P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
1回国会衆議院1947/09/23

文化委員会 第7号

発言数
61
登壇者
11
会派数
5
開催日
1947/09/23

会議録

福田繁芳民主党

○福田委員長 それではこれより開會いたします。  議事に入るに先だちまして、休會中の出來事に關して、御報告いたしたいと存じます。  それは去る九月五日、中國のユネスコ代表者程天放氏が、國會参觀に來られたのを機會といたしまして、本委員會が斡旋いたして、同氏を圍むユネスコ懇談會を開いたのであります。もとより本件につきましては、外務省より非公式に相談がありましたが、しかしあたかも休會中でありましたから、委員長において在京委員各位を初め、衆議院側松岡議長、大池事務係長、参議院側は小林事務係長不在でありましたから内田調査部第二課長、これらと相談の上準備を進めました。そうして同日衆参兩院の文化、外文兩委員が、衆議院議長應接室に參集願いまして、松岡議長を主人役として懇談會を開いたのであります。席上皆樣にお配りいたしました要領書によりまして議事を進めたのでありまするが、それを御參考にごらん願いたいと思います。  當日はあいにく旅行不在委員が多くて、不幸にして衆議院側から七名、参議院側から十二名しか御出席が得られませんでしたが、ほかの關係者が御出席下さいまして、大體三十名ほどの御會合になつたわけであります。午後三時半に開會いたしまして、その劈頭に松岡議長の挨拶があり、これに對して程天放氏から謝辭があり、引續いて、約一時間半にわたり、ユネスコの話がありました。その大要は武藤專門調査員をおいて記録いたしておりますから、これが緊急整理でき次第、皆樣のお手もとにお配りいたします。  その程天放氏のユネスコに關する話がありましたのに引續いて、私が文化委員長の資格において、日本におけるユネスコ運動の經過竝びに現況をお話申し上げました。それから程天放氏を中心にしての質疑應答がありまして、五時半に、豫想以上の有意義な成果を収めて會を閉じることができたのであります。當日は委員諸君が御不在でありましたので、一言ここに御報告を申し上げておきたいと存じます。  これから會議に入るのでありますが、今、佐々木盛雄君から緊急質問の申出がありましたので、これを許します。佐々木盛雄君。

佐々木盛雄日本自由党

○佐々木(盛)委員 文部政府委員にちよつと簡單に御質問をいたしたいのでありまするが、さきに七百億圓のわく内に閣議決定をみた昭和二十二年度の追加豫算案というものは、その後緊急木工費であるとか、復金の出資金その他等に關して、相當大きな増加の要求が出たために、ご破算となつて、大藏省では今まで傳えておりましたような歳出總額千四百億、歳入總額千億というような第一次案を含んで、これを原案としていろいろ苦心を重ねておつたらしいのでありますが、このほどさらに大體歳出入それぞれ千百億圓の第二次案を作成したというようなことを、今日の新聞も傳えているわけであります。すでに決定いたしました六百九十二億圓に含まれている歳出の査定額につきましても、從つて個々にいろいろ再檢討を加えてこれを削る。その結果歳出を約四百五十億圓程度に切落すというようなことも新聞の傳うるところであります。これに關連しまして、今日の毎日新聞でありましたかにも、六・三制に伴うところの豫算も當然削られるのではなかろうか、その削減の對象に上るのではなかろうかというようなことも、ちよつとにおわしているようでありますし、かつまた最近私たちがちよこちよこ耳にいたしますことは、六・三制がこれによつて非常な頓挫を來す、場合によつてはとりやめになるのではないかというようなことすらも、われわれは聞いているのであります。六・三制の問題は、御承知のように、地元の負擔その他の立場からも、重大な問題でありまして、國民のすべての重大な關心事であります。從いまして、この豫算の削減ということが、六・三制にそういつたような影響を及ぼすかどうかという點につきまして、この際政府委員から御説明を願いたい、かように存ずるわけであります。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 ただいまお尋ねになりました點について、お答えを申し上げますが、御指摘のように政府部内におきまして、ただいま追加豫算の最後的決定について非常に苦慮中でございます。その中に六・三制に關する豫算についても、ごく非公式にはいろいろ話合いがありますが、ただいま關係方面とも、折衝中でありますので、ここで明確なお答えはいたし兼ねるのであります。文部省といたしましては當初の方針のように、六・三制をあくまでも實施するという方針を堅持いたしまして、大藏省、安本その他關係方面にも目下強力に折衝中でございますから、御了承願いたいと思ひます。——ちよつと速記を止めていただきたいと思います。

福田繁芳民主党

○福田委員長 ちよつと速記を中止して下さい。     〔速記中止〕     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 これから本委員會に付託されました請願の審査に入りたいと思いますが、その審査に入るに先だちまして、審査方針について諸君にお諮りいたしたいと思います。御承知の通り、新國會においての請願の審査は、最も愼重を期することとして、いやしくも採擇した以上は、必ずこれが實現の方法を講ずることといたし、これがためには、請願の内容に應じて、必要あるときは委員會において法律案を起草提出することもありますし、また豫算的措置を必要とするものについては、必要により豫算委員會と連合審査會を開く場合も當然起り得ると思います。かようにあらゆる角度から檢討を要しますので、本日これから御審査を願う諸件につきましては、採擇不採擇その他の決定はしばらく留保いたしておいて、そうしてその間に愼重に御審議を願いたいと思うのでありますが、この點について御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 それでは御異議がありませんから、さように決定いたして進んでまいりたいと思います。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 まず日程に入りまして、文書表第一〇九號、神橋改修に關する請願、紹介議員船田享二君でありますが、この請願は實は紹介議員の船田享二君から取り下げの申出がありますので、委員長はこれを許可いたしたいと思いますが、諸君御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 御異議がないようでありますから、この取下げを許可いたします。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 次に日程第五、文書表第二六六號、平和の鐘樓建立助成の請願、紹介議員松谷天光光君。本案を上程して、松谷君に代つて佐藤觀次郎君から本案の趣旨辯明の發言を求めます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 松谷氏がおられませんから、私が代つて要旨の御説明をいたします。  平和の鐘樓建立助成の請願の要旨は、戦争放棄の新憲法が實施せられ、われらは平和日本建設を目ざし、眞理への情熱と新たなる感覺と創造とをもつて、高遠なる理想に邁進せんことを期し、ここに歴史的民主國會開會にあたり、本建立會は新憲法記念事業平和の鐘樓建立の言葉を國會に送つて、平和愛好國民として全世界にこたえんとする。願わくは院議をもつて本運動達成に絶大なる御聲援と御援助を賜らんことをお願い申し上げる次第であります。以上大體の要旨でございます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 ただいまのは、議題となつております平和の鐘樓建立助成の請願の簡單な趣旨辯明でありますが、これに對して何か政府當局として御意見が承れれば好都合だと思います。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 ただいま御提案になりました御趣旨については、當局も贊成でございます。ただ將來いろいろ財政的にこの運動に對して政府から適當なる指示をするということについては、今、にわかに御囘答ができないのであります。ここに一應印刷物の中にもありますように、いろいろこのために音樂會などをやつて基金の募集をせられる場合に、政府の方からそれを後援するというような形をとる、それ以上の事は御囘答できないと思います。

