等の問題、學校教育用具の問題等を、まことに御指摘の通りでありますが、教科書の問題についても、實はきちきちの數を刷つておりますので、餘分には存在しておらぬのであります。それが水に流されますと、國内にはもつておる子供のをとらなければ、ないという状況でありますので、從つて至急増刷の手を打つておりまして、すでに著手されておることと存じております。またその他の學校用具についても、重要な措置をできるだけ早く講じ、一日も早く子供が勉強できるように、なお直接水災に遭わない地方の學校においても罹災者の避難所に當てられたということで、學校教育が停止され、あるいは當分思うように規則的にできないという事態も、水災地でない近接地方に生じておるのであります。もちろん、罹災者の救濟、應急的な救濟にあたりましては、公共施設として學校は、できるだけそれがために施設を提供し、協力いたしたいと考えておるのでありますが、同時に教育の面も、さような任務を負擔しながら、できるだけ完遂いたさなければならぬと思いまするので、考究いたしまして、適當な措置を講じたいと存じておる次第であります。
○松本委員長 この際ご質問、御意見がありますれば御發言を願います。
○五坪委員 ただ今の請願の趣旨は、よくわかりました。全額國庫負擔にしてくれということは、地方財政の關係から、これはもう明らかな事實であつて、ぜひ採擇していきたいと思いますけれども、しかしまた、ただいまの文部大臣の御説明によつて、政府の方では非常に歳出が殖えておる今日、それはなかなか言うべくして行われぬことであることもよくわかります。さいわいに文部大臣が御出席でありますから、この際お尋ねいたしておきたいことは、まだ追加豫算が出ないのですが、これは多額に地方面から要求があるために、まとめることができぬから出ないのか、またぐずぐずしているから他の方面から盛んに要求をしていくのか、それはどちらか存じませんけれども、とにかく先般文部大臣の奮闘によつて三十一億二千萬圓の豫算が閣議で承認されたわけでありますが、それが多額の追加豫算要求のために、あるいは健全財政の立場から、按分によつて減ぜられるとか、特殊の關係で減ぜられるとかいつたようなことがあつたら、たいへんだと思うのですが、そんなことは、文部大臣、大丈夫ありますまいな。その點をひとつ念を入れてお聽きしておきたい、かように考えております。
○森戸國務大臣 ただいま五坪委員からの御質問でありますが、實はまだ追加豫算は、政府案も確定しておりませんで、むろん國會にも提出になつつておりません。確實に三十二億というのもが、豫算できまつたという段階にはないのであつて、文部省が最大限度の提案をして閣議が承認したという段階に今日あるのであります。なお、幸いにして國會においては、兩院の文教委員會その他の方々の力強い指示があり、國民におきましても、窮乏日本の状態を十分に心に入れながらも、新しい日本建設の途として、苦しい中にも六・三制をやつていこうという決意が方々に現れておりまするので、私はもし政府の提案がされたならば、必ず國會は通過いたすことと期待しておるのであります。ただ現實の豫算案の作成には、いろいろ手續もあり、諸般の事情をも考えて決定されなければならぬのであります、從つて急いでおりながらも、実は豫期したように國會にも追加豫算の提出ができない現状にありますことは、私どもとして、まことに相濟まず思つておるのであります。そこでこの追加豫算がどういう形になるであろうかということについては、新聞にときどきいろいろなことが出ておりまするけれども、しかし、これらは何ら公の正確なものではありませんで、二、三の人々が推測をしたものに過ぎないと私どもは存じております。できるだけ私どもは、この追加豫算においても、健全財政という現内閣のとつておりまする方針を守つて、インフレーシヨンに突入するようなことは、あらゆる手段をもつて避けたいと思つておりますると同時に、この新しい教育の制度としての六・三制は實は新しい日本建設の重要な國策であると私どもは考えており、またそういう線に沿うて、國會における兩院の多くの方々、けた國民の輿論も、その線に沿うて支持がありまするので、私はそうい形にあるこの三十一億の豫算は、追加豫算において通るものと、實は強い期待をもつておるのであります。もちろん、いろんな手續を經なければならず、また國會における公正な御審議をまたなければならぬので、當局としては何ら決定的なことを申すことはできないし、またそれは越權でありますので、私は希望といたしましては、また期待といたしましてはそういうことが新しい日本をつくることの健全な考え方の線に沿うものであると確信いたしておる次第であります。