福田繁芳民主党

○福田委員長 委員諸君にお諮りいたします。本案は至極もつともと存じますが、なお、今、政府委員からの御答辯もありましたように、相當いろいろ請願人の方にも資料の用意もあるようですから、いずれ後日そういつた點を十分委員諸君が御研究くださいまして、次囘あたりにできれば松谷君の御出場を願つて、もう少し詳細に承つて、採擇か否かを決したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 御異議ございませんからさようにいたします。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 次に移ります。日程第九、文書表六〇七號、天草に觀光施設促進の請願、紹介議員園田直君ほか五名でございます。園田君の發言を許します。

園田直民主党

○園田直君 本請願は、天草島國立公園指定に伴う各種觀光施設促進に關する請願であります。場所は、九州南端、熊本縣の天草島一帶でございます。この島は、先般厚生大臣が視察に參られまして、國立公園指定の範圍内にはいつたのでありますが、これに伴い、各種の不足なる觀光施設を促進していただきたいという島民二十五萬の必死の請願であります。元來この天草は國内的に非常に政治地的位が低く、わずかに新聞雜紙等によつて獵奇を好む方々に戀の天草として名前が知られておる程度でありますが、この場所は、東はあわれキリスト殉救の夢と傳説を祕めました不知火燃ゆる有明、八代の二海を抱き、彼方はるかに肥薩の連峯を望み、雄大火を噴く男神の大阿蘇を間近に眺め、西は渺茫天草の「雲か山か呉か越か水天髣髴青一髪」の詩で有名な灘を擴げ、北は早崎、千々岩の兩海峡を横たえて、雲にかすむ女神雲仙を軒端に見、南は太平洋の波に洗わるる周圍七十六里と三十五里の二つの島を取り巻く百九の島、廣さは五十七万里、人口二十五萬、戸数三萬九千、五十六箇町村の群島であります。右に豪壯阿蘇、左は妖麗雲仙、雨奇晴好、氣象萬千、海は雄大無比の天草灘の巨濤が磯を洗う、これが天草風景の大觀であります。個々に景勝を求めますならば、あるいは白砂青松、長汀曲浦、あるいは奇岩怪礁、高きに登れば展望の美に浮世を忘れ、豪壯の氣はおのずから日本文化の發祥、昇天の氣となり、低きに遊べば磯打つ波に塵界を忘れ、思索の世に立つ日本各地の代表的景勝を一島に集めた景觀の土地であります。加えますに、これを地質學的に見ましても、全地域に渡る水成岩層と海水の浸蝕作用による諸相は、ほとんどほかに類例を見ない貴重な學問的資料でありますことは、すでに斯界の權威脇水博士の發表したところであります。  かつまた、天正十七年十一月二十五日、一五八九年聖十字の旗を飜しつつ、金光燦然たる大コンタスを肩からわきにかけ、サンタマリヤを唱えつつ、七百三十餘人の軍勢が、加藤、小西、相良のキリシタン彈壓の軍勢に向かつて討つて入り續いてつばき油の香りも高く、やり、なぎなたをもち、甲冑に身を固めた三十餘人の婦人が教えに殉じたというキリスト教の土地である。續いて寛永十四年十一月には、彈壓迫害にたえかねて、天草四郎時貞を盟主として宗徒三萬七千餘人が聖十字架の數えに殉じ、永久に天國に昇りついたキリストの殉教の土地であります。有名なイルマン・パテレン・ミツセル・ウガー、大師父フランソワー・カブラル等は、この地にありまして各種彈壓のもとに宣教を開き、全國宣教師大會を日本で最初に開きましたのはこの土地である。一五七〇年十月この地に歿して山中に大師父の墓が見られるのであります。  今申しましたことく、天草は、かつては日本におけるキリスト教文化の發祥の地でありまして、一番最初に平家物語、あるいはその他の文書がローマ語あるいはポルトガル語に飜譯されました場所はこの土地であります。天草學林が存在して、日本の文化史に大きな足跡を印しておる所であります。從つてキリスト教に關する遺跡及びキリシタン彈壓による、いわゆる殉教戰をめぐる史跡は、その策源地である各島々を初め、全島にわたつて隨所にこれが見られるのであります。かつまた、地質學あるいは歴史的方面において觀光地としてすぐれておるばかりでございませず、ここに遊ぶ外客の重要なる食物であるミルク、これは大矢野地方に森永ミルクの出張所がございますごとく、純良なるミルクを産し、かつまた牛は神戸牛のレッテルのもとに、その生産を誇つております。そのほかにも、いちじく、びわ、オレンジ、あるいは、まつだけ等のごときは四季を通じて産し、海産物中のえび、あるいは眞珠等は、天草の生産物の一つであります。  次に景色がきれいで、しかも食物があるばかりでなく、遊ぶ外客に最も貴重なるみやげは、この島民の性格の純情敦厚で、しかも御承知の通り、國内的には有名ではございませんが、對外的には非常に優位しておりますので、諸外國との交渉が頻繁でありました關係から、知らず知らずの間に外人との應待に馴致され、山間の僻地において絲を引きつつジャズ・ソングを歌う老婆があるかと思えば、あるいは川端で洗濯をしながら英語で學生をからかう老爺があるというような状況であり、かつ山間の僻地に二軒、三軒と白堊の家があるような状況であります。元來この天草は、大陸、南洋方面、アメリカ方面との交通上、經濟上から見た特殊な關係もありまして、戰前は外人の觀光客が殺到したものであります。戰後日本が平和國家として再出發し、觀光國策を標榜するに及んで、日を逐うて觀光客の來島する者が多い状況であります。しかもそれのみならず、世界で有名なる觀光土地ペナン島、バリ島に匹敵する外的の客觀情勢をもちまして、その四圍の海上は、海上娯樂園として、外客娯樂園のみならず、國民の健康にして、しかも文化的なる娯樂場として最も適するのであります。進駐軍におきましてもこの點に非常に好意をもたれまして、時期來るならば、天草島に航空機をもつて、進駐軍將兵の遊ぶ航空路を設定するという御用意もあるようであります。かつまた、この島は日本で最も良質なる石炭、陶石、水産物、森林材等が多數にこの中には藏されまして、これが未開發のまま眠るような状況であります。  以上のような状況で、天草から出まして外國にある天草の島民と相知り、外國からその淳朴さ、その人間性に引かれて天草に遊ぶ外客が、天草を見るに及んで、たちまち永住の地に定め、ここにあるいは日本に歸化し、あるいは外國の籍のまま日本に永住する外國人が非常に多數であります。前英國インド總督等はその最も顯著なる例でありますが、戰前戰後を通じて、日本國の一員としてわが國の國策遂行に協力しておられます。こういう状況でありますので、この度衆議院の御詮議により、さいわいにこの地が國立公園に指定されるに伴つて、その海外に有名なる價値を、國内的にも認識していただき、天草の有する天然的條件に、人為的な施設を加えられるならば、天草は日本の代表的觀光地として十二分に國策を具現するのみならず、ただ單に外貨獲得の面からばかりでなく、ここに遊ぶ外客に日本の民族の淳朴さと、香り高い人間性を知らしめ、貴重なるみやげとして贈るということ以外に、その他の貴重なる意味におきましても、十分國際觀光地として價値あるものと信じて疑わないものであります。  つきましては、目下國費多端の折柄ではございますが、以上申し上げました點を御明察の上、國家當面の問題として特別の御詮議をもちまして、この島におきまする各連絡交通、あるいは道路、築港その他の問題等、外客の遊ぶ觀光のため必要なる各種施設、文化施設を重點的に、優先的に實施くださるように請願いたす次第であります。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本案は文部省ほか數省にまたがりますが、本日は文部省の政府委員がおこしになつておられまするから、文部省の立場としての、御意見を承ることにしまして、他の數省の政府委員に對しては、次會に御意見を承ることにいたしたいと考えます。永江政府委員