○久保委員 六・三制豫算の三十一億二千萬、あの豫算の獲得につきましては、森戸大臣が非常な御苦心であつたということは、私どもよく存じておりまして、実はあの豫算につきましても、不満でありながら、今の財政その他大臣の苦心等も仄聞いたしまして、それ以上のことを要望することはむりであろう。この委員會におきましても、実はあれでも非常な不満があつて、決議案でも出そうという議がもち上つたのでありましたけれども、閣議で三十一億二千萬のあの豫算が確信を得たというので、われわれはその決議案も一應保留したのであります。ただいまの大臣のお話で大體わかつたようなわからないような感じがするのでありますが、閣議で承認を經たところの六・三制豫算というのは、その後閣議においては、まつたく動いておらないのかどうか、その點を重ねて私からお尋ねしたいと思います。
○森戸國務大臣 ただいま久保委員からの御質問でありますが、その前にこの豫算が通つたのは、何か私の特別の功績であるように申されましたが、これはまつたく當らないのでありまして、當委員會初め、先生方、輿論、父兄、生徒というものの國民的な輿論がこれを通したのでありまして、一文部大臣が主張いたしましても、それは決して通るものではないと思います。私どもは、むしろこの六・三制を、この窮乏の間にも、通そうという國民の多くの人の強い考え方、またそれを代表しておいでになる文教委員の方々、また先生たち等に、その大きな功績があるのであつて、私はむしろ感謝しておるのであります。閣議もまた國民がこ敗戰の間に教育をたてていこうという輿論に聞いたものと私は考えておるのであります。そうしてそういう輿論——國民の全部でありませんにしても國民の大多數のものが、こういう無理をしても、窮乏の間に新しい教育制度をつくつて、新しい時代を育てていくことが日本の文化國家への最も大事な道であるということを考えておるのでありますから、そういう點でこの制度が、從つてそれを實現する最小限度の豫算が認められておるのでありまして、閣議といたしましては、そういう線に沿うた決定を翻したといううことはないのであります。その線に向かつて、もちろん、それはわれわれの内閣の豫算についての考え方でありますけれども、そういう考え方を堅持いたしていくという考え方に立つておるのであります。
○久保委員 大體前の閣議決定の時のそれが、全然まだ變つておらないで、その線に沿うて、今、内閣は豫算の編成に努力されておるという大臣の御答辯によつて、私は一應安心をしたようなものでありますが、今度の水害地の復舊に關しまして、學校關係の被害の復舊については、新たな水害の追加豫算の中に含まれておるものと思うのでありますが、その點いかがでありますか。
○森戸國務大臣 ただいまの御質問については、學校の被害については、その復舊のための費用は、別に安本竝びに大蔵省に請求することになつて手續中であります。
○久保委員 先ほど水害地の教科書、學用品等について、教科書は現在増刷をやりつつあるというようなお話でありまして、非常に喜んでおるものであります。増刷をやつてそれが全般に行くまで大體の見透しとして、どれくらいかかるものでありますか。それから學校といたしましては、さしあたり教科書がない場合——とにかく何もなくなつただろうと思いますので、がり版刷りをやるとか、そういうもので間に合わせておるだろうと想像するのであります。しかしながら、そういう學習の場合に、まず考えられますことは、紙、鉛筆、ノート、少なくともこういうものがなければ、まつたく學習は中止されたような状態になるだろうと思うのであります。この緊急の對策として、そういう措置がとられておるかどうか、この邊を重ねて伺います。