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 ただいまの御請願の御趣旨、十分に承りました。ただいま委員長からもお話のごとく觀光に關しましては各省にまたがつておりまするから、文部省といたしましても、關係各省と十分協議の上に善處いたしたいと思つております。

福田繁芳民主党

○福田委員長 諸君にお諮りいたします。ただいま申し上げましたように、次會に各省からの御意見を承つた上で、ちようど觀光事業法の小委員會がわが委員會にできておりますから、その方に本案を委託いたしたいと思うのですが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 それではさようにいたします。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 次に日程第六、國語國字問題の研究機關設置に關する請願、文書表第二八〇號、紹介議員星島二郎君外一名、本案に對して星島二郎君に代つて佐々木君の説明を願います。

佐々木盛雄日本自由党

○佐々木(盛)委員 國語國字問題の研究機關設置に關する請願の趣旨を申し上げます。  國語國字問題の解決は、文化国家實現のためにも、産業復興のためにも、缺くことのできない條件でありまして、わが國の中學、小學校では、その勉強の大半というものを國字國語の修得に費しておるという現状であります。これは他の文明諸國におきまして、まつたく見られないことでありまして、しかも各課目の用語用字が非常に難解なために、教育の進度が著しく妨げられておりますことは、申すまでもないことであります。またこれを一般國民の讀書能力の點から見ましても、國民の大半を占めておりまする高等小學校卒業者の讀書能力は、新聞を讀むことさえおぼつかないというふうな現状でありまして、今後の政府が民論によつて運營されなければならないときに、普通教育の學歴を代表する者の讀書能力がこのようなことであつては、たとえずべての言論機關が當用漢字を實行いたしましても、國民の大多數が各種の問題を理解するということは、なかなかむづかしいような状態であります。しかもいかほど教育制度を改めてみましても、全國民が現行の用字用語を十分に使いこなせるようになるまで教育を施すということは、ほとんど不可能であります。從つて、問題の解決は國字國語をたやすく學ぶことのできるものに改めるようにするよりほかにないと思います。またこれを日本の産業復興の見地からながめてみましても、すべての産業活動を計畫し、運營するものは、事務である。アメリカ、イギリスなどの産業活動がきわめて整然と、しかも素早く運營されておるのに比べまして、わが國のそれが非常に圓滑を缺き、非能率を極めておることは、われわれの國字國語の不合理に基づくところがきわめて大きいのであります。一例をタイプライターにとつてみましても、英米ならば十分間くらいでできる文章でも、それと同じ内容をわが國語で邦文のタイプライターを用いて打つには一時間くらいもかかる、こういうふうな状態であります。  そこで國字國語問題を解決するためには、標準語や標準音をどのように定めるか、あるいは漢字は廢すべきであるかどうか、廢止しないならばどの程度必要であるか、またこれらに關連していかなる表示方法を採用するか、現實の文化活動を妨げずに、しかも速やかに理想を實現するためには、どのような對策を必要とするかなどというような、多くの基礎的な研究が必要であろうと考えます。政府は明治三十五年に國語調査委員會を設けまして、小規模ながら、以上のような題目について研究調査に取りかかつておつたのでありまするが、その仕事がようやく緒についた大正二年に、財政貧困の理由でこの機關を廢止しております。その後大正十年に臨時國語調査會を設け、現在は國語審議會が設けられておりまするが、これらの實情は各委員の意見を單に持寄るというだけのもので、研究調査の機能を備えているということはできません。そこでこれらの問題を速やかにかつ根本的に解決することが、わが國の文化政策または産業復興の基礎條件である點にも鑑みまして、國家はまず問題の重要性にふさわしい規模の研究調査機關を設けて、權威のある具體策を確立し、さらにその實現に最善の努力を盡されたいと考えまして、國語國字研究機關を速やかに設置していただきたいという意味で、請願をしたような次第でございます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 この際政府の御意見があれば、伺いたいと思います。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 ただいま御請願になりました件につきましては非常に重要なことでありまして、いささか文部省としましてもただいま具體的に考えておることがありますので、概略を私から申し上げまして、なお詳細につきましては、國語課長の方から申し上げたいと思います。大體國字國語問題の根本的な解決をはかりますために、その基礎的調査研究が必要であるという御趣旨については、まつたく同感でございます。私どもといたしましては、この間に先般來朝いたしましたアメリカ教育使節團の報告書のうちにもいろいろ指示もございますし、またその解決策としまして漢字制限論、かな文字專門論、あるいはローマ字專用論等のいろいろな論が行われておりまするが、どのものもその一つが最良のものであるとして取上げるには、まだ至つていないように思われるのであります。それでこの點を徹底的に調査いたしまして、今御指摘のように、少なくとも義務教育年限において大體修得し得るだけの、最も能率的な基準を見出すということが必要であると存じます。六・三制を完全に實施いたしますれば、大體九箇年間に國民として覺え得る範圍のものを指定するというようなことも一つの考えの中にありますが、いずれにいたしましても、そういうことを決定いたしますには、よほど權威のある、しかも國民の各階層が民主的に協力し得るような機關を設けまして、これによつて、すべての國民が使いまする國語、國字でありまするから、十分徹底し、實用されるようなものを考案することが必要であると考えまして、大體文部省といたしましては明年度に約千三十七萬餘圓の豫算を要求するつもりでおりますが、それによりまして適當に各方面の御協力を求めまして、國字及び國語の基本的な問題を解決してまいりたいと考えておるのであります。いずれ詳細は國語課長から御説明申し上げます。