○森戸國務大臣 久保委員の御質問にお答えします。教科書については、そういう方針で著手をいたしておるのでありますが、いつ子供たちの所へ届くかという、はつきりした日にちは、實はただいま申し上げられないのでありますが、かような事態でありますから、私どもあらゆる形で關係者を鞭撻いたしまして、一日も早く子供達のところへ届くようにいたしたいと存じております。 それからさしあたり應急措置としては、私は各學校が、また各縣が應急處置については、その事態に即しながら、損害の程度に即しながら、自主的にいろいろな方法がとられつつあると存じております。このことは新しい教育の方向といたしましても、一々文部省の指定を待つてやるということでなく一定の方針のもとに、殊に機宜の處置がとられるようにということが、新しい教育の大きな方針でもありますし、また教科書がなければ勉強ができないということでなくして、教科書はできるだけ簡單に數を少なくして、そうして先生と子供を中心として教育が進められていくというふうに大きな方向がとられておりますので、そういう精神をくまれながら、行われていくものと期待されております。と同時に、御指摘になりましたように、紙、鉛筆というようなものについては、これはくふうだけではいかぬと思います。政府といたしましてもそういう學用品が特別に水害地に行くということについては、これはただいま對策を講じておる次第であります。
○久保委員 重ねて六・三制のことについての希望を申し上げますが、これは地方市町村におきまして、實は今春以來、起債は全然できないし、校舎はないし、机、腰掛は足りない。二部授業をやるといたしましても、なお困難で、三部授業をやり、あるいはお寺、神社のような所まで使つて、寺子屋という状態に歸つたような状態で教育が續けられるのであります。そこで學校としましても、あるいは市町村の當局としましても、講じられる方法は講じて、教育は續けられておるのでありますけれども、起債で金ができない、ほかに金をつくる方法がない。まつたく方法がつかないので、ただ追加豫算の三十一億二千萬圓が、乏しいとはいえ、これに非常な期待をもつておるのであります。一方では、保護者といたしまして、戰災復興のための寄付金であるとか、そういうものに、昨年あたりからずつと負擔をかけられた上に、今度は新制中學のために、さらに寄付金を負擔して、實は負擔に耐えかねておるという實情であります。どうにかこの豫算だけでは、私はいろいろない見からして、ぜひ通さねばならねと、こう思うのであります。大臣がお話になりました通り、これを指示していない國民というものはほとんどありません。國の世論は完全にあらゆる階層の人が六・三制豫算について依存がないのであります。從つて豫算計上されました以上、私はこれに不贊成を唱える議員は、おそらく衆参兩院とも一名もなかろうと思うのであります。われわれとして能う限りの努力は續けたいとおもいますが、どうか、文部當局といたしましても、殊に大臣のこの豫算獲得についてのこの上とも努力をお願いしたい、こう思う次第であります。
○伊藤(恭)委員 先刻佐々木紹介議員から御説明になりましたように、この六・三制は義務教育でありますから、全額國庫負擔ということは、これとうてい不可能なことであるということは、われわれ十分了承いたしております。しかしながら、現在の地方市町村の状態を見ますると、ただいま久保君からお話のありましたように、實に困り切つておる。そういうところから、ぜひとも最大限の國庫補助をいただきたいというのが、國民全部の熱望であります。ところが今囘追加豫算に三十一億二千萬圓が計上せられて、しかもこれが閣議で確認せられて、そうして一般に發表になつております。そのために一般國民といたしましては、まことに微弱ながらも、これは一つの活を入れたごとく、多少ともそこに光明をもつておるわけであります。しかるに、現在われわれの聞くところによりますと、健全財政の立場から、これははなはだ危險な線にあるというようなことも、一方耳にいたすところでありまするが、萬一これがそうなるならば、せつかく國民に活を入れたところのこの追加豫算が、まつたく全國民を失望落膽させることになる。また同時に、文部省が非常に無力である、こういうふうに一般から言われておりました。ところが、三十一億二千萬圓の追加豫算によつて、これが文部省の一枚看板になつたのである。われわれに言わしたならば、從前の文部省の努力が、とにかく一時は大蔵省が五億に査定するといつておつたのを、この際三十一億二千萬にしたということは、これは一方から言つたならば、文部省の努力であり、一枚看板を掲げたものである。