釘本久春文部事務官

○釘本説明員 私政府委員ではございませんが、永江政府委員からの命もございますので、文部省といたしまして現在考えておりますこと、準備を進めておりますことを、簡單に御説明申し上げます。  ただいま政府次官から御答辯がございましたように、私どもといたしましては國字國語問題の根本的な解決をはかるために、國立の國語研究所を明年度から出發するようにいたしたいと考え、その案につきましては若干の具體的な計畫を樹立いたしております。その大要を御説明申し上げますと、大體國語の民主化——今のお話にもございましたように言葉が非常にむずかしいことと、また非能率なこと、そういう點を除去いたしまして、國語を眞に國民全體のものにするという建前、それから國字のいかなる種類の文字が、日本語を寫しますのに適當であるかという問題、國字の決定、國語の民主化、國字の決定についての規格を確定するために、國字國語に關する根本的な調査研究を行うことを目的として、國語研究所を設立いたしたいと存じます。この研究所におきましては、かような目的を達成いたしますために、國語の本質及び現代語に關する調査研究、また國字を決定するために必要なあらゆる方面からの調査研究を徹底的に行いたいと存じます。  第一には、その組織でございますが、ただいま考えておりますところでは、第一部に國語國字の合理化に關しまする研究調査をいたす機關を設けたいと存じます。  それから第二には國語、國字の合理化をいたします。その基礎には現代語の實態または國民がいかなる文字をいかように使つておりますか、またいかなる言葉を話しておりますか、國民の國字國語使用の實際の状態を徹底的に調べることが必要だと存ぜられますので、第二部といたしまして、現代語の實態に關する調査研究を徹底的にいたしまして、第一部の基礎資料をつくりたいと存じます。  次に第三部といたしまして、現代語の實態を調査いたしまして國語の本質を探りますためには、その基礎といたしまして、國語の歴史的な發達に關する調査が必要だと存ぜられますので、第三部では國語の歴史的發達に關する研究調査を行う。それに民間各方面とも十分御連絡をいたし、民論を十分に反映するための、いろいろの事務をいたさなければなりませんので、總務部というものを設けまして、かように四部建で機構を整備したいというふうに考えております。  なおそれに要しまする大體の費用は、國費多端のときでもございますので、できる限り冗費を省くような建前でできておりますが、その額は今、永江次官からの説明にありましたように約一千三十七萬圓を要求しております。その内譯は、人件費として大體百二十二萬圓ぐらい。これは大體七十人ぐらいのプロパーの研究所所屬の研究員を置きますことと、後にも申し上げたいと存じますが、專屬研究員以外に關連學會、新聞報道、その他産業界、各方面の、これは單なる象牙の塔的な研究機關ではありませんので、各方面の協力を求めますために、部外の研究者約二百人にお願いするという建前で、人件費が百二十二萬圓、研究費として五百五十五萬圓、研究に伴う事業費として二百三十萬圓、それから設立に要しまする經費をごくごく内輪に見積りまして百三十萬圓、合わせて一千三十七萬圓、このくらいを要求いたしまして、ぜひ國會の方面におかれましても御協力を得て、實現いたしたいと願つておる次第でございます。  これはただいま佐々木委員長からのお話もございましたように、實は長年來の日本各方面からの要望でありまして、ただいままで實現できなかつたことでありますが、何とかこの際に實現いたしたいと、せつかく努力中でございます。なおこの研究所の所轄に關しましては、これは國語國字が國民全體のものであり、また國民全體の意見の上に決定されるべきものだと考えられますので、國立といたしたいと考えております。そうしてその設立及び運營に關する事務は、文部省が行うというやうにいたしたいと考えております。  第三にかような研究でございますから、この設立に關しましては、各方面の意見を眞に反映していかなければならないと存ぜられますので、國語研究所設立備準委員會というような委員會を設けまして、政界、學界、教育界、その他各方面の權威者によつて構成される委員會によつて、この機構運營をさらに練つていただくようにいたしたいかようなことを考えております。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本案に對する委員各位の御意見なり、質疑がありますれば發言を許したいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これは文化委員會としては非常に重要な問題でありますから、もう少し研究して、ぜひともこういうことは國家の恆久的な問題ですから、財源がないというのでなくて、積極的にやりたいというような意圖をもつております。文部省の方ではこれに對して豫算が出たようですが、そういう點については、どういう見透しであられるか。その點承りたい。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 文部省としては、ただいま申しました豫算は、時局的に非常に壓縮した豫算でありますが、それを一應文部省の要求豫算として提出をするつもりであります。提出後大藏省なり政府部内、あるいは關係方面においてどういうふうになりまするかは、にわかに結論は申し上げかねますが、文部省としてはできるだけこれは實施するように、各方面の御支援と御協力を願いたい、かように思つております。

福田繁芳民主党

○福田委員長 この際委員諸君にお願いします。ただいま佐藤君も申されましたように、本案は相當愼重審議をしなければいけませんので、事重大でございますから、諸君におかせられましても、よろしく御檢討願いたいと思います。なお檢討のために必要なる資料が御入用の節は、遠慮なく委員長までお申出で願いますれば、政府當局に要求いたしたい。かように考えております。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 次に日程第一、ヘボン式ローマ字を復活の請願、文書表第二六號、紹介議員坂東幸太郎君でありますが、都合により代りに並木君に趣旨辯明をされることを依頼されてまいりました。並木君に發言を許します。

並木芳雄民主党

○並木委員 提出者の請願書はここにありますからごく簡單でわかりやすうございますので、それを紹介者坂東君に代つて朗讀いたします。  占領軍一たび駐屯して以來、萬事舊殼を脱し、眞實に生きる新日本建設に人も我も苦しんでおることと存じます。この間にあつて依然として軍國主義の遺物を頑守し、事実は明らかに追放に値するものを官衙自身が率先保護しておるという奇異なる現象があるのを見ては、國家文教のため痛切に悲しまざるを得ないのであります。それは昭和十二年九月二十一日内閣訓令第三號で交布せられたローマ字つづり方でもあります。該づづり方は、臨時ローマ字調査會において、昭和十一年六月二十六日軍部の強壓により、田中館博士が多年唱導せられた式へと一氣に押し切つてできたものであり、その使用は内閣諸官省内の一定との條件であり、その眼目は軍國主義的のもので、英米文化を呪詛排斥することにその基礎がおかれたものであり、百害あるも一利なき平和日本民族文化發展のがんをなすものであります。  今、占領軍の入國と共に、指令第二號により、日本政府使用のローマ字は、從來六十三年世界に通用してきたヘボン式に限られたのでありますから、前記訓令第三號は、内容形式ともに消滅して無効となつておるのであります。しかるに文部省は昨年初夏、ローマ字協會を私設し、依然該訓令によると號し、ほとんどその徒のみよりなる委員會を構成し該會案を通過決定せしめ、當然審議せらるべかりし教育刷新委員會には、一片の報告だけにして、今春遂に全国の小學校にこれを強いるに至りました。  そもそも從來のいわゆるヘボン式は、明治の初頭當時、朝野の碩學、内外達識者諸名士の檢討を經て決定し、現に使用六十三年、世界に弘通し、日本語の文法的性質に適い、現在世界各國語のローマ字つづり中、最良の一たるを認め得るものでありますが、田中館博士の支持を受けたる文部省のいわゆる訓令式は、國語の性質に合うと公言するにかかわらず、實は非科學的のもので、五十音圖表の性質中のわずかに一、二を滿足するに止まり、かな五十音圖の後に蹣跚として喘走するものであり、かな五十音圖のもつ唯一の實器たる民衆發音記號の働きを、國民から奪い、これを捨てようとするものであります。これ實に國際關係を抜きにしても、なおかつ民族百年の文化のために許すことができないのであります。願わくは兩院達識の方々の御明察により、文化日本建設の前方はるかに屹立するこの重大問題に對し、次代の子等のために一暼の御眷願を賜わるよう、懇願いたす次第であります。東京都千代田區宮崎静二六十四歳。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本案に對する政府の御意見を承りたいのですが、實は日程第七に、日本式ローマ字普及の請願が出ているので、一應本案の趣旨辯明を聽いて、併せて兩案に對する政府のお考えをわれわれは承つて、そうして後日までわれわれ大いに檢討して、兩案おのおの採擇すべきか否かということを檢討いたしたい、かように考えます。よつて日程第七になつております。文書表第三〇〇號、日本式ローマ字普及の請願、木下榮君に代つて川越博君。

川越博国民協同党

○川越委員 木下議員が差支えありますので代つて御紹介いたします。本案は佐伯功介という人から出ておりまして、大體の要旨を御説明申し上げます。  文化國家建設の基礎となるものは、國語とそれを書き表す文字であるます。今まで日本語を書き表わしていたものは、漢字とかなとであり、言葉そのものも漢字、かなに適應して發達をしてきました。この漢字、かなの上に立つ文化が行き詰まつて完全に失敗した今日、新しい出發をするには、世界的の文字であるローマ字を取入れて、日本語に新しい血を輸血するほかありません。すなわちローマ字書きの習慣を速やかに普及することが、新しい文化建設の基礎として必要であります。國民一般にローマ字書きの習慣を普及して、所期の効果をあげるためには、そのローマ字の使用法が重大な關係をもつております。すなわち、第一には、日本語の本質的な構造によく順應すること、第二は國際的に中庸を得ていること、この兩面の條件を滿たすものでなくてはいけません。日本式ローマ字、いわゆる訓令式は元來この條件を滿たすようにヘボン式ローマ字を修正したものでありますから、完全にこれに適合します。ヘボン式はこの二つの條件のどちらに對しても重大な缺點をもつております。しかし感情的にヘボン式を主張する人は明治時代以來絶えなかつたのでありますが、昭和五年から十一年まで内閣に設けたローマ字調査會は、この論争にはつきりした判決を與え、國家の公に用いるものには、日本式を用いることとなつて、今日に至つておるのであります。今囘文部省が國民教育に取入れることにしましたのは、この日本式であり、民間で續々出版されておるローマ字教科書類や讀み物類も、ほとんど全部といつていいほど、日本式になつております。そこで學校以外の一般社會に對しても、できるだけ速やかに日本式ローマ字を普及し、ローマ字日本語を常識化するようにあらゆる手段を講ぜられたい。また將來のわが國家にとつても、最も基礎的な重要な問題として御審議ありたいことを希望する、こういう趣旨であります。