もちろん、今、大臣の言われたごとくに、これは國民の熱意、國會すべての者の熱意による偉大な力であるとは申すまでもありませんが、もしこれを、一たび發表せられておるものよりも、削減せられるようなことがあつたならば、實際これは文部省の責任である、やはり文部省は無力であるというふうになつてしまうことは當前であります。ただ單に文部省だけでありません、これは政府の責任である。おそらくこれは政治問題にまで化することになるのではないかと私は懸念するものであります。そういうようなことから言いまして、一旦發表せられた三十一億二千萬圓というものは、絶對に追加豫算に計上せられないということがあつてはならない。現に各府縣におきましては、自分の縣へは何千萬圓くる、自分の縣へは何億くるというような計畫のもとに、その府縣等におきましても、市町村におきましても、ずんずん計畫的なる策をたてております。それがもし追加豫算が削られたというようなことになつたならば、支拂うことはできません。結局、今までせつかく築き上げたものが瓦壊して、全然跡形なしになつてしまいます。それでは實際國民の失望落膽は申すまでもなく、文化國家、平和國家建設と言いましても、講和會議を前に控えて、これを裏づけなくしては、ほんとうに日本が文化國家になるという熱意を示すことができません。ただ文化國家、平和國家になるということを、口で言うだけ、憲法でそれをきめただけでは、それは何ら價値はない。これを實際に具現するためには、國民も國會も、政府も協力一致して、この熱意をあくまでも具現することにその努力を拂うところに連合國は、日本が文化國家、平和國家に對する熱意を初めて了得する。その裏づけなくして、ただ一片の文化國家建設の言辭だけでは、これは連合國の信頼を得ることはできないと私は思います。講和會議を前に控えておるという意味から言いましても、これはぜひとも實現しなければならぬ。こういう意味から、これはなんとしても、文部省は、健全財政の立場から按分比例的に削減せられる、そんな弱蟲ではいけないということを、私は強く主張するのであります。これに對して文部大臣の御意見を伺いたいと思います。
○森戸國務大臣 伊藤委員からの御質問でありますが、今日、國とともに、あるいは國よりも、場合によつては市町村の方が、財政上非常に困難な状況にあることは、私どもよく存じておるのであります。本來言いますと、中・小學校の教育費は、地方で負擔すべきが建前であると思いますけれども、かのような状態を考えまして、國庫にできるだけ多く負擔してもらいたいという考えを、私どもはもつておつたのでありますが、ほぼ半額國家負擔ということに止まりましたことは、私どもとしては、はなはだ遺憾でありますけれども、またやむを得ないことは、先ほど申した通りであります。これについては、お話のように、地方で非常に困つておられるということでもあり、また先ほどもお話になつたように、三部教授の所もあつたり、寺子屋式のところもあるということも、これは多くでありませんけれども、そういう事態にあることも、實は事實でありまして、私どもは、できるだけそういう事態が早く解消されるように望んでおり、努力もいたしたいと思つております。ただ危機における教育でありまして、すべての問題、すべてのことが窮乏な時代には、教育だけが完全な形で行われるということも、また期待することはむりでありますので、私どもは、教育においても、いろいろな點に不充分な點がありながらも、その中にあつて、工夫と創意を凝らしながら次代を教育していくという心構えが、國家にも地方團體にも、また父兄方にも、先生方にも、さらに子供たちにも、あることが望ましいと思つております。窮乏日本の教育というものは、そういうように、國民がほんとうに本氣になつて文化國家の最も大事な道である教育を興していくという氣にならなければ、実はむづかしいのではないかと存じておるのであります。 さらに、この三十一億の豫算につきまして、いろいろ御親切なお言葉がありましたが、私どもも、單に赤字財政を防ぐをいうことのためにこういう國の大事な國策がいろいろな衝撃を受けるということは望ましくない。ただこれは文部省の立場でなく、新しい日本を建てるという建前から、望ましくないことを思つておるのであります。