福田繁芳民主党

○福田委員長 文部當局の兩請願に對する意見があれば、この際承りたい。文部政務次官。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 ただいま二つの請願がございましたが、ヘボン式が可であるか、日本式ローマ字が可であるかということは、永年問題になつたところでありまして、文部省としては、今日の實際の社會面から見まして、これらの問題を適當に解決したいと實は關係方面と折衝中であります。近くその方面の御了解を得ましたならば、新たに新しい角度からこの兩者の問題を適當に解決いたしますために、適当な委員會をつくりまして善處いたしたい、かように考えております。

福田繁芳民主党

○福田委員長 この際委員諸君に申し上げておきます。ただいま文部當局の答辯にありましたことく、兩請願とも非常に大事でございますから、できれば兩請願者を再び招致して、請願人から詳細に參考資料をもらい、その上わが委員會も十分檢討して、文部當局が検討して、文部當局が設けんとしておるところの委員會に對して一つの示唆を與えるというか基準を示すというか、そういうこともわが委員會として當然やるべきだと思いますから、委員諸君もそのおつもりで十分に御檢討願いたいと思います。

受田新吉第一議員倶楽部

○受田委員 文部當局にお伺いいたしますが、先ほど提出された國語國字の調査機關に關する問題と、そのローマ字の問題ですが、これも相離して考えるということもどうかと思われますが、これを併せて調査研究するというような方向へ、お考えはございますまいか。これは重大な國民の國語生活に關係する問題でございますので、特にお尋ねいたします。

釘本久春文部事務官

○釘本政府委員 私から考えておりますことをお答え申し上げます。ローマ字の問題につきましては、これを國字問題の一環として考えるべき部分と、それからローマ字の書き方、表し方にいかなるつづりをとるのを適當とするかという二つの問題がございます。もちろん申し上げるまでもなく、ローマ字の問題につきましては、ただいま委員御質問のごとく、その二つをわけて考えることは必ずしも適當ではないのでありまして、漢字をどの程度に制限するか、あるいはかな書きを制限するか、そういつた問題と併せてローマ字、いわゆるローマ字の國字問題を檢討する必要がありますし、その檢討する場合には、當然いかなるつづり方が適當するかという問題が絡みついてくるわけでありますが、その根本的なローマ字を國字として採用するかどうかという問題につきましては、これは今にわかに決定できるということではございませんので、國語研究所のごとき施設におきまして、日本語の状態を徹底的に檢討しました上で、また漢字、かなとの比較もいたしまして、ある基礎をつくるように努力いたしたいと考えております。しかしながら、また今日ローマ字を讀み書きができるように國民を導きますことは、いろいろ實際上の必要からも迫られておりますことであります。從いまして、その場合にどういうつづり方で教へたらいいか、どういうつづり方が一番適當てあるか、これを學問的な見地のみならず、實際的な見地、また教育上の見地から檢討して、かようなつづり方で國語ローマ字は書くがいいという結論を、一應早く出しておく必要があるのじやないかというので、ただいま政務次官が答えましたように、つづり方に關すること、またローマ字をわけて書く書き方、またローマ字によつて日本語を書き表わすときには、文法の説明が大分違いますから、そういう具體的なことについては、早く委員會をつくりまして、結論を出して實際の必要にこたえたいと考えております。

川越博国民協同党

○川越委員 私は前の議會の決算委員會で高橋文相に對し、ローマ字問題について非常に困難をしておる、だから速やかにはつきりと學校で教えるものと、停車場なんかの文字とマツチするようにしなければ、教育上からも思わしくないのではないか、そういつた問題に關係して、ローマ字の調査會でありますが、審議會でありますか、その人選が一方に偏しておるということがありはしないか、そういつたことを質問しましたところが、高橋文相は、現在のものは人選を四月ごろに改めて、新しい發足をしたいものであるといつた答辯がありました。今度もこの請願が出ております通りに、國語、國字の研究機關の國立的なものができるのでありますけれども、一方ローマ字の審議會と申しますか、そういつたものを存續するのかどうか、また現在どういうふうな状態になつておるか、簡單に御説明していただきたいと思います。

釘本久春文部事務官

○釘本説明員 勝手ではございますが、ちよつと速記を止めていただきたいと思います。

福田繁芳民主党

○福田委員長 速記を中止してください。     〔速記中止〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 速記を始めて……。

受田新吉第一議員倶楽部

○受田委員 文部省にお尋ねいたしますが、教科書の文字が印刷の杜撰その他で誤植が多いようであります。これについては各地方から相当の聲を聞くのであります。早急の間に教科書を印刷される關係で、これはやむを得ないかとも思いますが、願わくはこの際新しい國をつくる段階として、國語生活は非常に重大性をもつておりますので國字、國語を正確にすることについては、特に御努力を願いたいと思います。

釘本久春文部事務官

○釘本説明員 ただいまの受田委員の御質問に對しましては、今進めておりますことを簡單に御紹介申し上げますが、この國語審議會においても、當用漢字を制定いたしましただけでなく、字體整理をしなければならないということを考えておりまして、この月末に活字の字體に關しましても整理案ができましたものですから、これをかけまして、なお國會にもお諮りし、國家として基準になる活字の字體をきめていただきたい、かように考えて準備を進めております。これは各新聞社、印刷會社、その他の專門家が十分檢討されましたもので、字體が簡單になり、從つてその字體が採用されるようになりますれば、ただいま教科書に現れておりまして、いろいろ御指摘いただいたような缺陷もなくなるだろうと思います。ちよつと御參考までに申し上げます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 ただいまの兩案に對しては、意見がないようでありますが、先ほど委員長として申し上げましたごとくに、よほど重大な問題ですから、愼重審議いたしまして、少なくとも後世のものに對して悔いを遺さないように、今後文部當局にできます委員會とわが國會の委員會と緊密なる連絡をとつて一體となつてやりたい、かように思いますから、諸君もよろしく御審議願いたいと思います。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 次に日程第八、文書表第四〇六號、登呂遺跡調査會に國庫補助の請願、紹介議員は私になつておりますが、ちようど本日はわが委員會から現地視察に參つた川越君がおりますから、川越君から御紹介を願いたいと思います。

川越博国民協同党

○川越委員 登呂遺跡調査會に國庫補助の請願につきまして御説明を申し上げます。  この問題につきましては、先に衆議院のわが文化委員會としても、實地調査の要があるということを考えて、委員が現地視察をいたし、またその結果につきましては、榊原委員より詳細なる報告がありました。また文部當局としても、この問題については非常な關心をもたれ、森戸文相も實地に御視察になつたわけであります。この遺跡は今され申し上げるまでもなく、奈良の唐古と同時に、日本古代史上の重要な遺跡であつて、古代の集團居住の跡、また木柵をあぜ道とした米作地らしいところの區域から、古代農耕の文化の樣相をいろいろ現わすところの彌生式土器であるとか、その他各種の木製の容器、木製の農具、そういつたようなものを出しておつて、世界的に、またアジアの米作地帯における遺跡として非常な價値のあるものであると思います。この發掘にあたつては、昭和十八年からすでに著手されたものでありますけれども、戰争中の關係とまた經費を要するという點において中絶しておつたのでありますけれども、本年の三月に東京大學の老古學教室に、關係の學者が參集して、登呂遺跡調査會をつくつて、数年間にわたる大規模の發掘調査計畫をなして、これに要する資金を文部省及び静岡縣市に求めて、十五萬圓の豫算をもつて調査に當つてきたのでありますけれども、何分この金額をもつてしては試掘的な程度に止まつておつて、今後繼續することはとうてい困難であります。從つてこの際さらに將來の計畫を充實して、昭和二十三年度から向う四年間毎年作業を繼續して、これが徹底的な究明を遂げて、日本古代史上の研究に資することを目的としておるわけであります。この四箇年間に要する費用としては、一千萬圓という豫算を計上しておるのでありますけれども、現實的においては昭和二十三年度事業のうちに六百萬圓を必要とするから、この國庫補助をお願いいたしたい。なおこの事業費中に百萬圓は静岡縣市の寄附を得ておるということであります。この問題は日本の神話傳説的な日本歴史を、科學的な日本史に直していく、そういつた意味において非常な貢獻をなすものでありますから、政府においてもこの趣旨に則つて、ぜひともこの目的を達していただきたいことを希望するものであります。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本案に關しては、ちようど文部省の科學教育局長、なお同局の人文科學研究課長の兩君が來ておられますから、本請願に對する政府側の御意見を兩君から聽きたいと思います。

清水勤二文部事務官

○清水政府委員 静岡の登呂の遺跡につきましては、ただいまお話の通りに、非常に重要な發掘が行われつつあるのでございまして、戰時中發掘されて、學術上重要であると考えられながら、實施されなかつたものでありますけれども、本年度に至りまして、學術上、特に考古學、文化史、あるいは古代の農耕史というような關係において非常に重要であると認めまして、文部省として五萬圓の科學研究費をとりあえず支出することにいたしまして、これに應じまして静岡縣竝びに静岡市それぞれ五萬圓ずつ御醵出願い、さらに登呂遺跡發掘後援會という方面で、いろいろ物資の供給を願い、さらに東京の官私立大學の學生、地元の師範學校、中等學校、女學校等の應援を得まして、とにかく本年度は第一回の發掘をいたしたいのでございますが、その發掘の經過に顧みましても、この遺跡が學問的にも非常に重要なものであるということを認め、かつ、これを十分科學的に闡明する必要があると考えまして、この發掘は今後、ただいまお話になりましたような繼續事業をもつて續けてまいりたいと考えておるのであります。二十三年度の豫算として、ただいま六百萬圓の必要があるとお話になりましたが、その話を聽きまして、政府においてもこれにこたえるべく、公共事業費、特に土木費としまして四百萬圓、それから文部省の科學研究費として二百萬圓を支出いたすように、豫算の概算に計上いたしまして、要求いたしておるのであります。この豫算はぜひ通したいと考えておりますので、關係の皆樣方におきましても、十分御支援いただきますようにお願いいたしたいと考える次第でございます。私どもの考えております大體を申し上げておきます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 犬丸課長。