國の經濟ということは、非常に、殊に今日の事態におきましては、大事でありまして、私どもはこの點に十分の關心を拂わなければならぬので、それを無視してまで教育を立てることは、無理だと思いますけれども、ただ經濟という觀點だけが國の政治の方向を決定するつことになりますと、これもまた、殊にこういう窮乏の間で、新しい國をつくつていこうというときには、これではまたならぬと私どもは思いますので、經濟状態を十分勘案しながら、しかも新しい日本のさす方向を窮乏の中に實現していくものがなければならぬ。それが私はほんとうの國を建てるための豫算であると存じておりますので、私どもはそういう確信をもつて最前の努力をいたしたいと思つております。これは決して、文部省の面目とか、文部大臣の面目とかいうことではないので、それはある點から言えば、些々たるもので、日本の國がこの敗戰窮乏の事態から新しい國をして立つて行く道はどこにあるかというところに、私どもは觀點を置いておるのであります。その點御了承願いたいと思いますし、また委員諸君におかれましても、國民の代表として、こういう線に沿うて、文部省を支持するとかせぬとかいうことは離れて、新しい日本を眞實にこの窮乏の中に興していくという線からの御活動をお願いしたいと思つておる次第であります。
○伊藤(恭)委員 ただいま文部大臣からお話になりましたように、もちろん經濟を無視し、國家の財政を無視して、あくまで教育をつつぱるという意味では全然ない。昨年の議會におきまして、當時の大蔵大臣は、現在の教育はとにかく食つていうことが第一で、經濟が第一であつて。今そういう時でない、というような失言をせられて、われわれといたしましては、非常にこれについて強く突込んで、この失言を取消されたわけではありますが、もちろん經濟財政というものを無視して、教育一本でいくというような、そんなむちやくちやなことは、たれしもこの敗戰國として考えていない。しかしながら、その經濟と教育というものは兩立していくべきものである。まず食つていけるようになつてから、それから教育をするというようなことは、これはもう遲い。十分に食つていけるようになつてからするというようなことでなしに、食うことと、そうして教育によつて、文化の高揚をはかり、そうして道義的にも、人格的にも、本当の文化國家建設をする、こういうふうに兩立していくのが、本当の文化國家建設の基盤である。こういうような意味から言いまして、ただいまの文部大臣のお話は、まことにその通りであると思いますから、そういう意味において、ひとつこの經濟の方を勘案して、あくまでも文化國家建設のためには、十分なる努力をしていただきたいということを切にお願いするわけであります。
○黒岩委員 ただいま伊藤委員の御質問の焦點を、私聽いておりましたのでは、三十一億二千萬圓の豫算を計上する自信ありや否やという點についてのお尋ねであつたように聽きましたが、そういたしますならば、文部大臣がるる述べたような、お説教みたようなことを聽く必要はないと思います。率直に自信があるかないか、この點を表明していただきたいを思いますから、その點について簡單に御決意をお伺いしたいと思います。
○森戸國務大臣 豫算はこれは閣議で豫算案がきまるわけであります。なおその前に各方面とも連絡をとらなければなりませんので、私一人がどういう決心をするかということで、豫算が決定するわけではないのであります。私は少なくとも私の立場で、文部省の主張いたしました豫算が間違いないものとして、それの貫徹にあらゆる努力をいたそうと思つておりますし、内閣も、すでにその方針を決定いたしたのでありますから、むろんそういう線にいくものを私は期待しております。そういう形でお答えするよりほかに、それ以上のことを言いますことは、かえつて實際の事情に即しないものと存じまして、これだけを御答辯申し上げます。
○松本委員長 他に御意見がざいませんか——。ありませんでしたならば、本請願は前囘に決定いたしましたように、愼重な審議を要する問題と思いますので、本日は採擇、不採擇を留保いたしたいと思いますが前囘同様御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 ではさように決定いたします。 なお審議する日程はたくさんあるのでありますが、時間がかなり經過しておりますので、他の日程は次會に延期いたしまして、本日はこれで散會いたします。 午後零時二十二分散會