犬丸秀雄文部事務官

○犬丸説明員 今の局長のお話を補足いたします。大體局長の今の御説明で盡きておるのでありますが、この研究發掘が行われました動機を申し上げておきたいと思うのであります。新聞で非常に研究費が足りないということを書いておりますが、なぜ文部省が五萬圓しか出さなかつたかということを、私から御説明しておきたいと思います。  それはこういうわけでございます。さつき局長も申しましたように、昭和十八年に、住友金屬工業の工場を建てる場合に、工事をした場所から偶然木器が出たのがその端緒であります。當時は戰争中でありましたので、ただ静岡市の郷土史研究家が中心になりまして、多少ほかの者がはいりましたが試掘をしたのであります。その後戰争がだんだん激しくなりましたので、とうていその發掘か行われなかつた。ところが戰争が濟みましてから、考古學者の一人がこれを思い出しまして、戰争も濟んだことであるから、これを繼續してやつてみたい。しかしこういう食糧難であり、また經劑難のこういうまだおちつかないときであるから、なかなか大規模にはとてもできないであろう、そこで試掘の程度でやつてみたいということでありまして、文部省の方にそういう希望を申してまいりました。當時突然のことでありましたから、もちろん政府に登呂遺跡試掘のための研究費はあるはずがありません。たまたま政府が、廣い意味で科學研究費という豫算を計上しておりましたから、その中の一部分をもつてこれを行うならば、その研究者の目的に副うことができる。そこでその研究費を出してくれという意味の希望を申し出ることを勸めたのであります。そのときの研究者は、これは試掘であるからその多額の金は要らない、せいぜい五萬圓もあればいいだろうということであつたものですから、その計畫を立てて、これを申請してきたわけであります。文部省はこれを決定する前に、學術研究會議に設けました專門學者をもつて組織した科學研究費審査委員會の審査を經て、そうして決定したのであります。審査委員會はこれを全願承認いたしました。國家の研究費はなかなか思う通りの豫算が通りませんので、大抵の場合は削減を受けるものでありますが、この登呂の發掘研究費につきましては、ほとんど例外的に全額を認めたわけであります。そしてこれが決定した。そうすると地元の縣と市でも、國家がそういう研究費を出すならば、これは地元のことであるから、われわれも援助したいというので、國家と同額の五萬圓ずつがあとから寄附になりまして、合計十五萬圓になつたのであります。從つて初めは研究者の方でも、この程度の金で十分であるという見込みでとりかかつた事業であつた。ところがやつていきますうちに、だんだんと豫想以上に規模が大きいこともわかり、また物價が上つてまいりましたり、豫想以上の人員が參加を申込んで來ましたり、そういうことでだんだん金がいるようになつたのであります。しかし今年の計畫においては、初め研究者が計畫した通り、研究程度の發掘は行われたのであります。それで新聞に、金がないためにあれをまた埋めるのだという記事がでましたけれども、あれは決して、そうではないのでありまして、ただあとそのままにしておきますと、通りがかりの人がいろいろ自己的興味から、せつかく發掘したところを傷めるようなことがあつてはならないというので、五寸くらいの厚さで土をかぶせておくということでありまして、せつかく掘つたところを埋めてしまうような記事がありましたが、決してそういうことではないということを申しておきたいのであります。そしてあとは静岡縣の方で史跡に假指定をいたしまして、これを損うことがないような法的處置をとることになつて手續を進行中であります。それからこの研究報告として、十一月上旬に、登呂遺跡發掘調査會、國立博物館、文部省の人文科學研究課が三者共同主催で上野の國立博物館の會場を利用いたしまして、後援會竝びに發掘した遺物の展覧会を行う豫定であります。それで、これらの請願者からも請願がありました通りに、日本古代の文化と集團生活の科學的研究をなす上に、大いに寄與をなすものでありますから、國家として引續き援助をしなければならぬと考えまして、局長の御説明しましたような豫算を組んでおるのであります。この遺跡は住友金屬工業の工場を造るときに工場建設のために二メートルの高さにわたつて地盛りをしております。その地盛りの下が遺跡のある所であるから、その地盛りを掘る金はほんとうの研究費でありませんので、文部省はほんとうの研究のための豫算を計上して、地盛りをとるための金は全體の三分の一近くの金を占めておりますから、これはいわゆる公共事業費の豫算で要求してもらいたいと考えております。これにつきましては、地元の縣とも相談してございます。縣もそのようにしたいということで話合いがついておりますので、そういう方向に進むと思います。なお御質問がございましたらお答えいたします。

川越博国民協同党

○川越委員 文部當局の非常な御熱意と、實際とつておられる措置は十分わかりますが、大藏省などの關係もありますし、文部當局として文化費は割合に少ないのでありますから、ぜひとも大藏當局といつた方面に對しても、腰を強くしてやつていただきたい、そういつた希望を申し上げておきます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本案に對して他に御意見はございませんか。——御意見がないようでありますから、本日の請願審査は大體この程度にいたして、残餘の請願は次會にいたしたいと思います。     —————————————

福田繁芳民主党

○福田委員長 この際諸君にお諮りいたしたいことがあります。  實はさきに夏目漱石の著書をめぐる問題その他について、わが委員會において一應事情は聽守いたしたのでありますが、本委員會の調査項目として、正式に新聞、雜紙その他著作出版に關する事項として取上げて、著作出版関係法規の整備立案等のために小委員會を設置して、そこで調査いたしたいと思うのであります。つきましては衆議院規則第九十四條により、國政調査の承認を要求いたしたいと思いますが、諸君において御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 御異議ないようでありますから、さよう決定いたします。  ついては小委員會の委員の選任について諸君にお諮りいたします。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 委員は七名として、その委員の氏名は委員長において指名していただきたいと思います。

福田繁芳民主党

○福田委員長 ただいまの佐藤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田繁芳民主党

○福田委員長 異議がございませんから、委員長から小委員七名を指名いたします。    猪俣 浩三君  佐藤觀次郎君  成島 憲子君  平澤 長吉君          佐々木盛雄君  竹尾 弌君  川越 博君 以上七名を著作出版関係法規の小委員會の委員にお願いいたします。     —————————————

佐々木盛雄日本自由党

○佐々木(盛)委員 最初に政府委員に緊急質問をいたしましたことに関連して、一言申し添えておきたいと思います。それは先ほどの永江文部政務次官からのお話によりまして、六・三制はこれに必要な豫算が、ことによると削られるかもわからぬという新聞の報道豫測を否定されまして、文部當局としては、あくまでも初期の計畫通り六・三制の實現に遇進するというお話を承リましたが、この六・三制の問題は、地方へ行つてもきわめて重大な問題でありまして、三十一億二千萬圓のうち、政府の出しますのが十五億、あとの十六億二千萬圓が府縣の負擔になつております。地元はどこでも、村においても、町においても、縣においても、かなえの沸くがごとき問題になつております。そしてこれが地方財政の最も大きな困難事となつておりまして、だれもが重大な關心をもつておるわけであります。そのときに、もしもこれが削られはしまいか、あるいはことによつたら六・三制がご破算になりはせぬかということが、すでに一部に傳わつておるのでありますが、こういうことが中央から地方に傳わつてまいりますと、地方では大動搖を來すことは、火を見るよりも明らかでありまして、從つてそういうことになつたならば、その次の六・三制の上の高等學校設置の問題にも重大な影響もありますので、この際政府當局といたされましては、何とかそういうことのないように手を打つていただきい。このことはわれわれが選擧區をまわりましても、痛切に感ぜられますので、重ねてこのことを御希望申し上げておきます。

永江一夫日本社会党文部政務次官

○永江政府委員 まことに適切な御意見でございまして、文部省といたしましては、先ほど申し上げましたように、所期の目的貫徹のために極力やつておりますが、これがはつきりいたしますれば、新聞にも多少六・三制實施の點に疑點をもたせるような記事がでましたから、はつきりし次第、できるだけその疑點を解きまして、地方廰を通じて各地方自治體にも、全國的にその點をはつきりいたしたいと考えます。

福田繁芳民主党

○福田委員長 本日はこれにて散會いたします。次會はいずれ公報で御通知いたします。    午後零時二十二分散會

国会会議録検索システムで原文を見る ↗